JP2010002270A - 目標運動解析装置、目標運動解析方法プログラムおよび目標運動解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標体の運動モデルを等速直進運動とすると、目標体が変針変速することにより、変針変速前後の目標の運動を正しく解析できないという問題があった。
【解決手段】本発明の目標運動解析方法は、目標体の変針変速を検出した上で、時系列観測データを用いて変針変速時刻を推定し、さらに時系列観測データを用いて、基準時刻における目標体位置座標および、推定した変針変速時刻前後の等速直進区間毎の目標体の針路、速力を推定パラメータとする非線形最適化問題を解くことである。
【選択図】図11
【解決手段】本発明の目標運動解析方法は、目標体の変針変速を検出した上で、時系列観測データを用いて変針変速時刻を推定し、さらに時系列観測データを用いて、基準時刻における目標体位置座標および、推定した変針変速時刻前後の等速直進区間毎の目標体の針路、速力を推定パラメータとする非線形最適化問題を解くことである。
【選択図】図11
Description
本発明は、目標体から放射される音波を時系列データとして観測し、目標体の位置、針路、速力等を推定する目標運動解析装置、目標運動解析方法プログラムおよび目標運動解析方法に関する。
目標運動解析方法は、移動可能な観測体に設けられた音響センサにより、目標体から放射される音波の到来方位および周波数を時系列観測データとして蓄積し、前記時系列観測データと時系列推定データの残差が最小となる目標体の運動モデルのパラメータを推定するものである。
これまでの目標運動解析方法は、特許文献1に記載のように目標体の運動モデルを等速直進運動として扱っており、推定するパラメータは基準時刻における目標体の位置座標、針路、速力、固有周波数であった。
前述した時系列観測データと時系列推定データの残差を最小化し、目標体の運動ベクトルを推定する問題は、非線形最適化問題として知られている。非線形最適化問題の解法は、カルマンフィルタによる方法、最小二乗法による方法、遺伝的アルゴリズムによる方法等がある。
また、等速直進運動ではない目標体、すなわち変針変速を行うような目標体について、特許文献2に記載のように、変針変速を検知し、オペレータに提示する方法がある。
図1を参照して、従来技術による目標運動解析のシミュレーション結果を説明する。ここで、図1は従来技術による目標運動解析のシミュレーション結果である。特に、図1(a)は時刻0sを基準とする航跡(60×60kyd^2、1yd=0.944m)、(b)は観測体と目標体の距離(kyd)、(c)は目標体の速力(kt、1kt=1.825km/h)、(d)は目標体の針路(°)である。また、図1(b)〜(d)の横軸は時刻(s)である。図1において、観測体の航跡201、目標体の航跡202、距離203、速力204、針路205は、シミュレーションの前提となる連続値である。一方、離散的な点で示す目標体の推定位置座標履歴212は、解析周期30秒として目標運動解析を実施した時の目標体の推定位置座標である。同様に、目標体と観測体との相対距離213、目標運動解析結果による目標体の推定速力214、目標体の推定針路215を表している。シミュレーション開始後900秒で目標体は、図1(a)および(d)に示すように、針路を180°から150°に変針しており、目標体変針以降においては目標運動解析を正しく実施できていない事が分かる。
また、目標体の変針変速を何らかの検定手段により看破し、変針変速後の時系列データを用いて、解析を行う方法においては、変針変速直後は解析が不能となり、解析結果が不安定となるという問題があった。これは変針変速後には解析に使用するデータ数が減少するためである。
図2を参照して、何らかの検定手段により、変針変速を検出し、変針変速検出後は変針変速時刻以降の観測データを用いて目標の運動を解析する技術による目標運動解析のシミュレーション結果を説明する。ここで、図2は改良された目標運動解析のシミュレーション結果である。特に、図2(a)は時刻0sを基準とする航跡、(b)は観測体と目標体の距離(kyd)、(c)は目標体の速力(kt)、(d)は目標体の針路(°)である。また、図1(b)〜(d)の横軸は時刻(s)である。図2において、観測体の航跡201、目標体の航跡202、距離203、速力204、針路205は、シミュレーションの前提となる連続値であり、図1と同様である。一方、離散的な点で示す目標体の推定位置座標履歴232は、解析周期30秒として目標運動解析を実施した時の目標体の推定位置座標である。同様に、目標体と観測体との相対距離233、目標運動解析結果による目標体の推定速力234、目標体の推定針路235を表している。シミュレーション開始後900秒で目標体は、針路を180°から150°に変針しており、目標体の変針以降は一度解析不能状態となり、約600秒間は解析結果が不安定な状態となっていることが分かる。
前述した技術では、目標体の運動モデルを等速直進運動として扱っているため、目標体が変針変速を行うと、変針変速前後の目標の運動を正しく解析できないという問題があった。
前述の課題を解決する方法として、目標体の運動モデルとして等速直進運動ではなく、変針変速を考慮して、2区間以上の等速直進区間の組み合わせとして目標体の運動をモデル化する方法が考えられる(以降、このモデルを等速直進モデルに対して、変針変速モデルと呼ぶ)。しかし、変針変速モデルの時系列推定方位関数および時系列推定周波数関数は、不連続なものとなってしまい、カルマンフィルタあるいは最小二乗法のように評価値の導関数を使用する最適化手法を適用する事ができない。これに対して、遺伝的アルゴリズムへの変針変速モデルの適用は、比較的容易である。しかし、遺伝的アルゴリズムは、推定パラメータが増加すると、解析を収束させるための計算量は飛躍的に増加する。
そのため、計算量の大幅な増加を伴わずに変針変速前後の目標体の運動ベクトルを安定して出力する目標運動解析装置、目標運動解析方法プログラムおよび目標運動解析方法が求められている。
上述した課題は、音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとを保持し、変針変速検出部を含み、変針変速検出部は、第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得し、この最新の変針変速時刻以降の解析用データを第1のデータベースから取得し、解析用データを用いて変針変速検出処理を実施し、変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施し、推定された変針変速時刻を第2のデータベースに格納し、変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、最新の変針変速有無の確認処理を実施する目標運動解析装置により、達成できる。
また、音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとをメモリに保持し、電子計算機を、第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得し、この最新の変針変速時刻以降の解析用データを第1のデータベースから取得し、解析用データを用いて変針変速検出処理を実施し、変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施し、推定された変針変速時刻を第2のデータベースに格納し、変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、最新の変針変速有無の確認処理を実施する変針変速検出部として、機能させるための目標運動解析プログラムにより、達成できる。
さらに、音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとを保持し、第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得するステップと、この最新の変針変速時刻以降の解析用データを第1のデータベースから取得するステップと、解析用データを用いて変針変速検出処理を実施するステップと、変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施するステップと、推定された変針変速時刻を第2のデータベースに格納するステップと、変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、最新の変針変速有無の確認処理を実施するステップとを含む目標運動解析方法により、達成できる。
本発明の一形態は、目標体から放射される音波の到来方位および周波数を音響センサにより観測した、時系列観測方位データおよび時系列観測周波数データから、目標体の位置および針路、速力を推定する目標運動解析方法である。その目標運動解析方法は、目標体の変針変速を検出した上で変針変速時刻を推定し、時系列観測データを用いて、基準時刻における目標体位置座標および、等速直進区間毎の目標体の針路、速力を推定パラメータとする非線形最適化問題を解くことである。
より具体的な態様は、まず目標体の変針変速の時刻を仮定し、仮定した変針変速時刻の前後の区間のそれぞれを目標体は等速直進運動していると見なして、その等速直進運動区間毎に、時系列観測方位データを基にした時系列推定方位データと時系列観測周波数データを基にした時系列推定周波数データとを求め、時系列観測方位データと時系列推定方位データとの残差および時系列観測周波数データと時系列推定周波数データとの残差の和を評価値として、変針変速の時刻を推定する。この推定した変針変速の時刻の前後の区間のそれぞれを前記目標体は等速直進運動していると見なして、この等速直進運動区間毎に、時系列観測方位データを基にした時系列推定方位データと時系列観測周波数データを基にした時系列推定周波数データとを求め、時系列観測方位データと時系列推定方位データとの残差および時系列観測周波数データと時系列推定周波数データとの残差の和を評価値として、目標体の運動ベクトルを推定する。
さらに、変針変速の検出に誤りがあった場合には、運動ベクトルの推定精度を劣化させることになるので、検出した変針変速の妥当性を判定し、検出した変針変速が誤りであったと判定された場合には、誤りであった変針変速をキャンセルする。
本発明に拠れば、変針変速を繰り返すジグザグ運動をする目標体であっても、目標体の最新の運動ベクトルを安定して推定することができる。
以下、本発明による目標運動解析装置、目標運動解析方法プログラムおよび目標運動解析方法の実施の形態について図面を参照して説明する。
図3を参照して、目標運動解析装置の機能ブロックを説明する。ここで、図3は目標運動解析装置の機能ブロック図である。図3において、目標運動解析装置901は、観測情報データベース部101と、変針変速検出部102と、変針変速データベース部103と、目標運動解析部104と、解析履歴データベース部105で構成される。
変針変速検出部102は、観測情報データベース101と変針変速データベース103を参照し、新たな変針変速があったかを検出する。変針変速検出部102は、変針変速時刻を推定し、新たな変針変速が検出されなかった場合には、変針変速データベース103に保持する最新の変針変速の検出に誤りがなかったかを再判定する。目標運動解析部104は、観測情報データベース101と変針変速データベース103を参照し、基準時刻における目標体位置と等速直進毎の針路、速力を推定する解析を行う。目標運動解析部104は、解析履歴データベース105に解析結果を格納する。変針変速データベース103上に変針変速が登録されていない場合には、目標運動解析部104は、基準時刻における目標体の位置座標と針路、速力を推定する解析を行い、解析結果データベース105に解析結果を格納する。
図4および図5を参照して、観測情報データベースを説明する図である。ここで、図4は時系列観測方位データベースを説明する図である。図5は時系列周波数データベースを説明する図である。すなわち、観測情報データベース101は、時系列観測方位データベース101aと時系列周波数データベース101bで構成される。
図4において、時系列観測方位データベース101aは、観測方位情報[ ]と格納データ数で構成される。観測方位情報[ ]は、観測時刻、観測方位、観測方位誤差標準偏差、観測位置X座標、観測位置Y座標で構成される。ここで、[ ]は、時系列にデータを蓄積するための2次元配列構造を示している。観測方位情報[ ]は、蓄積されているデータ数を格納データ数として、時系列観測方位データベース101aに格納する。なお、観測方位誤差標準偏差および図5の観測周波数誤差標準偏差は、観測した情報の正確さを示すものである。観測方位誤差標準偏差および観測周波数誤差標準偏差は、必ずしも必要な情報ではないが、これを用いた解析を行う事により、より高精度の解析が可能である。
図5において、時系列観測周波数データベース101bは、観測周波数情報[ ]と格納データ数で構成される。観測周波数情報[ ]は、観測時刻、観測周波数、観測周波数誤差標準偏差、観測位置X座標、観測位置Y座標、観測時観測体速力X成分、観測時観測体速力Y成分で構成される。観測周波数情報[ ]は、蓄積されているデータ数を格納データ数として格納する。
図6を参照して、変針変速データベースを説明する。ここで、図6は変針変速データベースを説明する図である。図6において、変針変則データベース103は、変針変速情報[ ]と変針変速回数で構成される。変針変速情報[ ]は、推定変針変速時刻を格納するレコードを持つ。
図7を参照して、解析履歴データベースを説明する。ここで、図7は解析履歴データベースを説明する図である。図7において、解析履歴データベース105は、レグ[ ]、目標体放射周波数、格納レグ数で構成される。レグ[ ]は、さらに解析基準時刻、目標体X座標、目標体Y座標、速力X成分、速力Y成分で構成される。解析履歴データベースにおいて、解析結果は、固有周波数(目標体放射周波数)とレグと呼ぶ等速直進区間の運動ベクトルで管理する。レグ[ ]に格納しているレコード数は、格納レグ数に保持する。
図8を参照して、目標運動解析部の処理を説明する。ここで、図8は目標運動解析部のフローチャートである。図8において、目標運動解析部104は、まず、変針変速データベース103を参照して、変針変速履歴があるか判定する(S601)。変針回数が0の場合(NO)、目標運動解析部104は、1レグ解析を実行する(S603)。ステップ601で変針変速回数が1以上の場合(YES)、目標運動解析部104は、2レグ解析を実行する(S602)。目標運動解析部104は、最後に、解析結果を解析履歴データベースに格納する(S604)。
ここで、1レグ解析は、最新の変針変速時刻(または基準時刻)から最新の観測時刻に至る区間の、目標体の運動モデルとして等速直進モデルを適用する解析である。1レグ解析は、解析基準時刻における目標体の位置座標、針路、速力、固有周波数を推定する。これに対して、2レグ解析は、目標体の運動モデルとして、最新の変針変速時刻を挟む2区間(2レグ)の等速直進区間について、それぞれ等速直進モデルを適用する解析である。2レグ解析も、解析基準時刻における目標体の位置座標、固有周波数、等速直進区間毎の針路、速力を推定する。
図9を参照して、変針変速検出部の処理を説明する。ここで、図9は変針変速検出部のフローチャートである。図9において、変針変速検出部102は、変針変速データベース103から最新の変針変速時刻と、観測情報データベース101の最新の変針変速時刻以降のデータ、すなわち最新の等速直進区間のデータ(以降、解析用データと記述)を取得する(S401)。ここで、最新の変針変速時刻とは、それ以前に推定した変針変速時刻の中で、最も新しい時刻データまたは基準時刻データである。したがって、最新の区間のデータとは、最新の変針変速時刻から最も新しい観測時刻までの時系列の観測情報(解析用データ)である。
変針変速検出部102は、解析用データを用いて変針変速検出処理を実施する(S402)。この変針変速検出処理は、解析用データから変針変速の有無を統計的な手段に検出する処理であり、たとえば、特許文献2に記載されている。このため、ここでの説明を省略する。変針変速検出部102は、変針変速が検出されたか判定する(S403)。変針変速が検出された場合、変針変速検出部102は、ステップ404以降の処理により変針変速時刻の推定を実施する。一方、ステップ403で変針変速が検出されなかった場合、変針変速検出部102は、変針変速データベースの最新の変針変速検出が正しいものであったかの判定を実施する。最新の変針変速検出が誤りであったと判定された場合、変針変速検出部102は、最新の変針変速時刻をキャンセルする。
変針変速時刻推定の考え方は最新の観測データ時刻から最新の変針変速時刻まで、変針変速時刻を仮定値として2レグ解析を実施して、最も評価値の良い仮定値を推定変針変速時刻とするものである。2レグ解析は、2つの等速直進区間の時系列観測データを用いて、基準時刻における目標体の位置座標、変針変速前後の針路、速力、固有周波数を推定し、評価値として正規化方位残差と正規化周波数残差の和を出力する。
図9に戻って、変針変速検出部102は、まず、最良の評価値Φに初期値Φinitを設定する(S404)。評価値Φは、正規化方位残差と正規化周波数残差であるため、小さい方が良い評価値である。したがって、Φinitは十分に大きな値とする。次に、変針変速検出部102は、変針変速時刻の仮定値tzigに最新の解析用データの観測時刻tnewを設定する(S405)。ステップ406の2レグ解析において、変針変速検出部102は、変針変速時刻を仮定値tzigとして基準時刻における目標体の位置座標、変針変速前後の針路、速力、固有周波数を推定し、評価値φを出力する。変針変速検出部102は、最良の評価値Φと2レグ解析にて計算した評価値φを比較する(S407)。2レグ解析にて計算した評価値φの方がよければ(YES)、変針変速検出部102は、最良の評価値Φと、最良の評価値となる推定変針変速時刻Tzigを更新する(S408、S409)。変針変速検出部102は、変針変速時刻の仮定値tzigをdtだけ過去に遡る(S410)。ステップ407でNOのとき、変針変速検出部102は、ステップ410に遷移する。
変針変速検出部102は、遡った変針変速時刻の仮定値tzigが変針変速最古時刻Tmaxより過去か判定する(S411)。過去でなければ(NO)、変針変速検出部102は、ステップ406に遷移する。ステップ411で過去であれば(YES)、変針変速検出部102は、変針変速時刻Tzigを変針変速データベース103に格納して(S412)、終了する。
変針変速最古時刻Tmaxは、最新の区間の中の最も古い時刻の意であり、前述の最新の変針変速時刻である。図9の処理が時間を遡るように繰り返すために、変針変速時刻の仮定値をdtだけ過去に遡るようにしているのであって、図9の処理が変針変速最古時刻Tmaxから最新の観測時刻に向けて処理するならば、時間の推移は逆になることは自明であろう。またdtは、推定する変針変速時刻に要求される分解能より小さな値であればよい。
ステップ413以降の最新変針変速時刻のキャンセル判定の考え方は、次の通りである。(1)最新の変針変速時刻を挟む2区間の等速直進区間の観測データに対して、再度変針変速処理を実施する。(2)再変針変速処理で、変針変速が検出されれば、最新の変針変速検出は正しいものであったと判断する。(3)再変針変速処理で、変針変速が検出されなかった場合、最新の変針変速検出は誤りであったと判断して、変針変速データベース103から、最新の変針変速時刻のレコードを削除し、格納レグ数をデクリメントする。
変針変速検出部102は、変針変速データベース103を参照し、変針変速が登録されているか判定する(S413)。登録されている場合(YES)、変針変速検出部102は、ステップ414以降のキャンセル判定を実施する。ステップ413でNOのとき、変針変速検出部102は、そのまま終了する。
変針変速検出部102は、観測情報データベースから最新の変針変速時刻を挟む2区間の等速直進区間の観測情報を取得する(S414)。変針変速検出部102は、変針変速検出処理を実施する(S415)。その結果、変針変速検出部102は、変針変速を検出したか判定する(S416)。変針変速が検出されなければ(NO)、変針変速検出部102は、変針変速データベースから最新の変針変速を削除して(S417)、終了する。ステップ416でYESなら、変針変速検出部102は、そのまま終了する。
図10を参照して、1レグ解析において推定する運動パラメータを説明する。ここで、図10は観測体と目標体の幾何学的関係を示した図である。図10において、観測体は運動軌跡701、目標体は運動軌跡702によって移動している。位置703〜705は目標体から放射される音波を観測した観測体の位置である。位置705が最新の観測データを取得した観測体の位置である。ここでは、最新観測データを取得した時刻を解析基準時刻とする。1レグ解析において推定するパラメータは、解析基準時刻における目標体位置706のX座標707、解析基準時刻における目標体位置706のY座標708、速力X成分710、速力Y成分711および目標体固有周波数である。
これらのパラメータは最小二乗法により式(1)を最小化することにより推定する。ここで、tは解析基準時刻を0として正規化した時刻を表し、Cは音速、co、moは観測体の針路、速力を表す。また、yi、ziは時刻tiにおける観測方位および観測周波数であり、式(2)(3)はそれぞれ推定方位、推定周波数である。また、xoi、yoiは時刻tiにおける観測体の位置(xoi,yoi)である。
解析基準時刻は最新の観測時刻とし、2レグ解析において推定するパラメータは解析基準時刻における目標体位置812のX座標813、解析基準時刻における目標体位置812のY座標814、変針変速前の速力809のX成分810、変針変速前の速力809のY成分811、変針変速後の速力815のX成分816、変針変速後の速力815のY成分817および固有周波数である。
これらのパラメータは1レグ解析と同様に式(1)を最小化することにより推定する。なお、図9のフローチャートでは、2レグ解析における式(1)のS(X)をΦで表している。ただし、推定方位および推定周波数は推定変針変速時刻をtz(図9のフローチャートでは、Tzigと表記)として、式(21)〜式(29)となる。
音響センサ902は、目標体から放射される音波を受波して、音波の到来方位および周波数を目標運動解析装置901に入力する。航海センサ903は、電磁ログ、ジャイロ、GPS等を用いたものであり、観測体の位置、速力、針路を目標運動解析装置901に入力する。入力された音波の到来方位、周波数、観測体の位置、速力、針路は、メインメモリ905の観測情報データベース101に蓄積される。変針変速検出プログラム102および目標運動解析プログラム104は、前述した処理を行い、その結果を変針変速データベース103および解析履歴データベース105に格納する。
目標運動解析装置901は、メモリ905上で保有する観測情報データベース101、変針変速データベース103、解析履歴データベース105の内容をCRT等の出力装置906に表示し、オペレータに提示する。オペレータは、出力装置906に出力された観測情報データベース101、変針変速データベース103、解析履歴データベース105の内容を参照する事により、目標の変針変速を看破した場合、入力装置909により変針変速時刻を変針変速データベースに格納することも可能である。
図13を参照して、出力装置の表示を説明する。ここで、図13は出力装置の表示を説明する図である。図13において、横軸に時刻、縦軸に観測方位とした目標体の位置表示である。ここで、図13は、目標体の運動パターンを表1のとおりとした場合の、音響センサ902で観測される音波の到来方位である。図13からも700秒に観測方位の傾向が変化している事がわかる。
表1 目標体の運動パターン
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時刻〔秒〕 針路〔°〕 速力〔kt〕
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0〜 700 180 19.4
700〜1400 90 19.4
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しかしながら、実際に観測される方位は、音波伝搬中の屈折の影響や音響センサにおける計測誤差もあり、図13のように鮮明な方位の傾向変化を読み取る事は難しい。このため、目標運動解析装置901は、統計的な手段により変針変速を看破する変針変速検出プログラム104を備えている。
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時刻〔秒〕 針路〔°〕 速力〔kt〕
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0〜 700 180 19.4
700〜1400 90 19.4
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しかしながら、実際に観測される方位は、音波伝搬中の屈折の影響や音響センサにおける計測誤差もあり、図13のように鮮明な方位の傾向変化を読み取る事は難しい。このため、目標運動解析装置901は、統計的な手段により変針変速を看破する変針変速検出プログラム104を備えている。
図14を参照して、目標運動解析のシミュレーション結果を説明する。ここで、図14はキャンセル処理付き2レグ解析のシミュレーション結果を説明する図である。図14(a)は時刻0sを基準とした観測体と目標体の絶対位置、(b)は観測体と目標体の距離(kyd)、(c)は目標体の速力(kt)、(d)は目標体の針路(°)である。(b)〜(d)の横軸は時刻(s)である。いずれも実線201〜205は、図1、図2と同じシミュレーションの前提値である。また、離散的な点212〜215は、それぞれのシミュレーション結果(解析周期30s)である。シミュレーション開始後900秒で目標体は針路を180°から150°に変針しており、目標体の変針以降も解析結果を安定して出力している。
図15を参照して、背景技術である目標体の変針変速に対応していない解析(1レグ解析)、目標体の変針変速に対応しているが、検出した変針変速が誤りであった場合のキャンセル処理がない解析(マルチレグ解析)、マルチレグ解析に対して検出した変針変速が誤りであったと判定された場合には検出した変針変速をキャンセルする処理を付加した解析(キャンセル処理付きマルチレグ解析)の解析安定性説明する。ここで、図15は複数の解析手法による解析安定性の時間経過を説明する図である。図15において、横軸は時刻(s)、縦軸は解析安定性(%)である。ここで、解析安定性は30パターンの観測データに対してシミュレーションを実施し、解析誤差が基準値内に入っている割合である。白抜き四角は、1レグ解析、黒三角はマルチレグ解析、黒四角はキャンセル処理付きマルチレグ解析である。
目標体は、900秒で変針している。このため、1レグ解析は、900秒以降で解析安定性は0%となっている。マルチレグ解析およびキャンセル処理付きマルチレグ解析は、目標体の変針後も安定した解析精度である。但し、マルチレグ解析が90〜95%の解析安定性であるのに対して、キャンセル処理付きマルチレグ解析はほぼ100%の解析安定性である。これは、マルチレグ解析において変針変速の検出または変針変速時刻の推定を誤っているからに他ならない。
上述した実施例に拠れば、目標体が変針変速している場合でも、安定した解析を実施する事ができる。
上述した実施例に拠れば、目標体が変針変速している場合でも、安定した解析を実施する事ができる。
101…観測情報データベース部、102…変針変速検出部(プログラム)、103…変針変速データベース部、104…目標運動解析部(プログラム)、105…解析履歴データベース部、901…目標運動解析装置、902…音響センサ、903…航海センサ、904…CPU、905…メモリ、906…出力装置、907…インターフェース、908…インターフェース、909…入力装置。
Claims (5)
- 音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、前記目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとを保持し、変針変速検出部を含む目標運動解析装置において、
前記変針変速検出部は、前記第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得し、この最新の変針変速時刻以降の解析用データを前記第1のデータベースから取得し、前記解析用データを用いて変針変速検出処理を実施し、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施し、推定された変針変速時刻を前記第2のデータベースに格納し、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、前記最新の変針変速有無の確認処理を実施することを特徴とする目標運動解析装置。 - 請求項1に記載の目標運動解析装置であって、
さらに、前記目標体の推定位置座標と推定速力ベクトルとを記録する第3のデータベースとを保持し、さらに、目標運動解析部を含み、
前記目標運動解析部は、前記第3のデータベースを更新することを特徴とする目標運動解析装置。 - 請求項1または請求項2に記載の目標運動解析装置であって、
前記変針変速検出部は、前記確認処理において、変針変速を検出しなかったとき、前記第2のデータベースから前記最新の変針変速時刻を削除することを特徴とする目標運動解析装置。 - 音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、前記目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとをメモリに保持し、
電子計算機を、
前記第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得し、この最新の変針変速時刻以降の解析用データを前記第1のデータベースから取得し、前記解析用データを用いて変針変速検出処理を実施し、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施し、推定された変針変速時刻を前記第2のデータベースに格納し、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、前記最新の変針変速有無の確認処理を実施する変針変速検出部として、
機能させるための目標運動解析プログラム。 - 音響センサから取得した目標体の方位および周波数と、航海センサから取得した観測体の位置座標および速力ベクトルとを時系列的に記録する第1のデータベースと、前記目標体の時系列的な変針変速時刻を記録する第2のデータベースとを保持し、
前記第2のデータベースから最新の変針変速時刻を取得するステップと、
この最新の変針変速時刻以降の解析用データを前記第1のデータベースから取得するステップと、
前記解析用データを用いて変針変速検出処理を実施するステップと、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出したとき、変針変速時刻推定処理を実施するステップと、推定された変針変速時刻を前記第2のデータベースに格納するステップと、
前記変針変速検出処理において、変針変速を検出しないとき、前記最新の変針変速有無の確認処理を実施するステップとを含む目標運動解析方法。
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