JP2010002221A - X線利用の基板検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線CT画像を生成する機能と、トモシンセシスの断層画像を生成する機能の双方を具備する基板検査装置を提供する。
【解決手段】固定配置されたX線源2の上方に基板ステージ1を配置し、さらにその上方にディテクタステージ4を配置する。基板ステージ1は、基板10をX,Yの各軸方向に沿って移動可能に支持し、ディテクタステージ4は、FPD3をX,Yの各軸方向への移動および軸回転が可能な状態で支持する。撮影を行う場合には、FPD3および基板10の検査領域の位置がそれぞれX線源3の光軸を中心とする仮想円上で変化するように各ステージ1,4の移動を制御する。また、X線CT用の撮影では、基板10の検査領域に対するFPD3の姿勢が撮影の都度変化するように制御し、トモシンセシス用の撮影を行う場合には、FPD3を、各軸がX,Yの各方向に合った状態に固定して移動を行わせる。
【選択図】図1

Description

この発明は、部品実装基板を対象にX線による断層画像を生成し、生成された画像を用いて、部品側電極と基板との接合状態、はんだ電極の内部構造などを検査する基板検査装置に関する。
一般的なX線CTでは、図13に示すように、X線源100およびX線検出器101を、対象物Fを挟んで対向するように配備し、対象物Fに対するX線源100および2次元X線検出器101の方位を変更しながら複数回のX線透視撮影を実行することにより、X線が通過する面Gの断層画像の再構成に必要な画像を取得する。
上記の方法を基板の撮影に適用する場合には、基板の厚みに直交する面が平面Gとなるように、X線源100および2次元X線検出器101を基板の周囲に沿って移動、または基板をその厚み方向を軸として軸回転させる必要がある。しかし、このような方法では、基板の被検査部位の拡大率を上げるのが困難になり、またビームハードニングによる虚像が生じるおそれがある。
上記の問題を解決するための発明として、下記の特許文献1には、検査対象の基板を、回転軸を任意の位置に設定できるユーセントリックテーブル上に支持して、このテーブルの回転軸を斜めに横切る方向にX線源および2次元X線検出器を対向配備し、テーブルを微小角度ずつ回転させながら複数回のX線透視撮影を行うことや、生成された各X線透視画像を、回転軸に対して垂直になる方向から透過を行った画像に変換して断層画像の再構成を行うことが記載されている(特許文献1の段落0009,0012、0013,図1を参照。)。
つぎに、X線CTよりも簡易に基板の断層画像を生成する方法として、トモシンセシスがある。たとえば、特許文献2には、X線源を光軸を真上に向けて配置し、その上方に基板を支持するXYステージを、さらにその上方に2次元X線検出器を支持するXYステージをそれぞれ配置し、各XYステージをX線源の光軸を中心とする円軌道に沿って移動させながら所定角度毎に停止して撮影を行うことや、各撮影により生成された画像を合成して断層画像を生成することが記載されている(特許文献2の段落0077〜0100,図12〜17を参照。)。
特許文献2に記載されているように、トモシンセシス用の撮影では、所定高さの平面を対象に、この対象平面の各構成点が毎時の画像の同じ座標に投影される一方、その上下の平面の各構成点が撮像毎に異なる座標に投影されるように、毎時の撮影におけるX線源およびX線検出器ならびに基板の関係を調整する。この結果、各画像を合成すると、対象平面の構成点が重畳されて明瞭になる一方で、他の平面の構成点は不鮮明になるから、対象平面についてノイズが軽減された断層画像を生成することができる。
特許第3694833号公報 特開2005−121633号公報
トモシンセシスによる断層画像とX線CT画像とを比較すると、精度の面では後者の方が優れている。しかし、X線CTでは、撮影回数が多くなる上に演算が複雑になるため、断層画像の生成に要する時間が長くなる。これに対し、トモシンセシスによれば、撮影回数が少なくてすみ、また演算も簡単であるので、比較的短い時間で断層画像を得ることができる。一方で、トモシンセシスによると、被検査部位の形状や周囲の構成物との関係によっては、断層画像中に無視できないノイズ成分が含まれることがある。
このような事情から、基板の製造および検査を行う事業者では、被検査部位の種類や被検査部位の周囲の状態に応じて、X線CTとトモシンセシスとを選択して実行することを希望している。しかし、双方の機能を備えた検査装置はこれまでには提示されていない。
この発明は上記の点に鑑み、X線CT画像を生成する機能と、トモシンセシスの断層画像を生成する機能の双方を具備する基板検査装置を提供することにより、X線による基板検査の利便性を大幅に向上することを課題とする。
この発明による基板検査装置は、検査対象の基板をその基板面を水平にした状態で支持する基板ステージと、基板ステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、2次元X線検出器と、基板ステージを挟んで2次元X線検出器をX線源に対向する位置で支持するディテクタステージと、上記の各構成を制御して基板のあらかじめ定めた検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを具備する。
上記において、基板ステージは、支持している基板の各端縁方向に対応する2方向に駆動軸を有するリニア移動機構により基板を水平移動可能に支持し、ディテクタステージは、基板ステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有するリニア移動機構と、2次元X線検出器の検出面に直交する方向を軸として回転する回転機構とにより、2次元X線検出器を水平移動可能および軸回転可能に支持する。
また上記の制御部は、検査領域のX線断層画像の生成に必要な複数とおりのX線透視撮影のそれぞれにおける2次元X線検出器の位置が、X線源の光軸を中心とする仮想円上で変化し、かつ2次元X線検出器の停止時に停止した2次元X線検出器とX線源とに対して基板が検査領域のX線透視撮影に必要な位置関係をもって停止するように、基板ステージおよびディテクタステージの各リニア移動機構の動作を制御して、各ステージの停止に応じてX線源および2次元X線検出器によるX線透視撮影を実行する。また、検査領域につきX線CT画像を生成する場合には、撮影時の2次元X線検出器の検査領域に対する姿勢が撮影の都度異なるものになるようにディテクタステージの回転機構の動作を制御する一方、検査領域につきトモシンセシスの断層画像を生成する場合には、2次元X線検出器の各座標軸の方向を基板の各端縁方向に合わせた状態で回転機構を停止する。
上記構成によれば、X線CT用の撮影を行う場合には、X線源および2次元X線検出器を固定して検査領域を通る垂直軸を中心に基板を軸回転させる場合と同様の状態で、検査領域に対するX線透視撮影が行われるように、毎時の撮影における2次元X線検出器および基板の位置、ならびに検査領域に対する2次元X線検出器の姿勢を変更することができる。また、トモシンセシス用の撮影を行う場合には、検査領域内の所定の平面の構成点が常に2次元X線検出器の同じ座標に投影されるように、毎時の撮影における2次元X線検出器および検査領域の位置を変更することができる。したがって、X線CT用の撮影とトモシンセシス用の撮影とを、選択して実行することが可能になるから、被検査部位の種類や周囲の状態に応じて、実施する検査を選択することができ、利便性を向上することができる。
上記の基板検査装置において、検査領域につきX線CT画像を生成する場合の好ましい態様では、制御部は、2次元X線検出器が一定の方向に軸回転しながらX線源の光軸を中心とする仮想円の複数位置に当該仮想円に沿う順序をもって直線状に移動し、かつ各位置で移動および軸回転を一時停止するようにディテクタステージの動作を制御するとともに、2次元X線検出器の移動および停止に応じて基板が、2次元X線検出器の次の停止位置に対応する位置に直線状に移動して当該位置で停止するように、基板ステージの動作を制御する。
上記の制御によれば、2次元X線検出器を仮想円に沿って直線状に移動させるとともに、基板も2次元X線検出器の動きに連動して直線状に移動させるので、両者を効率良く移動させることができる。また2次元X線検出器を一定の方向に回転させることによって、検査領域に対する2次元X線検出器の姿勢の変更も効率良く行うことができる。
さらに、X線CT画像の生成を行う複数の検査領域に対するX線透視撮影を順に行う場合の好ましい態様では、制御部は、先行の検査領域に対応する撮影サイクルの終了に応じて、その時点での2次元X線検出器のX線源に対する位置および検査領域に対する姿勢を維持して、この2次元X線検出器およびX線源に対して次の検査領域がX線透視撮影に必要な位置関係になるように基板を移動させてから次の検査領域に対応する撮影サイクルを開始するとともに、このサイクルにおける2次元X線検出器の移動方向および軸回転の方向が1つ前のサイクルとは反対になるように制御する。
上記の態様によれば、1つの検査領域に対する複数回のX線透視撮影が終了して次の検査領域に対する撮影を開始する際には、2次元X線検出器を動かさずに基板の位置のみを調整することによって、対応することができる。このような制御によれば、2次元X線検出器の無駄な動きをなくして処理時間を短縮することが可能になる。また、2次元X線検出器を回転させると、2次元X線検出器と制御部とを接続するケーブルにねじれが生じるが、上記の制御によれば、1つの検査領域に対応する撮影サイクルが終了する都度、2次元X線検出器の移動方向および回転方向が逆転するので、ケーブルのねじれを自然に解消することができる。
つぎに、検査領域につきトモシンセシスの断層画像を生成する場合の好ましい態様では、制御部は、2次元X線検出器が各座標軸の方向を基板の各端縁方向に合わせた状態を維持したまま、X線源の光軸を中心とする仮想円の複数位置に当該仮想円に沿う順序をもって直線状に移動し、かつ各位置で移動を一時停止するようにディテクタステージの動作を制御するとともに、2次元X線検出器の移動および停止に応じて基板が、2次元X線検出器の次の停止位置に対応する位置に直線状に移動して当該位置で停止するように、基板ステージの動作を制御する。
上記の制御によれば、トモシンセシス用の撮影を行う場合にも、ディテクタステージや基板ステージの移動経路を短くすることができ、撮影に要する時間を短縮することができる。
さらにトモシンセシス用の撮影を複数の検査領域に対して順に行う場合の好ましい態様では、制御部は、先行の検査領域に対応する撮影サイクルの終了に応じて、その時点での2次元X線検出器の位置および姿勢を維持して、この2次元X線検出器およびX線源に対して次の検査領域がX線透視撮影に必要な位置関係になるように基板を移動させてから次の検査領域に対する撮影サイクルを開始するとともに、複数の検査領域に対するすべての撮影サイクルが終了するまで2次元X線検出器の移動方向を一定に維持する。
上記の制御によれば、2次元X線検出器の無駄な動きがなくなり、1つの検査領域に対する撮影サイクルが終了すると、速やかに次の検査領域に対する撮影サイクルを開始することが可能になる。
上記の基板検査装置の他の好ましい態様では、制御部は、複数の検査領域のX線断層画像の生成にかかる複数回のX線透視撮影が所定の順序で実行されるように、各ステージの動作制御のシーケンスを登録する登録手段と、X線透視画像を保存するための画像記憶手段と、登録手段に登録されたシーケンスに基づき複数の検査領域に対するX線透視撮影が実行されるように、各ステージおよびX線源ならびに2次元X線検出器の動作を制御する撮影制御手段と、毎時の撮影により生成されたX線透視画像を、それぞれ対応する検査領域および撮影時の2次元X線検出器の停止位置を識別する情報とともに画像記憶手段に蓄積する画像保存手段とを具備する。
上記の態様によれば、検査領域間の距離や、各検査領域に対するX線検出器の停止位置における距離や方向の関係などに基づき、X線検出器や基板を効率良く移動させるのに適したシーケンスを登録し、そのシーケンスに基づき複数の検査領域に対する撮影を並列で実行することによって、各検査領域に対するX線透視撮影を順番に実行するより効率良く撮影を行うことが可能になる。また、一連の撮影が終了した後は、画像とともに保存された識別情報に基づいて、検査領域毎のX線透視画像を特定する処理や画像間の関係を認識する処理を誤りなく行うことができるので、断層画像の生成に支障が生じるおそれもない。
上記の基板検査装置は、X線CT画像およびトモシンセシスの断層画像の双方を生成する機能を具備しているから、被検査部位の種類や周囲の状態等に応じていずれの方法により断層画像を生成するかを選択して検査を実行することが可能になり、X線による断層画像を用いた基板検査の利便性を向上することができる。
以下に示すX線利用の基板検査装置は、ICのリードに形成されたバックフィレットや、BGAを構成するはんだ電極など、外観検査が困難な箇所を対象に、X線による断層画像を再構成し、生成された断層画像を用いた検査を行うものである。また、この実施例の基板検査装置は、断層画像として、X線CT画像を生成する機能とトモシンセシスの断層画像を生成する機能を具備する。
図1は、基板検査装置の撮影処理部の概略構成を示す。
図中、1は検査対象の基板10を支持する基板ステージであり、その下方に、X線源2が光軸を垂直方向に向けて固定配置される。また、基板ステージ1の上方には、ディテクタステージ4が設けられる。なお、図中の11は、基板10に実装された部品である。
上記において、基板ステージ1は、基板10を長さ方向(図中の左右方向。以下、これをX方向とする。)に沿う各端縁部で支持する一対のコンベア部15a,15b、各コンベア部15a,15bを固定支持する一対のコンベア支持部16a,16b、および後記するリニア移動機構17,ストッパ18などを具備する。コンベア部15a,15bは、図示しない上流機構から基板10の搬入を受け付けて、この基板10をストッパ18に当接する位置まで搬送して停止する。なお、ストッパ18は、基板10の搬送路に対して出没可能に設けられており、基板10の搬入時に上昇して基板を固定し、検査が終了すると下降する。コンベア部15a,15bは、ストッパ18の下降に応じて基板10を外部に搬出する。
コンベア支持部16a,16bは、各コンベア部15a,15bを支持した状態で、リニア移動機構17により、X,Yの各方向に移動可能に支持される。このコンベア支持部16a,16bの動きによって、基板10が水平移動する(水平な仮想平面上を移動する)ことになる。
ディテクタステージ4には、Y軸方向に沿う一対のスライドレール41a,41b(以下、「Y軸レール41a,41b」という。)と、X軸方向に沿う一対のスライドレール42a,42b(以下、「X軸レール42a,42b」という。)とが設けられる。各Y軸レール41a,41bには、それぞれ一対のスライダ43,44が設けられる。X軸レール42aは、各Y軸レール41a,41bのスライダ43,43により両端部が連結されて支持される。同様にX軸レール42bは、各Y軸レール41a,41bのスライダ44,44により両端部が連結されて支持される。
X軸レール42a,42bには、それぞれ大型のスライダ45,47が設けられる。X軸レール42aのスライダ45には、垂直方向に沿う回転軸を有する回転機構46を介して、2次元X線検出器としてフラットパネルディテクタ3(以下、「FPD3」と略す。)が取り付けられている。さらに、X軸レール42bのスライダ47には、CCDカメラ5および変位センサ6が取り付けられている。
上記の各スライダ43,44,45,47は、図示しない駆動モータとともに図2に示すリニア移動機構48を構成する。
FPD3,CCDカメラ5,および変位センサ6は、それぞれ対応するスライダ45,47の動きに従ってX軸方向に沿って移動するとともに、Y軸レール41a,41bのスライダ43,44の動きに従ってY軸方向に沿って移動する。さらに、FPD3は、回転機構46の動きに従って、検出面31(図3,4に示す。)に直交する方向を軸として軸回転する。
FRP3は、ケーブル30を介して図2に示す制御装置7に接続される。また、図1には示していないが、X線源2、CCDカメラ5、変位センサ6、および各ステージ1,4の駆動部も同様に、制御装置7にケーブル接続される。
CCDカメラ5および変位センサ6は、検査前に基板10の状態をチェックする目的で使用される。具体的には、CCDカメラ5は、基板10を正確な位置に位置合わせするために基板10のフィデューシャルマーク19を撮像する。この撮像により生成された画像は、制御装置7に入力されて基板10の位置ずれ量の計測に用いられ、その計測値に基づき各ステージ1,4の位置関係が調整される。
変位センサ6は、基板10の上面までの距離を測定する。測定された距離データも制御装置7に入力され、X線透視撮影の際に、後記する基準平面Tの高さを調整する目的に使用される。
図2は、上記基板検査装置の主要部分のブロック図である。
この基板検査装置は、図1に示した撮影処理部のほか、X線透視撮影に関する制御を行う制御装置7や、断層画像の再構成処理や検査を実行する画像処理装置8などが設けられる。これらの装置7,8は、それぞれ専用のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータにより構成される。
制御装置7には、CPU70やメモリ71のほか、ステージ制御部72、X線コントローラ73、ディテクタコントローラ74、画像入力部75などが設けられる。これらはいずれも専用のインターフェースであって、ステージ制御部72には、基板ステージ1およびディテクタステージ4の各リニア移動機構17,48、ならびにFPD3の回転機構46が接続され、X線コントローラ73にはX線源2が、ディテクタコントローラ74にはFPD3が、それぞれ接続される。また、画像入力部75は、FPD3により生成されたX線透視画像を取りこんでディジタル変換するためのもので、変換後の画像はメモリ71に格納される。
CPU70は、上記の各種インターフェースを介して各機構の動作を制御することにより、X線源2およびFPD3ならびに基板10の関係を種々に変更しながら基板10に対するX線透視撮影(プロジェクション)を実行する。また、ここには図示していないが、制御装置7には、前出のCCDカメラ5、変位センサ6、コンベア部15a,15bも接続され、これらの動作を制御する機能や、CCDカメラ5からの入力に基づき上記した基板10の位置調整を行う機能や、変位センサ6からの入力に基づいて撮影時の基準平面Tの高さの設定値を変更し、その変更に合わせて基板10やFPD3の移動量を調整する機能も設けられる。
毎時のX線透視撮影により生成されたX線透視画像はメモリ71に蓄積される。CPU70は、これらの画像に付加情報として、対応する検査領域や撮影時のFPD3の位置を識別する情報を設定し、これらの付加情報を画像に対応づけてメモリ71に保存する。さらにCPU70は、1枚の断層画像の再構成に必要な複数とおりの撮影が終了する都度、各撮影により生成された画像を読み出して画像処理装置8に送信する。画像処理装置8は、送信された画像を用いて断層画像の再構成処理を実行した後、生成された断層画像をあらかじめ登録された検査データを用いて処理することによって、被検査部位の適否を判定する。判定結果は、図示しないモニタや外部機器などに出力される。
以下、上記構成の基板検査装置で実施される撮影処理について、詳細に説明する。なお、以下の図3,4では、X線の透視状態の図示を明確にするために、X線源2およびFPD3の上下関係を逆転させて示す。
図3は、基板10の一部を拡大して、トモシンセシス用の撮影を行う場合のX線源2、FPD3、および基板10の位置関係を模式的に示したものである。図中の12は、部品11を接続するはんだ電極の1つであり、13は基板10の裏面側に実装されている部品(以下、「裏面部品13」という。)である。またTは、はんだ電極12を含む3次元の検査領域(図示せず。)を水平方向に沿って横切る平面であり、透視撮影の際の基準として使用される。点Oはこの平面Tの所定位置に設定された基準点である。
トモシンセシス用の撮影では、基準点OがX線源2の光軸Lを基準に点対称の関係にある2点P1,P2にそれぞれ位置合わせされるように、基板10を移動させるとともに、位置決めされた基準点OがFPD3の検出面31の中心点Rに投影される位置(図中の点Q1,Q2)にFPD3を移動させ、これらの位置で撮影を行う。X線源2からは円錐状のビームが出射されているので、各位置での基準点Oに対するX線の照射角度はほぼ同一になる。また光軸Lに対する点P1,P2の距離が等しいので、検出面31の中心点Rが位置合わせされる点Q1,Q2の光軸Lに対する距離も等しくなる。したがって、Q1,Q2のいずれの位置における撮影でも、基準点Oを含む平面T内の各点は、検出面31の同一座標に投影される。これに対し、裏面部品13の構成点など、平面Tとは異なる高さにある点は、毎回異なる高さに投影される。
上記の原理に基づき、この実施例では、図4に示すように、X線源2の光軸を介して対向する関係にある方位の組み合わせを複数選択し、これらの方位において、それぞれX線源2、FPD3、基板10の三者が、図3に示したのと同様の位置関係をもって停止するように、基板ステージ1およびディテクタステージ4の各リニア移動機構17,48の動作を制御する。なお、図4中のX1,Y1は、ディテクタステージ4の駆動軸であり、図示しない基板ステージ1の駆動軸と平行、すなわち基板10の各方向の端縁方向に沿う方向に設定される。また、このときのFPD3の2次元画像の座標系の各座標軸の方向も、X1,Y1に合わせられる。
図5は、図4に示した4方位に基板10およびFPD3を位置決めして撮影を行うことにより生成されたX線透視画像A1,A2,A3,A4を、撮影時のFPD3の方位に対応づけて配置するとともに、これらの画像の中央に、各画像により再構成された断層画像Bを配置したものである。なお、図示の便宜上、各画像とも、X線吸収率の高い部位(画像データにおいては階調が高い部位に相当する。)を斜線パターンで示す。
各画像A1〜A4中のS1〜S4は、はんだ電極12の投影範囲であり、U1〜U4は裏面部品13の投影範囲である。図3を用いて説明したように、平面Tにおけるはんだ電極12の構成点は、いずれのX線透視画像A1〜A4でもそれぞれ同一の座標に投影されるが、裏面部品13の構成点が投影される座標は、画像によって変動する。
この実施例では、上記の点に着目して、各画像間で対応関係にある画素の組毎に、その組内で最も低いX線吸収率を示す画素のデータを選択し、選択された各データにより断層画像Bを生成する。この方法によれば、はんだ電極12の投影範囲S1〜S4に対応する画素については、いずれの画像のデータが選択されたとしても、はんだ電極10を表すデータが選択される。これに対し、はんだ電極10の投影範囲以外の場所については、裏面部品13が投影されていない画像データ(ノイズ成分が最も小さい画像データ)が選択されるため、断層画像Bに裏面部品13の像が現れることはない。
図6は、トモシンセシス用の撮影を行う場合のX線源2とFPD3との関係の変化を模式的に示したものである。この例では、図4に示した4方位とこれらの方位の中間にある4方位を加えた8方位でFPD3を停止して、撮影を行うようにしている。
先に説明したように、撮影時のFPD3とX線源2の光軸Lとの距離は常に一定であるので、毎時の撮影におけるFPD3は、光軸Lを中心とする仮想円300上に位置すると考えられる。そこでこの実施例では、FPD3が、上記の仮想円300に沿って上記の8方位に対応する位置に順に移動して(すなわち、FPD3の方位を45°ずつ変更して)、各位置で一時停止するように、ディテクタステージ4の動作を制御する。また図6には示していないが、基板10についても同様に、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円に沿って移動させ、FPD3が停止したときに常に図3に示した関係が成立する位置に停止するように、基板ステージ1の動作を制御する。また、各ステージ1,4のX,Y方向の移動量を調整することによって、基板10やFPD3を直線状に移動させて、移動を効率良く行うようにしている。
つぎに、図7は、X線CT用の撮影を行う場合のX線源2とFPD3との関係の変化を示す。この図に示すように、X線CT用の撮影でも、トモシンセシス用の撮影の場合と同様に、FPD3を、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円300に沿って所定角度ずつ直線状に移動させる。また図示していないが、基板10についてもトモシンセシス用の撮影と同様に、所定高さの平面T内の一点を基準点Oとして、いずれの撮影においても、基準点Oが撮像面31の中心点Rに投影される関係が維持されるように、基板ステージ1の動作を制御する。
さらに、X線CT用の撮影では、上記の移動に合わせて回転機構46を動かすことによって、毎時の撮影におけるFPD3の姿勢を変化させる。具体的には、X線源2およびFPD3を固定して基準点Oを通る垂直軸を中心に基板10を軸回転させる場合と同様の状態で、基板10に対するFPD3の相対位置および姿勢が変化するように、FPD3を軸回転させる。
上記図7に示す制御に基づき複数とおりのX線透視撮影が行われた場合には、画像処理装置8では、まず、毎時の撮影により生成された画像について、FPD3の検出面31の法線方向が基板を透過したX線の中心線に合っていないことにより生じる歪みを補正し、補正後の画像を、基板10の厚みに直交する方向から透視した状態を示す画像に変換する。さらに、変換後の各画像を用いて処理対象の平面の各構成点のX線吸収率を算出し、断層画像を生成する。
図6,7の例では、いずれも8つの方位でFPD3を停止させて撮影を行うようにしているが、実際の処理では、X線CT画像を再構成する際の撮影回数は、一般にトモシンセシスの断層画像を再構成する場合よりも大きな値に設定される。また、X線CTの画像再構成処理では、X線吸収率のための演算が複雑になる。特に、検査領域について3次元データを得るには、水平方向に沿う複数の平面についてそれぞれX線吸収率を算出する演算を実行しなければならないため、演算にかなりの時間が必要になる。
上記に対し、トモシンセシスの断層画像の再構成処理では、撮影回数を少なくできる上に、断層画像の再構成のための演算も簡単であり、断層画像の生成を短時間で行うことができる。また、検査領域の3次元データを得るために複数の平面の断層画像を再構成する場合にも、各平面につき、それぞれ基準平面に対する高さの比に基づき各X線透視画像をシフト補正することによって画像中の対象平面の構成点の座標を同一にして、図5に示した手法を適用すれば良いから、X線CT画像を再構成する場合に比べると、演算処理に要する時間を格段に短くすることができる。
このように、トモシンセシスによれば、X線CTによる処理を行うより短時間で断層画像を取得することができる。しかし、トモシンセシスによる断層画像には、対象平面以外の場所に存在する構成物によるノイズ成分が重畳される可能性があるため、被検査部位の形状や周囲の構成物の状態によっては、大きなノイズ成分が生じて検査に支障が生じる可能性がある。このため、この実施例では、検査の前に基板10に検査領域を定める際に、検査領域毎に、X線CT画像およびトモシンセシスの断層画像のいずれを用いて検査を行うかを選択して、選択結果を、制御装置7のメモリ71や画像処理装置8の図示しないメモリ内に登録するようにしている。また、検査においては、メモリ71の登録情報に基づき、同じ撮影モードに対応する検査領域を続けて処理するとともに、各撮影モードにつき、図8,9に示すような制御を実行する。
なお、図8および図9では、説明を簡単にするために、図4の例に合わせて撮影回数を4回とし、各撮影におけるFPD3の停止位置をそれぞれA,B,C,Dの符号により示す。また各例とも、基板10の動きについては図示していないが、先に説明したとおり、1つの検査領域に対する一連の撮影(以下、「1サイクル分の撮影」という。)が行われている間は、基板10は、FPD3の移動に応じて、図3に示した条件を満足する位置に向かって移動し、その位置で停止する。また、各実施例とも、1つの検査領域に対する撮影が終了して次の検査領域に対する撮影を開始する際にFPD3を動かす必要がないように、各検査領域における基準平面Tの高さを一定の高さに統一している。
図8は、X線CT用の撮影を行う場合の方法を示す。
この実施例では、FPD3の移動の方向および軸回転の方向を時計回り方向にする制御(以下、「時計回りモード」という。)と、FPD3の移動の方向および軸回転の方向を反時計回り方向にする制御(以下、「反時計回りモード」という。)とを、1サイクル分の撮影(この実施例では、A,B,C,Dの各位置における4回の撮影が1サイクルとなる。)を行う都度、切り替えるようにしている。また、先の検査領域の最終の撮影を行ったときのFPD3の位置および姿勢を維持して、次の検査領域の1番目の撮影を行うことによって、FPD3の無駄な動きをなくすようにしている。
図8を参照して具体的に説明すると、1サイクル目では、時計回りモードを設定して、A,B,C,Dの順にFPD3を移動するとともに、FPD3を時計回り方向に軸回転させ、各位置で撮影を行う。最後の位置Dでの撮影が終了すると、そのときのFPD3の位置および姿勢を維持したまま、次の検査領域が撮影に適した場所に位置するように基板10を動かし、2サイクル目の1回目の撮影を行う。その後は、反時計回りモードにより、DからC,B,Aの順にFPD3を移動するとともに、FPD3も反時計回りに軸回転させ、各位置で撮影を行う。
つぎに、2サイクル目の最後の撮影がAの位置で終了すると、そのときのFPD3の位置および姿勢を維持したまま、次の検査領域が撮像に適した場所に位置するように基板10を動かし、3サイクル目の1回目の撮影を行う。その後は、再び時計回りモードによる移動や回転を行って、各位置で撮影を行う。以後も同様に、1つ前のサイクルのFPD3の方位および姿勢を維持してつぎの検査領域に対する1回目の撮影を実行するとともに、検査領域が変わる都度、FPD3の移動方向および軸回転の方向を逆転させる。
図8に示す制御は、FPD3の無駄な動きをなくすとともに、FPD3の軸回転により生じるケーブル30(図1に示す。)のねじれを解消することを目的とするものである。この制御を行わずに、常に同じ方向にFPD3を移動させると、適宜、処理を中断して、ケーブル30のねじれを解消するためにFPD3を空回りさせる等の処理を行う必要がある。図8の制御によれば、そのような処理を行わなくとも、毎回の撮影においてケーブル30のねじれを自然に解消することができる。
つぎに、図9は、トモシンセシス用の撮影を行う場合の制御方法を示す。トモシンセシス用の撮影では、FPD3を軸回転させずに、各辺の方向をX,Y軸に合わせた状態になるようにFPD3の姿勢を固定して移動させるので、ケーブル30にねじれが生じるおそれがない。そこでこの実施例では、FPD3を常に一定の方向に移動させるとともに、各サイクルの最後の撮影の際のFPD3の位置および姿勢を維持して次のサイクルの1番目の撮影を行うようにしている。
図9を参照して具体的に説明すると、この実施例では時計回りモードを実行する状態を固定し、1サイクル目において、A,B,C,Dの順にFPD3を移動させて撮影を行う。位置Dでの撮影が終了すると、そのときのFPD3の位置および姿勢を維持したまま、次の検査領域が撮影に適した場所に位置するように基板10を動かし、2サイクル目の1回目の撮影を行う。以下、A,B,Cの順にFPD3を移動させて撮影を行う。
さらに3サイクル目の撮影処理においては、2サイクル目の最後の撮影を行った位置CでのFPD3の位置および姿勢を維持したまま、次の検査領域が撮像に適した場所に位置するように基板10を動かして最初の撮影を行い、以下、D,A,Bの順にFPD3を移動させて撮影を行う。以後も同様の制御を行うことにより、FPD3の無駄な動きをなくすことができる。
なお、図8,9の例では、検査領域間の基準平面Tの高さを揃えることによって、1つの検査領域に対する撮影サイクルが終了して次の検査領域に対する撮影サイクルに移行する際に、FPD3を動かす必要がないようにしたが、検査領域の大きさや撮影倍率等を変更する場合には、先行の検査領域に対応する撮影サイクルの終了に応じてFPD3の位置を微調整する。ただし、この場合にも、FPD3の方位や姿勢は、先行の撮影サイクルの最終の撮影時の状態を維持すればよい。
以下、図8,9に示した制御を含む撮像処理の詳細な手順について、図10,11を用いて説明する。なお、各図において、iは基板の検査領域の識別番号であり、Nは検査領域の総数を、pnは撮影回数を、それぞれ示す。またjは、基板10およびFPD3の停止位置を示す識別番号であって、特定の方位を起点に時計回りの順に付されているものとする。たとえば、図8,9を用いて言えば、pn=4となり、j=1は位置Aを表し、j=2は位置Bを表し、j=3は位置Cを表し、j=4は位置Dを表すことになる。
また、図10,11とも、基準平面Tの高さは一定であり、検査領域の切替時にFPD3を移動させる必要がないものとする。
図10のX線CT用の撮像処理について、同図の各ステップの符号を参照して説明すると、最初にi,jをそれぞれ1に設定し(ST101)、メモリ71からi番目の検査領域Ri(この段階では、1番目の検査領域)の位置情報を読み出す(ST102)。
つぎに、1番目の検査領域とFPD3とを、j番目の停止位置(この段階では1番目の停止位置)に移動させ、撮影を行う(ST103,104)。この撮影により生成されたX線透視画像は画像入力部75によりメモリ71に保存される。さらに、CPU70は、この画像にi,jの現在値を付加情報として添付する(ST105)。
以下、jの値を撮影回数pnに達するまで更新しつつ(ST106,107)、毎時のjが示す停止位置に1番目の検査領域およびFPD3を移動させ、撮影および画像等の保存処理を実行する。なお、図10には示していないが、ST103では、FPD3の移動に合わせて回転機構46を駆動し、1番目の検査領域やX線源3に対するFPD3の姿勢を毎回変更する。
ST103〜106のループでは、jの値をインクリメントしながら1番目の検査領域やFPD3の位置を変更することにより、時計回りモードを実行することになる。ここでpn回の撮影が完了すると(ST106が「YES」)、これらの撮影の間にメモリ71に蓄積された画像を読み出して、画像処理装置8に送信する(ST108)。
上記のようにして1番目の検査領域に対する処理が終了すると、iの値を更新することにより(ST109,110)、2番目の検査領域に着目する。ここでは、まず、着目した2番目の検査領域の位置情報を読み出し(ST111)、つぎに、FPD3の位置や姿勢を維持したまま、2番目の検査領域をj番目の停止位置に移動させる(すなわち、ディテクタステージ4を停止させて、基板ステージ1のみを動かすことになる。)。またこのときのjの値は、時計回りモードの移動経路の終点を示すpnになっている。
2番目の検査領域がpn番目の停止位置に移動すると、1回目の撮影を実行し(ST113)、生成された画像をメモリ71に保存する(ST114)。このステップでも、先のST108と同様に、i,jの現在値が付加情報として添付される。
つぎに、jの値をディクリメントし(ST116)、2番目の検査領域およびFPD3を、更新後のjが示す停止位置に移動させる(ST117)。さらに移動が完了すると、撮影(ST113)と、画像および付加情報の保存(ST114)とを実行する。
以下、同様に、jの値を1になるまでディクリメントしながら、ST117,113,114の各ステップを実行する。またここでも、FPD3を移動に合わせて回転させることによって、毎時の撮影におけるFPD3の姿勢を変更する。この制御により、2番目の検査領域に対しては、半時計回りモードが実行されることになる。
2番目の検査領域に対する撮影が終了すると、メモリ71に蓄積された画像を画像処理装置8に送信する(ST118)。つぎに、iの値をインクリメントすることにより3番目の検査領域に着目する(ST119,120)。ここでもまず、着目中の検査領域の位置情報を読み出し(ST121)、FPD3の位置および姿勢を維持したまま、3番目の検査領域をjの現在値が示す位置に移動させる(ST122)。この段階でのjは、先の反時計回りモードの実施により初期値の1になっている。
3番目の検査領域が1番目の停止位置に移動すると、ST103〜106のループ内のST104にジャンプし、このステップからループを開始する。これにより、3番目の検査領域に対しては、時計回りモードが実行されることになる。
以下、同様にして、iが奇数の場合は、時計回りモードの処理(ST122,ST103〜106)により、iが偶数の場合には反時計回りモードの処理(ST112〜117)により、それぞれpn回の撮影を実行し、これらの撮影により生成されたpn枚のX線透視画像を画像処理装置8に送信する。最後のN番目の検査領域に対する処理が終了すると、ST109またはST119が「YES」となり、処理を終了する。
上記において、画像処理装置8への画像送信(ST108,118)では、付加情報を添付した画像が送信される。これにより各停止位置に対応する画像の生成順序が検査領域によって異なっても、画像処理装置8では、画像間の関係を誤らずに特定して、X線吸収率の算出を行うことができる。
つぎに、図11に示すトモシンセシス用の撮影処理について説明すると、まず、識別番号i,j、および撮影回数を示す変数kを、それぞれ1に設定する(ST201)。
つぎに、iの現在値に基づき1番目の検査領域に着目して、その位置情報を読み出す(ST202)。ここでST203の判定は「YES」となるため、ST204に進み、1番目の検査領域およびFPD3をj番目の停止位置(この段階では1番目)に移動させる(ST204)。移動が完了すると、図10の手順と同様に、X線透視撮影と、生成された画像ならびに付加情報を保存する処理とを実行する(ST206,207)。
以下、撮影回数kおよび停止位置を示すjをインクリメントしながら(ST209,ST212)、kの値がpnに達するまで、ST204,206,207の各ステップを実行する。pn回目の撮影が完了すると、ST208が「YES」となってST213に進み、蓄積された画像を画像処理装置8に送信する。
上記のようにして1番目の検査領域に対する処理が終了すると、iの値をインクリメントするとともに、kの値を初期値の1に戻す(ST214〜216)。一方、jの値は、1番目の検査領域に対してST204〜212のループをpn回実行したことによって、j=pnになっているが、この値は維持される。
i,kを更新した後はST202に戻り、更新後のiが示す検査領域Ri(この段階では2番目の検査領域)の位置情報を読み出す。つぎのST203の判定は「NO」となるからST205に進み、FPD3の位置および姿勢を維持したまま、2番目の検査領域をj番目、すなわちpn番目の停止位置に移動させる。
この後は、撮影(ST206)および画像等の保存処理(ST207)を実行し、さらにkの値をインクリメントする(ST208,209)。つぎに、この時点でのjの値がpnであるため、ST210の判定が「YES」となり、jの値を初期値の1に戻す処理を実行する(ST211)。この後は、ST204に進んで、2番目の検査領域およびFPD3を更新後のjが示す停止位置、すなわち1番目の停止位置に移動させる。
以下、同様に、pn回の撮影が実行されるまで、kおよびjの値をインクリメントしながら、ST204〜212のループを実行する。この流れにより、2番目の検査領域の撮影では、pn番目の停止位置を起点にした時計回りモードが実行されることになる。
以下の検査領域についても同様に、毎時の検査領域RiおよびFPD3を時計回り方向に移動させながら、pn回の撮影を実行し、各撮影によりメモリ71に蓄積された画像を画像処理装置8に送信する。この送信でも、各画像には、対応するi,jの値が付加情報として添付されるので、毎時の画像の生成順序が異なっていても、画像処理装置8は、各画像間の関係を誤らずに識別することができる。よって、画像処理装置8において、複数枚の断層画像を生成するために画像のシフト補正を行う場合にも、問題なく対応することができる。
なお、X線CT用の撮影の後にトモシンセシス用の撮影を行う場合に、X線CT用の撮影の最後の検査領域に対する撮影が時計回りモードで行われた場合には、FPD3に反時計回りの移動および軸回転を行わせて、ケーブル30のねじれを解消するのが望ましい。ただし、この処理は、トモシンセシス用の撮影の第1の検査領域を最初の停止位置に移動させる処理と並行して実行できるから、処理が大幅に遅延するおそれはない。
また、上記では、基板に設定された検査領域を、X線CT用の撮影を行うグループとトモシンセシス用の撮影を行うグループとに分けて、グループ毎に処理することを前提としたが、これに限らず、処理内容を考慮せずに、検査領域の位置関係に基づいて処理順序を定め、検査領域毎にその領域に対応する撮影制御を行うようにしてもよい。
つぎに、上記の各実施例では、各検査領域を1つずつ処理することを前提としたが、検査領域の位置関係によっては、複数の検査領域に対する撮影を並列して実行することも可能である。
図12は、トモシンセシスによる処理対象の2つの検査領域R1,R2について、各検査領域とFPD3との相対位置関係を示す模式図により、これらの検査領域R1,R2に対する撮影処理を並列して行う場合の具体例を示す。
図中、a1〜a4は、検査領域R1を撮影する際のFPD3の位置を示し、b1〜b4は、検査領域R2を撮影する際のFPD3の位置を示す。また、各位置の近傍に示した丸付き数字は撮影の順序を示す。
この図では、基板10が静止しているものとして、検査領域R1,R2と毎時のFPD3との位置関係を示しているが、実際の基板10は、撮影の都度動いて、撮影対象の検査領域がX線透視撮影の条件に適合する場所(図3参照)に移動することになる。したがって、各検査領域R1,R2における基準平面Tの高さが同一であるとすると、図中のa1とb1、a2とb2,a3とb3、a4とb4は、それぞれ実質的には同じ位置に対応する。再び図9を参照して説明すると、a1,b1に対応する実際の位置はAとなり、a2,b2に対応する実際の位置はBとなり、a3,b3に対応する実際の位置はCとなり、a4,b4に対応する実際の位置はDとなる。
よって図12の例によれば、図中の太点線で示す撮影の切替時期(1回目から2回目、3回目から4回目、5回目から6回目、および7回目から8回目)には、FPD3の位置および姿勢を維持したまま、検査領域の変更のために基板10を動かすだけで良くなる。よって、FPD3を動かす回数をさらに削減することができる。
検査領域間の距離が短く、かつ各検査領域の撮影条件に共通点がある場合には、これらの検査領域を対象に図12の例のような並列処理を行うことにより、各検査領域に対する処理を順に実行する場合よりも処理時間を短縮できる可能性がある。また、X線CT用の撮影においても上記と同様に、複数の検査領域に係る撮影を並列で実行することができる。よって、このような可能性があると考えられる場合には、あらかじめ検査領域の位置関係や撮影回数の設定値などに基づくシミュレーションを行って、最も効率の良い撮影手順を選択すればよい。
なお、並列処理を行う場合にも、毎時の撮影により生成された画像には、対応する検査領域や停止位置の識別情報が付加情報として対応づけられてメモリ71に蓄積される。また画像処理装置8にも、付加情報が添付された画像が送信されるので、並列処理により画像の生成順序の整合性がなくても、画像処理装置8では、検査領域毎の画像の特定や各画像が生成されたときのFPD3の位置などを誤りなく認識して、断層画像の再構成を行うことができる。
X線利用の基板検査装置の撮影処理部の概略構成を示す図である。 基板検査装置の主要構成のブロック図である。 トモシンセシス用の撮影を行う場合のX線源、FPD、基板の位置関係を示す図である。 1サイクル分の撮影処理における基板およびFPDの位置の変化の例を示す図である。 トモシンセシスの断層画像の再構成処理の原理を示す図である。 トモシンセシス用の撮影を行う場合のX線源とFPDとの関係の変化を示す図である。 X線CT用の撮影を行う場合のX線源とFPDとの関係の変化を示す図である。 X線CT用の撮影を複数サイクル実行する場合の制御を説明する図である。 トモシンセシス用の撮影を複数サイクル実行する場合の制御を説明する図である。 X線CT用の撮影処理の手順を示すフローチャートである。 トモシンセシス用の撮影処理の手順を示すフローチャートである。 2つの検査領域に対する撮影処理を並列して行う場合の具体例を説明する図である。 一般的なX線CT撮影の方法を示す図である。
符号の説明
1 基板ステージ
2 X線源
3 フラットパネルディテクタ(FPD)
4 ディテクタステージ
7 制御装置
10 基板
17,48 リニア移動機構
46 回転機構

Claims (6)

  1. 検査対象の基板をその基板面を水平にした状態で支持する基板ステージと、基板ステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、2次元X線検出器と、前記基板ステージを挟んで2次元X線検出器をX線源に対向する位置で支持するディテクタステージと、上記の各構成を制御して前記基板のあらかじめ定めた検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを具備する検査装置であって、
    前記基板ステージは、支持している基板の各端縁方向に対応する2方向に駆動軸を有するリニア移動機構により前記基板を水平移動可能に支持し、
    前記ディテクタステージは、前記基板ステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有するリニア移動機構と、前記2次元X線検出器の検出面に直交する方向を軸として回転する回転機構とにより、前記2次元X線検出器を水平移動可能および軸回転可能に支持し、
    前記制御部は、
    前記検査領域のX線断層画像の生成に必要な複数とおりのX線透視撮影のそれぞれにおける2次元X線検出器の位置が、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で変化し、かつ2次元X線検出器の停止時に停止した2次元X線検出器とX線源とに対して前記基板が検査領域のX線透視撮影に必要な位置関係をもって停止するように、前記基板ステージおよびディテクタステージの各リニア移動機構の動作を制御して、各ステージの停止に応じてX線源および2次元X線検出器によるX線透視撮影を実行し、
    前記検査領域につきX線CT画像を生成する場合には、撮影時の2次元X線検出器の検査領域に対する姿勢が撮影の都度異なるものになるように前記ディテクタステージの回転機構の動作を制御する一方、前記検査領域につきトモシンセシスの断層画像を生成する場合には、2次元X線検出器の各座標軸の方向を基板の各端縁方向に合わせた状態で回転機構を停止する、
    ことを特徴とするX線利用の基板検査装置。
  2. 前記制御部は、前記検査領域につきX線CT画像を生成する場合には、前記2次元X線検出器が一定の方向に軸回転しながら前記X線源の光軸を中心とする仮想円の複数位置に当該仮想円に沿う順序をもって直線状に移動し、かつ各位置で移動および軸回転を一時停止するようにディテクタステージの動作を制御するとともに、2次元X線検出器の移動および停止に応じて前記基板が、2次元X線検出器の次の停止位置に対応する位置に直線状に移動して当該位置で停止するように、前記基板ステージの動作を制御する、請求項1に記載されたX線利用の基板検査装置。
  3. 前記制御部は、X線CT画像の生成を行う複数の検査領域に対するX線透視撮影を順に行う場合に、先行の検査領域に対応する撮影サイクルの終了に応じて、その時点での2次元X線検出器のX線源に対する位置および検査領域に対する姿勢を維持して、この2次元X線検出器およびX線源に対して次の検査領域がX線透視撮影に必要な位置関係になるように基板を移動させてから次の検査領域に対応する撮影サイクルを開始するとともに、このサイクルにおける2次元X線検出器の移動方向および軸回転の方向が1つ前のサイクルとは反対になるように制御する、請求項2に記載されたX線利用の基板検査装置。
  4. 前記制御部は、前記検査領域につきトモシンセシスの断層画像を生成する場合には、前記2次元X線検出器が各座標軸の方向を基板の各端縁方向に合わせた状態を維持したまま、前記X線源の光軸を中心とする仮想円の複数位置に当該仮想円に沿う順序をもって直線状に移動し、かつ各位置で移動を一時停止するように前記ディテクタステージの動作を制御するとともに、2次元X線検出器の移動および停止に応じて前記基板が、2次元X線検出器の次の停止位置に対応する位置に直線状に移動して当該位置で停止するように、前記基板ステージの動作を制御する、請求項1に記載されたX線利用の基板検査装置。
  5. 前記制御部は、トモシンセシスの断層画像の生成を行う複数の検査領域に対するX線透視撮影を順に行う場合に、先行の検査領域に対応する撮影サイクルの終了に応じて、その時点での2次元X線検出器の位置および姿勢を維持して、この2次元X線検出器およびX線源に対して次の検査領域がX線透視撮影に必要な位置関係になるように基板を移動させてから次の検査領域に対応する撮影サイクルを開始するとともに、前記複数の検査領域に対応するすべての撮影サイクルが終了するまで前記2次元X線検出器の移動方向を一定に維持する、請求項4に記載されたX線利用の基板検査装置。
  6. 前記制御部は、複数の検査領域のX線断層画像の生成にかかる複数回のX線透視撮影が所定の順序で実行されるように、各ステージの動作制御のシーケンスを登録する登録手段と、X線透視画像を保存するための画像記憶手段と、前記登録手段に登録されたシーケンスに基づき前記複数の検査領域に対するX線透視撮影が実行されるように、各ステージおよびX線源ならびに2次元X線検出器の動作を制御する撮影制御手段と、毎時の撮影により生成されたX線透視画像を、それぞれ対応する検査領域および撮影時の2次元X線検出器の停止位置を識別する情報とともに前記画像記憶手段に蓄積する画像保存手段とを具備する、請求項1に記載されたX線利用の基板検査装置。
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