JP2009541695A - 気体軸受 - Google Patents
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Abstract
第2の部品(22)に対して回転可能な第1の部品(24)を備える回転式の気体軸受(20)が記述される。第1の部品(24)は、サポート部材(26)およびサポート部材(26)に取り付けられた第1の部分(30)および第2の部分(32)を備える。第1の部分(30)は、第1の軸受表面(34)を備え、第2の部分(32)は、第2の軸受表面(36)を備える。第1の部分(30)および第2の部分(32)は、ねじ込み接続によりサポート部材(26)に取り付けられる。第2の部品(22)は、相補的な軸受表面(38、40)を備える。第1および/または第2の部分(30、32)をサポート部材(26)に固定するために、エポキシ樹脂を使用可能である。また、軸受を通る気体流を測定することにより軸受作動ギャップを決定する方法が記述される 。
Description
本発明は、気体軸受、および、この種の軸受をセッティングする方法に関する。具体的には、本発明は、計測装置等に使用するための回転式空気軸受に関する。
回転式の気体軸受は周知であり、一般的には、ステータに対して回転可能なロータを備える。一般的な運転条件のもとであるテータとロータとの間に固体間接触が存在しない。代わりに、加圧気体、典型的には、空気の膜が、ロータ及びステータの軸受表面の間に層または空気クッションを形成し、一方の要素から他方の要素へ荷重を伝えるように働く。空気軸受は非接触であるので、これは従来からある摩擦、磨耗および潤滑油の必要性に関する軸受の問題を回避させる。空気軸受は、特に、精密位置決めおよび高速なアプリケーションにおいて有利である。
特許文献1は、ロータ及びステータを備える公知の空気軸受の一例を記述している。ロータは、ボルトで締結され、かつ、スペーサ要素により隔てられている上部および下部ロータ部分を有する。スペーサ要素は、ロータ及びステータの軸受表面の間の必要な作動ギャップを提供するために、上部及び下部ロータ部分の間の必要な分離を提供するようにきめ細かく選択された厚さを有する。
特許文献2は、2つの対向する円錐形状の軸受表面から形成されたケーシングまたは軸受部材を備える固定要素を有する気体潤滑軸受を記述している。中実のシャフトに設置された2つの円錐形の軸受部材を有する回転要素も備えている。一方の軸受部材は、ねじによりシャフトに取り付けられ、他方の軸受部材は、シャフトに堅固に固定、あるいは、スライド可能に設置される。使用において、加圧気体の層は固定要素の軸受表面を回転要素の軸受表面から隔てる。本発明の第1の観点によれば、回転式の気体軸受は、第2の部品に対して回転可能な第1の部品を備え、前記第1の部品は、サポート部材と、前記サポート部材に取り付けられた第1の軸受表面を備える第1の部分と、前記サポート部材に取り付けられた第2の軸受表面を備える第2の部分とを備え、前記第1の部分および第2の部分は、ねじ込み接続により前記サポート部材に取り付けられている。
本発明は、従って、第2の部分に対して回転できる第1の部品を有する気体軸受を提供する。使用において、好適には、気体軸受の第1と第2の部分の間の直接の物理的な接触は存在しない。代わりに、第1の部品の第1および第2の軸受表面は、第2の部分の相補の軸受表面から作動ギャップにより隔てられ、そこで空気クッションなどの気体の層が空気の流れにより提供される。従って、どのような荷重でも気体層を介して第1の部品から軸受の第2の部分に伝達される。
実効的な気体軸受の作動を提供するために、第1の部品および第2の部品の軸受表面の間の作動ギャップが、一定の範囲内にある必要がある。作動ギャップを設定するためには、第1の部品の第1の軸受表面と第2の軸受表面の間の分離がねじ作用を利用した第1および/または第2の部分のサポート部材に沿った移動により変更される。従って、本発明の軸受は、軸受の第1の部品の一体的部分であるセット手段を含み、これは、第1の部品の第1と第2の軸受表面の間の分離が必要に応じて選択的に調整されることを可能にする。すなわち、第2の軸受表面に対して第1の軸受表面の相対的な位置は変更可能であり、第1および第2の部分の軸受表面の間の作動ギャップを順にセットする。
このような一体的な軸受設定方法を提供することにより、英国特許第1232860号において説明された形式の注意深く加工されたスペーサ要素を提供する必要性がなくなる。また、軸受設定工程中に表面分離のどのような違いでも訂正できるので、軸受の第1および/または第2の部分がより低い公差によって形成されることを許容する。従って、本発明は、英国特許第1232860号において前に記述されたものに比べて、より低いコストおよび改善された性能の空気軸受を提供できる。
さらに、ねじ込み接続によりサポート部材に両方とも取り付けられる第1のおよび第2の部分を備えているので、単一の円錐形状の軸受部材だけがねじによりシャフトに取り付けられる英国特許第151905号において説明された形式の軸受よりも有利利である。特に、ねじを用いて第1のおよび第2の部分をサポート部材に取り付けることによって、ねじを介した「金属間」接触を提供する堅固で、安定した取付手段が提供される。この構成は、大きな歪みを生じさせることなく、第1および第2の部分がサポート部材の特定の位置に確実にかつ頑強に取り付けられることを可能にする。従って、本発明の軸受は、英国特許第151905号に記述された形式の軸受よりも、軸受作動ギャップに関してより大きいコントロールおよびより良好な安定性を提供する。有利には、第1の部分および/または第2の部分が実質的に環状であり、サポート部材の相補的なねじをかみ合わせるためのねじ切りされた壁を有する中心開口を備える。すなわち、第1の部分および/または第2の部分は、サポート部材にねじ込みできる内側にねじが形成された表面を有する開口を備えてもよい。便宜的には、ねじが形成された表面は、細目ねじを備える。第1および第2の軸受表面は、ねじ形成された表面から外側に向けて半径方向に配置されてもよい。有利には、第1および第2の部分のうちの各々は、単一のユニットまたは断片として形成される(すなわち、一体的部品として)。
有利には、分離が調整された後に恒久的に第1の軸受表面と第2の軸受表面の間の分離を固定させるための手段が提供される。これは、サポート部材に対して第1の部分および第2の部分を固定するための手段を提供することにより達成される。すなわち、いったん第1の軸受表面と第2の軸受表面との間の分離が調整されたならば、表面の相対的な位置は、所定位置にロックされる。このような固定は、ロック手段あるいは同様の手段により提供され得る。
有利には、接着剤(例えばエポキシ樹脂)は、サポート部材に対して、第1の部分および/または第2の部分の位置を固定させることにより、作動ギャップを恒久的に設定するために使用される。作動ギャップ調整に先がけて、ねじの1つ以上の部分にそのような接着剤を塗布可能である。便宜的には、エポキシ樹脂は、組み立ての前に、第1および/または第2の部分および/またはサポート部材のねじに塗布される。有利には、遅硬化性のエポキシ樹脂が、硬化の前に軸受の作動ギャップの調整を可能にするために使用される。なお、ねじ込み接続と組み合わせてエポキシ樹脂を使用すると、強く、かつ、丈夫なジョイントが提供される。相補的なねじの「金属間」接触により、高精度で、実質的に不変の第1および/または第2の部分のサポート部材への取り付けが提供され、一方で、接着剤は互いに直接的に接触していないねじ山のギャップを満たす。この方法においては、ねじ込み接続は、ねじ込み接続の荷重通路に配置されている最小量の接着剤だけでロックされる。
便宜的には、軸受の第2の部分は、第1の部品の第1および第2の軸受表面び対して相補形状である1つ以上の追加の軸受表面を備える。スラスト軸受を含む、第1の部品が第2の部分に対して回転可能であるあらゆる形式の回転式軸受を含む。そのような構成において、第1の部品の第1および第2の軸受表面、および、第2の部分の1つ以上の追加の軸受表面が、環状ディスクの形態を採ってもよい。
実効的な気体軸受の作動を提供するためには、軸受は、好適には、第1の部品および第2の部品の軸受表面の間に気体クッションを提供するための手段を備える。例えば、気体(例えば空気)を第1の部品および第2の部品の軸受表面の間のギャップに注入する手段が提供される。気体は、軸受表面のうちの1つ以上において形成された開口を介してギャップに導入される。有利には、1つ以上の追加の軸受表面は、少なくとも一つ、好ましくは、複数の気体が通過できる開口を備える。同様に、第1の軸受表面および第2の軸受表面の少なくとも一つは、少なくとも一つ、好適には、複数の気体が通過できる開口を備える。代替的には、軸受は、気体をギャップに吸い上げるように構成できる。
便宜的には、サポート部材は、実質的に円形断面を有するシャフトを備える。好適には、シャフトは中空の中心部を備える。すなわち、サポート部材は管を備えてもよい。
有利には、本発明の回転式の軸受の第1のおよび第2の部分は、モーターアセンブリを、少なくとも部分的に取り囲んでいる。モーターアセンブリは、従って、軸受の第1及び第2の部分の間の相対的な回転移動を提供し、それにより、コンパクトな電動化された軸受部品を提供する。便宜的には、モーターアセンブリは、少なくとも部分的に、軸受シャフトの中空の中心部内に配置される。有利には、モーターは、第1および第2の部分の間の中途にあるシャフトに沿った位置に配置される。モーターを中間点に置くことにより、モーターの磁石により引き起こされる荷重が最小化され、それにより軸受のスオッシュが最小化される。なお、一般的には、このような電動化された構成は、ロータ軸受表面の間の分離を設定するのに中心部スペーサ要素を使用する、英国特許1232860号に記載された形式の軸受では不可能である。
また、第1と第2の部分の間の空気クッションを生み出すために使用される気体流は、他の目的のためにも使用できる。例えば、このような気体流は、軸受の一部または軸受が搭載される構造体の温度をコントロールするのに使用できる。従って、気体流は、軸受の部品または他の関連する部品要素を冷却(および/または加熱)するために用いることができる。例えば、第1の部品および第2の部品の軸受表面を通過した気体は、便宜的には、モーターアセンブリに提供される。このような例においては、サポート部材が、気体を関連した(例えば、閉鎖された)モーターアセンブリに導く1つ以上の開口を備えてもよい。そのような構成は、モーター冷却の達成を可能にする。そのような気体冷却(および/または加熱)によって、軸受および/または関連する構造体の温度を維持することは、熱膨張効果が測定精度を低下させる計測機器にとって特に重要である。
軸受の第1の部品は、ロータまたはステータを構成してもよい。電気モーターを説明するために用いられる専門用語から類推して、用語ロータは、ここでは、使用中に回転する軸受の部品を意味し、一方で、用語ステータは、軸受の静止の部分を記述するのに使用される。従って、有利には、第1の部品は、ロータおよびステータを備える。そのような構成において、第1および第2の軸受表面は、お互いに対向するように配置できる。そして、軸受(ステータ)の第2の部分は、第1及び第2の部分の間にあるロータのサポート部材に沿った軸線方向のある位置に配置できる。代替的には、軸受の第1の部品は、便宜的にステータを備え、軸受の第2の部品は、ロータを備える。
有利には、ステータの軸受表面は、気体が通過できる1つ以上の開口を備える。ステータの非回転軸受表面に気体開口を備えることにより、気体を作動ギャップに注入する複雑さが低減される。ステータは、加圧気体が注入できる中空の通路またはキャビティを備えることができる。そして、気体は、ステータキャビティから前記した開口を介してステータ及びロータ軸受表面の間の作動ギャップに排出される。上述したように、ステータは、軸受の第1の部品または第2の部分であってもよい。
有利には、第1の軸受表面は、円錐形状、凸形状、凹形状、および実質的に平坦な形状の1つを有する。便宜的には、第2の軸受表面は、円錐形状、凸形状、凹形状、および実質的に平坦形状の1つを有する。便宜的には、第1および/または第2の軸受表面は、球面状に形成される(例えば、軸受表面は、球を切断した部分にあってもよい)。第1および第2の軸受表面は、同様のまたは種々の形状をもつことが可能である。第1および第2の軸受表面の形状は、鏡面対称であってもよい。軸受の第1の部品は、さらなる軸受表面を備えていてもよい;例えば、第3の軸受表面、第4の軸受表面などである。そのようなさらなる軸受表面は、第1および第2の部分、あるいは、サポート部材に取り付けられたさらなる部分に備えることができる。なお、サポート部材(そのようなサポート部材と一体的に形成される以外に)に取り付けられる第1のおよび第2の部分を備えることにより、これらの部分をラッピングまたは同様な処理により高精密に製造できる。
上述したように、軸受の第2の部分(例えばステータ)は、軸受の第1の部分(例えば、ロータ)の第1および第2の軸受表面に対して相補的である追加の軸受表面を備える。従って、第1の部品の軸受表面の形状は、第2の部分の軸受表面の形状とマッチするように構成される。さらに、第1および第2の部分の軸受表面は、それらの間に実質的に一定の作動ギャップが付与されるように構成されることが好ましい。
有利には、軸受は、第1のおよび第2の部分の少しの熱膨張も作動ギャップに実質的に影響しないように構成される。例えば、ロータ及びステータの軸受表面の角度は、第1および第2の部分の所定の分離とサポート構造体の直径のために、どのような熱膨張効果でも作動ギャップを変えないように設定される。
軸受は、あらゆる材料あるいは材料のあらゆる組み合わせから形成できる;例えば、軸受は金属を含んでもよい。便宜的には、サポート部材30および/または第1および第2の部分は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される。軸受表面がアルミニウムの強化表面コーティング(例えば、陽極処理された層)であってもよい。アルミニウムは、軽量であり、かつ、必要な部品要素の構成を提供するために容易に成形(例えば、機械加工)できる利点を有する。
有利には、上記した形式の軸受を備える計測装置が提供される。計測装置には、座標計測機(CMM)、または、工作機械などの他の適切な座標位置装置を含めることができる。
本発明の第2の観点によれば、気体軸受の設定方法は、(i)相補的な軸受表面に対して移動可能な第1の軸受表面を有する気体軸受を取得するステップ、(ii)第1の軸受表面と相補的な軸受表面の間の作動ギャップを調整するステップ;及び、(iii)第1の軸受表面と相補的な軸受表面との間に加圧された気体流を供給するステップを有し、作動ギャップの指示値を提供するために、ステップ(iii)において提供された気体の流量を測定するステップを備える。
従って、本発明は、気体軸受を通じて気体の流量を測定することに関係する軸受のセッティングのための技術を提供する。従って、対向する軸受表面の間の作動ギャップは、測定された気体流量から決定できる。このような技術は、軸受製造工程中に容易に実施でき、精度測定を実行することを必要とせず、あるいは、軸受部品が、高いレベルの軸受の精度を獲得するために、非常に高い公差で製造されることを保証する。
有利には、ステップ(ii)及び(iii)は、第1の軸受表面及び相補的な軸受表面の間の気体の所定の流量に達するまで、順次繰り返される。特定の作動ギャップと関連する所定の流量は、理論的または実験的に計算することができる。便宜的には、軸受の調整を可能にするために、ステップ(ii)の間、気体流は止められる。本発明の方法は、所定の流量の気体が達成されたとき、便宜的に作動ギャップを固定するステップをさらに備える。有利には、作動ギャップは、エポキシ樹脂などの接着剤を使って固定される。便宜的には、加圧気体流が作動しながら、作動ギャップは固定される(例えば、接着剤は、硬化可能である)。好適には、硬化する際に最小の収縮量を示す遅硬化性接着剤が使用される;「遅」は軸受の作動ギャップを適切に調整するために必要な時間に対して規定される。
上記した軸受セッティング方法は、有利には、本発明の第1の観点の軸受をセットするために使用される。例えば、ステップ(i)は、便宜的には、本発明の第1の観点に係る軸受を取得するステップを有する。そして、ステップ(ii)は、第1の部分および第2の部分の少なくとも一つをサポート部材に沿って軸方向に移動させるステップを有する。この方法において、調整ステップ(ii)は、シャフトに沿って第1および/または第2の部分を必要な位置にねじ込むことにより実行される。
気体軸受は、あらゆるタイプの気体を使用しても作動可能であるけれども、ステップ(iii)は、好適には、空気流を付与する。圧縮空気の供給が、機械周辺等において一般的には容易に使用可能である。
上記した気体流量方法は、本発明の第1の観点に係る軸受の作動ギャップをセッティングするために用いられるけれども、そのような軸受は、多くの公知の先行技術の一つを代わりに用いてもセッティング可能である。例えば、軸受が作動している(すなわち、空気流が流れている)間と停止したとき(すなわち、空気流が止まったとき)とに、軸受構造体に対するロータの高さを測定できる。これらの2つの測定間のロータ高さの違いは、作動ギャップの計測量を提供する。
また、第2の部品に対して移動可能な第1の部品を備える回転式の気体軸受が記述される。第1の部品は、第1の軸受表面および第2の軸受表面を備える。第2の部品は、第1の軸受表面および第2の軸受表面に対して相補的である1つ以上の追加の軸受表面を備える。軸受は、第1の軸受表面と第2の軸受表面との間の分離を設定するための軸受設定手段も備え、この軸受設定手段は、第1の軸受表面と第2の軸受表面との間の分離が選択的に調整されることを可能にする。
以下に、本発明を添付図面を参照して、例示により説明する。
図1を参照すると、英国特許第1232860号に記述された形式の空気軸受2の断面図が示されている。空気軸受2は、ステータ6に対して回転軸線7の回りで回転可能な環状のロータ4を備える。ロータ4は、上側ロータ部分4aおよび下側ロータ部分4bを備える。上側ロータ部分4aは、第1の軸受表面8aを有し、下側ロータ部分4bは第2の軸受表面8bを有する。上側ロータ部分4aは、下側ロータ部分4bを除いてスペーサ要素10により間隔をおいて配置される。ねじ12は、上側ロータ部分4a、下側ロータ部分4b、およびスペーサ要素10を通過し、これらの要素を固定された空間的位置関係に維持する。
ステータ6は、第1の軸受表面12aおよび第2の軸受表面12bを有する。ステータ6内のキャビティは、第1のおよび第2の軸受表面12aおよび12bに形成された開口16で終端する。ロータ4の第1および第2の軸受表面8aおよび8bは、ステータ6の対応する第1および第2の軸受表面12aおよび12bに対して相補的な形状を持つように構成される。スペーサ要素10の厚さは、ロータとステータの軸受表面の間のライドハイトまたは作動ギャップが、適切な空気軸受の作動を提供するように慎重に選択される。
使用において、空気が開口16を通してステータに供給され、その空気はキャビティから排出される。空気は、開口16から排出され、軸受から図1の矢印14に示す方向に流出する。従って、軸受は、与圧される中心エアギャップ領域と、使用中空気が流れる外周エアギャップエリアを備える。
図1において示された形式の先行技術の軸受は、多くの不利益を有する。例えば、スペーサ要素10の厚さは、効率的な装置の作動に重要である。薄すぎるスペーサ要素を有すると、軸受表面の間の作動ギャップを減らし、それにより空気層を有することの利益を損なう;このことは、使用中に軸受表面を接触させて物理的な磨耗を引き起こすことさえも許容する。厚すぎるスペーサ要素を有すると、軸受の剛性を減少させ、軸受の作動の実効性を低下させる。
適切な厚さのスペーサ要素10を提供する工程もまた、軸受製造を大いに複雑にする。実際に、先行技術の軸受のすべての部品は、組み立てられた軸受が要求された作動ギャップを有することを保証するために、小さい公差で製造される必要がある。さらに、スペーサ要素をロータ部分間にはさむと、応力とひずみをロータ部分に発生させ、これは軸受表面の形状を変形させ、それにより、軸受の作動の実効性を低下させる原因となる。これらの影響は、計測装置などの高精度の装置において使われる必要がある軸受を形成する時に、特に、顕著である。
図2を参照すると、本発明に係る軸受20が図解されている。軸受20は、ステータ22とロータ24とを備える。
ロータ24は、エンドストップ28を有するシャフト26を備え、第1のロータ部分30および第2のロータ部分32を保持する。第1のロータ部分30および第2のロータ部分32は、環状であり、各々はシャフト26の外側の表面に形成された対応するねじ山と噛み合う内側ねじを備える。従って、第1のおよび第2のロータ部分30と32は、シャフト26に「ねじ込みされ」、適当な接着剤(例えばエポキシ樹脂)により必要な固定された空間的位置関係に保持される。
第1および第2のロータ部分30及び32は、シャフト26から外側に向けて延在する、第1のロータ軸受表面34および第2のロータ軸受表面36をそれぞれ備える。第1および第2のロータ部分は、第1および第2のロータ軸受表面34及び36が互いに対向するように、シャフト26に配置される。
ステータ22は、第1および第2のロータ軸受表面34及び36をそれぞれ相補するように形成される第1および第2のステータ軸受表面38及び40を備える。ステータ22は、相補的なステータ及びロータ軸受表面がお互いに隣接するが必要な作動ギャップにより分離されるように、第1及び第2のロータ部分30及び32の間に軸方向に配置されている。以下でさらに詳細に概説されるように、作動ギャップは、第2のロータ部分32をシャフト26にねじ込む工程中に必要に応じて設定される。ステータ22は、中空の中心部42とそこから第1および第2のステータ軸受表面38及び40まで延在する通路を有する。従って、軸受表面の開口43は、空気が中空の中心部42から軸受表面の間のギャップに流れることを許容する。開口44もまた、空気がシャフト26の中心部に流入することを許容するために、シャフト26に形成される。シャフト26もまた、その中にモーター(図示せず)を配置可能にするために十分に大きい内径を有する。そのような構成において、軸受を通って流れる空気は、モーターを冷却する付加的な機能も果たす。
図3を参照すると、図2を参照して説明された軸受20のより詳細な斜視図が示される。特に、図3はステータ22とロータ24を示している。ロータ24は、上記したシャフト26とエンドストップ28を形成するロータセンブリ50を備える。さらに、モーター52が図解されている。
図4を参照すると、図3において示された形式の軸受の形成方法が図解されている。
図4Aは、その外表面に形成されたねじ部分54を有するシャフト26を備えるロータセンブリ50を取得するステップを示している。第1(下側)ロータ部分30は、矢印56により示された時計回りの方向に上記部分30を回転させるとシャフト26にねじ込まれる。第1のロータ部分30の物理的な歪みを最小化するために、上記部分は、それがエンドストップ28に当たるまでねじ込まれ、その位置において、第1のロータ部分をエンドストップ28からわずかに離すためにわずかに逆時計回りに回転させる。第1のロータ部分30がしっかりとシャフト26に固定されるように、接着剤(例えば、エポキシ樹脂)を最初にねじ部分54の領域に塗布してもよい。
図4Bは、それに取り付けられた第1のロータ部分30を有するロータセンブリ50をステータ22に嵌め込むステップを示す。ステータは、シャフト26を簡単に摺動し、第1のロータ部分30と接触した状態になる寸法となっている。
図4Cは、第2のロータ部分32をロータシャフト26に付加するステップを図解している。第2のロータ部分32は、矢印56により示された時計回りの方向への回転により所定の位置にねじ込まれる。
シャフト26に対する第2のロータ部分32の位置を決定するために、ステータ22のキャビティ42および開口43を介した軸受構造に空気を通過させることも可能である。軸受を通る空気の流量はその際に測定でき、流量は、ステータとロータの軸受表面の間の作動ギャップに依存する; すなわち、作動ギャップが減少すると、流量はそれに応じて減少する。事前のシミュレーションおよび/またはテストにより、最適な作動ギャップに関連付けられる最適な流量の推定値を付与することができる。
測定された流量が、作動ギャップが大きすぎる、あるいは、小さすぎることを示す場合には、空気流が止められ、軸受が再調整される。そして、空気流が再スタートされ、流量が再び測定される。この調整/測定プロセスは、最適な流量が達成されるまで繰り返される。各々の調整ステップは、一定の角度で第2のロータ部分32を回転させるステップを有することも可能である。
上記の方法は、軸受の製造中に容易に実施される;すなわち、第2のロータ部分32は、最適な作動ギャップを与える所定の空気流量に到達するまで、シャフト26に簡単にねじ込まれる。理想的な作業距離が設定された時に、接着剤を第2のロータ部分32の取り付けに先がけてシャフトのねじ54に塗布することも可能であり、第2のロータ部分はシャフトの必要な位置にしっかりと取り付けられる。接着剤は、好適には、軸受が作動している間(すなわち、空気流が流れている間)に、セッティングが許容される。
上記の方法は、最適な軸受作動ギャップが提供されることを保証するための効果的な方法を提供する。特に、それは、軸受表面間を離隔させるために精密に加工されたスペーサ要素等を提供する必要がある問題を解消させる。さらに、作動ギャップの精密測定は製造工程の間に必要ではない。軸受が作動している間に作動ギャップを測定することにより、軸受構造、取り付け台などのコンプライアンスも考慮される。従って、軸受は、この方法により、以前よりもずっと低いコストで製造されかつセットされる。軸受表面はその後にそれらが取り付けられるシャフトとは別に作り出すことができるので、製造の複雑さが低減され、使用される高精度(例えば、ラッピング)技術を軸受表面を精密に形成するのに用いることが可能になる。
上記の図2ないし図4を参照して説明されたステータ及びロータの軸受表面は、それぞれ凹面と凸面である。さらに、相補的な軸受表面の曲率半径は、最適な作動距離で軸受がセッティングされる時に、実質的に一定の空気ギャップが提供されるように構成される。しかしながら、代替の軸受表面を用いた軸受を形成することも可能である。
図5は、代替の軸受60を図解している。明瞭性のために、様々な空気通路及び開口は図面から省略されている。
軸受60は、第1のロータ部分66および第2のロータ部分68をもつシャフト64を有するロータ62を備える。第1のロータ部分66は恒久的にシャフト64に取り付けられ、第2のロータ部分68は、ねじ70を介してシャフト64に取り付けられる。第2のロータ部分68が、凸面である第2のロータ軸受表面74を有する一方で、第1のロータ部分66は、実質的に平らな第1のロータ軸受表面72を有する。
第1及び第2のロータ部分の間に軸線方向に配置されたステータ76も備わる。ステータは、平らな第1のステータ軸受表面78および凹面である第2のステータ軸受表面80を有する。従って、第1および第2のロータ軸受表面は、関係する第1および第2のステータ軸受表面に対してそれぞれ相補的である。
軸受60は、シャフト64に沿って第2のロータ部分68の位置を調整することにより(すなわち、シャフト64に対して第2のロータ部分68を回転させることにより)セットされる。例えば、軸受は、図4を参照して上述した方法に類似する方法を使ってセット可能である。
上述の例は、2つのロータ部分の間の軸線方向の距離が必要な軸受の作動ギャップをセットするためにどのように調整されるかを記述する。当業者は、ステータの2つの軸受表面の間の分離が、代替的に、あるいは、付加的に、同様な効果を与えるように調整されることを認識している。
図6を参照すると、さらなる軸受80が示される。軸受80は、シャフト86により保持された第1のロータ部分82および第2のロータ部分84を備える。第1および第2のロータ部分82および84は、それらの対向する表面に形成される第1および第2のロータ軸受表面86および88を有する。ステータ90も備わり、これは、第1のステータ軸受表面92および第2のステータ軸受表面94を備える。第1及び第2のロータ表面86及び88は、それぞれの第1および第2のステータ表面92及び94と相補的である。
ステータも、ステータ軸受表面分離制御手段96を備えるように構成される。分離制御手段96は、第1及び第2のステータ表面92及び94の間の距離を変えるように構成される;すなわち、分離制御手段96は、図6に示す距離「x」を変化可能にする。分離制御手段96は2つのステータ部分の間にジョイントを備えることが可能である;例えば、2つのステータ部分は、ねじ山等を介して結合してもよい。代替的には、両方のステータ部分は、サポート構造に取り付ける(例えば、ねじ込み)ことができる。
ねじ山等は軸受表面の分離を調整するための便利な方法であるけれども、当業者は、同様な効果が達成できる種々の代替の方法を認識している。図7を参照すると、代替の軸受100が図解されている。軸受は、スペーサ106により第2のロータ部分104から離隔して配置された第1のロータ部分102を備える。第1および第2のロータ部分102および104の軸受表面108は、関連するステータ110の軸受表面に対して相補的である。
第1のセットのねじ112は、第1のロータ部分102、第2のロータ部分104及びスペーサ106を貫通している。各々のねじ112は、積み重ねた状態の要素部品を締め付けている。さらなるセットのねじ114は、第2のロータ部分104を貫通して突出し、スペーサに係合するように設けられている。ねじ114を締め付け又は緩めることにより、第1および第2のロータ部分の軸受表面の間の分離に関する制御が与えられることが分かる。この方法において、軸受の作動ギャップは必要に応じてセットされる。
様々な軸受のデザインが上述されたが、当業者は、本発明に従って実施可能な様々な変形例および代替のデザインを認識している。本発明がスラスト軸受を含めて回転式の軸受の多くの形式に適用できることも記憶されているべきである。
Claims (25)
- 第2の部品に対して回転可能な第1の部品を備え、
前記第1の部品は、サポート部材と、前記サポート部材に取り付けられた第1の軸受表面を備える第1の部分と、前記サポート部材に取り付けられた第2の軸受表面を備える第2の部分とを備え、
前記第1の部分および第2の部分は、ねじ込み接続により前記サポート部材に取り付けられている、
ことを特徴とする回転式気体軸受。 - 前記第1の部分および前記第2の部分は、実質的に環状であり、各々は、前記サポート部材の相補的なねじ山にかみ合わせるためのねじ切り壁を有する中心開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の軸受。
- 前記サポート部材に対して前記第1の部分および第2の部分を固定するための手段を備える請求項1又は2に記載の軸受。
- 前記サポート部材に対する前記第1の部分および第2の部分の位置を固定させるために接着剤が提供される請求項3に記載の軸受。
- 前記第2の部品は、前記第1の部品の前記第1および第2の軸受表面に対して相補的な一以上の追加の軸受表面を備える請求項1ないし4のいずれかに記載の軸受。
- 前記一以上の追加の軸受表面は、気体が通過できる少なくとも一の開口を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の軸受。
- 前記第1の軸受表面および第2の軸受表面の少なくとも一つは、気体が通過できる少なくとも一の開口を備える、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の軸受。
- 前記サポート部材は、実質的に円形断面を有するシャフトを備える、請求項1ないし7のいずれかに記載の軸受。
- 前記シャフトは、中空の中心部を備える、ことを特徴とする請求項8に記載の軸受。
- モーターアセンブリが前記シャフトの中空の中心部内に少なくとも部分的に配置されている、ことを特徴とする請求項9に記載の軸受。
- 前記モーターアセンブリは、前記シャフトに沿った前記第1の部分と第2の部分との間の中途の位置に配置されている、ことを特徴とする請求項10に記載の軸受。
- 前記第1の部品及び第2の部品の軸受表面を通過する気体の少なくともいくらかは、前記モーターアセンブリに導かれる、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の軸受。
- 前記第1の部品がロータを形成し、前記第2の部品がステータを形成する、ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の軸受。
- 前記第1の部品がステータを形成し、前記第2の部品がロータを形成する、ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の軸受。
- 前記第1の軸受表面は、凸形状または凹形状を有する、ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の軸受。
- 前記第2の軸受表面は、凸形状または凹形状を有する、ことを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の軸受。
- 請求項1ないし16のいずれかに記載の軸受を備える、ことを特徴とする計測装置。
- (i)相補的な軸受表面に対して移動可能な第1の軸受表面を有する気体軸受を取得するステップと、
(ii)前記第1の軸受表面と前記相補的な軸受表面との間の作動ギャップを調整するステップと、
(iii)前記第1の軸受表面と前記相補的な軸受表面との間に加圧された気体の流れを与えるステップと、
前記作動ギャップの指標を提供するために、前記ステップ(iii)において供給される気体の流量を測定するステップと
を有することを特徴とする気体軸受をセッティングする方法。 - 前記第1の軸受表面と相補的な軸受表面との間の気体が所定の流量に達するまでに、前記ステップ(ii)及び(iii)が順番に繰り返される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
- 前記気体が所定の流量に達した時に前記作動ギャップを修正するステップを有する、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
- 前記ステップ(ii)の間に前記気体の流れが止められる、ことを特徴とする請求項18ないし20のいずれかに記載の方法。
- 前記ステップ(i)は、請求項1ないし16のいずれかに記載の軸受を取得するステップを有し、前記ステップ(ii)は、ねじ作用を利用して、前記サポート部材に沿って前記第1の部分および第2の部分の少なくとも一つを軸線方向に移動させるステップを有する、ことを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載の方法。
- 前記ステップ(iii)は、加圧された空気流を与える、ことを特徴とする請求項18ないし22のいずれかに記載の方法。
- 実質的に明細書において図2ないし図7を参照して記述された軸受。
- 実質的に明細書において図2ないし図7を参照して記述された軸受をセッティングする方法。
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