JP2009540982A - 分解安定化ポリマーを含む生体材料 - Google Patents

分解安定化ポリマーを含む生体材料 Download PDF

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Abstract

本発明は、水結合剤がポリマーの分解を予防するために水を化学的および/または物理的に吸収および/または吸着するのに十分な量存在する、水結合剤を含むポリマーベース材料に関する。本発明はまた、可塑剤または有機溶媒、ならびに、第二のポリマーおよび/もしくは活性剤を包含する材料を含む多成分材料または複合物を含む、ポリマーベース材料に関する。さらに、本発明は、ポリマーを含む材料を製造するための方法、ならびに、骨、軟骨、および/または歯周部欠損の処置のために使用される薬学的組成物の調製のための材料の使用に関する。本発明はまた、ポリマー材料を用いるキットを包含する。さらに、本発明は、水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料の水により誘導される分解を阻害するための、ポリマーを含む材料において血餅安定化を誘導するための、およびポリマーを含む材料において保存安定性を増加させるための水結合剤の使用を包含する。

Description

出願の背景
吸収性または生分解性ポリマーの技術は、多くの地域においてここ何年かにわたって発展してきた。これは、組織工学が大部分、吸収する足場を置換する組織形成と並行して質量損失を受ける吸収性足場の使用に依拠しているためである。吸収性ポリマーは、押し出して成形された固体形態で、特に骨および軟骨再生における組織再生のためのインプラントとして重要な役割を果たすと同時に、懸濁液、分散液、およびヒドロゲルを含む成形可能または注射可能な液体およびゲルにおいてますます使用されている。
多くの生体吸収性生物医学的ポリマーは、ポリマーの加水分解性不安定性に依拠している。好ましくは、ポリエステル結合の加水分解は、そのようなポリマーにおけるインビボ分解の原因となる機構である(Absorbable and biodegradable polymers, Shalaby and Burg 2004. CRC Press, Advance in polymeric biomaterial series. Chapter 9.5.3(非特許文献1))。
ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-L-乳酸-コ-グリコール酸(poly-L-lactic-co-glycolic acid:PLGA)、PLGAおよびポリエチレングリコール(PEG)ポリマーのコポリマーのようなポリマーなどを含む材料の一つの主要な欠点は、短い保存期間および保存不安定性である。既存の微量の水が、ポリマーベース材料の長期の保存の間および適用の前に分解を引き起こし、分割、沈降、崩壊、液体生体材料の粘度の変化、足場特性の変化、および/またはインビボでの変化した分解プロファイル、ならびに可能性のある予測できない結果などの望ましくない特徴をもたらす可能性がある。
WO 2005/105170(特許文献1)は、二つの成分、すなわち鉱物成分および非水性成分の骨代替材料を開示し、これは非水性成分を水で置換することによって水性環境において硬化する。骨代替材料において開示された鉱物成分、例えば硫酸カルシウム2水和物または硫酸カルシウム1/2水和物は、マクロ多孔性に欠く強い機械的特性を有するセメントを形成することができる種として機能する。
本欠点を克服するため、これまで使用された従来の方法は、容易かつ低価格の手順を目指す。一つのアプローチは、組成物の水分含量を減少させるために単独または触媒の存在下のいずれかで使用された原料を加熱する段階を使用する。乾燥剤での処理およびその後の乾燥物質の除去、または有機溶媒などの溶媒の蒸留、蒸留された溶媒を乾燥剤で処理する段階、および処理された溶媒をシステムに戻す段階、ならびに、水を蒸留して出す段階、溶媒の蒸留された水を乾燥剤と結合させる段階、および溶媒などのそのように取得された物質をシステムに戻す段階が、一般的に使用される。
または、例えばEP 0 779 872(特許文献2)および参照により該明細書に組み入れられている参照文献に記載されているように、水分を乾燥させる外部薬剤または乾燥剤を含むかまたは含まない防水パッケージ、好ましくは、ブリスターパッケージ、特に低減された水蒸気透過性を有するものを含むプラスチックおよびアルミニウムで作製されたパッケージが、湿気感受性である固体または半固体、および液体薬学的調製物のための好ましいパッケージング形態である。
しかしながら、液体ポリマー溶液、ポリマー分散液、ポリマー融解物、および液体ポリマーベース材料などの水を含まないポリマーベース材料を調製するためおよび維持するために、原料の熱による前処理、真空乾燥、凍結乾燥、分子ふるいを含む公知の方法、ならびに湿気感受性の薬学的調製物をパッケージングするための乾燥剤を有するパッケージングシステムを用いる段階は成功していない。組成物から水を除去することによる材料の保存時のポリマー分解を回避する段階には、さらなる改善が必要とされている。
したがって、水を含まないポリマーベース材料(すなわち、液体ポリマー溶液、ポリマー分散液、ポリマー融解物、および液体ポリマーベース材料などのポリマーを含む材料)を調製するためおよび維持するために代替的な手段を提供することが、本発明の基礎をなす一つの目的である。
さらに、液体ポリマー溶液、ポリマー分散液、ポリマー融解物、および液体ポリマーベース材料などのポリマーを含む材料において好ましくは保存安定性を増加させることを意味する、ポリマーベース材料において水により誘導されるポリマー分解を阻害するための代替的な手段を提供することが、本発明の基礎をなす別の目的である。
さらには、上記で列挙されたような従来使用される方法が適当でなく、厄介、高価、または面倒である場合に適用され得る、ポリマーベース材料において水により誘導されるポリマー分解を阻害するための手段を提供することが、本発明の基礎をなす別の目的である。
または、本発明の基礎をなす目的は、ポリマーの分解が保存の間、すなわち使用前に予防または阻害される、改善された保存期間を示すポリマーを含む材料を提供することであった。
本発明の基礎をなす別の目的は、スポンジ様マトリクスを形成する、組織再生のための改善された保存期間を示すポリマーを含む材料を提供することであった。
本発明の基礎をなす別の目的は、歯周部付着または組織再生を含む組織再生のための増加した保存期間を有するポリマーを含む材料を提供することであった。
本発明の基礎をなす別の目的は、血餅形成または血餅安定化を誘導するための材料を提供することであった。
本発明の基礎をなす別の目的は、歯周組織再生のためのポリマーを含む材料、およびそれを用いるための方法を提供することであった。
WO 2005/105170 EP 0 779 872
Absorbable and biodegradable polymers, Shalaby and Burg 2004. CRC Press, Advance in polymeric biomaterial series. Chapter 9.5.3
本問題を克服するための、およびポリマーを含む材料をより効率よくかつより低コストで徹底的に調製するように過程を改善するための徹底的な調査の結果として、本発明者らは、驚くべきことに、水結合後の製剤から除去することのない、材料内での水結合剤の使用が、長期保存の間のポリマー分解の阻害に有効であることを見出した。
したがって、本発明は、水結合剤を含む、液体ポリマー溶液、ポリマー分散液、ポリマー融解物、および液体ポリマーベース材料などのポリマーを含む材料であって、水結合剤がポリマーの分解を予防するために水を物理的に吸収および/もしくは吸着する、または化学的に吸着するのに十分な量存在する材料を提供する。
水結合剤の添加に起因する一つの利点は、取得されたポリマーを含む材料の沈降および相分離それぞれの阻害である。
本発明の好ましい局面は、液体または溶解した形態においてポリマー成分を含む、特定のポリマーベース組成物に関する。時には、ポリマーを溶解するために、またはポリマーを液体相中、好ましくは溶液中に保持するために、有機溶媒またはいわゆる可塑剤が使用される。不幸なことに、そのようなシステムは、特に低い保存安定性を示し、特に有機溶媒が吸湿性であるか、またはポリエチレングリコール400のようにそれ自体の重量の50%までもの水に結合し得る際には、数週間にわたって保存することがほとんどできない。そのような液体ポリマーベース材料は、固体ポリマー材料よりもポリマー分解にはるかに感受性である。そのようなポリマーベース材料の一例は、本発明の実施例12において説明されるような、ポリエチレングリコール400に溶解されたポリ(乳酸-コ-グリコール酸)ポリマー(Boehringer IngelheimのResomer(登録商標)RG503H)を含む材料である。
そのため、液体相においてポリマーを含む、ポリマーを含む材料を安定化させるための特定の必要性が存在する。そのような材料は、成形可能かつ注射可能なポリマーを含む材料、および好ましくは急速に分解するポリマーを含む材料であって、切断がポリマー鎖のエステル基などのポリマー鎖の水により誘導される加水分解による(例えば、ポリエステル)材料を含むが、それらに限定されない。
特に、例えばインサイチューで形成するポリマーベース生体材料において、例えばインプラントまたは薬学的製剤において使用され得る、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300)またはN-メチル-ピロリドンなどの有機溶媒を含むがそれらに限定されない吸湿性液体の場合、長期の保存安定性は非常に大きな問題である。
したがって、本発明のさらなる局面は、例えばポリマー分解もしくはポリマー鎖切断が無いかまたは限定されて長時間保存され得る、液体相においてポリマーを含む、ポリマーを含む材料を提供することである。好ましくは、そのような材料は、機械的および機能的安定性を維持する。
本発明者らは、ポリマーを含有する液体内の微量の水が、水により誘導される加水分解(すなわち鎖切断)を介して、固体インプラントなどの固体材料におけるよりもいっそうポリマーを損傷し得ることを見出した。
さらに、そのような微量は従来の乾燥法では除去されない。
ポリマーの分解を予防または制限するための、上述されたような古典的な乾燥手順によっては除去され得ない水を物理的または化学的に吸収および/または吸着するのに十分な量の水結合剤の添加によって、ポリマーの分解が有意に阻害または低減され、有機溶媒などの薬学的に許容される可塑剤を含む、ポリマーを含む材料を調製することができた。それにより材料の保存期間の有意な増加が、例えばインサイチュー形成後の材料の足場特性などの材料の機能への悪影響無しで達成された。
本発明の本局面において、本発明者らは、水結合剤を含む、ポリマーを含む材料であって、水結合剤がポリマーの分解を予防するために水を物理的または化学的に吸収するのに十分な量存在し、材料が可塑剤、好ましくは薬学的に許容される可塑剤または有機溶媒を含む材料を提供する。
本発明者らは、驚くべきことに、ポリマー分解の阻害に加えて、生体材料または薬学的調製物の形態、および生体材料または薬学的調製物の機械的特性もまた改善されたことを見出した。例えば、水結合剤(例えば、図3に示されるような硫酸カルシウム)の約4%のみの添加は、水結合剤を含まない材料と比較して保存時間にわたって機械的強度の有意な増加をもたらす。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、硫酸カルシウム無水物または1/2水和物などのカルシウム化合物を含む水結合剤の場合、さらなる相乗作用効果を示す生体材料が生成され得ることを見出した。生体材料を移植する際、凝固カスケードが誘導されて血餅と生体材料の多孔性マトリクスとの間に密接な結合をもたらし(図4に示される)、組織再生を改善する。さらに、本発明の材料は、好ましくは増殖因子結合活性を有し、かつ移植後の周囲の組織由来の一つまたは複数の増殖因子を捕捉するかまたは固定することができる。
別の態様において、本発明者らは、非水性環境において非固体材料である、任意の態様のポリマーを含む材料であって、インサイチュー形成時にポリマーがマトリクスを形成し、かつ前記水結合剤がマトリクス内に安定する材料を提供する。好ましくは、上記の態様のポリマーを含む材料は、水性環境におけるインサイチュー形成時にほぼその形状のままである。
本発明の別の好ましい局面において、本発明者らは、追加的な成分、例えば、無機充填剤、孔形成剤、孔開始充填剤、もしくは少なくとも第二のポリマー、または任意のそれらの組み合わせを含む、ポリマーを含む材料を提供する。
これまでのところ、ポリマーおよび可塑剤を、無機充填剤もしくは孔形成剤、またはそれらの組み合わせなどの追加的な成分と共に含む生体材料は、本発明者らにより出願されたWO 05/120595より公知である。
WO05/120595のものなどのこれらの多成分材料について、本発明者らは、長期保存の間にポリマー鎖の分解または変化のリスクが存在し、すなわち材料が使用される前または組織に適用される前に、産物の安定性のさらなる改善の必要性があることを見出した。
本発明者らは、システムに化学的に結合したか、または物理的に捕捉されたいずれかの水が、いくつかの成分によって材料中に導入され得、長期保存の間に遊離することを同定した。さらに、個々の成分を乾燥し、その後多成分材料を製造することは困難でありかつ非常にコストがかかり、何週間または何ヶ月、好ましくは1年間またはそれ以上でさえの長期保存を可能にするためのさらなる改善が必要であることが見出された。保存期間を増加させるための新たな手段を提供すること、および、4週間またはそれ以上の保存時間の間の分解の見込みを最小化するかまたは阻害することが、特に意図された。
しかしながら、驚くべきことに、これらの限界は、WO 05/120595の組成物中には存在しない水結合剤の添加によって克服された。
薬物、塩基性または酸性無機化合物などの酸性もしくは塩基性添加物または賦形剤を使用する場合でさえ、材料内に化学的に結合した、または物理的に吸収および/もしくは吸着された水についての、水結合剤による減少した含量のために、材料の保存期間は延長される。
したがって、本発明の本局面において、無機充填剤、孔形成剤、孔開始充填剤、もしくは少なくとも第二のポリマー、または任意のそれらの組み合わせを、ポリマーの分解を予防するために水を物理的または化学的に吸収および/または吸着するのに十分な量存在する水結合剤と共に含む、ポリマーを含む材料が提供される。
本発明のさらなる局面は、ポリマーベース材料、好ましくはインサイチュー硬化生体材料における、マンニトールなどの孔開始充填剤の使用である。
マンニトールのような孔開始充填剤は、材料の最初の孔隙を急速に導入する。小さな孔または空洞のこの最初の孔隙により、膨張剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)などの第二の孔形成剤による材料の最終的な全体の多孔性構造の誘導された形成を達成することができる。この驚くべき効果は、図5に示されるような相互に連結する孔を有する高度にスポンジ様の材料の形成をもたらす。
さらに、マンニトールは、実施例3において使用されるような活性剤凍結乾燥物などの活性剤製剤のための増量(bulking)剤としてもまた使用可能である利点を有する。
好ましくは、孔開始充填剤は、有機水溶性物質、より好ましくはマンニトールなどのアルコールまたはポリアルコールである。
水溶性固体ポリマー(例えば、PEG 1500)などの第二のポリマーの利点は、PLGAなどの第一のポリマー上に長く持続する可塑化効果を有することである。一例が、本発明の実施例4および図5に示されている。カルボキシメチルセルロースのような膨張剤などの孔形成剤による孔形成過程は、材料がインサイチューで硬化する間に完成するために時間を必要とするが、長く持続する可塑剤は、歯周再生または骨欠損充填などの組織再生に適する相互に連結するスポンジ様孔隙率(図5のスポンジ様構造を参照されたい)を達成するためにポリマーの成形可能な外見を保持する。
8重量%未満の第二のポリマー、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、最も好ましくは1〜2,5重量%の間を用いることによって、特に良好な結果が観察されている。好ましくは、上記の態様の任意のポリマーを含む材料は、水に不溶の固体ポリマーである第二のポリマーを含む。
本発明の別の局面は、第一の可塑剤、孔形成剤、および第二の可塑剤を含む液体ポリマー溶液などの、上記の態様の任意の一つの材料であって、好ましくは、第二の可塑剤が第二のポリマー、好ましくは、1000またはそれより多い分子量を好ましくは有する固体ポリマー、または抗酸化剤、好ましくは、有機溶媒および/または液体ポリマーに可溶である脂溶性抗酸化剤である材料を提供することである。好ましくは、抗酸化剤は、トコフェロール、メチオニン、ブチルヒドロキシトルオール、ブチル4-ヒドロキシアニソール、より好ましくはα-トコフェロールである。好ましくは第二の可塑剤は生体適合性である。
第二の可塑剤の機能は、PLGA溶液などのポリマーのガラス転移温度(Tg)を上昇させることである。好ましくは、最終的な材料は、0℃〜−56℃の間、より好ましくは約−50℃±6℃のTgを有する。Tgは、例えば実施例13において説明されるように測定され得る。
驚くべきことに、本発明者らは、トコフェロールなどの抗酸化剤が本発明のポリマーを含む材料に添加された際に可塑剤として機能することを見出した。5重量%未満、より好ましくは約3重量%またはそれ未満、最も好ましくは1〜2,5重量%の間を用いることによって、特に良好な結果が観察されている。予想されたことに反して、特に好ましい量における固体ポリマー(例えば、PEG 1500)、または抗酸化剤(例えば、α-トコフェロール)の添加は、ポリマーベース材料のインサイチュー硬化に悪影響を及ぼさなかった。
(表1)様々なポリマーおよびポリマー組成物のガラス転移温度(n=2)
Figure 2009540982
本発明の別の局面は、活性剤を含む上記の態様の任意の一つの材料を提供することである。活性剤は、骨形成タンパク質、またはTGFスーパーファミリーのメンバー、BMP、およびGDFなどの歯周靭帯、セメント質、および/もしくは歯槽骨誘導剤、またはそれらの組み合わせに限定されない。
本発明者らは、ビーグル犬の前臨床1壁性骨内歯周部欠損モデルにおいて、実施例2の材料の生体適合性の解析に成功している。
組織学的および組織計量的(histometric)観察により、材料の優れた生体適合性が明らかになった。注意深く選択された材料の製剤により、文献においていくつかの公知の生分解性ポリマーベースインプラント(例えば、歯周部欠損のために使用される生分解性膜)の不利点であると記載された生体材料が移植された部位において、炎症病変は観察されなかった。思いがけず、GDF-5は、歯周部付着器官のセメント質の再生および歯槽骨形成をもたらした。さらに、靭帯形成が誘導された。
本発明により、材料の保存期間がさらに改善され、歯周部付着器官の修復などの適応症のための薬学的産物の費用効率が高い製造が可能になる。
本発明のさらなる局面は、
(a)出発化合物を乾燥させる段階、
(b)粒子サイズを減少させるために水結合剤を粉砕するおよび/もしくはふるいにかける段階
(c)ならびに/または、水結合剤、好ましくは結晶水結合剤を取得するための、および薬剤の水結合能力を維持するための条件下で、水結合剤を乾燥させるもしくは燃焼させる段階
を含む、上記の態様の材料を製造するための方法を提供することである。
本発明の方法のいくつかの利点が存在する。出発材料を乾燥させる段階は、材料における自由水の量を既に減少させ、それにより必要な水結合剤の量を減少させる。材料中の残留水に結合するため、水結合剤は好ましくは、乾燥させるまたは燃焼させる段階によって1/2水和および/または無水の化学化合物に移行されると考えられる硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸マグネシウムなどの結晶水結合剤である。一つの局面において、水結合剤および生体材料の他の出発化合物を乾燥させる段階は相乗的に作用する。さらに、水結合剤を粉砕するまたはふるいにかける段階は、成分の比表面積を増加させ、そのため、さらに水結合剤の水結合能力を改善し、かつポリマー分解を阻害または予防する可能性がある。
本発明の別の態様は、少なくとも一つの活性剤を収容するための第一の容器、および本発明の材料を含む第二の容器を含む、上記の材料を用いるキットである。活性剤および生体材料の分離は、驚くべきことにキットおよび/または活性剤の保存期間を増加させた。
好ましくは、活性剤は、トレハロースまたはスクロースのような二糖類などの一つまたは複数の添加物によって、例えば分解に対して安定化される。さらに、キット内の活性剤は活性剤の凍結乾燥物であり、好ましくは活性剤の凍結乾燥物は、強くかつ上質の凍結乾燥物を達成するために増量剤を含む。より好ましくは、増量剤は、二糖類、好ましくはトレハロースと約1:1〜4:1の間の比で好ましくは組み合わせたマンニトールであり、活性剤の付随した安定性を有する機械的に安定な凍結乾燥物をもたらす。
より好ましくは、トレハロースおよびマンニトールなどの添加物および増量剤の固体含量は、凍結乾燥前の活性剤の製剤化されたバルク溶液内で2,5%またはそれより多い量に達し、好ましくは固体含量で2,5重量%〜5重量%の間である。
驚くべきことに、本発明者らは、結果として生じた凍結乾燥が形態安定性(formstable)であり、実施例2の材料において再構築された実施例3の材料のような材料において、活性剤の再構築にとって最も良好な構造的完全性および改善された特性を有することを見出している。
本発明のさらなる態様において、キットの第一の容器が採用されており、このことは、第一の容器が活性剤を含有するより小さな内部容器を含有することを意味するが、内部容器は栓で閉じられる開口部以外には角または切り込み(undercut)を有さず、かつ内部容器は開口部へのより遠い距離内で平均してより小さい。そのような容器の利点は、キットの第一および第二の容器の内容物の容易な混合であり、かつ、動物またはヒト組織への材料の投与のために混合された材料のほぼ完全な取り込みを可能にする。
本発明の別の態様において、本発明の材料は、例えば、軟骨、骨、腱および/または靭帯を含む結合組織、歯周組織、神経組織、皮膚、粘膜、内皮、ならびに上皮の疾患または異常状態の症状または状態を予防、緩和、または処置するために使用され得るが、それらに限定されない。材料は、骨の成長の促進、軟骨の成長、創傷治癒、潰瘍処置、火傷、いぼ処置、腫瘍処置、結合組織の再生および骨修復、頭蓋顔面、骨格、または歯科への適用、再建手術、椎間板再生、骨粗しょう症、変形性関節症、後天性または先天性の頭蓋顔面、骨格、または歯科の異常、虚血性または外傷性損傷、および変性椎間板疾患の処置のために使用され得る。
本発明のさらなる態様において、上記の態様の任意の材料またはキットは、好ましくは強直の形成を予防しながら、軟骨および/または骨欠損、重大なサイズ欠損、全層欠損、癒合不全骨折(non-union fracture)、歯周炎、インプラント周囲炎(periimplantitis)、洞底(sinus-floor)増大、顎顔面骨内欠損、好ましくは歯周炎を処置するための、より好ましくは、歯周炎を外科的、非外科的、または最小侵襲的に処置するための薬学的組成物の調製のために使用され得る。
別の態様において、上記の態様の任意の材料は、受け入れる部位の少なくとも部分的な清掃の後に最小侵襲性技術によって歯周処置部位へ治療用組成物を適用する段階を含む、歯周部および/または誘導組織再生用の薬学的組成物の調製のために使用され得る。
さらに別の態様において、上記の態様の任意の材料は、シリンジによって歯周処置部位の歯周ポケット中へ直接治療用組成物を適用する段階を含む、歯周部および/または誘導組織再生用の薬学的組成物の調製のために使用され得る。
本発明のさらなる態様は以下である。
水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において水により誘導されるポリマー分解を阻害するための水結合剤の使用。
水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において血餅安定化を誘導するための水結合剤の使用。
水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において保存安定性を増加させるための水結合剤の使用。
6R-ガラスにおける保存の4週間後の様々な生体材料の形態を示す。 新しく調製された生体材料と比較した4週間後の、水結合剤の含量に依存したポリ-(乳酸-コ-グリコール酸)組成物の分解を示す。 新しく調製された生体材料と比較した4週間後の、水結合剤の含量に依存してポリ-(乳酸-コ-グリコール酸)組成物の機械的安定性の比較を示す。 生体材料の外層における生体材料の血餅誘導活性を示す。 インサイチュー硬化後の生体材料のスポンジ様の全体の多孔性外見を示す。 PEG 400に溶解されたPLGAの長期にわたる分子量における減少を示す。 PBS中、37℃での4週間にわたるインビトロ分解研究の間の、生体材料の残留PLGA量における標準化された減少およびPLGA分子量における標準化された減少を示す。
発明の詳細な説明
「水結合剤」という用語は、ポリマーの分解を予防または阻害するなどのために、水を物理的に吸着および/もしくは吸収し得、または化学的に吸着し得て、そのため水分子に結合する物質を意味する。
好ましくは、水結合剤は、自由水または非結合水に結合でき、好ましくは結晶水に結合できるか、または、シリカゲルの場合のように物質の構造、内部、もしくは空洞中に物理的に吸収された水に結合できる物質である。水結合剤はまた、それ自体が好ましくは本発明の材料において自由水によってポリマー以上に分解される物質、または水により誘導されるポリマー分解を保護するように水と反応できる物質であり得る。好ましくは、そのような水結合剤の分解産物または反応産物は、ポリマーの分解を誘導する可能性がある攻撃的な反応産物ではない。そのような物質の例は、マグネシウムエタノレートである。
好ましくは、水結合剤またはその水により誘導される分解産物は、強酸性および/または強塩基性化学化合物ではない。好ましくは、水結合剤は、非毒性の薬学的に許容される固体もしくは液体、および/または本発明の材料内のpH中性の内因性乾燥剤である。
好ましくは、水結合剤は、化学化合物の水を含まない結合剤または化学的に結合した水結合剤であり、より好ましくは、水結合剤は、シリカゲル、ゼオライト、脱水された硫酸カルシウム脱水物、硫酸カルシウム1/2水和物、硫酸カルシウム無水物、硫酸ナトリウム無水物、硫酸マグネシウム無水物、炭酸カリウム、酸化マグネシウム無水物、マグネシウムエタノレート、カルシウムエタノレート、アルミニウムエタノレート、およびそれらの混合物である。最も好ましくは、水結合剤は、好ましくは25重量%未満、20重量%未満、4重量%〜20重量%の間、8重量%〜15重量%の間の硫酸カルシウム1/2水和物または無水物である。
「水を含まない」という用語は、材料が、カールフィッシャー(Karl Fischer)法などの方法により測定される、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満、最も好ましくは1重量%未満の水を含有することを意味する。好ましくは、水を含まないという用語は、極微量の自由水(例えば、非結合水)のみが、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0,5重量%未満で材料において検出可能であることを意味する。自由水の量の減少は、例えばPLGAなどのポリマーの分解速度を低下させる可能性があり、したがって材料の保存期間を増加させる可能性がある。
本発明による「無水の」という用語は、なお自由水に結合できるかまたは薬剤の水結合能力を維持する、および、化学的組み合わせによって環境由来の(外部起源の、またはポリマー材料の個々の成分に結合した)水を除去できる、脱水された物質、または、好ましくは、1モルの物質あたり2モル未満の結合した水、0,5モル未満、より好ましくは約0,18〜0,5モルの水を有する、減少した量の結合した結晶水を有する物質を意味する。
好ましくは、水結合剤は、粉砕され、ふるいにかけられ、および/もしくは加熱処理され、またはそれらの任意の組み合わせがなされている。好ましくは、上記の態様の水結合剤は、150μm未満、より好ましくは50μm未満、最も好ましくは20μm未満の粒子サイズを有する。
「ポリマー」という用語は、合成または天然ポリマー、より好ましくは水感受性または水分解性ポリマー、最も好ましくは水に不溶のポリマーを意味し、すなわち、水と混合された際に均質相を形成しない。
好ましくは、ポリマーは、可塑剤または有機溶媒に可溶性または混和性であり、かつ、周囲の組織中への可塑剤の除去時に固体または半固体インプラントを形成するように水性媒質または体液において凝固することができる。より好ましくは、該水に不溶のポリマーは、「生体適合性」、「生分解性」、および/または「生体吸収性(bioresorbable)」ポリマーである。
好ましくは、該ポリマーは、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(アミノ酸)、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)またはポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)ポリエチレングリコール(PLGA-PEG)コポリマー、ポリ(3-ヒドロキシブチル酸)(P(3-HB))、ポリ(3-ヒドロキシ吉草酸)(P(3-HV))、ポリ(p-ジオキサノン)(PDS)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ無水物(PA)、それらのコポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、組み合わせ、混合物からなる群より選択される。
好ましくは、ポリマーは合成ポリマーである。より好ましい態様において、合成ポリマーは、急速吸収性および/または生分解性合成ポリマー、より好ましくは短鎖長を有するポリマー(乳酸またはグリコール酸の20〜40モノマー単位)、最も好ましくは乳酸の20〜40モノマー単位を含むポリマー、好ましくは50:50の乳酸/グリコール酸比および0.16〜0.24 dl/gの間の固有粘度(クロロホルム中、25℃で各々のポリマーの0.1%重量溶液に関して)を有する非末端キャップPLGAである。
本発明の別の態様において、水に不溶のポリマーは、PLGA-PEGコポリマー、好ましくはPLGA-PEGジブロック-またはトリブロック-コポリマーである。
「ポリマーを含む材料」という用語は、少なくとも一つのポリマーから構成され、より好ましくは二つの薬学的に許容される物質から構成され、最も好ましくは多成分システムであり、一つの物質が非経口的または局所的適用のために意図された生分解性および/または生体吸収性ポリマーである、材料、好ましくは生体材料を意味する。好ましくは、材料は半固体または液体材料である。
本発明による材料は、装置、インプラント、組織再生材料、注射可能および/または成形可能な生体材料またはインプラント、リン酸三カルシウムおよびヒドロキシアパタイトなどの骨充填剤および骨置換材料、ねじ、薬物送達システム、ヒドロゲル、インサイチュー硬化インプラント、多孔性インプラントまたは組織再生材料、薬学的組成物または産物、骨誘導材料、歯周再生材料、結合組織再生材料、ならびに歯槽骨、セメント質、および/または歯周靭帯再生材料を含む。本発明による材料は、好ましくは生体材料である。
好ましくは、材料は、例えば、ポリマーがポリエチレングリコールまたはN-メチル-ピロリドンなどの有機溶媒または可塑剤に溶解しているポリマー溶液、懸濁液、または分散液などの、しかしそれらに限定されないポリマー液体である。
より好ましくは、ポリマーを含む材料は、材料のインサイチュー硬化後にマクロ多孔性マトリクスを形成し、ポリマーを含む材料は好ましくは、物質、マトリクス、ポリマー、ならびに/または、血栓形成、血餅誘導、および/もしくは止血活性を有する活性剤を含有する。
本材料は、例えば組織欠損部により接着し、そのために組織再生を改善する利点を有する。
「形状」という用語は、本発明の材料の外部境界が有意に変化されず、インサイチュー硬化前の材料と比較してインサイチュー硬化後に事実上維持される、例えば、シリンジ内の円形製剤の形態をインサイチュー硬化後に扁平なフィルム様外見に変化させないという事実を指す。しかしながら、材料の孔隙率はインサイチュー硬化時に変化し、例えば多孔性足場が形成されるか、または材料が包含された膨張剤のために膨張する可能性がある。
本発明による「可塑剤、第一の可塑剤、または有機溶媒」という用語は、薬学的に許容される水溶性もしくは水混和性有機液体もしくは溶媒、またはそれらの混合物を意味する。可塑剤の機能は、例えば水に不溶の生分解性、生体適合性、および/または生体吸収性ポリマーを溶解することである。
「溶解する」という用語は、液体における物質の溶解または懸濁を意味し、液体内の物質の均質な分布をもたらす。
好ましくは、該可塑剤は生体適合性である。より好ましくは、該可塑剤は、ポリエチレングリコール(PEG)400、PEG 200、PEG 300、PEG 600、ポリプロピレングリコール、1,3ブタンジオール(1,3 butandiole)、ひまし油、C2-C6アルカノール、プロピレングリコール、ソルケタール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、プロピレンカーボネート、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、またはそれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、該可塑剤は、ポリエチレングリコールであり、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)400、PEG 200、PEG 300からなる群より選択される。
「生分解性」という用語は、インビボで分散を伴うマクロ分子分解のために分解するが、体からの排出については証拠が必ずしも存在しない材料、例えばポリマーを明示する。体内での生分解性材料の量の減少は、宿主組織内の物理化学的条件(例えば、湿度、pH値)によって触媒される受動的過程の結果である。
「生体吸収性」という用語は、インビボで長期にわたって分解、およびさらに吸収を受けるポリマー材料などの材料;すなわち、分解副産物の単純濾過のため、またはそれらの代謝後いずれかの天然の経路を通して排出されるポリマーを明示する。したがって、生体吸収とは、最初の外来材料の総排出を反映する概念である。好ましい態様において、該生体吸収性ポリマーは、水性環境においてマクロ分子分解のために鎖切断を受けるポリマーである。「吸収」という用語が常に能動的過程を説明することが言及されなければならない。
「ポリマー分解」という用語は、各々のポリマーの分子量における減少を意味する。本発明の範囲内で好ましくは使用されるポリマーに関して、該分解は自由水によってエステル結合の切断のために誘導される。例えば実施例で説明されるような生体材料において使用されるポリマーの分解は、バルク腐食の原理に従う。それにより、分子量における連続的な減少が高度に明白な質量損失に先立つ。該質量損失は、分解産物の溶解性に起因する。分解産物の滴定、粘度測定法、示差走査熱量測定法(DSC)、および実施例5において説明されるものなどの、水により誘導されるポリマー分解の測定のための方法は、当技術分野において周知である。
さらに、材料は、生体材料の特性(例えば、外見、分解時間、孔隙率、安定性)を調節するために、無機充填剤、有機充填剤、孔形成剤、孔開始充填剤、アルコール、糖、もしくは少なくとも第二のポリマー、または任意のそれらの組み合わせなどの追加的な添加物または賦形剤をさらに含む。好ましくは、生体材料は生分解性および/または生体吸収性生体材料である。好ましくは、ポリマーを含む材料は、組織置換または好ましくは一過的組織置換に適する。
「無機充填剤」という用語は、水に不溶または難溶、すなわち水と混合された際に均質相を形成しない化合物を意味する。該無機充填剤は、ポリマーベース材料内でマトリクスまたは足場を構造化すること、材料の骨伝導特性および/または機械的性能の改善、細胞内殖(ingrowth)のための足場として働くこと、例えば組織再生および新たに形成された組織による材料の置換を誘導するための材料の分解を制御すること、血餅安定化を可能にすること、好ましくは材料の機械的特性の変化なく材料におけるポリマー含量を減少させること、活性剤および/または活性剤の放出の改変のための担体として働くことなどの様々な機能を供し得る。
好ましくは、該無機充填剤は無機化合物である。
好ましくは、無機化合物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、またはカルシウム化合物の群より選択される。より好ましくは、無機化合物は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムもしくは炭酸カルシウム、最も好ましくは、リン酸三カルシウム、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)、α-リン酸三カルシウム(α-TCP)、アパタイト、リン酸カルシウム含有セメントもしくはリン酸四カルシウム、または上記の種々の異なる無機化合物、好ましくはカルシウム含有化合物の混合物である。最も好ましくは、無機充填剤硫酸カルシウムである。
「有機充填剤」という用語は、材料またはインプラント、例えばコラーゲンの生体接着を増加させるために添加され得る物質を含む。そのような成分は、繊維強化などの自然骨内のコラーゲンの機能に匹敵するインプラントの最終的な機械的特性(例えば、引っ張り強さ、ねじれ)にさらに影響を及ぼし得る。好ましくは、有機化合物は、キトサン、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ヒアルロン酸もしくはその誘導体、セルロースもしくはその誘導体、またはデンプンもしくは誘導体、および/またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
「孔形成剤」という用語は、材料に添加された際に、インサイチューで形成されたインプラント内で、エクスビボまたは生物体においてミクロおよびマクロ孔の数およびサイズを増加させる化合物を意味する。水性媒質と接触した際にその容量を増加させて周囲の液体中に溶解し、後に多孔性の好ましくは相互に連結した構造を残す物質が含まれるが、それらに限定されない。他の孔形成剤は、塩化ナトリウムに類似して水性媒質中への溶解によって多孔性を誘導する(塩リーチング(leeching)効果)か、または溶解した際に孔を提供すると考えられる物質である。さらに、これらの化合物はまた、材料の形成多孔性構造を安定化し得る。
本発明の孔形成剤は、インサイチューで形成されたインプラントから消散し、それによりインプラント内の孔形成をもたらす薬学的に許容される化合物を含む。
一つの態様において、孔形成剤は膨張剤である。本発明による他の膨張剤は、錠剤の製造における当業者に公知である爆破剤である。
本発明の孔形成剤はまた、アルギン酸ナトリウム、アミラーゼ、アミロペクチン、デンプン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ゼラチン、コラーゲン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはメチルヒドロキシエチルセルロース、界面活性剤、好ましくはPluronics(登録商標)またはTween(登録商標)80などのエチレンオキシド/ソルビタンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー(例えば、ポリソルベート80;Montanox(登録商標)80;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などの化合物を含む。また、インサイチューでインプラント中に溶解した際に孔を提供すると考えられる結晶サイズの糖または塩などの孔生成性(porogenic)物質、および/または、CO2気泡を形成し、それによりインプラントから移動した際に孔を残す薬剤も含まれる。
「ポリマーで強化されたマトリクスまたは足場」という用語は、ポリマーが、細胞の内殖および/または組織再生のためのマトリクスまたは足場を形成するために、骨もしくは組織置換材料、無機充填剤、リン酸カルシウム、またはヒドロキシアパタイトなどの材料の別の成分のための結合剤または固定剤として機能する材料を意味する。
「空間を提供する」という用語は、血餅安定化および/または組織再生のための空間を提供することができ、好ましくは数週間または数ヶ月以内にほぼ分解し、より好ましくは4週間以内にほぼ分解し、最も好ましくは2週間以内に好ましくは60%、70%、80%、85%、90%より大きい有意なパーセンテージまで既に分解しており、かつ新たに形成された組織を干渉または妨害しない足場を意味する。また、崩壊するのを予防すると考えられるために吸収性膜などの追加的な材料が使用される際でさえも空間維持を意味する。
「強化されたヒドロゲル」という用語は、例えば血餅代替物として機能する、ポリマーマトリクスによって機械的に安定化されたヒドロゲルを意味する。
本発明において使用されるような「インサイチュー硬化インプラント」という用語は、エクスビボ、およびヒトまたは動物の体または組織などの生物体において、周囲への有機溶媒または可塑剤の消散または溶解の後、水などの水性媒質、生理学的溶液、または体液との本発明のポリマーを含む材料の接触後に形成される固体または半固体インプラントを指す。
水性媒質または体液と接触した好ましいインサイチュー硬化の間に、可塑剤は、本発明の実施例において説明されるような液体または成形可能な材料などの材料の外に拡散して、孔を残し、かつ固体もしくは半固体生体材料、複合機器、またはインサイチューインプラントをもたらす。そのため、可塑剤は水溶性もしくは水混和性溶媒であってもよく、または液体、好ましくは水溶性もしくは混和性ポリマーである。好ましくは、可塑剤は、インサイチューで硬化したインプラントにおいて水に不溶のポリマーのガラス転移温度に低い影響を有し、かつ必要な場合は活性剤と適合性である。上記でさらに定義された可塑剤の群より選択される可塑剤は、水に不溶のポリマーに依存して、設定後のポリマーのガラス転移温度に最も低い影響を有して使用されるべきである。マトリクス安定化剤またはミクロ粒子などの他の物質または粒子が、材料の外への可塑剤の拡散時に、細胞の内殖および/もしくは組織再生、または薬物および/もしくは活性剤の周囲の組織中への送達のために多孔性マトリクスまたは足場を形成するポリマーを含む材料中に包埋されることもまた包含される。
「血餅安定化または安定化された血餅」という用語は、血餅および好ましくは血液細胞中に含有されるもののような物質が、血餅が生体材料の外表面上だけでなくマトリクスの内部中にも局在化するように捕捉され、好ましくは形成された生体材料のマトリクス全体にわたって分配されるマトリクスまたはネットワークを形成するように、材料内にインビボまたはインビトロで形成された血餅を固定するための生体材料の特徴を意味する。
「活性剤」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、または低分子薬物、抗生物質、抗感染薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗炎症薬、創傷治癒、細胞増殖阻害剤、細胞障害、麻酔薬、増殖因子、形態形成タンパク質、BMPおよびGDF(例えば、BMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14、BMP-15、およびBMP-16、GDF-1、GDF-2、GDF-3、GDF-4、GDF-5、GDF-6、GDF-7、GDF-8、GDF-9、GDF-10、およびGDF-11)を含むTGF-βスーパーファミリーのタンパク質などの骨形成タンパク質、繊維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、ケラチノサイト増殖因子、神経成長因子、または、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンなどの選択された細胞外マトリクスのタンパク質、または凝固カスケードに関与するタンパク質、歯周靭帯、セメント質、および/もしくは歯槽骨誘導剤、またはそれらの生物学的活性断片もしくは変異体を含む。好ましくは、活性剤は、歯周靭帯、セメント質、および/または歯槽骨誘導剤である。より好ましくは、活性剤は、GDF-5、BMP-2、およびBMP-7の群より選択される。
「歯周再生」という用語は、歯周炎のために失われた歯支持器官の一部を復元するように具体的に設計された手順を含む(Lindhe, J., Lang, N.P.およびKarring, K. (2003) Periodontology and Implant Dentistry. 4th edition, Oxford. Blackwell Munksgaard, Chapter 28 page 651)。再生とは、失われたかまたは傷ついた組織の構造および機能が完全に復元されるような方法における、失われたかまたは傷ついた部分の再生成または再構築として定義される。歯周炎を処置するためのいくつかの方法が当業者に公知である。中程度の歯周炎の処置は、非外科的治療によって達成され得るが、より進行した場合(例えば、骨内欠損または分岐の存在下)は、処置手順は歯周部の手術で補充されるであろう。Lindhe, J., Lang, N.P.およびKarring, K. (2003) Periodontology and Implant Dentistry. 4th edition, Oxford. Blackwell Munksgaard, Chapter 25, page 522-534に記載されているいくつかの技術(例えば、フラップ手順)が、歯周ポケット手術において公知である。
「誘導組織再生」という用語は、歯周炎の影響を受けた歯根表面に歯周靭帯由来の細胞が再配置されるようになることを確実にするための物理的障壁(例えば、e-PTFEまたはコラーゲン膜)の配置を含む。再生手術のための障壁材料の例は、例えば、Lindhe, J., Lang, N.P.およびKarring, K. (2003) Periodontology and Implant Dentistry. 4th edition, Oxford. Blackwell Munksgaard, Chapter 28に記載されている。
歯周再生を改善するために、本発明の材料を受け入れる部位の少なくとも部分的な清掃が行われると考えられる。
「清掃」という用語は、掻爬器、ドリル、または骨鉗子などの器具を用いることによる、受け入れる部位、例えば、歯周炎の処置のために例えば使用されるような肉芽組織などの汚染された材料の組織部位の清掃または汚染除去を意味する。受け入れる部位を清掃するための方法および器具類は、より詳細に例えばLindhe, J., Lang, N.P.およびKarring, K. (2003) Periodontology and Implant Dentistry. 4th edition, Oxford. Blackwell Munksgaard, Chapter 20, page 432-441, Chapter 25, page 540-549に記載されている。
「受け入れる部位」という用語は、歯周部欠損、例えば歯周炎の処置のために材料が配置されると考えられる領域を意味する。
歯周部および/または誘導組織再生用の薬学的組成物の調製物についての本発明の材料の好ましい使用のためには、治療用組成物はシリンジによって歯周処置部位の歯周ポケット中に直接適用される。これは、患者にとって痛い手術を回避する。
図の説明
本発明の詳細な局面は、図1〜6を参照することにより以下に説明される。図1〜3は実施例1により調製された製剤に基づき、図4および5は実施例2により調製された製剤に基づき、図6は実施例12の製剤に基づく。
図1は、6R-ガラスバイアルにおける37℃での保存の4週間後の生体材料の調製物を示す。図1が示すように、製剤AおよびBは、これらの試料において使用された無機充填剤の沈降のために、ポリマー分解に起因する高度に明白な相分離を示した。式中、Fは摩擦力、rは粒子の半径、ηは液体の動的粘度、およびνは沈降速度である、以下の方程式:
Figure 2009540982
により球状粒子の沈降速度を説明するストークスの法則によると、液体の粘度における減少は増加した沈降速度をもたらす。無機充填剤の粒子サイズは保存の間一定のままであるため、該成分の観察される沈降はポリマー溶液の減少した粘度に起因し得る。ポリマー溶液の粘度における該減少は、水の存在下でのポリ(乳酸-コ-グリコール酸)分子内のエステル結合の切断によるはずである。製剤CおよびDは、内部乾燥剤として作用する硫酸カルシウム無水物のより多い量を含有するため、これらの製剤は目に見える相分離を示さない。
図2は、実施例5により測定された、単離されたポリ-(乳酸-コ-グリコール酸)の保存の4週間後の材料の分子量(黒いカラム)の、保存していない最初の分子量(白いカラム)との比較を示す。これらのデータは、増加した量の硫酸カルシウム無水物がポリマーの加水分解を抑制することができ、それは水結合能力により製剤内の自由水を非反応性結晶水に移行させることによることを示す。それにより、約4重量%の含量(製剤B)の硫酸カルシウム無水物は、保存の間のポリマーの分子量における減少を実質的に弱めることができた。約8〜12重量%(製剤CおよびD)の硫酸カルシウム無水物は、ほぼ完全にポリマー分解を阻害した。
図3は、製造直後(白いカラム)および保存の4週間後(黒いカラム)の生体材料の実施例6により測定された機械的安定性の比較を示す。生体材料の機械的安定性は主に使用されたポリマーの分子量に依存するため、本パラメータはポリマー分解を検出するために適する。図3は、硫酸カルシウム無水物の増加した量についてあまり明白ではない、製剤AおよびBの機械的安定性における明らかな減少を示した。これは、各々の製剤内の自由水の減少をもたらす水結合能力に起因するはずである。そのため、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)内のエステル結合の切断が驚くべきことに最小化され得た。
図4は、実施例10によるヒト全血における37℃、12時間の本発明の生体材料のインサイチュー硬化後の、周囲の血餅と生体材料との間の境界面での組織構造(LM-顕微鏡写真、エタノール固定後の凍結切片のヘマトキシリン染色、倍率200×)を示す。
本発明の一つの利点は、生体材料が、例えば歯周欠損部位に限定されない出血する組織部位内などの天然に発生する血餅と相互作用でき、天然の組織と合成生体材料との間の密接な結合をもたらし、したがって患者の欠損部位内に足場を提供する多孔性空間の加速された現場での安定性をもたらすことである。
図5は、水性媒質における37℃でのインサイチュー硬化後および乾燥時の、実施例4の下で説明されるような実施例3の薬物凍結乾燥物と混合された実施例10による生体材料の外部および内部孔隙率を示す。画像Aは、スポンジ様外表面上に分配された孔を示す生体材料のインサイチューで硬化されたスポンジ様外表面を示す。
画像Bは、周囲の組織内のインプラント材料の統合および周囲の組織から空間を提供するマトリクス中への細胞浸潤のための基本的な必要条件である、約500μmの平均直径を有する孔を示す生体材料の内部部分の拡大図を示す。
図6は、6R-ガラスバイアルにおける4℃および50%の相対湿度での保存の間の、実施例12により製造された製剤内のポリマー成分の分子量における減少を示す。本図は、実施例5により測定されるような使用されたポリマーの分子量が、製造後のポリマーの分子量と比較して保存の4週間後に約50%減少し、本発明による水結合剤の添加によって克服され得ることを示す。
図7は、PBS中、37℃での4週間にわたるインビトロ分解研究の間の、実施例2により製造された製剤内のポリマー成分としての、残留PLGA量における標準化された減少(四角の記号;重量バランスにより解析された)およびPLGA分子量における標準化された減少(三角の記号、GPC-MALLSにより解析された)を示す。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は以下の態様を提供する。
1.水結合剤を含む、ポリマーを含む材料であって、水結合剤がポリマーの分解を予防するために物理的または化学的に水を吸収するのに十分な量存在する、材料。
水結合剤は、水(すなわち、外部水またはポリマーを含む材料の個々の成分により導入される水)が材料中へ拡散すること、および/または加水分解によりポリマー材料を分解することを予防する。
好ましい水結合剤は、硫酸カルシウム無水物、硫酸ナトリウム無水物、マグネシウムエタノレート、またはゼオライトである。
水結合剤の存在により、「水を含まない」材料が取得される。
したがって、取得されたポリマー材料は、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または12ヶ月より長い保存安定性を示す。
2.ポリマーが生分解性および/または生体吸収性ポリマーであり、より好ましくは生体材料がポリマー液体またはポリマー溶液である、態様1記載のポリマーを含む材料。
ポリマー液体または溶液は、好ましくは注射可能であり、より好ましくは針を通して注射可能である。
3.材料が生体材料、好ましくは薬学的製剤である、態様1または2記載のポリマーを含む材料。
4.材料が、可塑剤、薬学的に許容される可塑剤、または有機溶媒を含む、態様1〜3のいずれか一つ記載のポリマーを含む材料。
水性液体または体液中への適用の後、生体材料は好ましくはインサイチュー硬化インプラントを形成する。
5.可塑剤が、好ましくは有機溶液の55%未満、より好ましくは50重量%未満の量のポリエチレングリコールまたはNMPである、態様4記載のポリマーを含む材料。
6.無機充填剤、孔形成剤、孔開始充填剤、もしくは少なくとも第二のポリマー、または任意のそれらの組み合わせを含む、態様1〜5のいずれか一つ記載のポリマーを含む材料。
態様6のような多成分システムの好ましい生体材料は、該水結合剤または孔開始充填剤が添加されることを除いては、WO 05/120595に記載されている。
水性液体または体液中への適用の後、好ましい生体材料は、ポリマーで強化されたマトリクスまたは足場、好ましくは強化されたヒドロゲルおよび/または安定化された血餅を形成する。好ましくは、本態様における水結合剤は、Ca2+を含む水結合剤である。
そのような多成分システムの好ましい生体材料は、インビトロまたはインビボで好ましくは空間を提供する特性を有するスポンジ様材料を形成する。好ましくは、孔開始充填剤は有機水溶性物質、より好ましくはアルコール、最も好ましくはマンニトールである。
好ましくは、スポンジ様材料は、インサイチュー硬化後に、40体積%またはそれより多い、30〜40体積%、60〜80体積%の孔隙率、より好ましくは50体積%またはそれより多い孔隙率を有する。
7.a)少なくとも一つの生分解性および/または生体吸収性の水に不溶のポリマー、好ましくは急速吸収性および/または生分解性ポリマー、より好ましくは短鎖長を有する、さらにより好ましくは20〜40モノマー単位のポリマー、さらにより好ましくは乳酸またはグリコール酸の20〜40モノマー単位を含むポリマー、最も好ましくは、好ましくは天然のポリマーではない第二のポリマーを含むポリマー、
b)好ましくは5重量%未満の、任意の孔形成剤、
c)より好ましくは有機溶液の55%未満、より好ましくは50%未満の量の、薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはポリエチレングリコール
を含む、合成の生分解性および/または生体吸収性組織再生生体材料である、態様1〜6のいずれか一つ記載のポリマーを含む材料。
8.a)少なくとも一つの生分解性および/または生体吸収性の水に不溶のポリマー、好ましくは急速吸収性および/または生分解性ポリマー、より好ましくは短鎖長を有する、さらにより好ましくは20〜40モノマー単位のポリマー、さらにより好ましくは乳酸またはグリコール酸の20〜40モノマー単位を含むポリマー、最も好ましくは、好ましくは天然のポリマーではない第二のポリマーを含むポリマー、
b)好ましくは5重量%未満の、孔形成剤、
c)無機充填剤、好ましくは無機の水に不溶の充填剤、より好ましくはリン酸カルシウムではない無機の水に不溶の充填剤、最も好ましくは硫酸カルシウムである無機の水に不溶の充填剤、
d)任意の孔開始充填剤、好ましくは有機水溶性物質、好ましくはマンニトールなどのアルコール、
e)より好ましくは有機溶液の55%未満、より好ましくは50重量%未満の量の、薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはポリエチレングリコール
を含む、合成の生分解性および/または生体吸収性組織再生生体材料である、態様1〜6のいずれか一つ記載のポリマーを含む材料。
9.35重量%未満の成分c)および/または20重量%未満の成分d)、より好ましくは20重量%未満の成分c)および/または20重量%未満の成分d)、最も好ましくは17重量%未満のc)および/またはd)、より好ましくは約8〜17重量%のc)および/またはd)を含む、態様8に記載のポリマーを含む材料。
好ましくは、そのような生体材料は、約同等量の成分c)およびd)を含有し、好ましくは成分c)およびd)は共に40重量%を超えない。
さらに、そのような生体材料は、好ましくは40重量%未満のポリマー、より好ましくは30重量%未満、さらにより好ましくは25重量%未満、最も好ましくは20〜25重量%の間を含有する。
より好ましくは、上記の態様の合成生体材料は、固体ポリマーである第二のポリマーを含む。
10.第二ポリマーが水溶性固体ポリマー、好ましくはポリエチレングリコール、より好ましくはPEG 1500である、態様8または9のいずれか一つ記載のポリマーを含む材料。
好ましくは、固体ポリマーの量は、8重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは3重量%未満、最も好ましくは1〜2,5重量%の間である。
11.好ましくはタンパク質またはペプチド、好ましくは増殖因子、好ましくは骨形成タンパク質、より好ましくは歯周靭帯、セメント質、および/または歯槽骨誘導剤、最も好ましくはGDF-5である活性剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項記載のポリマーを含む材料。
12.(a)粒子サイズを減少させるために水結合剤を粉砕するおよび/またはふるいにかける、好ましくは水結合剤を湿式粉砕する段階、
(b)結晶水結合剤を取得するための、および薬剤の水結合能力を維持するための条件下で、好ましくは180℃〜500℃の間、好ましくは180℃〜200℃の間で、水結合剤を乾燥させるまたは燃焼させる段階
を含む、水結合剤を処理するための方法。
そのような方法は、上記で列挙されたような本発明の任意の水結合剤と共に使用され得、本様式で処理された水結合剤は本発明において好ましい。
13.(a)出発化合物を乾燥させる段階;
(b)好ましくは湿式粉砕することにより、粒子サイズを減少させるために水結合剤を粉砕するおよび/もしくはふるいにかける段階;ならびに/または
(c)結晶水結合剤を取得するための、および薬剤の水結合能力を維持するための条件下で、好ましくは180℃〜500℃の間、好ましくは180℃〜200℃の間で、水結合剤を乾燥させるもしくは燃焼させる段階;ならびに
(d)任意で、減圧下、環境温度で生体材料を乾燥させ、その後、パッケージングより前に好ましくは凍結乾燥機において乾燥窒素を用いて放出する段階
を含む、請求項2〜11のいずれか一項記載の材料を製造するための方法。
14.(a)好ましくは少なくとも一つの活性剤を収容するように採用された第一の容器
(b)請求項2〜11のいずれか一項記載の生体材料を含む第二の容器
を含む、請求項2〜11のいずれか一項記載の材料を用いるキット。
15.好ましくは強直の形成を予防しながら、軟骨および/または骨欠損、重大なサイズ欠損、全層欠損、癒合不全骨折、歯周炎、インプラント周囲炎、洞底増大、顎顔面骨内欠損、好ましくは歯周炎を処置するための薬学的組成物の調製のための、請求項2〜11のいずれか一項記載の材料の使用。
16.水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において水により誘導されるポリマー分解を阻害するための水結合剤の使用。
17.水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において血餅形成または血餅安定化を誘導するための水結合剤の使用。
好ましくは、血餅形成または血餅安定化は、出血する組織におけるインサイチュー硬化時にポリマーを含む材料において誘導される。
18.水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において保存安定性を増加させるための水結合剤の使用。
19.1ヶ月より長く、3ヶ月より長く、6ヶ月より長く、または1年より長く安定であり、請求項1記載のポリマーを含む材料およびパッケージを含む、安定なパッケージングシステム。
実施例
実施例1:図1〜3の製剤A〜Dの製造
4種類の異なる製剤(材料)を製造した。製剤Aは本発明による水結合剤を含まず、製剤B〜Dにおいては無機充填剤(本実施例ではβ-リン酸三カルシウム(β-TCP))の一部を異なる量の硫酸カルシウム無水物と交換した。使用した製剤は以下のように構成された。
・製剤A
β-リン酸三カルシウム粉末(33.3重量%)、50:50の乳酸/グリコール酸比および25000 gモル-1の分子量を有するポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(22.2重量%)、ポリエチレングリコール400(44.5重量%)
・製剤B
β-リン酸三カルシウム粉末(29.2重量%)、50:50の乳酸/グリコール酸比および25000 gモル-1の分子量を有するポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(22.2重量%)、ポリエチレングリコール400(44.5重量%)、ならびに硫酸カルシウム無水物(4.2重量%)
・製剤C
β-リン酸三カルシウム粉末(25.0重量%)、50:50の乳酸/グリコール酸比および25000 gモル-1の分子量を有するポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(22.2重量%)、ポリエチレングリコール400(44.5重量%)、ならびに硫酸カルシウム無水物(8.3重量%)
・製剤D
β-リン酸三カルシウム粉末(20.8重量%)、50:50の乳酸/グリコール酸比および25000 gモル-1の分子量を有するポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(22.2重量%)、ポリエチレングリコール400(44.5重量%)、ならびに硫酸カルシウム無水物(12.5重量%)
最初に、25〜150μmの間の範囲の粒子サイズを取得するために、b-TCP-粉末(製剤A)またはb-TCP-粉末および硫酸カルシウム二水和物(CaSO4 *2H2O)(製剤B〜D)のいずれかを微粒子状にしてふるいにかけた。続いて、水分含量を減少させるためにこれらの二つの成分を300℃で2時間加熱した。同時に、分子ふるいを適用して、ポリエチレングリコール400(PEG 400)を24時間予め乾燥させた。生体材料を調製するために、ポリ(-乳酸-コ-グリコール酸)ポリマー(Boehringer Ingelheimより購入したResomer(登録商標)RG503H)を磁器のるつぼにおいて必須の量の有機溶媒(PEG 400)に添加した。これらの二つの成分を均質化し、ポリマーが完全に有機溶媒に溶解するまで約80℃の温度で加熱した。続いて、無機充填剤(β-リン酸三カルシウムおよび任意で硫酸カルシウム二水和物)をポリマー溶液中に分散させた。該ポリマー溶液をゴム栓でロックされる6R-ガラスバイアル中に満たした。最後に、製剤を等温乾燥段階(0.2 mbar、35℃、3時間)に供した。その後、乾燥された調製物を含有するバイアルを窒素大気下でロックした。最初のパッキング材料における拡散由来の外部水を予防するために、調製された製剤を37℃、真空乾燥器内で保存した。
本実施例においては、硫酸カルシウム無水物を水結合剤として使用した。または、硫酸カルシウム無水物の代わりに、硫酸ナトリウム無水物、マグネシウムエタノレート、またはゼオライトなどの本発明による他の水結合剤が使用され得る。
実施例2:製剤Eの製造
生体材料を以下のように製造した(E1)。最初に、硫酸カルシウム無水物15.0重量%(実施例1の下で説明したように調製した)および有機溶媒ポリエチレングリコール300 47.0重量%をメノウの乳鉢を用いて乳棒で均質化した。本懸濁液を磁器のるつぼにおいて、ポリマー(RG502H;PLGA;ポリマー組成:48〜52モル%のD,L-ラクチドおよび48〜52モル%のグリコリド;固有粘度:0,16〜0,24 dl/g、25℃、CHCl3中0,1%;(RESOMER(登録商標) Boehringer Ingelheim))20.0重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩3.0重量%、D(-)-マンニトール13.0重量%、およびポリエチレングリコール1500 2.0重量%に添加した。無機充填剤および有機溶媒、および賦形剤を含む懸濁液を均質化して、ポリマーが完全に有機溶媒に溶解し、一方非溶解性の賦形剤がポリマー溶液中に分散するまで、約80℃の温度で加熱した。ポリマーペーストを適切なパッケージング材料(例えば、PPまたはガラスシリンジ)中に移した。
E2は、マンニトールを含まず、RG502H 20.0重量%、ポリエチレングリコール300 51.0重量%、硫酸カルシウム無水物18.0重量%(実施例1の下で説明したように調製した)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩3.0重量%、およびポリエチレングリコール1500 5.0重量%を含むように調製した。
E3は、マンニトールおよびPEG 1500を含まず、RG502H 24.0重量%、ポリエチレングリコール300 52.0重量%、硫酸カルシウム無水物18.0重量%(実施例1の下で説明したように調製した)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩3.0重量%、およびα-トコフェロール3.0重量%を含むように調製した。
実施例3:活性剤凍結乾燥物の製造
活性剤凍結乾燥物(0.6重量%)を以下のように製造した。最初に、必須の量の酢酸をrhGDF-5のストック溶液(10mM HCl中2.8 mg/ml)にピペットで移し、50mMの最終濃度および3.0±0.2のpHにした。第二段階において、1M NaOHを用いてタンパク質溶媒を等モル中和した。必要量のD(+)-トレハロース(16.6重量%)、D(-)-マンニトール(66.2重量%)を、少容量のインレーを有する特別に設計されたガラスバイアル(MGlas AG)内でH2Oに溶解し、手頃な量の酢酸(9.9重量%)をピペットで移して50mMの最終濃度にした。最終的な製剤を調製するために、活性剤溶液を50mM酢酸で0.7 mg/mlに希釈し、溶解された増量材料に添加した。ガラスバイアルをゴム栓で閉めた後、溶液を凍結乾燥した。代替物は同様に調製され得る。
実施例4:製剤Fの製造
実施例2の生体材料および実施例3の薬物凍結乾燥物を含有する生体材料を以下のように調製した。少容量のインレーを有する特別に設計されたガラスバイアルからゴム栓を除去した後、PPまたはガラスシリンジ内のポリマーペーストの全容量(実施例1)を薬物凍結乾燥物を含有するガラス(実施例3)中に注入した。均質な実体を取得し、かつ材料の損失を最小化するために、スパチュラを用いて99,4重量%の実施例2および0,6重量%の実施例3を混合し、最終的な生体材料を同じシリンジに最充填した。
実施例5:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)および多角レーザー光散乱(MALLS)の組み合わせによるポリマーの分子量の調査
方法A(図6のために使用した):
最初に、100〜150mgの実施例1の生体材料を1mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。不溶性の無機材料を遠心分離(13000 min-1、5分)によって除去した。ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびPEG 400を含有する上清を蒸発させて、PEG 400に溶解されたポリ(乳酸-コ-グリコール酸)から構成される残留物を生じさせた。PEG 400を除去するために、残留物を1mlの2回蒸留水(aqua bidest)と混合し、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)の沈殿物を導いた。続いて、上清を廃棄して純粋なPLGA-コポリマーからなる固体残留物を真空乾燥した。
GPC-MALLSによってポリマーを解析するために、単離したポリマーをTHFに溶解して約10mg/mlの濃度に調整する必要があった。分子量測定のために、以下の条件を採用した。THFは1ml/minの流速および環境温度で移動相であった。試料のクロマトグラフィー分離のために、Phenogel 5u MXL GPCカラム(サイズ300 * 7.80 mm、Phenomenex(登録商標))を使用した。検出は連続的に結合されたUV検出器、MALLS検出器、およびRI検出器によって実施した。Resomer(登録商標)RG 503Hの屈折率増加(dn/dc)を、ポリスチレン標準(Mw 34kDa)を較正に適用することによって0.045であると測定した。注入容量は25μlまで添加した。
方法B(図7のために実施例1と共に使用した):
注射可能な複合物の生分解研究は、リン酸緩衝生理食塩水中、4週間、37℃での複合物のインビトロインキュベーションによって行った。各解析時点で、質量バランスのために試料を乾燥させ、その後、PLGAの重量平均ポリマー分子量を測定するためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のためにテトラヒドロフラン無水物(Merck, Darmstadt, Germany)に可溶化させた。5.6〜34.0 kDaの範囲の限られた分子量のポリスチレン(PSS, Mainz, Germany)を標準として使用した。GPC条件は以下であった:40℃で維持されたTosoh TSKgel G3000HHR(5μm、7.8 mm×30 cm)カラム(Tosoh Biosciences, Stuttgart, Germany)、Dionex P580シリーズ均一濃度ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(Dionex Corp., Sunnyvale, CA, USA)、miniDAWN(商標)多角レーザー光散乱検出器(Wyatt Technology Corp., Santa Barbara, CA, USA)、RI 2000-F屈折率検出器(Schambeck SFD, Bad Honnef, Germany)、および80μl注入容量。1 ml/minの流速のテトラヒドロフランを移動相として使用した。平均分子量(Mw)をAstra(登録商標)GPCソフトウェア(Wyatt Technology Corp., Santa Barbara, CA, USA)によって計算した。相対分子量は、注射可能な複合物内のPLGAの最初のMwに対する試料のMwのパーセンテージとして表わした。
実施例6:機械的試験
実施例1において説明したように調製した生体材料を96ウェルプレートのウェル中に移した(1ウェルあたり150〜200 mg、時点および試料あたり3ウェル)。続いて、試料を含有するウェルプレートを、生理学的条件を模擬するために常に37℃のままであり、PBS緩衝液がインキュベーション媒質として働くインキュベーションバス中に移した。24時間のインキュベーションの後、機械的試験を実施するために96ウェルプレートをインキュベーションバスから除去した。
試料の硬度は、TH 2730(Fa Thuemler)を使用することによって試験した。実質的に、本機械は、試料上に圧縮力を印加することができる金属性打ち抜き道具(punching tool)、ならびに、印加された力を制御および測定し、かつ測定の間に踏破される距離を測定するために働くLVDT-変換器からなる。様々な試料を試験するのに先立って、いずれの試料も含有しないウェルの高さ(h1)を規定する必要がある。そのため、その後の測定のために打ち抜き道具の開始点を固定した。試料の硬度の実際の測定は2段階を包含する。第一の測定においては、特定の試料の高さ(h2)を確かめる必要があり、打ち抜き道具のクロスヘッド速度は1分あたり40 mmであり、印加力は0.2Nに限定した。第二の測定は、30秒の間に試料内を打ち抜き道具が踏破する距離(d)を測定するために実施し、印加力は20Nで一定に保った。試料の硬度は以下の様式において計算した。
Figure 2009540982
説明した方法は、ショア(Shore)(DIN 53505)による硬度の測定に基づいた。
実施例7:カールフィッシャー滴定による全体の水分含量の測定(方法1)
約50 mgの実施例1および2の生体材料をそれぞれ6R-ガラスバイアルにおいて正確に計量し、滴定容器と付随したオーブンに移した。オーブンの温度は140℃に調整した。試験試料中に含有される水を一定の窒素の流れによって追い出し、滴定容器に移した。
水分含量は以下の方程式を用いて計算した。
Figure 2009540982
式中、Ws全体は試料における水の質量であり、M0は生分解性ペーストの最初の重量である。
実施例8:カールフィッシャー滴定による自由水の含量の測定(方法2)
約50 mgの実施例1および2の生体材料をそれぞれ6R-ガラスバイアルにおいて正確に計量した。続いて、1.0 mlの無水メタノールを添加した。その後、試料を1時間インキュベーションした。その後、シリンジを用いて100μlの試料をバイアルから抜き取り、滴定容器中に注入した。水分含量は以下の方程式を用いて計算した。
Figure 2009540982
式中、Wsは試料における水の質量であり、Wbはメタノールにおける水の質量であり、およびM0は生分解性ペースト材料の最初の重量である[Journal of Controlled Release 108, 2005, 1-9による]。
実施例9:SEM-解析のための調製
適用後の注射可能な複合物の孔隙率を、リン酸緩衝液中、37℃でのインビトロインキュベーションによって評価し、24時間、4℃での乾燥時に走査型電子顕微鏡によって解析した。SEM調査のために、Edwards S150Bスパッターコーター(Edwards, Crawley, West Sussex, England)を使用することによって試料を金でスパッターした。ガス圧力は6 mbar、電流は10 mA、電圧は1.5 kV、およびコーティング時間は90秒であった。試料のSEM解析は、LEO 1455(Carl Zeiss Inc., Thornwood, NJ, USA)によって10 kVで行った。
実施例10:組織学およびLM-解析のための凍結切片の調製
ヒト全血における37℃、12時間の実施例2の生体材料のインキュベーションの後、形成された血餅に包埋された硬化した試料を準備して、ドライアイス上でTissue Freezing Mediumを用いてPEEL-A-WAY Tissue Embedding Molds中に移した。12μmの凍結切片を調製し、その後、血餅生体材料境界面の光学顕微鏡解析に先立って標準的なヘマトキシリン核染色、エタノール固定、およびImmumountマウンティングを行った。
実施例11:ビーグル犬における前臨床1壁性骨内歯周部欠損モデル
歯周骨欠損の処置のために、1μg、20μg、および100μgのrhGDF-5(実施例2および4)を有するおよび有さない生体材料の生体適合性および有効性を、ビーグル犬における前臨床1壁性骨内歯周部欠損モデルにおいて解析した。本目的のために、ビーグル犬において外科的に作製された両側性、重大なサイズ、1壁性、骨内歯周部欠損中に生体材料を移植した(Kim, C-S., Choi, S-H., Chai, J-K., Cho, K-S., Moon, I-S., Wikesjo, U.M.E., Kim, C-K. (2004) J Periodontol 75:229-235)。生体材料を「箱型」欠損中に移植し、一次癒合治癒が可能なように欠損部位を粘膜骨膜弁で閉じて縫合した。欠損部を8週間治癒させ、その後組織学的および組織計量的解析を行った。組織計量的パラメータは以下であった:欠損の高さ(DH)、付着上皮(JE)、結合組織接着(CT)、セメント質再生(NC)、および骨再生(NB)。
実施例12:生分解性ポリマーおよび有機溶媒を含む製剤Gの製造
最初に、必須の量(66.6重量%)の予め乾燥させたポリエチレングリコール400(本成分の乾燥手順は実施例1により行った)を磁器のるつぼにおいて計量した。続いて、スパチュラによって二つの成分を均質化することにより、対応する量のResomer(登録商標)RG 503Hを添加した。それにより、ポリマーが完全に有機溶媒に溶解するまで二つの成分を約80℃の温度で加熱した。
実施例13:示差走査熱量測定解析(DSC)
DSC 204セル、TASC 414/3A加熱制御器、およびCC 220L冷却制御器を装備したPhoenix 示差走査熱量測定(DSC)システム(Netzsch)を使用することによって、試料の熱解析を行った。冷却は液体窒素によって実施した。10〜20 mgの重量の試料をアルミニウムパンにおいて打ち抜かれたキャップで密封した。空の密封されたアルミニウムパンを対照として使用した。対照パンおよび試料パンの両方を等温に平衡化させた。加熱および冷却速度は10〜30 K/minの間の範囲であった。2回の加熱スキャンを行い、1回目は任意の試料履歴を除去するために使用し、2回目は解析に供した。試料のガラス転移温度(Tg)は、Proteus-Thermal Analysisソフトウェア(Netzsch)によって解析した。

Claims (12)

  1. 水結合剤を含む、ポリマーを含む材料であって、
    水結合剤がポリマーの分解を予防するために水を物理的に吸収および/もしくは吸着する、または化学的に吸着するのに十分な量存在する、材料。
  2. 可塑剤を含む、請求項2記載のポリマーを含む材料。
  3. 無機充填剤、孔形成剤、孔開始充填剤、もしくは少なくとも第二のポリマー、または任意のそれらの組み合わせを含む、請求項2記載のポリマーを含む材料。
  4. 第二のポリマーが水溶性固体ポリマーである、請求項1〜3のいずれか一項記載のポリマーを含む材料。
  5. 活性剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載のポリマーを含む材料。
  6. (a)出発化合物を乾燥させる段階、
    (b)粒子サイズを減少させるために水結合剤を粉砕するおよび/もしくはふるいにかける段階
    (c)ならびに/または、水結合剤、好ましくは結晶水結合剤を取得するための、および薬剤の水結合能力を維持するための条件下で、水結合剤を乾燥させるもしくは燃焼させる段階
    を含む、請求項2〜6のいずれか一項記載の材料を製造するための方法。
  7. (a)少なくとも一つの活性剤を収容するための第一の容器
    (b)請求項2〜4のいずれか一項記載の材料を含む第二の容器
    を含む、請求項2〜5のいずれか一項記載の材料を用いるキット。
  8. 好ましくは強直の形成を予防しながら、軟骨および/または骨欠損、重大なサイズ欠損、全層欠損、癒合不全骨折(non-union fracture)、歯周炎、インプラント周囲炎(periimplantitis)、洞底(sinus-floor)増大、顎顔面骨内欠損、好ましくは歯周炎を処置するための薬学的組成物の調製のための、請求項2〜6のいずれか一項記載の材料の使用または請求項7記載のキットの使用。
  9. 水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において水により誘導されるポリマー分解を阻害するための水結合剤の使用。
  10. 水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において血餅安定化を誘導するための水結合剤の使用。
  11. 水結合剤が材料の適用より前に除去されない、ポリマーを含む材料において保存安定性を増加させるための水結合剤の使用。
  12. 1ヶ月より長い間安定であり、
    請求項1記載のポリマーを含む材料およびパッケージを含む、
    安定なパッケージングシステム。
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