JP2009540867A - 逆転写酵素を用いて切断構造を形成することによる標的核酸の検出のための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、サンプル中の標的核酸の存在の指標となるシグナルを発生させるための方法に関する。この組成物および方法は、逆転写酵素と、ヌクレアーゼと、上流プライマーと、下流プローブとを含む。
Description
関連の出願
本出願は、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれる、1999年10月29日出願の米国特許出願第09/430,692号(現在、米国特許第6,528,254号)の一部継続である、2000年8月30日出願の米国特許出願第09/650,888号(現在、米国特許第6,548,250号)の一部継続である、2000年11月30日出願の米国特許出願第09/728,574号に対して米国特許法第120条の下で優先権を主張する一部継続である。
本出願は、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれる、1999年10月29日出願の米国特許出願第09/430,692号(現在、米国特許第6,528,254号)の一部継続である、2000年8月30日出願の米国特許出願第09/650,888号(現在、米国特許第6,548,250号)の一部継続である、2000年11月30日出願の米国特許出願第09/728,574号に対して米国特許法第120条の下で優先権を主張する一部継続である。
DNA複製、組換えおよび修復の忠実度は、ゲノム安定性を維持するには必須であり、これらのプロセスは、全ての生物体に存在する5’→3’エキソヌクレアーゼ酵素に依存する。DNA修復については、これらの酵素は、損傷されたフラグメント切除および組換えミスマッチの補正に必要である。複製のために、これらのヌクレアーゼは、ラギング(lagging)鎖DNA合成の間の岡崎(Okazaki)フラグメントの十分なプロセシングに重要である。Escherichia coliでは、この後者の活性は、DNAポリメラーゼI(PolI)によって提供され、ポリIの5’3’エキソヌクレアーゼドメインにおける不活性化変異を有するE.coli株は、岡崎フラグメントをプロセシングできないために生存できない。しかし真核生物のDNAポリメラーゼは、内因性の5’→3’エキソヌクレアーゼドメインを欠き、この重要な活性は、5’DNAフラップのエンドヌクレアーゼとしても作用する、多機能性の構造的に特異的なメタロヌクレアーゼFEN−1(5’エキソヌクレアーゼ−1またはフラップエンドヌクレアーゼ−1)によって提供される(Hosfield et al.,1998a,Cell,95:135において概説される)。
酵素が標識核酸フラグメントを生成することによる、核酸を検出および/または測定する方法は当分野で公知である。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号は、5’標識された標的DNAと、Thermus aquaticusから単離したDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)および所望の切断点で配列にハイブリダイズ可能な部分的相補オリゴヌクレオチドとを共にインキュベートすることによって標的DNA分子を切断する方法を開示している。部分的相補オリゴヌクレオチドにより、所望の切断部位と対向して3’伸長を有する二本鎖を含む基質構造の形成を通じてTaqポリメラーゼに標的DNAが指向されて、オリゴヌクレオチドの非相補領域から3’アームが得られ、基質分子の非アニーリング5’領域から5’アームが得られる。部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、所望の切断点で標的配列にハイブリダイズしない場合またはハイブリダイズする場合のいずれかに、短いヘアピンを形成することができる3’ヌクレオチド伸長を含む。標識されたフラグメントの遊離は、Taqポリメラーゼによる切断後に検出される。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号は、合成活性および野生型熱安定性ヌクレアーゼ活性をほとんどまたは全く含まない変異体の熱安定性DNAポリメラーゼの生成を開示している。変異体ポリメラーゼは、5’→3’合成活性を欠くので有用であると言われており、従って、合成活性は検出アッセイにおけるDNA切断ステップと組み合わせた際の望ましくない副作用である。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号は、合成活性を欠く野生型Taqポリメラーゼまたは変異体Taqポリメラーゼがヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの存在下での熱変性および引き続く冷却によって形成された5’末端標識ヘアピン構造の切断によって標識フラグメントを遊離することができることを開示している。さらに、米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号は、合成活性を欠く変異体Taqポリメラーゼがヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの不在下でもこのヘアピン構造を切断することができることを教示している。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号はまた、ヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの存在下、合成活性を欠く変異体Taqポリメラーゼによるヘアピン構造の切断により1種類の標識切断産物が得られる一方で、野生型Taq酵素の高レベルの合成活性に起因して野生型Taqポリメラーゼは複数の切断産物を生成し、dNTPの存在下でヘアピン構造が二本鎖形態に変換されるということを開示している。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号はまた、野生型Taqポリメラーゼではなく合成活性の減少を示す変異体Taqポリメラーゼが、5’末端標識標的核酸と、標的核酸の一部にハイブダイズする相補的なオリゴヌクレオチドとを含む線状核酸基質の切断により単一の標識されたフラグメントを遊離することが可能であり、それによってその標的核酸の5’および3’領域がオリゴヌクレオチドとアニーリングせずに一本鎖を維持することを開示している。
米国特許第5,843,669号、同第5,719,028号、同第5,837,450号、同第5,846,717号、および同第5,888,780号はまた、天然に存在する二次構造の領域での標識された核酸基質の切断法を開示している。この方法によれば、ビオチン標識DNA基質をPCRによって調製し、野生型TaqポリメラーゼまたはCleavaseBN(合成活性および野生型5’→3’ヌクレアーゼ活性が減少した変異体Taqポリメラーゼ)と混合し、95℃で5秒間インキュベートして基質を変性させ、次いで急速に65℃に冷却し、相補的な塩基間の鎖内水素結合を形成させることによってDNAの固有の二次構造を想定することを可能にする。反応混合物を65℃でインキュベートして切断を可能にし、ビオチン化切断産物を検出する。
FEN−1酵素を用いて標識核酸フラグメントを生成する核酸の検出および/または測定法は当分野で公知である。
米国特許第5,843,669号は、合成活性の減少を示す変異体Taqポリメラーゼの存在下または不在下で熱安定性FEN−1ヌクレアーゼを用いる、切断酵素フラグメント長多形分析(cleavase fragment length polymorphism)による多形検出法を開示している。本方法によれば、二本鎖C型肝炎ウイルス(HCV)DNAフラグメントを、PCR反応において5’末端標識プライマー(TMR蛍光色素で標識)を用いることによって標識する。TMR標識PCR産物を、95℃への加熱によって変性し、そして55℃に冷却して切断構造を作製する。米国特許第5,843,669号は、切断構造が二次構造を含む一本鎖核酸基質の領域を含むことを開示している。CleavaseBNヌクレアーゼ、古細菌Methanococcus jannaschii由来のFEN−1ヌクレアーゼ、またはその両方の酵素の存在下で切断を行う。標識反応産物をゲル電気泳動で可視化し、続いて蛍光画像処理を行う。米国特許第5,843,669号は、CleavaseBNヌクレアーゼおよびMethanococcus jannaschii FEN−1ヌクレアーゼにより互いに容易に識別される切断パターンが得られること、両酵素を含む反応由来の切断パターンには各々の個々の酵素での切断によって得られるパターンの要素を含むが各々の個々の酵素によって得られた単なる切断パターンの複合物ではないということを開示する。これによって、1つの酵素によって切断されていない(そして、この酵素パターンでのバンドとして認められる)フラグメントのいくつかは、同一の反応混合物で第2の酵素によって切断することができることが示される。
Lyamichev et al.は、標的DNAの領域に部分的に相補的なオリゴヌクレオチドプローブの重複対を標的DNAと混合して5’フラップ領域を形成し、熱安定性FEN−1ヌクレアーゼによる標識下流プローブの切断によって標識切断産物が得られる、DNAの検出法を開示している。Lyamichev et al.はまた、切断シグナルを増幅してアトモル未満のレベルで標的DNAを定量的に検出することができるような、下流オリゴヌクレオチドプローブの複数のコピーを温度サイクリングの不在下で1つの標的配列について切断することができる反応条件を開示している(Lyamichev et al.,1999,Nat.Biotechnol.,17:292)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の技術は、米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、および同第4,800,159号で開示されている。その最も単純な形態では、PCRは反対の鎖とハイブリダイズして、標的DNA中の対象の領域に隣接する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、特異的DNA配列の酵素合成のためのインビトロの方法である。テンプレートの変性、プライマーのアニーリング、およびDNAポリメラーゼによるアニーリングしたプライマーの伸長を含む連続した反復性の一連の反復ステップにより、末端がプライマーの5’末端によって規定される特定のフラグメントが指数関数的に蓄積される。PCRにより109倍という特定のDNA配列の選択的富化が可能であると報告されている。PCR法はまた、Saiki et al.,1985,Science,230:1350にも記載されている。
PCR技術は非常に強力な核酸配列増幅法であるが、増幅物質の検出には、標的DNAが存在するかどうかを決定するためのさらなる操作およびPCR産物の処理が必要である。増幅物質の検出に現在必要とされるその後の操作ステップ数を減少させることが望ましい。標的配列が増幅している間にシグナルが発生するアッセイ系では、増幅ステップの間にシグナルを発生しないPCR法と比較して、増幅物質の検出に必要な操作ステップはより少ない。
米国特許第5,210,015号および同第5,487,972号は、増幅すべき核酸、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するTaqポリメラーゼ、増幅領域に相補的な領域を含む5’→3’、または5’および3’末端標識プローブ、ならびにさらなる非相補性5’テール領域の存在下でのPCR反応の増幅ステップの間にシグナルを発生させるステップを含むPCRベースの標識プローブ遊離アッセイを開示している。米国特許第5,210,015号および同第5,487,972号は、Taqポリメラーゼが重合依存様式(例えば、dNTPの不在下)で上流プローブによって標識プローブ付近に位置付けられた場合、このPCRベースのアッセイによりハイブリダイズプローブの5’標識末端を遊離することができることをさらに開示している。
本発明は、サンプル中の標的核酸の存在の指標となるシグナルを発生させる方法であって、標的核酸配列を含むサンプルと、核酸ポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)とをインキュベートすることによって切断構造を形成するステップと、FENヌクレアーゼを用いてこの切断構造を切断してシグナルを発生させるステップとを含み、このシグナルの発生がこのサンプル中の標的核酸配列の存在の指標である方法を提供する。
第一の態様では、本発明はある配列中の標的核酸の存在の指標となるシグナルを発生させる方法に関する。本発明に従う切断構造は、この標的を含むサンプルと、逆転写酵素、プライマーおよびプローブとをインキュベートすることによって形成される。このプライマーは、下流プローブの上流の標的にハイブリダイズする。この逆転写酵素は、プライマーを伸長して、これがこの標的に対して相補的であるDNA分子を合成する。この合成された鎖は、下流プローブと切断構造を形成する。次いで、この切断構造は、切断剤(例えば、FENヌクレアーゼ)によって切断され、それによって遊離フラグメントおよび/または検出可能シグナルが発生され、これがサンプル中の標的核酸の存在および/または量の指標である。
一実施形態では、この逆転写酵素は熱安定性である。適切な逆転写酵素としては、ウイルス、レトロウイルスおよび細菌酵素が含まれる。例えば、この逆転写酵素は以下であってもよい。モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT。
別の実施形態では、この切断剤は、FENヌクレアーゼである。FENは、熱安定性であり得る。
この切断構造は、検出可能シグナルを提供し得る少なくとも1つの標識された部分を含んでもよい。あるいは、この切断構造は、1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む。この部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性である部位によって隔てられ、切断剤による切断がないときの検出可能シグナルを消光するように効率的に位置決めされる。切断構造が形成されかつ切断剤によって切断される場合、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は切断部位を切断し、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離して、それによって検出可能なシグナルを発生させる。対の相互作用性シグナル発生部分は、消光物質および蛍光発光物質(fluorescer)であってもよい。
別の態様では、本発明は、サンプル中の標的核酸の存在の指標であるシグナルを発生させる方法に関する。上流プライマー、下流プローブ、逆転写酵素および切断剤をサンプルと混合する。この混合物を、上流プライマーと、下流プローブとのアニーリング、(ii)上流プライマーの伸長、および(iii)切断構造の切断を可能にする反応条件に供する。この逆転写酵素は、プライマー伸長産物を合成し、これが下流プローブとともに切断構造を形成する。次いで、切断剤は、その切断構造を切断してその切断構造から標識されたフラグメントを遊離し、これによって検出可能な標識フラグメントを作成する。これらの標識されたフラグメントは、サンプル中の標的配列の存在の指標として検出および/または測定される。あるいは、標的の存在は、切断構造の切断の際に発生されるシグナルを検出および/または測定することによって決定される。
一実施形態では、この逆転写酵素は、熱安定性である。適切な逆転写酵素としてはウイルス、レトロウイルスおよび細菌の酵素が含まれる。例えば、逆転写酵素は以下であってもよい。モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT。
別の実施形態では、この切断剤はFENヌクレアーゼである。FENは、熱安定性であってもよい。
この切断構造は、検出可能シグナルを提供し得る少なくとも1つの標識部分を含んでもよい。あるいは、この切断構造は、1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む。この部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性である部位によって隔てられ、かつ切断剤による切断がないときの検出可能なシグナルを消光するのに効率的に位置決めされる。切断構造が形成されかつ切断剤によって切断される場合、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性はこの部位を切断し、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離して、それによって検出可能なシグナルを発生させる。対の相互作用性シグナル発生部分は、消光物質および蛍光発光物質(fluorescer)であってもよい。
いくつかの実施形態では、下流プローブは、5’領域および3’領域を含み、この3’領域は上記標的に対して相補的であり、かつその標的とアニーリングし、そしてこの5’領域はフラップを形成する。
さらに別の態様では、本発明は、標的核酸を検出するための方法を提供し、ここでは上流プライマーおよび下流プローブが提供される。上流プライマーは少なくとも部分的には、標的核酸の第一の領域に対して相補的であり、かつ下流プローブの3’領域は標的核酸の第二の領域に対して少なくとも部分的に相補的である。標的の第一および第二の領域は、伸長領域によって隔てられる。プローブおよびプライマーは、標的核酸と上流プライマーとの間および標的と下流オリゴヌクレオチドの3’領域の間の二本鎖の形成を可能にする条件下で、標的と混合される。この反応物は、逆転写酵素の重合化活性による相補的DNA鎖の重合によって、標的の伸長領域が切断構造を形成するために十分な長さにまで上流プライマーを伸長することができる反応条件に供される。この反応条件によってまた、切断剤による切断構造の切断も可能になる。切断構造は切断されて、下流オリゴヌクレオチドの検出フラグメントが遊離され、これが検出される。あるいは、標的の存在は、切断構造の切断の際に発生されるシグナルを検出および/または測定することによって検出される。
ある実施形態では、この逆転写酵素活性は、下流プローブの少なくとも一部を置き換える。
一実施形態では、この逆転写酵素は熱安定性である。適切な逆転写酵素としては、ウイルス、レトロウイルスおよび細菌の酵素が含まれる。例えば、逆転写酵素は以下であってもよい。モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT。
別の実施形態では、この切断剤はFENヌクレアーゼである。FENは、熱安定性であってもよい。
この切断構造は、検出可能シグナルを提供し得る少なくとも1つの標識部分を含んでもよい。あるいは、この切断構造は、1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む。この部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性である部位によって隔てられ、かつ切断剤による切断がないときの検出可能なシグナルを消光するのに効率的に位置決めされる。切断構造が形成されかつ切断剤によって切断される場合、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は切断部位を切断し、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離して、それによって検出可能なシグナルを発生させる。対の相互作用性シグナル発生部分は、消光物質および蛍光発光物質(fluorescer)であってもよい。
一実施形態では、逆転写酵素重合活性は、切断構造を形成するのに十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドを重合し、その結果、重合された相補的な核酸は、その3’末端において二本鎖で下流オリゴヌクレオチドに対して隣接する。
別の実施形態では、逆転写酵素重合活性は、切断構造を形成するのに十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドを重合し、その結果、伸長領域は完全に二本鎖核酸である。
ある実施形態では、下流プローブの5’領域は、標的にハイブリダイズされた場合に5’フラップを有する。
さらに別の態様では、本発明は、本発明の方法を行うための組成物を提供する。本発明は、逆転写酵素、切断剤、第一のオリゴヌクレオチドおよび第二のオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。この逆転写酵素は、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTであってもよい。ある実施形態では、この逆転写酵素は熱安定性である。
さらなる実施形態では、この組成物は標的核酸を含む。この切断剤は、5’ヌクレアーゼ(例えば、FEN−1ヌクレアーゼ)であってもよい。このヌクレアーゼは熱安定性であってもよい。
ある実施形態では、第二のオリゴヌクレオチドは、3’末端ヌクレオチドに結合された保護基を有する。第二のオリゴヌクレオチドは好ましくは標識される。例えば、第二のオリゴヌクレオチドは、シグナルを提供し得る少なくとも1つの標識部分を有し得る。あるいは、第二のオリゴヌクレオチドは、1対の相互作用性シグナル発生標識部分(例えば、消光物質および蛍光発光物質)を有する。この標識は、第二のオリゴヌクレオチドの5’領域または3’領域に機能的に連結され得る。ある実施形態では、1対の相互作用性シグナル発生部分は、FENヌクレアーゼに対して感受性である部位がこの標識を隔てるように、第二のオリゴヌクレオチドに対して機能的に連結される。
別の態様では、本発明は、組成物を提供し、この組成物は、3’から5’の順序に第一の領域、伸長領域、および第二の領域を有する標的核酸と;前記標的核酸の第一の領域に対して少なくとも部分的に相補的である第一のオリゴヌクレオチドと;5’領域および3’領域を有する第二のオリゴヌクレオチドであって、前記3’領域がこの標的核酸の前記第二の領域に対して少なくとも部分的に相補的であり、前記5’領域がこの標的核酸に対して相補的でない第二のオリゴヌクレオチドと;逆転写酵素と;切断手段とを含む。別の実施形態では、前記第二のオリゴヌクレオチドの5’領域は、標的核酸の第一の領域の上流であってもよく、下流であってもよく、またはそれを含んでもよい領域に対して少なくとも部分的に相補的である。
少なくとも2つの態様のいずれかの一実施形態では、切断剤は、5’ヌクレアーゼ(例えば、FEN−1ヌクレアーゼ)である。さらなる実施形態では、このFEN−1ヌクレアーゼおよび/または逆転写酵素は熱安定性である。
第二のオリゴヌクレオチドは、3’末端ヌクレオチドに保護基を含んでもよい。好ましくは、第二のオリゴヌクレオチドは検出可能に標識される。例えば、第二のオリゴヌクレオチドはシグナルを提供し得る少なくとも1つの標識部分を含み得る。あるいは、第二のオリゴヌクレオチドは、1対の相互作用性シグナル発生標識部分(例えば、消光物質および蛍光発光物質)を含む。
別の態様では、本発明は、本明細書において上記される任意の組成物を含むキットを提供する。
本明細書において用いる場合、「プローブ」という用語は、そのプローブ中の少なくとも1つの配列が標的領域中の配列と相補的であることに起因して、標的核酸中の配列と二本鎖構造を形成する標識されたオリゴヌクレオチドを指す。プローブは、好ましくは、プライマーにおいて用いられる配列に相補的な配列を含まない。このプローブは、標的核酸に相補的である領域(例えば、標的核酸結合配列)を含む(例えば、図4のC)。ある実施形態では、本発明による「プローブ」は、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、さらに結合部分を含む。本発明による「プローブ」は、標的核酸に結合して、ヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成し、ここで切断は、切断温度で行われ、このプローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、好ましくは、切断温度以下で安定である。本発明によるプローブは、標的核酸に対する結合の前に、本明細書で規定されるような、「ヌクレアーゼ」によってシグナルを発生するように切断されることはない。本発明の一実施形態では、プローブは、標的核酸に結合できないかまたは相補的でない領域を含み得る。本発明の別の実施形態では、プローブは、標的核酸に結合しない場合二次構造を有さない。一実施形態では、このプローブは、5’領域および3’領域を有する。この3’領域は、標的に相補的であり、かつこの5’領域は、この標的に対して相補的であっても相補的でなくてもよい。
<二次構造を有するプローブ>
本明細書において用いる場合、「二次構造」とは、三次元の高次構造(例えば、ヘアピン、ステム・ループ構造、内部ループ、バルジ・ループ、分岐構造またはシュードノット、図1および3;マルチ・ステム・ループ構造、クローバー型構造、または任意の三次元構造を言う。本明細書において用いる場合、「二次構造」とは、三次構造、四次構造などを含む。このような三次元構造を含むプローブは、標的核酸に結合して、切断温度でヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成する。プローブの三次元構造は、標的核酸に結合しない場合、好ましくは、切断温度以下で安定である。「二次構造」とは本明細書において用いる場合、塩基の第一の一本鎖配列(本明細書においては「相補的な核酸配列」と呼ばれる(例えば、図4のb))を、続いて第二の相補的な配列を同じ分子に(例えば、図4におけるb’)、またはプローブを含む第二の分子に含む配列であって、それ自体折り畳んで逆平行二本鎖構造を生成し、その一本鎖配列および相補的配列(すなわち、相補的な核酸配列)が水素結合の形成によってアニーリングする配列を意味し得る。オリゴヌクレオチドプローブとは、本発明において用いる場合、二次構造を含むオリゴヌクレオチドを含み、これには、限定はしないが、分子指標、安全ピン(図9)、スコーピオン(scorpion)(図10)、およびサンライズ(sunrise)/アンプリフロアー(amplifluor)プローブ(図11)が含まれ、この詳細および構造は、下記にそして対応する図面に記載されている。
本明細書において用いる場合、「二次構造」とは、三次元の高次構造(例えば、ヘアピン、ステム・ループ構造、内部ループ、バルジ・ループ、分岐構造またはシュードノット、図1および3;マルチ・ステム・ループ構造、クローバー型構造、または任意の三次元構造を言う。本明細書において用いる場合、「二次構造」とは、三次構造、四次構造などを含む。このような三次元構造を含むプローブは、標的核酸に結合して、切断温度でヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成する。プローブの三次元構造は、標的核酸に結合しない場合、好ましくは、切断温度以下で安定である。「二次構造」とは本明細書において用いる場合、塩基の第一の一本鎖配列(本明細書においては「相補的な核酸配列」と呼ばれる(例えば、図4のb))を、続いて第二の相補的な配列を同じ分子に(例えば、図4におけるb’)、またはプローブを含む第二の分子に含む配列であって、それ自体折り畳んで逆平行二本鎖構造を生成し、その一本鎖配列および相補的配列(すなわち、相補的な核酸配列)が水素結合の形成によってアニーリングする配列を意味し得る。オリゴヌクレオチドプローブとは、本発明において用いる場合、二次構造を含むオリゴヌクレオチドを含み、これには、限定はしないが、分子指標、安全ピン(図9)、スコーピオン(scorpion)(図10)、およびサンライズ(sunrise)/アンプリフロアー(amplifluor)プローブ(図11)が含まれ、この詳細および構造は、下記にそして対応する図面に記載されている。
本明細書において用いる場合、第一および第二の「相補的な」核酸配列は、互いに対して相補的であり、かつ相補的な塩基の間の水素結合の形成によってアニーリングし得る。
二次構造とはまた、本明細書に規定される親和性対を含む核酸分子の高次構造をいい、この親和性対は、この親和性対を含む対の部分の間に存在する引力の結果として可逆的に会合する。本明細書において用いる場合、二次構造は、プローブ上の結合部分を捕獲エレメントに対する結合から妨げ、そして標的核酸に対するプローブの結合およびこの結合したプローブの引き続く切断の際の、二次構造における変化によって、この結合部分が捕獲エレメントによって捕獲される事が可能になる。
本発明による「プローブ」は単分子(unimolecular)であってもよい。本明細書において用いる場合、「単分子」プローブは、単一分子を含み、これが、標的核酸に結合して、ヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成し、ここで切断は、切断温度で行われ、かつこの「単分子」プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、好ましくは、切断温度以下で安定である。本発明に従って有用な単分子プローブとしては、限定はしないが、指標プローブ、ヘアピン、ステム・ループ、内部ループ、バルジ・ループまたはシュードノット構造を含むプローブ、スコーピオン・プローブ、およびサンライズ/アンプリフロアー・プローブが含まれる。
本発明に従う「プローブ」は、2つ以上の分子(例えば、二分子または多分子)であってもよい。二分子または多分子プローブを含む少なくとも1つの分子は、標的核酸に結合して、ヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成し、ここで切断は、切断温度で行われ、かつこのプローブの分子の二次構造は、標的核酸に結合しない場合、好ましくは、切断温度以下で安定である。多分子プローブを含む分子は、互いに分子間結合(例えば、水素結合または共有結合)を介して会合する。例えば、非相同ループ(図1を参照のこと)、またはクローバー葉構造(クローバー葉構造の1つ以上のループが別個の分子を含み、かつ、会合してクローバー葉構造を形成する前記分子は、分子間結合(例えば、水素結合または共有結合)を介して会合する)は、本発明に従って有用な多分子プローブの例である。
本明細書において用いる場合、「分子」とは、ポリヌクレオチドをいい、そしてこれは、ポリヌクレオチドを含み、さらに親和性対の結合した部分を含む。
「プローブ」または「分子」は、5〜10,000ヌクレオチド長、理想的は、6〜5000、7〜1000、8〜500、9〜250、10〜100および17〜40ヌクレオチド長であるが、異なる長さのプローブを含むプローブまたは分子が有用である。
本発明に従うプローブは、5〜10,000ヌクレオチド、好ましくは10〜約140ヌクレオチドの標的核酸結合配列を有する。一実施形態では、本発明に従う「プローブ」は、3〜250、好ましくは4〜150、そしてさらに好ましくは5〜110、そして最も好ましくは6〜50ヌクレオチド長である、少なくとも第一および第二の相補的な核酸配列または領域を含む。この第一および第二の相補的な核酸配列は、同じ長さを有してもよいし、または異なる長さであってもよい。本発明は、プローブであって、その第一および第二の相補的な核酸配列が両方とも標的核酸結合部位の上流(5’)に位置するプローブを提供する。あるいは、第一および第二の相補的な核酸配列は、両方とも、標的核酸結合部位の下流(3’)に位置してもよい。別の実施形態では、本発明は、第一の相補的核酸配列が、標的核酸結合部位の上流(5’)であり、かつ第二の相補的な核酸配列が、標的核酸結合部位の下流(3’)であるプローブを提供する。別の実施形態では、本発明は、第二の相補的な核酸配列が標的核酸結合部位の上流(5’)であり、かつ第一の相補的な核酸配列が、標的核酸結合部位の下流(3’)であるプローブを提供する。この正確な長さは、標的核酸結合配列に対して選択され、その結果このプローブの二次構造は好ましくは、標的核酸に対して結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度でこのプローブが標的核酸に結合しない場合、安定である。標的核酸結合配列が、500ヌクレオチドのサイズまで増大するにつれ、相補的な核酸配列の長さは、15〜125ヌクレオチドまで増大し得る。100ヌクレオチドを超える標的核酸結合配列については、相補的な核酸配列の長さは、さらに増大する必要はない。このプローブがまた対立遺伝子識別プローブである場合、相補的核酸配列の長さは、下記に考察されるとおり、さらに制限される。
本明細書において用いる場合、「標的核酸結合配列」とは、標的核酸に特異的に結合するプローブの領域を言う。
「ヘアピン構造」または「ステム(stem)」とは、一本鎖のRNAまたはDNAにおいて隣接する逆位の相補的な配列の間の塩基対合によって形成される二重らせんの領域を言う。
「ステム・ループ」構造とは、ヘアピン構造であって、さらに、一端で不対の塩基のループを含むヘアピン構造を言う。
本明細書において用いる場合、標的核酸に結合しない場合「安定な」二次構造を有するプローブとは、標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションを可能にする条件下であるが、標的核酸の不在下で、このプローブを構成する塩基対の50%以上(例えば、50%、55%、75%または100%)が解離されない二次構造を言う。
核酸の二本鎖の「安定性」は、融点すなわち「Tm」で決定される。特定の条件(例えば、塩濃度および/または有機溶媒の存在または不存在)の下での特定の核酸二本鎖のTmとは、二本鎖分子の塩基対のうち半分(50%)が解離されている(すなわち、塩基対で互いにハイブリダイズしない)温度である。
標的核酸に対して結合しない場合のプローブの二次構造の「安定性」は、融点アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイ、または蛍光クエンチングアッセイ(その詳細は、「プローブの安定性または二次構造の決定」と題された項に記載される)で規定される。
ある実施形態では、本発明において有用なプローブは好ましくは、標的に結合しない場合、または切断反応の温度以下で、「安定」である二次構造を有する。従って、プローブ/標的核酸ハイブリッドのヌクレアーゼ切断が本発明に従って行われる温度は、二次構造のTmよりも低くなければならない。このプローブの二次構造は、切断反応の温度以下の温度での光吸収のレベルが、プローブのTm以上である温度で光吸収のレベルよりも低い(すなわち、少なくとも5%未満、好ましくは20%未満、そして最も好ましくは25%未満など)場合、切断反応の温度(すなわちここで切断が行われる)以下の温度での融点アッセイで「安定」である。
本発明の方法によれば、二次構造の安定性は、FRETアッセイまたは蛍光クエンチングアッセイ(「プローブの二次構造の安定性の決定」と題された項に記載される)によって測定され得る。本明細書において用いる場合、蛍光クエンチングアッセイは、FRETアッセイを含み得る。本発明によるプローブは、例えば、2ヌクレオチドの距離にわたって相互作用し得る、適切な対の相互作用性標識(例えば、FRET対(例えば、下記の「プローブの二次構造の安定性の決定」と題された項で記載される))で、または例えば、20ヌクレオチドの距離にわたって相互作用し得る非FRET対(例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)で標識される。例えば、本発明によるプローブは、フルオロフォアおよびクエンチャーで標識されてもよく、次いで、標的核酸の不在下で、種々の温度において蛍光が測定される。Tmとは、蛍光のレベルが特定のプローブについて観察される蛍光の最大レベルの50%である温度である。図12eを参照のこと。プローブの核酸配列が公知である特定のプローブについてのTmは、当分野で公知の方法に従って予測され得る。従って、蛍光は、ある範囲の温度にまたがって測定され、例えば、本発明に従うプローブについて、この範囲の下限温度は、Tmまたは予測Tmよりも少なくとも50℃低く、そしてこの範囲の上限温度は、Tmまたは予測Tmよりも少なくとも50℃高い。
本明細書における二次構造とは、蛍光のレベルまたは波長が、プローブのTmで観察されるFRETのレベルまたは波長と比較して増大または減少される場合(例えば、少なくとも5%未満、好ましくは20%未満、そしてさらに好ましくは25%未満など)、切断温度以下である温度下でFRETアッセイにおいて「安定」と規定される(図12eおよび図12fを参照のこと)。例えば、FRETにおける増大または減少は、本発明によるFRETアッセイで生じ得る。別の実施形態では、新規なシフトした波長における増大、または新規なシフトした波長における減少を生じる波長におけるシフトが、本発明に従うFRETアッセイで生じ得る。
本発明に従う、二次構造における「変化」は、蛍光クエンチングアッセイで測定され得、ここでは本発明に従うプローブは、標的核酸の不在下で、かつプローブのTm未満の温度において蛍光のクエンチング(上記のとおり)が起こるように位置決めされたフルオロフォアおよびクエンチャーを含む。本明細書において用いる場合、本発明に従うプローブが標的核酸に結合する場合に生じる二次構造における「変化」とは、このようなアッセイにおける蛍光の増大であって、その結果プローブのTm未満の温度での標的核酸に対するプローブの結合後の蛍光のレベルが、標的核酸の不在下で観察される蛍光のレベルより大きい(例えば、少なくとも5%、好ましくは5〜20%、そして最も好ましくは25%以上)である増大を言う(図12gを参照のこと)。
本発明に従う二次構造は、フルオロフォアおよびクエンチャーを含むプローブを蛍光クエンチングアッセイ(上記のような)に対して供することによって決定され得る。温度の変化に相関して蛍光の変化を示すプローブ(図12eを参照のこと)(例えば、FRET反応の温度が上昇するとともに蛍光は増大する)は、二次構造を形成し得る。
本明細書において用いる場合、本発明に従って有用である「切断温度」とは、二次構造を有するプローブのTm未満である温度(少なくとも1℃、好ましくは10℃)である。この「切断温度」には、切断反応で使用される特定のヌクレアーゼに適用できる、好ましくは最適である温度が最初に選択される。
好ましくはこのプローブの3’末端は、活性なポリメラーゼが反応中で用いられる場合、プライマー伸長産物へのプローブの組み込みを禁止するために「ブロック」される。「ブロッキング」は、非相補的な塩基を用いることによって、またはビオチンまたはリン酸基のような化学基を、最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシルに付加することによって達成され得、これは、選択された部分に依存して、標識に結合された核酸の引き続く検出または捕獲のための標識としても作用することによって二重の目的で機能し得る。ブロッキングはまた、3’−OHの除去によって行ってもまたはジデオキシヌクレオチドなどの3’−OHを欠くヌクレオチドを用いることによって行ってもよい。
プローブという用語は、対立遺伝子識別プローブを含む。本明細書において用いる場合、「対立遺伝子識別」プローブは完全に相補的な標的核酸に対して優先的にハイブリダイズして、少なくとも1つのヌクレオチドによって変化する配列に対して区別する。標的核酸に比較して、少なくとも1つのヌクレオチドが異なる核酸配列は、本明細書において以降では、「標的様核酸配列」と呼ばれ、従って、本発明による対立遺伝子識別プローブの標的核酸ではない。対立遺伝子識別プローブは、少なくとも単一のヌクレオチドの相違で標的と標的様配列との間を識別することを可能にする実験最適化によって決定される、特定の温度で、またはある範囲の温度内で、標的核酸相補的配列に比べて1つ以上のヌクレオチドミスマッチを含む標的様核酸配列に対して十分にハイブリダイズせず、従って、標的様核酸配列のみの存在下で、そして標的核酸に対する対立遺伝子識別プローブのハイブリダイゼーションを支持する条件下で、標的様核酸配列に対する結合の際に二次構造における変化を受けない。
一実施形態では、本発明による「対立遺伝子識別プローブ」とは、標的核酸とは少なくとも1つのヌクレオチドが異なる標的様核酸配列に対してハイブリダイズするプローブであって、ここで改変ヌクレオチドが対立遺伝子識別部位に位置しないプローブを言う。本発明のこの実施形態によれば、「対立遺伝子識別プローブ」は、対立遺伝子識別プローブが少なくとも単一のヌクレオチドの相違で標的と標的様配列との間を識別することを可能にする実験最適化によって決定される、特定の温度で、またはある範囲の温度内で、対立遺伝子識別部位における少なくとも1つのヌクレオチドによっても変化する標的様核酸配列に結合できない。単一のヌクレオチド相違は、標的または標的様核酸配列に結合するプローブの割合にわずかに影響する。例えば、本発明は、標的の100%全てが、過剰なプローブの存在下で、プローブ標的複合体となる(例えば、プローブによって結合される)完全マッチしたプローブを提供する。本発明はまた、標的配列および完全マッチプローブを含む複合体を形成するために用いられるのと同じ条件下で、標的様配列の少なくとも1〜5%、好ましくは5〜10%がプローブによって結合される、少なくとも1つの単一塩基ミスマッチを含むプローブを提供する。
本明細書において用いる場合、「対立遺伝子識別部位」とは、標的核酸を含む全ての推定対立遺伝子における対応する領域とは(少なくとも1ヌクレオチドが)異なる標的核酸の領域を言う。
本発明に従って有用な対立遺伝子識別プローブはまた、標的配列に比較して、標的様配列に対して事実上結合しないプローブを含む。標的配列または標的様配列に対するプローブの結合の有効性は、標的様配列または標的配列の存在下で、プローブの二次構造のTm未満である温度(少なくとも1℃そして好ましくは10℃以上)で行われる、FRETアッセイで測定され得る。標的様配列の有無における蛍光のレベルの変化に比較した標的配列の有無における蛍光のレベルの変化によって、標的または標的様配列に対するプローブの結合の有効性の有効な測定が得られる。
本発明による方法では、標的配列に比較して標的様配列に対して有効に結合しないプローブは、標的様配列に対するハイブリダイゼーションの際に、標的核酸の場合と比較して、本明細書に記載されるようなFRETまたは蛍光クエンチングアッセイにおいて蛍光を測定することによって決定されるように、より小さい(例えば、標的核酸に対する結合の際の蛍光における変化の値の、好ましくは25〜50%、さらに好ましくは50〜75%、そして最も好ましくは75〜90%)二次構造上の変化を受けるだろう。本発明に従う方法では、標的配列に比べて標的様配列に対して効率的に結合しないプローブは、サンプル中の標的様核酸配列の存在の指標であるシグナルを発し得る。しかし、このシグナルの強度は、より小さい変化として上記されるように、標的配列の存在下では、発生されるシグナルの強度が変化し得る(例えば、標的核酸に対する結合の際の蛍光における変化の値の、好ましくは25〜50%、さらに好ましくは50〜75%、そして最も好ましくは75〜90%未満またはそれ以上)。
「標的核酸の存在の指標であるシグナル」または「標的様核酸配列」とは、標的核酸または標的様核酸配列の1分子〜1020分子、より好ましくは、約100分子〜1017分子、そして最も好ましくは約1000分子〜1014分子から発生されるシグナルに等しいシグナルを言う。
本明細書において用いる場合、「結合部分」とは、ヌクレアーゼによるプローブの切断の際に遊離され、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として捕獲エレメントに対して特異的に結合する(この結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的な結合は、プローブの二次結合が本明細書に規定されるように「変化」された場合にのみ生じる)プローブの領域(例えば、図4のab)を言う。「特異的に結合する」とは、相補的な核酸との水素結合を介すること、または例えば、結合部分と結合タンパク質(結合部分の核酸配列に対して特異的に結合し得る)との間の相互作用を介することを意味する。「結合部分」は、プローブが標的核酸に結合する能力を妨害しない。結合部分は、プローブがそのネイティブな二次構造である場合、捕獲エレメントに結合できず、そして標的またはテンプレート核酸に対する結合の際、好ましくは切断剤による切断後に、捕獲エレメントに対する結合部分の結合が可能となるように二次構造が変化する。
一実施形態では、切断されて結合部分を形成するプローブの領域は、標的核酸にハイブリダイズできない。本明細書に規定されるような、「相補的核酸配列」ではない「結合部分」の領域(例えば、図4のA)は、1〜60ヌクレオチド、好ましくは、1〜25ヌクレオチド、そして最も好ましくは1〜10ヌクレオチド長である。本明細書に規定されるような結合部分、または結合部分と本明細書に規定されるような捕獲エレメントとの間の特定の結合を検出する方法は、当分野で周知であり、そして本明細書において以下に記載される。
本発明の一実施形態では、プローブは、さらに「レポーター」を含む。
本明細書において用いる場合、「レポーター」とは、本明細書において下に規定される「標識」、および/または本明細書において下に規定される「タグ」を言う。
本明細書中で使用される、「標識」または「シグナルを提供できる標識部分」とは、検出可能な(好ましくは、定量可能な)シグナルの提供に使用することができ、核酸に機能的に連結することができる任意の原子または分子を言う。標識は、蛍光、放射能、比色定量、重力測定、X線回折または吸収、磁性、酵素活性、質量分析、結合親和性、ハイブリダイゼーション高周波、ナノ結晶などによって検出可能なシグナルを提供し得る。本発明の方法に従う標識されたプローブは、5’末端、3’末端または内部で標識される。この標識は、「直接」、すなわち、色素、または「間接的」、すなわち、ビオチン、ジゴキシン、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などであってもよい。「間接的な標識」の検出のためには、さらなる成分、例えば、標識された抗体、または酵素基質を付加して、捕獲された、遊離された、標識された核酸フラグメントを可視化する必要がある。本発明の一実施形態では、標識は、本明細書に規定されるとおり、二次構造が(例えば、結合部分がアクセス可能であるように)「変化」しない限り、検出可能なシグナルを提供できない。
「結合部分」とはまた、「タグ」を言う。本明細書において用いる場合、「タグ」とは、プローブの5’末端に機能的に連結され(例えば、図1のR)、かつ、タグと捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として捕獲エレメントに特異的に結合する部分であって、タグと捕獲エレメントとの間の特異的な結合が、プローブの二次構造が(例えば、タグが捕獲エレメントに接近可能であるように)変化した場合にのみ生じる部分を言う。「特異的に結合する」とは、「タグ」および捕獲エレメントについていう場合、例えば、タンパク質とリガンド、抗体と抗原、タンパク質サブユニット、または核酸結合タンパク質と核酸結合部位との間の、共有結合または水素結合、または静電気引力を介すること、または相互作用を介することを意味する。タグは、プローブが標的核酸にアニーリングする能力を妨げない。タグとしては、限定はしないが、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、抗体、抗原、ハプテン、タンパク質または化学的に反応性の部分が含まれる。「タグ」は本明細書において規定される場合、本明細書に規定されるような「捕獲エレメント」に結合し得る。本発明によれば、「タグ」および「捕獲エレメント」は、結合対として機能する。例えば、一実施形態では、タグがビオチンである場合、対応する捕獲エレメントはビオチンである。あるいは、別の実施形態では、タグが抗体である場合、対応する捕獲エレメントは抗原である。
本発明は、結合部分を含む「プローブ」を考慮し、「プローブ」は、本明細書に規定されるような「タグ」を含み、かつ「プローブ」は、ヌクレアーゼによるプローブの切断の際に遊離されるプローブの領域である結合部分(例えば、捕獲エレメントに結合する核酸配列)と「タグ」の両方を含む。
本明細書において用いる場合、「捕獲エレメント」とは、例えば、化学的な架橋または共有結合によって、固体基質に結合される物質であって、この物質は、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として、(例えば、水素結合を介して、または核酸結合タンパク質と核酸結合部分との間の、もしくは相補的な核酸の間の相互作用を介して)結合部分に対して特異的に結合し、かつ、結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的な結合が、結合部分を含むプローブの二次構造が本明細書に規定されるように「変化した」場合にのみ生じる物質を言う。捕獲エレメントとしては、限定はしないが、核酸結合タンパク質またはヌクレオチド配列が含まれる。
本明細書において用いる場合、「捕獲エレメント」とはまた、例えば、化学的な架橋または共有結合によって、固体基質に結合される物質であって、この物質は、タグと捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として、(例えば、共有結合もしくは水素結合または静電気引力を介して、例えば、タンパク質とリガンド、抗体と抗原、タンパク質サブユニット、核酸結合タンパク質と核酸結合部位との間、または相補的な核酸の間の相互作用を介して)タグに対して特異的に結合し、かつ、タグと捕獲エレメントとの間の特異的な結合が、タグを含むプローブの二次構造が本明細書に規定されるように「変化した」場合にのみ生じる物質を言う。捕獲エレメントとしては、限定はしないが、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、抗原、ハプテン、タンパク質または化学的に反応性の部分が含まれる。「タグ」は本明細書において規定される場合、本明細書に規定されるような「捕獲エレメント」に結合し得る。本発明によれば、「タグ」および「捕獲エレメント」は、結合対として機能する。例えば、一実施形態では、捕獲エレメントがビオチンである場合、対応するタグはアビジンである。あるいは、別の実施形態では、捕獲エレメントが抗体である場合、対応するタグは抗原である。
本明細書において用いる場合、「固体支持体」とは、分子(例えば、捕獲エレメント)が可逆的に結合し得る表面を意味し、これには、膜、セファロースビーズ、磁気ビーズ、組織培養プレート、シリカベースのマトリックス、膜ベースの材料、限定はしないがスチレン、ラテックスまたはシリカベースのマトリックスを含む表面を含むビーズ、および他のポリマー、例えば、酢酸セルロース、テフロン、ポリ二フッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース、ポリエステル、カルボネート、ポリスルホン、金属、ゼオライト、紙、アルミナ、ガラス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、プラスチック、濾紙、デキストラン、ゲルマニウム、シリコン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、ガリウムヒ素、ガリウムリン、酸化ケイ素、硝酸ケイ素ならびにそれらの組み合わせが含まれるがこれらには限定されない。本明細書に規定されるような捕獲エレメントを結合する方法は、当分野で周知であり、本明細書の下記に規定される。さらなる固体支持体も本明細書において下記に考察される。
本明細書において用いる場合、「親和性対」とは、部分の間に存在する引力の結果として可逆的に結合し得る部分の対(例えば、相補的な核酸配列、タンパク質−リガンド、抗体−抗原、タンパク質サブユニット、および核酸結合タンパク質−結合部位)を言う。「親和性対」としては、結合部分と対応する捕獲エレメントとの組み合わせ、およびタグと対応する捕獲エレメントとの組み合わせが含まれる。
親和性対が、互いと可逆的に相互作用する相補的な核酸領域を含む実施形態では、標的核酸結合配列、および親和性対を含む核酸配列の長さは、予測(projected)ハイブリダイゼーションアッセイの条件下でプローブの適切な熱力学関数について選択される。ハイブリダイゼーションアッセイの当業者は、妥当な条件としては、プローブ、標的および溶質濃度、検出温度、変性剤および体積排除剤(volume excluder)の存在、ならびに他のハイブリダイゼーション影響因子が含まれることを理解する。標的核酸結合配列の長さは、7〜約10,000ヌクレオチド、好ましくは8〜5000、9〜500、9〜250、そして最も好ましくは、10〜140ヌクレオチドの範囲でもよい。このプローブがまた対立遺伝子識別プローブである場合、この長さは、下記に考察されるとおり、さらに制限される(この文章は、論理において、結合部分:捕獲エレメントの概念からプローブ:標的の概念にジャンプしている)。
親和性対が互いに可逆的に相互作用する相補的な核酸領域を含み、かつ標的核酸にハイブリダイズもできず、標的核酸に相補的でもない実施形態では、親和性対の相補的な核酸領域配列は、アッセイの条件下および検出温度で、プローブが標的に結合されない場合、プローブの構造がプローブの結合部分が捕獲エレメントに結合しないような構造であるのに十分な長さの配列でなければならない(例えば、相補的な核酸配列が会合される)。用いられるアッセイ条件に依存して、3〜25ヌクレオチド長の相補的な核酸配列は、この機能を果たし得る。4〜15、そしてさらに好ましくは5〜11のヌクレオチドという中間的な範囲がしばしば適切である。正確な長さが標的核酸結合配列に関して選択され、その結果プローブの二次構造は、標的核酸に対して結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で標的核酸に結合しない場合、安定である。標的核酸結合配列が100ヌクレオチドまでサイズ増大するにつれて、相補的な核酸配列の長さは、15〜25ヌクレオチドまで増大し得る。100ヌクレオチドを超える標的核酸結合配列については、相補的な核酸配列の長さは、さらに増大する必要はない。プローブがまた対立遺伝子識別プローブである場合、この相補的な核酸配列の長さは、下に考察されるとおり、さらに制限される。
標的核酸相補的配列に比べて、1つ以上のヌクレオチドミスマッチを含む標的様核酸配列に対して十分にハイブリダイズしない対立遺伝子識別プローブは、用いられるアッセイ条件下で、プローブ中の二次構造の減少または排除、および標的核酸とのハイブリダイゼーションが、標的核酸相補的配列が特定の反応条件下で完全に相補的な標的配列を見出す場合にのみ、効率的に生じるように設計されなければならない。特定の反応条件としては、例えば、対立遺伝子識別プローブが、標的と標的様配列との間を少なくとも単一のヌクレオチド相違で識別することを可能にする、実験的な最適化によって決定される特定の温度または温度範囲を含んでもよい。
一実施形態では、本発明による「対立遺伝子識別プローブ」とは、標的核酸から少なくとも1ヌクレオチドが変化する標的様核酸配列にハイブリダイズするプローブであって、この改変ヌクレオチドが、対立遺伝子識別部位に位置しないプローブを言う。本発明のこの実施形態によれば、「対立遺伝子識別プローブ」は、特定の反応条件下で対立遺伝子識別部位における少なくとも1つのヌクレオチドでまた変化する標的様核酸配列に効率的に結合できない。特定の反応条件としては、例えば、対立遺伝子識別プローブが標的と標的様配列との間を少なくとも単一のヌクレオチド相違で識別することを可能にするための、実験最適化によって決定される特定の温度または温度の範囲を挙げることができる。
本発明の一実施形態では、本発明による対立遺伝子識別プローブは好ましくは、標的核酸結合配列を6〜50個、そして好ましくは7〜25個のヌクレオチド、そして3〜8個のヌクレオチドの相補的な核酸配列を含む。二次構造のグアノシン−シチジン含量およびプローブ標的ハイブリッド、塩およびアッセイ温度は全て考慮されるべきであり、例えば、マグネシウム塩は、短い、対立遺伝子識別プローブを設計する場合考慮することが特に重要である強力な安定化効果を有する。
対立遺伝子識別プローブが、約50ヌクレオチド長の標的核酸結合配列を有する場合、この配列は、識別されるべき単一のヌクレオチドミスマッチが標的核酸相補的配列の中央またはその付近で生じるように設計すべきである。例えば、21ヌクレオチド長である配列を含むプローブは、好ましくは、そのミスマッチが標的核酸相補的配列の14の最も中心に位置するヌクレオチドの1つに対向して、そして最も好ましくは、7つの最も中心に位置するヌクレオチドの1つに対向して生じるように設計すべきである。標的核酸結合配列/標的様核酸結合配列の中央または中央付近に識別されるべきミスマッチが生じるプローブを設計することは、対立遺伝子識別プローブの能力を改善すると考えられる。
本明細書において用いる場合、「ヌクレアーゼ」または「切断剤」とは、すなわち、本発明によるいわゆる切断構造を切断するという点で特異的であり、標的核酸にハイブリダイズしていないプローブまたはプライマー、あるいはプローブまたはプライマーにハイブリダイズされない標的核酸を実質的に切断しないという点で特異的でない酵素を言う。「ヌクレアーゼ」という用語は、例えばDNAポリメラーゼ、例えばE.coli由来のDNAポリメラーゼI、ならびにThermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilics(Tth)、およびThermus flavus(TfI)由来のDNAポリメラーゼのような、5’エンドヌクレアーゼ活性を保有する酵素を含む。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを包含する。「FENヌクレアーゼ」という用語は、5’エキソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼ活性を保有する酵素を含む。「FENヌクレアーゼ」という用語はまた、5’フラップ−特異的ヌクレアーゼを体現する。本発明によるヌクレアーゼまたは切断剤としては、限定はしないが、Archaeglobus fulgidus、Methanococcus jannaschii、Pyrococcus furiosus、ヒト、マウス、またはXenopus laevis由来のFENヌクレアーゼ酵素が含まれる。本発明によるヌクレアーゼとしてはまた、Saccharomyces cerevisiae RAD27、およびSchizosaccharomyces pombe RAD2、PolI DNAポリメラーゼ会合5’→3’エキソヌクレアーゼドメイン(例えば、E.coli、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus flavus(Tfl)、Bacillus caldotenax(Bca)、Streptococcus pneumoniae)、およびFENのファージ機能性ホモログ(T5 5’ →3’エキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼ、およびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼが含まれるが、これらに限定されない)も含まれる。好ましくは、Taq、Tfl、およびBca FENヌクレアーゼの5’ →3’エキソヌクレアーゼドメインのみを用いる。「ヌクレアーゼ」という用語は、RNAseHを含まない。
本明細書において用いる場合、「捕獲された」とは、捕獲エレメントによる結合部分の捕獲、または捕獲エレメントによるタグの捕獲についていう場合、例えば、タンパク質とリガンド、抗体と抗原、タンパク質サブユニット、核酸結合タンパク質と核酸結合部分との間、または相補的な核酸の間の水素結合、共有結合による、または相互作用を介した特異的な結合であって、この相互作用する対の1つの部分が固体支持体に結合される結合を意味する。安定な捕獲の条件下で、結合は、少なくとも約1×103M−1、通常は少なくとも1×104M−1、典型的には少なくとも1×105M−1、好ましくは少なくとも1×106M−1〜1×107M−1以上という解離定数(KD)で、安定な条件下でヘテロ二量体の形成を生じる。本明細書に記載されるような捕獲エレメントと、本明細書に規定されるような結合部分またはタグとの間の結合反応を行う方法は、当分野で周知であり、かつ本明細書において下に記載される。本明細書に規定されるような固体支持体に対する本発明による捕獲エレメントを結合する方法は、当分野で周知であり、かつ本明細書において下に規定される。
本明細書中で用いる場合、「野生型」とは、遺伝子または遺伝子産物であって、天然に存在する供給源から単離された場合、その遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する(すなわち、遺伝子配列を有し、またはコードし、または酵素の配列または活性を保有する)遺伝子または遺伝子産物を言う。
本発明による「5’フラップ特異性ヌクレアーゼ」(本明細書中では「フラップ特異性ヌクレアーゼ」ともいう)は、5’一本鎖として突出する一本鎖フラップを取り除くことができるエンドヌクレアーゼである。本発明の一実施形態では、本発明によるフラップ特異性ヌクレアーゼはまた、偽Y(pseudo−Y)構造を切断することができる。本発明のフラップ特異性ヌクレアーゼの基質は、標的核酸およびオリゴヌクレオチドプローブであって、その標的核酸に相補的である領域を含む、本明細書に規定されるような標的核酸およびオリゴヌクレオチドプローブを含む。別の実施形態では、本発明によるフラップ特異的なヌクレアーゼの基質は、標的核酸、その標的核酸に相補的である上流オリゴヌクレオチド、および下流プローブであって、本発明に従う、標的核酸に相補的である領域を含むものを含む。一実施形態では、この上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。別の実施形態では、この上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする。
本明細書において用いる場合、「隣接」とは、20ヌクレオチド未満、例えば、15ヌクレオチド、10ヌクレオチド、5ヌクレオチド、または0ヌクレオチドで隔てられることを言う。
本発明によるフラップ特異的なヌクレアーゼの基質はまた、標的核酸と、第二の核酸(その一部は標的核酸と特異的にハイブリダイズする)と、標的核酸と特異的にハイブリダイズする第三の核酸からのプライマー伸長産物とを含む。
本明細書で用いる場合、「切断構造」とは、フラップ、ループ、一本鎖バブル、Dループ、ニック、またはギャップを含む一本鎖領域を有する少なくとも二本鎖核酸を含むポリヌクレオチド構造(例えば、図1に例示される)を言う。従って、本発明の切断構造は、分岐した核酸のフラップ鎖を含むポリヌクレオチド構造を含み、ここで5’一本鎖ポリヌクレオチドフラップは、その構造の二本鎖部分との接合部付近の位置から伸長し、そして好ましくは、フラップは検出可能な標識で標識されている。本発明による切断構造のフラップは、好ましくは、約1〜10,000ヌクレオチド、より好ましくは約5〜25ヌクレオチド、そして最も好ましくは約10〜20ヌクレオチドであり、そして好ましくは、この分岐した構造の「肘部」に位置するリン酸に位置する位置で、またはフラップ鎖の肘部の近位および/もしくは遠位に位置する1〜10個のリン酸のいずれかで切断される。本明細書において用いる場合、「肘部」とは、5’フラップの第一の一本鎖ヌクレオチドと第一の二本鎖(例えば、標的核酸にハイブリダイズする)ヌクレオチドとの間のリン酸結合を言う。一実施形態では、切断構造のフラップは、標的核酸にハイブリダイズできない。
本発明の一実施形態による切断構造は好ましくは、標的核酸を含み、そしてまた、標的核酸に対して相補的である領域を介して標的核酸と特異的にハイブリダイズする、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブ、およびこのハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブから伸長するフラップを含んでもよい。本発明の別の実施形態では、切断構造は、標的核酸(例えば、図4のB)、標的配列に相補的である上流オリゴヌクレオチド(例えば、図4のA)、および本発明による下流オリゴヌクレオチドプローブを含み、標的配列(例えば、図4のC)に相補的である領域を含む。一実施形態では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。別の実施形態では、この上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする。
本発明による切断構造は、本発明の下流オリゴヌクレオチドプローブから伸長するフラップを含むポリヌクレオチド構造(このフラップは、核酸ポリメラーゼの合成活性によって、上流オリゴヌクレオチドの伸長により形成される)、および引き続く、部分的な下流オリゴヌクレオチドの5’末端の部分的な置換を含むポリヌクレオチド構造であってもよい。このような切断構造では、下流オリゴヌクレオチドは、この下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を妨げるために3’末端でブロックされ得る。
本発明の一実施形態による切断構造は、標的核酸とオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイズによって形成され得、ここで前記オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、そしてさらに前記標的核酸にアニーリングする結合部分および相補的領域、ならびに標的核酸にアニーリングせず5’フラップを形成する非相補的領域を含む。
切断構造はまた、フラップの上流鎖(本明細書中ではフラップ隣接鎖またはプライマー鎖という)が存在しない場合に形成される偽Y構造、およびギャップまたはニックを含む二本鎖DNA基質であってもよい。本明細書において用いる場合、「切断構造」は、3’一本鎖フラップのみを有する二本鎖核酸構造を含まない。本明細書において用いる場合、「切断構造」はリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むので、RNAであっても、またはDNAであってもよい。
本発明による切断構造は、標的核酸配列にハイブリダイズし得る上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングする本発明の下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1塩基対に対して同一である重複するフラップであってもよく、この重複は一本鎖フラップの伸長のポイントの直接下流である。
本発明の一実施形態による切断構造は、以下のステップによって形成される。1.a)上流の3’末端、好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流10,000ヌクレオチド以内に位置し、かつ少なくとも1つの検出可能な標識を含むオリゴヌクレオチドプローブ、c)標的配列が上流プライマーおよび下流プローブの両方に対して少なくとも部分的に相補的である適切な標的核酸、およびd)適切な緩衝液を、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下でインキュベートするステップと、2.新規に合成された上流オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端が下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端の少なくとも一部(すなわち、少なくとも1〜10ヌクレオチド)に隣接するかおよび/またはその少なくとも一部を置換するようなポリメラーゼ、例えば、RTの合成活性によって上流オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端を伸長させるステップ。本発明の方法によれば、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定の核酸ポリメラーゼによる鎖置換に好都合である。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドを3’末端でブロックして、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止する。
本発明の別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸配列を、少なくとも1つの検出可能な標識を有し、かつ、この標的核酸とはアニーリングしないで5’フラップを形成する非相補的5’領域およびこの標的核酸配列にアニーリングする相補的3’領域をさらに含むオリゴヌクレオチドと共にインキュベートすることによって調製することができる。
本発明の別の実施形態では、本発明による切断領域は、標的核酸を、下流オリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、さらに、結合部分と、標的核酸とはアニーリングせずに5’フラップを形成する非相補的5’領域と、標的核酸にアニーリングする相補的3’領域とを含む)と、上流オリゴヌクレオチドプライマーを共にインキュベートすることによって調製されることができる。一実施形態では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。別の実施形態では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする。
本発明の別の実施形態では、切断構造は、以下のステップによって形成される。1.a)プロモーター領域の下流10,000ヌクレオチド以内に位置し、かつ少なくとも1つの検出可能な標識を含むオリゴヌクレオチドプローブと、b)適切な標的核酸であって、その標的配列がプロモーター領域を含み、下流プローブに対して少なくとも部分的に相補的である適切な標的核酸と、c)適切な緩衝液とを、核酸配列をオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズでき、かつ、プロモーター領域がRNAポリメラーゼに結合できる条件下でインキュベートするステップと、2.新規に合成されたRNAの合成された3’末端が下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端の少なくとも一部(すなわち、少なくとも1〜10ヌクレオチド)に隣接するかおよび/またはその少なくとも一部を置換するようなRNAポリメラーゼの合成活性によってRNAを合成させるステップ。本発明の方法によれば、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定のRNAポリメラーゼによる鎖置換に好都合である。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドを3’末端でブロックして、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止する。
本発明の好ましい実施形態では、切断構造は標識される。本発明の一実施形態による標識切断構造は、以下のステップによって形成される。1.a)上流の伸長可能な3’末端、例えば、オリゴヌクレオチドプライマーと、b)標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有する標識プローブであって、さらに、好ましくは上流プライマーの下流10,000以内、より好ましくは500ヌクレオチド以内に位置する結合部分をさらに含む標識プローブと、ならびにc)適切な標識核酸であって、その標識配列がプライマーおよび標識プローブの両方に相補的である標識核酸と、ならびにd)適切な緩衝液とを、核酸配列がプライマーにハイブリダイズできる条件下でインキュベートするステップと、本発明の一実施形態では、2.上流プライマーの新規に合成された3’末端が下流プローブの5’末端を部分的に置換するようなポリメラーゼの合成活性によって上流プライマーの3’末端を伸長させるステップ。本発明の方法によれば、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定の核酸ポリメラーゼによる鎖置換に好都合である。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドを3’末端でブロックして、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止する。一実施形態では、この上流プライマーおよび下流プローブは、標的核酸の非重複性の領域にハイブリダイズする。
別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブであって、結合部分と、標的核酸にアニーリングせず5’フラップを形成する非相補的な標識された5’領域と、標的核酸にアニーリングする相補的な3’領域とをさらに含むプローブとをインキュベートすることによって調製され得る。別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、下流プローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、さらに、結合部分と、標的核酸にアニーリングせず5’フラップを形成する非相補的な標識された5’領域と、標的核酸にアニーリングする相補的な3’領域とを含む)と、上流オリゴヌクレオチドプライマーとをインキュベートすることによって調製され得る。一実施形態では、この上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。別の実施形態では、この上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする。
本明細書において用いる場合、「シグナルを発生する」とは、サンプル中の標的核酸の存在の指標として、切断構造から遊離される遊離核酸フラグメントを検出および/または測定することを言う。一実施形態では、シグナルを発生するとはまた、固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される遊離核酸フラグメントを検出および/または測定することを言う。
本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、対象の核酸(標的核酸)を含むかもしくは含むと予想されるか、またはそれ自体が対象の標的核酸配列を含むかもしくは含むと予想される核酸である任意の物質を言う。従って、「サンプル」という用語は、核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA)、細胞、生物体、組織、液体、または物質(例えば、限定はしないが、血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便;皮膚、気管、腸および尿生殖路の外分泌物;唾液、血球、腫瘍、器官、組織、インビトロ細胞培養成分のサンプル、天然の単離物(飲料水、海水、固体物質など)、微生物試料、ならびに核酸トレーサー分子で「マークされた」対象物または試料を含む)のサンプルを含む。
本明細書において用いる場合、「標的核酸」または「テンプレート核酸配列」とは、複製、増幅、および/または検出されるべき核酸の領域を言う。1つの実施形態では、「標的核酸配列」または「テンプレート核酸配列」は、増幅に用いられる2つのプライマー配列の間に存在する。
いくつかの実施形態では、「標的核酸」は、3’から5’の順序で、第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である第一の領域と、伸長領域と、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的な第二の領域を含む。この標的核酸は、1本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAを含んでもよい。
本明細書において用いる場合、「第一の領域」とは、標的核酸についていう場合、第一のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび伸長を可能にするのに十分な長さのヌクレオチドを意味し、ここで「第一の領域」は、本明細書に規定される第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である。「第一の領域」は、約6ヌクレオチドから約1000ヌクレオチド長の範囲であり、ここで好ましい範囲とは約8〜30ヌクレオチド、そして最適には10〜25ヌクレオチドの範囲である。
本明細書において用いる場合、「伸長領域」とは、核酸重合化活性を介して、オリゴヌクレオチド(例えば、第一のオリゴヌクレオチドまたは第二のオリゴヌクレオチドの遊離されたフラップ)の伸長を可能にするのに十分な長さのヌクレオチドを言う。「伸長領域」とは、約1ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチド長の範囲であり、ここで好ましい範囲は約1〜100ヌクレオチド、さらに好ましい範囲は3〜50、そして最適には、5〜10ヌクレオチド長の範囲である。「伸長領域」は、プライマーの3’末端と下流オリゴヌクレオチド(すなわち、第二の領域にハイブリダイズする)とが、本発明の切断方法によりフラップ(下流オリゴヌクレオチドの5’末端)が切断されるために十分近くに位置するようなところまで、上流プライマー(例えば、本明細書において規定されるような、第一のオリゴヌクレオチド、または第二のオリゴヌクレオチドの遊離されたフラップ)が伸長領域に相補的な核酸の重合を介して伸長されない限り、本発明の切断方法が下流オリゴヌクレオチド(例えば、第二のオリゴヌクレオチド)を切断することができないような長さの領域である。
本明細書において用いる場合、「第二の領域」とは、標的核酸についていう場合、第二のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さのヌクレオチドであって、ここで「第二の領域」が、本明細書に規定される第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的であるヌクレオチドを意味する。「第二の領域」は、約6ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチド長の範囲であり、好ましくは、約8〜30ヌクレオチド、そして最適には、10〜25ヌクレオチドの範囲である。
本明細書において用いる場合、「核酸ポリメラーゼ」とは、ヌクレオシド三リン酸の重合を触媒する酵素を言う。一般に、この酵素は、標的配列にアニーリングしたプライマーの3’末端での合成を開始し、テンプレートに沿った5’方向に進行し、そして5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する場合、合成が終結するまで、介在するアニーリングしたプローブを加水分解して標識および未標識プローブフラグメントの両方を遊離する。公知のDNAポリメラーゼとしては、例えば、E.coliのDNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus(Tth)のDNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilusのDNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralisのDNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、およびPyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼが含まれる。「核酸ポリメラーゼ」という用語はまた、RNAポリメラーゼを含む。核酸テンプレートがRNAであるならば、「核酸ポリメラーゼ」とは、逆転写酵素のようなRNA依存性の重合化活性を言う。
公知の逆転写酵素としては、例えば以下が含まれる。モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT。
本明細書において用いる場合、「RNAポリメラーゼ」という用語は、RNA分子の重合化を触媒する酵素を指す。RNAポリメラーゼは、DNA依存性のRNAポリメラーゼおよびRNA依存性のRNAポリメラーゼを含む。本発明における使用に適切なRNAポリメラーゼとしては、バクテリオファージT7、T3およびSP6のRNAポリメラーゼ、E.coliのRNAポリメラーゼホロ酵素、E.coliのRNAポリメラーゼコア酵素、およびヒトRNAポリメラーゼI、II、III、ヒトミトコンドリアのRNAポリメラーゼおよびNS5B RNAポリメラーゼ(HCV由来)が含まれる。
本明細書において用いる場合、「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性」または「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性」とは、いくつかのDNAポリメラーゼに伝統的に関連するテンプレート特異性核酸ポリメラーゼの活性(例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性)であって、それによってモノヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが連続的にポリヌクレオチドの5’末端から除去され(すなわち、E.coliのDNAポリメラーゼIはこの活性を有するがクレノウ(Klenow et al.,1970,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,65:168)フラグメントは有さない(Klenow et al.,1971,Eur.J.Biochem.,22:371))、またはポリヌクレオチドが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に固有に存在し得るヌクレオチド末端結合分解活性によって5’末端から除去される活性を言う。
本明細書において用いる場合、「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く」「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く」とは、野生型酵素活性の10%、5%、1%、0.5%、または0.1%未満であることを意味する。「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠く」または「5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く」とは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が検出不可能であるか、野生型酵素の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性の約1%、0.5%、または0.1%であることを意味する。
構造的に特異的なエンドヌクレアーゼ活性を検出するために、フラップ構造からなるDNAテンプレート(下流フラップオリゴヌクレオチドは、5’末端で放射性標識される)を使用する。この反応は、dNTPの存在下でDNAポリメラーゼを用いて行う(上流プライマーを伸ばすため)。放射性標識された切断産物は、ゲル電気泳動によって可視化する(Lyamichev et al.,1993,Science 260:778)。
あるいは、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、均一に標識され、さらにニックを入れられた二本鎖DNAを用いてアッセイされる。dNTPの有無におけるDNAポリメラーゼによる放射性活性(TCA可溶性cpm)の遊離を測定する。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する非プルーフリーディング(non−proofreading)DNAポリメラーゼを、dNTPの存在下で生じる重合反応によって10倍以上刺激する(dNTPの存在下で遊離されるcpmが増大する)。3’→5’エキソ活性を有するプルーフリーディングDNAポリメラーゼは、dNTPの存在下で生じる付属する重合化によって完全に阻害される(dNTPの存在下で放出されるcpmが減少する)(米国特許第5,352,778号)。
本発明に従って有用なヌクレアーゼとしては、5’エンドヌクレアーゼ活性を保有する任意の酵素、例えば、DNAポリメラーゼ、例えばE.coli由来のDNAポリメラーゼI、ならびにThermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus(Tth)、およびThermus flavus(Tfl)由来のDNAポリメラーゼが含まれる。本発明による有用なヌクレアーゼとしてはまた、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれ、これには、限定はしないが、真正細菌のDNAポリメラーゼIが含まれ、これには、Thermus種由来の酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(caldophilus)Tbr(brockianus))、Bacillus種由来の酵素(Bst、Bca、Magenta(全長ポリメラーゼ、NOT N短縮バージョン))、Thermotoga種由来の酵素(Tma(maritima、Tne(neopolitana))およびE.coliのDNAポリメラーゼIが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを体現している。本発明に従って有用なさらなる核酸ポリメラーゼは、下の「核酸ポリメラーゼ」と題された項に含まれる。
本明細書において用いる場合、「切断」とは、切断構造を別個の(すなわち、リン酸ジエステル結合によって他のフラグメントまたは核酸と物理的に連結していない)フラグメントまたはヌクレオチドと、切断構造から遊離されるフラグメントとに酵素的に分離することを言う。例えば、標識切断構造の切断は、本発明による、そして以下に定義された標識された切断構造を、標的核酸配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド由来のフラグメントを含む別個のフラグメントへ分離されることを言うか、または、別個のフラグメントの1つが、標的核酸配列由来であるか、および/または標識フラグメントに存在する標識部分の検出に適切な当分野で周知であり本明細書中に記載される方法によって検出および/または測定することができる、標的核酸と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド由来の標識核酸フラグメントであるフラグメントへ分離されることを言う。
本明細書において用いる場合、「エンドヌクレアーゼ」とは、核酸分子内の結合、好ましくは、リン酸ジエステル結合を切断する酵素を言う。本発明に従うエンドヌクレアーゼは、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAに特異的であり得る。
本明細書において用いる場合、「エキソヌクレアーゼ」とは、ヌクレオチド間の結合、好ましくは、リン酸ジエステル結合をポリヌクレオチドの末端から1つずつ切断する酵素を言う。本発明によるエキソヌクレアーゼは、DNAまたはRNA分子の5’または3’末端に特異的であり得るので、本明細書中では5’エキソヌクレアーゼまたは3’エキソヌクレアーゼと呼ぶ。
本明細書において用いる場合、「切断手段」とは、本発明による切断構造に特異的である、すなわち切断構造を切断する薬剤、好ましくは酵素を言う。
本明細書において用いる場合、「フラップ」とは、二本鎖核酸分子から伸長する一本鎖DNAの領域を言う。本発明によるフラップは、好ましくは約1〜10,000ヌクレオチド、より好ましくは約5〜25ヌクレオチド、そして最も好ましくは約10〜20ヌクレオチドである。
好ましい実施形態では、結合部分はタグである。
別の好ましい実施形態では、この結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
本発明はまた、標的核酸を検出または測定する方法を提供し、この方法は以下のステップを含む。標的核酸を含むサンプルと前記標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブとをインキュベートすることによって切断構造を形成するステップであって、前記プローブがさらに結合部分を含むステップと、前記切断構造をヌクレアーゼで切断して、核酸フラグメントを遊離させるステップであって、前記切断が切断温度で行われ、前記プローブの二次構造は、標的核酸に結合されない場合、切断温度以下で安定であるステップと、前記サンプル中の標的配列の存在の指標として固体支持体上で捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって、捕獲されたフラグメントの量を検出および/または測定するステップ。
本明細書において用いる場合、「標的核酸配列を検出する」または「標的核酸配列を測定する」とは、サンプル中の特定の標的核酸の存在の決定、またはサンプル中の標的核酸の存在の指標としてのこのサンプル中の特定の標的核酸の量の決定を言う。測定または検出することができる標的核酸の量は好ましくは、約1分子〜1020分子、より好ましくは約100分子〜1017分子、最も好ましくは約1000分子〜1014分子である。本発明の一実施形態によれば、検出される核酸は、本発明による切断構造の下流プローブ(例えば、図4のC)の標識5’末端由来であり、これは標的核酸が本発明による切断構造の上流プローブ(例えば、図4のA)の3’伸長に置換されている。本発明によれば、本発明による切断構造を含む下流プローブ(例えば、図4のC)の5’末端に標識が結合している。あるいは、下流プローブの3’末端に標識が結合し、そして下流プローブの5’フラップにクエンチャーが結合している。本発明によれば、本発明による切断構造を含む下流プローブの3’末端(例えば、図4のC)に標識を結合させてもよい。
本発明によれば、下流プローブ(例えば、図4のC)を内部標識してもよい。好ましい実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、前記標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブ(前記プローブは、前記標的核酸にアニーリングしないで5’フラップを形成する非相補的な標識の5’領域および前記標的核酸にアニーリングする相補的な3’領域をさらに含む)とをインキュベートすることによって調製され得る。本発明のこの実施形態によれば、検出される核酸は、プローブの標識された5’フラップ領域由来である。好ましくは、標的核酸配列の量と切断され検出された核酸によって発生したシグナルとの間に直接的な相関関係が存在する。
別の実施形態では、このプローブは、オリゴヌクレオチドプローブが変性している(例えば、プローブの二次構造における変化に起因する)間または加水分解の間に標識を分離できるように位置決めされた1対の相互作用標識(例えば、FRET、または非FRET対)で標識される。本明細書において用いる場合、「固体支持体上の捕獲エレメントによって捕獲されるフラグメントの量を検出すること」、または「固体支持体上の捕獲エレメントによって捕獲されるフラグメントの量を測定すること」、または「固体支持体上の捕獲エレメントによって捕獲されるフラグメントの量を検出すること」、または「固体支持体上の捕獲エレメントによって捕獲されるフラグメントの量を測定すること」とは、サンプル中の標識フラグメントもしくは未標識フラグメントの存在を決定すること、またはサンプル中の標識フラグメントもしくは未標識フラグメントの量を決定することを言う。当分野で周知でありかつ本明細書中に記載の方法を用いて、固体支持体上の捕獲エレメントに対して結合した標識または未標識のフラグメントの遊離を、あるいは固体支持体上の捕獲エレメントからの標識または未標識のフラグメントの遊離後に検出または測定し得る。本明細書に記載される検出方法は、フラグメントを検出するように機能し、ここでフラグメントの量は、反応中で発生するフラグメントの割合が小さくても大きくても検出される。標識されたフラグメントの遊離を検出または測定する方法は、固体支持体上の捕獲エレメントに対して結合した標識フラグメントに存在する標識部分を測定または検出するために適切である。非標識フラグメントの検出または測定の方法としては、例えば、ゲル電気泳動、またはハイブリダイゼーション(当分野で周知の方法に従う)が含まれる。本発明に記載される検出方法は、遊離されたフラグメントの1または2モル程度(最大1〜2百万まで、例えば、10、100、1000、10,000、百万)が検出される場合、機能する。
本明細書において用いる場合、「標識(された)フラグメント」とは、本発明による標識された切断構造由来の切断されたモノヌクレオチド、または小さなオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをいい、この切断されたオリゴヌクレオチドは好ましくは、ヌクレアーゼによって切断構造から切断される、約1〜1000ヌクレオチド、より好ましくは約5〜50ヌクレオチド、そして最も好ましくは約16〜18ヌクレオチドであり、これは、当分野で周知でありかつ本明細書中に記載の方法によって検出することができる。一実施形態では、プローブは、二分子または多分子プローブであり、ここで前記プローブを含む第一の分子は、フルオロフォアで標識され、そして前記プローブを含む第二の分子は、クエンチャーで標識される。本明細書において用いる場合、「サブプローブ」および「サブクエンチャー」とは、本発明に従う二分子または多分子のプローブの第一の分子をいい、これは、フルオロフォアおよび本発明による二分子または多分子プローブの第二の分子(それぞれクエンチャーで標識される)で標識される。この実施形態によれば、標的核酸に対する二分子または多分子プローブの結合、およびヌクレアーゼによる切断の後、このサブプローブおよびサブクエンチャーは、互いから解離し(すなわち、サブプローブとサブクエンチャーとの間の距離が増大する)、そしてこの解離、ならびにサブプローブおよびサブクエンチャーの引き続く分離の結果としてシグナルが発生される。
好ましい実施形態では、この結合部分はタグである。
別の好ましい実施形態では、この結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
好ましい実施形態では、この方法はさらに、核酸ポリメラーゼを含む。
別の好ましい実施形態では、この切断構造はさらに、5’フラップを含む。
別の好ましい実施形態では、この切断構図はさらに、オリゴヌクレオチドプライマーを含む。
別の好ましい実施形態では、この二次構造は、ステム・ループ構造、ヘアピン構造、内部ループ、バルジ・ループ、分枝構造、ジュードノット構造、またはクローバー葉構造からなる群より選択される。
別の好ましい実施形態では、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、Archaeglobus fulgidus、Methanococcus jannaschii、Pyrococcus furiosus、ヒト、マウス、またはXenopus laevis由来のFENヌクレアーゼ酵素からなる群より選択される。本発明によるFENヌクレアーゼとしてはまた、Saccharomyces cerevisiae RAD27、およびSchizosaccharomyces pombe RAD2、PolI DNAポリメラーゼ会合5’→3’エキソヌクレアーゼドメイン(例えば、E.coli、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus flavus(Tfl)、Bacillus caldotenax(Bca)、Streptococcus pneumoniae)、およびFENのファージ機能性ホモログ(T4、T5 5’→3’エキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼ、およびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼが含まれるが、これらに限定されない)も含まれる。
好ましくは、Taq、Tfl、およびBca FENヌクレアーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼドメインのみを用いる。
別の好ましい実施形態では、プローブはさらにレポーターを含む。
別の好ましい実施形態では、このレポーターはタグを含む。
別の好ましい実施形態では、このフラグメントは、捕獲エレメントに対するタグの結合によって捕獲される。
別の好ましい実施形態では、シグナルを発生し得る少なくとも1つの標的部分を含む切断構造が形成される。
別の好ましい実施形態では、プローブが標的核酸に結合されない場合に検出シグナルを消光するようにプローブ上に効率的に配置される、1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む、切断構造が形成される。
別の好ましい実施形態では、標識部分は、ヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって隔てられ、その結果、ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が、前記ヌクレアーゼ切断に感受性である部位を切断することにより、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離することが可能になり、それによって検出可能なシグナルが発生する。
上記のような、1対の相互作用性シグナル発生標識部分の存在によって、捕獲エレメントに結合し得るアニーリングされた未切断のプローブと、捕獲エレメントに結合される遊離された標識フラグメントとを識別することが可能になる。
別の好ましい実施形態では、相互作用性シグナル発生部分の対は、消光部分および蛍光部分を含む。
本発明はまた、サンプル中の標的核酸を検出するためのポリメラーゼ連鎖反応プロセスを提供する。このプロセスは、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブを含む切断構造を提供するステップを含み、前記プローブはさらに結合部分、1セットのオリゴヌクレオチドプライマーを含み、ここで第一のプライマーが標的核酸の1つの鎖における領域に相補的である配列を含み、かつ相補的DNA鎖の合成を開始し、そして第二のプライマーが、標的核酸の第二の鎖における領域に相補的な配列を含み、かつ相補的なDNA鎖の合成を開始する。このプロセスはまた、以下のPCRサイクルステップに許容的な条件下で、テンプレート依存性重合剤として核酸ポリメラーゼを使用して標的核酸を増幅するステップ、(i)標的核酸内に含まれるテンプレート核酸配列に対する増幅に必要なプライマーのアニーリングと、(ii)核酸ポリメラーゼにプライマー伸長産物を合成させ、前記プライマーを伸長するステップと、(iii)前記切断構造からの標識フラグメントの遊離用の切断剤としてヌクレアーゼを使用して切断構造を切断し、それによって検出可能な標識フラグメントを作成するステップとを含む。このプロセスによれば、この切断は、切断温度で行われ、そして二次プライマーの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される遊離された、標識フラグメントの量は、サンプル中の標的配列の存在の指標として検出および/または測定される。
本明細書において用いる場合、「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、核酸テンプレートにハイブリダイズ可能であり、かつ第2の核酸鎖の酵素合成を開始させる一本鎖のDNAまたはRNA分子を言う。本発明に従って有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、約6〜100ヌクレオチド長、好ましくは約17〜50ヌクレオチド長、より好ましくは約17〜45ヌクレオチド長である。本発明による切断構造の形成に有用なオリゴヌクレオチドプローブは、約17〜40ヌクレオチド長、好ましくは約17〜30ヌクレオチド長、そしてより好ましくは約17〜25ヌクレオチド長である。
本明細書において用いる場合、「テンプレート依存性重合剤」とは、適切な塩、金属陽イオン、適切な安定剤、およびpH緩衝系を含む反応媒体中での、適量の4つのデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)または本明細書中に記載のアナログの存在下で、オリゴヌクレオチドプライマーを伸長し得る酵素を言う。テンプレート依存性重合剤とは、プライマーおよびテンプレート依存性DNA合成を触媒し、かつ5’→3’ヌクレアーゼ活性を保有することが公知の酵素である。好ましくは、本発明によるテンプレート依存性重合剤は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠く。
本明細書において用いる場合、「増幅(する、ステップ)」とは、ポリメラーゼ連鎖反応の方法を含む核酸配列のさらなるコピーを作製することを言う。
好ましい実施形態では、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
好ましい実施形態では、結合部分はタグである。
別の好ましい実施形態では、この結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
別の好ましい実施形態では、ステップbのオリゴヌクレオチドプライマーは、フォワードプライマーが、切断構造の上流に位置し、かつリバースプライマーが切断構造の下流に位置するように方向付けられる。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、鎖置換活性を有する。
鎖置換活性を示し、かつ本発明に従って有用である核酸ポリメラーゼとしては、限定はしないが、「温度活性化」鎖置換活性を有する古細菌のDNAポリメラーゼ(Vent、Deep Vent、Pfu、JDF−3、KOD(LTIの商標Pfx)、Pwo、9 degrees North、Thermococcus aggregans、Thermococcus gorgonariusのエキソ・プラスおよびエキソ・マイナスのバージョン)、および鎖置換活性を有する真正細菌のDNAポリメラーゼ(エキソ・マイナスのBst、エキソ・マイナスのBca、Genta、Klenowフラグメント、エキソ・マイナスのKlenowフラグメントエキソマイナスT7DNAポリメラーゼ(Sequenase))が含まれる。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは熱安定性である。
熱の好ましい実施形態では、このヌクレアーゼは熱安定性である。
本明細書において用いる場合、「熱安定性」とは、例えば、類似の活性を有する非熱安定性型の酵素と比較して、好ましくは約90〜100℃、より好ましくは約70〜980Cほどの大きさの温度で安定かつ活性な酵素を言う。例えば、好温性生物、例えば、P.furiosus、M.jannaschii、A.fulgidus、またはP.horikoshii由来の熱安定性核酸ポリメラーゼまたはFENヌクレアーゼは、E.coli由来の核酸ポリメラーゼまたは哺乳動物FEN酵素と比較して、高温でより安定でかつ活性である。Thermus aquaticus(Taq)から単離された代表的な熱安定性核酸ポリメラーゼは、米国特許第4,889,818号に記載され、従来のPCRでのその使用法は、Saiki et al.,1988,Science,239:487に記載されている。P.furiosus(Pfu)から単離された別の典型的な熱安定性核酸ポリメラーゼは、Lundberg et al.,1991,Gene,108:1−6に記載されている。さらなる典型的な熱安定性ポリメラーゼとしては、例えば、好温性細菌Thermus flavus、Thermus ruber、Thermus thermophilus、Bacillus stearothermophilus(列挙した他の細菌よりも幾分低い至適温度を有する)、Thermus lacteus、Thermus rubens、Thermotoga maritimaから、または好温性古細菌Thermococcus litoralisおよびMethanothermus fervidusから抽出されたポリメラーゼが含まれる。
PCRサイクル中の高温(約95℃)への暴露によって二本鎖核酸が変性される熱サイクルプロセスでは、温度安定性のポリメラーゼおよびFENヌクレアーゼが好ましい。
別の好ましい実施形態では、ヌクレアーゼはフラップ特異性ヌクレアーゼである。
別の好ましい実施形態では、このプローブはさらにレポーターを含む。
別の好ましい実施形態では、このレポーターはタグを含む。
別の好ましい実施形態では、このフラグメントは、捕獲フラグメントに対するこのタグの結合によって捕獲される。
別の好ましい実施形態では、シグナルを発生し得る少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が形成される。
別の好ましい実施形態では、プローブが標的核酸に結合されない場合に検出シグナルを消光するようにプローブ上に効率的に位置される、1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む、切断構造が形成される。
別の好ましい実施形態では、標識部分は、ヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって隔てられ、その結果、ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が、このヌクレアーゼ切断に感受性である部位を切断することにより、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離することが可能になり、それによって検出可能なシグナルが発生する。
別の好ましい実施形態では、相互作用性シグナル発生部分の対は、消光部分および蛍光部分を含む。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、TaqポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼからなる群より選択される。
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応プロセスを提供し、ここでは、標的核酸の増幅および検出が、同時に起きる(すなわち、リアルタイムの検出)。本発明はまた、標的核酸配列の検出前に標的核酸の増幅が生じる(すなわち、終点検出)ポリメラーゼ連鎖反応のプロセスを提供する。
本発明はまた、切断構造を同時に形成し、サンプル中で標的核酸を増幅し、そして切断構造を切断するためのポリメラーゼ連鎖反応のプロセスを提供する。前記プロセスは以下のステップを含む。(a)標的核酸の1つの鎖中の第一の領域に相補的な上流オリゴヌクレオチドプライマーと、前記標的核酸の同じ鎖中の第二の領域に相補的な下流標識プローブ(前記下流標識プローブは、前記標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を形成し得、前記プローブはさらに結合部分を含む)と、前記標的核酸の第二の鎖における領域に相補的な下流オリゴヌクレオチドプライマーを得るステップ。このプロセスのこのステップに従って、上流プライマーは、相補的なDNA鎖の合成を開始し、そして下流プライマーは、相補的なDNA鎖の合成を開始する。前記プロセスはまた、(b)固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって生成および捕獲される核酸を検出するステップを含む。検出される核酸は、標的核酸の増幅および切断を含む反応により生成され、この核酸ポリメラーゼは、以下のPCRサイクルを許容する条件下で、テンプレート依存性重合剤であり、ステップ(a)の上流プライマーのプライマー伸長産物が、ステップ(a)の下流プローブと部分的に置き換わり、切断構造を形成させる。(i)標的核酸配列内に対してプライマーをアニーリングさせるステップと、(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成し、ステップ(a)のプライマーを伸長するステップ。この条件はまた、(iii)前記切断構造から検出可能な標識フラグメントを遊離させるための切断剤としてヌクレアーゼを使用し、前記切断構造を切断するステップにも許容的である。この切断は、切断温度で行われ、そしてプローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。
好ましい実施形態では、この切断構造はさらに5’フラップを含む。
本発明はまた、切断構造を形成する方法を提供し、この方法は以下のステップを含む。(a)標的核酸を提供するステップと、(b)標的核酸に相補的な上流プライマーを提供するステップと、(c)標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有する下流プローブを提供するステップであって、このプローブが結合部分をさらに含むステップと、(d)標的核酸、上流プライマーおよび下流プローブをアニーリングさせるステップ。この切断構造は、切断温度でヌクレアーゼを用いて切断され得る。このプローブの二次構造は、標的核酸に結合されない場合、切断温度以下で安定である。
好ましい実施形態では、この切断構造は5’フラップを含む。
本発明はまた、標的核酸、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブ(このプローブはさらに結合部分を含む)、およびヌクレアーゼを含む組成物を提供する。この組成物のプローブおよび標的核酸は結合して、切断温度でヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成し得る。このプローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。
好ましい実施形態では、この組成物はさらにオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
別の好ましい実施形態では、前記プローブおよびオリゴヌクレオチドは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。
本発明はまた、サンプル中の標的核酸の存在の指標であるシグナルを発生させるためのキットを提供し、このキットは、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有するプローブ(このプローブはさらに、結合部分を含む)、およびヌクレアーゼを含む。このキットのプローブは、標的核酸に結合して、切断温度でヌクレアーゼによって切断され得る切断構造を形成し得る。プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。
好ましい実施形態では、このキットはさらにオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
別の好ましい実施形態では、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
別の好ましい実施形態では、プローブは、少なくとも1つの標識部分を含む。
別の好ましい実施形態では、このプローブは、プローブが標的核酸に結合されない場合、検出可能なシグナルを消光するように効率的に位置された1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む。
別の好ましい実施形態では、標識部分は、ヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって隔てられ、その結果、ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性により、ヌクレアーゼ切断に対して感受性である部位での切断が起こり、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離することが可能になり、それによって検出可能なシグナルが発生する。
別の好ましい実施形態では、相互作用性シグナル発生部分の対は、消光部分および蛍光部分を含む。
本発明のさらなる特徴および利点は以下のとおりである。特許請求の範囲に記載の本発明は、標的核酸を検出および/または測定するためのシグナルの発生の方法を提供し、ここではシグナル発生がサンプル中の標的核酸の存在の指標である。特許請求の範囲に記載の本発明の方法は、複数のステップを必要としない。特許請求の範囲に記載の本発明はまた、標的核酸の存在の指標としてシグナルを発生させるステップを含む、標的核酸を検出および/または測定するためのPCRベースの方法を提供する。特許請求の範囲に記載の本発明によって、標的核酸配列の同時増幅および検出および/または測定が可能である。特許請求の範囲に記載の本発明はまた、標的核酸を検出および/または測定するためのPCRベースの方法を提供し、この方法は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示す核酸ポリメラーゼの不在下でシグナルを発生させるステップを含む。本発明のさらなる特徴および利点は、以下の実施形態の記載およびその図面ならびに特許請求の範囲からより詳細に明らかとなる。
本発明は、核酸が核酸ポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)およびヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)の組み合わせで処理される、サンプル中の標的核酸の存在を検出するためのシグナルを発生させる方法を提供する。本発明はまた、サンプル中での標的核酸配列の同時の増幅、切断および検出を可能にする、核酸を検出または測定するためのプロセスを提供する。
本発明の実施は、他に示さない限り、当分野の技術の範囲内である分子生物学、微生物学および組換えDNA技術の従来の技術を使用する。このような技術は、文献に詳細に例示される。例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis、1989、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版;「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait ed.,1984);「Nucleic Acid Hybrydization」(B.D.Harnes & S.J.Higgins ed.,1984);「A Practical Guide to Molecular Cloning」(B.Perbal,1984);およびシリーズのMethods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Short Protocols In Molecular Biology(Ausubel et al.ed.,1995)を参照のこと。本明細書中で言及(上記および下記の両方)のされる全ての特許、特許出願、および刊行物は、本明細書中で参照により組み込まれる。
I.ヌクレアーゼ
本発明に従って有用なヌクレアーゼとしては、5’エンドヌクレアーゼ的な活性を保有する任意の酵素、例えば、DNAポリメラーゼ、例えば、E.coli由来のDNAポリメラーゼI、ならびにThermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilius(Tth)、およびThermus flavus(Tfl)由来のDNAポリメラーゼが含まれる。本発明に従って有用なヌクレアーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれ、これには、限定はしないが、真正細菌のDNAポリメラーゼIが含まれ、これには、Thermus種由来の酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(caldophilus)Tbr(brockianus))、Bacillus種由来の酵素(Bst、Bca、Magenta(全長ポリメラーゼ、NOT N短縮バージョン))、Thermotoga種由来の酵素(Tma(maritima、Tne(neopolitana))およびE.coliのDNAポリメラーゼIが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを体現している。本発明に従って有用なヌクレアーゼは、標的核酸にハイブリダイズしないプローブもしくはプライマー、またはプローブもしくはプライマーにハイブリダイズされない標的核酸を切断できない。
本発明に従って有用なヌクレアーゼとしては、5’エンドヌクレアーゼ的な活性を保有する任意の酵素、例えば、DNAポリメラーゼ、例えば、E.coli由来のDNAポリメラーゼI、ならびにThermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilius(Tth)、およびThermus flavus(Tfl)由来のDNAポリメラーゼが含まれる。本発明に従って有用なヌクレアーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれ、これには、限定はしないが、真正細菌のDNAポリメラーゼIが含まれ、これには、Thermus種由来の酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(caldophilus)Tbr(brockianus))、Bacillus種由来の酵素(Bst、Bca、Magenta(全長ポリメラーゼ、NOT N短縮バージョン))、Thermotoga種由来の酵素(Tma(maritima、Tne(neopolitana))およびE.coliのDNAポリメラーゼIが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを体現している。本発明に従って有用なヌクレアーゼは、標的核酸にハイブリダイズしないプローブもしくはプライマー、またはプローブもしくはプライマーにハイブリダイズされない標的核酸を切断できない。
FEN−1は、5’一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、二本鎖DNAの2つの鎖が一本鎖アームに隣接する接合点に存在する切断部位で前記アームを見つけ出す約40kDaの二価の金属イオン依存性エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼである。エンドヌクレアーゼ的な活性およびエキソヌクレアーゼ的な活性の両方とも、フラップまたはニックの最も5’側の位置の塩基に対して感受性をほとんど示さない。FEN−1のエンドヌクレアーゼ的およびエキソヌクレアーゼ的な基質結合および切断は両方とも、上流オリゴヌクレオチド(フラップ隣接鎖またはプライマー)によって刺激される。これはまた、E.coliのpolIの場合も同様である。酵素のエンドヌクレアーゼ活性は、5’フラップの長さとは独立し、1ヌクレオチドほどの小ささの5’フラップの切断も行う。このエンドヌクレアーゼ活性およびエキソヌクレアーゼ活性は、基質の化学的性質に非感受性であり、DNAおよびRNAの両方を切断する。
エンドヌクレアーゼ的活性およびエキソヌクレアーゼ的活性の両方とも、生理学的な範囲の塩濃度で阻害される。0mMのNaClと比較して50mMのNaClではエキソヌクレアーゼ活性が50倍阻害される。エンドヌクレアーゼ活性は50mMのNaClで7倍しか阻害されない(Lieber 1997(前出)で概説)。
5’−OH末端は5’フラップ基質に対するFEN−1のローディングのための良好な基質であるが、それが二本鎖DNA構造中のニックの一部でない場合は、極めて不十分な基質としてしか作用しない。末端リン酸塩の静電気的相反はFEN−1の基質の活性形態を与える基質の偽フラップ(pseudo−flap)配置への基質の揺らぎ(breathing)に有利と考えられる。このような説明によって、単一の活性部位、およびニックのフラップまたは1つの偽フラップ配置の5’ssDNA末端へのFEN−1の単一のローディング機構が示される。このモデルは、ニックでの至適活性には塩基の対合を不安定化してニックのフラップへの揺らぎに有利である非常に低いMg2+および1価の塩濃度が必要であるという所見と一致する。より高いMg2+および1価の塩濃度は揺らぎに不利であり、フラップへの変換に揺らぎが必要であるニック化またはギャップ化構造の切断を阻害する。安定フラップ構造の切断には、中程度のMg2+レベルが最適であり、Mg2+濃度の増加に伴って切断は減少しない。これは、フラップ構造がその構造を達成するために塩基対を融解する必要がなく、そのため、Mg2+に全く非感受性であるという理由である。エンドヌクレアーゼ的活性は1価の塩で減少するが、エキソヌクレアーゼ的活性で認められる減少ほど急な減少ではない。さらに、1ヌクレオチドフラップは有効な基質であることが以前に示されている。これらの所見の全ては、FEN−1がエキソヌクレアーゼとして機能すると解釈される場合、分解産物のサイズは1〜数ヌクレオチド長に変化するという事実と一致している。ニックの種々の長さのフラップへの揺らぎは、G/C含量に依存する局所配列によって変化すると予想される。まとめると、一過性のフラップを形成するニックの揺らぎは、FEN−1のエキソヌクレアーゼ的活性がエンドヌクレアーゼ的活性と同一であるということを意味する(Lieber,1997(前出)に概説)。
FEN−1のエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼの活性は、補助タンパク質の必要なしに、DNAおよびRNAの両方を切断する。しかし、複製フォークでは、FEN−1は他のタンパク質(DNAヘリカーゼおよび増幅細胞核抗原(PCNA)、DNAポリメラーゼδおよびεの進化性因子(processivity factor)を含む)と相互作用する。PCNAは、FEN−1のエンドヌクレアーゼ的活性およびエキソヌクレアーゼ的活性を有意に刺激する。
FEN−1酵素は、いくつかのより小さなバクテリオファージ5’→3’エキソヌクレアーゼ(例えば、T5 5’エキソヌクレアーゼおよびT4 RNアーゼH)ならびにより大きな真核生物ヌクレオチド除去修復(excision repair)酵素(例えば、XPG)(酸化的塩基損傷の転写組み合わせ修復においても作用する)に機能的に関連する。Escherichia coliおよびThermus aquaticusなどの真正細菌では、PolI5’→3’エキソヌクレアーゼドメインによって岡崎プロセシングが行われる。これらの細菌およびファージ酵素は約7つの保存酸性残基に残基類似性が集中している、FEN−1との限定された2つの配列相同領域(N(N末端)およびI(中間)領域と名づける)を共有している。T4 RNアーゼHおよびT5エキソヌクレアーゼの結晶構造、ならびに変異誘発データに基づいて、これらの残基はDNA加水分解への影響に必要な2つのMg2+イオンに結合すると提唱されているが、各金属が触媒サイクルで果たす役割は、各酵素について微妙に異なり、十分に理解されていない(Hosfield et al.,1998b(前出)で概説)。
本発明で有用なFEN−1酵素をコードするfen−1遺伝子としては、マウスfen−1、ヒトfen−1、ラットfen−1、Xenopus laevisのfen−1、ならびに4つの古細菌Archaeglobus fulgidus、Methanococcus jannaschii、Pyrococcus furiosus、およびPyrococcus horikoshii由来のfen−1遺伝子が含まれる。FEN−1酵素をコードするcDNAクローンがヒト(GenBankアクセッション番号NM_004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号AA819793)、Xenopus laevis(GenBankアクセッション番号U68141およびU64563)、およびP.furiosus(GenBankアクセッション番号AF013497)から単離されている。P.horikoshiiフラップエンドヌクレアーゼの完全なヌクレオチド配列もまた決定されている(GenBankアクセッション番号AB005215)。FEN−1ファミリーには、Saccharomyces cerevisiae RAD27遺伝子(GenBankアクセッション番号Z28113、Y13137)、およびSaccharomyces pombe RAD2遺伝子(GenBankアクセッション番号X77041)も含まれる。Methanobacterium thermautotrophiculumの古細菌ゲノムもまた配列決定されている。FEN−1と原核生物およびウイルスの5’→3’エキソヌクレアーゼとの間の配列類似性は低いにもかかわらず、真核生物界内のFEN−1は、アミノ酸レベルでは高度に保存され、ヒトおよびS.cerevisiaeのタンパク質は60%同一であり、かつ78%類似である。3つの古細菌FEN−1タンパク質はまた、真核生物FEN−1酵素と相同性が高い(Matsui et al.,1999,J.Biol.Chem.,274:18297,Hosfield et al.,1998b,J.Biol.Chem.,273:27154、およびLieber,1997,BioEssays,19:233に概説)。
ヒトと他のFEN−1ファミリーメンバーとの間の2つの保存されたヌクレアーゼドメイン(N末端またはNおよび中間またはIのドメイン)の配列類似性は、92%(マウス)、79%(S.cerevisiae)、77%(S.pombe)、72%(A.fulgidus)、76%(M.jannaschii)、および74%(P.furiosus)である。
FEN−1は、5’一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、このフラップアームを二本鎖DNAの2つの鎖と一本鎖アームとの間の接合点に位置する切断部位へ移動させる。フラップの上流の鎖(フラップ隣接鎖またはプライマー鎖と呼ぶこともある)が取り除かれた場合、得られた構造を偽Y(図1を参照のこと)と名づける。この構造はFEN−1によって切断されるが、効率は1/20〜1/100である。FEN−1は3’一本鎖フラップを切断しない。しかし、エキソヌクレアーゼとして作用するFEN−1は、ギャップまたはニックを含むdsDNA基質を加水分解する(Hosfield et al.,1998a(前出)、Hosfield et al.,1999b(前出)、およびLieber、1997(前出)に概説)。エキソヌクレアーゼ的に、FEN−1はdsDNAのニックにおいて、そして低効率でギャップにおいて、または陥凹(recessed)5’末端で作用する。ギャップ構造では、FEN−1結合および切断の効率は約5ヌクレオチドまでのギャップのサイズの増加に伴って減少し、その後、dsDNA内の陥凹5’末端に対する活性と等価の切断レベルで安定化する。平滑末端dsDNA、陥凹3’末端、およびssDNAは切断されない(Lieber、1997(前出)で概説)。FEN酵素の切断活性は、参照により本明細書に組み込まれる、Yoon et al.,1999、Biochemistry、38:4809;Rao,1998,J.Bacteriol.,180;5406およびHosfield et al.,1998,Cell,95:135−146に記載される。
本発明に従って有用であるFENヌクレアーゼは、ヒト(GenBankアクセッション番号NM_004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号AA819793)、酵母(GenBankアクセッション番号Z28113 Y13137およびGenBankアクセッション番号X77041)、およびxenopus laevis(GenBankアクセッション番号U68141およびU64563)を含む種々の生物から単離されている。このような酵素は、当分野で周知の従来技術を用いてクローニングおよび過剰発現することができる。
本発明によるFENヌクレアーゼは、好ましくは熱安定性である。熱安定性FENヌクレアーゼは、4つの古細菌を含む種々の熱安定性生物から単離されかつ特徴づけられている。P.furiosusフラップエンドヌクレアーゼのcDNA配列(GenBankアクセッション番号AF013497)およびアミノ酸配列(Hosfield et al.,1998a、前出およびHosfield et al.,1998b)は決定されている。P.horikoshiiフラップエンドヌクレアーゼの完全なヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号AB005215)およびアミノ酸配列(Matsui et al.,前出)もまた決定されている。M.jannaschii(Hosfield et al.,1998bおよびMatsui et al.,前出)およびA.fulgidus(Hosfield et al.,1998b)のフラップエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列もまた決定されている。
熱安定性FEN1酵素は、当分野で周知であり、かつHosfield et al.,1998a(前出)、Hosfield et al.,1998b、Kaiser et al.,1999,J.Biol.Chem.,274:21387、およびMatsui et al.(前出)に記載の技術、ならびに本明細書中の実施例2「Pfu FEN−1のクローニング」と題された技術を用いてクローニングおよび過剰発現することができる。
FEN酵素のエンドヌクレアーゼ活性を、以下を含む種々の方法で測定することができる。
A.FENエンドヌクレアーゼ活性アッセイ
1.テンプレート(例えば、図2に示される)を用いて、本発明によるFENヌクレアーゼ活性を評価する。
1.テンプレート(例えば、図2に示される)を用いて、本発明によるFENヌクレアーゼ活性を評価する。
テンプレート1は、以下の配列を有する5’33P標識オリゴヌクレオチド(Heltest4)である。
5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号1)。Heltest4の下線部分は、M13mp18+に相補的な領域を示す。切断産物は、配列AAAATAAATAAAAAAAAT(配列番号2)を含む18ヌクレオチドのフラグメントである。
5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号1)。Heltest4の下線部分は、M13mp18+に相補的な領域を示す。切断産物は、配列AAAATAAATAAAAAAAAT(配列番号2)を含む18ヌクレオチドのフラグメントである。
Heltest4は、M13に結合して相補二本鎖ドメインおよび非相補5’オーバーハングを生じる。この二本鎖により、ヘリカーゼアッセイでも用いられるテンプレート2(図2)が形成される。テンプレート3(図2)はM13に結合し、Heltest4に直接隣接するさらなるプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は、5’CCATTCGCCATTCAGGCTGCGCA3’(配列番号3)である。テンプレート3の存在下で、FENはHeltest4の遊離の5’末端に結合し、接合点に移動し、そしてHeltest4を切断して18ヌクレオチドのフラグメントを生じる。テンプレート1および2はコントロールとして機能するが、テンプレート2はテンプレートとしても機能し得る。
テンプレートを以下に記載のように調製する。
テンプレート1 テンプレート2 テンプレート3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 ** 14μl 14μl
FENAS ** ** 14μl
H2O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl 4.6μl
テンプレート1 テンプレート2 テンプレート3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 ** 14μl 14μl
FENAS ** ** 14μl
H2O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl 4.6μl
10×Pfu緩衝液はStratagene(カタログ番号200536)から入手可能である。本発明の方法によれば、10×Pfu緩衝液を、1×緩衝液の存在下で反応を行うように希釈する。
M13は、M13mp18+鎖であり、200ng/μLの濃度であり、33P標識Heltest4は、約0.7ng/μlの濃度であり、FENASは4.3ng/μlの濃度である。これらの濃度に基づくと、Heltest4およびM13は、およそ等モル量(5×10−14)であり、FENASは約10倍モル過剰(6×10−13)で存在する。
テンプレート混合物は、950Cで5分間加熱し45分間室温に冷却し、4℃で一晩保存する。
2μlのFEN−1またはコントロールとしてのH2Oを、以下のように3つのテンプレートと混合する。
3μl テンプレート
0.7μl 10×クローニングPfu緩衝液
0.56μl 100mM MgCl2
2.00μlの酵素またはH2O
0.74μl H2O
全量7.00μl。
3μl テンプレート
0.7μl 10×クローニングPfu緩衝液
0.56μl 100mM MgCl2
2.00μlの酵素またはH2O
0.74μl H2O
全量7.00μl。
この反応を50℃で30分間進行させ、各サンプルへの2μlのホルムアミド「シークエンシング停止」溶液の添加によって停止させる。サンプルを95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミドの7M尿素CastAway(Stratagene)ゲルにロードする。
あるいは、FEN活性は、1時間のインキュベーション時間を利用する以下の緩衝液で分析してもよい。
10×FEN緩衝液
500mM Tris−HCl(pH8.0)
100mM MgCl2
10×FEN緩衝液
500mM Tris−HCl(pH8.0)
100mM MgCl2
以下の反応混合物を、2μlのFEN、またはコントロールとしての2μlのH2Oと混合する。
3μl テンプレート
0.7μl 10×FEN緩衝液
2.00μl 酵素またはH2O
1.3μl H2O
全量7.00μl。
3μl テンプレート
0.7μl 10×FEN緩衝液
2.00μl 酵素またはH2O
1.3μl H2O
全量7.00μl。
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。サンプルを、11インチ長の、用時調製の20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素ゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸漬させる。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆い、加熱吸引ゲルドライヤー中で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させる。
2.FENエンドヌクレアーゼ活性はまた、Kaiser et al.(前出)の方法に従って測定することもできる。要するに、10mMのMOPS(pH7.5)、0.05%のTween20、0.05%のNonidet P−40、10μg/mlのtRNA、そしてTaqPolおよびTthPolについては200mMのKCl、または全ての他の酵素については50mMのKClを含む10μlの体積中で反応を行う。分析される切断構造に依存して、反応条件を変化させてもよい。基質(21M)および種々の量の酵素を、表示(上記)の反応緩衝液と混合し、Chill−out(MJ Research)液体ワックスを重ねる。基質を900Cで20秒間加熱変性させて500Cに冷却し、次いでMgCl2またはMnCl2の添加によって反応を開始させ、特定の時間500Cでインキュベートする。10mMのEDTAおよび0.02%メチルバイオレット(Sigma)を含む10μlの95%ホルムアミドの添加によって反応を停止させる。サンプルを900Cで1分間加熱し、その直後に7M尿素、45mMのTrisホウ酸(pH8.3)1.4mMのEDTA緩衝液を含む20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)で電気泳動を行う。他で表示しない限り、レーンあたり1μlの各停止反応物をロードする。ゲルを、505nmフィルターを用いたFMBIO−100蛍光ゲルスキャナー(Hitachi)でスキャニングする。FMBIO分析ソフトウェア(バージョン6.0、Hitachi)を用いて未切断および切断基質に対応するバンドの強度から切断産物の画分を決定する。測定値を最初の切断率度に確実に近づけるために、切断産物の画分は20%を超えるべきではない。切断率とは、酵素濃度および反応時間(分)で割った切断産物の濃度と定義する。各酵素について、3つの測定点を用いて、率および実験誤差を決定する。
3.FENエンドヌクレアーゼ活性は、Hosfield et al.,1988a(前出)の方法に従って測定してもよい。要するに、13μlの最終容積中で、種々の量のFENおよび1.54pmolの標識切断基質を、異なる温度で30分間インキュベートし、その後にこの反応を同容積の停止溶液(10mMのEDTA、95%脱イオンホルムアミド、および0.008%ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノール)で消光させる。サンプルを変性15%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、出発物質および生成物の相対量を、MacBAS画像分析ソフトウェアを実行するIPLabGelシステム(Stratagene)を用いて定量する。ほとんどの反応は、標準アッセイ緩衝液(10mMのTris−HCl(pH8.0)、10mMのMgCl2、および50μg/mlのウシ血清アルブミン)中で行うが、一連の実験では、異なる2価の金属およびpHレベルの効果を標準緩衝液を変化させて研究する。2価の金属については、MgCl2を除外し、異なる金属イオンを10mMの最終濃度で用いる。pHの影響を研究するために、異なる量のTris−HCl、グリシンおよび酢酸ナトリウムを含む緩衝液を10mMの最終濃度で用いて、250Cで広域のpHを得る。
4.FENエンドヌクレアーゼ活性は、Matsui et al.,1999(前出)の方法に従って測定してもよい。要するに、50mMのTris−HCl(pH7.4)、1.5mMのMgCl2、0.5mMのβ−メルカプトエタノール、100μg/mlのウシ血清アルブミン、および0.6pmolの標識切断構造を含む15μlの反応混合物中で酵素反応を行う。600Cで30分のインキュベーション後、10mMのEDTAおよび1mg/mlのブロモフェノールブルーを含む15μlの95%ホルムアミドの添加によって反応を停止させる。このサンプルを950Cで10分間加熱し、7M尿素および10×TBE(89mMのTris−HCl、89mMのホウ酸、2mMのEDTA(pH8.0))を含む15%ポリアクリルアミドゲル(35cm×42.5cm)にロードし、次いで、2000Vで2時間電気泳動する。反応生成物を可視化して、PhosphorImager(Bio−Rad)を用いて定量する。サイズマーカーであるオリゴヌクレオチドを、[γ−32P]ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼで5’末端標識する。
至適pHを決定するために、1.5mMのMgCl2、0.5mMのβ−メルカプトエタノール、100μg/mlウシ血清アルブミン、および0.6pmolの5’末端標識切断構造を50mMの以下の緩衝液中の1つに含むアッセイ混合物(15μl)中で600Cで30分間反応を行う。以下の3つの異なる50mMの緩衝液を用いて、以下のような広域のpHを得る。酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0〜5.5)、リン酸緩衝液(pH5.5〜8.0)、ホウ酸緩衝液(pH8.0〜9.4)。
B.FENエキソヌクレアーゼ活性アッセイ
本発明によるFENヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、Matsui et al.,1999(前出)に記載され、上記でまとめられているFEN−1エンドヌクレアーゼ活性測定法によって測定することができる。
本発明によるFENヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、Matsui et al.,1999(前出)に記載され、上記でまとめられているFEN−1エンドヌクレアーゼ活性測定法によって測定することができる。
あるいは、FEN酵素のエキソヌクレアーゼ活性は、Hosfield et al.,1998b(前出)に記載の方法によって分析することができる。要するに、エンドヌクレアーゼアッセイで記載された条件(上記)と同一の条件下で、FENのニック化基質を用いてエキソヌクレアーゼ活性をアッセイする。
エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼの両方の実験における正確なDNA切断位置は、クレノウフラグメントの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を用いた5’32P標識テンプレート鎖の部分的消化によって得ることができる。
本発明の一実施形態による切断構造は、標的核酸にアニーリングしたオリゴヌクレオチドプローブの部分的に置換された5’末端を含む。本発明による別の切断構造は、標的核酸(例えば、図4のB)、本発明による上流オリゴヌクレオチドプローブを含み、そして、標的配列に相補的である領域(例えば、図4のA)、およびこの標的配列に相補的である下流オリゴヌクレオチド(例えば、図4のC)を含む。本発明による切断構造は、上流オリゴヌクレオチドと下流プローブとの間の重複によって、または核酸ポリメラーゼの合成活性による上流オリゴヌクレオチドの伸長と、それに続く下流オリゴヌクレオチドの5’末端の部分的置換によって、形成され得る。「切断構造」と題された項に記載の方法に従ってこの型の切断構造を形成する。
あるいは、本発明による切断構造は、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブに対して標的核酸をアニーリングすることによって形成され、前記オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸に相補的である領域と、前記標的核酸にアニーリングしない非相補性領域とを含み、そして5’フラップを形成する。本実施形態によれば、切断構造は、オリゴヌクレオチドの非相補領域によって形成された5’フラップを含む。
本発明による切断構造はまた、重複フラップを含み、ここで標的核酸にアニーリングすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)は標的核酸にアニーリングする本発明による下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1(または複数)の塩基対に相補的であり、1つ(または複数)の塩基対重複は、一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流であり、そしてタイトル「切断構造」の項に記載の方法に従って形成される。一実施形態では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする。別の実施形態では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする。
II.核酸ポリメラーゼ
本発明は核酸ポリメラーゼを提供する。好ましくは、本発明による核酸ポリメラーゼは熱安定性である。
本発明は核酸ポリメラーゼを提供する。好ましくは、本発明による核酸ポリメラーゼは熱安定性である。
本発明に従って有用な公知のDNAポリメラーゼとしては、例えば、E.coliのDNAポリメラーゼI、Thermus thermophilus(Tth)のDNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilusのDNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralisのDNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、およびPyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼが含まれる。
本発明に従って有用な公知のRNAポリメラーゼとしては、例えば、バクテリオファージT7、T3およびSP6のRNAポリメラーゼ、E.coliのRNAポリメラーゼホロ酵素、E.coliのRNAポリメラーゼコア酵素、およびヒトRNAポリメラーゼI、II、III、ヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼおよびNS5B RNAポリメラーゼ(HCV由来)が含まれる。
本発明において有用な核酸ポリメラーゼとしてはまた、逆転写酵素が含まれる。本発明に従って有用な公知の逆転写酵素としては、例えば以下が含まれる。モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RT。
本発明に従って有用な、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く核酸ポリメラーゼとしては、限定はしないが、クレノウおよびクレノウエキソポリメラーゼ、およびT7 DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ)が含まれる。
本発明によって有用な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く熱安定性核酸ポリメラーゼとしては、限定はしないが、Pfu、エキソ−Pfu(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuの変異型)、TaqのStoffelフラグメント、N短縮Bst、N短縮Bca、Genta、JdF3エキソ−、Vent、Ventエキソ−(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くVentの変異型)、Deep Vent、Deep Ventエキソ−(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くDeep Ventの変異型)、U1Tma、ThermoSequenaseおよびThermus Thermostable RNA Polymeraseが含まれる。
本発明によって有用な核酸ポリメラーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く天然のポリメラーゼおよびポリメラーゼ変異体の両方が含まれる。本発明によって有用な核酸ポリメラーゼは、異なる程度の熱安定性を保有し得る。好ましくは、本発明による核酸ポリメラーゼは、核酸プライマーを伸長させることができる温度で鎖置換活性を示す。本発明の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’→3’および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を欠く。
本発明に従って有用な異なる程度の熱安定性を有する、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くさらなる核酸ポリメラーゼを以下に列挙する。
A.バクテリアファージDNAポリメラーゼ(370Cでのアッセイに有用):
バクテリオファージDNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が別のポリペプチドによってコードされるのでこの活性を欠く。適切なDNAポリメラーゼの例は、T4、T7、およびφ29DNAポリメラーゼである。市販の酵素は以下である。T4(多数の供給源(例えば、Epicentre)から市販されている)およびT7(多数の供給源(例えば、未修飾についてはEpicentre、そして3’→5’エキソ−T7「シークエナーゼ(Sequenase)」DNAポリメラーゼについてはUSB)から市販されている)。
バクテリオファージDNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が別のポリペプチドによってコードされるのでこの活性を欠く。適切なDNAポリメラーゼの例は、T4、T7、およびφ29DNAポリメラーゼである。市販の酵素は以下である。T4(多数の供給源(例えば、Epicentre)から市販されている)およびT7(多数の供給源(例えば、未修飾についてはEpicentre、そして3’→5’エキソ−T7「シークエナーゼ(Sequenase)」DNAポリメラーゼについてはUSB)から市販されている)。
B.古細菌DNAポリメラーゼ:
古細菌で同定されたDNAポリメラーゼには以下の2つの異なるクラスが存在する。1.ファミリーB/polα型(Pyrococcus furiosus由来のPfuのホモログ)、および2.polII型(P.furiosus DP1/DP2サブユニットポリメラーゼのホモログ)。両クラス由来のDNAポリメラーゼは、関連する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠き、かつ3’→5’エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を保有することが示されている。適切なDNAポリメラーゼ(polαまたはpolII)は、所望のアッセイ温度と類似の至適成長温度を有する古細菌に由来し得る。適切な古細菌の例としては、限定はしないが以下が含まれる。
古細菌で同定されたDNAポリメラーゼには以下の2つの異なるクラスが存在する。1.ファミリーB/polα型(Pyrococcus furiosus由来のPfuのホモログ)、および2.polII型(P.furiosus DP1/DP2サブユニットポリメラーゼのホモログ)。両クラス由来のDNAポリメラーゼは、関連する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠き、かつ3’→5’エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を保有することが示されている。適切なDNAポリメラーゼ(polαまたはpolII)は、所望のアッセイ温度と類似の至適成長温度を有する古細菌に由来し得る。適切な古細菌の例としては、限定はしないが以下が含まれる。
1.熱不安定性(370Cでのアッセイに有用)−例えば、Methanococcus voltae。
2.熱安定性(非PCRアッセイで有用)−例えば、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus acidocaldarium、Methanococcus jannaschi、Thermoplasma acidophilum。適切な古細菌は、80〜85℃以下の最大成長温度または70〜80℃以下の至適成長温度を示すと評価されている。
3.熱安定性(PCRアッセイで有用)−例えば、Pyrococcus種(furiosus、GB−D種、KOD1株の種、woesii、abysii、horikoshii)、Thermococcus種(litoralis、9°North−7種、JDF−3種、gorgonarius)、Pyrodictium occultum、およびArchaeoglobus fulgidus。適切な古細菌は、80〜85℃以上の最大成長温度または70〜80℃以上の至適成長温度を示すと評価されている。古細菌polαDNAポリメラーゼ群由来の適切なPCR酵素は市販され、これにはKOD(Toyobo)、Pfx(Life Technologies,Inc.)、Vent(New England BioLabs)、Deep Vent(New England BioLabs)、およびPwo(Boehringer−Mannheim)が含まれる。
上記で列挙された古細菌に関連するさらなる古細菌は、以下の引用文献に記載されている。Archaea:A Laboratory Manual(Robb,F.T.and Place,A.R.,eds.)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1995およびThermophilic Bacteria(Kristjansson,J.K.,ed.)、CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida,1992。
C.真正細菌DNAポリメラーゼ:
3つのクラスの真正細菌DNAポリメラーゼ(polI、II、およびIII)が存在する。PolIDNAポリメラーゼファミリーの酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、特定のメンバーはまた3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を示す。PolIIDNAポリメラーゼは、天然には5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を示す。PolIIIDNAポリメラーゼは、細胞の主要な複製的DNAポリメラーゼに相当し、複数のサブユニットから構成されている。polIII触媒性サブユニットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、同一のポリペプチド中に3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が存在する場合もある。
3つのクラスの真正細菌DNAポリメラーゼ(polI、II、およびIII)が存在する。PolIDNAポリメラーゼファミリーの酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、特定のメンバーはまた3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を示す。PolIIDNAポリメラーゼは、天然には5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を示す。PolIIIDNAポリメラーゼは、細胞の主要な複製的DNAポリメラーゼに相当し、複数のサブユニットから構成されている。polIII触媒性サブユニットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、同一のポリペプチド中に3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が存在する場合もある。
真正細菌のpolIIおよびpolIIIDNAポリメラーゼの供給源は市販されていない。種々の市販のPolIDNAポリメラーゼが存在し、そのいくつかは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が減少しているか消滅するように改変されている。polIDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性の消失に用いられている方法としては、以下が含まれる。
−変異誘発(Xu et al.,1997,J.Mol.Biol.,268:284およびKim et al.,1997,Mol.Cells,7:468に記載)、
−タンパク質分解消化によるN短縮(Klenow et al.,1971,Eur.J.Biochem.,22:371に記載)、または
−C末端フラグメントのクローニングおよび発現によるN短縮(Lawyer et al.,1993,PCR Methods Appl.,2:275に記載)。
−変異誘発(Xu et al.,1997,J.Mol.Biol.,268:284およびKim et al.,1997,Mol.Cells,7:468に記載)、
−タンパク質分解消化によるN短縮(Klenow et al.,1971,Eur.J.Biochem.,22:371に記載)、または
−C末端フラグメントのクローニングおよび発現によるN短縮(Lawyer et al.,1993,PCR Methods Appl.,2:275に記載)。
古細菌の供給源については、アッセイ温度要件によって、どの真正細菌(例えば、中温菌、好熱菌、超好熱菌)が本発明によって有用なDNAポリメラーゼの供給源として用いられるべきかを決定する。
1.中温菌/熱不安定性菌(370Cでのアッセイに有用)
i.天然で5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ:中温真正細菌、例えば、Escherchia coli、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenza、Mycobacterium種(tuberculosis、leprae)由来のpolIIまたはpolIII触媒サブユニット。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のためのPolIDNAポリメラーゼは、上記の中温真正細菌から単離することができる(Ci)。市販の真正細菌DNAポリメラーゼpolIフラグメントは、クレノウフラグメント(N短縮のE.coliのpolI;Stratagene)である。
i.天然で5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ:中温真正細菌、例えば、Escherchia coli、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenza、Mycobacterium種(tuberculosis、leprae)由来のpolIIまたはpolIII触媒サブユニット。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のためのPolIDNAポリメラーゼは、上記の中温真正細菌から単離することができる(Ci)。市販の真正細菌DNAポリメラーゼpolIフラグメントは、クレノウフラグメント(N短縮のE.coliのpolI;Stratagene)である。
2.熱安定性菌(PCRアッセイに有用)
i.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然で実質的に欠くDNAポリメラーゼ:好熱真正細菌、例えば、Bacilus種(例えば、stearothermophilus、caldotenax、caldovelox)由来のPolIIまたはpolIII触媒サブユニット。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のための適切なPolIDNAポリメラーゼは、上記のBacillusなどの好熱真正細菌から単離することができる。B.stearothermophilusのDNAポリメラーゼpolIの熱安定性N短縮フラグメントは市販され、商標名Bst DNAポリメラーゼI巨大フラグメント(Bio−RadおよびIsothermDNAポリメラーゼ(Epicentre))として販売されている。Bacillus caldotenax polIのC末端フラグメントは、Panvera(商標名Laddermanとして販売)から入手可能である。
i.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然で実質的に欠くDNAポリメラーゼ:好熱真正細菌、例えば、Bacilus種(例えば、stearothermophilus、caldotenax、caldovelox)由来のPolIIまたはpolIII触媒サブユニット。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のための適切なPolIDNAポリメラーゼは、上記のBacillusなどの好熱真正細菌から単離することができる。B.stearothermophilusのDNAポリメラーゼpolIの熱安定性N短縮フラグメントは市販され、商標名Bst DNAポリメラーゼI巨大フラグメント(Bio−RadおよびIsothermDNAポリメラーゼ(Epicentre))として販売されている。Bacillus caldotenax polIのC末端フラグメントは、Panvera(商標名Laddermanとして販売)から入手可能である。
3.熱安定性菌(PCRアッセイに有用)
i.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然には実質的に欠くDNAポリメラーゼ:Thermus種(aquaticus、thermophilus、flavus、ruber、caldophilus、filiformis、brokianus)由来またはThermotoga maritima由来のPolIIまたはpolIIIの触媒性サブユニット。Thermus thermophilusおよびThermus aquaticus由来の触媒polIIIサブユニットは、Yi−Ping et al.,1999,J.Mol.Evol.,48:756およびMcHenry et al.,1997,J.Mol.Biol.,272:178に記載されている。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のための適切なPolIDNAポリメラーゼは、Thermus種およびThermotoga maritima(上記)を含む種々の好熱性真正細菌から単離することができる。Thermus aquaticusのDNAポリメラーゼpolI(Taq)の熱安定性フラグメントは市販され、商標名KlenTaq1(Ab Peptides)、Stoffelフラグメント(Perkin−Elmer)、およびThermoSequenase(Amersham)として販売されている。C末端フラグメントに加えて、5’→3’エキソヌクレアーゼ−Taq変異体、例えば、TaqFS(Hoffman−LaRoche)もまた市販されている。Taqの5’→3’エキソヌクレアーゼ−バージョンに加えて、Thermotoga maritimaDNAポリメラーゼIのN短縮バージョンもまた市販されている(商標名UlTma、Perkin−Elmer)。
i.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然には実質的に欠くDNAポリメラーゼ:Thermus種(aquaticus、thermophilus、flavus、ruber、caldophilus、filiformis、brokianus)由来またはThermotoga maritima由来のPolIIまたはpolIIIの触媒性サブユニット。Thermus thermophilusおよびThermus aquaticus由来の触媒polIIIサブユニットは、Yi−Ping et al.,1999,J.Mol.Evol.,48:756およびMcHenry et al.,1997,J.Mol.Biol.,272:178に記載されている。
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ変異体:N短縮または変異誘発のための適切なPolIDNAポリメラーゼは、Thermus種およびThermotoga maritima(上記)を含む種々の好熱性真正細菌から単離することができる。Thermus aquaticusのDNAポリメラーゼpolI(Taq)の熱安定性フラグメントは市販され、商標名KlenTaq1(Ab Peptides)、Stoffelフラグメント(Perkin−Elmer)、およびThermoSequenase(Amersham)として販売されている。C末端フラグメントに加えて、5’→3’エキソヌクレアーゼ−Taq変異体、例えば、TaqFS(Hoffman−LaRoche)もまた市販されている。Taqの5’→3’エキソヌクレアーゼ−バージョンに加えて、Thermotoga maritimaDNAポリメラーゼIのN短縮バージョンもまた市販されている(商標名UlTma、Perkin−Elmer)。
上記の細菌に関連するさらなる真正細菌は、「Thermophilic Bacteria」(Kristjansson,J.K.,ed.)CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida,1992に記載されている。
D.真核生物5’→3’エキソヌクレアーゼ−DNAポリメラーゼ(370Cでのアッセイに有用)。
真核生物でいくつかのDNAポリメラーゼが同定され、これにはDNA polα(複製/修復)、δ(複製)、ε(複製)、β(修復)、およびγ(ミトコンドリア複製)が含まれる。真核生物DNAポリメラーゼは、この活性が別のポリペプチド(例えば、哺乳動物FEN−1または酵母RAD2)によってコードされるので、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。適切な熱不安定性DNAポリメラーゼは、種々の真核生物(酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞、ショウジョウバエ(Drosphila)を含むが、これらに限定されない)および真核ウイルス(例えば、EBV、アデノウイルス)から単離することができる。
真核生物でいくつかのDNAポリメラーゼが同定され、これにはDNA polα(複製/修復)、δ(複製)、ε(複製)、β(修復)、およびγ(ミトコンドリア複製)が含まれる。真核生物DNAポリメラーゼは、この活性が別のポリペプチド(例えば、哺乳動物FEN−1または酵母RAD2)によってコードされるので、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。適切な熱不安定性DNAポリメラーゼは、種々の真核生物(酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞、ショウジョウバエ(Drosphila)を含むが、これらに限定されない)および真核ウイルス(例えば、EBV、アデノウイルス)から単離することができる。
3’→5’エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を欠くDNAポリメラーゼ変異体は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くことに加えて、FENベースの検出ストラテジーにおいて改良された能力を示し得ることが可能である。例えば、固有の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の減少および消滅は、標識プローブの非特異的エキソヌクレアーゼ分解の減少によってバックグラウンドシグナルを低減し得る。3つの3’→5’エキソヌクレアーゼモチーフが同定され、これらの領域の変異によって、クレノウ、φ29、T4、T7、およびVent DNAポリメラーゼ、酵母Polα、Polβ、およびPolγ、ならびにBacillus subtilis PolIIIの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が消滅することが示されている(Derbeyshire et al.,1995,Methods.Enzymol.262:363に概説)。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性か減少または消滅したさらなるDNAポリメラーゼ変異体の調製法は、当分野で周知である。
5’→3’および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を欠く市販の酵素としては、Sequenase(エキソ−T7;USB)、Pfuエキソ−(Stratagene)、エキソ−Vent(New England BioLabs)、エキソ−Deep Vent(New England BioLabs)、エキソ−クレノウフラグメント(Stratagene)、Bst(Bio−Rad)、Isotherm(Epicentre)、Ladderman(Panvera)、KlenTaq1(Ab Peptides)、Stoffelフラグメント(Perkin−Elmer)、ThermoSequenase(USB)、およびTaqFS(Hoffman−LaRoche)が含まれる。
Pfu以外のポリメラーゼを用いる場合、本発明によって有用な特定のポリメラーゼによって至適活性が得られるように緩衝液および伸長温度を選択する。本発明によるポリメラーゼに有用な緩衝液および伸長温度は当分野で公知であり、製造供給元の仕様書からも決定できる。
E.RNAポリメラーゼ
本発明において有用なRNAポリメラーゼとしては、DNA依存性RNAポリメラーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼの両方が含まれる。RNA依存性RNAポリメラーゼは、プライミングされたテンプレートから、プライミングされていないテンプレートから、またはプライミングされたもしくはプライミングされていないテンプレートのいずれかから、RNAの新規な鎖を合成できることを特徴とする。RNAポリメラーゼは、プライマーの不在下で一本鎖RNAテンプレートからRNAを認識かつ合成することが特定されている。このタイプのプライミング機構の例は、NS5Bと名づけられたC型肝炎ウイルス(HCV)のRNAポリメラーゼである。NS5Bは、HCVのRNAゲノムを複製することを担うRNAポリメラーゼとして特徴付けられている。NS5Bは、自己プライミング、既存のプライマーを伸長すること、または新規なRNA合成を開始することによってRNA合成の伸長を触媒することが実証されている。Luo et al.,J.Virol.,2000,74(2):851−853。
本発明において有用なRNAポリメラーゼとしては、DNA依存性RNAポリメラーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼの両方が含まれる。RNA依存性RNAポリメラーゼは、プライミングされたテンプレートから、プライミングされていないテンプレートから、またはプライミングされたもしくはプライミングされていないテンプレートのいずれかから、RNAの新規な鎖を合成できることを特徴とする。RNAポリメラーゼは、プライマーの不在下で一本鎖RNAテンプレートからRNAを認識かつ合成することが特定されている。このタイプのプライミング機構の例は、NS5Bと名づけられたC型肝炎ウイルス(HCV)のRNAポリメラーゼである。NS5Bは、HCVのRNAゲノムを複製することを担うRNAポリメラーゼとして特徴付けられている。NS5Bは、自己プライミング、既存のプライマーを伸長すること、または新規なRNA合成を開始することによってRNA合成の伸長を触媒することが実証されている。Luo et al.,J.Virol.,2000,74(2):851−853。
RNAポリメラーゼはまた、プライミングされた一本鎖RNAテンプレートからRNAを認識かつ合成することが同定されている。いくつかの引用文献、例えば、Schiebel et al.,J.Biol.Chem.,1993,268(16):11858−11867,Tang et al.,Genes and Dev.,2003,17(1):49−63、または2005年8月31日出願、米国特許出願第11/217,972号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)では、この文脈で用いられ得るRNAポリメラーゼを詳述している。これらの場合、RNAポリメラーゼを用いて、RNAの標的集団を選択的に増幅してもよい。
「RNA依存性RNAポリメラーゼ」とは、RNAから複数のRNAコピーを合成する酵素である。表3は、本発明を行うのに有用であり得るRNA依存性RNAポリメラーゼの非網羅的な列挙を示す。これらのポリメラーゼおよびこれらを用いて標的を増幅する方法は、2005年8月31日出願の米国特許出願第11/217,972号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
「DNA依存性RNAポリメラーゼ」とは、(通常は二本鎖の)プロモーター配列を有する二本鎖のまたは部分的に二本鎖のDNA分子から複数のRNAコピーを合成する酵素である。本発明は、一本鎖プロモーターを認識するRNAポリメラーゼとともに、一本鎖のプロモーターを含むことが留意されるべきである。DNA依存性のRNAポリメラーゼの例は、E.coli由来のDNA依存性RNAポリメラーゼ、ならびにバクテリオファージT7、T3およびSP6である。本発明における使用に適切なDNA依存性RNAポリメラーゼは、市販されている。
一実施形態では、DNA依存性RNAポリメラーゼは、熱安定性である。熱安定性のRNAポリメラーゼは、Thermus thermophilus由来であることが、実証されている。
RNAポリメラーゼは、天然または組換えのいずれかの供給源から得ることができる。例えば、天然のウイルスRNAポリメラーゼは、ウイルス感染した宿主細胞から単離され得る。例としては、Pfeiffer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(2003)100(12):7289−7294に記載されるようなウイルス力価および感染の方法論を用いるハニー(honey)血清型1のポリオウイルスによるHeLa細胞の感染が含まれる。細胞性RNAポリメラーゼは、天然のRNAポリメラーゼを発現する細胞から得ることが可能で、ここでは細胞が増殖されて、Sciebel et al.(1993)のとおりRNAポリメラーゼが回収される。適切なRNA依存性RNAポリメラーゼは市販もされている。
F.逆転写酵素
本明細書において用いる場合、「逆転写酵素(RT)」という用語は、本明細書に開示されるか、または当分野で公知である方法によって測定される、逆転写酵素活性を示す任意の酵素を指す。従って、本発明の「逆転写酵素」としては、レトロウイルス、他のウイルスおよび細菌由来の逆転写酵素、ならびに逆転写酵素活性を示すDNAポリメラーゼ、例えば、TthDNAポリメラーゼ、TaqDNAポリメラーゼ、TneDNAポリメラーゼ、TmaDNAポリメラーゼなどが含まれる。レトロウイルス由来のRTとしては、限定はしないが、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTが含まれ、そして米国特許出願公開第2003/0198944号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。概説については、例えば、Levin,1997,Cell,88:5−8;Brosius et al.,1995,Virus Genes 11:163−79を参照のこと。
本明細書において用いる場合、「逆転写酵素(RT)」という用語は、本明細書に開示されるか、または当分野で公知である方法によって測定される、逆転写酵素活性を示す任意の酵素を指す。従って、本発明の「逆転写酵素」としては、レトロウイルス、他のウイルスおよび細菌由来の逆転写酵素、ならびに逆転写酵素活性を示すDNAポリメラーゼ、例えば、TthDNAポリメラーゼ、TaqDNAポリメラーゼ、TneDNAポリメラーゼ、TmaDNAポリメラーゼなどが含まれる。レトロウイルス由来のRTとしては、限定はしないが、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTが含まれ、そして米国特許出願公開第2003/0198944号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。概説については、例えば、Levin,1997,Cell,88:5−8;Brosius et al.,1995,Virus Genes 11:163−79を参照のこと。
本明細書において用いる場合、「逆転写酵素活性」という用語は、酵素(例えば、逆転写酵素またはDNAポリメラーゼ)がテンプレートとしてRNA鎖を利用してDNA鎖(すなわち、cDNA)を合成する能力を指すとして交換可能に用いられる。RT活性を測定するための方法は、本明細書に提供され、そしてまた当分野で周知である。例えば、Quan−T−RTアッセイ系は、Amersham(Arlington Heights,I11)から市販され、そしてBosworth et al.,Nature 1989,341:167−168に記載されている。
ある実施形態では、逆転写酵素は、RNaseH活性が減少している(すなわち、RNaseH−酵素)。例えば、RNaseH活性の減少は、野性型または「RNaseH+」酵素(例えば、野性型M−MLVまたはAMV逆転写酵素)のRNaseH活性の20%未満、さらに好ましくは15%、10%または5%未満、そして最も好ましくは2%未満であってもよい。任意の酵素のRNaseH活性は、種々のアッセイ、例えば、米国特許第5,244,797号;同第5,405,776号;同第5,668,005号;および同第6,063,608号に;Kotewicz、M.L.et al.,Nucl.Acids Res.16:265(1988)に、そしてGerard、G.F.et al.,FOCUS 14(5):91(1992)(その全ての開示が参照により本明細書に詳細に組み込まれる)に記載のアッセイなどによって決定され得る。
本発明における使用のためのRNaseH逆転写酵素としては限定はしないが、M−MLV H−逆転写酵素、RSV H−逆転写酵素、AMV H−逆転写酵素、RAV H−逆転写酵素、MAV H−逆転写酵素、およびHIV H−逆転写酵素(例えば、以前に記載された)が含まれる(各々の内容が参照により組み込まれる米国特許第5,244,797号;同第5,405,776号;同第5,668,005号および同第6,063,608号;ならびにWO98/47912を参照のこと)。
本発明での使用のための逆転写酵素は、例えば、Invitrogen,Inc.(Carlsbad,Calif.),Pharmacia(Piscataway,N.J.),Sigma(Saint Louis,Mo.)またはRoche Molecular System(Pleasanton,Calif.)から購入できる。あるいは、逆転写酵素活性を有するポリペプチドは、当業者に周知である天然のタンパク質を単離および精製するための標準的な手順に従って、天然のウイルスまたは細菌の供給源から単離され得る(例えば、Houts,G.E.et al.,J.Virol.29:517(1979)を参照のこと)。さらに、逆転写酵素は、当業者になじみのある組換えDNA技術によって調製されてもよい(例えば、Kotewicz,M.L.et al.,Nucl.Acids Res.16:265(1988);Soltis,D.A.,およびSkalka、A.M.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3372−3376(1988)を参照のこと)。上記の引用文献の全体的な教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
RNaseH活性が低下している酵素はまた、当分野で公知の方法によって、例えば、対象の逆転写酵素内のRNaseHドメインを変異することによって、好ましくは、上記されるような、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,063,608号に記載されるような、1つ以上の点変異、1つ以上の欠失変異、および/または1つ以上の挿入変異によって得ることもできる。
III.核酸
A.本発明で有用な核酸配列
本発明は、標的核酸の検出または測定法を提供し、また、本発明による切断構造形成のために、オリゴヌクレオチド、プライマーおよびプローブ、ならびにテンプレート核酸配列の増幅のためのプライマーを利用する。
A.本発明で有用な核酸配列
本発明は、標的核酸の検出または測定法を提供し、また、本発明による切断構造形成のために、オリゴヌクレオチド、プライマーおよびプローブ、ならびにテンプレート核酸配列の増幅のためのプライマーを利用する。
本明細書において用いる場合、「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、検出すべきプライマー、プローブ、およびオリゴマーフラグメントをいい、そしてポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、およびプリンもしくはピリミジン塩基、または修飾プリンもしくはピリミジン塩基(脱塩基部位を含む)のNグリコシドである任意の他の型のポリヌクレオチドの総称である。「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語の間の長さに意図される差は存在せず、これらの用語は、交換可能に用いられる。これらの用語は、分子の一次構造のみを言う。従ってこれらの用語には、二本鎖および一本鎖DNAならびに二本鎖および一本鎖RNAが含まれる。
本明細書において用いる場合、核酸配列の相補性とは、一方の配列の5’末端が他の配列の3’末端と対合するように核酸配列を整列させた場合に「逆行性会合(antiparallel association)」であるオリゴヌクレオチドを言う。
オリゴヌクレオチドは、必ずしも任意の現存または天然の配列に物理的に由来しないが、任意の様式(化学合成、DNA複製、逆転写、またはその組み合わせを含む)で作製することができる。「オリゴヌクレオチド」または「核酸」という用語は、その合成の起源または操作によって(1)天然で会合しているポリヌクレオチドの全てまたは一部に会合していないか、そして/または(2)天然で連結しているもの以外のポリヌクレオチドに連結している、ゲノムDNAまたはRNA、cDNA、半合成、または合成起源のポリヌクレオチドを意図する。
1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がリン酸ジエステル結合を介して一方向でその隣接物の3’酸素に結合するような方式で、モノヌクレオチドが反応してオリゴヌクレオチドを作製するので、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に連結しない場合、「5’末端」と呼ばれ、その3’酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に連結しない場合、「3’末端」と呼ばれる。本明細書において用いる場合、「核酸配列」はまた、より大きなオリゴヌクレオチドの内部であったとしても、5’および3’末端を有するということができる。
2つの異なる非重複オリゴヌクレオチドが同一の鎖状の相補的な核酸配列の異なる領域にアニーリングし、一方のオリゴヌクレオチドの3’末端が他方の5’末端に向いている場合、前者を「上流」オリゴヌクレオチドと呼び、後者を「下流」オリゴヌクレオチドと呼んでもよい。
天然の核酸中で一般的には見出されない特定の塩基が、本発明の核酸に包含されてもよく、例えば、イノシンおよび7−デアザグアニンが包含される。相補性は完全でなくてもよく、安定な二本鎖は、ミスマッチ塩基対または非マッチ塩基を含んでもよい。核酸技術の当業者は、多数の変数(例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレチドの塩基組成および配列、イオン強度、ならびにミスマッチ塩基対の頻度を含む)を経験的に考慮して二本鎖安定性を決定することができる。
核酸二本鎖の安定性は、融点(すなわち、「Tm」)によって測定される。特定の条件下での特定の核酸二本鎖のTmは、塩基対の半分が解離する温度である。
B.本発明で有用なプライマーおよびプローブ
本発明は、テンプレート核酸配列の増幅のため、および本発明による切断構造の形成のための核酸の検出または測定に有用なオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを提供する。
本発明は、テンプレート核酸配列の増幅のため、および本発明による切断構造の形成のための核酸の検出または測定に有用なオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを提供する。
「プライマー」という用語は、1つより多いプライマーを指してもよく、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が触媒される条件下に置かれた場合に、相補鎖に沿った合成の開始点として作用することができる、天然に存在するか、精製された制限消化物としてか、または合成されたオリゴヌクレオチドを言う。このような条件としては、適切な緩衝液(「緩衝液」は、補助因子であるかpH、イオン強度などに影響を与える置換基を含む)中の4つの異なるデオキシリボヌクレオシド三リン酸および重合誘導剤、例えば、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在および適切な温度が含まれる。最大の増幅効率のためには、好ましくはプライマーは一本鎖である。
本発明によって有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、テンプレート核酸配列とハイブリダイズ可能な、第2の核酸鎖の酵素合成を開始させる一本鎖DNAまたはRNA分子である。プライマーは、核酸分子のプール中に存在する標的分子の一部に相補的である。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを化学的または酵素的いずれかの合成法によって調製することが意図される。あるいは、このような分子またはそのフラグメントは天然に存在し、その天然の供給源から単離するか、供給業者から購入する。オリゴヌクレオチドプライマーは、5〜100ヌクレオチド長、理想的には17〜40ヌクレオチド長であるが、異なる長さのプライマーが有用である。増幅のためのプライマーは、好ましくは約17〜25ヌクレオチドである。本発明による切断構造の作製のためのプライマーは、好ましくは約17〜45ヌクレオチドである。本発明による有用なプライマーは、融点評価法によって特定の融点(Tm)を有するようにも設計する。市販のプログラム(OligoTMを含む)、Primer Designおよびインターネットで利用可能なプログラム(Primer3およびOligo Calculatorを含む)を用いて、本発明によって有用な核酸配列の融点を計算してもよい。好ましくは、例えばOligo Calculatorによって計算した場合、本発明で有用な増幅プライマーのTmは、約45〜650Cとの間、より好ましくは約50℃〜60℃の間である。好ましくは、本発明によって有用なプローブのTmは、対応する増幅プライマーのTmより70C高い。
本発明に従うプライマーおよびプローブは、標識されてもよく、そして標識された切断構造を調製するために用いられてもよい。対の一本鎖DNAプライマー、DNAプライマー、およびプローブまたはプローブを、標的核酸内の配列にアニーリングしてもよい。特定の実施形態では、プライマーを用いて、標的核酸のDNA合成を増幅することを開始してもよい。
典型的には、2つの核酸配列が実質的に相補的である場合(少なくとも14〜25ヌクレオチドのストレッチにわたって少なくとも約65%相補的、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも約90%相補的)、選択的なハイブリダイゼーションが起こる。Kanehisa,M.,1984,Nucleic Acids Res.12:203(本明細書中で参照により組み込まれる)を参照のこと。結果として、プライミング部位での一定程度のミスマッチが許容されると予想される。このようなミスマッチは小さくてもよく、例えば、モノ、ジ、またはトリヌクレオチドである。あるいは、ミスマッチ領域は、中断のない一連の4つ以上のヌクレオチド中にミスマッチが存在する領域と定義される、ループを含んでもよい。
多数の因子がプライマーの第2の核酸分子へのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響する。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの設計には、これらの因子(プライマー長、ヌクレオチド配列および/または組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝液の組成、およびハイブリダイゼーションにプライマーが必要な領域における立体障害の潜在性を含む)を考慮する。
プライマー長と、プライマーが標的配列にアニーリングする効率および精度との間には正の相関が存在する。特に、より長い配列は短い配列よりも高い融点(TM)を有し、また、所与の標的配列内で反復される可能性も低いので、ハイブリダイゼーションのばらつきが最小になる。高G−C含量または回文構造配列を含むプライマー配列は、その意図する標的部位においてハイブリダイズするのと同じようにして自己ハイブリダイズする傾向がある。なぜなら、これは二分子よりもむしろ一分子のハイブリダイゼーション反応速度論が一般に溶液中で有利であるからである。しかし、十分なG−Cヌクレオチド対合数を含むプライマーを設計することが重要でもある。なぜなら、AとTとの塩基対が標的配列に結合する場合に見出される2つの水素結合ではなく、3つの水素結合で各G−C対が結合し、それによってより固く強力な結合が形成されるからである。ハイブリダイゼーション温度は、プライミング反応物またはハイブリダイゼーション混合物中に含まれ得る有機溶媒(例えば、ホルムアミド)の濃度と同様にプライマーアニーリング効率と反比例して変化するが、一方、塩濃度の増加は結合を促進する。ストリンジェントなアニーリング条件下では、より長いハイブリダイゼーションプローブまたは合成プライマーは、さらに許容的な条件下で十分である、さらに短いものよりも効率的にハイブリダイズする。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブに対して核酸配列がハイブリダイズすることを可能にする条件下で(例えば、95℃)、適切な緩衝液(例えば、1×Sentinel Molecular Beacon PCRコア緩衝液、Stratagene Catalog#600500;1×Pfu緩衝液、Stratagene Catalog#200536;または1×クローニングPfu緩衝液、Stratagene Catalog#200532)中で行われる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、変化してもよく(例えば、約1M未満の塩濃度から、さらに通常では、約500mM未満、そして好ましくは200mM未満)、そしてハイブリダイゼーション温度は、長さおよび/または核酸組成物またはオリゴヌクレオチドのプライマーおよび/またはプローブに依存して、変化してもよい(例えば、0℃程度の低さから22℃より上、約30℃より上、そして(ほとんどの場合)約37℃を超えて)。フラグメントが長いほど、特異的なハイブリダイゼーションに必要な温度は高くなり得る。いくつかの要因が、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与えるので、パラメータの組み合わせは、単一の要因の絶対的基準よりも重要である。
これらの検討材料を考慮してオリゴヌクレオチドプライマーを設計し、以下の方法に従って合成することができる。
1.オリゴヌクレオチドプライマー設計ストラテジー
配列決定またはPCRの対象のための特定のオリゴヌクレオチドプライマーの設計は、標的配列を認識することができるが最小の推定二次構造を有する配列の選択を含む。オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸配列の1つの部位のみに結合してもよいし、または結合しなくてもよい。さらに、オリゴヌクレオチドのTmをオリゴヌクレオチドの長さおよびGC含量の分析によって至適化する。さらに、ゲノムDNAの増幅に有用なPCRプライマーを設計する場合、選択されたプライマー配列はGenBankデータベース(または他の利用可能なデータベース)中の配列と有意なマッチングを示さない。
配列決定またはPCRの対象のための特定のオリゴヌクレオチドプライマーの設計は、標的配列を認識することができるが最小の推定二次構造を有する配列の選択を含む。オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸配列の1つの部位のみに結合してもよいし、または結合しなくてもよい。さらに、オリゴヌクレオチドのTmをオリゴヌクレオチドの長さおよびGC含量の分析によって至適化する。さらに、ゲノムDNAの増幅に有用なPCRプライマーを設計する場合、選択されたプライマー配列はGenBankデータベース(または他の利用可能なデータベース)中の配列と有意なマッチングを示さない。
本発明によって有用なプライマーの設計は、上記のいくつかのパラメータおよびプライマー配列の至適化の評価を支援するために開発された、容易に入手可能なコンピュータプログラムの使用によって容易になる。このようなプログラムの例は、DNAStarTMソフトウェアパッケージの「PrimerSelect」(DNAStar,Inc.;Madison、WI)、OLIGO 4.0(National Biosciences、Inc.)、PRIMER、オリゴヌクレオチド選択プログラム、PGEN、およびAmplify(Ausubel et al.,1995「Short Protocols in Molecular Biology(分子生物学ショートプロトコル)」、第3版、John Wiley&Sonsに記載)である。一実施形態では、(例えば、PCR産物を配列決定するための)さらなる増幅用の標的として役立つ末端上の公知の配列を有するPCR産物を作製するために、他のプライマーの標的として役立つ配列を用いてプライマーを設計する。多数の異なる標的核酸配列が共通の「テール配列」を共有する特異的プライマーで増幅された場合、これらの別個の遺伝子由来のPCR産物を単一のセットのプライマーを用いて引き続いて配列決定することができる。あるいは、増幅配列のその後のクローニングを容易にするために、その5’末端に付加された制限酵素部位配列を用いてプライマーを設計する。従って、プライマーの全ヌクレオチドは、制限酵素部位を形成するために必要ないくつかのヌクレオチドを除いて、標的核酸配列または標的核酸配列に隣接する配列由来である。このような酵素および部位は当分野で周知である。標的核酸のゲノム配列および標的核酸のオープンリーディングフレームの配列が公知である場合、特定のプライマーの設計は十分に当業者の技術の範囲内である。
本明細書に記載されるように、オリゴヌクレオチドが固体支持体に結合し、かつ結合部分またはタグに結合することができるように、オリゴヌクレオチドを特定の化学的および/または捕獲部分(本明細書に記載されるような捕獲エレメントを含む)を用いて合成することができることは、当業者に周知である。適切な捕獲エレメントとしては、限定はしないが、核酸結合タンパク質、またはヌクレオチド配列が含まれる。適切な捕獲エレメントとしては、限定はしないが、ビオチン、ハプテン、タンパク質、または化学反応性部分が含まれる。このようなオリゴヌクレオチドを、溶液中で最初に用い、次いで固体支持体に捕獲するか、または固体支持体に最初に結合し、次いで検出反応で用いてもよい。後者の例は、下流プローブ分子の5’末端が蛍光クエンチャーを含むように、下流プローブ分子を固体支持体に結合させることである。いくつかの下流プローブ分子はまた、FENヌクレアーゼ切断がフルオロフォアからクエンチャーを物理的に分離するような位置にフルオロフォアを含む。例えば、標的核酸は固相下流プローブオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができ、液相上流プライマーはまた標的分子とハイブリダイズすることが可能であり、その結果、固体支持体でFEN切断反応が起こって複合体から5’ 消光部分が遊離する。これにより、固体支持体結合フルオロフォアを検出することができるので、適切に標識されるか特定された固体支持体上で切断事象の存在が明らかとなる。異なる下流プローブ分子が、アレイ上の異なる位置に結合してもよい。アレイ上の位置によりプローブ分子を同定し、プローブ分子がハイブリダイズすることができるテンプレートの存在が示される。
2.合成
当分野でこれも周知である技術を用いて、プライマー自体を合成する。特異的配列のオリゴヌクレオチドの調製法が当分野で公知であり、これには、例えば、適切な配列のクローニングおよび制限消化分析ならびに直接的化学合成が含まれる。一旦設計されると、例えば、Narang et al.,1979,Methods in Enzymology,68:90に記載のリン酸トリエステル法、Brown et al.,1979,Methods in Enzymolgy,68:109に開示のリン酸ジエステル法、Beaucage et al.,1981,Tetrahedron Letters,22:1859に開示のジエチルホスホロアミデート法、および米国特許第4,458,066号に開示の固体支持体法を含む適切な化学合成法によって、または市販の自動化オリゴヌクレオチド合成機(市販されている)もしくはVLSIPSTM技術のいずれかを用いる他の化学的方法によって、オリゴヌクレオチドを調製する。
当分野でこれも周知である技術を用いて、プライマー自体を合成する。特異的配列のオリゴヌクレオチドの調製法が当分野で公知であり、これには、例えば、適切な配列のクローニングおよび制限消化分析ならびに直接的化学合成が含まれる。一旦設計されると、例えば、Narang et al.,1979,Methods in Enzymology,68:90に記載のリン酸トリエステル法、Brown et al.,1979,Methods in Enzymolgy,68:109に開示のリン酸ジエステル法、Beaucage et al.,1981,Tetrahedron Letters,22:1859に開示のジエチルホスホロアミデート法、および米国特許第4,458,066号に開示の固体支持体法を含む適切な化学合成法によって、または市販の自動化オリゴヌクレオチド合成機(市販されている)もしくはVLSIPSTM技術のいずれかを用いる他の化学的方法によって、オリゴヌクレオチドを調製する。
C.プローブ
本発明は、本明細書中で定義の切断構造または標識された切断構造の形成に有用なプローブを提供する。本発明の標識切断構造の調製法を、以下の「切断構造」と題された項に記載している。
本発明は、本明細書中で定義の切断構造または標識された切断構造の形成に有用なプローブを提供する。本発明の標識切断構造の調製法を、以下の「切断構造」と題された項に記載している。
本明細書において用いる場合、「プローブ」という用語は、プローブ中の少なくとも1つの配列が標的領域中の配列と相補的であることに起因して、標的核酸中の配列と二本鎖構造を形成するプローブを言う。ある実施形態では、このプローブは、二次構造を有する。本発明によるプローブはまた標識されてもよい。このプローブは好ましくは、プライマー伸長で用いられる配列に相補的な配列を含まない。一般に、このプローブの3’末端を「ブロック」してプライマー伸長産物へのプローブの組み込みを阻止する。本発明によるプローブの標識法および適切な標識は、以下の「切断構造」と題された項に記載する。
本発明によるプローブの一般的な設計は、「本発明によって有用なプライマーおよびプローブ」と題された項に記載される。典型的には、本発明によるプローブは、約7〜140ヌクレオチド、好ましくは約10〜140ヌクレオチド長である標的核酸結合配列を含む(図4のC)。一実施形態では、本発明によるプローブはまた、互いに対して相補的でありかつ結合して、標的核酸の不在下で二次構造の領域を形成する、本明細書に規定されるような、2つの相補的な核酸配列領域を含む(図4のbおよびb’)。領域bおよびb’は、3〜25ヌクレオチド、好ましくは4〜15ヌクレオチド、さらに好ましくは5〜11ヌクレオチド長である。正確な長さは、標的核酸結合配列を参照して選択され、その結果プローブの二次構造は好ましくは、標的核酸に結合するプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で標的核酸に対してプローブが結合されない場合、安定である。
ある実施形態では、本発明によるプローブは、本明細書に規定される二次構造(ステム・ループ、ヘアピン、内部ループ、バルジ・ループ、分枝構造およびシュードノットを含む)、または複数の二次構造、クローバー葉構造、または本明細書において上で規定される任意の三次元構造を形成できる。
例えば、本発明の一実施形態によれば、プローブは、ヘアピンまたはステム・ループのような二次構造を有するオリゴヌクレオチドであってもよく、これには限定はしないが、分子指標、安全ピン、スコーピオンおよびサンライズ/アンプリフロアー・プローブが含まれる。
分子指標プローブは、ヘアピンまたはステム・ループ構造を含み、これは、この指標プローブが標的核酸にハイブリダイズしない場合、検出可能なシグナルを消光するように効率的に位置決めされた1対の相互作用性シグナル発生標識部分(例えば、フルオロフォアおよびクエンチャー)を保有する。このループは、標的核酸に相補的である領域を含む。このループは、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合しない場合、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用する5’および3’領域(「アーム」)に隣接する。あるいは、このループは、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合されない場合、親和性対の結合された部分によって互いと可逆的に相互作用して二次構造を形成する5’および3’領域(「アーム」)に隣接する。本明細書において用いる場合、「アーム」とは、a)核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合しない場合、相補的な核酸配列によって互いと可逆的に相互作用する分子指標プローブの領域か、またはb)親和性対(アフィニティー・ペア)の結合した部分によって互いと可逆的に相互作用して、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合しない場合、二次構造を形成する、分子指標プローブの領域を言う。分子指標プローブが標的にハイブリダイズじない場合、このアームは、互いとハイブリダイズして、時に、「ステム・二本鎖(stem duplex))」と呼ばれるステム・ハイブリッドを形成する。これは、閉じた高次構造である。分子指標プローブが、その標的にハイブリダイズする場合、プローブの「アーム」が隔てられる。これは開口された高次構造である。この開口高次構造では、アームはまた、標的にハイブリダイズし得る。このようなプローブは、溶液中でフリーであってもよいし、またはそれらは、固体表面に係合されてもよい。このアームがハイブリダイズする(例えば、ステムを形成する)場合、クエンチャーはフルオロフォアに極めて近く、かつその蛍光を効率的に消光または抑制し、プローブは暗くなる。このようなプローブは米国特許第5,925,517号および米国特許第6,037,130号に記載される。
本明細書において用いる場合、分子指標プローブとはまた、本明細書に記載されるような「対立遺伝子識別」プローブであってもよい。
分子指標プローブは、一方のアームに結合されたフルオロフォアと、他のアームに結合されたクエンチャーとを有する。このフルオロフォアおよびクエンチャー、例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYLは、FRET対である必要はない。
本発明に有用なステム・ループプローブについては、標的に相補的であるプローブ配列の長さ、相補的な核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域(例えば、ステム・ハイブリッド)の長さ(核酸標的配列に相補的な領域が標的核酸に結合しない場合)、および2つの関連は、プローブが利用されるアッセイ条件に従って設計される。特定のアッセイ条件のための標的相補的配列およびステム・ハイブリッド配列の長さは、当分野で周知であるものに従って評価され得る。相補的核酸配列によって互いと可逆的に相互作用するプローブの領域は、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合しない場合、各々6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチド、そして最も好ましくは8〜25ヌクレオチドの範囲である。標的に相補的であるプローブ配列の長さは好ましくは、17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、そして最も好ましくは17〜25ヌクレオチド長である。
本発明に従って改変された分子指標プローブのオリゴヌクレオチド配列は、DNAであっても、RNAであっても、cDNAであっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。改変ヌクレオチドは、例えば、ニトロピロールベースのヌクレオチドまたは2’−O−メチルリボヌクレオチドを含んでもよい。改変結合はまた、例えば、ホスホロチオエートが含まれてもよい。改変ヌクレオチドおよび改変結合も、本発明による波長シフトプライマー中に組み込まれてもよい。
安全ピンプローブは、本発明において利用される場合、「ユニバーサル」ヘアピンプローブ1(図9、b171、配列番号31)を要し、これには、ヘアピン構造と、ヘアピンの5’アーム上のフルオロフォア(FAM)と、そして3’アーム上にクエンチャー(Dabcyl)を含み、そしてプローブ2(図9、SP170a、配列番号32)は、ステム・ループを含み、これは、2つのドメインを含む。プローブ2の5’の2/3(配列番号34)は、ヘアピンプローブ1に相補的な(ユニバーサル)配列、およびDNAポリメラーゼを停止させるヌクレオチド、およびプローブ2の3’の1/3を有し、これが標的特異的プライマーとして機能する。リバースプライマー(すなわち、プローブ2の3’の1/3)から開始されるポリメラーゼは、トップの鎖(配列番号33)を合成するので、プローブ2の5’末端は、「停止ヌクレオチド(stop nucleotides)」が到達するまで、5’エキソヌクレアーゼ活性によって置換かつ変性される。この時点で、プローブ2の残りは、広がるかまたは折り畳まれず、そしてヘアピンプローブ1(配列番号31)の標的として機能し、それによってクエンチャーからフルオロフォアを隔てる(図9)。
本発明において用いられるスコーピオン・プローブは、3’プライマーとともにフルオロフォア/クエンチャー対を保有するヘアピン構造を含む5’伸長プローブテールを含む。このプローブテールは、ポリメラーゼがプローブを複製することをブロックするヘキサエチレン・グリコール(HEG)の包含によって5’→3’方向で複製から「保護(protected)」される。第一回の増幅の間、3’標的特異的プライマーは、標的にアニーリングし、かつ伸長され、その結果そのスコーピオンはここで、5’プローブについて新規に合成された標的領域を保有する、新規に合成された鎖に組み込まれる。次の回の変性およびアニーリングの間、スコーピオンのヘアピンループのプローブ領域は、標的にハイブリダイズし、これによって、フルオロフォアおよびクエンチャーを分け、そして測定可能なシグナルを生じる。このようなプローブは、Whitcombe et al.,Nature Biotechnology 17:804−807(1999)および図10に記載される。
本発明で有用なさらなるオリゴヌクレオチドプローブは、サンライズ/アンプリフロアー・プローブである。このサンライズ/アンプリフロアー・プローブは、HEGモノマーを欠いて、ヘアピンプローブ領域の5’→3’複製をブロックすることを除けば、スコーピオン・プローブと同様の構造のプローブである。従って、初回の増幅では、サンライズ/アンプリフロアーの3’標的特異的プライマーは、標的にアニーリングして、伸長され、これによって、新規に合成された鎖(サンライズ鎖)にヘアピンプローブを組み込む。2回目の増幅の間、第二の非標識プライマーは、サンライズ鎖の3’末端にアニーリングする(図11のサイクル2)。しかし、ポリメラーゼが、ヘアピンの5’末端に達する場合、HEG終止配列を欠くことに起因して、このポリメラーゼは、ヘアピンを置き換えて複製し、これによって、フルオロフォアおよびクエンチャーを分けて、直線化したヘアピンプローブを新規な鎖に組み込む。このタイプのプローブはさらに、Nazarneko et al.,Nucleic Acid Res.25:2516−2521(1997)に、そして図11に記載される。
本発明において有用な安全ピン、スコーピオン、およびサンライズ/アンプリフロアー・プローブについては、この標的に相補的であるプローブ配列の長さは、この核酸標的配列に相補的な領域が標的核酸に結合せず、かつこの2つの関連が、プローブが利用されるアッセイ条件に従って設計される場合、相補的な核酸配列によって互いと可逆的に相互作用するプローブの領域(例えば、ステム・ハイブリッド)の長さ。特定のアッセイ条件のための標的相補的な配列およびステム・ハイブリッド配列の長さは、当分野で公知であるものに従って評価され得る。相補的な核酸配列によって互いと可逆的に相互作用するプローブの領域は、核酸標的配列に相補的な領域が標的核酸に結合しない場合、各々6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチド、そして最も好ましくは8〜25ヌクレオチドである。標的に相補的であるプローブ配列の長さは好ましくは、17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、そして最も好ましくは17〜25ヌクレオチド長である。相補的な核酸配列によって互いと可逆的に相互作用するプローブの領域の間の相互作用の安定性は、適切な機能を達成するための慣用的な実験によって決定される。長さに加えて、相補的な核酸配列によって互いと可逆的に相互作用するプローブの領域の間の相互作用は、G−C含量を変更すること、および不安低下ミスマッチを挿入することによって調整され得る。相補的な核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域の1つは、この標的と部分的にまたは完全に相補的であるように設計され得る。3’アームが標的に相補的である場合、プローブは、DNAポリメラーゼのプライマーとして機能し得る。さらに、波長−シフト分子指標プローブは、係合などによって、固体表面に固定されてもよいし、または自由に動いてもよい。
広範なフルオロフォアが、本発明によるプローブおよびプライマーで用いられ得る。利用可能なフルオロフォアとしては、クマリン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ルシファー・イエロー(Lucifer yellow)、ローダミン、BODIPY、テトラメチルローダミン、Cy3、Cy5、Cy7、エオシン、テキサスレッド(Texas red)およびROXが含まれる。組み合わせたフルオロフォア、例えば、フルオレセイン−ローダミン二量体、(例えば、Lee et al.(1997),Nucleic Acids Research 25:2816に記載される)も適切である。フルオロフォアは、可視スペクトルにおいて、または可視スペクトルの外に、例えば、紫外線領域または赤外線領域で、吸収および放射するように選択され得る。
当分野で記載される適切な消光物質としては、特にDABCYLおよびその改変体、例えば、DABSYL,DABMIおよびメチルレッド(Methyl Red)が含まれる。フルオロフォアはまた、クエンチャーとして用いられてもよい。なぜなら、それらは、特定の他のフルオロフォアと接触するとき、フルオロフォアを消光する傾向であるからである。好ましいクエンチャーは、発色団、例えば、DABCYLもしくはマラカイトグリーン、またはプローブが開口した高次構造であるとき検出範囲で蛍光を発しないフルオロフォアのいずれかである。
D.核酸の産生
本発明は、標的核酸の増幅のため、および切断構造の形成のために検出または測定されるべき核酸を提供する。
本発明は、標的核酸の増幅のため、および切断構造の形成のために検出または測定されるべき核酸を提供する。
本発明は、核酸(RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型、および混合ポリマーを含む)を利用する。本発明には、核酸のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が含まれる。本発明によれば、核酸は化学的に改変されても、もしくは生化学的に改変されてもよいし、または非天然もしくは誘導されたヌクレオチド塩基を含んでもよい。このような改変としては、例えば、標識、メチル化、1つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログとの置換、ヌクレオチド間改変、例えば、無電荷結合(例えば、リン酸メチル、ホスホロジチオエートなど)、懸垂部分(例えば、ポリペプチド)、挿入剤(intercalators)(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤、および改変結合(例えば、αアノマー核酸など)が含まれる。水素結合および他の化学的相互作用を介した設計配列への結合能力においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子もまた含まれる。このような分子は当分野で公知であり、例えば、分子の骨格におけるリン酸結合をペプチド結合に置換されている分子が含まれる。
1.DNAを含む核酸
a.クローニング
DNAを含む核酸は、当業者に周知のクローニング法(Ausubel et al.,前出)によってcDNAまたはゲノムライブラリーから単離することができる。要するに、特定の核酸配列を含むDNAクローンの単離は、組換えDNAまたはcDNAライブラリーのスクリーニング、および所望の配列を含むクローンの同定を含む。クローニングは、以下のステップを含む。特定のライブラリーのクローンをプレートに広げ、適切なスクリーニング用基質に移し、変性し、特定の核酸の存在を探索する。ハイブリッド条件および標識プローブの作製法を、以下に記載する。
a.クローニング
DNAを含む核酸は、当業者に周知のクローニング法(Ausubel et al.,前出)によってcDNAまたはゲノムライブラリーから単離することができる。要するに、特定の核酸配列を含むDNAクローンの単離は、組換えDNAまたはcDNAライブラリーのスクリーニング、および所望の配列を含むクローンの同定を含む。クローニングは、以下のステップを含む。特定のライブラリーのクローンをプレートに広げ、適切なスクリーニング用基質に移し、変性し、特定の核酸の存在を探索する。ハイブリッド条件および標識プローブの作製法を、以下に記載する。
所望のクローンを、核酸プローブへのハイブリダイゼーションによって、または抗体により検出することができるタンパク質の発現によって同定することが好ましい。あるいは、所望のクローンを、下記の方法に従った特定のプライマーのセットによって定義される配列のポリメラーゼ連鎖増幅によって同定する。
適切なライブラリーの選択は、所望の配列の豊富な供給源である組織または細胞株の同定を含む。さらに、対象の核酸が調節配列またはイントロン配列を含む場合、ゲノムライブラリーをスクリーニングする(Ausubel et al.,前出)。
b.ゲノムDNA
本発明の核酸配列を、ゲノムDNAから増幅する。以下の方法に従って、ゲノムDNAを組織または細胞から単離する。
本発明の核酸配列を、ゲノムDNAから増幅する。以下の方法に従って、ゲノムDNAを組織または細胞から単離する。
特定の組織由来の遺伝子の変形型の検出を容易にするために、周囲の正常な組織から組織を単離する。哺乳動物組織からゲノムDNAを単離するために、組織を細かく刻んで液体窒素中で凍結する。凍結組織を予め冷却した乳鉢および乳棒で微粉に挽き、100mgの組織あたり1.2mlの消化緩衝液で、消化緩衝液(100mMのNaCl、10mMのTris−HCl(pH8.0)、25mMのEDTA(pH8.0)、0.5%(w/v)SDS、0.1mg/mlプロテイナーゼK)中に懸濁する。哺乳動物組織培養細胞からゲノムDNAを単離するために、500×gで5分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、1〜10mlの氷冷PBSに再懸濁し、500×gで5分間に再ペレット化し、1容積の消化緩衝液中に再懸濁する。
消化緩衝液中のサンプルを、500Cで12〜18時間(震盪しながら)インキュベートし、次いで、同容積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出する。遠心分離ステップ(1700×gで10分間)後に層が分離しない場合、別の容積の消化緩衝液(プロテイナーゼKを含まない)を添加して、遠心分離ステップを繰り返す。厚い白色の物質が二層の境界で確認されれば、有機抽出ステップを繰り返す。上部を抽出後、水層を、1/2容積の7.5M酢酸アンモニウムおよび2容積の100%エタノールを添加した新しいチューブに移す。核酸を1700×gで2分間の遠心分離でペレットにし、70%エタノールで洗浄し、乾燥して、TE緩衝液(10mMのTris−HCl(pH8.0)、1mMのEDTA(pH8.0))に1mg/mlで再懸濁する。0.1%SDSおよび1μg/mlのDNaseなしのRNaseの存在下で、370Cで1時間、このサンプルをインキュベートすること、そして抽出およびエタノール沈殿ステップを繰り返すことによって、残りのRNAを除去する。本方法によるゲノムDNAの収率は、約2mgDNA/1g細胞または組織と予想される(Ausubel et al.,前出)。本方法によって単離したゲノムDNAは、本発明に従って、PCR分析に用いることができる。
c.(cDNAまたはゲノムDNAの)制限消化
特定の標的核酸配列を含む所望のcDNAまたはゲノムクローンの同定後、制限酵素での消化によってこれらのクローンから本発明の核酸を単離してもよい。
特定の標的核酸配列を含む所望のcDNAまたはゲノムクローンの同定後、制限酵素での消化によってこれらのクローンから本発明の核酸を単離してもよい。
制限酵素消化技術は当業者に周知である(Ausubel et al.,前出)。制限酵素消化に有用な試薬は、他の供給源と同様に、Stratageneを含む供給業者から容易に入手可能である。
d.PCR
本発明の核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってゲノムDNAまたは他の天然の供給源から増幅してもよい。PCR法は、当業者に周知である。
本発明の核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってゲノムDNAまたは他の天然の供給源から増幅してもよい。PCR法は、当業者に周知である。
PCRにより、対象の標的配列を増幅するための熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼによって触媒される複数のDNA複製サイクルの使用による特定のDNA配列の迅速な増幅法が得られる。PCRには、増幅すべき標的核酸、増幅すべき配列に隣接する2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液、および塩の存在を必要とする。
PCRは、Mullis and Faloona,1987,Methods Enzymol.,155、355(本明細書中で参照により組み込まれる)に記載のとおり行う。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、および同第4,800,159号に開示されている。その最も単純な形態では、PCRは反対の鎖とハイブリダイズし、標的DNA中の対象の領域に隣接する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、特異的DNA配列のインビトロ酵素合成法である。テンプレートの変性、プライマーアニーリング、DNAポリメラーゼによるアニーリングプライマーの伸長を含む一連の連続反復ステップにより、末端がプライマーの5’末端によって定義される特異的フラグメントが指数関数的に蓄積される。PCRにより、特異的DNA配列を109倍まで選択的に富化することができると報告されている。PCR法はまた、Saiki et al.,1985,Science 230:1350にも記載されている。
テンプレートDNA(少なくとも1fg;より通常には1〜1000ng)および少なくとも25pmolのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCRを行う。典型的な反応混合物は、以下を含む。2μlのDNA、25pmolのオリゴヌクレオチドプライマー、2.5μlの適切な緩衝液、0.4μlの1.25μM dNTP、2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Stratagene)、および脱イオン水(総容積25μl)。鉱物油を重層し、プログラム可能なサーマルサイクラーを用いてPCRを行う。
PCRサイクルの各ステップの長さおよび温度、ならびにサイクル数を、有効なストリンジェンシー要件に従って調整する。プライマーがテンプレートにアニーリングすると予想される効率および許容されるミスマッチの程度によって、アニーリング温度およびタイミングを決定する。プライマーアニーリング条件のストリンジェンシーを至適化する能力は、十分に当業者の知識の範囲内である。30℃〜72℃のアニーリング温度を用いる。テンプレート分子の最初の変性は、通常、92℃と99℃との間で4分間で生じ、その後に、変性(94〜99℃で15秒間〜1分間)、アニーリング(上記での考察によって決定した温度で1〜2分間)、および伸長(72℃で1分間)からなる20〜40サイクルを続ける。一般に、72℃で4分間の最終伸長ステップを行い、その後4℃での不確定(0〜24時間)のステップを行ってもよい。
一般に、標準的PCR技術で用いられる検出法は、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、増幅DNAで標識した標識プローブを用いる。好ましくは、例えば32P、ビオチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などでプローブを標識して、ハイブリダイゼーションの検出を可能にする。
他の検出手段としては、フラグメント長多形(length polymorphism)(PCR FLP)の使用、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブへのハイブリダイゼーション(Saiki et al.,1986,Nature 324:163)、またはジデオキシ法による直接的配列決定(クローン化DNAよりもむしろ増幅DNAを用いる)が含まれる。標準的PCR技術は、2つのプライマーの間に位置するDNA配列を複製すること、主要な反応産物としての各鎖の5’末端でプライマーで終結した個別の長さのDNA配列の獲得によって(本質的に)動作する。従って、プライマー間の挿入および欠失により、PCR−FLPでの産物のサイズ決定により検出することができる異なる長さの産物配列が得られる。ASOハイブリダイゼーションの例では、一連の「ドットブロット」において増幅DNAをナイロンフィルタ(例えば、UV照射による)に固定し、次いで、ストリンジェントな条件下で、HRPで標識したオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせる。洗浄後、テトラメチルベンジジン(TMB)および過酸化水素を添加する。HRPは過酸化水素を酸化し、これが、TMBを青色沈殿に酸化し、これによってハイブリダイゼーションプローブが示される。
本発明による核酸の検出または測定アッセイ用のためのPCRアッセイは、「使用法」というタイトルの項に記載されている。
2.RNAを含む核酸
本発明はまた、RNAを含む核酸を提供する。
本発明はまた、RNAを含む核酸を提供する。
RNAを含む核酸は、当分野で周知の方法に従って精製し得る(Ausubel et al.,前出)。当分野で周知であり(Ausubel et al.,前出)、かつ以下に記載の方法に従って、細胞または組織から全RNAを単離することができる。
以下の方法に従って哺乳動物組織からRNAを精製する。対象の組織を取り出した後、2g以下の組織片を切断して、液体窒素中で急速凍結してRNAの分解を防止する。適切な容積のグアニジニウム溶液(例えば、2gの組織あたり20mlのグアニジニウム溶液)の添加の際、組織サンプルをティッシューマイザー(tissuemizer)により2または3回の10秒間のバーストで挽く。組織グアニジウム溶液(1L)を調製するために、590.8gのグアニジウムイソチオシアネートを約400mlのDEPC処理H2Oに溶解する。25mlの2M Tris−HCl(pH7.5)(最終濃度0.05M)および20ml Na2EDTA(最終濃度0.01M)を添加し、溶液を一晩撹拌し、その容積を950mlに調整し、50mlの2−MEを添加する。
ホモジナイズした組織サンプルを、12,000×g、120Cで10分間の遠心分離に供する。得られた上清を0.1容積の20%Sarkosylの存在下、650Cで2分間インキュベートし、9mlの5.7MCsCl溶液(0.1g CsCl/ml)で重層し、220C、113,000×gで一晩の遠心分離によって分離する。上清の慎重な除去後、試験管を反転して排出を行う。試験管の底(RNAペレットを含む)を、50mlのプラスチック製チューブに入れ、3mlの組織再懸濁緩衝液(5mMのEDTA、0.5%(v/v)Sarkosyl、5%(v/v)2−ME)の存在下で、40Cで一晩(またはより長く)インキュベートして、RNAペレットを完全に再懸濁させる。得られたRNA溶液を25:24:1フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、続いて24:1のクロロホルム/イソアミルアルコールで連続的に抽出し、3M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2.5容積の100%エタノールの添加によって沈殿させ、DEPC水に再懸濁する(Chirgwin et al.,1979,Biochemistry,18:5294)。
あるいは、1ステッププロトコールに従って、哺乳動物組織からRNAを単離する。100mgの組織あたり1mlの変性溶液(4Mのグアニジニウムチオ硫酸、25mMのクエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.1Mの2−ME、0.5%(w/v)N−ラウリルサルコシン)中でのガラステフロンホモジナイザーでの均質化によって対象の組織を調製する。ホモジネートを5mlポリプロピレンチューブに移した後、0.1mlの2M酢酸ナトリウム(pH4)、1mlの水飽和フェノール、および0.2mlの49:1クロロホルム/イソアミルアルコールを連続的に添加する。各成分の添加後にサンプルを混合し、全成分の添加後に0〜40Cで15分間インキュベートする。サンプルを4℃、10,000×gで20分間の遠心分離によって分離し、1mlの100%イソプロパノールの添加によって沈殿させ、−20℃で30分間インキュベートし、4℃、10,000×gで10分間の遠心分離によってペレット化する。得られたRNAペレットを、0.3mlの変性溶液に溶解し、微量遠心管に移し、−20℃で30分間の0.3mlの100%イソプロパノール添加によって沈殿させ、4℃、10,000×gで10分間、遠心分離する。RNAペレットを70%エタノール中で洗浄し、乾燥し、100〜200μlのDEPC処理水またはDEPC処理0.5%SDSに再懸濁する(Chomczynski and Sacchi,1987,Anal.Biochem.,162:156)。
インビトロ転写法に従って、RNAを含む核酸を作製することができる。
インビトロ転写技術は当業者に周知である。要するに、対象の遺伝子をSP6、T3、またはT7プロモーターを含むベクターに挿入する。ベクターを、コード配列の下流に存在する1つの部位でベクターを消化する適切な制限酵素で線状化する。フェノール/クロロホルム抽出後、DNAをエタノール沈殿し、70%エタノールで洗浄し、乾燥し、滅菌水に再懸濁する。直線化したDNAと、転写緩衝液(200mMのTris−HCl(pH8.0)、40mMのMgCl2、10mMスペルミジン、250 NaCl[T7またはT3]、または200mMTris−HCl(pH7.5)、30mMのMgCl2、10mMスペルミジン[SP6])、ジチオスレイトール、RNアーゼインヒビター、各々の4つのリボヌクレオシド三リン酸、およびSP6、T7、またはT3 RNAポリメラーゼのいずれかとを、370Cで30分間インキュベートすることによって、インビトロ転写反応を行う。RNAを含む放射性標識ポリヌクレオチドを調製するために、未標識UTPを省略し、35S−UTPを反応混合物に含む。次いで、DNAテンプレートをDNアーゼIとのインキュベーションにより取り除く。エタノール沈殿後、放射性標識RNAのアリコートを、シンチレーションカウンターで計数してcpm/μlを決定する(Ausubel et al.,前出)。
あるいは、RNAを含む核酸を、固相ホスホラミダイド(上記)などの化学合成技術によって調製する。
3.オリゴヌクレオチドを含む核酸
オリゴヌクレオチドを含む核酸は、市販されているオリゴヌクレオチド合成機の使用によって作製してもよい(上記)。
オリゴヌクレオチドを含む核酸は、市販されているオリゴヌクレオチド合成機の使用によって作製してもよい(上記)。
IV.切断構造
本発明は、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断することができる切断構造を提供するので、切断構造を調製する方法を教示する。本発明はまた、標識された切断構造および標識された切断構造を調製する方法を提供する。
本発明は、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断することができる切断構造を提供するので、切断構造を調製する方法を教示する。本発明はまた、標識された切断構造および標識された切断構造を調製する方法を提供する。
プローブを用いて、本発明による切断構造を調製する。
A.切断構造の調製
一実施形態では、本発明による切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で1〜2分間、その後約40〜72℃の間への冷却)で、a)上流オリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流5000ヌクレオチド以内に位置するオリゴヌクレオチドプローブ、およびc)標的配列が両プライマーに相補的である適切な標的核酸配列およびプローブ、ならびにd)適切な緩衝液(例えば、Stratageneから入手可能な10×Pfu緩衝液(カタログ番号200536))、または用いられる特定のポリメラーゼ(例えば、RT)と適合する緩衝液をインキュベートすることによって形成する。至適温度は、特異的プローブ、プライマーおよびポリメラーゼに依存して変化する。本発明のいくつかの実施形態では、切断構造は、重複フラップを含み、ここでは、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングする下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1つ以上の塩基対に相補的である。
一実施形態では、本発明による切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で1〜2分間、その後約40〜72℃の間への冷却)で、a)上流オリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流5000ヌクレオチド以内に位置するオリゴヌクレオチドプローブ、およびc)標的配列が両プライマーに相補的である適切な標的核酸配列およびプローブ、ならびにd)適切な緩衝液(例えば、Stratageneから入手可能な10×Pfu緩衝液(カタログ番号200536))、または用いられる特定のポリメラーゼ(例えば、RT)と適合する緩衝液をインキュベートすることによって形成する。至適温度は、特異的プローブ、プライマーおよびポリメラーゼに依存して変化する。本発明のいくつかの実施形態では、切断構造は、重複フラップを含み、ここでは、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングする下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1つ以上の塩基対に相補的である。
別の実施形態では、本発明による切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で1〜2分間、その後約40〜60℃の間への冷却)で、a)RNAポリメラーゼ合成のオリゴヌクレオチド、b)プロモーターの下流5000ヌクレオチド以内に位置するオリゴヌクレオチドプローブ、ならびにc)標的配列がプロモーター領域を含み、かつ下流プローブに対して少なくとも部分的に相補的である適切な標的核酸、およびd)適切な緩衝液をインキュベートすることによって形成する。至適温度は、特異的プローブおよびRNAポリメラーゼに依存して変化する。本発明のいくつかの実施形態では、切断構造は、重複フラップを含み、ここでは、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングする下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1つ以上の塩基対に相補的である。
一実施形態では、本発明による切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で、a)上流、好ましくは伸長可能な3’末端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流5000ヌクレオチド以内に位置する、標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に記載のような二次構造を有し、かつ結合部分を含むオリゴヌクレオチドプローブ、ならびにc)標的配列が両プライマーに相補的である適切な標的核酸配列、ならびにd)適切な緩衝液(例えば、Sentinel Molecular Beacon PCRコア緩衝液(カタログ番号600500)、またはStratageneから入手可能な10×Pfu緩衝液(カタログ番号200536))をインキュベートすることによって形成する。至適温度は、特異的プローブ、プライマー、およびポリメラーゼに依存して変化する。本発明の好ましい実施形態では、切断構造は、重複フラップを含み、ここでは、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングされる下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)の1つ以上の塩基対に相補的であり、そして1塩基対の重複は一本鎖フラップの伸長のポイントの直ぐ下流である。
この実施形態によれば、上流オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端は、本発明によるポリメラーゼの合成活性によって伸長され、その結果、上流オリゴヌクレオチドプライマーの新規に合成された3’が、下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端を部分的に置き換える。伸長は好ましくは、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で、72℃で15秒間行う。
本発明の別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に記載のような二次構造を有し、かつ標的核酸に対する結合部分を含む、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーとをインキュベートすることによって調製してもよく、この結果3’相補領域がこの標的核酸にアニーリングし、標的核酸配列にアニーリングしない非相補5’領域が5’フラップを形成する。アニーリングは好ましくは、適切な緩衝液(例えば、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で行う。
本発明の別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、この標的核酸にハイブリダイズできる上流プライマー、および標的核酸に対する結合に応じて変化する、本明細書に記載のような二次構造を有し、かつ結合部分を含む、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーとをインキュベートすることによって調製してもよく、この結果3’相補領域がこの標的核酸にアニーリングし、標的核酸配列にアニーリングしない非相補5’領域が5’フラップを形成する。アニーリングは好ましくは、適切な緩衝液(例えば、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液(Stratagene)の存在下で、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で行う。
B.標識された切断構造を調製する方法
本発明では、オリゴヌクレオチドプローブに標識を結合させる。本発明の一実施形態では、切断構造を含む、標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に記載のような二次構造を有し、かつ結合部分を含むオリゴヌクレオチドプローブに対して標識を結合させる。別の実施形態では、二次構造を有さないプローブに対して標識が結合される。このように、フラップ特異性ヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性によって切断される切断モノヌクレオチドまたは小さなオリゴヌクレオチドを検出することができる。
本発明では、オリゴヌクレオチドプローブに標識を結合させる。本発明の一実施形態では、切断構造を含む、標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に記載のような二次構造を有し、かつ結合部分を含むオリゴヌクレオチドプローブに対して標識を結合させる。別の実施形態では、二次構造を有さないプローブに対して標識が結合される。このように、フラップ特異性ヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性によって切断される切断モノヌクレオチドまたは小さなオリゴヌクレオチドを検出することができる。
本発明による標識された切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、約95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で、a)上流の伸長可能な3’末端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流500ヌクレオチド以内に位置する標識されたプローブ、c)標的配列がオリゴヌクレオチドに相補的である適切な標的核酸配列、およびd)適切な緩衝液(例えば、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)をインキュベートすることによって形成する。本発明による切断構造はまた、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチド(例えば、図3のA)の3’末端が、標的核酸配列にアニーリングされる下流オリゴヌクレオチド(例えば、図3のC)の1塩基対に相補的であり、1つの塩基対の重複が一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である重複フラップを含む。上流プライマーの3’末端は、ポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)の合成活性によって伸長され、その結果上流プライマーの新規に合成された3’末端が下流プローブの標識5’末端を部分的に置き換える。伸長は、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で72℃で15秒間行うことが好ましい。本発明による切断構造は、標的核酸配列と、この標的核酸配列にアニーリングしないで5’フラップを形成する非相補性標識5’領域およびこの標的核酸配列にアニーリングする相補3’領域を含むプローブとをインキュベートすることによって調製してもよい。アニーリングは、適切な緩衝液(例えば1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で、行うことが好ましい。
一実施形態では、本発明による標識された切断構造を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、約95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で、a)上流の伸長可能な3’末端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの下流5000ヌクレオチド以内に位置する、標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に規定のような二次構造を有し、かつ結合部分を含む標識されたプローブ、c)標的配列がオリゴヌクレオチドに相補的である適切な標的核酸、およびd)適切な緩衝液(例えば、1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)をインキュベートすることによって形成する。本発明による切断構造はまた、重複するフラップを含み、ここでは、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流オリゴヌクレオチドの3’末端(例えば、図4のA)が、標的核酸にアニーリングされる結合部分(例えば、図4のC)を含む標的核酸に対する結合に応じて変化する本明細書に定義される二次構造を有する下流オリゴヌクレオチドプローブの1塩基対に相補的であり、かつこの1塩基対重複がこの一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である。上流プライマーの3’末端は、ポリメラーゼの合成活性によって伸長され、その結果この上流プライマーの新規に合成された3’末端が下流プローブの標識5’末端を部分的に置き換える。伸長は、好ましくは、1×Sentinel 分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下において72℃で15秒間行う。
別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、本明細書に定義される標的核酸への結合に応じて変化する二次構造を有し、結合部分を含むプローブとを、インキュベートすることによって調製してもよく、そしてさらにこの標的核酸にアニーリングしないで5’フラップを形成する非相補な標識5’領域およびこの標的核酸にアニーリングする相補的3’領域を含む。アニーリングは好ましくは、適切な緩衝液(例えば1×Sentinel分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で、行う。
別の実施形態では、本発明による切断構造は、標的核酸と、前記標的核酸にハイブリダイズできる上流プライマーと、本明細書に定義される標的核酸への結合に応じて変化する二次構造を有し、結合部分を含むプローブとを、インキュベートすることによって調製してもよく、そしてさらにこの標的核酸にアニーリングしないで5’フラップを形成する非相補な標識5’領域、およびこの標的核酸にアニーリングする相補的3’領域を含む。アニーリングは好ましくは、適切な緩衝液(例えば1×Sentinel 分子指標コア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーとハイブリダイズすることを可能にする条件下(例えば、95℃で2〜5分間、その後約50〜60℃の間への冷却)で行う。
引き続いて、任意のいくつかのストラテジーを使用して、非切断標識核酸を、その切断フラグメントから識別してもよい。本発明は、固体支持体上での、捕獲エレメントに対する、結合部分またはタグの結合によって捕獲される、切断され、遊離された核酸フラグメントの量を検出するための方法を提供する。この様式では、本発明により、標的核酸配列を含むこれらのサンプルの同定が可能である。
オリゴヌクレオチドプローブを、下記のように、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、酵素または化学的手段による、検出可能な部分の組み込みによって標識する。オリゴヌクレオチドプローブへの標識の連結または抱合の方法は、当然ながら、用いた標識のタイプおよびプローブ上の標識の位置に依存する。本発明によって有用なプローブは5’末端で標識されても、3’末端で標識されても、またはプローブの長さ全体にわたって標識されてもよい。
本発明での使用に適切である種々の標識、ならびにプローブへの封入の方法は当分野で公知であり、そしてこれには、限定はしないが、互いに相互作用して、シグナルを増加、変化、または減少し得る酵素(例えば、アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼ)および酵素基質、放射性原子、蛍光染料、発色団、化学発光標識、電気化学発光標識、例えば、OrigenTM(Igen)が含まれる。当然ながら、標識分子をサーマルサイクラー装置を用いて行うPCRベースのアッセイで用いる場合、標識は、この自動化処理過程に必要な温度サイクリングに耐えることができなければならない。
放射性原子のうち、33Pまたは32Pが好ましい。核酸への33Pまたは32Pの導入のための方法は当分野で公知であり、これには、例えば、キナーゼでの5’標識またはニック翻訳による無作為挿入が含まれる。「特異的結合パートナー」とは、例えば、抗原およびそれに特異的なモノクローナル抗体の場合のように、高い特異性でリガンド分子を結合することができるタンパク質を言う。他の特異的結合パートナーとしては、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、IgGとプロテインA、ならびに当分野で公知の多数のレセプター−リガンド結合が含まれる。上記は、種々の標識を別個のクラスに分類することを意味しない。なぜなら、同一の標識がいくつかの異なる様式で作用し得るからである。例えば、125Iは、放射性標識または電子密度試薬として作用し得る。HRPは、酵素またはモノクローナル抗体の抗原として作用し得る。さらに、所望の効果のために種々の標識を組み合わせてもよい。例えば、ビオチンでプローブを標識してもよく、125Iで標識したアビジンで、またはHRPで標識した抗ビオチンモノクローナル抗体でプローブの存在を検出してもよい。他の置換および可能性は、当業者に容易に明らかであり、そして本発明の範囲内の等価物とみなされる。
本発明の標識プローブの構築における標識としての用途のフルオロフォアとしては、ローダミンおよび誘導体(テキサスレッドなど)、フルオレセインおよび誘導体(5−ブロモメチルフルオレセインなど)、ルシファー・イエロー(Lucifer Yellow)、IAEDANS、7−Me2N−クマリン−4−アセテート、7−OH−4−CH3−クマリン−3−アセテート、7−NH2−4−CH3−クマリン−3−アセテート(AMCA)、モノブロモビメイン、ピレントリスルホナート(カスケードブルーなど)、およびモノブロモリメチル−アンモニオビメインが含まれる。一般に、モノクロメーターよりもむしろフィルターを備える蛍光光度計を用いて、検出効率を増大させるために、広範なストークス・シフトを有するフルオロフォアが好ましい。
フルオロフォアで標識したプローブを、本発明による標識プローブを含む切断構造のヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)媒介切断に容易に用いることができる。標識がプローブの5’末端に存在する場合、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)によって生成された標識フラグメントを、当分野で周知の手順によってインタクトなハイブリダイゼーションプローブから分離する。
本発明の別の実施形態では、ハイブリダイズした、標識されたプローブの検出は、分子タンブリング(tumbling)に基づいて高分子と低分子との間を識別する技術である、例えば、蛍光分極を用いて達成できる。高分子(すなわち、インタクトな標識プローブ)は、溶液中で、低分子よりもかなり緩徐にタンブリングする。対象の分子上の適切な部位に対する蛍光部分の結合の際に、この蛍光部分は、分子タンブリングに基づいて測定(および識別)され得、これによってインタクトなプローブと消化プローブとの間が識別される。
いくつかの状況では、オリゴヌクレオチドプローブの未折り畳み(例えば、プローブの二次構造における変化に起因する)または加水分解の間に、オリゴヌクレオチド上の標識の適切な間隔を空けることを維持して標識の分離を可能にするためにもたらされる懸念を考慮して単一のオリゴヌクレオチドプローブ上の2つの相互作用標識(例えば、FRETまたは非FRET対)を用いてもよい。本発明に従って有用な好ましい相互作用標識としては、限定はしないが、ローダミンおよび誘導体、フルオレセインおよび誘導体、テキサスレッド、クマリンおよび誘導体、クリスタルバイオレットが含まれ、そして限定はしないが、本明細書に記載のいずれかのFRETまたは非FRET標識に加えて、DABCYL、TAMRA、およびNTB(ニトロチアゾールブルー)が含まれる。
次いで、遊離された標識の蛍光を、標的に結合された残りの標識に比較する。プローブが、約20ヌクレオチド隔てられるフルオロフォアおよびクエンチャーで合成される場合、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)が生成したフラグメント、およびヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)の存在下での切断後に標的に結合して残るプローブを分離する必要はない。あるいは、クエンチャーは、プローブが標的核酸にハイブリダイズしないとき蛍光を発しないように、位置決めされる。このような二重標識プローブは、インタクトである場合、または標的核酸にハイブリダイズしない場合、蛍光を発しない(または、プローブが解離されない場合は、二分子もしくは多分子プローブの場合)。なぜなら、色素から放射される光はクエンチャーによって消光されるからである。従って、インタクトなプローブによって放射される任意の蛍光は、バックグラウンド蛍光であると考えられる。一実施形態では、標識されたプローブがFENヌクレアーゼによって切断される場合、色素およびクエンチャーが分けられて、遊離されたフラグメントは蛍光を発する。あるいは、標識されたプローブが、標識核酸にハイブリダイズされる場合、色素とクエンチャーとの間の距離が増大して、蛍光のレベルが増大する。プローブが二分子または多分子である実施形態では、プローブを含む分子の解離によって、蛍光の増大が生じる。蛍光の量は、サンプルに存在する核酸標的配列の量に比例する。
さらに別の実施形態では、各々が二本鎖標的配列の別の鎖の別の領域に相補的であるが、互いには相補的ではなく、その結果標識核酸が各々のプライマーの下流にアニーリングする、2つの標識核酸を用いる。例えば、2つのプローブの存在により、シグナル標識から発生するシグナルの強度は潜在的に2倍になり得、そしてPCR増幅の間にしばしば起こるように産物の鎖の再アニーリングが減少するようにさらに機能し得る。プライマーが結合する位置に隣接する位置(下流)でプローブが結合するようにプローブを選択する。
他の利点を得るために本発明においては複数のプローブを用いてもよい。例えば、サンプル中の多数の病原性物質を、単に反応混合物中に所望の数のプローブを投入することによって試験してよく、検出を容易にするために、プローブは各々異なる標識を含んでもよい。
当業者は、例えば、異なるTmを有するプローブを用いること、および1つのみのプローブ/対立遺伝子二本鎖に特異的な温度でのアニーリング/切断反応を行うことによって、本発明の複数のプローブを用いて対立遺伝子特異的または種特異的識別を達成することもできる。1つだけのプローブを用いること、および生成された切断産物のタイプを検査することによって対立遺伝子特異的識別を達成することもできる。本発明の一実施形態では、1つの対立遺伝子の少なくとも5’末端領域に正確に相補的であるが、他の対立遺伝子には相補的ではないようにプローブを設計する。他の対立遺伝子に関しては、プローブの5’末端領域でプローブがミスマッチされ、その結果、プローブが正確に相補的な対立遺伝子とハイブリダイズする場合に生成される切断産物と比較して、異なる切断産物が生成される。
プローブ配列を選択して重要な利点を得ることができるが、本明細書に規定されるようなプローブ標識および/またはタグの選択によって、重要な利点を認識することもできる。標識を、種々の技術によって直接または間接的にオリゴヌクレオチドに結合させてもよい。用いた標識またはタグの正確なタイプに依存して、標識をプローブの5’または3’末端に位置付けるか、プローブ内部に位置付けるか、種々のサイズのスペーサーアームおよび組成物に結合させて、シグナル相互作用を促進させてもよい。市販のホスホラミダイド試薬を用いて、適切に保護したホスホラミダイドを介して5−または3末端のいずれかで官能基(例えば、チオールまたは1価のアミン)を含むオリゴマーを作製してもよく、例えば「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」、Innis et al.ed.,Academic Press,Ind.,1990に記載のプロトコールを用いて標識してもよい。
オリゴヌクレオチドプローブ配列の典型的には5’末端へ、1つ以上のスルフヒドリル、アミノ、または水酸部分を導入するためのオリゴヌクレオチド官能化試薬導入のための方法は、米国特許第4,914,210号に記載されている。ポリヌクレオチドキナーゼおよびγ−32P−ATPまたはγ−33P−ATPの使用によって、放射線同位元素として5’リン酸基を導入して、レポーター基を得てもよい。アミノチミジン残基または合成中に導入された6−アミノヘキシル残基と、ビオチンのNヒドロキシスクシンイミドエステルとの反応によってビオチンを5’末端に付加してもよい。3’末端での標識には、所望の部分(例えば、コルダイセピン35S−dATPおよびビオチン化dUTPなど)を付加するためにポリヌクレオチド末端トランスメラーゼを使用してもよい。
オリゴヌクレオチド誘導体はまた、利用可能な標識である。例えば、エテノ−dAおよびエテノ−Aは、核酸プローブに組み込むことができる公知の蛍光アデニンヌクレオチドである。同様に、エテノ−dCまたは2−アミノプリンデオキシリボシドは、プローブ合成に用いることができる別のアナログである。このようなヌクレオチド誘導体を含むプローブを加水分解して、フラップ特異的ヌクレアーゼ活性によってさらにより強力に蛍光モノヌクレオチドを放出してもよい。
C.切断構造の切断およびシグナルの発生
本発明による切断構造は、上記の「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に記載の方法によって切断してもよい。
本発明による切断構造は、上記の「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に記載の方法によって切断してもよい。
D.遊離された標識フラグメントの検出
標識フラグメントの検出または検証は、当分野で周知の種々の方法によって達成してもよく、そして標識切断構造を含む標識部分の特徴に依存してもよい。
標識フラグメントの検出または検証は、当分野で周知の種々の方法によって達成してもよく、そして標識切断構造を含む標識部分の特徴に依存してもよい。
本発明の一実施形態では、遊離された標識フラグメントを含む反応産物をサイズ分析に供する。標識フラグメントのサイズを決定する方法は当分野で公知であり、これには、例えば、ゲル電気泳動、勾配沈殿法、ゲル排除クロマトグラフィー、質量分析、およびホモクロマトグラフィーが含まれる。別の実施形態では、検出可能なシグナルは、1対の相互作用標識の分離に基づいて生成される。
一実施形態では、遊離された標識フラグメントは、固体支持体に結合された捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される。
1.捕獲エレメント
本発明による捕獲エレメントとは、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として、結合部分を(例えば、水素結合を介して、または相互作用を介して(例えば、核酸結合タンパク質と核酸結合部位との間、または相補的な核酸の間))特異的に結合する、任意の部分であり得る。
本発明による捕獲エレメントとは、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として、結合部分を(例えば、水素結合を介して、または相互作用を介して(例えば、核酸結合タンパク質と核酸結合部位との間、または相補的な核酸の間))特異的に結合する、任意の部分であり得る。
本発明によれば、結合部分は、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む。本発明による捕獲エレメントは、例えば、水素結合を介して、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む結合部分に対して相補的であり、かつ結合する核酸配列であり得る。例えば、結合部分は、核酸配列5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含むプローブの領域であり、そして対応する捕獲エレメントは、核酸配列5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む。
本発明はまた、結合部分捕獲エレメントまたはタグ捕獲エレメントの対をもたらし、ここでこの結合部分またはタグは、DNA結合タンパク質であり、そして対応する捕獲エレメントは、DNA結合タンパク質によって認識され、かつ結合されるDNA配列である。本発明はまた、結合部分−捕獲エレメントまたはタグ−捕獲エレメントの対をもたらし、ここでこの捕獲エレメントは、DNA結合タンパク質であり、そして対応する結合部分またはタグは、DNA結合タンパク質によって認識され、かつ結合されるDNA配列である。
本発明に従って有用なDNA配列/DNA結合タンパク質の相互作用としては、限定はしないが以下が含まれる。c−myb、AAF、abd−A、Abd−B、ABF−2、ABF1、ACE2、ACF、ADA2、ADA3、Adf−1、Adf−2a、ADR1、AEF−1、AF−2、AFP1、AGIE−BP1、AhR、AIC3、AIC4、AID2、AIIN3、ALF1B、α−1、α−CP1、α−CP2a、α−CP2b、α−因子、α−PAL、α2uNF1、α2uNF3、αA−CRYBP1、αH2−αH3、αMHCBF1、aMEF−2、AML1、AnCF、ANF、ANF−2、Antp、AP−1、AP−2、AP−3、AP−5、APETALA1、APETALA3、AR、ARG RI、ARG RII、Arnt、AS−C T3、AS321、ASF−1、ASH−1、ASH−3b、ASP、AT−13P2、ATBF1−A、ATF、ATF−1、ATF−3、ATF−3δZIP、ATF−aδ、ATF−様、Athb−1、Athb−2、Axial、abaA、ABF−1、Ac、ADA−NF1、ADD1、Adf−2b、AF−1、AG、AIC2、AIC5、ALF1A、α−CBF、α−CP2a、α−CP2b、α−IRP、α2uNF2、αH0、AmdR、AMT1、ANF−1、Ap、AP−3、AP−4、APETALA2、aRA、ARG RIII、ARP−1、Ase、ASH−3a、AT−BP1、ATBF1−B、ATF−2、ATF−a、ATF/CREB、Ato、B因子、B”、B−Myc、B−TFIID、バンドI因子(band I factor)、BAP、Bcd、BCFI、Bcl−3、β−1、BETA1、BETA2、BF−1、BGP1、BmFTZ−F1、BP1、BR−C Z1、BR−C Z2、BR−C Z4、Brachyury、BRF1、BrlA、Brn−3a、Brn−4、Brn−5、BUF1、BUF2、B−Myb、BAF1、BAS1、BCFII、β−因子、BETA3、BLyF、BP2、BR−C Z3、brahma、byr3、c−abl、c−Ets−1、c−Ets−2、c−Fos、c−Jun、c−Maf、c−myb、c−Myc、c−Qin、c−Rel、C/EBP、C/EBPα、C/EBPβ、C/EBPδ、C/EBPε、C/EBPγ、C1、CAC−結合タンパク質、CACCC−結合因子、Cactus、Cad、CAD1、CAP、CArG box−結合タンパク質、CAUP、CBF、CBP、CBTF、CCAAT−結合因子、CCBF、CCF、CCK−1a、CCK−1b、CD28RC、CDC10、Cdc68、CDF、cdk2、CDP、Cdx−1、Cdx−2、Cdx−3、CEBF、CEH−18、CeMyoD、CF1、Cf1a、CF2−I、CF2−II、CF2−III、CFF、CG−1、CHOP−10、Chox−2.7、CIIIB1、Clox、Cnc、CoMP1、コア−結合因子、CoS、COUP、COUP−TF、CP1、CP1A、CP1B、CP2、CPBP、CPC1、CPE結合タンパク質CPRF−1、CPRF−2、CPRF−3、CRE−BP1、CRE−BP2、CRE−BP3、CRE−BPa、CreA、CREB、CREB−2、CREBω、CREMα、CREMβ、CREMδ、CREMε、CREMγ、CREMτα、CRF、CSBP−1、CTCF、CTF、CUP2、Cut、Cux、Cx、サイクリン(cyclin)A、CYS3、D−MEF2、Da、DAL82、DAP、DAT1、DBF−A、DBF4、DBP、DBSF、dCREB、dDP、dE2F、DEF、Delilah、δ因子、δCREB、δE1、δEF1、δMax、DENF、DEP、DF−1、Dfd、dFRA、ジオキシンレセプター、dJRA、D1、DII、Dlx、DM−SSRP1、DMLP1、DP−1、Dpn、Dr1、DRTF、DSC1、DSP1、DSXF、DSXM、DTF、E、E1A、E2、E2BP、E2F、E2F−BF、E2F−I、E4、E47、E4BP4、E4F、E4TF2、E7、E74、E75、EBF、EBF1、EBNA、EBP、EBP40、EC、ECF、ECH、EcR、eE−TF、EF−1A、EF−C、EF1、EFγ、Egr、eH−TF、EIIa、EivF、EKLF、Elf−1、Elg、Elk−1、ELP、Elt−2、EmBP−1、胎児DNA結合タンパク質、Emc、EMF、Ems、Emx、En、ENH−結合タンパク質、ENKTF−1、εF1、ER、Erg、Esc、ETF、Eve、Evi、Evx、Exd、Ey、f(α−ε)、F−ACT1、f−EBP、F2F、因子1−3、因子B1、因子B2、因子δ、因子I、FBF−A1、Fbf1、FKBP59、Fkh、F1bD、Flh、Fli−1、FLV−1、Fos−B、Fra−2、FraI、FRG Y1、FRG Y2、FTS、Ftz、Ftz−F1、G因子、G6因子、GA−BF、GABP、GADD 153、GAF、GAGA因子、GAL4、GAL80、γ−因子、γCAAT、γCAC、γOBP、GATA−1、GATA−2、GATA−3、GBF、GC1、GCF、GCF、GCN4、GCR1、GE1、GEBF−I、GF1、GFI、Gfi−1、GFII、GHF−5、GL1、Glass、GLO、GM−PBP−1、GP、GR、GRF−1、Gsb、Gsbn、Gsc、Gt、GT−1、Gtx、H、H16、H11TF1、H2Babp1、H2RIIBP、H2TF1、H4TF−1、HAC1、HAP1、Hb、HBLF、HBP−1、HCM1、熱誘導性因子、HEB、HEF−1B、HEF−1T、HEF−4C、HEN1、HES−1、HIF−1、HiNF−A、HIP1、HIV−EP2、H1f、HMBI、HNF−1、HNF−3、Hox11、HOXA1、HOXA10、HOXA10PL2、HOXA11、HOXA2、HOXA3、HOXA4、HOXA5、HOXA7、HOXA9、HOXB1、HOXB3、HOXB4、HOXB5、HOXB6、HOXB7、HOXB8、HOXB9、HOXC5、HOXC6、HOXC8、HOXD1、HOXD10、HOXD11、HOXD12、HOXD13、HOXD4、HOXD8、HOXD9、HP1サイトファクター(site factor)、Hp55、Hp65、HrpF、HSE−結合タンパク質、HSF1、HSF2、HSF24、HSF3、HSF30、HSF8、hsp56、Hsp90、HST、HSTF、I−POU、IBF、IBP−1、ICER、ICP4、ICSBP、Id1、Id2、Id3、Id4、IE1、EBP1、IEFga、IF1、IF2、IFNEX、IgPE−1、IK−1、IκB、Il−1 RF、IL−6 RE−BP、Il−6 RF、ILF、ILRF−A、IME1、INO2、INSAF、IPF1、IRBP、IRE−ABP、IREBF−1、IRF−1、ISGF−1、Isl−1、ISRF、ITF、IUF−1、Ixr1、JRF、Jun−D、JunB、JunD、K−2、κy因子、kBF−A、KBF1、KBF2、KBP−1、KER−1、Ker1、KN1、Kni、Knox3、Kr、kreisler、KRF−1、Krox−20、Krox−24、Ku自己抗原、KUP、Lab、LAC9、LBP、Lc、LCR−F1、LEF−1、LEF−1S、LEU3、LF−A1、LF−B1、LF−C、LF−H3β、LH−2、Lim−1、Lim−3、lin−11、lin−31、lin−32、LIP、LIT−1、LKLF、Lmx−1、LRF−1、LSF、LSIRF−2、LVa、LVb−結合因子、LVc、LyF−1、Lyl−1、M因子、M−Twist、M1、m3、Mab−18、MAC1、Mad、MAF、MafB、MafF、MafG、MafK、Ma163、MAPF1、MAPF2、MASH−1、MASH−2、mat−Mc、mat−Pc、MATa1、MATα1、MATα2、MATH−1、MATH−2、Max1、MAZ、MBF−1、MBP−1、MBP−2、MCBF、MCM1、MDBP、MEB−1、Mec−3、MECA、媒介性因子、MEF−2、MEF−2C、MEF−2D、MEF1、MEP−1、Mesol、MF3、Mi、MIF、MIG1、MLP、MNB1a、MNF1、MOK−2、MP4、MPBF、MR、MRF4、MSN2、MSN4、Msx−1、Msx−2、MTF−1、mtTF1、muEBP−B、muEBP−C2、MUF1、MUF2、Mxi1、Myef−2、Myf−3、Myf−4、Myf−5、Myf−6、Myn、MyoD、ミオゲニン、MZF−1、N−Myc、N−Oct−2、N−Oct−3、N−Oct−4、N−Oct−5、Nau、NBF、NC1、NeP1、Net、NeuroD、ニューロゲニン、NF III−a、NF−1、NF−4FA、NF−AT、NF−BA1、NF−CLE0a、NF−D、NF−E、NF−E1b、NF−E2、NF−EM5、NF−GMa、NF−H1、NF−IL−2A、NF−InsE1、NF−κB、NF−lambda2、NF−MHCIIA、NF−muE1、NF−muNR、NF−S、NF−TNF、NF−U1、NF−W1、NF−X、NF−Y、NF−Zc、NFα1、NFAT−1、NFβA、NFδE3A、NFδE4A、NFe、NFE−6、NFH3−1、NFH3−2、NFH3−3、NFH3−4、NGFI−B、NGFI−C、NHP、Nil−2−a、NIP、NIT2、Nkx−2.5、NLS1、NMH7、NP−III、NP−IV、NP−TCII、NP−Va、NRDI、NRF−1、NRF−2、Nrf1、Nrf2、NRL、NRSF1型、NTF、NUC−1、Nur77、OBF、OBP、OCA−B、OCSTF、Oct−1、Oct−10、Oct−11、Oct−2、Oct−2.1、Oct−2.3、Oct−4、Oct−5、Oct−6、Oct−7、Oct−8、Oct−9、Oct−B2、Oct−R、Octa−因子、オクタマー(octamer)−結合因子、Odd、Olf−1、Opaque−2、Otd、Otx1、Otx2、Ovo、P、P1、p107、p130、p28モジュレーター、p300、p38erg、p40x、p45、p49erg、p53、p55、p55erg、p58、p65δ、p67、PAB1、PacC、Pap1、Paraxis、Pax−1、Pax−2、Pax−3、Pax−5、Pax−6、Pax−7、Pax−8、Pb、Pbx−1a、Pbx−1b、PC、PC2、PC4、PC5、Pcr1、PCRE1、PCT1、PDM−1、PDM−2、PEA1、PEB1、PEBP2、PEBP5、Pep−1、PF1、PGA4、PHD1、PHO2、PHO4、PHO80、Phox−2、Pit−1、PO−B、ポインテッド(pointed)P1、Pou2、PPAR、PPUR、PPYR、PR、PR A、Prd、PrDI−BF1、PREB、Prhタンパク質a、タンパク質b、タンパク質c、タンパク質d、PRP、PSE1、PTF、Pu box 結合因子、PU.1、PUB1、PuF、PUF−I、Pur因子、PUT3、pX、qa−1F、QBP、R、R1、R2、RAd−1、RAF、RAP1、RAR、Rb、RBP−Jκ、RBP60、RC1、RC2、REB1、RelA、RelB、CAR1発現のリプレッサー、REX−1、RF−Y、RF1、RFX、RGM1、RIM1、RLM1、RME1、Ro、RORα、Rox1、RPF1、RPGα、RREB−1、RRF1、RSRFC4、runt、RVF、RXR−α、RXR−β、RXR−β2、RXR−γ、S−CREM、S−CREMβ、S8、SAP−1a、SAP1、SBF、Sc、SCBPα、SCD1/BP、SCM−誘導性因子、Scr、Sd、Sdc−1、SEF−1、SF−1、SF−2、SF−3、SF−A、SGC1、SGF−1、SGF−2、SGF−3、SGF−4、SIF、SIII、Si
m、SIN1、Skn−1、SKO1、Slp1、Sn、SNP1、SNF5、SNAPC43、Sox−18、Sox−2、Sox−4、Sox−5、Sox−9、Sox−LZ、Sp1、spE2F、Sph因子、Spi−B、Sprm−1、SRB10、SREBP、SRF、SRY、SSDBP−1、ssDBP−2、SSRP1、STAF−50、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT6、STC、STD1、Ste11、Ste12、Ste4、STM、Su(f)、SUM−1、SWI1、SWI4、SWI5、SWI6、SWP、T−Ag、t−Pou2、T3R、TAB、全TAF包含サブユニット(all TAFs including subunits)、Tal−1、TAR因子、tat、Tax、TBF1、TBP、TCF、TDEF、TEA1、TEC1、TEF、tel、Tf−LF1、TFE3、全TFII関連タンパク質(all TFII related proteins)、TBA1a、TGGCA−結合タンパク質、TGT3、Th1、TIF1、TIN−1、TIP、T11、TMF、TR2、Tra−1、TRAP、TREB−1、TREB−2、TREB−3、TREF1、TREF2、Tsh、TTF−1、TTF−2、Ttk69k、TTP、Ttx、TUBF、Twi、TxREBP、TyBF、UBP−1、Ubx、UCRB、UCRF−L、UF1−H3β、UFA、UFB、UHF−1、UME6、Unc−86、URF、URSF、URTF、USF、USF2、v−ErbA、v−Ets、v−Fos、v−Jun、v−Maf、v−Myb、v−Myc、v−Qin、v−Rel、Vab−3、ワクシニアウイルスDNA−結合タンパク質、Vav、VBP、VDR、VETF、vHNF−1、VITF、Vmw65、Vp1、Vp16、Whn、WT1、X−box 結合タンパク質、X−Twist、X2BP、XBP−1、XBP−2、XBP−3、XF1、XF2、XFD−1、XFD−3、xMEF−2、XPF−1、XrpFI、XW、XX、yan、YB−1、YEB3、YEBP、Yi、YPF1、YY1、ZAP、ZEM1、ZEM2/3、Zen−1、Zen−2、Zeste、ZF1、ZF2、Zfh−1、Zfh−2、Zfp−35、ZID、Zmhoxla、Zta、ならびにこれらのDNA結合タンパク質または活性に関連する、全ての関連の特徴づけられたおよび特徴づけられていないホモログおよびファミリーのメンバー、ならびに上述のDNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列。DNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列を同定する方法は、当分野で公知である(例えば、米国特許第6,139,833号を参照のこと)。
m、SIN1、Skn−1、SKO1、Slp1、Sn、SNP1、SNF5、SNAPC43、Sox−18、Sox−2、Sox−4、Sox−5、Sox−9、Sox−LZ、Sp1、spE2F、Sph因子、Spi−B、Sprm−1、SRB10、SREBP、SRF、SRY、SSDBP−1、ssDBP−2、SSRP1、STAF−50、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT6、STC、STD1、Ste11、Ste12、Ste4、STM、Su(f)、SUM−1、SWI1、SWI4、SWI5、SWI6、SWP、T−Ag、t−Pou2、T3R、TAB、全TAF包含サブユニット(all TAFs including subunits)、Tal−1、TAR因子、tat、Tax、TBF1、TBP、TCF、TDEF、TEA1、TEC1、TEF、tel、Tf−LF1、TFE3、全TFII関連タンパク質(all TFII related proteins)、TBA1a、TGGCA−結合タンパク質、TGT3、Th1、TIF1、TIN−1、TIP、T11、TMF、TR2、Tra−1、TRAP、TREB−1、TREB−2、TREB−3、TREF1、TREF2、Tsh、TTF−1、TTF−2、Ttk69k、TTP、Ttx、TUBF、Twi、TxREBP、TyBF、UBP−1、Ubx、UCRB、UCRF−L、UF1−H3β、UFA、UFB、UHF−1、UME6、Unc−86、URF、URSF、URTF、USF、USF2、v−ErbA、v−Ets、v−Fos、v−Jun、v−Maf、v−Myb、v−Myc、v−Qin、v−Rel、Vab−3、ワクシニアウイルスDNA−結合タンパク質、Vav、VBP、VDR、VETF、vHNF−1、VITF、Vmw65、Vp1、Vp16、Whn、WT1、X−box 結合タンパク質、X−Twist、X2BP、XBP−1、XBP−2、XBP−3、XF1、XF2、XFD−1、XFD−3、xMEF−2、XPF−1、XrpFI、XW、XX、yan、YB−1、YEB3、YEBP、Yi、YPF1、YY1、ZAP、ZEM1、ZEM2/3、Zen−1、Zen−2、Zeste、ZF1、ZF2、Zfh−1、Zfh−2、Zfp−35、ZID、Zmhoxla、Zta、ならびにこれらのDNA結合タンパク質または活性に関連する、全ての関連の特徴づけられたおよび特徴づけられていないホモログおよびファミリーのメンバー、ならびに上述のDNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列。DNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列を同定する方法は、当分野で公知である(例えば、米国特許第6,139,833号を参照のこと)。
本発明はまた、限定はしないが、テトラサイクリン(tet)リプレッサー、βガラクトシダーゼ(lacリプレッサー)、トリプトファン(trp)リプレッサー、λ特異的リプレッサータンパク質、CRO、およびカタボライト活性化タンパク質、CAPおよびこれらのDNA結合タンパク質の各々によって認識されかつ当分野で公知であるDNA配列を含む、DNA配列/DNA結合タンパク質の相互作用を考慮している。本発明によって有用なDNA/DNA結合タンパク質相互作用としてはまた、好ましくは制限酵素のヌクレアーゼ活性が抑制される条件下での、制限酵素、および対応する制限部位が含まれる(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,985,550号)。
本発明に従って有用な他のDNA:タンパク質の相互作用としては以下が含まれる(i)表1および2に列挙されるDNAタンパク質相互作用、ならびに(ii)細菌、酵素およびファージ系、例えば、λOL−OR/CrO(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,726,014号)。特定の認識配列および同種認識配列に結合するタンパク質を含む任意の対は、本発明に有用であり得る。
特異的な結合が、本明細書に規定される捕獲エレメントと本明細書に規定される結合部分との間で生じる反応を行う方法は、当分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.(前出);Ausubel et al.(前出)を参照のこと。本発明による捕獲エレメントはまた、結合部分またはタグと捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として、結合部分またはタグを特異的に結合する(例えば、共有結合もしくは水素結合もしくは静電気引力を介して、または例えば、タンパク質とリガンド、抗体と抗原、タンパク質サブユニット、核酸結合タンパク質および核酸結合部位の間の相互作用を介して)任意の部分であり得る。特異的な結合が、本明細書に規定される捕獲エレメントと本明細書に規定されるタグとの間で生じる反応を行う方法は、当分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.(前出);Ausubel et al.(前出)を参照のこと。結合部分を含むプローブの二次構造が本明細書に規定されるように「変化されている」場合、特異的な結合だけが生じる。本発明に従って有用な捕獲エレメントとしては、限定はしないが、核酸結合タンパク質またはヌクレオチド配列、ビオチン、ストレプトアビジン、ハプテン、タンパク質、ヌクレオチド配列または化学的に反応性の部分が含まれる。
本発明の一実施形態では、遊離された標識フラグメントを含む反応産物を、サイズ分析に供する。標識されたフラグメントのサイズを決定する方法は、当分野で公知であって、これには例えば、ゲル電気泳動、勾配沈殿法、ゲル排除クロマトグラフィー、質量分析、およびホモクロマトグラフィーが含まれる。
2.固体基質
本発明による固体基質は、分子(例えば、捕獲エレメント)が不可逆的に結合され得る任意の表面であり、これには、限定はしないが、膜、磁気ビーズ、組織培養プレート、シリカベースのマトリックス、膜ベースのマトリックス、限定はしないがスチレン、ラテックスまたはシリカベースの物質、および他のポリマー、例えば、酢酸セルロース、テフロン、ポリビニリデンジフルオリド、ナイロン、ニトロセルロース、ポリエステル、カルボネート、ポリスルホン、金属、ゼオライト、紙、アルミナ、ガラス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、プラスチック、濾紙、デキストラン、ゲルマニウム、シリコン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、ガリウムヒ素、ガリウムリン、酸化ケイ素、硝酸ケイ素およびそれらの組み合わせを含む表面を含むビーズが含まれる。
本発明による固体基質は、分子(例えば、捕獲エレメント)が不可逆的に結合され得る任意の表面であり、これには、限定はしないが、膜、磁気ビーズ、組織培養プレート、シリカベースのマトリックス、膜ベースのマトリックス、限定はしないがスチレン、ラテックスまたはシリカベースの物質、および他のポリマー、例えば、酢酸セルロース、テフロン、ポリビニリデンジフルオリド、ナイロン、ニトロセルロース、ポリエステル、カルボネート、ポリスルホン、金属、ゼオライト、紙、アルミナ、ガラス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、プラスチック、濾紙、デキストラン、ゲルマニウム、シリコン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、ガリウムヒ素、ガリウムリン、酸化ケイ素、硝酸ケイ素およびそれらの組み合わせを含む表面を含むビーズが含まれる。
本発明による有用な固体基質はまた、Sambrook et al.(前出)、Ausubel et al.(前出)、米国特許第5,427,779号、同第5,512,439号、同第5,589,586号、同第5,716,854号、および同第6,087,102号、Southern et al.,1999,Nature Genetics Supplement,21:5およびJoos et al.,1997,Analytical Biochemistry,247:96に記載される。
固体支持体に対する捕獲エレメントを結合する方法は、当分野で公知であり、そして、Sambrook et al.(前出)、Ausubel et al.(前出)、米国特許第5,427,779号、同第5,512,439号、同第5,589,586号、同第5,716,854号、および同第6,087,102号に、そしてSouthern et al.(前出)およびJoos et al.(前出)に記載される。固体支持体上に核酸配列を固定する方法はまた、固体支持体の製造によって提供される。例えば、膜については:Pall Corporation,Schleicher&Schuell,磁気ビーズについては;Dyal、培養プレートについては;Costar,Nalgenunc、そして本発明による有用な他の支持体については、CPG,Inc。
固体支持体に結合された捕獲エレメントに結合される遊離された標識フラグメントの量は、標識フラグメントが捕獲エレメントに結合したまま測定されてもよいし、または捕獲エレメントからの標識フラグメントの遊離後に測定されてもよい。捕獲エレメントからの標識フラグメントの遊離は、過剰な量の競合する非標識フラグメントの存在下で、標識されたフラグメント捕獲エレメント複合体をインキュベートすることによって、または、捕獲エレメントに対する標識フラグメントの結合を阻害する緩衝液の添加によって、例えば、塩濃度もしくはpHの結果として行われる。
増幅の間または後に、例えば、PCR混合物からの遊離された標識フラグメントの分離は、例えば、PCRと固相抽出剤(solid phase extractant)(SPE)とを接触させることによって達成できる。例えば、核酸塩基のサイズ、電荷、または相互作用に基づいて核酸を結合する能力を有する物質は、標識された、未切断の核酸が結合されかつ短く、標識されたフラグメントではない条件下でPCR混合物に添加されてもよい。このようなSPE物質としては、イオン交換樹脂またはビーズ、例えば、市販の結合粒子、Nensorb(DuPont Chemical Co.)、Nucleogen(The Nest Group)、PEI、BakerBond(商標)PEI、Amicon PAE 1,000、Selectacel(商標)PEI、Boronate SPE(3’−リボースプローブを有する)、プローブの3’末端に相補的なSPE含有配列、およびヒドロキシアパタイトが含まれる。特異的な実施形態では、ヌクレアーゼ感受性の切断部位によって5’標識から分離される3’ビオチン標識を含む二重標識オリゴヌクレオチドがシグナル方法として使用される場合、反応混合物、例えば、PCR増幅混合物が、アビジンまたはストレプトアビジンのような特異的な結合エレメントを含む物質、またはビオチンに対する抗体もしくはモノクローナル抗体(磁気粒子を含む、ビーズおよび粒子のような固体支持体に結合された)と接触されてもよい。
反応混合物、例えば、PCR混合物をSPEと接触させるステップ後、SPE物質は、未切断の、標識され、かつ検出に利用可能なオリゴヌクレオチドのない標識フラグメントを残して濾過、沈降、または磁力によって除去され得る。
3.結合部分
本発明による結合部分とは、ヌクレアーゼによるプローブの切断の際に遊離され、そして結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として捕獲エレメントに対して(相補的な核酸との水素結合を介して、または結合タンパク質との相互作用を介して)特異的に結合する(ここで結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的な結合は、プローブの二次構造が本明細書に規定のとおり「変化した」場合にのみ生じる)プローブの領域を言う。
本発明による結合部分とは、ヌクレアーゼによるプローブの切断の際に遊離され、そして結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として捕獲エレメントに対して(相補的な核酸との水素結合を介して、または結合タンパク質との相互作用を介して)特異的に結合する(ここで結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的な結合は、プローブの二次構造が本明細書に規定のとおり「変化した」場合にのみ生じる)プローブの領域を言う。
「タグ」とは、プローブの5’末端に機能的に連結され(例えば、図1のR)、かつ、タグと捕獲エレメントとの間に存在する引力の結果として捕獲エレメントに特異的に結合する部分であって、前記タグと捕獲エレメントとの間の特異的な結合は、プローブの二次構造が(例えば、タグが捕獲エレメントに接近可能であるように)変化した場合にのみ生じる部分を言う。「特異的に結合する」とは、「タグ」および捕獲エレメントについていう場合、例えば、タンパク質とリガンド、抗体と抗原、タンパク質サブユニット、または核酸結合タンパク質と核酸結合部分との間で、共有結合または水素結合、または静電気引力を介すること、または相互作用を介することを意味する。第二の結合部分としては、限定はしないが、ビオチン、ストレプトアビジン、ハプテン、タンパク質または化学的に反応性の部分が含まれる。
本発明によれば、結合部分は、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む。本発明による捕獲エレメントは、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む結合部分に対して相補的であり、かつ例えば、水素結合を介して結合する核酸配列であり得る。例えば、結合部分は、核酸配列5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含むプローブの領域であり、そして対応する捕獲エレメントは、核酸配列5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む。
本発明はまた、結合部分捕獲エレメントまたはタグ捕獲エレメントの対をもたらし、ここでこの結合部分またはタグは、DNA結合タンパク質であり、そして対応する捕獲エレメントは、DNA結合タンパク質によって認識されかつ結合されるDNA配列である。本発明はまた、結合部分捕獲エレメントまたはタグ捕獲エレメントの対をもたらし、ここでこの捕獲エレメントは、DNA結合タンパク質であり、そして対応する結合部分またはタグは、DNA結合タンパク質によって認識されかつ結合されるDNA配列である。
本発明に従って有用なDNA結合配列/DNA結合タンパク質の相互作用は、「遊離された標識フラグメントの検出」というタイトルの項において上記される。
核酸(例えば、本発明によるプローブ)へ、本明細書に規定されるようなタグを組み込む方法は、当分野で周知であり、そしてAusubel et al.(前出)Sambrook et al.(前出)および米国特許第5,716,854号、および同第6,087,102号に記載される。
IV.プローブの二次構造の安定性を決定する
A.融点アッセイ
融点アッセイは、二本鎖および一本鎖のDNAの種々の吸収特性を利用する。すなわち、二本鎖DNA(二本鎖DNAであって、それ自体に折り畳まれて逆平行二本鎖構造を生成する核酸配列の一部であり、相補的配列(塩基対)が水素結合を介して結合される)は、分光光度測定によって決定された場合、260nmの波長で、一本鎖DNAよりも吸収する光が少ない。
A.融点アッセイ
融点アッセイは、二本鎖および一本鎖のDNAの種々の吸収特性を利用する。すなわち、二本鎖DNA(二本鎖DNAであって、それ自体に折り畳まれて逆平行二本鎖構造を生成する核酸配列の一部であり、相補的配列(塩基対)が水素結合を介して結合される)は、分光光度測定によって決定された場合、260nmの波長で、一本鎖DNAよりも吸収する光が少ない。
DNAの変性は、狭い温度範囲にわたって生じ、そしてDNAの物理的特性の多くで著しい変化を生じる。特に有用な変化が、光学濃度で生じる。ヌクレオチドの複素環は、紫外線領域で強力に光を吸収する(各々の塩基について特徴的である260nmに近い最大値を有する)。しかし、DNAの吸収は、同じ組成物の遊離のヌクレオチドの混合物によって提示されるよりも約40%少ない。この効果は、ハイパークロミズム(hyperchromism)と呼ばれ、二重らせんの平行なアレイにおけるスタッキングによって作成可能である、塩基の電子系の間の相互作用から生じる。二本鎖状態からの逸脱は、この効果における減少によって直ちに反映される(すなわち、遊離塩基に特徴的な値に向かう光学密度における増大による)(図12a)。従って、二本鎖DNAの変性には、このハイパークロミシティー(hyperchromicity)が続き得る(図12bおよび図12c)。
DNAの鎖が分離する温度範囲の中間点は、融点と呼ばれ、Tmと印される。光学的吸収における変化によって決定された融解曲線の例を図12cに示す。この曲線は常に、同じ形態をとるが、温度スケール(すなわち、そのTm)に対するその絶対位置は、DNAの塩基組成と変性に使用される条件の両方によって影響される。
DNA分子の融点は、その塩基組成に顕著に依存する。GC塩基対が豊富なDNA分子は、豊富なAT塩基対を有するDNA分子よりも高いTmを有する(図13b)。多くの種由来のDNAのTmは、GC含量とともに直線的に変化し、GC対の画分が20%〜78%に増大するにつれて77℃から100℃に上昇する。すなわち、塩基組成物に対するTmの依存性は、線形であり、G−C含量のあらゆるパーセントの増大について約0.4℃増大する。GC塩基対は、AT対よりも安定である。なぜなら、それらの塩基は、2つではなく3つの水素結合によって一緒に保持されるからである。さらに、隣接するGC塩基対は、隣接するAT塩基対よりも互いと強力に相互作用する。従って、DNAのATリッチ領域が最初に融解される。
Tmに対する主な効果は、溶液のイオン強度によって発揮される。Tmは、一価陽イオン濃度での10倍増大ごとに、16.6℃増大する。最も一般的に用いられる条件は、0.12Mリン酸緩衝液中でDNAの操作を行うことであり、これによって0.18Mの一価Na+濃度および90℃のTmが得られる。
Tmは、水素結合を不安定にする、ホルムアミドのような試薬の存在下で反応を行うことによって、大きく変化され得る。これによって、Tmは40℃程度まで低く低下されて、これにはDNAが高温に曝されることから生じ得る損害(例えば、鎖の破壊)を被らないという利点がある。(Stryer,Biochemistry,1998、第3版、W.H.Freeman and Co.,pp.81−82およびLewin,Genes II,1985,John Wiley&Sons,p.63−64)。
本発明によるプローブの二次構造の安定性は、以下のような融点アッセイで決定される。
吸光度が温度に対してプロットされる、プローブの検量線(例えば、図12c)は、緩衝液中に約0.2μg/ml〜100μg/mlのプローブを含むサンプルをインキュベートし、これによってプローブの変性および再アニーリングを可能にするのに十分な時間、種々の温度でプローブを変性および再アニーリングさせること、そしてこの範囲の下限温度が、プローブのTmまたは予測Tmを少なくとも50℃下回り、かつこの範囲の上限温度がこれを少なくとも50℃上回る、温度の範囲にわたって分光光度計において、石英キュベットにおけるサンプルの吸光度を測定すること(用いられる分光光度計に適切なパスレングス、例えば1−cm)によって調製される。このプローブのTmは、当分野で周知の方法に従って塩基対組成物に基づいて予測される(Sambrook(前出);Ausubel(前出)を参照のこと)。種々の緩衝液(例えば、1×TNE緩衝液(10×−0.1MのTris塩基、10mMのEDTA、2.0MのNaCl、pH7.4)、FEN ヌクレアーゼ緩衝液(本明細書に記載される)、1×クローニング Pfu緩衝液(本明細書に記載される)、1×Sentinel 分子指標緩衝液(本明細書に記載される))(切断反応に使用されるべき特定のヌクレアーゼに可能であり、かつ選択的に至適である緩衝液を含む)を用いて、検量線を生成して比較する。緩衝液のpHを温度の上昇につれてモニターして、必要に応じて調節する。
このアッセイは、シングル・ビームの紫外−可視範囲(UV−VIS)の分光光度計で行われる。好ましくは、このアッセイはダブルビームの分光光度計で行って、ブランクを含む参照キュベット(マッチしたキュベット)に対して、サンプル溶液を保持するキュベットを自動的に比較することによって測定を簡易にする。このブランクは、等容積のサンプル緩衝液である。
分光光度計の温度は、サンプルの吸光度が特定の温度で測定されるように制御され得る。本発明による有用な分光光度計としては限定はしないが、MicroTm Analysis Accessory(Beckman Coulter、Inc.,Columbia、MD)と組み合わせたBeckman Coulter DU(登録商標)600/7000分光光度計が含まれる。
プローブの切断反応で使用されるべきヌクレアーゼについて可能であり、かつ優先的に至適である、特定の温度でかつ緩衝液中でのプローブの二次構造の安定性は、上記のように、特定の温度でプローブの吸光度を測定すること、および、上記のような検量線(検量線は、試験温度で用いられるのと同じ緩衝液、または匹敵する検量線を生じることが公知の緩衝液のいずれかを用いて生成される)から決定した場合、Tmでの吸収よりも吸収の値が小さいか否かを決定することによって決定される。プローブの二次構造は、切断反応の温度以下の温度での光吸収のレベルが、プローブのTmに等しい温度での光吸収のレベルよりも少ない(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、そして最も好ましくは25%以上)場合、切断反応の温度以下である温度(すなわち、切断が行われる)で、融点アッセイにおいて「安定」である(図12cおよび図12dを参照のこと)。
B.FRET
FRETアッセイは、本発明において2つの目的について有用である。第一は、プローブの二次構造が、本明細書において規定されるように「安定」であるか否かを決定することである。第二は、プローブの二次構造が標的核酸に対するプローブの結合の際に「変化」を受けているか否かを決定することである。
FRETアッセイは、本発明において2つの目的について有用である。第一は、プローブの二次構造が、本明細書において規定されるように「安定」であるか否かを決定することである。第二は、プローブの二次構造が標的核酸に対するプローブの結合の際に「変化」を受けているか否かを決定することである。
「FRET」は、励起がドナー分子からアクセプター分子に移される2つの色素分子の電子的励起状態の間の距離依存性の相互作用である。FRETは、相互作用する共鳴エネルギーアクセプター、いずれか別のフルオロフォア、発色団、またはクエンチャーから蛍光ドナー基を隔てる距離での変化によって生じる。ドナーおよびアクセプター部分の組み合わせは、「FRET対」として公知である。効率的なFRET相互作用には、色素対の吸収および発光スペクトルが、高い程度の重複を有することが必要である。
ほとんどの実施形態では、FRETについてのドナーおよびアクセプター色素は異なり、この場合、FRETは、アクセプターの増感蛍光の出現によって、および/またはドナー蛍光の消光によって検出され得る。ドナーおよびアクセプターが同じである場合、FRETは、得られた蛍光脱分極によって検出される。FRETは、分子間分離の6乗の逆数に依存する(Stryer et al.,1978、Ann.Rev.Biochem.,47:819;Selvin,1995、Methods Enzymol.,246:300)。
本明細書において用いる場合、「ドナー、供与体(donor)」という用語は、第一の波長で吸収し、かつ第二の、より長い波長で放射するフルオロフォアを言う。「アクセプター、受容体(acceptor)」という用語は、ドナーの発光スペクトルに重複し、ドナー(供与)基に近い場合(典型的には1〜100nm)ドナーから放射されるエネルギーのある程度またはほとんどを吸収できる吸収スペクトルを有する、フルオロフォア、発色団またはクエンチャーを言う。アクセプターが、FRETを示し得るフルオロフォアであるならば、これは三番目に、さらに長い波長を再放射し;アクセプターが発色団またはクエンチャーであるならば、光子を放射することなく、ドナーから吸収されるエネルギーを放出する。アクセプターの吸収スペクトルは、2つの基が近位である場合ドナーの発光スペクトルに重複するが、これは、溶液中で遊離する分子のスペクトルについての場合には必要はない。従って、アクセプターは、本明細書に規定される、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化するプローブ二次構造の存在に起因してドナーに対して、本明細書によるプローブ上で近位に配置された場合、FRETまたはクエンチングのいずれかを示す、フルオロフォア、発色団またはクエンチャーを含む。アクセプターは、a)Tm以上の温度(例えば、Tmより5°大きい、例えば、Tmより6°、10°、25°、50°またはそれ以上大きい)で、またはb)標的核酸の存在下で、FRETまたはクエンチングを示す、フルオロフォア、発色団、またはクエンチャーを含まない。
本明細書での「蛍光」または「蛍光基」または「フルオロフォア」との言及には、それぞれ、発光、発光基、および適切な発色団を含む。適切な発光プローブとしては、限定はしないが、ランチウムキレートとして導入されたユーロピウムおよびテルビウムの発光イオンが含まれる(Heyduk & Heyduk,1997)。ランタニドイオンはまた、蛍光基へのエネルギー移動のための良好なドナーである(Selvin 1995)。ランタニドイオンを含む発光基は、「オープン・ケージ(open cage)」キレーターホスホラミダイトを利用して核酸に組み込まれてもよい。
本明細書において用いる場合、「クエンチング」という用語は、ドナーによって示される蛍光の強度の減少に関連するドナーからアクセプターへのエネルギーの移動を言う。
ドナーおよびアクセプター基は独立して、適切な蛍光基、発色団およびクエンチング基から選択され得る。本発明によって有用なドナーおよびアクセプターとしては、限定はしないが以下が含まれる。5−FAM(5−カルボキシフルオレセインとも呼ばれる;スピロ(イソベンゾフラン−1(3H)、9’−(9H)キサンテン)−5−カルボン酸、3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソ−6−カルボキシフルオレセイン)とも呼ばれる;5−ヘキサクロロ−フルオレセイン([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’,6’−ジピバロイル−フルオレセイニル)−6−カルボン酸]);6−ヘキサクロロ−フルオレセイン([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);5−テトラクロロ−フルオレセイン([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);6−テトラクロロ−フルオレセイン([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−6−カルボン酸]);5−TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミン;キサンチリウム(Xanthylium)、9−(2,4−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチル−アミノ);6−TAMRA(6−カルボキシテトラメチルローダミン;キサンチリウム(Xanthylium)、9−(2,5−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチルアミノ);EDANS(5−((2−アミノエチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);1,5−IAEDANS(5−((((2−ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);DABCYL(4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)Cy5(インドジカルボシアニン−5)Cy3(インド−ジカルボシアニン−3);およびBODIPY FL(2,6−ジブロモ−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸)、ならびに、それらの適切な誘導体。
本発明の特定の実施形態では、プローブはまた、2つの発色団で標識されてもよく、そして標識対の吸収スペクトルの変化が、蛍光の変化を測定する代わりとして、検出シグナルとして用いられる。
本発明の方法では、プローブの蛍光強度は、当分野で公知の方法に従って、蛍光分光光度計またはマイクロタイタープレートリーダーを用いて1つ以上の波長で測定される。
C.蛍光クエンチングアッセイ
蛍光クエンチングアッセイは、本発明において2つの対象のために有用である。第一は、プローブの二次構造が、本明細書に定義されるとおり「安定」であるか否かを確定することである。第二は、このプローブの二次構造が、標的核酸に対するプローブの結合の際に「変化」を受けているか否かを確定することである。
蛍光クエンチングアッセイは、本発明において2つの対象のために有用である。第一は、プローブの二次構造が、本明細書に定義されるとおり「安定」であるか否かを確定することである。第二は、このプローブの二次構造が、標的核酸に対するプローブの結合の際に「変化」を受けているか否かを確定することである。
本発明によるプローブは、1対の相互作用性標識(例えば、FRETまたは非FRETの対)であって、この対の一方がフルオロフォアであり、かつこの対のもう一方がクエンチャーであるという標識で標識される。例えば、本発明によるプローブは、フルオロフォアおよびクエンチャーで標識され、蛍光は、標的核酸の非存在下で、ある範囲の温度にわたって測定され、例えば、この範囲の下限温度は、プローブのTmまたは予測Tmを少なくとも50℃下回り、この範囲の上限温度はこれを少なくとも50℃上回る。
D.安定性
本発明によるプローブの二次構造の「安定性」は以下のとおり確定される。プローブは、当分野で周知の方法に従って本明細書に記載される、対の相互作用性標識(例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)、または任意の相互作用性標識(FRETまたは非FRET対のいずれか)を用いて標識される(例えば、GlazerおよびMathies,1997,Curr.Opin.Biotechnol.,8:94;Ju et al.,1995,Analytical Biochem.,231:131)に記載される)。プローブ上の相互作用性標識の位置は、標的核酸に対するプローブの結合後にプローブの二次構造が変化する場合、標識が分けられるような位置である。
本発明によるプローブの二次構造の「安定性」は以下のとおり確定される。プローブは、当分野で周知の方法に従って本明細書に記載される、対の相互作用性標識(例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)、または任意の相互作用性標識(FRETまたは非FRET対のいずれか)を用いて標識される(例えば、GlazerおよびMathies,1997,Curr.Opin.Biotechnol.,8:94;Ju et al.,1995,Analytical Biochem.,231:131)に記載される)。プローブ上の相互作用性標識の位置は、標的核酸に対するプローブの結合後にプローブの二次構造が変化する場合、標識が分けられるような位置である。
温度に対して蛍光をプロットしている、プローブの検量線(例えば、図12e)は、典型的には125nMのプローブを含むサンプルを、1×融解緩衝液(Melting Buffer)(20mMのTris−HCl、pH8.0、1mMのMgCl2)中で、あるいは5mMのTris−HCl、pH8.0、0.1mMのEDTA、または他の適切な緩衝液中で、このプローブの変性および再アニーリングを可能にするのに十分な時間、インキュベートすることによって作成する(典型的には、この検量線は、1分に1℃の変化を受ける蛍光光度計または分光計を用い、かつある範囲の温度であって、この範囲の下限温度が、プローブのTmまたは予測Tmを少なくとも50℃下回り、この範囲の上限温度がこれを少なくとも50℃上回る温度にわたって蛍光光度計または走査蛍光分光光度計で蛍光を測定して、作成される)。プローブのTmは、当分野で周知の方法に従って、塩基対組成物に基づいて予測される(Sambrook(前出);Ausubel(前出)を参照のこと)。
検量線は、種々の緩衝液(例えば、1×TNE緩衝液(10×−0.1Mのトリス塩基(Tris base)、10mMのEDTA、2.0MのNaCl、pH7.4)、FENヌクレアーゼ緩衝液(本明細書に記載される)、1×Cloned Pfu緩衝液(本明細書に記載される)、1×Sentinel 分子指標緩衝液(本明細書に記載される))であって、切断反応に使用されるべき特定のヌクレアーゼについて可能でありかつ優先的に至適である緩衝液を含む、緩衝液を用いて作成かつ比較される。この緩衝液のpHは、温度の上昇につれてモニターされ、かつ必要に応じて調節される。
蛍光計または分光光度計の温度は、サンプルの蛍光が特定の温度で測定されるように制御してもよい。蛍光は、例えば、温度調節可能な水槽と組み合わせたPerkin−Elmer LS50B Luminescence Spectrometer(例えば、Fisher Scientificから入手可能)を用いて測定してもよい。
特定の温度でのプローブの二次構造の安定性は、上記のように、特定の温度でプローブの蛍光を測定すること、および蛍光の値が、検量線から確定した場合、Tmでの蛍光よりも低いか否かを確定することによって、測定される。プローブの二次構造は、FRETアッセイにおいて、切断反応以下の温度での蛍光のレベルが、プローブのTmに等しい温度での蛍光のレベルから変化している(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、最も好ましくは25%程度)場合、この切断反応の温度(すなわち切断が行われる)以下の温度で、「安定」である。プローブの二次構造は、蛍光クエンチングアッセイにおいて、切断反応の温度以下の温度での蛍光のレベルが、プローブのTmに等しい温度での蛍光のレベルよりも低い(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、最も好ましくは25%程度)場合、この切断反応の温度(すなわち切断が行われる)以下の温度で、「安定」である(図12fおよび図12g)。
あるいは、プローブの二次構造の安定性は、参照により本明細書に組み込まれる、Gelfand et al.(1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:6113)の方法を改変することで判定して、本明細書に上記されるように、ある範囲の温度で1対の相互作用性標識を用いて標識されたプローブの蛍光を測定する。
V.二次構造を検出する
本発明による二次構造は、上記のように、FRETまたは蛍光クエンチングアッセイにおいて、1対の相互作用性標識を含むプローブについて、蛍光対温度の検量線を作成することによって、検出する(図12eを参照のこと)。温度の変化と相関する蛍光の変化を示すプローブ(図12eを参照のこと)(例えば、蛍光は、FRET反応の温度が上昇するにつれて増大する)は、二次構造を形成し得る。
本発明による二次構造は、上記のように、FRETまたは蛍光クエンチングアッセイにおいて、1対の相互作用性標識を含むプローブについて、蛍光対温度の検量線を作成することによって、検出する(図12eを参照のこと)。温度の変化と相関する蛍光の変化を示すプローブ(図12eを参照のこと)(例えば、蛍光は、FRET反応の温度が上昇するにつれて増大する)は、二次構造を形成し得る。
VI.二次構造における変化を測定する
本発明による二次構造の「変化」は、100nM〜10μMの標的核酸(典型的には、標的核酸は、プローブ濃度よりも2〜4モル過剰であり、すなわち、250〜500nMの標的核酸が用いられる)の有無において、上記のような、プローブのTm未満の特定の温度(例えば、切断温度)でのFRETまたは蛍光消光アッセイにおいて、1対の相互作用性標識を含むプローブを分析することによって検出する。
本発明による二次構造の「変化」は、100nM〜10μMの標的核酸(典型的には、標的核酸は、プローブ濃度よりも2〜4モル過剰であり、すなわち、250〜500nMの標的核酸が用いられる)の有無において、上記のような、プローブのTm未満の特定の温度(例えば、切断温度)でのFRETまたは蛍光消光アッセイにおいて、1対の相互作用性標識を含むプローブを分析することによって検出する。
あるいは、プローブの二次構造における変化は、参照により本明細書に組み込まれる、Gelfand et al.(1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:6113)の方法を改変することで判定して、本明細書に上記されるような標的核酸の有無において、1対の相互作用性標識を用いて標識されたプローブの蛍光を測定する。
本発明によるプローブが、標的核酸に結合する場合に生じる二次構造の「変化」とは、プローブのTm未満の温度での標的核酸に対するプローブの結合の後の蛍光のレベルが、標的核酸の非存在下で観察された蛍光のレベルよりも大きい(例えば、少なくとも5%、好ましくは5〜20%、さらに好ましくは25%以上)ような、蛍光での増大として測定される(図12gを参照のこと)。
VII.使用方法
本発明は、標的核酸とプローブとをインキュベートすることと、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断構造を切断することによって、標識された切断構造を形成するステップとを含む、サンプル中の標的核酸の存在の指標であるシグナルを発生させる方法を提供する。本発明の方法は、下記のPCRベースのアッセイで用いてもよい。
本発明は、標的核酸とプローブとをインキュベートすることと、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断構造を切断することによって、標識された切断構造を形成するステップとを含む、サンプル中の標的核酸の存在の指標であるシグナルを発生させる方法を提供する。本発明の方法は、下記のPCRベースのアッセイで用いてもよい。
上流オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、図4のA)、5’末端標識下流オリゴヌクレオチドプローブ、および標的核酸(例えば、図4のB)を含む標識された切断構造を、「切断構造」というタイトルの項に上記されたとおり形成する。ある実施形態では、下流プローブは、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含む(例えば、図4のC)。要するに、標的核酸の存在下で、上流プライマー(例えば、図4のA)、本明細書に定義される標識下流プローブ(例えば、図4のC)、標的核酸に特異的な随意増幅プライマー、核酸ポリメラーゼ活性(例えば、DNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)および適切な緩衝液(例えば、10×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)の有無において、以下のサーマルサイクリングパラメータ(95℃で2分間、ならびに95℃で15秒間(変性ステップ)、60℃で60秒間(アニーリングステップ)、および72℃で15秒間(伸長ステップ)という40サイクル)をPCR反応で用いて、切断構造を形成して、切断する。この反応の間、上流のオリゴヌクレオチド(例えば、図4のA)が伸長され、その結果、オリゴヌクレオチドAが、本発明による下流オリゴヌクレオチドプローブの5’標識末端を部分的に置換して(例えば、図4のオリゴヌクレオチドC)、得られた標識構造は、本発明によるヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断される。あるいは、本明細書に規定される、二次構造を含む下流プローブ(ステム・ループ、ヘアピン、内部ループ、バルジ・ループ、分枝構造およびシュードノットを含む)、または複数の二次構造、クローバー葉構造、または本明細書に規定される任意の三次元構造が用いられてもよい。本明細書に規定されるような、二分子または多分子プローブも用いられてもよい。遊離された標識フラグメントは、当分野で周知の方法に従って、固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の特異的結合によって捕獲される(Sambrook et al.(前出)およびAusubel et al.(前出)を参照のこと)。あるいは、遊離された標識フラグメントまたは切断された下流プローブは、直接検出される(例えば、シグナル発生部分の相互作用性の対の間の下流プローブの切断)。
本発明の方法はまた、標的を固体支持体上で固定することができるような非PCRベースの適用に用いて、標的核酸を検出することができる。固体支持体上の核酸配列の固定法は当分野で公知であり、Ausubel FM et al.「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons,Inc.に、および製造者が供給しているプロトコール(例えば、膜については:Pall Corporation,Schleicher & Schuell、磁性ビーズについては:Dynal、培養プレートについては:Costar、Nalgenunc、本発明で有用な他の支持体については:CPG,Inc.)に記載されている。本発明で有用な固体支持体としては、限定はしないがシリカベースのマトリックス、膜ベースのマトリックス、および表面を含むビーズが含まれ、これには限定はしないが、「切断構造」のタイトルの項で上記された任意の固体支持体が包含され、これにはスチレン、ラテックス、またはシリカベースの物質および他のポリマーが包含される。磁性ビーズも本発明で有用である。上記の製造者および他の公知の製造者から固体支持体を得てもよい。
本発明はまた、溶液中の標的核酸の検出用の非PCRベースのアッセイを提供する。本発明の方法を用いて、溶液中に天然に存在する標的核酸(細胞、組織、単細胞生物、細菌、またはウイルスから単離かつ精製したRNAおよびDNAが含まれるが、これらに限定されない)を検出することができる。本発明の方法を用いて、溶液中の合成標的(RNAまたはDNAオリゴヌクレオチドおよびペプチド核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない)を検出することもできる。非PCRアッセイとしては、3’→5’合成活性によって合成された核酸の量が一次関数または指数関数的に増加する等温直線的または指数的増幅を含み、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)を用いて合成中の置換鎖を切断する、検出アッセイが含まれるが、これらに限定されない。このような例の1つは、ローリングサークル増幅を利用する。
本発明の一実施形態では、固定された核酸標的配列または溶液中の標的核酸と、前記標的核酸に相補的な上流オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、図4のA)と、前記標的核酸に相補的である、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含む下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、図4のC)と、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)と、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を保有するかまたは欠く核酸ポリメラーゼとのインキュベーションによって、固定されているか溶液中に存在する核酸標的配列の検出を行うことができる。下流プローブは、5’もしくは3’末端で末端標識されたものであるか、または内部標識されている。あるいは、本明細書に規定される、二次構造(ステム・ループ、ヘアピン、内部ループ、バルジ・ループ、分岐構造およびシュードノットを含む)、または複数の二次構造、クローバ葉構造、または本明細書に規定されるような任意の三次元構造を含む下流プローブを用いてもよい。本明細書に規定されるような二分子または多分子のプローブも用いられ得る。捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される遊離された標識フラグメントの検出は、プローブに組み込まれ特定の標識に適切な、アイソトープ的な方法、酵素的方法、または比色法に関与し、かつ当分野で周知である(例えば、Sambrook et al.(前出)、Ausubel et al.(前出))。本発明によって有用な標識および本発明によって有用な標識の検出方法は、「切断構造」というタイトルの項に記載されている。あるいは、下流プローブは、プローブがインタクトな場合に検出可能なシグナルが消光されるような位置にある相互作用性シグナル発生標識部分の対(例えば、色素およびクエンチャー)をさらに含み、この相互作用シグナル発生部分の対はヌクレアーゼ切断部位(例えば、FENヌクレアーゼ切断部位)によって隔離されている。別の実施形態では、この下流プローブはさらに、プローブが標的核酸にハイブリダイズされない場合に検出可能なシグナルが消光されるような位置にある1対の相互作用性シグナル発生標識部分の対(例えば、色素およびクエンチャー)を含む。ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)による切断の際、この2つのシグナル発生部分は互いに隔てられ、検出可能なシグナルが発生される。上記のような1対の相互作用性シグナル発生標識部分の存在によって、捕獲エレメントに結合し得る、アニーリングされた、未切断のプローブと、捕獲エレメントに結合される遊離された標識フラグメントとの間の識別が可能になる。本発明の方法による、固定された核酸標的配列または溶液中の核酸標的配列の検出に有効な核酸ポリメラーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く中温性、好熱性、または超好熱性のDNAポリメラーゼが含まれる(「核酸ポリメラーゼ」というタイトルの項に記載)。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を保有する任意の核酸ポリメラーゼも本発明によって有用である。
非PCRベースの方法によれば、検出することができる標的核酸の量は、好ましくは約1pg〜1μg、より好ましくは約1pg〜10ng、最も好ましくは約1pg〜10pgである。あるいは、この非PCRベースの方法により、好ましくは約1分子〜1020分子、より好ましくは約100分子〜1017分子、最も好ましくは約1000分子〜1014分子を測定または検出することができる。
本発明はまた、サンプル中の標的核酸を検出する方法であって、「切断構造」というタイトルの項に記載のように切断構造を形成し、非PCRベースの方法(等温法(例えば、ローリングサークル、自律配列複製増幅(3SR)、転写ベースの増幅系(TAS)、および鎖置換増幅(SDA))および非等温法、例えば、ライゲーション連鎖反応(LCR)が含まれるが、これらに限定されない)によって標的核酸を増幅する、方法を提供する。非PCR増幅法に有用なヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)は、使用される特定の増幅法に適切な温度範囲で活性である。
以下に記載の増幅プロトコールでは、標的を定量するために調製する必要があるサンプルとしては、以下が含まれる。サンプル、非テンプレートコントロール、および検量線作成用の反応物(規定の標的量を含めて6ケタの範囲におよぶ溶液希釈を含む)。
鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)は、制限酵素がその認識部位のヘミホスホロチオエート型の非改変鎖にニックを形成する能力に基づく。適切なDNAポリメラーゼは、このニックで複製を開始し、下流の非テンプレート鎖を置換する(Walker,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:392、およびPCR Methods and Applications,3:1−6,1993)。SDA法に従って用いられるポリメラーゼ(BcaおよびBst)を、本発明によるヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)指向性切断に用いることもできる。本発明の方法によれば、分子指標を、42℃で活性なヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)、および標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、さらに結合部分を含み、かつ本発明による切断構造を含む切断プローブによって置換する。
分子指標(Mb)は、溶液中でステム−ループ構造を形成する蛍光発生プローブである。典型的には:5’ステム領域(5〜7nt)、ループ領域(標的に相補的、20〜30nt)、3’ステム領域(5’ステム領域に相補的)、およびクエンチャー(例えば、DABCYL)に結合した5’蛍光色素(例えば、FAM)。標的が存在しない場合、MBはステムを形成し、色素およびクエンチャーを近接させ、従って蛍光は発しない。MBがその標的に結合した場合、ステムが開き、色素がクエンチャーから空間的に分離し、これによってプローブが蛍光を発する(Tyagi S and Kramer FR,Nature Biotechnology,14:303−308、1996および米国特許第5,925,517号)。
鎖置換増幅(SDA)は、本質的にSpargo et al.,Molecular and Cellular Probes,10:247−256,1996に記載のとおり行う。用いた酵素としては、制限エンドヌクレアーゼBsoBI(New England Biolabs)、DNAポリメラーゼ5’−エキソ−Bca(Pan Vera Corporation)が含まれる。標的は、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)ゲノムに見出される挿入様エレメント(IS6110)である。用いたプライマーは、B1:cgatcgagcaagcca(配列番号35)、B2:cgagccgctcgctg(配列番号36)、S1:accgcatcgaatgcatgtctcgggtaaggcgtactcgacc(配列番号37)およびS2:cgattccgctccagacttctcgggtgtactgagatcccct accgcatcgaatgcatgtctcgggtaaggcgtactcgacc(配列番号38)である。Mycobacterium tuberculosisのゲノムDNAを、ヒト胎盤DNA中で連続希釈する。0〜1000Mtbのゲノム等価物、500ngのヒト胎盤DNA、160単位のBsoB1、8単位の5’−エキソ−Bca、1.4mMの各dCTPαS、TTP、dGTP、dATP、35mMのK2PO4(pH7.6)、0.1mg/mlアセチル化ウシ血清アルブミン(BSA)、3mMのTris−HCl、10mMのMgCl2、11mMのNaCl、0.3mMのDTT、4mMのKCl、4%グリセロール、0.008mMのEDTA、500nMのプライマーS1およびS2ならびに50nMのプライマーB1およびB2(KCl、グリセロールおよびEDTAは、BsoB1保存溶液の成分である)を含む50μlのサンプル中でSDAを行う。サンプル(35μl)を、煮沸した水浴中で3分間加熱後、BsoB1および5’−エキソ Bca(10.7単位/μlのBsoB1および0.53単位/μlの5’−エキソBcaを含む15μlのNew England Biolabsの緩衝液2(20mMのTris−HCl(pH7.9)、10mMのMgCl2、50mMのNaCl、1mMのDTT)を添加した。インキュベーションは60℃で15分間、その後煮沸した水浴中で5分間である。
5μlの2連の各サンプルを検出用に取り出す。各反応物は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、5単位のエキソ−Pfu、23ngのPfu FEN−1、1ngのPEF、300nMの各上流プライマー:aaggcgtactcgacctgaaa(配列番号39)、および蛍光発生プローブ(例えば、FAM−DABCYL):accatacggataggggatctc(配列番号40)を含む。この反応物をサーマルサイクラーの以下の1サイクルに供する。95℃で2分間、55℃で1分間、72℃で1分間。次いで、蛍光プレートリーダー(StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700配列検出システム(プレート読み出しモード)など)で蛍光を測定する。本発明の方法はまた、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼで行ってもよい。
核酸配列ベースの増幅法(NASBA)によれば、分子指標を、リアルタイム分析におけるNASBA RNAアンプリコンの定量に用いる(Leone et al.,1998、Nucleic Acids Res. 26:2150)。本発明の方法によれば、分子指標プローブが、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部位を含み、さらに本発明による切断構造を含むヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)切断プローブ、ならびに41℃で活性なヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)により置換される、NASBAを行うことができる。
本質的にLeone G.et al.,Nucleic Acids Res.26:2150−2155(1998)に記載のようにNASBA増幅を行う。ジャガイモハマキウイルス(PLRV)由来のゲノムRNAを、PD415またはPD416(アンチセンス)およびPD417(センス)プライマーを用いて増幅する(これは、Leone G et al.,J.Virol.Methods,66:19−27(1997)に詳述)。各々のNASBA反応は、6μlの滅菌水、4μlの5×NASBA緩衝液(5×NASBA緩衝液は200mMのTris−HCl(pH8.5)、60mMのMgCl2、350mMのKCl、2.5mMのDTT、5mMの各dNTP、10mMの各ATP、UTP、およびCTP、7.5mMのGTP、および2.5mMのITP)、4μlの5×プライマーミックス(75%DMSOおよび1μMの各アンチセンスおよびセンスプライマー)のプレミックスを含む。このプレミックスを14μlのアリコートに分け、これに1μlのPLRV標的を添加する。65℃で5分間のインキュベーションおよび41℃で5分間の冷却後、5μlの酵素ミックスを添加する(反応あたり375mMソルビトール、2.1μgBSA、0.08単位のRNアーゼH(Pharmacia)、32単位のT7 RNAポリメラーゼ(Pharmacia)、および6.4単位のAMV−RT(Seigakaku))。増幅は41℃で90分間である。
一実施形態では、5μlの2連の各サンプルを検出用に取り出す。各反応は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、5単位のエキソ−Pfu、23ngのPfu FEN−1、1ngのPEF、300nMの各上流プライマーPD415またはPD416、および蛍光発生プローブ(例えば、FAM−DABCYL):gcaaagtatcatccctccag(配列番号41)を含む。反応物をサーマルサイクラーの以下の1サイクルに供する。95℃で2分間、55℃で1分間、72℃で1分間。次いで、蛍光プレートリーダー、例えば、StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700配列検出システム(プレート読み出しモード)で蛍光を決定する。
別の実施形態では、非PCRベースの増幅(例えば、NASBA)反応混合物に、蛍光発生プローブおよびPfu FEN−1ヌクレアーゼを直接添加することによって、検出反応を行う。蛍光プローブは、プロモーター領域の下流の標的の領域に相補的であるように設計する。RNAポリメラーゼは、プロモーター領域に結合してRNAを合成する。RNAの合成された3’末端によって、2つのオリゴヌクレオチドが十分に近い場合、下流プローブで切断構造が形成される。これによって、この方法では、増幅および切断が同時に生じる。蛍光は、StratageneのMx3005P QPCR Systemで決定され得る。
本発明のさらに別の方法では、上流オリゴヌクレオチドを含む標識された切断構造(例えば、RNAポリメラーゼによって合成されたRNA)(例えば、図4のA)、標識された下流オリゴヌクレオチドプローブ、および標的核酸(例えば、図4のB)は、「切断構造」というタイトルの項で上記されたように形成される。いくつかの実施形態では、下流プローブは、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含む(例えば、図4のC)。要するに、標的核酸の存在下で、(RNA合成を開始するためにRNAポリメラーゼがプロモーターを利用するかプライマーを利用するか次第で)上流プライマー(例えば、図4のA)、本明細書に記載の標識された下流プローブ(例えば、図4のC)、核酸ポリメラーゼ活性(例えば、RNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)および適切な緩衝液(例えば、10×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)の有無において、以下のサーマルサイクリングパラメータ(95℃で1〜2分間、その後に約40〜72℃に冷却)を反応で用いて切断構造を形成して、切断する。この反応の間、上流のオリゴヌクレオチド(例えば、図4のA)がRNAポリメラーゼによって伸長され、その結果、オリゴヌクレオチドAが、本発明による下流オリゴヌクレオチドプローブの5’標識末端を部分的に置換して(例えば、オリゴヌクレオチドC、図4)、得られた標識構造は、本発明によるヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)で切断される。遊離された標識フラグメントは、当分野で周知の方法に従って、固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の特異的結合によって捕獲され得る(Sambrook et al.(前出)およびAusubel et al.(前出)を参照のこと)。あるいは、遊離された標識フラグメントまたは切断された下流プローブは、直接検出される(例えば、シグナル発生部分の相互作用性の対の間の下流プローブの切断)。
一般には、増幅が非PCRベースの方法で生じるこれらの方法によれば、増幅は、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)の存在下で行ってもよく、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)による増幅および切断は同時に生じる。固体支持体上での捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される遊離された標識フラグメントの検出は、「切断構造」というタイトルの項で上記されたとおり行われ、増幅および切断のプロセスが終了するのと同時(リアルタイム)に起こっても、またはその後(エンドポイント)に起こってもよい。
エンドポイントアッセイを用いて、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)(上記)の存在下での増幅ステップを行う非PCRベースの方法によって得られた増幅された標的を定量することができる。
当業者は、反応中に存在するDNAテンプレートからRNAを合成するためにインビトロの転写反応を用い得る。T7型RNAポリメラーゼ、例えば、T7RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼまたはSP6 RNAポリメラーゼは、このような反応で共通して用いられるが、多くの他のRNAポリメラーゼも用いられてもよい。通常、常にではないが、RNAの合成は新規(すなわち、アンプライム(unprimed))であり、通常は、常にではないが、転写は、「プロモーター」または「プロモーター領域」と名づけられた、RNAポリメラーゼによって特異的に認識されるテンプレートにおける配列で開始される。インビトロ転写の方法は本明細書に提示される。
RNAポリメラーゼは、標的配列を増幅するために用いられている(Krupp,G.およびSoll,D.FEBS Letters(1987)212:271−275)。このアプローチは、標的配列の二本鎖コピーの生成、RNAポリメラーゼプロモーター配列の挿入、コピーの転写、およびハイブリダイゼーションアッセイによる検出を含む(Kwoh,D.Y.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1989)86:1173−1177)。バクテリオファージDNA−依存性RNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、SP6)はクローニングされた、または合成のオリゴヌクレオチドテンプレートからの特異的なRNA配列のインビトロでの調製のために以前に使用され、十分理解されている(Melton,D.A.et al.,Nucleic Acids Res.(1984)12:7035−7056);Chamberlin,M. and Ryan,T.,(1982)in「The Enzymes」,Boyer,P.D.,eds.15:87−108;Martin,C.T. and Coleman,J.E.,Biochemistry(1987)26:2690−2696)。これらのポリメラーゼは、極めてプロモーター特異的である。多数のT7プロモーター由来のDNA配列が公知であって、コンセンサス配列が推定されている(Oakley,J.L. and Coleman,J.E.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1977)74:4266−4270;Dunn,J.J.and Studier,F.W.,J.Molec.Biol.(1983)166:477−535)。これらのRNAポリメラーゼに基づく方法は、FENヌクレアーゼおよび検出可能に標識されたプローブが反応混合物に加えられて、増幅および検出の反応が同時に進行することを可能にするように改変され得る。検出可能な標識プローブは、標的プロモーター配列の下流にアニーリングするように設計される。従って、転写の際、下流プローブおよび合成されたRNAが切断構造を形成する。次いでFENが下流オリゴヌクレオチドを切断する。
ある実施形態では、プロモーターはプロモーター−プライマーを介して標的に付加される。多数のRNAポリメラーゼプロモーターがプロモーター−プライマーのプロモーター領域について用いられ得る。適切なプロモーター領域は、適切な条件下でリボヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼの存在下で、機能的に連結された核酸配列から転写を開始することができる。プロモーター領域は通常は、Alberts et al.,(1989)in Molecular Biology of the Cell,第2版.(Garland Publishing、Inc.)に記載のとおり、天然に存在するRNAポリメラーゼプロモーター、コンセンサスプロモーター領域、または人工的なプロモーター領域由来の、約15〜250ヌクレオチド、好ましくは約17〜60ヌクレオチドを含む。特定の対象の代表的なプロモーター領域としては、ChamberlinおよびRyan,The Enzymes(編集P.Boyer,Academic Press,New York)(1982)pp87−108に記載のT7、T3およびSP6が含まれる。
至適の転写のための正確なプロモーター内の配列の要件は一般に、米国特許第5,766,849号および同第5,654,142号などにおいて、種々のDNA依存性RNAポリメラーゼについて以前に記載されたとおり当分野で公知であり、経験的にも決定できる。
上記されるプロモーター−プライマーオリゴヌクレオチドは、当分野で公知であり、かつ本明細書に記載される任意の適切な方法を用いて調製されてもよく、例えば、自動化DNAシンセサイザー、例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,Calif.)などで合成されてもよい。
さらなる別の態様では、本発明は、RNAポリメラーゼによって伸長される上流プライマーおよび下流の標識プローブを利用して標的核酸を検出するための方法を提供する。この反応は一般に、標的核酸と、RNAポリメラーゼ、上流プライマーおよび下流プローブを含む反応混合物とを接触させるステップと、前記混合物を適切な時間、適切な条件下でインキュベートして、本明細書に記載される切断構造を生成するステップとを含む。2005年8月31日出願の米国特許出願第11/217,972号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、RNAポリメラーゼによって伸長されるプライマーを利用するRNA増幅反応を記載している。このRNA増幅反応は、本発明における使用に採用され得る。例えば、下流の標識されたプローブおよびFENヌクレアーゼが、米国特許出願第11/217,972号に記載の反応に加えられる。この例では、RNAポリメラーゼは、ハイブリダイズされたプライマーを伸長して、下流プローブを有する切断構造を形成する。
この配列特異的なRNA増幅/検出反応では、本明細書に詳述され、かつ当分野で公知であるとおり、適切なプライマーおよび標的RNA配列に相補的なプローブを、FENヌクレアーゼおよびプライミングされたRNA分子を認識し得る適切なRNAポリメラーゼとともに使用する。次いで、増幅、切断構造の形成、および切断構造の切断を、温度サイクリング条件のもとで進行させる。
例えば、反応物を70〜95℃でインキュベートして、標的を変性し、続いて反応物を35〜72℃に冷却する。温度の低下の間、プライマーおよびプローブは、標的RNA上の相補的な配列に結合する。一旦温度が最適の範囲に達すれば、RNAポリメラーゼは、プライマーを伸長して、下流プローブの少なくとも部分的な置換を生じ、これが切断構造を形成する。次いで切断構造はヌクレアーゼによって切断される。
エンドポイントアッセイとしては、限定はしないが、以下が含まれる。
A.Landegren et al.,1988、Science,241:1077およびBarany,PCR Methods and Application,1:5−16(1991)に記載のライゲーション連鎖反応(LCR)。本発明で有用なLCR産物は、上流プライマーおよび標識下流プローブがヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)による効率的な切断を可能にするための8ヌクレオチドを超えるギャップによって隔てられるように十分に長い。
B.自律配列複製増幅(Self−sustained sequence replication amplification)(3SR)、Fahy et al.,PCR Methods and Applications,1:25−33(1991)。自律配列複製増幅(3SR)は、NASBAに類似の技術である。Ehricht R et al.,Nucleic Acids Res.25:4697−4699(1997)は、3SR手順を協調的結合インビトロ増幅系(cooperatively coupled in vitro amplification system)(CATCH)に発展させた。したがって、本発明の一実施形態では、分子指標プローブを、CATCHによるRNAアンプリコンのリアルタイム分析に用いる。増幅した合成標的は、配列:cctctgcagactactattacataatacgactcactatagggatctgcacgtattagcctatagtgagtcgtattaataggaaacaccaaagatgatatttcgtcacagcaagaattcagg(配列番号42)を有する。3SR反応は、40mMのTris−HCl(pH8.0)、5mMのKCl、30mMのMgCl2、1mMの各々のdNTP、1nMの二本鎖標的、2μMのP1:cctctgcagactactattac(配列番号43)およびP2:cctgaattcttgctgtgacg(配列番号44)、5mMのDTT、2mMのスペルミジン、6単位/μlのHisタグ化HIV−1逆転写酵素、3単位/μlのT7−RNAポリメラーゼ、および0.16単位/μlのEscherichia coli RNアーゼHを含む。100μlの反応物を、42℃で30分間インキュベートする。
5μlの2連の各サンプルを検出用に取り出す。各々の反応物は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、5単位のエキソ−Pfu、23ngのPfu FEN−1、1ngのPEF、300nMの各々の上流プライマーP1および蛍光発生プローブ(例えば、FAM−DABCYL):taggaaacaccaaagatgatattt(配列番号45)を含む。反応物をサーマルサイクラーの以下の1サイクルに供する。95℃で2分間、55℃で1分間、72℃で1分間。次いで、蛍光プレートリーダー(StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700配列検出システム(プレート読み出しモード)など)で蛍光を測定する。3SRの方法はまた、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に記載された任意のヌクレアーゼで行われてもよい。
C.ローリンサークル増幅は、米国特許第5,854,033号および関連する分岐伸長増幅法(RAM)(米国特許第5,942,391号)に記載されている。本発明に適合させたローリングサークル増幅は、以下に記載されている。
リアルタイムアッセイを用いて、増幅ステップをヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)(上記)の存在下で行う非PCRベースの方法によって得られた増幅標的を定量してもよい。ローリングサークル増幅の方法(米国特許第5,854,033号)を、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)、および標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含み、さらに本発明による切断構造を含む切断可能なプローブと組み合わせて、増幅および検出用の二次プライマーを含むように適応させて、50〜600Cの温度で行う。ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)の切断パターンを、プライマーの5’末端由来の1〜15ヌクレオチドの間のいずれかに位置する単一のミスマッチ塩基の存在によって変化させることができる(DNAプライマーはそうでなければ完全にアニーリングされる)。典型的には、完全にアニーリングされた基質では、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)は、最も5’端のヌクレオチドをエキソヌクレアーゼ的に切断する。しかし、5’末端から15ヌクレオチドまでの単一のヌクレオチドミスマッチにより、エンドヌクレアーゼ的切断が促進される。これは、5’プルーフリーディングプロセスを構成し、ここでは、ミスマッチがヌクレアーゼ作用を促進してミスマッチの除去がもたらされる。したがって、ヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)切断の機構は、単に単一のミスマッチ塩基対の存在により、主にエキソヌクレアーゼ的な切断から主にエンドヌクレアーゼ的な切断に変えられる。この変化はおそらくミスマッチにより短いフラップが作製されるために起こる(Rumbaugh et al.,1999、J.Biol.Chem.,274:14602)。
本発明の方法を用いて、標的核酸配列中の配列バリエーションの存在の指標となるシグナルを発生させてもよく、ここで、標的核酸と、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含むプローブ(タイトル「切断構造」の項に記載)とをインキュベートすること、およびヌクレアーゼ(例えば、FENヌクレアーゼ)によりこの標識された切断構造を切断することによって、完全にアニーリングしたDNAプライマーを含む標識された切断構造が形成され、また、エンドヌクレアーゼ的な切断産物を含む標識されたフラグメントの遊離、および固体支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される遊離されたフラグメントの検出が、配列バリエーションの存在の指標である。遊離された標識フラグメントは、「切断構造」というタイトルの項に記載のように検出する。
V.サンプル
本発明は、本明細書中で定義した、サンプル中の標的核酸の検出または測定の方法を提供する。本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、対象の核酸(標的核酸)を含むかもしくは含むと予想されるか、またはそれ自体が対象の標的核酸を含むかもしくは含むと予想される標的核酸である、任意の物質を言う。したがって、「サンプル」という用語は、標的核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA)、細胞、生物、組織、流体または物質(限定はしないが、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便;皮膚、気管、腸および尿生殖路の外分泌物;唾液、血球、腫瘍、器官、組織、インビトロ細胞培養成分のサンプル、天然の単離物(飲料水、海水、固体物質など)、微生物試料、ならびに核酸トレーサー分子で「標識された(marked)」対象物または試料を含む)のサンプルを含む。
本発明は、本明細書中で定義した、サンプル中の標的核酸の検出または測定の方法を提供する。本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、対象の核酸(標的核酸)を含むかもしくは含むと予想されるか、またはそれ自体が対象の標的核酸を含むかもしくは含むと予想される標的核酸である、任意の物質を言う。したがって、「サンプル」という用語は、標的核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA)、細胞、生物、組織、流体または物質(限定はしないが、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便;皮膚、気管、腸および尿生殖路の外分泌物;唾液、血球、腫瘍、器官、組織、インビトロ細胞培養成分のサンプル、天然の単離物(飲料水、海水、固体物質など)、微生物試料、ならびに核酸トレーサー分子で「標識された(marked)」対象物または試料を含む)のサンプルを含む。
[実施例]
本発明を、以下の物質および方法を使用する以下の非限定的な実施例によって例示する。本明細書において以降に引用した各文献の開示全体が本明細書中で参照により組み込まれる。
本発明を、以下の物質および方法を使用する以下の非限定的な実施例によって例示する。本明細書において以降に引用した各文献の開示全体が本明細書中で参照により組み込まれる。
<プローブの設計および調製>
本発明は、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含むプローブを提供する。
本発明は、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含むプローブを提供する。
本発明の一実施形態によるプローブは、5〜250ヌクレオチド長であり、かつ理想的には17〜40ヌクレオチド長であり、かつ7〜約140ヌクレオチド、好ましくは10〜約140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を有する。プローブはさらに、非共有結合または共有結合したサブユニットを含んでもよい。
プローブの一実施形態は、第一の相補的な核酸配列(例えば、図4のb)および第二の相補的な核酸配列(例えば、図4のb’)を含む。プローブが単分子である一実施形態では、第一および第二の相補的な核酸配列は、同じ分子中である。一実施形態では、プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャー(例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)、または本明細書に記載される任意のフルオロフォアおよびクエンチャー分子(「標識された切断構造を調製する方法」というタイトルの項を参照のこと)で標識される。本発明によるプローブは、適切な対の相互作用性標識(例えば、FRET対または非FRET対)で標識される。プローブ上の相互作用性標識の位置は、プローブが標的核酸への結合の際にプローブの二次構造の変化を受けるとき、プローブ上の標識の適切な間隔が、標識の分離を可能にするように維持されるような位置である。例えば、ドナーおよびクエンチャー部分は、プローブが標的核酸に結合されないとき、検出可能なシグナルを消光するようにプローブ上に配置される。
このプローブはさらに結合部分(例えば、図4のab、核酸配列、すなわち、5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含む)を含む。本発明の一実施形態では、標的核酸に対するハイブリダイゼーションの際、本発明によるプローブは、5’フラップを含む切断構造(例えば、図4のab)を形成する。従って、切断構造のフラップは、プローブの結合部分を含む。切断は、切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。ヌクレアーゼによる、ハイブリダイズしたプローブの切断の際、結合部分は、遊離されて、核酸配列、すなわち、5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む捕獲エレメントに特異的に結合する。この実施形態によれば、結合部分は、2つの領域を含む(例えば、図4のaおよびb)。本明細書に規定される「相補的な核酸配列」ではない「結合部分」の領域(例えば、図4のa)は、1〜60ヌクレオチド、好ましくは1〜25ヌクレオチド、最も好ましくは1〜10ヌクレオチド長である。b領域は、本明細書に規定されるようなプローブの少なくとも2つの相補的な核酸配列のうちの1つであり、その長さは、以下に詳述される。
一実施形態では、標的核酸の非存在下で、プローブは、それ自体折り畳まれて、逆平行二本鎖構造を生成し、ここで、第一および第二の相補的な核酸配列は水素結合の形成によってアニーリングして、二次構造を形成する。プローブの二次構造は、本明細書に規定されるような、プローブのTmより上および下の温度を含む種々の温度で、FRETまたは蛍光クエンチングアッセイを行うことによって検出される。単にフルオロフォア発光の有効性に対する熱的効果に起因する蛍光変化よりも大きい、温度変化と相関した蛍光変化を示すプローブ(例えば、蛍光は、FRET反応の温度が増大されるにつれて増大する)は、二次構造を有する。二次構造は、最大レベルの蛍光が検出される温度では排除される(例えば、蛍光は、上昇した温度ではこのレベルを超えては増大しない)。プローブの二次構造の安定性は、本明細書に記載されるような、融点アッセイにおいて、またはFRETもしくは蛍光クエンチングアッセイにおいて決定される。
プローブの二次構造における変化の結果として、結合部分は、ヌクレアーゼによる切断についてアクセス可能になる。標的核酸の存在下で、かつ標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションの有効性および選択性に影響する因子(例えば、「本発明に従って有用なプライマーおよびプローブ」というタイトルの項に記載される、プライマー長、ヌクレオチド配列および/または組成物、緩衝液組成物)に従って選択される温度において、プローブおよび標的核酸の特異的な結合を可能にするために、プローブは、標的核酸に結合して、二次構造の変化を受ける。プローブの二次構造における変化は、本明細書に規定されるとおり、FRETまたは蛍光クエンチングによって決定され得る。
一実施形態では、第一および第二の相補的な核酸配列は、3〜25、好ましくは4〜15、さらに好ましくは5〜11ヌクレオチド長である。第一および第二の相補的な核酸配列の長さは、プローブが標的核酸に結合していないときのプローブの二次構造が、標的核酸に対して結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度において安定であるように選択される。標的核酸結合配列のサイズが最大100ヌクレオチドまで増大するにつれて、相補的な核酸配列の長さは、15〜25ヌクレオチドまで増大し得る。100ヌクレオチドよりも大きい標的核酸結合配列については、相補的核酸配列の長さは、さらに増大されない。
あるいは、二次構造を有しかつ結合部分を含む対立遺伝子識別プローブが調製される。
一実施形態では、本発明による対立遺伝子識別プローブは好ましくは、6〜50、好ましくは7〜25ヌクレオチドの標的核酸結合配列、および3〜8ヌクレオチドの相補的核酸配列の配列を含む。二次構造のグアノシン−シチジン含量およびプローブ−標的ハイブリッド、塩、ならびにアッセイ温度を考慮し、例えば、マグネシウム塩は、短い対立遺伝子識別プローブを設計する場合、強力な安定化効果を有する。
50ヌクレオチド長という上限に近い標的核酸結合配列を有する対立遺伝子識別プローブは、識別されるべき単一のヌクレオチドミスマッチが、標的核酸結合配列の真ん中またはその付近で生じるように、設計される。例えば、21ヌクレオチド長である配列を含むプローブは好ましくは、ミスマッチが標的核酸結合配列の最も中央に位置する14ヌクレオチドのうちの1つに対向して、最も好ましくは、最も中央に位置する7ヌクレオチドのうちの1つに対向して生じるように設計される。
<プローブの設計および調製>
本発明は、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含むプローブを提供する。
本発明は、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分を含むプローブを提供する。
本発明の一実施形態によるプローブは、5〜250ヌクレオチド長、理想的には17〜40ヌクレオチド長であり、かつ7〜約140ヌクレオチド、好ましくは10〜約140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を有する。プローブはまた、非共有結合サブユニットまたは共有結合サブユニットを含んでもよい。
プローブの一実施形態は、第一の相補的な核酸配列(例えば、図4のb)および第二の相補的な核酸配列(例えば、図4のb’)を含む。プローブが単分子である一実施形態では、この第一および第二の相補的な核酸配列は、同じ分子中である。一実施形態では、プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャー(例えば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)、または本明細書に記載される任意のフルオロフォアおよびクエンチャー分子(「標識された切断構造を調製する方法」というタイトルの項を参照のこと)で標識される。本発明によるプローブは、適切な対の相互作用性標識(例えば、FRET対または非FRET対)で標識される。プローブ上の相互作用性標識の位置は、プローブが標的核酸への結合の際にプローブの二次構造の変化を受けるとき、プローブ上の標識の適切な間隔が、標識の分離を可能にするように維持されるような位置である。例えば、ドナーおよびクエンチャー部分は、プローブが標的核酸に結合されないとき、検出可能なシグナルを消光するようにプローブ上に配置される。
このプローブはさらにlacリプレッサータンパク質を含むタグを含む。本発明の一実施形態では、標的核酸に対するハイブリダイゼーションの際、このプローブは、5’フラップを含む切断構造(例えば、図4のab)を形成する。切断は、切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、切断温度以下で安定である。ヌクレアーゼによる、ハイブリダイズしたプローブの切断の際、lacリプレッサータンパク質は、このlacリプレッサータンパク質:AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)によって認識されかつ特異的に結合される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対して特異的に結合する。
一実施形態では、標的核酸の非存在下で、プローブは、それ自体折り畳まれて、逆平行二本鎖構造を生成し、ここでは第一および第二の相補的な核酸配列が水素結合の形成によってアニーリングして、二次構造を形成する。プローブの二次構造は、本明細書に規定されるような、プローブのTmより上および下の温度を含む種々の温度で、FRETまたは蛍光クエンチングアッセイを行うことによって検出される。フルオロフォア発光の有効性に対する熱的効果に単純に起因して蛍光の変化よりも大きい、温度の変化と相関する蛍光の変化を示すプローブ(例えば、蛍光は、FRET反応の温度が増大されるにつれて増大する)は、二次構造を有する。二次構造は、最大レベルの蛍光が検出される温度では排除される(例えば、蛍光は、上昇した温度ではこのレベルを超えては増大しない)。プローブの二次構造の安定性は、本明細書に記載されるような、融点アッセイにおいて、またはFRETもしくは蛍光クエンチングアッセイにおいて判定される。
プローブの二次構造における変化の結果として、タグは、ヌクレアーゼによる切断についてアクセス可能になる。標的核酸の存在下で、かつ、プローブおよび標的核酸の特異的な結合を可能にするために、標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションの有効性および選択性に影響する要因(例えば、「本発明に従って有用なプライマーおよびプローブ」というタイトルの項に記載される、プライマー長、ヌクレオチド配列および/または組成物、緩衝液組成)に従って選択される温度において、プローブは、標的核酸に結合して、二次構造の変化を受ける。プローブの二次構造における変化は、本明細書に規定されるとおり、FRETまたは蛍光クエンチングによって判定され得る。
一実施形態では、第一および第二の相補的な核酸配列は、3〜25、好ましくは4〜15、さらに好ましくは5〜11ヌクレオチド長である。第一および第二の相補的な核酸配列の長さは、プローブの二次構造が、標的核酸に結合しない場合、標的核酸に対して結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度において安定であるように選択される。標的核酸結合配列のサイズが最大100ヌクレオチドまで増大するにつれて、相補的な核酸配列の長さは、15〜25ヌクレオチドまで増大し得る。100ヌクレオチドよりも大きい標的核酸結合配列については、相補的核酸配列の長さは、さらに増大されない。
あるいは、二次構造を有しかつ結合部分を含む対立遺伝子識別プローブが調製される。
一実施形態では、本発明による対立遺伝子識別プローブは好ましくは、6〜50、好ましくは7〜25ヌクレオチドの標的核酸結合配列、および3〜8ヌクレオチドの相補的核酸配列の配列を含む。二次構造のグアノシン−シチジン含量およびプローブ−標的ハイブリッド、塩、ならびにアッセイ温度を考慮し、例えば、マグネシウム塩は、短い対立遺伝子識別プローブを設計する場合、強力な安定化効果を有する。
50ヌクレオチド長という上限に近い標的核酸結合配列を有する対立遺伝子識別プローブは、識別されるべき単一のヌクレオチドミスマッチが、標的核酸結合配列の真ん中またはその付近で生じるように、設計される。例えば、21ヌクレオチド長である配列を含むプローブは好ましくは、ミスマッチが標的核酸結合配列の最も中央に位置する14ヌクレオチドのうちの1つに対向して、最も好ましくは、最も中央に位置する7ヌクレオチドのうちの1つに対向して生じるように設計される。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造はFENヌクレアーゼの添加前に、95℃で5分間加熱し、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流オリゴヌクレオチド(図4のA)と、(c)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分(例えば、図4のab、核酸配列、すなわち、5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含む)を含み、ここで前記プローブは、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズ領域の下流である標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズする)。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’DNA合成活性を保有するポリメラーゼ、例えば、酵素a)Yaq エキソ−、(Taqポリメラーゼを改変するための、Stratagene QuikChange Site−Directed Mutagenesisキット、カタログ番号#200518(Tabor and Richardson,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1074)を用いる突然変異誘発によって調製した)、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼの変異型、b)Pfu、またはc)3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼの変異型(エキソ−Pfu)を添加して、ポリメラーゼがオリゴヌクレオチドAを伸長し、その結果このオリゴヌクレオチドAがオリゴヌクレオチドCの5’末端を部分的に置換することを可能にする条件下(例えば、72℃で1×Pfu緩衝液(Stratagene)中)で、5分〜1時間インキュベートする。オリゴヌクレオチドCの置換された領域は、FENヌクレアーゼの添加の際に切断される5’フラップを形成する。あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’DNA合成活性を保有するTaqポリメラーゼの変異型は、以下の変異を含む。
D144S/F667Y Taq(D144Sは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を除き、F667Yは、ddNTP取り込みを改善する)。
D144S/F667Y Taq(D144Sは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を除き、F667Yは、ddNTP取り込みを改善する)。
PolIポリメラーゼのエキソ−変異体は、Xu et al.,1997、J.Mol.Biol.,268:284.の方法に従って調製され得る。
本発明による標識された切断構造は、PfuFEN−1(すなわち、実施例9で以下に記載されたとおり調製される、クローニングされたPyrococcus furiosusのFEN1)の調製物で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのPfuFEN−1を添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。結合部分を含む、遊離され、標識されたフラグメントは、固体支持体上で、核酸配列、すなわち、5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合を介して結合される。一実施形態では、この標識されたフラグメントは、例えば、塩濃度を低下させること(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、約1M未満、より通常には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む)によって、または過剰の未標識の競合フラグメントの添加によって、捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造は、FENヌクレアーゼの添加の前に、95℃で5分間加熱すること、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流オリゴヌクレオチド(図4のA)と、(c)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつlacリプレッサータンパク質タグを含み、ここで前記プローブは、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズ領域の下流である標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズする)。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’DNA合成活性を保有するポリメラーゼ、例えば、酵素a)Yaq エキソ−、(Taqポリメラーゼを改変するための、Stratagene QuikChange Site−Directed Mutagenesisキット、カタログ番号#200518(Tabor and Richardson,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1074)を用いる突然変異誘発によって調製した)、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼの変異型、b)Pfu、またはc)3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼの変異型(エキソ−Pfu)を添加して、ポリメラーゼがオリゴヌクレオチドAを伸長し、その結果このオリゴヌクレオチドAがオリゴヌクレオチドCの5’末端を部分的に置換することを可能にする条件下(例えば、720Cで1×Pfu緩衝液(Stratagene)中)で、5分〜1時間インキュベートする。オリゴヌクレオチドCの置換された領域は、FENヌクレアーゼの添加の際に切断される5’フラップを形成する。あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’→5’DNA合成活性を保有するTaqポリメラーゼの変異型は、以下の変異を含む。
D144S/F667Y Taq(D144Sは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を除き、F667Yは、ddNTP取り込みを改善する)。
D144S/F667Y Taq(D144Sは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を除き、F667Yは、ddNTP取り込みを改善する)。
PolIポリメラーゼのエキソ−変異体は、Xu et al.,1997,J.Mol.Biol.,268:284.の方法に従って調製され得る。
本発明による標識された切断構造は、PfuFEN−1(すなわち、実施例9で以下に記載されたとおり調製される、クローニングされたPyrococcus furiosusのFEN−1)の調製物で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのPfuFEN−1を添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。lacリプレッサータンパク質を含む、遊離され、標識されたフラグメントは、固体支持体上で、lacリプレッサータンパク質:
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)
によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対するlacリプレッサータンパク質の結合を介して結合される。
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)
によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対するlacリプレッサータンパク質の結合を介して結合される。
一実施形態では、この標識されたフラグメントは、例えば、塩濃度を変更すること、すなわち、塩濃度を低下させること(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、約1M未満、より通常には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む)によって、または過剰の競合因子a)lacリプレッサータンパク質、またはb)このlacリプレッサータンパク質によって認識される二本鎖DNA配列の添加によって、捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約800C)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造は、FENヌクレアーゼの添加の前に95℃で5分間アニーリングすること、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流オリゴヌクレオチドプライマー(図4のA)と、(c)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分(例えば、図4のab、核酸配列、5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含む)を含み、ここで前記プローブは、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズ領域に隣接する標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつさらに、標的核酸にハイブリダイズせず、5’フラップを形成する5’領域を含む)。アニーリングは、1×Sentinal分子指標コア緩衝液または10×Pfu緩衝液の存在下で行う。
本発明による標識された切断構造は、PfuFEN−1(すなわち、実施例9で以下に記載されたとおり調製される、クローニングされたPyrococcus furiosusのFEN−1)の調製物で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのPfuFEN−1を添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。結合部分を含む、遊離され、標識されたフラグメントは、固体支持体上で、配列5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合を介して結合される。一実施形態では、この標識されたフラグメントは、例えば、塩濃度を低下させること(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、約1M未満、より通常には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む)によって、または過剰の、標識されていない競合因子フラグメントの添加によって、捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸配列の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造は、FENヌクレアーゼの添加の前に95℃で5分間アニーリングすること、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流オリゴヌクレオチドプライマー、(図4のA)、および(c)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブであって、標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつlacリプレッサータンパク質タグを含むプローブ、ここでこのプローブは、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズ領域に隣接する標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつさらに、標的核酸にハイブリダイズせず、5’フラップを形成する5’領域を含む。アニーリングは、1×Sentinal分子指標コア緩衝液または10×Pfu緩衝液の存在下で行う。
本発明による標識された切断構造は、PfuFEN−1(すなわち、実施例9で以下に記載されたとおり調製される、クローニングされたPyrococcus furiosusのFEN−1)の調製物で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのPfuFEN−1を添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2を含む)
2.00μlのPfuFEN−1酵素またはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。
ヌクレアーゼによる、ハイブリダイズしたプローブの切断の際、lacリプレッサータンパク質は、固体支持体上で、このlacリプレッサータンパク質:
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対して特異的に結合する。
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対して特異的に結合する。
一実施形態では、標識されたフラグメントは、上の実施例4に記載の捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造は、FENヌクレアーゼの添加の前に95℃で5分間アニーリングすること、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造および結合部分(例えば、図4のab)を有し、核酸配列、すなわち、5’AGCTACTGATGCAGTCACGT3’(配列番号26)を含み、ここで前記プローブは、標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつ標的核酸にハイブリダイズせずに5’フラップを形成する5’領域を含む)。アニーリングは、1×Sentinal分子指標コア緩衝液または10×Pfu緩衝液の存在下で行う。
本発明による標識された切断構造は、この切断構造を切断し得るヌクレアーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのヌクレアーゼを添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×ヌクレアーゼ緩衝液(500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2)
2.00μlのヌクレアーゼまたはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×ヌクレアーゼ緩衝液(500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2)
2.00μlのヌクレアーゼまたはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。結合部分を含む、遊離され、標識されたフラグメントは、固体支持体上で、核酸配列、すなわち、5’TCGATGACTACGTCAGTGCA3’(配列番号27)を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合を介して結合される。一実施形態では、この標識されたフラグメントは、例えば、塩濃度を低下させること(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、約1M未満、より通常には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む)によって、または過剰の、未標識の競合因子フラグメントの添加によって、捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定され得る。標識された切断構造は、FENヌクレアーゼの添加前に、95℃で5分間アニーリングすること、次いで約50〜60℃まで冷却することにより形成される(a)標的核酸を含むサンプル(図4のB)と、(b)下流の、5’末端標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造、およびlacリプレッサータンパク質を含むタグを有し、ここで前記プローブは、標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつ標的核酸にハイブリダイズせずに5’フラップを形成する5’領域を含む)。アニーリングは、1×Sentinal分子指標コア緩衝液または10×Pfu緩衝液の存在下で行う。
本発明による標識された切断構造は、この切断構造を切断し得るヌクレアーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)で切断される。切断は切断温度で行われ、プローブの二次構造は、標的核酸に結合しない場合、この切断温度以下で安定である。切断は、以下を含む7μlの反応混合物に2μlのヌクレアーゼを添加することによって行われる。
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×ヌクレアーゼ緩衝液(500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2)
2.00μlのヌクレアーゼまたはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
3μlの切断構造(10ng〜10μg)
0.7μlの10×ヌクレアーゼ緩衝液(500mMのTris−HCl(pH8.0)、100mMのMgCl2)
2.00μlのヌクレアーゼまたはH2O
1.3μlのH2O
全量で7.00μl
サンプルを、Robocyler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液(Stratagene Cyclist DNA配列決定キット、カタログ番号200326に含まれる)の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。ヌクレアーゼによる、ハイブリダイズしたプローブの切断の際、lacリプレッサータンパク質は、固体支持体上で、このlacリプレッサータンパク質:
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対して特異的に結合する。
AATTGTGAGCGGATAACAATT(配列番号4)
TTAACACTCGCCTATTGTTAA(配列番号28)によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対して特異的に結合する。
一実施形態では、標識されたフラグメントは、上の実施例4に記載の捕獲エレメントから溶出される。溶出された、標識されたフラグメントを含むサンプルを、以下のとおりゲル電気泳動によって分析する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素のゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmannの3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆って、加熱吸引ゲルドライヤー中(約80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させて、標的核酸の存在の指標であるシグナルの存在を検出する。
あるいは、伸長は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼを用いて、および「ヌクレアーゼ」というタイトルの項に含まれる任意のヌクレアーゼを用いて、行われる。
<Pfu FEN−1のクローニング>
本発明で有用な熱安定性FENヌクレアーゼ酵素は、以下の方法に従って調製し得る。
本発明で有用な熱安定性FENヌクレアーゼ酵素は、以下の方法に従って調製し得る。
熱安定性FENヌクレアーゼ遺伝子は、当分野で周知のPCRクローニングの方法に従ってP.furiosus(ATCC番号43587)由来のゲノムDNAから単離し得る。クローニングされたPfuFEN−1は、当分野で周知でありかつ下記の方法に従って細菌細胞中で過剰発現し得る。
以下のpCAL−n−EKクローニングオリゴヌクレオチドを合成および精製した。
Affinity(登録商標)タンパク質発現および精製システムは、Stratageneから入手し、製造者のプロトコールに従って用いた。
<増幅>
インサートDNAを、pCAL−n−EKベクター一本鎖テールに相補的な5’末端で12ヌクレオチドおよび13ヌクレオチド配列を含み、これによってディレクショナル・クローニング(directional cloning)が可能な遺伝子特異的プライマー(オリゴヌクレオチドaおよびb、上記)を用いたPCR増幅によって調製した。FEN−1配列は、以下:
50μlの10×cPfu緩衝液(Stratagene)
7.5μlのPfuゲノムDNA(約100ng/μl)
7.5μlのPfuTurbo(2.5u/μl)(Stratagene、カタログ番号600250)
15μlの混合プライマー対(各100ng/μl)(オリゴヌクレオチドaおよびb、上記)
4μlの100mMのdNTP
416μlのH2O
合計500μl
を含む増幅反応物(5つ別々の100μlの反応物)の調製によってP.furiosus由来のゲノムDNAから増幅して、
Stratagene Robocycler96ホット・トップ・サーマル・サイクラーを用いて以下の条件下で増幅を行った。
ウィンドウ1 95℃ 1分 1サイクル
ウィンドウ2 95℃ 1分
50℃ 1分 30サイクル
72℃ 3分。
インサートDNAを、pCAL−n−EKベクター一本鎖テールに相補的な5’末端で12ヌクレオチドおよび13ヌクレオチド配列を含み、これによってディレクショナル・クローニング(directional cloning)が可能な遺伝子特異的プライマー(オリゴヌクレオチドaおよびb、上記)を用いたPCR増幅によって調製した。FEN−1配列は、以下:
50μlの10×cPfu緩衝液(Stratagene)
7.5μlのPfuゲノムDNA(約100ng/μl)
7.5μlのPfuTurbo(2.5u/μl)(Stratagene、カタログ番号600250)
15μlの混合プライマー対(各100ng/μl)(オリゴヌクレオチドaおよびb、上記)
4μlの100mMのdNTP
416μlのH2O
合計500μl
を含む増幅反応物(5つ別々の100μlの反応物)の調製によってP.furiosus由来のゲノムDNAから増幅して、
Stratagene Robocycler96ホット・トップ・サーマル・サイクラーを用いて以下の条件下で増幅を行った。
ウィンドウ1 95℃ 1分 1サイクル
ウィンドウ2 95℃ 1分
50℃ 1分 30サイクル
72℃ 3分。
5つそれぞれの反応物由来のPCR産物を、1つのチューブで合わせ、StrataPrep PCRを用いて精製して、50μlの1mMのTris−HCl(pH8.6)中で溶出した。FEN−1のPCR産物を、ゲルで分析し、約1000bpと確定した。
fen−1遺伝子を含むPCR産物を、ライゲーションに依存しないクローニング末端(LIC)を作製すること、fen−1遺伝子を含むPCR産物をpCALnEKLICベクター(Stratagene)へアニーリングすること、および以下の方法によるアニーリング混合物を用いて細胞を形質転換することによってpCALnEKLICベクター(Stratagene)にクローニングした。要するに、PCR増幅後、PCR産物を精製し、dATPの存在下でPfuDNAポリメラーゼで処理する(Affinity(登録商標)Protein Expression and Purification System(タンパク質発現および精製システム)、Stratagene、カタログ番号200326とともに含まれるマニュアルに従う)。dTTP、dGTP、およびdCTPの非存在下で、PfuDNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性によって、PCR産物の各3’末端で少なくとも12および13ヌクレオチドが除去される。この活性は、最初のアデニンに遭遇するまで持続され、pCAL−n−EKベクターの一本鎖テールに相補的な5’伸長一本鎖テールを有するDNAフラグメントが得られる。
<LIC末端の作製>
LIC末端を以下の混合物の調製によって作製した。
45μlの精製PCR産物(約0.5μg/μl)
2.5μlの10mMのdATP
5μlの10×cPfu緩衝液
1μlのcPfu(2.5u/μl)
0.5μlのH2O
LIC末端を以下の混合物の調製によって作製した。
45μlの精製PCR産物(約0.5μg/μl)
2.5μlの10mMのdATP
5μlの10×cPfu緩衝液
1μlのcPfu(2.5u/μl)
0.5μlのH2O
cPfuおよびcPfu緩衝液をStratageneから得ることができる(cPfu、Stratageneカタログ番号600153およびcPfu緩衝液、Stratageneカタログ番号200532)。
サンプルを72℃で20分間インキュベートし、産物を室温に冷却した。各サンプルに40ngの調製pCALnEKLICベクター(調製ベクターはStratageneからAffinity LIC Cloning and Protein Purification Kit(クローニングおよびタンパク質精製キット)(214405)で市販されている)を添加した。ベクターおよびインサートDNAを合わせ、室温でアニーリングさせて、極めてコンピテントな細菌宿主細胞に形質転換させる(Wyborski et al.,1997,Strategies,10:1)。
<FEN産生用細胞の調製>
2リットルのLB−AMPに20mlのFEN−1クローン(クローン3)の一晩の培養物を接種した。約11時間成長を進行させ、この時点で細胞はOD600=0.974に達していた。細胞を1mMのIPTGで一晩(約12時間)誘導処理した。遠心分離によって細胞を回収し、得られた細胞ペーストを−20℃で保存した。
2リットルのLB−AMPに20mlのFEN−1クローン(クローン3)の一晩の培養物を接種した。約11時間成長を進行させ、この時点で細胞はOD600=0.974に達していた。細胞を1mMのIPTGで一晩(約12時間)誘導処理した。遠心分離によって細胞を回収し、得られた細胞ペーストを−20℃で保存した。
<タグ化FEN−1の精製>
細胞を20mlのカルシウム結合緩衝液に再懸濁した。
CaCl2結合緩衝液
50mMのTris−HCl(pH8.0)
150mMのNaCl
1.0mMのMgOAc
2mMのCaCl2
細胞を20mlのカルシウム結合緩衝液に再懸濁した。
CaCl2結合緩衝液
50mMのTris−HCl(pH8.0)
150mMのNaCl
1.0mMのMgOAc
2mMのCaCl2
サンプルを、ミクロチップを用いたブランソン超音波処理器(Branson Sonicator)で超音波処理した。出力設定を5にし、負荷サイクルは90%であった。サンプルを3回超音波処理し、処理の合間は氷上に静置した。超音波処理物を26,890×gで遠心分離した。明澄化した上清を50mlコニカルチューブ(円錐管)中で1mlの洗浄した(CaCl2結合緩衝液中の)カルモジュリンアガロース(CAMアガロース)と混合し、低温室(4℃)で5時間ゆっくりと回転したホイール上でインキュベートした。CAMアガロースを低速の遠心分離(卓上型遠心分離機で5000rpm)によって回収した。
上清の除去後、CAMアガロースを50mlのCaCl2結合緩衝液で洗浄し、使い捨てのドリップカラムに移した。元の容器およびピペットを完全にリンスして、残りのアガロースを除去した。このカラムを約200mlのCaCl2結合緩衝液でリンスした。
10mlの50mMのNaCl溶出緩衝液(50mMのNaCl、50mMのTris−HCl(pH8.0)、2mMのEGTA)で溶出を行った。0.5mlの画分を回収した。1M NaCl溶出緩衝液で第2の溶出ステップを行い、0.5mlの画分を回収した。
<精製したタグ化FEN−1の評価>
1MのNaCl中に溶出されたCBPタグ化Pfu FEN−1を含む画分を、SDS中でボイルし、Sypro Orangeで染色した4〜20%ゲルでのSDS−PAGEによって分析した(図5)。
1MのNaCl中に溶出されたCBPタグ化Pfu FEN−1を含む画分を、SDS中でボイルし、Sypro Orangeで染色した4〜20%ゲルでのSDS−PAGEによって分析した(図5)。
非切断FEN−1のタンパク質濃度は、約150ng/μlと定量した(下記)。
<精製されたFEN−1のエンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断>
画分3〜9を、50mMのNaCl、50mMのTris−HCl(pH8.0)、および2mMのCaCl2に対して4℃で一晩透析した。
画分3〜9を、50mMのNaCl、50mMのTris−HCl(pH8.0)、および2mMのCaCl2に対して4℃で一晩透析した。
透析されたFEN−1において、不透明で非常に細かい沈殿が認められた。サンプルを1/20で希釈し、沈殿を除去した。サンプルを1/3希釈しても、依然として不溶物質が検出可能であった。1/3の希釈物質を37℃で2分間加熱し、Tween20と混合して、最終濃度を0.1%とした。Tween20の添加の際に、溶液中でほぼ直後に「ストリング」およびより粗大な固体が形成され、これは、溶液を1MのNaClに調整した後でさえも逆向することができなかった。
基質として1/20に希釈したサンプルおよび1×EK緩衝液での透析バッグのリンスによって調製した希釈サンプルを用いて、EK切断を行った。EK切断は、室温で一晩(約16時間)の1μlのEK(1u/μl)の添加によって行った。
100μlのCAMアガロースと組み合わせた100μlのSTIアガロースを、10mlの1×STI緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、200mMのNaCl、2mMのCaCl2、0.1%のTween 20)を用いて2回リンスした。NaClを2つのEKサンプルに添加して、最終濃度を200mMのNaClにした。2つのサンプルを合わせて、リンスしたアガロースに添加した。サンプルを4℃のホイール上で3時間ゆっくりと回転させ、卓上型遠心分離機での低速の遠心分離によって分離した(上記)。上清を除去し、樹脂を500μl×STIを用いて2回リンスした。2つのリンス物を合わせ、元の上清とは別にとっておく。サンプルを4〜20%のゲルでのSDS−PAGEによって分析した。
約50ng/mlの濃度でPfu標準との比較によって測定したところ、消化産物の濃度は約23ng/μlであった。
<FENヌクレアーゼ活性>
実施例2に記載のように調製したFENヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性およびFENヌクレアーゼの切断構造の要件は、「FENヌクレアーゼ」というタイトルの項または以下のいずれかに記載の方法に従って決定することができる。
実施例2に記載のように調製したFENヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性およびFENヌクレアーゼの切断構造の要件は、「FENヌクレアーゼ」というタイトルの項または以下のいずれかに記載の方法に従って決定することができる。
要するに、3つのテンプレート(図2)を用いて、本発明によるFENヌクレアーゼ活性を評価する。テンプレート1は以下の配列を有する5’33P標識オリゴヌクレオチド(Heltest4)である。
5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号1)。
5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号1)。
Heltest4の下線部分は、M13mp18+に相補的な領域に相当する。切断産物は、配列AAAATAAATAAAAAAAAT(配列番号2)を有する18ヌクレオチドのフラグメントである。Heltest4は、M13に結合して相補二本鎖ドメインおよび非相補的5’オーバーハングを生じる。この二本鎖により、テンプレート2(図2
)が形成される。テンプレート3(図2)はHeltest4に直接隣接するM13に結合したさらなるプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は、5’CCATTCGCCATTCAGGCTGCGCA3’(配列番号3)である。テンプレート3の存在下で、FENヌクレアーゼはHeltest4の遊離の5’末端に結合し、接合点に移動し、Heltest4を切断して18ヌクレオチドのフラグメントを生じる。得られた切断産物を、6%アクリルアミドの7M尿素シークエンシングゲル上で分離する。
)が形成される。テンプレート3(図2)はHeltest4に直接隣接するM13に結合したさらなるプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は、5’CCATTCGCCATTCAGGCTGCGCA3’(配列番号3)である。テンプレート3の存在下で、FENヌクレアーゼはHeltest4の遊離の5’末端に結合し、接合点に移動し、Heltest4を切断して18ヌクレオチドのフラグメントを生じる。得られた切断産物を、6%アクリルアミドの7M尿素シークエンシングゲル上で分離する。
テンプレートを下記のように調製する。
テンプレート1 テンプレート2 テンプレート3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 ** 14μl 14μl
FENAS ** ** 14μl
H2O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl 4.6μl
テンプレート1 テンプレート2 テンプレート3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 ** 14μl 14μl
FENAS ** ** 14μl
H2O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl 4.6μl
Pfu緩衝液は、Stratageneから得ることができる(カタログ番号200536)。
テンプレート混合物を、95℃で5分間加熱し、室温に45分間冷却し、4℃で一晩保存する。
酵素サンプルを以下に示す。
A.H2O(コントロール)
B.2μl未希釈非切断FEN−1(約445ng/μl)
C.2μlの非切断FEN−1の1/10希釈(約44.5ng/μl)
D.2μlエンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断FEN−1(約23ng/μl)
酵素サンプルを以下に示す。
A.H2O(コントロール)
B.2μl未希釈非切断FEN−1(約445ng/μl)
C.2μlの非切断FEN−1の1/10希釈(約44.5ng/μl)
D.2μlエンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断FEN−1(約23ng/μl)
この4つの反応混合物を、以下の3つのテンプレートと混合する。
3μlのテンプレート1、テンプレート2またはテンプレート3
0.7μlの10×クローニングPfu緩衝液
0.6μlの100mMのMgCl2
2.00μlのFEN−1またはH2O
0.7μlのH2O
全量7.00μl
3μlのテンプレート1、テンプレート2またはテンプレート3
0.7μlの10×クローニングPfu緩衝液
0.6μlの100mMのMgCl2
2.00μlのFEN−1またはH2O
0.7μlのH2O
全量7.00μl
50℃で30分間この反応を進行させ、各サンプルへの2μlのホルムアミド「シークエンシング停止」溶液の添加によって停止させる。サンプルを95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミドの7M尿素CastAwayゲル(Stratagene)にロードする。
あるいは、FENヌクレアーゼ活性は、1時間のインキュベーション時間を利用する以下の緩衝液で分析してもよい。
10×FENヌクレアーゼ緩衝液
500mMのTris−HCl(pH8.0)
100mMのMgCl2
10×FENヌクレアーゼ緩衝液
500mMのTris−HCl(pH8.0)
100mMのMgCl2
反応混合物を以下に示す。
3μlのテンプレート1、テンプレート2またはテンプレート3
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液
2.00μlのFEN−1またはH2O(上記のA〜D)
1.3μlのH2O
全量7.00μl
3μlのテンプレート1、テンプレート2またはテンプレート3
0.7μlの10×FENヌクレアーゼ緩衝液
2.00μlのFEN−1またはH2O(上記のA〜D)
1.3μlのH2O
全量7.00μl
サンプルを、Robocycler96ホット・トップ・サーマル・サイクラー中、50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止(95%ホルムアミド、20mMのEDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノール、Stratageneから入手可能)染色溶液の添加後、サンプルを99℃で5分間加熱する。サンプルを、11インチ長の、手で注いだ、20%アクリルアミド/ビスアクリルアミドの7M尿素ゲルにロードする。このゲルを、ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3移動するまで20ワットで泳動する。このゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)に10分間、次いで水に10分間浸す。このゲルをWhatmann 3mm濾紙に置き、プラスチックラップで覆い、加熱吸引ゲルドライヤー中(〜80℃)で2時間乾燥させる。このゲルを、X線フィルムに一晩感光させる。
テンプレート1、2、および3(上記のように調製)を、以下:
A.H2O
B.2μlのCBPタグ化PfuFEN−1
C.2μlのCBPタグ化PfuFEN−1希釈物(1:10)
D.2μlのEK切断PfuFEN−1
の添加によって切断するFEN−1ヌクレアーゼアッセイのオートラジオグラフを、図6に示す。
A.H2O
B.2μlのCBPタグ化PfuFEN−1
C.2μlのCBPタグ化PfuFEN−1希釈物(1:10)
D.2μlのEK切断PfuFEN−1
の添加によって切断するFEN−1ヌクレアーゼアッセイのオートラジオグラフを、図6に示す。
レーンを以下に示す。レーン1A、1B、1C、および1Dは、テンプレート1であって、それぞれH2O、未希釈のCBPタグ化PfuFEN−1、CBPタグ化PfuFEN−1の1:10希釈物、およびEK切断PfuFEN−1で切断したテンプレート1を示す。レーン2A、2B、2C、および2Dは、テンプレート2であって、それぞれH2O、未希釈のCBPタグ化PfuFEN−1、CBPタグ化PfuFEN−1の1:10希釈物、およびEK切断PfuFEN−1で切断したテンプレート2を示す。レーン3A、3B、3C、および3Dは、テンプレート3であって、それぞれH2O、未希釈のCBPタグ化PfuFEN−1、CBPタグ化PfuFEN−1の1:10希釈物、およびEK切断PfuFEN−1で切断したテンプレート3を示す。
タグ化したPfuFEN−1は、N末端CBP親和性精製タグを含む。FEN−1のタグ化バージョンと非タグ化バージョンとの間の何らかの活性の差はタンパク質濃度差に起因し(酵素サンプルの濃度は上記)、これは、タグ化FEN−1と非タグ化FEN−1の量が等しくないからである。タグ化Pfu FEN−1および非タグ化Pfu FEN−1が両方とも切断活性を示す。
図6は、FEN−1の非存在下での切断のバックグラウンドレベルを示す(レーン1A、2A、および3A)。さらに、この図は、タグ化Pfu FEN−1がテンプレート1と比較してテンプレート2を多く切断することを示す。詳細には、未希釈のタグ化Pfu FEN−1の存在下で最も大量のテンプレート2が切断される(レーン2B)。テンプレート3の分析では、未希釈のタグ化Pfu FEN−1によって最も大量のテンプレート3が切断され、希釈タグ化FEN−1では最も少量のテンプレート3が切断されることが示される。標識されたプローブは、40〜43のヌクレオチドバンドとして移動する。FEN−1は、テンプレート2よりもテンプレート3(上流プライマーを含む)を優先的に切断する。切断産物バンドは、16〜20ヌクレオチドで移動する主要なバンドである。標識された基質(使用前にゲル精製していない)が不均一である結果、標識された切断産物は不均一である。
<FEN−1ヌクレアーゼおよび5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼの存在下でのβアクチンのPCR増幅および検出>
PCRアッセイを用いて標的核酸を検出する。このアッセイの方法によれば、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分またはタグを含むプローブ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ(例えば、Yaqエキソ−)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(例えば、実施例2に記載のように調製したPfu FEN−1)の存在下で、PCR反応を行う。固体支持体上の捕獲エレメントに対して、結合部分またはタグの結合を介して結合する、蛍光標識したフラグメントの遊離の検出により、標的核酸の存在が示される。
PCRアッセイを用いて標的核酸を検出する。このアッセイの方法によれば、標的核酸に対する結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分またはタグを含むプローブ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ(例えば、Yaqエキソ−)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(例えば、実施例2に記載のように調製したPfu FEN−1)の存在下で、PCR反応を行う。固体支持体上の捕獲エレメントに対して、結合部分またはタグの結合を介して結合する、蛍光標識したフラグメントの遊離の検出により、標的核酸の存在が示される。
二連のPCR反応物は、1×Sentinel分子指標・コア緩衝液、3.5mMのMgCl2、200μMの各dNTP、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ(約1.45U)、Pfu FEN−1(約23ng)、βアクチンプライマー(各300nM)、およびβアクチン特異的蛍光発生プローブ(βアクチン標的配列に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分またはタグを含む)を含む。10ngのヒトゲノムDNA(Prω)を、各反応における標的核酸として用いる。この反応を50μlの容積で行う。Pfu FEN−1のみ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼのみ、またはヒトゲノムDNAテンプレート以外の全ての成分を含む反応混合物を含む、ネガティブコントロールの反応物を調製する。2.5単位のTaq2000を含むポジティブコントロール反応物も調製する。PCR反応の間に、切断構造の同時形成、βアクチン標的配列の増幅、および切断構造の切断がある。切断構造の切断が切断温度で行われ、かつプローブの二次構造が、標的核酸に結合されない場合、切断温度以下で安定であるようにサーモサイクリングパラメーターを選択する。分光蛍光光度サーモサイクラー(ABI7700)で反応物をアッセイする。サーモサイクリングパラメーターは、95℃で2分間、ならびに95℃で15秒、60℃で60秒、および72℃で15秒という40サイクルである。アニーリングステップの間サンプルを調査する。
遊離した、蛍光標識されたフラグメントは、固体支持体に結合された捕獲エレメントに対して、プローブ上に存在する結合部分またはタグを介して結合される。
<FEN−1ヌクレアーゼおよび5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼの存在下でのβアクチンのPCR増幅および検出>
PCRアッセイを用いて標的核酸を検出する。このアッセイの方法によれば、βアクチン標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分またはタグを含むプローブ、Pfuポリメラーゼ(5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠く)、または、さらに3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼ(例えば、エキソ−Pfu)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(Pfu FEN−1)の存在下でPCR反応を行う。固体支持体上の捕獲エレメントに対して、結合部分またはタグの結合を介して結合する、蛍光標識されたフラグメントの遊離の検出により、標的核酸の存在が示される。
PCRアッセイを用いて標的核酸を検出する。このアッセイの方法によれば、βアクチン標的核酸に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有し、かつ結合部分またはタグを含むプローブ、Pfuポリメラーゼ(5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠く)、または、さらに3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼ(例えば、エキソ−Pfu)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(Pfu FEN−1)の存在下でPCR反応を行う。固体支持体上の捕獲エレメントに対して、結合部分またはタグの結合を介して結合する、蛍光標識されたフラグメントの遊離の検出により、標的核酸の存在が示される。
1×クローニングPfu緩衝液(Stratagene、カタログ番号200532から入手可能)、3.0mMのMgCl2、200μMの各々のdNTP、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く5単位のPfuポリメラーゼ、タグ化または非タグ化のPfuFEN−1(約23ng)、PEF(1ng)(WO98/42860に記載)、βアクチンプライマー(各300nM)、および蛍光発生プローブ(標的βアクチン核酸配列に対するプローブの結合に応じて変化する二次構造を有する)を含む二連のPCR反応物を調製する。10ngのヒトゲノムDNA(Promega)を、各反応における標的核酸として用いる。反応は50μlの容積で行う。5’→3’および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を欠くPfuポリメラーゼのみを含むか、またはヒトゲノムDNAテンプレート以外の全ての成分を含むネガティブコントロール反応物も調製する。2.5単位のTaq2000を含む反応混合物を調製して、ポジティブコントロールとして用いる。PCR反応の間に、切断構造の同時形成、βアクチン標的配列の増幅、および切断構造の切断がある。切断構造の切断が切断温度で行われ、かつプローブの二次構造が、標的核酸に結合されない場合、切断温度以下で安定であるようにサーモサイクリングパラメーターを選択する。分光蛍光光度サーモサイクラー(ABI7700)で反応物を分析する。サーモサイクリングパラメーターは、95℃で2分間、ならびに95℃で15秒、60℃で60秒、および72℃で15秒という40サイクルである。
遊離した、蛍光標識されたフラグメントは、固体支持体に結合された捕獲エレメントに対して、プローブ上に存在する結合部分またはタグを介して結合される。
標準的な手順によってバフィーコートから抽出したヒトDNAで検出されるヒトオルニチントランスカルバモイラーゼ遺伝子を標的として用いて、ローリングサークル増幅を含む本発明のアッセイを行う。標的(400ng)は、97℃で4分間熱変性し、2つの5’−リン酸化オリゴヌクレオチド(オープン・サークル・プローブおよび1つのギャップ・オリゴヌクレオチド)の存在下における、ライゲーション条件下でインキュベートする。オープン・サークル・プローブは、配列:gaggagaataaaagtttctcataagactcgtcatgtctcagcagcttctaacggtcactaatacgactcactataggttctgcctctgggaacac(配列番号46)を有し、野生型配列のギャップヌクレオチドは:tagtgatcである。図7および8は、ローリングサークルプローブおよびローリングサークル増幅を示す。反応緩衝液(40μl)は、5単位/μlのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)、10mMのTris−HCl(pH7.5)、0.2MのNaCl、10mMのMgCl2、4mMのATP、80nMのオープン・サークル・プローブ、および100nMのギャップ・オリゴヌクレオチドを含む。37℃で25分間のインキュベーション後、25μlを取り出して、50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのDTT、400μMの各dTTP、dATP、dGTP、dCTP、0.2μMのローリングサークル複製プライマー:gctgagacatgacgagtc(配列番号47)、phi29DNAポリメラーゼ(160ng/50μl)を含む25μlの溶液に添加する。このサンプルを30℃で30分間インキュベートする。
RNAを、以下の試薬濃度を得るように希釈している補償緩衝液(ストック溶液または濃縮物)の添加によってオープン・サークル・プローブ中に存在するT7プロモーターから作製する。35mMのTris−HCl(pH8.2)、2mMのスペルミジン、18mMのMgCl2、5mMのGMP、1mMのATP、CTP、GTP、333μMのUTP、667μMのビオチン−16−UTP、0.03%のTween20、2単位/μlのT7 RNAポリメラーゼ。米国特許第5,858,033号に記載のようにRNA作製を行う。37℃で90分間インキュベーションを進行させる。
5μlの2連の各サンプル(実際の試験サンプル、(−)リガーゼコントロールサンプル、(−)phi29DNAポリメラーゼコントロール、および(−)T7 RNAポリメラーゼコントロール)を検出用に取り出す。逆転写の過程には、本発明に従って、A)オープンサークルのライゲーション、B)ローリングサークル1本鎖DNAの合成、C)RNAの作製(オープン・サークル・プローブ中に存在するT7プロモーターより)、D)RNAの逆転写によるcDNAの作製、およびE)FEN切断構造を検出するためのプライマーおよびプローブを用いるcDNAのPCR増幅を行うというステップを含む。逆転写には、製造者が推奨する同量のYaq DNAポリメラーゼのTaq2000DNAポリメラーゼへの置換以外は、Stratagene Sentinel Single−Tube RT−PCRコア Reagent Kit(カタログ番号600505)から得られる試薬およびプロトコールを用いる。各反応物は、1×Sentinel分子指標RT−PCRコア緩衝液、3.5mMのMgCl2、200μMの各dNTP、5単位のエキソ−Pfu、23ngのPfu FEN−1、1ngPEF、500nMの各上流プライマー:aagtttctcataagactcgtcat(配列番号48)、逆プライマー:aggcagaacctatagtgagtcgt(配列番号49)、および蛍光発生プローブ(例えば、FAM−DABCYLで標識)(標的核酸に対する結合に応じて変化する、本明細書に規定される、二次構造を有し、かつさらに結合部分を含む)を含む。45℃で30分間、95℃で3分間、その後のサーマルサイクラー中で1サイクル:95℃で2分間、50℃で1分間、72℃で1分間のインキュベーションにこの反応物を供する。次いで、蛍光プレートリーダー、例えば、StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700配列検出システム(プレート読み出しモード)で蛍光を測定する。
ローリングサークル増幅RNA産物中のビオチン−16−UTPの組み込みのおかげで、検出効率の照合が可能である。反応物のアリコートを、固定捕獲プローブを用いて、ガラススライド(あるいは、マイクロウェルプレート)に捕獲する。捕獲RNAアンプリコンの検出は、本明細書中で参照により組み込まれる米国特許第5,854,033号に詳細に記載されている。
<他の実施形態>
他の実施形態が当業者に明白である。明確にするために前記の詳細な説明を提供しているだけであり、単なる例示であると理解すべきである。本発明の趣旨および範囲は上記実施例には限定されず、以下の特許請求の範囲に含まれる。
他の実施形態が当業者に明白である。明確にするために前記の詳細な説明を提供しているだけであり、単なる例示であると理解すべきである。本発明の趣旨および範囲は上記実施例には限定されず、以下の特許請求の範囲に含まれる。
Claims (53)
- 逆転写酵素と、切断手段と、第一のオリゴヌクレオチドと、第二のオリゴヌクレオチドとを含む組成物。
- 前記切断手段が5’ヌクレアーゼを含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記5’ヌクレアーゼがFEN−1ヌクレアーゼである、請求項2に記載の組成物。
- 前記FEN−1ヌクレアーゼがフラップ特異的ヌクレアーゼである、請求項3に記載の組成物。
- 前記FEN−1ヌクレアーゼが熱安定性である、請求項3に記載の組成物。
- 前記逆転写酵素が熱安定性である、請求項1に記載の組成物。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドが保護基を有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドがシグナルを提供し得る少なくとも1つの標識された部分を含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドが1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記対の相互作用性シグナル発生標識部分が消光部分および蛍光部分を含む、請求項9に記載の組成物。
- 前記対の相互作用性シグナル発生標識部分のうちの少なくとも1つの部分が、前記第二のオリゴヌクレオチドの5’領域に機能的に連結されている、請求項10に記載の組成物。
- 前記少なくとも1つの標識部分が、前記第二のオリゴヌクレオチドの5’領域に機能的に連結されている、請求項8に記載の組成物。
- 請求項1に記載の組成物とその包装材とを備えるキット。
- 前記切断手段が5’ヌクレアーゼを含む、請求項13に記載のキット。
- 前記5’ヌクレアーゼがFEN−1ヌクレアーゼである、請求項14に記載のキット。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドが保護基を有する、請求項13に記載のキット。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドがシグナルを提供し得る少なくとも1つの標識部分を含む、請求項13に記載のキット。
- 前記第二のオリゴヌクレオチドが1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む、請求項13に記載のキット。
- 前記対の相互作用性シグナル発生標識部分がクエンチャー部分と蛍光部分とを含む、請求項18に記載のキット。
- 前記対の相互作用性シグナル発生標識部分の少なくとも1つの部分が、前記第二のオリゴヌクレオチドの5’フラップに機能的に連結されている、請求項18に記載のキット。
- 前記少なくとも1つの標識された部分が前記第二のオリゴヌクレオチドの5’フラップに機能的に連結されている、請求項17に記載のキット。
- 標的核酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- (i)3’から5’の順序に、第一の領域と、伸長領域と、第二の領域とを含む標的核酸と、
(ii)前記標的核酸の前記第一の領域に対して少なくとも部分的に相補的である、第一のオリゴヌクレオチドと、
(iii)5’領域および3’領域を含む第二のオリゴヌクレオチドであって、前記3’領域が前記標的核酸の前記第二の領域に対して少なくとも部分的に相補的であり、前記5’領域が前記標的核酸に対して相補的でない第二のオリゴヌクレオチドと、
(iv)逆転写酵素と、
(v)切断手段と
を含む組成物。 - 請求項23の組成物と、その包装材とを備えるキット。
- (i)3’から5’の順序に、第一の領域と、伸長領域と、第二の領域とを含む標的核酸と、
(ii)前記標的核酸の前記第一の領域に対して少なくとも部分的に相補的である、第一のオリゴヌクレオチドと、
(iii)前記標的核酸に対応する第二のオリゴヌクレオチドであって、前記第二のオリゴヌクレオチドは5’領域および3’領域を含み、前記3’領域が前記標的核酸の前記第二の領域に対して少なくとも部分的に相補的であり、かつ、前記5’領域が前記標的核酸の前記第一の領域の上流、下流、または前記第一の領域を含んでもよい領域に対して少なくとも部分的に相補的である第二のオリゴヌクレオチドと、
(iv)逆転写酵素と、
(v)切断手段と
を含む組成物。 - 請求項25の組成物と、その包装材とを備えるキット。
- 前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTからなる群より選択される、請求項1、23または25に記載の組成物。
- サンプル中の標的核酸の存在の指標となるシグナルを発生させる方法であって、標的核酸配列を含むサンプルと、逆転写酵素とをインキュベートすることによって切断構造を形成するステップと、切断剤を用いて切断構造を切断してシグナルを発生させるステップとを含み、前記シグナルの発生は、前記サンプル中の標的核酸配列の存在の指標である方法。
- 標的核酸配列を検出または測定する方法であって、標的核酸配列を含むサンプルと、逆転写酵素とをインキュベートすることによって切断構造を形成するステップと、切断剤を用いて切断構造を切断して核酸フラグメントを遊離するステップと、前記サンプル中の標的核酸の存在の指標として前記フラグメントの遊離を検出および/または測定するステップとを含む、方法。
- 前記逆転写酵素が熱安定性である、請求項28または29に記載の方法。
- 前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTからなる群より選択される、請求項28または29に記載の方法。
- 前記切断剤がFENヌクレアーゼである、請求項28または29に記載の方法。
- 前記FENヌクレアーゼがフラップ特異的なヌクレアーゼである、請求項32に記載の方法。
- 前記FENヌクレアーゼが熱安定性である、請求項32に記載の方法。
- シグナルを提供し得る少なくとも1つの標識された部分を含む前記切断構造が形成される、請求項28または29に記載の方法。
- 請求項32に記載の方法であって、検出可能なシグナルを消光するように効率的に位置決めされた1対の相互作用性シグナル発生標識部分を含む切断構造が形成され、前記標識部分がFENヌクレアーゼ切断に対して感受性の部位によって隔てられ、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が、FENヌクレアーゼに感受性である部位を切断することにより、前記第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離することを可能にし、これによって検出可能シグナルが発生する、方法。
- 前記相互作用性シグナル発生標識部分の対がクエンチャー部分と蛍光部分とを含む、請求項36に記載の方法。
- サンプル中の標的核酸配列を検出するための方法であって、
上流プライマーと、下流プローブと、逆転写酵素と、切断剤と、標的核酸とを以下のステップを可能にする条件下で混合するステップと、
(i)上流プライマーと下流プローブとのアニーリングステップと、
(ii)上流プライマーを伸長するステップと、ここで、前記逆転写酵素がプライマー伸長産物を合成し、下流プローブとともに切断構造を形成し、
(iii)前記切断剤で前記切断構造を切断して、検出可能シグナルを発生させるステップと、
前記シグナルを検出および/または測定するステップと
を含む方法。 - 前記切断剤がFENヌクレアーゼである、請求項38に記載の方法。
- 前記逆転写酵素が熱安定性である、請求項38に記載の方法。
- 前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
- 前記FENヌクレアーゼが熱安定性である、請求項39に記載の方法。
- 前記FENヌクレアーゼがフラップ特異的なヌクレアーゼである、請求項39に記載の方法。
- 前記下流プローブが5’領域および3’領域を含み、前記3’領域が前記標的核酸に対して少なくとも部分的に相補的であり、かつ前記5’領域がフラップを形成する、請求項38に記載の方法。
- 標的核酸を検出するための方法であって、
(a)標的核酸の第一の領域に対して少なくとも部分的に相補性である上流プライマーと、
5’領域および3’領域を含み、前記3’領域が前記標的核酸の第二の領域に対して少なくとも部分的に相補的である下流オリゴヌクレオチドと
を提供するステップと、
(b)前記標的核酸と、上流プライマーと、下流オリゴヌクレオチドとを、標的核酸と上流プライマーと下流オリゴヌクレオチドの3’領域との間の二本鎖の形成を可能にする条件下で混合するステップと、
(c)逆転写酵素の重合化活性による相補的DNA鎖の重合によって、標的の伸長領域が切断構造を形成するために十分な長さにまで上流プライマーを伸長することができる反応条件下で、前記二本鎖を逆転写酵素の重合化活性に対して供するステップと、
(d)第一の切断構造の形成に伴って、下流オリゴヌクレオチド内に位置する部位において前記切断構造の切断が生じるような条件下で切断剤を提供するステップと、これによって前記下流オリゴヌクレオチドの切断が可能となり、
(e)下流オリゴヌクレオチドの切断を検出するステップと
を含む方法。 - 前記プライマーおよび下流オリゴヌクレオチドが、標的核酸の非重複領域にハイブリダイズする、請求項45に記載の方法。
- 前記切断剤がFENヌクレアーゼである、請求項45に記載の方法。
- 前記逆転写酵素の重合化活性が鎖置換活性を含む、請求項45に記載の方法。
- 前記方法が、等温条件下で行われる、請求項45に記載の方法。
- 前記逆転写酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、ニワトリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、ニワトリ細網内皮症ウイルス(REV−T)ヘルパーウイルスREV−A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス随伴ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)RTからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
- 前記逆転写酵素の重合化活性が、切断構造を形成するのに十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドを重合化し、前記重合化された相補的核酸はその3’末端で二本鎖における下流オリゴヌクレオチドに対して隣接する、請求項45に記載の方法。
- 前記逆転写酵素活性が、切断構造を形成するのに十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドを重合化し、前記伸長領域の長さは前記伸長領域の長さが完全な二本鎖核酸であるような長さである、請求項45に記載の方法。
- 前記下流プローブの5’領域が5’フラップを形成する、請求項45に記載の方法。
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