JP2009539995A - うっ血性心不全および急性体液過剰の患者において入院期間を短縮するための方法 - Google Patents

うっ血性心不全および急性体液過剰の患者において入院期間を短縮するための方法 Download PDF

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Abstract

急性体液過剰を有する患者を治療する方法であって、利尿治療および一定量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグを投与することが含まれる。これは、単独での利尿剤療法と比較して、過剰な体液を患者から除くことを促進させるのに効果的である。急性体液過剰を有する患者の十分な尿量を達成する処置時間を改善する方法であって、該患者に、利尿剤および治療有効量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグを投与することが含まれる。

Description

本出願は、米国仮特許出願第60/814,109号(2006年6月16日出願、Dittrich他、発明の名称:「うっ血性心不全および急性体液過剰の患者において入院期間を短縮するための方法」、これは、本明細書により明示的にその全体が参考として組み込まれる)の優先権を主張する。
本発明は、キサンチン誘導体、および、急性体液過剰の患者を治療することにおけるその使用に関連する。
体液過剰は、過剰な体液が循環において存在する状態である。体液過剰の主原因はうっ血性心不全(CHF)である。進行したCHFが、米国では毎年、100万人を越える入院者を出しており、40%〜50%の5年致死率に関連する(米国心臓協会2001年心臓・発作統計更新、Dallas、Tex.;米国心臓協会、2000年;Massie,B.M.およびShah,N.B、Am.Heart J.、133:703〜712(1997))。現在、急性体液過剰を呈する心不全(HF)患者の大多数が、IV利尿剤、強心剤および混合療法により治療される。これらの薬理学的アプローチは、進行したHFを有する人々については、有害な影響を伴うことなく、症状の時宜を得た緩和を必ずしももたらさないことがある。患者は、入院後平均して15時間にわたる持続した体液過剰の徴候を表し、また、再入院率が最初の退院の6ヶ月以内において30%〜60%である。米国では、CHFは現在、最も費用のかかる心臓血管疾患であり、推定される直接的および間接的な費用の合計が1999年では560億ドルに近い(Rich,M.W.およびNease,R.F.、Arch Intern Med、159:1690〜1700(1999))。主としてCHFのための1回の入院の推定費用は11,000ドルであり(Massie,B.M.およびShah,N.B、Am.Heart J.、133:703〜712(1997);Rich,M.W.およびNease,R.F.、Arch Intern Med、159:1690〜1700(1999))、これに対して、メディケア診断関連群(DRG)の支払いはおよそ4,300ドルである。メディケアはこの疾患についての主たる提供者であるので、このことは病院についての増大した経済的負担となっている。
病院の急性期治療についての費用上昇を抑えるための様々な努力により、急性の非代償性CHFの患者についての入院期間が短縮されている。しかしながら、このように入院期間が短いと、十分な利尿が可能とならない場合がある。静脈内利尿剤療法の減量による十分な利尿を提供する療法が求められている。そのような療法は入院期間を短縮し、従って、治療に関連する費用を削減する。
本明細書中において、急性体液過剰の個体を治療するための方法が提供される。1つの実施形態において、急性体液過剰を治療するための短期入院を必要としている患者を特定することができ、その患者を入院させることができ、患者には、静脈内利尿剤療法と、単独での利尿剤療法と比較して、過剰な体液を患者から除くことを促進させるために効果的な量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグとを投与することができる。
いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの投与は、十分な利尿を達成するために必要な静脈内利尿剤療法の量を低下させるために効果的である。
いくつかの実施形態において、静脈内利尿剤の1日用量が時間とともに低下する。
いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの投与は、短期入院の期間を短縮するために効果的である。
いくつかの実施形態において、利尿剤は、近位利尿剤、遠位利尿剤またはループ利尿剤であり得る。例えば、利尿剤を、ヒドロクロラジド(hydrochlorazide)系薬剤、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、エタクリン酸、ピレタニド、スピロノラクトン、トリアムテレンおよびアミロリデヒアジド(amiloridehiazide)系薬剤から選択することができる。好ましくは、利尿剤はフロセミドである。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される方法は、うっ血性心不全を有する患者を治療するために使用される。
いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は、クレアチニンクリアランス速度によって測定されるような、腎機能を改善するために効果的であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は、約2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mgまたは70mgの1日用量で患者に投与される。好ましくは、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は30mgの1日用量で患者に投与される。
いくつかの実施形態において、個体は約20mL/分〜約80mL/分のクレアチニンクリアランス速度を示し得る。
いくつかの実施形態は、急性体液過剰を経験する個体において十分な利尿を達成するための治療時間を改善する方法を提供する。この方法は、静脈内利尿剤治療のための入院を必要としている個体を特定する工程、その個体を入院させる工程、および、静脈内利尿剤療法と、治療有効量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグとをその個体に投与する工程を含むことができる。
いくつかの実施形態において、静脈内利尿剤の1日用量が時間とともに低下する。
いくつかの実施形態において、利尿剤は、近位利尿剤、遠位利尿剤またはループ利尿剤であり得る。例えば、利尿剤を、ヒドロクロラジド系薬物、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、エタクリン酸、ピレタニド、スピロノラクトン、トリアムテレンおよびアミロリデヒアジド系薬物から選択することができる。好ましくは、利尿剤はフロセミドである。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される方法は、うっ血性心不全を有する患者を治療するために使用される。
いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は、クレアチニンクリアランス速度によって測定されるとき、腎機能を改善するために効果的であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は、約2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mgまたは70mgの1日用量で患者に投与される。好ましくは、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量は30mgの1日用量で患者に投与される。
急性体液過剰の個体におけるプラセボまたはKW−3902による治療の後での尿量を示す図である。
急性体液過剰の個体におけるプラセボまたはKW−3902による治療の後でのIVフロセミドの総服用量を示す図である。
本明細書中において、急性体液過剰の個体を治療するための方法が提供される。1つの実施形態において、急性体液過剰を治療するための短期入院を必要としている患者を特定することができ、その患者を入院させることができ、患者には、静脈内利尿剤療法と、単独での利尿剤療法と比較して、過剰な体液を患者から除くことを促進させるために効果的な量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグとを投与することができる。
本明細書中においてはまた、急性体液過剰を経験する個体において十分な利尿を達成するための治療時間を改善する方法が提供される。この方法は、静脈内利尿剤療法のための入院を必要としている個体を特定する工程、その個体を入院させる工程、および、静脈内利尿剤療法と、治療有効量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグをその個体に投与する工程を含むことができる。
体液過剰は、水の摂取が、身体から出て行く水を上回る状態である。これは、体液(主に水)が体内の様々な場所において増加することを引き起こし、体重の増大、手足における腫脹(末梢浮腫)および/または腹部における腫脹(腹水)を引き起こす。最終的には、この体液は肺において気腔に入り、血液に進入し得る酸素の量を低下させ、息切れ(呼吸困難)を引き起こす。体液はまた、個体が横たわっているときには肺に集まり、これにより夜間の呼吸および睡眠を困難にする(夜間呼吸困難)。多くの健康状態、例えば、腎不全、手術後の過負荷、および、代謝性疾患(例えば、グルコース不耐症、高血糖症および酸性マルターゼなど)が体液過剰を引き起こし得る。しかしながら、うっ血性心不全(CHF)が主原因である。急性体液過剰は、従来の方法を使用して診断することができ、体内の体液における突然の増大を示す。
CHFの特徴的な症状発現の1つが、肺、肝臓、腸および末梢区画のうっ血を引き起こす体液貯留および体液蓄積である。徴候および症状には、息切れ(呼吸困難)、疲労、起座呼吸、ラ音、圧痕浮腫、中心静脈圧上昇、肺のうっ血、体重増加、体液量過剰、ならびに、充満圧上昇が含まれる。
本明細書中で使用される用語「治療」または用語「治療する」またはその任意の変化形は、完全な治癒を必ずしも示さない。治療されるべき疾患または状態の何らかの望ましくない徴候または症状のある程度の何らかの緩和、あるいは、治療されるべき疾患または状態の進行を遅らせることを、治療と見なすことができる。さらには、治療には、安寧または様子の、患者の全身的感覚を悪くし得る作用が含まれ得る。治療にはまた、たとえ、症状が緩和されない場合でも、または、疾患状態が改善されない場合でも、または、安寧の、患者の全身的感覚が改善されない場合でも、患者の寿命を長くすることが含まれ得る。例えば、本明細書中に記載される方法のいくつかの実施形態において、尿排出量を増大させることは、たとえ、患者が治癒されないか、または、一般に、気分良くならない場合でも、治療と見なすことができる。
本明細書中で使用される用語「患者」または用語「個体」は脊椎動物を示し、好ましくは哺乳動物を示し、より好ましくはヒトを示す。「哺乳動物」は、ほ乳類として分類される任意の動物を示し、これには、ヒト、飼育動物および農場動物、ならびに、動物園の動物、競技動物またはペット動物が含まれ、例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなどが含まれる。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
急性体液過剰は多くの場合、静脈内利尿剤、強心剤および混合療法により治療され、これらは入院を必要とする。本明細書中で使用される表現「短期入院」は、約1日〜15日(例えば、約3日〜12日、または、約5日〜10日)の病院における滞在期間(LOS)を示す。
本明細書中に提供されるいくつかの方法において、急性体液過剰を治療するための短期入院を必要としている患者を、標準的な臨床診断手順を使用して特定することができる。個体が急性体液過剰のための入院を必要とするかどうかを決定することにおいて一般に評価される限定されない要因には、下肢の圧痕浮腫(2+);頸静脈拡張;肺水腫または胸水;腹水;発作性夜間呼吸困難または2枕の起座呼吸が含まれる。
いくつかの実施形態において、患者はうっ血性心不全(CHF)に苦しむ。うっ血性心不全(CHF;心不全)は、弱くなった心臓機能が体液の増加と一緒に存在する状態である。CHFは多くの場合、心拍出量が、身体の代謝要求を満たすには不十分であるときに生じるか、または、心臓が、充満圧/拡張期圧のレベルが増大して作動することの要求を満たすことができないときに生じる。
うっ血性心不全の一般的な原因には、血液を心筋に供給する動脈が狭まること(冠状動脈性心臓疾患);心臓の正常な機能を妨害するに十分に大きい瘢痕組織をもたらす前の心臓発作(心筋梗塞);高血圧;過去のリウマチ熱または出生時に存在する異常に起因する心臓弁疾患;心筋自体の原発性疾患(心筋症);出生時に存在する心臓における欠陥(先天性心臓疾患)、ならびに、心臓弁および/または心筋自体の感染(心内膜炎および/または心筋炎)が含まれる。これらの疾患プロセスのそれぞれが、心筋収縮の強さを低下させることによって、あるいは、心臓のポンプ作用する心房・心室が血液で充満し得ることを機械的問題または損なわれた拡張期弛緩に起因して制限することによって、あるいは、心臓の心房・心室を過剰の血液で充満することによってうっ血性心不全を引き起こし得る。
進行したうっ血性心不全(CHF)には、急性型および慢性型の両方の症候が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法において特定される個体は急性のうっ血性心不全を有する。他の実施形態において、本明細書中に提供される方法における個体は慢性のうっ血性心不全を有する。急性の非代償性CHFを呈する患者は、心臓に対する急性傷害(例えば、心筋梗塞、僧帽弁逆流または心室中隔破裂など)を有し得る。典型的には、この傷害は心筋の能力を損ない(例えば、心筋梗塞)、または、弁/心房・心室の一体性を損なう(例えば、僧帽弁逆流または心室中隔破裂)。そのような傷害により左心室(LV)充満圧が急激に上昇し得る。LV充満圧の上昇により肺水腫および呼吸困難が発現する。現在、HF患者の大多数が、IV利尿剤、強心剤および混合療法により治療される。
いくつかの実施形態において、本明細書中で特定される患者は、腎機能の障害を示し得る。腎機能とは、腎臓が老廃物を排出し、適正な化学的バランスを維持することができることを示す。典型的には、腎機能は、腎機能を求めるために、クレアチニン、尿素および電解質の血漿中濃度によって測定される。クレアチニンは、体内においてかなりの一定の速度で産生され、通常の場合には腎臓によってろ過され、尿に排出される、正常な筋肉代謝の副生成物である。当然のことながら、腎機能を測定するために当業者に知られている任意の方法が、本明細書中に記載される方法において使用され得ることが認識される。例えば、血清クレアチニンレベル、尿クレアチニンレベル、糸球体ろ過速度(GFR)および腎血漿流量(RPF)を、腎機能を評価するために使用することができる。
いくつかの実施形態において、患者は約80mL/分未満のGFR(例えば、約20mL/分、30mL/分、40mL/分、50mL/分、60mL/分、70mL/分もしくは75mL/分、または、その間の任意の数字のGFR)を入院前に示す。従って、いくつかの実施形態において、患者は、軽度の腎機能低下(例えば、約50mL/分〜約80mL/分のGFR)を示す。いくつかの実施形態において、患者は、中程度の腎機能低下(例えば、約30mL/分〜約50mL/分のGFR)を示す。さらに他の実施形態において、患者は、重度の腎機能低下(例えば、約0mL/分〜約3mL/分のGFR)を示す。
一旦特定されると、急性体液過剰のための治療を必要としている患者を入院させることができ、静脈内利尿剤療法をその患者に施すことができる。
静脈内利尿剤治療を必要としている患者を、従来の診断方法を使用して特定することができる。例えば、IV利尿剤治療を必要としている個体は、経口療法(例えば、利尿剤の経口製剤など)を採用して管理することができないCHFの1つまたは複数の徴候または症状(例えば、肺、肝臓、腸および末梢区画のうっ血、息切れ(呼吸困難)、疲労、起座呼吸、ラ音、圧痕浮腫、中心静脈圧上昇、肺のうっ血、体重増加、体液量過剰、ならびに、充満圧上昇)を示す個体を指し得る。
利尿剤は、身体の尿排出(利尿)の速度を高める化合物である。利尿剤はまた、細胞外液(ECF)の量を低下させることができ、負の細胞外液バランスを生じさせるために主に使用される。利尿剤は、ネフロンにおけるナトリウムおよび水分の再吸収を妨害することによって機能する。一般に、利尿剤は身体からのナトリウム排出速度を増大させ、それにより、ECFの量を低下させる。ナトリウム排出における増大により、塩の恒常性および低張性が回復し、血圧が低下する。塩の排出は通常、比例した量の水分の喪失を伴う。
個々の利尿剤は、ネフロンの特定のセグメントに対して、例えば、近位尿細管、ヘンレ係蹄または遠位尿細管に対して作用する。従って、例えば、ループ利尿剤はヘンレ係蹄における再吸収を阻害する。結果として、より高い濃度のナトリウムが遠位尿細管にまで通過する。このことは初めに、尿量がより多くなり、従って、利尿効果をもたらす。しかしながら、尿細管の遠位部分はナトリウム濃度における増大を認識し、腎臓が2つの様式で反応する;一方が、ナトリウムの再吸収をネフロンのどこか他のところで増大させることであり、もう一方が、血管収縮が生じる輸入細動脈にアデノシンA受容体を介してフィードバックすることである。このフィードバック機構は尿細管糸球体フィードバック(TGF)として知られている。この血管収縮により、腎血流および糸球体ろ過速度(GFR)が低下する。時間とともに、これら2つの機構により、利尿効果が低下し、腎機能が悪化する。この一連の事象が疾患の進行の一因となる。
利尿剤は、その作用様式および作用場所に依存して4つのクラスに分類される:炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミドなど)は近位尿細管におけるNaHCOおよびNaClの吸収を阻害する;ループ利尿剤(例えば、フロセミドなど)は、Na/K+/2Cl輸送体を阻害することによってヘンレ係蹄に作用する;遠位尿細管におけるNa/Cl共輸送体を阻害するチアジド系利尿剤;および、カリウム節約型利尿剤は集合管に作用し、ナトリウム吸収を低下させ、一方で、Kを節約する(すなわち、カリウムの喪失を促進させるそれ以外の3つのカテゴリーとは対照的である)。
好ましい実施形態において、利尿剤は非アデノシン修飾性利尿剤である。いくつかの実施形態において、非アデノシン修飾性利尿剤は、近位利尿剤、すなわち、主として近位尿細管に作用する利尿剤である。本明細書中に記載される方法において有用である近位利尿剤の例には、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミドおよび炭酸脱水酵素阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
他の実施形態において、非アデノシン修飾性利尿剤は、ループ利尿剤、すなわち、主としてヘンレ係蹄に作用する利尿剤である。本明細書中に記載される方法において有用であるループ利尿剤の例には、フロセミド(LASIX(登録商標))、ブメタニド(BUMEX(登録商標))およびトルセミド(TOREM(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
さらに他の実施形態において、非アデノシン修飾性利尿剤は、遠位利尿剤、すなわち、主として遠位ネフロンに作用する利尿剤である。本明細書中に記載される方法において有用である遠位利尿剤の例には、メトラゾン、チアジド系薬剤およびアミロリドが含まれるが、これらに限定されない。
一部の利尿剤は、アデノシン受容体に影響を及ぼすことによって機能する。アデノシンは、身体内のすべての細胞によって生じる細胞内および細胞外のメッセンジャーである。アデノシンはまた、酵素変換によって細胞外で生じる。アデノシンは7回膜貫通型gタンパク質共役受容体に結合し、これを活性化し、これにより、様々な生理学的応答を誘発する。アデノシン自体、アデノシンの作用を模倣する物質(アゴニスト)、および、その作用と拮抗する物質は、重要な臨床的適用を有する。アデノシン受容体は、4つの知られているサブタイプ(すなわち、A、A2a、A2bおよびA)に分けられる。これらのサブタイプは、特異で、時には相反する影響を誘発する。例えば、アデノシンA受容体の活性化は腎血管抵抗における増大を誘発し、一方で、アデノシンA2a受容体の活性化は腎血管抵抗における低下を誘発する。ほとんどの器官系において、代謝的ストレスの期間、組織でのアデノシン濃度が著しく増大する。例えば、心臓は、負荷に対する適応応答(例えば、心拍数低下および冠状動脈の血管拡張など)を媒介するためにアデノシンを産生し、放出する。同様に、腎臓におけるアデノシン濃度が、低酸素、代謝的負荷および多くの腎毒性物質に対する応答において増大する。腎臓はまた、アデノシンを構成的に産生する。腎臓は、糸球体ろ過および電解質再吸収を調節するために、構成的に産生されるアデノシンの量を調節する。糸球体ろ過の制御に関して、A受容体の活性化は輸入細動脈の収縮を引き起こし、一方で、A2a受容体の活性化は輸出細動脈の拡張を引き起こす。A2a受容体の活性化はまた、輸入細動脈に対する血管拡張作用を及ぼし得る。全体として、これらの糸球体アデノシン受容体の活性化の効果は、糸球体ろ過速度を低下させることである。加えて、Aアデノシン受容体は近位尿細管および遠位尿細管の部位に位置する。これらの受容体の活性化は尿細管内腔からのナトリウム再吸収を刺激する。従って、これらの受容体に対するアデノシンの影響を遮断することにより、糸球体ろ過速度が上昇し、ナトリウム排出が増大する。
利尿剤療法に加えて、個体には、所定量のアデノシンA受容体アンタゴニストを投与することができる。好ましくは、利尿剤療法を受けている個体には、単独での利尿剤療法と比較して、過剰な体液を患者から除くことを促進するために効果的な量のKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグが投与される。
KW−3902はキサンチン由来のアデノシンA受容体アンタゴニスト(AARA)である。その化学名は8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピルキサンチンであり、3,7−ジヒドロ−1,3−ジプロピル−8−(3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1H−プリン−2,6−ジオンとしてもまた知られており、その構造は下記の通りである:
Figure 2009539995
本発明の実施において有用であるKW−3902および関連化合物が、例えば、米国特許第5,290,782号、同第5,395,836号、同第5,446,046号、同第5,631,260号、同第5,736,528号、同第6,210,687号および同第6,254,889号に記載される(これらのすべての開示全体が、任意の図面を含めて、本明細書により参考として本明細書中に組み込まれる)。
用語「KW−3902」は、KW−3902、ならびに、その任意の医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグを示すことが意味されることが理解される。
用語「医薬的に許容され得る塩」は、投与される生物に対する著しい刺激作用を引き起こさず、化合物の生物学的な活性および性質を無効にしない化合物の配合物を示す。医薬用の塩を、本発明の化合物を無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびサリチル酸などと反応することによって得ることができる。医薬用の塩はまた、本発明の化合物を塩基と反応して、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、有機塩基(例えば、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなど)の塩、アミノ酸(例えば、アルギニンおよびリシンなど)との塩などの塩を形成することによって得ることができる。
用語「エステル」は、式−(R)−COOR’(式中、RおよびR’は独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合する)ヘテロアリールおよび(環炭素を介して結合する)ヘテロ脂環系からなる群から選択され、nは0または1である)を有する化学的成分を示す。
用語「アミド」は、式−(R)−C(O)NHR’または式−(R)−NHC(O)R’(式中、RおよびR’は独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合する)ヘテロアリールおよび(環炭素を介して結合する)ヘテロ脂環系からなる群から選択され、nは0または1である)を有する化学的成分である。アミドは、本発明の分子に結合し、それによりプロドラッグを形成するアミノ酸分子またはペプチド分子であり得る。
用語「代謝産物」は、KW−3902が哺乳動物の細胞の内部において変換される化合物を示す。本発明の医薬組成物はKW−3902の代謝産物をKW−3902の代わりに含むことができる。本明細書中に記載される方法の範囲には、化合物(例えば、KW−3902)が患者に投与され、それでもやはり、その代謝産物が生物活性成分であるそのような場合が含まれる。
KW−3902のいくつかの代謝産物が知られており、本明細書中に開示される方法において有用である。これらには、キサンチン成分におけるプロピル基がヒドロキシル化される化合物、または、プロピル基がアセチルメチル(CHC(O)CH−)基である化合物が含まれる。他の代謝産物には、ノルアダマンチル基がヒドロキシル化される(すなわち、−OH基により置換される)か、または、オキシル化される(すなわち、=O基により置換される)代謝産物が含まれる。従って、KW−3902の代謝産物の例には、8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1,3−ジプロピルキサンチン(これはまた、本明細書中では「M1−trans」として示される)、8−(cis−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1,3−ジプロピルキサンチン(これはまた、本明細書中では「M1−cis」として示される)、8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1−(2−オキソプロピル)−3−プロピルキサンチン、および、1−(2−ヒドロキシプロピル)−8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−3−プロピルキサンチンが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に開示される医薬組成物または方法において使用されるKW−3902代謝産物はキサンチン誘導の化合物であり得る。そのようなキサンチン誘導の化合物は下記の式Iの化合物またはその医薬的に許容され得る塩であり得る:
Figure 2009539995
式中、
およびXのそれぞれが独立して、酸素または硫黄を表す;
Qは、
Figure 2009539995
(式中、Yは、単結合、または、1個〜4個の炭素原子を有するアルキレンを表し、nは0または1を表す)
を表す;
およびRのそれぞれが独立して、水素、低級アルキル、アリル、プロパルギル、または、ヒドロキシ置換、オキソ置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、かつ、Rは水素または低級アルキルを表し、あるいは、
およびRは同じであるか、または異なり、それぞれが水素またはヒドロキシを表し、また、RおよびRの両方が水素であるときには、RおよびRの少なくとも一方がヒドロキシ置換またはオキソ置換の低級アルキルであり、
ただし、Qが、
Figure 2009539995
であるときには、R、RおよびRは同時にメチルでない。
いくつかの実施形態において、式Iの化合物のRおよびRの両方が低級アルキルであり、Rは水素であり、XおよびXの両方が酸素である。他の実施形態において、R、RおよびRは独立して、水素または低級アルキルを表す。さらに他の実施形態において、RおよびRのそれぞれが独立して、アリルまたはプロパルギルを表し、Rは水素または低級アルキルを表す。特定の実施形態において、XおよびXはともに酸素であり、nが0である。
いくつかの実施形態において、Rは、ヒドロキシ置換、オキソ置換または非置換のプロピルであり、Rはヒドロキシ置換または非置換のプロピルであり、Yは単結合である。他の実施形態において、Rは、プロピル、2−ヒドロキシプロピル、2−オキソプロピルまたは3−オキソプロピルであり、Rは、プロピル、2−ヒドロキシプロピルまたは3−ヒドロキシプロピルである。
いくつかの実施形態において、Qは、
Figure 2009539995
であり、一方、他の実施形態において、Qは、
Figure 2009539995
である。他の実施形態において、Qは、9−ヒドロキシ置換、9−オキソ置換または6−ヒドロキシ置換の3トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルであるか、あるいは、3−ヒドロキシ−1トリシクロ[3.3.1.03,7]デシルである。
特定の実施形態において、KW−3902代謝産物が、8−(ノルアダマンタン−3−イル)−1,3−ジプロピルキサンチン、1,3−ジアリル−8−(3−ノルアダマンチル)キサンチン、3−アリル−8−(3−ノルアダマンチル)−1−プロパルギルキサンチン、8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1,3−ジプロピルキサンチン、8−(cis−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1,3−ジプロピルキサンチン、8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−1−(2−オキソプロピル)−3−プロピルキサンチンおよび1−(2−ヒドロキシプロピル)−8−(trans−9−ヒドロキシ−3−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニル)−3−プロピルキサンチン、または、それらの医薬的に許容され得る塩からなる群から選択される。
他の実施形態において、キサンチン誘導体は、下記の式IIもしくは式IIIのキサンチンエポキシド誘導体化合物、または、それらの医薬的に許容され得る塩である:
Figure 2009539995
式中、
およびRは同じであるか、または異なり、水素、または、炭素が1個〜4個のアルキル基が可能であり、Rは酸素または(CH1〜4のいずれかであり、n=0〜4である。
キサンチンエポキシド誘導体化合物は、
Figure 2009539995
または
Figure 2009539995
であり得る。
本明細書中に開示される化合物の代謝産物、エステルまたはアミドにおけるアミン側鎖、ヒドロキシ側鎖またはカルボキシル側鎖はどれも、エステル化またはアミド化することができる。この目的を達成するために使用されるべき手順および具体的な基が当業者には知られており、また、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、John Wiley&Sons、New York、NY、1999)(これはその全体が本明細書中に組み込まれる)などの参考情報源において容易に見出され得る。
「プロドラッグ」は、生体内で元の薬物に変換される薬剤を示す。いくつかの状況において、プロドラッグは、元の薬物よりも、投与することが容易である場合があるので、プロドラッグは多くの場合、有用である。プロドラッグは、例えば、元の薬物が経口投与による生物学的利用能を有しないのに対して、経口投与による生物学的利用能を有する場合がある。プロドラッグはまた、元の薬物を上回る、医薬組成物において改善された溶解性を有する場合がある。プロドラッグの限定されない一例が、水溶性が移動性にとって有害である、細胞膜を横断する送達を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与され、しかし、その後、水溶性が有益である細胞の内部に入ると、カルボン酸(活性な成分)に代謝により加水分解される本発明の化合物である。プロドラッグのさらなる一例が、酸基に結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。この場合には、ペプチドが、活性な成分を現すために代謝される。
いくつかの実施形態において、投与工程は、利尿剤療法およびKW−3902をほぼ同時に投与することを含む。これらの実施形態には、それら2つの化合物が、同じ投与可能な組成物に存在する実施形態、すなわち、1個の錠剤、ピルもしくはカプセル、または、静脈内注射のための1つの溶液、または、1つの飲用可能な溶液、または、1つの糖衣製剤もしくはパッチが両方の化合物を含有する実施形態が含まれる。これらの実施形態にはまた、それぞれの化合物が別個の投与可能な組成物に存在する。しかし、患者には、これらの別個の組成物をほぼ同時に摂取することが指示される実施形態、すなわち、一方の化合物の1つの注射が別の化合物の注射の直後に行われる実施形態などが含まれる。いくつかの実施形態において、患者には、一方の化合物の静脈内配合物が、もう一方の化合物の静脈内配合物を注入する前に注入される。これらの実施形態において、注入は、しばらくの時間、例えば、数分間、半時間、1時間またはそれ以上の時間をかけることができる。これら2つの静脈内注入が順次行われるならば、そのような投与は、いくらかの時間の経過が、一方の注入の開始と、次の注入の開始との間にたとえあったとしても、本開示の範囲においてほぼ同時であると見なされる。
他の実施形態において、投与工程は、KW−3902または利尿剤を最初に投与し、その後、KW−3902および利尿剤のもう一方を投与することを含む。これらの実施形態において、対象には、これらの化合物の一方を含む組成物を投与し、その後、しばらくして、数分後または数時間後に、これらの化合物のもう一方を含む別の組成物を投与することができる。これらの実施形態にはまた、患者に、これらの化合物の一方を含む組成物が定期的または連続的に投与され、一方で、もう一方の化合物を含む組成物が時々投与される実施形態が含まれる。さらなる実施形態において、患者は両方の化合物を定期的または連続的に投与されることができる(例えば、IVラインを介する化合物の連続注入など)。
本明細書中に提供される方法において、患者には、単独での前記利尿剤療法に対する比較において、過剰な体液を患者から除くことを促進させるために効果的な量のKW−3902を投与することができる。いくつかの実施形態において、KW−3902の量はさらに、短期入院の期間または滞在期間を短縮するために効果的である。いくつかの実施形態において、KW−3902が、少なくとも約0.5mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mgの用量、または、その間の任意の数字の用量で投与される。いくつかの実施形態において、KW−3902が、0.5mgよりも少ない用量で投与される。他の実施形態において、KW−3902が、100mgよりも大きい用量で投与される。
好ましくは、KW−3902の量は、個体において必要とされる利尿剤療法の量を減らすために効果的である。いくつかの実施形態において、利尿剤の1日用量を約1mg〜約160mg減らすことができる。例えば、利尿剤の1日用量を、少なくとも約1mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約110mg/日、約120mg/日、約130mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約200mg/日、その間の任意の数字、または、それ以上減らすことができる。従って、いくつかの実施形態において、利尿剤はフロセミドであり、フロセミドの1日用量を、約1mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約110mg/日、約120mg/日、約130mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約200mg/日またはそれ以上減らすことができる。
好ましい実施形態において、KW−3902の量は、個体が静脈内利尿剤療法を必要としている期間を短縮するために効果的である。好ましくは、KW−3902の量は、個体が静脈内利尿剤療法を必要としている期間を、少なくとも約4時間、6時間、12時間、18時間、24時間、32時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間もしくは108時間、または、その間の任意の数字の時間、短縮するために効果的である。いくつかの実施形態において、KW−3902の量は、静脈内利尿剤療法の期間を、108時間を越えて短縮するために効果的である。好ましい実施形態において、KW−3902の量は約30mgの個々の1日用量で患者に投与される。
好ましくは、KW−3902の量は、短期入院の期間を、少なくとも約4時間、6時間、12時間、18時間、24時間、32時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間もしくは108時間、または、その間の任意の数字の時間、短縮するために効果的である。いくつかの実施形態において、KW−3902の量は、短期入院の期間を、108時間を越えて短縮するために効果的である。好ましい実施形態において、KW−3902の量は約30mgの個々の1日用量で患者に投与される。
いくつかの実施形態において、患者に投与されるKW−3902の量は、腎機能を改善するために効果的である。例えば、いくつかの実施形態において、KW−3902の量は、血清クレアチニンレベルを約0.01mg/dL〜約2.0mg/dL低下させるために効果的である。
いくつかの実施形態において、患者に投与されるKW−3902の量は、利尿剤療法を受けている患者に投与されたとき、十分な利尿を達成するために効果的である。本明細書中で使用される用語「十分な利尿」は、従来の診断方法を使用して求めるとき、患者が静脈内利尿剤療法をもはや必要としない十分な利尿をいう。
いくつかの実施形態において、投与されるKW−3902は注射可能な形態物においてであり、一方で、他の実施形態において、投与されるKW−3902は固体の配合物においてである。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法において使用される利尿剤は、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、80mg、100mg、120mg、140mgもしくは160mg、180mg、200mgの用量、または、その間の任意の数字の用量で投与される。いくつかの実施形態において、利尿剤は、約200mgよりも大きい用量で投与される。他の実施形態において、利尿剤は、約10mgよりも少ない用量で投与される。好ましい実施形態において、利尿剤は約40mgの用量で投与される。静脈内利尿剤は、単回の注射として、または、連続注入として投与することができる。連続注入を介して投与されるとき、利尿剤の投薬量は、1mg/時間未満、1mg/時間、3mg/時間、5mg/時間、10mg/時間、15mg/時間、20mg/時間、40mg/時間、60mg/時間、80mg/時間、100mg/時間、120mg/時間、140mg/時間もしくは160mg/時間、または、その間の任意の数字であり得る。いくつかの実施形態では、連続注入で投与される利尿剤が160mg/時間よりも大きくすることができることが規定される。
好ましくは、患者に投与される利尿剤はフロセミドである。従って、いくつかの実施形態において、フロセミドが、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、80mg、100mg、120mg、140mgもしくは160mg、180mg、200mgの用量、または、その間の任意の数字の用量で投与される。最も好ましい実施形態において、フロセミドは約40mgの1日投薬量で患者に投与される。
好ましい実施形態において、利尿剤の1日用量が、KW−3902を本明細書中に提供される方法に従って投与された後では時間とともに低下する。例えば、いくつかの実施形態において、利尿剤の1日投薬量を、1日あたり約1mg、2mg、5mg、7mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、100mgまたはそれ以上減らすことができる。いくつかの実施形態において、患者は、利尿剤の1日投薬量を一度に投与されることを中止することができる。
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法によって治療されるべき対象には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)を、非アデノシン修飾性利尿剤、別の化合物(ACE剤、ARB剤、ベータ遮断剤、アルドステロン阻害剤または他の化合物など)、または、それらの任意の組合せとの組合せで投与することができる。いくつかの実施形態において、投与工程は、前記他の治療剤(例えば、ACE、ARB、ベータ遮断剤およびアルドステロン阻害剤など)と、前記AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)とをほぼ同時に投与することを含む。これらの実施形態には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)と、他の治療剤(例えば、ACE、ARB、ベータ遮断剤およびアルドステロン阻害剤など)とが、同じ投与可能な組成物に存在する実施形態、すなわち、単一の錠剤、丸剤もしくはカプセル、または、静脈内注射のための単一の溶液、または、単一の飲用可能な溶液、または、単一の糖衣剤もしくは貼付剤が両方の化合物を含有する実施形態が含まれる。これらの実施形態にはまた、それぞれの化合物が別個の投与可能な組成物に存在する。しかし、対象には、これらの別個の組成物をほぼ同時に摂取することが指示される実施形態、すなわち、1つの丸剤がもう一方の直後に摂取される実施形態、または、一方の化合物の1つの注射が別の化合物の注射の直後に行われる実施形態などが含まれる。
他の実施形態において、投与工程は、非アデノシン修飾性利尿剤または他の治療剤(例えば、ACE、ARB、ベータ遮断剤およびアルドステロン阻害剤など)を最初に投与し、その後、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)を投与することを含む。さらに他の実施形態において、投与工程は、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)を最初に投与し、その後、非アデノシン修飾性利尿剤または他の治療剤(例えば、ACE、ARB、ベータ遮断剤およびアルドステロン阻害剤など)を投与することを含む。これらの実施形態において、対象には、これらの化合物の一方を含む組成物を投与し、その後、しばらくして、数分後または数時間後に、これらの化合物のもう一方を含む別の組成物を投与することができる。これらの実施形態にはまた、対象に、これらの化合物の一方を含む組成物が日常的または連続的に投与され、一方で、もう一方の化合物を含む組成物が時々投与される実施形態が含まれる。
いくつかの実施形態において、対象には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)と、非アデノシン修飾性利尿剤と、ベータ遮断剤とを投与することができる。数多くのベータ遮断剤が市販されている。これらの化合物には、塩酸アセブトロール、アテノロール、塩酸ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、塩酸エスモロール、メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ナドロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、コハク酸塩およびマレイン酸チモロールが含まれるが、これらに限定されない。ベータ遮断剤は一般には、ベータアドレナリン作動性受容体遮断剤および/またはベータアドレナリン作動性受容体遮断剤であり、これらは、ベータアドレナリン作動性受容体アゴニストにより引き起こされる正の変時性応答、正の変力性応答、気管支拡張性応答および血管拡張性応答を低下させる。本明細書中に記載される実施形態には、現在知られているすべてのベータ遮断剤、および、将来において発見されるすべてのベータ遮断剤が含まれる。
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、対象には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)と、非アデノシン修飾性利尿剤と、アンギオテンシン変換酵素阻害剤またはアンギオテンシンII受容体遮断剤とが投与される。数多くのACE阻害剤が市販されている。これらの化合物(それらの化学構造はいくぶんか類似している)には、リシノプリル、エナラプリル、キナプリル、ラミプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、ホシノプリル、モエキシプリル、トランドラプリルおよびペリンドプリルが含まれる。ACE阻害剤は一般には、アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換するアンギオテンシン変換酵素の作用を阻害する化合物である。本明細書中に記載される実施形態には、現在知られているすべてのACE阻害剤、および、将来において発見されるすべてのACE阻害剤が含まれる。
数多くのARB剤もまた市販されているか、または、この分野では知られている。これらの化合物には、ロサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エポサルタンおよびバルサルタンが含まれる。ARB剤は、血圧を、血管を弛緩させることによって低下させる。これにより、良好な血流が可能になる。ARB剤の機能は、アンギオテンシンIIが結合すること(これは通常の場合には血管を収縮させる)を阻止するその能力から生じる。本明細書中に開示される実施形態には、現在知られているすべてのARB剤、および、将来において発見されるすべてのARB剤が含まれる。
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、対象には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)と、非アデノシン修飾性利尿剤と、アルドステロン阻害剤とが投与される。数多くのアルドステロン阻害剤が市販されている。これらの化合物には、スピロノラクトン(ALDACTONE(登録商標))およびエプレレノン(INSPRA(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に開示される実施形態には、現在知られているすべてのアルドステロン阻害剤、および、将来において発見されるすべてのアルドステロン阻害剤が含まれる。
さらに他の実施形態において、対象には、AARA(例えば、KW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグ)と、非アデノシン修飾性利尿剤と、予防的または治療有効量の抗痙攣剤とを投与することができる。いくつかの抗痙攣剤がこの分野では知られており、本明細書中に記載される組成物および方法において有用である。例えば、米国特許出願公開第2005/0070524号を参照。抗痙攣剤の広範囲の列挙がまた、例えば、Goodman and Gilman’s “The Pharmaceutical Basis Of Therapeutics”(第8版、McGraw−Hill,Inc.(1990年)、436頁〜462頁)、および、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(第17版、Mack Publishing Company(1985年)、1075頁〜1083頁)に見出され得る(それらの開示は本明細書により明示的にそれらの全体が参考として組み込まれる)。本明細書中に開示される組成物および方法において使用することができる抗痙攣剤の限定されない例には、ジアゼパム、ミダゾラム、フェニトイン、フェオノバルビタール、マイソリン、クロナゼパム、クロラゼペート、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、バルプロ酸、バルプロエート、ガバペンチン、トピラメート、フェルバメート、チアガビン、ラモトリジン、ファモトジン、メフェニロイン、エトトイン、メフォバルビタール、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、トリメタジオン、パラメタジオン、フェナセミド、アセタゾラミド、プロガビド、ジバルプロエクスナトリウム、メタルビタール、クロバザム、スルチアム、ジフェニラン、レベトリアセタム、プリミドン、ロラゼパム、チオペンチオン、プロポフォールおよびゾニサミド、あるいは、それらの医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ、エステルまたはアミドが含まれる。しかしながら、現在知られているか、または、将来において発見される他の抗痙攣剤の包含は、本発明の範囲に含まれる。
いくつかの実施形態において、抗痙攣剤は、痙攣の治療または抑制において治療的または予防的であるような量で与えることができる。当然のことながら、組成物のそれぞれの投薬形態の個々の投与量に含有される抗痙攣剤の量は基本的には、必要な有効量は個々の投与量を何回も投与すれば得られるので、効果的な予防量を構成する必要がない。本明細書中に開示される、組成物に存在し、個体に投与される抗痙攣剤の量が、治療されるべき個体の年齢、性別および体重、投与の特定の方法およびスケジュール設定、ならびに、存在するならば、どのような他の抗痙攣剤が、本明細書中に開示される組成物に存在するか、または、本明細書中に開示される方法において投与されるかに依存して変化することは、当業者にとっては当然のことである。従って、個々の患者についての投薬量は典型的な投薬量範囲よりも多くてもよく、または、少なくてもよい。一般的に言えば、抗痙攣剤は、発作を治療、予防または制御することに対して効果的であることが知られている任意の量で用いることができる。服用は1日に単回投与でも複数回投与であってもよく、1日あたり選ばれる服用の回数、および、服用間において許される時間は、患者の個々の必要性に依存して変化する。投与量、投与方法および投与時間を含めて、治療の最適化を医療技術者によって常法により決定することができる。本明細書中に記載される医薬組成物および方法において使用することができる抗痙攣剤についての具体的な投薬量レベルが、例えば、“Physicians’ Desk Reference”の2003年版(Medical Economics Data Production Company、Montvale、N.J.)に含まれ、同様にまた、Goodman and Gilman’s “The Pharmaceutical Basis of Therapeutics”および“Remington’s Pharmaceutical Sciences”をはじめとする他の参考資料に含まれる(これらの開示はすべてが本明細書により明示的に参考として組み込まれる)。抗痙攣剤の投薬量範囲の代表的な例が下記に記載される。しかしながら、下記に示される投薬量範囲は、痙攣またはてんかんを治療するためのその特定の抗痙攣剤について患者に投与される典型的な投与量のみを示すことに留意しなければならない。従って、下記に示される投薬量範囲は、本発明の目的のために、限定する量として解釈してはならない。これは、患者のための実際の治療的に有効な投与量は、個体に依存して、そのような例示的な投与量よりも多くすることができ、または、少なくすることができるからである。
本明細書中に記載される組成物および化合物(例えば、利尿剤および/またはKW−3902)はそれ自体で投与することができ、あるいは、それらが、混合療法でのように他の有効成分と、または、好適なキャリアもしくは賦形剤と混合される医薬組成物でヒト患者に投与することができる。本明細書中に記載される組成物および化合物(例えば、利尿剤および/またはKW−3902)を配合および投与するための様々な技術が、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、第18版、1990年)に見出され得る。
好適な投与経路には、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与または腸管投与;非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄内注射、ならびに、髄腔内注射、直接的な心室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
代替として、本明細書中に記載される組成物および/または化合物(例えば、利尿剤および/またはKW−3902)を、全身的態様ではなく、むしろ、局所的態様で投与することができ、例えば、多くの場合には持続性製剤または徐放性製剤で、化合物を腎臓領域または心臓領域に直接に注入することにより投与することができる。さらには、組成物または化合物を、標的化された薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体により被覆されたリポソームで投与することができる。そのようなリポソームは器官に標的化され、器官によって選択的に取り込まれる。
本明細書中に記載される組成物および/または化合物(例えば、利尿剤および/またはKW−3902)は、それ自体は知られている様式で、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、封入または錠剤化の従来プロセスによって製造することができる。従って、本明細書中に記載される方法に従って使用される組成物および化合物は、賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合することができる。該キャリアは、活性な化合物の、医薬品として使用することができる調製物への加工を容易にする、。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。広く知られている技術、キャリアおよび賦形剤はどれも、好適であるとして、また、この分野では理解されるように、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(上記)において理解されるように使用することができる。
注射用に、本発明の薬剤は水溶液において配合することができ、好ましくは、生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液または生理学的な生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与用に、透過すべきバリアに対して適切である浸透剤が配合において使用される。様々なそのような浸透剤がこの分野では一般に知られている。
経口投与用に、組成物および化合物は、活性な化合物を、この分野では広く知られている医薬的に許容され得るキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアは、本発明の化合物が、治療されるべき患者により経口摂取される錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体物、ゲル、シロップ、スラリーおよび懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される様々な医薬調製物を、1つまたは複数の固体賦形剤を本発明の薬学的組合せと混合し、得られた混合物を必要な場合には粉砕し、そして、錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望されるならば、好適な補助剤を加えた後で、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。好適な賦形剤は特にフィラーであり、例えば、糖(これには、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールが含まれる);セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/または、ポリビニルピロリドン(PVP)などである。所望されるならば、崩壊剤を加えることができる(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)など)。
糖衣錠コアには、好適な被覆が施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、そのような糖溶液は場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに、好適な有機溶媒または有機溶媒混合物を含有することができる。色素または顔料を、活性な化合物の用量の特定のために、または、活性な化合物の用量の種々の組合せを特徴づけるために錠剤または糖衣錠被覆に加えることができる。
経口投与により使用することができる医薬調製物には、ゼラチンから作製されるプッシュ・フィットカプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製される軟らかいシールされたカプセルが含まれる。プッシュ・フィットカプセルは、有効成分を、フィラー(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)および/または滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに、必要な場合には安定剤との混合で含有することができる。ソフトカプセルでは、活性な化合物を好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁することができる。加えて、安定剤を加えることができる。経口投与用の配合物はすべて、そのような投与のために好適である投与量でなければならない。
口内投与用に、組成物は、従来の様式で配合される錠剤またはトローチ剤の形態を取ることができる。
吸入投与用に、本発明に従って使用される化合物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスなど)の使用により、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾル噴霧提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位を、一定量の量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器または注入器において使用される、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジで、化合物と、好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
本明細書中に提供される組成物および化合物は、注射による非経口投与、例えば、ボーラス注射による非経口投与用に、または、連続注入用に配合することができる。注射用の配合物は、保存剤が添加された単位投薬形態で、例えば、アンプルまたは多回服用容器で提供され得る。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物、溶液またはエマルションのような形態を取ることができ、配合剤(例えば、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤など)を含有することができる。
非経口投与用の医薬配合物には、水溶性形態での活性な化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性な化合物の懸濁物を適切な油性注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性溶媒または親油性ビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなど)、または、リポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなど)を含有することができる。場合により、懸濁物はまた、非常に高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の可溶性を増大させる好適な安定剤または薬剤を含有することができる。
代替として、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェン非含有水)により使用前に構成される粉末形態であってもよい。
化合物はまた、例えば、従来の坐薬基剤(カカオ脂または他のグリセリドなど)を含有する直腸用組成物(坐薬または停留浣腸剤など)において配合することができる。
前記で記載された配合物に加えて、化合物はまた、持続性製剤として配合することができる。そのような長く作用する配合物は埋め込みによって(例えば、皮下または筋肉内に)投与することができ、または、筋肉内注射によって投与することができる。従って、例えば、化合物は、(例えば、許容され得るオイルにおけるエマルションとして)好適なポリマー物質もしくは疎水性物質とともに、または、イオン交換樹脂とともに配合することができ、あるいは、難溶性の誘導体として、例えば、難溶性の塩として配合することができる。
本明細書中に記載される疎水性化合物のための医薬用キャリアは、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含む共溶媒系である。使用される一般的な共溶媒系はVPD共溶媒系であり、これは、無水アルコールで所定の体積にまでされる、3%(w/v)のベンジルアルコール、8%(w/v)の非極性界面活性剤Polysorbate80(商標)、および、65%(w/v)のポリエチレングリコール300の溶液である。当然のことではあるが、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性の特徴を損なうことなく、かなり変化させることができる。さらには、共溶媒成分の本体を変化させることができる。例えば、他の低毒性の非極性界面活性剤をPOLYSORBATE80(商標)の代わりに使用することができる;ポリエチレングリコールの分画サイズを変化させることができる;他の生体適合性ポリマーがポリエチレングリコールの代わりになり得る(例えば、ポリビニルピロリドン);また、他の糖または多糖をデキストロースの代用として使用することができる。
代替として、本明細書中に記載される疎水性の医薬用化合物のための他の送達システムを用いることができる。リポソームおよびエマルションが、疎水性薬物のための送達ビヒクルまたは送達キャリアのよく知られている例である。ある種の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドなど)もまた、通常の場合にはより大きい毒性を伴うが、用いることができる。加えて、化合物は、持続放出システム(例えば、治療剤を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなど)を使用して送達することができる。様々な持続放出材料が明らかにされており、また、当業者によって広く知られている。持続放出カプセルは、その化学的性質に依存して、化合物を数週間から100日超までの期間にわたって放出することができる。治療試薬の化学的性質および生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のためのさらなる戦略を用いることができる。
本明細書中に記載されるキサンチン誘導体を可溶化および誘導体化する際に使用される例示的なエマルションが米国6,210,687号に開示される(これは、任意の図面を含めて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
本明細書中に記載される方法において使用される化合物の多くは、医薬的に適合し得る対イオンとの塩として提供され得る。医薬的に適合し得る塩を、多くの酸を用いて形成させることができ、そのような酸には、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが含まれるが、これらに限定されない。塩は、対応する遊離酸または遊離塩基の形態よりも、水性溶媒または他のプロトン性溶媒において可溶性である傾向を有する。
本明細書中に記載される方法における使用のために好適である医薬組成物には、有効成分が、その意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療有効量は、治療されている対象の疾患の症状を防止、緩和または改善するために、あるいは、治療されている対象の生存を延ばすために効果的な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
本発明の医薬組成物についての正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”、第1章、1頁を参照)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重1kgあたり約0.01〜1000mgであり得る。投与は、患者により必要に応じ、単回投与、あるいは、1日または2日以上の過程の2回以上の連続投与であり得る。
成人患者についてのKW−3902の毎日の投薬療法は、例えば、遊離塩基として計算される化合物またはその医薬的に許容され得る塩の0.1mg〜500mgの間(好ましくは、1mg〜250mgの間、例えば、5mg〜200mgの間)での経口服用、あるいは、0.01mg〜500mgの間(好ましくは、0.1mg〜200mgの間、例えば、1mg〜100mgの間)での静脈内投与、皮下投与または筋肉内投与とすることができ、この場合、組成物が1日あたり1回〜4回投与される。代替として、本発明の組成物は、連続静脈内注入によって、好ましくは、400mg/日までの用量で投与することができる。従って、経口投与による1日総投薬量は1mg〜2000mgの範囲であり、非経口投与による1日総投薬量は0.1mg〜400mgの範囲である。好適には、化合物は、連続療法の期間にわたって、例えば、1週間またはそれ以上にわたって、あるいは、数ヶ月または数年にわたって投与される。
静脈内利尿剤の用量は、標準的な利尿剤療法を構成する用量である。当業者は、利尿剤のどのくらいの投与量を、それを必要としている患者に投与するかを理解している。しかしながら、KW−3902の利尿効果のために、KW−3902が利尿剤との併用で患者に投与されるときには、利尿剤のより大きい用量についての必要性が除かれる。好ましくは、患者に投与される利尿剤の量が、AARAの投与の後では時間とともに低下する。最も好ましくは、AARAの投与の後では、個体はもはや、静脈内利尿剤療法を必要としていない。
投与量および投与間隔は、調節効果または最小有効濃度(MEC)を維持するために十分である活性な成分の血漿中レベルを提供するために個々に調節することができる。MECはそれぞれの化合物について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は個体の特徴および投与経路に依存する。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血漿中濃度を求めることができる。
投与間隔はまた、MECの値を使用して求めることができる。組成物は、MECを越える血漿中レベルを時間の10%〜90%について、好ましくは30%〜90%の間で、最も好ましくは50%〜90%の間で維持する療法を使用して投与されなければならない。
局所投与または選択的取り込みの場合、薬物の効果的な局所的濃度は血漿中濃度に関係づけられなくてもよい。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、治療されている対象、対象の体重、病気の重症度、投与態様、および、処方医の判断に依存している。
組成物は、所望されるならば、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有することができるパックまたはディスペンサーデバイスにおいて提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形態での容器に付けられた通知が添付されていることがあり、この場合、この通知は、ヒトまたは動物への投与のための薬物の形態の、当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物のための米国食品医薬品局によって承認された表示、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の化合物を含む組成物はまた、調製され、適切な容器に入れられ、適応症の治療のために表示され得る。
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして、当然のことではあるが、変化し得ることを理解しなければならない。本発明の範囲は、添付された請求項によってのみ限定されるので、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を記述するという目的のためだけであり、限定であることが意図されないこともまた理解しなければならない。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限の間において、文脈が明確に別途指示しない限り、下限の単位の1/10までの、間にあるそれぞれの値、および、その言及された範囲における任意の他の言及された値または間にある値が本発明において包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限が、言及された範囲における任意の具体的に除外される限界に左右されるが、そのより小さい範囲に独立して含まれてもよく、また、同様に本発明において包含される。言及された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本発明において含まれる。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料に対して類似または同等である任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、代表的な例示的な方法および材料が次に記載される。
本明細書において引用されるすべての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特許が参考として組み込まれることが具体的かつ個々に示されていたかのように、参考として本明細書中に組み込まれ、また、刊行物がそれらに関連して引用される方法および/または材料を開示および記載するために参考として本明細書中に組み込まれる。どの刊行物の引用も、本出願日よりも前におけるその開示のためのものであり、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行するものでないことを認めるものとして解釈してはならない。さらに、示された発行日は、独立して確認する必要がありうる実際の発行日と異なる場合がある。
これまで本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、例示目的のためにだけ本明細書中に含まれ、また、別途示されない限り、限定であることが意図されない特定の具体的な実施例を参照することによってよりよく理解される。すべての参照される刊行物および特許は、それらの全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
二重盲検による、ランダム化された多施設での、プラセボをコントロールとする研究を下記のように行った。およそ157名の被験者をランダム化して、144の評価可能な被験者を、およそ50の施設で行われた分析を処理する意図で得た。研究集団には、ニューヨーク心臓協会分類のII〜IVのCHFを有する、年齢が少なくとも18歳の男性および女性が含まれた。すべての被験者が20mL/分〜80mL/分の間での推定クレアチニンクリアランスを有した。エントリー時におけるすべての個体についての平均血清クレアチニンが1.75mg/dLであった。すべての被験者が経口ループ利尿剤を服用していた。この研究についての人口統計学データが下記の表1に示される。
Figure 2009539995
研究通院では、処置前の−2日目〜−1日目、処置期間の1日目〜3日目、4日目/早期終了、および、30日目での経過観察接触が含まれた。手順および観察には、病歴、理学的検査、CHFの分類、生命徴候、体重、CHFの徴候および症状スコア、ホルターモニター記録、胸部X線、CBC化学、クレアチニンクリアランス、水分摂取量ならびに尿排出量が含まれた。
処置日において、個体は、KW−3902を、単独療法、および、利尿剤との併用治療の両方として、プラセボに対して4つの用量の1つ(2.5mg、15mg、30mgまたは60mg)で120分かけて静脈内に受けた。KW−3902(またはプラセボ)が1日目から3日目まで投与された。1日目において、KW−3902(またはプラセボ)が単独療法として投与された。KW−3902投与後6時間で、IVによるループ利尿剤が、必要に応じて、すべての処置群に与えられた。2日目および3日目において、KW−3902が、臨床的に示されるならば、静脈内フロセミドとの混合治療として投与された。最終的な研究室データが4日目または早期終了時に集められた。経過観察の電話接触が30日目に行われた。
下記の表2および図1に示されるように、KW−3902を受けている個体は4日未満で十分な利尿を達成し、早期に終了した。このように、KW−3902により、十分な利尿を達成するため入院期間が短縮し、治療時間が改善された。加えて、KW−3902を受けている個体には、フロセミドの投与はより少なかった。図2は、治療された個体の尿排出量を示す。
Figure 2009539995
体液過剰を治療するために静脈内利尿剤療法を必要とし、また、20〜80mL/分の間でのクレアチニンクリアランス値を呈する、急性CHFのために入院した300名を越える被験者が特定された。これらの被験者を、プラセボ、あるいは、1日あたり10mg、20mgまたは30mgの静脈内KW−3902のいずれかを受けるようにランダム化した。
1日目において、KW−3902(またはプラセボ)が静脈内フロセミド(LASIX(商標))と同時投与された。指定された用量のKW−3902(またはプラセボ)が4時間の期間をかけて注入された。被験者は療法を3日まで受けた。患者は、最初の入院の期間中は毎日、ならびに、7日目および14日目に、心不全の徴候および症状について評価される。十分な利尿を達成した患者が早期に退院し(「早期終了」)、2日目または3日目での治療を受けなかった。下記の表2に示されるように、KW−3902治療群におけるより高い割合の個体が、プラセボ治療群における個体と比較して、早期に退院した。これらのデータにより、KW−3902が、単独での前記利尿剤療法と比べて、過剰な体液を患者から除くことを促進させることが明らかになる。
Figure 2009539995

Claims (19)

  1. 急性体液過剰を治療するための短期入院を必要としている対象に投与するための医薬の製造のための、30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの使用であって、
    該医薬は、非アデノシン修飾性利尿剤と共に投与され、該量のKW−3902は、単独での利尿剤療法と比較して、過剰な体液を患者から除くことを促進させる、使用。
  2. 前記30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグが、さらに、前記短期入院の期間を短縮するために効果的である、請求項1記載の使用。
  3. 前記非アデノシン修飾性利尿剤の1日の用量が時間と共に低下する、請求項2記載の使用。
  4. 請求項1記載の使用であって、前記非アデノシン修飾性利尿剤が、ヒドロクロロチアジド系薬剤、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、エタクリン酸、ピレタニド、スピロノラクトン、トリアムテレンおよびアミロリデヒアジド(amiloridehiazide)系薬剤からなる群より選択される、使用。
  5. 前記非アデノシン修飾性利尿剤がフロセミドである、請求項4記載の使用。
  6. 前記患者が、うっ血性心不全を有する、請求項1記載の使用。
  7. 前記30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの量が、さらにクレアチニンクリアランス速度によって測定するとき、腎機能を改善するために効果的である、請求項1記載の使用。
  8. 前記対象が、約20mL/分〜約80mL/分のクレアチニンクリアランス速度を示す、請求項1記載の使用。
  9. 急性体液過剰あるいはうっ血性心不全(CHF)を経験する個体において十分な利尿を達成するための治療時間を減らす医薬の製造のための、30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグの使用。
  10. 請求項9記載の使用であって、前記治療期間が短期入院であり、前記30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグが、さらに短期入院期間を減らすのに効果を有する、使用。
  11. 前記個体が、非アデノシン修飾性利尿剤による標準的な利尿剤治療を受けており、前記非アデノシン修飾性利尿剤の1日用量が、時間とともに低下する、請求項10記載の使用。
  12. 前記個体が、非アデノシン修飾性利尿剤による標準的な利尿剤治療を受けており、前記非アデノシン修飾性利尿剤が、ヒドロクロロチアジド系薬物、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、エタクリン酸、ピレタニド、スピロノラクトン、トリアムテレンおよびアミロリデヒアジド系薬物からなる群より選択される、請求項9記載の使用。
  13. 前記利尿剤がフロセミドである、請求項12記載の使用。
  14. 前記対象が、うっ血性心不全を有する、請求項9記載の使用。
  15. 前記30mgのKW−3902、あるいは、その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、代謝産物またはプロドラッグが、さらにクレアチニンクリアランス速度によって測定されるとき、腎機能を改善するために効果的である、請求項9記載の使用。
  16. 前記対象が、さらに、アンジオテンシンII変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)、βブロッカー、およびアルドステロン阻害剤からなる群より選択される療法を受けている、請求項1記載の使用。
  17. 前記対象が、さらに、アンジオテンシンII変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)、βブロッカー、およびアルドステロン阻害剤からなる群より選択される療法を受けている、請求項9記載の使用。
  18. 前記対象が、さらに、抗痙攣薬を受けている、請求項1記載の使用。
  19. 前記対象が、さらに、抗痙攣薬を受けている、請求項9記載の使用。
JP2009515474A 2006-06-16 2007-06-12 うっ血性心不全および急性体液過剰の患者において入院期間を短縮するための方法 Withdrawn JP2009539995A (ja)

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