JP2009538683A - 状態機械インターフェイスシステム - Google Patents

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Abstract

状態機械インターフェイスシステム、心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータは、状態機械アルゴリズムと、生体の心臓および/または循環系の生理学的活動に関係付けられる信号をセンサ装置から受取るように構成されるグラフィカルユーザインターフェイスとを含み、当該状態機械アルゴリズムは当該信号に基づき心臓サイクルの状態を判断する。当該判断された心臓サイクルは、異なる状態の間の時間的な関係が示されるようにグラフィカルユーザインターフェイスにてグラフィカルに提示される。グラフィカルユーザインターフェイスは、異なる状態の間の時間的な関係を示す部分を円形図または棒グラフとして含んでいてもよい。

Description

発明の分野
この発明は、心臓がそのポンピング機能においてピストンポンプまたは圧力および吸引ポンプのようであるという、さらにより正確には、有限筋細胞状態機械と、流入によって制御される能力を有するデルタV心臓ポンプを形成するデルタVポンプ(DeltaV-pump)機械とのクラスタ状態機械(state machine)として見られるという洞察に基づく。変動する心拍数および変力性条件での圧力、心臓への流入、ならびに心臓からの流出の全体の記録にわたって、正常に機能する心臓の本当のポンピングおよび調整機能を知れば、心臓のポンピングおよび調整機能の障害、良好、正常、および不良な動作を検知する機能状態図を作り出すことが可能になる。随意であるが、これは閉循環系におけるポンプとして、筋細胞状態機械のミクロレベルにまでなされてもよい。この出願の出願人に譲渡されるPCT/SE2006/000114(国際出願日2006年1月25日)は、心臓および循環系のポンピングおよび調整機能をシミュレートするよう適用可能である心臓クラスタ状態機械に関する。
この発明に従った状態機械インターフェイスシステムは、多くのさまざまな医療検査方法および装置に関連して適用可能である。
発明の背景
ルンドバック・S(Lundback S.)の論文「心臓のポンピングおよび心室中隔の機能("Cardiac Pumping and Function of the Ventricular Septum")」(ストックホルム(Stockholm)、1986年)において、人の心臓のポンピングおよび調節が一般的な観点とは異なる態様で行なわれることが主張されている。
この引用された刊行物によれば、健康な心臓は実質的にその外形および容積を変えることなくそのポンピング動作を行なう。
心臓のポンピングおよび調節機能に関する理論が上述の刊行物に提示された結果、新しい部類のポンプ、いわゆる動的容量形ポンプすなわちデルタ(Δ)容積ポンプ(ΔVポンプと略される)、が登場した。
ΔVポンプの原理を、図1aおよび図1bを参照して説明する。当該ポンプは、直径d1を有する上部シリンダ2と直径d2を有する下部シリンダ4とを含む。ここでは、d2>d1である。これらの2本のシリンダは第3のシリンダ6を介して互いに接続される。当該第3のシリンダ6は、上部シリンダと下部シリンダとの間で自由に移動可能に配置されている。この移動可能なシリンダ6は、たとえば心臓における僧帽弁に対応する弁8をその最下部に備える。この弁の上の容量は心房容量(Va)と定義され、当該弁の下の容量は心室容量(Vv)と定義される。下部シリンダは、たとえば心臓における大動脈弁に対応する流出弁10をその最下部に備える。図1bから分かるように、移動可能なシリンダが下方に、すなわち図におけるΔVに動かされると、移動可能なシリンダと下部シリンダの内壁との間に、リング状の円筒形の容積が徐々に得られる。これにより、移動可能なシリンダがその上方位置とその下方位置との間で動くときに容量ΔVとともに容量Va+Vvが減少することとなる。
エネルギ源(図示せず)は、移動可能なシリンダをその上方位置から下方位置に移動させるよう適合される。これによりポンプについてのストロークの長さLが規定される。移
動可能なシリンダがその最低位置まで移動すると、流出弁が強制的に開かれ、容量Vvの一部が排出される。次いで、移動可能なシリンダはエネルギ源から解放され、ポンプへの流入がある場合にはその上方位置に戻り得る。AvおよびAaが上部および下部のシリンダの断面積をそれぞれ指定する場合、ΔVはL(Av−Aa)に等しくなる。
WO−01/88642は、心臓の分析、診断および治療の方法の向上を可能にするために、ΔVポンプの上述の原理に基づいて心臓の機能の数学的モデルを用いることによって心臓のポンピング動作の表示を作り出すよう適合されたコンピュータベースのシステムに関する。心臓は、1つの動的容量形ポンプまたは2つの相互接続された動的容量形ポンプ、すなわちΔVポンプ、のコンピュータベースの表現によってモデル化される。
多くの異なる要件、すなわち境界条件は、循環系におけるその構造、動力源、ならびにポンピングおよび調節機能を説明する数学的モデルをポンプに実現すると、一般に満たされるはずである。循環系が、心臓と同様に2つの循環系と、当該2つの循環系間の流れが常にバランスのとれた状態であるポンプとを含む場合、より多くの境界条件が存在することとなる。
通常、個人の心臓および循環系は、流れ、心拍数、および変力性刺激が低い安静時に検査される。心臓および循環系が良好または不良な状態にあるかどうかを示すすべての基準値のほとんどが、心臓の無負荷拍出動作中に求められ、比較される。これらの状況の間、心臓のサイクルは長く、デルタV原理のエネルギ吸収およびエネルギ−機械変換特性は、心臓のポンピング、充填、および調整機能についてあまり顕著でない。これは、空動き圧搾容量形ポンプとして、「フランク−スターリングの法則(Frank-Starling law)」の調整機能とともに心臓の圧搾ポンピング機能が今日の心臓および循環診断のための土台として確立されているというのが理由の1つであり得るからである。
MRI(磁気共鳴映像法;Magnetic Resonance Imaging)およびスピンCT(スピニングコンピュータ断層撮影;Spinning Computer aided Tomography)のような新しい診断方法、ならびにTVI(組織速度映像法;Tissue Velocity Imaging)および反射体ベースの速度映像法(reflector based velocity imaging)(2Dストレイン)を用いる超音波技術のさらなる進歩により偽の動きの視覚化が低減され、心臓が主にAV(心房−心室;Atria-Ventricular)プレーンの前後運動でポンピングしていることが明らかになった。どのような種類の力が心室の充填に作用しているかを説明するために多くの議論が始まっているが、デルタV機能は未だに理解されていない。拡張心不全のような言葉が人気のある科学的議論の主題となった。ピストンのようなポンピング機能についての新しい洞察において、何が心臓にその調整機能を与えるかということはまだ議論の主題となっていない。
古いまたは新しい検査方法を用いても、心臓の検査は判別が非常に難しくなり得る多くの情報をもたらす。すべての機械的な対象は、これらの動作原理の背後の力学が既知であるならば、既知の相互関係により状態図において表現され得る。機械的なユニットとしての心臓については、それは完全には既知ではない。これは特に心臓の充填および調整機能に関して当てはまる。心臓の未知の力学とともに、心臓の複雑な構造、特に横隔膜に対する回転および弾性的なサスペンション、胸骨に対する摺動運動、ならびに特にデルタV区域での外的および内的な容積変化により、非常に低い流量および心拍数でも、心臓における異なる活動が寄与するものを判断することがほとんど不可能になる。より高い流量および心拍数では、すべての検査方法が多かれ少なかれ、カオス的な情報出力を示す。おそらくは、これと、圧搾機能で心臓がポンピングしているという一般的な考えとが、心臓および循環系に関する生理的活動の分析は時間がかかるとともに困難な行為であるということの理由である。
したがって、この発明の一般的な目的は、出力情報をコスト効率がよく、高速で、かつ信頼性のある方法で判別するよう用いられ得るツールを達成することと、分析および診断のためにそれを利用可能にすることとである。
具体的には、この発明の1つの目的は、心臓の本当のポンピングおよび調整機能を知ることであって、心臓サイクルの異なる状態を生成するよう組織化される、個人の心臓および/または循環系の生理的活動を示すことであり、当該異なる状態は、異なる状態の間の時間的な関係が心臓のポンピングおよび調整機能の状態図として示されるようにインターフェイスによってグラフィカルに提供される。
別の目的は、好ましい状態図におけるこれらの状態をサポートおよび分析し得るローカルおよび/またはグローバルな情報システムを作り出すことである。
したがって、この発明の全体の目的は、患者、健康管理およびトレーニングをしているアスリートに対して、有効な診断、予後、内科および外科治療(人工および/または生物学的材料を用いた心臓再建手術)、ならびに追跡検査を求めることにおいて、コスト効率がよく正確な、グラフィカルユーザインターフェイスを含む状態機械インターフェイスシステムを達成することである。
発明の概要
上述した目的は、独立項に従った状態機械インターフェイスシステムによって達成され、好ましい実施例は従属項において記載される。
この発明は、心臓がピストンポンプまたは圧力吸引ポンプとしてポンピングし、かつ心臓がさらに、心臓の調整機能に対処するとともに当該ピストンが戻る助けをする新しい部類のポンプ、すなわち動的容量形ポンプ(デルタVポンプ)において動作するという洞察に基づく。実際に心臓は、有限筋細胞状態機械とデルタV心臓ポンプを作り出すデルタVポンプ状態機械とのクラスタ状態機械のように動作すると言うことができる。この発明に従った状態機械インターフェイスシステムを用いることにより、任意の種類の検査方法で、個人の心臓、その周囲、および/または循環系の生理学的活動の自動検出を行なうことが可能になる。当該インターフェイスシステムは心臓サイクルの異なる状態を生成するようこれらの活動を組織化および変換し、異なる状態は、当該異なる状態の間の時間的な関係が心臓のポンピングおよび調整機能の状態図として示されるようにインターフェイスによってグラフィカルに提示される。
心臓のポンピングおよび調整機能は、診断の幅を広げ、特に高い心拍数および流れでの心臓のすべてのカオス的な運動を明確化し、かつ心臓の機能についての最終的なドキュメントとして機能し得る状態図として、グラフィカルユーザインターフェイスとオンラインで自動的に提示されてもよい。完全または部分的に完全な状態図はローカルおよび/またはグローバルな情報システムによって、手動および/または自動で容易に評価される。
時間に関連した状態のみを有する状態図は、理論上は心臓および循環系の内側および外側のどこにでも見出され得る。
これにより、体の外側に設置される加速度計(たとえば脈拍および心尖拍動図)、血圧ユニットなどといった実に単純な診断ツールが、利用、判別、ならびにローカルおよび/またはグローバルな情報システムとの通信(遠隔治療)が容易となる状態図を生成するよ
う用いられ得る。
添付の図面の簡単な説明
この発明を添付の図面を参照して詳細に記載する。
ΔVポンプの原理を概略的に示す図である。 ΔVポンプの原理を概略的に示す図である。 ΔVポンプである心臓の論理状態図の例の図である。 この発明に従ったΔV心臓ポンプおよび循環システムを概略的に示すブロック図の例の図である。 この発明の第1の好ましい実施例に従ったグラフィカルユーザインターフェイスを概略的に示す図である。 この発明の第2の好ましい実施例に従ったグラフィカルユーザインターフェイスを概略的に示す図である。 この発明に従った状態機械インターフェイスシステムの概略ブロック図である。 この発明に従った状態機械インターフェイスシステムと、当該インターフェイスシステムと相互作用するシステム/装置との機能関係を概して示す概略ブロック図である。 この発明に従って達成される心臓の3D表示の例を示す図である。 この発明に従って達成される心臓の3D表示の例を示す図である。 この発明に従って達成される心臓の3D表示の例を示す図である。 この発明に従って達成される心臓の3D表示の例を示す図である。 この発明の第3の好ましい実施例に従ったグラフィカルユーザインターフェイスを概略的に示す図である。
発明の好ましい実施例の詳細な説明
この発明のすべての局面を完全に説明するために、上記で特定されたPCT出願(PCT/SE2006/000114)の詳細な説明の部分を以下に含む必要があると考えられる。
心臓およびその機能を再現する手掛りは、自然が実現可能であった基本的な境界条件を定義して、心臓のポンピングおよび調節機能を作り出すことである。
この発明の背後の根本的な原理に従うと、これは、心臓を、技術的に、通常自然によって設定される動的境界条件で動作する心臓クラスタ状態機械に変換することによって達成される。心臓クラスタ状態機械は、有限心筋細胞状態機械の動的境界条件を、ΔVポンプ状態機械の動的境界条件に適合された筋肉網、すなわち心筋、に融合させた結果である。ΔV心臓ポンプとも称される作成された心臓クラスタ状態機械は、前述の有限心筋細胞状態機械および前述のΔVポンプ状態機械の動的境界条件に従うことになる。
クラスタ状態機械の動作条件は、体内の心臓の動作条件に等しく、一般に利用可能な計算、映像、記憶および分析システムを用いることによりデータベース、好ましくはリレーショナルデータベース、によって表現され得る。
簡潔に上述されたように、この発明は、心臓の従来のポンピング運動である圧搾機能でポンピングするのではなく、心臓がデルタ(Δ)Vピストンまたは球形のAVピストンと称されるピストン状のユニットによる前後運動でポンピングしているという観察に基づいている。ピストンの区域は、より平坦な区域および湾曲した区域からなる。平坦な区域は
繊維輪のリング、AVリングおよびその4つの弁からなり、これは、それが大動脈および肺動脈(肺動脈幹)の接続区域を含むことを意味する。
2次元映像では凸状であるか、または3次元映像では球形である湾曲した区域は、平坦な区域、すなわち繊維輪のリングに接続された左右の筋肉からなる。
ΔVピストンは、心尖の方に引張られ、心室に含まれる血液を強制的に肺循環および体循環させるとき、同時に、ΔV心臓ポンプの境界条件の結果として心房およびその心耳に血液を引込むだろう。ΔVピストンの凸状部分や区域は、周囲の組織と直接接触している大動脈および肺動脈の突出た区域を含む心膜と直接接触しており、直接的なΔV容積を形成するだろう。ΔVピストンの区域は周囲の容積と間接的に接触しており、間接的なΔV容積を形成するだろう。このような区域は大部分が心耳によって覆われ、ある程度までが肺動脈幹および大動脈によって覆われている。
心室拡張期の初期の間、心室筋が弛緩し始める段階中、ΔVピストンは、心室の収縮中に作り出したΔV容積を満たすことによってその初期位置に戻り始める。これは、塊の動的力および静的力の影響を受けて、かつ、心室収縮期中におけるΔVピストンの下方への動きによって作り出される心臓構造およびその周囲に蓄積されたエネルギによってなされる。ΔV区域にわたる圧力勾配は液圧によるΔVピストンの戻りをもたらし、ΔV機能と称される。
外部の容積変化はほとんどが、ΔVピストンの動きに関連した直接的および間接的なΔV容積である。右心室および左心室の相対的な容積を変化させる心臓の能力(引用された論文に記載される)は、主に、共通の心室壁、すなわち心室中隔、の動きによって遂行される。心室拡張期中、筋肉が弛緩した状態である間、心室中隔は、2つの心室間の圧力勾配に依存してその形および位置を適合させ得る。心室収縮期中、心室中隔は、左心室の心筋の残りの部分とともに、本質的に交差した円形の断面構成を呈し、心拡張期中にその形および位置とは無関係に異なる位置をとる。これは、心室収縮期中、左心室の圧力が常に右心室の圧力よりも高いためである。心拡張期中の、すなわち弛緩した状態での心室中隔の構成および位置が、心収縮期中の、すなわち活動状態である構成および位置と異なる場合、横隔膜ポンプのように機能する心室中隔は、このため、一方の心室に供給する1回拍出量を増大させ、他方の心室に供給する1回拍出量をこれに応じて低減させる。このように、心室中隔は、循環系(肺循環および体循環)の2つの支脈間のバランスを維持するよう複動式の調節を達成する。
心臓をΔV心臓ポンプ(心臓クラスタ状態機械)として説明するのに必要な動的境界条件は、筋細胞の動作原理についての細分された境界条件と、ΔVポンプである心臓の動作原理についての細分された境界条件との例を与えることによって明確にされる。
I 有限状態機械としての筋細胞の動的境界条件は、以下のとおり、境界条件と動作原理とに細分することができる。
Ia 心臓のポンピング機能および調節機能についての最適な順序を同期的に実現するために、動力を生成し、伝導系の部分である有限筋肉状態機械をトリガさせる化学的、電気的および機械的な方法の境界条件。
Ib 筋収縮時により厚くなる筋肉のために十分な空間を保った状態で堅固な構築、伸張および短縮を可能にする、筋細胞の周りの結合組織網の境界条件。
Ic ΔVポンプのように作用するが、循環系を厳密にバランスのとれた状態に保つよ
うに当該循環系に対して機能する4室の容量ポンプを作り出すよう筋細胞を構成する境界条件。当然、2室および3室の心臓は他の条件を有するだろう。
II ΔVポンプ状態機械として動作する心臓の動的境界条件は、以下のように境界条件および動作原理に細分される。
IIa 心臓のΔV機能をサポートする機能および特性を有する入口および出口を備えた4室の容積を封じ込める周囲組織の境界条件。
IIb 弁と出口の血管とを備え、心臓の内部の連続的な容積を供給する容積と排出する容積とに分け、さらに、ΔV機能をもたらすよう構成されたΔV容積を生成する、可動ΔVピストンの境界条件。
通常のポンプを備えた従来の循環系においては、流入および流出の両方を制御するのは、通常、ポンプの速度である。これは、動的容量形ポンプ、すなわちΔVポンプには当てはまらない。これらは本質的に流入によって制御される。ΔV容積がもたらすΔV機能により、ストロークの長さが決定され、心臓の場合にはΔVポンプとしての心臓の大きさが決定される。これは、ΔV心臓ポンプがその真のポンピング機能および調節機能を示すかまたはもたらすよう循環系に組込まれなければならないことを意味する。このように、静脈還流を制御する動的境界条件は、心拍出量の制御に極めて重要な役割を果たすだろう。ΔV心臓ポンプは、心拍数および力が十分に高ければ、その入口の血管から入ってくる血液を常に吐出そうとするだろう。これは以前には十分に理解されていなかった。ΔV心臓ポンプをサポートするのに必要であるかまたはΔV心臓ポンプによってサポートされている循環系の主な動的境界条件は以下のとおり説明することができる。
III 中心静脈容量の動的境界条件(たとえば、心臓に通じている肺静脈を含むより大きな静脈の圧力、流れ、容量、張力)。
IV 末梢静脈容量の動的境界条件(たとえば、容量血管の血液容積交換および貯蔵容量)。
V 中心動脈容量の動的境界条件(たとえば、心臓から出る肺動脈を含むより大きな動脈の圧力、流れ、容量、張力)。
VI 末梢動脈容量の動的境界条件(たとえば、異なる時に異なる器官をサポートするのに必要な血液量の変動、移行ゾーンにおける流量についての活動による制御、および静脈圧の値までの圧力低下)。
VII 全血液容量、血液密度および粘度を維持する動的境界条件。
VIII 心拍数および血圧を制御するための動的境界条件。
心臓をΔV心臓ポンプとして呈示すると、本来の循環系を調整およびシミュレートすることができるだろう。心臓の機能と循環系の機能との相乗作用がよりよく理解されることとなり、心臓が機能する場合、いつ、どこで、どのように、そしてなぜ機能するのかという疑問に対する回答の要求を増大させるだろう。これは、たとえば医学的処置、集中治療および研究に非常に有用となるだろう。
言換えれば、筋細胞は各々、それ自体の動作レジメンについての条件を満たし、心臓をΔVポンプとして構築する構造の一部としての要件をも満たすように配置/構成されなければならない。短縮および肥厚化によって動力を作り出す動作レジメンと、その背後にあ
る境界条件とは周知である。
あらゆる状況下における心臓の実験的動作モデルがすべて、圧搾機能とともに説明されてきた。これは明らかに、心臓が、律動的に反作用するやり方で心房および心室の外部の圧搾運動によってそのポンピングおよび調節機能を実行すると想定された場合に当てはまる。これは依然として、概して一般の人々および医師の間で、真のポンピング機能であると100%近く信じられている。
新しい磁気共鳴映像技術(MRI)では、有力な研究者間での4世代目の見解は、心臓がAVプレーンでポンピングする定容量ポンプに近いという概念を採用している。
少なくとも200年間、心筋が3層によって構築されていると認識され、これが一般化されていた。1つの外層がAVリングから尖部の方まで反時計方向に伸びる長手方向に捩られた螺旋形の繊維を有し、時計方向の、長手方向に捩られた螺旋形の繊維としてAVリングに戻る。間には、円形の筋層が整形される。心臓への充填力を見出すことは常に問題であった。これらの力を見出すために、数年前に、いわゆる心室心筋のバンド理論(Ventricular Myocardial Band Theory)が心臓の不可解な充填を解決するよう論じられた。このモデルでは、外層および内層を用いて、収縮期の心室充填と称される遅延型収縮によって心臓の反時計方向および時計方向の回転をもたらす。心筋の肥厚化がポンピング機能を与えていた。ごく最近、この理論は、薄切りされた心筋を電子顕微鏡検査で検査した解剖学の専門家によって完全に否定された。彼らは、互いに対して摺動し得る層を見出せなかった。彼らは、それまでに分かっていた筋繊維の方向と、左心室が筋肉の中心に強固な円形に方向付けされた筋細胞を有することとを検証し得た。これは右心室には当てはまらなかった。
短縮および肥厚化することによる筋細胞の動作の仕方は、ひとたび心臓においてのような閉容積が作られると問題を引起こすことになる。筋細胞の容積は、その動作状態の間は一定のままである。これはすべての動作している筋細胞がそうであるということを意味する。なぜならば、その肥厚化はその近隣の細胞などに対してインパクトを与えることになるからである。心臓全体および特に左心室の短手軸の観点での容積の形状は、おおよそ円形形状である。これは特に、心臓が圧搾ポンピング機能によりポンピング機能を行なうならば、すべての筋細胞は、その過程においてすべての方向に自身と近隣の細胞とを押し、引き、再配置する際、および中央に向かって肥厚化する際に、相互作用しなければならないということを意味する。
自然は、大きな球状のデルタVピストンを作り出した。このピストンは、心室の外側形状の円錐部分がAVリングに最終的に接続される球形状に進展するAVリングのはるか下から始まる。この形成された球形の区域は、広範囲に心耳およびそれらの縁部によって覆われ、大動脈および肺動脈幹の流出路とともにデルタVピストンを作り出す。このデルタVピストンの大きな区域が、長いストロークの長さについての必要性を低減し、流れに対する筋肉の障害物を低減し、かつデルタV容積を作り出す。
左心室における筋肉の交差(屈曲した8の字部分)として間に増強円形方向「層」がある、長手方向時計回り外側「層」とX方向を形成する内側長手方向反時計回り「層」とにおける組織化された筋細胞は、小柱の複雑な網とともに、心膜嚢およびその周辺によって設定される外側形状に追随し得る長手方向の運動および狭窄を作り出す。
短縮および肥厚化による筋肉の動作の仕方は、適切な生理学的順序でパックおよびアンパックを行なうのに問題となるだろう。筋肉壁が厚ければ厚いほど、これらの課題を解決するのが難しくなり、最後には筋肉が心臓のポンピングおよび調整機能に対する障害物と
なるであろう。
筋肉の容量は、構造材料または動力源のいずれとしても変化されないので、心房、心耳、または心室を作り上げ、動力を与える。これは、筋肉によって動力が与えられるポンピング機能を作り出すオプションが以下のとおり(図8)であるということを意味する。
1.外側形状が変化し、したがって外側容積も変化する。
2.心臓の中のAVプレーンのピストンのような運動を伴う一定の外側形状。
3.往復運動による容積変化およびポンピング機能において与える、右半分および左半分の間の隔壁のダイヤフラムポンプのような運動を伴う一定の外側形状。
自然は、心室の収縮期において、外部の容積変化(デルタV容積)を用い、球状のデルタVピストンに直接的および間接的に接触するデルタVピストンを作り出す(1,2)ことにより、3つすべての可能性を活用した。
以前には認識されていなかった別の外部の容積変化、およびさらにはデルタV容積のある部分が、大動脈および肺動脈幹の流出路の運動により作り出される。
第3の外部の容積変化は、デルタVピストンの運動に対する反作用力の必要性の結果として作り出される。
生体において、ピストンは4つの弁と、さらに大動脈および肺動脈幹といった出口血管とを保持する。心膜嚢を含む全体の構造は柔軟性があり、ある程度弾性反動要素を有する。心臓の周囲も、胸郭および脊髄を除いて柔軟である。心膜嚢の横隔膜筋に対する強力な付着、および胸壁に対する液圧による付着により、心臓を含む心膜嚢は呼吸時に胸壁に対して平行に自由に動くことになり、ポンピング動作の間には、心室の収縮の終わりの際、心膜嚢の中の全部の塊が運動している状態に保つ弾力性サスペンションとしての重要な機能を有する。心尖での弾力性サスペンションは、デルタVピストンのストロークの長さを低減させることになるが、他の反動力、静的力および動的力とともに、デルタV機能によって、デルタVピストンの液圧還流に動力を与え得る。心臓に対する心臓の基部および入口の血管の液圧および機械的な付着は、心尖区域と反対のこの区域が心房および心耳の収縮の間、ならびに心室の収縮の間の両方において、適切な位置に保たれることになる。
特に心室中隔の横隔膜ポンピング運動(3)は、心臓のポンピングおよび調整機能の状態を視覚化することにおいて非常に診断上重要である。上で論じたように、筋肉の肥厚化のやり方は、容積変位と同義であると解釈されるべきではない。これは、より短縮および肥厚化している部としての心室中隔の収縮は、心室容積の間で容積を変化させないということを意味する。それをなし得るのは運動のみである。収縮期および拡張期の圧力は通常心臓の左側の方がより高いので、心室中隔を含む左心室は球状形状を有することになる。これにより、筋細胞は、心室の収縮の間、右心室に向かう圧力の勾配に耐えるよう方向付けされることになる。これは、心室間中隔の筋肉の塊が、その肥厚化を左心室の内腔に向けることになることを意味する。言い換えると、2つの心室の間の容積を変化させるのは、右心室の内腔の隣の表面区域の運動になる。心室中隔は、2種類の運動を有すると見なされる。1つは、横隔膜の弾性運動と平行であり、左心室の中の容積を変化しないが、右心室の容積をある程度変化させるものである。心室中隔の他方の運動は、一方の側で一回拍出量を増加させるとともに他方の側で一回拍出量を減少させることにより心室の間で相互作用する。これは、中隔における通常の機能下では、肺循環システム上での圧力を低い通常のレベルに保つという非常に効果的な二重の調整機能を与えることになる。
心室間の中隔の長手方向の運動は、以前には知られていなかった、右心室と左心室との間の第3の容積交換に寄与する。この容積は、大動脈の流出路の外部のデルタV容積に加えられるとともに肺動脈幹の流出路を通る間接的な内部のデルタV容積である。この容積は、AVリングへの心室中隔の球状の接続によって、左心室の残りの部分においてのように作り出される。これは、内部デルタV容積を作り出す際の左心室が、各脈拍ごとに、デルタVピストンの液圧還流の間に戻されることになる容積である、右心室の一回拍出量から「盗み出す(steal)」ことになることを意味する。これは、この発明に従った、流れの特性に目標を定めたグラフィカルユーザインターフェイス上にて容易に観察され得る。
心房の収縮は、増加したストロークの長さを作り出すブースタであると見なされ得る。二重の折込まれた心耳およびそれらの鋭い筋肉縁部によって覆われる大きな区域が収縮によって引込まれ得る。これにより、周囲が崩れないか、またはデルタVピストンがリフトアップされなければ、完全真空が現われる状況が作り出される。後者は、デルタVピストンの上方向の運動および筋肉の壁の薄厚化によりデルタVピストン上にて同じ容積変位が起こることになるので、生じる。この結果、心臓の内側、外側、心臓へのまたは心臓からのすべての塊(masses)のスピードにおいて、より変化のない最小のものとなる。高い流量および心拍数では、したがってデルタV機能の背後の強い力では、伝達系の結果として以外の心房の収縮は、一回拍出量に対してほとんど影響を持たないことになる。その一方、心不全においては、それは生命維持効果を有し得る。
上述の動的境界条件では、何百万ものベクトルが協働して、本物の心臓が実際に有する形状、構造および機能を備えるΔV心臓ポンプとその機能とを構築するだろう。
したがって、上述の動的境界条件を備えたΔV心臓ポンプである心臓の論理状態図が、異なる種類の検査方法において見られる実際上のイベントマーカとともに以下に説明され得る。
ここで挙げられるイベントマーカは、心エコー検査で容易に見出すことのできる、以下の7つの主な論理状態または段階を設定する。ΔV心臓ポンプ概念の背後にある基本的な力学を説明する実際上の理由から、これらのイベントマーカは左心室に関するイベントによって設定される。当然、右心室に関する同じイベントが、それらが見出さられ得る場合は、検査方法において考慮されるべきであるが、右心と左心との相互作用は、ΔV心臓ポンプ概念にとって極めて重要である。強度およびタイミングにおける違いは、優れた鋭敏な診断ツールとして機能し得る。これらの主要な状態間のたとえばタイミングにおける変化は次の状態に影響を及ぼし、いつ、どこで、そしてなぜ心臓は、自身が行なうように、ポンピングしているのかを伝える診断ツールとして機能するだろう。
図2を参照して、異なる状態をここで詳細に記載する。
(状態1)
緩慢なΔV段階(slow ΔV phase)
この段階は以前には緩慢な充填段階と称されていた。しかしながら、心臓がΔVポンプとして動作するこの文脈においては、「緩慢なΔV段階」の方がより適切である。これは、高速なΔV段階の直接的な続き、すなわち、ΔVピストンの戻る動きである。流れが緩慢で低速である間、緩速なΔV段階は比較的長くなる。
この段階中、心房および心室の両方の筋細胞ならびに心室中隔は完全に弛緩している。心臓の左半分と右半分とは主に心膜内の共通の容積と見なされ得る。これにより、心臓の右半分と左半分とがそれぞれ、入ってくる血管とともにコンプライアンス容積を形成することとなる。左心房と右心房とに入ってくる流れのエネルギにより、主にΔVピストンが動く近傍で心臓の容積が増大することとなる。これによりΔV機能に対するエネルギが生
成され、結果として、ΔVピストンがその形状および位置を変化させ、さらに繊維輪のリングに対する引張力を生成することとなる。入ってくる流れのエネルギは、心室中隔によって妨害されることなく本質的に両方の心室に伝達される。
心臓の全容積は心拍数および流入量に依存している。
ΔVポンプのサイズはこの状態の間に設定されることになる。
心膜およびその環境は主に、起り得る心臓の容積拡張を制限するものとなる。この段階中、流入する血液における静的力は最も顕著な力である。間接的なΔV容積を形成する表面(主として心房の心耳)は、この段階中、心臓の上部への方向にΔVピストンを押す如何なる正味の力にも寄与しない。その動作を行なうのは、主に、ΔVピストンに接続された心臓と外側に向かう血管との拡張によって形成される直接的なΔV容積である。心臓が卵のような形をしているので、正味の力と、心臓の上部に向かうΔVピストンの運動とが制限されることとなる。ΔVピストンは中立的なバランスのとれた位置に入るだろう。これは、ΔVピストンのストロークの長さを制限するが、ΔVピストンが広くなることにより、包含される容積が大きくなる。
こうして、ΔVポンプとしての心臓は、入ってくる流れおよび心拍数に関連してそのサイズおよび形を適合する。
心臓の右半分および左半分のそれぞれの充填圧力により、心室中隔にわたる圧力勾配が決定される。この圧力勾配により、右心室と左心室との間の心室中隔の形状および位置が決定される。
この状態ならびに状態2および3が、前の状態(状態7)とともに、心室中隔の二重の調節機能のための前提条件を形成する。
(状態2)
心房収縮期段階
既定の教示に従うと、心房収縮期の収縮およびその関連するECG信号は、心臓のポンピング機能を説明する際の出発点であった。2回の心房収縮間の時間は、心臓周期または心臓サイクルを表わした。
心臓がΔVポンプとして動作するという発見は、入ってくる流れについてそのポンピング機能および制御機能が制御されることを意味し、これはまた、心臓サイクルについての説明が緩慢なΔV段階から始まるべきであることを意味している。心房収縮期段階の結果は、多くの異なるパラメータに依存しており、結果として、ある状況下では、心房収縮が心臓のポンピング機能に何も追加しないのに対して、他の状況下では、それが生命維持に寄与することとなる可能性がある。
状態7におけるΔV機能の背後にある低速度および低運動量の間、心房収縮は状態1におけるその中立位置の上にΔVピストンを上げるのに寄与する。心房収縮は高速の活動である。心房およびその心耳を心膜およびΔVピストンの球形部分に液圧で付着させることにより、心房収縮中に、弛緩されるとともに形成可能なΔVピストンの上部上で心臓嚢に沿って引込める摺動運動がもたらされる。これは、心臓の上部への方向にΔVピストンを押し進める液圧力を引起すだろう。収縮中、塊の最低限の外部および内部加速で心房と心室との間の血液容積が再分配されることとなる。ΔVピストンを心臓の上部へと引くことは高速の心房収縮に好都合である。というのも、内部および外部の塊の動きに対する運動量が大きいからである。心臓の全容積が心房収縮中においてかなり一定であるので、心臓嚢に対するΔVピストンの摺動運動は、結果として、心房と心室との間の血液の再分配を
もたらすだけである。心房収縮期中に外部の流入容積を必要とし得る区域はおおよそ肺動脈幹および大動脈の流出路のみである。これらの区域は直接的および間接的なΔV容積をもたらし得る。心房収縮中には右心房への流入があるが、通常、左心房からわずかな逆流がある。これは、肺静脈中のわずかなコンプライアンス容積と、左心耳がΔVピストンと肺静脈との間で圧搾され、こうして引込み収縮中に当該静脈を広げるという事実とに依存する可能性が高くなる。大きい流れおよび高い心拍数の間、ΔVピストンが高速で戻ることの背後にある運動量が大きい場合、ΔV機能の背後にある流動力学によりΔVピストンがその中立位置へと移動する。心臓をフルサイズのΔVポンプにする緩慢なΔV段階の役割が低減される。これは、大きな動的力と心臓をフルサイズで維持することのできる静的力のバックグラウンドとによるものである。心房収縮はおおよそ、心臓基部へのΔVピストンのさらなる動きに寄与し得ない。
多くの理由、すなわちΔVピストンの戻る動きの背後にある低運動量、によって引起こされる小さなΔVピストン運動の間、すなわち段階6では、心房収縮は、心臓の基部へとΔVピストンを上げることにより1回拍出量のうち60%にまで寄与し得る。
高流量および低流量ならびに高心拍数および低心拍数のそれぞれの間、さらに心不全の間での心房収縮の重要性に関する劇的な違いの背後にあるメカニズムは、これまでに機械的に説明されたことはなかった。これは、ポンピング機能のために心耳が果たす役割にも当てはまる。ΔVポンプとしての心臓は、心房収縮およびポンピング機能のための心耳の役割についての重要な機械的説明を与える。
これはまた、心房収縮が進行しているにもかかわらず、なぜ心臓への流入の継続が可能であるかを説明する。
心房収縮期の後、心室収縮排出段階が続くが、ここでは3つの状態に分けられる。この段階中の圧力は、通常、左心室においてはるかに高いので、左心室は、ΔV心臓ポンプと共同で動作する別個のΔVポンプであると見なされ得る。
(状態3)
前収縮期の容積−張力段階
心房収縮後、伝導系は、あるAV遅延の後、同期された順序で、心室における筋細胞の脱分極を開始する。(以前には等容性段階と呼ばれた)状態3の間、筋肉は心臓への動力を生成しなければならないだけでなく、構成材料として、次の時間間隔内に高い力が加えられる心臓の部分の補強も行わなければならない。
心室中隔、心室の尖部分および円錐部分ならびに乳頭筋を最初に活動させる。その後数ミリ秒内に、この活動の開始が心臓の残りの部分、つまり球形の括約筋のような心室の部分すなわちΔVピストン、に広がる。心室の活動方法は「ソフトスタート(soft start)」と見なされてもよく、ΔVピストンがその弛緩の動きや戻る動きを開始するその後の段階中に有用となる。
この活動の開始は、尖部に向かうΔVピストン運動の推測を最適化するパターンに追従する。心室中隔は、左心室と右心室との間の圧力勾配に耐えるために安定化を開始する。左心室は、ΔVピストンの内部セクタであるその外部形状の直接連続部として、心室間の中隔とAVリングおよび大動脈の流出路への接続部とで整形し、これにより右心室の容積と相互に作用することになる。
心室心筋の活動が開始されると心筋の緊張が高まることとなる。これにより、その構造によりΔVピストンと心臓の尖部−横隔膜領域との間のギャップを狭くすることと、閉じ
込められた血液容量に対する圧力勾配を生成することとを求める力ベクトルがもたらされる。張力は、動きに対する抵抗が最低となる場における動きをもたらすだろう。心臓を心膜および周囲の組織に液圧で付着させることにより、心房収縮中の場合と同様に、心膜嚢に沿った心室筋の摺動運動が作り出される。これは、内部および外部の塊の動きに対する抵抗が大きいためである。心房と心室との間であるが逆方向に、内部における血液容積の再分配がなされ、結果として、実質的に逆流なしに弁が閉じられることとなる。AVリングに堅固に接続されるとともに心耳および心膜に液圧で接続されているΔVピストンの周辺区域を連続的に引下げると、筋肉の塊および封じ込められた血液容積に関連した凹形状がもたらされる。この湾曲した形は第1種てこ(図8)のように機能し、曲げおよび引くことによって強い力勾配を生成およびそれに耐えることができる。当然、これは、心室壁にわたる圧力勾配がはるかに高い左心室における円形に方向付けされた筋繊維のさらなる強固な補強を必要とする。
ストロークの長さの単位あたりの容積交換が最大になるのはこの湾曲した区域内であり、ここと、大動脈および肺動脈幹の流出路とにおいても直接的および間接的なΔV容積がもたらされる。
当該状態の初期においては、右心室および左心室は、心房および流入血管に連通している容積を備えた単一の容積と見なされる。ΔVピストンを引下ろし、弁を閉じる間、心室内の圧力が高まる。心室中隔の動きは、ここでは、心房収縮の終わりに心室中隔の各側における静的圧力と動的圧力との間にどんな関係があったか、さらに、心室筋がどのように活動されるかを反映している。
状態3の終わりに、容積の再分配により、ΔVピストン、AV弁および心室中隔ならびにΔVピストンの内部セクタを始動させて、これらが、右心室および左心室からの流出を開始させる圧力に到達する際にもたらされる圧力勾配に耐える必要がある形状および張力を呈するようにする。通常の状況にある間、これらのすべての適合が、高速の容積変化の外部の抵抗とバランスがとれた状態で、かつ、内部の高速の容積変化とバランスのとれたΔVピストンの動きに関連して行われる。ΔVピストンの摺動運動の結果としての内部の容積変化のほとんどは、内部における血液容積の再分配によって起る(図8)。心房への流入は、特に高い流量で継続可能であるが、これは、特に心耳がΔVピストンの凸状の筋肉部分を覆っている区域と、アクセスするのが難しい容積を心耳が満たしている大動脈および肺の根元の周りの区域とにおけるそれらの弛緩によるものである。
状態3は、ΔVポンプである心臓と、肺および主要な循環系への流れのための調節器である心室中隔とについての多くの重要なイベントおよび時間マーカを含む。マーキングポイントを心室中隔の異なる位置に置くと、それは、心臓および循環系の動作についての多くの情報を与える進行中の活動を検知する大きくて敏感な圧膜として機能し得る。このイベントはまた、より単純な表示方法、たとえば心尖拍動図、によって監視可能である。
(状態4)
進行的(Progressive)張力および流れ段階
段階4は、インデックスマークとして大動脈弁の開口部から始まり、マーカとして大動脈流出部の上部で終わる。この段階中、ΔVピストンの動きにより、進行的張力と心臓に対する流出入とがもたらされる。圧力は、通常、左心室においてはるかに高くなる。これにより、心室中隔が主に左心室の他の部分と同じ形をとることとなる。収縮期の形状および位置が心室収縮前の形状および位置からずれる場合、心室間で容積の適合が行なわれる。
状態3から直接連続しているので、球形のΔVピストンは直接的および間接的なΔV容
積をもたらすだろう。これらの容積は、外部の抵抗および反動力ならびにこれらの容積内の血圧の上昇により、ΔV容積を発生させる区域にわたって圧力勾配の純増加をもたらすだろう。
塊の加速には動力およびエネルギが必要である。加速されるべき塊は、ΔVピストンの動きに直接的および間接的に関連している組織をすべて含む。これらの組織は、心臓中および心臓を出入りする血管中のすべての血液、心筋自体、ならびに心臓の環境における塊である。さらに、たとえば大動脈および肺動脈幹の動きと心臓のねじり力とによって作り出される内部および外部の張力、反動力ならびに摩擦損失のためにエネルギを追加しなければならない。
段階4の間、ΔVピストンを尖部の方に引張るために、より大きな反対方向の力が必要とされる。これと、液圧で胸壁に付着させられる心臓嚢に心臓が液圧によって付着することとにより、胸壁に平行な心室シリンダの円錐部分の上方への運動が増大する(図8)。この現象は、滑りやすい表面の上を表面と平行な力で摺動し得るが直角の力に高い抵抗を与え得る真空カップで再現することができる。
性質により、心臓嚢が、強固な接続された組織で、胸骨にではなく横隔膜筋に固定されているが、この場合、当該嚢は、流体継手によりおおよそ固定されている。この構成により呼吸メカニズムに関する問題が回避される。
このように、心臓嚢を固定することにより、心臓嚢の尖部横隔膜領域を弾性的なサスペンションとして機能させ、これにより、胸壁に対して尖部および横隔膜が曲がったり持ち上がったりすることとなる。このサスペンションは、ΔVピストンが発生させるすべての反作用力に多かれ少なかれ対処する。反作用する抵抗および反動する力のほとんどが、ΔV容積の生成によって、そして、大動脈および肺動脈幹を引張ったり捩ったりすることによって、共通のΔVピストンの外で生成される。ΔVピストンと横隔膜区域との間の反作用力は、これらの区域を両方向に分離しようとする。これらのイベントおよびエネルギは、次の段階におけるポンピング機能のために復元されることになる。高いコンプライアンスおよび低い抵抗では、この状態は、低いコンプライアンスおよび高い抵抗の際よりも長くなる。これは良好な診断ツールとなり得る。
脈拍のプレスチモグラフィ、たとえば心尖拍動図のような実に単純な方法または装置でこの段階中に測定を行ない、ΔV心臓ポンプである心臓に対しこれらのデータを参照することにより、多くの場合、特定の循環系内における心臓のポンピングおよび調節機能についての十分な情報が与えられるだろう。
(状態5)
後退的な流れおよび張力段階
この段階は、段階4から直接続いており、マーカとして大動脈弁を閉じることで終わる。この段階中、流れおよび張力はともに、ΔV心臓ポンプと共同で動作する別個のΔVポンプであると見なすことのできる左心室において低下し始める。段階4の後、ΔVピストンの降下運動が始まる。ΔV容積は依然として整形されるが、心房および心耳への流入によって間接的なΔV容積が補充され得る。尖部に向かう方向において胸郭に沿った正味の動きがある限り、大動脈および肺動脈の捩りは続く。ΔVピストンの筋部分における第1の梃子の機能によってなされ得る、左心室壁にわたる圧力勾配に耐え得る共通の筋収縮がある限り、大動脈を通る流出は続く。ΔVピストンのこの部分および左心室の横隔膜部分が有する外力は、心室内の圧力ともに、これらの区域を互いから分離しようとする。
段階5の終わりの間、ΔVピストンの上の反作用力が低下する。その理由として、部分
的には塊の加速が止まったこと、また部分的には、心房に入ってくる静脈におけるコンプライアンス容積と特に心耳に位置する間接的なΔV容積とが補充され始めたことが挙げられる。固体部として見られる心室は、横隔膜の区域における反動力がより強いために、段階3の前にこの区域が取っていた中立位置に戻り始め得る。機械的に結合されているので、この戻る動きはまた、ΔVピストンの相対的な動きをもたらし、ΔVピストンと尖部との間の実際の動きが低下しかつ停止するにもかかわらず、心房の容積に連続的に流入する可能性をもたらす。加えて、大動脈および肺動脈幹における圧力および流れが低下し、結果としてそれらの直径が低減して、心房および心耳への接触を通じて心房シリンダへの連続的な流入の余地を与える。相対的な動きは、ΔVピストンの実際の動きでもあるが、肺動脈幹の流出路の領域において最も顕著である。
ΔVピストンの上の継続的な流入および心臓からの減少している流出は、この段階中に互いに交差することとなる。これは、心室収縮期の終了前に心臓の全容積が最低となることを意味する。
脈拍のプレスチモグラフィ部、たとえば心尖拍動図のような実に単純な方法でこの段階中に測定を行ない、ΔV心臓ポンプである心臓に対しこれらのデータを参照することにより、多くの場合、特定の循環系内における心臓のポンピングおよび調節機能についての十分な情報が与えられるだろう。
この段階は実際上の理由から大動脈弁を閉じることで終了するが、進行中のプロセスの最中にあり、以下に状態6の下でさらに説明される。
(状態6)
前拡張期の張力−容積段階
この段階は、以前には等容性拡張期段階と呼ばれた。
この段階は、状態3に比べて逆に行なわれる機械的動作を備える。これは、この説明された領域、すなわち左心室、の圧力勾配を解放するために左心室の容積を増大させなければならないことを意味する。これは、心臓への進行中の流入を妨害することなく、より高い心拍数で行うことができ、分時拍出量はまた、流出が継続する可能性を残す。段階5における進行中のプロセスは、心臓の周囲への圧力勾配が低下した状態で、先に述べたように、ΔVピストンの筋部分と大動脈および肺動脈幹の流出路とに集中される。さらに、これらの区域は、左心室の一部となる横隔膜と密接した区域とともに、胸郭に沿った心室壁の伸長および摺動運動によりこれらの区域を互いから分離しようとする収縮する反動力を有する。心臓のこの表面はまた、ΔVピストンと尖部との間の最長距離を表わしており、AVリングおよび肺動脈幹の急な湾曲部に対する心室筋の非常に強固な凸状の付着部を有する。ΔVピストンのこの部分は、左心耳および右心耳によって十分に覆われており、筋力の強いサポートを必要とする。このサポートが低下すると、ΔVピストンおよび横隔膜区域の2つの区域が分離され始める。これはともに張力の低下につながり、これが容積の内部での再分配を招き、最終的に三尖弁および僧帽弁を開く。このイベントはまた、より単純な表示方法、たとえば心尖拍動図、によって監視することができる。
(状態7)
高速なΔV段階
心拡張期におけるΔVピストンの高速な戻る運動は段階6から直接的に続いている。適合された弛緩とは、周囲に蓄積されたエネルギ、すなわち心臓のねじりが、最適な方法でΔVピストンを心臓の上部の方に戻すことのできるやり方で解放され得ることを意味する。適合された弛緩により、横隔膜区域からΔVピストン全体を分けようとした反動力が完全に解放される。これにより、尖部に向かう方向において、流入する血液にエネルギが追
加されることとなる。流入する血液の静的力および動的力は、ΔVピストンを意味するΔV容積を作り出した区域に対して圧力をかけ、ΔVピストンを動かすことによりこれらの区域の補充をもたらす。また、ΔVピストンの動きにより、心耳と心房と心室との間に、さらには、初期の段階においても心室中隔の往復運動によって心室間に、血液の再分配がもたらされる。尖部への方向における増大した動的力は、心臓の上部に向かってΔVピストンを充填および押すことにより最終的に静的力および動的力を吸収するΔV容積(直接および間接ΔV容積)によって反転されるだろう。この動作はΔV機能と称され、ΔVピストンに高速な心拡張期の戻りをもたらし、さらに、流れのパラドックスとともに逆流なしに弁を閉じる動的力を弁の後方に与えるだろう。ΔVピストンが戻ることにより、左心室筋が薄くなり、心臓内においてΔVピストンから尖部に向かって伸びる内部の蠕動性の膨張波面のように見える動きがもたらされることとなる。
このイベントはまた、より単純な表示方法、たとえば心尖拍動図、によって監視することができる。
低心拍数では、ΔVピストンは行過ぎたり、反動する動きを行なったりする。これは、直接的および間接的なΔV容積の方向にΔVピストンを押す弁の後方における膨張波において血液が獲得および蓄積した慣性力の影響である。動的力がなくなると、静的力が優位になり、ΔVピストンを中立的な膨張位置、すなわち状態1へと導くことになる。
より高い流量およびより高い心拍数では、緩慢なΔV段階(状態1)、心房収縮期段階(状態2)、および、ある程度、流動力学の点で前収縮期の容積−張力段階(状態3)の初期部分のうちの一部に影響が及ぼされるだろう。大量の動的エネルギをもった膨張波によって移送されるΔVピストンの高速な拡張期の戻りの後に、おおよそ直接的に心室収縮(状態3)が続く。これは、図2の状態図において概略的に示される。
強い膨張波および慣性力により、ΔVピストンが心房収縮期がなし得るよりもはるかに高く心臓の上部にまで導かれる。
高い流量および高い心拍数では、ΔVポンプは、当該ポンプにおける流体を含む流出入する流体の慣性により、出口弁を必要とすることなく或る程度連続的な流出をもたらし始める。流入は依然としてΔV機能をもたらすだろう。ΔVポンプは、1回拍出量を、ピストン面積にストロークの長さを掛けることによって算出することのできるものよりも増大させ始める。
ΔV心臓ポンプに適用されたこれらの状況により、高い流入量および高い心拍数の間、血流における静的力および動的力のために、高速のΔV段階が開始する時点で心臓の容積がおおよそフルサイズでΔVピストンよりも高く維持される。同時に、ΔVピストンを下回る心臓の容積は流出の慣性により低くなるだろう。これは、以前には理解されていなかった駆出率の増加をもたらすだろう。
ここで、心臓が自身のポンピング機能において、ピストンポンプまたは圧力および吸引ポンプのようであること、さらに正確には流入によって制御される能力を有するデルタV心臓ポンプのようであるという洞察により、状態図において、心臓および循環系に関するすべての生理学的活動を関連付けることが可能になる。心臓のポンピングおよび調整機能の全体の結果についての状態の間の相互作用は、この発明に従った状態機械インターフェイスを用いて、リアルタイムで、脈拍ごとに、監視および分析され得る。さらに、たとえば流入および流出、変力性および変時性効果、正常および異常筋肉機能、ならびに内科および外科診療行為などのインパクトも検査され得る。
デルタV心臓ポンプの動作原理をよりよく理解するために、それは2ストロークの車の内燃機関で再現され得る。この機械は、たとえば、ピストン、クランク、クランクシャフト、フライホイール、入口および出口弁、ならびに燃料および点火状態機械を有する容量形ポンプのクラスタ状態機械と呼ばれ得る。内燃機関は、たとえば、ピストンの進行的および後退的な前後運動のような4つの状態図で説明され得る。燃料および点火状態機械はエネルギをサポートし、容量形ポンプに適する。内燃は、動力を作り出し、当該動力はピストン、クランク、およびクランクシャフトによって機械的な仕事に変換されるとともに、ピストンの戻りと空気およびガソリンの混合物の圧縮とに用いられることになる保存エネルギとしてフライホイールに対して変換される。2つの状態機械がともにリンクされるが、構造の背後の原理を知れば、燃料および点火状態機械の動作が不良か良好か、または容量形ポンプにおいて故障があるかどうかは容易に見つけられる。なぜならば、この例では、容量形ポンプは自身の構造変数を動作の間は変更しないからである。
ポンプとしての心臓は、筋細胞によって作られ、動力が与えられる。内燃機関と比較して、このデルタVポンプは、ピストンを戻す機械的な手段を有さない。その代わりに、デルタVポンプは、筋肉および血のような圧縮不可能な塊をピストンおよびクランクシャフトとして用い、デルタV機能をフライホイールとして用い、デルタVピストンの戻りに必要とされるエネルギを吸収する。
内燃機関における燃料および点火状態機械は、デルタV心臓ポンプにおける有限筋細胞状態機械と比較可能である。単一の筋細胞の、および細胞の合胞体としての動作モードは、内燃機関とは対照的に、デルタVポンプの動作レジメンに大きなインパクトを与える。これは、変時性および変力性ならびに病理学的変化における変化、たとえば伝導不良、虚血、梗塞など、およびそれらを併せたものといったような通常の活動の変化により機械的な機能が脅かされ得、十分な動力が残っているにもかかわらずポンピングおよび調整機能が低減され得るということを意味する。
ここで、この発明に従った状態機械インターフェイスシステムが以下に詳細に記載される。
状態機械インターフェイスシステムを用いると、すべての流れおよび心拍数で、リアルタイムに、心臓および循環系におけるおよびそれらの周りでの生理学的活動を見出すとともに、これらを心臓サイクルの異なる状態へと変換することが可能になる。当該異なる状態は、異なる状態の間の時間的な関係が心臓のポンピングおよび調整機能のグラフィック状態図として細胞レベルにまで示されるように、グラフィカルユーザインターフェイスでのインターフェイスシステムによって組織化され、かつ提示されるよう適合される。
ここで、このグラフィカルユーザインターフェイスが、心臓のポンピングおよび調整機能を提示する例示的なグラフィカル状態図により記載される。
状態機械インターフェイスシステム(登録商標であるGrippingHeart(登録商標)グラフィックラボの下で入手可能)(図6)は、状態機械アルゴリズムを記憶するかまたは直接的にオンラインで用いて、入力データを状態に変換し、グラフィカルユーザインターフェイスアルゴリズムを用いてさまざまなタイプの状態図を提示するよう適合される。入力データは、さまざまな検査方法ならびに心臓の内側および外側の対象区域から集められるデータであり得る。速度の変化は、好ましくは、さまざまな検査方法によって検知される液圧および機械的な活動からのトリガリングポイントとして用いられ得る。トリガリングポイントは、状態機械アルゴリズムによって状態に変換されるとともに、最終的にはグラフィックユーザインターフェイスアルゴリズムによって、さまざまなタイプの状態図として自動的にオンラインで変換されるよう手動および/または自動で受け付られ得る。
トリガリングポイントを作り出すよう用いられることになる信号は、検査ツールおよび検査区域に依存して品質が変動し得る。トリガリングポイントが少なければ、あまり詳細でない状態図が提示され得ることになるが、それでもそれはより詳細な状態図に収まる。おそらくは、不足した状態は、同じまたは別の検査区域および検査ツールで、次の心拍の間に加えられるであろう。これはさらに、異なる検査ツールおよび検査部位が組合され得、心筋細胞および伝導系のミクロレベルにまで、より詳細な状態図を作り出すということを意味する。
この発明に従えば、2つの異なるタイプの状態図が、たとえば純粋に時間関連状態図とユーザに固有の状態図(それぞれ図4および図5)として分類され得る。
(時間関連状態図)
時間関連状態図は、グラフィカルユーザインターフェイス上で円状および/または棒状として提示され得る時間に関連した状態のみを有する状態図である。
心臓自身の内部の循環系を含む心膜嚢の中のすべての構造は理論上は圧縮され得ないので、単一の筋細胞の収縮が、心臓の周辺、ならびに入口および出口血管、冠状動脈、およびおそらくはバイパス動脈へとさらに変形する心膜嚢の中のすべての閉じられた容積に対してインパクトを与える。そのため、時間関連状態図は、心臓のポンピングおよび調整機能に対する関係を有する任意の点で取上げられるトリガリングポイントによって決定され得る。
心臓の周辺から監視される状態図は、多かれ少なかれ、左心室の機能に対して参照される。1つの例外は、右心室への流入をおそらくはある程度反映する心尖−横隔膜部分の運動かもしれない。トリガリングポイントを取上げ、生成するために用いる有利な装置は、心尖またはより大きい動脈の近くの体の表面に取付けられる速度センサとしての加速度計であろう。このセンサならびに酸素計および血圧センサのような他のセンサは、脈拍ごとに、リアルタイムで、完全な、または部分的に完全な状態図を生成するのに十分なデータを吸収する。これらの図は、人間によって評価され、および/または好ましい状態図と相互作用するローカルおよび/またはグローバルシステムに(たとえば遠隔治療を介して)自動的にリンクされ得る。
時間関連状態図は、正常または病理的な状況下で、投薬がある場合またはない場合で、トレーニング期間などの前、最中、その後でのさまざまな流れおよび心拍数の間の変動およびシフトをオンラインで明示する。多くの場合、左心室の状態図を示す円形図の1つの外側のリングは、手動および/または自動判別のための最終的な診断ツールとして機能するのに十分な情報を与える。図4を参照のこと。
血圧の監視、呼吸、胸の痛み、ラクトースの認識、および警告信号のような他のオンライン観察が、加えられ得るとともに、同時に提示され得、状態図と比較され得る。ローカルおよび/またはグローバルシステムと比較されるこの非常に単純な状態図は、多くの場合、心臓の実際の機能を示すのに十分であり得る。心室の収縮期の間に冠状動脈の流れは0へと低減されるということは既知であるので、時間関連状態図はさらに、たとえば冠状動脈の流れに関連した最適な診断および警告システムとして用いられ得る。時間関連状態図は、作り出し、分析し、通信するのが非常に容易である。それは、たとえば加速度計を検査ツールとして、追跡治療および/またはトレーニング効果に関心のある個人によって用いられ得る。それは公共利用および遠隔治療に非常に好適である。
心エコーのような内部の表示方法は、心臓の右および左側の両方から同時にトリガリン
グポイントを作り出し得、したがって2つの相互作用する時間関連状態図が提示され得る。これは図4において示され、外側リングが心臓の左側を示し、内側リングが心臓の右側を示す。安静時および異なる流れ、圧力、心拍数、投薬などの間における、左の状態図と右の状態図とのタイミングの違いは、心臓機能の評価について非常に価値のあるものとなる。詳細に記録する必要がないので、高い作業負荷、たとえば作業テストのときでさえ簡単に文書化がなされる。ペースメーカーのような内部の装置は、さまざまなタイプのセンサを用いて生理学的な活動を取得し得、かつこれらを状態機械インターフェイスシステムにより、治療、およびたとえば冠状動脈の流れに関連して効率的に心臓を活動させるための装置の変数を、分析、通信、調整、および最適化するよう時間関連状態図またはユーザに固有の状態図に変換し得る。
(ユーザに固有の状態図)
ユーザに固有の状態図は、付加的な関連する変数を有する時間関連状態図である。
質的および量的な観点で心臓のポンピングおよび調整機能を判断および分析する最も直接的な方法は、上述したように互いから内部の容積を分離する、心臓の周りおよび心臓の内部での外形形状の動きを分析および定量化することである(図8)。この動作モデルは、筋肉の状態機械の動作レジメンをデルタVポンプの動作レジメンから「分離」する。これにより、これらの区域の運動に対してインパクトを与えるのはどのような種類の要因および力であるかということを理解するのがはるかに容易になる。今日、計測およびアルゴリズムをこれらの事実に対して焦点を合わせている検査方法はない。なぜならば、一般的に信じられているのは、心臓は圧搾動作でポンピングしているということであるからである。GrippingHeart(登録商標)グラフィックラボを用いる目的の1つは、上述した外形形状を参照して、心臓の機能を検知、利用、計算、および表示するアルゴリズムを作り出すことである。
梗塞および虚血区域のような局所的な心筋障害、運動機能障害へとつながる伝達障害は、組織速度映像法(TVI)のような新しい発明方法を用いて、高い心拍数でもこれらの区域を表示し得る。ストレイン速度映像法(Strain Rate Imaging;SRI)は、長手方向(伸張および短縮)ならびに/または横方向(薄厚および肥厚)における変形速度を計測する別の方法である。後者の方法は、筋肉における領域的な障害を見つけ出すのに良好であるが、遅すぎ、高い心拍数ではアーティファクト(artifact)を作り出す。
ここで、これら2つの検査方法は、超音波検査装置において用いられる。それらは、心臓サイクルの間、速度および運動イベントとして生理学的なイベントを提示し得る。TVI信号は、ノイズに対してかなりの耐性があり、右心室および左心室の両方における任意の部位にてこの発明に従った状態機械インターフェイスシステムへの入力値として用いられる、トリガリングポイントの自動検知に好適な入力信号である。
これは、この検査方法が、グラフィカルユーザインターフェイスを用いてリアルタイムかつオンラインで、グラフィカルな組織化された態様で時間関連状態図(図4)とユーザに固有の状態図(図5)とを、異なる部位、流れ、および心拍数にて提示し得る状態を作り出し得るということを意味する。これらの図は、最終的な文書として機能し得、かつローカルおよび/またはグローバルなシステムを用いて手動および/または自動で分析され得る。これらの結果は、同じまたは他の検査方法と容易に比較され得、その状態はたとえば遠隔医療を介して議論および通信するのが容易である。グラフィカルな提示により、心臓のポンピングおよび調整機能についての情報は幅広くなり、オペレータの仕事を劇的に低減する。その簡単な動作方法により、たとえば学校のクラスおよびスポーツチームに対する高速スキャニングのために用いられ得る。すべての結果は、オンラインで、ローカルおよび/またはグローバルなシステムに対して、記憶、比較、またはチェックされ得る。
グラフィカルユーザインターフェイスは、センサ装置としてのより安価なエコー・トランスデューサの利用のために適合される特定のアルゴリズムを含んでもよい。
デルタVピストンのストロークの長さ、心室中隔の動き、横隔膜表面の動き、流れおよび圧力、ならびに投薬などのような異なる種類の変数を、時間関連状態図とともに加えるかまたは直接的に記録することにより、ユーザに固有の状態図が作り出され得、かつ分析され得る。
心エコー、スピンCT、MRI、およびガンマカメラのような記録方法はすべて、心臓および心臓自身の循環系への流れならびにそれらからの流れを含む、心臓全体および心臓内部の構造の運動を示すよう用いられ得る。それらはさらに、ある程度圧力を表示し得る。それらはすべて、2Dセクタスキャニング、またはそれぞれ約200、60、30のフレーム速度/分で「通常の幅」でのフレーム速度を有するフレームによって、心臓の運動を提示し得る。それらはすべて、筋肉の圧搾運動に焦点を置いた3D視覚化を作り出すためのオブジェクトである。これらの方法は、高いコンピュータ容量を必要とし、フレーム速度を低下させ、分解能を低下させるととともに計算を不正確にするという欠点を有する。
有限筋細胞状態機械の動作レジメンを上述したようにデルタVポンプの動作レジメン(図8)から「分離」することにより、ポンピングおよび調整機能を作り出し得る平滑表面(心室中隔の表面は除く)が「自由」になる。ここで、記載した表面にユーザに固有の状態図を用いてマッピングすることにより、狭いセクタまたはエコービームを用いて、全状態図の間に、心臓の内側および外側の容積および容積変化を計算することが可能になる。デルタV容積、弾性サスペンション容積、流入および流出容積、容積−張力および張力−容積、調整容積、逆流容積、ならびに心臓の機能不全によるその他の容積変化のような容積が定量化および表示され得る。
状態機械インターフェイスシステムの一部であるこのマッピングは、TVIおよびSRIと同じ検査ツールを用いて作り出され得、したがって、たとえば時間にわたる容積シフトとして表示されるこの図は、領域的な筋肉機能またはその逆の提示の一部として表示され得る。これは、心臓のすべての種類の機能および機能不全を表示する最高の方法となり得る。
心臓の機械的な状態図は、心臓の中への液圧の働きおよびそこから離れる液圧の働きに繋がる。血管のコンプライアンスおよび抵抗、ならびにそれらの活動のある程度は歪みを作り出す。それは、心臓に近く、機械的な状態図を作り出すトリガリングポイントを見つけ出す可能性を変化させることになる。心臓に近い時間関連状態図は、より大きい動脈にわたる(たとえば加速度計)とともに毛細血管レベルで(たとえば酸素計)での時間関連状態図と組合せて、安静時およびさらには活動時に比較され得る。また、循環系に関する診断の価値があり得る、個々に関係付けられる変換値、計算されたトリガリングポイント、を作り出し得、さらに、心臓の機能を示し得る新しい個々の固有のトリガリングポイントを与え得る。
状態機械インターフェイスシステム(GrippingHeart(登録商標)グラフィックラボ)は、診断ツールとして以外でも、研究ツールとなり得、ローカルおよび/またはグローバルシステムならびにデータベースのためのサポーティングリンクとして機能し得る。
したがって、図4および図5は、この発明に従ったグラフィカルユーザインターフェイスの2つの例を示し、当該図では、心臓のサイクル状態が、異なる状態を示すセクタを有する円形図においてグラフィカルに提示され、各セクタのサイズはそれぞれの状態の持続
時間に依存する。これらの図において、各状態の持続時間(msで記す)を示す数が含まれてもよい。各セクタの内側部分は、心臓の右半分の状態を示し、各セクタの外側部分は、心臓の左半分の状態を示す。
代替例(図9)として、心臓のサイクル状態は、各々が異なる状態を示す部分に分割される1つまたは多くの棒グラフにおいてグラフィカルに提示され、各部分のサイズはそれぞれの状態の持続時間に依存する。その場合、1つの棒グラフは心臓の右半分の状態を示し、別の棒グラフは心臓の左半分の状態を示す。
当然ながら、さらに代替的な形状例が、特許請求の範囲によって規定されるこの発明の範囲内で可能である。
ユーザが表示された状態図から関連する情報を容易に識別することを可能とするよう、各々の提示された心臓サイクル状態は、当該状態を互いに明確に区別するために所定の色またはパターンを有してもよい。さらに、各表示された心臓サイクル状態に関係付けられる補助的な情報が、表示される情報に関連して表示されてもよい。
図7は、この発明に従った状態機械インターフェイスシステムと、上で詳細に説明したインターフェイスシステムと相互作用するシステム/装置との間の機能関係を概して示す概略ブロック図である。
ここで示したような状態機械インターフェイスシステムは、大きなプロセッサ容量を有するコンピュータベースのシステムであるのが好ましい心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータに含まれる。
図8A−図8Dは、心臓の外形形状の3Dの切取部の例を示す。
図8Aは、心臓を通る長軸の切取部の局所的な概略図である。なお、その位置は胸郭と背骨の領域の間である。附属物を有する心耳は、流出路にて、大動脈および肺動脈幹の周りの縁部を平滑化する。図8Bは、心臓のポンピングおよび調整機能を作り出す表面の形状の概略図である。流出および流入路ならびに弁は図示されない。円は、圧縮不可能な血液および噴門上部ならびに心膜の滑りやすい面が作り出す第1種てこの機能と容易な摺動とについての記号である。矢印は、心臓の中の液圧力をバランスするのに必要とされる正味の力を示す。RAおよびLAは、心耳と変形可能なファットウェッジ(fat wedge)の容積とに対応する湾曲部分を有する右心房(Right Atria)および左心房(Left Atria)を示す。RV、LV、およびIVSは、右心室(Right Ventricle)、左心室(Left Ventricle)、および心室間の中隔(Inter Ventricular Septum)を示す。
図8Cは、球状のデルタVピストンを心臓の上部にもたらすとともに、続く心室収縮のストロークの長さを増加させる心房の収縮を示す。大きな矢印は、これらの領域における運動に対する強い抵抗を示す。
最後に、図8Dは、デルタVピストンのピストンタイプのポンピング機能を示し、右心室および左心室からの一回拍出量を作り出す容積をどこで見出すかを示す。なお、内部のデルタV容積は、右心室から容積を「盗む」。流出路の区域は示されていないが、象徴的に含まれる。さらに、胸郭(胸壁)に向かう摺動運動、弾性的なサスペンション、IVSの起こり得る運動がある。
図9は、この発明に従ったグラフィカルユーザインターフェイスを概略的に示す。棒グラフは、異なる状態(下側の棒グラフ)に関連するECG信号変動に関連する異なる状態(上側の棒グラフ)の時間的な持続期間を示す。
この発明は上述した好ましい実施例に限定されない。さまざまな代替例、修正例、および均等物が用いられ得る。したがって、上述した実施例は特許請求の範囲によって規定されるこの発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

Claims (15)

  1. 状態機械インターフェイスシステムであって、状態機械アルゴリズムと、生体の心臓および/または循環系の生理学的活動に関係付けられる信号をセンサ装置から受取るように構成されるグラフィカルユーザインターフェイスとを備え、前記状態機械アルゴリズムは前記信号に基づき心臓サイクルの状態を判断し、前記心臓サイクルの異なる状態は、心臓クラスタ状態機械における前記状態機械アルゴリズムによって判断され、前記心臓クラスタ状態機械は、ΔVポンプ状態機械を形成するよう有限心筋細胞状態機械の融合によって実現されて、心臓および選択的には循環系をシミュレートし、前記判断された心臓サイクル状態は、異なる状態の間の時間的な関係が示されるようにグラフィカルユーザインターフェイスにてグラフィカルに提示されることを特徴とする、状態機械インターフェイスシステム。
  2. 心臓サイクル状態は、状態図として配される、1つからいくつかの場所での心臓および循環系の異なる活動を示す1つまたはいくつかの重なり合う円形図またはリングとしてグラフィカルに提示され、状態はそれぞれの状態の持続時間に依存する長さを有する円形セグメントとして示される、請求項1に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  3. 活動は3つ以上のリングによって示され、1つのリングは左心室からの状態図を示し、別のリングは右心室からの状態図を示し、それらの間の第3のリングは心室中隔の活動の状態図を示す、請求項2に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  4. 心臓サイクル状態は、各々が異なる状態を示す部分に分割される1つまたは多くの棒グラフにおいてグラフィカルに提示され、各部分のサイズはそれぞれの状態の持続時間に依存する、請求項1に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  5. 1つの棒グラフは心臓の右半分の状態を示し、別の棒グラフは心臓の左半分の状態を示す、請求項4に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  6. 1つの棒グラフは心臓の右半分の状態を示し、別の棒グラフは心臓の左半分の状態を示し、第3の棒は心室間の中隔の活動の状態図を示す、請求項5に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  7. 各々の提示される心臓サイクル状態は、状態を互いに明確に区別するよう所定の色および/またはパターンを有する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  8. 各々の提示される心臓サイクル状態は、状態を互いに明確に区別および定量化するよう、所定の色、および/またはパターン、コーディングおよび/またはパーセンテージスコアリングを有する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  9. 補助的な入力信号が各心臓サイクル状態に関係付けられ得るとともに、ユーザ固有の状態図として表示可能である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  10. 表示される情報は連続的にリアルタイムで更新される、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  11. 当該システムは、有線または無線を介して、たとえば提示部のような遠隔部を用いて、
    個々のローカルおよびグローバルのデータベースと通信するようにされる、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステム。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の状態機械インターフェイスシステムを含む心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータであって、当該インターフェイスシステムはさらに、時間関連トリガリングポイント(4)に変換される信号を受取るとともに、処理手段(6)に前記トリガリングポイントを適用するための入力手段(2)を含み、前記処理手段は、記憶手段に二次元または三次元でグラフィカル表示を記憶することを可能とするリレーショナルデータベースシステムを、前記心臓状態機械アナライザアルゴリズムを用いることにより、心筋細胞状態機械の動作レジメンと、前記心臓クラスタ状態機械のΔVポンプ状態機械の動作レジメンとの両方を満足するように決定するように構成される、心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータ。
  13. 前記処理手段は、前記決定されたリレーショナルデータベースシステムを用いることによって容積変動を分析するよう容積を計算するように構成される、請求項12に記載の心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータ。
  14. 前記処理手段は、たとえば、トレーニング、外科または薬物療法といった治療療法を決定するよう、データベースシステムを用いて情報を通信するように構成される、請求項12または請求項13に記載の心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータ。
  15. 前記入力手段は、データを改善および有効化するよう、超音波、磁気共鳴、X線、ガンマ放射により得られる心臓の単一もしくは混合映像ならびにその他のデータ、または脈拍のプレチスモグラフィ、脈拍および/もしくは流れ計測、圧力および/もしくは容積の経時変化によって計測される心臓および生理学的活動のその他のデータを受取る、請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載の心臓状態機械アナライザおよび/またはシミュレータ。
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