JP2009538615A - 幹細胞の選別方法およびその使用 - Google Patents

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Abstract

異種細胞集団から幹細胞を選別する方法を開示する。本発明の方法は、非幹細胞に対してアポトーシス性があり、かつ幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下のアポトーシス含有因子で細胞集団を接触させるステップを具え、これにより、異種細胞集団から幹細胞を選択する。選別された幹細胞は、次いで、移植および分化を含む各種用途に用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、幹細胞の選別方法およびその使用に関する。
幹細胞は、身体中の細胞集団を再構成できる独自の能力を有する。通常、幹細胞は、2つの主な群:成体幹細胞および胚性幹細胞に分けられる。成体および胚性由来の双方の幹細胞の増幅に関連した技術の重要性は、幅広い疾患の治療において、多くの臨床前および臨床中での上記細胞の使用によって示されている。
生理学的活性を緩和する外科治療または薬剤に依存した現在の全ての治療とは異なり、幹細胞は機能不全または変性した組織に代替物を提供する。幹細胞を用いれば、代替物治療は、多くの従来の治療不可能な疾患の予後を劇的に変化させ、損傷した組織の機能を回復し、生まれつきの代謝疾患および欠陥を治すことができるであろう。
骨髄由来の成体幹細胞が、非造血組織を生成するという近年の発見は、これらの細胞が、以前に仮定されていたよりも大きな分化能力を有し、これらの治療用途のフロンティアが開くことを示唆する[Petersen,B.E.et al. Science 1999;284:1168−1170;Brazelton,T.R.et al.Science 2000;290:1775−1779;Krause,D.S.et al.Cell 2001;105,369−377]。
いくつかの研究が示すのは、臍帯血由来の幹細胞が脳障害および衝撃によって生じた神経ダメージを回復することができ(Lu D et al. Cell Transplant 2002;11:275−81)、機能的および形態学的に、動物の心臓組織に組み込むことも可能であるということである[Orlic,D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2001;98:10344−9]。
幹細胞の最も初期の臨床使用の1つは、悪性血液疾患を有する患者の骨髄移植を行うことであり、ここで、ドナー骨髄由来の造血幹細胞をレシピエントに投与し、続いて、レシピエントに十分な投与量の照射および/または化学療法を行った。この治療は、悪性細胞だけでなく非悪性細胞も破壊する。内在性の造血細胞は骨髄破壊的照射中で生存するのは珍しく、ストローマはひどい損傷を受ける。破壊的損傷の結果、ドナー造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は宿主骨髄への経路を見つけ、細胞は免疫−造血システムの再構築するために、シーディングし、生着(engraft)する。造血幹細胞および前駆体の一般的な供給源は、骨髄、臍帯血および末梢血へと移動する細胞を含む。
血液悪性腫瘍の治療に加えて、幹細胞、前駆細胞および免疫細胞は、固形腫瘍の治療で使用されてきた。従って、例えば、固形腫瘍の高投与量の化学/放射線治療と組み合わせた造血細胞の自己移植は、胸部[Peppercorn,et al.,2005,Cancer 104:1580−1589];大腸[Leff,et al.,J Clin Oncol 1986;4:1586−1591]、肺[Ziske,et al.,Anticancer Res 2002;22:3723−3726]、上咽頭癌「Chen,et al.,Jpn J Clin Oncol 2003;33:331−335」及び他の種類の癌[Gratwohl,et al.,Ann Oncol 2004;15:653−660]に対して、広範囲にわたり調査されてきた。
I型膜貫通タンパク質/接着分子、すなわち、造血幹細胞のマーカーとしてのシアロムチンCD34の特定は、造血幹細胞活性を高める手段としてのCD34+細胞セレクションの使用となった[Civin,et al., J Immunol 1984;133:157−165]。特に、骨髄単核細胞は、約1〜4%のCD34+細胞を具えるが、CD34を除いた骨髄ではない上記細胞を致死量の放射線を照射したヒヒに投与することで、造血が再構築された[Berenson,et al.,J Clin Invest 1988;81:951−955]。同様に、CD133は、造血幹細胞及び前駆細胞のマーカーとして考えられている[Kobari L,et al.,J Hematother Stem Cell Res. 2001;10:273−281]。注目すべき点は、骨髄中の幹細胞の有病率(prevalence)は、0.2〜0.5%のオーダで相当低い。
CD34又はCD133細胞を単離する上述の方法は、全系統、及び、リンパ球造血幹細胞および前駆細胞ステージ、ならびに、ある程度後期の前駆細胞ステージを含む幹細胞および前駆細胞の混合された細胞集団となる。CD34細胞集団中の最も初期の細胞のみを単離するのに有用であることが示されたので、これは、不利な点である[Askenasy N.et al.,Current Stem Cell Research and Therapy 2006;1:85−94]。このようなポジティブセレクション工程は、さらに、CD34+細胞の抗体及び/又は磁石ビーズなど物質の存在、及び、上記物質の除去による損傷を含むいくつかの不利益を被る。
さらに、最近の証拠では、細胞膜のCD34の発現が、幹細胞活性と常に相関していない。ヒトでは、CD34の発現を欠く幹細胞の高度静態(quiescent)集団があるが、完全な再構成能を有することが示されている[Dao et al.,Leukemia 2000;14:773−776]。表現型マーカーが欠損している成体骨髄及び臍帯血由来の幹細胞と比較して、造血前駆体は、多分化能力が限定されることが繰り返し示されている[Jang YY,et al.,Nat Cell Biol.2004;6:532−539]。
従って、幹細胞および初期前駆細胞の割合が高くなった細胞集団を単離する従来の方法に代わる、又は、それを補助する他の方法を探すことへの関心が継続している。
幹細胞及び前駆体細胞は、損傷及び炎症の厳しい条件で分化応答を行うように、要求されることがしばしばある。このプロセスにおいて、発達中の造血細胞中のデスレセプタの発現及び活性化は、特に、分化した細胞の負の制御など、各種機能的役割に起因し、しかしながら、HSPC機能ステージのあたりでのデスレセプタの関与は、不透明である。生着効率を改善するために使用可能であるので、このような過酷な環境で造血性再構成細胞が活躍(flourish)するメカニズムは、特別な関心の対象である。
腫瘍壊死因子(TNF)スーパファミリに属していると現在認知されている個別の40以上のリガンドレセプタシステムがある。大半のTNFリガンド、最も顕著なFasリガンド(FasL)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)は、膜結合タンパク質で合成され、可溶型(soluble form)は、タンパク質分解によって放出される。各種細胞は、各種生理学的刺激による活性に基づいて放出されるベシクル(vesicle)中にFasLを貯蔵する。発現から数分以内で、FasLは、マトリックスメタロプロテナーゼによって細胞表面から開裂され、可溶性分子として蓄積される。可溶型および膜型は、アポトーシス及び免疫調節に関して機能するように分化する。FasL(sFasL)可溶型アイソフォームの生物学は複雑であり、アポトーシス性活性、抗アポトーシス活性及び走化性活性を含む一方で、アポトーシスは主に膜結合FasLによって生じる。抗アポトーシス性(s)FasLは、Fas結合で膜型と競合し、好中球に対する走化性因子である。
造血幹細胞および前駆細胞中(HSPC)のFasレセプタの発現は、系統分化に沿って可変であり、変化する。胎児肝臓、臍帯血(UCB)および成体骨髄(BM)由来の免疫CD34+CD38−ヒト細胞のサブ集団は、このレセプタおよび他のアポトーシス仲介TNFレセプタが低い濃度で発現することを示す[Niho et al,Curr Opin Hematol.1998;5:163−165]。
造血細胞の分化中、Fasレセプタは、増殖及び分化前駆細胞で発現し、全系統中の末端分化の負の制御因子として機能する[Gaur U,Aggarwal BB,Biochem Pharmacol.2003;66:1403−1408;Greil R,et al.,Crit Rev Immunol.2003;23:301−322]。このようなFasの増長された発現は、培養した造血前駆細胞で観察され、エクスビボでの細胞のサイトカインへの暴露、増幅及びマニピュレーション後、損傷した生存能力及び低下したクローン原性に関連していた。
現在に至るまでTNFスーパファミリレセプタ及びリガンドは、各種実験条件下でアポトーシスシグナルに対するHSPC反応性の増加に関連していると考えられてきた。移植後、損傷シグナルに晒されるHSPC中のFasの過剰発現は、ドナー細胞中のアポトーシスを促進し、ドナー細胞活性の抑制に関する。エクスビボで、TNF−αを用いたヒトCD34HSPCおよびマウスc−kitlinSCA−1(KLS)HSPCの培養は、Fasレセプタの発現上昇と関連し、不十分なホーミング及び生着となる[Bryder D,J Exp Med 2001;194:941−952;Dybedal I,Blood.2003;102:118−126]。これらの有害な影響は、抗Fas抗体を活性させることによって効果的に誘導され、抗Fas抗体及び可溶性Fasリガンドをブロッキングすることによって逆転した。HSPCの生着におけるFasレセプタに起因する負の役割を確証するために、グラフト(graft)対宿主の疾患によって生じる骨髄形成不全は、FasL欠陥細胞の注入によって回復した[Iwasaki T,et al.,Cell Immunol.1999;197:30−38]。
Civin等[米国特許出願公開公報第20040131599]は、ドナー造血幹細胞中にリコンビナントFasLを発現することによってドナー造血幹細胞グラフトに対するレシピエント哺乳類の免疫応答を抑制する方法を教示する。この文脈におけるFasLの正の役割は、非自己拒絶を改善するために宿主の反応性Tリンパ球を殺すのに関連し、又、グラフト対宿主の疾患を改善するためにドナーの反応性Tリンパ球を殺すのに関連している。
Shirwan等[米国特許出願公開公報第20040018170]は、活性化リンパ球のアポトーシスによって緩和される条件の治療方法を教示する。特に、Shirwan等は、活性化リンパ球のデスレセプタの活性化効率を改善するために、例えば、FasLの安定なテトラマーなどのタンパク質の利用を開示している。
両方の方法は、活性化誘導細胞死を介して反応免疫細胞を除去するように、デスレセプタに対するリガンドを使用する[Cohen JJ,Duke RC.Ann Rev Immunol.1992;10:267−293]。
しかしながら、Civin等及びShirwan等のいずれも、移植前に幹細胞の選別又は幹細胞集団の精製を提案または示唆していない。
Josefsen等[Exp Hematol.1999;27:1451−1459]は、可溶性FasLの付加によるCD34CD38細胞バイアビリティの促進及びサイトカイン誘導クローン原性の向上を教示している。同様の結果は、CD34++CD38の幼児幹細胞から得られる[Barcena et.,Exp Hematol.1999,27:1428−1439]。この場合、可溶性FasLは、Fasレセプタの活性化(三重化)によってアポトーシスを阻害するために使用され[Askenasy N,et al.,Blood.2005;105:1396−404]、Fasレセプタは、ヒト被験者に移植されたヒト細胞の重要なフラクション[Saheki K,et al., Br J Haematol.2000;109:447−452]及び異種移植のマウスモデル[Dybedal I,et al.,Blood.2003;102:118−126]で発現する。しかしながら、幹細胞を選別するための因子としてFasLを使用することは、示唆されていない。
本発明の一態様によれば、異種細胞集団から幹細胞を選別する方法が提供され、この方法は、非幹細胞に対してアポトーシス性があり、幹細胞に対しては非アポトーシス性である条件下で細胞集団をアポトーシス誘導薬剤と接触させるステップであって、これにより、異種細胞集団から幹細胞を選別する、ステップを具える。
本発明の他の態様によれば、宿主に選別された幹細胞を移植する方法であって、この方法が:
(a)非幹細胞に対してアポトーシス性であり、幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、異種細胞集団の幹細胞をアポトーシス誘導薬剤に接触させるステップであって、これにより、幹細胞を選別する、ステップと、
(b)選別された幹細胞を宿主に移植するステップであって、従って、選別された幹細胞を移植する、ステップと、を具える。
記載される好適な実施例の更なる特徴によれば、この方法は、ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、選別された幹細胞を単離するステップを更に具える。
本発明の他の態様によれば、幹細胞の分化方法が提供され、この方法は、
(a)非幹細胞に対してアポトーシス性があり、幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、異種細胞集団の幹細胞をアポトーシス誘導薬剤に接触させるステップであって、これにより、幹細胞を選別する、ステップと、
(b)選別された幹細胞の分化を誘導するステップであって、これにより、幹細胞を分化する、ステップと、を具える。
下記に記載の本発明の好適な実施例において更なる特徴によれば、幹細胞は、臍帯血幹細胞、可動性末梢血幹細胞、骨髄幹細胞および神経系幹細胞からなる群から選択される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は骨髄幹細胞である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、骨髄幹細胞は、造血幹細胞である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、本発明の方法は、修飾された幹細胞を得るために、前記接触の前に幹細胞を修飾するステップを更に具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、本発明の方法は、精製された幹細胞を得るために、前記接触の前に幹細胞を精製するステップを更に具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、本発明の方法は、増幅した幹細胞を得るために、前記接触の前に幹細胞を増幅させるステップを更に具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、骨髄幹細胞は、間充織幹細胞である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は成体幹細胞である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は胚性幹細胞である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、アポトーシス性誘導薬剤は、TNFα、FasL、Trail及びTweakからなる群から選択される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、アポトーシス性誘導薬剤は、FasLである。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、FasLは、面に結合する。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、FasLは、非開裂性である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、この方法は、前記接触の前に異種細胞集団のアポトーシスレセプタの発現を上方制御するステップを具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、アポトーシスレセプタは、Fasレセプタ、TNFαレセプタ、TweakレセプタおよびTrailレセプタからなる群から選択される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、アポトーシスレセプタの発現の上方制御は、インタフェロンγ又はTNFαを異種細胞集団に接触させることによって影響される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、異種細胞集団は、免疫活性化Tリンパ球を具えない。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、異種細胞集団は、系統陽性細胞を具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、系統陽性細胞は、顆粒球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、赤芽細胞、抗原提示細胞、骨髄細胞、リンパ球細胞及び巨核球(巨大核細胞)からなる群から選択される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、異種細胞集団は、アポトーシス反応性悪性細胞を具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、この方法は、前記接触の後、幹細胞を単離するステップを具える。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は、宿主に対して自家移植(autologous)される。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は、宿主に対して同系(syngeneic)である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は、宿主に対して同種異系(allogeneic)である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、幹細胞は、宿主に対して異種(xenogeneic)である。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、分化を誘導することは、幹細胞中に遺伝子産物を発現することによって影響を受ける。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、遺伝子産物は、ポリペプチドである。
記載された好適な実施例の更なる特徴によれば、遺伝子産物は、ポリヌクレオチドである。
本発明は、アポトーシスシグナルに対する非反応性に基づいて幹細胞を選別する新規な方法を提供することによって、周知な構成の問題点を十分に解決できる。
他に規定がなければ、本明細書に使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者であれば一般的に理解される意味と同一である。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法及び材料を以下に示す。疑義が生じる場合、定義の場合を含み、特許明細書が制御する。加えて、材料、方法及び実施例は、例示のみを目的として限定を意図するものではない。
本発明は、幹細胞を選別し、非幹細胞の異種細胞集団を取り除く方法に関する。
本発明の選別方法の原理及び処置は、実施例及び添付の記載と関連してよりいっそう理解されるであろう。
本発明の少なくとも1つの実施例を詳細に説明する前に、本発明は、以下の実施例の記載又は例示に記載された本出願の詳細に限定する意図ではないことを理解されたい。本発明は、他の実施例も実施可能であり、各種態様で実施又は実行することもできる。又、本明細書に使用される専門用語及び技術用語は、記述を目的とするものであって、限定を意図するものではないことを理解されたい。
幅広い疾患の治療における幹細胞の各種利用は、大量の幹細胞を単離し精製することが極めて重要であることを示唆している。
造血システム内で幹細胞は、通常、細胞表面表現型(フェノタイプ)(例えばCD34)のベースで同定される。しかしながら、十分な証拠は、細胞膜でのCD34の発現は、幹細胞活性と常に相関していない。造血幹細胞(HSC)を検出し精製するために使用される他の戦略は、蛍光染料の染色パターンに基づいている。生命蛍光染料Hoechst33342(DNAの副溝のアデニン−チミンリッチ領域に結合するビス−ベンゾイミダゾール)及びローダミン123(活性ミトコンドリア中に優先的に蓄積する)は、HSCの割合を高めるために、フローサイトメトリー実験で長い間使用されてきた。
上述した選択工程の使用は、造血フェノタイプに対してバイアスした幹細胞又は初期前駆細胞を選別する傾向がある。
造血細胞の生着能を調査するとき、移植後の早い段階で、ドナー細胞中のデスレセプタの発現の上方制御が検出される本発明は(図3A−B)、放射線障害の結果として放出される因子(ケモカイン及びサイトカイン)によって、少なくとも部分的に誘導される。
本発明者らは、Fas欠損(lpr)及びFasL欠損(gld)マウス中の造血幹細胞の生着能の減少に注目したので(図1A−B)、彼らは、造血細胞生着の早期段階で、誘導されたデスレセプタに関するポジティブな役割があると考えた。さらに、発明者らは、異所性FasLタンパク質の一過性の提示が、造血幹細胞の同系(図1C−D)及び同種異系(図2A−E)細胞生着の双方を改善したことを示した。
さらに、本発明者らは、最も初期の前駆細胞のみが移植後すぐにデスレセプタを上方制御し、次の日を超えてこの発現を維持したことを示した。驚くべきことに、これらの細胞が高濃度のデスレセプタを示したにもかかわらず、細胞にはアポトーシス性シグナルに対する耐性があった。
本発明者らは、これらの結果から、造血性再構成能を有する前駆細胞において、これらの前駆細胞に発現したデスレセプタは、アポトーシス性シグナルを仲介しないと判断した。分化の後期段階(distal stage)及び体細胞における死を仲介する全く同一のレセプタは、最も初期の造血幹細胞及び前駆細胞における栄養性シグナルを仲介する。
本発明を低減して実施する際に、本発明者らは、FasLなどプロアポトーシス性リガンドを用いた未処理(naive)(すなわち、例えばアポトーシス性メディエータを発現させるなど未修飾)の骨髄細胞の前培養は、Fasの発現を刺激する(図7C)ことを示し、さらに、これらの大量の細胞集団がアポトーシスに対して反応しなかったことを示した(図7D)。
本発明は、造血細胞集団で幹細胞を選別しその割合を高める自然発生現象を利用するように努める。本発明者らは、初期前駆細胞のみがプロアポトーシスシグナルに免疫性があることを示し、本発明は、CD34などの細胞マーカーの発現に従って分離することによって生成した細胞集団より高い可塑性を有する細胞集団の生成へと導き、従ってCD34細胞とは異なり、造血系に対してバイアスされない。結果的に、本発明者らは機能的特性:細胞表面のデスレセプタを介してシグナルを送られるアポトーシス性シグナルに対して幹細胞/前駆細胞が反応しないことを用いて、幹細胞/前駆細胞の選別を提言する。
本発明は、造血性細胞の移植、及び、細胞性遺伝子治療として使用され得る遺伝的操作に適した幹細胞の生成、の用途で使用できる幹細胞のエキソビボ集団を提供するために使用可能である。さらなる用途は、限定するものではないが、養子免疫治療、例えばβ−異常血色色素症など複数の疾患の治療、インビボでの分化及び分化転換セッティングにおける幹細胞の移植、分化及び分化転換セッティングにおけるエクスビボ組織工学を含む。
次いで、本発明の一態様によれば、異種細胞集団から幹細胞を選別するエクスビボ方法が提供される。この方法は、非幹細胞に対してアポトーシス性であり、幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、細胞集団をアポトーシス誘導因子と接触させるステップを具える。
本明細書に使用されるように、用語「選別」は、以下に規定される本発明の幹細胞と非幹細胞とを区別する方法を意味する。本発明は、非幹細胞に必ず死をもたらすので、以下でさらに記載されるように、選別工程は、非幹細胞を取り除くことによって、本発明の幹細胞の割合を高める。
本明細書に使用される用語「幹細胞」は、アポトーシス性メディエータを発現する(又は発現するように誘導される)が、アポトーシス性シグナルに対して耐性のある最終的に分化していない細胞を意味する。従って、幹細胞の定義に、幹細胞よりもいくらか分化した初期前駆細胞が含まれるが、本発明者らによって、アポトーシス性レセプタを発現するのにも関わらず、アポトーシス性シグナルに耐性があることが示された。本発明の方法によって選択される幹細胞は、機能特性によって特徴付けることもできる。従って、例えば、本発明者らが示したことは、本発明の方法によって選択される幹細胞は、他の従来の方法によって選択される幹細胞と比較して、改善された生着特性を具える。
本発明の幹細胞は、臍帯血由来、末梢血由来、骨髄(例えば、間葉幹細胞、造血幹細胞)又は、限定するものではないが、脳、肝臓及び筋肉を含むいずれかの成体組織由来であってもよい。さらに、幹細胞は、胚性幹細胞及びその誘導体でもよい。
胚性幹細胞及びこれらの回収(retrieval)方法は、当分野では周知であり、例えば、Trounson AO(Reprod Fertil Dev 2001;13:523)、Roach ML(Methods Mol Biol 2002;185:1)、及びSmith AG(Annu Rev Cell Dev Biol 2001;17:435)に記載されている。成体幹細胞は、成人の組織から得られ、当分野で周知の幹細胞である。成体幹細胞を単離又はその割合を高める方法が、例えば、Miraglia S.et al.Blood 1997;90:5013;Uchida,N.et al. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000;97:14720;Simmons,P.J.et al.Blood 1991;78:55;Prockop DJ Cytotherapy 2001;3:393,Bohmer RM et al.Fetal Diagn Ther 2002;17:83)及びRowley SD et al. Bone Marrow Transplant 1998;21:1253;Stem Cell Biology Daniel R.Marshak(編集者)Richard L.Gardner(編集者)、出版社:Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)、及び、Hematopoietic Stem Cell Transplantation.Anthony D.Ho(編集者)Richard Champlin(編集者)、出版社:Marcel Dekker(2000)に記載されている。
本発明のこの態様によれば、幹細胞は、異種細胞集団から選別される。
本明細書に使用されるように、用語「異種細胞集団」は、少なくとも2種類の細胞の混合物を意味し、一方の種類は、上記に規定したような幹細胞であり、他方はアポトーシス反応性がある。この異種細胞集団は、1又は複数の組織、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトから得られる。
一実施例によれば、異種細胞集団は、陽性細胞及び幹細胞の混合物を具える。この例において、本発明の方法は、系統細胞除去(lineage depletion)を行うために使用される。
本明細書に使用されるように、用語「系統陽性細胞」は、方向付けられた(committed)前駆細胞及び他のさらに分化した細胞など、特定の細胞系統へと方向付けられた細胞を意味する。通常、系統陽性細胞は、例えば、限定するものではないが、CD3、CD61、CD19、CD33、CD14、CD15及び/又はCD4を含む系統分化マーカを表す。
本発明の選別方法によって削除され得る系統陽性細胞の例は、限定するものではないが、B及びTリンパ球(成熟又は未成熟の両方)、顆粒球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、赤芽球、抗原提示細胞、骨髄細胞及び巨核球細胞を含む。好ましくは、Tリンパ球は、すなわち、T細胞レセプタ活性化Tリンパ球など、免疫活性化Tリンパ球ではない。
他の実施例によれば、異種細胞集団は、幹細胞及びアポトーシス反応性悪性細胞の混合物を具える。従って、本発明の方法は、異種悪性細胞集団を取り除くために使用できる。
異種細胞集団は、FACS(幹細胞CD34又は他のマーカーとして規定される)、ローダミン123及びHoeschtの除去、向流遠心エラトリエーション、及び、系統細胞除去によって、当分野で周知の技術を用いて本発明の選別方法の実施前に、幹細胞の割合を高め、小さな芽細胞(small blast)集団を得る。
異種細胞集団は、プロアポトーシス因子にアクセス(到達)可能である限りにおいて、組織(例えば、骨髄)又はその一部、凝集体、単一細胞懸濁液あるいは初代培養又は細胞サンプルの一部に含まれてもよい。
異種細胞集団は、本発明の選別方法の実施前に、修飾(modify)されてもよいが、好ましくは、この修飾プロセスは、異種細胞集団が本発明の方法に従って選別されなくなるように、アポトーシス因子に対する幹細胞の耐性に影響を与えることはない。従って、例えば、異種細胞集団は、対象となる分子を発現するように一般的に修飾されてもよい。
代替又は付加的に、異種細胞集団は増幅する。好ましくは、異種細胞集団の増幅に用いられる培養条件によって、本発明の幹細胞は最終的に増加することとなり、幹細胞がアポトーシスに対して反応性があるようにはならない。
様々な組織起源の幹細胞のエクスビボ培養方法は、細胞培養の分野で周知である。この効果に関しては、例えば、Freshney、Wiley−Lissによるテキストブック「Culture of Animal Cells − A Manual of Basic Technique」N.Y.(1994)第三版を参照し、この内容は、参照することによって本明細書に組み込まれるものとする。分化させずに細胞増幅が可能な条件下で幹細胞を培養する特定の方法は、当分野で周知であり、例えば、米国特許出願公開20050181504、20050265980、20050276793及び20050124003を参照し、これら全ては参照することによって本明細書に組み込まれるものとする。又、幹細胞の増幅は、本発明の選別工程中、及び/又は、本発明の選別工程後、影響を受けてもよい。
上述のように、本発明の選別方法は、幹細胞が非幹細胞よりもプロアポトーシス因子に対して高い耐性を示すことに基づいている。従って、細胞集団は、非幹細胞が死ぬ条件下でプロアポトーシス因子と接触することによって、幹細胞の割合が高まる。
本明細書に使用されるように、用語「プロアポトーシス因子」はプログラムされた細胞死を促進可能な因子(化学物質又はポリペプチド)を意味する。
本発明に関して使用される例示のプロアポトーシス性因子は、限定するものではないが、TNF−α、FasL、Trail(Apo2リガンド)及びTweak(Apo3リガンド)を含む。このようなプロアポトーシス性因子は、細胞抽出物から生化学的に合成又は生成された組み替えペプチドでもよい。組み替えTNF−α、FasL、Trail及びTweakは、R&D System(ミネアポリス、ミネソタ州)及びAbnova Corporation(台湾)から商業的に入手可能である。当分野の当業者であれば、アポトーシスを促進する多くの製薬的因子があることに気付くであろう。これらの因子には、ビス−インドイルマレイミド−8(bis−indolylmaleimide−8)及びクアベイン(quabain)がある。必要であれば、これらの因子を本発明のプロアポトーシス性因子とともに使用してもよい。
本発明のこの態様の好適な実施例によると、幹細胞を選別するために使用されるプロアポトーシス性因子は、FasLである。
本明細書に使用されるように、用語「FasL」はFasレセプタに結合し、アポトーシスを誘導可能なFasLポリペプチドの少なくとも活性部位を意味する。好ましくは、FasLは、例えばヒトなど哺乳類のFasLである。ヒトFasの例示的なポリペプチド配列が、GenBank AAC50124に記載されている。従って、本発明のこの様態によれば、FasLは、Fasリガンドポリペプチドの生物学的に活性のあるペプチド誘導体、Fasリガンドポリペプチドから得られる生物学的に活性のあるペプトイド(peptoid)、又は、Fasリガンド活性の有機小分子アゴニストでもよい。Fasリガンドポリペプチドは、Fasリガンドポリペプチド変異体、Fasリガンドポリペプチド誘導体、修飾されたFasリガンドポリペプチド又は切断されたFasリガンドポリペプチドなどの生物学的に活性のあるFasリガンドポリペプチドが可能である。
本発明のこの態様の一実施例によれば、FasLは表面(例えば細胞膜)に結合し、Fasレセプタの3量体を形成し、これにより、その活性効率を上昇させる。FasLは、例えばリポソームなどの他の表面に位置を与えられるか、FasL結合ストレプトアビジンを用いてビオチン化ビーズと結合させてもよい。
本発明の好適な実施例によれば、FasLは、Fasレセプタの3量体化が維持されるように非開裂性であるが、しかしながら、FasLは表面に対して開裂性又は非開裂性であってもよい。膜結合形体としてのみ発現される自然発生的非開裂性ヒトFasリガンドの例は、Gen Bank No.AAG60017.1に記載されている。米国特許第6,951,919号は、タンパク質分解に対して反応性が低くくなることによって、アポトーシス活性を促進するFasリガンドを教示する。
本発明のこの態様の他実施例によれば、FasLは、フリーポリペプチド(すなわち、表面に結合していない)であるが、4量体状態(すなわち、非可溶性)であり、Fasレセプタの3量体化を誘導可能であり、これによってアポトーシスが誘導される。このようなポリペプチドの例は、当分野で周知であり、米国特許出願公開第20040018170号を参照し、参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。さらに、ストレプトアビジン結合FasLは、4量体を生成可能であり、従って、プロアポトーシス性リガンドとして作用する。
本発明のプロアポトーシス因子は、Hoechst又は類似体など、幹細胞から能動的に排出される染料と結合してもよい。このような染料は、幅広く商業的に入手可能であり、例えば、InvitrogenのMolecular Probeである。このように、本発明の幹細胞は、プロアポトーシス性因子の負の効果から保護される。
本発明のプロアポトーシス性因子を、十分な時間、異種細胞集団に接触させ、非幹細胞のアポトーシスを誘導してもよい。通常、アポトーシスを開始するまでにかかる時間は、約1時間であるが、好ましくは、アポトーシスが開始して、選別工程が行われるまで約12〜18時間待たされる。非幹細胞のアポトーシスを誘導するのに最も有効なFasLの濃度は、インビトロアッセイを用いて決定されてもよく、FasLの正確な剤形(formulation)及び異種集団中の細胞の種類に関連していてもよい。
代替としては、本発明のプロアポトーシス性ポリペプチドは、本発明の異種集団中に発現してもよい。
従って、本発明は、本発明の異種細胞集団中にプロアポトーシス性ポリペプチドを発現するために使用可能な、プロアポトーシス性ポリペプチドをコード化する発現コンストラクトを更に提供する。例えば、全長または選択された部分をコードしている哺乳類FasLタンパク質のクローンから得られたポリヌクレオチド配列は、FasLポリペプチドの組み替え形体を生成するのに使用可能である。ワイルドタイプのヒトFasLをコードする核酸配列の例は、GenBank No.U1182.1に記載されている。膜結合形体でのみ発現される自然発生的非開裂性ヒトFasリガンドをコードする核酸配列の例は、GenBank No.AF288573に記載される。
本発明の核酸コンストラクト(本明細書で「発現ベクタ」を指す)は、通常、原核生物、真核生物又は好ましくは両方で、このベクタが複製及び組み込みに適するようになる付加的な配列を含む(例えば、シャトルベクタ)。さらに、通常のクローニングベクタは、開始配列の転写及び翻訳、ターミネータ及びポリアデニル化シグナルの転写及び翻訳を含む。
真核生物プロモータは、通常、2種類の認識配列、TATAボックス及び上流プロモータエレメントを含む。転写開始サイトの25〜30塩基対上流に位置したTATAボックスは、RNA合成を開始するためにRNAポリメラーゼに指令することを含むとされている。他の上流プロモータエレメントは、転写が開始される速度を決定する。
エンハンサーエレメントは、結合ホモロガス又はヘテロプロモータから1000倍まで転写を刺激することができる。転写開始因子の下流又は上流に配置されるとき、エンハンサーは、活性化される。ウィルスから得られた多くのエンハンサーエレメントは、幅広い宿主範囲を有し、各種組織で活性となる。本発明に適した他のエンハンサ/プロモータの組み合わせは、ポリマウィルスから得られるもの、ヒト又はマウスサイトメガロウィルス(CMV)、マウス白血病ウィルスなど各種レトロウィルスから得られるロングタームリピート、マウス又はラウス肉腫ウィルス及びHIVを含む。Enhancers and Eukaryotic Expression、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.1983を参照し、参照することで、本明細書に組み込まれるものとする。
発現ベクタのコンストラクトにおいて、プロモータは、自然の設定における転写開始サイトからの距離と同様に、ヘテロ転写開始サイトからの距離とほぼ同じ位置にある。なお、当分野で周知のように、この距離のある程度の変化は、プロモータ機能の低下なしに、許容することができる。
ポリアデニル化配列は、プロアポトーシス性ポリペプチドmRNA翻訳の効率を上昇させるために、発現ベクタに加えられる。2つの異なる配列は、正確かつ有効なポリアデニル化:ポリアデニル化サイトから下流に位置したGU又はUリッチな配列、及び、11〜30ヌクレオチド上流に配置された6ヌクレオチドの高保存配列AAUAAA、を必要とする。本発明に適したターミネーション及びポリアデニル化シグナルは、SV40から得られたものを含む。
既に記載されたエレメントに加えて、本発明の発現ベクターは、通常、クローニングされた核酸の発現レベルを上昇させ、組み替えDNAを保持する細胞の特定を促進するように意図された他の特別なエレメントを含んでもよい。例えば、多数の動物ウィルスは、複製を許容する細胞主のウィルスゲノムの染色体外の複製を促進するDNA配列を含む。適宜な因子が、プラスミド上に保持されるか、宿主細胞のゲノムとともに、遺伝子によって提供される限りにおいて、これらのウィルス性レプリコンを保持するプラスミドは、エピソーム的に複製される。
ベクタは、真核生物レプリコンを含んでも、含まなくてもよい。真核生物レプリコンがある場合、ベクタは、適宜の選択可能なマーカを用いて真核細胞で増幅可能である。ベクタが真核生物レプリコンを具えない場合、エピソーム的複製は不可能である。実際に、組み替えDNAは、操作された細胞のゲノム内に組み込まれ、ここでプロモータが所望の核酸の発現を指令する。
本発明の発現ベクタは、例えば、内部リボソームエントリー部位(IRES)、及び、プロモータ−キメラポリペプチドをゲノムに組み込むための配列など、単一のmRNAからいくつかのタンパク質を翻訳可能な付加的なポリヌクレオチド配列を更に含むことができる。
哺乳類発現ベクタの例は、限定するものではないが、Invitrogenから入手可能なpcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promegaから入手可能なpCI、Strategeneから入手可能なpMbac、pPbac、pBK−RSV及びpBK−CMV、Clontechから入手可能なpTRES、及び、これらの誘導体を含む。
レトロウィルスなど真核生物ウィルス由来の調節エレメントを具える発現ベクタを使用することができる。SV40ベクタは、pSVT7及びpMT2を具える。ウシパピローマウィルスから得られるベクタはpBV−1MTHAを含み、エプスタインバーウィルスから得られるベクタはpHEBO及びp2O5を含む。他の例示的なベクタは、SV−40早期プロモータ、SV−40後期プロモータ、メタロチオネインプロモータ、マウス乳ガンウィルスプロモータ、ラウス肉腫ウィルスプロモータ、ポリヘデリンプロモータ、又は、真核細胞中で効率的な発現を示すプロモータ、の指令の下で、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、baculovirus pDSVE及びタンパク質を発現可能な他のベクタを具える。
ウィルスは、多くの場合、宿主の防御機構を避けるように進化した極めて特殊化した感染因子である。通常、ウィルスは特定の細胞種に感染して増殖する。ウィルスベクタの標的特異性は、自然な特異性を利用し、所定の細胞種を特異的に標的とし、これによって、組み替え遺伝子を感染細胞内に導入する。従って、本発明に使用されるベクタの種類は、形質転換される細胞種に関連している。形質転換される細胞種によって適宜なベクタを選択する能力は、当業者であれば十分にあるので、選択事項の一般的な説明はここでは行わない。例としては、Liang CY et al.(Arch Virol.2004;149:51−60)に記載されるように、骨髄細胞は、ヒトT細胞の白血病ウィルスタイプI(HTLV−1)を用いてターゲット化可能であり、腎臓細胞は、バキュロウィルスオートグラフカリフォルカヌクレオポリヘドロウィルス(AcMNPV)にあるヘテロプロモータを用いてターゲティングされる。
組み替えウィルスベクタは、水平感染や特異的ターゲティングなどの利点を提供するから、プロアポトーシス性ポリペプチドのインビボ発現に有用である。水平感染は、例えば、レトロウィルスのライフサイクル中に内在し、単一の感染した細胞が、成長して隣の細胞に感染する多数の子孫ビリオンを生成する。この結果、広い範囲で急速に感染が広がり、そのほとんどは、最初のウィルス粒子によって初期感染したものではない。これは、感染因子が娘細胞(progeny)を介してのみ広がる垂直タイプの感染と対照的である。ウィルスベクタは、水平方向に広がることができないように作製可能である。この特性は、所望の目的が、一部の標的細胞にのみ特異的な遺伝子を導入することである場合、有用である。
各種方法は、本発明の発現ベクタを幹細胞に導入するように使用可能である。このような方法は、一般的に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,ニューヨーク(1989,1992)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,ボルチモア、メリーランド(1989)、Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,アナーバー、ミシガン(1995),Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,アナーバー、ミシガン(1995)、ベクター:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,ボストン、マサチューセッツ(1988)、及び、Gilboa et al.[Biotechniques 1986;4:504−512]に記載されており、例えば、組み替えウィルスベクタを用いた、安定的又は一過性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション及びインフェクションを含む。さらには、ポジティブ−ネガティブ選別方法に関して、米国特許第5,464,764号、第5,487,992号を参照されたい。
高効率トランスフェクションは、ウィルスの感染する性質によって得られるので、ウィルス感染にによる核酸の導入は、リポインフェクション及びエレクトポレーションなどの他の方法より優れた点がいくつかある。
さらに、本発明は、本発明の選別工程前に、異種細胞集団のアポトーシスレセプタ(例えば、Fasレセプタ、TNFαレセプタ、Tweakレセプタ及びTrailレセプタ)を上方制御することを意図する。このように、アポトーシスシグナルに対する反応は、本発明の幹細胞において陽性方向、及び、本発明の非幹細胞において陰性方向に拡張される。
アポトーシスレセプタの上方制御方法は、インターフェロンγ又はTNFαを細胞に接触させることなど、当分野において周知である。このような因子は、Sigma Aldrich及びPromokineなど企業から商業的に入手可能である。好ましくは、細胞を3時間から5日の間の時間で上記因子と接触させる。従って、例示的な幹細胞選別方法は、Fasを上方制御するために、異種細胞集団をTNFαで2日間培養し、続いて、非幹細胞を殺すためにFasLで1日間培養することを具える。本発明の本態様によれば、幹細胞選別のさらなる例は、異種細胞集団をインターフェロンγとともに3日間培養し、続いて、非幹細胞を殺すためにTNFαで1日間培養することを具える。
本発明の幹細胞のアポトーシスシグナルに対する耐性は、プロアポトーシス因子で接触させる前に、向上されると理解されたい。例えば、Fas関連のデスドメイン(FADD)のドミナントネガティブ変異体(例えば、切断されたFADD−−例えばWu et al.Cell Immunol 2001;208:137−47)など、Fas経路のドミナントネガティブな成分、又は、Fas関連デスドメイン様インターロイキン−1β変換酵素阻害タンパク質(FLIP)などFas経路を阻害可能な他の分子は、FasLを提示した本発明の細胞に導入され、FasLによる誘導死から前記提示細胞を保護することができる。プロアポトーシス因子に対する幹細胞の耐性をどのように上昇させるかについての更なる例は、Civin et al.[米国特許出願公開20040131599]を参照されたい。
本発明の方法によってエクスビボで選別された幹細胞は、複数の臨床的症状に適用できる。以下に、いくつかを挙げる。
細胞移植:
造血細胞の移植は、各種遺伝的疾患又は悪性疾患に関して選択の治療となる。早期移植工程は、全ての骨髄(BM)集団を利用していたが、近年では、幹細胞(CD34細胞)の割合が高いより明確な集団を使用している。骨髄に加えて、このような細胞は、末梢血(PB)及び新生児の臍帯血(CB)へと移動(mobilezed)される骨髄幹細胞などの他の供給源から得ることができる。BMと比較して、PB細胞を有する移植は、汎血球減少症の期間を短縮し、感染及び出血の危険性を低減する。
ドナー及びレシピエントは、例えば、各々、単一の個人又は異なる個人の自家移植又は同種異系移植でもよい。同種異系移植を実施するとき、当分野で周知なように、移植の拒絶反応及び/又はグラフト対宿主疾患を低減するレジームで行われるべきである。このようなレジームは、ヒトの治療で現在実施されている。本発明の方法によって選別される細胞集団は、Tリンパ球が大幅に激減され、これは、グラフト対宿主疾患を低減するように設定される同種異系移植及び半合致(ハプロアイデンティカル)移植で有益である。
多くの改善されたレジームは、例えば、J.Clin Immunol 2002;22:64及びJ Hematother Stem Cell Res2002;11:265、Gur H.et al.Blood2002;99:4174、及び、Martelli MF et al、Semin Hematol 2002;39:48など、Slavin S.et al.による出版物に開示されており、参照することによって本明細書に組み込むものとする。
悪性腫瘍を有するレシピエントの自家移植の場合、自家感染において腫瘍細胞の汚染は、疾患が再発する原因となることがよくある。非悪性幹細胞の選別及び増幅は、最終的な移植における腫瘍細胞の添加を低減するであろう。
わずかな細胞における遺伝的欠陥の出生前診断:
出生前診断は、妊婦から子宮内の胚性細胞を回収し、遺伝的欠陥を分析することを含む。好ましくは、胚性細胞を回収する非浸襲性の手段は、母系末梢循環内に浸透した胚性の核形成された赤血球前駆細胞の分離を含む。しかしながら、これらの細胞の量は極めて少ないので、本発明のさらなる適用によって、分析前に、本明細書に記載された方法によって上記細胞が選別される。従って、本発明は、出生前診断に適用するために胚性幹細胞を選別する手段を提供する。
遺伝子治療:
長期遺伝子治療の成功に関して、導入遺伝子が幹細胞のゲノム内に安定的に組み込まれた一般的に修飾された幹細胞の高頻度は、必須の必要条件である。骨髄(BM)組織において、細胞の大半は、前駆体及び前駆細胞を循環し、幹細胞は、小さなフラクションの細胞集団のみを構成し、そのほとんどが、静状態、非サイクル状態である。ウィルスベース(例えば、レトロウィルス)ベクタは、トランスジーンを宿主ゲノム内に組み込むための活発な細胞分裂を必要とする。従って、遺伝子を新鮮な骨髄幹細胞内に導入することは、極めて非効率である。幹細胞集団を増幅して精製し、エクスビボでその細胞分裂を制御する能力は、遺伝子組み換えの可能性を増大させるであろう。
従って、本発明の選択された細胞は、上述したように遺伝子産物を発現するように修飾される。
本明細書に使用されるように、用語「遺伝子産物」は、タンパク質、ペプチド及び機能的RNA分子(すなわち、ポリヌクレオチド)を意味する。一般的に、核酸でコードされた遺伝子産物は、対象に供給される所望の遺伝子産物である。このような遺伝子産物の例は、レシピエント対象の組織によって生成されるタンパク質、ペプチド、糖タンパク質及びリポタンパク質を具える。例えば、膵臓の欠陥器官に対して遺伝子置換によって供給される遺伝子産物は、インスリン、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、トリプシノゲン、キモトリプシノゲン、カルボキシペプチダーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼA、エラスターゼ及びアミラーゼを含み、;通常、肝臓によって生成される遺伝子産物は、血清アデノシンの処理及び低密度リポタンパク質のエンドサイトーシスに関し、血液凝固因子VIII及び因子IX、UDPグルクロニルトランスフェラーゼ、オルニチントランスカルバノイラーゼ、シトクロムp450酵素、及び、アデノシンデアミナーゼなど血液凝固因子を含み:胸腺によって生成される遺伝子産物は、血清胸腺因子、胸腺体液因子、胸腺タンパク質、及びチモシンα1を含み:消化管細胞によって生成される遺伝子産物は、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、ソマトスタチン、セロトニンおよび物質Pを含む。
代替としては、コード化された遺伝子産物は、細胞によって生成される所望の遺伝子産物の発現を誘導するものである(例えば、導入された遺伝子物質が対象に供給される遺伝子産物の転写を誘導する転写因子など)。
他の実施例において、組み替え遺伝子は、ヘテロタンパク質を、例えば、人工的に(not native)その遺伝子が発現される細胞に提供することができる。例えば、各種ヒトMHC成分は、非ヒト細胞に提供可能であり、ヒトレシピエントにおける生着を支持することができる。代替としては、このトランスジーンは、微生物外移植体(エクスプラント)において通常発現されるドナーMHC遺伝子産物の発現又は作用を阻害するものである。
非造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ選別:
ここで提案されるさらなる技術用途は、例えば、神経幹細胞及びオリゴデンドロサイト前駆細胞などを含む非造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ選別を含む。このような幹細胞は、遺伝子産物(ポリペプチド又はポリヌクレオチド産物)を発現するように、細胞にトランスフェクションすることによって、特定の経路に沿ってエクスビボで分化するように強制されてもよい。代替又は付加的に、選択された細胞は、適宜な培地で培養することによって分化するように誘導されてもよい。
ミエリン疾患は、未だに治療不可能なヒト神経疾患の重要なグループを形成している。動物モデルの進歩、特に、オリゴデンドロサイト系統細胞の移植は、極めて限定的な再ミエリン化及び機能回復の生理学的証拠をもたらした。未来の治療は、移植及び内在性修復の双方を含み、この2つのアプローチは、エクスビボのドナー組織の処置と組み合わせることもできるであろう。
米国特許第5,486,359号は、単離されたヒト間葉系幹細胞は、複数の組織(例えば、骨、軟骨、筋肉、骨髄ストローマなど)に分化可能であり、培養ヒト間葉系幹細胞の単離、精製および増幅方法を提供する。
米国特許第5,736,396号は、単離され、培養増幅されたヒト間葉系幹細胞のインビトロ又はエクスビボでの系統を方向付けた誘導方法を提供しており、この方法は、間葉系幹細胞を、選択した系統に幹細胞の分化を誘導する効果的な生物学的因子と接触させるステップを具える。さらに開示されているのは、間葉組織の再生又は修復を目的として、培養増幅し、系統が誘導された間葉系幹細胞を、元の自己宿主内に誘導する方法である。
米国特許第4,642,120号は、軟骨及び骨の欠陥を修復する組成物を提供する。これらは、ゲル状、あるいは、天然又は人工骨に固定される。ゲルは、所定の細胞種を具える。これらの細胞は、フィブリノゲン、抗プロテアーゼ及びトロンビンと組み合わせて、通常、軟骨形成誘導因子を包含することによって、機能的軟骨細胞となるように潜在的に変換される胚性軟骨細胞、又は、間葉系由来の細胞へと方向付けられてもよい。
米国特許第5,654,186号は、動物モデルで実証されたように、血液由来の間葉系細胞が培養系及びインビボで増殖し、血液から損傷した部位に移動し皮膚を形成することを示している。
米国特許第5,716,411号は、動物又はヒトの傷又は火傷の皮膚再生方法を開示している。この方法は、最初に、傷をコラーゲングリコサミノグリカン(GC)マトリックスで被覆するステップと、移植した(grafted)GCマトリックス内の健康な下層組織からの間葉系細胞及び血管の浸透を促すステップと、を具える。続いて、動物又はヒトの傷のない部位からとられた上皮細胞から成長された上皮自家移植(autograft)シートが、身体表面に適用される。最終的なグラフトは完全な包含率(inclusion rate)を有し、通常の肌の様相、成長、成熟及び分化を有する。
米国特許第5,716,616号は、骨、軟骨又は肺の欠陥によって特徴付けられる病気、疾患又は症状に苦しむレシピエントの治療方法を提供する。この方法は、正常な同系遺伝子型の個人から単離されたストローマ(間質)細胞の静脈投与、又は、単離された細胞の遺伝的欠陥を修正に続いてレシピエントから単離された間質細胞の静脈投与を具える。遺伝子をレシピエント個人に導入する方法が、さらに、開示される。この方法は、レシピエント個人又は適合した同系遺伝子型のドナーから骨髄サンプルを得るステップと、サンプルから接着細胞を単離するステップと、を具える。単離されてから、ドナー接着細胞は、遺伝子でトランスフェクションされ、レシピエント個人の静脈に投与される。制御配列に操作によって結合した外因性遺伝子を含む間質細胞を単離するステップを具える組成物も開示している。
上記例の各々において、非造血幹細胞及び前駆細胞は、器官の損失した細胞又は損傷した細胞を補充するために、細胞の外部供給源として使用される。このような利用は、提案される治療の適用が成功するために、幹細胞及び前駆細胞の精製された組成物を必要とする。このことは大量の精製された幹細胞及び前駆細胞集団を必要するので、本発明の方法及び用途は、上記の米国特許に開示されたあらゆる方法の重要なニッチを解決する。
エクスビボ及びインビボの両方の用途に対するさらなる実験例:
幹細胞及び前駆細胞増幅のさらなる実験例は、皮膚再生、肝臓再生、筋肉再生及び骨粗鬆症における骨増殖を具える。
この特許の存続期間中に、多くの関連するプロアポトーシス因子が開発され、用語「アポトーシス誘導因子」の範囲は、このような新しい技術も全て含むことを意図する。
ここで使用されるように、用語「約」は、±10%を意味する。
本発明のその他の目的、利点及び新規な特徴は、限定を意図するものではない以下の実施例の実験に基づいて当分野の当業者にとっては明らかになるであろう。さらに、各種実施例の各々、ならびに、上述した本発明の態様、及び、以下の特許請求の範囲で主張する本発明の態様は、以下の実験例における実験的サポートを見つける。
実験例
上述の記載とともに以下の実験例になされる参照は、限定する意図でなく、本発明を例示する。
一般的に、本明細書で使用される専門用語及び本発明で使用される実験工程は、分子、生化学、マイクロ生物学及び組み替えDNA技術を具える。このような技術は、論文で詳細に説明されている。例えば、「分子クローニング:実験室マニュアル」Sambrook et al.,(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」Volumes I−III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,「Current Protocol in Molecular Biology」,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「A Practical Guide to Molecular Cloning」,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al.,「Recombinat DNA」,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds)「Genome Analysis: A Laboratory Manual Series」,Vols.1−4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号、第4,683,202号、第4,801,531号;第5,192,659号及び第5,272,057号「Cell Biology:A Laboratory Handbook」,Volumes I−III Cellis,J.E.,ed.(1994);「Current Protocols in Immunology」Volumes I−III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),「Selected Methods in Cellular Immunology」,W.H.Freeman and Co.,New York(1980):入手可能な免疫アッセイは、特許及び科学論文に幅広く記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,879,262号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,996,345号、第4,034,074号、第4,098,876号、第4,879,219号、第5,011,771号及び第5,281,521号を参照されたい。「オリゴヌクレオチド合成」Gait,M.J.,ed.(1984):「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,Eds.(1985);「Transcription and Translation」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,Eds.(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.,ed.(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press,(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.,(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.ed.(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.,(1984) and 「Methods in Enzymology」Vol.1−317,Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applciations」,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,「Strategies for Protein Purification and Characterization − A Laboratory Course Mannual」CSHL Press(1996);これらの全ては、参照することにより、本明細書に全て記載されているように組み込まれるものとする。他の一般的な参考文献は、この明細書に組み込まれる。そこに記載される工程は、当分野で周知であると考えられ、読み手の理解を助ける。そこに含まれる全ての情報は、参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。
一般的な材料及び方法
動物の準備及び移植:
この研究で使用したマウスは、C57Bl/6J(B6,H2b、CD45.2)、B6.SJL−PtprcPepc/BoyJ(H2K、CD45.1)、B6.MRL−Faslpr/J(lpr、H2k、CD45.2)、B6Smn.C3−Tnfsf6gld/J(gld、H2k、CD45.2)及びC57BL/6−TgN(ACTbEGFP)10sb(GFP,H2k)だった。これらのマウスを、バリア施設で飼育した。レシピエントをX線照射器(RadSource2000)を用いて106rad/分のレートで、致死量に近い量(850rad)及び致死量(950rad)全身照射によって調整した。マウスを移植前にルーチンで18〜24時間調整した。注意すべき点は、X線照射は、骨髄破壊的な量のγ放射線及び毒性とは異なる。移植に関しては、0.2mlリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁された細胞を外側尾静脈内に注入した。
細胞単離、性質決定、及び、染色:
全骨髄細胞(wBMC)を、無菌状態でリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Beit Haemek)で大腿骨及び頸骨から回収した。系統ネガティブ(lin)BMCの免疫磁性的分離のため、細胞を、45分間4℃で、CD5、B220、TER−119、Mac−1、Gr−1及びNK1.1に特異的な抗マウスモノクロナール抗体(mAb)を飽和させて培養した。Ter−119及びNK1.1(eBioscience)以外の全ての抗体をハイブリドーマ細胞培養系から得た。抗体で被覆された細胞を、1%ウシ胎児血清(FCS,Biological Industries)で2回洗浄し、細胞当たり4ビーズの比率でM−450磁性ビーズに結合した羊抗ラットIgGで培養した。非結合linBMCを、磁場に暴露させることによって回収し、分離効率を、系統マーカーに対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)でラベルされたmABのカクテルを用いて、フローサイトメトリーで再評価した(eBioscience及びBD Pharmingen)。純度がさらに高くなるように(>95%)、いくつかの場合、免疫学的分離を繰り返した。
長期(LTR)及び短期(STR)造血再構成細胞を、Beckman遠心のJ−6ロータを用いてカウンタフロー遠心エラトリエーションによって単離した。大腿骨及び頸骨から回収されたwBMCは、3000rpmで、15、25(Fr25)、29及び33ml/分の流量、ならびに、ロータをオフにして(STR)、でフラクション化した。Fr25細胞を、AA−4、CD5、GR−1、Mac−1、B220(ハイブリドーマ細胞株由来)に対するラット抗マウスmAbを用いて、4℃で培養することによって、系統細胞除去し、TER119(eBiosciecnce)を精製し、LTR集団を得た。LTR細胞の系統除去の効率を、フルオロクロムでラベルしたmAb(BD Pharmingen、eBioscience)のカクテルを用いてフローサイトメトリーによって再評価した。
細胞内染料で染色するために、細胞を2.5μMの5−(及び−6)−カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE、Molecular Probes)で20分間培養し、洗浄し、再懸濁した。
FasLタンパク質を用いたアポトーシスチャレンジ:
ストレプトアビジン−FasLキメラタンパク質は潜在的アポトーシスシグナルをFas細胞に誘導することが以前から示されている(Yolcu ES,et al.Immunity 2002;17:795−808)。細胞を、StemPro Nutrient Supplement(stem Cell Technologies)、2mM L−グルタミン、50μM 2β−MEを添加したαMEM培養液で24時間培養した(5×10細胞/ml)。いくつかの例では、培地に10ng/ml幹細胞因子(SCF)及び100ng/mlのトロンボポイエチン(TPO)を添加した。全ての添加物は、PeproTech社から購入した。これらの細胞は、18〜24時間、75〜250ng/mlのストレプトアビジン−FasLキメラタンパク質を加えることによってチャレンジされ、続いて、アポトーシス及び細胞死のフローサイトメトリ分析を行った。
組織回収:
脾臓、肺及び肝臓を、100ユニットのヘパリンを含む30mlのコールドPBSを心臓内潅流(パーフュージョン)した後、回収される。これらの組織を、ピースに分けて処理した:肺を380u/mlのコラーゲナーゼタイプV(Sigma)で37℃60分間消化し、肝臓を1500u/mlのコラーゲナーゼで37℃で20分間消化した。脾臓を含む全ての組織を、40μmメッシュ以上でろ過し、細胞懸濁液をPBSで2回洗浄した。
細胞表面のFasLタンパク質の吸着:
細胞を、室温で30分間、新たに調製した5μMのPBS中のEZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce)に再懸濁した。PBSで2回洗浄した後、細胞をPBS中でストレプトアビジン−FasLキメラタンパク質(100ngタンパク質/10細胞)を用いて培養した。吸着効率を、第2次ブタ抗ヤギIgG(R&D System)を有する第1次ヤギ抗ストレプトアビジンmAB(Zymed)及び抗FasL抗体(clone MFL−4、BD Pharmingen)を用いたフローサイトメトリーによって評価した。アイソタイプコントロール抗体で染色したコントロール細胞で標準化し、対数スケールでポジティブ染色を判定した。
フローサイトメトリー:
測定を、Vantage SEフローサイトメトリー(Becton Dickinson)で行った。有核(nucleated)の末梢血及び骨髄細胞を、製造者の指示(Cedarlane)に従って、フィコール(ficoll)勾配に亘って遠心分離によって単離した。細胞をPBSで洗浄し、ラベルした第1次mAbを用いて4℃で45分間培養するか、又は、フルオロクロムでラベルした第2次mAbで対比染色した。同系移植におけるドナーキメリズムを、マイナー抗体CD45.1(クローンA20、eBioscience)及びCD45.2(クローン104、eBioscience)に対するモノクロナール抗体を用いて、ドナー及び宿主末梢血リンパ球(PBL)の割合から判定した。
細胞死及びアポトーシスを、5μg/mlの7−アミノアクチオマイシン−D(7−AAD、Sigma)及びAnnexin−V(IQ製品、フローニンゲン、オランダ)を用いて培養した細胞中で判定した。
レセプタ及びリガンドを第1のラベルしたmABで同定した:Fas(CD95)クローン15A7(eBioscience)、TNF−R1(CD120a)クローンHM104(Serotec)、TNF−R2(CD120b)クローンTR75−89(Serotec)、Trail−R2(DR5)クローンMD5−1(eBioscience)及びFasLクローンMFL4(BD Pharmingen)。
想定される幹細胞の細胞表面マーカーを、Sca−1(Ly−6A)クローンD7(eBioscience)及びc−kit(CD117)クローン2B8(eBioscience)として同定した。ビオチン化された抗体をFITC、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、及び、ペリジニンクロロフィルαタンパク質(PerCP、BD Pharmingen)に結合したストレプトアビジンで対比染色した。
半定量的RT−PCR:
全RNAをEZ−RNAII抽出物薬剤又はRNeasyミニカラム(Qiagen、ヒルデン、ドイツ)を用いて細胞から抽出した。pd(T)12−18プライマとともに逆転写反応中でRNAを使用した。PCRステップを、プライマ対の以下のセット:マウスFAS−フォワード5’GCCTTGGTTGTTGACCA(配列番号1)、リバース5’GTACCAGCACAGGAGCA(配列番号2)を用いて行い、300bpフラグメントを生成した;マウスFASリガンド−フォワード5’ACCGCCATCACAACCA(配列番号3)、リバース5’TCAACCTCTTCTCCTCCA(配列番号4)を用いて行い、500bpのフラグメントを生成した。βアクチン用のプライマを発現のインターナルコントロール及び標準として使用した。
インビトロでのコロニー形成ユニット(CFU)アッセイ
3×10細胞を、Iscove Modified Dulbecco Medium(IMDM)中の20%FBS、1%BSA、0.1mMの2β−ME、10u/mlの組み替えヒトエリスロポイエチン(EPO)、20ng/mlの組み替えマウス(rm)SCF、10ng/mlのrmインターロイキン−3(IL−3)及び10ng/mlのrmGM−CSFを含む、1.2%メチルセルロース中に播種(plate)した。50細胞を超えるコロニー(CFU−C)を、7〜10日後に測定した。ストレプトアビジン−FasLキメラタンパク質を、200〜1,500ng/mlの範囲のインクリメンタル濃度で付加し、ビオチン化を介して細胞表面に吸着した[Yolcu ES,et al.Immunity 2002;17:795−808;Askenasy N,et al.Circulation 2003;107:1525−1531;Pearl−Yafe M et al.,Stem Cells 2007;印刷中]。組み替えヒト可溶性FasL(SuperFasL、Alexis)を5ng/mlの濃度で添加した。カスパーゼ3及び8を、Z−DEVD−fmk及びZ−IETD−fmk(R&D Systems)を各々加えることによって阻害した。
統計分析
データは、各々の実験プロトコルに対して平均±標準偏差として示される。各々の実験群の結果は、繰り返し測定の線形解析によって、再現性を評価した。実験プロトコル間での差異は、事後t検定(post hoc Scheffe t−test)で測定し、有意差は、p<0.05とみなされた。
実験1
造血細胞生着における生理学的Fas活性
結果
造血細胞中のFas/FasL相互作用に起因した有害な結果は、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)移植の文脈において、負の影響を示唆してきた。この相互作用の抑制活性は、Fasを介した制御に対する非反応性及び/又はドナー細胞活性の抑制によって、Fas欠損HSPCが生着に有利であることを示唆している可能性があった。このような可能性を試験するために、本発明者らは、同系移植において、Fas欠損(lpr)及びFasL欠損(gld)マウスを用いて、グラフト拒絶及びグラフト対宿主疾患(GVHD)に関わる免疫機構を回避し、早期生着プロセスにおけるこの分子対の役割を特定した。ワイルドタイプ(CD45.1)又はFas欠損(lpr、CD45.2)ドナーから、骨髄破壊された(950rad)同系GFPレシピント(CD45.2)へと10linBMCを移植して、移植して3週間(n=5)後、末梢血中において、完全ドナー型キメリズムとなった。競合生着実験を、5×10linBMCを、ワイルドタイプ(wt)及びlprドナーの両方から、骨髄破壊された同系GFPレシピエント(n=16)へと移植することによって行った。これらの条件下で、キメラは、3週間で、59±5%のCD45.1及び35±4%のlprキメリズムを示し(図1)、差異は、移植して14週間後で維持された。これらのデータは、造血細胞生着の早期段階においてFas/FasL相互作用の正の役割を示唆しており、ドナー細胞活性のFasを介した抑制の証拠はなかった。逆に、不十分な生着は、ドナー細胞のFasに対するサポート的役割を示唆した。
更に、生着を、5×10linBMCの、致死量に近い量(850rad)で照射されたレシピエントへの同系移植でアッセイし、混合されたキメリズムを得た(図1B)。第1の一般的な観察は、ワイルドタイプ(wt)レシピエントのlpr細胞の不十分な生着であり、lpr宿主におけるワイルドタイプの細胞は、交換的(reciprocally)だった。興味深いことに、生着は、ドナー細胞がFas欠損(lpr)である場合だけでなく、ワイルドタイプの細胞がlprレシピエントにインフュージョンされる場合も、不十分であり(図1B)、これによって、複数の機構がFas/FasLの相互作用に関与することが示唆された。さらに、生着は、gld細胞をワイルドタイプのレシピエントにインフュージョンする場合、及び、ワイルドタイプの細胞をgldレシピエントにインフュージョンする場合、不十分だった。これらのデータの総合的な解釈は、20〜25%の、生着が不十分な細胞は、Fasレセプタ及びリガンドが不足していることを示す。
実験2
異所的FasLタンパク質の一過性の提示は、同系細胞生着を改善する
結果
生着不十分なgld細胞が、FasLによって回復するかどうか判定するために、ドナー細胞を、ビオチン化を介してFasLタンパク質でコーティングした。ドナーgld細胞の表面のFasLタンパク質の発現は、同系wtレシピエント中の生着欠損を回復した(p<0.001)(図1C)。同様の結果は、FasL発現wt細胞がgldレシピエント内に移植された場合(p<0.001)に観察され、これによって、生着している細胞でのドナーFasL−宿主Fasの相互作用、及び、明確な自己分泌Fas/FasL活性が示唆される。生着の調整は、FasLの特異的な効果に起因し、細胞表面のタンパク質デコレーションの長期的効果に起因しなかった。ビオチン化を介したFasLタンパク質でのwtBMCのデコレーションは、同系wtレシピエントの早期生着を改善し(p<0.005)(図1D)、これらのマウスは、移植して16週間後、完全なドナー型キメリズムを展開した。これらの結果によって、生着BMCは、FasL誘導アポトーシスに対して反応せず、このタンパク質の発現は、長期再増殖細胞を傷つけずに、短期生着を改善したことが示唆された。
実験3
ドナー細胞のFasLの第1のターゲットは、同系移植における骨髄ストローマである
結果
異所的FasLタンパク質の生着促進効果が、宿主のFasシグナル伝達を介して作動したかどうかを確実にするために、ワイルドタイプのマウスからの細胞をFas欠損lprレシピエント(n=8)内に移植した。細胞の同種異系移植片(アログラフト)の表面でのFasLタンパク質の発現によってなされた生着の利点は、失われ、これによって、この機構が、宿主中のコンピテントなFasシグナル伝達経路に関与することが示唆された(図1E)。これらの結果は、FasLでデコレーションされた細胞の生着を向上させることが、FasLの特異的効果であり、エクスビボ細胞操作の人為的結果でないことの更なる証拠となった。
FasLでデコレーションされたlinBMCのベト(veto)活性は、ベト活性が宿主免疫システムによってプレホーミング(pre−homed)されたBMCの破壊を阻止する全身レベルで、又は、ベト活性が照射を生き延びて残った宿主細胞を除去できる骨髄において、操作可能である。同系移植において、免疫調節は、生着プロセスにおいて相対的に可変であることは予想されていなかった。ドナー細胞FasLによってターゲティングされ得る残りの宿主細胞は、免疫細胞、HSPC及び骨髄ストローマを含む。FasLの生着をサポートする効果に関連した非免疫学的機構の証拠は、本発明者らを、宿主(照射を生き延びたストローマ又は残りの宿主HSPC及び免疫細胞)中のFasLでデコレーションされた細胞の特異的細胞ターゲットを探し求めさせた。本発明者らは、10全BMCをGFPドナーから骨髄破壊された(950radTBI)lprレシピエントへの移植によって、Fas−ストローマ及びFas+造血細胞を有するキメラマウスを生成した。移植して6週間後、これらのマウスは、末梢血及び骨髄において、完全にドナー型造血キメリズムを示した(図1F)。骨髄ストローマがlpr宿主表現型であることを確かめるために、骨髄吸引液を、長期培養用に播種(plate)した。培養中に成長した細胞の主な優性な表現型は、CD11c及びCD45細胞をゲートアウトした後、lpr宿主(GFP)由来のものであった(図1G)。致死量に近い量を照射された(850rad)キメラは、同系45.1細胞の第2の移植のレシピエントとして供給した。造血キメリズムのレベルは、lprレシピエント中のFasLを介した生着の利点の損失(図1E)と同様に、未処理でFasLコーティングされたlin−BMCの移植後(図1H)も同様だった。エリミネーションによって、これらのデータは、宿主骨髄中の残りの造血細胞のベト活性ではなく、ドナー細胞FasLの第1のターゲットがマウスストローマであることを示唆している。
実験4
FasLの異所的発現は、同種異系の造血細胞の生着を促進する。
結果
システムレベルで、FasLのドナー細胞発現の影響を判定するために、FasLキメラタンパク質を、ビオチン化を介して脾細胞の表面及びlinBMCに発現させた。これらの細胞を、10未処理のlinBMCとともに、照射した同種異系宿主(H2K→H2K)内に移植した。生着レベルは、2倍の数の未処理のlinBMCと比較して(図2A)、linBMCのFasLタンパク質の発現によって大幅に改善され(p<0.001)、ドナー脾細胞でのFasLの発現によって更に改善される(p<0.001)。これらのデータは、アロレスポンスの阻害は、ドナー造血細胞の生着に有益であることを示唆している。しかしながら、生着された細胞が、未処理又はFasLコーティングされたサブセットのlinBMCだったかどうかは、不透明のままだった。
全てのグラフトされたlinBMC細胞の上のFasLの発現が、生着に影響を与えるかどうか判定するために、タンパク質を、ほぼ完璧な効率でドナー細胞の表面に吸着させた(図2B)。1.5×10のFasLでデコレーションした同種異系のlinBMCを移植した結果、未修飾細胞と比較して、3週間でドナー造血キメリズムのレベルが上昇した。移植して16週間後、全てのマウスを処理して全キメリズムを展開し、これにより、異所的なタンパク質の一過性の提示は、耐久性のある造血キメリズムの最終的な確立に影響を与えなかったことが示唆された(図2D)。改良された早期生着によって、幹細胞の死滅が生じなかったかどうかについて試験するために、連続的な移植を実施した。完全なキメラから第2の骨髄破壊された宿主へとlinBMCの移植は、生着における有意な差を示さなかった(図2E)。従って、ドナー細胞でのFasLタンパク質の発現は、十分に寛容され、短期生着を改善し、長期再構成能を損傷しなかった。
実験5
FasLタンパク質の発現は、Fas従属状態でアロ反応性を阻害する。
同種異系細胞生着を支持する同様の機構は、宿主免疫細胞の活性化誘導細胞死(AICD)を介してFasLタンパク質を過剰発現することによって、アロレスポンスを阻害する。FasLの免疫抑制(immunoinhibitory)機能に対する直接の証拠を提供するために、上記タンパク質でコーティングされた細胞を腹腔内で同種異系宿主内にインジェクションした。レシピエント脾細胞の応答を、混合リンパ球反応(MLR)で7日後アッセイした。FasLでデコレーションされたlinBMC及び脾細胞は、アロ反応性応答を特異的に阻害し、第三者の抗原に対する応答は、完全な状態で残った(図2F−G)。FasLでデコレーションされた脾細胞は、アロ反応性T細胞応答の阻害に関して、linBMCよりも有効だった。これは、AICD(3,35,36)を介してFasLを介した死滅(killing)反応するアロ反応性T細胞を効果的に活性化できる、専門的な抗原を提示している脾臓細胞の普及(prevalence)による可能性がある。総合すると、これらのデータは、グラフトに対して同種免疫応答のシステム的阻害によって部分的に仲介される造血細胞の生着プロセスにおいて、FasLの極めて早期の関与を示唆している。これは、本発明者らによって既に報告されている、同系対同種異系ドナー細胞の優れたホーミングと一致する(1)。
実験6
デスレセプタは、ドナー細胞で上方制御される。
結果
Fas、TNF及びTRAILレセプタの濃度は、未処理で有核の全BMC(wBMC)ならびに未処理のC57Bl6及びBALB/cマウスから回収された系統除去(lin)BMCで、評価した。顕著な違いは、wBMCと比べて、linサブセットのTNF及びTRAILレセプタのより強調された発現だった。wBMC移植においては、成熟細胞と比べてより初期の前駆細胞の優先的なホーミングあるので、移植後のデスレセプタ発現の変化を観察するために、linBMCを用いた(1)。linBMCを、照射された(850rad)同系レシピエント内に移植した(CD45.1→CD45.2)後、骨髄は、ドナー及び宿主細胞でゲーティングすることによって回収及び分析された。照射を生き延びた残された宿主細胞は(48時間後)、未処理のBMC中の分布と比べて、レセプタの発現において小さな変化を示した。2日目の骨髄(BM)ホーミングドナー細胞は、TRAIL−R2レセプタの比較的小さな増加とは逆に、Fasレセプタ及びTNFレセプタの双方の顕著な上方制御を示した(図2C)。続いて、デスレセプタの発現は、6日後、60〜75%のドナー細胞まで上昇した。平行して、移植後6日目で、残りの宿主BMCは、Fasが14.5±3%、TNF−R2が22.5±2.5%及びTRAILが19.5±0.5%の穏やかな上昇を示した(p<0.001vs基準値)。これらの移植条件下で、これらのマウスは、3週間(n=15)で〜50%のドナーキメリズムを展開し、16週間後、完全なドナーキメリズムを展開した。総合すると、これらのデータは、移植後早い段階におけるドナー細胞のデスレセプタの急性的な発現を示した。
実験7
サイクル(細胞周期)及び分化におけるデスレセプタ発現の関連性
いくつかのドナー細胞は骨髄にホーミングする早い段階でサイクルに関与するので、デスレセプタの発現は分裂及び早期分化によって誘導される(1)。従って、TNFファミリのレセプタの発現を、CFSE低下(dilution)及び系統マーカーの発現に関して、初期シーディング(proximal seeding)プロセスの間のドナー細胞でモニタリングした。ドナー細胞を移植前に細胞内染料CFSEでプレラベルした。約1/3の細胞が、宿主骨髄へとホーミングした後の細胞分裂を示すCFSE低下を示した(図3E)。レセプタは、移植して24時間後のCFSEbrightが残る細胞と比べて、CFSEdimフラクション(p<0.001)において主に発現した(図3F)。同様の不均衡な分布は、第1の移植をして48時間後内で、系統マーカーを発現した細胞内で観察された。移植して2日以内において、5±1.7%から20±2%までの骨髄にホーミングするlin+BMCの上昇は、デスレセプタの発現によってなされた(図3H)。これらのデータは、レセプタの発現が、宿主骨髄へのホーミング及びシーディングの際、早期細胞周期及び分化と主に関連していることを示す。
実験8
Fas/FasLは、転写活性の際、ドナー細胞によって同時発現した。
結果
デスレセプタの急激な発現の観点から、本発明者らは、同族(cognate)リガンドも発現されるかどうか判定することを試みた。TNFスーパーファミリ中の唯一の膜結合リガンドは、FasLである。同種異系linBMCを、照射した宿主に移植(H2K→H2K)して2日目、骨髄ホーミング細胞を回収し、Fasレセプタ及びリガンドの発現を分析した。宿主の残りのBMCが上記分子の発現の穏やかな上昇を示した一方で、ドナー細胞は、骨髄へとホーミングした後、数時間内にFas及びFasLの顕著な上方制御を示した(図4A)。Fasレセプタ及びリガンドの構造的結合発現は、照射された骨髄における歪んだサイトカイン環境の結果となり、骨髄細胞をサイクルすることによって上記分子を上方制御した。
Fas及びFasLの増加した発現が、RNA転写のレベルで制御されたかどうかを判定するために、RT−PCR分析をドナー細胞で実施した(転写前)。有核の全骨髄細胞は、Fasをコードする大量のmRNA、及び、FasLをコードする微量のmRNAを発現した(図4C)。両分子のmRNAの転写は、移植に使用されるlinBMCでは検出できなかった。従って、グラフトされた細胞のFas及びFasLタンパク質の出現は、転写レベルで誘導された。
実験8
種々のストローマとの相互作用に関して、グラフト化された細胞のFas/FasLの動的発現
造血細胞中のFasレセプタ及びFasリガンドの発現の変化は、複数の環境因子及び分化に対応して生じる(4−14,23)。骨髄ストローマは、HSPCの最終的な生着サイトを提供する唯一の微少環境である。Fas及びFasリガンドの発現の上方制御が、骨髄ホーミング細胞のみで特徴付けられるかどうかを試験するために、同系宿主の各種器官にホーミングするドナー細胞を分析した。レセプタ及びリガンドの両方共、骨髄(図4D)及び肺(図4E)にホーミングするドナー細胞で上方制御された。変動において、脾臓(図4F)及び肝臓(図4G)にホーミングするグラフト細胞は、FasL発現を主に上方制御する。上記分子は、肺及び肝臓にホーミングするドナー細胞で一過的に発現する(移植して24時間でピークに達する)のに対し、上記分子は骨髄及び脾臓にホーミングする細胞で連続的に発現した。同時に、放射線損傷は、これらの器官の柔組織細胞での上記分子の発現を誘導した(図4D−G)。各種器官の柔組織及びグラフト細胞での付随する上方制御は、Fas及びFasLの発現が、放射線損傷の結果として放出されるファクタ(ケモカイン及びサイトカイン)によって一部誘導される。にもかかわらず、Fas及びFasL発現の刺激因子は、各種器官で変化する。
実験9
デスレセプタは、条件設定及び骨髄ストローマとの相互作用によって誘導される。
結果
発現に影響を与える外来性細胞因子を判定するために、上記レセプタを、照射されていない同系(CD45.1→CD45.2)レシピエントにインフュージョンした後、観察した。これらの条件下で、デスレセプタ及びFasLの発現は、照射された宿主のレベルよりも約40−65%低く、これによって、ストローマ損傷後、ケモカイン及びサイトカインの放出がデスレセプタの発現に部分的に応答していることが示唆された。続く実験では、linBMCを6時間、エクスビボ大腿骨でインキュベートし、発現レベルをフローサイトメトリで測定した。この簡易培養工程は、3.5±1.2%から11.8±3.2%まで(p<0/001)Fasの発現を上昇させ、6±1.5%から12.2±2.8%までFasLの発現を上昇させ、上記分子の重要な誘導要素として細胞−ストローマ相互作用を明確に特定した。
実験10
造血幹細胞及び前駆細胞におけるデスレセプタの発現
結果
デスレセプタを上方制御した細胞の性質を研究し、これらの細胞が造血再構成能を有する前駆細胞のサブセットの範囲に入るかどうか研究した。幹細胞は、全BMCの〜0.5%にのぼり、従って、lin細胞における発生率が小さく、表現型に基づいた単離工程は、マークされた機能的不均一性を有するBMCのサブセットを生む。2つの単離工程を、造血幹細胞及び前駆細胞の割合を高めるために使用した。
A.表現型が特徴的な幹細胞及び前駆細胞
マウスHSPCは、主として、linSca−1c−kitとして表現型が規定されるサブセットの範囲に入る。デスレセプタの分布は、CFSElinドナー細胞を移植して2日後(n=7)及び6日後(n=5)、上記マーカーを発現するBMホーミングドナー細胞において測定した。48時間後、デスレセプタは、Sca−1細胞で最初に発現し(図5A)、c−kit細胞で優性に発現した(図5B)。Sca−1フラクション(11.5±2%のCFSElinBMホーミングドナー細胞)及びデスレセプタの発現において有意な変化はなかった(図5A)一方で、c−kitサブセットは、2日目の32±5%から6日目の20±3%まで低下した(図5B)。このような数字の減少は、レセプタを発現するc−kit細胞のフラクションの相対的な増加によってなされた。TNFレセプタが細胞アポトーシスを仲介すると予想していたので、TNFレセプタに対してネガティブなc−kit細胞のフラクション及び総数の減少は、逆に予想外であった。
最も主要な候補HSPCからなる、細胞のCFSElinSca−1c−kitのさらなる分析は、移植して48時間後、全てのデスレセプタの発現を明らかにした(図5C)。TNF−R1の発現例は、図5Dに示す。同様に、再増殖するHSPCに最もよく対応する、実質的に全てのCFSElinSca−1c−kit細胞は、Fas及びFasLに対してポジティブである(図5E−F)。linc−kit細胞のサブセットにおいて、〜30%がFasを発現し、〜85%がFasLを発現した(図5E)。総合すると、これらのデータは、最も初期のマウス前駆細胞が、移植後直ぐにデスレセプタを上方制御し、翌日を超えて発現を維持したことを示唆する。
B.短期及び長期造血再構成細胞における発現
長期(LTR)及び短期(STR)造血再構成能を有する2つの細胞集団を精製するために、密度に基づいた単離工程を使用した。大量のSTRサブセットをロータオフ位置におけるBMC分画の端部で回収する一方で、25ml/分のエラトリエーション流速で集めた少量の細胞を、系統除去(lineage depletion)によって処理し、LTR細胞の割合の高いフラクション(Fr25 lin)を得た。細胞移植を受けなかった骨髄破壊されたマウスで通常観察される期間内で、Fr25 lin細胞を移植したマウスの大半は死んだ(8/11)。変動において、STR細胞を移植したマウスは、数週間、生き延び、その多く(5/8)が、ドナー型キメリズムを構築するのに失敗した。変動において、(LTRとSTR)の両方の細胞集団を移植したマウスは、連続的移植において、耐久性のある生着及びコンピテントな血液生成能を示した(図示せず)。これらのデータは、上記細胞のサブセットの早期及び後期の造血再構成能に関する先のレポートと一致した(35)。
新たにエラトリエーションされた細胞の分析は、27±4%のFr25 lin細胞において、FasLの発現を明らかにし(図5H)、コンタミネートしたリンパ球のフローサイトメトリ分析は、linBMCにおける発現が示された。これは、LTR幹細胞の割合の高いフラクションでの構造的FasLの発現を示唆する。両方のサブセットは、次に、照射された(850rad)同系レシピエント(CD45.2→CD45.1)に移植され、分析するために2日後に回収した。骨髄にホーミングするFr25 lin及びSTR細胞は、骨髄にホーミングするとき、Fas及びFasLの双方の顕著な上方制御を示し、STR前駆細胞において発現(p<0.001)がより高かった(図5H)。従って、長期及び短期造血再構成能の各々を有する、最も最初の幹細胞及び前駆細胞のサブセットは、骨髄にホーミングした後すぐにデスレセプタを発現した。
実験11
骨髄ホーミング細胞は、Fasを介したアポトーシスに耐性がある。
結果
Fasレセプタの発現における顕著な上方制御は、ドナー細胞がアポトーシスに反応することを示唆する。この可能性を試験するために、照射したマウス(850rad)を、同系linBMC(CD45.1→CD45.2)で移植し、BMにホーミングした細胞を、2日後、大腿骨の骨髄から回収した。アポトーシスに対する細胞反応性を促進するためにケモカイン及び血清をサポートせずに、これらの細胞を250ng/mlのFasLタンパク質を用いて18時間、インビトロでアポトーシスチャレンジに晒した。FasLチャレンジは、アポトーシスに対する骨髄にある細胞の顕著な耐性を明らかにした(図6A)。照射を生き延びた残りの宿主BMCの中で、Fas発現のレベルが低かったので、FasL誘導アポトーシスに対する耐性が期待された。変動において、約45%のBMホーミングドナー細胞は、移植して48時間後、Fasに対してポジティブだった。Fas及び系統マーカー発現(図6B)に関するアポトーシスの測定によって、FasBMホーミングドナー細胞の大半が、FasL誘導アポトーシスに反応しなかったことが示された。
同様のアポトーシスチャレンジを、エラトリエートしたLTR及びSTRサブセットの移植後(図6C)、BMホーミング細胞に適用した。FasLタンパク質及びアポトーシスに対する比較的非反応性を示した2日目のBMにホーミングした細胞は、未処理のエラトリエートした細胞サブセットと比べて、大幅に低かった(p<0.001)。Fas発現に関するアポトーシス細胞死の測定(図6D)によって、LTR及びSTRサブセットの双方におけるFas+細胞が、FasL誘導アポトーシスに反応しなかったことが明らかにされた。FasLTR細胞は、FasSTR細胞と比べて、FasL誘導アポトーシスにより耐性があった。同様の実験を、2日目のBMホーミング細胞をTNFα及びTRAILに供することによって行い、同族レセプタによって仲介されるアポトーシスに対するlinBMCのしっかりした耐性を得た。
実験12
レセプタの影響は、アポトーシスに対する細胞の反応性とクロストークする。
先の研究は、造血細胞の生存能力及び機能に極めて有害な結果の原因となった、造血細胞のTNFによるFasレセプタの誘導を示した(15−22、28−30)。TNFレセプタの早期上方制御は、〜30%のドナー細胞及び89〜93%のlinSca−1c−kit細胞は、2日後TNF及びFasL用レセプタを発現した(図5C)。従って、1〜2日後に回収してFasLでアポトーシスチャレンジを暴露するBMホーミング細胞の、TNFスーパーファミリの発現に関するアポトーシスを観察した。アポトーシスの一般的な感受性(反応性)を増大するために、細胞を、補助剤及びケモカインを加えず培地中で培養した。上記レセプタに関してポジティブなサブセット内の部分的な死における有意なバリエーションはなく、FasLは、TNF及びFasレセプタに対して細胞染色ポジティブのアポトーシスを誘導しなかった(図6E)。これらのデータは、デスレセプタ間の誘導的なクロストークが、FasL誘導アポトーシスの特定のサブセットの感作に関連していたことを示唆している。このような感作は、レセプタの同時発現の欠如、又は、Fasを介したアポトーシスに対して細胞のサブセットの非反応性によって、生じた可能性がある。最も初期のHSPCによる全デスレセプタの同時発現の観点から、これらのデータは、アポトーシストリガーを受け取るレセプタの欠如ではなく、アポトーシスに対する細胞の非反応性を示す。
実験13
アポトーシス反応性細胞の除去は、前駆細胞及び幹細胞の造血再構成能を破壊しない。
本発明者らは、次に、骨髄破壊さらたマウスの耐久性(長期)及び短期造血再構成に対して応答可能な幹細胞及び前駆細胞が、BMCのアポトーシス反応性サブセットか、又は、アポトーシス耐性サブセットに属するかを調べた。FasLタンパク質を用いてインビトロで予め培養した細胞を、致死量に近い条件下(850rad)で同系(CD45.1→CD45.2)レシピエント内に移植した(下記の実験14参照)。キメリズムのレベルは、3週間で均等になり(図6F)、全てのレシピエントは、移植して14週間後に完全なドナー型キメリズムを展開した(図6G)。キメラ骨髄細胞をドナトーして第2の骨髄破壊された(950rad)レシピエント(CD45.2)に用いた。全ての第2レシピエント(n=7)は、12〜16週間後、完全なドナー型キメリズムを示した。総合すると、これらのデータは、短期及び長期造血再構成細胞の両方が、プロアポトーシスFasLタンパク質に短期間暴露することによって影響を受けなかったことを示す。前駆細胞がlinフラクションにあったと仮定すると、同様の実験は、移植前にlinBMCをおFasLに暴露することによって実行された。培地(66±5.8%)及びFasLタンパク質(65±4.1%)を用いて24時間培養したlinBMCの移植後に得られたキメリズムの同様のレベルは、アポトーシスに対する前駆細胞の非反応性の直接の証拠となる。
プロアポトーシス性リガンドを用いた前培養は、移植の結果を改善するかどうか試験するために、少量の細胞をインフュージョンした。特筆すべきことは、このような培養期間は、Fas発現を誘導し、成熟BMCのフラクションにおけるアポトーシスを誘導したことがわかった(下記の実験例14を参照)。骨髄破壊された同系宿主(950rad)をレスキューするのに必要な限界数(limiting number)のlin−細胞は、約2×10細胞であり、従って、マウスは、1.5×10BMCでインフュージョンした(図6H)。同系移植(CD45.2→CD45.1)から4週間後、FasLを用いて前培養したレシピエント細胞の生存率(14/20)は、(FasLフリー)培地で前培養したBMCを移植したマウスの生存率(9/20)よりもよかった。生存率に関する同様の差異では、同種異系(H2Kb→H2Kd)移植において、FasLで前処理して移植したマウスの生存率(10/20)、及び、コントロールのBMCを移植したマウスの生存率(6/20)が各々観察された。従って、FasLタンパク質を用いた前培養は、グラフト細胞の放射能防護能を改善した。本発明者らは、次に、FasLによって造血前駆細胞の活性によって、長期再構成能を有する幹細胞の死滅が生じたかどうかを評価した。キメラの骨髄細胞を、第1の移植をして12週間後に回収し、第2の骨髄破壊された同系レシピエント(45.1)内にインフュージョンした。大腿骨の細胞内容物の半分を、第2のレシピエントの各々に移植すると、16週間後、完全なドナー型キメリズムとなり、このことによって、幹細胞の自己再生が、プロアポトーシスリガンドを用いて培養した後、保存されていたことが示唆された。
実験14
アポトーシスに対する未処理の骨髄細胞の反応性
結果
インビトロのアポトーシス刺激に応答する未処理の骨髄細胞の挙動は、一連の実験で試験された。FasLタンパク質を用いて、wBMCを24時間培養すると、〜40%の細胞がアポトーシス死となり(図7A)、アポトーシスした細胞の主なフラクションは、linサブセットに含まれた。さらなる分析によって、BMCの主な系統全てが、Fasを介したアポトーシスに反応することが示された(図7B)。デスレセプタの低い発生率から始まり(図3A)、Fasの発現は、これらの培養条件下で未処理のwBMCで刺激された(図7C)。にもかかわらず、linFas細胞のかなりのフラクションは、FasLを介したアポトーシスに反応しなかった。同一条件におけるlinBMCの培養は、Fasの上昇制御を確証し、約50%のlinFas細胞がアポトーシスに対して反応しなかったことを更に示した(図7D)。予想に反して、FasLは、10ng/mlの幹細胞ファクタ(SCF)及び100ng/mlのトロンボポエチン(TPO)の組み合わせよりも、Fas誘導能が高かった。
培養における造血細胞の生存を支援する成長因子として、SCF+TPO、又は、SCF+TPO+IL−3を加えて、次の培養を、1日、3日及び5日間行った。一連のパイロット実験は、アポトーシストリガーとしてTNFαを用いた細胞前培養の重要な効果がないことを示した。さらに、Fas発現の誘導及びアポトーシスに対する反応性における仮定されるTNFαの機能により、細胞を、この因子で3日間培養し、FasLを培養中の最後の24時間に加えた。全体の細胞数が減少したが、linBMCのフラクションはほとんど保護された(図7E)。Fas及びTNFレセプタの発現に関してアポトーシスを分析した(図7F)。培地の培養は、Fas及びTNF−R1細胞(p<0.001)と比べて、TNF−R2細胞のより高いアポトーシス率を示した。培地中にTNF−αが存在することで、Fas及びTNF−R2細胞における効果は小さく、TNF−R1細胞におけるアポトーシスは減少し(p<0.001)、これによって、このレセプタが、阻害ではなく、細胞刺激として関与したことが示された。3日間の培養中にFasLに暴露すると、TNF−αを用いた前培養にかかわりなく、アポトーシスのレートが大幅に増大した。インビトロでのこれらのデータは、Fasを介したアポトーシスが、TNFスーパーファミリを発現する細胞において、アポトーシスの共通エフェクタ経路であり、これらの細胞の反応性におけるTNFαに対して比較的穏やかな役割を果たすことを示した。
SFC+TPO存在下での培養は、細胞数(図7G)及びアポトーシス細胞のフラクション(図7H)に関して、効果は小さかった。しかしながら、SCF+TPO+IL−3の存在下で、生存細胞数は、特に、linサブセット(図7I)で実質的に上昇した。これは、アポトーシスに対するレセプタ−ポジティブ細胞の反応性を低下させることでなされた(図7J)。さらなる分析は、推定上の幹細胞マーカー、Sca−1及びc−kitを発現する細胞は、生存細胞のフラクション内で多かったことを示した。同様に、培地をサポートする制御的培養中、10±2%のLTR細胞、及び、22±4%のSTR細胞は、アネキシンVに関してポジティブに染色された(図6C)。FasLタンパク質の付加によって、40%の新たにエラトリエーションされたSTRサブセットがアポトーシスし、このLTRサブセットはアポトーシスのわずかな増加を示した。特筆すべきことは、培養期間中、LTR及びSTR細胞の両方が、Fas発現をそれぞれ、18±5%及び42±6%にそれぞれ上方制御した。TNFを用いて5日間培養し、最終日にFasLを加えた後、linBMCの生存数に2.3倍の上昇があり、これにより、linBMCのほとんどのフラクションはアポトーシス死したことが示唆された(図7K)。これらのデータは、最初の骨髄含有物から未分化の細胞のフラクションの割合を高める各種アプローチを示した。
実験15
Fas及びTNFレセプタがアポトーシスシグナル及び非アポトーシスシグナルを仲介する。
生理学的条件下で、造血再構成能を有する幹細胞及び前駆細胞は、(各種分化段階の)大量の前駆細胞に包埋された非常に少量のフラクションからなる。分化の後期(distal)段階では、デスレセプタは、増幅するクローンのサイズを制御する重要な役割を果たす。これらのレセプタは、全ての造血系統において末端分化の負の制御として同定されている(7−14)。アポトーシスに対するドナー細胞の反応性がないときの、移植後早い段階でデスレセプタの急激な上方制御は、これらのレセプタの役割に疑問を生じさせた。従って、本発明者らは、最小限の刺激条件下で、FasL及びTNF−αの上昇の分類によって、wBMC及びlinBMCのクローン原性活性の調節を評価した。FasLの濃度が上昇するにつれ、wBMCの活性は徐々に抑制され(図8A)、TNF−αの存在下では、wBMCの活性は大きな影響を受けなかった(図8B)。これらのデータは、未処理のBMC中のTNF−αによってトリガーを引かれるアポトーシスシグナルが欠如していることと一致した(実験13参照)。著しく対照的に、linBMCのクローン原性活性は、〜500ng/mlのFasL及びTNF−α濃度で、各々、45%及び70%で、徐々に刺激された。この挙動を、可溶性FasLオリゴマーを培地に加えた場合、及び、ビオチン化を介して前記タンパク質を細胞表面に吸着させた場合の双方で観察した(図8A)。FasLは、〜1μg/mlの閾値濃度でlinBMCに対して毒性があった。マウス(17)及びヒトHPSC(5,18)のコロニー形成におけるFas抗体(Jo2)を活性化する重要な効果の欠如に関する先の報告と一致し、5ng/ml濃度の可溶性スーパーFasLは、linBMCのクローン原性を低減しなかった。総合すると、これらのデータは、Fasレセプタ3量体化が成長(増殖)シグナルの伝達に必須であることを示唆する。
wBMC及びlinBMCの相対的なクローン原性活性は、細胞のアポトーシス反応性及び非反応性においてFasレセプタを介する、付随する栄養シグナル及びアポトーシスシグナルを示唆する。wBMCの培養において、死んだ細胞は、前駆細胞のクローン原性活性を阻害した可能性があった。この可能性を試験するために、アポトーシスしたwBMCを、500ng/mlのFasLタンパク質とともに、linBMC培養液に加えた。生存lin−BMCと、死んだBMCと、が1:1の比率において、FasLによって誘導される強化されたクローン原性は消え、このことから、バルク細胞(bulk cell)の生存能は、コロニー形成に影響を与えることが示唆された。
さらなるアセスメントを、アポトーシスカスケードの初期ステージ及び後期ステージで行った。FasLがFasレセプタへの結合を介して細胞に影響を与えたことを確実にするために、クローン原性アッセイをFas欠損(lpr)マウスから回収した細胞で行った。lpr変異は、wBMC及びlin−BMCを、FasLタンパク質のアポトーシス効果及び栄養効果の各々に非反応性としたので(図8C)、このことから、前駆細胞活性の調節は、特に、Fasレセプタのライゲーションによってなされたことが示唆された。同様にクローン原性の低下は、TNF−R1抗体をブロッキングして細胞培養するときに観察され、このことから、このレセプタは、好ましくは、TNF−R2と比べて栄養に関するシグナル伝達に関与することが示唆された。
アポトーシス性カスケードの後期段階で、カスパーゼ3及び8は、培養中のアポトーシス死を最小化することを阻害した。カスパーゼ3(DEVD)及び8(IETD)の阻害は、アポトーシスを低下させ、全てのFasL濃度(図8D)でwBMCのクローン原性活性を改善した。同一の結果が、linBMC(図8E)のクローン原性アッセイの上記カスパーゼの阻害で観察された。FasLの非存在下でカスパーゼ阻害剤の添加は、大きくクローン原性に影響を与えなかった。特筆すべきことは、カスパーゼ活性の阻害は、linBMCにおける500ng/mlのFasLの刺激効果を抑制せず、このことから、Fasを介した屈性(トロピズム)は、カスパーゼ8活性に近いファクタによって仲介されたことが示された。
エラトリエートされた細胞集団の分析は、これらの細胞に関して予想されかつ既に報告(34,35)されているように、FasLの存在下にかかわらず、LTR細胞(5つのコロニーで1つはカルチャー、4つはヌルカルチャー(null culture))のヌルのクローン原性活性を示した。顕著な変動において、STR細胞のクローン原性活性は、致死量を超えた500ng/ml濃度のFasLタンパク質の存在下で(図8F)、26±6%(p<0.005)上昇した。FasLの1.5μg/gの濃度は、これらの前駆細胞のクローン原性活性を完全に破壊した。Fasレセプタによって仲介される栄養シグナルとアポトーシスシグナルとの間の平衡関係を評価するために、共通のエフェクタ、カスパーゼ3(DEVD)の阻害によって、FasLのプロクローン原性効果を75±5%更に上昇した。総合すると、これらのデータは、早期造血再構成細胞(STR)のサブセットが、Fasレセプタを介してアポトーシスシグナル及び栄養シグナルの双方を受けることを示唆する。
実験16
造血性ストレスの間のアポトーシスに対する前駆細胞の耐性
結果
アポトーシスシグナルに対して未処理又は移植した骨髄由来のHSPCが反応しなかったことで、デスレセプタによって仲介されるメカニズムが、造血性ストレスの条件下で作動したかどうかという疑問を生じさせた。5−フルオロウラシル(5FU)は毒性があり、前駆細胞の周期を早め、これらの殺傷が、骨髄中の初期造血前駆細胞の同期的な刺激を誘導する。造血前駆細胞を活性化し同期させるために、マウスに、150μg/gの5フルオロウラシル(5FU)をインジェクションし、これらの骨髄細胞を、1日、3日及び5日後に回収した。5日後、Sca−1発現の発生率は、29±2%に増加し(p<0.001、これに対して未処理のBMCでは2±1%)、c−kit発現の発生率は12±2%に増加し(p<0.05、これに対し未処理のBMCでは8±1.5%)、及び、Sca−1c−kitのフラクションは、5±0.9%に上昇した(p<0.001、これに対して未処理のBMCでは0.4±0.1)(図9)。これらの変化は、Fasレセプタの上昇制御、及び、そのリガンド(p<0.001)によってなされ(図9B)、安定状態の条件下で低レベルの上記分子を発現したlin−BMCのフラクションを含む(図9C)。同様の変化は、より低い大きさで、TNF及びTRAILレセプタに関して観察された。この時間で回収した細胞を、18時間のエクスビボ培養の追加期間で、FasLタンパク質を用いてチャレンジした。lin−及びlin+の双方のサブセットは、未処理のマウスから回収したBMCと比べて、FasLタンパク質で培養した後、顕著な生存率を示した(図9D)。Fas発現とアポトーシスとの間の関連性を示すために、レセプタは、5FUをインジェクションして1日、3日及び5日後に回収した細胞をエクスビボ培養した後、フローサイトメトリーによって定量化された。Fas発現の関数としての部分的な細胞死(fractional cell death)の表示は、いくつかの特徴を示した(図9E−F)。第1に、Fasの発現は、5FU投与後の時間と共に増加した。第2に、エクスビボでFasLに細胞を暴露すること(図9F)は、培地で培養された細胞と比較して、レセプタの発現をさらに増大させた(図9E)。第3に、ほとんどのFas+BMCは、5FU処理後、FasL誘導アポトーシスに対して反応しなかった。これらのデータは、特にFasなどのデスレセプタが、ストレス条件下で、造血システムの生理学的機能において栄養に関する役割を果たしたことを示唆する。
考察
ほとんどの体細胞とは異なり、幹細胞は、極端な損傷や炎症条件下で、分化することが必要とされる。特に、損傷した組織の機能特性に分化し、選択する(adopt)など、組織修復に加わるための成体幹細胞の多様性能力の必要性は、宿主環境内で生き延び、機能するための細胞能力に疑問を生じさせている。骨髄に厳しい損傷を与える積極的な化学療法及び放射線療法に続く、十分に確立された工程は、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)の移植である。内在性造血細胞は、骨髄破壊的な放射能をほとんど生き延びることはなく、ストローマは、激しく損傷する。破壊的損傷後、ドナーHSPCは、宿主骨髄への道をみつけ、骨髄でドナーHSPCは、シードしグラフトして、免疫造血システムの再構成する。このプロセスで、デスレセプタの急激な上方制御が、ドナー細胞の多くのフラクションで見られた。先行技術は、デスレセプタが、免疫造血システムの分化後期段階のレセプタ阻害機能から採用されたコンセプトとしての造血細胞機能において、有害な役割を果たしていることを示している。これとは逆に、本発明者らは、幹細胞機能におけるデスレセプタのポジティブな役割を発見した。造血再構成細胞が過酷な環境で活躍するメカニズムは、生着効率を向上するのに使用できるので、特別な関心の対象である。
要約すると、本発明らは、以下のことを明らかにした。
1.デスレセプタは、安定条件下で、骨髄細胞において、低レベルで発現する。これらのレセプタは、移植を含む、刺激された造血系の条件下で、急激に上方制御される。
2.最も初期の幹細胞及び前駆細胞のサブセットは、全てデスレセプタを発現した。
3.造血再構成能を有する前駆細胞において、デスレセプタは、アポトーシスシグナルを仲介しなかった。
4.分化の後期段階及び体細胞において、死を媒介する同様のレセプタは、最も初期の造血幹細胞及び前駆細胞において、栄養シグナルを仲介する。
5.デスシグナルを用いた非幹細胞の除去は、前駆細胞の短期造血再構成能及び幹細胞の長期再構成能に影響を与えなかった。
6.転写レベルでのデスレセプタの発現は、複数の内因性及び外因性因子によって誘導される。これらは、損傷、ストローマとの相互作用、サイクル及び分化に応答した因子の放出を含む。
7.Fasリガンドの構造的及び強制的発現は、同種免疫(alloimmune)応答及び非免疫機構を介して、造血細胞の生着を補助する。
8.エクスビボでのデスレセプタの誘導された発現及び活性は、アポトーシスシグナルを介して非幹細胞を除去するのに有効である。
総合すると、これらのデータは、幹細胞及び前駆細胞におけるTNFスーパーファミリのデスレセプタの明確な活性モードを示す。生理学的条件下で、HSPC活性を誘導するシグナルは、デスレセプタの発現を誘導する。これは、Fasレセプタを徐々に発現することによってなされた前駆細胞の5FU同期活性化によって例証された。しかしながら、活性化前駆細胞のプールは、ほとんどFasを介したアポトーシスに反応せず:Fas+細胞のフラクションの3〜4倍の増加は、5日後の大多数の細胞のFasL誘導アポトーシスに対する耐性と関連していた。これらのデータは、Fasが、おそらく骨髄細胞死によって生じた歪んだサイトカイン環境によって、5FU投与後の早い段階で上方制御され、造血前駆細胞の成長を促進するように作用することを示唆する。Fasレセプタは、分化の後期段階においてのみ、発達している前駆細胞のプールの負のレギュレータとしての機能が仮定される(7−14)。
移植設定において、以下のシナリオは、造血細胞生着の早い段階において、Fas/FasLシグナル経路の関与が提示される。ドナー細胞が骨髄細胞へのホーミングするとき、炎症環境及びストローマ相互作用は、レセプタ及びリガンドの発現を誘導する。Fasの発現は、活性を調節する環境因子に応答するようにドナー細胞を変換し、造血細胞の生着に有害ではなく、支援的である。アポトーシスを介したより分化した前駆細胞の除去は、より多くの初期幹細胞及び前駆細胞の生着機会を増加させる。このことは、コミットされた前駆細胞と比較して、HSPCの優れたホーミングに役立つ早期エンリッチメントプロセスの継続において、シーディング及び早期生着のプロセス内でHSPCのエンリッチメント機構と考えられる(1)。Fasを介したアポトーシス死に対する耐性は、上手く生着したドナー細胞の機能的特徴として発展する。この特徴は、初期前駆細胞に、TNFスーパーファミリのリガンドを使用した免疫反応に反撃する能力を付与する(32−34)。
TNFスーパーファミリのデスレセプタの発現は、宿主環境に遭遇するとき、又は、ストレス条件に暴露されるときの、免疫−造血細胞の生理学的応答である。これらの保護因子を付与された幹細胞及び前駆細胞は、この発展的なシステムにおいて重要な要素を維持することを保証する。アポトーシス耐性前駆細胞において、これらのレセプタは、初期前駆細胞が分化及び増殖するのを補助する栄養シグナルに関連する。このメカニズムは、この発生系における最も重要な要素である幹細胞を保護するだけでなく、損傷による過酷な条件化における幹細胞の活性化に関与する。先の研究は、造血前駆細胞が、FLIP、Bcl−2、サバイビンを含む高レベルの抗アポトーシス因子、及び、カスパーゼ−8Lのユニークな発現によって、アポトーシスから保護されることを示している(5,6)。本データは、栄養シグナル伝達が、カスパーゼ8活性化に近いデスレセプタに関連したアポトーシスシグナルの主な経路からはずれることを示唆している。
個別の実施例の内容として明確に記載されている本発明の特徴は、組み合わせた単一の実施例として提供できることを理解されたい。逆に、単一の実施例の内容として簡潔に記載された本発明の種々の特徴は、別々に、又は、適宜な副実施例の組み合わせとして提供できる。
本発明は、特定の実施例の組み合わせて記載されているが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかなことは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の意図及び広い範囲内にある代替、修正及び変形などの全てを含むことが意図される。個々の文献、特許又は特許出願、あるいは、GenBank Accession番号を、特別かつ個々に、参照することで、本明細書に組み込まれることが示唆されるように、本明細書に記載された文献、特許及び特許出願、ならびに、GenBank Accession番号は、全体を参照することで本明細書に組み込まれる。加えて、本出願におけるいずれの参考文献の引用及び特定も、上記文献が本発明に対する先行技術として入手可能であるというアドミッションとして解釈されるべきではない。
参考文献
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発明は、例示のみを目的として、添付の図面に関して本明細書に記載される。ここで、図面の詳細に関し、示される細部は、例示のみを目的として、かつ本発明の好適な実施例の例示的な議論の目的であり、最も利用可能であり、法則の記載に容易に理解される。この点に関し、本発明の本発明の構造的詳細を示す。

図1A−Hは、同系造血細胞生着中のFas/FasLの相互作用の機能的関与を示す。図1Aでは、骨髄芽球(950rad)GFPマウス(CD45.2+GFP+)を、5×10の同系ワイルドタイプ(CD45.1+GFP−)と、Fas欠損(lpr)ドナー(CD45.2+GFP−)と、のlin−BMC1:1混合液を用いて移植した。造血キメラを移植して3週間後、末梢血で測定し、ワイルドタイプ(CD45.1)及びlpr(CD45.2)ドナー細胞(GFP−)生着(n=16)を比較した。 照射された(850rad)レシピエント内への5×10lin−BMCの同系移植(CD45.1→CD45.2)。lpr細胞をワイルドタイプ(wt)のレシピエント(n=8)に移植し、wt細胞をlprレシピエント(n=10)に移植したとき、3週間での生着は不十分だった。 wtレシピエント(n=8)のgld細胞及びgldレシピエント(n=11)のwt細胞の不十分な生着は、ビオチン標識(n=9)を介してドナー表面の異所的なFasLタンパク質の発現によって、効率的にリバースした。 FasLタンパク質でコーティングされたwt細胞の同系移植から3週間後の抹消血キメリズム中に実証される差異。 同系lprレシピエント内に移植された(CD45.1→CD45.2)5×105linBMC中のFasLの発現は、3週間での生着(n=6)における有意な効果を有しなかった。 GFPドナーから10BMCの全てを骨髄破壊lprレシピエント内に移植した結果、移植後6週間で骨髄中はフルドナー(GFP+)キメリズムとなる。 GFP/lprキメラのストローマ培養は、CD45+及びCD11c+細胞をゲートアウトした後、宿主lpr(GFP)表現型が優性となった。このデータは、5匹の移植マウスからの培養系を示している。 同系CD45.1マウス(n=6)からの、未処理及びFasLコーティングlinBMCのレシピエントとして用いたフルGFP/lprキメラ(FasGFPBMC及びFasGFPストローマ)。キメリズムは、lprマウスの移植と同様に、FasL発現によって影響されず、これは、ストローマは、ドナー細胞FasLによってターゲティングされたことを示唆する。 図2A−Gは、FasLタンパク質の異所的発現が同種異系(allogeneic)生着を改善することを示している。図2Aでは、照射条件下の同種異系(H2K→H2K)レシピエント(850rad)を、FasLタンパク質でコーティングした10linBMC又は脾細胞、及び、未処理の2×10linBMCで移植したコントロール群(n=5)と併せて、未処理の10linBMCをインジェクションした。ドナーキメリズムの濃度を、移植して3週間後に末梢血で測定した。 ストレプタビジン−FasLキメラタンパク質は、ビオチンを介してBMC表面で効果的に吸着された。このタンパク質は、フローサイトメトリ中で抗FasLモノクロナール抗体で検出した。 異所的FasLタンパク質の発現は、ほとんど致死量に近い放射能(850rad)を与えたレシピエント(B6=H2K)に移植された同種異系細胞の生着を改善した。 未処理及びFasLコーティングlinBMCで移植されたマウスを処理して、移植後16週で、フルキメリズムに発達した(n=16)。 主な移植(H2K→H2K)後14週で、第2の致死量近くを照射された(H2Kb)宿主(n=5)に対してwBMCのドナーとして用いたキメラマウス。 8×10の未処理又はFasLコーティング同種異系linBMC(H2K)をインジェクションしたB6マウス(H2K)の脾細胞を、移植して7日後に5−dayMLRアッセイで評価した(n=6)。B10.BRマウス(H2K)の脾細胞を、第三の抗原群として用いた。 8×10の未処理又はFasLコーティングの同種異系脾細胞(H2K→H2K)をインジェクションしたマウスの脾臓を、MLR(n=5)で評価した。 図3A−Hは、骨髄にホーミングするドナー細胞中のデスレセプタの発現を示す。図3Aでは、全BMCは、低濃度のTNFファミリーのデスレセプタを発現し、一方、30%以下のlin−BMCが、TRAIL−R2に対してポジティブである。 残りの骨髄細胞は、細胞移植(n=5)に関係なく、全身照射(850rad)後、低濃度のデスレセプタを発現する。 Fas、TNF−R1及びTNF−R2は、照射した同系宿主の骨髄へと適切に返すドナー細胞中で顕著に上方制御された。データは、移植した48時間後(n=5)での発現の平均値±SD(標準偏差)を示している。 デスレセプタの発現は、移植(n=4)後、第1日の間でドナー細胞中で連続的に増加した。 CFSEでプレラベルされたLinBMC(>90%純粋)を照射された同系レシピエント(850rad TBI)内に移植し、骨髄ホーミング細胞を、CFSE希釈(n=7)に対して48時間後に分析した。CFSE希釈(CFSEdim)によって決定されるとき、約25%の細胞のサイクルが早くなる。 サイクルの早い細胞(CFSEbright)のより小さなフラクション中で発現する場合、デスレセプタは、サイクルの早い細胞(CFSEdim)で主に上方制御された(n=5)。 移植して48時間以内に系統マーカを発現したドナーlinBMCの約5分の1は、早期分化を示した(n=11)。 早期分化細胞において(n=8)、主にデスレセプタを上方制御した。 図4A−Gは、Fasレセプタ及びリガンドの動的発現を示している。図4Aでは、850rad全身照射(TBI)の条件下のマウスに、1〜2×10の同種異系linBMC(H2K→H2K)をインジェクションした。48時間後、レシピエントマウスの骨髄を回収し、ドナー−宿主由来の発現、及び、系統マーカー発現に関して、Fas及びFasLの発現を測定した(n=8)。 Fas及びFasLを同一ドナー細胞で同時に発現させた。実証的な読み取りは、複数の実験(n=29)の特徴である。 未処理のlin−及び全ての(w)BMCを、Fas及びFasLをエンコードするmRNAの存在下で、RT−PCTでアッセイした。データは、同様の結果を示す3回の独立した実験を示す。 図4Dでは、Fas及びFasLの発現のパターンは、lin−BMCを照射マウス(850radTBI)で(D)骨髄に同系移植した後、フローサイトメトリーで判定し、これとともに骨髄組織の柔組織細胞中の上記分子が発現していた(n=5)。 図4Eでは、Fas及びFasLの発現のパターンは、lin−BMCを照射マウス(850radTBI)で(E)肺に同系移植した後、フローサイトメトリーで判定し、これとともに肺組織の柔組織細胞中の上記分子が発現していた(n=5)。 図4Fでは、Fas及びFasLの発現のパターンは、lin−BMCを照射マウス(850radTBI)で(F)脾臓に同系移植した後、フローサイトメトリーで判定し、これとともに脾臓組織の柔組織細胞中の上記分子が発現していた(n=5)。 図4Gでは、Fas及びFasLの発現のパターンは、lin−BMCを照射マウス(850radTBI)で(G)肝臓に同系移植した後、フローサイトメトリーで判定し、これとともに肝臓組織の柔組織細胞中の上記分子が発現していた(n=5)。 図5A−Hは、造血幹細胞及び前駆細胞中のデスレセプタの発現を示している。図5Aでは、骨髄ホーミング細胞を、CFSElinBMC(n=8)を同系移植して2日及び6日後にHSPCマーカー(A)Sca−1に関するデスレセプタの発現を分析した。HSPCマーカーの発現は、デスレセプタに対してポジティブなフラクションとして発現した。 骨髄ホーミング細胞を、CFSElinBMC(n=8)を同系移植して2日及び6日後にHSPCマーカー(B)c−kitに関するデスレセプタの発現を分析した。HSPCマーカーの発現は、デスレセプタに対してポジティブなフラクションとして発現した。 照射された同系宿主の骨髄にホーミングし、lin−Sca−1+c−kit+として規定される造血HSPC候補の全ては、デスレセプタを発現する(n=8)。 linSca−1c−kitHSPC中のTNF−R1発現の実証的な読み取り。 Fasの発現が30%以下のc−kit+細胞で見られるとき、FasLは、このサブセットのほとんど、ならびに、実質的にlin−Sca−1+及びlin−Sca−1+c−kit+で発現した(n=7)。 骨髄にホーミングするCFSElin細胞のSca−1及びc−kitサブセット中のFas発現の実証的な読み取り。 小さな寸法の細胞を、25ml/minの流量で、カウンターフローエラトリエーションによって単離し、系統マーカーの発現を分析し、系統除去を行い、Fr25lin−細胞(LTR)の>90%の系統陰性サブセットを得た。このデータは、7つの独立した実験を示す。 ロータオフ位置で、STR細胞をエラトリエーションの後に回収した。LTR及びSTR細胞を照射した同系宿主に移植し(CD45.2→CD45.1)、Fas及びFasL発現を分析するために2日後に回収した。このデータは、5つの独立した実験の手段を意味する。 図6A−Hは、アポトーシスに対する造血再構成細胞の耐性を示す。骨髄ホーミング細胞を同系移植(CD45.1→CD45.2)して2日後に回収し、18時間、FasLタンパク質(250ng/ml)でアポトーシスチャレンジに暴露した(n=6)。ドナー及び宿主由来の細胞を、系統マーカーの発現と同時に、デス(7AAD)及びアポトーシス(アネキシン−V)で判定した。細胞をコントロールとして使用される(FasLフリー)培地で培養した。 アポトーシス死(アネキシン−V)を、ドナー細胞(n=5)のゲーティングによって、系統陰性(lin−)及び系統陽性(lin+)マーカーのFasレセプタ発現に関して測定した。 エラトリエートして、2日目の骨髄ホーミングしたFr25lin(LTR)及びSTR細胞を培養し、インビトロで18時間、250ng/mlのFasLタンパク質でチャレンジした(n=5)。 3つの独立した実験において、アポトーシス死を2日目のFas発現に関して測定した。 インビトロで250ng/mlのFasLタンパク質のアポトーシスチャレンジに暴露した後、アポトーシス死をFas、TNF及びTRAILレセプタにポジティブな2日目の骨髄ホーミング細胞で判定した。 致死量に近い照射された(850rad)レシピエントに、フレッシュで(fresh)(n=10)又はFasLタンパクで24時間前培養した後、5×105同系細胞を移植した(CD45.1→CD45.2)。キメリズムを、3週間後、フローサイトメトリによって臍帯血リンパ球で判定した。 FasLタンパク質での前培養は、長期及び短期生着に影響を与えなかった(n=8)。 骨髄破壊的な(950rad)マウスの生存したものに、同系(CD45.2→CD45.1)及び同種異系(H2kb→H2kd)ドナー(n=20)から、1.5×10の未処理のBMC及びFasLで前処理したBMCを移植した。 Fasを介した造血幹細胞の反応性を示す。5×10細胞/mlをStemPro Nutrient Supplement、2mM L−グルタミン、50μM 2βメルカプトエタノールを加えたα−MEM培地で、可変期間培養した。全BMCは、250ng/mlのFasLタンパク質を用いて、又は用いないで、24時間培養した。細胞死及びアポトーシスを、7AAD及びアネキシンVの各々の取り込みによって判定し、系統マーカーが抗体カクテルを用いて判定した。これらのデータは、5つの独立した実験から集計する。 250ng/mlのFasLタンパク質を用いた培養に応答したアポトーシスを受けBMC系統の分析は、系統陽性BMC:顆粒球(GR−1)、マクロファージ(Mac−1)、Bリンパ球(B220)及びTリンパ球(CD5)、の主なサブセットのほとんどがアポトーシスに対して反応することを明らかにした。これらのデータは、6つの独立した実験の全体のwBMC集団に対する数値を示す。 250ng/mlのFasLタンパク質を用いて、又は用いないで培養した後、未処理の全BMC内の系統マーカー発現(lin−及びlin+)に関してFasレセプタの発現の関数として、アポトーシス細胞(アネキシン+)及び生存可能細胞(アネキシン−)を判定した。水平バーは、培養開始点のFas発現を表す。 Lin−BMCを、10ng/mlの幹細胞ファクタ(SCF)を添加して、又は添加しないで24時間培養した。アポトーシス(アネキシン+)及びバイアビリティ(生存能力)(アネキシン−)を、Fasレセプタ発現に関して測定した(n=3独立培養)。 図7E〜Jでは、10全BMCを、50ng/mlのTNF−α(TNF)を添加した培地で3日間培養し、最終日に、250ng/mlのFasLタンパク質(FasL)及びこれらの組み合わせ(TNF+FasL)を加えた。アポトーシスを、Fas及びTNFレセプタ(n=4独立培養)の発現に関してアネキシンを取り込みによって判定した。図7Eは、培地培養後のlin及びlin生存細胞の割合。 培地で培養されたレセプタ陽性細胞のアポトーシスの割合。 SCF及びTPOを添加された培地で培養した後のlin及びlinの生存細胞数。 SCF及びTPOで培養したレセプタ−ポジティブ細胞のアポトーシス割合。 SCF、TPO及びインターロイキン(IL)−3を添加した培地での培養後のlin及びlin生存細胞数。 SCF、TPO及びインターロイキン−3を添加したレセプタ−ポジティブ細胞のアポトーシス割合。 培地中、及び、SCF、TPO及びIL−3(n=3独立培養)を添加した培地中で5日間培養した後、lin−細胞の割合の増加。 図8A〜Fは、デスレセプタの栄養性機能及びアポトーシス機能を例示する。3×10細胞を、Iscove Modified Dulbecco Medium(IMDM)中で、20%ウシ胎児血清(FBS)、1%胎児血清アルブミン(BSA)、0.1mMの2βメルカプトエタノール、10μ/mlの組み替えヒトエリスロポイエチン(EPO)、20ng/mlの組み替えマウス(rm)幹細胞ファクタ(SCF)、10ng/mlのrmインターロイキン3(IL−3)、及び、10ng/mlの顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(rmGM−CSF)を含む、1.2%メチルセルロースを播種した。図8Aでは、半固体メチルセルロース培養で、FasLオリゴマを用いた全BMC(wBMC)及びlinBMCの培養は、lin−BMCのクローン原性活性の投与量関連増分(インクリメント)となった。高タンパク質濃度(>1μg/ml)での、クローン原性活性における突然の崩壊は、全BMCで観察されたものと似ている。 同一の培養条件下で、高濃度(>250ng/ml)TNFαは、wBMC(n=5)の活性に影響を与えずにlinBMCの活性を刺激した。 Fas欠損(lpr)マウスからのwBMC及びlinBMCのクローン原性活性及び死は、FasLタンパク質(n=5)の存在下で、反応しなかった。 Z−DEVD−fmkを有するカスパーゼ3、及び、Z−IETD−fmkを有するカスパーゼ8の阻害は、全BMCのクローン原性活性を回復させた(n=5)。 カスパーゼ−3阻害(DEVD)は、linBMC中の500ng/mlのFasLタンパク質によって誘導された増大されたクローン原性に影響を与えず、毒性タンパク質濃度でアポトーシス死を低減した。 カスパーゼ3阻害(DEVD)は、エラトリエーションによって単離された短期再増殖細胞(STC)のクローン原性を顕著に増大した(n=5)。 図9A〜Fは、5FU誘導ストレス造血下で、デスレセプタの機能を示している。マウスを10μg/gの5FUをインジェクションし、骨髄細胞を、1日、3日及び5日後(n=6)に分析用に回収した。図9Aは、候補マウスHSPCのSca−1及びc−kitの細胞表面マーカーの発現を示す。 Fas及びFasLの発現 未処理のBMC及び5FU投与後5日目の細胞における系統マーカー発現に関するFas及びFasLの発現 未処理のBMC、及び、5FUを投与して5日後に回収した細胞を、StemPro Nutrient Supplement、2mMのL−グルタミン、50μMの2βメルカプトエタノールを添加したαMEM培地で24時間培養し、250ng/mlのFasLタンパク質でチャレンジした。アポトーシスを、系統マーカー発現に関してアネキシンVの取り込みによって判定した(n=5)。 5FUを投与して1日、3日及び5日後に回収したBMCを、Fas+細胞のフラクション内で、生存(アネキシン−)及びアポトーシス(アネキシン+)を判定するために培地で24時間培養した。同一条件下で培養した細胞を、250ng/mlのFasLタンパク質でアポトーシスチャレンジした。 5匹のマウスからのデータを集計して、アポトーシス(アネキシン+)をFasレセプタ発現に対しプロットした。

Claims (52)

  1. 造血細胞集団から幹細胞を選別する方法において、この方法が、非幹細胞に対してアポトーシス性があり、かつ幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、アポトーシス誘導因子を細胞集団に接触させるステップを具え、これによって、造血細胞集団から幹細胞を選別することを特徴とする方法。
  2. 前記幹細胞が、臍帯血幹細胞、可動性末梢血幹細胞、骨髄幹細胞及び神経幹細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記幹細胞が骨髄幹細胞であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記骨髄幹細胞が造血幹細胞であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 修飾幹細胞を得るために、前記接触ステップの前に、前記幹細胞を修飾するステップを更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 精製幹細胞を得るために、前記接触ステップの前に、前記幹細胞を精製するステップを更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 増幅幹細胞を得るために、前記接触ステップの前に、前記幹細胞を増幅するステップを更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記骨髄幹細胞が間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  9. 前記幹細胞が成体幹細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記幹細胞が胚性幹細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記アポトーシス誘導因子が、TNF−α、FasL、Trail及びTweakからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記アポトーシス誘導因子がFasLであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記FasLが表面に結合することを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記FasLが非開裂性であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記接触ステップの前に、前記造血細胞集団のアポトーシスレセプタの発現を上方制御するステップを更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記アポトーシスレセプタが、Fasレセプタ、TNF−αレセプタ、Tweakレセプタ及びTrailレセプタからなるレセプタ群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記アポトーシスレセプタの発現を上方制御するステップが、前記造血細胞集団にインターフェロンγ又はTNF−αを接触させることによって影響を受けることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 前記造血細胞集団が、免疫活性化Tリンパ球を具えないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. 前記造血細胞集団が、系統陽性細胞を具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  20. 前記系統陽性細胞が、顆粒球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、赤芽球、抗原提示細胞、骨髄細胞、リンパ球細胞及び巨大核細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記造血細胞集団は、アポトーシス反応性悪性細胞を具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  22. 前記接触ステップ後に、幹細胞を単離するステップを更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  23. 選別された幹細胞を宿主に移植する方法において、この方法が、
    (a)非幹細胞に対してアポトーシス性であり、幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、アポトーシス誘導因子を異種細胞集団の幹細胞に接触させるステップであって、これにより、幹細胞を選別する、ステップと、
    (b)前記選別された細胞を宿主に移植するステップであって、これにより、前記選別された幹細胞を移植する、ステップと、
    を具えることを特徴とする方法。
  24. ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、前記選択された幹細胞を単離するステップを更に具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記幹細胞は、臍帯血幹細胞、可動性末梢血幹細胞、骨髄幹細胞及び神経幹細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. 前記幹細胞は、骨髄幹細胞であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記骨髄幹細胞は造血幹細胞であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 修飾された幹細胞を得るために、前記接触ステップの前に、前記幹細胞を修飾するステップを更に具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  29. 精製された幹細胞を得るために、前記接触ステップの前に、前記幹細胞を精製するステップを更に具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  30. 増幅した幹細胞を得るために、前記接触ステップの前又は前記接触ステップ中に、前記幹細胞を増幅するステップを更に具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  31. 前記骨髄幹細胞は間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  32. 前記幹細胞が成体幹細胞であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  33. 前記幹細胞が胚性幹細胞であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  34. 前記アポトーシス誘導因子が、TNF−α、FasL、Trail及びTweakからなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  35. 前記アポトーシス誘導因子は、FasLであることを特徴とする請求項34に記載の方法。
  36. 前記FasLが表面に結合することを特徴とする請求項35に記載の方法。
  37. 前記FasLが非開裂性であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 前記接触ステップの前に、前記異種細胞集団でのアポトーシスレセプタの発現を上昇制御するステップを更に具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  39. 前記アポトーシスレセプタが、Fasレセプタ、TNF−αレセプタ、Tweakレセプタ及びTrailレセプタからなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  40. 前記アポトーシスレセプタの発現を上方制御するステップが、前記異種細胞集団にインターフェロンγ又はTNF−αを接触させることによって、影響を受けることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  41. 前記異種細胞集団が、免疫活性化Tリンパ球を具えないことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  42. 前記異種細胞集団が、系統陽性細胞を具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  43. 前記系統陽性細胞が、顆粒球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、赤芽球、抗原提示細胞、骨髄細胞、リンパ球、赤血球細胞及び巨大核細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項42に記載の方法。
  44. 前記異種細胞集団が、アポトーシス反応性悪性細胞を具えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  45. 前記幹細胞は、宿主に対して自家移植であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  46. 前記幹細胞は宿主と同系であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  47. 前記幹細胞は宿主に対して同種異系であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  48. 前記幹細胞は宿主に対して異種であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  49. 幹細胞を分化する方法において、この方法が、
    (a)非幹細胞に対してアポトーシス性があり、幹細胞に対して非アポトーシス性である条件下で、異種細胞集団の幹細胞にアポトーシス誘導因子を接触させるステップであって、これにより、幹細胞を選別する、ステップと、
    (b)前記選別された幹細胞の分化を誘導するステップであって、これにより、幹細胞を分化する、ステップと、
    を具えることを特徴とする方法。
  50. 前記分化を誘導するステップが、前記幹細胞で遺伝子産物を発現させることによって影響を受けることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 前記遺伝子産物が、ポリペプチドであることを特徴とする請求項50に記載の方法。
  52. 前記遺伝子産物がポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項50に記載の方法。
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