JP2009537013A6 - フラビウイルス特異的抗体の検出のための抗原捕捉抗デングIgA ELISA(ACA−ELISA) - Google Patents

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Abstract

抗フラビウイルスIgAの検出のための抗原捕捉IgAエンザイムイムノアッセイ(ACA-ELISA)を開発した。本アッセイは、フラビウイルス溶解抗原、好ましくはモノクローナル抗体により捕捉されるデングウイルス溶解抗原を用いる。試験血清から捕捉される抗フラビウイルスIgAは、好ましくはレポーター基、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識したウサギ抗IgAを用いて検出される。本アッセイは、抗ヒトIgA捕捉ELISA(AAC-ELISA)よりも少なくとも8倍高感度であることが見いだされた。血清又は唾液のいずれかに基づくACA-ELISAは、"黄金律"抗デングIgM検出技術と比較してより高感度で迅速であることが見いだされた。これは感染初期におけるデング確認のための診断ツールとして用いることができる。

Description

本発明は、フラビウイルス又はその等価物へのヒト又は動物の最近の暴露を検出する技術に関する。より具体的には、本発明は、被験者が特にフラビウイルス又はその等価物に暴露されたかどうかを決定するための、被験者(動物又はヒト)から採取した生体試料の迅速で簡単な分析に関する。本発明は、更に、フラビウイルス感染又はその等価物によるフラビウイルス特異的抗体(IgA)を検出することによる医療用診断キット及び血清検査(sero-evaluation)を提供する。最も好ましくは、本発明はデングウイルスに関する。
フラビウイルス科(Flaviviridae)ファミリーは、ヒトに疾患を引き起こし、一般にカ(蚊)及びマダニによって感染する無数のウイルスを含む。フラビウイルス属(Flavivirus genus)は、それらの対応する疾患に関与する黄熱ウイルス(YF)、デング熱(DF)ウイルス、ウエストナイル(WN)ウイルス及び日本脳炎(JE)ウイルスを含む多くのウイルスを含む。
デング熱は、世界中の熱帯及び亜熱帯地域の主に都市部及び都市近郊部を襲う主要なウイルス病の1つである。(DF)及びそのより重度な状態であるデング出血熱(DHF)及びデングショック症候群(DSS)は重要な公衆衛生問題である。
デングウイルスはプラス鎖被包性(encapsulated)RNAウイルスである。ゲノムRNAの長さはおおよそ11kbであり、ヌクレオカプシド又はコアタンパク質(C)、膜結合型タンパク質(M)、エンベロープタンパク質(E)をコードする3つの構造タンパク質遺伝子及び7つの非構造(NS)タンパク質遺伝子からなる。デングウイルスのみならず他のフラビウイルスの遺伝子配列は5'-C-prM(M)-E-NS1-NS2A-NS2B-NS3-NS4A-NS4B-NS5-3'である。4つの異なる血清型である、血清型1〜4が存在する。感染は同種血清型に対して生涯防御免疫を誘導するが、他の3つの血清型によるその後の感染に対しては部分的かつ一過性の防御を付与するに過ぎない。それよりも、二次感染又は、種々のデングウイルス血清型による二次感染もしくは多重感染が、抗体依存性感染増強によるDHF及びDSSに対する主要な危険因子であることが一般に認められている。DHFの病因に重要であると考えられてきた他の因子は、ウイルス毒性、宿主の遺伝的背景、T細胞活性化、ウイルス負荷量及び自己抗体である。デング熱が風土病である国々では最も効率的なデングウイルスカ媒介動物であるネッタイシマカ(Aedes aegypti)を根絶するための試みは成功しておらず、デング熱の制御は有効なワクチンが開発されて初めて可能になると考えられる。現在、有効なワクチンは認可されていない。
特定のウイルス、ウイルス抗原、ゲノム配列及び/又は抗体の検出により、デングウイルス感染の実験室診断ができる。現在、デングウイルス感染の診断のために大部分の研究室で用いられている3つの基本的方法は、ウイルスの分離及び解析、核酸増幅検査法アッセイによるゲノム配列の検出ならびにデングウイルス特異的抗体の検出である。発病後、ウイルスは、おおよそ発熱期間に対応するおおよそ2〜7日間、血清又は血漿、循環血球及び選択された組織、特に免疫系の組織中に見いだされる。
デングウイルス感染患者において、感染個体の免疫状態に応じて、一次及び二次抗体反応の2つのパターンの血清学的反応を観察することができる。一次抗体反応は、フラビウイルスのデング又は他のメンバーに免疫になっていない個体において見られる。二次抗体反応は、以前にデング又はフラビウイルス感染を受けた個体において見られる。急性期及び回復期血清に関して、捕捉免疫グロブリンM(IgM)及びIgGエンザイムイムノアッセイ(ELISA)に基づく抗体の血清学的検出は、一次及び二次デングウイルス感染の検出及び区別のための新基準となった。このことは重要である。なぜなら、一次と二次又は多重デングウイルス感染の検出及び区別のための高感度で信頼性のあるアッセイは、疫学、病理学、臨床及び免疫学的検査のデータの分析に重要だからである。
血清学による急性期血清試料中の抗原の検出に向けての進歩は、二次感染患者が既存のウイルス-IgG抗体免疫複合体を有するため、二次感染患者のアッセイの感度が低いため遅かった。しかしながら、エンベロープ膜(E/M)抗原(denKEYキット; Globio Co., Beverly, Mass.)及びNS1抗原に対するELISA及びドットブロットアッセイを用いた最近の研究は、発病後9日間までのデングウイルス一次感染患者及びデングウイルス二次感染患者の両方の急性期血清において、免疫複合体の形態での高濃度のE/M及びNS1抗原を検出できることを明らかにした。Korakaら(2003)は、最近、急性デングウイルス感染患者における免疫複合体解離NS1抗原のドットブロットイムノアッセイによる検出に関して報告し、RT-PCR及びdenKEYキットを用いて得られた数と比較して、デングウイルス一次及び二次感染患者からの非解離及び解離血清及び血漿サンプルの両方におけるドットブロットイムノアッセイによるNS1抗原検出により最も多いデング抗原陽性患者数が得られると結論した。
デングウイルス感染の血清学的診断は、以下の理由によりかなり複雑である:(i)交差防御を発揮する中和抗体の欠如により、患者は4つのデングウイルス血清型による多重及び遂次感染を有する可能性がある;(ii)2以上のフラビウイルスが同時に流布している地方において、多重及び遂次フラビウイルス感染は、既存の抗体の存在及び抗原原罪説(最初のフラビウイルス感染に応答した多くのB-細胞クローンは、その後のフラビウイルス感染のそれぞれにおいて、現在の感染ウイルスよりも最初の感染ウイルスに対するより大きな親和性を有する初期抗体を合成するように再刺激される)により、鑑別診断を困難にする;(iii)IgG抗体は、同種及び異種フラビウイルス抗原に対して高い交差反応性を有する;そして(iv)多くのデング二次感染患者において、IgG抗体の長期の持続性(E/M特異的捕捉IgG ELISAで測定するとき10ヶ月、あるいはE/M抗原コート間接IgG ELISAで測定するとき生涯)により、過去、最近及び現在のデングウイルス感染の血清診断は困難である。従って、血清学により診断できるウイルス感染の中で、デングウイルス感染が最も難しい。
赤血球凝集阻止(HI)反応、中和試験、間接蛍光抗体法、ELISA、補体結合、ドットブロット法、ウェスタンブロット法及び迅速免疫クロマトグラフィーを含む、デングウイルス特異的抗体の血清学的検出に関する多くの方法が記載されてきた。これらの中で、捕捉IgM及び/又はIgG ELISA、抗原コート間接IgM及び/又はIgG ELISAならびにHI反応が、デングウイルス感染のルーチン診断に最も一般に用いられる血清学的方法である。従来は、デングウイルスの一次及び二次感染を検出し、区別するために、その容易さ、感度及び再現性によりHI反応が用いられた。患者血清のHI反応力価が1:2,560以上の場合、患者はデングウイルス二次感染を有するとして分類され、HI反応力価が1:2,560未満の場合、患者はデングウイルス一次感染を有するとして分類される。HI反応の固有の不都合により、HI反応はあまり一般的ではなくなり、徐々にE/M特異的捕捉IgM及びIgG ELISAに置き換えられつつある。
免疫クロマトグラフィーの原理を用いる多くの迅速試験キットが市販されている。これらのキットの大部分は、ヒト全血、血清又は血漿中の、デングウイルスに対するIgM及びIgG抗体を5〜30分以内に同時に検出できる。これらのキットのあるものは、デングウイルス一次及び二次感染を区別することができると主張しているが、このことは必ずしも信頼できるとは限らない。これらのキットは、E/M特異的捕捉IgM及びIgG ELISAの結果と比較して、一般にIgG検出に対してはより高い感度を有し、IgM検出及び種々の特異性に対してはより低い感度を有することが明らかとなった。これらの迅速試験キットは容易な作業及び結果の迅速な提供の利点を有するが、せいぜい病院における臨床医のためのスクリーニング検査として役立つ程度であろう。
一部の研究者によってデングウイルス特異的IgA及びIgE抗体反応が報告されている。(Talarminら、1998)は、デングウイルス感染の診断のためのIgA及びIgM特異的捕捉ELISAの使用を報告した。IgMは、IgA(約40日間)よりもより迅速に出現し、より長期(2〜3ヶ月間)に持続することが明らかにされた。捕捉IgA ELISAは捕捉IgM ELISAと共に実施でき、DFの血清学を解釈するのに役立つことができる簡単な方法であると彼らは結論した。つい最近、Balmasedaら(2003)は、血清及び唾液中の特異的IgM及びIgA抗体の検出について報告した。血清中のデングウイルス特異的IgAは、その高い性能により、唾液と比較して、診断標的としてのより優れた潜在性を有すると彼らが結論した。本発明は、先行技術の問題の一部を解消する、フラビウイルス感染に対するIgAの検出のための効果的で高感度な検出法を提供する。
発明の概要
本発明の第1の側面は、フラビウイルス又はその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための方法であって、
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
複合体中の結合パートナーを抗IgA抗体で特徴付けることを含む前記方法を提供する。 この方法は、生体試料中でIgAのみを同定する。
本発明の他の側面は、フラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を検出するための方法であって、
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
複合体中の結合パートナーを特徴付け;
結合パートナーをフラビウイルスへの暴露に関連付けることを含む前記方法を提供する。
本発明は、現在又は最近より前のフラビウイルスへの暴露を測定するための迅速、低コストで簡単なアッセイを開発する必要性に由来する。本発明は、好ましくは細胞溶解物からのフラビウイルス特異的免疫原性成分の免疫精製のために抗体を用い、それによって、結果として、フラビウイルス感染患者の血清又は唾液などの生体試料からの抗デングIgAとして同定される結合パートナーが捕捉される。
よって、本発明は、特にフラビウイルス感染初期にフラビウイルスウイルス又はその免疫学的類縁物質に対して産生される抗体(IgA)を同定することができるプラットフォームを提供することにより、他の従来及び最も最近使われているデング捕捉IgM ELISAと比較してより優れた特異性と感度を示す。最も好ましくは、本方法はデングウイルス感染を確認する。
本発明の他の側面において、フラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を検出するための方法に使用する固体担体であって、前記方法が、
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物又はその等価物とを接触させ;
生体試料中に存在する結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
場合により、複合体中の結合パートナーを特徴付けて、結合パートナーをフラビウイルスへの暴露に関連付けること;
を含み、前記担体が担体に固定化されたフラビウイルス特異的免疫原性成分を含む前記担体が提供される。
好ましい実施形態において、添加されたフラビウイルス又はその等価物由来のフラビウイルス抗原であらかじめコーティングしたポリスチレンプレートに生体試料を塗布し、捕捉することができる。好ましくは、抗原又は免疫原性成分は細胞溶解物由来である。ついで、フラビウイルス細胞溶解物の免疫原性成分及び結合パートナーにより形成される複合体を、レポーター基を含み、成分/結合パートナー複合体、より具体的にはIgA結合パートナーに特異的に結合する検出剤を用いて検出することができる。
本発明の更に他の側面は、フラビウイルスもしくはその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための、又はフラビウイルス暴露を検出するためのキットであって、
フラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体;あるいは
第2担体に結合したフラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体;
フラビウイルス特異的免疫原性成分と複合体を形成する生体試料中の結合パートナーを検出するためのレポーター基に結合させた少なくとも1つの検出剤;及び場合により
複合体の結合パートナーを更に同定するための前記キットを使用するための使用説明書を含む前記キットを提供する。
本発明はまた、本発明の方法に使用するキットの個々の構成要素を提供する。
本発明はまた、限定された場所(例えば地理的領域、住宅団地、交通手段、医療センター又は医療評価センター)の範囲内でフラビウイルス又はその等価物に暴露された1以上の被験者の相対危険を評価する方法であって、
限定された場所の範囲内の代表集団から試料を採取し;そして
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し、ここで複合体の存在はフラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を示し;
複合体中の結合パートナーを特徴付けることにより限定された場所の範囲内での暴露の相対危険を評価するステップを含む方法により、フラビウイルス又はその等価物へのサンプル集団の個々のメンバーの暴露の証拠を評価することを含む前記方法として役立つ。
コンピュータ読み取り可能な形式によるソフトウェアを用いて危険分析を行うことができる。従って、本発明は更に、フラビウイルス又はその等価物への被験者もしくは被験者群の暴露又は被験者もしくは被験者群の暴露の危険を分析するのに適したものを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム及びコンピュータに関する。
発明の詳細な説明
本発明の第1の側面は、フラビウイルス又はその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための方法であって、
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
複合体中の結合パートナーを抗IgA抗体で特徴付ける、
ことを含む前記方法を提供する。
この方法は、IgAである生体試料中の結合パートナーの同定に特異的である。フラビウイルス特異的IgAを用いて単離した免疫原性成分の使用により、この方法を更に向上させることができる。よって、免疫原性成分はフラビウイルスIgA特異的免疫原性成分であることができる。IgA特異的免疫原性成分の挿入により、フラビウイルスに特異的な生体試料中のIgAが引き付けられる。
本発明の他の側面において、デングウイルス又はその等価物への被験者の暴露を検出するための方法であって、
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
複合体中の結合パートナーを特徴付け;
結合パートナーとフラビウイルスへの暴露とを関連付ける、
ことを含む前記方法が提供される。
本発明は、好ましくは血液に代わるものとして唾液を対象とする新規抗デングIgA検出技術(ACA-ELISA)を提供する。唾液には、IgG及びIgM(それぞれ1.4mg/100mg及び0.2mg/100ml)と比較して高レベルのIgA(19.9mg/100ml)が含まれる。この技術は、唾液中の抗フラビウイルスIgAを検出することに関して血清と比較してより優れた性能を示し、分子基盤のフラビウイルス診断法が利用可能ではない一次医療システムにおいて、初期のフラビウイルス診断法として使用できる。
本発明は、現在又は最近より前のフラビウイルスへの暴露を測定するための迅速、低コストで簡単なアッセイを開発する必要性に由来する。本発明に従って、動物を含む被験者、例えば哺乳動物及び特にヒトは、結合パートナー、好ましくはフラビウイルス又はその等価物に対するIgAの存在を検査される。好ましい結合パートナーは被験者由来結合パートナーであり、限定するものではないが免疫相互作用分子(immunointeractive molecule)である。最も免疫相互作用の強い分子は抗体であり、特に免疫グロブリンA(IgA)である。ついで、このような結合パートナーの同定は、フラビウイルス又はその等価物への被験者の現在又は最近より前の暴露の証拠として用いられる。
本発明は特に、好ましくは、フラビウイルスウイルス感染を示す他の抗原の中でフラビウイルス粒子を含むフラビウイルス免疫原性成分の混合物を含むフラビウイルス感染細胞溶解物からの抗原を捕捉するための抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いる。本発明において、細胞溶解物は、好ましくはウイルス粒子ならびに構造及び非構造ウイルスタンパク質の両方を含むフラビウイルス免疫原の混合物を含む。好ましくは、フラビウイルス免疫原は生体試料中の結合パートナーに対する免疫学的反応を誘発することができる溶解物の免疫原性成分である。
よって、本発明は、感染初期にフラビウイルス又はその等価物に対して産生される抗体を同定する事ができるプラットフォームを提供することにより、他の従来の及び最も最近使われている抗体捕捉IgA(AAC-ELISA)と比較してより優れた感度及び特異性を示す。
従って、本発明は、好ましくは、フラビウイルス結合パートナー、好ましくは試験血清又は唾液中に存在することができるIgAの特異的検出を可能にするフラビウイルス成分の混合物、好ましくは前述の溶解物の免疫原性成分を含む、フラビウイルスに感染した細胞の溶解物を用いる新規の特異的、迅速で経済的な検出法を提供する。この試験は迅速であり、好ましくは室温(RT)で90分以内に結果が得られる。特異的抗体検出に簡単で便利な技術であることは別にして、本発明の主要な利点の1つは、粗細胞溶解物からのフラビウイルス抗原の精製及び唾液からの抗フラビウイルスIgAの検出のためのフラビウイルス特異的モノクローナル抗体の好ましい使用である。更にまた、本発明は、ヒト血清又は唾液中に存在する抗デングIgAの最大の暴露により試験を高感度にする。
本願の明細書及び請求項を通じて、用語"含む(comprise)"及びその語尾変化形、例えば"含むこと(comprising)"及び"含む(comprises)"の使用は、他の添加剤、成分、整数又は工程を排除しないものとする。
フラビウイルス
本明細書及び請求項において、用語"フラビウイルス(flaviviruses)"又は"フラビウイルス(flavivirus)"は、ヒトに疾患を引き起こし、一般にカ及びマダニなどの節足動物によって感染する、フラビウイルス属を含むフラビウイルスのフラビウイルス科ファミリーを含む。このウイルスは、限定するものではないがYF、DF及びJEなどの疾患に関与する。この属を構成するフラビウイルスの種は、ヌクレオチド及びアミノ酸配列レベルで配列の保存が認められている。フラビウイルスの属に含まれるウイルスは、限定するものではないがYFウイルス、デングウイルス、WNウイルス及びJEウイルスを含む。ヌクレオチド及びアミノ酸レベルにおける類似性により、これらのウイルスは抗原性、感染及び疾患において類似性を示す可能性がある。最も好ましくは、本発明のフラビウイルスはデングウイルスである。
デングウイルス
本明細書及び請求項で用いられる用語"デングウイルス"は、デング感染と関連するすべてのデング血清型(Den-1、Den-2、Den-3及びDen-4)のことを言う。好ましくは、本発明は、ヒト、非ヒト動物及び実験動物を含む任意の被験者におけるデングウイルス感染又は暴露を検出するために適用できる。しかしながら、本発明に従ってヒト被験者が好ましい。しかしながら、本発明は、デングウイルス又はその等価物による感染又は免疫感作に感受性を有しうる任意の被験者を含む。
デングウイルスは、直径約40〜50nmのエンベロープ粒子からなる1群のヒトRNAウイルスとして定義される。このウイルスゲノムはおおよそ11kbである(Stollarら(1966))。成熟ビリオンは等軸のヌクレオカプシドにより囲まれるプラスセンスRNAゲノムからなる。このゲノムは、3つの構造タンパク質(C-カプシド、M-膜及びE-エンベロープ)及び7つの非構造タンパク質(NS1、NS2a及びNS2b、NS3、NS4a及びNS4b、NS5)をコードする、約11000ヌクレオチドの1つのオープンリーディングフレームをコードする。
デングウイルスは、感染した雌Aedesカ、主にネッタイシマカ(A. aegypti)の咬傷を介してヒトに感染する。このカは、バケツ、花瓶及び他の水容器などの水を保持することができる家の周辺に見られる人工の容器中にその卵を産み付けるのを好む、小さく、白黒まだらの高度に家畜化された熱帯のカである。カの成虫は、屋外ではほとんど見当たらない。彼らは通例室内の暗い場所に休んでいて目立たず、日中にヒト又は動物を刺咬することを好み、大部分の刺咬活動は早朝か夕方近くに行われる(Gublerら、1992; Newtonら、1992)。この雌カは神経質な食い手であり、宿主のほんのわずかな動きにも摂食活動を停止し、そうして同一又は異なる宿主に戻り、摂食を続ける。この行動の故に、1回の血液の食事の間に、カはしばしば数人から摂食し、感染性であれば複数の人間にウイルスを移す可能性がある(Platt et al, 1997; Scottら、1997)。デング疾患は主に小児に見られるという疫学的観察を説明するためにこの行動が用いられてきたが、シンガポールのような特定の場所においては、媒介動物制圧への適合によりこれを変えることができた(Ooiら、2001)。
感染性雌カの刺咬に続いて、ウイルスは3〜14日間(平均4〜7日間)の内在性潜伏期を経験し、その後ヒトは他の非特異的徴候及び症状を伴った発熱の急性発症を経験する可能性がある。このウイルス血症期間中(2〜7日間の可能性がある)、ウイルスは感染したヒトの血液中を循環する。もし感染していないAedesカがこのウイルス血症期間中に宿主から摂食すれば、このカは10〜12日間の必須の体外潜伏期の後に感染する。これは、続いて他の感染していない宿主にウイルスを感染させることができるだろう。この感染サイクルにおいて、ヒトはこのウイルスの主要な増幅宿主であるが、サルは感染することができ、おそらくはウイルス増幅の手段として役立つと考えられることが研究により示されている(Putnamら、1995; Gublerら、1976; WHO, Fact sheets, 2002)。
デングウイルス感染は、感染ウイルス、宿主の年齢及び免疫学的状態に応じて、ヒトの種々の疾患の原因となる。デングウイルス感染は、無症候性疾患又は鑑別不能インフルエンザ様疾患(ウイルス症候群)からDF、DHF及び重篤な致死性DSSまでの範囲を引き起こす可能性がある(Nimmannitya, 1993: WHO, 1997)。
世界保健機関は、DHFの重篤度分類基準を定めた。4段階の重篤度があり、そのうちグレードIII及びグレードIVがDSSと見なされる。
グレードI:非特異的全身症状を伴う発熱。唯一の出血症状は止血帯テスト(tourniquet test)陽性及び又はあざができやすいことである。
グレードII:グレードIの症状に加えて、皮膚の自発的出血又は他の出血。
グレードIII:早く弱い脈、かぜの存在を伴う脈圧低下又は低血圧、じっとりした皮膚及び情動不安が現れる循環障害。
グレードIV:測定不能な血圧又は脈拍を伴う激しいショック(WHO, 1997)。
古典的DFは、年長児、青年期の人及び成人に多く見られ、彼らは無症候性である可能性は低い(Sharpら、1995)。その発症において突然発熱し、強い発熱、頭痛、体の自由を奪う筋肉痛及び関節痛、吐き気嘔吐及び斑状又は斑丘疹性発疹を伴う(Waterman, 1989)。発熱は通例5〜7日間続き、時に2相性の経過(鞍形の外観)をたどることがある(Nimmannitya, 1993)。
DHFは主として15歳未満の年少児の疾患であるが、成人が罹患する場合もあり、主に二次デング感染と関連している(Sumarmoら、1983; WHO)。DHFの危険な段階は下熱時にあり、体温が正常になるときである。この時期における疾患の重症度を決定する主要な因子は、血管透過性亢進及びホメオスタシス異常による血漿漏出ならびに溢血点、紫斑性病変及び斑状出血などの他の一般の出血症状である。これらの症状に止血帯テスト陽性を加えたものはDHFの正確な診断に有用である(Gubler DJ., 1998)。
DSSはDHFの末期であり、血漿漏出による循環血液量減少性ショックにより明らかとなる(WHO, 1997)。DSSには4つの危険信号がある:持続性の腹痛、持続性嘔吐、情動不安又は嗜眠ならびに、発汗及び衰弱を伴う発熱から低体温への急激な変化。経験を積んだ病院スタッフによる早期認識及び適切な治療によりDSSの致死率を0.2%まで下げることができるが、ひとたびショックが始まれば、致死率は40%を超える恐れがある(Nimmannitya, 1994; Rigau-Perez JGら、1998)。
ウイルスの表面に露出した最大かつ唯一の構造タンパク質であるEタンパク質は、受容体結合、赤血球凝集反応及び中和などの免疫反応に関与する主要なタンパク質である。血清型の1つによるヒトへの感染は、その血清型には生涯免疫を与えるが、他の血清型に対しては一過性の防御を与えるに過ぎない。
同様にヌクレオプラスミドはエンベロープ及び膜タンパク質を含む脂質により囲まれている。エンベロープ及びカプシドタンパク質に加えて、デングウイルスは7つの非構造タンパク質NS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b及びNS5を有する。
等価物
本明細書に用いられ、フラビウイルスウイルスに適用されている用語"等価物"は、フラビウイルス又はフラビウイルスの構造もしくは非構造タンパク質が誘発できる反応と同じ又は同様な反応を誘発することができる類似の分子を含むものとする。例えば、種々の感染期のフラビウイルスにより発現された種々の抗原又は種々のウイルス粒子もしくはフラグメントは、全ウイルスが引き起こすものと同様な効果をもたらすことができる。反応は免疫学的反応(非臨床効果)であることもでき、あるいは反応は感染反応(臨床効果)であるか又はワクチン接種によるものであることもできる。
暴露
本発明は、フラビウイルス又はその等価物への暴露を検出するのに適用できる。暴露は、現在又は過去のフラビウイルス又はその等価物への暴露であることができる。好ましくは、暴露は、フラビウイルス又はその等価物に応じた結合パートナーを誘導するために体内で免疫反応又は応答を誘発するのに十分である。被験者が暴露された時点で、前述のように任意の暴露期において本発明の方法を適用できる。好ましくは、本方法は、フラビウイルス感染が明白な徴候及び症状がない場合において、暴露を検出するために用いられる。好ましくは、本方法は、二次感染の初期急性期又は一次感染もしくはワクチン接種のフラビウイルス又はその等価物への暴露の後期回復期におけるフラビウイルス感染期の被験者の暴露を検出する。暴露は、必ずしもフラビウイルス感染又は注目に値する徴候もしくは症状を発症できるとは限らないが、結合パートナーを誘導するための反応を引き起こす。好ましくは、反応は免疫学的反応である。
被験者はフラビウイルスに暴露された可能性があるが、感染の肉眼的症状を示す必要はない。本方法は、感染を引き起こす可能性のある暴露を検出するか、又は症状が現れていない過去の暴露を示すことができる。
免疫反応又は免疫学的反応
"免疫反応"又は"免疫学的反応"は、体内で異物として認識される侵入病原体及び抗原に対して特異的抗体又は抗体フラグメント及び/又は細胞障害性細胞が産生される、脊椎動物の免疫系により起こされる選択的反応であると理解される。
結合パートナー
結合パートナーは、異物のデングウイルス又はその等価物に対して産生される任意の分子又は細胞である。好ましくは、結合パートナーは抗体もしくは免疫学的に活性なそのフラグメント又は細胞障害性細胞である。結合パートナーは、フラビウイルス抗原又は等価物と相互作用することができる免疫相互作用分子を含み、好ましくは結合パートナーはIgA分子である。
本明細書に記載のように、好ましい結合パートナーは免疫相互作用分子であり、好ましくは抗原結合部分又はその誘導体を含む任意の分子のことを言う。好ましくは、免疫相互作用分子は、フラビウイルスウイルス感染又は暴露の被験者における液性反応中に産生されたフラビウイルスタンパク質の任意の部分に対する抗体である。
本明細書に記載のように、好ましい結合パートナーは、フラビウイルス又は関連ウイルス成分に対して被験者において産生される抗体である。しかしながら、標的抗体の結合パートナーもまた使用できる。このような結合パートナーの例は、抗イディオタイプ抗体又は、フラビウイルスもしくは関連ウイルス成分に特異的な被験者抗体に特異的で識別力のある抗体である。
本明細書において、"抗イディオタイプ抗体"は、フラビウイルス又はその免疫学的類縁物質由来の成分への暴露に応じて生じた他の抗体の特異的抗原結合部位に結合する抗体である。
本明細書において、用語"抗体(antibody)"又は"抗体(antibodies)"は、全抗体及びその機能的部分を含む抗体フラグメントを含む。用語"抗体"は、全長抗体が結合特異性を有するエピトープへの結合をもたらすL鎖可変領域及び/又はH鎖可変領域の十分な部分を含む任意の単一特異性又は2重特異性化合物を含む。前記フラグメントは、少なくとも1つのH鎖又はL鎖免疫グロブリンポリペプチドの可変領域を含むことができ、限定するものではないが、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント及びFvフラグメントを含む。
好ましくは、結合パートナーは抗体である。より好ましくは、結合パートナーはフラビウイルスIgA分子又はデングIgA分子である。
生体試料
本発明の方法は、ウイルスに暴露された可能性のある被験者から得られた生体試料に使用により、フラビウイルス又はその等価物への暴露を検出する。生体試料は、結合パートナーを含む可能性のある生体からの任意の試料であることができる。このような生体試料は、血液、唾液、脊髄液、B細胞、T細胞、血漿、血清、尿及び羊水を含む群から選択されることができる。好ましくは、生体試料は血清又は血漿である。最も好ましくは、生体試料は血清又は唾液である。
生体試料は、フラビウイルスへの暴露が疑われる被験者から得られることもまた好ましい。生体試料はまた、希釈、種々の分画の精製、遠心分離などにより、使用前に改変されることもできる。よって、生体試料は、全生物又はその組織、細胞もしくは成分部分のサブセット又は分画又はその部分から調製されるホモジネート、溶解物又は抽出物のことを言うことができる。
生体試料はまた、フラビウイルス又はその等価物と相互作用することができる結合パートナーを欠いていることができることに留意すべきである。このことは、被験者がフラビウイルス又はその等価物に暴露されていない場合に生じる。従って、結合パートナーの非存在下では複合体を形成できないので、"生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定すること"は、ゼロ結果を与えうる。生体試料中の結合パートナーと競合するように設計されたモノクローナル抗体などのフラビウイルス特異的免疫物質を用いて制御を行うことができる。
ある成分、好ましくは免疫原性成分又はその免疫学的類縁物質と接触して置かれている生体試料への言及は、生体試料の1以上の免疫相互作用分子とある成分、好ましくはフラビウイルス又はその等価物での細胞の感染由来の細胞溶解物の成分との相互作用を容易にする任意の方法への言及と理解されるべきである。相互作用は、免疫相互作用分子と、フラビウイルス又はその等価物に感染した細胞由来の溶解物の特異的免疫原性成分との間のカップリング又は結合あるいは会合が生じうるようなものであるべきである。
生体試料は、好ましくはフラビウイルス又はその等価物に感染した細胞の溶解物由来の、フラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物と接触される。溶解物は、その増殖の任意の期におけるフラビウイルスにより提供されうるウイルス免疫原性成分を提供する。フラビウイルス感染の初期回復期において、抗体、好ましくは以前のデング感染由来のIgAは、二次又は一次フラビウイルス感染のいずれかのしるしの1つであり、それとフラビウイルス特異的免疫原性成分、好ましくは溶解物の免疫学的成分の間の複合体の形成によりこれは検出できる。
細胞溶解物
本発明に用いられる溶解物は、好ましくはフラビウイルス特異的モノクローナル抗体を用いる免疫精製により精製される。重要なことに、溶解物は、フラビウイルス又はその等価物により感染された細胞由来の成分の混合物である。溶解物はフラビウイルス特異的免疫原性成分の好ましい供給元である。しかしながら、これらの成分は他の手段によって誘導することができる。溶解物はウイルスによって産生される最も初期の抗原を提供でき、これはIgA応答を誘発する事ができるので、細胞溶解物が最も便利である。
被験者がフラビウイルスに暴露されるとき、生体は最初にウイルスを除去するために反応する。これにより、一般にフラビウイルス又はその等価物により提示される多量の抗原に対する免疫学的反応として現れる一連の事象が引き起こされる。
本発明の溶解物は、フラビウイルス又はその等価物に感染した細胞の任意の供給元から得ることができる。好ましくは、細胞はin vivo培養物中でフラビウイルス又はその等価物に感染した細胞である。
任意のタイプの細胞を感染させることができる。好ましくは、細胞型はフラビウイルスの感染及び培養が可能である。しかしながら、限定するものではないが、一般に入手可能な継代細胞株(例えばVero細胞(Vero-PM株)、CV-1細胞、LLC-MK2、C6/36及びAP-61細胞)、初代細胞株、例えばRhesus胎児肺(FRhL-2)細胞、BSC-1細胞及びMRC-5細胞又はヒト2倍体線維芽細胞を含む、高力価のフラビウイルスを産生することができる細胞が本発明の方法に従って感染されることが好ましい。細胞型の組み合わせもまた本発明により想定される。C6/36又はAP-61細胞はフラビウイルス又はその等価物に感染される。最も好ましくは、細胞型はC6/36である。
細胞は、任意の期間、好ましくはフラビウイルスが細胞に定着し感染するのを可能にする期間培養されることができる。より好ましくは、細胞は、細胞変性効果が細胞培養物に明らかとなり、それによって細胞におけるウイルスの活動性感染が示されるまで培養される。
この時点で、当業者に利用可能な任意の方法で細胞を溶解することができる。一般に、溶解緩衝液がフラビウイルス又はその等価物の免疫原に影響を与えないが、生ウイルス粒子は不活性化するという場合には、トリトンXなどの界面活性剤を含む低張緩衝液の使用を用いることができる。
当然のことながら、溶解物は、構造及び非構造ウイルス抗原ばかりでなく全ウイルス粒子を含むウイルス免疫原性成分の混合物を含有する。デングウイルスに関しては、これらはDEN1、2、3又は4を含む群から選択することができる。本発明は、フラビウイルス又はその等価物への暴露に応じて生体試料中に生じた結合パートナーの混合物により抗原の混合物を提供することを目指す。
好ましくは、フラビウイルスはデングウイルスである。
より好ましくは、フラビウイルス又はデング特異的免疫原性成分は、フラビウイルス又はデングウイルスの構造又は非構造タンパク質である。より好ましくは、構造タンパク質はC-カプシド、M-膜及びE-エンベロープタンパク質を含む群から選択され、これらは抗フラビウイルスIgAにより捕捉されることができる。より好ましくは、デングの非構造タンパク質はNS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b及びNS5を含む群から選択される。
溶解物は任意の方法で加工することができる。好ましくは、溶解物は細胞核及び細胞壊死物質及び全フラビウイルス粒子を除去するために清澄化される。将来使うために、溶解物を等分し-80℃で保存する事ができる。
デングウイルスの以前の方法のためには、デングウイルス感染を示す抗体を検出するために、特異的デング抗原DEN1、2、3及び4(デングウイルス感染細胞の上清に存在する)を用いた。しかしながら、本発明はこれらの抗原ばかりでなく、フラビウイルス分子/免疫原の混合物(フラビウイルス感染細胞中に存在する;フラビウイルス粒子及び他の免疫学的成分、好ましくは構造及び非構造タンパク質を含むことができる)を用い、これに対してフラビウイルス暴露の過程で抗体が発現する。
フラビウイルス特異的免疫原性成分は、好ましくは溶解物由来であり、溶解物のウイルス免疫原性成分と生体試料中に含まれる結合パートナーとの間で複合体を形成できるように生体試料が接触される。好ましくは、限定するものではないが抗デングIgAにより捕捉される構造及び非構造タンパク質の免疫原を含むフラビウイルス粒子の免疫原は、結合パートナーと複合体を形成する。好ましくは、特異的結合パートナーは生体試料由来の抗体又はそのフラグメントである。これらは被験者がデングウイルスに暴露された/免疫感作されたときにのみ存在する。
複合体形成
複合体は、抗体、好ましくはデングウイルス又はその等価物に対するIgAとフラビウイルス特異的/又は反応性免疫原性成分との間で形成される。
本発明の方法及びキットは、複合体を形成し、フラビウイルス感染を示す成分及び結合パートナーを検出することを目指す。これらの成分及び結合パートナーはフラビウイルス感染の過程で生じる。
複合体は、フラビウイルス又はその等価物由来の1以上の成分に結合されている1以上の結合パートナーを含むことができる。しかしながら、すべてフラビウイルス特異的IgAとは限らない。IgG及びIgMなどの他の分子もまた結合できる。
生体試料は、フラビウイルス又はその等価物由来の成分と、複合体の安定な形成を可能にするのに十分な期間と条件で接触させるか、あるいは、特異的モノクローナル抗体(Mab)などの競合的免疫物質の接着を阻害する。
フラビウイルス特異的免疫原性成分及び生体試料は、前記成分と生体試料内に存在する結合パートナーとの間で複合体が形成できるように接触される。好ましくは、フラビウイルスに特異的なエピトープを有する抗フラビウイルスIgAにより好ましくは捕捉される、限定されない構造及び非構造タンパク質の免疫原を含むフラビウイルス粒子の免疫原は、結合パートナー又は、特異的IgAなどの競合フラビウイルス特異的免疫物質のいずれかと複合体を形成する。好ましくは、特異的結合パートナーは生体試料中に存在する抗体又はそのフラグメントである。これらは、被験者がフラビウイルスに暴露された/免疫感作されたときにのみ存在する。
好ましくは、ある抗体、好ましくはフラビウイルス属又はその等価物のメンバーに特異的なIgAと抗フラビウイルスIgA捕捉フラビウイルスウイルス成分との間で複合体が形成される。次いでこれは試料中のフラビウイルス特異的IgAを示し、従って最近又は過去の暴露を示す。
競合フラビウイルス又はメンバー特異的免疫物質は、同様に、同じエピトープが前記成分に遊離で残っていれば、前記成分と複合体を形成する。結合パートナーと免疫物質が同じエピトープに特異的な場合、結合パートナーの存在及びフラビウイルスへの過去の暴露のしるしとして現れる競合が生じる。
本発明の好ましい方法は、フラビウイルス特異的結合パートナー、好ましくは抗フラビウイルスIgAを用いて捕捉されるフラビウイルス又はその等価物に感染した細胞由来の細胞溶解物中に存在するフラビウイルス抗原の成分に特異的な生体試料中に存在するIgAの検出を頼りにする。複合体はフラビウイルス又はその等価物由来の1以上の成分に結合されている1以上の結合パートナーを含むことができる。しかしながら、本発明において過去の暴露を示すのは、複合体に結合されているIgAの同定である。
結合した時点で、競合フラビウイルス特異的免疫物質を添加することができる。従って、免疫物質の添加の前に結合剤とフラビウイルス特異的免疫原性成分の複合体を形成させる場合、プレインキュベーションステップを入れることが好ましい。しかしながら、これらの成分を同時に加えることもできる。
フラビウイルス特異的IgAの検出のための担体
よって、本発明の他の側面において、フラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を検出するための方法に使用する固体担体であって、前記方法が、被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物又はその等価物とを接触させ;
生体試料中に存在する結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し;
場合により、複合体中の結合パートナーを特徴付けて、結合パートナーをフラビウイルスへの暴露に関連付けること;
を含み、前記担体が担体に固定化されたフラビウイルス特異的免疫原性成分を含む前記担体が提供される。
固体担体は、結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分を結合させることができる当業者に公知の任意の材料であることができる。例えば、固体担体はマイクロタイタープレートの試験ウェル又はニトロセルロースもしくは他の適切な膜であることができる。また、担体はガラス、ファイバーグラス、ラテックス又はプラスチック材料、例えばポリスチレン又はポリ塩化ビニルなどのビーズ又はディスクであることができる。担体はまた、磁性粒子又は光ファイバーセンサー、例えば米国特許第5,359,681号などに公開されているものであることができる。
特許及び科学文献に十分に記載されている当該技術分野に公知の種々の技術を用いて、結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分を固体担体に固定化することができる。本発明においては、用語"固定化"は、吸着などの免疫吸着又は非共有会合ならびに共有結合(抗原又はヌクレオチドと担体上の官能基との直接結合であることもでき、架橋剤による結合であることもできる)のことをいう。マイクロタイタープレートのウェル又は膜への吸着による固定化が好ましい。これらの場合において、適切な緩衝液中の結合パートナー又は細胞溶解物成分と固体担体とを適切な時間接触させることにより吸着を達成できる。接触時間は温度によって異なるが、一般的には約1時間及び終夜である。
結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分の固体担体への共有結合はまた、一般に最初に担体及び結合パートナー又は細胞溶解物の成分のヒドロキシル又はアミノ基などの官能基の両方に反応する二官能性試薬と担体を反応させることにより達成できる。例えば、ベンゾキノンを用いて、あるいは担体上のアルデヒド基と成分のアミン及び活性水素との縮合により、適切なポリマーコーティングを有する担体に結合パートナー又は成分を共有結合させることができる(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook, 1991, at A12-A13 を参照のこと)。
複合体の結合パートナーの検出、解析及び同定
ついで、複合体の安定な形成を可能にするのに十分な期間と条件で、フラビウイルス又はその等価物由来のフラビウイルス特異的免疫原性成分を生体試料と接触させる。複合体が形成された時点で、フラビウイルス特異的免疫原性成分に対する複合体中の結合パートナーの特異的結合の検出を容易にするために、検出系が添加される。
フラビウイルス又はその等価物由来の成分と、免疫反応性分子などの被験者由来の結合パートナーとの間の複合体の検出は、当業者に公知の任意の便利な方法に基づくことができる。
複合体を形成し、生体試料中でフラビウイルス感染を示す成分及び結合パートナーを検出するための有用な方法は、限定するものではないが免疫学的アッセイ、例えば免疫ブロット、免疫細胞化学、免疫組織化学もしくは抗体アフィニティークロマトグラフィー、ウェスタンブロット分析又はこれらもしくは他の技術、例えば当該技術分野で公知の技術の変形もしくは組み合わせを含むことが考えられる。
一般に、複合体を形成し、フラビウイルス感染を示す成分及び結合パートナーは、当業者に利用可能な任意の手段によって被験者から得た生体試料で検出することができる。好ましい実施形態において、検出の方法は、前記複合体及び結合パートナーの検出を可能にする、酵素に結合した特異的MAb及び抗MAbなどのさらなる検出剤を用いる。
好ましい実施形態において、本明細書に記載の方法は、生体試料の結合パートナーが吸着/結合することができるポリスチレン又はニトロセルロース膜などの固体担体に固定化されている、フラビウイルス又はその等価物に感染した細胞由来の細胞溶解物又はそれらの精製成分(本明細書においては、同義で"成分"又は"細胞溶解物の成分"と呼ぶ)の使用を含む。ついで、レポーター基を含有し、成分/結合パートナー複合体に特異的に結合する検出剤を用いて、細胞溶解物の成分及び結合パートナーにより形成される複合体を検出できる。このような検出剤は、例えば、結合パートナーに特異的に結合する抗体又は他の薬剤、例えば抗免疫グロブリン(すなわち抗体)、タンパク質G、プロテインA又はレクチンを含むことができる。また、フラビウイルス由来の抗原に結合できる検出剤がレポーター基で標識され、生体試料の結合パートナーと組み合わせて細胞溶解物の固定化成分に結合させられる競合アッセイを用いることができる。生体試料の結合パートナーが標識フラビウイルス検出剤の固定化成分への結合を阻害する程度は、生体試料の結合パートナーと固定化成分との反応性を示す。
好ましい実施形態において、検出試薬は生体試料の結合パートナーに結合できる抗体もしくは二次抗体又はそれらの抗原結合性フラグメントである。抗体は当業者に公知の種々の技術のいずれかにより製造できる(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 を参照のこと)。一般に、抗体は、MAbの作製を含む細胞培養技術又は、組換え抗体の産生を可能にするための抗体遺伝子の適切な細菌宿主又は哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションにより製造できる。
検出を容易にするために、複合体に標識に結合させたものであることができる二次抗体を加えることができる。検出可能シグナルを与える一連の標識を用いることができる。標識は、色原体、酵素、触媒、フルオロフォア及び直接視覚標識を含む群から選択できる。直接視覚標識の場合は、金属もしくは非金属コロイド粒子、染料粒子、酵素もしくは基質、有機高分子又はラテックス粒子を使用することができる。標識としての使用に適した多数の酵素が米国特許第4366241号、第4843000号及び第4849338号に開示されている。本発明における適切な酵素標識は、アルカリフォスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼを含み、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。酵素標識は単独で用いることができ、あるいは溶液での第2酵素と組み合わせて用いることができる。本発明においては、西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させた二次抗体(その基質であるDABと反応し、視覚的に検出できる色の変化を生じる)は、好ましくは複合体の検出を達成する。
好ましくは、抗体は抗IgA抗体であり、従って、フラビウイルス特異的免疫原性成分と結合したIgA結合パートナーを検出する。
方法の一般的な記載
本アッセイは、成分が抗体などの固定化結合パートナーに結合できるように、最初に、通常はマイクロタイタープレートのウェルである固体担体に固定化された生体試料の結合パートナーを本明細書に記載のフラビウイルス特異的免疫原性成分に接触させることにより実施できる。また、結合パートナーが固定化成分に結合できるように、フラビウイルス特異的免疫原性成分は固体担体に結合されていることができる。ついで非結合試料が固定化複合体から除去され、検出試薬(好ましくは結合パートナー又はレポーター基を含む成分に結合できる第2抗体)が加えられる。ついで、特異的レポーター基に対する適切な方法を用いて、固体担体に結合されている検出試薬の量が測定される。
より具体的には、前述のように結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分が担体に固定化された時点で、担体上に残された結合部位は、一般的にはブロックされる。任意の適切なブロッキング剤、例えばトリトンX100又はツイーン20(登録商標)(Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo.)のいずれかを添加したウシ血清アルブミン又はスキンミルクなどが当業者に公知である。インキュベーション前に、ヒト血清及びトリトンX100又はツイーン20のいずれかを添加したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの適切な希釈緩衝液で成分又は結合パートナーを希釈することもできる。一般に、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、フラビウイルス特異的免疫原性成分を固定化結合パートナーに結合させる(又は逆もまた同様)のに十分な期間、好ましくは30分である。好ましくは、この接触時間は、結合及び非結合の結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分間でその少なくとも約95%が平衡に達した、結合されたフラビウイルス特異的免疫原性成分上の標的エピトープへの結合レベルを達成するのに十分である。ある期間にわたって生じる結合レベルを測定することにより、平衡に達するのに必要な時間は容易に決定できることは当業者には明らかであろう。室温(RT)において、インキュベーション時間約30〜60分は一般に十分である。
ついで、固体担体を適切な緩衝液、例えば0.05%ツイーン20TM又はツイーン80含有PBSで洗浄することにより、非結合のフラビウイルス特異的免疫原性成分又は結合パートナーを除去できる。ついで、結合パートナーへ結合することができ、レポーター基を有する検出剤を添加できる。検出剤は一般に抗IgA抗体である。好ましいレポーター基は本明細書に記載の基を含む。ついで、結合成分又は結合パートナーを検出するのに十分な時間、固定化結合パートナー-成分複合体と共に検出剤をインキュベートする。一般に、ある時間にわたって生じる結合レベルを測定することにより、適切な時間を決定できる。ついで、非結合検出剤が除去され、結合検出剤がレポーター基を用いて検出される。レポーター基の検出のために用いられる方法は、レポーター基の性質によって左右される。放射性基に関しては、一般にシンチレーション計数又はオートラジオグラフィー法が適切である。染料、発光基、発色酵素及び蛍光基を検出するために、分光法を用いることができる。発色酵素は、限定するものではないが、ペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼを含む。蛍光基は、限定するものではないが、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、テトラメチルローダミン・イソチオシアナート(TRITC)、ローダミン、テキサスレッド(Texas Red)及びフィコエリスリンを含む。他のレポーター基(通常、放射性もしくは蛍光基又は酵素)を結合させたアビジンを用いてビオチンを検出できる。一般に、基質を添加し(一般に特定の時間)、ついで反応生成物の分光分析又は他の分析を行うことにより酵素レポーター基を検出できる。4-クロロ-l-ナフトール(4CN)、ジアミノベンジジン(DAB)、アミノエチルカルバゾール(AEC)、2,2'アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、o-フェニレンジアミン(OPD)及びテトラメチルベンジジン(TMB)からなる薬剤の基から基質を選択できる。
検出剤に2以上のレポーター基を結合させることが望ましい場合もある。一実施形態において、複数のレポーター基が1つの検出剤分子に結合される。他の実施形態において、2以上のタイプのレポーター基を1つの検出剤に結合できる。特定の実施形態が何であれ、種々の方法で2以上のレポーター基を有する検出剤を製造できる。例えば、検出剤に直接に2以上のレポーター基を結合でき、あるいは複数の結合部位を提供できるリンカーを用いることもできる。関連実施形態において、本明細書に記載の方法は、生体試料の結合パートナー又はフラビウイルス特異的免疫原性成分がニトロセルロースなどの膜に固定化されている、フロースルー又はストリップテストフォーマットで行うことができる。フロースルーテストにおいて、例えばフラビウイルス特異的免疫原性成分は、試料が膜を通過するときに固定化結合パートナーに結合することができる。また、生体試料中の結合パートナーは、試料が膜を通過するときに、固定化フラビウイルス特異的免疫原性成分に結合することができる。第2に、標識検出剤は、ついで、検出剤を含む溶液が膜を通過するときに、結合パートナー-成分複合体に結合する。ついで、前述のように、結合検出剤の検出を行うことができる。
ストリップテストフォーマットにおいて、細胞溶解物の成分が結合されている膜の片端が生体試料を含む溶液に浸される。生体試料中の結合パートナーは、検出剤を含む領域を通過し膜に沿って固定化成分の領域まで移動する。固定化結合パートナー-成分複合体の領域における検出剤の濃度は、生体試料中の結合剤の存在を示す。一般的には、その部位における検出試薬の濃度は、視覚的に読み取ることのできる線などの模様を形成する。このような模様の不存在は陰性結果を示す。一般に、上記したフォーマットにおいて、生体試料が、サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分な結合剤レベルを含むとき、膜又はポリスチレンプレートのいずれかに固定化される結合パートナーの量は、視覚的に認識できる模様を生成するように選択される。このような試験は、一般的には、大変少量の生体試料を用いて行うことができる。
ストリップテスト又はディップスティックテストの簡易バージョンにおいて、細胞溶解物の成分は、ニトロセルロース膜などの膜に固定化されることができる。ついで、成分と生体試料中の結合パートナーとの間で複合体を形成させるために、膜のストリップを生体試料にさらすことができる。ついで、検出剤、例えば抗体を用いる前述の任意の手段により複合体を検出できる。ディップスティックテストは、大きな生体試料を用いずに、以前の暴露の迅速表示を提供する事ができる。
本明細書において、"結合"は、複合体が形成される、2つの異なる分子間の非共有会合のことを言う。結合する能力は、例えば、複合体形成の結合定数を測定することにより評価できる。結合定数は、複合体濃度を成分濃度の積で割ったときに得られる値である。本発明においては、一般に、複合体形成の結合定数が約103L/molを超えるとき、2つの化合物は"結合している"という。当該分野で公知の方法を用いて結合定数を測定できる。
本発明の方法及びキットにより考えられる膜は、フラビウイルス又はその等価物由来の結合パートナー又は成分のいずれかが結合できる任意の膜を含む。膜の例は、限定するものではないが、濾紙担体を含むニトロセルロース膜、ポリテトラフルオロエチレンメンブランフィルター、セルロースアセテートメンブランフィルター及び硝酸セルロースメンブランフィルターを含む。最も好ましくは、膜はニトロセルロース膜である。
また、本発明の診断法は、生体マイクロチップを用いる自動分析法を採用することができる。例えば、細胞溶解物の成分でコーティングされたスライドガラスを用いる免疫ブロットを行うために診断キットを構築することができる。この診断キットは、表面にフラビウイルス特異的免疫原性成分が固定化されている生体マイクロチップ、適切な緩衝液、検出可能レベルの結合剤を含む標準化試料及び本明細書に記載の二次検出試薬を含むことができる。
本発明の方法及びキットは、急性感染期又は回復期のいずれかにおいて、フラビウイルス又はそのファミリーもしくはその等価物の任意の特定のメンバーへのヒト又は動物の特定の暴露を検出できる。ここで、"急性感染"は、ウイルスが宿主に感染し、活発に複製している及び/又は発熱、気分の高揚、関節痛及び又は腹痛などの感染と関連する症状を引き起こしている期間のことをいう。"回復期"は、フラビウイルスウイルスが宿主血液中でもはや増殖していないか又は残存しておらず、結合パートナー、例えば限定するものではないが抗体を発現した、フラビウイルス感染サイクルの期のことを言う。本発明の方法及びキットを用いれば、感染患者又は感染既往(単数又は複数)者における結合パートナーの生成後にいつでも暴露を検出できる。
キット
本発明の他の側面において、フラビウイルスもしくはその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための、又はフラビウイルス暴露を検出するためのキットであって、
フラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体;あるいは
第2担体に結合したフラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体;
フラビウイルス特異的免疫原性成分と複合体を形成する生体試料中の結合パートナーを検出するためのレポーター基に結合させた少なくとも1つの検出剤;及び場合により
複合体の結合パートナーを更に同定するための前記キットを使用するための使用説明書を含む前記キットが提供される。
場合により、本方法を実施するための必要に応じて、キットはまたさらなる構成要素、例えば洗浄緩衝液、インキュベーション容器、ブロッキング緩衝液及び使用説明書を含む。
よって本発明は、フラビウイルス又はそのファミリー又はその等価物の任意のメンバーへの被験者の暴露を検出するためのキットを提供する。キットは、生体試料中の結合パートナーが抗デングIgA捕捉フラビウイルスウイルス成分と相互作用するのを可能にし、競合フラビウイルス特異的免疫物質と更に競合できる任意の便利な形態であることができる。生体試料中のIgAなどのフラビウイルス特異的フラビウイルス特異的結合パートナーの存在により、フラビウイルスへの過去の暴露のしるしとして結果が得られる。好ましくは、キットは、フラビウイルス又はその等価物の抗フラビウイルスIgA捕捉成分を受け取るか又は含むように適合させた例えば本明細書記載の固体担体を含む。キットは試薬、検出可能シグナルを出すことができるレポーター分子及び場合により使用説明書を含むこともできる。キットは、個々の構成要素を別々に購入することができるモジュール形式であることができる。
キットは、1以上のメンバーを含むモジュラーキットであって、少なくとも1つのメンバーが、フラビウイルスもしくは等価物又はフラビウイルスもしくはその等価物由来の免疫原性成分を含む細胞溶解物の抗フラビウイルスIgA捕捉フラビウイルス成分を含む固体担体である前記モジュラーキットであることができる。
別の実施形態において、固体担体は1以上の被験者からの1以上のフラビウイルス又はその等価物の1以上の成分の結合パートナーのアレイを含む。
本発明はまた、本発明の方法に使用するキットの個々の構成要素を提供する。本発明は、フラビウイルスへの暴露の検出に使用するフラビウイルスの抗フラビウイルスIgA捕捉成分を含む固体担体を提供する。一実施形態において、本発明は、フラビウイルス又はその等価物の成分を含む、固定化抗フラビウイルスIgA捕捉フラビウイルスウイルス成分又はドットブロット又はディップスティックのいずれかで使用するための、ウイルス抗原を結合するためのポリスチレン96ウェルプレート又はニトロセルロース膜を提供する。好ましくは、プレート又は膜は、フラビウイルス由来のフラビウイルス構造及び非構造タンパク質、フラビウイルス粒子及びそのフラグメント、糖タンパク質、脂質及び炭水化物又はそれらの任意の混合物を含む群から選択される成分を含む。
固体担体はまた、細胞溶解物の成分が固定化されているマイクロタイタープレート、スライドガラス又は生体マイクロチップであることができる。ついで、フラビウイルス暴露を検出するためにこれらの固体担体を生体試料にさらすことができる。好ましくは、ポリスチレンマイクロタイタープレートを用いて、フラビウイルス感染細胞溶解物からの抗フラビウイルスIgAを用いる免疫精製によりフラビウイルス抗原を結合させる。
ニトロセルロース膜の場合は、第2担体は、フラビウイルスの成分を固定化した固体担体の操作を改善するために固体担体を保持するホルダーであることができる。例えば、ニトロセルロース膜は、血清などの生体試料に膜を浸すことを可能にする棒に支えられることができる。少量の生体試料を同時に試験できるので、これはキットの構成要素として有用である。
感染の相対危険の評価
更に他の側面において、本発明はまた、限定された場所(例えば地理的領域、住宅団地、交通手段、医療センター又は医療評価センター)の範囲内でフラビウイルス又はその等価物に暴露された1以上の被験者の相対危険を評価する方法であって、
限定された場所の範囲内の代表集団から試料を採取し;そして
被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させ;
生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定し、ここで複合体の存在はフラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を示し;
複合体中の結合パートナーを特徴付けることにより限定された場所の範囲内での暴露の相対危険を評価するステップを含む方法により、フラビウイルス又はその等価物へのサンプル集団の個々のメンバーの暴露の証拠を評価することを含む前記方法を提供する。
コンピュータ読み取り可能な形式によるソフトウェアを用いて危険分析を行うことができる。従って、本発明は更に、フラビウイルス又はその等価物への被験者もしくは被験者群の暴露又は被験者もしくは被験者群の暴露の危険を分析するのに適したものを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム及びコンピュータに関する。
本発明の方法又は技術は、フラビウイルス又はそのファミリーもしくはその等価物の任意のメンバーにより引き起こされる感染の発生の疫学研究又は血清サーベイランスを可能にする。このような研究は価値ある情報を提供し、フラビウイルス疾患の分野における多面的な研究を促進する。例えば、疫学研究は感染の指標の同定に役立つ。このような情報は、ウイルス発生に関与するウイルス源が源を発する限定された場所の同定を可能にする。
更に、本発明の技術/方法は、大きな実験装置なしで、あるいは野外条件でさえも、フラビウイルス又はその等価物に感染した被験者の迅速な同定又は分離を可能にする。このような情報は、内科的治療を必要とする被験者の同定に役立つばかりでなく、繁殖場所の同定及びその制御などのさらなる研究又は疾患制御アプローチを必要とする場所を明らかにするのに役立つ。更にまた、本発明の技術は、抗フラビウイルス特異的IgAの存在を測定するための感染患者のモニターを可能にする。IgA力価の低減又は感染初期におけるその存在は二次感染のしるしである可能性があり、従って、DHF又はDSSのようなフラビウイルス感染のその後の期のモニターに役立つ。
更にまた、本発明の技術は、フラビウイルスの属及び関連する血清型の任意の特定のメンバーに感染した被験者を同定する手段を提供し、迅速な検出、さらなる感染の危険、感染場所の指摘及び疾患制御戦略を可能にする。
先行技術として示された特許文書又は他の内容への言及は、請求項のいずれかの優先権主張日においてその文書又は内容が公知であったか、又はそれが含む情報が通常の一般知識の一部を含むという承認と解釈してはならない。
ここで、本発明において用いられる方法の例を更に詳しく説明する。しかしながら、以下の説明は例示のみを目的としたものであって、前述の本発明の普遍性を何ら制限するものではないと考えるべきである。
実施例1
血清を用いる抗デングIgA(ACA-ELISA)の開発
a)抗原の開発:Cardosaら(2002)により記載されている方法に従って、デングウイルスの全4血清型に対して溶解デングウイルス抗原を調製した。簡潔に言えば、2%ウシ胎児血清を含むウイルス維持培地を用いてC6/36細胞内でデングウイルス(5m.o.i.)を増殖させ、細胞変性効果の出現及びウイルス血清型に応じて、4〜5日間インキュベートした。培地をデカンテーションし、感染細胞を含むフラスコをPBSで4回洗浄し、1%trix100を含む低張緩衝液1mlで1時間処理し、最後に14000rpmで10分間遠心分離した。上清を採取し、エッペンドルフで250μlに配分し、使用するまで-70℃で保存した。
b)血清試料:3組みの全部で292個のデングPCR確認血清試料を陽性試料として用いた。本研究において、陰性試料として、デングPCRに対して陰性の182名の患者の血清試料を用いた。
c)血清学的アッセイ:本研究に用いた試料中の抗デング特異的IgM抗体の測定のためにIgM捕捉ELISA(市販キット(Pan-bio、オーストラリア))を用いた。製造業者により記載されている手順に従って試験を行った。
本研究に用いた血清試料中の抗デング特異的IgG抗体の検出のためにIgG間接ELISA(市販キット(Pan-bio、オーストラリア))を用いた。製造業者により記載されている手順に従って試験を行った。
d)IgA捕捉ELISA(AAC-ELISA):Talarminら(1998)及びBalmasedaら(2003)により記載されている方法に少し修飾を加えて用いた。簡潔にいえば、コーティング緩衝液(重炭酸ナトリウム緩衝液、Sigma, USA)で1:500に希釈した抗ヒトIgA(Source)100μlで96ウェルポリスチレンプレート(maxi-absorb, NUNC)をコーティングし、37℃で2時間又は4℃で終夜のいずれかでインキュベートした。37℃で1時間、ブロッキング緩衝液(0.1%トリトンX100を含む5%スキムミルク)でウェルをブロックし、洗浄緩衝液(0.05%ツイーン20を含む1x PBS)で4回洗浄した。試験を最適化するために、10対のデング確認血清試料(抗デングIgM及びIgG)を用いた。各血清試料を希釈緩衝液(0.1%トリトンX100を含む5%スキムミルク)で1:100に希釈し、希釈血清試料100μlを各ウェルに加え、RTで1時間インキュベートした。各プレートに、陽性対照ウェル1つ及び陰性対照ウェル3つをおいた。ガラス瓶内でデング溶解抗原(1:100)及びHRPで標識したpanデング反応性モノクローナル抗体(1:1000)(ICL,USA)の混合物を調製し、RTで1時間インキュベートした。前述のようにプレートを6回(6)洗浄した後、各ウェルに抗原及びMAb混合物100μlを加え、RTで1時間インキュベートし、ついで6回洗浄した。ついで各ウェルにOPD(Sigma.UK)100μlを加え、RTで5〜10分間インキュベートした。ついで停止緩衝液(2.75%硫酸)で反応を停止させ、ELISA読取り機を用い、492nmでプレートを読取った。試験サンプルのOD値を陰性試料の平均ODで割り、その値に5をかける式を用いて結果を算出した。
e)抗原捕捉抗デングIgA ELISA(ACA-ELISA):コーティング緩衝液で1:1000に希釈した抗マウスIgG100μl/ウェルで96ウェルプレート(Max-absorb-NUNC)をコーティングし、4℃で終夜又は37℃で1時間のいずれかでインキュベートした。37℃で1時間ブロッキング緩衝液でプレートをブロッキングした後、各ウェルにPBSで1:1000に希釈したpan-デングMAb(ICL,USA)100μlを加え、37℃で1時間インキュベートした。4回の洗浄後、各ウェルにデング溶解抗原(1〜4)を1:100希釈液で加え、再度37℃で1時間インキュベートした。ついで洗浄緩衝液を用いてプレートを4回洗浄し、希釈緩衝液で1:100にした試験血清100μlを各ウェルに加えた。各プレートに、陽性血清対照1つ及び陰性血清対照3つをおいた。RTで1時間のインキュベーションの後、洗浄用緩衝液を用いてプレートを再度6回洗浄し、各ウェルにHRPで標識したウサギ抗ヒトIgA(1:4000)100μlを加え、RTで更に30分間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートを再度6回洗浄し、各ウェルにOPD(Sigma,USA)100μlを加え、RTで5分間インキュベートした。硫酸(2.75%)を用いてさらなる発色を停止させ、ELISA読取り機を用いてプレートを492nmで読取った。試験サンプルのOD値を陰性試料の平均ODで割り、その値に5をかける式を用いて結果を算出した。
f)ACA及びAAC ELISAの分析感度比較:強、中及び弱のデングIgA陽性血清試料を用いて、患者血清中の抗デングIgAの検出のためのIgA捕捉(AAC)及び抗原捕捉(ACA)酵素アッセイの分析感度を研究した。デング抗体(IgG、IgM及びIgA)に対して陰性である健常者からの血清又は希釈緩衝液で血清試料を1:5〜1:640に希釈し、ストック溶液として用いた。ストック液を使用溶液として希釈緩衝液で更に1:100に希釈し、前述のようにアッセイ(AAC及びACA ELISA)を行った。希釈緩衝液に対する血清中のデング非特異的IgAによるアッセイの阻害を次に示す式により算出した:
阻害率(PI)=100-(血清希釈剤でのOD値/希釈緩衝液でのOD値)X100。
g)アッセイの標準化:チェッカーボード滴定は、抗マウスIgG100μl、panデングMAb(PBSで1:1000及び1:100希釈で溶解抗原100μl)100μlが96ウェルプレートにおけるアッセイに最適であることを示した(図1)。ELISAに用いる血清試料の最適の希釈(1:100)は、10個のデング陽性抗体血清試料及び6個のデング陰性抗体血清試料を用いて抗ヒトIgAに対するチェッカーボード滴定により決定した(図2)。同様に、ACA-ELISAのためのウサギ抗ヒトIgA-HRPの最適の希釈液はチェッカーボード滴定により決定され、1:4000で最適化された。
12.5〜1:800の試料の連続希釈液を用いてアッセイの血清希釈を行った。このアッセイに、8個の抗デングIgA陽性血清試料及び6個の抗デングIgA陰性血清試料を用いた。すべての陽性血清試料の平均は1:800希釈であっても陽性であったが、陰性試料のいずれも陽性ではなかった(図3)。2つの試料がカットオフポイントよりやや上であったので、アッセイの血清希釈度は1:100(陰性試料希釈の4倍)に固定し、アッセイを通して用いた。
10〜37日間隔で採取した10対のデングPCR陽性急性及び回復血清試料を用いてACA-ELISAを開発した。1:100で血清を試験し、10個全部のデング確認回復血清は、デング溶解抗原に対して高レベルの抗デングIgAを示したという結果が得られた(図4)。
実施例3
2つのIgAアッセイの分析感度比較
2つの異なる希釈剤例えばデング陰性血清及び希釈緩衝液によるデング陽性IgA血清試料を用いて、2つの抗デングIgAアッセイ(AAC-ELISA及びACA-ELISA)の感度のレベルを更に分析した。図4における結果は、AAC-ELISAにおいて、高レベルの抗デングIgAを有する血清は、陰性血清で希釈した場合、希釈緩衝液で希釈した場合よりも32倍感度が低く、血清希釈剤中の高レベルの非デング特異的IgAによる阻害は43.71%〜79.79%に変化することを示した(図4)。
他方では、ACA-ELISAにおいて、デング特異的IgAの検出レベルは、両方の希釈剤(陰性血清及び希釈緩衝液)において等しく、血清希釈剤中に存在する非デング特異的IgAの阻害は無視しうるものであり、-11.08%〜-61.76%であった(図4)。
実施例4
ACA-ELISAの感度及び特異性
急性期及び回復期に採取した296個のデング確認血清試料及び182個のデング陰性血清試料を用いてこれを実施した。デング確認試料の中で、96個は発熱発症の1〜3日目の間に採取し、97個の試料は3〜7日目の間に採取し、102個は10〜37日目の間に採取した。182個の血清試料はデングPCRに対して陰性であり、試料の採取中に発熱を引き起こした患者から採取した。ACA-及びAAC-ELISAの感度及び特異性を表1及び2に示す。
Figure 2009537013
Figure 2009537013
実施例5
2つの抗デングIgAアッセイ及びIgM抗体捕捉(MAC)-ELISAを用いる、デング確認血清試料中での抗デングIgA及びIgM産生のキネティクス
3組み、101個のデング確認血清試料を用いてIgA(AAC及びACA-ELISA)及びIgMのキネティクスを行った。急性期及び回復期において、全部で292個の試料を採取した。各血清試料を発熱発症後、3つの採取{第1採取(1〜3日目)、第2採取(3〜7日目)及び第3採取(10〜37日目)}に分けて採取した。
デング陽性血清試料の中で、第1採取(1〜3日目)において35.79%が抗デングIgAに対して陽性であり、第2採取(3〜7日目)において61.46%が陽性であり、第3採取(10〜37日目)において85.15%の血清試料が陽性であった。
他方では、AAC-ELISAの検出レベルは、第1採取中6.49%、第2採取中41.67%、そして第3採取中72.50%であった。それに比較して、同じ罹病期間中の抗デングIgMの存在は、第1採取において6.67%、第2採取において66.67%、そして第3採取において79.61%であった(図6)。病院試料を用いてAAC-ELISAを抗デングIgAの検出のために用いたとき、ACA-ELISAの性能と同様なレベルが観察された(図7)。
新規に開発されたACA-ELISAはACC-ELISAと比較して優れた性能を示した。これは、特にデング疾患の初期において、AAC-ELISA中では43.71%〜79.79%阻害する、ACA-ELISAにおける非デング特異的IgAの妨害を排除することによる。ACA-ELISAはまた、MAC-ELISAと比較してデング患者をより多く検出したが、これは二次感染におけるデングIgM産生の欠如(Chanamaら(2004))による可能性があり、これに対し二次感染においてはIgAがIgGを加えて92.1%観察される。本研究は、ACA-ELISAは単独で、あるいはMAC ELISAと組み合わせて用いてより多くのデング患者を検出できることを示唆している(デング確認患者中76.26%)。
実施例6
唾液を用いるACA-ELISAの開発
a)抗原捕捉抗デングIgA ELISA(ACA-ELISA):コーティング緩衝液で1:1000に希釈したpan-デングMAb100μl/ウェルで96ウェルプレート(Max-absorb-NUNC)をコーティングし、4℃で終夜又は37℃で1時間のいずれかでインキュベートした。37℃で1時間ブロッキング緩衝液でプレートをブロッキングした後、各ウェルにデング溶解抗原を1:100希釈液で加え、RTで1時間インキュベートした。ついで洗浄緩衝液を用いてプレートを4回洗浄し、希釈緩衝液で1:5にした試験唾液100μlを各ウェルに加えた。各プレートに、陽性血清対照1つ及び陰性血清対照3つをおいた。RTで1時間のインキュベーションの後、洗浄緩衝液を用いてプレートを再度6回洗浄し、各ウェルにHRPで標識したウサギ抗ヒトIgA(1:4000, Dakocytomation, Denmark) 100μlを加え、ついでRTで30分間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートを再度6回洗浄し、各ウェルにOPD(Sigma, USA)100μlを加え、RTで5分間インキュベートした。硫酸(2.75%)を用いてさらなる発色を停止させ、ELISA読取り機を用いてプレートを492nmで読取った。試験サンプルのOD値を陰性試料の平均ODで割り、その値に5をかける式を用いて結果を算出した。
b)アッセイの標準化:チェッカーボード滴定により、デングMAb(コーティング緩衝液で1:4000、0.25ng/ウェル)100μl及び希釈1:100での溶解抗原100μlが96ウェルプレートにおける抗原に最適であることが見いだされた。ELISAに用いる唾液試料の最適の希釈は、5名のデング確認患者(PCR)からの唾液及び陰性対照としての健常ドナーからの5個の唾液試料を用いて抗ヒトIgAに対するチェッカーボード滴定により決定した。同様に、ACA-ELISAのためのウサギ抗ヒトIgA-HRP及びAAC-ELISAのための抗マウスIgGの最適の希釈液は、それぞれ1:4000及び1:3000でのチェッカーボード滴定により決定された。
5〜7日目にデングPCR陽性患者から5つの唾液試料を採取し、健常志願者からの5つの試料を希釈緩衝液により1:1:25〜1:640で試験した。5名のデング確認患者からのすべての唾液試料は、力価1:160〜1:640のデング溶解抗原に対する高レベルの抗デングIgAを示し、5つのデング陰性唾液試料は、1:1:25希釈液以下のレベルで弱い反応を示した2つを除いて、低希釈液(1:2.5)であっても何ら反応を示さなかったことを結果は示した(図6)。従って、ACA-ELISAのための唾液希釈のカットオフポイントを1:5(4倍)に設定し、研究を通して用いた。
急性期及び回復期(1〜3日目、4〜7日目及び10〜37日目)において採取した184個のデングPCR確認唾液試料を用いてACA-ELISAを開発した。発熱を有するがデングPCR試験に対して陰性の患者から104個の唾液試料を採取し、健常患者から採取した50個の唾液試料もまた、この研究における陰性試料として用いた。pan-デングMAb(コーティング緩衝液で1:4000、0.25ng/ウェル)100ul及び1:100希釈での溶解抗原100ulが、96ウェルプレートにおける抗原として最適であることが見いだされた。
実施例7
AAC-及びACA-ELISAを用いる抗デングIgAの検出
2つの抗デングIgAアッセイ(AAC-ELISA及びACA-ELISA)を用いて、106名のデング確認患者からの唾液及び血清試料における抗デングIgAの存在を試験した。唾液の63.04%及び血清試料の48.08%はACA-ELISAによりデングIgAに対して陽性であったが、唾液の32.40%及び血清の37.15%がAAC-ELISAに対して陽性であったことを結果は示した。
デング疾患中に唾液内に産生される抗デングIgAのキネティクスはACA-ELISAにより明らかにされ、感染初期にデング反応性IgAが出現し、疾患(発熱発症)の第2週以内に100%に達し、第5週後に徐々に低下する事が示された(図10)。
急性期及び回復期(発熱発症の1〜3日目、4〜7日目及び10〜37日目)における3つの血清採取中にACA-ELISAにより検出されるデング陽性患者のレベルは、それぞれ61.04%、70.83%及び54.35%であった。デングMAC-ELISAと比較して、唾液ベースACA-ELISAは1〜3日目にデング患者を50%多く拾い上げ(図11)、このことにより、唾液などの非侵襲性試料を用いるデング感染の初期の検出におけるこの技術の効果が明確に示された。
Figure 2009537013

陽性適中率=91.89%
陰性適中率=79.57%
参考文献:
Figure 2009537013

Figure 2009537013

Figure 2009537013


Figure 2009537013
最後に、ここに開示した本発明の精神から逸脱しないで、種々の他の修正及び/又は変更をすることができることは理解されるものである。
pan-デングモノクローナル抗体でコーティングしたポリスチレンプレートを用いるデング溶解抗原の最適化を示す図である。 デング確認対血清を用いるACA-ELISAの最適化を示す図である。 デング確認陰性及び陽性血清試料を用いるACA-ELISAのカットオフポイントの決定を示す図である。 2つの抗デングIgA ELISA技術(ACA及びAAC)の感度比較の結果を示す図である。 2つの抗デングIgA ELISA技術を用いるデング確認血清試料における非デング特異的IgAによる阻害による阻害の比較研究を示す図である。 デング確認血清試料を用いる2つのELISA技術を用いる抗デングIgA産生のキネティクス及び抗デングIgMとのその比較を示す図である。 唾液ベースACA ELISAの最適化を示す図である。 ACA-ELISAにより検出される、唾液内の抗デングIgA産生のキネティクスを示す図である。 デング確認唾液試料を用いるACA-ELISA(唾液及び血清)とデングIgM ELISA(pan-bio)との性能比較を示す図である。

Claims (37)

  1. フラビウイルス又はその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための方法であって、以下の工程、
    被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させる工程、及び
    生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定する工程、及び
    複合体中の結合パートナーを抗IgA抗体で特徴付ける工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. フラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を検出するための方法であって、以下の工程、
    被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させる工程、及び
    生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定する工程、
    複合体中の結合パートナーを特徴付ける工程、及び
    結合パートナーをフラビウイルスへの暴露に関連付ける工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  3. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、フラビウイルス又はその等価物に感染した細胞の溶解物から捕捉される、請求項1又は2記載の方法。
  4. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、モノクローナル抗体により捕捉される、請求項1記載の方法。
  5. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、フラビウイルス由来のフラビウイルス構造及び非構造タンパク質、フラビウイルス粒子及びそのフラグメント、糖タンパク質、脂質ならびに炭水化物を含む群から選択される、請求項1記載の方法。
  6. 構造タンパク質が、エンベロープタンパク質、Pr膜タンパク質及びヌクレオカプシドタンパク質を含む群から選択される、請求項5記載の方法。
  7. 構造タンパク質が、エンベロープタンパク質である、請求項6記載の方法。
  8. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、DEN-1、DEN-2、DEN-3又はDEN-4を含む群から選択されるデングウイルス血清型免疫原性成分を含む群から選択される、請求項1記載の方法。
  9. DEN-1、DEN-2、DEN-3又はDEN-4を含む群から選択されるデングウイルス血清型への暴露を検出する、請求項2記載の方法。
  10. 非構造タンパク質が、NS-1、NS-2a、NS-2b、NS-3、NS-4a、NS-4b及びNS-5を含む群から選択される、請求項5記載の方法。
  11. 非構造タンパク質が、NS-1である、請求項10に記載の方法。
  12. 免疫原性成分が、フラビウイルス又はその等価物由来の成分への暴露に応じて生じたフラビウイルス抗体の抗原結合部位への抗イディオタイプ抗体である、請求項1記載の方法。
  13. 結合パートナーが、フラビウイルス特異的抗体又はその免疫学的フラグメントである、請求項1記載の方法。
  14. 結合パートナーが、フラビウイルス感染初期、回復期中に発現された抗体か又は感染既往由来の抗体である、請求項13記載の方法。
  15. 結合パートナーが、IgA抗体である、請求項1記載の方法。
  16. フラビウイルスが、黄熱ウイルス、デングウイルス及びJEウイルスを含む群から選択される、請求項1記載の方法。
  17. フラビウイルスが、デングウイルスである、請求項16記載の方法。
  18. 結合パートナー抗体が、DEN-1、DEN-2、DEN-3又はDEN-4を含む群から選択されるデング血清型に特異的なIgA抗体である、請求項13記載の方法。
  19. 生体試料が、血液、唾液、脊髄液、B細胞、T細胞、血漿、血清、尿及び羊水を含む群から選択される、請求項1記載の方法。
  20. 生体試料が、血清又は唾液である、請求項19記載の方法。
  21. 結合パートナーが、抗IgA抗体を用いて特徴付けられる、請求項1記載の方法。
  22. 抗IgA抗体が、レポーター基に結合されている、請求項21記載の方法。
  23. レポーター基が、酵素である、請求項22記載の方法。
  24. 請求項1記載の方法に使用する固体担体であって、前記方法が、以下の工程、
    被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物又はその等価物とを接触させる工程、
    生体試料中に存在する結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定する工程、場合により、
    複合体中の結合パートナーを特徴付けて、結合パートナーをフラビウイルスへの暴露に関連付ける工程、
    を含み、前記担体が、担体に固定化されたフラビウイルス特異的免疫原性成分を含むことを特徴とする担体。
  25. ビーズ、ディスク、磁性粒子もしくは光ファイバーセンサー、マイクロタイタープレート、スライドガラスもしくは生体マイクロチップ又は、濾紙担体を含むニトロセルロース膜、ポリテトラフルオロエチレンメンブランフィルター、セルロースアセテートメンブランフィルター及び硝酸セルロースメンブランフィルターを含む膜を含む群から選択される、請求項24記載の固体担体。
  26. フラビウイルスもしくはその等価物に特異的な被験者におけるIgAを検出するための、又はフラビウイルス暴露を検出するためのキットであって、
    フラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体、あるいは
    第2担体に結合したフラビウイルス特異的免疫原性成分又はその等価物を含む固体担体、
    フラビウイルス特異的免疫原性成分と複合体を形成する生体試料中の結合パートナーを検出するためのレポーター基に結合させた少なくとも1つの検出剤、及び場合により
    複合体の結合パートナーを更に同定するための前記キットを使用するための使用説明書、
    を含むことを特徴とするキット。
  27. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、固体担体に固定化されている、請求項26記載のキット。
  28. フラビウイルス特異的免疫物質が、モノクローナル抗体により捕捉される、請求項26記載のキット。
  29. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、フラビウイルス由来のフラビウイルスウイルス構造及び非構造タンパク質、フラビウイルス粒子及びそのフラグメント、糖タンパク質、脂質ならびに炭水化物を含む群から選択される、請求項28記載のキット。
  30. 構造タンパク質が、エンベロープタンパク質、Pr膜タンパク質及びヌクレオカプシドタンパク質を含む群から選択される、請求項29記載のキット。
  31. 構造タンパク質が、エンベロープタンパク質である、請求項30記載のキット。
  32. フラビウイルスが、黄熱ウイルス、デングウイルス及びJEウイルスを含む群から選択される、請求項26記載のキット。
  33. フラビウイルスが、デングウイルスである、請求項32記載のキット。
  34. フラビウイルス特異的免疫原性成分が、デングウイルス血清型免疫原性成分DEN-1、DEN-2、DEN-3又はDEN-4を含む群から選択される、請求項29記載のキット。
  35. 非構造タンパク質が、NS-1、NS-2a、NS-2b、NS-3、NS-4a、NS-4b及びNS-5を含む群から選択される、請求項29記載のキット。
  36. 非構造タンパク質が、NS-1である、請求項35記載のキット。
  37. 限定された場所(例えば地理的領域、住宅団地、交通手段、医療センター又は医療評価センター)の範囲内でフラビウイルス又はその等価物に暴露された1以上の被験者の相対危険を評価する方法であって、以下の工程、
    限定された場所の範囲内の代表集団から試料を採取する工程、及び
    フラビウイルス又はその等価物へのサンプル集団の個々のメンバーの暴露の証拠を評価する工程であって、以下の工程、
    被験者由来の生体試料とフラビウイルス特異的免疫原性成分の混合物とを接触させる工程、及び
    生体試料中の結合パートナーとフラビウイルス特異的免疫原性成分との間で形成される複合体の存在を測定する工程であって、複合体の存在がフラビウイルス又はその等価物への被験者の暴露を示す工程を含む工程、及び
    複合体中の結合パートナーを特徴付けることにより限定された場所の範囲内での暴露の相対危険を評価する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
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