JP2009536739A - プロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の血漿プロファイリングによる拡張期心不全の検出 - Google Patents

プロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤の血漿プロファイリングによる拡張期心不全の検出 Download PDF

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Abstract

本明細書では、拡張期心不全を検出および予測し、うっ血性心不全を予測する方法であって、タンパク質分解酵素およびタンパク質分解酵素阻害剤プロファイリングを含む方法が開示される。本発明は、高血圧性心不全が進行している患者に起こるMMP/TIMPの特有のパターンに関する。MMP/TIMPの固有のパターンは、高血圧症に続く心不全の危険性のある患者、およびまもなく発症するであろう患者を認定する方法において使用される。

Description

関連出願への相互参照
この出願は、2006年5月9日に出願された米国仮出願第60/798,953号、2007年5月8日に出願された米国仮出願第60/893,781号(これらは、その全体が参考として援用される)の利益を主張する。
連邦政府に後援された研究についての声明
本発明は、退役軍人局部門のコンタクトナンバー(contact number)VA Merit Review(Spinale 0001)Research ServiceならびにNational Heart,Lung,and Blood Instituteにより助成されたコンタクトナンバーPO1−HL−48788、RO1−HL−5165およびMO1−RP−01070−251の下、政府の支援によってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
高血圧(高血圧症)の医薬品の大きな進歩、および高血圧症は心不全発現の重要な危険因子であるという認識にもかかわらず、合衆国内において、この病気は主要な循環器疾患として残っている。高血圧性心不全を発症する危険性のある患者を認定することに伴う1つの特別な問題は、高血圧症に続発する心筋それ自体に起こる変化のある患者を認定するための迅速なスクリーニング試験がないことである。持続性高血圧症の場合、心臓の筋肉量および大きさは増加するが、それは疾患過程の後期まで起こらないこともある。高血圧性心臓疾患および心不全への進行における1つの特異的かつ決定的な現象は、線維化の増加が心筋それ自体の内部で起こるということである。この変化への分子的な機構は、まだ未知の状態である。
要旨
本発明の目的に従って、本明細書で具体化し広く記載するように、本発明は、従来、高価で困難を伴ってしか可能でなかった試験を適用して、異常な心機能が存在することを実際に予測することができた、高血圧性心不全が進行している患者に起こるMMP/TIMPの特有のパターンに関する。MMP/TIMPの固有のパターンは、高血圧症に続く心不全の危険性のある患者、およびまもなく発症するであろう患者を認定する方法において使用される。
開示される方法および組成物のさらなる利点は、以下に続く開示に部分的に記載され、あるいは該開示から理解され、あるいは開示された方法および組成物の実施によってわかるであろう。開示された方法および組成物の利点は、特に添付の請求項で指摘された要件および組合せによって理解され、達成される。前段の一般的記載および後段の詳細な記載は、両方とも、単に例示的で説明的なものであり、請求されている本発明の制限ではないことは理解される。
開示される方法および組成物は、以下の特定な実施形態の詳細な説明およびそれに含まれる実施例、および図面およびそれらの前後の記載を参考することによって、より簡単に理解できるであろう。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された方法および組成物の数種の実施形態を、説明とともに、図示するものであり、開示された方法および組成物の基本原理を説明するために供される。
詳細な説明
開示される方法および組成物のために使用することができる、それらと組み合わせることができる、それらの製造において使用することができる、またはそれらの生成物であり、材料、組成物および成分が開示されている。本明細書にはこれらおよび他の材料が開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群、その他が開示されている場合、たとえ、これらの化合物の種々の個別のおよび集団的な組合せおよび置換それぞれの具体的な例が明確に開示されていなくても、本明細書には、それぞれが、具体的に意図され、記載されていると理解される。たとえば、ペプチドが開示、検討され、ペプチドを含む数多くの分子に作られうる数多くの修正が検討される場合、反対のことが具体的に示されていない限り、ペプチドのどの組合せおよび置換、および可能などの修正も、具体的に意図されるものである。したがって、分子A、BおよびCの群が、分子D、EおよびFの群と共に開示され、分子A〜Dの組合せの例が開示されている場合、たとえ、それぞれが独立して列挙されていなくても、それぞれは、独立しておよび集合的に意図するものである。したがって、この例では、A〜E、A〜F、B〜D、B〜E、B〜F、C〜D、C〜EおよびC〜Fの組合せのそれぞれが、具体的に意図され、A、BおよびC;D、EおよびFの開示から、A〜Dの例が開示されていると考えるべきである。同様に、これらの任意のサブセットおよび組合せも、具体的に意図され開示されている。したがって、たとえば、A〜E、B〜FおよびC〜Eのサブグループが具体的に開示され、A、BおよびC;D、EおよびF;およびA〜Dの組合せの例が開示されていると考えるべきである。この概念は、開示されている組成物を製造する方法および使用する方法におけるスッテプ(これに限定されない)を始めとする本願の全ての態様に適用される。したがって、実施することができる種々の追加のステップがある場合、これらの追加のステップのそれぞれは、開示された方法の実施態様の任意の具体的な実施態様または組合せで実施することができ、そのような組合せのそれぞれが、具体的に意図されていると理解され、開示されていると考えるべきである。
当業者は、単なる慣用の実験方法を使用して、本明細書に記載されている方法および組成物の具体的な実施形態と等価の物を多く認識し、または確認することができるだろう。そのような等価物も以下の請求項に包含されるものである。
開示された方法および組成物は、開示された特定の方法論、プロトコルおよび試薬に限定されず、変更してもよいことが理解される。また、本明細書で使用される技術用語は、特定の実施形態を記載するためだけの目的で使用され、本発明の範囲を限定するものではなく、該範囲は添付の請求の範囲にのみ限定されるものであることも理解される。
他に明確に記載しない限り、本明細書で記載されている任意の方法は、そのステップがある特定の順番で実施されることを要求するものでは全くない。したがって、方法の請求項が実際に次に続くステップの順番を列記していない、あるいはステップが特定の順番に限定されている請求項または説明におい具体的に記載されていない限り、いかなる場合も、順番を暗示しているものではない。これは、ステップまたは操作流れの処理に関する理論、文法構成および句読点から派生する明白な意味、および本明細書に記載される実施態様の数および種類を含む解釈に関する、可能性のある、記載のない基本に関しても適用される。より具体的には、量を測定されるMMPおよびTIMPは、どのような順番で測定が行われてもよい。
A.定義
他に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および化学用語は、開示された方法および組成物が属する分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を持つ。本明細書に記載される任意の方法および材料に類似するまたは等価のものは、本発明の方法および組成物の実施または試験に使用することができるが、特に有用な方法、装置および材料が記載されている。本発明で挙げられる刊行物およびそれに挙げられている文献は、参考によって、具体的に本明細書に組み入れられる。本明細書には、本発明が、先行技術のために、そのような開示より以前から存在すると主張しない承認として解釈されるものはない。どのような参考文献も先行技術を構成する承認にはならない。参考文献の検討は、それらの著者が断言していることを記載し、出願人は、引用文献の正確性および適合性に疑う権利を留保する。
本明細書および添付の請求項において使用される、単数形「a」、「an,」および「the」は、明らかに他のことを言わない限り、複数形を含むものであることに注意しなければならない。したがって、たとえば、「aペプチド」という言及は、そのようなペプチド類の複数形を含むものであり、「theペプチド」という言及は、1個以上のペプチド(類)および当業者に公知のそれらの等価物などを言う。
「場合による」または「場合によっては」は、続いて記載される事象、環境または材料が、起こるまたは存在してもよいし、しなくてもよく、該記載は、事象、環境または材料が起こるまたは存在する事態、およびそれらが起こらないまたは存在しない事態を含む。
本明細書では、範囲を、「約」1つの特定の値から、および/または「約」他の特定の値までと記載することができる。そのような範囲が記載されている場合、他の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」と使用して、近似値として記載されている場合、その特定の値は他の実施形態を形成すると理解される。範囲のそれぞれの終点は、他の終点との関係、および他の終点とは独立した関係の両方において重要であることも理解される。また、本明細書には数多くの複数の値、または本明細書にはそれぞれの値が、値それ自身に加えて、特定の値である「約」として記載されていると理解される。たとえば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。また、ある値が開示されている場合、当業者によって適切に理解されるように、それは、その値「以下」、「その値以上」、およびある値の間の可能な範囲も開示されていると理解される。たとえば、値「10」が開示されている場合、「10以上」とともに「10以下」も開示されている。出願を通して、データが数多くの異なる表示フォーマットで提供され、このデータ、および該データポイントの任意の組合せの範囲も終点および出発点を表わし、たとえば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント15が開示されていれば、10と15との間とともに、10および15を超える、以上、未満、以下および10および15が開示されていると考えられる。また、2つの特定の単数の間のそれぞれの単数も開示されていると理解される。たとえば、10と15とが開示されている場合、11、12、13および14も開示されている。
本明細書に記載および請求の範囲を通して、用語「含む」および「含んでいる」、「含む」のような該用語の派生語は、「含有するが限定されない」ことを意味し、たとえば、他の添加物、成分、整数またはステップを排除しないものである。
「対象」として、動物、植物、細菌、ウィルス、寄生虫および核酸を持つ任意のほかの有機体および実在物が挙げられるが、これらに限定されない。対象は、脊椎動物、より具体的には、哺乳類(たとえば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長動物、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類)、魚、トリ、爬虫類、または両生類であってもよい。対象は、無脊椎動物、より具体的には、節足動物(たとえば、昆虫および甲殻類)であってもよい。該用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、雄でも雌でも、胎児とともに、成体および新しく生まれた対象もカバーするものである。患者は、疾患または障害を患った対象を言う。用語「患者」には、ヒトおよび獣医学の対象が含まれる。
本明細書で定義する「試料」は、生物体から得られる任意の試料を言う。生物試料の例として、体液および組織片が挙げられる。試料の採取源は、血液、血清、血漿、母乳、うみ、剥離した組織、洗浄液、尿、リンパ腺のような組織などのような生理的媒質でよい。
本願では、全般にわたって、種々の刊行物が引用されている。これらの刊行物の開示は、全体として、本発明が関連する分野の現状をより完全に記載するために、参照により本願に組み込まれる。開示されている引用文献は、引用文献中に含まれ、それが使用する文中で検討する参考文献に関しても、個別におよび具体的に、参照により本明細書に組み込まれる。
B.方法
1.心不全
うっ血性心臓麻痺(CCF)またはただ心不全とも呼ばれるうっ血性心不全(CHF)は、十分な量の血液で満たされる、またはこれを体全体に送り出す心臓の能力を損なう、任意の構造的または機能的心臓障害に起因して起こりうる状態である。したがって、開示される方法は、心不全の任意の形態を治療するのに使用することができる。
全ての患者が初期評価または後続評価の時点で過負荷容積を持つわけではないので、用語「心不全」は、より古い用語「うっ血性心不全」より好ましい。うっ血性心不全の原因および誘因として、以下のもの(特に左(L)または右(R)側と記載する)、すなわち、CHFの遺伝性家族歴、虚血性心臓疾患/心筋梗塞(冠状動脈疾患)、感染、アルコール服用、犬糸状虫、貧血、甲状腺中毒症(バセドー病)、不整脈、高血圧症(L)、大動脈狭さく症(L)、大動脈狭さく症/逆流(L)、僧帽弁略流(L)、全て肺性心(R)と導く、肺動脈狭さく症/肺高血圧症/肺動脈塞栓症、および僧帽弁子疾患(L)が挙げられる。
心不全を分類する多くの異なる方法があり、関与する心臓の側(左心不全対右心不全)、異常が心臓の収縮に起因するかあるいは弛緩に起因するか(収縮期心不全対拡張期心不全)、異常が低心拍量に起因するかあるいは全身性血管抵抗に起因するか(低心拍量心不全対高心拍量心不全)が挙げられる。
うっ血性心不全(CHF)は、心臓の機能、特に左心室(LV)機能における基本的な障害による、徴候および症状の発現(すなわち、呼吸困難、液体蓄積)である。CHFの原因は多種多様であるが、以下の3つの主要なカテゴリー、つまり心臓発作(心筋梗塞)、高血圧性心臓疾患を伴うもの、および一般的に心筋症と呼ばれる、内筋疾患を伴うものに分類することができる。高血圧性心臓疾患によって起こるもののようなCHFの基本的な原因を識別することは困難であり、これが本発明の方法の主眼とすることである。具体的には、高血圧性心臓疾患は、肥大と呼ばれるLV筋肉の成長を起こす。LV肥大(LVH)それ自体、心機能における欠陥を起こしうるが、LVHを素早く正確に認定する血液試験は、今まで利用可能ではなかった。本願は、LVHを患う患者を認定するための、新しく有効なアプローチを示す。もし、LVHの進行が続き、適切な治療をしなければ、患者は、主に、拡張期心不全(DHF)によるCHFの徴候および症状を発症するだろう。しかし、現時点まで、本質的にDHFがあり、CHFを患う患者を認定することは困難であり、簡単で迅速な血液試験で、これらの患者を認定することは不可能であった。本願は、LVHが存在するばかりでなく、将来DHF発症の危険性があるかもしれない患者を認定する新しく有効なアプローチ、およびDHFのある患者の認定を明らかにする。したがって、本発明は、LVHの存在を検出し、DHFの発症の危険性が高い患者を予測し、DHFがある患者を認定する方法を提供する。体液、たとえば、以下に記載する例示では血液資料の小さな試料を使用して、本発明の4つの独立した(しかしこれに必ずしも限定されるものではない)工程、すなわち、スクリーニング、予測/予後診断、診断および治療モニタリングを行うことができるであろう。
このように、左心室肥大(LVH、HCMまたはHOCM)がある対象を診断する方法が開示されている。たとえば、対象におけるLVHを検出する方法であって、ここでは拡張期心不全(DHF)の存在と関連のある、対象の体液から、基質金属タンパク質分解酵素(MMP)と基質金属タンパク質分解酵素の組織阻害因子(TIMP)とのプロファイルを認定するステップを含む方法が提供される。また、対象における拡張期心不全を予測する方法であって、ここでは拡張期心不全(DHF)発症の可能性がある対象の体液から、基質金属タンパク質分解酵素(MMP)と基質金属タンパク質分解酵素の組織阻害因子(TIMP)とのプロファイルを認定するステップを含む方法も提供される。
2.MMP
基質金属タンパク質分解酵素(MMP)は亜鉛依存性エンドペプチダーゼであり、他のファミリーメンバーは、アダマリシン、セラリシンおよびアスタシンである。MMPは、メードジンシンスーパーファミリーとして知られているタンパク質分解酵素のより大きなファミリーに属する。
MMPは、共通のドメイン構造を共有する。3つの共通のドメインは、プロ−ペプチド、触媒ドメイン、および可撓性ヒンジ領域によって触媒ドメインに結合されるヘモペキシン(haemopexin)様C末端ドメインである。
MMPは、酵素が活性になる前に除去されなければならない、プロ−ペプチドドメインを有する不活性チモーゲンとして、初期に合成される。プロ−ペプチドドメインは、「システインスイッチ」の一部であり、これは、活性部位で亜鉛と相互作用し、不活性形態で酵素を維持する基質の結合および切断を防ぐ保存システイン残基を含有する。多くのMMPでは、システイン残基は、保存配列PRCGxPD中にある。MMPの中には、切断した時酵素を活性化するこのドメインの一部として、プロホルモン転換酵素切断部位(フリン様)を有するものもある。MMP−23AおよびMMP−23Bは、このドメイン(PMID10945999)中に経膜セグメントを含む。
いくつかのMMP触媒ドメインのX線結晶解析構造により、このドメインが、35×30×30Å(3.5×3×3nm)の大きさの偏球体であることが示されている。活性部位は、触媒ドメインを横切る20Å(2nm)の溝である。活性部位を形成する触媒ドメインの部分には、触媒的に重要なZn2+イオンがあり、これは、保存配列HExxHxxGxxH中に見出される3個のヒスチジン残基によって結合される。したがって、この配列は、亜鉛結合モチーフである。
MMP−2のようなゼラチナーゼは、触媒ドメイン(PMID12486137)中の亜鉛結合モチーフのすぐ手前に挿入されたフィブロネクチンII型モジュールを導入する。
触媒ドメインは、可撓性のヒンジまたはリンカー領域によって、C末端ドメインに結合される。これは、75個までのアミノ酸長さであり、決定可能な構造を持たない。
C末端ドメインは、血清タンパク質ヘモペキシンと構造的な類似性を持つ。これは、4個の刃の付いたβ−プロペラ構造を持つ。β−プロペラ構造は、タンパク質−タンパク質相互作用に関与すると考えられる大きな平坦面を提供する。これは、基質特異性を決定し、TIMPの基質との相互作用のための部位である。ヘモペキシン様ドメインは、MMP−7、MMP−23、MMP−26、植物および線形動物中には存在しない。MT−MMPは、このドメインを介して血漿膜に固定され、これらの中には、細胞質ドメインを持つものもある。
MMPは、異なる方法で、細分化することができる。MMPの一次配列を比較するための、生物情報科学的方法を使用して、MMP−19;MMP11、14、15、16および17;MMP−2およびMMP−9;他のMMP全てという、MMPの進化的なグループ分けが示唆される。
単離における触媒ドメインの分析は、主要なグループが分化した後、さらに触媒ドメインが導き出されたことを示唆し、これは酵素の基質特異性によっても示される。最も一般的に使用されているグループ分け(MMP生物学の研究者による)は、一部、MMPの基質特異性の履歴評価に基づき、一部MMPの細胞局在化に基づく。これらのグループは、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメライシンおよび膜型MMP(MT−MMP)である。従来のグループのどれにも合わないMMPが数多く存在するので、これらの区分けはいくらか不自然であることがだんだん明らかになってきている。
コラゲナーゼは、三重ら旋フィブリルコラーゲンを、識別可能な3/4および1/4フラグメントに分解することができる。これらのコラーゲンは、骨および軟骨の主要成分であり、MMPは、それらを分解することができる唯一の公知の哺乳類酵素である。従来、コラゲナーゼは、MMP−1(間質性コラゲナーゼ)、MMP−8(好中球コラゲナーゼ)、MMP−13(コラゲナーゼ3)、MMP−18(コラゲナーゼ4、xcol4、ゼノパスコラゲナーゼ)である。ヒト相同分子種は知られていない。MMP−14(MT1−MMP)も、フィブリルコラーゲンを切断することが知られており、MMP−2はコラーゲン分解が可能であるという証拠があることについては、議論の的である。
ストロメライシンは、細胞外マトリックスタンパク質を切断する広い能力を示すが、三重ら旋フィブリルコラーゲンを切断することはできない。このグループの3つの正規メンバーは、MMP−3(ストロメライシン1)、MMP−10(ストロメライシン2)およびMMP−11(ストロメライシン3)である。MMP−11は、MT−MMPにより類似性を示し、転換酵素活性があり、分泌し、したがって通常、転換酵素活性性MMPに関係している。
マトリシンとして、MMP−7(マトリシン、PUMP)およびMMP−26(マトリシン−2,エンドメターゼ(endometase))が挙げられる。
ゼラチナーゼの主な基質は、IV型コラーゲンおよびゼラチンであり、これらの酵素は、触媒ドメインに挿入された追加のドメインの存在によって識別される。このゼラチン結合領域は、亜鉛結合モチーフのすぐ手前に配置され、触媒ドメインの構造を崩壊しない個別の折りたたみ式ユニットを形成する。このサブグループの2つのメンバーは、MMP−2(72kDaのゼラチナーゼ、ゼラチナーゼ−A)およびMMP−9(92kDaのゼラチナーゼ、ゼラチナーゼ−B)である。
分泌されたMMPとして、MMP−11(ストロメライシン3)、MMP−21(X−MMP)およびMMP−28(エピリシン(Epilysin))が挙げられる。
膜結合MMPとして、II型経膜セグメントシステインアレーMMP−23、グリコシルホスファチジルイノシトール結合MMP17および25(それぞれMT4−MMPおよびMT6−MMP)、およびI型経膜セグメントMMP14、15、16、24(それぞれ、MT1−MMP、MT2−MMP、MT3−MMPおよびMT5−MMP)が挙げられる。
6個のMT−MMPは全て、フリン切断部位をプロ−ペプチド内に持ち、これも、MMP−11によって共有される特徴である。
他のMMPとして、MMP−12(マクロファージメタロエラスターゼ)、MMP−19(RASI−1、場合によっては、ストロメライシン−4と言われる)、エナメリシン(MMP−20)、MMP−27(MMP−22,C−MMP)、MMP−23A(CA−MMP)、およびMMP−23Bが挙げられる。
3.TIMP
MMPは、メタロプロテアーゼの特異的な内因性組織阻害剤(TIMP)によって阻害され、TIMPとして、4種のタンパク質分解酵素阻害剤、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3およびTIMP−4のファミリーが挙げられる。総括的に、全てのMMPは、一旦活性化されると、TIMPによって阻害されるが、ゼラチナーゼ(MMP−2およびMMP−9)は、酵素が潜在型であると、TIMPとともに、複合体を形成することができる。潜在性MMP−2(プロ−MMP−2)とTIMP−2との複合体は、細胞表面で、MT1−MMP(MMP−14)、膜固定MMPによって、プロ−MMP−2の活性化を容易にする役目を果たす。
4.MMP/TIMP比
高血圧性心臓疾患においてMMP−TIMPをプロファイルするための固有の特徴の1つは、心臓特有のTIMPであるTIMP−4を利用し、これを、心筋梗塞および高血圧の患者においてより大きな度合いで変化するMMPとともに、この重大な状況に置くことである。また、MMP−9またはMMP−13のようなMMPの、TIMP−1、TIMP−2またはTIMP−4のようなTIMPに対する比も開示されている。これらの比は、本発明で初めて診断差として、および明らかに異なる疾患状態を持つ患者を認定するために使用される。
5.血漿スクリーニング
本発明の教示の重要な利点は、ここで開示される方法が、組織または体液から、有害なLVHを発症するリスクのある対象を認定すると同時にこの経過が加速的な速度で起こっている患者を認定する、より迅速で簡単な手順を提供することである。したがって、ここで開示する方法は、対象の体液、たとえば、血液、尿、血漿、血清、涙、リンパ、胆汁、脊髄液、組織液、眼房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門および膣分泌物、汗、精液、漏出液、滲出液および関節液中のMMPおよびTIMPの検出を含みうる。
血液の血漿は、血液の液体成分であり、血液細胞が懸濁している。血漿は、血液の最も大きな単一成分で、総血液容積の約55%までを占める。血清は、凝血因子(たとえば、フィブリン)が除かれた血液血漿を言う。血液血漿は、フィブリノーゲン、グロブリンおよびヒト血清アルブミンを始めとする多くの生命維持に必要なタンパク質を含有する。時には、血液血漿は、ウィルス処理により抽出しなければならない、ウィルス性不純物を含有することがある。
6.イムノアッセイ
タンパク質、MMPおよびTIMPのような検体を検出する、当該分野で公知のまたは新しく発見された方法は数多く存在し、これらは開示される方法において使用することができる。たとえば、MMPおよびTIMPは、標準の免疫検出方法を使用して検出することができる。種々の有用な免疫検出方法のステップは、特定の文献、たとえば、Maggioら,Enzyme−Immunoassay,(1987)およびNakamuraら, Enzyme Immunoassays:Heterogeneous and Homogeneous Systems,Handbook of Experimental Immunology,第1巻:Immunochemistry,27.1−27.20(1986)に記載されており、これらはそれぞれ、その全体、特に免疫検出方法に関する教示に関して、参考により本明細書に組み込まれる。最も簡単で直接的な意味で、イムノアッセイは、抗体と抗原との間の結合に関連する結合アッセイである。多くの種類およびフォーマットのイムノアッセイが知られ、全てが、開示されるバイオマーカーを検出するために適切である。イムノアッセイの例として、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラジオイムノ沈殿アッセイ(RIPA)、イムノビーズ捕捉アッセイ、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、ゲル−シフトアッセイ、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ、多重ビーズアレイ、磁気捕捉、インビボイメージング、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、および蛍光回復/光漂白後の局在化(FRAP/FLAP)がある。
一般的に、イムノアッセイは、場合によっては、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、影響のある分子を含有すると思われる試料(たとえば、開示されたバイオマーカー)を、影響のある分子に対する抗体に接触させること、または影響のある分子に対する抗体(たとえば、開示されたバイオマーカーに対する抗体)を、抗体によって結合することのできる分子と接触させることを含む。試料を、免疫複合体(第一免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下および前記形成を可能にするのに十分な時間、影響のある分子に対する抗体に、または影響のある分子に対する抗体によって結合されうる分子に接触させることとは、一般的に、分子または抗体と試料とを単純に接触させ、該混合物を、抗体が、それが結合できる存在する任意の分子(たとえば、抗原)と共に、すなわち、前記分子に結合して、免疫複合体を形成するのに十分な時間、培養することである。次いで、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウェスタンブロットのようなイムノアッセイの多くの形態では、試料−抗体組成物を洗浄し、あらゆる非特異的結合抗体種を除去し、検出すべき第一免疫複合体内部に特異的に結合する抗体のみとすることができる。
イムノアッセイとして、試料中の影響のある分子(たとえば、開示されたバイオマーカーまたはそれらの抗体)を検出し、またはその量を定量する方法を挙げることができ、該方法は、一般的に、結合プロセス中に形成された任意の免疫複合体を検出または定量することを含む。一般的に、免疫複合体形成の検出は、当該分野で周知であり、多くのアプローチの適用により達成することができる。これらの方法は、一般的に、標識またはマーカー、たとえば、任意の放射活性、蛍光製生物または酵素タグまたは任意の他の公知の標識の検出に基づく。たとえば、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号および第4,366,241号明細書を参考。これらはそれぞれ、その全体を、特に免疫検出法および標識に関する教示を、参考によって、本明細書に組み込む。
本明細書で使用される標識は、蛍光染料、結合ペアの構成成分、たとえばビオチン/ストレプトアビジン、金属(たとえば、金)、またはたとえば、着色基質または蛍光を作ることによって検出することができる分子に特異的に相互作用することができるエピトープタグを含みうる。タンパク質を検出可能に標識化するのに適切な物質として、蛍光染料(ここでは、蛍光色素および蛍光団としても知られる)および発色性基質(たとえば、ホースラディッシュパーオキシダーゼ)と反応する酵素が挙げられる。蛍光染料は、非常に少ない量でも検出することができるので、これを使用することは、一般的に、本発明の実施において好ましい。さらに、複数の抗原が単一のアレイに反応する場合、同時検出のために、各抗原を異なる蛍光化合物で標識付けすることができる。アレイ上の標識が付けられたスポットを、蛍光計を用いて検出し、シグナルの存在が特定の抗体に結合した抗原を示す。
蛍光団は、発光する化合物または分子である。通常の蛍光団は、1波長で、電磁エネルギーを吸着し、第二の波長で電磁エネルギーを放出する。代表的な蛍光団として、1,5−IAEDANS;1,8−ANS;4−メチルウンベリフェロン;5−カルボキシ−2,7−ジクロロフルオレセイン;5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM);5−カルボキシナフトフルオレセイン;5−カルボキシテトラメチルローダミン(5−TAMRA);5−ヒドロキシトリプタミン(5−HAT);5−ROX(カルボキシ−X−ローダミン);6−カルボキシローダミン6G;6−CR6G;6−JOE;7−アミノ−4−メチルクマリン;7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD);7−ヒドロキシ−4−1メチルクマリン;9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン(ACMA);ABQ;酸性フクシン;アクリジンオレンジ;アクリジンレッド;アクリジンイエロー;アクリフラビン;アクリフラビンフォイルゲンSITSA;エクオリン(発光タンパク質);AFP−自己蛍光タンパク質−(Quantum Biotechnologies社)sgGFP、sgBFP参考;Alexa Fluor350(商標);Alexa Fluor430(商標);Alexa Fluor488(商標);Alexa Fluor532(商標);Alexa Fluor546(商標);Alexa Fluor568(商標);Alexa Fluor594(商標);Alexa Fluor633(商標);Alexa Fluor647(商標);Alexa Fluor660(商標);Alexa Fluor680(商標);アリザリンコンプレキソン;アリザリンレッド;アロフィコシアニン(APC);AMC、AMCA−S;アミノメチルクマリン(AMCA);AMCA−X;アミノアクチノマイシンD;アミノクマリン;アニリンブルー;ステアリン酸アントロシル(Anthrocyl stearate);APC−Cy7;APTRA−BTC;APTS;アストラゾンブリリアントレッド4G;アストラゾンオレンジR;アストラゾンレッド6B;アストラゾンイエロー7GLL;アタブリン;ATTO−TAG(商標)CBQCA;ATTO−TAG(商標)FQ;オーラミン;オーロホスフィンG;オーロホスフィン;BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール);BCECF(高pH);BCECF(低pH);硫酸ベルベリン;ベータラクタマーゼ;BFPブルーシフトGFP(Y66H);青色蛍光タンパク質;BFP/GFP FRET;ビマン;ビスベンゼミド(bisbenzemide);ビスベンジミド(Hoechst社);ビス−BTC;ブランコファーFFG;ブランコファーSV;BOBO(商標)−1;BOBO(商標)−3;BODIPY492/515;BODIPY493/503;BODIPY500/510;BODIPY505/515;BODIPY530/550;BODIPY542/563;BODIPY558/568;BODIPY564/570;BODIPY576/589;BODIPY581/591;BODIPY630/650−X;BODIPY650/665−X;BODIPY665/676;BODIPY FL;BODIPY FL ATP;BODIPY Fl−セラミド;BODIPY R6G SE;BODIPY TMR;BODIPY TMR−X複合体;BODIPY TMR−X,SE;BODIPY TR;BODIPY TR ATP;BODIPY TR−X SE;BO−PRO(商標)−1;BO−PRO(商標)−3;ブリリアントスルホフラビンFF;BTC;BTC−5N;カルセイン;カルセインブルー;カルシウムクリムゾン−;カルシウムグリーン;カルシウムグリーン−1Ca2+染料;カルシウムグリーン−2Ca2+;カルシウムグリーン−5N Ca2+;カルシウムグリーン−C18Ca2+;カルシウムオレンジ;カルコフロールホワイト;カルボキシ−X−ローダミン(5−ROX);カスケードブルー(商標);カスケードイエロー;カテコールアミン;CCF2(GeneBlazer社);CFDA;CFP(シアン蛍光タンパク質);CFP/YFP FRET;クロロフィル;クロモマイシンA;クロモマイシンA;CL−NERF;CMFDA;コエレンテラジン;コエレンテラジンcp;コエレンテラジンf;コエレンテラジンfcp;コエレンテラジンh;コエレンテラジンhcp;コエレンテラジンip;コエレンテラジンn;コエレンテラジンO;クマリンファロイジン;C−サイコシアニン;CPM Iメチルクマリン;CTC;CTCホルマザン;Cy2(商標);Cy3.18;Cy3.5(商標);Cy3(商標);Cy5.18;Cy5.5(商標);Cy5(商標);Cy7(商標);シアンGFP;環状AMPフルオロセンサー(FiCRhR);ダブシル;ダンシル;ダンシルアミン;ダンシルカダベリン;ダンシルクロライド;ダンシルDHPE;ダンシルフルオライド;DAPI;ダポキシル;ダポキシル2;ダポキシル3のDCFDA;DCFH(ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート);DDAO;DHR(ジヒドロローダミン123);ジ−4−ANEPPS;ジ−8−ANEPPS(比なし);DiA(4−Di16−ASP);ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(DCFH);DiD−親油性トレーサー;DiD(DilCl8(5));DIDS;ジヒドローダミン123(DHR);Dil(DilC18(3));Iジニトロフェノール;DiO(DiOC18(3));DiR;DiR(DilC18(7));DM−NERF(高pH);DNP;ドーパミン;Dsレッド;DTAF;DY−630−NHS;DY−635−NHS;EBFP;ECFP;EGFP;ELF97;エオシン;エリトロシン;エリトロシンITC;エチジウムブロマイド;エチジウムホモダイマー−1(EthD−1);オイクリシン;エコライト(EukoLight);ユーロピウム(111)クロライド;EYFP;ファーストブルー;FDA;フォイルゲン(パラローザニリン);FIF(ホルムアルデヒト誘発蛍光発色);FITC;フラゾオレンジ;フルオ−3;フルオ−4;フルオレセイン(FITC);フルオレセインジアセテート;フルオロ−エメラルド;フルオロ−ゴールド(ヒドロキシスチルバミジン);フルーア−ルビー;フルーアX;FM1−43(商標);FM4−46;フラレッド(商標)(高pH);フラレッド(商標)/フルオ−3;フラ−2;フラ−2/BCECF;ゲナクリルブリリアントレッドB;ゲナクリルブリリアントイエロー10GF;ゲナクリルピンク3G;ゲナクリルイエロー5GF;ジーンブレイザー;(CCF2);GFP(S65T);GFPレッドシフト(rsGFP);GFP野生型非UV励起(wtGFP);GFP野生型,UV励起(wtGFP);GFPuv;グロキサン酸;顆粒状ブルー;ヘマトポルフィリン;ヘキスト33258;ヘキスト33342;ヘキスト34580;HPTS;ヒドロキシクマリン;ヒドロキシスチルバミジン(フルオロゴールド);ヒドロキシトリプタミン;インド−1、高カルシウム;インド−1低カルシウム;インドジカルボシアニン(DiD);インドトリカルボシアニン(DiR);イントラホワイトCf;JC−1;JO JO−1;JO−PRO−1;レーザープロ;ラロダン;LDS751(DNA);LDS751(RNA);ロイコホーPAF;ロイコホーSF;ロイコホーWS;リサミンローダミン;リサミンローダミンB;カルセイン/エチジウムホモダイマー;LOLO−1;LO−PRO−1;;ルシファーイエロー;リソトラッカーブルー;リソトラッカーブルー−ホワイト;リソトラッカーグリーン;リソトラッカーレッド;リソトラッカーイエロー;リソセンサー(LysoSensor)ブルー;リソセンサーグリーン;リソセンサーイエロー/ブルー;マググリーン;マグダラレッド(フロキシンB);マグ−フラレッド;マグ−フラ−2;マグ−フラ−5;マグ−インド−1;マグネシウムグリーン;マグネシウムオレンジ;マラカイトグリーン;マリーナブルー;Iマキシロンブリリアントフラビン10GFF;マキシロンブリリアントフラビン8GFF;メロシアニン;メトキシクマリン;ミトトラッカーグリーンFM;ミトトラッカーオレンジ;ミトトラッカーレッド;ミトラマイシン;モノブロモビマン;モノブロモビマン(mBBr−GSH);モノクロロビマン;MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン);NBD;NBDアミン;ナイルレッド;ニトロベンゾキセジドール(Nitorobenzoxedidole);ノルアドレナリン;ヌクレアファーストレッド;iヌクレアイエロー;ナイロサンブリリアントラビンE8G;オレゴングリーン(商標);オレゴングリーン(商標)488;オレゴングリーン(商標)500;オレゴングリーン(商標)514;パシフィックブルー;パラローザニリン(フォイルゲン);PBFI;PE−Cy5;PE−Cy7;PerCP;PerCP−Cy5.5;PE−テキサスレッド(レッド613);フロキシンB(マグダラレッド);ホルワイトAR;ホルワイトBKL;ホルワイトRev;ホルワイトRPA;ホスフィン3R;フォトレジスト;フィコエリトリンB[PE];フィコエリトリンR[PE];PKH26(Sigma社);PKH67;PMIA;ポントクロームブルーブラック;POPO−1;POPO−3;PO−PRO−1;PO−IPRO−3;プリムリン;プロシオンイエロー;プロピジウムローディッド(Propidium lodid)(Pl);PyMPO;ピレン;ピロニン;ピロニンB;ピロザールブリリアントフラビン7GF;QSY7;キナクリンマスタード;レゾルフィン;RH414;Rhod−2;ローダミン;ローダミン110;ローダミン123;ローダミン5GLD;ローダミン6G;ローダミンB;ローダミンB200;ローダミンBエクストラ;ローダミンBB;ローダミンBG;ローダミングリーン;ローダミンファリシジン;ローダミン:ファロイジン;ローダミンレッド;ローダミンWT;ローズベンガル;R−フィコシアニン;R−フィコエリトリン(PE);rsGFP;S65A;S65C;S65L;S65T;サファイアGFP;SBFI;セロトニン;セブロンブリリアントレッド2B;セブロンブリリアントレッド4G;セブロンIブリリアントレッドB;セブロンオレンジ;セブロンイエローL;sgBFP(商標)(スーパ−グローBFP);sgGFP(商標)(スーパ−グローGFP);SITS(プリムリン;スチルベンイソチオスルホン酸);SNAFLカルセイン;SNAFL−1;SNAFL−2;SNARFカルセイン;SNARFl;ナトリウムグリーン;スペクトラムアクア;スペクトラムグリーン;スペクトラムオレンジ;スペクトラムレッド;SPQ(6−メトキシ−N−(3−スルホプロピル)キノリニウム);スチルベン;スルホローダミンBおよびC;スルホローダミンエクストラ;SYTO11;SYTO12;SYTO13;SYTO14;SYTO15;SYTO16;SYTO17;SYTO18;SYTO20;SYTO21;SYTO22;SYTO23;SYTO24;SYTO25;SYTO40;SYTO41;SYTO42;SYTO43;SYTO44;SYTO45;SYTO59;SYTO60;SYTO61;SYTO62;SYTO63;SYTO64;SYTO80;SYTO81;SYTO82;SYTO83;SYTO84;SYTO85;SYTOXブルー;SYTOXグリーン;SYTOXオレンジ;テトラシクリン;テトラメチルローダミン(TRITC);テキサスレッド(商標);テキサスレッド−X(商標)コンジュゲート;チアジカルボシアニン(DiSC3);チアジンレッドR;チアゾールオレンジ;チオフラビン5;チオフラビンS;チオフラビンTON;チオライト;チオゾールオレンジ;チノポールCBS(カルコフロールホワイト);TI


ER;TO−PRO−1;TO−PRO−3;TO−PRO−5;TOTO−1;TOTO−3;トリコロール(PE−Cy5);TRITCテトラメチルローダミンイソチオシアネート;ツルーブルー;Truレッド;ウルトラライト;ウラニンB;ウビテックスSFC;wtGFP;WW781;X−ローダミン;XRITC;キシレンオレンジ;Y66F;Y66H;Y66W;イエローGFP;YFP;YO−PRO−1;YO−PRO3;YOYO−1;YOYO−3;Sybrグリーン;チアゾールオレンジ(インターキレート染料);量子ドットのような半導体微粒子;またはケージ化蛍光団(光または他の電磁エネルギー源で活性化しうる)、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
標識化は直接的にも間接的にも行うことができる。直接的標識化では、検出する抗体(影響のある分子に関する抗体)または検出する分子(影響のある分子に対する抗体によって結合することのできる分子)が標識を含む。標識の検出は、検出する抗体または検出する分子の存在を示し、これは次に、それぞれ、影響のある分子または影響のある分子に対する抗体の存在を示す。間接的標識化では、追加の分子または部分を、免疫複合体と接触させ、あるいは免疫複合体の部位で生成する。たとえば、酵素のようなシグナル生成分子または部分を、検出する抗体または検出する分子に結合することができ、またはこれに関連させることができる。次いで、シグナル生成分子は、検出可能なシグナルを、免疫複合体の部位に生成することができる。たとえば、適切な基質が供給されると、酵素は、免疫複合体の部位に目視可能なまたは検出可能な生成物を生成することができる。ELISAは、この種の間接的標識化を使用する。
間接的標識化の他の例としては、影響のある分子、あるいは影響のある分子(一次抗体)に対する抗体、たとえば、一次抗体に対する第二抗体のどちらかに結合することができる追加の分子(結合剤とも言う)を、免疫複合体と接触させることができる。追加の分子は、標識、シグナル生成分子または部分を有しうる。追加の分子は、抗体である可能性があり、したがって、それを第二抗体と称することができる。一次抗体に対する第二抗体の結合は、第一(または一次)抗体と影響のある分子とで、いわゆるサンドウィッチ構造を形成することができる。免疫複合体は、標識化第二抗体に、第二免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下でそれに十分な時間接触させることができる。次いで、第二免疫複合体は一般的に洗浄され、任意の非特異的結合標識化第二抗体を除去し、次いで、第二免疫複合体中に残った標識を検出することができる。また、追加の分子は、ビオチン/アビジンペアのような、それぞれに結合しうる分子または部分のペアのひとつであり、またはそれを含んでもよい。このモードでは、検出する抗体または検出する分子は、ペアのもう1つの構成成分を含むべきである。
間接的標識化の他のモードは、2ステップアプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。たとえば、影響のある分子または対応抗体への結合親和性を有する抗体のような分子(第一結合剤とも言う)を使用して、先に記載したようにして、第二免疫複合体を形成することができる。洗浄後、第二免疫複合体を、第一結合剤への結合親和性を有する他の分子(第二結合剤とも言う)に、再び、免疫複合体の形成を可能にする(したがって、三次免疫複合体を形成する)のに有効な条件下でそれに十分な時間接触させることができる。第二結合剤を、検出可能な標識、あるいはシグナル生成分子または部分に結合し、このように形成された三次免疫複合体の検出を行うことができる。このシステムは、シグナルの増幅を提供することができる。
特異的タンパク質に対するタンパク質または抗体のような物質の検出を含むイムノアッセイとして、ラベルフリーアッセイ、タンパク質分離方法(すなわち、電気泳動法)、固形支持体捕捉アッセイまたはインビボ検出法が挙げられる。ラベルフリーアッセイは、一般的に、試料中の特異的なタンパク質、または特異的なタンパク質に対する抗体の存在または非存在を検出する診断方法である。タンパク質分離方法は、寸法または正味電荷のようなタンパク質の物性を評価するのに、追加的に有用である。捕捉アッセイは、一般的に、試料中の特異的なタンパク質、または特異的なタンパク質に対する抗体の濃度を定量的に評価するのにより有用である。最後に、インビボ検出法は、物質の空間的発現パターン、すなわち、対象、組織あるいは細胞のどこに物質を見出すことができるかを評価するのに有用である。
濃度が十分であれば、抗体−抗原相互作用によって生成される分子複合体([Ab−Ag]n)は、肉眼で見ることができ、より少ない量でも、光線を拡散する能力によって、検出および測定することができる。複合体の形成は、2つの反応物質が存在することを示唆し、免疫沈降アッセイでは、一定濃度の試薬抗体を使用して特異的抗原([Ab−Ag]n)を測定し、試薬抗原を使用して特異的抗体([Ab−Ag]n)を検出する。試薬種を予め細胞(赤血球凝集反応アッセイにおけるように)または非常に小さな粒子(ラテックス凝集反応アッセイにおけるように)に被覆した場合、被覆粒子の「凝集物」は、非常に低い濃度で目視可能である。これらの基本原理に基づく様々なアッセイがよく使用され、オクタロニー免疫拡散アッセイ、ロケット免疫電気泳動法、免疫濁度アッセイおよび比濁アッセイが挙げられる。該アッセイの主な限界は、標識を使用するアッセイと比べると、感度が制限される(検出限界がより低い)ことと、非常に高い濃度の検体が、実際に複合体形成を抑制することもあり、手順をより複雑にする防護手段が必要になる場合もあるという事実である。これらグループ1アッセイの中には、まさに抗体の発見の直後から存在するものもあり、これらは全て、実際の「標識」(たとえば、Ag−酵素)を持たない。標識がなく、免疫センサーに依存するイムノアッセイの他の種類、および抗体−抗原相互作用を直接検出することができる種々の装置は、現在市販されている。殆どは、固定化リガンドでセンサー表面にエバネセント波を生成することに依存し、これは、リガンドへの結合を継続的にモニターすることが可能である。免疫センサーは、運動性相互作用を簡単に調べることができ、低価格の専門装置の出現により、将来、免疫解析において、広い適用が見出されるだろう。
特異的タンパク質を検出するためのイムノアッセイの使用は、電気泳動によるタンパク質の分離を含みうる。電気泳動は、電界に応答する溶液中の荷電された分子の移動である。それらの移動の速度は、電界の強さ、正味電荷、分子のサイズおよび形状、また分子が移動する媒体のイオン強度、粘度および温度に依存する。分析手段として、電気泳動法は、簡単で、迅速で、高感度である。単一帯電種の特性を検査するために、および分離手段として、分析的に使用される。
一般的に、試料を、紙、酢酸セルロース、デンプンゲル、アガロースまたはポリアルキルアミドゲルのような支持体マトリックス上で走らせる。マトリックスは、熱による対流混合を阻止し、電気泳動走行の記録を提供し、したがって、走行の終わりには、マトリックスは染色され、走査、放射線写真撮影または保存のために使用することができる。さらに、最もよく使用される支持体材料、すなわちアガロースおよびポリアクリルアミドは、多孔性ゲルであるので、サイズによって分子を分離する手段を提供する。多孔性ゲルは、より小さな分子は自由に移動することを可能にしつつ、大きな巨大分子の動きの速度を減少させ、あるいは時には完全に妨害することによって、ふるいとして作用することができる。希釈アガロースゲルは、一般的に、同じ濃度のポリアクリルアミドより、より強固で取り扱い易いので、アガロースは、核酸、巨大タンパク質およびタンパク質複合体のような大きな巨大分子を分離するために使用される。取り扱いが簡単で高濃度にされるポリアクリルアミドは、減速のために小さなゲル孔径を必要とする殆どのタンパク質および小さなオリゴヌクレオチドを分離するために使用される。
タンパク質は、両性化合物であり、したがって、これらの正味電荷は、タンパク質が懸濁している媒体のpHによって測定される。当電点を超えるpHの溶液では、タンパク質は、正味の負電荷を有し、電界中のアノードに向かって移行する。当電点未満では、タンパク質は、正に電荷し、カソードに向かって移行する。さらに、タンパク質が持つ正味電荷は、そのサイズに依存し、すなわち、分子の単位質量(または単位長さ、既知のタンパク質および核酸は、線状巨大分子である)当たりの電荷は、タンパク質によって異なる。したがって、あるpH、非変性条件下でのタンパク質の電気泳動による分離は、サイズおよび分子の電荷の両方によって決定される。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、ポリペプチド骨格の「周りを取り囲む」ことによってタンパク質を変性するアニオン系界面活性剤であり、SDSは1.4:1の質量比で比較的特異的にタンパク質に結合する。その際、SDSは、その長さに比例して、負の電荷をポリペプチドに与える。さらに、普通、サイズによる分離に必要なランダムコイル配置を適用する前に、タンパク質(変性)中のジスルフィド架橋を減らす必要があり、これは、2−メルカプトエタノールおよびジチオトレイトール(DTT)によってなされる。したがって、変性SDS−PAGE分離では、移動は、ポリペプチドの固有の電荷によって測定するのではなく、分子量によって測定する。
分子量の測定は、特性確認されるべきタンパク質とともに、公知の分子量のタンパク質のSDS−PAGEによってなされる。直線関係は、SDS−変性ポリペプチド、または本来の核酸の分子量の対数と、そのRfとの間に存在する。Rfは、マーカー色素先端が移動した距離に対する分子が移動した距離の比として計算される。電気泳動法(Mr)により相対分子量を測定する簡単な方法は、公知の試料に関し、移動距離対log10MWの標準曲線をプロットし、同じゲル上で移動した距離を測定した後、試料のlogMrを読み取ることである。
二次元電気泳動法では、タンパク質を、先ず1つの特性に基づいて分画し、そして第二ステップで他の特定に基づいて分画する。たとえば、等電焦点法は、最初の次元のために使用することができ、チューブゲルで有利に行われ、スラブゲルでのSDS電気泳動法を、第二次元のために使用することができる。一手段例として、O’Farrell,P.H.、タンパク質の高分解能二次元電気泳動法、J.Biol.Chem.250:4007−4021(1975)の手段があり、この文献は、二次元電気泳動法に関する教示の全体が、参考によって、本明細書に組み込む。他の例として、Anderson,LおよびAnderson,NG,ヒト血漿タンパク質の高分解能二次元電気泳動法、Proc.Natl.Acad.Sci.74:5421−5425(1977)およびOrnstein,L.、ディスク電気泳動法、L.Ann.N.Y.Acad.Sci.121:321349(1964)に見られるものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの文献は、それぞれ、電気泳動法に関する教示の全体を、参考によって本明細書に組み込む。
Laemmli,U.K.バクテリオファージT4の頭部組立て中の構造タンパク質の切断、Nature227:680(1970)(この文献は、電気泳動法に関する教示の全体を参考により本明細書に組み込む)には、SDSで変性されたタンパク質を分解するための不連続システムが開示されている。Laemmli緩衝システム中の誘導イオンは塩素イオンであり、従動イオンはグリシンである。したがって、分解ゲルおよびスタッキングゲルは、(異なる濃度およびpHの)トリス−HCl緩衝液中で構築され、一方タンク緩衝液は、トリス−グリシンである。全ての緩衝液が0.1%のSDSを含有する。
現行法で意図されている電気泳動法を使用するイムノアッセイの一例は、ウェスタンブロット分析である。ウェスタンブロット法またはイムノブロット法は、タンパク質の分子量の測定および異なる試料中に存在するタンパク質の相対量の測定を可能にする。検出方法はとして、化学ルミネセンスおよび発色検出が上げられる。ウェスタンブロット分析の標準的な方法は、たとえば、D.M.Bollagら,Protein Methods(第二編1996)およびE.Harlow & D.Lane,Antibodies,a Laboratory Manual(1988)、米国特許第4,452,901号に見出すことができ、これらの文献はそれぞれ、ウェスタンブロット法に関する教示の全体を、参考により本明細書に組み入れられる。一般的に、タンパク質は、ゲル電気泳動法、普通SDS−PAGEによって分離される。タンパク質を、特殊な吸取紙、たとえば、他の種類の紙または膜も使用できるが、ニトロセルロースのシートに移す。タンパク質は、ゲル上で持っていたのと同じ分離パターンを保持する。ブロットを、一般的なタンパク質(たとえば、ミルクタンパク質)とともに培養し、ニトロセルロース上の任意の残っている粘着性のある場所に結合する。次いで、その特異的タンパク質に結合することができる抗体を、該溶液に加える。
特異的に固定化された抗原への特異的抗体の結合は、間接酵素イムノアッセイ法によって、通常、発色性基質(たとえば、アルカリ性ホスファターゼまたはホースラデュッスパーオキシダーゼ)または化学発光基質を使用して、簡単に視覚化することができる。プロービングに関する他の可能性として、蛍光標識または放射性同位体標識(たとえば、フルオレセイン、125I)の使用が挙げられる。抗体結合を検出するブローブとして、複合抗免疫グロブリン、複合ブドウ球菌性タンパク質A(IgGを結合する)、またはビオチン化一次抗体に対するブローブ(たとえば、複合アビジン/ストレプトアビジン)を挙げることができる。
該方法の利点は、該技術のその抗原性とその分子量を用いた特異的タンパク質の同時検出にある。タンパク質を、先ず、SDS−PAGEでの質量によって分離し、次いでイムノアッセイステップで特異的に検出する。したがって、不均質な試料中の影響のあるタンパク質の分子量に似せるために、タンパク質標準(ラダー)を同時に走らせることができる。
ゲルシフトアッセイまたは電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)は、DNA結合タンパク質とそれらの同属認識配列との間の相互作用を、定性的および定量的の両方法で検出するために使用することができる。代表的な技術が、Ornstein L.,Disc electrophoresis−I:Background and theory,Ann.NY Acad.Sci.121:321−349(1964)およびMatsudiara,PT and DR Burgess,SDS microslab linear gradient polyacrylamide gel electrophoresis,Anal.Biochem.87:386−396(1987)に記載されており、これらの文献はそれぞれ、ゲルシフトアッセイに関する技術の全体を、参考により本明細書に組み入れる。
一般的なゲルシフトアッセイでは、精製タンパク質または粗細胞抽出物を、標識化(たとえば、32P−放射性標識化)DNAまたはRNAプローブで培養し、次いで遊離プローブから、非変性ポリアクリルアミドゲルによって複合体を分離することができる。該ゲルにより、複合体は結合していないプローブより遅く移動する。結合タンパク質の活性により、標識化プローブは、二本鎖または一本鎖になりうる。転写因子のようなDNA結合タンパク質を検出するためには、精製または部分的に精製されたタンパク質、あるいは核の細胞抽出物を使用することができる。RNA結合タンパク質を検出するためには、精製または部分的に精製されたタンパク質、あるいは核または細胞質の細胞抽出物を使用することができる。推定結合部位のためのDNAまたはRNA結合タンパク質の特異性は、DNAまたはRNAフラグメント、または影響のあるタンパク質のための結合部位を含有するオリゴヌクレオチド、あるいは他の関連のない配列を使用する競争実験によって規定する。特異的および非特異的競合相手の存在下で形成される複合体の性質および強さにおける違いは、特異的相互作用の識別を可能にする。<http://www.promega.com/faq/gelshfaq.html>で見られるPromega,Gel Shift Assay FAQ(最後のアクセスは2005年3月25日)を参考のこと。このサイトは、ゲルシフト方法に関する教示の全体を、参考によって本明細書に組み入れる。
ゲルシフト法は、たとえば、コロイド状のCOOMASSIE(Imperial Chemicals Industries社)、ポリアクリルアミド電気泳動ゲルのようなゲル中でタンパク質を検出する青色染色液を使用することを含むことができる。このような方法は、たとえば、Neuhoffら,Electrophoresis6:427−448(1985)およびNeuhoffら,Electrophoresis9:255−262(1988)に記載され、これらはそれぞれ、ゲルシフト法に関する教示の全てを参考により本明細書に組み入れる。先に記載した従来のタンパク質アッセイ法に加えて、組合せ洗浄およびタンパク質染色組成物が、米国特許第5,424,000号明細書に記載され、これは、ゲルシフト法に関する教授の全体を、参考により本明細書に組み入れる。溶液は、リン酸、硫酸、硝酸および酸性バイオレット染料を含むことができる。
放射免疫沈降アッセイ(RTPA)は、血清中の特異的抗体を検出する放射性標識化抗原を使用する、高感度アッセイである。抗原は、血清に結合させることができ、次いでたとえば、タンパク質Aセファロースビーズのような特定の試薬を使用して沈降させる。次いで、結合した放射性標識化イムノ沈降物を、通常、ゲル電気泳動法によって分析する。放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)は、しばしば、HIV抗体の存在を診断する確認試験として使用される。また、当該分野では、RIPAは、Farrアッセイ、沈降アッセイ、放射性免疫沈降アッセイ、放射性免疫沈降分析、放射性免疫沈降分析および放射性免疫沈降分析とも言われる。
影響のある特異的タンパク質を分離検出するために電気泳動を利用する前記イムノアッセイによって、タンパク質サイズの値を求めることは可能であるが、タンパク質濃度の値を求めるほど感度はよくない。しかし、支持体上のタンパク質または該タンパク質に特異的な抗体を検出する方法と組合わせて、タンパク質またはタンパク質に特異的な抗体を、固体支持体(たとえば、チューブ、ウェル、ビーズまたは細胞)に結合し、それぞれ、影響のある抗体またはタンパク質を試料から捕獲するイムノアッセイを想定することもできる。そのようなイムノアッセイの例として、放射性イムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ、多重ビーズアッセイ、および磁気捕獲が挙げられる。
放射免疫測定(RIA)は、放射能標識化された物質(放射性リガンド)を、直接または間接的に使用して標識化されていない物質の特異的抗体または他の受容体系への結合を測定する、抗原−抗体反応の検出のための古典的な定量的アッセイである。放射免疫測定は、たとえば、バイオアッセイの使用を必要とすることなく、血液中のホルモン濃度を試験するのに使用される。非免疫原性物質(たとえば、ハプテン類)も、抗体形成を誘発することができるより大きなキャリアタンパク質(たとえば、ウシγグロブリンまたはヒト血清アルブミン)に連結すれば、測定することができる。RIAは、放射性抗原(ヨウ素原子は、タンパク質中のチロシン残基に簡単に導入することができるため、放射性同位元素として125Iまたは131Iがよく使用される)を、該抗原に対する抗体と混合することを含む。抗体は、一般的に、固体支持体、たとえばチューブやビーズに結合される。次いで、標識化されていない抗原または「非放射性」抗原を所定量加え、置き換えられた標識抗原の量を測定する。最初、放射性抗原は抗体に結合する。非放射性抗原を加えると、2つの抗原は、抗体結合部位を得るために競合し、非放射性抗原が高濃度で、非放射性抗原が抗体により多く結合し、放射性変異体と置き換わる。結合抗原を、溶液中の結合していない抗原から分離し、それぞれの放射能強度を使用して、結合曲線を作る。該技術は、非常に感度が高くさらに特異的でもある。
より一般的にはEIA(酵素イムノアッセイ)と呼ばれる、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、タンパク質に特異的な抗体を検出することができるイムノアッセイである。このようなアッセイでは、抗体結合試薬、または抗原結合試薬に結合する検出可能な標識は、酵素である。該酵素は、酵素をその基質を暴露した時、たとえば、分光光学的手段、蛍光的手段または視覚的手段によって、検出することができる化学的部分を作り出すようなやり方で反応する。検出に有用な試薬を検出可能に標識化するために使用することができる酵素として、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌性ヌクレアーゼ、アスパラギナーゼ、イーストアルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンステラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ELISA手順の説明に関しては、Voller,A.ら,J.Clin.Pathol.31:507−520(1978);Butler,J.E.,Meth.Enzymol.73:482−523(1981);Maggio,E.(ed.),Enzyme Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,1980;Butler,J.E.,In:Structure of Antigens,第1巻(Van Regenmortel,M.,CRC Press,Boca Raton,1992,第209−259ページ;Butler,J.E.,In:van Oss,C.J.ら,(eds),Immunochemistry,Marcel Dekker社,New York,1994,第759−803ページ;Butler,J.E.(ed.),Immunochemistry of Solid−Phase Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,1991);Crowther,「ELISA:Theory and Practice」、In:Methods in Molecule Biology,第42巻,Humana Press;New Jersey,1995;米国特許第4,376,110号明細書を参考のこと。これらの文献はそれぞれ、ELISA方法に関する教示の全体または特定部分を、参考により本明細書に組み入れる。
ELISA技術の変法は、当業者に公知である。1つの変法では、タンパク質に結合することができる抗体を、ポリスチレンマイクロタイタープレート中のウェルのような、タンパク質親和性を発揮する選択された表面に固体化することができる。次いで、問題のマーカー抗原を含有する試験組成物を、該ウェルに加えることができる。結合および洗浄して非特異的に結合した免疫複合体を除去した後、結合した抗原を検出することができる。検出は、検出可能な標識に結合した標的タンパク質に特異的な第二抗体の添加によって達成することができる。ELISAのこのタイプは、単純な「サンドウィッチELISA」である。また、検出は、第二抗体の添加、次いで第二抗体への結合親和性を有する、第三抗体の添加によっても達成することができ、第三抗体は、検出可能な標識に結合している。
他の変法は、競合ELISAである。競合ELISAでは、試験試料は、既知の量の標識化抗原または抗体と結合するために競合する。試料中の反応性種の量は、被覆ウェルで培養する前または培養中に、試料を公知の標識化種と混合することによって測定することができる。試料中に反応性種が存在することにより作用し、ウェルに結合するのに使用可能な標識化種の量を減らし、そのため、最終のシグナルを減少させる。
使用したフォーマットにかかわらず、ELISAは、共通のある特徴、たとえば、被覆すること、培養または結合すること、洗浄に非特異的に結合した種を取り除くこと、および結合免疫複合体を検出することを含む。抗原または抗体は、たとえば、プレート、ビーズ、計量棒、膜またはカラムマトリックスの形状のような固体支持体に結合し、分析すべき試料を、固定された抗原または抗体に被覆する。プレートを抗原または抗体で被覆する際、一般的に、プレートのウェルを、抗原または抗体溶液で一晩あるいは特定時間培養する。次いで、プレートのウェルを洗浄し、完全に吸着していない物質を除去することができる。次いで、任意のウェルの残っている利用可能な表面を、試験抗血清に関して抗原的に中性の非特異的タンパク質で「被覆」することができる。これらは、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインおよび粉ミルクの溶液を含む。被覆によって、固定化表面の非特異的吸着部位をブロックすることができ、したがって、表面上の抗血清の非特異的結合により起こるバックグラウンドを減少させる。
ELISAでは、直接手段ではなく、二次または三次検出手段を使用することもできる。つまり、タンパク質または抗体がウェルに結合し、非反応性物質を被覆してバックグラウンドを減少させ、洗浄して非結合物質を除去した後、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに有効な条件下で、固定化表面を試験すべきコントロール臨床試料または生物試料に接触させる。そのため、免疫複合体の検出は、標識化第二結合剤または標識化第三結合剤と組合わされた第二結合剤が必要となる。
「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに有効な条件下」は、該条件が、非特異的結合を減らし、合理的なS/N比を促進するように、BSA、ウシγグロブリン(BGG)およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/ツウィーンのような溶液で、抗原および抗体を希釈することを含むことを意味する。
また、適切な条件は、培養に、効果的な結合を可能にするのに十分な温度と時間をかけることを意味する。培養ステップは、通常、約1分〜12時間、約20°〜30℃の温度で行われ、あるいは、約0℃〜約10℃で一晩培養することができる。
ELISAにおいて全ての培養ステップ後、非複合体化物質を除去するために、接触表面を洗浄することができる。洗浄手順は、PBS/ツウィーンまたはホウ酸緩衝液のような溶液で洗浄することを含むことができる。試験試料と最初に結合した物質との間の特異的免疫複合体の形成、後続の洗浄の後、微量の免疫複合体の発生であっても測定することができる。
先に記載したように、検出手段を得るために、第二または第三抗体は、検出を可能にするための付随標識を有することができる。これは、適正な発色性基質とともに培養する際、反応することができる酵素であってもよい。すなわち、たとえば、第一または第二免疫複合体を標識化抗体と接触させ、さらに免疫複合体形成の発色に好都合な時間および条件下で培養することができる(たとえば、PBS−ツウィーンのようなPBS含有溶液中、室温で2時間の培養)。
標識化抗体で培養し、続いて洗浄して結合していない物質を除去した後、標識の量を、たとえば、酵素標識としてパーオキシダーゼを使用する場合、尿素およびブロモクレゾールパープルまたは2,2’−アジド−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン酸[ABTS]およびHのような発色性基質とともに培養することによって、定量化することができる。つまり、定量化は、発色の度合いを、たとえば、可視スペクトル分光光度計を使用して測定することによって達成される。
タンパク質アレイは、表面に固定化されたタンパク質を使用する、固相リガンド結合アッセイシステムであり、該表面として、ガラス、膜、マイクロタイターウェル、質量スペクトロメータープレート、ビーズおよび他の粒子が挙げられる。アッセイは、高度に並行化(多重化)され、小型化(マイクロアレイ、タンパク質チップ)されていることが多い。これらの利点として、迅速で自動化でき、高感度が可能であり、試薬の点で経済的であり、多数の単一試験用のデータを提供することが挙げられる。生物情報科学が重要であり、データの取り扱いには最新式のソフトウェアおよびデータ比較分析が必要である。しかし、多くのハードウェアおよび検出システムの多くが可能であるように、ソフトウェアも、DNAアレイで使用されるものを適用することができる。
主要なフォーマットの1つは、リガンド結合試薬(これは、普通抗体が使用されるが、代わりにタンパク質骨組み、ペプチドまたは核酸アプタマーを使用することもできる)を使用して血漿または組織抽出物のような混合物中の目的分子を検出する捕捉アレイである。診断では、捕捉アレイを使用して、平行して複数のイムノアッセイ、たとえば、独立した血清中の数種の検体を試験し、かつ多くの血清試料を同時に試験することを両方行うことができる。プロテオミクスでは、捕捉アレイを、健康なおよび疾患のある異なる試料中のタンパク質の濃度を定量および比較するため、すなわち、タンパク質発現プロファイリングのために使用する。特異的リガンドバインダー以外のタンパク質を、タンパク質−タンパク質、タンパク質−DNA、タンパク質−薬、受容体−リガンド、酵素−基質などのような、インビトロ機能的相互作用スクリーン用のアレイフォーマットにおいて使用する。捕捉試薬それ自体を、多くのタンパク質に対して選択し、スクリーンする。これは、複数タンパク質ターゲットに対する複数アレイフォーマットにおいても行うことができる。
アレイの構築に関しては、タンパク質の供給源として、組換えタンパク質用の細胞ベースの発現システム、天然資源からの精製、無細胞翻訳系によりインビトロでの製造、およびペプチドの合成方法が挙げられる。これらの方法の多くは、高処理生産のため、自動化することができる。捕捉アレイおよびタンパク質機能分析に関しては、タンパク質を正しく折りたたみ、機能性にすることが大切であるが、これはたとえば、組換えタンパク質を変性条件下で細菌から抽出する場合は、必ずしもこうであるとは限らない。それでも、変性タンパク質のアレイは、交差反応性のための抗体のスクリーニング、自己抗体の認定およびリガンド結合タンパク質の選択において有用である。
タンパク質アレイは、ELISAおよびドットブロット法のようなよく知られたイムノアッセイ方法の小型化として設計され、蛍光読み取りを利用することが多く、平行して行うことができる複数アッセイを可能にする、ロボット光学および高処理能力検出システムによって容易にされている。通常使用される物理的な支持体として、ガラススライド、シリコン、マイクロウェル、ニトロセルロースまたはPVDF膜、ならびに磁気および他のミクロビーズが挙げられる。平坦面に送達されたタンパク質のマイクロドロップが、最もよく知られたフォーマットであるが、代わりの構築物として、ミクロ流体中の展開に基づいたCD遠心分離装置(Gyros,Monmouth Junction,NJ)、およびプレートにおける光学的マイクロチャネル(たとえば、The Living Chip(商標),Biotrove,Woburn,MA)およびシリコン表面上の極小3Dポスト(Zyomyx,Hayward CA)のような特殊チップ設計が挙げられる。懸濁液中の粒子も、アレイのベースとして使用することができるが、ただし、それらは、認識のためにコード化されている。該システムとして、マイクロビーズのカラーコード化(Luminex,Austin,TX;Bio−Rad Laboratories)および半導体ナノ結晶(たとえば、QDots(商標),Quantum Dot,Hayward,CA)、およびビーズのバーコード化(UltraPlex(商標),SmartBead Technologies社,Babraham,Cambridge,UK)および 他金属マイクロロッド(たとえば、Nanobarcodes(商標)粒子,Nanoplex Technologies,Mountain View,CA)が挙げられる。また、ビーズを組み立てて、半導体チップ上の平面アレイとすることもできる(LEAPS technology,BioArray Solutions,Warren,NJ)。
タンパク質の固定化には、カップリング試薬およびカップリングされる表面の性質の両方が関与する。良好なタンパク質アレイ支持体の表面は、カップリング操作の前後で化学的に安定で、良好なスポット形態を可能にし、最小の非特異的結合を示し、検出システムのバックグラウンドに影響を与えず、異なる検出システムと互換性があるものである。使用される固定化方法は、再現性があり、異なる特性(サイズ、親水性、疎水性)のタンパク質に適用可能で、高処理および自動化に治すことができ、完全に機能するタンパク質活性の保持を妨害しない。表面結合タンパク質の配向は、活性状態のリガンドまたは基質とともに、該タンパク質を配置することに関し、重要な因子として認められており、捕捉アレイについて、最も効率的な結合結果は、一般的にタンパク質の部位特異的標識化を必要とする、配向捕捉試薬を用いて得られる。
タンパク質固定化の共有結合方法および非共有結合方法の両方が使用され、種々の良い点と悪い点がある。表面への受動型吸着は、方法論的には単純であるが、定量的な管理または配向制御が殆ど不可能であり、タンパク質の機能特性を変えるかどうかわからず、再現性および効率性はばらばらである。共有結合カップリング法は、安定な架橋を提供し、様々なタンパク質に適用することができ、良好な再現性を持つが、配向がばらばらの場合があり、化学的誘導体化により、タンパク質の機能が変化することがあり、安定な相互作用面が必要である。タンパク質上のタグを利用する生物捕捉方法は、安定な架橋を提供し、再現可能な配向でタンパク質に特異的に結合するが、最初に生物試薬を適切に固定化しなければならず、アレイは特別な取り扱いが必要な場合があり、安定性が変化する。
タンパク質アレイの製造に関し、いくつかの固定化化学作用およびタグが記載されている。共有結合のための基質として、アミノまたはアルデヒド含有シラン試薬を被覆したガラススライドが挙げられる。Versalinx(商標)システム(Prolinx,Bothell,WA)では、可逆的な共有結合カップリングが、フェニルジボロン酸で誘導体化されたタンパク質と、支持体表面に固定されたサリチルヒドロキサム酸との間の相互作用によって達成される。これは、バックグラウンド結合および内部蛍光が低く、固定化タンパク質に機能を保持させる。非変性タンパク質の非共有結合は、三次元ポリアクリルアミドゲルに基づいてHydroGel(商標)(PerkinElmer,Wellesley,MA)のような多孔性構造体の内部で起こり、この基質は、高能力およびタンパク質機能の保持と共に、ガラスマイクロアレイ上に特に低いバックグラウンドを提供することが報告されている。タンパク質が適切に変性された、ビオチン/ストレプトアビジンまたはヘキサヒスチジン/Ni相互作用による生物カップリング方法は、広く使用されている。ビオチンは、二酸化チタン(Zyomyx)または五酸化タンタル(Zeptosens,Witterswil,Switzerland)のような表面に固定化されたポリリシン骨格に結合してもよい。
アレイを製造する方法としては、ロボット接触プリント、インクジェット法、圧電式スポット法、およびフォトリソグラフィーが挙げられる。数多くの市販のアレイヤー[たとえば、Packard Biosciences]および器材マニュアル[V & P Scientific]が入手可能である。細菌コロニーは、その場でタンパク質発現を誘導するために、PVDF膜上にロボットで格子状に配置することができる。
ナノアレイは、ナノメーター空間スケールにおけるスポットに関して、限界のスポットサイズおよび密度で存在し、何千もの反応を1mm未満の単一チップ上で行うことを可能にする。BioForce研究所では、光学検出の限界で、平方cm当たり25000000個のスポットに相当する、85平方ミクロン中に1521個のタンパク質スポットを持つ名のアレイを開発されている。その読取り法は、蛍光および原子間力顕微鏡法(AFM)である。
蛍光標識化および検出法は広く使用されている。DNAマイクロアレイを読むために使用されるのと同じ機器装備を、タンパク質アレイに適用することができる。示差表示に関し、捕捉(たとえば、抗体)アレイは、色が、ターゲットが存在する中で変化に対する読取りとして作用するように、細胞溶解物が直接異なる蛍光団(たとえば、Cy−3、Cy−5)に結合し、混合している、2つの異なる細胞状態から、蛍光的に標識化されたタンパク質で調べることができる。蛍光読取り感度は、チラミドシグナル増幅(TSA)(PerkinElmer Lifesciences)によって10〜100倍増幅することができる。平板型導波路技術(Zeptosens)は、超高感度検出を可能にし、さらに中間の洗浄操作がいらないという利点もある。高感度は、標識としてフィコエリトリン(Luminex)を使用して、または半導体ナノ結晶の特性(Quantum Dot)を使用して、懸濁ビーズおよび粒子によっても達成することができる。数多くの新規な代わりの読取り法が、特に商業的バイオ分野で開発されている。これらとして、表面プラズモン共鳴法の適応(HTS Biosystems,Intrinsic Bioprobes,Tempe,AZ)、ローリングサークルDNA増幅(Molecular Staging, New Haven CT)、質量スペクトル法(Intrinsic Bioprobes;Ciphergen,Fremont,CA)、共鳴光散乱法(Genicon Sciences,San Diego,CA)および原子間力顕微鏡法[BioForce Laboratories]が挙げられる。
捕捉アレイは、発現プロファイリング用の診断チップおよびアレイの基礎を形成する。これらは、通常の抗体、単一ドメイン、工学的骨組み、ペプチドまたは核酸アプタマーのような高親和性捕捉試薬を使用して、高処理方法で、特異的ターゲットリガンドを結合および検出する。
抗体アレイは、特異性の必要な特性および許容しうるバックグラウンドを有し、中には、市販されているものもある(BD Biosciences,San Jose,CA;Clontech,Mountain View,CA;BioRad;Sigma,St.Louis,MO)。捕捉アレイ用の抗体は、従来の免疫法(ポリクロナール結成およびハイブリドーマ)で、あるいは組換えフラグメントとして製造され、普通、ファージまたはリボソームディスプレイライブラリーからの選択の後、大腸菌中で発現する(Cambridge Antibody Technology,Cambridge,UK;BioInvent,Lund,Sweden;Affitech,Walnut Creek,CA;Biosite,San Diego,CA)。通常の抗体に加えて、ラクダまたは工学的ヒト同等物(Domantis,Waltham,MA)からのFabおよびscFvフラグメント、単一V−ドメインもアレイにおいて有用である。
用語「骨組み」は、タンパク質のリガンド結合ドメインを言い、これらは、抗体様特異性および親和性を持つ多様なターゲット分子と結合しうる、複数の変異体に設計される。変異体は、遺伝子ライブラリーフォーマットで製造し、ファージ、細菌またはリボソームディスプレイによって、個々のターゲットに対して選択することができる。そのようなリガンド結合骨組みまたは枠組みとして、ブドウ球菌、アウレウスタンパク質Aに基づく「Affibodies」(Affibody,Bromma,Sweden)、フィブロネクチンに基づく「Trinectins」(Phylos,Lexington,MA)およびリポカリン構造に基づく「Anticalins」(Pieris Proteolab,Freising−Weihenstephan,Germany)が挙げられる。これらは、類似の方法で、抗体に対する捕捉アレイに使用することができ、ロバスト性がありおよび製造が簡単であるという利点がある。
非タンパク質捕捉分子、特に高い特異性および親和性でタンパク質リガンドを結合する一本鎖核酸アプタマーも、アレイにおいて使用される(SomaLogic,Boulder,CO)。アプタマーは、Selex(商標)操作によってオリゴヌクレオチドのライブラリーから選択され、タンパク質とのそれらの相互作用は、臭素化デオキシウリジンの導入およびUV活性化架橋(フォトアプタマー)を介する共有結合によって強化される。特異的立体的必要条件のため、リガンドへの光架橋により、アプタマーの交互反応性が減少する。アプタマーには、自動化オリゴヌクレオチド合成による生産の容易さ、およびDNAの安定性およびロバスト性があるという利点があり、フォトアプタマーアレイでは、結合を検出するために、汎用蛍光タンパク質染色を使用することができる。
サンドウィッチアッセイでは、抗体アレイに結合するタンパク質検体を直接、または二次抗体を介して検出してもよい。直接標識化は、異なる色のついた異なる試料の比較に使用される。同じタンパク質リガンドに対する抗体ペアが利用可能な場合、サンドウィッチイムノアッセイにより、高い特異性および感度が得られ、したがってサイトカインのような低存在量のタンパク質のための選択方法であり、またこれらは、タンパク質変性の検出の可能性も与える。質量スペクトル、表面プラスモン共鳴法および原子間力顕微鏡法を始めとする標識のない検出方法により、リガンドの変質が回避される。どの方法にも求められることは、ノイズに対して高いシグナルを与える低いバックグラウンドで、最適感度および特異性を与えることである。検体濃度は広い範囲をカバーするので、感度は適切に製作されなければならず、試料の段階的希釈または異なる親和性の抗体を使用することは、この問題の解決となる。影響のあるタンパク質は、細胞内のサイトカインまたは低発現生成物のように、体液および抽出物中に低濃度で存在することが多くあり、pg範囲またはそれ以下で検出されることが必要である。
捕捉分子のアレイの代わりは、ペプチド類(たとえば、タンパク質のC末端領域からの)をテンプレートとして使用し、重合性マトリックス内に、構造的に相補性のある、配列特異的空洞を作る「分子インプリント」技術によって製造されるものであり、次いで、前記空洞は、適切な一次アミノ酸配列(ProteinPrint(商標),Aspira Biosystems,Burlingame,CA)を持つタンパク質を、特異的に捕捉(変性)することができる。
診断学的におよび発現プロファイリングにおいて使用することができる他の方法として、ProteinChip(登録商標)アレイ(Ciphergen,Fremont,CA)があり、ここでは、固相クロマトグラフ表面が、血漿または腫瘍抽出物のような混合物からの、電荷または疎水性が類似する特徴を持つタンパク質に結合し、保持されたタンパク質を検出するためにSELDI−TOF質量スペクトルを使用する。
大規模機能チップは、数多くの精製タンパク質を固定化することによって構築され、他のタンパク質とのタンパク質相互作用、薬物−ターゲット相互作用、酵素−基質などのような広範囲の生化学的機能を調べるために使用されてきた。一般的に、これらは、大腸菌酵母または類似物へクローニングし、そこから発現したタンパク質を、たとえば、Hisタグによって精製し、固定化した、発現ライブラリーが必要である。細胞のないタンパク質転写/翻訳は、細菌または他のインビボ系ではうまく発現しないタンパク質の合成のための実行可能な代替物である。
タンパク質−タンパク質相互作用を検出するため、タンパク質アレイは、インビトロで、細胞ベースイーストハイブリッドシステムに代わりうるものであり、分泌型タンパク質またはジスルフィド架橋を持つタンパク質が関与する相互作用のように、後者が欠落する場合に有用であるかもしれない。アレイにおける生化学的活性の高処理分析は、酵母タンパク質キナーゼおよび酵母菌の種々の機能(タンパク質−タンパク質およびタンパク質−脂質相互作用)に関して記載されていて、そこでは、全ての酵母オープンリーディングフレームの多くが発現し、マイクロアレイ上に固定化された。大規模な「プロテオームチップ」は、機能的相互作用、薬物スクリーニングなどの認識において非常に有用であることが期待される(Proteometrix,Branford,CT)。
個々の要素の二次元ディスプレイとして、抗体、合成骨組、ペプチドおよびアプタマーを含む特異的結合パターンを選択するために、タンパク質アレイを使用して、ファージまたはリボソームディスプレイライブラリーをスクリーニングすることができる。この方法では、「ライブラリーに対するライブラリー」スクリーニングを行うことができる。ゲノムプロジェクトから認識されるタンパク質ターゲットのアレイに対する組合せ化学ライブラリーにおける薬物候補のスクリーニングは、該方法の別の適用である。
多重ビーズアッセイ、たとえば、BD(商標)サイトメトリービーズアレイは、可溶性検体を細くおよび定量化するために使用することができる、一連のスペクトル離散粒子である。検体は、次いで、蛍光ベース放出の検出およびフローサイトメトリー解析によって測定される。多重ビーズアッセイは、「多重」または同時形式で、ELISAビーズアッセイに匹敵するデータを作成する。未知試料の濃度は、任意のサンドウィッチフォーマットアッセイと同じように、サイトメトリックビーズアレイに対して計算され、すなわち、公知の標準を使用し、標準曲線に対して、未知の試料をプロットすることにより行う。さらに、多重ビーズアッセイは、試料容量限界のために、今までは決して考えられなかった、試料中の可溶性検体の定量化を可能にする。定量データに加え、有効な視覚映像を作り、使用者に追加の一目見ただけでわかる情報を与える固有のプロファイルまたは識別特性も実現する。
本明細書で開示するMMP/TIMPプロファイルは、個々のMMPまたはTIMPの測定に基づく。これらの量は、これらのいかなるものも、分析されている試料中にどのくらい存在するかという許容しうる表示を提供することが知られている任意の方法によって、測定することができる。測定手段の例示が実施例中に存在する。検体(たとえば、MPPまたはTIMP)の量を測定する手順には、検体を含まない、または検体が検出不能な量の測定も含む。
本発明の基礎を形成するMMPおよびTIMPを測定するための技術および方法は、高感度イムノアッセイに基づく。これらのイムノアッセイのいくつかは、この研究所によって開発された(すなわち、TIMP−4アッセイ測定法)。表4に示す測定結果を得るために標準化されたイムノアッセイ方法は、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)によって実施された。しかし、MMPおよびTIMPの血液濃度を測定するための、より感度が高くより迅速な他の方法が、この研究所で実施されてきており、これらは、多重アッセイシステムの使用を含む。この例では、血漿または他の生物試料のような、量限定試料中の多重検体を、ビーズベースの多重サンドウィッチイムノアッセイを使用して測定することができる。多重分析に関するこの創発的な手法は、ELISAの感度を流動細胞検出と組合わせた技術に基づいて構築され、50μl未満の単一試料内で100個までの異なる検体の特異的測定を可能にする。この方法により、小さな血液試料中の複数のMMPおよびTIMPの測定が可能になる。この種類の方法は、本明細書に記載される、診断、予診、予測、および治療モニター適用に大変都合がよい。具体的には、検体濃度を同時に測定するために、マイクロビーズを試料(すなわち血液試料)とともに培養し、影響のある特異的検体(すなわち、MMP)を持つ複合体を形成する。次いで、各検体に関し第二エピトープに特異的な検出抗体(ビオチン化)を混合物に加え、検体を結合するマイクロビーズに結合させる。次いで、混合物を、蛍光リポーター分子(ストレプトアビジン−フィコエリトリン)で培養し、全試料を、2個のレーザーが付いた流動細胞検出器中を通過させる。1個のレーザーは、検査される特異的検体を規定するマイクロビーズの正確な蛍光強度を検出し、もう1個のレーザーは、結合検体の量に比例するリポーター蛍光強度の量を検出する。このプロセスは、数多くのMMPおよびCHFプロセスに影響を与える可能性のある他の検体に適用されてきた。これらを、図8および表1に示す。しかし、これは単一または複数検体が、非常に少ない血液試料でどのようにして測定することができるということを示す一例に過ぎない。MMP/TIMP検体に関して行われている測定法の他の例として、放射免疫測定およびイムノブロットアッセイ法が挙げられる。これらの方法もまた、抗体をベースとしている。
表1:計算された標準曲線のための検量および線形回帰確率用に使用される検体の濃度範囲
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7.抗体
MMPおよびTIMPに特異的な抗体は、公知であり、市販されている。抗体の例を、表2に挙げる。
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本明細書で使用する用語「抗体」は、広い意味で、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方を含む。完全な免疫グロブリン分子に加えて、用語「抗体」には、MMPまたはTIMPと相互作用する能力で選択される限り、免疫グロブリン分子のフラグメントまたはポリマー、その免疫グロブリン分子またはフラグメントのヒト変異体またはヒト化変異体も含まれる。抗体は、本明細書に記載されたインビトロアッセイを使用して、または類似の方法により、それらの所望の活性に関し試験することができ、その後、それらのインビボ治療および/または予防活性を、公知の臨床試験方法に従って試験する。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を言い、すなわち、集団内の個々の抗体は、抗体分子の小さなサブセット中に存在するかもしれない突然変異体が自然に起こる可能性を除いて、同一である。本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、所望の拮抗活性を発現する限り、重鎖/軽鎖の部分が、特定の種から誘導される、または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同じまたは相同性があり、一方、鎖(複数を含む)の残りが、他の種から誘導される、およびそのような抗体のフラグメント中の対応する配列と同じまたは相同性がある、「キメラ」抗体または他の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体を含む(米国特許第4,816,567号明細書、およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)参考)。
開示されたモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体を製造する任意の操作を使用して製造することができる。たとえば、開示されたモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein,Nature,256:495(1975)によって記載された方法のように、ハイブリドーマ方法を使用して製造することができる。ハイブリドーマ方法では、通常、マウスまたは他の適切なホスト動物を免疫剤で免疫化し、免疫剤に特異的に結合する抗体を製造するリンパ球、または該抗体を製造することができるリンパ球を誘発させる。
また、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号明細書(Cabillyら)に記載された方法のように、組換えDNA法によって製造してもよい。開示されたモノクローナル抗体をエンコードするDNAは、普通の手順(たとえば、マウスの抗体の重鎖および軽鎖をエンコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)を使用して、簡単に単離および配列することができる。また、抗体または活性抗体フラグメントのライブラリーも、ファージディスプレイ技術を使用して、たとえば、Burtonらの米国特許第5,804,440号明細書およびBarbasらの米国特許第6,096,441号明細書に記載されるように、製造およびスクリーニングすることができる。
インビトロ方法は、1価の抗体を製造するのにも適している。抗体の消化により、そのフラグメント、特にFabフラグメントを製造することは、当該分野で公知の通常の技術を使用して達成することができる。たとえば、消化は、パパインを使用して行うことができる。パパイン消化の例は、1994年12月22日公開の国際公開第94/29348号および米国特許第4,342,566号明細書に記載されている。抗体のパパイン消化によって、普通、それぞれ単一抗原結合部位を持つFabフラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、残存Fcフラグメントとが製造される。ペプシン処理によって、2個の抗原結合部位を持ち、まだ抗原に架橋可能なフラグメントを得る。
他の配列に結合していても、していなくても、該フラグメントは、特定の領域または特異的アミノ酸残基の挿入、削除、置換または他の選択された修飾も含むことができるが、抗体または抗体フラグメントの活性は、比変性抗体または抗体フラグメントと比べて、大きく変化せず、また損なわれてもいない。これらの修飾は、ジスルフィド結合しうるアミノ酸を除去/添加、そのバイオ寿命の延長、その分泌特性を変更など、なんらかの追加の特性を提供することができる。いずれの場合も、抗体または抗体フラグメントは、その同族抗原への特異的結合のような生理活性特性を持たなければならない。抗体または抗体フラグメントの機能的領域または活性領域は、タンパク質の特異領域の突然変異誘発、次いで発現および発現ポリペプチドの試験によって認識してもよい。該方法は、当業者に容易に明らかであり、抗体または抗体フラグメントをエンコードする核酸の部位特異的突然変異誘発が挙げられる(Zoller,M.J.Curr.Opin.Biotechnol.3:348−354,1992)。
また、本明細書で使用する用語「抗体」または「複数の抗体」は、ヒト抗体および/またはヒト化抗体も言うことができる。多くの非ヒト抗体(たとえば、マウス、ラットまたはウサギから誘導したもの)は、ヒトにおいて、自然抗原性であり、したがって、これをヒトに投与した場合、望ましくない免疫応答が起こる危険性がありえる。したがって、該方法でヒトまたはヒト化抗体を使用することは、ヒトへの抗体投与が望ましくない免疫応答を誘発する機会を減らす働きをする。
8.参照値
MMPおよび/またはTIMPのプロファイルは、DHFの存在の表示、または対象におけるDHFの進行の予測を提供する。DHFの存在を表示する、または対象におけるDHFの進行を予測するプロファイルは、正常値に比較することができる。ある検体(MMPまたはTIMP)に関する正常値は、重大な循環器疾患の証拠のないことが確認されている対象にマッチした年齢に関する参照値でありえる。したがって、正常値は、多数の健康な個人から導き出された集団ベースの値でありえる。これらの標準正常値は、集団ベースの試験から得ることができる。本明細書で開示された参照用コントロール値に一致する約800ng/mLの参照グループにおいて、たとえば、認定された相体レベルのTIMP−1を持つ大きな集団ベースの試験(Framingham Heart Study,Circulation 2004;109:2850−2856)がある。
あるいは、正常値は、ある対象に関して正常と考えられる値でありえる。たとえば、関連検体のベースライン測定値は、健康な個人でなされ、その個人から後で取得した測定値と比較するために使用し、現在の疾患または高血圧性心臓疾患に対する進行を認定することができる。
たとえば、MMP−13の離散的観察は、ある検体の血漿濃度のような連続した変数が2分変数に変換するものである。この特定な例では、+/−値をMMP−13に割り当て、ここで、10ng/mLを超える値は、検出可能または正値と考え、10ng/mL未満の値を負値と考える。
たとえば、対象における高血圧性心臓疾患と関連するLVHの非存在を診断する方法であって、対象の組織または体液中のMMPおよび/またはTIMP濃度を測定するステップと、該濃度を参照値と比較するステップとを含む方法が提供される。つまり、MMP−2、MMP−9、MMP−7、MMP−13、MMP−8、TIMP−1、TIMP−2および/またはTIMP−4に関する正常値は、高血圧性心臓疾患に関連する左心室肥大がないことを示す。
いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。いくつかの態様では、正常な範囲内のMMP−9血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−13血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。いくつかの態様では、正常な範囲内のTIMP−1血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。いくつかの態様では、正常な範囲内のTIMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。いくつかの態様では、正常な範囲内のTIMP−4血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約1000ng/mlを超える、たとえば、約1000、1100、1200、1300、1400および1500ng/mlを超えるMMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約20ng/ml未満、たとえば、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1ng/ml未満のMMP−9血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約5ng/mlを超える、たとえば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20ng/ml未満の検出可能なMMP−13血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約1000ng/ml未満の、たとえば、約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、40、30、20または10ng/mlを超えるTIMP−1血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約50ng/ml未満の、たとえば、約50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、35、30、25、20、15または10ng/mlを超えるTIMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約2ng/ml未満、たとえば、約2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.5または0.1ng/mlを超えるTIMP−4血漿濃度は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
該方法は、さらに、2個以上のMMPおよび/またはTIMPの血漿濃度を測定するステップを含む。たとえば、該方法は、2、3、4、5、6、7または8個のMMP−2、MMP−9、MMP−7、MMP−13、MMP−8、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2およびMMP−9、またはMMP−2およびMMP−7、MMP−2およびMMP−13、MMP−2およびMMP−8、MMP−2およびTIMP−1、MMP−2およびTIMP−2、MMP−2およびTIMP−4、MMP−9およびMMP−7、MMP−9およびMMP−13、MMP−9およびMMP−8、MMP−9およびTIMP−1、MMP−9およびTIMP−2、MMP−9およびTIMP−4、MMP−7およびMMP−13、MMP−7およびMMP−8、MMP−7およびTIMP−1、MMP−7およびTIMP−2、MMP−7およびTIMP−4、MMP−13およびMMP−8、MMP−13およびTIMP−1、MMP−13およびTIMP−13、MMP−13およびTIMP−4、MMP−8およびTIMP−1、MMP−8およびTIMP−2、MMP−8およびTIMP−4、TIMP−1およびTIMP−2、TIMP−1およびTIMP−4、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2、MMP−13およびTIMP−1;MMP−2、MMP−13およびTIMP−2;MMP−2、MMP−13およびTIMP−4;MMP−13、TIMP−1およびTIMP−2;MMP−13、TIMP−1およびTMP−4;MMP−13、TMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2、MMP−13、TIMP−1およびTIMP−2;MMP−2、MMP−13、TIMP−1およびTIMP−4;MMP−2、MMP−13、TIMP−2およびTIMP−4;MMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4;MMP−2、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2、MMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。これらの検体のほかの組合せも、本明細書で使用を意図し、開示されている。
該方法は、さらに、1種以上のMMPまたはTIMPの他のMMPまたはTMPに対する比を計算するステップを含みうる。たとえば、該方法は、MMP−9のTIMP−1、TIMP−2またはTIMP−4に対する比を計算するステップを含みうる。
たとえば、いくつかの態様では、約7×10を超える、たとえば、約7×10、8×10、9×10、10×10、11×10、12×10、13×10または14×10を超えるMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約10×10を超える、たとえば、約10×10、20×10、30×10または40×10を超えるMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
いくつかの態様では、約1を超える、たとえば、約1、2、3、4、5、6、7、8または9を超えるMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比は、高血圧性心臓疾患に関連するLVHがないことを示す。
参考正常値および高血圧患者におけるスクリーニングで測定した値を表3に示す。この場合、MMP−2値は、LVHのある高血圧患者で減少し、MMP−7値は変化していない場合もある。しかし、MMP−13の離散的観察では、これはLVHのある高血圧患者では検出されないことが起こる。したがって、10ng/mL未満のカットポイントは、高血圧症および心不全の診断基準であると考えられる。LVHのある高血圧患者のTIMP−1およびTIMP−4濃度は、参照コントロール値と比べて50%高い。LVHのある高血圧患者のMMP−9/TIMP−4比は、参照正常値と比べた場合、50%を超えるまで減少する。
表3:MMPおよびTIMPデータ;参照正常値および高血圧性心臓疾患;診断カットポイント率(Diagnostic Percent Cutpoint)
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NC=正常値から変化なし
p<0.05vs正常値。
9.LVH用の迅速なスクリーニング
1種の特定のMMP、MMP−13の濃度を試験することによって得ることができる、迅速なイエス/ノー結果を提供する。集団統計値および年齢に基づいて調整された設定点を、有効読取りとして使用する。たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ng/mLの閾値未満のMMP−13濃度は、より強力な血漿スクリーニングポートフォリオおよび追加の心臓血管画像化試験を行うことの正当性を示す。言い換えれば、この迅速なスクリーニング試験は、いかなる大きな集団にも適用することができ、次いでより注意深い試験およびフォローアップを正当化する対象を認定する。現在、LVHのある患者を認定する迅速なスクリーニング試験は存在しない。
対象における拡張期心不全を予測する方法であって、対象の体液中のMMP−13の量を測定するステップを含み、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ng/mL未満、または検出不能な量は、LVHの存在を示し、DHFが予測される方法が提供される。本明細書で開示される他の関連のある検体の異常な測定値と組合わせる場合、この測定は、DHFを検出することができる。
初期治療または医学的スクリーニング外来診察で、血漿プロファイリングを行うことができる。このスクリーニング測定は、1種以上のMMPおよび/またはTIMPSでわかる。1個以上の測定値が参照値を外れる場合は、追加の測定を行うことができる。たとえば、MMP−13が検出不能であれば、第二のアッセイを血漿試料で行うことができるように、MMP−13は最初のスクリーニングに使用することができる。同様に、TIMP−1、TIMP−2またはTIMP−4に対するMMP−9の比が既存の閾値を使用する正常限界未満であれば、第二アッセイを血漿試料で行うことができるように、MMP−9およびTIMP−1、TIMP−2および/またはTIMP−4は、最初のスクリーニングに使用することができる。この第二の試験は、表3に示す全プロファイルでも、そのサブセットでも可能である。このプロファイルが高血圧性心臓疾患の判定基準を満たせば、患者を、必要に応じて、エコー心電図測定、カテーテル法、放射線撮像のようなより積極的な試験によって評価することができる。また、患者は、より積極的な医学的管理がいると判断される。
10.診断
CHFの徴候または症状を示すが、この提示の基本的な原因を決定することが困難な対象に関して使用することができる診断方法も提供する。これは、患者がCHFを患っているがLVHおよびDHFが存在するかどうか、およびCHFプロセスの再燃が影響しているかが簡単に決定できない場合に、非常によく起こる。本願で記載したような、LVHおよびDHFの存在が「認められる」または「認められない」という、簡単で迅速な血液試験を使用することが、この診断方法に必要なことである。具体的には、血液試料のMMP−13、MMP−9、MMP−2、TIMP−1および/またはTIMP−4を測定する。得られた値を本明細書に開示した正常な参照値と比較する。値が、ここで認識された閾値による正常な限界と異なる場合は、患者はDHFであると認定しうる。
たとえば、対象中のLVHを診断する方法であって、対象の組織または体液中のMMPおよび/またはTIMP濃度を測定するステップと、該濃度を参照値と比較するステップとを含む方法が提供される。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患があることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約20%未満のMMP−2の量は、高血圧性心臓疾患があることを示しうる。いくつかの態様では、約1000ng/ml未満の、たとえば、約1000、990、980、970、960、950、940、930、920、920、900、890、880、870、860、850、840、830、820、810、800、790、780、770、760、750、740、730、720、710、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、250または100ng/ml未満のMMP−2血漿濃度は、高血圧性心臓疾患があることを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるMMP−9血漿濃度は、高血圧性心臓疾患があることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%を超えるMMP−9の量は、高血圧性心臓疾患の指標があることを示しうる。いくつかの態様では、約20ng/mlを超える、たとえば、約20、21、22、23、24、15、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ng/mlを超えるMMP−9血漿濃度は、高血圧性心臓疾患があることを示す。
いくつかの態様では、検出不能なMMP−13血漿濃度はLVHがあることを示す。いくつかの態様では、約10ng/ml未満の、たとえば、約10、9、8、7、6、5、4、3、2または1ng/ml未満のMMP−13血漿濃度は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−1血漿濃度は、高血圧性心臓疾患があることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%を超えるTIMP−1の量は、LVHがある可能性がある。いくつかの態様では、約1000ng/mlを超える、たとえば、約1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400または1500ng/mlを超えるTIMP−1血漿濃度は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−2血漿濃度は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%超えるTIMP−2の量は、LVHがある可能性がある。いくつかの態様では、約50ng/mlを超える、たとえば、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ng/mlを超えるTIMP−2血漿濃度は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−4血漿濃度は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%超えるTIMP−4の量は、LVHである可能性がある。いくつかの態様では、約2ng/mlを超える、たとえば、約2、3、4、5、6、7、8、9または10ng/mlを超えるTIMP−4血漿濃度は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−7血漿濃度は、LVHがあることを示す。いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−8血漿濃度は、LVHがあることを示す。
該方法は、さらに、2種以上のMMPおよび/またはTIMPの血漿濃度を測定するステップを含む。たとえば、該方法は、2、3、4、5、6、7または8種のMMP−2、MMP−9、MMP−7、MMP−13、MMP−8、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2およびMMP−9;MMP−2およびMMP−13;MMP−13およびTIMP−1;MMP−13およびTIMP−2;MMP−13およびTIMP−4;MMP−2、MMP−13およびTIMP−1;MMP−2、MMP−13およびTIMP−2;MMP−2、MMP−13およびTIMP−4;またはMMP−2、MMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含む。これらの検体の他の組合せも本明細書で意図し、記載されている。
たとえば、低濃度のMMP−13と組合わせた場合、高濃度のTIMP−1(たとえば、TIMP−1>1200ng/mL)により、DHFを検出することができる。他の例として、低濃度のMMP−13および高濃度のTIMP−1と組合わせた場合、3ng/mLを超える量のTIMP−4は、LVHを示し、DHFを予測する。したがって、対象のLVHを認識し、拡張期心不全を予測する方法は、対象の体液中のMMP−13、TIMP−1およびTIMP−4のプロファイルを測定するステップを含む。MMP−13の量が検出不能であり、TIMP−1の量が正常値より約50%を超え(または1200ng/mLを超える)、TIMP−4の量が正常値よりも少なくとも約50%を超える(または3ng/mLを超える)プロファイルは、DHFが予測される。
該方法は、さらに、1種以上のMMPまたはTIMPの他のMMPまたはTIMPに対する比を計算するステップを含む。たとえば、該方法は、MMP−9のTIMP−1、TMP−2またはTIMP−4に対する比を計算するステップを含みうる。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%未満のMMP−9/TIMP−1は、LVHがある可能性を示す。たとえば、いくつかの態様では、約7×10未満の、たとえば、約7×10、6×10、5×10、4×10、5×10、6×10、1×10未満のMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%未満のMMP−9/TIMP−2の比は、LVHがあることを示しうる。いくつかの態様では、約100×10未満の、たとえば、約100×10、90×10、80×10、70×10、60×10、50×10、40×10、30×10、20×10または10×10未満のMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%未満のMMP−9/TIMP−4の比は、LVHが存在することを示しうる。いくつかの態様では、約3未満の、たとえば、約3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05または0.01未満のMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、MMP−9/TIMP−1血漿濃度の比が約5×10未満であり、MMP−9/TIMP−2血漿濃度の比が約100×10未満であり、かつMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比が約1未満である場合、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、MMP−2血漿濃度が約1000ng/ml未満であり、MMP−13血漿濃度が約5ng/ml未満であり、MMP−9/TIMP−1血漿濃度の比が約5×10未満であり、MMP−9/TIMP−2血漿濃度の比が約100×10未満であり、およびMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比が約1未満である場合、LVHがあることを示す。
11.予後診断
たとえば、スクリーニングで発見され、次いでさらなる血漿プロファイルを受け、重篤なLVHがあり、DHFに進行する危険性があることが確認された対象に関して使用することができる、拡張期心不全の予後診断の方法も提供される。この場合、MMP−13濃度は、TIMP濃度と同様に定量化される。高TIMP濃度(たとえば、TIMP−1>1200ng/mL、TIMP−2>700ng/mLおよび/またはTIMP−4>3ng/mL)と組合わせた低/検出不能MMP−13濃度(0〜5ng/mL)を、TIMP濃度と組合わせた参照正常対象と比べることにより、心筋線維化および拡張機能障害の程度に対する重要な洞察を得る可能性が高い。これには、症状の進行および入院についての予後数値が含まれる。具体的には、これらの患者は、高血圧薬の投薬により、より積極的に治療され、より規則的な心臓血管画像試験を受ける可能性がある。
たとえば、拡張期心不全(DHF)が進行する恐れが高い対象を認識する方法であって、対象の組織または体液中のMMPおよび/またはTIMP濃度を測定するステップと、該濃度を参照値と比較するステップとを含む方法が提供される。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−2血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約20%未満の量のMMP−2は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す可能性がある。いくつかの態様では、約500ng/ml未満の、たとえば、約500、450、400、350、300、250、200、250または100ng/ml未満のMMP−2血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、検出不能なMMP−13血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。いくつかの態様では、約10ng/ml未満の、たとえば、約10、9、8、7、6、5、4、3、2または1ng/ml未満のMMP−13血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−1血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%超えるTIMP−1の量は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す可能性がある。いくつかの態様では、約1000ng/mlを超える、たとえば、約1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1500、1600、1700、1800、1900または2000ng/mlを超えるTIMP−1血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−2血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%超えるTIMP−2の量は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す可能性がある。いくつかの態様では、約50ng/mlを超える、たとえば、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200ng/mlを超えるTIMP−2血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、正常値を超えるTIMP−4血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%超えるTIMP−4の量は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す可能性がある。いくつかの態様では、約2ng/mlを超える、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45または50ng/mlを超えるTIMP−4血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−9血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−7血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。いくつかの態様では、正常範囲内のMMP−8血漿濃度は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
該方法は、さらに、2種以上のMMPおよび/またはTIMPの血漿濃度を測定するステップを含みうる。たとえば、該方法は、2、3、4、5、6、7または8種のMMP−2、MMP−9、MMP−7、MMP−13、MMP−8、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2およびMMP−9、MMP−2およびMMP−7、MMP−2およびMMP−13、MMP−2およびMMP−8、MMP−2およびTIMP−1、MMP−2およびTIMP−2、MMP−2およびTIMP−4、MMP−9およびMMP−7、MMP−9およびMMP−13、MMP−9およびMMP−8、MMP−9およびTIMP−1、MMP−9およびTIMP−2、MMP−9およびTIMP−4、MMP−7およびMMP−13、MMP−7およびMMP−8、MMP−7およびTIMP−1、MMP−7およびTIMP−2、MMP−7およびTIMP−4、MMP−13およびMMP−8、MMP−13およびTIMP−1、MMP−13およびTIMP−13、MMP−13およびTIMP−4、MMP−8およびTIMP−1、MMP−8およびTIMP−2、MMP−8およびTIMP−4、TIMP−1およびTIMP−2、TIMP−1およびTIMP−4、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって該方法は、MMP−2、MMP−13およびTIMP−1;MMP−2、MMP−13およびTIMP−2;MMP−2、MMP−13およびTIMP−4;MMP−13、TIMP−1およびTIMP−2;MMP−13,TIMP−1およびTIMP−4;MMP−13、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2、MMP−13、TIMP−1およびTIMP−2;MMP−2、MMP−13、TIMP−1およびTIMP−4;MMP−2、MMP−13、TIMP−2およびTIMP−4;MMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4;MMP−2、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。したがって、該方法は、MMP−2、MMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4を測定するステップを含みうる。これらの検体の他の組合せも、本明細書で意図され、開示されている。
たとえば、対象における拡張期心不全を検出する方法であって、対象の体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−4およびMMP−9を測定するステップを含む方法が提供される。また、対象における拡張期心不全を予測する方法であって、対象の体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−4およびMMP−9の量を測定するステップを含む方法も提供される。これらの方法では、プロファイルは、検出不能(または10ng/mL未満)のMMP−13の量、正常値より約50%を超える、または1200ng/mLを超えるTIMP−1の量、正常値よりも少なくとも約50%を超える、または3ng/mLを超えるTIMP−4の量、および正常値の少なくとも約50%を超えるMMP−9の量が、LVHおよびDHFを検出することができることを示す可能性がある。
また、対象における拡張期心不全を検出する方法であって、対象の体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−4およびMMP−2の量を測定するステップを含む方法も提供される。また、対象における拡張期心不全を予測する方法であって、対象の体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−4およびMMP−2の量を測定するステップを含む方法も提供される。これらの方法では、プロファイルは、検出不能(または10ng/mL未満)のMMP−13の量、正常値より約50%を超える(または1200ng/mLを超える)TIMP−1の量、正常値よりも少なくとも約50%を超える(または3ng/mLを超える)TIMP−4の量、および正常値よりも少なくとも約20%未満(または1200ng/mL未満)のMMP−2の量を示す可能性がある。
該方法は、さらに、1種以上のMMPまたはTIMPの、他のMMPまたはTIMPに対する比を計算するステップを含みうる。たとえば、該方法は、MMP−9のTIMP−1、TIMP−2またはTIMP−4に対する比を計算するステップを含みうる。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%未満のMMP−9/TIMP−1の比は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す可能性がある。たとえば、いくつかの態様では、約7×10未満の、たとえば、約7×10、6×10、5×10、4×10、5×10、6×10、1×10、9×10、8×10、7×10、6×10、5×10、4×10、3×10、2×10または1×10未満のMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比は、拡張期心不全が進行している危険性が高いことを示す。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約50%未満のMMP−9/TIMP−2の比は、LVHがあることを示す可能性がある。いくつかの態様では、約100×10未満の、たとえば、約100×10、90×10、80×10、70×10、60×10、50×10、40×10、30×10、20×10、10×10、9×10、8×10、7×10、6×10、5×10、4×10、3×10、2×10または1×10未満のMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、正常値未満のMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。たとえば、正常平均値より少なくとも約100%未満のMMP−9/TIMP−4比は、LVHがあることを示す可能性がある。いくつかの態様では、約1未満の、たとえば、約1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.25、0.2、0.15、0.10、0.05または0.01未満のMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比は、LVHがあることを示す。
したがって、対象において拡張期心不全を検出または予測する方法であって、対象の体液中のMMP−9のTIMP−4に対する比を正常な比と比べて、それが減少していることを検出するステップを含む方法が提供される。該方法は、正常な比と比べて、その比が少なくとも約50%減少していることを測定するステップを含む。
いくつかの態様では、約5×10未満のMMP−9/TIMP−1血漿濃度の比、約100×10未満のMMP−9/TIMP−2血漿濃度の比、および1未満のMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比が、LVHがあることを示す。
いくつかの態様では、MMP−2血漿濃度が約1000ng/ml未満であり、MMP−13血漿濃度が約5ng/ml未満であり、MMP−9/TIMP−1血漿濃度の比が約5×10未満であり、MMP−9/TIMP−2血漿濃度の比が約100×10未満であり、かつMMP−9/TIMP−4血漿濃度の比が1未満である場合、LVHがあることを示す。
12.治療的介入のガイド
治療に関して、低MMP−13濃度および高TIMP濃度は、薬効の指示剤としてモニターすることができる。これを大いに適用する、関連臨床シナリオがいくつか存在する。たとえば、高血圧患者の血圧は「正常範囲」内であるが、MMP−13が抑えられ、TIMP濃度が増加する。次いで、ある高血圧症薬物の漸増を利用して、心筋線維化および拡張期心不全のこれらの生物マーカーを「ノーマライズ」することができる。この方法の目的は、これらのプロファイルを、正常な基準範囲内にもっていくために、表3に示されるMMPおよびTIMPの血液中の値を連続して測定し、薬物を増やすことである。
高血圧のため心臓の質量(サイズ)が増加してしまったことが認識された高血圧患者では、治療の適性を追跡するために、MMP/TIMPプロファイルを利用することができる。本明細書で開示される、認識された特異的プロファイルがモニターされ、これらのMMP/TIMPプロファイルとして測定された治療の有効性を、正常範囲に向かって動かす。
MMP/TIMPプロファイルは、個々のMMPまたはTIMPの測定値に基づく。これらの量を公知の任意の方法によって測定し、これらの任意のものが分析された試料中にどのくらい存在したかを示す、利用できる指標を得る。測定方法の例が、実施例中に載っている。検体(たとえば、MMPまたはTIMP)の量を測定する操作には、存在しない、または検出不能な量の検体の測定も含まれる。この方法の基礎を形成する、MMPおよびTIMPを測定する技術およびアプローチは、高感度イムノアッセイに基づいた。これらのイムノアッセイのいくつかは、この研究所で開発されている(すなわち、TIMP−4アッセイ測定)。
表1に示された測定値を得るために基準化されたイムノアッセイアプローチは、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)によって行われた。しかし、MMPおよびTIMPの血液濃度を測定するより感度が高く迅速な他の方法が、この研究所によって行われていて、これらは、多重アッセイシステムの使用を含む。この例では、容量が限定された試料、たとえば、血漿または他の生物試料中の複数の検体を、ビーズベースの多重サンドウィッチイムノアッセイを使用して測定することができる。多重分析に関するこの創発的な技術は、ELISAの感度を流動細胞検出と組合わせた技術に基づいて構築され、50μl未満の単一試料内で100個までの異なる検体の特異的測定を可能にする。この方法で、小さな血液試料中の複数のMMPおよびTIMPの測定が可能になる。この種類の方法は、本明細書に記載される、診断、予診、予測、および治療モニター適用に使用することができる。具体的には、検体濃度を同時に測定するために、マイクロビーズを試料(すなわち血液試料)とともに培養し、影響のある特異的検体(すなわち、MMP)を持つ複合体を形成する。次いで、各検体に関し第二エピトープに特異的な検出抗体(ビオチン化)を、混合物に加え、検体を結合するマイクロビーズに結合させる。次いで、混合物を、蛍光リポーター分子(ストレプトアビジン−フィコエリトリン)で培養し、全試料を、2個のレーザーが付いた流動細胞検出器中を通過させる。1個のレーザーは、検査される特異的検体を規定するマイクロビーズの正確な蛍光強度を検出し、もう1個のレーザーは、結合検体の量に比例するリポーター蛍光強度の量を検出する。CHFプロセスに影響を与える可能性のあるこのプロセスは、数多くのMMPおよび他の検体に適用されてきた。これらを図16および表1に示す。これは単一または複数検体が、非常に少ない血液試料でどのようにして測定することができるかということを示す1例にすぎない。MMP/TIMP検体に関してこの研究所によって行われている測定法の他の例として、放射免疫測定およびイムノブロットアッセイ法が挙げられる。これらの方法もまた、抗体をベースとしている。
13.組合せ
本明細書で開示する方法は、さらに、心不全の他のマーカーを検出するステップを含みうる。たとえば、本明細書で開示する方法は、さらに、対象の組織または体液中のNT−proBNP濃度を測定するステップと、得られた濃度を参照値と比較するステップとを含みうる。本明細書で開示する方法は、さらに、対象の組織または体液中のトロポニン−1濃度を測定するステップと、得られた濃度を参照値と比較するステップとを含みうる。
14.測定の実施時期
以下に記載し、スクリーニングおよび治療的モニタリングに関する更なる例で明確にされるように、測定の実施時期は、具体的な状況による。スクリーニングに関しては、これは、対象が医学検査に参加する時であればいつでも行うことができる。この例として、毎年の健康診断、健康フェア、および居住施設によるスクリーニングが挙げられる。したがって、開示された診断方法は、CHFの徴候および症状はあるが、この提示の基本的な原因を検出するのが難しい対象を診断するために使用することができる。
ここで開示される方法で、MMP/TIMPプロファイリングを行うためには、少なくとも3つの初期時点がある。初期測定は、既存の高血圧症の病歴のある、定期的に診療所を訪れた患者に行うことができる。初期測定は、診療所を訪れることを引き起こすことのある健康フェアで行うことができる。初期測定は、高血圧性心不全による症状を持って現れた患者に行うことができる。これらのシナリオのそれぞれに関して、どのようにサンプリングし診断するかについての図式を、これらのケースのそれぞれについて、図9A〜Cに示す。
つまり、予後診断の開示された方法は、高血圧(高血圧症)を示す対象が、LVHを患らっているか、あるいはDHFの進行の危険があるかを認定するために使用することができる。予後診断の開示された方法は、CHFの徴候および症状を示す対象が、LVHを患っているか、および拡張期心不全(DHF)の進行の危険があるかを認定するためにも使用することができる。たとえば、該方法は、CHFに一致する病状を持って、医者を訪れた患者に対して行うことができる。次に医者は、血液試験を行い、LVHおよびDHFに一致するMMP/TIMPプロファイルがあるかどうかを決定する。これにより、医者は、さらなる診断テストおよび治療計画の指針を立てる。
血液サンプリングの実施時期の他の例として、患者が既存のLVHがあると認定された場合、連続的なモニタリングMMP/TIMPプロファイルを、DHFの進行を予測するツールとして使用することができることがある。これらの試験は、どのような対象にも、スクリーニングツールとして1回だけ行うことができ、あるいは複数回および連続して行うこともできる。
C.キット
本明細書では、本明細書で開示した方法の実施において使用することができる試薬に関するキットが開示される。キットは、開示された方法の実施において必要または効果があると考えられる、本明細書で開示した任意の試薬または試薬の組合せを含むことができる。たとえば、DHFが進行する対象の危険性を検査するキットであって、成分として先の項目で記載した成分を含むキットが開示される。たとえば、MMP/TIMPキットの成分は、検出試薬に対し、影響のある関連MMPおよび/またはTIMP(関連MMPおよびTIMPのリストについては表3を参考)と複合体を作るために必要な試薬を含む。イムノアッセイ方法の例では、特異的MMPまたはTIMPに対して蛍光的に標識化された抗体を、血液試料とともに培養し、洗浄および非特異的結合浄化ステップの後、影響のあるMMPまたはTIMPに結合した抗体の量を関連する蛍光度を測定することによって算出する。これは、スクリーニングのために、または複数のMMP/TIMPを単一試料から測定する複雑なシステムのために使用できる、非常に簡便なキットでありえる。1個の影響のあるMMPまたはTIMPの測定から複数のMMP/TIMPの同時測定までの段階的アプローチの理論的根拠は、先の項目で記載している。スクリーニングアッセイ(すなわちMMP−13)に関して、小さな血液試料を、血漿(遠心分離)と、MMP−13ターゲット化抗体を混合した血漿とに加工する。混合物を、再び遠心分離し、MMP−13に特異的に結合された抗体を、蛍光分析システムによって読む。この装置および測定システムは、簡単に、小さなスーツケースまたはテーブルトップシステムに作ることができる。次いで、該システムからの読みは、MMP−13が特異的閾値(先の項目で定義したように)未満かそれを超えるかを示す。
D.実施例
1.実施例1:マトリックスメタロプロテアーゼ/メタロプロテアーゼの組織阻害剤:マトリックス組成物のタンパク質分解決定因子の変化と、高血圧性心臓疾患の構造的、機能的および臨床症状との間の関係
方法および結果の概要:血漿MMP−2、−9、−13およびTIMP−1、−2、ならびにドップラー心エコーを、4グループ:a)循環器疾患の証拠のない参照対象(CTL)、b)血圧が制御され、LV肥大のない高血圧症(HTN)、c)血圧が制御され、LV肥大があるが、CHFのない高血圧症(HTN&LVH)、d)血圧が制御された、LVHおよびCHFのある高血圧症(HTN&LVH&CHF)に分けた103個の対象において得た。CTLと比較すると、HTNの患者は、MMPおよびTIMPのどちらにも重大な変化はなかった。HTN&LVHの患者は、MMP−2およびMMP−13が減少し、MMP−9が増加していた。HTN&LVH&CHFの患者だけが、TIMP−1が増加していた。TIMP−1>1200ng/mLは、CHFが予測された。
結論:高血圧症であるが、正常なLV構造および機能を持つ患者は、正常なMMP/TINPプロファイルを有した。ECM分解をより減少するMMPプロファイルにおける変化は、LV肥大および拡張機能障害に関連していた。TIMP−1の増加により、CHFの存在が予測された。これらのデータは、MMP/TIMPバランスの変化が、高血圧性心臓疾患の構造的、機能的および臨床症状において重要な役割を果たすことを示唆する。
方法
対象:対象の2つのグループ:参照コントロールおよびLVHのある患者を、この検査に採用した。参照コントロールは、地域が行う健康フェアおよびサウルカロライナ医科大学スタッフのボランティアから見つけた。予備選択された参照コントロールのうち、35%が登録され、50%が以下に挙げる除外基準の1つを持ち、15%が参加を辞退した。LVH患者は、心エコー検査から見つけた。心エコー図でスクリーニングされた患者のうち、10%が登録され、75%が以下に挙げる除外基準の1つを有し、15%が参加を辞退した。両グループに共通するいくつかの除外基準がある。すなわち、
1)心筋梗塞の病歴、2)局所壁運動異常、3)冠動脈外科手術、4)アミロイドーシス、サルコイドーシス、HIV、肥大型閉塞性心筋症、心臓弁膜症、5)駆出率<50%、6)悪性腫瘍、7)重大な腎または肝機能障害、8)リウマチ疾患、9)血圧>140/90mmHgである。
103人の対象、すなわち、53人の参照コントロール対象およびLVHの証拠のある[LV壁圧が>1.2cmおよび/またはLV質量指数≧125gm/m(表4)]50人の対象を、をこの検査で登録した。参照コントロールの対象を、高血圧症の有無に基づいて2つのサブグループに分けた。39人のコントロール対象(「高血圧症のない参照コントロール」と言う)は、高血圧症の病歴がなく、心臓血管(CV)の疾患がなく、循環器疾患の症状も物理的証拠もなく、心血管系薬剤もなく、全ての心エコー測定が正常範囲内であり(表5)、14人の患者(「高血圧症の参照コントロール」と言う)は、動脈性高血圧症の病歴があり、血圧が制御され(JNC7基準値、すなわち<140/90mmHgに合うように薬剤で処置されている)、左心室肥大はなく(ChobanianAVら、2003)、全ての心エコー測定値は正常範囲内である(表5)。
表4:患者背景、左心室構造/機能およびMMP/TIMPデータ
Figure 2009536739
略記:データは、平均+SEM、LV=左心室、LVH=高血圧で左心室肥大のある患者、参照コントロール=循環器疾患の証拠がない対象、IVRT=等容性弛緩時間、PCWP=肺毛細血管楔入圧、MMP=マトリックスメタロプロテアーゼ、TIMP=MMPの組織阻害剤、=p<0.05(参照コントロールと比較)。
表5:高血圧症があるおよびない参照コントロール、CHFがあるおよびないLVH
Figure 2009536739
略記:データは、平均+SEM、LV=左心室、PCWP=肺毛細血管楔入圧、EDV=拡張末期容量、Ea=有効動脈血液、MMP=マトリックスメタロプロテアーゼ、TIMP=MMPの組織阻害剤、LVH=左心室肥大、CHF=慢性心不全。全4グループの中で重大な相違は、ANOVAおよびTukeyの多重比較検定を使用して分析した。=p<0.05対高血圧症のない参照コントロール、#=p<0.05対高血圧症のある参照コントロール、Δ=p<0.05対CHFのないLVH。
LVH患者を、CHFの有無に基づいて2つのサブグループに分けた。高血圧症があり、血圧が制御され、LVHはあるがCHFはない23人の患者を、「CHFのないLVH」と言う(表5)。第二のサブグループは、高血圧症があり、血圧を制御し、LVHおよびCHFのある26人の患者で構成され、「CHFのあるLVH」と言う。これらの患者は全て、Framingham基準(Levy Dら、1996)に従って定義されたCHFの形跡があり、異常弛緩の形跡(E’の減少)があり、硬直の増加(PCWPの増加およびPCWP/EDV比の増加)があり、6分歩行距離が著しい低下(CHFのないLVHグループで1839±60フィートと比べ、CHFのあるLVHグループでは、979±86フィート、p<0.05)があり、EF≧50%であり、したがって、拡張期心不全があった。
高血圧症を治療するために使用される薬剤が、研究者ではなく、患者の主治医によって選択され、モニターされた。薬剤として、利尿剤、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン拮抗剤(アンジオテンシン転換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤およびアルドステロン遮断剤)、直接血管拡張薬(硝酸塩、ヒドラジン)、α−アドレナリン遮断剤、中枢神経遮断剤、アスピリン、β−アドレナリン受容体遮断剤およびカルシウムチャネル遮断剤が挙げられた。平均抗高血圧治療期間は、6.4±1.5年であった。
心エコー法:心エコー図を、S−4MHz変換器を備えるSonos5500システムを使用して得た。測定は、米国の学会の心エコー検査基準(Sahn DJら、1978;Schiller NB,ら、1989)を使用して行った。LVおよび左心房体積は、ディスク法(Schiller NB,ら、19)を使用して計算した。LV質量は、ReichekおよびDevereuxの式(Devereux RB,ら、1986)を使用して計算した。僧帽弁インフローEおよびA波速度のドップラー測定、E/A比、E波検出時間、および等容性弛緩時間(IVRT)を測定した。僧帽弁E’およびA’波速度の組織ドップラー(横軸方向僧帽弁輪)測定を行った。肺毛細血管楔入圧(PCWP)を、式:2+1/3E/E’(Nagueh SF,ら、1998)を使用して計算した。有効動脈血液(Ea)を、式:収縮終期圧/1回拍出量を使用して計算した。
MMP/TIMP血漿測定:ゼラチナーゼ(MMP−2およびMMP−9)、コラゲナーゼ(MMP−13)、ならびにMMPの組織阻害剤(TIMP−1およびTIMP−2)を、2部位酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(Amersham Pharmacia Biotech,Buckimghamshire,UK)を使用して検査した。血漿およびそれぞれのMMP標準を、影響のあるMMPまたはTIMPに対する抗体を含有する、予備被覆ウェルに加え、洗浄した。得られた反応系を、450nmの波長で読んだ(Labsystems Multiskan MCC/340,Helsinki,Finland)。MMP−13は、血漿中に非常に少ない濃度でしか見つからなかったので、MMP−13の結果は、検出可能および検出不能の2つに分けた。
統計学的分析:参照コントロール対象(n=20)のサブグループ内の個々の対象の間および対象内でのMMP/TIMP測定の変動係数を計算するために、一方向ランダム効果ANOVAを使用して、MMPおよびTIMPを、6時間の間2時間毎に測定した。次いで該係数を、ヒト内の平均2乗誤差の平方根の100倍として計算した。患者内の変動係数は、MMP−2=11.2±1.1%、TIMP−1=8.5±2.2%およびTIMP−2=14.3±1.7%であった。を、アッセイ法それ自体で変数を定量化するアッセイ内の変動係数は、MMPおよびTIMP全てに関して6%未満であった。
最初に、参照コントロール対LVH対象の間の比較を、両側スチューデントt検定を使用して行った。続けて、4グループ全ての間の比較(高血圧症のある参照コントロール対高血圧症のない参照コントロール、対CHFのあるLVH対CHFのないLVH)を、ANOVAおよびTukeyの多重比較検定を使用して分析した。<0.05のp値を優位であるとした。単回帰を使用して、MMP濃度とTIMP濃度との間の関係を検証し、LV構造および機能の測定を行った。マンテルヘンツェルカイ2乗および受信者動作曲線を使用した、MMP−13濃度とTIMP−1濃度との間の関連およびLVHおよびCHFの存在を評価した。先ず、構造、機能または血漿データにおける薬剤の治療の潜在的効果を、一変量、次いで多変量回帰分析により調べた。構造、機能、MMPまたはTIMP測定値は、ダミー変数として入った薬剤に関する従属変数であった。単独の薬物を調べ、次いで薬物を組合せて調べた。
この検査で使用された研究プロトコルは、サウルカロライナ医科大学の試験審査委員会によって、確認検査され、認められた。記載されたインフォームドコンセプトが全ての参加者から得られた。研究者は、データに関するフルアクセス権を持ち、その保存に関して責任を負った。全ての研究者は、記載された原稿を読み、承諾した。
結果
参照コントロール対LVH
構造/機能データ:参照コントロール対象は、LVH対象と、類似の年齢および性別分布であった(表3および4)。参照コントロールと比べると、LVHは、収縮期血圧がより高く、LV質量指数より60%大きいことにより証明されるように、大きな求心性リモデリングがあり、拡張末期容量では差異はなく、LV拡張末期容量対質量比が40%の低下があった。参照コントロールと比べると、LVHには、LV拡張期弛緩およびLV拡張期硬直の指数において大きな異常性があった。すなわち、IVRTの増加、E波検出時間の増加、E’の減少、肺毛細血管楔入圧の増加、および参照コントロール(0.09±0.01mmHg/mL,p<0.05)と比べて、PCWP対LV拡張末期容量比の増加(LVHで0.16±0.01mmHg/mL)があり、硬直を起こすLV瞬間拡張終期において増加があることを示唆した。
MMPおよびTIMP血漿プロファイル:参照コントロールと比較すると、LVHでは、MMP−2が減少し、MMP−9が増加した。有意な差異が、MMP−13検出性において見出された(図1)。47%の参照コントロール対象は、MMP−13の検出可能レベルであり、一方MMP−13は、LVH対象の15%だけが検出可能であった(χ=17.89、p<0.001、オッズ比=0.24)。参照コントロールと比べて、血漿TIMP−1は、LVHでかなり増加していた。TIMP−2、MMP−9/TIMP−1比およびMMP−2/TIMP−2比は、参照コントロールとLVHとの間で差異はなかった。
高血圧症のない参照コントロール対高血圧症のある参照コントロール
構造/機能データ:高血圧症のない参照コントロール対象を、高血圧症のある参照コントロールグループ、CHFのないLVHグループ、およびCHFのあるLVHグループと比較するために、年齢および性が合った参照コントロールグループとして得た。高血圧症のない参照コントロールと高血圧症のある参照コントロールとの間では、LV構造または機能のいかなる患者背景パラメーターあるいはいかなる心エコー測定値においても、有意な差異はなかった(表3および4)。高血圧症のない参照コントロールにおける左心房最大体積(LAMV)および排出率(LAEF)(LAMV=40±2ml、LAEF=42±3%)は、高血圧症のある参照コントロール(LAMV=42±4ml、LAEF=43±2%)と比べると、類似していた。
MMPおよびTIMP血漿プロファイル:高血圧症のない参照コントロール対象と、高血圧症のある参照コントロール対象との間で、MMPもTIMP血漿濃度も有意な差異はなかった。
CHFのないLVH対CHFのあるLVH
構造/機能データ:収縮期血圧、LV体積または質量に関し、CHFのないLVH対象とCHFのあるLVH対象との間で、有意な差異はなかった(表5)。しかし、拡張期機能は、CHFのないLVHと比べて、CHFのあるLVHでは有意に損なわれていた。CHFのないLVHと比べると、CHFのあるLVHでは、拡張期弛緩の指数がより遅く、拡張期硬直がより大きく、充満圧がより高かった。特に、CHFのないLVH患者では、高血圧症のない参照コントロール(10±0.4cm/秒、95%CI=9.3、11)および高血圧症のある参照コントロール(9.8±0.5cm/秒、95%CI=8.1、11)と比べると、組織ドップラーE’が減少(8.4±0.4cm/秒、95%信頼区間(CI)は7.4、9.3)していた。E’は、CHFのあるLVHではさらに減少していた(7.2±0.5cm/秒,95%CI=6.2、8.3)。CHFのないLVH患者では、PCWPは、高血圧症のない参照コントロール(10±1mmHg,95%CI=9.3、10.6)および高血圧症のある参照コントロール(11±1mmHg,95%CI=9.1、12.2)と比べると、変化がなかった(13±2mmHg,95%CI=10.5、15.2)が、CHFのあるLVH(17±2mmHg,95%CI=15.2、17.7)では増加していた。PCWP対LV拡張末期容量比は、CHFのないLVH患者では変化しなかったが、CHFのあるLVH患者では有意に増加した。有効動脈血液は、CHFのないLVHでは増加し、CHFのあるLVHでは減少した。LAMVは、CHFのないLVHでは増加(LAMV=53±4ml、p<0.05(参照コントロールと比較))し、CHFのあるLVHではさらに増加(LAMV=70±5ml、p<0.05(CHFのないLVHと比較))した。LAEFは、CHFのあるLVHでは変化しなかった(LAEF=42±3%、p<0.05(参照コントロールと比較))が、CHFのあるLVHでは増加(LAEF=48±2%、CHFのないLVHと比較)した。
MMPおよびTIMP血漿プロファイル:CHFのあるLVHと、CHFのないLVHではと比べると、MMP−2、−9、−13、TIMP−2、またはMMP/TIMP比において有意な差異はなかった(図1)。しかし、TIMP−1は、CHFのないLVH(1092±77ng/ml,95%CI=933、1252)と比べて、CHFのあるLVH(1364±86ng/ml、95%CI=1185、1543)では、有意に増加した。事実、TIMP−1は、CHFのある対象でのみ上昇した。TIMP−1を、高血圧症のない参照コントロール(1000±42ng/ml、95%CI=915、1085)および高血圧症のある参照コントロール(988±76ng/ml、95%CI=824、1152)と比べると、CHFのないLVH患者で、変化しなかった。
MMPおよびTIMP血漿プロファイルの間の関係、およびLV構造および機能:TIMP−1とLVリモデリングの程度との間に有意な関係があった。TIMP−1が増えるに従って、LV質量が増加し(r=0.30、p=0.005)、体積/質量比は減少した(r=−0.56、p=0.001、図2A)。TIMP−1と拡張機能障害の程度との間に有意な関係があった。TIMP−1が増えるに従い、僧帽弁E/A比は減少(r=−0.22、p<0.027)し、E’は減少(r=−0.62、p=0.001、図2B)し、PCWPは増加(r=0.28、p=0.013)した。最後に、CHFの程度とTIMP−1濃度との間に有意な関係がある。TIMP−1の平均値は、NYHAクラスIIIのCHFのあるLVH対象が、NYHAクラスIIのCHFのあるLVH対象より高かった。>1200ng/mlのTIMP−1濃度であれば、CHFのあるLVHであると予測された(χ=4.6、p=0.03、特異性=88%、および陽性予測率=94%、オッズ比=3.54、95%信頼区間=1.08、11.50)。受信者動作曲線(ROC)の下の面積は0.71であった。
特異的薬剤の使用と、グループの間のLV構造、機能または血漿MMP/TIMPプロファイルにおける差異との間には何の関係もなかった。具体的には、任意の薬または薬の組合せによって分けた患者の間では、どのようなMMPまたはTIMP濃度においても、差異はなかった。であるが、この試験は、LV構造、機能または血漿MMP/TIMPプロファイルに関する薬の効果を完全に取り扱うまで十分には行わなかった。したがって、これらのデータおよび分析は、適切な注意を持って解釈されなければならない。
考察
この検査では、1)高血圧症であるが、正常なLV構造および機能を持つ患者は、正常なMMP/TIMPプロファイルを持っていた、2)ECM分解を増加させる、MMPおよびTIMPプロファイルの変化(MMP−2、−13の減少、TIMP−1の増加)は、LV肥大および拡張機能障害に関連していた、および3)TIMP−1の増加は、CHFの存在が予測されたという、3つの特有の発見があった。
それらの基質および作用において多面発現性であっても、心筋MMPおよびTIMPにおける変化は、ECMに対する予測可能な効果を持つ(Spinale,FG.2002;Chapman REら、2004)。たとえば、MMP−2(ゼラチナーゼ)は、基底膜タンパク質、フィブリルコラーゲンペプチドを分解し、新しくコラーゲン線維を合成する。今回の検査では、MMP−2は、高血圧LVHのある患者で、著しく減少している。MMP−9(ゼラチナーゼ)は、MMP−2と同じ構造タンパク質基質を持つが、その活性の程度は非常に低い。しかし、MMP−9は、TGF−□のような重要な生物的活性タンパク質/ペプチド、および他の「線維化予防」タンパク質および経路に大きく影響する。MMP−9の増加による線維化予防経路の活性化は、ECM蓄積の増加が期待される。したがって、今回の検査において、LVH患者に見られたMMP−2濃度の減少およびMMP−9濃度の増加は、高血圧性心臓疾患に見られる、観察された構造的および機能的変化の原因となる一要因であるかもしれない。
MMP−13は、血漿中に非常に低濃度で見出され、高感度アッセイでも正確に定量化するのは困難なコラゲナーゼである。したがって、今回の検査では、MMP−13は、定量的な値で報告するのではなく、結果を二分した。LVHのある患者の血漿中の検出可能なMMP−13を、徐々に減少させ、LVHおよびCHFのある患者でさらに減少させた。このコラーゲン分解酵素での減少により、フィブリルコラーゲン代謝回転を減らし、分解を減らし、ECMの蓄積を増やすことが期待される。
MMP活性は、転写調整ばかりでなく、TIMP結合のような翻訳後の修飾も含む数種の濃度で調整される。TIMPは、活性MMPに1:1の関係で結合し、MMP酵素活性を阻害し、それによって、正味ECMタンパク質分解性活性に関して、重要なコントロールポイントを形成する(Spinale,FG.2002;Chapman REら、2004;Brew Kら、2000)。今回の検査では、LVHおよびCHFがある患者において、TIMP−1の血漿濃度が増加することが示された。その結果、MMPとTIMPとの間のバランスは、ECMタンパク質分解性活性が減少するほうに変化し、これにより、ECM蓄積が促進される。4種類の公知のTIMPが存在し、これらの分子の転写調節は均質ではない(Brew Kら、2000)。TIMPの非調和な濃度は、心不全の両動物モデルおよび心筋症を持つ患者に観察されている(Wilson EMら、2002;Stroud RE.2005)。今回の検査では、TIMP−1の大きな増加がCHFのあるLVH患者に観察された。対照的に、CHFがあるまたはないLVH患者には、TIMP−2の小さな増加しか観察されなかった。これらの観察は、LVリモデリングプロセスにおいて、TIMPに関する、異なる機能および調整経路を強調しがちである。この検査の固有の発見は、TIMPの特異的タイプであるTIMP−1が、CHFの進行に強く関連したことである。LVHおよびCHFのある患者において、TIMP−1濃度の増加が、CHFの進行に影響を与えたのか、あるいはその進行の結果なのかは明らかではない。しかし、明らかなことは、TIMP−1の増加は、LVHおよびCHFがある患者に独自に存在し、>1200ng/mlの血漿TIMP−1値が、CHFの存在を予測させることである。したがって、この血漿検体は、正常な駆出率(拡張期心不全)を持つ心不全の診断基準の開発において、および拡張期心不全のための新規な治療管理対策の設計のために、考慮すべきである。しかし、TIMP−1=1200ng/mlの分配値は、予測形式というより「事後」において選択されたことが認められる。したがって、その予測価値の妥当性は、適切な注意を持って解釈されなければならず、大きな、一連の予測研究企画を使用する追加の検査で確認されなければならない。
高血圧性心臓疾患のある患者に起こる、MMP/TIMPにおける変化は、細胞外コンパートメントおよび心因細胞コンパートメントの両方において成長の調整を達成し、これらはともに、LV肥大を集中させ、コラーゲン含有量の増加を起こす。コラーゲンのホメオスタシスは、合成、翻訳後修飾および分解の間のバランスによって測定される。高血圧性心臓疾患では、Diezらおよびその他の研究者らは、コラーゲン含有量の増加は、コラーゲン合成の血漿マーカーの増加、コラーゲン分解の減少、およびコラーゲン交替の減少と関連していることを示している(Diez J.ら、2002;Lopez Bら、2001a;Lopez Bら、2001b)。今回の検査において発見されたMMP/TIMPプロファイルにおける変化は、合成、分解および交替における変化が起こる潜在的機構を開示する。
LV構造的リモデリングには多くの決定因子が存在するが、血圧は最も重要なものの1つである。しかし、今回の検査データは、血圧が正しく制御された後でさえ、MMPおよびTIMPにおける継続した変化が予測され、そして、おそらく決定付けられ、永久的な求心性リモデルング、LVHおよび拡張期心不全と明らかに関連していることを示す。LVHの退行は、ECM成分(特に、基底膜タンパク質)の分解および交替を含むECMの適正なリモデリング、および心筋細胞−マトリックス相互作用の変更を必要とする。今回の検査では、高血圧LVHのある患者は、特異的MMP(MMP−2の減少)およびTIMP(TIMP−1の増加)プロファイルにおける永続的な異常性があり、これは、LV質量退行に対応するのに必要なECM交替ではなく、継続した心筋細胞−基底膜−マトリックス接合が有利であることが期待されることが示された。したがって、今回の検査において見られたMMPおよびTIMPの進行中の変化が、高血圧性心臓疾患において存在する表現型および構造的変化の一因である可能性があるようだ。
今回の検査では、MMPおよびTIMPの血漿濃度を代理マーカーとして利用し、これらの酵素およびペプチドの心筋濃度における変化を反映させた。MMP活性化およびTIMP結合は、心筋間質組織内で起こる区画化プロセスである(Spinale,FG.2002;Chapman REら、2004)。したがって、血漿濃度は、心筋内で起こる正味ECMタンパク質分解性活性を必ずしも反映するとは限らない。今回の検査において、参照コントロールと高血圧性心臓疾患のある患者との間で観察された血漿MMP濃度およびTIMP濃度における差異は、心筋濃度での差異を反映している可能性がある(Joffs Cら、2001;Yarbrough WMら、2003;Lindsey MLら、2003)。心筋だけがLVH患者においてMMPおよびTIMPの発生源ではない可能性もある。したがって、血漿MMP濃度およびTIMP濃度の測定値は、心臓発生源および非心臓発生源の両方から放出されたMMPおよびTIMPの合計を表わしている。しかし、今回の検査で利用した特異的除外基準は、MMPおよびTIMPの主な非心臓発生源における重要な変化を削除する手助けをした。やはり、高血圧症およびLVHのある患者は、慢性心不全があってもなくても、血漿に放出されるMMPおよびTIMPの一因となる、腎臓および血管のような他の非心臓組織における変化があるかもしれないことを理解しなければならない。今回の検査の発見は、参照コントロールとLVH患者との間の血漿MMP濃度およびTIMP濃度における差異を示した。
結論:ECMタンパク質分解性システクにおける変化の特異的パターンは、高血圧性心臓疾患の構造的、機能的および/または臨床症状のそれぞれと関連した。左心室に構造的または機能的変化のない、適切に制御された血圧を持つ対象は、MMP/TIMP徴候においていかなる変化もなかった。しかし、LVHのある患者は、適正な血圧制御をしていても、MMP−2および−13が減少していた。TIMP−1の増加は、LVHおよびCHFのある患者に見られた。特に、高血圧LVHとCHFの進行との間の過渡期は、TIMP−1の1200ng/mlを超える増加またはMMP−13の不存在のようなMMPおよびTIMPにおける変化の後に起こる。しかし、今回の検査では、試料のサイズが限定され、断面設計を使用し、時間をかけた連続検査は行わなかった。これらの制限のため、我々の観察は、さらに試験され、大きな予測敵連続検査設計を使用して確認することが必要である。それにもかかわらず、今回の検査のデータは、MMP/TIMPにおいて観察された確率的な変化は、高血圧性心臓疾患の症状発現において重要な役割を果たすことを示唆する。このECM依存性病態生理を理解することにより、高血圧性心臓疾患のある患者の改良された診断および治療が提供される。
臨床的見地:慢性動脈性高血圧症は、LV求心性肥大、弛緩速度の減少および硬直の増加の共通の原因である。高血圧症により引き起こされる構造的および機能的変化は、心筋の本質的構成成分、つまり心筋細胞と、特に細胞外マトリックス(ECM)との両方に対する変化により起こる。これらのLV構造的および機能的変化は、拡張期心不全(DHF)の進行に必要な基質を作り出す。しかし、ECMにおけるこれらの変化を何が制御しているのか、血圧の制御だけで予防できるか、あるいはこれらの変化を逆転できるのか、およびECM制御メカニズムの知識が高血圧性心臓疾患の診断または治療の助けになるのかどうかについては、知られていない。今回の検査で、特異的ECMタンパク質分解性タンパク質/ペプチド(MMPおよびTIMP)のパターンにおける変化が、高血圧性心臓疾患の構造的、機能的および臨床症状のそれぞれに関連があることが示された。適性に制御された血圧を持ち、LV構造的および機能的変化のない対象は、MMP/TIMP 徴候になんの変化もなかった。したがって、高血圧症の治療は、ECMおよびECMタンパク質分解性システムにおける変化を予防することができる。しかし、残留または抵抗性LVHのある患者は、適正な血圧制御にもかかわらず、異常なMMPを持っていた。DHFの進行は、1200ng/mlを超えるTIMP−1の増加の後に起こった。これらのデータは、LVHの退行およびDHFの予防は、血圧の変化だけに依存するのではなく、MMP/TIMPにおける変化を標的とし、標準化する必要があるかもしれないことを示唆する。このECM依存性病態生理を理解することにより、高血圧性心臓疾患のある患者の改良された診断および治療が提供される。
2.実施例2:マトリックスメタロプロテアーゼ/メタロプロテアーゼの組織阻害剤:マトリックス組成物のタンパク質分解性決定因子における変化と高血圧性心臓疾患の構造的、機能的および臨床症状との間の関係
方法
検査登録:表6に検査登録を示す。除外基準は、心筋梗塞、心筋症、弁または壁運動異常、不整脈、浸潤性心臓疾患、EF<50%、管理されていない高血圧症(SBP>140またはDBP>90)、あるいはMMP/TIMP血漿プロファイルに影響する全身性疾患の病歴であった。コントロールおよびHTNのあるコントロールの採択基準は、構造的循環器疾患の形跡のない、18〜90歳の男性および女性であった。LVHおよびCHFのあるLVHの採択基準は、心エコー検査で既存のLV肥大(>1.2cmの壁厚または>125g/mのLV質量指数)のある、18〜90歳の男性および女性であった。
表6:検査登録
Figure 2009536739
心エコー測定:次元心エコーの標準を使用した。
心エコー計算:LV体積はディスク法によって計算した。LV質量はPenn法によって計算した。PCWPは2+1.3x(E/Ea)として計算した。
MMP/TIMP血漿測定値:血漿測定値は、ゼラチナーゼMMP−2およびMMP−9、コラゲナーゼMMP−13、およびTIMPS TIMP−1およびTIMP−2に関して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Ammersham Pharmacia Biotech)によって得た。
結果
図7〜11に検査の結果を示す。
結論
HTNがあるが正常なLV構造および機能を持つ患者は、正常なMMP/TIMPプロファイルであった。ECM分解をより減少させるMMP/TIMPプロファイルの変化は、LV肥大および拡張機能障害に関連していた。TIMP−1の増加により、CHFの存在を予測した。心筋細胞外マトリックスタンパク質分解システムにおける変化は、選択されたMMPおよびTIMPの血漿アッセイを使用して測定可能である。高血圧性心臓疾患のそれぞれの発現は、ECMタンパク質分解システムにおける変化の特異的パターンに関連する。構造的リモデリング、拡張機能障害および/または慢性CHFのある高血圧患者は、MMPの減少およびTIMPの増加を特徴とする。
3.実施例4:高血圧症のある患者において、心不全を識別し、予測し、診断するための基準
表7に、その年齢の範囲内で、両性別にわたるヒト対象の明確な一連の正常値を示す。以前には、これと同じくらい包含したMMP/TIMPに関する正常な参照値がまとめられたリストは存在せず、さらに、循環器疾患のない、年齢が合った対象を含めたので、正常な参照範囲も示す。さらに、後続の表に詳述された重要な診断的および与診情報を提供することが判明する、新規なMMP/TIMPプロファイルに関する化学量論的比も示す。これらのデータは、100人を超える対象から集め、分析した。
表7:正常なヒト 参照範囲
Figure 2009536739
正常な成人 年齢25〜70歳。
表8に、血圧がよく管理されているが、高血圧症と診断されている患者に関する、絶対値でのMMPおよびTIMPの値、絶対値でのMMP/TIMP比、および絶対値に基づいた正常参照値からの変化率を示す。これらの値は、原出願の中で記載したように集めた。動物実験における過去の報告あるいは先に発行された限定された診断検査からは予測されない、固有の血漿プロファイルを示す。この固有のプロファイルは、MMP−2の減少、MMP−9に関し変化なし、MMP−13に関し検出不能(現在使用されているいかなるアッセイシステムの感度も下回る)、およびTIMP−1濃度の大きな増加を含む。さらに、心臓血管の特異的マーカーにおけるTIMP−4の増加も示すことができる。MMPおよびTIMPプロファイルにおけるこれらの変化は、高血圧症のある患者に固有のもので、これらの患者の心臓組織内で起こっている早期変化を示す。この固有の特異的プロファイルは、MMPおよびTIMPプロファイルのこれらの変化を正常対象から最小にするための治療を導くために使用することができる。さらに、これらの血漿プロファイルは、危険性のある患者集団のスクリーニングを一般化するために使用することができ、将来有害事象が起こる危険性のある患者を認定する。
表8:高血圧性心臓疾患の診断
Figure 2009536739
高血圧で、適切な医学的管理下にあると診断された患者。
表9は、高血圧性心臓疾患に伴う心不全のある患者に現れるMMPおよびTIMPの血漿プロファイルを示す。これらのデータは、最初の出願で挙げた検査からまとめた。この過去の検査では、高血圧患者における心不全の存在および不存在を、MMP−13のシグナルの喪失およびTIMP−1の強い増加によって認識できることが示された。事実、心不全の予測および診断のための受信者動作曲線(ROC)が、以前に提供された。心筋梗塞(心臓発作)に伴う心不全のある患者と大いに異なって、MMP−9濃度は正常またはそれ以下である。これら2つ疾患状態の間での識別は可能であり、次の表に示す。さらに、心臓血管の特異的マーカーであるTIMP−4を利用して、これは高血圧性心臓疾患のある患者において増加し、心臓血管の特異性に以前は決して示されていなかった血漿プロファイルを提供したことを示すことができる。これらのデータは、高血圧性心臓疾患のために心不全を患う患者を、血漿マーカーによって識別するための最初の識別プロファイルを提供する。これは重要な課題である。なぜなら、処理物理療法は、心不全の基本的な原因に基づいて異なるからである。。どのようにしてこれらの新しいデータを使用して、治療および臨床的決定を行うガイドとするかは、最初の出願に挙げた。
表9:心不全の危険性が増加した高血圧患者
Figure 2009536739
高血圧で、適切な医学的管理下にあると診断された患者。
本願で開発され、指示物質中に存在した固有の血漿徴候は、初めて、心不全が持続する患者のために、基本的な原因を識別する能力を提供する。具体的には、表10に示すように、特有で非常に異なる血漿プロファイルは、心筋梗塞に伴う心不全に進行する危険性のある、または心不全が存在する患者、あるいは高血圧症に伴う心不全のある患者から現れる。これらのデータは、本願の基礎を形成した我々の完了した検査から集められた。したがって、識別診断を、これらのプロファイル、およびより重要でより特異的な臨床意思決定および考えられた治療方針で実施することができる。プロファイルのための臨床適応の例およびこれらをどのようにして臨床意思決定に利用するかについては、最初の出願に挙げられている。
表10:心不全の収縮期(MI後)または拡張期(高血圧性心臓疾患)の識別診断
Figure 2009536739
E.参考文献
Figure 2009536739
Figure 2009536739
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Figure 2009536739
Figure 2009536739
高血圧症のあるおよびない参照コントロール、ならびに慢性心不全のあるおよびないLVHにおけるMMP−13検出性を示す。MMP−13検出性は、LVH患者において有意に減少した。=p<0.05対高血圧症のない参照コントロール、#=p<0.05対高血圧症のある参照コントロール、Δ=p<0.05対CHFのないLVH。 マトリックスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP−1)と左心室(LV)体積/質量比との間の関係を示す。TIMP−1の濃度の濃度が高くなるほど、求心性リモデリングがより発現することを示す、LV体積/質量比の値が低下する関係にある。r=−0.56、p<0.05。 マトリックスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP−1)と組織ドップラー撮像(TDI)急速充満波(E’)との関係を示す。TIMP−1の濃度が高いほど、LV拡張期弛緩速度が遅いことを示す、E’の値が低くなる関係にある。 拡張期心不全のある心臓と比べた、正常な心臓の構造および機能を示す。 高血圧症(HTN)のあるおよびないコントロール、ならびにうっ血性心不全(CGF)のあるおよびない心室性肥大のある対象に関する、心エコー、およびMMP−9、MMP−2、およびTIMP−1血漿測定の結果を示す。 高血圧症(HTN)のあるおよびないコントロール、ならびにうっ血性心不全(CGF)のあるおよびない心室性肥大のある対象に関する、心エコー、およびMMP−9、MMP−2、およびTIMP−1血漿測定の結果を示す。 高血圧症(HTN)のあるおよびないコントロール、ならびにうっ血性心不全(CGF)のあるおよびない心室性肥大のある対象に関する、心エコー、およびMMP−9、MMP−2、およびTIMP−1血漿測定の結果を示す。 TIMP−1濃度に対する組織ドップラー撮像(TDI)急速充満波(E’)を示す。 コントロールおよび左心室肥大のある対象における血漿MMP−13濃度を示す。 うっ血性心不全があるまたはない患者のパーセント、および血漿TIMP−1濃度が1200ng/mlを超えるまたはそれ未満であって、左心室肥大のある患者のパーセントを示す。 多重分析によって測定したMMP−9、MMP−13、TNF−αおよびIL−6の検量曲線を示す。 MMPおよびTIMP濃度を使用して、高血圧症のある患者の治療を決定するためのアルゴリズムを示す。図9Aは、緊急に診療所を訪れることが計画されていない、記録された高血圧症のある患者の治療の概略を示す。 MMPおよびTIMP濃度を使用して、高血圧症のある患者の治療を決定するためのアルゴリズムを示す。図9Bは、緊急に診療所を訪れることがない、新しく発症した高血圧症のある患者の治療の概略を示す。 MMPおよびTIMP濃度を使用して、高血圧症のある患者の治療を決定するためのアルゴリズムを示す。図9Cは、HFによって起こった可能性のある徴候または症状を持つ患者の治療の概略を示す。

Claims (19)

  1. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液内のMMP−13の量を測定するステップを含み、10ng/mL未満の量は、拡張期心不全の存在を示すか、または心不全の徴候である、方法。
  2. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中に、正常値を超える量のTIMP−1を検出するステップを含む方法。
  3. 前記MMP−2の量が、正常値よりも少なくとも約20%大きい、請求項2に記載の方法。
  4. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中に、正常値を超える量のTIMP−4を検出するステップを含む方法。
  5. 前記TIMP−4の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きい、請求項4に記載の方法。
  6. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のMMP−13、TIMP−1およびTIMP−4の量を測定するステップを含む方法。
  7. 前記MMP−13の量が検出不能であり、前記TIMP−1の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きく、前記TIMP−4の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きい、請求項6記載の方法。
  8. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−4の量を測定するステップを含む、方法。
  9. 前記MMP−13の量が検出不能であり、前記TIMP−1の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きく、前記TIMP−2の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きく、前記TIMP−4の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きい、請求項8に記載の方法。
  10. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のMMP−13、TIMP−1、TIMP−4およびMMP−2の量を測定するステップを含む、方法。
  11. 前記MMP−13の量が検出不能であり、前記TIMP−1の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きく、前記TIMP−4の量が、正常値よりも少なくとも約50%大きく、前記MMP−2の量が、正常値よりも少なくとも約20%小さい、請求項10に記載の方法。
  12. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のTIMP−1に対するMMP−9の比の、正常な比と比較した減少を検出するステップを含む方法。
  13. 前記比の減少が、正常な比に比べて少なくとも約50%である、請求項12に記載の方法。
  14. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のTIMP−2に対するMMP−9の比の、正常な比と比べた減少を検出するステップを含む方法。
  15. 前記比の減少が、正常な比と比べて、少なくとも約50%である請求項14に記載の方法。
  16. 対象における拡張期心不全を予測する方法であって、該対象からの体液中のTIMP−4に対するMMP−9の比の、正常な比と比較した減少を検出するステップを含む、方法。
  17. 前記比の減少が、正常な比と比べて、少なくとも約50%である請求項16に記載の方法。
  18. 前記体液が血液である請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 前記体液が血漿である請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
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