JP2009535308A - エリスロポエチンの硝子体投与 - Google Patents
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Abstract
Description
試薬
エバンスブルー(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)は生理食塩液(30mg/ml)に溶かした;ストレプトゾトシン(STZ,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)は0.05Mクエン酸緩衝液(pH4.5)に溶かした。エリスロポエチン(r−Hu−EPO,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)は生理食塩液(0.1μg/μl)で希釈した;in situ Cell Death Detection KitとEPO ELISA KitはRoche Applied Science(Mannheim,Germany)から購入した。
体重約150gの雄スプラーグドーリーラット(Slaccas,SIBS,Shanghai,China)を利用した。動物は,ARVO Resolution on the Care and Use of Laboratory Animalsに従って処理した。糖尿病を誘発させるために,単回ストレプトゾトシン(STZ)腹腔内注射(60mg/kg体重 クエン酸緩衝液中)を24時間絶食させたラットに対して行った。コントロールラットには同量のクエン酸緩衝液を投与し,糖尿病ラットと同様にモニターした。全ての動物は12時間周期で明/暗が切り替わる装置で維持され,STZ注射の前の断食の日を除いて,随意に飲食をさせた。STZを受けた動物は,血中グルコースが毎日の測定で連続三日間250mg/dLを超えた際に,糖尿病とした。ラットが糖尿病を発症しなかった場合,そのラットは,実験から除いた。糖尿病ラットはランダムに,EPO処理群とEPO未処理群の二つの群に分けた。体重は一週間に二度記録し,4ユニットのNPHインシュリンをケトーシス予防のために一週間に一度皮下に投与した。ラットは糖尿病発症後1,2,4,及び6週目に屠殺した。EPOの硝子体内注射は糖尿病発症後2時間以内に行った。静脈内2%ペントバルビタールナトリウムによる全身麻酔と2%リカドインによる局所的角膜麻酔後に,EPO(r−Hu−EPO 生理食塩液中)はマイクロシリンジ(Hamilton,Switzerland)と30ゲージ,1/2インチ針(Becton Dickinson&Co.Rutherford,N.J.)を用い,側頭部アプローチをもちいて,つまり水晶体へのダメージを回避するために角膜から2mm後方から硝子体内に注射した。1眼あたり0.05ngから200ngの範囲で,EPOはそれぞれ2μlの等容積に溶かした。偽注射(2μl生理食塩液)は,未処理の糖尿病ラット群に加えて,非糖尿病コントロールラットにも行った。ラットは自然に麻酔から回復し,随意に食糧と水とともに動物室に戻した。
血液網膜関門(BRB)透過性は公開されている方法により評価した。つまり,ラットは腹腔内2%ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg体重)で麻酔した。追加の麻酔は,処置を通じて必要に応じて行った。左腸骨動脈と腸骨静脈は,ヘパリン添加生理食塩水(400ユニットヘパリン/ml生理食塩水)で満たされたカテーテル(BD Insyte)でカニューレを挿入した。エバンスブルー溶液(30mg/ml)は10秒以上左腸骨静脈を通して注入された。エバンスブルー投与2分後,0.1mlの血液を左腸骨動脈から採取した。時間平均のエバンスブルー血漿濃度を得るために,注射後2時間まで15分間隔で同量の血液を採取した。色素を2時間循環させた後,ラットの胸腔を開き,1%パラホルムアルデヒド−0.05Mクエン酸(pH3.5)を用いて37℃で左心室を通して灌流した。灌流は120mmHg生理学的圧力で2分間続けた。灌流後すぐに両眼を眼球除去し,前部分を取り除いた。手術用顕微鏡下,網膜を慎重に分け,約2時間Speed−Vac(37℃)で乾燥させた。同じ動物からの二つの眼は一緒に保存した。乾燥重量を測定した後,網膜は70℃で18時間300ulホルムアミド(Sangon,Shanghai,China)中でインキュベートした。抽出液は30,000NMWL遠心分離フィルター(Microcon,Millipore)を用いて,4℃,3,000gで45分間遠心分離した。濾液の容積は遠心分離後に測定した。血液サンプルは10,000gで数秒間遠心分離し,1:5,000で希釈した。サンプルのうち60ulは,5秒間隔で分光光度計(BeckmanDU800)を用いて三通りの測定に使用した。差し引かれたバックグランドの吸光度は各サンプルを,エバンスブルーの最大吸光度の620nm,及び最小吸光度の波長である740nmの両方を測定することで決定した。血液サンプル中及び網膜抽出物中の色素の濃度はホルムアミド中のエバンスブルーの検量線から計算した。網膜へのエバンスブルー透過(EBP)の結果はBRB透過性の関数として次の方程式を用いて計算され,(μl 血漿 Xg 網膜乾燥 wt−1hr−1)で表した。
ラットは深い麻酔と頚椎脱臼により屠殺した。裁断マークは角膜縁の3時と9時の方向につけた。クリオスタット切片サンプル調整のために,眼は眼球除去し,PBS緩衝−4%パラホルムアルデヒドで24時間固定化した。その後,鋸状縁に沿って切開し,ショ糖の濃度勾配が10%から30%の0.01mol/Lリン酸緩衝液により後方の眼杯を脱水させた。脱水後,眼杯を切断のために至適切削温度(OCT)化合物(Tissue Tek;Sakura Japan)の中に包埋した。
凍結切片化された網膜(cryosectioned retinas)は,ヘマトキシリンとエオシンにより染色した。異なる網膜層の厚さは200X倍率下で測定し,以下を含む。(1)外境界膜から内境界膜(OLMILM);(2)外境界膜から神経節細胞層(OLM−GCL);(3)外顆粒層及び外網状層(ONL−OPL);(4)内顆粒層(INL);及び(5)内網状層(IPL)。二つの測定は,上側と下側の両側に視神経から1mm離れている,2本の各基準線で,各切片において行った。5匹から6匹のラット(両眼杯)のデータは,異なる局所解剖学的領域における潜在的な解剖学的異常を回避するために,比較をするために平均化した。ONL,INL,及びGCLの細胞数は1000X倍率下で同じ領域中を数えた。固定された25umカラム内の全細胞は,1mm基準線で中央に集め,(核を数えることによって)数を数えた。その後,細胞密度は異なる層において細胞計数/mm網膜幅として表した。
TUNELアッセイは,少し変更を加えたIn Situ Cell Death Detection Kitを用いて使用説明書に従って行った。凍結切片化されたサンプルは4%パラホルムアルデヒドを含む0.1mol/Lリン酸緩衝液で保存し,20分間室温で平衡化し,その後,30分間PBSで洗浄した。洗浄した切片は,新たに調整した0.1%トライトンx−100を含む0.1%クエン酸ナトリウム中40℃で2分間インキュベートした。切片はPBSで2回すすぎ,乾燥させた。10ulTUNEL反応混合物の添加後,37℃で60分間,暗所で加湿された大気下で,切片をインキュベートした。ポジティブコントロールは,標識化手順の前に室温で10分間Grade I DNase−I処理をした網膜の切片を用いた。ネガティブコントロールは,10ul標識化溶液で処理をしたが,末端転移酵素がない状態でインキュベートした網膜切片を用いた。切片はインキュベーション後にPBSで3回すすぎ,落射蛍光顕微鏡(Nikon,Japan)を用いて直接分析し,励起波長450−490nmの範囲で評価した。
ラットは強い麻酔(腹腔内2%ペントバルビタールナトリウム,50mg/kg体重) により屠殺した。全身灌流に続き,両眼を眼球除去した後,赤道面に沿って解剖し,2.5%グルタルアルデヒドを含む0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)に一日浸した。その後,眼は1%四酸化オスミウム中で固定化し,エタノールで段階的に脱水し,その後,EPOn618(TAAB Laboratories Equipment,Berks,UK)で包埋した。網膜の後方部分の超薄の部分は,クエン酸鉛とウラニル酢酸で染色し,その後,100kV(GM120;PHLIP,Holland)の電子顕微鏡で観察した。網膜サンプル中の細胞の全タイプを形態的特徴により調べた。
EPOの硝子体内注射後,図9の説明文に示した時間点においてラットを屠殺した。眼球除去後,眼組織の外側は除去した。眼の外側の表面をさらに濾紙で乾燥させ,前側のセグメントを除去した。各眼の残った後方部分はエッペンドルフチューブ内に垂直に置いた。室温で15分間,700gで遠心分離した後,使用説明書に従ってEPO Elisa Kitを用い,4つの眼からの硝子体液50ulをEPO定量化のために収集した。
データは平均値±S.E.で表した。統計学的分析はスチューデントt検定を用いて行った。0.05以下のP値は統計学的に有意差がある。
EPO治療有り及び無しのラットにおける糖尿病モデルの確立
1週間から4週間の間,腹腔内へSTZを単回投与した後,ラットの糖尿病群の血清グルコース値はコントロールに比べて4倍から6倍に増加した(図1A)。非糖尿病コントロール動物の体重は4週間で74.3%増加した(図1B)一方,糖尿病ラットの体重は一週間後に7.7%減少し,2週間から4週間の間は相対的に安定していた。糖尿病発症後4週間で,糖尿病ラットの体重は同年齢の非糖尿病コントロールラット群のラットの体重の70%だった。硝子体内に投与されたEPO(50ng/眼)は健常動物群の体重と糖尿病動物群の体重のどちらにも影響はなかった。
糖尿病の初期段階におけるBRB破壊と眼球内EPOによる保護作用
エバンスブルー定量化技術は,初期糖尿病のラットにおいて信頼できることが証明されたので,BRB透過性は,エバンスブルーの定量化で評価した。酸性条件下(例:糖尿病性ケトアシドーシスの条件下)の非結合エバンスブルーの増加によるBRB透過性増加の可能性を除くために,血清pHはインシュリン処理した糖尿病ラットでモニターした。
ヘマトキシリン染色及びエオシン染色された網膜クリオスタット切片の形態計測の実験により,糖尿病発症後1週間で,非糖尿病コントロールラットと比較して,糖尿病ラットの全体的な網膜の厚さは有意に薄くなることが明らかになった(図5)。主に,網膜が薄くなることは,最大4週目まで糖尿病ラットのONLで起こった(n=72;p<0.001)。糖尿病ラットと非糖尿病コントロールラットの眼の網膜切片を比べた場合,糖尿病誘発4週間後まで,さらにONLにおける細胞数は有意に少なくなっており(84.61%,n=52;p<0.001),INLの細胞数はほとんど変わらなかった(図6)。EPO(50ng/眼)の硝子体内注射により治療を受けた糖尿病ラットについては,糖尿病発症後4週間ずっと,全体の網膜の厚さとONLにおける細胞数は,非糖尿病コントロールラットと違いは見られなかった(図5及び図6)。観察した経時変化では,非糖尿病コントロールラットの網膜の厚さ及び細胞数には有意差はなかった(n=52,p>0.05)。
糖尿病ラット及び非糖尿病ラットのGCL,INL,及びONLにおける細胞死を特徴づけるために,ネクローシスによって生じうるDNAフラグメントも検出できるにもかかわらず,TUNEL分析を用いた(26)。糖尿病の治療を受けなかった眼は,ONLにおいて1週間からTUNEL−陽性細胞が有意に増加し,糖尿病誘発後4週間で頂点に達した(図7)。電子顕微鏡を用いた研究との併用により,糖尿病を患った眼のONLにおいてわずかにネクローシスが観察された。TUNEL−陽性染色はアポトーシスのマーカーであることを示す。糖尿病ラットのGCL及びINLにおいて観察されたTUNEL−陽性細胞数はONLにおけるTUNEL−陽性細胞数よりも著しく少なかった(図7)。EPO(50ng/眼)の硝子体内注射後,糖尿病発症後1週間から3週間までのGCL,INL,及びONLにおけるTUNEL−陽性細胞は基本的に検出されなかった。しかし,いくつかのTUNEL−陽性細胞はEPO処理を受けた糖尿病の眼において4週間目(図7)と6週間目(データには示していない)のONLで検出された。EPO処理糖尿病ラットにおけるTUNEL−陽性細胞数は,EPO未処理糖尿病ラットの眼のTUNEL−陽性細胞数よりも有意に少ないけれども,非糖尿病コントロールラットよりも多かった(図7)。
ラットの網膜の代表的な超微細構造的変化は図8に示した。異なる網膜層の細胞及び組織変化は,非糖尿病ラットと比較して,糖尿病発症後7から10日に検出することができた。傍血管浮腫と浸出液を伴うアポトーシス性核凝縮を含む細血管内皮細胞(MEC)の顕著な変化が検出された(図8.en−D)。網膜色素上皮(RPE)において,ブルッフ膜(BM)の破壊とコラーゲンの蓄積が糖尿病を患う眼において観察され,これらはBMとRPEの間の空間を広げる原因となっている(図8.rpe−D)。杆錐状体層の構造は,断片の溶解によってできた椎間板内の空間の拡大で,著しく損なわれた(図8.rpe−D)。外核層(ONL)における著しい変化は,ONLにおける細胞死(cell loss)とTUNEL−陽性細胞の増加(上記参照)を示すデータと相関する,核濃縮の出現であった(図8.onl−D)。同じ時間点において,EPOで処理した糖尿病ラットは,非糖尿病コントロール群(図8.en−C,rpe−C,r/c−C及びonl−C)と比較して,変化がない又はほんの少しだけ変化があるかのどちらかであった(図8.en−E,rpe−E,r/c−E及びonl−E)。
非糖尿病ラットにおいて,硝子体内注射後,EPOの排出半減期は24時間から36時間にわたった。最大濃度に達した後,EPO値は急速に減少した。注射後72時間にはEPO濃度はベースラインに戻った(図9)。硝子体内へ送達後の硝子体内でのEPOの薬物動態学的特性は一次速度式により排除される。
糖尿病網膜症は,古い定義によると,糖尿病と共に起こる微小血管障害であると認識されている。微小血管障害とはBRB破壊,基底膜の毛細血管の肥厚,外膜細胞(pericytes)死,及び毛細血管閉塞によって特徴づけられる。STZ糖尿病誘発ラットモデルはヒト糖尿病網膜症の初期段階に見られるような,網膜脈管構造における形態学的変化および機能的変化を示す。微小管外膜細胞と内皮細胞のアポトーシス亢進は,ヒトとラットの両方の糖尿病網膜において血管の一部に重大な損傷を与えるという考えが定着している。網膜血管細胞におけるアポトーシスの過程は糖尿病の後期に起こるものではない。STZ糖尿病ラットモデルにおいて,網膜毛細血管内皮細胞のアポトーシスは,非ラットの網膜と比べて,9日から14日後に有意に増大することが報告されている。
方法
糖尿病は前の実験と同様にSTZ(i.p.)によりSDラットに誘発させた。EPOの硝子体内単回投与(約8mU/眼から約160mU/眼)は,糖尿病発症後1週間(群1)もしくは4週間(群2)のどちらかに行われた。群1又は2は注射後2週目に,及び群2は注射後5週眼に実験に用いた。血液網膜関門(BRB)はエバンスブルー技術によりモニターされた。アポトーシスはTUNELにより検出した。様々な層における網膜の厚さ及び細胞計数は光学顕微鏡で評価した。EMは血管傷害と神経細胞傷害を精査するのに用いた。
網膜内のアルブミン浸透はコントロールレベルまでには下がらなかったにもかかわらず(図10),糖尿病発症1週間後にEPO処理したSTZラットにおいて,EPO処理(100ng/眼)は有意に血液網膜関門(BRB)機能を助ける役目を果たした。硝子体内EPO処理(8−160mU/眼)は,STZ処理ラットにおいては網膜神経細胞のアポトーシスを有意に助ける役目をはたした(図11)。EPO処理は,STZによって引き起こされる死から網膜神経細胞を有意に防いだ/助けた。網膜はSTZラットにおいて薄くなっていき,その変化は糖尿病発症後の様々な時間におけるEPOの硝子体内注射により明らか改善された(図12A)。STZラットにおいてもまた,外核層(ONL)の網膜神経細胞は有意に失われ,糖尿病発症後の様々な時間においてEPO処理をうけたSTZラットのONLの細胞計数は,コントロールラットのONLの細胞計数と同様であった(図12B)。EPO処理はSTZによって引き起こされる死,EMの兆候から網膜神経細胞を有意に防いだ/助けた。STZラットの網膜の超微細構造は明らかに損傷を受けた。しかしながら,網膜細胞は基本的に正常な構造を示した(図13)。
目的
目的は,ウサギに硝子体内注射をした際の様々なEPO投与量での網膜毒性を評価することである。(EPOはUS FDAにより貧血治療に用いられることが承認されている。)
本研究にはニュージーランド白色種ウサギを用い,4つの群に分けた。EPOの4通りの投与量を以下のように調製した:単回注射用として10U/眼,100U/眼,1000U/眼,及び毎月反復注射用として0.6U/眼(通常の治療のための投与量)。それぞれをウサギ(各群においてn=6)の左眼に硝子体内注射し,同量の生理食塩液を反対の眼に偽注射した。細隙灯検査と眼底検査を行い,少なくとも6カ月間,感染,炎症,白内障,その他の毒性反応の兆候があるか観察した。蛍光眼底写真(FFA)は血管の漏出を検出するために行った。
細隙灯検査と眼底検査により,角膜,前眼房,虹彩,水晶体,硝子体,及び網膜において,異なるEPO投与量の硝子体内注射後2カ月までは異常は見られなかった。前部の炎症,白内障,又は網膜症の兆候も見られなかった(図14)。
ウサギの網膜におけるEPO毒性に対する組織学的観察により,異常な構造変化や炎症,その他明らかな異常性はを示さなかった(図18)。
ウサギの眼において,EPOの硝子体内注射は炎症,白内障,又は他の眼底の疾患を引き起こさない;BRB機能を維持する;正常な網膜の電気生理学的活性を妨害せず,眼の中の構造変化を引き起こさない。ここに示したデータは,ウサギの眼において少なくとも2カ月間は,EPO(0.6U/眼から1,000U/眼)の硝子体内注射が安全であることを示唆している。
ラットにおける糖尿病は前述の通り,STZ単回腹腔内注射(60mg/kg BW クエン酸緩衝液中)により誘発させた。糖尿病ラットはランダムにEPO処理群,EPO未処理群の2つの群に分けた。治療学的機能に対する溶液の影響を試験するために,EPO(8mU/眼)を4種類の水溶液に溶かした。4種類の溶媒は,生理食塩液(NS),リン酸緩衝食塩水(PBS),平衡塩類溶液(BSS),乳酸ナトリウムリンゲル注射液(リンガー)である。EPOはそれぞれ2μlに溶解させた。偽注射(2μl生理食塩液)を非糖尿病コントロールラット,および,非糖尿病未処理ラットの両方に施した。ラットは糖尿病発症後2週間目にエバンスブルー透過(EBP)実験を行うために屠殺した。EBP実験方法は前述した方法と同様である。
EPOは,4種類すべての溶液に溶解し,全てのEPO(どの溶液中のEPOも)は,溶液の影響を試験するために選んだパラメーターとして,BRB保護効果を示した(図19)。
Claims (24)
- 糖尿病網膜症及び/又は哺乳動物の眼の他の網膜疾患を治療する及び/又は予防する方法であって,
前記方法は,前記哺乳動物の眼の硝子体にエリスロポエチンを投与することを含む,
方法。 - 投与される前記エリスロポエチンの量は,実質的に血管網膜関門の破壊を阻害すること,視覚機能の喪失を抑制すること,視覚機能を維持すること,若しくは視覚機能を改善すること,又は網膜細胞,網膜色素上皮細胞,もしくは脈絡毛細管上皮細胞のアポトーシスを阻害することのうち少なくとも一つに有効な量である,請求項1に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは硝子体内注射により投与される,請求項1に記載の方法。
- 前記哺乳動物はヒトであり,前記ヒトの眼の硝子体内に投与される前記エリスロポエチンの量は1眼あたり約1.33μg〜約60μgである,請求項1に記載の方法。
- 前記哺乳動物はヒトであり,前記ヒトの眼の硝子体内に投与される前記エリスロポエチンの量は1眼あたり約0.23ユニット〜約9.2ユニットである,請求項1に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは,ヒト組み換えエリスロポエチンを含む,請求項1に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは,約3週間から約3ヶ月までの増分(increment)を一時的に眼に投与される,請求項4に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは,検出される糖尿病網膜症のいずれの要素に対しても投与される,請求項1に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは,糖尿病が検出された前記哺乳動物に対して,血液網膜関門の破壊,網膜血管細胞アポトーシス,網膜グリア細胞アポトーシス,網膜神経細胞アポトーシス,網膜色素上皮細胞,又は脈絡毛細管上皮細胞アポトーシスの少なくとも一つを実質的に阻害するために投与される,請求項1に記載の方法。
- 前記エリスロポエチンは,加齢黄斑変性症を治療する及び/又は予防するために投与される,請求項1に記載の方法。
- 糖尿病網膜症及び/もしくは他の網膜疾患を治療するために,哺乳動物の眼の硝子体に投与する薬剤を製造するためのエリスロポエチンの使用。
- 前記薬物は,硝子体内注射のための組成物を含む,請求項11に記載の使用。
- 組成物は,血液網膜関門の破壊を実質的に阻害する,並びに網膜細胞,網膜色素上皮細胞,及び脈絡毛細管内皮のアポトーシスのうち少なくとも一つを実質的に阻害するために有効なエリスロポエチンの量を含む,請求項11に記載の使用。
- 前記哺乳動物はヒトであり,投与される前記エリスロポエチンの量は1眼あたり約1.33μg〜約60μgである,請求項11に記載の使用。
- 哺乳動物はヒトであり,投与される前記エリスロポエチンの量は1眼あたり約0.23〜約9.2ユニットである,請求項11に記載の使用。
- 前記エリスロポエチンは,ヒト組み換えエリスロポエチンを含む,請求項11に記載の使用。
- 前記薬剤は,加齢黄斑変性症,網膜血管閉塞,他の末梢血管拡張の病態,又は網膜血管,脈絡毛細管もしくは網膜色素上皮の漏出の少なくとも一つを治療する及び/又は予防するために使用される,請求項11に記載の使用。
- 糖尿病網膜症及び/又は哺乳動物の眼の他の網膜疾患を,治療する及び/又は予防するための医薬組成物であって,
薬学的に有効なエリスロポエチンの量と薬学的に有効な担体を含む,
医薬組成物。 - 湿潤剤をさらに含む,請求項18に記載の医薬組成物。
- 乳化剤をさらに含む,請求項18に記載の医薬組成物。
- 緩衝剤をさらに含む,請求項18に記載の医薬組成物。
- リン酸緩衝食塩水をさらに含む,請求項18に記載の医薬組成物。
- 前記担体は,リンゲル液,生理食塩水,リン酸緩衝生理食塩水,または平衡塩類溶液のうち少なくとも一つを含む,請求項18に記載の医薬組成物。
- 前記エリスロポエチンの吸収を遅らせるための薬剤をさらに含む,請求項18に記載の医薬組成物。
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