JP2009535055A - 代謝産物のフラックスサムプロファイリングを用いた生物改良方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、代謝産物のフラックスサムプロファイリングを用いた生物改良方法に係り、さらに詳しくは、有用物質の形成速度を主な関数としておき、有用物質の生産性に影響する他の関数を摂動させるアルゴリズムを通じて目的関数同士のプロファイルを作成し、前記プロファイルから全ての代謝産物の活用度であるフラックスサム(Φ)を求めた後、有用物質の形成速度の増加に伴いフラックスサム(Φ)が増加する代謝産物をスクリーニングする方法及び前記スクリーニングされたキーとなる代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅させたり、直接的に外部から導入して有用物質を生産する生物を改良する方法に関する。本発明によれば、有用物質の形成速度の増加による特定の代謝産物の代謝活用度(フラックスサム:Φ)を予測することができ、有用物質の生産性の向上に寄与するキーとなる代謝産物をスクリーニングすることができ、この方法によりスクリーニングされた代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅させて培養対象となる生物を改良する方法またはその代謝産物を培養中に供給する方法により有用物質の生産性を増大させることが可能である。

Description

本発明は、代謝産物のフラックスサムプロファイリングを用いた生物改良方法に係り、さらに詳しくは、有用物質の形成速度を主な関数としておき、有用物質の生産性に影響する他の関数を摂動させる(perturbing)アルゴリズムを通じて目的関数のプロファイルを作成し、前記プロファイルから全ての代謝産物の活用度であるフラックスサム(Φ)を求めた後、有用物質の形成速度の増加に伴ってフラックスサム(Φ)が増加する代謝産物をスクリーニングする方法及び前記スクリーニングされたキーとなる代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅させたり直接的に外部から導入させて有用物質を生産する生物を改良する方法に関する。
遺伝子組換え技術とこれと関連する分子生物学技術を用いて新たな代謝ネットワークを導入したり、既存の代謝ネットワークを除去・増幅または変更させて細胞や菌株の代謝特性を我々の所望の方向に変えるための努力がなされてきている。これと共に、新たに開発されて増加するバイオ情報学の支援を受けて種々のゲノム情報から各代謝ネットワークモデルが構築可能になることに伴い、既存の代謝産物の過量生産、新規な代謝産物の生産、不利な代謝産物の生成阻害、様々な基質の利用、難分解性化合物の分解などの特性を有するように生物体を改良することが可能になった。
ところが、現在の菌株改良は、主として、1または2個の酵素の過多発現や簡単な代謝ネットワークの導入・除去などの方法により行われており、所望の良好な結果が得られない場合が多かった。加えて、複雑な代謝フラックスの変化を必要とする物質の生産には代謝工学的に改良された菌株がほとんど使用できないのが現状である。その理由の一つとして、一般に、菌株は、所望の有用物質を生産するよりは、菌株そのものの成長を最優先とするためであることが知られている。すなわち、菌株そのものの成長に必要とされる物質を最適化した方法により合成するように自然に進化してきたため、特定の有用物質を生産するための努力はこのような成長を優先する菌株と常に競争せざるを得ないのである。
実際に、理論的な歩留まり率に至らない別の理由としては、複雑な代謝ネットワークを正常に把握することができなかったことが挙げられるが、これまで代謝ネットワークの操作及び代謝ネットワークの導入のための遺伝子組換え技術は目を見張るほどの発展がなされたのに対し、代謝ネットワークを通じての解析及び予測技術は、最近になって、急速に増加するゲノム情報と一緒にその可能性が示されている。特に、各微生物の代謝ネットワークモデルが数学的モデル及び最適化技術などと組み合わせられて、遺伝子の除去または追加後に起こる代謝ネットワークの反応を予測することが可能になってきている(Lee et al., Trends Biotechnol., 23:349, 2005)。
代謝フラックスの解析技法は、動的情報を要さないにも拘わらず、細胞の理想的な代謝フラックスを示し、実際に細胞の行動を正確に模写し且つ予測することが可能であることが知られている(Papin, J. et al., Nature Reviews Molecular Cell Biology, 6:99, 2005)。代謝フラックスの解析は、生化学反応式の質量樹脂と細胞組成情報だけを用いて細胞が到達可能な理想的な代謝フラックス空間を求め、特定の目的関数を最適化方法を通じて最大化したり最小化することを目的とする(バイオマスの形成速度の最大化または特定の摂動による代謝調節の最小化など)。これらに加えて、代謝フラックスの解析は、一般に、菌株の改良を通じて所望の代謝産物の最大の生産歩留まり率を計算するなどのために使用可能であり、これを用いて菌株内部の代謝ネットワーク特性を把握することができる。なお、遺伝子の除去または追加により起こる代謝ネットワークのフラックス変化などを予測するために、代謝フラックスの解析方法を応用した種々の研究が報告されている。
上記の事情を鑑みると、代謝フラックスの解析技法を用いて部分的な代謝情報を用いた菌株操作ではなく、全体的な観点から複雑な微生物の代謝を調べ、特定の遺伝子に対する操作が全体の代謝フラックスに及ぼす影響を把握し、且つ、目的とする有用物質の大量生産のために求められる最適な微生物の代謝フラックスを科学的に正確に予測可能な研究方法の開発が切望されている。
そこで、本発明者らは、効率よく目的とする有用物質の生産性を向上させることのできる方法を見出すために鋭意努力した結果、有用物質の形成速度及び有用物質の生産性に関与する関数を摂動させるアルゴリズムを通じて目的関数のプロファイルを作成し、そのプロファイル上においてフラックスサム(Φ)と定義した各代謝産物の活用度を求めた後、前記プロファイル上において有用物質の形成速度の増加に伴ってフラックスサム(Φ)の値が増加する代謝産物をスクリーニングすることにより、有用物質の生産性に関与するキーとなる特定の代謝産物を見出すことができるということを確認し、本発明を完成するに至った。
発明の詳細な説明
《技術的課題》
本発明の主たる目的は、有用物質の形成速度と有用物質の生産性と関連する1以上の関数から、これを摂動させるアルゴリズムを通じて単一の目的関数に関するプロファイルを作成し、そのプロファイルからフラックスサム(Φ)と定義した生物の代謝産物活用度を求めて、有用物質の生産率を増加させるキーとなる特定の代謝産物をスクリーニングする方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記スクリーニングされた特定の代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅させて有用物質を生産する生物を改良する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記スクリーニングされた特定の代謝産物と関連する遺伝子を有用物質を生産する生物の培養中に供給する有用物質の製造方法を提供することにある。
技術的解決方法
前記目的を達成するために、本発明は、(a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、(b)代謝産物の活用度を下記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるためにフラックスサムSCOF(Flux sum scanning with compromised objective fluxes)を用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度に関する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと、
(ここで、Φiはi番目の代謝産物の活用度であり、finはi番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスであり、foutはi番目の代謝産物を中心として目的とする有用物質が生成される反応式の代謝フラックスであり、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vjはj経路の代謝フラックスベクトルである。)(c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、(d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップと、を含むことを特徴とする有用物質の生産性の向上に関与するキーとなる代謝産物をスクリーニングする方法を提供する。
また、本発明は、(a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、(b)代謝産物の活用度を上記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるために、フラックスサムSCOFを用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度と関連する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと、(c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、(d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップと、(e)前記ステップ(d)においてスクリーニングされた特定の代謝産物と関連する代謝ネットワークから増幅対象となる遺伝子を選別するステップと、(f)前記ステップ(e)において選別された遺伝子を前記対象生物に導入及び/または増幅させて前記対象生物の変異体を製作するステップと、を含むことを特徴とする有用物質を生産する生物の改良方法を提供する。
さらに、前記有用物質を生産する生物の改良方法は、(g)前記ステップ(f)において製作された変異体を培養して有用物質の生産性を実験的に確認するステップをさらに含んでいてもよい。
さらにまた、本発明は、前記改良方法により改良された生物を培養することを特徴とする有用物質の製造方法を提供する。
さらにまた、本発明は、(a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、(b)代謝産物の活用度を上記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるために、フラックスサムSCOFを用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度と関連する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと、(c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、(d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップと、を含む方向によりスクリーニングされた代謝産物を培養過程中に供給することを特徴とする生物培養による有用物質の製造方法を提供する。
本発明において、代謝産物をスクリーニングする過程のうち、前記ステップ(b)における関数は、比増殖速度、副産物の形成速度、基質の取り込み速度、ATPの形成速度及び酸素の取り込み速度よりなる群から選ばれる1以上であることを特徴とし、前記ステップ(b)におけるフラックスサムSCOFは有用物質の形成速度を除く他の目的関数の最小値及び最大値を求め、その最小値及び最大値の範囲内において有用物質の形成速度を増加させながら最適化を行うことを特徴とする。
本発明において、前記fin及びfoutはそれぞれ下記式2及び3で表わされることを特徴とする:
(ここで、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vはj経路の代謝フラックスベクトルである。)
本発明において、前記対象生物は微生物であることを特徴とし、前記有用物質は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質であり、前記対象生物は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質の生成能を有する微生物であることを特徴とする。
本発明の他の特徴及び具現例は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲からなお一層明らかになる。
本発明によるキーとなる代謝産物解析を通じての有用物質の生産性の向上方法の概念図である。 i番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスの一例を示すものであり、finが3つの代謝フラックスよりなり、foutが2つの代謝フラックスよりなる。 比増殖速度と有用物質の形成速度を目的関数としたときに現れるプロファイルを示すものである。 有用物質の形成速度(x軸)が増加するに伴いフラックスサム(Φ)値(y軸)が増加する代謝産物をプロファイル上に示し、そのリストを示すものである。 代謝産物を外部から追加して有用代謝産物を増加させる概略図である。 代謝産物が外部から追加されたとき、有用物質の形成速度の最大値が増加する様子を示す概略図である。
本発明における摂動とは、全ての代謝産物の集団に特定の外部要因を加えて撹乱させることにより所望の特性の代謝産物を見出す措置のことを言う。
本発明におけるクラスタリングは、全ての代謝産物の摂動後に形成された集団から類似のパターンを示す代謝産物同士を集める方法及び過程を含む。
また、本発明における遺伝子「増幅」は、遺伝子の塩基配列のうち全体または一部が生物内において大量に複製されるように操作して当該遺伝子の発現率を高めることをいずれも包括する。
さらに、本発明における「培養」とは、バクテリア、酵母、カビ、動植物細胞など微生物の培養だけではなく、植物の栽培及び動物の飼育も包括するものであると定義する。
図1には、本発明によるフラックスサムを用いたキーとなる代謝産物の解析を通じて有用物質の生産性を向上させる方法の概念を示している。すなわち、本発明においては、有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築した後、前記構築された代謝ネットワーク上の代謝産物に対する活用度であるフラックスサム(Φ)値を求め、これを摂動させて、目的とする有用物質の生産歩留まり率を増加させることに関与するキーとなる代謝産物をクラスタリングを通じてスクリーニングし、前記キーとなる代謝産物を供給することにより有用物質の生産性を向上させる方法を提供する。以下、本発明を詳述する。
1.代謝ネットワークの構築
本発明においては、有用物質の生産のための対象菌株として大腸菌の変移菌株を用いて、新たな代謝フラックスの解析システムを構築している。このシステムは、大腸菌の代謝ネットワークをほとんど含んでいる。大腸菌の場合、新たな代謝ネットワークは979個の生化学反応により構成されており、814個の代謝産物が代謝ネットワークにおいて考慮される。代謝フラックスの解析に際して目的関数として用いる菌株のバイオマスの形成速度式に用いる大腸菌の生体組成は、先行文献に開示されたことにより構成している(Neidhardt et al., Escherichia coli and Salmonella: Cellular and Molecular Biology, 1996)。
2.フラックスサムの定義と摂動
(1)フラックスサム
全ての代謝産物、その代謝経路、及び経路における化学量論マトリックス(SijT、j番目の反応におけるi番目の代謝産物の経時化学量論係数)が既知であれば、代謝フラックスベクトル(v、j経路の代謝フラックス)を計算することができるが、代謝産物濃度Xの経時変化は全ての代謝反応のフラックスの和として表わすことができる。なお、Xの経時変化量が一定であるとしたとき、すなわち、準定常状態であるという仮定下において、下記式により定義することができる。
(ここで、STvはXの経時変化量であり、Xは代謝産物の濃度であり、tは時間である)
このとき、代謝反応の観点から定義される代謝フラックスと対応するように代謝産物の観点から代謝産物の周りのフラックスの活用度を下記のように定義する。
すなわち、i番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスをfinと定義し、且つ、代謝産物を中心として生成される反応式の代謝フラックスをfoutと定義し、これらのそれぞれを下記式2及び3で表わす:
(ここで、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vはj経路の代謝フラックスベクトルである。)
図2は、i番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスの例を示すものであり、
であることが分かる。
上記のように定義すれば、準定常状態であるという仮定下においてfinとfoutの絶対値が同じであるため、これを代謝産物の周りのフラックス活用度と定義することができる。本発明においては、前記代謝産物の周りのフラックス活用度をフラックスサム(Φ)と命名し、下記式1のように定義している。
(ここで、Φiはi番目の代謝産物の活用度であり、finはi番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が生成される反応式の全体の代謝フラックスであり、foutはi番目の代謝産物を中心として目的とする有用物質が消費される反応式の全体の代謝フラックスであり、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vjはj経路の代謝フラックスである。)
フラックスサム(Φ)は、既存の代謝フラックスの解析方法においては示せなかった代謝産物の活用度を示すために新たに定義された量である。すなわち、当該代謝産物を多量使用するほどΦ値は大きくなり、当該代謝産物を少量使用するほどΦの値は小さくなる。
一般に、既存の代謝フラックスの解析においては、準定常状態であるという仮定をベースとし、外部の環境変化による内部の代謝産物の濃度変化は極めて即時的であるため、一般に、この変化を無視し、内部の代謝産物の濃度が変化しないと仮定する。すなわち、既存の代謝フラックスの解析方法においては、代謝産物の外部環境の変化による内部の代謝産物の濃度変化は極めて即時的であり、この変化を無視して内部の代謝産物の濃度が変化しないと見られるため、各代謝産物の特性を調べることができないという欠点を有している。
本発明においては、代謝物質の活用度としてフラックスサム(Φ)を定義することにより、有用物質の生産性の向上のためのキーとなる代謝産物を見出すことのできる定量的な根拠を提供する。
(2)フラックスサムSCOF(Fluxsum scanning with compromised objective fluxes)
前記定義からフラックスサム(Φ)の値を求め、これをベースに全ての代謝産物に対してフラックスサム(Φ)の値を求めることが可能である。
このとき、有用物質の生産性と関連する関数を摂動させるとき、これによるフラックスサムの変化を調べてみることが可能である。ここでは、目的関数の変化による内部の代謝産物のフラックスサムのプロファイルを調べてみた。
一般に、線形計画法を用いて代謝フラックスの解析を行うとき、関数の摂動による変化を調べるために、複数の目的関数を使用する。有用物質の形成速度と比増殖速度が主として使われる目的関数である(Pharkya P et al., Biotechnol Bioeng., 84:887, 2003)。このように、2以上の目的関数を使用する線形計画法を多目的関数線形計画法と称する。
本発明に適用可能な有用物質の生産性と関連する目的関数としては、有用物質の形成速度、比増殖速度、副産物の形成速度、基質の取り込み速度、ATPの形成速度、酸素の取り込み速度などが挙げられる。ここで使用する多目的関数線形計画法はフラックスサムSCOFと定義する下記のアルゴリズムを通じて1つの目的関数を持つ線形計画法に変換することが可能である。このとき、他の関数は制限条件として変換する。
ステップ1:
特定の有用物質の形成速度をベースとして、複数の目的関数を選択する。上記のように有用物質の生産性と関連するいかなる形態の関数も選択可能である。
vセル目的関数1=有用物質の形成速度、
vセル目的関数2=比増殖速度、
vセル目的関数3=副産物の形成速度...
このときの多目的関数線形計画法を通じての数学的な表現は、下記の通りである。
目的関数:
vセル目的関数3を最大化、
vセル目的関数2を最大化、
vセル目的関数1を最大化、
制限条件:
ここで、Iは代謝産物の組、Eは外部の代謝産物の組、Jは反応の組であり、Sij=j番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、bはi番目の代謝産物のネットトランスポートフラックス(+:生産物の分泌、−:基質取り込み、0:中間値)であり、l、uはそれぞれi番目の代謝産物のネットトランスポート代謝フラックスに対する下位及び上位の限界値であり、α、βはそれぞれ反応のフラックスに対する下位及び上位の限界値である。
ステップ2:
各目的関数をそれぞれ最大化または最小化して各関数の最大値と最小値を求める。
vminセル目的関数1<vセル目的関数1<vmaxセル目的関数1
vminセル目的関数2<vセル目的関数2<vmaxセル目的関数2
vminセル目的関数3<vセル目的関数3<vmaxセル目的関数3
ステップ3:
下記のアルゴリズムを通じて一つの目的関数を持つ線形計画法に変換することが可能である。有用物質の形成速度を唯一の目的関数としておき、他の関数の最小値と最大値の範囲内において前記有用物質の形成速度を増加させながら最適化を行う。
t1=vminセル目的関数2〜vmaxセル目的関数2
開始
t2=vminセル目的関数3〜vmaxセル目的関数3
開始
vminセル目的関数1を最大化
vセル目的関数2=t1
vセル目的関数3=t2
終了
終了
上記の如きアルゴリズムを通じて考慮される目的関数を満足する代謝フラックス空間を求めることが可能である。
次に、各目的関数のプロファイルから全ての代謝産物のフラックスサム(Φ)の値を求める。このとき、有用物質の形成速度をキーとなる代謝産物をスクリーニングする主な関数としておき、有用物質の生産性に影響する他の関数を種々に適用してプロファイルを求め、これから全ての代謝産物のフラックスサム(Φ)を求めてその増加または減少の傾向を確認する。
3.有用物質の形成速度及び比増殖速度を目的関数としたフラックスサムのクラスタリング
上記のアルゴリズムのうち2種類の目的関数を使用する方法、すなわち、有用物質の形成速度と他の関数(例えば、比増殖速度)よりなるプロファイルにおいて有用物質の形成速度が増加するほどフラックスサム(Φ)が増加する代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングすることができる。
例えば、図3に示す比増殖速度と有用物質の形成速度を目的関数とするプロファイルから選ばれる各点の比増殖速度と有用物質の形成速度を関数として、全ての内部の代謝産物のフラックスサム(Φ)を求めることが可能である。
次に、前記図3の比増殖速度による有用物質の形成速度プロファイルにおいて有用物質の形成速度が増加するほど(A→Bの方向)フラックスサム(Φ)が増加する代謝産物をスクリーニングする方法によりキーとなる代謝産物を見出す。
上記の如き方法により有用物質の形成速度が増加するほどフラックスサム(Φ)が増加する代謝産物をスクリーニングして図4に示した。図4は、有用物質の形成速度(x軸)に対する各代謝産物のフラックスサム値(y軸)のプロファイル及び図示の各代謝産物のリストを示すものである。有用物質の形成速度が増加するほどフラックスサム(Φ)が増加するということは、有用物質が形成されることにより当該代謝産物の活用度が増加するということを意味する。
また、前記関数として一つをさらに追加し、且つ、不要な副産物をさらに別の目的関数として、比増殖速度、有用物質の形成速度及び不要な副産物の形成速度のように3以上の目的関数を利用する多目的関数線形計画法を行うことが可能である。前記3種類の多目的関数線形計画法を行うことにより現れるプロファイルから全ての内部の代謝産物のフラックスサム(Φ)を求めて有用物質が形成されることにより当該代謝産物の活用度が増加し、且つ、不要な副産物が少ない代謝産物グループをスクリーニングすることができる。
4.生産性の向上のための実験的な解析−外部からの代謝産物の供給
有用物質の形成速度を主な関数としておき、有用物質の生産性に影響する他の関数を種々に適用した後、これらを摂動させるアルゴリズムであるフラックスサムSCOFが行われた目的関数のプロファイル上において全ての代謝産物のフラックスサム(Φ)を求め、有用物質の形成速度の増加に伴いフラックスサム(Φ)が増加する代謝産物グループをスクリーニングする。有用物質の形成速度の増加に伴い代謝産物のフラックスサム(Φ)が増加するということは、有用物質が形成されることにより当該代謝産物の活用度が増加するということを意味するため、代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅し、且つ、細胞の外部から当該代謝産物を追加することによりフラックスサム値を増加させることができる(図5参照)。
スクリーニングされたキーとなる代謝産物を生産または消費する遺伝子を導入及び/または増幅する場合、当該代謝産物の活用度を増加させることが可能である。
さらに、図6に示すように、外部から特定の代謝産物を供給することは、代謝フラックス空間において有用物質に向かう空間を大きくする役割を果たす。すなわち、外部から当該代謝産物が供給されるということは、元の代謝フラックス空間が大きくなることを意味し、特に、有用物質に向かう代謝フラックス空間がさらに大きくなることを意味する。このため、有用物質の生産に当たって重要となる代謝産物を把握し、当該代謝産物を外部から供給して生産性を向上させることが可能である。
このとき、当該菌株が当該代謝産物を取り込み可能であるかどうかを確認する必要があるが、これは、現在既に構築されている種々のデータベースと文献調査を通じて行うことが可能である。特に、当該代謝産物を取り込み可能な輸送体がある場合、実際の培養実験に際して培地に当該代謝産物を追加して生産性を最終的に確認することができる。
以上、本発明の内容の特定部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとっては、このような具体的な記述は単なる好適な実施様態に過ぎず、これにより本発明の範囲が何ら制限されるものではないことが理解できるであろう。本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言えるであろう。
以上、詳述したように、本発明によれば、有用物質の形成速度の増加による特定の代謝産物の代謝活用度(フラックスサム:Φ)を予測することができ、有用物質の生産性の向上に寄与するキーとなる代謝産物をスクリーニングすることができ、このような方法によりスクリーニングされた代謝産物と関連する遺伝子を導入及び/または増幅させて培養対象となる生物を改良する方法またはその代謝産物を培養中に供給する方法により有用物質の生産性を増大させることが可能である。

Claims (21)

  1. 以下のステップを含む有用物質の生産性の向上に関与するキーとなる代謝産物をスクリーニングする方法:
    (a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、
    (b)代謝産物の活用度を下記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるためにフラックスサムSCOF(Flux sum scanning with compromised objective fluxes)を用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度に関する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと
    (ここで、Φiはi番目の代謝産物の活用度であり、finはi番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスであり、foutはi番目の代謝産物を中心として目的とする有用物質が生成される反応式の代謝フラックスであり、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vjはj経路の代謝フラックスベクトルである)、
    (c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、
    (d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップ。
  2. 前記ステップ(b)における関数は、比増殖速度、副産物の形成速度、基質の取り込み速度、ATPの形成速度及び酸素の取り込み速度よりなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ステップ(b)におけるフラックスサムSCOFは有用物質の形成速度を除く他の目的関数の最小値及び最大値を求め、その最小値及び最大値の範囲内において有用物質の形成速度を増加させながら最適化を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記fin及びfoutはそれぞれ下記式2及び3で表わされることを特徴とする請求項1に記載の方法:
    (ここで、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vはj経路の代謝フラックスベクトルである。)
  5. 前記対象生物は微生物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記有用物質は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質であり、前記対象生物は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質の生成能を有する微生物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 以下のステップを含む有用物質を生産する生物の改良方法:
    (a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、
    (b)代謝産物の活用度を下記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるために、フラックスサムSCOFを用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度と関連する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと
    (ここで、Φiはi番目の代謝産物の活用度であり、finはi番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスであり、foutはi番目の代謝産物を中心として目的とする有用物質が生成される反応式の代謝フラックスであり、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vjはj経路の代謝フラックスベクトルである)、
    (c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、
    (d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップと、
    (e)前記ステップ(d)においてスクリーニングされた特定の代謝産物と関連する代謝ネットワークから増幅対象となる遺伝子を選別するステップと、
    (f)前記ステップ(e)において選別された遺伝子を前記対象生物に導入及び/または増幅させて前記対象生物の変異体を製作するステップ。
  8. (g)前記ステップ(f)において製作された変異体を培養して有用物質の生産性を実験的に確認するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記ステップ(b)における関数は、比増殖速度、副産物の形成速度、基質の取り込み速度、ATPの形成速度及び酸素の取り込み速度よりなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 前記ステップ(b)における関数は、比増殖速度であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. 前記ステップ(b)におけるフラックスサムSCOFは有用物質の形成速度を除く他の目的関数の最小値及び最大値を求め、その最小値及び最大値の範囲内において有用物質の形成速度を増加させながら最適化を行うことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  12. 前記fin及びfoutはそれぞれ下記式2及び3で表わされることを特徴とする請求項7に記載の方法:
    (ここで、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vはj経路の代謝フラックスベクトルである。)
  13. 前記対象生物は微生物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  14. 前記有用物質は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質であり、前記対象生物は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質の生成能を有する微生物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  15. 請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法により改良された生物を培養することを特徴とする有用物質の製造方法。
  16. 以下のステップによりスクリーニングされた代謝産物を培養過程中に供給することを特徴とする生物培養による有用物質の製造方法:
    (a)目的とする有用物質を生産させようとする対象生物を選定し、選定された生物の代謝ネットワークモデルを構築するステップと、
    (b)代謝産物の活用度を下記式1で表わされるフラックスサム(Φ)と定義し、前記ステップ(a)において構築された代謝ネットワーク上においてフラックスサムを求めるために、フラックスサムSCOFを用いて、前記有用物質の形成速度と有用物質の生産性に関与する1以上の関数を摂動させて有用物質の形成速度と関連する単一の目的関数のプロファイルを作成するステップと
    (ここで、Φiはi番目の代謝産物の活用度であり、finはi番目の代謝産物を中心として当該代謝産物が消費される反応式の代謝フラックスであり、foutはi番目の代謝産物を中心として目的とする有用物質が生成される反応式の代謝フラックスであり、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vjはj経路の代謝フラックスベクトルである)、
    (c)前記フラックスサムSCOFを通じて作成されたプロファイル上において各代謝産物のΦを求めるステップと、
    (d)目的とする有用物質の形成速度を増加させると、特定の代謝産物のΦ値が増加する場合、前記特定の代謝産物をクラスタリングしてスクリーニングするステップ。
  17. 前記ステップ(b)における関数は、比増殖速度、副産物の形成速度、基質の取り込み速度、ATPの形成速度及び酸素の取り込み速度よりなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記ステップ(b)におけるフラックスサムSCOFは有用物質の形成速度を除く他の目的関数の最小値及び最大値を求め、その最小値及び最大値の範囲内において有用物質の形成速度を増加させながら最適化を行うことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  19. 前記fin及びfoutはそれぞれ下記式2及び3で表わされることを特徴とする請求項16に記載の方法:
    (ここで、Sijはj番目の反応におけるi番目の代謝産物の化学量論係数であり、vはj経路の代謝フラックスベクトルである。)
  20. 前記対象生物は微生物であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 前記有用物質は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質であり、前記対象生物は1次代謝産物、2次代謝産物又は外来タンパク質の生成能を有する微生物であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
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