JP2009535027A - 抗菌ペプチド - Google Patents

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Abstract

hBD3の直鎖状アナログまたはその断片である、少なくとも1種の単離抗菌ペプチドが提供される。とりわけ、このペプチドは、野生型hBD3と比較して少なくとも1種の細胞に対する細胞毒性が低下している、hBD3の直鎖状アナログが提供される。

Description

本発明は、抗菌ペプチドに関する。詳細には、本発明は、hBD3のアナログ、その誘導体またはその断片に関する。
ディフェンシンは、3箇所のジスルフィド結合により拘束された、小さい3〜5kDaの内因性の陽イオン性タンパク質であり、主にその抗菌活性で知られる(Raj P.A.and A.R.Dentino、2002)。ディフェンシンは、多くの生物の自然免疫系、すなわち侵入病原菌に対する防御の最前線において鍵となる要素であることが示されている。また、ディフェンシンは、哺乳動物の単球および樹状細胞に対し化学遊走促進剤としても作用する(Yangら、2001)。ヒトにおいては、現在のところ6種のαディフェンシン、すなわちヒト好中球ペプチド(hNP1からhNP6)と、4種のβディフェンシン(hBD1からhBD4)とがある。
特定のディフェンシンは、多くの場合、限定的な範囲の活性を有するが、ペプチドの1種として、ディフェンシンは、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、酵母、ならびに、HIVなどエンベロープを有する数種のウイルスに対する幅広い抗菌活性を有する(Schroder J.M.、1999)。hBD3は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、真菌ならびにアデノウイルスに対し広い範囲の抗菌活性を有しており、hBD3は一貫して最も強力である。そのうえhBD3は、生理食塩濃度で多剤耐性黄色ブドウ球菌に対する顕著な殺菌活性を有し(Davidら、2002)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム、バークホルデリア・セパシアおよび酵母カンジダ・アルビカンスに対する活性も示している(Harderら、2001;Garciaら、2001)。
ディフェンシンの抗菌活性は、両親媒性の分子構造の存在と、折りたたまれたペプチド表面上の陽イオン性領域および疎水性領域の広さおよび分布とにより決まると一般に推測されている(Yeaman and Yount、2003;Hwang and Vogel、1998)。ジスルフィド架橋の存在および位置とN末端配列の変異/断片が、βディフェンシンの抗菌作用にわずかな影響を及ぼすようである(Zuchtら、1998)。βディフェンシンの構造因子が真核生物の膜との相互作用に及ぼす影響については、ほとんど知られていない。
βディフェンシンなどの抗菌ペプチドが細菌細胞および真核細胞に及ぼす効果の選択性は、正電荷を持つ表面領域と疎水性の表面領域とのバランスによって決まると思われる。hBD3中のジスルフィド結合は、走化性にとってはケモカイン受容体CCR6の結合および活性化のために必要であるが、その抗菌機能にとってはなくてもよいと考えられ、[Abu]−hBD3の直鎖状構造は、hBD3の走化性活性は失ったようであるが、細菌に対する活性は、ジスルフィド結合が一切なくても影響を受けずに保たれていた。ここ数年の著しい進歩にもかかわらず、ヒトディフェンシンについての構造−活性関係は大部分が未開拓のままである。その作用の非常に多様な生物学的機能および機序を支配している、ヒトディフェンシンの配列ルールおよび構造決定因子は、十分解明されていない状態が続いている。
Gordon,Y.Jeroldら(Current Eye Research、2005、30、505〜15掲載)は、いくつかある欠点の中でも、全身的および局所的な毒性ならびに製造コスト高が、抗感染剤としての抗菌ペプチドの開発にとっての二大欠点であると述べた。より良いディフェンシンを開発するための努力により、その殺菌能力の向上は実現可能であることを示唆する結果がいくつか生み出されているが、このような環境下で宿主細胞に対する毒性が増加する可能性もある。したがって、眼科用に開発するには、細胞毒性が主要な課題であると考えられよう。このことから、当技術分野では、有効な、改良された、細胞毒性の低い製品のさらなる研究・開発の必要性がある。
本発明は、上述の問題に取り組もうとするものである。具体的には、本発明は、単離抗菌ペプチドおよびその使用を提供する。
第一の態様により、本発明は、hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、ただし該アナログは配列番号28ではなく、該断片は配列番号31から36のいずれでもない、単離抗菌ペプチドを提供する。
hBD3のシステイン残基のいずれか1つは、他の任意のアミノ酸もしくはその誘導体で置き換えられてもよく、または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えられてもよく、またはこのシステイン残基は欠失していてもよい。この単離ペプチドは、配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含んでよく、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはアミノ酸は存在していない。
第二の態様により、本発明は、hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含み、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはそのアミノ酸は存在していない、単離抗菌ペプチドを提供する。
本発明の任意の態様による単離ペプチドは、配列番号13から25のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含みうる。とりわけ、この単離ペプチドは、配列番号13から18のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む。保護されたシステイン残基は、C(Acm)、C(But)、C(t−Buthio)、C(Bzl)、C(4−Me−Bzl)、C(4−MeO−Bzl)、C(Mmt)またはC(Cam)のいずれか1つとすることができる。この単離ペプチドは、配列番号39から45のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含んでもよい。
この単離ペプチドは、野生型hBD3と比較して、任意の細胞種の少なくとも1種の細胞に対する細胞毒性が低下していてもよい。
また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種のペプチドまたはその断片をコードする単離ポリヌクレオチドも提供する。このポリヌクレオチドは、ベクター中に含めることができる。したがって、本発明は、任意の態様によるポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。
本発明の別の態様は、本発明の任意の態様によるポリヌクレオチドを含む宿主細胞、または本発明の任意の態様により提供されるベクターを含む宿主細胞である。
また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種の抗菌ペプチドまたはその断片を含む医薬組成物も提供する。この医薬組成物は、局所、経口または非経口投与用に処方しうる。とりわけ、この医薬組成物は、注射、吸入および/または局所適用による投与用に処方される。
この医薬組成物は、抗菌組成物としうる。したがって、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種のペプチドまたはその断片および少なくとも1種の非ペプチド性抗菌剤を含む抗菌組成物を提供する。
本発明の任意の態様による組成物は、局所投与用としてもよく、1または複数の皮膚および/または粘膜の治療に適したものとすることができる。この組成物は、点眼剤(複数も可)の組成物または溶液の形態としてもよい。
また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種の医薬組成物、本発明の任意の態様による少なくとも1種の抗菌組成物、または本発明の任意の態様による少なくとも1種のペプチドおよび/またはその断片を含むコンタクトレンズ用溶液も提供する。
本発明の別の態様は、少なくとも1種のポリマー、および、本明細書にそれぞれ記載の、少なくとも1種のペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を含むコンタクトレンズである。
本発明は、それぞれ本明細書に記載の、少なくとも1種の医薬組成物、少なくとも1種の抗菌組成物、および/または少なくとも1種のペプチドまたはその断片を含む機器コーティングをさらに提供する。この機器コーティングは、医療機器コーティングとすることができる。また、本発明により、本明細書に記載の少なくとも1種のコーティングで被覆された機器も提供される。この機器は、カテーテル、針、シース、ステント、コンタクトレンズおよび/または包帯とすることができるが、これらに限定されない。
別の態様により、本発明は、少なくとも1種の適当な容器に入れられた、本明細書にそれぞれ記載の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を含む、キットを提供する。このキットは、少なくとも1種の追加の抗菌剤をさらに含んでもよい。
また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種の抗菌ペプチド、本発明の任意の態様による少なくとも1種の医薬組成物、および/または本発明の任意の態様による少なくとも1種の抗菌組成物を微生物に接触させることを含む、少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法も提供する。
また、本発明の任意の態様による、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を宿主に投与または施用することを含む、宿主体内での少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法も提供される。
また、本発明は、本発明の任意の態様による、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を対象に投与することを含む、少なくとも1種の微生物感染症を治療する方法も提供する。
本発明の別の態様は、本発明の任意の態様による、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を用いて微生物を処理することを含む、少なくとも1種の多剤耐性微生物を処理する方法である。
したがって、記載の方法の任意の1つにおける微生物は、類鼻疸菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、セレウス菌、ウイルスおよび/または真菌であってよい。
また、本発明は、少なくとも1種のhBD3アナログまたはその断片を任意の細胞種の少なくとも1種の細胞に投与すること、および該アナログまたはその断片は野生型hBD3と比較して任意の細胞種の細胞に対する細胞毒性が低下しているかどうかを確認することを含む、薬剤スクリーニング法も提供する。
本発明の別の態様は、任意のシステイン残基を欠失させること、任意のシステイン残基を他の任意のアミノ酸もしくはその誘導体または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えること、細胞に投与すること、および細胞毒性の低下を確認することを含む、ペプチドアナログまたはその断片を設計する方法である。
本明細書に記載の文献参照は、便宜のために参照文献一覧の形で列挙し、実施例の最後に付け加えてある。このような文献参照の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明では、一連のhBD3の直鎖状アナログを設計・合成し、全体の疎水性、電荷分布/密度、正に荷電した表面領域の疎水性表面領域に対する比率が抗菌活性、細胞毒性および溶血活性に及ぼす影響を調査した。いくらかでもジスルフィド架橋が存在する場合に全体の疎水性が異なるhBD3アナログの直鎖状の骨格構造が、哺乳動物細胞、とりわけ上皮細胞に対する細胞毒性を減らすための鍵となる構造決定因子であることが見出された。これにより、殺菌活性が向上し哺乳動物細胞に対する細胞毒性が低下したディフェンシン誘導体抗生物質が得られた。したがって、本発明は、単離抗菌ペプチドに関する。
第一の態様により、本発明は、hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、ただし該アナログは配列番号28ではなく、該断片は配列番号31から36のいずれでもない、単離抗菌ペプチドを提供する。
本明細書で使用する場合、「ペプチド」は、任意のアミノ酸分子、ペプチドまたはポリペプチドを指し、包含する。この「ペプチド」は、1または複数のタンパク質または合成ペプチドの断片化により、遺伝子産物、精製産物および/または単離産物、発現産物として入手できる。「単離ペプチド」は、天然の遺伝子発現産物および合成ペプチドを包含する。ペプチド作製:本発明のペプチドは、当技術分野で公知の任意の方法により作製しうる。開示したペプチドを作製する一方法は、タンパク質化学の手法により2つ以上のアミノ酸残基を結合させることである。例えば、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)化学物質またはBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学物質のいずれかを用いた現在入手可能な実験装置(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,Calif.)を使用して、ペプチドを化学的に合成する。一方のペプチドは、合成し、その合成樹脂から切り離さないこともありうるが、他のペプチドまたはタンパク質の他の断片は、合成した後に樹脂から切り離すこともでき、それにより、末端基が露出する。そして、それは、他の断片上に機能的にブロックされる。ペプチド縮合反応により、これら2つの断片は、それぞれのそのカルボキシル末端およびアミノ末端でそれぞれペプチド結合することで共有結合できる(Grant G A(1992)、Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.編(1993)、Principles of Peptide Synthesis、Springer−Verlag Inc.,NY)。他の方法としては、ペプチドを独立にin vivoで合成する。一旦単離されると、このような独立したペプチドは、同様のペプチド縮合反応を通じて結合し、ペプチドまたはその断片を形成することができる。
特許請求した配列のペプチドの抗菌性を維持するペプチドの範囲内であれば、特定の修飾を行ってもよいが、ペプチドに何らかの追加的な好ましい特性を与えてもよいと考えられる。ペプチド活性をそれほど失うことなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸を特定のアミノ酸で置換しうることは、当技術分野では周知である。そのペプチドの生物機能活性を規定するのはペプチドの相互作用の能力および性質であるため、配列中で特定のアミノ酸配列置換を行ってもよく、そのようにしても同様の特性を有するペプチドを得ることができる。したがって、本発明者らは、生物活性をそれほど失うことなく単離抗菌ペプチドの配列中で多様な変更を行うことができ、おそらく所望の活性を強化しうると考えている。
本明細書で使用しているアミノ酸の略号は、アミノ酸を表す標準的な1文字の符号であり、以下のように表される。AまたはAla:アラニン、B:アスパラギンまたはアスパラギン酸、CまたはCys:システイン、DまたはAsp:アスパラギン酸、EまたはGlu:グルタミン酸、FまたはPhe:フェニルアラニン、GまたはGly:グリシン、HまたはHis:ヒスチジン、IまたはIle:イソロイシン、KまたはLys:リジン、LまたはLeu:ロイシン、MまたはMet:メチオニン、NまたはAsn、アスパラギン、PまたはPro:プロリン、QまたはGln:グルタミン、RまたはArg:アルギニン、SまたはSer:セリン、TまたはThr:トレオニン、VまたはVal:バリン、WまたはTrp:トリプトファン、YまたはTyr:チロシン、Z:グルタミンまたはグルタミン酸。
例えば、抗菌性を有するペプチド構成体の設計においては、分子の1つまたは複数の特性を調節する置換を使用しうる。そのような変異体では、ペプチド内の1つまたは複数の部位において1つのアミノ酸が別のアミノ酸へ交換されていることが通常である。例えば、ペプチド構造体の相互作用的な結合能力を強化するために、その構造体中の特定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換してもよい。タンパク質の生物機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用の能力および性質であるため、タンパク質配列中、また、優れた特徴を有するペプチドを創出する可能性があるその基礎となるDNAコード配列中で、特定のアミノ酸の置換を行うことができる。したがって、本発明の独自の態様は、hBD3のシステイン残基は、他の任意のアミノ酸(上に列挙のとおり)もしくはその誘導体で置き換えられてもよく、または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えられてもよく、または、このシステイン残基は欠失していてもよい、ということを提供する。アミノ酸誘導体および/または保護基としては、User’s Manual for Patentin 3.1の表G−2に列挙されている任意の誘導体を使用してよい。しかしながら、アミノ酸誘導体および/または保護基の種類は、そうしたリストに限定されるものではない。
本発明に適した保護されたシステイン残基の例としては、C(Acm)、C(But)、C(t−Buthio)、C(Bzl)、C(4−Me−Bzl)、C(4−MeO−Bzl)、C(Mmt)およびC(Cam)が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本発明においては、適当な任意の保護されたシステイン残基を使用してよい。
この単離ペプチドは、配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含んでよく、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはアミノ酸は存在していない。この単離ペプチドは、配列番号13から25のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含んでもよい。とりわけ、この単離ペプチドは、配列番号13から18のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む。本発明によるhBD3の直鎖状アナログの具体例を図1に示す。
また、本発明は、hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含み、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはアミノ酸は存在していない、単離抗菌ペプチドも提供する。この単離ペプチドは、配列番号13から25のいずれか1つのアミノ酸配列を含んでもよい。好ましい一態様によれば、hBD3中の6つのシステイン残基は、極性の異なる6つの残基、例えばF、W、Y、C(Acm)、AおよびSにより一律に置き換えられて、全体の疎水性の異なる、対応するhBD3の直鎖状アナログ[F6、W6、Y6、C(Acm)6、A6およびS6として符号化した]を形成した。したがって、本発明は、配列番号13から18のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む、少なくとも1種の直鎖状単離ペプチドを提供する。しかしながら、配列番号26から36のアミノ酸配列を含む断片およびペプチドは、本発明の保護の範囲から除外される。
本発明の任意の態様による単離ペプチドは、野生型hBD3と比較して、任意の細胞種の少なくとも1種の細胞に対する細胞毒性が低下していることも、さらに提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の任意の態様による少なくとも1種のペプチドまたはその断片をコードする単離ポリヌクレオチドが提供される。
本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチドとは、ゲノム起源のまたは合成起源のcDNA、DNA、mRNAまたはRNAを指し、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。一本鎖のDNAまたはRNAは、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよく、またはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であってもよい。また、ポリヌクレオチドは、核酸分子も包含する。単離ポリヌクレオチドとは、その本来の環境から取り出されている核酸分子、DNAまたはRNAを指す。
本発明の抗菌ペプチドは、原核生物または真核生物の発現ベクターにより発現させうる。「発現ベクター」という用語は、転写されることが可能な遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するベクターを指す。ある場合には、RNA分子は、後にタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳される。別の場合には、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの産生においては、このような配列は翻訳されない。発現ベクターは、さまざまな「制御配列」を含有できるが、制御配列とは、特定の宿主生物において、操作可能な状態で連結したコード配列の転写、また場合によりその翻訳に必要な核酸配列を指す。
さらに、本発明は、本明細書に記載のペプチドのいずれか1種または複数種をコードするポリヌクレオチドまたは核酸を含むベクターも提供する。特定の実施形態では、本発明は、本発明のペプチドの少なくとも1種をコードする核酸を含むベクターを提供する。このベクターは、ウイルスベクター、プラスミドベクター、コスミドベクター、アデノウイルスベクター、ファージベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、または、本発明のペプチドをコードする核酸を包含することが可能な、当業者には公知であろう任意の他のベクターとすることができる。このベクターは、細胞ゲノム中に組み込むことを意図されていて、組み込むことが可能な発現ベクターとすることができる。有用なベクターおよびその構造は、Sambrook and Russel、(2001)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、USに開示されている。
また、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチドおよび/またはベクターを含む宿主細胞も提供する。このような宿主細胞は、真核細胞であっても原核細胞であってもよい。真核細胞の場合は、レトロウイルス系またはアデノウイルス系ベクターを使用して、本発明のポリヌクレオチドを宿主細胞中に入れることができる。核酸またはポリペプチドを宿主細胞中に挿入するための当業者に公知の方法は、本発明内に包含される。naked DNAトランスフェクション法、リポフェクションによる導入法、形質転換法、細胞中への核酸のマイクロインジェクション法またはリン酸カルシウム沈殿トランスフェクション法は、そのような方法の非限定的な例である。宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)などの市販元から入手できる。
宿主細胞は、液体培地中または組織培養プレート上で生育させることができる。生育条件は使用される特定の宿主細胞次第であり、そうした条件は当業者には公知であろう。宿主細胞のトランスフェクションおよび生育については、Sambrook and Russelの同文献に記載されている。本発明は、特許請求した発明のポリペプチドをコードする核酸を発現している組換え細胞を提供する。また、本発明は、本発明のポリペプチドを産生する組換え細胞も提供する。
ベクターの複製および/または発現のための真核生物の宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、およびPC12が挙げられる。多様な細胞種および生物から多くの宿主細胞が利用可能であり、当業者には公知であろうと思われる。同様に、ウイルスベクターは真核生物または原核生物の宿主細胞のいずれか、とりわけベクターの複製または発現に対して許容状態にある宿主細胞と併せて使用しうる。
原核細胞および真核細胞のいずれにおいても複製および/または発現させることが可能な制御配列を採用できるベクターもある。当業者であれば、上述した全ての宿主細胞をインキュベートして宿主細胞を維持し、ベクターの複製を許容する条件をさらに詳しく理解しているであろう。また、ベクターの大規模産生、ならびに、ベクターによりコードされている核酸およびその同系のポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの産生が可能になるような手法および条件も理解および承知されている。
本発明の別の態様は、本明細書に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチドまたはその断片を含む医薬組成物である。また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種の抗菌ペプチドまたはその断片および少なくとも1種の非ペプチド性抗菌剤を含む抗菌組成物も提供する。
この組成物は、薬剤学的または薬理学的に許容できる担体をさらに含みうる。「薬剤学的または薬理学的に許容できる」という語句は、動物またはヒトに適切に投与した際に、拒絶反応、アレルギー反応または他の有害反応を生じさせない分子的実体および組成物を指す。本発明の組成物は、薬剤学的に許容できる担体または水性媒体中に溶解または分散した有効量の抗菌ペプチドを含む水性組成物としうる。
本明細書で使用する場合、「薬剤学的に許容できる担体」とは、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを包含する。医薬活性物質のためにそのような媒体および作用剤を使用することは、当技術分野では周知である。何らかの従来媒体または作用剤が活性成分と適合しない場合を除き、治療用組成物中でのその使用を考慮している。補助的な活性成分をこの組成物中に組み入れることもできる。
この抗菌ペプチドを対象に供給する場合には、ペプチドの性質が、いくつかの代替投与経路を容易にする。このペプチドの耐久性により、体内投与だけでなく局所製剤としての適用も容易である。ペプチドを体内に施す場合には、さまざまな送達手段が可能である。例えば、感染症の治療または防止のために吸入により送達するのに適した組成物中で、ペプチドを希釈する。ペプチドの核酸配列は、遺伝子療法に関しては、適切なベクターまたはDNA送達ビヒクルにより細胞へ送達しうることも、さらに考慮している。
したがって、本発明の医薬組成物または抗菌組成物は、局所、経口または非経口投与用に処方しうる。例えば、この組成物は、注射による投与用または吸入による投与用に処方しうる。この活性化合物は、一般に非経口投与用に、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、病巣内、局所および/またはさらには腹腔内経路を通じた注射用に処方される。活性成分または活性原料として抗菌ペプチドを含有する水性組成物の調製については、本開示に照らせば当業者には理解されよう。通常、このような組成物は注射剤として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製してもよく、注射の前に液体を添加して溶液または懸濁液を調製するために使用するのに適した固形形態も調製することができ、また、この調製剤は乳化させることもできる。眼および口などの粘膜表面への局所施用物は、液体溶液または懸濁液として調製することができる。
注射剤用途に適した本発明の医薬組成物または抗菌組成物の例としては、無菌の水溶液または懸濁液、ゴマ油、ピーナッツ油または水性プロピレングリコールを包含する製剤、および無菌の注射用溶液または注射用懸濁液を即時調製するための無菌の粉末が挙げられる。全ての場合において、この形態は無菌でなくてはならず、容易に注射可能な程度に流動性がなくてはならない。また、この形態は製造条件および保管条件下で安定でなくてはならず、細菌および真菌などの微生物に汚染されないように保存することが可能でなくてはならない。この医薬組成物は、塩の形態としてもよい。
薬剤学的に許容できる担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、適当なその混合物および植物性油を含有する溶媒または分散媒とすることもできる。
直接注射用に、より濃縮された、または高濃度の溶液の調製も提供されるが、この場合、溶媒としてDMSOを使用することで極めて迅速に浸透し、この医薬組成物および抗菌組成物の高濃度の活性化合物を小さな患部に送達する結果がもたらされうる。
静脈内または筋肉内注射など非経口投与の形態に加え、この医薬組成物またはこの抗菌組成物を投与する他の許容できる形態としては、経口投与用の錠剤または他の固形剤、リポソーム製剤、徐放カプセル、および、クリームなど現在使用されている他の任意の形態が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、鼻用の溶液またはスプレー、エアロゾルまたは吸入剤を使用してもよい。鼻用の溶液は通常、点鼻薬またはスプレーとして鼻腔に投与するように設計された水溶液である。加えて、必要に応じ、眼用の調製剤中に使用されるものと同様の抗菌保存剤および適切な薬物安定化剤を製剤中に包含させてよい。
他の投与様式に適したその他の製剤としては、膣用の坐薬およびペッサリーが挙げられる。直腸用のペッサリーまたは坐薬を使用してもよい。坐薬は、多様な重量および形状の固形の剤形で、一般に直腸、膣または尿道中への挿入用として投薬される。
経口製剤は、例えば、医薬用のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど、普通に採用される賦形剤を包含する。このような組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放製剤または粉末の形態をとる。治療のための経口投与用としては、この医薬組成物または抗菌組成物の活性化合物を賦形剤とともに組み入れ、口から摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、オブラート剤などの形態で使用しうる。
とりわけ、本発明の任意の態様による医薬組成物または抗菌組成物は、局所投与用としてよく、1または複数の皮膚および/もしくは粘膜の治療用に適したものとしてよい。この医薬組成物または抗菌組成物は、点眼剤(複数も可)の組成物または溶液の形態としてもよい。
本発明の組成物は、投薬製剤と適合する様式で、また、治療上有効であるような量で投与しうる。この製剤は、注射剤溶液などさまざまな剤形で容易に投与しうるが、例えば薬剤放出カプセルなど、他の適当な任意の形態を使用してもよい。
精製した単離抗菌ペプチドは、さらなる修飾をせずに使用してもよいし、薬剤学的に許容できる担体中に希釈させてもよい。このペプチドは安定なので、本発明の任意の態様によるペプチドは、ヒトまたは動物に、食品調製物、医薬調製物、薬用製品および医薬製品、化粧品、衛生製品、洗浄製品および洗浄剤中に包含させて投与する以外にも、表面上での微生物の生育を阻害することが求められ、このペプチドをその上にスプレーするかまたはそれに付着させるかできるような任意の材料中に包含させて投与しうる。
本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種の医薬組成物、少なくとも1種の抗菌組成物、および/または少なくとも1種のペプチドまたはその断片を含むコンタクトレンズ用溶液も提供する。
加えて、本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種のペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を含むコンタクトレンズを提供する。
本発明は、治療上または予防上の利益のための対象へのペプチドの投与を包含する一方、このペプチドが他の用途を有するであろうことも想定されている。しかしながら、この単離ペプチドは微生物の生育を防止または抑制したい環境中へ施用または導入するための消毒調製剤または抗菌調製剤中に包含させてもよい。
したがって、本発明は、微生物生育の防止および/または抑制のために、作業台面などの表面または外科用器具、コンタクトレンズ、コンタクトレンズと一緒に使用されるコンタクトレンズ用の溶液もしくは機器に施用するための混合物を提供する。
とりわけ、本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種の医薬組成物、少なくとも1種の抗菌組成物、または少なくとも1種のペプチドもしくはその断片を含む機器コーティングを提供する。この機器コーティングは、医療機器コーティングとすることができる。
また、本発明は、本発明の任意の態様による少なくとも1種のコーティングで被覆された機器も提供する。この機器は、医療機器とすることができる。医療機器に関しては、純粋な形態での本発明のペプチド、または他の抗菌ペプチドもしくは抗菌剤と組み合わせた本発明のペプチドは、表面上での微生物の生育を阻害することが求められる医療機器の任意の表面にスプレーし、表面を被覆し、または表面に付着させることができると思われる。そのような医療機器の例としては、気管内チューブ、カテーテル、血管カテーテル、導尿カテーテル、腎瘻チューブ、胆汁ステント、腹膜カテーテル、硬膜外カテーテル、中枢神経系カテーテル、整形外科用機器、人工弁、針、シース、ステントおよび医療用インプラントが挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明は、少なくとも1種の適当な容器に入れられた、それぞれ上述の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を含む、キットを提供する。このキットは、少なくとも1種の追加の抗菌剤をさらに含みうる。
本発明の抗菌ペプチドは、単独で使用しうる。しかしながら、この抗菌ペプチドは、別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせて、補助療法において使用することもできる。細菌の殺菌または阻害については、細菌の生育および/または増殖を阻害するのに有効な量の抗菌ペプチドと組み合わせた有効量の抗生物質を細菌に接触させることが考えられよう。したがって、本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を微生物に接触させることを含む、少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法を提供する。
微生物、例えば細菌またはその集団には、in vitroまたはin vivoのいずれかで接触しうる。in vivoでの接触は、微生物性または細菌性の感染症に罹患しているかまたは罹患している疑いのある対象に、治療上有効な量の薬理学的に許容できる抗菌ペプチド製剤を、単独で、または抗生物質剤または他の抗菌ペプチドの薬理学的に許容できる治療量の製剤と組み合わせて投与することにより達成しうる。したがって本発明は、全身循環中に作用剤の組合せを導入することにより、または、例えば、外傷もしくは熱傷などの特定の部位、または眼、耳もしくは他の感染部位に局所的にその組合せを施用することにより、全身性および限局性の微生物性および細菌性の感染症の両方を治療するために採用しうる。
また、本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を宿主に投与または施用することを含む、宿主体内での少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法も提供する。
また、それぞれ上述の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を対象に投与することを含む、少なくとも1種の微生物感染症を治療する方法も提供される。本発明は、それぞれ上述の、少なくとも1種の抗菌ペプチド、少なくとも1種の医薬組成物、および/または少なくとも1種の抗菌組成物を用いて微生物を処理することを含む、少なくとも1種の多剤耐性微生物を処理する方法を、さらに提供する。
「微生物」という用語は便宜上使用しているもので、本発明が微生物の集団、すなわち「細菌」対策に使用するのに適していることは容易に理解されよう。細菌感染症または微生物感染症に関しては、当業者であれば、可能性のある多種多様な病原菌を認識しているだろう。微生物の例としては、類鼻疸菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌およびセレウス菌ならびにウイルスおよび真菌の任意の1種を挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明は、少なくとも1種のhBD3アナログまたはその断片を少なくとも1種の細胞に投与して、該アナログまたはその断片は野生型hBD3と比較して細胞に対する細胞毒性が低下しているかどうかを確認することを含む、薬剤スクリーニング法も提供する。
本発明の別の態様は、任意のシステイン残基を欠失させることと、任意のシステイン残基を他の任意のアミノ酸もしくはその誘導体または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えることと、細胞に投与することと、細胞毒性の低下を確認することとを含む、ペプチドアナログまたはその断片を設計する方法である。このペプチドは、少なくとも1種のhBD3アナログとすることができる。設計原理は以下のとおりとすることができる(が、限定はされない):ヒト細胞に対する細胞毒性の低減は、全体の疎水性および電荷密度についての分子モデリングと理論計算とを用いてディフェンシンペプチドの直鎖状アナログを合理的に設計することにより制御できる。全体の疎水性は、水中で折りたたまれる結果としての、ペプチドの基本的な生理化学的特性である。全体の疎水性(自由エネルギー変化、ΔG、kcal/mol)は、Wilmley and Whiteの疎水性尺度に基づいて計算した。疎水性が大きいことは、ΔGの正の値が大きいことによって表される。全体の疎水性および電荷密度は、ペプチドの3D構造と関連している。
ここまで本発明を全般的に記載してきたが、同様のことは、例証の目的で提供するもので本発明の限定を意図しない以下の実施例を参照することで、より容易に理解されよう。
材料および方法
固相ペプチド合成(SPPS)
フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護したLアミノ酸および樹脂をAdvanced ChemTech(現在のadvanced automated peptide protein TECHNOLOGIES,aappTEC)(KY,U.S.A.)から購入し、以下の側鎖保護基と共に使用した:Arg(pbf)またはArg(pmc)、Lys(Boc)、Tyr(But)、Trp(Boc)、Thr(But)、Ser(But)、Gln(Trt)、Glu(OBut)、Asn(Trt)、Cys(Acm)およびFmoc−Lys(Boc)−Wang樹脂(置換量0.72mmol/g)。hBD3の直鎖状アナログ6種の合成をFmoc化学によりApex396上で実施した。HBTU−HOBT(HBTUはN−[1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロフォスフェート−N−オキシドであり、HOBTはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールである)を用い、DMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)中で、0.04mmolの合成スケールで、アシル化(カップリング反応)を実施した。Fmoc脱保護は、DMF中で20%ピペリジンを用いて実施した。その結果得られたペプチジル樹脂を、新たに調製したトリフルオロ酢酸(TFA)/トリイソプロピルシラン(TIS)/フェノール/チオニゾール(Thionisole)/水(90/1/2.5/5/1.5、容量パーセントの比率)の混合物を用いて2〜3時間、室温で処理した。未精製のペプチドを氷冷ジエチルエーテル中に濾過することにより沈殿させ、遠心単離により単離し、氷冷エーテルで3回洗浄してから、未精製の固体産物中のエーテルおよび他の残存/残留溶媒を換気フード中で自動蒸発させることにより乾燥させるか、または室温で真空下乾燥させた。さらなる精製のために、未精製の産物をHO中の5%CAN、0.1%TFAの混合溶媒中に溶解させてから、セミ分取カラムに注入した(Waters、Delta PAK C18、300mm×7.8mm、15μm、100Å、流速3ml/分、溶離液AはDI水中の0.01%TFA、溶離液BはCAN中の0.01%TFA、溶離液Bの濃度勾配は20分間で20%から35%、210nmでUV検出(自動試料採取装置および996フォトダイオードアレイ検出器(PDA)搭載のWaters 2695セパレーションモジュール))。分析用のHPLC−MS連動システム(Micromass Platform LCZ、Waters Associates、150mm×3.9mm、5μm、100ÅのDelta PAK C18使用、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%)により、精製したペプチドの特性を示した。質量分析法の使用による直鎖状アナログ6種の分子量の特性解析を、図8〜13に示す。
分子疎水性
ペプチドの分子疎水性は、HPLC−MSにより、例えば、同様のペプチド濃度(500または100μg/ml)、注入量(5μl)、および、32分間で18%から38%という溶離液Aの同様の濃度勾配において流速0.2ml/分であり、産物ピークの保持時間(Rt)について相対的に比較されるなどの、同様の実験条件において測定した。
CD分光法
水溶液(pH5.0〜5.5)中、ならびに、例えば、DI水中の10mM SDSおよび20mM SDS、20、50、70%(容量)TFEなどの他の異なる媒体中で、Jasco J−810分光偏光計により円二色性分光法を行った。6種のアナログの濃度は125μg/mlであり、野生型hBD3は100μg/mlであった。27℃、196〜260nmの範囲の波長でCD測定を実施した。各試料および溶媒を3回ずつ走査し、溶媒のCDを試料溶液のCDから差し引いた。この結果を図2、3および4に示す。
ディフェンシンアナログについての抗菌アッセイ
材料
アッセイを実施した細菌は、大腸菌ATCC25922、黄色ブドウ球菌ATCC25923、緑膿菌ATCC27853、セレウス菌NCTC2599を包含していた。アッセイには、96ウェル平底の滅菌済組織培養プレート(92096、TPP)を使用した。水滴の凝結を防ぐために、20%エタノール中の0.05%TritonX−100でマイクロプレートカバーの内側表面を処理した。Magellanバージョン5.03のソフトウェアおよび620nmフィルターを用いたTecan Genios Plusマイクロプレートリーダーで、96ウェルマイクロプレート中での生育速度を(濁度として)モニターした。600nm波長を用いたPharmacia Biotech Ultrospec2000 UV/可視分光光度計により、種培養物をモニターした。大腸菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌および緑膿菌に対する該アナログおよび野生型hBD3の抗菌活性を、段階的に希釈されたペプチドが存在する液体培養液中での細菌生育数を測定することにより確認した。LD50は、生細胞の50%が死に至るペプチド濃度である。この結果は図7(A、B、CおよびD)で報告する。
較正
細菌は、Mueller−Hinton Broth(MHB)中での一晩の平板培養により対数期中期まで生育させた。細胞懸濁液は、10mMリン酸カリウム緩衝溶液/MHBの混合物(等量)(PMH)中でOD0.1に希釈した(600nm、Pharmacia Biotech Ultropec2000 UV/可視分光光度計)。この細胞懸濁液の濃度は10CFU/mlであった。確認のために、コロニー計数を行った。10から10CFU/mlの範囲で、この懸濁液の10倍希釈系列をPMH中で作製した(黄色ブドウ球菌ATCC25923およびセレウス菌NCTC2599については6部作製(sextuplicate)、大腸菌ATCC25922については4部作製(quadruplicate)、および緑膿菌ATCC27853については3部作製(triplicate))。ウェル当たりの最終容量は200μlであった。陰性対照ウェルについては、未植菌のPMH200μlを加えた。
細胞毒性アッセイ
CellTiterブルーを用いて細胞生存数を測定することにより、初代培養した正常なヒト結膜上皮細胞上でのこれらのアナログの細胞毒性を分析した。全ての分析において、対照として野生型hBD3を使用した。図5。
溶血アッセイ
試験したペプチドの膜溶解活性の測定値として、新鮮なウサギ赤血球からのヘモグロビンの遊離率を使用した。図6。
結果
45残基を有するhBD3の直鎖状アナログ
hBD3アナログの合成。表1に詳細に記載したとおり(配列、総残基、疎水性、正味荷電、全体の疎水性)、Fmoc化学を用いて、45残基を有するhBD3の直鎖状アナログ6種の固相合成を実施した。未精製産物および精製産物の収量は、合成スケールに基づいて報告してあり、表1の補足情報を参照のこと。
分子疎水性
天然のhBD3と比較すると、完全長かつ正味の正電荷11を有するこの系列のhBD3の直鎖状アナログは、hBD3中の架橋している6つのシステイン残基を、疎水性の異なる他の6つの残基、例えばA、S、C(Acm)、F、YおよびWで一律に置き換えることのみにより設計・合成されているため、構造的には同質である。これらの直鎖状アナログは、全体の疎水性、二次構造および直線性または3箇所のジスルフィド架橋により課せられた拘束が抗菌活性、細胞毒性活性および溶血活性に及ぼす効果を試験するための明確なモデルとなる。われわれは、500μg/mlおよび100μg/mlで、HPLC−MSにより相対的な分子疎水性を保持時間(tR)について測定してから(表2)、Wilmley and Whiteの疎水性尺度およびHopp−Woods尺度にそれぞれ基づいて、全体の疎水性を計算した。2つの異なる尺度に基づいて計算されている全体の疎水性の変化傾向は概ねよく一致しており、HPLCの結果はこの計算値に非常によく整合している。ペプチドの相対的な分子疎水性についての全体の序列は、W6>F6>Y6>天然のhBD3>A6>S6>C(Acm)6のとおりである。しかしながら、置き換えた残基の疎水性についての序列は、Phe>Tyr=Trp>Cys>Ala>Serのとおりであり(C(Acm)についてのデータは入手できず)[Black,S.D.and Mould,D.R.(1991)]、ペプチドが水溶液中で折りたたまれていることから、ペプチドの全体の疎水性傾向は、置き換えた残基のそれに常に整合するわけではない。以下の項では、ペプチドの全体の疎水性が生物活性に及ぼす効果について考察する。
疎水性が高まるのに伴う抗菌活性および溶血活性の上昇は、疎水性が高い基は細胞膜の内側の中心部とより強力に相互作用して選択性の喪失をもたらすであろうと予測している文献報告と合致している。[Ilkerら、JACS、2004、126、15870〜75、本公報に引用してある参照文献1、4も参照のこと]。多くの事例で、疎水性相互作用は溶血活性を制御すると報告されているが、一方では、抗菌活性にとっては静電相互作用の方が重要であることが示唆されている(Harderら、2001)。こうした結果は、例えばW、FおよびSといった妥当な疎水性残基の存在と、親水性の表面領域に対する疎水性の表面領域のバランスとが、抗菌活性および溶血活性を示す鍵となる構造決定因子であることを示している。
CD分光法およびペプチド二次構造
X線およびNMRによるこれまでの研究[hBD2、Sawaiら、Biochemistry、2001、40、3810〜16;hBD3、Schibliら、JBC 2002、277(10)、8279〜89などいくつかの刊行物]により、ヒトβディフェンシン類(hBD1〜3)の三次構造は、3箇所のジスルフィド結合により強固に保持された3本鎖の逆平行βシートに先行する短いαヘリックス部分を有する点で類似していることが示されている。しかしながら、3箇所のジスルフィド結合により課せられた拘束がないと、hBD3の直鎖状アナログは水溶液中で柔軟かつ無秩序になり、環境に左右された立体配座をとる傾向がある。したがって、CD分光法によってこの直鎖状ペプチドの溶液立体配座を体系的に決定することは興味深かった。hBD3誘導体の構造的特徴の分析は、水溶液中で、また、有機モディファイヤーであるトリフルオロエタノール(TFE)、または膜を模したSDSミセルの存在下で、CD分光法により実施した。(図2〜4)。TFEは、水溶液中の構造化されていない/無秩序な別のペプチドから安定なタンパク質様立体配座の採択を誘導できるため、タンパク質構造研究において広く使用されている。水溶液中での直鎖状アナログ6種および野生型hBD3のCDスペクトルは非常に類似しており、天然のhBD3のCDスペクトルと非常によく一致する。水中では、全てのアナログおよび野生型hBD3は、主に不規則構造に従って196〜200nmでの強い極小値を有し、水溶液中で大部分がランダムコイル構造を示す。この結果は、3箇所のジスルフィド結合の存在またはその不在、およびアミノ酸残基を置き換える残基の種類は、hBD3誘導体の二次構造に顕著な影響を何ら及ぼさないことを示しており、したがって、この二次構造は、複数のジスルフィド架橋または6つのシステイン残基を置き換える残基の存在に、独立に左右されているように思われる。水中での異なる量、例えば20、50、70%の有機変性剤TFEの存在下では(本明細書では50%TFE中のCDスペクトルのみを報告した)、全てのアナログおよび天然のhBD3が著しい構造遷移を起こし、それらのCDスペクトルはレッドシフトし、波長205〜222nmに明確に観察できる2つの極小値を、また、190〜193nm前後に強い正のピークを示した。このようなスペクトルはαヘリックス構造に典型的であることから、TFEの存在がこれらのペプチド溶液中におけるヘリックス立体配座の比率を高めると結論づけることが可能である。6種のアナログおよび野生型hBD3のαヘリックス含有量は、特にW6、S6、F6、野生型hBD3およびY6についてTHFの存在下では大きく増加したが、THFは、この型の立体配座を安定化することで知られ、ペプチド間でのαヘリックス含有量の差は、W6、F6、Y6中の残基の芳香環側鎖に起こりうるスタッキング、またはA6中の残基の側鎖間に起こりうる水素結合、または野生型hBD3中の/野生型hBD3用のαヘリックスに明確な立体配座をとらせようとする3箇所のジスルフィド結合の安定化力から生じると考えられる。いくつかのケース(W6、S6、C(Acm)6)では、TFEの濃度が高いほど、αヘリックス含有量が高くなる。このCD遷移は、膜の異方性脂質環境にさらによく似た10mM SDSおよび20mM SDSのミセル中でも起こり、6種のアナログおよび野生型hBD3、特にW6、S6、野生型hBD3、F6およびY6についてのαヘリックス含有量も、TFEの存在下でそうであるように、構造決定因子の同様の効果によりある程度増加した。ほとんどの場合、特にW6およびY6については、αヘリックス含有量は20mM SDSよりむしろ10mM SDSで高い。さらに、分子が強固であれば、その分子は、任意の主要な溶媒に誘導される立体配座の変化に対し抵抗性を有することが期待されることになろう。しかしながら、TFEおよびSDSの存在下では、CDスペクトルは劇的に変化するようであり、このことは、ペプチドが溶媒との間で強く相互作用することを示唆している。
6種の直鎖状アナログの分子量は、当業者に公知の標準的な手法に従った質量分析法を使用することにより特徴づけた。この結果を図8〜13で報告する。
らせん性の程度と抗菌活性との間には全体的に相関は観察されておらず、高いらせん性は抗菌活性とは相関しないが高い溶血性と相関することが多いとの報告があった[Orenら、Biochemistry、1997、36、1826〜35]。らせん性と抗菌活性、細胞毒性活性および溶血活性との間の相関については、以下の項で考察する。
抗菌活性
野生型hBD3およびその直鎖状アナログのLD50、LD90、LD99およびLD99.9を、2種のグラム陰性菌(大腸菌および緑膿菌)および2種のグラム陽性菌(セレウス菌、黄色ブドウ球菌)に対して確認した(表3)。図7(A、B、CおよびD)も参照のこと。
完全長のhBD3の直鎖状アナログについてわれわれが得た結果は、6つのシステイン残基を、それぞれアラニン(A)、セリン(S)、Acmで保護されたシステイン[C(Acm)]、トリプトファン(W)、チロシン(Y)およびフェニルアラニン(F)で置き換えると、抗菌活性に何らかの効果が及ぶことを示している。W6、S6およびF6はhBD3と比較して最も強力なアナログであり、一方、Y6、C(Acm)6およびA6は相対的に効力が低い。W6は、大腸菌および黄色ブドウ球菌に対するLD50が他より低く5μg/ml未満であり、緑膿菌およびセレウス菌に対するLD50は8μg/ml未満で、他に匹敵している。S6およびF6も、4種の病原菌に対しLD50は他に匹敵するレベルである(10μg/ml未満)。C6、Y6およびA6については、病原菌に対するLD50は大部分が10〜20μg/mlの範囲内である。この結果は、この系列の直鎖状アナログ、特にW6、S6およびF6は、最小生育阻止濃度(MIC)について測定された40残基の環状または非環状hBD3誘導体[Enno Kluverら、Biochemistry、2005]に比べ、大腸菌、緑膿菌および黄色ブドウ球菌を殺菌する活性が高いことを示している。S6、W6およびF6のLD90は5〜20μg/mlの範囲内であり、これらのアナログは、野生型hBD3および最も強力な活性を有する他の環状またはhBD3の直鎖状アナログと比較した場合、それらに匹敵する活性を有する[Hooverら、Antimicrobial Agents and chemotherapy、2003、47(9)、2804〜09]。
この45残基で完全長の直鎖状変異体が、複数のジスルフィド架橋を有するその野生型hBD3同様に活性を有するという事実は、3箇所のジスルフィド結合の存在は抗菌活性にとっての必要要件ではないことを示している。これに対し、還元したhBD2は抗菌剤としては不活性であることが、以前報告された[Enno Kluverら、Biochemistry、2005]。トリプトファンに富む誘導体W6は、最も強力な抗菌剤である。この活性の高さは、6つのトリプトファン残基の存在に原因を求めることができる。トリプトファンに富む変異体は、トリプトファンがその中の必要不可欠な構成要素であると報告されているタチプレシンW4、トリトルプチシン(tritrpticin)、インドリシジンおよびラクトフェリシンといった他のトリプトファン含有抗菌ペプチドと比較することができる。トリプトファンが有する芳香族のインドリル側鎖はπ−πスタッキング相互作用能力があり、とりわけ界面環境において水素結合に関与することができる。チロシンおよびフェニルアラニンに富む変異体については、Y6およびF6も、タチプレシン誘導体のY4およびF4について見出されたのと同様に、π−πスタッキング相互作用能力があり、および/または水素結合に関与できると考えられる。
hBD3誘導体の抗菌活性は、陽イオン性のhBD3アナログと病原菌の陰性の膜との間の静電相互作用により病原菌の細胞膜に接触し、疎水性相互作用により抗菌剤分子を膜内へ挿入する、その能力に依存する。主要な構造決定因子は、正味の正電荷および全体の疎水性である。ペプチドの全体の疎水性は、HPLCにより計算および測定した。直鎖状アナログおよび野生型hBD3の中では、最も疎水性の高いW6および最も親水性の高いS6が強力な抗菌剤であり、このことは、鍵となる第3の構造決定因子、すなわち親水性の表面領域と疎水性の表面領域との間のバランス、したがって両親媒性の立体配座を維持することが、高い抗菌活性を維持するために重要であることを示している。
イオン強度が低い媒体中では、45残基のhBD3の直鎖状誘導体3種は、ジスルフィド架橋されたその対応物と比較して類似の効力があった。システイン残基の置換への依存は見出されず、これはつまり、システインをアラニン(A)、トリプトファン(W)またはカルボキサミドメチル化したシステイン[C(Cam)]で置き換えても、完全にジスルフィド架橋されたhBD3ペプチドの抗菌活性と比較して、抗菌活性に顕著な変化はなかったということである。
哺乳動物細胞に対する細胞毒性および溶血活性
強力な抗菌性を有する直鎖状アナログおよび野生型hBD3を、ヒト細胞に対するその細胞毒性について試験した。CellTiterブルーを用いて細胞生存数を測定することにより、初代培養した正常なヒト結膜上皮細胞上でのこれらのアナログの細胞毒性を分析した。図5を参照のこと。全ての分析において、対照として野生型hBD3を使用した。陽イオン性ペプチドは、病原菌細胞と相互作用するのみならず、哺乳動物細胞および真核細胞に対しても毒性を呈する可能性があることは十分立証されている。微生物の細胞膜は、主要成分としての陰イオン性のフォスファチジルコリングリセロールから成るが、真核細胞膜は、疎水性相互作用を受けやすい双性イオン性のフォスファチジルコリンおよびフォスファチジルエタノールアミンを主に含有する[Yeaman and Yount、Biochemistry、2005]。したがって、陽イオン性抗菌ペプチドの溶血活性は、ペプチドの疎水性と直接つながりがあると提唱されてきた。[Hwang and Vogel、Biochemistry、2005]。直鎖状ペプチド6種それぞれの細胞毒性は、6〜100μg/mlの濃度においては、野生型hBD3の細胞毒性よりはるかに低かった。この結果により、hBD3の直鎖状アナログの疎水性が高いか低いかはあまり問題ではなく、これらのアナログは野生型hBD3と比較して細胞毒性が低減していることが明確に示されている。直鎖状アナログと野生型hBD3との間の主要な一次元構造的な違いは、ジスルフィド結合により形成された環状構造または6つのシステイン残基を他の残基により置き換えたことによるその直線性にあるため、したがってそれは、野生型hBD3における天然の3箇所のジスルフィド結合パターンがその高い細胞毒性にとっての主要な構造決定因子に違いないことを意味する。言い換えれば、直鎖状のポリペプチド骨格は、このアナログの細胞毒性低下に対する鍵となる構造因子である。直鎖状アナログの細胞毒性および溶血活性における違いは、異なる疎水性をもたらした配列によるものである。低い疎水性を有するA6、S6およびC(Acm)6は、25〜100μg/mlの高濃度での細胞毒性が最も低く、中間の疎水性を有するY6の細胞毒性は中程度であったが、これに対し、高い疎水性を有するF6およびW6の細胞毒性は相対的に最も高かった。純水中での二次構造の立体配座には明確な違いがないため、hBD3およびその誘導体の二次構造のパラメーターが細胞毒性および溶血活性に及ぼす効果は小さい。
ヒトβディフェンシン3(hBD3)は、三次元の折りたたみ構造、さらには四次構造を有し、陽イオン性かつ両親媒性であることが構造的な特徴であるため、多くの構造決定因子(一次、二次、三次および四次構造因子、例えば、正味の正電荷の高さ、配列および残基分布、両親媒性の立体配座、疎水性、三次元の折りたたみ構造および二量体構造)が抗菌活性、細胞毒性および溶血活性に影響を及ぼす。われわれは、構造的に同質な一連の完全長のhBD3の直鎖状アナログを設計・合成しており、天然の3箇所のジスルフィド結合パターンと、疎水性の異なるアミノ酸残基と、ペプチドの分子疎水性とが、ペプチドの抗菌活性、細胞毒性および溶血活性に及ぼす効果をさらに調査するための良好なモデルを提供している。hBD3誘導体についてわれわれが得た結果により、特にW6およびS6およびF6については高い抗菌活性が達成されていること、直鎖状アナログ6種についてはヒト細胞に対する細胞毒性が低減していることが見出されたこと、細胞毒性は疎水性の観点からペプチドの設計により制御できることが示されており、そのことは、ヒトβディフェンシンにおける天然の3箇所のジスルフィド結合パターンが、その高い細胞毒性についての鍵となる構造決定因子であることを示している。この知見は、抗菌ペプチドの代替的かつ新しい設計コンセプトを提供し、ジスルフィド結合の選択的形成及び3箇所のジスルフィド結合を有するディフェンシンアナログの複雑な単離は回避するか、または不要とすることができることから、比較的低コストで大規模に生産することができ、ディフェンシンペプチド抗生物質の学術的およびさらには商業的研究開発に対して意味を持つものである。これに伴い、宿主細胞に及ぼす有毒作用がわずかであるかまたは全くない強力な抗菌ディフェンシン誘導体を設計・開発することもできよう。これらのアナログは強力な抗菌剤でありながら哺乳動物細胞への細胞毒性が低いことから多様な用途を有し、例えば、感染症を防止するためにコンタクトレンズ用溶液に添加してもよいし、または、より高い感染症防止効力を付与するために店頭販売用のアイ・ケア溶液に添加してもよい。
hBD3のC末端断片アナログ(10残基)
天然のhBD3の10残基断片のC末端にあるシステイン残基2つを、疎水性の異なる残基、すなわちフェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システインおよびヒスチジンで一律に置き換え、全体の疎水性が多様な、対応する短鎖ペプチド、すなわちhBD3アナログの第2系列[W2、F2、Y2、L2、I2、C2(またはC(Acm)2)として符号化した]を形成した。
工学技術で作られたこの系列の短鎖ペプチドは、上述の実験的および理論的方法を用いた質量スペクトルおよび分子疎水性分析により設計・合成され、構造的に特徴づけられている。
分子疎水性
hBD3のC末端アナログの全体的な分子疎水性を、RP−HPLC−MSにより1mg/mlでの保持時間について測定した(表4および図14)。RP−HPLCは、ペプチドまたは抗菌ペプチド中のアミノ酸側鎖のこのような比較のために一般的に採用される研究方法である。C18修飾シリカの固定相は疎水性であり、移動相(水−アセトニトリル)は親水性であるため、より長い保持時間はより高い疎水性と相関があるはずである。ペプチドの分子疎水性についての測定値の序列は、W2>F2>L2>I2>Y2>V2>C2>H2のとおりである。
Hopp−Woodsの親水性尺度に基づいて、ペプチドの相対的な疎水性も計算した(表5)。この系列のペプチドの全体の疎水性についての序列は、W2>F2>Y2>L2=I2>V2>H2である。この尺度は、無極性の残基が負の値を与えられた場合の親水性の指標であり、親水性部分に基づいて抗原性領域を同定するために通常使用されている。各ペプチドについて、われわれは残りのアナログについてペプチドの相対的な疎水性を計るために、各ペプチドにおける各残基に対応する値を別々に合計した。この尺度を用いて算出されたペプチドの疎水性傾向は、Y2、L2およびI2についての序列を除き、実験的なHPLC保持時間のデータの傾向に概ね整合している。AcmはHopp−Woods尺度における対応値を有していないため、C2[C(Acm)2]は除外した。8種のペプチドは相対的に高い親水性を示すが、全体的な分子疎水性は広い範囲で異なっている(表4および図14)。
細胞毒性
天然のhBD3および8種の新規ペプチドのうち4種(W2、Y2、V2およびL2)について、ヒト結膜上皮細胞に対する細胞毒性を試験した。細胞毒性試験の一次結果(図15)は、4種のペプチドは、hBD3の直鎖状アナログの完全長の第1系列6種[F6、W6、Y6、A6、S6およびC(Acm)6]と同様、天然のhBD3と比較して6.25〜200μg/mlの範囲の濃度で細胞毒性の低減を呈していることを示している。
したがって、表4と図15とを比較すると、この系列のペプチドは、疎水性は細胞毒性と十分に相関するというわれわれが当初得た結論を裏付けている。われわれは、新規のペプチド設計により細胞毒性が低減することを示したが、これらのペプチドは上皮細胞で覆われている粘膜表面に向けられるであろうことを考慮すれば、このことはとりわけ重要である。
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これまでに報告されていない、ヒトβディフェンシン3の新規アナログW6、F6、Y6、S6、A6およびC(Acm)6を示す図である。 野生型hBD3およびhBD3の直鎖状アナログの、水中でのCD(円二色性)スペクトルを示す図である。図1B中の化合物C6という参照記号は、アナログC(Acm)6を表すことを意図している。 野生型hBD3およびhBD3の直鎖状アナログの、TFE中でのCD(円二色性)スペクトルを示す図である。 野生型hBD3およびhBD3の直鎖状アナログの、SDSミセル中でのCD(円二色性)スペクトルを示す図である。 hBD3アナログの濃度に応じたヒト結膜上皮細胞の生存能を示すグラフである。 hBD3アナログの溶血作用の濃度依存性を示すグラフである。 hBD3アナログの抗菌活性を示すグラフである。 精製済のW6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のW6のESI−MS分析におけるm/z=1132.9([M+5H]5+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のW6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のW6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のF6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のF6のESI−MS分析におけるm/z=1086([M+5H]5+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のF6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のF6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のY6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のY6のESI−MS分析におけるm/z=1105.3([M+5H]5+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のY6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のY6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のA6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のA6のESI−MS分析におけるm/z=994.8([M+5H]5+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のA6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のA6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のS6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のS6のESI−MS分析におけるm/z=845.1([M+6H]6+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のS6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のS6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のC6のUVクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のC6のESI−MS分析におけるm/z=799.3([M+7H]7+)でのSIRクロマトグラムであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のC6のESI−MS分析図であり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 精製済のC6のESI−MS分析におけるデコンボリューション後のMSスペクトルであり、条件は、C18(150mm×3.9mm、5μm、100Å)、流速0.2ml/分、溶離液Bの濃度勾配は32分間で18%から38%である。 荷電したペプチド断片のSIRクロマトグラムの保持時間から見た、hBD3のC末端断片ペプチドの全体の分子疎水性の比較図である。 C末端ペプチドの細胞毒性対濃度の関係を示すグラフである。
従来技術で開示済の配列
野生型 hBD3: 配列番号1
GIINTLQKYYCRVRGGRCAVLSCLPKEEQIGKCSTRGRKCCRRKK

(Wuら、2003)
C(Acm)1-5 配列番号26
GIINTLQKYYC(Acm)RVRGGRCAVLSCLPKEEQIGKCSTRGRKC(Acm)CRRKK

(Wuら、2003)
C(Acm)1-6 配列番号27
GIINTLQKYYC(Acm)RVRGGRCAVLSCLPKEEQIGKCSTRGRKCC(Acm)RRKK

(Wuら、2003)
[Abu]-BD3 配列番号28
GIINTLQKYYC[Abu]RVRGGRC[Abu]AVLSC[Abu]LPKEEQIGKC[Abu]STRGRK
C[Abu]C[Abu]RRKK

(Hooverら、2003) hBD3δ8 配列番号29
KYYCRVRGGRCAVLSCLPKEEQIGKCSTRGRKCCRRKK

(Hooverら、2003) hBD3δl0 配列番号30
YCRVRGGRCAVLSCLPKEEQIGKCSTRGRKCCRRKK

(Hooverら、2003) 配列番号31
KEEQIGKSSTRGRKSSRRKK

(Hooverら、2003) 配列番号32
KSSTRGRKSSRRKK

(Hooverら、2003) 配列番号33
RGRKSSRRKK

(Hooverら、2003) 配列番号34
RGRKSSRRK

(Hooverら、2003) 配列番号35
KYYSRVRGGRSAVLSSLPK

(Hooverら、2003) 配列番号36
GIINTLQKYYSRVRGGR

本発明による配列
配列番号2:
GIINTLQKYYX1RVRGGRX2AVLSX3LPKEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK
、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはそのアミノ酸は存在していない。Xの意味は、同様に以下の配列にも適用される。
配列番号3
KYYX1RVRGGRX2AVLSX3LPKEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号4
YX1RVRGGRX2AVLSX3LPKEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号5
LQKYYX1RVRGGRX2AVLSX3LPKEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号6
RX2AVLSX3LPKEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号7
KEEQIGKX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号8
KX4STRGRKX5X6RRKK

配列番号9
RGRKX5X6RRKK

配列番号10
RGRKX5X6RRK

配列番号11
KYYX1RVRGGRX2AVLSX3LPK

配列番号12
GIINTLQKYYX1RVRGGR

W6: 配列番号13
GIINTLQKYYWRVRGGRWAVLSWLPKEEQIGKWSTRGRKWWRRKK

F6: 配列番号14
GIINTLQKYYFRVRGGRFAVLSFLPKEEQIGKFSTRGRKFFRRKK

Y6: 配列番号15
GIINTLQKYYYRVRGGRYAVLSYLPKEEQIGKYSTRGRKYYRRKK

S6: 配列番号16
GIINTLQKYYSRVRGGRSAVLSSLPKEEQIGKSSTRGRKSSRRKK

A6: 配列番号17
GIINTLQKYYARVRGGRAAVLSALPKEEQIGKASTRGRKAARRKK

C(Acm)6: 配列番号18
GIINTLQKYY C(Acm)6RVRGGR C(Acm)6AVLS
C(Acm)6LPKEEQIGK C(Acm)6STRGRK C(Acm)6C(Acm)6RRKK

C(But)6: 配列番号19
GIINTLQKYY C(But)6RVRGGR C(But)6AVLS
C(But)6LPKEEQIGK C(But)6STRGRK C(But)6C(But)6RRKK

C(t-Buthio)6: 配列番号20
GIINTLQKYY C(t-Buthio)6RVRGGR
C(t-Buthio)6AVLS C(t-Buthio)6LPKEEQIGK C(t-Buthio)6STRGRK
C(t-Buthio)6C(t-Buthio)6RRKK

C(Bzl)6: 配列番号21
GIINTLQKYY C(Bzl)6RVRGGR C(Bzl)6AVLS
C(Bzl)6LPKEEQIGK C(Bzl)6STRGRK C(Bzl)6C(Bzl)6RRKK

C(4-MeBzl)6: 配列番号22
GIINTLQKYY C(4-MeBzl)6RVRGGR
C(4-MeBzl)6AVLS C(4-MeBzl)6LPKEEQIGK C(4-MeBzl)6STRGRK
C(4-MeBzl)6C(4-MeBzl)6RRKK

C(4-MeO-Bzl)6: 配列番号23
GIINTLQKYY C(4-MeO-Bzl)6RVRGGR
C(4-MeO-Bzl)6AVLS C(4-MeO-Bzl)6LPKEEQIGK C(4-MeO-Bzl)6STRGRK
C(4-MeO-Bzl)6C(4-MeO-Bzl)6RRKK

C(Mmt)6: 配列番号24
GIINTLQKYY C(Mmt)6RVRGGR C(Mmt)6AVLS
C(Mmt)6LPKEEQIGK C(Mmt)6STRGRK C(Mmt)6C(Mmt)6RRKK

C(Cam)6: 配列番号25
GIINTLQKYY C(Cam)6RVRGGR C(Cam)6AVLS
C(Cam)6LPKEEQIGK C(Cam)6STRGRK C(Cam)6C(Cam)6RRKK

WT C-terminus: 配列番号37
RGRKCCRRKK

W2: 配列番号38
RGRKWWRRKK

F2: 配列番号39
RGRKFFRRKK

Y2: 配列番号40
RGRKYYRRKK

L2: 配列番号41
RGRKLLRRKK

I2: 配列番号42
RGRKIIRRKK

V2: 配列番号43
RGRKVVRRKK

H2: 配列番号44
RGRKHHRRKK

C2 or C(Acm)2: 配列番号45
RGRKC(Acm)C(Acm)RRKK

Claims (50)

  1. hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、ただし前記アナログは配列番号28ではなく、前記断片は配列番号31から36のいずれでもない、単離抗菌ペプチド。
  2. hBD3のシステイン残基のいずれか1つが、他の任意のアミノ酸もしくはその誘導体で置き換えられているか、または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えられているか、または前記システイン残基は欠失している、請求項1に記載の単離ペプチド。
  3. 配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含み、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはアミノ酸は存在していない、請求項1または2に記載の単離ペプチド。
  4. 配列番号13から25のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  5. 配列番号13から18のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  6. 任意の前記保護されたシステイン残基が、C(Acm)、C(But)、C(t−Buthio)、C(Bzl)、C(4−Me−Bzl)、C(4−MeO−Bzl)、C(Mmt)またはC(Cam)のいずれか1つである、請求項2から5のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  7. hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、配列番号39から45のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む、単離抗菌ペプチド。
  8. hBD3の直鎖状アナログまたはその断片であり、配列番号2から12のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含み、配列中、X、X、X、X、XおよびXのいずれか1つは、システイン以外の任意のアミノ酸であるか、C[Abu]以外の保護されたシステイン残基もしくはその誘導体であるか、またはアミノ酸は存在していない、単離抗菌ペプチド。
  9. 配列番号13から25のいずれか1つのアミノ酸配列またはその断片を含む、請求項8に記載の単離ペプチド。
  10. 野生型hBD3と比較して、少なくとも1種の細胞に対する細胞毒性が低下している、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のペプチドまたはその断片をコードする単離ポリヌクレオチド。
  12. 請求項11に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  13. 請求項11に記載のポリヌクレオチドまたは請求項12に記載のベクターを含む宿主細胞。
  14. 請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチドまたはその断片を含む医薬組成物。
  15. 局所、経口または非経口投与用に処方されている、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 注射による投与用に処方されている、請求項14または15に記載の医薬組成物。
  17. 吸入による投与用に処方されている、請求項14または15に記載の医薬組成物。
  18. 請求項1から10のいずれかに記載の少なくとも1種のペプチドまたはその断片および少なくとも1種の非ペプチド性抗菌剤を含む抗菌組成物。
  19. 局所投与用であり、皮膚および/または粘膜の治療に適している、請求項14から17のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項18に記載の抗菌組成物。
  20. 点眼剤の組成物および/または溶液の形態である、請求項14から17のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項18に記載の抗菌組成物。
  21. 請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物、および/または請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のペプチドもしくはその断片を含む、コンタクトレンズ用溶液。
  22. 少なくとも1種のポリマーおよび請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を含む、コンタクトレンズ用溶液。
  23. 請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物、または請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のペプチドもしくはその断片を含む、機器コーティング。
  24. 医療機器コーティングである、請求項23に記載の機器コーティング。
  25. 請求項23または24のいずれか一項に記載の少なくとも1種のコーティングで被覆された機器。
  26. カテーテル、針、シース、ステントおよび/または包帯である、請求項25に記載の機器。
  27. 少なくとも1種の適当な容器に入れられた、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を含む、キット。
  28. 少なくとも1種の追加の抗菌剤をさらに含む、請求項27に記載のキット。
  29. 少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を、単独で、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせて前記微生物に接触させることを含む方法。
  30. 宿主体内での少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を、単独で、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせて前記宿主に投与または前記宿主の上に適用することを含む方法。
  31. 少なくとも1種の微生物感染症を治療する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を、単独で、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせて対象に投与することを含む方法。
  32. 少なくとも1種の多剤耐性微生物を処理する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の抗菌ペプチド、請求項14から17のいずれか一項に記載の少なくとも1種の医薬組成物、および/または請求項18に記載の少なくとも1種の抗菌組成物を、単独で、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせて用いて前記微生物を処理することを含む方法。
  33. 前記微生物が、類鼻疸菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、セレウス菌、ウイルスおよび/または真菌である、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 少なくとも1種のhBD3アナログまたはその断片を少なくとも1種の細胞に投与すること、および前記アナログまたはその断片は野生型hBD3と比較して前記細胞に対する細胞毒性が低下しているかどうかを確認することを含む、薬剤スクリーニング法。
  35. ペプチドアナログまたはその断片を設計する方法であって、任意のシステイン残基を欠失させること、任意のシステイン残基を他の任意のアミノ酸もしくはその誘導体または保護されたシステイン残基もしくはその誘導体で置き換えること、細胞に投与すること、および細胞毒性の低下を確認することを含む方法。
  36. 前記ペプチドが少なくとも1種のhBD3アナログである、請求項35に記載の方法。
  37. 抗菌剤として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  38. 局所投与用、ならびに/または、皮膚および/もしくは粘膜の治療用の医薬として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  39. 点眼剤の組成物および/または溶液として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  40. コンタクトレンズ用溶液として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  41. 機器コーティングおよび/または医療機器コーティングとして使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  42. 少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  43. 少なくとも1種の微生物感染症を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチド。
  44. 抗菌剤の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  45. 局所投与用、ならびに/または、皮膚および/もしくは粘膜の治療用の医薬の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  46. 点眼剤の組成物および/または溶液の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  47. コンタクトレンズ用溶液の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  48. 機器コーティングおよび/または医療機器コーティングの製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  49. 単独の、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせた、少なくとも1種の微生物の生育を阻害および/または抑制するための組成物の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
  50. 単独の、または別の抗菌剤および/または抗生物質と組み合わせた、少なくとも1種の微生物感染症を治療するための医薬の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ペプチドの使用。
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