JP2009534454A - 医薬化合物 - Google Patents

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Abstract

式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体およびN−オキシドを提供する。式中、TGは、以下の(1)および(2)基から選択される。式中、星印()は、E基のX基への結合地点を示し;R1aは場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基であり;R1bは水素またはR1a基であり;Xは、5つまでがO、N、およびSから選択されるヘテロ原子である8〜12環員を有する、場合により置換された二環ヘテロ環式基であり;A、E、R、R、R、QおよびQは請求項に記載の通りであり(但し、Eがアリールまたはヘテロアリールである場合にはQが結合ではない);部分(a)が以下の(BG1)または(BG2)基ではない。式中、(BG1)および(BG2)はそれぞれ場合により置換され;TはNまたはCRであり;J−Jは、N=C(R)、(R)C=N、(R)N−C(O)、(RC−C(O)、N=N、および(R)C=C(R)から選択され;J−Jは、N=C(R)基または(R)N−CO基であり、Rは水素または置換基である。当該式(I)の化合物は、PKAおよびPKBキナーゼ阻害活性を有し、癌治療に有用である。

Description

発明の背景
技術分野
本発明は、プロテインキナーゼB(PKB)およびプロテインキナーゼA(PKA)の活性を阻害または調節するアリール−およびヘテロアリール−アルキルアミン化合物、PKBおよびPKAが仲介する病態または症状の治療または予防における当該化合物の使用、ならびにPKBおよびPKAの阻害または調節活性を有する新規の化合物に関する。さらに、本発明は、当該化合物および新規の化学中間体を含有する医薬組成物を提供する。
背景技術
プロテインキナーゼは、細胞内における様々なシグナル伝達過程の制御に関与する構造的に関連する酵素の大きなファミリーを形成している(ハーディー(Hardie,G.)およびハンクス(Hanks,S.)、1995年、『タンパク質キナーゼファクトブックIおよびII(The Protein Kinase Facts Book、I and II)』、アカデミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ、カリフォルニア)。上記キナーゼは、それらがリン酸化する基質により、各ファミリーに分類される(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)。これらキナーゼファミリーの各々に通常対応する配列モチーフが特定されてきた(例えば、ハンクス(Hanks,S.K.)、ハンター(Hunter,T.)、『米国実験生物学協会誌(FASEB J.)』、9:576〜596頁、1995年;ナイトン(Knighton)ら、『サイエンス(Science)』、253:407〜414頁、1991年;ハイルズ(Hiles)ら、『セル(Cell)』、70:419〜429頁、1992年;クンツ(Kunz)ら、『セル(Cell)』、73:585〜596頁、1993年;ガルシア−ブストス(Garcia−Bustos)ら、『欧州分子生物学機構誌(EMBO J.)』、13:2352〜2361頁、1994年)。
プロテインキナーゼはそれらの調節メカニズムにより特徴付けられる。これらのメカニズムには、例えば自己リン酸化、他のキナーゼによるリン酸基転移、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用、およびタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用がある。個々のプロテインキナーゼは2以上のメカニズムにより調節されることもある。
キナーゼは、リン酸基を標的タンパク質へ付加することにより、増殖、分化、アポトーシス、運動、転写、翻訳、および他のシグナル伝達作用に限定されないが、それらを含めた多くの異なる細胞過程を調節している。これらのリン酸化現象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節または調節しうる分子オン/オフスイッチとして作用する。標的タンパク質のリン酸化は、様々な細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖、および分化因子など)、細胞周期現象、環境ストレス、または栄養ストレスなどに反応して生じる。適切なプロテインキナーゼは、例えば代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャンネルまたはイオンポンプ、または転写因子を(直接的または間接的に)活性化または不活性化するために、シグナル伝達経路において機能する。タンパク質リン酸化の制御の欠陥に起因する制御されないシグナルは、例えば炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾病および症状、中枢神経系の疾病および症状、および血管新生を含む、多くの疾病に関与している。
アポトーシスすなわちプログラム細胞死は、生物にもはや必要とされない細胞を除去する重要な生理的過程である。この過程は初期胚の成長および発生において重要であり、細胞成分の制御された非壊死的な破壊、除去および回復を可能にする。アポトーシスによる細胞の除去は、増殖細胞集団の染色体およびゲノムの全体性の維持においてもまた重要である。DNA損傷およびゲノムの全体性が注意深くモニタリングされる細胞増殖サイクルには、いくつかの公知のチェックポイントがある。かかるチェックポイントでの異常の検出に対する反応は、かかる細胞の増殖を停止し、修復過程を開始することである。損傷または異常を修復できないならば、欠陥およびエラーの伝播を防止するために、損傷を受けた細胞によりアポトーシスが開始される。癌細胞は、染色体DNA中に多数の変異、エラーまたはリアレンジメントを一貫して含んでいる。大多数の腫瘍はアポトーシス過程の開始に関与する過程の1つまたは複数において欠陥を有するので、このようなことが部分的に生じると広く考えられている。通常の制御機構は癌細胞を殺すことができず、染色体エラーまたはDNAのコードするエラーが伝播され続ける。結果として、これらのプロアポトーシスシグナルを回復させるか、または無秩序な生存シグナルを抑制することが、癌を治療する好ましい手段である。
酵素のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)、PDK1およびPKBをとりわけ含んでいるシグナル伝達経路は、多くの細胞におけるアポトーシスに対する耐性の増加または生存のための反応を仲介することが長く知られている。この経路がアポトーシスを抑制する多くの増殖因子によって使用される重要な生存経路であることを示す多大な量のデータがある。PI3Kの酵素は、増殖因子および生存因子の範囲(例えばEGF、PDGF)によって、およびポリホスファチジルイノシトールの生成を介して活性化され、キナーゼPDK1、およびAktとしてもまた公知であるプロテインキナーゼB(PKB)の活性を含む下流のシグナル伝達事象の活性化を開始する。このことは腫瘍形成だけでなく、宿主組織(例えば血管内皮細胞)においてもまた当てはまる。PKBは、キナーゼドメインと、N−端末PHドメインと、C−端末調節ドメインとを含むプロテインser/thrキナーゼである。酵素PKBは、PDK1によってThr308上でリン酸化され、未だ同定されてないキナーゼによってSer473上でリン酸化される。PIP3とPHドメインとの間での結合が、基質への最適な接近を提供する脂質膜の細胞質表面への酵素のアンカリングのために必要とされるが、完全活性化には両方の部位でのリン酸化が必要とされる。
活性化されたPKBは、今度は、全般的な生存のための反応に寄与する様々な基質をリン酸化する。PKB依存性の生存のための反応の仲介に関与する因子がすべて理解されているとは確信できないが、いくつかの重要な作用は、プロアポトーシス因子のBADおよびカスパーゼ9のリン酸化および不活性化、フォークヘッド転写因子(例えば、FKHR)の核からの排除をもたらすそれらの転写因子のリン酸化、およびカスケードの上流のキナーゼのリン酸化によるNfκB経路の活性化であると考えられる。
PKB経路の抗アポトーシス作用および生存支持作用に加えて、上記酵素は細胞増殖の促進においてもまた重要な役割を果たす。この作用は、重ねていくつかの作用によって仲介されるようであり、それらのいくつかは、p21Cip1/WAF1のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤のリン酸化および不活性化、ならびにmTOR(細胞成長のいくつかの態様を制御するキナーゼ)のリン酸化および活性化であると考えられる。
ポリホスファチジルイノシトールを脱リン酸化し不活性化するホスファターゼPTENは、PI3K/PKB生存経路を調節するように通常は作用する重要な腫瘍抑制タンパク質である。腫瘍形成におけるPI3K/PKB経路の重要性は、PTENがヒト腫瘍における変異の最も一般的な標的の1つであるという観測から判断することができ、このホスファターゼにおける変異は、黒色腫(グルベル(Guldberg)ら、1997年、『キャンサーリサーチ(Cancer Research)』、57、3660〜3663頁)および進行性前立腺癌(ケアンズ(Cairns)ら、1997年、『キャンサーリサーチ(Cancer Research)』、57、4997頁)の〜50%またはそれ以上において見出されている。これらの観測およびなどから、広範囲の腫瘍タイプが増殖および生存のために増強されたPKB活性に依存しており、PKBの適切な阻害剤に治療上反応するだろうことが示唆される。
アルファ、ベータおよびガンマと呼ばれるPKBの3つの密接に関連したアイソフォームがあり、遺伝学的研究から、それらは異なるがオーバーラップする機能を有することが示唆されている。それらがすべてガンにおいて独立して役割を果すことができることを示唆する証拠がある。例えば、PKBベータは、卵巣および膵臓癌の10〜40%において、過剰発現または活性化されていることが見出され(ベラコサ(Bellacosa)ら、1995年、『インターナショナルジャーナルオブキャンサー(Int.J.Cancer)』、64、280〜285頁;チェン(Cheng)ら、1996年、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』、93、3636〜3641頁;ユアン(Yuan)ら、2000年、『オンコジーン(Oncogene)』、19、2324〜2330頁)、PKBアルファは、ヒト胃癌、前立腺癌および乳癌において増幅され(スタール(Staal)、1987年、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』、84、5034〜5037頁;ソン(Sun)ら、2001年、『米国病理学会誌(Am.J.Pathol.)』、159、431〜437頁)、PKBガンマ活性の増加が、ステロイド非依存性乳腺細胞株および前立腺細胞株において観察された(ナカタニ(Nakatani)ら、1999年、『生化学ジャーナル(J.Biol.Chem.)』、274、21528〜21532頁)。
PKB経路は、正常組織の増殖および生存においてもまた機能し、細胞および組織の機能を制御するために通常の生理機能の間に調節される可能性がある。したがって、正常な細胞および組織の不適当な増殖および生存に関連した疾患もまた、PKB阻害剤による治療から治療上の利益を得る可能性がある。そのような疾患の例は、持続的またはアップレギュレートされた免疫反応をもたらす細胞集団の持続的増加および生存に関連した免疫細胞の疾患である。例えば、同種抗原またはインターロイキン−2のような増殖因子に対するTリンパ球およびBリンパ球の反応は、PI3K/PKB経路を活性化し、免疫反応の間の抗原特異的リンパ球クローンの生存の維持に関与する。リンパ球および他の免疫細胞が不適当な自己抗原または異種抗原に対して反応している条件の下で、または他の異常が持続的活性化をもたらす条件の下で、活性化された細胞集団のアポトーシスによって免疫反応が終結される正常なメカニズムを妨害する重要な生存シグナルに、PKB経路は寄与する。多発性硬化症および関節炎のような自己免疫の疾患の自己抗原に対して反応するリンパ球集団の増加を実証する、かなりの量の証拠がある。異種抗原に対して不適切に反応するリンパ球集団の増加は、アレルギー反応および喘息のような他のセットの症状の特徴である。要約すると、PKBの阻害により、免疫疾患に有用な治療を提供することができる可能性がある。
PKBが役割を果たすであろう正常細胞の不適当な増加、成長、増殖、増生および生存の他の例は、アテローム性動脈硬化、心筋症および糸球体腎炎を含むが、これらに限定されない。
細胞の増殖および生存における役割に加えて、PKB経路はインスリンによるグルコース代謝の制御において機能する。PKBアルファアイソフォームおよびPKBベータアイソフォームを欠損するマウスからの入手可能な証拠は、この作用はベータアイソフォームによって仲介されることを示唆する。結果として、PKB活性のモジュレーターはまた、糖尿病、代謝疾患および肥満のような、グルコース代謝およびエネルギー貯蔵に機能疾患のある疾病において有用である可能性がある。
サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)は、広範囲の基質をリン酸化し、細胞増殖、細胞分化、イオンチャネル伝導度、遺伝子転写および神経伝達物質のシナプス放出を含む、多くの細胞過程の調節に関与するセリン/トレオニンプロテインキナーゼである。PKAホロ酵素は、不活性型においては、2つの調節サブユニットおよび2つの触媒サブユニットを含む四量体である。
PKAは、Gタンパク質に仲介されるシグナル伝達事象、およびそれらが調節する細胞過程との間でリンクとして働く。グルカゴンのようなホルモンリガンドの膜貫通受容体への結合は、受容体共役Gタンパク質(GTPを結合し加水分解するタンパク質)を活性化する。活性化に際して、Gタンパク質のアルファサブユニットは解離し、アデニル酸シクラーゼに結合しそれを活性化し、それは次にATPをサイクリックAMP(cAMP)に変換する。このように産生されたcAMPは次にPKAの調節サブユニットに結合し、結合された触媒サブユニットの解離をもたらす。PKAの触媒サブユニット(調節サブユニットを結合させた場合には不活性である)は、解離に際して活性化され、他の調節タンパク質のリン酸化に関与する。
例えば、PKAの触媒サブユニットは、フォスフォリラーゼ(グルコースを放出するためのグリコーゲンの破壊に関与する酵素)のリン酸化に関わるキナーゼであるフォスフォリラーゼキナーゼをリン酸化する。PKAはまた、グリコーゲン合成酵素のリン酸化および非活性化による血糖値の調節にも関わる。したがって、PKA活性(そのモジュレーターはPKA活性を増加または減少させ得る)のモジュレーターは、糖尿病、代謝疾患および肥満のような、グルコース代謝およびエネルギー貯蔵に関する機能疾患が存在する疾病の治療または管理に有用である可能性がある。
PKAは、T細胞活性化の急性阻害剤としてもまた確立されている。アンダール(Anndahl)らは、HIV感染患者からのT細胞ではcAMPのレベルが増加しており、正常なT細胞よりもcAMPアナログによる阻害に対してより敏感であるということに基づいて、HIV誘導性T細胞機能疾患におけるPKAタイプIの奏し得る役割を調べた。彼らの研究から、PKAタイプIの活性化の増加がHIV感染における進行性T細胞機能疾患の一因となり、したがってPKAタイプIが免疫賦活療法に関して可能性のある標的になり得ることが結論づけられた。アンダール(Aandahl,E.M.)、アウクルスト(Aukrust,P.)、スカルへグ(Skalhegg,B.S.)、ミュラー(Muller,F.)、フロランド(Froland,S.S.)、ハンション(Hansson,V.)、タスケン(Tasken,K.)、「プロテインキナーゼAタイプIアンタゴニストは、HIV感染患者からのT細胞の免疫反応を回復させる(Protein kinase A type I antagonist restores immune responses of T cells from HIV−infected patients)」、『米国実験生物学協会誌(FASEB J.)』、12、855〜862頁(1998年))。
PKAの調節サブユニットにおける変異が、内分泌組織における過活性化をもたらし得ることもまた認識されている。
細胞調節におけるメッセンジャーとしてのPKAの多様性および重要性のために、cAMPの異常反応は、正常ではない細胞成長および増殖のような、これに由来する様々なヒト疾患をもたらし得る(ストラタキス(Stratakis,C.A.)、チョ−チョン(Cho−Chung,Y.S.);「プロテインキナーゼAおよびヒト疾病(Protein Kinase A and human diseases)」、『Trends Endrocri.Metab.』、2002年、13、50〜52頁)。PKAの過剰発現は、卵巣癌、乳癌および結腸癌患者からの細胞を含む様々なヒト癌細胞において観察されている。したがって、PKAの阻害は癌治療に対するアプローチとなるだろう(リ(Li,Q.)、ジュ(Zhu,G−D.);『Current Topics in Medicinal Chemistry』、2002年、2、939〜971頁)。
ヒト疾病におけるPKAの役割の総説については、例えば、『プロテインキナーゼAおよびヒト疾患―ニューヨーク科学アカデミー年報(Protein Kinase A and Human Disease―Annals of the New York Academy of Sciences)』、コンスタンチンストラタキス(Constantine A.Stratakis)編、第968巻、2002年、ISBN 1−57331−412−9を参照。
hERG
1990年代末頃、米国FDAによって認可された多くの医薬品が、心機能不全による死亡に関係していることが見出されたため、米国市場からの撤退を余儀なくされた。後に、これらの医薬品の副作用は、心臓細胞におけるhERGチャネルを塞ぐことによる不整脈の発生であることが分かった。hERGチャネルは、カリウムイオンチャネルファミリーの1つであり、その最初のメンバーは、1980年代末頃に、ショウジョウバエの一種であるキイロショウジョウバエの変異体で見出された(ジャン(Jan,L.Y.)およびジャン(Jan,Y.N.)(1990年)「イオンチャネルの超ファミリー(A Superfamily of Ion Channels)」、『ネイチャー(Nature)』、345(6277):672を参照)。hERGカリウムイオンチャネルの生物物理特性は、サンギネッチ(Sanguinetti,M.C.)、ジアング(Jiang、C.)、ルラン(Curran,M.E.)、およびキーティング(Keating,M.T.)(1995年)「遺伝性心不整脈と生得性心不整脈との機械論的リンク:HERGはIkrカリウムチャネルをコードする(A Mechanistic Link Between an Inherited and an Acquired Cardiac Arrhythmia: HERG encodes the Ikr potassium channel)」、『セル(Cell)』、81:299〜307頁、ならびにトルード(Trudeau,M.C.)、ウォームク(Warmke,J.W.)、ゲネツキー(Ganetzky,B.)、およびロバートソン(Robertson,G.A.)(1995年)「HERG、電圧ゲートカリウムチャネルファミリーにおけるヒトの内部整流器(HERG, a Human Inward Rectifier in the Voltage−Gated Potassium Channel Family)」、『サイエンス(Science)』、269:92〜95頁に記載されている。
従来技術
数種の化合物が、PKAおよびPKB阻害活性を有するものとして開示されている。
例えば、WO01/91754(イッサム(Yissum))は、PKB阻害活性を有するイソキノリニル−スルホンアミド−ジアミンの一種を開示している。
WO2005/061463(アステックス(Astex))は、PKBおよびPKA阻害活性を有するピラゾール化合物を開示している。
発明の概要
本発明は、プロテインキナーゼB(PKB)およびプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有し、PKBまたはPKAが仲介する病態または症状を予防または治療するのに有用であろうと予想される化合物を提供する。
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物:
Figure 2009534454
またはその塩、溶媒和物、互変異性体、もしくはN−オキシドを提供する。
式中、TGは、
(1)基
Figure 2009534454
および
(2)基
Figure 2009534454
から選択され:
式中、
星印()は、E基のX基への結合地点を示し;
Aは、1〜7つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基は、R1aとNRとの間に延びる5原子の最大鎖長およびEとNRとの間に延びる4原子の最大鎖長を有し、上記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく;リンカー基Aの炭素原子は、オキソ、フッ素、およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置せず、オキソ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子に位置する);
Eは、単環もしくは二環炭素環式またはヘテロ環式基であり;
上記X基は、5つまでがO、N、およびSから選択されるヘテロ原子である8〜12環員を有する二環ヘテロ環式基であり;
1aはアリールまたはヘテロアリール基であり;
1bは水素またはR1a基であり;
およびRは、独立して、水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択され、上記ヒドロカルビルおよびアシル部分は、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメトキシから選択される1つ以上の置換基によって場合により置換され;または
およびRは、それらが結合する窒素原子とともに、イミダゾール基、および4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基から選択される環式基を形成する;または
およびRのうち一方は、それらが結合する窒素原子とリンカー基Aからの1つ以上の原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成する;または、
NRは、それが結合するリンカー基Aの炭素原子とともに、シアノ基を形成し;
nは0〜4であり;
各Rは、独立して、オキソ;ハロゲン;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビル;シアノ;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビルオキシ;CONH;CONHR;CF;NH;NHCOR;NHCONHR;およびNHRから選択され;
はR9aまたは(CH)R9a基であり、R9aは炭素環式またはヘテロ環式であってもよい単環または二環式基であり;
上記炭素環式基またはヘテロ環式基R9aは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、R−R基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換され、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR、またはNRSOであり;Rは、水素、3〜12環員を有するヘテロ環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換されたC1−8ヒドロカルビル基から選択され、上記C1−8ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X、またはXC(X)Xによって場合により置き換えられていてもよく;
は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択され;
は、O、S、またはNRであり、Xは、=O、=S、または=NRであり;
は、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく、あるいは、隣接する炭素原子対はCONRまたはNRCOによって置き換えられていてもよく、Rは水素、C1−4アルキル、またはシクロプロピルであり、あるいはRは、R1bまたはQの他の炭素原子に結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖であり;リンカー基Qの炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく;
は、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく;リンカー基の炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置しない);Eがアリールまたはヘテロアリールである場合にはQが結合ではなく;部分
Figure 2009534454
が(BG1)または(BG2)基ではなく;
(BG1)
Figure 2009534454
(BG2)
Figure 2009534454
式中、
(BG1)および(BG2)はそれぞれ場合により置換され;
星印()はE基への結合地点を示し;
TはNまたはCR基であり;
−Jは、N=C(R)、(R)C=N、(R)N−C(O)、(RC−C(O)、N=N、および(R)C=C(R)から選択される基を示し;
−Jは、N=C(R)基または(R)N−CO基であり;
は水素または置換基である。
BG1およびBG2基を含有する化合物は、本出願人らの以前の国際特許出願PCT/GB2005/004115、PCT/GB2005/004119、およびPCT/GB2005/004323(参照することにより、その内容は本出願に組み込まれる)において開示されており、これらの化合物は、本願の式(I)の範囲から明白に除外される。
さらに、本発明は以下を提供する。
プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の化合物、またはそのサブグループ。
プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループの使用。
投与を必要とする対象者に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを投与することを含む、プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療方法。
哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の化合物、またはそのサブグループ。
哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループの使用。
哺乳動物に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを、プロテインキナーゼBの活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
プロテインキナーゼBの阻害に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の化合物、またはそのサブグループ。
プロテインキナーゼBを、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)のキナーゼ阻害化合物、またはそのサブグループに接触させることを含むプロテインキナーゼBの阻害方法。
プロテインキナーゼBの活性を阻害することによる、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)の調節に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の化合物、またはそのサブグループ。
本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを用いてプロテインキナーゼBの活性を阻害することによる、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)の調節方法。
プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態。
プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態の使用。
投与を必要とする対象者に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態を投与することを含む、プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療方法。
哺乳動物に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態を、プロテインキナーゼAの活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
プロテインキナーゼAを、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)のキナーゼ阻害化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態に接触させることを含むプロテインキナーゼAの阻害方法。
本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態を用いてプロテインキナーゼAの活性を阻害することによる、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)の調節方法。
哺乳動物に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを、異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の罹患率の減少または低減に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態。
哺乳動物に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを、異常な細胞成長を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長または細胞死の異常な停止を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の罹患率の減少または低減方法。
本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の新規の化合物またはそのサブグループと、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
医療に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループ。
本明細書において開示される病態または症状のいずれか1つの予防または治療用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループの使用。
患者(例えば、投与を必要とする患者)に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを(例えば、治療上有効な量で)投与することを含む、本明細書において開示される病態または症状のいずれか1つの治療または予防方法。
患者(例えば、投与を必要とする患者)に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループを(例えば、治療上有効な量で)投与することを含む、本明細書において開示される病態または症状の罹患率の減少または低減方法。
スクリーニングを受けた患者であって、プロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物を用いた治療に感受性を有し得る疾患または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者の病態または症状の治療または予防に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態。
(i)患者をスクリーニングして、患者が罹患している、または罹患している可能性のある疾患または症状が、プロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物を用いた治療への感受性を有し得るものか否かを判定することと;(ii)患者の疾病または症状がそのような感受性を有することが示された場合、患者に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループに投与することとを含む、プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の診断および治療方法。
スクリーニングを受けた患者であって、プロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物を用いた治療に感受性を有し得る疾患または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者の病態または症状の治療または予防用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループの使用。
(i)患者をスクリーニングして、患者が罹患している、または罹患している可能性のある疾患または症状が、プロテインキナーゼAに対して活性を有する化合物を用いた治療への感受性を有し得るものか否かを判定することと;(ii)患者の疾病または症状がそのような感受性を有することが示された場合、患者に、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態を投与することとを含む、プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の診断および治療方法。
スクリーニングを受けた患者であって、プロテインキナーゼAに対して活性を有する化合物を用いた治療に感受性を有し得る疾患または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者の病態または症状の治療または予防用の薬剤を調製するための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態の使用。
スクリーニングを受けた患者であって、プロテインキナーゼAに対して活性を有する化合物を用いた治療に感受性を有し得る疾患または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者の病態または症状の治療または予防に用いるための、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の化合物、またはそのサブグループもしくは実施形態。
一般的な好ましい選択肢および定義
次の一般的な好ましい選択肢および定義が、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、A、E、Q、Q、およびR1a〜R部分の各々、ならびにそれらの種々の部分定義、サブグループ、または実施形態に当てはまる。
本明細書において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(I)への言及は、式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)および式(I)の化合物の任意の他のサブグループにも言及していると解釈されるべきである。
本願において、部分:
Figure 2009534454
を、便宜上、「二環式基X」または「二環式基」と記載することがある。
本明細書において「炭素環式」基および「ヘテロ環式」基とは、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、芳香族環系と非芳香族環系の両方を含む。一般に、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より一般的には5〜10環員を含み得る。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より一般的には3〜7、好ましくは5または6環員を含む基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より一般的には9または10環員を含むものがある。
炭素環式基またはヘテロ環式基は5〜12環員、より一般的には5〜10環員を有するアリールまたはヘテロアリール基であり得る。本明細書において「アリール」とは、芳香族性を有する炭素環式基を意味し、本明細書において「ヘテロアリール」とは、芳香族性を有するヘテロ環式基を表す。「アリール」および「ヘテロアリール」とは1以上の環が非芳香族であるが、少なくとも1つの環が芳香族である、多環式(例えば、二環式)環系を包含する。このような多環式系では、基は芳香環によって結合されてもよいし、または非芳香環によって結合されてもよい。アリール基またはヘテロアリール基は、単環式基または二環式基であってよく、非置換型であっても、1以上の置換基、例えば、本明細書で定義される1つ以上の基R10によって置換されていてもよい。
「非芳香族基」とは、芳香性を持たない不飽和環系、部分飽和および完全飽和炭素環系およびヘテロ環系を包含する。「不飽和」および「部分飽和」とは、環構造が1を超える価数の結合を共有する原子を含む環を意味し、すなわち、その環は少なくとも1つの多重結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む。「完全飽和」とは、環原子間に多重結合がない環を意味する。飽和炭素環式基としては、以下で定義するようなシクロアルキル基が挙げられる。部分飽和炭素環式基としては、以下で定義するようなシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられる。
ヘテロアリール基の例としては、5〜12環員、より一般的には5〜10環員を含む単環式基および二環式基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員単環式環であるか、または縮合5員環および6員環または2つの縮合6員環から形成された二環式構造であり得る。各環は、典型的には窒素、硫黄および酸素から選択される約4つまでの異種原子を含んでいてもよい。典型的には、ヘテロアリール環は3つまでのヘテロ原子、より典型的には2つまでのヘテロ原子、例えば、1つのヘテロ原子を含む。一実施形態によれば、ヘテロアリール環は、少なくとも1つの環窒素原子を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、あるいはインドールまたはピロール窒素の場合のように実質的に非塩基性であってもよい。一般に、環のアミノ基置換基を含むヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子数は5つ未満である。
5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基が挙げられる。
6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンが挙げられる。
二環式ヘテロアリール基としては、例えば、次のものから選択される基であり得る。
a)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したベンゼン環、
b)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリジン環、
c)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリミジン環、
d)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピロール環、
e)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラゾール環、
f)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラジン環、
g)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイミダゾール環、
h)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したオキサゾール環、
i)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソキサゾール環、
j)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチアゾール環、
k)1または2環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソチアゾール環、
l)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチオフェン環、
m)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したフラン環、
n)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロヘキシル環、および
o)1、2または3環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロペンチル環。
5員環と縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ベンゾジオキソール、およびピラゾロピリジン基が挙げられる。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンズオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基が挙げられる。
芳香環と非芳香環を含む多環式アリール基およびヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロナフタレン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンズフラン、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン、インドリンおよびインダン基が挙げられる。
炭素環式アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基が挙げられる。
非芳香族ヘテロ環式基の例としては、3〜12環員、より一般的には5〜10環員を有する基が挙げられる。このような基は、例えば単環式または二環式であり、一般的には窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜5つのヘテロ原子環員(より一般的には1、2、3、または4つのヘテロ原子環員)を典型的に有している。
これらのヘテロ環式基は例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレン)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびその組合せ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。非芳香族ヘテロ環式基の他の例は、環状アミド部分(例えば、ピロリドンの場合)および環状エステル部分(例えば、ブチロラクトンの場合)を含む。
単環式非芳香族ヘテロ環式基の例としては、5、6、および7員単環ヘテロ環式基が挙げられる。具体例としては、モルホリン、チオモルホリンおよびそのS−オキシドとS,S−ジオキシド(特に、チオモルホリン)、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、および4−ピペリジニル)、N−アルキルピペリジン、例えば、N−メチルピペリジン、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、および3−ピロリジニル)、ピロリドン、アゼチジン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、およびN−イソプロピルピペラジンが挙げられる。
単環非芳香族ヘテロ環式基の1つのサブグループは、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、および4−ピペリジニル)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、ならびにN−メチルピペラジン等のN−アルキルピペラジンを含む。一般に、好適な非芳香族ヘテロ環式基は、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、モルホリン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジンを含む。上記好適な非芳香族ヘテロ環式基の基の一部を形成する非芳香族ヘテロ環式基のさらなる特定の例にはアゼチジンがある。
非芳香族炭素環式基の例としては、シクロアルカン基、例えば、シクロヘキシルおよびシクロペンチル、シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニル、ならびにシクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエン、テトラヒドロナフテニル、およびデカリニルが挙げられる。
本明細書において、炭素環式およびヘテロ環式基に言及する場合、炭素環式またはヘテロ環式基は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、非置換であるか、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノまたはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基、基R−Rから選択される1つ以上の置換基R10により置換されており、上記Rは結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR、またはNRSOであり、上記Rは水素、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基、およびヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノまたはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換されているC1−8ヒドロカルビル基から選択され、上記C1−8ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子はO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X、またはXC(X)Xにより場合により置き換えられていてもよく、Rは、水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択され、XはO、SまたはNRであり、Xは=O、=S、または=NRである。
置換基R10が炭素環式基またはヘテロ環式基を含んでなるか、または含む場合、上記炭素環式基またはヘテロ環式基は非置換型であってもよいし、またはそれ自体、1つ以上の別の置換基R10によって置換されていてもよい。式(I)の化合物の1つのサブグループでは、このような別の置換基R10は炭素環式基またはヘテロ環式基を含んでよく、これらは典型的にはそれ自体さらに置換されていない。式(I)の化合物のもう1つのサブグループでは、上記別の置換基は炭素環式基またはヘテロ環式基を含まないが、R10の定義において上記で挙げた基から選択される。
置換基R10は、20以下の非水素原子、例えば、15以下の非水素原子、例えば、12、または10、または9つ、または8つ、または7つ、または6つ、または5つ以下の非水素原子を含むように選ぶことができる。
これらの炭素環式基およびヘテロ環式基が隣接する環原子上に1対の置換基を有する場合、その2つの置換基は環式基を形成するように結合していてもよい。例えば、環の隣接する炭素原子上の隣接する1対の置換基は1つ以上のヘテロ原子および置換されていてもよいアルキレン基を介して結合し、縮合オキサ−、ジオキサ−、アザ−、ジアザ−またはオキサ−アザ−シクロアルキル基を形成していてもよい。このような結合置換基の例としては、
Figure 2009534454
が挙げられる。
ハロゲン置換基の例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。フッ素および塩素が特に好ましい。
上記式(I)で表され、また、以下で使用される化合物の定義において、「ヒドロカルビル」という用語は、特に断りのない限り、総てが炭素の骨格を有する脂肪族基、脂環式基および芳香族基を含む包括的な用語である。本明細書で定義されるような特定の場合では、炭素骨格を形成している1つ以上の炭素原子は特定の原子または原子群によって置き換えられていてもよい。ヒドロカルビル基の例としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環式アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、ならびに炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基が挙げられる。このような基は、非置換型であっても、または記載のように、本明細書で定義される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。以下で示す例および好ましい選択肢は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書で定義される式(I)の化合物の種々の置換基の定義において言及される、ヒドロカルビル置換基またはヒドロカルビル含有置換基の各々に当てはまる。
一般に、例えば、ヒドロカルビル基は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、8つまでの炭素原子を有することができる。1〜8つの炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内で、具体例としては、C1−4ヒドロカルビル基(例えば、C1−3ヒドロカルビル基またはC1−2ヒドロカルビル基)のようなC1−6ヒドロカルビル基があり、具体例は、C、C、C、C、C、C、CおよびCヒドロカルビル基から選択されるいずれかの個々の値または値の組合せである。
「アルキル」という用語は、直鎖および分岐鎖の両方のアルキル基を含む。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチルおよびn−ヘキシルおよびその異性体が挙げられる。1〜8つの炭素原子を有するアルキル基のサブセット内で、具体例としては、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基またはC1−2アルキル基)等のC1−6アルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンから得られるものがある。シクロアルキル基のサブセット内で、シクロアルキル基は、3〜8つまでの炭素原子を有し、具体例としては、C3−6シクロアルキル基が挙げられる。
アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、ブタ−1,4−ジエニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。アルケニル基のサブセット内で、アルケニル基は2〜8つの炭素原子を有し、具体例としては、C2−4アルケニル基等のC2−6アルケニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。シクロアルケニル基のサブセット内で、シクロアルケニル基は、3〜8つの炭素原子を有し、具体例としては、C3−6シクロアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニルおよび2−プロピニル(プロパルギル)基が挙げられる。アルキニル基のサブセット内で、アルキニル基は2〜8つの炭素原子を有し、具体例としては、C2−4アルキニル基のようなC2−6アルキニル基が挙げられる。
炭素環式アリール基の例としては、置換および非置換フェニル、ナフチル、インダン、およびインデン基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基の例としては、フェネチル、ベンジル、スチリル、フェニルエチニル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルおよびシクロペンテニルメチル基が挙げられる。
本明細書中で用いられる「C1−10ヒドロカルビル」および「C1−8ヒドロカルビル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、ベンジル、およびフェニルエチル基を含み、上記の各基の好ましい選択肢および例は上記の定義の通りである。本定義において、具体的なヒドロカルビル基は、アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジル、およびフェニルエチル(例えば、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル)基を含み、ヒドロカルビル基の1つのサブセットは、アルキルおよびシクロアルキル基、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、およびシクロブチル等のC1−4アルキルおよびシクロアルキル基を含む。
本明細書中で用いられる「C1−4ヒドロカルビル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニル基を含み、上記の各基の好ましい選択肢および例は上記の定義の通りである。本定義において、具体的なC1−4ヒドロカルビル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、およびシクロブチル等のアルキルおよびシクロアルキル基を含む。
ヒドロカルビル基は、存在し、記載されている場合には、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノまたはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノならびに3〜12(典型的には3〜10、より一般には5〜10)環員を有する単環もしくは二環炭素環式基およびヘテロ環式基から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。好ましい置換基としては、フッ素等のハロゲンが挙げられる。したがって、例えば、置換ヒドロカルビル基は、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル等の部分フッ素化または過フッ素化基であり得る。一実施形態では、好ましい置換基としては、3〜7環員を有する単環炭素環式基およびヘテロ環式基が挙げられる。
記載されている場合、ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子が、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)X(またはそのサブグループ)によって置き換えられていてもよく、上記XおよびXは、上記で定義した通りである(但し、ヒドロカルビル基の少なくとも1つの炭素原子は残っている)。例えば、ヒドロカルビル基の1つ、2つ、3つまたは4つの炭素原子は、列挙した原子または基のうちの1つによって置き換えられていてもよく、置き換わる原子または基は、同一であっても、異なっていてもよい。一般に、置き換えられる直鎖または骨格の炭素原子の数は、それらに置き換わる基の直鎖または骨格原子の数に相当する。ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子が上記で定義した置換原子または基によって置換されている基の例としては、エーテルおよびチオエーテル(OまたはSによって置き換えられたC)、アミド、エステル、チオアミドおよびチオエステル(XC(X)またはC(X)Xによって置き換えられたC−C)、スルホンおよびスルホキシド(SOまたはSOによって置き換えられたC)、およびアミン(NRによって置き換えられたC)が挙げられる。別の例としては、尿素、カーボネート、およびカルバメート(XC(X)Xによって置き換えられたC−C−C)が挙げられる。
アミノ基が2つのヒドロカルビル置換基を有する場合、これらは、これらが結合している窒素原子と一緒に、かつ、場合によって窒素、硫黄または酸素等の別のヘテロ原子と一緒に、結合して4〜7環員の環構造を形成してもよい。
本明細書で使用される定義「R−R」には、炭素環部分またはヘテロ環部分に存在する置換基に関してか、または式(I)の化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、とりわけ、Rが、結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NRC(O)、OC(S)、SC(S)、NRC(S)、OC(NR)、SC(NR)、NRC(NR)、C(O)O、C(O)S、C(O)NR、C(S)O、C(S)S、C(S)NR、C(NR)O、C(NR)S、C(NR)NR、OC(O)O、SC(O)O、NRC(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NRC(S)O、OC(NR)O、SC(NR)O、NRC(NR)O、OC(O)S、SC(O)S、NRC(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NRC(S)S、OC(NR)S、SC(NR)S、NRC(NR)S、OC(O)NR、SC(O)NR、NRC(O)NR、OC(S)NR、SC(S)NR、NRC(S)NR、OC(NR)NR、SC(NR)NR、NRC(NR)NR、S、SO、SO、NR、SONR、およびNRSO、ここでRは上記で定義した通りである、から選択される化合物が含まれる。
部分Rは、水素であってもよいし、あるいは3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)環員を有する炭素環式基およびヘテロ環式基、ならびに上記で定義されたように、置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基から選択される基であってもよい。ヒドロカルビル、炭素環式およびヘテロ環式基の例は上記で示した通りである。
がOであり、RがC1−8ヒドロカルビル基である場合、RおよびRはともにヒドロカルビルオキシ基を形成する。好ましいヒドロカルビルオキシ基としては、アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ、より一般的にはエトキシおよびメトキシ、特にメトキシ等のC1−4アルコキシ)、シクロアルコキシ(例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシ等のC3−6シクロアルコキシ)およびシクロアルキルアルコキシ(例えば、シクロプロピルメトキシ等のC3−6シクロアルキル−C1−2アルコキシ)等の飽和ヒドロカルビルオキシが挙げられる。
これらのヒドロカルビルオキシ基は、本明細書で定義した種々の置換基によって置換されていてもよい。例えば、アルコキシ基は、ハロゲン(例えば、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシの場合)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシエトキシの場合)、C1−2アルコキシ(例えば、メトキシエトキシの場合)、ヒドロキシ−C1−2アルキル(ヒドロキシエトキシエトキシの場合)または環式基(例えば、上記で定義したシクロアルキル基または非芳香族ヘテロ環式基)によって置換されていてもよい。置換基として非芳香族ヘテロ環式基を有するアルコキシ基の例は、そのヘテロ環式基がモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4アルキル−ピペラジン、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフラン等の飽和環状アミンであり、そのアルコキシ基がC1−4アルコキシ基、より典型的にはメトキシ、エトキシまたはn−プロポキシ等のC1−3アルコキシ基であるものがある。
アルコキシ基は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、およびピペラジン等の単環式基ならびにN−ベンジル、N−C1−4アシル、およびN−C1−4アルコキシカルボニル等のそれらのN−置換誘導体により置換されていてもよい。具体例としては、ピロリジノエトキシ、ピペリジノエトキシ、およびピペラジノエトキシが挙げられる。
が結合であり、RがC1−8ヒドロカルビル基である場合、ヒドロカルビル基R−Rの例は上記で定義した通りである。ヒドロカルビル基はシクロアルキルおよびアルキル等の飽和基であってもよく、このような基の具体例としては、メチル、エチルおよびシクロプロピルが挙げられる。ヒドロカルビル(例えば、アルキル)基は上記で定義した種々の基および原子によって置換されていてもよい。置換アルキル基の例としては、フッ素および塩素等の1つ以上のハロゲン原子によって置換されたアルキル基(具体例としては、ブロモエチル、クロロエチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、およびトリフルオロメチル等のパーフルオロアルキル基が挙げられる)、またはヒドロキシによって置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル)、C1−8アシルオキシによって置換されたアルキル基(例えば、アセトキシメチルおよびベンジルオキシメチル)、アミノおよびモノ−およびジアルキルアミノによって置換されたアルキル基(例えば、アミノエチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルおよびtert−ブチルアミノメチル)、アルコキシによって置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチルの場合のメトキシ等のC1−2アルコキシ)、ならびに上記で定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および非芳香族ヘテロ環式基等の環式基によって置換されたアルキル基が挙げられる。
環式基によって置換されたアルキル基の具体例としては、その環式基が、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4−アルキル−ピペラジン、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフラン等の飽和環状アミンであり、そのアルキル基がC1−4アルキル基、より典型的にはメチル、エチルまたはn−プロピル等のC1−3アルキル基であるものがある。環式基によって置換されたアルキル基の具体例としては、ピロリジノメチル、ピロリジノプロピル、モルホリノメチル、モルホリノエチル、モルホリノプロピル、ピペリジニルメチル、ピペラジノメチルおよび上記で定義したそのN−置換形態が挙げられる。
アリール基およびヘテロアリール基によって置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル、およびピリジルメチル基が挙げられる。
がSONRであるとき、Rは例えば水素または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基、または炭素環式基もしくはヘテロ環式基であってよい。RがSONRである場合のR−Rの例としては、アミノスルホニル、C1−4アルキルアミノスルホニルおよびジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基、およびピペリジン、モルホリン、ピロリジン、またはN−置換されていてもよいピペラジン(N−メチルピペラジンなど)といった環状アミノ基から形成されたスルホンアミドが挙げられる。
−R基の例としては、RがSOである場合、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルおよびアリールスルホニル基、特に単環式アリールおよびヘテロアリールスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルが挙げられる。
がNRである場合、Rは例えば、水素または置換されていてもよいC1−8ヒドロカルビル基、または炭素環式基またはヘテロ環式基であってよい。RがNRである場合のR−R基の例としては、アミノ、C1−4アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ)、ジ−C1−4アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノおよびジエチルアミノ)ならびにシクロアルキルアミノ(例えば、シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノおよびシクロヘキシルアミノ)が挙げられる。
A、E、T、Q、Q、J、JおよびR〜R10の具体的な実施形態および好ましい選択肢
「A」基
TGが(1)基:
Figure 2009534454
である式(I)の化合物において、
Aは、1〜7つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基はR1aとNRとの間に延びる5原子の最大鎖長およびEとNRとの間に延びる4原子の最大鎖長を有する。これらの制約内において、部分EおよびR1aはそれぞれ基A上のいかなる位置と結合してもよい。
本明細書で用いられる「最大鎖長」という用語は、問題の2部分間に直接的に存在する原子の数に関し、鎖中の分岐または存在しうる水素原子は考慮しない。例えば、下記構造(A)において、
Figure 2009534454
1aとNRとの鎖長は3原子であり、一方EとNRとの鎖長は2原子である。
一般的に、リンカー基はRとNRとの間に延びる3原子(例えば、1または2原子)の最大鎖長を有していることが、現在のところ好ましい。
一実施形態において、リンカー基は、R1aとNRとの間に延びる1原子の鎖長を有する。
他の実施形態において、リンカー基は、R1aとNRとの間に延びる2原子の鎖長を有する。
さらなる実施形態において、リンカー基は、RとNRとの間に延びる3原子の鎖長を有する。
リンカー基は、EとNRとの間に延びる3原子の最大鎖長を有することが好ましい。
化合物の一つの特に好ましいグループにおいて、リンカー基はR1aとNRとの間に延びる2または3原子の鎖長、およびEとNRとの間に延びる2または3原子の鎖長を有する。
リンカー基の炭素原子の一つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよい。
存在する場合、窒素原子は好ましくは基Eへ直接結合してもよい。
一実施形態において、R1a基が結合する炭素原子が、酸素原子によって置換される。
他の実施形態において、R1aおよびEがリンカー基の同一の炭素原子に結合し、EとNRとの間に延びる鎖中の炭素原子が酸素原子によって置換される。
窒素原子または酸素原子が存在する場合、窒素原子または酸素原子とNR基とは、少なくとも二つの炭素原子を解して離れていることが好ましい。
式(I)に属する化合物の一つの具体的なグループにおいて、基Eへ直接結合するリンカー原子は炭素原子であり、リンカー基Aは全炭素骨格を有する。
リンカー基Aの炭素原子は、オキソ、フッ素、およびヒドロキシから選ばれる1つ以上の置換基を場合により有していてもよい(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置せず、オキソ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子に位置する)。典型的には、ヒドロキシ基が存在する場合、ヒドロキシ基はNR基に対してβ位に位置する。一般的に、1つ以下のヒドロキシ基が存在し得る。フッ素が存在する場合、例えば、単一のフッ素置換基として存在してもよく、ジフルオロメチレンまたはトリフルオロメチル基に存在してもよい。一実施形態において、フッ素原子が、NR基に対してβ位に位置する。
当然のことながら、オキソ基がNR基に隣接する炭素原子に存在している場合、式(I)の化合物はアミドとなる。
本発明の一実施形態において、フッ素原子はリンカー基Aに存在しない。
本発明の他の実施形態において、ヒドロキシ基はリンカー基Aに存在しない。
別の実施形態において、オキソ基はリンカー基Aに存在しない。
式(I)の化合物の1グループにおいて、ヒドロキシ基もフッ素原子もリンカー基Aに存在しない、例えば、リンカー基Aは非置換である。
好ましくは、リンカー基Aの炭素原子が窒素原子によって置き換えられている場合、基Aは1つを超えるヒドロキシ置換基を有さず、より好ましくはヒドロキシ置換基を有しない。
EとNRとの間に4原子の鎖長がある場合、リンカー基Aが窒素原子を含有していないことが好ましく、全て炭素骨格であることがより好ましい。
リンカー基AはNR基に結合する炭素原子において分岐構造を有し得る。例えば、NR基に結合する炭素原子は一対のgem−ジメチル基と結合し得る。
式(I)の化合物の具体的なグループにおいて、当該化合物のR1a−A−NR部分が、式R1a−(G)−(CH−W−O−(CH−(CR−NRで示され、式中、Gは、NH、NMe、またはOであり;Wは、E基に結合し、(CH−CR20、(CH−N、および(NH)−CHから選択され;bは0または1であり、jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0または1であり;bおよびkの合計は0または1であり;j、k、m、n、およびpの合計は4を超えず;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択され、あるいはCRはシクロプロピル基を形成し;R20は、水素、メチル、ヒドロキシ、およびフッ素から選択される。
式(I)の化合物の他のサブグループにおいて、当該化合物のR1a−A−NR部分が、式R1a−(G)−(CH−X−(CH−(CR−NRで示され、式中、Gは、NH、NMe、またはOであり;Xは、E基に結合し、(CH−CH、(CH−N、および(NH)−CHから選択され;jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0または1であり、j、k、m、n、およびpの合計は4を超えず;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択され、あるいはCRはシクロプロピル基を形成する。
具体的な基CRは、C(CHである。
好ましくは、Xは(CH−CHである。
当該化合物のR1a−A−NR部分が、式R−(G)−(CH−X−(CH−(CR−NRで示される具体的な構成として以下が挙げられる。
kは0であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である。
kは0であり、mは0または1であり、nは、0、1、または2であり、pは1である。
は(CH−CHであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である。
は(CH−CHであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、または2であり、pは1である。
は(CH−CHであり、GはOであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である。
化合物のR1a−A−NR部分が、式R−(G)−(CH−W−O−(CH−(CR−NRで示される具体的な構成として以下が挙げられる。
kは0であり、mは0であり、Wは(CH−CR20であり、jは0であり、R20は水素であり、bは1であり、nは2であり、pは0である。
kは0であり、mは0であり、Wは(CH−CR20であり、jは0であり、R20はヒドロキシであり、bは0であり、nは1であり、pは0である。
kは0であり、mは0であり、Wは(CH−CR20であり、jは0であり、R20はメチルであり、bは0であり、nは1であり、pは0である。
kは0であり、mは0であり、Wは(CH−CR20であり、jは0であり、R20はフッ素であり、bは0であり、nは1であり、pは0である。
好適な一構成において、当該化合物のR1a−A−NR部分が、式R1a−X−(CH−NRで示され、式中、XはE基に結合し、CH基であり、nは2である。
リンカー基Aの具体例、ならびにそのR1a、E、およびNR基への結合地点を以下の表1に示す。
Figure 2009534454
Figure 2009534454
現在のところ好適な基は、A1、A2、A3、A6、A10、A11、A22、およびA23を含む。
基の具体的な1つのセットとしては、A1、A2、A3、A10、およびA11が挙げられる
基のさらに具体的な1つのセットとしては、A2およびA11が挙げられる
基の具体的な他のセットは、A6、A22、およびA23が挙げられる
基のさらなるセットは、A1、A2、およびA3が挙げられる
A2基において、星印キラル中心を示す。このキラル中心においてR配置を有する化合物は、本発明の化合物の好適なサブグループの1つを示す。
およびQ
TGが(2)基:
Figure 2009534454
である式(I)の化合物において、Qは、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく、あるいは、隣接する炭素原子対はCONRまたはNRCOによって置き換えられていてもよく、Rは水素、C1−4アルキル、またはシクロプロピルであり、あるいはRは、R1bまたはQの他の炭素原子に結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖であり;リンカー基Qの炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよい。
は、結合または1〜3つの炭素原子を有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における炭素原子の1つは酸素原子または窒素原子により場合により置き換えられていてもよく、リンカー基の炭素原子はフッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよい(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはG基に対してα位の炭素原子には位置しない)。
一実施形態において、QおよびQは、同一または異なって、それぞれ結合または1〜3つの炭素原子を有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における炭素原子の1つは酸素原子または窒素原子により場合により置き換えられていてもよく、各リンカー基QおよびQの炭素原子はフッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有してもよい(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置しない)。
本発明の化合物の1グループにおいて、QおよびQのうち少なくとも1つは結合を表わす。化合物のこの群において、1つのサブグループはQおよびQの両方が結合を表わす化合物からなる。他のサブグループにおいて、QおよびQの一方は結合を表し、他方は1〜3つの炭素原子を有する飽和炭化水素リンカー基を表し、上記リンカー基における炭素原子の1つは酸素原子または窒素原子により場合により置き換えられていてもよい。
および/またはQが飽和炭化水素基である場合、炭化水素基は典型的には(CH(nは1、2、または3である)等のアルキレン基であり、1つの具体例はCHである。アルキレン基Qにおける炭素原子の1つは、例えば、酸素原子により場合により置き換えられていてもよく、このような基の例はCH−O−CHである。
上記リンカー基QおよびQの炭素原子は、オキソ、フッ素、およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよい(但し、ヒドロキシ基はNR基に対してα位の炭素原子には位置せず、オキソ基にはNR基に対してα位の炭素原子に位置する)。典型的には、ヒドロキシ基が存在する場合はNRに対してβ位に位置する。一般的に、1つ以下のヒドロキシ基が存在し得る。フッ素原子が存在する場合は、例えば、フッ素原子はジフルオロメチレンまたはトリフルオロメチル基に存在する。
化合物の1サブグループにおいて、Qは、1〜3つの炭素原子を有する飽和炭化水素リンカー基であり、上記リンカー基における隣接する炭素原子対はCONRまたはNRCOによって置き換えられてもよく、Rは水素、C1−4アルキルまたはシクロプロピルであり、Rは、R1bとまたはQの他の炭素原子と結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖である。1つの好ましい実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、RはC1−4アルキルまたはシクロプロピル、好ましくはメチルである。別の実施形態において、RはR1bとまたはQの他の炭素原子と結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖である。
CONRまたはNRCOを含有するリンカー基Qの例は、カルボニル基がEに結合した、基CHNHCOまたはCHN(Me)COである。
CONRまたはNRCOを含有するリンカー基Qの例は、RがQの他の炭素原子と結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖である場合、下記式で表わされる基である。
Figure 2009534454
式中、は部分Eとの結合地点を表し、q’’は0、1、または2であり、R1bとの結合地点は文字「c」により示されている。
CONRまたはNRCOを含有するリンカー基Qの例は、RがR1bと結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖である場合、下記式で表わされる基である。
Figure 2009534454
式中、qは上記と同義であり、R1bはアリールまたはヘテロアリール基である。この種の部分R1b−Qの具体例としては、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イルカルボニルが挙げられる。
当然のことながら、オキソ基がNR基に隣接する炭素原子に存在している場合、式(I)の化合物はアミドとなる。
本発明の一実施形態において、フッ素原子はリンカー基Qおよび/またはQに存在しない。
本発明の他の実施形態において、ヒドロキシ基はリンカー基Qおよび/またはQに存在しない。
別の実施形態において、オキソ基はリンカー基Qおよび/またはQに存在しない。
式(I)の化合物の1グループにおいて、ヒドロキシ基もフッ素原子もリンカー基Qおよび/またはQに存在しない、例えば、リンカー基Qおよび/またはQは非置換である。
本発明の化合物の他のグループにおいて、リンカー基Qが存在する場合、NR基に結合する炭素原子において分岐構造を有し得る。例えば、NR基に結合する炭素原子は一対のgem−ジメチル基と結合し得る。
およびQは基Eの同一原子に、または異なる原子に結合してもよい。一実施形態において、QおよびQは基Eの同一原子(例えば、炭素原子)に結合する。
1a
1a基はアリールまたはヘテロアリール基であり、一般的な好ましい選択肢および定義と題された項で開示したこのような基のリストから選択され得る。
1aは単環式でも二環式でもよく、好適な一実施形態では単環式である。単環式アリールおよび単環式ヘテロアリール基の具体例としては、2つまでの窒素環員を含有する6員アリールおよびヘテロアリール基と、O、S、およびNから選択される3つまでのヘテロ原子環員を含有する5員ヘテロアリール基である。
このような基の例としてフェニル、ナフチル、チエニル、フラン、ピリミジン、およびピリジンがあり、フェニルが現在のところ好ましい。
1a基は非置換であるか、または5つまでの置換基により置換され、置換基の例としては、上記基R10に記載されたものである。
具体的置換基は、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;CONH;ニトロ;C1−2アルコキシ、カルボキシ、またはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル;C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、O、およびSから選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する5および6員ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシ基;フェニル;フェニル−C1−4アルキル;フェニル−C1−4アルコキシ;ヘテロアリール−C1−4アルキル;ヘテロアリール−C1−4アルコキシ、およびフェノキシを含む(上記ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、フェニル、フェニル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルコキシ、ヘテロアリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシ基がC1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、CONH、ならびにメトキシまたはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビルから選択される1、2、または3つの置換基で、それぞれ場合により置換される)。
好適な置換基は、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;シアノ;それぞれがC1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル;C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、O、およびSから選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する5および6員ヘテロアリール基(上記ヘテロアリール基は1つ以上のC1−4アルキル置換基によって場合により置換されている);フェニル;ピリジル;およびフェノキシ(上記フェニル、ピリジルおよびフェノキシ基は、C1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、それぞれメトキシまたはヒドロキシによって場合により置換されているC1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビルから選択される1、2、または3つの置換基によってそれぞれが場合により置換されている)を含む。
一実施形態において、R1a基が、非置換、あるいはヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;フェニル;チエニル;フラニル;フェノキシ、ベンジルオキシ;シアノ;C3−4シクロアルキル、ならびにC1−2アルコキシまたはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−4アルコキシおよびC1−4ヒドロカルビルから選択される5つまでの置換基によって置換される。
5つまでの置換基が存在し得るが、置換基が、0、1、2、3、または4つであることがより典型的であり、0、1、2、または3つであることが好ましく、0、1、または2つであることがより好ましい。
化合物の具体的なサブグループにおいて、R1a基(例えば、R1aが置換フェニル基である場合)が、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、tert−ブチル;トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;フェニル;フェノキシ、およびベンジルオキシから選択される1つまたは2つの置換基を有し得る。
1aがフェニル基である場合、置換基との組合せの具体例は、モノ−クロロフェニル、ジクロロフェニル、ヒドロキシフェニル、フルオロ−クロロフェニル、シアノフェニル、メトキシフェニル、メトキシ−クロロフェニル、フルオロフェニル、およびジフルオロフェニルを含む。
1aが6員アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール基である場合、置換基は有利には6員環においてパラ位に存在しうる。置換基がパラ位に存在する場合、それは好ましくはフッ素原子より大きさが大きい。
化合物の1つのサブグループにおいて、R1a基は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、メチル、メトキシ、およびtert−ブチルから選択される置換基をパラ位に有するフェニル基である。
化合物の他のサブグループにおいて、R1a基は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メチル、およびメトキシから選択される置換基をオルト位に有し、場合によりフッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メチル、およびメトキシから選択される第2の置換基をメタ位またはパラ位に有するフェニル基である。
1a基 の具体例が下記表2において示され、AまたはQ(またはQが結合である場合はE)との結合地点が星印により示されている。
Figure 2009534454
Figure 2009534454
基の好適な1つのグループとしては、B2、B4、B5、B10、B11、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、およびB19を含む。
特に好適な基としては、B2が挙げられる。
1b
本明細書中の先に述べた部分等に記載の通り、R1b基は水素またはR1a基である。
化合物の1つのサブグループにおいて、R1bは水素である。
化合物の他のサブグループにおいて、R1bはアリールまたはヘテロアリール基R1aである。
およびR
式(I)の化合物の1つのグループにおいて、RおよびRは、独立して、水素;C1−4ヒドロカルビル;およびC1−4アシルから選択され得、上記ヒドロカルビルおよびアシル基は、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、および単環もしくは二環式アリールまたはヘテロアリール基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換される。
化合物の当該グループにおいて、RおよびRが独立して水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択される化合物があり、上記ヒドロカルビルおよびアシル基はそれぞれ単環式もしくは二環式アリールまたはヘテロアリール基により場合により置換されている。
また化合物の当該グループにおいて、RおよびRが独立して水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択される本発明の化合物のサブグループもある。
化合物の他のサブグループにおいて、RおよびRは、独立して、水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択され、上記ヒドロカルビルおよびアシル部分は、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメトキシから選択される1つ以上の置換基によって場合により置換される。
化合物の上記グループおよびサブグループのそれぞれにおいて、置換または非置換でありNRの一部を形成するヒドロカルビル基は、典型的にはアルキル基であり、より一般的にはC、C、またはCアルキル基、例えば、メチル基である。
ヒドロカルビル部分がヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、またはメトキシ基によって置換される場合、典型的には、置換基とNR基の窒素原子との間に少なくとも2つの炭素原子が存在する。置換ヒドロカルビル基の具体例としては、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルが挙げられる。
本発明の化合物の他のグループにおいて、RおよびRは、独立して、水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択される。
化合物の具体的なサブグループにおいて、RおよびRは、独立して、水素およびメチルから選択され、したがって、NRは、アミノ、メチルアミノ、またはジメチルアミノ基であり得る。
一実施形態において、NRがアミノ基である。他の具体的な実施形態において、NRがメチルアミノ基である。
他の実施形態において、C1−4ヒドロカルビル基はシクロプロピル、シクロプロピルメチル、またはシクロブチル基であり得る。
化合物の他のグループにおいて、RおよびRは、それらが結合する窒素原子とともに、イミダゾール基、および4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基から選択される環式基を形成する。
化合物のさらなるグループにおいて、RおよびRは、それらが結合する窒素原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成する。
飽和単環ヘテロ環式基は、非置換、または本願の一般的な好ましい選択肢および定義の項において記載される1つ以上の置換基R10によって置換され得る。しかし、典型的には、ヘテロ環式基の置換基はいずれもC1−4ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル)、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、およびジメチルアミノ等の比較的小さい置換基になる。具体的な置換基としては、メチル基が挙げられる。
飽和単環式環はアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、またはアゼパン環等のアザシクロアルキル基でもよく、このような環は典型的には非置換である。また、飽和単環式環はOおよびNから選択される追加のヘテロ原子を含有してもよく、このような基の例としてはモルホリンおよびピペラジンが挙げられる。追加のN原子が環に存在している場合、これはNH基あるいはN−メチル、N−エチル、N−プロピル、またはN−イソプロピル基等のN−C1−4アルキル基の一部を形成し得る。
NRがイミダゾール基を形成する場合、イミダゾール基は、非置換、または例えばC1−4ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、およびブチル)、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、およびジメチルアミノ等の1つ以上の比較的小さい置換基によって置換され得る。具体的な置換基としては、メチル基が挙げられる。
TGが(1)基である式(I)において、RおよびRのうち一方は、それらが結合する窒素原子とリンカー基Aからの1つ以上の原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成し得る。
このような化合物の例は、NRおよびAが式:
Figure 2009534454
の単位を形成する化合物を含む。
式中、tおよびuはそれぞれ0、1、2、または3である(但し、tおよびuの合計が2〜4の範囲にある)。
さらにこのような化合物の例は、NRおよびAが、式:
Figure 2009534454
の環式基を形成する化合物を含む。
式中、vおよびwはそれぞれ0、1、2、または3である(但し、vおよびwの合計が2〜5の範囲にある)。環状化合物の具体例としては、vおよびwが両方とも2である化合物が挙げられる。
さらにこのような化合物の例は、NRおよびAが、式:
Figure 2009534454
の環式基を形成する化合物を含む。
式中、xおよびwはそれぞれ0、1、2、または3である(但し、xおよびwの合計が2〜4の範囲にある)。環状化合物の具体例としては、xが2でありwが1である化合物が挙げられる。
TGが(2)基である式(I)の他の実施形態において、NRおよびそれが結合するリンカー基Qの炭素原子は、シアノ基を形成する。
TGが(2)基である式(I)の他の実施形態において、NRは上記で定義したものと同義であるが、NRおよびそれが結合するリンカー基Qの炭素原子は、シアノ基を形成しなくてもよい。
TGが(2)基である式(I)のさらなる実施形態において、RおよびRのうち一方は、それらが結合する窒素原子とリンカー基Qの1つ以上の原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成する。
「E」基
式(I)において、Eは、単環もしくは二環炭素環式またはヘテロ環式基であり、一般的な好ましい選択肢および定義と題される項において記載の基から選択され得る。
炭素環式またはヘテロ環式基Eは芳香族でもまたは非芳香族でもよい。
一実施形態において、炭素環式またはヘテロ環式基Eは非芳香族である。
他の実施形態において、炭素環式またはヘテロ環式基Eは芳香族である。
Eが芳香族基、すなわちアリールまたはヘテロアリール基である場合、上記基は上記の一般的な好ましい選択肢および定義の部分で示されたこのような基の例から選択される。
TGが(2)基である式(I)において、
好適なE基は、単環および二環式アリールおよびヘテロアリール基であり、具体的には、フェニル、ピリジン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジンまたはピリミジン環、より具体的には、フェニル、ピリジン、ピラゾール、ピラジンまたはピリミジン環、より好ましくは、ピリジン、ピラゾールまたはフェニル環、最も好ましくは、フェニル環等の5員または6員芳香環あるいはヘテロ芳香環を含有する基である。
二環式基の例は、ベンゾ縮合およびピリド縮合基を含み、A基および環状X基は両方ともベンゾ部分またはピリド部分に結合する。
一実施形態において、Eが単環式基である。
単環炭素環式またはヘテロ環式基は、典型的には5または6環員を含有し、ヘテロ環式基は、典型的にはO、N、およびSから選択される3つまでのヘテロ原子を含有する。
単環式基の具体例は、フェニル、チオフェン、フラン、ピラゾール、ピリミジン、ピラジンおよびピリジン等の単環アリールおよびヘテロアリール基を含み、フェニルが現在のところ好ましい。
単環アリールおよびヘテロアリール基の1つのサブセットは、フェニル、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピリミジン、およびピリジンを含む。
非芳香族単環式基の例は、上記一般的な好ましい選択肢および定義の項において示す通りである。
基の具体例には、シクロヘキサンおよびシクロペンタン等のシクロアルカンならびに、ピペリジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、およびピペラゾン等の含窒素環がある。
1つの具体的な非芳香族単環式基はピペリジン基、より具体的にはピペリジン環の窒素原子が二環式基に結合したピペリジン基である。
他の具体的な基は、ピペリジン環の1つの窒素原子が二環式基に結合し、ピペリジン環の他の窒素原子がA基に結合したピペラジン基である。
TGが(1)基である式(I)の化合物において、A基および環状X基が、E基の隣接する員環に結合しないことが好ましい。例えば、環状X基は、メタまたはパラ相対配向でE基に結合し得る。そのようなE基の例は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2,5−ピリジレン、2,4−ピリジレン、1,4−ピペラジニル、および1,4−ピペラゾニルを含む。さらなる例としては、1,3−二置換5環員を含む。
基Eは非置換であるか、上記と同義の基R10から選択される4つまでの置換基Rを有している。しかし、より典型的には、置換基Rは、ヒドロキシ;オキソ(Eが非芳香族である場合);ハロゲン(例えば、塩素および臭素);トリフルオロメチル;シアノ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビル;ならびにハロゲン(例えば、塩素および臭素)、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、またはメトキシによって場合により置換されたフェニルから選択される。
好ましくは0〜3つの置換基、より好ましくは0〜2つの置換基、例えば0または1つの置換基がある。一実施形態において、E基は非置換である。
Eは、以下でなくてもよい。
置換ピリドン基
置換チアゾール基
置換または非置換ピラゾールまたはピラゾロン基
置換または非置換二環式縮合ピラゾール基
チオフェン環と縮合したフェニル環またはチオフェン環と縮合した6員含窒素ヘテロアリール環
置換または非置換ピペラジン基
TG部分が(1)基である式(I)の化合物において、E基は、5または6員を有するアリールまたはヘテロアリール基(当該ヘテロアリール基はO、N、およびSから選択される3つまでのヘテロ原子を含有する)であり得る。E基は、式:
Figure 2009534454
で示される。
式中、は環状X基への結合地点を示し、「a」はA基の結合を示し;
rは、0、1、または2であり;
Uは、NおよびCR12aから選択され;
Vは、NおよびCR12bから選択され;
12aおよびR12bは同一または異なって、それぞれ水素、またはC、N、O、F、Cl、およびSから選択される10までの原子を含有する置換基であり(但し、R12aおよびR12bに存在する非水素原子の合計数は10を超えない);あるいは
12aおよびR12bは、それらが結合する炭素原子とともに、OおよびNから選択される2つまでのヘテロ原子を含有する非置換5員または6員飽和または不飽和環を形成し;
10は上記と同義である。
化合物の1つの好適なグループにおいて、Eは、基:
Figure 2009534454
であり、
式中、は環状X基への結合地点を示し、「a」はA基の結合を示し;
P、Q、およびTは同一または異なって、N、CH、およびNCR10から選択され(但し、A基は炭素原子に結合する);U、V、およびR10は上記と同義である。
化合物の他の好適なグループにおいて、Eは、基:
Figure 2009534454
であり、
式中、R16は水素または上記と同義の基R10、R12aまたはR12bである。
12aおよびR12bの例としては、水素と、10以下の非水素原子を有する上記で定義したような置換基R10が挙げられる。R12aおよびR12bの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、フェニル、フッ素、塩素、メトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエチル、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、CONH、COEt、COH、アセトアミド、アゼチジニル、ピロリジノ、ピペリジン、ピペラジノ、モルホリノ、メチルスルホニル、アミノスルホニル、メシルアミノ、およびトリフルオロアセトアミドが挙げられる。
UがCR12aかつ/またはVがCR12bである場合、炭素原子環員Cに直接結合するR12aおよびR12bにおける原子または基は、好ましくはH、O(例えば、メトキシの場合)、NH(例えば、アミノおよびメチルアミノの場合)、およびCH(例えば、メチルおよびエチルの場合)から選ばれる。
式(I)において、TGが(1)基の場合のE基の具体例、ならびにその基A()および環X()への結合地点を以下の表3に示す。
Figure 2009534454
表中、置換基R13は、メチル、塩素、フッ素、およびトリフルオロメチルから選択される。
本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)ならびにそのサブグループまたはサブ定義におけるEの定義に対して、場合により、以下のような例外を適用してもよい。
Eは、X基に対してパラ位に結合する硫黄原子を有するフェニル基ではない。
Eは、置換または非置換ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、またはベンゾチアゾール基ではない。
TG部分が(2)基である式(I)において、部分QおよびQは、基Eにおいて同一炭素原子に結合するか、またはそれらは別々の原子に結合する。基Eが芳香族である場合、QおよびQは基Eで同一炭素原子に結合できないが、例えば、隣接する炭素原子へは結合してよいことは明らかである。
一実施形態において、Eは非芳香族であり、QおよびQが基Eにおいて同一炭素原子に結合する。
他の実施形態において、QおよびQが基Eにおいて異なる原子に結合する。
基Qおよび二環式基は、メタまたはパラ相対配向で基Eに結合することが好ましい、すなわちQと二環式基とは、基Eの隣接環員に結合されない。このような基Eの例としては、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2,5−ピリジレン、2,4−ピリジレン、1,4−ピペリジニル、1,4−ピペリドニル、1,4−ピペラジニル、および1,4−ピペラゾニルが挙げられる。
基Eは非置換であるか、上記のような基R10から選択される4つまでの置換基R11を有している。しかし、より典型的には、置換基R11はヒドロキシ、オキソ(Eが非芳香族である場合)、ハロゲン(例えば、塩素および臭素)、トリフルオロメチル、シアノ、C1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシ、およびC1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルから選択される。
典型的には、0〜3つの置換基、より一般的には0〜2つの置換基、例えば0または1つの置換基がある。一実施形態において、E基は非置換である。
本発明の化合物の具体的な1つのグループにおいて、Eは、基:
Figure 2009534454
であり、Gは、C、CH、CH、N、およびNHから選択され、Gは、NおよびCHから選択される。
基Eの具体例が、基QおよびQ)ならびに二環式基()への結合点とあわせて、下記表4に示される。
Figure 2009534454
1つの好ましい基Eは、基D9である。
X基
Figure 2009534454
環状X基は、5つまでがO、N、およびSから選択されるヘテロ原子である8〜12環員を有する二環ヘテロ環式基である。
二環ヘテロ環式基の例は、上記一般的な好ましい選択肢および定義の項において示す通りである。
典型的には、環状X基が、8〜10環員、例えば、9〜10環員を有する。
一実施形態において、環状X基が、場合により置換された二環式ヘテロアリール基である。
二環式ヘテロアリール基の例は、5員または6員炭素環式またはヘテロ環式芳香と縮合したピリジンまたはピリミジン環を含む。そのような基の1つの具体例として、チエノ[3,2−d]ピリミジン基が挙げられる。
一実施形態において、環状X基は、
Figure 2009534454
の形態をとってもよく、
式中、Gは、水素結合アクセプター原子または基である。
「水素結合アクセプター」という用語は、よく知られた語であり、同一または隣接した分子中の水素原子と水素結合を形成可能な基をさす。例えば、『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、75〜79頁および当該文献中の言及を参照。この文脈において、水素結合アクセプターは、窒素、酸素、および硫黄原子;ならびに窒素、酸素、および硫黄原子を含有する基を含む。
水素結合アクセプターの具体例としては、下記表5に示す基が挙げられる。星印は、E基への結合地点を示す。
Figure 2009534454
環状X基は、1つの水素結合アクセプター、または1つ以上(例えば、2または3つ)の水素結合アクセプター部分を含んでいてもよい。
環状X基は、G基に隣接する水素結合ドナー基を含んでいてもよい。したがって、環状X基は、
Figure 2009534454
の形態をとってもよく、
式中、Gは、水素結合アクセプター原子または基であり、Dは、水素結合ドナー基である。
水素結合ドナー基は、例えば、NH、C−NH、C−NH、C−OH、C−SH、またはC−Hであってもよい。
nおよびR
存在する場合に水素アクセプターGの一部を形成し得るいかなる原子または基をも考慮しないならば、環状X基は、非置換環系(n=0)または置換環系(n=1、2、3、または4)であってもよい。
式(I)において、Rは、独立して、オキソ;ハロゲン;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビル;シアノ;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビルオキシ;CONH;CONHR;CF;NH;NHCOR;NHCONHR;およびNHRから選択される。
より典型的には、Rは、オキソ、アミノ、NHCOR;NHR;ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、およびCFから選択される。Rの好適な値は、オキソおよびメチルを含む。
好ましくは、nは、0、1、または2である。
一実施形態において、nは0である。
他の実施形態において、nは1または2である。
がCONHR、NHCOR;NHCONHR;またはNHRである場合;RはR9aまたは(CH)R9a基であり、R9aは炭素環式またはヘテロ環式であってもよい単環または二環式基である。
炭素環式およびヘテロ環式基の例は、上記一般的な好ましい選択肢および定義の項において示す通りである。
典型的には炭素環式およびヘテロ環式基は、単環である。
好ましくは、炭素環式およびヘテロ環式基は、芳香族である。
基は、典型的には非置換フェニルまたはベンジル、あるいはハロゲン;ヒドロキシ;トリフルオロメチル;シアノ;カルボキシ;C1−4アルコキシカルボニル;C1−4アシルオキシ;アミノ;モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ;ハロゲン、ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−4アルキル;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−4アルコキシ;フェニル、O、N、およびSから選択される3つまでのヘテロ原子を含有する5および6員ヘテロアリール基;O、S、およびNから選択される2つまでのヘテロ原子を含有する飽和炭素環式およびヘテロ環式基、から選択される1、2、または3つの置換基によって置換されたフェニルまたはベンジルである。
部分:
Figure 2009534454
の例を表6に示す。星印は、E基への結合地点を示す。
Figure 2009534454
好適な基は、F1、F19、およびF20を含む。
特に好適な基は、F1である。
式(I)の具体的かつ好適なサブグループ
式(I)の化合物の1つのサブグループは、一般式(II):
Figure 2009534454
(式中、A基は、ベンゼン環のメタ位またはパラ位に結合し、qは0〜4であり;R、R、R、R、およびRは、式(I)、ならびにそのサブグループ、例、および好ましい選択肢に関して本明細書において記載される通りであり;Rは、上記と同義の置換基である)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドを有する。式(II)において、qは、好ましくは0、1、または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。好ましくは、A基はベンゼン環のパラ位に結合する。
例えば、式(II)の化合物の1つのサブグループは、式(IIa):
Figure 2009534454
(式中、X、R1a、R、R、R、およびnは、本明細書において記載される通りであり、xは0または1であり、yは、0、1、または2である)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。一実施形態において、xおよびyは両方とも1である。他の実施形態において、xは0でありyは1である。
式(II)の化合物の他のサブグループは、式(IIb):
Figure 2009534454
(式中、X、R1a、R、R、R、xおよびyは上記と同義であり、zは、0、1、または2である(但し、yおよびzの合計が4を超えない))ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。具体的な一実施形態において、yは2でありzは1である。
式(I)の化合物の他のサブグループは、一般式(IIc):
Figure 2009534454
(式中、A基は、ピペリジン環の3位または4位に結合し、qは0〜4であり;X、n、A、R1a、R、R、およびRは、式(I)、ならびにそのサブグループ、例、および好ましい選択肢に関して本明細書において記載される通りであり;R10は、上記と同義の置換基である)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドを有する。式(IIc)において、qは、好ましくは0、1、または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0であり、かつ/またはnは好ましくは0である。
式(I)の化合物の他のサブグループは、一般式(III):
Figure 2009534454
(式中、X、R1b、R、Q、Q、およびNRは、式(I)、ならびにそのサブグループ、例、および好ましい選択肢に関して本明細書において記載される通りである)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドを有する。式(III)において、具体的には、化合物は、Qが結合またはC1−2アルキレン基であり、Qが結合またはメチレン基である化合物である。好ましくは、R1bはアリールまたはヘテロアリール基R1aである。
式(III)において、好ましくは、NRがNHまたはNHMeである。
本発明の好適な化合物の他のグループは、式(IV):
Figure 2009534454
(式中、Tは、S、O、またはNR18であり;R17は水素またはR基であり;R18は水素またはC1−4アルキルであり;A、E、T、R1a〜R、およびR16は、本明細書において記載される通りである)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。
式(IV)中、化合物の1つのサブグループにおいて、TがNでありTが、S、O、およびNHから選択される。化合物の好適なグループにおいて、TがSである。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、および(IV)、ならびにその実施形態において、基R1aおよびR1bのそれぞれは好ましくは場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基、典型的には5または6環員の単環式アリールまたはヘテロアリール基である。具体的なアリールおよびヘテロアリール基は、それぞれ場合により置換された、フェニル、ピリジル、フラニル、およびチエニル基である。場合により置換されたフェニル基が特に好ましい。
一方、基R1aおよびR1bは、例えば、場合により置換されたナフチル基、例えば、場合により置換された1−ナフチル基である。このような基の一具体例は、非置換1−ナフチルである。
上記アリールまたはヘテロアリール基(例えば、フェニル、ピリジル、フラニル、またはチエニル基)は非置換であるか、または5つまでの置換基により置換されていてもよい。
上記式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、または(III)の化合物の具体的なサブグループは、R1aおよびR1bのそれぞれが非置換フェニルであるか、より好ましくは、1〜3つ(より好ましくは1つまたは2つ)の置換基を有するフェニルであり、該置換基が、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル基(上記C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル基は1つ以上のC1−2アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、または場合により置換されたフェニルまたはピリジル基によって場合によりそれぞれ置換されている);C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、O、およびSから選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する5および6員ヘテロアリール基(上記ヘテロアリール基は1つ以上のC1−4アルキル置換基によって場合により置換されている);場合により置換されたフェニル;場合により置換されたピリジル;および場合により置換されたフェノキシ(上記フェニル、ピリジル、およびフェノキシ基の任意の置換基は、C1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、C1−2ヒドロカルビルオキシ、およびC1−2ヒドロカルビル基、上記C1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビル基は、それぞれメトキシまたはヒドロキシによって場合により置換されている、から選択される1、2、または3つの置換基である)である、からなる。
5つまでの置換基が存在し得るが、置換基が、0、1、2、3、または4つであることがより典型的であり、0、1、2、または3つであることが好ましく、0、1、または2つであることがより好ましい。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、および(IV)のそれぞれの一実施形態において、R1aおよびR1bのそれぞれは非置換フェニル基であるか、ヒドロキシ、C1−4アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、シアノ、それぞれがC1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビルから独立して選択される1または2つの置換基により置換されたフェニル基である。
より好ましくは、R1aおよびR1bのそれぞれは、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノ、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、およびベンジルオキシから独立して選択される1または2つの置換基を有する置換フェニル基から選択される。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、および(IV)の化合物の1つの具体的なサブグループにおいて、基R1aおよびR1bのそれぞれは、パラ位に塩素置換基を有するモノ置換フェニル基である。
17は、好ましくは水素である。
式(III)の化合物の他のサブグループは、一般式(V):
Figure 2009534454
(式中、X、R、R、およびRは式(I)、ならびにそのサブグループ、例、および好ましい選択肢に関して本明細書において記載される通りである)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドを有する。
式(III)の化合物の他のサブグループは、一般式(VI):
Figure 2009534454
(式中、mは0、1、または2であり、m’は0または1であり(但し、mおよびm’の合計は0〜2の範囲内である)、nは0または1であり、pは0、1、2、または3であり、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素、メチル、およびフッ素から選択され、R12はCNまたはNRであり、各R13は独立してR10から選択され、ここでX、R、R、R、およびR10は上記で定義したものと同義である)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドを有する。
式(VI)において、mは好ましくは0または1である。m’が0である場合、より好ましくはmは1である。m’が1である場合、好ましくはmは0である。
化合物の1グループにおいては、nは0である。化合物の他のグループにおいては、nは1である。
好ましくはpは0、1、または2であり、R13はヒドロキシ、C1−4アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、シアノ、それぞれがC1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビルから選択される。
より好ましくは、R13はフッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、シアノ、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、およびベンジルオキシから選択される。
例えば、フェニル基は、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、メチル、tert−ブチル、およびメトキシから選択される置換基R13をパラ位に、および場合によりフッ素、塩素、またはメチルから選択される第2の置換基をオルト位またはメタ位に有してもよい。このサブグループでは、フェニル基は一置換であり得る。一方、フェニル基は二置換であってもよい。
化合物の他のサブグループにおいて、pは1であり、置換基R13はパラ位の塩素置換基である。
化合物の他のサブグループにおいて、pは2であり、フェニル基はジクロロフェニル基であり、その具体例としては2,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、および2,3−ジクロロフェニルである。
式(VI)の化合物の他のサブグループにおいて、R12はNRであり、より好ましくはR12は、NH、NHMe、およびNMeから選択され、NHが特に好ましい。
式(VI)の化合物の1つの具体的なサブグループは、式(VII):
Figure 2009534454
(式中、R、R、およびRはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、X、n、p、R、およびR13は、本明細書において記載される通りである)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。
一実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、Rはメチルである。好ましくは、pは、0、1、または2である。好ましくは、RおよびRが両方とも水素である。
一方、RおよびRは両方ともメチルでもよく、または両方ともフッ素でもよく、またはRおよびRのうち一方が水素で、他方がメチルまたはフッ素でもよい。
式(III)の化合物の他のサブグループは、式(VIII)
Figure 2009534454
(式中、R25は水素またはメチルであり、X、R13、R、およびRは本明細書において記載される通りである)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。
好ましくは、pは、0、1、または2である。
化合物の1グループにおいて、R25は水素である。化合物の他のグループにおいて、R25はメチルである。
一実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、Rはメチルである。
式(VII)および(VIII)の具体的な化合物は、nが0のものである。
式(VII)および(VIII)のそれぞれにおいて、好ましい置換基R13の1グループは塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、tert−ブチル、シアノ、およびベンジルオキシからなる。
式(VII)および(VIII)において、pは好ましくは1または2である。
一実施形態において、pは1である。
他の実施形態において、pは2である。
pが1である場合、フェニル環は2−置換、3−置換、または4−置換であってもよい。
pが1である基の具体例としては、上記表2における基B2、B3、B5、B6、B8、B9、B10、B11、B12、B15、B18、およびB19である。より好ましい基は、表2における基B2、B5、B10、B11、B15、B18、およびB19である。
pが2である場合、フェニル環は、例えば、2,3−二置換、2,4−二置換、または2,5−二置換であってもよい。
pが2である基の具体例としては、表2における基B4、B7、B13、B14、B16、B17、およびB20である。
本発明の化合物の他のサブグループは、式(IX):
Figure 2009534454
(式中、Arは、O、N、およびSから選択される2つまでのヘテロ原子環員を有し、フッ素、塩素、メチル、およびメトキシから選択される1または2つの置換基によって場合により置換された、5または6員単環式アリールまたはヘテロアリール基であり、R13aはフッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、およびメトキシから選択される置換基であり、rは0、1、または2(より典型的には0または1)であり、X、Q、Q、NR、およびRは上記で定義したものと同義である。)ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドで示すことができる。
式(IX)において、具体的な5または6員単環式アリールまたはヘテロアリール基Arは、フェニル、ピリジル、フリル、およびチエニルから選択され、それぞれ場合により本明細書で定義されているように置換される。1つの具体的な単環式アリール基は、場合により置換されたフェニルであり、非置換フェニルが具体的な例である。
式(IX)において、好ましい化合物は、NRが、NH、NHMe、およびNMeから選択され(NHが特に好ましい)、かつ/またはRが水素またはメチル(より好ましくは水素)であり、かつ/またはQがCHおよびCHNHCO(上記カルボニル基は、ピペリジン環に結合)から選択され、かつ/またはQがCHおよび結合から選択される(より好ましくは結合)。
誤解を避けるため記述すると、R1aおよびR1b基の一般なおよび特定の好ましい選択肢、実施形態および例のそれぞれは、基Xおよび/またはQおよび/またはQおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRの一般的なおよび特定の好ましい選択肢、実施形態および例と組合されてもよく、このような組合せはすべて本明細書に包含されると理解すべきである。
式(I)の化合物を形成する種々の官能基および置換基は、典型的には、式(I)の化合物の分子量が1000を超えないように選択される。より一般的には、化合物の分子量は、750未満、例えば、700未満、650未満、600未満、または550未満になる。より好ましくは、分子量は525未満、例えば、500以下である。
以下の実施例において、本発明の具体的な化合物を説明する。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、および同位元素
この項において、本願の他の全ての項と同様、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(I)への言及は、本明細書において記載される式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)ならびにその全てのサブグループ、好ましい選択肢、および実施例への言及を含む。
特に断りのない限り、具体的な化合物への言及は、例えば、以下に検討されるそのイオン、塩、溶媒和物、および保護された形態も含む。
式(I)の多くの化合物は、塩形態で、例えば、酸付加塩、または特定の場合にはカルボン酸塩、スルホン酸塩、およびリン酸塩のような有機および無機塩基の塩により存在しうる。全てのこのような塩が本発明の範囲内であり、式(I)の化合物への言及には上記化合物の塩形態を含む。本願の既出部分のように、式(I)への全ての言及は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(II)とそのサブグループにも言及していると解釈するべきである。
塩形態は、『医薬用塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use)』(ハインリヒスタール(P.Heinrich Stahl)(編者)、カミールワーマス(Camille G.Wermuth)(編者)、ISBN:3−90639−026−8、ハードカバー、全388頁、2002年8月)に記載の方法に従い、選択および調製される。例えば、ある塩形態が不溶性または難溶性である有機溶媒に遊離塩基を溶解し、必要な酸を適切な溶媒に添加して、溶液から塩を析出させることで、酸付加塩を調製し得る。
酸付加塩は、無機および有機両方の様々な酸と形成される。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸および(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸と、アシル化アミノ酸およびカチオン交換樹脂とからなる群より選択される酸と形成される塩が挙げられる。
酸付加塩の具体的な1つのグループは、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸、およびラクトビオン酸で形成した塩を含む。
酸付加塩の他のグループは、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、および酒石酸で形成した塩を含む。
本発明の化合物は、塩が形成される酸のPKaに応じてモノ塩またはジ塩として存在してもよい。
化合物がアニオン性であるか、またはアニオン性となりうる官能基(例えば、−COOHは−COOとなりうる)を有していれば、塩は適切なカチオンと形成される。適切な無機カチオンの例としては、限定されるものではないが、NaおよびK等のアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+等のアルカリ土類カチオンと、Al3+等の他のカチオンが挙げられる。適切な有機カチオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH )および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )が挙げられる。いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、またリジンおよびアルギニン等のアミノ酸から誘導されるものである。一般的な四級アンモニウムイオンの例はとしてはN(CH である。
式(I)の化合物がアミン官能基を含有している場合、例えば、当業者に周知の方法に従いアルキル化剤との反応により、四級アンモニウム塩を形成しうる。このような四級アンモニウム化合物も式(I)の範囲内である。
アミン官能基を含有する式(I)の化合物はN−オキシドを形成し得る。アミン官能基を含有する式(I)の化合物への本明細書での言及には、N−オキシドも含まれる。
化合物がいくつかのアミン官能基を含有している場合、1または2つ以上の窒素原子が酸化されてN−オキシドを形成することもある。N−オキシドの具体例としては、三級アミンの、または含窒素ヘテロ環の窒素原子のN−オキシドである。
N−オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で対応のアミンを処理することにより形成できる(例えば、『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)を参照)。より具体的には、N−オキシドは、デディー(L.W.Deady)(『Syn.Comm.』、1977年、7、509〜514頁)の方法により調製することができ、この方法では、アミン化合物を、例えば、ジクロロメタン等の不活性溶媒中、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
式(I)の化合物は、いくつかの異なる幾何異性体および互変異性体で存在することがあり、式(I)の化合物への言及は全てのこのような形態を含む。誤解を避けるため、化合物がいくつかの幾何異性体または互変異性体のうち1つで存在し、1つのみが特に記載または示されていたとしても、他の全てが式(I)に含まれる。
式(I)の化合物が1つ以上のキラル中心を含有し、2つ以上の光学異性体の形態で存在しうる場合、式(I)の化合物への言及は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、個別の光学異性体または2種以上の光学異性体の混合物として、その全ての光学異性体(例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマー)を含む。
例えば、A基は1つ以上のキラル中心を含み得る。よって、EおよびRが両方ともリンカー基Aの同一の炭素原子に結合する場合、当該炭素原子は、典型的にはキラルであるため、式(I)の化合物は、エナンチオマーの対として存在し得る(あるいは、化合物中に1より多いキラル中心が存在する場合、エナンチオマーの1つより多い対として存在する)。
光学異性体はそれらの光学活性により(すなわち、+および−異性体として)特徴付けおよび同定されるか、あるいはカーン、インゴールド、およびプレログ(Cahn、Ingold and Prelog)により開発された「RおよびS」命名法を用いて絶対立体化学に基づき特徴付けられる。『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ジョンワイリー&サンズ、ニューヨーク、1992年、109〜114頁を参照。さらに、カーン、インゴールド&プレログ、『アンゲヴァンテケミーインターナショナルエディション(Angew.Chem.Int.Ed.)』、Engl.、1966年、5、385〜415頁を参照。
光学異性体はキラルクロマトグラフィー(キラル担体でのクロマトグラフィー)を含めたいくつかの技術により分離され、このような技術は当業者において周知である。
キラルクロマトグラフィーの代わりに、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−ショウノウスルホン酸等のキラル酸でジアステレオアイソマーの塩を形成し、優先的結晶化によりジアステレオアイソマーを分離し、塩を解離させて、遊離塩基の個々のエナンチオマーを得ることによっても、光学異性体を分離可能である。
式(I)の化合物が2種以上の光学異性体として存在する場合、一対のエナンチオマーのうち一方のエナンチオマーは、例えば、生物活性に関して、他方のエナンチオマーより有益であることがある。したがって、特定の状況下では、一対のエナンチオマーのうち一方のみ、または複数のジアステレオマーのうち1種のみを治療剤として用いることが望ましい。よって、本発明は、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)が単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)として存在している、1つ以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有する組成物を提供する。1つの一般的な実施形態において、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全て)が、単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)として存在していてもよい。
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のカルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルのようなエステルも、式(I)に含まれる。本発明の一実施形態において、式(I)はその範囲内にカルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含む。本発明の他の実施形態において、式(I)はその範囲内にカルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含まない。エステルの例としては、基−C(=O)ORを含有する化合物であり、Rはエステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。エステル基の具体例としては、限定されるものではないが、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH、および−C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基の例は−OC(=O)Rで表わされ、Rはアシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。アシルオキシ基の具体例としては、限定されるものではないが、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Ph、および−OC(=O)CHPhが挙げられる。
式(I)には、化合物の多形体、溶媒和物(例えば、水和物)、複合体(例えば、シクロデキストリンのどの化合物との包接複合体または包接化合物、または金属との錯体)、および化合物のプロドラッグも含まれる。「プロドラッグ」とは、例えば、生体内で式(I)の生物活性化合物へ変換される化合物を意味する。
例えば、いくつかのプロドラッグは活性化合物のエステル(例えば、生理学上許容される易代謝性エステル)である。代謝に際して、エステル基(−C(=O)OR)は開裂されて活性薬を生じる。このようなエステルは、例えば、親化合物においてカルボン酸基(−C(=O)OH)のエステル化により形成されるが、適宜に、親化合物に存在する他の反応基を予め保護しておき、次いで必要であれば脱保護する。
このような易代謝性エステルの例としては、式−C(=O)ORのものが挙げられ、Rは:C1−7アルキル(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);C1−7アミノアルキル(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);ならびにアシルオキシ−C1−7アルキル(例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)−カルボニルオキシエチル)である。
また、一部のプロドラッグは酵素的に活性化されて活性化合物を生じ、またある化合物はさらなる化学反応により活性化合物を生じる (例えば、抗体指向性酵素プロドラッグ療法(ADEPT)、遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法(GDEPT)、リガンド指向性酵素プロドラッグ療法(LIDEPT)等の場合)。例えば、プロドラッグは糖誘導体または他のグリコシド複合体でもよく、またはアミノ酸エステル誘導体でもよい。
式(I)の化合物の調製方法
この項において、本願の他の全ての項と同様、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(I)への言及は、本明細書において記載される式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)ならびにその全てのサブグループ、好ましい選択肢、および実施例への言及を含む。
TGが(1)基:
Figure 2009534454
である式(I)の化合物は、式(X)の化合物と式(XI)の化合物またはそのN−保護誘導体との反応により調製され、ここで、X、Xg、A、E、n、およびR1a〜Rは上記と同義であり、基XGおよびYのうち一方は、塩素、臭素、ヨウ素、またはトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)基であり、基XGおよびYのうち他方はボロネート残基、例えば、ボロネートエステルまたはボロン酸残基である。
(X)
Figure 2009534454
(XI)
Figure 2009534454
上記反応は、極性溶媒、例えば、エタノール水溶液のような水性溶媒またはジメトキシエタンのようなエーテル中において行なわれてもよく、反応混合物は典型的には加熱、例えば、80℃以上の温度、例えば100℃を超える温度に付される。反応物は、エタノール水溶液のような水性溶媒システム中において行なわれてもよく、反応混合物は典型的には加熱、例えば100℃を超える温度に付される。
スズキカップリング工程を伴う例示の合成経路がスキーム1に示されている。スキーム1に示す合成経路の出発物質は、Xが、塩素、臭素またはヨウ素原子あるいはトリフレート基であるハロ−置換アリール−またはヘテロアリールメチルニトリル(XII)である。ニトリル(XII)を、エタノール水溶液等の水性溶媒システムにおいてナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリの存在下で、アルデヒドRCHOで濃縮する。反応は室温で行なってもよい。
生じた置換アクリロニトリル誘導体(XIII)を、ニトリル基を還元することなしにアルケン二重結合を選択的に還元する還元剤で処理する。水素化ホウ素ナトリウム等のホウ化水素をこの目的のために使用して置換アセトニトリル誘導体(XIV)を得てもよい。還元反応は、典型的にはエタノール等の溶媒中で、一般的には加熱しながら、例えば、約65℃までの温度に付しながら行なわれる。
還元ニトリル(XIV)を、ボロネートエステル(XV)と上記のスズキカップリング条件下で結合させて、A−NRが置換アセトニトリル基である式(I)の化合物を得る。
スキーム1
Figure 2009534454
その後、置換アセトニトリル化合物(XVI)を、ラネーニッケルおよびエタノール中アンモニア等の適切な還元剤で処理して、対応するアミン(XVII)に還元してもよい。
スキーム1に示す合成経路は、アリールまたはヘテロアリール基Eがアミノ基に対して基Aのβ位に結合した式(I)のアミノ化合物を生じる。Rがアミノ基に対してβ位に結合した式(I)のアミノ化合物を得るために、縮合工程における2つの出発物質の官能基は逆転してもよく、したがって式XG−E−CHOの化合物(XGは臭素、塩素、ヨウ素またはトリフレート基である)が式R1a−CH−CNの化合物と縮合されて、置換アクリロニトリル誘導体を生じ、次いでこれが対応するアセトニトリル誘導体へ還元されてから、ボロネート(XV)とカップリングさせ、シアノ基をアミノ基へ還元する。
1aがアミノ基に対しα位に結合した式(I)の化合物は、スキーム2に示す一連の反応により調製することができる。
スキーム2において、出発物質はハロ置換アリールまたはヘテロアリールメチルグリニャール試薬(XVIII、X=臭素または塩素)であり、これはジエチルエーテルなどの無水エーテル中で、ニトリルR1a−CNと反応させると中間体イミン(図示せず)を生じ、これは水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤を用いて還元するとアミン(XIX)を生じる。アミン(XIX)は上記のスズキカップリング条件下でボロネートエステル(XV)と反応させると、アミン(XX)を生じ得る。
スキーム2
Figure 2009534454
式(I)の化合物は、置換ニトリル化合物(XXI)からも調製可能である。
(XXI)
Figure 2009534454
ニトリル(XXI)は、式R1a−(CH−CHOのアルデヒド(式中、rは0または1)で濃縮可能であり、生じた置換アクリロニトリルを、上記スキーム1において設定した条件と類似の条件下で対応する置換ニトリルに還元する。その後、保護基PGは適切な方法で除去可能である。ニトリル化合物を、上記のような適切な還元剤を用いて対応するアミンに還元してもよい。
ニトリル化合物(XXI)を、標準的なグリニャール反応条件で式R1a−(CH−MgBrのグリニャール試薬と反応させ、脱保護して、式(XXII)に示す構造を有する本発明のアミノ化合物を得る。
(XXII)
Figure 2009534454
上記の調製操作において、パラジウム触媒および塩基の存在下でハロ−アリールまたはヘテロアリール化合物とボロネートエステルまたはボロン酸とを反応させることにより、E基と環状X基とを結合させる。本発明の化合物を調製する上で使用に適した多くのボロネートが、例えばオーストラリア、ノーブルパークのボロンモルキュラーリミテッド(Boron Molecular Limited)社から、またはアメリカ、サンディエゴのコンビ−ブロック(Combi−Blocks)社から市販されている。ボロネートが市販されていない場合、当該技術分野で公知、例えば、ミヤウラ(N.Miyaura)およびスズキ(A.Suzuki)、『ケミカルリビューズ(Chem.Rev.)』、1995年、95、2457による総論に記載されているような方法により調製することができる。このように、対応するブロモ化合物をブチルリチウムのようなアルキルリチウムと反応させ、次いでボレートエステルと反応させることにより、ボロネートは調製される。得られたボロネートエステル誘導体は所望であれば加水分解されて、対応するボロン酸を生じる。
A基が、E基に結合する窒素原子を含有する式(I)の化合物は、式(XXIII)の化合物またはその保護された形態から、周知の合成方法で調製可能である。式(XXIII)の化合物は、式(XV)の化合物(スキーム1参照)と4−ブロモアニリン等の式Br−E−NHの化合物とのスズキカップリング反応により得ることができる。
(XXIII)
Figure 2009534454
1aおよびEが同一の炭素原子に結合する式(I)の化合物は、スキーム3で示されるように調製可能である。
スキーム3
Figure 2009534454
スキーム3において、XGが臭素、塩素、ヨウ素、またはトリフレート基であるアルデヒド化合物(XXIV)は、塩基の存在下でシアノ酢酸エチルと縮合させると、シアノアクリレートエステル中間体(XXV)を生じる。縮合は典型的には、ディーンスターク条件下で加熱することにより、塩基、好ましくはピペリジンなどの非水酸化物の存在下で行われる。
次いで、シアノアクリレート中間体(XXV)を、アクリレート部分の炭素−炭素二重結合へマイケル付加により基R1aを導入するのに適したグリニャール試薬R1aMgBrと反応させる。グリニャール反応は低温、例えば、約0℃でテトラヒドロフランなどの極性非プロトン溶媒中において行うことができる。グリニャール反応の生成物はシアノプロピオン酸エステル(XXVI)であり、これは加水分解および脱カルボキシル化に供されて、プロピオン酸誘導体(XXVII)を生じる。加水分解および脱カルボキシル化工程は、硫酸および酢酸の混合物などの酸性媒体中で加熱することにより行うことができる。
プロピオン酸誘導体(XXVII)を、アミド結合の形成に適した条件下でアミンHNRと反応させることにより、アミド(XXVIII)に変換する。プロピオン酸誘導体(XXVII)とアミンHNRとのカップリング反応は、好ましくはペプチド結合の形成で一般的に使用されるタイプの試薬の存在下で行なわれる。このような試薬の例としては、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(シーハン(Sheehan)ら、『米国化学会誌(J.Amer.Chem.Soc.)』、1955年、77、1067)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(ここではEDCまたはEDACと呼ばれる)(シーハン(Sheehan)ら、『有機化学ジャーナル(J.Org.Chem.)』、1961年、26、2525)、ウロニウム系カップリング剤、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、およびホスホニウム系カップリング剤、例えば、1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(カストロ(Castro)ら、『テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)』、1990年、31、205)が挙げられる。カルボジイミド系カップリング剤は、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(カルピノ(L.A.Carpino)、『米国化学会誌(J.Amer.Chem.Soc.)』、1993年、115、4397)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(コーニック(Konig)ら、『ケミシェ・ベリヒテ(Chem.Ber.)』、103、708、2024〜2034頁)と併用するのが有利である。好ましいカップリング試薬としては、EDC(EDAC)およびDCCとHOAtまたはHOBtとの組合せが挙げられる。
カップリング反応は、典型的にはアセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジン等の非水性非プロトン性溶媒中、または1以上の混和性補助溶媒を伴ってもよい水性溶媒中で行なわれる。反応は、室温、または反応物の反応性が小さい場合には適当な高温で行なうことができる(例えば、スルホンアミド基のような電子求引基を有する電子不足のアニリンの場合)。反応は、非干渉性塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の三級アミンの存在下で行なってもよい。
アミンHNRがアンモニアである場合、アミドカップリング反応は、アンモニアの添加前にカルボン酸を活性化するため、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を使用して行なうことができる。
別法として、カルボン酸の反応性誘導体、例えば無水物または酸塩化物を用いてもよい。無水物等の反応性誘導体との反応は、典型的には、ピリジン等の塩基の存在下で室温でそのアミンと無水物を撹拌することによって達成される。
アミド(XXVIII)は、上記のようなスズキカップリング条件下でボロネート(XV)との反応により、(AがNR基の隣にオキソ置換基を有する式(I)の化合物に対応する)式(XXX)の化合物に変換され得る。次いで、アミド(XXX)を、塩化アルミニウムの存在下で水素化アルミニウムリチウムなどの水素化物還元剤を用いて還元すると、(AがCH−CH−CH−である式(I)の化合物に対応する)式(XXXI)のアミンを生じる。還元反応は典型的には、溶媒の還流温度まで加熱しながら、エーテル溶媒、例えば、ジエチルエーテル中において行われる。
アミド(XXVIII)をボロネート(XV)と反応させる代わりに、上記アミドは、例えば、エーテル溶媒中、室温で、水素化アルミニウムリチウム/塩化アルミニウムで還元してアミン(XXIX)を得てもよく、次いでこれを上記のスズキカップリング条件下で、ボロネート(XV)と反応させてアミン(XXX)が得られる。
一つ少ないメチレン基を有するアミン(XXIX)のホモログを得るために、カルボン酸(XXVII)を標準的な方法によりアジドに変換し、ベンジルアルコール等のアルコールの存在下でクルチウス転位に供してカルバメートを得ることが可能である(『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、第4版、ジェリーマーチ(Jerry March)、ジョンワイリー&サンズ、1992年、1091〜1092頁を参照)。ベンジルカルバメートは、後続のスズキカップリング工程においてアミンに対する保護基として機能可能である。カルバメート基のベンジルオキシカルボニル部分は、カップリング工程後に標準的な方法で除去可能である。あるいは、ベンジルカルバメート基を、水素化アルミニウムリチウム等の水素化物還元剤で処理して、NRがアミノ基ではなくメチルアミノ基である化合物を得ることが可能である。
部分Xが塩素、臭素、またはヨウ素原子で、AがCH−CH−基である式(X)の中間化合物は、標準的な還元アミノ化条件下、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコール溶媒中、水素化シアノホウ素ナトリウムの存在下で、式HNRのアミンで式(XXXII)のアルデヒド化合物を還元アミノ化することによって調製することができる。
(XXXII)
Figure 2009534454
アルデヒド化合物(XXXII)は、例えば、デス−マーティンペルヨージナン(デス(Dess,D.B.);マーティン(Martin,J.C.)、『J.Org.Soc.』、1983年、48、4155および『Organic Syntheses』,Vol.77,141参照)を用いた、対応するアルコール(XXXIII)の酸化により得ることができる。
(XXXIII)
Figure 2009534454
A、N、およびRがともに環式基を形成している式(I)の化合物は、式(XV)のボロネート化合物と、式(XXXIV)の環式中間体またはそのN−保護誘導体とのスズキカップリングにより形成することができる。
(XXXIV)
Figure 2009534454
がアリール基、例えば、場合により置換されたフェニル基である式(XXXIV)の環式中間体は、式(XXXV)の化合物とのアリール化合物R−Hのフリーデルクラフツアルキル化により形成することができる。
(XXXV)
Figure 2009534454
アルキル化は、典型的には、低温、例えば、5℃未満で、塩化アルミニウムなどのルイス酸の存在下で行われる。
フリーデルクラフツ反応は、式(X)の中間体の範囲にある物質を調製するのに一般的に適用可能であることが分かっている。したがって、式(X)の化合物を形成する一般的方法において、式(LXX):
Figure 2009534454
の化合物を、例えば、アルミニウム、ハロゲン化物(例えば、AlCl)の存在下でフリーデルクラフツアルキル化条件を用いて式R1a−Hの化合物と反応させる。
部分NRが部分AのCH基に結合する式(I)の化合物の他の調製方法において、式(XXXVI)のアルデヒドを、式HNRのアミンと上記の還元アミノ化条件下で結合させることが可能である。式(XXXVI)および(XXXVII)において、A’はA基の残基である。すなわち部分A’およびCHがともにA基を形成する。アルデヒド(XXXVII)は、例えば、デス−マーティンペルヨージナンを用いて対応するアルコールの酸化により形成可能である。
(XXXVI)
Figure 2009534454
(XXXVII)
Figure 2009534454
式(XXXIV)の中間体を合成するための上記のようなフリーデルクラフツアルキル化方法は、XGが臭素である式(X)の中間体の調製にも用いることができる。このような方法の例をスキーム4に示す。
スキーム4
Figure 2009534454
スキーム4に示す合成経路の出発物質は、市場で入手可能、またはアルデヒドBr−E−CHOとヨウ化トリメチルスルホニウムとの反応等の当業者に周知の方法で形成可能であるエポキシド(XXXVIII)である。エポキシド(XXXVIII)を、エポキシドとの開環反応に適した条件下で、アミンHNRと反応させて、式(XXXIX)の化合物を得る。開環反応は、エタノール等の極性溶媒中で、室温または場合により緩やかに加熱しながら、典型的には大過剰のアミンとともに行なうことができる。
次いで、アミン(XXXIX)を、フリーデルクラフツアルキル化に関与可能なアリール化合物R1aH、典型的にはフェニル化合物と反応させる(例えば、『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、ジェリーマーチ(Jerry March)、534〜542頁参照)。よって、式(XXXIX)のアミンを、典型的には、塩化アルミニウム触媒の存在下で室温またはその付近の温度でアリール化合物R1aHと反応させる。メトキシベンゼン(例えば、アニソール)またはクロロベンゼン等のハロベンゼンの場合のように、アリール化合物R1aHが液体の場合、アリール化合物を溶媒として作用させてもよい。そうでない場合、ニトロベンゼン等の反応性に劣る溶媒を用いてもよい。当該化合物RHのアミン(XXXIX)を用いたフリーデルクラフツアルキル化により、XGが臭素でありAがCHCHである式(X)の化合物に対応する、式(XL)の化合物を得る。
スキーム4のヒドロキシ中間体(XXXIX)は、R1a基に隣接する炭化水素リンカー基Aの炭素原子が酸素原子によって置き換えられた式(X)の化合物の調製にも用いることができる。式(XXXIX)の化合物またはそのN−保護誘導体(RまたはRが水素の場合)は、光延アルキル化条件下、例えば、アゾジカルボン酸ジエチルおよびトリフェニルホスフィンの存在下で、式R1a−OHのフェノール化合物と反応可能である。反応は、典型的には、テトラヒドロフラン等の極性非プロトン性溶媒中室温等の中温で行なわれる。
ヒドロキシ−中間体(XXXIX)は、対応するフルオロ−化合物の調製にも用いることができる。よって、ヒドロキシ基は、ピリジンとの反応によりフッ素によって置換可能である:フッ化水素複合体(オラー試薬)。フッ素化中間体に対してスズキカップリング反応を行なって、フッ素化炭化水素基Aを有する式(I)の化合物を得ることができる。あるいは、式(I)のフッ素化化合物は、まずヒドロキシ中間体(XXXIX)またはその保護された形態を、ヘテロアリールボロン酸またはボロネートとスズキ条件下でカップリングさせ、次いで生じた式(I)の化合物中のヒドロキシ基を、ピリジンを用いてフッ素によって置換することによって調節可能である:フッ化水素複合体。
部分:
Figure 2009534454
が基:
Figure 2009534454
(式中、A’’はA基の炭化水素残基である)である式(I)の化合物は、スキーム5に示す一連の反応により調製可能である。
スキーム5
Figure 2009534454
スキーム5に示すように、アルデヒド(XXIV)を、グリニャール試薬R1aMgBrと標準的なグリニャール条件下で反応させて、第二級アルコール(XLI)を得る。第二級アルコールは、R2’およびR3’が基RおよびRまたはアミン−保護基を示し、A’’がA基の残基であり、XG’がヒドロキシ基または解離基を示す式(XLII)の化合物と反応可能である。
アミン保護基、例えば、NR2’3’がフタルイミド基であるフタロイル基であってもよい。
XG’がヒドロキシ基である場合、化合物(XLI)と(XLII)との反応は、トルエンスルホン酸触媒濃縮反応の形態をとり得る。XG’がハロゲン等の解離基である場合、アルコール(XLI)をまず水素化ナトリウム等の強塩基で処理してアルコラートを形成し、アルコラートを当該化合物(XLII)と反応させることが可能である。
生じた式(XLIII)の化合物は、ボロネート試薬(XV)と上記のような典型的なスズキカップリング条件下でスズキカップリング反応させて式(XLIV)の化合物を得る。その後、保護基を保護アミン基NR2’3’から除去して式(I)の化合物を得ることが可能である。
部分:
Figure 2009534454
が基:
Figure 2009534454
(式中、A’’はA基の炭化水素残基である)である式(I)の化合物は、スキーム6に示す一連の反応により調製可能である。
スキーム6
Figure 2009534454
スキーム6の出発物質は、文献に記載の方法(例えば、『ジャーナルオブメディカルケミストリ(J.Med.Chem.)』、2004年、47、3924〜3926頁)に記載の方法またはそれに類似の方法で調製可能なクロロアシル化合物(XLV)である。化合物(XLV)は、水/テトラヒドロフラン等の極性溶媒中で水素化ホウ素ナトリウム等の水素化物還元剤を用いた還元により、第二級アルコール(XLVI)に還元される。
第二級アルコール(XLVI)は、式R1a−OHのフェノール化合物と、光延アルキル化条件下、例えば、アゾジカルボン酸ジエチルおよびトリフェニルホスフィンの存在下で反応させて、アリールエーテル化合物(XLVII)を得ることができる。
アリールエーテル化合物(XLVII)中の塩素原子を、アミンHNRとの反応によって置換して、式(XLVIII)の化合物を得る。求核置換反応は、アミンをアリールエーテルとともにアルコール等の極性溶媒中で高温、例えば、約100℃まで加熱することにより行なわれてもよい。加熱は、マイクロ波ヒーターを用いて行なうことが有利である。生じたアミン(XLVIII)に対して、式(XV)のボロネートとともに上記のようにスズキカップリング方法を適用して、化合物(XLIX)を得る。
スキーム6に示す反応方法の変形例において、第二級アルコール(XLVI)を、アミンHNRで求核置換反応させてから、光延エーテル形成反応によりR基を導入してもよい。
EおよびR1aがA基の同一の炭素原子に結合する式(I)の化合物の他の経路を、スキーム7に示す。
スキーム7
Figure 2009534454
スキーム7において、ボロン酸化合物(L)を、XGが典型的には臭素または塩素等のハロゲンであるシアノ化合物XG−E−CNとスズキカップリング条件下で反応させる。ボロン酸(L)は、EP1382603に記載の方法またはそれに類似の方法を用いて調製可能である。
生じたニトリル(LI)を、グリニャール試薬R1a−MgBrと反応させてR1a基を導入し、ケトン(LII)を形成してもよい。ケトン(LII)は、アルキルリチウム、具体的にはブチルリチウム等の強塩基の存在下でジフェニルホスフィノイルメチルアミン(LIII)と反応させることにより、エナミン(LIV)に変換される。
エナミン(LIV)を、パラジウム炭素触媒で水素化し、エナミンの二重結合を還元し、1−フェネチル基を除去して、式(LV)の化合物を得る。
あるいは、エナミン(LIV)を、『テトラヘドロン・アシメトリイ(Tetrahedron:Asymmetry)』、14(2003年)1309〜1316頁に記載の条件下で水素化物還元剤を用いて還元し、キラル分離させることが可能である。次いで、保護基2−フェネチルの除去により式(LV)の化合物の光学活性体を得る。
AおよびRが結合して酸素原子を含有する環を形成する式(X)の中間体は、スキーム8に記載の一般的方法により調製可能である。
スキーム8
Figure 2009534454
スキーム8において、ケトン(LVI)を、ヨウ化トリメチルスルホニウムと反応させて、エポキシド(LVII)を形成する。反応は、典型的には、水素化ナトリウム等のヒドリド塩基の存在下でジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で行なわれる。
エポキシド(LVII)を、トリエチルアミン等の非干渉性塩基の存在下でアルコール等(例えば、イソプロパノール)の極性溶媒中で、一般的には緩やかに加熱(例えば、約50℃まで)しながら、エタノールアミンと開環反応させる。生じた第二級アルコールを、ジクロロメタン/エタノール等の溶媒中で濃縮硫酸を用いた処理により環化してモルホリン環を形成する。
モルホリン中間体(LIX)を、スズキカップリング条件下でボロネート(XV)と反応させて式(LX)の化合物を得ることが可能である。当該化合物は、A−NRがモルホリン基を形成する式(I)の化合物に対応する。
エポキシド(LVII)を、エタノールアミンの代わりにモノ−またはジアルキルアミンと反応させて、部分:
Figure 2009534454
を含有する化合物への経路を提供してもよい。
およびRが両方とも水素である化合物は、エポキシド(LVII)を、フタルイミドカリウムとDMSO等の極性溶媒中で反応させることにより調製可能である。スズキカップリング工程中、フタルイミド基は部分的に加水分解する可能性があり、対応するフタルアミド酸を生じ、当該フタルアミド酸を、ヒドラジンで分割してアミノ基NHを得てもよい。あるいは、フタルアミド酸を、標準的なアミド形成試薬を用いてフタルイミドに再環化し、その後ヒドラジンを用いてフタロイル基を除去してアミンを得ることも可能である。
AおよびNRが結合して環式基を形成する式(I)の化合物への他の合成経路を、スキーム9に示す。
スキーム9
Figure 2009534454
スキーム9において、出発物質(LXI)は、典型的には、アリール/ヘテロアリール基のうち一方または両方がEとR1aとの間のメチレン基上に形成されるアニオンの形成を安定化または促進可能なジ−アリール/ヘテロアリールメタンである。例えば、R1aが有利にはピリジン基であり得る。出発物質(LXI)を、ヘキサメチルジシラザンナトリウム等の非干渉性強塩基の存在下でテトラヒドロフラン等の極性溶媒中において低温(例えば、約0℃)でN−保護ビス−2−クロロエチルアミン(LXII)と反応させて、N−保護環状中間体(LXIII)を得る。保護基は、Boc基等の標準的なアミン−保護基であり得る。環化後、中間体(LXIII)を、スズキカップリング条件下で式(XV)のボロネートに結合させ、脱保護して式(I)の化合物を得る。
部分:
Figure 2009534454
が基:
Figure 2009534454
(式中、「Alk」は、メチルまたはエチル等の低級アルキル基である)である式(I)の化合物は、スキーム10に示す合成経路で形成可能である。
スキーム10
Figure 2009534454
スキーム10において、式(LXIV)のカルボン酸を、塩酸等の酸触媒の存在下でメタノールで処理することによりエステル化する。次いで、エステル(LXV)を、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の強塩基およびヨウ化メチル等のヨウ化アルキルと低温(例えば、0℃〜−78℃)で反応させる。分岐エステル(LXVI)を酸(LXVII)に加水分解し、上記の標準的なアミド形成条件下でアミンHNRと結合させる。アミド(LXVIII)を水素化アルミニウムリチウムを用いてアミン(LXIX)に還元可能であり、その後、アミン(LXIX)をスズキカップリング条件下でヘテロアリールボロネートまたはボロン酸と反応させて式(I)の化合物を得る。
式(I)の化合物を調製する他の方法には、式(LXX)の中間体中の臭素原子をヘテロ環の環前駆体基の範囲にある物質によって置換し、次いで環前駆体基をヘテロ環式環に変換することを含む。
(LXX)
Figure 2009534454
(LXXI)
Figure 2009534454
特に、E基がフェニル基等のアリールまたはヘテロアリール基である場合、式(LXX)の化合物中の臭素原子は、周知の合成方法で、例えば、CONH、NH、COOH、CHO、またはC(O)CH基に変換可能であり、当該基のそれぞれは、種々のヘテロ環系の形成に用いることができる。
例えば、式(LXX)のブロモ−化合物をブチルリチウム等のアルキルリチウムと反応させ、生じたリチオ化中間体をジメチルホルムアミドを用いてホルミル化することにより、ブロモ−化合物をアルデヒド(LXXI)に変換してもよい。リチオ化工程は、典型的には、THF等の乾燥極性非プロトン性溶媒中で低温(例えば、−50℃未満)で行なわれる。
化合物(LXXI)のアルデヒド基を、当業者に周知の化学作用を用いてヘテロ環式基の範囲にある物質に変換可能である。例えば、アルデヒドをトシルメチルイソシアニド(tosmic)と反応させることにより、アルデヒドをオキサゾール環に変換可能である。
TGが(2)基:
Figure 2009534454
であり、Eがアリールまたはヘテロアリール基である式(I)の化合物は、式(CX)化合物を式(XI)の化合物と反応させることにより調製可能であり、ここで(CX)および(XI)は適切に保護されてもよく、Q、Q、E、およびR1b〜Rは上記と同義であり、基XGおよびYのうち一方は、塩素、臭素、ヨウ素、またはトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)基であり、基XおよびYのうち他方は、ボロネート残基、例えば、ボロネートエステルまたはボロン酸残基である。
(CX)
Figure 2009534454
(XI)
Figure 2009534454
反応は、上記のように典型的なスズキカップリング条件下で行なうことができる。
スズキカップリング工程を伴う例示の合成経路がスキーム11に示されている。スキーム11において、Eがアリールまたはヘテロアリール基であるブロモ化合物(CXII)は、ブチルリチウムのようなアルキルリチウムおよびボレートエステル(iPrO)Bとの反応により、ボロン酸(CXIII)へ変換される。反応は典型的には低温(例えば、−78℃)でテトラヒドロフラン等の無水極性溶媒中で行なわれる。
次いで、得られたボロン酸(CXIII)を上記条件下でビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在中でN−保護クロロ化合物(XIV)と反応させて式(CXV)の化合物を得る。
スキーム1において、NR中の窒素原子は、典型的には下記に例示される適切な保護基で保護される。アミノ基を保護する上でスズキカップリングに際して用いられる1つの具体的な保護基は、tert−ブトキシカルボニル基であり、これはトリエチルアミンのような塩基の存在下においてアミノ基をジ−tert−ブチルカーボネートと反応させることにより導入される。式(CXV)の化合物からの保護基の除去は、典型的には当業者に周知の方法で行われ得る。
スキーム11
Figure 2009534454
上記の調製操作において、二環式基へのアリールまたはヘテロアリール基Eのカップリングは、パラジウム触媒および塩基の存在下でハロ−置換二環式基Xをボロネートエステルまたはボロン酸と反応させることにより行われる。本発明の化合物を調製する上で使用に適したボロネートは上記の通りである。
TGが(2)基であり、Eが非芳香族環式基であり、窒素原子により二環式基へ結合されている式(I)の化合物は、環Xが塩素原子の求核置換を可能とするように設定される式(CXIV)の化合物と、式(CXVII)の化合物またはその保護誘導体との反応により調製でき、R1b、Q、Q、およびNRは上記と同義であり、環Eは環員として求核性NH基を含有する環式基Eを表わす。
Figure 2009534454
反応は典型的には、高温、例えば、90℃〜160℃範囲の温度において、アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、またはn−ブタノール)等の極性溶媒中により場合によりトリエチルアミンのような非障害性アミンの存在下で行なわれる。反応は、特に、所望の反応温度が溶媒の沸点を超える場合密封チューブ中で行なってもよい。TがNである場合、反応は典型的には約100℃〜130℃範囲の温度において行なわれるが、TがCHである場合、例えば、約160℃までの高い温度が要求され、そのためジメチルホルムアミドのような高沸点溶媒が用いられる。一般的に、過剰の求核性アミンが用いられることになるか、かつ/またはトリエチルアミンのような追加の非反応性塩基が反応混合物中に含有されることになる。反応混合物の加熱は常套手段またはマイクロ波ヒーターの使用により達成されてもよい。
Eがピペリジン基であり、Qが飽和炭化水素連結基であり、QおよびQが両方ピペリジン基の4位に結合している式(CXVII)の中間化合物は、スキーム12で示される一連の反応により調製することができる。
スキーム12
Figure 2009534454
スキーム12では、4−メトキシカルボニル−ピペリジンをまず標準的な方法で、例えば、非干渉塩基の存在下でジ−tert−ブチルカーボネートとの反応によるtert−ブチルオキシカルボニル(boc)基により保護し(PG=保護基)、保護化合物(CXX)が生じる。保護ピペリジンカルボキシメチルエステル(CXX)を次に、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の強塩基およびHalがハロゲン、好ましくは臭素、およびQが飽和炭化水素基である式R1b−Halの化合物との反応によりエステルのカルボニル基に対してα位でアルキル化する。エステル(CXXI)を次に、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を使用して、対応するカルボン酸(CXXII)に加水分解する。カルボン酸(CXXII)は、様々な異なるアミン中間体を調製に使用することができ、それらはまた式(I)の化合物に変換することができる。例えば、カルボン酸は酸クロリドに変換することができ(例えば、塩化オキサリルおよび任意に触媒量のDMFで処理、または塩化オキサリルで酸の塩を処理することにより)、次に、アジ化ナトリウムと反応させて酸アジドを形成する(図示せず)。酸アジドを次に加熱してクルチウス反応における転位を起こし(『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、第4版、ジェリーマーチ(Jerry March)、ジョンワイリー&サンズ、1992年、1091〜1092頁を参照)アミノ基がピペリジン環へ直接結合している化合物(CXXIII)が生じる。アミン(CXXIII)を次に、標準的な方法(例えば、Boc保護基の場合、塩酸を使用して)によって脱保護し、式(CXIV)の化合物と反応させ、式(I)の化合物が生じる。
別の一連の反応では、エステル(CXXI)は対応するアルコールに還元することができ、これはピペリジン環の窒素原子の脱保護に続いて、式(CXXI)の化合物と反応させて、デス−マーティンペルヨージナン(デス(Dess,D.B.);マーティン(Martin,J.C.)、『J.Org.Soc.』、1983年、48、4155および『Organic Syntheses』,Vol.77,141参照)または過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)を使用して、アルデヒドに酸化することができるアルコールを得ることができる。得られるアルデヒドを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよびアミンHNRを使用する還元的アミノ化等の様々な合成相互転換に使用して、QがCHである式(CXVII)の化合物を得ることができる。
カルボン酸(CXXII)もまた、上記のようにアミド結合を形成するのに適当な条件下でアミンHNRとの反応によりアミドに変換することができる。
得られるアミド(図示せず)は、対応するアミンを得るため、塩化アルミニウムの存在下で、水素化アルミニウムリチウム等の水素化物還元剤を使用して還元することができる。
Eがピペリジン基、Qが結合、R1bがアリールまたはヘテロアリール基R1aである式(CXVII)の化合物 は、スキーム13で示される一連の工程を用いて調製することができる。
スキーム13
Figure 2009534454
スキーム13で示されるように、R1aがアリールまたはヘテロアリール基であるニトリル(CXXV)を、塩基およびN−保護(PG=保護基)ビス(2−クロロエチル)アミンと反応させ、ピペリジンニトリル(CXXVI)を生じ、これを次にラネーニッケルを使用して還元でき、アミン(CXXVII)を生じ、次に、脱保護(例えば、保護基が酸に不安定である場合、HClを使用)して、アミン(CXXVIII)が生じる。あるいは、ニトリル(CXXVI)を式(CXVI)の化合物と反応させて、QとNRとが一緒にニトリル基を形成する式(I)の化合物を生じることができる。
Eがピペリジン環、Qが結合そしてNRがアミノ基であるである式(I)の化合物はまた、スキーム14で示される一連の反応により調製することができる。
スキーム14
Figure 2009534454
スキーム14で示されるように、PGがBoc等の保護基である保護4−ピペリドン(CXXIX)を、チタンテトラエトキシドの存在下でTHFなど無水極性溶媒中でtert−ブチルスルフィンイミドと反応させると、スルフィンイミン(CXXX)を生じる。反応は典型的には加熱して、例えば、溶媒の還流温度で行なわれる。スルフィンイミン(CXXX)を次に、部分R1a−Qを導入するのに適当な有機金属反応剤、例えば、アラルキルまたはアリールマグネシウムブロミド等のグリニャール試薬と反応させると、スルフィンアミド(CXXXI)を生じる。tert−ブチルスルフィニル基を次に、塩酸/ジオキサン/メタノール混合物中で加水分解により除去して、アミン(XXIV)を生じることができる。アミン(XXIV)を次に、上記の条件下でクロロへテロ環(XVI)と反応させて、生成物(CXXXI)すなわちEがピペリジン、Qが結合およびNRがアミノ基である式(I)の化合物を生じることができる。
が結合でNRがアルキルアミノ(例えば、メチルアミノ)基である対応する化合物は、中間体(CXXXI)と例えば水素化ナトリウム等の金属水素化物等の強塩基との反応、続いてヨウ化メチルなどハロゲン化アルキルの添加により、tert−ブチルスルフィニル中間化合物(CXXXI)から調製することができる。反応は典型的には、低温(例えば、0〜5℃)でジメチルホルムアミドなど極性非プロトン性溶媒中で行なわれる。
がアミド結合を含有する式(I)の化合物は、上記の方法と条件を使用して、スズキカップリング操作(XLが臭素である場合)を用いて上記中間体(XI)との反応により、または中間体(CXVI)との反応により(XLが水素、基Eが求核性窒素原子を含む場合)、式(CXXXII)および式(CXXXIII)の中間体から調製することができる。
(CXXXII)
Figure 2009534454
(CXXXIII)
Figure 2009534454
式(CXXXII)および(CXXXIII)において、Q1aおよびQ1bはそれぞれ結合または基Qの残基であり、XLは水素または臭素等のハロゲンである。例えば、Q1aが結合で、Q1bがCH基であってもよく、その逆でもよい。
式(CXXXII)および(CXXXIII)の化合物は、上記のアミド成形条件を使用して、適切なカルボン酸またはその活性化誘導体(例えば、酸クロリド)ならびに適切なアミンを一緒に反応させて調製することができる。
部分Qがアミド基を含む式(I)の化合物の形成は、スキーム15で示される一連の反応により表される。
スキーム15
Figure 2009534454
スキーム15では、上記のアミド形成条件を使用して、boc−保護ピペリジンアミノ酸(CXXXIV)をアリールアミンまたはヘテロアリールアミンR1a−NHと反応させる。したがって、例えば、アミド生成反応は、N−エチルジイソプロピルアミン等の塩基の存在下でDMF等の極性溶媒中でHATU(上記参照)を使用して行なうことができる。アミド(CXXXV)を次に脱保護する、この場合、酸での処理によりboc基を除去する、そして次に高温(例えば、約100℃)で二環式クロロ化合物(CXVI)と反応させ、生成物(CXXXVII)を得ること。クロロ化合物との反応は典型的には、トリエチルアミンなど非干渉性塩基の存在下で、高沸点アルコール(例えば、n−ブタノール)等の極性溶媒中で行なわれる。
がエーテル結合を含む式(I)の化合物は、Qがアミド結合を含む化合物に関して上記した方法と類似の方法で調製することができる。エーテル結合を含む化合物の調製はスキーム16で示される一連の反応により表される。
スキーム16
Figure 2009534454
スキーム16では、水素化アルミニウムリチウムなど還元剤を使用し、テトラヒドロフラン等の極性非プロトン性溶媒中で、典型的にはほぼ室温で、N−保護ピペリジンアミノ酸(CXXXIV)は、対応するアルコール(CXXXVIII)に還元される。アルコール(CXXXVIII)を次に強塩基、例えば、水素化ナトリウムなど金属水素化物で処理し、アルコラートを形成し、これを次にアリールメチル−もしくは臭化へテロアリールメチルR1a−CH−Brと反応させ、エーテル(CXXXIX)を形成する。エーテル生成反応は典型的には、DMF等の非プロトン性極性溶媒を使用して、低温(例えば、ほぼ0℃)で行なわれる。エーテルを次に標準的な方法により脱保護し、脱保護されたエーテル(CXL)を上記の条件下でクロロ化合物(CXVI)と反応させると、生成物(CXLI)が生じる。
一旦形成すると、式(I)の多くの化合物を標準的な官能基相互変換法を用いて、式(I)の他の化合物に変換することができる。例えば、NRニトリル基の一部を形成する式(I)の化合物は、対応するアミンへ還元可能である。NRがNH基である化合物は、還元的アルキル化により対応するアルキルアミン、または環状基に変換することができる。R1aが塩素または臭素等のハロゲン原子を含有する化合物を用いて、スズキカップリング反応で、アリールまたはヘテロアリール基置換基をR1a基に導入可能である。式(I)の1つの化合物を式(I)の他の化合物に相互変換する他の例を、以下の実施例に示す。官能基相互変換のさらなる例ならびにこのような変換を行なう試薬および条件は、例えば、『機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)』、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;『フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis)』、第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)、および『有機合成(Organic Syntheses)』、1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)に見出すことができる。
上記の反応の多くのものでは、分子の望まない位置で反応が起こらないように1つ以上の基を保護する必要のある場合がある。保護基の例ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、『有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)』、(グリーン(T.Green)およびワッツ(P.Wuts);第3版、ジョンワイリー&サンズ、1999年)に見出すことができる。
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)、例えば、tert−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH、−OAc)、として保護することができる。アルデヒドまたはケトン基は、例えば、第1級アルコールとの反応により、カルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR))に変換される、それぞれ、アセタール(R−CH(OR))またはケタール(RC(OR))、として保護することができる。アルデヒド基またはケトン基は、酸の存在下で、過剰の水を用いて加水分解により容易に再生される。アミン基は、例えば、アミド(−NRCO−R)またはウレタン(−NRCO−OR)、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz)として;tert−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Bpoc)として、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)として、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)として、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)として、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)として、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)として、または2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)、として保護することができる。アミン、例えば、環状アミンおよびヘテロ環式N−H基のための他の保護基としては、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基ならびにベンジル基、例えば、パラ−メトキシベンジル(PMB)基が挙げられる。カルボン酸基は、エステル、例えば、C1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;tert−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例えば、C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミド、として保護することができる。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)、として保護することができる。
上記の化学中間体の多くは新規であり、このような新規の中間体も本発明の態様を形成する。
医薬製剤
当該活性化合物は単独で投与することもできるが、1種以上の薬学上許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、フィラー、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の物質と、場合により他の治療または予防剤と一緒に、本発明の少なくとも1種の活性化合物を含有する医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが好ましい。
したがって、本発明はさらに、上記のような医薬組成物ならびに、本明細書で記載されているような1種以上の薬学上許容される担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤、または他の物質と一緒に、上記のような少なくとも1種の活性化合物を混合することからなる、医薬組成物の調製方法を提供する。
本明細書において「薬学上許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なく、対象者(例えば、ヒト)の組織との接触に用いるのに好適であり、妥当な利益/リスク比で釣り合いがとれた化合物、物質、組成物および/または投与形を意味する。担体、賦形剤等の各々はまた、その製剤の他の成分と適合するという点で「許容される」ものでなければならない。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は公知の技術に従い処方できる、例えば、『レミントンの医薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)』、(マック出版社、イーストン、ペンシルベニア、米国)を参照。
したがって、別の態様において、本発明は本明細書において記載される式(I)の化合物およびそのサブグループを医薬組成物の形態で提供する。
上記医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与または経皮投与に好適ないずれの形態であってもよい。上記組成物が非経口投与を意図したものである場合、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に処方することもできるし、あるいは注射、注入または他の送達手段により標的臓器または組織に直接送達するために処方することもできる。送達はボーラス注射、短時間注入または長時間注入によるものとすることもでき、また、受動的送達であっても、または好適な注入ポンプの利用を介したものでもよい。
非経口投与に適した医薬製剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、補助溶媒、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(エマルジョン製剤を形成および安定化するため)、リポソーム形成のためのリポソーム成分、高分子ゲルを形成するためのゲル化可能なポリマー、凍結乾燥保護剤、ならびにとりわけ有効成分を可溶形態で安定化させるための薬剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする薬剤の組合せを含み得る水性および非水性無菌注射液が挙げられる。非経口投与に適した医薬製剤はまた、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁剤の形態であってもよい(ストリックリー(R.G.Strickly)「経口および注射製剤における賦形剤の溶解(Solubilizing Excipients in oral and injectable formulation)」、『薬学研究(Pharmaceutical Research)』、第21巻(2)、2004年、201〜230頁)。
リポソームは外側の脂質二重膜と内側の水性核からなる、閉じられた球状小胞であり、全体の直径が100μm未満である。疎水性の程度によって、中程度の疎水性薬剤であれば、薬剤をリポソーム内に封入またはインターカレーションした場合に、リポソームにより可溶化させることができる。疎水性薬剤はまた、薬剤分子を脂質二重膜の一体部分とした場合にも、リポソームにより可溶化させることができ、この場合、この疎水性薬剤を脂質二重膜の脂質部分に溶解させる。
上記製剤は単回用量容器または複数用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供することもできるし、使用直前に無菌液体担体、例えば、注射水を加えるだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することもできる。
上記医薬製剤は、式(I)のそのサブグループを凍結乾燥させることにより調製することができる。凍結乾燥とは、組成物をフリーズドライする手順をさす。よって、本明細書においてフリーズドライと凍結乾燥は同義語として用いられる。
即時調合注射溶液および懸濁液は無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
注射剤用の本発明の医薬組成物はまた、薬学的に許容される無菌の水性または非水性溶液、分散液、懸濁液および乳液、加えて使用直前に無菌注射溶液または分散液へ再構成される無菌粉末を含む。適当な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒あるいは賦形剤の例としては、水、エタノール、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適当な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆剤の使用、分散液の場合は必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。
本発明の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含んでいてもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗黴剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など、を含有することにより確保されてもよい。糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含有することも望ましい。注射可能な剤型での持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤の含有によりもたらされてもよい。
本発明の好ましい一実施形態では、上記医薬組成物は、例えば注射またはインフュージョンによるi.v.投与に適当な形態である。静脈内投与には、上記溶液はそのまま投与でき、また投与前に(0.9%生理食塩水または5%デキストロースのような薬学的に許容される賦形剤を含む)輸液バッグに注入することもできる。
もう1つの好ましい実施形態では、上記医薬組成物は皮下(s.c.)投与に好適な形態である。
経口投与に好適な医薬投与形としては、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠、ウエハー剤またはパッチ剤ならびに口腔パッチ剤が挙げられる。
したがって、錠剤組成物は、単位用量の活性化合物を、不活性希釈剤または担体、例えば、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール;および/または非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはセルロースもしくはその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン、例えば、コーンスターチとともに含有することができる。また、錠剤は、標準的な成分、例えば、結合剤および造粒剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロース等の膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、および発泡剤、例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物を含有してもよい。このような賦形剤は公知であり、ここでは詳細に記載する必要はない。
カプセル製剤は、硬質ゼラチン種であっても軟質ゼラチン種であってもよく、固体、半固体または液体状の有効成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来の均等物から形成することができる。
固形投与形(例えば、錠剤、カプセル剤など)はコーティングを施しても施さなくともよいが、典型的には例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを施す。上記コーティング(例えば、ユードラギット(Eudragit:商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で有効成分が放出されるように設計することができる。したがって、コーティングは、胃腸管内の特定のpH条件下で分解するように選択することができ、これにより選択的に胃または回腸もしくは十二指腸で化合物を放出する。
コーティングの代わりに、またはコーティングに加えて、放出制御剤、例えば、胃腸管において酸度またはアルカリ度が変化する条件下で化合物を選択的に放出するようにすることができる放出遅延剤、を含んでなる固相マトリックス中に薬剤を提供してもよい。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、投与形が胃腸管を通過するにつれて実質的に連続的に崩壊する崩壊性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。さらなる別法としては、活性化合物を、化合物の放出の浸透圧制御をもたらす送達系に処方することもできる。浸透圧放出性ならびに他の遅延放出性または徐放性製剤は当業者に公知の方法に従って調製することができる。
上記医薬組成物は、有効成分を約1%から約95%まで、好ましくは約20%から約90%含む。発明による医薬品組成物は、例えばアンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、タブレットまたはカプセル形態のような単位用量形態であってもよい。
経口投与用医薬組成物は、有効成分と固体担体とを組合せ、所望であれば得られた混合物を粒状にし、所望または必要であれば適当な賦形剤の添加後、混合物を錠剤、糖衣錠コアまたはカプセルへ加工することにより得られる。また、上記経口投与用医薬組成物を、一定量の有効成分を拡散させたり放出させたりする可塑性の担体に組み入れることも可能である。
本発明の化合物は、固形分散物としてもまた製剤化することができる。固形分散物は、2つまたは複数の固形物の均質な非常に細かい分散相である。固体分散体の1つのタイプである固溶体(分子的分散システム)は、製剤工学における使用のために周知であり(チオウ(Chiou)およびリーゲルマン(Riegelman)、『薬学ジャーナル(J.Pharm.Sci.)』,60、1281〜1300頁(1971年)を参照)、溶解速度の増加および低水溶性薬剤の生体利用率の増加において有用である。
本発明は、上で記載される固溶体を含む固形投薬形態もまた提供する。固形投薬形態は、タブレット、カプセルおよびチュアブルタブレットを含んでいる。公知の賦形剤は、所望される投薬形態を提供するために固溶体に混ぜ合わせることができる。例えば、カプセルは、(a)崩壊剤および潤滑剤、または(b)崩壊剤、潤滑剤および界面活性剤に混合された固溶体を含むことができる。タブレットは、少なくとも1つの崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤および流動促進剤に混合された固溶体を含むことができる。チュアブルタブレットは、充填剤、潤滑剤、および所望されるならば付加的な甘味剤(人工甘味剤のような)、ならびに適切な香料と混合された固溶体を含むことができる。
上記医薬製剤は単一のパッケージ、通常はブリスターパック中、に全コースの治療用薬剤を含んだ「患者パック」として患者に提供することができる。患者パックは、調剤師がバルク供給から患者分の医薬を分配する従来の処方箋調剤に優る利点があり、患者は患者パックに入っている、患者の処方箋調剤では見ることができない添付文書をいつでも見ることができる。添付文書を包含しておけば、患者が医師の指示をよりよく遵守することが示されている。
局所使用のための組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴および挿入物(例えば、眼内挿入物)が挙げられる。このような組成物は、公知の方法に従って処方することができる。
直腸投与または膣内投与用の製剤の例としては、ペッサリーおよび坐剤が挙げられ、これらは、例えば、活性化合物を含有する付形成形材またはワックス材から形成することができる。
吸入投与用組成物は、吸入可能な粉末組成物または液状もしくは粉末スプレーの形態をとってもよく、粉末吸入装置またはエアゾールディスペンシング装置を用いた標準的な形態で投与することができる。このような装置は、公知のものである。吸入投与用の粉末製剤は、典型的には活性化合物を、ラクトース等の不活性固体粉末希釈剤とともに含む。
式(I)の化合物は一般的には単位投与形態で提供され、それ自体、所望の生物活性レベルを与えるのに十分な化合物を典型的に含んでいる。例えば、製剤は1ナノグラム〜2グラムの有効成分、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの有効成分を含んでいてもよい。この範囲内での化合物の特定の部分範囲としては、0.1ミリグラム〜2グラムの有効成分(より通常は、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラム)、または1マイクログラム〜20ミリグラム(例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラム〜2ミリグラムの有効成分)である。
経口投与に関しては、単位投与形態は1ミリグラム〜2グラム、より典型的には、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜1グラム、例えば、100ミリグラム〜1グラムの活性化合物を含んでいてもよい。
活性化合物は、投与を必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに十分な量で投与する。
プロテインキナーゼ阻害活性
プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼBの阻害剤としての本発明の化合物の活性は、実施例において以下に説明される分析を使用して測定することができ、規定の化合物によって示される活性のレベルはIC50値によって示すことができる。本発明の好ましい化合物は、プロテインキナーゼBに対して20μM未満、より好ましくは、10μM未満のIC50値を有する化合物である。
治療への使用
増殖障害の予防または治療
式(I)の化合物は、プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼBの阻害剤である。それゆえ、それらは増殖阻害または新生物の細胞死誘導の手段の提供において有用であることが期待される。したがって当該化合物は、癌のような増殖障害の治療または阻害において有用であることが証明されるだろう。特に、PTENにおける欠失もしくは不活性化変異、またはPTEN発現の喪失、または(T細胞リンパ球)TCL−1遺伝子中のリアレンジメントをともなう腫瘍は、PKB阻害剤に対して特に感受性があってもよい。アップレギュレートされたPKB経路のシグナルをもたらす他の異常を有する腫瘍もまた、PKBの阻害剤に対して特に感受性があってもよい。そのような異常の具体例は、1つまたは複数のPI3Kサブユニットの過剰発現、1つまたは複数のPKBアイソフォームの過剰発現、または問題になっている酵素の基礎活性の増加をもたらすPI3K、PDK1もしくはPKBにおける変異、表皮増殖因子受容体(EGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)および血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)ファミリーから選択される増殖因子のような増殖因子受容体のアップレギュレーションもしくは過剰発現もしくは変異による活性化を含むが、これらに限定されない。
本発明の化合物は、例えばウイルス感染のような増殖または生存における障害に起因する他の症状、および神経変性疾患の治療においてもまた有用であろうことが予想される。PKBは、免疫反応の間の免疫細胞の生存の維持において重要な役割を果たし、したがってPKB阻害剤は自己免疫の症状を含む免疫障害において特に有用でありえる。
したがってPKB阻害剤は、増殖、細胞死または分化の障害が存在する疾患の治療において有用でありえる。
PKB阻害剤は、さらにインシュリン抵抗性および非感受性から生じる疾患、ならびに代謝疾患および肥満のようなグルコース、エネルギーおよび脂肪の蓄積の破壊において有用かもしれない。
阻害されてもよい癌の具体例は、癌腫、例えば膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば結腸腺癌および結腸腺腫のような結腸直腸癌)、腎癌、表皮癌、肝癌、肺癌、例えば腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、例えば膵外分泌癌、胃癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、前立腺癌、または皮膚癌、例えば扁平上皮癌;造血系悪性腫瘍、例えば急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、他のB細胞リンパ増殖性疾患、骨髄異形成症候群、t細胞リンパ増殖性疾患(ナチュラルキラー細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫およびホジキン病に由来したものを含む)、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫;前癌状態または安定状態に関わらず、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症を含む骨髄増殖性疾患のような細胞増殖異常の造血系疾患;有毛細胞リンパ腫またはバーケットリンパ腫(Burkett’s lymphoma);骨髄系の造血系腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群または前骨髄球性白血病;濾胞性甲状腺癌;間充織起源の腫瘍、例えば繊維肉腫または横紋筋肉腫;中枢神経系または末梢神経系の腫瘍、例えば星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫または神経鞘腫;メラノーマ;精上皮腫;奇形腫;骨肉腫;色素性乾皮症角化棘細胞腫濾胞性甲状腺癌;またはカポジ肉腫を含むが、これらに限定されない。
したがって異常な細胞増殖を含む疾患または症状の治療のための本発明の医薬組成物、使用または方法において、1つの実施形態での異常な細胞増殖を含む疾患または症状は癌である。
癌の特定のサブセットは、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌および非小細胞肺癌を含んでいる。
癌のさらなるサブセットは、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮内膜癌および神経膠腫を含んでいる。
プロテインキナーゼB阻害剤のいくつかは、他の抗癌剤と併用可能である。例えば、細胞増殖を調節する異なるメカニズムを介して作用する他の薬剤と共に、細胞死を誘導する阻害剤を組合せることは有利であり、それにより癌の発達に特有の特徴の2つを治療する。そのような組合せの具体例は以下に述べられる。
免疫障害
免疫障害PKAおよびPKBの阻害剤が有用であってもよい免疫障害は、自己免疫症状および慢性炎症性疾患、例えば全身性紅斑性狼瘡、自己免疫性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性糖尿病、湿疹過敏性反応、喘息、COPD、鼻炎、および上気道疾患を含むが、これらに限定されない。
他の治療への使用
PKBは細胞死、増殖、分化において役割を果たし、したがってPKB阻害剤は、さらに癌および免疫機能障害と関連した疾患以外の以下の疾患の治療において有用になりえる;ウイルス感染、例えばヘルペスウィルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウィルス、アデノウイルス、HIV、HPV、HCV、およびHCMV;HIVに感染した個体におけるAIDS発症の予防;心疾患、例えば心臓肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化;神経変性障害、例えばアルツハイマー病、エイズ関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症、小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血性障害に関連する心筋梗塞、卒中および再潅流障害、筋骨格系の変成疾患、例えば骨粗鬆症および関節炎、アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性繊維症、多発性硬化症、腎臓病。
治療方法
本明細書において記載される式(I)の化合物 およびそのサブグループは、プロテインキナーゼAおよび/またはプロテインキナーゼBが仲介する範囲の病状または症状の予防または治療において有用であると予想される。そのような病状および症状の具体例は上記の通りである。
当該化合物は、一般的にそのような投与を必要とする対象者(例えばヒトまたは動物の患者、好ましくはヒト)に対して投与される。
化合物は、治療上または予防的に有用であり、一般的に毒性のない量で典型的には投与されるだろう。しかしながら、特定の状況における(例えば生命を脅かす疾患の症例における)、式(I)の化合物を投与する利点は、任意の毒性の効果または副作用の短所に勝ってもよく、その場合には化合物を毒性度と関連する量で投与することは望ましいと考えられてもよい。
当該化合物は、有用な治療上の効果を維持するために延長された期間にわたって投与されてもよいし、または短期間のみで投与されてもよい。あるいは、それらはパルス的方式または継続的方法で投与されてもよい。
式(I)の化合物の典型的な1日の用量は、体重1キログラムあたり100ピコグラム〜100ミリグラム、より典型的には体重1キログラムあたり5ナノグラム〜25ミリグラム、およびより通常には1キログラムあたり10ナノグラム〜15ミリグラム(例えば10ナノグラム〜10ミリグラム、およびより典型的には1キログラムあたり20ミリグラム〜1キログラムあたり1マイクログラム、例えば1キログラムあたり1マイクログラム〜10ミリグラム)の範囲でありえるが、必要とされる場合には、体重の1キログラムあたりより高用量またはより低用量が投与されてもよい。式(I)の化合物は、例えば毎日の方式で、または2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは10、もしくは14、もしくは21、もしくは28日ごとの反復方式で投与することができる。
本発明の化合物は、広範囲にわたる用量(例えば1〜1500mg、2〜800mg、または5〜500mg、例えば2〜200mg、10〜1000mg、特定の具体例では10、20、50および80mgを含む用量)で経口投与されてもよい。化合物は、毎日1回または1回以上投与されてもよい。化合物は、連続的に投与する(すなわち、治療レジメンの期間の間途切れずに毎日服用する)ことができる。あるいは、化合物は間欠的に投与すること(すなわち治療レジメンの期間を通じて、1週のような規定の期間の間に連続的に服用し、次に1週のような期間の間で中止され、次に1週のような別の期間の間で連続的に服用されるなど)ができる。間欠投与を含む治療レジメンの具体例は、投与が、1週間服用、1週間中止;または2週間服用、1週間中止;または3週間服用、1週間中止;または2週間服用、2週間中止;または4週間服用、2週間中止;または1週間服用、3週間中止のサイクルで−1つまたは複数のサイクル(例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10以上のサイクル)でのレジメンを含んでいる。
1つの特定の投薬スケジュールにおいて、患者は、毎日1時間最大10日間の期間(特に最大5日1週間)で式(I)の化合物を点滴され、治療は2〜4週間のような所望される間隔(特に3週間ごとに)で繰り返される。
より詳細には、患者は、毎日1時間5日間の期間で式(I)の化合物を点滴されてもよく、治療は3週間ごとに繰り返される。
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者は30分以上1時間まで点滴され、可変的な期間(例えば1〜5時間、例えば3時間)の維持点滴が後続する。
さらなる特定の投薬スケジュールにおいて、患者は、12時間〜5日の期間で継続的な点滴、特に24時間〜72時間の継続的な点滴が行なわれる。
しかしながら最終的には、投与される化合物の量および使用される組成物のタイプは、その疾患の性質または治療されている生理的な症状に相応し、医師の裁量によるだろう。
本明細書において定義されるような化合物は、単一の治療用薬剤として投与可能である。あるいは、当該化合物は、特定の病状(例えば上文に定義されるような癌のような新生物疾患)の治療のための1つまたは複数の他の化合物と組合せた療法において投与可能である。式(I)の化合物とともに投与されてもよい(同時にまたは異なる時間間隔であるかどうかにかかわらず)、他の治療用薬剤または治療の具体例は、以下のものを含むが、これらに限定されない:
トポイソメラーゼI阻害剤;
代謝拮抗剤;
チューブリン標的化薬剤;
DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤;
アルキル化剤;
モノクローナル抗体;
抗ホルモン;
シグナル伝達阻害剤;
プロテアソーム阻害剤;
DNAメチルトランスフェラーゼ;
サイトカインおよびレチノイド;
クロマチン標的化療法;
放射線療法;および
他の治療剤または予防薬;例えば化学療法と関連する副作用のいくつかを減少または緩和する薬剤。そのような薬剤の特定の具体例は、制吐剤、および化学療法関連の好中球減少の期間を阻害または減少させる薬剤、および赤血球レベルまたは白血球レベルの減少から生じる合併症を予防する薬剤、例えばエリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含んでいる。ビスフォスフォネート剤(例えばゾレドネート、パミドロネート、イバンドロネート)のような骨吸収を阻害する薬剤、炎症反応を抑制する薬剤(デキサメタゾン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンのような)、および天然ホルモンのソマトスタチンの薬理学的特性を模倣する特性を備えた長時間作用性のオクタペプチドである酢酸オクトレオチドを含む、脳ホルモンソマトスタチンの合成型のような、先端肥大症患者において成長ホルモンおよびIGF−Iの血中濃度を減少させるために使用される薬剤もまた含まれている。さらにロイコボリン(葉酸レベルを減少させる薬剤に対する解毒剤として使用される)またはフォリン酸それ自体のような薬剤、および浮腫および血栓塞栓症発作を含む副作用の治療のために使用することができる酢酸メゲストロールのような薬剤が含まれている。
本発明の組合せ中に存在する化合物の各々は、個別に用量スケジュールを変更することで、および異なる経路によって与えられてもよい。
式(I)の化合物が、1、2、3、4、またはそれ以上の他の治療用薬剤(好ましくは1または2、より好ましくは1つ)を用いた療法と組合せて投与される場合、当該化合物は、同時にまたは連続して投与可能である。連続して投与された場合、それらは、治療用薬剤の特性と相応している正確な投与レジメンで、接近して配置された間隔で(例えば5〜10分の期間にわたって)、またはより長い間隔(例えば1、2、3、4またはそれ以上の時間離れて、または必要とされる場合には、さらにより長い期間離れて)で、投与することができる。
本発明の化合物も、放射線療法、光力学療法、遺伝子療法のような化学療法でない治療;手術および制御された食餌と併用して投与されてもよい。
他の化学療法剤との組合せ療法における使用のために、式(I)の化合物および1、2、3、4またはそれ以上の他の治療用薬剤は、例えば、2、3、4またはそれ以上の他の治療用薬剤を含む投薬形態で、ともに製剤化することができる。代わりに、各治療用薬剤は個別に製剤化され、任意でそれらの使用のための説明書がともにキットの形式で提供されてもよい。
当業者は、投与レジメンおよび組合せ療法の使用を、彼らの共通の一般的知識によって知るだろう。
診断方法
式(I)の化合物の投与前に、患者が罹患している、または罹患している可能性のある疾病または症状が、プロテインキナーゼAおよび/またはプロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物を用いた治療に感受性がある病態または症状か否かを判定するために患者をスクリーニングしてもよい。
例えば、患者から採取された生体サンプルは、患者が罹患しているか、または罹患しているかもしれない症状または疾患(癌のような)が、PKAおよび/またはPKBのアップレギュレーション、または正常なPKAおよび/またはPKBの活性に対する経路の感作、またはPKBの場合では、P13K、GF受容体、PDK1およびPDK2のような、PKAおよび/またはPKBの上流のシグナル伝達構成要素のアップレギュレーションをもたらす遺伝的異常または異常タンパク質の発現によって特徴づけられる症状または疾患であるかどうかを決定するために分析されてもよい。
あるいは、患者から採取された生体サンプルは、PTENのようなPKB経路の負の調節因子またはサプレッサーの欠損について分析されてもよい。本文脈において、用語「欠損」は、調節因子またはサプレッサーをコードする遺伝子の欠失、遺伝子の切断(例えば変異による)、遺伝子の転写産物の切断、または転写産物の不活性化(例えば点変異による)もしくは別の遺伝子産物による隔離を包含する。
アップレギュレーションという用語は、発現上昇または遺伝子増幅(すなわち複数の遺伝子コピー)を含む過剰発現、および転写効果による発現増加、ならびに変異による活性化を含む過活性および活性化を含んでいる。したがって、PKAおよび/またはPKBのアップレギュレーションの特有のマーカーを検出するために、患者は診断検査を受けてもよい。診断という用語は、スクリーニングを含んでいる。マーカーによって、例えば、PKAおよび/またはPKBの変異を同定するためのDNA組成物の測定を含む遺伝的マーカーが含まれる。マーカーという用語は、さらに前述のタンパク質の酵素活性、酵素量、酵素状態(例えば、リン酸化されているか否か)およびmRNAレベルを含む、PKAおよび/またはPKBのアップレギュレーションならびに/あるいは関連経路のアップレギュレーションに繋がる他の要素に特有のマーカーを含んでいる。
上記の診断検査およびスクリーニングは、典型的には、腫瘍生検標本、血液サンプル(脱落した腫瘍細胞の単離および濃縮)、便生検、喀痰、染色体分析、胸水、腹水または尿から選択される生体サンプルに対して行なわれる。
PKAおよび/またはPKB中に変異もしくはTCL−1のリアレンジメントを保有する個体、またはPTEN発現の欠損の識別は、患者がPKAおよび/またはPKBの阻害剤による治療のために特に適切であることを意味してもよい。腫瘍は、治療の前にPKAおよび/またはPKBの変異の存在について優先的にスクリーニングされてもよい。スクリーニング過程は、典型的には、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析または変異体特異的抗体を含むだろう。
変異およびタンパク質のアップレギュレーションの同定法および分析法は、当業者に公知である。スクリーニング法は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはin situハイブリダイゼーションのような標準方法を含みうるが、これらに限定されない。
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、そのmRNAのcDNAコピーを作成した後、そのcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、オースベル(Ausubel,F.M.)ら(編者)、『分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)』、2004年、ジョンワイリー&サンズ、またはイニス(Innis,M.A.)ら(編者)、『PCRプロトコル:方法および応用の手引き(PCR Protocols:a guide to methods and applications)』、1990年、アカデミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ、に記載のような標準的な方法により行なう。核酸技術に関する反応および操作はまた、サムブルック(Sambrook)ら、2001年、第3版、『分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)』、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。あるいは、RT−PCR用の市販キット(例えば、ロシュモルキュラーバイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)、または米国特許第4,666,828号;第4,683,202号;第4,801,531号;第5,192,659号;第5,272,057号;第5,882,864号および同第6,218,529号に開示されている方法が使用でき、これらは参照により本書に援用される。
mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の例として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)がある(アンゲラー(Angerer)、1987年、『メソッズインエンジモロジー(Meth.Enzymol)』、152:649を参照)。
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、また、非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような用途に用いるプローブは典型的には、例えば、放射性同位元素または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするに十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド〜約1000以上のヌクレオチドである。FISHを行なうための標準的な方法は、オースベル(Ausubel,F.M.)ら(編者)、『分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)』、2004年、ジョンワイリー&サンズ、およびバートレット(John M.S.Bartlett)による、「in situハイブリダイゼーションにおける蛍光:技術的概観(Fluorescence In Situ Hybridization:Technical Overview)」、『癌の分子診断、方法およびプロトコル(Molecular Diagnosis of Cancer,Methods and Protocols)』、第2版;ISBN:1−59259−760−2;2004年3月、077〜088頁(シリーズ:分子医学における方法(Series:Methods in Molecular Medicine))に記載されている。
あるいは、これらのmRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法により評価することができる。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、PKBアップレギュレーションまたはPKB変異体を検出するこのような公知の技術はすべて本発明の場合に適用可能であることを認識するであろう。
したがって、PKAおよび/またはPKBの阻害剤による治療のために特に適切な腫瘍を同定するために、これらの技術のすべてを使用することができるかもしれない。
例えば、上で述べられるように、PKBベータは、卵巣および膵臓癌の10〜40%においてアップレギュレートされることが見出されている(ベラコサ(Bellacosa)ら、1995年、『インターナショナルジャーナルオブキャンサー(Int.J.Cancer)』64、280〜285頁;チェン(Cheng)ら、1996年、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』93、3636〜3641頁;ユアン(Yuan)ら、2000年、『オンコジーン(Oncogene)』19、2324〜2330頁)。したがってPKB阻害剤、および特に、PKBベータの阻害剤は、卵巣および膵臓癌を治療するために使用され得ることが予想される。
PKBアルファはヒト胃癌、前立腺癌および乳癌において増幅される(スタール(Staal)1987年、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』84、5034〜5037頁;ソン(Sun)ら、2001年、『米国病理学会誌(Am.J.Pathol.)』159、431〜437頁)。したがってPKB阻害剤、および特に、PKBアルファの阻害剤は、ヒト胃癌、前立腺癌および乳癌を治療するために使用され得ることが予想される。
PKBガンマ活性の増加は、ステロイド非依存性の乳腺細胞株および前立腺細胞株において観察された(ナカタニ(Nakatani)ら、1999年、『生化学ジャーナル(J.Biol.Chem.)』、274、21528〜21532頁)。したがってPKB阻害剤、および特に、PKBガンマの阻害剤は、ステロイド非依存性の乳癌および前立腺癌を治療するために使用され得ることが予想される。
本発明を、以下の方法および実施例に記載される具体的な実施形態を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の各方法の出発物質は特に断りのない限り市販のものである。
実施例において、調製した化合物を、液体クロマトグラフィー、質量分光法、およびH核磁気共鳴分光法を下記のシステムおよび動作条件を用いて特性決定した。
プロトン磁気共鳴(H NMR)スペクトルは特に断らない限り、400.13MHzで、Me−d−OD中、27℃で作動するBruker AV400機器に記録され、次のように報告される:化学シフトδ/ppm(陽子数、多重度:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br=ブロード)。残存するプロトン性溶媒MeOH(δ=3.31ppm)を内部標準として使用した。
質量スペクトルにおいて、塩素が存在する場合、化合物に対する質量は35Clに関するものである。
各実施例において、化合物が遊離塩基として単離または形成される場合、酢酸または塩酸塩等の塩形態に変換可能である。一方、化合物が塩として単離または形成される場合、当該塩は、当業者に公知の方法により対応する遊離塩基に変換可能であり、さらには他の塩への変換も可能である。
多くの液体クロマトグラフィーシステムを用いた。それらを以下に記載する。
LCTシステム1
HPLCシステム:Waters Alliance2795 Separations Module
質量分析検出器:Waters/Micromass LCT
UV検出器:Waters2487 Dualλ Absorbance Detector
極性分析条件:
溶離剤A:メタノール
溶離剤B:0.1%ギ酸水溶液
勾配:
時間(分) A B
0 10 90
0.5 10 90
6.5 90 10
10 90 10
10.5 10 90
15 10 90
流速:1.0 ml/分
カラム:スペルコディスカバリー(Supelco DISCOVERY)C18、5cm×4.6mm、i.d.5μm
MS条件:
キャピラリー電圧:3500v(+veESI)、3000v(−veESI)
コーン電圧:40v(+veESI)、50v(−veESI)
ソース温度:100℃
走査範囲:50〜1000amu
イオン化モード:+ve/−veエレクトロスプレーESI(ロックスプレー(Lockspray:商標))
LCTシステム2
HPLCシステム:Waters Alliance2795 Separations Module
質量分析検出器:Waters/Micromass LCT
UV検出器:Waters2487 Dualλ Absorbance Detector
分析条件:
溶離剤A:メタノール
溶離剤B:0.1%ギ酸水溶液
勾配:
時間(分) A B
0 10 90
0.6 10 90
1.0 20 80
7.5 90 10
9 90 10
9.5 10 90
10 10 90
流速:1ml/分
カラム:スペルコディスカバリーC18、5cm×4.6mm、i.d.5μm
MS条件:
キャピラリー電圧:3500v(+veESI)、3000v(−veESI)
コーン電圧:40v(+veESI)、50v(−veESI)
ソース温度:100℃
走査範囲:50〜1000amu
イオン化モード:+ve/−veエレクトロスプレーESI(ロックスプレー(Lockspray:商標))
下記の実施例において、LCMS条件を識別するため、次のキーが用いられる。
LCT1 LCTシステム1−極性分析条件
LCT2 LCTシステム2−極性分析条件
一般的方法
方法1
Figure 2009534454
トルエン中の4−ブロモベンズアルデヒド(3g、16.21mmol)とシアノ酢酸エチル(1.9ml、17.84mmol、1.1当量)とに、ピペリジン(27μl)を添加し、反応混合物を1時間ディーンスターク分離器で還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を暖かい酢酸エチルで粉末化し、濾過して所望の生成物を黄色の固形物として得た。
方法2
Figure 2009534454
乾燥トルエン(12ml)中3−(4−ブロモ−フェニル)−2−シアノ−アクリル酸エチルエステル(1.5g、5.36mmol)の溶液を、4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(テトラヒドロフラン中0.5M溶液、6.96ml、6.96mmol、1.3当量)に0℃で滴下した。反応混合物を85℃まで3時間加熱し、氷上に注ぎ、1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過、濃縮し、粗生成物を、石油エーテル〜酢酸エチル/石油エーテル(5:95)で溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た。
方法3
Figure 2009534454
3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−2−シアノ−プロピオン酸エチルエステル(1.91、4.87mmol)と、酢酸(10ml)と、濃縮硫酸(5ml)と、水(5ml)の混合物を2時間還流した。反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過、濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た。
方法4
Figure 2009534454
ジクロロメタン(3ml)中3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸(0.25g、0.74mmol)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.12g、0.88mmol)との混合物を、15分間攪拌した後、アンモニア(メタノール中2N溶液、0.74ml、1.47mmol、2.0当量)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.17g、0.88mmol、1.2当量)を添加した。反応混合物を16時間攪拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと1N HClとで分液した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過、濃縮してさらなる精製なしに次工程で用いられる表題化合物を得た。
方法5
Figure 2009534454
窒素雰囲気下で、粗3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオンアミドを0℃に冷却し、水素化アルミニウムリチウム(0.075g、1.97mmol)およびジエチルエーテル(3ml)を添加した。冷却しながら、塩化アルミニウム(0.23g、1.69mmol)をジエチルエーテル(2ml)中で溶解し、添加した。反応混合物を16時間攪拌し、水を添加して反応停止し、塩基性化(2N NaOH)し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過、濃縮した。粗生成物を、メタノール次いでメタノール中2Nアンモニアで溶出するPhenomenex_Strata_SCXカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た。
方法7
Figure 2009534454
クロロベンゼン(30ml)中の4−(4−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−4−オール(4.02g、15.7mmol)の懸濁液を、クロロベンゼン(10ml)中の塩化アルミニウム(7.32g、54.9mmol)の懸濁液に0℃で滴下した。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、氷を添加して反応停止した後、メチルtert−ブチルエーテルを添加した。1時間の攪拌後、析出物を濾過により回収し、水、メチルtert−ブチルエーテル、および水で洗浄して所望の化合物を得た。
方法8
Figure 2009534454
ジクロロメタン(150ml)中4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン(10g、25.8mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(4.3ml、31.0mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボン酸塩(6.2g、28.4mmol)を添加した。72時間の攪拌後、水を添加し、有機層を除去した。有機層を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮して所望の化合物を白色の固形物として得た。
方法9
Figure 2009534454
4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.0g、11.1mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.8g、11.1mmol)、酢酸カリウム(3.3g、33.3mmol)と[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(406mg、0.55mmol)との混合物を、窒素の存在下で2.5時間80℃まで加熱した。反応物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、吸引濾過した。固形物を酢酸エチルで粉末化して所望の化合物をベージュ色の固形物として得た。
方法10
Figure 2009534454
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.4mmol)と、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(6mg、3mol%)と、4−クロロ−チエノ[3,2−d]−ピリミジン(0.5mmol)と、炭酸カリウム(299mg、1.4mmol)と、エタノール(1.1ml)と、トルエン(1.1ml)、メタノール(1.6ml)と、水(1.5ml)との混合物を、80℃まで30分間50ワット以下の出力でCEMエクスプローラ(CEM Explorer:商標)中でマイクロ波照射する。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと水とで分液する。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮する。粗反応混合物を、アンモニア−ジクロロメタン−メタノール混合物で溶出するSCXイオン交換カラムで精製して保護アミンを得る。保護基を、ジクロロメタン(1ml)およびトリフルオロ酢酸(1ml)中で30分間室温で攪拌することにより除去し、メタノール(×3)から濃縮し、再濃縮する。残渣を、DMAW90からDMAW60への勾配で溶出するシリカカラムクロマトグラフィーで精製する。
方法11
Figure 2009534454
塩化アルミニウム(278mg、2.087mmol)を、クロロベンゼン(3ml)中1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エタノール(160mg、0.696mmol)の攪拌溶液に少量ずつ添加し、反応混合物を室温で17時間攪拌した。水(2ml)を滴下した後、反応混合物をジクロロメタン(100ml)と飽和NaHCO(30ml)とで分液した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、メタノール次いでメタノール中の2Nアンモニアで溶出するPhenomenex Strata SCXカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た。
方法12
Figure 2009534454
ジクロロメタン中の[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(4.3g、13.3mmol)の溶液(150ml)に、トリエチルアミン(2.22ml、16mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボン酸塩(3.2g、15mmol)を室温で添加した。混合物を3時間攪拌し、水を添加した。有機液を分離した後、真空で濃縮した。残渣を、2〜15%酢酸エチル/ペトロールの勾配を用いたシリカカラムクロマトグラフィーで精製して所望の化合物を無色の油として得た。
方法13
Figure 2009534454
酢酸エチル(14ml)/水(10ml)中の4−クロロベンジルシアニド(1g、6.60mmol)と臭素酸ナトリウム(1.99g、13.19mmol)との溶液に、水(21ml)中の重亜硫酸ナトリウム(1.37g、13.19mmol)を15分間室温で滴下した。4時間の攪拌後、反応混合物をジエチルエーテルに注入し、相を分離した。水層をジエチルエーテル(×2)で抽出し、有機層を合わせ、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空除去して、次工程で用いられるブロモ−(4−クロロ−フェニル)−アセトニトリルを得た。[参照:『JOC』、1998年、63、6023〜6026頁]
アセトニトリル(1.4ml)中4−ピペラジン−1−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(83mg、0.38mmol、0.9当量)の溶液に、ブロモ−(4−クロロ−フェニル)−アセトニトリル(97mg、0.42mmol、1.0当量)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(8mg、0.08mmol、0.05当量)、および炭酸カリウム(70mg、0.50mmol、1.2当量)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、生じた粗生成物を酢酸エチルと水とで分液した。層を分離し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮した。生じた粗生成物を、50%酢酸エチル−ペトロールで溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、やや不純な(4−クロロ−フェニル)−(4−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル−ピペラジン−1−イル)−アセトニトリルを得た。
方法14
Figure 2009534454
トルエン(42ml)中の粗(4−クロロ−フェニル)−(4−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル−ピペラジン−1−イル)−アセトニトリル(方法22より)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(159mg、4.2mmol、10.0当量)を少量ずつ添加した。反応混合物を4時間加熱還流した。反応物を、2N水酸化ナトリウム水溶液次いで酢酸エチルの添加により非常に緩やかに反応停止した。混合物を濾過し、層を分離し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮した。生じた粗生成物を、100%DCM〜DMAW90(勾配溶出)を用いたカラムクロマトグラフィー次いで分取HPLCを用いて精製して、所望の生成物を得た。
(実施例1〜4)
上記の方法に従って、実施例1〜4の化合物を調製した。
Figure 2009534454
(実施例5)
5A 4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−クロロ−ベンジルカルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
乾燥DMF(1mL)を、4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸モノtert−ブチルエステル(151mg、0.44mmol)とHATU(220mg、0.58mmol)との混合物に、窒素の存在下で添加した。N−エチルジイソプロピルアミン(0.38mL、2.1mmol)を溶液に添加し、反応混合物を15分間攪拌した。4−クロロベンジルアミン(70μL、0.57mmol)を添加し、溶液を室温かつ窒素の存在下で23時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(10mL)と水(10mL)とで分液した。水相をジクロロメタン(20mL)でさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過、濃縮した。ジクロロメタン中4%メタノールで溶出する、シリカを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−クロロ−ベンジルカルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(177mg、0.38mmol、86%)を得た。LC−MS(LCT2)m/z490[M+Na]、R8.09分間。
5B 4−アミノ−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド二塩酸塩
Figure 2009534454
ジオキサン(7.7ml、31mmol)中の4M HCl溶液を、メタノール(7.7mL)中4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(4−クロロ−ベンジルカルバモイル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(96mg、0.20mmol)溶液に滴下し、室温で17時間攪拌した。溶媒を濃縮して、さらなる精製なしに次工程で用いられる4−アミノ−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド二塩酸塩(71mg、0.20mmol、100%)を得た。H NMR(500MHz、CDOD):2.18(2H、m)、2.64(2H、m)、3.44(4H、m)、4.47(2H、s)、7.36(4H、m)。
5C 4−アミノ−1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
Figure 2009534454
n−ブタノール(0.5mL)中の4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(0.016g、0.094mmol)、4−アミノ−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド(0.030g、0.098mmol)とトリエチルアミン(0.07mL、0.50mmol)との溶液を、120℃まで1時間マイクロ波照射で加熱した。冷却した溶液を、メタノール次いで1Mアンモニア−メタノールで溶出するSCX−II酸性樹脂で濾過した。塩基性画分を合わせた。5%メタノール−ジクロロメタンで溶出する分取TLCにより、4−アミノ−1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミドを、黄色がかった白色の固形物(0.014g、33%)として得た。LC/MS:(LCT1)[M+H]402、R2.98分間。H(500MHz、MeOD)δ7.89(1H、s)、7.45(1H、d、J=6Hz)、6.82(1H、d、J=6Hz)、6.75−6.65(4H、m)、4.10−3.95(2H、m)、3.81(2H、s)、3.20−3.15(2H、m)、1.70−1.60(2H、m)、1.15−1.05(2H、m)
(実施例6)
1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
6A (1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル−ピペリジン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
表題化合物を、4−アミノ−ピペリジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミドの代わりにピペリジン−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステルを用いたこと以外は、実施例5(AT11980)の方法を用いて調製した。LC/MS:(LCT1)[M+H]334、R4.62分間
6B 1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
Figure 2009534454
2M HCl(2ml)中の実施例6Aの生成物の溶液を、室温で2時間攪拌した後、蒸発乾固させた。MeOH次いでMeOH中1M NHで溶出するSCX−II酸性樹脂を用いた固形相抽出により、脱保護された生成物を得た。LC/MS(LCT1):[M+H]234、R0.85分間。H(250MHz、MeOD)δ8.45(1H、s)、8.04(1H、d、J=5.5Hz)、7.38(1H、d、J=5.5Hz)、4.95−4.81(2H、m)、3.34−3.29(2H、m)、3.08−2.98(1H、m)、2.06−2.00(2H、m)、1.52〜1.36(2H、m)。
(実施例7)
4−(4−クロロベンジル)−1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
7A 4−(4−クロロベンジル)ピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル4−メチルエステル
Figure 2009534454
THF(110ml)中イソプロピルアミン(3.71mL、26.45mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液(10.1ml)、25.25mmol)を0℃で添加した。生じたLDA溶液を、THF(110ml)およびHMPA(20ml)中ピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル4−メチルエステル(5.85g、24.04mmol)の溶液に、カニューレを介して−78℃で添加し、攪拌を1時間持続した。THF(20ml)中4−クロロベンジルクロリド(6.4ml、50.49mmol)を添加し、溶液を室温まで2時間に亘り暖めた。18時間の攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(500ml)を添加し、水相をジエチルエーテル(2×200ml)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮乾固させた。シリカカラムクロマトグラフィー(DCM中0.5%メタノール)を用いた精製により、エステルを油(3.03g、34%)として得た。LC−MS(LCT1)m/z390[M+Na]、R8.02分間。
7B 4−(4−クロロベンジル)ピペリジン−1,4−ジカルボン酸モノ−tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
ジオキサン(20ml)、メタノール(10ml)、および水(10ml)中4−(4−クロロベンジル)ピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル4−メチルエステル(1.515g、4.117mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(3.455g、82.341mmol)を室温で添加した。50℃で2日間攪拌後、溶液を2M HClでpH6に酸性化し、生じた白色の析出物をジエチルエーテル(2×100ml)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固させ、酸を白色の固形物(1.460g、100%)として得た。LC−MS(LCT)m/z376[M+Na]、R7.62分間。
7C 4−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イルアミン
Figure 2009534454
THF(41ml)中酸(1.46g、4.126mmol)とトリエチルアミン(1.15ml、8.252mmol)との混合物に、クロロギ酸イソブチル(0.812ml、6.189mmol)を−15℃で添加した。1時間後、水(10ml)中アジ化ナトリウム(0.536g、8.252mmol)の溶液を添加し、溶液を室温まで一晩暖めた。水(100ml)を添加し、水相をジエチルエーテル(3×50ml)で抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。トルエン(100ml)を添加し、全体量を約90mlに減量した。生じた溶液を90℃まで2時間暖め、冷却し、10%塩酸(70ml)に添加した。二相性混合物を90℃まで24時間暖めた。有機相を分離し、濃縮乾固させて粗アミン塩(1.109g)を得た。
粗アミン塩を2M NaOH(20ml)に溶解し、ジ−tert−ブチルジカルボン酸塩(1.61g、7.391mmol)を添加した。2日後、水相をジエチルエーテル(2×50ml)で抽出した。有機相を合わせ、1M HCl(20ml)、飽和重炭酸ナトリウム(20ml)、および食塩水(20ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%ジエチルエーテル)を用いた精製により二重BOC−保護アミン(0.685g)を得、次いで、これをジオキサン(10ml)およびメタノール(10ml)中4M HClで室温で2日間攪拌することによって脱保護した。濃縮により、所望のアミンを二塩酸塩(0.492g、酸から40%)として得た。H NMR(MeOD)δ7.48−7.44(m、2H)、7.35−7.32(m、2H)、3.53−3.47(4H、m)、3.21(s、2H)、2.18−2.13(4H、m)。
7D 4−(4−クロロベンジル)−1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
Figure 2009534454
実施例5Cの方法に従って、実施例7Dの生成物を4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジンと反応させて表題化合物を得た。LC/MS:(LCT2)[M+H]359、R2.73分間。H(500MHz、MeOD)δ7.51(1H、d、J=2.0Hz)、7.10(1H、dd、J=5.5、2.0Hz)、6.46−6.31(5H、m)、3.51−3.48(2H、m)、2.94−2.89(2H、m)、1.86(2H、s)、0.87−0.82(2H、m)、0.66−0.64(2H、m)。
(実施例8)
C−(4−クロロフェニル)−C−(1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル)メチルアミン
8A 4−(4−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
アセトニトリル(15ml)中の(4−クロロフェニル)ピペリジン−4−イルメタノン塩酸塩(0.996g、3.828mmol)とトリエチルアミン(2.7ml、19.142mmol)との混合物に、ジ−tert−ブチルジカルボン酸塩(1.003g、4.594mmol)を室温で添加した。16時間室温に置いた後、混合物を蒸発乾固させ、酢酸エチル(50ml)と1M塩酸(20ml)とで分液した。有機相を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20ml)次いで食塩水(20ml)で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮乾固させた。粗生成物を、シリカカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中60%ジエチルエーテル)で精製して、ケトンを油(1.116g、90%)として得た。LC/MS:(LCT1)R7.42[M+H]323。
8B 4−[アミノ−(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
メタノール(34ml)中の4−(4−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.116g、3.446mmol)と酢酸アンモニウム(3.188g、41.358mmol)との混合物に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.866g、13.786mmol)を室温で添加した。20時間の還流後、混合物を冷却し、濃縮し、1M水酸化ナトリウム(100ml)と攪拌した。水相をジエチルエーテル(3×75ml)で抽出し、有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固させた。粗生成物を、シリカカラムクロマトグラフィー(DCM中15%メタノール)で精製して、アミンを油(0.913g、82%)として得た。LC/MS(LCT1):R5.56[m−Boc−NH208。
8C C−(4−クロロフェニル)−C−ピペリジン−4−イルメチルアミン塩酸塩
Figure 2009534454
メタノール(6ml)中の4−[アミノ−(4−クロロフェニル)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.192g、0.591mmol)の溶液に、2M塩酸(6ml)を室温で添加した。16時間の攪拌後、溶液を蒸発乾固させてアミン塩を白色の発泡体(0.174g、99%)として得た。H NMR(MeOD)δ1.40−1.82(2H、m)、2.22−2.50(2H、m)、2.90−3.17(2H、m)、3.35−3.61(2H、m)、4.22(1H、d、9.5Hz)、7.53−7.61(4H、m)。
8D C−(4−クロロフェニル)−C−(1−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル)メチルアミン
Figure 2009534454
実施例5Cの方法に従って、実施例8Cの生成物を4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジンと反応させて表題化合物を得た。LC/MS:(LCT2)[M+H]358、R3.51分間。H(250MHz、MeOD)δ8.42(1H、s)、8.01(1H、d、J=5.5Hz)、7.38−7.31(5H、m)、5.00〜4.79(2H、m)、3.60(1H、d、J=8.5Hz)、3.25−3.02(2H、m)、2.18−1.89(2H、m)、1.48−1.17(3H、m)。
(実施例9)
1−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
9A (1−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−ピペリジン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
n−ブタノール(3.2ml)中の4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(0.55g、0.322mmol)とピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(0.129g、0.646mmol)との混合物に、トリエチルアミン(0.225mL、1.617mmol)を添加した。100℃まで48時間加熱した後、溶媒を除去した。生じた固形物を、シリカカラムクロマトグラフィー(5%メタノール−ジクロロメタン溶離剤)で精製して、所望の生成物を黄色がかった白色の固形物(0.108g、100%)として得た。LC/MS:(LCT1)[M+H]334、R6.54分間
9B 1−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イルアミン
Figure 2009534454
ジエチルエーテル(3mL)およびメタノール(3mL)中1M HCl中の(1−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−ピペリジン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.108g、0.322mmol)の溶液を、室温で24時間攪拌した後、蒸発乾固させた。固形相を、MeOH次いでメタノール中1Mアンモニアで溶出するSCX−II酸性樹脂で抽出して、脱保護アミンを白色の固形物(0.076g、100%)として得た。LC/MS(LCT1):[M+H]234、R2.24分間。H(250MHz、MeOD)δ8.36(1H、s)、7.54(1H、d、J=6.0Hz)、7.49(1H、d、J=6.0Hz)、4.70−4.64(2H、m)、3.35−3.26(2H、m)、3.07−2.95(1H、m)、2.04−1.99(2H、m)、1.54−1.38(2H、m)。
(実施例10)
4−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2,3−ジオンおよび4−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
10A 1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン7−オキシド
酢酸エチル(200mL)中1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(6.35g、53mmol)の溶液を、氷浴中で0〜5℃に冷却した。冷却した溶液に、mCPBA(14g、64mmol)を10分間に亘り添加した。生じた溶液を、出発物質が完全に消費されるまで、室温まで暖めた(2.5時間)。生じたスラリーを濾過し、N−オキシドをメタ−クロロ安息香酸塩として回収した。固形物を、追加の酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて10.4g(36mmol)にした。水(100mL)中7−ヒドロキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニウムm−クロロ安息香酸塩(10.4g、36mmol)の懸濁液を、飽和KCO水溶液でpH11まで塩基性にした。混合物を一晩冷却(+4℃)して結晶化した。得られた結晶を回収し、ヘキサン次いでジエチルエーテルで洗浄して1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン7−オキシド(3.22g、24mmol、67%)を生成した。LC−MS(LCT1)m/z135.1[M+H]、R2.62分間。
10B 4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
メタンスルホニルクロリド(5mL、64mmol)を、DMF(16mL)中1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン7−オキシド(3.18g、24mmol)の溶液に滴下し、50℃まで加熱した。生じた混合物を一晩72℃まで加熱した。反応混合物を30℃に冷却し、水(50mL)で反応停止した。混合物を氷浴中で冷却し、十分な10M NaOH水溶液を添加してpHを7に上昇させた。生じたスラリーを室温まで暖め、15分間攪拌し、濾過して生成物を回収した。固形物を水で洗浄し、真空で乾燥させて4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(2.97g、19.5mmol、81%)を得た。LC−MS(LCT1)m/z153.03[M+H]、R5.77分間。
10C 3,3−ジブロモ−4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
tert−ブタノール(50mL)中4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1g、6.5mmol)の攪拌溶液に、ピリジニウムトリブロミド90%(7.24g、22.6mmol)を7分間に亘り少量ずつ添加した。反応物を室温で一晩攪拌した。tert−ブタノールを真空除去し、生じた残渣を酢酸エチル−水(200ml:200mL)に溶解した。有機層を分離し、酢酸エチル(2×100mL)で水層をさらに抽出した。合わせた有機抽出物を水および食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮して、3,3−ジブロモ−4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(2.17g、6.6mmol、100%)を得た。LC−MS(LCT1)m/z326.78[M+H]、R5.75分間。
10D 4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン
3,3−ジブロモ−4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(1.05g、3.15mmol)と、エタノール(120mL)と、10%Pd/C(391mg)との懸濁液を、室温室圧で6時間15分間水素化した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノールで洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をジクロロメタン(50mL)と飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)とで分液した。二相分離後、水層をジクロロメタン(2×50mL)でさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(328mg、1.94mmol、62%)を得た。LC−MS(LCT1:15分間操作)m/z169.02[M+H]、R3.96分間。
10E [1−(2,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 2009534454
方法A
ピペリジン−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(76mg、0.6mmol)と、4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(50mg、0.3mmol)と、トリエチルアミン(0.31mL、2.1mmol)とn−ブタノール(3mL)との脱気混合物を、100℃で3.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗混合物を、5%メタノール−ジクロロメタンで溶出するフラッシュシリカカラムクロマトグラフィーで精製して、[1−(2,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(24.4mg、0.07mmol、24%)を得た。LC−MS(LCT2)m/z347.22[M+H]、R5.80分間。
方法B
4−クロロ−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−オン(25mg、0.15mmol)と、ピペリジン−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(38mg、0.3mmol)と、N−メチル−ピロリジノン(0.2ml)との混合物を、1時間155℃までマイクロ波照射した。溶液をメタノールで希釈し、メタノール次いで2Mアンモニア−メタノールで溶出するSCX−II酸性樹脂で精製した。粗生成物を、10%メタノール−ジクロロメタンで溶出するフラッシュシリカカラムクロマトグラフィーでさらに精製し、[1−(2,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルと[1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルとの混合物を得た。これらの化合物を、分取HPLC(ディスカバリーC18スペルコHPLCカラム15cm×10mm、5μL;アセトニトリル/水勾配溶媒システム)で分離した。
[1−(2,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル:6.4mg、0.018mmol、12%、LC−MS(LCT2)m/z347.22[M+H]、R5.90分間
[1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル:1.6mg、0.005mmol、3%、LC−MS(LCT2)m/z333.27[M+H]、R3.43分間
10F 4−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2,3−ジオン
Figure 2009534454
トリフルオロ酢酸(0.5ml、6.7mmol)を、ジクロロメタン(1mL)中の[1−(2,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.7mg、0.014mmol)の溶液に滴下した。溶液を室温で45分間攪拌した。溶媒を濃縮し、粗混合物をメタノール次いで2Mアンモニア−メタノールで溶出するSCX−II酸性樹脂で精製して、4−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2,3−ジオン(3.5mg、0.014mmol、100%)を得た。LC−MS(LCT2)m/z247.19[M+H]、R0.79分間。H(500MHz、MeOD)δ7.84(d、J=5Hz、1H)、6.60(d、J=5Hz、1H)、4.22−4.28(m、2H)、3.14−3.21(m、2H)、2.96−3.08(m、1H)、2.00〜2.05(m、2H)、1.30−1.62(m、2H)。
(実施例11)
8−[4−アミノ−4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン
Figure 2009534454
11A 5−オキシ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン
m−クロロ過安息香酸(2.76g、16.0mmol)を、酢酸エチル(150mL)とアセトン(100mL)との混合液中の4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(2g、13.3mmol)の攪拌懸濁液に、少量ずつ室温で添加した。室温で2日攪拌した後、微細な析出物が形成された。固形物を回収し、アセトンで洗浄し、真空乾燥して、5−オキシ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(1.9g、86%)を淡灰色の粉体として得た。LC−MS(LCT2)m/z167.1[M+H]、R1.69分間。H(500MHz、d−DMSO)δ8.00(1H、dd、J=6.3、1.4Hz)、7.10−6.95(2、m)、4.72(2H、s)。
11B 8−クロロ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン
メチルスルホニルクロリド(1.2mL)を、DMF(6mL)中5−オキシ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(0.99g、6.0mmol)の溶液に50℃で滴下した。溶液を80℃まで加熱し、16時間攪拌した。生じた濃色溶液を食塩水で希釈し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO水溶液(2×40mL)および食塩水(2×40mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させて粗油(0.36g)を得た。シリカカラムクロマトグラフィーにより、8−クロロ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(36mg、3%)を黄色の粉体として得た。LC−MS(LCT2)m/z185.0[M+H]、R4.68分間。H(500MHz、d−DMSO)δ11.40(1H、s)、7.82(1H、d、J=6.5Hz)、7.12(1H、d、J=6.5Hz)、4.75(2H、s)。
11C 8−[4−アミノ−4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン
n−ブタノール(1mL)中の8−クロロ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(6mg、0.03mmol)と、4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン塩酸塩(実施例7C)(9.5mg、0.03mmol)と、トリエチルアミン(0.024mL)との混合物を、2時間200℃でCEMマイクロ波照射(300W)した。冷却後、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、アンモニア−メタノールで溶出するSCX−II酸性樹脂、次いでシリカカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=3:1)で精製して、8−[4−アミノ−4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3−オン(1mg、8%)を得た。LC−MS(LCT2)m/z373.3[M+H]、R3.60分間。H(500MHz、d−MeOD)δ7.70(1H、d、J=6.5Hz)、7.30(2H、d、J=7.0Hz)、7.23(2H、d、J=7.0Hz)、6.64(1H、d、J=6.5Hz)、4.56(2H、s)、3.48(2H、m)、3.30(2H、m)、2.78(2H、s)、2.05(2H、m)、1.60(2H、m)。
生物学的活性
(実施例12)
PKAキナーゼ阻害活性(IC50)の測定
アップステートバイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)製のPKA触媒ドメイン(#14−440)およびアップステートバイオテクノロジー製の9残留PKA特異的ペプチド(GRTGRRNSI)(#12−257)を基質として用いて、本発明の化合物のPK阻害活性を試験可能である。最終濃度が1nMの酵素を、20mMのMOPS(pH7.2)、40μMのATP/γ33p−ATP、および5μMの基質を含む緩衝剤中で用いる。最終DMSO濃度が2.5%になるまで、化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に添加する。反応を20分間進行させた後、過剰量のオルトリン酸を添加して活性を停止する。未反応のγ33p−ATPを、ミリポア(Millipore)MAPHフィルタープレートでリン酸化タンパク質から分離する。プレートを洗浄し、シンチラントを添加し、パッカードトップカウント(Packard Topcount)でプレートのカウントを行なう。
PKA活性の阻害率(%)を算出し、プロットすることで、PKB活性を50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度(IC50)を求める。
実施例1および4の化合物は、IC50値が1μM未満である。
(実施例13)
PKBキナーゼ阻害活性(IC50)の測定
アンジェルコビッチ(Andjelkovic)ら(『(モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)』、19、5061〜5072頁(1999年))の記載に基本的には従いながら、PKB−PIFとして記載され、ヤング(Yang)ら(『ネイチャー・ストラクチュアル・バイオロジー(Nature Structural Biology)』、9、940〜944頁(2002年))により全体が記載される融合タンパク質を用いて、化合物によるプロテインキナーゼB(PKB)活性の阻害を求めることが可能である。ヤングらにより記載されるように、タンパク質は精製され、PDK1で活性化される。カルビオケム(Calbiochem)製のペプチドAKTide−2T(H−A−R−K−R−E−R−T−Y−S−F−G−H−H−A−OH)(#123900)を、基質として用いる。最終濃度が0.6nMの酵素を、20mMのMOPS(pH7.2)、30μMのATP/γ33P−ATP、および25μMの基質を含む緩衝剤中で用いる。最終DMSO濃度が2.5%になるまで、化合物をDMSO溶液に添加する。反応を20分間進行させた後、過剰量のオルトリン酸を添加して活性を停止する。反応混合物をリン酸セルロースフィルタープレートに移す。プレート上でペプチドが結合し、用いられなかったATPは洗浄により除去される。洗浄後、シンチラントを添加し、組み込まれている活性をシンチレーションカウントにより測定する。
PKB活性の阻害率(%)を算出し、プロットすることで、PKB活性を50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度(IC50)を求める。
上記のプロトコールに従って、実施例1〜5、7、および8の化合物のIC50値が1μM未満であり、実施例6および11の化合物のIC50値がそれぞれ5μM未満であり、実施例9および10の化合物のIC50値が50μM未満であることが分かった。
(実施例14)
抗増殖活性
多くの細胞株において細胞成長を阻害し得る化合物の能力を測定することにより、本発明の化合物の抗増殖活性を測定する。細胞成長の阻害はアラマーブルー(Alamar Blue)アッセイ(ノキアリ(Nociari,M.M.)、シャルブ(Shalev,A.)、ベニアス(Benias,P.)、ルソー(Russo,C.)、『ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(Journal of Immunological Methods)』、1998年、213、157〜167頁)を用いて測定される。当該方法はレザズリンをその蛍光産物レゾルフィンへ還元する生細胞の能力に基づいている。各増殖アッセイにおいては、細胞を96ウェルプレートに入れ、16時間培養してから、さらに72時間阻害剤化合物を添加する。インキュベーションの終了時に10%(v/v)アラマーブルーを添加し、さらに6時間インキュベートしてから、535nM ex/590nM emにより蛍光産物を調べる。非増殖細胞アッセイの場合には、細胞を96時間集密状態で維持してから、さらに72時間阻害剤化合物を添加する。生細胞の数を上記のようにアラマーブルーアッセイで調べる。全ての細胞株はECACC(ヨーロピアンコレクションオブセルカルチャー(European Collection of cell Cultures))またはATCCから入手される。
(実施例15)
(i)錠剤製剤
式(I)の化合物を含有する錠剤組成物は、化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mgと、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、公知の方法で打錠することにより調製する。
(ii)カプセル製剤
カプセル製剤は、式(I)の化合物100mgとラクトース100mgとを混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬ゼラチンカプセルに充填することにより調製する。
(iii)注射用製剤I
注射投与用の非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態)を、10%プロピレングリコールを含有する水に溶解して活性化合物の濃度を1.5重量%とすることにより調製可能である。この溶液を濾過滅菌し、アンプルに充填し、密封する。
(iv)注射用製剤II
注射用の非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態)(2mg/mL)およびマンニトール(50mg/mL)を水に溶解し、溶液を濾過滅菌し、密封可能な1mlバイアルまたはアンプルへ充填することにより調製する。
(v)注射用製剤III
注射または注入によるi.v.送達用の製剤は、水に式(I)の化合物(例えば、塩形態)を20mg/mlで溶解することにより調製可能である。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブ処理により滅菌する。
(vi)注射用製剤IV
注射または注入によるi.v.送達用の製剤は、緩衝剤(例えば、0.2M酢酸、pH4.6)を含有する水に式(I)の化合物(例えば、塩形態)を20mg/mlで溶解することにより調製可能である。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブ処理により滅菌する。
(vii)皮下注射製剤
皮下投与用組成物は、式(I)の化合物を医薬級のコーン油と混合して濃度を5mg/mlとすることにより調製される。この組成物を滅菌し、適切な容器に充填する。
(viii)凍結乾燥製剤
式(I)の処方化合物の一部を50mlバイアルに入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥に際しては、−45℃までワンステップ凍結プロトコールを用いて組成物を凍結する。温度を−10℃に上げてアニーリングし、温度を下げて−45℃まで凍結する。次に、約3400分かけて+25℃まで一次乾燥させ、徐々に50℃まで昇温して二次乾燥を行なう。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は80ミリトルに設定する。
均等
上記の実施例は、本発明を説明する目的で記載したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。上記に記載し、また、実施例で示す本発明の具体的な実施形態に対して、本発明の原理から逸脱することなく、多くの改変および変更をなし得ることは容易に明らかである。このような改変および変更は全て本願に含まれるものとする。

Claims (78)

  1. 式(I)の化合物:
    Figure 2009534454
    またはその塩、溶媒和物、互変異性体、もしくはN−オキシド
    (式中、TGは、
    (1)基
    Figure 2009534454
    および
    (2)基
    Figure 2009534454
    から選択され:
    式中、
    星印()は、E基のX基への結合地点を示し;
    Aは、1〜7つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、前記リンカー基は、R1aとNRとの間に延びる5原子の最大鎖長およびEとNRとの間に延びる4原子の最大鎖長を有し、前記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく;リンカー基Aの炭素原子は、オキソ、フッ素、およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置せず、オキソ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子に位置する);
    Eは、単環もしくは二環炭素環式またはヘテロ環式基であり;
    前記X基は、5つまでがO、N、およびSから選択されるヘテロ原子である8〜12環員を有する二環ヘテロ環式基であり;
    1aはアリールまたはヘテロアリール基であり;
    1bは水素またはR1a基であり;
    およびRは、独立して、水素、C1−4ヒドロカルビル、およびC1−4アシルから選択され、前記ヒドロカルビルおよびアシル部分は、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメトキシから選択される1つ以上の置換基によって場合により置換され;または
    およびRは、それらが結合する窒素原子とともに、イミダゾール基、および4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基から選択される環式基を形成する;または
    およびRのうち一方は、それらが結合する窒素原子とリンカー基Aからの1つ以上の原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成する;または、
    NRは、それが結合するリンカー基Aの炭素原子とともに、シアノ基を形成し;
    nは0〜4であり;
    各Rは、独立して、オキソ;ハロゲン;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビル;シアノ;ハロゲン、ヒドロキシ、またはC1−2アルコキシによって場合により置換されたC1−6ヒドロカルビルオキシ;CONH;CONHR;CF;NH;NHCOR;NHCONHR;およびNHRから選択され;
    はR9aまたは(CH)R9a基であり、R9aは炭素環式またはヘテロ環式であってもよい単環または二環式基であり;
    前記炭素環式基またはヘテロ環式基R9aは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、R−R基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換され、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR、またはNRSOであり;Rは、水素、3〜12環員を有するヘテロ環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換されたC1−8ヒドロカルビル基から選択され、前記C1−8ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X、またはXC(X)Xによって場合により置き換えられていてもよく;
    は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択され;
    は、O、S、またはNRであり、Xは、=O、=S、または=NRであり;
    は、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、前記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく、あるいは、隣接する炭素原子対はCONRまたはNRCOによって置き換えられていてもよく、Rは水素、C1−4アルキル、またはシクロプロピルであり、あるいはRは、R1bまたはQの他の炭素原子に結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖であり;リンカー基Qの炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく;
    は、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、前記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく;リンカー基の炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよく(但し、ヒドロキシ基は存在する場合にはNR基に対してα位の炭素原子には位置しない);Eがアリールまたはヘテロアリールである場合にはQが結合ではなく;部分
    Figure 2009534454
    が(BG1)または(BG2)基ではなく;
    (BG1)
    Figure 2009534454
    (BG2)
    Figure 2009534454
    式中、
    (BG1)および(BG2)はそれぞれ場合により置換され;
    星印()はE基への結合地点を示し;
    TはNまたはCR基であり;
    −Jは、N=C(R)、(R)C=N、(R)N−C(O)、(RC−C(O)、N=N、および(R)C=C(R)から選択される基を示し;
    −Jは、N=C(R)基または(R)N−CO基であり;
    は水素または置換基である)。
  2. TGが
    (1)基
    Figure 2009534454
    である請求項1に記載の化合物。
  3. 化合物のR1a−A−NR部分が、式R1a−(G)−(CH−W−O−(CH−(CR−NRで示され、式中、Gは、NH、NMe、またはOであり;Wは、E基に結合し、(CH−CR20、(CH−N、および(NH)−CHから選択され;bは0または1であり、jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0または1であり;bおよびkの合計は0または1であり;j、k、m、n、およびpの合計は4を超えず;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択され、あるいはCRはシクロプロピル基を形成し;R20は、水素、メチル、ヒドロキシ、およびフッ素から選択される請求項2に記載の化合物。
  4. 化合物のR1a−A−NR部分が、式R1a−(G)−(CH−X−(CH−(CR−NRで示され、式中、Gは、NH、NMe、またはOであり;Xは、E基に結合し、(CH−CH、(CH−N、および(NH)−CHから選択され;jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0または1であり、j、k、m、n、およびpの合計は4を超えず;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択され、あるいはCRはシクロプロピル基を形成する請求項2に記載の化合物。
  5. 化合物のR1a−A−NR部分が、式R−(G)−(CH−X−(CH−(CR−NRで示され、
    式中、
    kは0であり、mは0または1であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である;あるいは
    kは0であり、mは0または1であり、nは、0、1、または2であり、pは1である;あるいは
    は(CH−CHであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である;あるいは
    は(CH−CHであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、または2であり、pは1である;あるいは
    は(CH−CHであり、GはOであり、kは1であり、mは0であり、nは、0、1、2、または3であり、pは0である請求項4に記載の化合物。
  6. A基が表1に示される請求項2〜5のいずれかに記載の化合物。
  7. TGが
    (2)基
    Figure 2009534454
    であり、
    は、結合または1〜3つの炭素原子を含有する飽和炭化水素リンカー基であり、前記リンカー基における炭素原子の1つは、酸素原子または窒素原子によって場合により置き換えられていてもよく、あるいは、隣接する炭素原子対はCONRまたはNRCOによって置き換えられていてもよく、Rは水素、C1−4アルキル、またはシクロプロピルであり、あるいはRは、R1bまたはQの他の炭素原子に結合して環式部分を形成するC1−4アルキレン鎖であり;リンカー基Qの炭素原子は、フッ素およびヒドロキシから選択される1つ以上の置換基を場合により有していてもよい、請求項1に記載の化合物。
  8. 1bが水素である請求項7に記載の化合物。
  9. 1bがR1a基である請求項7に記載の化合物。
  10. 1aが、場合により置換されたフェニル、ナフチル、チエニル、フラン、ピリミジン、およびピリジン基から選択される請求項2〜6および9のいずれかに記載の化合物。
  11. 1aが、場合により置換されたフェニル基である請求項10に記載の化合物。
  12. 前記場合により用いられる置換基が、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;CONH;ニトロ;C1−2アルコキシ、カルボキシ、またはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル;C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、O、およびSから選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する5および6員ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシ基;フェニル;フェニル−C1−4アルキル;フェニル−C1−4アルコキシ;ヘテロアリール−C1−4アルキル;ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシから選択され、
    前記ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、フェニル、フェニル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルコキシ、ヘテロアリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシ基がC1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、CONH、ならびにメトキシまたはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビルから選択される1、2、または3つの置換基で、それぞれ場合により置換された請求項10または11に記載の化合物。
  13. 1aが、非置換、あるいはヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;フェニル;チエニル;フラニル;フェノキシ、ベンジルオキシ;シアノ;C3−4シクロアルキル、ならびにC1−2アルコキシまたはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−4アルコキシおよびC1−4ヒドロカルビルから選択される5つまでの置換基によって置換された請求項12に記載の化合物。
  14. 1aが、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、tert−ブチル;トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;フェニル;フェノキシ、およびベンジルオキシから選択される1つまたは2つの置換基を有する請求項13に記載の化合物。
  15. 1aが、モノ−クロロフェニル(例えば、4−クロロフェニル)、ジクロロフェニル、ヒドロキシフェニル、フルオロ−クロロフェニル、シアノフェニル、メトキシフェニル、メトキシ−クロロフェニル、フルオロフェニル、およびジフルオロフェニルから選択される置換フェニル基である請求項14に記載の化合物。
  16. 1aが表2に示される基である請求項13に記載の化合物。
  17. およびRは、独立して、水素;C1−4ヒドロカルビル;およびC1−4アシルから選択され、前記ヒドロカルビルおよびアシル基は、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、および単環もしくは二環式アリールまたはヘテロアリール基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換された先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
  18. およびRは独立して水素およびメチルから選択され、したがって、NRは、アミノ、メチルアミノ、またはジメチルアミノ基である請求項17に記載の化合物。
  19. NRがアミノ基である請求項18に記載の化合物。
  20. NRがメチルアミノ基である請求項18に記載の化合物。
  21. およびRのうち一方は、それらが結合する窒素原子とリンカー基Aからの1つ以上の原子とともに、4〜7環員を有しOおよびNから選択される第2のヘテロ原子環員を場合により含有する飽和単環ヘテロ環式基を形成する請求項2およびその従属項のいずれかに記載の化合物。
  22. NRおよびAは、下記式の環式基を形成し:
    Figure 2009534454
    式中、vおよびwはそれぞれ0、1、2、または3である(但し、vおよびwの合計が2〜5の範囲にある)請求項21に記載の化合物。
  23. vおよびwが両方とも2である請求項22に記載の化合物。
  24. が水素である請求項22または23に記載の化合物。
  25. Eが単環式基である先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
  26. Eがフェニル環またはピペラジンもしくはピペリジン環である請求項25に記載の化合物。
  27. Eがフェニル環である請求項26に記載の化合物。
  28. Eがピペリジン環であり、ピペリジン環の窒素原子が二環式基Xに結合する請求項26に記載の化合物。
  29. Eが表3または表4に示される基である請求項1〜24のいずれかに記載の化合物。
  30. 部分
    Figure 2009534454
    が、場合により置換された二環式ヘテロアリール基である請求項1〜29のいずれかに記載の化合物。
  31. 二環式ヘテロアリール基が、5員または6員炭素環式またはヘテロ環式芳香環と縮合したピリジンまたはピリミジン環であり、その具体例としてチエノ[3,2−d]ピリミジン基が挙げられる請求項30に記載の化合物。
  32. 二環式基Xが以下の形態をとり:
    Figure 2009534454
    が水素結合アクセプター原子または基、例えば、表5に示される水素結合アクセプターである請求項31に記載の化合物。
  33. 二環式基Xが、
    F1
    Figure 2009534454
    F2
    Figure 2009534454
    F3
    Figure 2009534454
    F4
    Figure 2009534454
    F5
    Figure 2009534454
    F6
    Figure 2009534454
    F7
    Figure 2009534454
    F8
    Figure 2009534454
    F9
    Figure 2009534454
    F10
    Figure 2009534454
    F11
    Figure 2009534454
    F12
    Figure 2009534454
    F13
    Figure 2009534454
    F14
    Figure 2009534454
    F15
    Figure 2009534454
    F16
    Figure 2009534454
    F17
    Figure 2009534454
    F18
    Figure 2009534454
    F19
    Figure 2009534454
    およびF20
    Figure 2009534454
    から選択される請求項1〜29のいずれかに記載の化合物。
  34. 二環式基Xが、F1、F19、およびF20から選択される請求項33に記載の化合物。
  35. 一般式(II):
    Figure 2009534454
    を有する請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、A基は、ベンゼン環のメタ位またはパラ位に結合し、qは0〜4であり;R1a、R、R、およびRは、先行する請求項のいずれかに記載の通りであり、Rは、ヒドロキシ;ハロゲン(例えば、塩素および臭素);トリフルオロメチル;シアノ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシによって場合により置換されたC1−4ヒドロカルビル;ならびにハロゲン(例えば、塩素および臭素)、トリフルオロメチル、シアノ、メチル、またはメトキシによって場合により置換されたフェニルから選択される)。
  36. qが、0、1、または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である請求項35に記載の化合物。
  37. A基がベンゼン環のパラ位に結合する請求項35または36に記載の化合物。
  38. 式(IIa):
    Figure 2009534454
    を有する請求項37に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、X、R1a、R、R、R、およびnは、先行する請求項のいずれかに記載の通りであり、xは0または1であり、yは、0、1、または2である)。
  39. 式(IIb):
    Figure 2009534454
    を有する請求項37に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、X、R1a、R、R、R、x、およびyは請求項37に記載の通りであり、zは、0、1、または2である(但し、yおよびzの合計が4を超えない))。
  40. 一般式(IIc):
    Figure 2009534454
    を有する請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、A基はピペリジン環の3位または4位に結合し、qは0〜4であり;X、n、A、R1a、R、R、およびRは、先行する請求項のいずれかに記載の通りであり、R10は、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基、ならびに;R−R基から選択される置換基であり、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR、またはNRSOであり;Rは、水素、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式およびヘテロ環式基から選択される1つ以上の置換基によって場合により置換されたC1−8ヒドロカルビル基から選択され、前記C1−8ヒドロカルビル基の1つ以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X、またはXC(X)Xによって場合により置き換えられていてもよく;
    は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択され;
    は、O、S、またはNRであり、Xは、=O、=S、または=NRである)。
  41. qが、0、1、または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である請求項40に記載の化合物。
  42. nが0である請求項41に記載の化合物。
  43. 一般式(III):
    Figure 2009534454
    を有する請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、X、R1b、R、Q、Q、およびNRは、先行する請求項のいずれかに記載の通りである)。
  44. 式(IV):
    Figure 2009534454
    を有する請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、TはCHまたはNであり、Tは、S、O、またはNR18であり;R16は水素またはR10基であり、R17は水素またはR基であり;R18は水素またはC1−4アルキルであり;A、E、R1a〜R、およびR10は、先行する請求項のいずれかに記載の通りである)。
  45. TがNであり、Tが、S、O、およびNHから選択される請求項44に記載の化合物。
  46. がSである請求項45に記載の化合物。
  47. 一般式(V):
    Figure 2009534454
    を有する請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、X、R、R、およびRは先行する請求項のいずれかに記載の通りである)。
  48. 一般式(VI):
    Figure 2009534454
    を有する請求項43に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、mは、0、1、または2であり;m’は0または1であり(但し、mおよびm’の合計が0〜2の範囲にある);nは0または1であり;pは、0、1、2、または3であり;RおよびRは、同一または異なって、水素、メチル、およびフッ素からそれぞれ選択され;R12はCNまたはNRであり、各R13はR10から独立して選択され、X、R、R、R、およびR10は、先行する請求項のいずれかに記載の通りである)。
  49. mが、0または1であり、好ましくは0である請求項48に記載の化合物。
  50. pが、0、1、または2であり、R13が、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;トリフルオロメトキシ;ジフルオロメトキシ;ベンジルオキシ;シアノ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシでそれぞれ場合により置換されたC1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビルから選択される請求項48または49に記載の化合物。
  51. 式(VII):
    Figure 2009534454
    を有する請求項48に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、R、R、およびRはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、X、n、p、R、およびR13は請求項48に記載の通りである)。
  52. およびRが両方とも水素である請求項51に記載の化合物。
  53. 式(VIII)
    Figure 2009534454
    を有する請求項43に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド
    (式中、R25は水素またはメチルであり、X、R13、R、およびRは請求項43またはその従属項のいずれかに記載のとおりである)。
  54. nが0である請求項53に記載の化合物。
  55. 25が水素である請求項53または54に記載の化合物。
  56. が水素である請求項53〜55のいずれかに記載の化合物。
  57. がメチルである請求項53〜55のいずれかに記載の化合物。
  58. 塩、溶媒和物(水和物等)、エステル、またはN−オキシドの形態をとる先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
  59. プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療に用いるための、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物。
  60. プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療用の薬剤を調製するための、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物の使用。
  61. 投与を必要とする対象者に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、プロテインキナーゼBが仲介する病態または症状の予防または治療方法。
  62. 哺乳動物に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を、異常な細胞成長を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
  63. 哺乳動物に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を、PKBの活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
  64. プロテインキナーゼBを、請求項1〜58のいずれかに記載のキナーゼ阻害化合物に接触させることを含むプロテインキナーゼBの阻害方法。
  65. 請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を用いてプロテインキナーゼBの活性を阻害することによる、細胞プロセスの調節方法。
  66. 哺乳動物に、請求項1〜44のいずれかに記載の化合物を、PKBの活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における免疫障害の治療方法。
  67. プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療に用いるための、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物。
  68. プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療用の薬剤を調製するための、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物の使用。
  69. 異常な細胞成長によって引き起こされる病態または症状の予防または治療用の薬剤を調製するための、請求項1〜58のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
  70. 増殖、細胞死、または分化の異常がある疾患の予防または治療用の薬剤を調製するための、請求項1〜58のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
  71. 投与を必要とする対象者に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、プロテインキナーゼAが仲介する病態または症状の予防または治療方法。
  72. 哺乳動物に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を、PKAを阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における異常な細胞成長を含むかそれによって引き起こされる疾患または症状の治療方法。
  73. プロテインキナーゼAを、請求項1〜58のいずれかに記載のキナーゼ阻害化合物に接触させることを含むプロテインキナーゼAの阻害方法。
  74. 請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を用いてプロテインキナーゼAの活性を阻害することによる、細胞プロセスの調節方法。
  75. 哺乳動物に、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物を、PKAの活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、哺乳動物における免疫障害の治療方法。
  76. 癌細胞を、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物に接触させることを含む癌細胞の細胞死の誘発方法。
  77. 請求項1〜58のいずれかに記載の新規の化合物と薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
  78. 医療に用いるための、請求項1〜58のいずれかに記載の化合物。
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