JP2009534370A - 新規抗菌化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の発酵によって得られる、分子量が1514で分子式がC69661813の、式
【化1】
Figure 2009534370

の新規精製化合物PM181104に関する。本発明は、化合物PM181104の全ての立体異性体及び全ての互変異性体、並びに薬学的に許容される塩及びエステルやエーテルなどの誘導体を含む。本発明はさらに、前記新規抗菌化合物の製造方法、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の製造、有効成分として前記新規化合物を含有する医薬組成物、並びに細菌感染により引き起こされる疾病の治療及び予防用薬剤における前記化合物の使用に関する。

Description

本発明は、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の発酵により得られる、抗菌性を有する新規化合物PM181104に関する。本発明はまた、PM181104の全ての立体異性体及び全ての互変異性体、並びにその薬学的に許容される塩及び誘導体を含む。本発明はさらに、新規抗菌化合物の製造方法、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の製造、有効成分として前記新規化合物を含有する医薬組成物、並びに細菌感染により引き起こされる疾病の治療及び予防用薬剤における前記化合物の使用に関する。
ベータラクタム系抗生物質、マクロライド、キノロン及びバンコマイシンなどの多くの抗菌剤に対する耐性菌の出現は、世界中で重大な健康問題となっている(「微生物学の傾向(Trends In Microbiology)」、2、1994年、p.422〜425)。医療における最も著しい問題は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus aureus:MRSA)感染症の罹患率の増加である。現在、多剤耐性MRSA感染症の唯一の有効な治療薬はバンコマイシンである。しかしながら、いくつかのMRSA分離株において、バンコマイシン耐性の出現の報告が多数ある(「抗菌剤及び化学療法(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)、1998年、42、p.2188〜2192)。最近出現した臨床的に重要な多剤耐性菌の他の群は腸球菌であり、それらのうちのいくつかもバンコマイシン耐性を示す。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症の出現は、医師にジレンマをもたらしている。オキサゾリジノン系化合物であるリネゾリドとストレプトグラミン系薬との組み合わせは、MRSA感染症を治療するのに選択される新薬である。しかしながら、これらオキサゾリジノン(「臨床感染症(Clinical Infectious Diseases)」、2003年、36、付録1、S11〜S23、「薬物療法の記録(Annals of Pharmacotherapy)」、2003年、37、p.769〜74)とストレプトグラミンとの組み合わせ(「現在の薬剤標的感染性疾患(Current Drug Targets Infectious Disorders)」、2001年、1、p.215〜25)及び様々な糖ペプチド(「臨床感染症(Clinical Infectious Diseases)」、2003年、36、付録1、S11〜S23)に対する耐性は代替標的又は作用様式を有する薬剤の広範な開発を必要とする。重要な市中感染型の病原体である肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)のペニシリンや他の抗菌性物質に対する耐性の増大もまた世界的な健康問題になっている。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の多剤耐性菌株は、いくつかの国々で表面化している。耐性のある院内及び市中感染型病原体の出現及び蔓延は、世界的な公衆衛生に対する大きな脅威になっている。
細菌、特にMRSAやVREなどの多剤耐性菌に感染した患者を治療する薬剤として使用できる新規化合物を見い出す差し迫った必要性がある。
本発明は、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の発酵培養液から分離される抗菌性を有する新規精製化合物(ここでは、PM181104として呼ばれる)に関する。
本発明は、また、(ここに記載されるように)式Iにより表わされるPM181104の全ての立体異性体及び全ての互変異性体、並びにその薬学的に許容される塩及びエステル及びエーテル誘導体に関する。
化合物PM181104、並びにその異性体、薬学的に許容される塩及びエステル及びエーテル誘導体は、細菌、特にMRSAやVREなどの多剤耐性菌により引き起こされる疾病の治療及び予防に有用である。
本発明は、さらに、細菌、特にMRSAやVREのような多剤耐性菌により引き起こされる病状の治療のための有効成分として、新規化合物PM181104、その異性体、薬学的に許容される塩、エステル又はエーテル誘導体を含有する医薬組成物に関する。
本発明は、さらに、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物から、化合物PM181104及び/又はその異性体を製造する方法に関する。
本発明は、また、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物を製造する方法に関する。ここで、前記方法は培養によって化合物PM181104及びその異性体を製造する。
本発明は、また、化合物PM181104のエステル及びエーテル誘導体の製造方法に関する。
本発明は、新規抗菌化合物PM181104を提供し、また、PM181104の全ての立体異性体及び全ての互変異性体、並びにその薬学的に許容される塩及びエステルそしてエーテルなどの誘導体を含む。
従って、本発明は次式Iの新規抗菌化合物に関する。
Figure 2009534370
式中、RはH(PM181104)、アルキル、アルキルカルボニル、(HO)PO−、アルキル−OPO(OH)−、(アルキル−O)PO−、シクロアルキル、シクロアルキルカルボニル、アリール、アリールカルボニル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルカルボニルである。
本明細書では、「アルキル」なる語は、単独及び置換基の一部のいずれで使用されていようと、直鎖又は分岐鎖アルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを表す。さらに、特に明記しない限り「アルキル」なる語は、非置換アルキル基、並びに1つ以上の異なる置換基により置換されているアルキル基を含む。好ましい実施形態では、直鎖又は分岐鎖アルキルは、その骨格に20個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合C〜C20、分岐鎖の場合C〜C20)。1〜20個の炭素原子を含むアルキル残基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル及びエイコシル、これら全ての残基のn−異性体;イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、2,3,4−トリメチルヘキシル、イソデシル、sec−ブチル又はtert−ブチルが挙げられる。置換アルキルとは、1つ以上の水素原子、例えば、1、2、3、4又は5個の水素原子が置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、スルホニル、アルコキシル、シクロアルキル、シアノ、アジド、アミノ、アシルオキシ、ヘテロシクロ、アラルキル、アリール或いはNBD[N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ]又はBODIPY[4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン基などの蛍光基と置換されたアルキル残基を意味する。
本明細書では、「シクロアルキル」なる語は、環構造中に3〜10個の炭素原子、より好ましくは3、4、5、6又は7個の炭素原子を有する飽和単環又は二環系を意味する。3、4、5、6又は7個の環炭素原子を含むシクロアルキル残基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルが挙げられる。さらに、特に明記しない限り「シクロアルキル」なる語は、非置換シクロアルキル、並びにハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、シクロアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル、アシルオキシ、ヘテロシクロ、アラルキル及び/又はアリール基から選ばれる1つ以上の同一又は異なる基により置換されたシクロアルキルを含む。
本明細書では、「アリール」なる語は、共役π電子系を有する炭素環が少なくとも1つ存在する、10個までの環炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素基を意味する。C−C10アリール残基の好適な例としてはフェニル、ナフチル又はビフェニルが挙げられ、特にフェニル及びナフチルが挙げられる。アリール残基、例えばフェニル又はナフチルは、一般にハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、シアノよりなる群から選ばれる1個以上5個までの同一又は異なる置換基により任意に置換されていてもよい。
「ヘテロシクリル」なる語は5、6、7、8、9又は10個の環原子を含む飽和、部分不飽和、若しくは芳香族単環式又は多環式複素環系を意味し、その1、2又は3個の環原子は、窒素、酸素及び硫黄から選ばれる同一又は異なるヘテロ原子である。そのようなヘテロシクリル基の好適な例としては、ピリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリル、ピロリジニル及びモルホリニルが挙げられる。多環式複素環系では、ヘテロシクリルは、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共有される縮合環、又は環が隣接していない原子によって結合された架橋環を含んでもよい。多環式複素環系では、ヘテロシクリルは、好ましくは2つの縮合環(二環式)を含み、その少なくとも1つは5又は6員複素環である。二環式複素環基の例としては、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、カルバゾリル、インドリル、イソインドリル、フェノキサジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル及びベンゾフラザニルが挙げられる。ヘテロシクリル残基は、一般に、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、シアノよりなる群から選ばれる1つ以上の同一又は異なる置換基により任意に置換されていてもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、式IにおけるR基は、H、CHCHCHCO、CH(CH15CHCO又は
Figure 2009534370
を表してもよい。
より好ましい実施形態によれば、上記式I(式中RはH)で表される新規化合物PM181104は、コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の発酵培養液から分離され、さらに精製される。
新規化合物PM181104は、分子式C69661813(分子量1514)を有し、本明細書中以下に検討されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量スペクトル(MS)、紫外線(UV)、赤外線(IR)及び核磁気共鳴(NMR)分光データなどの、その物理化学及び分光特性のいずれか1つ以上で特性解析され得る。
新規化合物PM181104の構造は解明されており、その完全な特性解析はHPLC、MS、UV、IR及びNMR分光データにより行われる。前記構造は生物活性15N及び13Cで標識されたPM181104の三次元(3D)NMR研究により確認された。
化合物PM181104並びにそのエステル及びエーテル誘導体は、細菌、特にMRSAやVREなどの多剤耐性菌に対して活性のある新規な抗生物質である。
化合物PM181104の製造に使用できる微生物は、以下、培養物番号ZMA B−1と呼ばれ、インドのタミールナドゥ海岸ポークベイで採取された海水試料から分離されたコクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)の菌株である。
本発明はさらに、培養物番号ZMA B−1、その変異体(mutant)及び変異形(variant)から化合物PM181104を製造する方法を提供し、前記方法は、1以上の炭素源及び1つ以上の窒素源並びに任意に無機栄養塩及び/又は微量元素源を含有する栄養培地中において、好気的湛水条件下で培養物番号ZMA B−1を成長させる工程、培養液から化合物PM181104を分離する工程、及び関連技術分野で一般的に使用される精製法を用いて化合物PM181104を精製する工程を含む。
本明細書では、「変異体(mutant)」なる語は、野生型に対する代替表現型である、変異を保因する生物又は細胞を意味する。
本明細書では、「変異形(variant)」なる語は、その種における任意の標準型とは認識できる程度に異なる個々の生物を意味する。
PM181104の産生元である培養物番号ZMA B−1の予備同定は、そのコロニー形態、ウェットマウント観察及びグラム染色反応の分析により行った。分離された培養物番号ZMA B−1の菌株の顕微鏡的研究を、寒天を1.5%含有するゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(海水培養液2216)上で行い、25℃でのインキュベーションの1、2及び3日目において観察を行った。
寒天を1.5%含有するゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(海水培養液2216)上の成長物は、平滑な表面、橙黄色の色素沈着、規則的な縁及び柔らかな堅さを有する直径2mmのコロニーとして成長する。可溶性色素はこの培養液中では観察されない。位相差光学顕微鏡検査下では球菌は400倍の倍率で観察される。前記球菌は十分に分離及び単離されている。これらはグラム陽性であり非運動性である。観察された形態から、この生物はミクロコッカス科の仲間として分類される。分離株の同定は、その16S rRNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイト(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で入手可能な既存の配列と比較することにより行った。培養物番号ZMA B−1は、世界知的所有機関権機関(WIPO)が国際寄託当局(IDA)として承認した微生物技術研究所(Institute of Microbial Technology,Sector 39−A,Chandigarh−160 036,India)の微生物系統保存機関(Microbial Type Culture Collection:MTCC)に寄託され、受入番号MTCC 5269が付与された。
本明細書中に記載の特定の微生物に加え、当然のことながら、X線や紫外線などを含む化学的及び物理学的突然変異誘発要因の使用により製造されたものや遺伝子構造が分子生物学的手法により組み換えられた生物などの変異体もまた、化合物PM181104の製造のために培養されてよい。
本発明の化合物を製造できる適切な変異体及び変異形のスクリーニングは、HPLC及び/又は培養液中に蓄積された活性化合物の生物学的活性の測定、例えば化合物の抗菌活性を試験することにより確認することができる。
化合物PM181104を製造する培養物番号ZMA B−1の分離及び培養に使用する培地及び/又は栄養培地は、好ましくは、炭素、窒素及び無機栄養塩の源を含有する。炭素源としては、例えば、スターチ、グルコース、スクロース、デキストリン、フルクトース、糖蜜、グリセロール、ラクトース又はガラクトースのうちの1つ以上が挙げられる。好ましい炭素源は、グルコースである。窒素源としては、例えば、大豆ミール、ピーナッツミール、酵母エキス、牛肉エキス、ペプトン、麦芽エキス、コーンスチープリカー、ゼラチン又はカサミオン酸(casamion acids)のうちの1つ以上が挙げられる。好ましい窒素源は、ペプトン及び酵母エキスである。無機栄養塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、臭化カリウム、フッ化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、クエン酸鉄(III)又はホウ酸のうちの1つ以上が挙げられる。炭酸カルシウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムが好ましい。
培養物番号ZMA B−1の維持は、21℃〜35℃の範囲の温度及びpH約6.5〜8.5で行なってもよい。典型的には、培養物番号ZMA B−1は、27℃〜29℃及びpH約7.4〜7.8に維持される。よく成長した培養物は4℃〜8℃の冷蔵庫中で保存してもよい。
培養物番号ZMA B−1の種培養の培養は、25℃〜35℃の範囲の温度及びpH約6.5〜8.5で20〜55時間200〜280rpmで行なってもよい。典型的には、培養物番号ZMA B−1の種培養は、29℃〜31℃及びpH約7.4〜7.8で24〜48時間230〜250rpmで培養される。
化合物PM181104の製造は、26℃〜36℃の範囲の温度及びpH約6.5〜8.5で24〜96時間60〜140rpm及び100〜200lpmの通気での発酵により、培養物番号ZMA B−1を培養することにより行なわれてもよい。典型的には、培養物番号ZMA B−1は、30℃〜32℃及びpH7.4〜7.8で40〜72時間90〜110rpm及び140〜160lpmの通気で培養される。
化合物PM181104の製造は、ここに記載した条件下、好ましくは好気的湛水条件下、例えば、振とうフラスコ中並びに実験室用発酵槽中で適切な栄養培養液中で培養物番号ZMA B−1を培養することにより行なうことができる。発酵及び化合物PM181104の製造の進行は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、及び公知の微生物寒天平板拡散分析法により、ブドウ球菌及び/又は腸球菌属に対する培養液の生物活性を測定することにより求めることができる。好ましい培養物は、メチシリンに対する耐性菌株である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)3066、文献において報告されているβラクタム系抗生物質、及びバンコマイシンに対して耐性のあるエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)R2(VRE)である。得られる培養液中において、化合物PM181104は、培養ろ液中及び細胞集団中に存在し、溶剤抽出及びカラムクロマトグラフィーなどの公知の分離方法を用いて分離され得る。したがって、化合物PM181104は、pH約5〜9で石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジエチルエーテル又はブタノール等の水非混和性溶媒を用いた抽出により、或いは、「ダイヤイオンHP−20(登録商標)」(三菱化成工業、日本)、「アンバーライトXAD(登録商標)」(ロームアンドハース工業、米国)などの高分子樹脂、活性炭を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィーにより、或いは、pH5〜9でのイオン交換クロマトグラフィーにより、培養ろ液から回収され得る。活性物質は、メタノール、アセトン、アセトニトリル、n−プロパノール又はイソプロパノールのような水混和性溶媒、或いは石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル又はブタノールのような水非混和性溶媒での抽出により、細胞集団から回収され得る。他の選択肢としては、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、アセトン、アセトニトリル、n−プロパノール、イソプロパノール又はブタノールから選ばれる溶媒で全培養液を抽出することが挙げられる。典型的には、活性物質は、全培養液から酢酸エチルで抽出される。抽出物を濃縮及び凍結乾燥して活性粗材料を得る。
本発明の化合物PM181104は、次の手法、即ち、:順相クロマトグラフィー(固定相としてアルミナ又はシリカゲル;石油エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、メタノール又はそれらの組み合わせなどの溶離剤;及びNEtなどのアミンの添加を使用);逆相クロマトグラフィー(固定相としてジメチルオクタデシルシリルシリカゲル(RP−18)又はジメチルオクチルシリルシリカゲル(RP−8)などの逆相シリカゲル;並びに水、緩衝液(例えば、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩(pH2〜8))、及び有機溶媒(例えば、メタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン又はこれら溶媒の組み合わせ)などの溶離剤を使用);ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(メタノール、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル又はそれらの組み合わせなどの溶媒中でセファデックスLH−20(登録商標)(ファルマシア化学工業、スウェーデン)、TSKゲル(登録商標)トーヨーパールHW(トーソーハース、東ソー株式会社、日本)、或いは水中でセファデックス(登録商標)G−10及びG−25などの樹脂を使用);或いは向流クロマトグラフィー(水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、石油エーテル、ベンゼン及びトルエンなどの溶媒2つ以上からなる2相性溶離剤系を使用)のいずれかの手法を用いた分画により、粗材料から回収され得る。これらの手法を単独又は組み合わせて繰り返し使用してもよい。典型的な方法は、逆相シリカゲルクロマトグラフィー(RP−18)である。
化合物PM181104及びその異性体は、それらの薬学的に許容される塩に変換され得、それら塩はすべて本発明の範囲内にある。塩は、当業者に公知の標準的な方法により調製され得、例えば、ナトリウム及びカリウム塩のような塩は化合物PM181104及びその異性体を適切なナトリウム又はカリウム塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムで処理することにより調製され得る。
式Iにより表わされる化合物PM181104のエステル及びエーテルは、文献(「先進有機化学(Advanced Organic Chemistry)」、第4版、J.マーチ、ジョンワイリーアンドサンズ、1992年)で示された方法により調製され得る。エステルはまた、文献(「医化学ジャーナル(J.Med.Chemistry)」、35、1992年、p.145〜151)に記載されている方法により調製され得る。本発明の好ましい実施形態において、Rがアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルである式Iの化合物は、PM181104と式RCOOHで表される適切な酸(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルである。)とをジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカップリング剤及び触媒量のジメチルアミノピリジン(DMAP)などの塩基の存在下で反応させることにより調製される。
リン酸エステルは、文献(「生物有機化学及び医薬品化学書簡(Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters)」、第4巻、第21号、1994年、p.2567〜2572)で報告された方法により調製され得る。エーテルは、米国特許第7,022,667号に記載されているような方法により調製され得、該特許は参照によりに本書に援用される。
化合物PM181104は、広範囲の菌株に対して抗菌活性を有する。化合物PM181104、その立体異性体、薬学的に許容される塩並びにエステル及びエーテルなどの誘導体は、単独若しくは組み合わせて、医薬品として及び医薬組成物の形態でヒトを含む哺乳動物などの動物に投与することができる。従って、本発明はまた、医薬品として使用する化合物PM181104、その立体異性体、その薬学的に許容される塩、並びにそのエステル及びエーテル誘導体に関し、また、抗菌活性を有する薬剤の製造のための、化合物PM181104、その立体異性体、その薬学的に許容される塩、並びにそのエステル及びエーテル誘導体の使用に関する。
本発明はさらに、有効量の化合物PM181104及び/又はその立体異性体及び/又は1つ以上の薬学的に許容される塩及び/又は誘導体(特に、エステル及びエーテル)を、薬学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物に関する。化合物PM181104又はその立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩又はその誘導体の医薬品中での有効成分としての有効量は、通常約0.01mg〜100mgである。
本発明はまた、化合物PM181104及び/又はその立体異性体及び/又は1つ以上の薬学的に許容される塩及び/又はエステル及びエーテル誘導体を含有する、細菌感染により引き起こされる疾病の治療及び予防用の薬剤の調製方法に関する。
本発明の化合物は、抗菌剤として特に有用である。従って、本発明は、細菌感染により引き起こされる疾病の予防又は治療用薬剤の製造のための、化合物PM181104及び/又はその立体異性体及び/又は1つ以上の薬学的に許容される塩及び/又は誘導体の使用に関する。本発明の化合物が治療に使用される細菌感染は、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌及びバチルス属に属する細菌により引き起こされ得る。
「ブドウ球菌属」なる語は、顕微鏡で観察するとブドウの房のように見え、血液寒天プレート上で成長させた時に、しばしばβ溶血を伴って、大きくて丸い黄橙色のコロニーとして出現するグラム陽性菌を意味する。ブドウ球菌属に属する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、様々な、腫れ物、麦粒腫及びフルンケル症といった表層病変などの化膿性(膿成形性)感染症;肺炎、乳腺炎、静脈炎、脳膜炎及び尿路感染などのより重篤な感染症;並びに骨髄炎や心内膜炎などの深在性感染を引き起こす。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、外科創傷の病院内で獲得する(院内)感染及び留置医療用具に関連する感染の主要な原因である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、食物中にエンテロトキシンを放出することによる食中毒、及び血流に超抗原を放出することによる毒素性ショック症候群を引き起こす。
「連鎖球菌属」なる語は、球形のグラム陽性菌属であり、ファーミキューテス門の仲間を意味する。連鎖球菌は乳酸菌である。連鎖球菌属は脳膜炎、細菌性肺炎、心内膜炎、丹毒及び壊死性筋膜炎(「人喰い」菌感染)などの感染症の原因である。
「腸球菌属」なる語は、ファーミキューテス門の乳酸菌属を意味する。それらは、しばしばペア(双球菌)で発生するグラム陽性球菌である。腸球菌は、通性嫌気性生物である。腸球菌は、院内感染の最多原因である。腸球菌は、ゲンタマイシン及びバンコマイシンなどの抗生物質に対して耐性を発現する。
「バチルス属」なる語は、周毛性鞭毛により運動性を有し好気性である多数の種々のグラム陽性桿菌を意味する。これもまたファーミキューテス門の仲間である。この属の仲間は不利な環境状況に対して高い抵抗性を有する内生胞子を形成することができる。バチルス属に属するセレウス菌(Bacillus cereus)は2種類の食物経由の中毒を引き起こす。1つ目の種類は、悪心、嘔吐及び腹部仙痛の症状で特徴付けられる。2つ目の種類は、主として腹部仙痛及び下痢により現われる。バチルス属に属する故草菌(Bacillus subtilis)に起因する感染症としては、免疫不全状態の患者における菌血症、心内膜炎、肺炎及び敗血症が挙げられる。
本発明の化合物は、経口、経鼻、局所、皮下、筋肉内、静脈内又は他の投与経路により投与することができる。
PM181104或いはその立体異性体又は薬学的に許容される塩又はエステル若しくはエーテル誘導体と共に他の薬学的活性物質を含む医薬組成物は、活性化合物と、1つ以上の薬理学的に許容される、湿潤剤、界面活性剤などの溶解剤、ベヒクル(vehicles)、等張化剤、フィラー(fillers)、着色剤、マスキング用着香料、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、結合剤、可塑剤、乳化剤、軟膏基剤、皮膚軟化薬、増粘剤、ポリマー、脂質、油、助溶剤、錯形成剤又は緩衝物質のような助剤及び/又は賦形剤とを混合し、該混合物を適切な剤型、例えば、錠剤、コーティング錠、カプセル剤、顆粒剤、散剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は非経口投与に適した溶液へ変換することにより調製され得る。
記載できる助剤及び/又は賦形剤の例としては、クレモフォール、ポロキサマー、塩化ベンザルコニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デキストロース、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、デンプン、デキストリン、ラクトース、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タルク、寒天、鉱油、動物油、植物油、有機及びミネラルワックス、パラフィン、ゲル、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド、エタノール、ポリグリコール、Tween80、ソルトールHS15並びに水が挙げられる。
ベヒクル又は希釈剤なしで、適切な形態、例えばカプセル剤として活性物質を投与することも可能である。
慣習どおりであるが、特定の症例において適切な剤形及び投与方法並びに投薬量域は、治療される種及びそれぞれの症状又は疾病の状態に依拠し、技術分野で公知の方法を用いて最適化できる。平均すると患者一人における活性化合物の一日量は1kg当たり0.0005mg〜15mg、典型的には、1kg当たり0.001mgから7.5mgである。
以下に、本発明を説明するための実施例を示すが本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
海洋源からの培養物番号ZMA B−1の分離
a)分離培地の組成
ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天で寒天化)
動物組織のペプシン消化物5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム80.0mg、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、寒天末15.0g。再蒸留水1.0L、最終pH(25℃)7.4〜7.8。
b)手順
海綿試料、Spirastrella inconstans var.digitata (Dendy)は、スキューバダイビングで3メートルの深さからインドのタミールナドゥ海岸ポークベイから採取した。海綿試料を無菌海水ですすぎ、直ちに無菌ポリエテン容器に移した。容器を−20℃で保存し、詳細検討のため、0℃未満の温度を維持して実験室に運んだ。実験室に到着するとすぐに、海綿試料を0℃未満で保存し、その後培養物の分離の直前に室温(25±2℃)で解凍した。海綿試料を2×2cm片に無菌的に切断し、25mLの殺菌された試験管中の無菌海水5mLの中に懸濁した。試験管を30秒間攪拌し、海水を排出し、新しい海水を加えた。同様の工程を3度繰り返した。最後に海水を排出し、海綿片を上述の分離培地[ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天により寒天化)、HiMedia]を含むペトリ皿上に置いた。ペトリ皿中で成長が観察されるまで、ペトリ皿を室温(25±2℃)で培養した。ペトリ皿上で成長したコロニーをコロニーの特徴に基づき分離し、上述の分離培地[ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天により寒天化)、HiMedia)を含むペトリ皿上に線画した。純粋な培養物番号ZMA B−1が得られるまで分離株を繰り返し二次培養した。このようにして、培養物番号ZMA B−1を成長している微生物の中から単一の分離株として分離した。
実施例2
培養物番号ZMAB−1の精製
a)分離培地の組成
ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天により寒天化)
ペプトン5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム0.08g、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、寒天15.0g、脱塩水1.0L、pH7.4〜7.8。
b)手順
培養物は直径15mmのペトリ皿中のゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天により寒天化)上で得られた。ペトリ皿上の増殖物を傾斜ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216(1.5%寒天により寒天化)上に線画した。この斜面培地を25℃で2日間培養した。斜面培地の上部からの単一コロニーの1つを新しい斜面培地に移した。この斜面培地を25℃で2日間培養した。次に、斜面培地を、抗感染性の一次スクリーニングのため、振とうフラスコ発酵に使用した。
実施例3
産生株(培養物番号ZMA B−1)の維持
a)培地(ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216)の組成
ペプトン5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム0.08g、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、寒天15.0g、脱塩水1.0L、pH7.4〜7.8。
b)加熱により材料を完全に溶解した後に、得られた溶液を試験管に分配し、121℃で30分間殺菌した。試験管を冷却し斜位にて凝固させた。寒天斜面培地に、ワイヤループにより培養物番号ZMA B−1の増殖物で線画し、良好な成長が観察されるまで27〜29℃で培養した。よく成長した培養物を4〜8℃の冷蔵庫内に保存した。
実施例4
振とうフラスコ中の培養物番号ZMA B−1の発酵
a)シード培地(ゾーベルマリンブロス(Zobell Marine Broth)2216)の組成
ペプトン5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム0.08g、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、脱塩水1.0L、pH7.4〜7.8。
b)上記培地を500mlの三角フラスコに40mlの分量で分配し、121℃で30分間加圧滅菌した。フラスコを室温に冷却し、各フラスコにおいて1白金耳量のよく成長した産生株(培養物番号ZMA B−1)を斜面培地に播種し、24〜48時間、230〜250rpm、30℃(±1℃)で回転式振とう培養機で振とうして種培養を得た。
c)生産培地の組成
ペプトン5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム0.08g、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、脱塩水1.0L、pH7.4〜7.8。
d)容量500mlの三角フラスコ中で40mlの生産培地を121℃で30分間加圧滅菌し、29〜30℃に冷却して、実施例4bに記載の種培養を2ml播種した。
e)発酵パラメーター
温度:29〜30℃、撹拌:230〜250rpm、集菌時間:48〜72時間
発酵培養液中の化合物PM181104の産生は、寒天拡散法を用いてエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)R2(VRE)及び/又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)3066MRSA株に対する生物活性を試験することにより判定した。培養液の集菌pHは7.0〜8.0であった。培養液を採取し、全培養液を、発酵培養液中の化合物PM181104の存在を示す生物活性試験に使用した。
実施例5
発酵用振とうフラスコでの種培養の調製
a)培地の組成
ペプトン5.0g、酵母エキス1.0g、クエン酸鉄(III)0.1g、塩化ナトリウム19.45g、塩化マグネシウム8.8g、硫酸ナトリウム3.24g、塩化カルシウム1.8g、塩化カリウム0.55g、重炭酸ナトリウム0.16g、臭化カリウム0.08g、塩化ストロンチウム34.0mg、ホウ酸22.0mg、ケイ酸ナトリウム4.0mg、フッ素酸ナトリウム(sodium fluorate)2.4mg、硝酸アンモニウム1.6mg、リン酸二ナトリウム8.0mg、脱塩水1.0L、pH7.4〜7.8。
b)上記培地を1Lの三角フラスコに200mlの分量で分配し、121℃で30分間加圧滅菌した。フラスコを室温に冷却し、各フラスコにおいて1白金耳量のよく成長した産生株(培養物番号ZMA B−1)を斜面培地に播種し、24〜48時間、230〜250rpm、29〜31℃(±1℃)で回転式振とう培養機で振とうし、種培養を得た。
実施例6
発酵槽での培養物番号ZMA B−1の培養
a)生産培地の組成
グルコース50.0g、酵母エキス11.0g、ペプトン4.0g、牛肉エキス4.0g、炭酸カルシウム5g、塩化ナトリウム2.5g、脱塩水1L、pH7.6(殺菌前)。
b)300Lの発酵槽中の250Lの生産培地を、消泡剤としての80mlのデスモフェンと一緒に、121℃で30分間その場所で殺菌し、29〜31℃に冷却して、実施例5bに記載の種培養を6L播種した。
c)発酵パラメーター
温度:30〜32℃、撹拌:100rpm、通気:150lpm、集菌時間:44〜66時間
発酵培養液中の化合物PM181104の産生は、寒天拡散法を用いて、黄色ブドウ球菌(S.aureus)3066(MRSA株)及び/又はエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)R2(VRE)に対する生物活性を試験することにより判定した。培養液の集菌pHは7.0〜8.0であった。培養液を採取し、全培養液を化合物PM181104の分離及び精製に使用した。
実施例7
化合物PM181104の分離及び精製
実施例6の全培養液(240L)を採取し、酢酸エチル(240L)を用いてガラス容器中で撹拌することにより抽出した。有機層をディスクスタックセパレータ(アルファラバル株式会社、型番LAPX404)を用いて分離し、濃縮して粗抽出物(296g)を得た。得られた粗材料を石油エーテル(3×1L)を用いて30分間撹拌及び超音波処理し、ろ過して不溶残渣(38g)を得、これを以下方法を用いて真空液体クロマトグラフィーにより分画した。
不溶残渣(35.5g)を、メタノール及びアセトニトリルの混合物(3:1、400ml)に溶解し、リクロプレップRP−18[25〜40μ,40g)に前吸着し、リクロプレップRP−18(25〜40μ,110g)吸着材が充填されたフリットろ過漏斗(G−4グレード、10cm×10.5cm)に導入した。家庭用真空掃除器(100〜120mm)を用いた溶出は、まず水(4L)、次に水:メタノール(1:1、5L)、メタノール(3L)、メタノール:アセトニトリル(2.5L)、及びアセトニトリルで行った。精製のモニタリングは、エンテロコッカスフェシウム(Ent.faecium)R2及び/又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)3066対するバイオアッセイ及び/又は分析的HPLCにより行なった。化合物PM181104はメタノール、メタノール:アセトニトリル、及びアセトニトリル画分中で検出された。同様の画分を貯留し、濃縮して半純粋物質(1.826g)を得た。
最終精製は下記条件で分取HPLCを繰り返して行なった。
カラム:EurospherRP−18(10μ、32×250mm)
溶離剤:アセトニトリル:水(56:44)
流量:50ml/分
検出(UV):220nm
保持時間:12〜14分
画分の純度は、エンテロコッカスフェシウム(Ent.faecium)R2及び/又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)3066対するバイオアッセイ及び/又は分析的HPLCにより調べた。溶媒を除去するために化合物PM181104を含有する溶出液を減圧下で貯留及び濃縮し、600mgの純粋化合物を得た。
化合物PM181104の物理化学及び分光特性
外観:白色非晶質固体
融点:>300℃(分解)
溶解度:メタノール、DMSO
HPLC:Rt5.61分
カラム:クロマシルC18(5μ、150×4.6mmI.D.)(カラム温度40℃)
移動相:アセトニトリル:水(1:1)
注入量:10μl(移動相中で0.1mg/mlの濃度)
流量:1ml/分
検出:220nm
HR-ESI(+)MS m/z:1515.3733(M+H)
分子式:C69661813
分子量:1514
UV(MeOH):205.2、220.6及び306.2nm(図1参照)
IR(KBr):3368、2981、1654、1516、1429、1314、1199、1269、1074、1034、805、580cm−1(図2参照)
HNMR:表1及び図3参照
13CNMR:表2及び図4参照
Figure 2009534370
Figure 2009534370
化合物PM181104の生物学的評価
インビトロアッセイ
実施例8
インビトロでの効力は、米国臨床研究所規格委員会(2000)のガイドライン[抗菌剤化学療法ジャーナル(Journal of Anti−microbial Chemotherapy)、50、2002年、p.125〜128(クロスリファレンス8:好気的に増殖する細菌に対する希釈抗菌物質感受性試験法(Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically)、第5版:承認規格(Approved Standard)M7−A5、NCCLS、ウェイン、PA、USA))によるマクロブロス希釈法を用いた菌株に対する化合物PM181104の最小阻止濃度(MIC)測定により確定した。特に明記しない限り、ミュラーヒントン培養液をアッセイの培養液として使用した。リネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号K2005028)を全インビトロ実験におけるの公知の標準物として使用した。保存溶液の調製のため、化合物PM181104をクロロホルム(全必要容量の5%)に溶解し、メタノール(全必要容量の95%)を用いて希釈した。
結果
得られた結果を下記表3に示す。この結果は、化合物PM181104が細菌感染の治療に有用性を有することを示す。
Figure 2009534370
表3中で使用される略語は次のとおりである。
S:ブドウ球菌(Staphylococcus)
E:腸球菌(Enterococci)
B:バチルス菌(Bacillus)
インビボアッセイ
インビボでの効力は、雄又は雌いずれかのBalb/Cマウスを用いた3つの動物モデルにおける、抗生物質活性についての化合物PM181104の感染防御量(PD)測定により確定した。使用したモデルは汎用有効性試験モデル及び臓器/組織特異的有効性試験モデルであった。使用した汎用有効性試験モデルは、全身感染モデル(敗血症)及び局所感染モデル(好中球減少性大腿部モデル)であった。使用した有効性試験用臓器/組織特異的感染モデルは、腎臓、肺感染症及び皮膚膿瘍モデルであった。
実施例9
全身感染モデル
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)E710(MRSA)を一晩成長させ生理食塩液(0.85%塩化ナトリウム)に懸濁した培養物を、〜10から10cfuで前記動物に腹腔内感染させた。実施例14に記載のように、クレモホール−エタノール製剤でPM181104溶液を調製した。該溶液を感染直後に5mg、2.5mg及び1.25mg/kgの投与量で静脈内投与した。各実験群は10匹の動物で構成された。敗血症モデルに対するPM181104のPD100は、標準抗生物質であるリネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号K2005028)のPD100が25mg/kgを示すのに対して、5mg/kgであると測定された。
実施例10
好中球減少性大腿部モデル
黄色ブドウ球菌(S.aureus)E−710感染の96時間及び24時間前にマウスをシクロホスファミド(それぞれ150mg及び100mg/kg)で好中球減少症にした。前記動物に、黄色ブドウ球菌(S.aureus)E710を一晩成長させ生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)に懸濁した培養物を、〜10cfuで大腿部に筋肉内感染させた。各実験群は6匹の動物で構成された。実施例14に記載のように、クレモホール−エタノール製剤でPM181104溶液を調製した。溶液を感染2時間後に5mg/kgの投与量で静脈内投与した。前記動物を様々な時点で屠殺し、大腿組織を採取して生菌数を測定した。6時間後時点において、5mg/kgの投与量のPM181104では、ほぼ1logの減少が観察され、これは25mg/kgの投与量の標準抗生物質、すなわち、リネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号K2005028)と同等であった。
実施例11
腎臓感染モデル
0.2mlの2%λカラギーナンを感染の7日前にBalb/Cマウスに静脈内投与した。一晩成長させたエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)ATCC47077の対数期培養物を約10cfu/mlに調整し、0.2mlの容量でマウスに静脈内注射した。実施例14に記載のように、クレモホール−エタノール製剤で調製したPM181104溶液を、感染の4時間、24時間及び48時間後にマウスに静脈内投与した。感染の72時間後に動物を屠殺し、腎臓を採取して細菌負荷を測定した。5mg/kgの投与量のPM181104では、ほぼ1logの細菌数の減少が観察され、これは標準抗生物質、すなわち、5mg/kgの投与量のリネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号K2005028)及び150mg/kgの投与量の塩酸バンコマイシン(HiMedia製、カタログ番号RM217−500mg、ロット番号06−0350)と同等であった。
実施例12
肺感染モデル
感染の4日前及び2日前に200mg/kgのシクロホスファミドを腹腔内投与することにより、Balb/Cマウスを好中球減少症にした。感染当日にマウスを麻酔し、ほぼ10〜10cfu/mlの細菌密度を有する黄色ブドウ球菌(S.aureus)E−710対数期培養物懸濁液で感染させた。感染の24時間後及び36時間後に、第1と第2それぞれの投与量の薬物を静脈内投与した。感染の48時間後に動物を人道的に安楽死させ、その肺を無菌的に採取して生菌数を測定した。このモデルでは、実施例14に記載のように、クレモホール−エタノール製剤で調製したPM181104を5mg/kgの投与量で試験した。2つの標準抗生物質、すなわちリネゾリド(80mg/kg、感染の24時間後に単回投与)及びバンコマイシン(110mg/kg、感染の24時間後及び48時間後に2回投与)を陽性対照として使用した。PM181104はリネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号:K2005028)標準物と同等の静菌作用を示した。塩酸バンコマイシン(HiMedia製、カタログ番号RM217−500mg、ロット番号06−0350)標準物は殺菌性を示した。PM181104で処置された動物の肺の細菌数は、未処置の対照動物の肺の細菌数と比較して、ほぼ2logの差があった。
実施例13
皮膚膿瘍モデル
一晩成長させたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)E710(MRSA)の培養物約10cfuを、Balb/Cマウスに皮下感染させた。この細菌は、2%サイトデックスビーズと生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)の1:1混合物に懸濁していた。実施例14に記載のように、クレモホール−エタノール製剤でPM181104溶液を調製した。この溶液を2.5mg、5mg及び10mg/kgの投与量で感染の2時間後に静脈内投与した。各実験群は6匹の動物で構成された。膿瘍形成後、動物を屠殺し、膿瘍を採取して生菌数を測定した。5mg/kgの投与量のPM181104では、ほぼ1logの細菌数の減少が観察され、これは50mg/kgの投与量の標準抗生物質、すなわち、リネゾリド(グレンマーク製薬製、バッチ番号K2005028)と同等であった。
化合物PM181104の製剤化
実施例14
注射製剤を次の一般的な方法により調製した。
エタノール及びクレモホールELを1:1の割合(重量で)で混合した。これにPM181104を加えて撹拌した。この混合物を25℃で超音波処理した。この混合物(これを10%の構成要素と考える)を水(90%)を加えて希釈し、撹拌して注射製剤を得た。
化合物PM181104の誘導体
実施例15
PM181104の酪酸エステル誘導体
ジクロロメタン(2ml)に溶解したPM181104(0.13g、0.085mmol)の溶液に、酪酸(0.008μl、0.085mmol)、DCC(0.018g、0.085mmol)及び触媒量のDMAP(0.002g、0.016mmol)を添加し、この反応混合物を窒素雰囲気下で18時間撹拌した。反応混合物に冷水を添加し、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、有機抽出物を貯留し、水洗(2×30ml)した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー[シリカゲル(60〜120メッシュ)、クロロホルム中4%メタノール)を用いて粗生成物を精製し、表題化合物を白色固形物として得た。収率:0.11g(81%)、MS m/z(ESI):1585(M+H)、
PM181104の酪酸エステル誘導体は、エンテロコッカスフェシウム(E.faecium)R−2(VRE)菌株に対して、2.5μg/mlのMIC値を示した。
実施例16
PM181104のステアリン酸エステル誘導体
ジクロロメタン(2ml)に溶解したPM181104(0.12g、0.079mmol)の溶液に、ステアリン酸(0.022μl、0.079mmol)、DCC(0.016g、0.079mmol)及び触媒量のDMAP(0.002g、0.016mmol)を添加し、この反応混合物を窒素雰囲気下で6時間撹拌した。反応混合物に冷水を添加し、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(3×50ml)で抽出し、有機抽出物を貯留し、水洗(2×30ml)した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー[シリカゲル(60−120メッシュ)、クロロホルム中4%メタノール]を用いて粗生成物を精製し、表題化合物を白色固形物として得た。収率:0.1g(71%)、MS m/z(ESI):1781(M+H)。
PM181104のステアリン酸エステル誘導体は、エンテロコッカスフェシウム(E.faecium)R−2(VRE)菌株に対して1.25μg/mlのMIC値を示した。
実施例17
PM181104のニコチン酸エステル誘導体
N,N−ジメチルホルムアミド(1ml)に溶解したPM181104(0.02g、0.013mmol)の溶液に、ニコチン酸(0.008g、0.065mmol)、DCC(0.014g、0.065mmol)及び触媒量のDMAP(0.0008g、0.0065mmol)を添加し、この反応混合物を窒素雰囲気下で18時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣に10mlのジクロロメタンを添加した。不溶解尿素をろ過し、ろ液を水洗(2×10ml)した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー[C−18逆相カラム(Eurosphere、20nm)、水中55%アセトニトリル]により粗生成物を精製し、表題化合物を白色固形物として得た。収率:0.011g(56%)、MS m/z(ESI):1621(M+H)。
PM181104のニコチン酸エステル誘導体を菌株に対して試験した。得られた結果を下記表4に示す。この結果は、化合物PM181104のニコチン酸エステル誘導体が細菌感染の治療に有用であることを示す。
Figure 2009534370
図1は、PM181104の紫外線吸収(UV)スペクトルを示す。
図2は、PM181104の赤外線吸収(IR)スペクトルを示す。
図3は、DMSO−dにおけるPM181104のH−NMRスペクトル(500MHz)を示す。
図4は、DMSO−dにおけるPM181104の13C−NMRスペクトル(125MHz)を示す。

Claims (22)

  1. 下記式I:
    Figure 2009534370
    (式中、RはH、アルキル、アルキルカルボニル、(HO)PO−、アルキル−OPO(OH)−、(アルキル−O)PO−、シクロアルキル、シクロアルキルカルボニル、アリール、アリールカルボニル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルカルボニルである)で表される新規化合物、或いは、その立体異性体又は互変異性体又は薬学的に許容される塩。
  2. 前記式Iの化合物において、RがHである請求項1に記載の新規化合物PM181104、或いは、その立体異性体又は互変異性体又は薬学的に許容される塩。
  3. コクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)に属する微生物の発酵培養液から分離され、
    (a)分子量1514、
    (b)分子式C69661813
    (c)図1に示されるUVスペクトル、
    (d)図2に示されるIRスペクトル、
    (e)図3に示されるH NMRスペクトル、
    (f)図4に示される13C NMRスペクトル、
    で特徴付けられる、抗菌活性を有する請求項2に記載の新規化合物PM181104、或いは、その立体異性体又は互変異性体。
  4. (a)炭素及び窒素源を含有する栄養培地中、好気的湛水条件下でコクリア属(ZMA B−1/ MTCC 5269)の微生物或いはその変異体又は変異形の一つを培養して、化合物PM181104を生成させる工程と、
    (b)前記培養液から化合物PM181104を分離する工程と、
    (c)前記化合物PM181104を精製する工程と
    を含む、請求項2又は3に記載の化合物PM181104の製造方法。
  5. 化合物PM181104をその薬学的に許容される塩に変換する工程をさらに含む請求項4に記載の方法。
  6. 化合物PM181104と、RCOOHの式で表される酸(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルである。)とを反応させて、Rがアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルである請求項1に記載の式Iの新規化合物を得る工程
    をさらに含む請求項4に記載の方法。
  7. RがCHCHCHCO、CH(CH15CHCO、又は
    Figure 2009534370
    である請求項1に記載の化合物。
  8. 有効量の請求項1に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤又は添加剤又は助剤とを含む医薬組成物。
  9. 錠剤、コーティング錠、カプセル剤、顆粒剤、散剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、乳剤、懸濁剤又は注射液の形態である請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 細菌感染の治療に適用される請求項8に記載の医薬組成物。
  11. 前記細菌感染がブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌又はバチルス菌属に属する細菌により引き起こされる請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記細菌がブドウ球菌又は腸球菌属に属する請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記ブドウ球菌属に属する細菌がメチシリン耐性である請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記ブドウ球菌属に属する細菌がバンコマイシン耐性である請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 前記腸球菌属に属する細菌がバンコマイシン耐性である請求項12に記載の医薬組成物。
  16. 治療を必要とする哺乳動物に有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む細菌感染の治療方法。
  17. 前記細菌感染がブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌及びバチルス菌属に属する細菌により引き起こされる請求項16に記載の方法。
  18. 前記細菌感染がブドウ球菌又は腸球菌属に属する細菌によって引き起こされる請求項17に記載の方法。
  19. 前記ブドウ球菌属に属する細菌がメチシリン耐性である請求項18に記載の方法。
  20. 前記ブドウ球菌属に属する細菌がバンコマイシン耐性である請求項18に記載の方法。
  21. 前記腸球菌属に属する細菌がバンコマイシン耐性である請求項18に記載の方法。
  22. 細菌感染治療用薬剤の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
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