JP2009534223A - 無水マレイン酸系ポリマーと併用する熱転写用ドナー要素 - Google Patents

無水マレイン酸系ポリマーと併用する熱転写用ドナー要素 Download PDF

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Abstract

本発明は、ドナー要素から受容体要素への材料の光誘導転写のための画像形成集合体において、受容体要素と共に使用するためのドナー要素に関する。具体的には、本発明は、スチレン及び無水マレイン酸系のコポリマーを含む前記ドナー要素に関する。

Description

本発明は、ドナー要素から受容体要素に材料を光誘導転写するための画像形成集合体において受容体要素と共に使用するためのドナー要素に関する。特に、本発明は、無水マレイン酸系ポリマーを含むそのようなドナー要素に関する。
ドナー要素から受容体要素に材料を光誘導転写するための画像形成集合体において、受容体要素と共に使用するためのドナー要素は、典型的には複数の層を含む。前記層は、限定されないが、支持体層、光熱変換(LTHC)層及び転写層を含む。典型的に、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムなどの支持体層を、光熱変換層前駆体で、次にコーティングする。次に、前駆体を乾燥させて最終的な光熱変換層に変換し、次に、支持体層の反対側で前記光−熱変換層の上に、転写層前駆体をコーティングし、乾燥させて転写層へ変換する。
材料は、選択的に熱転写して、電子ディスプレイ及びその他の装置並びに物において有用な要素を形成することが可能である。特に、カラーフィルター、スペーサー、偏光子、導電層、トランジスタ、蛍燐光体及び有機エレクトロルミネッセント材料の選択的な熱転写は全て提案されてきた。着色剤などの材料は、選択的に熱転写され、参照画像の校正刷りのような物を形成できる。
米国特許第5,922,512号明細書 国際公開第03/078512号パンフレット 米国特許第5,108,873号明細書 米国特許第5,036,040号明細書 米国特許第5,035,977号明細書 米国特許第5,034,303号明細書 米国特許第5,024,923号明細書 米国特許第5,019,549号明細書 米国特許第5,019,480号明細書 米国特許第4,973,572号明細書 米国特許第4,952,552号明細書 米国特許第4,950,640号明細書 米国特許第4,950,639号明細書 米国特許第4,948,778号明細書 米国特許第4,948,777号明細書 米国特許第4,948,776号明細書 米国特許第4,942,141号明細書 米国特許第4,923,638号明細書 米国特許第4,921,317号明細書 米国特許第4,913,846号明細書 米国特許第4,912,083号明細書 米国特許第4,892,584号明細書 米国特許第4,791,023号明細書 米国特許第4,788,128号明細書 米国特許第4,767,571号明細書 米国特許第4,675,357号明細書 米国特許第4,508,811号明細書 米国特許第4,446,223号明細書 米国特許第4,315,983号明細書 米国特許第3,495,987号明細書 米国特許第5,521,035号明細書 米国特許第5,695,907号明細書 米国特許第5,863,860号明細書 米国特許第6,030,550号明細書 国際公開第97/33193号パンフレット 特開平9−255774号公報 米国特許第5,998,085号明細書 米国特許第6,114,088号明細書 国際公開第00/41893号パンフレット 米国特許第5,318,938号明細書 米国特許第5,882,774号明細書 米国特許第5,828,488号明細書 国際公開第95/17303号パンフレット 米国特許第4,743,091号明細書 米国特許第5,089,372明細書 米国特許第5,171,650号明細書 ウルマンの工業化学百科事典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第5版、第A1巻、290〜293頁を参照) M.マツオカ(Matsuoka, M.)、赤外線吸収材料(Infrared Absorbing Materials)、プレナム・プレス(Plenum Press)、ニューヨーク、1990年 M.マツオカ、ダイオードレーザ用染料の吸収スペクトル(Absorption Spectra of Dyes for Diode Lasers)、株式会社文伸印刷所(Bunshin Publishing Co.)、東京、1990年 NPIRI原材料データハンドブック(NPIRI Raw Materials Data Handbook)、第4巻(顔料) リー(Li)ら、シンセティック・メタルズ(Synthetic Metals) 84、437〜438頁(1997年) チェン(Chen)ら、シンセティック・メタルズ 107、203〜207頁(1999年) クラーナー(Klarner)ら、ケミカル・マテリアルズ(Chem. Mat.) 11、1800〜1805頁(1999年) フラー(Farah)及びピエトロ(Pietro)、ポリマー・ブレティン(Polymer Bulletin) 43、135〜142頁(1999年) ヒラオカ(Hiraoka)ら、ポリマーズ・フォア・アドバンスド・テクノロジーズ(Polymers for Advanced Technologies) 8、465〜470頁(1997年) ベルマン(Bellmann)ら、ケミカル・マテリアルズ(Chem. Mater.)10、1668〜1678頁(1998年) バイエル(Bayerl)ら、マクロモレキュルズ ラピッド・コミュニケーション(Macromol. Rapid Commun.)20、224〜228頁(1999年)
熱転写画像形成用のドナー要素において、ドナー要素から転写可能材料の移動の有効性及び選択性、並びに転写可能材料の付着及び接着の有効性及び選択性、さらに転写可能材料の受容体要素に対する固定の有効性及び選択性には、改善の必要性がある。受容体要素に対して層の意図しない転写を減少させる熱転写画像形成をするドナー要素の改善が求められる。ドナー要素の取扱特性及び耐損傷性を改善する熱転写画像形成をするドナー要素の改善も求められる。
熱転写有効性、任意の各種加熱法から熱転写効率が独立していること、湿度及び温度などの任意の環境条件の変化から熱転写効率が独立していること、物質移動の完全性、意図しない物質移動が存在しないこと、ドナー要素の物質転写領域と非画像形成領域との明白な分離、並びに物質転写された材料の表面及び端部の平滑性の少なくとも1つを改善するために、ドナー要素の熱転写を改善する必要性や、画像形成集合体内で受容体要素と併用して使用する際にドナー要素を改善する必要性も未だある。
特許文献1は、ネガ型印刷プレートなどの画像形成部材を、感熱ビニルポリマー及び、任意選択的に光熱変換材料から構成される感熱画像形成層を用いて調製することを開示する。感熱ポリマーは、熱エネルギー(例えば、赤外線照射からのもの)が適用されると脱炭酸することで、このような赤外線露光領域でポリマーをより疎水化させる環状無水物を含有する反復単位を有する。中性又は酸性のpHの溶液と接触すると、その後、ポリマーは未露光領域がより親水性となる。
一方、本発明は、赤外線露光領域を選択的により疎水性にするよりはむしろ、ドナー要素の転写層から受容体要素上に材料を実際に転写させることに関する。更に、本発明はネガプレートに画像を形成するために溶媒を用いる特許文献1とは異なり、ドライプロセスを用いる。特許文献1には、油と水の不混和性に基づいた全く異なる技術が開示されている。油性材料又はインクは疎水性領域に保持される。疎水性の領域は、画像形成層が赤外線照射に曝露されることにより作製される。
更に、環状無水物型ポリマーをドナー要素の光−熱変換層に組み込むことにより、本発明は、転写層から受容体要素への材料の転写に対してより高い感度と制御とを提供し、エネルギー消耗がより少ないドナー要素を開示する。照射時に、無水物ループは閉じて、転写ビヒクルとして作用する小さな分子を放出して転写される材料をドナー要素から受容体要素に転写させると考えられる。
最後に、また本発明は、例えば、ディスプレイ技術で、このようなドナー要素の製造及びこのようなドナー要素の使用も開示する。
本発明は、光誘導転写用のドナー要素であって、
(a)支持体層、
(b)前記支持体層の一つの面に隣接して配置された光吸収剤を含む光−熱変換層、
及び
(c)前記支持体層の反対側で前記光−熱変換層に隣接して配置された転写層であって、前記光熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含む転写層、
前記光−熱変換層は無水マレイン酸系ポリマーを含むドナー要素に関する。
更に、本発明は、前述のようなドナー要素であって、前記無水マレイン酸系ポリマーが、
(i)無水マレイン酸ホモポリマー、
(ii)マレイン酸ホモポリマー、
(iii)フマル酸ホモポリマー、
(iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
(v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
(vi)無水マレイン酸コポリマー、
(vii)マレイン酸コポリマー、
(viii)フマル酸コポリマー、
(ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
(x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
(xi)これらの化学的組合せ、
(xii)これらの物理的混合物、及び
(xiii)これらの組合せ:から成る群より選択されるポリマーを含み、
前記無水マレイン酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記フマル酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
及び前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は同一又は異なる基であって、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルであることができ、
及び
50が、
(a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
(b)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
(c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
(d)少なくとも1つの不飽和部分、
(e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
(f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
(g)これらの組合せ:から選択される官能基である、ドナー要素にも関する。
また、本発明はドナー要素の製造方法であって、
(a)支持体層を提供すること、
(b)支持体層の一つの面に隣接して配置される光吸収剤を含む光−熱変換層を提供すること、
及び
(c)前記支持体層の反対側で前記光熱変換層に隣接して配置される転写層を提供することであって、前記光熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含む転写層を提供すること、を含み、
前記光−熱変換層が無水マレイン酸系ポリマーを含むドナー要素の製造方法にも関する。
更に、本発明は前述のような方法であって、前記無水マレイン酸系ポリマーが、
(i)無水マレイン酸ホモポリマー、
(ii)マレイン酸ホモポリマー、
(iii)フマル酸ホモポリマー、
(iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
(v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
(vi)無水マレイン酸コポリマー、
(vii)マレイン酸コポリマー、
(viii)フマル酸コポリマー、
(ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
(x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
(xi)これらの化学的組合せ、
(xii)これらの物理的混合物、及び
(xiii)これらの組合せから成る群より選択されるポリマーを含み:
前記無水マレイン酸繰り返し単位が、次の式:
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記フマル酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
及び前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は同一又は異なる基であって、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルであることができ、
及び
50が、
(a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
(b)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
(c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
(d)少なくとも1つの不飽和部分、
(e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
(f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
(g)これらの組合せ:から選択される官能基である方法にも関する。
また、本発明は画像を形成するための熱転写プロセスにおけるドナー要素の使用方法であって、
(I)ドナー要素と受容体との集合体を提供することであって、前記ドナー要素が:
(a)支持体層、
(b)前記支持体層の一つの面に隣接して配置された光吸収剤を含む光−熱変換層、
及び
(c)前記支持体層の反対側で前記光熱変換層に隣接して配置された転写層であって、前記光熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素へ画像態様で転写可能な材料を含む転写層を含み、
前記光熱変換層が無水マレイン酸系ポリマーを含み、
(II)前記集合体を画像態様で光に曝露することによって、画像態様で露光された前記転写層の少なくとも一部が、前記受容体要素へ転写されて画像を形成すること、及び
(III)前記受容体要素から前記ドナー要素を分離することによって、前記受容体要素の上の前記画像を露呈させることを含む、使用方法にも関する。
本発明は更に、前述のような方法であって、
前記無水マレイン酸系ポリマーが、
(i)無水マレイン酸ホモポリマー、
(ii)マレイン酸ホモポリマー、
(iii)フマル酸ホモポリマー、
(iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
(v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
(vi)無水マレイン酸コポリマー、
(vii)マレイン酸コポリマー、
(viii)フマル酸コポリマー、
(ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
(x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
(xi)これらの化学的組合せ、
(xii)これらの物理的混合物、及び
(xiii)これらの組合せ:から成る群より選択されるポリマーを含み、
前記無水マレイン酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記フマル酸繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
前記マレイン酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
及び前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
Figure 2009534223
で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は同一又は異なる基であって、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルであることができ、
及び
50が、
(a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
(b)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位でとなりうるオキシアルキル化誘導体、
(c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位でとなりうるオキシアルキル化誘導体、
(d)少なくとも1つの不飽和部分、
(e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
(f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
(g)これらの組合せ:から選択される官能基である方法に関する。
一つの実施形態において、本発明は、画像形成可能な集合体、即ち、ドナー要素と受容体要素との組合せを含む。本発明のドナー要素は、第1面及び第2面を有する支持体層と、第1面及び第2面を有する光−熱変換層と、第1面及び第2面を有する転写層とを含む。
前記光−熱変換層の第1面は、前記支持体の前記第2面と隣接して配置される。前記転写層の第1面は、前記光−熱変換層の前記第2面と隣接して配置される。本発明の集合体において、受容体要素は、転写層に隣接して支持体層の反対面上に配置される。
「隣接して層が配置される」とは、その層が隣接していると思われるもう一つの層の特定面に、その層が隣接していると思われるもう一つの層の他方の面よりも、より近接していることを意味する。
本発明によれば、「隣接する」は、2つの層が必ずしも物理的に接触していることを示唆するものではない。
光−熱変換層は光吸収剤を含む。また、光−熱変換層はスチレン及び無水マレイン酸に基づくコポリマーも含む。
転写層は、前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含み、前記受容体要素は、前記光−熱変換層が選択的に光に曝露されるときに前記転写層の前記第2面上に配置されている。
本発明では、支持体層と転写層は光−熱変換層を挟む。ドナー要素は、任意選択的に、例えば、支持体層と転写層の間に配置される他の層(例えば、中間層)、支持体層の第1面上に配置される他の層(例えば、静電気防止層)、及び光−熱変換層の反対側で転写層の第2面上に配置される他の層(例えば、接着剤層)を包含してもよい。
図1は、支持体層110と、光−熱変換(LTHC)層120と、転写層130とを含むドナー要素100を示す。本発明において、無水マレイン酸系ポリマーは、図1中の光−熱変換層120内に配置される。
支持体層
支持体層110は、例えば、製造中、画像形成集合体の作成時、及び集合体の画像形成後に使われたドナー要素を画像形成された受容体要素から除去する際に、ドナー要素をそれらの機能的な層で処理する実用的な手段を提供する。このような態様では、支持体層は、従来のものであって、画像形成中に実質的に変化(例えば、作製、移動、分解、溶融など)しうる層に対して基材として作用する。
支持体層110は、ポリマーフィルムでもよい。1つの適した種類のポリマーフィルムはポリエステルフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートフィルムである。しかし、特定の適用に対する十分な機械的及び熱的安定性と、任意選択的に、特定波長で、高い光透過性を含む十分な光学特性と、を有する他のフィルムも使用できる。支持体層に適したポリマーの例は、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリビニル樹脂、又はポリエステルを含む。一つの実施形態では、合成の直鎖ポリエステルが支持体層に使用される。
支持体層として有用な合成の直鎖ポリエステルは、1つ以上のジカルボン酸又はそれらの(炭素原子数6までの)低級アルキルジエステル、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ−テレフタル酸、又は1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタンを(任意選択的に、ピバリン酸などのモノカルボン酸と共に)、1つ以上のグリコール、特に脂肪族又は脂環式グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールと縮合して生成されてよい。芳香族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族グリコールが好ましい。ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、又は2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸などのω−ヒドロキシアルカン酸(典型的には、C3〜C12)のような、ヒドロキシカルボン酸モノマーに由来する単位を含有するポリエステル又はコポリエステルを使用してもよい。一つの実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートから選択される。
支持体層は、上記フィルム形成材料の1つ以上の別個の層を含んでもよい。各層のポリマー材料は、同一でも異なってもよい。例えば、支持体層は、1層、2層、3層、4層もしくは5層又はそれ以上の層を含んでよく、典型的な多層構造は、AB型、ABA型、ABC型、ABAB型、ABABA型又はABCBA型であってよい。
支持体層の形成は、従来技術によって達成されてよい。従来、支持体層の形成は押出成形によって行われる。一般論として、この方法は、溶融ポリマーの層を押出し成形する工程、押出品を急冷する工程、及び急冷した押出品を少なくとも1方向に配向させる工程を含んでよい。
支持体層は、配向されなくても、また任意の回数配向、例えば、1軸配向又は2軸配向されてもよい。配向は、配向フィルムを製造するための当該技術において既知の任意の方法、例えば、管状フィルム法又はフラットフィルム法で行われてもよい。2軸配向は、フィルムの面において2つの互いに直交した方向に延伸することにより行って、機械的特性及び物理的特性の満足のいく組合せを達成してもよい。
同時2軸配向は、熱可塑性ポリマーチューブを押出成形により行うことができ、チューブは次に急冷され、再加熱され、その後、内部ガス圧によって膨張されて、横断方向に配向され、そして長手方向に配向させる速度で取り出される。
支持体層形成用ポリマーは、スロットダイを通して押出成形し、ポリマーを急冷して非晶質の状態に確実にさせるために冷却流延ドラム上で急速に急冷してよい。その後、配向は、ポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度で、急冷した押出品を少なくとも1方向に延伸して行われてもよい。連続した配向は、平面状の急冷された押出品を、最初は1方向、通常は長手方向、即ち、フィルム延伸機を通って前進方向へ、次に横断方向への延伸により行われてよい。押出品の前進延伸は、好都合なことに、一組の回転ロール上で又は2組のニップロール間で行われ、その後横断延伸はテンター(stenter)装置内で行われてよい。代わりに、流延フィルムを、2軸テンター内で前進方向と横断方向の両方に同時に延伸してもよい。延伸は、ポリマーの性質によって定められた程度まで行われ、例えば、ポリエチレンテレフタレートは、通常、配向フィルムの寸法が、各延伸方向においてその元の寸法の2〜5倍、より好ましくは2.5〜4.5倍となるように延伸される。典型的に、延伸は、70〜125℃までの範囲の温度で行われる。1方向のみに配向する必要がある場合、より大きな延伸比(例えば、約8倍まで)を用いてよい。各方向への一様な延伸は、一般的だが、必ずしも必要ではない。
支持体層自体が2層以上から構成される場合、支持体層の調製は、各フィルム形成層をマルチオリフィスダイの独立したオリフィスを通して同時に共押出した後で未だ溶融している層を融合させるか、または代わりに、最初に各ポリマーの溶融流をダイマニホールドに導くチャネル内で融合した後、一緒にダイオリフィスから層流の条件下で内部混合せずに押出成形し、それによって多層ポリマーフィルムを製造する単一チャネル同時押出しによる共押出しによって都合よく行われてよく、前記多層ポリマーフィルムは、本明細書内で説明するように配向及びヒートセットされてもよい。また、多層支持体層の形成は、従来の積層技術、例えば、予め形成された第1層と予め形成された第2層とを合わせて積層することにより、または、例えば、予め形成された第2層上に第1層を流延することによって、行われてもよい。
支持体層は、好都合なことに、均一なコーティングを適用して、次の複数の層に集中させることができるように、典型的に薄く、コーティング可能であり、最終的な多層のドナー要素を、シート又はロール形状で都合よく取り扱うことができる。更に、支持体層組成物は典型的には、画像形成中に光−熱変換層を加熱するにも関わらず、安定性を維持する材料から選択される。支持体層の典型的な厚さは、約0.005〜約0.5mmの範囲、例えば、約15μm、約25μm、約50μm、約100μm、又は約250μm厚のフィルムでよいが、より厚い又はより薄い支持体層を使用してもよい。支持体層の幅及び長さの寸法、例えば、幅約0.1〜約5m、及び長さ約0.1〜約10,000mが、取り扱いの簡便性及び、画像形成される受容体要素の寸法のために選択される。
最も近接した隣接層(例えば、下部層又は光−熱変換層)と接触する支持体層の第2面上の最も外側表面の形成に使用される材料は、支持体層と隣接層との間の接着性を改善し、支持体層と隣接層との間の温度の伝達を制御し、光−熱変換層への画像形成用の光の移転を制御し、ドナー要素の取り扱いを改善するなどのように選択できる。任意選択的な下塗り層は、支持体層上に次の層をコーティングする間、均一性を高め、更に、支持体層と隣接層との間の粘着強度を高めるために使用できる。下塗り層を持つ好適な支持体層の一例は、帝人株式会社(Teijin Ltd.)から入手可能である(製品番号HPE100、大阪(Osaka)、日本)。
支持体層は、例えば、デュポン(DuPont)と帝人株式会社(Teijin Limited.)との合弁企業であるデュポン帝人フィルムズ(DuPont Teijin Films)(登録商標)製のメリネックス(MELINEX)(登録商標)系統のポリエステルフィルムのように、隣接する接触層を受け入れるようにプラズマ処理されてもよい。支持体層の第1面上の裏地層は、任意選択的に支持体上に提供されてもよい。これらの裏地層は、充填剤を含み、支持体層の第1面(裏面)、即ち、転写層から反対側の面に粗い表面を備えてもよい。代わりに、支持体層自体が、支持体層マトリックス中に組込まれたシリカなどの充填剤を含み、支持体層の第1面(裏面)に粗い表面を備えてもよい。代わりに、支持体層を物理的に粗面化して、支持体層の片方又は両方の表面に粗い表面を与えてもよい。物理的な粗面化方法の幾つかの例は、サンドブラスト法や金属ブラシで衝撃を与えることなどを含む。光減衰層は、粗面化された支持体層表面又は表面層から得られてもよく、これは更に吸収剤若しくは拡散剤などの光減衰剤を包みうる。
支持体層は、ポリマーフィルムの製造で従来から使用される任意の添加物、例えば、空隙付与剤、潤滑剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、UV吸収剤、難燃剤、熱安定剤、粘着防止剤、界面活性剤、スリップ助剤、蛍光増白剤、光沢向上剤、プロデグラデント(pro-degradents)、粘度変性剤及び分散安定剤を含有してもよい。充填剤は、当該技術分野で周知のように、ポリマーフィルムにとって特に一般的な添加物であり、またフィルム特性を調節するのに有用である。典型的な充填剤としては、当該技術分野では周知のように、粒子状無機充填剤(例えば、金属酸化物又はメタロイドの酸化物、粘土、並びに炭酸カルシウム及び炭酸バリウム及び硫酸カルシウム及び硫酸バリウムなどのアルカリ金属塩)、又は不相溶性樹脂充填剤(例えば、ポリアミド及びポリオレフィン)、あるいは2つ以上のこのような充填剤の混合物が挙げられ、例えば、特許文献2に記載されており、この文献を本明細書中に参照として組み込む。層の組成物の成分を一緒に、従来の方法で混合してもよい。例えば、層ポリマー由来のモノマー反応物質を混合し、又は成分を混転式もしくは乾燥混合することによって又は押出成形機内で混合することによってポリマーと混合した後、冷却し、通常、顆粒もしくはチップに粉砕してもよい。マスターバッチ法を使用してもよい。
支持体層は、好ましくは、充填されないか、又は極少量充填されており、すなわち、任意の充填剤が、少量だけで、一般には支持体層ポリマーの0.5重量%を超えず、好ましくは0.2重量%未満で存在している。この実施形態では、支持体層は、典型的に、光学的に透明であり、標準法ASTM D 1003に準じて測定すると、散乱される可視光線の割合(曇り度)が約6%未満、より好ましくは約3.5%未満、特に約2%未満であるのが好ましい。
金属被覆フィルムをドナー要素用の支持体層として使用することも可能である。具体例は、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリオレフィンフィルムを含む単一フィルム又は多層フィルムを含む。有用なポリエチレンテレフタレートフィルムは、メリネックス(MELINEX)(登録商標)473(厚さ100μm)、メリネックス(登録商標)6442(厚さ100μm)、メリネックス(登録商標)LJX111(厚さ25μm)、及びメリネックス(登録商標)453(厚さ50μm)を含み、全ては、バージニア州マーチンズヴィル(Martinsville)のCPフィルムズ(CP Films)によって50%可視光透過率となるまで金属クロムで金属被覆されたものである。
通常、支持体層は画像形成光をかなり透過する。この光は、光−熱変換層に届く前に支持体層に当たり、例えば、支持体層は、画像形成波長で約90%以上の光透過率を有する。支持体層は単層又は多層であることができる。更に、支持体層の第1面上には、一般に反射防止層を形成して光反射を減少させてもよい。
光−熱変換層
画像形成工程中に、図1に示すように、光−熱変換(LTHC)層120が作用して、少なくとも光−熱変換層内で、1つ以上の光吸収剤が吸収した光を熱エネルギーに変換する。この熱エネルギーは、転写層のある成分又はある体積を集合体の受容体要素へ移動させるのに十分である。集合体の受容体要素は、本明細書において後述する。本出願において、光吸収剤についての言及は、少なくとも1つの光吸収剤を意味する。換言すれば、光吸収剤は、実質的に類似した化学組成の1つの光吸収剤であるか、又は2つ以上の光吸収剤の組合せであり得る。
典型的に、光−熱変換層内の光吸収剤は、赤外線、可視光、及び/又は紫外線領域の電磁スペクトルの光を吸収して、吸収した光を熱に変換する。典型的に、光吸収剤は選択された画像形成光を高度に吸収し、光−熱変換層に画像形成光の波長で約0.1〜約3又はそれ以上の吸光度(特定波長で入射光の約20〜99.9%以上の吸収)を提供する。典型的に、画像形成光の波長で光−熱変換層の吸光度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、1.0、1.25、1.5、2、2.5、若しくは10又はその間のいずれか、あるいはそれ以上である。
「吸光度」は、a)層を(典型的に、最短の方向に)透過した光の強度と、b)層上に入射した光の強度との比の対数(底10)の絶対値である。例えば、吸光度1は、入射光強度の約10%の透過率に相当し、0.4を超える吸光度は、入射光強度の約39.8%未満の透過率に相当する。
一つの実施形態では、光−熱変換層は、画像形成に使用される波長領域又は特定波長の光を非常に吸収するが、光−熱変換層は、別の波長領域又は特定波長ではそれほど吸収しない(例えば、透明、半透明、又は不透明)。例えば、最大出力約830nmのレーザで画像形成される光−熱変換層は、750〜950nmまでの波長領域で吸収極大を有することができるが、それと同時に400〜750nmまでの範囲では、少なくとも5倍小さい吸収極大を有する(例えば、750〜900nmまでの最大の吸収は840nmにあり、吸光度(840nm)は0.5であるが、400〜750nmまでの最大の吸収は650nmにあり、吸光度(650nm)は0.09である)。
一つの実施形態では、画像形成領域と非画像形成領域との吸光度のこの局所的な比率は、典型的には、1よりも大きいため、非画像形成領域は比較的透明である、例えば、比率は、2、4、8、12、16、32、又はそれ以上という選択肢よりも大きい。特定の波長領域での吸光度のこの比率は、光−熱変換層、及び光−熱変換層内の任意の重要な吸収剤にも当てはまる可能性がある(例えば、画像形成光の吸収の少なくとも10%を担うものなどの任意の特定の吸収剤は、この比率で特徴付けることができ、例えば、2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸であって、CAS番号[162411−28−1]である)。
一つの実施形態では、光−熱変換層は、特定の画像形成波長における光を著しく吸収するが、幾つかの他の波長における光を著しく透過する。例えば、1つの実験的な実施形態では、波長832nmの光を90%吸収する(赤外線レーザによる画像形成に使用される波長において吸光度1)が、波長440nmの光は20.6%しか吸収せず(青色波長での吸光度0.10)、このドナーは赤外線の画像形成波長の光よりも可視波長の光を更に多く透過させる。この場合の吸光度の比(画像形成波長対他の波長)は10である。
非画像形成波長での透過率は完全でなくてよいが、改善すべきである、3程度の低さから100程度の高さ、又はそれ以上まで変化する吸光度比が有用であり得る。例えば、目視検査では、選択的に透過される波長よりも可視波長を優遇し、5、10、15、30、及び60又はそれ以上の比から選択される比が有用であるべきである。光熱変換層を透過する光に有用な波長は、紫外線スペクトルでは300及び350nm、可視スペクトルでは400、450、500、550、600、650、670、700、及び750nm、並びに赤外線スペクトルでは770、800、850、900、1000、及び1200nmを含む。熱を発生させる吸収に有用な波長は、671、780、785、815、830、840、850、900、946、1047、1053、1064、1313、1319、及び1340nmなどの波長を含み、これらは、例えばレーザ出力波長に相当する。特定波長での光を20%以上透過する層は、その波長では(比較的)透明であると言える。透明性は、透過率が改善されると向上し、例えば、特定波長の20から30%まで、40%まで、50%まで、60%まで、70%まで、80%まで、90%まで、95%又はそれ以上の透過率であれば、光−熱変換層内での透明性が向上する。光散乱もまた最小限にして、後方散乱や散乱損失を最小限にすることによって透明性を向上させるべきである。
画像形成照射のために高吸収性材料を使用することで、非常に薄い光−熱変換層を構築することができる。薄い光−熱変換層は、光吸収によって局在的に高い温度を生じさせるために有用でありえる。一つの実施形態では、光−熱変換層の厚さは約500nm以下である。他の有用な厚さは、約400nm以下、約300nm、約200nm、約150nm、約100nm、約75nm、約50nm、及び約30nmを含む。
より薄い光−熱変換層が好ましいが、より厚い層、通常は厚さ約5μmまでのものも使用することができる。例えば、一つの実施形態では、典型的な光−熱変換層の厚さは50nm〜250μmまでの範囲である。この厚さは実験によって容易に最適化される。非常に薄いフィルムは、適した高くて一定の光吸収量を達成しない場合がある。画像形成プロセス中で適度な熱エネルギー量と温度を達成するために、一般的に、この厚さは存在する光吸収剤の濃度及び有効性によって変更される。これにより、有害な副作用なしに、転写層から受容体層に必要な材料の転写が可能になる。
薄い光−熱変換層のみによってかなりの量の光を吸収できる光吸収剤を選択することは、多くの場合に有用である。例えば、0.2μm厚の光−熱変換層が、830nmの波長で光に対して0.2の吸光度を有していれば、この層は、830nmで吸光度係数が1/μmであるということができる。一つの実施形態では、光−熱変換層は、750〜1400nmまでの波長において0.01、0.1、0.5、1.0、2.0、4、8、16、32、64、及び125/μmのうち2つの選択肢の間に少なくとも1つの吸光度係数を有する。一つの実施形態では、光−熱変換層内の光吸収剤は、光の可視波長域、短波長の中赤外線波長域、及び長波長の中赤外線波長域のうち少なくとも1つにおける少なくとも1波長において、0.1単位以上吸光度に寄与する。
光−熱変換層は、1つ以上の無水マレイン酸系ポリマーを更に含む。光−熱変換層が、別のポリマー、コポリマー、ポリマーのブレンド、及びポリマーの混合物を更に含有しうることもまた留意すべきである。
無水マレイン酸系ポリマー
ドナー要素は、光−熱変換層内に無水マレイン酸系ポリマーを含む。
無水マレイン酸系ポリマーは、
(1)無水マレイン酸ホモポリマー、
(2)マレイン酸ホモポリマー、
(3)フマル酸ホモポリマー、
(4)マレイン酸モノエステルホモポリマー、
(5)フマル酸モノエステルホモポリマー、
(6)無水マレイン酸コポリマー、
(7)マレイン酸コポリマー、
(8)フマル酸コポリマー、
(9)マレイン酸モノエステルのコポリマー、及び
(10)フマル酸モノエステルのコポリマー、を含む。
用語「無水マレイン酸系ポリマー」には、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、及びフマル酸モノエステルのうちの1つの付加重合によって提供されるものと同等の少なくとも1つの繰り返し単位を包含するポリマーが含まれる。これら繰り返し単位はそれぞれ、無水マレイン酸繰り返し単位、マレイン酸繰り返し単位、フマル酸繰り返し単位、マレイン酸モノエステル繰り返し単位、及びフマル酸モノエステル繰り返し単位と呼ぶ。
用語「無水マレイン酸ホモポリマー」には、無水マレイン酸繰り返し単位と、5重量%未満の無水マレイン酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位とを有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「無水マレイン酸コポリマー」には、5重量%以上の無水マレイン酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位を有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「マレイン酸ホモポリマー」には、マレイン酸繰り返し単位と、5重量%未満のマレイン酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位とを有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「マレイン酸コポリマー」には、5重量%以上のマレイン酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位を有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「フマル酸ホモポリマー」には、フマル酸繰り返し単位と、5重量%未満のフマル酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位とを有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「フマル酸コポリマー」には、5重量%以上のフマル酸ではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位を有する無水マレイン酸ポリマーが包含される。
用語「マレイン酸モノエステルのホモポリマー」には、マレイン酸モノエステル繰り返し単位と、5重量%未満のマレイン酸モノエステルではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位とを有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「マレイン酸モノエステルのコポリマー」には、5重量%以上のマレイン酸モノエステルではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位を有する無水マレイン酸ポリマーが包含される。
用語「フマル酸モノエステルのホモポリマー」には、フマル酸モノエステル繰り返し単位と、5重量%未満のフマル酸モノエステルではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位とを有する無水マレイン酸系ポリマーが包含される。
用語「フマル酸モノエステルのコポリマー」には、5重量%以上のフマル酸モノエステルではない別のモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の任意の繰り返し単位を有する無水マレイン酸ポリマーが包含される。
好ましい実施形態では、無水マレイン酸系ポリマーは、更に、追加のエチレン性不飽和モノマーの付加重合によって提供されるものと同等の1つ以上の繰り返し単位を包含することも可能である。代表的なエチレン性不飽和モノマーは、重合中に、以下に説明される3つの異なる配置の反復単位と直接結合する炭素原子上に少なくとも1つの遊離水素を有するものを含む。代表的な有用なモノマーは、ビニルアルキルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、及びイソブチレンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、このようなモノマーは、後述する3つの配置の繰り返し単位に直接結合された炭素上に結合された水素を2つ有する。しかしながら、これら水素原子のうち1つ又は両方を置換基で置換する場合、置換基は、このモノマーがコポリマーに起因する親油性を制限するように、好ましくは10個以下の炭素原子を有し、より好ましくは6個以下の炭素原子を有し、更に好ましくは3個以下の炭素原子を有する。様々な置換基は、メチル、エチル、イソプロピル、アセチル、エテニル、アセトキシ、メトキシ、エトキシ及びスチレンを含むが、これらに限定されない。2つ以上の追加モノマーを共重合してコポリマーに組み込むことができる。
特に有用なモノマーは、エチレン、1,3−ブタジエン、酢酸ビニル、スチレン、ビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル又はこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。エチレン、1,3−ブタジエン及び酢酸ビニルがより好ましく、エチレンが更に好ましい。従って、代表的な実施例では、更に好ましいコポリマーは、実質的に等モル基準(約40モル%〜約60モル%までの無水マレイン酸)の無水マレイン酸とエチレンに由来する。
上記で定義された繰り返し単位は、図2〜6に示す3つの異なる配置で示すことができる。図2は、無水マレイン酸繰り返し単位に相当する。図3は、マレイン酸繰り返し単位に相当する。図4は、フマル酸繰り返し単位に相当する。図5は、マレイン酸モノエステル繰り返し単位に相当する。図6は、フマル酸モノエステル繰り返し単位に相当する。
各図には、特定の繰り返し単位に相当する3つの配置を示している。
配置1には、2つのカルボニル基に結合した2つの炭素(α−炭素)がいずれも無水マレイン酸系ポリマーの主鎖の一部ではなく、これら2つの炭素のうち1つが無水マレイン酸系ポリマーの主鎖内の炭素にペンダント結合しているものが表されている。
配置2は、2つのカルボニル基に結合した2つの炭素(α−炭素)が両方とも無水マレイン酸系ポリマーの主鎖の一部であるものが表されている。
配置3は、2つのカルボニル基に結合した2つの炭素(α−炭素)のうち1つのみが無水マレイン酸系ポリマーの主鎖の一部であるものが表されている。
本発明の無水マレイン酸系ポリマーは、3つの配置のうち少なくとも1つを有する。
図2〜6の構造において:
31、R32、及びR33は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基である。好ましくは、R31、R32及びR33は独立して水素又はメチルであり、
41、R42及びR43は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基である。好ましくは、R41、R42及びR43は独立して水素又はメチルであり、及び
50は、任意の有機官能基であることができる。例えば、それは1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、及び各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するこのようなラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位、好ましくは1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体であってもよい。幾つかの実施形態では、R50は、1つ以上の不飽和部分及び/又は1つ以上のヘテロ原子部分を包含しうる。また、R50は有機物ではない他の小さな分子、例えば、無水物が形成される場合に塩を形成することが可能なアルカリ分子でもあり得る。このようなアルカリ分子は、Li、Na、K及びNH4 +を含む。このような塩は、カチイオンとして、カルボン酸アニオンと共に存在することができる(例えば、−COONa+、−COOLi+、COOK+、及びCOONH4 +)。
好ましい実施形態では、無水マレイン酸系ポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体に由来するもの、例えば、スチレン−無水マレイン酸ポリマーと同等の繰り返し単位を含む。用語「スチレン−無水マレイン酸ポリマー」は、スチレン及びスチレン誘導体のうち1つの付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位少なくとも1つを更に包含する無水マレイン酸系ポリマーを含む。好ましい実施形態では、スチレン誘導体は、α−メチルスチレン又は4−メチルスチレンなどのスチレンアルキル誘導体である。
好ましくは、スチレン−無水マレイン酸ポリマーは、スチレンと無水マレイン酸とのモノエステルコポリマーである。
スチレンと無水マレイン酸との適したモノエステルコポリマーは、限定されないが、次の式Iで表されるコポリマーを含む:
Figure 2009534223
式中、x及びzは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、...20、...30、40、50、60、70、80、90、100などのような、任意の正の整数であり、yはゼロ、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100などのような、任意の正の整数である。このようなコポリマーは、ブロックコポリマー、交互コポリマー、又はランダムコポリマーであり得る。
この式において、R21及びR22は、同一又は異なることができ、R21及びR22のうち一方がフェニル基又は置換フェニル基などの芳香族基という条件で、独立して、水素、炭素原子数1〜10のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、及びハロゲン(例えば、塩素、フッ素、又は臭素)である。好ましくは、R21及びR22は、独立して、水素、メチル、フェニル、ベンジル、又は炭素原子数4〜6のシクロアルキルである。
31、R32、R41及びR42は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルでありうる同一又は異なる基である。好ましくは、R31、R32、R41及びR42は、独立して水素又はメチルである。
50は、任意の有機官能基であることができる。例えば、1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、及び各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するこのようなラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位、好ましくは1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体であってもよい。幾つかの実施形態では、R50は、1つ以上の不飽和部分及び/又は1つ以上のヘテロ原子部分を包含することができる。R50は、更に、有機ではない他の小さな分子、例えば、無水物が形成される場合、塩を形成することが可能なアルカリ分子でもあり得る。このようなアルカリ分子は、Li、Na、K及びNH4 +を含む。
モノエステルコポリマーは、3ブロックの繰り返し単位を有するブロックコポリマーとして表されているが、モノエステルコポリマーはブロックコポリマーである必要はない。例えば、3つの繰り返し単位は、ポリマー鎖の主鎖全体にランダムに分布することができる。それは、交互コポリマーであることも可能である。
用語「モノエステル」の使用は、ジエステル官能性及び/又は無水マレイン酸官能性の存在を排除しない。幾つかの実施形態では、適したコポリマーは、スチレンと無水マレイン酸とのモノエステルコポリマーと、スチレンと無水マレイン酸とのジエステルコポリマーとの混合物であり得る。用語「スチレンと無水マレイン酸とのコポリマー」("copolymer of styrene and maleic anhydride" or "styrene and maleic anhydride copolymer)は、スチレン又はその誘導体と無水マレイン酸又はその誘導体とを共重合することによって得られるコポリマーの1つの分類を指す。したがって、この用語は、スチレンと無水マレイン酸とに由来するコポリマーのみならず、スチレンと無水マレイン酸のコポリマー群の誘導体も指す。
一般に、スチレンと無水マレイン酸とのモノエステルコポリマーは、それらの分子量に依存して、液体、又は光−熱変換層中に分散するのに適した顆粒、ペレット、もしくは粉末などの自由流動性固体であることができる。これらのモノエステルコポリマーは、それらの数平均分子量(Mn)、それらの重量平均分子量(Mw)、それらの酸価、及びそれらのガラス転移温度(Tg)で特徴付けられる。具体的には、それらは、約500〜約20,000、好ましくは約1,000〜約10,000、より好ましくは約2000〜約7000、及び好ましくは約6200の数平均分子量で特徴付けられる。本発明のモノエステルコポリマーは更に、約1,000〜30,000、好ましくは約5,000〜約20,000、さらにより好ましくは約15,000の重量平均分子量で特徴付けられる。更に、モノエステルは約30℃〜約150℃、好ましくは約40℃〜約150℃、より好ましくは約150℃のガラス転移温度も有する。
適したモノエステルコポリマーは、適したアルコールとスチレン無水マレイン酸コポリマー(「SMAコポリマー」)とを反応させることによって生成することができる。それらはまた、適したモノマーを更に反応させずに共重合することによって調製することも可能である。任意のSMAコポリマーを用いて、アルコールと反応させることができる。
SMAコポリマーと反応させてエステル官能性を形成することが可能なアルコール化合物は、ヘキサノール、イソヘキサノール、2−エチルヘキサノール、t−オクタノール、イソオクタノール、デカノール、オクタデカノール(ラウリルアルコール)、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、及びノニルベンジルアルコールを含むが、これらに限定されないC6又はそれ以上の第一級、第二級、及び第三級アルコールを含むが、これらに限定されず、並びにこのようなアルコールのオキシアルキレン誘導体(エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、及び1,2−ブチレンオキサイドなどの少なくとも1,2−アルキレンオキサイドがそれらの間で縮合されている)を含むが、これらに限定されない。更に、不飽和部分及び/又はへテロ原子部分を含有するアルコールを使用して、SMAコポリマーをエステル化することも可能である。スチレンと無水マレイン酸との適したモノエステルコポリマーに関する上記の説明は単なる例示であると理解すべきである。NaOH、LiOH、KOH及びNH4OHなどの塩基も使用することもできる。
SMAのモノエステルコポリマーは、当該技術分野においてスチレン無水マレイン酸コポリマーと脂肪族アルコールとの部分モノエステル(「MSMA」)と呼ばれるものを含み、MSMA及びMSMAの誘導体(例えば、スルホン化MSMAのナトリウム塩)を含むが、これらに限定されない。このような化合物は、典型的に、樹脂形態で入手可能であり、本発明の実施形態では、水性流体中での他の成分との直接結合によって、又は水性系溶媒中で事前に溶解することによって利用可能である。
特に適したMSMA系化合物は、スチレン無水マレイン酸コポリマーから形成される化合物である。幾つかの実施形態では、m(スチレン繰り返し単位)は、約1〜約3までの範囲であり、n(コポリマー繰り返し単位)は、約6〜約8までの範囲である。mとnの値はこれらの範囲外で変化しうると解されるべきである。
適したMSMA化合物は、次の式のような、スチレン無水マレイン酸コポリマーと1つ以上の脂肪族アルコールとのエステル化によって形成されるものを含むが、これらに限定されない:
Figure 2009534223
式中、m及びnは上記に定義されている。幾つかの実施形態では、ROH(これは、エステル化用のアルコールである)は脂肪族アルコールを表し、Rは、飽和又は不飽和であり得る分岐炭素鎖又は炭素直鎖であり、分岐鎖アルコールは、少なくとも1つのカルボキシ官能性を含有でき、炭素原子数約8〜約20、炭素原子数約10〜約25、又は炭素原子数約6〜約38であることができる。このようなMSMA化合物のエステル化度は、比較的少量のエステル化から、ほぼ完全なエステル化まで、例えば、約15%〜約90%まで、より好ましくは約35%〜約90%まで変化することができる。
MSMAエステル化のための脂肪族アルコールの具体例は、チーグラー法、変型チーグラー法、イデミツ(Idemitsu)法及びオキソ(Oxo)法(非特許文献1、植物油及び脂肪酸のナトリウムによる還元、高温及び高圧での触媒水素化、並びに鯨蝋とマッコウクジラ油とのけん化及び真空分留による加水分解によって生成されるものを含むが、これらに限定されない。飽和脂肪族アルコールの具体例は、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等を含むが、これらに限定されない。不飽和脂肪族アルコールの具体例は、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール等を含むが、これらに限定されない。
上述の幾つかのMSMA化合物は、1官能性アルコールから形成されるが、多官能性脂肪族アルコール(2官能性、3官能性、分岐されたものなど)から形成されるMSMA化合物も利用可能であると解されるべきである。本発明のMSMA化合物中で使用するのに適した分岐鎖アルコールとは、カルボキシ官能性を有する分岐鎖アルコールを包含するが、これらに限定されないことを意味する。スチレン無水マレイン酸と、脂肪族アルコール以外のアルコールとの部分エステルを使用することもまた可能でもある。加えて、スチレン無水マレイン酸の部分エステルは、これらのうえに形成される1つ以上のカルボキシル官能性を有する他の有機炭素鎖を用いて形成することも可能である。
MSMA化合物の誘導体を、MSMA化合物に加えて又はその代わりに用いることも可能である。このようなMSMA誘導体の例は、置換又は部分置換されたアリール基を有するMSMA化合物を含むが、これらに限定されない。一つの実施形態では、以下の構造で形成されるスルホン化MSMA誘導体が使用される:
Figure 2009534223
式中、m、n、及びRは、MSMA化合物に関して上記に定義されている。
誘導体化及び置換反応は、唯一の配置(すなわち、主鎖の2つの炭素原子が使用される)を示し、そしてスチレン無水マレイン酸ポリマーを示していることに留意すべきである。しかし、この反応スキームは、他の配置、同様に更には他の無水マレイン酸系ポリマーにも当てはまる。
図7には、スチレン無水マレイン酸系ポリマーが行い得る代表的な反応、例えば、置換、イミド化、及び中和を示す。
光−熱変換層又はその前駆体は、例えば、バーコーティング、グラビアロールコーティング、押し出しコーティング、蒸着、ラミネーション、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビーズコーティング、スロットコーティング、静電吹き付けコーティング及び他のこのような方法のように、材料をコーティングするための任意の適した技術によって適用されてもよい。
LTHC層内の光吸収剤材料
光−熱変換層に適した光吸収材料は、例えば、染料(例えば、可視染料、紫外線染料、近赤外線染料であり、赤外線染料、蛍光染料、及び偏光照射染料を含む)、顔料、金属、金属化合物、金属フィルム、及び他の適した吸収材料を挙げることができる。
光−熱変換層内で光吸収剤として使用するのに適した染料は、少なくとも一部(>5%)が溶解形態で、又は少なくとも部分的に分散形態で存在してもよく、むしろ顔料に関しては事実上完全に(>80%)粒子形状で存在してよい。一つの実施形態では、画像形成波長での吸収の最大要因である光吸収剤は、光−熱変換層内に完全に又は部分的に(>5%)溶解された染料である。一つの実施形態では、画像形成波長での吸収の最大要因である光吸収剤は、ドナー要素構造に適用する場合、処方中に事実上溶解されており(>80%)、さらに後に部分的に分散する。
光−熱変換層内で光吸収剤として適した染料及び顔料の例は、多置換フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物、金属錯体化合物、ベンズオキサゾール化合物、ベンズ[e、f、又はg]インドリウム化合物、インドシアニン化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、カルコゲノピリロアクリリデン化合物、クロコニウム及びクロコネート化合物、金属チオラート化合物、ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン化合物、オキシインドリジン化合物、インドリジン化合物、ピリリウム及び金属ジチオレン化合物、ビス(アミノアリール)ポリメチン化合物、メロシアニン化合物、チアジン化合物、アズレニウム化合物、キサンテン化合物、並びにキノイド化合物を含む。次の文献に開示されている光吸収材料もまた、適切な光源を用いて使用する場合、本明細書では適しており、これら文献を参照として組み込む:
(1)特許文献3、「赤外線吸収化合物及びそれを用いた光学記録媒体(IR-ray absorptive compound and optical recording medium by use thereof)」、
(2)特許文献4、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収ニッケル−ジチオレン染料錯体(Infrared absorbing nickel-dithiolene dye complexes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer」、)
(3)特許文献5、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収オキソノール染料(Infrared absorbing oxonol dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(4)特許文献6、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収三核シアニン染料(Infrared absorbing trinuclear cyanine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(5)特許文献7、「赤外線吸収組成物(Infrared absorbent compositions)」、
(6)特許文献8、「赤外線吸収スクアリリウム化合物を含有する熱画像形成用ドナー要素(Donor element for thermal imaging containing infra-red absorbing squarylium compound)」
(7)特許文献9、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収インデン架橋ポリメチン染料(Infrared absorbing indene-bridged-polymethine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」
(8)特許文献10、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収シアニン染料(Infrared absorbing cyanine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(9)特許文献11、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収キノイド染料(Infrared absorbing quinoid dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(10)特許文献12、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収メロシアニン染料(Infrared absorbing merocyanine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(11)特許文献13、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収ビス(アミノアリール)ポリメチン染料(Infrared absorbing bis(aminoaryl)polymethine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(12)特許文献14、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収オキシインドリジン染料(Infrared absorbing oxyindolizine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(13)特許文献15、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料(Infrared absorbing bis(chalcogenopyrylo)polymethine dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(14)特許文献16、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収カルコゲノピリロ−アリールイデン染料(Infrared absorbing chalcogenopyrylo-arylidene dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(15)特許文献17、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収スクアリリウム染料(Infrared absorbing squarylium dyes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(16)特許文献18、「近赤外線吸収組成物(Near infrared absorbing composition)」、
(17)特許文献19、「2つのチオラト2座配位子を含有する金属錯体化合物を含む赤外線吸収剤(Infrared absorbent comprising a metal complex compound containing two thiolato bidentate ligands)」、
(18)特許文献20、「赤外線吸収組成物(Infrared absorbing composition)」、
(19)特許文献21、「レーザ誘導型感熱色素転写に使用される染料−ドナー要素のための赤外線吸収第一鉄錯体(Infrared absorbing ferrous complexes for dye-donor element used in laser-induced thermal dye transfer)」、
(20)特許文献22、「水溶性赤外線吸収染料及びそれらを含有するインクジェットインク(Water soluble infrared absorbing dyes and ink-jet inks containing them)」、
(21)特許文献23、「赤外線吸収剤及びそれを使用する光学材料(Infrared absorbent and optical material using the same)」、
(22)特許文献24、「熱転写染料と赤外線放射フタロシアニン吸収剤を有する転写印刷媒体(Transfer Printing Medium with Thermal Transfer Dye and Infra-Red Radiation Phthalocyanine Absorber)」、
(23)特許文献25、「赤外線吸収剤(Infrared absorbent)」、
(24)特許文献26、「近赤外線吸収重合物(Near infrared absorbing polymerizate)」、
(25)特許文献27、「ピリリウム又はチオピリリウム−スクアリリウム染料層及び新しいピリリウム又はチオピリリウム−スクアリリウム化合物を有する記録要素(Recording element having a pyrylium or thiopyrylium-squarylium dye layer and new pyrylium or thiopyrylium-squarylium compounds)」、
(26)特許文献28、「オキソインドリジン染料及びオキソインドリジニウム染料を含む記録要素及び情報記録要素(Recording and information record elements comprising oxoindolizine and oxoindolizinium dyes)」、
(27)特許文献29、「2,6−ジ−tert−ブチル−4−置換チオピリリウム塩、その製造方法、及びそれを含有する光伝導性組成物(2,6-Di-tert-butyl-4-substituted thiopyrylium salt, process for production of same, and a photoconductive composition containing same)」、及び
(28)特許文献30、「光重合性製品(Photopolymerizable Products)」。
適した赤外線吸収染料(近赤外線吸収染料、中赤外線吸収染料、及び遠赤外線吸収染料を包含する)の供給源は、フロリダ州ジュピター(Jupiter)のH.W.サンズ・コーポレイション(H. W. Sands Corporation)である。適した染料は、2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸であって、CAS番号[162411−28−1]であるものであり、H.W.サンズ・コーポレイション(H. W. Sands Corp.)からSDA−4927として入手可能なもの、2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩であって、分子式C41474Na163及び分子量約811g/モルを有し、H.W.サンズ・コーポレイションからSDA−5802として入手可能なもの、インドシアニングリーンであって、CAS番号[3599−32−4] C43472Na162、及び分子量約775g/モルを有し、H.W.サンズ・コーポレイションからSDA−8662として入手可能なもの、3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−、トリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)であって、CAS番号[128433−68−1]及び分子量約619g/モルを有する、コネチカット州ストラトフォード(Stratford)のハンプフォード・リサーチ社(Hampford Research, Inc)から入手可能なもの、又はノースカロライナ州ピシュガー・フォレスト(Pisgah Forest)のピシュガー・ラボラトリーズ(Pisgah Laboratories)からTIC−5Cとして入手可能なものを含む。他のこのような染料の例は、非特許文献2、及び非特許文献3に見出すことができる。ニュージャージー州ウェイン(Wayne)のアメリカン・シアナミド社(American Cyanamid Co.)、ニュージャージー州ウェスト・パターソン(West Paterson)のサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)、又はフロリダ州レイクランド(Lakeland)のグレンデイル・プロテクティブ・テクノロジーズ社(Glendale Protective Technologies, Inc.)からシアソルブ(CYASORB)IR−99(CAS番号[67255−33−8])、IR−126(CAS番号[85496−34−0])及びIR−165(N,N’−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジイリデンビス[4−(ジブチルアミノ)−N−[4−(ジブチルアミノ)フェニル]ベンゼンアミニウム]ビス[(OC−6−11)−ヘキサフルオロアンチモネート(1−)]、CAS番号[5496−71−9])として販売されている赤外線吸収剤を使用してもよい。
特定の染料は、光−熱変換層の特定のバインダー及び/又はコーティング溶媒への溶解性やそれらとの相溶性などの要因、並びに光−熱変換層に必要な、望ましい、望ましくない、及び禁じられている吸収波長域に基づいて選択されてよい。
更に、顔料材料は、光吸収剤として光−熱変換層内に使用されてもよい。適した顔料の例は、カーボンブラック及びグラファイト、並びにフタロシアニン、ニッケルジチオレン、及び他の顔料を含む。加えて、例えば、ピラゾロンイエロー、ジアニシジンレッド、及びニッケルアゾイエローの銅錯体又はクロム錯体に基づく黒色アゾ顔料も有用である。無機顔料もまた貴重である。例は、アルミニウム、ビスマス、スズ、インジウム、亜鉛、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ジルコニウム、鉄、鉛又はテルルなどの金属の酸化物及び硫化物を含む。金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金属ブロンズ構造化酸化物、及びブロンズ族に構造上関連する金属酸化物もまた有用である。
別の適した光−熱変換層は、薄膜として形成される金属又は金属/金属酸化物、例えば、黒色アルミニウム(すなわち、黒色外観を有する部分酸化アルミニウム)又はクロムを含む。金属フィルム及び金属化合物フィルムは、例えば、スパッタリング及び蒸着などの技術によって形成され得る。粒子状コーティングは、結合剤と、任意の適した乾式又は湿式コーティング技術とを用いて形成されてよい。
光−熱変換層に適した材料は、無機又は有機であることができ、画像形成光を本質的に吸収するか、又はフィルム形成もしくは接着力の修正などの他の目的に役立ちうる。
光−熱変換にとっては関心のある波長において、重要ではない光−熱変換剤であるが他の機能に役立つ、適した光−熱変換層内の成分の例は、典型的な結合剤、ポリマー、及び界面活性剤などのコーティング助剤、並びに画像形成光波長では重要ではない吸収を有する顔料や染料のような微量の光吸収剤を含む。
光−熱変換層で使用するのに適した結合剤は、例えば、フェノール樹脂(すなわち、ノボラック(商標)樹脂及びレゾール樹脂)、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、セルロースエーテル及びエステル、ニトロセルロース、ポリエステル、スルホポリエステル、ポリスチレン及びポリカーボネートなどのフィルム形成ポリマーを含む。好ましい結合剤は、ポリエステルスルホネートであって、イーステック(Eastek)1200としても既知である。結合剤が存在する場合、光−熱変換剤と結合剤との重量比は、一般に、どの種類の光−熱変換剤及び結合剤を使用するかに依存して、約5:1〜1:1000であってよい。従来のコーティング助剤、例えば、界面活性剤及び分散剤は、コーティングプロセスを促進するために添加されてもよい。光−熱変換層は、支持体層上に、当該技術分野において既知の様々なコーティング法を用いてコーティングされてよい。結合剤を含有する光−熱変換層は、典型的に、約10nm〜約5000nm、例えば、10nm、100nm、300nm、1000nm、又は5000nmの厚さまでコーティングされる。
単一の光−熱変換層を有することが一般的であるが、2層以上の光−熱変換層を有することも可能であり、異なる層は、それらがいずれも本明細書中に説明されているように機能するならば、同一又は異なる組成を有することができる。重要な主要光−熱変換層は、光−熱変換の結果として画像形成に最も顕著に寄与するものであって、典型的には、画像形成中に最高温度に達成する層である。他の層が、本来の画像形成ビーム強度を僅かに吸収する場合もあるが、これらの層による画像形成現象に対する吸光度の微量のもしくは極僅かな寄与は、それらが光−熱変換層とはほとんど考えられないことを意味する。
好ましくは、スチレン及び無水マレイン酸系のコポリマーは、この主要光−熱変換層内に配置される。前記コポリマーはまた、画像形成中の転写への影響に依存して、いくつかの光−熱変換層内に様々な程度の濃度で分散しうる。
一つの実施形態では、ドナー要素は、カーボンブラックなどの粒子状光吸収剤を少なくとも1つ有する光−熱変換層を有している。
一つの実施形態では、ドナー要素は、染料などの非粒子状光吸収剤を少なくとも1つ有する光−熱変換層を包含する。溶解された光吸収剤の効果は、粒子が粒塊とならずに均一な層が形成できることであり、その結果、非常に薄い層が光を均一に吸収する。溶解された光吸収剤の別の利点は、光散乱がより少ないことである。溶解された光吸収剤は、それと同じ光吸収剤の溶解されていない形態を併用することが可能である。一つの実施形態では、溶解された(非粒子状の)形態の光吸収剤が、当該吸収剤の量の大部分を占める。
一つの実施形態では、ドナー要素は、赤外線染料のように少なくとも1つのスペクトル選択性の非粒子状光吸収剤を有する光−熱変換層を包含する。スペクトル選択性の光吸収剤の利点は、画像形成光源と共に利用するために吸収スペクトルが選択できることであり、また透過スペクトルは、集束レーザと共に又は人もしくは機械による検査手順と共に利用するために選択することができる。
転写層
図1の転写層130は、転写可能な材料を保持するのに役立つ。典型的なドナー要素には、少なくとも1つの転写層がある。転写層は、第1面と第2面を有する。前記転写層の第2面は、光による画像態様での転写のために画像形成可能な集合体の受容体要素に隣接して配置される。転写層は、選択的に転写可能な結合剤と共に又は結合剤を伴わずに、1つ以上の層の中に配置される任意の適した材料を包含できる。転写は、任意の適した転写機構によって、単位として、部分的に、又は一部で起きうる。ドナー要素は光−熱変換層によって吸収され得る画像形成光に露出され、電磁光エネルギーが熱に変換されると、転写が起きる。画像態様での転写において、転写される材料は、転写層の全体量である必要はない。一部の転写層の成分は、受容体要素に選択的に転写されるが、他の成分は、ドナー要素に存続する(例えば、昇華性染料は転写され得るが、染料を保持する耐熱性の架橋ポリマーマトリックスは転写されずに残留する場合がある)。
転写層は、受容体要素への転写に対する機能を保持し、受容体要素又はドナー要素上で必要な機能を果たす任意の厚さでよい。転写層の典型的な厚さは、約0.1μm〜約20μmまで、例えば、0.2、0.5、0.8、1、2、4、6、8、10、15、又は20μmであってよい。
転写層は、有機材料、無機材料、有機金属材料、又はポリマー材料を包含する複数の成分を含んでよい。ドナー要素から転写層として及び/又は転写層に組み込まれた材料として選択的にパターニング可能な物質の例は、着色剤(例えば、結合剤中に分散された顔料及び/又は染料)、偏光子、液晶材料、粒子(例えば、液晶ディスプレイ用のスペーサー、磁性粒子、絶縁粒子、導電性粒子)、発光材料(例えば、けい燐光体及び/又は有機エレクトロルミネッセント材料)、発光装置(例えば、エレクトロルミネッセント装置)内に組み込まれうる非発光性材料 疎水性材料(例えば、インクジェット受容器用の仕切り列)、親水性材料、多層スタック(例えば、有機エレクトロルミネッセント装置などの多層装置構造物)、ミクロ構造化又はナノ構造化された層、エッチレジスト、金属、金属成分を有する材料、ポリマー、接着剤、結合剤、及び生物素材、並びに他の適した材料、又はこれらの材料の組合せを含む。
転写層は、光−熱変換層の第2面、又は光−熱変換層に隣接する他の適したドナー要素層上にコーティングできる。転写層又はその前駆体は、例えば、バーコーティング法、グラビアコーティング法、押出コーティング法、蒸着法、ラミネーション法及び他のこのような技術などの材料をコーティングするための任意の適した技術によって適用されてよい。コーティングの前後、又はコーティングと同時に、架橋可能な転写層材料又はその一部を、材料によって、例えば、加熱すること、放射線へ曝露すること、及び/又は化学硬化剤へ曝露することによって架橋してもよい。
一つの実施形態では、転写層は、ディスプレイ用途に有用な材料を包含する。本発明による熱転写は、1つ以上の材料を受容体要素上に非常に精度高くて正確に、フォトリソグラフィーに基づくパターニング法よりも少ない加工工程を用いてパターンニングするように行うことができ、それによって、ディスプレイ製造などの用途において特に有用でありうる。例えば、転写層は、受容体への熱転写時に転写材料が、単独で又は、同様の方法でパターニングされても又はされなくてもよい他の要素と組合せて、着色フィルター、ブラックマトリックス、スペーサー、バリア、仕切り、偏光子、位相差層、位相差板、有機導電体又は有機半導体、無機導電体又は無機半導体、有機エレクトロルミネッセント層、けい燐光層、有機エレクトロルミネッセント装置、有機トランジスタ、及びディスプレイに有用であり得る他のこのような要素、装置、又はそれらの一部を、形成するように製造できる。
特定の実施形態では、転写層には着色剤を包含しうる。例えば、顔料又は染料を着色剤として使用してもよい。一つの実施形態では、良好な無変色性及び透明性を有する顔料、例えば、非特許文献4に開示されているものが使用される。適した透明な着色剤の例は、チバ−ガイギー・クロモフタル・レッド(Ciba-Geigy Cromophtal Red)A2B(登録商標)、大日精化(Dainich-Seika)ECY−204(登録商標)、ゼネカ・モナストラル・グリーン(Zeneca Monastral Green)6Y−CL(登録商標)、及びBASFヘリオゲン・ブルー(BASF Heliogen Blue)L6700(登録商標)を含む。他の適した透明な着色剤は、サン(Sun)RSマゼンタ234−007(登録商標)、ヘキスト(Hoechst)GSイエローGG 11−1200(登録商標)、サンGSシアン 249−0592(登録商標)、サンRSシアン 248−061、チバ−ガイギー(Ciba-Geigy)BS マゼンタ RT−333D(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス(Microlith)・イエロー 3G−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・イエロー 2R−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・ブルー YG−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・ブラック C−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・バイオレット RL−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・レッド RBS−WA(登録商標)、任意のホイコテック・アキス(Heucotech Aquis)II(登録商標)シリーズ、任意のホイコスパース・アキス(Heucosperse Aquis)IIIシリーズ等を含む。本発明で着色剤に使用できるものとは別の分類の顔料は、チバ−ガイギー(Ciba-Geigy)から入手可能なもののように、様々な潜在的な顔料である。熱画像形成による着色剤の転写は、特許文献31、特許文献32、及び特許文献33に開示されており、これを本明細書に参照として組み込む。
幾つかの実施形態では、転写層は、有機エレクトロルミネッセントディスプレイ及び装置、又はけい燐光系ディスプレイ及び装置などの発光ディスプレイに有用な材料を1つ以上包含できる。例えば、転写層は、架橋された発光ポリマー又は架橋された電荷移動材料、並びに他の有機導電材料又は半導体材料(架橋又は架橋されていないもの)を含むことができる。ポリマーである有機発光ダイオード(OLED)の場合、有機層の1つ以上を架橋して、最終的なOLED装置の安定性を向上させることが望ましい場合がある。OLED装置のための1つ以上の有機層を熱転写前に架橋することが望ましい場合もある。転写前の架橋により、より安定なドナー媒体や、OLED装置により良好な転写特性及び/もしくはより良好な性能特性を導くかもしれないフィルムモルホロジーのより良好な制御を提供され、並びに/又は装置の層内での架橋を熱転写前に行う場合、特有のOLED装置及び/又はより容易に調製されるであろうOLED装置の組み立てができる。
発光性ポリマーの例は、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ−パラ−フェニレン(PPP)、及びポリフルオレン(PF)を含む。本発明の転写層に有用であり得る架橋可能な発光性材料の具体例は、非特許文献5に開示されている青色発光性ポリ(メタクリレート)コポリマー、非特許文献6に開示されている架橋可能なトリフェニルアミン誘導体(TPA)、非特許文献7に開示されている架橋可能なオリゴ−及びポリ(ジアルキルフルオレン)、非特許文献8に開示されている部分架橋されたポリ(N−ビニルカルバゾール−ビニルアルコール)コポリマー、及び非特許文献9に開示されている酸素架橋されたポリシランを含む。
本発明の転写層に有用であり得るOLED装置のための架橋可能な転写層材料の具体例は、シラン官能化トリアリールアミン、非特許文献10に開示されているようなペンダントトリアリールアミンを有するポリ(ノルボルネン)、非特許文献11に開示されているようなビス−官能化ホール移動トリアリールアミン、特許文献34に開示されているような様々な架橋された導電性ポリアニリン及び他のポリマー、特許文献35に開示の架橋可能なポリアリールポリアミン、及び未審査請求状態の日本公開特許公報である特許文献36に開示されているような架橋可能なトリフェニルアミン含有ポリエーテルケトンを含む。
本発明の転写層に使用される発光性材料、電荷移動材料又は電荷注入材料は更に、熱転写前又は後のいずれかにその中に組み込まれるドーパントを有してもよい。ドーパントは、OLED用の材料に組み込まれて、発光特性、電荷移動特性及び/又は他のこのような特性を変更又は向上させることができる。
発光ディスプレイ及び装置用途のためのドナー要素から受容体要素への材料の熱転写は、特許文献37及び特許文献38並びにPCT出願の特許文献39に開示されている。
転写層は、任意選択的に、様々な添加物を包含しうる。適した添加物は、IR吸収剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、可塑化剤、架橋剤及びコーティング助剤を含む。転写層は更に様々な添加物を含有してもよく、染料、可塑化剤、UV安定剤、フィルム形成添加物、及び接着剤を含むが、これらに限定されない。
結合剤を有する転写層では、結合剤のポリマーが、転写層の曝露した領域が損傷しないように、熱曝露中に達成される温度で自己酸化しないか、分解しないか又は劣化しないことが一般的であるが必要ではない。適した結合剤の例は、スチレンポリマー及びコポリマー、例えばスチレン/メチル−メタクリレート及びスチレン/メチル−メタクリレート/アクリル酸のようなスチレンと(メタ)アクリレートエステルと酸とのコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンのようなスチレンとオレフィンモノマーとのコポリマー、及びスチレンとアクリロニトリルとのコポリマー、フルオロポリマー、(メタ)アクリル酸と、エチレン及び一酸化炭素を有するものを包含する対応するエステルとのポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエーテル、並びにポリエステルを含む。上記ポリマーのためのモノマーは置換されても又は置換されてなくてもよい。ポリマーの混合物も使用できる。他の適した結合剤は、塩化ビニルポリマー、酢酸ビニルポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル−クロトン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸ハーフエステル樹脂、(メタ)アクリレートポリマー及びコポリマー、ポリ(ビニルアセタール)、無水物とアミンとで修飾されたポリ(ビニルアセタール)、ヒドロキシアルキルセルロース樹脂及びスチレンアクリル樹脂を含む。
図1は、光−熱変換層120に組み込まれたスチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーを有するドナー要素の実施形態100を表している。
スチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーを使用することの実用的な改善点の根本的な機構は明確には決定されていないが、このようなコポリマーは、ドナー要素層の水分含有量又は小分子の含有量を、加工環境における比較的広い範囲の周囲湿度にわたって特定の適切なレベル内に保持すると、本発明を限定又は制限することなく、推測できる。内部水分含有量の適切なレベルは、画像形成プロセス中に層間の接着性又は熱伝導性などの幾つかの特性に、好ましい影響を及ぼすと推測できる。
光−熱変換層内でスチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーの使用の実用的な改善点の別の推測される機構は、本発明を限定又は制限することなく進歩的であって、スチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーの不存在時よりも低い光吸収量で、若しくはそれと同様に広い光吸収領域にわたって、または前記コポリマーを含まない場合とは異なる位置で材料の移動が生じるように、コポリマーが層内又は層間の凝集エネルギー若しくは接着エネルギー、又は層内又は層間のヒートフローの一つを低下させるように作用することである。
1つ以上の他の従来からの熱転写ドナー要素層は、本発明のドナー要素に含まれてもよく、これらには中間相、剥離層、放出層、及び熱絶縁層を含むが、これらに限定されない。
本発明のドナー要素は、画像形成集合体内での受容体要素への熱転写画像形成に有用である可能性がある。転写後、使い尽くしたドナー要素(ネガ画像)と画像形成された受容体要素(ポジ画像)のうちどちらか又は両方が機能的な対象として有用である場合がある。
図8は、ドナー要素100の転写層130が受容体要素410と接触している、画像形成集合体400の実施形態を示す。光420は、支持体層110と光−熱変換層120とに当てることができ、光−熱変換層120によって吸収されうる。十分な光が吸収され適度の熱を生成すると、適度に加熱された光−熱変換層と隣接する転写層130の選択された部分は受容体要素へ移動する。
図9は、ドナー要素100の転写層130が、受容体のベース層410上に配置される前に移動した材料430の表面に沿って受容体要素460と断続的に接触している、画像形成集合体450の実施形態を示す。受容体層410は、例えば空気480によって、転写層130から短い距離だけ分離できる。
460のようなテクスチャード加工の受容体は、事前の熱転写と図10に示す分離工程とによって生成できる。画像形成集合体450では、ドナー要素は受容体要素460と接触している。この接触は、連続的というよりむしろ断続的である。ドナー要素の層は、層410と隣接しているが、層410と接触はしていない。前記の隣接という用語は、接触を必要としない。
図10は、一つの実施形態として、十分な光に画像態様で曝露した後に集合体400を分離して得られたものを示しており、この場合、十分に照射された領域では、転写層の全体積が移動する(物質移動)。分離後、使われたドナー要素500は、光−熱変換層120の下の支持体層110と、転写層の残留部分530とを有する。画像形成された受容体要素520は、本来の受容体410上に、照射に対応する領域中で転写層から新しく転写された材料540を有する。
受容体要素
受容体要素は、特別な用途に適した任意の物であってもよく、ガラス、透明フィルム、反射フィルム、金属、半導体、様々な紙、及びプラスチックを含むが、これらに限定されない。例えば、受容体要素は、ディスプレイ用途に適した任意の種類の基材又はディスプレイ要素であってよい。液晶ディスプレイ又は発光ディスプレイなどのディスプレイでの使用に適した受容体要素は、実質的に可視光を透過する硬質基材又は軟質基材を含む。硬質の受容体要素の例は、ガラス、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス、低温ポリシリコン(LTPS)、及び硬質プラスチックを含む。適した軟質基材は、実質的に透明で透過型のポリマーフィルム、反射フィルム、非複屈折フィルム、半透過フィルム、偏光フィルム、多層光学フィルム等を含む。適したポリマー基材は、ポリエステル基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタールなど)、セルロースエステル基材(例えば、セルロース三酢酸エステル、酢酸セルロース)、及び様々な画像形成技術分野において支持体として使用される他の従来からのポリマーフィルムを含む。約2〜約200ミル(即ち、0.05〜5mm)の透明なポリマーフィルム基材が好ましい。
ガラス受容体要素の場合、典型的な厚さは約0.2〜2.0mmである。厚さ約1.0mm以下、またはさらに厚さ0.7mm以下のガラス基材を使用することが、多くの場合望ましい。より薄い基材により、より薄く且つより軽量のディスプレイができる。しかしながら、特定の加工条件、処理条件、及び組み立て条件は、より厚い基材を使用することを示唆する場合がある。例えば、幾つかの組み立て条件は、基材間に配置されたスペーサの位置を固定するためにディスプレイアセンブリの圧縮が必要となる場合がある。より軽いディスプレイのための薄い基材と信頼性の高い処理及び加工のための厚い基材との競合関係のバランスを保って、特別なディスプレイ寸法にとって好ましい構造を達成することができる。
受容体要素がポリマーフィルムである場合、フィルムは複屈折せずに、それが組み込まれるディスプレイ操作を実質的に妨げないことが好ましい場合、または、フィルムは複屈折して望ましい光学的効果を達成することが好ましい場合がある。代表的な複屈折しない受容体要素は、溶媒流延されるポリエステルである。これらの典型的な例は、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フッ素と、イソフタル酸、テレフタル酸又はそれらの混合物とから誘導される繰り返し共重合単位から成るか又はこれらから本質的に成るポリマーに由来するものであり、前記ポリマーのオリゴマー(すなわち、分子量約8000以下の化学種)含有量は、均一なフィルムを形成できるほど十分に低い。このポリマーは、熱転写受容要素における一成分として、特許文献40に開示されており、これを本明細書に参照として組み込む。別の分類の複屈折しない基材は、非晶質ポリオレフィンである(例えば、日本ゼオン株式会社(Nippon Zeon Co., Ltd.)から商品名ゼオネックス(Zeonex)TMとして販売されているもの)。代表的な複屈折ポリマー受容体要素としては、特許文献41及び特許文献42並びにPCT出願の特許文献43に開示されているもののような多層偏光子又は鏡が挙げられ、これらを本明細書に参照として組み込む。
ドナー要素は、一定の間隔を空けて受容体要素と隣接して配置されており、支持体層、光−熱変換層、転写層、及び受容体要素の順に構成される。画像形成集合体は、画像形成光に画像態様で曝露されて、ドナー要素の転写層から受容体要素に材料の局所移動をさせる。画像形成後、集合体は、画像形成された集合体と呼ばれる。画像形成されたドナー要素(使われたドナー要素とも呼ばれる)と、画像形成された集合体の画像形成された受容体要素とを、次に分離する。
本発明のドナー要素は、様々な方法で製造できる。一つの実施形態では、光−熱変換層のコーティング組成物又はその前駆体希釈コーティング組成物は、支持体層にコーティングされ、任意選択的に濃縮されてもよい。コーティング組成物は、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビーズコーティング、スロットコーティング又は静電吹き付けコーティングなどの任意の適した従来からのコーティング技術によって支持体層に適用されてよい。
コーティング組成物を支持体層に付着させる前に、その露出表面を所望により化学的又は物理的に表面改質処理に付して、その表面とその後適用されるコーティング組成物との間の接着を向上させてもよい。一つの実施形態は、支持体層の露出表面をコロナ放電に伴う高電圧のストレスに付することである。代わりに、支持体層は、支持体層ポリマー上に溶媒作用又は膨潤作用を持たせるために、当該技術分野において既知の試薬で前処理されてよい。このような試薬の例で、ポリエステル支持体層の処理に特に適したものは、一般的な有機溶媒に溶解させたハロゲン化フェノール、例えば、アセトン又はメタノール中のp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−又は2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレゾルシノール溶液を含む。コロナ放電による処理は、好ましくは約1〜約100kVの電位で、約1〜約20kWの出力を有する高周波数の高電圧発生装置を使用する一般的装置で、大気圧、空気中で行われてよい。従来は、放電はフィルムを放電位置で誘電支持体ローラー上に、好ましくは線速度0.01〜10m/sで通過させて達成されている。放電電極は、移動するフィルムの表面から約0.1〜約10.0mmに配置してよい。
真空及び/又は圧力を使用して、画像形成集合体中で、ドナー要素と受容体要素を一緒に保持できる。一つ代案として、熱画像形成可能なドナー要素及び受容体要素は、外縁部で層を融合させて一緒に保持できる。別の代案として、熱画像形成可能なドナー要素と受容体要素を一緒にテープで接着させ、画像形成装置にテープで接着できるか、又はピン/とめ具システムを使用できる。更に別の代案として、熱画像形成可能なドナー要素を受容体要素に積層してレーザ加工可能な集合体を提供することもできる。レーザー加工可能な集合体は、ドラムに又は平坦な移動可能なステージに簡易に取り付けて、レーザ画像形成を促進できる。当業者には、他のエンジン構造物、例えば、平台印刷機、内部ドラム、キャプスタン駆動等も更に本発明で使用できることもわかるであろう。
図9の光−熱変換層120は、転写層の少なくともいくつかの成分を受容体要素へ移動させるように、画像形成中に作用して、入射する光を吸収することによって熱発生の実質的な部分をドナー要素の適切な領域に局在化させる。本発明では、光熱変換層内のスチレン及び無水マレイン酸系のコポリマーの存在により、転写層から受容体要素へ移動されるべき成分の物質移動が促進される。入射光は、無水マレイン酸のモノマー繰り返し単位に相当するコポリマー上のペンダント基に基づいて、水及び/又はメタノールなどの他の小さな分子の放出を助けると考えられる。この小さな分子は、受容体要素に転写が望まれる転写層成分の転写を促進させる。転写の機構、即ち、小さな分子が転写を促進させることは、単に1つの可能性である。役割を果たし得る他の転写機構があってもよい。本特許明細書は、このような小さな分子を介した移動を記述し、または、これに限定しようとするものではない。このような機構は、例示目的のためだけに推論、提案され、本発明の範囲を転写機構に制限しようとするものではない。
これらには限定されないが、昇華転写、拡散転写、物質転写、アブレーション物質転写、溶融転写などの様々な他の転写機構が、起こり得る。熱物質転写によって操作する実施形態では、転写層の完全な体積(質量)の全体又は部分的な転写は、その体積成分の実質的な分離なしに、光が当たった領域で生じる。混合物の体積の少なくとも1つの成分の転写であるが、実質的に全ての成分を含む完全な体積ではない転写は、昇華転写及び拡散転写のような他の場合にも生じる可能性があり、その場合、転写可能な物質を保持するマトリックス材料は実質的に転写されない。
様々な発光光源を用いて、熱転写ドナー要素を加熱することができる。アナログ手法(例えば、マスクを通した露光)では、高出力光源(例えば、キセノンフラッシュランプ及びレーザ)が有用である。デジタル画像形成法では、赤外線レーザ、可視光レーザ、及び紫外線レーザが特に有用である。
本明細書で使用するとき、用語「光」は、約200nm〜約300μmまでの波長を有する放射線を含有するものとする。この光スペクトルは、約200nm〜約400nmの紫外線(UV)領域、約400〜約750nmの可視領域、及び約750nm〜約300μmの赤外線(IR)領域に分類することができる。近赤外線スペクトルは、約750〜約2,500nmを包含し、中赤外線スペクトルは約2,500〜約12,500nmを包含し、遠赤外線スペクトルは、約12,500nm〜約300μm(300,000nm又は0.3mm)を包含する。短波長の近赤外線スペクトルは、約750nm〜約1200nmまでの波長を包含し、長波長の近赤外線スペクトルは、約1,200nm〜約2,500nmまでの波長を包含する。
一つの実施形態では、露光工程は、画像形成レーザを用いて、約600mJ/cm2以下、より典型的には約250〜約440mJ/cm2のレーザ出力で達成される。他の光源及び照射条件は、中でもドナー要素構造、転写層材料、熱転写のモード、及び他のこのような要因に基づいて適性化されうる。
高度のスポット配置精度が大きな基材面積全体で求められる場合(例えば、大量の情報フルカラーディスプレイ用途の場合)、レーザが光源として特に有用である。また、レーザ光源は大きな硬質基材(例えば、1メートル×1メートル×1.1mmで、カラーフィルターガラスなどのより大きな基材)や、連続フィルム基材又はシート状フィルム基材(例えば、厚さ100μmのポリイミドシート)にも適合する。
ダイオードレーザ、例えば、それらの小さな寸法、低コスト、安定性、信頼性、耐久性及び簡易に調節できるという点で実質的な利益を提供する約750〜約870nmまで及び1200nmまでの領域で発光するものが、特に有用である。このようなレーザは、例えば、スペクトラ・ダイオード・ラボラトリーズ(Spectra Diode Laboratories)(カリフォルニア州サンホゼ(San Jose))から入手可能である。画像受容層へ画像を適用するのに使用される1つの装置は、クレオ・スペクトラム・トレンドセッター(Creo Spectrum Trendsetter)3244Fであって、これはほぼ830nmを発光するレーザを利用する。この装置は、スペイシャル光調節器(Spatial Light Modulator)を利用して、約830nmのレーザダイオードアレイから5〜50ワット出力を調節する。付随する光学素子は、この光を画像形成要素上に集光させる。これによって、0.1〜30ワットの画像形成光をドナー要素上にもたらして、それぞれが約10×10〜2×10ミクロンのスポットに10〜200mWの光を有する50〜240の個別のビームのアレイに集光される。同様の露光は、特許文献44に開示されているように、スポット毎に個別のレーザを用いて得ることもできる。この場合、各レーザは、780〜870nmで電気的に調節された50〜300mWの光を発光する。他の選択肢には、500〜3000mWを発光して、媒体上でそれぞれ独立して調節及び集光されるファイバー結合レーザが包含される。このようなレーザは、アリゾナ州トゥーソン(Tucson)のオプト・パワー(Opto Power)から入手可能である。
熱画像形成に適したレーザは、例えば、高出力(>90mW)シングルモードのレーザダイオード、ファイバー結合レーザダイオード、及びダイオード励起固体レーザ(例えば、Nd:YAG及びNd:YLF)を含む。レーザ露光滞留時間は、例えば、100分の数マイクロ秒〜数十マイクロ秒又はそれ以上まで広く変えることができ、レーザ出力は、例えば、約0.01〜約5J/cm2又はそれ以上までの範囲でありうる。
一つの実施形態では、画像形成光は、650〜1300nmまでの波長、例えば、660〜900nmまでの範囲及び950〜1200nmまでの範囲を選択することで強く発光する1つ以上のレーザで提供される。
一つの実施形態では、画像形成中に、選択的に照射される領域におけるドナー要素の実質的に全体(80%超)の転写層は、熱物質転写ドナー要素の他の層のほとんどの部分又は成分(例えば、任意の中間層又は光熱変換層)を転写させずに、受容体層へ転写される。このことは、光熱変換層が、転写される物質とは別の特性を有し、転写によって得られる機能と妨げる可能性がある場合に、特に望ましい。例えば、青色フィルターウィンドウに対しては透明な青色転写層と共に転写する黄色又は黒色の光−熱変換層、又は導電性転写層と共に導電性パッド上に転写する電気絶縁性光−熱変換層は、許容できない可能性がある。
別の実施形態では、転写層は、成分の混合物であり、ドナー要素の照射による転写は、昇華染料又は溶融された成分などの選択された成分についてのみ生じる。
熱転写モードは、照射の種類、転写層内の材料の種類などにより変えることができ、一般には、1つ以上の機構を介して生じ、そのうち1つ以上は、転写中、画像形成条件やドナー構造などに依存して、強調されても強調されなくてもよい。熱転写の次のモードは、本発明を限定するものではなく、例示目的のためのみであることを示す。
熱転写の1つの考えられる機構は、熱溶融粘着転写を含み、それによれば、転写層と残りのドナー要素との間の中間層での局所加熱によって、選択された位置で熱転写層のドナーへの接着力を低下させうる。熱転写層の選択された部分は、ドナーよりも受容体要素とより強く接着することができるため、ドナー要素を除去すると、転写層の選択された部分が受容体上に残る。別の考えられる熱転写機構は、アブレーション転写を含み、それによれば、局所加熱を用いて、転写層の一部をドナー要素からアブレーションし、それによってアブレーションした材料を受容体に向かわせる。熱転写の更に別の考えられる機構は、昇華を含み、それによれば、転写層内に分散された材料をドナー要素内で発生した熱によって昇華させることができる。昇華した材料の一部は、受容体上で液化する。
画像形成中、熱転写ドナー要素は、(典型的には、熱溶融粘着転写機構の場合であり得るように)受容体要素と密着させるか、又は熱転写ドナー要素は、(アブレーション転写機構もしくは転写材料の昇華機構の場合であり得るように)受容体要素からある程度離しておくこともできる。少なくともこれらの幾つかの場合、圧力又は真空を用いて、熱転写ドナー要素を受容体と密着させておくことができる。場合により、熱転写ドナー要素と受容体要素の間にマスクを配置することもできる。このようなマスクは、転写後、除去することも、受容体要素上に残しておくこともできる。次に、光源を用いて、光熱変換層(及び任意選択により、任意の光吸収剤を含む他の層)を画像態様の様式で(例えば、マスクを介してデジタル的に又はアナログ露光で)加熱して、熱転写ドナー要素から受容体要素へ、転写層の画像態様で、転写及び/又はパターニングを行える。
画像態様の露光により画像形成をした後の集合体に対するその後の工程は、画像形成されたドナー要素を画像形成された受容体要素から分離することである(図11)。通常、これは、2つの要素を単に引き剥がすことによって行われる。これは、一般に、非常に弱い剥離力を必要とし、単にドナー支持体を受容体要素から分離することによって達成される。このことは、あらゆる従来の分離法を用いて行うことができ、手動で又は自動的に行うことができる。
一般的に、意図される製品は受容体要素であり、露光及び分離後、その上には転写された材料があるパターンで転写されている。しかし、露光及び分離後に意図される製品は、ドナー要素であることも可能である。ドナー支持体層及び光−熱変換層が透明であり、且つ転写層が不透明である一つの実施形態では、画像形成されたドナー要素は、感光性材料の汎用のアナログ露光のための写真材料、例えば、フォトレジスト、フォトポリマー印刷板、感熱校正材料、医療用ハードコピーなど、として使用できる。写真用具用途では、「透明」(すなわち、ドナー要素のレーザ露光領域)と、「不透明」(すなわち、ドナー要素の未露光領域)との密度差を最大限にすることが重要である。従って、ドナー要素に使用される材料は、この用途と適するように合わせる必要がある。
一つの実施形態では、画像形成された受容体要素は、ドナー要素を有するその後の画像形成可能な集合体の受容体要素として使用できる。
一つの実施形態では、様々な組成の層を有するドナー要素の使用は、意図される材料の転写領域に強いレーザビームを照射し、迅速に走査する明滅レーザビームから生じる熱の結果、ドナー要素から受容体要素に材料を画像態様で転写する画像形成可能な集合体内で、受容体要素との組合せに有用である。画像形成された受容体要素から使用されたドナー要素を分離して、カラーフィルター、映像ディスプレイ、カラー画像再生、回路系などに有用な物品を得る。
一つの実施形態では、支持体層と、金属層、着色層又は染料含有層のような光−熱変換に有用な層(LTHC層)と、転写層とを含む少なくとも3層のドナー要素構造は、この3層の間又はその外側に配置可能な構造で追加の層を補うと、層間の接着、光吸収、熱転写、取扱などの特性が変わる。
一般的、選択された転写層の部分は、熱転写ドナー要素の他の層、例えば、任意の中間層又は光−熱変換層の大部分を転写せずに、受容体要素に転写される。任意の中間層の存在により、光−熱変換層から受容体要素への材料の転写がなくなり又は減少し、及び/又は、転写層の転写された部分のひずみが減少しうる。好ましくは、画像形成条件下では、任意の中間層の光−熱変換層への接着は、中間層の転写層への接着よりも強い。ある場合には、反射性中間層を使用して、中間層を介して透過する画像形成光のレベルを弱め、転写層及び/又は受容体により透過される光の相互作用の結果から生じ得る転写層の転写された部分に対する損傷を減少させうる。このことは、受容体要素が画像形成光を強く吸収する場合に生じ得る熱損傷を減少させるために特に有益である。
レーザ露光中、画像形成材料からの多重反射に起因する干渉縞の形成を最小限にすることが望ましい場合がある。これは、様々な方法で達成できる。最も一般的な方法は、特許文献45に記載のように、熱転写ドナー要素の表面を入射光スケールで効率良く粗面化することである。これは、入射光の空間干渉性を阻害する効果を発揮することで、自己の干渉を最小限にする。もう1つの他の方法は、熱転写ドナー要素内に反射防止コーティングを用いることである。反射防止コーティングの使用は既知であり、また特許文献46に記載のように、フッ化マグネシウムなどの四分の一波長の厚さのコーティングから成るものでもよい。
1メートル以上の長さ及び幅の寸法を有する熱転写ドナー要素を包含する、大きな熱転写ドナー要素を使用できる。操作時に、レーザは、ラスター方式であり得るか、又はそうでなければ大きな熱転写ドーナー要素を横断して移動でき、このレーザは、所望のパターンに従って、選択的に操作されて熱転写ドナー要素の部分を照射する。代わりに、レーザは固定型であって、熱転写ドナー要素と受容体要素基板がレーザの下を移動してもよい。
ある場合には、2つ以上の異なる熱転写ドナー要素を連続して用いて、光学ディスプレイなどの装置を形成することが必要である、望ましい、及び/又は簡便である場合もある。
例えば、ブラックマトリックス規定ピクセルウィンドウを、熱転写画像形成によってガラス板上に形成した後、別個のウィンドウに複数の色を連続熱転写して、カラーフィルター要素をブラックマトリックスのウィンドウの中に形成してもよい。別の例として、ブラックマトリックスを形成した後、液晶ディスプレイ内の透明性を切り替えるのに用いる薄膜トランジスタの1つ以上の層を熱転写してもよい。もう1つの例として、多層装置は、別個の層又は別個の層のスタックを別々の熱転写ドナー要素から転写することによって形成できる。また、多層スタックは、単一のドナー要素から単一転写単位として転写もできる。多層装置の例は、有機電界効果トランジスタ(OFET)などのトランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)を包含する有機エレクトロルミネッセントピクセル及び/又は装置を含む。更に、多層ドナーシートを使用して、受容体上の同じ層に別個の成分を形成できる。例えば、3つの異なるカラードナーを用いて、カラー電子ディスプレイ用のカラーフィルターを形成できる。更に、別個のドナーシートであって、それぞれが多層転写層を有するものを用いて、異なる多層装置(例えば、様々な色を発光するOLED、アドレス指定可能なピクセルを形成するために連結されるOLED及びOFET等)をパターニングすることもできる。2つ以上の熱転写ドナー要素の様々な他の組合せを用いて装置を形成して、各熱転写ドナー要素がその装置の1つ以上の部分を形成することもできる。これら装置の他の部分、又は受容体上の他の装置の全体又は一部を、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、及び様々な他の印刷法又はマスクに基づく方法を包含する任意の適した方法によって形成してよいことが判かる。
(実施例1):SMA 1440Hを用いたドナー要素と対照ポリマーであるアマーテック(AMERTECH)1200ポリエステル・クリアーを用いたドナー要素との比較
以下の実施例は、水分散性スルホン化ポリエステルバインダーと近赤外線レーザ放射線を吸収できる染料とを含む光−熱変換層を有する対照ドナー要素の比較例を提供する。この対照ドナー要素を、ポリマーSMA 1440Hを含む光−熱変換層を有するドナー要素と比較した。
より具体的には、比較例1では、光熱変換層コーティング組成物100重量部は、脱イオン水約79.80部、ハンプフォード(Hampford)NIR染料822(CAS 162411−28−1、コネチカット州スタットフォード(Stratford)のハンプフォード・リサーチ(Hampford Research)製の2−[2−[2−クロロ−3−[[1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン]エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩としても既知である)1.00部、ジメチルアミノエタノール0.50部、水性分散された30質量%スルホン化ポリエステル(アマーテック(AmerTech)ポリエステルスルホネート・クリアー、63℃のガラス転移温度と27℃の最低膜形成温度を有する)6.48部、基材湿潤化添加剤(テゴ・ウェット(Tego WET)250、バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ(Degussa)製の固形分100%のポリエーテル変性トリシロキサンコポリマー)0.25部、P−DMAE−EP(DMAEのカリウム塩及びリン酸エチル)(11.5%水溶液)1.4部、サイメル(Cymel)350(20%、ニュージャージー州ウェスト・パターソン(West Patterson)のサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries))1.00部、及びp−トルエンスルホン酸アンモニウム0.20部を用いて作製した。これらの成分は、添付の表に添加順に列挙している。
剥離変性剤P−DMAE−EPは、水酸化カリウム濃水溶液を酸リン酸エチル(ethyl acid phosphate)水溶液(コネチカット州ウェストポート(Westport)のストーファー・ケミカル(Stauffer Chemicals))に添加してpH約4.5とした後、ジメチルアミノエタノールを添加してpH約7.5として、固形分11.5%の水溶液に調製した。
SMA1440Hドナー要素の場合、光−熱変換層コーティング組成物100重量部は、脱イオン水約89.20部、ジメチルアミノエタノール0.50部、ハンプフォード(Hampford)NIR染料822(コネチカット州スタットフォード(Stratford)のハンプフォード・リサーチ(Hampford Research)製)1.00部、基材湿潤化添加剤(テゴ・ウェット(Tego WET)250、バージニア州ホープウェル(Hopewell)のデグッサ(Degussa)製の固形分100%のポリエーテル変性トリシロキサンコポリマー)0.25部、11.5%水性P−DMAE−EP 1.4部、サイメル(Cymel)350(20%、ニュージャージー州ウェスト・パターソン(West Patterson)のサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries))1.69部、及び10%p−トルエンスルホン酸アンモニウム水溶液0.30部を用いて作製した。これらの成分は、添付の表に添加順に列挙している。
以下の溶液は、SMA 1440Hのものと、アマーテック(AmerTech)1200ポリエステル・クリアーポリマーの対照試料との両方で、成分を列挙した順にビーカーに入れた後、ビーカーの内容物を室温で約2時間攪拌することにより調製した。
Figure 2009534223
両方の試料で、十分に混合した光−熱変換層コーティング組成物は、0番の巻き線棒を用いて50ミクロンのポリエステル支持体層上にコーティングされ、約3ミクロンの湿潤被覆厚さ、約190nmの乾燥コーティング厚さ、及び、約45%の波長830nmにおける透過率を得た。得られた支持体層/光−熱変換層構造は、光−熱変換層の側面上に、従来からの青色着色転写層を乾燥厚さ1〜2ミクロンでコーティングされ、添付の表で特定されるドナー要素を提供した。
溶液は、PET流延ラインでコーティングされた後、乾燥され、830nm波長において以下の透過率%を有するコーティングを生成した。
Figure 2009534223
以下の配合の赤色組成物は、成分を列挙した順にビーカー中に添加すると同時に、約3時間攪拌することによって調製した。
Figure 2009534223
赤色配合を、次にNIR−感光性コーティング上にコーティングして、乾燥コーティング重量40.0mg/dm2まで乾燥させた。これは、赤色ドナー要素を形成する。
ガラス基材は、初期段階で形成され、ピクセル境界部を形成する黒色着色樹脂から構成されたマトリックスパターンを有している。青色及び緑色のピクセルを、最初にガラスのカラーフィルター基材に転写した。ドナー要素の一区分を、赤色ピクセル要素を有するガラスのカラーフィルター基材と、支持体層/光熱変換層/転写層/ガラスの順に組合せて、画像形成可能な集合体を形成した。画像形成可能な集合体は、対照試料では7個の別個にサンプリングされた出力エネルギーで(通常、14.0、15.5、17.0、18.5、20、21.5、及び23.0 W)、そしてSMA 1440H試料では8個の別個にサンプリングされた出力エネルギーで(通常、12.5、14.0、15.5、17.0、18.5、20、21.5、及び23.0 W)、迅速に移動し明滅する830nm赤外線レーザを用い、約250〜500mJ/cm2の出力及び5μ秒未満の露光時間で支持体層に当てて画像形成して、カラーフィルターに適した赤色ピクセルを転写した。
画像形成された集合体を、使われた赤色ドナー要素と、緑色、赤色及び青色ピクセル要素を有するガラスカラーフィルター基材とに分離した。画像形成されたカラーフィルターを、230℃で1時間焼成して、転写したカラーピクセルを固化させた。焼成したフィルターは、次に、顕微鏡を用いて合計200倍の拡大倍率で検査して、焼成した赤色ラインの幅を入射レーザ出力範囲で測定した。次いで、転写したピクセルの粗さを、テンカーP−15スタイラス(Tencor P-15 Stylus)粗面計で測定し、粗さ値はRq(粗さ係数)(nm)で報告した。
100%の転写を意図した領域中の赤色転写層の未転写割合について、使われたドナー要素を比色分析した。この値を100%から減じることで、達成された転写率が得られた。ガラスカラーフィルター基材の赤色ピクセル要素を、転写されたライン幅(画像形成レーザの使用による意図された画像形成転写幅の割合として表されるもの)と転写された材料の色値(当初のドナー要素値からの差として、CIEスケールのxyY座標系で表されるもの)とについて比色分析をした。熱転写法及び色の質は、CIE方式の色座標系におけるx値、y値及びY値を測定することによって評価した。ここで、x及びyは、色相を表し、またYは、輝度の測度(透過光子数/入射光子数の比)である。転写されたピクセルの色は、オーシャン・オプティクス(Ocean Optics)製のダイオード分光光度計を用いて測定した。
以下の表4は、様々な公称レベルのレーザエネルギーを用いて画像形成することにより、ドナー要素の性能を記録している。「実施例」という見出しの第1欄には、各試料に対する識別名を定めている。第2欄には、使用したエネルギーを示し、第3欄は、「x」値が本明細書の範囲内か否かに相当し、第4欄は、「y」値が本明細書の範囲内か否かに相当し、第5欄は、「Y」値が本明細書の範囲内か否かに対応する。
2枚のフィルムの色値を以下に示す。
Figure 2009534223
粗さ係数Rqは、ライン幅に対して、以下の表5にまとめた。40nm未満のRqで且つ85ミクロンを超えるライン幅が望ましい。SMA 1440H実施例は、より低い適応出力でこれらの値に適合し、より広い操作出力範囲を提供する。このことは、レーザ出力が実際には変動しうるので望ましく、SMA 1440H試料は、より大きな適用出力範囲によって所望の色、ライン幅及びRqを達成する。
Figure 2009534223
(実施例2):SMA変形品を有するドナー要素とアマーテック(AMERTECH)1200ポリエステル・クリアーを有するドナー要素との比較
次の樹脂を、NIR−感光性光−熱変換層内で結合剤として使用した場合の画像形成に対するそれらの効果について比較した。
Figure 2009534223
以下の溶液は、成分を列挙した順にビーカーに添加すると同時に、室温で2時間攪拌することにより調製した。
Figure 2009534223
コーティングは以下の特性を有していた。
Figure 2009534223
以下の配合の赤色組成物は、成分を列挙した順にビーカーに入れると同時に、3時間攪拌することによって調製した。
Figure 2009534223
赤色配合物を、NIR−感光性コーティング上にコーティングして、乾燥コーティング重量40.0mg/dm2まで乾燥させた。これによって赤色ドナー要素が形成された。
ガラス基材は、ピクセル境界を形成する黒色着色樹脂から構成され、準備段階で形成されたマトリックスパターンを有している。最初に、青色及び緑色のピクセルをガラスカラーフィルター基材に転写した。次に、赤色ドナー要素の1区分を、ガラスのカラーフィルター基材と組合せて、画像形成可能な集合体を形成した。この画像形成可能な集合体は、迅速に移動する830nmレーザを用いて、290mJ/cm2〜380mJ/cm2の範囲の一連の露光エネルギーで支持体層に当てて画像形成した。
Figure 2009534223
次いで、赤色ドナー要素を除去し、画像形成されたカラーフィルターを230℃で1時間焼成して、転写したカラーピクセルを固化させた。
転写された赤色ピクセルの色を、オーシャン・オプティクス(Ocean Optics)製のダイオード分光光度計を用いて測定した。各ドナー要素グループについての結果を以下に示す。
Figure 2009534223
*試料6−232は、容認できないほど粘着性があり、且つ画像形成できなかった。
演色は、試料228では292〜362mJでの露光でも元のままであり、試料227が次に良い結果であった。他の全てのフィルムは、光熱変換層の不規則なコーティング品質に大きく起因して、それらのx値が本明細書の範囲外であることが分かった。
次に、アニールしたフィルターは、顕微鏡を用いて合計200倍の拡大倍率で検査し、転写されたピクセルは、入射露光エネルギーの範囲で検査された。赤色ピクセルでマトリックス要素全体が満たされた場合、「トラップされた」として知られる基準を満足した。赤色ピクセルがこのマトリックスを十分に満たさなかった場合、この不満足な状態は「トラップ不足」とみなされる。エネルギーが特定のフィルムに最適な値を超えて増加したため、転写されたピクセルは、きめが粗く、高レベルの露出過度にあり、ピンホールを示した。これらのデータを、異なる試料について表12にまとめている。
試料228は、最もよい結果を提供し、低エネルギーで十分トラップされて、上述の明細書範囲内の色値を有し、コーティング品質は均一な転写ピクセルを形成するのに十分良好であった。
Figure 2009534223
スチレンと無水マレイン酸とに基づくポリマーを含有する光−熱変換層を含むドナー要素の一つの実施形態の模式的な断面図である。 無水マレイン酸の繰り返し単位に基づく3つの配置に対応する。 無水マレイン酸の酸繰り返し単位に基づく3つの配置に対応する。 フマル酸の繰り返し単位に基づく3つの配置に対応する。 マレイン酸モノエステルの繰り返し単位に基づく3つの配置に対応する。 フマル酸モノエステルの繰り返し単位に基づく3つの配置に対応する。 置換、イミド化、及び中和などの、スチレン無水マレイン酸系ポリマーが受け得る代表的な反応を示す。 受容体要素に隣接するドナー要素の光で画像形成された画像形成集合体の異なる実施形態の模式的な断面図である。 ドナー要素の転写層が受容体ベース層上に配置された前もって転写された材料の表面に沿って受容体要素と不連続に接触する画像形成集合体の一つの実施形態を示している。 画像形成されて分離された画像形成集合体の画像形成されたドナー要素及び画像形成された受容体要素の模式的な断面図である。

Claims (67)

  1. 光誘導転写用ドナー要素であって、
    (a)支持体層、
    (b)前記支持体層の一つの面に隣接して配置された光吸収剤を含む光−熱変換層、
    及び
    (c)前記光−熱変換層の反対側で前記支持体層に隣接して配置された転写層であって、前記光−熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含む転写層、
    を含み、前記光熱変換層が無水マレイン酸系ポリマーを含む、光誘導転写用ドナー要素。
  2. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、
    (i)無水マレイン酸ホモポリマー、
    (ii)マレイン酸ホモポリマー、
    (iii)フマル酸ホモポリマー、
    (iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
    (v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
    (vi)無水マレイン酸コポリマー、
    (vii)マレイン酸コポリマー、
    (viii)フマル酸コポリマー、
    (ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
    (x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
    (xi)これらの化学的組合せ、
    (xii)これらの物理的混合物、及び
    (xiii)これらの組合せから成る群より選択されるポリマーを含み、
    前記無水マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記フマル酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸モノエステルの前記繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    並びに前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
    式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は同一又は異なる基であり、水素原子又は炭素原子数1〜約5のアルキルであることができ、
    さらに、
    50は、
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せから選択される官能基である、請求項1に記載のドナー要素。
  3. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの付加重合によって提供されるものと同等の少なくとも1種の繰り返し単位を更に含む、請求項2に記載のドナー要素。
  4. 前記少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ビニルアルキルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、イソブチレン、これらの誘導体及びこれらの組合せから成る群より選択され、前記アルキル前記ビニルアルキルエーテルの炭素原子数が1〜10である、請求項3に記載のドナー要素。
  5. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、スチレン−無水マレイン酸ポリマーである、請求項4に記載のドナー要素。
  6. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、マレイン酸のアルキルモノエステル、フマル酸のアルキルモノエステル、及びこれらの組合せから成る群より選択されるモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を含み、前記アルキルモノエステルが1〜10個の炭素原子を含む、請求項5に記載のドナー要素。
  7. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、無水マレイン酸の付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を更に含む、請求項6に記載のドナー要素。
  8. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、次の式Iで表される構造を含み、
    Figure 2009534223
    式中、x及びzは任意の正の整数であり、
    式中、yはゼロ又は任意の正の整数であり、
    21及びR22のうち一方が芳香族基であるという条件で、R21及びR22は同一又は異なってもよく、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、及びハロゲンであり、
    31、R32、R41及びR42は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルになりうる同一又は異なる基であり、
    及び
    50は、
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体:
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することができるアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せから選択される官能基である、請求項7に記載のドナー要素。
  9. 21及びR22が独立して、水素、メチル、フェニル、ベンジル、又は炭素原子数4〜6個のシクロアルキルである、請求項8に記載のドナー要素。
  10. 21、R31、R32、R33、R41、R42、R43が独立して水素であり、R22がフェニルであり、及びR50がn−ブトキシエチレン(nCH3−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH2−)である、請求項9に記載のドナー要素。
  11. 前記光吸収剤が顔料を含む、請求項1に記載のドナー要素。
  12. 前記光吸収剤が、カーボンブラック及びグラファイトのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のドナー要素。
  13. 前記光吸収剤が近赤外線染料を含む、請求項1に記載のドナー要素。
  14. 前記光吸収剤が、約750nm〜約1200nmまでの波長において少なくとも1つの局所的な吸収極大を有することを特徴とする、請求項1に記載のドナー要素。
  15. 前記光−熱変換層が、約650nm〜約1200nmまでの波長における吸収極大が、約400nm〜約650nmまでの波長における前記光熱−変換層の吸収極大よりも少なくとも3倍大きいことを特徴とする、請求項1に記載のドナー要素。
  16. 前記光−熱変換層がカーボンブラック及びグラファイトの両方を含まない、請求項1に記載のドナー要素。
  17. 前記光−熱変換層の750nm〜1200nmまでの波長における吸収極大が0.2より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のドナー要素。
  18. 前記光−熱変換層が、約20nm〜約300nmまでの範囲の厚さを特徴とする、請求項1に記載のドナー要素。
  19. 前記光吸収剤が、
    a)2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸であって、CAS番号[162411−28−1]であるもの、
    b)2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩であって、分子式C41H47N4Na1O6S3及び分子量約811グラム/モルであるもの、
    c)インドシアニングリーンであって、CAS番号[3599−32−4]であるもの、
    d)3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−であり、トリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)であって、CAS番号が[128433−68−1]であるもの、及び
    e)これらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載のドナー要素。
  20. 前記支持体層と前記光熱変換層が、いかなる金属層も、いかなる金属酸化物層も含まず、
    前記光−熱変換層の厚さが約20〜約300nmまでの範囲であり、カーボンブラックもグラファイトも含まず、約750nm〜約1200nmまでの範囲の波長において約0.2より大きい局所的な吸収極大を有し、
    前記光吸収剤が近赤外線染料を含み、
    前記スチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーが、前記光−熱変換層内に配置されており、及び
    前記転写層が顔料を含む、請求項1に記載のドナー要素。
  21. ドナー要素の製造方法であって、
    (a)支持体層を提供すること、
    (b)前記支持体層の1つの面に隣接して配置された光吸収剤を含む光熱変換層を提供すること、
    及び
    (c)前記支持体層の反対側で前記光−熱変換層に隣接して配置される転写層を提供することであって、前記転写層が、前記光熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含む転写層を提供すること、
    前記光−熱変換層が無水マレイン酸系ポリマーを含む、前記方法。
  22. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、
    (i)無水マレイン酸ホモポリマー、
    (ii)マレイン酸ホモポリマー、
    (iii)フマル酸ホモポリマー、
    (iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
    (v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
    (vi)無水マレイン酸コポリマー、
    (vii)マレイン酸コポリマー、
    (viii)フマル酸コポリマー、
    (ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
    (x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
    (xi)これらの化学的組合せ、
    (xii)これらの物理的な混合物、及び
    (xiii)これらの組合せから成る群より選択されるポリマーを含み:
    前記無水マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表わされる3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記フマル酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸モノエステルの繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表わされる3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    さらに前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表わされる3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
    式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基であり、
    及び
    50は、
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せ:から選択される官能基である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの付加重合によって提供されるものと同等の少なくとも1種の繰り返し単位を更に含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ビニルアルキルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、イソブチレン、これらの誘導体及びこれらの組合せから成る群より選択され、前記アルキル前記ビニルアルキルエーテルの炭素原子数が1〜10である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、スチレン−無水マレイン酸ポリマーである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、マレイン酸のアルキルモノエステル、フマル酸のアルキルモノエステル、及びこれらの組合せから成る群より選択されるモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を含み、前記アルキルモノエステルの炭素原子数が1〜10である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、無水マレイン酸の付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を更に含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、次の式I:
    Figure 2009534223
    で表される構造体を含み、式中、x及びzは任意の正の整数であり、
    式中、yは、ゼロ又は任意の正の整数であり、
    21及びR22のうち一方が芳香族基であるという条件で、R21及びR22は、同一又は異なることができ、独立して水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、及びハロゲンであり、
    31、R32、R41、及びR42は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基であり、
    及び
    50は、次の成分:
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せから選択される官能基である、請求項27に記載の方法。
  29. 21及びR22が独立して、水素、メチル、フェニル、ベンジル、又は炭素原子数4〜6のシクロアルキルである、請求項28に記載の方法。
  30. 21、R31、R32、R33、R41、R42、R43が独立して水素であり、R22がフェニルであり、及びR50がn−ブトキシエチレン(nCH3−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH2−)である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記光吸収剤が顔料を含む、請求項21に記載の方法。
  32. 前記光吸収剤が、カーボンブラック及びグラファイトの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
  33. 前記光吸収剤が近赤外線染料を含む、請求項21に記載の方法。
  34. 前記光吸収剤が、約750nm〜約1200nmまでの波長において少なくとも1つの局所的な最大吸光度を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  35. 前記光熱変換層は、約650〜約1200nmまでの波長における吸収極大が、約400〜約650nmまでの波長における前記光−熱変換層の吸収極大よりも少なくとも3倍大きいことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  36. 前記光−熱変換層が、カーボンブラック及びグラファイトの両方を含まない、請求項21に記載の方法。
  37. 前記光−熱変換層が、750〜1200nmまでの波長における吸収極大が0.2よりも大きいことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  38. 前記光−熱変換層が、約20nm〜約300nmまでの範囲の厚さを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  39. 前記光吸収剤が、
    a)2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸であって、CAS番号[162411−28−1]であるもの、
    b)2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩であって、分子式C41H47N4Na1O6S3及び分子量約811グラム/モルであるもの、
    c)インドシアニングリーンであって、CAS番号[3599−32−4]であるもの、
    d)3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−であり、トリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)であって、CAS番号が[128433−68−1]であるもの、及び
    e)これらの組合せから成る群より選択される、請求項21に記載の方法。
  40. 前記支持体層及び前記光熱変換層が、いかなる金属層も、いかなる金属酸化物層も含まず、
    前記光熱変換層の厚さが約20〜約300nmまでの範囲であり、カーボンブラックもグラファイトも含まず、約750nm〜約1200nmまでの範囲の波長において約0.2よりも大きな局所的な吸収極大を有し、
    前記光吸収剤が近赤外線染料を含み、
    前記スチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーが、前記光熱変換層内に配置され、及び
    前記転写層が顔料を含む、請求項21に記載の方法。
  41. 画像を形成するための熱転写方法におけるドナー要素の使用方法であって、
    (I)ドナー要素の集合体を提供することであって、前記ドナー要素が:
    (a)支持体層、
    (b)前記支持体層の一つの面に隣接して配置された光吸収剤を含む光熱変換層、
    及び
    (c)前記支持体層の反対側で前記光熱変換層に隣接して配置された転写層であって、前記転写層が、前記光熱変換層を選択的に光に曝露するときに前記ドナー要素から隣接する受容体要素に画像態様で転写可能な材料を含む転写層、を含み、
    前記光−熱変換層が無水マレイン酸系ポリマーを含むこと、
    (II)前記集合体を画像態様で光に曝露することによって、前記画像態様で曝露された転写層の少なくとも一部が、前記受容体要素へ転写されて画像を形成すること、及び
    (III)前記受容体要素から前記ドナー要素を分離することによって、前記受容体要素上に前記画像を露呈させることを含む、前記方法。
  42. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、
    (i)無水マレイン酸ホモポリマー、
    (ii)マレイン酸ホモポリマー、
    (iii)フマル酸ホモポリマー、
    (iv)マレイン酸モノエステルのホモポリマー、
    (v)フマル酸モノエステルのホモポリマー、
    (vi)無水マレイン酸コポリマー、
    (vii)マレイン酸コポリマー、
    (viii)フマル酸コポリマー、
    (ix)マレイン酸モノエステルのコポリマー、
    (x)フマル酸モノエステルのコポリマー、
    (xi)これらの化学的組合せ、
    (xii)これらの物理的混合物、及び
    (xiii)これらの組合せから選択されるポリマーを含み:
    前記無水マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記フマル酸繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    前記マレイン酸モノエステルの繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され、
    さらに前記フマル酸モノエステルの繰り返し単位が、
    Figure 2009534223
    で表される3つの配置のうち少なくとも1つから選択され:
    式中、R31、R32、R33、R41、R42、R43は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基であり、
    及び
    50は、
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に約2〜約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位オキシアルキル化誘導体、
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せ:から選択される官能基である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの付加重合によって提供されるものと同等の少なくとも1種の繰り返し単位を更に含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ビニルアルキルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、イソブチレン、これらの誘導体、及びこれらの組合せから成る群より選択され、前記アルキル前記ビニルアルキルエーテルの炭素原子数が1〜10である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、スチレン−無水マレイン酸ポリマーである、請求項44に記載の方法。
  46. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、マレイン酸のアルキルモノエステル、フマル酸のアルキルモノエステル、及びこれらの組合せから成る群より選択されるモノマーの付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を含み、前記アルキルモノエステルの炭素原子数が1〜10である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記無水マレイン酸系ポリマーが、無水マレイン酸の付加重合によって提供されるものと同等の繰り返し単位を更に含む、請求項46に記載の方法。
  48. 前記無水マレイン酸系ポリマーが式I:
    Figure 2009534223
    で表される構造を含み、式中、x及びzは任意の正の整数であり、
    式中、yはゼロ又は任意の正の整数であり、
    21及びR22のうち一方が芳香族基という条件で、R21及びR22は同一又は異なることができ、独立して水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、及びハロゲンであり、
    31、R32、R33、R41、R42、R43は、水素又は炭素原子数1〜約5のアルキルとなりうる同一又は異なる基であり、
    及び
    50は、次の構成要素:
    (a)1〜約20個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカル、
    (b)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約20個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (c)各オキシアルキレン基中に約2から約4個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アラルキルラジカル、アルキル置換アラルキルラジカルのオキシアルキル化誘導体であって、1〜約6個の繰り返し単位となりうるオキシアルキル化誘導体、
    (d)少なくとも1つの不飽和部分、
    (e)少なくとも1つのヘテロ原子部分、
    (f)Li、Na、K及びNH4 +から選択される塩を形成することが可能なアルカリ分子、及び
    (g)これらの組合せから選択される官能基である、請求項47に記載の方法。
  49. 21及びR22が独立して、水素、メチル、フェニル、ベンジル、又は炭素原子数4〜6のシクロアルキルである、請求項48に記載の方法。
  50. 21、R31、R32、R33、R41、R42、R43が独立して水素であり、R22がフェニルであり、R50がn−ブトキシエチレン(nCH3−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH2−)である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記光吸収剤が顔料を含む、請求項41に記載の方法。
  52. 前記光吸収剤が、カーボンブラック及びグラファイトのうち少なくとも1つを含む、請求項41に記載の方法。
  53. 前記光吸収剤が近赤外線染料を含む、請求項41に記載の方法。
  54. 前記光吸収剤が、約750nm〜約1200nmまでの波長において少なくとも1つの局所的な吸収極大有することを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  55. 前記光−熱変換層は、約650〜約1200nmまでの波長における吸収極大が、約400〜約650nmまでの波長における前記光−熱変換層の吸収極大よりも少なくとも3倍大きいことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  56. 前記光−熱変換層がカーボンブラック及びグラファイトの両方を含まない、請求項41に記載の方法。
  57. 前記光熱変換層が、750〜1200nmまでの波長における吸収極大が0.2より大きいことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  58. 前記光熱変換層が約20nm〜約300nmまでの範囲の厚さを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  59. 前記光吸収剤が、
    f)2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、遊離酸であって、CAS番号[162411−28−1]であるもの、
    g)2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩であって、分子式C41H47N4Na1O6S3及び分子量約811グラム/モルであるもの、
    h)インドシアニングリーンであって、CAS番号[3599−32−4]であるもの、
    i)3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−であり、トリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)であって、CAS番号が[128433−68−1]であるもの、及び
    j)これらの組合せから成る群より選択される、請求項41に記載の方法。
  60. 前記支持体層と前記光熱変換層が、いかなる金属層も、いかなる金属酸化物層も含まず、
    前記光−熱変換層の厚さが約20〜約300nmまでの範囲であって、カーボンブラックもグラファイトも含まず、約750nm〜約1200nmまでの範囲の波長において約0.2よりも大きな局所的な吸収極大を有し、
    前記光吸収剤が近赤外線染料を含み、
    前記スチレンと無水マレイン酸とに基づくコポリマーが、前記光−熱変換層内に配置されており、及び
    前記転写層が顔料を含む、請求項41に記載の方法。
  61. 前記光が、約650nm〜約1200nmまでの波長に最大エネルギー出力を有するレーザによって提供される、請求項41に記載の方法。
  62. 前記光が、約650nm〜約800nmまでの波長に最大エネルギー出力を有するレーザによって提供される、請求項41に記載の方法。
  63. 前記光が、約800nm〜約900nmまでの波長に最大エネルギー出力を有するレーザによって提供される、請求項41に記載の方法。
  64. 前記光が、約900nm〜約1200nmまでの波長に最大エネルギー出力を有するレーザによって提供される、請求項41に記載の方法。
  65. 前記転写部分が、前記転写層の元のままの体積を含む、請求項41に記載の方法。
  66. 前記転写部分が、前記転写層の元のままの体積を含み、前記光が、約650nm〜約1200nmまでの波長に最大エネルギー出力を有するレーザによって提供され、前記転写層が顔料を含む、請求項41に記載の方法。
  67. 前記光が、画像形成露光中に前記光熱変換層によって約40%〜約80%透過される、請求項41に記載の方法。
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