JP2009534040A - Ires配列を標的とする短鎖干渉rna二本鎖及びそのための使用 - Google Patents

Ires配列を標的とする短鎖干渉rna二本鎖及びそのための使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、IRES配列に対する新規な阻害性ポリヌクレオチドを提供する。本発明は、本発明の新規な阻害性ポリヌクレオチドを含む、遺伝子組み換えされた発現ベクター、宿主細胞、トランスジェニック動物、及びトランスジェニック植物をも提供する。本発明は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを使用する方法をさらに提供する。

Description

関連出願
本出願は、これにより参照して全体として本明細書に組み込まれる、2006年4月19日に出願された米国仮特許出願第60/792,968号に対する優先権の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、遺伝子発現を阻害する方法、例えばスクリーニングアッセイにおける内部リボソーム進入部位を標的とする阻害性ポリヌクレオチド、特に短鎖(short)干渉RNA(siRNA)二本鎖の使用に関する。
関連背景技術
当分野では、遺伝子の転写は通常、前記遺伝子の上流にあるプロモーターを必要とすること、転写は通常、モノシストロン性mRNA(即ち、1つのタンパク質コード領域だけを含むmRNA転写産物)を生じさせること、及び結果として生じるモノシストロン性mRNAの翻訳は、通常はモノシストロン性mRNA上の5’末端キャップ構造の認識を含むキャップ依存的機序における翻訳開始複合体によって開始されることがよく知られている(例えば、Translational Control, J.W.B. Hershey, M.B. Mathews, and N. Sonenberg, Eds. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY), pp. 31-69の中のMerrick and Hershey (1996) "The pathway and mechanism of eukaryotic protein synthesis."を参照されたい)。翻訳開始複合体は、通常はモノシストロン性mRNAに沿ってそれが第1開始コドン(AUG)、通常はキャップ構造の50〜100ヌクレオチド内に達するまで移動し、それによって通常はmRNAからタンパク質への翻訳が始まる。言い換えると、mRNAからタンパク質への翻訳は、一般に第1開始AUGコドンで始まる。モノシストロン性転写及び翻訳についてのこの規範的モデルは、大多数の真核細胞及び一部の原核細胞中で見いだされるものであるが、単一宿主細胞内で複数の導入遺伝子を移動させて発現させることが有益なときがあるため、当該モデルは例えば遺伝子療法のための組換えDNA技術の利用の際に問題となる。
組換えDNA技術の開発の初期には、研究者は単一宿主細胞内で2種以上のタンパク質を発現させることに関心を抱いていたが、移動させるべき遺伝子(導入遺伝子)、例えば対象の各タンパク質をコードする遺伝子などは異なる発現ベクター上に配置されたために、宿主細胞がそのような各発現ベクターでうまく改変されることを必要とした。予想されたように、2つ以上の発現ベクターを用いた宿主細胞の改変は、困難で多くの時間と労力を要することが幾度も実証された。あるいは、対象のタンパク質をコードした各導入遺伝子を含む単一発現ベクターが、各導入遺伝子の転写がその固有の個別プロモーターよって制御されるように、即ち数個のモノシストロン性mRNAが単一発現ベクターから転写されるように作り出された。しかし、1つの発現ベクター内の数個のプロモーターの存在は、おそらくはプロモーター配列間の干渉に起因して、しばしば経時的に発現の減少または消失を生じさせた。これらの問題は、内部リボソーム進入部位(IRES)の発見及びその後の利用によって解決された。IRESは、一般にタンパク質コード領域の下流に位置しており、そのタンパク質の翻訳は第1開始コドンによって開始される。IRESの配列は、タンパク質の翻訳が内部(即ち、第2)開始コドン(AUG)、即ち、IRES及び第1開始AUGコドンの下流にあるAUGコドンから始まることを可能とし、従ってmRNA転写産物がポリシストロン性であること、即ち2つ以上のタンパク質コード領域を含むことを可能とする。
現在までに、IRESは、ノンキャップド(noncapped)ウイルスmRNA、例えばピコルナウイルス科(Picornaviridae)ファミリーのメンバー、例えば灰白髄炎ウイルス(Pelletier et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8(3):1103-12)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(EMCV)(Jang et al. (1988) J. Virol. 62(8):2636-43)、及び口蹄疫ウイルス(FMDV)(Belsham and Sonenberg (1996) Microbiol. Rev. 60(3):499-511;Robertson et al. (1999) RNA 5(9):1167-79;Jackson and Kaminski (1995) RNA l(10):985-1000;Herman (1989) Trends Biochem. Sci. 14(6):219-22の中で論評された)の5’領域内で同定されている。IRESは、他のウイルス、例えばVL30型マウスレトロトランスポゾン(Berlioz et al. (1995) J. Virol. 69(10):6400-07)、カルジオウイルス、ライノウイルス、アフトウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)など由来の転写産物中、及びより近年ではフレンド(Friend)(FMLV)及びモロニー(Moloney)(MoMLV)マウス白血病ウイルスのgag前駆体をコードするmRNA中でも検出されている(Berlioz and Darlix (1995) J. Virol. 69(4):2214-22;Vagner et al. (1995) J. Biol. Chem. 270(35):20376-83)。細胞RNA中のIRESの存在についてもまた記載されている。IRESを含む細胞mRNAの例には、免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)(Macejak and Sarnow (1991) Nature 353:90-94);所定の成長因子、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子2及びインスリン様成長因子(Teerink et al. (1995) Biochim. Biophys. Acta 1264(3):403-08;Vagner et al. (1995) Mol. Cell. Biol. 15(l):35-44);翻訳開始因子eIF4G(Gan and Rhoads (1996) J. Biol. Chem. 271(2):623-26)、並びに酵母転写因子TFIID及びHAP4(Iizuka et al. (1994) Mol. Cell. Biol. 14(11):7322-30)をコードするものが含まれる(さらに、Oh et al. (1992) Genes Dev. 6(9):1643-53;He et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(14):7274-78;He et al. (1996) Gene 175(l-2):121-25;Tomanin et al. (1997) Gene 193(2):129-40;Gambotto et al. (1999) Cancer Gene Ther. 6(l):45-53;Qiao et al. (1999) Cancer Gene Ther. 6(4):373-79)も参照されたい)。
組換えDNA技術の文脈では、IRESを含む発現ベクターが記載されている(例えば、国際公開特許出願WO98/37189;WO99/25860;及びWO93/03143を参照)。一般に、これらの発現ベクターは少なくとも2つの導入遺伝子間へのIRESの配置を可能とし、引き続いて単一プロモーターからの少なくとも2つの導入遺伝子の発現を可能とする。特に、単一プロモーターからの転写は、ポリシストロン性であってよいmRNAを生じさせるが、例えば、このとき少なくとも2つのタンパク質コード領域は少なくとも1つのIRESによって分離されたが、翻訳は第1開始AUGコドン、及びIRESの下流にある内部AUGコドンの両方で始まる。
IRESは、組換えDNA技術の分野における強力なツールであるが、それはそれらが単一mRNA転写産物からの数個の遺伝子の翻訳を可能とするからである。言い換えると、単一宿主細胞により多数の相違する導入遺伝子を発現させるためのIRESの使用は、複数の発現ベクター又は相互に干渉する可能性がある数種のプロモーターを含む発現ベクターのいずれかを用いて宿主細胞を改変する必要を取り除く。さらに、幾つかのグループは、ニワトリ及びマウスの胚中、並びに成熟マウスの多数の器官中でのEMCV−IRESの安定性及び機能性について報告している(Ghattas et al. (1991) Mol. Cell. Biol. 11(12):5848-59;Kim et al. (1992) Mol Cell. Biol. 12(8):3636-43;Creancier et al. (2000) J. Cell. Biol. 150(1):275-81)。
IRESは組換えDNA技術に組み込まれてきたが、例えば遺伝子療法におけるこの技術の有用性は、1)改変された宿主細胞または生体上でのそのような導入遺伝子の発現が及ぼす作用、例えば改変された宿主の代謝に導入遺伝子が及ぼす作用、及び2)導入遺伝子によってコードされたタンパク質の機能に関する研究が進めば前進する可能性がある。宿主細胞または生体へ導入遺伝子の発現が及ぼす作用及び機能を研究するよくある方法は、導入遺伝子が宿主細胞または生体内に上首尾で導入されてそれによって発現された後に、導入遺伝子の発現を阻害する(例えば、減少させる、干渉する、ダウンレギュレートする、ノックダウンするなど)ことである。
対象の遺伝子(例えば、導入遺伝子、内因性遺伝子など)の発現を阻害するために、アンチセンス法、三重らせん法、共抑制法、及びRNAi法を含む数種のアプローチが開発されてきた。これらの方法は、ターゲティング核酸分子を利用する工程を含んでいた。ここで、前記ターゲティング核酸分子は、各自、標的とされた遺伝子(標的遺伝子)mRNA転写産物(またはそれらの部分)の逆相補体であって、標的遺伝子と三重らせん構造を形成し、標的遺伝子の正確な複製物であって、あるいは標的遺伝子(またはそれらの部分)のヌクレオチド配列を含む短鎖干渉RNA(siRNA)の二本鎖分子である。現在までに、これらのアプローチは対象の単一遺伝子を特異的に標的とするために使用されてきたため、従って、ターゲティング分子(例えば、アンチセンス分子、三重らせん形成分子、共抑制導入遺伝子分子、及びsiRNA分子)の配列は、対象の標的遺伝子の少なくとも一部分に対応する(即ち、一方の、他方の、又は両方の鎖の少なくとも一部分に特異的にハイブリダイズする)ことを必要とする。従って、これらのアプローチの用途はこれまで研究者が対象の標的遺伝子の配列、及び/又は標的とされる最大感受性を有する標的遺伝子配列の部分を知ること、そして各標的遺伝子のための固有のターゲティング分子を作製することを必要とした。現在まで、それによって対象の遺伝子の配列を最初に知ることなく標的遺伝子の発現を阻害するための機序も、対象の遺伝子の配列が分かっている場合には、遺伝子配列のどの部分が阻害により感受性であるのかを決定するための効率的アッセイもない。
本発明は、阻害性ポリヌクレオチド、並びに例えば、1)研究者が導入遺伝子の配列を知る、若しくは決定することを必要としない少なくとも1つの対象の導入遺伝子の発現を阻害する(例えば、減少させる、干渉する、ダウンレギュレートする、ノックダウンするなど)、及び/又は2)対象の遺伝子が導入遺伝子又は内因性遺伝子であるかどうかには無関係に、対象の遺伝子の発現を阻害するためにターゲティングポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングする方法において、これらの阻害性ポリヌクレオチドを使用する方法を提供することによってこれらの問題を解決する。
発明の概要
本発明は、IRESを標的とする阻害性ポリヌクレオチドが、標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部としてそのタンパク質コード領域を用いて転写される少なくとも1つの対象の遺伝子の発現をダウンレギュレートする(例えば、阻害する)ために使用できるという発見に関する。従って、本発明は、IRES、例えば配列番号1のヌクレオチド配列を有するIRESに対する(directed against)阻害性ポリヌクレオチドを提供する。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドはsiRNA分子であってよく、例えば本発明の1つの実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、siRNAの第1鎖を含む。本発明の別の実施形態では、siRNAの第1鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列、配列番号1のヌクレオチド配列の一部分、配列番号1のヌクレオチド配列の相補体、及び配列番号1のヌクレオチド配列の相補体の一部分からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物を有する、及び/又は本質的にそれらからなる。本発明の別の実施形態では、siRNAの第1鎖は、長さが5〜548ヌクレオチドである。本発明の別の実施形態では、siRNAの第1鎖は、配列番号2のヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列、配列番号4のヌクレオチド配列、及びそれらの部分配列のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物を有する、及び/又は本質的にそれらからなる。本発明の別の実施形態では、siRNAの第1鎖は自己相補的であり、さらにヘアピンループを含んでおり、例えば、本発明のsiRNAは、配列番号2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、及び配列番号4のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物を含んでいてよい。本発明のさらに別の実施形態では、阻害性ポリヌクレオチドは、アンチセンス分子である。
本発明は、例えば本明細書に記載したような本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードする単離されたDNA分子をも提供する。本発明の1つの実施形態では、DNA分子は、少なくとも1つの発現制御配列(expression control sequence)へ機能可能に連結(operably linked)している。本発明は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードするそのようなDNA分子によって形質転換または形質移入された宿主細胞をさらに提供する。さらに、本発明は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNA分子を含有する微生物も提供する。1つの実施形態では、本発明は、体細胞及び生殖細胞が本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNAを含有する非ヒトトランスジェニック動物を提供する。別の実施形態では、本発明は、体細胞及び生殖細胞が本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNAを含有するトランスジェニック植物を提供する。
本発明の1つの実施形態では、本発明のsiRNA(例えば、上述した)は、siRNAの第1鎖に相補的である第2鎖をさらに含む。また、本発明は、本発明のsiRNA分子の第2鎖をコードする単離されたDNA分子を提供する。本発明の1つの実施形態では、単離されたDNA分子は、少なくとも1つの発現制御配列へ機能可能に連結していてよい。本発明は、そのような機能可能に連結したDNA分子によって形質転換された宿主細胞も提供する。1つの実施形態では、本発明は、本発明のsiRNAの第2鎖をコードするDNAを含有する微生物を提供する。本発明は、体細胞及び生殖細胞が本発明のsiRNA分子の第2鎖をコードするDNAを含有する非ヒトトランスジェニック動物も提供する。別の実施形態では、本発明は、体細胞及び生殖細胞が本発明のsiRNAの第2鎖をコードするDNAを含有するトランスジェニック植物を提供する。
本発明は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを含むキット及び本発明の阻害性ポリヌクレオチドを使用する方法も提供する。
本発明は、宿主細胞による導入遺伝子の発現をダウンレギュレートする方法であって、前記導入遺伝子がIRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部として転写され、前記IRESを標的とする阻害性ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入する工程を含む方法をさらに提供する。本発明の1つの実施形態では、前記IRESは、配列番号1のヌクレオチド配列を有する、及び/又は本質的にそれからなる。
発明の詳細な説明
本発明は、ポリシストロン性mRNA転写産物内のタンパク質コード領域の翻訳を開始及び制御するための、内部リボソーム進入部位(IRES)の発見及びそれに続く組換えDNA技術におけるIRESの使用に関する。本発明は、阻害性ポリヌクレオチドを用いて標的IRESを標的とすることは、少なくとも標的IRESの上流のタンパク質コード領域、及びおそらくは標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の全タンパク質コード領域の翻訳を効率的に防止するという発見に基づいている。結果として、本明細書ではIRES(即ち、標的IRES)に対して作製される阻害性ポリヌクレオチド及び対象の遺伝子の発現をノックダウンするための非特異的アプローチにおいてそれらを使用する方法が提供される。標的とされるのはIRESであるため、本方法は、阻害性ポリヌクレオチドを対象の遺伝子へ正確に方向付けることを必要としない;即ち、本明細書で提供される方法は、対象の遺伝子の配列を知る、または決定することを必要とせず、そしてターゲティング分子を使用して多数の導入遺伝子の発現を阻害することを可能にする。本方法は、対象の遺伝子から転写されるタンパク質コード領域が、標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物内に存在することだけを必要とする。言い換えると、IRESを含む全mRNA転写産物が本発明の阻害性ポリヌクレオチド、例えば、阻害のためにはsiRNA分子により標的とされる可能性が高い。例えば、(5’から3’へ)第1導入遺伝子、IRES、及び第2導入遺伝子を含むmRNA転写産物上でIRESを標的とするsiRNA分子を使用すると、第2及び第1導入遺伝子両方の発現をノックダウンすることができる。mRNA転写産物は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドによって首尾良く標的とされるためにポリシストロン性である必要はない。例えば、IRESの上流または下流のいずれかにある唯一の導入遺伝子を含むmRNA転写産物上のIRES配列を標的とするsiRNAを使用すると、1つの導入遺伝子の発現をノックダウンすることができる。1つの好ましい実施形態では、対象の遺伝子から転写される、即ち対象の遺伝子のタンパク質コード領域を含有するmRNAは、IRESの上流にある。
本発明は、特に、IRESに対して作製する阻害性ポリヌクレオチドが、標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部であるタンパク質コード領域の翻訳を阻害できるという発見に基づいている。当業者には、IRESに対するそのような阻害性ポリヌクレオチドの使用は、そのタンパク質コード領域が標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物内にある対象の遺伝子の発現をノックダウンする方法を可能とすること、及びそのような方法が導入遺伝子自体の改変またはターゲティングを必要としないことは明白である。当業者であれば、本明細書に提供された阻害性ポリヌクレオチドは、対象の遺伝子のダウンレギュレーションを可能にするだけではなく、siRNAライブラリーを例えば陽性コントロールとしてスクリーニングする方法において使用できることも認識する。
従って、本発明は、IRESを標的とする阻害性ポリヌクレオチドを提供する。さらに、本発明は、宿主細胞または生体が本発明の阻害性ポリヌクレオチドを発現するようにそれらを改変する方法を提供し、そしてそのような改変された宿主細胞または生体をさらに提供する。本発明は、対象の遺伝子の発現を変化させるために、そしてスクリーニングアッセイ、例えば、siRNAスクリーニングアッセイにおける陽性コントロールとして阻害性ポリヌクレオチドを使用する方法をも提供する。
本発明によると、対象の遺伝子は、治療用タンパク質をコードすることができる。本明細書において、治療用タンパク質は、それが作用する身体内の領域に、又はそれが中間物によって遠隔的に作用する身体の領域に生物学的作用を及ぼすタンパク質又はペプチドである。治療用タンパク質は、例えば、本明細書でより詳細に記載するように、分泌されたタンパク質、例えば、抗体、抗体の抗原結合フラグメント、可溶性受容体、受容体融合物、サイトカイン、成長因子、酵素、又は凝固因子であってよい。上記のタンパク質のリストは、実際は単なる典型であり、限定的列挙であることは意図されていない。当業者であれば、任意のタンパク質を本発明によって使用できることを理解し、そして必要に基づいて生成すべき特定のタンパク質を選択することができる。
本明細書において、用語、ポリペプチド、タンパク質及びペプチドは、同義語であり、互換的に使用される。従って、本明細書において、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドのサイズは、一般に2以上のアミノ酸を含む。例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドは、約2〜約20アミノ酸、約20〜約40アミノ酸、約40〜約100アミノ酸、約100アミノ酸〜約200アミノ酸、約200アミノ酸〜約300アミノ酸などを含むことができる。
本明細書において、アミノ酸は、任意の天然型アミノ酸、任意のアミノ酸誘導体または当分野において公知の任意のアミノ酸模倣体を意味する。所定の実施形態では、タンパク質またはペプチドの残基は、アミノ酸残基の配列を中断する非アミノ酸を全く伴わずに連続的である。他の実施形態では、配列は、1又はそれ以上の非アミノ酸部分を含んでいてよい。特定の実施形態では、タンパク質またはペプチドの残基の配列は、1又はそれ以上の非アミノ酸部分によって中断されてよい。
本明細書において、抗体は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子を意味しており、抗体フラグメント、例えばFab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(一本鎖Fv)などを含む。様々な抗体に基づく構築物及びフラグメントを調製及び使用する技術は、当分野において周知である。抗体を調製及び特性解析する手段も又当分野において周知である(例えば、参照して全体として本明細書に組み込まれるHarlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照されたい)。例えば、抗体は、少なくとも1つ、及び好ましくは2つの全長重鎖、並びに少なくとも1つ、及び好ましくは2つの軽鎖を含むことができる。本明細書において、用語「抗体」には、抗体フラグメントまたは変異体分子、例えば抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fvフラグメント、重鎖フラグメント(例えば、camelid VHH)及び結合ドメイン−免疫グロブリン融合物(例えば、SMIP(商標))が含まれる。
抗体は、モノクローナル抗体または単一特異性抗体であってよい。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、CDRグラフト化、又はインビトロ生成抗体であってもよい。さらに他の実施形態では、抗体は、例えばIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4から選択される重鎖定常領域を有している。別の実施形態では、抗体は、例えばκ又はλから選択される軽鎖を有する。1つの実施形態では、定常領域は、変化する、例えば抗体の特性を改変するために(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、又は補体機能の1又はそれ以上を増加又は減少させるために)変異する。典型的には、抗体は、同定済み(predetermined)抗原、例えば疾患、例えば神経変性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、及び/又は悪性疾患と関連する抗原に特異的に結合する。
Small Modular ImmunoPharmaceuticals(SMIP(商標))は、結合ドメインポリペプチドを含む変異体分子の例を提供する。SMIP並びにそれらの使用及び適用は、例えば米国公開特許出願第2003/0118592号、第2003/0133939号、第2004/0058445号、第2005/0136049号、第2005/0175614号、第2005/0180970号、第2005/0186216号、第2005/0202012号、第2005/0202023号、第2005/0202028号、第2005/0202534号、及び第2005/0238646号、並びにそれらの関連特許ファミリーメンバーの中に開示されており、これにより上記全ては、参照して全体として本明細書に組み込まれる。
単一ドメイン抗体は、それらの相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体を含むことができる。例には、重鎖抗体、天然に軽鎖が欠けている抗体、従来型四本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、遺伝子組み換え抗体及び抗体に由来する以外の単一ドメインスカフォールドが含まれるが、それらに限定されない。単一ドメイン抗体は、当分野のいずれか、又は任意の将来の単一ドメイン抗体であってよい。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、及びウシを含むがそれらに限定されない任意の種由来であってよい。本発明の1つの態様によると、本明細書において、単一ドメイン抗体は、軽鎖が欠けている重鎖抗体として公知である天然型単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、国際公開出願WO9404678の中に開示されている。明確にするために、この天然に軽鎖が欠けている重鎖抗体由来の可変ドメインは、本明細書ではそれを四本鎖免疫グロブリンの従来型VHから識別するためにVHHまたはナノボディ(nanobody)として識別される。そのようなVHH分子は、ラクダ科(Camelidae)種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルカパ及びグアナコにおいて産生された抗体由来であってよい。ラクダ科以外の他の種は、天然で軽鎖が欠けている重鎖抗体を生成できる;そのようなVHHは、本発明の範囲内に含まれる。
用語、抗体の「抗原結合フラグメント」の範囲内に含まれる結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなる、dAbフラグメント;(vi)ラクダまたはラクダ化可変ドメイン、例えば、VHHドメイン;(vii)一本鎖Fv(scFv);(viii)二重特異性抗体;及び(ix)Fc領域に融合した免疫グロブリン分子の1又はそれ以上のフラグメントが含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVL及びVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を使用して、それらをVL及びVH領域が対になって一価分子(一本鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-26;Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-83を参照)を形成する単一タンパク質鎖として作成することを可能にする合成リンカーによって結合することができる。そのような一本鎖抗体は、用語、抗体の「抗原結合フラグメント」の範囲内に含まれることも意図されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知である従来技術を用いて入手され、それらのフラグメントはインタクトな抗体と同一方法で機能について評価される。
「二重特異性」(bispecific)または「二官能性」(bifunctional)抗体以外は、抗体は、その各々が同一である結合部位を有すると理解されている。「二重特異性」または「二官能性」抗体は、2つの相違する重鎖/軽鎖対及び2つの相違する結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’フラグメントの連結を含む様々な方法によって生成できる(例えば、Songsivilai and Lachmann (1990) Clin. Exp. Immunol. 79:315-21;Kostelny et al. (1992) J. Immunol. 148:1547-53を参照)。
標的配列
本発明は、過度の実験を行わずに、全部ではなくとも大部分の周知のIRES(特に、組換えDNA法において日常的に使用されるIRES)に適用できる。そこで、本発明に関連する標的配列が任意のウイルスまたは細胞遺伝子由来のIRES配列であることは、本発明の一部である。大多数のIRESの配列は、公衆データベース、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov、www.rangueil.inserm.fr/IRESdatabaseなどから入手できる。非限定的例として、本発明は、脳心筋炎ウイルス(EMCV)ゲノムから単離されたIRESの使用に関する。従って、1つの実施形態では、本発明は、EMCV−IRESの単離かつ精製されたポリヌクレオチドに関する。
EMCV−IRESをコードするcDNAのヌクレオチド配列は、配列番号1に規定されている。本発明に関連するポリヌクレオチドには、ストリンジェント条件下で配列番号1にハイブリダイズするポリヌクレオチド、若しくはそれらの相補体、及び/又はEMCV−IRESの実質的生物学的活性を維持するmRNAをコードするポリヌクレオチドも含まれる。本発明に関連するポリヌクレオチドには、少なくとも約15〜30ヌクレオチド、例えば19〜27ヌクレオチドを含む配列番号1に規定した配列の連続部分がさらに含まれる。1つの実施形態では、本発明に関連するポリヌクレオチドは、約19または21の連続ヌクレオチドを含む配列番号1に規定した配列の連続部分をも含む。
本発明に関連する単離されたポリヌクレオチド(例えば、配列番号1、それらの相補体、及びそれらの連続部分)は、開示されたポリヌクレオチドをコードする配列と同一、又はそれらに類似する配列を有する核酸を同定及び単離するために、ハイブリダイゼーションプローブ及びプライマーとして使用できる。核酸を同定及び単離するためのハイブリダイゼーション法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、サザンハイブリダイゼーション、及びノーザンハイブリダイゼーションを含み、当業者に周知である。
ハイブリダイゼーション反応は、様々なストリンジェンシー条件下で実施できる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーには、任意の2つの核酸分子が相互にハイブリダイズする際の困難が含まれる。好ましくは、各ハイブリダイズするポリヌクレオチドは、減少したストリンジェントな条件下、より好ましくはストリンジェントな条件下、及び最も好ましくは高度にストリンジェントな条件下でその対応するポリヌクレオチドへハイブリダイズする。ストリンジェンシー条件の例は、以下の表1に示す。高度にストリンジェントな条件は、例えば少なくとも条件A〜Fと同程度にストリンジェントである;ストリンジェントな条件は、例えば少なくとも条件G〜Lと同程度にストリンジェントである;及び減少したストリンジェントな条件は、例えば条件M〜Rと同程度にストリンジェントである。
1 ハイブリッド長は、ハイブリダイズするポリヌクレオチドのハイブリダイズした領域について予想される長さである。ポリヌクレオチドを配列未知の標的ポリヌクレオチドへハイブリダイズさせる場合は、ハイブリッド長は、ハイブリダイズするポリヌクレオチドの長さであると仮定されている。配列公知のポリヌクレオチドがハイブリダイズされる場合は、ハイブリッド長は、ポリヌクレオチドの配列をアライメントさせて最適配列相補性の1又はそれ以上の領域を同定する工程によって決定できる。
2 SSPE(1×SSPEは、0.15 M NaCl、10 mM NaH2PO4、及び1.25 mM EDTA、pH 7.4である)は、ハイブリダイゼーション及び洗浄バッファー中でSSC(1×SSCは、0.15 M NaCl及び15 mM ナトリウムシトレートである)と置換することができる;洗浄はハイブリダイゼーションの完了後に15分間実施される。
B *−TR *:長さが50塩基対未満であると予想されるハイブリッドのためのハイブリダイゼーション温度は、そのハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低くなければならないが、このときTmは、下記の式によって決定される。長さが18塩基対未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A+T塩基の数(#))+4(G+C塩基の数)。長さが18〜49塩基対間のハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10 Na+)+0.41(G+Cの%)−(600/N)であるが、このときNはハイブリッド中の塩基の数であり、Na+はハイブリダイゼーションバッファー中のナトリウムイオンの濃度である(1×SSCについてのNa+=0.165 M)。
ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションについてのストリンジェンシー条件の追加の例は、参照して本明細書に組み込まれるSambrook et al. (1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Chs. 9 & 11, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, and Ausubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, Sects. 2.10 & 6.3-6.4, John Wiley & Sons, Incに提供されている。
本発明に関連する単離されたポリヌクレオチドは、開示されたポリヌクレオチドと相同の配列を有するDNAを同定かつ単離するためにハイブリダイゼーションプローブ及びプライマーとして使用することもできる。これらのホモログは、開示されたポリヌクレオチドの種とは相違する種から単離されたポリヌクレオチド、又は同一種内であるが開示されたポリヌクレオチドと有意な配列類似性を備えるポリヌクレオチドである。好ましくは、ポリヌクレオチドホモログは、開示されたポリヌクレオチドと少なくとも60%の配列同一性;より好ましくは少なくとも75%の同一性;及び最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。好ましくは、開示されたポリヌクレオチドのホモログは、ウイルス、例えばピコルナウイルス科ファミリーのウイルスから単離されたホモログである。
本発明に関連する単離されたポリヌクレオチドは、以下で記載するように、それらが発現する条件下で、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを発現する細胞及び組織を同定するためにハイブリダイゼーションプローブ及びプライマーとして使用することもできる。
一般に、本発明によるポリヌクレオチドは、発現のためのおそらく1又はそれ以上の調節配列を除いて、単離形及び/もしくは精製形の、又はそれが天然に結び付いている物質を含んでいない、若しくは実質的に含んでいない、例えばゲノム内(例えば、ピコルナウイルスゲノム)で配列に隣接する核酸を含んでいない、若しくは実質的に含んでいない単離体として提供される。本発明のポリヌクレオチドは、全体的または部分的に合成であってよく、そしてゲノムDNA、cDNA又はRNAを含むことができる。本発明によるポリヌクレオチドがRNAを含む場合は、示した配列についての言及は、例えばTと置換されたUを備えるRNA等価物についての言及と解釈すべきである。
阻害性ポリヌクレオチド
本発明の目的は、対象の遺伝子(例えば、内因性遺伝子、導入遺伝子など)の発現をダウンレギュレートする方法において使用できる標的IRESに対する阻害性ポリヌクレオチドを提供することであり、前記対象の遺伝子の転写はそのタンパク質コード領域が標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物内に存在することを生じさせ、そしてこのとき前記方法は対象の遺伝子自体の改変またはターゲティングを必要としない。本発明の別の目的は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを陽性コントロールとして使用する阻害性ポリヌクレオチドライブラリーをスクリーニングする方法を提供することである。このため、本発明者らは、対象の導入遺伝子の阻害された(即ち、減少した、干渉された、ダウンレギュレートされた、ノックダウンされたなど)発現が、IRES mRNA(例えば、EMCV−IRES mRNA)を標的とする(例えば、結合及び/又は切断する)、従ってIRES mRNAと同一mRNA転写産物上で見いだされる任意のタンパク質コード領域の翻訳を防止する阻害性ポリヌクレオチド、例えばsiRNA分子を使用することによって細胞または生体内で達成できることを証明した。
細胞または生体中における本発明に関連するIRES配列の変化した発現は、様々な阻害性ポリヌクレオチド、例えばアンチセンスポリヌクレオチド、本発明の遺伝子から転写されたmRNAを結合及び/又は切断するリボザイム、遺伝子の調節領域を標的とする三重鎖形成オリゴヌクレオチド、並びに標的mRNAの配列特異的分解を引き起こす短鎖干渉RNAを使用することによって達成できる(例えば、Galderisi et al. (1999) J. Cell. Physiol. 181:251-57;Sioud (2001) Curr. Mol. Med. 1 :575-88;Knauert and Glazer (2001) Hum. Mol. Genet. 10:2243-51;Bass (2001) Nature 411:428-29)。
本発明の阻害性アンチセンスまたはリボザイムポリヌクレオチドは、本発明に関連するIRES配列の全コード鎖、又はそのほんの一部分に相補的であり得る。あるいは、阻害性ポリヌクレオチドは、本発明に関連するIRES配列のコード鎖の非コード領域に相補的であり得る。本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、当分野において周知の方法を使用して、化学合成及び/又は酵素ライゲーション反応を用いて構築することができる。化学合成されたポリヌクレオチドのヌクレオシド結合(linkage)は、それらがヌクレアーゼ媒介性分解に抵抗する能力を増強するため、並びにそれらの配列特異性を増加させるために改変することができる。そのような結合改変には、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、モルホリノ、及びペプチド核酸(PNA)結合が含まれるがそれらに限定されない(Galderisi et al.、上記を参照; Heasman (2002) Dev. Biol. 243:209-14; Mickelfield (2001) Curr. Med. Chem. 8:1157-79)。あるいは、アンチセンス分子は、その中に本発明のポリヌクレオチドがアンチセンス(即ち、逆)方向にサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に生成できる。
さらに別の実施形態では、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド分子は、α−アノマーポリヌクレオチド分子である。α−アノマーポリヌクレオチド分子は、通常のβ−ユニットとは反対に、鎖が相互に平行に走っている相補的RNAとともに特異的二本鎖ハイブリッドを形成する。アンチセンスポリヌクレオチド分子は、当分野において公知である技術によって、2’−o−メチルリボヌクレオチドまたはキメラRNA−DNAアナログも含むことができる。
本発明に含まれる阻害性三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)は、高い特異性及び親和性で二本鎖DNAの主要溝内で結合する(Knauert and Glazer、上記を参照)。本発明の遺伝子の発現は、遺伝子の転写を防止する三重らせん構造を形成するために遺伝子の調節領域(即ち、プロモーター及び/又はエンハンサー配列)に相補的なTFOを標的とすることによって阻害できる。
本発明の1つの実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、短鎖干渉RNA(siRNA)分子である(例えば、Galderisi et al. (1999) J. Cell Physiol. 181:251-57;Sioud (2001) Curr. Mol. Med. 1:575-88を参照)。これらのsiRNA分子は、標的mRNAの配列特異的分解を引き起こす短鎖(好ましくは19〜25ヌクレオチド、より好ましくは19または21ヌクレオチド)二本鎖RNA分子である。この分解は、RNA干渉(RNAi)として知られている(例えば、Bass (2001) Nature 411:428-29)。最初は下等動物において同定されたRNAiは、哺乳動物細胞に効果的に適用され、近年にはFas mRNAを標的としたsiRNA分子を用いて処置されたマウスにおいて劇症肝炎を防止することが証明されている(Song et al. (2003) Nat. Med. 9:347-51)。さらに、硬膜下に送達されたsiRNAは近年、ラットにおける2つのモデル(アゴニスト誘導性疼痛モデル及び神経因性疼痛モデル)における疼痛反応をブロックすることが報告されている(Dorn et al. (2004) Nucleic Acids Res. 32(5):e49)。
本発明のsiRNA分子の二本鎖構造は、1又はそれ以上の鎖の重合されたRNAを含んでいてよい、即ち、二本鎖構造は、ヘアピンループを含む単一の自己相補的RNA鎖または2つの相補鎖によって形成できる。標的配列に比較して挿入、欠失、及び単一点突然変異を備えるsiRNA配列も、標的配列の発現を阻害することに有効であることが見いだされている(Fire et al.、米国特許第6,506,559号)。従って、本発明のsiRNA分子は、標的IRESに対応するmRNAの少なくとも一部分との実質的な配列同一性を備えるヌクレオチド配列を含むことが好ましい。例えば、本発明のsiRNA分子の二本鎖領域は、標的IRESに対応するmRNAの少なくとも一部分と90%を超える配列同一性、及び好ましくは100%配列同一性を有することができる。あるいは、実質的な配列同一性は、siRNA分子の二本鎖領域の少なくとも1つの鎖が、上記の表1の条件G〜Lとして規定された少なくとも、例えば、ストリンジェントな条件下で、標的IRESの少なくとも一部分にハイブリダイズする能力として規定できる。好ましい実施形態では、siRNA分子は、高度にストリンジェントな条件下、例えば、上記の表1の、例えば、条件A〜Fと少なくとも等価にストリンジェントな条件下で、標的IRESの少なくとも一部分にハイブリダイズする。本発明のsiRNA分子の二本鎖領域の少なくとも1つの鎖と標的配列の少なくとも一部分との100%配列同一性は必要とされないため、例えば配列番号1を有する、及び/又は本質的に配列番号1からなるIRES配列に対するsiRNAも、突然変異、多形、遺伝コードの冗長性(redundancy)、進化的分岐(evolutionary divergence)などに起因して配列番号1とは相違するIRES配列を含むmRNA転写産物上に位置する任意のタンパク質コード領域の発現を阻害することができる(例えば、Fire et al.、上記を参照されたい)。実質的に同一のヌクレオチド配列の長さは、少なくとも10、15、19、21、23、25、27、50、100、200、300、400、または500ヌクレオチドであってよく、好ましくは19〜27ヌクレオチドであり、最も好ましくは19または21ヌクレオチドである(例えば、Fire et al.、上記を参照されたい)。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、当分野において周知の基準(例えば、Elbashir et al. (2001) EMBO J. 20:6877-88)に基づいて、及び/又は周知のアルゴリズム(例えば、公的に入手できるアルゴリズム)を用いて設計できる。例えば、本発明の阻害性ポリヌクレオチドのターゲティング的部分(例えば、siRNA分子の二本鎖領域)は、好ましくはAA(最も好ましい)、TA、GA、またはCAで始まらなければならない;本発明のsiRNA分子は、好ましくはそれによってGC比が45〜55%である配列を含まなければならない;本発明のsiRNA分子は、好ましくは列内に3つの同一ヌクレオチド(複数)を含有していてはならない;及び本発明のsiRNA分子は、好ましくは列内に7つの混合G/Cを含有していてはならない。これらの基準、又は他の公知の基準(例えば、Reynolds et al. (2004) Nat. Biotechnol. 22:326-30)に基づくと、IRES、例えば配列番号1のヌクレオチド配列を有する、及び/又は本質的にそれからなるEMCV−IRESを標的とする本発明のsiRNA分子は、当業者であれば設計することができる。例えば、1つの実施形態では、本発明のsiRNA分子は、配列番号2のヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列、及び配列番号4のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有していてよい、及び/又は本質的にそれらからなってよい。この実施形態では、本発明のsiRNA分子は、各々配列番号2のヌクレオチド配列の相補体、配列番号3のヌクレオチド配列の相補体、及び配列番号4のヌクレオチド配列の相補体をさらに含む。
例えば、本発明のsiRNA分子は、2つの相補的一本鎖RNA分子を一緒にアニーリングする工程(Fire et al.、上記を参照)、又はそれ自体の上で折り返す単一ヘアピンRNA分子を使用することによって生成し、必要な二本鎖部分を産生することができる(Yu et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:6047-52)。siRNA分子は、化学合成できる(Elbashir et al. (2001) Nature 411:494-98)又は一本鎖DNA鋳型(Yu et al.、上記を参照)を用いるインビトロ転写によって産生できる。あるいは、siRNA分子は、生物学的に、一過性(Yu et al.、上記参照; Sui et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:5515-20)又は安定性(Paddison et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:1443-48)で、例えば以下に記載するように、それらのプロモーターに対してセンス及び/又はアンチセンス方向にある本発明に関連するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて産生することができる。組換えRNAポリメラーゼは、インビボ若しくはインビトロでの転写のために使用できる、又は改変された細胞の内因性RNAポリメラーゼはインビボでの転写を媒介できる。近年、効率的で配列特異的な方法における一次ヒト細胞中での標的mRNAのレベルの減少は、さらにsiRNA分子にプロセッシングされるヘアピンRNAを発現するアデノウイルスベクターを用いて証明された(Arts et al. (2003) Genome Res. 13:2325-32)。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、当分野において周知の方法を含む、化学合成及び酵素ライゲーション反応を用いて構築することができる。化学合成されたポリヌクレオチドのヌクレオシド結合は、改変して、それらがヌクレアーゼ媒介性分解に抵抗する能力を増強する、二本鎖RNAによって生成される一部の生体内での全身性パニック反応を回避する、及び/又はそれらの配列特異性を増加させることができる。そのような結合改変には、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、モルホリノ、及びペプチド核酸(PNA)結合が含まれるがそれらに限定されない(Galderisi et al.、上記を参照;Heasman、上記を参照;Micklefield、上記を参照)。
上述したように、本発明に関連する単離されたポリヌクレオチド、またはそれらの連続部分は、本発明の阻害性ポリヌクレオチド(例えば、siRNA分子)の組換え発現のために、発現制御配列へセンス若しくはアンチセンス方向で機能可能に連結させることができる、及び/又は発現ベクター内にライゲートすることができる。阻害性ポリヌクレオチドの組換え発現の一般的方法は、当分野において周知である。
本明細書において、発現ベクターは、それが連結されている別の核酸を運ぶことのできる核酸分子を意味することが意図されている。1つのタイプのベクターはプラスミドであり、これはその中に追加のDNAセグメントをライゲートできる環状二本鎖DNAループを意味する。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、この場合には追加のDNAセグメントをウイルスゲノム内にライゲートすることができる。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌性複製起源を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中へ導入されると宿主細胞のゲノム内に統合することができ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、所定のベクターは、それらが機能可能に連結されている阻害性ポリヌクレオチドの発現を指令することができる。そのようなベクターは、本明細書では組換え発現ベクター(又は単純に、発現ベクター)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。本明細書では、プラスミド及びベクターは、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、互換的に使用されることがある。しかし、本発明は、他の形態の発現ベクター、例えば等価機能に役立つウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)を含むことが意図されている。
当業者であれば、それから本発明の阻害性ポリヌクレオチドを転写できる発現ベクターを作製する方法を知っている。第1に、当業者であれば、調節領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、スプライスドナー、アクセプターなど)を使用すると発現構築物から本発明の阻害性ポリヌクレオチドのRNA鎖(一本または複数)を転写させられることを知っている。第2に、当業者であれば、例えば本発明の二本鎖siRNA分子を作り出す際には、標的IRESの標的部分のセンス及びアンチセンス鎖は、一緒にアニーリングする2つの個別RNA鎖として、又はヘアピンループを形成してそれ自体でアニーリングする単一RNA鎖として転写させることができることを認識する。例えば、当業者は、転写が二方向性で発生し、引き続いてアニーリングして本発明の阻害性siRNAを形成できる相補性RNA鎖を生じさせるように、それにより標的IRESの標的部分が2つのプロモーター(例えば、2つのバクテリオファージT7プロモーター、又は2つの相違するプロモーター)間に挿入される発現構築物を作り出す方法を知っている。あるいは、標的IRESの標的部分は単一発現ベクター上で一緒に第1及び第2コード領域として存在してよいが、このとき標的IRESの標的部分の第1コード領域はその制御プロモーターに対してセンス方向にあり、そして標的IRESの標的部分の第2コード領域はその制御プロモーターに対してアンチセンス方向にある。当業者であれば、標的IRESの標的部分のセンス及びアンチセンスコード領域の転写が2つの個別プロモーターから発生する場合は、結果が、引き続いてアニーリングして本発明の阻害性siRNAを形成できる2つの個別RNA鎖となることを認識する。他方、標的IRESのセンス及びアンチセンス標的部分の転写が単一プロモーターによって制御される場合は、結果として生じる転写産物は自己相補的、即ちそれ自体の上で折り返すことによって二本鎖を形成して本発明のsiRNA分子を作り出す単一ヘアピンRNA鎖である。後者の構成では、当業者は、例えば標的IRESの標的部分のセンス及びアンチセンスコード領域間のヌクレオチドのスペーサーは、一本鎖RNAがヘアピンループを形成する能力を改善することをさらに認識するが、このときヘアピンループはスペーサーを含む。好ましい実施形態では、スペーサーは、少なくとも約5、9、11、または15ヌクレオチドのヌクレオチド長を含む。最後に、当業者であれば、標的IRESの標的部分のセンス及びアンチセンスコード領域が各々個別発現ベクター上でその固有プロモーターの制御下にあってよいことを認識する。
本発明の組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば宿主細胞内のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起源)及び選択可能なマーカー遺伝子を運ぶことができる。選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、その中にベクターが導入されている宿主細胞上で、薬物、例えばG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキセートに対する耐性を付与する。好ましい選択可能なマーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセートの選択/増幅を用いてdhfr-宿主細胞において使用するため)及びネオ(neo)遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及びその他の配列、例えば宿主細胞内のベクターの複製を必要に応じて調節する配列(例えば、複製起源)を含む、適切な調節配列を含有する適切なベクターを選択または構築することができる。ベクターは、必要に応じて、プラスミドまたはウイルス、例えばファージ、又はファージミドであってよい。更なる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd ed., Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照されたい。核酸を操作するための、例えば核酸構築物の調製、突然変異誘発、シーケンシング、細胞内へのDNAの導入及び遺伝子発現、並びにタンパク質の分析のための多数の公知の技術及びプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology, 2nd ed., Ausubel et al. eds., John Wiley & Sons, 1992の中に詳細に記載されている。
1つの実施形態では、本発明の組換えベクターは、上述したような本発明の阻害性ポリヌクレオチドを転写させるために、配列番号1のヌクレオチド配列及びその相補体、又はそれらの連続部分を有する、及び/又は本質的にそれらからなるEMCV−IRESを含む。例えば、本発明の発現ベクターは二本鎖DNAの1又は2つのコピーを含んでいてよいが、このとき第1DNA鎖は、配列番号1のヌクレオチド27〜46のヌクレオチド配列、配列番号1のヌクレオチド347〜366のヌクレオチド配列、配列番号1のヌクレオチド472〜491のヌクレオチド配列、及びそれらの部分配列または部分からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでおり、そして第2DNA鎖は第1DNA鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。当業者であれば、そのような構築物は、配列番号2のヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列、配列番号4のヌクレオチド配列、及びそれらの部分配列各々からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有する、又は本質的にそれらからなる本発明の阻害性ポリヌクレオチドを生成できることを理解する。従って、配列番号1のヌクレオチド27〜46(即ち、配列番号2)、配列番号1のヌクレオチド347〜366(即ち、配列番号3)、及び配列番号1のヌクレオチド472〜491(即ち、配列番号4)は、典型的なsiRNA標的部位を表す。
宿主細胞/生体
本発明のさらなる態様は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを用いて宿主細胞または生体を改変する方法を提供する。さらに、本発明は、本明細書に開示した阻害性ポリヌクレオチドを含む宿主細胞または生体を提供する。
多数の細胞系は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを導入するため、または組換え発現させるために適切な宿主細胞として機能できる。本発明の阻害性ポリヌクレオチド(またはそれから本発明の阻害性ポリヌクレオチドが転写される発現ベクター)は、例えば植物または動物組織由来の細胞系内に導入することができる。当業者であれば、本発明の阻害性ポリヌクレオチド(またはそれから本発明の阻害性ポリヌクレオチドが転写される発現ベクター)は、好ましくは本発明に関連するIRESポリヌクレオチド、例えば配列番号1を含む宿主細胞内に、及びより好ましくは本発明に関連するIRESポリヌクレオチドを含むように改変されている宿主細胞内に導入されることを認識する。当業者であれば、本発明の一部として、IRESポリヌクレオチドを標的とする本発明の阻害性ポリヌクレオチドが改変された宿主細胞に導入されるときの内因性遺伝子による偶発的な阻害を防止するために、哺乳動物宿主細胞は、本発明に関連するウイルスIRESポリヌクレオチドを含むように改変すべきであることを認識する。宿主細胞が哺乳動物細胞に由来しない場合には、哺乳動物遺伝子由来のIRES配列が好ましいだろう。これらは好ましい実施形態であるが、当業者であれば、例えば制御の目的で、本発明に関連するIRESポリヌクレオチドを含んでいない宿主細胞内に本発明の阻害性ポリヌクレオチド(又はそれから本発明の阻害性ポリヌクレオチドが転写される発現ベクター)を導入できることも認識する。
哺乳動物宿主細胞系には、例えば、COS細胞、CHO細胞、293細胞、A431細胞、3T3細胞、CV−1細胞、HeLa細胞、L細胞、BHK21細胞、HL−60細胞、U937細胞、HaK細胞、Jurkat細胞、並びに初代組織及び初代外植片のインビトロ培養に由来する細胞株が含まれる。植物宿主細胞系には、トウモロコシ、タバコ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブラナ、及びアオウキクサ(Lemna)植物細胞が含まれるが、それらに限定されない。
あるいは、下等真核生物、例えば酵母又は原核生物においては、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを組換え発現させることが可能である。潜在的に適切な酵母菌株には、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)菌株、及びカンジダ(Candida)菌株が含まれる。潜在的に適切な細菌菌株には、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)が含まれる。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、本発明の単離されたポリヌクレオチドを1又はそれ以上の昆虫発現ベクター、例えばバキュロウイルスベクター内の適切な制御配列へ機能可能に連結させることによって、及び昆虫細胞発現系を使用することによって組換え発現させることもできる。バキュロウイルス/Sf9発現系のための材料及び方法は、キット形(例えば、MAXBAC(登録商標)キット、Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)で市販で入手可能である。
本発明の阻害性ポリヌクレオチド(又はそれから阻害性ポリヌクレオチドが転写される発現ベクター)を宿主細胞または生体中に導入するために利用できる任意の技術は、当業者には周知であり、使用できる。
例えば、化学合成された場合、又はインビトロ酵素合成された場合は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは宿主細胞または生体内へ導入する前に精製されてよい。例えば、RNAは、溶媒若しくは樹脂を用いた抽出、沈降、電気泳動法、クロマトグラフィー、又はそれらの組み合わせによって混合物から精製することができる。あるいは、RNAは、サンプルの処理に起因する損失を回避するために精製を全く行わずに、又は最小限の精製を行って使用できる。RNAは、保存のために乾燥させる、又は水溶液中に溶解させることができる。溶液は、二本鎖のアニーリング、及び/又は安定化を促進するためにバッファーまたは塩を含有していてよい。精製後、本発明の阻害性ポリヌクレオチド(又はそれから阻害性ポリヌクレオチドが転写される発現ベクター)は、細胞中に直接導入できる、生体の腔内若しくは間質腔内若しくは循環内に細胞外導入できる、経口導入できる、又は本発明の阻害性ポリヌクレオチドを含む溶液中に細胞若しくは生体を水浴させることによって導入できる。核酸を導入する物理的方法には、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを含む溶液の注射、阻害性ポリヌクレオチドによって被覆された粒子による照射(bombardment)又は溶液中に細胞若しくは生体を浸漬又は水浴させること、又はエレクトロポレーションが含まれる。
真核細胞については、本発明の阻害性ポリヌクレオチドをコードする発現ベクターを導入するための適切な技術は、カルシウムホスフェート形質移入、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性形質移入、及びレトロウイルス若しくはその他のウイルス、例えばワクシニアウイルス、もしくは昆虫細胞のためにはバキュロウイルスを用いた形質導入を含むことができる。好ましい実施形態では、ウイルス粒子内にパッケージングされたウイルス構築物は、本発明の発現構築物の細胞内への効率的導入及び発現構築物によってコードされる本発明の阻害性ポリヌクレオチドの転写の両方を遂行する。細菌細胞のためには、適切な技術はカルシウムクロライド形質転換、エレクトロポレーション及びバクテリオファージを用いた形質移入を含むことができる。当業者であれば、植物細胞のためには、真核細胞のために使用される技術に類似する周知の技術(例えば、アグロバクテリウム媒介性形質転換及びプラスミドDNAを植物組織中へ物理的に導入するために金粒子を使用する「遺伝子銃(gene gun)」法)を使用できることを認識する。さらに、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、以下の、細胞による取り込みを増強する、二本鎖のアニーリングを促進する、アニーリングされた鎖のハイブリダイゼーションを安定化する、又はさもなければ標的IRESのターゲティングを増加させる活性の1又はそれ以上を実施する成分と一緒に導入できる。最後に、導入の後には、核酸からの発現を誘発または可能にすることが、例えば前記遺伝子を発現させるための条件下で宿主細胞を培養することが続いてもよい。
生体内での本発明の阻害性ポリヌクレオチドの発現は、そのゲノム内に本発明に関連するIRESポリヌクレオチド、又はそれらの連続部分が導入されている非ヒトトランスジェニック植物または動物の作製によっても達成できる。そのようなトランスジェニック植物または動物には、本発明の阻害性ポリヌクレオチドの複数のコピーを有するものが含まれる。組織特異的調節配列は、特定の細胞又は特定の発達段階へ本発明の阻害性ポリヌクレオチドの発現を指令するために、IRESポリヌクレオチド、またはそれらの連続部分へ機能可能に連結させることができる。トランスジェニック植物を(例えば、阻害性ヌクレオチドの物理的導入によって)生成するため、またはトランスジェニック動物を(例えば、動物、例えばマウス、ヤギ、線虫類などを含むがそれらに限定されない胚操作及びマイクロインジェクションによって)生成するための方法は、標準的になっており、当分野において周知である(例えば、Ma et al. (1995) Science 268:716-19;Smith and Glick (2000) Biotechnol. Adv.18:85-89;Peeters et al. (2001) Vaccine 19:2756-61;.Bockamp et al. (2002) Physiol. Genomics 11:115-32)。
発明の方法
伝統的な遺伝子スクリーニングによる、時間のかかり、多大な労力を要する変異体の単離の代わりに、特徴付けられていない遺伝子の機能は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを使用して、対象の遺伝子(例えば、内因性遺伝子、導入遺伝子など)の発現を阻害することによって決定できる。そのような発現の阻害は、例えば対象の遺伝子の量を減少させるため、及び/又は活性の時機を変化させるために使用できる。本発明は、医薬品のための潜在的標的を決定すること、発達に関連する正常及び病理的事象を理解すること、出生後発達/加齢の原因となるシグナリング経路を決定することなどに使用できる。非限定的例として、単純なアッセイは、宿主細胞を改変して、タンパク質コード領域が標的IRESに対応する配列を含むmRNA転写産物に転写されるように対象の(機能が公知または未知の)導入遺伝子を発現する、及びその後に標的IRESを標的とする本発明の阻害性ポリヌクレオチドを使用して、対象の導入遺伝子の発現を阻害する(減少させる、ダウンレギュレートする、ノックダウンする、抑制するなど)ことである。別の非限定的実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、スクリーニングアッセイ、例えばsiRNAスクリーニングアッセイにおいて陽性コントロールとして使用される。
発現の阻害は、遺伝子産物(例えば、mRNA及び/又はタンパク質)のレベルにおける観察可能な減少を意味しており、宿主細胞若しくは生体の顕著な特性の試験、または生化学的技術、例えばハイブリダイゼーション反応(例えば、ノーザンブロット分析、RNase保護アッセイ、マイクロアレイ分析など)、逆転写及びポリメラーゼ連鎖反応、結合反応(例えば、ウエスタンブロット、ELISA、FACSなど)、レポーターアッセイ、薬物耐性アッセイなどによって検出できる。検出方法に依存して、未処理宿主細胞または生体に比較して本発明の阻害性ポリヌクレオチドを用いて処理された宿主細胞または生体による対象の遺伝子の発現の5%、10%、33%、50%、90%、95%または99%を超える阻害を予測できる。さらに、本明細書に提供する方法による宿主細胞の集団の処理は、対象の遺伝子の阻害された発現を示す細胞の画分(例えば、処理された細胞の少なくとも2%、5%、10%、20%、50%、75%、90%、95%、または99%)を生じさせることができる。阻害性ポリヌクレオチドの用量を増加させると、検出される阻害の量を増加させることができる。当業者であれば、阻害性ポリヌクレオチドは標的IRESに向けられ、対象の遺伝子には向けられないため、処理された細胞または生体内の対象の遺伝子の発現の定量は、タンパク質レベルに比較してmRNAレベルでの似ていないレベルの阻害を示す可能性があることを認識する。1つの実施例として、阻害の効率は対象の遺伝子のmRNAレベルを、例えばノーザンブロット分析によって検出することによって決定できるが、阻害のレベルを決定する好ましい方法は、タンパク質のレベルを検出することによる方法である。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、上述したように、細胞内への阻害性ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーの導入を可能とするために十分な量で、宿主細胞または生体内に導入することができる。高用量(例えば、1つの細胞につき少なくとも5、10、100、500、または1000コピー)の阻害性ポリヌクレオチドは、より効果的阻害を生じさせることができる。
対象の導入遺伝子のダウンレギュレーション
本発明は、対象の導入遺伝子の発現を阻害する方法であって、そのタンパク質コード領域が、宿主細胞または生体によって標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物に転写される方法を提供する。本方法は、対象の導入遺伝子を含む宿主細胞または生体内に標的IRESを標的とする本発明の阻害性ポリヌクレオチドを導入する工程を含み、前記導入遺伝子は、標的IRESに対応する配列を含むmRNA転写産物に転写される。当業者であれば、本発明の阻害性分子は特異的にIRESを標的とするが、本発明の阻害性ポリヌクレオチドの導入は、IRESと同一のmRNA転写産物上に位置する任意のタンパク質コード領域のダウンレギュレーションも生じさせることを認識する。
従って、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは特に有用であるが、これはそれらを使用すると標的IRES以上の発現を阻害できるためである。即ち、それらを使用すると、相違する、即ち阻害性ポリヌクレオチドの配列に対応しないヌクレオチド配列を備える導入遺伝子の発現をノックダウンすることができる(実施例1を参照)。任意の導入遺伝子は、導入遺伝子の転写によって、本発明に関連するIRES配列に対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物内にあるそのタンパク質コード領域が生じる限り、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを用いて阻害できる。
スクリーニングアッセイ
上述したように、標的IRESを標的とする本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、遺伝子、例えば標的IRESに対応する配列を含むmRNA転写産物の一部として転写される導入遺伝子の発現を阻害するために使用できる。少なくとも1つの他の実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、特定の遺伝子(内因性遺伝子、導入遺伝子などを含む)に対する阻害性ポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングする方法において陽性コントロールとして使用される。
本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、対象の遺伝子の発現を最適に阻害する阻害性ポリヌクレオチドについて、阻害性ポリヌクレオチド、例えばsiRNA分子のライブラリーをスクリーニングする方法における陽性コントロールとして有用である。ハイスループットアッセイのためには、各アッセイプレート上の陽性コントロールは、各プレートからの結果の妥当性を確認するために使用できる。
例えば、対象の導入遺伝子は、そのタンパク質コード領域が標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部として転写されるように、発現ベクター内に配置することができる。発現ベクターは、次に宿主細胞を改変するために使用されえる。改変された宿主細胞は、次に対象の導入遺伝子に対する阻害性ポリヌクレオチドのライブラリーにかけることができるが、このときこのライブラリーは、標的IRESを標的とする本発明の少なくとも1つの阻害性ポリヌクレオチドを陽性コントロールとして含む。
本発明の別の実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、対象の内因性遺伝子に対する阻害性ポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングするため、又はスクリーニングを最適化するための陽性コントロールとして使用される。例えば、宿主細胞はレポーター核酸を含む発現ベクターを用いて改変することができるが、このときレポーター核酸のタンパク質コード領域は、標的IRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部である。この実施形態では、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、レポーター核酸の発現を阻害することによって陽性コントロールとして有用である。周知のレポーターアッセイによるレポーター核酸活性のそのような阻害を検出することは、スクリーニングプロトコールのバリデーションとして機能する。
レポーター核酸の発現をダウンレギュレートする方法において本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、対象の内因性遺伝子に対する阻害性ポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングするため、及び/又は新規な表現型を誘導できる配列について導入遺伝子のライブラリーをスクリーニングするために有用に使用できる。後者の方法における阻害性ポリヌクレオチドの機能は、本発明の阻害性ポリヌクレオチドが、IRESに対応する配列を含むmRNA転写産物に転写される任意の遺伝子の発現をダウンレギュレートする能力に由来する。例えば、ライブラリーは複数の発現ベクターを含むことができるが、このとき各発現ベクターは、各々が同一の1つのポリシストロン性mRNAに転写されるように、固有の導入遺伝子の配列、IRES、及びレポーター核酸を含む。次にこのライブラリーを使用して、複数の宿主細胞を改変するが、前記複数の各宿主細胞は、相違する発現ベクターを用いて改変される。次に各改変された宿主細胞の表現型を観察することができる。次に対象の表現型を産生する導入遺伝子を、本発明の阻害性ポリヌクレオチドを用いて詳細に分析する(例えば、その発現を阻害する)ことができるが、このとき前記レポーター核酸のダウンレギュレーションは、表現型における観察結果の裏返しが前記導入遺伝子のダウンレギュレーションと相関するという陽性指標として機能する。
上述したアッセイでは、多数の周知のレポーター核酸及び関連アッセイを使用できる。1つの実施形態では、レポーター核酸は、緑色蛍光タンパク質である。第2実施形態では、レポーターは、β−ガラクトシダーゼである。他の実施形態では、レポーター核酸は、アルカリホスファターゼ、β−ラクタマーゼ、ルシフェラーゼ、又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼである。
本発明は、単独で、又はサンプル、即ち、宿主細胞または生体を試験するために本発明の阻害性ポリヌクレオチドの導入を実施するために必要な少なくとも1つの試薬を有するキットの成分として使用できる。そのようなキットは、キットの使用者が本発明を実施することを可能にする取扱説明書をさらに含むことができる。
本出願を通して言及した全参考文献、特許、及び特許出願の全内容は、これにより参照して本明細書に組み込まれる。
実施例
以下の実施例は、本発明の例示的実施形態を提供するもので、決して本発明を限定するものではない。当業者であれば、多数の他の実施形態が本発明の範囲内に含まれることを認識する。
EMCV−IRESに対するsiRNAを用いた遺伝子発現のノックダウン
実施例1.1:材料及び方法
公的に入手できるDharmacon siRNA設計アルゴリズム(www.dharmacon.com/sidesign/を参照;さらに、Reynolds et al.、上記を参照)を使用して、EMCV−IRESに対するsiRNA分子(以後「siRNA」と呼ぶ)を設計した。IRES配列の3つの部分は、Dharmaconアルゴリズムによって最適な標的配列(IRES1、IRES2、IRES3)であると同定され、siRNA分子による標的とされるために選択された(図1)。特に、siRNA1、siRNA2、及びsiRNA3は、各々IRES1、IRES2、及びIRES3を標的とするためにDharmacon社(コロラド州ラフィーエット)によって合成された(図1)。
3つの合成されたsiRNA分子を使用して、組換え抗体を発現するように安定的に改変されたCHO細胞系を形質移入した。CHO細胞系は、抗体の重鎖をコードする発現ベクター及び抗体の軽鎖をコードする発現ベクターを用いて改変した。発現ベクターは、重鎖または軽鎖のいずれかをポリシストロン性mRNAに転写し、このポリシストロン性mRNAは、EMCV−IRESに対応する配列の上流にある重鎖または軽鎖タンパク質コード領域、及びEMCV−IRESに対応する配列の下流にある相違する選択可能なマーカーを含んだ。EMCV−IRES含有転写産物のsiRNA媒介性ノックダウンは組換え抗体(即ち、IRESの上流にある重鎖及び軽鎖遺伝子の一方又は両方)の発現のノックダウンを生じさせると予測された。そのような発現のノックダウンは、例えば、ウエスタンブロット分析、ELISA、又はビーズに基づく自動捕捉/検出法(例えば、IGENに基づくアッセイ(Roche Diagnostics社、カリフォルニア州アラメダ))によって、条件培地中の組換えモノクローナル抗体の発現を監視することによって容易に評価される。改変されたCHO細胞は、72時間及び144時間分泌アッセイにおいて、個別に各siRNAによって、又は全3つのsiRNAのプールによって形質移入した(各々、n=3)。抗体力価及び細胞数は、IGENに基づくアッセイを使用して72時間(3日間)後及び144時間(6日間)後に評価して細胞特異的生産性(力価/細胞数/日)を推定したが、これは実験中の播種密度及び細胞増殖の相違についての力価データを標準化したものである。
実施例1.2:結果
図2A及び2Bは、全3つのsiRNAが、条件培地中でのモノクローナル抗体導入遺伝子発現のノックダウンを媒介できることを示している。IRES2及びIRES3に対するsiRNA分子は、IRES1に対するsiRNA分子より有効であると思われ、siRNA分子のプールは、発現をノックダウンすることに極めて有効であった。ノックダウンは、形質移入の72時間後及び144時間後の両方で観察された。この作用は、相違するモノクローナル抗体を発現する数種のCHO細胞系において観察された(データは示していない)。本発明は、IRES siRNAを、発現ベクター内でIRESを利用する細胞系と一緒に使用できることを証明している。力価に基づくアッセイを用いた産物遺伝子発現のノックダウンを監視できるため、他のバリデーションアッセイ、例えばリアルタイムPCRの開発の必要も排除できる。
(図1)EMCV−IRESのヌクレオチド配列(配列番号1に相当)を示した図である。EMCV−IRES配列内でボールド体で示されているのは、siRNA分子が最適に標的とすることができるEMCV−IRES配列の3つの部分の例である(IRES1、IRES2、及びIRES3;各々、配列番号2、3、及び4)。さらに四角形の中に示されているのは、EMCV−IRES(各々、IRES1、IRES2、及びIRES3で)を標的とするために使用できる3つのsiRNA分子の例(各々、siRNA1、siRNA2、及びsiRNA3;各々、配列番号5、6、及び7)である。
(図2A)以下の(x軸):コントロール形質移入試薬(コントロール)、IRES1に対するsiRNA1分子(IRES1)、IRES2に対するsiRNA2分子(IRES2)、IRES3に対するsiRNA3分子(IRES3)、又はsiRNA1、siRNA2及びsiRNA3分子のプール(プール)によって形質移入させた後に少なくとも1つのEMCV−IRES配列を含むポリシストロン性mRNAから抗体を発現させるために遺伝子組み換えされたCHO細胞によって生成された抗体力価(μg/ml;y軸)を示した図である。棒は、形質移入3日後
又は形質移入6日後(第6日;■)いずれかの、3回の実験(n=3)の抗体力価の平均値±SEMを示している。
(図2B)以下の(x軸):コントロール形質移入試薬(コントロール)、IRES1に対するsiRNA1分子(IRES1)、IRES2に対するsiRNA2分子(IRES2)、IRES3に対するsiRNA3分子(IRES3)、又はsiRNA1、siRNA2及びsiRNA3分子のプール(プール)によって形質移入させた後に少なくとも1つのEMCV−IRES配列細胞を含むポリシストロン性mRNAから抗体を発現させるために遺伝子組み換えされたCHO細胞によって生成された組換え抗体の細胞特異的生産性(力価/細胞数(#)/日;y軸)を示した図である。棒は、形質移入3日後
又は形質移入6日後(第6日;■)いずれかの、3回の実験(n=3)の抗体力価の平均値±SEMを示している。

Claims (25)

  1. IRESに対する阻害性ポリヌクレオチド。
  2. 前記IRESが配列番号1のヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  3. 前記阻害性ポリヌクレオチドがsiRNAの第1鎖を含む、請求項2に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  4. 前記siRNAの第1鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列、配列番号1のヌクレオチド配列の一部分、配列番号1のヌクレオチド配列の相補体、及び配列番号1のヌクレオチド配列の相補体の一部分からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物を有する、請求項3に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  5. 前記siRNAの第1鎖は、長さが5〜548ヌクレオチドである、請求項4に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  6. 前記siRNAの第1鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列、配列番号4のヌクレオチド配列、及びそれらの部分配列のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物を有する、請求項5に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  7. 前記siRNAの第1鎖が、自己相補的であり、さらにヘアピンループを含む、請求項6に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  8. 前記siRNAの第1鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、配列番号3のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、及び配列番号4のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列のRNA等価物をさらに含む、請求項7に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  9. 前記阻害性ポリヌクレオチドがアンチセンス分子である、請求項2に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  10. 前記阻害性ポリヌクレオチドが、前記siRNAの第1鎖に相補的であるsiRNAの第2鎖をさらに含む、請求項6に記載の阻害性ポリヌクレオチド。
  11. 請求項1から9の一項に記載の前記阻害性ポリヌクレオチドをコードする単離されたDNA分子。
  12. 前記DNA分子が、少なくとも1つの発現制御配列へ機能可能に連結される、請求項11に記載の単離されたDNA分子。
  13. 請求項12に記載の単離されたDNA分子によって形質転換又は形質移入された宿主細胞。
  14. 請求項1から9の一項に記載の前記阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNAを含有する微生物。
  15. 体細胞及び生殖細胞が、請求項1から9の一項に記載の前記阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNAを含有する、非ヒトトランスジェニック動物。
  16. 体細胞及び生殖細胞が、請求項1から9の一項に記載の前記阻害性ポリヌクレオチドをコードするDNAを含有する、トランスジェニック植物。
  17. 請求項10に記載のsiRNAの第2鎖をコードする単離されたDNA分子。
  18. 前記DNA分子が、少なくとも1つの発現制御配列へ機能可能に連結される、請求項17に記載の単離されたDNA分子。
  19. 請求項18に記載の単離されたDNA分子によって形質転換又は形質移入された宿主細胞。
  20. 請求項10に記載の前記siRNAの第2鎖をコードするDNAを含有する微生物。
  21. 体細胞及び生殖細胞が、請求項10に記載の前記siRNAの第2鎖をコードするDNAを含有する、非ヒトトランスジェニック動物。
  22. 体細胞及び生殖細胞が、請求項10に記載の前記siRNAの第2鎖をコードするDNAを含有する、トランスジェニック植物。
  23. 請求項1に記載の阻害性ポリヌクレオチドを含むキット。
  24. 宿主細胞による導入遺伝子の発現をダウンレギュレートする方法であって、前記導入遺伝子がIRESに対応するヌクレオチド配列を含むmRNA転写産物の一部として転写され、前記IRESを標的とする阻害性ポリヌクレオチドを前記宿主細胞内に導入する工程を含む方法。
  25. 前記IRESは、本質的に配列番号1のヌクレオチド配列からなる、請求項24に記載の方法。
JP2009506779A 2006-04-19 2007-04-19 Ires配列を標的とする短鎖干渉rna二本鎖及びそのための使用 Ceased JP2009534040A (ja)

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