JP2009532459A - 1,2または3,2複素環を有する19−ノル−ビタミンdアナログ - Google Patents
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Abstract
アナログのA-環の3β-酸素と炭素-2または1α-酸素と炭素-2を連結する追加の複素環を有する19-ノル-ビタミンDアナログ、およびそれらの薬学的使用について開示する。これらの化合物は、骨の動員において有意な活性を示し、骨粗鬆症、骨軟化症、骨減少症、腎性骨形成異常症、および副甲状腺機能低下症の治療または予防のための治療薬となる。
Description
発明の背景
天然のホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3およびそのエルゴステロール系アナログ、すなわち1α,25-ジヒドロキシビタミンD2は、動物およびヒトにおけるカルシウムホメオスタシスの高度に強力な調節因子として知られており、より最近になって細胞分化におけるそれらの活性が確立されてきた。Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)(非特許文献1)。1αヒドロキシビタミンD3、1αヒドロキシビタミンD2、様々な側鎖で同族体化されたビタミンおよびフッ素化されたアナログを含む、これらの代謝産物の多くの構造的アナログが、調製されかつ試験されている。これらの化合物の一部は、細胞分化およびカルシウム調節において興味深い活性の違いを示している。この活性の差異は、腎性骨形成異常症、ビタミンD-抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、およびある種の悪性疾患のような様々な疾患の治療において有用であることができる。
天然のホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3およびそのエルゴステロール系アナログ、すなわち1α,25-ジヒドロキシビタミンD2は、動物およびヒトにおけるカルシウムホメオスタシスの高度に強力な調節因子として知られており、より最近になって細胞分化におけるそれらの活性が確立されてきた。Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)(非特許文献1)。1αヒドロキシビタミンD3、1αヒドロキシビタミンD2、様々な側鎖で同族体化されたビタミンおよびフッ素化されたアナログを含む、これらの代謝産物の多くの構造的アナログが、調製されかつ試験されている。これらの化合物の一部は、細胞分化およびカルシウム調節において興味深い活性の違いを示している。この活性の差異は、腎性骨形成異常症、ビタミンD-抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、およびある種の悪性疾患のような様々な疾患の治療において有用であることができる。
1990年に、ビタミンDアナログの新規クラス、すなわち、ビタミンD系に典型的なA環の環外メチレン基(炭素19)の、2個の水素原子による置換を特徴とする、19-ノル-ビタミンD化合物と称されるものが発見された。そのような19-ノル-アナログ(例えば、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3)の生物学的試験は、細胞分化を誘導する能力が高く、カルシウム移行活性が極めて低い、選択的活性プロファイルを明らかにした。従ってこれらの化合物は、悪性疾患の治療、または様々な皮膚障害の治療のための治療薬として有用である可能性がある。このような19-ノル-ビタミンDアナログの二つの異なる合成法が説明されている(Perlman et al., Tetrahedron Letters 31, 1823 (1990)(非特許文献2);Perlman et al., Tetrahedron Letters 32, 7663 (1991)(非特許文献3)、およびDeLucaらの米国特許第5,086,191号(特許文献1))。数年後、2-位がヒドロキシまたはアルコキシ基で置換された1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3のアナログが、合成された(DeLucaらの米国特許第5,536,713号(特許文献2))。それらが、興味深い選択的活性プロファイルを示すことは確立されている。これらの研究は全て、ビタミンD受容体における結合部位は、合成されたビタミンDアナログのC-2における異なる置換基を収容することができることを指摘している。
薬理学的に重要なビタミンD化合物の19-ノル種を探求するために努力が続けられ、炭素10(C-10)から炭素2(C-2)へのA環の環外メチレン基の転移(transposition)により特徴付けられるアナログ、すなわち2-メチレン-19-ノル-ビタミンD化合物が、最近合成されかつ試験された(Sicinski et al., J. Med. Chem., 41, 4662 (1998)(非特許文献4);Sicinski et al., Steroids 67, 247 (2002)(非特許文献5);DeLucaらの米国特許第5,843,928号(特許文献3)、第5,936,133号(特許文献4)および第6,382,071号(特許文献5))。これらのアナログについて実行された分子機構試験は、A環の立体配座の変化は、シクロヘキサンジオール環の「平坦化(flattening)」を生じると予想することができることを示した。分子機構の計算およびNMR試験から、それらのA環の立体配座の平衡は、エクアトリアル1α-OHを有する配座異性体に好ましい、約6:4であることが確立された。2-メチレン基の19-ノル-ビタミンD炭素骨格への導入は、その(1α-および3β-)A-環ヒドロキシルの性質を変更し;これらは両方ともその時点ではアリル系位置にあり、これは天然ホルモン分子1α,25-(OH)2D3における1αヒドロキシル基(生物学的活性に重要)に類似している。1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノルビタミンDアナログは、「非天然」(20S)-立体配置を持つ化合物において劇的に増強される、重要な生物学的効能により特徴付けられることがわかった。
ごく最近になって、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3の2-エチリデンアナログが合成された。そのようなA環の修飾は、重要な化合物の生物学的効能を生じ、これは特にE-幾何異性体において増強されたことがわかった。Sicinski et al., J. Med. Chem., 45, 3366 (2002)(非特許文献6)。興味深いことに、E-異性体は、エクアトリアル配向に1αヒドロキシルを有するある特定の椅子形にかなりシフトした、A環の立体配座の平衡を有することが確立されている。同じく、C-2の置換プロピリデン部分の存在を特徴とするアナログも合成され、かつ予備的生物学的試験は、E-幾何異性体の強力かつ選択的(腸の)カルセミック(calcemic)活性を示した。
ビタミンD化合物におけるA-環立体配座の平衡は、30年以上にわたりかなりの研究上の関心が集まっている。NMR分光法および力場計算法の開発は、α-およびβ-椅子形A-環型の平衡の割合を確立し、更には予測さえも可能にした。これらの研究に平行して、別の密接に関連した問題点、すなわちA-環の立体配座のビタミンD化合物の生物学的活性との相関関係が、文献において考察されている。1974年と早くに、1αヒドロキシ基のエクアトリアル配向(すなわち、β-椅子形)は、カルシウム調節能に必要であることが提唱された[Okamura et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 71, 4194 (1974)(非特許文献7)]。最近、Morasは、天然のホルモンに結合したhVDRリガンドの結合ドメイン(LBD)の結晶構造[Moras et al, Moll. Cell, 5, 173 (2000)(非特許文献8)]、およびC-20に非天然の立体配置を伴うリガンドの結晶構造[Moras et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 5491 (2001)(非特許文献9)]を報告し、ならびにビタミンD受容体は、(少なくとも結晶状態では)β-椅子形立体配座においてそれらのA-環を有するビタミンDアナログに結合することが明らかになってきている。従って、そのA環の反対のα-椅子形立体配座を推測するのみであり、かつ結果としてアキシアル配向に1αヒドロキシ基を有する、ビタミンDアナログを合成することは興味深いように見える。
生物学的活性の研究の継続時に、追加の環および「平坦化された結合」システムの存在を特徴とするアナログである2-アルキリデン-19-ノルビタミンD化合物[Corey et al, J. Org. Chem., 45, 757 (1980)(非特許文献10)]が、合成および試験されている。このような19-ノルビタミンD化合物は、それらの分子の構造的拘束は、それらのA環が別のβ-椅子形へ反転(flipping over)することを防ぎ、A-環α-椅子立体配座を効果的に「固定する(freezing)」ので、興味深い目的であるように見える。
発明の概要
本発明は、1α,25-ジヒドロキシおよび3β,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3アナログ、それらの生物学的活性、およびこれらの化合物の様々な薬学的使用に関する。
本発明は、1α,25-ジヒドロキシおよび3β,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3アナログ、それらの生物学的活性、およびこれらの化合物の様々な薬学的使用に関する。
これまで公知ではない1αヒドロキシル化されたビタミンD化合物種は、除去されたC-10にA-環の環外メチレン部分を有し、ならびに3β-酸素およびC-2を連結する追加の環を有する、ビタミンD異性体である。同じく1α-酸素およびC-2を連結する追加の環を有するそれらの幾何異性体は、19-ノルビタミンD化合物の未知の種を表している。構造的にこれらの新規アナログは、下記一般式IおよびIIにより特徴付けられており:
ここで、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、ならびにR基が、ビタミンD系化合物について公知の典型的側鎖のいずれかを表す。従ってRは、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基であってよいか、またはRは、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合は、cisもしくはtrans幾何配置であってよく、ならびにYは、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnは、独立して、0〜5の整数を表し、ここでR1は、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖でよくかつヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ならびにここでR2、R3、およびR4の各々は独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖でよくかつヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ならびにここでR1およびR2は一緒に、オキソ基、または一般式CkH2k-を有するアルキリデン基(式中、kは整数である)、基=CR2R3、または基-(CH2)p-(式中、pは2〜5の整数である)を表し、ならびにR3およびR4は一緒に、オキソ基、または基-(CH2)q-(式中、qは2〜5の整数である)を表し、ならびにここでR5は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、ならびに側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかは、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかは、各々、酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。
ここで、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、ならびにR基が、ビタミンD系化合物について公知の典型的側鎖のいずれかを表す。従ってRは、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基であってよいか、またはRは、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合は、cisもしくはtrans幾何配置であってよく、ならびにYは、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnは、独立して、0〜5の整数を表し、ここでR1は、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖でよくかつヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ならびにここでR2、R3、およびR4の各々は独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖でよくかつヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ならびにここでR1およびR2は一緒に、オキソ基、または一般式CkH2k-を有するアルキリデン基(式中、kは整数である)、基=CR2R3、または基-(CH2)p-(式中、pは2〜5の整数である)を表し、ならびにR3およびR4は一緒に、オキソ基、または基-(CH2)q-(式中、qは2〜5の整数である)を表し、ならびにここでR5は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、ならびに側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかは、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかは、各々、酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。
炭素20への波線は、炭素20が、RまたはSのいずれかの立体配置を有することを示している。
天然の20R-立体配置を伴う側鎖の特に重要な例は、下記式(a)、(b)、(c)、(d)および(e)で表された構造であり、すなわちそのような側鎖は、25ヒドロキシビタミンD3(a);ビタミンD3(b);25ヒドロキシビタミンD2(c);ビタミンD2(d);および、25ヒドロキシビタミンD2のC-24エピマー(e)を生じる。
前記化合物式IおよびIIは、所望の、高度に有利な生物学的活性のパターンを示す。これらの化合物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べ、カルシウムを骨から動員する重要な能力を有することを特徴とする。カルシウム動員活性に対するそれらの優先的活性は、代謝性骨疾患の治療および予防のための、これらの化合物のインビボ投与を可能にする。骨に対するそれらの優先的カルセミック活性のために、これらの化合物は、骨粗鬆症、特に低骨代謝回転型骨粗鬆症、ステロイド誘導型骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症または閉経後骨粗鬆症などの、代謝性骨疾患、更には骨軟化症、骨減少症、腎性骨形成異常症およびビタミンD抵抗性くる病の治療および予防のための好ましい治療薬であろう。細胞分化に何らかの活性がある、重要な骨カルシウム動員活性を有するこれらのアナログは、血中カルシウムレベルの上昇に効果があるので、これらは副甲状腺機能低下症を治療するための療法として有用であることも期待される。
式IおよびIIの本発明の化合物は、動物対象における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の低下においても有用である。従って一部の態様において、動物対象における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の低下の方法は、式Iおよび/またはIIの化合物の1種もしくは複数、またはその化合物の1種もしくは複数を含有する薬学的組成物の有効量を、動物対象へ投与することを含む。1種もしくは複数の化合物または薬学的組成物の対象への投与は、動物対象において、脂肪細胞分化を阻害し、遺伝子転写を阻害し、および/または体脂肪を低下する。
本化合物の1種または複数は、前述の疾患および障害を治療または予防するために、約0.01μg/g〜約10mg/g組成物の量で、好ましくは約0.1μg/g〜約1mg/g組成物の量で、組成物中に存在してよく、ならびに局所的、経皮、経口、経直腸、鼻腔内、舌下、または非経口的に、用量約0.01μg/日〜約10mg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約1mg/日で投与されてもよい。
図1〜6は、以後「1,25(OH)2D3」と称する未変性ホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比較した、以後「REV-B」と称される1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3アナログ13、および以後「REV-A」と称される3β,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3アナログ14の様々な生物学的活性を図示している。
発明の詳細な説明
本説明および特許請求の範囲において使用される用語「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性を一時的に保護するために通常使用される任意の基、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基またはアルキルアリールシリル基(以後簡単に「シリル」基と称する)、およびアルコキシアルキル基などを表す。アルコキシカルボニル保護基は、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルなどの、アルキル-O-CO-群(grouping)である。用語「アシル」は、その全ての異性体型で、炭素1〜6個のアルカノイル基、または炭素1〜6個のカルボキシアルカノイル基、例えばオキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基など、または芳香族アシル基、例えばベンゾイル基、またはハロ、ニトロもしくはアルキル置換されたベンゾイル基を意味する。本説明および特許請求の範囲において使用される語句「アルキル」は、その全ての異性体型で、炭素1〜10個の直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを意味する。「アルコキシ」は、酸素により結合された任意のアルキルラジカル、すなわち、「アルキル-O-」により表された基を意味する。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルなどの群である。好ましいシリル-保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル-t-ブチルシリルおよび同様にアルキル化されたシリルラジカルである。用語「アリール」は、フェニル-、またはアルキル-、ニトロ-もしくはハロ-置換されたフェニル基と特定される。
本説明および特許請求の範囲において使用される用語「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性を一時的に保護するために通常使用される任意の基、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基またはアルキルアリールシリル基(以後簡単に「シリル」基と称する)、およびアルコキシアルキル基などを表す。アルコキシカルボニル保護基は、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルなどの、アルキル-O-CO-群(grouping)である。用語「アシル」は、その全ての異性体型で、炭素1〜6個のアルカノイル基、または炭素1〜6個のカルボキシアルカノイル基、例えばオキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基など、または芳香族アシル基、例えばベンゾイル基、またはハロ、ニトロもしくはアルキル置換されたベンゾイル基を意味する。本説明および特許請求の範囲において使用される語句「アルキル」は、その全ての異性体型で、炭素1〜10個の直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを意味する。「アルコキシ」は、酸素により結合された任意のアルキルラジカル、すなわち、「アルキル-O-」により表された基を意味する。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルなどの群である。好ましいシリル-保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル-t-ブチルシリルおよび同様にアルキル化されたシリルラジカルである。用語「アリール」は、フェニル-、またはアルキル-、ニトロ-もしくはハロ-置換されたフェニル基と特定される。
「保護されたヒドロキシ」基は、ヒドロキシ官能性の一時的または永久的保護のために通常使用される前述の基のいずれか、例えば、先に定義されたような、シリル、アルコキシアルキル、アシルまたはアルコキシカルボニル基により、誘導体化または保護されたヒドロキシ基である。用語「ヒドロキシアルキル」、「ジュウテロアルキル」および「フルオロアルキル」は、各々、1個または複数のヒドロキシ、重水素またはフルオロ基により置換されたアルキルラジカルを意味する。「アルキリデン」は、一般式CkH2k-(式中、kは整数である)を有するラジカルを意味する。
基本構造IおよびIIの19-ノル-ビタミンD化合物の調製は、通常の一般的方法、すなわち、二環式Windaus-Grundmann型ケトンIIIから容易に調製される、不飽和スルホンIVの、二環式ケトンVとのカップリングが関連している、Juliaオレフィン化により実現することができる。
III、IVおよびVの構造において、基YおよびRは、先に定義された基を表すのに対し、Arは、Juliaオレフィン化プロセスに適している、フェニル、置換フェニル(好ましくはフェニルチアゾリン基)および他の芳香基を表し、縮合反応に鋭敏であるかまたはこれと干渉するArの官能性は、避けねばならないことも理解される。先に示されたプロセスは、ビタミンD化合物の調製に効果的に適用されている、収束的合成の概念の適用を表している(例えば、Kittaka et al, Synlett, 8, 1175 (2003)、およびJ. Org. Chem., 68, 7407 (2003))。
一般構造IIIのヒドリンダノンは、公知であるか、または公知の方法により調製することができる。そのような公知の二環式ケトンの特に重要な例は、先に説明された側鎖(a)、(b)、(c)および(d)を伴う構造、すなわち25ヒドロキシGrundmannケトン(e)[Baggiolini et al., J. Org. Chem, 51, 3098 (1986)];Grundmannケトン(f)[Inhoffen et al., Chem. Ber. 90, 664 (1957)];25ヒドロキシWindausケトン(g)[Baggiolini et al., J. Org. Chem., 51, 3098 (1986)]、およびWindausケトン(h)[Windaus et al., Ann., 524, 297 (1936)]である。
一般構造Vの必要な二環式ケトンの調製に関して、先に説明されたように、市販の(1R,3R,4S,5R)-(-)-キナ酸から得られた二環ラクトン1から出発する新規合成経路が開発された[Hanessian et al., J. Org. Chem. 62, 465 (1997)]。出発ラクトン1を所望のA-環シントンに変換する全プロセス全体の最初の工程は、スキームIに示されている。従って1の二つの第2級ヒドロキシ基の一方(C-3でのエクアトリアルヒドロキシル)は、t-ブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS)として選択的に保護され、他方は次にデス-マーチンペルヨージナン試薬により、4-ケトン3に酸化された。第3級1ヒドロキシルは、アセチル化され、かつ得られたアセトキシケトン4は、3-ブロモ-1-プロパノールから調製された好適な臭化ホスホニウムAから生成されたイリド、およびn-ブチルリチウムと共に、Wittig反応に供される。このプロセスは、二つの異性体オレフィン系化合物5aおよび5bを、約5:1の比でもたらす。この合成の引き続きの工程は、スキームIIに示している。多くの様々な試薬を、5bにおける末端第1級ヒドロキシ基の脱保護に使用することができる(例えば、エチルエーテルのBuSHおよびMgBr2、ならびに塩化メチレンのB-クロロカテコールボラン)が、アセトニトリル中のヨウ化アルミニウムによる処理は、所望の3'ヒドロキシプロピリデン化合物6の最良の収量を提供し、これは引き続き標準条件下でトシル化される。トシレート7のフッ化テトラブチルアンモニウムによる引き続きの反応は、環化された生成物8の優れた収量を生じた。そのホウ化水素ナトリウムによる還元は、二環式トリオール9を生じた。近接ジオールの過ヨウ素酸切断、ならびに引き続きの形成されたヒドロキシケトン10の第2級アキシアルヒドロキシルのシリル化は、所望のA-環断片11を提供した。このヘキサヒドロクロメノン誘導体は、次に改変されたJuliaオレフィン化に供される。チアゾリンスルホン12を、Grundmannケトン15から合成した。この合成経路は、スキームIIIに説明されており、これは、15のアリル系エステル16への転換から始まり、これは次にアリル型アルコール17に還元される。このアルコールの化合物は、Mitsunobu反応、酸化およびシリル化が関与する、3工程反応配列に供される。ケトン11の、12およびビス(トリメチルシリル)アミドリチウムから生成された陰イオンとの反応、それに続くシリル保護基の除去は、2種の19-ノルビタミンDアナログ13および14の予想された混合物を生じ、これらは順相-および逆相-HPLCにより精製されかつ分離される。それらの1H NMRスペクトルの分析は、これらの化合物中のA環は、追加の6-員環の一部である環外二重結合の存在のために、反転(flipping)が防止され、かつ単独の椅子立体配座が維持されることを確認した。
いくつかのその他の19-ノル-ビタミンD化合物は、A-環シントン11および所望の側鎖構造を有する好適なWindaus-Grundmannケトンを使用し、本明細書に開示された方法により合成され得る。
本発明は、以下の例証的実施例により説明される。これらの実施例において、アラビア数字(例えば、1、2、3など)により確定された特定の生成物は、先の説明、ならびにスキームI、スキームII、およびスキームIIIにおいて、そのように確定された特定の構造を意味する。
実施例
化学
融点(補正せず)は、Thomas-Hooverキャピラリー融点測定装置により決定した。紫外線(UV)吸収スペクトルは、エタノール中のPerkin-Elmer Lambda 3B UV-VIS分光光度計において記録した。1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジュウテリオクロロホルム中、Bruker Instruments DMX-400およびDMX-500 Avanceコンソール型分光光度計により、400および500MHzで記録した。13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジュウテリオクロロホルム中、Bruker Instruments DMX-500 Avanceコンソール型分光光度計において、125MHzで記録した。化学シフト(δ)は、内部Me4Si(δ 0.00)からの低磁場で報告した。電子衝撃(EI)質量スペクトルは、Micromass AutoSpec(ビバリー, MA)装置から得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、モデル6000A溶媒送達システム、モデルU6K Universalインジェクター、およびモデル486調節可能な吸光度検出装置を装備した、Waters Associates液体クロマトグラフィーにおいて行った。THFは、アルゴン下でナトリウムベンゾフェノンケチルから、使用前に、新たに蒸留した。
化学
融点(補正せず)は、Thomas-Hooverキャピラリー融点測定装置により決定した。紫外線(UV)吸収スペクトルは、エタノール中のPerkin-Elmer Lambda 3B UV-VIS分光光度計において記録した。1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジュウテリオクロロホルム中、Bruker Instruments DMX-400およびDMX-500 Avanceコンソール型分光光度計により、400および500MHzで記録した。13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジュウテリオクロロホルム中、Bruker Instruments DMX-500 Avanceコンソール型分光光度計において、125MHzで記録した。化学シフト(δ)は、内部Me4Si(δ 0.00)からの低磁場で報告した。電子衝撃(EI)質量スペクトルは、Micromass AutoSpec(ビバリー, MA)装置から得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、モデル6000A溶媒送達システム、モデルU6K Universalインジェクター、およびモデル486調節可能な吸光度検出装置を装備した、Waters Associates液体クロマトグラフィーにおいて行った。THFは、アルゴン下でナトリウムベンゾフェノンケチルから、使用前に、新たに蒸留した。
実施例I
1α,25-ジヒドロキシ-および3β,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3アナログ13および14の調製
最初にスキームIを参照し、出発二環ラクトン1を、先に説明したように、市販の(-)-キナ酸から得た[Hanessian et al., J. Org. Chem. 62, 465 (1997)]。
1α,25-ジヒドロキシ-および3β,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3アナログ13および14の調製
最初にスキームIを参照し、出発二環ラクトン1を、先に説明したように、市販の(-)-キナ酸から得た[Hanessian et al., J. Org. Chem. 62, 465 (1997)]。
(a)ラクトン1における3ヒドロキシ基の保護
(1R,3R,4S,5R)-1,4-ジヒドロキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(2)
無水DMF(14mL)中のラクトン1(1.80g, 10.34mmol)およびイミダゾール(2.63g, 38.2mmol)の攪拌溶液に、t-ブチルジメチルシリルクロリド(1.80g, 11.9mmol)を0℃で添加した。混合物を、0℃で30分間、室温で1時間攪拌し、水に注ぎ、酢酸エチルおよびエーテルで抽出した。有機層を、数回水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、無色の結晶性残渣を得、これをヘキサン/酢酸エチルから結晶化し、純粋な2を2.12g得た。母液を、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)により溶出し、追加量の結晶性モノエーテル2(0.14g、全体の収率76%)、および若干量の結晶性異性体(3-OH, 4-OTBDMS)エーテル(0.10g, 3%)を得た。
(1R,3R,4S,5R)-1,4-ジヒドロキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(2)
無水DMF(14mL)中のラクトン1(1.80g, 10.34mmol)およびイミダゾール(2.63g, 38.2mmol)の攪拌溶液に、t-ブチルジメチルシリルクロリド(1.80g, 11.9mmol)を0℃で添加した。混合物を、0℃で30分間、室温で1時間攪拌し、水に注ぎ、酢酸エチルおよびエーテルで抽出した。有機層を、数回水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、無色の結晶性残渣を得、これをヘキサン/酢酸エチルから結晶化し、純粋な2を2.12g得た。母液を、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)により溶出し、追加量の結晶性モノエーテル2(0.14g、全体の収率76%)、および若干量の結晶性異性体(3-OH, 4-OTBDMS)エーテル(0.10g, 3%)を得た。
(b)ジヒドロキシラクトン2中の4ヒドロキシ基の酸化
(1R,3R,5R)-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-1ヒドロキシ-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-4,7-ジオン(3)
無水CH2Cl2(100mL)中のデス-マーチンペルヨージナン試薬(6.60g, 15.5mmol)の攪拌懸濁液に、化合物2(3.86g, 13.4mmol)を添加した。この混合物を、室温で18時間攪拌し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水で数回洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、油状残渣を得、これを冷却しながらゆっくり結晶化した(3.67g, 95%)。TLCは、得られたケトン3の高い純度を示し、これは更に精製することなく、次工程で使用することができた。分析用試料を、ヘキサンからの再結晶により得た。
(1R,3R,5R)-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-1ヒドロキシ-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-4,7-ジオン(3)
無水CH2Cl2(100mL)中のデス-マーチンペルヨージナン試薬(6.60g, 15.5mmol)の攪拌懸濁液に、化合物2(3.86g, 13.4mmol)を添加した。この混合物を、室温で18時間攪拌し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水で数回洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、油状残渣を得、これを冷却しながらゆっくり結晶化した(3.67g, 95%)。TLCは、得られたケトン3の高い純度を示し、これは更に精製することなく、次工程で使用することができた。分析用試料を、ヘキサンからの再結晶により得た。
(c)ヒドロキシケトン3における1ヒドロキシ基のアセチル化
(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-4,7-ジオン(4)
無水ピリジン(12mL)および無水酢酸(5.5mL)中のヒドロキシケトン3(1.64g, 5.8mmol)の溶液を、室温で3時間攪拌した。これを、水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和NaHCO3、飽和CuSO4および水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、油状の残渣を得、これをヘキサン/酢酸エチル(8:2)に溶解し、短経路のシリカゲルを通して濾過した。溶媒の蒸発は、純粋な結晶性酢酸塩4(1.51g, 81%)を生じた。分析用試料を、ヘキサン/酢酸エチルからの再結晶により得た。
(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-4,7-ジオン(4)
無水ピリジン(12mL)および無水酢酸(5.5mL)中のヒドロキシケトン3(1.64g, 5.8mmol)の溶液を、室温で3時間攪拌した。これを、水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和NaHCO3、飽和CuSO4および水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、油状の残渣を得、これをヘキサン/酢酸エチル(8:2)に溶解し、短経路のシリカゲルを通して濾過した。溶媒の蒸発は、純粋な結晶性酢酸塩4(1.51g, 81%)を生じた。分析用試料を、ヘキサン/酢酸エチルからの再結晶により得た。
(d)臭化ホスホニウムAの調製
[3-(メトキシメトキシ)プロピル]トリフェニル臭化ホスホニウム(A)
無水CH2Cl2(50mL)中のブロモメチルメチルエーテル(1.3mL, 16mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.5mL, 27.7mmol)の溶液へ、0℃で、3-ブロモ-1-プロパノール(1.0mL, 11mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間および室温で20時間攪拌した。反応混合物を、1N HCl(150mL)に注ぎ、有機相を分離し、水相を、CH2Cl2で抽出した。一緒にした有機相を、水で洗浄し、NaHCO3で希釈し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、黄味がかった油状物を得た。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出は、純粋な油状の1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)プロパン(1.12g, 55%)を生じた:
[3-(メトキシメトキシ)プロピル]トリフェニル臭化ホスホニウム(A)
無水CH2Cl2(50mL)中のブロモメチルメチルエーテル(1.3mL, 16mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.5mL, 27.7mmol)の溶液へ、0℃で、3-ブロモ-1-プロパノール(1.0mL, 11mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間および室温で20時間攪拌した。反応混合物を、1N HCl(150mL)に注ぎ、有機相を分離し、水相を、CH2Cl2で抽出した。一緒にした有機相を、水で洗浄し、NaHCO3で希釈し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、黄味がかった油状物を得た。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出は、純粋な油状の1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)プロパン(1.12g, 55%)を生じた:
無水トルエン(1.5mL)中の1-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)プロパン(0.46g, 2.5mmol)の溶液へ、アルゴン下で攪拌しながら、トリフェニルホスフィン(0.71g, 2.7mmol)を添加した。この混合物を、100℃で20時間加熱し、室温に冷却した。液体を廃棄し、固形残渣を、スパーテルで破砕し、濾過し、エーテルで数回洗浄した。真空デシケータ内で一晩乾燥した後のホスホニウム塩A(0.98g, 88%)の無色の結晶を、更に精製することなく、Wittig反応において使用した。
(e)Aから生成されたイリドによる4-ケトン4のWittig反応
[(E)-および(Z)-(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-4-[3'-(メトキシメトキシ)プロピリデン]ビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(5aおよび5b)
無水THF(5mL)中の臭化ホスホニウムA(420mg, 0.94mmol)へ、0℃、アルゴン下で、攪拌しながらn-BuLi(ヘキサン中1.6M, 1.12mL, 1.8mmol)を滴下した。5分後、Aの別の部分(420mg, 0.94mmol)を添加し、この溶液を0℃で10分間攪拌し、その後室温で20分間攪拌した。オレンジ色-赤色混合物を、-78℃に冷却し、2つの同等部分(30分間隔)を、無水THF(8mL)中のケトラクトン4(300mg, 0.91mmol)の溶液へサイホンで移した(siphoned)。この反応混合物を、-78℃で攪拌し、ブライン、濃度1%HClの添加により(Wittig試薬の最初の部分の添加後3時間)停止した。酢酸エチル(9mL)、ベンゼン(6mL)、エーテル(3mL)、飽和NaHCO3(3mL)、および水(3ml)を添加し、この混合物を室温で18時間激しく攪拌した。その後有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣(主に異性体5aおよび5bの約5:1の比からなる)を、シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより分離した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)による溶出は、生成物の部分分離を生じた:5b 29mg、5aおよび5bの混合物(85mg)、ならびに純粋な5a(176mg;合計収率77%)。混合した画分の再クロマトグラフィーは、これらの生成物のほぼ完全な分離を生じた。
[(E)-および(Z)-(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-4-[3'-(メトキシメトキシ)プロピリデン]ビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(5aおよび5b)
無水THF(5mL)中の臭化ホスホニウムA(420mg, 0.94mmol)へ、0℃、アルゴン下で、攪拌しながらn-BuLi(ヘキサン中1.6M, 1.12mL, 1.8mmol)を滴下した。5分後、Aの別の部分(420mg, 0.94mmol)を添加し、この溶液を0℃で10分間攪拌し、その後室温で20分間攪拌した。オレンジ色-赤色混合物を、-78℃に冷却し、2つの同等部分(30分間隔)を、無水THF(8mL)中のケトラクトン4(300mg, 0.91mmol)の溶液へサイホンで移した(siphoned)。この反応混合物を、-78℃で攪拌し、ブライン、濃度1%HClの添加により(Wittig試薬の最初の部分の添加後3時間)停止した。酢酸エチル(9mL)、ベンゼン(6mL)、エーテル(3mL)、飽和NaHCO3(3mL)、および水(3ml)を添加し、この混合物を室温で18時間激しく攪拌した。その後有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣(主に異性体5aおよび5bの約5:1の比からなる)を、シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより分離した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)による溶出は、生成物の部分分離を生じた:5b 29mg、5aおよび5bの混合物(85mg)、ならびに純粋な5a(176mg;合計収率77%)。混合した画分の再クロマトグラフィーは、これらの生成物のほぼ完全な分離を生じた。
(4Z)-(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-4-[3'ヒドロキシプロピリデン]-6-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(6)
無水CH3CN(0.6mL)中の5b(26mg, 63μmol)の溶液へ、AlI3(170mg, 0.42mmol)を、0℃、アルゴン下で添加した。この混合物を、0℃で50分間攪拌し、Na2S2O3水溶液へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(6:4)による溶出は、化合物6を無色の油状物(16.5mg, 71%)として生じた。
無水CH3CN(0.6mL)中の5b(26mg, 63μmol)の溶液へ、AlI3(170mg, 0.42mmol)を、0℃、アルゴン下で添加した。この混合物を、0℃で50分間攪拌し、Na2S2O3水溶液へ注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(6:4)による溶出は、化合物6を無色の油状物(16.5mg, 71%)として生じた。
(4Z)-(1R,3R,5R)-1-アセトキシ-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-6-オキサ-4-[3'-(p-トルエンスルホニルオキシ)プロピリデン]ビシクロ[3.2.1]オクタン-7-オン(7)
無水ピリジン(140μL)中のヒドロキシ化合物(16mg, 43μmol)の溶液へ、0℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(24mg, 127μmol)を添加し、触媒量の4-(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。この混合物を、0℃で1時間、6℃で18時間攪拌した。その後これを、氷/飽和NaHCO3へ注ぎ、15分間振盪し、酢酸エチルおよびベンゼンで抽出した。一緒にした抽出物を、飽和NaHCO3、水、飽和CuSO4、再度水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣(約16mg)を、ベンゼン/ヘキサンに溶解し、シリカSep-Pakカートリッジ上に装加し、ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 10mL)で洗浄し、無極性不純物を除去した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15, 20mL)で洗浄した溶出は、純粋な油状のトシレート7(19mg, 84%)を提供した。
無水ピリジン(140μL)中のヒドロキシ化合物(16mg, 43μmol)の溶液へ、0℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(24mg, 127μmol)を添加し、触媒量の4-(ジメチルアミノ)ピリジンを添加した。この混合物を、0℃で1時間、6℃で18時間攪拌した。その後これを、氷/飽和NaHCO3へ注ぎ、15分間振盪し、酢酸エチルおよびベンゼンで抽出した。一緒にした抽出物を、飽和NaHCO3、水、飽和CuSO4、再度水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣(約16mg)を、ベンゼン/ヘキサンに溶解し、シリカSep-Pakカートリッジ上に装加し、ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 10mL)で洗浄し、無極性不純物を除去した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15, 20mL)で洗浄した溶出は、純粋な油状のトシレート7(19mg, 84%)を提供した。
(1R,7R,9S)-(9-アセトキシ-6,11-ジオキサ-トリシクロ[7.2.1.0*2,7*]ドデカ-2-エン-10-オン(8)
無水THF(8mL)中のトシレート7(18.8mg, 36μmol)の溶液を、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M, 180μl, 180μmol)で処理した。この混合物を、アルゴン下で、室温で18時間処理し、ブラインへ注ぎ、酢酸エチルおよびベンゼンで抽出した。有機抽出液を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。油状の残渣を、ヘキサン中に溶解し、シリカSep-Pakカートリッジに装加し、ヘキサン/酢酸エチル(85:15, 20mL)で洗浄し、純粋な三環式生成物8(7.6mg, 89%)を油状物として得た。
無水THF(8mL)中のトシレート7(18.8mg, 36μmol)の溶液を、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M, 180μl, 180μmol)で処理した。この混合物を、アルゴン下で、室温で18時間処理し、ブラインへ注ぎ、酢酸エチルおよびベンゼンで抽出した。有機抽出液を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。油状の残渣を、ヘキサン中に溶解し、シリカSep-Pakカートリッジに装加し、ヘキサン/酢酸エチル(85:15, 20mL)で洗浄し、純粋な三環式生成物8(7.6mg, 89%)を油状物として得た。
(5R,7R,8aR)-7ヒドロキシメチル-3,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-クロメン-5,7-ジオール(9)
三環式化合物8(9.5mg, 40μmol)の溶液へ、0℃で、NaBH4を添加した。次に得られた混合物を、室温で18時間攪拌し、少量のブライン/飽和NH4Clを添加し、その溶媒を真空で除去した。残渣を、温エタノールで数回洗浄した。エタノール抽出物を一緒にし、ベンゼンで蒸発乾固させた。その後固形残渣を、温クロロホルムで数回洗浄した。一緒にしたクロロホルム抽出物を、少量に濃縮し、シリカSep-Pakカートリッジに装加した。ヘキサン/酢酸エチル(1:9, 20mL)による溶出は、純粋な半固形トリオール9(6mg, 75%)を得た。
三環式化合物8(9.5mg, 40μmol)の溶液へ、0℃で、NaBH4を添加した。次に得られた混合物を、室温で18時間攪拌し、少量のブライン/飽和NH4Clを添加し、その溶媒を真空で除去した。残渣を、温エタノールで数回洗浄した。エタノール抽出物を一緒にし、ベンゼンで蒸発乾固させた。その後固形残渣を、温クロロホルムで数回洗浄した。一緒にしたクロロホルム抽出物を、少量に濃縮し、シリカSep-Pakカートリッジに装加した。ヘキサン/酢酸エチル(1:9, 20mL)による溶出は、純粋な半固形トリオール9(6mg, 75%)を得た。
(5R,8aR)-5ヒドロキシ-2,3,5,6,8,8a-ヘキサヒドロ-クロメン-7-オン(10)
過ヨウ素酸ナトリウムで飽和された水(50μL)を、メタノール(200μL)中のトリオール21(5mg, 2.6μmol)の溶液へ0℃で添加した。この混合物を、0℃で1時間攪拌し、その後チオアニソールを添加し、攪拌を10分間継続した。混合物を、ベンゼン/酢酸エチル(1:1, 1mL)で希釈し、シリカSep-Pakを通して濾過した。その後Sep-Pakを、同じ溶媒システムの追加の5mLで洗浄し、一緒にした溶液を蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチル(7:3)に再溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。同じ溶媒システム(10mL)による溶出は、芳香族化合物を提供し、ヘキサン/酢酸エチル(1:1, 10mL)により、純粋な(5R,8aR)-5ヒドロキシ-2,3,5,6,8,8a-ヘキサヒドロ-クロメン-7-オン(4.1mg, 98%)を、無色の油状物として溶出した。
過ヨウ素酸ナトリウムで飽和された水(50μL)を、メタノール(200μL)中のトリオール21(5mg, 2.6μmol)の溶液へ0℃で添加した。この混合物を、0℃で1時間攪拌し、その後チオアニソールを添加し、攪拌を10分間継続した。混合物を、ベンゼン/酢酸エチル(1:1, 1mL)で希釈し、シリカSep-Pakを通して濾過した。その後Sep-Pakを、同じ溶媒システムの追加の5mLで洗浄し、一緒にした溶液を蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチル(7:3)に再溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。同じ溶媒システム(10mL)による溶出は、芳香族化合物を提供し、ヘキサン/酢酸エチル(1:1, 10mL)により、純粋な(5R,8aR)-5ヒドロキシ-2,3,5,6,8,8a-ヘキサヒドロ-クロメン-7-オン(4.1mg, 98%)を、無色の油状物として溶出した。
(5R,8aR)-5-[tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-2,3,5,6,8,8a-ヘキサヒドロ-クロメン-7-オン(11)
無水塩化メチレン(90μl)中のヒドロキシケトン(4mg, 24μmol)の溶液へ、-50℃で、2,6-ルチジン(7μL, 60mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(12μL, 51mmol)を添加した。この反応混合物を、-50℃で50分間攪拌し、冷塩化メチレンで希釈し、水へ注いだ。有機相を、飽和CuSO4および水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサンに再溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 10mL)による溶出は、より少ない極性化合物(2.1mg)を生じ、これは11由来のエノールエーテルのTBDMS誘導体であった。所望の保護されたヒドロキシケトン11(3.3mg, 49%)を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1, 10mL)により、無色の油状物として溶出した。更なる同じ溶媒システムによる溶出は、2,3,8,8a-テトラヒドロ-クロメン-7-オン(0.6mg)を生じた。
無水塩化メチレン(90μl)中のヒドロキシケトン(4mg, 24μmol)の溶液へ、-50℃で、2,6-ルチジン(7μL, 60mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(12μL, 51mmol)を添加した。この反応混合物を、-50℃で50分間攪拌し、冷塩化メチレンで希釈し、水へ注いだ。有機相を、飽和CuSO4および水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサンに再溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 10mL)による溶出は、より少ない極性化合物(2.1mg)を生じ、これは11由来のエノールエーテルのTBDMS誘導体であった。所望の保護されたヒドロキシケトン11(3.3mg, 49%)を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1, 10mL)により、無色の油状物として溶出した。更なる同じ溶媒システムによる溶出は、2,3,8,8a-テトラヒドロ-クロメン-7-オン(0.6mg)を生じた。
[(1R,3aS,7aR)-7a-メチル-1-[(R)-6-[(トリエチルシリル)オキシ]-6-メチルヘプタン-2-イル]-オクタヒドロ-インデン-(4E)-イリデン]酢酸エチルエステル(16)
無水THF(1.2mL)中のNaH(49mg, 2.04mmol)の懸濁液へ、(EtO)2P(O)CH2COOEt(500ml, 2.53mmol)を0℃で添加した。この混合物を、室温で10分間攪拌し、その後塩化リチウム(13mg, 0.30mmol)を添加した。攪拌を1時間継続し、0℃へ冷却し、THF(0.6mL)中の保護されたヒドロキシケトン15(100mg, 0.25mmol)の溶液を添加した。室温で70時間攪拌した後、反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウムへ注いだ。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより分離した。ヘキサン/酢酸エチル(99:1)による溶出は、純粋な油状の[(1R,3aS,7aR)-7a-メチル-1-[(R)-6-[(トリエチルシリル)オキシ]-6-メチルヘプタン-2-イル]-オクタヒドロ-インデン-(4E)-イリデン]酢酸エチルエステル16(61mg, 52%, 回収された出発材料を基に65%)を得た。ヘキサン/酢酸エチル(97:3)による更なる溶出は、非帯電の基質(substrate)15(20mg)を生じた。
無水THF(1.2mL)中のNaH(49mg, 2.04mmol)の懸濁液へ、(EtO)2P(O)CH2COOEt(500ml, 2.53mmol)を0℃で添加した。この混合物を、室温で10分間攪拌し、その後塩化リチウム(13mg, 0.30mmol)を添加した。攪拌を1時間継続し、0℃へ冷却し、THF(0.6mL)中の保護されたヒドロキシケトン15(100mg, 0.25mmol)の溶液を添加した。室温で70時間攪拌した後、反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウムへ注いだ。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより分離した。ヘキサン/酢酸エチル(99:1)による溶出は、純粋な油状の[(1R,3aS,7aR)-7a-メチル-1-[(R)-6-[(トリエチルシリル)オキシ]-6-メチルヘプタン-2-イル]-オクタヒドロ-インデン-(4E)-イリデン]酢酸エチルエステル16(61mg, 52%, 回収された出発材料を基に65%)を得た。ヘキサン/酢酸エチル(97:3)による更なる溶出は、非帯電の基質(substrate)15(20mg)を生じた。
2-[(1R,3aS,7aR)-7a-メチル-[(R)-6-[(トリエチルシリル)オキシ]-6-メチルヘプタン-2-イル]-オクタヒドロ-インデン-(4E)-イリデン]エタノール(17)
水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1M, 200μL, 0.2mmol)を、無水トルエン(0.5mL)中のアリル系エステル(29mg, 62μmol)の攪拌溶液へ、-78℃で、アルゴン下で添加した。この混合物を、-78℃で1時間攪拌し、この反応を、酒石酸カリウムナトリウム(2N, 1mL)、HCl水溶液(2N, 1mL)、および水(12mL)の添加により反応停止した。混合物をブラインへ注ぎ、酢酸エチルおよびエーテルで抽出した。一緒にした抽出物を、希釈したNaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン中に溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 20mL, および9:1, 10mL)による溶出は、アリル型アルコール17(23mg, 87%)を無色の油状物として得た。
水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1M, 200μL, 0.2mmol)を、無水トルエン(0.5mL)中のアリル系エステル(29mg, 62μmol)の攪拌溶液へ、-78℃で、アルゴン下で添加した。この混合物を、-78℃で1時間攪拌し、この反応を、酒石酸カリウムナトリウム(2N, 1mL)、HCl水溶液(2N, 1mL)、および水(12mL)の添加により反応停止した。混合物をブラインへ注ぎ、酢酸エチルおよびエーテルで抽出した。一緒にした抽出物を、希釈したNaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン中に溶解し、シリカゲルSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5, 20mL, および9:1, 10mL)による溶出は、アリル型アルコール17(23mg, 87%)を無色の油状物として得た。
(1R,3aS,7aR)-4-[2-(ベンゾチアゾール-2-スルホニル)-(4E)-エチリデン]-7a-メチル-1-[(R)-6-[(トリエチルシリル)オキシ]-6-メチルヘプタン-2-イル]-オクタヒドロ-インデン(12)
無水塩化メチレン(150μL)中の2-メルカプトベンゾトリアゾール(12.5mg, 75μmol)およびPh3P(19.5mg, 75μmol)の溶液へ、0℃で、塩化メチレン(150μL)中のアリル型アルコール17(21mg, 50μmoL)の溶液、引き続きDIAD(14μL, 50μmol)を添加した。この混合物を、0℃で1時間攪拌し、溶媒を真空で蒸発させた。残渣を、エタノール(300mL)中に溶解し、0℃に冷却し、30%H2O2(30μL)を添加し、引き続きアンモニウム(NH4)6MoO7O24×4H2O(12.3mg, 10μmol)を添加した。この混合物を、室温で3時間攪拌し、冷飽和Na2SO3に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、少量のベンゼン/ヘキサン(1:1)に溶解し、シリカSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(9:1, 20mL、および85:15, 20mL)による溶出、ならびに溶媒の除去は、油状の生成物(33mg)を生じ、これを無水DMF(300μL)に溶解した。イミダゾール(18mg, 0.26mmol)を添加し、引き続きトリエチルシリルクロリド(50μL, 0.29mmol)を添加し、この混合物を室温で3時間攪拌した。酢酸エチルおよび水を添加し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)溶媒システムを使用する、HPLC(10mmx25cm Zorbax-Silカラム, 4mL/分)により精製した。分析的に純粋なスルホン12(22.8mg, 76%)を、Rv 24mLで収集した。
無水塩化メチレン(150μL)中の2-メルカプトベンゾトリアゾール(12.5mg, 75μmol)およびPh3P(19.5mg, 75μmol)の溶液へ、0℃で、塩化メチレン(150μL)中のアリル型アルコール17(21mg, 50μmoL)の溶液、引き続きDIAD(14μL, 50μmol)を添加した。この混合物を、0℃で1時間攪拌し、溶媒を真空で蒸発させた。残渣を、エタノール(300mL)中に溶解し、0℃に冷却し、30%H2O2(30μL)を添加し、引き続きアンモニウム(NH4)6MoO7O24×4H2O(12.3mg, 10μmol)を添加した。この混合物を、室温で3時間攪拌し、冷飽和Na2SO3に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、少量のベンゼン/ヘキサン(1:1)に溶解し、シリカSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(9:1, 20mL、および85:15, 20mL)による溶出、ならびに溶媒の除去は、油状の生成物(33mg)を生じ、これを無水DMF(300μL)に溶解した。イミダゾール(18mg, 0.26mmol)を添加し、引き続きトリエチルシリルクロリド(50μL, 0.29mmol)を添加し、この混合物を室温で3時間攪拌した。酢酸エチルおよび水を添加し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)溶媒システムを使用する、HPLC(10mmx25cm Zorbax-Silカラム, 4mL/分)により精製した。分析的に純粋なスルホン12(22.8mg, 76%)を、Rv 24mLで収集した。
1α,25-ジヒドロキシ-および3β,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3アナログ(13および14)
無水THF(150μL)中のスルホン12(20.7mg, 34μmol)の溶液へ、LiHMDS(THF中1M, 32μL, 32μmol)を、-78℃で、アルゴン下で添加した。この溶液は、深紅色に変わった。この混合物を、-78℃で1時間攪拌し、THF(100μL)中のケトン11(2.0mg, 7.1μmol)の溶液を添加した。攪拌を、-78℃で2時間継続し、この反応混合物を、ゆっくり(4時間かけて)0℃に温めた。更に30分間0℃で撹拌した後、これを、飽和NH4Clに注ぎ、エーテルで抽出した。抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。黄色の油状物を、ヘキサンに溶解し、シリカSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5, 10mL、および99:1, 10mL)による溶出、および溶媒の除去は、シリル化された19-ノルビタミン(約0.5mg)を含有する油状の残渣を生じた。残渣を、Et3N(3μL)を含有する無水THF(200μL)中に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中の1.0M, 20μl, 20μmol)で処理した。混合物を、アルゴン下で、室温で17時間攪拌し、ブラインに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(9:1)溶媒システムを使用する、HPLC(10mmx25cm Zorbax-Silカラム, 4mL/分)により精製した。異性体19-ノルビタミン13および14(0.2mg, 6%)を、Rv 35mLおよびRv 37mLで収集した。両方の異性体の最終の精製および分離は、メタノール/水(9:1)溶媒システムを使用する、逆相HPLC(6.2mmx25cm Zorbax-ODS カラム, 2mL/分)により実行した。1α,25-ジヒドロキシビタミンDアナログ13(120μg)を、Rv 22.5mLで収集し、その異性体14(72μg)をRv 17.5mLで収集した。
無水THF(150μL)中のスルホン12(20.7mg, 34μmol)の溶液へ、LiHMDS(THF中1M, 32μL, 32μmol)を、-78℃で、アルゴン下で添加した。この溶液は、深紅色に変わった。この混合物を、-78℃で1時間攪拌し、THF(100μL)中のケトン11(2.0mg, 7.1μmol)の溶液を添加した。攪拌を、-78℃で2時間継続し、この反応混合物を、ゆっくり(4時間かけて)0℃に温めた。更に30分間0℃で撹拌した後、これを、飽和NH4Clに注ぎ、エーテルで抽出した。抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。黄色の油状物を、ヘキサンに溶解し、シリカSep-Pak上に装加した。ヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5, 10mL、および99:1, 10mL)による溶出、および溶媒の除去は、シリル化された19-ノルビタミン(約0.5mg)を含有する油状の残渣を生じた。残渣を、Et3N(3μL)を含有する無水THF(200μL)中に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中の1.0M, 20μl, 20μmol)で処理した。混合物を、アルゴン下で、室温で17時間攪拌し、ブラインに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(9:1)溶媒システムを使用する、HPLC(10mmx25cm Zorbax-Silカラム, 4mL/分)により精製した。異性体19-ノルビタミン13および14(0.2mg, 6%)を、Rv 35mLおよびRv 37mLで収集した。両方の異性体の最終の精製および分離は、メタノール/水(9:1)溶媒システムを使用する、逆相HPLC(6.2mmx25cm Zorbax-ODS カラム, 2mL/分)により実行した。1α,25-ジヒドロキシビタミンDアナログ13(120μg)を、Rv 22.5mLで収集し、その異性体14(72μg)をRv 17.5mLで収集した。
1α,25-ジヒドロキシ(アナログ13, REV-B)および3β,25-ジヒドロキシ(アナログ14, REV-A)19-ノルビタミンD3化合物の生物学的活性
3β-酸素と炭素-2(アナログ13, REV-B)または1α-酸素と炭素-2(アナログ14, REV-A)を連結する複素環の導入は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べ、完全長組換えラットビタミンD受容体への結合を顕著に弱化した。REV-Bは、VDRにほとんど結合活性を有さないのに対し、REV-Aは、1,25-(OH)2D3よりも3桁より小さい大きさの活性であった(図1)。これらの化合物は、インビトロにおける弱い受容体結合活性にも関わらず、インビボにおいては、骨に有意な活性を有する。従ってREV-AおよびREV-Bは、独特な生物学的活性を伴う、高度に選択的アナログである。
3β-酸素と炭素-2(アナログ13, REV-B)または1α-酸素と炭素-2(アナログ14, REV-A)を連結する複素環の導入は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べ、完全長組換えラットビタミンD受容体への結合を顕著に弱化した。REV-Bは、VDRにほとんど結合活性を有さないのに対し、REV-Aは、1,25-(OH)2D3よりも3桁より小さい大きさの活性であった(図1)。これらの化合物は、インビトロにおける弱い受容体結合活性にも関わらず、インビボにおいては、骨に有意な活性を有する。従ってREV-AおよびREV-Bは、独特な生物学的活性を伴う、高度に選択的アナログである。
図4は、REV-AおよびREV-Bは、試験した投与量で、1,25(OH)2D3と比べ、かなりの骨カルシウム動員活性を有することを明らかにしている。
従って図4は、REV-AおよびREV-Bは、有意なカルセミック活性を有するとして特徴付けられることを図示している。これらの化合物の骨カルシウム動員活性に対する優先的活性は、代謝性骨疾患の治療および予防のためのこれらの化合物のインビボ投与を可能にする。これらの化合物は、それらの骨に対する優先的活性のために、骨粗鬆症、特に低骨代謝回転型骨粗鬆症、ステロイド誘導型骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症または閉経後骨粗鬆症、更には骨軟化症および腎性骨形成異常症などの疾患の治療よび予防のために好ましい治療薬であろう。
図2は、REV-AおよびREV-Bが、HL-60細胞分化に対し、1,25(OH)2D3よりもかなり活性が低いことを図示している。
図3は、化合物REV-Aは、骨細胞において、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3よりも、はるかに低い転写活性を有する一方で、化合物REV-Bはこのアッセイにおいて不活性であることを図示している。REV-AおよびREV-Bは、インビボにおいて、骨において活性を有する遊離酸型に転換されることは可能であるように見える。
REV-AおよびREV-BのHL-60分化に対する活性は、副甲状腺の成長の抑制、およびプレプロ副甲状腺遺伝子の抑制において活性があることを示唆している。比較的高いカルセミック活性を有するこれらのアナログは、血中カルシウムレベルを上昇するために効果的であるので、これらは副甲状腺機能低下症を治療するための療法として有用であることも予想される。
実験法
本発明の化合物は、下記の方法を用いて、調製しかつ試験した。
本発明の化合物は、下記の方法を用いて、調製しかつ試験した。
ビタミンD受容体結合
試験材料
タンパク質給源
完全長組換えラット受容体は、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)コドンプラスRIL細胞において発現し、二つの異なるカラムクロマトグラフィーシステムを用いて均質に精製した。第一のシステムは、このタンパク質上のC-末端ヒスチジンタグを利用する、ニッケル親和性樹脂であった。この樹脂から溶出されたタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose Fast Flow)を用いて、更に精製した。精製されたタンパク質のアリコートは、液体窒素で急速凍結し、使用時まで-80℃で貯蔵した。結合アッセイにおける使用のために、このタンパク質は、0.1%Chaps界面活性剤を含む、TEDK50(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4、5mM DTT、150mM KCl)中に希釈した。この受容体タンパク質およびリガンドの濃度は、添加した放射性標識リガンドのわずか20%が、受容体に結合するように最適化した。
試験材料
タンパク質給源
完全長組換えラット受容体は、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)コドンプラスRIL細胞において発現し、二つの異なるカラムクロマトグラフィーシステムを用いて均質に精製した。第一のシステムは、このタンパク質上のC-末端ヒスチジンタグを利用する、ニッケル親和性樹脂であった。この樹脂から溶出されたタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose Fast Flow)を用いて、更に精製した。精製されたタンパク質のアリコートは、液体窒素で急速凍結し、使用時まで-80℃で貯蔵した。結合アッセイにおける使用のために、このタンパク質は、0.1%Chaps界面活性剤を含む、TEDK50(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4、5mM DTT、150mM KCl)中に希釈した。この受容体タンパク質およびリガンドの濃度は、添加した放射性標識リガンドのわずか20%が、受容体に結合するように最適化した。
被検薬物
非標識リガンドを、エタノール中に溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した(1,25(OH)2D3:モル吸収係数=18,200およびλmax=265nm)。放射性標識リガンド(3H-1,25(OH)2D3, 〜159Ci/mmole)を、最終濃度1nMとなるよう、エタノールに添加した。
非標識リガンドを、エタノール中に溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した(1,25(OH)2D3:モル吸収係数=18,200およびλmax=265nm)。放射性標識リガンド(3H-1,25(OH)2D3, 〜159Ci/mmole)を、最終濃度1nMとなるよう、エタノールに添加した。
アッセイ条件
放射性標識リガンドおよび非放射性標識リガンドを、最終エタノール濃度≦10%で希釈したタンパク質100mclへ添加し、混合し、結合平衡に到達するよう、氷上で一晩インキュベーションした。翌日、各チューブに、ヒドロキシアパタイトスラリー(50%)100mclを添加し、10分間隔で、30分間攪拌した。ヒドロキシアパタイトを、遠心により収集し、その後0.5%Titron X-100を含有する、トリス-EDTA緩衝液(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最終洗浄の後、ペレットを、Biosafe IIシンチレーションカクテル4mlが入ったシンチレーションバイアルに移し、混合し、シンチレーションカウンターに配置した。放射性標識リガンドのみ含むチューブから、総結合を決定した。
放射性標識リガンドおよび非放射性標識リガンドを、最終エタノール濃度≦10%で希釈したタンパク質100mclへ添加し、混合し、結合平衡に到達するよう、氷上で一晩インキュベーションした。翌日、各チューブに、ヒドロキシアパタイトスラリー(50%)100mclを添加し、10分間隔で、30分間攪拌した。ヒドロキシアパタイトを、遠心により収集し、その後0.5%Titron X-100を含有する、トリス-EDTA緩衝液(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最終洗浄の後、ペレットを、Biosafe IIシンチレーションカクテル4mlが入ったシンチレーションバイアルに移し、混合し、シンチレーションカウンターに配置した。放射性標識リガンドのみ含むチューブから、総結合を決定した。
HL-60分化
試験材料
被検薬物
本被検薬物は、エタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した。薬物の濃度範囲が、細胞培養物中に存在するエタノールの最終濃度(≦0.2%)の変化を伴わずに試験することができるように、連続希釈物を調製した。
試験材料
被検薬物
本被検薬物は、エタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した。薬物の濃度範囲が、細胞培養物中に存在するエタノールの最終濃度(≦0.2%)の変化を伴わずに試験することができるように、連続希釈物を調製した。
細胞
ヒト前骨髄細胞性白血病(HL60)細胞を、10%ウシ胎仔血清を含有する、RPMI-1640培地において増殖した。これらの細胞を、5%CO2の存在下で、37℃でインキュベーションした。
ヒト前骨髄細胞性白血病(HL60)細胞を、10%ウシ胎仔血清を含有する、RPMI-1640培地において増殖した。これらの細胞を、5%CO2の存在下で、37℃でインキュベーションした。
アッセイ条件
HL60細胞を、1.2x105個細胞/mlで播種した。播種の18時間後、2つ組の細胞を、薬物で処理した。4日後、これらの細胞を収穫し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(Collins et al., 1979;J. Exp. Med. 149:969-974)。分化した細胞の割合を、総数200個の細胞をカウントし、細胞内青黒色フォルマザン沈着物を含む数を記録することにより決定した。単球細胞への分化の証明は、食作用活性(データは示さず)を測定することにより決定した。
HL60細胞を、1.2x105個細胞/mlで播種した。播種の18時間後、2つ組の細胞を、薬物で処理した。4日後、これらの細胞を収穫し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(Collins et al., 1979;J. Exp. Med. 149:969-974)。分化した細胞の割合を、総数200個の細胞をカウントし、細胞内青黒色フォルマザン沈着物を含む数を記録することにより決定した。単球細胞への分化の証明は、食作用活性(データは示さず)を測定することにより決定した。
インビトロ転写アッセイ
転写活性は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24-水酸化酵素(24Ohase)遺伝子プロモーターで、安定してトランスフェクションされたROS 17/2.8(骨)細胞において測定した(Arbour et al., 1998)。細胞に、一連の投与量を与えた。投与の16時間後、細胞を収穫し、ルミノメーターを用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
転写活性は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24-水酸化酵素(24Ohase)遺伝子プロモーターで、安定してトランスフェクションされたROS 17/2.8(骨)細胞において測定した(Arbour et al., 1998)。細胞に、一連の投与量を与えた。投与の16時間後、細胞を収穫し、ルミノメーターを用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
拮抗作用は、最終エタノール濃度を同じに維持しながら、同じウェルで1,25(OH)2D3および本化合物の組合せを添加することにより試験した。
骨カルシウム動員
第一のインビボ試験
雌のCD-1マウス(6週齢)は、Harlan Sprague-Dawleyから購入した。到着時に、動物は、フィルターを通した照明付きの部屋に配置し、精製されたD-欠乏食(Suda et al 1970 J. Nutrition)を、17週間与えた。この期間の後、マウスを、4群(n=3匹/群)に割当て、ビヒクル(5%エタノール:95%プロピレングリコール)、1,25(OH)2D3、REV-AまたはREV-Bの単回腹腔内注射を投与した。投与量の投与前、およびそれ以降複数時点で、血液を採取した。血清中カルシウムを、0.1%塩化ランタンにより希釈し、原子吸光光度計を用い吸光度を読みとることにより測定した。プレ-投与値(ベースライン)からの血清カルシウムの変化を報告した。
第一のインビボ試験
雌のCD-1マウス(6週齢)は、Harlan Sprague-Dawleyから購入した。到着時に、動物は、フィルターを通した照明付きの部屋に配置し、精製されたD-欠乏食(Suda et al 1970 J. Nutrition)を、17週間与えた。この期間の後、マウスを、4群(n=3匹/群)に割当て、ビヒクル(5%エタノール:95%プロピレングリコール)、1,25(OH)2D3、REV-AまたはREV-Bの単回腹腔内注射を投与した。投与量の投与前、およびそれ以降複数時点で、血液を採取した。血清中カルシウムを、0.1%塩化ランタンにより希釈し、原子吸光光度計を用い吸光度を読みとることにより測定した。プレ-投与値(ベースライン)からの血清カルシウムの変化を報告した。
第二のインビボ試験
6〜7週齢の雌のCD-1マウスを、Harlan(インディアナポリス, IN)から購入した。動物を、群で飼育し、0.47%カルシウムを含有する精製された飼料を与えた(Suda et al 1970 J. Nutrition)。5〜7日の馴化期間の後、動物を、処置群(n=5〜6匹/群)に割当て、腹腔内注射により、指定されたアナログの単回投与量を与えた。血清カルシウム濃度分析のために、投与量の投与直前、および投与量送達後72時間に、血液を採取した。血清カルシウムは、先に説明したように分析した。
6〜7週齢の雌のCD-1マウスを、Harlan(インディアナポリス, IN)から購入した。動物を、群で飼育し、0.47%カルシウムを含有する精製された飼料を与えた(Suda et al 1970 J. Nutrition)。5〜7日の馴化期間の後、動物を、処置群(n=5〜6匹/群)に割当て、腹腔内注射により、指定されたアナログの単回投与量を与えた。血清カルシウム濃度分析のために、投与量の投与直前、および投与量送達後72時間に、血液を採取した。血清カルシウムは、先に説明したように分析した。
第三のインビボ試験
6〜7週齢の雌のCD-1マウスを、Harlan(インディアナポリス, IN)から購入した。動物を、群で飼育し、0.47%カルシウムを含有する精製された飼料を与えた(Suda et al 1970 J. Nutrition)。5〜7日の馴化期間の後、動物を、処置群(n=5匹/群)に割当て、腹腔内注射または経口強制栄養により、指定されたアナログの単回投与量を与えた。血清カルシウム濃度分析のために、投与量送達後様々な時点で血液を採取した。血清カルシウムは、先に説明したように分析した。
6〜7週齢の雌のCD-1マウスを、Harlan(インディアナポリス, IN)から購入した。動物を、群で飼育し、0.47%カルシウムを含有する精製された飼料を与えた(Suda et al 1970 J. Nutrition)。5〜7日の馴化期間の後、動物を、処置群(n=5匹/群)に割当て、腹腔内注射または経口強制栄養により、指定されたアナログの単回投与量を与えた。血清カルシウム濃度分析のために、投与量送達後様々な時点で血液を採取した。血清カルシウムは、先に説明したように分析した。
統計解析
インビボデータは、一元配置ANOVAにより解析し、全体の差異の有意性が検出された場合には、それに続けて対応のある比較により解析した。事後(post-hoc)解析は、テューキー(Tukey)、シェッフ(Scheffe)、およびフィッシャー(Fisher)のLSD検定を含んだ。3種の事後検定のうちの2種にわずかな差異(p<0.05)が存在する場合は、有意であるとみなした。
インビボデータは、一元配置ANOVAにより解析し、全体の差異の有意性が検出された場合には、それに続けて対応のある比較により解析した。事後(post-hoc)解析は、テューキー(Tukey)、シェッフ(Scheffe)、およびフィッシャー(Fisher)のLSD検定を含んだ。3種の事後検定のうちの2種にわずかな差異(p<0.05)が存在する場合は、有意であるとみなした。
データの解釈
VDR結合、HL60細胞分化、および転写活性
REV-A(Ki=3.0x10-8M)およびREV-B(K1=>10-5M)は、完全長組換えラットビタミンD受容体への結合に関し、[3H]-1,25(OH)2D3と競合する能力において、天然のホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(Ki=5.0x10-11M)よりもはるかに低い能力を有している(図1)。追加のジヒドロピラン環を有する合成された19-ノル-1α,25-(OH)2D3の誘導体REV-BおよびREV-Aの中で、REV-Aのみが、ビタミンD受容体への有意な結合親和性を有したにも関わらず、1,25(OH)2D3と比べ500倍以上低下した(図1)。REV-A(EC50=1.0x10-7M)およびREV-B(EC50=1.0x10-6M)は、HL60分化を促進するそれらの能力も、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2.Ox10-9M)と比べ、かなり低い(図2参照)。ビタミンREV-BおよびREV-Aのヒト前骨髄性HL-60細胞の単球への分化を誘導する能力に関する試験は、それらの効能は、天然のホルモンと比べ、各々、3桁および2桁減少することを示している(図2)。同じく化合物REV-A(EC50=3.0x10-8M)は、骨細胞において、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2.0x10-10M)よりもはるかに低い転写活性を有するのに対し、REV-Bは、本質的に転写活性を有さないことがわかった(図3参照)。従って、REV-Aは、弱い転写活性を有し、24-水酸化酵素(CYP-24)においてプロモーターがルシフェラーゼリポーター遺伝子システムを駆動することを示したのに対し、REV-Bは、これに関し完全に不活性であることがわかった(図3)。
VDR結合、HL60細胞分化、および転写活性
REV-A(Ki=3.0x10-8M)およびREV-B(K1=>10-5M)は、完全長組換えラットビタミンD受容体への結合に関し、[3H]-1,25(OH)2D3と競合する能力において、天然のホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(Ki=5.0x10-11M)よりもはるかに低い能力を有している(図1)。追加のジヒドロピラン環を有する合成された19-ノル-1α,25-(OH)2D3の誘導体REV-BおよびREV-Aの中で、REV-Aのみが、ビタミンD受容体への有意な結合親和性を有したにも関わらず、1,25(OH)2D3と比べ500倍以上低下した(図1)。REV-A(EC50=1.0x10-7M)およびREV-B(EC50=1.0x10-6M)は、HL60分化を促進するそれらの能力も、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2.Ox10-9M)と比べ、かなり低い(図2参照)。ビタミンREV-BおよびREV-Aのヒト前骨髄性HL-60細胞の単球への分化を誘導する能力に関する試験は、それらの効能は、天然のホルモンと比べ、各々、3桁および2桁減少することを示している(図2)。同じく化合物REV-A(EC50=3.0x10-8M)は、骨細胞において、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2.0x10-10M)よりもはるかに低い転写活性を有するのに対し、REV-Bは、本質的に転写活性を有さないことがわかった(図3参照)。従って、REV-Aは、弱い転写活性を有し、24-水酸化酵素(CYP-24)においてプロモーターがルシフェラーゼリポーター遺伝子システムを駆動することを示したのに対し、REV-Bは、これに関し完全に不活性であることがわかった(図3)。
ビタミンD-欠乏動物における骨からのカルシウム動員
低カルシウム飼料(0.02%)で飼育したビタミンD-欠乏マウスを用い、骨におけるREV-A、REV-Bおよび1,25(OH)2D3の活性を試験した。予想されたように、未変性のホルモン(1,25(OH)2D3)は、試験した用量で、血清カルシウムレベルを増大した(図4)。
低カルシウム飼料(0.02%)で飼育したビタミンD-欠乏マウスを用い、骨におけるREV-A、REV-Bおよび1,25(OH)2D3の活性を試験した。予想されたように、未変性のホルモン(1,25(OH)2D3)は、試験した用量で、血清カルシウムレベルを増大した(図4)。
前述のインビトロの結果を考慮し、合成されたアナログREV-BおよびREV-Aに関して、非常に低いカルセミック活性または更に完全なインビボ活性の欠如が予想された。しかし、天然のホルモンの投与量よりも30倍過剰の投与量のこれらの化合物でD-欠乏マウスにおいてインビボで実行された試験は、これらの化合物は、24時間後カルシトリオールと同様のカルセミック反応を有し、ならびに異性体REV-Bは、この投与量が投与された48時間後に顕著により大きい活性があったことを示している(図4)。D-欠乏CD-1マウスにおいて行った第二の試験は、再度、血中カルシウムレベルを上昇するREV-Bの顕著なインビボ活性を示した(図5)。しかし、REV-Aでは血清カルシウムの有意な上昇は検出されず、これは、REV-Aの投与後の血清カルシウムのみかけの上昇は、所定の変動および1群当たりの少ない動物(n=3)では、統計学的有意性に達しなかった点で、D-欠乏マウス試験と一致した。興味深いことに、インビトロにおける活性が最低量であるアナログ(REV-B-α-椅子形)は、最大のインビボ活性を有し、更にそのインビボ効能は、未変性ホルモンの効能に類似している。REV-Bで行った最後の実験は、図6に示している。この試験は再度、D-欠乏CD-1マウスにおいて行った。二つの異なる投与経路(経口強制栄養、対、腹腔内注射)を試験した。両方の投与経路は、血清カルシウムの増加を引き起こす点では有効であるが;しかし、腹腔内注射は、経口強制栄養よりもより有効である。この知見は、未変性のホルモンのそれに類似している。D-欠乏動物におけるように、動物がREV-B投与された場合に生じる、観察された血清カルシウムの増加に関して、1,25(OH)2D3と比べ、有意な遅延が存在することも留意すべきである。生存生物において、両方のアナログは、若干の代謝による変化を受け、恐らくジヒドロピラン環を切断し、生物学的活性がほとんどまたは全くない一方の化合物、および未変性のホルモンと比較した場合により長く現れる際だったインビボ活性を伴う他方の化合物を生じることも示唆することができる。環切断が、代謝性転換を生じるならば、REV-Aは、VDR結合に非常に重要であることがわかっている1ヒドロキシ基を有さないので、REV-Bが、インビトロの状況と比べ、インビボにおいてREV-Aよりもはるかに活性がある理由を説明することは困難である。開環は、インビボ、対、インビトロにおいて得られた非対応(desparate)の結果に関する説明であることを証明するためには、更なる試験が必要である。
考察
ビタミンD化合物のシクロヘキサンA環の立体配座の平衡およびその生物学的活性に対する影響は、30年以上研究されている。1974年に、Okamuraは、エクアトリアル1αヒドロキシルを有するβ-椅子形は、ビタミンDアナログの生物学的活性に寄与するという仮説を立てた。1α,25-ジヒドロキシ-10,19-ジヒドロビタミンD3に関する本発明者らの初期の研究は、この提言とは矛盾するように見えた。その後日本の科学者により合成されたこのホルモンの2-メチル置換されたアナログおよび本発明者らの研究室で得られたそれらの19-ノル-対応物(counterpart)の生物学的試験の結果および立体配座分析は、本発明者らが、1α-OHのアキシアル配向は、カルセミック活性を発揮する上で重要であることを示唆する上で助けとなった。C-1にアキシアルヒドロキシルを伴う配座異性体への強力なバイアス(90%を上回る)を特徴とする、2α-アルキル化されたビタミンは、生物学的にはるかにより強力であり、従ってそれぞれの2β-異性体は、主として反対のβ-椅子形で溶液中に存在することがわかった。しかしその後、Morasのグループが、カルシトリオールと複合したhVDRリガンド結合ドメイン(LBD)ならびにC-20の天然にない立体配置により特徴付けられるいくつかの他のリガンドの結晶構造を報告した。これらの結果は全て、この受容体は、それらのA-環をβ-椅子形立体配座で有するビタミンD化合物と結合する(少なくとも結晶状態では)ことを、明確に指摘した。本発明者らの研究室の最新の報告は更により説得力があり、そこでは、Vanhookeが、小腸および骨の両方において高度に上昇した生体効力を有する、2α-メチル-置換されたビタミンD3アナログと複合したラットVDR LBDの結晶構造について説明している。この研究は、このビタミンD化合物は、そのVDRとの結晶性複合体においても、β-椅子形A-環立体配座を採用することを示している。しかしこれらの場合全てにおいて、リガンドのA-環椅子形配座異性体の間の相互変換は、阻止されず、従ってリガンド-VDR複合体のどの形が、実在する生理的環境において実際に存在するかについては若干の懸念が生じる。従って、C-1にアキシアル配向のヒドロキシル基を有し、そのA-環立体配座を変更することができないビタミンD化合物を合成し、生物学的に評価することを試みた。本研究において説明した1α,25-ジヒドロキシビタミンD3アナログREV-Bは、これらの必要要件を満たしている。このようなビタミンDは、VDRに結合せず、かつ細胞分化およびビタミンD-反応性遺伝子の転写誘導における活性を欠いていることが確立された。注目すべきは、遊離の3β-および25ヒドロキシル基を有するが、「固定された」A-環β-椅子形立体配座を特徴としないその異性体REV-Aは、その受容体への結合において、そのホルモンよりも約560倍効力が低いことである。このような結合能は、1α-酸素官能性が、水素ドナーとして作用することができず、かつLBDからのアミノ酸と水素結合を生じるような25-OH-D3 誘導体について予想される。合成されたアナログREV-BおよびREV-Aにおいてインビトロで得られた生物学的結果は、A-環β-椅子形立体配座および結果的に1α-OHのエクアトリアル配向は、ビタミンD化合物が、そのVDRとの結合および生物学的活性の発揮を確実にするために必要であることを明確に確認している。被験ビタミンのインビボにおける生物学的評価は、インビトロで得られた結果と一致した結果を生じず、これは恐らく生存生物において生じる両方の化合物の代謝による変換によるものであろう。
ビタミンD化合物のシクロヘキサンA環の立体配座の平衡およびその生物学的活性に対する影響は、30年以上研究されている。1974年に、Okamuraは、エクアトリアル1αヒドロキシルを有するβ-椅子形は、ビタミンDアナログの生物学的活性に寄与するという仮説を立てた。1α,25-ジヒドロキシ-10,19-ジヒドロビタミンD3に関する本発明者らの初期の研究は、この提言とは矛盾するように見えた。その後日本の科学者により合成されたこのホルモンの2-メチル置換されたアナログおよび本発明者らの研究室で得られたそれらの19-ノル-対応物(counterpart)の生物学的試験の結果および立体配座分析は、本発明者らが、1α-OHのアキシアル配向は、カルセミック活性を発揮する上で重要であることを示唆する上で助けとなった。C-1にアキシアルヒドロキシルを伴う配座異性体への強力なバイアス(90%を上回る)を特徴とする、2α-アルキル化されたビタミンは、生物学的にはるかにより強力であり、従ってそれぞれの2β-異性体は、主として反対のβ-椅子形で溶液中に存在することがわかった。しかしその後、Morasのグループが、カルシトリオールと複合したhVDRリガンド結合ドメイン(LBD)ならびにC-20の天然にない立体配置により特徴付けられるいくつかの他のリガンドの結晶構造を報告した。これらの結果は全て、この受容体は、それらのA-環をβ-椅子形立体配座で有するビタミンD化合物と結合する(少なくとも結晶状態では)ことを、明確に指摘した。本発明者らの研究室の最新の報告は更により説得力があり、そこでは、Vanhookeが、小腸および骨の両方において高度に上昇した生体効力を有する、2α-メチル-置換されたビタミンD3アナログと複合したラットVDR LBDの結晶構造について説明している。この研究は、このビタミンD化合物は、そのVDRとの結晶性複合体においても、β-椅子形A-環立体配座を採用することを示している。しかしこれらの場合全てにおいて、リガンドのA-環椅子形配座異性体の間の相互変換は、阻止されず、従ってリガンド-VDR複合体のどの形が、実在する生理的環境において実際に存在するかについては若干の懸念が生じる。従って、C-1にアキシアル配向のヒドロキシル基を有し、そのA-環立体配座を変更することができないビタミンD化合物を合成し、生物学的に評価することを試みた。本研究において説明した1α,25-ジヒドロキシビタミンD3アナログREV-Bは、これらの必要要件を満たしている。このようなビタミンDは、VDRに結合せず、かつ細胞分化およびビタミンD-反応性遺伝子の転写誘導における活性を欠いていることが確立された。注目すべきは、遊離の3β-および25ヒドロキシル基を有するが、「固定された」A-環β-椅子形立体配座を特徴としないその異性体REV-Aは、その受容体への結合において、そのホルモンよりも約560倍効力が低いことである。このような結合能は、1α-酸素官能性が、水素ドナーとして作用することができず、かつLBDからのアミノ酸と水素結合を生じるような25-OH-D3 誘導体について予想される。合成されたアナログREV-BおよびREV-Aにおいてインビトロで得られた生物学的結果は、A-環β-椅子形立体配座および結果的に1α-OHのエクアトリアル配向は、ビタミンD化合物が、そのVDRとの結合および生物学的活性の発揮を確実にするために必要であることを明確に確認している。被験ビタミンのインビボにおける生物学的評価は、インビトロで得られた結果と一致した結果を生じず、これは恐らく生存生物において生じる両方の化合物の代謝による変換によるものであろう。
結論
ビタミンREV-BおよびREV-AのA-環の立体配座に加え、それらのA-環部分の構築に使用された中間体化合物の構造は、NMR分光法により確立した。観察された近接プロトンカップリング定数の分析は、追加のジヒドロピラン環を有する、合成ビタミンDアナログREV-BおよびREV-Aにおいて、それらのA-環は、単独の立体配座、各々、α-およびβ-椅子形においてのみ存在することを証明した。本発明者らは、アナログREV-BおよびREV-Aの生物学的インビトロ試験から、C-1でのエクアトリアルに配向した遊離ヒドロキシルの存在は、ビタミンD受容体への結合に必要であると結論付けた。従ってβ-椅子形A-環立体配座と推定され得るビタミンDのみが、VDRにより受容され得、更にリガンド-受容体活性に重要である立体配座の変化を生じる。
ビタミンREV-BおよびREV-AのA-環の立体配座に加え、それらのA-環部分の構築に使用された中間体化合物の構造は、NMR分光法により確立した。観察された近接プロトンカップリング定数の分析は、追加のジヒドロピラン環を有する、合成ビタミンDアナログREV-BおよびREV-Aにおいて、それらのA-環は、単独の立体配座、各々、α-およびβ-椅子形においてのみ存在することを証明した。本発明者らは、アナログREV-BおよびREV-Aの生物学的インビトロ試験から、C-1でのエクアトリアルに配向した遊離ヒドロキシルの存在は、ビタミンD受容体への結合に必要であると結論付けた。従ってβ-椅子形A-環立体配座と推定され得るビタミンDのみが、VDRにより受容され得、更にリガンド-受容体活性に重要である立体配座の変化を生じる。
これらの結果は、REV-AおよびREV-Bは、本明細書に説明されたような多くのヒト療法のための優れた候補であること、ならびにこれらは、腎性骨形成異常症の二次性副甲状腺機能亢進症の抑制などの多くの状況において特に有用であり得ることを例証している。インビボにおいてREV-AおよびREV-Bは、骨に印象的活性を有するという事実は、これらを、代謝性骨疾患、特に腎性骨形成異常症、骨粗鬆症、骨減少症、ビタミンD-抵抗性くる病、および骨軟化症などの治療に有用であることを示唆している。
式IおよびIIの本発明の化合物は、動物対象における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の減少においても有用である。従って、一部の態様において、動物対象における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の減少の方法は、式Iおよび/またはIIの1種もしくは複数の化合物、または1種もしくは複数の化合物を含有する薬学的組成物を有効量、動物対象へ投与することを含む。本化合物または薬学的組成物の対象への投与は、動物対象において、脂肪細胞分化を阻害し、遺伝子転写を阻害し、および/または体脂肪を減少する。この動物は、ヒト、イヌもしくはネコなどの家畜動物、または家畜、特にヒト消費のために食肉を提供するもの、例えばニワトリ、シチメンチョウ、キジもしくはウズラなどの家禽、更にはウシ、ヒツジ、ヤギもしくはブタの動物であってよい。
予防および/または治療目的で、式IおよびIIにより規定された本発明の化合物は、当該技術分野において公知の常法に従い、無毒の溶媒中に液剤として、または好適な溶媒もしくは担体中に乳剤、懸濁剤もしくは分散剤として、または、固形担体と一緒の丸剤、錠剤もしくはカプセル剤として薬学的適用のために製剤されて良い。任意のそのような製剤は、他の薬学的に許容されるおよび無毒の賦形剤、例えば安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤または乳化剤または矯味剤などを含んでよい。
式IおよびIIの化合物は、経口、局所的、非経口、経直腸、鼻腔内、舌下、または経皮的に投与されてよい。本化合物は有利なことに、注射または静脈内注入もしくは好適な無菌の溶液によるか、または消化管を介し液体もしくは固体の投与剤型で、またはクリーム剤、軟膏剤、貼付剤の形で、または経皮塗布に好適な類似したビヒクルの形で投与される。化合物IまたはIIの0.01μg〜10mg/日の投与量、好ましくは約0.1μg〜約1mg/日は、予防および/または治療目的に適しており、そのような投与量は、当該技術分野において周知のように、治療される疾患、その重症度および対象の反応に応じて調節される。本化合物は作用の特殊性を示すので、各化合物は、様々な程度の骨塩動員およびカルシウム輸送刺激が有利であると認められる状況において、単独で、または段階投与量の別の活性ビタミンD化合物−例えば1αヒドロキシビタミンD2もしくはD3、または1α,25-ジヒドロキシビタミンD3−と一緒に、好適に投与されてよい。
前述の治療に使用するための組成物は、活性成分として先の式IおよびIIにより規定されたような化合物IまたはIIを有効量、ならびに好適な担体を含有する。本発明に従い使用するためのこのような化合物の有効量は、約0.01μg〜約10mg/g組成物、好ましくは約0.1μg〜約1mg/g組成物であり、局所的、経皮、経口、経直腸、鼻腔内、舌下または非経口に、用量約0.01μg/日〜約10mg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約1mg/日で投与することができる。
化合物IおよびIIは、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、外用貼付剤、丸剤、カプセル剤もしくは錠剤、坐剤、エアロゾル、または薬学的に無毒もしくは許容できる溶媒もしくは油分中に液剤、乳剤、分散剤、もしくは懸濁剤のような液体の形状で製剤されてよく、そのような調剤は、加えて他の薬学的に無毒もしくは有益な成分、例えば安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤または矯味剤を含有してよい。
化合物IおよびIIは有利なことに、前骨髄細胞の正常なマクロファージへの分化を実行するのに十分な量で投与することができる。先に説明された用量は好適であり、投与される量は、当該技術分野において周知のように、疾患の重症度、対象の状態および反応に従い調節されることが理解される。
従って本発明の製剤は、薬学的に許容される担体と会合した活性成分、および任意に他の治療的成分を含有する。この担体は、本製剤の他の成分と共存でき、かつそのレシピエントに有害でないという意味で「許容でき」なければならない。
経口投与に適した本発明の製剤は、各々、予め決定された量の活性成分を含有する、カプセル剤、サシェ剤、錠剤または舐剤のような、個別の単位剤型;散剤または顆粒剤の形;水性液体または非水性液体中の、液剤または懸濁剤の形;もしくは、水中油型乳剤または油中水型乳剤であってよい。
経直腸投与のための製剤は、活性成分およびカカオバターなどの担体が混入された坐剤の形、または浣腸の形であってよい。
非経口的投与に適した製剤は、好都合なことに、好ましくはレシピエントの血液と等張である活性成分の無菌の油性または水性の調剤を含む。
局所投与に適した製剤は、リニメント剤、ローション剤、塗布剤(applicant)、水中油型乳剤または油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏剤もしくはパスタ剤などの液体もしくは半液体の調剤;または、滴剤のような液体もしくは懸濁液;または、スプレーなどを含む。
鼻腔内投与に関して、粉末の吸入、自己噴射もしくはスプレー製剤、スプレー缶、ネブライザーもしくはアトマイザーによる計量投薬を使用することができる。これらの製剤は、計量投薬される場合、粒径が10〜100μの範囲であることが好ましい。
これらの製剤は好都合なことに、単位剤型で提供され、調剤の技術分野において周知の方法により調製されてよい。用語「単位剤型」は、活性成分それ自体またはそれと固形もしくは液体の薬学的希釈剤もしくは担体の混合物のいずれかを含む、物理的および化学的に安定した単位投与量として患者へ投与されることが可能である、単位の、すなわち単回投与量を意味する。
Claims (105)
- 下記式を有する化合物:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して、0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - Yが水素である、請求項1記載の化合物。
- 有効量の請求項1記載の化合物の少なくとも1つを、薬学的に許容される賦形剤と共に含有する、薬学的組成物。
- 有効量が、約0.01μg〜約10mg/g組成物を含む、請求項3記載の薬学的組成物。
- 有効量が、約0.1μg〜約1mg/g組成物を含む、請求項3記載の薬学的組成物。
- 下記式を有する化合物の有効量を、代謝性骨疾患を有する対象へ投与することを含む、代謝性骨疾患を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、R基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して、0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ、酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 疾患が老人性骨粗鬆症である、請求項6記載の方法。
- 疾患が閉経後骨粗鬆症である、請求項6記載の方法。
- 疾患がステロイド誘導型骨粗鬆症である、請求項6記載の方法。
- 疾患が低骨代謝回転型骨粗鬆症である、請求項6記載の方法。
- 疾患が骨軟化症である、請求項6記載の方法。
- 化合物が経口投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項6記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項6記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、骨減少症を有する対象へ投与することを含む、骨減少症を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項20記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項20記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、腎性骨形成異常症を有する対象へ投与することを含む、腎性骨形成異常症を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項29記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項29記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、それを必要とする動物へ投与することを含む、動物の肥満症を治療もしくは予防する、脂肪細胞の分化を阻害する、SCD-1遺伝子転写を阻害する、および/または動物の体脂肪を低下する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項38記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項38記載の方法。
- 動物がヒトである、請求項38記載の方法。
- 動物が家畜動物である、請求項38記載の方法。
- 動物が農業用動物である、請求項38記載の方法。
- 下記式を有する化合物:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - Yが水素である、請求項50記載の方法。
- 有効量の請求項50記載の化合物の少なくとも1つを、薬学的に許容される賦形剤と共に含有する、薬学的組成物。
- 有効量が、約0.01μg〜約10mg/g組成物を含む、請求項52記載の薬学的組成物。
- 有効量が、約0.1μg〜約1mg/g組成物を含む、請求項52記載の薬学的組成物。
- 下記式を有する化合物の有効量を、代謝性骨疾患を有する対象へ投与することを含む、代謝性骨疾患を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 疾患が老人性骨粗鬆症である、請求項55記載の方法。
- 疾患が閉経後骨粗鬆症である、請求項55記載の方法。
- 疾患がステロイド誘導型骨粗鬆症である、請求項55記載の方法。
- 疾患が低骨代謝回転型骨粗鬆症である、請求項55記載の方法。
- 疾患が骨軟化症である、請求項55記載の方法。
- 化合物が経口投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項55記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項55記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、骨減少症を有する対象へ投与することを含む、骨減少症を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項69記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項69記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、腎性骨形成異常症を有する対象へ投与することを含む、腎性骨形成異常症を治療する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項78記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項78記載の方法。
- 下記式を有する化合物の有効量を、それを必要とする動物へ投与することを含む、動物の肥満症を治療もしくは予防する、脂肪細胞の分化を阻害する、SCD-1遺伝子転写を阻害する、および/または動物の体脂肪を低下する方法:
式中、Yが、水素およびヒドロキシ保護基からなる群より選択され、かつR基が、アルキル、水素、ヒドロキシアルキル、もしくはフルオロアルキル基を表すか、またはRが、下記式の側鎖を表していてもよく:
ここで、該側鎖構造内のZが、Y、-OY、-CH2OY、-C≡CYおよび-CH=CHYから選択され、ここで側鎖内の二重結合が、cisもしくはtrans幾何配置であってもよく、かつYが、水素、メチル、-COR5、および下記構造のラジカルから選択され:
ここで、mおよびnが、独立して0〜5の整数を表し、ここでR1が、水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5-アルキルから選択され、ここでR2、R3、およびR4の各々が独立して、重水素、ジュウテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、および直鎖または分枝鎖であってもよくかつ任意でヒドロキシまたは保護されたヒドロキシ置換基を持っていてもよいC1-5アルキルから選択され、ここでR1およびR2が一緒に、オキソ基、またはkが整数である一般式CkH2k-を有するアルキリデン基、基=CR2R3、またはpが2〜5の整数である基-(CH2)p-を表し、R3およびR4が一緒に、オキソ基、またはqが2〜5の整数である基-(CH2)q-を表し、ここでR5が、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1-5アルキルを表し、かつ側鎖内の20、22、もしくは23位のCH-基のいずれかが、窒素原子により置換されていてもよいか、または20、22、および23位の基-CH(CH3)-、-(CH2)m-、-CR1R2-もしくは-(CH2)n-のいずれかが、それぞれ酸素もしくは硫黄原子により置換されていてもよい。 - 化合物が経口投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が非経口投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が経皮投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が経直腸投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が鼻腔内投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が舌下投与される、請求項87記載の方法。
- 化合物が約0.01μg/日〜約10mg/日の用量で投与される、請求項87記載の方法。
- 動物がヒトである、請求項87記載の方法。
- 動物が家畜動物である、請求項87記載の方法。
- 動物が農業用動物である、請求項87記載の方法。
- Y1がアシル基である、請求項99記載の化合物。
- Y3が水素である、請求項101記載の化合物。
- Y3がt-ブチルジメチルシリルである、請求項101記載の化合物。
- Y1、Y2、およびY3が、各々水素である、請求項104記載の化合物。
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