JP2009529333A - ペプチド結合に基づく多数の細胞株のプロファイリングに関連した組成物および方法 - Google Patents

ペプチド結合に基づく多数の細胞株のプロファイリングに関連した組成物および方法 Download PDF

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Abstract

多数の細胞または細胞株に特定の特徴的パターンで会合または結合する細胞および/またはペプチドを分類するための方法および組成物が説明される。本発明の局面はまた、細胞または細胞集団へ薬物を送達するための適切な結合特性を有するペプチドの使用も含む。

Description

米国政府は、国防総省(Department of Defense)からの助成金第DAMD17-03-1-0638号、および国立衛生研究所(National Institutes of Health)からの助成金CA103056により、本発明における権利を有する。
本出願は、2006年3月9日に出願された米国特許仮出願第60/780,893号の恩典を主張する。
1.技術分野
本発明は、概して、分子生物学、ウイルス学、および腫瘍学に関連した方法および組成物を対象とする。ある局面において、本発明は、ペプチド結合特性に基づいて多数の細胞または細胞株をプロファイリングおよび/または分類する組成物および方法を対象とする。
発明の簡単な概要
本発明の態様は、細胞株をプロファイリングする方法、および/または細胞の標的集団もしくはファミリーに結合するペプチド配列もしくは構造を同定する方法を含む。本方法は、以下の段階を含む:多数の細胞株を提供する段階;各細胞株を、表面上にランダムな異種ペプチドを提示するファージのライブラリーと接触させる段階;細胞株の各々に結合するファージを取得する段階;各細胞株に結合するペプチドを同定する段階;および、同定されたペプチドに基づいて各細胞株を分類する段階。本方法は、各々の同定されたペプチドに結合する細胞株に基づいて各々の同定されたペプチドを分類する段階をさらに含み得る。一つの局面において、細胞株は癌細胞株を含む。癌細胞株は、腎臓、乳房、大腸、肺、前立腺、脳、肝臓、膵臓、子宮、神経、皮膚、頭頸部、白血病、リンパ球、または卵巣癌細胞株を含んでもよいが、それらに限定されない。別の局面において、パネルは癌細胞株である。特定の局面において、パネルは癌細胞株のNCI 60パネルである。本方法は、共通起源の癌細胞株または癌細胞の大多数に結合するペプチドを同定する段階をさらに含む。さらに、本方法はまた、公知の受容体リガンドとの類似性を同定するために、同定されたペプチドを解析する段階を含み得る。
ある特定の局面において、細胞株を分類する段階はクラスタリング解析によって行われる。クラスタリング解析は、クラスター化されたイメージマップ(CIM)を構築するために使用され得る。特定の局面において、同定されたペプチドを分類する段階はクラスタリング解析によって行われる。クラスタリング解析は、クラスター化されたイメージマップを構築するために使用され得る。別の局面において、本方法はまた、以下の工程を含む同定されたペプチドの少なくとも一つに対する受容体を同定する段階を含んでもよい:同定されたペプチドを提供する工程;同定されたペプチドを標識する工程;適切な細胞株を標識ペプチドと接触させる工程;受容体-ペプチド複合体を単離する工程;および、標識ペプチドに結合した受容体を同定する工程。
別の態様において、5種類またはそれ以上のペプチドを含むペプチドの群が、細胞株の亜集団に選択的に結合するとして分類または同定され得、ここで、ペプチドは表3に列挙されるものおよび本明細書において説明されるものを含むが、それらに限定されない。ある特定の局面において、ペプチドの部分配列(sub sequence)は、ペプチドにある特定の結合特性を付与するとして同定されうる。
またさらなる態様において、本発明の方法は、細胞または細胞株を分類するために使用され得る。細胞株を分類する方法は、以下を含む段階を含むが、それらに限定されない:細胞を、公知の起源の細胞に差次的に結合する選択されたペプチドまたはポリペプチドの群と接触させる段階;細胞株に結合するペプチドを検出する段階;および、細胞株に結合するペプチドに基づいて細胞株の分類を評価する段階。したがってある特定の局面において、細胞を分類する段階は、細胞がある特定の受容体ポリペプチドを発現する際に特定の療法に感受性であるか否かを判定する段階、または細胞の起源の組織を決定する段階を含んでもよい。本発明のある特定の局面において、本発明による使用のために選択されたポリペプチドの群は、ジスルフィド結合を含むペプチドなどの環状ペプチドまたは部分ペプチドとしてさらに定義される。ある特定の場合において、選択されたペプチドまたはポリペプチドの群は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30種類またはそれ以上の別個のペプチドまたはポリペプチドを含んでもよい。
したがってさらなる具体的な態様において、以下の段階を含む細胞を分類するための方法が提供される:細胞を含む試料を取得するかまたは有する段階;細胞を、公知の起源またはタイプの細胞に差次的に結合するペプチドまたはポリペプチドの群と接触させる段階;細胞に結合するペプチドを検出する段階;および、ペプチド結合に基づいて細胞を分類する段階。前記で説明されたように、ある特定の局面において、選択されたペプチドまたはポリペプチドの群は、表3において提供されるものから選択されたアミノ酸配列を含む。したがって、ある場合において、選択されたペプチドまたはポリペプチドの群は、表3によるアミノ酸配列を含む、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30種類またはそれ以上の要素を含む。当業者は、本発明の選択されたペプチドまたはポリペプチドが、いくつかの局面において、例えば、酵素、フルオロフォア、または放射性同位体で標識されうることを認識するであろう。
いくつかの局面において、選択されたペプチドまたはポリペプチドは、ジスルフィド結合を含むペプチドまたはポリペプチドなどの環状ポリペプチドまたは部分ポリペプチドであってもよい。いくつかの好ましい局面において、ペプチドまたはポリペプチドの環状領域は、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のアミノ酸を含む。例えば、ある特定の局面において、選択されたペプチドまたはポリペプチドは、表3において提供されるアミノ酸配列を含み、所定のアミノ酸配列はポリペプチドの環状領域中に含まれる。したがって、選択されたペプチドまたはポリペプチドは表3のアミノ酸配列を含んでもよいことが企図され、ここで配列は、システイン残基がジスルフィド結合によって架橋されうるようにシステイン残基に隣接している。
本発明のいくつかの局面において、本発明による細胞を分類するための方法は、選択されたペプチドまたはポリペプチドの群の細胞への結合プロファイルを、公知の分類を有する細胞由来の類似した結合プロファイルと比較する段階を含んでもよい。そのような比較は直接行われてもよいし、または結合プロファイルのチャートもしくはデータベースを調べることによって行われてもよい。例えば、結合プロファイルのチャートまたはデータベースは、5、10、15、20、25種類またはそれ以上の異なる分類の細胞由来の結合プロファイルを含みうる。ある特定の局面において、結合プロファイルのチャートまたはデータベースは、選択されたペプチドまたはポリペプチドの異なる分類の細胞への結合のクラスタリング解析を含みうる。したがって、いくつかの場合において、結合プロファイルのチャートまたはデータベースは、クラスター化されたイメージマップ(CIM)を含みうる。したがって、細胞を分類する段階は、例えばクラスタリング解析によって行われうる。
本発明のまたさらなる局面において、以下の段階を含む、対象を処置するための方法が提供される:細胞を含む対象由来の試料を取得するかまたは有する段階;細胞を分類する(例えば、前記で説明された方法によって)段階;および、細胞の分類に基づいた治療剤で対象を処置する段階。例えば、いくつかの場合において、対象は癌患者として定義され得る。この場合、対象由来の癌細胞が分類され得る。細胞の分類は、例えば、起源の組織、受容体状態、または特定の抗癌療法に対する細胞の感受性を決定する段階を含んでもよい。したがって、細胞の分類に基づいて、対象は適切な抗癌療法で処置され得る。例えば、本発明の方法は、放射線療法、免疫療法、外科療法、または化学療法に感受性であるかまたは抵抗性であるとして細胞を分類するために使用され得る。さらに、本発明の方法は、特定の化学療法剤または化学療法剤の種類に感受性であるかまたは抵抗性であるとして細胞を分類するために使用され得る。したがって、本発明の方法は、抗癌療法に感受性であるかまたは抵抗性であるとして対象由来の癌細胞を分類する段階、および、細胞が感受性である一つまたは複数の抗癌療法で対象を処置する段階を含んでもよい。
ある特定の局面において、本発明は細胞などの試料を取得するかまたは有する段階に関する。試料が対象由来である場合は、試料は直接取得されてもよいし、または第三者によって取得されてその後本明細書において説明される方法に供されてもよいことが企図される。さらに、ある特定の局面において、本発明の方法は、対象由来の細胞を分類する(例えば、あるタンパク質受容体の発現を有するか、または特定の起源の組織由来であるとして)段階、および対象の治療を援助するために医療専門家などの第三者に分類情報を提供する段階を含む、対象の治療を援助するための方法として定義されてもよいことが企図される。
さらに別の態様において、本発明はペプチドを分類する方法を含む。ペプチド分類の方法は、以下を含む段階を含むが、それらに限定されない:多数の細胞株を、細胞に差次的に結合するペプチドのライブラリーと接触させる段階;細胞株に結合するペプチドを検出する段階;および、ペプチドに結合する細胞に基づいてペプチドを分類する段階。
ある特定の局面において、CSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)またはCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)のペプチド配列を含む組成物を用いることによってEphA5受容体を標的とすることができる。当業者は、ある特定の局面において本発明のペプチド標的配列が環状であることをさらに認識するであろう。したがって、アミノ酸配列SGIGSGG(SEQ ID NO:4)またはRFESSGG(SEQ ID NO:5)を含む環状ポリペプチドを含むEphA5受容体標的組成物が提供される。本明細書において例示されるように、ある特定の局面において、環状EphA5標的組成物は、システイン残基が隣接したSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5によるペプチド配列を含んでもよく、それによってシステイン残基の間のジスルフィド結合を介して環状標的薬剤を形成する。本明細書において使用される際、隣接したという用語は、指示されたアミノ酸配列が2個のシステイン残基の間にあることを意味するが、いくつかの場合において、追加的なアミノ酸もまた2個のシステイン残基の間に含まれうることが企図される。
本発明の組成物は、治療剤または造影剤に(非共有結合的もしくは共有結合的に、または、リポソームなどの媒介物を介して間接的もしくは直接的に)カップリングできる。治療剤は、低分子、薬物、または治療的ペプチドを含み得るが、それらに限定されない。例えば、ある特定の局面において、本発明の治療的組成物はポリペプチドを含む。これらの局面において、治療的Eph5A受容体標的組成物は融合タンパク質を含みうる。したがって、いくつかの非常に特殊な場合において、治療的ポリペプチドは、Eph5A受容体発現細胞において細胞死を誘導できる毒素または他の細胞障害性分子であってもよい。本発明における使用のための造影剤は、MRI造影剤、放射性同位体、フルオロフォア、および質量タグ(例えば、質量分析法を介した検出のため)を含むが、それらに限定されない。
ある特定の局面において、アミノ酸配列SGIGSGG(SEQ ID NO:4)またはRFESSGG(SEQ ID NO:5)を含むEphA5受容体アゴニストが提供される。上記で説明されたように、いくつかの場合において、EphA5受容体アゴニストは環状ペプチドまたはポリペプチドであり、環状領域はSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む。したがって、いくつかの場合において、アゴニストは、SEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列にシステイン残基が隣接している(例えば、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:3におけるように)ペプチドまたはポリペプチドなどのジスルフィド結合を含む環状ペプチドまたはポリペプチドである。
したがって本発明のまたさらなる局面において、前記で説明されたようなEphA5受容体標的治療剤を細胞に投与する段階を含む、Eph5A受容体陽性細胞を処置するための方法が提供される。したがっていくつかの局面において、本発明の方法は、有効量のEphA5受容体標的治療剤を投与することによってEphA5受容体陽性細胞を含む対象を処置するための方法としてさらに定義されうる。例えば、ある特定の場合において、対象は、肺癌または神経癌などのEphA5受容体陽性癌を含む癌患者であってもよい。またさらなる局面において、細胞障害剤または抗癌剤を含むEphA5受容体標的治療剤を投与することによって、EphA5受容体陽性癌を有する対象を処置するための方法が提供される。
添付の特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語と共に使用される際、「ある」または「一つの」という単語の使用は「一つ」を意味する可能性があるが、「一つまたは複数」、「少なくとも一つ」、および「一つまたは一つより多い」という意味ともまた一致する。
添付の特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すことを明確に指示していない限り、または、開示が代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持するにもかかわらず代替物が互いに排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用される。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内の種々の変化および改変が詳細な説明から当業者に明らかになると考えられるため、詳細な説明および具体例は本発明の具体的態様を示すが例示目的のみで与えられることが、理解されねばならない。
発明の詳細な説明
ヒト腫瘍由来の60細胞株のコレクション(NCI-60)は、抗癌剤発見のためのツールとして広く探索されてきた。本発明の一つの局面において、NCI-60の細胞表面を、ファージ提示ランダムペプチドライブラリーのハイスループットスクリーニングによりプロファイリングし、回収されたトリペプチドモチーフ26,031個の結合選択性にしたがって細胞株を分類した。本発明者らは、選択された細胞ホーミングペプチドモチーフおよびそのNCI-60認識パターンを解析することによって、これらのモチーフのいくつかが(a)腫瘍細胞受容体に対するリガンドとして公知であるヒトタンパク質のドメインに類似していること、および(b)対応する受容体の発現プロファイルと相関するパターンにおいてNCI-60の中で分離すること、を確立した。本発明者らは、上皮増殖因子受容体に対する天然リガンドの模倣ペプチドとしてモチーフのいくつかを生化学的に検証した。その結果、腫瘍細胞株のリガンド指向型プロファイリングは、腫瘍細胞表面分子の発現に基づいてコンビナトリアルライブラリーから機能的ペプチドを選択することができたことが示され、これは次に癌の特定のタイプにおける「創薬標的となり得る」受容体として活用され得る(Kolonin et al., 2006)。
様々な組織学的起源およびグレード由来のヒト癌細胞株の国立癌研究所(National Cancer Institute)パネル(NCI-60)は、抗癌活性について化合物をスクリーニングするために広く使用されてきた(Monks et al., 1991; Weinstein et al., 1997)。NCI-60は、いくつかの起源(腎臓、乳房、大腸、肺、前立腺、および卵巣)の癌腫、中枢神経系の腫瘍、悪性メラノーマ、白血病、およびリンパ腫を含む。ハイスループットマイクロアレイによって決定された遺伝子発現が、NCI-60における何千もの別個の転写産物の存在度における変化を精査するために使用されており;そのようなデータは、腫瘍細胞形質転換における対応する遺伝子産物について機能的洞察を提供した(Weinstein et al., 1997; Scherf et al., 2000; Nishizuka et al., 2003)。この情報集約的ゲノムアプローチは、前向き研究においてタンパク質レベルで検証されるべき候補診断腫瘍マーカーを生じてきた(Nishizuka et al., 2003)。さらに、二次元PAGE(Myers et al., 1997)およびタンパク質マイクロアレイ(Nishizuka et al., 2003)に基づく体系的なプロテオミクス研究も実施されてきた。最終的に、NCI-60トランスクリプトームおよびプロテオーム主導と並行して、105を上回る様々な化学化合物への細胞の薬理学的感受性が記録されてきた(Monks et al., 1991; Weinstein et al., 1997)。実際に、いくつかの遺伝子について、薬物感受性プロファイルに対する発現データの相関により、薬物活性についての基本メカニズムが明らかにされてきた(Scherf et al., 2000; Zaharevitz et al., 2002; Blower et al., 2002; Rabow et al., 2002; Wallqvist et al., 2002; Szakacs et al., 2004)。したがって従来のゲノムおよびプロテオミクスアプローチは、いくつかの可能性のある腫瘍マーカーおよび薬物標的を同定してきた。しかしながら、そのような進歩にもかかわらず、薬物活性と遺伝子発現プロファイルとの間の相関は、試験された化合物の大部分についてまだ確立されていない(Wallqvist et al., 2002; Brown, 1997; Walloyist et al., 2003)。これは、未知の因子が存在する可能性が高いことを示唆し、「創薬標的となり得る(druggable)」分子標的を発見するための代替的な方法論を開発する必要性を示唆する。
過去数年間にわたって、(a)腫瘍細胞表面レベルでの分子多様性の特徴決定(脂質および炭水化物によって修飾されることの多い膜会合型タンパク質により最初に表わされた)がリガンド指向型(ligand-directed)抗癌療法の開発に必要であること、および(Zaharevitz et al., 2002)腫瘍細胞上で選択的に発現した表面受容体へのペプチド結合が、増加した治療域の可能性を有する疾患の部位に対するリガンド指向型治療剤に使用されてもよいこと(Arap et al., 1998; Kolonin et al., 2001)が提案されてきた。ペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって選択的な細胞表面の特徴が位置付けられ得ることがだんだん明らかになってきている(Kolonin et al., 2001; Pasqualini and Ruoslahti, 1996; Giordano et al., 2001; Arap et al., 2002)。実際に、M13由来ファージのpIIIタンパク質から提示されたコンビナトリアルペプチドライブラリーは、無傷の細胞上およびインビボで目下成功裡にスクリーニングされている(Arap et al., 1998; Kolonin et al., 2001; Pasqualini and Ruoslahti, 1996)。細胞の受容体レパートリーの性質に関していかなる先入観も無い不偏性スクリーニングから選択されたペプチドリガンドが、対応する標的細胞表面受容体のその後の同定のために使用されてきた(Giordano et al., 2001; Arap et al., 2002; Pasqualini et al., 2000; Kolonin et al., 2002; Kolonin et al., 2004; Pasqualini et al., 2001)。加えて、選択的相互作用的リガンドのバイオパニングおよび迅速解析(BRASIL)などの新規の技術が、細胞上のハイスループットファージライブラリースクリーニングを可能にしてきた(Giordano et al., 2001)。本明細書において、BRASIL法は、NCI-60パネルの腫瘍細胞上でコンビナトリアルライブラリーを体系的にスクリーニングするために使用される。この実現可能性研究の結果は、差次的に発現した細胞表面受容体に指向されたペプチドリガンドのプロファイルによって腫瘍細胞が群分けされ得ることを示唆する。データは、多くの腫瘍細胞表面に曝露された受容体が腫瘍起源に関係無く発現するという概念を支持し、したがって広い腫瘍標的として開発され得ることを示唆する。リガンド指向型表面プロファイリングと、NCI-60関連の他のアプローチとの統合は、標的薬物送達のための機能的なリガンド-受容体ペアを明らかにする可能性がある。
I.細胞標的分子
本発明の修飾された細胞標的分子は、化学合成法、二つの部分の間の化学的連結、またはいくつかの場合は、標的部分への第二のポリペプチドコード配列の融合によって生成されうる。本発明の修飾された細胞標的分子は、細胞の特定の種類を標的とするための治療剤および/または造影剤として使用されてもよいことが企図される。
上記で言及されたように、本発明のある特定の局面において、修飾された細胞標的部分は第二のポリペプチドを含んでもよく、二つのポリペプチドは共に融合タンパク質を含む。例えば、ある特定の局面において、第二のポリペプチドは下記で例示されるような治療的または細胞障害性の(例えば、毒素)ポリペプチドであってもよい。配列をコードする二つのポリペプチドの融合は、分子生物学の分野において周知である方法によって達成され得る。二つの別々のコードされた産物の生成を回避するため、融合ポリヌクレオチドは、第一のコード配列の5'末端におけるAUG翻訳開始コドンのみを含み、第二のコード配列の開始コドンは含まないことが好ましい。加えて、遺伝子発現後の分泌またはその後の精製を促進するように発現された産物を宿主細胞内の特定の部位または区画に標的化するために、ポリヌクレオチドの5'末端にリーダー配列を配置してもよい。いかなるリンカーも無く直接的に、または柔軟なポリリンカーを用いることによって、二つのコード配列を融合できる。
A.細胞標的部分
本明細書において提供されるような細胞標的部分は、いくつかの局面において、細胞の特定の種類への結合を示すペプチドまたはポリペプチドを含んでもよい。例えば、いくつかの場合において、細胞標的部分は、表3において提供されるポリペプチド配列の一つから選択される。当業者は、そのような配列が追加的なアミノ酸または他の共有結合的修飾を含みうることを理解するであろう。例えば、好ましい態様において、表3由来のポリペプチド配列は環状ポリペプチドとして提供される。したがっていくつかの具体例において、表3由来のアミノ酸配列は、ジスルフィド結合を形成し得るシステイン残基に隣接し、それによって環状ポリペプチドを提供する。したがっていくつかの局面において、本発明は、本明細書において提供される(例えば、表3に示されるような)ペプチドおよびポリペプチドに結合する、白血病細胞、肺癌細胞、大腸癌細胞、CNS癌細胞、メラノーマ細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、腎臓癌細胞、または乳癌細胞などの細胞の種類のいずれかを標的とするための組成物および方法を提供する。
B.治療的部分
上記で言及されたように、ある特定の局面において、治療的部分とは、放射性同位体、ホロ毒素、修飾された毒素、毒素の触媒サブユニット、細胞毒素(細胞障害剤)などの毒素、または、規定された条件下で細胞死を引き起こす、細胞中もしくは細胞の表面上に通常は存在しない任意の分子もしくは酵素であり得る。本発明の方法により使用され得る毒素は、当技術分野において公知である放射性同位体、例えば、固有のまたは誘導された内因性細胞障害性エフェクター系に結合する抗体(またはその補体固定を含む部分)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、α毒素、リシン、アブリン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モモルジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、α-サルシン(sarcin)、およびコレラ毒素などの化合物を含むが、それらに限定されない。「毒素」はまた、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、例えば213Biなどのα-エミッター、または、例えば103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、90Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イットリウム、117スズ、186レニウム、166ホルミウム、および188レニウムなどの他の放射性同位体;ルミノールなどの発光標識;ならびに、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ならびにビオチンを含む。さらに、治療的部分は、BCL2ファミリーメンバー、カスパーゼ、またはグランザイムなどのアポトーシス促進性タンパク質であってもよい。
II.癌療法
様々な従来の癌療法が、癌の処置において現在使用されている。したがって本発明のいくつかの局面において、抗癌療法に感受性であるかまたは抵抗性である細胞などの癌細胞を分類するための方法が提供される。従来の癌療法のいくつかの例について下記で考察する。本発明による方法が、任意の特定の癌処置に感受性であるかまたは抵抗性である細胞を同定するために使用されてもよいことが企図される。さらに、本発明のいくつかの局面は、細胞標的抗癌療法のための組成物および方法に関する。したがって、当業者に公知である任意の抗癌方法(下記で例示されるような)を、本明細書において提供される組成物および方法と組み合わせてまたは関連させて使用できることが企図される。
A.化学療法
癌療法はまた、化学物質および放射線ベースの処置の両方との様々な併用療法を含む。併用化学療法は、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール(taxol)、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金(transplatinum)、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびメトトレキセート、または前述の任意の類似体もしくは誘導的変異体を含む。
B.放射線療法
広範に使用されてきた、DNA損傷を引き起こすその他の因子には、γ線、X線として一般に公知であるもの、および/または放射性同位体の腫瘍細胞へ指向された送達が含まれる。マイクロ波およびUV照射などの、DNAを損傷する因子の他の形態もまた企図される。これらの因子のすべては、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の集合および維持に広範囲の損傷をもたらす可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3〜4週間)の間の毎日50〜200レントゲンの線量から、2000〜6000レントゲンの単一線量にわたる。放射性同位体の線量範囲は幅広く変化し、同位体の半減期、放出される放射線の強度およびタイプ、ならびに腫瘍細胞による取り込みに依存する。
細胞に適用される際、「接触される」および「曝露される」という用語は、治療的構築物および化学療法剤または放射線療法剤が、標的細胞に送達されるかまたは標的細胞と直接並んで配置される過程を説明するために、本明細書において使用される。細胞の死滅またはうっ血を達成するために、両方の薬剤を、細胞を殺傷するかまたは分裂を妨げるのに有効な併用量において細胞に送達する。
C.免疫療法
免疫療法とは、一般に、癌細胞を標的化して破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に依存する。免疫エフェクターとは、例えば、腫瘍細胞表面上のあるマーカーに特異的な抗体でありうる。抗体は単独で療法のエフェクターとしてはたらくことができ、または、実際に細胞の死滅をもたらす他の細胞を動員することもできる。また抗体は、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に接合されてもよく、かつ単に標的薬剤としてはたらくこともできる。または、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を保持するリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞は、細胞障害性T細胞およびNK細胞を含む。
したがって免疫療法は、遺伝子治療と共に併用療法の一部として使用され得る。併用療法の一般的アプローチは下記で考察する。一般に腫瘍細胞は、標的とするのに適した、すなわち他の細胞の大多数には存在しないあるマーカーを有するはずである。多くの腫瘍マーカーが存在するが、これらのいずれかが本発明の文脈において標的とするために適している可能性がある。一般的な腫瘍マーカーは、癌胎児抗原、前立腺特異抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb Bおよびp155を含む。
III.実施例
実施例1
細胞上でのコンビナトリアルライブラリースクリーニング
MDA-N(入手不可能)を除いたすべてのNCI-60細胞株(1)を、5%ウシ胎児血清(FBS)および5 mmol/L L-グルタミンを添加したRPMI 1640において増殖させた。インサートCX7C(SEQ ID NO:1)を提示するベクターfUSE5に基づくファージ提示ランダムペプチドライブラリーを、記載されたように(Giordano et al., 2001)BRASILを用いることによってスクリーニングした。指数関数的に増殖した細胞を、0.5 mmol/L EDTA、0.4 g/L KCl、8 g/L NaCl、および1 g/Lデキストロースで収集し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で一度洗浄して、1%ウシ血清アルブミン(BSA)および1 mmol/L HEPESを含むRPMIに再懸濁した。細胞(〜106)を200μLの懸濁液において109形質導入単位(T.U.)のCX7Cファージと共に氷上で2時間インキュベーションし、非混和性の有機下相(ジブチルフタレート/シクロヘキサン、9:1)の上部に移して、10,000×gで10分間遠心分離した。ファージが結合した細胞ペレットを200μLのK91細菌培養物とインキュベーションし、結合したファージを増幅して次のラウンドに使用した。ビトロネクチンに結合する細胞接着分子の発現により組織培養細胞上で選択されるRGDモチーフを含むペプチドの優先的な単離を予防するために、各ラウンドにおいて1 mg/mLの合成ペプチドRGD-4C(AnaSpec, San Diego, CA)の存在下でライブラリースクリーニングを行った。3ラウンドの選択の後、記載されたように(Pasqualini and Ruoslahti, 1996; Arap et al., 2002; Pasqualini et al., 2001)、ファージのペプチドをコードするインサートを配列決定した。
実施例2
ペプチドモチーフ/細胞株の会合の階層的クラスター解析
本発明者らは、スクリーニングにおいて単離されたすべてのペプチド配列の相互作用的配列管理データベースを作成した。CX7Cペプチドにおけるトリペプチドモチーフ頻度の計算(両方向における)は、記載されたように(Arap et al., 2002)、SAS(バージョン8.1.2, SAS Institute, Cary, NC)およびPerl(バージョン5.6.1)に基づく文字パターン認識プログラムを用いることによって行った。最も密接に関連したトリペプチドおよび細胞株を同定するために、discover.nci.nih.gov/tools.jspで入手可能なオンラインソフトウェアCIMminerを用いることによってクラスター化されたイメージマップ(CIM)を生成した。データを細胞株およびトリペプチドモチーフ両方について集め(平均値減算して(mean subtracted)SDによって割り);平均連結アルゴリズムを用いた相関係数メトリックを距離測定として使用した。NCI-60細胞株にわたるトリペプチドモチーフ頻度は二次元データマトリクスを形成し、これをモチーフ濃縮を細胞株の群と相関させるのに使用した。CIMMinerアルゴリズムがペプチド頻度データのクラスタリング解析に適切であるか否かを評価するために、所定のデータセットにおけるトリペプチドモチーフの頻度が独立ポアソン分布に従うと仮定する模擬試験を考案した。本発明者らは、トリペプチドモチーフ頻度データマトリクスと同一次元のランダムな3,280×59データマトリクス(3,280トリペプチドおよび59細胞株のセットに対応する)を模擬実験した。これらの模擬実験データを、平均値0、分散1に変換することによって実験データと同じ方法で集めた。図1におけるCIMについては、共通起源の一つの細胞株(Arap et al., 2002)以外のすべての細胞株上で選択されたトリペプチドを使用した。(他の48細胞株に対して)11種類の枠で囲まれた細胞株について肺腫瘍細胞結合ペプチドにおいて選択的に過剰に提示されたまたは提示不足の5種類のトリペプチドの特異性を、記載されたように(Arap et al., 2002)、R Packageバージョン2.0.0(www.r-project.org)を用いて、二標本t検定(片側)を行うことにより、ならびにウィルコクソン(Wilcoxon)順位和検定(片側)およびフィッシャー正確確率検定(片側)を用いることにより評価した。
実施例3
候補標的化受容体の同定
トリペプチドモチーフが標的とするリード受容体を同定するため、NCI-60の個々の細胞株におけるその発現レベルが対応細胞株における図1由来の個々のトリペプチドの頻度と相関するタンパク質を同定するためにMolecular Target Database(www.dtp.nci.nih.gov)をスクリーニングした。本発明者らは、細胞株におけるトリペプチド頻度とデータベースにおけるタンパク質発現パターンとの間のペアワイズピアソン相関を計算するために、COMPAREソフトウェア(dtp.nci.nih.gov/docs/compare/compare.html)を使用した。NCI-60発現プロファイルおよびトリペプチド頻度分布プロファイルが相関した妥当な数の候補分子標的を提供したため、最小ピアソン相関係数0.2を、リード受容体の選択のカットオフとした。解析される候補標的を特異性の広い受容体にまず限定するために、NCI-60におけるその発現が少なくとも25%のトリペプチドの頻度プロファイルと相関することが見出された推定の細胞表面分子(表1)のみを含めた。
実施例4
ペプチドモチーフ類似性についてのタンパク質データベーススクリーニング
選択されたペプチドにより模倣された候補受容体の天然原型リガンドを同定するため、本発明者らは、特異性の広いトリペプチドを含む多数のペプチドの間で共有される伸長(4個またはより長いアミノ酸)モチーフを同定するためにオンラインClustalWソフトウェア(www.ebi.ac.uk/clustalw/)を用いることによって、スクリーニングにおいて選択されたすべての7マーペプチドをスクリーニングした(図1)。モチーフの少なくともトリペプチドの部分がBLASTマッチの部分と同一であるとの条件下で細胞を標的とする4マーを含むタンパク質について、BLASTソフトウェア(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)によって、ヒトタンパク質の非重複データベースを検索した。
実施例5
ペプチド標的の一つとしての上皮増殖因子受容体の検証
上皮増殖因子受容体(EGFR)に結合するペプチドを単離するために、スクリーニングのラウンド2および3においてSKOV3上で選択されたファージクローンを個々に増幅してプールし、混合ファージの109形質導入単位を、プラスチック上に固定化した10μgの精製ヒトEGFR(Sigma, St. Louis, MO)またはBSA対照と共に一晩4℃でインキュベーションした。非結合ファージを大規模にPBSで洗い落とし、その後、プレート上の宿主K91大腸菌(Escherichia coli)に直接感染させることによって結合ファージを回収して、テトラサイクリン耐性クローンを選択し、定量化し、配列決定した。ファージに提示されたSKOV3結合ペプチドの中でEGFRリガンドマッチングモチーフを同定するため、特注設計のPerl 5.8.1ベースのソフトウェアを使用して生物学的EGFRリガンド配列にペプチド配列を突き合わせた。各7マーペプチド配列を、NH2末端からCOOH末端まで1アミノ酸シフトでEGFRリガンド配列に対して各方向に整列させた。各残基についてのペプチド/タンパク質類似性スコアを、EGFRリガンド中の対応するアミノ酸の位置と同一な任意の位置および類似の任意の位置において少なくとも3アミノ酸のペプチドマッチを同定するために改良されたBLOSUM62マトリクスに基づいて、計算した(図2A)。
実施例6
NCI-60癌細胞の表面に結合するペプチドの単離
腫瘍細胞パネルの細胞表面をプロファイリングする最初の試みとして、基本構造CX7C(C、システイン;X、任意の残基)を有する大きな(2×108の固有配列)環状ランダムペプチドライブラリーをNCI-60のあらゆる細胞株上でスクリーニングした。Arg-Gly-Asp(RGD)含有ペプチドの回収を最小にするために、過剰な、競合するRGD合成インテグリン結合ペプチド(Arap et al., 1009)においてファージ選択を行った。接着細胞における高レベルのインテグリン発現のためにRGDがスクリーニングにおいて優勢になる傾向があるため(公開されていない観察)、細胞表面受容体の非インテグリンファミリーに結合するリガンドの回収を促進するために本戦略を設計した。特定の細胞標的ペプチドの優先的な細胞結合は、スクリーニングの各々のその後のラウンドにおけるこれらのペプチドモチーフの回収頻度増加によって定義される濃縮をもたらす(Kolonin et al., 2001; Pasqualini et al., 2001)。したがって本発明者らは、スクリーニングにおいて濃縮されたモチーフの差次的選択にしたがってNCI-60の細胞株の間で非インテグリン細胞表面分子の発現をプロファイリングすることに着手した。
実施例7
NCI-60細胞に結合するペプチドの階層的クラスター解析
スクリーニングに由来するペプチドのスペクトルを解析し、パネルの異なる細胞株の間で比較するために、3残基モチーフ(トリペプチド)がファージ提示法の文脈においてタンパク質-ペプチド相互作用に十分な構造を提供するという前提に基づいて、コンビナトリアル統計的アプローチを採用した(Arap et al., 2002)。各NCI-60細胞株について、3ラウンドの選択の後に回収した96ファージクローン由来のCX7CペプチドをコードするDNAインサートを配列決定した。単離されたCX7Cにコードされた7マーペプチド5,270個(各NCI-60細胞株当たりの解析された7マーペプチド配列平均89個)内に含まれた26,031個のトリペプチドのデータベースを解析することによって、各細胞株上で選択されたライブラリー由来配列内のすべてのトリペプチドのコンピューターを用いた調査を行った。したがって、各細胞株に細胞表面結合剤についての選択の間に同定されたトリペプチドの独自のセットを割り当て、所定の細胞株について全てのペプチドの間での各モチーフの頻度を計算した。
標的表面分子に関する推論を提供する可能性がある特定のモチーフとの会合によって細胞株を分類するために、NCI-60細胞株との会合の頻度に基づいて3,280種類の非重複トリペプチドの階層的クラスタリング解析を行った。本発明者らは、CIMの構築のため、パネルの細胞の間の差次的な遺伝子発現に対処するように最初に設計された階層的クラスタリングアルゴリズムおよび擬似カラー視覚化マトリクスを適合させた(Scherf et al., 2000; Zaharevitz et al., 2002; Blower et al., 2002; Rabow et al., 2002)。各細胞に結合する7マーペプチドにおいて見出されるトリペプチドの相対的頻度の比較による、細胞株にわたるペプチド結合特異性における変動の推論のために、CIMMiner(Weinstein et al., 1997)を使用した。類似した細胞選択性を有するペプチドモチーフのクラスタリングにより、NCI-60セット内のコンビナトリアルライブラリーのペプチド分布はランダムではないことが明らかになった。並べ替えられたデータセットのコンピューターシミュレーションは、観察されたパターンがランダムな機会によって生成され得ないことを示し、したがって不連続のトリペプチド頻度データがクラスター解析に適用可能であることを指摘する。
クラスター化された細胞株と相互作用するペプチドモチーフの選択的スペクトルは、これらの株において発現する共有の標的表面受容体の存在を示唆する。本研究において、本発明者らは、最初のペプチド結合/受容体発現相関解析について、より情報を与えると考えられる、広い細胞株特異性を有する推定のペプチド標的受容体に注目することを選択した。そのため、本発明者らは、単一の細胞株またはごく少数の細胞株上でのみ選択されたデータセットモチーフを排除した。その代わり、本発明者らはNCI-60株の間でやや遍在的な(semiubiquitous)分布を示した38種類のトリペプチドに注目した(図1)。各細胞株からのこれらの特異性のより広いトリペプチドの単離頻度にしたがって構築されたCIMは、ある特定の種類のペプチドモチーフとの会合の明瞭なプロファイルを提示する細胞株のいくつかの明らかなクラスターを示した。例えば、肺癌由来細胞株の大多数が別々の群として分離し、このことは、標的とされる受容体のいくつかが共通起源由来の細胞株の間で保存されている可能性を示唆する(図1)。したがって、解析はやや遍在的なトリペプチドに限定することによって厳しく制限されるが、それらの一部のクラスタリング(主に同じ腫瘍タイプ由来の細胞株との)は相対的組織特異性と一致する。選択性について個々のモチーフを評価するために、肺腫瘍由来細胞株と関連した5種類のトリペプチドの別々のクラスター(図1、枠内)を同定した。本発明者らは、統計的検定(フィッシャー正確確率検定、ウィルコクソン順位和検定、およびt検定)を用いることによって、本クラスター内の11細胞株についてのトリペプチド頻度を残りのNCI-60株についての頻度と比較した。一貫して、他のNCI-60細胞株についてよりも有意に(P<0.05)頻繁にクラスター化された株についてGGSモチーフが単離された。
特に、系統樹における細胞株の分布(図1)は、共通の組織起源を有する腫瘍由来の細胞の報告された会合と部分的に一致していた(Scherf et al., 2000; Nishizuka et al., 2003)。これは、肺腫瘍特異的トリペプチドGGS(図1)により認識されると考えられる受容体などの受容体の一部が、ある特定の癌起源においてのみ上方制御されている可能性があることを示唆する。しかしながら、腫瘍細胞系統発生はある程度までしか反復されず;観察されたクラスターの大多数は非関連腫瘍タイプ由来の細胞株を含んだ(図1)。共通起源の腫瘍由来の株の限定された群分けは、おそらく驚くべきことではなく;研究における異なる細胞株間の関係は推定の細胞表面分子へのペプチド結合に基づき、その多くが起源の組織の特性よりもむしろ腫瘍誘導性である可能性がある。その場合、特異性の広いモチーフ分布の解析は、腫瘍によって一般に上方制御され、その結果癌に対する広い薬物標的を構成し得る特異的表面分子の同定に十分に適している可能性がある。
実施例8
ペプチドモチーフに対する候補受容体標的の同定
本発明者らは、その大部分が多数のNCI-60細胞株によって発現される受容体に結合すると考えられる、38種類の特異性の広いトリペプチドに対する標的の同定に進んだ。非アレイ法によって測定された1,218種類のヒトタンパク質の発現および活性に関する詳細な情報を含むNCI Molecular Targets Databaseを使用した(Holbeck, 2004)。本発明者らは、COMPAREアルゴリズム(Zaharevitz et al., 2002)を用いることによって、38トリペプチドモチーフの選択性プロファイルと、特徴決定された分子標的の発現プロファイルとを相関させた。その発現がある特定のモチーフの濃縮プロファイルと相関した適格なタンパク質のいくつかは、EGF、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、およびエフリンのファミリーに属するリガンドに対する受容体などのチロシンキナーゼ受容体に相当することが観察された(表1)。系統樹における38トリペプチドモチーフセットの順序(図1)は、分子標的相関データに移されると、その細胞株会合プロファイルがEGF、FGF、NGF、またはエフリン受容体の発現プロファイルと相関した、トリペプチドのクラスターを示した(表1)。
EGFR、FGFR、NGFR、およびエフリン受容体ファミリーに属する、ペプチド分布と相関するチロシンキナーゼ受容体(表1)は、多くのタイプの癌において上方制御されていることが多い(Vogelstein and Kinzler, 2004)。本発明者らは、細胞結合ペプチドがこれらのチロシンキナーゼを標的し得るか否かを判定するために、受容体結合ペプチドモチーフがこれらの受容体に対する天然リガンドを模倣することが多いという概念を使用した(Giordano et al., 2001; Arap et al., 2002; Kolonin et al., 2002)。したがって、表1に列挙されるトリペプチドが細胞表面結合の原因となりうるより長いペプチド中に包埋されているか否かを判定することによって、候補チロシンキナーゼに対して選択されたモチーフ模倣リガンドを試験した。本発明者らは、38トリペプチドを含むCX7C(SEQ ID NO:1)ファージインサートをClustalWソフトウェアを用いることによって解析し、スクリーニングの間に選択された多数のペプチド間で共有されるトリペプチドを含む伸長モチーフを編集した(データは示されていない)。エピトープが模倣され得る候補原型ヒトリガンドを同定するために、ClustalW伸長モチーフの各々を、BLASTソフトウェアを用いることによってヒトタンパク質の非重複のデータベースに対してスクリーニングした(National Center for Biotechnology Information)。本発明者らは、本解析の結果として、38トリペプチドのうち34種類(89%)を含むモチーフが、列挙される(表1)チロシンキナーゼ受容体に対する証明されたまたは推定のリガンドのセグメントと同一であるかまたは非常に類似していることを見出した。
実施例9
標的受容体としてのEGFRの検証
本発明者らは、採用されたアプローチが実際に標的化可能な腫瘍細胞表面タンパク質をもたらし得ることを示すために、EGFR発現と相関するプロファイルにおいてパネル内に分布した任意のトリペプチドモチーフがEGFRに結合するか否か試験することを選択した。一貫して、調査された38トリペプチドのうち24種類が、EGFR発現のものと一致するNCI-60細胞株会合パターンを示した(表1)。これらのトリペプチドのうち、22種類は卵巣癌細胞株SKOV3およびOVCAR4上でのスクリーニングにおいて単離された(データは示されていない)。EGFRは卵巣癌と関連していることが周知であるため(Vogelstein and Kinzler, 2004)、本発明者らは、これらの細胞株がEGFRリガンド模倣モチーフの選択の原因であると考えられる標的化可能なEGFRの発現体(expresser)である可能性が高いと考えた。選択されたモチーフによるEGFR結合を検証するために、SKOV3結合ファージサブライブラリー(ラウンド2および3において回収された、プールされたクローン)を固定化したヒトEGFRに対してスクリーニングした。2ラウンドの選択の後、EGFR結合ペプチドを提示するファージを解析した:大多数は、EGFR発現と相関するプロファイルにおいてパネル内に分布した22種類のSKOV3選択トリペプチドモチーフのうち17種類(表1)を含んだ異なる7マーペプチド(図2A)によって構成されていた。これらのペプチドを提示するファージは、同じサブライブラリーを固定化したBSA対照結合に供することによって決定されたように(図2B)、EGFRに対して特異的親和性を有していた。驚くべきことに、コンピューターを用いた配列の解析(図2A)は、7マーEGFR結合ペプチドのうち12種類が生物学的EGFRリガンドのいくつかに存在するものに類似したアミノ酸モチーフを含むことを示した(Vogelstein and Kinzler, 2004)。候補トリペプチドの8種類(RVS、AGS、AGL、GVR、GGR、GGL、GSV、およびGVS)を含むこれらのペプチドは、EGF、アンフィレギュリン、ヘパリン結合EGF様増殖因子、およびエピレギュリンの断片と極めて類似していることが見出された(図2A)。同じアルゴリズムを用いた同じ12種類の7マーに対する類似性検索は、2種類の他のEGFRリガンドであるトランスフォーミング増殖因子-αおよびβ-セルリン、または、表1に列挙される3種類の他の候補ファミリー:エフリンA、NGF-β、およびFGF6からランダムに選択されるチロシンキナーゼ受容体の対照リガンドに対しいかなるマッチも示さなかった(データは示されていない)。総合すると、これらのデータは、NCI-60細胞上で選択されたペプチドの少なくともいくつかはEGFRを標的とし、一方、他のペプチドは、TRK、エフリン、またはFGF受容体ファミリー由来のものを含む可能性のある様々なチロシンキナーゼに結合する可能性があることを示唆する。
スクリーニングにおいて同定されたペプチドに対する候補受容体標的の発現プロファイルは、癌において少なくともいくつかの腫瘍関連細胞表面分子が癌組織起源にかかわらず上方制御されているようであるという概念を説明する。それ自体として、これはNCI-60細胞パネル上で選択されたペプチドリガンドによって標的とされる可能性のあるEGFRおよび他のチロシンキナーゼについての場合である。これはまた、発現プロファイルが起源の腫瘍組織の全体的なプロテオミクスプロファイルと相関しないかもしれない、腫瘍形成において役割を有する多くの他の受容体についての場合である可能性がある。実際に、これらの観察は、薬物毒性プロファイルをNCI-60パネルのゲノムおよび/またはプロテオミクスプロファイルと相関させる段階における比較的限定された成功の原因である可能性がある(Walloyist et al., 2003)。他方では、肺腫瘍由来細胞株に対して主に選択的であるGGSトリペプチドおよびその誘導体によっておそらく標的とされるEphA5などの受容体のいくつか(図1)は、前駆体癌タイプに対して少なくとも部分的に特異的であるように見える。
本研究において同定された候補リガンド-受容体リードは、腫瘍に対して選択的である標的薬剤の開発のためにさらに特徴決定され得る。さらに、本明細書において説明されるアプローチによって同定されたペプチドは、生物学的(天然の)リガンドの受容体相互作用ドメインを位置付ける可能性がある。対応する受容体結合リガンドへのペプチドの類似性は、前立腺において血管へホーミングするインターロイキン-11模倣ペプチドの標的としてのIL-11Rα受容体の検証のために既に使用されてきた(Arap et al., 2002; Zurita et al., 2004)。本発明者らおよび他の人々は、細胞障害性物質(cytotoxics)、アポトーシス促進性ペプチド、メタロプロテアーゼ阻害剤、サイトカイン、フルオロフォア、および遺伝子の送達を指向させるために(Arap et al., 1998; Kolonin et al., 2001)、腫瘍(Pasqualini et al., 2000)または非悪性組織(Kolonin et al., 2002; Kolonin et al., 2004)によって発現される受容体にホーミングするペプチドの使用を設計してきた。したがって、アプローチにより、薬物が接触可能な腫瘍細胞表面受容体を同定するため、および模倣原型薬物としてはたらき得るペプチドリガンドを発見するための単刀直入な方法が提供される。本発見のプラットホームは、転写物またはタンパク質産物の差次的発現レベルに依存するゲノムまたはプロテオミクスベースのアプローチと異なり、物理的結合のレベルでの機能的タンパク質-タンパク質相互作用を直接扱う。タンパク質アレイシステムと対照的に、リガンド-受容体相互作用が(直鎖状ではなく)立体配座的なエピトープによって媒介される場合でさえも結合ペプチドを選択することが可能である。腫瘍細胞表面上のコンビナトリアルライブラリーのリガンド指向型スクリーニングは、「創薬標的となり得る」分子標的を標的とするために開発され得る機能的に関連性のあるペプチドの改善された選択をもたらすことができる。
Figure 2009529333
チャート1.コンビナトリアルファージ提示ライブラリーから単離されたリガンド模倣ペプチドを用いた癌細胞表面上で作用するリガンド/受容体ペアの体系的同定のためのプラットホーム戦略
(表1)模倣された候補リガンド-受容体相互作用
Figure 2009529333
注記:候補ペプチドモチーフ受容体は、対応するトリペプチドの選択性と相関するプロファイルにおいて発現されたヒト細胞表面タンパク質(COMPAREにより同定された)である。候補ペプチド模倣受容体リガンドは、対応するトリペプチドを含んだヒトタンパク質(自動BLASTにより同定された)である。縦の列におけるトリペプチドは図1と同じ順序である。トリペプチド類似性に基づいて同定された同じファミリーの受容体およびその対応する候補生物学的リガンドは、同じ色によってコード化されている[EGFR、青色;FGFR、緑色;TRK受容体(NGFR)、紫色;エフリン受容体、赤色]。EGFRファミリー受容体発現と相関する選択性も有し、かつEGFRリガンド内にも見出されるトリペプチド(太字体)。EGFR結合SKOV3選択ペプチド内に残存することが確認されたトリペプチド(図2;青色)。
実施例10
癌細胞株の分子フィンガープリンティング
プロテオミクスとは、腫瘍細胞または腫瘍関連細胞においてタンパク質の全体的な分布を記録し、関心対象の個々のタンパク質を同定して特徴決定すること、ならびにそれらの関連および機能的役割を解明することを目指す、生物学的試料におけるタンパク質の体系的解析として定義され得る。最終的に、タンパク質発現のハイスループットプロファイリングは、ヒトおよび他の種における各組織についてタンパク質ベースのフィンガープリントである「プロテオーム」をもたらすと考えられる。プロテオミクスの進歩に関連した技術として、タンパク質レベルでの癌の体系的分子解析のための新たなアプローチが浮上している。しかしながら、体系的タンパク質発現プロファイリングのための方法はまた、干渉について可能性のある標的を容易に見落とす可能性がある。これらの方法は解剖学的状況を考慮に入れないことが多い。そのため、標的療法に使用され得る接触可能な受容体の分子マップの生成のためには、従来のタンパク質プロファイリングアプローチ由来の情報が、エクスビボおよびインビボでの機能的スクリーニング由来のデータとの統合によって増強されるべきである。本発明者らおよび他の人々らによる研究は、癌プロテオミクスの概念であるタンパク質-タンパク質相互作用レベルでの腫瘍細胞および血管を形成する細胞の分子フェノタイピングを進歩させてきた。癌において発現する細胞表面受容体の分子多様性を活用することは、最終的に標的送達のためのリガンド-受容体機能的マップをもたらすと考えられる。
薬物開発における長い間の主要な目標は、標的療法を生成することであった。本アプローチは、不都合なまたは毒性の効果への他の組織の全身性曝露を制限することによって薬物療法指標を改善すると考えられる。したがって、選択的に発現した腫瘍関連受容体およびこれらの受容体にホーミングするリガンドの同定の裏付けとは、本知識を標的療法の開発に変換することである。一般に、ホーミングペプチドのカップリングは、親化合物よりも有効でありかつ毒性が少ない標的化合物を生じる。これまで、腫瘍脈管構造へのホーミングによって選択されたペプチドは、細胞障害性薬物、アポトーシス促進性ペプチド、メタロプロテアーゼ阻害剤、サイトカイン、フルオロフォア、およびヒト疾患のトランスジェニックおよび異種移植マウスモデルにおける遺伝子の送達を導く担体として使用されてきた。
ヒトの癌における分子多様性の認識は、標的療法の開発のために不可欠である。開発された方法は二つの主要な応用性を有する。第一に、ヒトの癌を標的とするリガンドを同定する可能性がある。第二に、腫瘍の特定のタイプにおけるバイオマーカーの分子プロファイルの決定は、差次的に発現した癌マーカーの同定を可能にし得る。したがって、本アプローチは、ヒトの癌の分子プロファイルの構築をもたらす可能性がある。新たな血管位置(vascular address)の同定と併用された標的の初期の同定、個々の癌患者の分子プロファイルに合わせて調整された最適化レジメンは、有効でないかまたは過度に毒性である薬物候補の再訪または救助をもたらす可能性がある。最終的に、造影用または治療的化合物を癌患者における腫瘍標的へと導くことが可能であるかもしれない。
本発明者らは、肺癌細胞をフィンガープリンティングすることによって、多数の癌起源において以前に特徴決定された分子標的であるEGFRの発現を確認したが、このことはアプローチの力を示す。近年、本発明者らは本アプローチを使用して新たな癌起源選択的分子標的であるエフリンA5受容体を同定し、ヒト肺癌細胞株および組織の文脈において予備的に検証した。
実施例11
EGFR発現パターンと相関してNCI-60細胞を標的とするモチーフが、生物学的EGFRリガンドのドメインに類似したペプチド内に見出され、EGFRに結合する
本発明者らは、採用されたアプローチが実際に標的化可能な腫瘍細胞表面タンパク質をもたらし得ることを示すために、EGFR発現と相関するプロファイルにおいてパネル内に分布した任意のトリペプチドモチーフがEGF受容体(EGFR)に結合するか否か試験することを選択した。一貫して、調査された38トリペプチドのうち24種類は、EGFR発現のものと一致するNCI-60細胞株会合パターンを示した(Kolonin et al., 2001)。これらのトリペプチドのうち、22種類は卵巣癌細胞株SKOV3およびOVCAR4上でのスクリーニングにおいて単離された(データは示されていない)。EGFRは卵巣癌と関連していることが周知であるため(Vogelstein, 2004; Maihle and Lafky, 2002)、本発明者らは、これらの細胞株がEGFRリガンド模倣モチーフの選択の原因であると考えられる標的化可能なEGFRの発現体である可能性が高いと考えた。選択されたモチーフによるEGFR結合を検証するために、SKOV3結合ファージサブライブラリー(ラウンド2および3において回収された、プールされたクローン)を固定化したヒトEGFRに対してスクリーニングした。2ラウンドの選択の後、EGFR結合ペプチドを提示するファージを解析した:大多数は、EGFR発現と相関するプロファイルにおいてパネル内に分布した22種類のSKOV3選択トリペプチドモチーフのうち17種類を含んだ異なる7マーペプチド(図3A)によって構成されていた。
これらのペプチドを提示するファージは、同じサブライブラリーを固定化ウシ血清アルブミン(BSA)対照結合に供することによって決定されたように(図2B)、EGFRに対して特異的親和性を有していた。驚くべきことに、コンピューターを用いた配列の解析(図2A)により、7マーEGFR結合ペプチドのうち12種類が一部の生物学的EGFRリガンドに存在するものに類似したアミノ酸モチーフを含むことが示された。候補トリペプチドの8種類(RVS、AGS、AGL、GVR、GGR、GGL、GSV、およびGVS)を含むこれらのペプチドは、EGF、アンフィレギュリン、ヘパリン結合EGF様増殖因子、およびエピレギュリンの断片と極めて類似していることが見出された(図2A)。同じアルゴリズムを用いた同じ12種類の7マーに対する類似性検索は、2種類の他のEGFRリガンドであるTGF-αおよびβセルリン、または、表2に列挙される3種類の他の候補ファミリー(Kolonin et al. 2001):エフリンA、NGF-β、およびFGF6からランダムに選択されるチロシンキナーゼ受容体の対照リガンドにいかなるマッチも示さなかった。総合すると、NCI-60細胞上で選択されたペプチドの少なくともいくつかはEGFRを標的とし、一方、他のペプチドは、TRK、エフリン、またはFGF受容体ファミリー由来のものを含む可能性のある様々なチロシンキナーゼに結合しうることが、これらのデータにより示唆される。
ファージに提示されたコンビナトリアルライブラリーを、NCI-60パネルにおける細胞株を標的とすることができるペプチドについて体系的にスクリーニングした。ペプチドモチーフ配列の統計的解析によって、細胞表面結合剤の選択の間に単離されたペプチドモチーフの独自のセットが各NCI-60細胞株に割り当てられた。差次的に発現した細胞表面受容体に指向されたファージ提示法由来ペプチドリガンドのプロファイルによって、腫瘍細胞が群分けされ得ることが示された。
ペプチド標的受容体同定のためのアプローチが設計された。NCI-60の特定の株に対するペプチドモチーフ優先のプロファイルは、公知の乳癌関連標的の発現プロファイルと相関した。ペプチドモチーフのいくつかは、ペプチドの細胞株認識プロファイルにマッチするNCI-60発現プロファイルを有し、かつ癌に関する受容体に結合することが公知であるタンパク質内に見出された。
多数のチロシンキナーゼ受容体を含んだ候補標的細胞表面分子が同定された。原理証明として、種々の癌において上方制御されていることが公知である受容体であるEGFRを、トリペプチドRVS、AGS、AGL、GVR、GGR、GGL、GSV、およびGVSの標的として検証した。説明された結果により、以前に見過ごされた現象が明らかになる。データは、多くの腫瘍細胞表面に曝露された受容体が腫瘍起源に関係なく発現するという概念を支持し、したがって広い腫瘍標的として探索され得ることを示唆する。
実施例12
肺癌細胞表面マーカーとしてのエフリンA5受容体
EGFR、FGFR、NGFR、およびエフリン受容体ファミリーに属する、ペプチド分布相関チロシンキナーゼ受容体は、多くのタイプの癌において上方制御されていることが多い。他方では、肺腫瘍由来細胞株に対して主に選択的であるGGSトリペプチドおよびその誘導体によっておそらく標的とされるEphA5などの受容体のいくつかは、少なくとも部分的に、前駆体癌タイプ特異的であるように見える。本アプローチが種々の癌において遍在的に上方制御されている細胞表面受容体の同定を明らかに可能にしたため、本発明者らは、癌タイプ特異的な受容体の同定を試みるためにさらに一歩進んだ。
本発明者らは、最初の手順の確立のために肺癌を選択し、肺腫瘍由来細胞株と関連した5種類のトリペプチドの明瞭なクラスターを同定した。本発明者らは、本クラスター内の11細胞株についてのトリペプチド頻度を統計的検定(フィッシャー正確確率検定、ウィルコクソン順位和検定、およびt検定)を用いることによってNCI-60株の残りについての頻度と比較した。一貫して、本発明者らは、モチーフGGSが、他のNCI-60細胞株についてよりも有意に(P<0.05)頻繁にクラスター化された株について単離されることを観察した(表2)。
(表2)特定のトリペプチドと肺癌由来細胞株との会合
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例示的なトリペプチドと細胞株との間の会合または解離の統計的有意性を決定するために、肺腫瘍由来細胞株の大多数を含むクラスター(図1、枠内)と優先的に会合する(GGS、GGR、GLG、およびGGL)かまたは解離する(GSS)5種類のトリペプチドの標準化された頻度を、クラスター内部およびクラスター外部の細胞株について比較した。トリペプチドGGSとクラスター化された細胞株との選択的な会合は、t検定、フィッシャー正確確率検定、およびウィルコクソン順位和検定(すべての検定は片側)によって有意であると見出された。
本発明者らは、自動BLAST解析に基づいて(表2)、エフリンファミリーのタンパク質がGGSを含むペプチドの候補原型であることを同定した:エフリン-B3およびA4は機能的模倣と一致してGGSを含む。エフリン(AおよびB)ならびにその受容体(EphAおよびEphB)は、明確に規定された発生上の機能を有する細胞-細胞情報交換分子の大きな種類に相当する。腫瘍形成における多様な役割が仮定されており、多数のEph受容体が種々の癌によって過剰発現されていることが見出されている(Hafner et al., 2004)が、健常な成体組織およびヒト疾患における役割は、まだ十分に知られていない。NCI-60内のGGS分布のCOMPARE解析に基づくと(Kolonin et al., 2001、表2)、対応するパターンにおいて発現している受容体はEphA5である。EphA5の発現(図4)は、cDNAマイクロアレイ解析を用いて探索されており、DTPサーバー(dtp.nci.nih.gov/mtweb/servlet/moltidsearch?moltid=MT894)で報告されているが、癌におけるEphA5の機能の研究は公開されていない。興味深いことにEphA5は正常な肺においては発現されておらず、通常は脳特異的な機能しか有さないと考えられる。
実施例13
肺癌におけるエフリン模倣ペプチドの検証
本発明者らは、モチーフGGSを含むファージをEph受容体のリガンドとして検証するために、EphA5固定化受容体に対するファージ結合を試験した。本発明者らは、濃縮されたモチーフGGSを含む8種類のペプチド(CAGLSGGTC、CSGIGSGGC、CSSGGVLGC、CSWGSGGSC、CTLVLGGSC、CRFESSGGC、CHVSGGSGC、CTGGSLGAC)を試験し始め、それらのすべてはEphA5受容体を発現することが公知である異なる細胞株上でのスクリーニングから得られたファージクローンによって提示された(図3A)。本第一ラウンドの選択より、対照(BSA)と比較して5クローン(CAGLSGGTC、CSGIGSGGC、CSSGGVLGC、CRFESSGGC、およびCSWGSGGSC)が受容体への良好な結合を示し、EphA5に特異的に結合するが対照EphA4受容体には結合しないそれらの能力についてさらに解析された(図3B)。ペプチド配列CSGIGSGGCおよびCRFESSGGCを提示するファージは結合特異性を示し、特徴決定のために選択された。
本発明者らは、選択されたファージの肺癌細胞Hop92およびH460への結合を調査した。これらの細胞は、免疫蛍光解析によって確認されたように(図5)、表面上にEphA5受容体を発現することが公知である。EphA5発現について陰性である卵巣癌細胞株OVCAR-3を対照として使用した。
次に、本発明者らは、選択されたファージの肺癌細胞への結合を解析するためにBRASIL法(選択的相互作用的リガンドのバイオパニングおよび迅速な解析)を使用した。本発明者らは、配列CSGIGSGGCおよびCRFESSGGCを提示するファージのHop92およびH460への特異的結合を観察し、固定化したEphA5受容体上でのスクリーニングから得られたデータを確認した(図6)。
最終的に、本発明者らは、MD Anderson Cancer Center由来のバンクに保存された切片または患者組織を用いることによって、EphA5タンパク質がヒト肺腺癌上皮によって過剰発現されていることを示した。
ヒト非小細胞肺癌(NSLC)または正常前立腺のホルマリン固定パラフィン切片上の、EphA5またはEphA4特異抗体を用いた免疫組織化学(ポリクローナル抗プロヒビチン抗体)。免疫染色は、対照前立腺組織と比較した際に、NSLC肺腺癌上皮に見られるが間質では見られないEphA5タンパク質発現の選択的EphA5上方制御を示す。
総合すると、これらのデータは、モチーフGGSを提示する2種類の選択されたファージがEphA5受容体のリガンドであることを示唆する。いかなる機能的関連も無く神経膠腫におけるEphA5の上方制御が報告されており、かつ、最新では、本チロシンキナーゼ受容体の肺癌における調査の報告は存在しない。そのため、肺癌細胞を標的とする候補エフリン模倣体(GGSペプチド)の観点から、これらの細胞におけるEphA5タンパク質の過剰発現(図4)は、EphA5が肺癌マーカーであることについての最初の証拠を提供し、潜在的な機能的意味を有する。
本明細書において同定された癌関連モチーフは患者における乳房腫瘍の標的造影または療法のためのアプローチの開発に使用され得ることが、本発明者らにより企図される。EGFR、EphA5、および他の細胞表面分子を含むそれらの受容体は、その腫瘍形成特性、および癌の全般的なまたは起源/グレード選択的標的としてはたらく能力についてさらに探索され得る。
実施例14
エフリン模倣ペプチドの細胞内部移行
エフリン模倣ペプチドの細胞内部移行を媒介する能力を評価した。A549細胞株を細胞表面上にEphA5受容体を発現する典型的なヒト肺癌由来細胞として使用した。各ファージクローンまたは対照のインサート無しのファージを細胞と共に4時間37℃でインキュベーションした。CSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)およびCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)両方のファージがA549細胞中に内部移行し、一方、標的化されない対照ファージを使用した際にはバックグラウンドの蛍光のみが得られた(図8参照)。
実施例15
エフリン模倣ペプチドによる細胞の活性化
ペプチドCSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)およびCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)によるEphA5受容体の活性化は、肺癌細胞の増殖および/または生存をもたらす。血清の非存在下において、本ペプチドは肺癌細胞の増殖を4倍増加させた(図9A〜B)。本効果は、EphA5受容体を発現する2種類の異なるヒト細胞株において確認された。
(表3)NCI-60細胞株と会合したペプチドおよびモチーフ(SEQ ID NO:)
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参照文献
以下の参照文献は、本明細書において示されたものに例示的な手続き上のまたは他の詳細な補足を提供する限り、具体的に参照により本明細書に組み入れられる。
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本発明のより完全な理解のために、添付の図面と共に下記の説明が参照される。
NCI-60細胞株のクラスターについての特異性の広いトリペプチドの選択性を示す。二次元階層的クラスタリングを、NCI-60細胞株(縦の列)上で選択されたCX7Cペプチドに遭遇した38トリペプチド(横の列)の頻度に適用した。共通の起源の一つの細胞株以外のすべての細胞株上で選択されたトリペプチドを、細胞株との相関に基づいてクラスター化し;細胞株をトリペプチドとの相関に基づいてクラスター化した。トリペプチド頻度を平均値減算し、相関メトリックを用いて平均連結クラスター化した。アミノ酸色コード:赤色、疎水性;緑色、中性および極性;紫色、塩基性。各CIMセグメントにおける色は、スケールバーによって示されるように、青色(逆相関)から赤色(正相関)の範囲にわたる。細胞株は、以前に定義された組織学的腫瘍起源に基づいて色コード化されている(Monks et al., 1991、Weinstein et al., 1997)。系統樹の下のバーは、類似の腫瘍組織起源の細胞のクラスターである(一つの例外が許容される)。枠で囲まれた部分は、肺癌由来細胞株および会合/解離したトリペプチドのクラスターである。 図2A〜2Bは、EGFRリガンドを模倣するペプチドの同定を示す。図2A:SKOV-3選択ファージプールより単離されたEGFR結合ペプチド配列は、生物学的ヒトEGFRリガンドのタンパク質配列(リーダーペプチド配列が下線で示されている)に各方向においてマッチした。提示されたマッチは、対応する位置のタンパク質アミノ酸と同一な3個またはそれ以上のアミノ酸(赤色)、および類似のクラスの1個または複数のアミノ酸(緑色)を有するペプチドである。トリペプチドは表1に列挙されている(黄色)。図2B:EGFRを標的とするペプチドの単離。固定化したヒトEGFR上でのSKOV3選択ファージプールのバイオパニングのラウンド1および2において、SKOV3選択ファージプールの固定化したEGFRへの結合をBSAと比較した。 図3A〜3Bは、固定化したEphA5受容体上でのファージ選択を示す。図3A:濃縮されたモチーフGGSを提示するエフリン模倣ファージを、EphA5コーティングマイクロタイターウェル上で選択した。EphA5への特異的結合を示すファージを、EphA4受容体と比較してEphA5への特徴的な結合について解析した(図3B)。BSAおよびfd-tetインサート無しのファージを陰性対照として使用した。 NCI-60におけるEphA5受容体発現を示す。マイクロアレイ解析よりdtp.nci.nih.gov/mtweb/servlet/moltidsearch?moltid=MT894で報告されている。 肺癌細胞株Hop92およびH460によるEphA5およびEphA4受容体の発現を示す。OVCAR3細胞株を陰性対照として使用した。10×倍率。 CSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)およびCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)-ファージの肺癌細胞Hop92およびH460への、しかし卵巣癌細胞株OVCAR-3に対しては示さない特異的結合を示す。インサート無しのファージ(fd-tet)を陰性対照として使用した。 図7A〜7Bは、NCI-60細胞株に対するすべての単離されたNCI-60結合トリペプチドに関連する、クラスター化されたイメージマップを示す。図7A:二次元階層的クラスタリングを、NCI-60細胞(縦の列)上で選択された細胞結合CX7Cペプチドにおいて見出された3,280種類の独自のトリペプチド(横の列)の頻度に適用した。トリペプチドを細胞株とのその相関に基づいてクラスター化し;細胞株をトリペプチドとの相関に基づいてクラスター化した。トリペプチド頻度を平均値減算し、相関メトリックを用いて平均連結クラスター化した(データは平均値0;分散1に変換した)。各CIMセグメントにおける色は、スケールバーによって示されるように、青色(高い逆相関)から赤色(高い正相関)の範囲にわたる。細胞株は、以前に定義された組織学的腫瘍起源に基づいて色コード化されている。図7B:3,280種類のランダムな模擬トリペプチド頻度(横の列)にポアソン仮説の下で適用された対照二次元階層的クラスタリングは、明らかなパターンを示さず、したがってAにおけるクラスターはランダムに生成されていないことが示された。 標的ペプチドはリガンド-受容体の細胞内部移行を媒介するを示す。CSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)およびCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)-ファージはA549細胞中に透過化された。細胞をインサート無しのファージとインキュベーションした際には内部移行は観察されなかった。 図9A〜9Bは、ペプチドCSGIGSGGC(SEQ ID NO:2)およびCRFESSGGC(SEQ ID NO:3)の肺癌細胞に対する生物学的効果。エフリン模倣ペプチド、対照ペプチド、および完全培地に対する、飢餓状態の肺癌細胞の細胞生存および増殖応答の促進(A549(図9A)、H460細胞(図9B))を示す。ペプチド濃度は最適化した。Y軸における値は、72時間のインキュベーション期間後に評価された各実験条件の下での生細胞の数に対応する。データのバーは、平均値および対応する平均値の標準誤差を示す。

Claims (31)

  1. 以下の段階を含む、細胞株をプロファイリングする方法:
    a)多数の細胞株を提供する段階;
    b)各細胞株を、表面上にランダムな異種ペプチドを提示するファージのライブラリーと接触させる段階;
    c)細胞株の各々に結合するファージを取得する段階;
    d)各細胞株に結合するペプチドを同定する段階;および
    e)同定されたペプチドに基づいて各細胞株を分類する段階。
  2. 各々の同定されたペプチドに結合する細胞株に基づいて各々の同定されたペプチドを分類する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. パネルが癌細胞株を含む、請求項1記載の方法。
  4. 癌細胞株が、腎臓癌、乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵臓癌、子宮癌、神経細胞の癌、皮膚癌、頭頸部癌、白血病性の癌、リンパ球性の癌、または卵巣癌の細胞株を含む、請求項3記載の方法。
  5. パネルが癌細胞株である、請求項3記載の方法。
  6. パネルが癌細胞株のNCI 60パネルである、請求項5記載の方法。
  7. 共通起源の癌細胞株または癌細胞の大多数に結合するペプチドを同定する段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
  8. 公知の受容体リガンドとの類似性を同定するために、同定されたペプチドを解析する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  9. 細胞株を分類する段階がクラスタリング解析によって行われる、請求項1記載の方法。
  10. クラスタリング解析が、クラスター化されたイメージマップを構築するために使用される、請求項9記載の方法。
  11. 同定されたペプチドを分類する段階がクラスタリング解析によって行われる、請求項2記載の方法。
  12. クラスタリング解析が、クラスター化されたイメージマップを構築するために使用される、請求項11記載の方法。
  13. 以下の工程を含む同定されたペプチドの少なくとも一つに対する受容体を同定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法:
    a)同定されたペプチドを提供する工程;
    b)同定されたペプチドを標識する工程;
    c)適切な細胞株を標識ペプチドと接触させる工程;
    d)受容体-ペプチド複合体を単離する工程;および
    e)標識ペプチドに結合した受容体を同定する工程。
  14. 細胞株の亜集団に選択的に結合する5種類またはそれ以上のペプチドを含むペプチドの群であって、表3に列挙されるペプチドを含む、ペプチドの群。
  15. 以下の段階を含む、細胞または細胞株を分類する方法:
    a)細胞を、公知の起源の細胞に差次的に結合する選択されたペプチドまたはポリペプチドの群と接触させる段階;
    b)細胞株に結合するペプチドまたはポリペプチドを検出する段階;および
    c)細胞に結合するペプチドに基づいて細胞または細胞株の分類を評価する段階。
  16. 選択されたペプチドまたはポリペプチドがファージ粒子である、請求項15記載の方法。
  17. 選択されたペプチドまたはポリペプチドが標識される、請求項15記載の方法。
  18. 選択されたペプチドまたはポリペプチドが、フルオロフォア、酵素、または放射性同位体で標識される、請求項175記載の方法。
  19. 選択されたペプチドまたはポリペプチドの群が、少なくとも3種類の異なるペプチドまたはポリペプチドを含む、請求項15記載の方法。
  20. 選択されたペプチドまたはポリペプチドが環状である、請求項15記載の方法。
  21. 選択されたペプチドまたはポリペプチドが、表3由来の少なくとも3種類のアミノ酸配列を含む、請求項15記載の方法。
  22. 細胞または細胞株が、癌細胞または癌細胞株である、請求項15記載の方法。
  23. 細胞を分類する段階が、細胞の組織起源を決定するかまたは細胞が特定の受容体を発現するか否かを判定する段階を含む、請求項15記載の方法。
  24. 細胞を分類する段階が、細胞が抗癌療法に抵抗性であるか否かを判定する段階を含む、請求項15記載の方法。
  25. 選択されたペプチドまたはポリペプチドが、公知の起源の細胞のパネルに差次的に結合する、請求項15記載の方法。
  26. 以下の段階を含む、ペプチドを分類する方法:
    a)多数の細胞株を、細胞に差次的に結合するペプチドのライブラリーと接触させる段階;
    b)細胞株に結合するペプチドを検出する段階;および
    c)ペプチドに結合する細胞に基づいてペプチドを分類する段階。
  27. CSGIGSGGCまたはCRFESSGGCのペプチド配列を含む、EphA5受容体を標的とするペプチド。
  28. ペプチドが環状である、請求項27記載のペプチド。
  29. 治療剤をさらに含む、請求項27記載のペプチド。
  30. 治療剤が低分子または治療的ポリペプチドである、請求項29記載のペプチド。
  31. 造影剤をさらに含む、請求項27記載のペプチド。
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