JP2009528839A - 大腸菌におけるStuI制限エンドヌクレアーゼ及びStuIメチラーゼのクローニング及び発現方法 - Google Patents

大腸菌におけるStuI制限エンドヌクレアーゼ及びStuIメチラーゼのクローニング及び発現方法 Download PDF

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Abstract

本発明は(1)StuI制限エンドヌクレアーゼをコードする単離DNAとコグネイト及び非コグネイトメチラーゼをコードする単離DNA;(2)前記単離DNAを含むベクター及び細胞;並びに(3)StuI制限エンドヌクレアーゼの生産方法を含む構成に関する。

Description

制限エンドヌクレアーゼは所定の単細胞微生物(主に真正細菌と古細菌)に天然に存在し、ウイルス及び他の寄生DNA因子による感染からこれらの微生物を保護するように機能する酵素である。制限エンドヌクレアーゼは2本鎖DNA分子(dsDNA)の特定ヌクレオチド配列(「認識配列」)と結合し、通常はその配列の内部又はその近傍のDNAを開裂し、種々の寸法のDNAフラグメントを生成する。インビボでは、制限フラグメントは更にエキソヌクレアーゼ消化の基質として機能し、完全分解へと導く。制限エンドヌクレアーゼは通常、修飾メチルトランスフェラーゼと呼ばれる1種以上の対応する酵素と共存している。メチルトランスフェラーゼは共存する制限エンドヌクレアーゼと同一のdsDNAの配列と結合するが、DNAを開裂するのではなく、配列内の塩基の1個以上にメチル基を付加することにより改変する。このメチル化(「修飾」)は制限エンドヌクレアーゼが開裂配列と結合するのを妨げ、この部位を開裂に耐性にする。メチルトランスフェラーゼは共存する制限エンドヌクレアーゼの細胞解毒剤として機能し、細胞自身のDNAがその制限エンドヌクレアーゼにより破壊されないように保護する。制限エンドヌクレアーゼとその対応する(コグネイト)修飾メチルトランスフェラーゼは一緒になって制限−修飾(R−M)系を形成する。
多種多様な制限エンドヌクレアーゼが「タイプII」制限エンドヌクレアーゼとして分類されている。これらの酵素は規定位置でDNAを開裂し、DNA分子を遺伝子クローニング及び分析に適した厳密なフラグメントに切断するために精製形態で使用することができる。タイプII制限エンドヌクレアーゼによる生化学的方法の精度は化学的方法により達成可能な精度を上回るため、これらの酵素は分子生物学実験室の必須試薬となっている。遺伝子分析用分子ツールとしてのこの性能において、タイプII制限エンドヌクレアーゼは過去33年間に生命科学に多大な影響を与えており、学術領域と商業領域の両面に変容をもたらしている。その有用性により新規制限エンドヌクレアーゼを求めて間断なく研究が促進され、多数のものが発見されている。今日では、各々異なるDNA開裂特性をもつ221種を上回るタイプIIエンドヌクレアーゼが知られている(Robertsら,Nucl.Acids Res.33:D230−D232(2005))。(REBASE(登録商標),http://rebase.neb.com/rebase)。それに伴い、大腸菌(E.coli)等の非天然産生株宿主細胞でこれらをコードする遺伝子のクローニングと過剰発現によりこれらの酵素の生産と精製も改善されている。
各種制限酵素は類似の生物学的役割をほぼ同様に果たすと思われるので、アミノ酸配列と挙動も相互に近似していると思うかもしれない。しかし、そうではないことが実験により分かっている。意外にも、大半のタイプII制限酵素は相互に類似するどころか、個々に異なるようであり、他の制限酵素にも他の公知種の蛋白質にも似ていない。タイプII制限エンドヌクレアーゼは進化中の大部分で相互に独立して発生し、このような発生を何百回も繰り返しているため、今日の酵素は個別のファミリーではなく、不均一集団になっていると思われる。制限エンドヌクレアーゼにはホモダイマーとして作用するものと、モノマーとして作用するものと、ヘテロダイマーとして作用するものがある。また、対称配列に結合するものと非対称配列に結合するものがあり、連続配列に結合するものと不連続配列に結合するものがあり、単一配列に結合するものと複数配列に結合するものがある。単一のメチルトランスフェラーゼと共存するものと2種と共存するものがあり、全く共存しないものもある。2種のメチルトランスフェラーゼが存在する場合には、別個の蛋白質の場合と融合している場合がある。制限遺伝子と修飾遺伝子の順序と向きは多様であり、可能な全構成が存在する。メチルトランスフェラーゼは数種のものが存在しており、アデニンをメチル化するもの(m6A−MTアーゼ)、シトシンをN−4位でメチル化するもの(m4C−MTアーゼ)、5位でメチル化するもの(m5C−MTアーゼ)がある。通常、どの修飾が特定制限エンドヌクレアーゼを阻害するか、どの種のメチルトランスフェラーゼが特定の場合にこの制限エンドヌクレアーゼと共存するか、その遺伝子順序又は向きがどうであるかについて先験的に予測する方法は存在しない。
制限−修飾系の間には大きな多様性が存在する。各酵素はアミノ酸配列と触媒挙動が固有であり、各酵素は固有の微生物環境に適した固有の酵素結合で存在しているため、実験者は酵素毎に固有の問題に直面する。制限エンドヌクレアーゼによっては、簡単にクローニングし、過剰発現させることができるが、大半の場合には不可能であり、ある酵素で成功しても、別の酵素には全く通用しない場合がある。ある酵素で成功しても、別の酵素での成功につながらない。
(発明の概要)
本発明の1態様では、AGGCCTを認識することが可能な制限エンドヌクレアーゼをコードし、配列番号1に対して少なくとも65%の配列一致度を有するポリヌクレオチド配列を含み、制限エンドヌクレアーゼは配列番号2に対して少なくとも50%の配列一致度を有する単離ポリヌクレオチドを提供する。別の態様では、このポリヌクレオチド配列は配列番号1に対して少なくとも75%の配列一致度を有し、この制限エンドヌクレアーゼは配列番号2に対して少なくとも60%の配列一致度を有する。本発明の別の態様では、このポリヌクレオチド配列は配列番号1に対して少なくとも90%の配列一致度を有し、この制限エンドヌクレアーゼは配列番号2に対して少なくとも70%の配列一致度を有する。更に、上記制限エンドヌクレアーゼをコードする単離ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。更に、前記ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
本発明の別の態様では、StuI制限エンドヌクレアーゼにより認識されるポリヌクレオチド配列の1個以上のヌクレオチドをメチル化することが可能なメチラーゼをコードし、配列番号3に対して少なくとも65%の配列一致度を有するポリヌクレオチドセグメントを提供する。このメチラーゼは配列番号4に対して少なくとも50%の配列一致度を有する。別の態様では、このポリヌクレオチドセグメントは配列番号1に対して少なくとも75%の配列一致度を有し、このメチラーゼは配列番号2に対して少なくとも60%の配列一致度を有する。本発明の別の態様では、このポリヌクレオチドセグメントは配列番号1に対して少なくとも90%の配列一致度を有し、このメチラーゼは配列番号2に対して少なくとも70%の配列一致度を有する。更に、上記メチラーゼをコードするポリヌクレオチドセグメントを含むベクターを提供する。更に、前記ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
本発明の別の態様では、StuIメチラーゼをコードするポリヌクレオチドセグメントを提供する。
別の態様では、上記制限エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換された宿主細胞をエンドヌクレアーゼの発現に適した条件下で培養する段階を含む組換えStuI制限エンドヌクレアーゼの生産方法を提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明の該当態様はStuIR及びStuIMをコードする組換えDNAに関し、および、組換えDNAを含む大腸菌細胞におけるStuIRの発現に関する。
StuIR及びStuIMは細菌ストレプトマイセス・ツバーシディクス(Streptomyces tubercidicus)により産生される酵素である(Shimotsuら,Gene 11:219−225(1980))。StuIRはdsDNA分子で対称なヌクレオチド(nt)配列5’−AGGCCT−3’と結合し、各鎖でGとCの間のDNAを開裂して5’−AGG/CCT−3’とし、平滑末端をもつDNAフラグメントを生じる(/は鎖開裂の位置を示す)。天然に存在する多数の制限エンドヌクレアーゼは保護修飾メチルトランスフェラーゼを伴う。stuIM遺伝子はstuIRの同定と配列決定における最初のクローニングターゲットであった。
R−M系クローニングの問題
(a)メチラーゼ遺伝子選択の失敗
米国特許第5,200,333号に記載されているメチラーゼ選択法は制限−修飾系のクローニングに好適な最初のアプローチである。ストレプトマイセス・ツバーシディクスに由来するゲノムDNAはStuIR消化に耐性であるため、StuIMが存在すると推論された。しかし、StuIMのクローニングは問題があった。第1に、メチラーゼ選択に失敗した。この失敗は以下の原因が考えられる。
*初期ライブラリーを構築するために使用した制限酵素によるstuIM遺伝子内の開裂;
*DNAフラグメントの寸法が大きいため、ライブラリーから適切なDNAフラグメントをクローニングできない;
*大腸菌におけるstuIM遺伝子の発現率が低い;
*プラスミド上のStuIR開裂部位の修飾不良;
*両者遺伝子を同一DNAフラグメントにクローニングした場合にstuIM遺伝子の発現に比較してstuIR遺伝子が相対的に過剰発現されるため、stuIR遺伝子毒性が生じる。
第2に、精製蛋白質量が少なく、蛋白質上のN末端が遮断されるため、StuIRのN末端の蛋白質配列決定にも失敗した。
(b)メチラーゼ遺伝子選択圧の増加
StuIMをコードする遺伝子を発見する機会を増すために、プラスミドpUC19のβ−ラクタマーゼ(b/a)遺伝子(アンピシリン耐性遺伝子)に2個のStuIR開裂部位(AGGCCT)を挿入し、プラスミドpUC2iStuIを作製した(図4)。StuIMによる修飾の不在下では、このプラスミドはAmpプレートでのStuIR攻撃及び選択に耐えられない。従って、攻撃したゲノムDNAライブラリーからプラスミドにおけるstuIM遺伝子の存在を選択することができる。
一連のライブラリーの構築:
(i)NlaIII及びSau3AIで部分的に消化したストレプトマイセス・ツバーシディクスゲノムDNAをpUC2iStuIにクローニングし、ゲノムDNAの重複するフラグメントを含むプラスミドライブラリーを形成した。このプラスミドライブラリーをXL10細胞(Stratagene,La JoIIa,CA)に形質転換した。全コロニーをプールし、プラスミドDNAを抽出し、StuIRで攻撃し、StuIR開裂部位の修飾が行われたか否かを調べた。部分消化ゲノムDNAを含むプラスミドがStuIRを発現したならば、形質転換細胞は生存していないと思われる。StuIM又は非エンドヌクレアーゼをコードするDNAを発現するプラスミドを含む細胞のみが生存し、これらのうちで、理論的にはstuIM遺伝子を含む細胞のみがスーパーコイルプラスミドを含むと予想される。しかし、直鎖化プラスミドのバックグラウンドは非常に高く、StuIMをコードするプラスミドを回収することはできなかった。
(ii)推定stuIM遺伝子の発現を強化するための手段としてEMD Biosciences(Damstadt,ドイツ)から入手したRosetta 2株(Rosetta 2株はレアtRNA遺伝子を組込んだプラスミドを含む。)にプラスミドDNAを形質転換した。Rosetta 2株からプールしたプラスミドをStuIRで攻撃し、Rosetta 2株に再導入した。合計6個のコロニーがプレート上に検出された。全6個の形質転換細胞について少量の細胞培養液を調製し、振盪器に入れて37℃で20時間培養した。StuIRに完全に耐性のクローンが1個だけ回収された。1個の培養液(#2)から抽出したプラスミド(pST2)はStuIR消化に完全に耐性であった。
(iii)StuIM発現にRosetta 2株が必要であるか否かを調べるために、レアtRNA遺伝子をコードするプラスミドの存在下又は不在下でプラスミドpST2を他の大腸菌株:ER2502、ER2683、ER2566、ER2523及びBL21に形質転換した。対照として、pST2プラスミドも元のRosetta 2株に導入した。しかし、これらの形質転換細胞のうちでStuIR消化に完全に耐性のプラスミドを生じたものは皆無であった。これらのプラスミドは対数期細胞又は長時間温置(>20時間)後の細胞から単離された。下記のようにstuIMを含むクローンの配列を得ることは可能であったが、このクローンは宿主細胞を毒性から保護できないので、推定制限エンドヌクレアーゼのクローニングに使用するには不十分であった。
pST2プラスミドのインサートにおけるstuIM遺伝子をプライマーウォーキングにより配列決定した。1個のオープンリーディングフレーム(ORF)が同定され、GenBankのBLASTX検索によりN6A−メチラーゼ遺伝子と類似していることが分かった。stuIM配列からの逆PCRウォーキングにより、メチラーゼ遺伝子に隣接する1個のORFは全公知遺伝子と異なることが判明した。このORFをStuIRの候補遺伝子とした(図3)。
(c)stuIR遺伝子のクローニングを可能にするために不十分なStuIMによる保護
pACYC184に挿入したプラスミドpST2からPCRによりstuIMを増幅した。pACYC184を大腸菌ER2683(New England Biolabs,Inc.(NEB),Ipswich,MA)に形質転換した。19個のプラスミドのうち6個が適切な酵素消化により正しい寸法のインサートを含んでいた。pACYC184又はstuIMにStuIR部位は存在していなかったので、これらの株に由来するゲノムDNAを抽出し、StuIRで消化した。これらのうちでStuIR消化に耐性のものは皆無であった。高コピー数プラスミドから発現されたStuIMは宿主DNAを完全には修飾しなかった。
StuIRを大腸菌にクローニングするためには、StuIMによる不完全な修飾に伴う問題を解決する必要があった。StuIR開裂に対する保護を達成できるか否かについて非コグネイトメチラーゼを試験した。StuIRの認識部位はAGGCCTである。DNAをStuIR消化から保護するためにStuIR開裂部位の内部配列を修飾するメチラーゼは存在する。公知メチラーゼの調査後、HaeIIIメチラーゼ(GGm5CC)(Slatkoら,Gene 74:45−50(1998))、FnuDIメチラーゼ(米国特許第4,988,620号)(GGCC、修飾部位不明、5mCメチル化型)及びPhoIメチラーゼ(GGCC、修飾部位不明、N4mCメチル化型)遺伝子を選択した後、大腸菌で発現させた。3種の株に由来するゲノムDNAをStuIRで消化した。M.HaeIIIとM.FnuDIを含む2種の株に由来するゲノムDNAはStuIR消化に耐性であった。pACYC−fnuDIMから発現されたM.FnuDIを選択し、推定stuIR遺伝子を発現させるためにER2683宿主DNAを予備修飾した。
stuIMに隣接するORFをPCR増幅し、pUC19にクローニングした。連結したプラスミドをpACYC−fnuDIMで予備修飾したER2683に形質転換した。コロニーを釣菌し、Ampとクロラムフェニコール(Cam)を添加したLB中で培養液4mlとして一晩増殖させた。38個のサンプルからの全細胞培養液をλDNAに対するエンドヌクレアーゼ活性について試験した。38個の培養液のうち16個はStuIR活性が高かった。従って、このORFはstuIR遺伝子であることが確認された。3個のクローン(#6、#7及び#15)のインサートを配列決定した。#6と#15は野生型stuIR遺伝子であることが確認された。次に、大量培養液での安定性について株を試験した処、安定であることが判明した。組換えStuIRを湿潤細胞1g当たり5×10単位のレベルで過剰発現させた。
要約すると、多数の問題を解決し、最終的にStuIR過剰発現クローンの産生に成功した発現ストラテジーが最終的に開発された。このストラテジーは宿主DNAをStuI消化に対して保護するためにM.FnuDIの発現を利用するものであった。
stuIM及びstuIR遺伝子を大腸菌にクローニングし、発現させることが可能な本明細書に記載する方法は以下の段階の1個以上を含む。これらの段階については実施例に詳述する。
(1)ゲノムDNAの作製とStuIゲノムDNAライブラリーの構築
一般的なフェノール−クロロホルム抽出法と凍結−解凍サイクルによりストレプトマイセス・ツバーシディクスからゲノムDNAを作製した。
次に、ゲノムDNAをApoI、NlaIII及びSau3AIで部分消化した。NlaIII及びSau3AIで消化した場合のみに1.5〜10kbのDNAフラグメント寸法の良好な分布が得られた。bla遺伝子に2個のStuI部位を予め組込んでおいたpUC19ベクター(pUC2iStuI)をSphIとBamHIで消化してCIPで処理し、部分消化ゲノムDNA調製物を連結した。この連結したDNA混合物を使用してXL−10細胞(Stratagene,La JoIIa,CA)を形質転換した。2個のライブラリーの形質転換細胞をプールし、プラスミドDNAを抽出した。プラスミドDNAをRosetta 2株に導入した。Rosetta 2に由来するプラスミドDNAを作製し、一次プラスミドライブラリーを構築した。
(2)StuIMメチラーゼ選択
一次プラスミドライブラリーをStuIR消化により攻撃した。これらのDNA消化産物を次に大腸菌Rosetta 2に逆形質転換した。StuIR攻撃後の形質転換細胞に6個の生存コロニーが検出された。これらの6個のコロニーに由来するプラスミドを抽出した。これらのプラスミドをStuIRで消化した処、1個(#2)(pST2)が消化に耐性であることが判明した。
pST2プラスミドのインサートを配列決定するためにプライマーウォーキングを実施した。インサートの両端をNlaIIIで消化し、pUC2iStuIのSphI部位に連結した。インサートは少なくとも4kbであり、配列決定した領域間に小さいギャップを含んでいた。5’側からの1440bpのORFはNCBIの翻訳データベースBLASTX検索によりアデニン特異的DNAメチラーゼに高度に相同であることが判明した(図2)。このインサートにおける他のORFは他の公知蛋白質に相同であり、1440bp ORFの過剰発現によりプラスミドはStuIM消化の耐性になったので、このORFをstuIM遺伝子と命名した。
(3)stuIM遺伝子の5’末端の上流のDNAの逆PCR増幅
プラスミドpST2を含むRosetta 2株の細胞抽出液にエンドヌクレアーゼ活性は検出されなかった。stuIM遺伝子の下流配列は〜1724bpに及び、転写調節因子とcaaxアミノ末端プロテアーゼファミリー蛋白質のホモログをコードする。従って、エンドヌクレアーゼ遺伝子が下流配列に位置するとは思われなかった。stuIM遺伝子の上流配列は固有であり、公知遺伝子に対して相同性をもたない。従って、更に上流の配列の延長に焦点を絞った。逆PCRと逆PCR産物の直接配列決定によりDNA配列を更に延長させた。まずゲノムDNAを個々の制限酵素で消化し、自己連結させた。得られた環状DNA分子を逆PCRの鋳型として使用した。stuIM遺伝子の5’末端のDNA配列を使用して染色体DNAフラグメントの逆PCR用プライマーを設計した。BsrFI、EcoRI、HaeII、HpyCH4IV、KasI、NruI及びTsp509Iに由来する鋳型から逆PCRでPCR産物を作製した。これらのPCRフラグメントをスピンカラムにより精製し、逆PCRプライマーにより配列決定した。
EcoRI消化および自己連結からの鋳型は元の鋳型に983bpの配列が付加され、768bpの完全ORFが判明した。この遺伝子は公知遺伝子に対して相同性をもたない。これをstuIRの候補遺伝子とした(図3)。
(4)大腸菌におけるstuIM遺伝子の発現
メチラーゼ遺伝子の発現はエンドヌクレアーゼ遺伝子の同時発現に不可欠であった。各種大腸菌株におけるStuIMの発現を調べるために、レアtRNA遺伝子をコードするプラスミドの存在下又は不在下でプラスミドpST2をER2502、ER2683、ER2566、ER2523、BL21株に形質転換した。EMD Bioscience(Damstadt,ドイツ)から入手したpRAREを含むRosetta 2株を対照として使用した。培養後、プラスミドを抽出し、StuIR消化に対する耐性を調べた。Rosetta 2株を含む後期対数期(8時間培養)から抽出したプラスミドはStuIR消化耐性を殆ど示さなかった。静止期(24時間)からのプラスミドはStuIR消化耐性が高く、約80%保護を達成することができた。元のpST2は完全にStuIR消化耐性であった(>95%保護)。実験の不一致はいくつかの理由により説明することができる。1)未知宿主突然変異がstuIM遺伝子発現を助長した;2)細胞が複製を停止し、メチラーゼ発現が持続する条件下でpST2プラスミドを含む細胞の培養期間が延びた;3)レアtRNAの同時発現によるstuIM遺伝子発現強化が僅かであった。
stuIMをPCR増幅し、BamHIとSalIで消化し、低コピー数プラスミドpACYC184にクローニングした。pACYC−stuIMを含む細胞からゲノムDNAを作製し、StuIRで消化した。ゲノムDNAをStuIRで開裂した。従って、pACYC−stuIMはStuIR過剰発現に使用することができない。StuIR発現用宿主DNAを保護するために非コグネイトメチラーゼを使用しようと試みた。
(5)StuIM発現用予備修飾大腸菌株の樹立
pACYC又はpUCから発現させたStuIMは宿主DNAを完全には保護しなかったので、他の非コグネイトメチラーゼをDNA修飾について試験した。StuIMの認識部位はAGGCCTである。認識部位の内部配列を修飾するこれらのメチラーゼはこの配列を修飾し、StuIR消化から保護することができると考えられる。HaeIIIメチラーゼ(GGm5CC)(Slatkoら,Gene 74:45−50(1998))、FnuDIメチラーゼ(GGCC、修飾部位不明、5mCメチル化型)及びPhoIメチラーゼ(GGCC、修飾部位不明、N4mCメチル化型)遺伝子を大腸菌で発現させた。ER1398[pLJhaeIIIM101−1]、ER1398[pMMhaeIIIRM127−1、pACYC184fnuDIM]及びER2566[pET21aphoIR及びpLG339phoIM]株からゲノムDNAを作製し、StuIRで消化した。haeIIIM又はfnuDIMを含む株に由来するゲノムDNAはStuIM消化に耐性であり、phoIM宿主から単離したDNAはStuIR消化に感受性であった。推定stuIM遺伝子の発現用宿主DNAを予備修飾するためにER2683[pACYC−fnuDIM]を選択した。
(6)大腸菌におけるstuIR遺伝子の発現
stuIM遺伝子に隣接するORFをPCR増幅し、HindIIIとPstIで消化し、適合可能な末端でpUC19と連結した。連結したプラスミドをpACYC−fnuDIMで予備修飾したER2683に形質転換した。コロニーを釣菌し、AmpとCamを添加したLB 4ml中で一晩増殖させた。38個のサンプルからの一晩細胞培養液10μlをNEBバッファー2(Ipswich,MA)中、37℃で30分間λDNAに対するStuIR活性について試験した。38個のサンプルのうち16個はλDNAを完全に消化し、ORFはstuIR遺伝子であることが確認された。pUC19ベクターに由来するプライマーを使用して3個のクローン(#6、#7及び#15)を配列決定した。#6と#15のインサートは野生型stuIR遺伝子であることが確認された。次に、大量培養液(細胞10mlを一晩培養液1Lから新鮮培養液1Lに継代)で株の安定性を試験した処、安定であることが判明した。プラスミドは良好に維持された。StuIRの最終発現効率は湿潤細胞1g当たり5×10単位であることが判明した。
同定されたStuIRのアミノ酸配列から、国際出願Pct/US06/30419に記載のアプローチを使用してデータベースを検索し、E=e−02未満の期待値を使用してStuIRのアイソシゾマー又はネオシゾマーに対応する関連アミノ酸配列を同定することができる。
なお、メチラーゼと制限エンドヌクレアーゼを別々のプラスミドでDNAによりコードしたが、同一プロモーター(例えばlacプロモーター)又は異なるプロモーター(例えばメチラーゼにtetプロモーターと制限エンドヌクレアーゼにlacプロモーター)の制御下で同一プラスミドに両方の遺伝子を挿入することも可能であった。
以下、実施例により本発明を更に例証する。これらの実施例は本発明を理解しやすくするために記載するものであり、本発明を限定すると解釈すべきではない。
上記及び下記に引用する全文献は言及により本明細書に組込む。
stuI R−M系の大腸菌クローニング
1.ゲノムDNAの作製
ストレプトマイセス・ツバーシディクス15gから以下の段階によりゲノムDNAを作製した。
a.0.1M Tris−HCl,0.1M EDTA(pH7)35mlに細胞ペースト15gを再懸濁する。
b.0.1M Tris−HCl,0.1 MEDTA(pH7.6)に2mg/ml新鮮リゾチーム25mlを加える。37℃で1時間温置する。
c.Protease Kを0.1mg/mlまで37℃で1時間加える。
d.SDSを0.1%まで加える(10%ストック6ml)。
e.8%サルコシル溶液6mlを加える。
f.凍結解凍を3回行う。
g.55℃で1時間温置する。
h.フェノール−CHCl抽出を3回、CHCl抽出を2回行う。
i.緩衝液を2回交換しながらDNAを10mM Tris−HCl,pH7.5,0.1mM EDTA 4Lで4℃にて透析する。
j.RNaseA(1mM)0.5mlを37℃にて1時間加える。
k.0.8%アガロースゲルでDNA 30μlを泳動させる。この手順によりゲノムDNA640μgが得られた。ゲノムDNAの寸法はゲル上で10kbよりも著しく大きかった。
2.プラスミドpUC2iStuIの構築
可能なメチラーゼの選択用ベクターを構築するために、プライマー:
Figure 2009528839
(StuIR開裂部位(AGGCCT)を下線で示す)を使用して逆PCRを2ラウンド行うことにより2個のStuIR開裂部位をpUC19のbla(Amp耐性)遺伝子に組込んだ。
PCRは以下のように実施した。0.25μlのpUC19をPCR1のPCR鋳型とし、1μlのpUC19(StuI)を第2ラウンドのPCR鋳型とした。0、2及び6mM MgSOを添加した1×Thermopolバッファー(NEB,Ipswich,MA)にプライマー80pmol、dNTP 400μM、Deep Vent(登録商標)ポリメラーゼ(NEB,Ipswich,MA)4単位を加えた。PCR条件は94℃で5分後、95℃で30秒、55℃で30秒及び72℃で2分42秒を18サイクル繰返し、最終温置2分42秒とした。
第1対のPCRプライマーはbla(Amp耐性)遺伝子にY103A突然変異を導入すると同時に、ScaI部位を除去した。第2対のPCRプライマーによる突然変異はサイレント突然変異である。最終ベクターをStuIRで2回消化し、プラスミドを含む大腸菌細胞を通常のアンピシリンプレートに平板接種することができる(50〜100μg/ml)。このプラスミドをpUC2iStuIと命名した(図4)。
3.ゲノムDNAの制限消化とゲノムDNAライブラリーの構築
各種単位の制限酵素ApoI(R/AATTY)、NlaIII(/CATG)及びSau3AI(/GATC)を使用してゲノムDNA 4μgを制限部分消化した。消化したDNA 0.5μgを0.8%アガロースゲルで分析した。NlaIIIとSau3AIのみから1.5kb〜10kbのDNAフラグメントの十分なスペクトルが得られた。同一酵素で消化したサンプルをプールした。1.5kb〜10kbの部分を低融点ゲルからゲル精製した。NlaIIIとSau3AIで部分消化したゲノムDNAをSphIとBamHIで消化したpUC2iStuIに夫々連結した。連結したDNAを使用してDNAse I欠損宿主XL−10(Stratagene,La JoIIa,CA)を形質転換した。各ライブラリーから約200,000個のAmp形質転換細胞が得られた。コロニーを集めてプールし、プラスミドを抽出した。EMD Bioscience(Damstadt,ドイツ)から入手したRosetta 2株にこの混合プラスミド1μlを形質転換した。プラスミドを再び抽出し、一次プラスミドライブラリーを形成した。
4.メチラーゼ選択法によるstuIM遺伝子クローニング
各種量の一次プラスミドDNAライブラリー(1μlから1/256μl)をStuI 200単位で37℃にて1時間攻撃した。消化したDNAを大腸菌株Rosetta 2に形質転換し、混合ライブラリーから6個のAmp生存細胞を得た。QIAprep Spin Miniprep Kit法(Qiagen,Valencia,CA)によりこれらの生存細胞からプラスミドDNAを作製した。抽出したプラスミドをStuIRで消化した。5個のコロニー(#1、#2、#4、#5、#6)はStuIR消化に耐性であることが判明した。#2(pST2)はScaIR消化にも耐性であった。他のクローンは汚染性DNAからの疑陽性であった。pST2プラスミドが確かに所望部位を含んでいることを検証するために、2種のプライマー:
Figure 2009528839
を使用してPCRを実施した。
1μlのpST2を鋳型とし、1×Thermopolバッファー(NEB,Ipswich,MA)にプライマー80pmol、Deep Vent(登録商標)ポリメラーゼ4単位、dNTP各400μMを加え、94℃で5分後、95℃で30秒、55℃で30秒及び72℃で2分を25サイクルの条件とした。PCR産物は2073bpフラグメントであった。pST2とこのPCR産物をStuIRで消化した処、pST2プラスミドはStuIR消化に耐性であったが、PCR産物はStuIR消化に感受性であった。この結果、pST2は恐らくStuIMにより修飾されたためにStuIR消化に対して耐性になった2個のStuI部位を含むことが確認された。
両方向からプラスミドpST2のインサートのプライマーウォーキングシーケンシングを3ラウンド実施した処、479アミノ酸の蛋白質をコードする1440bpのORFが判明した。このORFはN6A特異的メチラーゼに相同であった。他の隣接ORFは転写調節因子又はcaaxアミノ末端プロテアーゼファミリー蛋白質と相同であった。1440bp ORFはstuIMであった(図2)。
5.stuIRの同定
ストレプトマイセス・ツバーシディクスゲノムDNA各1μgをAgeI、AluI、BfaI、BglII、BsaAI、BsaBI、BsrFI、BstYI、EcoRI、HaeII、HhaI、HincII、HpyCH4V、KasI、NlaIV、NruI、TaqI及びTsp509Iで消化した。これらの全酵素はstuIMの上流配列の近傍に1個の部位をもつという理由で選択した。消化したDNAを1×Quick Ligationバッファー(NEB,Ipswich,MA)中、T4 DNAリガーゼ200単位の存在下に2ng/μl濃度で自己連結させた。連結したDNAをスピンカラムにより50μlまで濃縮した。各々10μlを逆PCR(IPCR)の鋳型として使用した。逆PCRでは以下のプライマー:
Figure 2009528839
を使用した。
以下のPCR条件を使用した。鋳型10μlを使用し、1×Thermopolバッファー(NEB,Ipswich,MA)にプライマー80pmol、dNTP 400μM、Deep Vent(登録商標)(exo)4単位を加えた。反応条件は94℃で5分後、94℃で30秒、65℃で30秒及び72℃で2分を30サイクルとした。BsrFI、EcoRI、HaeII、HpyCH4IV、KasI、NruI及びTsp509Iに由来する鋳型からPCRフラグメントを生成し、精製した。これらのPCRフラグメントをスピンカラムにより精製し、逆PCRプライマーにより配列決定した。
EcoRI消化からの鋳型は元の鋳型配列に983bpの新規配列を付加した。255アミノ酸の蛋白質をコードする768bpの完全ORFが同定された。これはGenBankのいずれの公知遺伝子にも相同ではない。これをstuIRの候補遺伝子とした(図4)。
6.StuIR発現用予備修飾大腸菌株の樹立
StuIMの発現用として最初にRosetta 2株(EMD Bioscience,Damstadt,ドイツ)を選択したのは、レアtRNAの供給により遺伝子発現が増加する可能性があるためであった。この株はベースプラスミドpRARE2を含む。このプラスミドがStuIMの発現に必要であったか否かを調べるために、pRARE2を抽出し、他の大腸菌株:ER2502、ER2683、ER2566、ER2523、BL21に形質転換した。プラスミドpST2をER2502、ER2683、ER2566、ER2523及びBL21に形質転換した。ベースプラスミドpRARE2を含む宿主株と含まない宿主株をStuIR開裂部位修飾について比較した(Rosetta 2株を対照として使用)。意外にも、StuIR消化に完全に耐性であったのは元のpST2のみであった。新たに形質転換したRosetta 2株を含む他の株はStuIR消化に対して部分的に耐性のプラスミドを生じた。pRARE2プラスミドはStuIMの発現を強化しないと思われた。細胞培養物の長さはStuIR開裂部位修飾に重要な役割を果たさなかった。振盪器で細胞を>24時間温置した処、StuIR消化に対するプラスミドの耐性は増加することが判明した。(pRARE2を含まない)宿主細胞ER2502から単離したstuIM遺伝子をもつプラスミドではStuIR消化に対する約80%の耐性が達成された。stuIM遺伝子のクローニングの成功は3つの理由が考えられる。1)pRARE2同時発現プラスミドの使用(これは重要な段階でないことが判明した);2)未知宿主細胞突然変異がstuIM遺伝子発現を助長した;3)pST2を含む細胞の静止期細胞培養の延長。
stuIM遺伝子をPCR増幅し、以下のプライマー:
Figure 2009528839
によりpACYC184にクローニングした。
PCRは以下の条件で実施した。1μlのpST2を使用し、1×ThermoPolバッファーにプライマー80pmol、dNTP 400μM、Deep Vent(登録商標)4単位を加えた。反応条件は94℃で5分後、94℃で30秒、55℃で30秒及び72℃で1分30秒を25サイクルとした。その後、PCR産物をBamHIとSalIで消化し、適合可能な末端でpACYC184に連結した。連結したプラスミドをER2683に形質転換し、Camを添加したプレートに平板接種した。プラスミド19個について正しい寸法のインサートを含むか否かについて分析した。このうち6個(#3、#4、#5、#9、#16及び#17)はBamHI及びSalI消化により正しい寸法のインサートを含んでいた。他方、これらのプラスミドを含む細胞に由来するゲノムDNAをStuI消化に対して試験した処、StuIR消化に耐性のものは皆無であった。pACYC−stuIMはStuIRの発現に使用できないと推論された。
他の非コグネイトメチラーゼを宿主DNAの修飾/保護について試験した。StuIRの認識部位はAGGCCTである。内部配列を修飾する非コグネイトメチラーゼはこの配列をStuIR消化から保護することができると考えられる。HaeIIIメチラーゼ(GGm5CC)、FnuDIメチラーゼ(GGCC、修飾部位不明、5mCメチル化型)及びPhoIメチラーゼ(GGCC、修飾部位不明、N4mCメチル化型)遺伝子を大腸菌で発現させた。pLJhaeIIIM101−1を含むER1398、pMMhaeIIIRM127−1とpACYC184fnuDIMを含むER1398、及びpET21aphoIRとpLG339phoIMを含むER2566の各種株に由来するゲノムDNAをStuIRで消化した。haeIIIMとfnuDIMを含む株に由来するゲノムDNAはStuIR消化に耐性であり、phoIMを含む株はStuIR消化に感受性であった。プラスミドpACYC−fnuDIMをER2683に導入し、予備修飾株を作製した。ゲノムDNAを再び抽出し、StuIR消化について試験した。これはStuIR消化に耐性であった。
7.大腸菌におけるのstuIRの過剰発現
stuIMに隣接するORFをPCR増幅した。
Figure 2009528839
PCR条件は以下の通りとした。ストレプトマイセス・ツバーシディクスゲノムDNA10μlを使用し、1×ThermoPolバッファーにプライマー80pmol、dNTP 400μM、Deep Vent(登録商標)DNAポリメラーゼ4単位を加えた。反応条件は94℃で5分を1サイクル;95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で46秒を25サイクルとした。PCR産物をHindIIIとPstIで消化し、同一酵素対で消化したpUC19に連結した。連結したプラスミドをpACYC−fnuDIMで予備修飾したER2683に形質転換した。AmpとCamを添加したLB寒天に形質転換細胞を平板接種した。コロニーを釣菌し、AmpとCamを添加したLB 4ml中で一晩増殖させた。38個のサンプルからの一晩細胞培養液10μlをNEBバッファー2中、37℃にて30分間λDNAに対するStuIR活性を試験した。38個のサンプルのうち16個(#6、#7、#13、#15、#17、#18、#19、#20、#22、#23、#26、#27、#30、#34、#37及び#38)はλDNAを完全に消化することができる。pUC19ベクターに由来するプライマー(S1233S及びS1224S)を使用して3個のクローン(#6、#7及び#15)のインサートを配列決定した。#6と#15のインサートは野生型stuIRであることが確認された。次に、一晩培養液1Lから新鮮培養液1Lに細胞10mlを継代することにより大量培養液で株の安定性を試験した。StuIR発現株を培養液25Lで構成的発現で増殖させた。一晩培養後、StuIの最終発現レベルは湿潤細胞1g当たり〜5×10単位であることが判明した(図5)。
StuIRのアミノ酸配列を使用して関連制限エンドヌクレアーゼを同定する方法
StuIRのアミノ酸配列を使用して蛋白質間(blastp)BLAST検索又は蛋白質と翻訳データベース間(tblastn)のBLAST検索を実施する。例えば、このような検索はNCBIウェブサーバー:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/を介してblastp(又はtblastn)プログラムを選択し、BLOSUM62マトリックスを使用して期待値=10、ワードサイズ=3から構成される標準設定値とExistence=11、extension=1のギャップコストを使用し、「全生物」のNR(非冗長)データベースを検索することにより実施することができる。これらのパラメーターは多少異なる検索結果が得られるように当業者が変更することができる。
BLAST検索により復元された出力を試験し、e−02未満の期待値スコアを生じる配列を調べる。これらの配列はREであると推定される。
同定された推定REの配列コンテキストを試験し、推定エンドヌクレアーゼに隣接又は近接(1又は2ORF以内)する推定DNAメチルトランスフェラーゼが存在するか否かを調べる。このようなメチルトランスフェラーゼが存在する場合には、公知エンドヌクレアーゼ配列を使用して同定される配列がエンドヌクレアーゼである可能性が高い。
StuIRと新規に同定された配列の類似性レベルから、2つの配列がアイソシゾマーであるか(例えばE<e−50の高類似度)又は近縁ではあるが異なる配列を認識する(低類似度)かを予想することができる。
図5に示すように、配列から蛋白質を発現させてこの蛋白質のエンドヌクレアーゼ分解機能を試験する任意従来方法により、同定された配列を試験し、この配列が機能的REをコードするか否かを調べる。例えば、同定された配列をPCRにより増幅すればよい。その後、遺伝子を無細胞インビトロ転写/翻訳系で発現させ、生成された蛋白質のエンドヌクレアーゼ活性を試験してもよいし、遺伝子をベクターに導入し、大腸菌等の宿主細胞にクローニングしてもよい。形質転換した宿主細胞を次に増殖させ、同定されたエンドヌクレアーゼ遺伝子に蛋白質を発現させ、無細胞溶解液を調製し、エンドヌクレアーゼ活性を試験する。
StuI制限エンドヌクレアーゼ遺伝子(stuIR)とStuIメチラーゼ遺伝子(stuIM)からなるStuI R−M系の遺伝子構成を示す。 1440bpのstuIM(配列番号3)とコードされたStuIMアミノ酸配列(配列番号4)を示す。 768bpのstuIR(配列番号1)とコードされたStuRIアミノ酸配列(配列番号2)を示す。 2個のStuI部位を含むクローニングベクターpUC2iStuIのマップを示す。 細胞抽出液における組換えStuIR活性を示す。λDNAを基質として使用した。レーン1は1kb DNAマーカーである。レーン2−9は100倍、200倍、400倍、800倍、1600倍、3200倍、6400倍、12800倍、25600倍に希釈した細胞抽出液3μlを制限消化に加えた。レーン12はλDNAを天然StuIで消化した。

Claims (7)

  1. AGGCCTを認識することが可能な制限エンドヌクレアーゼをコードし、配列番号1に対して少なくとも65%の配列一致度をもつヌクレオチド配列を含み、該制限エンドヌクレアーゼは配列番号2に対して少なくとも50%の配列一致度を有する単離DNA。
  2. StuI制限エンドヌクレアーゼ(StuIR)により認識されるヌクレオチド配列における1個以上のヌクレオチドをメチル化することが可能なメチラーゼをコードし、配列番号3に対して少なくとも65%の配列一致度を有し、該メチラーゼは配列番号4に対して少なくとも50%の配列一致度を有するDNAセグメント。
  3. 請求項1に記載のDNAセグメントを含む組換えベクター。
  4. 請求項2に記載のDNAセグメントを含む組換えベクター。
  5. 請求項3に記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
  6. 請求項2に記載のメチラーゼをコードするDNAセグメントで形質転換された請求項5に記載の宿主細胞。
  7. エンドヌクレアーゼの発現に適した条件下で請求項3に記載のベクターで形質転換された宿主細胞を培養する段階を含む、組換えStuIRの生産方法。
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