JP2009527439A - 薄膜成長時の特性改変法 - Google Patents

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Abstract

InGaN などの材料の成長面に、走査鏡などで所望の位置へと導いた小径レーザービームを当てて露光させる。露光点での物性を変更できる。或る実施形態においては、レーザーにあてた箇所で、選択した材料のモル分率を低減する。或る実施形態においては、材料を、MBE室内もしくはCVD室内で成長させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、AFOSRの認定によるGrant Number F49620-03-1-0330を冠す米国政府補助を受けてなされたものである。米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。
半導体組立工程においては従来から、材料成長工程の後の工程にて、材料の特性の局所的な修正が行われている。フォトレジストを用いた光刻(lithography)によって、蝕刻(etching)もしくは堆積(deposition)用のパターンが定められる。半導体装置の特徴的構造体をパターニングすることで、活性装置と相互接続部が定められる。電子装置・光学装置・相互接続のいずれの作成に際しても、材料の除去や、他の金属、半導体、もしくは誘電体の追加が行われる。
以降の記載では、本明細書の一部をなし且つ実施可能な特定の実施形態を例示する目的を有する付図を参照してゆく。これらの実施形態群は、当業者が本発明を実施する上で充分な程度に詳細に記載されている。また、本発明の範囲を逸脱すること無く、他の実施形態を使用したり、構造的・論理的・電気的な変更を施したりできる、ということを理解されたい。したがって以降の記載は限定的な意味で捉えるべきものではなく、本発明の範囲は付随の請求項によって定義される。
材料の成長面は、制御した位置(走査鏡など)に向けた局所的な加熱や放射(小径レーザービームなど)に晒される。露光点での物性もしくは特性を改変可能である。まず、レーザー書刻ができる改良型分子線エピタキシー機について記載してゆき、続けてこの機械を使った工程と実施例を記載してゆく。別の実施形態についても記載する。
或る実施形態においては、InGaNなどの材料の成長面に、(走査鏡などを使って)制御した位置へと向けた小径レーザービームを当てる。露光点での物性を改変可能である。或る実施形態においては、レーザーを当てた箇所において、選択した材料中のインジウムのモル分率を低減する。
さらなる実施形態においては、露光領域からインジウムを放出して、露光領域での In 分率を下げ、そして露光領域に隣接する領域での In 分率を上げる。インジウムの最小の蒸散を示す質量移動にともなって、厚さの変動が起きる。局所的なレーザー照射もしくは加熱によって、表面拡散が増大し、しかも実験した条件下では原子化(ablation)や蒸散が起きることがない。
成長中の材料を合焦した放射に晒すことには、多様な利用法があると云える。
図1は、改良型分子線エピタキシー機 100 を描いたものであり、これによって成長中の基板 105 でのパターン形成が容易になる。ビーム操縦系 110 を使って、レーザー(か、何かほかの合焦した放射)を制御して基板上に照射し、選択したパターンを成長中に露光する。成長中である材料に、表面に平行な方向での組成の調整(lateral composition control)を施すことで、フォトルミネセンス効率を与えるか増進することができる。レーザーは真空窓 115 を介してMBE機に入り、覗窓 120 を通過する。覗窓 120 を加熱することで、材料が覗窓に凝固して光透過強度が減衰してしまわないようにできる。
こうしたMBE機では、気密蓋(gas bonnet)を外してから、シャッター正面装着板とシャッターアームを供給源掩蔽部にできるだけ(炉の取り外しを邪魔しない程度で)近づけるように改造できる。また、背部装着板を動かして、光学ヘッドを装着板同士の間に嵌められるようにしてもよい。また、空気圧式シャッターアームを縮めて、レーザー書刻ヘッドの位置を調整することで、レンズからウェハまでの距離を適当に設定してもよい。或る実施形態においては、この距離は約19.8インチである。
第二の視点ではビーム光路を示し、図2に描いた障害物を論題とする。ここではレンズ
210 から光学覗窓開口部 215 に至る距離は約三インチである。ウェハの照射面積は、レンズの焦点距離・ウェハの距離・照射制約窓(hot window restrictions)の大きさ・照射制約窓までの距離、の関数である。或る特定のMBE機では、二インチウェハ領域内に書刻できるようにこれらの因子を整える。開口部の大きさに応じた光点の面積および光点の径と、合焦する前のビーム径と、ウェハへの距離と、fθレンズ 210 の可用性とは、それぞれがトレードオフの関係にある。このfθレンズ 210 は、平坦面の視野が得られるように補正される。このレンズは、露光領域を最大直径にしつつビーム径が変化しないことが望ましいような場合に、レーザー加工系で広汎に使用されている。市販のfθレンズでは、焦点距離の種類が乏しい。或る実施形態においては、系 100 は、焦点距離480 mmのfθレンズを用いる。また、成長中の基板上に放射点をつくりだすための、他のレンズや方法を使ってもよい。
図3は、成長中の基板にパターン形成するための、ビーム拡大器および鏡の配置構成 300 を模式的に表したものである。レーザー 310 により発せられたビームの直径は、ビーム拡大器 315 によって小さめ(数分の1ミリ)から数ミリにまで拡がる。或る実施形態では、レーザービームを光ファイバーで提供できる。拡大されたビームは、ひとつ以上のレンズ 320 を使って基板 325 上に合焦される。ひとつ以上の鏡 330, 335 により、拡大されたビームのx-y位置を制御して、成長中の基板にパターン形成を制御されたやりかたで行う。鏡を、鏡回転用サーボに接続して、基板 325 上のビーム位置を制御する。市販のレーザー書刻制御器具(WinLase Professionalなど)が利用可能であり、これを使って基板上のレーザー点の位置を制御できる。書刻速度およびレーザー強度は、線ごとに設定可能であり、線速度は5mm/secから256,410 mm/secへとなどのように大きく変更できる(所望であればその他の速度にしてもよい)。
或る実施形態においては、拡大されたビームを、鏡偏向の前に代えて、鏡偏向に先立って合焦する。図3に示したように鏡偏向後に合焦をすると、鏡にかかるパワー密度が弱く、鏡が損傷しにくい。こうした系で直径10mmのビームを扱うには、大きな(>10mm)鏡が要ると考えられる。ビーム直径が大きくなるにつれ、さらに大きな鏡が必要になってくる。するとそうした大きな鏡は質量も大きいので、より大きな駆動手段も必要となってしまう。こうして、鏡の直径と走査速度との実用上のトレードオフ関係がからんでくるわけである。
一般に、
s = λf/d
であり、ここで s は光点径、 λ はレーザー波長、 f はレンズの焦点距離、 d は拡張されたビーム径である。
以降の頁では、これらのパラメータ間のトレードオフ関係を記載するにあたっては、或る機械での一実施との比較を以ってしている。別の機械や異なる実施形態を用いると結果が変わってくることもあろう。
すべての比較例および解析では、x方向とy方向の位置合わせに二枚の鏡を使うと仮定し
ている。サーボ駆動式鏡群からマイクロ鏡アレイに移行して、より効率の良い鏡群とビーム直径を使うことを考えてもかまわない。マイクロ鏡の例としては、the Texas Instruments arraysがある。これは、講堂/会議室で使われるコンピュータ用の光プロジェクター(投光器/映写機)や、最近の大型画面TVのいくつかで、デジタル投光(DLP)をするために使われている。
種々の実施形態群は、一種類の波長には限定されない。充分に高い出力を有するならば、誘導可能な任意の形態の高強度光を適切に使用できる。或る実施形態においては、合焦レンズを介して投射を行うことで小さい特徴的構造体を作成できるデジタル投光器を使用できる。或る実施形態においては、$ 50,000のレーザーの代わりに、$ 1,000の投光器と$ 1,000のレンズを使うことができる。さらなる実施形態においては、平均出力を10Wとしながらも、パルス発生時にはより大きなピーク出力を用いるようにする。さらなる実施形態においては、DLPから数ワットを抽出してもよい。他の変形例としては、MBE系内部に投光器を構築することで、ウェハとの間隔を狭めるようにした例が含まれる。或る実施形態においては、加熱したレンズを使って、擬似的な堆積を避けるようにしてもよい。ウェハとの間隔を狭めることについては、熱源よりもガス源のほうを想定しているのだと考えてもらいたい。ガス源MBEは、充分に周知な技法である。OMVPE反応炉は、外部のウェハにかなり近接しているため、この技法によって既に、小型の特徴的構造体の作成が可能となっているのだと云ってもよいかもしれない。非常に大型の領域(複数枚のウェハもしくは超大型ウェハ)に関する別の手法には、ウェハ面をいくつかに分けていちどきに書刻することが含まれる。複数のシャッターと露光条件を本質的ステップに同期させ、別の領域について別の時刻にこの工程を繰り返すようにしてもよい。
さらなる実施形態においては、基板を回転させながらウェハを書刻できる。または機械の反動を考慮してウェハを扱ってもよい。基板揺動の影響は、光励起および測定を基板の位置に同期させることによって、最小化できる。ウェハ装着部のそれぞれが独自の揺動をもたらすため、光学エンコーダーを使って基板の位置を追跡し、同期させるようにできる。さらなる実施形態においては、基板をx-yラスター系に搭載することで、書刻可能な基板領域をさらに増やすこともできる。
材料堆積中のin-situパターン形成の代わりに、一種以上の処理工程を用いることにより、構造形成にかかる費用の抑制が可能となる。従来のex-situ工程では作成不能である 新規な構造を、誘導した放射ビームを用いてエピタキシー中にin-situで構築可能である。
上述した実施形態では、所定の機械構造のもとでは、光点径は、波長のほぼ線型な関数になる。例えば、波長1.06μmのYAGのときには光点径は59μmであり、これを波長0.254μmの四倍波のYAGに換えると、光点径は12μmになると考えられる。
また、同一のレーザー波長のもとでは、光点径は、レンズの焦点距離のほぼ線型な関数にもなる。書刻ヘッドレンズをウェハ面に近づけるようにMBE機の構造を変更すると、50mm未満の間隔となったならば、ビーム直径を5μm未満の小ささにできる。こうしたことは、ガス源機械でも容易に実施可能である。上述した特定の機械構造では、レンズとウェハとの間隔が約100mmから500mmの範囲であると、それに応じて光点径が約10μmから50μmの範囲で変わる。
また光点径は、拡大したビームの直径によっても変更できる。ビーム直径が大きくなると、大質量の鏡を使うために鏡の動きが鈍くなるという欠点があり、しかも機械内にビームを通すために大型の開口部が必要になってしまうという欠点もある。或る実施形態においては、一インチの開口部を使うと、ウェハ上の直径二インチの領域への書刻が可能とな
る。これらのパラメータは別の実施形態で簡単に変更できる。光点径はレンズからウェハまでの間隔によっても変わり、間隔が小さくなれば一般的には光点径も小さくなる。ウェハの書刻可能領域を増大するための別の手法としては、室に通ずる開口部を大きくする、ということがある。
或る実施形態においては、レーザーの波長の選択にあたり、材料のバンドギャップよりも長くなるようにする。レーザーのパルスを使って、高出力の短バーストを得るようにしてもよい。成長中である材料に所望の作用を与える上で充分な出力のレーザーを使用するのなら、パルス化をする必要は無い。或る実施形態においては、レーザーの放射エネルギーを、成長中である材料のバンドギャップよりも短くできる。フェムト秒長などの極短パルスを使用できる。こうした極短パルスにより、大きな電場をつくりだして、成長中である材料に構造的な変化をもたらせる。こういった構造的な変化についての正確な機構もしくは原因が完全に理解されているとは限らないので、これらの機構もしくは原因に関する説明はいずれも、事実として述べられているものではない 。
成長中である材料への、合焦した照射を用いたパターン形成法は、多種多様な材料および多種多様な材料成長法を使っての実施が可能である。成長中である材料でのMBE法に加えて、そのほかの方法としてMOCVDやHPCVDなどの化学気相成長法(CVD)を含めてもよい。別種の材料成長法としては、エピタキシャル成長法、非結晶成長法、多結晶成長法、および単結晶成長法がある。成長可能な別の材料としては、III族窒化物、種々の半導体、非半導体、超伝導体、セラミック、および樹脂、または多種多様な成長法を使って成長可能な他の材料、といったものが含まれる。
或る実施形態においては、分子線エピタキシー(MBE)を用いて InxGa1-xN が成長中である局所領域を、誘導したレーザーで加熱する。局所的な加熱の効果とは、 InxGa1-xN 合金の組成を、露光領域とそれに直接隣接する領域の双方において変更できる、ということである。或る実施形態においては、こうした露光によって、三種以上のInモル分率が得られた。すなわち、540nm厚緩衝層上に公称78nm厚で堆積している際の露光に関して、 (1) 露光部位直下で x = 0.75 、 (2) 露光部位に隣接したところで x = 0.85 、 (3) 露光部位から離れたところでの均一な組成として x = 0.81 、である。基準値に較べて、露光領域は20nm薄くなっており、隣接領域は20nm厚くなっている。このことは、Inが熱領域から温度が低めな領域へと放出されたことを示唆している。他の工程処理条件によっては、さらなる堆積内部へ埋めこんだ特徴的構造体を作成することもできる。例えば、成長を行っている最中での局所領域の大きさおよび/もしくは位置を変更することによって、Inモル分率の三次元的パターン化を実施可能である。
直接書刻組成パターン化により、蝕刻と再堆積では作成不可能な(ここに記載したような)構造を、作成できる新規な手段が得られる。直径50μmの走査レーザービームを誘導した領域にて、導光器などの構造を、in-situ組成制御により作成可能である。InGaNの導電性は、モル分率に強く依存した関数となるので、書刻された特徴的構造体は、電気的相互接続部としても有用となるであろう。
in-situ直接書刻パターン化のさらなる特徴としては、フォトルミネセンス効率の増進が挙げられる。PL(フォトルミネセンス)効率は、露光していない領域でのそれに較べて七倍にも増大する。PL増大の原因を理解するための簡単な実験からは、高温での焼き鈍し(アニーリング)に因り、優勢な作用は放射効率の向上にはつながらないだろうと考えられる(前部・後部のフォトルミネセンスの比較からの推論)。この優勢な作用は、露光領域での表面形態改変に由来していると思われる。表面形態の改変は、GaNに基づくLEDでのLED出力を高める上での重要な特徴となっている。光取出し効率の低い平坦面に較べて、光取出し効率が良い表面形態を作成可能である。なお、光取出しにより適した表面を使え
ば、集光効率をより高められる、ということを理解されたい。この特性は太陽電池において非常に重要な話である。こうした新規技術は、多重接合部を持つ太陽電池にとって非常に重要となってくるであろう。そうした多重接合部における各材料間の界面が、光を反射して集光効率を下げてしまうので、レーザー直接書刻パターン形成では、多重接合構造の光伝送特性を最適化することで、太陽電池の効率を向上させる手段を与えてくれる。
レーザー直接書刻はまた、Si上のAlNの成長にも応用されている。Si上にはまず100nm AlN層を堆積する。このAlN層はIRレーザー光に対して透明なので、IRレーザーはAlNを熱さず、その下に在るSiを熱する。Siのうちの1ミクロン超の蝕刻をともないつつ、Si上のAlNの原子化(ablation)を行う。その後、AlNは露光した領域に再成長する。この種の構造には、相互接続部用の導光器としての用途がある。
グレイスケール構造体は、レーザー直接書刻で実現できる。二次電子顕微鏡では視ることができないこうした適切な効果を具えたパターンは、後方散乱電子撮像法によって観察でき、はっきりとした組成的な特徴として確認できる。組成でグレイスケール構造的な変化をつけると、鏡、レンズ、および他の光学的特性を持つものといった用途がある。一例として、面発光レーザー用のレンズを、そのレーザーの上面に直接構築して、ウェハの成長中に光を視準できるようにすることが可能になると考えられる。
蝕刻法や再成長法に比して、エピタキシー中の直接書刻が持つ大きな利点としては、空気やフォトレジストからの夾雑物にウェハ表面が晒されることが無い、ということがある。夾雑物も無く、また現れる可能性のある望まざる電気的特性・光学的特性も無しに、組成制御ができるのである。
考えられる別の用途としては、レーザー直接書刻を使って、さまざまな偏光性を持つ結晶配置をつくりだすことが考えられる。上述の工程を経て、さまざまな偏光性を有する材料の形成を抑止することもできるしもしくは許可することもできる、と考えられる。こうしたパターン化された偏光材料は、スイッチングおよびレーザーエネルギー増幅器に使用する大幅な光学的非線型性を得るために重要である。こうした性能は、タンタル酸リチウム他の極性偏光材料といった半導体やセラミックで発揮できると考えられる。蝕刻法と再成長法では不可能なやりかたで、レーザーならびにスイッチもしくは増幅器を一体型として形成するのも可能であると考えられる。
さらなる用途としては、高蒸気圧では制御困難なドーパントを制御して作成することがある。レーザーは局所領域を加熱でき、原子を蒸発させずに動かせるので、窒化物半導体にMg、Mn、およびZnなどの原子を組み込むに際して、二次元的成長法では不可能なやりかたが可能になる。
本技術を示してみせるにあたり、III族窒化物半導体(とSi基板)を使ってはいるが、本技術は一般的に云ってあらゆる半導体材料系に適用できる。SiGeの組成制御、さらには情報通信用半導体(GaInAs、AlGaInPなど)といったものについても想定するのは容易い。これらを使って系を確立できれば、現在研究されている組成物では商業的な利用がなされていないInGaNを用いた系よりは、商機は出だしからずっと大きいといえるだろう。GaAs、GaP、GaN、およびその他のバンドギャップが大きい半導体材料では、より短めの波長のレーザーの方が適切と思われる。こういう材料系では、LEDからの光取出し効率が良く、商業的に有利である。
直接書刻組成パターン化により得られる効果とは、光刻工程にかかる費用を抑えるだけにはとどまらず、他のどの技法でも作成できないような新規な構造を構築でき、しかも、既存の構造の性能を光取出し効率などの範疇で高める、というものである。従来利用可能
であった二次元用道具のみしか使っていない設計者がいまだ想定していないような、広汎な用途を本技術は有することになろう。ウェハの単純な二次元的細工を、ここに記載した三次元的な技法で置き換えることも想定できる。
或る実施形態においては、エピタキシー中の同期レーザーによるパターン形成を実施する。合焦した放射を成長中に用いたことによって観察できた効果は、組成のパターン化、およびフォトルミネセンスの向上というふたつであった。さらなる用途として考えられるのは主に、半導体およびその他の材料に関するあらゆるオプトエレクトロニクス、新規な二次元構造および三次元構造の創造、バルクと表面の導電性の制御、フェルミレベルでの改変、III族/V族比の改変、組成と堆積速度の制御、蝕刻、ならびに、質量移動、などがある。
或る実験では、上述したようにして改造可能なかなり旧式の設備を用いて、In、Ga、およびAlの加熱蒸発源を使った分子線エピタキシーを用いて、InGaNを成長させた。窒素供給は、低純度液体窒素を沸騰させて、微粒子と酸素/水を三段階を踏んで除去することで行った。窒素源から捕捉フィルターを通してマスフローコントローラーに入れる前にさらに、樹脂フィルターをかました。なお、この記載は「何をしたか」という記録に過ぎず、特に請求をしていない限りはいかなる意味においても限定を企図するものではない、ということに留意されたい。
成長室には、三インチ基板を使用可能なVarian GEN IIを使った。この機材は、まず九年間砒化物/燐化物の成長に使い、それから八年間窒化物の成長に使っていたものである。砒素、燐、および酸化砒素が目に見えるほど残留していたので、焼出しと基板加熱をしている最中に残留ガス検知器にかけたらきっとそれらの成分が出たことであろう。酸素と炭素のSIMバックグラウンド検出上限量を<-5x1016cm-3 に設定して、GaNおよびInNを、1ミクロン以上の厚さの層についてくりかえし測定した。基板温度が高かった場合(750℃以下)に、GaNが酸素脱離を増進したことは別に意外では無い。一方、500℃以下ではInNのほうが意図せざる酸素バックグラウンドからの影響を受けやすいということも予期できた。水分および酸素をMBE環境から追い出すよう積極的に手を講じれば、酸素量を最小限にできると思われる。通常の焼出しの最中には、機械温度を初日には150℃まで上げる。二日目になると、基板加熱器の出力を425Wまで十時間に亙って上げ、熱電対の読み値で約1000℃になるようにする。この工程により、基板加熱器部材からの夾雑物を減らし、機械温度をさらに上げている。焼出し後一日以上あけてから、残りの日には室温度を400℃まで上げた。
サファイア基板の包装された背面に、タングステンをスパッタして約一ミクロンの厚さで配線した。ウェハは表面処理をせずに処理室に入れ、UHVで300℃で焼出しした。温度変化は緩やかにして、サファイアウェハが熱応力で割れないようにした。そうしてから基板を成長室に入れ、RFプラズマ源に晒した。500Wで四十五分間200℃で曝露することで、サファイア表面を、何らかのAlN表面構造をおそらくは持つものに変える助けとなる。なおRHEED法による観察では、変化を一貫して見ることができなかった。その後、ウェハ温度を800℃まで漸増して、AlNの成長を促した。GaN緩衝層を使う場合には、750℃でGaNを成長させる前に、AlNの厚さが約300nmになる。
Veeco RFプラズマ源を使って活性窒素原子をつくりだし、0.5ミクロン/時間程度の成長速度で窒化物層に加えていった。プラズマ出力は400Wであり、窒素流量は0.8sccmから1sccmである。InNの特性を、RF源の条件と詳細に突き合わせてみることはしていない。ざっと見たところ相関ははっきりとしていないようである。基板の熱電対温度はInGaNで530℃に近く、フィードバック調節は行わなかった。AlN、GaN、もしくはInNの成長中には、基板加熱器に印加した直流電圧を一定に保った。こうすると基板温度が安定するのが、特に高温でのGaNとAlNの成長において、RHEEDパターンと高温計からわかる。高温計の読みによると、AlN緩衝層は800℃付近で成長し、GaNは750℃付近で成長する。
図4Aおよび図4Bには、ウェハからの種々の距離に応じたビーム径を簡単に計算したものを示してある。この実施形態においては、レーザーからウェハまでの間隔は、約480mmであった。図4Aおよび図4Bからは、位置が3mmずれただけでビーム径が倍になる(そしてビーム強度が四分の一に下がる)ことがわかる。レーザー器具のレンズに生じる幾許かの誤差と、ウェハの完全な平坦さというのは、初期の実験でしばしば問題となっていた。パターン化したウェハ上の特徴的構造体では、ウェハの場所によってビーム強度が変化して、異なる効果が生じてくると考えられる。このことは位置取りを慎重に行えば解決できるが、いろいろな焦点距離において位置を動かして強度を変えるという能力がまず試される。
さらなる実施形態では、機構化された装着部を用意して、レーザーヘッドをウェハに近づけたり遠ざけたりすることで、焦点ひいては光学濃度に大幅な影響をもたらすことができる。間隔に若干の自由度があれば、レーザー出力密度に広汎なダイナミックレンジを得る上で有効であろう。
上述の実施例は、以下に挙げる特性を持つレーザーを使って行った。
本実験のために択んだ1063nmレーザー波長
廉価なレーザーで同様の光学出力濃度が得られる
光学部品にかけた皮膜は1064nmおよび532nmでの作業用であり将来532nmを使った作業もできるようにした
GaInN合金のうちのいくらかにサブバンドギャップ波長を与えて非吸収epi窓をつくる
IPG Photonics Pulsed Fiber Laser
Model YLP-0.5/100/20
平均出力10W
パルスエネルギー 0.5mJ
20KHz, 100ns
合焦レンズに入るビーム直径 10mm
ウェハでのビーム直径 50μm
図5は、書刻可能なCADパターンの例を示す。線は、大きさと位置に加えて、レーザー出力および走査速度で決まる。成長している層の種々の領域に書刻を行うことで(Different regions are specified to be written at different regions of layer growth)、種々の領域が得られる。成長過程では任意の箇所で任意の線を書刻可能である。特徴的構造体を書刻して、成長中の層に埋め込むことができる。この実施例では、外側のパターンを第一層として、成長の最初の数分間にだけつくる。濃色グレイスケール構造(dark features)をその第一層に書刻し、その一方で、その後の成長中に淡色寄りのグレイスケール構造を書刻する。
図6には、CADパターン 600 と、工程のさまざまな特徴を示す層構造 620 を描いている。堆積してゆく材料に対し、所望の深さになった段階で、さまざまな特徴的構造体を書刻できる。或る特徴的構造体 625 は、数分間だけ書刻して、その後に続く堆積に埋めてしまう。別の特徴的構造体 630 はより頻繁に書刻するので、図7のSEM画像に、よりはっきりと顕われていると考えられる。
図8は、In組成の変化を量的に測定したものである。この図からは、Inがパターン化領域から低温側の領域へと移動したことがわかる。波長分散分光(WDS)法 の絶対値は、表
面近傍で起こるIn組成変化の実際の量の下限に過ぎない。ビームの貫入深さは、表面拡散が発生する領域よりも深くなる。In成分の最小値は、書刻領域で75%未満、周辺領域では85%より高くなると思われる。この値は、Auger走査型電子顕微鏡を使って測定すればさらに正確になるであろう。
図9は、レーザー書刻をした箇所では高さが変化することを示す。レーザー曝露では、いかなる形態のレーザー原子化であっても、材料が蒸散してしまう様子ははっきりとは見られない。ウェハをレーザービームで局所的に熱して、照射していない低温部位へと、Inを多めに表面拡散させる。肉眼でも、露光領域から動いた集積材料と同量のInが低温領域に盛られたように見える。このことは、単に蝕刻法で材料を弾き飛すことよりも、余程精緻な作用である。こうした作用は、適切なレーザー波長および露光条件を用いれば、GaInAs、AlGaAs、GaInN、AlGaN、GaInP、AlInPなどの材料でも観察できるに違いない。開発途上の材料についても同様の作用が得られるであろう。
図10には、レーザー書刻をした箇所でフォトルミネセンス(PL)が向上したことを示す。このことをライン走査(図11および図12)でより詳細に示しており、この効果に再現性があるということを容易に掴めるようにした。つまりこの事象は、ウェハ上の二箇所だけでたまたま起こった幸運な出来事というわけではなく、幾千箇所で起こりそしてこの画像が得られたのである。PL強度の増加は劇的である。二次元的成長法では、このような大幅な増大を制御して起こすことはできない。成長条件のパラメータを大幅に動かしても、二次元のウェハでは効率は少ししか変化しないと思われる。レーザー曝露の結果として得られるこのような大幅な増大は、完全に予期せざるものであった。
精緻な組成を得ることもできる。グレイスケールリソグラフィーとは、光刻分野で、光信号ルーティング用のフレネルレンズなどの構造体を作成するために開発されたものである。蝕刻してつくった構造体では、いろいろなレジスト外形を使って、高さ方向の外形を得るようにしているので、それに較べて本明細書に記載した成長中露光法(The exposure
during growth methodology)はかなり有利であると云えよう。レンズと光通信線の設計をより柔軟にできるようなやりかたで、高さと組成を制御可能である。あらためて述べておくが、こうした手法は、集積型半導体光学電子部品以外にも適用可能であり、既存の技術で使える新規な一流の道具であるということは既に明らかである。
合焦した放射に曝露することによって成長中に成長に影響を及ぼせる機能をここに示したことを承けて、多様な新規な用途が想定できるであろう。熟練世代の人々は、課題を二次元的にこなすよう訓練されていた。特徴的構造体を作成するにあたってこの新しい次元が加われば、このように三次元的な機能をもたらすことには多大な有用性があると云える
実施形態例にかかる、層の成長中にレーザーを用いてパターンを描くことのできる改良型MBE機械のブロック模式図である。 実施形態例にかかる、図1の機械のレーザー源のブロック模式図である。 実施形態例にかかる、図1の機械用のレーザー書刻系のブロック模式図である。 実施形態例にかかる、点径と光束密度を距離の関数として表したグラフである。 実施形態例にかかる、点径と光束密度を距離の関数として表したグラフである。 実施形態例にかかる、露光パターンのコンピューターを使った設計(CAD)図である。 実施形態例にかかる、さらなる露光パターンと層構造を描いている。 図6の露光パターンに基づいて形成された層の、二次電子放射モードで撮られた走査型電子顕微鏡画像である。 図6の露光パターンに基づいて形成された層を波長分散分光法にかけて測定した、In組成プロファイルを、後方散乱電子像に重ね合わせて示してある。 図6の露光パターンに基づいて形成された層の書刻された領域に亙って、ライン走査をして測った高さの変動を示している。 実施形態例にかかる、層の成長中に露光をした領域と、していない領域との、フォトルミネセンスを示している。 実施形態例にかかる、フォトルミネセンス強度を、線路に沿っての位置の関数として示したものである。 濃色グレイスケール構造に最大の関心を寄せた実施形態例にかかる、フォトルミネセンス強度を、複数の線路の関数として示したものである。

Claims (21)

  1. 分子線エピタキシー法もしくは化学気相蒸着法を用いて層を成長させるステップと、
    前記層の形成中に、前記層の選択した部位を放射線に曝露させるステップと
    を含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記層が、III族窒化物、半導体、樹脂、もしくはセラミックを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記層が、InGaNを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. レーザービームを使って、前記層の選択した部位を露光することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 複数の走査鏡を制御して、レーザーによる局所的な露光を施すステップ
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  6. 前記層が、 InxGa1-xN を含むことを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 前記複数の走査鏡により、前記層上の露光点をx-y制御できることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  8. 前記露光点の速度を、約5mm/秒から256,410mm/秒の範囲で変更可能であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 前記層上での前記露光点の大きさが、約50μm以下であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
  10. 前記レーザーが、パルス化されていることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  11. 前記レーザーが、フェムト秒長でパルス化されていることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 前記レーザーの放射エネルギーが、形成中である材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする、請求項5記載の方法。
  13. モル分率の変化、グレイスケール構造体、フォトルミネセンス、および光学非線型性、からなる特性のうちの一種以上を、露光した前記部位が呈することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  14. 層を成長させるステップと、
    前記層の成長中に、前記層の選択した部位を、レーザービーム点を用いて露光するステップと
    を含むことを特徴とする、方法。
  15. 形成中である前記層上での前記レーザービーム点の位置を制御することにより、前記層に所望の三次元的特徴的構造体を作成することを特徴とする、請求項14記載の方法。
  16. 鏡群を用いて、前記レーザービーム点の前記位置を制御することを特徴とする、請求項15記載の方法。
  17. 前記鏡群が、室の外からの前記レーザービームを、前記室の覗窓を通るよう導くことを特徴とする、請求項16記載の方法。
  18. 成長室内部で基板上の成長中である材料層に、三次元的特性を与えるための系であって、
    レーザービームを提供する、レーザー源と、
    前記レーザービームを、成長中である前記層上に光点として合焦する、レンズと、
    前記レーザー源からの前記レーザービームを受けるように位置し、且つ、成長中である前記層上の前記レーザービームの光点の位置を制御する、鏡群と
    を含むことを特徴とする、系。
  19. 前記系を、前記成長室の外部に置いて、前記レーザービームを窓を通して成長中である前記層へ当てるようにできることを特徴とする、請求項18記載の系。
  20. 前記レーザー源が、光ファイバーを含み、
    前記系が、前記レーザービームを提供する前記光ファイバーに結合したビーム拡大器をさらに含む
    ことを特徴とする、請求項18記載の系。
  21. 前記レンズが、前記ビーム拡大器と前記レンズの間に位置したfθレンズであることを特徴とする、請求項20記載の系。
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