JP2009527359A5 - - Google Patents

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Description

レーザ蒸散により表面および材料を提供する方法
本発明は、レーザ蒸散に基づく被覆方法およびにナノ粒子の同時製造方法に関し、その方法では、真空、常圧または加圧中のいずれかにおいて、高品質な表面またはナノ粒子のいずれかが提供される。
近年において、レーザ技術が大幅に進歩し、今や、例えば冷間蒸散において使用することができるまずまずの効率を有するファイバ主体の半導体レーザシステムを製造することが可能になっている。これらのなかでも、冷間加工に向けられたレーザは、ピコ秒レーザおよびフェムト秒レーザである。例えば、ピコ秒レーザにおいては、冷間加工の範囲がパルス長に帰し、パルス長が100ピコ秒以下である。パルス長に加えて、ピコ秒レーザは、反復周波数に関してフェムト秒レーザから相違しており、最新の市販のピコ秒レーザの反復周波数が1〜4MHzである一方で、フェムト秒レーザは、依然としてキロヘルツ単位で測定される反復周波数のままである。冷間蒸散は、材料の蒸発を可能にするが、最大でも熱の伝達は蒸発させられる(蒸散対象の)材料そのものへと向けられることはなく、すなわちパルスエネルギーのみが、それぞれのパルスのみによって蒸散対象の材料へと向けられる。
全ファイバ式のダイオード励起半導体レーザと競合し、レーザビームを最初にファイバへと導き、そこから加工場所へとさらに導くランプ励起のレーザ源が存在する。本出願の優先日において出願人の知る情報によれば、これらのファイバ式のレーザシステムが、現時点において、レーザ蒸散式の製造を工業規模において達成する唯一の方法である。
現在のファイバレーザのファイバでは、残りのビームのパワーが少ないため、蒸発させることができる材料に関して制限がある。すなわち、アルミニウムは、適度なパルスパワーによって蒸発させることが可能であるが、銅、タングステン、などといったより蒸発が難しい材料は、はるかに大きなパルスパワーを必要とする。
従来技術の技法における別の欠点は、レーザビームの走査幅である。一般に、ミラーフィルムスキャナでの直線走査が適用されているが、その場合には、例えばおおよそ70mmの公称走査線幅を達成することが理論的には可能であるが、実際には、走査幅が不都合にも30mm程度にとどまる可能性があり、その場合には、走査範囲のフリンジが非一様な品質のまま残る可能性があり、そして/あるいは中央領域と相違する可能性がある。このように、小さな走査幅も、この意味で、現在のレーザ設備を大きくて幅広の物体の被覆用途に使用することを、工業的に利益がなく、あるいは技術的に実現不可能なものにしている。
出願人の知る限りでは、本出願の優先日において、公知のパルスレーザ設備の有効能力は、冷間蒸散においておおむね10W程度にとどまっている。ここで、例えば、反復周波数を、レーザにおいてわずか4MHzのパルス周波数へと制限することができる。パルス周波数をさらに高くしようと試みなければならない場合、従来技術のスキャナでは、レーザビームパルスのかなり大きな部分が、レーザ装置の壁構造へと制御不能に向けられる一方で、プラズマの形態で蒸散対象物へも向けられる結果となり、正味の効果として、蒸散対象物を蒸着させてなる表面の品質および製造速度の両者が低下し、標的に衝突する放射フラックスが充分に一様でなく、これは生成されたプラズマの構造において見ることができ、これが今や、被覆対象面に衝突するとき、非一様な品質の表面を形成する。これらの問題は、生成されるプラズマプルームの成長に比例して悪化する。
従来技術の構成においては、蒸散の最中のレーザビームの焦点が蒸発される材料に対して変化することによっても問題が引き起こされ、これが、材料の表面におけるパルスエネルギー密度を(通常は)低下させ、蒸発/プラズマ生成がもはや完全でなくなるため、プラズマの品質にすぐに悪影響を及ぼす。これは、低エネルギーのプラズマおよび不必要に大量のかけら/粒子ならびに表面形態の変化につながり、被覆の付着および/または被覆の厚さを変化させる可能性がある。
近年のレーザ技術における大きな進歩が、半導体ファイバ式の高出力レーザシステムにおいて使用され、冷間蒸散式の方法の発展を助ける手段をもたらしている。
しかしながら、従来からのファイバレーザにおけるファイバは、パルス状のレーザ放射が充分な正味の出力レベルでファイバに沿って加工場所へと伝えられる高出力の使用を可能にしていない。加工場所において必要とされる出力レベルにおいて、通常のファイバは、吸収によってファイバ内で生成される伝達損失に耐えることができない。ソースから標的へのレーザビームの伝達にファイバ技術を使用する理由の1つは、ただ1つのレーザビームであっても、自由空間を通って伝搬させることが産業の作業環境の作業者にとって大きな安全上の危険を構成することにあり、産業規模において、まったく不可能でないにせよ、技術的にきわめて難題である。
本出願の優先日において、全ファイバ式のダイオード励起の半導体レーザは、ランプ励起のレーザと競合しており、この場合に、両者とも、レーザビームを最初にファイバへと導き、そこから加工場所の標的へとさらに導く特徴を有している。これらのファイバ式のレーザシステムが、産業規模のレーザ蒸散式の製造を実現する唯一の方法である。
ファイバレーザにおける今日のファイバ、したがって限られたビーム出力が、標的材料の蒸発/蒸散において使用できるファイバ材料に関して制約を課す。アルミニウムは、低出力のパルスで蒸発/蒸散が可能であるが、銅、タングステン、などといった蒸発/蒸散がより難しい材料は、かなり大きいパルスの出力を必要とする。これは、同じ公知の技法によって新規な化合物を生成したい状況にも当てはまる。いくつかの例の中でも、レーザ蒸散後の状況における適切な気相反応によって、炭素から直接的にダイアモンドを製造すること、またはアルミニウムおよび酸素から直接的に酸化アルミニウムを製造することが挙げられる。
他方で、ファイバレーザ技術のさらなる発展にとって最も大きな障害の1つは、ファイバが破損せず、かつレーザビームの品質が損なわれないよう、ファイバの高出力レーザパルスに対する耐性であると思われる。
被覆、薄膜製造、ならびに切断/エンボス加工/彫り込み、などに関する品質および製造速度の両方の問題に関する問題を解決するために新規な冷間蒸散を適用する場合、中心となる手法は、レーザの出力を大きくする殊を試みること、および標的表面におけるレーザビームのスポットサイズを小さくすることである。しかしながら、出力のかなりの部分が雑音に消費されてしまう。品質に関する問題および製造速度に関する問題は、たとえいくつかのレーザ製造者がレーザの効率に関する問題を解決しても、未解決のままである。両者、すなわち被覆/薄膜ならびに切断/エンボス加工/彫り込み、などの典型的なサンプルの製造は、低い反復周波数、狭い走査幅、および長い加工時間においてのみ可能であり、これらの特徴そのものが、工業的な実現可能性から外れており、この事実は、大きな物体の場合にとくに強調される。
パルスエネルギー含量ゆえ、パルスの出力を増加させると同時にパルスの継続時間を短くする場合、この問題は、継続時間のより短いレーザパルスを観察するときより重大になる。ナノ秒パルスレーザは、冷間蒸散法に適しているというわけではないが、そのようなナノ秒パルスレーザにおいてさえも、問題がきわめて頻繁に生じる。
パルスの継続時間がフェムトまたはアト秒の程度まで短くされると、問題はほとんど解決不可能になる。例えば、パルスの継続時間が10〜15psであるピコ秒レーザシステムは、レーザの総出力が100Wであって、反復周波数が20MHzであるとき、パルスの出力がスポットサイズのために5μJ 10〜30μmでなければならない。出願人の得ている情報によれば、この種のパルスの出力に耐えるファイバは、本出願の優先日の時点では、入手することができない。
パルスが短いほど、所与の断面によってファイバに沿って導かれてファイバを通過すべき所与の時間期間当たりのエネルギーは大きくなる。上述の条件において、パルスの継続時間およびレーザの出力に関し、個々のパルスのレベルは、おおむね400kWの出力に相当しうる。200kWに耐えることができ、15psのパルスを最適なパルスの形状をひずませることなく通過させることができるファイバの製造でさえ、出願人の知る限りでは、本出願の優先日よりも前では、未だに不可能である。
任意の利用可能な材料からのプラズマ生成の可能性を妨げないという目的において、パルスの出力レベルは、例えば200kWおよび80MWの間で自由に選択されなければならない。現在のファイバレーザの制約による問題は、ファイバのみによって引き起こされているのではなく、所望の種類の総出力を目標とするときの光カプラの介在による別個のダイオード励起レーザの相互接続にも関係している。この種の組み合わせビームは、単一のファイバにおいて、従来からの技法によって加工場所へと導かれている。
結果として、光カプラが、高出力のパルスを加工場所へと伝達するための伝送バスにおいて使用される場合、少なくともファイバそのものと同じ出力に耐えなければならない。通常の出力レベルを使用する場合であっても、適切な光カプラの製造はきわめて高価であり、動作は或る意味で安全でなく、カプラが使用において消耗し、すなわち所与の時間期間のうちに交換が必要である。
製造速度は、反復周波数または速度に直接的に比例する。他方で、公知のミラーフィルムスキャナ(例えば、ガルバニックスキャナまたは類似の往復式の他のスキャナ)は、それらの動作サイクルに典型的な往復の揺動運動を特徴としており、動作サイクルの両端におけるミラーの停止、ならびに変向点および瞬間的な停止に関係する加速および減速が、かなりの問題となり、この種のミラーのスキャナとしての実現可能性に悪影響を及ぼすだけでなく、走査幅にも悪影響を及ぼす。反復周波数を高めることによって製造の規模を大きくする場合、加速および減速が、結果として走査範囲を狭くし、あるいは放射が減速中および/または加速中のミラーを介して標的に衝突する場合に、放射の分布、したがって標的におけるプラズマを非一様にする。
被覆/薄膜の製造速度を、単純にパルス反復周波数を高めることによって高めようと試みる場合、上述の公知のスキャナは、kHz範囲の低いパルス周波数でさえ、前もって制御することができない方法で標的の重なり合う場所へとパルスを導く。
同じ問題が、ナノ秒範囲のレーザにも当てはまるが、パルスエネルギーが高く継続時間が長いため、ここでは問題がさらにより深刻である。したがって、ナノ秒範囲のただ1つのパルスでさえも、標的材料の深刻な浸食につながる。
公知の技法においては、標的が非一様に消費されるだけでなく、容易に砕ける可能性もあり、これがプラズマの品質を弱体化させる。したがって、上述の技法によって被覆される表面が、プラズマによってもたらされる有害な問題をさらに抱える。表面がかけらを含む可能性があり、プラズマが非一様に分布して、分裂した表面などが形成される可能性があり、これらは精度を必要とする用途においては厄介な問題であるが、例えば塗装または着色の用途においては、欠点が用途に特有の観察しきい値を超えないならば、必ずしも問題ではない。現在の方法は、標的を1度だけ使用しており、すなわち同じ標的を同じ表面について再使用することはできない。手つかずの標的表面のみを使用し、標的および/またはビーム/スポットを互いに対して適切に動かすることによって、この問題を解決することが試みられている。
機械加工または加工といった種類の用途においては、流れの制御に関する穿孔を取り扱う場合に生じうるように、かけらを含んでいる廃棄物または残り物が、やはり非一様な切断線につながる可能性があり、これは結果として容認できない。表面が、放出されたかけらに起因して非一様な外観を得る可能性もあり、これは例えば特定の半導体の製造において適当でない。
さらに、ミラーフィルムスキャナの往復運動が慣性力を生み、この慣性力が、構造体そのものだけでなく、この種のミラーが当該ミラーを動かすためのベアリングによって取り付けられる場所にも、重荷を負わす。上述の慣性力が、とくにはミラーがその設定の極端な範囲において機能する場合に、ミラーの固定の機構を徐々に緩ませる可能性があり、これが長期動作において設定のずれにつながる可能性があり、そのような設定のずれを、製品の品質の非一様な再現性に見ることができる。さらに、運動における停止ならびに方向および速度の変化に起因し、この種のミラーフィルムスキャナにおいては、蒸散およびプラズマ生成に適用される走査幅がきわめて限られている。たとえいずれの場合も動作が遅かった場合でも、製造サイクルの全長に対する有効な製造サイクルが短い。製造を向上させるという目的の観点から、ミラーフィルムスキャナを使用するシステムは、必然的にプラズマ生成に関して遅く、走査幅が狭く、長期動作において不安定であり、プラズマ中の有害な粒子放射と衝突する可能性が高く、その場合、得られる機械加工および/または被覆製品も、結果としてこれらに対応する特徴を得る。
ファイバレーザ技術には、他の問題もつきまとう。例えば、大量のエネルギーを光ファイバを通って伝送することができず、大量のエネルギーを光ファイバを通って伝送すると、ファイバの溶融および/または破損につながり、あるいは伝送される高出力のためにファイバが変形して、レーザビームの品質が大きく損なわれることになる。すでに10μJのパルス出力でさえも、ファイバが些細な構造的および品質的弱点を有していると、ファイバを損傷させる可能性がある。ファイバ技術において、とくに損傷を受けやすい構成要素は、例えば励起ダイオードなどといった複数の出力源を一体に接続するファイバ光カプラである。
パルスが短いほど、パルス内のエネルギーの量は大きく、すなわちこの問題は、同じ量のエネルギーの伝送において、レーザパルスが短くなるにつれてより強調されるようになる。ナノ秒パルスレーザにおいては、問題がとくに顕著である。
パルスの継続時間が、フェムト秒、さらにはアト秒の範囲まで短くなるにつれて、問題はほとんど解決不可能になる。例えば、パルスの継続時間が10〜15psであるピコ秒レーザシステムは、レーザの総出力が100Wであって、反復周波数が20MHzであるとき、パルスエネルギーがスポットにつき5μJ 10〜30μmでなければならない。本出願の優先日において、出願人は、この種のパルスに耐えることができるファイバを知らない。
しかしながら、ファイバレーザの用途の重要な分野であるレーザ蒸散においては、最大かつ最適なパルス出力およびパルスエネルギーを達成することがきわめて重要である。パルス長が15psであり、パルスエネルギーが5μJであり、総出力が1000Wである状況を考えると、パルスエネルギーレベルは、約400,000W(400kW)である。本出願の優先日において出願人の手元にある情報によれば、15psのパルス長を有する200kWのパルスでさえも、パルスを最適なままで最適なままのパルス形状にて伝送できるファイバの製造に誰も成功していない。
いずれの場合も、任意の利用可能な材料からのプラズマ生成の可能性を妨げないという目的において、パルスの出力レベルは、例えば200kWおよび80MWの間でかなり自由に選択されなければならない。
しかしながら、今日のファイバレーザに関する問題は、ファイバのみに限られず、得られるビームをただ1つのファイバによって加工場所へと導くことができるよう、所望の総出力を達成すべく光カプラによって別個の励起ダイオードを結合させることにも関係する。
適用可能な光カプラも、やはり、高出力のパルスを加工場所へと運ぶ光ファイバと同じ出力に耐えなくてはならない。さらに、パルスの形状が、レーザビームの伝送の全段階において最適に保たれなければならない。現在の出力値に耐えるだけの光カプラでさえ、きわめて製造が高価であり、信頼性にかなり乏しく、定期的な交換を必要とする消耗にさらされやすい部材を構成している。
レーザビームおよび蒸散にもとづく従来技術の技法は、例えばスキャナにとくに関連して、出力および品質に関する問題を抱えており、蒸散の観点から、反復周波数を、良好かつ一様な品質の製品の大規模大量生産を可能にできる水準まで高めることができない。さらに、従来技術のスキャナは、蒸発ユニット(真空チャンバ)の外部に位置しており、したがってレーザビームを光学窓を介して真空チャンバへと導かなければならず、これが出力を常に或る程度減少させる。
出願人の手元の情報によれば、本出願の優先日において公知の設備を使用するとき、蒸散における有効出力は約10Wである。また、例えば反復周波数も、レーザにおいてわずかに4MHzのチョッピング周波数に制限されうる。パルス周波数をさらに高くしようと試みる場合、従来技術によるスキャナでは、レーザビームのパルスのかなり大きな部分が、レーザ装置の壁構造へと制御不能に向けられ、プラズマの形態で蒸散される材料へも向けられ、製造される表面の品質および製造速度が損なわれるという正味の効果を有している。さらに、標的に衝突する放射フラックスが充分に一様でなく、これがプラズマの構造に悪影響を及ぼす可能性があり、したがって被覆対象の表面に衝突するとき、非一様な品質の表面を形成する可能性がある。
次に、標的がその表面を成形すべき機械加工対象の物体および/または物体の一部分である機械加工の用途においても、切断の能率および切断の品質の両者が損なわれることが容易に生じる。さらに、かけらおよびスパッタが、切断点の周囲の表面ならびに被覆対象の表面そのものに着陸する大きな危険が存在する。加えて、従来技術の技法においては、繰り返しの表面処理によって複数の層を適用することに時間がかかり、最終結果の品質が、必ずしも充分に一様でない。
本出願の優先日において出願人が承知している公知のスキャナによれば、走査速度が約3m/sにとどまるばかりか、走査速度が真に一定ではなく、走査の最中に変化する。これは、主として、従来技術によるスキャナが、走査距離の行程を終えたときに停止し、その後に反対方向に移動して操作の手順を繰り返す回転ミラーにもとづいているという事実ゆえである。往復ミラーも知られているが、それらも運動の非一様性という同じ問題を抱えている。平面ミラーによって実現された蒸散技法が、米国特許6,372,103号明細書および米国特許第6,063,455号明細書に開示されている。走査速度の加速、減速、および停止ゆえに走査速度が一定でなく、プラズマの発生および品質は走査速度に完全に依存するため、加工場所での蒸発によって生成されるプラズマの発生も、標的の各点において相違し、とくには走査範囲の極端において相違する。或る意味で、従来技術の装置を使用するとき、エネルギーレベルおよび単位時間当たりのパルスの数が大になると、この欠点も大きくなることを、主たる法則と考えることができる。成功する蒸散においては、物質が原子の粒子へと蒸発させられる。しかしながら、外乱が生じるとき、標的材料が、数マイクロメートルのサイズとなりうるかけらにて放出され/脱離し、当然ながら、蒸散によって製造される表面の品質を損なう。
今日のスキャナの速度は低いため、パルス周波数を高めることは、高いエネルギーレベルをミラー構造へと向ける結果となり、レーザビームがスキャナへの到達前に拡大されないならば、今日のミラー構造を溶融/焼損させる結果となりうる。したがって、別途の収集レンズ手段が、スキャナと蒸散の標的との間に追加で必要とされる。
今日のスキャナの動作原理が、それらが軽量でなければならないように決定づけている。これは、レーザビームのエネルギーを吸収するためのマスが比較的小さいことを意味する。この事実が、現在の蒸散用途における溶融/焼損の危険をさらに高めている。
従来技術の技術的解決策の1つの問題は、走査幅である。これらの技術的解決策は、ミラーフィルムスキャナにおいて線走査を使用しており、そこでは、理論的には約70mmという公称の走査線幅を達成できると考えることができるが、実際には、走査幅が不都合にも30mm程度にとどまる可能性があり、それによって走査範囲のフリンジ領域が非一様な品質のまま残される可能性があり、さらには/あるいは中央領域と相違する可能性がある。この小さな走査幅も、今日のレーザ設備を大きくかつ広い物体の表面処理用途に使用することが、工業的に利益がなく、あるいは技術的に実現不可能であるという事実の一因である。
従来技術に従い、レーザビームの焦点が外れる状況が生じた場合、得られるプラズマが、かなり低い品質になりうる。さらに、放出されるプラズマが、標的のかけらを含む可能性もある。同時に、蒸発させられるべき標的材料が、それ以上使用できなくなる程度まで損傷する可能性がある。この状況は、材料源として厚すぎる標的が使用される場合の従来技術における典型である。焦点を最適に保つために、標的を、レーザビームの入射の方向に、標的の消費の程度に等しい距離だけ動かさなければならない。しかしながら、問題は未解決のまま残り、すなわちたとえ標的を焦点へと戻すことができた場合でも、その表面の構造および組成がすでに変化してしまっている可能性があり、変化の程度は、標的から蒸発させられた材料の量に比例する。さらに、従来技術による厚い標的の表面構造も、消耗につれて変化するであろう。例えば、標的が化合物または合金である場合、この問題が容易に見られる。
従来技術による構成においては、蒸散の最中にレーザビームの焦点が蒸発させられるべき材料に対して変化すると、材料の表面におけるパルスエネルギー密度が通常は低下して、プラズマの蒸発/生成がもはや完全でなくなるため、プラズマの品質がすぐに悪影響を受ける。これは、低エネルギーのプラズマ、不必要に大量のかけら/粒子、ならびに表面の形態の変化につながり、被覆の付着および/または被覆の厚さの変化につながりうる。
焦点を調節することによって問題を軽減する試みがなされている。従来技術による設備において、レーザパルス反復周波数が例えば200kHz未満などと低く、走査速度がわずかに3m/s以下である場合、プラズマの強度の変化の速度は低く、したがって設備は、焦点を調節することによってプラズマの強度の変化に反応するための時間を有する。いわゆるリアルタイムのプラズマ強度測定システムを、a)表面の品質および一様性が重要でない場合、またはb)走査速度が低い場合には、使用することが可能である。
結果として、本出願の優先日において出願人が知りうる情報によれば、従来技術の技法を使用して高品質のプラズマを生成することは不可能である。したがって、きわめて多くの被覆は、従来技術によって高品質の製品として製造することが不可能である。
従来技術によるシステムは、それらにおいて使用しなければならない複雑な調節システムを必要とする。現時点で知られている方法においては、標的が、通常は太い棒または厚いシートの形態である。標的が消費されるにつれて、ズーム合焦レンズを使用しなければならず、あるいは標的をレーザビームに向かって動かさなければならない。これを実現するための試みは、充分に信頼できる方法で何とか可能な場合でも、すでにきわめて困難かつ高価であり、その場合でも、品質が大きく変化するため精密な制御はほぼ不可能であり、厚い標的の製造が高価につき、以下同様である。
上記の米国特許明細書が、現在の従来技術の技法が、どのようにしてレーザパルスを蒸散標的へと、無作為な偏光の光としてではなく、主としてS偏光した光、主としてP偏光した光、あるいは円偏光した光としてのみ向けることができるのかを教示している。
現在のレーザ蒸散式の被覆方法では、例えば三次元物体の効率的および高品質な被覆を行うことができない。現在の方法により得られるプラズマプルーム(すなわち、典型的に30〜70mm)は蒸発される標的と基材との間の距離を増大させ、その厚さまたは品質に関係して三次元構造の表面を均一化しない。加えて、小さい平坦な表面を被覆するためであっても、現在の方法では、典型的には最大10−5〜10−6mbarのオーダーの真空度といった高価な高真空度の使用を必要とする。
本発明は、物体を1つ以上の表面によって被覆するためのレーザ蒸散方法であって、レーザ蒸散が、最大10−3気圧の空間中で行われる方法である。
本発明は、任意の平面または三次元表面あるいは3D物体を、高品質で、経済的に、工業的に実現可能に製造できるようにする。
本発明は、ナノ粒子を製造する方法にも関し、標的材料が、最大10−3気圧の空間中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散される方法である。
本発明は、平坦な物体および特に三次元の幾何学的物体の両者を、優秀な技術的特性(表面の一様性、粗さの特性、硬さ、ならびに必要であれば光学的特性および結晶構造)を備えて、工業用として現実的な製造速度で被覆できるという驚くべき観察にもとづいている。蒸散される標的と基材との距離が十分に短く、すなわち2μm〜20mmに保たれるようにして表面を提供することが特に有利である。
さらに、同じ技術的に高品質な表面を、本発明によれば、低真空において製造することができ、通常の気圧の気体雰囲気にあっても特定の条件で製造できることが発見された。これは、当然ながら、製造の支出を、設備の要件(良好な真空チャンバ)の軽減ならびに製品の実現の速度の向上というかたちで、劇的に低くする。以前は、いくつかの物体、とくには大型の物体をレーザ蒸散によって被覆することは、製造が経済的に採算が取れないほどに大きくて真空に時間がかかる真空チャンバを大型の物体のために建設する必要があるがために、経済的に実現することが不可能であると考えられていた。さらに、結晶水を含んでいる石材料など、いくつかの製品においては、高真空を使用することさえ不可能である。なぜならば、この真空空間が、とくには高い温度と相俟って、石に含まれている結晶水を分解し、同時に石製品の構造を破壊してしまうからである。
本発明による表面の製造速度は、従来技術の製造速度と比べて非常に大きい。従来技術の方法による1カラット(0.2g)のダイアモンドの製造が24時間を要するとき、本方法は、例えば20ワットのレーザ出力において1時間につき4カラット(0.8g)を生み出す。本発明によれば、所望の材料(例えば、ダイアモンド)の品質特性を、それぞれの場合のニーズに応じて調節できることが明らかになった。
本発明の目標は、従来技術の技法に関する問題を解決でき、あるいは少なくとも軽減できる表面処理装置を導入することにある。本発明の他の目標は、被覆対象の基材/標的を、本出願の優先日において従来技術に知られているよりも、より効率的に、より高品質の表面によって被覆するための方法、装置、および/または構成を導入することにある。本発明のまた別の目標は、表面処理装置を使用して、物体を繰り返し、本出願の優先日において従来技術に知られているよりも良好な表面によって被覆する技法によって実現される三次元の印刷ユニットを示すことにある。本発明の目標は、以下のとおり下記に列挙される以下の目的に関係している。
本発明の第1の目的は、標的材料がプラズマ中にいかなるかけらも形成することがなく、すなわちプラズマが純粋であり、あるいはそのようなかけらが存在する場合でも、ごくわずかにしか生じず、プラズマ生成源である標的の蒸散深さよりもサイズが小さいように、いかにしてあらゆる標的の微細な高品質のプラズマを実際に生成するのかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明の第2の目的は、加工対象の標的がプラズマ中に混入しうるいかなるかけらも形成せず、換言するとプラズマが純粋であり、あるいはそのようなかけらが存在する場合でも、ごくわずかにしか生じず、プラズマの発生源である標的の蒸散深さよりもサイズが小さいよう、高品質のプラズマを放出することによって、蒸散深さまで標的から材料を除去する冷間加工方法において利用される微細かつ一様な切断線をいかにして生成できるかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明の第3の目的は、粒子状のかけらをまったく含んでおらず、換言するとプラズマが純粋であり、あるいはそのようなかけらが存在する場合でも、ごくわずかにしか生じておらず、プラズマの発生源である標的の蒸散深さよりもサイズが小さい高品質のプラズマを使用することによって、基材として機能する領域の表面をいかにして被覆するかという問題、換言すると実質的に任意の材料から生成できる純粋なプラズマを使用することによって基材表面をいかにして被覆するかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明の第4の目的は、粒子状のかけらにおける運動エネルギーの浪費を、かけらの発生を抑えること、あるいはそのようなかけらのサイズを蒸散深さよりも小さく制限することによって低減し、高品質のプラズマによって基材への付着のための良好な付着特性を有する被覆をいかにして生成するかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。同時に、かけらが存在しないことで、かけらが核生成および凝固の現象によってプラズマジェットの均質性に悪影響を及ぼしうる冷たい表面を生み出すことがない。さらに、第4の目的によれば、有利に短い放射パルス、換言するとピコ秒程度またはさらに短い継続時間のパルスが使用され、パルスの間に、2つの連続するパルスの間の特定の間隔が適用されるとき、加熱の影響を受ける領域が最小限にされるため、放射エネルギーが効果的にプラズマエネルギーへと変換される。
本発明の第5の目的は、いかにして広い走査幅を高品質なプラズマの品質と同時に達成し、工業規模において大きい物体のための幅広い被覆幅を達成するかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明の第6の目的は、上記目標に沿って工業規模の用途において使用される高い反復周波数をいかにして達成するかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明の第7の目的は、いかにして第1から第6までの目標に沿って表面の被覆および製品の製造のための高品質のプラズマを生成し、しかしながら必要に応じて同じ品質の再被覆/薄膜を生成するために被覆工程において使用される標的材料を節約するかという問題を解決するための少なくとも新規な方法および/またはそれに関係する手段を得ることにある。
本発明のまた別の追加の目的は、前記第1、第2、第3、第4、および第5の目標に沿った方法および手段を、そのような製品のそれぞれの適切な種類に関して適切な線にて、いかに冷間加工および/または表面の被覆を行うかという問題を解決するために適用することにある
本発明の目的は、放射の使用にもとづく表面処理装置であって、それが放射する放射の伝送線に本発明の一実施の形態によるタービンスキャナを備えている表面処理装置によって、高品質のプラズマを生成することによって実現される。
本発明の一実施の形態による表面処理装置を使用するとき、処理対象の表面からの材料の除去および/または被覆の生成を、放射の出力を不必要に抑えることなく充分な製造速度において、必要とされる高品質の被覆の水準まで高めることができる。
さらに、本発明の他の実施の形態が、例として、従属請求項に提示される。本発明のいくつかの実施の形態を、必要に応じて組み合わせることができる。
本発明のいくつかの実施の形態を、製品および/または被覆の製造に使用することができ、製品の材料は、かなり自由に選択可能である。例えば、半導体ダイアモンドを、大量生産の様相で、きわめて大量に、低コストで、良好な再現性にて、高い品質で製造することができる。
本発明の一群の実施の形態において、表面処理は、レーザ蒸散にもとづいており、タービンスキャナを備えている放射伝送線にて伝送されるビームのための放射源として、ほぼ任意のレーザ源を使用することが可能である。CW、半導体レーザなどのレーザ源、ならびにパルス長がピコ、フェムト、およびアト秒程度であるパルス状のレーザシステムが、適用可能であり、前記後者の3つのパルス長は、冷間加工法に適した長さを表わしている。しかしながら、放射源が本発明の実施の形態に限られるわけではない。
本発明は、1つ以上の表面について物体を被覆するためのレーザ蒸散方法であって、レーザ蒸散が最大10−3気圧の空間中で行われる方法である。本発明の好ましい実施形態では、レーザ蒸散は通常の大気圧中でも行いうる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、被覆対象の物体(すなわち、基材)とレーザビームによって蒸散される材料(すなわち、標的)との間の距離は、2μm〜20mm、有利には5μm〜10mm、更に好ましくは10μm〜5mmである。必要とされる距離は、被覆対象の基材ならびに所望される表面の品質および/または技術的特徴に依存して決まる。
本方法の好ましい実施の形態においては、被覆対象の表面が、ただ1つの標的から蒸散された材料で形成される。
本方法の他の好ましい実施の形態においては、被覆対象の表面に、いくつかの標的から同時に蒸散された材料が蒸着される。
さらに、本発明の別の好ましい実施の形態においては、被覆対象の表面が、蒸散された材料で生成されたプラズマプルーム中に、プラズマプルーム中に含まれている蒸散された材料と反応する反応物質がもたらされ、生成される1つ以上の化合物が基材上に製作されるべき表面を形成することで、形成される。
したがって、標的をレーザパルスで蒸散するときに、分子プラズマプルームが生成される。
分かり易くするため、原子レベルのプラズマも、少なくとも部分的にイオン化状態にある気体(電子を原子核に電気力によって拘束して残している原子部分をさらに含んでもよい)を意味することを指摘しておく。したがって、例えばひとたびイオン化したネオンを、原子レベルのプラズマと見なすことができる。当然ながら、互いに分離された電子および純粋な原子核そのものを含んでいる粒子群も、プラズマと見なされる。このように、純粋な形態の良好なプラズマは、気体、原子レベルのプラズマ、および/またはプラズマのみを含み、例えば固体のかけらおよび/または粒子を含まない。
パルスレーザ蒸着(PLD)用途におけるパルスの使用について、PLDにおけるレーザパルスが長いほど、プラズマのエネルギーレベルならびにパルスが標的に衝突したときに標的から蒸発する物質の原子速度が低くなることに、注意すべきである。反対に、パルスが短いほど、蒸発する物質のエネルギーレベルおよび物質のジェットにおける原子の速度が高くなる。他方で、これは、蒸発において得られたプラズマが、かけら、クラスタ、マイクロ粒子、またはマクロ粒子などといった固相または液相の析出物および/または凝固物を含まず、より均質かつ一様であることも意味する。換言すると、蒸発させようとする材料の蒸散しきい値を超える限りにおいて、パルスが短く、反復周波数が高いほど、生成されるプラズマの品質が良好である。
材料の表面に衝突するレーザパルスからの熱パルスの有効深さは、レーザシステムの間で大きく異なる。この影響を受ける領域は、熱影響ゾーン(HAZ)と呼ばれる。HAZは、レーザパルスの出力および継続時間によって実質的に決定される。例えば、ナノ秒パルスのレーザシステムが、典型的には、約5mJ以上のパルス出力を生み出す一方で、ピコ秒のレーザシステムは、1〜10μJのパルス出力を生み出す。反復周波数が同じであれば、1000倍以上も大きい出力を有するナノ秒のレーザシステムによって生成されるパルスのHAZが、ピコ秒パルスのHAZよりもはるかに深いことは自明である。さらに、大幅に薄い被蒸散層は、表面から脱離しうる粒子のサイズに直接的な影響を有し、これがいわゆる冷間蒸散法における利点である。ナノサイズの粒子は、通常は、大きな蒸着の損傷(主として、基材に衝突したときの穴)を引き起こすことはない。
本発明の一実施の形態においては、固相(ならびに、存在するのであれば液相)のかけらは、電界によって取り除かれる。これは、より低い電気的な移動性にて運動するかけらを、プラズマプルームのプラズマから離れるように案内できるよう、収集用電界を使用する一方で、標的を帯電した状態に保つことによって達成できる。磁気フィルタ処理が、粒子がプラズマから分離されるよう、プラズマジェットを偏向/屈折させることによって対応する方法で機能する。
このように、本発明によれば、用語「表面」は、表面または3D材料を指すことができる。ここで、「表面」という考え方は、いかなる幾何学的または三次元的な制限も受けない。
本発明による基材の被覆は、物体の全表面にわたって一様なピンホールのない表面の形成を可能にする。
本発明によれば、基材を、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上述の基材の1つ以上の組み合わせで製作できる。
同様に、標的を、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上述の標的の1つ以上の組み合わせで製作できる。
ここで、半合成の化合物は、例えば、操作された天然ポリマーまたは操作された天然ポリマーを含んでいる複合材料を意味する。
したがって、本発明は、所与の基材または標的に限定されない。
本発明によれば、金属を、例えば、別の金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上述の基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
金属化合物を、例えば、金属、別の金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
ガラスを、例えば、金属、金属化合物、別のガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
石を、金属、金属化合物、ガラス、別の石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
セラミックを、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、別のセラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
合成ポリマーを、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、別の合成ポリマー、半合成ポリマー、複合材料、天然ポリマー、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
さらに、半合成ポリマーを、本発明によれば、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、別の半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
さらに、天然ポリマーを、本発明によれば、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、別の天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
さらに、複合材料を、本発明によれば、例えば、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、別の複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
紙も上述の全ての化合物で被覆することができる。
複合材料の1つの定義を、とりわけ、複合材料を以下のように定義しているPolymer Science Dictionary(Alger、M.S.M.、Elsewier Applied Science、1990、p.81)に見つけることができる。すなわち、「2つ以上の単純(または、モノリシック)な材料からなる材料の組み合わせで形成された固体材料であって、個々の成分がそれらの別個の独自性を維持している。複合材料は、個々の構成材料とは異なる特徴を有しており、『複合』という概念の使用は、技術的には主たる目的が複合材料の構成材料に比べてより優れた特徴を有する材料を実現することにあるため、物理的な特徴の改善を指していることが多い。また、複合材料は、複合材料の構成成分から得られる2つ以上の相で形成される混成構造である。これらの相は、連続的であってよく、あるいは相のうちの1つ以上を連続的な母材中に分散させてもよい」。
本発明によれば、完全に新規な化合物の他に、2つ以上の材料が分子レベルで複合材料を作り上げているような複合材料を製造することも可能である。本発明の一実施の形態においては、例えばポリシロキサンおよびダイアモンドから表面または3D構造が製作され、本発明の別の実施の形態においては、例えばポリシロキサンおよびチッ化炭素(炭チッ化物)から表面または3D構造が製作される。本発明によれば、複合材料の2つ以上の材料成分の中身を自由に選択することができる。
さらに、無機のモノマーまたはオリゴマー材料を、本発明によれば、例えば金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、別の無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
またさらに、有機のモノマーまたはオリゴマー材料を、本発明によれば、例えば金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機または別の有機のモノマーまたはオリゴマー材料、あるいは上記基材の1つ以上の組み合わせで被覆することができる。
本発明によれば、上記すべての基材の組み合わせも、上記標的材料の1つ以上の組み合わせによって被覆することができる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、被覆対象の表面が、1mm当たりの穴が1個未満であり、有利には1cm当たりの穴が1個未満であり、好ましくは全被覆領域において穴をまったく含まないように形成される。本技術分野において、これらの穴については用語「ピンホール」が用いられる。本発明はこの方法によって被覆された製品にも関する。
本発明の別の好ましい実施の形態においては、被覆対象の表面が、表面の最初の50%が、生成された表面に1000nmを超える直径の粒子が堆積していないように形成され、有利には前記粒子のサイズが100nmを超えず、好ましくは前記粒子のサイズが30nmを超えないように実現される。さらに、本発明は、この方法によって被覆された製品にも関する。
本発明の更に他の好ましい実施形態では、被覆対象の物体、すなわち、基材がパルス化冷間動作レーザによる標的の蒸散により、この被覆対象の物体上に蒸着される表面の一様性が、原子間力顕微鏡(AFM)によって1平方マイクロメートルの面積について測定したときに±100nmであるように被覆される。有利には、この測定粗さ、すなわち表面の一様性は25nm未満であり、好ましくは2nm未満である。本発明は、この方法によって被覆された製品にも関する。
本発明の一実施の形態においては、蒸散された材料を、3D印刷に使用することができる。本出願の優先日において知られている従来技術による3D印刷(例えば、Scroff Development Inc.のJP−System 5、BPM Technology Inc.のBallistic Particle Manufacturing、Solidscape Inc.のthe Model Maker、3D Systems Inc.のMulti Jet ModellingおよびZ CorporationのZ402 System)は、機械的強度に比較的乏しい材料を使用している。本発明の一実施の形態による装置は、比較的費用対効果に優れた方法で、高効率かつ高速な層の成長速度を達成するため、例えばグラファイトの形態の炭素またはダイアモンドとしての炭素の蒸散によって、蒸散された材料を、例えばインクジェットプリンタの原理に従って、1枚ごとが印刷対象の物体に一致する層へと導くことができる。このようにして、例えば炭素が使用されるとき、充分に硬い構造を製造することができる。しかしながら、本発明の実施の形態は、ダイアモンドには限定されず、他の材料も、蒸散される材料の選択に従って使用することができる。このように、本発明の一実施の形態による装置を、例えばダイアモンドまたは炭チッ化物などといったほぼ任意の適用可能な材料から中空または中実の物体を製造するために使用することができる。
このように、例えば、ダイアモンドの層にDavidの有名な像を1枚ごとに印刷することができ、次いで蒸散を使用して、層の間に存在しうるエッジを平滑化することができる。像に、所望であれば、ダイアモンドを適切にドープすることによって、各層ごとに別個であってもよい特定の色相を与えることができる。また、例えばPDAまたは移動通信装置のためのスペア部品、ツール、表示素子、外郭構造、またはその一部など、ほぼ任意の3D片を直接的に印刷することが可能である。
本発明による被覆方法においては、レーザ蒸散が、パルスレーザによって実行される。本発明のとくに有利な実施の形態においては、蒸散に使用されるレーザ装置が、ピコ秒レーザなどの冷間加工レーザである。本発明の他の好ましい実施の形態においては、レーザ装置が、フェムト秒レーザであり、さらに別の好ましい実施の形態においては、アト秒レーザである。
本発明による方法においては、冷間加工レーザの出力が、有利には少なくとも10Wであり、さらに有利には少なくとも20Wであり、好ましくは少なくとも50Wである。ここで、レーザ装置の出力について、上限は設定されない。
本発明による方法においては、目標の用途にとって充分に耐摩耗性であって、充分な光学的特徴を有している(所望の色を有しており、あるいは透明である)高品質の表面を、基材が粗い真空あるいは通常の気圧の気体雰囲気においてレーザ蒸散によって被覆されるように、達成することができる。
被覆を、室温または室温付近で、例えば基材の温度がおおむね60℃であり、あるいは基材の温度が大きく高められる(>100℃)ように、実行することができる。
これは、建設産業のニーズのための石、金属、複合材料、および種々のポリマープレートなどの大きな物体(広い基材表面)を被覆する場合に、とくに有利である。現在の被覆法においては、このような種類の物体を充分に高い真空に持ち込むことは、きわめて高価につくうえ、被覆プロセスの処理時間をきわめて長くする。例えば多孔性材料(石など)を被覆する場合など、いくつかの目標の用途においては、高真空への到達は不可能である。また、プロセスに加熱を組み合わせなければならない場合には、多くの種類の石において、結晶水の崩壊が生じる可能性があり、これは、当然ながら、そのような石材料の構造を破壊し、目標の用途における使用を弱体化させ、あるいは妨げる。
被覆を通常の気圧または通常の気圧に近い低真空で実行できる場合、品質およびとくには経済性の両者の点で意義深い。いくつかの目標の用途において、これまでは製造が不可能であった製品を製造できるようになる。
例えば、多くの石製品を、本発明によれば、耐水性の表面を達成するために酸化アルミニウムで被覆することができる。この種の表面は、気体の蓄積を防止するだけでなく、水分の蓄積も防止し、したがって例えば石を破壊する真菌類または氷が石材料の内部または表面に蓄積することを防止する。本発明によれば、石材料を、酸化アルミニウムで直接的に被覆することができ、あるいは例えば、最初にアルミニウムで被覆を行い、生成されたアルミニウム表面を、その後にRTA+光、熱酸化(500℃)、または沸騰水での熱酸化などといったいくつかの異なる方法によって酸化させることができる。ジルコニウムなどの特定の元素がアルミニウムに添加される場合には、酸化する金属表面が、単なるアルミニウムよりもさらに良好に広がり、石のすべての穴へと効果的に広がる密な酸化物表面を形成する。同時に、表面が透明になる。本発明によれば、石材料を、酸化による最終的な表面の形成に先立って表面へと顔料または色素を追加することによって、所望の色合いへと着色することも可能である。石製品のこの種の色付きの表面を、本発明によるレーザ蒸散によって製造することができる。本発明によれば、酸化アルミニウム表面を、ダイアモンド表面、チッ化炭素表面、別の石表面、または他の何らかの酸化物表面など、任意の他の硬い表面で置き換えることができる。本発明の一実施の形態においては、石製品の最上の表面が、自己清浄化表面になる。
この種の自己清浄化表面を、例えば酸化チタニウムまたは亜鉛で製作できる。本発明によれば、基材を、所望の酸化物で直接的に被覆することができ、あるいは所望の金属を酸素含有気体雰囲気中に蒸発させることによって被覆することができる。有利には、本発明による自己清浄化表面の厚さは、10nm〜150nmであり、さらに有利には15nm〜100nmであり、好ましくは20nm〜50nmである。
基材表面にUV保護を備える表面が望まれる場合、先の光触媒表面を、アルミニウム層でさらに被覆することができる。
高真空が使用される場合、それは本発明の一実施の形態によれば、単結晶ダイアモンド、酸化アルミニウム、またはシリコンなどといった単結晶材料の表面を形成する場合にとくに有用である。しかし、シリコンの蒸散のために高真空は必要ない。本発明に従って製造される単結晶ダイアモンドまたはシリコン材料を、例えば半導体として使用することができ、ダイアモンドにおいては宝石として使用することができ、レーザ設備の部品(励起ダイオードの光ビーム、レンズ機構、ファイバ)として使用することができ、きわめて長持ちする表面が必要とされる用途においてそのような表面として使用することができる。
本発明によれば、半導体ダイアモンドを、例えばイリジウム基材に融合させることができ(図4)、半導体シリコンを、例えばプラスチックまたは紙の上に直接的に融合させることができる。シリコン層が充分に薄く、例えば5〜15μmである場合、この種の半導体を曲げることができ、さらには例えば曲げることができる電子機器の製造に使用することができる。ダイアモンド主体およびシリコン主体の半導体材料の両者を、有利にはピコ秒レーザにより、好ましくはタービンスキャナを備えたピコ秒レーザにより、レーザ蒸散によって所望の形状へと切断することができる。ダイアモンドおよびシリコンベースの半導体材料は、例えば純粋なダイアモンドまたは純粋なシリコンであってよく、またはそれらは、例えばシリコンまたはダイアモンドのドープ化された誘導体であってよい。
半導体材料の特性を調整するための一つの方法は所望の特性を有するナノ粒子を用いてドープすることである。
本発明による別の実施の形態においては、基材の上に1つ以上のダイアモンド表面が蒸着される。この種のダイアモンド表面においては、sp3結合の量が有利なことにきわめて多く、例えば従来技術のDLC表面(ダイアモンド状カーボン)の場合と反対に、得られた表面がきわめて硬く、本発明によるすべての表面の厚さにおいて傷つけられることがない。ダイアモンド表面は、好ましくは透明である。さらに、1マイクロメートルの厚さで黒色になり、200℃の温度にしか耐えることができない従来技術の低品質のDLCと対照的に、高温にも耐える。本発明の方法に従って製造されるダイアモンド表面は、好ましくは水素を含まない炭素源から製造される。有利には、炭素源が焼結カーボンであり、好ましくは熱分解カーボン、ガラス状炭素である。
本発明によれば、熱分解カーボンが、単結晶ダイアモンドまたは例えばMEMS用途のための粒子状物質の存在しない表面を製造する場合に、とくに有利な標的である。
より低品質のDLC表面を製造すべき場合でも、本発明によるこの種の表面の製造が、高速かつ経済的である。
ダイアモンド表面を着色すべき場合、カーボンに加えて、所望の色をもたらす元素または化合物を蒸発させることによって、生成されるダイアモンド表面に色を着けることができる。
本発明に従って製造されるダイアモンド表面が、下方の表面を、機械的摩耗から守るほか、化学反応を受けることがないようにもする。ダイアモンド表面は、例えば金属を酸化から守り、それらの装飾または他の機能が損なわれないようにする。さらに、ダイアモンド表面は、下方の表面を酸およびアルカリ剤から保護する。
本発明による方法の好ましい実施の形態においては、標的が、これまでに大きくは蒸散されていない標的の場所において材料を基本的に連続的に蒸発させるように、レーザビームによって蒸散される。
これは、常に新鮮な表面が蒸散されるように標的を動かすことによって達成できる。現時点で公知の方法においては、材料予備成形物が、通常は太い棒または厚い板の形態である。したがって、焦点合わせのズームレンズを使用しなければならず、あるいは材料予備成形物を、材料予備成形物の消耗につれてレーザビームに向かって動かさなければならない。これを実現する単なる試みは、通常は充分に確実に実行することができたとしても、すでにきわめて困難かつ高価であり、さらには品質の変動が大きく、すなわち精度の制御がほぼ不可能であり、厚い予備成形物の製造が高価である。
これは、レーザビームを制御するための技法が、とりわけ従来技術のスキャナゆえに限られているため、とくにはレーザ設備のパルス周波数が高められる場合に、干渉なしでは成功しない。パルス周波数を4MHZ以上へと高めようとする場合、従来技術によるスキャナでは、レーザビームのパルスの大きな部分が、レーザ装置の壁構造へと制御不能に向けられ、さらにはプラズマの形態で蒸散対象の材料へも向けられ、製造される表面の品質ならびに製造速度が損なわれるという正味の効果を有し、さらには標的に衝突する放射フラックスが充分に一様でなく、これが生成されるプラズマの構造に悪影響を及ぼす可能性があり、したがって被覆対象の表面に衝突するときに一様でない品質の表面を生む可能性がある。レーザビームが以前にすでに蒸散された表面に完全または部分的に衝突する場合、それらのパルスにおいて標的と基材との間の距離が変化する。標的へと向けられたパルスが標的内のすでに蒸散された場所へと衝突する場合、種々のパルスにおいて異なる量の材料が脱離し、数ミクロンのサイズを有する粒子が標的から蒸散される。このような粒子は、基材に衝突した場合に、生成される表面の品質を大きく悪化させ、したがって製品の特徴を悪化させる。
本発明の一実施の形態においては、米国特許第6,372,103号明細書に記載されているように、標的材料、従来技術の標的材料が、回転運動させられる。本発明による他の実施の形態においては、標的材料が、やはり市販されている板状の標的プレートである。
本発明の好ましい実施の形態においては、標的材料が、フィルム/テープの供給として供給される。
そのような一好ましい実施の形態においては、フィルム/箔が、今や図7に示されているようにリールの形態にある。テープが、最初に1つのレーザプルームの幅にて最初から最後まで長さ方向に蒸発させられたとき、テープ/箔は、完全に新しい溝を生成できる程度まで、例えば側方にずらされる。これが、テープ/箔が横方向について完全に消費されるまで続けられる。このシステムの最も基本的な意義は、当然ながら、ソース材料が常に一定のままであるため、蒸発結果が常に一定であって最上レベルを示す点にある。
本発明の別の実施の形態は、図7に示されている箔/テープ(46)が、レーザビームの焦点深度と比べて、a)薄く、b)同じ厚さであり、あるいはc)厚いという事実にもとづいている。事例c)に関しては、材料のうちのレーザビームの焦点深度よりも大きい(厚い)部分が、別個のリール(48)に集められて保管される。テープ/箔の厚さは、例えば5μm〜5mmであってよく、有利には20μm〜1mmであり、好ましくは50μm〜200μmである。
本発明のとくに好ましい実施の形態においては、標的と基材との間の距離が、全蒸散プロセスを通じて基本的に一定に保たれる。
本発明の好ましい実施の形態によるさらに別の被覆方法においては、レーザビームの焦点を調節するための機構が必要とされず、すなわち本発明の一実施の形態による箔/フィルムの蒸発方法において、焦点の調節の工程そのものが不要であることを意味する。フィルムの供給の手つかずの表面が標的として機能するとき、この箔/フィルムが恒久的に調節された焦点にあるため、機構そのものが不要である。フィルムのうち、レーザビームの焦点深度に対応する材料部分のみ(図17)が利用される。したがって、一様な品質を有する被覆結果が達成され、被覆プロセスの継続時間の間、別途の焦点調節ユニットは不要である。
標的材料は貴重であり、したがって有利には、標的表面の新しい手つかずの表面部分のみが使用されるがゆえ、可能な限り薄い標的を使用することが産業的に好ましい。テープ状の標的材料は、それらの製造方法がより容易かつ経済的であるため、当然ながら、現在の標的材料よりも大幅に安価であり、より入手しやすい。
本発明の別の好ましい実施の形態においては、被覆プロセスが、薄板の供給を適用する。今やそれぞれの新しい部品を被覆するために、新しい薄板状標的が供給される。材料のこの供給方法は、例えば小さくて薄い平滑な板を製作するために現時点において一般的に使用されているセラミック酸化アルミニウム板によく適している。大きな標的の製造は、通常は困難かつ高価である。
従来技術の構成においては、走査幅が問題を呈する。直線走査がミラーフィルムスキャナにおいて使用されているが、その場合には、公称の約70mmの走査線幅を達成できると仮定することが理論的には可能であるが、実際には、走査幅が不都合にも30mm程度にとどまる可能性があり、その場合には、走査範囲のフリンジが非一様な品質のまま残る可能性があり、さらには/あるいは中央領域と相違する可能性がある。この小さな走査幅が、現在のレーザ設備を大きくて広い物体の被覆用途に使用することを、この点においても工業的に利益がなく、あるいは技術的に実現不可能なものにしている。
本発明の好ましい実施の形態においては、レーザビームが、タービンスキャナを介して標的へと向けられる。
タービンスキャナは、先の平面ミラースキャナに関する出力伝達の問題を軽減し、したがって標的材料を充分に高いパルス出力で蒸発させることができ、結果として高品質かつ一様な品質のプラズマを生成でき、したがって高品質の表面および3D構造を生成できる。また、タービンスキャナは、前よりも大きな走査幅を促進し、結果として、1つの同じレーザ装置でより広い表面積を被覆できるようにする。したがって、良好な加工速度が達成され、生成される表面の品質が均一になる。本発明による好ましい実施の形態においては、標的へと向けられる走査幅を、10mm〜700mmとすることができ、有利には100mm〜400mmとすることができ、好ましくは150mm〜300mmとすることができる。小型サイズの用途においては、当然ながらより小さくなければならない。
結果として、本発明は、1つのレーザ源のみに限定されない。本発明の一実施の形態によれば、基材が、1つ以上の標的から蒸発したプラズマプルーム中に不動に保たれる。本発明の好ましい実施の形態によれば、1つ以上の標的から蒸発したプラズマプルーム中で、レーザ蒸散によって基材が動かされる。被覆が真空中または反応性ガス中で実行される場合には、被覆が、有利には、別個の真空チャンバ内で製造される。
本発明によれば、被覆対象の物体は、被覆対象の物体の上に蒸着された表面の一様性が±100nmになるように被覆される。本発明の好ましい実施形態では、被覆対象の物体の上に蒸着された表面の一様性が±25nmであり、本発明の更に好ましい実施形態では、被覆対象の物体の上に蒸着された表面の一様性が±2nmである。
蒸着された表面の一様性は状況に応じた要求および各場合に求められる機能に応じて調整される。
本発明による方法で蒸着される表面の厚さは特に限定されない。本発明によれば、物体は、1nmから上方に、常に実質的に厚い表面に、または例えば3D構造に被覆される。
従来技術によれば、被覆対象の物体、すなわち基材とレーザービームによって蒸散される材料、すなわち標的との間の距離は、30mm〜70mm、好ましくは30mm〜50mmである。
本発明によれば、種々の機能を有する表面および/または3D構造を生み出すことができる。そのような表面として、例えば、種々のガラスおよびプラスチック製品(レンズ、モニタのシールド、車両および建物の窓、実験室用および家庭用のガラス製品)におけるきわめて硬くて傷つくことがない表面および3D構造が挙げられ、その場合に、とくに有利な光学被覆は、MgF、SiO、TiO、Alであり、とくに有利な硬被覆は、種々の金属酸化物、炭化物、およびチッ化物、ならびに、言うまでもないがダイアモンド被覆である。また、以下におけるきわめて硬くて傷つくことがない表面および3D構造も挙げられる。すなわち、電気通信装置の外郭構造、屋根シート、装飾および建設パネル、ライニング、および窓枠などといった種々の金属製品およびそれらの表面;台所シンク、蛇口、オーブン、コイン、宝石、工具、およびこれらの部品;自動車および他の車両のエンジンならびにその部品、自動車および他の車両における金属被覆および金属塗装面、船舶、ボート、および航空機において使用される金属表面を有する物体、航空機用タービン、および燃焼エンジン;ベアリング;フォーク、ナイフ、およびスプーン;はさみ、狩猟ナイフ、回転刃、のこぎり、および金属表面を有するあらゆる種類のカッター、ねじ、およびナット;金属表面を有する反応炉、ポンプ、蒸留カラム、容器、およびフレーム構造などといった化学産業プロセスにおいて使用される金属製の処理手段;気体および化学品の配管;種々のバルブおよび制御ユニット;石油掘削設備の部品およびドリルのビット;水を運ぶための配管;兵器およびその部品、弾丸、およびカートリッジ;摩耗にさらされやすい抄紙機の部品、例えば被覆ペースト拡散装置の部品など、摩耗にさらされやすい金属ノズル;雪かき器、シャベル、および公園設備の金属構造物;ガードレール、交通標識およびポスト;金属の缶および容器;外科用具、人工関節、インプラント、および器具;カメラおよびビデオカメラならびに酸化および摩耗にさらされやすい電子装置の金属部品、宇宙船ならびに摩擦および高温に耐える宇宙船の被覆の技術的解決策、である。
本発明に従って製造されるさらに他の製品として、腐食性の化合物に耐える表面および3D材料、半導体材料、LED材料、色素材およびそれらで製作されて視認の角度に応じて色を変化させる表面、ビームエクスパンダおよび励起ダイオードの光バーなど、すでに述べたレーザ設備および励起ダイオードの部品、宝石材料、医療品の表面および3D形状の医療品、自己清浄化表面、汚染および/または水分に耐え、さらに必要であれば自己清浄性である石またはセラミック材料(被覆付きの石製品および石表面が蒸着されている製品)、着色された石製品、例えば本発明の一実施の形態に従って緑に着色された大理石、あるいは自己清浄化砥石など、建設産業用の種々の製品を挙げることができる。
本発明に従って製造されるさらなる製品として、例えば種々のレンズおよびモニタシールドの技術的解決策における反射防止(AR)表面、対UV放射の保護用被覆、および溶液または空気の浄化に使用されるUV活性表面を挙げることができる。したがって、生成される表面の厚さを調節することができる。例えば、本発明に従って蒸着されるチッ化炭素のダイアモンド表面の厚さは、例えば1nm〜3000nmであってよい。さらに、ダイアモンド表面を、きわめて一様に製造することができる。ダイアモンド表面の一様性は、±30nm程度であることができ、好ましくは±20nmであり、いくつかのきわめて厳しい低摩擦の目標においては、一様性を±2nmのレベルまで調節することができる。したがって、本発明によるダイアモンド表面は、下方の表面を機械的摩耗から守るほか、化学反応を受けることがないようにもする。ダイアモンド表面は、例えば金属の酸化を防止し、それらの装飾または他の機能が損なわれないようにする。さらに、ダイアモンド表面は、下方の表面を酸およびアルカリ剤から保護する。特定の用途においては、装飾用の金属表面が望まれる。本発明に従って標的として使用されるとくに装飾的な金属または金属化合物は、例えば、金、銀、クロム、白金、チタニウム、タンタル、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、鋼、黒亜鉛、黒ルテニウム、ルテニウム、コバルト、バナジウム、チッ化チタニウム、チッ化チタニウムアルミニウム、チタン炭チッ化物、チッ化ジルコニウム、チッ化クロム、チタニウム炭化ケイ素、および炭化クロムである。当然ながら、例えば耐摩耗性の表面、あるいは酸化または他の化学反応からの保護の表面など、他の特徴も前記化合物によって達成することができる。
金属化合物の中でも、金属酸化物、チッ化物、ハロゲン化物、および炭化物が述べられているが、考えられる金属化合物の数が、これらのみに限定されるわけではない。
本発明に従って製造される種々の酸化物表面は、とりわけ、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化すず、酸化タンタル、などであり、さらにはこれらを互いに組み合わせ、あるいは例えば金属、ダイアモンド、炭化物、またはチッ化物と組み合わせた複合材料としての組み合わせである。上記列挙の材料を、本発明に従い、反応性ガス環境を使用することによって金属から製造することも可能である。
本発明は、ナノ粒子を製造する方法にも関し、その方法では、標的材料が、10−3気圧の空間中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散される。本発明の好ましい実施形態では、標的材料が大気圧中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散されることにより、ナノ粒子が製造される。
この場合、「ナノ粒子」という用語は1nm〜900nm、有利には1nm〜500nm、好ましくは1nm〜100nmの平均直径を有する粒子を指していう。粒子の寸法および構造は各場合の用途により決定される要求に応じて調節される。
本発明の特に好ましい実施形態では、標的材料が加圧中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散されることにより、ナノ粒子が生成される。圧力が印加される場合、本発明の実施形態で使用されるガス雰囲気は希ガスを含むのが有利である。ガス雰囲気は、酸素のような反応性化合物を含んでもよい。
本発明によってナノ粒子を製造する場合、蒸散される標的は、例えば金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなってよい。
本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子は、パルスレーザによって蒸散を行うことにより製造される。
この場合、蒸散に用いるレーザー構成は、ピコ秒レーザのような冷間動作レーザである。それはフェムト秒レーザやアト秒レーザであってもよい。パルスレーザに用いられる出力は少なくとも10Wであり、有利には少なくとも20Wであり、好ましくは少なくとも50Wである。
本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子は、レーザビームによって標的を蒸散させ、それまでは本質的に蒸散されていない標的の場所から材料を基本的に連続的に蒸発させることにより製造される。これを実現する手段の一つは、標的を薄板の供給として供給することである。同様の結果を得ることができる本発明による他の方法は、標的(すなわち、蒸散される材料)をフィルム/テープの供給として供給することである。
フィルム/テープの供給が用いられる場合には、標的の厚さは、典型的には5μm〜5mmであり、有利には20μm〜1mmであり、好ましくは50μm〜200μmである。
本発明の特に効果的な実施形態では、ナノ粒子は、レーザビームをタービンスキャナによって標的に向けることで製造される。その場合、標的へと向けられる走査幅は、例えば10mm〜800mmであることができ、有利には100mm〜400mmであることができ、好ましくは150mm〜300mmでありうる。
小型サイズの用途においては、当然ながらより小さくなければならない。
ナノ粒子は、ナノ粒子が複数の異なる標的から同時に蒸散される材料から生成されることで製造されてもよい。更に、ナノ粒子は、蒸散された材料で形成されているプラズマプルーム中に、前記プラズマプルーム中に含まれる蒸散された材料と反応する反応性物質をもたらし、その結果得られる1つ以上の化合物で基材上に製造される前記ナノ粒子を形成することで、生成されてもよい。
また、本発明は独立請求項に基づいて製造される被覆表面、およびナノ粒子にも関する。
本発明による方法および製品を以下で説明するが、本発明が以下に提示される実施例のみに限定されるわけではない。表面を製造するために、Corelase Oy製のX‐lase 10Wピコ秒レーザおよびCorelaseによるX‐lase 20W‐80Wピコ秒レーザ(USPLD)の両者を使用した。ここで、パルスエネルギーは、光学系によって所望の表面積へと焦点を合わせ、1平方センチメートルの面積において受け取られるパルスエネルギーを指す。使用した波長は、1064nmである。被覆される材料の温度を、室温から200℃の高温まで変化させた。種々の製品において、標的材料の温度を、室温および700℃の間で調節した。酸化物、金属、および種々の炭素主体の標的材料を、被覆プロセスにおいて使用した。被覆が酸素の相にて製造される場合には、酸素の圧力を10−4から10−1mbarへと変化させた。低出力のレーザにおいては、スキャナとして、通常のミラースキャナ、すなわちガルバニックスキャナを使用した。その後の被覆においては、自軸を中心にして回転するスキャナ、すなわちタービンスキャナを使用した。タービンスキャナが、調節可能な走査速度を可能にし、標的材料へと向けられるビームの走査速度を、1m/s〜350m/sの範囲で調節することができた。ガルバニックスキャナを成功裏に使用するためには、典型的には1MHz未満の低いパルス周波数が必要である。他方で、タービンスキャナの使用により、1MHz〜30MHzなどといった高い反復周波数においてさえも、高品質の被覆を製造できた。製造された被覆を、AFM、ESEM。FTIR、およびRama、ならびに共焦点顕微鏡によって調べた。さらに、光学的特徴(透過)ならびに抵抗率などといった特定の電気的特徴を調べた。使用するスポットサイズは、20〜80μmの範囲で変化させた。調べたすべての表面にピンホールは存在しなかった。粗さ、すなわち表面の一様性を、AFM設備によって1μmの面積について測定した。
実施例1
この実施例では、大理石を、(焼結カーボンの)ダイアモンド被覆によって被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとした。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:5μJ
パルス長:20ps
標的と基材との間の距離:4mm
真空レベル:10−6mbar(10−3気圧)
生成されたダイアモンド表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。ダイアモンド表面の厚さはおおむね500nmであり、表面の一様性は±10nmであった。表面において、マイクロ粒子は観察されなかった。
実施例2
この実施例では、アルミニウムフィルムを、(焼結カーボンの)ダイアモンド被覆によって被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとした。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:5μJ
パルス長:20ps
標的と基材との間の距離:4mm
真空レベル:10−5気圧
アルミニウムフィルムは、空色の色合いに着色された。生成されたダイアモンド表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。ダイアモンド表面の厚さはおおむね200nmであり、表面の一様性は±8nmであった。表面において、マイクロ粒子は観察されなかった。
実施例3
この実施例では、二酸化シリコン製の物体をダイアモンド被覆によって被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとした。
反復周波数:2MHz
パルスエネルギー:10μJ
パルス長:15ps
標的と基材との間の距離:2mm
真空レベル:10−3気圧
生成されたダイアモンド表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。ダイアモンド表面の厚さはおおむね50nmであり、表面の一様性は±4nmであった。生成された表面において、マイクロ粒子は観察されなかった。表面粗さは優良であり、ナノ粒子の寸法は最大20nmであった。
実施例4
この実施例では、銅板である物体を、酸化銅で被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとした。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:5μJ
パルス長:17ps
標的と基材との間の距離:10mm
真空レベル:10−1気圧
被覆プロセスの結果として、一様な品質の酸化銅表面が生成された。生成された表面の厚さはおおむね5μmであった。
実施例5
この実施例では、大理石を、酸化アルミニウム被覆で被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとし、酸化アルミニウムを直接的に蒸散することによって表面を形成した。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:4μJ
パルス長:10〜20ps
標的と基材との間の距離:3mm
真空レベル:10−6気圧
生成された酸化アルミニウム表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。酸化アルミニウムの厚さはおおむね500nmであり、表面の一様性は±5nmであった。表面において、マイクロ粒子は観察されなかった。
実施例6
この実施例では、大理石を、酸化アルミニウム被覆で被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとし、酸化アルミニウムを直接的に蒸散することによって表面を形成した。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:4μJ
パルス長:10ps
標的と基材との間の距離:3mm
真空レベル:0
生成された酸化アルミニウム表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。酸化アルミニウム表面の厚さはおおむね5μmであり、表面の一様性は±10nmであった。表面にナノ粒子が観察された。
実施例7
この実施例では、花こう岩の物体を、酸化アルミニウム被覆で被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとし、酸化アルミニウムを直接的に蒸散することによって表面を形成した。
反復周波数:4MHz
パルスエネルギー:4μJ
パルス長:10ps
標的と基材との間の距離:9mm
真空レベル:10−3気圧
生成された酸化アルミニウム表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。サファイア表面の厚さはおおむね1μmであり、表面の一様性は±9nmであった。表面において、顕著な量のナノまたはマイクロ粒子は観察されなかった。
実施例8
この実施例では、鋼製の物体を、酸化チタニウム被覆で被覆した。レーザ装置の性能パラメータは、以下のとおりとし、酸素含有のヘリウム雰囲気でチタニウムを蒸散することによって表面を形成した。
反復周波数:20MHz
パルスエネルギー:4μJ
パルス長:10ps
標的と基材との間の距離:1mm
真空レベル:10−2気圧
生成された酸化チタニウム表面を、AFM設備(原子間力顕微鏡)によって調べた。酸化チタニウム表面の厚さはおおむね50nmであり、1μmの面積を測定した場合に表面の一様性は±3nmであった。
実施例9
パルス周波数が2MHz、パルスエネルギーが5μJおよびパルス長さが20psの条件で、インジウムスズオキシド(ITO)、(In90重量%;SnO10重量%)を蒸散することにより木綿布の1枚(100mm×100mm)を被覆した。その際、標的と被覆される基材との距離は40mmであった。被覆工程の間における真空度は10−3気圧であった。得られた被覆は均一、透明であり、厚さは約1μmであった。平均粗さを測定したところ10nm未満であった。
実施例10
繰り返し周波数が27MHzおよび活性の条件でITO材料(In90重量%;Sn10重量%)を蒸散することにより銅薄板(厚さ約1mm、300mm×300mm)を被覆した。パルスエネルギーは5μJ、パルス長さは20psであり、標的と被覆される基材との距離は5cmに保たれ、被覆の間における真空度は10−2気圧であった。被覆厚さの測定値は950nm、粗さ、すなわち表面均一性の測定値は、1μmの面積中2nm未満であった。この試料の表面上にもピンホールは観察されなかった。
実施例11
パルス周波数が4MHz、パルスエネルギーが5μJおよびパルス長さが20psの条件で、酸化アルミニウムを蒸散することによりアクリルプラスチックの薄板(100mm×100mm)を被覆した。標的と標的との距離は2cmであり、被覆工程の間における真空度は10−3気圧であった。得られた被覆は透明であり、厚さは約800nmであった。この表面の粗さ、すなわち均一性は、1μmの面積を測定した場合に3nm未満であった。
本発明において特定された内容にもとづき、標的および/または標的と呼ばれる物体が、表面処理プロセスの別の工程において基材として機能することができ、その逆も然りであることは、材料がそこから蒸散される(すなわち、標的として機能する)のか、あるいは材料がそこへともたらされる(すなわち、基材として機能する)のかに応じて、当業者にとって明らかである。すなわち、少なくとも理論的には、同じ物体が、機械加工/被覆プロセスの工程に応じて、基材および標的の両者として機能することができる。
被覆用のレーザ蒸散方法に向けられる実施形態の多数の例
本発明の実施形態によれば、一つ以上の表面で物体を被覆するためであり、高品質プラズマを用いてその物体を加工および/または被覆するためのレーザ蒸散方法は、最大でも10 −3 気圧まで下がった真空中でレーザ蒸散が行なわれることを含む。1つの実施形態によれば、大気圧中でレーザ蒸散が行われる。本発明の実施形態によれば、蒸散において、蒸散される標的と被覆される基材との距離は2μm〜20mmである。本発明の実施形態によれば、蒸散される標的と被覆される基材との距離は5μm〜10mmである。本発明の実施形態によれば、蒸散される標的と被覆される基材との距離は10μm〜5mmである。
本発明の実施形態によれば、基材は、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなってよい。本発明の実施形態によれば、標的は、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなる。本発明の実施形態によれば、レーザ蒸散はパルスレーザにより行われる。本発明の実施形態によれば、レーザ装置はピコ秒レーザのような冷間動作レーザである。本発明の実施形態によれば、被覆対象の表面は、1mm 当たりに含まれるピンホールが1個未満であり、有利には1cm 当たりに含まれるピンホールが1個未満であり、好ましくは全被覆面積においてピンホールをまったく含まないように形成される。本発明の実施形態によれば、被覆対象の表面は、表面の最初の50%が、生成された表面に1000nmよりも大きい直径の粒子が形成されず、有利には前記粒子のサイズが100nmを超えず、好ましくは前記粒子のサイズが30nmを超えないように形成されるように、形成される。本発明の実施形態によれば、被覆対象の物体、すなわち基材が、標的をパルス状の冷間動作レーザで蒸散することによって被覆されており、その場合に、前記被覆された物体上に蒸着された表面の一様性が原子間力顕微鏡(AFM)によって1平方マイクロメートルの面積について測定したときに±100nmである。
本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的は、それまでは明らかに蒸散されていない標的の位置から材料を基本的に連続的に蒸発させるように、レーザビームによって蒸散される。
本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的は、薄板の供給として供給される。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的は、フィルム/テープの供給として供給される。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的の厚さは、5μm〜5mmであり、有利には20μm〜1mmであり、好ましくは50μm〜200μmである。高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、レーザビームは、タービンスキャナを介して標的へと向けられる。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的へと向けられる走査幅は、10mm〜800mmであり、有利には100mm〜400mmであり、好ましくは150mm〜300mmである。
本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いてレーザ蒸散により物体を加工および/または被覆するために、基材が、1つ以上の標的から蒸発させられたプラズマプルーム中で動かされる。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的と基材との間の距離が、蒸散プロセスの全体にわたって基本的に一定に保たれる。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、被覆対象の表面が、複数の標的から同時に蒸散された材料で形成される。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、被覆対象の表面が、蒸散された材料で形成されているプラズマプルーム中に、前記プラズマプルーム中に含まれる蒸散された材料と反応する反応性物質をもたらし、その結果得られる1つ以上の化合物で基材上に製造される前記表面を形成することで、形成される。
ナノ粒子の製造方法に向けられる実施形態の多数の例
高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、本発明の実施形態に基づきナノ粒子を生成する方法であって、標的材料は、最大10 −3 までの気圧の真空中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散される。本発明の実施形態によれば、標的材料は、大気圧中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散される。本発明の実施形態によれば、標的材料は、加圧中でナノ粒子を生成するためにパルスレーザによって蒸散される。本発明の実施形態によれば、ガス雰囲気は希ガスを含有する。本発明の実施形態によれば、ガス雰囲気は反応性化合物を含有する。本発明の実施形態によれば、ガス雰囲気は酸素を含有する。本発明の実施形態によれば、蒸散される標的は、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、紙、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなる。本発明の実施形態によれば、レーザ蒸散はパルスレーザにより行われる。本発明の実施形態によれば、蒸散のために用いられるレーザ装置は、ピコ秒レーザのような冷間動作レーザである。本発明の実施形態によれば、用いられるレーザ装置の出力は、少なくとも10Wである。本発明の実施形態によれば、用いられるレーザ装置の出力は、少なくとも20Wである。本発明の実施形態によれば、用いられるレーザ装置の出力は、少なくとも50Wである。
本発明の実施形態によれば、標的は、それまでは明らかに蒸散されていない標的の場所から材料を基本的に連続的に蒸発させるように、レーザビームによって蒸散される。本発明の実施形態によれば、標的は薄板の供給として供給される。本発明の実施形態によれば、標的はフィルム/テープの供給として供給される。本発明の実施形態によれば、標的の厚さは、5μm〜5mmであり、有利には20μm〜1mmであり、好ましくは50μm〜200μmである。本発明の実施形態によれば、レーザビームは、タービンスキャナを介して標的へと向けられる。本発明の実施形態によれば、標的へと向けられる走査幅は、10mm〜800mmであり、有利には100mm〜400mmであり、好ましくは150mm〜300mmである。本発明の実施形態によれば、ナノ粒子は、複数の異なる標的から同時に蒸散される材料から生成される。本発明の実施形態によれば、ナノ粒子は、被覆対象の表面が、蒸散された材料で形成されているプラズマプルーム中に、前記プラズマプルーム中に含まれる蒸散された材料と反応する反応性物質をもたらし、その結果得られる1つ以上の化合物で基材上に製造される前記ナノ粒子を形成することで、生成される。本発明の実施形態によれば、高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、表面処理構成の照射伝達ラインはタービンスキャナを有する。
本発明による方法について種々の可能な用途を示している。 本発明の一実施の形態による蒸散被覆装置を示している。 本発明の一実施の形態による装置において形成された多層基材を示している。 蒸発させられるカーボン素材(材料予備成形物127)が熱分解カーボンであり、標的と基材との間の距離が4mmであるレーザ蒸散構成において単結晶ダイアモンドビームが製造される本発明の一実施の形態を示している。 この場合には雪かき器であるが、本発明に従って被覆される大型の三次元形状の物体を示している。 本発明に従って被覆される電気通信装置の外郭構造を示している。 標的がテープの供給として供給される本発明の一実施の形態による蒸散被覆装置を示している。 レーザビームの走査のために本発明のいくつかの実施の形態において使用されるタービンスキャナを示している。 熱間加工(パルスが長いマイクロおよびナノ秒パルスレーザ)と冷間加工(短いパルスのピコおよびフェムト秒レーザ)との間の相違を、蒸散される材料へと向けられた熱伝達およびそれによって生じる標的材料の損傷に関して示している。 石製品を被覆するための本発明によるいくつかの実施の形態を示している。 本発明に従って被覆された医療器具を示している。 本発明に従って被覆された医療品を示している。 本発明に従って被覆される航空機部材を示している。 本発明に従って酸化アルミニウムで被覆された光学製品を示している。 本発明のいくつかの好ましい実施の形態による被覆用途の例を示している。

Claims (14)

  1. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、最大でも10 −3 気圧まで下がった真空中でレーザ蒸散が行われることを特徴とする一つ以上の表面で物体を被覆するためのレーザ蒸散方法であって、レーザ装置は冷間加工レーザである蒸散方法。
  2. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、大気圧中でレーザ蒸散が行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、蒸散される標的と被覆される基材との距離が2μm〜20mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、基材が、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなることを特徴とする先行請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的が、金属、金属化合物、ガラス、石、セラミック、合成ポリマー、半合成ポリマー、天然ポリマー、複合材料、無機あるいは有機のモノマーまたはオリゴマー材料からなることを特徴とする先行請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 被覆対象の表面が、1mm当たりに1個未満のピンホールを含むように、有利には1cm当たりに1個未満のピンホールを含むように、好ましくは全被覆面積においてピンホールをまったく含まないように形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 被覆対象の表面が、表面の最初の50%が、生成された表面に1000nmよりも大きい直径の粒子が形成されず、有利には前記粒子のサイズが100nmを超えず、好ましくは前記粒子のサイズが30nmを超えないように形成されるように、形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 被覆対象の物体、すなわち基材が、標的をパルス状の冷間動作レーザで蒸散することによって被覆されており、その場合に、前記被覆された物体上に蒸着された表面の一様性が原子間力顕微鏡(AFM)によって1平方マイクロメートルの面積について測定したときに±100nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的が、それまでは明らかに蒸散されていない標的の位置から材料を基本的に連続的に蒸発させるように、レーザビームによって蒸散されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的が、薄板の供給として供給されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、レーザビームが、タービンスキャナを介して標的へと向けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、標的へと向けられる走査幅が、10mm〜800mmであり、有利には100mm〜400mmであり、好ましくは150mm〜300mmであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、被覆対象の表面が、複数の標的から同時に蒸散された材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 高品質プラズマを用いて物体を加工および/または被覆するために、被覆対象の表面が、蒸散された材料で形成されているプラズマプルーム中に、前記プラズマプルーム中に含まれる蒸散された材料と反応する反応性物質をもたらし、その結果得られる1つ以上の化合物で基材上に製造される前記表面を形成することで、形成されることを特徴とする請求項1または請求項13に記載の方法。
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