JP2009527281A - 楕円形の咬合インターフェースを有する脊椎インプラント - Google Patents

Abstract

脊椎インプラント人工装具は、隣接椎骨構造へ装着するための一対の端板を備え、それぞれが相互係合する楕円形の輪郭の凸状および凹状の咬合表面を規定する。これらの楕円形咬合表面は、前方−後方方向において伸長され、内側−外側方向において比較的短い。本構成において、角度移動および／または軸回転に対応して、楕円表面は、隣接椎骨構造間の距離を増加させて移動することによって、人工装具を伸長し、また、実質的に中心位置または中立位置に部品を戻す反作用力を生成する。さらに、好適な形式において、凹状咬合表面の前方−後方長さは、前方−後方平行移動の制限範囲に対応するために、凸状咬合表面の前方−後方長さよりも増分的に大きい。

Description

本発明は、概して、ヒトの隣接脊椎骨間への移植用に設計される種類の脊椎インプラントの改良に関する。より具体的には、本発明は、改良型脊椎インプラント人工装具に関し、この改良型脊椎インプラント人工装具は、相互係合される（ｉｎｔｅｒ−ｅｎｇａｇｅｄ）咬合表面を規定する一対のインプラント部品を備え、このインプラント部品は、略楕円形の輪郭形状を有し、かつ制限および／または制御された咬合運動に対応するように設計される。

脊椎インプラント装具は、椎間板変性症、慢性腰痛、脊椎滑り症などの多くの臨床的問題を矯正または緩和するために、隣接骨の椎骨構造間の外科的移植を行なう当該分野において一般的に公知である。一般用語において、このような脊椎インプラントは、椎間留置用のサイズおよび形状を有するチタニウムまたはコバルトクロム合金、あるいは選択された高強度セラミックなどの比較的高強度の材料から作製される生体適合性構成を備える。設計によっては、インプラントは、多孔質領域あるいは自家または同種骨材料を収容するように構成される領域を有し、そうでない場合は、隣接する上位および下位椎骨構造へのインプラント装具の骨成長装着を促進する、いわゆる多孔質骨成長表面を規定する。このような脊椎インプラントは、患者特有の症状を緩和するために、隣接椎骨構造間において実質的に硬性の接触面を形成する融合装具として一般に使用されている。代替の脊椎インプラントの設計において、咬合型装具は、それぞれが椎骨構造の上位および下位に固定するように構成される上部部品および下部部品を含むと共に、患者の正常な、または実質的に正常な運動を維持または復元するために、その間に咬合接触面を規定する。

種々の咬合型脊椎インプラント装具が、当該分野において既知である。ほんの一例として、特許文献１は、１つの咬合型インプラント装具を開示し、この咬合型脊椎インプラント装具は、湾曲放射状または部分円形状のアーチによって規定される相互係合型の凹表面および凸表面を有し、湾曲アーチの半径は、前方−後方方向において大きく、アーチの半径は内側−外側方向において小さい。前方−後方と内側−外側方向における、相互係合するアーチのこのようなサイズ差は、咬合表面間の軸回転の制限範囲に有益に対応すると共に、正常な中立位置または非回転位置に係合表面を戻すように付勢する反作用力を生成する。さらに、係合したアーチ状表面は、さらに、角度移動の範囲に対応する。しかしながら、例えば、前方−後方方向または内側−外側方向におけるこのような角度移動は、係合表面を正常の中立位置に戻すように付勢する反作用力または再中心化力に付随しない。物理的な停止は、インプラント部品間の過剰な角度移動を防止するために提供される。

特許文献２は、別の咬合型脊椎インプラント装具を開示し、この咬合型脊椎インプラント装具は、ほぼ部分球形状または半球形状の相互係合型凹面および凸面を有し、凹面は、中心に位置する円筒形状部分をさらに含んでもよい。この咬合接触面は、係合したインプラント部品間の実質的に非拘束的な角度移動ならびに軸回転に対応すると共に、前部−後部または前方−後方平行移動の範囲を付加的にかつ有益に可能にするように設計される。過剰な移動に抵抗するように付勢し、かつ実質的に中立位置に咬合表面を再中心化するように付勢する反作用力は、存在しない。

咬合型脊椎インプラント装具におけるおよびそれに対する、さらなる改良に関する必要性が存在し、具体的には、係合した咬合表面間の角度移動および／または軸回転の範囲が、係合表面の運動を実質的に初期位置または中立位置に戻すように付勢する反作用力に付随し、さらに、係合した咬合表面が、前方−後方移動の範囲に対応する。本発明は、これらの必要性を満たし、さらなる関連利点を提供する。
米国特許第５，４０１，２６９号明細書 米国特許第６，１１３，６３７号明細書

本発明によると、脊椎インプラント人工装具は、相互係合する一対の楕円形の輪郭形状の凹状および凸状の咬合表面を規定し、これらの咬合表面は、前方−後方方向において伸長され、内側−外側方向において比較的短い。好適な形式において、前記凹面の前方−後方長さは、選択された増分分だけ前記凸面の前方−後方長さよりも大きい。これらの咬合表面は、その間の前方−後方平行移動の制限範囲に対応し、相対角度運動および／または軸回転の範囲にさらに対応すると共に、前記インプラント部品を実質的に中心位置または中立位置に戻すように付勢する反作用する力または再復元する力を加える。

好適な形式において、前記脊椎インプラントは、上部端板および下部端板などの一対の端板を備え、これらの端板は、適切な生体適合性構成から形成され、また、固定ピン、骨セメント、多孔質骨成長表面、またはその組み合わせによって、隣接上位および下位椎骨構造にそれぞれ固く装着するための装着手段を備える。これらの端板のそれぞれは、楕円形の輪郭の前記相互係合する凸状および凹状の咬合表面を規定する。一形式において、前記上部端板は、前記凸状咬合表面を担持し、前記下部端板によって担持される前記凹面へ入れ子式に収容され、またそれと咬合型係合する。

前記咬合表面の各々は、前記実質的に楕円形の輪郭形状によって規定され、この楕円形の輪郭形状は、前記前方−後方方向において長く、前記内側−外側方向において短い。より具体的には、前記前方−後方輪郭において、前記凸状咬合表面は、ほぼ前記前方−後方方向に延長する主軸によって規定される伸長形状を有し、また、前記凹状咬合表面に入れ子式に収容されるようなサイズであり、前記凹状咬合表面は、増分的により長いサイズと形状を有する、つまり、ほぼ前記前方−後方方向に延長する主軸も増分的により長い。前記内側−外側方向において、前記凸状および凹状の咬合表面は、比較的小さい楕円形の輪郭を規定する、つまり、ほぼ前記内側−外側方向に延長する比較的短い主軸を規定し、実質的に均一サイズであってもよい。

使用の際、前記相互係合する楕円形の輪郭の凸状および凹状の咬合表面は、その間の相対角度運動および相対軸回転の範囲に対応する。しかしながら、前記２つの端板が、角度移動および／または軸回転する際、前記凸状の楕円表面は、隣接椎骨構造間の距離を増加させて、前記凹状の楕円表面に重なることによって、前記人工装具を伸張し、実質的に中心位置または中立位置に前記部品を戻す反作用力を生成する。さらに、前記凸状および凹状の咬合表面間の前記前方−後方のサイズ差は、その間の前方−後方平行移動の制限範囲に対応する。

本発明のその他の特徴および利点は、本発明の原理をほんの一例として例証する添付の図面を併用して、以下の詳細説明よりさらに明白になるだろう。

添付の図面は、本発明を示す。図面は以下のとおりである。

例示的な図面に示されるように、図１〜５において参照番号１０により概略的に言及される脊椎インプラントは、一対の隣接椎骨構造１２および１４の間の椎間腔への外科的移植のために提供される。脊椎インプラント１０は、上部部品１６および下部部品１８を備え、隣接椎骨構造１２および１４にそれぞれ装着するように構成される。脊椎インプラント１０の上部および下部部品１６、１８は、相互係合型の凸状および凹状の咬合表面２０および２２を規定し、略楕円形の輪郭形状を有する。これらの係合する咬合表面２０、２２は、角度移動および／または軸回転の制限範囲に対応すると共に、実質的に中心位置または中立位置に部品を戻すように付勢する反作用力を生成するような形状である。さらに、係合する咬合表面２０、２２は、前方−後方方向における平行移動の制限範囲に対応する。

本発明の咬合型脊椎インプラント装具１０は、上部および下部インプラント部品１６および１８を備え、これらの部品は、適切な生体適合性材料から作製され、上位および下位の隣接骨の椎骨構造１２および１４にそれぞれが係合し、かつそれらに固く装着するようなサイズおよび形状を有する。この点において、２つのインプラント部品１６、１８の骨に対向する表面は、突起フィン、歯、またはピン２４、あるいはその同等物を備えてもよく、隣接する椎骨構造と安定固定する直接係合を提供するように設計される。また、２つのインプラント部品１６、１８のそれぞれは、上部表面および下部表面２６も備えてもよく、これらの表面は、多孔質骨成長構造、あるいは隣接する椎骨構造への長期安定装着のための相対的に急速な骨成長および骨融合を可能にし、またそれに対応する物質によって規定またはそれによって適切に被覆される。

咬合型装具１０の上部および下部インプラント部品１６、１８は、実質的に正常な解剖学的椎間運動を維持および／またはその運動に対応する意図で、相互に対向する軸受表面をさらに規定し、この軸受表面は、相互咬合型相互係合のための幾何学的形状を有する。例示的な図面において、上部インプラント部品１６は、そこから下方に突出するほぼ凸状で中心に位置する咬合表面または軸受部材２０を囲む関係にある裏面２８を備える。この下方に突出する凸状咬合表面２０は、下部インプラント部品１４の上面３０内のほぼ中央に形成される上向きの陥凹状または凹状咬合表面あるいは軸受部材２２内に収容され、かつ可動に支持する。

本発明によると、相互係合型凸状および凹状の咬合表面２０および２２は、両方とも、略楕円形の輪郭形状で形成される。より具体的には、両咬合表面２０、２２は、前方−後方方向において、伸長された略楕円形の輪郭を規定し、また、内側−外側方向において、比較的小さい楕円形の輪郭を規定するような形状である。従って、図１で最もよく分かるように、凸状咬合表面２０は、ほぼフットボール型の構造を規定するような形状であり、上部部品１６の周囲裏面２８から下方に延長して、下部部品１８の上面３０内のほぼ中央に形成されるほぼフットボール型の上向きの凹状咬合表面２２に可動的に着座して収容される。

前方−後方輪郭における凸状および凹状の咬合表面２０、２２の略楕円形の輪郭形状は、図２〜３において最もよく示される。図示されるように、上部凸状咬合表面２０は、ほぼ前方−後方方向に延長する主軸「Ａ」を有する楕円形１００のほぼ一部の表面として形成される。この凸状咬合表面２０は、上向きの凹状咬合表面２２内に着座し、この凹状咬合表面２２も、主軸「ＡＡ」を有する楕円形２００のほぼ一部の表面として形成され、その寸法は、楕円形１００の主軸「Ａ」の寸法よりも少なくとも若干大きい。

図４〜５は、内側−外側輪郭における、凸状および凹状の咬合表面２０、２２の楕円形の輪郭形状を示す。図示されるように、内側−外側輪郭における上部凸状咬合表面２０は、ほぼ内側−外側方向に延長する主軸「Ｂ」を有する楕円形３００のほぼ一部として形成される。また、下部凹状咬合表面２２も、主軸「ＢＢ」を有する楕円形４００のほぼ一部の表面として形成され、その寸法は、楕円形３００の主軸「Ｂ」と一致または実質的に同一であってもよい。

従って、上部凸状咬合表面２０は、ほぼ前方−後方方向に延長する伸長された主軸「Ａ」と、ほぼ内側−外側方向に延長するより短い軸「Ｂ」とを規定する楕円体の一部分にほぼ対応する形状を有する下方に隆起する構造を備える。この凸状の楕円体構造２０は、陥凹構造を備える下部凹状咬合表面２２内に着座し、この陥凹構造は、前方−後方方向の伸長された主軸「ＡＡ」と、ほぼ内側−外側方向のより短い軸「ＢＢ」とによって規定する楕円体の一部分にほぼ対応する形状を有する。上述のとおり、凹状咬合表面２２の主軸「ＡＡ」は、凸状咬合表面の主軸「Ａ」よりも長く、一方、内側−外側方向の短い軸「ＢＢ」および「Ｂ」は、実質的に等しい。

本構造によって、凸状および凹状の咬合表面２０、２２が係合する場合、制御運動および相対運動に対応する。具体的には、前方−後方方向のサイズ差によって、上部および下部インプラント部品１６、１８間の前方−後方平行移動が少し増分することになる。好適な一形式において、前方−後方方向におけるサイズ差は、約１／２から約３ミリメートルであるため、約１／２から約３ミリメートルの範囲内で、実質的に非拘束的な前方−後方平行移動が可能になる。しかしながら、このような平行移動がその限界に近づくと、凸状の楕円形表面２０の前方端部または後方端部は、凹状の楕円表面２２の上に重なって、その間のさらなる移動に抵抗する。つまり、凸状の楕円表面２０が、凹状の楕円表面２２の上に重なるので、隣接椎骨構造１２、１４の間の距離が増加し、結果的に人工関節が伸張することによって、さらなる移動に抵抗し、かつ咬合表面２０、２２を実質的に中心位置または中立位置に戻すように効果的に付勢する反作用力を生成する。

同じ現象が、２つの咬合表面２０、２２の間の相対角度移動または相対軸回転、あるいはその組み合わせに対応して発生する。つまり、凸状咬合表面２０の楕円形の輪郭形状は、凹状咬合表面２２の楕円形の輪郭形状の上に重なることによって、上部および下部部品１６、１８が離れるように付勢され、また、隣接する椎骨構造１２、１４間の空間が増加する。これにより、人工関節が伸張することによって、さらなる移動に抵抗し、かつ咬合表面２０、２２を実質的に中心位置または中立位置に戻すように効果的に付勢する反作用力を生成する。

図３および５は、上部部品１６から下方に突出する凸状咬合表面２０を示し、凸面２０が凹面２２との咬合型軸受係合時に着座する場合に、上部部品１６の周囲裏面２８が下部部品１８の上面３０から離間した状態を維持するように、十分な距離をとっている。この点において、この部品間の空間は、約５から約４０度、好ましくは約２５度の相対角度移動の正常範囲において、部品の表面２８、３０が離間した関係を維持するような十分な空間であることが望ましい。

本発明の改良された咬合型脊椎インプラントにおけるおよびそのインプラントに対する、種々のさらなる修正および改良は、当業者に明白であるだろう。限定的な例として、上部凸状および下部凹状咬合表面２０、２２は、必要に応じて逆にしてもよいことを理解されたい。さらに、当業者は、凹面２２の楕円形の輪郭形状内に、中心に位置する円筒形状部分を組み込むことによって、凹面２２の前方−後方長さを凸面に対して増加してもよいことを理解するだろう。従って、付随の請求項の記載以外は、前述の説明および添付の図面によって本発明を限定することは意図されない。

図１は、脊椎インプラントの前方または正面分解斜視図であり、楕円形咬合接触面は、本発明の新規の特徴を具現化している。 図２は、図１の脊椎インプラントの前方−後方垂直分解断面図である。 図３は、図２に類似する前方−後方垂直分解断面図であるが、咬合型係合における脊椎インプラントの上部部品および下部部品を示す。 図４は、図１の脊椎インプラントの内側−外側垂直分解断面図である。 図５は、図４に類似する内側−外側垂直分解断面図であるが、咬合型係合における上部および下部インプラント部品を示す。

Claims (8)

1. それぞれが隣接椎骨構造へ装着するように構成され、かつ相互係合可能な咬合型軸受部材を含む一対のインプラント部品を備える、脊椎インプラントであって、
   該軸受部材は、凸状咬合表面および凹状咬合表面を含み、その両方は、前方−後方方向における略楕円形の輪郭形状および内側−外側方向における略楕円形の輪郭形状によって規定される、脊椎インプラント。
2. 前記凹状咬合表面は、前記前方−後方方向において、前記凸状咬合表面に対して増分的に伸長される、請求項１に記載の脊椎インプラント。
3. 前記凹状咬合表面は、前記内側−外側方向において、前記凸状咬合表面と実質的に一致する、請求項２に記載の脊椎インプラント。
4. 前記凸状咬合表面および前記凹状咬合表面の各々は、楕円体の一部分として形成される、請求項１に記載の脊椎インプラント。
5. 前記凸状表面および前記凹状表面は、前記前方−後方方向において、前記内側−外側方向に対して伸長される、請求項１に記載の脊椎インプラント。
6. 前記一対のインプラント部品の各々は、隣接椎骨構造へ装着するための手段を備える、請求項１に記載の脊椎インプラント。
7. それぞれが隣接椎骨構造へ装着するように構成され、かつ相互係合可能な咬合型軸受部材を含む一対のインプラント部品を備える、脊椎インプラントであって、
   該軸受部材のそれぞれは、凸状咬合表面および凹状咬合表面を含み、その各々は、前方−後方方向における略楕円形の輪郭形状および内側−外側方向における略楕円形の輪郭形状によって規定され、
   該凸状表面および該凹状表面は、該前方−後方方向において、該内側−外側方向に対して伸長され、該凹状咬合表面は、該前方−後方方向において、該凸状咬合表面に対して増分的に伸長され、該内側−外側方向において実質的に相互に一致する、
   脊椎インプラント。
8. それぞれが隣接椎骨構造へ装着するように構成され、かつ相互係合可能な咬合型軸受部材を含む一対のインプラント部品を備える、脊椎インプラントであって、
   該軸受部材のそれぞれは、略楕円形状の凸状咬合表面および凹状咬合表面を含み、これらの表面は、ほぼ前方−後方方向に延長する伸長された主軸を有し、
   該凹状咬合表面は、前方−後方方向において、該凸状咬合表面に対して増分的に伸長される、脊椎インプラント。

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