JP2004237096A - 整形外科用単顆膝関節インプラント - Google Patents

Abstract

【課題】 可動ベアリング型の人工膝関節インプラントを提供する。
【解決手段】 人工膝関節インプラント１００は、複数のタブが外縁部に設けられた上側表面を有した脛骨トレイ１１０と、大腿骨コンポーネントと関節動作可能に係合する上側表面を有したベアリングコンポーネント１６０とを備える。ベアリングコンポーネント１６０に周方向に延びる環状溝がさらに設けられ、ベアリングコンポーネント１６０は脛骨トレイ１１０に対して移動可能にタブと係合する。他の実施形態において、人工膝関節インプラントは、ベアリングコンポーネントと係合する脛骨トレイを備え、ベアリングコンポーネントは、大腿骨コンポーネントと関節動作可能に係合する上側表面と、大腿骨コンポーネントの上側表面に設けられた一対のスロットとを含む。大腿骨コンポーネントはその関節表面から延びる一対のレールを有し、レールがスロットと摺動可能に係合する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、可動ベアリングと一般に呼称されるタイプの人工膝関節インプラントに関する。より詳細には、本発明は、ユニコンパートメント（”ユニ”）人工膝関節において使用するための可動ベアリング型人工膝関節に関する。

人の膝関節の屈曲及び伸展の際に固定の脛骨トレイに対して可動になっているベアリングコンポーネント（軸受コンポーネント）を有した人工膝関節は、可動ベアリング（モービルベアリング）型人工膝関節として知られており、本願中でも可動ベアリング型人工膝関節と呼称する。可動ベアリング型人工膝関節は、一般に、前処置を施された近位脛骨に取り付けられた脛骨トレイと、典型的には超高分子量ポリエチレン（“ＵＨＭＷＰＥ”）からなるベアリングコンポーネントとから構成される。ベアリングコンポーネントは、大腿骨コンポーネントがベアリングコンポーネントに対して関節動作できるように構成されている。多くの場合、膝関節の運動の際に脛骨コンポーネントに対するベアリングコンポーネントの運動を限定又は制限するために、単数又は複数の機構が存在している。

近年、膝関節置換術のような整形外科手術をより少ない又は最小の侵襲で行うことが、医師の目標となってきている。このため、整形外科医は、患者の膝関節の一つの区画（コンパートメント）のみに疾患又は損傷がある状況では、ユニ膝関節置換術を行い始めている。膝関節部分置換術によれば、膝関節の非患部区画に外傷を生じさせることが回避される。さらに、ユニ膝関節インプラントは全膝関節インプラントよりも小さい。よって、膝関節部分置換術は、当然に、膝関節全置換術より侵襲が少なくなる。しかしながら、ユニ人工膝関節は膝関節全置換術における対応物と比較して周知度に劣るので、可動ベアリング型ユニ人工膝関節のための設計はあったとしてもほとんど存在しない。

本発明は、一つの実施形態において、外縁部に複数のタブが設けられた上側表面を含む脛骨トレイと、大腿骨側人工膝関節と関節動作可能に係合するように構成された上側表面と周方向に延びる周方向溝とを有し且つ脛骨トレイの上側表面上に配設されたベアリングコンポーネントとを有し、脛骨トレイのタブが環状溝と係合し、ベアリングコンポーネントが、傾きを生じたり脱臼に至ったりすることなく、脛骨トレイに対して移動できるように協働する、人間の膝関節の単一の区画内に移植するための整形外科用膝関節コンポーネントからなる。

本発明は、他の実施形態において、ベアリングコンポーネントと支持係合した脛骨トレイを備え、ベアリングコンポーネントが、大腿骨側人工膝関節と関節動作可能に係合するように構成された上側表面と、ベアリングコンポーネントの上側表面に沿って設けられた一対のスロットとを含むようになっている、人間の膝関節の単一の区画内に移植するための整形外科用膝関節コンポーネントからなる。大腿骨コンポーネントは関節表面から延びる一対のレールを有し、レールがスロットと摺動可能に係合して、ベアリングコンポーネントが脛骨トレイに対して移動できるようになっている。

本発明の利点は、膝関節部分置換術において有益な可動ベアリング型人工膝関節を提供することである。本発明の他の利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付図面を見ることによって、当業者にとって明らかとなる。

添付図面に関してなされる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、本発明の上述の及び他の特徴及び目的、それらを実現する方法が明らかとなり、発明自体についてもより十分に理解される。

対応する参照符号は複数の図面を通して対応する部分を指している。図面は、本発明の例示の実施形態を表しているが、必ずしも正確な縮尺ではなく、本発明をより十分に図示し説明するために特定の特徴が誇張されていることがある。本願で提示されている具体例は、本発明の例示の実施形態を示しているに過ぎず、かかる具体例が本願の特許請求の範囲を制限するものではない。

本願で使用されている場合、以下の方向の定義が適用されるものとする。「前」、「後」は、それぞれ、身体の正面に近い側、身体の背面に近い側を意味する。したがって、本願に記載されている膝関節の場合、「前」とは、脚が伸展位になっているときの膝関節における身体の正面に近い部分を指す。「近位」、「遠位」は、それぞれ、構造の根元に近い側、構造の根元から遠い側を意味する。例えば、遠位大腿骨は膝関節の一部になっている一方、近位大腿骨は股関節に近い側である。最後に、形容詞としての「内」、「外」は、それぞれ、正中面に近い側、正中面から遠い側を意味する。正中面は、身体を右左半分に分割する身体の中央を通る仮想上の垂直面である。

図１には、本発明の第１の実施形態によるユニ人工膝関節インプラント１００の斜視図が示されている。ユニ人工膝関節インプラント１００は、脛骨トレイ１１０と、ベアリングコンポーネント（軸受コンポーネント）１６０とを備えている。ユニ人工膝関節インプラント１００は、障害や疾患で失った骨や組織を置換するために人間の膝関節の単一の区画（コンパートメント）内の関節空間に挿入され得る。本発明の実施形態が膝関節内側部置換術、膝関節外側部置換術、又は膝関節全置換術に有効であることは理解されよう。

図３を参照すると、本発明の脛骨トレイ１１０は、上側表面１２０と、少なくとも二つのタブ１３０と、下側表面１４０と、脛骨トレイ１１０を人間の脛骨に取り付けるためのぺグ１５０とを備える。脛骨トレイ１１０は、膝関節置換術の際に形成される関節空間内に適合するような適宜の大きさのものである。脛骨トレイ１１０は、さらに、脛骨トレイ１１０が脛骨インプラントとして機能するのに必要な必須の機械的特性を有した任意の生体適合性材料から構成されることができ、かかる材料には、金属、プラスチック及びセラミックが含まれる。しかしながら、典型的には、脛骨トレイ１１０は、チタン合金又はコバルト合金のような生体適合性金属からなる。

再び図３を参照すると、上側表面１２０は概ね平坦で滑らかとなっており、ベアリングコンポーネント１６０（本願において以下で説明される）が上側表面１２０に摺動可能に係合することを可能とさせるように構成されている。脛骨トレイ１１０は、上側表面１２０の外縁部に沿って配置された少なくとも二つのタブ１３０をさらに備えている。各タブ１３０は概略“Ｌ”字形状であり、各タブは、脛骨トレイ１１０の上側表面１２０に接続され且つ該上側表面１２０から上方に延びている第１のタブ部分１３１を備えるようになっている。各タブ１３０は、さらに、第１のタブ部分１３１の自由端部に接続され且つ該自由端部から上側表面１２０と概略平行となるように上側表面１２０の概略内側に向かって延びている第２のタブ部分１３２を備えている。

さらに図３を参照すると、脛骨トレイ１１０は、さらに、下側表面１４０を備えている。下側表面１４０は、外科的処置により前処置を施された近位脛骨に脛骨トレイ１１０を固定的に取り付けるための取付手段１５０を備えている。取付手段１５０は、近位脛骨に脛骨トレイを取り付けるために先行技術において公知となっている任意の手段とすることができる。しかしながら、近位脛骨に脛骨トレイ１１０を取り付ける正確な取付手段１５０は本発明にとって重要ではない。例えば、取付手段１５０は、ぺグ、ネジ、ピン、内部に骨を成長させ得る骨成長表面、脛骨の髄内腔内に挿入するための長尺ステム、またはこれらの組合せとすることができる。取付手段を骨成長表面とする場合、脛骨トレイ１１０の下側表面は、多孔質チタン、多孔質タンタル、ＦＩＢＥＲＭＥＴＡＬ（ファイバメタル）（商標）やＴＲＡＢＥＣＵＬＡＲ（商標）メタルのような繊維金属からなることが好ましい。

再び図１を参照すると、ユニ人工膝関節インプラント１００は、さらに、ベアリングコンポーネント１６０を備えている。ベアリングコンポーネント１６０は、通常、超高分子量ポリエチレン（“ＵＨＭＷＰＥ”）又は高度に架橋されたＵＨＭＷＰＥのような熱可塑性ポリマ材料又は熱硬化性ポリマ材料から構成される。ベアリングコンポーネント１６０は、さらに、ユニ人工膝関節のベアリングコンポーネントとして使用されるのに適した形状及び大きさを備えている。

ベアリングコンポーネント１６０は、遠位ユニ人工大腿骨の回転及び並進関節運動に対応できるように構成された上側表面１７０をさらに備えている。しかしながら、上側表面１７０の正確な形状又はこのような遠位人工大腿骨の正確な構造は本発明の実施形態にとって重要ではない。

また、ベアリングコンポーネント１６０は、脛骨トレイ１１０の上側表面１２０に摺動可能に係合するように構成された下側表面１８０を備え、ベアリングコンポーネント１６０が脛骨トレイ１１０に対して動くことができるようになっている。図１〜図５に示されている実施形態では、脛骨トレイ１１０の上側表面１２０は平坦であり、ベアリングコンポーネント１６０は上側表面１２０と概略平行な平面内においていずれの方向にも移動可能となっている。

ベアリングコンポーネント１６０は、さらに、概略垂直方向に延びる円周状の壁を備えており、円周状の壁には溝１９０が設けられている。溝１９０は任意の第２のタブ部分１３２がそこに嵌合することを可能とさせるのに適した深さ及び高さを有している。溝１９０の深さ及び高さは、タブ１３０の第２のタブ部分１３２が溝１９０に嵌合したときに溝１９０の高さ方向に隙間が残り、ベアリングコンポーネント１６０が脛骨トレイ１１０の上側表面１２０に沿って容易に摺動できるようになっている。タブ１３０は、ベアリングコンポーネント１６０が脛骨トレイ１１０の上側表面１２０から滑り外れることを防止する。ベアリングコンポーネント１６０が傾くことを防止するために、タブ１３０のうちの少なくとも一つが溝１９０と係合することが望ましい。

図６〜図８は、本発明の第２の実施形態による人工膝関節インプラント２００を示しており、人工膝関節インプラント２００は大腿骨コンポーネント２１０と、ベアリングコンポーネント２６０と、脛骨トレイ２９０とを備えている。

図６を参照すると、詳細には、大腿骨コンポーネント２１０は、外科的処置により前処置を施された遠位大腿骨と係合するための骨接触表面２２０を備えている。骨接触表面２２０は、通常、互いに交わる複数の面と、前処置を施された遠位大腿骨に大腿骨コンポーネント２１０を取り付けるための取付手段とを含んでいる。これら取付手段には、圧入、ネジ、内部に骨を成長させ得る骨成長材料、支柱、又はこれらの組合せが含まれ得る。

図６及び図７を参照すると、大腿骨コンポーネント２１０は、さらに、骨接触表面２２０と反対側に設けられた関節表面２３０を備えている。関節表面２３０は、本願において以下に記載されるようなベアリングコンポーネントに対して回転及び並進運動をし得るように、概略アーチ形状になっている。

図８を参照すると、大腿骨コンポーネント２１０は、内側縁部及び外側縁部と、各縁部に沿って配置され関節表面２３０から延びているレール２５０とをさらに備えている。レール２５０は以下で説明するベアリングコンポーネント２６０のスロット２７５に摺動可能に係合するように構成されている。

続けて図６及び図８を参照すると、ベアリングコンポーネント２６０が示されている。ベアリングコンポーネント２６０はユニ人工膝関節においてベアリングコンポーネント２６０として使用するのに適した形状及び大きさを備えている。

ベアリングコンポーネント２６０は、さらに、大腿骨コンポーネントの回転及び並進関節運動に適応できるように構成された上側表面２７０を備えている。上側表面２７０の内側縁部及び外側縁部に沿って設けられたスロット２７５は、レール２５０又は大腿骨コンポーネント２１０を摺動可能に受容し、大腿骨コンポーネント２１０がベアリングコンポーネント２６０に対して横方向に移動できないように構成されている。

しかしながら、本発明の範囲内で様々なスロット及びレールの形態がとられ得ることは理解されよう。例であって、限定ではないが、本発明は、２つより少ない又は２つより多いレール及びスロットの組合せを備えることもできる。あるいはまた、レールがベアリングコンポーネント２６０の上側表面２７０に設けられ、スロットが大腿骨コンポーネント２１０の関節表面２３０に設けられることも可能である。

また、ベアリングコンポーネント２６０は、脛骨トレイ２９０の上側表面２９１と摺動可能に係合する形状の下側表面２８０を備え、ベアリングコンポーネント２６０が脛骨トレイ２９０に対して移動できるようになっている。図６〜図８に示されている実施形態では、脛骨トレイ２９０の上側表面２９１は平坦であり、ベアリングコンポーネント２６０が上側表面２９１と平行な平面内においてどの方向にも移動可能になっている。

当業者は、上記が本発明の好ましい実施形態の説明であり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく好ましい実施形態に対して設計及び構成上の変形を加えることができることを理解できるであろう。

本発明の第１の実施形態の斜視図である。 本発明の第１の実施形態の側面図である。 本発明の第１の実施形態の脛骨トレイの斜視図である。 図３の脛骨トレイの代替実施形態を示している。 本発明の第１の実施形態の脛骨トレイの側面図である。 本発明の第２の実施形態の斜視図である。 本発明の第２の実施形態の側面図である。 本発明の第２の実施形態の正面組立分解図である。

符号の説明

１００…人工膝関節インプラント
１１０…脛骨トレイ
１２０…上側表面
１３０…タブ
１４０…下側表面
１６０…ベアリングコンポーネント
１７０…上側表面
１８０…下側表面
２００…人工膝関節インプラント
２１０…大腿骨コンポーネント
２３０…関節表面
２５０…レール
２６０…ベアリングコンポーネント
２７０…上側表面
２７５…スロット
２８０…下側表面
２９０…脛骨トレイ
２９１…上側表面

Claims (9)

1. 関節表面を有した大腿骨コンポーネントと、
   少なくとも二つのタブが縁部に設けられている上側表面を有した脛骨トレイと、
   前記大腿骨コンポーネントが関節動作することを可能とさせるように構成された上側表面と、前記脛骨トレイの前記上側表面と摺動可能に係合するように構成された下側表面と、周方向に延びる溝が設けられている外壁とを有するベアリングコンポーネントと、
   を備え、前記脛骨トレイの前記タブが、前記脛骨トレイの前記上側表面から近位側に向かって延びる第１のタブ部分と、前記第１のタブ部分に取り付けられており前記脛骨トレイの概略中央に向かって延びる第２のタブ部分とを有し、前記タブが前記ベアリングコンポーネントの外壁の溝内に選択的に係合可能となっていることを特徴とする人間の膝関節の単一の区画内に移植するための整形外科用単顆膝関節インプラント。
2. 前記ベアリングコンポーネントは、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、および架橋した超高分子量ポリエチレンからなるグループから選択された材料から構成されている、請求項１に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
3. 前記脛骨トレイは、内部に骨を成長させる骨成長手段を有した下側表面をさらに備える、請求項１に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
4. 前記脛骨トレイの前記下側表面は、多孔質チタン、多孔質タンタル、ファイバメタル、およびトラベキュラメタルからなるグループから選択された材料から構成されている、請求項３に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
5. 前記タブの数は、２，３及び４の中から選択される、請求項１に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
6. 大腿骨コンポーネントと、ベアリングコンポーネントと、脛骨トレイとを備え、
   前記大腿骨コンポーネントが、該大腿骨コンポーネントと前記ベアリングコンポーネントとの間に摺動可能に係合するための係合手段を少なくとも一つ備える関節表面を備え、該係合手段が、前記関節表面に設けられたレール及びスロットからなるグループから選択され、
   ベアリングコンポーネントが、下側表面と、前記大腿骨コンポーネントが関節運動することを可能とさせるように構成されている上側表面とを備え、該上側表面が前記ベアリングコンポーネントと前記大腿骨コンポーネントとの間に摺動可能に係合するための係合手段を少なくとも一つさらに備え、該係合手段がレール及びスロットからなるグループから選択され、
   前記脛骨トレイが、前記ベアリングコンポーネントの前記下側表面を支持するように該下側表面と係合する上側表面を有し、前記ベアリングコンポーネントが前記脛骨トレイに対して移動可能になっていることを特徴とする、人間の膝関節の単一の区画内に移植するための整形外科用単顆膝関節インプラント。
7. 前記ベアリングコンポーネントは、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、および架橋した超高分子量ポリエチレンからなるグループから選択された材料から構成されている、請求項６に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
8. 前記脛骨トレイは、内部に骨を成長させる骨成長手段を有した下側表面をさらに備える、請求項６に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。
9. 前記脛骨トレイの前記下側表面は、多孔質チタン、多孔質タンタル、ファイバメタル、およびトラベキュラメタルからなるグループから選択された材料から構成されている、請求項８に記載の整形外科用単顆膝関節インプラント。

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