JP2009523440A - Vegfバリアント - Google Patents

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Abstract

本発明は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)遺伝子のエクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失しているVEGFポリペプチドに関する。VEGFのこのバリアントは、VEGFに関連する活性を誘発することができるが、タンパク質分解に耐性を示す。本発明は、前記タンパク質およびそれをコードしている遺伝子由来の核酸配列の、疾病の診断、予防および治療における使用を提供する。

Description

本発明は、新規血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ポリペプチドならびにこれらのポリペプチドを使用する治療および診断の方法に関する。
本明細書に引用する全ての文書は、その全体を参考として援用する。
血管内皮細胞増殖因子-A(VEGF-A)は、34から45kDaの分子質量を有し、ジスルフィド結合で結合した二量体糖タンパク質である。それは、血管内皮細胞の生存、増殖、遊走および分化を刺激し、それらの遺伝子発現パターンを変化させ、老化を遅らせ、それにより血管新生、血管形成およびリンパ脈管新生を促進する[1]。それは、腫瘍の進行および転移において決定的なステップ、微小血管の透過化(効力は、以前の名称、血管透過因子を説明する)も生じる。その発現を良好に調整する制御は、発達に必須であり、マウスにおけるホモ接合およびヘテロ接合での欠失は胚性致死である[2、3]。VEGF-Aは、形質膜VEGF受容体-1(VEGFR1、flt-1)および-2(VEGFR2、KDR/flk-1)への結合を通じて作用し、リン酸基転移および下流シグナリングカスケードを活性化させる。VEGF-AのVEGF-R2への結合を可能にすることは、非キナーゼ受容体、ニューロピリン-1によって誘発される[4]。VEGFR-1およびVEGFR-2の可溶性型は、VEGF活性を負に制御するデコイ受容体として作用する[5]。
VEGF-A遺伝子は8個のエクソンを含有している。ヒトVEGF mRNAは、いくつかのアイソフォームを生成する二者択一的プライシングを受ける[6-12]。今日までに記載された全てのmRNAバリアントは、エクソン1から5までの配列を含有し、3'配列の二者択一的存在によってのみ異なっている。エクソン1およびエクソン2の一部はシグナルペプチドを、エクソン3および4はVEGF受容体-1および受容体-2への結合に必要とされる部分をそれぞれコードしている[13、14]。エクソン3は、分子のグリコシル化部位もコードしている[15]。エクソン5に具体的な機能は帰属されていないが、それがコードするアミノ酸配列はプラスミンによる分子の主な切断部位を含有している[13]。MMP-3を含むマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)による、マウスVEGFのエクソン5によってコードされる配列中における切断も示された[16]。
エクソン6および7によってコードされるペプチド配列は、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ニューロピリン-1-および-2ならびに細胞上の他の未同定受容体との結合において必要である[8]。
WO99/55377 米国特許第5252479号 WO2005/085285 WO2004/043389 WO03/018621 Human Molecular Genetics(1996年),T Strachan and A P Read,BIOS Scientific Publishers Ltdの20章 Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches
VEGFの機能は、多数の障害と関連している。癌など、不適当なVEGF依存性血管新生の下方制御が利益となるいくつかの場合がある。創傷治癒欠損および虚血障害など、VEGF依存性血管新生の増大が有益である他の適応もある。したがって、新規VEGFバリアントの発見およびこれらのポリペプチドの活性を調節する新規手段において必要性が存在する。
本発明者らは、エクソン6および7の欠失に加えてエクソン5を欠失しているVEGF mRNAの天然に生じる新規のアイソフォームを同定および記載している。本明細書がエクソン5を欠失しているヒトのVEGFアイソフォームの最初の記述である。
したがって、本発明の第1の態様により、VEGF遺伝子のエクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失しているVEGFポリペプチドが提供される。本発明者らは、この型のVEGFバリアントが天然に見出され、VEGFに関連する誘発活性について活性であり、かつタンパク質分解に耐性であることを示している。本発明によるポリペプチドの原型的な例は、本明細書においてVEGF111として識別されるアイソフォームによって提供される。これは、ポリペプチドに与えられる名前がシグナルペプチドの切断後の構成アミノ酸の数を表す通常の命名法に従って命名されている。
本発明者らは、VEGF111が、VEGF-R2のリン酸化、ERK1/2シグナル経路の活性化、内皮細胞における細胞内遊離カルシウム濃度の一過的増大の誘導およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖速度の増大を含む通常のVEGF活性を、他のVEGFアイソフォーム、例えばVEGF165およびVEGF121と同様のレベルで有し得ることを示している。さらに本発明者らは、VEGF111がマウス胚様体およびマウス成体において血管系の発達を促進することを示している。要約すると、VEGF111は、従来から既知のVEGFアイソフォームに匹敵する生物学的活性を示す。
本発明者らは、エクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失しているVEGF111がプラスミンおよび未治癒創傷から採取する体液による分解に耐性であることも示している。さらに本発明者らは、プラスミンまたは未治癒創傷から採取する体液による処理が、VEGF165およびVEGF121の活性を低下または抑制する一方で、VEGF111の活性には影響を与えないことを示している。今日までに検査された天然に生じる全てのVEGFアイソフォームは、プラスミンによって容易に分解され[13]、主な切断部位はエクソン5内でコードされるArg110-Ala111であると同定されている。タンパク質分解に耐性のVEGF165アイソフォームを生成するための試みは、従来から行われてきた[17]。しかし、そのようなタンパク質は、それらが天然には存在しないことから、ヒト宿主において免疫原性である可能性があり、望ましくない副作用を生じ、かつ医薬品として使用される場合に効果が低減するという不利益をこうむる。
新規VEGF111アイソフォームは、最初、HaCatおよびMCF-7細胞をUV-B放射線で照射(270nmから350nm、ピークは310nm)した後において同定された。VEGF111の発現は、照射のエネルギーと共に連続的に増大した。これらの細胞系においてVEGF189、VEGF165およびVEGF121アイソフォームも検出されたが、これらの発現レベルはUV-B放射線への暴露によって影響を受けたりまたは減少したりしなかった。
VEGF111アイソフォームの発現は、MCF7細胞において、遺伝毒性の薬理学的薬剤すなわちカンプトテシン、ミモシンおよびマイトマイシンCによっても誘導されることが見出された。これらの薬剤は、癌の治療のために使用される十分に周知の抗癌薬である。このことは、抗癌治療が意図せずにVEGF111発現を誘導し得るかどうか、およびこの事象が抗癌治療を受ける患者に有害となり得るかどうかの疑問を生じる。本発明者らは、ex vivoでカンプトテシンで処理した血液細胞においてVEGF111 mRNAが誘導されることも見出した。
VEGF111発現のレベルは、ヒト(前立腺、胸部、脳、肺、頸部、腎臓、子宮内膜および皮膚)およびマウス(前立腺、胸部、脳、肺、頸部、腎臓、子宮内膜、皮膚、心臓、肝臓、骨、脾臓、眼、胃、筋肉、腸、腱および胎盤)由来の多数の正常成体組織ならびに6から18日齢マウス胚において評価された。十分に周知のVEGF121、VEGF165およびVEGF189アイソフォームは容易に検出されたにもかかわらず、VEGF111アイソフォームは、これらの健康な試料のいずれにおいても検出されなかった。これは、VEGF111発現が疾病状態の潜在的原因となるまたはそれを反映するという主張を支持する。
本発明者らは、UV-Bまたはカンプトテシン処理によるヒトVEGF111 mRNAの発現が、エクソン4およびエクソン8の間の接合部を標的にするsiRNAによって低減されることも示している。この接合部は、VEGF111には存在するが、既知の他の全てのアイソフォームには存在しない。
本発明者らは、UV-Bまたはカンプトテシンによって誘導されたVEGF111 mRNAの発現が、ATM(血管拡張性失調症変異)/ATR(失調関連)、ERK(細胞外制御キナーゼ)、p38MAPK(p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)、JNK/SAPK(Jun N末端キナーゼ/ストレス活性化プロテインキナーゼ)、IKK-beta(IκBキナーゼベータ)またはセリン/トレオニンプロテインホスファターゼに影響を与える薬理学的薬剤によって低減または抑制されることも示している。
本発明は、エクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失しており、したがってエクソン5によってコードされる配列全体またはエクソン5の任意の部分を欠失している可能性がある任意のVEGFポリペプチドを含有する。現在の知識により、受容体結合活性の能力を有するのはエクソン3および4によってコードされる配列である。したがって、本発明は、エクソン5によってコードされる配列を欠失し、かつVEGF遺伝子のエクソン4によってコードされる配列または部分配列を少なくとも含むVEGFポリペプチドを含有する。そのようなポリペプチドは、VEGF遺伝子のエクソン3および4によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4および8によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4および7によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4および6によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4、7および8によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4、6および7によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4、6および8によってコードされる配列または部分配列を少なくとも、VEGF遺伝子のエクソン3、4、6、7および8によってコードされる配列または部分配列を少なくとも含み得る。シグナル配列は、VEGF遺伝子のエクソン1および2においてコードされており、したがって上記に記載した本発明のポリペプチドの任意の1つは追加的にVEGF遺伝子のエクソン1および/または2によってコードされる配列または部分配列を含み得る。本発明のこの態様によるポリペプチドは、成熟ポリペプチドの一部を形成するエクソン2の部分だけを含むこともできる。
具体的な実施形態において、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むVEGFポリペプチドが提供される。本発明は、配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るVEGF111ポリペプチドを含む。
本明細書において使用される用語「VEGFΔ5」は、VEGF遺伝子のエクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失している、上記に記載した任意のVEGFポリペプチドを含む。そのようなVEGFΔ5ポリペプチドは、例えばVEGFΔ5ポリペプチドの断片および変異体を含む、本発明のポリペプチドに実質的に類似する機能的または構造的特性を有するバリアントを含むこともできる。そのようなバリアントは、VEGFΔ5と比較して実質的に類似した活性を示すが、しかし、例えば特定の活性を増強または抑制するために、例えば必要に応じて変更されているかまたは変異が生じていることもできる。好ましくは、この型のバリアントは、生物学的活性または機能の測定に適するアッセイにおいてVEGFΔ5と比較して、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%またはそれ以上のVEGF様活性を示すポリペプチドであり得る。そのようなバリアントは、必要に応じて例えばそのVEGF様活性を除去するために変更されているかまたは変異が生じていることもできる。好ましくは、この型のバリアントは、生物学的活性または機能の測定に適するアッセイにおいてVEGFΔ5と比較して、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%または0%のVEGF様活性を示すポリペプチドであり得る。「VEGF様活性」は、VEGF-R2のリン酸化、ERK1/2シグナル経路の活性化、内皮細胞における細胞内遊離カルシウム濃度の一過的増大の誘導、HUVECの増殖速度の増大および/もしくはヒトを含む動物における血管新生の誘導または他のVEGFアイソフォーム、例えばVGEF165、VGEF121に匹敵するレベルで可溶性VEGF1およびVEGF2に結合する能力を意味する。
本発明によるVEGFΔ5ポリペプチドは、他のVEGFアイソフォーム、例えばVGEF165、VGEF121に匹敵するレベルでVEGF-R2のリン酸化[18]、ERK1/2シグナル経路の活性化[19]、内皮細胞における細胞間遊離カルシウム濃度の一過的増大の誘導[20]、および例えばHUVEC細胞において測定される様な細胞増殖を増大[21]させる能力を含む通常のVEGF様活性を有し得る。これらの活性を測定するために使用できるアッセイの例は、本明細書の実施例および上記で参照する刊行物の記事において提示される。好ましくはVEGFΔ5ポリペプチドは、同等の条件下でVEGF165およびVEGF121によって示される活性の少なくとも50%のレベルで、少なくとも1つ、好ましくは2つ、3つまたは4つ全ての上記活性を示す。好ましくはこの活性は、同等の条件下でVEGF165およびVEGF121によって示される活性の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも200%またはそれ以上である。
本発明によるVEGFΔ5ポリペプチドは、プラスミン分解および、例えば慢性潰瘍から採取される体液などの体液中に存在するプロテアーゼによる分解に耐性である。タンパク質分解への耐性は、ポリペプチドを適切な濃度のタンパク質分解酵素または慢性潰瘍から採取される体液などの様な体液と本明細書に記載の通りインキュベートすることによって測定できる。得られたポリペプチド産物は、次いで任意の適切な技術、例えばウエスタンブロット法によって分析できる。本発明のVEGFΔ5ポリペプチドは、エクソン5にタンパク質分解部位を含むVEGFポリペプチドよりも、好ましくは2倍を超えてタンパク質分解に耐性である。
本発明のバリアントポリペプチドは、VEGFΔ5ポリペプチドに相同なポリペプチドであり得る。2つのポリペプチドは、1つのポリペプチドの配列が他方のポリペプチドの配列に十分に高い程度の同一性を有する場合に、本明細書において使用される用語「相同」であると称される。「同一性」は、並列させた配列の任意の具体的な位置においてアミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。同一性の程度は、容易に算出される([22-26])。本明細書で称される同一性のパーセンテージは、NCBI(the National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって特定された初期設定のパラメーター[Blosum 62 matrix;gap open penalty=11 and gap extension penalty=1]を使用するBLAST version 2.1.3を使用して決定される。したがってバリアントポリペプチドは、VEGFΔ5ポリペプチドの天然の生物学的バリアント(例えばアレルバリアントまたはポリペプチドが由来した種における地理的バリアント)および変異体(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれを超えるアミノ酸置換、挿入または欠失を含有している変異体など)を含む。典型的には、本発明のこの態様によるバリアントは、同等の野生型VEGFアミノ酸配列と90%を超える相同性、好ましくは95%、97%または99%を超える相同性を示す。例えば、VEGFΔ5ポリペプチドがエクソン3、4および8によってコードされるアミノ酸配列を含む場合、本発明のこの態様によるバリアントはエクソン3、4および8によってコードされる野生型アミノ酸配列と90%を超える相同性、好ましくは95%、97%または99%を超える相同性を示すであろう。
本発明のVEGFΔ5ポリペプチドは、成熟タンパク質の形態であり得るし、または活性な成熟ポリペプチドを産生するためにプレ-、プロ-またはプレプロ-部分の切断によって活性化され得るプレ-、プロ-またはプレプロ-タンパク質であり得る。そのようなポリペプチドにおいて、プレ-、プロ-またはプレプロ-配列は、リーダー配列または分泌配列であり得るか、または成熟ポリペプチド配列の精製のために使用される配列でもあり得る。
本発明の第1の態様のVEGFΔ5ポリペプチドは、融合タンパク質の一部を形成できる。例えば、分泌またはリーダー配列、プロ配列、精製を促進する配列、または、例えば組換え体産生中にタンパク質に高い安定性を付与するもしくは画像技術によるポリペプチドの検出を可能にする配列を含有できる1つまたは複数の追加的アミノ酸配列を含有することは、しばしば有利である。
その代わりにまたはそれに加えて、成熟ポリペプチドは、ポリペプチドの半減期を延長する化合物(例えばポリエチレングリコール;WO99/55377)などの他の化合物と融合し得る。
VEGFΔ5ポリペプチドに適する融合相手は、N末端またはC末端のいずれにおいて融合タンパク質に含まれて良く、固体支持体への固定化、膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、多量体化ドメイン、細胞外タンパク質のドメイン、シグナル配列、輸送配列、およびアフィニティクロマトグラフィーによる精製を可能にする配列(例えば[27、28]を参照)、または例えば蛍光ペプチドなどの画像化を可能にする配列、を含む。他の例は、当業者に明白であろう[29]。例えば、本発明のポリペプチドは、好ましくはポリペプチドのC末端に位置し、一般にヒスチジン残基1〜10個、特にヒスチジン残基6個を含むヒスチジンタグをさらに含むことができる。
本発明のポリペプチドは、任意の適切な方法で調製され得る。そのようなポリペプチドは、単離された天然に存在するポリペプチド(例えば細胞培養液から精製される)、組換えによって産生されるポリペプチド(融合タンパク質を含む)、合成によって産生されるポリペプチドまたはこれらの方法の組合せによって産生されるポリペプチドを含む。
上記に記載した発見の組合せは、VEGF関連障害の治療および予防のために重要な結果を有する。これらの障害は、2つのクラスに分類できる。VEGF関連障害の第1のクラスは、VEGF依存性血管新生の下方制御が利益となるものであるのに対して、障害の第2のクラスは、VEGF依存性血管新生の増大が有利となるものである。血管新生は、既存の血管から新たな血管の形成をもたらす生理学的な過程である。それは、成長および発達ならびに創傷の治癒においては正常な過程である。本明細書において使用する用語「血管新生の調節」は、血管新生の上方制御および阻害の両方を包含することを意図している。
本発明のVEGFΔ5ポリペプチドの活性が具体的な疾病状態において過剰である場合、いくつかの手法が利用可能である。1つの手法は、リガンド、基質、酵素、受容体の結合を遮蔽することによりまたは任意の二次シグナルを阻害し、したがって異常な状態を軽減することなどによって、ポリペプチドの機能を阻害するために効果的な量で、薬学的に許容可能な担体と共に、対象に阻害化合物(アンタゴニスト)を、投与することを含む。好ましくはそのようなアンタゴニストは、抗体またはアプタマーである。他の手法において、目的のリガンド、基質、酵素、受容体への結合親和性を保持しているポリペプチドの不活性形態を投与し得る。ポリペプチドは、VEGFΔ5分子の関連する部分を保持している断片の形態で投与し得る。
別の手法において、VEGFΔ5ポリペプチドの発現は、内在的に生成されるかまたは別に投与されるアンチセンス核酸分子の使用などの発現阻止技術を使用して阻害できる。タンパク質合成および分泌の改変は、転写物のリボソームへの結合を妨げることによってmRNAの翻訳を遮蔽するための相補配列またはアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計することによって得られる。そのようなオリゴヌクレオチドは、投与できるかまたはin vivo発現からin situで生成できる。
加えて、本発明のポリペプチドの発現は、それをコードするmRNA配列に特異的なリボザイムまたはsiRNAを使用する、エクソン5を欠失している転写物の分解の特異的な増大によって妨害できる。リボザイムは、天然または合成であり得る触媒活性なRNAである[30]。合成リボザイムは、選択された位置でmRNAを特異的に切断するように、したがってmRNAの機能性ポリペプチドへの翻訳を妨げるように設計できる。リボザイムは、RNA分子中で通常見出される通り天然のリボースリン酸骨格および天然の塩基で合成できる。別法としてリボザイムは、リボヌクレアーゼ分解からの保護を与えるために非天然型骨格、例えば2'-O-メチルRNAで合成され得るし、修飾された塩基を含むこともできる。siRNAは、哺乳類細胞におけるRNAi(RNA干渉)応答の誘発をもたらす短鎖二重鎖RNAである。RNAiは、細胞に導入されるかまたは細胞で発現されるRNA分子が、相補的な細胞内mRNAの分解を最終的に生じる現象であり、遺伝子活性のノックダウンに至る。siRNAは、例えばその3'端へのデオキシリボヌクレオチドの付加によってリボヌクレアーゼに対する保護を与えるために、または例えば膜浸透性ペプチド、コレステロールもしくは他の脂質との会合後にそれらを細胞膜浸透性にするために、または当業者に周知の様にそれらを蛍光性にするために、改変できる。本明細書において本発明者らは、VEGF遺伝子のエクソン4からエクソン8にわたる配列を標的にするsiRNAの導入が、UV-Bまたはカンプトテシンによって誘導されるVEGF111のmRNAの発現を特異的に減少させることを示している。したがって好ましい実施形態において、本発明は、本発明のポリペプチドの発現を阻害するために、VEGF遺伝子のエクソン4からエクソン8にわたる配列を標的にするsiRNAの使用することを着想する。さらに好ましくは、siRNAは、本出願の表2において開示する配列を有する。
さらに、VEGFΔ5の発現は、エクソン5のスキッピングがもたらすスプライシング事象の阻害によって低下する可能性がある。そのような阻害は、細胞を化学薬剤で処理することによって得られる。本明細書において本発明者らは、ATM/ATR、IKK-beta、プロテインホスファターゼ、p38 MAPキナーゼ、ERK1/2キナーゼおよびJun N末端キナーゼ/ストレス活性化プロテインキナーゼ(JNK/SAPK)細胞内経路の阻害が、UV-Bおよび/またはカンプトテシンによって誘導されるVEGF111のレベルを低減することを示している。別法として、そのような阻害はRNAスプライシング機構に必要な因子の発現で干渉することによっても得られる。

蓄積された証拠は、進行性腫瘍増殖が血管新生に依存していることを示している。ほとんどの腫瘍は、in situで長期間(月から年)、無血管で静止性の状態で存続する。この段階で腫瘍は、数百万個の細胞を有している場合がある。血管新生、新たな血管の形成、は、腫瘍の増殖および転移の進展に必須である。拡散するために腫瘍は、酸素および栄養を運びかつ代謝廃物を除去する血管によって補給される必要がある。2立方ミリメートルの臨界容積を超えると、酸素および栄養が腫瘍の中心部の細胞へ行きわたることが困難になり、細胞性低酸素症を生じる。したがって新たな血管の発達は、腫瘍の進行において重要な過程である。それは、過形成から新形成への遷移、すなわち細胞性増殖の状態から腫瘍細胞に特有の制御されていない増殖の状態への変化を助ける。腫瘍の発生は、腫瘍、内皮細胞およびストローマ細胞由来のプロ血管新生シグナルと抗血管新生シグナルとの相互作用を含む複合した多要素の過程を通じて発達する。血管新生活性は、腫瘍内微小血管密度(MVD)によって定量される腫瘍組織中の新たな微小血管の発達に反映されている。
腫瘍組織の血管新生に関連している数個の分子の中で、VEGFは最も関連しているようである。VEGFが血管新生の鍵となる活性化物質であり[6、31]、多数の腫瘍において過発現されていることを示す重要な証拠がある。血管新生を促進することにより、VEGFは腫瘍細胞への酸素の供給を助け、転移の拡散を可能にする。そのような過発現は、患者の予後不良を伴う。固形腫瘍の血管形成レベルは、その転移能力の優れた指標になるとも考えられている。
VEGF依存性血管新生の阻害は、癌の治療に重要で密接な関係を有するであろう。抗VEGFヒト化抗体(Bevacizumab、avastin)は、臨床試験の第III相であり[32-34]、結腸直腸、胸部および肺の癌の治療において有益であることが証明されている。しかし、血栓症、たんぱく尿(偶発性のネフローゼ症候群に伴う)、肺塞栓、心筋梗塞、胃腸穿孔、喀血、鼻出血、創傷離開および重症の出血などの、場合によっては致命的な結果になる重い副作用が報告されている[32、35-38]。いくつかの作用は、外傷および内皮下コラーゲンへの暴露への応答における内皮細胞の回復能力の低下に関連しているであろう[39]。アバスチンの子供での安全性および胚の発達についての作用は未知であり、妊娠中のその使用は推奨されていない。加えてVEGF受容体-2の薬理学的阻害は、成体マウスにおいて血管の退化を生じ、増血前駆細胞の生存、分化および遊走が、VEGFに介在されることは、全てのVEGF-Aアイソフォームの阻害が有害となり得ることを示唆している。
今日までに調べられた健康なヒト組織のいずれにおいてもVEGF111が発現していないことから、本発明者らは、それが発達および健康には必要ではないようであると判断する。したがってエクソン5を欠失しているVEGF111などのVEGFアイソフォームを標的にする特定の治療は、全てのVEGFを標的にする治療を有利に代替することができる。
上記に記載の通り、VEGF111アイソフォームの発現は、カンプトテシン、ミモシン、およびマイトマイシンCなどの十分に周知の化学療法薬によって誘導されることが見出された。これらの薬剤は、癌の治療のために常用され、したがってVEGF111発現が化学療法中に誘導され得ると思われる。本明細書において本発明者らは、カンプトテシンが、ex vivoで健康な提供者の血液中でVEGF111発現を誘導したことを示している。したがって、本発明は、VEGF111または任意の他のVEGFΔ5の発現または活性を低減する化合物を患者に投与することを含む、患者において化学療法の副作用を低減する方法を含有する。特に抗体、アプタマー、siRNAおよび低分子薬剤化合物を含むVEGF111または任意の他のVEGFΔ5の発現または活性を低減する任意の化合物を使用できる。特に、VEGFΔ5の発現の低減は、RNAスプライシングの過程におけるVEGFエクソン5のスキッピングの低減によって得られるであろう。本明細書において本発明者らは、プロテインホスファターゼの阻害剤が、カンプトテシンで処理した細胞でのVEGF111の発現を90%を超えて低減させることを示している。本発明のこの態様は、抗癌治療処置中に誘導されるVEGF111または任意の他のVEGFΔ5のレベルを評価することによって抗癌治療の副作用の可能性をモニタリングすることを可能にする。
VEGF111または任意の他のVEGFΔ5の疾病治療への適用に加えて、VEGF111または任意の他のVEGFΔ5を検出する能力は、治療用モニタリングの方法における改善の可能性を表す。今日までに既知であるVEGFアイソフォームの検出は、VEGFが天然の条件下で、ほとんど全ての臓器において天然に発現していることから、癌の不十分なマーカーであることが証明されている。対照的に、体液または組織中のVEGF111または任意の他のVEGFΔ5の特異的検出は、疾病状態の特異的でかつ明白な証拠をもたらすであろう。
慢性関節リウマチ
慢性関節リウマチ(RA)における関節の滑液内層の膨張およびそれに続く基礎となる軟骨および骨のパンヌスによる侵襲は、酸素および栄養への増大した要求に対処するために滑膜への血管供給の増大を必要とする。今日、血管新生は、RAにおけるパンヌスの形成および保持において鍵となる事象であると認識されている。このパンヌスは、高度に血管形成されており、RAにおいて血管を標的にすることが効果的な将来的治療戦略になり得ることを示唆している。新たな血管形成の破壊は、炎症部位への栄養の送達を阻害するだけでなく、血管の退化および疾病の逆転の可能性も導き得る。
VEGFは、RAでの血管新生において中心的関与を有することが示されている。血管透過性因子としてのVEGFの追加的活性は、RAにおいて水腫およびそれによる関節の腫脹も増大させる。ネズミのコラーゲン誘導関節炎での、可溶性VEGF受容体を使用するVEGF活性の阻害が、疾病の重症度、脚の腫脹および関節の破壊を低減したことが示されている[40]。特にVEGF発現の低減による、またはVEGFの活性もしくは受容体への結合の遮蔽による、またはVEGFが誘導するシグナル経路の捕捉による、血管新生の阻害は、RAの将来的な治療のための有望な手段であると思われる。再び、VEGF111が今日までに調べられた健康なヒト組織のいずれにおいても検出されていないことから、本発明者らは、それが発達および健康に必要ではないようであると判断する。したがってエクソン5を欠失しているVEGF111などのVEGFアイソフォームを標的にする特定の治療は、この状態の治療のために全てのVEGFを標的にする治療を有利に代替するであろう。
乾癬
乾癬は、世界中で人口の約3%に生じる慢性皮膚疾患である。それは、表皮ケラチノサイトの過増殖、炎症性細胞の蓄積および過度の皮膚の血管新生によって特徴付けられる[41]。電子顕微鏡を含む組織学的研究は、皮膚の血管形成における変化が乾癬の顕著な特徴であることを明白に確立している。未制御の血管新生、表皮細胞の増殖および限局性慢性炎症は、乾癬斑の形成を生じる。VEGF依存性血管新生を標的とする薬剤の使用は、炎症性疾患の治療における新たな治療戦略を意味する。VEGF111などのVEGFΔ5アイソフォームを標的にする特定の治療は、この状態の治療のために全てのVEGFを標的にする治療を有利に代替するであろう。
眼の疾病
健康な眼において血管新生の制御は、視覚の明瞭さを保持するために不可欠である。正常な無血管の組織は、角膜ならびに水性液およびガラス体液を含む。眼における新血管形成は、多数の重要な状態において視覚の喪失および失明に至る。これらは以下の状態を含む。
翼状片
翼状片は、紫外線暴露に関連する、眼の表面の血管結合組織の増殖である。翼状片内はパンヌスの増殖および進行を促進する、おびただしく増殖する血管である。
角膜新血管形成
正常では無血管の角膜への新たな血管の侵入は、感染および傷害の後に生じる。角膜新血管形成は、多数の血管新生増殖因子によって誘導され得る。塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)は、正常ではデスメ膜内に隔離されており、傷害により可動化され得る。マクロファージおよび単球などの炎症性細胞も、様々な血管新生増殖因子を含有しており、角膜の炎症は新血管形成の一般的な刺激である。
虹彩ルベオーシス
前眼房の小柱網における新血管形成は、糖尿病において観察される。新たな血管が液の流出を塞ぎ、緑内障を生じる。VEGFなどの拡散可能な血管新生因子は、虚血性網膜組織由来であり、前眼房における新血管形成を促進すると考えられている。
網膜の新血管形成
虚血は、網膜における新血管形成の主な刺激であると考えられている。局所的な低酸素が、低酸素誘導因子-1アルファ(HIF-1アルファ)の遺伝子発現の上方制御を生じ、今度はVEGFの産生を刺激する。多数の血管新生増殖因子がガラス体液および網膜組織において検出されているにもかかわらず、VEGFが網膜の新血管形成の原因となる主な血管新生因子であると見なされている。VEGFは、血管透過性因子(VPF)としても周知であり、病理学的な網膜の微小血管は易漏である。VEGFは、血管新生内皮細胞のパラクリン生存因子としても作用する。網膜微小血管網に関連する血管周囲細胞は、正常では、活性型トランスフォーミング増殖因子-ベータ(TGF-ベータ)を分泌することによって血管新生を阻害している。血管周囲細胞の欠失が先行する糖尿病性網膜症は、この内在性血管新生阻害物質のレベルを低下させることによって新血管形成を促進する場合がある。
脈絡膜の新血管形成
脈絡膜の循環に由来する血管新生(網膜下の新血管形成)は、黄斑の水腫および変性に関連する。血管新生増殖因子、VEGFおよびFGFもこの過程に関連している。
眼腫瘍
眼における原発性および転移性腫瘍の両方が、増殖および進行について血管新生に依存している。
VEGF依存性血管新生を標的にする薬剤の使用は、上記疾病の治療において新たな治療戦略を表している。特に、VEGF111などのVEGFΔ5アイソフォームを標的にする特定の治療法は、この状態の治療のために全てのVEGFを標的にする治療を有利に代替するであろう。
血管新生の誘導
不完全な血管形成および新血管の形成に関連する異常な状態を治療するために、いくつかの手法も利用できる。1つの手法は、異常な状態を軽減するために本発明のポリペプチドの発現を活性化する化合物の治療用の効量を対象に投与することを含む。別法として、前記ポリペプチドの治療用の量を、適切な薬学的担体との組合せで、血管新生を刺激するために投与し得る。例えば適切な薬学的担体との組合せは、本発明の1つまたは複数のポリペプチドを生物学的に活性なドレッシングに融合することを含み得る。
遺伝子治療を、対象における関連する細胞によって本発明のポリペプチドの内因性の産生をもたらすために使用できる。
本発明の遺伝子治療は、in vivoまたはex vivoで生じ得る。ex vivo遺伝子治療は、患者細胞の単離および精製、前記細胞への治療用遺伝子の導入ならびに遺伝子的に変更した細胞を患者に戻す導入を必要とする。対照的に、in vivo遺伝子治療は、患者細胞の単離および精製を必要としない。
治療用遺伝子は、典型的には患者への投与のために「パッケージング」される。遺伝子送達媒体は、リポソームなどの非ウイルス性または、Berkner,K.L.,[42]に記載のアデノウイルスもしくはMuzyczka,N.,[43]および米国特許第5252479号に記載のアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターなどの複製欠損ウイルスであり得る。例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子は、複製欠損のレトロウイルスベクターでの発現のために工学的に操作され得る。次いで、この発現構築物は、単離され、パッケージング細胞が対象の遺伝子を含有する感染性ウイルス粒子を産生するように、ポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルスプラスミドベクターを導入されたパッケージング細胞に導入され得る。これらの産生細胞は、in vivoで細胞を操作するためおよびin vivoでのペプチドの発現のために対象に投与され得る(Human Molecular Genetics(1996年),T Strachan and A P Read,BIOS Scientific Publishers Ltdの20章、Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches(およびそこで引用される参考文献)を参照)。
他の手法は、治療用遺伝子が血流または筋肉組織に直接注入される、「DNA単独」の投与である。
創傷治癒
血管新生は、発達中に生じ、環境的なきっかけへの生理学的応答を表す[3]。新生血管の形成は、ストレスへの応答(創傷修復)[44]および虚血事象後の血栓再疎通[45]においても生じる。血管新生を介在する因子の中で、VEGFは、内皮細胞への選択的効果のために包括的な研究の対象となっている[46]。
VEGF165およびVEGF121は、プラスミンおよび慢性潰瘍由来の体液によるタンパク質分解を受けやすいが、VEGF111は、そうではない。特別な条件下ではあるが、細胞によるVEGF111発現が誘導され得ることから、それは免疫系によって認識されにくく、慢性創傷の治療での使用のための良い候補となる。したがって本発明は、上記の通り創傷をVEGFΔ5ペプチドに暴露することを含む、慢性創傷を治療または予防するための方法を提供する。一実施形態において、VEGFΔ5ポリペプチドは、局所的に慢性創傷に適用され得る。
慢性潰瘍
血管新生調節因子の分解が、慢性創傷の根本的原因であると示唆されている。慢性創傷においてVEGFの発現は上昇しているが、この環境での増大したタンパク質分解活性は、その分解を生じる。特に、Lauerら[47]は、慢性潰瘍から採取された創傷液がVEGF165のタンパク質分解を誘導し、プラスミンなどのセリンプロテアーゼのインヒビターがこの分解を低減させることを報告した。Arg110およびAla111(すなわちエクソン5において)で変異したVEGF165は、プラスミンおよび慢性潰瘍由来の創傷液による分解に耐性であるが、生物学的活性は残存しており、慢性潰瘍を治すために使用されることが示唆された[17]。しかし、そのような突然変異されたタンパク質が変異されたエピトープに対する抗体の産生を誘導することは、排除できない。
特定の条件下ではあるが、細胞によってVEGF111が産生されることから、それは免疫系によって認識されにくく、かつ創傷潰瘍、褥瘡およびそのような他の疾患を治すための良い候補となる。したがって、本発明は、上記に記載の通り潰瘍をVEGFΔ5ペプチドに暴露することを含む、慢性潰瘍を予防または治療するための方法を提供する。一実施形態において、VEGFΔ5ポリペプチドは、慢性潰瘍または同様の創傷に局所的に適用され得る。
UV-BでのVEGF111の誘導
前記に記載の通り、本発明者らは、VEGF111の発現がUV-B放射線に暴露することによって誘導され得ることを見出した。「UV-B放射線により」は、波長280nmから320nmの間の、好ましくは310nmのピークでの放射線を意味する。この発見は、慢性潰瘍を含む慢性創傷などの病態の治療について重要な意味を有する。したがって、本発明は、組織をUV-B放射線に暴露することを含むそのような病態、特に慢性潰瘍を治療するための方法を提供する。
追加的に本発明は、注入もしくは移植または任意の他の方法のいずれかによって細胞または組織を患者に投与することによって病態、特に慢性潰瘍を治療するための方法であって、前記細胞または組織をUV-B放射線に暴露しておく方法を提供する。追加的に本発明は、適切な細胞をUV-B放射線にin vitroで暴露することによってVEGFΔ5を、好ましくはVEGF111の形態で含有する培地を調製する方法を提供する。次いで、前記培地は、例えば注入または局所的適用によって患者に投与され得る。
虚血
虚血は、血流(したがって酸素)が身体の一部で制限されている状態である。心筋における虚血は、心虚血と称され、脳における同じ状態は、虚血発作と呼ばれる。末梢の虚血は、切断に至る可能性がある慢性潰瘍および循環障害などの健康上の重大な結果を有する場合がある共通の状態である。
VEGFは、虚血性の脳において血管新生を著しく増強し、脳卒中の回復期に神経学的欠損を低減することが示されている。脳卒中の急性期におけるVEGFの阻害は、血液脳関門透過性および病巣脳の虚血後の出血性変化のリスクを低減することもできる[48]。
VEGFは、心筋の虚血に応答して生じる虚血性の心臓における血管新生を増強することも示されている。
副行循環の成長(閉塞した動脈への身体の自然な応答)は、虚血および心筋梗塞を予防するためには、しばしば不十分である。血管新生増殖因子、特にVEGFΔ5、より好ましくはVEGF111の補充は、副行循環の発達の速度および量を増強する薬理学的方法の可能性を表している。したがって、本発明は、上記に記載の通り患者をVEGFΔ5ポリペプチドに暴露することを含む、虚血を治療または予防する方法を提供する。
子癇前症
子癇前症は、全妊娠の4〜5%に生じる障害であり、母体および新生児の罹患率および死亡率の主な原因となる。それは、胎盤の血管形成の欠損から生じ、高血圧、糸球体内皮症およびたんぱく尿に至る全身性の内皮障害と特徴付けられる。子癇前症の女性において、循環しているVEGFのレベルは上昇していることから、現在この疾患は、VEGFを隔離する可溶性VEGF-受容体1の高いレベルのためであると考えられている[49]。近年記載された可溶性VEGFR-2も同様の役割を演じ得る。
これに関連して、例えばVEGF111もしくはVEGFΔ5または可溶性VEGFR-1および/もしくは可溶性VEGFR-2に結合できる誘導ペプチドなどの、タンパク質分解耐性VEGFポリペプチドの投与は、患者への利益を有することができる。したがって本発明は、疾病において可溶性VEGF受容体の影響を低下させる方法を提供する。
勃起機能不全
勃起機能不全を生じる場合がある血管の問題の主な型は、動脈性の機能不全、静脈流出の不適切なインピーダンス(静脈のリーク)、または両方の組合せである。年齢および基礎疾患、特にアテローム性動脈硬化によって、陰茎に流入する血液の量が減少し陰茎の勃起を妨害する。勃起不全が長期間になるに従って、治療はさらに困難になるが、これは部分的にはこの疾患の追加的構成要素、すなわち虚血が作用にかかわってくるためである。長期化した虚血は、陰茎筋肉の量の喪失および線維質の増大を生じる。この患者群において最適な治療戦略は、存在している筋肉の収縮性のレベルを制御することよりも(または、と同様に)血管平滑筋の再生を可能にする分子の使用を含むべきである。このため、勃起不全の治療のためのプロ血管新生治療の発達は、重症の疾病を有する患者に対して有益であり得る。動物実験は、インスリン様成長ホルモン(IGF-I)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を陰茎血管新生増殖因子として同定している[50]。
上記全ての状況において、生物学的に活性な、タンパク質分解耐性VEGF111または他のVEGFΔ5は、当業者に周知のタンパク質分解感受性VEGFアイソフォームを超える著しい利点を与えるであろう。したがって、本発明は、上記に記載の通り患者をVEGFΔ5ポリペプチドに暴露することを含む、VEGF発現が低下している任意の疾病を治療または予防する方法を提供する。
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドをコードする精製された核酸分子を提供する。
用語「精製された核酸分子」は、好ましくは、(1)少なくとも約50パーセント、好ましくは、少なくとも約70パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントのタンパク質、脂質、炭水化物または元の細胞から総核酸を単離する場合に天然に見出される他の物質から単離されている、(2)「精製された核酸分子」が天然では結合しているポリヌクレオチド全体またはその一部に結合していない、(3)天然では連結しないポリヌクレオチドに機能可能なように連結する、(4)長いポリヌクレオチド配列の一部として天然では生じない、本発明の核酸分子を意味する。好ましい実施形態において、ゲノムDNA分子は、本発明の範囲から明確に排除される。好ましくは、「精製された核酸分子」は、cDNAまたはmRNAのみから成る。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、VEGFΔ5ポリペプチドをコードする核酸分子に、分子の全長にわたり少なくとも70%同一である核酸分子およびそのような核酸分子に実質的に相補的である核酸分子である。好ましくは、本発明のこの態様による核酸分子は、その全長にわたり、そのようなコード配列に少なくとも80%同一である領域を含むか、または、それに相補的である核酸分子である。この点について、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、99%またはそれを超えて同配列にその全長にわたって同一である核酸分子が特に好ましい。この態様における好ましい実施形態は、VEGFΔ5ポリペプチドと実質的に同様の生物学的機能または活性を保持しているポリペプチドをコードする核酸分子である。
好ましくは、精製された核酸分子は、配列番号1(VEGF111ポリペプチドをコードしている)に詳述する核酸配列を含む。本発明は、配列番号1(VEGF111ポリペプチドをコードしている)に詳述する核酸分子から成る精製された核酸分子をさらに提供する。これらの分子は、遺伝子暗号の縮合の結果として配列番号2のポリペプチドをコードする、異なる配列も有することができる。
本発明の核酸分子は、遺伝子産物(ポリペプチド)のクローニング、プロセシングおよび/または発現を改変することを含む様々な目的のために、当業者に一般に周知の方法を使用して工学的に操作され得る。ランダム断片化によるDNAシャフリングならびに遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのPCR再構成は、ヌクレオチド配列を工学的に操作するために使用できる技術として含まれる。部位特異的突然変異誘発は、新たな制限酵素部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン選択性の変更、スプライスバリアントの産生、変異の導入、欠失、挿入などのために使用できる。
遺伝子抑制手法も、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の内在的発現を下方制御するために実施され得る。RNA干渉(RNAi)[51]は、使用できる配列特異的転写後遺伝子抑制の一方法である。短鎖dsRNAオリゴヌクレオチドは、in vitroで合成されて細胞に導入されるか、または当業者に周知の適切なベクターのトランスフェクション後に細胞によって産生される。これらのdsRNAオリゴヌクレオチドの配列特異的な結合は、標的mRNAの分解を引き起こし、標的タンパク質の発現を低減または除去する。
上記で評価された遺伝子抑制手法の効果は、ポリペプチドの発現の測定を通じて(例えばウエスタンブロット法による)およびRNAブロッティング技術またはTaqMan法に基づく方法を含むRT-PCR技術を使用するRNAレベルにおいて評価できる。
第3の態様において、本発明は、高度にストリンジェントな条件下で本発明の第2の態様の核酸分子とハイブリダイズする精製された核酸分子を提供する。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、50%ホルムアルデヒド、5XSSC(150mM NaCl、15mMクエン酸3ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性切断サケ精子DNAを含む溶液中での42℃、一晩のインキュベーションに続く約65℃での0.1X SSC中でのフィルターの洗浄、もしくは他のハイブリダイゼーションおよび洗浄溶液の処方または現況技術で周知の他の手順と定義される。
本発明は、(a)本発明の核酸プローブを、二量体を形成するためのハイブリダイズ用の条件下で生物学的試料と接触させるステップと、(b)形成された任意のそのような二量体を検出するステップとを含む、本発明の核酸分子を検出するための方法も提供する。そのような方法は、本明細書に記載の診断への適用において有用である。特に、前記核酸分子は、DNAアレイ技術による様々なmRNAまたはcDNAの同時検出のために他の核酸分子と会合することができる。
本発明の核酸分子は、組織局在化のためにも有用である。そのような技術は、組織におけるVEGFΔ5ポリペプチドの発現パターンの決定を、それらをコードするmRNAの検出によって可能にする。これらの技術は、in situハイブリダイゼーション技術およびPCRなどのヌクレオチド増幅技術を含む。これらの研究からの結果は、生体におけるポリペプチドの機能の予示を提供する。
第4の態様において、本発明は、本発明の第2または第3の態様の核酸分子を含有する発現ベクターなどのベクターを提供する。本発明のベクターは、本発明の核酸分子を含み、クローニングまたは発現ベクターであり得る。本発明のポリペプチドは、宿主細胞中に含有されるベクターにおいてそれをコードする核酸分子の発現により、組換え体として調製され得る。そのような発現方法は、当業者に十分に周知であり、Sambrookら、(上記)およびFernandezおよびHoeffler[52]によって多数が詳細に記載されている。
第5の態様において、本発明は、本発明の第4の態様のベクターで形質転換した宿主細胞を提供する。本発明の宿主細胞は、原核または真核であり得る。本発明のポリペプチドをコードしている核酸分子の宿主細胞への導入は、Davisら、[53]およびSambrookら、(上記)などの多数の標準的な実験マニュアルにおいて記載されている方法によって成し得る。特に適する方法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン介在トランスフェクション、トランスフェクション、マイクロインジェクション、陽イオン性脂質介在トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレープローディング、弾丸導入または感染を含む[54、55、72]。真核細胞において、発現系は、系の必要に応じて一過的(例えばエピソーム性)または持続的(染色体への組込み)であり得る。
特に好ましい細菌宿主細胞の例は、連鎖球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス(Streptomyces)および枯草菌(Bacillus subtilis)細胞を含む。
カビでの発現に特に適する宿主細胞の例は、酵母細胞(例えばS.セレビシエ(S.cerevisiae))およびアスペルギルス(Aspergillus)細胞を含む。
発現のための宿主として利用できる哺乳類細胞系は、当業者に周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手できる、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、仔ハムスター腎臓(BHK)、サル腎臓(COS)、C127、3T3、BHK、HEK293、ボーズメラノーマおよびヒト肝細胞癌(例えばHep G2)細胞および多数の他の細胞系を非限定的に含む多数の不死化された細胞系を含む。
第6の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドに特異的に結合するリガンドを提供する。好ましくは、リガンドは、本発明の第1の態様のポリペプチドの機能を阻害する。
本発明によるポリペプチドへのリガンドは、天然もしくは修飾した基質、酵素、受容体、2000Daまでの好ましくは800Daまでもしくはそれ未満などの低分子天然または合成有機分子などの低分子有機分子、ペプチド模倣物、非有機分子、ペプチド、ポリペプチド、抗体、アプタマー、前記で挙げた構造的または機能的模倣物などを含む様々な形態で生じることができる。
本発明の好ましい態様において、本発明のポリペプチドに特異的に結合するリガンドは、抗体またはアプタマーである。さらに詳細には、抗体は、本発明によるポリペプチドに免疫特異的であるモノクローナル抗体であり、VEGF111ポリペプチドのエクソン4によってコードされるアミノ酸配列とエクソン8によってコードされるそれとの間の境界に位置するエピトープに特異的に結合する。他の適切なエピトープは、VEGFΔ5ポリペプチドのエクソン4によってとエクソン8の一部とによってコードされるアミノ酸配列の間の境界に、およびエクソン4によってとエクソン6またはエクソン6の一部とによってコードされるアミノ酸配列の境界に、およびエクソン4によってとエクソン7またはエクソン7の一部とによってコードされる境界部に位置するものである。
この型の抗体は、本発明のポリペプチドまたはそれらの免疫原性断片(少なくとも1つの抗原決定基を含む)を使用して生成し得る。ポリクローナル抗体が望ましい場合は、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマもしくはラクダなどの選択された哺乳類または、ニワトリなどの非哺乳類が、本発明の第1の態様のポリペプチドで免疫化され得る。本発明の第1の態様のポリペプチドへのモノクローナル抗体も、当業者によって容易に産生され得る。ハイブリドーマ技術を使用してモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法は、十分に周知である[56-58]。追加的にこの型の抗体は、ファージディスプレイ技術によって生成し得る[59]。本発明の第1の態様のポリペプチドに対して産生されるモノクローナル抗体のパネルは、様々な特性、すなわちアイソタイプ、エピトープ、親和性などについてスクリーニングされ得る。
用語「免疫特異的」は、他の関連するVEGFポリペプチドへの親和性よりも本発明のポリペプチドへの実質的に高い親和性を有する抗体またはアプタマーを意味する。本明細書において使用する用語「抗体」は、完全な分子ならびに、問題の抗原決定基に結合できるFab、F(ab')2およびFvなどのその断片を意味する。本明細書において使用する用語「アプタマー」は高度に特異的な三次元コンホメーションを取り得るオリゴヌクレオチド鎖(DNAまたはRNA)を意味する。アプタマーは、細胞外および細胞内タンパク質を含む特定の標的分子に対する高い結合親和性および特異性を有するように設計される。
「実質的に高い親和性」により、我々は、既知の分泌タンパク質への親和性と比較して本発明のポリペプチドへの親和において測定可能な増大があることを意味する。好ましくは、既知のVEGFアイソフォームと比較して本発明のポリペプチドへの親和における測定可能な増大がある。好ましくは、親和性におけるこの測定可能な増加は、本発明のポリペプチドに対してが既知のVEGFタンパク質に対してよりも少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103倍、104倍、105倍、106倍であるか、またはそれを超える。
抗体は、個体においてそれを低免疫原性にするために、例えばヒト化により改変され得る[60-66]。さらに別法として、抗体は、2つの異なる抗原結合ドメインを有し、各ドメインが異なるエピトープに対して向けられている抗体である「二重特異性」抗体であり得る。
上記の技術で生成された抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれでも、それらがイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫定量法(ELISA)またはプロテインアッセイにおける試薬として使用され得ることで追加的有用性を有する。これらの応用において、抗体は、放射性同位体、蛍光分子または酵素などの分析的に検出可能な試薬で標識され得る。
第7の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドをコードする天然の遺伝子の発現を変化させるため、または本発明の第1の態様のポリペプチドの活性を制御するために効果的である化合物を提供する。
そのような化合物は、本明細書において開示のアッセイおよびスクリーニング方法を使用して同定し得る。
本発明の第7の態様の化合物は、遺伝子の発現レベルまたはポリペプチドの活性を増大(刺激する)または減少(拮抗する)のいずれかをさせ得る。
重要なことに、VEGFΔ5ポリペプチドの同定は、疾病の治療および/または診断において効果的であることを証明できる化合物を同定することが可能になるスクリーニング方法の設計を可能にする。本発明の第6および第7の態様によるリガンドおよび化合物は、そのような方法を使用して同定できる。これらの方法は、本発明の態様として含まれる。
本発明の他の態様は、薬物制御因子候補、特にVEGF関連障害に対して活性である薬物候補のスクリーニングのための標的としてのVEGFΔ5遺伝子またはVEGFΔ5ポリペプチドの使用に存在する。
本発明のさらなる態様は、VEGFΔ5遺伝子もしくはポリペプチドまたはその断片に結合する化合物の能力を決定することを含む、VEGF関連障害の治療のための化合物のスクリーニング方法に存在する。
本発明のさらなる態様は、VEGFΔ5遺伝子もしくはポリペプチドまたはその断片の活性の調節を検査することを含む、VEGF関連障害の治療のための化合物のスクリーニング方法において存在する。
アンチセンス核酸
天然の遺伝子の発現を変化させるために効果的である化合物は、アンチセンス核酸分子であり得る。そのような分子は、遺伝子、RNA、またはVEGFΔ5ポリペプチドまたはその一部をコードするcDNAであり、一般に大きさで6から約50ヌクレオチドの範囲にある。具体的な態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチドまたは少なくとも200ヌクレオチドである。本明細書において使用する用語、VEGFΔ5「アンチセンス」核酸は、VEGFΔ5ポリペプチドをコードするRNA(好ましくはmRNA)の一部に相補的ないくつかの配列の効果によりハイブリダイズできる核酸を意味する。アンチセンス核酸は、VEGFをコードするmRNAのコードおよび/または非コード領域に相補的であり得る。アンチセンス分子は、PNA、モルホリノオリゴおよびLNAなどの核酸類似物であるポリマーであり得る。アンチセンス分子の他の型は、siRNAとして周知である短鎖二重鎖RNAおよび短鎖ヘアピンRNA、ならびに長鎖dsRNA(>50bpであるが、通常>500bp)を含む。
そのようなアンチセンス核酸は、VEGFΔ5発現を妨害する化合物としての有用性を有し、腫瘍退行のために使用できる。本発明のアンチセンス核酸は、二重鎖もしくは一本鎖オリゴヌクレオチド、RNAもしくはDNAまたはその改変体もしくは誘導体であり得て、細胞に直接投与でき、または外因性の導入された配列の転写によって細胞内で産生され得る。
第8の態様において、本発明は、治療、治療のモニタリング、またはVEGFが関係している疾病の診断およびモニタリングにおける使用のための本発明の第1の態様のポリペプチドまたは本発明の第2もしくは第3の態様の核酸分子、または本発明の第4の態様のベクター、または本発明の第5の態様の宿主細胞、または本発明の第6の態様のリガンド、または本発明の第7の態様の化合物を提供する。上記で詳細に記載した通り、そのような疾病は、潰瘍、放射線誘発潰瘍、任意の型の創傷治癒障害を含む細胞傷害;白血病、リンパ腫、骨髄形成異常症候群および癌などの骨髄増殖性疾患を含む細胞増殖性障害;新生物、黒色腫、肺、直腸結腸、胸、膵臓、頭部および頸部ならびに他の固形腫瘍;心臓血管障害;神経学的障害;糖尿病、特に糖尿病性の失明、糖尿病性腎疾患;加齢性黄斑変性;慢性関節リウマチ;乾癬;大脳および末梢性虚血;脳卒中;冠状動脈疾患;腎臓障害、溶血性尿毒症症候群;発達障害、生殖障害、特に勃起不全、子宮内膜症、子癇前症;および感染症を含む。
第9の態様において、本発明は、患者において疾病を診断する方法であって、本発明の第1の態様のポリペプチドをコードする天然mRNAの発現レベルまたは前記患者由来の組織中で本発明の第1の態様のポリペプチドの発現もしくは活性のレベルを評価するステップと、前記発現もしくは活性のレベルを対照レベルと比較するステップとを含み、前記対照レベルと異なるレベルが疾病の指標である方法を提供する。そのような方法は、好ましくはin vitroで実施される。同様の方法は、患者において疾病の治療的処置をモニタリングするために使用でき、長期間にわたるポリペプチドまたは核酸分子の発現または活性のレベルの対照レベルへの変化は、疾病の退行の指標である。
本発明の第1の態様のポリペプチドを検出するための一方法は、(a)抗体またはアプタマーなどの本発明の第6の態様のリガンドを、リガンド-VEGFΔ5(例えばVEGF111)ポリペプチド複合体の形成に適する条件下で生物学的試料と接触させるステップと、(b)前記複合体を検出するステップとを含む。
当業者が承知する通り、短鎖プローブでの核酸ハイブリダイゼーション、点変異分析、逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅の方法、ならびに異常なタンパク質レベルを検出するための抗体またはアプタマーを使用する方法などの、本発明の第9の態様による異なる多数のそのような方法が存在する。同様の方法は、患者においてモニターされる疾病の治療的処置を可能にするために短期間または長期間を基礎として使用され得る。
本発明による核酸分子は、診断薬として使用され得る。機能不全に関連する本発明の核酸分子によって特徴付けられる遺伝子の変異形態の検出は、遺伝子の過小発現、過発現、または場所が変化したもしくは一過的な発現から生じる、疾病の診断または疾病への感受性を、加えるまたは定義できる診断手段を提供する。遺伝子に変異を有する個体は、様々な技術によってDNAレベルで検出され得る。
診断用の核酸分子は、血液、尿、唾液、痰、組織生検または検死物など由来の対象の細胞から得られる。ゲノムDNAは、検出用に直接使用でき、または、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)または他の増幅技術[67-70]を使用して分析の前に酵素的に増幅され得る。
一実施形態において、本発明の態様は、患者において疾病を診断する方法であって、本発明によるVEGFΔ5ポリペプチドをコードする天然mRNAの発現レベルを評価するステップと、前記発現レベルを対照レベルと比較するステップとを含み、レベルが前記対照レベルと異なることが疾病の指標である方法を提供する。方法は、
a)患者由来の組織試料を、本発明の核酸分子と核酸プローブとの間のハイブリッド複合体の形成を可能にするストリンジェントな条件下で核酸プローブと接触させるステップと、
b)ステップa)において使用したのと同じ条件下で対照試料を前記プローブと接触させるステップと、
c)前記試料中のハイブリッド複合体の存在を検出するステップと
を含むことができ、対照試料におけるハイブリッド複合体のレベルとは異なる、患者試料におけるハイブリッド複合体のレベルの検出は、疾病の指標である。
上記に記載の方法における核酸分子の検出を補助するために、例えばPCRを使用する増幅ステップが含まれ得る。
疾病は、対象者由来の試料から、VEGFΔ5ポリペプチドまたはmRNAの異常に減少または増大したレベルを決定することを含む方法によって診断され得る。減少または増大した発現は、例えば核酸の増幅すなわちPCR、RT-PCR、RNaseプロテクション、ノーザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法などのポリヌクレオチドの定量のために当業者に十分に周知の任意の方法を使用してRNAレベルで測定できる。
本発明は、疾病を診断するためのこれらの方法において有用であるキットも提供する。本発明の診断用キットは、(a)本発明の核酸分子、(b)本発明のポリペプチド、または(c)本発明のリガンドを含み得る。
本発明の一態様において、診断キットは、ストリンジェントな条件下で本発明による核酸分子とハイブリダイズする核酸プローブを含む容器、核酸分子を増幅するために有用なプライマーを含む追加的な1つまたは複数の容器、ならびに疾病の診断を容易にするためのプローブおよびプライマーを使用するための指示書を含むことができる。キットは、未ハイブリダイズRNAを消化するための薬剤を保持する追加的容器をさらに含むことができる。
本発明のポリペプチドを検出するために、診断キットは、本発明によるポリペプチドに結合する1つまたは複数の抗体またはアプタマー、および抗体またはアプタマーとポリペプチドとの間の結合反応の検出のために有用な薬品を含むことができる。
第10の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドまたは本発明の第2もしくは第3の態様の核酸分子、または本発明の第4の態様のベクター、または本発明の第5の態様の宿主細胞、または本発明の第6の態様のリガンド、または本発明の第7の態様の化合物を、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
これらの組成物は、以下に詳細に記載の通り治療用もしくは診断用の薬品として、ワクチンとして、または他の免疫原性組成物として適切であり得る。
処方された場合、本発明の組成物は、対象に直接投与できる。治療される対象は、動物で良く、具体にはヒト対象者が治療され得る。
第11の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドまたは本発明の第2もしくは第3の態様の核酸分子、または本発明の第4の態様のベクター、または本発明の第5の態様の宿主細胞、または本発明の第6の態様のリガンド、または本発明の第7の態様の化合物を、潰瘍、放射線誘発潰瘍、任意の型の創傷治癒障害を含む細胞傷害;白血病、リンパ腫、骨髄形成異常症候群および癌などの骨髄増殖性疾患を含む細胞増殖性障害;新生物、黒色腫、肺、直腸結腸、胸、膵臓、頭部および頸部ならびに他の固形腫瘍;心臓血管障害;神経学的障害;糖尿病、特に糖尿病性の失明、糖尿病性腎疾患;加齢性黄斑変性;慢性関節リウマチ;乾癬;大脳および末梢性虚血;脳卒中;冠状動脈疾患;腎臓障害、溶血性尿毒症症候群;発達障害、生殖障害、特に勃起不全、子宮内膜症、子癇前症;および感染症を非限定的に含む疾病の診断または治療のための医薬品の製造における使用のために提供する。
第12の態様において、本発明は、患者において疾病を治療する方法であって、本発明の第1の態様のポリペプチドまたは本発明の第2もしくは第3の態様の核酸分子、または本発明の第4の態様のベクター、または本発明の第5の態様の宿主細胞、または本発明の第6の態様のリガンド、または本発明の第7の態様の化合物を、患者に投与することを含む方法を提供する。
血管形成および新血管の形成の増大が望ましい疾病のために、患者に投与されるポリペプチド、核酸分子、リガンド、細胞または化合物は、アゴニストであって良い。反対に、天然の遺伝子の発現またはポリペプチドの活性が、健康な患者における発現または活性のレベルと比較して、罹患している患者においては上昇している疾病のために、患者に投与されるポリペプチド、核酸分子、リガンドまたは化合物は、アンタゴニストであって良い。そのようなアンタゴニストの例は、アンチセンス核酸分子、リボザイム、抗体などのリガンド、およびVEGFエクソン5のスキッピングを低減できる薬剤を含む。
第13の態様において、本発明は、本発明の第1の態様のポリペプチドをさらに高レベルで発現するため、または前記ポリペプチドの誘導を妨害するために形質転換されているヒト以外のトランスジェニックまたはノックアウト動物を提供する。そのようなトランスジェニック動物は、疾病の研究のために非常に有用なモデルであり、そのような疾病の治療または診断において効果的である化合物の同定のための治療法のスクリーニングにおいても使用できる。
トランスジェニック動物は、体幹細胞の局所的改変によって、または遺伝的改変を具体化するための生殖細胞系の治療によって作製され得る。そのようなトランスジェニック動物は、本発明のポリペプチドの制御因子として効果的である薬物分子のための動物モデルの作製において特に有用であり得る。
本発明は、薬物候補または先例のスクリーニングのための方法も提供する。これらのスクリーニング方法は、結合アッセイおよび/または機能アッセイを含み、in vitro、細胞系内、または動物において実施できる。
この点について、本発明の具体的な目的は、VEGF関連疾患の治療または予防のための候補薬物をスクリーニングするための標的としてのVEGFΔ5ポリペプチドの使用にある。
本発明の他の目的は、生物学的に活性な化合物を選択する方法にあり、前記方法は、候補化合物を、VEGFΔ5をコードするRNAまたはポリペプチドと接触させるステップと、前記RNAまたはポリペプチドと、選択的におよび/もしくは高い親和性でのいずれかで結合する化合物を選択するステップとを含む。そのような方法は、別法として、候補化合物を、VEGFΔ5ポリペプチドを発現している組換え宿主細胞と接触させるステップと、前記VEGFΔ5ポリペプチドと前記細胞の表面で結合するおよび/またはVEGFΔ5ポリペプチドの活性を調節する化合物を選択するステップとを含む。そのような方法は、試験化合物を、レポーター構築物を含む組換え宿主細胞と接触させるステップであって、前記レポーター構築物が、そのスプライシングがVEGFエクソン5のスキッピンングに含まれる核酸配列の制御下にあるレポーター遺伝子を含むステップと、レポーター遺伝子のスプライシングを調節する(例えば刺激するまたは低減する)試験化合物を選択するステップとを含むことができる。
本発明のポリペプチドは、任意の様々な薬物スクリーニング技術において化合物のライブラリーをスクリーニングするために使用できる。適切な化合物は、例えば、細胞、無細胞調製物、化合物ライブラリーまたは天然物混合物から単離できる。これらのアゴニストまたはアンタゴニストは、天然もしくは修飾した基質、リガンド、酵素、受容体または構造もしくは機能模倣物であり得る。そのようなスクリーニング技術の適切な総説としてColiganら、[71]を参照。
上記の方法は、固定化薬品を含む様々な装置および条件を使用してin vitroで、実施でき、さらに動物モデルなどのVEGF関連障害のモデルにおける選択された化合物の活性をアッセイする追加的ステップをさらに含むことができる。
さらなる好ましいアッセイ方法は、当技術分野で記載されている。
定義
本発明の実施は、当業者が有する分子生物学、微生物学、組換えDNA技術および免疫学の常法の技術を利用する。そのような技術は、文献において完全に説明されている。特に参照に適する文献の例は、以下のSambrook Molecular Cloning[72]、DNA Cloning, Volumes I and II[73]、Oligonucleotide Synthesis[74]、Nucleic Acid Hybridization[75]、Transcription and Translation[76]、Animal Cell Culture[77]、Immobilized Cells and Enzymes[78]、A Practical Guide to Molecular Cloning[79]、the Methods in Enzymology series[80],特にvolumes 154 &155、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells[81]、Immunochemical Methods in Cell and Molecular[82]、Protein Purification: Principles and Practice[83]、およびHandbook of Experimental Immunology, Volumes I-IV[84]を含む。発明を利用するために使用できる標準的技術および手順のさらなる例は、WO2005/085285、WO2004/043389およびWO03/018621などの特許出願において記述され、その内容は、その全体を本明細書に援用する。本発明が、記載された具体的な方法、手順、細胞系、ベクターおよび薬品に限定されないことは理解されるであろう。
本発明の様々な態様および実施形態を、VEGFΔ5ポリペプチドに具体的に関連して、実施例の方法によってさらに詳細に以下に記載する。細部の改変を本発明の範囲を逸脱することなく行い得ることは理解されるであろう。
(実施例1)
材料と方法
正常ヒト初代皮膚繊維芽細胞は、若年の健康な提供者からの移植により得た。MCF7、HaCat、MDA-MB231は、FCS(10%、Cambrex、Petit-Rechain、ベルギー)、グルタミン(2mM)、アスコルビン酸(50μg/ml)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するDMEMにおいて培養し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、FCSを20%、2mMグルタミン、ヘパリン(Sigma)を5.8U/ml、ペニシリンおよびストレプトマイシンを補ったMCDB-131培地(InVitrogen)で0.2%ゼラチンのコート上で培養した。全ての培養物は、37℃、5% CO2下に保持した。
抗体およびウエスタンブロット法
以下の抗体を使用した、抗ERK1/2(ウサギ、ポリクローナル)および抗リン酸化-ERK1/2(マウス、モノクローナル)は、Sigma(St Louis、ミシガン州)からであり、抗VEGFR2(ウサギ、ポリクローナル)および抗VEGF(ウサギ、ポリクローナル)は、Santa Cruz(Santa Cruz、カリフォルニア州)からであり、抗リン酸化VEGFR2(ウサギ、ポリクローナル)は、Calbiochem(San Diego、カリフォルニア州)からであり、ラット抗マウスCD31は、BD Bisoscienceからであり、ならびにビオチン標識抗ラット抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼ複合二次抗体およびストレプトアビジン-FITCはDako(Glostrup、デンマーク)からであった。
タンパク質を、ポリアクリルアミドゲル上で移動させ、PVDF転写膜(NEN、Boston、マサチューセッツ州)に電気泳動的転写によって転写した。膜は、脱脂粉乳(3%、PBS-tween緩衝液中)でブロッキングし、第一抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ複合二次抗体で精査した。シグナルは、ECL Western Blotting Analysis system(Amersham、Little Chalfont、イングランド) を使用する化学発光およびX線フィルム暴露で検出し、Fluor-S MultiImager(Bio-Rad、Hercules、カリフォルニア州)を使用して定量した。
RNA精製
総RNAは、細胞培養物からHigh Pure RNA Isolation Kit(Roche Diagnostic、Mannheim、ドイツ)を使用して、マウスの初期胚(6から9日目)からリシス溶液中でDounceホモジナイザーで破砕した後にHigh Pure RNA Tissue Kit(Roche Diagnostics)を使用して、マウスの後期胚およびマウス成体もしくはヒト組織から液体チッソ温度で砕いた後に塩化セシウム浮選によって[85]精製した。
RT-PCR増幅
RT-PCR増幅は、GeneAmp Thermostable rTth Reverse Transriptase RNA PCR kit(Perkin Elmer)、総RNA 10ngおよび異なる対のプライマー(各5pmol、表1を参照)を使用して、自動化システム(GeneAmp PCR System 2400または9600、Perkin Elmer、Norwalk、コネチカット州)において実施した。VEGFアイソフォームmRNAおよび28S rRNAの増幅について、反応の効率をモニタリングするために、コピー数が既知である内部標準RNAを各試料に加えた[86、87]。RTステップ(70℃、15分間)に続いて、RNA/DNAヘテロ二重鎖の変性のために2分間95℃でインキュベートし、PCR増幅および最終伸長は72℃、2分間であった。PCR増幅のための条件は、28S rRNAおよびCD31 mRNAのためには、94℃を15秒間、66℃を20秒間、72℃を10秒間であり、VEGFのためには、94℃を20秒間、66℃を30秒間、72℃を1分間であった。RT-PCR産物を10%ポリアクリルアミドゲルに溶解し、gelstar dye(FMC BioProducts、Rockland、メイン州)で染色した後、Fluor-S MultiImager(BioRad)を使用して分析した。VEGF111アイソフォームmRNAの特異的な検出は、以下の通り実施した。mRNAをoligodT(Eurogentec、Seraing、ベルギー)およびSuperscript II(Invitrogen)を製造者による記載の通り使用して逆転写した。逆転写(42℃、50分間)に続いて、酵素を70℃、15分間で変性させた。VEGF111cDNAを、cDNA 40ng、オリゴP5およびP6(表1)ならびにTaqポリメラーゼ(Takara、滋賀、日本)を使用するPCRで増幅した。PCR増幅の条件は、94℃を15秒間、70℃を20秒間、72℃を10秒間であった。
紫外線B波での照射
細胞を24時間、播種した(直径60mmの培養皿1枚当たり、細胞5×105個または直径30mmの培養皿1枚当たり、細胞1×105個)。培養培地をフェノールレッドを含まないDMEM、500μlまたは200μlに交換し、細胞をフードの中で2個のPhilips TL 20W/12ランプを使用してUV光(30mJ/cm2)で45秒間照射した、培養皿のふたは外していた。UVX radiometer(UVP Inc、San Gabriel、カリフォルニア州)で測定された通り、UV-A波の割合は、総UV光の約10%であり、一方UV-Cは検出されなかった。照射後、フェノールレッドを含まないDMEMを、培養培地に交換した。
VEGF111スプライスバリアントcDNAの特性評価
UV照射したHaCat細胞由来のVEGF mRNAをP1およびP2プライマーを使用してRT-PCR増幅した。VEGF111に特異的な産物をゲル精製し、Thermo-sequenase radiolabeled terminator cycle sequence kit(Amersham Biosciences Inc.)を使用して配列分析した。全長VEGF111 cDNAを、P3およびP4プライマーを使用するRT-PCR増幅によって得て、大学の中核設備で配列分析した。
組換えVEGF
UV照射HaCat細胞から精製したRNAをSuperScriptIIおよびoligodTプライマーを使用して逆転写した。VEGF111、121および165の完全コード配列を、P3(5'末端にNotI制限酵素部位を含有する)を順方向プライマーとしておよびP4(5'末端にNheI制限酵素部位を含有する)を逆方向プライマーとして使用して、Pwo DNA polymerase(Roche)で増幅した。NotI/NheI消化およびゲル精製後、PCR産物を、改変マルチプルクローニング部位を含むpCEP4ベクター(InVitrogen)のNotI部位とNheI部位との間に連結した(Ligation Kit versionII、TaKaRa)。プラスミドを細菌中で増幅し、Plasmid Miniprep Kit(BioRad)を使用して調製した。HEK293細胞は、FuGene6(Roche Molecular Biomedical)を使用してプラスミド1〜2μgでトランスフェクトし、形質転換細胞は、ハイグロマイシン(100mg/ml)、2〜3週間によって選択した。VEGF産生のために、形質転換細胞は、コンフルエンスまで増殖させ、培地を、血清およびハイグロマイシンを含まないDMEMに交換した。48時間後、馴化培地を細胞の破片を除去するために遠心分離した。
細胞増殖
1500HUVECをFCSの存在下で24マルチウェルディッシュのゼラチンコートしたウェルに播種した。3時間後、培地を、VEGFを含むまたは含まない新鮮な培地に交換し、2日ごとに交換した。細胞を様々な時点で回収し、DNAを、ビスベンズイミドで標識後に、SpectraMax Gemini XS appratus(Molecular Devices、イングランド)で蛍光定量法によって測定した。いくつかの実験においては、3H-チミジン(1μM、2.5Ci/mol、NEN、Wellesley、マサチューセッツ州、米国)を2日目に細胞培養物に加え、トリクロロ酢酸-沈澱物の放射線活性を18時間後に測定した。
細胞内カルシウム測定
HUVECを、ゼラチンでコートしたホウケイ酸培養チャンバー(Lab-Tek(登録商標)、Nunk、Rochester ニューヨーク州)で、FCSを20%含有するMCDB-131培地において18時間プレートに蒔き、無血清培地でリンスし、無血清培地中でfluorophore Fluo3-AM(10μM、Molecular Probes、Eugene、オレゴン州)と2時間インキュベートし、洗浄した。Fluo3標識細胞から発光される蛍光の観測は、最後の洗浄の5分後に開始した。無作為に選択した顕微鏡野は、共焦点顕微鏡(Meridian、Akemos、ミシガン州)で調査した。Fluo3標識細胞は、アルゴンレーザーによって488nmで励起し、視野の各細胞で発光された蛍光をリアルタイムイメージングによって530nmで記録した。画像化過程およびデータ計算は、Meridian softwareを使用して実施した。発光された蛍光の強度は、4分間、毎秒記録した。細胞によって総蛍光強度が変化することから、記録の最初での各細胞の蛍光レベルを、任意のユニットに標準化した。休止細胞のベースラインは、最初の取得画像の±10%付近のレベルで自然に振動した。20秒間のベースラインの記録後、VEGF111、VEGF121またはVEGF165(10ng)を発現しているか、またはしていないHEK293細胞由来の馴化培地10〜20μlを、穏やかに顕微鏡調査下の細胞に加えた。ベースラインからの20%の上昇を、有意なカルシウムの上昇と考え、細胞が応答したと見なした。結果は、応答している細胞のパーセンテージで表した。
VEGFの脱グリコシル化
VEGF165、VEGF121またはVEGF111を発現しているHEK293細胞か、または対照細胞の馴化培地をN-グリコシダーゼF(PNGase F、New England BioLabs、Ipswich、マサチューセッツ州)で製造者の記載の通り処理した。様々なVEGFアイソフォームの処理の前後での電気泳動パターンを、ウエスタンブロット法によって決定した。
in vitro血管新生
胚様体を以前記載された通り形成した[88]。簡単には、未分化ES CGR8細胞を、10%FCS、0.1mM 非必須アミノ酸および0.1mM β-メルカプトエタノールを補ったDMEMの20μl滴中で4日間凝集させ、ゼラチンコートカバースリップ上の様々な組換えVEGFアイソフォーム(25ng/ml)を含有する同じ培地中で6日間さらに培養を続けた。免疫組織化学用に胚様体を、メタノール中で固定し、ラット抗マウスCD31抗体、ビオチン複合抗ラットIgGおよびストレプトアビジン/FITCとインキュベートした。免疫染色を、共焦点顕微鏡(Leica、Wetzlar、ドイツ)で観察した。
in vivo血管新生
対照HEK293細胞(空ベクターでトランスフェクトされた、2×106)またはヒト組換えVEGF111、121または165を発現しているHEK293細胞を、増殖因子を除いた200μlマトリゲル(Becton Dickinson、adresse)と混合し、ヌードマウス(6週齢、Swiss Nu/Nu)の側腹部に皮下で注入した。3週間後、我々の施設の倫理指針に従ってマウスを屠殺した。マトリゲルプラグおよび周辺の組織を検査し、マトリゲルプラグを切開した。一部をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに封入し、切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色後、分析した。他の部分は、総RNAの調製のために使用した。
(実施例2)
遺伝毒性薬剤は、エクソン5を欠失した新規VEGFアイソフォームの発現を誘導する
HaCat細胞(不死化ヒトケラチノサイト)、MDA-MB-231細胞およびMCF-7細胞(2個は、形質転換されたヒト胸部内皮細胞系)によるVEGF mRNAアイソフォームの発現についての、UV-B(30mJ/cm2)による照射の影響。様々なVEGFアイソフォームをコードするmRNAを、RT-PCRで測定した。プライマー(P1およびP2、表1を参照)は、実験の時点で既知であったヒトおよびマウスVEGFの様々なアイソフォームの増幅およびサイズに基づく区別を可能にするためにVEGF遺伝子のエクソン3および8で選択した。これらは、逆方向プライマーに相補的な配列においてヒトおよびマウスmRNAとハムスターmRNAとの間で1つミスマッチがあるにもかかわらず、ハムスター由来VEGF mRNAの増幅も可能にした。VEGF189、VEGF165およびVEGF121 mRNAを対照および照射された細胞において検出した(図2A、上パネル)。これらのレベルは、3つの細胞系において、UV-B照射によって本質的に影響を受けないかまたは低下していた。28S rRNAの増幅(プライマーP6およびP7、表1参照)は、同様の量のRNAが増幅されるように(図2A、下パネル)制御するために使用された。早く移動するRT-PCR産物(図2A上パネルの矢印)は、照射されたMCF7細胞で観察され、照射されたHaCatおよびMDA-MB-231細胞では低レベルで観察されたが、対照細胞では観察されなかった。UV-B照射されたHaCat細胞から増幅された速く移動するcDNAを、アクリルアミドゲルから抽出し、PCRによって増幅し、プライマーP1およびP2(表1)を使用して配列分析した。分析は、それが、VEGFのエクソン3、4および8の予測される配列を含有するが、エクソン5から7によってコードされる配列を失っていることを明らかにした。全長VEGF cDNAは、UV処理HaCat細胞由来のRNAおよびプライマーP3およびP4(表1)を使用して生成した。アクリルアミドゲル上での反応産物の移動後、速く移動するバンドを切り出した。配列分析は、それが、VEGFのエクソン1から4およびエクソン8を有するが、エクソン5から7を有さないことを示した(図2A上パネルを参照、)。現在の命名法に従って、シグナルペプチドの切断後に配列が111アミノ酸長のVEGF分子をコードすることから、それをVEGF111と名付けた。特に、エクソン5によってコードされる30塩基対の切断は、下流配列の読み枠を変化させない。
エクソン4と8の間の接合部はVEGF111 mRNAに特異的であることから、我々は、このアイソフォームをこれらのエクソンにまたがって位置する逆方向プライマー(P5)、エクソン3に位置する順方向プライマー(P1)を使用して増幅した。期待される大きさの産物を、UV-B照射細胞由来の総RNAを使用する2段階RT-PCR増幅の後に検出したが、対照細胞からは検出せず、上記で観察された速く移動する産物の増幅を反映している(図2A、中パネル)。
30mJまでのUV-Bでの処理におけるVEGF111 mRNAの発現の投与量-応答分析を、MCF7細胞において実施した。VEGF111の発現は、照射のエネルギーと共に全てのVEGF mRNAの最大25%まで連続的に増大した(図2B)。したがって、エネルギー30mJを、続く全ての実験において選択した。照射後の様々な時期で回収したMCF7細胞で、VEGF111 mRNAの発現を測定した。12時間後で容易に検出され、24時間後にピークになり、その後減少した(図2C)。
UV-Bは遺伝毒性効果を有することから、遺伝毒性な薬理学的薬剤、すなわちカンプトテシン、ミモシンおよびマイトマイシンCによるVEGF111発現の誘導を、調査した。カンプトテシン(1μM、Sigma)、トポイソメラーゼI毒素は、HaCat細胞およびMCF7細胞において、24時間で、UV照射後に観察されたレベルと同様またはさらに高いVEGF111の発現を誘導した(図2A)。投与量-応答分析は、VEGF111の誘導は、MCF7細胞においてカンプトテシンの濃度と共に連続的に増大したことを示した(図2D)。経時実験は、VEGF111の誘導は、6時間後に既に検出され、24時間後にプラトーに達したことを示した(図2E)。L-ミモシン(5mM)およびマイトマイシンC(100mg/ml)も、UV-B処理したMCF-7細胞において観察されたのと同様のレベルで、VEGF111 mRNAの発現を誘導した。
(実施例3)
組換えVEGF111 グリコシル化およびタンパク質分解耐性
グリコシル化
VEGF111、VEGF121およびVEGF165のcDNAをRT-PCRによってクローニングし、プラスミドpCEP4中のサイトメガロウイルスプロモーターの下流に導入した。得られたベクターをHEK293細胞にトランスフェクトし、形質転換細胞をハイグロマイシンでの処理で選択した。これらの細胞は、VEGFの本来の発現が低く、組換えタンパク質を発現する能力およびトランスフェクション効率の高さから選択された。組換えVEGF165、VEGF121およびVEGF111(以降、真核細胞で産生された組換えVEGFをreVEGFと称する)は、HEK293細胞の無血清馴化培地中で産生され、その濃度をELISAによって測定した。VEGF 20ngを含む馴化培地は、糖部分を切断するためのPNGase処理の前または後で還元条件のウエスタンブロット法によって分析した(図3)。処理を行わない場合は、reVEGF111を発現している細胞の培地でのオートラジオグラム上のシグナルは、1本のバンド(mw〜18kDa)として、reVEGF121およびreVEGF165を発現している細胞の培地では、2本のバンド(mw〜17kDaおよび21kDa、ならびに22kDaおよび26kDa)としてそれぞれ現れた。対照細胞からの馴化培地では、シグナルは検出されなかった。VEGFは1箇所のグリコシル化部位を有することから、移動度の低い方のバンドは、reVEGF121およびreVEGF165の糖化された形態に相当する。試料をPNGaseで脱グリコシル化した後は、移動度の高いバンドのみが観察され、これらのバンドは、それらのアミノ酸配列に基づいて推定されるものに近似の大きさを有している。さらにHEK293細胞で産生されるreVEGF165は、rbVEGF165(細菌で産生される組換えVEGF)と同一の移動度を有している。reVEGF111の脱グリコシル化は、高い移動度のバンド(〜14kDa)を産生し、reVEGF111はHEK293細胞において完全に糖化されていることを示唆する。再び、このバンドは、VEGF111のアミノ酸配列に基づいて推定されるものに近似の大きさを有している。
プラスミン耐性
VEGFは、プラスミンによる分解を受けやすい(Keytら、1996年)、切断の主な部位は、エクソン5によってコードされているArg110-Ala111と同定されており、VEGF111は、プラスミンに耐性であるであろうことを示唆している。reVEGF(各20ng)を、プラスミン(0.04から0.32ユニット/ml)で4時間処理した。電気泳動パターンの分析を促進するために、それらを上記に記載の通りPNGaseでさらに処理し、反応産物をウエスタンブロット法で分析した。データは、reVEGF121およびreVEGF165は、連続的に分解されたが、一方、並行して処理したreVEGF111は影響を受けなかったことを明らかにした。図6は、未処理試料と比較した各VEGFの分解のパーセンテージを表す。本アッセイの条件においてVEGFを50%切断するプラスミンの量は、VEGF165およびVEGF121については0.05から0.07U/mlの間に含まれ、VEGF111については0.32U/mlを超える。図6Bは、HUVECでの組換えVEGFの分裂促進活性についてのプラスミン処理の影響を表している。
慢性創傷液による分解への耐性
上記の通り産生された組換えVEGFを20ng含有する馴化培地を、1名の患者から採取した慢性創傷液で示した時間処理し(20μl、37℃)、抗VEGF抗体を使用するウエスタンブロット法によって分析した(図7A)。VEGF111は、24時間後に検出可能な分解を示さなかった。図7Bは、HUVECでの組換えVEGFの分裂促進活性についての慢性創傷液での処理の影響を表している。
(実施例4)
rVEGFは、in vitroおよびin vivoで生物学的に活性である
VEGFは、内皮細胞において、その受容体の自己リン酸化[18]、ERK1/2 MAPキナーゼ経路の活性化、一過性カルシウム上昇の誘導および増殖の増大を含む多数の効果を誘導する。組換えVEGFのHUVECへのin vitroでの効果を比較した。HUVECは、一晩飢餓にし、5分間reVEGFで処理した。イムノブロッティングによって、我々は、reVEGF165およびrbVEGF165が、HUVECにおいてVEGF-R2を期待通りリン酸化できたことを観察した。同様に、reVEGF111およびreVEGF121は、HUVECにおいてVEGF-R2をリン酸化したが、VEGF165よりも低いレベルであった(図4A)。空ベクターをトランスフェクトしたHEK293細胞由来の馴化培地は、効果を有さなかった。さらにVEGF111の生物学的活性を確認するために、ERK1/2シグナル経路の活性化を、リン酸化型特異的モノクローナル抗体を使用するウエスタンブロット法によって調査した。HUVECは、一晩飢餓にし、3種のreVEGFアイソフォームおよびrbVEGF165で5分間処理した。全ての場合において、ERK1/2のリン酸化がHUVECで誘導された(図4B)。抗ERK1/2ウサギポリクローナル抗体での膜の精査は、対照およびVEGF処理試料において同程度の量のタンパク質が存在していたことを示した。対して、対照馴化培地は、これらの細胞系においてERK1/2リン酸化状態に効果を有さなかった。
VEGFは、内皮細胞において細胞内遊離カルシウム濃度の一過的増大を誘導することが示された[20]。様々なreVEGFによる一過性カルシウム上昇の誘導を、HUVECについて記載の通りリアルタイム蛍光顕微鏡によって調査した[89]。休止細胞におけるカルシウム濃度が、ベースライン付近で自然に約10%変化したことから、処理が、ベースラインを少なくとも20%超えるカルシウムのピークを誘導した場合に細胞が応答したと定義した。HUVECを、対照HEK293細胞またはVEGF111、VEGF121およびVEGF165を発現している細胞由来の馴化培地で処理した。対照馴化培地は、HUVECの約15%で一過的カルシウムを誘導したが、一方3種のreVEGFをそれぞれ含有する培地は、その生物学的活性の証明に対して、70%の細胞で一過性を誘導した。
reVEGFのHUVECの増殖速度についての効果を調べた。HUVECを、対照またはreVEGFを含有する馴化培地で処理し、DNAの量を培養の増殖期の後で測定した、培地は2日ごとに交換した。reVEGF165は、対照馴化培地と比較して増殖速度の2.5倍の増大を誘導した(図4C)。VEGF111およびVEGF121も、少し低い率ではあるが(2倍)、増殖を刺激した。
VEGF111による血管新生の誘導可能性を、胚様体モデルにおいて調べた。マウスES細胞を、3種のreVEGFの非存在下または存在下で培養した。胚様体(3回の独立した実験からの6個)を6日目に固定し、抗---によって標識し、CD31のmRNAは対照培地と比較して1.6倍(図4F)。
ヌードマウス(各群6匹)に対照HEK293を含有するマトリゲルを一方の側腹部(対照プラグ、対照)に、およびVEGF111を発現している(プラグ111)またはVEGF165を発現している(プラグ165)HEK293を別の方の側腹部に注入した。ヒトVEGFのレベルを、屠殺後に心臓から採取した血液において測定した。ヒトVEGFは、両方の側腹部に対照細胞を注入したマウスでは存在しなかったが、ヒトVEGF111またはVEGF165を発現している細胞を注入した全てのマウスにおいて検出された。これらのデータは、マトリゲルプラグ中のVEGF mRNAの測定によって確認された。ほとんど全てのマウスにおいて注入部位で腫瘍が、誘導された。しかし、それらは、対照プラグと比較してプラグ111および165において、より広がっていた。皮内または皮下の血管形成が、注入部位で観察された(図5Aで黒点線で輪郭を示した)。これは、プラグ111および165で誘導されたが、対照プラグでは生じない。切開後、我々は、対照プラグおよび周辺の組織は、血管形成が生じていないか、または乏しいことを観察した。血管形成は、プラグ111周辺では有意に誘導されていた(6/6マウス)が、プラグ自体はほとんど血管形成されていなかった(図5B)。対照的にプラグ165は、高度に血管形成されていた(6/6マウス)が、周辺はほとんど血管形成されていなかった。ほとんどの場合、対照細胞と比較してVEGF発現細胞での側部注入において、外側胸静脈および輸入管が拡張していた。
プラグおよび付着皮膚を切開し、プラグ内およびプラグと皮膚の間の血管の数を計測した。細胞が何を含有しているかにかかわらず、全てプラグおよび対照プラグの末梢において(図5C)においてそれは低いが、しかしプラグ111および165の末梢においては増大していた。有意に(p<0.02)、プラグ111の末梢において血管の数がプラグ165よりも多かった。総RNAを、マトリゲルプラグから抽出した。VEGF mRNAは、対照プラグにおいては、検出できなかったが、プラグ111および165は、対応するVEGFのmRNAを高いレベルで発現している。CD31 mRNA(図5D)およびフォンウィルブランド因子mRNAは、プラグ111および165で、対照プラグと比較して増大していた。
(実施例5)
ヒトおよびマウス組織におけるVEGF111の発現
VEGF111の発現は、ヒト由来の多数の正常成人組織(前立腺、胸部、脳、肺、頸部、腎臓、子宮内膜および皮膚)ならびにマウス(ヒトと同じ組織に加えて、心臓、肝臓、骨、脾臓、眼、胃、筋肉、腸、腱および胎盤)ならびに6から18日目のマウス胚全体において測定された。VEGF121、VEGF165およびVEGF189アイソフォームは様々なレベルで容易に検出されたにもかかわらず、VEGF111は、これらの試料において検出されなかった。
(実施例6)
UV-Bおよびカンプトテシンで誘導されたVEGF111発現のsiRNAによる阻害
MCF7細胞を、リン酸カルシウム法を使用してsiRNA(20nM)でトランスフェクトした[21]。48時間後、これらをUV-Bで照射(30mJ/cm2)するかまたはカンプトテシン(1μM)で処理し、24時間後に回収した。VEGF mRNAをRT-PCRで測定した。図9は、VEGF111 mRNAのレベルを、対照条件を100%としてパーセンテージで表している。表2は、使用したsiRNAの配列を示す。
(実施例7)
薬理学的薬剤によるVEGF111発現の阻害
MCF7細胞を、ARM/ATR(カフェイン)、IKK-beta(sc-514)、p38(SB203580)、MEK1(PD98059)、JNK(SP600125)またはプロティンホスファターゼ1および2A(カリクリン)の阻害剤によって処理し、UV-B(30mJ/cm2)を照射するかまたはカンプトテシン(1μM)で処理し、24時間後に回収した。VEGF mRNAをRT-PCRによって測定した。図10は、UV-Bまたはカンプトテシンのみで処理した細胞と比較したVEGF111 mRNA発現の阻害のパーセンテージを表す。
(実施例8)
VEGF111は、ex vivoでカンプトテシンで処理した血液細胞において発現されている
健康な提供者から血液を採集し、細胞を遠心分離によって回収した。赤血球を溶解し、残りの細胞をカンプトテシン(1μM)で6または24時間処理したか、または処理しなかった。未処理細胞も、回収後に直接調査した。総VEGF mRNAを、記載の通りRT-PCRで測定した。データは、VEGF111 mRNAがカンプトテシンン処理細胞において発現していることを示している(図8)。
(参考文献)
様々なVEGFアイソフォームおよびその構成エクソンを示す模式図である。 遺伝毒性薬剤がVEGF111の発現を誘導することを示す図である。示されている細胞を、UV-Bまたはカンプトテシン(他に示す場合を除き、それぞれ30mJまたは1μM)で、24時間(他に示す場合を除く)処理し、VEGFおよびVEGF111 mRNAをRT-PCRによって測定した。(A)VEGF(上パネル)、VEGF111(中パネル)および28S rRNA(下パネル)のRT-PCR産物のポリアクリルアミドゲル電気泳動像。上パネルの矢印は、VEGF111の増幅産物を示す。右側の図は、対応するVEGFアイソフォーム中のエクソン(比率は合わせず)を表す。C;対照細胞、Cp;カンプトテシン処理、M; 50bp分子量マーカー、R;無レッドフェノール培地でリンスした細胞、UV; UV-B照射、-;無テンプレート対照、矢頭;反応効率をモニターするために試験管に加えた合成RNAのRT-PCR産物[86、87]。(BからE)UV-Bを照射した(BおよびC)またはカンプトテシンで処理(DおよびE)した、MCF7細胞中のVEGF111mRNAレベルの、投与量-応答分析(BおよびD)、ならびに誘導の速度論(CおよびE)。(A)の上パネルで測定された全ての様々なVEGFアイソフォームmRNAを100%として、VEGF111の発現をそのmRNAに対応するシグナルのパーセンテージとして表す。 HEK293細胞における組換えVEGFの発現を示す図である。HEK293細胞は、VEGF111、VEGF121およびVEGF165の発現を可能にするベクターで形質転換された。馴化培地を、糖部分を消化するためのPNGaseでの処理の前後にウエスタンブロット法によって分析した。 VEGF111は、in vitroにおいて生物学的に活性である。AおよびB:HUVECにおいてVEGF111は、VEGF-R2(A)およびERK1/2(B)を活性化する。HUVECは、VEGF111、VEGF121またはVEGF165、細菌中で産生された商業的に入手可能な組換えVEGF165(cVEGF)(各20ng/ml)またはウシ胎仔血清(FCS、10%)を含有するHEK293馴化培地で5分間処理した。未処理細胞(-)または対照HEK293細胞の馴化培地で処理した細胞(CM)を対照として使用した。総およびリン酸化VEGF-R2およびERK1/2をウエスタンブロット法によって測定した。C;VEGF111は、HUVECの増殖を促進する。HUVECを、VEGF111(黒丸)、VEGF121(白三角)もしくはVEGF165(黒三角)(10ng/ml)を含有するHEK293での馴化培地または対照HEK293細胞での馴化培地(白丸)で処理した。DNAは、処理の増殖期で回収し、3回反復でウェルで測定したD:血管系の指標としてのCD31を免疫蛍光標識した後の胚様体の代表的な顕微鏡写真である。横棒:200μM。E:多数の顕微鏡写真(各処理について独立した3回の実験由来の胚様体6個)をランダムに撮影し、処理を知らせていない5名の調査者によって分析し、スコア(0から3、0は、血管ラベリングの欠如を示し、3は、ラベリングの最高値を示す)を各試料に付けた。F:材料と方法に記載の通り、CD31 mRNAレベルを胚様体において測定した(各群について独立した3回の実験における試料10個)。統計的分析を等分散性のスチューデントのT検定を使用して実施した。*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001。 VEGFがin vivoで生物学的に活性であることを示す図である。マウスにreVEGF111もしくは165を発現しているHEK293細胞を含有するマトリゲルを注入するか、または空のベクターを感染させ、3週間後に屠殺した。A:解剖前の代表的なマウス1匹(6匹中)の写真。点線は、高血管形成部の表面の境界を定めている。B:解剖後の代表的なマウス1匹(6匹中)の写真。上パネル:白点線はマトリゲルプラグの境界を定めており、矢印は、外側胸静脈を示す。下パネル:マトリゲルプラグおよび周囲組織の詳細。黒矢印は、VEGF111を発現しているマトリゲルプラグの周囲の高度に血管形成された組織を示している。C:腫瘍の外側の血管数。血管は、対照プラグ(n=20)、プラグ111(n=6)およびプラグ165(n=6)の多数のパラフィン切片について計数した。D:腫瘍におけるCD31 mRNAの発現。mRNAは、対照プラグ(n=21)、ならびにプラグ111(n=6)および165(n=6)についてRT-PCRによって測定した。データは、28S rRNAから得られたシグナルによって補正した。Cont:対照プラグ、**:p<0.0001(対、対照プラグ)。統計的分析を、等分散性のスチューデントのT検定を使用して実施した。 VEGF111がプラスミン分解に耐性であることを示す図である。組換えVEGF165、VEGF121またはVEGF111は、HEK293細胞において産生された。A:VEGF 20ngを含有する馴化培地を37℃、4時間、プラスミン(0.04U、0.08U、0.16Uまたは0.32U/ml)で処理し、抗VEGF抗体を使用するウエスタンブロット法により分析した。図は、各VEGFの分解パーセンテージを未処理試料と比較して示している。B:HUVECを、プラスミンで未処理または処理した(0.32ユニット、37℃、4時間)、HEK293細胞において産生された組換えVEGF111、VEGF121もしくはVEGF165、または商業的に入手可能なVEGF165(cVEGF)または担体のみで処理し、細胞増殖を3H-チミジンの取込みによって測定した。 VEGF111が、慢性創傷から採取された体液による分解に耐性であることを示す図である。A:上記の通り産生された組換えVEGF 20ngを含む馴化培地を、1名の患者から採取した慢性創傷の液で、示した時間処理し(20μl、37℃)、抗VEGF抗体を使用するウエスタンブロット法によって分析した。B:HUVECを、慢性創傷の液で未処理または処理(20μl、37℃、24時間)の、HEK293細胞において産生された組換えVEGF111、VEGF121もしくはVEGF165、または商業的に入手可能なVEGF165または担体のみで処理し、細胞増殖を3H-チミジンの取込みによって測定した。 VEGF111が、ex vivoでカンプトテシン(1μM)で処理した血液細胞において発現することを示す図である。二重矢印:内部標準。垂直矢印は、VEGF111の増幅産物を示している。 発現したVEGF111 mRNAのレベルを、対照条件を100%としてパーセンテージで示す図である。1:対照条件、2:担体のみで処理した細胞、3:無関係のsiRNAをトランスフェクトした細胞、4:VEGF111(A)siRNAでトランスフェクトした細胞、5:VEGF(B)siRNAでトランスフェクトした細胞、6:siRNA(C)(表IIを参照)でトランスフェクトした細胞。 UV-Bまたはカンプトテシンで処理したMCF7細胞におけるVEGF mRNA発現の阻害のパーセンテージを示す図である。カフェインは、ATM/ATR、MEKのPD98059、p38のSB203580、JNKのSP600125、プロテインホスファターゼ1および2AのカリクリンならびにIKK-βのsc-514の阻害剤である。 エクソン境界を示したVEGF-A cDNAのコード配列を示す図である。図は、8個のエクソンによってコードされるVEGF206アイソフォームcDNAのコード配列を示す。 エクソン境界を示したVEGF111 cDNAのコード配列を示す図である。

Claims (48)

  1. 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)遺伝子のエクソン5によってコードされるアミノ酸配列を欠失しているVEGFポリペプチド。
  2. VEGF遺伝子のエクソン4によってコードされる配列を少なくとも含む、請求項1に記載のVEGFポリペプチド。
  3. VEGF遺伝子のエクソン3、4および8によってコードされる配列を含む、請求項1または2に記載のVEGFポリペプチド。
  4. VEGF遺伝子のエクソン1および2によってコードされる配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のVEGFポリペプチド。
  5. 配列番号2または配列番号4に示される配列を含む、請求項1から4のいずれかに記載のVEGFポリペプチド。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする精製した核酸分子。
  7. 配列番号1または配列番号3に示される核酸配列を含むか、またはその余剰的等価物もしくは断片である、請求項6に記載の精製した核酸分子。
  8. 請求項6または7に記載の核酸分子を含むベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターで形質転換した宿主細胞。
  10. 請求項1から5のいずれか一項に記載のVEGFポリペプチドに特異的に結合するリガンド。
  11. 抗体またはアプタマーである、請求項10に記載のリガンド。
  12. 請求項1から9のいずれか一項に記載のポリペプチドの発現または活性のレベルを増大または低減させる化合物。
  13. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドに結合するが、前記ポリペプチドのいかなる生物学的効果も誘導しない、請求項12に記載の化合物。
  14. 天然もしくは修飾された基質、リガンド、酵素、受容体または構造もしくは機能模倣物である、請求項13に記載の化合物。
  15. 疾病の治療、治療モニタリング、診断または予後における使用のための請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクター、請求項9に記載の宿主細胞、請求項10もしくは請求項11に記載のリガンドまたは請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 患者において疾病を診断する方法であって、前記患者由来の組織において請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする天然mRNAの発現のレベルを評価するステップまたは請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドの活性を評価するステップと、前記発現または活性のレベルを対照レベルと比較するステップとを含み、前記対照レベルと異なるレベルが疾病の指標である方法。
  17. in vitroで実施される、請求項16に記載の方法。
  18. (a)請求項10または請求項11に記載のリガンドを、リガンド-ポリペプチド複合体の形成に適する条件下で生物学的試料と接触させるステップと、
    (b)前記複合体を検出するステップと
    を含む、請求項16または請求項17に記載の方法。
  19. a)患者由来の組織試料を、請求項6または7に記載の核酸分子と核酸プローブとの間でハイブリッド複合体を形成させ得るストリンジェントな条件下で核酸プローブと接触させるステップと、
    b)ステップa)において使用されたのと同じ条件下で対照試料を前記プローブと接触させるステップと、
    c)前記試料中のハイブリッド複合体の存在を検出するステップと
    を含み、対照試料中のハイブリッド複合体のレベルと異なっている患者試料中のハイブリッド複合体のレベルの検出が、疾病および/または治療の副作用の指標である、請求項17または請求項18に記載の方法。
  20. a)患者の組織由来の核酸試料を、請求項6または7に記載の核酸分子と核酸プライマーとの間でハイブリッド複合体を形成させ得るストリンジェントな条件下で核酸プライマーと接触させるステップと、
    b)ステップa)において使用したのと同じ条件下で対照試料を前記プライマーと接触させるステップと、
    c)採取した核酸を増幅するステップと
    d)患者由来および対照試料の両方について増幅された核酸のレベルを検出するステップと
    を含み、対照試料中の増幅された核酸のレベルと有意に異なっている患者試料中の増幅された核酸のレベルの検出が、疾病および/または治療の副作用の指標である、請求項16または請求項17に記載の方法。
  21. 前記疾病が、潰瘍、放射線誘発潰瘍、任意の型の創傷治癒障害を含む細胞傷害;白血病、リンパ腫、骨髄形成異常症候群および癌などの骨髄増殖性疾患を含む細胞増殖性障害;新生物、黒色腫、肺、直腸結腸、胸、膵臓、頭部および頸部ならびに他の固形腫瘍;心臓血管障害;神経学的障害;糖尿病、特に糖尿病性の失明、糖尿病性腎疾患;加齢性黄斑変性;慢性関節リウマチ;乾癬;大脳および末梢性虚血;脳卒中;冠状動脈疾患;腎臓障害、溶血性尿毒症症候群;発達障害、生殖障害、特に勃起不全、子宮内膜症、子癇前症;および感染症を非限定的に含む、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクター、請求項9に記載の宿主細胞、請求項10もしくは請求項11に記載のリガンドまたは請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
  23. 潰瘍、放射線誘発潰瘍、任意の型の創傷治癒障害を含む細胞傷害;白血病、リンパ腫、骨髄形成異常症候群および癌などの骨髄増殖性疾患を含む細胞増殖性障害;新生物、黒色腫、肺、直腸結腸、胸、膵臓、頭部および頸部ならびに他の固形腫瘍;心臓血管障害;神経学的障害;糖尿病、特に糖尿病性の失明、糖尿病性腎疾患;加齢性黄斑変性;慢性関節リウマチ;乾癬;大脳および末梢性虚血;脳卒中;冠状動脈疾患;腎臓障害、溶血性尿毒症症候群;発達障害、生殖障害、特に勃起不全、子宮内膜症、子癇前症;および感染症の治療のための医薬品の製造における使用のための、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクター、請求項9に記載の宿主細胞、請求項10もしくは請求項11に記載のリガンド、請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物または請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 患者において疾病を治療する方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクター、請求項9に記載の宿主細胞、請求項10もしくは請求項11に記載のリガンド、請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物または請求項22に記載の医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法。
  25. 健康な患者における発現または活性のレベルと比較して、罹患している患者における天然遺伝子の発現またはポリペプチドの活性が低い疾患のために、患者に投与されるポリペプチド、核酸分子、ベクター、リガンド、化合物または組成物がアゴニストである、請求項24に記載の方法。
  26. 健康な患者における発現または活性のレベルと比較して罹患している患者における天然遺伝子の発現またはポリペプチドの活性が高い疾患のために、患者に投与されるポリペプチド、核酸分子、ベクター、リガンド、化合物または組成物がアンタゴニストである、請求項24に記載の方法。
  27. 患者における疾病の治療的処置をモニタリングする方法であって、前記患者由来の組織内の請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドの発現もしくは活性のレベルまたは請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子の発現レベルを一定期間モニタリングするステップを含み、一定期間前記発現または活性のレベルを対照レベルに向けて制御することが前記疾病の後退の指標である方法。
  28. 疾病の治療および/または診断において効果的である化合物の同定のための方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項6または7に記載の核酸分子と、前記ポリペプチドまたは核酸分子に結合親和性を有すると期待される1つまたは複数の化合物とを接触させるステップと、前記核酸分子またはポリペプチドに特異的に結合する化合物を選択するステップとを含む方法。
  29. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項6もしくは請求項7に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクター、請求項9に記載の宿主細胞、請求項10もしくは請求項11に記載のリガンド、請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物または請求項22に記載の医薬組成物の血管新生の調節のための使用。
  30. 血管新生の調節が血管新生の増大を生じる、請求項29に記載の使用。
  31. 血管新生が筋組織、心臓組織、脳組織、肺組織、勃起性組織、肝組織、腎臓組織、胎盤または皮膚において増大する、請求項30に記載の使用。
  32. 血管新生が細胞傷害の部位で増大する、請求項30に記載の使用。
  33. 細胞傷害の部位が筋組織、心臓組織、脳組織、肺組織、勃起性組織、肝組織、腎臓組織、胎盤または皮膚にある、請求項32に記載の使用。
  34. 細胞傷害が未治癒創傷の形態である、請求項33に記載の使用。
  35. 血管新生の調節が血管新生の減少または阻害を生じる、請求項29に記載の使用。
  36. 血管新生の減少または阻害が、VEGFの増大した活性が疾病状態を生じさせている組織においてである、請求項29に記載の使用。
  37. 疾病状態が、癌、慢性関節リウマチ、乾癬または眼の血管新生疾患である、請求項36に記載の使用。
  38. 前記医薬品が、経口、静脈内、筋内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、膣内または直腸内に投与される、請求項29から37のいずれかに記載の使用。
  39. VEGFΔ5ポリペプチドを発現できる組織をUV-B放射線に暴露するステップを含む、VEGFΔ5ポリペプチドの発現を誘導するかまたは増大させるための方法。
  40. 慢性の創傷、特に慢性の潰瘍の治療のための、請求項39に記載の方法。
  41. ストリンジェントな条件下で請求項6または請求項7に記載の核酸分子とハイブリダイズする核酸プローブを含む第1の容器と、前記核酸分子を増幅するために有用なプライマーを含む第2の容器と、疾病の診断を容易にするプローブおよびプライマーを使用するための説明書とを含む、疾病の診断に有用なキット。
  42. ハイブリダイズしていないRNAを消化する作用物質を有する第3の容器をさらに含む、請求項41に記載のキット。
  43. 少なくとも1つが請求項6または請求項7に記載の核酸分子である核酸分子のアレイを含むキット。
  44. 少なくとも1つが請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドと結合する1つまたは複数の抗体またはアプタマー、および前記抗体と前記ポリペプチドとの間の結合反応の検出に有用である試薬を含むキット。
  45. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチドを高い、低いまたは欠失したレベルで発現するために形質転換されたトランスジェニックまたはノックアウトのヒト以外の動物。
  46. 請求項45に記載のヒト以外のトランスジェニック動物を候補化合物と接触させ、動物の疾病に対する化合物の効果を測定することによって、疾病を治療するために効果的である化合物をスクリーニングするための方法。
  47. 生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、
    (i)候補化合物を、VEGFΔ5ポリペプチドを発現している組換え宿主細胞と接触させるステップと、
    (ii)前記VEGFΔ5ポリペプチドと結合するかつ/またはVEGFΔ5ポリペプチドの活性を調節する化合物を選択するステップと
    を含む方法。
  48. 請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド、請求項6から7のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項8に記載のベクターまたは請求項9に記載の宿主細胞の1つまたは複数を含むキット。
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