JP2009521031A - 少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の相互作用をモデル化する汎用的方法 - Google Patents

少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の相互作用をモデル化する汎用的方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の系内の相互作用をモデル化する方法に関し、本方法は以下のステップを含むことを特徴とする。
−対象とする適用分野に対応すべく基本特性関数の集合を選択する(E1)
−系を構成すると考えられる各媒質の物理特性を定義する(E2)
−系の各物体をメッシュとしてモデル化されることにより生成し、各メッシュ要素のいずれかの側に少なくとも1個の基本点源を関連付ける
−各界面について境界条件の種類を決定する
−境界条件の種類、媒質の特性、および系の構成に依存して各種の物体間の相互作用を表わす大域行列を構築する
−大域行列の逆行列を計算する
−逆行列に、励起境界条件の値を含んでいる列行列を乗算する
−全ての基本点源の値を含む列行列を求める
−系内の全ての点において、相互作用を表わす物理量を計算し、系内の相互作用の解析的なモデルを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の相互作用をモデル化する汎用的方法に関する。
仏国特許第2847051号明細書によれば、波と障害物との間における調査対象である相互作用の物理量で表現可能にする方法が知られている。この方法の実装は、非破壊試験等の用途に極めて有用である。しかし、これは1個の媒質を別の媒質から分離する単一界面の場合にしか適用できない簡便法である。実際、この方法は特に、界面を越える際の入射超音波により生じる反射および透過が極めて多いため、複数の媒質を含む物体との相互作用に一般化することができない。
本発明の目的は、少なくとも1個の波と、各物体の表面が物理特性の異なる少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の相互作用をモデル化する方法である。本方法は、実装が簡単であって研究対象である系の構成如何にかかわらず、様々な物理学の分野における連続、正弦、またはパルス時間領域に対して適用可能である。
以下の説明全体を通じて、本発明における意味において「系」という概念を、モデル化したい相互作用が生じる空間領域として用いる。
本発明による方法は、少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の系内の相互作用をモデル化する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする。
−対象とする適用分野に対応すべく基本特性関数の集合を選択する(E1)
−系を構成すると考えられる各媒質の物理特性を定義する
−系の各物体の幾何学的構造がメッシュとしてモデル化することにより画定され、各々のメッシュ要素の表面に少なくとも1個の試験点を配置する
−各試験点において、境界条件に対して連続式を決定すべく考慮される各媒質について少なくとも1個の試験量を定義する
−各メッシュ要素のいずれかの側に少なくとも1個の基本点源を関連付ける
−物体を空間内で互いに相対的に配置する
−物体により境界が画定されたボリュームに媒質を関連付ける
−各界面について境界条件の種類を決定する
−各種の物体間の相互作用を表わす大域行列を構築する、すなわち当該行列が一対にされた物体間の相互作用を特徴付ける少なくとも1個の行列ブロックから形成され、これらの相互作用は選択された特性基本関数を介して対象とする媒質中の波の伝播に関連付けられ、大域行列は多くても、一対にされた全ての物体間の可能な組合せの数のブロックを含み、各ブロックの内容は試験点において指定された境界条件の種類、対象とする2個の物体に共通な媒質の特性、およびこれらの物体の幾何学的形状に依存するように構築する
−大域行列の逆行列を計算する
−当該逆行列に、ユーザが課した励起境界条件の値および必要に応じて固有境界条件に対応するゼロを含んでいる列行列を乗算する
−全ての基本点源の値を含む列行列を求める
−系内の全ての観測点において、系内の相互作用を表わす物理量を、点源について考慮する影響の範囲に応じて計算する
−系内の相互作用の解析的なモデルを得る。
本発明の別の特徴によれば、試験点は、伝播の少なくとも1つの特定方向に偏ることを避けるように、あるメッシュ要素から次のメッシュ要素まで無作為に分布している。
本発明の別の特徴によれば、系の少なくとも一部において巨視的量が計算される。本発明の別の特徴によれば、基本点源の全てにより生成された物理量が表示される。
本発明の別の特徴によれば、表面が常に閉じていて物体外の媒質と物体内の媒質との間に境界を形成する閉ボリューム物体が画定されていると共に、半無限媒質との界面を表わすことに起因してその表面が開いている開ボリューム物体が画定されている。この界面が生成される際に、内部での相互作用が調べられている作用空間の境界の集合により横方向に境界が画定される。
本発明の別の特徴によれば、2種類の境界条件、すなわち固有境界条件およびユーザが指定した境界条件が用いられ、第1の境界条件が、決定されたまたは決定可能な特性を有する2個の媒質間の界面を越える際のスカラーおよび/またはベクトル量の連続性を表わし、第2の境界条件が、界面のスカラーおよび/またはベクトル量についてユーザが有する先験的知識を表わす。
本発明は、非限定的な例として添付の図面に示す実施形態の詳細な記述を精査することにより更に理解が深まるであろう。
入射波と均一媒質との間の相互作用をモデル化する方法の原理は、上述の仏国特許第2847051号明細書で詳述されているため、本明細書で再び記述することは行なわず、単にその略称DPSM(分散点源方法)で言及するに留める。本方法は、非均一媒質への応用を可能にすべく当該公知方法の改良として提示する。
以下に、本発明の方法のいくつかの実施形態について、超音波およびフーコー電流を用いる基準非破壊試験と共に記述するが、本発明がこれらの応用だけに限定されないこと、および電磁気、静磁気、音響、光学、地球物理、フーコー電流、感熱性現象等、極めて広範な場において少なくとも1個の界面を含む媒質における波伝播現象を実装するあらゆる用途に実装できることを理解されたい。
上述したように、本発明の中核を形成する重要な特徴は、考慮している媒質内の量の統合を担う点源の層を用いて、連続的に境界条件を伝播させることにあり、これらのソースの層は各々の界面のいずれかの側に配置されている。
波または波の群が伝播することにより上述の相互作用を引き起こす系の波の性質および物体と媒質の特性に応じて、これらの相互作用のモデリングは、本発明によれば、個別に点状励起を起こされた各々の媒質の応答を定式化することにあり、結果的に考慮する媒質毎に1個の基本特性関数が得られる。当然ながら、使用するソースの物理的な性質は合成しようとする波の性質に対応している。
励起への応答の計算から一般に、スカラー、ベクトル、またはテンソルのポテンシャルおよび波の特性量が得られる。系の全応答は、対象とする媒質内で放射している全ての点源の寄与を合計することにより、媒質毎に計算される。
大域的な解は、対象とする界面に法線方向におけるポテンシャルおよびその導関数の連続性を課すことにより、各々の界面を越える際に境界条件が定数内で満たされることを示唆する。この条件の集合により、上述の大域行列が得られる。
各々の試験点で得られる方程式の数は、界面のいずれかの側に配置される点源の数の選択を条件付ける。
静電気関連における本発明の一例示的実施形態によれば、電位はスカラー・ポテンシャルVに対応し、および対象とする界面の表面に法線方向におけるその導関数は、電場
の法線成分に対応しており、連続性を保障すべき量は、電気変位D=εEの界面の表面の法線成分である。1個のソースが各メッシュ要素(すなわちVおよびD)のいずれかの側に配置されている場合、このように各試験点で2個の未知数を有する2個の方程式が得られる。これらのソースは静電荷と同等である。
電磁気学において、対象とする媒質が導電性である場合、対象とする界面の表面の法線方向成分と同様に、ポテンシャルがベクトルであることに注意されたい。このように、各試験点に対して、各試験点においてメッシュ要素のいずれかの側に三重項が存在するという事実により、6個の未知数を有する6個の方程式(すなわち、
の3個の成分と
の3個の成分)が得られる。これらの三重項を構成するソースは、各々がこれらの三重項の直交座標軸に沿う電流要素と同等である。
系を方程式の形式で記述することは、このように各種の媒質間の全ての相互作用を考慮した単一の大域行列を用いて大域的に定式化される。次いで、各ソースから放射されるエネルギーの値が前述のように逆大域行列およびユーザが指定した境界条件を用いて計算される。
好都合なことに、上述の基本特性関数はグリーン関数である。
以下の3個の説明図において、直線の区間が界面の一部を表わし、そのいずれかの側に、または一方の側に、少なくとも1個の点源を含む球面を示し、これらの表面は界面に接している。それらを含むこれらの点源および球面が、トランスデューサまたは界面のいずれかを、上述の仏国特許第2847051号明細書の意味においてモデル化するメッシュから得られる。以下の図において、明灰色の円は固有境界条件に対応し、暗灰色の円はユーザが指定する境界条件に対応する。各メッシュ要素は、少なくとも1個の点源を含む球面に関連付けられている。
1つの特定の場合において、これらの球面と界面間の接点が試験点であるが、各々のメッシュ要素内に複数の試験点が分布していてもよいことが明らかに理解されよう。
ソースの未知パラメータの総数は、利用できる方程式の総数に等しくなければならず、方程式の数は対応して選択された試験点の数により調整される。
固有境界条件(IBC)
界面を越える際に、IBCにより「自然な」連続性が保証される。媒質n+1に示すソースは媒質nに波を伝播する役割だけを果たし、その逆も同様である。
ユーザ境界条件(UBC)
UBCは特に、系内の励起の存在を表わす。例えば、以下の図は媒質n+1へ向かって有効なUBCを示す。この例では、媒質n内で量が計算されないため媒質n+1のソースは存在しないが、これにより、ソースが媒質n内へ放射するように媒質n+1内にソースを配置する可能性を排除しないことが明確に理解されよう。例えば、静電学または電気力学によれば、コンデンサの1個の電極上のボルトで表わされる静電ポテンシャルは一定であって通常はユーザにより指定される。
混合境界条件(IBC/UBC)
これらの境界条件は、上述の画定を採用している。界面をメッシュモデル化する他の点源は、媒質nと媒質n+1の間にIBCを確立する役割を果たすだけである。
境界条件の如何にかかわらず、全ての点源は個別に設定することができ、および固有の放射パターンを有していてよい。
調査対象の相互作用が内部で生じるN個の物体の系を形成する各々の媒質の物理特性が定義され、各種の界面がメッシュモデル化されたならば、調査対象の相互作用を表わす大域行列が次式のように構成される。
この系はN個の物体を含んでいるため、行列はN×N個のブロックを含んでいる。これらのブロックすなわち基本行列は、各種の物体間を通過するための条件を表わす。座標(i,j)を有するブロックは、物体jの影響に起因して計算された物体iの界面上での境界条件の割合を表わす(物体iとjは共通の媒質内で相互作用する)。
本発明の一特徴によれば、ソース成分の総数を試験点の総数に合わせる必要がある。
・物体i(行列の第i行)上にUBCがある場合、ブロック・ベクトルCONDITIONSniは対象とするUBCの値を含んでいる。
・ユーザ自身がUBCに関連付けられたソースの値を指定する場合、対応するブロックCONDITIONSはこれらのソースの値に等しい。対応するUBC行列は単位行列である。
・IBCだけが物体に適用可能である場合、ベクトルCONDITIONSの対応するブロックはゼロである。
本発明の一特徴によれば、基本行列[IBC]は、以下に述べる例でMおよびQと表記された部分行列から形成されている。これらの部分行列は、各々界面における量、例えばベクトル量の法線および接線成分、さもなければ、スカラー量および法線ベクトル成分の連続性を保証するために、適用分野(超音波、電磁気、音響等)に応じて計算される。
同じことがUBC行列に当てはまるが、量の1つはユーザにより指定される。
本発明の方法の基本原理を提示した後で、次いで図1のフロー図を参照しつつ、異なる特性を有する媒質の境界を画定する物体間の相互作用のモデリングを実際に解くために本発明のプログラムにより実装されている各種のステップについて記述する。このプログラムは対話的であるため、各々のステップにおいてユーザ主導、または実装されているコンピュータ主導のいずれにより実行されているかを記述し、後者は原則的に方程式の計算と表示ステップを実行する。
本発明が電磁気、静磁気、音響、フーコー電流、または熱的現象等の極めて多様な物理場に適用できることから、第1ステップ(ステップE1)では対象とする適用分野に対応する基本特性関数の全てをユーザが選択することを求める。
ユーザは次いで、モデル化したい相互作用が内部で生じる媒質の特性を指定する(ステップE2)。これらの特性は、媒質の全ての関連パラメータを含んでいる。媒質の特性の種類は、調査対象である問題に依存する。例えば、静電気の場合、比誘電率は、不可欠なパラメータである。このステップでは、各々の物体に隣接する媒質を示す一致指数を計算することができる。物体には、定式化に応じて2個の媒質が関連付けられている。すなわちi(α、β)、ここにiは物体、αとβはiに隣接する媒質を示す。各々の物体は一致指数を有し、これによりいくつかの簡素化された例に関して以下に示すように相互作用において考慮するソースを決定することができる。
ステップE2から出発して、二通りの可能性がある。すなわちステップE3、E4およびE5を実行するか、または直接ステップE5へ進むかである。ステップE3およびE4は、波伝播現象を考慮に入れる場合にのみ実行される。ステップE3において、ユーザはトランスデューサ・エミッタから発せられる波の周波数を指定する。この周波数が決定されたならば、プログラムは、相互作用の特徴に応じて、点源間の最大距離(換言すれば、ソースの規則的に構成されていればそれらのピッチ)を計算する(ステップE4)。このピッチは好適には、これらの相互作用の原因である波の半波長より短い。
ステップE5において、ユーザは閉ボリューム物体(以下CVOと表記)を指定する。このステップは本質的に、そのような物体を幾何学的に指定して、本発明の方法の実装が可能なようにメッシュのピッチを決定するものであり、メッシュは前記仏国DPSM特許の記載に従い生成される。
本発明によれば、閉ボリューム物体(CVO)は、表面が必ず閉じている(例えば球体、角錐または立方体)。この表面は、外部媒質と物体の内部にある媒質との間の異なる特性を有する境界である。ユーザが、この媒質内の量の計算を何ら行ないたくない場合、境界条件(ユーザ自身により指定され、以下にUBCと表記する)を当該表面に適用しなければならない。この物体のボリュームはゼロに向かう傾向がある(例えば、コンデンサの平坦な電極の場合)。
再び本発明によれば、開ボリューム物体(ここではOVOと表記)は、この物体の表面が開いている(理論的には、そのボリュームは無限遠で閉じている)。これは、半無限大媒質間の境界を表わす。この構成を表わすために界面が生成されている場合、一組の境界により必ず横方向の境界が画定されている。これらの境界もまた調査対象となって、これらの境界により境界が画定されている空間の外側の量を観測することは一切できなくなる。この作用空間は従って、自動的に境界が画定されている。本発明が考慮する物体および媒質は必ず作用空間に属する。
解決すべき問題が閉ボリューム物体だけを含む場合、作用空間の境界を画定する必要はない。例示的に、2個の帯電された球体により空間内に生成された電場を調べる場合に作用空間を必要としない。同様に、図6〜8を参照しつつ以下に記述する例は空間内に境界が存在しない2個の系を示す。
系全体が物体の内部UBCを有するCVO内に含まれている場合、(図4、5を参照しつつ上述した例のように)その表面が作用空間の境界を画定する。
実際に、媒質はその均一な物理特性により画定される。媒質は、それがCVO内に含まれるため、あるいは1個以上の開ボリューム物体(ここではOVOと表記)および作用空間を囲む境界により境界を画定されるため、必ず閉じている。媒質を画定するには、その局在性および物理特性が既知でなければならない。以下の説明において、媒質を番号で参照する。
物体の表面は、2個の媒質間の界面を画定している。物体を画定するには以下を知る必要がある。
1.次元および局在性
2.表面に適用可能な境界条件
3.物体が接触する媒質
本明細書の記述において、物体を文字により参照する。物体の生成は、これらの物体の表面の、系内で伝播する波を合成する役割を担う点源の集合が関連付けられている点Pの集合への離散化に対応している。これらの物体は、境界条件(BC)が適用される界面を画定する。
ステップE5から出発して、ユーザは、ステップE7に到達するためにOVO(そのような物体が存在する場合)を画定すべくステップE6経由で進むか、さもなければ直接ステップE7へ進む。
系の全体または一部の画定および/またはメッシュ・モデリングは、本発明対象外の装置またはソフトウェア・アプリケーションにより提供することができる。
ステップE7は、境界条件の決定からなり、これは本発明の方法を実装する基本条件の1つをなす。これらの境界条件は、上述のように、異なる特性を有する2個の媒質間を分離する表面である界面に配置されている。本発明の別の特徴は、点源の層を物体(OVOまたはCVOのいずれであろうと)の表面だけに関連付けることである。本発明は、以下の2種類の境界条件を考慮に入れる。
1.既知の特性を有する2個の媒質間の界面を越える際にスカラーおよび/またはベクトル量の連続性を表わす固有境界条件(IBC)。本発明の方法の基本原理によれば、これらのIBCは、表面のいずれかの側に位置しているソースの集合により満たされる。大多数の場合において、ユーザはこれらIBCを気にする必要がない。
2.界面上のスカラーおよび/またはベクトル量についてユーザが有する先見的知識を表わす、ユーザが指定した境界条件(UBC)。本発明の方法の基本原理によれば、これらのUBCは、界面の一方の側に位置しているソースの単一の集合により満たされる。これらの境界条件が系内にエネルギー源が存在することを表わすことに注意されたい。例えばコンデンサ内にあるそのようなUBCは、電極間のスカラー電位差であり、ユーザにより指定されるため既知である場合が多い。
全ての界面について境界条件が決定されたならば、プログラムは、その実行に必要な全てのデータを受信した後で、ステップE8へ進んで大域行列を記述する。
ステップE8は、最初に、マスキングとして知られる動作を必要とする界面間の結合行列を決定することから始まる。マスキングは、図2〜8を参照しつつ以下に記述するように、系内のいくつかの物体が互いに遮蔽し合う(射影)する場合があるという事実を表わす。物体を互いにマスキングするこの動作は試験機能の適用を必要とする。後者は、行列を充填する間に、あるいはマスキング行列(0または1で埋められた)を構成するために別個に適用することができる。元の結合行列が試験なしで計算された状態でこのマスクを一要素毎に乗算することにより、アルゴリズムで効果的に使用される行列を得ることが可能になる。
どの結合行列を計算すべきかを決定するために、以下に述べる試験手順が確立されている。全ての結合行列が計算されたならば、大域行列をブロック編成する。媒質画定ステップにおいて、主情報、すなわち媒質と物体の相対位置と共にそれらの特性を含む行列が、一致指数を用いて生成されている。この行列から出発して、物体を結合可能にする試験を用い、および決定すべきBCの種類に応じて、大域行列は、全ての相互作用を系統的に考慮するような仕方でブロックにより記述される。ソース群を相互作用の順にソートすることにより、ブロックは原理的に対角線上およびその周辺に配置される。
先のステップで生成された物体対媒質の一致指数により、2個以上の物体が共通の媒質を有するか否かを容易に調べることができる。次いで、同一媒質内で相互作用する物体の結合行列が記述される。例えば、共通の相互作用媒質αを有する2個の物体i、jに対して、得られた行列が定式化:
に応じて記述される。これは、jのソースが媒質β内にある状態で共通の媒質α内における物体iの物体jとの相互作用として読まれる。同様に、媒質β内にあって媒質α内へ放射している物体jに関連付けられたソースをAjα_βと表記する。
同じ共通の媒質を有する全ての結合行列MおよびQは、大域行列内で同符号でなければならない。
IBCを有する各々の界面に対して、スカラー量(行列Q)と、ベクトル量(行列M)の法線成分との連続性が、少なくともこれらの例において、保障されている。例えば、静電気の場合、これらの量は場の電位および法線成分
であり、超音波の場合は圧力および速度の法線成分である。
UBCを有する各々の界面に対して、ユーザにより表面上の境界条件(例えば、所与の電圧が供給される電極)が課されているため、単一の行列方程式(行列MまたはQ)が適用される。
大域行列が記述されたならば、プログラムは行列方程式を解く(ステップE9)。このステップは本質的に大域行列の逆行列を求めることからなる。
ある種の量(例えばコンデンサの容量)を計算するためにはUBCの数値が既知である必要がないという事実により、従ってこれらは逆行列計算の後で直接得ることができ、プログラムがこれを直接実行する(ステップE10)。そのような量が存在しない場合、あるいはそのような量に以外に、他の物理量の計算が必要である場合、ユーザが介入してプログラムに欠落データを供給する(ステップE11)。
相互作用のモデリングに必要な物理量を計算するための欠落データは、ステップE7で指定された境界条件(例えば金属電極上の定常ポテンシャルの値)の種類に応じてユーザから要求される。
この欠落データをユーザにより供給されたならば、次いで、表示すべき観測場を画定するステップ(ステップE12)へ進む。計算および観測に対するユーザの選択の自由度は、ユーザがステップE6を含めるか否かに依存する。このステップを行なう間作用空間の境界が画定されていない(相互作用を受け入れている系はCVOしか含んでいない)場合、表示の領域に何らの制約がない。逆の場合には、ユーザは自動的に境界が画定される作用空間を画定しなければならない。
その後、プログラムはユーザが与えた空間をメッシュモデル化すること(ステップE13)から始まる。次いで、結合行列の計算に用いたのと同じ手順に従い、今回は表示空間内の位置に適用して、調査対象の相互作用に関わる物理量を計算する。最後に、プログラムは系内の相互作用現象のグラフ表現をトレースする。図1に示す横方向の矢印は、ユーザが構造に戻ってこれを修正し、得られた新たな結果を観測できるようにすべくプログラムがループバック可能であることを示す。
可能な変更は、ステップE10およびE13から出て、ステップE2、E3、E5、E6、E7、E11およびE12へ向かう矢印により図1に示す定義(物体、媒質、境界条件等)に関する。これらの変更は、(OVOおよび/またはOVFの)変位、または研究対象である物体または媒質の特性の変化による影響を許す。
図2〜8を参照しつつ以下に記述する3通りの例は、本発明による大域行列の記述技術を例示する。
図2、3において平面多層系1の場合を示す。図2は極めて簡素化された斜視図であり、図3は図2でIII〜IIIに沿った断面図である。
図2、3に示す系1は、六面が作用空間の境界である直方体の一般的な形状を有している。これは、各々が媒質1〜媒質5として参照される5個の媒質、および各々がa〜fで参照される6個の物体を含むマルチドメイン構造を有している。例えば、媒質1と媒質2との間の界面をeで、媒質2と媒質3との間の界面をbで示す。ここではコンデンサ電極である2個のCVOaおよびdは、作用空間の下面および上面と接触している。媒質2は、界面fと接触している第1の包含物bおよび第2の包含物cを含んでいる。媒質0は、未知およびユーザの関心対象外である作用空間の外側を画定する。
6個の異なる界面が以下のように参照される。
a:媒質0と1の間
b:媒質2と3の間
c:媒質2と4の間
d:媒質5と0の間
e:媒質1と2の間
f:媒質2と5の間
電極aに関するUBCをPa(この電極により界面aで課されるポテンシャル)と記述し、電極dにより課されるUBCをPd(界面dにおいて電極により印加されるポテンシャル)と記述する。
界面a〜fの各々で生成されるソース・ベクトルは以下のように記述される。
界面a:Aa1_01(電極a側)
界面b:Ab3_2(媒質2内)およびAb2_3(媒質3内)
界面c:Ac4_2(媒質2内)およびAc2_4(媒質4内)
界面d:Ad5_02(電極d側)
界面e:Ae2_1(媒質1内)およびAe1_2(媒質2内)
界面f:Af5_2(媒質2内)およびAf2_5(媒質5内)
上示の事例によれば、例えば界面cに関する一致指数をc(4,2)と表記する。以下の例において、一致指数は、2個の縦長の括弧の間に現れて、決定すべき非ゼロ結合行列の存在を許す。
従って物体2の境界条件は以下の通りである。
および対応する行列方程式は以下の通りである。
図4(簡素化された斜視図)および5(図4のV〜Vに沿った断面図)において閉鎖系2の例を示す。
系2は、断面が矩形であって、本明細書で物体aと表記されていて媒質1および媒質2(物体bで境界が画定される)を含んでいる中空管3からなる。電極4、5が物体aの2個の対向面に配置されている。図5の横断面に、点源の各種の層を示す。すなわち、物体aの外面上のAa1_0、媒質1および媒質2の各々における媒質1と2の間の界面のいずれかの側のAb2−1およびAb1_2である。電極4、5の配置位置において、点源は能動面の存在を示す一次ソースであるため、他と区別して示していることに注意されたい。境界条件ベクトルPaは従って、UBCおよびIBCを含んでいる。
系2の結合行列および一致指数は以下のように記述される。
従って境界条件は以下のように記述される。
最後の2例を図6〜8に示す。これらは容量が可変または調整可能なマイクロ・コンデンサの2個の変形実施形態であり、各々が、例えば「RF用途のV字微細構造調整可能コンデンサ」(A.Cruau他、DTIP2004、モントルー、および「RF用途の可動誘電体を備えた高品質の調整可能微細構造コンデンサ」(J−B.Yoon他、国際EDM2000、サンフランシスコ)に記述されている。本発明の方法の応用に関係する特徴のみを本明細書に示す。
図6に示す第1の変形は、各々が平面に配置された3個の電極の4組を含んでいる。これらの4個の平面は全て共通の平面(図示せず)に対して垂直であれ、この平面との交線は、一方がもう一方より僅かに上方に配置されている2個の「V字」を形成する。電極の各組は、3個の同一の電極を、長軸が互いに平行および前記共通平面に平行な矩形のリボンの形式で含んでいる。2組の内側の「V字」のうち1組の電極は、この「V次」のもう一方の組に対向しており、同じことが外側の「V字」の電極の組にあてはまる。内側「V字」の電極の平面は、外側「V字」の平面の電極に対して関して可動であるが、各々の「V字」内では、2組の電極は互いに対して固定されている。
電極の組の1個(図面に示す左側の組)を物体a、内側「V字」の電極の2個の組を物体b、外側「V字」の電極のもう一方の組を物体cと表記している。当然ながら、各々の電極上の境界条件は、これらの電極に印加される各々のポテンシャルにより指定される。物体a、b、およびcに各々印加されるポテンシャルはP、PおよびPと表記されている。
図7に示す変形において、可変コンデンサは、各々が平面に配置された2組の電極および1組の誘電体棒を含んでいて、これらの3個の平面は互いに平行である。内側平面の誘電体棒の組は、互いに対して固定された他の2組に対して可動である。外側平面(図面に示す低い方の平面)のうち1個の電極の組を物体a、中央平面の電極の組を物体b、もう一方の外側平面の電極の組を物体cと各々表記している。これらの要素の全てが媒質1により囲まれていて、誘電体は媒質2を含んでいる。図6の変形の場合と同様に、図7の装置の電極上の境界条件は、電極に印加されるポテンシャルにより固定される。物体aおよびcに印加されるポテンシャルはまた各々P、Pと表記される。
各種物体a、bおよびc上の各種点源を図8に示す。
第1の変形(図6)に対する境界条件は以下のように記述される。
これは、次の結合行列を与え、
一方、第2の変形(図7)に対する一致指数は以下のように記述される。
境界条件は以下のように記述される。
これらのBCにおいて、01および02は電極の内部を表わし、作用空間の外側にあることに注意されたい。
この第2の変形に対して結合行列は以下の通りである。
物体bが物体aとcの間で部分的に遮蔽物として機能するため、最初の場合は行列Qacが、この最後の場合は行列Mac(Qac)およびMca(Qca)が部分的にマスキングされることに注意されたい。
本発明によれば、複数の物体を含む系の場合、この系の大域行列を確定することができ、従ってソース・ベクトル
の全ての成分を見つけることができる。系内の相互作用を表わす物理量は、系の観測のあらゆる時点で計算することができる。電磁気に対する応用の場合、メッシュ要素毎のソースの未知パラメータの数は、利用可能な方程式の数(ここでは6個)に等しいことに注意されたい。
例えば、図2の場合、記述されている系は、物体dにより生成された励起場の前に配置された層状の媒質1,2および5からなる導電物体であってよく、物体bまたはcは亀裂または包含物を表わすことができる。
ゲージに関する注記:マクスウェル方程式が積分微分方程式であるため、
から場
がゲージとして知られる定数内で決定される。カールの発散が常にゼロであるため、
が得られる。関数Θの勾配のカールが常にゼロであるため、
勾配項は追加してもよい。従って場
は以下のようになる。
の分散は任意に選択できることが示されている。次いでゲージとして知られる条件により
を完全に決定することができる。クーロンゲージまたはローレンツ・ゲージとして知られるゲージが広く用いられている。ポテンシャルに対する他の条件も共存する。
DPSM法の場合、ユーザが特定のゲージ状態の検証を望んだ場合、追加的な点源を追加することにより系を完全に特徴付けて、ポテンシャルのあらゆる不確実性も除去することができる。
本発明による非均一媒質のモデリング方法の基本原理について、図9〜19を参照しつつ以下に記述する。
非均一なアセンブリのいずれかの側に配置されている2個のトランスデューサTおよびSを含んでいる、換言すれば複数の物体および異なる媒質を含んでいる系を図9に示す。最初に、これらの媒質が異なる特性および/または材料(隣接層間で異なるが、各々の層は構成および特性に関して均一であると仮定する)を有する平面層であると仮定しており、従って系6は多層系として分類されている。上で述べたように、これらのトランスデューサはこの場合、超音波プローブである。この系6はC〜Cで示すn平面の異なる媒質の層で構成されていて、I〜In−1で示す(n−1)個の界面により分離されていると仮定する。説明を簡明にすべく、トランスデューサを、能動面(系6の反対側の)が平面であって界面と平行であるとして示す。しかし、これらの能動面が界面と平行でない場合でも本発明が実装可能できる点は明確に理解されよう。一次ソースと呼ばれるソース層がトランスデューサをモデル化しており、界面は第2のソースと呼ばれるソースの2層によりモデル化されている。
図9の構成から出発して、DPSMの拡張を本発明による多層系に実装することにより、2個のトランスデューサSおよびTをモデル化する2層の一次ソースA、Aを、(n−1)個の界面に関係する二次ソースの2(n−1)個の層と共に図10に示す。これらのソースは、対応する界面に接する小さい円の形で表わされている。各々の界面のいずれかの側に、二次ソースの層が当該界面の全面にわたり分布している。このように、例えば第1の界面Iの場合、ソースA がトランスデューサSに対向する界面の表面上に分布し、もう一方の面にソースAが分布していて、同様にランクnの界面まで、ランク(n−1)の界面と反対側の面上にA n−1、およびトランスデューサTと反対側の面上にソースAn−1が分布している。図を簡明にすべく、これら一次および二次ソースの一部だけを示す。AおよびAは、以下でソース・ベクトルと称する点源の値を含むベクトルを表わす。ランク1〜nの各々の界面の各々の表面に、二次ソース・ベクトルA(図からわかるように各々の界面の上面に対して)およびA (各々の界面の下面の場合)のアセンブリを示す。
系6の各平面媒質内の超音波場全体が、対象とする媒質の直上および直下にあるソースの2個のアセンブリにより生成されたベクトルの重ね合わせにより得られる。従って、この全ベクトルは以下の方法で各種の媒質について計算される。
媒質C:AおよびAにより生成された場の合計
媒質C:A およびAにより生成された場の合計
媒質C:A およびAにより生成された場の合計
・・・
媒質C(n−1):A n−2およびAn−1により生成された場の合計
媒質C:A n−1およびAにより生成された場の合計
ソース・ベクトルの値を決定するために満たされなければならない、界面における制限的な境界条件について以下で調べる。トランスデューサSおよびTの能動面上で、ユーザは各点において、VSOおよびVTOと呼ばれる速度ベクトルに各々グループ化される(およびUBCである)速度値を指定する。(n−1)個の界面を越える際に、圧力Pおよび界面の平面と局所的に直交する方向への速度Vの成分(以下単に速度Vと称する)は、超音波物理(IBC)から生じる理由により連続でなければならない。同じことが他の分野の物理量の連続性の条件にもあてはまり、その場合で圧力および速度ではない他のパラメータを量PおよびVで表わす。
項V、Pは、関係式V=M.AおよびP=Q.Aを介して基本ソース・ベクトルに紐付けられている。ここに、MおよびQは同じ媒質内で相互作用している物体の結合行列である。行列Qは、スカラー量(超音波波の場合は音響圧、静電気の場合は電気スカラー・ポテンシャル、あるいは静磁気の場合は磁気スカラー・ポテンシャル)を特徴付けるのに対し、行列Mはベクトル量(本例では超音波波の伝播速度、静電気の電場、または静磁気の磁場)を特徴付ける。境界条件および連続性の条件から次式が得られる。
これらの式は、添え字(n−j)内の値をnj、j=1、2、3の形式で以下のように書くことにより行列形式で表わすことができる。
この行列は、記号的な形式で書くこともできる。
従って、一次および二次ソースの全てをグループ化して、大域ソースと呼ばれるベクトル{A}が得られる。
トランスデューサの能動面が、対向する物体の端部界面上に配置される場合を以下で調べる。異なる媒質の(n+2)層を分離する(n+1)個の界面(I、I、・・・I)を考える。これらの層は(0、1、2、・・・、n、n+1)と番号付けられたランクを有する。トランスデューサSおよびTの能動面は、図11に示すように、物体1の下部(I)および上部(I)界面上に各々配置される。これら2個の界面は各々、下半分の空間および上半分の空間の境界を画定する。ランク0の媒質が界面Iと接触しており、一方、ランクn+1の媒質は界面Iと接触してある。本発明の方法に関して上で述べたように、ソースの層はn+1個の界面I、I...Iのいずれかの側に分布している。ソース・ベクトルのこれら2層は、A(界面上方のソースの場合)およびA (界面下方のソースの場合)と表記されており、ここに0<m<nである。しかし、最初(I)と最後(I)界面は、3個の異なるソースの層と隣接している。実際、追加的なソースA、Aの2個のアセンブリは、トランスデューサの能動面がこれらの最初および最後の界面に対して適用されると仮定されていることに起因している。界面IはトランスデューサSの能動面に一致しているが、本発明の方法の図示の便宜上、ここではIとSを2個の異なる界面として考える。Iは受動領域(エネルギー源無し)を表わし、Sは表能動領域(1個のエネルギー源が存在する)を表わす。同様に、IとTを2個の異なる界面と考える。このように、ここに示す場合において、いずれかの側にソースの1個のアセンブリが配置されているn+1個の受動界面I、I、...I、および各々が追加的なソースA、Aの2個のアセンブリに対応する2個の能動面SおよびTだけが存在する。
2個の端部媒質を除いて、全ての媒質における超音波場は、以下に注記されるように、ソースの2個のアセンブリにより場が生成されると仮定することにより得られる。
媒質2:A およびAにより生成された場の合計
媒質3:A およびAにより生成された場の合計
..........
..........
媒質n−1:A n−2およびAn−1により生成された場の合計
しかし、界面I上方および界面I下方の各半空間内で、超音波場はソースの単一層によってのみ生成される。
媒質0:場はソースAにより生成される。
媒質n+1:場はソースA により生成される。
上側および下側の媒質(ランク1およびnの媒質)において、場は3個のソース層により生成される。
媒質1:A 、AおよびAにより生成された場の合計
媒質n:A n−1、AおよびAにより生成された場の合計
界面における制限的な境界条件から出発してソースの値を決定するために、以下の界面における条件が最初に満たされなければならない。n−1個の中間的な受動界面(I、I、...I)を越える際に、界面の平面の局所的に法線方向にある超音波圧力Pおよび速度Vは連続でなければならない。
能動面S、Tが除外されている場合、界面I、Iは受動領域とのみ隣接している。これらの受動界面を越える際に、他のn−1個の受動界面を越える場合と全く同様に、圧力Pおよび速度Vは連続でなければならない。
トランスデューサの表面S、T上の速度ベクトルVは各々VS0およびVT0と表記されている。上で述べたように、V=M.AおよびP=Q.Aとすれば、連続性の条件および境界条件(UBCおよびIBC)から次式が得られる。
これらの方程式は、以下のように再構成できる。
行列表現で、(n−j)を形式nj、j=1、2、3・・・で表わすことにより、次式が得られる。
方程式の数および未知数の数は、以下のように数えられる。各々の界面I、I、...In−1に対して、界面の上方にN個のソースがあり、界面の下方にN個のソースがあって、下位I個および上位In+1個の界面において、トランスデューサSおよびTの2個の能動面上に各々M1およびM2個のソースがあり、これらの2個の界面の受動領域上に各々2(N−M)個および2(N−M)個のソースであると仮定する。従って、n+1個の界面(トランスデューサの能動面を含む)に対するソースの総数は、2(n+1)N−M−Mに等しい。方程式の総数も2(n+1)N−M−Mに等しい。その結果、この方程式系は一意な解を有する。
行列方程式(6)は、以下のように記号的な形式で記述することができる。
行列Mの次元が、
{2(n+1)N−M1−M2.2(n+1)N−M1−M2.}
トランスデューサの能動面が界面の一部を形成する場合について以下で調べる。ここで相互作用のモデリングは上で述べたものとは僅かに異なる方法で行なわれる。先の場合とは対照的に、トランスデューサの一次ソースは、図12に示すように界面二次ソースのいくつかで置換される。ソースの層が、n+1個の界面I、I、...Iのいずれかの側に配置されている。界面Iの一方の面のソース・ベクトルのうち、界面上方のものをAと表記し、界面下方のものをA と表記する。図12において、トランスデューサS、Tを、n個の異なる媒質を含む物体の界面IおよびIと接触している状態で示す。これらの2個の界面は、媒質0およびn+1の側に位置する半空間の境界を画定する。図11と12の違いは、界面IとIの近傍における点源の分布にある。
各媒質内の超音波場の総計は、ソースの2個のアセンブリにより生成された場の重ね合わせにより以下のように得られる。
媒質1:A とAにより生成された場の合計
媒質2:A とAにより生成された場の合計
媒質3:A とAにより生成された場の合計
媒質n:A n−1とAにより生成された場の合計
しかし、上述の各半空間において、場はソースの単一の層により生成される。
媒質0:場はソースAにより生成される。
媒質n+1:場はソースA により生成される。
境界条件から出発してソース・ベクトルの値を決定するために、界面上において以下の条件が満たされなければならない。n−1個の受動界面(I、I、...In−1)を越える際に、対象とする界面に対して局所的に法線方向にある圧力Pおよび速度Vは、一切の不連続性を示してはならない。界面I、Iは、能動領域および受動領域に隣接している。トランスデューサS、Tの能動面は能動領域に配置されている。これらの領域を各々
と表記する。トランスデューサの能動面を含んでいない受動領域をI、I(指数無しの)と表記する。
トランスデューサの能動面
上における速度ベクトルを各々VS0、VT0と表記し、受動界面IおよびIと交差する際に、対象とする界面に対して局所的に法線方向にある圧力Pおよび速度Vは、他のn−1個の受動界面と全く同様に、一切の不連続性を示してはならない。
V=MAおよびP=QAであることから、界面における制限的な境界条件から以下の方程式が得られる。
これらの方程式は、(n−j)をnj、j=1、2、3...の形式に書くことにより、行列形式で記述することができる。
ランク0およびnの界面に対して中カッコ
で囲まれた項がゼロで置換されるのに対し、能動領域
およびランク0およびnの界面に対して山形カッコ
で囲まれた項がゼロで置換される。
上述の行列(9)は以下の記号的な形式で記述することができる。
従って、大域ソース・ベクトル{A}を得ることができる。
単一界面および単一トランスデューサの特定の場合について図13を参照しつつ調べる。この場合は、図10に示す場合においてトランスデューサAおよびIを除く全ての界面が後者から除外されている特定の場合と見なすことができる。この場合、反射係数RをMとQの値に関して計算することができ、それ故に、行列MおよびQの物理的重要性に関する概念を有している。この場合方程式(2)は以下のように簡約される。
(11)の2番目と3番目の方程式から以下が得られる。
(12)の2個の方程式を減算することにより次式が得られる。
但し、
ここから、(11)に従い、
以下を記述することができる。
媒質2内の界面における速度ベクトルは、以下のように透過係数Tの行列形式で表わすことができる。
TM1S
また、媒質1における反射係数Rの行列形式で以下のように表わされる。
1S+RM1S
これにより以下が得られる。
次いで以下が得られる。
当該問題が反射および透過係数行列に関して定式化されている場合、前記行列が考慮されているならば速度の連続性が圧力の連続性を保証するため、圧力の連続性の条件は必ずしも個別に満足される訳ではないことに注意されたい。
方程式(13)および(17)から出発して、以下を記述することができる。
DPSMの教示から出発して、トランスデューサの表面に分布しているN個の点源の値を例えば以下のように計算する。ここで、トランスデューサは流体と接触状態にあると仮定しているが、トランスデューサが固体と接触している場合にも本記述を容易に適用できることが明確に理解されよう。Aをm番目の点源の値とする。この点源から距離rにおける圧力pは次式で示される。
上式でi=−1、k=ω/cであり、ωは超音波のパルス周波数、cは波の伝播速度である。m番目の点源から距離rにある点のxにおける超音波圧力p(x)は次式で示される。
波の超音波圧力と伝播速度との既存の関係から出発すれば、点xにおける波の速度は次式により計算することができる。

また、時間の関数としてe−iωTの形式で表わされる速度の場合、その導関数はvに正または負の項を単に乗算することで得られる。この項が負の場合には次式が得られる。
従って、m番目の点源から距離rにおける超音波波の動径速度vの値は次式で得られる。
方向xにおける速度成分は次式で得られる。
N個の点源の寄与が加算される場合、方向xにおける速度の総和は次式で得られる。
が方向xにおけるトランスデューサの能動面上の波の速度である場合、この能動面上のxの全ての値について、方向xにおける速度はvに等しく、従って以下が得られる。
トランスデューサの能動面にN個の点を取ることにより、N個の未知数(A、A、A、...A)を有するN個の一次方程式系が得られる。しかし、点源が対象点xに一致する場合、rがゼロになって方程式(18−H)のv3mが無制限になるため、問題が生じる。当然ながら、点源と対象点xがトランスデューサの能動面に配置されている場合、これら2個の点だけが一致してrがゼロになり得る。この難点を除去すべく、点源はトランスデューサの能動面の僅かに後ろ側に配置される。このような場合、rの最小値をrと表記する。
点xがトランスデューサの能動面上に配置されている場合、その速度成分x3と当該能動面上の波の速度vとの相関が計算される。次いで、他の2個の速度成分v1およびv2の相殺が望ましい場合、3個の方程式、すなわち上記の方程式(18−H)および以下の2個の方程式(18−I)が同時に満たされなければならない。
従って、前記仏国DPSM特許に示すように、球面上のN個の試験点に対して3N個の方程式が得られる。しかし、未知数より多くの方程式が得られる。この問題を解決するために、当該仏国特許は、各々の点源を点源の三重項で置換することにより、3N個の未知数を得るために未知数の数を増やすことを推奨している。これら3個のソースは異なる値を有し、トランスデューサの能動面に平行な同一平面上に、能動面から距離x3=−rsの位置に配置されている。3個の点源は、波が伝播する材料の等方性を維持して、放射の選択配向を避けるために、ランダムな向きの正三角形の角に配置されている。従って、3N個の一次方程式(三重項の場合)系またはN個の一次方程式(単一点源の場合)系を解くことにより、全ての点源に関連付けられたAの値が得られる。Aの値が得られたならば、方程式(18B)を用いて、トランスデューサの能動面上または向こう側に拘らず全ての点での圧力p(x)が計算される。非粘性完全流体の場合、流体と固体の界面(トランスデューサの能動面上の)の法線方向にある速度(v)成分だけが連続でなければならないことに注意されたい。能動面と流体との間に滑りが生じる可能性があるため、この能動面と平行な速度成分は必ずしも連続である訳ではない。しかし、粘性流体の場合にはそのよう滑りが生じることはなく、前記界面で速度の3成分は連続でなければならない。
流体内における超音波波の伝播に関して、行列解析を用いたソースのパラメータ計算を以下に示すが、この計算が本明細書で述べたような他の応用分野に容易に適用できることが明確に理解されよう。この計算は、トランスデューサの能動面上の速度の3個の直交座標成分が、粘性流体の場合と同様にトランスデューサとの界面における流体のそれらに一致する場合の三重項ソースについて示すものである。逆の場合には、計算における速度成分v1およびv2を除外することにより、三重項の代わりに単一点源が用いられる。次いで行列の次元およびベクトルの次元が3NからNまで減らされる。
方程式(18−H)と(18−I)を組み合わせて次式が得られる。
この方程式において、VはN個の点xの速度成分の(3N×1)次元ベクトルであり、Aは3N個の点源に関する物理量を含む(3N×1)次元ベクトルである。Mssは、2個のベクトルVおよびAを結び付けている(3N×3N)次元の行列である。方程式(18−H)および(18−I)から次式も得られる。
列ベクトルVの転置は(1×3N)次元の行ベクトルであることに注意されたい。このベクトルの要素を
表記する。ここに、添え字jの値は1、2または3であって、波の伝播速度の直交座標成分の方向を示す。指数nは1〜Nの間の任意の値を取り得て、速度成分が定義されるトランスデューサの能動面上の点に対応している。
大多数の超音波トランスデューサの場合、j=1または2ならば(換言すれば界面に平行な速度成分について)
は0、およびj=3ならば(速度の法線成分)
である。この場合、方程式(18−K)は次式となる。
および、ベクトルAは次式で示される。
方程式(18−H)、(18−I)から出発して正方行列MSSが得られる。
但し
方程式(18−O)において、xの第1の添え字jは、値1、2または3を取ることができ、xがどの方向(x、xまたはx)に関係するかを示す。xおよびrの添え字mは考慮している点源に応じて1〜3Nの値を取ることができるのに対し、添え字nは、速度成分を計算しているトランスデューサの能動面の対象点に応じて、1〜Nの間の任意の値をとることができる。
を点xの(トランスデューサの能動面の背後に配置されている)1つであるとする。m番目の点源をこの点に接続しているベクトルは
と表記されていて、方向x、x2およびxのその3個の成分は方程式(18−N)、(18−O)内で値
、j=1,2,3を取る。
方程式(18−J)を用いて、行列MSSの逆行列を求めることにより、点源に関係する量が得られる。
ソース・ベクトルAがこのように計算されたならば、方程式(18−B)圧力p(x)が、あるいは方程式(18−H)および(18−I)から全ての点(トランスデューサの能動面上、またはその向こう側)における速度ベクトルV(x)が得られる。以下に、速度および圧力ベクトルが計算される任意の点または流体(あるいはより一般的に、波と媒質の材料との間に相互作用が生じる媒質上の任意の点)を「観測点」と称する。圧力および速度の成分は以下の関係から得られる。
上式において、Pは(M×1)次元のベクトルであってM個の観測点における圧力の値を含んでおり、Vは(3M×1)次元ベクトルであって任意の観測点における3成分を含んでいる。Vの式は、式(18−K)から取られたVの式に類似している。唯一の違いは、(3N×1)次元ではなく(3M×1)次元である事実にある。観測点が方程式(18−P)内のソース・ベクトルAを得るように速度成分が選択されているトランスデューサの能動面上の点と同一である場合、行列MTSは方程式(18−N)におけるMSSと同一である。しかし、さまざまな点で速度ベクトルを計算するために、MTSを与える式は、方程式(18−N)から取られたMSSの式とは僅かに異なる。従って、その次元は以下の方程式(18−R)で示すように(3M×3N)である。
上式において、項
は方程式(18−O)に現れるものと同一である。添え字jおよびmの定義は方程式(18−O)のものと同一である。変数xおよびrの指数nは、対象点に応じて1〜Mの間の任意の値を取ることができる。MがNと異なる場合、MTSが正方行列でないことに注意されたい。
行列QTSは、3N個の点源およびM個の点を考慮している場合に方程式(18−B)から得られる。
この方程式において、
の定義は方程式(18−R)および(18−Q)におけるものと同一であって、m番目の点源とn番目の対象点との間の距離である。
方程式(18)に戻り、方程式(18−O)および(18−S)から出発して、この方程式の行列Q(音響圧力とソース・ベクトルの関係を確立する行列)の要素と、その行列Mの要素(速度およびソース・ベクトルの法線成分の関係を確立する)と共に得られ、次式を与える。
ここで2個の行列
を方程式(18)の行列QおよびMと同様に定義するが、唯一の違いは、行列QおよびMがソース分布値A として媒質2内の圧力および速度を与えるため媒質2の特性に関係するのに対し、行列
は媒質1の特性を用いることである。その結果、行列
は、媒質2が媒質1により置換された場合に、点A に応じて分布している等価なソースの圧力および速度の値を与える。方程式19は以下のように記述することができる。
同様に以下が得られる。
ここに、行列
が方程式(18)の行列Q11およびM11と同様であって、唯一の違いは、
がソース分布構成A の界面における位置の圧力および速度の値を与えるのに対し、行列Q11およびM11はソース分布構成Aの界面の位置の圧力および速度の値を与えることを注記する。これらの2個の行列が媒質1の材料特性を用いることに注意されたい。分布構成Aが界面の直上に存在することから、分布構成A は界面の直下に存在するのに対し、界面のいずれかの側に存在する点に対する法線速度ベクトルは同じ大きさながら逆向きである。これら点源の2個の層により生成された圧力は同じ大きさである。従って以下が得られる。
方程式(22)を方程式(18)に代入することにより以下が得られる。
界面の位置A における
ソース分布構成が、対象点におけるソースAのそれに等しい場合、ソースの2個のアセンブリの速度の式を等しくすることにより以下が得られる。
同様に、圧力についても以下が得られる。
は、同一位置に存在するにもかかわらず異なることに注意されたい。
は、2個の媒質1および2が同一である場合の点源の等しい分布を表わす。換言すれば、媒質2を媒質1で置換したならば、
の場合には真の界面は存在しない。しかし、A の場合には媒質1と2の間に真の界面が存在する。
方程式(24)と(25)を比較すれば以下が得られる。
方程式(26)を方程式(23)に代入すれば以下が得られる。
方程式(27)値でα、α、β、βの値を方程式(20)および(21)で所与の値で代入すれば以下が得られる。
波を高周波(kr>>1)と見なせば以下が得られる。
対照的に、低周波(kr<<1)の場合は以下が得られる。
高周波での反射係数が法線入射における平面波の反射係数と同様であることに注意されたい。一方、低周波数では僅かに異なる。その理由は、ここに示す例が点源を有する球面波に関係するためである。平面波は、より多くの点源を重ね合わせることによりモデル化されている。
本発明の方法の特徴について、多層系およびトランスデューサの能動面上の相互作用との関係において示す。ここで考慮する幾何形状的問題は、図10に関する問題と同一である。今回の場合と、説明の始めに示したように境界SおよびTにおける波の速度が指定されていて各々VS0およびVT0と表記した場合における境界条件の違いは、今回示す場合には速度が指定されていないことである。全ての他の界面、およびトランスデューサが存在しない場合、表面SおよびT上の当該速度は各々VS0およびVT0である。別の界面および第2のトランスデューサが導入されたならば直ちに、表面S上の波の速度はVS0でなくなり、また表面T上の速度はVT0でなくなる。トランスデューサと界面の相互作用に起因するトランスデューサ面上の速度変化について以下で考慮する。
この問題は2段階で解決される。第1段階において、能動トランスデューサのソース・ベクトルA、Aの値は、表面速度条件から出発して得られる。
第2段階において、図14に示すようにSおよびTを含んでいる点源の2個の層が各々の界面で導入される。これらの新たなソースの導入により、界面Sの下方のソースの合計値はA+A に等しく、界面Tの上方でA+Aに等しい。図14において、界面TをIで表わし、界面TをIで表わす。その他の界面は各々I〜In−1で示す。
大多数の層における超音波場は、点源の2個の層により生成された場の重ね合わせにより、以下のように得られる。
媒質2:A およびAにより生成された場の合計
媒質3:A およびAにより生成された場の合計
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
媒質n−1:A n−2およびAn−1により生成された場の合計
対照的に、下側半空間(表面S上方の媒質1)および上側半空間(表面T下方の媒質n)において、全場は3個の点源により生成される。
媒質1:A 、A、およびAにより生成された場の合計
媒質n:A n−1、A、およびAにより生成された場の合計
トランスデューサにより(表面Sの下側、および表面Tの上側に)形成された媒質内で、場は点源の単一層により生成される。
トランスデューサS内部:場はAソースだけにより生成される
トランスデューサT内部:場はA ソースだけにより生成される
ソースの値は、界面における境界条件から以下のように決定される。
界面において以下の境界条件(IBC)が満たされなければならない。n−1個の中央受動界面(I、I、...In−1)を越える際に、圧力(P)および法線速度(V)、すなわち、対象とする界面に対し局所的に法線方向にある速度の成分は連続でなければならない。同様に、界面S(I)およびT(I)を越える際に、他の全てのn−1個の界面の場合と同様に、対象とする界面に対し局所的に法線方向にある圧力(P)および速度の成分(V)は連続でなければならない。
速度をV=MAおよび圧力をP=QAと表記すれば、連続性の条件から以下の方程式が得られる。
行列形式で、(n−j)をnj、j=1、2、3...の形式で記述すれば、これらの方程式は以下のように記述することができる。
方程式と未知数の数を数えるために、界面I、I、...In−1の各々において、対象とする界面の上方にN個の点源、また当該界面の下方にN個の点源であると仮定する。下側(I)および上側(In+1)界面に、表面Sの上方および表面Tの下方のソースの2層を含めて各々2M個および2M個の点源がある。従って、n+1個の界面(表面SおよびTを含む)における未知ソースの総数は、2[(n−1)N+M+M]に等しく、またこれらの未知ソースに加え、方程式(31)を用いて得られたM+M個の既知ソースAおよびAがある。方程式の総数もまた、対象とする界面の各々の共通点において、2個の条件を満足しなければならず、および全ての界面について考慮した共通点の総数が[(n−1)N+M+M]に等しいため、2[(n−1)N+M+M]に等しい。従って、この方程式系は一意な方法で解かれる。
行列方程式(33)は以下の記号的な形式で記述することができる。
上で述べたように、行列Mの次元は2[(n−1)N+M+M]×2[(n−1)N+M+M]に等しい。未知ソース・ベクトルの数もまた、2[(n−1)N+M+M]に等しい。この結果、大域ソース・ベクトルが一意な方法で得られることになる。
ここで、2個のトランスデューサ間で生じる干渉現象、より具体的には2個の連続する界面間における複数反射の現象に関して図15を参照しつつ調べる。
最初に図15に示す極めて簡単な例、すなわち対向して配置されていて均一な媒質MLにより分離されている2個のトランスデューサSおよびTについて調べる。各トランスデューサの能動面は、能動領域と受動領域を含んでいてよい。能動領域において、界面の影響が一切ない状態での波の表面速度V0S(またはV0T)が指定されている。受動領域において、他のいかなるソースにも影響されない場合、表面速度はゼロである。
S0およびAT0は、トランスデューサSとTの間の相互作用の影響が無視される場合に、トランスデューサSおよびT全体にわたり分布している点源である。換言すれば、AS0およびAT0は、他に一切のトランスデューサも散乱体も存在しない状態で、均一な媒質内にあるトランスデューサにより生成された場をモデル化するために用いる点源の分布を表わす。
場AS0はトランスデューサTにより反射される。この場は、トランスデューサT上に分布するソースAT1の新しい層を導入することによりモデル化される。ソースAT1により生成される表面S上の、および場AS0の反射に起因する速度ベクトルの方程式を記述することにより以下が得られる。
T1により生成された場は、続いてトランスデューサSにより反射される。この場は、トランスデューサSの表面上に分布するソースAS2の層を導入することによりモデル化される。ソースAS2により生成される表面S上の、および場AT1の反射に起因する速度ベクトルの方程式を記述することにより以下が得られる。
これらの動作を他の全ての反射について繰り返すことにより以下が得られる。
同様に、ソースAT0から出発して、AS1から来る表面S上の場と、AT0により反射されたものを結合することにより以下が得られる。
および
この結果、トランスデューサSおよびTのソース・ベクトルを次式のように表わすことができる。
次いで、速度ベクトルおよび圧力の分布を以下の方程式から得ることができる。
トランスデューサから発せられる波の速度が不変の場合、ソース・ベクトルは方程式(41)から得られる。
能動領域の表面積が、トランスデューサの総表面積と異なり、および能動領域の表面上で速度ベクトルだけが指定されている場合、次式が得られる。
は単位行列でなければならないことに注意されたい。方程式(44)はまた、以下のように記述することもできる。
但し、
従って、
S0およびAT0が受動領域においてゼロであることから、この方程式の第2項はゼロである。WMDWの式におけるゼロ値の列を除去して、これを行列Eと定義することにより、以下の簡素化された方程式が得られる。
本発明の方法はまた、散乱の場合にも適用可能であって、特に、散乱体が任意の所与の形状を有し、図16に示すように均一であると仮定される場合に適用可能である。そのような散乱体は、均一な媒質(媒質1と呼ぶ)、または材料(媒質2と呼ぶ)の層内の包含物であってよい。そのような場合、点源の2個の層が実装される。すなわち、散乱体内にあってその外面と接触している第1層(A)と、媒質1内で当該散乱体の外面上にある第2層(A )である。ソースのこれら2層に加えて、トランスデューサS、Tをモデル化する点源A、Aの2層を考慮する。媒質1内の場の合計値は、ソースA、AおよびAの3層を重ね合わせることにより得られるのに対し、媒質2内の場はソースA の単一の層に起因する。2個のトランスデューサの表面上の境界条件および対象とする2個の媒質間の界面を越える際の連続性条件を適用することにより、以下が得られる。
この方程式は、以下の行列形式に記述することができる。
この行列方程式がソース・ベクトルA、A、AおよびA について解かれる。
上に示した方法により原理的には、散乱体が存在する状態で相互作用をモデル化する問題を解決することができる。しかし、そのような包含物に起因するマスキングの問題は、解決されないままである。従って、媒質1内のどのような所与の点(以下、「対象点」と称する)も、層Aの全ての点源を「見る」訳ではなく、および2個のトランスデューサの全ての点源を見ることが可能にはならないだろう。先の例(図9〜15に示す)において、平面界面だけを含む物体の場合、この問題は、対象点が遮蔽された領域には決してなかったという事実のために存在していなかった。この困難さを回避すべく、点源は一方向、すなわち1個の半空間だけにエネルギーを放射するものと仮定されているのに対し、他の半空間はマスキングされたままであり、トランスデューサの点源により発される光線の経路が当該対象点に到達するのを包含物が妨げる場合、当該点源の寄与は無視される。この手順を、図16と同じ参照要素を再び用いて図17に示している。
図17において、Pと表記されて媒質1内に位置している対象点を、点Pで計算された場の生成に寄与する点源の3個の層(A、AおよびA)と共に示す。これら点源の3個の層が前の半空間だけに放射して、後の半空間がマスキングされたままである場合、これら点源の3個の層に関係する放射パターンは、図17の小さい三日月形により表わされるようになる。点Pは次いで、点AとBの間にある点源Aの全てからの、また点CとD(媒質2上の)の間にある点源Aの一部からの、および点FとGの間にある点源Aの全てからの放射を受ける。しかし、実際には、点Pと、点FとGの間にある点源Aとの一部との間に散乱体が存在するため、点Pは、点EとGの間である点源Aによってのみ励起される(PとGを結ぶ光線は媒質2に接している)。従って、そのような場合に本発明の方法を実装するために、点Pにおいてどの点源が場を励起できるかを判定しなければならず、続いて、この場に対する他の全ての点源の寄与がゼロに設定される。
散乱体が包含物であるこの同一ケースに対して、計算プログラムを利用するためにより簡便な代替方法について図18を参照しつつ述べる。
図18において、トランスデューサSとTの間に、図17での2個の媒質の代わりに、3個の媒質を示す。媒質2は、図17の場合と同じ包含物を含んでいて、平面層により拡張されている。媒質2は、包含物を迂回してトランスデューサSおよびTの能動面に平行な平坦面に沿って伸びていて、包含物の最大厚さ(包含物の最大厚さとは、例えばトランスデューサの能動面の垂線に沿って決定される)より距離Dだけ互いに離れている2個の界面I1、I2により境界が画定されている。界面I1、I2のこれらの平坦面の中央の面は、ほぼ媒質2の中心Cを通る(図ではCを通る線TRにより辿られる)。媒質1は、トランスデューサSと界面I1の間に置かれ、媒質3はトランスデューサTと界面I2の間に位置している。
媒質1、2および3内の場の値は、以下のように点源の2個の層の寄与を加えることにより得られる。
媒質1:AおよびAにより生成された場の合計
媒質2:A およびAにより生成された場の合計
媒質3:A およびAにより生成された場の合計
2個のトランスデューサS、Tの能動面上の境界条件、および各々が一方では媒質1と2を、他方では媒質2と3を分離している2個の界面を越える際の連続性条件を遵守することにより、以下が得られる。
図18に示す例において、遮蔽された領域では小さい領域の僅かな点だけを配置することができ、これを考慮しなくても無視できる誤差しか生じないことに注意されたい。
媒質3の特性が、媒質1の特性と同じで、および距離Dがゼロである場合、図18の例は図19に示す例のようになる。図19において、図18のものと同じ要素に同じ参照符号が割り当てられていて、仮定により媒質1と3が同じ特性を有し、距離Dはゼロである事実により、媒質2は媒質1に完全に囲まれていて、2個の界面I1およびI2が、媒質2の中心Cを通っていてTとSの能動面に平行な1個の仮想界面I0に簡約される。図16に示す場合との違いは点源の決定にある。従って、図16において、ソースの4個の層はA、A、AおよびA であるのに対し、図19では層AとAは図16のものと同一であり、一方、図16の層Aは図19では2個の層AおよびA に分かれていて、図16の層A は図19では2個の層AおよびA に分かれている。
方程式(51)は、図19の場合に適合すべく以下のように変形される。
これにより以下が得られる。
方程式(53)は、以下の行列形式で記述することができる。
方程式(50)の解とは対照的に、方程式(54)の解により、遮蔽された領域に付随する問題を解決することができる。
系が複数の領域を有する場合に、電磁気場、より具体的にはフーコー電流場における本発明の方法の一実施形態について以下に述べる。
グリーンの理論は、非均一な波[ネイ]に関する以下のような方程式を解く趣旨で電磁気場において利用できる多くの計算技術の1つを構成する。
この方程式において、
は磁気ベクトルポテンシャル、
は電流密度を表わすと共に、
である。上式において、
ε=ε・ε(但し、ε=1/36π・10−9である)であり、
μ=μ・ε(但し、μ=4π・10−7である)であり、
ここに、導電媒質の場合、ωσμ>>ωμεであり、これによりσ>>ωεであり、これにより
が得られ、これにより表皮効果の深さを
と推論することができる。次いで散乱方程式が得られる。
逆の場合、媒質が導電性でなく、
である場合(cは波の速度)、これらは伝播方程式であって、波長はλ=2π/k=2πc/ωと定義される。
グリーンの理論により、問題を大域的に定式化することができ、これは本発明のDPSM法に完全に合致し、上述のように、本発明のDPSM法に従い対象とする媒質内の放射している全ての点源からの寄与が合計されている。
を、ヘルムホルツ方程式のディラック・パルスに対する媒質のパルス応答とすれば、その境界条件は以下のように記述される。
従って特別解は以下のようになる。
但し、ψは未知であり、fが励起ならばψは次式で示される。
はグリーンの関数または方程式(F−4)に付随する基本解であり、fはボリュームV内のソースである。
今度は均一な自由空間の場合について調べる。この場合、ボリュームv内に電流密度
が存在する。次いで磁気ベクトルポテンシャルが方程式(F−1)の解である。方程式(57)から出発して、グリーン関数を球面座標において得ることができる[ネイ]。
ここに、
は観測点と励起点との間の距離である。
グリーン関数、方程式(60)の解は、以下の通りである。
この解は球面波と見なすことができ、1/Rずつ減少して点R→0で特異点を有する。
励起の
特別解は、重畳積分(59)を適用することにより得ることができる。この解は方程式(55)の右辺およびグリーン関数(61)を用いて以下のように記述できる。
磁場
および電場
は方程式(62)から推論することができる。また、この方程式は、観測点
におけるボリュームv’内のソース全体の寄与を表わす。グリーンの定式化とDPSMによる定式化の間には、DPSMソースが点源であるという事実を除いて、明らかな類似点がある。方程式(62)において、
はA/m単位で表わされる電流密度であることに注意されたい。
DPSM法の定式化によれば、項
はN個の点源の有限な合計を表わす。
方程式(F−9)を方程式(F−8)に代入すれば以下が得られる。
方程式(64)において、方程式(62)から考慮して、
は基本ボリュームdvに組み込まれていて基本ソース・ベクトル(三重項ソース、すなわち現在の単位での3個の基本直交座標成分にm.k.s単位系のA.m単位の長さを乗算したもの)を表わす電流密度
に等しいことに注意されたい。
直交座標系において、座標
を有する点で計算されたベクトルポテンシャルは、座標(Cx,Cy,Cz)を有する点源および座標(x,y,z)を有する観測点Pを用いれば、次式で表わされる。
但し、
および
本発明のDPSM法は、観測点Pの所与の配列における全ての点源の寄与の合算を実行する。例えばNp個の観測点が存在する場合、rの各々の値に対して、磁気ベクトルポテンシャル
は3個のベクトル
を含んでいる。例えば、
は次式で示される。
この式において、励起点iと観測点jとの間の距離はRjiである。
最後に、Aの全ての座標x、yおよびzを含むベクトルAに対して以下が得られる。
基本三重項の成分Jx,Jy,Jzは正確に同じ点
に置かれておらず、および行列Wxx,Wyy,Wzzが僅かに異なり得ることも理解されたい。
従って、所与の点
における磁場
は以下の方程式により得られる。
次いで、
但し、
である。
を以下のような曲線座標であるとする。
但し、
単一のソースiの場合、偏導関数から以下が得られる。
または、
但し、
従って、座標rotAxについて以下が得られる。
同じことが座標rotAyおよびrotAzについて成り立つ。
最後に以下が得られる。
但しこの場合も
この方程式はまた、Np個の観測点の配列に対して、方程式(F−12b)の場合と同様に、行列形式で記述することができる。
この方程式において、Bαβは、添え字αおよびβが各々微分軸および基本点源の成分方向の軸を示す行列ブロックである。
静的な場合(ω=0)において、ビオ・サバール方程式と正確に同じ結果が得られる。
最後に、静電気成分が無い場合、静電場
は以下の関係により得られる。
異なるゲージ、例えばローレンツ・ゲージ(上における、図9の説明直前のゲージに関する段落を参照)を用いて以下が得られる。
方程式(68)および(69)は、本発明のDPSM法による電磁場を表わす。点源の概念を実装するためにグリーンの理論をDPSM法に適用した。以下、DPSM/グリーン定式化において表面を越える際にポテンシャルの連続性を要求する趣旨で境界条件が記述されている。DPSM定式化の重要な特徴の1つが、当該界面により分離された媒質内の場を総合するために、界面のいずれかの側に仮想点源の配列(電磁気の場合は電流源の三重項)を配置することに注意されたい。大域行列を用いる定式化のために、本発明の方法は、単純な幾何学的形状に限定されず、あらゆる種類の表面、および複数の界面を含む物体に適用することができる。
境界条件
本発明のDPSM法によれば、超音波場、静磁気場、または静電場のいずれにあろうが、ポテンシャルおよび分離面に対する法線
に沿った一次導関数の連続性を要求することにより境界条件が満たされる。電磁気への応用において、この定式化により、磁気ベクトルポテンシャル
および界面の各点における法線
に沿った一次導関数
の連続性が要求される。
例えば、図20、21に示す場合において、磁気ポテンシャル
は、ソース
の効果を重ね合わせることにより媒質1で計算されるのに対し、媒質2における磁気ポテンシャル
はソース
だけから生じる。従って、以下を記述することができる。
界面に対する法線
に沿ったベクトルポテンシャル
の変型を、一般的な場合に以下のように表わすことができる。
図20に示す特定の場合において、ベクトル
はz軸に対応し、これは先の方程式が以下のようになることを意味する。
とする。
であるこの特定の場合について、Np個の観測点の所与の配列に対して、方程式(66b)および(68b)と同一の導関数および表記を用いて以下のように記述することができる。
図21において、ソース
(媒質1内に位置している)と、DPSMソース
(各々、媒質1内へ放射すべく外向き、および媒質2へ放射すべく内向きである)の関連付けられた層を有する媒質間の界面が存在する構成を示す。従って、本発明の方法による境界条件は以下のようになる。
−ポテンシャル
および界面の表面「1」で誘導され、ソース
(インダクタ)により生成されたその一次導関数
−ポテンシャル
および界面の表面「1」で誘導され、ソース
(外部DPSM層)により生成された一次導関数
−ポテンシャル
および界面の表面「1」に誘導され、ソース
(内部DPSM層)により生成された一次導関数
界面に沿う
の値は以下の方程式を満足しなければならない。
が公知であると仮定すれば、以下はJ=I・Jと記述することができる。
Iを3Ns×3Nsの単位行列であるとすれば、以下が得られる。
上により詳細に述べたように、未知数
は方程式(74b)の反転により得られ、ここに、W1Sが3Np×3Ns次元の行列、W11が3Np×3Np次元の行列、W22が3Np×3Np次元の行列である事実により、大域行列は常に正方行列であり、これは大域行列が正方行列であって3(Ns+Np+Np)×3(Ns+Np+Np)次元であることを意味する。
点源の全ての値が既知であるとの前提で、本発明のモデリングの結果を観察するために空間の所与の離散化された領域の場が計算される。
図20の実験装置で得られた結果をここに記述する。しかし、この明らかに簡単な問題を解析的に解くのは誘導ループが界面の平坦面に平行な場合でさえ極めて困難である[ドッド68]ことに注意されたい。更に、他のシナリオにおいて、例えば誘導ループが界面に対して傾斜している場合、解析的計算が更に複雑になるのに対し、DPSM解は簡単なままである。
図20に、半無限大の厚さを有すると考えられる導電材料ME1のブロックの上面から距離Dに、電圧V(t)の電力が供給される導電ループB1が配置されているようなブロックを示す。当該ブロックME1は、直方体の形状を有し、その上面がループB1に向き合い、その寸法は電圧V(t)の波長より大きいことから、半無限大であると考えられる。ループB1は、ブロックME1内で磁場CMを誘導する。
図22、23が関係する一例示的な実施形態によれば、ループB1は直径50mmであって、N個の電流要素J(仮想励起ソース)によりメッシュモデル化されていて、後者からD=20mmの距離で第1にブロックME1の上面と平行であり、ブロックME1の上面は300×300mmの正方形であって、空気/ブロック界面はN=22×22=484個の基本ソース
の三重項により当該界面のいずれかの側でメッシュモデル化されている。
図21において、本発明の方法による仮想点源の分布を模式的に示す。ループをモデル化すべく、先に定まったように、ループB1の平面内の励起一次点源Jの層、および空気/ブロック界面ME1のいずれかの側の2次点源
の層を示し、上で述べたように、ソース
は外部空気の側にある。ループB1が単一ターンであるために、ソースJのピッチが他のソースのピッチより大きいことに注意されたい。
図22、23に、空気/ブロック界面ME1に平行な平面内における各々ソース
の実部の分布の上面図を示し、ブロックB1はアルミニウム製であって電圧V(t)の周波数が1000Hzである。同様に、図24および25に、ループB1が10°傾斜していて、ループの中心とブロックの間の距離が50mm、電圧V(t)の周波数が100Hzである場合におけるこれらのソースの分布を示す。
最後に、図26、27において、図24および25に対応する場合について、磁場Hの実部および虚部を3種の異なるレベル、すなわち、ブロックME1の上面の平面、ブロック内で当該上面から5mmに位置している平面、同様にブロック内部で当該上面から10mmに位置している表面において示す。図22〜27におけるこれら全ての座標はミリメーター尺度である。
当然ながら、本発明は異方性媒質に実装可能であり、その場合の基本特性関数も解析的に得られる。
DPSMソースは大多数の場合、モデル化したい系を構成する物体の真の影響の代わりに、所与の空間領域内の物理量を総合することを唯一の目的として配置(特に界面のいずれかの側に)されているため、「架空の」ソースである。
しかし、これらのDPSMソースがこの程度には架空でない、いくつかの場合が存在する。例えば、静電気において、表面の近傍におけるDPSM電荷分布は時折、物体の表面に蓄積された静電荷の真の分布を相当忠実に表わすことができ、コンデンサ電極の場合がこの特性をよく例示している。これらの電荷は次いで、真の静電荷と同じ法則に従う。
この興味深い特性は、電気的に絶縁されているため全電荷がゼロのままであることを観察することにより、静電場において「浮動的ポテンシャルで」あるといわれる物体が獲得したポテンシャルを計算する例を利用して示すことができる。
以下に、2個の導電性物体AおよびBが均一な媒質内に配置されている簡素化された例を示す。ポテンシャルv1が物体A(0基準電位が無限遠に置かれている)に印加されている。Aに出現している電荷が、導体内部においてゼロ電場を保証すべく導体Bの自由電荷をその表面へ移動させる静電場を生成する。導体Bは、従って、均一なポテンシャルv2を有し、全電荷をゼロに維持する。
理論的には、ポテンシャルv2は系の静電容量係数により決定される値を有する(「0.5〜20GHzの間の周波数を処理するRF MEMS可変静電容量の研究、設計、製造および試験」Aurelie Cruau論文、2005年1月、第4章、p120およびp125参照)。
DPSM法の場合、各導体は点源Aiのアセンブリ(外側へ放射している内側ソースを明灰色の正方形で示す)および、境界条件が適用される(黒丸)表面に配置された試験点の対応するアセンブリで表わされる。
この例では、物体AおよびBは、各々N1およびN2個の試験点によりメッシュモデル化されていて、各々がこの場合は静電荷であるN1およびN2個の点源(層A、A)を含んでいる。Pを物体A上の全ての試験点におけるポテンシャルの値を含むベクトル(Pはユーザが指定)とし、Pを、物体B上の全ての試験点におけるポテンシャルの値を含むベクトルとする。ここで、物体Bが導電性であって、その結果Bの表面におけるポテンシャルが均一であると仮定するとPは以下のように記述することができる。
(ユーザが物体A上の全ての試験点に同じポテンシャルを印加することに決めたならばPについても同じことが当てはまる)。
この問題を解くために、ユーザが指定した物体A上での境界条件を考慮にいれて、ソースAおよびAの値を物体B上のポテンシャルPと共に計算しければならない。従って、N1+N2+1個の未知数があるため、N1+N2+1個の方程式が必要である。
DPSM法は、上述の特性を考慮に入れながら、この問題を以下の方程式系により表わす。
ここに、Aiは導体iの内部電荷ベクトル、QijはDPSM結合行列、およびPiは導体iのポテンシャルベクトルである。
未知の値はA、Aおよびvである。
以下の行列が得られ、その逆行列を計算するだけで上記結果が得られる。
引用文献
[DODD 68]:C.V.Dodd and W.E.Deed,‘Analytical solutions to eddy current probe−coil problems’,Journal of Applied Physics,39(6),pages 2829 a 2838,1968.
[Ney]: Michel Ney,‘Bases de l’electromagnetisme’,Techniques de l’Ingenieur,ref.E1020.
本発明の方法の一実施形態の簡素化されたフロー図である。 本発明の方法が実装されている系の簡素化された模式図である。 本発明の方法が実装されている非均一媒質の極めて簡素化された模式図である。 フーコー電流を用いる非破壊試験への本発明の方法の応用に関する模式図である。

Claims (10)

  1. 少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の系内の相互作用をモデル化する方法であって、
    −対象とする適用分野に対応すべく基本特性関数の集合を選択するステップ(E1)、
    −系を構成すると考えられる各媒質の物理特性を定義するステップ(E2)、
    −系の各物体の幾何学的構造がメッシュとしてモデル化することにより画定され、各々のメッシュ要素の表面に少なくとも1個の試験点を配置するステップ、
    −各試験点において、境界条件に対して連続式を決定すべく考慮される各媒質について少なくとも1個の試験量を定義するステップ、
    −各メッシュ要素のいずれかの側に少なくとも1個の基本点源を関連付けるステップ、
    −物体を空間内で互いに相対的に配置するステップ、
    −物体により境界が画定されたボリュームに媒質を関連付けるステップ、
    −各界面について境界条件の種類を決定するステップ(E7)、
    −各種の物体間の相互作用を表わす大域行列を構築するステップ(E8)であって、前記行列が一対にされた物体間の相互作用を特徴付ける少なくとも1個の行列ブロックから形成され、これらの相互作用は選択された特性基本関数を介して対象とする媒質中の波の伝播に関連付けられ、大域行列は多くても、一対にされた全ての物体間の可能な組合せの数のブロックを含み、各ブロックの内容は試験点において指定された境界条件の種類、対象とする2個の物体に共通な媒質の特性、およびこれらの物体の幾何学的形状に依存するステップ、
    −大域行列の逆行列を計算するステップ、
    −前記逆行列に、ユーザが課した励起境界条件の値および必要に応じて固有境界条件に対応するゼロを含んでいる列行列を乗算するステップ、
    −全ての基本点源の値を含む列行列を求めるステップ(E9)、
    −系内の全ての観測点において、系内の相互作用を表わす物理量を、点源について考慮する影響の範囲に応じて計算するステップ、
    −系内の相互作用の解析的なモデルを得るステップ
    の各ステップを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記試験点が、伝播の少なくとも一つの特定方向に偏ることを避けるように、あるメッシュ要素から次のメッシュ要素まで無作為に分布していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記系の少なくとも一部において巨視的量が計算されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記基本点源の全てにより生成された物理量が表示される(E13)ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 表面が常に閉じていて前記物体外の媒質と前記物体内の媒質との間に境界を形成する閉ボリューム物体が画定されていると共に、半無限媒質との界面を表わすことに起因してその表面が開いている開ボリューム物体が画定される(E6)ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記界面が生成される際に、内部での相互作用が調べられているボリュームの境界の集合により横方向に境界が画定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 2種類の境界条件、すなわち固有境界条件およびユーザが指定した境界条件が用いられ、第1の境界条件が、決定されたまたは決定可能な特性を有する2個の媒質間の界面を越える際のスカラーおよび/またはベクトル量の連続性を表わし、第2の境界条件が、界面のスカラーおよび/またはベクトル量についてユーザが有する先験的知識を表わすことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ユーザが指定した境界条件が、界面一方の側に位置するソースの単一の組により満たされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記特性関数が異方性媒質内で計算されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記基本特性関数のうち少なくとも1個がグリーン関数であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
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