JP2003270280A - 電磁波解析方法および装置 - Google Patents

電磁波解析方法および装置

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JP2003270280A
JP2003270280A JP2002074193A JP2002074193A JP2003270280A JP 2003270280 A JP2003270280 A JP 2003270280A JP 2002074193 A JP2002074193 A JP 2002074193A JP 2002074193 A JP2002074193 A JP 2002074193A JP 2003270280 A JP2003270280 A JP 2003270280A
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boundary surface
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Takehiko Suzuki
健彦 鈴木
Hiroichi Karasawa
博一 唐沢
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広い空間領域における高周波電磁波の挙動を高
速高精度で解析することのできる電磁波解析方法および
装置を提供する。 【解決手段】電磁波の伝播挙動を知得すべき媒質とそれ
以外の媒質の境界面を前記電磁波の波長より小さい形状
の複数の微小要素境界面1に分割し、前記各微小要素境
界面1にその物理特性に応じた所定の振幅のグリーン関
数を与え、特定の微小要素境界面1へ他の微小要素境界
面1から入射する電磁波と前記特定の微小要素境界面1
が反射する電磁波に対して前記特定の微小要素境界面1
の物理特性に従って振幅相互間の関係を与え、すべての
微小要素境界面1から電磁波の挙動を知得すべき前記媒
質内部の特定の位置にグリーン関数に従って伝播する電
磁波の値を計算し加算する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中内部を電磁波
で探索し地中の特性を探り、地盤や地殻の変化を検知し
て災害に備えるための試験評価、あるいは、高密度実装
回路の機能障害の元となる回路間電磁波相互作用により
生じる電磁ノイズの発生を最小限にするための設計、あ
るいは、マイクロ波の導波管のように金属に覆われた媒
質内部の電磁波解析を行い効率のよい導波管の設計を行
うための解析、あるいは、電波源の近くにいる人間が被
る電磁波の被爆量を算定する安全設計等を行うための電
磁波解析方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の比較的汎用の電磁波解析ソフト
は、電磁波の伝播挙動を調べる必要がある媒質の三次元
体積を一辺が半波長より小さい空間で分割した有限要素
法を用いて作成されている。しかし、高周波域まで汎用
的に扱える電磁波解析ソフトは開発されていない。特に
高周波域の計算が必要なときには特殊なモデル化を行
い、そのモデルに特化した計算を行うことが多い。その
ため個々のモデルに応じて解析ソフトを構築しなければ
ならず多くの手間を要する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、電磁波
の振る舞いを解明しようとするときは、電磁波の振る舞
いを調べるべき三次元体積領域を一辺が半波長より短い
微小体積で分割して計算する必要がある。その結果、高
周波領域の計算や広い領域の計算をしようとするほど、
その空間を分割する要素の数は大きくなる。その結果、
計算時間、計算量とも膨大な量になり高周波数のモデル
や広い領域のモデルはシミュレーションが不可能であ
る。そこで本発明は、広い空間領域における高周波電磁
波の挙動を高速高精度で解析することのできる電磁波解
析方法および装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明の電磁波解析方法は、電磁波の伝播挙
動を知得すべき媒質とそれ以外の媒質の境界面を前記電
磁波の波長より小さい形状の複数の微小要素境界面に分
割し、前記各微小要素境界面にその物理特性に応じた所
定の振幅のグリーン関数を与え、特定の微小要素境界面
へ他の微小要素境界面から入射する電磁波と前記特定の
微小要素境界面が反射する電磁波に対して前記特定の微
小要素境界面の物理特性に従って振幅相互間の関係を与
え、すべての微小要素境界面から電磁波の挙動を知得す
べき前記媒質内部の特定の位置にグリーン関数に従って
伝播する電磁波の値を計算し加算する構成とする。
【0005】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、グリーン関数の振幅は、非定常現象に対しては各時
刻毎の振幅系列として与えられ、定常現象に対しては実
数と虚数の2つの値で与えられる構成とする。請求項3
の発明は、請求項1の発明において、グリーン関数はヘ
ルツポテンシャルについて与えられる構成とする。
【0006】請求項4の発明は、請求項1の発明におい
て、特定の微小要素境界面とその他の全ての微小要素境
界面との間の距離に従って、前記他の微小要素境界面に
おける各時刻毎の振幅系列から加算すべきデータを選定
するための関数を計算し、この関数を各時刻での計算に
繰り返し用いる構成とする。
【0007】請求項5の発明は、請求項4に記載された
複数の微小要素境界面の電磁波計算処理を微小要素境界
面に応じて振り分け並列計算する複数のCPUと、全て
の微小要素境界面における各時刻毎の振幅系列データを
格納し前記複数のCPUからアクセスすることができ各
CPUにおける計算で得られた各電磁波の値を格納する
共有メモリとを備えた構成とする。
【0008】請求項6の発明は、請求項4に記載された
複数の微小要素境界面における電磁波計算処理を微小要
素境界面に応じて振り分け並列計算する複数のCPU
と、前記複数のCPUに対して1対1で接続され微小要
素境界面における各時刻毎の振幅系列データをを格納す
るとともに各CPUによる計算で得られた各電磁波の値
を格納する複数のメモリと、前記複数のCPUと前記複
数のメモリがアクセスできる共有バスとを備えた構成と
する。
【0009】請求項7の発明は、請求項5または6の発
明において、電磁波の伝播解析計算に必要な入力ファイ
ルおよび計算結果の出力ファイルを汎用ユニバーサルフ
ァイルとした構成とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態をまず
概念的に説明し、その後、図1、図2、図3を参照して
具体的に説明する。まず、シミュレーションを実施しよ
うとしている空間の媒質内部を伝播する電磁波の振る舞
いを示すグリーン関数を解析的に求める。そのグリーン
関数は、現象を解明しようとする物理状態に応じて、定
常問題に対しては特定周波数ωのある特定位置r’から
観測位置rへ放射される電磁波に対応したグリーン関数
G(|r−r’|,ω)であり、非定常問題に対して
は、特定位置r’から、特定時刻t’に放射される電磁
波のグリーン関数G(|r−r’|,t−t’)であ
る。
【0011】次に電磁波の振る舞いを解明しようとして
いる空間のインピーダンスが異なる媒質同士の境界面を
定める。各境界面を電磁波の半波長より短い長さで微小
面に分割する。各微小面に解析的に求めてあるグリーン
関数に任意値の振幅を仮定して与える。実際には、計算
機のメモリに各微小要素境界面の座標位置と任意振幅値
を解いて格納するアドレスを用意する。任意振幅値は、
定常問題では境界面各々に定められる物理量の数に応じ
たメモリーアドレスを用意する。電場、磁場ならば電場
3成分、磁場3成分の各々6個の振幅にその振幅の実数
部、虚数部、計12個のメモリーアドレス。ベクトルポ
テンシャルとスカラーポテンシャルの組み合わせを用い
るなら、ベクトルポテンシャル3成分とスカラーポテン
シャル1成分の各々の振幅に、各振幅の実数部Al,m;r
(r1,ω)と虚数部Al,m;i(r1,ω)、計8個のメ
モリーアドレスを用意する。ただし各振幅値に付加して
いる指標は次の意味を持っている。ここでlは1つの微
小要素境界面を示す番号で、mはlの微小要素境界面に
与えられたどの物理量に対応するかを区別する番号であ
る。またrはその物理量の実数部であることを示しiは
虚数部であることを示している。
【0012】非定常問題では、定常問題で用意した各物
理量に対応したメモリーアドレスを各々解くべき時間ス
テップ数だけ用意する必要がある。すなわち、定常問題
を解くのに用意したメモリ数に対して、実数部をそのも
のの物理量とし、虚数部をその物理量の微係数成分とし
て、その各々を次のように解くべき時間ステップ分だけ
用意することになる。
【0013】
【数1】
【0014】ここで指標のlは微小要素境界面の番号、
mはその微小要素境界面で定義された物理量を区別する
番号、rは物理量そのものであることを示し、iはその
物理量の微小要素境界面に垂直方向の微係数であること
を示している。またt1,t2,t3,…tn…は各時刻ス
テップを与えている。
【0015】電磁波を記述するマックスウエルの式は、
次のベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシャルφ
【数2】 と表せる。ここでcは真空中の光速、jは電流分布、q
は電荷分布を表わしている。また(2-1)式の最後の式は
電流と電荷の連続の式である。またΔはラプラシアンで
【数3】 である。
【0016】上記の式に対して次のヘルツポテンシャル
【数4】 を導入して簡素化する。積分の任意定数の不定性が1つ
あるので、その値を適当に選んで連続の式を自動的に満
足するように決めることで、方程式の数を一つ減らすこ
とができる。
【0017】ローレンツゲージを自動的に満たす次の関
数P(r,t)を導入すると
【数5】 この関数P(r,t)は(2-1)式の最後の式を自動的に満た
している。この関数を用い、さらにベクトルポテンシャ
ルとスカラーポテンシャルに対して、次のヘルツポテン
シャル
【数6】 を定義する。
【数7】 (2-4)で定義したヘルツポテンシャル
【数8】 を用いると、場の方程式として最終的に次の式を得る。
【数9】 (2-5)式を解いてヘルツポテンシャルを求めると、電場
Eと磁場Bは
【数10】 と表される。
【0018】(2-5)式で示したようにヘルツポテンシャ
ルを用いると電磁波の挙動は3個の式だけで表示できる
ようになる。言い換えると例えば定常の場合lの微小要
素境界面から放射される電磁波のヘルツポテンシャル
【数11】
【数12】 と表わす。ここで積分は微小要素境界面の面内積分であ
る。
【0019】その結果、微小要素境界面に用意する任意
振幅値は、1つの微小要素境界面に対して定常状態と非
定常状態各々で次のように簡単化できる。定常状態で3
成分のヘルツベクトルポテンシャルの実数部A
l,m;r(r1,ω)、虚数部Al,m;r(r1,ω)、計6個
の任意振幅値を用意することになる。
【0020】非定常状態では、ヘルツポテンシャルの3
成分の振幅値
【数13】 と、その3成分の境界面の法線ベクトルに沿った、法線
方向の微分値、計6個の任意振幅値
【数14】 を時刻ステップ分だけ用意する。
【0021】このようにヘルツポテンシャルを用いるこ
とによって、ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシ
ャルの組み合わせでシミュレーションするのに比較し
て、1つの微小要素境界面に用意する未知数の数を1つ
減らすことができる。そのため境界面同志の関係から、
この未知数である任意振幅値を決定するのに計算量の大
幅な低減を実現することができる。
【0022】以上の議論を、図面を用いて以下に具体的
に説明する。すなわち、図1に示すように、電磁波の伝
播特性を知りたい異種媒質の境界面を多数の微小要素境
界面1に分割する。Oは空間の位置関係を示すために任
意位置に設けられた座標原点であり、ro1,ro2〜r
o,10は、原点から第1〜第10の微小要素境界面1の代表
的な位置、例えば重心点までの位置ベクトルである。図
1は微小要素境界面1が10個の例を示しているが、実際
に用意する微小要素境界面1の数は、現象を解明しよう
としている一番高い振動数の電磁波の半波長より短い波
長の長さで境界面を分割するので、その分割された境界
面の個数分だけ必要となる。
【0023】次に、用意された微小要素境界面各々に、
その境界面の物理特性である境界条件をセットする。例
えば良導体の金属表面ならば表面に沿って電位差がない
といった条件や、インピーダンスが与えられている境界
にはその境界のインピーダンス値がセットされる。この
ように条件が決められた微小要素境界面の1つを考え
る。その要素をl1とし、rl1をその微小要素境界面の
位置であるとする。
【0024】非定常問題に対しては、rl1の位置にある
1番目の微小要素境界面に、他のすべての微小要素境
界面から入射してくる電磁波
【数15】 を考える。その微小要素境界面に与えられた物理的な特
性が、一番簡単な電気伝導度無限大の完全導体ならば、
その微小要素境界面からの反射電磁波を
【数16】 とすると、その位置での電磁波は入射波と反射波の合計
として
【数17】 と表される。ここで入射電磁波は、自分自身の微小要素
境界面を除いた(l≠l 1)残りすべての微小要素境界
面から入射される電磁波の総和である。
【数18】 この電磁波が、今考えている(l=l1)の微小要素境
界面に入射したとき、その微小要素境界面から反射する
電磁波は、完全導体の微小要素境界面では次のように書
ける。
【数19】 ただしここで
【数20】 は、反射を考えている微小要素境界面内の位置を表して
いる。nはその微小要素境界面に外向きに立てた単位法
線ベクトルである。また反射波の中に現れている、
【数21】 はその微小要素境界面に与えられた外力である。勿論こ
の外力は体積力として媒質中に与えてもよい。
【0025】さらに反射波の微小要素境界面における振
幅は、各々その微小要素境界面への入射波で定まり、次
のようになる。すなわち、垂直方向の入射波の振幅
【数22】 と、平行に入射する入射波の振幅
【数23】 各々は、その微小要素境界面に入射してくる電磁波を用
いて
【数24】 となる。
【0026】このように、特定の微小要素境界面の特性
が与えられると、その微小要素境界面に入射してくる、
他の微小要素境界面からの入射電磁波と、その微小要素
境界面から反射される電磁波との関係式を求めることが
できる。この関係式は、すべての微小要素境界面一つ一
つで作ることができる。
【0027】これらの関係式を用意して、非定常問題で
は、図3に示した各微小要素境界面に用意された、任意
振幅値の時刻列を表すデータ列がある。図3において、
1,t2,………tn-1,tn は、各微小要素境界面に用意
されたデータ列に格納するデータを識別するために時刻
列と対応させた識別番号である。
【0028】C1,1, C1,2, ………C1,n-1,1,nは、
第1の微小要素境界面から放射される電磁波の振幅値
である。下付添字の最初の番号が微小要素境界面番号に
対応し、2番目の番号が時刻ステップt1,t2,t3…に
対応している。
【0029】電磁波の振幅Cは3成分を持つ。その成分
は微小要素境界面の法線ベクトルに平行な
【数25】 と、この法線ベクトルに垂直で微小要素境界面に平行な
2成分cである。C2,1,〜C2,n,…C10,1,〜C10,n,
についても同様である。
【0030】P1,1, P1,2, P1,3, P1,4, P1,5, P
1,6,…P1,n-6, P1,n-5, P1,n-4,P1,n-3, P1,n-2,
1,n-1,1,nは第1の微小要素境界面に与えられる
外力である。下付添字の最初の番号が微小要素境界面番
号に対応し、2番目の番号が時刻ステップt1,t2,t3
…に対応している。また外力の振幅Pは3成分を持つ。
その成分は微小要素境界面の法線ベクトルに平行な
【数26】 と、この法線ベクトルに垂直で微小要素境界面に平行な
2成分pである。P2,1〜P2,n,…P10,1〜P10,n,に
ついても同様である。
【0031】図3のデータ列の初期時刻に外力として設
定されたデータから各微小要素境界面に到達する電磁波
が計算される。電磁波が届かない微小要素境界面には振
幅ゼロが設定される。電磁波が到達する微小要素境界面
には、その微小要素境界面の物理特性に応じて、その微
小要素境界面から放射される電磁波の振幅値が設定され
る。例えば電気伝導度無限大と仮定されるような良導体
に対しては(3-2)式に示したような反射波の振幅値が与
えられる。
【0032】次に時刻ステップを1つ進めて、ある微小
要素境界面に対して他の各微小要素境界面および外力か
らその時刻に到達する電磁波を計算し、その入射波に対
して前の時刻ステップと同様にその境界面から放射され
る電磁波の振幅値を決定する。この操作を必要時刻ステ
ップ数だけ繰り返す。その結果、各微小要素境界面には
用意された時刻ステップ数だけの、その各々の微小要素
境界面から放射される電磁波の振幅が決定されたことに
なる。
【0033】このように各微小要素境界面から放射され
る電磁波の振幅が定まると、任意時刻、任意位置での電
磁波の値は、図2に示したように、すべての微小要素境
界面及び外力からの電磁波がその位置、その時刻に到達
した値の和で表すことができる。
【0034】図2において、qは、電磁波の値を知りた
い位置(観測点)を表し、r1q〜r10 qは、第1〜第10の
微小要素境界面から観測点qまでの位置ベクトルを表
す。qの位置の電磁波の値は、各微小要素境界面から放
射される電磁波がqの位置に届いたときの値を各時刻毎
に加算することによって求められる。
【0035】定常問題に対しては、rl1の位置にあるl
1番目の微小要素境界面に他のすべての微小要素境界面
から入射してくる電磁波
【数27】 を考える。ここでωは定常的な電磁波の特定周波数であ
る。その微小要素境界面に与えられた物理的な特性が一
番簡単な電気伝導度無限大の完全導体ならば、その微小
要素境界面からの反射電磁波を
【数28】 とすると、その位置での電磁波は入射波と反射波の合計
として
【数29】 と表される。ここで入射電磁波は、自分自身の微小要素
境界面を除いた(l≠l 1)残りすべての微小要素境界
面から放射される電磁波の総和である。
【数30】 この電磁波が、今考えているl=l1の微小要素境界面
に入射したとき、その微小要素境界面から反射する電磁
波は、完全導体の微小要素境界面では次のように書け
る。
【数31】 ただしここで
【数32】 は、反射を考えている微小要素境界面の面内の位置を表
している。nはその微小要素境界面に外向きに立てた単
位法線ベクトルである。また反射波の中に現れているP
l1(r,ω)はその微小要素境界面に与えられた外力で
ある。勿論この外力は体積力として媒質中に与えてもよ
い。
【0036】さらに反射波の微小要素境界面における振
幅は、各々その微小要素境界面への入射波で定まり、次
のようになる。すなわち、垂直方向の入射波の振幅
【数33】 と、微小要素境界面に平行に入射する入射波の振幅c
⊥,2(r,ω)各々は、その境界面に入射してくる電
磁波を用いて
【数34】 となる。
【0037】このように、特定の微小要素境界面の特性
が与えられると、その微小要素境界面に他の微小要素境
界面から入射してくる入射電磁波と、その微小要素境界
面から反射される電磁波との関係式を求めることができ
る。この関係式は、各々すべての微小要素境界面一つ一
つで作ることができる。
【0038】これらの関係式を用意して、定常問題で
は、図1に示した各微小要素境界面に用意された任意振
幅値に、その微小要素境界面の物理特性に応じて他のす
べての微小要素境界面および外力からの入射電磁波によ
って、その微小要素境界面の反射波の振幅を決定する関
係式が作られる。完全導体の場合はその関係式は(4-4)
式で与えられる。
【0039】このように、一つ一つの微小要素境界面に
対して他の微小要素境界面との間の関係式を作ることが
できる。その関係式は外力を含んだ正方行列式となる。
この行列式を解くことによって、定常状態におけるすべ
ての微小要素境界面から放射される電磁波の振幅値を決
定することができる。任意位置の電磁波の値は、図2に
示したように、電磁波の値を知りたい位置へすべての微
小要素境界面及び外力から到達する個々の電磁波の値の
総和をとればよい。
【0040】ここで、本実施の形態の電磁波解析方法と
従来の最も高速と考えられる境界要素法による解法を比
較検討する。従来の境界要素法では、まず、計算対象の
境界面領域を微小分割する。例えば境界面をm個に分割
すると、各微小分割された境界面要素に電場3成分、磁
場3成分の未知数が与えられる。そのため、3×3=9
個の未知数が微小境界面を互いに結合するので、未知数
を求めるのにm×9個の行列式を解くことになる。m×
9個の元を持つ行列をガウスの消去法で解くには(m×
9)の計算量を必要とする。これに対して本発明の実
施の形態においては、解くべき方程式の個数は、個々の
微小要素境界面でヘルツポテンシャル3成分が未知数と
なっているので、m×3個である。ガウスの消去法で解
くと(m×3)の計算量が必要となる。さらに方式の違
いにより境界要素法と比較して、電磁波源重畳法は半分
の計算量で済むため、本実施の形態の電磁波解析方法に
よると最終的に計算量を1/54まで低減することができ
る。
【0041】つぎに本発明の第2の実施の形態を図4,
図5を参照して説明する。図4に示す解析モデル例と図
5のメモリ上のデータ構成例は、時刻ステップtiにお
ける微小要素境界面ejでの電磁波の値の計算方法を示
している。
【0042】時刻ステップtiにおける微小要素境界面
ejでの電磁波の値の計算は、周囲の全微小要素境界面
e1〜ej-1、ej+1…から伝播し、時刻ステップtiの同
時刻に微小要素境界面ejに届いた電磁波をグリーン関
数で解析的に求め、伝播時間による時間遅れを加味して
加算することにより計算される。そのため、加算する際
には電磁波の伝播時間分だけ溯ったデータを各微小要素
境界面e1〜ej-1、ej+1…と計算対象の微小要素境界
面ejとの相対距離に従って選定する必要がある。そこ
で、どの時刻ステップの計算でも計算対象の微小要素境
界面ejと微小要素境界面e1〜ej-1、ej+1…の位置関
係r1〜rj-1,rj+1…が一定であることを前提とし、
解析の初期段階にその各微小要素境界面e1〜ej-1、e
j+1…に対応した溯り時刻を示す関数Tj(ti)を求め、
図5に示すメモリ上のどのデータを選定するか決定す
る。例えば、図5の例では、時刻ステップtiにおける微
小要素境界面ejの電磁波の値を計算するためのe1の電
磁波計算値は、Π(r1,ti-7)であることがわかる。
【0043】以上のプロセスを全微小要素境界面e1〜
ej-1、ej、ej+1…・に対して行う。その結果である
時刻ステップtiの電磁波計算値Π(r1, ti)、Π(r2,
i)、Π(r3, ti)……Π(rj, ti)…をメモリ上の時
刻ステップtiのデータとして記録することにより、次
の時刻ステップti+1の電磁波計算の条件を整えること
ができる。実際に、次の時刻ステップti+1でのejでの
電磁波計算値Π(0,ti+1)を求める場合は、先に求めた溯
り時刻を示す関数Tj(ti)を1時刻ステップずらすだけ
で、前時刻ステップtiと同様の処理を行えばよい。
【0044】多数の微小要素境界面から構成される電磁
波解析モデルにおいて、計算対象の微小要素境界面にお
ける電磁波の値を計算するには、計算対象以外の全ての
微小要素境界面からグリーン関数に従って伝播する値を
計算し、その値を加算処理することが必要である。その
ため、この計算に用いるデータは、計算対象の微小要素
境界面との距離に応じた伝播時間分だけ溯った時点のデ
ータを用いることが必要となることから、この第2の実
施の形態においては、各微小要素境界面に対応した溯り
時間の関数を微小要素境界面間距離からあらかじめ計算
し、計算における時刻ステップが進む毎に、各微小要素
境界面における各時刻毎の振幅系列から前回に比べて1
時刻ステップ進んだデータを次々選定することにより、
加算処理すべきデータ選択を効率良く行うことができ
る。
【0045】上記のように、ある時刻ステップtiでの
全微小要素境界面e1〜ej-1、ej、ej+1…の電磁波計
算は、時刻ステップti-1以前に計算済みの計算結果と
電磁波源として初期設定された各微小要素境界面e1〜
ej-1、ej、ej+1…での電磁波計算値から合成するこ
とができる。そのため、本発明の第3の実施の形態とし
て、図6の共有メモリによる並列処理構成例に示すよう
に、電磁波計算を微小要素境界面に対応して分割した複
数のCPU(演算装置)C1〜Cn…で並列計算し、各C
PU C1〜Cn…での各微小要素境界面の計算の際に必
要となる時刻ステップti-1以前に計算済みの各微小要
素境界面e1〜ej-1、ej、ej+1…での電磁波計算値を
共有メモリMOに格納し、各データバスDB1〜DBn…
を介して取り込むことにより計算し、更に、各CPU
C1〜Cn…で計算された時刻ステップtiの電磁波計算
値Π(r1, ti)、Π(r2, ti)、Π(r3, ti)……Π(r
j, ti)…を共有メモリMOに格納し、同様のプロセス
を繰り返す。このようにすることにより、時刻ステップ
に従った時系列解析の高速化を行うことができる。
【0046】上記のように、ある時刻における計算対象
の微小要素境界面における電磁波の値を計算するには、
計算対象以外の全微小要素境界面における過去に溯った
電磁波の振幅系列データを用いることが必要である。こ
のデータは、モデル中のどの微小境界モデルでの電磁波
の値を計算する際にもほぼ共通に用いられることから、
この第3の実施の形態においては、解析計算を複数のC
PUによる並列処理によって高速化する際に、過去に溯
った全微小要素境界面の電磁波の振幅系列データを全C
PUがアクセス可能な共有メモリ上に格納し、更に、各
CPUで計算された各微小要素境界面での最新の電磁波
の値を共有メモリ上に格納したうえで次の時刻ステップ
の計算を行うことにより、時系列計算を効率的に行うこ
とが可能となる。
【0047】本発明の第4の実施の形態として図7に示
すローカルメモリによる並列処理構成例は、更に処理を
高速化するために、CPU C1〜Cn…に一対一に直結
した全ローカルメモリM1〜Mn+1上にデータを重複して
格納する構成である。そして、各CPU C1〜Cn…で
計算された時刻ステップtiの電磁波計算値Π(r1,
i)、Π(r2, ti)、Π(r3, ti)……Π(rj, ti)…
を全ローカルメモリM1〜Mn…に格納するために、共通
バスCBを備えている。この構成とすることにより、図
6のシステムで起こる可能性のあるCPU間でのメモリ
アクセスの競合を無くし、並列処理の一層の効率向上を
図ることが可能となる。
【0048】この第4の実施の形態によれば、並列処理
回路数nが、各並列回路間のデータ転送時間が各並列回
路での処理時間に比べて充分小さいという条件を満たせ
ば、解析計算の処理時間をn倍高速化できることにな
り、第1の実施の形態に示した解析方法による計算量の
低減分を合わせると、(54×n)倍の高速化を実現する
ことが可能となる。
【0049】この実施の形態においては、解析計算を複
数のCPUによる並列処理によって高速化する際に、過
去に溯った全微小要素境界面の電磁波の振幅系列データ
を全CPUに一対一に接続されたCPUと同数の大容量
のローカルメモリ上に重複して格納し、更に、各CPU
で計算された各微小要素境界面での最新の電磁波の値を
各ローカルメモリ上に重複して格納したうえで次の時刻
ステップの計算を行うことにより、時系列計算を効率的
に行うことが可能となる。
【0050】本発明の上記各実施の形態の計算を遂行す
る上で、解析対象の立体モデル形状の入力や、立体空間
中での音響過渡伝播等の解析結果を表示するために、多
くの汎用ソフトが用意されている。これらのソフトは一
般的なファイル形式としてユニバーサルファイルと呼ば
れるファイル形式をサポートしている。電磁波解析装置
の入出力形式をこのファイル形式に合わせて作成するこ
とにより、安価で汎用性の高い入出力インターフェース
を実現することができる。そして、電磁波による地中の
ような固体内部のインピーダンス変化に伴う形状認識
や、回路間における電磁ノイズの予測、及び電磁波によ
る人体への影響予測等の各種3次元計測予測を高速・高
精度で実現することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、広い空間領域における
高周波電磁波の挙動を高速高精度で解析することのでき
る電磁波解析方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電磁波解析方法を
説明する図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の電磁波解析方法の
作用を説明する図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の電磁波解析方法に
おけるデータ列を示す表。
【図4】本発明の第2の実施の形態の電磁波解析方法を
説明する図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の電磁波解析方法に
おけるデータ列を示す表。
【図6】本発明の第3の実施の形態の電磁波解析装置の
構成を示す図。
【図7】本発明の第4の実施の形態の電磁波解析装置の
構成を示す図。
【符号の説明】
1…微小要素境界面、C1,C2〜Cn+1…CPU、CB
…共通バス、DB1〜DBn+1…データバス、M1〜Mn+1
…ローカルメモリ、MO…共有メモリ。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁波の伝播挙動を知得すべき媒質とそ
    れ以外の媒質の境界面を前記電磁波の波長より小さい形
    状の複数の微小要素境界面に分割し、前記各微小要素境
    界面にその物理特性に応じた所定の振幅のグリーン関数
    を与え、特定の微小要素境界面へ他の微小要素境界面か
    ら入射する電磁波と前記特定の微小要素境界面が反射す
    る電磁波に対して前記特定の微小要素境界面の物理特性
    に従って振幅相互間の関係を与え、すべての微小要素境
    界面から電磁波の挙動を知得すべき前記媒質内部の特定
    の位置にグリーン関数に従って伝播する電磁波の値を計
    算し加算することを特徴とする電磁波解析方法。
  2. 【請求項2】 グリーン関数の振幅は、非定常現象に対
    しては各時刻毎の振幅系列として与えられ、定常現象に
    対しては実数と虚数の2つの値で与えられることを特徴
    とする請求項1記載の電磁波解析方法。
  3. 【請求項3】 グリーン関数はヘルツポテンシャルにつ
    いて与えられることを特徴とする請求項1記載の電磁波
    解析方法。
  4. 【請求項4】 特定の微小要素境界面とその他の全ての
    微小要素境界面との間の距離に従って、前記他の微小要
    素境界面における各時刻毎の振幅系列から加算すべきデ
    ータを選定するための関数を計算し、この関数を各時刻
    での計算に繰り返し用いることを特徴とする請求項1記
    載の電磁波解析方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された複数の微小要素境
    界面の電磁波計算処理を微小要素境界面に応じて振り分
    け並列計算する複数のCPUと、全ての微小要素境界面
    における各時刻毎の振幅系列データを格納し前記複数の
    CPUからアクセスすることができ各CPUにおける計
    算で得られた各電磁波の値を格納する共有メモリとを備
    えたことを特徴とする電磁波解析装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載された複数の微小要素境
    界面における電磁波計算処理を微小要素境界面に応じて
    振り分け並列計算する複数のCPUと、前記複数のCP
    Uに対して1対1で接続され微小要素境界面における各
    時刻毎の振幅系列データをを格納するとともに各CPU
    による計算で得られた各電磁波の値を格納する複数のメ
    モリと、前記複数のCPUと前記複数のメモリがアクセ
    スできる共有バスとを備えたことを特徴とする電磁波解
    析装置。
  7. 【請求項7】 電磁波の伝播解析計算に必要な入力ファ
    イルおよび計算結果の出力ファイルを汎用ユニバーサル
    ファイルとしたことを特徴とする請求項5または6記載
    の電磁波解析装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009521031A (ja) * 2005-12-23 2009-05-28 セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャンティフィク 少なくとも1個の波と、各物体の表面が少なくとも2個の媒質間の界面を画定している、少なくとも1個の物体との間の相互作用をモデル化する汎用的方法
JP2009245057A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Muroran Institute Of Technology 電磁波解析装置および電磁波解析方法

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