(発明の詳細な説明)
定義
他の場所で定義されていない限りは、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本出願が支配するであろう。文脈によって他の場所で必要とされない限りは単数形の用語には複数形の用語が当然含まれ、そして複数形の用語には単数形の用語が当然含まれる。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許、および他の参考文献は、個々の刊行物または特許出願が引用により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、全ての目的のためのそれらの全体が引用により組み入れられる。
本明細書中に記載されるものに類似しているまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載される。材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定とは意図されない。本発明の他の特徴および利点は、詳細な記載から、そして特許請求の範囲から明らかであろう。
本発明をさらに定義するために、以下の用語および定義が提供される。
用語「a」または「an」のものは、1つ以上のそのものを意味することに留意されたい。例えば、「免疫グロブリン分子(an immunoglobulin molecule)」は、1つ以上の免疫グロブリン分子を示すと理解される。このように、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書中ではほとんど同じ意味で使用することができる。
本明細書および特許請求の範囲を通じて、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含まれている(comprising)」のようなバリエーションは、任意の記載される請求項数値または整数値のグループが含まれることを示すが、任意の他の整数値または整数値のグループの排除を示すものではない。
本明細書中で使用される場合は、「治療有効量」は、所望される治療結果を得るために、必要な投与量で、そして必要な時間の間、有効である量を意味する。治療結果は、例えば、症状の軽減、より長い生存期間、活動の改善などであり得る。治療結果は必ずしも「治癒」でなくてよい。
本明細書中で使用される場合は、用語「処置(treatment)」または「処置する(treating)」は、疾患の症状を緩和するかまたは軽減するために動物に薬剤を投与することを意味する。加えて、用語「処置」または「処置する」は、疾患の進行を防ぐための動物への薬剤の投与を意味する。
本明細書中で使用される場合は、「予防有効量」は、所望される予防結果を得るために、必要な投与量で、そして必要な時間の間、有効である量を意味する。通常、予防的用量は疾患の前に、または疾患の初期段階に被験体において使用されるので、予防有効量は治療有効量よりも少ないであろう。
本明細書中で使用される場合は、「ポリヌクレオチド」には、全長のcDNA配列のヌクレオチド配列が含まれ得、これには、5’および3’非翻訳配列、コード配列、さらには、核酸配列の断片、エピトープ、ドメイン、および変異体が含まれる。ポリヌクレオチドは任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成され得る。これは、未修飾のRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖の領域と二本鎖の領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖のRNA、ならびに一本鎖の領域と二本鎖の領域の混合物であるRNA、一本鎖であってもよく、また、より典型的には二本鎖であるかまたは一本鎖の領域と二本鎖の領域の混合物であってもよい、DNAとRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る。加えて、ポリヌクレオチドは、RNA、またはDNA、またはRNAとDNAの両方を含む三本鎖の領域から構成され得る。ポリヌクレオチドには、安定性または他の理由のために修飾された、1つ以上の修飾された塩基、またはDNAもしくはRNA骨格が含まれる場合もある。「修飾された」塩基としては、例えば、トリチル化された塩基と、イノシンのような珍しい塩基が挙げられる。様々な修飾をDNAおよびRNAに対して行うことができる。したがって、「ポリヌクレオチド」には、化学修飾された形態、酵素によって修飾された形態、または代謝によって修飾された形態が含まれる。
本発明においては、「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によって互いに結合させられたアミノ酸(すなわち、ペプチド等量式)から構成され得、そしてこれには、20種類の遺伝子をコードするアミノ酸(例えば、自然界には存在しないアミノ酸)以外のアミノ酸が含まれる場合がある。本発明のポリペプチドは、いずれかの自然なプロセス(例えば、翻訳後プロセシング)によって、あるいは、当該分野で周知の化学修飾技術によって修飾することができる。そのような修飾は、基本的なテキストに、そしてより詳細なモノグラフに、さらには、膨大な量の研究論文に十分に記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ酸末端またはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどの場所でも起こり得る。同じタイプの修飾が、任意のポリペプチドの中のいくつかの部位で、同じ程度で、または異なる程度で存在する場合がある。また、任意のポリペプチドには、多くのタイプの修飾が含まれ得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として分岐している場合があり、そしてこれらは環状である場合もあり、これには分岐を伴う場合も、また分岐を伴わない場合もある。環状のポリペプチド、分岐しているポリペプチド、および分岐している環状のポリペプチドは、翻訳後の自然なプロセスの結果生じる場合も、また、合成方法によって作成される場合もある。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマーカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解的プロセッシング、リン酸化、プレニレル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなトランスファーRNAによって媒介されるタンパク質へのアミノ酸付加、およびエビキチン化が含まれる。(例えば、Proteins−Structure And Molecular Properties,第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);Posttranslational Covalent Modification of Proteins,B.C.Johnson編,Academic Press,New York,1−12頁(1983);Seifterら、Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
用語「断片」、「変異体」、「誘導体」、およびアナログには、本発明のSp35アンタゴニストについて言及される場合には、Sp35活性を阻害する能力を少なくともいくらか保持している任意のアンタゴニスト分子が含まれる。Sp35アンタゴニストには、本明細書中で使用される場合には、Sp35アンタゴニストがその機能を果たす限りは、断片、変異体、または誘導体分子が制限なく含まれ得る。本発明の可溶性Sp35ポリペプチドには、Sp35タンパク質分解性断片、欠失断片、そして特に、動物に投与されると作用部位により早く到達する断片が含まれ得る。ポリペプチド断片にはさらに、自然界に存在しているポリペプチドの抗原性エピトープまたは免疫原性エピトープ(直鎖状エピトープ、ならびに三次元エピトープが含まれる)を含むポリペプチドの任意の部分が含まれる。本発明の可溶性Sp35ポリペプチドには、上記の断片を含む変異体Sp35領域が含まれる場合があり、そして、アミノ酸置換、欠失、もしくは挿入が原因で変化しているアミノ酸配列を有しているポリペプチドも含まれる場合がある。変異体は、自然に生じる場合があり、例えば、対立遺伝子変異体であり得る。「対立遺伝子変異体」によっては、生物の染色体上の任意の遺伝子座を占有している遺伝子の別の形態が意図される。Genes II,Lewin、B.,編.,John Wiley & Sons,New York(1985)。自然界には存在しない変異体は、当該分野で公知の突然変異誘発技術を使用して生産することができる。可溶性Sp35ポリペプチドには、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失、あるいは付加が含まれ得る。本発明のSp35アンタゴニストには、誘導分子も含まれる場合がある。例えば、本発明の可溶性Sp35ポリペプチドには、自然界に存在しているポリペプチドについては見られないさらなる特徴を示すように変更されたSp35領域が含まれる場合がある。例としては、融合タンパク質およびタンパク質結合体が挙げられる。
本発明においては、「ポリペプチド断片」は、Sp35ポリペプチドの短いアミノ酸配列を意味する。タンパク質断片は「独立しているもの(free−standing)」である場合も、また、その断片が一部もしくは領域を形成するより大きなポリペプチドの中に含まれる場合もある。本発明のポリペプチド断片の代表的な例としては、例えば、約5アミノ酸、約10アミノ酸、約15アミノ酸、約20アミノ酸、約30アミノ酸、約40アミノ酸、約50アミノ酸、約60アミノ酸、約70アミノ酸、約80アミノ酸、約90アミノ酸、および約100アミノ酸、またはそれ以上の長さを含む断片が挙げられる。
特定の実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニストは、「抗体」もしくは「免疫グロブリン」分子、またはそれらの免疫特異的断片であり、例えば、自然界に存在している抗体もしくは免疫グロブリン分子、または抗体分子と同様の様式で抗原に結合する操作された抗体分子もしくは断片である。用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、本明細書中ではほとんど同じ意味で使用される。加えて、本発明の方法において使用される免疫グロブリン分子はまた、「免疫特異的」または「抗原特異的」または「抗原結合性」分子と記載される場合もあり、抗体分子およびその断片を言うようにほとんど同じ意味で使用される。抗体または免疫グロブリンには、重鎖の可変ドメインが少なくとも含まれ、通常は、重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインが、少なくとも含まれる。脊椎動物システムの基本的な免疫グロブリン構造は、比較的十分に理解されている。例えば、引用により本明細書中に組み入れられるHarlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版,1988)を参照のこと。
以下でさらに詳細に議論されるように、用語「免疫グロブリン」には、生化学的に識別することができる5つの広いクラスのポリペプチドが含まれる。5つのクラスは全て、明らかに本発明の範囲にある。以下の議論は、一般的に、IgGクラスの免疫グロブリン分子に関する。IgGに関しては、標準的な免疫グロブリン分子には、およそ23,000ダルトンの分子量の2つの同じ軽鎖ポリペプチドと、53,000〜70,000の分子量の2つの同じ重鎖ポリペプチドが含まれる。4つの鎖は、通常、「Y」立体配置でジスルフィド結合によって連結されており、ここでは、軽鎖は「Y」の口の部分で始まり、可変領域を介して伸びる重鎖をひとまとめにしている。
軽鎖および重鎖はいずれも、構造的相同性と機能的相同性の領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は機能的に使用される。これに関して、軽鎖の可変ドメイン(VL)部分と重鎖の可変ドメイン(VH)部分の両方によって抗原の認識および特異性が決定されることは明らかであろう。逆に、軽鎖の定常ドメイン(CL)と重鎖の定常ドメイン(CH1、CH2、またはCH3)により、分泌、経胎盤運動性(transplacental mobility)、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的特性が付与される。慣例により、定常領域ドメインの番号は、これらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から離れるに伴い、大きくなる。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域である。CH3およびCLドメインには、実際には、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端がそれぞれ含まれる。
軽鎖は、カッパまたはλ(κ、λ)のいずれかとして分類される。それぞれの重鎖のクラスは、κ軽鎖またはλ軽鎖のいずれかに結合することができる。一般的には、軽鎖と重鎖は互いに共有結合し、2つの重鎖の「テール」部分はジスルフィド共有結合によって、あるいは、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞、または遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって作成される場合には共有結合以外の結合によって互いに結合する。重鎖の中では、アミノ酸配列は、Y立体配置のフォークの先端部にあるN末端から、それぞれの鎖の低部にあるC末端に向かって並ぶ。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として分類され、これらの中にはいくつかのサブクラスがある(例えば、γ1〜γ4)ことを理解するであろう。この鎖の性質が、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgG、またはIgEとしての抗体の「クラス」を決定する。免疫グロブリンのサブクラス(イソ型)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1など)は十分に特性決定されており、機能的特異性を付与することが知られている。これらのクラスおよびイソ型のそれぞれの修飾されたバージョンは、本開示を考慮すれば当業者は容易に認識することができ、したがって、本発明の範囲に含まれる。
上記に示されたように、可変領域により、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することができる。すなわち、抗体のVLドメインとVHドメインは一緒に可変領域を形成し、これが三次元的な抗原結合部位を定義する。この4つの分子からなる抗体の構造はYのそれぞれのアームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。さらに具体的には、抗原結合部位は、VH鎖とVL鎖のそれぞれの上にある3つの相補性決定領域(CDR)によって定義される。いくつかの場合(例えば、ラクダ科の種に由来するか、またはラクダ科の免疫グロブリンに基づいて操作された特定の免疫グロブリン分子)には、完全な免疫グロブリン分子は、重鎖だけから構成され、軽鎖が含まれない場合がある。例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)を参照のこと。
自然界に存在している抗体においては、それぞれの抗原結合ドメインの中に存在する6個の「相補性決定領域」すなわち「CDR」は、アミノ酸の短く、不連続な配列であり、これは水性の環境の中で抗体がその三次元立体配置を確実にとると、抗原結合ドメインを形成するように特異的に配置されている。抗原結合ドメインの中の残りのアミノ酸は「フレームワーク」領域と呼ばれ、低い分子間での可変性を示す。フレームワーク領域はほぼβ−シートの立体配置をとり、CDRは、β−シート構造を繋ぐ、または場合によってはその一部を形成するループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間の非共有相互作用によって、正確な方向のCDRの配置を提供する足場を形成する役割を担う。配置されたCDRによって形成された抗原結合ドメインは、免疫反応性の抗原上のエピトープに対する表面相補性を定義する。この相補性の表面は、その同種のエピトープに対する抗体の共有結合ではない結合を促進する。CDRおよびフレームワーク領域を含むアミノ酸はそれぞれ、当業者であれば、任意の所定の重鎖または軽鎖可変領域について容易に同定することができる。なぜなら、これらは正確に定義されているからである(「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,Kabat,E.ら、U.S.Department of Health and Human Services,(1983);およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)を参照のこと、これらはそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)。
しかし、ラクダ科の種においては、重鎖可変領域(VHHと呼ばれる)は、完全なCDRを形成する。ラクダ科のVHH可変領域と通常の抗体(VH)に由来する領域の間での主な相違点としては、(a)VHHの中の対応する領域と比較して、VHの軽鎖接触表面の中のアミノ酸はより疎水性であること、(b)VHHのCDR3のほうがより長いこと、そして(c)VHHの中のCDR1とCDR3の間でジスルフィド結合が頻繁に起こることが挙げられる。
1つの実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、抗体分子の少なくとも1つの重鎖CDRまたは軽鎖CDRが含まれる。別の実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、1つ以上の抗体分子に由来する少なくとも2つのCDRが含まれる。別の実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、1つの以上の抗体分子に由来する少なくとも3つのCDRが含まれる。別の実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、1つ以上の抗体分子に由来する少なくとも4個のCDRが含まれる。別の実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、1つ以上の抗体分子に由来する少なくとも5個のCDRが含まれる。別の実施形態においては、本発明の方法において使用される抗原結合分子には、1つ以上の抗体分子に由来する少なくとも6個のCDRが含まれる。目的の抗原結合分子に含めることができる少なくとも1つのCDRを含む例示的な抗体分子は当該分野で公知であり、そして、例示的な分子は本明細書中に記載される。
本発明の方法において使用される抗体またはその免疫特異的断片としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合断片(例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)2、Fd、Fvs、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合したFvs(sdFv)、VLもしくはVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリーによって生産される断片、ならびに、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(本明細書中に開示される結合分子に対する抗Id抗体を含む)が挙げられるが、これらに限定はされない。ScFv分子は当該分野で公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号に記載されている。本発明の免疫グロブリンまたは抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。
抗体断片(単鎖抗体を含む)には、可変領域(単数または複数)が単独で、あるいは以下の全体または一部と組み合わせて含まれ得る:ヒンジ領域、重鎖のCH1、CH2、およびCH3ドメイン、または軽鎖のCL。本発明には、可変領域(単数または複数)のヒンジ領域、CH1、CH2、CH3、またはCLドメインとの任意の組み合わせもまた含まれている抗原結合断片も含まれる。本明細書中に開示される方法において使用される抗体またはその免疫特異的断片は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得る。好ましくは、抗体は、ヒト抗体、マウス抗体、ロバ抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、モルモット抗体、ラクダ抗体、ラマ抗体、ウマ抗体、またはニワトリ抗体である。別の実施形態においては、可変領域は、軟質類(condricthoid)起源(例えば、サメ由来)であり得る。本明細書中で使用される場合は、「ヒト」抗体には、以下に、そして例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有している抗体が含まれ、そして、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、もしくは1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、内因性の免疫グロブリンは発現しない動物から単離された、抗体が含まれる。
本明細書中で使用される場合は、用語「重鎖部分」には、免疫グロブリン重鎖に由来するアミノ酸配列が含まれる。重鎖部分を含むポリペプチドには、以下の少なくとも1つが含まれる:CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部ヒンジ領域、中部ヒンジ領域、および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、またはそれらの変異体もしくは断片。例えば、重鎖部分には、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、およびCH2ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖、または、CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖が含まれ得る。重鎖部分にはまた、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖が含まれるポリペプチドも含まれ得る。さらに、本発明において使用される結合ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部(例えば、CH2ドメイン全体または一部)が欠失している場合がある。上記に示されるように、これらのドメイン(例えば、重鎖部分)を、それらの自然界に存在している免疫グロブリン分子に由来するアミノ酸配列を変化させるように修飾することができることは、当業者に理解されるであろう。
本明細書中に開示される方法において使用される特定のSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片においては、多量体のうちの1つのポリペプチド鎖の重鎖部分は、多量体のうちの第2のポリペプチド鎖上の重鎖部分と同じである。あるいは、本発明の方法において使用される、重鎖部分を含む単量体は同じではない。例えば、個々の単量体には、異なる標的結合部位が含まれる場合があり、これによっては、例えば、二重特異的抗体が形成される。
本明細書中に開示される方法において使用される結合ポリペプチドの重鎖部分は、様々な免疫グロブリン分子に由来し得る。例えば、ポリペプチドの重鎖部分には、IgG1分子に由来するCH1ドメインと、IgG3分子に由来するヒンジ領域が含まれる場合がある。別の例においては、重鎖部分には、一部分はIgG1分子に由来し、そして一部分はIgG3分子に由来するヒンジ領域が含まれる場合がある。別の例においては、重鎖部分には、一部分はIgG1分子に由来し、そして一部分はIgG4分子に由来するキメラヒンジが含まれる場合がある。
本明細書中で使用される場合は、用語「軽鎖部分」には、免疫グロブリン軽鎖に由来するアミノ酸配列が含まれる。好ましくは、軽鎖部分には、VLドメインまたはCLドメインの少なくとも1つが含まれる。
免疫グロブリンに由来するポリペプチド(例えば、免疫グロブリン重鎖部分または軽鎖部分)の自然界には存在しない変異体をコードする単離された核酸分子は、1つ以上のアミノ酸の置換、付加、または欠失をコードされるタンパク質の中に導入するように、免疫グロブリンのヌクレオチド配列の中に1つ以上のヌクレオチドの置換、付加、または欠失を導入することによって作成することができる。突然変異は、標準的な技術(例えば、部位特異的突然変異誘発およびPCRによって媒介される突然変異誘発)によって導入することができる。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の必須ではないアミノ酸残基に対して行われる。
本明細書中で開示される方法において使用される抗体またはその免疫特異的断片はまた、本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性に関して記載されるかまたは明記される場合もある。好ましい結合親和性としては、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、または10−15M未満の解離定数あるいはKdを有しているものが挙げられる。
本明細書中で開示される方法において使用される抗体またはその免疫特異的断片は、本明細書中に記載されるように、Sp35のアンタゴニストとして作用する。例えば、本発明の方法において使用される抗体はアンタゴニストとして機能する場合があり、Sp35ポリペプチドの抑制活性をブロックするかまたは阻害する場合がある。
本明細書中で使用される場合は、用語「キメラ抗体」は、免疫反応性領域または部位が第1の種から得られたかまたは第1の種に由来し、そして定常領域(これは、完全なものである場合も、一部である場合も、また、本発明にしたがって修飾される場合もある)が第2の種から得られた任意の抗体を意味するように適用される。特定の実施形態においては、標的結合領域または部位は、ヒト以外の供給源(例えば、マウスまたは霊長類)に由来し、そして定常領域はヒトである。
本明細書中で使用される場合は、用語「操作された抗体」は、重鎖および軽鎖のいずれか、または両方の可変ドメインが、特異性が公知である抗体に由来する1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換によって、そして必要に応じて、部分的なフレームワーク領域の置き換えおよび配列の変更によって変化させられた抗体を意味する。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスまたはさらにはサブクラスの抗体に由来する場合があるが、CDRが様々なクラスの抗体に由来するであろうこと、そして好ましくは、様々な種に由来する抗体に由来するであろうことが予想される。特異性が公知であるヒト以外の抗体に由来する1つ以上の「ドナー」CDRがヒト重鎖または軽鎖のフレームワーク領域につながれている操作された抗体は、本明細書中では「ヒト化抗体」と呼ばれる。1つの可変ドメインの抗原結合能力を別のものに導入ためには、ドナー可変領域に由来する完全なCDR領域でCDR領域の全てを置き換えることは必ずしも必要ではない場合がある。むしろ、標的結合部位の活性を維持するために不可欠なそのような残基を導入することだけが必要であり得る。例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、および同第6,180,370号に示されている説明を前提とすると、これが、機能性の操作された抗体またはヒト化抗体を得るために、日常的に行われている実験を行うことによるか、または試行錯誤により試験することによるかのいずれかによることは、十分に当業者の能力の範囲内であろう。
本明細書中で使用される場合は、用語「連結させられた」、「融合させられた」、または「融合」はほとんど同じ意味で使用される。これらの用語は、化学的結合または組み換え手段を含むあらゆる手段により、2つ以上のエレメントまたは成分を一緒に結合させることを意味する。「インフレームでの融合」は、2つ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)を結合させて、連続するより長いORFを、もとのORFの正確なリーディングフレームを維持する様式で形成させることを意味する。したがって、得られる組み換え体融合タンパク質は、もとのORFによってコードされるポリペプチドに対応する2つ以上のセグメント(これらのセグメントは、自然界においては通常はそのようには結合していない)を含む1つのタンパク質である。したがって、リーディングフレームは、融合させられたセグメント全体を通じて連続させられるが、セグメントは、例えば、インフレームのリンカー配列によって、物理的に、または空間的に隔てられている場合がある。
ポリペプチドの状況においては、「直鎖状配列」または「配列」は、アミノ末端からカルボキシ末端方向でのポリペプチドのアミノ酸の順序である。ここでは、配列の中の互いに隣接している残基は、ポリペプチドの一次構造においては連続している。
用語「発現」は、本明細書中で使用される場合は、それによって遺伝子が生化学的物質(例えば、RNAまたはポリペプチド)を生じるプロセスを意味する。このプロセスには、細胞内での遺伝子の機能性の存在のあらゆる発現が含まれ、これには、遺伝子のノックダウン、ならびに一時的な発現と安定な発現の両方が含まれるが、これらに限定はされない。これには、遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、または任意の他のRNA産物への転写、ならびに、そのようなmRNAのポリペプチド(単数または複数)への翻訳が含まれるが、これらに限定はされない。最終的な所望される産物が生化学的物質である場合には、発現には、生化学的物質および任意の前駆体の作成が含まれる。
「被験体」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」によっては、任意の被験体が意味され、特に、それについての診断、予後診断、または治療が所望される哺乳動物被験体が意味される。哺乳動物被験体には、ヒト、家畜動物(domestic animal)、農場動物(farm animal)、動物園の動物、競技用動物、ペット動物(例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、乳牛);霊長類(例えば、類人猿、サル、オラウータン、およびチンパンジー);イヌ科(例えば、イヌおよびオオカミ);ネコ科(例えば、ネコ、ライオン、およびトラ);ウマ科(例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ);食用動物(例えば、乳牛、ブタ、およびヒツジ);有蹄動物(例えば、シカ、およびキリン);齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモット)などが含まれるが、これらに限定はされない。特定の実施形態においては、哺乳動物はヒト被験体である。
用語「RNA干渉」すなわち「RNAi」は、siRNAによる遺伝子発現のサイレンシングまたは低下を意味する。これは、動物および植物における配列特異的な転写後の遺伝子のサイレンシングのプロセスであり、サイレンシングさせられる遺伝子の配列に対してその二本鎖領域において相同であるsiRNAによって開始される。遺伝子は、生物体に対して内因性である場合も、また、外因性である場合もあり、染色体に組み込まれて存在する場合も、また、ゲノムの中には組み込まれないトランスフェクションベクターの中に存在する場合もある。遺伝子の発現は、完全に阻害されるかまたは部分的に阻害されるかのいずれかである。RNAiはまた、標的RNAの機能を阻害するとも考えられ得る;標的RNAの機能は完全である場合も、また部分的である場合もある。
Sp35(LINGO−1/LRRN6)
本発明は、Sp35のアンタゴニストが神経突起の成長およびDAニューロンの生存を促進することの発見に基づく。自然界に存在しているヒトSp35は、614アミノ酸からなるグリコシル化された神経系特異的タンパク質である(配列番号2)。ヒトSp35ポリペプチドには、14個のロイシンリッチリピート(N末端キャップとC末端キャップを含む)からなるLRRドメイン、Igドメイン、膜貫通領域、および細胞質ドメインが含まれる。細胞質ドメインには、標準的なチロシンリン酸化部位が含まれる。加えて、自然界に存在しているSp35タンパク質には、シグナル配列である短い塩基性領域がLRRCTとIgドメインの間に、そして膜貫通領域がIgドメインと細胞質ドメインの間に含まれる。ヒトSp35遺伝子には、別の翻訳開始コドンが含まれており、その結果、6個のさらに別のアミノ酸(MQVSKR;配列番号3)がSp35シグナル配列のN末端に存在する場合があり、また、存在しない場合もある。表1には、配列番号2の配列をベースとするアミノ酸残基の番号にしたがった、Sp35ドメインと他の領域が列挙される。
表1
Sp35の組織分布および発育過程での発現は、ヒトおよびラットにおいて実験されている。Sp35の生物学は実験用の動物(ラット)モデルにおいて実験されている。ラットSp35の発現はノーザンブロットおよび免疫組織化学染色によって決定されたように、神経系のニューロンと脳の乏突起膠細胞に局在化されている。ラットSp35 mRNAの発現レベルは、発育過程に応じて調節されており、生後間もなく(すなわち、およそ1日後に)ピークとなる。ラットの脊髄の離断損傷モデルにおいては、Sp35は、RT−PCRによって決定されたように、損傷部位においてアップレギュレートされる。加えて、Sp35はNogo66 Receptor(Nogo受容体)と相互作用することが示されている。例えば、国際特許出願番号PCT/US2004/00832、PCT公開番号WO2004/08564を参照のこと。
Sp35(LINGO−1)は、Nogo Receptor−1−p75神経栄養因子受容体複合体のさらなる成分である。Miら、Nat Neurosci.7:221−228(2004)(引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。Nogo受容体1とは異なり、Sp35遺伝子の発現は、成人の脊髄の中の神経細胞が外傷性の損傷に曝されると増大し、このことは、Sp35がCNS神経機構について重要な生物学的役割を有していることを示唆している。Id.
全長のSp35分子のヌクレオチド配列は以下のとおりである:
全長のSp35ポリペプチドのポリペプチド配列は以下のとおりである:
Sp35のアンタゴニストを使用する方法
本発明の1つの実施形態によっては、ドーパミン作動性(DA)ニューロンの再生、成長、または生存を促進するための方法が提供される。この方法には、DAニューロンを、有効量のSp35アンタゴニスト、またはSp35アンタゴニストを含む組成物と接触させる工程が含まれる。ここでは、Sp35アンタゴニストは、可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35抗体、Sp35アンタゴニストポリヌクレオチド、Sp35アプタマー、および2つ以上の上記Sp35アンタゴニストの組み合わせからなる群より選択される。様々な例示的なSp35アンタゴニスト、ならびに本発明を実施するためにこれらの分子を得るための方法および材料は以下に記載され、そして/または、例えば、国際特許出願番号PCT/US2004/008323、PCT公開番号WO2004/085648(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)の中に見ることができる。本発明に有用なSp35受容体アンタゴニストとしては、例えば、PCT/US2005/022881、PCT公開番号WO2006/002437(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されているものが挙げられる。
本発明のさらに別の実施形態によっては、そのような疾患に罹患している動物(例えば、哺乳動物)のDAニューロンの変性または死が関係している疾患、障害、または損傷(例えば、パーキンソン病)を処置するための方法が提供される。この方法は、その必要がある動物に対して、可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35抗体、Sp35アンタゴニストポリヌクレオチド、Sp35アプタマー、および2つ以上の上記Sp35アンタゴニストの組み合わせからなる群より選択される、治療有効量のSp35アンタゴニスト、またはSp35アンタゴニストを含む組成物を投与する工程が含まれるか、本質的にそのような工程からなるか、あるいはそのような工程からなる。
本発明のさらなる実施形態には、DAニューロンの死が関係している疾患、障害、または損傷を処置するために、DAニューロンの再生、成長、または生存を促進する方法が含まれる。この方法には、哺乳動物に対して、疾患、障害、もしくは損傷の部位に、またはその付近に、DAニューロンの再生、成長、または生存の阻害を減少させるために十分な量を投与する工程が含まれる。
本発明の方法においては、Sp35アンタゴニストは、可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35抗体、Sp35アンタゴニストポリヌクレオチド、Sp35アプタマー、またはそれらの組み合わせの患者への直接の投与によって投与され得る。あるいは、Sp35アンタゴニストは、特異的なSp35アンタゴニストを生産する発現ベクターを介して投与され得る。本発明の特定の実施形態においては、Sp35アンタゴニストは、以下を含む処置方法において投与される:(1)移植することができる宿主細胞を核酸(例えば、Sp35アンタゴニストを発現するベクター)で形質転換するかまたはトランスフェクトする工程;および(2)形質転換された宿主細胞を哺乳動物に、疾患、障害、または損傷の部位に移植する工程。例えば、形質転換された宿主細胞は、ドーパミンニューロンの供給源の特定の罹患した部位(例えば、中脳)またはそれらの接続の標的(例えば、被殻、尾状核、大脳皮質、淡蒼球、または視床下核)に移植され得る。本発明のいくつかの実施形態においては、移植することができる宿主細胞は哺乳動物から取り出され、一時的に培養され、Sp35アンタゴニストをコードする単離された核酸で形質転換またはトランスフェクトされ、そしてそれが取り出された同じ哺乳動物に移植して戻される。細胞は、移植される同じ部位から取り出すことができるが、必ずしもそうでなくてよい。エキソビボ遺伝子治療としてもよく知られているそのような実施形態によって、限られた時間の間作用部位に局在化させられた、Sp35アンタゴニストの持続的な供給を提供することができる。
本発明の方法によって処置または緩和することができる疾患または障害としては、DAニューロンの死、変性、または再生もしくは分化の不足が関係している疾患、障害、あるいは損傷が挙げられる。そのような疾患としては、パーキンソン病(PD)、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、パーキンソン病様の特徴を有している運動神経疾患、レヴィー小体認知症、進行性核上麻痺、皮質をベースとする神経節の変性、前頭側頭認知症、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、ウィルソン病、ハレルフォルデン・スパッツ病、チェディアック・東症候群、SCA−3脊髄小脳失調、X連鎖ジストニア・パーキンソニズム(DYT3)、ハンチントン病(ウェストファール変異体)、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、脳血管性パーキンソニズム、脳性小児麻痺、繰り返し起こる頭部外傷、脳炎後のパーキンソン病、神経梅毒、および統合失調症が挙げられるが、これらに限定はされない。
本明細書中で開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト(例えば、可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35抗体、Sp35アンタゴニストポリヌクレオチド、またはSp35アプタマー)は、DAニューロンの成長、生存、または再生をネガティブに調節するSp35の能力を停止させる、低下させる、妨げる、または阻害する治療薬として調製され得、そして使用され得る。
可溶性Sp35ポリペプチド
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストとしては、自然界に存在しているSp35の生物学的機能をブロックする、阻害する、または妨害するそのようなポリペプチドが挙げられる。詳細には、本発明の可溶性Sp35ポリペプチドとしては、可溶性Sp35ポリペプチドの断片、変異体、または誘導体が挙げられる。上記の表1には、Sp35ポリペプチドの様々なドメインが記載されている。可溶性Sp35ポリペプチドは膜貫通ドメインを欠いており、通常は、Sp35ポリペプチドの細胞内ドメインが欠けている。例えば、特定の可溶性Sp35ポリペプチドには、Sp35の膜貫通ドメインを含むアミノ酸552〜576、および/またはSp35の細胞内ドメインを含むアミノ酸577〜614が欠けている。加えて、特定の可溶性Sp35ポリペプチドには、Sp35ポリペプチドのLLRドメイン、Igドメイン、塩基性領域および/または細胞外ドメイン全体(配列番号2のアミノ酸34から532に対応する)が含まれる。当業者は、Sp35の細胞外ドメイン全体に、細胞外ドメインポリペプチドのC末端またはN末端のいずれかにあるさらなるアミノ酸もしくは数個のアミノ酸が含まれる場合があることを理解するであろう。このように、本発明の方法において使用される可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸41から525;配列番号2のアミノ酸40から526;配列番号2のアミノ酸39から527;配列番号2のアミノ酸38から528;配列番号2のアミノ酸37から529;配列番号2のアミノ酸36から530;配列番号2のアミノ酸35から531;配列番号2のアミノ酸34から531;配列番号2のアミノ酸46から520;配列番号2のアミノ酸45から521;配列番号2のアミノ酸44から522;配列番号2のアミノ酸43から523;および配列番号2のアミノ酸42から524、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。Sp35ポリペプチドアンタゴニストには、表1に記載されるドメインの任意の組み合わせが含まれ得る。
本発明の方法において使用されるさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸1から33;配列番号2のアミノ酸1から35;配列番号2のアミノ酸34から64;配列番号2のアミノ酸36から64;配列番号2のアミノ酸66から89;配列番号2のアミノ酸90から113;配列番号2のアミノ酸114から137;配列番号2のアミノ酸138から161;配列番号2のアミノ酸162から185;配列番号2のアミノ酸186から209;配列番号2のアミノ酸210から233;配列番号2のアミノ酸234から257;配列番号2のアミノ酸258から281;配列番号2のアミノ酸282から305;配列番号2のアミノ酸306から329;配列番号2のアミノ酸330から353;配列番号2のアミノ酸363から416;配列番号2のアミノ酸417から424;配列番号2のアミノ酸419から493;および配列番号2のアミノ酸494から551、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用されるさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸1から33;配列番号2のアミノ酸1から35;配列番号2のアミノ酸1から64;配列番号2のアミノ酸1から89;配列番号2のアミノ酸1から113;配列番号2のアミノ酸1から137;配列番号2のアミノ酸1から161;配列番号2のアミノ酸1から185;配列番号2のアミノ酸1から209;配列番号2のアミノ酸1から233;配列番号2のアミノ酸1から257;配列番号2のアミノ酸1から281;配列番号2のアミノ酸1から305;配列番号2のアミノ酸1から329;配列番号2のアミノ酸1から353;配列番号2のアミノ酸1から416;配列番号2のアミノ酸1から424;配列番号2のアミノ酸1から493;配列番号2のアミノ酸1から551;配列番号2のアミノ酸1から531;および配列番号2のアミノ酸1から532、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用されるなおさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸34から64;配列番号2のアミノ酸34から89;配列番号2のアミノ酸34から113;配列番号2のアミノ酸34から137;配列番号2のアミノ酸34から161;配列番号2のアミノ酸34から185;配列番号2のアミノ酸34から209;配列番号2のアミノ酸34から233;配列番号2のアミノ酸34から257;配列番号2のアミノ酸34から281;配列番号2のアミノ酸34から305;配列番号2のアミノ酸34から329;配列番号2のアミノ酸34から353;配列番号2のアミノ酸34から416;配列番号2のアミノ酸34から424;配列番号2のアミノ酸34から493;および配列番号2のアミノ酸34から551、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用されるさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸34から530;配列番号2のアミノ酸34から531;配列番号2のアミノ酸34から532;配列番号2のアミノ酸34から533;配列番号2のアミノ酸34から534;配列番号2のアミノ酸34から535;配列番号2のアミノ酸34から536;配列番号2のアミノ酸34から537;配列番号2のアミノ酸34から538;配列番号2のアミノ酸34から539;配列番号2のアミノ酸30から532;配列番号2のアミノ酸31から532;配列番号2のアミノ酸32から532;配列番号2のアミノ酸33から532;配列番号2のアミノ酸34から532;配列番号2のアミノ酸35から532;配列番号2のアミノ酸36から532;配列番号2のアミノ酸30から531;配列番号2のアミノ酸31から531;配列番号2のアミノ酸32から531;配列番号2のアミノ酸33から531;配列番号2のアミノ酸34から531;配列番号2のアミノ酸35から531;および、配列番号2のアミノ酸36から531、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用されるなおさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸36から64;配列番号2のアミノ酸36から89;配列番号2のアミノ酸36から113;配列番号2のアミノ酸36から137;配列番号2のアミノ酸36から161;配列番号2のアミノ酸36から185;配列番号2のアミノ酸36から209;配列番号2のアミノ酸36から233;配列番号2のアミノ酸36から257;配列番号2のアミノ酸36から281;配列番号2のアミノ酸36から305;配列番号2のアミノ酸36から329;配列番号2のアミノ酸36から353;配列番号2のアミノ酸36から416;配列番号2のアミノ酸36から424;配列番号2のアミノ酸36から493;および、配列番号2のアミノ酸36から551、あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用されるさらなる可溶性Sp35ポリペプチドとしては、配列番号2のアミノ酸36から530;配列番号2のアミノ酸36から531;配列番号2のアミノ酸36から532;配列番号2のアミノ酸36から533;配列番号2のアミノ酸36から534;配列番号2のアミノ酸36から535;配列番号2のアミノ酸36から536;配列番号2のアミノ酸36から537;配列番号2のアミノ酸36から538;および、配列番号2のアミノ酸36から539;あるいはそのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
さらなる可溶性Sp35ポリペプチド、それらの断片、変異体、または誘導体としては、Sp35のIgドメインを含むポリペプチドが挙げられる。例えば、Sp35ポリペプチドには、配列番号2のアミノ酸417から493;配列番号2のアミノ酸417から494;配列番号2のアミノ酸417から495;配列番号2のアミノ酸417から496;配列番号2のアミノ酸417から497;配列番号2のアミノ酸417から498;配列番号2のアミノ酸417から499;配列番号2のアミノ酸417から500;配列番号2のアミノ酸417から492;配列番号2のアミノ酸417から491;配列番号2のアミノ酸412から493;配列番号2のアミノ酸413から493;配列番号2のアミノ酸414から493;配列番号2のアミノ酸415から493;配列番号2のアミノ酸416から493;配列番号2のアミノ酸411から493;配列番号2のアミノ酸410から493;配列番号2のアミノ酸410から494;配列番号2のアミノ酸411から494;配列番号2のアミノ酸412から494;配列番号2のアミノ酸413から494;配列番号2のアミノ酸414から494;配列番号2のアミノ酸415から494;配列番号2のアミノ酸416から494;配列番号2のアミノ酸417から494;および配列番号2のアミノ酸418から494、あるいは、そのようなポリペプチドの断片、変異体、または誘導体が含まれる、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される。
様々な例示的な可溶性Sp35ポリペプチド、ならびに本発明を実施するためにこれらの分子を得るための方法および材料は以下に記載され、そして/または、例えば、国際特許出願番号PCT/US2004/008323、PCT公開番号WO2004/085648(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)の中に見ることができる。
本明細書中に記載される本発明の方法において使用される可溶性Sp35ポリペプチドは、環状である場合がある。可溶性Sp35ポリペプチドの環化によっては、直鎖状ペプチドの立体構造の自由度が下がり、より構造的に拘束された分子が生じる。多くのペプチドの環化方法は当該分野で公知であり、例えば、ペプチドのN末端アミノ酸残基とC末端アミノ酸残基との間でのアミド結合の形成による「骨格対骨格(backbone to backbone)」環化である。「骨格対骨格」環化の方法には、2つのω−チオアミノ酸残基(例えば、システイン、ホモシステイン)の間でのジスルフィド架橋の形成が含まれる。本発明の特定の可溶性Sp35ペプチドには、環状のSp35ポリペプチドを形成させるためのペプチドのN末端およびC末端上での修飾が含まれる。そのような修飾としては、システイン残基、アセチル化されたシステイン残基、NH2部分とビオチンを有しているシステイン残基が挙げられるが、これらに限定はされない。他のペプチドの環化方法は、Li & Roller.Curr.Top.Med.Chem.3:325−341(2002)(これはその全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。
本明細書中に記載されている可溶性Sp35ポリペプチドには、置換、挿入、または欠失のような様々な変更が含まれ得る。例えば、置換としては以下の置換が挙げられるが、これらに限定はされない:配列番号2のSp35ポリペプチドの6位のバリンのメチオニンへの置換;配列番号2のSp35ポリペプチドの294位のセリンのグリシンへの置換;配列番号2のSp35ポリペプチドの348位のバリンのアラニンへの置換;Sp35ポリペプチドの419位のアルギニンのヒスチジンへの置換;456位のアルギニンのグルタミン酸への置換;および配列番号2の458位のヒスチジンのバリンへの置換。
本明細書中に記載される配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一である可溶性Sp35ポリペプチドの対応する断片もまた意図される。
当該分野で公知であるように、2つのポリペプチドの間での「配列同一性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列を第2のポリペプチドの配列に対して比較することによって決定される。本明細書中で議論される場合には、任意の特定のポリペプチドが別のポリペプチドに対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であるかどうかは、当該分野で公知の方法およびコンピュータープログラム/ソフトウェア(例えば、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)であるが、これらに限定はされない)を使用して決定することができる。BESTFITでは、2つの配列の間での相同性について最良のセグメントを見出すために、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics 2:482−489(1981)の局所相同性アルゴリズムが使用される。特定の配列が、本発明の参照配列に対して例えば95%同一であるかどうかを決定するためにBESTFITまたは任意の他の配列アラインメントプログラムが使用される場合には、もちろんパラメーターはセットであり、その結果、同一性の割合(%)が、参照ポリペプチド配列の全長にわたって計算され、そして参照配列のアミノ酸の総数の5%までの相同性の中のギャップが可能である。
本発明の方法において使用される可溶性Sp35ポリペプチドには、2つ以上の可溶性Sp35ポリペプチドの任意の組み合わせが含まれ得る。
抗体またはその抗原結合断片
1つの実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストは、抗体分子またはその免疫特異的断片である。特に明記されていない限りは、本明細書中で使用される場合には、抗体に関する「その断片」は、免疫特異的断片、すなわち、抗原特異的断片を意味する。1つの実施形態においては、本発明の方法において使用される抗体は、二重特異的結合分子、結合ポリペプチド、または抗体であり、例えば、二重特異的抗体、ミニボディー、ドメイン欠失抗体、または1つ以上のエピトープ(例えば、1つ以上の抗原、または同じ抗原上の1つ以上のエピトープ)に対して結合特異性を有している融合タンパク質である。1つの実施形態においては、二重特異的抗体は、Sp35上の少なくとも1つのエピトープに特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。二重特異的抗体は、Sp35の1つのエピトープに特異的な2つの標的結合ドメインと、第2の標的に特異的な2つの標的結合ドメインを有している4価の抗体である場合もある。それゆえ、4価の二重特異的抗体は、それぞれの特異性について2価であり得る。
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストにはまた、Sp35活性のアンタゴニストである、Sp35特異的抗体またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体も含まれる。例えば、DAニューロン上で発現されるSp35に対する特定のSp35抗体の結合により、DA神経突起の成長、分化、および生存の阻害がブロックされる。
本明細書中に記載される方法において使用される特定のアンタゴニスト抗体は、特定のSp35ポリペプチド断片またはドメインに特異的または優先的に結合する。そのようなSp35ポリペプチド断片としては、配列番号2のアミノ酸34から532;34から417、34から425、34から493、66から532、66から417(LRRドメイン)、66から426、66から493、66から532、417から532、417から425(Sp35塩基性領域)、417から424(Sp35塩基性領域)、417から493、417から532、419から493(Sp35 Ig領域)、または425から532を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるSp35ポリペプチド、あるいは、配列番号2のアミノ酸34から532;34から417、34から425、34から493、66から532、66から417、66から426、66から493、66から532、417から532、417から425(Sp35塩基性領域)、417から493、417から532、419から493(Sp35 Ig領域)、または425から532に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であるSp35変異体ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の方法において使用される特定のSp35特異的抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体がそれに対して結合するさらなるSp35ペプチド断片としては、Sp35の1つ以上のロイシンリッチリピート(LRR)を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成されるそのような断片が挙げられるが、これらに限定はされない。そのような断片としては、例えば、配列番号2のアミノ酸66から89、66から113、66から137、90から113、114から137、138から161、162から185、186から209、210から233、234から257、258から281、282から305、306から329、または330から353を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される断片が挙げられる。配列番号2のアミノ酸66から89、66から113、90から113、114から137、138から161、162から185、186から209、210から233、234から257、258から281、282から305、306から329、または330から353に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一である変異体Sp35ポリペプチドの対応する断片もまた意図される。
本発明の特定の抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体がそれに対して結合するさらなるSp35ペプチド断片としては、Sp35のLRRに隣接している1つ以上のシステインリッチ領域を含む、本質的にそれから構成される、またはそれから構成されるそのような断片が挙げられるが、これらに限定はされない。そのような断片としては、例えば、配列番号2のアミノ酸34から64(N末端LRR隣接領域(LRRNT))を含む、本質的にそれから構成される、もしくはそれから構成される断片、または配列番号2のアミノ酸363から416(C末端LRR隣接領域(CRRCT))を含む、本質的にそれから構成される、もしくはそれから構成される断片が挙げられる。配列番号2のアミノ酸34から64、および363から416に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一である変異体Sp35ポリペプチドの対応する断片もまた意図される。
他の実施形態においては、本明細書中に記載される方法において使用されるSp35アンタゴニストとしては、Sp35の少なくとも1つのエピトープに特異的または優先的に結合する抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体が挙げられる。ここでは、エピトープには、配列番号2の少なくとも4個から5個のアミノ酸、配列番号2の少なくとも7個、少なくとも9個、または少なくとも約15個から約30個の間のアミノ酸が含まれる、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される。記載されるように、配列番号2の任意のエピトープのアミノ酸は、連続している場合もあり、直鎖状である場合もあるが、必ずしもそうでなくてよい。特定の実施形態においては、Sp35の少なくとも1つのエピトープには、細胞の表面上で発現される、または可溶性断片としてのSp35の細胞外ドメインによって形成される直鎖状ではないエピトープが含まれる、本質的にそれから構成される、またはそれから構成される(例えば、IgG Fc領域に融合させられる)。したがって、特定の実施形態においては、Sp35の少なくとも1つのエピトープには、配列番号2の少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも約15個から約30個の間、あるいは少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、もしくは100個の連続するかまたは不連続なアミノ酸が含まれる、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される。ここでは、不連続なアミノ酸はタンパク質の折り畳みによってエピトープを形成する。
他の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストとしては、Sp35の少なくとも1つのエピトープに特異的または優先的に結合するSp35抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体が挙げられる。ここでは、エピトープには、さらに、上記のように、さらに、配列番号2の1個、2個、3個、4個、5個、6個、もしくはそれ以上の連続しているかまたは不連続なアミノ酸と、タンパク質を修飾するさらなる部分が含まれる、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される。例えば、炭水化物部分を、Sp35抗体が、修飾されていないバージョンのタンパク質に対するよりも高い親和性で修飾された標的タンパク質に結合するように含めることができる。あるいは、Sp35抗体は、修飾されていないバージョンの標的タンパク質には全く結合しない。
特定の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストには、本発明の抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体が含まれる。すなわち、これらは、上記Sp35または断片もしくは変異体の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、すなわち、それが無関係なもしくはランダムなエピトープに結合するよりも容易にそのようなエピトープに結合する;上記Sp35または断片または変異体の少なくとも1つのエピトープに優先的に結合する、すなわち、関連する、類似する、相同な、またはアナログであるエピトープに対してそれが結合するよりも容易にそのようなエピトープに結合する;上記Sp35または断片または変異体の特定のエピトープに対してそれ自体が特異的または優先的に結合する参照抗体の結合を競合的に阻害する;あるいは、約5×10−2M、約10−2M、約5×10−3M、約10−3M、約5×10−4M、約10−4M、約5×10−5M、約10−5M、約5×10−6M、約10−6M、約5×10−7M、約10−7M、約5×10−8M、約10−8M、約5×10−9M、約10−9M、約5×10−10M、約10−10M、約5×10−11M、約10−11M、約5×10−12M、約10−12M、約5×10−13M、約10−13M、約5×10−14M、約10−14M、約5×10−15M、または約10−15M未満の解離定数KDを特徴とする親和性で、上記Sp35または断片もしくは変異体の少なくとも1つのエピトープに結合する。特定の態様においては、抗体またはその断片は、マウスSp35ポリペプチドまたはその断片と比較して、ヒトSp35ポリペプチドまたはその断片に対して優先的に結合する。
抗体結合解離定数の状況で使用される場合には、用語「約」は、抗体親和性を測定するために利用される方法についてある程度の固有のバリエーションを可能にする。例えば、使用される機器の精度のレベル、測定される試料の数に基づく標準誤差、および丸め誤差に応じて、用語「約10−2M」には、例えば、0.05Mから0.005Mまでが含まれ得る。
特異的な実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストとしては、5×10−2sec−1、10−2sec−1、5×10−3sec−1、または10−3sec−1未満あるいはそれに等しい解離速度(k(off))で、Sp35ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体に結合する本発明の抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体が挙げられる。あるいは、本発明の抗体またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体は、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1、10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1、または10−7sec−1未満あるいはそれに等しい解離速度(k(off))で、Sp35ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体に結合する。
他の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストとしては、103M−1sec−1、5×103M−1sec−1、104M−1sec−1、または5×104M−1sec−1より大きいかまたはそれに等しい速度(k(on))で、Sp35ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体に結合する、本発明の抗体またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体が挙げられる。あるいは、本発明の抗体、またはその抗原結合断片、変異体、もしくは誘導体は、105M−1sec−1、5×105M−1sec−1、106M−1sec−1、または5×106M−1sec−1、または107M−1sec−1より大きいかあるいはそれに等しい速度(k(on))で、Sp35ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体に結合する。
本発明の特定の方法には、少なくともわずかな1つ以上の定常領域ドメインが、所望される生化学的特徴(例えば、ほぼ同じ免疫原性の完全な変更されていない抗体と比較した場合の、低いエフェクター機能、共有結合ではない結合によって二量体を形成する能力、腫瘍部位に局在化する高い能力、短い血清半減期または長い血清半減期)を提供するように欠失させられているかまたは別の方法で変更されている、Sp35アンタゴニスト抗体の投与またはその免疫特異的断片の投与が含まれる。例えば、本明細書中に記載される方法において使用される特定の抗体は、免疫グロブリン重鎖と同様のポリペプチド鎖を含むが、1つ以上の重鎖ドメインの少なくとも一部が欠失している、ドメイン欠失抗体である。例えば、特定の抗体においては、修飾された抗体の定常領域の1つのドメイン全体が欠失させられるであろう。例えば、CH2ドメイン全体または一部が欠失させられるであろう。
本明細書中に記載される方法において使用される特定のSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片においては、Fc部分は、当該分野で公知の技術を使用してエフェクター機能を低下させるように変異させることができる。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段による)によっては、循環している修飾された抗体のFc受容体結合が減少し、それによって腫瘍の局在化が高まる場合がある。他の場合には、本発明と矛盾しない定常領域の修飾によって相補結合が抑えられ、したがって、血清半減期および結合した細胞毒素の非特異的会合が減少する場合がある。定常領域のなお他の修飾を使用して、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を修飾することができる。これにより、高い抗原特異性または抗体の可撓性の理由による高い局在化が可能となる。修飾により得られる生理学的プロフィール、生体利用性、および他の生化学的効果(例えば、腫瘍の局在化、生体分布、および血清半減期)は、過度の実験を行うことなく周知の免疫学的技術を使用して容易に測定することができ、そして定量することができる。
本明細書中に開示される方法において使用される抗体またはその免疫特異的断片の修飾された形態は、当該分野で公知の技術を使用して、完全な前駆体またはもとの抗体から作成することができる。例示的な技術は、本明細書中にさらに詳細に議論される。
特定の実施形態においては、本明細書中で開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片の可変領域および定常領域はいずれも、完全にヒトのものである。完全なヒト抗体は、当該分野で公知であり、そして本明細書中に記載される技術を使用して作成することができる。例えば、特異的な抗原に対する完全なヒト抗体は、抗原性のチャレンジに応答してそのような抗体を生産するように修飾されているが、その内因性の遺伝子座が無効とされているトランスジェニック動物に対して抗原を投与することによって調製することができる。そのような抗体を作成するために使用することができる例示的な技術は、米国特許第6,150,584号;同第6,458,592号;同第6,420,140号に記載されている。他の技術も当該分野で公知である。完全なヒト抗体は、おそらく、本明細書中の別の場所にさらに詳細に記載される様々なディスプレイ技術(例えば、ファージディスプレイまたは他のウイルスディスプレイシステム)によって生産することができる。
本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片は、当該分野で公知の技術を使用して作成することができ、製造することができる。特定の実施形態においては、抗体分子またはその断片は「組み換えによって生産される」。すなわち、組み換えDNA技術を使用して生産される。抗体分子またはその断片を作成するための例示的な技術は、本明細書中の別の場所でさらに詳細に議論される。
本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片としては、例えば、共有結合が、抗体がその同族であるエピトープに特異的に結合することを妨げることがないように、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾された誘導体が挙げられる。例えば、抗体誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導、タンパク質分解的切断、細胞性のリガンドもしくは他のタンパク質に対する結合などによって修飾された抗体が挙げられるが、これらに限定はされない。任意の多数の化学修飾を、公知の技術によって行うことができ、これには、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝による合成などが含まれるが、これらに限定はされない。加えて、誘導体には、1つ以上の従来のものではないアミノ酸が含まれる場合がある。
好ましい実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片は、処置される動物(例えば、ヒト)において有害な免疫応答を誘発しないであろう。1つの実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片は、当該分野で認識されている技術を使用して免疫原性を低下させるように修飾することができる。例えば、抗体は、ヒト化、霊長類化、脱免疫化させることができ、また、キメラ抗体を作成することもできる。元の抗体の抗原結合特性を保持しているか、または実質的に保持しているが、ヒトにおいては免疫原性が低いこれらのタイプの抗体は、ヒト以外の抗体、通常は、マウス抗体または霊長類抗体から誘導される。これは、以下の工程を含む様々な方法によって行うことができる:(a)キメラ抗体を作成するためにヒト定常領域上にヒト以外の可変ドメインを繋ぐ工程;(b)重要なフレームワーク残基を保持しているか、もしくは保持していないヒトフレームワーク領域および定常領域に、ヒト以外の相補性決定領域(CDR)の1つ以上の少なくとも一部を繋ぐ工程;あるいは(c)ヒト以外の可変ドメイン全体を移動させるが、それらを表面残基の置換によりヒト様のセクションで覆い隠す工程。そのような方法は、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65−92(1988);Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan,Molec,Immun.31:169−217(1994)、および米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、および同第6,190,370号(これら全ては、それらの全体において引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。
脱免疫化もまた、抗体の免疫原性を低下させるために使用することができる。本明細書中で使用される場合は、用語「脱免疫化(de−immunization)」には、T細胞エピトープを修飾するための抗体の変更が含まれる(例えば、WO9852976A1、WO0034317A2を参照のこと)。例えば、出発抗体に由来するVH配列およびVL配列が分析され、そしてヒトT細胞エピトープが、相補性決定領域(CDR)および配列中の他の鍵となる残基と比較したエピトープの位置を示しているそれぞれのV領域からマップされる。T細胞エピトープマップに由来する個々のT細胞エピトープは、別のアミノ酸置換を同定するために分析され、これに伴う最終的な抗体の活性が変化してしまうリスクは低い。アミノ酸置換の組み合わせを含む別のVHおよびVL配列の範囲が設計され、そしてこれらの配列は、続いて、結合ポリペプチドの1つの範囲(例えば、本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその免疫特異的断片)に取り込まれる、その後、これは機能について試験される。通常、12から24種類のさまざまな抗体が作成され、そして試験される。その後、修飾されたV領域およびヒトC領域を含む完全な重鎖および軽鎖遺伝子が発現ベクターにクローニングされ、続いてプラスミドが、完全な抗体の生産のために細胞株に導入される。その後、抗体は、適切な生化学的および生物学的アッセイにおいて比較され、最適な変異体が同定される。
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその断片は当該分野で公知の任意の適切な方法によって作成することができる。ポリクローナル抗体は、当該分野で周知の様々な手順によって生産することができる。例えば、Sp35免疫特異的断片は、様々な宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定はされない)に対して、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の生産を誘導するために投与することができる。様々なアジュバントを使用して、宿主種に応じた免疫学的応答を増大させることができる。そのようなアジュバントとしては、フロイトの(Freund’s)(完全なおよび不完全な)アジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに、ヒトアジュバントとして有用である可能性のあるもの(例えば、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびCorynebacterium parvum))が挙げられるが、これらに限定はされない。そのようなアジュバントもまた当該分野で周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組み換え技術、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む当該分野で公知の多種多様な技術を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知であり、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版(1988);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas Elsevier,N.Y.,563−681(1981)(上記参考文献はそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に教示されている技術を含むハイブリドーマ技術を使用して生産することができる。用語「モノクローナル抗体」は、本明細書中で使用される場合は、ハイブリドーマ技術によって生産された抗体に限定はされない。用語「モノクローナル抗体」は、1つのクローン(任意の真核生物クローン、原核生物クローン、またはファージクローンを含む)に由来する抗体を意味し、生産される方法を意味するものではない。したがって、用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によって生産された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、および組み換え技術、およびファージディスプレイ技術の使用を含む、当該分野で公知の多種多様な技術を使用して調製することができる。
1つの例においては、当該分野で認識されているプロトコールを使用して、抗体は、関連する抗原(例えば、精製されたSp35抗原またはそのような抗原を含む細胞もしくは細胞抽出物)とアジュバントの複数回の皮下または腹腔内注射によって哺乳動物において惹起させられる。この予防接種によっては、通常、活性化させられた脾臓細胞またはリンパ球からの抗原反応性抗体の生産を含む免疫応答が誘発させられる。得られる抗体は、ポリクローナル調製物を提供するために動物の血清から回収することができるが、多くの場合は、脾臓、リンパ節、または末梢血から個々のリンパ球を単離して、モノクローナル抗体(mAbs)の均質な調製物を得ることが所望され得る。好ましくは、リンパ球は脾臓から得られる。
この周知のプロセス(Kohlerら、Nature 256:495(1975))においては、抗原が注射された哺乳動物に由来する比較的生存期間の短い、または不死化させられたリンパ球が、不死化腫瘍細胞株(例えば、骨髄腫細胞株)と融合させられ、それによりハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」が生産される。これらはいずれも不死であり、B細胞の遺伝的にコードされる抗体を生産することができる。得られるハイブリッドは、1つの抗体の形成のための特異的な遺伝子を含む個々の別々の株を用いる選択、希釈、および再増殖によって1つの遺伝的な株に分離される。これらによって、所望される抗原に対して均質であり、そしてそれらの純粋な遺伝的家系について均質である、「モノクローナル」と呼ばれる抗体が生産される。
このように調製されたハイブリドーマ細胞は、融合させられていないもとの骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質が含まれていることが好ましい適切な培養培地の中に播種され、そして増殖させられる。当業者は、ハイブリドーマの形成、選択、および増殖のための試薬、細胞株、および培地を、多数の供給業者から市販によって入手することができ、標準的なプロトコールが十分に確立されていることを理解するであろう。一般的には、ハイブリドーマ細胞がその中で増殖させられている培養培地は、所望される抗原に対するモノクローナル抗体の生産についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生産されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降、放射免疫測定(RIA)、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ALISA)のようなインビトロでのアッセイによって決定される。所望される特異性、親和性、および/または活性の抗体を生産するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界稀釈手順によってサブクローニングされ得、そして、標準的な方法によって増殖させられ得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp59−103(1986))。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体を、従来の精製手順(例えば、protein−A、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィー)によって、培養培地、腹水、または血清から調製することができることがさらに理解されるであろう。
特異的エピトープを認識する抗体断片は、公知の技術によって作成することができる。例えば、FabおよびF(ab’)2断片を、パパイン(Fab断片を生じさせるため)またはペプシン(F(ab’)2断片を生じさせるため)のような酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって生じさせることができる。F(ab’)2断片には、可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のCH1ドメインが含まれる。
当業者はまた、抗体または抗体断片(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAは、抗体ファージライブラリーから導かれる場合もあることも、理解するであろう。具体的には、そのようなファージは、レパートリーまたは組み合わせ抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現させられた抗原結合ドメインをディスプレイさせるために利用することができる。目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識された抗原または固体表面もしくはビーズに結合させられたかもしくは捕捉された抗原を用いて、選択あるいは同定することができる。これらの方法で使用されるファージは、通常は、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組み換えによって融合させられた、Fab、Fv、またはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインとともに、ファージから発現させられたfdおよびM13結合ドメインを含む、糸状ファージである。例示的な方法は、例えば、EP 368 684 B1;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.and Chames,Immunol.Today 21:371(2000);Nagyら、Nat.Med.8:801(2002);Huieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:2682(2001);Luiら、J.Mol.Biol.315:1063(2002)(これらのそれぞれが引用により本明細書中に組み入れられる)に示されている。いくつかの刊行物(例えば、Marksら、Bio/Technology 10:779−783(1992))には、鎖のシャッフリング、さらには、大きなファージライブラリーを構築するためのストラテジーとしての組み合わせ感染およびインビボでの組み換えによる高親和性ヒト抗体の生産が記載されている。別の実施形態においては、リボソーマルディスプレイを、バクテリオファージをディスプレイプラットフォームとして置き換えるために使用することができる(例えば、Hanesら、Nat.Biotechnol.18:1287(2000);Wilsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750(2001);またはIrvingら、J.Immunol.Methods 248:31(2001)を参照のこと)。なお別の実施形態においては、細胞表面ライブラリーを抗体についてスクリーニングすることができる(Boderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701(2000);Daughertyら、J.Immunol.Methods 243:211(2000))。このような手順により、モノクローナル抗体の単離、それに続くクローニングのための従来のハイブリドーマ技術に代わるものが提供される。
ファージディスプレイ法においては、機能的な抗体ドメインが、それらをコードしているポリヌクレオチド配列を有しているファージ粒子の表面上に提示される。具体的には、VHおよびVL領域をコードするDNA配列が、動物のcDNAライブラリー(例えば、リンパ系組織のヒトもしくはマウスのcDNAライブラリー)または合成のcDNAライブラリーから増幅させられる。特定の実施形態においては、VHおよびVL領域をコードするDNAは、PCRによりscFvリンカーによって互いに連結させられ、ファージミドベクター(例えば、pCANTAB 6またはpComb 3 HSS)にクローニングされる。ベクターはE.coliにエレクトロポレーションされ、そしてE.coliはヘルパーファージに感染させられる。これらの方法で使用されるファージは、通常は、fdおよびM13を含む糸状ファージであり、VH領域またはVL領域は、通常は、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組み換えによって融合させられている。目的の抗原(すなわち、Sp35ポリペプチドまたはその断片)に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識された抗原または固体表面もしくはビーズに結合させられたかもしくは捕捉された抗原を使用して、選択あるいは同定することができる。
抗体を作成するために使用することができるファージディスプレイ法のさらなる例としては、以下に開示されている方法が挙げられる:Brinkmanら、J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persicら、Gene 187:9−18(1997);Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280(1994);PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開番号WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;ならびに、米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号;および同第5,969,108号(これらのそれぞれがそれらの全体において引用により本明細書中に組み入れられる)。
上記参考文献に記載されているように、ファージ選択の後、ファージに由来する抗体をコードする領域を単離し、完全な抗体(ヒト抗体または任意の他の所望される抗原結合断片を含む)を作成するために使用し、そして、任意の所望される宿主(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む)の中で発現させることができる。例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片を組み換えによって生じさせるための技術もまた、当該分野で公知の方法(例えば、PCT公開番号WO92/22324;Mullinaxら、BioTechniques 12(6):864−869(1992);およびSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、Science 240:1041−1043(1988)(上記参考文献はそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる))を使用して利用することができる。
単鎖Fvおよび抗体を生産するために使用することができる技術の例としては、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology 203:46−88(1991);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);およびSkerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記載されている技術が挙げられる。ヒトにおけるインビボでの抗体の使用およびインビトロでの検出アッセイを含むいくつかの用途については、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を使用することが好ましい場合がある。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域を有している抗体である。キメラ抗体を生産するための方法は当該分野で公知である。例えば、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、J.Immunol.Methods 125:191−202(1989);米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816397号(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。ヒト化抗体は、ヒト以外の種に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有している、所望される抗原に結合するヒト以外の種の抗体に由来する抗体分子である。多くの場合には、ヒトフレームワーク領域の中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させるため、好ましくは抗原結合を改善するために、CDRドナー抗体に由来する対応する残基で置換されるであろう。これらのフレームワークの置換は、当該分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレーム残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデル化によって、および特定の位置にある珍しいフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと)。抗体は、当該分野で公知の様々な技術(例えば、CDR移植(EP 239,400;PCT公開番号WO91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;および5,585,089号)、貼り付け(veneering)、または表面再生(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(1994));ならびに鎖のシャッフリング(米国特許第5,565,332号)が含まれる)を使用してヒト化させることができる。
完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置に特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する上記のファージディスプレイ法を含む、当該分野で公知の様々な方法によって作成することができる。米国特許第4,444,887号;および同第4,716,111号;ならびに、PCT公開番号WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741;(そのそれぞれがその全体において引用により本明細書中に組み入れられる)もまた参照のこと。
ヒト抗体はまた、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して生産することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウスの胚性幹細胞にランダムに導入される場合も、また、相同組み換えによって導入される場合もある。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および送達領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウスの胚性幹細胞に導入することができる。マウスの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、ヒト免疫グロブリン遺伝子坐の導入とは別に、またはそれと同時に、相同組み換えによって非機能性にさせることができる。特に、JH領域のホモ接合型欠失は、内因性の抗体の生産を妨げる。修飾された胚性幹細胞が増殖させられ、キメラマウスを得るために胚盤胞にマイクロインジェクションされる。その後、キメラマウスは、ヒト抗体を発現するホモ接合型の子孫を生じるように交配させられる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原(例えば、所望される標的ポリペプチド全体または一部)を用いて通常の様式で予防接種される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、予防接種されたトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが有しているヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞の分化の間に再配置され、続いて、クラススイッチングおよび体細胞変異を受ける。したがって、このような技術を使用して、治療上有用であるIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を生産することが可能である。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概要については、Lonberg and Huszar Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術の詳細な考察、ならびにそのような抗体を生産するためのプロトコールの詳細な議論については、例えば、PCT公開番号WO98/24893;WO96/34096;WO96/33735;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;および同第5,939,598号(これらは、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。加えて、Abgenix,Inc.(Freemont,Calif.)およびGenPharm(San Jose,Calif.)のような会社は、上記に記載される技術と同様の技術を使用して、選択された抗原に対して指向させられたヒト抗体を提供することに従事し得る。
選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を使用して作成することができる。このアプローチにおいては、選択されたヒト以外のモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)を使用して、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を導くことができる(Jespersら、Bio/Technology 12:899−903(1988))。米国特許第5,565,332号もまた参照のこと。
別の実施形態においては、本発明の方法において使用される所望されるモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離し、そして配列決定することができる。単離され、そしてサブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源となる。一旦単離されると、DNAを発現ベクターの中に置くことができ、これはその後、別の方法では免疫グロブリンを生産することのない、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞にトランスフェクトされる。さらに具体的には、単離されたDNA(本明細書中に記載されるように、合成のものである場合がある)を使用して、1995年1月25日に提出されたNewmanら、米国特許第5,658,570号(これは引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されているように、抗体を製造するための定常領域配列および可変領域配列をクローニングすることができる。本質的に、これには、選択された細胞からのRNAの抽出、cDNAへの変換、およびIg特異的プライマーを使用するPCRによる増幅が必然的に伴う。この目的のための適切なプライマーはまた、米国特許第5,658,570号にも記載されている。以下にさらに詳細に議論されるように、所望される抗体を発現する形質転換された細胞は、免疫グロブリンの臨床的および商業的供給を提供するために、比較的多量に増殖させられる場合がある。
特定的な実施形態においては、重鎖および軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、当該分野で周知の方法により(例えば、配列の超可変性の領域を決定するための他の重鎖および軽鎖可変領域の既知のアミノ酸配列との比較により)相補性決定領域(CDR)の配列を同定するために検査され得る。日常的に行われる組み換えDNA技術を使用して、1つ以上のCDRがフレームワーク領域の中に(例えば、ヒト以外の抗体をヒト化させるためにヒトフレームワーク領域の中に)挿入される場合がある。フレームワーク領域は自然界に存在しているフレームワーク領域である場合も、また、コンセンサスなフレームワーク領域である場合もあり、そして好ましくは、ヒトフレームワーク領域である(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストについては、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1998)を参照のこと)。好ましくは、フレームワーク領域とCDRの組み合わせによって作成されたポリヌクレオチドは、所望されるポリペプチド(例えば、Sp35)の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換を、フレームワーク領域の中に作成することができ、好ましくは、アミノ酸置換によって、その抗原に対する抗体の結合が改善される。加えて、そのような方法を使用して、1つ以上の鎖間ジスルフィド結合が欠失している抗体分子を作成するための、鎖間ジスルフィド結合に関与している1つ以上の可変領域のシステイン残基のアミノ酸置換または欠失を作成することができる。ポリヌクレオチドに対する他の変更は本発明に含まれ、そして当業者の能力の範囲内である。
加えて、適切な生物学的活性のヒト抗体分子に由来する遺伝子とともに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子に由来する遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」の生産のために開発された技術(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))を使用することができる。本明細書中で使用される場合は、キメラ抗体は、様々な部分が様々な動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有している分子)であり、例えば、ヒト化抗体である。
あるいは、単鎖抗体の生産について記載されている技術(米国特許第4,694,778号;Bird,Science 242:423−442(1988);Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988);およびWardら、Nature 334:544−554(1989))を、単鎖抗体を生産するように適応させることができる。単鎖抗体は、アミノ酸の架橋によってFv領域の重鎖断片と軽鎖断片を連結させることによって形成させられ、それによって単鎖抗体が生じる。機能性のFv断片をE.coliの中でアセンブリさせるための技術が使用される場合もある(Skerraら、Science 242:1038−1041(1988))。
Sp35アンタゴニスト抗体はまた、内因性の免疫グロブリンの生産ができないトランスジェニック動物(例えば、マウス)の中で作成されたヒト抗体または実質的なヒト抗体でもあり得る(例えば、米国特許第6,075,181号、同第5,939,598号、同第5,591,669号、および同第5,589,369号(それぞれが引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと)。例えば、キメラおよび生殖系変異体マウスの中での抗体重鎖結合領域のホモ接合型の欠失によって内因性の抗体の生産の完全な阻害が生じることが記載されている。ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイのそのような生殖系変異体マウスへの導入によっては、抗原でチャレンジされた際にヒト抗体の生産が生じるであろう。SCIDマウスを使用してヒト抗体を作成する別の好ましい手段は、米国特許第5,811,524号(これは引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。これらのヒト抗体に関連する遺伝的物質もまた、本明細書中に記載されるように単離することができ、そして操作することができることは明らかであろう。
組み換え体抗体を作成するためのさらに別の非常に効率の高い手段は、Newman,Biotechnology 10:1455−1460(1992)に開示されている。特に、この技術によっては、サルの可変ドメインとヒト定常配列が含まれている霊長類化抗体の作成が生じる。この参考文献はその全体が引用により本明細書中に組み入れられる。さらに、この技術はまた、同一出願人による米国特許第5,658,570号、同第5,693,780号、および同第5,756,096号(それぞれが引用により本明細書中に組み入れられる)にも記載されている。
別の実施形態においては、リンパ球を顕微操作によって選択することができ、そして可変遺伝子を単離することができる。例えば、末梢血単核細胞を、予防接種された哺乳動物から単離し、そしてインビトロで7日間培養することができる。培養物は、スクリーニング基準を満たす特異的IgGについてスクリーニングすることができる。ポジティブウェルから細胞を単離することができる。個々のIgを生産するB細胞を、FACSによって、または補体媒介性溶血プラークアッセイにおいてそれらを同定することによって単離することができる。Igを生産するB細胞は、試験管の中で顕微操作することができ、そしてVHおよびVL遺伝子を、例えば、RT−PCRを使用して増幅させることができる。VHおよびVL遺伝子は抗体発現ベクターの中にクローニングし、そして発現のために細胞(例えば、真核生物細胞または原核生物細胞)にトランスフェクトすることができる。
あるいは、抗体を生産する細胞株を、当業者に周知の技術を使用して選択し、培養することができる。そのような技術は、様々な実験室用のマニュアルおよび主な刊行物に記載されている。これに関して、以下に記載されるような本発明での使用に適している技術は、補遣を含むCurrent Protocols in Immunology,Coliganら編、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience,John Wiley and Sons,New York(1991)(これはその全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。
本明細書中に開示される方法において使用される抗体は、抗体の合成のための当該分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成によって、または好ましくは、本明細書中に記載される組み換え発現技術によって生産することができる。
本発明の範囲には、さらに、抗原結合DNA配列のあらゆる対立遺伝子、変異体、および突然変異体が含まれることが、さらに理解されるであろう。
周知であるように、RNAは、もとのハイブリドーマ細胞から、または他の形質転換された細胞から、標準的な技術(例えば、イソチオシアネートグアニジン抽出、および沈殿、それに続く遠心分離またはクロマトグラフィー)によって単離することができる。所望される場合には、mRNAは、標準的な技術(例えば、クロマトグラフィーまたはオリゴdTセルロース)によって全RNAから単離され得る。適切な技術は当該分野でよく知られている。
1つの実施形態においては、本発明の方法において使用される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、周知の方法にしたがって逆転写およびDNAポリメラーゼを使用して同時に、または別々にのいずれかで作成することができる。PCRは、コンセンサスな定常領域プライマーによって、あるいは、公開されている重鎖および軽鎖のDNAおよびアミノ酸配列に基づくより特異的なプライマーによって開始され得る。上記で議論されるように、PCRは、抗体軽鎖および重鎖をコードするDNAクローンを単離するために使用される場合もある。この場合は、ライブラリーは、コンセンサスプライマーまたはより大きな相同プローブ(例えば、マウス定常領域プローブ)によってスクリーニングされ得る。
DNA(通常は、プラスミドDNA)は、当該分野で公知の技術を使用して細胞から単離され得、例えば、組み換えDNA技術に関する上記の参考文献の中に詳細に示されている標準的な周知の技術にしたがって、制限マッピングされ、配列決定される。もちろん、DNAは、単離プロセスまたはその後の分析の間の任意の時点で、本発明によって合成される場合もある。
抗体、またはその断片、誘導体、もしくはアナログ(例えば、Sp35アンタゴニストである抗体の重鎖または軽鎖)の組み換えによる発現には、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築が必要である。一旦、本発明の抗体分子、または抗体の重鎖もしくは軽鎖、あるいはそれらの一部(好ましくは、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の生産のためのベクターが、当該分野で周知の技術を使用して組み換えDNA技術によって生産され得る。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの発現によりタンパク質を調製するための方法が本明細書中に記載される。当業者に周知の方法を使用して、抗体をコードする配列と適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロでの組み換えDNA技術、合成技術、およびインビボでの遺伝子組み換えが含まれる。したがって、本発明により、プロモーターに動作可能であるように連結された本発明の抗体分子、またはその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターが提供される。このようなベクターには、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列が含まれ得る(例えば、PCT公開番号WO86/05807;PCT公開番号WO89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照のこと)。そして、抗体の可変ドメインは、完全な重鎖または軽鎖の発現のために、そのようなベクターにクローニングされ得る。
発現ベクターは、従来技術によって宿主細胞に導入され、そしてその後、トランスフェクトされた細胞が従来技術によって培養されて、本明細書中に記載される方法において使用される抗体が生産される。このように、本発明には、異種プロモーターに動作可能であるように連結された本発明の抗体、またはその重鎖もしくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドが含まれている宿主細胞が含まれる。二本鎖の抗体の発現に好ましい実施形態においては、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターが、以下に記載されるように、完全な免疫グロブリン分子の発現のために宿主細胞の中で同時に発現させられ得る。
様々な宿主発現ベクターシステムが、本明細書中に記載される方法において使用される抗体分子を発現させるために利用され得る。そのような宿主発現システムは媒体を示し、それによって目的のコード配列が生産され得、続いて精製され得るが、これはまた、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされると、インサイチュで本発明の抗体分子を発現することができる細胞をも提示し得る。これらには、微生物(例えば、抗体をコードする配列を含む組換え体バクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis);抗体をコードする配列を含む組み換え体酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体をコードする配列を含む組み換え体ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させられた昆虫細胞システム;抗体をコードする配列を含む組み換え体ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させられたか、または組み換え体プラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システム;あるいは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組み換え発現構築物を有している哺乳動物細胞システム(例えば、COS、CHO、BLK、293、3T3細胞)が含まれるが、これらに限定はされない。好ましくは、細菌細胞(例えば、Escherichia coli)およびより好ましくは、真核生物細胞(特に、完全な組み換え体抗体分子の発現について)が、組み換え体抗体分子の発現に使用される。例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))は、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主要中期初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わせて、抗体のための有効な発現システムである(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(1990))。
細菌システムにおいては、多数の発現ベクターが、発現させられる抗体分子について意図される用途に応じて有利に選択され得る。例えば、抗体分子の薬学的組成物の作成のために多量のそのようなタンパク質が生産される場合には、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を支持するベクターが所望され得る。そのようなベクターとしては、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1983))(ここでは、抗体をコードする配列がlacZコード領域とインフレームでベクターの中に別々に連結させられ得、その結果、融合タンパク質が生産される);pINベクター(Inouye & Inouye、Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989))などが挙げられるが、これらに限定はされない。pGEXベクターは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるためにも使用することができる。一般的には、そのような融合タンパク質は可溶性であり、そしてマトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合、その後の遊離のグルタチオンの存在下での溶出によって溶解させられた細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果、クローニングされた標的遺伝子産物は、GST部分から解離させられ得る。
昆虫システムにおいては、Autographa california核多角体病ウイルス(AcNPV)が、通常は、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用される。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞の中で増殖する。抗体をコードする配列は、ウイルスの必須ではない領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)の中に個別にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置される。
哺乳動物宿主細胞においては、多数のウイルスをベースとする発現システムが利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合には、目的の抗体をコードする配列がアデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび3成分リーダー配列)に連結させられ得る。このキメラ遺伝子は、その後、インビトロまたはインビボでの組み換えによってアデノウイルスゲノムの中に挿入され得る。ウイルスゲノムの必須ではない領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入によっては、感染させられた宿主の中で生存することができ、そして抗体分子を発現することができる組み換え体ウイルスが生じるであろう(例えば、Logan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1984)を参照のこと)。特異的な開始シグナルもまた、挿入された抗体をコードする配列の効率のよい翻訳に必要であり得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンと隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入断片全体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列のリーディングフレームと一致していなければならない。これらの外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、様々な起源のものであり得、天然のものであっても、合成のものであってもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって高めることができる(Bittnerら、Methods in Enzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
加えて、挿入された配列の発現を調節する、または所望される特異的な様式で遺伝子産物を修飾しそしてプロセシングする宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)が、タンパク質の機能に重要であり得る。様々な宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的であり、特異的な機構を有している。適切な細胞株または宿主システムは、発現させられる外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。この目的のためには、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシング、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞性の機構を有している真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38、そして特に、乳ガン細胞株(例えば、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、およびT47D)および正常な乳腺細胞株(例えば、CRL7030およびHs578Bst)が挙げられるが、これらに限定はされない。
長期にわたる組み換え体タンパク質の高収量での生産のためには、安定な発現が使用され得る。例えば、抗体分子を安定に発現する細胞株が操作され得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞が、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA、および選択マーカーで形質転換され得る。外来DNAの導入の後、操作された細胞は、富化培地の中で1〜2日間増殖させられ得、その後、選択培地に移され得る。組み換え体プラスミドの中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体の中に安定に組み込むことを可能にし、そして、その後に細胞株の中にクローニングすることができ、その中で増殖させることができる遺伝子坐を形成するように増殖させられる。この方法は、抗体分子を安定して発現する細胞株を操作するように有利に使用され得る。
使用され得る多数の選択システム(単純ヘルペスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817 1980)遺伝子を含むが、これらに限定はされない)は、それぞれ、tk−、hgprt−、またはaprt−細胞において使用することができる。また、代謝拮抗物質耐性を、以下の遺伝子についての選択基準として使用することができる:dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を付与する(Wiglerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980));O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));gpt(これは、ミコフェノール酸に対する耐性を付与する)(Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));neo(これは、アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与する)(Clinical Pharmacy 12:488−505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan,Science 260:926−932(1993);およびMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.62:191:217(1993);TIB TECH 11(5):155−215(1993年5月));ならびにhygro(これは、ハイグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerreら、Gene 30:147(1984))。使用することができる組み換えDNA技術についての当該分野で一般的に知られている方法は、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);ならびに、第12章および13章、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)(これらはそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅によって増大させることができる(概要については、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Academic Press,New York,第3巻(1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクターシステムの中のマーカーが増幅可能である場合には、宿主細胞の培養物中に存在する阻害因子のレベルの増大によって、マーカー遺伝子のコピー数が増加するであろう。増幅された領域は抗体遺伝子に関係しているので、抗体の生産もまた増加するであろう(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクターで同時トランスフェクションすることができ、第1のベクターは重鎖に由来するポリペプチドをコードし、そして第2のベクターは軽鎖に由来するポリペプチドをコードする。2つのベクターには、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同じ選択マーカーが含まれ得る。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードする1つのベクターが使用される場合もある。そのような状況では、軽鎖は、毒性のない(toxic free)重鎖が過剰になることを避けるために、重鎖の前に配置されることが有効である(Proudfoot,Nature 322:52(1986);Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))。重鎖および軽鎖のコード配列には、cDNAとゲノムDNAが含まれ得る。
一旦、本発明の抗体分子が組み換えによって発現させられると、これは、免疫グロブリン分子の精製のための当該分野で公知の任意の方法によって(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー(特に、Protein A後の特異的抗原に対する親和性による)、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、可溶性の差によって、あるいは、タンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製することができる。あるいは、本発明の抗体の親和性を増大させるための好ましい方法は、US2002 0123057 A1に開示されている。
1つの実施形態においては、本発明の方法において使用される結合分子または抗原結合分子には、1つ以上のドメインが部分的または完全に欠失させられている合成の定常領域が含まれる(「ドメイン欠失抗体」)。特定の実施形態においては、適合する修飾された抗体には、ドメイン欠失構築物または変異体が含まれるであろう。ここでは、CH2ドメイン全体が除去されている(□CH2構築物)。他の実施形態については、短い結合ペプチドが、可変領域に可撓性、および移動の自由度を提供するために、欠失させられたドメインについて置換される場合がある。当業者は、抗体の代謝速度に対するCH2ドメインの調節特性の理由から、そのような構築物が特に好ましいことを理解するであろう。
特定の実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用される修飾された抗体はミニボディーである。ミニボディーは当該分野で記載されている方法を使用して作成することができる(例えば、米国特許第5,837,821号、またはWO94/09817A1を参照のこと)。
別の実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用される修飾された抗体は、当該分野で公知であるCH2ドメイン欠失抗体である。ドメイン欠失構築物は、IgG1ヒト定常ドメインをコードするベクター(例えば、Biogen IDEC Incorporatedによる)を使用して誘導することができる(例えば、WO02/060955A2およびWO02/096948A2を参照のこと)。この例示的なベクターは、CH2ドメインを欠失させて、ドメイン欠失IgG1定常領域を発現する合成のベクターを提供するように操作されている。
1つの実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニスト抗体またはその断片には、それが単量体サブユニットの間での会合が可能である限りにおいて、数個のアミノ酸もしくはさらには1つのアミノ酸の欠失または置換を有している免疫グロブリン重鎖が含まれる。例えば、CH2ドメインの選択された領域の中での1つのアミノ酸の変異が、Fcの結合を実質的に減少させ、それによって腫瘍の局在化を増大させるために十分である場合がある。同様に、調節されるエフェクター機能(例えば、補体結合)を制御する1つ以上の定常領域ドメインの一部を単純に欠失させることが望まれる場合もある。そのような定常領域の部分的な欠失によっては、目的の定常領域ドメインに付随する他の所望される機能を完全なまま残しつつ、抗体の選択された特性(血清半減期)が改善され得る。さらに、上記で触れられたように、開示される抗体の定常領域は、得られる構築物のプロフィールを高める1つ以上のアミノ酸の変異または置換による合成のものである場合もある。この態様においては、修飾された抗体の立体配置および免疫原性プロフィールを実質的に維持したまま、保存されている結合部位によって提供される活性(例えば、Fc結合)を破壊してしまうことが可能であり得る。なお他の実施形態には、エフェクター機能のような所望される特性を高めるか、またはさらなる細胞毒素または炭水化物の結合を提供するための、定常領域への1つ以上のアミノ酸の付加が含まれる。そのような実施形態においては、選択された定常領域ドメインに由来する特異的配列を挿入するまたは複製させることが所望される場合がある。
本発明によっては、本明細書中に記載される抗体分子(例えば、VH領域および/またはVL領域)の変異体(誘導体を含む)を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される抗体の使用も提供される。抗体またはその断片は、Sp35ポリペプチドに免疫特異的に結合する。当業者に公知の標準的な技術を使用して、アミノ酸置換を生じる部位特異的突然変異誘発およびPCRによって媒介される突然変異誘発を含む(しかし、これらに限定はされない)結合分子をコードするヌクレオチド配列の中に変異を導入することができる。好ましくは、変異体(誘導体を含む)は、参照VH領域、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VL領域、VLCDR1、VLCDR2、または、VLCDR3と比較して、50未満のアミノ酸置換、40未満のアミノ酸置換、30未満のアミノ酸置換、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、または2未満のアミノ酸置換をコードする。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似する電化を有している側鎖を持つアミノ酸で置き換えられる置換である。類似する電荷を有している側鎖を持つアミノ酸残基のファミリーは当該分野で定義されている。これらのファミリーには以下が含まれる:塩基性側鎖を持つアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電化を有していない側鎖を持つアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を持つアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を持つアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。あるいは、変異は、コード配列全体または一部にランダムに、例えば、飽和突然変異誘発によって導入することができ、そして得られる変異体を、活性を保持している変異体を同定するために生物学的活性についてスクリーニングすることができる。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域だけに、またはCDR領域だけに変異を導入することが可能である。導入された変異はサイレントである場合も、または当たり障りのないミッセンス変異(すなわち、抗原に結合する抗体の能力に影響を及ぼさないか、またはほとんど影響を及ぼさない)である場合もある。これらのタイプの変異は、コドン使用を最適化させるため、またはハイブリドーマ抗体の生産を改善するために有用であり得る。あるいは、当たり障りのある(non−neutral)ミッセンス変異によっては、抗原に結合する抗体の能力が変化する場合がある。ほとんどのサイレントな当たり障りのないミッセンス変異の位置は、おそらくフレームワーク領域の中にあり、一方、ほとんどの当たり障りのあるミッセンス変異の位置は、おそらくCDRの中にある。しかしこれは絶対条件ではない。当業者は、抗原結合活性に変化がない、または結合活性に変化がある(例えば、抗原結合活性の改善または抗体特異性の変化)のような所望される特性を有している変異体分子を設計し、そして試験することができるであろう。突然変異誘発の後、コードされるタンパク質は日常的に行われているように発現させられ得、そしてコードされるタンパク質の機能的および/または生物学的活性が、本明細書中に記載される技術を使用するか、または当該分野で公知の日常的に行われている修飾技術によって決定することができる。
本発明の方法において使用される例示的な抗体またはその断片としては、以下からなる群より選択される参照モノクローナル抗体と同じSp35エピトープに対して特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片が挙げられるが、これらに限定はされない:201’、3A3、3A6、1A7、1G7、2B10、2C11、2F3、3P1D10.2C3、3P1E11.3B7、3P2C6.3G10.2H7、3P2C9.2G4、3P4A6.1D9、3P4A1.2B9、3P4C2.2D2、3P4C5.1D8、3P4C8.2G9、30−C12(Li01)、38−D01(Li02)、35−E04(Li03)、36−C09(Li04)、30−A11(Li05)、34−F02(Li06)、29−E07(Li07)、34−G04(Li08)、36−A12(Li09)、28−D02(Li10)、30−B01(Li11)、34−B03(Li12)、3383(L1a.1)、3495(L1a.2)3563(L1a.3)、3564(L1a.4)3565(L1a.5)、3566(L1a.6)3567(L1a.7)、3568(L1a.8)、3569(L1a.9)、3570(L1a.10)、3571(L1a.11)、3582(L1a.12)、および1968(L1a.13)(全て、米国仮特許出願番号60/697,336、同60/771,990、および同60/814,522(これらはそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている)。
融合タンパク質ならびに結合させられたポリペプチドおよび抗体
本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、およびアンタゴニスト抗体はさらに、N末端もしくはC末端で異種ポリペプチドに組み換えによって融合させることができ、また、ポリペプチドまたは他の組成物に化学的に結合させる(共有結合および共有結合以外の結合を含む)こともできる。例えば、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、および抗体は、検出アッセイにおいて標識として有用である分子、およびエフェクター分子(例えば、異種ポリペプチド、薬物、放射性核種、または毒素)に組み換えによって融合させることも、あるいは、結合させることもできる。例えば、PCT公開番号WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP 396,387を参照のこと。
本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、および抗体としては、修飾された(すなわち、共有結合がSp35の生物学的機能を阻害することによってSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体を妨げないような任意のタイプの分子の共有結合による)誘導体が挙げられる。例えば、本発明のSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、および抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスホリル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導、タンパク質分解的切断、細胞性のリガンドもしくは他のタンパク質に対する結合などによって修飾することができる。多数の化学的修飾のうちの任意のものが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝による合成などを含むがこれらに限定はされない公知の技術によって行われ得る。加えて、誘導体には、1つ以上の従来のものではないアミノ酸が含まれる場合がある。
本明細書中に開示される方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、および抗体は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によって互いに結合させられたアミノ酸(すなわち、ペプチド等量式)から構成され得、そしてこれには、20種類の遺伝子をコードするアミノ酸(例えば、自然界には存在しないアミノ酸)以外のアミノ酸が含まれる場合がある。Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、および抗体は、自然なプロセス(例えば、翻訳後プロセシング)によって、あるいは、当該分野で周知の化学修飾技術によって修飾することができる。そのような修飾は、基本的なテキストに、そしてより詳細なモノグラフに、さらには、膨大な量の研究論文に十分に記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ酸末端またはカルボキシル末端を含むSp35アンタゴニストポリペプチドまたは抗体のどの場所でも、あるいは、炭水化物のような部分に対しても起こり得る。同じタイプの修飾が、任意のSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体の中のいくつかの部位で、同じ程度で、または異なる程度で存在する場合があることは明らかであろう。また、任意のSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体には、多くのタイプの修飾が含まれ得る。Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体は、例えば、ユビキチン化の結果として分岐している場合があり、そしてこれらは環状である場合もあり、これには分岐を伴う場合も、また分岐を伴わない場合もある。環状、分岐している、および分岐している環状の、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、ならびに抗体は、翻訳後の自然なプロセスの結果生じる場合も、また、合成方法によって作成される場合もある。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合による架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマーカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解的プロセッシング、リン酸化、プレニレル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなトランスファーRNAによって媒介されるタンパク質へのアミノ酸付加、およびエビキチン化が含まれる。(例えば、Proteins−Structure And Molecular Properties,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York,第2版(1993);Posttranslational Covalent Modification Of Proteins,B.C.Johnson編,Adademic Press,New York,1−12頁(1983);Seifterら、Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
本発明によってはまた、Sp35機能を阻害するSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体融合体を含む、本質的にそれらから構成される、あるいはそれらから構成される融合タンパク質も提供される。好ましくは、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体が融合させられる異種ポリペプチドは機能について有用であるか、あるいは、Sp35アンタゴニストポリペプチドまたは抗体を標的化するために有用である。本発明の特定の実施形態においては、可溶性Sp35アンタゴニストポリペプチド(例えば、LRRドメイン、Igドメイン、または細胞外ドメイン全体を含むSp35ポリペプチド(配列番号2のアミノ酸34から532に対応する))が、異種ポリペプチド部分に融合させられて、Sp35アンタゴニスト融合ポリペプチドが形成させられる。Sp35アンタゴニスト融合タンパク質、アプタマー、および抗体は、様々な目的(例えば、長い血清半減期、改善された生体利用性、特異的な臓器もしくは組織のタイプに対するインビボでの標的化、改善された組み換え発現効率、改善された宿主細胞の分泌、精製の容易さ、および高い親和力)を達成するために使用することができる。達成される目的(単数または複数)に応じて、異種部分は不活性であっても、または生物学的に活性であってもよい。また、これはSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、もしくは抗体に対して安定に融合させられるように、あるいは、インビトロまたはインビボで切断できるように選択することができる。これらの他の目的を達成するための異種部分は当該分野で公知である。
Sp35アンタゴニスト融合ポリペプチド、アプタマー、または抗体の発現の変わりとして、異種部分の選択を行い、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に化学的に結合させることができる。ほとんどの場合には、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に対して融合させられるか、あるいは結合させられるかにはかかわらず、選択される異種部分は機能が類似しているであろう。したがって、異種アミノ酸配列についての以下の議論においては、他に明記されない限りは、異種配列は融合タンパク質の形態で、または化学的結合体として、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合させることができることが理解される。
薬理学的活性のあるポリペプチド(例えば、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体)は、多くの場合は、迅速なインビボでのクリアランスを示し、したがって、体内で治療有効濃度を得るためには高い用量が必要である。加えて、約60kDaよりも小さいポリペプチドは、糸球体濾過を受ける可能性があり、これは多くの場合には腎臓毒性を導く。比較的小さいポリペプチド(例えば、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体)の融合体または結合体を、そのような腎臓毒性のリスクを下げるか、または回避するために使用することができる。治療用ポリペプチドのインビボでの安定性(すなわち、血清半減期)を高めるための様々な異種アミノ酸配列(すなわち、ポリペプチド部分または「担体」)は公知である。
その長い半減期、インビボでの広い分布、および酵素機能もしくは免疫学的機能の欠失の理由から、原則的に全長のヒト血清アルブミン(HSA)またはHSA断片が、一般的には異種部分として使用される。Yehら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1904−08(1992)およびSyedら、Blood 89:3243−52(1997)に教示されているもののような方法および材料の適用によって、HSAは、Sp35アンタゴニスト融合ポリペプチド、アプタマー、抗体、またはポリペプチド/抗体結合体を形成させるために使用することができる。これらは、Sp35部分によって薬理学的活性を示し、一方では、有意に高いインビボでの安定性(例えば、10倍または100倍高い)を示す。HSAのC末端は、可溶性Sp35部分のN末端に融合させることができる。HSAは自然に分泌されるタンパク質であるので、HSAシグナル配列を、融合タンパク質が真核生物(例えば、哺乳動物)の発現システムの中で生産される場合には、細胞培養培地中への可溶性Sp35融合タンパク質の分泌を得るために利用することができる。
特定の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、およびその抗体断片にはさらに、標的化部分が含まれる。標的化部分には、体の特定の部分(例えば、脳またはその中の区画)への局在化を指向するタンパク質またはペプチドが含まれる。特定の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体またはその抗体断片は、脳を標的化する部分に結合または融合させられる。脳を標的化する部分は、共有結合される(例えば、直接、翻訳による融合、または直接もしくは状況に応じて切断することができるスペーサー分子を介するかのいずれかの化学的結合による)、または共有結合以外の結合によって結合させられる(例えば、アビジン、ビオチン、protein A、IgGなどのような可逆的相互作用による)。他の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片は、1つ以上の脳を標的化する部分に結合させられる。さらなる実施形態においては、脳を標的化する部分は、本発明の方法において使用される複数のSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片に結合させられる。
Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片を伴う脳を標的化する部分は、そのようなSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片の脳への送達を促進する。タンパク質または治療薬に融合させられた場合に、血液脳関門(BBB)を通過してタンパク質または治療薬を送達する多数のポリペプチドが記載されている。限定ではない例としては、以下が挙げられる:1ドメイン抗体FC5(Abulrobら、(2005)J.Neurochem.95,1201−1214);mAB 83−14、ヒトインシュリン受容体に対するモノクローナル抗体(Pardridgeら、(1995)Pharmacol.Res.12:807−816);ヒトトランスフェリン受容体(hTfR)に結合するB2、B6、およびB8ペプチド(Xiaら、(2000)J.Virol.74,11359−11366);トランスフェリン受容体に対するOX26モノクローナル抗体(Pardridgeら、(1991)J.Pharmacol.Exp.Ther.259,66−70);および米国特許第6,306,365の配列番号1〜18。上記参考文献の内容は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
Sp35組成物の脳への送達の促進は、当該分野で十分に確立されている多数の手段によって決定される。例えば、脳を標的化する部分に連結させられた放射標識されたSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片の動物への投与;脳への局在化の決定;ならびに、脳を標的化する部分に結合させられていない同じ放射標識されたSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、抗体、またはその抗体断片を用いた場合の局在化との比較である。標的化の促進を決定する他の手段は、上記参考文献に記載されている。
シグナル配列は、小胞体の膜を通過するタンパク質の輸送を開始するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。免疫融合体(immunofusin)の構築に有用なシグナル配列としては、抗体の軽鎖シグナル配列(例えば、抗体14.18(Gilliesら、J.Immunol.Meth.125:191−202(1989))、抗体の重鎖シグナル配列、例えば、MOPC141抗体重鎖シグナル配列(Sakanoら、Nature 286:5774(1980))が挙げられる。あるいは、他のシグナル配列も使用することができる。例えば、Watson,Nucl.Acids Res.12:5145(1984)を参照のこと。シグナルペプチドは、通常、シグナルペプチダーゼによって小胞体の内腔で切断される。これによって、Fc領域と可溶性のSp35部分を含む免疫融合体タンパク質の分泌が生じる。
いくつかの実施形態においては、DNA配列は、分泌カセットと可溶性Sp35部分の間のタンパク質分解的切断部位をコードし得る。このような切断部位によって、例えば、コードされる融合タンパク質のタンパク質分解的切断が提供され得、したがって、標的タンパク質からFcドメインが分離される。有用なタンパク質分解的切断部位としては、トリプシン、プラスミン、トロンビン、第Xa因子、またはエンテロキナーゼKのようなタンパク質分解酵素によって認識されるアミノ酸配列が挙げられる。
分泌カセットは、複製可能な発現ベクターの中に組み込むことができる。有用なベクターとしては、直鎖状の核酸、プラスミド、ファージミド、コスミドなどが挙げられる。例示的な発現ベクターはpdCであり、ここでは、免疫融合体DNAの転写はヒトサイトメガロウイルスのエンハンサーとプロモーターの制御下に配置されている。例えば、Loら、Biochim.Biophys.Acta 1088:712(1991)およびLoら、Protein Engineering 11:495−500(1998)を参照のこと。適切な宿主細胞は、可溶性のSp35ポリペプチドをコードするDNAで形質転換またはトランスフェクトすることができ、そして可溶性Sp35ポリペプチドの発現および分泌のために使用することができる。通常使用される宿主細胞としては、不死化ハイブリドーマ細胞、骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、およびCOS細胞が挙げられる。
1つの実施形態においては、可溶性Sp35ポリペプチドは、ヒンジ領域およびFc領域(すなわち、Ig重鎖定常領域のC末端部分)に融合させられる。Sp35−Fc融合体についての可能性のある利点としては、可溶性、インビボでの安定性、および多価(例えば、二量体化)が挙げられる。使用されるFc領域は、IgA、IgD、またはIgG Fc領域(ヒンジ−CH2−CH3)であり得る。あるいは、これは、IgEまたはIgMのFc領域(ヒンジ−CH2−CH3−CH4)であり得る。IgG Fc領域(例えば、IgG1 Fc領域またはIgG4 Fc領域)が一般的に使用される。1つの実施形態においては、IgG Fcを化学的に定義する、パパイン切断部位のすぐ上流にあるヒンジ領域の中で始まる配列(すなわち、残基216、Kabatシステムにしたがって重鎖定常領域の最初の残基を114とする)または他の免疫グロブリンの同様の部位が融合に使用される。融合が行われる正確な部位は重要ではない;特定の部位は周知であり、そして分子の生物学的活性、分泌、または結合特性を最適化するために選択され得る。Fc融合体をコードするDNAを構築し、そして発現させるための材料および方法は当該分野で公知であり、そして過度の実験を行うことなく可溶性Sp35融合体を得るために適用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、Sp35融合タンパク質(例えば、Caponら、米国特許第5,428,130号および同第5,565,335号に記載されているもの)が使用される。
完全にもとのままの野生型Fc領域は、通常は必要のないエフェクター機能を提示し、本発明の方法において使用されるFc融合タンパク質においては所望されない。したがって、特定の結合部位は、通常、分泌カセットの構築の際にFc領域から欠失させられる。例えば、軽鎖との同時発現は必要ないので、重鎖結合タンパク質Bip(Hendershotら、Immunol.Today 8:111−14(1987))についての結合部位が、IgEのFc領域のCH2ドメインから欠失させられる。その結果、この部位は免疫融合体の効率的な分泌を妨害することはない。膜貫通ドメイン配列(例えば、IgMの中に存在している膜貫通ドメイン配列)もまた、通常は欠失させられる。
IgG1 Fc領域はほとんどの場合に使用される。あるいは、免疫グロブリンγの他のサブクラス(γ−2、γ−3、およびγ−4)のFc領域が分泌カセットの中で使用され得る。免疫グロブリンγ−1のIgG1 Fc領域が、一般的に、分泌カセットの中で使用され、これにはヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域の少なくとも一部が含まれる。いくつかの実施形態においては、免疫グロブリンγ−1のFc領域は、CH2が欠失させられたFcであり、これには、ヒンジ領域とCH3領域の一部が含まれるが、CH2領域は含まれない。CH2が欠失させられたFcは、Gilliesら、(1990)Hum.Antibod.Hybridomas 1:47によって記載されている。いくつかの実施形態においては、IgA、IgD、IgE、またはIgMのうちの1つのFc領域が使用される。
Sp35−Fc融合タンパク質は、いくつかの様々な立体配置で構築することができる。1つの立体配置においては、可溶性Sp35部分のC末端が、Fcヒンジ部分のN末端に直接融合させられる。わずかに異なる立体配置においては、短いポリペプチド(例えば、2〜10アミノ酸)が、可溶性Sp35部分のN末端とFc部分のC末端の間での融合の中に取り込まれる。このようなリンカーによっては、立体構造上の可撓性が提供され、これによりいくつかの状況においては生物学的活性が改善され得る。ヒンジ領域の十分な部分がFc部分の中に保持されている場合には、Sp35−Fc融合体は二量体化し、それによって二価の分子を形成するであろう。単量体Fc融合体の均質な集団によっては、単特異的な二価の二量体が生じるであろう。2つの単量体Fc融合体(それぞれは異なる特異性を有している)の混合によっては、二重特異的な二価の二量体が生じるであろう。
対応するアミノ反応基とチオール反応基を含む任意の数の架橋を、血清アルブミンに対してSp35アンタゴニストポリペプチドを連結させるために使用することができる。適切なリンカーの例としては、チオール反応性のマレイミドを挿入するアミン反応性の架橋剤が挙げられる(例えば、SMCC、AMAS、BMPS、MBS、EMCS、SMPB、SMPH、KMUS、およびGMBS)。他の適切なリンカーによっては、チオール反応性ハロアセテート基が挿入される(例えば、SBAP、SIA、SIAB)。還元させることができるリンカーを生じさせるためのスルフヒドリル基との反応のための保護されたチオールまたは保護されていないチオールを提供するリンカーとしては、SPDP、SMPT、SATA、およびSATPが挙げられる。このような試薬は市販されている(例えば、Pierce Chemicals)。
結合は、可溶性Sp35ポリペプチドのN末端または血清アルブミン上のチオール部分には関与しない。例えば、可溶性Sp35−アルブミン融合体を、遺伝子操作技術を使用して得ることができ、ここでは可溶性Sp35部分は、そのN末端、C末端、または両方で血清アルブミン遺伝子に融合させられる。
可溶性Sp35ポリペプチドは、可溶性Sp35部分の精製または同定を容易にするために異種ペプチドに融合させることができる。例えば、ヒスチジンタグを、可溶性Sp35ポリペプチドに融合させて、市販によって入手することができるクロマトグラフィー媒体を使用する精製を容易にすることができる。
本発明のいくつかの実施形態においては、可溶性Sp35融合構築物が、細菌の中での可溶性Sp35部分の生産を促進するために使用される。このような構築物の中では、通常は高レベルで発現させられ、そして/または分泌される細菌タンパク質が、可溶性Sp35ポリペプチドのN末端融合パートナーとして使用される。例えば、Smithら、Gene 67:31(1988);Hoppら、Biotechnology 6:1204(1988);La Vallieら、Biotechnology 11:187(1993)を参照のこと。
適切な融合パートナーのアミノ末端およびカルボキシ末端に可溶性Sp35部分を融合させることによって、二価または四価の形態の可溶性Sp35ポリペプチドを得ることができる。例えば、可溶性Sp35部分を、Ig部分のアミノ末端およびカルボキシ末端に融合させて、2つの可溶性Sp35部分を含む二価の単量体ポリペプチドを生じさせることができる。2つのこれらの単量体の二量体化の際には、Ig部分によって、可溶性Sp35タンパク質の四価の形態が得られる。このような多価形態は、標的に対する高い結合親和性を得るために使用することができる。可溶性Sp35の多価形態はまた、可溶性Sp35部分をタンデムに配置して、コンカタマーを形成させることによっても得ることができる。これは、単独で使用することができ、また、IgもしくはHSAのような融合パートナーに融合させることもできる。
結合させられたポリマー(ポリペプチド以外)
本発明のいくつかの実施形態には、可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35アプタマー、またはSp35抗体が含まれ、ここでは、1つ以上のポリマーが、本発明の方法において使用されるSp35ポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合(共有結合)させられる。そのような結合体に適しているポリマーの例としては、ポリペプチド(上記で議論されている)、アプタマー、糖ポリペプチド、およびポリアルキレングリコール鎖が挙げられる。通常は、ポリマーは、以下の1つ以上:可溶性、安定性、または生体利用性を改善する目的のために、可溶性Sp35ポリペプチド、アプタマー、またはSp35抗体に結合させられるが、必ずしもそうではない。
Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に対する結合のために一般的に使用されるポリマーのクラスは、ポリアルキレングリコールである。ポリエチレングリコール(PEG)が最も頻繁に使用される。PEG部分(例えば、1、2、3、4、または5 PEGポリマー)を、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体の単独と比較して、血清半減期を長くするために、個々のSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合させることができる。PEG部分は非抗原性であり、本質的に生物学的に不活性である。本発明の実施において使用されるPEG部分は、分岐している場合も、また、分岐していない場合もある。
Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合させられるPEG部分の数、ならびに個々のPEG鎖の分子量は様々であり得る。一般的には、ポリマーの分子量が大きければ大きいほど、ポリペプチドの結合させられるポリマー鎖は少ない。通常、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合させられるポリマーの質量の合計は、20kDaから40kDaである。したがって、1つのポリマー鎖が結合させられる場合には、鎖の分子量は、一般的には、20kDa〜40kDaである。2つの鎖が結合させられる場合には、個々の鎖の分子量は、一般的には、10〜20kDaである。3つの鎖が結合させられる場合には、分子量は、一般的には、7〜14kDaである。
ポリマー(例えば、PEG)は、ポリペプチド上の任意の適切な露出している反応基を介して、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に連結させることができる。露出している反応基(単数または複数)は、例えば、内部リジン残基のN末端アミノ基またはイプシロンアミノ基、あるいはそれらの両方であり得る。活性化されたポリマーは、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体上の任意の遊離のアミノ基と反応することができ、それらに共有結合することができる。Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体の遊離のカルボキシル基、適切に活性化されたカルボニル基、ヒドロキシル基、グアニジル基、イミダゾール基、酸化された炭水化物部分、およびメルカプト基(利用できる場合)もまた、ポリマーの結合のための反応基として使用することができる。
結合反応においては、ポリペプチドの濃度に応じて、ポリペプチド1モルあたり約1.0から約10モルの活性化させられたポリマーが、通常、使用される。通常は、選択される比は、Sp35アンタゴニストポリペプチドまたは抗体の所望される薬理学的活性を損なう可能性のある副反応(多くの場合には非特異的である)を最小につつ、反応を最大にする平衡を示す。好ましくは、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体の生物学的活性(例えば、本明細書中に記載されているかまたは当該分野で公知のアッセイのうちの任意のものに示されている)の少なくとも50%が保持され、そしてほぼ100%が保持されることが最も好ましい。
ポリマーは、従来の化学反応を使用して、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体に結合させることができる。例えば、ポリアルキレングリコール部分は、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体のリジンイプシロンアミノ基にカップリングさせることができる。リジン側鎖への結合は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)活性エステル(例えば、PEGスクシンイミジルシクシネート(SS−PEG)およびスクシンイミジルプロピオネート(SPA−PEG))を用いて行うことができる。適切なポリアルキレングリコール部分としては、例えば、カルボキシメチル−NHSおよびノルロイシン−NHS、SCが挙げられる。これらの試薬は市販によって入手することができる。さらなるアミン反応性PEGリンカーをスクシンイミジル部分について置換することができる。これらとしては、例えば、イソチオシアネート、ニトロフェニルカルボネート(PNP)、エポキシド、ベンゾトリアゾール、炭酸塩、SC−PEG、トレシレート、アルデヒド、エポキシド、カルボニルイミダゾール、およびPNPカルボネートが挙げられる。条件は、通常、反応の選択性および程度を最大にするように最適化される。そのような反応条件の最適化は当業者の能力の範囲内である。
PEG化は、任意の当該分野で公知のPEG化反応によって行うことができる。例えば、Focus on Growth Factors 3:4−10(1992)、ならびに、欧州特許出願番号EP 0 154 316および同EP 0 401 384を参照のこと。PEG化は、反応性ポリエチレングリコール分子(または同様の反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を使用して行われる場合もある。
アシル化によるPEG化には、一般的には、ポリエチレングリコールの活性エステル誘導体を反応させる工程が含まれる。任意の反応性PEG分子がPEG化において使用され得る。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)に対してエステル化されたPEGが頻繁に使用される活性化PEGエステルである。本明細書中で使用される場合は、「アシル化」には、治療用タンパク質と水溶性ポリマー(例えば、PEG)との間に以下のタイプの連結が含まれるが、これらに限定はされない:アミド、カルバメート、ウレタンなど。例えば、Bioconjugate Chem.5:133−140,1994を参照のこと。反応のパラメーターは、一般的には、可溶性SP35ポリペプチド、アプタマー、または抗体を損傷する、あるいは不活化させる温度、溶媒、およびpH条件を避けるように選択される。
一般的には、結合による連結はアミドであり、典型的には少なくとも95%の得られる産物が、モノ−、ジ−、またはトリ−PEG化される。しかしPEG化の程度が高いいくつかの種が、使用される特異的な反応条件に応じた量で形成され得る。状況に応じて、精製されたPEG化された種は、従来の精製方法(例えば、透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水性交換クロマトグラフィー、および電気泳動を含む)によって、混合物(具体的には、未反応の種)から分離される。
アルキル化によるPEG化には、通常、PEGの末端アルデヒド誘導体を、還元剤の存在下で、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体と反応させる工程が含まれる。加えて、当業者は、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体のN末端アミノ基だけを実質的にPEG化させる(すなわち、モノ−PEG化タンパク質)ために好ましいように反応条件を操作することができる。モノ−PEG化またはポリ−PEG化のいずれの場合においても、PEG基は通常は、−CH2−NH−基を介してタンパク質に結合させられる。特に−CH2−基に関して、このタイプの結合は「アルキル」結合として知られている。
N末端タグ化モノ−PEG化産物を生じさせるための還元的アルキル化による誘導では、誘導に利用することができる様々なタイプの第1級アミノ基の様々な反応性(N末端に対するリジン)が利用される。反応は、リジン残基のイプシロンアミノ基とタンパク質のN末端アミノ基のイプシロンアミノ基との間のpKaの差を利用することができるpHで行われる。そのような選択的誘導によって、反応基(例えば、アルデヒド)を含む水溶性ポリマーのタンパク質に対する結合が制御される:ポリマーとの結合には、主にタンパク質のN末端が利用され、他の反応基(例えば、リジン側鎖のアミノ基)の有意な修飾は起こらない。
アシル化およびアルキル化のいずれのアプローチにおいても使用されるポリマー分子は、水溶性ポリマーの中から選択される。選択されるポリマーは、通常、1つの反応基(例えば、アシル化のための活性なエステルまたはアルキル化のためのアルデヒド)を有するように修飾され、その結果、重合の程度が本発明の方法において提供されるように制御され得る。例示的な反応性PEGアルデヒドはポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドであり、これは水安定性、またはモノC1〜C10アルコキシ、またはそのアリールオキシ誘導体である(例えば、Harrisら、米国特許第5,252,714号を参照のこと)。ポリマーは分岐していても、また分岐していなくてもよい。アシル化反応のためには、選択されるポリマー(単数または複数)は、通常、1つの反応性のエステル基を有している。還元的アルキル化のためには、選択されるポリマー(単数または複数)は、通常、1つの反応性アルデヒド基を有している。一般的には、水溶性ポリマーは、自然界に存在しているグリコシル残基からは選択されないであろう。なぜなら、これらは通常、哺乳動物の組み換え発現システムによってより簡単に作成されるからである。
PEG化された可溶性のSp35ポリペプチド、アプタマー、または抗体を調製するための方法には、一般的には、以下の工程が含まれる:(a)分子を1つ以上のPEG基に結合させる条件下で、Sp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体をポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)と反応させる工程、ならびに、(b)反応産物(単数または複数)を得る工程。一般的には、アシル化反応のための最適な反応条件は、公知のパラメーターと所望される結果に基づいて、個々のケースに応じて決定されるであろう。例えば、タンパク質に対するPEGの割合が大きければ大きいほど、一般的には、ポリ−PEG化産物のより大きな割合が導かれる。
モノ−ポリマー/可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35アプタマー、またはSp35抗体の実質的に均質な集団を生じさせるための還元的アルキル化には、一般的には、以下の工程が含まれる:(a)可溶性Sp35タンパク質またはポリペプチドを、ポリペプチドまたは抗体のN末端アミノ基のpen−nit選択的修飾に適しているpHでの還元的アルキル化条件下で、反応性PEG分子と反応させる工程;ならびに、(b)反応産物(単数または複数)を得る工程。
モノ−ポリマー/可溶性Sp35ポリペプチド、Sp35アプタマー、またはSp35抗体の実質的に均質な集団については、還元的アルキル化反応条件は、ポリペプチドまたは抗体のN末端に対する水溶性ポリマー部分の選択的結合を可能にする条件である。そのような反応条件によっては、通常、リジンの側鎖アミノ基とN末端アミノ基との間でのpKaの差が提供される。本発明の目的については、pHは通常、3〜9の範囲であり、典型的には3〜6である。
可溶性Sp35ポリペプチド、アプタマー、または抗体には、タグ(例えば、その後にタンパク質分解によって解離させることができる部分)が含まれ得る。したがって、リジン部分はTraut’s試薬(Pierce)(これは、リジンおよびN末端の両方と反応し、次いでHisタグを解離させるであろう)のような低分子量のリンカーと、修飾されたHisタグ部分が最初に反応させられることによって選択的に修飾され得る。したがって、ポリペプチドには、チオール反応性の頭基(例えば、マレイミド基、ビニルスルホン基、ハロアセテート基、または遊離のもしくは保護されたSH)を含むPEGで選択的に修飾することができるSH基が含まれるであろう。
Traut’s試薬は、PEGの結合のための特異的な部位を設置するであろう任意のリンカーで置き換えることができる。例えば、Traut’s試薬は、SPDP、SMPT、SATA,またはSATP(Pierce)で置き換えることができる。同様に、当業者は、タンパク質を、マレイミド(例えば、SMCC、AMAS、BMPS、MBS,EMCS、SMPB、SMPH、KMUS、またはGMBS)、ハロアセテート基(SBAP、SIA、SIAB)、またはビニルスルホン基を挿入するアミン反応性リンカーと反応させることができ、そして、得られる産物を遊離のSHを含むPEGと反応させることができる。
いくつかの実施形態においては、ポリアルキレングリコール部分は、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストポリペプチド、アプタマー、または抗体のシステイン基にカップリングさせられる。カップリングは、例えば、マレイミド基、ビニルスルホン基、ハロアセテート基、またはチオール基を使用して行うことができる。
状況に応じて、可溶性Sp35ポリペプチド、アプタマー、または抗体が、不安定な結合によってポリエチレン−グリコール部分に結合させられる。不安定な結合は、例えば、生化学的加水分解、タンパク質分解、またはスルフヒドリル切断において切断することができる。例えば、結合は、インビボ(生理学的)条件下で切断することができる。
反応は、反応基がN末端にあるαアミノ基上に存在する場合には、生化学的活性のある物質を不活性なポリマーと、一般的には、約pH5〜8(例えば、pH5、6、7、または8)で反応させるために使用される任意の適切な方法で行われ得る。通常、このプロセスには、活性化させられたポリマーを調製する工程と、その後に、タンパク質を活性化させられたポリマーと反応させて、処方に適している可溶性のタンパク質を生じさせる工程が含まれる。
Sp35ポリヌクレオチドアンタゴニスト
本発明の方法のSp35アンタゴニストとしては、Sp35をコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する核酸分子を含むSp35ポリヌクレオチドアンタゴニストが挙げられる。Sp35ポリヌクレオチドアンタゴニストはSp35の発現を妨げる(ノックダウンさせる)。Sp35ポリヌクレオチドアンタゴニストとしては、アンチセンス分子、リボザイム、siRNA、shRNA、RNAiが挙げられるが、これらに限定はされない。通常、このような結合分子は動物に別々に投与される(例えば、O’Connor,J.Neurochem.56:560(1991)を参照のこと)が、そのような結合分子はまた、宿主細胞によって取り込まれたポリヌクレオチドからインビボで発現させることも、そしてインビボで発現させることもできる。Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)もまた参照のこと。
RNAiは、標的化されたmRNAの発現を妨害するRNAの発現を意味する。詳細には、RNAiは、siRNA(短い干渉RNA)を介した特異的mRNA(例えば、Sp35)の相互作用により、標的化された遺伝子をサイレンシングさせる。その後、dsRNA複合体は細胞による分解のために標的化される。さらなるRNAi分子としては、短いヘアピンRNA(shRNA)(短い干渉ヘアピンでもある)が挙げられる。shRNA分子には、ループによってつながれた標的遺伝子に由来するセンス配列とアンチセンス配列が含まれる。shRNAは、核から細胞質に輸送され、これはmRNAと共に分解される。Pol IIIまたはU6プロモーターを使用して、RNAiのためのRNAを発現させることができる。本発明のいくつかの実施形態においては、shRNAは、レンチウイルスベクター(例えば、pLL3.7)から発現させられる。
RNAiは、それらの「標的」mRNAに対して配列特異的相同性を有している二本鎖のRNA(dsRNA)分子によって媒介される(Caplenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:9742−9747,2001)。Drosophilaの細胞を含まない溶解物の中での生化学的実験は、RNA依存性の遺伝子のサイレンシングの媒介因子が、21〜25ヌクレオチドの「短い干渉」RNA二本鎖(siRNA)であることを示している。したがって、siRNA分子は、本発明の方法において有利に使用される。siRNAは、DICERとして知られているRNaseによるdsRNAのプロセシングによって導かれる(Bernsteinら、Nature 409:363−366,2001)。siRNA二本鎖産物は、RISC(RNAによって誘導されるサイレンシング複合体(RNA Induced Silencing Complex))と呼ばれる多タンパク質siRNA複合体の中に動員されるようである。いずれの特定の理論にも束縛されることは望ましくないが、RISCは標的mRNAに導かれ、ここでsiRNA二本鎖が配列特異的に相互作用して、触媒様式で切断を媒介すると考えられている(Bernsteinら、Nature 409:363−366、2001;Boutlaら、Curr Biol 11:1776−1780,2001)。
RNAiは、遺伝子機能を分析し、そして哺乳動物細胞(これにはニューロンが含まれるが、限定はされない(Krichevskyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:11926−11929,2002))の中の必須の遺伝子を同定するために使用されている(Elbashirら、Methods 26:199−213,2002;Harborthら、J.Cell Sci 114:4557−4565,2001)。RNAiはまた、治療様式(例えば、ウイルス(ポリオウイルス(Gitlinら、Nature 418:379−380,2002)およびHIV(Capodiciら、J.Immunol 169:5196−5201,2002)を含むがこれに限定はされない)の感染、複製、および/または増殖の阻害あるいはブロック、ならびに腫瘍遺伝子(例えば、bcr−abl遺伝子;Scherrら、Blood 101(4):1566−9,2002)の発現の低下)についても評価される。RNAiは、哺乳動物(マウス)および両生類(Xenopus)の胚の中での(それぞれ、Calegariら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:14236−14240,2002;およびZhouら、Nucleic Acids Res 30:1664−1669,2002)、ならびに、乳児マウスの中での(Lewisら、Nat Genet 32:107−108,2002)遺伝子発現を調節するために、そして、成体のトランスジェニックマウスの中でのトランスジーンの発現を低下させるために(McCaffreyら、Nature 418:38−39,2002)使用されている。細胞培養物の中およびインビボでのsiRNAの効力および特異性を決定するための方法は記載されている(例えば、Bertrandら、Biochem Biophys Res Commun 296:1000−1004,2002;Lassusら、Sci STKE 2002(147):PL13,2002;およびLeirdalら、Biochem Biophys Res Commun 295:744−748,2002を参照のこと)。
RNAi(siRNAを含むがこれに限定はされない)を媒介する分子は、インビトロで化学合成によって(Hohjoh,FEBS Lett 521:195−199,2002)、dsRNAの加水分解(Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:9942−9947,2002)、T7 RNAポリメラーゼでのインビトロでの転写によって(Donzeetら、Nucleic Acids Res 30:e46,2002;Yuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:6047−6052,2002)、およびE.coli RNase IIIのようなヌクレアーゼを使用する二本鎖RNAの加水分解によって(Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:9942−9947,2002)生産することができる。
siRNA分子はまた、2つのオリゴヌクレオチドを互いにアニーリングさせることによって形成させることもでき、これは通常は以下の一般的構造を有しており、これには、二本鎖部分と一本鎖部分の両方が含まれる:
式中、N、X、およびYはヌクレオチドであり;XはYに対する水素結合であり;「:」は、2つの塩基の間での水素結合を示し;xは1から約100の間の値を有している自然数であり;そしてmおよびnは、0から約100の間の値を独立して有しているあらゆる整数である。いくつかの実施形態においては、N、X、およびYは、独立して、A、G、C、およびTまたはUである。自然界には存在しない塩基およびヌクレオチドが、特に、合成のsiRNA(すなわち、2つのオリゴヌクレオチドのアニーリング産物)の場合には存在し得る。二本鎖の中心部分は「コア」と呼ばれ、測定単位として塩基対(bp)を有する;一本鎖部分は突出であり、測定単位としてヌクレオチド(nt)を有している。示される突出は3’突出であるが、5’突出を有している分子もまた本発明の範囲に含まれる。本発明の範囲にはまた、突出を有していないsiRNA分子(すなわち、m=0およびn=0)、およびコアの一方の側に突出を有しているが、他方には突出を有していないsiRNA分子(例えば、m=0、およびn≧1、またはその逆)もまた存在する。
最初は、RNAi技術は、哺乳動物システムには容易には適用できないと思われていた。これは、哺乳動物においては、dsRNAがdsRNAによって活性化されるプロテインキナーゼ(PKR)を活性化して、アポトーシスのカスケードおよび細胞死を生じるからである(Derら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:3279−3283,1997)。加えて、dsRNAが哺乳動物細胞においてインターフェロンカスケードを活性化させることは以前から知られており、これは、細胞生理学の変化を導き得る(Colbyら、Annu.Rev.Microbiol.25:333,1971;Kleinschmidtら、Annu.Rev.Biochem.41:517,1972;Lampsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 58L782,1976;Lomnicziら、J.Gen.Viol.8:55,1970;およびYoungerら、J.Bacteriol.92:862,1966)。しかし、dsRNAによって媒介されるPKRおよびインターフェロンカスケードの活性化には、約30塩基対を超える長さのdsRNAが必要である。対照的に、30塩基対未満の長さのdsRNAは、哺乳動物細胞においてRNAiを生じることが明らかにされている(Caplenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:9742−9747,2001)。したがって、より長いdsRNA分子に付随する望ましくない非特異的作用は、より長いdsRNAを実質的に含まない短いRNAを調製することによって回避することができると予想される。
siRNAに関する参考文献:Bernsteinら、Nature 409:363−366,2001;Boutlaら、Curr Biol 11:1776−1780,2001;Cullen,Nat Immunol.3:597−599,2002;Caplenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:9742−9747,2001;Hamiltonら、Science 286:950−952,1999;Nagaseら、DNA Res.6:63−70,1999;Napoliら、Plant Cell 2:279−289,1990;Nicholsonら、Mamm.Genome 13:67−73,2002;Parrishら、Mol Cell 6:1077−1087,2000;Romanoら、Mol Microbiol 6:3343−3353,1992;Tabaraら、Cell 9:123−132,1999;およびTuschl,Chembiochem.2:239−245,2001。
Paddisonら(Genes & Dev.16:948−958,2002)では、RNAiを行うための手段として、ヘアピンに折り畳まれた小さいRNA分子が使用された。したがって、そのような短いヘアピンRNA(shRNA)分子は、本発明の方法においても有利に使用される。機能的なshRNAのステムおよびループの長さは様々である;ステムの長さは、約25から約30ntまでのどの長さでもあり得、ループの大きさは、4から約25ntの間の範囲であり得、サイレンシング活性に影響はない。いずれの特定の理論にも束縛されることは望ましくないが、これらのshRNAはDICER RNaseのdsRNA産物に似ており、いずれにしても、特異的遺伝子の発現を阻害することについて同じ能力を有していると考えられている。
アンチセンス技術を使用して、アンチセンスDNAもしくはRNAによって、または三重ヘリックスの形成を通じて、遺伝子発現を制御することができる。アンチセンス技術は、Okano,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibotors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)において議論されている。三重ヘリックスの形成は、例えば、Leeら、Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1300(1991)において議論されている。この方法は、相補的DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。
例えば、Sp35をコードするポリヌクレオチドの5’コード部分を使用して、約10から40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計することができる。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関係している遺伝子の領域に相補的であるように設計され、それによって、標的タンパク質の転写および生産が妨げられる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイズし、そしてmRNA分子の標的ポリペプチドへの翻訳をブロックする。
1つの実施形態においては、Sp35遺伝子に特異的なアンチセンス核酸は、外因性配列からの転写によって細胞内で生産される。例えば、ベクターまたはその一部が転写されて、アンチセンス核酸(RNA)が生じる。そのようなベクターはエピソームを保持し得るか、または、それが所望されるアンチセンスRNAを生じるように転写することができる限りは、染色体に組み込まれる。そのようなベクターは、当該分野で標準的である組み換えDNA技術方法によって構築することができる。ベクターは、脊椎動物細胞の中での複製および発現に使用される、プラスミド、ウイルス、または当該分野で公知の他のものであり得る。アンチセンス分子の発現は、本明細書中に別の場所に記載されるもののような、脊椎動物(好ましくは、ヒト細胞)の中で作用するように当該分野で公知の任意のプロモーターによって行うことができる。
アンチセンス分子の絶対的な相補性が好ましいが、これは必ずしも必要ではない。Sp35をコードするDNAの少なくとも一部に対する配列相補性は、RNAとハイブリダイズすることができるために十分な相補性を有している配列を意味する。形成された安定な二本鎖;または三本鎖がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、アンチセンス核酸の相補性の程度および長さの両方に応じて様々であろう。一般的には、ハイブリダイズする核酸が長ければ長いほど、より多くの塩基不適合が含まれ得るが、なおも安定な二本鎖(または場合によっては三本鎖である場合もある)が形成される。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用により、不適合を寛容できる程度を確定することができる。
メッセンジャーRNAの5’末端(例えば、5’非翻訳配列まで、およびAUG開始コドンを含む)に相補的であるオリゴヌクレオチドは、翻訳の阻害について最も効率よく作用するはずである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列が、mRNAの翻訳を阻害することに関して十分に有効であることが示されている。一般的には、Wagner,R.,Nature 372:333−335(1994)を参照のこと。したがって、5’−もしくは3’−非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、Sp35の翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチにおいて使用することができる。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドには、AUG開始コドンの相補物が含まれるはずである。mRNAのコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳の阻害因子としてはあまり有効ではないが、本発明にしたがって使用することができる。アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチドの長さであるべきであり、好ましくは、6から約50ヌクレオチドの長さの範囲のオリゴヌクレオチドである。特異的な態様においては、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである。
なお別の実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはα−アノマーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、ここでは、通常の状況とは対照的に、鎖は互いに平行に並ぶ(Gautierら、Nucl.Acids Res.15:6625−6641(1987))。オリゴヌクレオチドは、2’−O−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、Nucl.Acids Res.15:6131−6148(1987))またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、FEBS Lett.215:327−330(1987))である。
本明細書中に開示される方法において使用されるポリヌクレオチド組成物にはさらに、触媒RNAまたはリボザイムが含まれる(例えば、1990年10月4日に公開されたPCT国際公開番号WO90/11364;Sarverら、Science 247:1222−1225(1990)を参照のこと)。ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、隣接する領域によって示された位置でmRNAを切断し、これは標的mRNAと相補的な塩基対を形成する。標的mRNAが以下の2塩基の配列:5’−UG−3’を有することだけが必要とされる。ハンマーヘッドリボザイムの構築および生産は当該分野で周知であり、そしてHaseloff and Gerlach,Nature 334:585−591(1988)にさらに完全に記載されている。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位が標的mRNAの5’末端付近に配置されるように操作され、すなわち、効率を高め、そして非機能的mRNA転写物の細胞内蓄積を最少にするために、操作される。
アンチセンスアプローチと同様に、本明細書中に開示される方法において使用されるリボザイムは、修飾されたオリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化などの改善のため)から構成され得、そして、インビボでSp35を発現する細胞に送達され得る。リボザイムをコードするDNA構築物は、アンチセンスをコードするDNAの導入についての上記と同じ様式で細胞に導入され得る。好ましい送達方法には、強い構成的プロモーター(例えば、pol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下にリボザイムを「コードする」DNA構築物の使用が含まれ、その結果、トランスフェクトされた細胞は、内因性のSp35メッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するために十分な量のリボザイムを生じるであろう。アンチセンス分子とは異なり、リボザイムは触媒性であるので、低い細胞濃度しか効率には必要ない。
本明細書中に開示される方法において使用されるポリヌクレオチド(以下に記載されるアプタマーを含む)は、DNAまたはRNAまたはキメラ混合物、あるいはそれらの誘導体または修飾されたバージョン、一本鎖または二本鎖であり得る。ポリヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを改善するために修飾することができる。ポリヌクレオチドには、(インビボでの宿主細胞レセプターの標的化のための)ペプチド、または細胞膜を通過する輸送を促進する物質(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 86:6553−6556(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652(1987);1998年12月15日に公開されたPCT公開番号WO88/09810を参照のこと)もしくは脳血液関門を通過する輸送を促進する物質(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開番号WO89/10134を参照のこと)、ハイブリダイゼーションによって誘発される切断試薬(例えば、Krolら、BioTechniques 6:958−976(1988)を参照のこと)、あるいは挿入剤(例えば、Zon,Pharm.Res.5:539−549(1988)を参照のこと)のような他の付加基(appended group)が含まれる場合がある。この目的のためには、ポリヌクレオチドが別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションによって誘発される架橋剤、輸送物質、ハイブリダイゼーションによって誘発される切断物質など)に結合させられる場合がある。
本明細書中に開示される方法において使用されるポリヌクレオチド(アプタマーを含む)には、以下からなる群より選択される少なくとも1つの修飾された塩基部分が含まれ得る:5フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルエオシン、イノシン、N−6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N−6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルエオシン、5’メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N−6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウェイブトキシン、シュードウラシル、エオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3(3−アミノ−3−N2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが含まれるが、これらに限定はされない。
本明細書中に開示される方法において使用されるポリヌクレオチド(アプタマーを含む)にはまた、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースが含まれる(が、これらに限定はされない)群より選択される少なくとも1つの糖部分が含まれる場合がある。
なお別の態様においては、本明細書中に開示される方法において使用されるポリヌクレオチド(アプタマーを含む)には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタール、あるいはそれらのアナログかが含まれる(が、これらに限定はされない)群より選択される少なくとも1つの修飾されたリン酸骨格が含まれる。
本発明の方法において使用されるポリヌクレオチド(アプタマーを含む)は、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Biosearch,Applied Biosystemsなどから市販されているもの)の使用によって、当該分野で公知の標準的な方法によって合成することができる。例としては、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら、Nucl.Acids Res.16:3209(1988)の方法によって合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御された多孔性のガラスポリマー支持体の使用によって調製することができる(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 85:7448−7451(1988)など)。
アプタマー
別の実施形態においては、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストはアプタマーである。アプタマーは、特有の配列を有しており、所望される標的(例えば、ポリペプチド)に特異的に結合する特性を有しており、そして、所定の標的の特異的リガンドであるヌクレオチドあるいはポリペプチドであり得る。本発明のヌクレオチドアプタマーとしては、Sp35に結合する二本鎖DNAおよび一本鎖RNA分子が挙げられる。
核酸アプタマーは、当該分野で公知の方法を使用して、例えば、Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment(SELEX)プロセスによって選択される。SELEXは、例えば、米国特許第5,475,096号、同第5,580,737号、同第5,567,588号、同第5,707,796号、同第5,763,177号、同第6,011,577号、および同第6,699,843号(それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されているように、標的分子に対して極めて高い特異性の結合を有する核酸分子のインビトロでの進化のための方法である。アプタマーを同定するための別のスクリーニング方法は、単量体であるか多量体(他の核酸分子およびポリペプチドを含む)かどうかにはかかわらず、米国特許第5,270,163号(これもまた、引用により本明細書中に組み入れられる)に記載されている。SELEXプロセスは、様々な二次元−および三次元構造を形成するために、ならびに実質的に任意の化合物とともにリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)ためにヌクレオチド単量体の中で利用することができる化学的多様性(versatility)についての核酸の能力に基づく。任意の大きさまたは組成の分子が標的となり得る。
SELEX方法には、所望される結合親和性および選択性を得るための、候補のオリゴヌクレオチドの混合物からの選択と、同じ一般的選択スキームを使用する、結合、分配、および増幅の段階的反復が含まれる。核酸の混合物(好ましくは、ランダマイズされた配列のセグメントを含む)から出発する場合には、SELEX方法には、混合物を結合に好ましい条件下での標的と接触させる工程;標的分子に特異的に結合したそのような核酸から結合していない核酸を分配する工程;核酸−標的複合体を解離させる工程;リガンドを多く含む核酸の混合物を得るために、核酸標的複合体から解離させられた核酸を増幅する工程。結合、分配、解離、および増幅の工程は、標的分子に対する高度に特異的な高親和性核酸リガンドを得ることが所望される場合には、複数回のサイクルによって繰り返される。
ヌクレオチドアプタマーは、例えば、細胞内シグナル伝達および輸送経路を分析するための診断ツールまたは特異的阻害因子として、使用され得る(James(2001)Curr.Opin.Pharmacol.1:540−546)。ヌクレオチドアプタマーの高い親和性および特異性は、それらを、薬物の発見のための良好な候補とする。例えば、毒素リシンに対するアプタマーアンタゴニストが単離されており、これらはナノモル範囲のIC50値を有している(Hesselberth JRら、(2000)J Biol Chem 275:4937−4942)。ヌクレオチドアプタマーもまた、細胞の感染性を低下させるために、感染性疾患、悪性腫瘍、およびウイルス表面タンパク質に対して使用される場合がある。
本発明の方法において使用されるヌクレオチドアプタマーは、他のポリヌクレオチドについて本明細書中に記載されるように(例えば、骨格もしくは塩基を修飾することによって、またはペプチドに結合させることによって)修飾することができる。
Sp35のタンパク質構造を使用する、SELEXプロセスを使用したSp35に作用するアプタマーのスクリーニングにより、Sp35によって媒介されるプロセス(例えば、Sp35によって媒介される軸索再生)を阻害するアプタマーを同定することができるであろう。
本発明の方法において使用されるポリペプチドアプタマーは、Sp35に結合し、それによってSp35の作用をブロックするそれらの能力について選択されるランダムペプチドである。ポリペプチドアプタマーには、タンパク質の足場の両方の末端に対して結合させられた短い可変性ペプチドドメインが含まれ得る。この二重構造による拘束は、抗体のものに匹敵するレベル(ナノモルレベル)にまでペプチドアプタマーの結合親和性を大きく増大させる。例えば、Hoppe−Seyler Fら、(2000)J Mol Med 78(8):426−430を参照のこと。短い可変ペプチドの長さは、通常、約10から20アミノ酸であり、足場は、良好な溶解度とcompacity特性を有している任意のタンパク質であり得る。足場タンパク質の1つの限定ではない例は細菌タンパク質チオレドキシン−A(Thioredoxin−A)である。例えば、Cohen BAら、(1998)PNAS 95(24):14272−14277を参照のこと。加えて、本発明の方法において使用されるポリペプチドアプタマーの限定ではない例は、Ligand Regulated Peptide Aptamer(LiRPA)である。LiRPA足場は、3つのタンパク質ドメイン:FK506結合タンパク質(FKBP)、FRBP−ラパマイシン結合ドメイン(FRB)、およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)から構成され得る。例えば、Binkowski BFら、(2005)Chem & Biol 12(7):847−855(引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。
ポリペプチドアプタマーは、タンパク質機能の優性阻害因子としての役割を担うペプチドまたは低分子ポリペプチドである。ペプチドアプタマーは標的タンパク質に特異的に結合して、それらの機能的な能力をブロックする(Koloninら、(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.95:14,266−14,271)。標的タンパク質に対して高い親和性および特異性で結合するペプチドアプタマーは、当該分野で公知の様々な技術によって単離することができる。ペプチドアプタマーは、酵母ツーハイブリッドスクリーニングによって(Xu,C.W.ら、(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:12,473−12,478)、またはリボザイムディスプレイによって(Hanesら、(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:4937−4942)ランダムペプチドライブラリーから単離することができる。これらは、ファージライブラリーから(Hoogenboom,H.R.ら、(1998)Immunotechnology 4:1−20)または化学的に作成されたペプチドライブラリーから単離することもできる。ペプチドアプタマーがそれによって合成される難しい手段によっては、それらの使用はポリヌクレオチドアプタマーよりも複雑となるが、これらは化学的送達に限定されない。
本発明の方法において使用されるペプチドアプタマーは、本明細書中で別の場所に他のポリペプチドについて記載されているように修飾することができる(例えば、ポリマーに結合させられるか、またはタンパク質に融合させられる)。
ベクター
Sp35アンタゴニストをコードする核酸を含むベクターもまた、本発明の方法において使用されるアンタゴニストを提供するように使用され得る。そのような核酸がそれに対して動作可能であるように連結させられるベクターおよび発現制御配列の選択は、所望される機能的特性(例えば、タンパク質の発現および形質転換される宿主細胞)に応じて様々である。
動作可能であるように連結されたコード配列の発現の調節に有用な発現制御エレメントは当該分野で公知である。例として、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、および他の調節エレメントが挙げられるが、これらに限定はされない。誘導性プロモーターが使用される場合は、これは、例えば、宿主細胞培地の中での栄養状態の変化、温度の変化によって制御することができる。
ベクターとしては、原核生物のレプリコン、すなわち、細菌宿主細胞の中で染色体外での組み換えDNA分子の自律複製と維持を指示する能力を有しているDNA配列を挙げることができる。そのようなレプリコンは当該分野で周知である。加えて、原核生物のレプリコンを含むベクターにはまた、その発現により薬剤耐性のような検出可能なマーカーが付与される遺伝子が含まれる場合もある。細菌の薬剤耐性遺伝子の例としては、アンピシリンまたはテトラサイクリンに対して耐性を付与する遺伝子が挙げられる。
原核生物のレプリコンを含むベクターには、細菌宿主細胞の中でコード遺伝子配列の発現を指示するための原核生物あるいはバクテリオファージプロモーターもまた含まれ得る。細菌宿主と適合するプロモーター配列は、通常、発現させられるDNAセグメントの挿入のための通常の制限部位を含むプラスミドベクターの中に提供される。そのようなプラスミドベクターの例は、pUC8、pUC9、pBR322、およびpBR329(BioRad)、pPLおよびpKK223(Pharmacia)である。任意の適切な原核生物宿主を、本発明の方法において使用されるタンパク質をコードする組み換え体DNA分子を発現させるために使用することができる。
本発明の目的のためには、多数の発現ベクターシステムを使用することができる。例えば、1つのクラスのベクターでは、動物ウイルス(例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTV、もしくはMOMLV)、またはSV40ウイルス)に由来するDNAエレメントが利用される。他には、内部リボソーム結合部位を有している多シストロン性システムの使用が含まれる。加えて、それらの染色体の中にDNAが組み込まれた細胞を、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することによって選択することができる。マーカーは、栄養素要求性宿主(autotrophic host)に原栄養性(prototrophy)、殺生物剤(biocide)耐性(例えば、抗生物質)、あるいは、銅などの重金属に対する耐性を提供することもできる。選択マーカー遺伝子は発現させられるDNA配列に直接結合させられるか、または同時トランスフェクション(cotransfection)により同じ細胞内へ導入されるかのいずれかであり得る。ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(noe)遺伝子は、選択マーカー遺伝子の一例である(Southernら、J.Mol.Anal.Genet.1:327−341(1982))。さらに別のエレメントがまた、mRNAの最適な合成に必要である場合がある。これらのエレメントには、シグナル配列またはスプライシングシグナル、さらには転写プロモーター、エンハンサー、および終結シグナルが含まれ得る。
1つの実施形態においては、Biogen IDEC,Inc.,の工業所有権のある発現ベクター(NEOSPLA(米国特許第6,159,730号)と呼ばれている)が使用される場合がある。このベクターには、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー、マウスβグロビン主要プロモーター、SV40複製起点、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼエキソン1およびエキソン2、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、ならびにリーダー配列が含まれる。このベクターは、CHO細胞の中へのトランスフェクション、それに続き、G−418を含む培地の中での選択、およびメトトレキセート増幅されると非常に高い発現レベルを生じることが明らかにされている。もちろん、真核生物細胞の中で発現を誘発することができる任意の発現ベクターが本発明において使用され得る。適切なベクターの例としては、プラスミドpcDNA3、pHCMV/Zeo、pCR3.1、pEF1/His、pIND/GS、pRc/HCMV2、pSV40/Zeo2、pTRACER−HCMV、pUB6/V5−His、pVAX1、およびpZeoSV2(Invitrogen,San Diego,CAから入手することができる)、ならびにプラスミドpCI(Promega,Madison,WIから入手することができる)が挙げられるが、これらに限定はされない。さらなる真核生物細胞発現ベクターは当該分野で公知であり、市販されている。通常、そのようなベクターには、所望されるDNAセグメントの挿入のための便利な制限部位が含まれる。例示的なベクターとしては、pSVLおよびpKSV−10(Pharmacia)、pBPV−1、およびpml2d(International Biotechnologies)、pTDT1(ATCC31255)、レトロウイルス発現ベクターpMIGおよびpLL3.7、アデノウイルスシャトルベクターpDC315、ならびにAVVベクターが挙げられる。他の例示的なベクターシステムは、米国特許第6,413,777号に開示されている。
一般的には、形質転換された多数の宿主細胞を、アンタゴニストを適切な高いレベルで発現するものについてスクリーニングすることは、例えば、ロボットシステムによって行うことができる日常的に行われている実験である。
哺乳動物の宿主細胞での発現のために頻繁に使用される調節配列としては、哺乳動物細胞の中でのタンパク質の高レベルでの発現を指示するウイルスエレメント(例えば、レトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えば、SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdmlP))に由来するプロモーターおよびエンハンサー、ポリオーマおよび強力な哺乳動物プロモーター(例えば、自然界に存在している免疫グロブリンおよびアクチンプロモーター))が挙げられる。ウイルス調節エレメント、およびその配列のさらなる記載については、例えば、Stinski,米国特許第5,168,062号;Bell,米国特許第4,510,245号;およびSchaffner,米国特許第4,968,615号を参照のこと。
組み換え発現ベクターは、宿主細胞の中でのベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)と選択マーカー遺伝子を有し得る。選択マーカー遺伝子は、ベクターがその中に導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、Axel,米国特許第4,399,216号;同第4,634,665号、および同第5,179,017号を参照のこと)。例えば、通常は、選択マーカー遺伝子は薬剤(例えば、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキセート)に対する耐性を、ベクターが導入された宿主細胞に付与する。頻繁に使用される選択マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅と共にdhfr−宿主細胞において使用される)およびneo遺伝子(G418選択のため)が挙げられる。
Sp35アンタゴニストをコードするベクターは、適切な宿主細胞の形質転換のために使用することができる。形質転換は任意の適切な方法によって行うことができる。外来DNAの哺乳動物細胞への導入のための方法は当該分野で周知であり、これには、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームの中へのポリヌクレオチド(単数または複数)のカプセル化によるトランスフェクション、および核へのDNAの直接のマイクロインジェクションが含まれる。加えて、核酸分子は、ウイルスベクターによって哺乳動物細胞の中に導入することができる。哺乳動物細胞はまた、哺乳動物細胞の中に導入される外来DNAを含む組換え体ウイルスによって導入することもできる。
宿主細胞の形質転換は、使用されるベクターおよび宿主細胞に適する従来法によって行うことができる。原核生物宿主細胞の形質転換には、エレクトロポレーションおよび塩処理方法を使用することができる(Cohenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:2110−14(1972))。脊椎動物細胞の形質転換には、エレクトロポレーション、陽イオン性脂質、または塩処理方法を使用することができる。例えば、Grahamら、Virology 52:456−467(1973);Wiglerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:1373−76(1979)を参照のこと。
タンパク質の発現に使用される宿主細胞株は、哺乳動物起源のものが最も好ましい;当業者は、その中で発現させられる所望される遺伝子産物に最も適している特定の宿主細胞株を特異的に決定する能力を有していると思われる。例示的な宿主細胞株としては、NSO、SP2細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞ガン細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞DG44およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸ガン)、CVI(サル腎臓株)COS(SV40 T抗原でのCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3x63−Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)および293(ヒト腎臓)が挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞株は、通常、商業的サービスによってAmerican Tissue Culture Collectionから、または公開されている文献から入手することができる。
生産細胞株からのポリペプチドの発現は、公知の技術を使用して高めることができる。例えば、グルタミンシンターゼ(GS)システムは、特定の条件下での発現を高めるために一般的に使用されている。例えば、欧州特許第0 216 846号、同第0 256 055号、および同第0 323 997号、ならびに欧州特許出願番号89303964.4を参照のこと。
宿主細胞
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストの発現のための宿主細胞は、原核生物である場合も、また、真核生物細胞である場合もある。例示的な真核生物宿主細胞としては、酵母および哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(ATCC登録番号CCL61)、NIH Swissマウス胚細胞NIH−3T3(ATCC登録番号CRL1658)、およびベビーハムスター腎臓細胞(BHK))が挙げられるが、これらに限定はされない。他の有用な真核生物宿主細胞としては、昆虫細胞および植物細胞が挙げられる。例示的な原核生物宿主細胞はE.coliおよびStreptomycesである。
遺伝子治療
Sp35アンタゴニストは、哺乳動物(例えば、ヒト患者)において、DAニューロンの変性、死、もしくは欠失、または再生が関係している疾患、障害、あるいは損傷の処置のための遺伝子治療アプローチを使用して、インビボで生産することができる。これには、適切な発現制御配列に動作可能であるように連結された適切なSp35アンタゴニストをコードする核酸の投与が含まれる。一般的には、これらの配列はウイルスベクターに組み込まれる。このような遺伝子治療に適しているウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター、アルファウイルスb稀有ター、エンテロウイルスベクター、ペスチウイルスベクター、レンチウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、および単純ヘルペスウイルスベクターが挙げられる。ウイルスベクターは、複製欠損ウイルスベクターであり得る。それらのE1遺伝子またはE3遺伝子に欠失を有しているアデノウイルスベクターが、通常は使用される。アデノウイルスベクターが使用される場合には、ベクターは、通常は、選択マーカー遺伝子を有していない。
薬学的組成物
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストは、ヒトを含む哺乳動物への投与のために、薬学的組成物に処方される。本発明の方法において使用される薬学的組成物には、薬学的に許容される担体(例えば、イオン交換体、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が含まれる。
本発明の方法において使用される組成物は、任意の適切な方法(例えば、非経口で、脳室内に、経口で、吸入噴霧によって、局所的に、直腸に、鼻腔内に、舌下に、膣に、または埋め込み型のレザーバーによって)投与することができる。用語「非経口」には、本明細書中で使用される場合には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内、および頭蓋内への注射ならびに注入技術が含まれる。先に記載されたように、本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストは、乏突起膠細胞の生存、再生、および分化、ならびにニューロンの髄鞘形成を促進するように、神経系において作用する。したがって、本発明の方法においては、Sp35アンタゴニストは、それらが脳血液関門を通過するそのような方法で投与される。この通過によっては、Sp35アンタゴニストスト分子自体に固有の生理化学的特性によって、薬学的処方物中の他の成分によって、または血液脳関門を破るための針、カニューレ、もしくは外科手術用機器のような機械的デバイスの使用によって生じ得る。Sp35アンタゴニストが血液脳関門を本質的には通過できない分子(例えば、通過を容易にする部分への融合体)である場合には、適切な投与経路は、例えば、髄腔内または頭蓋内であり、例えば、MSの慢性的病変への直接の投与である。Sp35アンタゴニストが、血液脳関門を本質的に通過できる分子である場合には、投与経路は、以下に記載されるさまざまな経路の1つ以上によって行われ得る。
本発明の方法において使用される組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤もしくは湿潤剤と懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術にしたがって処方され得る。滅菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤あるいは溶媒中の、滅菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の懸濁液)でもあり得る。中でも、使用することができる許容される媒体および溶媒は、水、Ringerの溶液、および等張性の塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌の固定油が、溶媒または懸濁媒体として通常使用される。この目的のためには、任意の混合された固定油(合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)が、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油と同様に、注射可能な調製物において、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンが有用である。これらの油溶液または懸濁液にはまた、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤)も含まれ得、これらは、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の処方物として一般的に使用される。他の一般的に使用される界面活性剤(例えば、Tweens,Spans、および他の乳化剤または生体利用性エンハンサー(薬学的に許容される固体、液体、もしくは他の投与形態の製造において一般的に使用される))もまた処方の目的のために使用することができる。
非経口処方物は、1回のボーラス用量、注入、または負荷ボーラス用量であり得、その後に維持用量が続き得る。これらの組成物は、例えば、特異的な固定された間隔、または様々な間隔(例えば、1日に1回)で投与される場合も、あるいは、「必要に応じ」た基準で投与される場合もある。
本発明の方法において使用される特定の薬学的組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤、または溶液剤を含む許容される投与量形態で経口投与することができる。特定の薬学的組成物にはまた、鼻腔エアゾールまたは吸入によっても投与され得る。そのような組成物は、ベンジルアルコール、または他の適切な保存剤、生体利用性を高めるための吸収促進剤、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
単回の投与量形態を生じさせるために担体物質と組み合わせられ得るSp35アンタゴニストの量は、処置される宿主、使用されるアンタゴニストのタイプ、および特定の投与形式に応じて様々であろう。組成物は、単回用量として、および多用量として、またはて確立された時間にわたる注入として投与され得る。投与レジュメもまた、最適な所望される応答(例えば、治療応答または予防応答)を提供するように調整され得る。
本発明の方法では、Sp35アンタゴニストの「治療有効量」または「予防有効量」が使用される。そのような治療有効量または予防有効量は、複数の要因(例えば、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重)にしたがって様々であり得る。治療有効量または予防有効量はまた、治療上有効な効果があらゆる毒性または有害な作用を上回る量である。
任意の特定の患者についての特異的投与量および処置レジュメは、様々な要因に応じて変化するであろう。要因には、使用される特定のSp35アンタゴニスト、患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事療法、ならびに投与のタイミング、排出速度、薬物の組み合わせ、および処置される特定の疾患の重篤度が含まれる。医学的な介護人によるそのような要因の判断は、当業者の能力の範囲内である。量はまた、処置される個々の患者、投与の経路、処方物のタイプ、使用される化合物の特徴、疾患の重篤度、および所望される効果に応じても様々であろう。使用される量は、当該分野で周知の薬理学的および薬物動態的原理によって決定することができる。
本発明の方法においては、Sp35アンタゴニストは、一般的には、神経系に直接、脳室内に、またはくも膜下に、(例えば、MSの慢性病変内に)投与される。本発明の方法にしたがう投与のための組成物は、1日あたり体重1kgあたり0.001〜10mgのSp35アンタゴニストポリペプチドの投与量が投与されるように処方することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、投与量は、0.01〜1.0mg/kg体重/日である。いくつかの実施形態においては、投与量は、0.001〜0.5mg/kg体重/日である。
Sp35アンタゴニスト抗体での処置については、投与量は、例えば、約0.0001から100mg/kgまで、そしてより通常は、宿主の体重について、0.01〜5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)の範囲であり得る。例えば、投与量は、1mg/kg体重、または10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは、少なくとも1mg/kgであり得る。上記範囲の中間の用量もまた、本発明の範囲内に入ると意図される。被験体には、そのような用量が毎日、1日置きに、1週間おきに、または経験的な分析によって決定された任意の他のスケジュールにしたがって投与され得る。例示的な処置には、長期間の間(例えば、少なくとも6ヶ月間)にわたる複数回の投与量での投与が必然的に伴う。さらなる例示的な処置レジュメには、2週間に1回、または1ヶ月に1回、または3から6ヶ月に1回の投与が必然的に伴う。例示的な投与スケジュールには、毎日連続して1〜10mg/kgもしくは15mg/kg、1日おきに30mg/kg、または1週間おきに60mg/kgが含まれる。いくつかの方法においては、異なる結合特異性を有している2つ以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、この場合は、投与される個々の抗体の投与量は、示される範囲に入る。
特定の実施形態においては、被験体は、Sp35アンタゴニストポリヌクレオチドをコードする核酸分子で処置することができる。核酸についての用量は、患者1人あたり約10ngから1g、100ngから100mg、1μgから10mg、または30〜300μgのDNAの範囲である。感染性ウイルスベクターの用量は、1用量あたり10〜100、またはそれ以上のビリオンまでで変化する。
補助活性化合物もまた、本発明の方法において使用される組成物の中に組み入れることができる。例えば、可溶性Sp35ポリペプチドまたは融合タンパク質は、1つ以上のさらなる治療薬と一緒に処方することができ、そして/または同時に投与することができる。
本発明には、選択された標的組織へのSp35アンタゴニストの任意の適切な送達方法が含まれる。これには、水性溶液のボーラス注射、または徐放システムの埋め込みが含まれる。徐放用のインプラントの使用によっては、注射の反復の必要性が低減する。
本発明の方法において使用されるSp35アンタゴニストは、脳に直接注入することができる。化合物の直接の脳への注入のための様々なインプラントが公知であり、神経学的障害に罹患しているヒト患者への治療用化合物の送達に有効である。これらには、ポンプ、定位固定で埋め込まれた、一次的な間質カテーテル(temporary interstitial catheter)、永久的な頭蓋内カテーテルインプラント、および外科手術によって埋め込まれた生体分解性インプラントを使用する脳への長期にわたる注入が含まれる。例えば、Gillら、前出;Scharfenら、「High Activity Iodine−125 Interstitial Implant For Gliomas」,Int J.Radiation Oncology Biol.Phy.24(4):583−591(1992);Gasparら、「Permanent 125I Implants for Recurrent Malignant Gliomas」,Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.43(5):977−982(1999);第66章、577−580頁、Bellezzaら、「Stereotactic Interstitial Brachytherapy」,in Gildenbergら、Textbook of Stereotactic and Functional Neurosurgery,McGraw−Hill(1998);およびBremら、「The Safety of Interstitial Chemotherapy with BCNU−Loaded Polymer Followed by Radiation Therapy in the Treatment of Newly Diagnosed Malignant Gliomas:Phase I Trial」,J.Neuro−Oncology 26:111−23(1995)を参照のこと。
組成物にはまた、化合物に適している送達システムまたは支持システムとしての役割を担う、生体適合性の担体物質の中に分散させられたSp35アンタゴニストも含まれ得る。徐放担体の適切な例としては、成型された製品(例えば、坐剤またはカプセル剤)の形態の半透過性ポリマーマトリックスが含まれる。埋め込むことができるマトリックス、またはマイクロカプセル徐放マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,319号;EP 58,481)、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタミン酸のコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−56(1985));ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、エチレン酢酸ビニル(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.12:98−105(1982))またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態においては、Sp35アンタゴニストが、脳の適切な領域への直接の注入により患者に投与される。例えば、Gillら、「Direct brain infusion of glial cell line−derived neurotrophic factor in Perkinson disease」,Nature Med.9:589−95(2003)を参照のこと。別の技術を利用することができ、これは、本発明のSp35アンタゴニストを投与するために適応させることができる。例えば、カテーテルまたはインプラントの定位配置は、Riechert−MundingerユニットおよびZD(Zamorano−Dujovny)多目的局在化ユニット(multipurpose localizing unit)を使用して行うことができる。2mmの切片厚みを用いた、120mlのomnipaque、350mgのヨウ素/mlを注入する造影CT(contrast enhanced computerized tomography(CT))スキャンによっては三次元多平面治療計画(STP,Fischer,Freiburg,Germany)が可能である。この機器によって、磁気共鳴影像法の実験に基づく計画が可能であり、明確な標的の立体構造についてのCTおよびMRI標的情報を比較併合することができる。
GE CTスキャナー(General Electric Company,Milwaukee,WI)と共に使用するために改良されたLeksell定位固定システム(Downs Surgical,Inc.,Decatur,GA)、ならびに、Brown−Roberts−Wells(BRW)定位固定システム(Radionics,Burlington,MA)を、この目的のために使用することができる。したがって、埋め込みの朝、BRW定位固定フレームの輪状のベースリングが患者の頭蓋骨に取り付けられ得る。連続するCTの断像を、ベースプレートに固定されたグラファイトロッド(graphite rod)のローカライザーフレームを用いて、領域全体(標的組織)について3mmの間隔で得ることができる。コンピューター処理設計プログラム(computerized treatment planning program)をVAX 11/780コンピューター(Digital Equipment Corporation,Maynard,Mass.)上で、グラファイトロッド画像のCT座標を使用して行うことができ、CT空間とBRW空間がマップされる。
本明細書中に記載されるような障害の処置方法は、通常、ヒトで使用される前に、所望される治療活性または予防活性について、インビトロで、その後、許容される動物モデルにおいてインビボで試験される。適切な動物モデル(トランスジェニック動物を含む)は当業者に公知であろう。例えば、Sp35アンタゴニストの区別および生存性の効果を明らかにするためのインビトロでのアッセイは本明細書中に記載されている。Sp35アンタゴニストの軸索の髄鞘形成に対する効果は、実施例に記載されているようにインビトロで試験することができる。最後に、インビボでの試験は、Sp35アンタゴニストを発現するトランスジェニックマウスを作成すること、またはSp35アンタゴニストを本明細書中に記載されるようなモデルにおいてマウスもしくはラットに投与することによって行うことができる。
本発明の実施では、他の場所で明記されていない限りは、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNA、および免疫学の従来技術が使用されるであろう。これらは当業者の能力の範囲内である。そのような技術は、文献で完全に説明されている。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3巻セット)、J.Sambrook,D.W.Russell.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001);Genes VIII,B.Lewin,Prentice Hall(2003);PCR Primer,C.W.Diffenbach and G.S.Dveksler,CSHL Press(2003);DNA Cloning,D.N.Glover編,第I巻および第II巻(1985);Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications(Methods in Molecular Biology),P.Herdewijn(編).,Humana Press(2004);Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,第4版,R.I.Freshney,Wiley−Liss(2000);Oligonucleotides Synthesis,M.J.Gait(編),(1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization,B.D.Hames & S.J.Higgins編,(1984);Nucleic Acid Hybridization,M.L.M.Anderson,Springer(1999);Animal Cell Culture and Technology,第2版,M.Butler,BIOS Scientific Publishers(2004);Immobilized Cells and Enzymes:A Practical Approach(Practical Approach Series),J.Woodward,Irl Pr(1992);Transcription And Translation,B.D.Hames & S.J.Higgins(編)(1984);Culture Of Animal Cells,R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,(1987);Immobilized Cells And Enzymes,IRL Press,(1986);A Practical Guide To Molecular Cloning,第3版,B.Perbal,John Wiley & Sons Inc.(1988);the treatise,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.,N.Y.;Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,J.H.Miller and M.P.Calos編,Cold Spring Harbor Laboratory(1987);Methods In Enzymology,第154巻および第155巻,Wuら、(編);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology,Mayer and Walker,(編),Academic Press London(1987);Handbook Of Experimental Immunology,第I〜IV巻,D.M.Weir and C.C.Blackwell(編),(1986);Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques(4巻セット),第1版,I.Lefkovits,Academic Press(1997);Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(2002);ならびに、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)を参照のこと。
抗体の操作の一般的原理は、Antibody Engineering:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology),B.L.Lo(編),Humana Press(2003);Antibody engineering,R.Kontermann and S.Dubel(編),Springer Verlag(2001);Antibody Engineering,第2版,C.A.K.Borrebaeck(編),Oxford Univ.Press(1995)に示されている。タンパク質の操作の一般的原理は、Protein Engineering,A Practical Approach,Rickwood,D.ら(編),IRL Press at Oxford Univ.Press,Oxford,Eng.(1995)に示されている。抗体と抗体−ハプテン結合の一般的原理は、Antibodies:A Laboratory Manual,E.Harlow and D.Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988);Nisonoff,A.,Molecular Immunology,第2版,Sinauer Associates,Sunderland,MA(1984);およびSteward,M.W.,Antibodies,Their Structure and Function,Chapman and Hall,New York,NY(1984)に示されている。加えて、当該分野で公知であり、詳細に記載されていない免疫学の標準的方法は、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Stitesら(編),Immunochemical Protocols(Methods in Molecular Biology),第2版,J.D.Pound(編),Humana Press(1998),Weir’s Handbook of Exprimental Immunology,第5版,D.M.Weir(編),Blackwell Publishers(1996),Methods in Cellular Immunology,第2版,R.Fernandez−Botran,CRC Press(2001);Basic and Clinical Immunology,第8版,Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)、ならびに、Mishell and Shiigi(編),Selected Methods in Cellular Immuology,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)に記載されているものに一般的にしたがう。
免疫学の一般的原理を説明している標準的な参考文献としては、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Klein,J.;Kuby Immunology,第4版,R.A.Goldsbyら、H.Freeman & Co.(2000);Basic and Clinical Immunology,M.Peakmanら、Churchill Livingstone(1997);Immunology,第6版,I.Roittら、Mosby,London(2001);Cellular and Molecular Immunology,第5版;A.K.Abbas,A.H.Lichtman,Elsevier−Health Sciences Division(2005);Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques(4巻セット),第1版,I.Lefkovits,Academic Press(1997)Immunology,第5版,R.A.Goldsbyら、W.H.Freeman(2002);Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,第3版,J.W.Goding,Academic Press(1996);Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination,John Wiley & Sons,New York(1982);Kennett,R.ら(編),Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,New York(1980);Campbell,A.,「Monoclonal Antibody Technology」,Burden,R.,ら、(編),Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,第13巻,Elsevere,Amsterdam(1984)が挙げられる。
上記で引用された参考文献の全て、さらには、本明細書中で引用される全ての参考文献は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。