JP2009516525A - 複合的核酸検出法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規な、試料中の核酸標的の複合的検出法に関連する。これは、線状化のための固有切断部位、および試料からパドロックプローブを単離するための結合対の第一の要素を含む新規のパドロックプローブを使用することにより達成される。三つの異なるパドロックプローブの設計が記載され、かつ、ライゲーション、増幅、ならびに定性的および定量的検出のための実施例が示される。これらの特徴の組み合わせにより、迅速、正確、かつ特異的な複合的検出アッセイが提供される。

Description

本発明は、核酸標的の複合的検出法、具体的にはタグ化プローブによるマイクロアレイ上での検出法、さらにより具体的にはそのようなプローブがパドロック(padlock)プローブである検出法に関連する。
(病原性の)微生物または他の関心対象標的の正確な同定および検出は臨床診断および有害生物管理ストラテジーにおいてますます重要になってきている。伝統的には、病原体を同定するために使用される主な方法は、培養ベースの形態学的アプローチに依存している。これらの古典的な手段は、近年様々な培養によらない分子特徴決定、とりわけ病原体特異的核酸標的のPCR増幅を含む手法により補完されてきている(Atkins, S.D. and Clark, I.M. (2004) Fungal molecular diagnostics: a mini review. J. Appl. Genet., 45, 3-15(非特許文献1); Lopez, M. M., Bertolini, E., Olmos, A., Caruso, P., Gorris, M. T., Llop, P., Penyalver, R. and Cambra, M. (2003) Innovative tools for detection of plant pathogenic viruses and bacteria. Int. Microbiol., 6, 233-243.(非特許文献2))。これらのアプローチは一般的に有効であるが、それらはアッセイごとに単一の病原体のみを標的にしており、試料の包括的スクリーニングを困難および時間がかかるものにしている。
効率を増加させるため、数個の標的を同時に検出しうる、複合的アッセイ法を開発することが望ましい。マイクロアレイは多様な生物体の高度な並行検出を可能にし得る(Bodrossy, L. and Sessitsch, A. (2004) Oligonucleotide microarrays in microbial diagnostics. Curr. Opin. Microbiol., 7, 245-254.(非特許文献3))。典型的には、複合的ストラテジーには、種特異的情報を含むゲノム領域を標的にした一般的プライマーまたは複数のプライマーセットのいずれかを用いた増幅が含まれる。そのようなストラテジーは伝統的なPCRベースののアッセイと比べ顕著な改善がなされているが、依然として重大な制限が存在する。保存されたゲノム領域を標的にすることにより、解析が、分類学的に規定された病原体群に対するものに限定され、一方数個のプライマーセットの組み合わせは、重要な技術的挑戦を提示し得る。近年、マイクロアレイ解析と共役した汎用性増幅が病原体検出への不偏的アプローチとして示唆された(Vora, G.J., Meador, C.E., Stenger, D.A. and Andreadis, J.D. (2004) Nucleic acid amplification strategies for DNA microarray-based pathogen detection. Appl. Environ. Microbiol., 70, 3047-3054.(非特許文献4))。その手法は上述の問題を克服するが、現状の感度は診断目的としては十分ではない。
パドロックプローブ(PLP)は特異的分子認識および汎用性増幅(または特異的増幅および一般認識)を組み合わせる手段を提供しうる環状プローブであり、従って、可能な標的生物体の範囲を限定することなく、感度および複合化能力を増加させる。PLPは約100塩基の長いオリゴヌクレオチドであり、5'末端および3'末端の双方に標的相補領域を含む(図1)。これらの領域は標的DNAの近接配列を認識し(Nilsson, M., Malmgren, H., Samiotaki, M., Kwiatkowski, M., Chowdhary, B.P. and Landegren, U. (1994) Padlock probes: circularizing oligonucleotides for localized DNA detection. Science, 265, 2085-2088.(非特許文献5))、かつこれら部位の間に、汎用(universal)プライマー部位および固有(unique)の配列識別子であるいわゆるZipCodeが存在する。ハイブリダイゼーションにおいては、プローブの両末端が近接位置に入り込み、かつ酵素的ライゲーションにより連結され、プローブが標的鎖上で繋がる環状分子に変換される。このライゲーションおよび生成した環状分子は、両末端部位が標的配列を正確に認識した場合にのみ生成される。非環状プローブはエキソヌクレアーゼ処理により除去され、一方環状プローブは汎用プライマーを用いて増幅されてもよい。この機構により、多数のパドロックプローブを伴う複合的なヌクレオチド抽出産物においてさえも、反応特異性が保証される。続いて、標的特異的産物は汎用cZipCodeマイクロアレイにより検出される(Shoemaker, D.D., Lashkari, D.A., Morris, D., Mittmann, M. and Davis, R.W. (1996) Quantitative phenotypic analysis of yeast deletion mutants using a highly parallel molecular bar-coding strategy. Nat. Genet., 14, 450-456.(非特許文献6))。PLPは遺伝子型決定アッセイにおいて、十分な特異性および非常に高度の複合化能力を有することが示されている(Hardenbol, P., Baner, J., Jain, M., Nilsson, M., Namsaraev, E.A., Karlin-Neumann, G.A., Fakhrai-Rad, H., Ronaghi, M., Willis, T.D., Landegren, U. and Davis, R.W. (2003) Multiplexed genotyping with sequence-tagged molecular inversion probes. Nat. Biotechnol., 21, 673-678.(非特許文献7))。
Atkins, S.D. and Clark, I.M. (2004) Fungal molecular diagnostics: a mini review. J. Appl. Genet., 45, 3-15 Lopez, M. M., Bertolini, E., Olmos, A., Caruso, P., Gorris, M. T., Llop, P., Penyalver, R. and Cambra, M. (2003) Innovative tools for detection of plant pathogenic viruses and bacteria. Int. Microbiol., 6, 233-243 Bodrossy, L. and Sessitsch, A. (2004) Oligonucleotide microarrays in microbial diagnostics. Curr. Opin. Microbiol., 7, 245-254 Vora, G.J., Meador, C.E., Stenger, D.A. and Andreadis, J.D. (2004) Nucleic acid amplification strategies for DNA microarray-based pathogen detection. Appl. Environ. Microbiol., 70, 3047-3054 Nilsson, M., Malmgren, H., Samiotaki, M., Kwiatkowski, M., Chowdhary, B.P. and Landegren, U. (1994) Padlock probes: circularizing oligonucleotides for localized DNA detection. Science, 265, 2085-2088 Shoemaker, D.D., Lashkari, D.A., Morris, D., Mittmann, M. and Davis, R.W. (1996) Quantitative phenotypic analysis of yeast deletion mutants using a highly parallel molecular bar-coding strategy. Nat. Genet., 14, 450-456 Hardenbol, P., Baner, J., Jain, M., Nilsson, M., Namsaraev, E.A., Karlin-Neumann, G.A., Fakhrai-Rad, H., Ronaghi, M., Willis, T.D., Landegren, U. and Davis, R.W. (2003) Multiplexed genotyping with sequence-tagged molecular inversion probes. Nat. Biotechnol., 21, 673-678
本発明者らは、改善され、特異的に設計されたパドロックプローブを利用する、効率的な、および信頼性のある複合的増幅および検出系を見出した。
本発明はとりわけ複合的アッセイにおいて、パドロックプローブ(PLPs)の使用に付随する問題の一つである、連続的なPCR段階における未ライゲーション型PLPのバックグラウンド増幅についての解決策を提供する。
これを解決するため、本発明は(5'から3'の方向へ)以下を含むパドロックオリゴヌクレオチドプローブを含む:
a)標的特異的ヌクレオチド配列1(T1);
b)一般的リバースプライマー結合部位;
c)結合対の第一の要素として作用する、またはそれを有する、ヌクレオチド配列;
d)固有切断配列;
e)一般的フォワードプライマー結合部位;
f)ZIPコード配列;および
g)標的特異的ヌクレオチド配列2(T2)、
ここで、ハイブリダイゼーション(および外側末端のライゲーション)後にパドロックプローブが環状分子を形成するように、T1配列およびT2配列は同一標的上の近接するヌクレオチド領域に対して相補的であるように設計される。項目c)およびd)の機能性は組み合わせることが可能であり、すなわち、固有切断配列は結合対の第一の要素として作用するヌクレオチド配列として機能しうる。あるいは、結合対の第一の要素はデスチオビオチン部分であり、かつデスチオビオチン部分を有するヌクレオチドは、好ましくはチミジンリンカーを通してポリウラシル配列に結合される。固有切断配列は好ましくは、ポリウラシル配列のようなモノヌクレオチド配列である。一般的フォワードプライマー結合部位はT7 RNAポリメラーゼ認識部位を含みうる。ZIPコード配列はアレイ上のヌクレオチド配列の相補鎖である態様が好ましい。
本発明の別の局面においては、パドロックヌクレオチドプローブは5'から3'の方向へ以下を含む:
a)標的特異的ヌクレオチド配列1(T1);
b)固有リバースプライマー結合部位;
c)結合対の第一の要素として作用する、またはそれを有する、ヌクレオチド配列;
d)固有切断配列;
e)固有フォワードプライマー結合部位;および
f)標的特異的ヌクレオチド配列2(T2)、
ここで、ハイブリダイゼーション(および外側両末端のライゲーション)後にパドロックプローブが環状分子を形成するように、T1配列およびT2配列は同一標的上の近接するヌクレオチド領域に対して相補的であるように設計される。項目c)およびd)の機能性は組み合わせることが可能であり、すなわち、固有切断配列は結合対の第一の要素として作用するヌクレオチド配列として機能しうる。あるいは、結合対の第一の要素はデスチオビオチン部分である。固有切断配列は好ましくは、ポリウラシル配列のようなモノヌクレオチド配列である。任意で、この態様のパドロック核酸プローブは、好ましくは固有フォワードプライマー結合部位とT2配列との間に、汎用ZIPコード配列を含む。
本発明はまた、以下の段階を含む、標的ヌクレオチド配列を検出するための方法を提供する:
a.標的へのハイブリダイゼーションが可能な標的特異的配列を有する一つまたは複数の本発明のパドロックヌクレオチドプローブを、標的を含む試料に添加する段階;
b.パドロックヌクレオチドプローブを標的にアニーリングさせる段階;
c.ライゲーションによりパドロックプローブの環状化する段階;
d.結合対の第二の要素により被覆された固形支持体と接触させることにより、パドロックヌクレオチドプローブを捕捉する段階;
e.固有切断配列での切断により、パドロックヌクレオチドプローブを線状化する段階;
f.任意の未結合オリゴヌクレオチドを除去するために、ビーズを洗浄する段階;
g.固形支持体からPLPプローブを溶出する段階;
h.ZIPコード配列を検出する段階。
該方法において、ZIPコードの検出は好ましくは以下の段階を含む;
i.一般的プライマーを使用して、パドロックヌクレオチドプローブを増幅する段階;
j.増幅されたパドロックヌクレオチドプローブを標識する段階;
k.パドロックヌクレオチドプローブと、ZIPコード配列とのハイブリダイズが可能な少なくとも一つの配列とのハイブリダイゼーションにより、ZIPコードの存在を試験する段階であって、好ましくはハイブリダイゼーションが(マイクロ)アレイのような固形支持体において行われる段階。
あるいは、該方法において、ZIPコードの検出は直接的にも遂行されうる:
i.パドロックヌクレオチドプローブと、ZIPコード配列とのハイブリダイズが可能な少なくとも一つの配列とのハイブリダイゼーションにより、ZIPコードの存在を試験する段階であって、好ましくはハイブリダイゼーションが(マイクロ)アレイまたは金ビーズのような固形支持体で行われる段階、
j.パドロックの結合対の第一の要素に方向付けられた蛍光プローブ、または蛍光標識されたBiobarcode標識金ビーズを用いて、ハイブリダイズしたパドロックヌクレオチドプローブを固形支持体上で標識する段階。
これらの方法は好ましくは、パドロックヌクレオチドプローブの捕捉以前に、NaOH変性段階を含む。結合対の第二の要素は、PLP上で利用可能である結合対の第一の要素に結合すると考えられる。もし第一の要素がデスチオビオチンであれば、第二の要素はストレプトアビジンである。アレイ上での直接的検出の場合、段階g.の溶出はビオチンまたは熱を用いて遂行される。もし固有切断配列がポリウラシル配列の場合、切断は好ましくはウラシル-N-グリコシダーゼ(uracil-N-glycosidase)およびエンドヌクレアーゼIV(endonuclease IV)を用いた処理により実施される。
BCA検出の場合、線状化されたPLPはパドロック中のヌクレオチド配列に相補的なZIPコード、および蛍光バーコードヌクレオチドの双方を有するストレプトアビジンおよび金ビーズに結合する。
本発明の別の局面においては、標的ヌクレオチド配列を検出するための方法は以下の段階を含む:
a.標的へのハイブリダイゼーションが可能な標的特異的配列を有する一つまたは複数のパドロックヌクレオチドプローブを、標的を含む試料に添加する段階;
b.パドロックヌクレオチドプローブを標的にアニーリングさせる段階;
c.ライゲーションによりパドロックプローブを環状化する段階;
d.結合対の第二の要素により被覆された固形支持体を使用し、パドロックヌクレオチドプローブを捕捉する段階;
e.固有切断配列での切断により、パドロックヌクレオチドプローブを線状化する段階;
f.固形支持体からパドロックプローブを溶出する段階;
g.固有プライマーを使用して、溶出されたパドロックヌクレオチドプローブを増幅する段階;
h.増幅を測定および検出する段階。
該方法において、増幅および増幅の測定は好ましくはOpen Array(商標)系(Bio Trove)で遂行される。本方法は選択的にパドロックヌクレオチドプローブの捕捉以前にNaOH変性段階を任意で含む。
結合対の第二要素は、PLP上で利用可能である結合対の第一の要素に結合すると考えられる。もし第一要素がデスチオビオチンの場合、第二要素はストレプトアビジンである。その場合、f.の溶出段階はビオチンを用いて遂行される。
もし固有切断配列がポリウラシル配列の場合、切断は好ましくはウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドヌクレアーゼIVを用いた処理により実施される。
本発明のさらなる局面は、ヌクレオチド配列の複合的検出のための、本発明に係るパドロックヌクレオチドプローブの使用である。本発明の次なる局面は、本発明に係る複数のパドロックプローブを含む試験キットであって、ここで各パドロックプローブは固有の標的を認識するよう設計される。
定義
「ハイブリッド」という用語は二本鎖核酸分子、すなわち、相補ヌクレオチドの間で形成された水素結合による二重鎖を意味する。「ハイブリダイズ」または「アニール」という用語は核酸配列の一本鎖が相補ヌクレオチドの間で水素結合を通して二本鎖らせん状部位を形成する過程を意味する。
「ライゲーション」という用語は、一つのヌクレオチドの5'リン酸基部分を第二のヌクレオチドの3'水酸基部分に共役することにより、酵素的に二つ以上のヌクレオチド配列を結合する過程を意味し、これにより、ポリヌクレオチド骨格(backbone)が無傷のままとなり、従って連鎖上の正常なヌクレオチド配列をもたらされると考えられる。ライゲーションのために使用される酵素はリガーゼである。
「増幅」は、少なくとも一つの核酸配列を鋳型とした、複数コピーの核酸配列または核酸配列に対して相補的な複数コピーの核酸配列の構築を意味する。本発明の方法は原理上、以下のような任意の核酸増幅方法の使用により遂行されうる:ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)(PCR; Mullis 1987、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号)、またはリガーゼ連鎖反応(Ligase Chain Reaction)(LCR; Barany 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 189-193; 欧州特許出願第320,308号)のような増幅反応、自己持続的配列複製(Self-Sustained Sequence Replication)(3SR; Guatelli et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874-1878)、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA; 米国特許第5,270,184号および第5,455,166号)、転写増幅系(Transcriptional Amplification System)(TAS; Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173-1177)、Q-βレプリカーゼ(Q-Beta Replicase)(Lizardi et al., 1988, Bio/Technology 6: 1197)、ローリングサークル複製(Rolling Circle Amplification)(RCA、米国特許第5,871,921号)、核酸配列ベース増幅(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)(NASBA)、切断断片長多型(Cleavage Fragment Length Polymorphism)(米国特許第5,719,028号)、等温キメラプライマー開始核酸増幅(Isothermal and Chimeric Primer-initiated Amplification of Nucleic Acid)(ICAN)、分岐-拡張増幅法(Ramification-extension Amplification Method)(RAM、米国特許第5,719,028号および第5,942,391号)またはDNAの増幅のための他の適切な方法。増幅産物はアンプリコン(amplicon)と称される。本発明で使用される増幅はJwa-Min Nam, Savka I. Stoeva and Chad A. Mirkin. Bio-Bar-Code-Based DNA Detection with PCR-like Sensitivity. JACS, 126, 5932-5933 (2004)により記載されるBioBarCode増幅(BCA)も含む。これは、原型の複数コピーが作製されるという意味において増幅ではないが、シグナルの増幅を構成する。
「プライマー」という用語は本明細書において増幅標的(「プライマー結合部位」)にアニーリングできるオリゴヌクレオチドを意味し、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に置かれた場合、すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼのような重合作用のための試薬の存在下、適切な温度およびpHにおいて、ポリメラーゼを付着させることによりDNAまたはRNA合成の開始点として機能する。(増幅)プライマーは、好ましくは増幅における最大効率のため一本鎖である。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは重合作用のための試薬の存在下において伸長産物の合成を開始できるよう十分に長くあるべきである。プライマーの正確な長さは、温度およびプライマー源を含む多数の因子に依存すると考えられる。通常、PCR増幅のようなDNA増幅の技術分野において一般に使用されるプライマーは、一つのフォワードプライマーおよび一つのリバースプライマーを含むセットである。従って、標的DNA上の「プライマー結合部位」も、一つはフォワードプライマーおよび一つはリバースプライマーのセットとして存在する。
発明の詳細な説明
本発明はとりわけ複合的アッセイにおいて、パドロックプローブ(PLP)の使用に付随する問題の一つである、連続的なPCR段階における未ライゲーション型PLPのバックグラウンド増幅に対する解決策を提供する。パドロックプローブも交差反応的ライゲーションの結果として、線状二量体を形成する傾向を有しており、対応するライゲーション産物は容易にエキソヌクレアーゼ消化により環状化プローブと区別されうる。エキソヌクレアーゼ処理によりそのような線状モノマーおよびダイマーの分子数をほぼ三桁の規模減少させ、環状化プローブへの影響は無視できる。
未反応プローブの除去により、さもなければ大量の線状プローブにより、偶然のプライマーまたは重合産物の鋳型化を通して起こりうる、ライゲーションと独立した増幅事象をさらに減少させる。これはエキソヌクレアーゼ処理されたプローブを、プローブ中に導入された固有の部位で切断し線状化することにより実施されうる。プローブまたは標的ヌクレオチド中で多数起こることを回避するため、切断部位は固有のものであることが最も重要である。従って、制限酵素により認識および切断される制限部位を使用することは可能であると考えられるが、その場合、その部位は試料ヌクレオチド材料中に基本的に存在すべきではなく、かつ各パドロックプローブ中で一回のみ出現するべきである。そのような配列のいくつかの例は、酵素C EcoO109Iにより切断されるCTAAGNNNNNCTTAG(Nは任意のヌクレオチドを意味する);酵素F-TflIにより切断される
Figure 2009516525
;酵素F-TflIIにより切断される
Figure 2009516525
;酵素F-TflIIにより切断される
Figure 2009516525
;酵素H-DreIにより切断される
Figure 2009516525
酵素I-BmoIにより切断される
Figure 2009516525
である。
しかしながら、これらの全ての酵素は二本鎖DNAのみを切断する。DNAを二本鎖とするために、パドロックプローブ中で構築された部位の相補鎖が添加されるべきであり、これは続いてパドロックにアニーリングし、短い二本鎖配列を形成する。続く制限酵素の添加によりパドロックが切断され、かつ線状化されるであろう。
あるいは、Hardenbol et al.(前記)は、ウラシル-N-グリコシダーゼを用いたウラシル脱プリンおよび熱段階を用いた糖鎖骨格の切断の使用により、一本鎖分子の状態に関するこの問題のための異なる解決策を記載した。しかしながら、これにより骨格の効率的な切断は導かれず、従って、増幅反応の間の混入が残留することが見出された。本発明に従い、熱段階の代わりにエンドIV(EndoIV)ヌクレアーゼを使用することは極めてより効果的であり、これによりバックグラウンドの混入を減少させ、かつアッセイの感度を上昇させる。
従って、一つの態様においては、本発明のPLPはプローブの線状化を可能にするため好ましくはポリウラシル部位を含む。好ましくは、固有切断配列は固有フォワードプライマー結合部位のすぐ5'側に導入され、切断後には線状分子の最も5'部分となる。同様に、切断においてリバースプライマー結合部位を線状分子の最も3'末端に残すため、固有リバースプライマー結合部位は、固有切断配列の5'に可能な限り近接して位置するべきである。
二つの汎用プライマー結合部位の間に、ライゲーションされた標的認識部位およびZIPコードが存在すると考えられ、アッセイにおいて特異的な反応を与えるために使用されるPLP部分の適切な増幅を保証すると考えられる。
ポリウラシル配列での切断の場合、ポリヌクレオチド末端でのデオキシリボースリン酸骨格の効率的な切断のため、エンドヌクレアーゼIVを用いた処理が遂行される。
さらに、増幅前のPLPの線状化により、標的部位にライゲーションされなかったPLPが増幅されないことを保証する。それらも固有切断部位で切断され、固有リバースプライマー結合部位のみを伴う一つの短いDNA断片、および固有フォワードプライマー結合部位を有する別の少し長い領域を残す。それらの断片はこれ以上結合しないため、汎用プライマーセットを使用した増幅段階でこれらの不完全なPLPに対する増幅産物を生産することは可能ではないと考えられる。従って、バックグラウンド(ノイズ)増幅シグナルが極めて低いと考えられるため、PLPの線状化により検出限界の上昇が得られる。
一方、特異的に認識される制限部位については、ウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドIVヌクレアーゼの適用において十分な切断を与える限り、部位の長さは固定され、ポリウラシル配列の長さは重要ではない。好ましくは、ウラシルヌクレオチドの領域は少なくとも二つのウラシル塩基を有する。原理上、ポリウラシル配列の長さの上限は存在せず、実際は合成の技術的要求により制限されると考えられる。
他の制限酵素部位もPLPを線状化するために使用可能であるが、いかなる標的ヌクレオチド、または、PLPのさらなる構築ブロックにも通常は存在しないと考えられるため、ポリウラシル部位が好ましい。従って、ポリウラシル部位は、アッセイの反応中に存在する他のヌクレオチドをほとんどまたは全く妨げる可能性がない、固有の部位を提供する。さらに、パドロックプローブが依然として一本鎖状態であり、従って相補オリゴヌクレオチドとのさらなる混合が必要とされないため、ポリウラシルの使用によりパドロックプローブの線状化が可能になる。また、使用されたウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドヌクレアーゼIVは反応中の他のヌクレオチドにいかなる否定的な影響をも有しない。
アッセイされるべき標的分子は、ゲノムDNA、cDNA、ミトコンドリアDNA、核DNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA等の任意の形態のDNAまたはRNAでありうる。ヌクレオチドの型は重要ではないが、標的は対応するパドロックヌクレオチドプローブにより特異的に認識されること可能でなければならない。
有利には、アッセイされる試料中に存在する標的ヌクレオチドは、100〜1000塩基対のより小さい断片に無作為に切断される。これは当業者に周知の標準的方法を使用して行われうる。そのような無作為の切断により、エキソヌクレアーゼ処理に対して(部分的に)残存すると考えられる非常に大きな標的分子へ、プローブが結合することを回避させる。
試料中の標的ヌクレオチドへの最適なハイブリダイゼーション反応のため、二つの標的特異的配列T1およびT2の融解温度(Tm)は異なる必要があることが見出されている。さらに、長い5'アームがアンカー(anchor)配列として機能しかつ短い3'アームの結合が平衡過程である、非対称PLP設計により、ほぼ一桁の規模、ミスマッチ識別を増加させることができる。Faruqiおよび共同研究者らはまた、非対称PLP設計の優位性を実証した(Faruqi, A.F., Hosono, S., Driscoll, M.D., Dean, F.B., Alsmadi, O., Bandaru, R., Kumar, G., Grimwade, B., Zong, Q., Sun, Z., Du, Y., Kingsmore, S., Knott, T. and Lasken, R.S. (2001) High-throughput genotyping of single nucleotide polymorphisms with rolling circle amplification. BMC Genomics, 2, e4.)。しかしながら、彼らのアッセイ条件および評価方法は、本発明で使用されたものとは非常に異なっていた。非対称設計のさらなる利点は、3'アームが卓越した特異性を保証してもよい一方で、長い5'アームは極めて安定であり、かつ標的群内の多型により引き起こされる潜在的ミスマッチを許容してもよいことであろう。試料中の標的配列の十分かつ特異的な認識のため、PLPは好ましくは約10〜約75ヌクレオチド長、より好ましくは約20〜約50ヌクレオチド長、および最も好ましくは約25〜約40ヌクレオチド長の5'アーム(T1)を含む。短い3'アーム(T2)は好ましくは約10〜約30ヌクレオチド長、より好ましくは約10〜約20ヌクレオチド長である。そのようなT1配列およびT2配列の例は表3Aに提供される。
本発明の中心点は、固有切断部位での切断により線状化されライゲーションされた全長PLPのみでなく、未反応試料ヌクレオチドおよび未ライゲーション型切断PLPから由来する短いPLP断片をも含む反応混合物より、環状化PLPを単離することが可能な場合、より良好な検出さえも達成されることである。環状化プローブの単離は、好ましくは結合対の第一の要素を保持するヌクレオチドの取り込みにより達成される。PLPの単離は、続いてPLPを結合対の第二の要素を保持する固形支持体と接触させ、かつ続いてPLPを結合させることにより達成される。結合後に、未反応ヌクレオチド配列は洗浄されることが可能で、その後、結合したPLPは固形支持体から溶出されうる。固形支持体は結合対の第二の要素を保持することができる、ビーズまたはカラムのような任意の物質でありうる。固形支持体の物質はこの種の生化学的手法において慣習的に使用される、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン等の任意の物質でありうる。
好ましい結合対は(デスチオ)ビオチン/ストレプトアビジンである。デスチオビオチン部分を保持するヌクレオチドを伴うPLPを提供することが、極めて適していることが見出されている。これにより、ストレプトアビジンで被覆された磁性ビーズへの結合が可能になり(Hirsch JD, Eslamizar L, Filanoski BJ, Malekzadeh N, Haugland RP, Beecham JM and Haugland RP. (2002) Easily reversible desthiobiotin binding to streptavidin, avidin, and other biotin-binding proteins: uses for protein labeling, detection, and isolation. Anal Biochem. 2002 Sep 15; 308(2): 343-57)、その後、未結合のヌクレオチドは洗浄されうる。ビーズに結合したPLPはストレプトアビジンで被覆された磁性ビーズへより強固に結合し、かつPLPを置換するビオチンの添加により遊離型になりうる。この系を用いて、最初の反応混合物中で標的を認識、かつハイブリダイズし、ならびに環状PLPを形成するためライゲーションされたPLP、の比較的純粋な単離産物を得ることが可能になる。しかしながら、固形支持体からの溶出が可能である限り、抗原/抗体、DNA/DNA結合タンパク質等のような、結合対の任意の他の要素も使用可能である。競合的結合物(デスチオビオチン/ストレプトアビジンの場合はビオチンのような)を添加することにより、または塩濃度、温度もしくはイオン強度を変化させることにより溶出が遂行される。
他の好ましい態様は、ポリウラシルを結合対の第一の要素として使用することである。これはポリA配列に結合し、例えばカラムのような固形支持体上で供給される。任意の未結合ヌクレオチドを除去するためにカラムを洗浄した後、パドロックヌクレオチドプローブは、上昇した温度または温和な塩基性溶液(0.1 M NaOH)で洗浄することにより溶出されうる。好ましくは、その後に続くいかなる増幅反応をも阻害しないよう(リバースプライマー結合部位の3'末端に位置し、従って増幅される配列の外側に留まる)、デスチオビオチン部位のような結合対の第一の要素を持つヌクレオチドが、固有リバースプライマー結合部位と固有切断部位との間に設置される。さらに切断部位から最低限の距離が必要である。
本発明者らは、もし結合対の第一の要素(実施例においてはデスチオビオチン)がこれらのヌクレオチドに非常に近接して結合している場合、ウラシル-N-グリコシダーゼがウラシル分子に接近できないことを見出した。本発明者らは、もし12ヌクレオチド以上がウラシルとデスチオビオチンとの間にある場合、分解が起こりうることを実験的に見出した(図20)。ポリTの使用は、二次構造に影響しうる無作為なヌクレオチド配列と比較してPLPの設計を有意に複雑化しないためである。二次構造を阻害しない限り、かつ増幅反応および/または標的ハイブリダイゼーション反応を阻害しない限り、このスペーサーの正確な配列は重要ではないと考慮される。従って、好ましくは少なくとも12個の同一のヌクレオチドの領域が使用される。
試料を、ストレプトアビジンのような結合対の第二の要素で被覆されたビーズまたは他の任意の支持体と接触させることにより、PLPの結合を引き起こし、一方、未結合型ヌクレオチドを含む残りの試料は、例えば緩衝溶液を用いた洗浄または物理的にビーズを分離することにより除去されうる。ストレプトアビジン結合からPLPを遊離させることは、デスチオビオチンよりストレプトアビジンに強固に結合し、かつストレプトアビジンに結合したPLPを置換すると考えられる、ビオチンを用いた競合反応によって比較的容易に達成されうる。これらの遊離型PLPは続いて溶液から溶出され、かつ精製型として取得される。
上述の様式でのPLPの単離により、後に続く増幅では擬似陽性の傾向が減少すると考えられることは当業者にとっては明らかであろう。
好ましくは、上記に記載されているように、PLPの単離および線状化段階は組み合わされる。これは、例えばポリウラシル部位での切断のようなプローブの線状化が、PLPがストレプトアビジンで被覆された固形支持体に付着している間に遂行されることを意味する。
線状化の後に、PLPは増幅のために適合させられる(鋳型として機能してもよい)。上で説明されたように、一般的な、およびウラシル部位での切断との組み合わせによる特異的なパドロックプローブの使用により、標的配列を認識し、標的配列にハイブリダイズ可能で、かつ標的部位にライゲーションしたPLPのみが増幅されることが保証される。従って、それらのPLPのみを増幅することにより、最初の試料中に存在した標的配列の真の提示が得られうる。
増幅後には、PLPは特異的なポリヌクレオチドを認識することが可能な任意の種類のアッセイを使用してアッセイされ得る。PLPの型に依存して、アッセイは様々である(下記)。特に複合的増幅の場合、好ましくはアッセイは(マイクロ)アレイ上で遂行される。PLPの選択に依存して、方法は定性的または定量的でありうる。
本発明の定量的方法と一致して、(例えば、ZIPコードまたは標的特異的配列T1もしくはT2により提供されうる)PLPの特異的配列は、標識を有する特異的捕捉分子(例えば、特異的配列にハイブリダイズすることが可能な配列)により認識される。生成されたシグナル強度は、既知量の特異的配列から生成された校正曲線と比較される。結果として、試料中の標的ヌクレオチド配列の量が算出されうる。従って、この技法は外部基準を使用する。
標識については、放射性同位元素、蛍光物質、化学発光物質およびフルオロフォアを伴う物質等が使用されてもよい。例えば、蛍光物質は、Cy2、フルオロX(FluorX)、Cy3、cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テキサスレッド(Texas Red)、ローダミン(Rhodamine)、Alexa 532等を含む。ヌクレオチドに標識を付加する方法は当技術分野において一般に公知である。
あるいは、本発明の定量的方法は内部基準に関連する。この方法では、既知量の一つまたは複数のマーカー標的ヌクレオチド配列が試料に添加される。これらは続いて、このマーカー標的ヌクレオチドに対して特異的に設計されたPLPにより認識されると考えられる。PLPは、試料中のそれらの標的ヌクレオチドを認識したPLPと同一の処理を受けると考えられる。アッセイを遂行する際、全てのPLPは特異的配列により検出され、かつ他のPLPにより生じたシグナルを伴うマーカー標的ヌクレオチドへ方向付けられるPLPにより生じたシグナルの比較により、試料中に存在する標的の相対量が示される。マーカー標的ヌクレオチドの濃度は既知であるため、他の標的ヌクレオチドの濃度が算出可能である。ある種の内部校正曲線を生成するために、誤差限度を減少させるため、数個の異なるマーカー標的ヌクレオチドが、増加した濃度において試料へ添加されうる。
本発明の別の好ましい態様においては、PLPの増幅および検出の双方ともにマイクロアレイで遂行される。OpenArray(商標)技術(BioTrove, Woburn, MA, USA)は現在、一つのプレート上での並行増幅および3000アッセイより多い試験を許容する(33 nLの容量を伴う各64個のいわゆるスルーホール(Through-Holes)を伴う48サブアレイ)。プライマーは穴に事前負荷され、一方、試薬と共に(精製された)試料は、アレイの疎水性表面によって提供される表面張力のために自動負荷される。増幅の検出は二本鎖DNAの存在の単純検出により行われる。これはエチジウムブロマイド(EtBr)およびSYBR Greenのようなインターカレート(intercalating)色素の使用により成されうる。あるいは、増幅産物はTaqMan(TaqMan)プローブのような汎用プローブを使用して、検出および定量されうる。TaqManプローブは両末端に蛍光色素を伴うプローブであり、かつPCR増幅の間に使用することが可能である。プローブは使用されるTaqポリメラーゼの5'エキソヌクレアーゼ活性により増幅の間に分解され、かつ蛍光の増加は増幅の間にリアルタイムで測定されることが可能であり、かつその様式において標的の定量が可能である(Livak KJ, Flood SJA, Marmaro J, Giusti W and Deetz K (1995). Oligonucleotides with fluorescent dyes at opposite ends provide a quenched probe system useful for detecting PCR product and nucleic acid hybridization. PCR Methods and Applications 4: 357-362参照)。
好ましい態様において、増幅産物を検出するためのTaqManプローブはロック核酸(locked nucleic acid)(LNA)ヌクレオチドを含む。ロック核酸(LNA)は非常に高い親和性を伴い相補標的分子(DNA、RNAまたはLNA)へ結合する合成核酸アナログである。同一のTmを有するプローブについて、LNAの有無を同時に比較すると、形成されたハイブリッドがたとえ単一のミスマッチ塩基対を含む場合でさえも、LNA型に関して結合親和性は実質的に減少する。この理由のため、LNAの存在するTaqManプローブは増加した特異性を示す(Koshkin, A. A., Nielsen, P., Meldgaard, M., Rajwanshi, V.K., Singh, S.K. and Wengel, J. (1998) LNA (locked nucleic acid): an RNA mimic forming exceedingly stable LNA: LNA duplexes. J. Am. Chem. Soc., 120, 13252-13253参照)。
本発明の別の好ましい態様においては、ZIPコードの検出はまた、パドロック中のヌクレオチド配列に相補的なZIPコードを有するアレイまたは金ビーズへ、パドロックヌクレオチドをハイブリダイズすることを通しても、直接的に遂行されうる。
ライゲーション検出反応では、一般的に事前増幅された標的DNAが、標準的なPLPのライゲーションのための材料として使用される。ライゲーションされたパドロックプローブはアレイ上でハイブリダイズされ、かつ、例えば、パドロックのデスチオビオチン部分に対して方向付けられた、ストレプトアビジンと共役した蛍光プローブAlexa(532)を用いて標識される。この方法はライゲーション後にエキソヌクレアーゼ段階を含み、かつパドロックヌクレオチドプローブの捕捉以前に水酸化ナトリウム変性段階を含む。溶出は水中で80℃段階またはビオチンを用いて遂行される。もし固有切断配列がポリウラシル配列の場合、切断は好ましくはウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドヌクレアーゼIVを用いた処理により実施されうる(図21および図22参照)。
ライゲーション型パドロックプローブの存在または非存在はBCA(bio-bar-code amplification、Jwa-Min Nam et al., 上記)を用いて可視化されうる。BCAは、新規の二成分のオリゴヌクレオチドで修飾された金ナノ粒子(NP)および単一成分のオリゴヌクレオチドで修飾された磁性微小粒子(MMP)、ならびに、続く、チップベースの検出法を使用したバーコードDNAの形態における増幅された標的DNAの検出に依存した、PCRを欠く標的増幅方法である(図23参照)。
このBCA検出反応では、標的DNAは標準的PLPのライゲーションの材料として使用される。この方法はライゲーション後にエキソヌクレアーゼ段階、およびパドロックヌクレオチドプローブの捕捉以前に水酸化ナトリウム変性段階を含む。結合対の第二の要素はPLP上で利用可能である結合対の第一の要素へ結合すると考えられる。もし第一の要素がデスチオビオチンならば、第二の要素はストレプトアビジンである。もし固有切断配列がポリウラシル配列ならば、切断は好ましくはウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドヌクレアーゼIVを用いた処理により実施されうる。線状PLPはストレプトアビジンに結合したままであり、パドロック中のヌクレオチド配列に相補的なジップコード、および蛍光バーコードヌクレオチドの双方を有する金ビーズが、ハイブリダイズすると考えられる(図24〜25)。近年、ナノ粒子ベースのバイオバーコード技術を使用した原理の証明により、DNAおよびタンパク質の双方が酵素的増幅反応を伴わずにPCRの感度で検出されうることが示されている(Christine D. Keating. Nanoscience enables ultrasensitive detection of Alzheimer's biomarker. PNAS, Feb 15, 2005, 2263-2264)。
本発明の典型的な好ましいPLPは、標準的パドロックプローブであり、図7に描写されるようなPRIロック(PRI-lock)プローブおよびLUNAプローブである。プローブは、Sambrook, J., Fritsch, E.F., and Maniatis, T., in Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, Vol. 1,2,3 (1989)の様な手引書に開示されているような通常の遺伝子工学的手法を使用して構築されうる。本発明での使用のため収集されるべきオリゴヌクレオチドは、標準的DNAまたはRNA化学合成機により合成されることが可能であり、または野生型で、天然に存在する配列の酵素消化に由来して取得されてもよい。慣習的な遺伝子工学的手法を使用して、一つまたは複数のヌクレオチドの挿入、置換または欠失により天然に存在する配列を改変することも可能である。
本明細書下記および実施例におけるこれらのプローブの一般的記載において、ポリウラシル配列は固有切断部位として解釈され、かつデスチオビオチン部分は結合対の第一の要素として解釈される。しかし上記で議論されたように、これらの態様の代替も本発明の範囲内であることが理解されるべきである。
上記に記載のポリウラシル配列の挿入は、上記で言及されたような当業者に周知である標準的手法により成されうる。もしデスチオビオチン部分が使用されれば、好ましくは市販のものが取得される。これらの部分はチミジンヌクレオチドへ共役されたデスチオビオチンとして市販されている。このヌクレオチドは標準的方法に準じてパドロックヌクレオチドプローブ中へ導入される。
以下に本発明でのこれらのプローブの作用がより詳細に説明される。
基本的原理―標準的パドロックプローブ
図7上部に描画されるような一般的構造に準じた標準的パドロックプローブ(PLP)は、それらのPLPセットが全て、汎用フォワードおよびリバースプライマー結合部位として命名される、同一の汎用フォワードおよびリバースプライマー結合部位を含む様式で設計される。これらのプライマー結合部位はフレキシブルであり、その限りにおいて、プライマー結合部位の配列はパドロックプローブの他の部分とは実質的に異なり、従って、汎用プライマーを使用する増幅段階がプローブの残りの相同配列により阻害されないよう注意が払われるべきである。
各標準PLPにおいて、試料中に存在すると予想される特異的標的配列へ結合するよう設計された、標的特異的配列の固有のセットが挿入される。標的特異的配列は固有のものであるべきで、これは試料中の一つの標的ヌクレオチド分子のみにハイブリダイスすることが可能であることを意味する。もちろん、試料中の標的ヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにおいて、標的特異的配列T1およびT2はお互いがライゲーションできるような様式で、方向付けられかつ設計されるよう注意が払われるべきである。これは、とりわけ、T1配列がセンス方向(すなわち、標的を5'から3'方向へ認識する)、かつT2配列がアンチセンス方向であるか、またはその逆であるかであるべきことを意味する。さらに、PLPは最終的にPLPの検出に役割を果たすと考えられる固有のZIPコードを含む。このZIPコードに関しては、PLPセットの各PLPが固有のZIPコードを有しかつアッセイにおける検出で役割を果たすことが可能であること以外には、いかなる機能的制限も存在しない。この目的のため、供与されたPLPセットのために使用されるZIPコードは、増幅段階のような、方法の他の段階に影響を与えないようにするため、好ましくは同一の大きさおよび特性のものであるべきである。好ましくは、ZIPコードはGeneFlex(商標)TagArrayセット(Affymetrix)または任意の他の類似のライブラリーに由来し、選択される。
PLPの他の要素(ウラシル部位、デスチオビオチン部分)は上記に記載されている。
これらのプローブセットが一旦産生されれば、標的特異的配列T1およびT2の試料中の標的配列へのアラインメントおよびハイブリダイゼーションに最適な条件下において、試料へ添加されることが可能である。ハイブリダイゼーション反応が完了する際、標的配列へハイブリダイズしたPLPは反応混合物への酵素リガーゼの添加によりライゲーションされる。その後、好ましくは未ライゲーション型DNAがエキソヌクレアーゼ分解により除去される。このエキソヌクレアーゼ処理は3'〜5'エキソヌクレアーゼ、もしくは5'〜3'エキソヌクレアーゼのいずれか、または双方、または両活性を組み合わせたエキソヌクレアーゼを用いて遂行される。本発明にとって、これらのエキソヌクレアーゼがいかなるエンドヌクレアーゼ活性をも有さないことが最も重要である。
次に、プローブは例えば、ストレプトアビジン共役した磁性ビーズ(または、ストレプトアビジンが固定化されたカラムもしくは膜のような、別の、ストレプトアビジンで被覆された固形支持体)に捕捉され、かつ試料から分離される。続いて、プローブは十分量のウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドIVヌクレアーゼの添加によりウラシル部位で切断される。
これは、とりわけ、未ライゲーション型パドロックプローブのZIPコードプローブ領域が除去され、一方ライゲーション型プローブは線状化されることを意味する。プローブは続いてビオチン水溶性溶液、または水中での80℃処理を用いてビーズから溶出される。
最終的に、溶出されたプローブは汎用プライマー(そのうちの一つが標識されている)を使用したPCRを用いて増幅される。続いてアンプリコンは、例えば、ZIP配列に相補的な配列がスポットされたマイクロアレイ上でハイブリダイズされる。
PRIロックプローブ
PRIロックプローブの一般的構造は以下に説明されるように、汎用ジップコードが任意の特徴であるとの注記を伴う図7中央部に与えられている。上述の標準的パドロックプローブとの違いは、プライマー結合部位が固有プライマー結合部位であり、一方任意のZIPコードは汎用性である点に注意。
PRIロックプローブの他の全ての要素は標準的パドロックプローブと類似しており、かつ上述のように適用可能である。また、PRIロックプローブのハイブリダイゼーション、ライゲーション、線状化および溶出は上記のものと同一である。
汎用ZIPコードはTaqManプローブのような汎用プローブへハイブリダイズ可能であるよう設計される。
適用された手法の模式図が図9に要約されている。複数のPRIロックプローブは断片化された標的DNAにライゲーションされる。標的認識は両アーム配列の特異的ハイブリダイゼーションにより達成され、かつ末端ヌクレオチドが標的に完全に一致する場合のみ効率的ライゲーションが起こる。従って、プローブは優れた特異性を与える。ライゲーション後に、プローブはストレプトアビジンで被覆された磁性ビーズにデスチオビオチンを介して捕捉され、かつデオキシウラシルヌクレオチドにおいて切断される。ライゲーション混合物および未ライゲーション型プローブのTaqManプローブ領域は数回の洗浄段階により除去され、未ライゲーション型プローブの存在によるバックグラウンドを排除する。残りのプローブは水溶性のビオチン溶液において、または80℃保温段階の後に溶出され、ライゲーション型プローブは各標的に対する固有のプライマー対を使用したリアルタイムPCRでアッセイされる。
提案された手法の線形定量範囲はライゲーション段階およびリアルタイムPCRの双方に依存する。オリゴヌクレオチドのライゲーションは標的量をよく反映することが示されており、かつ複合的設定における遺伝子発現および遺伝子コピー数の特徴付けに成功裡に使用された。
標的認識段階が下流工程から分離されるため、OpenArray(商標)系(BioTrove)と組み合わせたPRIロックは、高処理量で定量的な複合的DNAアッセイ法の、フレキシブルおよび容易に改変可能な設計のために有用である。プライマー結合およびTaqManプローブ部位は、最小限の交差ハイブリダイゼーションを有するように選択された、人工的でよく平衡のとれた配列セットから選択された(例えば、GeneFlex(商標)TagArraysセット(Affymetrix))。
そのような設計により汎用PCR条件下での理想的な増幅が保証され、かつ単一の汎用TaqManプローブの使用が可能になる。従って、系は対費用効果が高く、容易に改変可能であり、かつ、新たに出現した病原体のような他の標的へさえも拡張可能である。
またPRIロックプローブから汎用ZIPコードを省略することも可能である。その場合、成功裡の増幅の検出は二本鎖DNAを検出することにより達成される。二本鎖DNAを検出する多数の方法が存在するが、当技術分野においては、ほとんどの場合いわゆるインターカレート色素、すなわちヌクレオチドが二本鎖の場合にのみ付着する色素の使用により達成される。そのような色素で最も公知の例はエチジウムブロマイド(EtBr)であるが、この色素の使用は毒性のため不都合である。有用な代替はSYBR Greenであり、市販の色素である(例えば、InvitrogenまたはApplied Biosystems由来)。もし混合物中に二本鎖DNAが存在すれば、PCR混合物への色素添加により容易な出力が提供され、これは、成功裡の増幅、すなわち標的の存在を示唆する。
LUNAプローブ
LUNAプローブも上記に記載された標準的パドロックプローブの変種であり、違いは汎用フォワードプライマー結合部位がT7ポリメラーゼ認識部位を含むことである。ハイブリダイゼーション反応が完了する際、標的配列へハイブリダイズしたPLPは酵素リガーゼの反応混合物への添加によりライゲーションされる。その後、好ましくは未ライゲーション型DNAがエキソヌクレアーゼ分解により除去される。このエキソヌクレアーゼ処理は、3'〜5'エキソヌクレアーゼもしくは5'〜3'エキソヌクレアーゼのいずれか、または双方、または両活性を組み合わせたエキソヌクレアーゼを用いて遂行されうる。本発明にとって、これらのエキソヌクレアーゼがいかなるエンドヌクレアーゼ活性をも有さないことが最も重要である。次に、プローブは例えば、ストレプトアビジン共役した磁性ビーズ(ストレプトアビジンが固定化されたカラム、もしくは膜のような、別の、ストレプトアビジンで被覆された固形支持体)を使用して捕捉され、かつ試料から分離される。続いて、プローブは十分量のウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドIVヌクレアーゼの添加によりウラシル部位で切断される。リバースプライマーの添加およびAMV逆転写酵素の存在により、T7部位はRNAポリメラーゼが接近しやすくなり、これは全てのLUNAプローブに共通でかつ固定温度での一般的NASBA増幅の開始点として使用される(Compton, J, 1991, Nature 350: 91-92.; Kievits, T, van Gemen, B, Van Strijp, D, Schukkink, R, Dirks, M, Adriaanse, H, Malek, L, Sooknanan, R and Lens, P. 1991, J. Virol. Methods 35: 273-286; Leone, G, van Schijndel, H, van Gemen, B, Kramer, FR, and Schoen, CD. 1998, Nucleic Acids Research 26: 2150-2155.)。NASBA反応は増幅(3)を生産するための二つのプライマーと共に、AMV逆転写酵素(RT)、RNアーゼH (RNaseH)およびT7 RNAポリメラーゼの同時活性に基づく。この過程は単一の温度(41℃)で起こる。
生み出されたssRNAは固有の標的依存的同定を許容するよう設計された識別配列(ZIPコード)を介して個々に検出される。図14はこれらのLUNAプローブを用いた一般的アッセイ法を描写する。
増幅産物を解析するため、i)アレイ上またはii)溶液中における検出のための二つの異なるアプローチ(図19)が続けられうる。
i)アレイ上
アレイベースの複合的解析アプローチを用いて、増幅産物は、遊離した3'末端を有する相補ZIP(cZIP)-Codeオリゴヌクレオチドが固定化された(図14)異なるマトリクス(アレイまたはLuminexビーズ)上に収集される(Gordon RF, McDade RL, 1997, Multiplexed quantification of human IgG, IgA, and IgM with the Flowmetrix system. Clinical Chemistry, 43: 1799-1801)。アレイを用いて、プローブアドレスで参照できる部位が標的同定のため使用される。Luminexビーズは色彩コードされたビーズである;特徴的なLuminexビーズを伴う増幅産物の対合が標的同定のタグとして使用される。Luminexアプローチを用いて、本発明者らは溶液中にアレイを有する。cZIP-Code配列(約20〜25ヌクレオチドの任意の非標的配列)の導入により、標的配列と独立した双方のマトリックス上での増幅産物の検出が可能になる。cZIP-Codeを含むアレイまたはLuminexビーズは独立しているため、記載されたアッセイ系は異なる適用分野へも改変可能である。
ii)溶液中
溶液ベースの複合的アプローチを用いて、固定温度において反応したパドロックプローブの増幅が汎用NASBAを用いて遂行される。異なるパドロックプローブ毎のZIP-Codeが、NASBAでのモレキュラービーコン(molecular beacon)のための認識部位として使用される(Leone, G. et al, 上記)。モレキュラービーコンはステムループ構造を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドである。ループ部分は標的核酸の相補配列を含み、一方ステムは標的とは無関係でかつ二本鎖構造を有する。ステムの一つのアームは蛍光色素を用いて標識され、かつ他のアームは非蛍光消光剤を用いて標識される。この状態で、エネルギーは消光剤へ移行されかつ熱として発散されるため、プローブは蛍光を産生しない。モレキュラービーコンが標的へハイブリダイズする際、蛍光体および消光剤を分離する立体配置的変化を経て、結合したプローブは明るい蛍光を発する(Tyagi, S. and Kramer, F.R. (1996) Nature Biotechnol., 14, 303-308)。この増幅の間、蛍光ベースの同定が遂行される。PLPとNASBAの組み合わせは、異なるRNA/DNA標的配列の複合的検出にとって新規であり、LUNA:リガーゼ依存的汎用NASBAと命名されている(図14)。とりわけ、PLPへのT7認識部位の取り込みおよびssRNAを生み出す汎用NASBAは、より低い標的検出レベルを許容する効率的な複合的検出方法の開発における新たな特徴である。この手法とマイクロアレイ技術を組み合わせることにより、異なる標的の複合的解析のための一般的手段となる。
実施例
実施例1:植物病原性微生物の複合的診断
本研究で使用された核酸
病原体は出願人の培養収集に由来した(表1)。ゲノムDNAは以前に記載されているように抽出された(Bonants, P., Hagenaar-de Weerdt, M., van Gent-Pelzer, M., Lacourt, I., Cooke D. and Duncan, J. (1997) Detection and identification of Phytophthora fragariae Hickman by the polymerase chain reaction. Eur. J. of Plant Pathol., 103, 345-355)。
パドロックプローブ設計
Genbank由来および独立した配列決定研究由来の関連核酸配列はBioEdit(http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit.bioedit.html)中に装備されているClustalWの使用により並列された。各標的群について診断配列が同定された。識別ヌクレオチドが3'アーム領域に結合し、かつある一定の安定性判断基準に一致すると考えられる様式において、潜在的なPLP標的相補領域が選択された(「結果」を参照)。アーム配列の結合強度を特徴付ける融解温度(Tm)がHyther(商標)(http://ozone2.chem.wayne.edu/)中に装備されている最短距離法を使用して算出された。予測パラメーターはライゲーション条件([Na+]=0.025 M;[Mg2+]=0.01 M;T=65℃および[oligo]=2.5*10-11 M)と一致するように設定された。特異性は密接に関連した非標的配列を伴うPLPの3'末端に、強固に不安的化するミスマッチを配置することにより保証された。表2Aおよび3A中に列挙された標的オリゴヌクレオチドを伴うPLPはEurogentec S.A.(Seraing, Belgium)により合成された。PLPアーム配列は汎用プライマー結合部位
Figure 2009516525
およびZipCode配列と組み合わせられた。固有の識別子はPLPの二次構造を最小限にする様式でGeneFlex(商標)TagArrayセット(Affymetrix)から選択された。二次構造予測はMFold(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/)の使用により遂行された。効率的なライゲーションを阻害する可能性がある強固な二次構造を回避するため、必要な場合はPLPアーム配列も調節された。
ライゲーションおよびエキソヌクレアーゼ処理
ゲノムDNAはEcoRI、HindIIIおよびBamHI(New England Biolabs)を使用した30分間の消化により断片化され、かつ示された量で鋳型として使用された。サイクル化ライゲーションは、20 mM Tris-HCl pH 9.0、25 mM KCH3COO、10 mM Mg(CH3COO)2、10 mM DTT、1 mM NAD、0.1% Triton X-100、20 ng超音波破砕サケ精子DNA、2.4 U Taqリガーゼ (New England Biolabs)、および25 pM PLPを含む10 μL反応混合物中で遂行された。複合的検出のため、個々のPLP濃度は比較可能な工程を成し遂げるよう調節され、25〜200 pMの範囲であった。反応混合物は氷上で作成され、かつ迅速にサーマルサイクラーへ移行された。95℃で5分間の後、20サイクルの95℃、30秒間および65℃、5分間の工程が遂行され、続いて95℃で15分間不活性化された。ライゲーション後、10 μLのエキソヌクレアーゼ混合物(10 mM Tris-HCl pH9.0、4.4 mM MgCl2、0.1 mg/ml BSA、0.5 UエキソヌクレアーゼI(USB)、および0.5 UエキソヌクレアーゼIII(USB))が各反応へ添加され、かつ試料は37℃で2時間保温され、続いて95℃で2.5時間不活性化された。
リアルタイムPCR
ライゲーションされたPLPの増幅はABI Prism 7700 Sequence Detector System(Applied Biosystems)およびqPCRキット(Eurogentec)を使用してリアルタイムで続けられた。25μLの反応混合物は、2.5μL 10Xリアルタイム緩衝液、3 mM MgCl2、dTTP/dUTPを含む200 nMの各dNTP、100 nM P-Frag TaqManプローブ
Figure 2009516525
、300 nMプライマーP1-f20
Figure 2009516525
、およびP2-r20
Figure 2009516525
、0.6 U Hot Gold Start polymerase、0.6 U UNGおよび、鋳型として3 μLライゲーション-エキソ混合物を含んだ。反応混合物は当初50℃で2分間保温され、続いて95℃10分間の変性、ならびに40サイクルの95℃、15秒間および60℃、1分間の工程が続いた。蛍光は各サイクルの第二段階で記録された。
LATE-PCR
マイクロアレイハイブリダイゼーションのため、環状化PLPは、大量のssDNAアンプリコンを産生するためにLATE-PCR(linear-after-the-exponential PCR)(Sanchez, J.A., Pierce, K.E., Rice, J.E. and Wangh, L.J. (2004) Linear-after-the-exponential (LATE)-PCR: an advanced method of asymmetric PCR and its uses in quantitative real-time analysis. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 101, 1933-1938.)で増幅された。プライマーの長さは、10倍の濃度の違いにもかかわらず同様の融解温度を有するよう調節された。PLPは1X Pfu緩衝液(Stratagene)、200 nM各dNTP、500 nM Cy3またはCy5標識されたP1-f19プライマー
Figure 2009516525
、50 nM P2-r20プライマー、0.375 U Pfu(Stratagene)および3 μLのライゲーション-エキソ混合物を鋳型として含む25 μLの反応混合物中で増幅された。反応の温度プロファイルは以下であった:95℃で5分間、40サイクルの51℃、2秒間、72℃、5秒間および95℃、15秒間の工程が遂行され、その後反応物は直ちに10℃で冷却された。PLPのアンプリコンはアレイへの適用前にアガロースゲル電気泳動で解析された。
マイクロアレイ調製
C12リンカーおよび5'NH2群を保持する相補ZipCode(cZipCode)オリゴヌクレオチド(図4)が合成され、かつ製造業者の使用説明書(Schott Nexterion)に従いNexterion MPX-E16エポキシ被膜スライド上にIsogen B.V.(Utrecht, The Netherlands)によりスポットされた。端的には、50 nLの1.5 mM cZipCode溶液はSMP4ピン(Telechem)が装備されたOmniGrid100接触分配系(Genomic Solutions)を使用して50%の相対湿度でスポットされた。75%湿度で1時間保温後、非共役プローブは65℃で30分間、300 mMビシン(bicine)pH8.0、300 mM NaCl、および0.1% SDS中で洗浄により除去され、続いて脱イオン水でリンスおよび250 gで2分間の回転により乾燥された。アレイは使用まで乾燥器中に室温暗所で保管された。
マイクロアレイハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションに先立ち、アレイは洗浄され、かつ製造業者の使用説明書に従い官能基がブロックされた。ハイブリダイゼーション混合物は3 M TMAC、0.1%サルコシル(sarkosyl)、50 mM Tris-HCl pH8.0、4 mM Na2EDTA中で5 μLのCy3標識された試料、および5 μLのCy5標識されたバックグラウンド対照試料により構成された。Cy5標識されたハイブリダイゼーション対照は50 μlの最終容量中、20 pMの最終濃度で添加された。各スライドについて、ハイブリダイゼーション試料のうち一つは同一の陽性ライゲーション反応に相当するCy5およびCy3標識アンプリコンを含み、これは色素偏向の補正に役立った(色素補正試料)。混合物は99℃で10分間熱せられ、かつ氷上で迅速に冷却された。サブアレイのための分離チャンバーを作製するため、16穴シリコン高次構造(Schott Nexterion)がアレイへ装着された。各穴へ40 μlの試料を添加後、チャンバーは密閉され、かつアレイは55℃において高湿度で一晩ハイブリダイズされた。後に隔離器が除去され、かつスライドは55℃で5分間事前保温された1X SSC/0.2% SDS中で一度、ならびに室温でさらに1分間、各々、0.1X SSC/0.2% SDS中、および0.1X SSC中で二回洗浄された。最終的に、スライドは250 gで2分間の回転により乾燥された。
マイクロアレイデータの解析
マイクロアレイは、Cy3のためのGreNe 543 nmレーザー、およびCy5蛍光測定のためのHeNe 633nmレーザーを含む共焦点ScanArray(登録商標)4000レーザースキャン系(Packard GSI Lumonics)を使用して解析された。レーザー出力は双方のレーザーとも70%で固定され、一方PMT(photomultiplier tube power)はシグナル強度に依存して45〜65%の範囲であった。蛍光輝度はQuantArray(登録商標)(Packard GSI Lumonics)を使用して定量され、かつパラメーター「平均シグナル-平均局部バックグラウンド」(平均Cy3-Bまたは平均Cy5-B)、および「平均局部バックグラウンド」(B)は更なる算出において使用された。色素補正係数は、同一であるが異なる色の試料がハイブリダイズしたサブアレイに基づき、各スライドおよびスキャナー設定について別々に算出された(陽性スポットに基づく(平均Cy3-B)/(平均Cy5-B)の平均値)。他のサブアレイのアッセイバックグラウンドはスポットごとに「平均Cy5-B掛ける色素補正係数」として算出された。絶対シグナル輝度は「平均Cy3-B引くアッセイバックグラウンド」と定義され、かつログスケールに変換された(シグナル= log2(絶対シグナル))。もし「平均Cy3-B」が「アッセイバックグラウンド」より低い場合は、シグナルはゼロと評価された。シグナルの有意性を評価するため、本発明者らは対応するアッセイバックグラウンドと比較し、かつ信頼性係数と称されたlog2(絶対シグナル/アッセイバックグラウンド)を算出した。プローブは三つ組で3回スポットされた(9つ並列)。アウトライアー(outlier)を排除した後、シグナルおよび信頼性係数がプローブについて平均化され、かつ標準偏差(SD)が算出された。プローブのシグナルは、信頼性係数が1より高い場合は陽性とみなされ(すなわち、シグナルはアッセイバックグラウンドの最低二倍)、かつ平均のCy3シグナルは平均の局部Cy3バックグラウンド(カットオフ値)の二倍より高かった。
結果
ライゲーション特異性およびPLP設計ストラテジーの評価
非常に類似した非標的DNA分子が標的DNAより極めて高濃度で潜在的に存在しうるため、診断適用のためにはライゲーションにおける高い識別力が最も重要である。従って、本発明者らは診断アッセイ設計が後に外挿されうるよう、単一ミスマッチの最大限の識別のための反応条件およびPLP設計を最適化することを目標とした。
アッセイ条件下でのライゲーションの識別力を特徴付けるため、本発明者らはリアルタイムTaqMan PCR(図1)を使用して環状化PLPを定量した。リアルタイムPCRの定量範囲は最低五桁の規模で線形であり、増幅効率(E)は0.81であることが見出された(図2、挿入部)。
ライゲーション条件を最適化する実験系は、フィトフトラ・フラガリエのITS領域を標的とするPLP P-frag、および対応する合成の標的および非標的オリゴヌクレオチド(表2A)からなる。最初に、本発明者らは様々な反応条件を試験し、65℃、5分間の20サイクルからなるサイクル化ライゲーションにより、良好な識別、十分なライゲーション産物の収率、および潜在的二次構造からの解放が提供されることを見出した(データは示していない)。反応混合物はまた、過剰量の非標的DNAを提供する役割を果たす、20 ngの超音波粉砕サケ精子DNAも含んだ。全ての後に続く実験はこれらの条件下で遂行された。オリゴヌクレオチドD0〜D6を標的として、本発明者らはPLP P-fragの識別力がいかにミスマッチの型および位置に依存するかを試験した(表2B)。識別係数は、リアルタイムPCRにより決定される、標的およびミスマッチオリゴヌクレオチドのライゲーション産物の収率における倍差として定義された。以前の結果(10)と一致して、PLPの3'末端に位置するミスマッチは強く識別され、一方5'末端に位置するものは極めて低い特異性を提供した。より低い程度であったが、ミスマッチの型も重要であることが見出された。一般に、最短距離パラメーターは異なるミスマッチの不安定化効果を示しうるようであった。シトシンを含むミスマッチヌクレオチド対はより良好に識別され、一方、G-T対(5'末端における)はライゲーション効率にほとんど影響しなかった。
次に、本発明者らは異なるPLP設計ストラテジーによりさらに識別力が改善されるかどうかを調査した。上記に記載されている対称設計とは別に、本発明者らは二つの非対称設計原則を試験した。本発明者らは同一のPLPを使用したため、可変アームの長さの効果は、標的オリゴヌクレオチドのプローブ相補配列を変化させることにより模倣された(表2A)。最初に、本発明者らは、識別力を増加させるため、3'アームに対するプローブ相補配列を短縮するとともに、プローブの安定的結合を保証する5'アーム相補配列を対応させて延長した(オリゴヌクレオチドA1およびA1C)。第二のストラテジーは、3'アーム相補配列の中央に不安定化ミスマッチを挿入することを含み、かつプローブの結合は5'アームを延長させることにより同様に安定化された(オリゴヌクレオチドA2およびA2C)。結果として、5'アーム配列の融解温度(Tm)が反応温度より高くなり、一方3'の融解温度はそれより約20〜30℃低かった(表2C)。PLPの5'アームのハイブリダイゼーションにより3'アームの結合がほとんど単分子反応になるため、本発明者らはこれらのTm値は実際の結合条件の示唆に過ぎないと信じる。本発明者らはそのような設計原理により、結合および非結合3'アームの間での平衡過程がもたらされ、これにより特異性が増加しうるであろうと仮定した。予想通りに、双方の非対称設計ストラテジーは3'C-Cミスマッチを伴う非標的オリゴヌクレオチドに対するPLP P-fragの識別力を有意に増加させた(表2Cおよび図2)。内部ミスマッチと同程度にはライゲーション収率を減少させなかったため、3'アーム配列の短縮はより効率が良いことが立証された。対称設計によりもたらされた175の識別係数と比較して、本発明者らはこのストラテジーを使用して、1477の識別係数を成し遂げることを可能にした。従って、本発明者らは植物病原体を検出する診断系のためのプローブを産生するため、このPLP設計を選択した。内部ミスマッチは、短い3'アーム配列を含むストラテジーと比べTmのより少ない減少をもたらしたが、ライゲーション効率をより減少させたことに注目するのは興味深い。本発明者らは、この現象は、ライゲーション反応を妨げる可能性があるdsDNA二次構造の乱れのためであると信じる。
診断パドロックプローブの設計および試験
上記の原則に基づき、本発明者らは10種の経済的に重要な植物病原体を標的にするPLPを設計した(表3A)。本発明者らは各場合において、rRNAオペロンのITS領域内に識別エリアを選択した。これは、それらが高コピー数(1)であり、これはアッセイの感度を有意に増加させる可能性があるためである。さらに、ITS領域は系統学的研究においても広く使用されており(11)、かつ信頼できるアッセイ設計を保証する可能性のある、多数の配列が植物病原体について利用可能である。Genbankで利用可能な配列、および独立した配列研究から取得される配列が並列され、かつ各標的生物体の診断領域が選択された。好ましくは、本発明者らは、一つを上回る識別ヌクレオチドおよび標的種/亜群内での非常に少数の多型位置を含む領域を選択した。3'アーム配列は14〜18ヌクレオチド長でかつおよそ40℃のTmを有するよう選択された(表3B)。一般に、非標的配列へ結合した場合、3'アーム配列は識別領域へハイブリダイズし、かつ3'末端に高度に不安定化するミスマッチまたはギャップを含んでいた。5'アーム配列は27〜37ヌクレオチド長であった。階層的診断解析の試みとして、本発明者らは、全てのフィトフトラ(Phytophthora)種を標的にし、かつ関連するオオマイセテス(oomycetes)と区別する属特異的PLPも設計した。標的相補領域を選択した後、それらは汎用プライマー結合部位配列と組み合わせられ、かつ固有ZipCode配列が各プローブについて選択された。
開発されたプローブは標的核酸および最も類似した非標的配列を表示する合成オリゴヌクレオチドを使用して、感度および識別力について試験された。本発明者らがオリゴヌクレオチドを用いてPLPを試験する理論的根拠は、実行が容易であり、かつPLP特性を比較する信頼性の高いデータを提供するからであった。さらに、あるサブタイプの同定によりしばしば拡張的な特徴付けが必要になり、一方、他の分離株は、ほとんどが密接に関連した非標的生物体であり、外来性でかつ取得が困難であるかもしれない。従って、本発明者らは標的および非標的オリゴヌクレオチドを用いたPLPの初期試験は標準的アプローチとして適合可能であると提案する。
最終的解析はアレイ上で遂行されるため、効率的な増幅を成し遂げ、かつマイクロアレイハイブリダイゼーションにとって理想的である大量のssDNAを一段階で生産するため、本発明者らはLATE-PCRプロトコール(Sanchez, J.A. et al.、上記)を選択した。後に続く全ての実験において、この方法がライゲーション型PLPを増幅するために使用された。
固定量のPLPが個々の標的オリゴヌクレオチド、および幅広い濃度範囲で存在する関連する非標的オリゴヌクレオチドへライゲーションされた(図3A)。PLPの検出感度は、ゲル電気泳動によって評価され、陽性シグナルをもたらす標的オリゴヌクレオチドの最低量として定義された。標的オリゴヌクレオチドの最低量と非標的オリゴヌクレオチドの最低量との間の規模の違いは「識別範囲」と称された。各PLPの設計パラメーターと共にこれらの実験的特性は表3Bに示されている。
これらの値を現実のアッセイにおける予測特異性に対して外挿するため、本発明者らはまた、ゲノムDNAの希釈系列を用いてPLPの感度および識別範囲を試験した。PLP Phyt-sppの非標的生物体に最も類似しているピチウム・スプレンデンス(Pythium splendens)(Genbankアクセッション番号AF310336)の分離株は利用可能でなかったため、本発明者らは二つのヌクレオチドに基づきP. カクトルム(P. cactorum)とP. ニコチアネ(P. nicotianae)種を識別するPLP P-cacを用いてこの実験を遂行した。PLP P-cacおよびPLP P-nicの双方ともに約100ゲノム等量に相当する5 pgのゲノムDNAを使用して標的を成功裡に検出することが可能であった(Kamoun, S. (2003) Molecular genetics of pathogenic oomycetes. Eukaryot. Cell, 2, 191-199)(図3B)。この実験によりプローブは同様の、および十分な感度を有しており、かつゲノムDNAが良質であることが証明された。しかしながら、非常に高量(250 ng)のP. ニコチアネゲノムDNAにおけるPLP P-cacのライゲーションでさえも、いかなる識別可能なPLPアンプリコンも生じず、厳密な特異性を示している(図3C)。PLP P-cacの識別範囲は設計されたPLPセットにおいて一番低いため、本発明者らは全てのプローブは同起源(cognate)のゲノムDNA標的に特異的であるはずであると結論した。
検証−PLPベースの植物病原体の複合的検出
開発された11個のPLP混合物は様々なゲノムDNA上にライゲーションされ、エキソヌクレアーゼで処理され、かつCy3標識されたフォワードプライマーを使用したLATE-PCRへ供された。標識されたPLPアンプリコンは、単一スライド上で16試料の同時アッセイが可能である複数チャンバー、低密度汎用マイクロアレイ上で解析された(図4)。本発明者らの実験において使用されたタグアレイは、沈着エリア全体にわたり分布した90個のハイブリダイゼーション対照プローブと共に、9回の反復実験中で30個のプローブを含んだ。この配置により、他の病原体を標的にするPLPセットの今後の拡張が許容され、かつ高処理量のスクリーニングが可能になる(図8参照)。
マイクロアレイ検出の非常に優れた感度のため、本発明者らは標的DNAがライゲーション反応に存在しない場合でさえも、有意な蛍光シグナルが検出されうることを見出した。本発明者らの結果により、ライゲーション反応は高度に特異的であることが示されたため、本発明者らは観察されたシグナルはエキソヌクレアーゼ処理により完全には除去されなかった未ライゲーション型PLPの増幅に由来しているに違いないと結論した(「バックグラウンド増幅」)。この「アッセイバックグラウンドシグナル」はリガーゼ非存在下において測定されるシグナルに匹敵し、ライゲーション非依存性機構を示唆している(データは示していない)。ライゲーション非依存性シグナルを補正し、かつアッセイの検出閾値を規定するため、本発明者らはバックグラウンド対照試料を組み込み、これはライゲーションにおいていかなる標的DNAをも含まず、かつ同一の処理置に供された。それはCy5で標識され、かつCy3標識されたPLPアンプリコンと共に各アレイへハイブリダイズされた。Cy5チャネルで測定されかつ色素バイアスを補正されたアッセイバックグラウンドシグナルは、各スポットについてCy3シグナルから控除された。さらに、本発明者らは、シグナルとアッセイバックグラウンドとの比率を特徴付ける信頼性係数を算出した(log2(絶対シグナル/アッセイバックグラウンド))。
開発されたPLPを使用して、本発明者らは植物病原体の十分に特徴付けられた分離株のパネル由来のゲノムDNAを試験した(表1および4;図5a〜g)。各場合について、いかなる交差反応も伴わず、1 ngのゲノムDNAが特異的および確実に検出されることが可能であった。プローブの5'アーム配列に二つの近接したミスマッチを含むP. カクトルムを含む全てのフィトフトラ種はPLP Phyt-sppにより正確に認識された(表3A)。この多型は明らかに十分に許容され、陽性シグナルをもたらした。4つのプローブ(PLP P-cac、P-nic、P-infおよびV-dahl)についても極めて密接に関連した生物体のDNAを用いて解析が遂行されたが(表3B)、いかなる交差反応も認められず、卓越した特異性を示していた。PLPに対する同起源の標的DNAが存在しない場合には、本発明者らはいくつかのプローブについてあるレベルのCy3シグナルを認めた。しかしながら、それらは閾値の十分下で、正確に試料を陰性と同定した。ライゲーション標的の存在下では、PLPは環状化され、かつPCRで鋳型として機能しうる。結果として、ライゲーション型PLPの増幅は効率的に進行し、ライゲーション非依存性増幅を抑制し、かつ非同起源プローブの対応するシグナルは減少した。従って、上記の補正方法を使用により、アッセイバックグラウンドシグナルの控除のため、ライゲーション標的が存在する場合は、ほとんどのプローブについてゼロシグナルが評点された。
次に、本発明者らは、開発された診断系が数個の病原体を並行して検出する能力を評価した。三つの標的生物体による、等量のゲノムDNAの混合物が試験された(図5h〜j)。三つのうち二つの場合において、病原体は全ての四つの同起源のプローブにより正確におよび疑いなく同定され、属および種/亜群レベルでの検出をもたらした。第三の混合物の構成成分、P. カクトルム、R. ソラニAG4-1(R. solani AG4-1)およびV. ダーリエ(V. dahliae)も種/亜群特異的プローブを使用して正確に同定された。しかしながら、恐らくP. カクトルムDNAとの二つの近接したミスマッチのためPLP Phyt-sppシグナルは閾値の下であった。
複合的設定における系の感度を探索するため、本発明者らは過剰量の他の標的DNA存在下における、F. オキシスポルム(F. oxysporum)、およびM. ロリドゥム(M. roridum)の検出閾値を試験した(図5k〜l)。0.5 pgほどわずかのF. オキシスポルムDNAは1000のダイナミックレンジ(dynamic range)に相当する500 pgのM. ロリドゥムDNA存在下で検出が可能であった。逆の状況において、検出閾値は、500 pgのフザリウムDNA存在下でM. ロリドゥムについて5 pgであり、この系を使用して100の相互ダイナミックレンジが達成可能であることを示している。
実施例
原理の証明であるPRIロックプローブを実証する試験的規模の研究
設計
提案された原理を試験するための試験的規模の複合的検出系を作製するため、経済的に重要な植物病原体を標的として三つのPRIロックプローブが設計された(図7)。増幅を測定するため、LNA(ロック核酸(locked nucleic acids))を含む汎用TaqManプローブが設計された。アッセイの特異性は各プローブについて最も類似した非標的生物体のDNAを試験することにより実証されると考えられる(表5)。標的識別は単一または数個のヌクレオチドのみに基づいて達成されるので、この試験系は汎用基盤における極めて特異的、定量的な解析についてもPRIロックの潜在的可能性を示す。
単一反応におけるPRIロックの特異性
最初に、本発明者らは設計されたPRIロックプローブの同起源標的上への特異的ライゲーション、および、汎用TaqManプローブとの組み合わせにおける固有プライマー対の使用による特異的増幅を試験した。各PRIロックプローブは500 pg標的ゲノムDNA上でライゲーションされ、かつ使用されたPRIロックプローブに依存した特異的増幅は22〜25のCt値により観察された(図12)。標的DNA非存在下では、いかなるシグナルも観察されなかった。
複合的設定におけるPRIロックベースの検出の遂行
PRIロックベースの検出の遂行を評価するため、本発明者らは単一または複数の標的病原体を用いた複合的反応を遂行した(表6)。リアルタイムPCRで観察されたCt値が単一反応で観察されたものと比較された。
存在する全ての病原体が例外なく特異的に検出された。Ct値は複数プローブの存在により明らかには影響されなかった。さらに、複数の標的DNAも観察されたCt値において実質的な変化を伴わず検出され、アッセイにおける可能な競合による阻害が存在しないことを実証している。実際、検出のダイナミックレンジ(複合的反応において依然として検出可能な標的の最高比率)は、この系を使用する際の課題ではないことを意味する。予測されたように、本発明者らはまた、プライマーが各々のライゲーションされたPRIロックプローブ鋳型に完全に特異的であることを見出した。
定量の線形範囲を特徴付けるための予備実験
定量の線形範囲は、三つ全てのPRIロックプローブについて標的DNAの希釈系列を使用して解析された。生成された校正曲線は、後に続く実験において標的の定量のために使用可能である。現在のところ、本発明者らは三つのうち二つのPRIロックプローブについて、定量の線形範囲は四桁のみであることを観察ており、これは、より高い標的濃度においてライゲーション収率が標的濃度の増加に伴い線形様式ではもはや増加しないためである(図13)。計画された将来的適用においては、適用されたPRIロックプローブ濃度の実質的増加(100X)により定量範囲が有意に増加することが期待される。
実施例3
原理の証明であるLUNAプローブを実証する試験的規模の研究
背景
標的DNA上でのLUNAプローブのライゲーション後、任意の残留する非環状化(未連結)パドロックプローブがエキソヌクレアーゼ処理により除去されることが可能であり、続いて、デスチオビオチン部分とストレプトアビジン磁性ビーズとの結合によりプローブの捕捉が行われる。洗浄段階後、残留する環状化プローブは、5'T7 RNAポリメラーゼ認識部位と汎用リバースプライマー結合部位の3'末端との間に取り込まれたウラシルヌクレオチドの位置でウラシル-N-グリコシダーゼ/エンドIVヌクレアーゼを用いて消化される。全てのパドロックプローブに共通の相補T7部位の解離は、固定温度での一般的NASBA増幅の開始点として作用する(図14〜15参照)。
設計
上記の手法に従い(実施例1参照)、図7下部に示されるようなLUNAプローブが設計された。
図14に描写されているように、LUNAプローブハイブリダイゼーション、ライゲーション、エキソヌクレアーゼおよびグリコシダーゼ処理は以前に記載されているように遂行された。続いて、環状化および線状化LUNAプローブは、LUNAプローブ中に含まれるT7プライマー結合部位を利用して標準的NASBAにより増幅される。増幅された一本鎖産物はcZipCode配列がスポット/結合されたアレイまたはLuminexビーズへハイブリダイズされうる。Luminexビーズはフローサイトメトリーを用いて解析されうる。本実施例におけるライゲーション型LUNAプローブの増幅はMolecular Beaconを使用して測定される。
特異性
フィトフトラ・カクトルムおよびベルティシリウム・ダーリエの配列に基づき、2つの点突然変異特異的LUNAプローブが設計された。プローブの3'末端の突然変異は、突然変異が5'末端に位置する場合よりもより良好に識別される。プローブの特異性は非対称設計および高いライゲーション温度と共に大きく増加する。最適の設計において、LUNAプローブの3'アームは37〜40℃の融解温度(Tm)を有し、5'アームは65〜70℃のTmを有している。LUNAライゲーション段階の特異性は、密接に関連した(非)病原性種を用いて検証されており、かつ点突然変異特異的であるよう見受けられる。
二次構造および特にLUNAプローブのT7ポリメラーゼ認識部位はNASBA増幅の効率的な開始のために必須である。ウラシル-N-グリコシダーゼ/エンドIVヌクレアーゼによるLUNAプローブの線状化に続く、ストレプトアビジンで被覆された磁性ビーズを用いたプローブの選択的捕捉は、効率的NASBA増幅反応のため必須であるよう見受けられる。LUNAプローブの標的特異的Zip-Codeは、使用されたMolecular Beaconのハイブリダイゼーション部位として使用されている。それらの同定タグを用いて、等温のNASBAの定量を続けることが可能である。P. カクトルムおよびV. ダーリエに対する二つのLUNAプローブの識別子として、各々FAMおよびJOEで標識されたMBが設計されている(図16)。
遂行
複合性およびダイナミック検出レンジはこのLUNA検出系の重要なパラメーターである。それらのパラメーターを検証するため、植物病原性フィトフトラ・カクトルムおよびベルティシリウム・ダーリエのゲノムDNAが抽出され、かつ異なる濃度および比率において試験され、かつ伝統的PCRと比較された(図17、18)。
双方の標的の複合化は可能であるよう見受けられる;双方の標的の検出限界はpgの範囲であるよう見受けられる(図17)。それらの病原体のダイナミック検出レンジは少なくとも100であった(図18)。標的同定のため、次の段階は、cZipCodeオリゴがスポットされたアレイまたはcZipCodeオリゴに共役したLuminexビーズへの、ssRNA LUNAアンプリコンのハイブリダイゼーションであると考えられる。続いてアレイスキャン、フローサイトメトリーまたはMolecular Beacon検出により検出が遂行されうる(図19)。

(表1)実施例1において使用された植物病原性種および亜群の分離株
Figure 2009516525
(表2)
Figure 2009516525
PLP P-fragによる単一ミスマッチ識別の評価およびPLP設計ストラテジーの最適化。(A)ライゲーション特異性を特徴付けるために使用されたPLP P-fragおよび標的オリゴヌクレオチド。PLP配列は標的相補領域を示すため描かれている;5'および3'末端が示されている。相補オリゴヌクレオチド配列におけるミスマッチは逆転色により強調されている。線および斜線は連続的配列を示す。(B)ライゲーション効率およびミスマッチ識別に対する、ミスマッチの位置および型の効果。PLP標的相補領域の長さ(L)および融解温度(Tm)が示されている。ライゲーション型PLPを定量するためのCt値が三つの独立した実験において決定された。再現性を示すため、標準偏差とともにCt値の平均が示されている。識別係数はライゲーション産物の収率における倍差として算出され、△Ct値および増幅効率(E=0.81)に基づき決定された。(C)PLP設計ストラテジーの比較。PLPの特性は(B)に示されている。△Ctの算出において、Ct0は、各々の完全に一致する標的のライゲーション反応のCtを意味する。
(表3)
Figure 2009516525
(A)開発された診断PLPの標的相補領域およびZipCode配列。最も類似の非標的配列から標的を識別するために使用された、ヌクレオチドまたは欠失によるギャップには下線を引いてある。灰色の四角は標的群内における多型を示している。(B)PLPセットの設計および実験的特性。プローブは標的種/亜群にちなんで名付けられた。PLP標的相補領域の長さ(L)および融解温度(Tm)が示されている。既知の最も類似した非標的生物由来の標的配列を識別するヌクレオチドの数が各PLPについて示されている。感度は、標準的アッセイ条件下で検出可能であった、完全一致のオリゴヌクレオチドの最低濃度として定義された。識別範囲は標的および非標的オリゴヌクレオチドの間の最低検出濃度の規模の違いを示す。
(表4)
Figure 2009516525
Figure 2009516525
マイクロアレイ上での解析による、開発された複合的PLPセットを使用した病原体検出。各試料およびプローブの組み合わせについて、9回反復実験の平均値シグナル(±標準偏差)が上列左側に示されており、シグナルはlog2(平均Cy3-局所的バックグラウンド-アッセイバックグラウンド)として算出された。方法の信頼性は各スポットについて、信頼性係数と称される、log2(絶対シグナル/アッセイバックグラウンド)を算出することにより評価された。平均値(±標準偏差)は下列右に並列されている。陽性の判定基準は:平均Cy3>2*平均Cy3局所的バックグラウンド(カットオフ値)および信頼性係数>1であった。陽性シグナルは強調され、太字体で示されている。(A)単一病原体のDNA解析。(B)等比率で存在する病原体DNAの人工的混合物の試験。(C)検出のダイナミックレンジ:異なる比率でのミロテシウム・ロリドゥムおよびフザリウム・オキシスポルムのDNAの解析。
(表5)
Figure 2009516525
設計された各PRIロックに関する、病原体の標的群、および最も類似の非標的微生物。識別ヌクレオチドの数が示されている。
(表6)異なるPRIロックプローブおよび標的の組み合わせを含むライゲーション混合物について遂行されたリアルタイムPCR反応のCt値
Figure 2009516525
単一のミスマッチ識別を定量するための、通常のPLPライゲーションおよびリアルタイムPCRの模式図。(A)PLPは5'および3'末端に標的相補配列(T1、T2)を含み、汎用プライマー部位(P1、P2)および固有の認識ZipCode配列(Zip)に隣接している。(B)T1およびT2は標的の近接配列へ結合し、かつ完全一致の場合は、プローブはリガーゼにより環状化されてもよい(a)。ミスマッチを含有する分子は識別されることが期待され、かついかなるライゲーションも発生しない(b)。(C)未反応プローブはエキソヌクレアーゼ処理により除去される。(D)環状化プローブは二つの汎用プライマーを使用して増幅され、かつ増幅はZIPコードを検出するTaqManプローブを使用してリアルタイムで測定される。(E)異なる標的オリゴヌクレオチドを用いたライゲーション収率は、増幅の閾値サイクル(Ct)値に基づき正確に定量化されうる。 ミスマッチ識別のためのPLP設計を最適化するための代表的実験の増幅曲線。各ライゲーション標的は各試料に対して示されている(表2A)。挿入部には、増幅効率を決定するために使用されたリアルタイムPCRの校正曲線が示されている(E=0.81)。 診断PLPの感度および識別範囲は合成相補オリゴヌクレオチドおよびゲノムDNAを使用して評価された。(A) PLP P-infは各々、密接に関連した非標的および標的配列を代表するオリゴヌクレオチドの系列希釈にライゲーションされた。下表に示されるように、反応は陰性または陽性として評点された(「nt」は「無試験」を意味する)。検出閾値はアステリスクにより示唆され、かつ識別範囲の規模が示されている。(B)対応するPLPを使用したP. ニコチアネおよびP. カクトルムのゲノムDNAの希釈系列の検出。鋳型DNAは図上部に示され、一方使用されたPLPは下部に示されている。(C)非常に高いDNA量の存在下でさえも、P. ニコチアネのゲノムDNA上でのPLP P-cacのライゲーションは陽性シグナルをもたらさない。鋳型DNAの量は図上部に示されている。 マルチチャンバー汎用タグアレイの配置図。沈着の模式図およびcZipCodeプローブの配列。 病原体検出のための伝統的PLP技術の概略アプローチ(詳細は本文参照)。 汎用マイクロアレイ上の個別(a〜g)の、および複合的な病原体試料(h〜l)に対応するゲノムDNAの検出。解析された標的は以下である:(a)P. カクトルム;1 ng(b)P. ニコチアネ、1 ng;(c)P. ソーエ、1 ng;(d)R. ソラニAG4-2、1 ng;(e)M. ハプラ、1 ng;(f)F. オキシスポルム、1 ng;(g)M. ロリドゥム、1 ng;(h)Pyt. ウルティマム、500 pg;M. ハプラ500 pgおよびP. ニコチアネ、500 pg;(i)P. インフェタンス、500 pg;R. ソラニAG4-2、500 pgおよびM. ロリドゥム500 pg;(j)P. カクトルム、500 pg;P. ソラニAG4-1、500 pgおよびV. ダーリエ、500 pg。(k)F. オキシスポルム、0.5 pgおよびM. ロリドゥム500 pg;(l)F. オキシスポルム、500 pgおよびM. ロリドゥム、5 pg。 本発明の三つの好ましいプローブ、標準パドロックプローブ、PRIロックプローブおよびLUNAプローブである。 病原体検出のための新規に設計された標準PLPを用いたPLP技術の概略アプローチ(詳細は本文参照)。 一般的TaqMan検出との組み合わせによるPRIロックプローブベースの増幅の概略図(詳細は本文参照)。 OpenArray(商標)系(BioTrove)との組み合わせにおけるPRIロックプローブベースの複合的検出の概略図。 設計されたPRIロックプローブおよび汎用TaqManプローブの配列。PRIロックプローブの異なる部分は異なる書体により示されている。太字体:標的相補部位。斜体:リバースプライマー結合部位。下線:フォワードプライマー結合部位。灰色四角:汎用TaqManプローブ領域。デオキシウラシル切断部位、リンカーおよびデスチオビオチン部分は中抜きの四角で示されている。TaqManプローブ配列中のLNA(ロック核酸(locked nucleic acid))ヌクレオチドは大文字で示されている。 ライゲーションされたPRIロックプローブ上で遂行されたリアルタイムPCRの増幅プロット。PRI_M.ror、PRI_PhytおよびPRI_P.infのデータ点は各々○、◇、△で示されている。 PRIロックプローブライゲーションおよび後に続くリアルタイムPCRを使用した標的定量の校正曲線。Ct値はlog2の関数としてプロットされた(ライゲーションにおいて導入されたDNA濃度、fg/μLとして表現)。PRI_M.ror、PRI_PhytおよびPRI_P.infのデータ点および式は、各々▲、◆、■で示されている。定量の線形範囲内にないデータ点は、校正曲線式から省略された(中抜きの記号)。 LUNAプローブを用いた配列ベースおよび溶液ベースの複合的検出の模式図。 Molecular Beacon(AmpliDet RNA)との組み合わせにおけるNASBA反応の原理。 ベルティシリウム・ダーリエおよびフィトフトラ・カクトルムの検出のための二つのLUNAプローブの例であって、NASBAにおける標的、産生されたRNAのアンプリコンおよび産生されたRNAについての二つの特異的モレキュラービーコンである。LUNAプローブの異なる部分は異なる書式で示されている。太字体:標的相補部位。小文字:リバースプライマー結合部位。下線、斜体および大文字:T7認識部位。小文字および下線:フォワードプライマー結合部位。灰色四角:特異的ハイブリダイゼーション部位。デオキシウラシル切断部位、リンカーおよびデスチオビオチン部分は中抜きの四角で示されている。 特異性および感度を示す、二つのライゲーションされたLUNAプローブを用いて遂行されたリアルタイムNASBAおよびMolecular Beacon検出の増幅プロット。 感度およびダイナミックレンジを示す、二つのライゲーションされたLUNAプローブを用いて遂行されたリアルタイムNASBAおよびMolecular Beacon検出の増幅プロット。 LUNA技術の適用の模式図。LUNAプローブのハイブリダイゼーション、ライゲーション、エキソヌクレアーゼおよびグリコシダーゼ処理の後、NASBAが遂行される。産生されたNASBA RNAアンプリコンの可視化は、アレイ上、LuminexビーズまたはMolecular Beaconを用いて遂行されうる。 異なる長さのスペーサーを有するPRIロックプローブの、N-グリコシダーゼ-エンドIVによる切断。 Phi29、タンデムKlenowまたはリボソームPCRを用いた事前増幅、それに続くパドロックプローブを使用したライゲーション検出反応(LDR)により一般的増幅される複合的DNA試料の概略図。 ライゲーション検出反応を用いてゲノムDNAを事前増幅したリボソームPCRの検出。解析された標的は以下である:A. トゥメファシエンス、M. ハプラおよびV. ダーリエ。 DNA_BCAアッセイ法。(A)ナノ粒子および磁性微小粒子プローブ調製。(B)ナノ粒子ベースのPCRを欠くDNA増幅の模式図(Jwa-Min Nam, Savka I. Stoeva and Chad A. Mirkin. Bio-Bar-Code-Based DNA Detection with PCR-like Sensitivity. JACS, 126, 5932-5933 (2004)による)。 ライゲーションされた標準PLPのBiobarcodeベースのシグナル増幅の原理。 異なるライゲーションされた標準PLPの捕捉後のBiobarcodeベースの複合的シグナル増幅の原理。

Claims (26)

  1. 5'から3'の方向へ、
    a)標的特異的ヌクレオチド配列1(T1)
    b)一般的リバースプライマー結合部位
    c)結合対の第一の要素として作用する、またはそれを有する、ヌクレオチド配列
    d)固有切断配列
    e)一般的フォワードプライマー結合部位
    f)ZIPコード配列
    g)標的特異的ヌクレオチド配列2(T2)
    を含む標準的パドロック(padlock)ヌクレオチドプローブであって、
    ハイブリダイゼーション(および外側末端のライゲーション)後に該パドロックプローブが環状分子を形成するように、T1配列およびT2配列が同一標的上の近接するヌクレオチド領域に対して相補的であるように設計される、標準的パドロックヌクレオチドプローブ。
  2. 固有切断配列がポリウラシル配列である、請求項1記載のパドロックプローブ。
  3. ポリウラシル配列が結合対の第一の要素として機能する、請求項2記載のパドロックプローブ。
  4. T7 RNAポリメラーゼ認識部位も含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  5. T7 RNAポリメラーゼ認識部位が一般的フォワードプライマー結合部位の5'側に位置する、請求項4記載のパドロックプローブ。
  6. ZIPコードがアレイ上または他の要素上のヌクレオチド配列の相補鎖である、請求項1〜5のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  7. 5'から3'の方向へ、
    a)標的特異的ヌクレオチド配列1(T1)
    b)固有リバースプライマー結合部位
    c)結合対の第一の要素として作用する、またはそれを有する、ヌクレオチド配列
    d)固有切断配列
    e)固有フォワードプライマー結合部位
    f)標的特異的ヌクレオチド配列2(T2)、
    を含むパドロックヌクレオチドプローブ(PRIロック)であって、
    ハイブリダイゼーション(および外側末端のライゲーション)後に該パドロックプローブが環状分子を形成するように、T1配列およびT2配列が同一標的上の近接するヌクレオチド領域に対して相補的であるように設計される、パドロックヌクレオチドプローブ。
  8. 固有切断配列がポリウラシル配列である、請求項7記載のパドロックプローブ。
  9. 固有フォワードプライマー結合部位と標的特異的ヌクレオチド配列2(T2)との間に位置する汎用Zipコードを含む、請求項7または8記載のパドロックプローブ。
  10. 結合対の第一の要素がデスチオビオチンである、請求項1〜9のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  11. ポリウラシル配列が、2〜100ヌクレオチド、好ましくは2〜50ヌクレオチド、より好ましくは2〜255ヌクレオチド、最も好ましくは3〜10ヌクレオチドを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  12. 第一の標的特異的配列(T1)が、約10〜約75ヌクレオチド長、好ましくは約20〜約50ヌクレオチド長、および最も好ましくは約25〜約40ヌクレオチド長である、請求項1〜11のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  13. 第二の標的特異的配列(T2)が、約10〜約30ヌクレオチド長、好ましくは約10〜約20ヌクレオチド長である、請求項1〜12のいずれか一項記載のパドロックプローブ。
  14. 以下の段階を含む、標的ヌクレオチド配列の検出のための方法:
    a.標的へのハイブリダイゼーションが可能な標的特異的配列を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載のパドロックヌクレオチドプローブの一つまたは複数を、標的を含む試料へ添加する段階;
    b.パドロックヌクレオチドプローブを標的にアニーリングさせる段階;
    c.パドロックヌクレオチドプローブをそれ自体にライゲーションする段階;
    d.結合対の第二の要素により被覆された固形支持体と接触させることにより、パドロックヌクレオチドプローブを捕捉する段階;
    e.パドロックヌクレオチドプローブを線状化する段階;
    f.任意の未結合オリゴヌクレオチドを除去するために、固形支持体を洗浄する段階;
    g.固形支持体からPLPプローブを溶出する段階;
    h.ZIPコードを検出する段階。
  15. ZIPコードを検出する段階が、
    i.一般的プライマーを使用してパドロックヌクレオチドプローブを増幅する段階;
    j.増幅されたパドロックヌクレオチドプローブを標識する段階;
    k.パドロックヌクレオチドプローブと、ZIPコードとのハイブリダイゼーションが可能な少なくとも一つの配列とのハイブリダイゼーションにより、ZIPコードの存在を試験する段階であって、好ましくはハイブリダイゼーションが(マイクロ)アレイのような固形支持体において行われる段階
    を含む、請求項13記載の方法。
  16. ZIPコードを検出する段階が、
    i.パドロックヌクレオチドプローブと、ZIPコードとのハイブリダイゼーションが可能な少なくとも一つの配列とのハイブリダイゼーションにより、ZIPコードの存在を試験する段階であって、好ましくはハイブリダイゼーションが(マイクロ)アレイまたは金ビーズのような固形支持体において行われる段階;および
    j.パドロックプローブの結合対の第一の要素に方向付けられた蛍光プローブ、または蛍光標識されたBiobarcode標識金ビーズを用いて、ハイブリダイズしたパドロックヌクレオチドプローブを固形支持体上で標識する段階
    を含む、請求項13記載の方法。
  17. 以下の段階を含む、標的ヌクレオチド配列を検出するための方法:
    a.標的へのハイブリダイゼーションが可能な標的特異的配列を有する、一つまたは複数のパドロックヌクレオチドプローブを、標的を含む試料へ添加する段階;
    b.パドロックヌクレオチドプローブを標的にアニーリングさせる段階;
    c.ライゲーションによりパドロックプローブを環状化する段階;
    d.結合対の第二の要素により被覆された固形支持体を使用して、パドロックヌクレオチドプローブを捕捉する段階;
    e.パドロックヌクレオチドプローブを線状化する段階;
    f.固形支持体からパドロックヌクレオチドプローブを溶出する段階;
    g.固有プライマーを使用して溶出されたパドロックヌクレオチドプローブを増幅する段階;
    h.増幅を測定および/または検出する段階。
  18. 増幅を測定および/または検出する段階が、インターカレート色素、好ましくはエチジウムブロマイドまたはSYBR Greenを使用して行われる、請求項17記載の方法。
  19. 増幅を測定および/または検出する段階が、汎用プローブ、好ましくはTaqManプローブを使用して行われる、請求項17記載の方法。
  20. 固有切断配列がポリウラシル配列であり、線状化がウラシル-N-グリコシダーゼおよびエンドヌクレアーゼIVを用いた処理により達成される、請求項14〜19のいずれか一項記載の方法。
  21. 結合対の第二の要素がストレプトアビジンである、請求項14〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. 固形支持体からプローブを溶出するためにビオチンが使用される、請求項21記載の方法。
  23. パドロックヌクレオチドプローブを捕捉する段階の前に水酸化ナトリウムによる変性段階が行われる、請求項14〜22のいずれか一項記載の方法。
  24. 固形支持体がビーズまたはカラムである、請求項14〜23のいずれか一項記載の方法。
  25. ヌクレオチド配列の複合的検出のための、請求項1〜11のいずれか一項記載のパドロックプローブの使用。
  26. 各パドロックプローブが固有の標的を認識するように設計されている、請求項1〜11のいずれか一項記載のパドロックプローブの複数を含む、キット。
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