JP2009515907A - ノルケタミン及びオピオイド鎮痛薬の相乗的な組み合わせ - Google Patents

ノルケタミン及びオピオイド鎮痛薬の相乗的な組み合わせ Download PDF

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Abstract

【課題】ノルケタミンを麻酔薬と共に投与する疼痛緩和方法を提供すること。
【解決手段】単体では鎮痛性の疼痛緩和はサブオプティマルであるが鎮痛薬と組み合わせると疼痛が緩和する用量で、ノルケタミンを投与する。一実施形態では、単体ではサブオピティマルであるがノルケタミンと組み合わせると疼痛緩和を示す用量の麻酔薬を、ノルケタミンと組み合わせて投与する。本発明は、経皮、経鼻、直腸内、経口、経粘膜、静脈内、筋肉内等の通常の経路から、疼痛に苦しむ被験体にこれを緩和するに有効な1以上の用量のノルケタミン/オピオイド組成物を投与することを含む。外来患者の疼痛自己管理でのノルケタミン/オピオイド組成物の使用は、頭痛、薬物乱用、気分及び不安障害及び他の神経精神障害(運動及び認知障害)、例えば神経変性によると考えられるアルツハイマー病、パーキンソン症候群等の治療に適用可能である。
【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年11月11日に申請した英国出願第0523031.3号及び2005年11月14日に申請した米国仮出願第60/735,921号の便益を主張し、そのすべての内容は、参照により本開示に含まれるものである。
(技術分野)
本発明は、概略的には、鎮痛薬及びその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、ノルケタミン及び麻酔薬の組み合わせを含有する医薬並びにこの医薬を慢性疼痛の管理に使用する方法に関する。
ノルケタミン(2‐(2‐クロロフェニル)‐2‐アミノシクロヘキサノン)は、麻酔医、獣医師及び研究者により用いられる全身麻酔薬であるケタミン(2‐(2‐クロロフェニル)‐2‐(メチルアミノ)‐シクロヘキサノン)の主要代謝産物の1つである。現在のケタミンの医薬組成物は、S‐及びR‐ケタミンのラセミ混合物であるが、近年、S‐ケタミンは、R‐ケタミンの2倍の効力を有し、ラセミ混合物よりも回復が早く副作用も少ないことが発見された(C. S. T. Aun, 1999, Br. J. Anaesthesia 83: 29-41)。これまでの研究によれば、ケタミンはインビボで代謝により脱メチル化してノルケタミンを生成すること、その反応速度は投与経路に依存すること、また、経口投与及び直腸投与では、肝臓における初回通過代謝の程度が高く、反応速度が最も高いことが示されている(例えば、Grant et al., 1981, Br. J. Anaesth. 53: 805-810; Grant et al., 1981, Br. J. Anaesth. 55: 1107-1111; Leung et al, 1985, J. Med. Chem. 29: 2396-2399; Malinovsky et al, 1996, Br. J. Anaesthesia 77: 203-207を参照のこと)。ノルケタミンは、S‐又はR‐ケタミンよりも弱い結合でNMDA受容体に結合し(Ebert et al., 1997, Eur. J. Pharm. 333: 99-104)、更に、ノルケタミンの麻酔及び鎮痛効力は、ケタミンの3分の1と推測され(C. S. T. Aim, 1999, Br. J. Anaesthesia 83: 29-41)、これがおそらく、当該技術分野においてノルケタミンを鎮痛薬として投与していないことを説明するものである。
ケタミンもまた、鎮痛作用を有し(Domino et al., 1965, Clin. Pharmacol. Ther. 6:279)、ケタミンの麻酔域下用量により顕著な鎮痛作用が得られる(Bovill, 1971, Br. J. Anaesth. 43:496; Sadove et al., 1971, Anesth. Analg. 50:452-457)。この薬物は様々な経路で投与され、これには、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、仙骨、髄腔内、経口、直腸内及び皮下(s.c.)による投与が含まれる(例えば、Oshima et al., 1990, Can. J. Anaesth. 37:385-386を参照のこと)。
疼痛、特に、慢性疼痛の管理は複雑で、度々失敗に終わる。治療の第一線では、時にオピオイドアゴニスト(例えば、モルヒネ等の麻酔薬)の投与を伴う(例えば、Anderson and Brill, 1992, Semin. Anesth. 11 : 158-171を参照のこと)。しかしながら、麻酔薬への急性耐性及び顕著な抵抗性がしばしば生じて、これによりこれらの薬剤は無効化されてしまうことがある(例えば、Abram, 1993, Reg. Anesth. 18(SUPPL): 406-413を参照のこと)。非競合性N‐メチル‐D‐アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト(例えば、ケタミン及びノルケタミン)が、モルヒネの鎮痛作用の耐性獲得に干渉することと、これは、アンタゴニストには逆耐性が確認されていないため、おそらくはアンタゴニストの「副作用」ではなくNMDA受容体のブロックにより起こると考えられること、の報告がある(Trujillo and Akil, 1994, Brain Res.633: 178-188)。
時に、疼痛管理では、例えば、麻酔薬、作用拮抗薬(アゴニスト‐アンタゴニスト剤)、ブトルファノール、ベンゾジアゼピン、GABA刺激薬、バルビツレート及びバルビツレート様薬物等の薬物を、経口(例えば、丸剤若しくは液剤)投与により又は静脈内若しくは筋肉内投与により、大量に投与することがある。このとき、オピオイドアゴニスト及びアンタゴニストを組み合わせてもよい。したがって、薬の組み合わせにより、効果を相殺したり、複合させたりすることができる。より問題となるのは、有害な副作用の可能性、特に経口投与に伴う胃部不快感や注射が与える恐怖感、である。
米国特許第5,543,434号及び第6,248,789号B1には、疼痛管理及び薬物依存性の軽減を目的としたケタミンの経粘膜又は経鼻投与が開示されている。Weg法の下、ケタミンに起因する不快な副作用を回避するために、投与量は抑えなければならない。しかしながら、これまでの研究によれば、ラットにおいて、静脈内(Leung et al, 1985, J. Med. Chem. 29: 2396-2399)又は脊髄内(Shimoyama et al, 1999, Pain 81: 85-93)を輸送されたノルケタミンは、等投与量のケタミンよりも有害な後遺症が起こりにくいことが示されている。
したがって、麻酔薬を含む鎮痛薬の投与量を減少させ得る疼痛管理療法が必要である。
本発明は、当該技術分野におけるこの種の又は他の必要性に対処したもので、これは、S‐ノルケタミン、R‐ノルケタミン、これらのラセミ混合物、及びこれらのプロドラッグを、それ単体では不十分(サブオプティマル)であるか又は効果が無い用量であるが、麻酔薬と組み合わせたときに鎮痛作用を示す用量で投与することにより、安全にそして効果的に疼痛を緩和することができる、という新規な発見に基づくものである。本発明はまた、ノルケタミン及び麻酔薬を、これらを単体で投与した場合には不十分又は効果の無い用量であるが、これらを組み合わせることで、疼痛を緩和する方法をも提供する。
尚、本明細書において行う文献の引用及び特定から、それらの文献が本発明の先行技術であると認定されていると解釈されることを意図するものではない。しかしながら本明細書において明示したすべての文献及び引用内容は、その全体が参照によりここに組み込まれるものである。
本発明の目的は、ラセミ体ノルケタミン、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせを、オピオイドとの組み合わせにより含有し、ここで、ノルケタミンの有効量は、オピオイド非存在下で投与されるときには、被験体に対して最適な鎮痛作用を発現するには不十分である医薬組成物を提供することにある。ノルケタミンのプロドラッグは、ノルケタミンと様々なカルボン酸及び他の置換基との化学結合により得られ、次の構造式1及び2に示す式で与えられる。
Figure 2009515907
[式中、R及びRは、フェニル、アリール、アザアリール(azaaryl)、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニルであり、Rは、OH又はSHであり、Rは、アルキル、分岐アルキルであり、式1及び式2の化合物のラセミ混合物においては、RはHであり、Rは上述のいずれの基でもよく(Hを含む)、並びに、これらの医薬的に許容される塩及び溶媒和物である。]
R‐ノルケタミンは、遊離塩基形態では右旋性(+)であり、塩形態では左旋性(−)である。S‐ノルケタミンは、遊離塩基形態では左旋性(−)であり、塩形態では右旋性(+)である。
同様に、本発明は、オピオイドの有効量が、ノルケタミン化合物の非存在下で投与されるときには、被験体に対して最適な鎮痛作用を発現するには不十分な用量である疼痛の治療方法を提供する。ノルケタミン化合物及びオピオイド成分は、個別に又は同時に投与してもよく、また、最適な鎮痛作用の実現に相乗的に寄与してもよい。
オピオイドの例には、限定を意図するものではないが、フェンタニル、セフェンタニル(sefentanil)、アルフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、メタドン、オキシコドン、ヒドロコドン、レミフェンタニル、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ノルモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、フェナゾシン、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、トラマドール、レボルファノール、L‐アセチルメタドール、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、エトルフィン、ノルメタドン、ノルオキシコドン、及びノルレボルファノールが含まれる。好ましい一態様では、オピオイドはモルヒネである。また、当業者であればオピオイドにはそれらの塩も含まれることが理解されると考える。
本発明の他の態様では、麻薬性鎮痛薬を必要とする被験体において、該麻薬性鎮痛薬への耐性を抑制する方法を提供する。この方法は、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせを、麻薬性鎮痛薬と共に、該麻薬性鎮痛薬を必要とする被験体に同時投与することを含むもので、この麻薬性鎮痛薬は、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせの非存在下では、被験体に麻薬性鎮痛薬への耐性を誘導する可能性を有するものである。更に本発明は、麻薬性鎮痛薬が約1週間の連日投与によって被験体にその麻薬性鎮痛薬への耐性を誘導し得る場合においても有効である。
本発明の組成物は、どのような経路によって導入されてもよく、これには、経皮、経鼻、直腸内、経膣、経口、経粘膜、静脈内、筋肉内、仙骨、髄腔内、及び皮下による経路が含まれる。他の態様では、本発明は、吸入による肺内投与を提供する。経皮、経鼻及び肺内投与によれば、患者による自己投与が可能であり、これによって外来患者の疼痛管理が可能になる。更に、経皮貼布、鼻内スプレー及び吸入器は、一般的社会的に入手可能である。
本発明の更に他の態様では、患者がノルケタミン/オピオイド組成物を自己投与するための装置を提供する。本発明の装置は、ノルケタミン/オピオイド組成物の製剤を医薬的に許容される任意の分散剤と共に含む肺内吸入器を含んで構成されてもよく、この装置は、疼痛緩和に有効な所定用量のノルケタミン及び麻酔薬を含有する一定量の製剤を分散するように構成される。この分散剤は、界面活性剤でもよく、これには、限定を意図するものではないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。
具体的な一態様では、製剤はドライパウダー剤であり、これには、ノルケタミン/麻酔薬組成物が微粉として存在している。このドライパウダー剤は、更に増量剤を含んでもよく、これには、限定を意図するものではないが、例えば、ラクトース、ソルビトール、スクロース及びマンニトールが含まれ、また、ノルケタミン/オピオイド組成物は、担体粒子を伴ってもよい。
他の具体的な態様では、製剤は液剤であり、これには医薬的に許容できる希釈剤が任意で含まれる。この希釈剤には、限定を意図するものではないが、滅菌水、生理食塩水、緩衝生理食塩水及びデキストロース溶液が含まれる。
更に他の態様では、前記製剤は、更に、上述の装置により分散される一定量の製剤が不快気分を抑制するのに有効な用量のベンゾジアゼピンを含むような濃度でそのベンゾジアゼピンを含有するか、又は、上述の装置により分散される一定量の製剤が疼痛を緩和するのに有効な用量の麻酔薬を含むような濃度でその麻酔薬を含有するように構成される。
尚、ここでは、以降の詳細な説明をより理解しやすくするために、また、当該技術分野における貢献がより認められるように、本発明の特定の態様を、幾分おおまかに概略した。当然のことながら、後述する又特許請求の範囲において規定する主題を構成する本発明の他の態様も上記の態様に加え採用可能である。
この点について、本発明の少なくとも一実施形態を詳説する前に、詳述する構成や、以降に記載する又は図示する構成要素の配置に、本発明が限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、記載される実施形態とは異なる実施形態も採用可能であり、様々な方法での実行及び実施も可能である。また、本明細書及び要約書において用いられる文言や用語は、本発明を記述することを目的とするものであって、限定を意図するものではない。
当業者であれば、本開示の基になる概念は、本発明の目的を達成するための他の構造、方法及びシステムの基礎として利用可能であることが認識可能と考える。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限りにおいて、特許請求の範囲には、均等な構造をも含むものとみなされることが重要と考える。
本発明は、疼痛治療のためにノルケタミン及び麻酔薬を組み合わせて投与することに関する。より詳細には、本発明では、組み合わせて使用すると鎮痛作用を示すノルケタミン及び麻酔薬を、個々には鎮痛作用が僅かであるか又は示さない用量(サブアナルジージク用量)で、投与する。本発明はまた、上記薬物を疼痛管理のために患者自身によって自己投与する方法及び装置を提供する。
本発明は、ノルケタミンのラセミ組成物又は鏡像異性的純組成物の使用を想定するものである。S‐及びR‐ノルケタミンは、下記の式1及び2により夫々示される。
Figure 2009515907
[式中、R及びRは水素である。]
尚、本発明に関連して用語「ノルケタミン」を多数用いるが、本明細書における鎮痛組成物には、2003年11月18日に申請した米国特許公開第20040248964号公報(これによる開示は、その全体が参照によって本開示に組み込まれるものとする。)に詳述されているような、ノルケタミンのプロドラッグ(即ち、誘導体)を含んでもよい。したがって、本明細書において用語「ノルケタミン」は、特に断りのない限り、ノルケタミンの異性体やその誘導体をも包含する用語として使用する。
例えば、具体的な実施形態では、ノルケタミンは、ノルケタミンの塩、例えば、塩酸ノルケタミンを指す。治療目的の使用において、医薬的に許容される限りにおいては、これらの塩の性質は如何なる限定をも含むものではない。ここで、用語「医薬的に許容される」とは、当業者によく知られているように、化合物単体のときと比較して、その活性を減少させず又毒性を高めないことを意味する。これらの塩には、当業者に周知の、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸又はリン酸)の塩、有機酸(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、フマル酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸又は酒石酸)の塩、他の無機質及びカルボン酸が含まれる。無機陽イオンとの塩では、無機陽イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛等が含まれ、医薬的に許容できるアミンとの塩では、該アミンとして、例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロオキシアルキルアミン、リジン、アルギニン、N‐メチルグルカミン、プロカイン等が含まれる。
本明細書において用語「ノルケタミンのプロドラッグ」は、ノルケタミンに生理学的に変換され得る全ての化合物を示すものとして使用する。ケタミンは、インビボでノルケタミンに代謝されることが知られているが、ここでは、ケタミンはノルケタミンのプロドラッグには含まないものとし、本明細書において、用語「ノルケタミンプロドラッグ」は、その全ての場合において、特にケタミンを除くものとして用いることとする。
ノルケタミンのプロドラッグは、ノルケタミンと様々なカルボン酸及び他の置換基との化学結合により得られ、次の構造式1及び2に示す式で与えられる。
Figure 2009515907
[式中、Rはメチルであり、RはCHOCORであり;
はHであり、RはCHOCORであり;
はメチルであり、RはCHCOORであり;
はHであり、RはCHCOORであり;
はメチルであり、RはCOORであり;
はHであり、RはCOORであり;
はメチルであり、RはCOOCHCHN(CHであり;
はHであり、RはCOOCHCHN(CHであり;
はメチルであり、RはCOOCH(R)OCORであり;
はHであり、RはCOOCH(R)OCORであり;
はメチルであり、Rは式3:
Figure 2009515907
で与えられる置換基であり;
はHであり、Rは上記式3で与えられる置換基であり;
はHであり、Rは式4:
Figure 2009515907
で与えられる置換基であり;
はHであり、Rは式5:
Figure 2009515907
で与えられる置換基であり;
はメチルであり、Rは式6:
Figure 2009515907
で与えられる置換基であり;
はHであり、Rは上記式6で与えられる置換基であり;
はメチルであり、Rは式7:
Figure 2009515907
で与えられる置換基であり;又は
はHであり、Rは上記式7で与えられる置換基であり;
及びRは、フェニル、アリール、アザアリール、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニルであり、Rは、OH又はSHであり、
は、アルキル、分岐アルキルであり、式1及び式2の化合物のラセミ混合物においては、RはHであり、Rは上述のいずれの基でもよく(Hを含む)、並びに、これらの医薬的に許容される塩及び溶媒和物である。]
アリール、アザアリール、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニルの部分はC〜Cとすることができる。
本明細書において用語「麻酔薬」は、オピオイドとして定義し、交互的に用いる。麻酔薬及びオピオイドは、ミュー、デルタ及びカッパレセプタに結合するリガンドである。本発明において適当な麻酔薬には、限定を意図するものではないが、フェンタニル、セフェンタニル、アルフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、メタドン、オキシコドン、ヒドロコドン、レミフェンタニル、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ノルモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、フェナゾシン、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、トラマドール、レボルファノール、L‐アセチルメタドール、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、エトルフィン、ノルメタドン、ノルオキシコドン、及びノルレボルファノールが含まれる。本発明の幾つかの実施形態では、麻酔薬はモルヒネであることが好ましい。本発明の麻酔薬は、塩形態であってもよい。また、本発明の麻酔薬は、プロドラッグ形態であってもよい。プロドラッグの例には、ノルケタミンについて上述したプロドラッグ形態が含まれる。
用語「最適」用量とは、単体で与えられたときに疼痛を緩和するのに十分な鎮痛薬の用量を意味する。例えば、ラットでは、ノルケタミンの最適用量は、約8mg/kg,IP(腹腔内投与)である。用語「サブオプティマル(次善最適)」用量とは、鎮痛作用を現す最適用量の約1%〜約60%、より好ましくは約5%〜約40%、更に好ましくは約10%〜約20%を意味する。用語「サブアナルジージク(sub-analgesic)」用量は、鎮痛作用が殆ど又は全く現れない用量を意味する。例えば、ノルケタミンのサブアナルジージク用量は、約3mg/kg未満である。通常、サブアナルジージク用量は、5AUC(血中薬物濃度時間曲線下面積)単位未満又は約5%MPE(最大可能性効果)未満と相関する。
当然ながら、実際の用量は、被験体の体重、疼痛の強さ、投与経路(例えば、経口と非経口経路)、同時に投与される薬の性質、一日あたりの投与回数、及び薬物を投与する際に当業者である医師によって一般的に考慮される他のファクター、に伴って変化する。例えば、用量は、0.05〜500mg/kg、より好ましくは0.5〜50mg/kgの範囲の値をとる。例えば、オピオイド対ノルケタミンの比は、0.05〜50:1、より好ましくは0.1〜10:1である。
同様に、鎮痛のための見かけの用量は、時として使用される試験モデルに依存する。動物モデルにおいて疼痛管理に用いる対象薬の最適鎮痛用量を決定するためのプロトコルは、当該技術分野において公知である。
以下、本発明に関連して、このプロトコルの1つについて説明する。
(テイルフリック試験)
投与量一定のオピオイド(例えば、モルヒネ)と投与量を増加させたR、S‐ノルケタミンとを組み合わせて鎮痛効果を測定することにより、用量反応曲線を作成した。スプラーグドーリーラットの雄及び雌(各n=8)は、およそ85〜90日齢とした。試験に先立ち、試験当日にラットの体重を夫々計量した。試験は72時間インターバルで行った。試験に先立ち、3日間、ラットをハンドリング及び熱刺激を加えずに行うテイルフリック操作に慣らした。
1.テイルフリック装置(IITCモデル33、Life Science社製、Woodland Hills, CA, USA)を、少なくとも30分間予熱する。
2.ランプの強度は、ラットのテイルフリック潜時のベースラインが約2.0秒となるように調節する。今回の試験においては、強度は40%とした。これは、強度反応曲線から、理想的な強度として求めたものである。
3.掉尾反射が起こらないときのラットの組織損傷を防ぐため、テイルフリック装置のカットオフポイントを、好ましくは10秒としてプログラムする。
4.ラットをミトンに配置し、ラットの尾を、その根元から1インチ(約2.54センチ)の地点から2インチ(約5.08センチ)をインクで塗る。
5.尾を、テイルフリック装置の溝に平らに配置する。
6.熱暴露開始後に尾が熱源から動くと、ランプが自動的に切れるように設定されている。
7.夫々のラットについて、投与前にベースライン値を決定しておく。テイルフリック潜時(TFL)は、およそ15分のインターバルで2度測定し、その2回の測定の平均値をベースラインとする。
8.ベースライン値の決定後、薬物の投与後15、30、60及び120分においてTFLを測定する。
溶液:
9.モルヒネ:3mg/kg
投与量は0.5mL/kg、メークアップ溶液は、6mg/mL(生理食塩水)。8ラット用に、24mgのモルヒネを4mLの生理食塩水と混合して、投与量を0.5mL/kgとしたときに用量が3mg/kgとなるように、適切な量の薬物を調製した。
10.ノルケタミン:3mg/kg、1.5mg/kg、0.75mg/kg
投与量は0.5mL/kg、メークアップ溶液は、6mg/mL(生理食塩水)。8ラット用に、適切な量の薬物を次のように調整する。
3mg/kg(A):12mgのR、S‐ノルケタミンを、2mLの生理食塩水と混合して、6mg/mLの溶液を得、投与量を0.5mL/kgとする。
この(A)溶液を希釈して、以下の濃度にする。
1.5mg/kg(B):(A)を1mL得て、1mLの生理食塩水で希釈する。
0.75mg/kg(C):(B)を1mL得て、1mLの生理食塩水で希釈する。
11.生理食塩水溶液(コントロール)(D)
薬の投与(I.P.):
総投与量(mL)は、体重(kg)と等しい。各実験動物には、体重1kgあたり0.5mLのモルヒネが投与され、体重1kgあたり0.5mLのノルケタミン又はコントロールが投与される。
例:体重=250g=0.25kg=0.25mL
各投与薬:0.5mL/kg×0.250kg=0.125mL(投与量)
計算:
ベースライン値でデータをノーマライズ(投与後の値−平均投与前ベースライン)。
ノーマライズデータの曲線下(AUC0‐120min)の面積を計算。
各時点において、反応時間を10秒として、曲線下の最大面積を計算(AUCmax)。
%MPE=(AUC0‐120min)/(AUCmax)×100を計算。
投与後閾値を、対応ありt検定を用いて、ベースライン閾値と比較。
投与量間の差を、2way RM ANOVAで分析。
性差を、2way RM ANOVAで分析。
全てのデータをnラットの平均±SEMで表示。
計算方法:
ノーマライズデータ(NOR):各値から平均ベースラインを減算。
NOR=(投与後TFL)−(投与前ベースライン)
12.パーセント最大効果(MPE):
%MPE=(投与後値−投与前ベースライン)/(カットオフ−投与前ベースライン)×100%
13.台形法則により計算した時間反応曲線下の面積
各AUC0‐120min=(時間インターバルにおける平均値)×(時間インターバル)
総AUC0‐120min:各AUCの合計
例:AUC0‐120min、%MPE=(15−0min)×[(MPE0+MPE15)×1/2]+(30−15)×[(MPE30+MPE15)×1/2]
グラフ:
時間反応曲線は、各用量についてプロットした。プロットデータ対濃度を、最大%MPE及びAUC0‐120minの夫々についてプロットした。(図10〜14)
本発明は、様々な原因による疼痛の緩和に利用可能なもので、この疼痛には、限定を意図するものではないが、手足の切断;重症の化学熱傷又は火傷;捻挫、靭帯断裂、骨折、創傷及び他の組織損傷;口腔外科、手術及び疾患;分娩及び出産;理学療法時;術後痛;放射線障害;癌;後天性免疫不全症候群(AIDS);硬膜外(又は硬膜上)線維症;機能不全の腰部手術及び椎弓切除術;坐骨神経痛;有痛鎌状赤血球の発症;関節炎;自己免疫疾患;難治膀胱痛等が含まれる。ノルケタミン/麻酔薬の組み合わせの投与は、ホスピス(特に癌やAIDS患者のケアに特化したホスピス)での使用も可能である。
また、本発明は、外来患者による疼痛の自己管理をも実現する。この自己管理は、疼痛に苦しむ被験体に、疼痛緩和に有効なノルケタミン及び麻酔薬を通常の経路により投与することを含み、この経路としては、経皮、経鼻、直腸内、経膣、経口、経粘膜、静脈内、筋肉内、髄腔内、硬膜外、皮下、及び他の経路が含まれる。更に、ノルケタミン/麻酔薬の使用は、例えば、頭痛、薬物乱用、気分及び不安障害、及び他の神経精神障害(運動及び認知障害)、例えば、神経変性に起因すると考えられているアルツハイマー病、パーキンソン症候群、不穏下肢症候群等、の治療に適用可能である。
一実施形態では、ノルケタミンを麻酔薬と共に投与することで、慢性疼痛状態にあるときに生じ得る急性突出痛や緊張(wind-up)に関連する疼痛の症状の発現を軽減又は緩和することができる。他の実施形態では、ノルケタミン/麻酔薬組成物の投与は、急性突出痛や緊張に関連する疼痛を緩和するための慢性疼痛状態に対する従来の治療計画の補助療法に使用することもできる。
ノルケタミン/オピオイド組成物は、好ましくは、経粘膜的経路(例えば、経鼻、経頬、舌下、経膣、及び直腸内)、経口経路(経口‐咽頭粘膜ではなく胃腸管経由)、経肺経路(即ち、吸入)、又は非経口経路(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、脳室内又は皮下)による投与に適した製剤又は医薬組成物に調製される。適当な製剤の詳細は、後述する。他の実施形態では、ノルケタミン/麻酔薬組成物を、薬のデリバリを容易にするために、粘膜浸透促進剤と共に処方してもよい。更に、この製剤を、溶解度、薬物安定性、皮膚や粘膜からの吸収、及び他の考慮点を基に最適化したpHで調製することもできる。
他の実施形態では、ノルケタミン及び麻酔薬の各用量は、体重1kgあたり約0.01mg(0.01mg/kg)〜約200mg/kgであり、好ましくは約0.05mg/kg〜約80mg/kg、より好ましくは、1mg/kg〜約50mg/kgである。更に他の実施形態では、用量は、約1mg〜約30mgである。好ましくは、この有効量は、特定用途の最適用量が正確に決定されるように、医師や医療提供者の監督の下に漸増される。したがって、本発明によれば、個々の患者に適した用量を実現することができる。
更に、用量範囲が決定されれば、本発明の利点として、患者が、必要に応じて、用量対反応ベースで、ノルケタミンと麻酔薬と共に投与することができる。したがって、投与頻度を患者がコントロールすることができる。また、1回の投与を相対的に低用量とすることで、患者の自己投与によって起こりうる乱用の可能性を低減できる。
更に本発明の他の特別な利点として、ノルケタミンと麻酔薬の経粘膜的又は経肺投与は、非観血的であり、血流への導入が静脈内投与と略同程度に早く、口腔への投与よりもはるかに早い。
更に重要なことは、患者自身が鎮痛剤の投与をコントロールできることである。経粘膜的又は経肺投与を用いれば、活性や疼痛のレベルの変化を相殺するために用いられる薬の用量や効果を、一日を通して正確にコントロールすることができる。また、ノルケタミン/オピオイド組成物の経粘膜的又は経肺投与により、薬物の用量対反応を基にした投与を最適に行うことができる。即効性ではないが、経皮投与も同様に用量を正確にコントロールでき、また、薬物の完璧な用量対反応投与を実現できる。
したがって、本発明によれば、患者は、本発明による製剤の投与量及び投与頻度をコントロールすることで、自分で疼痛緩和に有効な量の薬物を安全に投与することができる。疼痛が自覚的な症状であるため、患者が安全に調整された鎮痛剤のコントロールを行えるという利点は重要である。これによる二重の利点は、患者は効果的に疼痛を緩和できることと、疼痛の緩和力には著しい心理的な利点を有することである。心理的態度がポジティブになることで、治療計画の針路や結果を大きく向上させることができ、患者がプロセス全体をより我慢できるようになる。
本明細書では、用語「突出痛」を、疼痛治療において通常用いられる意味で使用する。例えば、突出痛は、疼痛の治療を受けている被験体が経験する、その実行中の治療計画によっては治療不可能な疼痛レベルの疼痛を意味する。「刺すような痛み(Spike pain)」は、突出痛の急性型である。通常、慢性疼痛に対する投薬又は治療では、突出痛を十分に緩和することは出来ない。これは、投薬への耐性が生じその治療計画による最大疼痛緩和効果が既に達成されているか、又は、治療が十分に即効性を持たないためである。用語「緊張(wind up)」に関連する疼痛は、反復性刺激により生じる疼痛を意味する。これは、侵害受容脊髄後角ニューロンのC線維由来の反応の時間的加重を発生させ、また、痛覚過敏(痛覚の増大)及び異痛(通常時には痛まないような刺激によって生じる疼痛)として物理的に発現する。
ノルケタミン/オピオイド組成物の投与が、疼痛を管理するための又は別の疼痛治療と相乗効果を得るための、効果的な治療計画となる被験体は、好ましくはヒトであるが、如何なる動物であってもよい。したがって、当業者には明らかなことであるが、本発明の方法及び装置は、ノルケタミン/オピオイド組成物を任意の動物、特に哺乳類に投与することに特に適しており、ここでいう動物には、限定を意図するものではないが、家畜・愛玩動物(例えば、ネコ又はイヌ被験体)、家畜・産業動物(例えば、限定を意図しないが、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタ被験体)、野生動物(野生又は動物園で生活)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ等、即ち獣医学的用途に用いられるもの)が含まれる。家畜用途としては、直腸内投与又は経皮投与が便利であり、動物への負担や刺激を最小限にすることができる。
用語「粘膜」は、例えば、口腔粘膜、頬粘膜、直腸粘膜又は膣粘膜などの粘膜及び肺粘膜を含んで構成される組織を意味する。用語「経粘膜」は、薬物を全身に送達させるために、その薬物を粘膜を通じて血流に投与すること意味する。経粘膜送達の特徴的な利点は、非経口送達と略同程度に早く、更には不快な注射の必要もなく、血流に薬を送達できることにある。
用語「経皮投与」は、どのような文法的な形にあっても、薬物を全身に送達するために、その薬物を、真皮を通じて血流へ投与することを意味する。薬物の送達において経皮投与の利点は、注射器や針を用いる注射を必要としないこと、そのため筋肉内投与に伴う壊死を回避できること、トローチを常に舐める必要性を回避できること、経皮投与であれば自己投与が極めて行い易いことが挙げられる。
用語「経肺投与」は、薬物を全身に送達するために、その薬物を、肺路(即ち、肺への吸入)を通じて血流へ投与することを意味する。本発明は、特定の態様の吸入器による経肺投与を想定している。
用語「粘膜浸透促進剤」は、ノルケタミン又はケタミン/ノルケタミンプロドラッグの経粘膜浸透の速度を高める又は容易にする薬剤を意味する。これには、限定を意図するものではないが、例えば、胆汁酸塩、脂肪酸、界面活性剤又はアルコールが含まれる。具体的な実施形態では、浸透促進剤には、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸、グリココール酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、又はエタノールを用いることができる。
薬物の「治療有効量」は、その薬物の所望の活性を示すのに有効な量を意味する。本発明によれば、麻酔薬を伴うノルケタミンの治療有効量は、患者の疼痛を緩和させ即ち顕著に減少させるのに有効な量である。
以下、特に、ノルケタミン/オピオイド組成物と、ノルケタミン/オピオイド組成物と共に投与可能な追加的な治療効果のある薬物又は薬剤との、経皮、経粘膜、経肺投与について、本発明をより詳細に説明する。
(ノルケタミン及び麻酔薬の経肺及び経鼻による経粘膜投与)
本発明は、医薬組成物及び治療製剤を気道へ、好ましくは肺及び気管支路へ、送出するために設計された多種の装置において用いられるノルケタミン/オピオイド組成物を含有する製剤を想定している。本発明の好ましい投与経路は、肺吸入用のエアロゾールスプレーである。ノルケタミン/オピオイド組成物は、分散剤又は拡散剤と任意に組み合わせて、ドライパウダー剤としての経肺剤で、又は、希釈剤を任意に含む液剤又は懸濁剤で、投与することができる。
本明細書において、用語「エアロゾル」は、空気中への懸濁を意味する。特に、エアロゾルは、本発明の製剤の微細化又は噴霧化と、空気中への懸濁を意味する。本発明によれば、経肺製剤は、吸入用又は経肺投与用のノルケタミン/オピオイド組成物を含有する製剤である。
本明細書において、用語「吸入器」は、例えば、液状、粉末等による薬物の経鼻‐経粘膜投与用装置及び経肺投与用装置の両方を意味する。例えば、用語「吸入器」は、例えば急性ぜんそく発作用の抗ヒスタミン薬の投与に用いられる噴霧剤利用吸入器又はドライパウダー吸入器、及び、例えば鬱血除去薬の投与に用いられるプラスチックスプレーボトルを包含することを意図する。本明細書において、「吸入器」は、当該技術分野において知られるように、用語「噴霧器」をも包含するものとする。
本明細書において、用語「分散剤」は、ノルケタミン/オピオイド組成物のエアロゾル投与若しくは吸収又はその両方を助ける薬剤を意味する。具体的な態様では、分散剤は、粘膜浸透促進剤とすることができる。好ましくは、分散剤は、医薬的に許容できる薬剤である。本明細書において、用語「医薬的に許容できる」は、動物での使用、より詳しくはヒトへの使用について、米国の連邦又は州政府の管理機関による承認又は米国薬局方若しくは他の一般的に認識される薬局方への記載を意味する。
適当な分散剤は、当該技術分野において周知であり、限定を意図するものではないが、界面活性剤などを含む。例えば、液体エアロゾルを形成する液剤の噴霧により生成されたノルケタミン又はケタミン/ノルケタミンプロドラッグの表面積を減少させて凝集を誘導するために、当該技術分野において一般的に使用される界面活性剤を使用してもよい。限定を意図しない例として、このような界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。使用する界面活性剤の量は様々であるが、代表的には、0.001のレンジにあり、製剤の重量の4%である。適当な界面活性剤は、当該技術分野において知られたものであり、具体的な剤形、ノルケタミン及び麻酔薬の濃度、希釈剤(液剤の場合)、又は粉末の形態(ドライパウダー剤の場合)等に応じて、所望の性質を基に選択される。
液剤は、生理学的に許容できる希釈剤中に、ノルケタミン/オピオイド組成物と、任意で分散剤と、を含有する。本発明のドライパウダー剤は、微粉化された固形のノルケタミン/オピオイド組成物と、任意で分散剤とからなる。液剤又はドライパウダー剤では、製剤はエアロゾル化されなければならない。これは、エアロゾル化した用量を実際に気管支や肺の粘膜に確実に到達させるためには、液体又は固体粒子に崩す必要があるためである。用語「エアロゾル粒子」は、本明細書においては、経粘膜投与又は経肺投与に適し、即ち、粘膜や肺に到達する、液体又は固体粒子を示すために用いる。他の考慮点、例えば、送出装置の構造、製剤の追加成分、及び粒子の組成や性質も重要である。薬の経粘膜投与又は経肺投与についてのこれらの態様は、当該技術分野において知られており、製剤の扱い、エアロゾル投与手段、及び送出装置の製造は、当業者には略日常的な実験操作の要求である。
経鼻又は経肺投与では、有用な装置は、定量スプレーが取り付けられた小さく硬いボトルである。一実施形態では、ノルケタミン又はケタミン/ノルケタミンプロドラッグ溶液を一定容量のチャンバに引き込むことによって一定用量が送出される。このチャンバは、チャンバ内の液剤が圧縮されると製剤がスプレーされてエアロゾル化されるように寸法決めされた開口部を有する。チャンバが圧縮されると、ノルケタミン及び麻酔薬が投与される。具体的な実施形態では、チャンバは、ピストン配置である。このような装置は市販されていて入手可能である。
或いは、絞られたときに、スプレーを形成して、経肺製剤をエアロゾル化するように寸法決めされた穴や開口部を有するプラスチックスクイーズボトルとしてもよい。開口部は代表的にはボトルの上部に位置し、その上部は典型的にはテーパに形成され、エアロゾル剤の投与を効果的にするために鼻孔に部分的に嵌合するように形成される。好ましくは、経鼻又は経肺吸入器は、薬物を一定用量投与するために、製剤を一定量供給するように構成される。
場合によっては、肺に吸入する液剤又はドライパウダー剤のエアロゾル投与は、噴射剤を必要とする。この噴射剤は、当該技術分野において一般的に用いられるどのような噴射剤であってもよい。限定を意図しない具体的な例としては、有用な噴射剤には、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、若しくは炭化水素(トリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2‐テトラフルオロエタンを含む)、又はこれらの組み合わせが含まれる。
エアロゾル送出システム、例えば、加圧定量吸入器及びドライパウダー吸入器等は、Newman, S. P., Aerosols and the Lung, Clarke, S. W. and Davia, D. editors, pp. 197-222、並びに米国特許第6,358,530号、第6,360,743号、第6,406,745号、第6,423,683号、第6,565,888号及び第6,630,169号に開示されている。この開示は、その全体が参照によって本開示に組み込まれ、本発明と組み合わせて使用可能である。
他の実施形態では、詳細は後述するが、本発明の経鼻経粘膜製剤又は経肺製剤には、ノルケタミン/オピオイド組成物に加えて、他の治療的又は薬理学的有効成分を含むことができ、これには例えば、限定を意図するものではないが、ベンゾジアゼピン又は麻薬性鎮痛薬が含まれる。
送出装置の構造に関して、本発明の実施においては、当該技術分野において知られたどのような形態のエアロゾル化法を用いてもよく、これには、限定を意図するものではないが、スプレーボトルによるもの、噴霧化(ネブライゼーション又はアトマイゼーション)、液剤のポンプエアロゾル化、及びドライパウダー剤のエアロゾル化が含まれる。
上述のように、本発明の好ましい態様においては、エアロゾル投与用の装置は、定量吸入器である。定量吸入器は、投与毎の用量が変動せず、したがって投与時の用量が一定である。このような定量吸入器は、液剤又はドライパウダー剤のいずれにおいても使用可能である。定量吸入器は、当該技術分野において周知である。
(経粘膜投与)
上述のように、本発明はとりわけ、ノルケタミンをオピオイドと共に経粘膜投与することを想定している。初期の研究では、薬物の経鼻投与(鼻粘膜又は経肺吸入)及び肺粘膜経由の吸収は、疼痛治療に非常に有効であることが示されている。その後、上述のように、組み合わせた薬物の経粘膜投与の他の経路もまた、疼痛治療に有効であることがわかってきた。特に、意外にも、薬物の経粘膜投与によって、低用量の薬物で効果的な薬物動態が実現でき、したがって、静脈内又は筋肉内への大量投与に伴う不快感や他の副作用を回避できることがわかってきた。ノルケタミンを麻酔薬と共に経粘膜投与することは、特に、例えば、既に詳述したような、突出痛及び刺すような痛みの治療に用いられる。
本発明によれば、どのような経粘膜経路の投与を行ってもよく、これには、限定を意図するものではないが、直腸内、経口、経膣、経頬等が含まれる。特に、本発明は、以下の経粘膜経由の投与を想定している。どのような経粘膜経路の投与においても、例えば上述したような粘膜浸透促進剤を利用して促進してもよい。用いられる粘膜浸透促進剤は、対象にする粘膜の性質に応じて選択される。これらのファクターの詳細については後述する。
(坐剤による投与)
他の態様では、ノルケタミン及び麻酔薬は、直腸内(又は膣内)の挿入に適したマトリックスで、即ち坐剤に、製剤化される。本発明は、特定の坐剤に限定されるものではない。実際、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、米医薬品便覧及び米国薬局方に記載されるように、当該技術分野においては多くの坐剤が知られている。例えば、利便性や慣習、又は経鼻投与が不可であるとき等、特定の状況においては、坐剤による投与が好ましい。
(頬貼布による投与)
本発明によれば、ノルケタミン及びオピオイドは、頬の内側を経由した投与のために頬貼布に製剤化可能である。頬貼布は他の形態の経粘膜投与を構成してもよい。頬貼布製剤の調製技術は、例えば上述のRemington's Pharmaceutical Sciences等、当該技術分野において周知である。
(経口‐咽頭投与)
更に他の実施形態では、ノルケタミン及びオピオイドは、舌下及び経頬投与を含む経口‐咽頭投与用に製剤化可能である。例えば、ノルケタミン/オピオイド組成物は、例えば、米国特許第4,671,953号に記載されるように、ガムベース又はロゼンジ等、「キャンディー」マトリックスに組み入れることができる。他の実施形態では、ノルケタミン/オピオイド組成物は、舌下に配置するためのカプセル剤又は丸剤の形状に製剤化可能である。
また、本実施形態によれば、経口‐咽頭投与用のノルケタミン/オピオイド組成物を、フレーバーマスキング剤又はコーティングと共に製剤化することを、特に想定している。当該技術分野において、多くのフレーバーマスキング剤が経口医薬に用いられており、これらから選択して本発明に用いることができる。
(経口投与)
更に他の実施形態において、ノルケタミン及びオピオイドは、胃及び腸粘膜経由の経口投与用に製剤化可能である。経口投与用に、薬物を、胃(43酸性環境)若しくは腸又はその両方においてその薬物を放出するように設計されたキャリアで、投与することもできる。当該技術分野においては、薬物の経口投与用に、多くのカプセル剤、丸剤及びマトリックスが知られており、ノルケタミン及び麻酔薬との適合性や、薬を放出する際の所望の地点及び速度を基に、当業者である医師により選択可能である。また、徐放製剤が好ましい。また、当業者であれば、経口投与時の用量は、非経口経路により投与される用量よりも一般的に大きくなることが認識されるであろう。
(経皮投与)
他の実施形態では、上述のように、本発明は、麻酔薬を併用してのノルケタミンの経皮投与を想定している。経粘膜投与が有効であるのと同様の多くの理由から、経皮投与もまた上述のように疼痛治療に有効であることがわかっている。特に、意外にも、ノルケタミン及びオピオイド組成物の経皮膜投与によって、低用量の薬物で効果的な薬物動態が実現でき、したがって、静脈内又は筋肉内への大量投与に伴う不快感や他の副作用を回避できることがわかってきた。経皮投与は、特に、例えば、既に詳述したような、突出痛及び刺すような痛みの治療に用いられる。
薬物の経皮投与に関しては、当該技術分野において、例えば、経皮貼布によるものなど、様々なまた多くの方法が知られている。これらの方法及び関連する装置により、薬物の投与速度及び投与量が制御され、場合によっては薬の送達において持続的なモジュレーションが実現される。経皮貼布は、例えば、Rolandoらの1995年4月18日付け米国特許第5,407,713号、Fallonらの1994年10月4日付け米国特許第5,352,456号、D'Angeloらの1994年8月9日付け米国特許第5,332,213号、Sibalisの1994年8月9日付け米国特許第5,336,168号、Farhadiehらの1994年3月1日付け米国特許第5,290,561号、Tuckerらの1993年10月19日付け米国特許第5,254,346号、Bergerらの1992年11月17日付け米国特許第5,164,189号、Sibalisの1992年11月17日付け米国特許第5,163,899号、Sibalisの1992年2月18日付け米国特許第5,088,977号及び第5,087,240号、Beneckeらの1991年4月16日付け米国特許第5,008,110号、並びにSibalisの1990年5月1日付け米国特許第4,921,475号に記載されており、この開示は、その全体が参照によって本開示に組み込まれる。
また、経皮投与の経路は、例えば、米国特許第5,164,189号(前出)、米国特許第5,008,110号(前出)、及びArugaらの1989年11月7日付け米国特許第4,879,119号、に記載されているような促進剤など、皮膚浸透促進剤の使用により促進してもよい。尚、この開示は、その全体が参照によって本開示に組み込まれる。
他の実施形態では、ノルケタミン/オピオイド組成物は、小胞、特にリポソームに送達する(Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Treatら, 1989, in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss: New York, pp. 353-365; Lopez-Berestein, ibid, pp. 317-327; sec generally ibidを参照のこと)。これは、全身性の副作用を減少させるために好ましいノルケタミン/オピオイド組成物の導入方法である。
更に他の実施形態では、ノルケタミン及びオピオイドを、放出制御システムで送出してもよい。例えば、薬を、静脈注射、植え込み浸透圧ポンプ、経皮貼布、リポソーム、又は他の放出制御投与形態を用いて投与してもよい。一実施形態では、ポンプを使用する(Langer,前出; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.14: 201; Buchwald et al, 1980, Surgery 88:507; Saudek et al, 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574を参照のこと)。他の実施形態では、高分子材料が利用可能である(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61、及び、Levy et al, 1985, Science 228:190; During et al, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71: 105を参照のこと)。他の放出制御システムは、Langerによる総説に記載されている(1990, Science 249:1527-1533)。
(治療効果のある追加薬又は薬剤)
上述のように、本発明は、ノルケタミンをオピオイド(好ましくはモルヒネ)と共に協調させて投与することを想定している。本発明は、ノルケタミンとオピオイドを共に投与することによって疼痛を緩和する方法であって、このときノルケタミン単体の用量は疼痛治療に対してはサブオプティマルである方法を提供する。 同様に、より好ましい実施形態では、本発明は、ノルケタミンとオピオイドを共に投与することによって疼痛を緩和する方法であって、このときオピオイド単体の用量は疼痛治療に対してはサブオプティマルである方法を提供する。本発明は、サブオピティマル用量のノルケタミンが麻酔薬と協調して、組み合わされることで、その組み合わせ治療の鎮痛効果が高められる、という発見を利用するものである。しかしながら、本明細書で示す組成物に加えて他の薬を使用してもよい。
例えば、ノルケタミン/オピオイド組成物とベンゾジアゼピンとの同時投与では、ノルケタミン/オピオイド組成物の高用量に伴う潜在的な不快又は幻覚効果の相殺が示される。したがって、ベンゾジアゼピンの治療有効量は、不快感を阻害するのに有効な量である。他の実施形態では、ベンゾジアゼピンの量は、投与された患者を鎮静させるのに有効な量でもある。
ケタミンの弱い副作用、例えば、不快感又は幻覚(時に「ケタミンドリーム」と呼ばれる)が、50mgを超えるケタミンの投与(通常、1kgあたり100mgを超えるケタミンの投与を必要とする)により生じ得る。本発明の利点の1つは、ノルケタミン/オピオイド組成物の送達により、鎮痛に有効なレベルの用量を、不快感を生じるレベルよりも低いものに制御することができることである。他の利点として、ノルケタミン/オピオイド組成物は、ケタミン単体と比較して心的副作用を生じにくい傾向にある。しかしながら、特に疼痛の急性発症に応えた結果、個々が過量となる可能性もある。したがって、ベンゾジアゼピンの同時投与は特定の状況下で用いられる。
本発明により投与されるベンゾジアゼピンには、限定を意図するものではないが、フルラゼパム(商品名Dalmane)、ジアゼパム(商品名Valium)、及び好ましくはVersed(商品名)が含まれる。好ましい態様では、本発明の経粘膜製剤は、ケタミン及びベンゾジアゼピンを夫々治療有効量で含有する。
医療上の必要性又は選択から、ノルケタミン/オピオイド組成物の非経口投与は、疼痛を他の疼痛治療と相乗的に治療する効果を発現することができる。代替の疼痛治療には、非薬品治療が含まれ、これには、例えば、限定を意図するものではないが、カイロプラクティック療法、鍼療法、バイオフィードバック、及び他の代替療法等が含まれる。
好ましくは、このノルケタミン及び麻酔薬投与の相乗効果は、他の疼痛治療への依存性の低減、若しくは、患者が体験する疼痛のレベルの引き下げ、又はこれら両方に、反映される。本発明のこの態様は、ノルケタミン/オピオイド組成物の投与は、麻薬性鎮痛薬のオーバータイムを減少させるという意外な発見に基づくものである。このようなオーバータイムの減少は、耐性に対抗するために鎮痛薬(特に麻薬性鎮痛薬)の用量を漸次増量する通常の疼痛治療とは相反するものである。
通常、疼痛療法の組み合わせは、最良の相可的な又は追加の結果を生む。したがって、本発明の著しい利点は、疼痛療法のレベルの引き下げを、疼痛緩和のレベルを妥協することなく行える点にある。
本発明は、本明細書に開示する特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、本明細書中の開示に加えて行い得る本発明の種々の変更は、これまでの記載及び添付図面により当業者であれば明らかなものである。このような変更は、特許請求の範囲に含まれるものとする。
(実施例1)
Figure 2009515907
(実施例2)
スプラーグドーリー雄ラット(約90日齢、350g)を用いた(8ラット/薬物/実験群)。R,S‐ノルケタミン、S‐ノルケタミン、R‐ノルケタミン(Yaupon Therapeutics社製)及びR,S‐ケタミン(Sigma社製)を生理食塩水に溶解し、腹腔内に投与した(IP、1mL/kg)。各ラットには、薬物を4通りの用量で与えた(1、2、4、8mg/kg、リピートブロックラテン方格デザイン、48hインターバル)。コントロールとして生理食塩水を与えた。
前述の末梢神経障害の坐骨神経構造モデル[Benett及びXie, 1988]を用いた。即ち、ペントバルビタール麻酔下(40mg/kg、IP)で、坐骨神経の結紮及び偽手術を左右の各後肢に行った坐骨トリフラケーション(trifuracation)近位において、神経(7mm)を接着組織から放し、結紮糸を4.0クロミックガット(chromic gut)で4箇所を緩く縛り(1mm間隔)、神経の直径を辛うじて維持する程度にした。切開を層状に閉じた。ラットは、対象とした足で軽い回避行動と軽程度の垂足を示した。激しい運動障害は認められなかった。
薬物の鎮痛効果は、神経障害ラットで評価した。機械及び熱による侵害刺激への応答性を、ラットをグループに分けて評価した。ラットは、研究開始前に3つの場合について訓練した。実験は、手術(このとき最も痛覚過敏であるといわれる[Holtman et al、2003])からの回復後7、9、11、14日目に行った。応答は、投与前(ベースライン、2回測定)及び投与後15〜120分後において評価した。夫々のラットについて、左右の後肢の一方を選択して試験した。
機械性痛覚過敏を、後肢へ漸増する加重を加えることで測定した[Randall及びSelitto, 1957]。後肢を、ブラジル無痛覚計(UGO Basile社製)の平面と先の丸くなったポインターとの間に配置し、後肢の背面に、増加する圧力(32g/s)を加えた。エンドポイントとして発声を利用した[発声閾値、VT(g)]。カットオフは300gとし、組織損傷を防止した。
熱性痛覚過敏を、ランプ熱刺激を利用するプランターテストにより測定した[Hargreaves et al, 1988]。足底刺激無痛測定器(IITC, Life Science社製)において、放射熱(強度60%)を、後肢足底の真下にあたるガラス床の下に配置した。肢が熱源から逃避するときの潜時を測定した[肢逃避閾値、PWT(s)]。カットオフは20sとし、組織損傷を防止した。
薬物の行動的影響は、無処置(未手術)ラットで評価した。自発運動活性を、Opto-Varimex赤外フォトセルベース行動量測定装置(Columbus Instrument社製)を用いて評価した。全ての活性を、投与前及び投与後15、60、120分において、5分セッションでスコア化した。全てのテストは10:00〜13:00の間に行った。評価は48時間インターバルで行った。運動失調は、投与の0、5、10及び15分後において評価した。改良行動スコア[Sturgon et al, 1979]を用いて数値化した(表2)。
Figure 2009515907
全てのデータは、投与前ベースラインデータでノーマライズした。ノーマライズデータで、曲線下面積(AUC)を算出した。%MPE=(薬投与後応答−ベースライン/カットオフ−ベースライン)×100として最大可能性効果を算出した。ED50を、%MPEとlog用量曲線から算出した。全てのデータは、8ラットの平均±SEMで表した。統計分析は、1way及び2way反復測定分散分析(ANOVA)、post‐hoc Student Newman Keulus (SNK)、Dunnan及びt検定を用いて行った。
R,S‐ノルケタミンは、神経障害げっ歯類モデル(機械及び熱試験)において、用量依存性の抗侵害受容を示す。
ノルケタミンのラセミ混合物は、神経損傷肢への機械性及び熱性の侵害刺激両方に対して用量依存性の抗侵害受容を示した。この効果は、急速な発現及び中程度の持続時間(>2時間)を示した。コントロールの後肢(偽手術)では、抗侵害受容は認められなかった[図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)]。生理食塩水に対しては、両後肢において効果は見られなかった。これらのデータは、ケタミンの主代謝産物であるノルケタミンが、神経損傷ラットにおいて、機械性及び熱性侵害刺激(機械性及び熱性痛覚過敏)に対する敏感性を用量依存的に減衰させていることを示している。これにより、ノルケタミンは、末梢神経損傷によるNMDA受容体仲介感作をブロックすることが示唆される。
R,S‐ノルケタミンは、神経障害げっ歯類モデルにおいて、R,S‐ケタミンによるものと同様の抗侵害受容作用を示す。
R,S‐ノルケタミン及びR,S‐ケタミンの抗侵害受容性効力は、神経損傷肢において同程度でった(ED50は、夫々11.3±0.23及び15.8±0.38mg/kg)[図4、19]。これにより、主代謝産物であるノルケタミンが親薬物であるケタミンの抗侵害受容性効力に有意に寄与していることが示唆される。
S‐ノルケタミンは、神経障害げっ歯類モデルにおいて、R‐ノルケタミンよりも大きな抗侵害受容性効力を示した。
ノルケタミンのS及びR鏡像異性体は、神経損傷肢における機械性及び熱性痛覚過敏を用量依存性をもって減衰させた[図4(A)、(B)及び図5(A)、(B)]。どちらの薬物も、偽手術肢では、効果を示さなかった(データ図示せず)。抗侵害受容作用は、R‐ノルケタミンと比較するとS‐ノルケタミンで顕著に大きくなった(ED50は、夫々7.3±0.18及び51.1±0.54mg/kg)。
抗侵害受容の経時変化とS‐ノルケタミンの血漿中濃度との間には、よい相関が見られる。
予備研究では、S‐ノルケタミンの血漿中濃度の経時変化は、抗侵害受容の時間反応曲線と平行となった[図7]。S‐ノルケタミンの血漿中濃度(200〜700ng/mL)は、ラットへのIP投与後の著しい鎮痛効果と関連性が見られた。
非手術(無処置)ラットは、神経障害ラットで抗侵害受容作用を示した用量において、興奮性若しくは抑鬱性作用が認められるか又は運動作用が認められないかを評価するために用いた。
ノルケタミンでは、ケタミンよりも活動レベルへの作用が小さい。
活動レベルに対するノルケタミン及びケタミンの作用は、用量依存性を有した(データ図示せず)。以上のように、最高用量(8mg/kg)では、運動作用(抑鬱性作用)は、R,S‐ノルケタミンではR,S‐ケタミン程顕著ではなかった。更に、自発運動増加作用は、ノルケタミンのS体ではR体と比較して小さいことが認められた[図8]。
ノルケタミンは、ラットに運動失調を引き起こさない。
予備研究では、R,S‐又はS‐ノルケタミンの投与後に、ラットに運動失調は認められなかった。これは、R,S‐ケタミンによる顕著な運動失調と相反するものであった[図9]。これらのデータは、ケタミン誘発性の運動失調が、代謝産物であるノルケタミンによって引き起こされるものではないことを示唆している。
これらの研究は、1)R,S‐ノルケタミン及びR,S‐ケタミンは、末梢神経障害(機械性及び熱性神経障害)のげっ歯類モデルにおいて同程度の同一用量効果を有することを示している。R,S‐ノルケタミンの鎮痛作用は、その大部分がS体によるものである。R体は、S体と比較して作用の弱い鎮痛薬であると考えられる。また、2)運動能力及び鎮静に対する作用は、R,S‐ノルケタミンではR,S‐ケタミン程顕著ではないことを示している。ノルケタミンの自発運動増加作用は、R鏡像異性体に起因するものと考えられる。これらを合わせて考えると、S‐ノルケタミンは、臨床で用いられているケタミンと同等の抗侵害受容作用を有し、また、ケタミンよりも副作用の面で優れていると考えられる。この初期実現可能性研究が、ノルケタミン鏡像異性体の特性を更に明らかにする第II相前臨床及び臨床研究への基礎となった。
(実施例3)
S‐ノルケタミン(norKET)が、モルヒネ(MOR)の鎮痛効果を増強するか否かについて研究を行った。(S体の方がR体よりも副作用面で優れると評価した。)両薬物を単体で及び組み合わせて、腹腔内経路[IP、S‐norKET=0.75、1.5、3mg/kg及びMOR=3mg/kg]及び髄腔内経路[IT、S‐norKET=10、50、100mcg及びMOR=0.5mcg]で雄スプラーグドーリーラットに投与した。コントロールには生理食塩水(賦形剤)を用いた。熱性侵害刺激への応答性は、テイルフリックアッセイ(ベースラインテイルフリック潜時(TFL)は〜2,3s、カットオフTFL=10s)を用いて評価した。TFLは、0、15、30、60、90及び120分に測定した。データからは、S‐norKETが、それ自体単体では抗侵害受容作用を示さない用量において、ラットにおけるMORの抗侵害受容作用を用量依存的に増強することが示された。IP及びITの両方において、MOR及びS‐norKETの同時投与後に顕著な鎮痛性相互作用が認められた(図14〜18)。
雄スプラーグドーリーラットは、およそ90日齢、体重約300gのものを使用した。
髄腔内カテーテルに関して、脊髄くも膜下腔への慢性カテーテル挿入をYaksh及びRudy(1976)にしたがって行った。薬物に関して、硫酸モルヒネ(Mallinckrodt社製)及び塩酸S‐ノルケタミン(Yaupon Therapeutics社製)を生理食塩水に溶解した。コントロールとして生理食塩水を用いた。用量は塩形態での値である。
段階的な用量のモルヒネ及びS‐ノルケタミンを単体で、並びに一定量のモルヒネと多様な用量のS‐ノルケタミンとを組み合わせて、腹腔内(IP)及び髄腔内(IT)で、夫々1mg/kg及び10μL等量の注入量で、投与した。用量は、ラテン方格デザインによりバランスさせた、即ち、2×(4×4)。投与は1週間のインターバルで行った。
モルヒネ及びS‐ノルケタミンの用量は、単体で及び組み合わせて投与した。薬物は、腹腔内(IP)及び髄腔内(IT)経路でラットに投与した。コントロールとして、生理食塩水(用量0)を用いた。次の表3を参照のこと。
Figure 2009515907
テイルフリック潜時(TFL)は、標準テイルフリック装置(LifeScience社製)を用いて測定した。投与前ベースライン及びカットオフ時間は、夫々2〜3s及び10sと等しくなった。TFLは、投与前(ベースライン)及び投与後の所定時点において夫々2度測定した。全てのデータは、ベースラインでノーマライズした。時間反応曲線下の面積(AUC0‐120min)をノーマライズデータについて算出した。%MPE=[(TFL−ベースライン)/(10−ベースライン)×100]として、各時点における最大効果の百分率を算出した。データはラットの平均±SEMで表した。データは、2wayANOVA及びpost−hoc Student−Newman−Keuls(SNK)法により分析した。有意レベルはP≦0.5とした。
モルヒネは、ラットへのIP投与(2〜10mg/kg)[図14]及びIT投与(3〜30μg)[図15]の後夫々において、放射熱性刺激(テイルフリック試験)に対し用量依存性抗侵害受容性を示した。S‐ノルケタミンは、ラットへのIP投与(0.75〜3mg/kg)[図16A]又はIT投与(10〜100μg)[図16B]の後いずれにおいても、抗侵害受容作用を示さなかった(テイルフリック試験)。S‐ノルケタミンは、それ単体では抗侵害受容作用を示さない用量(0.75〜3mg/kg、IP)において、低用量のモルヒネ(3mg/kg、IP)の抗侵害受容作用を用量依存的に増強した[図17]。モルヒネ(3mg/kg、IP)は、S‐ノルケタミン(3mg/kg、IT)との組み合わせにより、最大抗侵害受容作用を示した(%MPE=100%)。これと同程度の作用(%MPE=100%)は、モルヒネ単体を約3倍の用量(10mg/kg、IP)で投与した後に達成された[図17B及び図14B]。時間反応曲線は、モルヒネとS‐ノルケタミンの組み合わせではモルヒネ単体と比較して長くなると考えられる(IP経路)[図17A及び図14A]。
S‐ノルケタミンは、それ単体では抗侵害受容作用を示さない用量(10〜100μg、IT)において、低用量のモルヒネ(0.5μg、IT)の抗侵害受容作用を用量依存的に増強した[図18]。モルヒネ(0.5μg、IT)は、S‐ノルケタミン(100μg、IT)との組み合わせにおいて、モルヒネ単体を6倍の用量(30μg、IT)で投与した場合(%MPE=60%)と比較して、より大きな抗侵害受容作用(%MPE=80%)を示した[図18B及び図15B]。
同様の相乗抗侵害受容性相互作用が、モルヒネ及びS‐ノルケタミンを、腹腔内(IP)及び中心(IT)経路によりラットに同時投与した後にも認められた。モルヒネの鎮痛作用(IP)を増強するS‐ノルケタミンの能力は、既に示されたラットにおけるケタミン‐モルヒネ(IP)の相互作用(Holtman et al, 2003)よりも高いことが確認された。これらの発見は、疼痛管理、特に神経因性疼痛、のための新規のNMDA受容体アンタゴニスト及びオピオイド受容体アゴニストの組み合わせによる治療の発展に重要なものである。
(実施例4)
ノルケタミンプロドラッグの加水分解試験プロトコル
安定性試験を、pH7.4のHanks’バッファー及びヒト血漿において、48時間にわたって行った(n=3)。アセトニトリル中のノルケタミンエステル及びノルケタミンの1mg/mL原液から、一連の標準溶液(濃度範囲50〜1000ng/mL、アセトニトリル)を調製した。Hanks’バッファー(300μL)及び血漿(200μL)に、各薬物溶液を異なる濃度で10μL添加した。Hanks’バッファー試料を30秒間ボルテックスし、遠心分離(12000rpmで20分間)した後、上澄みをHPLCバイアルに移した。
血漿試料については、750μLのアセトニトリルを加え、30秒間ボルテックスし、遠心分離(12000rpmで20分間)した後、上澄みを取り出した。上澄みを窒素下37℃で蒸発させた後、400μLのアセトニトリルを加えて、HPLCバイアルに移した。HPLCシステムは、PerkinElmerシリーズ200のオートサンプラー及びポンプ並びに785A UV/VIS検出器からなり、ソフトはTurbochrome6.1を使用した。逆相220×4.6mm Brownlee Spheri‐5 VL C-18 5μカラム及びガードカラムを用いた。検出器の波長は、215nmに設定した。移動相は、0.1%トリフルオロ酢酸(トリエチルアミン+0.1%ヘプタン硫酸ナトリウム(sodium heptane sulfonate)及び5%アセトニトリルでpH3に調整)アセトニトリル(25:75)からなり、流量は1.5mL/minとした。注入量は100μLで、ランタイムは10分とした。
尚、ここでは本発明を、その具体的な実施形態と関連させて記載したが、これを更に変更可能であることは理解されるものであり、また、この出願は、本発明の如何なる変形、使用又は改変をも含むことを意図していると理解されるものである。一般的に、本発明の原理は、本発明の属する技術分野において知られる又は慣行されるような本開示からの逸脱、及びこれまでに開示され又は特許請求の範囲において示される本質的特徴に適用し得る逸脱をも包含するものである。
(実施例5)
図19は、SノルケタミンHCI及びオキシコドンの単体及び組み合わせでの鎮痛反応を示している。上述のテイルフリック試験では、上述のように8スプラーグドーリーラットに腹腔内投与を行った。記号「*」は、オキシコドン及びノルケタミンの組み合わせが、これら2つの薬物を単体で使用したときに対して統計的な差を有することを表している。データは、SNK法でP<0.05として分析した。図20は、S‐ノルケタミンHClと共に投与することによってオキシコドン耐性発現が減弱することを示している。上述のテイルフリック試験では、上述のように8スプラーグドーリーラットに腹腔内投与を行った。記号「*」は、オキシコドン及びS‐ノルケタミンの組み合わせと、オキシコドン単体とを使用したときとの統計的な差を表し、記号「+」は、1日目に対しての有意差を表している。データは、SNK法でP<0.05として分析した。
(実施例6)
図21は、S‐ノルケタミン及びモルヒネの鎮痛反応を示している。上述のテイルフリック試験では、上述のように8スプラーグドーリーラットに投与を行った。S‐ノルケタミンとモルヒネの組み合わせについて、記号「*」は、モルヒネ単体に対する有意差を、記号「+」は、S‐ノルケタミン及びモルヒネの組み合わせと比較して、S‐ノルケタミン単体に対する有意差を表している。データは、post‐hocSNK法でP≦0.001として分析した。
神経障害のげっ歯類モデル(機械試験)におけるノルケタミンの用量依存性抗侵害受容を示す図である。 神経障害のげっ歯類モデル(熱試験)におけるノルケタミンの用量依存性抗侵害受容を示す図である。 ノルケタミンとケタミンの抗侵害受容作用を示す図である。 S‐ノルケタミンの抗侵害受容作用を示す図である。 R‐ノルケタミンの抗侵害受容作用を示す図である。 S‐及びR‐ノルケタミンの抗侵害受容作用を比較する図である。 ノルケタミンの抗侵害受容作用とその血漿中濃度との相関を示す図である。 運動機能に対するノルケタミンの影響を示す図である。 運動失調を引き起こすノルケタミンの影響を示す図である。 IP投与によるモルヒネとラセミ体ノルケタミンの相乗鎮痛作用を示す図である。 IP投与によるモルヒネとS‐ノルケタミンの相乗鎮痛作用を示す図である。グラフの棒は左から、S‐ノルケタミン3mg/kg、モルヒネ3mg/kg、S‐ノルケタミン3mg/kg及びモルヒネ3mg/kgである。 髄腔内投与によるモルヒネとS‐ノルケタミンの相乗鎮痛作用を示す図である。グラフの棒は左から、S‐ノルケタミン100mcg(n=7)、モルヒネ0.5mcg(n=4)、S‐ノルケタミン100mcg及びモルヒネ0.5mcg(n=6)である。 S‐ノルケタミンの投与によるモルヒネ耐性の抑制を示す図である。 IP投与によるモルヒネの鎮痛作用を示す図である。 IT投与によるモルヒネの鎮痛作用を示す図である。 IP及びIT投与によるS‐ノルケタミン単体の作用を示す図である。 IP投与によるモルヒネとS‐ノルケタミンとの相乗作用を示す図である。 IT投与によるモルヒネとS‐ノルケタミンとの相乗作用を示す図である。 S‐ノルケタミン及びオキシコドンの相乗作用を示す図である。 S‐ノルケタミンにより抑制されるオキシコドンの耐性を示す図である。 S‐ノルケタミン及びモルヒネの相乗作用を示す図である。

Claims (19)

  1. 疼痛の緩和を必要としている被験体において前記疼痛を緩和する方法であって、
    前記被験体に、第1の有効成分の有効量及び第2の有効成分の有効量を投与すること、を含んで構成され、
    前記第1の有効成分は、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせから選択され、
    前記第2の有効成分は、オピオイドから選択され、
    前記第1の有効成分の前記有効量は、前記第2の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である
    疼痛緩和方法。
  2. 前記第2の有効成分の前記有効量は、前記第1の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、請求項1に記載の疼痛緩和方法。
  3. 前記第1及び第2の有効成分は、個別に投与される、請求項1に記載の疼痛緩和方法。
  4. 前記第1及び第2の有効成分は、一緒に投与される、請求項1に記載の疼痛緩和方法。
  5. 前記第2の有効成分は、フェンタニル、セフェンタニル、アルフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、メタドン、オキシコドン、ヒドロコドン、レミフェンタニル、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ノルモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、フェナゾシン、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、トラマドール、レボルファノール、L−アセチルメタドール、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、エトルフィン、ノルメタドン、ノルオキシコドン、及びノルレボルファノールから選択される、請求項1に記載の疼痛緩和方法。
  6. 前記第2の有効成分は、モルヒネである請求項1に記載の疼痛緩和方法。
  7. 疼痛の緩和を必要としている被験体において前記疼痛を緩和する方法であって、
    前記被験体に、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせを、麻薬性鎮痛薬と共に投与すること、
    を含んで構成され、
    前記麻薬性鎮痛薬は、前記(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせの非存在下で投与されたときに、前記被験体に前記麻薬性鎮痛薬への耐性を誘導し得る
    疼痛緩和方法。
  8. 前記麻薬性鎮痛薬は、約1週間の連日投与により前記被験体に該麻薬性鎮痛薬への耐性を誘導し得る、請求項7に記載の疼痛緩和方法。
  9. 前記麻薬性鎮痛薬は、フェンタニル、セフェンタニル、アルフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、メタドン、オキシコドン、ヒドロコドン、レミフェンタニル、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ノルモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、フェナゾシン、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、トラマドール、レボルファノール、L−アセチルメタドール、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、エトルフィン、ノルメタドン、ノルオキシコドン、及びノルレボルファノールから選択される、請求項7に記載の疼痛緩和方法。
  10. 前記麻薬性鎮痛薬は、モルヒネである、請求項7に記載の疼痛緩和方法。
  11. 前記(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせの有効量は、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、請求項7に記載の疼痛緩和方法。
  12. 疼痛の緩和を必要としている被験体において前記疼痛を緩和する方法であって、
    前記被験体に第1の有効成分の治療有効量及び第2の有効成分の治療有効量を投与すること、を含んで構成され、
    前記第1の有効成分は、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの医薬的に許容できる塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせから選択され、
    前記第2の有効成分は、オピオイドから選択され、
    (A)前記第1の有効成分の前記治療有効量は、前記第2の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、
    (B)前記第2の有効成分の前記治療有効量は、前記第1の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、又は
    (C)前記第1及び第2の有効成分共にその治療有効量は、単体で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である
    疼痛緩和方法。
  13. 前記第2の有効成分の前記治療有効量は、前記第1の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、請求項12に記載の疼痛緩和方法。
  14. 前記第1及び第2の有効成分は、個別に投与される、請求項12に記載の疼痛緩和方法。
  15. 前記第1及び第2の有効成分は、一緒に投与される、請求項12に記載の疼痛緩和方法。
  16. 前記第2の有効成分は、フェンタニル、セフェンタニル、アルフェンタニル、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、メタドン、オキシコドン、ヒドロコドン、レミフェンタニル、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ノルモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、フェナゾシン、コデイン、メペリジン、プロポキシフェン、トラマドール、レボルファノール、L−アセチルメタドール、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、エトルフィン、ノルメタドン、ノルオキシコドン及びノルレボルファノールから選択される、請求項12に記載の疼痛緩和方法。
  17. 前記第2の有効成分は、モルヒネ又はオキシコデインである、請求項12に記載の疼痛緩和方法。
  18. 神経変性疾患又は精神神経疾患の治療を必要としている被験体において前記疾患を治療する方法であって、
    前記被験体に、第1の有効成分の治療有効量及び第2の有効成分の治療有効量を投与すること、を含んで構成され、
    前記第1の有効成分は、(S)‐ノルケタミン、(R)‐ノルケタミン、これらの医薬的に許容できる塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ、又はこれらの組み合わせから選択され、
    前記第2の有効成分は、オピオイドから選択され、
    (A)前記第1の有効成分の前記治療有効量は、前記第2の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、
    (B)前記第2の有効成分の前記治療有効量は、前記第1の有効成分の非存在下で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である、又は
    (C)前記第1及び第2の有効成分共にその治療有効量は、単体で投与されたときに、前記被験体に対して最適な鎮痛効果を発現するには不十分である
    前記疾患の治療方法。
  19. 前記疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン症候群又は神経変性である、請求項18に記載の方法。
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