JP2009511014A - 自己免疫疾患の処置のための組成物および方法 - Google Patents

自己免疫疾患の処置のための組成物および方法 Download PDF

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自己免疫疾患に関連した1つまたは複数の病原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターの投与を含む、自己免疫疾患の処置または予防のための改善された方法が開示される。本発明の改善された方法は、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の改変自己ベクターの被験体への投与を含む。一つの局面において、方法は、非改変ベクターと比較して宿主細胞における自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドの発現の増加を可能にする改変自己ベクターを含む。相互に排他的ではない別の局面において、方法は、自己免疫疾患に関連した分泌性自己抗原が非分泌性自己ポリペプチドとしてコードされるのを可能にする改変自己ベクターを含む。

Description

1. 発明の分野
本発明は免疫学および医学の分野に関する。被験体に存在し、かつ非生理学的状態に関与する1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドに関連した被験体における疾患を処置または予防するための方法および組成物を可能にする。より具体的には、本発明は、自己免疫疾患に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種を含む自己免疫疾患を処置および予防するための改善された方法ならびに組成物に関する。
2. 背景
自己免疫疾患および免疫応答の調節
自己免疫疾患は、誤って身体の健康な細胞および/または組織に向けられるようになる免疫細胞により引き起こされる任意の疾患である。自己免疫疾患は、米国人口の3%、およびおそらく、先進工業国人口の同様のパーセンテージが罹患している(Jacobson et al., Clin Immunol Immunopathol 84, 223-43, 1997)。自己免疫疾患は、異常なことに、自己タンパク質、自己ポリペプチド、自己ペプチド、および/または他の自己分子を標的とし、身体内の器官、組織、もしくは細胞型(例えば、膵臓、脳、甲状腺、または胃腸管)の傷害および/または機能不全を引き起こして、疾患の臨床症状を引き起こすTリンパ球およびBリンパ球により特徴付けられる(Marrack et al., Nat Med 7, 899-905, 2001)。自己免疫疾患は、特定の組織を冒す疾患、および複数の組織を冒しうる疾患を含む。これは、一部、いくつかの疾患について、自己免疫応答が、特定の組織に限局した抗原に向けられるか、または身体に広範に分布する抗原に向けられるかに依存しうる。組織特異的自己免疫の特性は、単一の組織または個々の細胞型の選択的ターゲティングである。とはいえ、遍在性自己タンパク質を標的とするある特定の自己免疫疾患もまた、特定の組織を冒しうる。例えば、多発性筋炎において、自己免疫応答は、遍在性タンパク質のヒスチジル-tRNAシンセターゼを標的とするが、主として含まれる臨床症状は、筋肉の自己免疫破壊である。
免疫系は、様々な外来病原体から哺乳動物を保護するために応答を生じるが、同時に自己抗原に対する応答を防ぐように設計された高度に複雑な機構を用いる。応答するかどうかを決定すること(抗原特異性)に加えて、免疫系はまた、各病原体に対処するのに適切なエフェクター機能を選択しなければならない(エフェクター特異性)。これらのエフェクター機能を媒介および制御することにおいて重大な意味をもつ細胞は、CD4+ T細胞である。さらになお、T細胞がそれらの機能を媒介する主要な機構であると思われるのは、CD4+ T細胞由来の特定のサイトカインの生成である。従って、CD4+ T細胞により生成されるサイトカインの型、およびそれらの分泌がどのようにして制御されるかを特徴付けることは、免疫応答がどのようにして制御されるかを理解するにおいて極めて重要である。
長期マウスCD4+ T細胞クローンからのサイトカイン産生の特徴付けは、最初、10年より前に発表された(Mosmann et al., J. Immunol. 136:2348-2357, 1986)。これらの研究において、CD4+ T細胞はサイトカイン産生の2つの別個のパターンを生じることが示され、Tヘルパー1(Th1)およびTヘルパー2(Th2)と名付けられた。Th1細胞は、主に、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、およびリンホトキシン(LT)を産生することが見出され、一方、Th2クローンは主に、IL-4、IL-5、IL-6、およびIL-13を産生した(Cherwinski et al., J. Exp. Med. 169:1229-1244, 1987)。いくらか後になって、追加のサイトカイン、IL-9およびIL-10がTh2クローンから単離された(Van Snick et al., J. Exp. Med. 169:363-368, 1989)(Fiorentino et al., J. Exp. Med. 170:2081-2095, 1989)。最後に、IL-3、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、および腫瘍壊死因子-α(TNF-α)のような追加のサイトカインが、Th1およびTh2細胞の両方により分泌されることが見出された。
自己免疫疾患は、下の表1に概要を述べられているように、身体内の多くの異なる器官および組織を冒す広範囲の疾患を含む(例えば、Paul, W.E. (1999) Fundamental Immunology, Fourth Edition, Lippincott-Raven, New Yorkを参照)。
(表1)自己免疫疾患において標的とされる主な器官および組織
Figure 2009511014
ヒト自己免疫疾患についての現在の治療には、グルココルチコイド、細胞毒性剤、および最近開発された生物学的療法が挙げられる。一般的に、ヒト全身性自己免疫疾患の管理は、経験によるものであり、満足できるものではない。大部分、コルチコステロイドのような広く免疫抑制性の薬物が、多種多様の重症自己免疫性および炎症性障害に用いられる。コルチコステロイドに加えて、他の免疫抑制剤が全身性自己免疫疾患の管理に用いられる。シクロホスファミドは、Tリンパ球およびBリンパ球の両方の著明な枯渇ならびに細胞性免疫の機能障害を引き起こすアルキル化剤である。シクロスポリン、タクロリムス、およびミコフェノール酸モフェチルは、Tリンパ球抑制の特異的性質をもつ天然産物であり、それらは、SLE、RAを処置するために、ならびに限られた範囲内で、脈管炎および筋炎において、用いられている。これらの薬物は、著しい腎臓毒性を伴う。メトトレキセートもまた、疾患進行を低減することを目的に、RAにおいて「第二選択」剤として用いられる。それはまた、多発性筋炎および他の結合組織疾患に用いられる。試みられている他のアプローチには、サイトカインの作用を遮断すること、またはリンパ球を枯渇させることを意図されたモノクローナル抗体が挙げられる。(Fox, Am. J. Med; 99:82-88 1995)。多発性硬化症(MS)についての処置には、インターフェロン(βおよび共重合体1、再発率を20〜30%、低下させ、疾患進行に適度の影響を生じるのみである)が挙げられる。MSはまた、メチルプレドニゾロン、他のステロイド、メトトレキセート、クラドリビン、およびシクロホスファミドを含む免疫抑制剤で処置される。これらの免疫抑制剤は、MSを処置するにおいて最少の効力を生じる。関節リウマチ(RA)についての現在の治療は、メトトレキセート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、ロイフロナミド(leuflonamide)、プレドニゾン、加えて最近開発されたTNFαアンタゴニスト、エタネルセプトおよびインフリキシマブのような免疫機能を非特異的に抑制または調節する作用物質を利用する(Moreland et al., J Rheumatol 28, 1431-52, 2001)。エタネルセプトおよびインフリキシマブは、TNFαを全体的に遮断し、患者が敗血症による死、慢性ミコバクテリア感染症の悪化、および脱髄性事象の発生をより起こしやすくさせる。
器官特異的自己免疫の場合、いくつかの異なる治療アプローチが試されている。可溶性タンパク質抗原が、その抗原に対するその後の免疫応答を阻害するために全身性に投与されている。そのような治療には、ミエリン塩基性タンパク質、その主要なペプチド、またはミエリンタンパク質の混合物の実験的自己免疫性脳脊髄炎をもつ動物および多発性硬化症をもつヒトへの送達(Brocke et al., Nature 379, 343-6, 1996; Critchfield et al., Science 263, 1139-43, 1994; Weiner et al., Annu Rev Immunol 12, 809-37, 1994)、II型コラーゲンまたはコラーゲンタンパク質の混合物のコラーゲン誘発性関節炎をもつ動物および関節リウマチをもつヒトへの投与(Gumanovskaya et al., Immunology 97, 466-73, 1999); (McKown et al., Arthritis Rheum 42, 1204-8, 1999); (Trentham et al., Science 261, 1727-30, 1993)、インスリンの自己免疫性糖尿病をもつ動物およびヒトへの送達(Pozzilli and Gisella Cavallo, Diabetes Metab Res Rev 16, 306-7, 2000)、ならびにS抗原の自己免疫性ブドウ膜炎をもつ動物およびヒトへの送達(Nussenblatt et al., Am J Ophthalmol 123, 583-92, 1997)が挙げられる。このアプローチに関連した問題は、抗原の全身性注入により誘導されるT細胞無応答性である。別のアプローチは、T細胞受容体とMHC分子に結合したペプチドの間の特異的相互作用に基づいたペプチド抗原の全身性投与についての合理療法ストラテジーを設計する試みである。糖尿病の動物モデルにおけるペプチドアプローチを用いる本発明者らの研究は、結果として、そのペプチドに対する抗体産生の発生を生じた(Hurtenbach et al., J Exp. Med 177:1499, 1993)。別のアプローチは、T細胞受容体(TCR)ペプチド免疫化の投与である。(例えば、Vandenbark et al., Nature 341:541, 1989を参照)。さらに別のアプローチは、ペプチドまたはタンパク質抗原の摂取による経口免疫寛容の誘導である(例えば、Weiner, Immunol Today, 18:335 1997を参照)。
免疫応答は、現在、ポリペプチドを単独で、またはアジュバント(免疫刺激剤)と組み合わせて、送達することにより変化される。例えば、B型肝炎ウイルスワクチンは、アジュバントとしての役割を果たす水酸化アルミニウム中に製剤化された、非自己抗原である、組換えB型肝炎ウイルス表面抗原を含む。このワクチンは、感染から保護するようにB型肝炎ウイルス表面抗原に対する免疫応答を誘導する。代替アプローチは、病原体に対する宿主保護的免疫応答を誘発するために、それぞれ非自己抗原である、ウイルスまたは細菌の弱毒性、複製欠損性、および/または非病原性型の送達を含む。例えば、経口ポリオワクチンは、臨床疾患を引き起こすことなく、外来または非自己抗原であるポリオウイルスに対して効果的な免疫を誘導するために、ワクチン接種された個体において細胞に感染して複製する非自己抗原の生きている弱毒ウイルスから構成される。または、非活性化ポリオワクチンは、感染するもしくは複製する能力がない不活性化した、または「死滅した」ウイルスを含み、皮下に投与されて、ポリオウイルスに対する保護性免疫を誘導する。
DNAワクチン接種/ポリヌクレオチド治療
ポリヌクレオチド治療またはDNAワクチン接種は、外来病原体(Davis, 1997; Hassett and Whitton, 1996; およびUlmer et al., 1996)および癌抗原(Stevenson et al., 2004)に対する免疫を誘導するための、および自己免疫過程を調節するための効率的な方法である(Waisman et al., 1996)。筋肉内注射後、プラスミドDNAは、例えば、コードされたポリペプチドの発現(Wolff et al., 1992)および発現したタンパク質に対する長寿命免疫応答の開始(Hassett et al., 2000)を可能にする筋肉細胞により取り込まれる。自己免疫疾患の場合、効果は、自己免疫破壊を抑制しうる継続中の免疫応答におけるシフトであり、自己反応性リンパ球におけるTh1型応答からTh2型応答へのシフトを含むと考えられている。免疫応答の調節は、全身性ではなく、自己免疫攻撃下の標的器官に局所的にのみ起こりうる。
沈殿促進剤および/もしくはトランスフェクション促進剤中に製剤化される、またはウイルスベクターを用いる、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与は、「遺伝子治療」とは異なる。遺伝子治療は、タンパク質もしくはペプチドの発現を提供するための、宿主において欠損もしくは非存在のタンパク質もしくはペプチドに取って代わるための、および/または所望の生理学的機能を増加させるためのポリヌクレオチドの送達である。遺伝子治療は、治療を目的として、個体のゲノムへのDNAの組み込みを結果として生じる方法を含む。遺伝子治療の例は、血友病についての凝固因子、重症複合型免疫不全症についてのアデノシンデアミナーゼ、家族性高コレステロール血症についての低密度リポタンパク質受容体、ゴーシェ病についてのグルコセレブロシダーゼ、α1-抗トリプシン欠乏症についてのα1-抗トリプシン、異常血色素症についてのα-グロビンまたはβ-グロビン遺伝子、および嚢胞性線維症についての塩素チャネルをコードするDNAの送達を含む(Verma and Somia, Nature 389, 239-42, 1997)。
研究者は、自己免疫疾患を処置するための免疫分子をコードするDNA治療を記載している。そのようなDNA治療は、自己免疫応答を作動させる自己反応性T細胞のレベルを変化させるためのT細胞受容体の抗原結合領域をコードするDNAを含む(Waisman et al., Nat Med 2:899-905, 1996)(米国特許第5,939,400号)。自己抗原をコードするDNAを、粒子に付着させ、多発性硬化症およびコラーゲン誘導関節炎を防ぐために皮膚へ遺伝子銃により送達する。(国際特許出願公開番号WO 97/46253; Ramshaw et al., Immunol. and Cell Bio. 75:409-413, 1997)。接着分子、サイトカイン(例えば、TNFα)、ケモカイン(例えば、C-Cケモカイン)、および他の免疫分子(例えば、Fas-リガンド)をコードするDNAは、自己免疫疾患の動物モデルに用いられている(Youssef et al., J Clin Invest 106:361-371, 2000); (Wildbaum et al., J Clin Invest 106:671-679, 2000); (Wildbaum et al., J Immunol 165:5860-5866, 2000); (Wildbaum et al., J Immunol 161:6368-7634, 1998); (Youssef et al., J Autoimmun 13:21-9, 1999)。
1つまたは複数の自己抗原をコードする核酸を投与することによる自己免疫疾患を処置する方法は、国際特許出願番号WO 00/53019、WO 2003/045316、およびWO 2004/047734に記載されている。これらの方法は成功しているが、さらなる改善がまだ必要とされる。
発明の概要
本発明は、被験体に存在し、かつ非生理学的状態に関与する1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドに関連した被験体における疾患を、処置または予防するための方法および組成物に関する。本発明は、より具体的には、疾患に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種を含む、自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法ならびに組成物に関する。治療的または予防的有効量の改変自己ベクターの被験体への投与は、自己免疫に関連した自己抗原に対する免疫応答の抑制を誘発し、それにより疾患を処置または予防する。初めて、本発明は、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドが、非改変自己ベクターからの発現と比較して増加するかまたは減少するかのいずれかであるように、被験体に存在する1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターを投与することにより自己免疫疾患を処置または予防する手段および方法を提供する。好ましい態様は、1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする改変自己ベクターの投与であり、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現は、例えば、以下のうちの1つまたは複数を増加させることを含む自己ベクターの改変により増加する:転写開始、転写終結、mRNA安定性、翻訳効率、およびタンパク質安定性。
本発明は、自己免疫疾患に関連した1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターの投与を含む、自己免疫疾患の処置または予防のための改善された方法および組成物を可能にする。一つの局面において、改変自己ベクターは、非改変ベクターと比較して宿主細胞における自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を増加させるように変化している。相互に排他的ではない別の局面において、改変自己ベクターは、自己免疫疾患に関連した細胞外または分泌性の自己抗原(例えば、膜貫通タンパク質または分泌型可溶性因子)をコードして、細胞内および非分泌性ポリペプチドとして発現するのを可能にするように変化している。
特定の態様において、自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法は、コードされる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を、同じ自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させるように変化している。この改変自己ベクターは、本明細書では、高発現自己ベクター(HESV)と呼ばれる。HESVは、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、同じ非改変自己ベクターと比較して自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。HESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞における自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変。
自己免疫疾患に関連した自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を増加させるための自己ベクターの改変は、以下の1つまたは複数を増加させるように自己ベクターの1つまたは複数の構成要素を変化させる:転写開始、転写終結、mRNA安定性、翻訳効率、またはタンパク質安定性。より具体的には、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドの発現を増加させるための自己ベクターの改変は、以下からなる群より選択される:より強いプロモーター領域の使用、エンハンサー領域の付加、より効率的な転写ターミネーター配列の使用、ポリアデニル化シグナルの付加、より理想的なコンセンサスコザック配列の使用、コドン使用頻度の最適化、イントロンの包含、または当業者に公知の他の手段もしくは前記のものの組み合わせ。2つより多い改変が、HESVを作製するために単一自己ベクターへ組み入れられうる。一つの好ましい態様において、改変は、1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのプロモーター領域の下流かつ開始コドンの上流でのイントロンの包含である。より具体的には、好ましいイントロンは、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)のイントロンAまたはβ-グロビン/Igキメライントロンであり、最も好ましくは、好ましいイントロンはβ-グロビン/Igキメライントロンである。
いくつかの態様において、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、または関節リウマチ(RA)のような自己免疫疾患に関連した自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して、同じ自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの増加した量を発現するHESVが作製される。IDDMの場合、非改変自己ベクターと比較して自己ポリペプチドであるプレプロインスリンの増加した量を発現するHESVが作製される。好ましい態様において、HESVは、自己ポリペプチドであるプレプロインスリンの開始コドンの5'側にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。他の態様において、自己免疫疾患、多発性硬化症(MS)と関連した自己ポリペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して、同じ自己ポリペプチドの増加した量を発現するHESVが作製される。より具体的には、非改変自己ベクターと比較して自己ポリペプチドであるミエリン塩基性タンパク質(MBP)の増加した量を発現するHESVが作製される。好ましい態様において、HESVは、自己ポリペプチドであるMBPの開始コドンの5'側にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。
相互に排他的ではない態様において、自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法は、その疾患に関連した細胞外または分泌性の自己抗原の細胞内もしくは非分泌性の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの型をコードするポリヌクレオチドを含むように変化した改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。細胞外または分泌性自己抗原に関連した自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを分泌しない改変自己ベクターは、本明細書では、非分泌性自己ベクター(N-SSV)と呼ばれる。N-SSVは、自己免疫疾患に関連した分泌性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を防ぐための改変とを含む。N-SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む細胞外または分泌性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐための少なくとも1つの改変。好ましい態様において、N-SSVによりコードされる分泌性自己ポリペプチドの非分泌性型は、シグナル配列を欠いている。特定の態様において、N-SSVは、自己免疫疾患、インスリン依存性糖尿病(IDDM)に関連した自己ポリペプチドの非分泌性型をコードする。より具体的には、N-SSVは、シグナル配列を欠いている、プレプロインスリンの非分泌性型であるプロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)をコードする。
他の相互に排他的ではない態様において、自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法は、その疾患に関連した膜会合性または細胞内自己抗原の、分泌性または非膜結合性の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの型をコードするポリヌクレオチドを含むように変化した改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。膜会合性または細胞内自己抗原に関連した分泌性または非膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを発現する改変自己ベクターは、本明細書では、分泌性自己ベクター(SSV)と呼ばれる。SSVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、分泌性または非膜結合性自己ポリペプチドを宿主細胞から発現するための改変とを含む。SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較した、宿主細胞からの分泌性または非膜結合性自己ポリペプチドの発現のための少なくとも1つの改変。いくつかの態様において、SSVは、多発性硬化症(MS)のような自己免疫疾患に関連した細胞内自己ポリペプチドの分泌性または非膜結合性型をコードする。より具体的には、SSVは、N末端シグナル配列を含むMBPをコードする。他の好ましい態様において、SSVは、MSに関連した膜貫通自己ポリペプチドの分泌性型をコードする。より具体的には、SSVは、膜貫通および細胞内ドメインを欠くMOGの細胞外ドメインをコードする。
本発明は、多発性硬化症、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、悪性貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)、およびグレーブス病のような自己免疫疾患を処置または予防するための方法および組成物を提供する。特定の態様において、本発明は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるHESVを被験体に投与する段階を含む、自己免疫疾患、インスリン依存性糖尿病(IDDM)を処置または予防する改善された方法を提供する。いくつかの態様において、HESVは、以下の改変の1つまたは複数により作製される:より強いプロモーター領域の使用、エンハンサー領域の付加、より効率的な転写ターミネーター配列の使用、ポリアデニル化シグナルの付加、より理想的なコンセンサスコザック配列の使用、コドン使用頻度の最適化、イントロンの包含、または前記の改変の2つもしくはそれ以上の組み合わせ。好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるHESVは、IDDMに関連した自己ポリペプチドのプロモーター領域の下流かつ開始コドンの上流でのイントロンの包含により作製される。好ましいイントロンは、キメラβ-グロビン/Igイントロンまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)のイントロンAを含む。いくつかの態様において、IDDMに関連した自己ポリペプチドは以下からなる群より選択される:プレプロインスリン;グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)-65および-67;チロシンホスファターゼIA-2;島特異性グルコース-6-ホスファターゼ関連タンパク質(IGRP)、および島細胞抗原69kD。最も好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるHESVは、自己ポリペプチドのプレプロインスリンをコードするポリヌクレオチドの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。本発明の他の態様において、多発性硬化症(MS)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるHESVを被験体に投与する段階を含む、多発性硬化症(MS)を処置または予防する改善された方法が提供される。いくつかの態様において、HESVによりコードされる自己ポリペプチドは、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、およびミエリン関連糖タンパク質(MAG)からなる群より選択される。異なる自己ポリペプチドをコードする複数のHESVが、カクテルとして投与されてもよく、各個々のHESVが、複数の自己ポリペプチドをコードしてもよい。好ましい態様において、MSを処置または予防するために投与されるHESVは、自己ポリペプチドであるMBPをコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にイントロンAを含む。
他の相互に排他的ではない態様において、本発明は、IDDMに関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるN-SSVを被験体に投与する段階を含む、IDDMのような自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法を提供する。いくつかの態様において、N-SSVによりコードされる自己ポリペプチドは、プレプロインスリン、プロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)、インスリン、およびインスリンB鎖からなる群より選択される。好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるN-SSVは、プレプロインスリンのシグナル配列が除去されているプレプロインスリンの非分泌性型(すなわち、プロインスリン、SEQ ID NO:2)をコードする。他の態様において、関節リウマチ(RA)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるN-SSVを被験体に投与する段階を含む、関節リウマチ(RA)を処置または予防する改善された方法が提供される。いくつかの態様において、N-SSVによりコードされる自己ポリペプチドは、II型コラーゲン、IV型コラーゲン、およびフィブリンからなる群より選択される。好ましい態様において、N-SSVは、II型コラーゲンのシグナル配列が除去されているII型コラーゲンの非分泌性型をコードする。
特定のバリエーションにおいて、自己免疫疾患を処置または予防するための方法および組成物はさらに、例えば、免疫調節配列、薬理作用のある物質、アジュバント、サイトカイン、またはサイトカインをコードするベクターのような他の物質と組み合わせての改変自己ベクターの投与を含む。本発明の一つの特定の態様において、自己ベクターの送達は、5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'および5'-プリン-プリン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'(XおよびYがシトシン-グアニンとはなり得ないことを除いて、XおよびYは任意の天然または合成のヌクレオチドである)からなる群より選択される免疫調節配列の同時投与と合わせられる。別の態様において、改変自己ベクターの送達は、IL-4、IL-10、およびIL-13からなる群より選択されるTh2サイトカインをコードする発現ベクターの同時投与と合わせられる。
定義
他に規定がない限り、本明細書に用いられるすべての技術用語および科学用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。以下の参考文献は、本明細書に用いられる用語の大多数の一般的な定義を当業者に提供する:Hale and Margham, The Harper Collins Dictionary of Biology (Harper Perennial, 1991); King and Stansfield, A Dictionary of Genetics (Oxford University Press, 4th ed. 1990); Stedman's Medical Dictionary (Lippincott Williams & Wilkins, 27th ed. 2000); およびHawley's Condensed Chemical Dictionary (John Wiley & Sons, 13th ed. 1997)。本明細書に用いられる場合、以下の用語および句は、他に特定されない限り、それらに起因する意味を有する。
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という用語は、文脈が明らかに他に規定しない限り、複数の指示対象を含む。
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、ホスホジエステル結合を介して連結された多数のヌクレオチド単位(リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、または関連した構造変種)で構成される重合体を指す。ポリヌクレオチドまたは核酸は、実質的には任意の長さであり、典型的には約6ヌクレオチドから約109ヌクレオチドまでまたはそれ以上でありうる。ポリヌクレオチドおよび核酸は、RNA、DNA、合成型、および混合重合体、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方、二本鎖または一本鎖を含み、また、当業者により容易に認識されているように、化学的にもしくは生化学的に改変されうる、または非天然もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含みうる。そのような改変には、例えば、標識、メチル化、1つまたは複数の天然ヌクレオチドの類似体との置換、非荷電性結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、荷電性結合(例えば、ホスホロチオネート、ホスホロジチオネートなど)、ペンダント部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレーター、アルキレーター、および修飾結合(modified linkage)(例えば、αアノマー核酸など)のようなヌクレオチド間改変が挙げられる。水素結合および他の化学的相互作用を介して指定された配列に結合する能力においてポリヌクレオチドを模倣する、合成分子もまた挙げられる。そのような分子は当技術分野において公知であり、例えば、分子の骨格においてペプチド結合がリン酸結合と置き換わっているものを含む。
本明細書に用いられる場合、「イントロン」または「イントロン配列」という用語は、RNAプロセシング中に保持され、かつたいていがしばしば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列である「エキソン」の上流に、または「エキソン」の間に位置している、自己ベクターに存在する遺伝子または遺伝子の部分の内の介在ポリヌクレオチド配列を指す。イントロンは、タンパク質合成をコードすることにおいて機能せず、ポリペプチドへ翻訳される前にRNAからスプライスアウトされる。
「スプライシング」は、単一の機能性RNA分子が、一次転写産物またはプレRNAのプロセシング中にイントロンの除去およびエキソンの並置により生成される機構を指す。コンセンサス配列は、イントロンの5'末端または供与部位および3'末端または受容部位を定義するイントロン-エキソン接合部に、ならびにイントロン配列内の受容部位の約20〜50塩基対上流に位置する分岐部位に存在する。たいていのイントロンは、配列GUから始まり、配列AGで終わり(5'から3'方向で)、CU(A/G)A(C/U)に近似する分岐部位を有し、Aはすべての遺伝子において保存されている。これらの配列は、イントロンの外へのループ形成およびそれのその後の除去の合図をする。
「プロモーター」という用語は、RNA合成、すなわち「転写」の開始のためにRNAポリメラーゼにより認識されるポリヌクレオチド領域を指す。プロモーターは、転写の効率、およびそれに従って、自己ベクターによりコードされる自己ポリペプチドのタンパク質発現のレベルを制御する自己ベクターの機能性エレメントの1つである。プロモーターは、「構成的」であってもよく、関連した遺伝子の継続的な転写を可能にし、または「誘導性」であってもよく、従って、環境における異なる物質の存在もしくは非存在により制御されうる。加えて、プロモーターはまた、広範囲の異なる細胞型における発現として一般的でありうるか、または細胞型特異的で、およびそれに従って、筋肉細胞のような特定の細胞型においてのみ活性もしくは誘導性でありうるかのいずれかである。ベクターからの転写を制御するプロモーターは、様々な源、例えば、ポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および好ましくは、サイトメガロウイルスのようなウイルスのゲノムから、または異種性哺乳動物プロモーター、例えば、b-アクチンプロモーターから得られうる。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは都合よく得られ、ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターも同様である。
「エンハンサー」は、プロモーターへ作用して、そのプロモーターからの転写を増強する約10〜300塩基対のシス作用性ポリヌクレオチド領域を指す。エンハンサーは、比較的、配向および位置非依存性であり、転写単位の5'側もしくは3'側、イントロン内、またはコード配列自体の内部に配置されうる。
本明細書に用いられる場合、「ターミネーター配列」とは、DNA転写の終わりをRNAポリメラーゼに合図するポリヌクレオチド配列を意味する。ターミネーター配列により生じたRNAの3'末端は、しばしば、その後、ポリアデニル化よってかなり上流でプロセシングされる。「ポリアデニル化」は、転写されたメッセンジャーRNAの3'末端への約50〜約200ヌクレオチド鎖のポリアデニル酸(ポリA)の非鋳型性付加を指すように用いられる。「ポリアデニル化シグナル」(AAUAAA)は、mRNAの3'非翻訳領域(UTR)内に見出され、転写産物の切断およびポリAテールの付加についての部位を特定する。転写終結およびポリアデニル化は、機能的に連関しており、効率的な切断/ポリアデニル化に必要とされる配列もまた、終結配列の重要なエレメントを構成する(Connelly and Manley, 1988)。
本明細書に用いられる場合、「オリゴヌクレオチド」は、長さが約6ヌクレオチドから約175ヌクレオチドまで、またはそれ以上のポリヌクレオチドのサブセットを指す。典型的なオリゴヌクレオチドは、長さが最大約100ヌクレオチドまでである。オリゴヌクレオチドは、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドの両方を指し、以下ODNと呼ぶ。ODNは、オリゴヌクレオシドおよび他の有機塩基含有重合体を含む。オリゴヌクレオチドは、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、およびcDNAを含む現存の核酸源から得られうるが、典型的には、オリゴヌクレオチド合成により作製される合成オリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、自動オリゴヌクレオチド合成機(例えば、Applied BioSystems(Foster City, Calif.)により製造されたもの)上で製造元により提供された仕様書に従って合成されうる。
「DNAワクチン接種」、「DNA免疫化」、および「ポリヌクレオチド治療」という用語は、本明細書で交換可能に用いられ、免疫応答を調節する目的での被験体へのポリヌクレオチドの投与を指す。外来の微生物抗原を発現するプラスミドでの「DNAワクチン接種」は、保護性抗ウイルスまたは抗細菌免疫を誘導するための周知の方法である(Davis, 1997; Hasett and Whitton, 1996; およびUlmer et al., 1996)。本発明の目的として、「DNAワクチン接種」、「DNA免疫化」、または「ポリヌクレオチド治療」は、疾患に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与を指す。「DNAワクチン接種」は、自己免疫疾患の処置または予防のために自己免疫破壊を抑制するように進行中の免疫応答を調節する目的を果たす。「DNAワクチン接種」に反応した免疫応答の調節は、自己反応性リンパ球をTh1型応答からTh2型応答へシフトすることを含みうる。免疫応答の調節は、全身性に、または自己免疫攻撃下の標的器官に局所的のみに、起こりうる。
「自己ベクター」とは、総合すれば、1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数のベクターを意味する。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする配列は、適切な発現ベクターへ挿入される。いったん、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするポリヌクレオチドが発現ベクターへ挿入されたならば、ベクターはその後、「自己ベクター」と呼ばれる。1つより多い自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが投与される場合、単一の自己ベクターが複数の自己ポリペプチドをコードしうる、または代わりに、各自己ポリペプチドが別個のDNA発現ベクター上にコードされうる。単一の自己ベクター内に含まれる複数の自己ポリペプチドは、例えば、内部リボソーム侵入部位(IRES)を用いる、または融合タンパク質を設計することによるような、それらの発現を可能にする任意の様式で配置されうる。
「改変自己ベクター」は、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を変化させるように改変されている自己ベクターを指す。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現における変化は、非改変自己ベクターと比較して、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を増加させるか、または低下させるかのいずれかでありうる。または、改変自己ベクターは、分泌性または膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを非分泌性または非膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドへ変化させるためのコード配列への改変を含む。改変自己ベクターはまた、分泌性または膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを非分泌性または非膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドへ変化させるための改変と組み合わせて、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を増加させるための変化を含む。改変自己ベクターは、免疫応答を調節するために被験体へ投与される。
「高発現自己ベクター」または「HESV」は、本明細書では、コードされる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を、同じ自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させるように変化している改変自己ベクターを指す。HESVは、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、改変されていない同じ自己ベクターと比較して自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。HESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞における自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変。自己ポリペプチドの発現の増加を有するHESVを作製するための自己ベクターの改変は、以下を増加させる変化から選択される:転写開始、転写終結、mRNA安定性、翻訳効率、およびタンパク質安定性。より具体的には、自己ポリペプチドの発現を増加させるための自己ベクターの改変は、以下からなる群より選択される:より強いプロモーター領域の使用、エンハンサー領域の付加、より効率的な転写ターミネーター配列の使用、ポリアデニル化シグナルの付加、より理想的なコンセンサスコザック配列の使用、コドン使用頻度の最適化、イントロンの包含、または前記の改変の組み合わせ。単一または複数の改変が、HESVを作製するために自己ベクターへ組み入れられうる。
「非分泌性自己ベクター」または「N-SSV」は、本明細書では、疾患に関連した細胞外もしくは分泌性自己抗原(例えば、膜貫通タンパク質または分泌性可溶性因子)の細胞内または非分泌性自己ポリペプチド型をコードするポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターを指す。N-SSVは、自己免疫疾患に関連した分泌性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、非分泌性または非膜結合性自己ポリペプチドを宿主細胞から発現するための改変とを含む。N-SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む細胞外または分泌性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐための少なくとも1つの改変。分泌性または膜結合性自己ポリペプチドの非分泌性または非膜結合性型をコードしかつ発現するN-SSVを作製するための自己ベクターへの改変には、限定されるわけではないが、シグナル配列を除去すること、シグナル配列を突然変異させること、ならびに代替のタンパク質局在化(ER保持、原形質膜付着など)シグナルおよびタンパク質分解シグナルを付加すること、または自己ポリペプチドの膜貫通ドメインもしくは疎水性領域を改変もしくは欠失させることが挙げられる。
「非分泌性高発現自己ベクター」または「N-SHESV」は、細胞外もしくは分泌性自己ポリペプチドのコードされた細胞内型もしくは非分泌性型、または膜結合性自己ポリペプチドの非膜結合性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターを指し、発現および分泌は、非改変自己ベクターと比較した場合である。N-SHESVは、自己免疫疾患に関連した分泌性または膜結合性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、非改変自己ベクターと比較して非分泌型または非膜結合型での自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。N-SHESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む細胞外または分泌性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変、および宿主細胞からの非分泌性または非膜結合性自己ポリペプチドを発現させるための少なくとも1つの改変であって、両方の改変は、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較した場合である、改変。
「分泌性自己ベクター」または「SSV」は、本明細書では、疾患に関連した膜会合性または細胞内自己抗原の分泌性自己ポリペプチド型をコードするポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターを指す。SSVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を可能にするための改変とを含む。SSVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を可能にするための改変とを含む。SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を可能にするための少なくとも1つの改変。細胞内自己ポリペプチドの分泌性型をコードしかつ発現するSSVを作製するための自己ベクターへの改変には、限定されるわけではないが、シグナル配列の付加が挙げられる。加えて、改変はさらに、細胞内エピトープが細胞外へ提示されるように、例えば、膜貫通ドメインまたはGPIアンカーを含む膜会合についてのシグナルを含みうる。膜会合性自己ポリペプチドの分泌性型をコードしかつ発現するSSVを作製するための自己ベクターへの改変には、限定されるわけではないが、以下が挙げられる:膜貫通ドメインの除去;GPI連結の除去、シグナル配列の細胞内ドメインへの付加と共に細胞外および膜貫通ドメインの除去;ならびに、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの除去。
本明細書に用いられる場合、「分泌性高発現自己ベクター」または「SHESV」は、膜会合性または細胞内自己ポリペプチドの、コードされた分泌性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターを指し、発現および分泌は、非改変自己ベクターと比較した場合である。SHESVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、改変されていない同じ自己ベクターと比較して分泌型または細胞外膜会合型での自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。SHESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変、および宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を可能にするための少なくとも1つの改変であって、両方の改変は、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較した場合である、改変。
「プラスミド」および「ベクター」は、小文字p、その後に文字および/または数字が続くことにより名付けられる。出発プラスミドは、市販されており、公的に無制限方式で利用可能である、または公開された手順に従って入手可能なプラスミドから構築されうる。加えて、記載されたものと等価のプラスミドは、当技術分野において公知であり、当業者にとって明らかであると思われる。「ベクター」または「プラスミド」は、宿主細胞に存在する場合、適切な調節および制御エレメントを含むことにより複製の能力がある任意の遺伝的エレメントを指す。本発明の目的のために、ベクターまたはプラスミドの例には、限定されるわけではないが、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルスなどが挙げられる。
「トランスフェクション」とは、機能的に発現してもそうでなくても、DNAが発現するように宿主細胞へDNAを導入することを意味し、DNAはまた、染色体外エレメントとしてかまたは染色体組み込みによるかのいずれかで複製されうる。トランスフェクションは、限定されるわけではないが、リン酸カルシウム共沈のようなトランスフェクション促進剤または方法の使用、ウイルス形質導入、プロトプラスト融合、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、ポリブレン媒介性トランスフェクション、リポソーム融合、マイクロインジェクション、微粒子銃、またはエレクトロポレーションを含む、宿主細胞へ細胞外核酸を導入するのに適した当技術分野において公知の任意の方法により達成されうる。好ましい態様において、対象となる核酸は、動物の宿主細胞による取り込みのための動物への注入としてカルシウムと共に製剤化される。好ましい態様において、トランスフェクションされるべき核酸は、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される;より好ましい態様において、カルシウム濃度は約0.9mM(1×)〜約8.1mM(9×)の間である;最も好ましい態様において、カルシウム濃度は約0.9mM(1×)〜約5.4mM(6×)の間である。
本明細書に用いられる場合、「抗原」は、B細胞もしくはT細胞、または両方によるものである免疫系により認識されうる任意の分子を指す。
本明細書に用いられる場合、「自己抗原」は、病原性免疫応答を誘発する内因性分子、典型的にはタンパク質またはその断片を指す。自己抗原またはそのエピトープを「自己免疫疾患と関連している」と言及する場合、自己抗原またはエピトープは、病態生理を引き起こす(すなわち、疾患の原因と関連している)、病態生理学的過程を媒介もしくは促進することによるか;および/または病態生理学的過程の標的であることによるかのいずれかで疾患の病態生理に関与することを意味することは理解されている。例えば、自己免疫疾患において、免疫系は、異常なことに、自己抗原を標的とし、自己抗原が発現しているおよび/または存在する細胞および組織の損傷ならびに機能障害を引き起こす。正常な生理学的状態下において、自己抗原は、「免疫寛容」と名付けられた過程を通して、自己抗原を認識する能力をもつ免疫細胞の排除、不活性化、または活性化の欠如によって宿主免疫系に無視される。
本明細書に用いられる場合、「エピトープ」という用語は、動物の免疫系のB細胞かまたはT細胞かのいずれかにより認識される特定の形または構造を有するポリペプチドの部分を意味すると理解される。「自己抗原性エピトープ」または「病原性エピトープ」は、病原性免疫応答を誘発する自己抗原のエピトープを指す。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の重合体を指すために本明細書で交換可能に用いられる。その用語は、天然のアミノ酸重合体および非天然のアミノ酸重合体だけでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の人工化学的模倣体であるアミノ酸重合体にも適用される。
「自己タンパク質」、「自己ポリペプチド」、または「自己ペプチド」は、本明細書で交換可能に用いられ、以下である任意のタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチド、またはその断片もしくは誘導体を指す:動物のゲノム内にコードされる;動物において産生または生成される;動物の生涯の間のいつかに翻訳後、修飾されうる;および動物において非生理学的に存在する。本発明の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを記載するために用いられる場合の「非生理学的」または「非生理学的に」という用語は、その自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドについての動物における正常な役割または過程からの離脱または逸脱を意味する。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドを「疾患に関連している」または「疾患に関与している」と言及する場合、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドが形または構造上改変され、それに従って、その生理学的役割または過程を行うことができない可能性があることを意味する、または、病態生理を誘導する;病態生理学的過程を媒介もしくは促進することによるか;および/または病態生理学的過程の標的であることによるかのいずれかで状態または疾患の病態生理に関与している可能性があることを意味することは理解されている。例えば、自己免疫疾患において、免疫系は、異常なことに、自己タンパク質を攻撃して、その自己タンパク質が発現しているおよび/または存在する細胞および組織の損傷ならびに機能障害を引き起こす。または、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、それ自体、非生理学的レベルで発現しうる、および/または非生理学的に機能しうる。例えば、神経変性疾患において、自己タンパク質は、異常に発現し、脳における病変に凝集し、それにより、神経機能障害を引き起こす。他の場合では、自己タンパク質が望ましくない状態または過程を悪化させる。例えば、変形性関節症において、コラゲナーゼおよびマトリックスメタロプロテイナーゼを含む自己タンパク質が異常に、関節部の関節面を覆う軟骨を分解する。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの翻訳後修飾の例は、グリコシル化、脂質基の付加、可逆性リン酸化、ジメチルアルギニン残基の付加、シトルリン化、ならびにタンパク質分解、ならびにより具体的には、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)によるフィラグリンおよびフィブリンのシトルリン化、αβ-クリスタリンのリン酸化、MBPのシトルリン化、ならびにカスパーゼおよびグランザイムによるSLE自己抗原タンパク質分解である。免疫学的には、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、すべて、宿主自己抗原とみなされ、正常な生理学的状態下では、「免疫寛容」と名付けられた過程を通して、自己抗原を認識する能力をもつ免疫細胞の排除、不活性化、または活性化の欠如によって宿主免疫系に無視される。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、免疫機能を制御する目的で独占的に免疫系の細胞によってのみ生理学的に発現する分子である免疫タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを含まない。免疫系は、動物界に生息する無数の潜在的病原性の微生物に対して迅速で、高度に特異的な保護性応答を生じるための手段を提供する防御機構である。免疫タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの例は、T細胞受容体、免疫グロブリン、I型インターロイキン、ならびにインターフェロンおよびIL-10を含むII型サイトカインを含むサイトカイン、TNF、リンフォトキシン、ならびにマクロファージ炎症性タンパク質-1αおよびβ、単球走化性タンパク質、およびRANTESのようなケモカイン、ならびにFas-リガンドのような免疫機能に直接的に関与した他の分子を含むタンパク質である。本発明の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドに含まれる特定の免疫タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドがあり、それらは以下である:クラスI MHC膜糖タンパク質、クラスII MHC糖タンパク質、およびオステオポンチン。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、代謝性または機能性障害を引き起こす遺伝的または後天的欠損により完全にかまたは実質的にかのいずれかで被験体に欠如しており、かつ該タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの投与によるかまたは該タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与によるかのいずれかで取って代わられる(遺伝子治療)、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを含まない。そのような障害の例には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、嚢胞性線維症、フェニルケトン尿症、ガラクトース血症、メープルシロップ尿症、およびホモシスチン尿症が挙げられる。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、以下を含む、それらをそれらの正常な対応物と区別する特徴を有する、細胞により特異的かつ独占的に発現されるタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを含まない:(1)悪性細胞のクローンを形成しうる遺伝子変化を有する単一細胞の増殖を表すクローン性、(2)成長が正しく制御されていないことを示す自律性、および(3)退生、または正常な協調された細胞分化の欠如。前記の3つの基準のうちの1つまたは複数を有する細胞は、新生物細胞、癌細胞、または悪性細胞のいずれかで呼ばれる。
本明細書に用いられる場合、「免疫応答の調節」、「免疫応答を調節すること」、または「免疫応答を変化させること」は、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与の結果として起こる、例えば、核酸、脂質、リン脂質、糖、自己ポリペプチド、タンパク質複合体、またはリボ核タンパク質複合体を含む自己分子に対する既存のまたは潜在的な免疫応答の任意の変化を指す。そのような調節は、免疫応答に関与する、または関与する能力がある任意の免疫細胞の存在、能力、または機能における任意の変化を含む。免疫細胞には、B細胞、T細胞、NK細胞、NK T細胞、プロフェッショナル抗原提示細胞、非プロフェッショナル抗原提示細胞、炎症細胞、または免疫応答に関与するもしくは影響を及ぼす能力がある任意の他の細胞が挙げられる。「調節」は、既存の免疫応答、発達中の免疫応答、潜在的な免疫応答に与えられる、または免疫応答を誘導する、免疫応答を制御する、免疫応答に影響を及ぼす、もしくは免疫応答に応答する能力に与えられる任意の変化を含む。調節は、免疫応答の一部としての免疫細胞における遺伝子、タンパク質、および/もしくは他の分子の発現ならびに/または機能の任意の変化を含む。
「免疫応答の調節」は、例えば、以下が挙げられる:免疫細胞の排除、消失、または隔離;自己反応性リンパ球、抗原提示細胞(APC)、または炎症細胞のような他の細胞の機能的能力を調節できる免疫細胞の誘導または生成;免疫細胞における非応答性状態の誘導(すなわち、アナジー);限定されるわけではないが、免疫細胞により発現したタンパク質のパターンを変化させることを含む、免疫細胞の活性もしくは機能、またはそのように行う能力を増加、減少、または変化させること。例には、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、転写因子、キナーゼ、副刺激分子、または他の細胞表面受容体のような分子の特定のクラスの産生および/または分泌の変化;またはこれらの調節事象の任意の組み合わせが挙げられる。
例えば、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、望ましくない免疫応答を媒介するもしくは媒介する能力がある免疫細胞を排除、隔離、または不活性化すること;保護性免疫応答を媒介するもしくは媒介する能力がある免疫細胞を誘導する、産生する、または作動させること;免疫細胞の物理的または機能的性質を変化させること;またはこれらの効果の組み合わせにより免疫応答を調節できる。免疫応答の調節の測定の例には、限定されるわけではないが、免疫細胞集団の存在または非存在の試験(フローサイトメトリー、免疫組織化学法、組織学法、電子顕微鏡法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる);シグナルに応答して増殖もしくは分裂する能力または抵抗性を含む免疫細胞の機能的能力の測定(T細胞増殖アッセイ、および抗CD3抗体、抗T細胞受容体抗体、抗CD28抗体、カルシウムイオノフォア、PMA、ペプチドまたはタンパク質を負荷された抗原提示細胞での刺激後の3H-チミジン取り込みに基づいたpepscan分析;B細胞増殖アッセイを用いるような);他の細胞を殺傷するまたは溶解する能力の測定(細胞傷害性T細胞アッセイのような);サイトカイン、ケモカイン、細胞表面分子、抗体、および細胞の他の産物の測定(例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ、ウェスタンブロット分析、タンパク質マイクロアレイ分析、免疫沈降分析による);免疫細胞の活性化の生化学的マーカーまたは免疫細胞内のシグナル伝達経路の測定(例えば、チロシン、セリン、またはトレオニンリン酸化、ポリペプチド切断、およびタンパク質複合体の形成または解離のウェスタンブロットならびに免疫沈降分析;タンパク質アレイ分析;DNAアレイまたはサブトラクティブハイブリダイゼーションを用いるDNA転写、プロファイリング);アポトーシス、壊死、または他の機構による細胞死の測定(例えば、アネキシンV染色、TUNELアッセイ、DNAラダーを測定するためのゲル電気泳動、組織学法;蛍光発生的カスパーゼアッセイ、カスパーゼ基質のウェスタンブロット分析);免疫細胞により産生された遺伝子、タンパク質、および他の分子の測定(例えば、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、2次元ゲル電気泳動法、ウェスタンブロット分析、酵素結合免疫吸着アッセイ、フローサイトメトリー);ならびに、例えば、多発性硬化症の症例において再発率もしくは疾患重症度を測定する(当業者に公知の臨床スコアを用いる)、I型糖尿病の症例において血中グルコースを測定する、または関節リウマチの症例において関節の炎症を測定することによる、自己タンパク質または自己ポリペプチドに関連する自己免疫疾患、神経変性疾患、および他の疾患の改善のような臨床症状または転帰の測定(臨床スコア、追加の治療の使用についての必要条件、機能的状態、イメージング研究)が挙げられる。
本明細書に用いられる場合、「免疫調節配列(IMS)」は、自己免疫および/または炎症応答を調節するデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはそれらの類似体からなる化合物を指す。IMSは、典型的には、オリゴヌクレオチド、またはベクターに組み入れられたヌクレオチドの配列である(例えば、一本鎖もしくは二本鎖DNA、RNA、および/またはオリゴヌクレオシド)。
「被験体」とは、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはウサギのような任意の動物を意味する。
疾患もしくは障害の「処置すること」、「処置」、または「治療」とは、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの単独かまたは本明細書に記載されているような別の化合物と組み合わせてかのいずれかでの投与により、臨床症状かもしくは診断症状のいずれかの減少、停止、または排除により証明されるような、疾患の進行を遅らせること、停止させること、または逆転させることを意味する。「処置すること」、「処置」、または「治療」はまた、急性または慢性の疾患または障害における症状の重症度の減少、例えば、再発性または寛解性自己免疫疾患経過の場合におけるような再発率の減少、または自己免疫疾患の炎症性局面の場合における炎症の減少を意味する。好ましい態様において、疾患を処置することは、疾患の進行を、理想的には疾患自体を排除するところまで、逆転させる、または停止させる、または軽減することを意味する。本明細書に用いられる場合、疾患を寛解させることと疾患を処置することは、等価である。
本発明の文脈に用いられる場合、疾患または障害の「予防すること」、「予防」、または「防止」は、疾患もしくは障害の出現もしくは発生、または疾患もしくは障害の症状の一部もしくは全部を予防するための、または疾患もしくは障害の発生の見込みを減少させるための、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの単独かまたは本明細書に記載されているような別の化合物と組み合わせてかのいずれかでの投与を指す。
自己ベクターの「治療的または予防的有効量」は、例えば、疾患の症状および/もしくは原因を改善するまたは排除することにより、疾患を処置または予防するのに十分である自己ベクターの量を指す。例えば、治療的有効量は、広い範囲の中にあり、臨床試験を通して決定され、特定の患者については、例えば、疾患の重症度、患者の体重、年齢、および他の因子を含む当業者に公知の因子に基づいて決定される。
発明の詳細な説明
本発明は、被験体に存在し、かつ非生理学的状態に関与する1つまたは複数の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドに関連した被験体における疾患を処置または予防するための方法および組成物に関する。本発明は、より具体的には、多発性硬化症、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、悪性貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)、およびグレーブス病においてのような非生理学的状態で被験体に存在する1つまたは複数の自己ポリペプチドに関連した自己免疫疾患を処置または予防するための方法および組成物に関する。本発明は、疾患に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、自己免疫疾患を処置または予防する改善された方法を提供する。改変自己ベクターの治療的または予防的有効量の被験体への投与は、自己免疫疾患に関連した自己抗原に対する免疫応答の抑制を誘発し、それにより、疾患を処置または予防する。
自己免疫疾患
自己免疫疾患関連自己抗原のいくつかの例は、表2に示されており、特定の例は、下でさらに詳細に記載されている。
(表2)例示的な自己免疫疾患および関連自己抗原
Figure 2009511014
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、CNSの最も一般的な脱髄障害であり、350,000人のアメリカ人および百万人の世界中の人々が罹患している。症状の発生は、典型的には、年齢が20歳から40歳の間で起こり、一側性視力障害、筋衰弱、知覚障害、運動失調、目眩、尿失禁、構音障害、もしくは精神障害(頻度が減少する順に)の急性または亜急性発作として現れる。そのような症状は、軸索伝導の遅延による負の伝導異常および異所性刺激発生による正の伝導異常(例えば、レルミット症候群)の両方を引き起こす脱髄の限局性病変に起因する。MSの診断は、時間的な隔たりがある、神経学的機能障害の客観的な臨床上の証拠を生じている、およびCNS白質の別々の領域に関係している、神経学的機能障害の少なくとも2つの別個の発作を含む病歴に基づいている。MSの診断を裏付ける追加の客観的証拠を提供する実験研究には、CNS白質の磁気共鳴映像法(MRI)、IgGの脳脊髄液(CSF)オリゴクローナルバンド形成、および異常誘発応答が挙げられる。たいていの患者は、徐々に進行する再発・寛解性疾患経過を経験するが、MSの臨床経過は、個体間で大きく異なり、一生に渡って数回の軽度の発作に限られているものから劇症慢性進行性疾患までの範囲でありうる。IFN-γを分泌する能力をもつミエリン自己反応性T細胞における量的増加は、MSおよびEAEの病因と関連している。
多発性硬化症および実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のような自己免疫性脱髄疾患における自己免疫応答の自己抗原標的は、プロテオリピドタンパク質(PLP);ミエリン塩基性タンパク質(MBP);ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG);環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(CNPアーゼ);ミエリン関連糖タンパク質(MAG);およびミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MBOP);α-B-クリスタリン(熱ショックタンパク質);ウイルスおよび細菌の模倣ペプチド、例えば、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルスなど;OSP(オリゴデンドロサイト特異性タンパク質);シトルリン修飾MBP(6個のアルギニンがシトルリンへ脱イミン(de-imminated)されているMBPのC8アイソフォーム)など由来のエピトープを含みうる。内在性膜タンパク質PLPは、ミエリンの優性自己抗原である。PLP抗原性の決定基は、いくつかのマウス系統において同定されており、残基139〜151位、103〜116位、215〜232位、43〜64位、および178〜191位を含む。少なくとも26個のMBPエピトープが報告されている(Meinl et al., J Clin Invest 92, 2633-43, 1993)。顕著なのは、残基1〜11位、59〜76位、および87〜99位である。いくつかのマウス系統において同定されている免疫優性MOGエピトープには、1〜22位、35〜55位、64〜96位が挙げられる。
ヒトMS患者において、以下のミエリンタンパク質およびエピトープは、自己免疫性T細胞およびB細胞応答の標的として同定された。MS脳プラークから溶出した抗体は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)ペプチド83〜97位を認識した(Wucherpfennig et al., J Clin Invest 100:1114-1122, 1997)。別の研究は、MS患者の約50%がミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対する末梢血リンパ球(PBL)T細胞反応性を有し(対照の6〜10%)、20%がMBPに対する反応性(対照の8〜12%)、8%がPLPに対する反応性(対照の0%)、0%がMAGに対する反応性(対照の0%)を有することを見出した。この研究において、10人のMOG反応性患者のうちの7人が、MOG 1〜22位、MOG 34〜56位、MOG 64〜96位を含む3つのペプチドエピトープのうちの1つに集中したT細胞増殖性応答を有した(Kerlero de Rosbo et al., Eur J Immunol 27, 3059-69, 1997)。T細胞およびB細胞(脳病変溶出性抗体)応答はMBP 87〜99位に集中した(Oksenberg et al., Nature 362, 68-70, 1993)。MBP 87〜99位において、アミノ酸モチーフHFFKは、T細胞およびB細胞応答の両方の優性標的である(Wucherpfennig et al., J Clin Invest 100, 1114-22, 1997)。別の研究は、残基MOBP 21〜39位およびMOBP 37〜60位を含むミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)に対するリンパ球反応性を観察した(Holz et al., J Immunol 164, 1103-9, 2000)。MSおよび対照の脳を染色するためにMOGおよびMBPペプチドの免疫金結合体を用いて、MBPならびにMOGペプチドの両方は、MSプラーク結合性抗体により認識された(Genain and Hauser, Methods 10, 420-34, 1996)。
関節リウマチ
関節リウマチ(RA)は、世界人口の0.8%が罹患している慢性自己免疫性炎症性滑膜炎である。それは、びらん性関節破壊を引き起こす慢性炎症性滑膜炎によって特徴付けられる。RAは、T細胞、B細胞、およびマクロファージにより媒介される。
T細胞がRAにおいて重大な役割を果たすという証拠には、(1)滑膜に浸潤するCD4+ T細胞の優勢、(2)シクロスポリンのような薬物でのT細胞機能の抑制に関連した臨床的改善、および(3)RAの特定のHLA-DR対立遺伝子との関連が挙げられる。RAと関連したHLA-DR対立遺伝子は、ペプチド結合およびT細胞への提示に関与するβ鎖の第三の超可変領域における67〜74位におけるアミノ酸の類似した配列を含む。RAは、滑膜関節に存在する自己タンパク質または改変自己タンパク質を認識する自己反応性T細胞により媒介される。RAにおいて標的とされる自己抗原は、例えば、II型コラーゲン;hnRNP;A2/RA33;Sa;フィラグリン;ケラチン;シトルリン;gp39を含む軟骨タンパク質;コラーゲンI型、III型、IV型、V型、IX型、XI型;HSP-65/60;IgM(リウマトイド因子);RNAポリメラーゼ;hnRNP-B1;hnRNP-D;カルジオリピン;アルドラーゼA;シトルリン修飾フィラグリンおよびフィブリン由来のエピトープを含む。修飾アルギニン残基(脱イミンされてシトルリンを形成した)を含むフィラグリンペプチドを認識する自己抗体が、高い割合のRA患者の血清において同定されている。自己反応性T細胞およびB細胞応答は、両方とも、いくらかの患者において同じ免疫優性II型コラーゲン(CII)ペプチド257〜270位に対して向けられる。
インスリン依存性糖尿病
ヒトI型またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵臓ランゲルハンス島におけるβ細胞の自己免疫性破壊により特徴付けられる。β細胞の枯渇は、結果として、血中のグルコースのレベルを制御する能力の喪失を生じる。顕性糖尿病は、血中のグルコースのレベルが特定レベル、通常には約250mg/dlを超えて上昇する場合に起こる。ヒトにおいて、長い前駆症状期間が、糖尿病の発症に先行する。この期間中、膵臓のβ細胞機能の漸次消失がある。疾患の発生は、インスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、およびチロシンホスファターゼIA2(IA2)に対する自己抗体の存在により結びつけられる。
前駆症状期中に評価されうるマーカーは、膵臓における膵島炎の存在、島細胞抗体、島細胞表面抗体のレベルおよび頻度、膵臓β細胞上のクラスII MHCの異常発現、血中のグルコース濃度、ならびにインスリンの血漿濃度である。膵臓におけるTリンパ球、島細胞抗体、および血中グルコースの数の増加は、疾患を示し、インスリン濃度の減少も同様である。
非肥満性糖尿病(NOD)マウスは、ヒトIDDMと共通した、多くの臨床的、免疫学的、および組織病理学的特徴をもつ動物モデルである。NODマウスは、島の炎症およびβ細胞の破壊を自然発症的に発生し、それが高血糖症および顕性糖尿病へ導く。CD4+およびCD8+ T細胞の両方は、糖尿病が発症するのに必要とされるが、それぞれの役割ははっきりしないままである。寛容化条件下でタンパク質としてインスリンまたはGADのNODマウスへの投与は疾患を予防し、他の自己抗原に対する応答を下方制御することが示されている。
血清における様々な特異性をもつ自己抗体の組み合わせの存在は、ヒトI型糖尿病に対して高い感度および特異性がある。例えば、GADおよび/またはIA-2に対する自己抗体の存在は、I型糖尿病を対照血清から同定することに対して約98%感度および99%特異性である。I型糖尿病患者の非糖尿病の一等親血縁者において、GAD、インスリン、およびIA-2を含む3つの自己抗原のうちの2つに特異的な自己抗原の存在は、5年以内のI型DMの発症について>90%の陽性適中率を告げている。
ヒトインスリン依存性糖尿病において標的とされる自己抗原には、例えば、チロシンホスファターゼIA-2;IA-2β;グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)65kDaおよび67kDaの両方の型;カルボキシペプチダーゼH;インスリン;プロインスリン(例えば、SEQ ID NO:1および2);熱ショックタンパク質(HSP);グリマ(glima)38;島細胞抗原69KDa(ICA69);p52;2つのガングリオシド抗原(GT3およびGM2-1);島特異性グルコース-6-ホスファターゼ関連タンパク質(IGRP);および島細胞グルコース輸送体(GLUT 2)が挙げられうる。
ヒトIDDMは、血中グルコースレベルをモニターして、組換えインスリンの注射またはポンプに基づいた送達を指導することにより現在、処置されている。食事および運動療法は、適切な血中グルコース調節を達成することに貢献する。
自己免疫性ブドウ膜炎
自己免疫性ブドウ膜炎は、米国において、400,000人の人々が罹患し、1年あたり43,000の新規症例の発生があると推定される眼の自己免疫性疾患である。自己免疫性ブドウ膜炎は、ステロイド、メトトレキセートおよびシクロスポリンのような免疫抑制剤、静注用免疫グロブリン、およびTNFαアンタゴニストで現在、処置されている。
実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)は、眼における神経網膜、ブドウ膜、および関連組織を標的とするT細胞媒介性自己免疫性疾患である。EAUは、ヒト自己免疫性ブドウ膜炎と多くの臨床的および免疫学的特徴を共有し、完全フロイントアジュバント(CFA)に乳化されたブドウ膜炎誘発性ペプチドの末梢投与により誘導される。
ヒト自己免疫性ブドウ膜炎における自己免疫応答により標的とされる自己抗原には、S抗原、光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)、ロドプシン、およびリカバリンが挙げられうる。
原発性胆汁性肝硬変
原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、主に、年齢が40〜60歳の間の女性が罹患している器官特異的自己免疫性疾患である。この群の中での報告された有病率は、1,000人あたりほぼ1人に等しい。PBCは、小さな肝内胆管を裏打ちする肝内胆管上皮細胞(IBEC)の進行性破壊により特徴付けられる。これは、胆汁分泌の妨害および干渉へ導き、最終的な肝硬変を引き起こす。シェーグレン症候群、CREST症候群、自己免疫性甲状腺疾患、および関節リウマチを含め、上皮裏打ち/分泌系損傷により特徴付けられる他の自己免疫疾患との関連が報告されている。作動性抗原に関する注目は、50年以上に渡ってミトコンドリアに焦点を当て、抗ミトコンドリア抗体(AMA)の発見へ導いた(Gershwin et al., Immunol Rev 174:210-225, 2000); (Mackay et al., Immunol Rev 174:226-237, 2000)。臨床症状が現れるよりずっと前から90〜95%患者の血清に存在するAMAはまもなく、PBCの検査室診断についての土台になった。ミトコンドリアにおける自己抗原性反応性は、M1およびM2と名付けられた。M2反応性は、48〜74kDaの構成要素のファミリーに対して向けられる。M2は、2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体(2-OADC)の酵素の複数の自己抗原性サブユニットを表し、本発明の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの別の例である。PBCの原因病理論においてピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)抗原の役割を同定する研究は、PDCが疾患の誘発に中心的な役割を果たすという概念を支持している(Gershwin et al., Immunol Rev 174:210-225, 2000); (Mackay et al., Immunol Rev 174:226-237, 2000)。PBCの症例の95%における最も頻度の高い反応性は、PDC-E2に属するE2 74kDaサブユニットである。以下を含む、関連しているが別個の複合体が存在する:2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体(OGDC)および分枝鎖(BC)2-OADC。3つの成分酵素(E1、2、3)は、NAD+のNADHへの還元と共に2-オキソ酸基質をアシル補酵素A(CoA)へ変換することができる触媒機能に寄与する。哺乳動物のPDCは、プロテインXまたはE-3結合タンパク質:(E3BP)と名付けられた、追加の構成要素を含む。PBC患者において、主要な抗原性応答は、PDC-E2およびE3BPに対して向けられる。E2ポリペプチドは、2つの縦列反復リポイルドメインを含み、一方、E3BPは単一のリポイルドメインを有する。リポイルドメインは、PBCのいくつかの自己抗原標的に見出され、本明細書では「PBCリポイルドメイン」と呼ばれる。PBCは、グルココルチコイド、ならびにメトトレキセートおよびシクロスポリンAを含む免疫抑制剤で処置される。
実験的自己免疫性胆管炎(EAC)のマウスモデルは、非化膿性破壊性胆管炎(NSDC)およびAMAの産生を誘導する、雌SJL/Jマウスにおける哺乳動物PDCでの腹腔内(i.p.)感作を用いる(Jones, J Clin Pathol 53:813-21, 2000)。
他の自己免疫疾患および関連した自己抗原
重症筋無力症についての自己抗原は、アセチルコリン受容体内のエピトープを含みうる。尋常性天疱瘡において標的とされる自己抗原は、デスモグレイン-3を含みうる。シェーグレン症候群抗原は、SSA(Ro);SSB(La);およびフォドリンを含みうる。尋常性天疱瘡についての優性自己抗原は、デスモグレイン-3を含みうる。筋炎についてのパネルは、tRNAシンセターゼ(例えば、トレオニル、ヒスチジル、アラニル、イソロイシル、およびグリシル);Ku;Scl;SSA;U1 Snリボ核タンパク質;Mi-1;Mi-1;Jo-1;Ku;およびSRPを含みうる。強皮症についてのパネルは、Scl-70;セントロメア;U1リボ核タンパク質;およびフィブリラリンを含みうる。悪性貧血についてのパネルは、内因子;および胃H/K ATPアーゼの糖タンパク質βサブユニットを含みうる。全身性エリテマトーデス(SLE)についてのエピトープ抗原は、DNA:リン脂質;核抗原;Ro;La;U1リボ核タンパク質;Ro60(SS-A);Ro52(SS-A);La(SS-B);カルレティキュリン;Grp78;Scl-70;ヒストン;Smタンパク質;およびクロマチンなどを含みうる。グレーブス病について、エピトープはNa+/I-共輸送体、チロトロピン受容体;Tg;およびTPOを含みうる。
移植片対宿主病
ヒトにおける組織および器官移植の最大の制限の一つは、レシピエントの免疫系による組織移植の拒絶である。ドナーとレシピエントの間のMHCクラスIおよびII(HLA-A、HLA-B、およびHLA-DR)対立遺伝子の適合が高ければ高いほど、移植片生存は良くなる。移植片対宿主病(GVHD)は、同種異系造血細胞を含む移植片を受ける患者において重大な罹患率および死亡率を引き起こす。造血細胞は、骨髄移植片、幹細胞移植片、および他の移植片に存在する。HLA適合同胞由来の移植片を受ける患者の約50%が、中等度から重度のGVHDを発症し、発生率は、非HLA適合移植片においてよりずっと高い。中等度から重度のGVHDを発症する患者の3分の1は結果として死亡する。ドナー移植片におけるTリンパ球および他の免疫細胞は、ポリペプチドのアミノ酸配列における変異、特に、ヒトの第6染色体上の主要組織適合複合体(MHC)遺伝子複合体にコードされるタンパク質における変異を発現するレシピエントの細胞を攻撃する。同種異系造血細胞を含む移植におけるGVHDについて最も大きな影響を及ぼすタンパク質は、高度に多型性のある(人々の間での広範なアミノ酸変異)クラスIタンパク質(HLA-A、-B、および-C)およびクラスIIタンパク質(DRB1、DQB1、およびDPB1)である(Appelbaum, Nature 411:385-389, 2001)。MHCクラスI対立遺伝子がドナーとレシピエントの間で血清学的に「適合している」場合でさえも、DNAシーケンシングにより、症例の30%において対立遺伝子レベルのミスマッチがあることが明らかにされ、適合したドナー-レシピエントのペアにおいてさえもクラスI指向性GVHDについての根拠を提供する(Appelbaum, Nature 411:385-389, 2001)。マイナー組織適合性自己抗原GVHDは、しばしば、皮膚、腸、肝臓、肺、および膵臓への損傷を引き起こす。GVHDは、グルココルチコイド、シクロスポリン、メトトレキセート、フルダラビン、およびOKT3で処置される。
組織移植拒絶
肺、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、ならびに他の器官および組織を含む組織移植片の免疫拒絶は、移植器官に対して向けられた移植レシピエントにおける免疫応答により媒介される。同種異系移植器官は、移植レシピエントのアミノ酸配列と比較した場合、アミノ酸配列に変異を有するタンパク質を含む。移植器官のアミノ酸配列は移植レシピエントのそれらと異なるため、それらは、しばしば、移植器官に対するレシピエントにおける免疫応答を誘発する。移植器官の拒絶は、主な合併症で、組織移植の制限であり、レシピエントにおいて移植器官の不全を引き起こしうる。拒絶に起因する慢性炎症は、しばしば、移植器官における機能障害へ導く。移植レシピエントは、現在、拒絶を予防し、抑制する様々な免疫抑制剤で処置される。これらの作用物質には、グルココルチコイド、シクロスポリンA、セルセプト(Cellcept)、FK-506、およびOKT3が挙げられる。
処置のための組成物および方法
本発明は、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種を含む、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法および組成物を提供する。自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞における自己ポリペプチドの発現を可能にするプロモーターおよび転写ターミネーターに機能的に連結されている。ポリヌクレオチドによりコードされる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドは、自己免疫疾患に関連した自己抗原の1つまたは複数の病原性エピトープを含む。本発明の改善された方法は、自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターの被験体への投与を含む。本発明の一つの局面において、改変自己ベクターは、非改変ベクターと比較して宿主細胞における自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を増加させるように変化している。相互に排他的ではない別の局面において、改変自己ベクターは、疾患に関連した細胞外または分泌性自己抗原(例えば、膜貫通タンパク質または分泌性可溶性因子)が、細胞内および非分泌性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドとしてコードされ、かつ発現するのを可能にする。
1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードしかつ本明細書に示された改善を受け入れられる自己ベクターの投与による、自己免疫疾患の処置または予防のための方法は、一般的に、当技術分野において公知である。本発明の改変が適用されうる例示的な方法は、例えば、国際特許出願番号WO 00/53019、WO 2003/045316、およびWO 2004/047734(それぞれは、すべての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
高発現自己ベクター(HESV)
本明細書に記載された本発明の前に、自己免疫疾患を処置するための自己抗原またはその病原性エピトープをコードするベクターの投与に関して、より低レベルの自己抗原またはエピトープ発現が自己免疫疾患の処置により効果的であることは、一般的に考えられている。驚くべきことに、本明細書に示された研究は、当技術分野におけるこの理解に反して、自己免疫疾患に関連した病原性エピトープを含むポリペプチドの発現の増加が、そのような処置の効力を増加させることを実証している。
従って、特定の態様において、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法は、コードされる自己ポリペチドの発現を、同じ自己ポリペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させるように変化している改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。非改変自己ベクターと比較して、コードされる自己ポリペプチドの発現を増加させるように変化した改変自己ベクターは、本明細書では、高発現自己ベクター(HESV)と呼ばれる。HESVは、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、改変されていない同じ自己ベクターと比較して自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。HESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの病原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞における自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変。
プラスミドベクターからコードされたポリペプチドの発現の増加を生じるための改変は、当技術分野において周知である(Azevedi et al., 1999)。本発明の一つの態様において、自己ベクターは、非改変自己ベクターと比較して、自己免疫疾患に関連した1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写開始を増加させる変化によりHESVへ改変される。別の態様において、自己ベクターは、非改変自己ベクターと比較して、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写終結を増加させる変化によりHESVを作製するように改変される。非改変自己ベクターと比較して増加した安定性をもつポリリボヌクレオチドまたはmRNAを生成するHESVを作製するための自己ベクターへの変更もまた構想される。他の態様において、自己ベクターは、非改変自己ベクターと比較して増加した翻訳効率をもつmRNAを生成するHESVを作製するように改変される。加えて、自己ベクターは、コードされる自己ポリペプチドの安定性を、非改変自己ベクターによりコードされる同じ自己ポリペプチドの安定性と比較して増加させる変化によりHESVを作製するように改変されうる。本発明の特定の態様において、自己免疫疾患に関連した自己ポリペプチドの発現を増加させるための自己ベクターの改変は、以下から選択される:より強いプロモーター領域の使用、エンハンサー領域の付加、より効率的な転写ターミネーター配列の使用、ポリアデニル化シグナルの付加、より理想的なコンセンサスコザック配列の使用、コドン使用頻度の最適化、イントロンの包含など、またはその改変の組み合わせ。好ましい態様において、改変は、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのプロモーターの下流かつ開始コドンの上流でのイントロンの包含である。プロモーターの下流かつ開始コドンの上流に用いられうる一つのイントロンは、ヒトサイトメガロウイルスのイントロンAである。さらに特に好ましいイントロンは、β-グロビン/Igキメライントロンである。
HESVを作製するために、非改変自己ベクターと比較して、コードされる自己ポリペプチドの発現を増加させるように自己ベクターへ複数の改変がなされうる。例えば、エンハンサーエレメントおよびイントロンの両方が、HESVを作製するために自己ベクターへ付加されうる、または自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、最適なコザックコンセンサス配列および好ましいポリアデニル化シグナルの両方を含むように改変されうるなど。いくつかの態様において、改変の組み合わせは、HESVによりコードされた単一の自己ポリペプチドに影響を及ぼすように単一のHESVへ組み入れられる。他の態様において、単一のHESVへ組み入れられた改変は、HESVによりコードされた複数の自己ポリペプチドの発現を増加させる。単一のHESVによりコードされた複数の自己ポリペプチドは、内部リボソーム侵入部位(IRES)によって隔てられうる、単一の融合ポリペプチドへ組み入れられうる、またはそれらの発現を可能にする任意の方式で配置されうる。代替の態様は、1つまたは複数の自己ポリペプチドの発現を増加させるための様々な改変を組み入れる、同時投与としての複数のHESVを作製することを構想する。
HESVを作製するのに用いる構想されたプロモーター/エンハンサー領域は、様々な哺乳動物細胞における転写開始についての高い構成的能力を有するものを含む。しばしば、そのようなプロモーターは、SV40およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)のような病原性ウイルス由来である。実際、CMVの最初期プロモーター/エンハンサー領域は、広範囲の宿主細胞において高レベルで発現させる、最も一般的かつ最強のプロモーターの1つである。適した哺乳動物プロモーターもまた用いることができ、限定されるわけではないが、ウシ主要組織適合性複合体クラスI(MCH I)プロモーター/エンハンサー領域、およびヒトβ-アクチンプロモーターを含む。従って、一般的なまたは内因性プロモーターをCMVプロモーターと置き換えることは、非改変自己ベクターと比較して転写開始の増加をもつHESVへ自己ベクターを変化させるために用いられうる。代替の態様において、特徴的な細胞型での発現に特異的であるプロモーターもまた用いられうる。例えば、ヒトクレアチンキナーゼプロモーターは、筋肉細胞において特異的に自己ポリペプチドを発現するHESVを作製するために用いられうる。HESVによりコードされる自己ポリペプチドの発現を制御するために誘導性プロモーターもまた用いられうる。好ましい誘導性プロモーターは、テトラサイクリンのような抗生物質を含む身体に通常には存在しない異なる化合物の存在または非存在により調節される。
HESVを作製するための別々のエンハンサー領域の自己ベクターへの付加もまた本発明により構想される。αBクリスタリン遺伝子(cryB)におけるもののようなエンハンサーエレメントは、そのようなエレメントを欠く自己ベクターと比較して、HESVによりコードされる自己ポリヌクレオチドの転写開始速度を増加させることができる。例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、およびインスリンを含む公知の哺乳動物遺伝子由来のエンハンサーが用いられうる。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが好ましい。例には、SV40エンハンサーおよびCMV初期エンハンサーが挙げられる。エンハンサーは、比較的、配向および位置に非依存性であり、転写開始を増加させるために自己ベクター内のどこでも位置することができるが、好ましくは、HESV中、プロモーターの上流に組み入れられる。
HESVを作製するために自己ベクターによりコードされる自己ポリペプチドの発現を増強するための改変はまた、効率的な転写ターミネーター配列の使用およびポリアデニル化シグナルの付加を含む。これらのエレメントを変化させることは、転写効率を増加させることができる、mRNA安定性を増加させることができる、および/または翻訳効率を増加させることができる。転写終結の効率は、強いプロモーター/エンハンサーの存在下において律速になることがあり、3'非翻訳領域(UTR)配列を除去するおよび/またはより効率的なポリアデニル化シグナルを含むキメラ終結配列によって増加されうる(Hartikka et al., 1996)。転写終結およびポリアデニル化は機能的に連関しており、効率的な切断/ポリアデニル化に必要とされる配列もまた、終結配列の重要なエレメントを構成する(Connelly and Manley, 1988; Zhoa et al., 1999; Natalizio et al., 2002)。ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列および転写終結配列は、組換えタンパク質の高発現が望まれる場合、一般的に用いられる。
自己ベクターはまた、自己ポリペプチドの転写により生成されるmRNAの翻訳効率を増強する変化の包含によりHESVへ改変されうる。mRNAの開始コドン(AUG)に隣接する配列は、好ましい開始シグナルを定義するコザックコンセンサス配列-9GCCGCC(A/G)CCAUGG+4により、真核生物リボソームによる翻訳開始に影響を与える。しかしながら、AUGに対して-3位がプリン塩基(A/G)を含む、またはグアニンが+4位にある限り、効率的な翻訳は得られうる。従って、例えば、コザック配列をより密接に近づけるように、自己ベクターを部位特異的突然変異誘発により改変することは、HESVを作製するために用いられうる。翻訳効率はまた、異なる種における公知のコドンバイアスに基づいてコドン使用頻度を最適化することにより増加されうる(Gustafsson et al., 2004)。コドンバイアスは、同じアミノ酸をコードするコドンである、同義語コドンの等しくない使用である。異なるコードが用いられる頻度は、異なる種間で、および同じ種において異なるレベルで発現するタンパク質間で、異なる。宿主細胞のあまり好ましくないコドンに対して好ましいコドンを含むような自己ポリヌクレオチドの改変は、タンパク質発現を増加できる。
HESVを作製するための他の構想される改変は、非改変自己ポリペプチドと比較して、コードされる自己ポリペプチドを、その安定性を増加させるように変える変化の導入を含む。タンパク質は、限定されるわけではないが、以下を含むいくつかの方法で安定化されうる:細胞外タンパク質への糖部分の付加;ユビキチン化のようなタンパク質分解についてのシグナルの除去;プロリン残基、ジスルフィド架橋などの導入によるようなエントロピー安定化;および水接触可能疎水性表面の減少。
自己ベクターはまた、プラスミドDNA核局在化を促進するベクターへの配列の包含によりHESVへ改変されうる。そのような配列は、プラスミド骨格中、コードされる自己ポリペプチドの発現に干渉しない任意の位置にライゲーションされる。特定の態様において、プラスミド核輸送活性を媒介するシミアンウイルス40(SV40)初期プロモーターおよびエンハンサー領域(Dean et al., 1999, Curr. Eye Res. 19:66-75)が、HESVからタンパク質発現の増加を生じるように自己ベクターへ組み入れられる。
本発明の好ましい態様において、自己ベクターは、イントロン配列の包含によりHESVへ改変される。イントロンの付加は、転写効率、mRNAプロセシング、およびmRNA輸送を向上させ、それに従って、プラスミドベクターからの異種性タンパク質のタンパク質発現を約5倍〜100倍以上増加させることができる(Gross et al., 1987; Buchman and Berg, 1988; Chapman et al., 1991; Huang and Gorman, 1990a)。イントロンによる発現レベルの増加は、特定のcDNA挿入断片に依存する。例えば、ヒト胚性腎細胞の一過性トランスフェクションにおいて、キメライントロンの存在は、CAT遺伝子の発現を20倍増加させるが、ルシフェラーゼの発現レベルは、たった3倍だけ増加させる(Brondyk, 1994)。さらになお、遺伝子組換え実験は、イントロンの存在が、インビボで実質的に全部のコードされたタンパク質について高レベルの発現を促進することを示している(Brinster et al., 1988; Choi et al., 1991; Plamiter et al., 1991)。ヒトCMV由来のイントロンA、SV40のスモールtイントロン、およびSV40 VP1イントロンを含む、病原性ウイルス由来の複数のイントロンが一般的に用いられる。ヒト伸長因子1αおよびウサギまたはヒトβ-グロビン由来のイントロンを含む哺乳動物遺伝子由来のイントロンもまた用いられうる。または、自己ベクターの自己ポリペプチドをコードする遺伝子由来の内因性イントロンが用いられうる、または、コンセンサスまたはほぼコンセンサスのスプライス供与部位、スプライス受容部位、および分岐部位を含むキメライントロンが構築されうる。イントロンは、それらがRNAへ転写されて、RNAプロセシング中に転写産物からスプライスアウトされるように、自己ポリヌクレオチド内のどこにでも置かれうる。しかしながら、コード領域の3'側でのイントロンの配置は、有害な効果を生じうる(Evans and Scarpulla, 1989; Huang and Gorman, 1990b)。
一つの態様において、改変は、自己ポリヌクレオチドの5'非翻訳領域(UTR)におけるプロモーター領域の下流で、かつ開始コドンからすぐ上流に配置されたヒトCMV由来のイントロンAの包含である。ヒトCMV主要最初期(IE1)遺伝子の転写される領域は、3つのイントロンを含み、それらのうちの最大のイントロンAは、遺伝子の5'UTR内に存在し、5つの核因子1(NF1)転写因子結合部位のうちの最強を含む。イントロンAのプラスミド発現ベクターへの付加は、形質転換されたサル腎細胞において糖タンパク質の一過性発現を増加させた。NF1結合部位における突然変異は、この増加を部分的のみ逆転させ、イントロンA自体の存在が、他のイントロンに関して見られているように、タンパク質発現に正の効果を生じることを示唆している(Chapman et al., 1991; Huang and Gorman, 1990a)。イントロンA内の筋肉特異性エンハンサーはさらに、筋肉細胞においてタンパク質発現を増加させる(Chapman et al., 1991)。
例示的な態様において、改変は、自己ポリヌクレオチドの5'非翻訳領域(UTR)においてプロモーター領域の下流で、かつ開始コドンからすぐ上流に配置された市販されているベクターpTarget(Promega, Madison, WI)由来のβ-グロビン/Igキメライントロンの包含である。キメライントロンは、ヒトβ-グロビン遺伝子の第一イントロン由来の5'供与部位、ならびに免疫グロブリン遺伝子重鎖可変領域のイントロン由来の分岐部位および3'受容部位で構成され、供与部位、受容部位、および分岐部位配列がスプライシングのためにコンセンサス配列にマッチするように変化している(Bothwell et al., 1981)。ヒト胚性腎細胞の一過性トランスフェクションにおいて、このキメライントロンの存在は、コードされた遺伝子の発現を20倍増加させることができる(Brondyk, 1994)。
非改変自己ベクターと比較した場合のHESVに関連した自己ポリペプチドの発現の増加は、組換えタンパク質の宿主細胞トランスフェクションおよび発現について周知の方法を用いて宿主細胞において測定されうる。典型的には、宿主細胞集団は、非改変自己ベクターかまたは自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変を含むHESVかのいずれかでトランスフェクションされる。宿主細胞は、その後、自己ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養される。典型的には、宿主細胞および培養条件は、インビボの生理学的条件を模倣する、または生理学的条件に近づけるように設計される。HESV対非改変自己ベクターでトランスフェクションされた宿主細胞集団の間での自己ポリペプチドの発現の相対レベルが、その後、例えば、ウェスタンブロット分析、ELISA、またはFACSのような公知の方法を用いて測定される。
特定の態様において、本発明は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、自己免疫疾患のインスリン依存性糖尿病(IDDM)を処置または予防するための改善された方法を提供する。IDDMを処置または予防するための改善された方法は、IDDMに関連したコードされる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの発現を、同じ自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させるように変化している改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、HESVは、以下の改変の1つまたは複数により作製される:より強いプロモーター領域の使用、エンハンサー領域の付加、より効率的な転写ターミネーター配列の使用、ポリアデニル化シグナルの付加、より理想的なコンセンサスコザック配列の使用、コドン使用頻度の最適化、およびイントロンの包含。好ましい態様において、自己ペプチドの発現を増加させるように改変された自己ベクターは、IDDMに関連したコードされる自己ポリペプチドのプロモーター領域の下流かつ開始コドンの上流にイントロンを含むHESVである。より具体的には、イントロンは、β-グロビン/Igキメライントロンまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)のイントロンAでありうる。IDDMを処置または予防するために投与されるHESVは、例えば、プレプロインスリン、プロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2);グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)-65および-67;チロシンホスファターゼIA-2;島特異性グルコース-6-ホスファターゼ関連タンパク質(IGRP);および/または島細胞抗原69kDなどの自己タンパク質のうちの1つまたは複数をコードするポリヌクレオチドを含みうる。または、異なる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする複数のHESVが投与されうる。好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるHESVは、自己ポリペプチドのプレプロインスリンまたはプロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)をコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。
本発明の他の態様においては、多発性硬化症(MS)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む改善された方法が、多発性硬化症(MS)を処置または予防するために提供される。MSを処置または予防するための改善された方法は、MSに関連したコードされる自己ポリペプチドの発現を、同じ自己ポリペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させるように変化している改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、自己ペプチドの発現を増加させるように改変された自己ベクターは、MSに関連したコードされる自己ポリペプチドのプロモーター領域の下流かつ開始コドンの上流にイントロンを含むHESVである。MSを処置するために投与されるHESVは、限定されるわけではないが、以下を含む1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みうる:ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、および/またはミエリン関連糖タンパク質(MAG)。または、異なる自己ポリペプチドをコードする複数のHESVが投与されうる。好ましい態様において、投与されるHESVは、自己ポリペプチドMBPをコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。
非分泌性自己ベクター(N-SSV)
相互に排他的ではない態様において、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法は、疾患に関連した細胞外、または分泌性、または膜結合性自己抗原(例えば、膜貫通タンパク質または分泌性可溶性因子)の、細胞内または非分泌性非膜結合性自己ポリペプチド型をコードするポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。細胞外、または分泌性、または膜結合性自己ポリペプチドの、細胞内型または非分泌性非膜結合型をコードするように変化した改変自己ベクターは、本明細書では非分泌性自己ベクター(N-SSV)と呼ばれる。N-SSVは、自己免疫疾患に関連した分泌性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐための改変とを含む。N-SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの病原性エピトープを含む細胞外または分泌性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐための少なくとも1つの改変。
特定のバリエーションにおいて、N-SSVによりコードされる非分泌性または非膜結合性自己ポリペプチドは、宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐまたは自己ポリペプチドの宿主細胞の膜への組み入れを防ぐ改変を含む、分泌性または膜結合性自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの変化した型である。他のバリエーションにおいて、N-SSVによりコードされる非分泌性自己ポリペプチドは、例えば、膜貫通もしくはGPI連結型タンパク質の細胞外領域の細胞内型をコードするための改変を含む、細胞外自己ポリペプチドの変化した型であるか、またはN-SSVによりコードされる非膜結合性自己ポリペプチドの場合、自己ポリペプチドの膜貫通もしくは疎水性領域を変化もしくは欠失させる、膜結合性自己ポリペプチドの変化した型である。N-SSVを作製するための1つの特に適した改変は、細胞外または分泌性自己ポリペプチドからのシグナル配列の除去である。または、シグナル配列は、関連したタンパク質がもはや分泌の標的にされないように突然変異されうる。分泌を防ぎ、かつタンパク質を細胞内に保持することができる他の相互に排他的ではない改変もまた構想され、膜アンカー(膜貫通ドメイン、脂質改変など)、核局在化シグナル(NLS)、ER保持シグナル、リソソームターゲティング配列などのような特定の細胞内領域へタンパク質を局在化させるシグナルを含む。または、ユビキチン化のようなタンパク質分解シグナルが、タンパク質のかなりの割合が分解の標的にされ、分泌されることとは対照的に、細胞内で切断されるように、タンパク質に付加されうる。
特定の態様において、本発明は、IDDMに関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、IDDMを処置または予防する改善された方法を提供する。IDDMを処置または予防するための改善された方法は、非改変自己ベクターと比較して分泌が宿主細胞から妨げられるように、IDDMに関連した分泌性自己抗原の非分泌型を発現する改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、分泌性自己ペプチドの分泌を防ぐように改変された自己ベクターは、分泌性自己ポリペプチドのシグナル配列が除去されているN-SSVである。IDDMを処置するために投与されるN-SSVは、以下のようなIDDMに関連した1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みうる:プレプロインスリン、プロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)、インスリン、および/またはインスリンB鎖。または、異なる自己ポリペプチドをコードする複数のN-SSVが投与されうる。好ましい態様において、投与されるN-SSVは、プレプロインスリンのシグナル配列が除去されている、プレプロインスリンの非分泌性型であるプロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)をコードする。
他の態様において、関節リウマチ(RA)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、関節リウマチ(RA)を処置または予防する改善された方法が提供される。RAを処置または予防するための改善された方法は、非改変自己ベクターと比較して分泌が宿主細胞から妨げられるように、RAに関連した分泌性自己抗原の非分泌型を発現する改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、分泌性自己ペプチドの分泌を防ぐように改変された自己ベクターは、分泌性自己ポリペプチドのシグナル配列が除去されているN-SSVである。RAを処置するために投与されるN-SSVは、限定されるわけではないが、以下を含むRAに関連した1つまたは複数の自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みうる:II型コラーゲン、IV型コラーゲン、および/またはフィブリン。または、異なる自己ポリペプチドをコードする複数のN-SSVが投与されうる。好ましい態様において、N-SSVは、シグナル配列が除去されている、II型コラーゲンの非分泌性型をコードする。
非分泌性高発現自己ベクター(N-SHESV)
本発明の他の態様において、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法は、自己免疫疾患に関連した細胞外または分泌性自己ポリペプチドの細胞内または非分泌性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含み、発現および分泌の両方は、非改変自己ベクターと比較した場合である。細胞外または分泌性自己ポリペプチドの、コードされた細胞内または非分泌性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターは、非分泌性高発現自己ベクター(N-SHESV)と呼ばれる。N-SHESVは、自己免疫疾患に関連した分泌性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、非改変自己ベクターと比較して非分泌型での自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。N-SHESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む細胞外または分泌性自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変、および宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を防ぐための少なくとも1つの改変であって、両方の改変は、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較した場合である、改変。
本発明の特定の態様において、インスリン依存性糖尿病(IDDM)に関連したコードされる自己ポリペプチドの発現を、同じ自己ポリペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させること、および非改変自己ベクターと比較して分泌が宿主細胞から妨げられるようにIDDMに関連した分泌性自己抗原の非分泌型を発現することの両方のために変化している改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、インスリン依存性糖尿病(IDDM)のような自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法が提供される。いくつかの態様において、非分泌性自己ポリペプチドの発現を増加させる改変自己ベクターは、IDDMに関連した分泌性自己ポリペプチドの、コードされた非分泌型のプロモーター領域の下流かつ開始コドンのすぐ上流にイントロンを含むN-SHESVである。IDDMを処置または予防するために投与されるN-SHESVは、プロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)、インスリン、およびインスリンBの1つまたは複数をコードするポリヌクレオチドを含みうる。または、異なる自己ポリペプチドをコードする複数のN-SHESVが投与されうる。好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるN-SHESVは、プレプロインスリンのシグナル配列を欠く自己ポリペプチドのプロインスリン(SEQ ID NO:2)をコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にイントロンAかまたはβ-グロビン/Igキメライントロンのいずれかを含む。より好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるN-SHESVは、プレプロインスリンのシグナル配列を欠く自己ポリペプチドのプロインスリン(例えば、SEQ ID NO:2)をコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。
分泌性自己ベクター(SSV)
他の相互に排他的ではない態様において、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法は、典型的には分泌されない自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの分泌型をコードするポリヌクレオチドを含む改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。そのような非分泌性自己タンパク質または自己ポリペプチドの例には以下が挙げられる:例えば、ミエリンタンパク質(ミエリン塩基性タンパク質およびプロテオリピドタンパク質)のような細胞内膜会合性自己ポリペプチド;例えば、ミエリンタンパク質(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)のような膜貫通自己ポリペプチド;または細胞質もしくは核自己ポリペプチド(すなわち、ヒストン2B、ヒストン3、核内低分子リボ核タンパク質ポリペプチドA、核内低分子リボ核タンパク質ポリペプチドC、タンパク質チロシンホスファターゼ様IA-2、および島特異性グルコース-6-ホスファターゼ触媒性サブユニット関連タンパク質)。分泌されない自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチド、例えば、膜貫通または細胞内自己ポリペプチドの分泌型をコードするように変化した改変自己ベクターは、本明細書では、分泌性自己ベクター(SSV)と呼ばれる。SSVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を可能にするための改変とを含む。SSVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの病原性エピトープを含む膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較して、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を可能にするための少なくとも1つの改変。
特定のバリエーションにおいて、SSVによりコードされる分泌性自己ポリペプチドは、自己ポリペプチドの宿主細胞からの分泌を可能にする改変を含む、細胞内自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの変化した型である。SSVを作製するための1つの特に適した改変は、宿主細胞からの分泌を可能にするためのN末端シグナル配列を細胞内自己ポリペプチドに付加することである。任意の内因的に分泌されるタンパク質由来のシグナル配列、またはそのキメラおよび/もしくはコンセンサス型が用いられうる。シグナル配列に加えて、改変はさらに、細胞内エピトープが細胞外に提示されるように、例えば、膜貫通ドメインまたはGPIアンカーを含む膜会合についてのシグナルを含みうる。(GPIアンカー(ホスファチジル-イノシトールグリカン)は、膜付着性タンパク質のC末端の一般的な修飾である。それは、糖含有リンカー(ホスホリルエタノールアミン残基に連結されたグルコサミンおよびマンノース)を通して成熟タンパク質のC末端アミノ酸へ連結される疎水性ホスファチジルイノシトール基で構成される。疎水性イノシトール基内の2つの脂肪酸がタンパク質を膜へアンカーする。)他のバリエーションにおいて、SSVによりコードされる分泌性自己ポリペプチドは、自己ポリペプチドの細胞外部分の有無にかかわらず、自己ポリペプチドの細胞内部分の分泌を可能にするための改変を含む、膜貫通自己ポリペプチドの変化した型である。1つの適した改変は、膜貫通ドメインの除去を含む。または、膜貫通自己ポリペプチドの細胞外部分が除去され、シグナル配列が、細胞内部分のN末端に付加される。他のバリエーションにおいて、SSVによりコードされる分泌性自己ポリペプチドは、細胞内部分の有無にかかわらず、膜貫通または膜結合性(すなわち、GPI連結された)自己ポリペプチドの細胞外部分の可溶型での分泌を可能にするための改変を含む。1つの適した改変は、膜貫通ドメインまたはGPI連結の除去を含む。好ましい態様において、膜貫通および細胞内ドメインは、自己ポリペプチドの細胞外部分の可溶型での分泌を可能にするために除去される。
特定の態様において、本発明は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、インスリン依存性糖尿病(IDDM)のような自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法を提供する。IDDMを処置または予防するための改善された方法は、IDDMに関連した膜会合性または細胞内自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドの分泌性自己ポリペプチド型をコードする改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、改変自己ベクターは、シグナル配列の付加により、IDDMに関連した細胞内自己ポリペプチドの分泌を可能にするように変化したSSVである。IDDMを処置または予防するために投与されるSSVは、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)-67;チロシンホスファターゼIA-2;島特異性グルコース-6-ホスファターゼ触媒性サブユニット関連タンパク質;島特異性グルコース-6-ホスファターゼ関連タンパク質(IGRP);および島細胞抗原69kDaのような1つまたは複数の自己タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含みうるが、GAD-65を含まない。または、異なる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする複数のSSVが投与されうる。好ましい態様において、IDDMを処置または予防するために投与されるSSVは、シグナル配列を含む自己ポリペプチドのチロシンホスファターゼIA-2をコードする。
本発明の他の態様において、多発性硬化症(MS)に関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、多発性硬化症(MS)を処置または予防するための改善された方法が提供される。MSを処置または予防するための改善された方法は、同じ自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して宿主細胞から分泌される、MSに関連した膜会合性または細胞内自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む。いくつかの態様において、改変自己ベクターは、シグナル配列の付加により、細胞内自己ポリペプチドの分泌を生じるように変化したSSVである。他の態様において、SSVは、膜貫通および細胞内ドメインを除去することにより、膜貫通自己ポリペプチドの細胞外ドメインの可溶型での分泌を可能にするように変化している。MSを処置または予防するために投与されるSSVは、以下のような1つまたは複数の自己タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含みうる:ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、および/またはミエリン関連糖タンパク質(MAG)。または、異なる自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードする複数のSSVが投与されうる。好ましい態様において、MSを処置または予防するために投与されるSSVは、シグナル配列を含む自己ポリペプチドのMBPをコードする。他の好ましい態様において、MSを処置または予防するために投与されるSSVは、細胞外領域の可溶型での分泌を可能にするために膜貫通および細胞内ドメインを欠く自己ポリペプチドのMOGをコードする。
分泌性高発現自己ベクター(SHESV)
本発明の他の態様において、自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法は、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドの分泌性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含み、発現および分泌の両方は、非改変自己ベクターと比較した場合である。膜会合性または細胞内自己ポリペプチドのコードされた分泌性型の発現を増加させるように変化している改変自己ベクターは、分泌性高発現自己ベクター(SHESV)と呼ばれる。SHESVは、自己免疫疾患に関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力があるポリヌクレオチドと、非改変自己ベクターと比較して分泌型での自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための改変とを含む。SHESVはさらに、以下を機能的に組み合わせて含む:プロモーター;自己免疫疾患に関連した少なくとも1つの自己抗原性エピトープを含む膜会合性または細胞内自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;転写ターミネーター;ならびに、自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変、および宿主細胞からの自己ポリペプチドの分泌を可能にするための少なくとも1つの改変であって、両方の改変は、そのプロモーター、ポリヌクレオチド、および転写ターミネーターを含む非改変自己ベクターと比較した場合である、改変。
本発明の他の態様において、多発性硬化症(MS)に関連したコードされる自己ポリペプチドの発現を、同じ自己ポリペプチドをコードする非改変自己ベクターと比較して増加させること、および非改変自己ベクターと比較して分泌が宿主細胞から生じるようにMSに関連した膜会合性または細胞内自己ポリペプチドの分泌型を発現することの両方のために変化している改変自己ベクターを被験体に投与する段階を含む、多発性硬化症(MS)のような自己免疫疾患を処置または予防するための改善された方法が提供される。膜会合性または細胞内自己ポリペプチドのコードされた分泌型の発現を増加させるように改変された自己ベクターは、本明細書では、分泌性高発現自己ベクター(SHESV)と呼ばれる。いくつかの態様において、SHESVは、MSに関連した膜貫通または細胞内自己ポリペプチドの分泌型をコードするポリヌクレオチドのプロモーター領域の下流かつ開始コドンのすぐ上流にイントロンを含む。MSを処置または予防するために投与されるSHESVは、以下のようなMSに関連したポリヌクレオチドを含みうる:ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、および/またはミエリン関連糖タンパク質(MAG)。または、異なる自己ポリペプチドをコードする複数のSHESVが投与されうる。好ましい態様において、MSを処置または予防するために投与されるSHESVは、細胞外領域の可溶型での分泌を可能にするために膜貫通および細胞内ドメインを欠く自己ポリペプチドのMOGをコードするポリヌクレオチドの開始コドンの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む。
非改変自己ベクターと比較して、コードされた自己タンパク質、自己ポリペプチド、もしくは自己ペプチドの発現レベルおよび/または分泌を変化させるための自己ベクターの改変は、宿主細胞における組換えタンパク質の発現について周知の方法を用いてインビトロで測定されうる。例えば、HEK293、COS、またはCHO細胞を含む初代哺乳動物細胞または細胞系のような宿主細胞は、非改変自己ベクターかまたは以下の変化の1つもしくは複数を有する改変自己ベクターのいずれかでトランスフェクションされる:1)自己ポリペプチドの発現の増加を生じるための少なくとも1つの改変、2)分泌性または膜結合性自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型を発現するための少なくとも1つの改変;または3)非分泌性自己ポリペプチドの分泌を可能にするための少なくとも1つの改変。トランスフェクションされた宿主細胞は、その後、自己ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養される。典型的には、宿主細胞および培養条件は、インビボの生理学的条件を模倣する、または生理学的条件に近づけるように設計される。非改変自己ベクターによって、対して、コードされた自己ポリペプチドの発現を増加させるための少なくとも1つの変化を有する改変自己ベクターによってトランスフェクションされた宿主細胞における、コードされた自己ポリペプチドの相対的タンパク質発現レベルは、その後、例えば、ウェスタンブロット分析、ELISA、またはFACSのような公知の方法を用いて測定される。好ましい態様において、ELISAにより測定される場合、HESVのタンパク質発現は、非改変自己ベクターより約2倍〜50倍高く;より好ましい態様において、発現の増加は、非改変自己ベクターより約5倍〜35倍高く;および最も好ましい態様において、発現の増加は、非改変自己ベクターより約10倍〜30倍高い。加えて、自己ポリペプチドの分泌対非分泌が、培地または上清におけるタンパク質レベルと細胞可溶化物におけるタンパク質レベルとを比較することにより測定されうる。さらになお、相対的タンパク質局在性は、例えば、免疫組織化学法または免役蛍光法を用いて測定されうる。好ましい態様において、N-SSVによりコードされる分泌性自己ポリペプチドの非分泌は、トランスフェクションした細胞の上清におけるタンパク質レベルが、ELISAにより測定される場合、有意にバックグラウンドを上回らないならば、実質的に完全である。代替の好ましい態様において、SSVによりコードされる非分泌性自己ポリペプチドの分泌は、ELISAにより測定される場合、上清においてバックグラウンドを上回るレベルで見出される。
特定のバリエーションにおいて、自己免疫疾患を処置するための方法はさらに、免疫調節配列(IMS)を含むポリヌクレオチドの投与を含む。本発明に従って有用なIMSは、以下のコア六量体を含む:
5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'
または
5'-プリン-プリン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3';
XおよびYは、XおよびYがシトシン-グアニンとはなり得ないことを除いて、任意の天然または合成のヌクレオチドである。
IMSのコア六量体には、任意の組成もしくは数のヌクレオチドまたはヌクレオシドが5'側および/または3'側に隣接しうる。好ましくは、IMSは、長さが6塩基対から100塩基対の間、および最も好ましくは、長さが16〜50塩基対の範囲である。IMSはまた、100塩基対から100,000塩基対までの範囲である、より大きなDNA断片の一部として送達されうる。IMSは、DNAプラスミド、ウイルスベクター、およびゲノムDNAに組み入れられてもよく、またはすでにそれらの中に存在していてもよい。最も好ましいIMSはまた、サイズが6塩基対(フランキング配列無し)から10,000塩基対まで、またはそれ以上の範囲でありうる。六量体コアに隣接する存在する配列は、任意の公知の免疫阻害性配列(IIS)に存在するフランキング配列に実質的にマッチするように構築されうる。例えば、フランキング配列
Figure 2009511014
は、TGACTGTGおよびAGAGATGAがフランキング配列である。別の好ましいフランキング配列は、2回またはそれ以上反復される個々のピリミジンとしてか、または長さが2個もしくはそれ以上の異なるピリミジンの混合物としてかのいずれかでのひと続きのピリミジン(C、T、およびU)を組み入れる。異なるフランキング配列が、阻害調節配列の試験において用いられている。阻害性オリゴヌクレオチドについてのフランキング配列のさらなる例は、以下の参照文献に含まれる:米国特許第6,225,292号および第6,339,068号、Zeuner et al., Arthritis and Rheumatism, 46:2219-24, 2002。
本発明の改変自己ベクターでの投与に適した特定のIMSは、以下の六量体配列を含むオリゴヌクレオチドを含む:
1. 以下のGGジヌクレオチドのコアを含む5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'のIMS:
Figure 2009511014
など;
2. 以下のGCジヌクレオチドのコアを含む5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'のIMS:
Figure 2009511014
など;
グアニンおよびイノシンはアデニンと置き換わることができ、ならびに/またはウリジンはシトシンまたはチミンと置き換わることができ、それらの置換は、上で指針に基づいて示されているように行われうる。
本発明の特定の態様において、IMSのコア六量体領域は、ポリG領域に、5'末端かもしくは3'末端のいずれかで、または5'末端および3'末端の両方で、隣接している。本明細書に用いられる場合、「ポリG領域」または「ポリGモチーフ」とは、少なくとも2個の連続したグアニン残基、典型的には2個から30個まで、または2個から20個までの連続したグアニンからなる核酸領域を意味する。いくつかの態様において、ポリG領域は、2個から10個まで、4個から10個まで、または4個から8個までの連続したグアニン残基を有する。特定の好ましい態様において、フランキングポリG領域はコア六量体に隣接している。さらに他の態様において、ポリG領域は、非ポリG領域(非ポリGリンカー)によってコア六量体に連結されている;典型的には、非ポリGリンカー領域は、6ヌクレオチドより多くなく、より典型的には4ヌクレオチドより多くなく、および最も典型的には2ヌクレオチドより多くない。
IMSはまた、少なくとも8ヌクレオチド長の抑制性オリゴヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチドは約2.9より大きい円偏光二色性(CD)値をもつG四分子(G-tetrad)を形成し、かつグアノシンの数は少なくとも2である(国際特許出願番号WO 2004/012669は参照により本明細書に組み入れられる)。CDは、左円偏光および右円偏光の示差吸収として定義される。G四分子は、複雑な二次および/または三次構造を可能にするGリッチDNAセグメントである。より具体的には、G四分子は、1)非ワトソン・クリック塩基対形成を含む環状水素結合配置における4個のグアノシンの平面会合を含む、および2)2個もしくはそれ以上の連続したグアノシン、または塩基の50%より多くがグアノシンである六量体領域を必要とする。例には、少なくとも1個の、好ましくは2個から20個の間の、TTAGGGモチーフを有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。他の有用な抑制性オリゴヌクレオチドは、限定されるわけではないが、以下のうちの1つに従うものを含む:(TGGGCGGT)x、xは、好ましくは2から100の間、より好ましくは2から20の間である;
Figure 2009511014
IMSは、優先的には、非メチル化GpGオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。代替態様は、1つまたは複数のアデニンまたはシトシン残基がメチル化されているIMSを含む。真核細胞において、典型的には、シトシンおよびアデニン残基はメチル化されうる。
IMSは安定化および/または非安定化オリゴヌクレオチドでありうる。安定化オリゴヌクレオチドとは、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、および他の分解経路によるインビボ分解に対して比較的抵抗性であるオリゴヌクレオチドを意味する。好ましい安定化オリゴヌクレオチドは、改変リン酸骨格を有し、最も好ましいオリゴヌクレオチドは、リン酸酸素の少なくとも1つがイオウに置換されているホスホロチオネート改変リン酸骨格を有する。メチルホスホネート、ホスホロチオネート、ホスホロアミデート、およびホスホロジチオネートヌクレオチド間結合を含む骨格リン酸基改変は、IMSへ抗細菌性を与えることができる。IMSは、好ましくは安定化オリゴヌクレオチドであり、優先的にはホスホロチオネートを用いて安定化されたオリゴヌクレオチドである。
代替の安定化オリゴヌクレオチドには以下が挙げられる:荷電酸素がアルキル化されているアルキルホスホロトリエステルおよびホスホロジエステル;荷電ホスホン酸酸素がアリル基もしくはアルキル基に置換されている非イオン性DNA類似体である、アリルホスホネートおよびアルキルホスホネート;ならびに/または、一方の末端もしくは両方の末端に、ヘキサエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコール、もしくは別のジオールを含むオリゴヌクレオチド。IMSにおいて糖部分をヌクレオシド塩基へ付着するための代替の立体配置が用いられうる。
調節性ジヌクレオチドに隣接するIMSのヌクレオチド塩基は、公知の天然塩基または合成非天然塩基でありうる。例えば、脂質、タンパク質、ペプチド、糖脂質、糖、糖タンパク質、または追加の免疫調節性治療用物質を含む別の分子を付着するまたは連結する手段としての付着点として用いるオリゴヌクレオシドは、通常の技術を用いてIMSの内部領域および/または末端へ組み入れられうる。IMSの塩基、糖部分、リン酸基、および/または末端はまた、IMSの調節活性に加えて望まれる性質を有するIMSを構築するために当業者に公知の任意の様式で修飾されうる。例えば、糖部分は、任意の立体配置でIMSのヌクレオチド塩基へ付着しうる。
オリゴヌクレオチドへこれらのリン酸基改変を行うための技術は当技術分野において公知であり、詳細な説明を必要としない。一つのそのような有用な技術の概説として、標的オリゴヌクレオチド産物についての中間体リン酸トリエステルが調製され、水溶性ヨードを用いてまたは無水アミンのような他の作用物質を用いて天然のリン酸トリエステルへ酸化される。結果として生じたオリゴヌクレオチドホスホロアミデートは、イオウで処理され、ホスホロチオネートを生じうる。同じ一般的な技術(イオウ処理段階を除く)は、メチルホスホネートからメチルホスホアミダイトを生じるために適用されうる。リン酸基改変技術に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第4,425,732号、第4,458,066号、第5,218,103号、および第5,453,496号; Tetrahedron Lett. 21:4149 25 (1995), 7:5575 (1986), および25:1437 (1984); ならびにJournal Am. ChemSoc., 93:6657 (1987)に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
特に有用なリン酸基改変は、IMSオリゴヌクレオチドのホスホロチオネートまたはホスホロジチオネート型への変換である。ホスホロチオネートおよびホスホロジチオネートは、それらの非改変オリゴヌクレオチド対応物よりインビボでの分解により抵抗性であり、本発明のIMSオリゴヌクレオチドを宿主にとってより利用可能にさせる。
IMSオリゴヌクレオチドは、当技術分野において周知である技術および核酸合成装置を用いて合成されうる。(例えば、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる、Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, Chs. 2 and 4 (Wiley Interscience, 1989); Maniatis, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Lab., New York, 1982); 米国特許第4,458,066号;および米国特許第4,650,675号を参照のこと。)
または、免疫阻害性オリゴヌクレオチドは、フランキングヌクレオチド内の天然のCpGモチーフの代わりに競合ジヌクレオチドを用いる、単離された微生物免疫刺激性オリゴヌクレオチドの突然変異により得られうる。核酸ハイブリダイゼーションに頼るスクリーニング手順は、適切なプローブまたは抗体が入手できるという条件で、任意の生物体から任意のポリヌクレオチド配列を単離することを可能にする。問題のタンパク質をコードする配列の一部に対応するオリゴヌクレオチドプローブは化学的に合成されうる。これは、アミノ酸配列の短いオリゴペプチドのひと続きが既知であることを必要とする。タンパク質をコードするDNA配列はまた、遺伝暗号から推定することができるが、コードの縮重を考慮しなければならない。
例えば、ISS含有ポリヌクレオチドを含むと考えられるcDNAライブラリーが、cDNA由来の様々なmRNAを卵母細胞へ注入し、cDNA遺伝子産物の発現が生じるのに十分な時間をとり、所望のcDNA発現産物の存在について、例えば、対象となるポリヌクレオチドによりコードされたペプチドに特異的な抗体を用いることにより、または対象となるポリヌクレオチドによりコードされたペプチドに特徴的な反復モチーフおよび組織発現パターンについてのプローブを用いることにより、試験することによってスクリーニングされうる。または、cDNAライブラリーは、ペプチドに特異的な抗体を用いて少なくとも1つのエピトープを有する対象となるペプチドの発現について間接的にスクリーニングされうる。そのような抗体は、ポリクローナル的にかまたはモノクローナル的にかのいずれかで得ることができ、対象となるcDNAの存在を示す発現産物を検出するために用いることができる。
いったん、免疫刺激性配列含有ポリヌクレオチドが得られたならば、それは、例えば、通常の技術を用いる酵素消化により、所望の長さまで短くされうる。免疫刺激性配列オリゴヌクレオチド産物におけるCpGモチーフは、その後、CpGモチーフの代わりに「阻害性」ジヌクレオチド(本発明の方法を用いて同定された)を用いるように突然変異される。既知の配列を有するDNAにおいて特定の部位に置換突然変異を行うための技術は周知であり、例えば、PCRによるM13プライマー突然変異誘発がある。IMSは非コードであるため、置換突然変異の実施におけるオープンリーディングフレームの維持に対する懸念はない。しかしながら、インビボで用いるために、ポリヌクレオチド出発物質、免疫刺激性配列中間体、またはIMS突然変異産物は、実質的に純粋に(すなわち、当業者に公知で、選択される利用可能な技術を用いてできる限り天然の混入物およびLPSを含まないように)されるべきである。
本発明のIMSは、単独で用いられてもよく、または、立ち代わって組換え発現ベクターにより送達可能なポリペプチドをコードしうる組換え自己ベクター(プラスミド、コスミド、ウイルス、またはレトロウイルス)へシスまたはトランスに組み入れられてもよい。便宜のために、IMSは、好ましくは、発現ベクターに組み入れることなく投与される。しかしながら、発現ベクターへの組み入れが望まれる場合には、そのような組み入れは、当業者に公知のような通常の技術を用いて達成されうる。(一般的に、例えば、Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, 前記を参照のこと。Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd ed., 1989)も参照のこと。)
ベクターの構築および細胞のトランスフェクションについての技術は当技術分野において周知であり、当業者は、特定の条件および手順を記載する標準の資源材料を熟知していると思われる。自己ポリペプチドをコードする自己ベクターは、核酸の単離についての市販されている技術を用いて、調製および単離される。ベクターは、治療剤としてヒトへの送達のために細菌内毒素を含まないように精製される。
本発明のベクターの構築は、当技術分野において周知である標準ライゲーションおよび制限技術を用いる(一般的には、例えば、Ausubel et al., 前記; Sambrook and Russell, 前記; Sambrook, 前記を参照のこと)。単離されたプラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドは、切断され、適合されて(tailor)、望まれる型に委ねられる(relegate)。DNA構築物の配列は、例えば、DNA配列分析についての標準方法を用いて確認されうる(例えば、Sanger et al., (1977) Proc. Natl. Acad. Sci., 74, 5463-5467)。
本明細書に提供された方法に従う有用な一つの特に適した核酸ベクターは、非CpGジヌクレオチドが、式5'-プリン-ピリミジン-C-G-ピリミジン-ピリミジン-3'または5'-プリン-プリン-C-G-ピリミジン-ピリミジン-3'の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドの代わりに用いられ、それにより免疫刺激活性が低下しているベクターを生じる核酸発現ベクターである。例えば、CpGジヌクレオチドのシトシンがグアニンで置換され、それにより、式5'-プリン-ピリミジン-G-G-ピリミジン-ピリミジン-3'または5'-プリン-プリン-G-G-ピリミジン-ピリミジン-3'のGpGモチーフを有するIMS領域を生じうる。シトシンはまた、任意の他の非シトシンのヌクレオチドで置換されうる。置換は、例えば、部位特異的突然変異誘発を用いて、達成されうる。典型的には、置換されたCpGモチーフは、ベクターの重要な調節領域(例えば、プロモーター領域)に位置していないCpGである。加えて、CpGが発現ベクターのコード領域内に位置している場合、非シトシン置換は、典型的には、サイレント突然変異、またはコードされたアミノ酸の保存的置換に対応するコドンを生じるように選択される。
例えば、特定の態様において、自己ベクターの構築に用いられるベクターは、式5'-プリン-ピリミジン-C-G-ピリミジン-ピリミジン-3'の1つまたは複数のCpGジヌクレオチドが、CpGジヌクレオチドのシトシンを非シトシンのヌクレオチドで置換することにより突然変異している、改変pVAX1ベクターである。pVAX1ベクターは、当技術分野において公知であり、Invitrogen (Carlsbad, CA)から市販されている。一つの例示的な態様において、改変pVAX1ベクターは、CpGモチーフ内において以下のシトシンの非シトシンへの置換を有する:ヌクレオチド784位、1161位、1218位、および1966位におけるシトシンからグアニンへ;ヌクレオチド1264位、1337位、1829位、1874位、1940位、および1997位におけるシトシンからアデニンへ;ならびにヌクレオチド1963位および1987位におけるシトシンからチミンへ;ヌクレオチド1831位、1876位、1942位、および1999位における追加のシトシンからグアニンへの突然変異を含む。(上で示されているようなヌクレオチド数表示はInvitrogenにより提供されるpVAX1についての番号付け方式による。)このように構築されたベクターは、pBHT1と名付けられた。
自己ベクターに用いるのに選択されたヌクレオチド配列は、例えば、標準技術を用いて所望の遺伝子またはヌクレオチド配列を含む細胞から核酸を単離することにより、公知の供給源から得ることができる。同様に、ヌクレオチド配列は、当技術分野において周知であるポリヌクレオチド合成の標準様式を用いて合成的に作製されうる。例えば、Edge et al., Nature 292:756, 1981; Nambair et al., Science 223:1299, 1984; Jay et al., J. Biol. Chem. 259:6311, 1984を参照のこと。一般的に、合成オリゴヌクレオチドは、Edge et al. (前記)およびDuckworth et al.(Nucleic Acids Res. 9:1691, 1981)により記載されているようなホスホトリエステル方法;またはBeaucage et al. (Tet. Letts. 22:1859, 1981)およびMatteucci et al. (J. Am. Chem. Soc. 103:3185, 1981)により記載されているようなホスホロアミダイト方法のいずれかにより調製されうる。合成オリゴヌクレオチドはまた、市販されている自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて調製されうる。ヌクレオチド配列は、このように、特定のアミノ酸配列についての適切なコドンを用いて設計されうる。一般的に、意図された宿主における発現にとって好ましいコドンを選択する。完全な配列は、標準方法により調製された重複オリゴヌクレオチドから構築し、集合させて完全なコード配列を構築する。例えば、Edge et al. (前記); Nambair et al. (前記)およびJay et al. (前記)を参照のこと。
本発明に用いる核酸配列を得るための別の方法は、組換え手段による。従って、所望のヌクレオチド配列は、標準制限酵素および手順を用いて核酸を有するプラスミドから切り出されうる。部位特異的DNA切断は、適した制限酵素および手順で処理することにより行われる。部位特異的DNA切断は、当技術分野において一般的に理解されている条件、および市販されている制限酵素の製造元により特定されているそれらの事項のもとで行われる。必要に応じて、切断された断片のサイズ分離が、標準技術を用いるポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルにより行われうる。
特定の核酸分子を単離するためのさらに別の都合のよい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis et al., Methods Enzymol. 155:335-350, 1987)または逆転写PCR(RT-PCR)による。特定の核酸配列は、RT-PCRによりRNAから単離されうる。RNAは、当業者に公知の技術により、例えば、細胞、組織、または生物全体から単離される。相補DNA(cDNA)は、その後、ポリdTまたはランダム六量体プライマー、デオキシヌクレオチド、および適した逆転写酵素を用いて生成される。所望のポリヌクレオチドは、その後、PCRより生成されたcDNAから増幅されうる。または、対象となるポリヌクレオチドは、適切なcDNAライブラリーから直接的に増幅されうる。対象となるポリヌクレオチド配列の5'末端および3'末端の両方とハイブリダイズするプライマーが合成され、PCRに用いられる。プライマーはまた、容易な消化、および同様に制限消化されたプラスミドベクターへの増幅配列のライゲーションのために、5'末端に特定の制限酵素部位を含みうる。
改変自己ベクターの発現カセットは、宿主細胞において機能しうるプロモーターを用いる。一般的に、宿主細胞と適合性の種由来であるプロモーターおよび調節配列を含むベクターが特定の宿主細胞と共に用いられる。原核生物宿主と共に用いるのに適したプロモーターは、実例的には、β-ラクマターゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、およびtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターを含む。しかしながら、他の機能的な細菌プロモーターが適している。原核生物に加えて、酵母培養物のような真核微生物もまた用いられうる。サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または一般的なパン酵母は、最も一般的に用いられる真核微生物であるが、いくつかの他の菌株もまた一般的に利用できる。哺乳動物宿主細胞においてベクターからの転写を調節するプロモーターは、様々な供給源、例えば、ポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および好ましくは、サイトメガロウイルス(CMV)のようなウイルスのゲノムから、または異種性哺乳動物プロモーター、例えば、β-アクチンプロモーターから得られうる。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限断片として都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII制限断片として都合よく得られる。もちろん、宿主細胞または関連種由来のプロモーターもまた本発明に有用である。
一つの態様において、2つまたはそれ以上の自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチドをコードするDNAは、単一のDNA分子から複数のタンパク質の発現のために内部リボソーム再侵入配列(IRES)または他のエレメントを利用する単一の自己ベクターにおいて連続的にコードされる。
本発明に用いられるベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含みうる。選択遺伝子は、ベクターで形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする。哺乳動物細胞に適切な選択マーカーの例には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、多剤耐性遺伝子(mdr)、アデノシンデアミナーゼ遺伝子、およびグルタミンシンターゼ遺伝子が挙げられる。そのような選択マーカーが哺乳動物宿主細胞へうまく移入された場合、形質転換された哺乳動物宿主細胞は、選択圧下に置かれたとしても生存できる。選択方式の2つの広く用いられる別個のカテゴリーがある。第一カテゴリーは、細胞の代謝、および補充された培地と無関係に増殖する能力を欠く突然変異体細胞系の使用に基づいている。第二カテゴリーは、任意の細胞型に用いられる選択スキームに言及し、突然変異体細胞系の使用を必要としない優性選択と呼ばれる。これらのスキームは典型的には、宿主細胞の増殖を停止させるために薬物を用いる。新規な遺伝子を有するそれらの細胞は、薬物抵抗性を伝えるタンパク質を発現し、選択から生き残る。そのような優性選択の例は、薬物ネオマイシン(Southern and Berg (1982) J. Molec. Appl. Genet. 1, 327)、ミコフェノール酸(Mulligan and Berg (1980) Science 209, 1422)、またはハイグロマイシン(Sugden et al. (1985) Mol. Cell. Bio. 5, 410-413)を用いる。上で示された3つの例は、それぞれ、適切な薬物ネオマイシン(G418またはゲンチシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、またはハイグロマイシンに対する抵抗性を伝えるために真核生物制御下で細菌遺伝子を用いる。
または、本発明に用いられるベクターは、リプレッサーのタイトレーション(titration)に基づいた抗生物質を含まない選択を用いて宿主細胞において増殖させる(Cranenburgh et al., 2001)。ベクターは、lacプロモーターの一部としてか、またはpUC系のプラスミドベクターに見出される最適な間隔をもつlacO1およびlacO3オペレーターと共にかのいずれかで、lacオペロンを含むように改変される。または、lacO1オペレーターまたはlacOのパリンドローム型が、単一または複数のコピーとしての単離に用いられうる(Cranenburgh et al., 2004)。lacオペロン配列は、ベクターの他の機能性構成要素に干渉しないようにベクター内のどこかの単一または複数の部位に組み入れられうる。好ましい態様において、合成大腸菌(Escherichia coli)lacオペロン二量体オペレーター(GenBankアクセッション番号K02913)が用いられる。lacオペロンは、選択を提供するために適切な選択マーカーを欠くベクターに付加されうるか、別の選択マーカーに加えて付加されうるか、またはベクターを治療的適用により適切にさせるために、選択マーカー、特に抗生物質抵抗性マーカーを置換するために用いられうる。lacオペロンを含むベクターは、lacプロモーター(lacOP)の制御下にdapDを含む必須遺伝子を有する遺伝子改変の大腸菌において選択され、それに従って、lacOPからlac抑圧をタイトレーションし(titrate)、dapDの発現を可能にすることにより、改変された宿主細胞が生存することを可能にする。適切な大腸菌には、DH1lacdapDおよびDH1lacP2dapDが挙げられる(Cranenburgh et al., 2001)。
インビトロ評価について、宿主細胞は、改変自己ベクターで形質転換され、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または遺伝子を増幅するのに適切であるように改変された通常の栄養培地において培養されうる。宿主細胞のトランスフェクションのための1つの適切な方法は、Graham and van der Eb (1973) Virology 52, 456-457のリン酸カルシウム共沈法である。トランスフェクションのための代替方法は、エレクトロポレーション、DEAE-デキストラン法、リポフェクション、および微粒子銃である(Kriegler (1990) Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual, Stockton Press)。宿主細胞発現に適している温度、pHなどのような培養条件は、当技術分野において一般的に公知であり、当業者に明らかであると思われる。
組換え発現ベクターは本発明のIMS-ODNのための担体として利用される場合には、プラスミドおよびコスミドは、それらの病原性の欠如のために特に好ましい。しかしながら、プラスミドおよびコスミドは、ウイルスより速くインビボでの分解を受けやすく、それゆえに、炎症性または自己免疫性疾患を予防または処置するのに十分な用量のIMS-ODNを送達しない可能性がある。
本発明の改変自己ベクターは、薬剤として用いるポリヌクレオチド塩として製剤化されうる。ポリヌクレオチド塩は、無毒性無機または有機塩基で調製されうる。無機塩基塩には、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムなどが挙げられる。有機無毒性塩基には、1級、2級、および3級アミンなどの塩が挙げられる。そのような自己DNAポリヌクレオチド塩は、滅菌水または食塩水のようなものでの送達前の再構成のための凍結乾燥された形に製剤化されうる。または、自己DNAポリヌクレオチド塩は、送達のための水性または油性媒体を含む溶液、懸濁液、または乳濁液に製剤化されうる。一つの好ましい態様において、DNAは、生理学的レベルのカルシウム(0.9mM)を含むリン酸緩衝食塩水において凍結乾燥され、その後、投与前に滅菌水で再構成される。または、DNAは、1mMから2Mの間のCa++のより高い量を含む溶液中に製剤化される。DNAはまた、特定のイオン種の非存在下で製剤化されうる。
本明細書に定義されているように、ポリヌクレオチドを被験体に送達するための多種多様の方法が存在する。例えば、自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、陽イオン性リポソームを含む陽イオン性ポリマーと共に製剤化されうる。他のリポソームもまた、自己ポリヌクレオチドを製剤化し、かつ送達するのに効果的な手段を示す。または、自己DNAは、薬理学的送達のためのウイルスベクター、ウイルス粒子、または細菌へ組み入れられうる。ウイルスベクターは、感染コンピテントであっても、弱毒化されていても(疾患を誘発する能力を低減する突然変異によって)、または複製欠損であってもよい。病原性自己タンパク質の沈着、蓄積、または活性を防ぐために自己DNAを利用する方法は、コードされる自己タンパク質に対する体液性応答を増加させるウイルスベクターまたは他の送達系の使用により強化されうる。他の態様において、DNAは、注入されても、吸入されても、または微粒子銃で送達されてもよい(弾道的送達)金粒子、多糖ベースの支持体、または他の粒子もしくはビーズを含む固体支持体に結合されうる。核酸調製物を送達するための方法は当技術分野において公知である。例えば、以下を参照のこと:米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、および第5,589,466号。いくつかのウイルスに基づいた系が、哺乳動物細胞への移入のために開発されている。例えば、レトロウイルス系が記載されている(米国特許第5,219,740号;Miller et al., Biotechniques 7:980-990, 1989; Miller, Human Gene Therapy 1:5-14, 1990; Scarpa et al., Virology 180:849-852, 1991; Burns et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037, 1993; およびBoris-Lawrie and Temin, Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109, 1993)。いくつかのアデノウイルスベクターもまた記載されており、例えば、(Haj-Ahmad et al., J. Virol. 57:267-274, 1986; Bett et al., J. Virol. 67:5911-5921, 1993; Mittereder et al., Human Gene Therapy 5:717-729, 1994; Seth et al., J. Virol. 68:933-940, 1994; Barr et al., Gene Therapy 1:51-58, 1994; Berkner, BioTechniques 6:616-629, 1988; およびRich et al., Human Gene Therapy 4:461-476, 1993)を参照のこと。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系もまた、核酸送達のために開発されている。AAVベクターは、当技術分野において周知の技術を用いて容易に構築されうる。例えば、米国特許第5,173,414号および第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070およびWO 93/03769; Lebkowski et al., Molec. Cell. Biol. 8:3988-3996, 1988; Vincent et al., Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press) 1990; Carter, Current Opinion in Biotechnology 3:533-539, 1992; Muzyczka, Current Topics in Microbiol. And Immunol. 158:97-129, 1992; Kotin, Human Gene Therapy 5:793-801, 1994; Shelling et al., Gene Therapy 1:165-169, 1994; およびZhou et al., J. Exp. Med. 179:1867-1875, 1994)を参照のこと。
本発明のポリヌクレオチドはまた、ウイルスベクター無しで送達されうる。例えば、分子は、被験体への送達の前にリポソームにパッケージングされうる。脂質カプセル化は、一般的に、核酸を安定に結合または捕捉し、保持することができるリポソームを用いて達成される。核酸の送達のための担体としてのリポソームの使用の概説として、例えば、Hug et al., Biochim. Biophys. Acta. 1097:1-17, 1991; Straubinger et al., Methods of Enzymology, Vol. 101, pp. 512-527, 1983を参照のこと。
自己ベクターの治療的有効量は、約0.001mg〜約1gの範囲である。自己ベクターの好ましい治療的量は、約10ng〜約10mgの範囲である。自己ベクターの最も好ましい治療的量は、約0.025mg〜6mgの範囲である。特定の態様において、自己ベクターは、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに、投与される。代替の処置計画が開発されてもよく、疾患の重症度、患者の年齢、投与される自己ポリペプチド、および通常の処置を行う医師により考慮されるような他の因子に依存して、毎日の投与から、毎週、隔月、毎年、1回限りの投与までの範囲でありうる。
一つの態様において、ポリヌクレオチドは、筋肉内注射により送達される。他のバリエーションにおいて、ポリヌクレオチドは、鼻腔内に、経口で、皮下に、皮内に、静脈内に、粘膜に、皮膚を通して圧入され(impress)、または真皮までもしくは真皮を通って送達される金粒子に付着させて、送達される(例えば、WO 97/46253を参照)。または、核酸は、リポソームまたは荷電脂質の有無にかかわらず、局所的投与により皮膚細胞へ送達されうる(例えば、米国特許第6,087,341号を参照)。さらに別の代替法は、核酸を吸入物質として送達することである。ポリヌクレオチドは、生理学的レベルのカルシウム(0.9mM)を含むリン酸緩衝食塩水中に製剤化される。または、ポリヌクレオチドは、1mMから2Mの間のCa++のより高い量を含む溶液中に製剤化される。ポリヌクレオチドは、亜鉛、アルミニウムなどのような他の陽イオンと共に製剤化されうる。代替として、または加えて、ポリヌクレオチドは、陽イオン性ポリマー、陽イオン性リポソーム形成化合物と共に、または非陽イオン性リポソーム中にのいずれかで製剤化されうる。DNA送達のための陽イオン性リポソームの例には、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)および他のそのような分子を用いて作製されるリポソームが挙げられる。
ポリヌクレオチドの送達の前に、送達部位は、ブピビカン(bupivicane)、心臓毒、またはその後のポリヌクレオチドの送達を増強しうる別の作用物質での処置によりあらかじめ条件を整えられうる。そのような前条件付け(preconditioning)療法は、一般的に、治療用ポリヌクレオチドの送達の12〜96時間前に;より頻繁には、治療用ポリヌクレオチドの送達の24〜48時間前に送達される。または、ポリヌクレオチド治療の前に、前条件付け処置は与えられない。
代替のバリエーションにおいて、自己免疫疾患を処置するための方法はさらに、免疫応答を増強するためにCpGオリゴヌクレオチドを含む免疫応答を調節するためのアジュバントの投与を含む。CpGオリゴヌクレオチドまたは刺激性IMSは、DNAワクチン接種の抗体応答を増強することが示されている(Krieg et al., Nature 374:546-9, 1995)。CpGオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオネートを含む骨格のようなインビボでの分解に対して抵抗性である骨格の精製されたオリゴヌクレオチドからなる。本発明に従って有用な刺激性IMSは以下のコア六量体を含む:
5'-プリン-ピリミジン-[C]-[G]-ピリミジン-ピリミジン-3'
または
5'-プリン-プリン-[C]-[G]-ピリミジン-ピリミジン-3'。
免疫刺激性IMSのコア六量体には、任意の組成もしくは数のヌクレオチドまたはヌクレオシドが5'側および/または3'側に隣接しうる。好ましくは、刺激性IMSは、長さが6塩基対から100塩基対の間、および最も好ましくは、長さが16〜50塩基対の範囲である。刺激性IMSはまた、100塩基対から100,000塩基対までの範囲である、より大きなDNA断片の一部として送達されうる。刺激性IMSは、DNAプラスミド、ウイルスベクター、およびゲノムDNAに組み入れられてもよく、またはすでにそれらの中に存在していてもよい。最も好ましい刺激性IMSはまた、サイズが6塩基対(フランキング配列無し)から10,000塩基対まで、またはそれ以上の範囲でありうる。六量体コアに隣接する存在する配列は、任意の公知の免疫刺激性配列(ISS)に存在するフランキング配列に実質的にマッチするように構築されうる。例えば、フランキング配列
Figure 2009511014
は、TGACTGTGおよびAGAGATGAがフランキング配列である。別の好ましいフランキング配列は、2回またはそれ以上反復される個々のピリミジンとしてか、または長さが2個もしくはそれ以上の異なるピリミジンの混合物としてかのいずれかでのひと続きのピリミジン(C、T、およびU)を組み入れる。異なるフランキング配列が、阻害調節配列の試験において用いられており、刺激調節配列に適応されうる。フランキング配列のさらなる例は、以下の参照文献に含まれる:米国特許第6,225,292号および第6,339,068号、Zeuner et al., Arthritis and Rheumatism, 46:2219-24, 2002。
本発明の改変自己ベクターでの投与に適した特定の刺激性・阻害性IMSは、以下の六量体配列を含むオリゴヌクレオチドを含む:
1. 以下のGGジヌクレオチドのコアを含む5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'のIMS:
Figure 2009511014
など;
グアニンおよびイノシンはアデニンと置き換わることができ、ならびに/またはウリジンはシトシンまたはチミンと置き換わることができ、それらの置換は、上で指針に基づいて示されているように行われうる。または、ISS-ODNが、上でIMSについて詳細に記載されているように自己ベクターへ含まれうる。特に有用なISSには、マウスの最適CpGエレメントAACGTTが挙げられる。単一のISSまたは複数のISSが、他の機能性エレクター(elector)が乱されない限りベクターにおいて単一または複数の部位に改変自己ベクターに付加されうる。一つの例示的な例において、改変自己ベクターに付加されるISSには、プロモーターのすぐ上流にある5つのマウス最適CpGエレメント(AACGTT)のクラスターが挙げられる。
自己ベクターは、例えば、薬理学的作用物質、アジュバント、サイトカイン、またはサイトカインをコードするベクターのような他の物質と組み合わせて投与されうる。さらになお、サイトカイン同時送達を用いる場合の望ましくない抗自己サイトカイン応答を誘発する可能性を避けるために、ビタミンD3の活性型のような化学的免疫調節剤もまた用いられうる。この点において、1,25-ジヒドロキシビタミンD3が、筋肉内DNA免疫化によってアジュバント効果を発揮することが示されている。
宿主の免疫応答を調節することが知られたタンパク質(例えば、サイトカイン)をコードするポリヌクレオチドが自己ベクターと同時投与されうる。従って、免疫調節性サイトカイン(例えば、インターロイキン、インターフェロン、またはコロニー刺激因子)またはその機能性断片をコードする遺伝子が、本発明に従って用いられうる。これらのサイトカインのいくつかについての遺伝子配列は公知である。従って、本発明の一つの態様において、自己ベクターの送達は、以下の免疫調節性タンパク質、またはそのタンパク質をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つの同時投与と合わせられる:IL-4;IL-10;IL-13;およびIFN-γ。
実施例
以下の実施例は、本発明を行うことについての特定の態様である。実施例は、例証を目的としてのみ提供され、決して、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
プレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを用いたDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
非肥満性糖尿病(NOD)マウスは、ヒトインスリン依存性糖尿病(IDDM)と多くの臨床的、免疫学的、および組織病理学的特徴を共有する自然発症自己免疫性糖尿病を発症する。NODマウスにおける糖尿病発症は、インスリンBのペプチド断片をコードする自己ベクターを用いたDNAワクチン接種により予防されうる(Urbanek-Ruiz et al., 2001)。この研究において、マウスプレプロインスリンIまたはプレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを用いたDNAワクチン接種の、確立した高血糖症をもつNODマウスにおいて糖尿病を予防する能力を調べた。
マウスプレプロインスリンIおよびプレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを作製した。完全長プレプロインスリンI(ppINS-I)またはプレプロインスリンII(ppINS-II)をコードするポリヌクレオチドをPCRにより増幅し、pBHT1のマルチクローニング部位へライゲーションして、それぞれ、mINS-I-pBHT1およびmINS-II-pBHT1(pBHT500)を生じた。pBHT1は、CMV最初期プロモーター/エンハンサー、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、細菌選択のためのカマナイシン抵抗性遺伝子、およびpUC複製起点を含む、その親プラスミド(Invitrogen, Carlsbad, CA)の主要な構造的特徴を保持する改変pVAX1哺乳動物発現ベクターである。pVAX1は、部位特異的突然変異誘発技術を用いてベクターのポリヌクレオチド配列における29個の免疫刺激性CpG配列(以下のコンセンサスモチーフを有する配列:RYCpGYY; R=AまたはG、Y=CまたはT)のうちの12個の除去によりpBHT1へ改変された。非コードpBHT1ベクターが、ワクチン接種についての対照DNAとして用いられた。DNAをQiagen Endo-free Mega-preps(Qiagen, Valencia, CA)を用いて製造元のプロトコールに従って精製し、投与のための実質的に内毒素を含まない自己ベクターを供給した。
NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になって初めて(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、その後、0.25%ブピビカイン(bupivicaine)-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中のppINS-I、ppINS-II、または非コードpBHT1ベクターを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、隔週で8週間、続けた。陽性対照として、抗CD3抗体を、5ug/動物でIV注射により5日間連続して、投与した(Bisikirska & Herold, 2004)。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病の進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
図1に示された結果により、マウスプレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを用いたDNAワクチン接種が、PBS注射された対照と比較して有意に、高血糖性NODマウスにおいて糖尿病の進行を低下させることが明らかにされた。ppINS-IIを注射されたマウスの50%をわずかに超える分だけが糖尿病に進行した。対照的に、マウスプレプロインスリンIまたは非コードpBHT1ベクターのいずれをコードする自己ベクターで注射されたマウスも対照PBS注射された動物と同じ率で糖尿病に進行し、第8週目までに80%を超える動物が糖尿病に進行した。さらになお、図2に示されているように、臨床効果とインスリン自己抗体力価における低下との間の相関が観察された。マウス由来の血清は、研究の終わりに採取され、抗インスリン自己抗体力価は、ラジオイムノアッセイにより測定された。マウスプレプロインスリンIIをコードする自己ベクターでワクチン接種されたマウスは、未処置のマウスと比較して平均インスリン自己抗体指数の低下を示し、抗CD3陽性対照処置動物と類似した。
実施例2
プレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを用いたDNAワクチン接種のその後の免疫応答への効果
この研究は、自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がその後の免疫応答に影響を及ぼすかどうかを調べた。NODマウスを、インスリンIIのペプチド断片(インスリンII 9〜23位)に曝露する前に、マウスプレプロインスリンIIをコード自己ベクターでワクチン接種した。それから、その後のインスリン9〜23位ペプチドでの再刺激に対する免疫応答を試験した。
雌NODマウスを、高血糖症の徴候の前の6週齢目に処置した。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのmINS-II-pBHT1を0.10ml、各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。動物を、隔週に、合計3回の注射で処置した。最後のDNA注射の2週間後、DNAワクチン接種された動物および対照動物を、不完全フロイントアジュバントに乳化したインスリンII 9〜23位ペプチドで免疫した。免疫化から10日後、流入領域リンパ節を採取し、ELISpotを行った。インスリンII 9〜23位ペプチドでの刺激に応答してインターフェロン(IFN)-γを分泌した細胞を、Cellular Technology ELISpotプレートリーダーを用いて可視化した。統計学的有意性を決定するために、スチューデントのt検定を行った。プレプロインスリンIIをコードするDNAの投与は、インスリンII 9〜23位ペプチドでの再刺激によってIFN-γを産生した細胞の数を有意に減少させ(図3)、それに従って、糖尿病への進行を防いだ。
実施例3
プレプロインスリンIIをコードする高発現自己ベクター(HESV)を使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、実施例1に記載されたプレプロインスリンII DNA自己ベクターをHESVへ改変することが、糖尿病への進行を遅らせるまたは防ぐDNAワクチン接種の処置効力に影響を及ぼすかどうかを調べた。プレプロインスリンIIをコードするポリヌクレオチドの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含む高発現自己ベクター(HESV)を構築した。その後、この改変自己ベクターを、確立した高血糖症をもつNODマウスにワクチン接種するために用いた。
プロモーター領域の下流かつプレプロインスリン開始コドンのすぐ上流にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含む点で、実施例1に記載された研究に用いられたプレプロインスリンIIをコードする自己ベクター(mINS-II-pBHT1)と異なるプレプロインスリンIIをコードするHESVを作製した。上記のように、完全長プレプロインスリンIIを改変pVAX1プラスミドベクター、pBHT1へクローニングし、プラスミドpBHT500を作製した。CMVプロモーター/エンハンサー領域の下流に市販されているベクターpTarget(Promega, Madison, WI)由来のキメライントロンを含むpBHT1由来のプラスミドを構築した(pBHT520)。pBHT500由来のプレプロインスリンIIコード配列を、HindIIIおよびXbaIでの制限ヌクレアーゼ消化により単離し、pBHT520へライゲーションし、結果として、プラスミドベクターpBHT561を生じて、HESVを作製し、mINS-II-HESVと呼んだ。キメライントロンは、ヒトβ-グロビン遺伝子の第一イントロン由来の5'供与部位、ならびに免疫グロブリン遺伝子重鎖可変領域のイントロン由来の分岐部位および3'受容部位で構成される。供与部位、受容部位、および分岐部位配列を、スプライシングのためのコンセンサス配列にマッチするように変化させた(Bothwell et al., 1981)。
次に、高発現自己ベクターmINS-II-HESV(pBHT561)を作製するためのイントロンの導入が結果として、非改変自己ベクターmINS-pBHT1(pBHT500)と比較して、コードされたインスリンの発現の増加を生じることが実証された。各プラスミドの0.1ugをトランスフェクションした等しい数のHEK293細胞由来の上清を、トランスフェクションから24時間後、収集し、インスリンタンパク質レベルを製造元の仕様書(ラット/マウスインスリンELISAキット, Linco Research Inc., St. Charles, MI)に従ってELISAにより測定した。「DNA無し」対照ウェルから収集された上清におけるバックグラウンドレベルを、各プラスミドについて検出されたタンパク質レベルから引き算した。図4に示されているように、HESV pBHT561を作製するためのイントロンの付加は、結果として、非改変pBHT500自己ベクターと比較して、細胞により分泌されたインスリンタンパク質の量において約30倍の増加を生じた。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になって初めて(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、その後、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウス(群あたりn=10)に、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1空ベクター、mINS-II-pBHT1、またはmINS-II-HESVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、その後は、毎週、合計12週間、続けた。陽性対照として、抗CD3抗体を、5ug/動物でIV注射により5日間連続して、投与した。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
図5に示された結果により、改変自己ベクターmINS-II-HESVを用いたDNAワクチン接種が高血糖性NODマウスにおける糖尿病の発症を低下させ、14週間後、糖尿病に進行したマウスはより少なく、かつそれらは、PBS(p=0.007)およびpBHT1空ベクターを注射された対照と比較して、進行するのにより長い時間がかかったことが明らかにされた。さらになお、mINS-II-HESVの処置効力はまた、非改変自己ベクターmINS-II-pBHT1のそれより有意に高く、キメライントロンの自己ベクターへの導入に関連したプレプロインスリンIIのより高い発現レベルが疾患進行をさらに遅らせることができることを示唆した。重要なことには、mINS-II-HESV処置が、抗CD3処置の陽性対照と有意には異ならなかった(p=0.47)。
実施例4
プロインスリンIIをコードする非分泌性自己ベクター(N-SSV)を使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、実施例1に記載されたプレプロインスリンII DNA自己ベクターをN-SSVへ改変することが、糖尿病への進行を遅らせるまたは防ぐことにより疾患を調節するDNAワクチン接種の処置効力に影響を及ぼすかどうかを調べた。シグナル配列を除去することにより、プレプロインスリンIIの非分泌性型であるプロインスリンIIをコードする非分泌性自己ベクター(N-SSV)を構築した。この改変自己ベクターを、その後、確立した高血糖症をもつNODマウスにワクチン接種するために用いた。
プロインスリンIIがプレプロインスリンIIのシグナルペプチド配列を欠く点で、実施例1に記載されているようなプレプロインスリンIIをコードする自己ベクター(mINS-II-pBHT1)と異なる、プロインスリンIIをコードするN-SSVを作製した。上記のように、完全長プレプロインスリンIIを改変pVAX1プラスミドベクター、pBHT1へクローニングし、プラスミドpBHT500を作製した。pBHT500由来のマウスプレプロインスリンIIのプロインスリン領域を、オリゴヌクレオチド
Figure 2009511014
および
Figure 2009511014
を用いてPCR増幅した。欠失したシグナル配列由来の開始コドンに取って代わるためにメチオニン開始コドンを、プロインスリン配列のN末端における5'オリゴへ組み入れた。PCR断片をEcoR1およびXho1で消化し、pBHT1の対応する部位へライゲーションし、pBHT555(mINS-II-N-SSV)を作製した。DNAを、Qiagen Endo-free Mega-preps(Qiagen, Valencia, CA)を用いて製造元のプロトコールに従って精製した。
次に、mINS-II-N-SSVを作製するためにプレプロインスリンIIからのシグナル配列の除去が結果として、インスリンの細胞内型の産生を生じることが実証された。HEK293細胞に、インスリン発現プラスミドmINS-II-pBHT1(pBHT500)およびmINS-II-N-SSV(pBHT555)の2ugをトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を48時間、インキュベートし、上清および細胞可溶化物におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより48時間目に分析した(図6A)。mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清においてタンパク質の有意な量が検出されたが、mINS-II-N-SSVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されなかった。または、トランスフェクションした細胞を、通常培地(normal media)で24時間、およびその後、細胞内インスリンの定常状態レベルを促進するためにプロテアソームインヒビターのラクタシスチン(5uM)の存在下で24時間、インキュベートした。48時間目におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより測定した(図6B)。この場合もやはり、mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清において有意な量のタンパク質が検出されたが、mINS-II-N-SSVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されず、むしろ、タンパク質は、細胞可溶化物に見出され、タンパク質が細胞質に限局していることを示した。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になって初めて(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、その後、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1空ベクター、mINS-II-pBHT1、またはmINS-II-N-SSVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、その後は、毎週、合計12週間、続けた。陽性対照として、抗CD3抗体を、5ug/動物でIV注射により5日間連続して、投与した。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
図5に示された結果により、改変自己ベクターmINS-II-N-SSVを用いたDNAワクチン接種が高血糖性NODマウスにおける糖尿病の発症を低下させ、PBS注射された対照と比較して、14週間後、糖尿病に進行したマウスはより少なく、かつそれらは、PBS(p=0.02)およびpBHT1空ベクターを注射された対照と比較して、進行するのにより長い時間がかかったことが明らかにされた。さらになお、mINS-II-N-SSVの処置効力はまた、mINS-II-pBHT1のそれより有意に高く、自己ポリペプチドの分泌を防ぐことが疾患進行をさらに遅らせることができることを示唆した。重要なことには、mINS-II-N-SSV処置が、抗CD3処置の対照と有意には異ならなかった(p=0.13)。
実施例5
改変自己ベクターを使用した糖尿病の処置のためのDNAワクチンの投薬
この研究は、改変自己ベクターを使用したDNAワクチンの好ましい投薬を調べた。プレプロインスリンをコードする高発現自己ベクター(mINS-II-HESV)およびプロインスリンIIをコードする非分泌性自己ベクター(mINS-II-N-SSV)での毎週対隔週の処置を、NODマウスにおいて糖尿病進行を遅らせることにおける効力について試験した。
雌NODマウスの処置は、10週齢目に開始した。マウス(群あたりn=20)に、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのmINS-II-HESV、またはmINS-II-N-SSVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、その後は、毎週かまたは隔週かのいずれかで、続けた。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。mINS-II-HESVおよびmINS-II-N-SSVの両方でのDNAワクチン接種により、毎週および隔週処置の両方に関して糖尿病発症を遅らせる方への傾向が明らかにされた(図7A〜D)。
実施例6
プロインスリンIIをコードする非分泌性高発現自己ベクター(N-SHESV)を使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、プレプロインスリンII DNA自己ベクターへの組み合わされた高発現改変および非分泌改変の効果が、糖尿病への進行を遅らせるまたは防ぐDNAワクチン接種の処置効力に作用することを調べた。プロインスリンIIをコードする非分泌性、高発現の自己ベクター(N-SHESV)を構築し、この改変自己ベクターを、確立した高血糖症をもつNODマウスにワクチン接種するために用いた。
プレプロインスリンIIの非分泌性型であるプロインスリンIIのプロモーター領域の下流かつ開始コドンの上流にβ-グロビン/Igキメライントロンを含むN-SHESVを構築した。キメラβ-グロビン/IgGイントロンは、280bp HindIII-XhoI断片としてpBHT520から単離され、その後、mINS-II-N-SSV(pBHT555)へCMVプロモーターと非分泌性プロインスリンのコード領域の間にクローニングし、mINS-II-N-SHESV(pBHT568)を作製した。
最初に、mINS-II-N-SHESVによりコードされるプロインスリンIIにおけるシグナル配列の欠如が結果として、インスリンの細胞内型の産生を生じることが実証された。HEK293細胞に、インスリン発現プラスミドmINS-II-pBHT1(pBHT500)およびmINS-II-N-SHESV(pBHT568)の2ugをトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を48時間、インキュベートし、上清および細胞可溶化物におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより48時間目に分析した(図6A)。mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清においてタンパク質の有意な量が検出されたが、mINS-II-N-SHESVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されなかった。または、トランスフェクションした細胞を、通常培地で24時間、およびその後、細胞内インスリンの定常状態レベルを促進するためにプロテアソームインヒビターのラクタシスチン(5uM)の存在下で24時間、インキュベートした。48時間目におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより測定した(図6B)。この場合もやはり、mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清において有意な量のタンパク質が検出されたが、mINS-II-N-SHESVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されず、むしろ、タンパク質は、細胞可溶化物に限局していた。
次に、高発現非分泌性自己ベクターmINS-II-N-SHESV(pBHT568)を作製するためのプレプロインスリンIIにおけるシグナル配列の除去およびイントロンの導入は、結果として、非改変自己ベクターmINS-II-pBHT1(pBHT500)と比較してインスリンの細胞内型の産生を生じ、mINS-II-N-SSV(pBHT555)と比較して発現の増加があることが実証された。HEK293細胞に、インスリン発現プラスミドmINS-II-pBHT1(pBHT500)、mINS-II-N-SSV(pBHT555)、およびmINS-II-N-SHESV(pBHT568)の2ugをトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を48時間、インキュベートし、上清および細胞可溶化物におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより48時間目に分析した(図6A)。mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清においてタンパク質の有意な量が検出されたが、mINS-II-N-SHESVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されなかった。または、トランスフェクションした細胞を、通常培地で24時間、およびその後、細胞内インスリンの定常状態レベルを促進するためにプロテアソームインヒビターのラクタシスチン(5uM)の存在下で24時間、インキュベートした。48時間目におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより測定した(図6B)。この場合もやはり、mINS-II-pBHT1をトランスフェクションした細胞からの上清において有意な量のタンパク質が検出されたが、mINS-II-N-SHESVをトランスフェクションした細胞の上清においてタンパク質は検出されなかった。さらになお、mINS-II-N-SHESVをトランスフェクションした細胞は、細胞可溶化物において、イントロンを欠くmINS-II-N-SSVと比較してタンパク質発現の2倍の増加を示した。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になった後で(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウス(群あたりn=15)に、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのmINS-II-N-SSV、またはmINS-II-N-SHESVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、毎週、隔週、または4週間ごとに、合計25週間、続けた。陽性対照として、抗CD3抗体を、5ug/動物でIV注射により5日間連続して、投与した。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
mINS-II-N-SSVまたはmINS-II-N-SHESVのいずれの処置でも、すべての処置計画下でIDDM発症を有意に遅らせた(図8A、B)。さらになお、mINS-II-N-SHESVにおける高発現改変および非分泌改変の組み合わせは、mINS-II-N-SSVの単一改変と比較してDNAワクチン接種の処置効力を増加させた(図8A、B)。
実施例7
プレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターの組み合わせを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、プレプロインスリンII DNA自己ベクターへの組み合わされた高発現改変および非分泌改変が、糖尿病への進行を遅くするまたは防ぐDNAワクチン接種の処置効力をもたらすのに相加的に作用するかどうかを調べた。上記のように、1)コードされたプレプロインスリンIIの5'側にβ-グロビン/Igキメライントロンを含むHESV(mINS-II-HESV)、および2)プレプロインスリンIIのシグナル配列を欠くプロインスリンIIをコードするN-SSV(mINS-II-N-SSV)の組み合わせが、確立した高血糖症をもつNODマウスにワクチン接種するために用いられた。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になった後で(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのmINS-II-HESV、mINS-II-N-SSV、またはmINS-II-HESVおよびmINS-II-N-SSVの組み合わせの0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。DNA注射を、毎週、合計25週間、続けた。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
mINS-II-HESVおよびmINS-II-N-SSV自己ベクターの組み合わせでのワクチン接種は、結果として、mINS-II-HESV単独でのワクチン接種と比較して疾患進行に有意な低下を生じた(図9)。
実施例8
プレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける自己抗体産生および膵島炎の予防
糖尿病発症前に、NODマウスは、インスリンに対する自己抗体を産生し、膵臓ランゲルハンス島へのリンパ球の浸潤である、膵島炎を示す。この研究は、プレプロインスリンIIをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種が、NODマウスにおいてインスリン自己抗体の産生および膵島炎を効果的に阻害するかどうかを調べた。
雌NODマウスを、高血糖症の徴候の前の5週齢目に処置した。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウスに、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1非コードベクター、mINS-I-pBHT1、mINS-II-pBHT1、mINS-II-HESV、またはmINS-II-N-SSVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した。プラスミドDNAを、毎週、合計6週間、注射した。抗CD3を、IV注射(5ug/動物)により実質的に内毒素を含まずに、5日間連続して、投与した。最終DNA注射から2週間後、血清を収集し、Barbara Davis Center for Diabetesでラジオイムノアッセイによりインスリンに対する抗体について盲検様式でスクリーニングした。0.01より高いマウスインスリン自己抗体(mIAA)指数が、十分に確立した基準により陽性とみなされた(Eisenbarth, et al.)。インスリン自己抗体をもつ動物のパーセンテージは図10に示されている。統計学的解析(フィッシャーの直接確率検定)により、mINS-II-N-SSV処置群(p=0.01)および抗CD3処置群(p=0.01)においてインスリンに対する自己抗体をもつ動物のパーセンテージにおける統計学的に有意な低下が明らかにされた。
上記のように免疫されたNODマウスにおける膵島炎の存在もまた試験された。最後のDNA注射から2週間後、各処置されたマウスの膵臓を採取し、ホルマリン中に固定した。Barbara Davis Center for Diabetesにおいて、切片はH&Eで染色され、IDDMの専門家により膵島炎の程度について盲検様式でスコアが付けられた。INS-II-N-SSVでの処置は、ベクター単独と比較して膵島炎における統計学的に有意な低下を与えた(図11)。
実施例9
プレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおけるIDDMの予防
この研究は、プレプロインスリンIIをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がNODマウスにおいて高血糖症および糖尿病の発生を防ぐかどうかを調べる。
雌NODマウスを、高血糖症の徴候の前の5週齢目に処置する。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射する。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1非コードベクター、mINS-II-HESV、mINS-II-N-SSV、またはmINS-II-N-SHESVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与する。プラスミドDNAを、毎週、6週間、注射する。抗CD3抗体を、IV注射(5ug/動物)により、5日間連続して、投与する。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、30週間より長く、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認される。繰り返される250mg/dlより高い血漿グルコースレベルを有する動物は糖尿病とみなされる。
実施例10
増加性Ca++濃度で製剤化されたプロインスリンIIをコードする高発現自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、Ca++の増加性濃度で製剤化されたプロインスリンIIをコードする高発現自己ベクターを用いたDNAワクチン接種が、確立した高血糖症をもつNODマウスにおける糖尿病の発生を減少させるかどうかを調べた。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になった後で(典型的には、15〜18週齢で)、開始した。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射した。2日後、マウス(群あたりn=5)に、PBS、または以下を含む異なる最終Ca++濃度を含むPBS中250ug/mlのmINS-II-HESV(pBHT-3021)の0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与した:0.9mM(1×)、2.7mM(3×)、および5.4mM(6×)。DNA調製物(0.2ml)は、0.25mg/mlまたは1.5mg/mlで製剤化され、塩化カルシウム濃度は、0.9mM(1×)から8.1mM(9×)までの範囲であった。試料を、製剤化から約1時間後、-20℃に置き、-20℃で一晩、放置した。試料を、注射前に室温で解凍した。別々の試料をエッペンドルフ微量遠心管において5分間、回転させた(13,000rpm)。上清を除去し、ペレットをTris-EDTA(TE)に再懸濁し、ペレットにおけるDNAの量を測定するためにOD260表示を読み取った。DNA注射を毎週、合計4週間、続けた。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認された。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。
6×Ca++と共に製剤化されたmINS-II-HESVでのワクチン接種は、結果として、3×または1×Ca++と共に製剤化されたmINS-II-HESVでのワクチン接種と比較して、疾患進行における有意な低下を生じた(図12A)。同様の結果は、インスリンが同時投与された場合に得られた(図12B)。さらになお、Markaneの添加により、3×および6×カルシウム製剤での効力におけるわずかな増加が明らかにされた(図12C)。Markane有りまたは無しでの異なるカルシウム製剤での糖尿病進行についての複合的結果は、図12Dに要約されている。
疾患進行を低下させることに加えて、より高いカルシウム製剤を用いたDNAワクチン接種はまた、600mg/dlを超える血中グルコース(BG)レベルを取るマウスのパーセンテージを低下させた。糖尿病発症後、マウスを、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いて血漿グルコースレベルについて試験した。6×カルシウムにおけるpBHT-3021でワクチン接種されたマウスは、1×カルシウム製剤における自己ベクターで処置されたマウスと比較して高血中グルコースレベルの有意な遅延および低下を示し、抗CD3陽性対照で得られたものを模倣する結果であった(図12E)。6×カルシウム製剤で得られた高血中グルコースレベルをもつマウスのパーセンテージにおける同様の低下はまた、1×カルシウムと共のpBHT-3021の5日間の注射プロトコールで達成された(図12F)。さらになお、5日間注射された6×カルシウムおよび1×カルシウムの両方は、動物が1×カルシウムまたはPBS対照で処置された場合の復帰無しと比較して、高血中グルコースレベルをもつ動物の1/5の非糖尿病性状態への復帰を生じた(図12G)。このように、より高い濃度のカルシウムとの自己ベクタープラスミドの製剤は、DNAワクチン接種の効力を有意に増加させ、より頻繁な投薬計画に取って代わりうる。
実施例11
高カルシウム製剤の物理的分析
前の実施例で開示されているようなより高いカルシウム濃度で製剤化された自己ベクターを用いたDNAワクチン接種の効力の増加を仮定して、異なるカルシウム製剤の物理的分析に着手した。
動的光散乱(DLS)が、製剤化後、および凍結/融解後0〜3時間、室温でインキュベートした場合、DNA凝集体のサイズを評価するために用いられた。BHT-3021のDNA試料(2mg/mL)を-80℃で保存した。DLS分析を、単独または4つの異なる塩化カルシウム濃度(0.9mM、3.0mM、5.4mM、および8.0mM)の存在下での2つの異なるDNA濃度(リン酸緩衝食塩水に希釈された0.25mg/mlおよび1.5mg/ml)で行った。DNA試料の流体力学的直径は、デカリン浴に浸漬された試料細胞への50mWダイオードポンプレーザー(532nm)入射を備えた光散乱装置(Brookhaven Instruments Corp, Holtszille, NY)を用いて20℃で測定された。散乱光は、入射ビームに対して90°においてPMT(EMI9863)によりモニターされ、自己相関関数は、デジタル相関器(BI-9000AT)により作成された。データは、各試料について5つの30秒間隔の間、連続して収集され、平均された。データは、様々な方法により分析されて、調製物の多分散性、および存在する様々な成分の相対的サイズについての情報を生じた。自己相関関数は、キュムラントの方法によりフィットされ、DNAおよび/または複合体の平均拡散係数を生じた。有効流体力学的直径は、ストークス・アインシュタイン方程式により拡散係数から得られた。加えて、データは、非負制約付き最小二乗アルゴリズムにフィットされ、多モード分布を生じた。また、より完全な解析のために、これらの方法は、集団の数平均および強度平均を使用して用いられた。
無しまたは低濃度(0.9mM)のカルシウムとのプラスミド自己ベクターDNAの製剤は、製剤後の時間または溶液が凍結/融解サイクルに曝されたかどうかに関わらず、もっぱら〜70nMの平均直径をもつプラスミド単量体を含む(表2〜4)。対照的に、3.0mM以上のカルシウム濃度において、ミクロンサイズの粒子が1時間以内に形成し、溶液が製剤化後2〜3時間、室温でインキュベートされた場合、サイズが増加した(表2〜4)。粒子のサイズは、カルシウムの増加およびDNA濃度の増加に伴って増加する。凍結後、粒子は、大きすぎて、DLS分析により測定できなかった。
(表2)調製から0〜1時間後におけるプラスミド製剤の動的光散乱(強度平均対数正規サイズ分布に基づく)
Figure 2009511014
(表3)調製から2〜3時間後におけるプラスミド製剤の動的光散乱(強度平均対数正規サイズ分布に基づく)
Figure 2009511014
(表4)一晩の凍結-融解サイクル後のプラスミド製剤の動的光散乱(強度平均対数正規サイズ分布に基づく)
Figure 2009511014
DLS分析は3.0mM以上の塩化カルシウム濃度の存在下でミクロンサイズの粒子の形成を示したため、0.4〜1200μmの外形サイズ範囲をもつCoulter Multisizer 3(Beckman Coulter Inc.)を、DNA/Ca-リン酸複合体の凝集状態の分析を行うために用いた。Multisizer 3 coulterカウンターは超高分解能;多重チャネル分析および精度を提供する;ならびに、その応答は、粒子の色、形、密度、組成、または屈折率により影響を及ぼされない。緩衝液に懸濁された粒子は、それらの間を流れる電流を生じる2つの電極を隔てる小さな細孔を通って引き出された。細孔を横断して加えられる電圧は、粒子が通過する時、それらがそれら自体の体積の電解液を押しのけ、一瞬、細孔のインピーダンスを増加させるため、「センシングゾーン」を生み出した。このインピーダンスにおける変化は、増幅器への極めて小さいが、比例する電流フローを生じ、増幅器は電流変動を、正確に測定されるのに十分な大きさの電圧パルスへ変換する。このパルスを分析することは、サイズ分布が得られ、かつ表示されるのを可能にする。本実験について、200μm細孔チューブが4〜120μmの範囲のサイズを検出するために用いられ、560μm細孔は、120〜336μmの範囲の粒子を検出するために用いられた。大きな粒子分析のための溶液は、以下の3つの異なる管理により調製された:摂氏-20度で凍結する前に一晩、摂氏4度;製剤化後15分以内に摂氏-20度で凍結;および室温での4時間のインキュベーション後、摂氏-20度で凍結。粒子の正規分布は、0.25mg/mLのDNA濃度および5.4mM塩化カルシウムについて約25μmの平均直径で凍結後、見られた。
大きな粒子に会合したDNAの量を測定するために、遠心分離実験を行った。様々な比率のDNA(0.25〜2.0mg/ml)およびカルシウム(6×〜80×)を含む溶液を作製し、摂氏-20度で一晩、凍結させた。融解後、溶液を微量遠心機において5分間、遠心分離し、上清を、分光光度計を用いて吸収(260nm)を測定することによりDNA含量について分析した。6×カルシウム試料について、DNAの〜70%が、微量遠心管を用いる短時間遠心分離により溶液から沈殿する粒子と会合している。様々な濃度のDNAおよびカルシウムにおいて沈殿するDNAの量は、下の表5に示されている。1.5〜2.0mg/mlのDNA濃度において、DNAの〜50%のみが沈殿しうる。
(表5)
Figure 2009511014
実施例12
免疫調節配列(IMS)と組み合わせたプレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、プレプロインスリンIIをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種の処置効力が、IMSの同時投与によりさらに増強されうるかどうかを調べる。単一の5'-AAGGTT-3'配列を含むIMS 22-merオリゴデオキシヌクレオチド(IMS-ODN)は、ヌクレアーゼ分解に対して保護するためにホスホロチオネート骨格で化学合成される。これらのIMS-ODNを、その後、確立した高血糖症をもつNODマウスへ改変自己ベクターと同時投与する。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になった後で(典型的には、15〜18週齢で)、開始する。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射する。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1非コードベクター、mINS-II-pBHT1、mINS-II-HESV、mINS-II-N-SSV、mINS-II-HESVおよびmINS-II-N-SSVの組み合わせ、またはmINS-II-N-SHESVの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与する。DNA注射を、毎週、合計12週間、続ける。最初のDNAワクチン接種と同時に、200ul PBSの容量中50ug IMSを腹腔内に投与し、毎週、12週間、再注射する。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認される。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義され、IMSの同時投与が処置効力に影響を及ぼすかどうかを示す。
実施例13
付加された免疫刺激性配列(ISS)を有するプレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける確立した高血糖症の処置
この研究は、プレプロインスリンIIをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種の処置効力が、免疫刺激性配列(ISS)の同時投与によりさらに増強されうるかどうかを調べる。最適な配列5'-AACGTT-3'による非メチル化CpG配列を含むISSのクラスターが、プロインスリンをコードする非分泌性自己ベクターに付加され、かつプレプロインスリンをコードする高発現ベクターに付加され、その後、確立した高血糖症をもつNODマウスを処置するために用いられる。
ベクター骨格においてマウスの最適な刺激性CpGエレメントの増加した数を含む改変自己ベクターを作製する。配列AACGTTのマウスの最適なCpGエレメント5つのクラスターは、1ペアのリン酸化オリゴヌクレオチド
Figure 2009511014
をアニールすることにより作製した。アニールした配列は、CMVプロモーターのすぐ上流のmINS-II-N-SSV(pBHT555)のNruI部位へライゲーションし、mINS-II-N-SSV-CpGを作製した。同様に、アニールした配列は、mINS-II-HESVのNruI部位へライゲーションし、mINS-II-HESV-CpGを作製した。
雌NODマウスの処置は、マウスが、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により決定される場合、190〜250mg/dlに達する血中グルコースレベルをもつ高血糖性になった後で(典型的には、15〜18週齢で)、開始する。そのような顕性臨床的前糖尿病をもつマウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射する。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1非コードベクター、mINS-II-HESV、mINS-II-HESV-CpG、mINS-II-N-SSV、またはmINS-II-N-SSV-CpGの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与する。DNA注射を、毎週、合計12週間、続ける。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認される。糖尿病への進行は、250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義され、付加されたCpG免疫刺激性配列の処置効力への効果を示す。
実施例14
プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、およびチロシンホスファターゼIA-2をコードする高発現DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおけるIDDMの予防
この研究は、IDDMに関連した複数の自己タンパク質をコードする改変自己ベクターでの組み合わされたDNAワクチン接種が、高血糖症および顕性糖尿病への進行を防ぐかどうかを調べる。この特定の態様において、自己タンパク質、上記のようなプレプロインスリンII、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)-65および-67、ならびにチロシンホスファターゼIA-2をコードするHESVは、NODマウスにおいて高血糖症および糖尿病の発生を防ぐ能力について試験される。
GAD-65、GAD-67、IRGP、およびチロシンホスファターゼIA-2をコードするHESVが構築される。完全長マウスGAD-65、GAD-67、およびチロシンホスファターゼIA-2をコードするcDNAは、マウス膵臓cDNAライブラリーからPCRにより単離され、各増幅cDNAのプロモーター領域の下流かつスターターのメチオニンの5'側にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むpBHT1へクローニングされる。DNAは、Qiagen Endo-free Mega-preps(Qiagen, Valencia, CA)を用いて精製される。これらの改変自己ベクターは、その後、NODマウスにワクチン接種するために用いられる。
雌NODマウスを、高血糖症の徴候の前の5週齢目に処置する。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射する。2日後、マウスに、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのpBHT1非コードベクター、pINS-II-HESV、GAD-65をコードするHESV、GAD-67をコードするHESV、チロシンホスファターゼIA-2をコードするHESV、またはそのHESVの組み合わせの実質的に内毒素を含まない0.10mlを各大腿四頭筋に合計50ug/動物として筋肉内に投与する。プラスミドDNAを、毎週、6週間、注射する。マウスを、Chemstrip(Boehringer Mannheim Co., Indianapolis, IN)により糖尿について毎週、30週間より長く、検査し、糖尿病は、One Touch II meter(Johnson & Johnson, Milpitas, CA)を用いる血漿グルコース測定により確認される。繰り返される250mg/dlより高い血漿グルコースレベルを有する動物は糖尿病とみなされる。
実施例15
プレプロインスリンをコードする高発現DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒトIDDMの処置
この研究は、IDDMに関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトIDDMを処置できるかどうかを試験する。この特定の態様において、コードされるプレプロインスリンの5'側にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むHESVを用いたDNAワクチン接種が調べられる。プレプロインスリンをコードする完全長ヒトcDNAは、ヒト膵臓cDNAライブラリー(Stratagene, La Jolla, CA)からPCRにより単離され、プロモーター領域の下流にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むように改変されたpBHT1へクローニングされ、ヒトへの投与に適応したHESVを作製する。
プレプロインスリンをコードするHESVの治療的有効量が、IDDMと診断されたヒト患者に投与される。自己ベクターの治療的有効量は、約0.001ug〜約1gの範囲である。自己ベクターの最も好ましい治療的量は、約0.025mg〜約5mgの範囲である。DNA治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに送達される。代替の処置計画が開発されてもよく、疾患の重症度、患者の年齢、投与される自己タンパク質、自己ポリペプチド、または自己ペプチド、および通常の処置を行う医師により考慮されるような他の因子に依存して、毎日の投与から、毎週、隔月、毎年、1回限りの投与までの範囲でありうる。
好ましい態様において、DNAは、筋肉内注射により送達される。または、DNA自己ベクターは、鼻腔内に、経口で、皮下に、皮内に、静脈内に、皮膚を通して圧入され、または真皮までもしくは真皮を通って遺伝子銃により送達される金粒子に付着させて、吸入または送達される。DNAは、生理学的レベルのカルシウム(0.9mM)を含むリン酸緩衝食塩水中に製剤化される。または、DNAは、1mMから2Mの間のCa++のより高い量を含む溶液中に製剤化される。DNAは、亜鉛、アルミニウムなどのような他の陽イオンと共に製剤化されうる。
プレプロインスリンをコードするHESVで処置されたヒト糖尿病患者は、外因性インスリンの要求の減少、血清自己抗体プロファイルにおける変化、糖尿における減少、ならびに白内障、血管不全、関節症、および神経障害のような糖尿病合併症における減少に基づいた疾患活性についてモニターされる。
実施例16
リプレッサーのタイトレーションによる高発現自己ベクター(HESV)の選択および維持
抗生物質および抗生物質抵抗性遺伝子は、大腸菌のような細菌宿主を含む宿主細胞における組換えDNAプラスミドの選択および維持のために最も一般的に用いられる。しかし、プラスミドが直接的に患者へ注入される遺伝子治療でのそれらの使用は、水平移動による抗生物質抵抗性形質の伝播を避けるために勧められない。従って、本発明者らは、本発明のHESVの代替の抗生物質を含まない選択および維持のための方法を記載する。
上記のようにキメラβ-グロビン/Igイントロンを含み、かつヒトプレプロインスリンをコードする親のpBHT1ベクター由来のHESVは、リプレッサーのタイトレーションを用いて抗生物質を含まない選択および維持を可能にするように改変される。カナマイシン抵抗性遺伝子は、親pBHT1ベクターに存在する、または標準組換えDNA技術での部位特異的突然変異誘発により付加された、隣接する制限酵素部位を用いてHESVから除去される。66個の塩基対の合成大腸菌ラクトース(lac)オペロン二量体オペレーター(GenBankアクセッション番号K02913)は、カナマイシン抵抗性遺伝子を置換するために同じ制限部位を用いてHESVへライゲーションされる。または、キメラβ-グロビン/Igイントロンを含むHESVは、最初に、カナマイシン抵抗性遺伝子を合成lacオペロンと置換するように改変され、その後、ヒトプレプロインスリンコード領域がキメライントロンの下流にクローニングされる。lacオペロン配列を含むように改変されたHESVは、HESVlacOと呼ばれる。HESVlacOベクターは、その後、記載されているように(Cranenburgh et al., 2001)、DH1lacdapDまたはDH1lacP2dapDのようなlacプロモーター(lacOP)の制御下にdapD必須遺伝子を含む遺伝子改変の大腸菌へ形質転換される。リプレッサーのタイトレーションは、形質転換された大腸菌細胞が生存すること、およびそれに従って、HESVlacOプラスミドの増殖を可能にする。
実施例17
プロインスリンをコードする非分泌性DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒトIDDMの処置
この研究は、IDDMに関連した1つまたは複数の分泌性自己抗原を含む非分泌性自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトIDDMを処置することができるかどうかを試験する。この特定の態様において、シグナル配列を欠くプロインスリンの非分泌性型をコードするN-SSVを用いたDNAワクチン接種が調べられる。シグナル配列を欠くこと以外、プロインスリンをコードする完全長ヒトcDNAは、除去されたシグナル配列の開始コドンに取って代わるためのインフレームのスターターター、メチオニンを含む5'プライマーを用いてヒト膵臓cDNAライブラリー(Stratagene, La Jolla, CA)からPCRにより単離される。PCR増幅産物は、消化され、ヒトへの投与に適応したpBHT1へライゲーションされる。
プロインスリンをコードするN-SSVの約0.025mg〜約5mgの治療的有効量が、IDDMと診断されたヒト患者へ筋肉内に投与される。DNA治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに送達される。プロインスリンをコードするN-SSVで処置された患者は、外因性インスリンの要求の減少、血清自己抗体プロファイルにおける変化、糖尿における減少、ならびに白内障、血管不全、関節症、および神経障害のような糖尿病合併症における減少に基づいた疾患活性についてモニターされる。
実施例18
リプレッサーのタイトレーションによる非分泌性自己ベクター(N-SSV)の選択および維持
この実施例は、本発明のN-SSVの代替の抗生物質を含まない選択および維持のための方法を記載する。上記のように、シグナル配列を欠くプレプロインスリン、プロインスリンをコードする親pBHT1由来のN-SSVは、リプレッサーのタイトレーションを用いて抗生物質を含まない選択および維持を可能にするように改変される。カナマイシン抵抗性遺伝子は、親pBHT1ベクターに存在する、または標準組換えDNA技術での部位特異的突然変異誘発により付加された、隣接する制限酵素部位を用いてN-SSVから除去される。66個の塩基対の合成大腸菌ラクトース(lac)オペロン二量体オペレーター(GenBankアクセッション番号K02913)は、カナマイシン抵抗性遺伝子を置換するために同じ制限部位を用いてN-SSVへライゲーションされる。または、親pBHT1ベクターは、最初に、カナマイシン抵抗性遺伝子を合成lacオペロンと置換するように改変され、その後、シグナル配列を欠くヒトプレプロインスリン、プロインスリンコード領域がプロモーターの下流にクローニングされる。lacオペロン配列を含むように改変されたN-SSVは、N-SSVlacOと呼ばれる。N-SSVlacOベクターは、その後、記載されているように(Cranenburgh et al., 2001)、DH1lacdapDまたはDH1lacP2dapDのようなlacプロモーター(lacOP)の制御下にdapD必須遺伝子を含む遺伝子改変の大腸菌へ形質転換される。リプレッサーのタイトレーションは、形質転換された大腸菌細胞が生存すること、およびそれに従って、N-SSVlacOプラスミドの増殖を可能にする。
実施例19
複数の自己ポリペプチドをコードする高発現および非分泌性DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒトIDDMの処置
この研究は、IDDMに関連した複数の自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトIDDMを処置できるかどうかを試験する。この特定の態様において、プロインスリンをコードするN-SSV、ならびに上記のようなプロインスリン;グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)-65および-67;チロシンホスファターゼIA-2;および島細胞抗原69kDをコードするHESVの組み合わせを用いたDNAワクチン接種が調べられる。GAD-65、GAD-67、チロシンホスファターゼIA-2、および島細胞抗原65kDをコードする完全長ヒトcDNAが、ヒト膵臓cDNAライブラリー(Stratagene, La Jolla, CA)からPCRにより単離され、プロモーター領域の下流にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むように改変されたpBHT1へクローニングされ、ヒトへの投与に適応したHESVを作製する。
プロインスリンをコードするN-SSV、ならびにプロインスリン、GAD-65、GAD-67、チロシンホスファターゼIA-2、および島細胞抗原65kDをコードするHESVの組み合わせの治療的有効量が、IDDMと診断されたヒト患者へ筋肉内に投与される。DNA治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに送達される。そのように処置された患者は、外因性インスリンの要求の減少、血清自己抗体プロファイルにおける変化、糖尿における減少、ならびに白内障、血管不全、関節症、および神経障害のような糖尿病合併症における減少に基づいた疾患活性についてモニターされる。
実施例20
プロテオリピドタンパク質(PLP)をコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるマウスにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の予防
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、中枢神経系の炎症性の脱髄性自己免疫疾患である、多発性硬化症(MS)のマウスモデルである。この研究は、マウスPLPをコードする改変自己ベクターがEAEを処置できるかどうかを調べるために設計される。この特定の態様において、PLPをコードする自己ベクターは、感受性マウスにおけるEAEの誘発を防ぐ能力について完全長PLPをコードするHESVと比較される。
自己ベクターを作製するために、完全長マウスPLPは、マウス膵臓cDNAライブラリーからPCR増幅により単離され、開始コドンの5'側にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むまたは含まないpBHT1へクローニングされる。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射し、2日後、再び、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlの非コードベクター、PLPをコードする自己ベクター、キメライントロンを含みかつPLPをコードするHESVの0.10mlを注射する。2回目のDNAの注射は1週間後に与えられる。10日後、マウスをEAE誘発に曝す。
EAEは、対照および実験マウスにおいて、PBS中に2mg/mlで溶解され、4mg/mlの加熱死滅結核菌(mycobacterium tuberculosis)H37Raを追加した不完全フロイントアジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI)の等量で乳化された、マウスPLPのペプチド断片、139〜151位のペプチドの注射で誘発される。マウスへ、0.1mlのペプチド乳濁液を皮下に、ならびに同じ日および48時間後に、PBS中4μg/ml百日咳菌(Bordetella pertussis)毒素の0.1mlを静脈内に注射する。動物は、以下のとおり、最大20週間、毎週、モニターされ、スコアをつけられる:0=臨床疾患無し;1=尾衰弱または麻痺;2=後肢衰弱;3=後肢麻痺;4=前肢衰弱または麻痺;5=瀕死または死亡した動物。
急性期の臨床疾患の消散後、対照および実験動物を屠殺し、リンパ節細胞(LNC)増殖性応答およびサイトカイン産生を調べる。流入領域LNCを、PLP 139〜151位の自己ペプチドでインビトロで再刺激し、それらの増殖を、タイトレーションしたチミジン取り込みにより評価する。炎症を起こした脳におけるサイトカインmRNAのレベルを評価するために、脳組織から単離されたmRNAについてリボヌクレアーゼプロテクションアッセイが用いられる。値は、ハウスキーピング遺伝子、GAPDHの発現レベルを用いて標準化される。
実施例21
増加性Ca++濃度で製剤化されたプロテオリピドタンパク質(PLP)をコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種による実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の処置
この研究は、マウスPLPをコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種が、Ca++の増加性濃度で製剤化される場合、マウスにおいてEAEをより効果的に処置するかどうかを調べるために設計される。
EAEは、対照および実験SJLマウスにおいて、PBS中に2mg/mlで溶解され、4mg/mlの加熱死滅結核菌H37Raを追加した不完全フロイントアジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI)の等量で乳化された、マウスPLPのペプチド断片、139〜151位のペプチドの注射で誘発される。マウスへ、0.1mlのペプチド乳濁液を皮下に注射する。動物は、以下のとおり、10日目から開始してモニターされ、スコアをつけられる:0=臨床疾患無し;1=尾衰弱または麻痺;2=後肢衰弱;3=後肢麻痺;4=前肢衰弱または麻痺;5=瀕死または死亡した動物。
ピーク疾患において、マウスを無作為に異なる処置群へ分ける。その後、マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射し、2日後、PBS、または以下を含む異なる最終Ca++濃度を含むPBS中250ug/mlのpBHT-PLPの0.10mlを再び、各大腿四頭筋に合計50ug/動物として注射する:0.9mM(1×)、2.7mM(3×)、および5.4mM(6×)。その後、動物は、上記のように平均疾患スコアにおける変化についてモニターされる。
実施例22
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)をコードする分泌性自己ベクター(SSV)を使用したDNAワクチン接種による実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の処置
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、中枢神経系の炎症性の脱髄性自己免疫疾患である、多発性硬化症(MS)のマウスモデルである。この研究は、マウスMOGをコードする改変自己ベクターがEAEを処置できるかどうかを調べるために設計された。この特定の態様において、MOGをコードする自己ベクターは、感受性マウスにおけるEAEを処置する能力についてMOGの細胞外領域の可溶型をコードする改変自己ベクターと比較される。
MOGの細胞外領域が膜貫通および細胞内ドメインを欠損する可溶型で分泌される点で完全長MOGをコードする自己ベクターと異なる、マウスMOGをコードするSSVを構築した。マウスMOGのシグナルペプチドおよび細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列(MOG 1〜154位)を、完全長MOGコード配列を含むプラスミドmMOG-pBHT1(pBHT503)からPCR増幅した。用いたオリゴヌクレオチドは、
Figure 2009511014
および
Figure 2009511014
であり、smMOG.3.Xhoオリゴは分泌性MOGタンパク質についての終止コドンを提供する。増幅断片は、pBHT1のCMVプロモーターとBGHポリアデニル化シグナルの間のEcoRI-XhoI部位へクローニングし、mMOG-SSV(pBHT516)を作製した。
EAEは、感受性マウスにおいて、PBS中に2mg/mlで溶解され、4mg/mlの加熱死滅結核菌H37Raを追加した不完全フロイントアジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI)の等量で乳化された、マウスMOGのペプチド断片、35〜55位のペプチドの注射により誘発された。マウスへ、0.1mlのペプチド乳濁液を皮下に、ならびに同じ日および48時間後に、PBS中4μg/ml百日咳菌毒素の0.1mlを静脈内に、注射した。動物は、以下のとおり、最大14週間、毎日、モニターされ、スコアをつけられた:0=臨床疾患無し;1=尾衰弱または麻痺;2=後肢衰弱;3=後肢麻痺;4=前肢衰弱または麻痺;5=瀕死または死亡した動物。
16日目において、マウスを、すべての群が等しい平均疾患スコアをもつようにそれらの疾患スコアに基づいて、無作為に異なる処置群へ分けた。マウスに、0.25%ブピビカイン-HCL(Sigma, St. Louis, MO)の0.05mlを各大腿四頭筋に注射し、2日後、PBS、0.9mMカルシウムを含むPBS中250ug/mlのmMOG-pBHT1、またはmMOG-SSVの0.10mlを再び、各大腿四頭筋に合計50ug/動物として注射した。DNA注射は、隔週に合計5回の注射として与えられた。陽性対照として、ステロイドデプロメドロール(depromedrol)が、MOG免疫化マウスにおいて1mg/kgで毎週、注射された。
研究の終わりに、MOGの細胞外ドメインに対するDNAワクチン接種された動物および対照動物の免疫応答が試験された。処置されたマウス由来の血清を収集し、IgG1抗MOG特異的抗体についてELISAにより分析した。
図13に示された結果により、MOG自己ベクターでワクチン接種された動物は、媒体対照と比較してそれらの平均疾患スコアにおける低下を示した。さらになお、mMOG-SSVでワクチン接種された動物は、非改変MOG自己ベクターでワクチン接種された動物より低い平均疾患スコアを有した。MOGを認識する抗体の存在は、処置応答に対応した(図14)。MOG自己ベクターで処置された動物は、PBS注射された対照より低い平均最適密度ELISAスコアを有し、mMOG-SSV処置された動物は、非改変MOG自己ベクターで処置された動物より低い傾向にあった。
実施例23
メエリン塩基性タンパク質(MBP)をコードする高発現DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒト多発性硬化症(MS)の処置
この研究は、MSに関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトMSを処置できるかどうかを試験する。この特定の態様において、ヒトMBPの開始コドンの5'側にβ-グロビン/Igキメライントロンを含むHESVを用いたDNAワクチン接種が用いられる。完全長ヒトMBP cDNAは、ヒト脳cDNAライブラリー(Stratagene, La Jolla, CA)からPCR増幅により単離される。PCR増幅産物は、制限酵素で消化され、スターターのメチオニンの5'側にβ-グロビン/Igキメライントロンを含むpBHT1へライゲーションされ、ヒトへの投与に適したHESVを作製する。
MBPをコードするHESVの約0.025mg〜5mgの治療的有効量が、MSと診断されたヒト患者に筋肉内に投与される。ポリヌクレオチド治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに、送達される。MBPをコードするHESVで処置されたヒトMS患者は、臨床的再発の数、ならびに新しいガドリニウム増強病変の数および増強病変の容積の両方についてのMRIモニタリングに基づいた疾患活性についてモニターされる。
実施例24
ミエリン自己ポリペプチドの組み合わせをコードする高発現DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒト多発性硬化症(MS)の処置
この研究は、MSに関連した複数の自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトMSを処置できるかどうかを試験する。この特定の態様において、複数のミエリン自己ポリペプチドをコードするHESVを用いたDNAワクチン接種が用いられる。一つの態様において、各ミエリン自己ポリペプチドは、別個のHESVにおいてコードされる。別の態様において、数個のミエリン自己ポリペプチドが、単一プラスミドDNAから複数のタンパク質を発現するために内部リボソーム再侵入配列(IRES)または他の方法を利用して、単一のHESVにおいて連続的にコードされる。完全長ヒトMBP、PLP、メエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、およびミエリン関連糖タンパク質(MAG)のcDNAが、ヒト脳cDNAライブラリー(Stratagene, La Jolla, CA)からPCRにより単離され、スターターのメチオニンの5'側にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むpBHT1へクローニングされ、HESVを作製する。
ミエリン関連自己タンパク質をコードするHESVの約0.025mg〜5mgの治療的有効量が、MSと診断されたヒト患者に投与される。ポリヌクレオチド治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに、送達される。ヒトMS患者は処置され、臨床的再発の数、ならびに新しいガドリニウム増強病変の数および増強病変の容積の両方についてのMRIモニタリングに基づいた疾患活性についてモニターされる。
実施例25
II型コラーゲンをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるコラーゲン誘発性関節炎の予防および処置
関節リウマチ(RA)は、びらん性関節破壊を引き起こす炎症性滑膜炎によって特徴付けられる慢性自己免疫疾患である。RAは、滑膜関節に存在する自己タンパク質を認識する自己反応性T細胞により媒介される。マウスにおけるコラーゲン誘発性関節炎(CIA)は、組織学的に類似した滑膜炎および骨浸食を含む関節リウマチと多くの特徴を共有するT細胞媒介性自己免疫のモデルである。さらになお、CIAの再発性モデルは、ヒトRA患者において観察されるものに極めてよく似た、炎症性びらん性滑膜炎の臨床的寛解および再発を有する(Malfait et al., 2000)。CIAは、遺伝的に感受性の強いマウス系統をII型コラーゲンで免疫することにより誘発される。この研究は、完全長マウスII型コラーゲンをコードする改変自己ベクターが、類似した非改変自己ベクターより良く、マウスにおいてCIAの発生を防ぐことができるかどうかを調べるように設計される。
II型コラーゲンをコードする自己ベクター、HESV、N-SSV、およびN-SHESVが構築される。完全長II型コラーゲンは、マウスcDNAライブラリーからPCRにより単離され、単独で、または開始コドンの5'側にキメラβ-グロビン/Igイントロンと共に、pBHT1にクローニングされ、それぞれ、非改変自己ベクターおよびHESVを作製する。シグナル配列を欠損するII型コラーゲンは、インフレームのスターターのメチオニンを含む5'プライマーを用いてII型コラーゲンをコードするpBHT1ベクターから増幅され、単独で、またはキメラβ-グロビン/Igイントロンと共に、pBHT1へ再クローニングされ、それぞれ、N-SSVまたはN-SHESVを作製する。コラーゲンIV型およびIX型のような追加の滑膜自己タンパク質をコードする自己ベクターは同様に導かれうる。DNAは、Qiagen Endo-free Mega-preps(Qiagen, Valencia, CA)を用いて製造元のプロトコールに従って精製される。
6〜9週齢の雄DBA/1LacJ(H-2q)マウスがこの研究に用いられる。II型コラーゲンをコードする非改変自己ベクターかまたは改変ベクターのいずれかの100ugが、再発性CIAを処置するために、疾患の誘発の前に、または臨床的CIAの発症後、3週間、週に1回、前脛骨筋へ筋肉内に注射される。DNAワクチン接種後、マウスは、完全フロイントアジュバント(CFA)中の100ugの精製ウシII型コラーゲンタンパク質の尾の付け根に皮内注射によるCIA誘発に曝される。
以下の視覚的スコアリングシステムに基づいてCIAの臨床的証拠について12週間、毎日、追跡される:0、紅斑および腫脹の証拠無し;1、足中間部(mid-foot)(足根部)または足根関節に限定された紅斑および軽度腫脹;2、足関節から足中間部まで拡大した紅斑および軽度腫脹;3、足関節から中足関節まで拡大した紅斑および中等度腫脹;ならびに4、足関節、足、および指を含む紅斑および重度腫脹(Coligan et al., John Wiley and Sons, Inc 15.5.1-15.5.24, 1994)。各動物についての臨床的スコアは、その4つの足のそれぞれについて視覚的スコアの合計である。組織学的分析は、臨床的関節炎を発症するマウス由来の関節において行われる。最高視覚的スコアを有する肢由来の第一足は、脱灰され、切片化され、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色され、染色された切片は、リンパ球浸潤、滑膜の過形成、およびびらんについて検査される(Williams et al., 1994)。
実施例26
滑膜自己ポリペプチドの組み合わせをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるヒト関節リウマチ(RA)および関節を標的とする他の自己免疫疾患の処置
この研究は、RAに関連した1つまたは複数の自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードしかつ発現する能力がある改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がヒトRAを処置できるかどうかを試験する。特定の態様において、II型およびIV型コラーゲンタンパク質をコードするN-SSVの組み合わせを用いたDNAワクチン接種が構想される。他の態様において、BiP、gp39、および/またはグルコース-6-リン酸イソメラーゼをコードするHESVを用いたDNAワクチン接種が用いられる。BiP、gp39、および/またはグルコース-6-リン酸イソメラーゼをコードするHESV、ならびにII型コラーゲン、IV型コラーゲン、および/またはフィブリンをコードするN-SHESVの組み合わせを使用したDNAワクチン接種もまた構想される。BiP、gp39、およびグルコース-6-リン酸についてのヒトcDNAは、ヒトcDNAライブラリーからPCR増幅により単離され、各コードされた自己ポリペプチドの開始コドンの上流にキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むpBHT1へクローニングされる。シグナル配列を欠損するII型コラーゲン、IV型コラーゲン、およびフィブリンについてのヒトcDNAは、インフレームの開始コドンを含む5'プライマーでのPCRにより単離され、pBHT1へクローニングされてN-SSVを作製する、またはキメラβ-グロビン/Igイントロンを含むpBHT1へクローニングされてN-SHESVを作製する。
初発または進行中のRAをもつヒトは、American College of Rheumatology Criteriaに基づいて診断される。7つの以下の基準のうちの4つは、診断に必要である:(i)対称の多発性関節炎、(ii)MCP、PIP、または手首の障害、(iii)3つより多い異なる関節領域の障害、(iv)手または足のX線による関節びらん、(v)陽性リウマトイド因子検査、(iv)1時間より長い朝のこわばり、および(vii)伸側面上の小節。RAと診断された患者は、BiP、gp39、および/もしくはグルコース-6-リン酸イソメラーゼをコードするHESV、ならびに/またはII型コラーゲン、IV型コラーゲン、および/もしくはフィブリンをコードするN-SHESVの組み合わせの約0.025mg〜5mgの治療的有効量で処置される。ポリヌクレオチド治療は、6〜12ヶ月間は毎月、およびその後、維持用量として3〜12ヶ月ごとに、送達される。DNA治療の効力は、それらの圧痛および腫脹関節のカウントの20%(American College of Rheumatology 20% Response, ACR20)、50%(ACR50)、および70%(ACR70)より大きい低下をもつ患者の割合に基づいてモニターされる。ヒトRAについての追加の測定には、炎症マーカー(ESRおよびCRPを含む)の低下、ステロイド使用量の低下、放射線撮影法上での進行(びらんおよび関節腔狭窄を含む)の低下、および身体障害状態スコア(Health Assessment Questionnaire-HAQのような)の改善が挙げられる。自己抗体力価およびプロファイルにおける変化がモニターされる。同一のアプローチは、乾癬性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、強直性脊椎炎、およびリウマチ性多発筋痛に用いられうる。
実施例27
ニコチン性アセチルコリン受容体α鎖をコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるマウスにおける重症筋無力症マウス(ラット)の予防および処置
この研究は、ニコチン性アセチルコリン受容体α鎖(CHRNA1)をコードする改変自己ベクターを用いたDNAワクチン接種がラットにおいて実験的自己免疫性重症筋無力症(EAMG)を処置できるかどうかを試験する。以下の3つの別個のベクターが、CHRNA1をコードするように標準組換えDNAテクノロジーを用いて構築される:HESV、N-SHESV、およびSHESV。HESVを作製するために、CHRNA1の完全長コード配列は、ラット筋肉ライブラリーからRT-PCRにより単離され、β-グロビン/Igキメライントロンを含むpBHT520へライゲーションされる(rAchR-HESV)。N-SHESVを作製するために、シグナル配列および膜貫通ドメインの両方を欠損するラットCHRNA1の細胞外ドメイン(アミノ酸21〜230位) は、RT-PCRにより単離され、β-グロビン/Igキメライントロンを含むpBHT520へライゲーションされる(rAchR-N-SHESV)。および最後に、SHESVを作製するために、ラットCHRNA1の最初の230個のアミノ酸がRT-PCRにより単離され、β-グロビン/Igキメライントロンを含むpBHT520へライゲーションされる(rAchR-SHESV)。
重症筋無力症は、完全フロイントアジュバントと混合されたウナギのシビレエイ・カリフォルニア(Torpedo californica)の電気器官から精製された天然の多サブユニットアセチルコリン受容体タンパク質をラットに免疫することにより誘発される。予防および処置治療計画の両方が用いられる。疾患予防について、動物は、免疫化前に上記の改変自己ベクターの最低限週に4回の注射を受ける。疾患処置について、動物は、免疫化後および疾患発症の初めに、毎週の注射を受ける。筋力は、尾の付け根で30秒間、手で吊されている間、300gのラックをテーブルから繰り返して握って持ち上げるラットの能力により評価される。動物は、以下の尺度に基づいて疾患の臨床的徴候について毎日、スコアをつけられ、AchRα鎖改変自己ベクターでのDNA免疫化の疾患重症度を低下および/または逆転させる能力を検査する(Baggi et al., JI 172:2697, 2004):
0 正常;
1 検査前は異常無しだが、終わりには力の低下;
2 検査前に存在する臨床的徴候、すなわち、震え、頭の下がり、猫背の姿勢、および弱い握力;
3 検査前に存在する重度の臨床的徴候、握力無しおよび瀕死状態
4 死亡。
本発明は1つまたは複数の特定の態様に関して実質的に詳細に記載されているが、当業者は、本出願で具体的に開示された態様に変更を加えられる可能性があり、それでもなお、これらの改変および改良が、特許請求の範囲に示されているような本発明の範囲および真意内にあることは認識するものと思われる。本明細書に引用されたすべての刊行物または特許文献は、あたかもそれぞれのそのような刊行物または文献が具体的かつ個々に示されて参照により本明細書に組み入れられるかのように、参照により本明細書に組み入れられる。上記の刊行物または文献の引用は、前述のいずれも適切な先行技術であるという承認として意図するものでも、これらの刊行物もしくは文献の内容または日付に関するいずれの承認をも構成するものでもない。
配列リスト
Figure 2009511014
プレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを使用したDNAワクチン接種での確立した高血糖症の処置。雌NODマウスを、処置0週間目における高血糖症(190〜250mg/dl)の発症後、隔週筋肉内DNAワクチンで処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。投与されたDNAは、凡例に示されているように、マウスのプレプロインスリンI(ppINS-I)、マウスのプレプロインスリンII(ppINS-II)、または非コードベクターのいずれかをコードしたワクチンを含んだ。糖尿病への進行は、毎週のモニタリングにおいて250mg/dlより高い2回連続した血中グルコース測定値として定義された。グルコース測定が行われる時点は、x軸上に示され、糖尿病と定義されたマウスのパーセンテージがy軸に示されている。 DNAワクチン接種効果と抗インスリン自己抗体力価の相関。図1に記載された研究に関与した動物由来の血清を、研究の完了時に採取した。抗インスリン自己抗体力価は、ラジオイムノアッセイにより測定された。個々の点は、個々のマウスのインスリン自己抗体指数を表す。水平バーは、群内の全マウスの平均値を示す。 プレプロインスリンIIをコードする自己ベクターを使用したDNAワクチン接種のその後の免疫応答への効果。雌NODマウスを、6週齢において、mINS-II-pBHT1の筋肉内DNAワクチンでの合計3回の注射として隔週、処置した。注射につき動物あたり各DNAプラスミドの50μgが投与された。最後のDNA注射から2週間後、DNAワクチン接種された動物および対照動物を、インスリンII 9〜23位ペプチドで免疫した。免疫化から10日後、INF-γ分泌によるインスリンII 9〜23位での再刺激に応答するリンパ節細胞の数は、ELISpotにより測定された。各処置された動物または対照動物についてのIFN-γ分泌細胞の数が示されている。 プロインスリンをコードする高発現自己ベクターによるインスリン発現の増加。インスリン発現プラスミドmINS-II-pBHT1(pBHT500)およびmINS-II-HESV(pBHT561)をトランスフェクションしたHEK293を、24時間、インキュベートし、上清におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより分析した。上清において検出されたタンパク質の量(ng/mL)は、両方のインスリン発現ベクターについてグラフで表されている。 インスリンIIをコードする改変自己ベクターを使用したDNAワクチン接種での確立した高血糖症の処置。雌NODマウス(群あたりn=10)を、処置0週間目における高血糖症(190〜250mg/dl)の発症後、毎週の筋肉内DNAワクチンで処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。投与されたDNAワクチンは、pBHT1空ベクター、mINS-II-pBHT1、mINS-II-HESV、またはmINS-II-N-SSVを含んだ。抗CD3は、連続して5日間、IV注射により5ug/動物で投与された。動物は、IDDM発症について毎週、モニターされ、250mg/dlより高い血中グルコースレベルをもつ連続した2週間の初めに糖尿病とみなされた。時間をかけての糖尿病動物のパーセンテージが示されている。KMプロットは、GraphPad Prismを用いて作成された。ログランク検定は、統計学的有意性を決定するためにPrismにより行われた。 非分泌性自己ベクターにより発現されるプロインスリンは細胞内である。A)インスリン発現プラスミドmINS-II-pBHT1(pBHT500)、mINS-II-N-SSV(pBHT555)、およびmINS-II-N-SHESV(pBHT568)をトランスフェクションしたHEK293を、48時間、インキュベートし、上清および細胞可溶化物におけるインスリンタンパク質レベルをELISAにより分析した。上清および細胞可溶化物において検出されたタンパク質の量は、各インスリン発現ベクターについて示されている。B)または、トランスフェクションした細胞を、通常培地において24時間、およびその後、プロテアソームインヒビターのラクタシスチンの存在下で24時間、インキュベートした。48時間目におけるインスリンタンパク質レベルは、ELISAにより測定された。上清および細胞可溶化物において検出されたタンパク質の量は、各インスリン発現ベクターについて示されている。 糖尿病を処置するための改変自己ベクターを使用したDNAワクチンの毎週対隔週の投薬。雌NODマウス(群あたりn=20)を、10週齢において、mINS-II-HESV(A、C)およびmINS-N-SSV(B、D)DNAワクチンの毎週(A、B)または隔週(C、D)筋肉内注射で処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。動物は、糖尿病発症について毎週、モニターされ、250mg/dlより高い血中グルコースレベルをもつ連続した2週間の初めに糖尿病とみなされた。媒体対照と比較した、時間をかけての糖尿病動物のパーセンテージが示されている。KMプロットは、GraphPad Prismを用いて作成された。 マウスのプロインスリンIIをコードする非分泌性高発現自己ベクター(N-SHESV)を使用したDNAワクチン接種での確立した高血糖症の処置。雌NODマウス(群あたりn=15)を、処置0週間目における高血糖症(190〜250mg/dl)の発症後、毎週(QW)、隔週(Q2W)、または4週間ごと(Q4W)の筋肉内DNAワクチン接種で処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。投与されたDNAワクチンは以下を含んだ:mINS-II-N-SSVおよびmINS-N-SHESV。抗CD3は、連続して5日間、IV注射により5ug/動物で投与された。動物は、IDDM発症について毎週、モニターされ、250mg/dlより高い血中グルコースレベルをもつ連続した2週間の初めに糖尿病とみなされた。時間をかけてのmINS-II-N-SSV(A)対mINS-II-N-SHESVで処置された糖尿病動物のパーセンテージが示されている。 非分泌性自己ベクター(N-SSV)および高発現自己ベクター(HESV)の組み合わせを使用したDNAワクチン接種での確立した高血糖症の処置。雌NODマウスを、処置0週間目における高血糖症(190〜250mg/dl)の発症後、毎週の筋肉内DNAワクチン接種で処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。投与されたDNAワクチンは以下を含んだ:mINS-II-N-SSV、mINS-N-HESV、およびこれらの2つのベクターの組み合わせ。動物は、IDDM発症について毎週、モニターされ、250mg/dlより高い血中グルコースレベルをもつ連続した2週間の初めに糖尿病とみなされた。時間をかけての処置された糖尿病動物のパーセンテージが示されている。KMプロットは、GraphPad Prismを用いて作成された。 プレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける自己抗体産生の防止。雌NODマウス(群あたりn=20)を、5週齢において、毎週の筋肉内DNAワクチンで処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgが投与された。投与されたDNAワクチンは、pBHT1空ベクター、mINS-I-pBHT1、mINS-II-pBHT1、mINS-II-HESV、およびmINS-II-N-SSVを含んだ。抗CD3は、連続して5日間、IV注射により5ug/動物で投与された。最後のDNA注射から2週間後、血清を収集し、Barbara Davis Center for Diabetesにおいて、ラジオイムノアッセイによりインスリンに対する抗体について盲検様式でスクリーニングした。各処置群について0.01より高いマウスインスリン自己抗体(mIAA)指数をもつ動物のパーセンテージがここにグラフで表されている。 プレプロインスリンIIをコードする改変DNA自己ベクターを使用したDNAワクチン接種によるNODマウスにおける膵島炎の予防。雌NODマウス(群あたりn=20)を、5週齢において、毎週の筋肉内DNAワクチンで処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgが投与された。投与されたDNAワクチンは以下を含んだ:pBHT1空ベクター、mINS-I-pBHT1、mINS-II-pBHT1、mINS-II-HESV、およびmINS-II-N-SSV。抗CD3は、連続して5日間、IV注射により5ug/動物で投与された。最後のDNA注射から2週間後、それぞれの処置されたマウスの膵臓を採取し、膵島炎の程度のH&E評価のためにホルマリンに固定した。PBS対照と比較したパーセンテージ浸潤およびP値が各処置条件について示されている。 異なるCa++濃度で製剤化された高発現自己ベクター(HESV)を使用したDNAワクチン接種での確立した高血糖症の処置。雌NODマウスを、処置0週間目における高血糖症(190〜250mg/dl)の発症後、毎週の筋肉内DNAワクチン接種で処置した。動物あたり各DNAプラスミドの50μgを投与した。DNAワクチンmINS-N-HESV(pBHT-3021)は、以下を含む異なるCa++濃度で注射された:0.9mM(1×)、2.7mM(3×)、および5.4mM(6×)。動物は、IDDM発症について毎週、モニターされ、250mg/dlより高い血中グルコースレベルをもつ連続した2週間の初めに糖尿病とみなされた。時間をかけての処置された糖尿病動物のパーセンテージが示されている。KMプロットは、GraphPad Prismを用いて作成された。A)Markane無しでの異なるカルシウム濃度におけるpBHT-3021での処置により、6×カルシウム製剤が、糖尿病への進行から保護するDNAワクチン接種の効力を有意に増加させることが明らかにされた。B)インスリンの同時投与と組み合わせた異なるカルシウム濃度でのpBHT-3021での処置により、同様に、6×カルシウムを利用する製剤について糖尿病進行に対する効力の増加が明らかにされた。C)異なるカルシウム濃度において、かつMarkaneを含むpBHT-3021での処置により、3×および6×カルシウム製剤において効力のわずかな増加が明らかにされた。D)Markane有りおよび無しでのカルシウムの増加性濃度で製剤化されたpBHT-3021自己ベクターでの実験からの結果の要約。E)1×または6×カルシウムと共に製剤化されたpBHT-3021での糖尿後の動物の処置により、PBS処置された対照(四角形付きの実線)と差を示さなかった1×カルシウム(上右グラフ、菱形付きの破線)と比較して、抗CD3処置された陽性対照(左グラフ)と類似した、6×カルシウム(右下グラフ、三角形付きの破線)に関して高血中グルコースレベルをもつ動物のパーセンテージにおける遅延および低下が明らかにされた。F)6×カルシウムと共に製剤化された(右下グラフ、三角形付きの破線)、または5日間、注射された1×カルシウムと共に製剤化された(左グラフ、白丸付きの破線)pBHT-3021での糖尿後の動物の処置は、PBS処置された対照(四角形付きの実線)と比較して血中グルコースレベルを低下させたが、1×カルシウム製剤単独(右上のグラフ、菱形付きの破線)では効果は見られなかった。G)6×カルシウムと共に製剤化された、または5日間、注射された1×カルシウムと共に製剤化されたpBHT-3021自己ベクターで処置された動物の5分の1が、1×カルシウムまたはPBSで処置された動物における復帰無しと比較して、非糖尿病状態へ復帰した。 ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の細胞外領域をコードする分泌性自己ベクター(SSV)を使用したDNAワクチン接種によるマウスにおけるEAEの処置。EAEは、MOGペプチド35〜55位を用いてマウスにおいて誘発され、16日後、各パネルにおける矢印によって示されているように、隔週の筋肉内DNAワクチンで処置された。動物あたり各DNAプラスミドの50μgが投与された。投与されたDNAワクチンは、mMOG-pBHT1およびmMOG-SSVを含んだ。デプロメドロールは陽性対照として注射された。各処置群についての平均疾患スコアは、EAE誘発後の時間に渡って、プロットされている。A)PBS注射された対照と比較した、mMOG-pBHT1処置されたマウスの平均疾患スコア。B)PBS注射された対照と比較した、mMOG-SSV処置された動物の平均疾患スコア。C)PBS注射された対照と比較した、デプロメドロール処置された動物の平均疾患スコア。D)mMOG-SSV処置された動物と比較した、mMOG-pBHT1非改変ベクター処置されたマウスの平均疾患スコア。 MOGの細胞外領域をコードする分泌性自己ベクター(SSV)を使用したDNAワクチン接種によるEAEの処置に対する免疫応答。EAEは、MOGペプチド35〜55位を用いてマウスにおいて誘発され、16日後、隔週の筋肉内DNAワクチンで処置された。動物あたり各DNAプラスミドの50μgが投与された。投与されたDNAワクチンは、mMOG-pBHT1およびmMOG-SSVを含んだ。デプロメドロールは陽性対照として注射された。研究の終わりに、MOGの細胞外ドメインに対するDNAワクチン接種された動物および対照動物の免疫応答が調べられた。処置されたマウス由来の血清を収集し、IgG1抗MOG特異的抗体についてELISAにより分析した。各動物からのELISAの光学密度(OD)は処置群によりプロットされている。各群についての平均ODは、水平線により示されている。

Claims (83)

  1. (a)プロモーター;
    (b)自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
    (c)転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列
    を機能的に組み合わせて含む改変自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む、被験体における自己免疫疾患の処置方法であって、
    改変自己ベクターが、非改変自己ベクターと比較して発現を増加させるための改変を含む、方法。
  2. 発現の増加のための改変自己ベクターへの改変が、
    (i)エンハンサー;
    (ii)イントロン;または
    (iii)コンセンサスコザック配列
    の1つまたは複数の付加である、請求項1記載の方法。
  3. 改変自己ベクターにおけるプロモーターが、SV40もしくはヒトCMVのような病原性ウイルス、ウシMHC I、誘導性プロモーター、またはヒトクレアチンキナーゼからなる群より選択されるプロモーターである、請求項1記載の方法。
  4. エンハンサーが、αBクリスタリン遺伝子(cryB)エンハンサー、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、もしくはインスリンのような哺乳動物遺伝子由来のエンハンサー、またはSV40もしくはCMV初期エンハンサーのような真核細胞ウイルス由来のエンハンサーからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  5. 改変自己ベクターの転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列がウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列である、請求項1記載の方法。
  6. イントロンが、ヒトCMV由来のイントロンA、SV40スモールtイントロン、SV40 VP1イントロン、自己ポリペプチドをコードする遺伝子由来の内因性イントロン、またはβ-グロビン/Igキメライントロンのようなキメライントロンからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  7. 免疫調節配列の投与をさらに含む、請求項1記載の方法。
  8. 免疫調節配列が、
    5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'および
    5'-プリン-プリン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'
    からなる群より選択され、XおよびYがシトシン-グアニンとはなり得ないことを除いて、XおよびYは任意の天然または合成のヌクレオチドである、請求項7記載の方法。
  9. 改変自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項1記載の方法。
  10. カルシウム濃度が約0.9mM〜約8.1mMの間である、請求項9記載の方法。
  11. カルシウム濃度が約0.9mM〜約5.4mMの間である、請求項10記載の方法。
  12. (a)プロモーター;
    (b)自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
    (c)転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列;ならびに
    (d)(i)エンハンサー;(ii)イントロン;または(iii)コンセンサスコザック配列の1つまたは複数
    を含む高発現自己ベクター。
  13. プロモーターがヒトCMVである、請求項12記載の高発現自己ベクター。
  14. CMV初期エンハンサーをさらに含む、請求項13記載の高発現自己ベクター。
  15. 転写ターミネーターが、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列であるポリアデニル化配列を含む、請求項12記載の高発現自己ベクター。
  16. コンセンサスコザック配列をさらに含む、請求項12記載の高発現自己ベクター。
  17. ヒトCMV由来のイントロンA、SV40スモールtイントロン、SV40 VP1イントロン、自己ポリペプチドをコードする遺伝子由来の内因性イントロン、またはβ-グロビン/Igキメライントロンのようなキメライントロンからなる群より選択されるイントロンをさらに含む、請求項12記載の高発現自己ベクター。
  18. CMV由来のイントロンAをさらに含む、請求項17記載の高発現自己ベクター。
  19. ポリヌクレオチドが、I型糖尿病に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードする、請求項18記載の高発現自己ベクター。
  20. ポリヌクレオチドがプロインスリンをコードする、請求項19記載の高発現自己ベクター。
  21. ポリヌクレオチドがヒトプロインスリンをコードする、請求項20記載の高発現自己ベクター。
  22. ポリヌクレオチドが、多発性硬化症に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードする、請求項18記載の高発現自己ベクター。
  23. ポリヌクレオチドがミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項22記載の高発現自己ベクター。
  24. ポリヌクレオチドがヒトミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項22記載の高発現自己ベクター。
  25. 高発現自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項12記載の高発現自己ベクター。
  26. 高発現自己ベクターが、約0.9mM〜約8.1mMの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項25記載の高発現自己ベクター。
  27. 高発現自己ベクターが、約0.9mM〜約5.4mMの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項25記載の高発現自己ベクター。
  28. (a)CMVプロモーターおよびCMV初期エンハンサー;
    (b)自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (c)ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列および転写ターミネーター;
    (d)コンセンサスコザック配列;ならびに
    (e)β-グロビン/Igキメライントロン
    を含む高発現自己ベクター。
  29. ポリヌクレオチドが、I型糖尿病に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードする、請求項28記載の高発現自己ベクター。
  30. ポリヌクレオチドがプロインスリンをコードする、請求項29記載の高発現自己ベクター。
  31. ポリヌクレオチドがヒトプロインスリンをコードする、請求項29記載の高発現自己ベクター。
  32. ポリヌクレオチドが、多発性硬化症に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードする、請求項28記載の高発現自己ベクター。
  33. ポリヌクレオチドがミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項32記載の高発現自己ベクター。
  34. ポリヌクレオチドがヒトミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項32記載の高発現自己ベクター。
  35. 改変自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項28記載の高発現自己ベクター。
  36. カルシウム濃度が約0.9mM〜約8.1mMの間である、請求項35記載の高発現自己ベクター。
  37. カルシウム濃度が約0.9mM〜約5.4mMの間である、請求項36記載の高発現自己ベクター。
  38. Th2サイトカインをコードする発現ベクターの投与をさらに含む、請求項1記載の方法。
  39. Th2サイトカインがIL-4、IL-10、またはIL-13である、請求項1記載の方法。
  40. 自己免疫疾患が、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、自己免疫性ブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、悪性貧血、全身性エリテマトーデス、およびグレーブス病からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  41. (a)プロモーター;
    (b)自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されているポリヌクレオチドである、自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
    (c)転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列
    を機能的に組み合わせて含む非分泌性自己ベクターの有効量を被験体に投与する段階を含む、被験体における自己免疫疾患の処置方法。
  42. 非分泌性自己ベクターが、非改変自己ベクターと比較して発現を増加させるための改変をさらに含む、請求項41記載の方法。
  43. 発現の増加のための非分泌性自己ベクターへの改変が、
    (i)エンハンサーエレメント;
    (ii)イントロン;または
    (iii)コンセンサスコザック配列
    の1つまたは複数の付加である、請求項42記載の方法。
  44. 非分泌性自己ベクターにおけるプロモーターが、SV40もしくはヒトCMVのような病原性ウイルス、ウシMHC I、誘導性プロモーター、またはヒトクレアチンキナーゼからなる群より選択されるプロモーターである、請求項41記載の方法。
  45. エンハンサー領域が、αBクリスタリン遺伝子(cryB)エンハンサー、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、もしくはインスリンのような哺乳動物遺伝子由来のエンハンサー、またはSV40もしくはCMV初期エンハンサーのような真核細胞ウイルス由来のエンハンサーからなる群より選択される、請求項41記載の方法。
  46. 非分泌性自己ベクターの転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナル配列がウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列である、請求項41記載の方法。
  47. イントロンが、ヒトCMV由来のイントロンA、SV40スモールtイントロン、SV40 VP1イントロン、自己ポリペプチドをコードする遺伝子由来の内因性イントロン、またはβ-グロビン/Igキメライントロンのようなキメライントロンからなる群より選択される、請求項41記載の方法。
  48. 改変自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項41記載の方法。
  49. カルシウム濃度が約0.9mM〜約8.1mMの間である、請求項48記載の方法。
  50. カルシウム濃度が約0.9mM〜約5.4mMの間である、請求項49記載の方法。
  51. 自己免疫疾患がI型糖尿病である、請求項41記載の方法。
  52. 自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項41記載の方法。
  53. 免疫調節配列の投与をさらに含む、請求項41記載の方法。
  54. 免疫調節配列が、
    5'-プリン-ピリミジン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'および
    5'-プリン-プリン-[X]-[Y]-ピリミジン-ピリミジン-3'
    からなる群より選択され、XおよびYがシトシン-グアニンとはなり得ないことを除いて、XおよびYは任意の天然または合成のヌクレオチドである、請求項53記載の方法。
  55. Th2サイトカインをコードする発現ベクターの投与をさらに含む、請求項41記載の方法。
  56. Th2サイトカインがIL-4、IL-10、またはIL-13である、請求項55記載の方法。
  57. 自己免疫疾患が、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、自己免疫性ブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、悪性貧血、全身性エリテマトーデス、およびグレーブス病からなる群より選択される、請求項41記載の方法。
  58. (a)プロモーター;
    (b)自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されているポリヌクレオチドである、自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ならびに
    (c)転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列
    を含む非分泌性自己ベクター。
  59. (i)エンハンサー;
    (ii)イントロン;または
    (iii)コンセンサスコザック配列
    の1つまたは複数をさらに含む、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  60. CMV初期エンハンサーをさらに含む、請求項59記載の非分泌性自己ベクター。
  61. 転写ターミネーターおよびポリアデニル化配列がウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列である、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  62. ヒトCMV由来のイントロンA、SV40スモールtイントロン、SV40 VP1イントロン、自己ポリペプチドをコードする遺伝子由来の内因性イントロン、またはβ-グロビン/Igキメライントロンのようなキメライントロンからなる群より選択されるイントロンをさらに含む、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  63. CMV由来のイントロンAをさらに含む、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  64. I型糖尿病に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されている、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  65. ポリヌクレオチドがプロインスリンをコードする、請求項64記載の非分泌性自己ベクター。
  66. ポリヌクレオチドがヒトプロインスリンをコードする、請求項64記載の非分泌性自己ベクター。
  67. 多発性硬化症に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されている、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  68. ポリヌクレオチドがミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項67記載の非分泌性自己ベクター。
  69. ポリヌクレオチドがヒトミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項67記載の非分泌性自己ベクター。
  70. 改変自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項58記載の非分泌性自己ベクター。
  71. カルシウム濃度が約0.9mM〜約8.1mMの間である、請求項70記載の非分泌性自己ベクター。
  72. カルシウム濃度が約0.9mM〜約5.4mMの間である、請求項71記載の非分泌性自己ベクター。
  73. (a)CMVプロモーターおよびCMV初期エンハンサー;
    (b)自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されているポリヌクレオチドである、自己免疫疾患に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (c)ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列および転写ターミネーター;
    (d)コンセンサスコザック配列;ならびに
    (e)β-グロビン/Igキメライントロン
    を含む高発現非分泌性自己ベクター。
  74. I型糖尿病に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されている、請求項73記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  75. ポリヌクレオチドがプロインスリンをコードする、請求項74記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  76. ポリヌクレオチドがヒトプロインスリンをコードする、請求項74記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  77. ヒトプロインスリンがSEQ ID NO:2に示されているとおりである、請求項76記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  78. 多発性硬化症に関連した自己抗原性エピトープを含む自己ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、自己ポリペプチドの非分泌型または非膜結合型をコードするように改変されている、請求項73記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  79. ポリヌクレオチドがミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項78記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  80. ポリヌクレオチドがヒトミエリン塩基性タンパク質をコードする、請求項78記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  81. 改変自己ベクターが、約0.05mM〜約2Mの間の濃度のカルシウムと共に製剤化される、請求項73記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  82. カルシウム濃度が約0.9mM〜約8.1mMの間である、請求項70記載の高発現非分泌性自己ベクター。
  83. カルシウム濃度が約0.9mM〜約5.4mMの間である、請求項71記載の高発現非分泌性自己ベクター。
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