JP2009506777A - 抵抗性の表現型特徴を示す腫瘍細胞を用いた化学療法感受性アッセイ - Google Patents

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Abstract

本明細書で説明されるアッセイ、方法、手段およびシステムは、個々の患者の悪性度の進行をモニターするための改善された統一システムを表す。本明細書で説明されるアッセイ、方法、手段およびシステムは、細胞マーカーおよび分泌マーカーのモニタリングおよび同定のための、細胞をスクリーニングして、表現型および遺伝子型の浮動を検出するための、および少なくとも1種の治療薬に対する患者の腫瘍細胞の化学療法応答を予測するための、改善された統一システムを表す。本明細書で説明されるアッセイ、方法、手段およびシステムはまた、複数の医薬品を、有効性および特定の患者に関する長期効果に関してモニタリングおよびスクリーニングするための改善された統一システムを表す。

Description

関連出願
本出願は、2005年9月1日出願の米国仮特許出願第60/712,815号、および2005年9月1日出願の米国仮特許出願第60/712,814号の利益を主張し、これら双方は、参照として、それらの全体が援用されている。
本出願は、1996年7月12日出願の米国特許出願第08/679,056号で、現在、米国特許出願第5,728,541号明細書;1997年7月10日出願の国際出願第PCT/US97/11595号;1998年3月17日出願の米国特許出願第09/040,161号で、現在、米国特許第6,900,027号明細書;2002年7月26日出願の米国特許出願第10/205,887号で、現在、米国特許第6,887,680号;2005年3月17日出願の米国特許出願第11/081,827号;1998年3月16日出願の米国特許出願第09/039,957号で、現在、米国特許第6,933,129号明細書;2005年3月8日出願の米国特許出願第11/073,931号;2006年8月16日出願の米国特許出願第11/504,098号;1998年11月10日出願の米国特許出願09/189,310号で、現在、米国特許第6,416,967号明細書;2001年10月18日出願の米国特許出願第10/399,563号;2001年10月18日出願の国際出願第PCT/US01/32540号;2002年7月30日出願の米国特許出願第10/208,480号;2003年7月30日出願の国際出願第PCT/US03/23888号;2002年10月10日出願の米国仮特許出願第60/417,439号;2003年1月2日出願の米国特許出願第10/336,659号;2003年10月10日出願の国際出願第PCT/US03/32285号;2005年11月14日出願の米国仮特許出願第60/735,813号;および2006年7月11日出願の米国仮特許出願第60/819,631号に関連しているが、それらの利益を主張せず、これらは全て参照として、それらの全体が本明細書に援用されている。
発明の分野
本発明は、腫瘍細胞集団の実質的な表現型浮動(phenotypic drift)が生じる前にアッセイに使用される腫瘍細胞サンプルを調製する方法に関する。本発明の一実施形態において、コラゲナーゼおよびDNアーゼにより処理された組織外植片から、細胞培養物単層が形成される。他の実施形態において、細胞培養物は、機械的に攪拌した組織外植片から形成される。本発明の方法は、化学療法感受性アッセイおよび化学療法抵抗性アッセイと併せて使用できる。
背景
癌に対してなされた進歩に関わらず、癌は未だに米国において、心臓血管疾患に次いで死因の第2位である。癌に対する闘いにおける主要な障害の1つは、個々の患者に対する化学療法剤の選択が真に個人化されていないことである。「癌」は、多くの特徴を共有しているが、具体的な各々の癌はそれ自体の特定の特徴を有している。遺伝的および環境的因子は、重症度および治療の予後において複雑な関係を有している。
患者の細胞が組織におけるそれらのインサイチュの位置から除去されてインビトロ培養される場合、細胞は、表現型および遺伝子型の浮動を受ける。すなわち、それらは、元の組織または臓器のいくつかの特徴の形態学的特徴(および構成要素)のいくつかを失い始め、これは時には、ある遺伝子の発現または変異遺伝子の発現における変化の結果として生じる。その結果、単に細胞を正常組織および腫瘍組織から切除して、それらをインビトロ培養することは充分ではない。培養条件への適応によって、腫瘍組織または正常組織において発現している構成部分の抑制が生じ、また、腫瘍組織または正常組織において通常は存在していない構成部分の発現を生じさせ得るからである。
現在、化学療法の選択は主に、ピアレビューされた学術誌論文に発表されるとおりの集団の平均的な反応と、治療に当たっている医師の専門的経験との組み合わせに基づいている。高毒性の化学療法を用いる癌患者の治療において、腫瘍学者は、特定の患者にとってどの薬剤が実際、最良に作用するかに関する予測的指標によりその特定の患者に対して療法を選択する課題に直面する。
培養条件の変化、集団内のいくつかの細胞の選択的過成長、およびインビトロ培養された細胞の遺伝子変動により、治療処置に関して不正確で信頼性の低い予測情報となる恐れがある。患者のインビトロ腫瘍挙動に基づいた療法の個人化を助ける予測的情報を得るための信頼性の高い方法を、医師は必要としている。
発明の概要
本発明は、実質的な表現型浮動が生じる前に、腫瘍外植片を攪拌して、腫瘍外植片から腫瘍細胞を実質的に遊離させるステップと、遊離した細胞から細胞培養物単層を培養するステップと、および単層細胞から細胞懸濁液を形成するステップと、を含む腫瘍細胞サンプルを調製する方法を開示する。一実施形態において、細胞懸濁液は約4,000から12,000細胞/mlである。一実施形態において、細胞懸濁液は約4,000から9,000細胞/mlである。他の実施形態において、細胞懸濁液は約7,000から9,000細胞/mlである。
腫瘍外植片は細胞培養物単層の培養前に、コラゲナーゼおよびDNアーゼによって任意に処理できる。例えば、本発明の発明者らは、卵巣および結腸直腸の腫瘍外植片は、コラゲナーゼIIとDNアーゼのカクテルで処理した場合に好適に培養されることを見出している。一実施形態において、腫瘍外植片は、約0.010%から約0.60%のコラゲナーゼIIと約0.0007%から約0.005%のDNアーゼを含むカクテルで処置される。他の実施形態において、腫瘍外植片は、約0.25%のコラゲナーゼIIと約0.001%のDNアーゼを含むカクテルで処置される。さらに他の実施形態において、腫瘍外植片は、約0.025%のコラゲナーゼIIと約0.001%のDNアーゼを含むカクテルで処置される。
細胞懸濁液からの細胞は、少なくとも1つの隔離された部位内に接種できる。接種部位は約100から10,000の細胞を含み得る。各隔離部位は、例えば、約100から5,000の細胞、約100から2,500の細胞、約100から1,000の細胞、約200から1,000の細胞または約200から500の細胞を含み得る。
細胞懸濁液からの細胞または隔離部位における細胞は、1種以上の化学療法剤または生物学的薬剤などの1種以上の医薬品に接触させることができる。一実施形態において、細胞を、医薬品に接触させる前に、1つ以上の隔離部位に接種する。例えば、細胞を、薬剤に接触させる約4時間から約30時間前に接種できる。また、細胞を、医薬品に接触させる前に、任意に分析、例えば、カウントすることもできる。一実施形態において、細胞を、薬剤に接触させる前に、約24時間インキュベーション後にカウントする。
一実施形態において、25時間から200時間、細胞と1種以上の医薬品との接触を保持させる。医薬品が細胞集団との接触を保持する時間は、限定はしないが、医薬品の性質などの要因に基づいて変動し得る。接触時間の最後に、細胞をカウントできる。一実施形態において、用量応答曲線が作出される。他の実施形態において、細胞毒性指数または正規化細胞毒性指数が算出される。
本明細書に開示された本発明に含まれるアッセイ、方法、手段およびシステムは、最初の化学療法を受ける患者、以前の化学療法が典型的に失敗だった患者および/または複数の系列またはコースの化学療法の間に薬剤耐性が発生した患者、すなわち、最も抵抗性の癌が生き残って化学耐性になった患者によって示される課題に取り組むものである。本明細書に開示された本発明に含まれるアッセイ、方法、手段およびシステムは、個人のインビトロでの腫瘍挙動に基づいた療法の個人化において、腫瘍学者を助ける予測情報を提供する。
詳細な説明
以下の実施形態およびそれらの態様は、本発明に含まれたアッセイ、方法、手段およびシステムに関連して説明および例示されており、範囲の限定ではなく、典型的および例示的であることが意図されている。種々の実施形態において、本明細書に記載された問題の1つ以上が減少または除去され、一方、他の実施形態は、本明細書に記載されたアッセイ、方法、手段およびシステムの改善に関する。
本発明は、腫瘍細胞集団の実質的な表現型浮動が生じる前に、腫瘍外植片を攪拌して、腫瘍外植片から腫瘍細胞を実質的に遊離させるステップと、遊離した細胞を培養して細胞培養物単層を作製するステップと、および単層細胞から細胞懸濁液を形成するステップと、を含む腫瘍細胞サンプルを調製する方法を含む。一実施形態において、細胞懸濁液は約4,000から12,000細胞/mlである。他の実施形態において、細胞懸濁液は4,000から9,000細胞/mlまたは7,000から9,000細胞/mlである。他の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの隔離された部位内に、細胞懸濁液からの細胞を接種することをさらに含む。本方法の一態様において、各隔離部位は、接種後、約10から10の細胞を含む。本方法の他の態様において、各隔離部位は、接種後、約10から10の細胞を含む。本方法の別の態様において、各隔離部位は、約200から約1000の細胞を含む。さらに別の態様において、各隔離部位は、約200から約500の細胞を含む。
本発明の方法の実施形態は、細胞を少なくとも1種の医薬品に接触させるステップをさらに含む。本方法の一態様において、細胞は、薬剤に接触させる前に、約4時間から約30時間培養される。他の態様において、本方法は、少なくとも1つの併用治療をさらに含む。本方法の一態様において、各併用治療は、細胞を約25時間から約200時間接触させる。一態様において、各併用治療は、少なくとも2種の薬剤を含む。他の態様において、各併用治療は、各薬剤に関して、3〜20用量レベルの連続希釈系を含む。本方法は、各薬剤の用量レベルを0%から最高細胞死までを得るように調整するステップをさらに含む。一態様において、各薬剤は、最初、インビボで腫瘍周囲の細胞外体液中に入るように決定された範囲の下から上の用量レベルで使用される。他の態様において、各薬剤に関して用量応答曲線が作出される。本方法の一態様において、細胞の生存能力は約25時間から約200時間維持される。
本方法の一実施形態において、培地および非接着細胞は、約25時間から約200時間の終末に除去される。他の態様において、培地および非接着細胞は、約25〜200時間の終末に分析される。別の態様において、接着細胞が、約25〜200時間の終末に分析される。接着細胞は、本明細書に開示された操作の任意の時点または任意の段階で分析できる。本方法の変型において、本方法は、外植片からの単層で増殖させた後に凍結させた細胞を用いて、少なくとも1回反復される。
また、本方法は、各処置への接触の前、接触と同時に、または接触の直後開始で、所定の間隔で、可視光、UV光および蛍光のうちの1種以上を用いて、細胞の画像を撮る自動細胞画像化システムを含む。別の方法において、細胞は、各処置への接触の約25時間から200時間後に画像化される。他の実施形態において、各処置への接触前または接触の間に、1回または複数回、画像化される。あるいは、画像を撮って細胞をカウントするために、UVまたは蛍光が用いられる。可視光、UV光または蛍光の画像化は、薬剤曝露の前、薬剤との接触の間に所定の間隔で、およびアッセイの最後に、複数回反復し得る。
別の実施形態において、本方法は、生存細胞または非生存細胞の数の定量化するステップをさらに含む。さらに他の態様において、本方法は、25時間から200時間後に、接着細胞の遺伝子型または表現型の状態を分析するステップを含む。本方法の一態様において、定量化は、可視光、UV光および蛍光のうちの1種以上による。本方法の一実施形態において、細胞集密のパーセントが判定される。
他の実施形態において、少なくとも1種の医薬品が標的薬剤である。特定の実施形態において、標的薬剤はマーカーを標的にする。より特定の実施形態において、マーカーは、間充織細胞、上皮細胞、腫瘍マーカーおよび組織特異的マーカーからなる群から選択される。他の態様において、マーカーは、限定はしないが、ビメンチン、デスミン、S100、フィブロネクチンおよびコラーゲン、細胞接着分子およびサイトケラチン、限定はしないが、p53、サイクリン、ras、src、増殖因子受容体、ホルモン受容体、シグナル伝達に関与する分子、限定はしないが、CA125、PSA、PSM、乳タンパク質、界面活性剤およびホメオボックス核タンパク質などの組織特異的マーカーにおける総レベルおよび変異体などの腫瘍マーカーのうちの1種以上である。
また、本発明の一定の方法は、少なくとも1つの遺伝子の発現に関して、細胞懸濁液の細胞アッセイするステップをさらに含む。本方法の一態様において、少なくとも1つの遺伝子は、
Figure 2009506777
からなる群から選択される。
また、本発明の方法は、少なくとも1つの遺伝子からの少なくとも1つのSNPに関して、細胞懸濁液の細胞をアッセイするステップをさらに含む。一態様において、少なくとも1つの遺伝子は、
Figure 2009506777
からなる群から選択される。
定義
バイオテクノロジーおよび化学における場合に一般的なことだが、本方法の説明には、多数の業界用語の使用が必要である。それを徹底的に行うことは実用的ではないが、参照を容易にするために、本明細書にこれらの用語のいくつかについて、定義を提供してある。別に定義しない限り、本明細書に用いられた全ての専門用語および科学用語は、本明細書に記載された方法が属する分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。他の用語についての定義もまた、本明細書の他の箇所に記載されている。しかし、本明細書のここおよび他の箇所に提供された定義は常に、その定義された用語の意図された範囲および意味の決定において考慮されるべきである。操作例、または別に指示された場合以外、本明細書および特許請求の範囲に用いられた成分、反応条件などの量に関する全ての数または表現は、全ての例で、用語の「約」によって修飾されたものとして解すべきである。
本明細書に用いられる用語「癌」とは、非制御細胞増殖を特徴とするヒト(および動物)の疾患の1つのクラスを称する。本明細書に用いられる用語「癌」は、用語「腫瘍」、「悪性疾患」、「過剰増殖」および「新生物」と同義的に用いられる。用語「癌細胞」は、別に特に指示しない限り、用語「腫瘍細胞」「悪性細胞」「過剰増殖細胞」および「新生物細胞」と同義である。同様に、用語の「過剰増殖の」、「過形成の」、「悪性の」および「新生物の」は、同義的に用いられ、急速な増殖を特徴とする異常な状態または病態におけるそれらの細胞を称する。まとめると、これらの用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲性の段階に関わらず、全てのタイプの過剰増殖成長、過形成成長、新生物成長、癌性成長または発癌性過程、転移組織または悪性形質転換した細胞、組織、または器官を含むことを意味している。
本明細書に用いられる用語「候補治療薬」とは、特定の細胞集団に投与される、所望の化学療法応答を生じさせる薬剤を称する。
本明細書に用いられる用語「細胞培養物」とは、元の組織または一次培養から採取された分散細胞から誘導された培養物を称する。本発明は任意のタイプの動物細胞に使用されるため、本発明がいずれか特定の種からの細胞培養物に限定されることは意図されていない。例えば、米国特許第6,528,309号明細書を参照されたい。
本明細書に用いられる用語「化学療法抵抗性」とは、化学療法に使用される薬剤に検出可能な応答をほとんど示さないか、または有意な検出可能応答を示さない腫瘍細胞(および上記の同義の用語)を称する。
本明細書に用いられる用語「化学療法感受性」とは、化学療法に使用される薬剤に検出可能な応答を示す腫瘍細胞(および上記の同義の用語)を称する。
本明細書に用いられる用語「化学療法剤」、「細胞毒性剤」、「抗癌剤」および「抗腫瘍剤」は同義的に用いられ、腫瘍細胞(および上記の同義の用語)の、成長または増殖を阻害する性質を有する薬剤(例えば、細胞増殖抑制剤)、または死を誘導する性質を有する薬剤を称する。化学療法剤は、例えば、固形腫瘍、または軟組織腫瘍などの癌の発達または進行を抑制するか、または反転させる。例えば、米国特許第6,599,912号明細書を参照されたい。
本明細書に用いられる用語「化学療法的応答」および「化学療法応答」は同義的に用いられる。化学療法応答は、医薬品を投与した際に得られる応答を称する。所望の化学療法応答は、例えば、1つ以上の遺伝子の、例えば、発現の変化などの遺伝子型の応答であり得る。所望の化学療法応答は、例えば、腫瘍細胞の成長の緩徐化、または退縮などの表現型の応答でもあり得る。本明細書に開示されたアッセイまたは方法において、所望の化学療法応答を与える化学療法剤を同定したら、次いで、薬剤をインビボで患者に投与する。本明細書に開示された方法の一実施形態において、腫瘍細胞集団は、化学療法抵抗性細胞集団であり、所望の化学療法応答は、化学療法抵抗性細胞の緩徐化、死または退縮である。
本明細書に用いられる用語「化学療法」とは、癌に罹っている患者への少なくとも1種の化学療法剤の投与を称する。
本明細書に用いられる用語「併用治療」とは、少なくとも2種の医薬品によって細胞を処置することを称する。本明細書に開示された方法に従って、同時に、または別々に、または連続的に使用される医薬品は、既知薬剤の単なる集合ではなく、腫瘍細胞の化学療法抵抗性および/または化学療法感受性を改変する、驚くべき価値ある性質との新規な組み合わせであり、癌に対する新規な効果的治療(部分的または完全な応答)を可能にする。
本明細書に用いられる用語「接触」とは、腫瘍細胞と少なくとも1種の医薬品との相互作用を称する。
本明細書に用いられる用語「細胞毒性指数(CI)」とは、ある薬剤による処置後の対照細胞(例えば、無処置細胞)の数に対する処置細胞の数の比である。「正規化細胞毒性指数」とは、細胞の出発数の変動などの、アッセイにおける変動を考慮に入れるように補正したCIである。
本明細書に用いられる用語、化合物の「有効量」とは、所望の効果を提供する薬物または薬剤の十分な量を称する。
本明細書に用いられる用語「経験的化学療法」とは、特定のタイプの腫瘍を有する患者の群に関して文献に報告された結果に基づいた化学療法の選択を称する。
本明細書に用いられる用語「上皮細胞マーカー」とは、上皮細胞により発現されるマーカーを称する。本明細書に用いられる用語「悪性上皮細胞マーカー」とは、悪性上皮細胞により発現されるマーカーを称する。多くのものが当業界に知られており、本明細書に開示された本発明に含まれたアッセイ、方法、手段およびシステムの一部として、またはそれらと関連させて使用することが任意に意図されている。悪性であっても非悪性であっても、上皮細胞マーカーは、培養された腫瘍細胞集団に、細胞培養期間の間の任意の時点で表現型浮動および/または遺伝子型浮動が生じたかどうかの判定を補助するためのマーカーとして使用できる。
本明細書に用いられる用語「遺伝子」は、生物学的機能に関連したDNAのセグメントを称する。したがって、遺伝子は、限定はしないが、コード配列および/またはそれらの発現に必要な調節配列を含む。遺伝子はまた、例えば、他のタンパク質に対する認識配列を形成する非発現DNAセグメントも含む。遺伝子は、対象となっている供給源からのクローニングまたは既知の、または予測された配列情報からの合成を含む種々の供給源から得られ、所望のパラメーターを有するように設計された配列を含み得る。
本明細書に用いられる用語「マーカー」とは、特定の細胞型を同定するために、単独で、または他のマーカーと組み合わせて用いることができる細胞または細胞集団の任意の遺伝子型または表現型の特徴を称する。マーカーは、限定はしないが、挿入、欠失または置換などの遺伝子型、または高レベルの受容体または分泌ペプチドの存在などの表現型のものであり得る。マーカーは、応答の分子予測物質であり得る。例えば、細胞増殖に関与する遺伝子であるEGR1など、応答の分子予測物質もまた、特定の細胞型の同定におけるマーカーとして有用であり得る。マーカーは、腫瘍細胞の表面上、腫瘍細胞内または双方で検出可能な任意の分子であり得る。したがって、マーカーは、任意の1種以上のタンパク質、脂質、炭水化物、核酸およびそれらの任意の組み合わせ(例えば、糖タンパク質)である。マーカーは腫瘍細胞内に発現してもしなくてもよく、したがって、典型的には、化学療法を開始する前に評価される。
本明細書に用いられる用語「最高細胞死」とは、試験された最高用量(用量9および10)の少なくとも2以上が維持される、所与の化学療法剤に関する細胞死の最大量に関連する細胞毒性指数を称する。たいていの薬剤は、腫瘍細胞集団の全て(100%)を死滅させるわけではない。細胞毒性化学療法剤は、部分的な細胞死を生じさせ、それによって、生きた腫瘍細胞の多数ではなく一定の部分が死滅するため、100%の腫瘍細胞の死には単に漸近的に近づくだけであって達成は稀である。細胞増殖抑制化学療法剤は、腫瘍細胞の増殖を停止させるが、腫瘍細胞の死滅には無効であるため、腫瘍細胞の100%が死滅するわけではない。
本明細書に用いられる用語「応答の分子予測物質」とは、例えば、化学療法剤の代謝(例えば、CYP3A4、CYP3A5、CYP2D6、CYP2C8およびCYP2C9など)、薬剤輸送(例えば、ABCB1、ABCC1、ABCC2およびABCG2など)、細胞アポトーシス(例えば、BCL2、BAD、BAXおよびBAK1など)、細胞増殖(例えば、EGR1、CYR61、p21/WAFおよびTP53など)などの経路およびDNA修復経路(例えば、ERCC1、ERCC2、MLH1およびMSH2など)における少なくとも1つの遺伝子を称する。応答の分子予測物質は、患者が、所与の薬剤または所与の併用療法を含む化学療法に好適に応答する可能性が高いかどうか、または化学療法または他の処置の終了後に患者の長期生存の可能性が高いかどうかを予測する。
本明細書に用いられる用語「ネオアジュバント処置」とは、外科的処置または切除術の前に化学療法を投与することを称する。ネオアジュバント処置は、本明細書に開示されたアッセイ、方法、手段またはシステムのいずれかと任意に関連させて使用できる。例えば、患者は、患者から腫瘍生検が得られる前に、ネオアジュバント処置を受けることができる。
本明細書に用いられる用語「核酸」または「ポリヌクレオチド」とは、一本鎖または二本鎖の形態におけるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを称する。特に限定しない限り、この用語は、関連核酸と同様な結合性を有し、天然ヌクレオチドと同様な様式で代謝される天然ヌクレオチドの類縁体を含有する核酸を包含する。別に指示しない限り、特定の核酸配列は、明示された配列に加えて、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮退コドン置換)および相補的配列もまた暗に包含している。具体的には、縮退コドン置換は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの第3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換されている配列を作出することによって達成できる(Batzer et al., 1991, Nucleic acid Res. 19 : 5081; Ohtsuka et al., 1985, J. Biol. Chem. 260 : 2605-2608; Cassol et al., 1992; and Rossolini et al., 1994, Mol. Cell. Probes 8 : 91-98)。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされたmRNAと同義的に用いられる。
本明細書に用いられる用語「任意の」または「任意に」とは、引き続いて記述される状況が生じることも生じないこともあり得、その結果、記述は、状況が生じる場合および状況が生じない場合を含む。
本明細書に用いられる用語「医薬品」としては、限定はしないが、生物学的活性分子、酵素、タンパク質、脂質、炭水化物、糖タンパク質、糖脂質、DNAおよび/またはRNAなどの核酸およびDNAおよび/またはRNAの断片、アンチセンス核酸、siRNA分子、抗体、小型分子および無機製薬分子が挙げられる。本明細書に用いられる用語「小型分子」は、約2000ダルトン以下の分子量を有する分子である。用語「医薬品」は、本明細書において、用語「薬剤」、「薬物」、「化合物」、「治療薬」、「化学療法剤」および「生物学的薬剤」と同義的に用いられる。
用語「医薬品」は、指定された分子体のみならず、限定はしないが、その塩、エステル、アミド、プロドラッグ、共役体、活性代謝物および他のこのような誘導体、類縁体および構造的、生物学的および機能的に関連した化合物など、その製薬的に許容できる、薬理学的に活性な類縁体を包含する。本明細書に開示された薬剤またはその誘導体は、必要な場合、すなわち、方法またはアッセイに必要な場合、製薬的に許容できる担体中にある。1回に1種超の薬剤を同時に使用できる。例えば、併用治療は、共に使用される2種または3種または4種またはそれ以上の医薬品を含み得る。
本明細書に用いられる用語「製薬的に許容できる」とは、生物学的または別に望ましくないものではない物質を称し、すなわち、物質は、望ましくない生物学的効果を生じさせることなく、またはそれが含有される組成物の他のいずれの成分とも有害な様式で相互作用することなく、製薬組成物中に組み込むことができる。用語「製薬的に許容できる」が、製薬担体または賦形剤を記述するために用いられる場合、担体または賦形剤は、毒性学的試験および製造試験の必要基準に合致したか、または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分指針に含まれることを意味している。
本明細書に用いられる用語「表現型浮動」とは、表現型可変性を称し、これは、所与の遺伝子型が異なる環境において、形質または形質群に関して異なる状態を発現し得る現象であり、表現型の変動性は、その種の自然の生育地に共通な環境的条件の範囲で、または標準的な培養条件または実験条件下で所与の遺伝子型によって生じる。(A Dictionary of Genetics, 5th edition, King et al., Oxford University Press, NY Oxford, 1997)。表現型浮動はまた、遺伝子変化による細胞形質または形質群の変化も含む。「実質的な表現型浮動」とは、腫瘍細胞に特徴的な1種以上の生化学的マーカー、機能的マーカーまたは物理的マーカーの形質または性質における検出可能な変化;および/または応答の1種以上の分子予測物質における変化を称する。変化は、細胞形状変化の形態計測、および本明細書で説明されている上皮マーカーなど、当業界に知られた任意の検出方法を用いて検出される。線維芽マーカー、悪性マーカー、増殖マーカーの変化もまた、当業界に知られた検出方法を用いて検出できる。
本明細書に用いられる用語「化学療法応答の予測」とは、少なくとも1種の医薬品に接触した腫瘍細胞の応答を分析する任意の方法を称する。分子化学的応答を評価するための方法としては、本明細書に開示された発現アッセイ(マイクロアレイ、PCRベースの技術)および当業者に知られた他のアッセイが挙げられる。本発明の一実施形態において、化学療法応答の評価は、応答の1種以上の予測物質の発現解析を実施することを含む。本発明の他の実施形態において、化学療法応答の評価は、薬剤による処置の前および後に細胞をカウントすることおよび細胞毒性指数(CI)を算出することを含む。
本明細書に用いられる用語「一次培養物」とは、患者の腫瘍細胞から展開させた、最初の二次培養の前の培養物を称する。したがって、一次培養物は、細胞の最初のインビトロ増殖である。本発明は、任意のタイプの動物細胞に使用されるため、本方法をいずれか特定の種からの一次培養物に限定する意図はない。例えば、米国特許第6,528,309号明細書を参照されたい。本発明を、一次培養物に限定する意図はなく、第1の、または引き続く二次培養物を含み得る。
本明細書に用いられる用語「SNP」(単一ヌクレオチド多型)とは、ゲノム配列のうちの単一のヌクレオチド(A、T、CまたはG)が変化している場合に生じるヌクレオチド配列の変化を称する。SNPは、ゲノムのコード(遺伝子)領域および非コード領域の双方で生じ得る。多くのSNPは、細胞の機能に影響を及ぼさないが、他のSNPは、人を癌または疾患に罹りやすくするか、またはある薬剤に対するそれらの応答に影響を及ぼすか、または人を癌または疾患に罹りやすくする座またはある薬剤に対するそれらの応答に影響を及ぼす座に関連している。このような関連は、所与のSNPまたはSNP群に関する関連不均衡マップを生じる操作などの任意の一般に入手できる手段によって判定できる。
本明細書に用いられる用語「染色」とは、細胞の成分および/または特徴の可視化および/または可視化の改善を可能にするために使用される、当業者に知られた任意の数の工程を称する。多くのこのような工程は、公共的に利用でき、当業者に知られており、本明細書に開示されたアッセイ、方法、手段およびシステムにおいて、またはそれらと関連させて任意に使用できる。細胞および/または細胞の特徴の可視化を可能にする多くの染料または他の分子が当業界に知られており、本明細書に開示されたアッセイ、方法、手段およびシステムにおいて、またはそれらと関連させて任意に使用できる。
本明細書に用いられる用語「実質的に腫瘍細胞を遊離させる」とは、外植片の急激な攪拌または運動の際に外植片から遊離した腫瘍細胞の数を称する。このことにより、外植片を急激な攪拌または運動に供さない場合に遊離した数に比較して、外植片から、顕著な数の生存可能な代表的な腫瘍細胞が遊離する。この過程は、組織セグメントからの腫瘍細胞の遊離を増強するために設計された化学物質または酵素の使用によって促進できる。
本明細書に用いられる用語「標的薬剤」とは、腫瘍細胞および非腫瘍細胞の中に、腫瘍細胞および非腫瘍細胞の上に、または腫瘍細胞および非腫瘍細胞の中および上に発現したマーカーを標的化するために設計された薬剤を称する。本明細書に開示された方法の実践において有用な標的薬剤としては、抗体、細胞表面リガンド、核酸などが挙げられる。標的薬剤はまた、培養中のマーカーの変化の追跡のため、および表現型および/または遺伝子型浮動の発生を判定するためにも有用である。多くの標的薬剤が当業者に知られており、本明細書に記載されたアッセイ、方法、手段およびシステムにおいて、またはそれらと関連させて任意に使用される。標的薬剤は、例えば、放射性標識、蛍光分子への結合または検出可能な他の分子への結合によるなど、当業界で知られた任意の方法により、それ自体検出可能であり得る。
I.一般的概要
本明細書に開示された方法の一実施形態において、患者からの組織サンプルを採取し、培養し、患者から得られた培養細胞に対する有効な処置を客観的に同定する目的で、複数の処置および/または治療薬に別個に曝露する。また、本発明の方法の培養法により、インビボでの発現に典型的な様式で細胞マーカー、分泌因子および腫瘍抗原を発現する細胞の単層がもたらされる。また、本発明の培養法により、インビトロでの腫瘍抗原の発現がインビボでの腫瘍抗原の発現に相関しているか、またはそれと同様であるかを確認する目的で、培養された腫瘍細胞による可能な表現型および/または遺伝子型の浮動を検出するために、腫瘍抗原発現または他の腫瘍マーカーをモニタリングすることが可能になる。組織サンプル調製法などの、本明細書に開示された特定の方法により、この方法が理論的に有用であると共に実践的にも有用になる。例えば、米国特許第5,728,541;6,887,680および6,416,967号明細書を参照されたい。
本明細書に開示されたChemoFx Assay(登録商標)は、インビトロで種々の化学療法剤に対する患者由来の腫瘍細胞の応答により腫瘍因子を評価することによって、化学療法に対する患者の応答の予測的演算の使用を含み得る。さらに、演算への宿主因子(遺伝子マーカーまたは表現型マーカー)の組込みにより、その予測能力がさらに増強される。本発明は、患者の腫瘍細胞における、化学療法剤の代謝、薬剤の輸送、細胞アポトーシス、細胞増殖、およびDNA修復に関与している遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルをアッセイすることを含む、少なくとも1種の治療薬に対する患者の腫瘍細胞の化学療法応答を予測する方法を含む。また、本発明は、患者の腫瘍細胞における、化学療法剤の代謝、薬剤の輸送、細胞アポトーシス、細胞増殖、およびDNA修復に関与している遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の少なくとも1つのSNPを検出することを含む、少なくとも1種の治療薬に対する患者の腫瘍細胞の化学療法応答を予測する方法を含む。
II.ChemoFx(登録商標)アッセイ:1型および2型
本明細書に開示された、登録商標を有するChemoFx(登録商標)アッセイは、固形腫瘍由来の上皮細胞の単離、短期成長、および薬剤投与処置を含む。腫瘍部位の外科的「デバルキング」または生検(例えば、減圧補助およびコア生検)または微細針吸引の時点で、外科医、放射線科医、または病理学医により固形腫瘍の断片を得、組織培養培地中に入れる。腫瘍を小片へと刻み、細胞増殖のため、小フラスコまたは他の適切なサイズの培養皿に、細胞培養培地(Lifetech、Gibco BRL)と共に入れる。時間が経つと、細胞は腫瘍片から外へ移動し、容器の底に単層を形成する。十分な細胞がエクスビボ外植片から外へ移動したら、それらをトリプシン処理し、ChemoFx(登録商標)アッセイ(下記の1型および2型)または免疫組織化学(IHC)分析のために、マイクロタイタープレート内に再接種する。
A.1型
ChemoFx(登録商標)アッセイの1型では、培養細胞を1ウェル当たり約100〜500細胞の密度で60ウェルのマイクロタイタープレートに接種し、約24時間、付着および成長をさせる。培養24時間後、細胞を一組の化学療法剤に約2時間曝露する。化学療法剤と共にインキュベーションした最後に、プレートを洗浄して、非接着細胞を除去する。残留細胞を95%エタノールで固定し、DNA介在青色蛍光色素、DAPI、または6−ジアミジノ2−フィリンドールジヒドロクロリド(Molecular Probe、Eugene、オレゴン州、米国)または等価物によって染色する。次いで、オペレーター制御、コンピュータ補助の画像解析システム(Zeiss Axiovision、Thornwood、ニューヨーク州、米国)を用いて、残存細胞をカウントする。次いで、当業界に知られた方法を用いて、細胞毒性指数を算出する。データを細胞毒性指数(CI)としてグラフで示す。次いで、評価された各薬剤または薬剤の組み合わせに関して、用量−応答曲線を作出する。
B.2型
ChemoFx(登録商標)アッセイの2型では、Resource Allocatorと称される、登録商標を有するソフトウェアを利用して、液体処理装置の作業を指示する論理的スクリプトが作出される。しかし、その操作は、適切なソフトウェアと共に、当業界に知られた任意の液体処理装置を用いて実施できる。このソフトウェアは、アッセイの背後の考え方を用い、複数用量薬物処置の各々に関して、約4,000から12,000細胞/mlの細胞懸濁液平板培養および1用量当たり、1〜10反復を用いて、全ての求められた薬剤の試験を提供する上で必要な細胞の数を算出する。一実施形態において、アッセイは、10の用量の薬剤処置の各々に関して、約8,000細胞/mlおよび1用量当たり、3反復を含む。それらの計算が完了した後、Resource Allocatorにより、細胞の平板培養に必要な使い捨てピペットチップ、8列深型ウェルベイスンおよび384ウェルマイクロプレートの量ならびに液体処理装置のステージ上での消耗品の位置が決定される。最後に、Resource Allocatorにより、平板培養前に、8列深型ウェルベイスンにおける細胞の特定の位置、および平板培養後に384ウェルマイクロプレートにおける細胞の特定の位置が決定される。この情報は、結果を容易に解釈するためにプリント可能な様式で提供される。Resource Allocatorによって提供された情報を用いて、約4,000から12,000細胞/mlの濃度で細胞懸濁液が調製され、液体処理装置のステージ上のリザバーベイスンに送達される。次いで、装置により、384ウェルマイクロプレートのウェル内に、約30から50μlの培地中、約200から400の細胞が、約1〜10反復で接種され、その後、細胞をプレートに接着させ、37℃で約24時間増殖させる。一実施形態において、細胞懸濁液は、約8,000細胞/mlの濃度で調製され、液体処理装置により、マイクロプレートのウェル内に、約40μlの培地中、約320の細胞が、3反復で接種される。
全ての細胞懸濁液が適切な384ウェルマイクロプレートに送達された後、Resource Allocatorは再び、平板培養された全ての細胞の処置を提供するために必要な薬剤の数および各々の容量の算出を開始する。ソフトウェアは、薬剤処置の各用量に関して、1反復当たり、約30〜50μlの容量、および必要な薬剤の総容量を算出するためにその特定の処置を要するユニークな細胞系の数を用いる。例えば、一実施形態において、ソフトウェアは、各用量に関して、1反復当たり、約40μlの容量を用いる。各薬剤の必要な容量を決定した後、ソフトウェアにより、薬剤調製に必要な使い捨てピペットチップ、96ウェル深型ウェルプレートおよび培地ベイスンの数が算出される。次いで、Resource Allocatorにより、各薬剤を入れる96ウェル深型ウェルプレート、処置が行われる384ウェルマイクロプレートにおける特定の位置、および全ての消耗品に関するステージ位置が決定される。解釈を容易にするため、これらの結果はResource Allocatorにより、プリント可能な様式で提供される。
細胞プレートのおよそ4〜28時間のインキュベーション後、液体処理装置によって、96ウェル深型ウェルマイクロプレート中、連続希釈により、適切な増殖培地中、各薬剤の10の用量が調製される。薬剤が準備できると、液体処理装置により、30〜50μlの薬剤(2×最終試験濃度)が深型ウェルプレートの適切なウェル内に分配される。処置後、薬剤は、約25〜200時間のインキュベーションのため、細胞上に置くことができ、したがって、それらの調製は増殖培地中で行うことが必要となる。本発明の一実施形態において、薬剤は、48〜96時間のインキュベーションのため、細胞上に置かれる。この時間中、細胞の生存力は、標準的なインキュベーターにより維持される。細胞の画像化の間、それらの生存能力は、BioBoxと称される装置によって維持され、Plate Scannerと称される登録商標を有するソフトウェアを用い、所定の間隔で、可視光画像が撮られる。BioBoxは、顕微鏡のステージ上の加湿インキュベーター環境である。操作ではBioBoxを使用するが、当業界で知られた他の装置を実践に使用できる。温度および気体組成は、37℃および5%COで維持し、それぞれ大気平衡にする。それは、細胞増殖に好適な環境を提供する目的に役立つ一方、周囲大気への限定された曝露が維持され、プレートの汚染可能性が減少する。Plate Scannerは、マイクロタイタープレート内に細胞を受容した各ウェルからの画像の捕捉を自動化する。Plate Scannerは、光のどの波長を使用するかを選択する能力、ならびに光の選択された各波長に関する曝露時間を決定する能力を提供する。さらに、ソフトウェアでは、画像の品質を最適化する目的で、各プレートの物理的形状大きさを決定するために、焦点スタック画像化が用いられる。ソフトウェアは、自動的に光(可視光、UVまたは蛍光)を変化させて、必要な画像を捕捉し、ハードドライブ上に画像を貯蔵する。操作ではPlate Scannerを使用するが、当業界で知られた他の装置およびソフトウェアを実践に使用できる。
25〜200時間のインキュベーション期間の最後に、培地および非接着細胞を除去するために液体処理装置を用いる。次いで、残留細胞を95%エタノール中、少なくとも20分間固定し、引き続き、DNA介在青色蛍光色素、DAPIで染色する。固定および染色後、自動化顕微鏡を用いて、各ウェル内の染色細胞の可視光およびUV画像を撮る。その後、Cell Counterと称する登録商標を有するソフトウェアを用いて、可視光およびUV光の双方において、1ウェル当たりの細胞数を定量化する。
Cell Counterは、各々のユニークな画像を走査し、ピークピクセル強度および背景シグナルより有意に上にある凝集ピクセルを測定することによって、細胞の位置を確認する。ソフトウェアは、背景ノイズからのより良好な細胞の区別を可能にする最小ピクセル強度閾値などの種々のフィルターを提供する。この操作では、Cell Counterを使用するが、当業界で知られた任意の細胞カウント装置を、本明細書に開示された本発明の方法の実践に使用できる。
評価された各薬剤に関して、完全な用量応答曲線を作出する。細胞の分析に、画像分析システムを用いる。ここで、当業者に知られた装置および方法を用いて、プレート内で増殖した細胞を画像化する。
本明細書に開示されたChemoFx(登録商標)アッセイの修飾は、通常の当業界の範囲内にある。当業界に知られた他のアッセイ、方法、操作、手段、材料、薬剤、システム、化合物および装置(例えば、液体処理装置および作動ソフトウェア)の包含は、本明細書に開示された本発明に含まれたアッセイ、方法、手段およびシステムの実践において、任意選択とする。
薬剤アッセイにおいて、アッセイを開始する時間を確認するため、および培養細胞の増殖率を判定するために、細胞の増殖はモニターされ、薬剤添加の順序およびタイミングもまたモニターされ、最適化される。細胞の均一サンプルを多種多様の医薬品(およびそれらの各濃度)に供することにより、最も効果的な薬剤または薬剤の組み合わせが判定できる。
癌治療に関するアッセイでは、所与の抗癌剤(または薬剤の組み合わせ)の急性細胞毒性とより長期の抑制効果の双方を調べる二段階評価が実施できる。したがって、悪性疾患の持続期間を通じて、およびその後の、個々の患者の悪性疾患の同定、追跡および分析のための包括的および統合的なシステムが提供される。悪性疾患の持続期間に、本明細書に開示された1つ以上のアッセイまたは方法を用いて、最初の細胞培養および薬剤の判定、ならびに、本明細書に開示された1つ以上のアッセイまたは方法を用いて、化学療法抵抗性細胞の培養および悪性疾患の進行に影響を及ぼす上で有効な薬剤の判定を扱うものとする。
多くの理由から、本明細書に開示されたアッセイ、方法、手段およびシステムの商業的可能性はかなりあるが、最も注目すべきは、それによって、用量応答情報を生み出すために必要な貴重な患者の細胞数を最少化され、システムではデータ発生用に、使用者の介入の必要がきわめて少ないほとんど自動化されたシステムが任意に用いられ、および本明細書に開示されたアッセイから生み出されたデータが、患者の用量応答情報を生み出すためにソフトウェアパッケージとともに使用できるという理由による。
本明細書に用いられる「癌」としては、限定はしないが、ACTH産生腫瘍、急性リンパ急性白血病、急性非リンパ急性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、頚部癌、慢性リンパ急性白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮体癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、毛様細胞性白血病、頭頚部、ホジキンリンパ腫、腎癌、肝癌、悪性腹膜浸出液、悪性胸水、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、陰茎癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、膣癌、外陰部癌、ウィルムス腫瘍および悪性疾患が挙げられる。また、用語「腫瘍」または「腫瘍細胞」には、固形腫瘍細胞、軟組織腫瘍細胞、転移性腫瘍細胞、白血病性腫瘍細胞、およびリンパ球系腫瘍細胞が含まれる。癌は、線維肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管−内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、平滑筋肉腫または横紋筋肉腫、上皮癌、膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、またはカポジ肉腫であり得る。例えば、米国特許第6,884,907号明細書を参照されたい。
III.細胞培養法
腫瘍が存在しているために患者を治療する場合、当該方法の好ましい実施形態において、非壊死性、非汚染組織の腫瘍生検材料を約15mgまたはそれ以上、当業界に知られた任意の好適な生検または外科的操作によって患者から採取する。例えば、約15mg、約20mg、約25mg、約30mgまたは約35mgまたはそれ以上の腫瘍生検材料を使用できる。本発明の一実施形態において、生検サンプルは約25mgまたはそれ以上である。他の実施形態において、生検サンプルは、少なくとも約15mgから約35mgである。腫瘍サンプルの処理は、一般に、Laminar Flow Hoodの下で、以下のとおり進められる。サンプル調製を開始する前に、試薬用エタノールを用いて、フードの表面を隅々まで拭く。次いで滅菌条件下、滅菌ピンセットを用いて、輸送容器から腫瘍を取り出し、滅菌ペトリ皿内に置き、それを、鋏様の動きで2つの滅菌メス、または機械的に等価な手動、または自動化対向切歯刃を用いて、規則正しく切り刻む。技法により、得られた腫瘍多細胞粒子上に平滑な切断端が作り出されるため、この交差切断は重要であるが、必ずしも必要ではない。一実施形態において、外腫瘍粒子は、0.25mmから1.5mmの大きさである。例えば、腫瘍粒子は、約0.25mm、0.30mm、0.40mm、0.50mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.80mm、0.90mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.25mm、1.30mm、1.40mm、または1.50mmの大きさであり得る。腫瘍粒子は各々、およそ1mmの大きさであることが好ましいが、必ずしもその必要はない。
一実施形態において、次に、腫瘍外植片粒子から腫瘍細胞を実質的に遊離させるまで粒子を攪拌する。このような攪拌は、腫瘍細胞の平板培養の増強を可能にする任意の機械的手段を含み、限定はしないが、外植片の振とう、回旋、または急速擾乱が挙げられる。これらの操作は、例えば、容器を固体物に急激に打ちつけることにより、または機械的攪拌の使用により、手動で行い得る。例えば、標準的な渦ミキサーが使用できる。この攪拌ステップにより、典型的に、接着腫瘍細胞の数が、約12〜48時間またはそれ以上のインキュベーション後、非攪拌反復サンプルに比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%(およびそれらの間の任意のパーセンテージを含む)またはそれ以上増加する。腫瘍外植片からの腫瘍細胞の遊離を促進するために、化学物質または酵素が使用できる。本明細書に開示された操作の実践における任意のステップとして、限定はしないが、コラゲナーゼ、DNアーゼまたはディスパーゼを含み得る酵素による酵素的攪拌もまた挙げられる。
各腫瘍を約1mm以下の粒子に切り刻んだ後、粒子を滅菌パスツールまたは血清ピペットを用いて培養フラスコ内で平板培養する(1個のT−25フラスコ当たりおよそ9つの外植片、または1個のT−75フラスコ当たり20の粒子)。次いで、各フラスコに、患者コード、外植の日付および任意の他の識別データを標識する。外植片は、フラスコの底面全体にわたって均一に分散させる必要があり、37℃のインキュベーター内で5〜10分間、最初の反転インキュベーション、引き続いて、約5〜10mlの滅菌増殖培地を添加して、定位の非反転位で、さらにインキュベーションを行う。フラスコを、37℃、5%COのインキュベーター内に置く。フラスコは、増殖および汚染に関して毎日チェックする必要がある。約5mlの増殖培地を毎週、除去交換しながら、およそ数日から数週間の期間にわたって、外植片は単層へと細胞の増殖を促進する。
他の実施形態において、粒子を切り刻み、1つ以上の標識フラスコに移した後、腫瘍外植片を、コラゲナーゼIIおよびDNアーゼを含有するカクテルに曝露する。本発明の一態様において、カクテルは、0.25%のコラゲナーゼIIおよび0.001%のDNアーゼを含有する。本発明の他の態様において、カクテルは、約0.025%のコラゲナーゼIIおよび0.001%のDNアーゼを含有する。
コラゲナーゼおよびDNアーゼの量は、本明細書に記載された所望の有益結果を達成するために変化させることができ、例えば、酵素濃度としては、約0.010%のコラゲナーゼから約0.60%のコラゲナーゼならびに約0.0007%のDNアーゼから約0.005%のDNアーゼが挙げられる。本発明の方法に必要なコラゲナーゼIIの量は、DNアーゼと関連させて用いた場合、腫瘍外植片のサイズを減少させる上で必要な量、または本明細書で説明された有利な結果を提供する上で必要な量である。例えば、腫瘍外植片を曝露させるコラゲナーゼIIとDNアーゼの溶液は、約0.010%以下のコラゲナーゼII、約0.025%以下のコラゲナーゼII、約0.050%以下のコラゲナーゼII、約0.075%以下のコラゲナーゼII、約0.10%以下のコラゲナーゼII、約0.15%以下のコラゲナーゼII、約0.20%以下のコラゲナーゼII、約0.25%以下のコラゲナーゼII、約0.30%のコラゲナーゼII、約0.35%のコラゲナーゼII、約0.40%のコラゲナーゼII、約0.45%のコラゲナーゼII、約0.50%のコラゲナーゼIIまたは約0.60%以上のコラゲナーゼII(または約0.15%から0.6%の最終濃度)を含有し得る。一実施形態において、コラゲナーゼIIとDNアーゼの溶液は、約0.30%未満のコラゲナーゼII、約35%未満のコラゲナーゼII、約40%未満のコラゲナーゼII、約45%未満のコラゲナーゼIIまたは約50%未満のコラゲナーゼIIを含有する。例えば、卵巣腫瘍組織サンプルの処理には、約0.25%のコラゲナーゼおよび0.001%のDNアーゼが使用でき、結腸直腸腫瘍組織サンプルの処理には、約0.025%のコラゲナーゼおよび0.001%のDNアーゼが使用できる。コラゲナーゼとDNアーゼの溶液の使用を記述する場合、用語「カクテル」、「溶液」および「組成物」は、本明細書において同義的に用いられる。本明細書に用いられる「コラゲナーゼ」および「コラゲナーゼII」は同義的に用いられる。
本発明の方法に必要なDNアーゼの量は、コラゲナーゼIIと関連させて用いた場合、腫瘍外植片のサイズを減少させる上で必要な量、または本明細書に記載された有利な結果を提供する上で必要な量である。例えば、コラゲナーゼIIとDNアーゼの溶液は、約0.0007%以下のDNアーゼ、約0.0008%のDNアーゼ、約0.0009%のDNアーゼ、約0.001%のDNアーゼ、約0.002%のDNアーゼ、約0.003%のDNアーゼ、約0.004%のDNアーゼ、または約0.005%以上のDNアーゼ(または約0.0007%から0.005%の最終濃度)を含有し得る。
コラゲナーゼIIとDNアーゼの溶液は、細胞培養培地に希釈したコラゲナーゼIIおよびDNアーゼを含み得る。本発明の一実施形態において、コラゲナーゼIIおよびDNアーゼは、Ca2+およびMg2+と共に、またはそれらなしで、ハンクス液(HBSS)培地に希釈する。コラゲナーゼIIおよびDNアーゼを希釈するために、種々のタイプの組織培養培地を使用できることは、当業者ならば分かるであろう。例えば、増殖培地ではないHBSSなどの細胞培養培地が使用できる。逆に、培養培地を使用できる。また、細胞型が、使用される培地のタイプに影響を及ぼし得るか、または指示し得る。
本発明のコラゲナーゼIIとDNアーゼとのカクテルは、微生物汚染の可能性を減少させる化合物を任意に含有し得る。例えば、組成物は、限定はしないが、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシンおよびペニシリンなどの1種以上の抗生物質を含有し得る。組成物はまた、限定はしないが、ナイスタチンおよびアムホテリシンBなどの1種以上の殺真菌剤を含有し得る。
コラゲナーゼIIとDNアーゼとのカクテルによって処理された腫瘍外植片は、細胞型にとって適切な条件下でインキュベートできる。例えば、コラゲナーゼIIとDNアーゼとのカクテルによって、約3分間、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、または約1時間以上、組織外植片をインキュベートすることによって、処置の効果を増強させることができる。静かな攪拌と合わせてインキュベーションすることにより、処置された組織外植片からの細胞の遊離が増大する。インキュベーションの間、シェイカー上で静かに細胞を振とうすることにより、細胞を機械的に攪拌できる。
コラゲナーゼIIおよびDNアーゼによる腫瘍外植片の処置後、外植片は、酵素を除去するために、1回以上洗浄することが好ましい。細胞は、外植片に細胞培養培地を加え、外植片を遠心分離して生じた上澄み液を除去することなど、当業界に知られた方法によって洗浄できる。コラゲナーゼIIおよびDNアーゼを除去するために、細胞を2回または3回洗浄することが必要であり得る。
上記操作の両方を用いて細胞単層を形成することにより、組織サンプルからの悪性細胞の増殖が最大化され、試験する種々の薬剤の化学療法作用の組織培養アッセイ続行が最適化される。
A.一次培養
患者の悪性疾患からの一次培養物が確立されたら、一次培養物を、ある治療法による悪性疾患欠如の処置増殖を示すものとして、通常の供給以外は処置をせずに維持できる。一次培養物の細胞が引き続く任意の試験または処置によって影響されないように、一次培養物から二次培養物が調製される。一次培養物は無処置で置かれることが好ましいが、一次培養物またはその二次培養物のいずれかを、参照培養物として増殖させることができる。参照培養物は、患者の実際の治療法を反映する1種以上の薬剤で処置される培養物である。例えば、患者がある医薬品で処置される場合、参照培養物は同一濃度の同一薬剤で処置される。参照培養物は、患者における悪性疾患の実際の進行を反映させるために、応答の分子予測物質またはマーカーを用いて、遺伝子型または表現型に関してモニターできる。参照培養物の処置は抗癌療法に限定される必要はないが、患者の処置の全てを反映することができる。例えば、限定はしないが、血栓溶解剤または抗血栓形成処置を参照培養物に適用して、患者の処置を反映させることができる。
一次培養物または参照培養物の二次培養物を、さらなる分析に使用することができる。参照培養物は、悪性疾患患者の現在の状態の指標であるため、参照培養物の二次培養物を分析することが好ましい。対照培養物および参照培養物の継代における種々の時点で、それらの培養物からの細胞のアリコートを、冷凍で、または他の方法で保存できる。
B.組織外植片
相当数の非標的細胞の外植片からの出現前に、外植片を除去すると、対象となっている腫瘍細胞集団が豊富な細胞の単層が生じる。例えば、培養腫瘍組織外植片から、順序正しい様式で細胞が単層として現れ、先ず、腫瘍細胞が現れてから、間質性細胞集団が現れることが発見された。腫瘍細胞外植片が培養物中に残留するならば、間質性細胞は、培養物中の腫瘍細胞より優勢であることが判明した。これによって、非標的間質性細胞に富み、インビボ細胞集団を反映しない培養物が作出される。したがって、腫瘍細胞培養において、外植片から相当数の間質性細胞が現れる前に、外植片は増殖培地から除去される。外植片をその培養培地から除去する時間は、培養されている細胞の型、種々の細胞型の出現率および得られる細胞培養物単層の所望の純度に依存する。これは、所与の細胞型に関して経験的に決定できる。腫瘍細胞の場合、多細胞組織外植片は、細胞培養物単層が約10から約50パーセント(またはそれ以上)の集密度の時に除去されることが好ましい。当該方法の一態様において、多細胞組織外植片は、約15から約25パーセントの集密度で除去される。当該方法の他の態様において、外植片は、約20パーセントの集密度で除去される。集密度パーセントは、細胞によって占有された面積を視野の総面積で除算した概算値である。
培養物中の表現型および/または遺伝子型の浮動を最小化する1つの方法は、細胞の継代を制限し、臨床数に到達する最も早い時点で細胞を試験することである。一次培養が不首尾に終わった場合のレスキュー法として、時には、外植片を他の培養物中に「再移植」する。
C.細胞生存度の判定方法
実際の腫瘍細胞の増殖増強は、本発明の態様の1つにすぎない。増殖率モニタリングシステムもまた、いったん形成された単層の増殖を監視するために使用できる。一次培養およびそれから誘導された二次単層組織培養が開始されたら、化学療法アッセイを開始する時間を確認するため、また、培養細胞の増殖率を判定するために、細胞の増殖をモニターする。
細胞増殖のモニタリングは、細胞を死なせたり染色したりせず、また、培養フラスコからいずれの細胞を除去することもなく、定期をベースに、単層内の細胞をカウントすることによって行われる。カウントは、当業界に知られた概算法(例えば、グリッドの代表的な領域をカウントしてグリッド領域数を掛け算する)と共に、またはそれなしで、目視で、または自動化法により実施できる。次いで、患者の同一インビボ細胞の増殖率に対応する場合もしない場合もあり得る増殖率を判定するために、定期的カウントのデータを用いる。例えば、増殖率サイクルが文書化されれば、一定の活性剤の投与を患者に対してカスタマイズできる。このような方法は、本明細書に開示された本発明に含まれる方法の実践に任意に含まれるが、単層がそれらのフラスコ内で増殖する間に増殖率の判定が行われることで、本発明の方法は、血球計算、フローサイトメトリーも、また顕微鏡スライドおよび染色の使用も必要とせず、それら全てが同時の作業とコストで行われることを認識する必要がある。
単層増殖率に関するプロトコルは一般的に、位相差倒立顕微鏡を用いて、加湿した37℃(5%CO)のインキュベーター内でインキュベートされた培養フラスコを調べる。フラスコが、位相差倒立顕微鏡下に置かれる場合、10×対物レンズを用い、10の視野を近接させないか、互いにかなり離し、その結果、それら10の視野がフラスコ全体の代表的なサンプリングになるという条件で、10の視野(フラスコに固有のグリッド上の領域)を調べる。調べられた各視野に関する細胞占有パーセンテージに注目し、次いで、これらのパーセンテージを平均化することにより、この細胞培養物における全体的な集密度パーセントの推定値が提供される。患者サンプルを2つまたは3つ以上の(細胞生存度をモニターする)フラスコ間で分割する場合、合計の患者サンプルに関する平均細胞カウントを算出する必要がある。
算出された平均集密度パーセントをプロセスログに入れ、データの編集、および経時的な増殖曲線のプロットを可能にする必要がある。細胞の形態および培養増殖パターンを記録するために、単層培養物を写真撮影できる。例えば、米国特許第5,728,541;6,887,680および6,416,967号明細書ならびに米国特許出願第09/040,161;09/039,957;09/095,993;09/691,492および60/616,851号を参照されたい。
D.隔離部位
スクリーニング目的で用いられる化学療法感受性アッセイの性能は、反復可能な細胞数をプレートおよび/または一連のプレートの各列に送達する能力、ならびに所与のウェル全体に細胞の均一な分散を達成する能力に依存する。細胞がフラスコからマイクロタイタープレートに反復可能に移され、細胞が各ウェルの表面全体に均一に分散されることは、以下の操作により確実になる。
マイクロタイタープレートを調製する第1のステップは、上記のとおり、単層を調製しモニタリングすることである。以下のプロトコルは、代表的なものであり(本明細書におけるプロトコルは全て代表的なもの)、変型は当業者には明らかである。マイクロタイタープレートを用い、細胞を平板培養する他の方法は、公共的に入手でき、当業者によく知られており、本明細書に開示されたアッセイ、方法、手段およびシステムの実践において、またはそれらと関連させて、任意選択で使用することが意図されている。
細胞を培養フラスコから取り出し、遠心分離により細胞ペレットを調製する。次いで、単層から誘導された細胞ペレットを5mlの増殖培地中に懸濁し、円錐管中で、6秒から10秒間ボルテックスで混合する。次いで、管を、前後に10回振る。円錐管の中心から30μlの小滴を、96ウェルプレートの1つのウェルにピペットで移す。次に、新しいピペットを用いて、トリパンブルー溶液の30μlアリコートをピペットで移し、これを同じウェルに加え、ピペット吸引を繰り返すことによってそれら2種の小滴を混合する。次いで、得られた混合物を、標準的な光学顕微鏡を用いる検査のために、血球計数器の2つのチャンバーに分割する。4つの血球計数器コドラントのうちの2つにおいて、10×倍率の下、細胞をカウントする。トリパンブルー色素を吸収しなかった細胞のみをカウントする。この処理を第2の計数チャンバーで繰り返す。このようにして、チャンバー1つ当たりの平均細胞カウントが判定される。当業界に知られた手段を用いて、コドラントカウント値をチェックし、対数化し、10を掛けて細胞/mlを与え、それに従って、残りの細胞アリコートを懸濁する上で必要な液体(増殖培地)の総量を算出する。
培地中の所望の細胞濃度を決定した後、得られた細胞溶液を深型ウェルプレートのチャネルに入れる。自動液体処理システムにより、384ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに細胞溶液の適切な量が送達される。1種の細胞懸濁液から、必要ならば、複数のプレートを調製できる。
マイクロタイタープレートを調製した後、マイクロタイタープレート内の細胞を、以下の代表的なプロトコルに従って、1種以上の医薬品に曝露させる。アッセイのこの部分の間に、特定の1種以上の医薬品の適切な量を、自動液体処理装置を用いて調製されたマイクロタイタープレート内に移す。
使用できる一般的プロトコルは以下のとおりである。各マイクロタイタープレートを、細胞接着に関して顕微鏡で検査する。対照溶液をマイクロタイタープレートのグリッド内のウェルの線引きされた列に分配し、残りの列における残りのウェルに、試験する活性剤の適切なアリコートを加える。通常、試験中の活性剤の連続的に増加する濃度が、プレートの、漸進的に数のより大きくなる列に投与される。次いで、プレートを、5%CO下、37℃の加湿インキュベーター内でインキュベートする。所定の曝露時間後、プレートを、評価のために、固定し、染色する。
E.使用されるウェルまたは培養プレートのタイプ
384の等価ウェルを含むアッセイには、標準的な組織培養プレートが利用できる。各ウェルがおよそ120μlの溶液を保持できる。当業者であれば分かることだが、種々のサイズの組織培養プレートを使用できる。例えば、80μlだけを保持するように、ウェルのサイズを小さくできる。一実施形態において、プレートは成型プラスチックから作製される。標準的なカバースリップ厚のガラス底プレートを使用できる。このような場合、ガラス底プレートは、コラーゲン、ビトロゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックス材料の薄層で予備処理できる。
IV.処置プロトコル
試験する各薬剤に関し、アッセイに使用される最初の10の濃度の用量範囲を決定する(下記を参照)。患者由来の腫瘍細胞を、指示された用量の指示された1種以上の薬剤により、約25時間から200時間の期間処置する。一実施形態において、処置期間は72時間である。しかし、試験薬剤は、より短い、またはより長い期間を指示できる。例えば、生物学的薬剤は、伝統的な医薬品よりも長い処置期間を必要とし得る。
用量10(試験される最高用量)から開始して、同一等級の連続希釈を繰り返して、用量9から用量1までを作出する。希釈液は、腫瘍のタイプおよび試験中の薬剤にとって適切な培地タイプまたは平衡溶液中に調製される。用量1〜2で0%の細胞死が明らかであり、用量9〜10で最高の細胞死が明らかであるように、最初の用量を調整できる。各薬剤に関して、1種以上の適切な腫瘍タイプの少なくとも15人の患者に由来する腫瘍細胞で用量を検証することが好ましい。
単独薬剤として試験されるいくつかの薬剤に関する25時間から200時間の投与濃度を確立した後、併用処置で扱う新規方法を開発した。開発された25時間から200時間の併用薬剤投与は、多数の組み合わせ(2、3または4種の薬剤の併用)に関して一貫性があり、柔軟性がある。本質的には、併用される各薬剤の最高用量を混合して、単独薬剤として試験された場合の各薬剤と同じ濃度を生じさせ、薬剤に関する10の用量レベルを与えるように連続希釈系を作出する。
免疫療法および/または放射線処置および/または化学療法の併用もまた、1種以上の化学療法剤に耐性である腫瘍の治療に有用である。化学療法単独では、癌細胞が、広範囲の構造的に関連のない化学療法剤に耐性になることが多いという点で限界がある。「多剤耐性」(MDR)と称されるこのような耐性は、癌に罹っている患者の治療においては珍しい問題ではなく、MDRの原因となる機序を理解するために相当な努力が払われてきたが、その理解は耐薬品性の癌細胞根絶に対する期待を未だ満足させていない。
単独での、または放射線療法と併用される免疫療法もまた、癌細胞の抑制または根絶のための方法として研究されてきた。このような方法は、腫瘍が1種以上の化学療法剤に耐薬品性である患者の治療に有用である。単独での、または放射線療法と併用され、本明細書に記載されたアッセイ、方法および手段に関連させた免疫療法は、腫瘍が耐薬品性である患者での使用に好適である。
V.用量レベルの調製および決定
当業者は、先述のアッセイまたは類似したアッセイに使用するための併用における個々の医薬品の適切な量を選択できる。選択された量が、薬剤/化合物の特定の併用に関して「有効量」であるかどうかを決定するために、化学療法剤の代謝、薬剤の輸送、細胞のアポトーシス、細胞増殖、DNA修復または他の生物学的活性(遺伝子発現を含む)における変化が用いられる。
投与方法もまた、有効量を構成するものに影響を与え得る。さらに、いくつかに分割した用量、ならびに交互交替用量を、毎日順次にマイクロタイタープレートに投与でき、もしくは、治療状況の緊急性により、用量を指示されたとおりに比例的に増加または減少させることができる。例えば、米国特許第6,599,912号明細書を参照されたい。他の実施形態においては、第1の薬剤および第2の薬剤を細胞に同時に、または時間を重複させて投与し;第1の薬剤および第2の薬剤を異なる時間に投与し;第1の薬剤を先ず投与してから第2の薬剤を引き続いて投与し;第2の薬剤を先ず投与してから第1の薬剤を引き続いて投与する。
薬剤の用量は最初、インビボで腫瘍の周囲の細胞外体液に存在すると判定された薬剤の濃度(情報は文献から引用されている)および/または類似のインビトロモデルにおいて抗癌効果を誘発すると報告された薬剤の濃度範囲に基づいて決定される。1種以上の薬剤の使用が指示されたら、初期用量が決定され、希釈範囲が最初に決定された用量の範囲を含み、かつ、0%および最大細胞死を含むレベルまでを生じさせる用量レベルを含むように、各薬剤から一連の希釈物が調製される。このようにして、各薬剤の上の濃度および下の濃度が決定される。この方法は、耐薬品性の細胞、ならびに化学療法剤感受性に関して未試験の細胞に用いられる。
本明細書に開示された方法およびアッセイの一実施形態において、最低用量が細胞生存に最小の効果を有し、最高用量が細胞生存に中等度から強度の効果を有した用量レベルで、薬剤が用いられる。他の実施形態において、本方法はさらに、同一の、または異なる薬剤の反復投与量を含む。治療適用において、本明細書の方法に用いられる薬剤の投与量は、選択投与量に影響する他の要因の中でも、薬剤および受容患者の臨床的状態、ならびに療法を行っている臨床医または開業医の経験および判断に依って変わる。一般に、腫瘍細胞の増殖を緩徐化、好ましくは、退縮をもたらし、また、好ましくは、インビトロおよびインビボで癌の完全な退縮をもたらす上で、用量は十分である必要がある。一実施形態において、医薬品の有効量は、インビトロで腫瘍細胞の客観的に確認できる緩徐化、または死滅または退縮を提供する量である。例えば、米国特許第6,875,745号明細書を参照されたい。
本明細書に開示された本発明に含まれるアッセイ法の一実施形態において、アッセイする細胞は、上記のプロトコルに従って、マイクロタイタープレートで増殖させ、化学療法剤に対するそれらの受容性に関してアッセイする。マイクロタイタープレートを光学式スキャナー上で読取り、スキャナーからのデータを治療的指標の算出のためにコンピュータへ自動的に送出する。アッセイに依っては、他のタイプのスキャナーを利用できる。例えば、アッセイがRIAアッセイの場合は、RIAデータ読取り用のスキャナーが提供されるであろう。
VI.表現型および遺伝子型の浮動
患者の細胞が組織のインサイチュ位置から取り出されてインビトロ培養される場合、細胞は、表現型および遺伝子型の浮動に供される。すなわち、それらは、時には、遺伝子発現の変化、または変異遺伝子の発現の結果、それらの元の組織または器官のいくつかの特徴をうちの形態的特徴(および構成部分)のいくつかを失い始めることが認められている。この不安定性は、培養条件の変化、集団における一部の細胞の選択的増殖、および遺伝子変化の結果である。細胞集団が経時的にできるだけ安定のままであるように、培養物を標準化することが重要であるため、外植片および細胞培養物の原液は保存されることが多い。細胞の保存は、培養物における遺伝子型および表現型の浮動を最少化し、老化を回避することに役立ち、汚染を防ぎ、「作業」培養物が汚染されたり、変化したり、他に使用できなくなった場合に原培養物を提供する。例えば、米国特許第5,587,297号明細書および米国特許第6,528,309号明細書を参照されたい。
本発明の一実施形態において、接着細胞は、固定および染色の前に分析される。このような分析としては、限定はしないが、残留接着細胞を追加の薬剤により処置して、化学療法剤の第2の集団に対する応答を判定することが挙げられる。このような分析としては、限定はしないが、細胞生存度、膜の完全性、細胞シグナル伝達経路、アポトーシス、多剤耐性(MDR)能力などを測定するための種々の生体染色を挙げることができる。このような分析としては、限定はしないが、遺伝子発現またはゲノム変異に関する遺伝子型分析、表面タンパク質の発現などの表現型分析、細胞生存度、免疫組織化学的分析および病理学的分析を挙げることができる。上記のような接着細胞の分析に引き続いて、2型アッセイ法に記載したとおり、カウント/分析のために、細胞を固定し、染色する。
A.表現型の変化
表現型の変化は、公共的に利用でき、当業者に周知の技法および方法を用いて、種々の仕方でモニターされる。本発明に含まれる一態様において、表現型アッセイは、培養条件への応答を評価するために使用され、また、化学療法剤に対する受容性および/または耐性を評価するために、および、表現型浮動発生の指標としても使用できる。表現型アッセイは、培養細胞を用いてインビトロで実施される。表現型アッセイはまた、組織サンプル中に見られる他の細胞からの腫瘍細胞の同定および分離、ならびに化学療法および/または放射線照射処置および/または免疫療法処置に対して応答する腫瘍細胞のモニタリングを可能にする。例えば、倍増速度の測定、増殖アッセイ、細胞分裂停止、細胞死、細胞接着、遺伝子発現、細胞運動性、細胞侵襲性のモニタリングなど、当業界で知られた方法を用いて、生きた腫瘍細胞の直接的な測定およびモニタリングが実施される。また、直接的測定としては、アポトーシス、老化および壊死の測定およびモニタリングに関するアッセイなどの公知のアッセイが挙げられる。また、表現型アッセイでは、応答の分子予測物質における変化も測定できる。
一次培養およびそれから誘導された二次単層組織培養を開始したら、細胞の増殖をモニターし、単層の増殖を監視して、表現型アッセイを開始する時間を確認する。表現型アッセイの前に、細胞を死滅させたり染色したりせずに、また、培養フラスコからいずれの細胞を取り出すことなく、定期的に、フラスコの肉視モニタリングにより、細胞増殖のモニタリングを実施できる。次いで、当業者に知られた方法を用い、定期的なカウントまたは測定からのデータを使用して、増殖速度または細胞運動性をそれぞれ判定する。
本発明の一実施形態は、化学療法剤が細胞増殖に影響を及ぼしているかどうかを評価する表現型アッセイを考慮している。例えば、位相差倒立顕微鏡を用いて、単層増殖速度をモニターする。多細胞組織外植片の初期培養後、所定の時点で、増殖培地から組織外植片を取り出す。本発明の一実施形態において、所定の時点は、腫瘍検体の解離、すなわち、攪拌の1日から40日後である。他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍検体の解離の6日から30日後、または6日から28日後である。他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍検体の解離の7日から21日後、または7日から15日後である。さらに他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍検体の解離の7日から10日後である。
増殖培地から組織外植片を取り出す所定の時点は、組織外植片の初期培養、すなわち細胞培養単層の調製の時間から算出することもできる。本発明の一実施形態において、所定の時点は、腫瘍外植片の初期培養の1日から40日後である。他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍外植片の初期培養の6日から30日後、または6日から28日後である。他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍外植片の初期培養の7日から21日後、または7日から15日後である。さらに他の実施形態において、所定の時点は、腫瘍外植片の初期培養の7日から10日後である。
本明細書に開示された方法の一実施形態において、外植片から相当数の間質性細胞が出現する前に、外植片を増殖培地から取り出す。あるいは、外植片は、細胞培養物の集密度パーセントに従って取り出すことができる。本明細書に開示された方法の他の実施形態において、外植片は、約10%から約50%の集密度で取り出される。さらに別の実施形態において、外植片は、約15%から約25%の集密度で取り出される。他の実施形態において、外植片は、約20%の集密度で取り出される。上記の様式のいずれかにおいて外植片を取り出すことにより、主に腫瘍細胞からなる細胞培養単層が生じる。
他の実施形態において、表現型アッセイにより、化学療法剤が細胞の運動性に影響を及ぼすかどうかが評価される。細胞運動性を測定する方法は、当業者に知られており、細胞運動性を評価するための任意の方法が、本明細書に開示されたアッセイおよび方法と関連させて任意に用いられる。一般に、これらの方法により、経時的に細胞の位置の変化がモニターし記録される。このような方法の例としては、限定はしないが、ビデオ顕微鏡、光学式運動スキャニング(例えば、米国特許第6,238,874号明細書を参照)およびインピーダンスアッセイが挙げられる。一実施形態において、細胞運動性アッセイは、本明細書に記載された腫瘍細胞の単層培養物を用いて実施される。
本発明に含まれる重要な一態様は、組織サンプルに特徴的な受容体、分泌因子、または腫瘍抗原などの抗原などの発現または非発現の細胞マーカーに関して、個々の患者からの特定の組織サンプルをスクリーニングするシステムを提供することである。例えば、患者からの腫瘍サンプルを採取し、上記のとおり、単層培養物中で増殖させる。培養培地の中で、培養物またはその二次培養物が、分泌された腫瘍抗原などの一定の因子の存在または不在に関してアッセイされる。これらの因子は、放射免疫アッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの標準的アッセイの使用によって検出できるが、当業者に知られた他のアッセイも、可溶性因子を検出および/または定量化するために使用できる。
また、この様式で増殖させた細胞培養物は、細胞または膜に結合したマーカーの同定または定量化のために、組織化学的に、および/または免疫組織化学的にアッセイできる。このようなマーカーの例としては、限定はしないが、本明細書に記載された、応答の少なくとも1種の分子予測物質が挙げられる。このような因子、マーカーまたは抗原の産生に関して、この様式で腫瘍サンプルをスクリーニングすることによって、培養細胞を、さらに同定し、モニターすることができ、治療法において、また、予後の指標として医師を助けることになる。さらに、培養法の使用と本明細書に記載されたマーカー、因子または抗原に関するアッセイとを組み合わせることによって、癌に対する治療法または疾患状態を最適化でき、治療の進行をモニターすることができる。細胞のハイスループット表現型分析は、市販の自動化処理によって達成できる。
B.遺伝子型の変化
遺伝子学は、遺伝子、それらの組成およびそれらの発現パターンの学問として定義される。したがって、遺伝子分析は、DNA変異などの遺伝子変異性または単一ヌクレオチド多型(SNP)、ならびにRNAレベルにおける遺伝子発現の変化を包含する。より具体的には、薬剤遺伝子学は、薬剤応答に及ぼす遺伝子変異性の効果を包含する。比較的新しい実践法ではあるが、薬剤遺伝子学は、高血圧、喘息および癌などの種々の疾患タイプに罹っている患者に適用することができる。癌の薬剤遺伝子学の場合、化学物質応答性に影響を及ぼし得る、例えば、薬剤の代謝、吸収、溶出、活性化および解毒に関与する経路、ならびに標的遺伝子発現およびDNA修復機序などの種々の分子要因がある。したがって、化学療法に対する応答には、複数の遺伝子が役割を果たしており、薬剤経路の遺伝子内での遺伝子変化は、薬剤の効果に対する臨床的耐性に関連していることが多い。これらの遺伝子変化は、SNPおよび/または遺伝子発現の変化として検出されることが多い。
臨床設定において、癌薬剤遺伝子学の目標は、所与の化学療法剤に対する個々の患者の応答の「予測物質」を開発することである。予測物質は、最も一般的には、SNPのサブセット(一般に60未満)および/または化学療法に対する患者の応答に関連している遺伝子の腫瘍発現の形態である。生命情報科学の見通しから、予測物質の可能性のある要素は種々の方法で得ることができる。
先ず、「発見」アプローチでは、できるだけ多くのSNPおよび/またはヒトゲノム内の遺伝子が考慮に入れられる。ヒトゲノムプロジェクトの出現により、30,000以上のヒトゲノムを含む予め製造されたマイクロアレイが入手でき;さらに、「SNPチップ」もまた入手できるため、発見アプローチが可能になった。
あるいは、「候補」遺伝子アプローチを採用できる。この場合、文献における生物学ベースの発見および/または科学者の直観に基づいて、特定の遺伝子が選択され;次いで、これらの候補遺伝子の発現を、RT−PCRなどのより定量的方法を用いて分析することができる。しかし、定量的または定性的に遺伝子を分析するための当業界に知られた任意の方法が、本発明に含まれる方法の実践に任意に用いられる。
最後に、開始する遺伝子を同定するための出発点として遺伝子クラス(例えば、細胞周期遺伝子、アポトーシス遺伝子、細胞増殖遺伝子、薬剤輸送遺伝子および薬剤代謝遺伝子)が使用できる先の2つのアプローチの「ハイブリッド」が利用できる。患者の応答の最も予測的な遺伝子を決定するために、マイクロアレイまたはRT−PCRを使用できる。
患者からの細胞が、化学療法剤に対する耐性に関連した遺伝子的特徴を含んでいるかどうかを判定するために、遺伝子型アッセイが実施される。遺伝子型アッセイによって、表現型アッセイでは見られない化学療法剤に対する潜在性の耐性が明らかになる。遺伝子型アッセイでは、例えば、薬剤代謝、薬剤輸送、細胞増殖、アポトーシス、DNA修復、毒性作用、細胞侵襲性および細胞外マトリックス形成などの特徴が測定できる。
さらに、アッセイは、腫瘍細胞内の核酸および/または多型(SNP)の存在の評価を含む。腫瘍細胞の核酸を評価する方法は、多数あり、限定はしないが、ハイブリダイゼーション試験(例えば、サザンブロットおよびノーザンブロット)、核酸の配列決定、フィンガープリント法(例えば、制限断片長多型)およびPCRベースのプロトコルが挙げられ、これらは本質的に定量的および/または定性的であり得る。これらのプロトコルは伝統的な様式で、すなわち、ゲル上で結果物を操作することにより、または当業界に知られたより新しい方法により実施できる。より新しい方法は、伝統的なプロトコルの小型化および多重化を含み得、核酸マイクロアレイおよびこのようなマイクロアレイと関連させて実施できる種々の適用、例えば、DNA:DNAハイブリダイゼーションまたはDNA:RNAハイブリダイゼーションおよび競合的ハイブリダイゼーションが挙げられる。アレイによって、数百から数万の独立した核酸の存在または不在に関する核酸サンプルの迅速な分析が可能になる。これらの独立した核酸は、機能の知られた遺伝子または機能が未知の核酸、すなわち、発現された配列タグ(EST)からのものであり得る。
核酸は、増殖している細胞内に存在している任意の核酸、すなわち、RNAまたはDNAであり得る。分析ステップは典型的に、限定はしないが、細胞内の特定のRNAの量を確認する定量的方法、ならびに、DNAまたはRNA配列の挿入体、欠失体または置換体などの特定の遺伝子マーカーの存在または不在を判定する定性的方法など、核酸を特性化する能力を有することが知られている1種以上の分析方法の使用を含む。
本発明の分析処理によって生み出されたデータ(以後、「遺伝子データ」)を集めて、データ構成におけるデータセットの一部である記録を形成することができる。腫瘍細胞の表現型を示すデータもまた含めることができる。この表現型データとしては、腫瘍細胞が本発明の方法によって培養された場合もそうでない場合も、限定はしないが、組織化学的、免疫組織化学的、生化学的な特徴および分泌化合物の産生などの細胞および/または腫瘍の増殖特徴が挙げられる。非遺伝子分析、すなわち、表現型分析もまた、腫瘍疾患の診断に役立つ。得られた非遺伝子データを上記の遺伝子データと組み合わせて組織サンプルの腫瘍細胞の完全で正確なプロフィールを提供することができる。
患者の異常増殖細胞から一次培養物を確立したら、一次培養物を、通常の供給および継代法以外は何も処置せずに、治療法による処置を欠く細胞増殖を表示するものとして維持することができる。一次培養物の細胞が引き続く試験または処置によって影響されないように、第一次培養物の二次培養物を調製する。一次培養物は無処置のまま置かれることが好ましいが、一次培養物またはその二次培養物を、参照培養物として増殖させることができる。参照培養物は、患者の実際の治療法を反映する療法で処置される培養物である。例えば、患者が化学療法剤で処置されている場合は、参照培養物は、同一濃度の同一薬剤で処置される。参照培養物は、患者の腫瘍または疾患または病態の実際の進行を反映する遺伝子型および/または表現型についてモニターできる。参照培養物の処置は、抗癌療法に限定される必要はなく、全ての患者の処置を反映できる。例えば、血栓溶解または抗血栓形成処置を参照培養物に適用し、患者の処置を反映させて、1種以上の化学療法剤と他の薬剤の可能な相互作用を示すことができる。一次培養物または参照培養物のいずれかの二次培養物を、本発明の遺伝子型または表現型の分析法などのさらなる分析のために使用できる。参照培養物は、腫瘍または疾患の患者の現在の状態を示しているため、参照培養物の二次培養物を分析することが好ましい。
応答の分子予測物質は、培養過程の任意の段階で、本明細書に開示された1つ以上の方法によって得られたか、または培養された患者の腫瘍細胞を用いて、遺伝子型アッセイ、表現型アッセイ、または双方によってモニターできる。モニターされる細胞としては、無処置腫瘍細胞、既知の化学的抵抗性腫瘍細胞および既知の化学的感受性腫瘍細胞が挙げられる。
対照培養物および参照培養物の継代の種々の時点で、それら培養物の細胞のアリコートを冷凍でまたは他の方法で保存できる。次いで、本発明の培養法によって調製された腫瘍細胞を、細胞の腫瘍または疾患状態に特異的なマーカーに関して遺伝子分析する。分析される細胞は典型的に、一次培養物または参照培養物の二次培養物からのものである。この過程で、核酸は細胞から単離され、異常増殖細胞に特徴的なマーカーを同定するために分析される。単離された核酸は、DNAまたはRNAである。核酸は、1つ以上の遺伝子の発現に関してマイクロアレイで分析されることが好ましい。
遺伝子発現と癌、増殖性の疾患または病態との間の以前不明だった関連性が確認できるように、マイクロアレイは、既知の増殖性または腫瘍疾患の状態に特徴的な核酸、ならびに既知の増殖性または腫瘍疾患の状態に関連していない核酸を含有することが好ましい。細胞の核酸の単離および分析のための方法は、変更を受け、典型的に、研究室によって異なる。さらに、一定の分析方法は、核酸が特定の様式で調製されることを必要とし得る。核酸精製法は、多数の分子生物学の実験テキストのいずれかに見ることができる。精製品および精製システムもまた市販されている。
1つ以上の遺伝子の発現など、公知の増殖マーカーの存在は、限定はしないが、ノーザンブロッティングまたは定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、すなわち、RT−PCRなどの方法論によって判定できる。
既知DNAまたは未知DNA、すなわち、部分的に同定された、または同定されていない発現配列タグ(EST)のマイクロアレイが、現在、多数の商業的供給源から市販されている。カスタムマイクロアレイは、市販のロボット装置により実験室で調製できるか、またはマイクロアレイに関する1つ以上の商業的供給源から購入できる。DNAマイクロアレイは、ガラススライドまたはきわめて狭い面積の他の基板に共有結合させた数百から数千のユニークなDNAサンプルを含み得る。標識cDNAまたは他の標識核酸またはアレイに共有結合した核酸に特異的にハイブリダイズできるリガンドをハイブリダイズすることによって、1つ以上の遺伝子の発現変化を確認できる。
2種の細胞型、すなわち、正常細胞と腫瘍細胞からのcDNAを標識して、単一マイクロアレイに双方のプローブ集団の等量をハイブリダイズし、正常細胞と腫瘍細胞双方に関するRNA発現の違いを確認することが可能である。マイクロアレイスキャナーおよび読取り装置などの、マイクロアレイアッセイの自動的調製および分析のための手段は、市販されている。分析しなければならないマイクロアレイ上の個別部位の数の多さとサイズの小ささにより、マイクロアレイ分析過程の自動化は望ましく、すべての実用的な目的に必要である。
実質的に純粋な腫瘍細胞集団が用いられる場合、mRNAの定量化プロトコルの感受性増加により、本発明の細胞培養法と組み合わせて利用する上で、DNAマイクロアレイは、恐らくより強力な手段である。マイクロアレイの使用し易さおよび大量のデータを生み出すそれらの能力のため、マイクロアレイは実行可能ならば好ましい。しかし、一定のマーカーを同定するために、一定の他のまたは追加の定性的アッセイが好ましい場合がある。
特定のRNA種またはDNA種の存在または不在もまた、PCR法によって確認できる。公知の遺伝子多型(SNP)、転座、または挿入(例えば、レトロウィルス挿入またはトランスポゾンなどの移動性要素の挿入)は、本発明の方法によって培養された細胞から単離されたDNAとのPCR反応を行うことにより確認できることが多い。
配列異常がエキソンに位置している場合、遺伝子多型は、cDNAテンプレートを用いるPCR反応を行うことによって同定できる。RNA前駆体の異所性スプライシングもまた、cDNAテンプレートを用いるPCR反応を行うことによって同定できる。発現した転座配列は、マイクロアレイアッセイにおいて同定できる。僅少な、または単一のヌクレオチド置換は、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを配列決定プライマーとして使用することにより、所与の遺伝子の直接的配列決定によって同定できる。単一ヌクレオチド変異もまた、対立遺伝子識別分子ビーコンプローブの使用により同定できる。Tyagi,S. and Kramer,F.R. (1996) Nature Biotech. 14 : 303-308およびTyagi,S. et al., (1998) Nature Biotech. 16 : 49-53に記載されているものを参照されたい。変異の同定には、質量分析(MALDI−TOF)もまた使用できる。
上記のアッセイは、本発明に含まれる培養方法によって生じた細胞から誘導された核酸の分析に有用であるが、上記の方法の替わりに使用できるさらに多数の方法が分子生物学および分子診断の一般的分野において知られている。
本発明に含まれる統一アッセイおよび培養法のいずれかの、または全てのステップを自動化できる。データは、手動で、または自動的にコンピュータへ、スプレッドシートプログラムまたはデータベースプログラムなどへインプットできる。スプレッドシートプログラムまたはデータベースプログラムは、上記の指標へ、または任意の他の関連形態、すなわち、データのグラフまたは図形表示へとデータを変形するためにプログラムできる。
本発明の方法は、統計的に有意な共通性および/または傾向に関する対応する臨床的データのセットと関連させて遺伝子型または表現型のデータを分析し、1つ以上の増殖性細胞疾患の状態を、表現型および/または遺伝子型の特性化、診断および/または予後に関連付ける1つ以上のプロフィールを作出することにより、腫瘍細胞を特性化するステップをさらに含む。これらのデータおよび/またはプロフィールは、コンピュータ保存媒体においてコード化され、データベースに保存できる。これらのデータベースの内容は、限定はしないが、インビトロで表現型(疾患因子)および遺伝子型(宿主因子)に見られるものを含む。1)遺伝子データと対応する臨床的データおよび/または2)そこから作出されたプロフィールと新たな組織サンプルに関連させて作出されたデータのいずれかを比較する、増殖性疾患を診断する方法もまた提供される。分析法を保存された表現型および遺伝子の情報に適用することによって、化学療法の有効性予測を行うことができる。任意にコンピュータネットワーク上でデータの配布および/または分析を可能にする、データおよび/またはプロフィールを含むコンピュータシステムもまた提供される。
VII.用量応答曲線の作出方法
患者の腫瘍外植片から採取した細胞を、約4,000から12,000細胞/mlの濃度、1ウェル当たり、30〜55μlの細胞懸濁液で、黒色壁、透明底の384マイクロプレートに接種できる。一実施形態において、外植片を、約8,000細胞/ml、1ウェル当たり、40μlの細胞懸濁液で接種できる。細胞は、腫瘍学者により求められた薬剤処置数に従って接種でき、各薬剤の1用量当たり、三重反復とする。培地の蒸発を防ぐため、マイクロプレート上のウェルの最外リングを、緩衝液、例えば、約80μlのハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で満たすことができる。次いで、細胞を、24時間のインキュベーション時間、マイクロプレートの底部に付着させることができる。初期インキュベーション後、各薬剤または薬剤の組み合わせの用量を、1ウェル当たり、約30μlから50μlの用量で患者のプレートに加えることができ、10用量当たり、増殖培地で処置した1つの対照ウェルとする。
一実施形態において、薬剤適用の直前に、可視光を用い、自動細胞画像化システムにより細胞の画像を撮る。マイクロタイタープレートプレートを自動細胞画像化システム上に置く。マイクロタイタープレートの各ウェルを走査して、画像を捕捉する。あるいは、予め選択されたウェルのみを画像化する。各ウェル内の細胞数を判定するために、画像を解析する。次いで、各ウェルを適切な量の薬剤で処置し、細胞を薬剤と共に、設定した時間インキュベートする。一実施形態において、細胞は、約25〜200時間、薬剤と共にインキュベートする。平板培養後、指定したおよその時間に、例えば、平板培養後、約96時間目に細胞を、自動細胞画像化システムを用いて、可視光、蛍光およびUV光により、再度画像化する。
96時間後の細胞画像化は、適切な細胞蛍光色素を利用して、可視光または蛍光によって達成できる。このような蛍光色素は、核、細胞膜、細胞器官、または細胞質の構成要素を標識できる。あるいは、蛍光色素は、代謝活性細胞内での活性化を必要とする場合があり、この場合、生細胞のみが蛍光を発することになる。蛍光の波長は、蛍光色素の特徴に依って、250nmから800nmの範囲である。画像を捕捉する自動画像化システムを用いることにより、各ウェルにおける可視画像または蛍光に基づいた各細胞または細胞集密度のユニークな同定が可能になる。
次いで、エタノールまたは当業界で用いられる他の標準的固定剤を用いて、細胞をプレート内に固定し、DAPIなどの核染色により染色できる。次いで、自動細胞画像化システムを用いて患者細胞の蛍光画像を撮り、その結果、細胞核をカウントすることができる。次いで、可視および蛍光の画像から作出したデータを用いて、患者を処置する各薬剤に関する用量応答曲線を作出することができる。
本方法の一実施形態において、細胞を固定する前に、生細胞を死細胞から区別できる2種の蛍光色素によって細胞を処置する。染色の完全性は固定化の過程の間、残存する。固定化の後、細胞を、DAPIなどの核染色によって染色する。次いで、自動画像化システムにより、光の3つの異なる波長によって画像を捕捉できる。画像の引き続く分析によって、生または死の状態の各細胞に関して判定が可能になる。次いで、可視および蛍光の画像から作出されたデータを用いて、患者の細胞を処置した各薬剤に関する用量応答曲線を作出する。
VIII.細胞の固定および染色の方法
固定および染色は、多数の好適な方法によって行うことができるが、以下は代表的なものである。細胞を固定し染色する他の方法は、公共的に利用でき、当業者によく知られており、本明細書に開示された方法の実行に任意選択として使用されるものとする。
例えば、細胞の定量化(例えば、生存度または集密度を判定するために)に蛍光が用いられる場合、カルセインAMまたは細胞トラッカー色素などの染色が使用できる。所定の間隔で、または細胞カウント(例えば、集密度に及ぼす1種以上の薬剤の効果による生存度)を追跡する実験を通して任意の時点で、細胞の蛍光画像を撮影できる。この方法のために選択される色素は、細胞増殖特性にも薬剤の有効性特性にも影響を及ぼすものであってはならない。
本発明の一実施形態において、インキュベーターボックスからプレートを取り出した後、自動液体処理装置により培養培地/薬剤を取り出す。自動液体処理装置を続けて用いて、プレートを約40〜60μlのHBSSですすぎ、約40〜80μlのエタノールをプレートの各ウェルに、少なくとも10分間加える。エタノールを除去し、少なくとも20分間、1ウェル当たりおよそ約50〜70μlのDAPI溶液により、染色を達成する。自動液体処理装置により、各ウェルからDAPI溶液を取り出した後、約50〜70μlの水を加える。これでプレートを走査する準備ができる。
あるいは、この操作を、自動液体処理装置なしに、手動で実施できる。その場合、プレートをインキュベーターから取り出して、各ウェルから培養培地/薬剤を手動操作のピペットによって取り出す。各ウェルに、60〜80μlのエタノールを、少なくとも10分間加える。プレート反転および激しい振とうによってエタノールを除去する。各ウェルに、60〜80μlのDAPI溶液を、少なくとも20分間加えた後、プレート反転および激しい振とうによって除去する。各ウェルに約60〜80μlの水を加えた後、プレートを走査できる。
次いで、ウェル当たりの細胞数を、手動で、または自動的および/またはコンピュータ化手段でカウントし、種々の曝露濃度における細胞の化学療法感受性に関するデータを誘導する。細胞カウントのための特に有用なコンピュータ手順環境は、コンピュータ化された細胞カウント手順および引き続く計算に十分適した光学的なカウント機能が可能になるように設計されている市販のOPTIMATEコンパイラーである。細胞カウントのための他の技法は、公共的に利用でき、当業者によく知られており、本明細書に開示された方法の実践において任意選択として使用するものとする。
細胞の固定およびカウントのために本明細書に開示された技法は、例示的なものとして意図されており、当業界に知られた他の方法も本明細書に開示された方法の実践における任意選択として使用されるものとする。上記の細胞毒性アッセイにおけるものと同じ細胞培養法およびウェル配分法が用いられるが、細胞を化学療法剤または他の薬剤に曝露する替わりに、細胞を固定し染色する。下記の染色剤または染色剤カクテルにより、上皮細胞を、モノクローン抗体免疫ペルオキシダーゼ法により、それらの中間径フィラメントおよび/または特異的膜抗原によって、同定する。用いられる固定剤は、対象となっている細胞マーカーを変化させない任意の固定剤であり得る。次いで、固定し染色した細胞をカウントする。検体が、上皮細胞に関して陽性であれば、過程は完了である。検体が、上皮細胞に関して陰性であれば、細胞の非上皮性を確認するために、ビメンチンまたは他の非上皮細胞マーカーを染色剤として用いて、同一のウェルからの新鮮細胞により、独立した固定および染色過程を引き続いて完了させる。
染色剤または染色剤カクテル(例えば、少なくとも1種の抗体からなるカクテル)を有することの重要性、ならびに悪性腫瘍の外植片または生検材料における上皮細胞を同定する全体的プロトコルは、以下のとおりである。基本的な細胞毒性アッセイにおいて、組織培養法は、元の腫瘍細胞を増殖させ、実際一貫してそうなるように設計される。しかし、このような信頼のおける予測可能性に関わらず、線維芽細胞または他の細胞ではなく、元の腫瘍細胞が実際増殖するという事実は、1つ以上の適切な患者アッセイにおける完全な保証により、細胞が用いられる前に独立した実証によって確認できる。当該技術は、この確認を得る手段を提供し、次にこれによって、良好な研究室の、および医学的な実践の利益が促進される。
一般に、本技術に使用される対象となっている染色性の化合物および組成物は、上皮細胞または非上皮細胞にユニークな細胞分子マーカーに結合するものである。任意の公知の上皮染色を用いる上皮染色プロトコルを加え、また、特別に設計された染色剤カクテルにより、任意の公知の中間径フィラメントまたは上皮細胞に特徴的な特定の膜抗原が存在する場合にその存在が確認される可能性が最大化されるさらなる改善を加えることによって、本明細書に開示された方法は、細胞毒性アッセイを改善する。
多くの癌は、中間径フィラメントまたは上皮細胞に特徴的な特定の膜抗原のいずれか1つに関して陽性であり、全ての癌ではないとしても、実質的に全ての癌は、このような多数の中間径フィラメントまたは特定の膜抗原の1つに関して陽性である。例えば、「上皮膜抗原」(EMA)糖タンパク質が当業界に知られており、モノクローナル抗体などの種々の抗上皮膜抗原抗体に結合できる。サイトケラチンは、もう1つの重要な上皮細胞マーカーであり、サイトケラチンに特異的なモノクローナル抗体などの結合試薬が利用できる。EMA糖タンパク質およびサイトケラチンなどのマーカーに対して、抗血清をインビボで生じさせることができるが、実際には、以下のプロトコルには、市販のポリクローナルまたはモノクローナル抗体が用いられ、モノクローナル抗体が好ましい。
IX.標的薬剤
上皮マーカーに対する標的薬剤の結合は、関連した染色操作および可視表示を与える反応と共に、マーカー結合が生じたことを明らかにする。マーカー結合が生じたかどうかを明らかにする種々の技法がすでに利用できる。抗体結合試薬が用いられる場合、この可視化を達成する公知の一方法は、「標識ストレプトアビジン操作」によるものである。この操作において、検体が標的抗原に特異的な抗体に曝露された後、第2の「結合」抗体が加えられる。第2のビオチン化「結合」抗体は、たいていの一次モノクローナルまたはポリクローナル抗体に普遍的に結合する抗マウスおよび抗ウサギ抗体からなる。第2の試薬上のビオチンとストレプトアビジン/ペルオキシダーゼ結合体上のストレプトアビジンとの間の化学的結合を介して、「結合」は第3の試薬(ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン)にも関係する。クロモゲンの存在下、検体および第1、第2および第3の薬剤をインキュベートし、その結果、ペルオキシダーゼおよびクロモゲンが肉視できる沈殿を形成することによって染色が完了する。あるいは、一次抗体を可視化するためにフルオレセインベースの検出システムを使用できるか、または、当業界でジゴキシゲニン結合検出システムとして知られている第3の代替法が使用できる。
1種以上の結合試薬を一緒に用いることは有利である。例えば、EMA糖タンパク質に対する1種の一般的結合試薬と混合した、例えば、サイトカインに対する2種の一般的結合試薬の組み合わせ(合計3種のモノクローナル抗体を含有)が有利である。一般的結合試薬のこの混合の二重の利点は、上皮細胞に関する偽陰性の発生が最少化されること、および結合試薬の組み合わせが単独結合試薬の替わりに用いられる場合、可視染色反応が一般により強いことである。
実施例において同定された結合試薬および他の試薬は、本明細書に開示された方法の実行における使用に好ましい試薬であるが、本発明は、上皮特異的結合試薬および染色試薬を一般に包含するものとする。限定はしないが、これらには、ベーリンガー−マンハイム(Boehringer−Mannheim)AE1抗サイトケラチン抗体; ベーリンガー−マンハイム(Boehringer−Mannheim)AE3抗サイトケラチン抗体; ベーリンガー−マンハイム(Boehringer−Mannheim)AE1/AE3抗サイトケラチン抗体(AE1およびAE3の混合物);ベクトン−ディッキンソン(Becton−Dickinson)CAM5.2抗体、DAKO EMA抗体、バイオメダ(Biomeda)の抗サイトケラチンカクテルCK22、バイオメダ(Biomeda)の抗サイトケラチンカクテルCK23、バイオメダ(Biomeda)の抗パン−サイトケラチンカクテルCK56、バイオメダ(Biomeda)のポリクローナルヤギまたはウサギ抗サイトケラチン抗血清、ScyTekラボラトリーズの抗EMA抗原抗体クローンE29および他の多くのものが含まれる。当業者および本明細書に提供された指針を有する者は、本開示結果を達成するために、代替の、等価な、結合試薬および染色試薬ならびにカクテルを容易に決定することができる。これらの結合剤およびカクテルは、上記で確認されたストレプトアビジン、フルオレセイン、およびジゴキシゲニンに結合したシステムなどの任意の公知の可視化システムと組み合わせて使用できる。対照としては、試験細胞の結合および染色と関連させて、またはそれに引き続いて、ビメンチン抗体を結合代替物として使用する。ビメンチンは、間充織源の非上皮細胞に特異的な結合試薬であると考えることができる。
当該方法のさらなる態様において、例えば、主要組織適合性複合体(MHC)分子などのマーカーのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを必要とする適用において、免疫学的マーカーをモニターすることができる。この態様は、表現型および遺伝子型浮動のモニタリングに特に有用であり得る。
X.医薬品
通例的療法では、残留腫瘍細胞は、化学的抵抗性により、またはこれらの細胞が血管化に乏しい低酸素領域に位置し、通例的な処置に接触できないことにより、損傷を受けないままである。遺伝子の不安定性および腫瘍の異質性は、それらが適合して、療法に対する耐性を発現することを可能にする。化学療法の有益な効果は、腫瘍組織が薬剤の毒性を回避することを可能にする細胞機序によって損なわれ得る。いくつかの場合、種々の非関連薬剤に対する多面的な耐性が見られており、この現象は多剤耐性と称されている。多剤耐性と戦うために、および治療の有効性を高めるために、1種以上の薬剤からなる療法(併用療法)が開発されている。
併用療法としては、以下の化学療法剤の1種以上が挙げられる:アントラサイクリン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、タキソイド誘導体、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、カルムスチン、シスプラチン、フルオロウラシル類、ポリアミン阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、タモキシフェン、プロダソン、またはサンドスタチンなどの細胞増殖抑制化合物、または酪酸ナトリウムまたはマイトマイシンCなどのアポトーシス誘導化合物、プロテアーゼ阻害剤またはフォスカーネット。併用療法における薬剤はまた、抗微小管剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、抗代謝剤、分裂阻害剤、アルキル化剤、挿入剤、シグナル伝達経路を妨害できる薬剤、選択的エストロゲン受容体調節剤、アロマターゼ阻害剤、アポトーシスおよび/または壊死を促進する薬剤、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、および放射線であり得る。本明細書に開示された方法の一実施形態において、薬剤は、パクリタキセル、インターフェロンアルファ、ゲムシタビン、フルダラビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、UFT、タモキシフェン、ゴセレリン、ケトコナゾール、ロイプロリド(ルプロン)またはフルタミドの1種以上である。一実施形態において、薬剤は、ビンクリスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビロレルビン、ドセタキセル(例えば、タキソテア)、カンプトテシン、トポテカン、塩酸イリノテカン(例えば、カンプトサール)、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テニポシド、アムサクリン、メルバロン、塩酸ピロキサントロン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダルビン、シタラビン(Ara−C)、トリメトレキサート、アシビシン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホルアセチル−L−アスパレート、ホスホルアセチル−L−アスパレート(PALA)、ペントスタチン、N−ホスホルアセチル−L−アスパレート、ペントスタチン、5−アザシチジン、5−アザシチジン、5−アザ−5−アザ−2’−デオキシシチジン、アデノシンアラビノシド(Ara−A)、クラドリビン、フトラフル、UFT(ウラシルおよびフトラフルの組み合わせ)、5−フルオロ−2’−デオキシウリジン、5−フルオロウリジン、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、ヒドロキシ尿素、ジヒドロレンクロラムブシル、チアゾフリン、オキサリプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、デカルバジン、リン酸イフォスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール、ジヒドロレンペロン、スピロムスチン、ゲルデナマイシン、シトカラシンズ、デプシペプチド、タモキシフェン、4’−シアノ−3−(4−(例えば、ゾーラデックス)および4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−3−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド、ペメトレキシドおよび放射線である。一実施形態において、薬剤は、上記に挙げた薬剤のいずれかの生物学的活性代謝物である。
生物学的応答調節剤もまた使用できる。このような薬剤としては、例えば、抗Her2/neu抗体(例えば、ヘルセプチン)、抗EGFR抗体(例えば、エルビタックス)、他の成長因子受容体抗体(例えば、アバスチン)、小型分子阻害剤(例えば、タルセバ、イレッサ)、抗CD20(例えば、リツキサン)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン2、インターロイキン4、インターロイキン12および腫瘍壊死因子が挙げられる。
本明細書に記載された薬剤は、細胞培養法において、単独で、または2種以上の薬剤、または限定はしないが、免疫抑制剤、増強剤および副作用軽減剤などの他の治療薬と共に薬剤の1種、を含有するカクテルで使用できる。
治療薬はまた、所望の製剤に依って、製薬的に許容できる非毒性の担体または希釈剤も含む組成物であり得る。多くの製薬的に許容できる担体が当業界に知られており(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences)本発明の方法またはアッセイのいずれかの実行において任意に使用される。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択される。このような希釈剤の例は、蒸留水、生理学的食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、およびハンクス平衡塩類溶液である。さらに、製薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療的、非免疫原性の安定化剤なども含み得る。このような希釈剤または担体の有効量は、成分の溶解性、または生物学的活性、または所望の化学的応答性に関して、製薬的に許容できる製剤を得る上で有効な量である。
XI.アポトーシスアッセイ
腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導は、化学療法、放射線照射、免疫療法およびサイトカインなどの大抵の抗腫瘍療法の重要な機序であることは、現在、十分に文書化されている。最近の研究では、化学的感受性の判定に対するアポトーシス応答の測定が適用されている。抗増殖ではなく、薬剤誘導アポトーシスの測定により、化学療法剤に対する腫瘍応答が予測できることを、これらの研究は示している。さらに、腫瘍細胞死に関連しているアポトーシスのマーカーを使用することにより、化学療法剤の生理学的用量に曝露された腫瘍細胞のインビトロ応答を、感受性または抵抗性に関して試験することができる。アポトーシスを誘導、測定およびモニタリングする方法は、当業界に知られており(例えば、国際出願第PCT/US04/039650号を参照)、本明細書に開示された本発明に含まれたアッセイ、方法、手段およびシステムと関連させて、任意に使用される。
XII.薬剤の選択
本発明に含まれた一態様において、化学療法の方針が、化学療法感受性、表現型、遺伝子型および/またはアポトーシスのアッセイから得られた結果に基づいて選択される。本発明は、化学療法剤が患者の悪性疾患の治療に有効であるかどうかの可能性評価を含む。アポトーシスアッセイと任意に組み合わせた遺伝子型アッセイと任意に組み合わせた表現型アッセイからの結果の評価、ならびに応答の少なくとも1つの分子予測物質の評価は、腫瘍が抵抗性である化学療法剤または化学療法剤の組み合わせを患者に投与する危険性を最小化する働きをする。本発明の一態様において、細胞の表現型に及ぼす効果が見られ、抵抗性に関連した遺伝子型の特徴は見られない治療のために、化学療法剤または化学療法剤の組み合わせが選択される。本発明の他の態様において、細胞の表現型に及ぼす効果が見られず、抵抗性に関連した遺伝子型の特徴は見られる治療のために、化学療法剤または化学療法剤の組み合わせが選択される。本発明の別の一態様において、細胞表現型と細胞の遺伝子型の双方に及ぼす効果が見られるか、または見られない治療のために、化学療法剤または化学療法剤の組み合わせが選択される。
XIII.応答の分子予測物質
本明細書に用いられる応答の分子予測物質は、1つ以上の生化学的経路における1つ以上の遺伝子の発現または発現産物である。発現および/または関連SNPが化学療法に対する応答に役割を果たしていると考えられるほぼ60の遺伝子が同定されている。この候補遺伝子のリストは、以下のことに関与する遺伝子を含む:化学療法剤の代謝(例えば、YP3A4、CYO3A5、CYP2D6、CYP2C8およびCYP2C9)、薬剤輸送(例えば、ABCB1、ABCC2およびABCG2)、細胞アポトーシス(例えば、BCL2、BAD、BAXおよびBAKI)、細胞増殖(例えば、EGRI、CYR61、p21/WAFおよびTP53)、およびDNA修復(例えば、RCC1、ERCC2、MLH1およびMSH2)。使用される分子予測物質は以下からなる群から選択される:
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各遺伝子または遺伝子断片のジェンバンク(GenBank)登録番号は、表1に提供されている。全ての登録番号が参照として本明細書に援用されている。
表1 遺伝子およびジェンバンク(GenBank)登録番号
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応答の1種以上の分子予測物質の発現の分析は、発現が、正常または対照対象における発現に比較して、癌を患っている患者でより高い、またはより低いレベルに活性化されている、少なくとも1つの経路における少なくとも1つの遺伝子の分析を含む。差異的に発現した遺伝子は、核酸レベルまたはタンパク質レベルで活性化または阻害され得るか、または選択的スプライシングに供されて、異なるポリペプチド産物をもたらし得る。このような差異は、RNA濃度、表面発現、分泌または他の細胞ポリペプチド発現パターンの変化による証拠であり得る。差異的遺伝子発現は、2つ以上の遺伝子またはそれらの遺伝子産物の間の発現比の比較、または正常な対象と癌を患っている対象との間で異なる、同一遺伝子の2種の異なって処理された産物の比較を含み得る。差異的発現は、正常細胞および腫瘍細胞との間で、遺伝子またはその発現産物における一時的または細胞の発現パターンの定量的および定性的差異を含む。
本明細書に開示された方法、アッセイ、手段、システムまたは任意の方法、アッセイ、手段またはシステムの小項目の1つ以上をいずれも、単独で、本明細書に開示された任意の他の方法、アッセイ、手段、システムまたは任意の方法、アッセイ、手段、システムの小項目と組み合わせて使用できるか、またはそれらと共に使用できる。非限定例として、II節およびIII節またはその任意のサブセクション(例えば、III(a)〜III(e))の細胞培養プロトコルを、IV節(併用療法)、V節(調製および用量レベルの決定)、VI節(表現型および遺伝子型浮動の判定)、VII節(用量応答曲線の作出)、VIII節(細胞の固定および染色の方法)、IX節(標的薬剤)、X節(医薬品)、XI節(アポトーシスアッセイ)、XII節(薬剤の選択)およびXIII節(応答の分子予測物質)のいずれか1つ以上と一緒に任意に使用できる。他の非限定例として、II節およびIII節またはその任意のサブセクションの細胞培養プロトコルから得られた細胞を、IV節(併用療法)、V節(調製および用量レベルの決定)、VI節(表現型および遺伝子型浮動の判定)、VII節(用量応答曲線の作出)、VIII節(細胞の固定および染色の方法)、IX節(標的薬剤)、X節(医薬品)、XI節(アポトーシスアッセイ)の1つ以上の方法に任意に使用できる。他の非限定例において、II節およびIII節の培養プロトコルから得られた細胞を、IV節(併用療法)のとおり処置できるか、または細胞を、表現型および/または遺伝子型浮動の判定のために、VI節のとおり調べることができ、任意に、XI節、アポトーシスアッセイのとおりに使用できる。上述のとおり、前述の方法のいずれかからの細胞を、応答の1種以上の分子予測物質における変化に関してアッセイできる。
また、発明に開示されたアッセイ、方法、手段またはシステムの任意の1つ以上を、当業界に知られ、公共的に利用できるアッセイ、方法、手段またはシステムの1つ以上によって任意に置き換えることができる。非限定例として、II節および/またはIII節のプロトコルから作出された細胞を、当業界に知られた染色剤または分子に接触させ、当業界に知られた細胞の可視化および/または画像化および/またはカウントのための任意の手段を用いて、可視化および/または画像化および/またはカウントできる。
前述の例およびそれらに関する限定は、例示的であり、限定的であることは意図しない。本明細書に開示された本発明に含まれた方法の実行には、別に指示しない限り、当業界の範囲にある分子生物学(組換え法を含む)、微生物学、細胞生物学、および生化学における通例的な技法が用いられる。このような技法は、"Molecular Cloning : A Laboratory Manual," 2nd edition (Sambrook et al., 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (M.J.Gait, ed., 1984); "Animal Cell Culture" (R.I.Freshney, ed., 1987); "Methods in Enzymology" (Academic Press,Inc.); "Handbook of Experimental Immunology" 4th edition (D.M.Weir & C.C.Blackwell, eds., Blackwell Science、Inc., 1987); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (J.M.Miller and M.P.Calos, eds., 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (F.M.Ausubel et al., eds., 1987);および"PCR : The Polymerase Chain Reaction", (Mullis et al., eds., 1994)などの文献に十分に説明されている。例えば、国際公開第2004/065583号パンフレットを参照されたい。
実施例
実施例1.一次培養の開始
患者から非壊死、非汚染組織のおよそ100mgの腫瘍生検材料を、外科的生検により採取し、標準的な輸送用コンテナで実験室まで移送した。生検サンプルの調製は、以下のとおり進めた。試薬用エタノールを用いて、層流フードの表面を隅々まで拭いた。次いで、滅菌条件下、輸送用コンテナから腫瘍を取り出し、2つの滅菌メスを用い、鋏様の動きで規則正しく切り刻んだ。各主要粒子は約1mmの測定値であった。腫瘍の各四半分を切り刻んだ後、攪拌させた、または攪拌させなかった粒子を、滅菌パスツールピペットを用いて培養フラスコに平板培養した(1個のT−25フラスコ当たりおよそ9つの外植片、または1個のT−75フラスコ当たりおよそ20の粒子)。次いで、各フラスコに、患者コード、外植の日付および任意の他の識別データを標識する。外植片は、フラスコの底面全体にわたって均一に分散させ、37℃のインキュベーター内で5〜10分間、最初の反転インキュベーション、引き続いて、約5〜10mlの滅菌増殖培地を添加して、定位の非反転位で、さらにインキュベーションを行った。フラスコを、37℃、5%COの加湿インキュベーター内に置いた。フラスコは、増殖および汚染に関して毎日チェックした。適切な量の増殖培地を毎週、除去し交換しながら、数週間の期間にわたって、外植片は増殖して単層となった。
実施例2.各用量に関する濃度の確立
0%から最大細胞死を含むレベルまでの細胞死を得る目的で、適切な用量範囲を確立するために、384ウェルマイクロタイタープレートおよび4つのATCC細胞系を含む多段階薬剤希釈操作を用いた。各細胞系に特異的な培地中に薬剤を希釈し、10種の薬剤濃度を提供するために連続希釈を行った。次いで、4つの主要な腫瘍タイプ:卵巣、乳房、肺および結腸の各々から単離した少なくとも20人の患者由来の細胞系について、段階1の薬剤用量を検証した。低端および高端双方について、0%から最大細胞死を含むレベルまでを得るように、用量を調整した。最後に、384ウェルマイクロプレートを用いて、新たに決定された用量を患者細胞でさらに検証し、0%から最大細胞死を含むレベルまでの可能な応答の全範囲を得るように調整した。単独剤として試験するいくつかの薬剤に関する72時間用量レベルを確立した後、併用療法を扱う新規な方法を開発した。
実施例3.併用療法
4つのヒト卵巣腫瘍検体の残留組織からの個別に50mgのサンプルを、培地中、滅菌鋏でおよそ1mmの粒子サイズに切り刻み、粒子サイズ分散を約0.25mmと約1.5mmとの間にする。切り刻んだサンプルを、完全培地を有する少なくとも1つで、複数でもあり得る組織培養フラスコに入れ、粒子が各フラスコの底部に沿って均一に分散していることを肉視確認し、フラスコを、37℃、5%COのインキュベーター内に入れた。フラスコは、増殖および汚染に関して毎日チェックした。数週間の期間にわたって、増殖培地を毎週、除去し、交換すると、粒子は増殖して単層となった。
次いで、各フラスコに関して標準的サイズの細胞ペレットへと遠心分離するために、フラスコ内で増殖した単層から十分な細胞を取り出した。次いで、各細胞ペレットを5mlの上記培地中に懸濁し、円錐管中、6〜10秒間ボルテックスで混合してから、前後に10回手動で揺動させた。次に、各管の中心から30μlの小滴を、等量のトリパンブルーと共に、攪拌しながら96ウェルマイクロタイタープレートの1つのウェルにピペットで入れた。標準的光学顕微鏡を用いる検査のために、得られた混合物を血球計数板の各側面上に置いた。10×倍率下、各側面上の9つの血球計数板象限のうち5つでカウントした−−トリパンブルー色素を吸収しなかった細胞のみをカウントした。チャンバー1つ当たりの平均細胞カウントを算出し、当業界で知られた手段により、培地中の細胞の最適濃度を判定した。
上記の計算を調整して、他の培養フラスコからのさらなる細胞アリコートを別々に、ボルテックスおよび揺動により増殖培地中に懸濁してから、8チャネル深型ウェルプレートの別々のチャネル内に装填した。調製した細胞懸濁液のアリコートを、当業界に知られた技法により、自動液体処理装置を用いて、384ウェルマイクロタイタープレート内に送達した。マイクロタイタープレートの各ウェル内に、1ウェル当たり細胞320個の濃度で細胞を平板培養した。
平板培養のおよそ24時間後、化学療法剤のパクリタキセルおよびカルボプラチンを、用量を増加させながら、マイクロタイタープレートのウェルに適用した。プレートの最初の列は、無処置の対照ウェルとして役立った。次いで、ウェル内の腫瘍細胞を、化学療法剤と共にさらに72時間インキュベートした。
処置を生き残った分画を、対照と比較した細胞数として算出した。腫瘍検体からの細胞で、パクリタキセル/カルボプラチン処置スキームに関する用量応答関係が見られた。
実施例4.卵巣腫瘍検体の消化および細胞培養物単層の調製
卵巣腫瘍組織を受け取り、およそ5mmの断片に切り刻んだ。各切断検体を、Ca2+およびMg2+を有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中、10mlの0.25%コラゲナーゼIIおよび0.001%のDNアーゼIを含有する15mlの円錐管に入れた。次いで検体を、揺動台上、37℃のインキュベーター内で約15分から30分間インキュベートした。
30分間のインキュベーション後、検体を2200RPMで3分間遠心分離した。サンプル培地(Ca2+およびMg2+を有するHBSS)を検体から流し出し、検体を10mlの10%マッコイ培地ですすいだ。サンプルを2200RPMで3分間、再度遠心分離してから、サンプル培地を除去した。サンプル培地を流し出した後、サンプルを再度遠心分離して、培地ならびに残留コラゲナーゼIIおよびDNアーゼIを細胞から除去した。
次いで、各サンプルを非ビトロゲンコーティングしたフラスコ内の10%マッコイ培地中に入れ、37℃のインキュベーター内に入れた。細胞の増殖に依り、必要に応じて(週に2回以上)培地を交換した。細胞が増殖し始めたら、残留コラゲナーゼIIおよびDNアーゼを除去するため、培地交換にすすぎの処置を含めた。
実施例5.化学的抵抗性細胞集団のアッセイ
本明細書に開示された方法の一実施形態において、本明細書に開示された方法により化学的抵抗性であると判定された腫瘍細胞を、ChemoFx(登録商標)アッセイV1またはV2プロトコルに従って培養できる。本明細書に開示された方法によって得られた化学的抵抗性細胞を、本明細書に開示された他の方法、アッセイ、手段またはシステムのいずれかにおいて、またはそれと共に、または当業界に知られた任意の方法、アッセイ、手段またはシステムと共に使用できる。当業界に知られた他の方法によって化学的抵抗性であると判定された腫瘍細胞もまた、本明細書に開示されたChemoFx(登録商標)アッセイV1またはV2プロトコルに従って培養できる。いずれの場合にも、培養された化学療法抵抗性腫瘍細胞に対して、さらなる化学療法感受性試験および/または遺伝子型および/または表現型および/またはアポトーシスのアッセイおよび/または応答の1種以上の分子予測物質の評価を引き続いて実施する。
例えば、限定はしないが、ChemoFx(登録商標)アッセイの1型により、化学的抵抗性細胞を、1ウェル当たり約100〜150細胞の密度で、60ウェルのマイクロタイタープレート内に接種し、約24時間、付着し増殖させることができる。培養の約24時間後、細胞を一組の化学療法剤に、約2時間曝露させることができる。化学療法剤とのインキュベーションの最後に、非接着細胞を除去するために、プレートを洗浄する。残留細胞を95%エタノールで固定し、DNA挿入青色蛍光色素であるDAPI,または6−ジアミジノ2−フィルインドールジヒドロクロリド(分子プローブ、Eugen、オレゴン州、米国)で染色できる。次いで、オペレーター制御、コンピュータ補助の画像分析システム(Zeiss Axiovision、Thornwood、ニューヨーク州、米国)を用いて、生存細胞をカウントする。当業界に知られた方法を用いて細胞毒性指標を算出できる。データは、細胞毒性指標(CI)としてグラフで提示できる。評価した各薬剤に関して、用量応答曲線を作出できる。
他の非限定例において、ChemoFx(登録商標)アッセイの2型により、一次腫瘍細胞の細胞懸濁液を、約8,000細胞/mlの濃度で調製し、大型ベイスンにおいて、液体処理装置のステージに送達できる。次いで、装置により、384ウェルのマイクロプレートのウェル内に、40μlの培地中、約320細胞を、四重反復で接種してから、細胞をプレートに接着させ、37℃で約24時間増殖させる。24時間のインキュベーション後、液体処理装置により、96ウェルの深型ウェルマイクロプレートにおける連続希釈によって、適切な増殖培地中、各薬剤の10種の用量を調製する。薬剤の準備ができたら、液体処理装置により、深型ウェルプレートの適切なウェル内に、40μl×2Xの薬剤を分配する。Resource Allocatorと称する登録商標を有するソフトウェアにより、細胞が正しい薬剤および用量で処置されていることが確認される。処理の準備ができている患者の検体数(培養フラスコ内で必要な集密度に達した)および各患者検体に必要な薬剤数に基づいて、Resource Allocatorにより、液体処理装置に関する設定およびレイアウトが決定される。Resource Allocatorは、情報を処理した後、オペレーターにスクリプトを提供し、核プレート、ベイスン、および深型ウェルプレートをどこに置かなければならないかを指示する。液体処理装置の構成後、オペレーターは、Resource Allocatorのソフトウェアに、細胞の平板培養、または薬剤の希釈、または検体の処置を開始させる。処置後、約72時間のインキュベーションのために、薬剤を細胞上に置き、したがって、増殖培地中でのそれらの調製が必要である。この時間の間、標準的組織培養インキュベーター内で細胞の生存を維持でき、適切なソフトウェアを用いて、所定の間隔で、可視光、UVまたは蛍光の画像を撮る。
72時間のインキュベーション時間の最後に、液体処理装置を用いて、培地および非接着細胞を全て除去する。次いで、残留細胞を、DNA挿入青色蛍光色素であるDAPIを含有する95%エタノール中、5分間固定する。固定および染色の後、自動顕微鏡を用いて、全てのウェル内の染色された細胞のUV画像を撮ることができる。その後、Cell Counterと称する登録商標を有するソフトウェアを用いて、可視光およびUV光双方における1ウェル当たりの細胞数を定量化できる。Cell Counterは、コントラストを増加させるように数学的に画像を操作して、画像の背景から細胞を確認する。引き続く処理では、画像内の細胞数を判定するために、画像のピクセルヒストグラムに基づいた閾値が用いられる。
各用量で残留する細胞を無処置の対照ウェルと比較することによって、評価された各薬剤に関して、完全な用量応答曲線を作出することができる。細胞の分析には、画像分析システムが用いられる。ここで、プレート内で増殖した化学療法抵抗性細胞は、電動式ステージおよびPhotometrics Cool Snap FX CCDカメラを備えたNikon TE300 Eclipse倒立顕微鏡上で画像化される。
本発明の一実施形態において、非接着細胞は、引き続く分析のために、マイクロタイタープレートから回収される。このような分析は、細胞生存度、遺伝子安定性分析、ChemoFx(登録商標)アッセイの1型または2型における二次培養物を形成する能力などの遺伝子型または表現型の測定、または当業者の他の分析を含み得る。
本発明の一実施形態において、接着性、化学療法抵抗性の細胞は、固定および染色の前に分析される。このようなアッセイとしては、限定はしないが、残留接着細胞をさらなる薬剤によって処置し、化学療法剤の第2の療法に対する応答を判定することを挙げることができる。このような分析としては、限定はしないが、細胞生存度、膜の完全性、細胞のシグナル伝達経路、アポトーシス、多剤耐性(MDR)能力などを測定するための種々の生体染色の分析を挙げることができる。このような分析としては、限定はしないが、遺伝子発現またはゲノム変異に関する遺伝子型分析、表面タンパク質の発現などの表現型分析、細胞生存度、免疫組織化学的分析および病理的分析を挙げることができる。上記のような接着細胞の分析に引き続き、2型アッセイの方法論に記載されたカウント/分析のために、細胞を固定し、染色する。
本明細書に開示されたChemoFx(登録商標)アッセイの1型および2型の改変は、当業者の範囲内にある。当業界に知られた他のアッセイ、方法、操作、手段、材料、薬剤、システム、化合物および装置の包含は、本明細書に開示された本発明に含まれるアッセイ、方法、手段およびシステムの実行における任意選択とする。
薬剤または薬剤の組み合わせが所望の化学療法応答を提供する上で有効な量を判定するために、1つ以上の方法を用いて、化学療法抵抗性の細胞を繰り返して培養または二次培養することができる。
実施例6.結腸腫瘍検体の消化および細胞培養物単層の調製
結腸腫瘍組織(輸送培地中)を受け取り、3、4回静かに振とうした。輸送培地を腫瘍から流し出し、50mlの円錐管に移し、これを800×gで3分間遠心分離した。遠心分離後、生じたペレットから上澄み液を流し出した。ペレットを含有する管を後の使用のために取って置いた。
固形腫瘍を、必要ならばピンセットを用いて、開放した滅菌ペトリ皿に移した。使い捨て滅菌メスを用いて、腫瘍を、10mlのピペットによって吸引できる等価なサイズまで、より小さい外植片へと切り刻んだ。5mlの抗生洗浄液を用いて、小型外植片および浮遊細胞をピペットにより吸引し、ペレットを含有する管へ移した。
残留大型外植片を、5mlのピペットにより吸引できる等価なサイズまで、さらに切り刻んだ。結腸腫瘍外植片のサイズに依って、0.025%のコラゲナーゼIIと0.001%のDNアーゼとのカクテルの1mlまたは2mlを含有する、抗生洗浄液の5mlまたは10mlを、各サンプルに加えた。抗生洗浄液は、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ナイスタチンおよびシプロフロキサシンを含有するハンクス液である。外植片を吸引し、15mlの円錐管に移した。15ml管に入れたら、外植片を、ピペットで出し入れして、大型の外植片を脱凝集させた。管にキャップをして、2〜3回振とうしてから、37℃、5%COのインキュベーター内で、ロッカー上、15分間インキュベートした。
小型外植片を含有する円錐管および大型外植片を含有した管の双方を、800×gで3回遠心分離した。遠心分離後、生じたペレットから上澄み液を除去した。小型外植片から生じたペレットを2%FBSおよび抗生物質を含有するRPMI−1640細胞培養培地の3mlに再懸濁しラベル付きフラスコに移した。大型外植片(コラゲナーゼIIおよびDNアーゼで処置した外植片)から生じたペレットを、2%FBSを含有するRPMI−1640の3mlまたは6ml(ペレットのサイズに依る)で処置し、ラベル付きT−25またはT−75フラスコに移した。
双方のフラスコを均等に渦動させ、外植片を分散させた。フラスコをフード内である角度で10分間支え、フラスコ底の端に、培地ができるだけ多く、しかし、外植片はできるだけ少なく流れるようにした。
フラスコの底の30%〜50%が外植片で覆われるように、外植片を新たなフラスコに移した。外植片を含有するフラスコを、37℃および5%COでインキュベートして、細胞増殖させた。必要な場合、細胞培地を交換した。
実施例7.正規化細胞毒性指数の判定
細胞毒性指数スコアは、アッセイされた細胞の出発数の変動を考慮して正規化した。細胞をウェル、すなわち隔離部位に入れた24時間後、プレートをインキュベーターから取り出し、画像化システム上に置いた。画像化システムによってプレートの各ウェルを画像化して、可視光および蛍光の画像を捕捉した。各画像を分析し各ウェルにおける細胞数を判定した。
次いで、細胞を薬剤で処置した。無処置細胞を対照として使用した。アッセイの完了時に、細胞を再度カウントした。細胞毒性指数(CI)を、以下のとおり、処置前と処置後の細胞数(試験群および対照群)を用いて算出した。
CI=T 終末 処置 × T 24 無処置
終末 無処置24 処置
式中、T終末は、処置後の細胞数であり、T24は、処置前の細胞数である。
引用した全ての特許、特許出願、刊行物および上記明細書に挙げられた文献は、参照として、それらの全体が本明細書に援用されている。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明の記載された方法およびシステムの種々の改変および変型は、当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連させて記載したが、当然のことながら、権利請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではない。実際、細胞生物学、および/または関連分野の当業者に明白な、本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、特許請求の範囲内にあることとする。
図面の簡単な説明
卵巣腫瘍に対するカルボプラチンの用量設定時に達成された代表的な集団分布の図である。検体は本文に記載されたとおり処理し培養する。マイクロタイタープレートのウェルを、用量10から用量1まで低下する濃度で処置する。用量0は、無処置の対照ウェルである。各用量における3反復ウェルの平均値を対照ウェル反復値の平均値で除算することにより、生存している分画細胞を判定する。各検体は異なる色の線で示されている。線は生データの非線形曲線適合である。 乳房腫瘍に対するカルボプラチンの用量設定時に達成された代表的な集団分布の図である。検体は本文に記載されたとおり処理し培養する。マイクロタイタープレートのウェルを、用量10から用量1まで低下する濃度で処置する。用量0は、無処置の対照ウェルである。各用量における3反復ウェルの平均値を対照ウェル反復値の平均値で除算することにより、生存している分画細胞を判定する。各検体は異なる色の線で示されている。線は生データの非線形曲線適合である。 結腸腫瘍に対するカルボプラチンの用量設定時に達成された代表的な集団分布の図である。検体は本文に記載されたとおり処理し培養する。マイクロタイタープレートのウェルを、用量10から用量1まで低下する濃度で処置する。用量0は、無処置の対照ウェルである。各用量における3反復ウェルの平均値を対照ウェル反復値の平均値で除算することにより、生存している分画細胞を判定する。各検体は異なる色の線で示されている。線は生データの非線形曲線適合である。 タキソールおよびカルボプラチンの併用療法による腫瘍由来細胞の処置に関する代表的な結果の図である。検体は本文に記載されたとおり処理し培養する。マイクロタイタープレートのウェルを、用量10から用量1まで低下する濃度で処置する。用量0は、無処置の対照ウェルである。各用量における3反復ウェルの平均値を対照ウェル反復値の平均値で除算することにより、生存している分画細胞を判定する。各検体は異なる色の線で示されている。線は生データの非線形曲線適合である。

Claims (91)

  1. (a)腫瘍外植片を攪拌して、前記腫瘍外植片から腫瘍細胞を実質的に遊離させるステップと、
    (b)前記遊離細胞を培養して、細胞培養物単層を生じさせるステップと、
    (c)腫瘍細胞集団の実質的な表現型浮動が生じる前に、前記単層の細胞からの細胞懸濁液を形成するステップと
    を含む腫瘍細胞サンプルを調製する方法。
  2. 前記細胞懸濁液が約4,000〜12,000細胞/mlである請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞懸濁液が約4,000〜9,000細胞/mlである請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞懸濁液からの細胞を、少なくとも1つの隔離部位に接種するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
  5. 各隔離部位が約10個から10個の細胞を含む請求項4に記載の方法。
  6. 各隔離部位が約10個から約10個の細胞を含む請求項5に記載の方法。
  7. 各隔離部位が約200個から約1000個の細胞を含む請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞を少なくとも1種の医薬品に接触させるステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
  9. 薬剤との接触前に、前記細胞が約4時間から約30時間培養される請求項5に記載の方法。
  10. 薬剤との接触前に、前記細胞がカウントされる請求項5に記載の方法。
  11. さらに、前記細胞が約4時間から約30時間培養された後、かつ、前記薬剤との接触前に、前記細胞がカウントされる請求項9に記載の方法。
  12. 少なくとも1種の医薬品が、前記細胞に、約25時間から約200時間接触する請求項8に記載の方法。
  13. さらに、前記少なくとも1種の医薬品が、前記細胞に、約25時間から約200時間接触した後に、前記細胞がカウントされる請求項12に記載の方法。
  14. 前記細胞が、可視光、UV光および蛍光の1つ以上を用いて自動細胞画像システムによりカウントされる請求項10、11および13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 自動細胞画像システムが、薬剤との接触前、接触中および/または接触後に、所定の間隔で可視光、UV光および蛍光の1つ以上を用いて細胞画像を撮る請求項5に記載の方法。
  16. 少なくとも1つの医薬品に対する用量応答曲線を作成する請求項8に記載の方法。
  17. 細胞生存度が、約25時間から約200時間維持される請求項12に記載の方法。
  18. 培地および非接着細胞が、約25時間から約200時間の終末に除去される請求項17に記載の方法。
  19. 続いて、前記培地および非接着細胞が、約25時間から約200時間の終末に分析される請求項18に記載の方法。
  20. 接着細胞が分析される請求項17に記載の方法。
  21. 前記細胞が、少なくとも1つの医薬品と接触前または接触中に1回または複数回画像化される請求項8に記載の方法。
  22. 生存または非生存細胞数を定量化するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
  23. 前記定量化が、可視光、UV光および蛍光の1つ以上によってなされる請求項22に記載の方法。
  24. 25時間から200時間後の接着細胞の遺伝子型または表現型の状態を分析するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
  25. 少なくとも1つの医薬品を、約25時間から約200時間細胞に接触させた後に、細胞毒性指数が算出される請求項12に記載の方法。
  26. 前記細胞毒性指数が、薬剤との処置前に得られた細胞数を用いて正規化される請求項25に記載の方法。
  27. 少なくとも1つの併用処置をさらに含む請求項9に記載の方法。
  28. 各併用処置が、少なくとも2種の薬剤を含む請求項27に記載の方法。
  29. 各併用処置が、各薬剤に関する1〜20用量レベルの連続希釈シリーズを含む請求項27に記載の方法。
  30. 0%から最大細胞死を含むレベルまでを得るように、各薬剤の用量レベル調整するステップをさらに含む請求項29に記載の方法。
  31. 各薬剤が、インビボで腫瘍周囲の細胞外液体中にあると判定される範囲の下から上の用量レベルで最初に使用される請求項29に記載の方法。
  32. 細胞集密度パーセントが測定される請求項1に記載の方法。
  33. 少なくとも1つの医薬品が標的薬剤である請求項8に記載の方法。
  34. 前記標的薬剤がマーカーを標的にする請求項33に記載の方法。
  35. 前記マーカーが、間充織細胞、上皮細胞、腫瘍細胞および組織特異的マーカーのマーカーである請求項34に記載の方法。
  36. 前記マーカーが、ビメンチン、デスミン、S100、フィブロネクチンおよびコラーゲン、細胞接着分子およびサイトケラチン、p53、サイクリン、ras、src、成長因子受容体、ホルモン受容体、シグナル伝達に関与する分子、CA125、PSA、PSM、乳タンパク質、界面活性剤およびホメオボックス核蛋白質における全レベルおよび変種からなる群から選択される請求項34に記載の方法。
  37. 少なくとも1つの遺伝子発現に関して細胞をアッセイするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  38. 前記少なくとも1つの遺伝子が、ABCB1; ABCC1; ABCC2; ABCG2; ABL1; ACLY; ADH1A; ADPRT; ADSS; AKAP2; AKT1; AKT2; ALDH1A1; ALDH4; ANK3; ANXA8; AP2B1; APAF-1; APH-1A; API5; APOE; ATF5; ATP7B; B4-2; BAD; BAG1; BAK1; BARX2; BAX; BBC3; BCL2; BCL2L1; BCL2L2; BNIP3; BRCA1; BRCA2; BRF2; BTF3; BUB1; BUB3; C8orf2; CASP2; CBR1; CCNL2; CCNB1; CCNE2; CD44; CD68; CDA; CDC45L; CDK9; CEACAM6; CEGP1; CENPA; CES1; CFFM4; CFLAR; COL1A1; COL4A2; COX17; CPR2; CREM; CSNK2B; CTSL2; CUL1; CYP1B1; CYP2A6; CYP2B6; CYP2C8; CYP2C9; CYP2C19; CYP2D6; CYP3A4; CYP3A5; CYR61; DC13; DCK; DCTD; DD96; DDB1; DIA4; DLC1; DNAJD1; DPYD; DPYS; ECGF1; ECT2; EFEMP1; EGR1; EMP-1; EPB42; EPRS; ER; ERBB2; ERCC1; ERCC2; ERCC4; ERG; ESM1; EXT1; FAAH; FCGRT; FDXR; FGF18; FGFR2; FLJ10948; FLJ11190; FLJ11196; FLJ13855; FLJ14299; FLJ20323; FLJ20585; FLNA; FLT1; FN 1; GADD34; GADD153; GBX2; GJB1; GNAZ; GMPS; GRB7; GSR; GSTM1; GSTM3; GSTP1; GTF2H3; HBOA; HCFC1; HEC; HER2; HLA-C; HMG1; HN1; HSPC134; IGFBP5; IL4R; ISGF3G; ITGA5; Ki67; KIAA0175; KIAA0281; KIAA0303; KIAA1041; KIAA1067; KIAA1442; KIP2; KIT; KLK4; KNTC2; KPNA2; KRT13; L2DTL; LAMB1; LCHN; LDHA; LOC51061; LOX; MAD2Ll; MAP2K4; MAP4; MAPT; MCM2; MCM6; MGMT; MGST1; MLH1; MMP9; MMP11; MP1; MPO; MSH2; MSN; MUC1; MYBL2; MYC; NDP; NFAT5; NFATC3; NFKB1; NME1; NME2; NMT1; NMU; NPM 1; NR1I2; ORC6L; ORM1/2; OXCT; p21/WAF; PAPPA; PB1; PCDHB2; PCSK7; PECI; PGK1; PGR; PK428; PLD3; POLA2; POLB; POLE; POLH; POR; PP591; PPP2R1A; PRC1; PRKDC; PRPSAP1; PSME 1; PTK2; PTPRC; RAB6B; RAB11FIP1; RALGDS; RFC4; RNF2; RPL27; RRM1; RRM2; RTKN; SCARA3; SCUBE2; SEC61A1; SERF1A; SIAH2; SLC2A3; SLC7A10; SLC28A1; SLC28A2; SLC29A1; SLC29A2; SLC35B1; SM20; SOD1; SPARC; STK15; STOML1; SURF4; SURVIVIN; TBPL1; TCEB3; TDP1; TFRC; TGFB3; TIMP1; TIMP3; TLOC1; TNC; TNF; TNFSF6; TOP1; TOP2A; TP53; TRAG3; TUBB/TUBA2; TWIST; TXN; TYMS; UBE2M; UBCH10; UBPH; UCH37; UMP-CMPK; UMPS; UP; UPB1; USP22; WISP1; XIAP; XIST; XPA; XPB 及び XRCC1からなる群から選択される請求項37に記載の方法。
  39. 少なくとも1つの遺伝子からの少なくとも1つのSNPに関して細胞をアッセイするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  40. 前記少なくとも1つの遺伝子が、ABCB1; ABCC1; ABCC2; ABCG2; ABL1; ACLY; ADH1A; ADPRT; ADSS; AKAP2; AKT1; AKT2; ALDH1A1; ALDH4; ANK3; ANXA8; AP2B1; APAF-1; APH-1A; API5; APOE; ATF5; ATP7B; B4-2; BAD; BAG1; BAK1; BARX2; BAX; BBC3; BCL2; BCL2L1; BCL2L2; BNIP3; BRCA1; BRCA2; BRF2; BTF3; BUB1; BUB3; C8orf2; CASP2; CBR1; CCNL2; CCNB1; CCNE2; CD44; CD68; CDA; CDC45L; CDK9; CEACAM6; CEGP1; CENPA; CES1; CFFM4; CFLAR; COL1A1; COL4A2; COX17; CPR2; CREM; CSNK2B; CTSL2; CUL1; CYP1B1; CYP2A6; CYP2B6; CYP2C8; CYP2C9; CYP2C19; CYP2D6; CYP3A4; CYP3A5; CYR61; DC13; DCK; DCTD; DD96; DDB1; DIA4; DLC1; DNAJD1; DPYD; DPYS; ECGF1; ECT2; EFEMP1; EGR1; EMP-1; EPB42; EPRS; ER; ERBB2; ERCC1; ERCC2; ERCC4; ERG; ESM1; EXT1; FAAH; FCGRT; FDXR; FGF18; FGFR2; FLJ10948; FLJ11190; FLJ11196; FLJ13855; FLJ14299; FLJ20323; FLJ20585; FLNA; FLT1; FN 1; GADD34; GADD153; GBX2; GJB1; GNAZ; GMPS; GRB7; GSR; GSTM1; GSTM3; GSTP1; GTF2H3; HBOA; HCFC1; HEC; HER2; HLA-C; HMG1; HN1; HSPC134; IGFBP5; IL4R; ISGF3G; ITGA5; Ki67; KIAA0175; KIAA0281; KIAA0303; KIAA1041; KIAA1067; KIAA1442; KIP2; KIT; KLK4; KNTC2; KPNA2; KRT13; L2DTL; LAMB1; LCHN; LDHA; LOC51061; LOX; MAD2Ll; MAP2K4; MAP4; MAPT; MCM2; MCM6; MGMT; MGST1; MLH1; MMP9; MMP11; MP1; MPO; MSH2; MSN; MUC1; MYBL2; MYC; NDP; NFAT5; NFATC3; NFKB1; NME1; NME2; NMT1; NMU; NPM 1; NR1I2; ORC6L; ORM1/2; OXCT; p21/WAF; PAPPA; PB1; PCDHB2; PCSK7; PECI; PGK1; PGR; PK428; PLD3; POLA2; POLB; POLE; POLH; POR; PP591; PPP2R1A; PRC1; PRKDC; PRPSAP1; PSME 1; PTK2; PTPRC; RAB6B; RAB11FIP1; RALGDS; RFC4; RNF2; RPL27; RRM1; RRM2; RTKN; SCARA3; SCUBE2; SEC61A1; SERF1A; SIAH2; SLC2A3; SLC7A10; SLC28A1; SLC28A2; SLC29A1; SLC29A2; SLC35B1; SM20; SOD1; SPARC; STK15; STOML1; SURF4; SURVIVIN; TBPL1; TCEB3; TDP1; TFRC; TGFB3; TIMP1; TIMP3; TLOC1; TNC; TNF; TNFSF6; TOP1; TOP2A; TP53; TRAG3; TUBB/TUBA2; TWIST; TXN; TYMS; UBE2M; UBCH10; UBPH; UCH37; UMP-CMPK; UMPS; UP; UPB1; USP22; WISP1; XIAP; XIST; XPA; XPB 及び XRCC1からなる群から選択される請求項39に記載の方法。
  41. 前記腫瘍外植片をコラゲナーゼおよびDNアーゼにより処置するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  42. 溶液が、約0.25%のコラゲナーゼを含む請求項41に記載の方法。
  43. 溶液が、約0.025%のコラゲナーゼを含む請求項41に記載の方法。
  44. 溶液が、約0.001%のDNアーゼを含む請求項41に記載の方法。
  45. 溶液が、約0.25%のコラゲナーゼおよび0.001%のDNアーゼを含む請求項41に記載の方法。
  46. 溶液が、約0.025%のコラゲナーゼおよび0.001%のDNアーゼを含む請求項41に記載の方法。
  47. 前記外植片が上皮腫瘍である請求項1に記載の方法。
  48. 前記上皮腫瘍が癌腫である請求項47に記載の方法。
  49. 前記上皮腫瘍が卵巣腫瘍である請求項47に記載の方法。
  50. 前記上皮腫瘍が大腸腫瘍である請求項47に記載の方法。
  51. 腫瘍外植片から細胞培養物単層を形成する方法であって、
    a)前記腫瘍外植片を、コラゲナーゼおよびDNアーゼを含む溶液に曝露させるステップと、
    b)複数の曝露された腫瘍外植片を培養して、細胞培養物単層を形成するステップと、を含む方法。
  52. 前記溶液への曝露前に前記腫瘍移植片を切り刻むステップをさらに含む請求項51に記載の方法。
  53. 前記腫瘍外植片を前記溶液と共にインキュベートするステップをさらに含む請求項51に記載の方法。
  54. 前記溶液への曝露後で、かつ腫瘍外植片を培養する前に前記腫瘍外植片を洗浄するステップをさらに含む請求項51に記載の方法。
  55. 前記溶液が、約0.25%のコラゲナーゼを含む請求項51に記載の方法。
  56. 前記溶液が、約0.025%のコラゲナーゼを含む請求項51に記載の方法。
  57. 前記溶液が、約0.001%のDNアーゼを含む請求項51に記載の方法。
  58. 前記溶液が、約0.25%のコラゲナーゼおよび約0.001%のDNアーゼを含む請求項51に記載の方法。
  59. 前記溶液が、約0.025%のコラゲナーゼおよび約0.001%のDNアーゼを含む請求項51に記載の方法。
  60. 前記溶液が、細胞培養培地をさらに含む請求項51に記載の方法。
  61. 前記溶液が抗生物質をさらに含む請求項51に記載の方法。
  62. 前記抗生物質が、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、およびペニシリンからなる群から選択される請求項61に記載の方法。
  63. 前記溶液が、殺真菌剤をさらに含む請求項51に記載の方法。
  64. 前記殺真菌剤が、ナイスタチンおよびアンホテリシンBからなる群から選択される請求項63に記載の方法。
  65. 前記腫瘍外植片が上皮腫瘍である請求項51に記載の方法。
  66. 前記上皮腫瘍が癌腫である請求項65に記載の方法。
  67. 前記上皮腫瘍が卵巣腫瘍である請求項65に記載の方法。
  68. 前記上皮腫瘍が大腸腫瘍である請求項65に記載の方法。
  69. 候補医薬品を同定する方法であって、
    (a)化学療法抵抗性細胞集団を、少なくとも1つの医薬品と接触させるステップと、
    (b)前記医薬品に対する前記細胞集団の化学療法応答性を評価するステップと
    を含み、所望の化学療法応答性を付与する医薬品が、候補医薬品として同定される方法。
  70. 前記候補医薬品が、プロトコルのメンバーとして選択される請求項69に記載の方法。
  71. 前記化学療法抵抗性細胞集団が、腫瘍外植片から得られた単層細胞培養物に由来する請求項69に記載の方法。
  72. 化学療法応答性の評価が、少なくとも1つの応答の分子予測物質の分析を実施することを含む請求項69に記載の方法。
  73. 前記応答の分子予測物質が、生化学経路における1つ以上の遺伝子の発現または発現産物である請求項72に記載の方法。
  74. 前記経路が、薬物代謝経路、薬物吸収経路、薬物活性化経路、薬物解毒経路およびDNA修復経路からなる群から選択される請求項73に記載の方法。
  75. 各遺伝子が、ABCB1; ABCC1; ABCC2; ABCG2; ABL1; ACLY; ADH1A; ADPRT; ADSS; AKAP2; AKT1; AKT2; ALDH1A1; ALDH4; ANK3; ANXA8; AP2B1; APAF-1; APH-1A; API5; APOE; ATF5; ATP7B; B4-2; BAD; BAG1; BAK1; BARX2; BAX; BBC3; BCL2; BCL2L1; BCL2L2; BNIP3; BRCA1; BRCA2; BRF2; BTF3; BUB1; BUB3; C8orf2; CASP2; CBR1; CCNL2; CCNB1; CCNE2; CD44; CD68; CDA; CDC45L; CDK9; CEACAM6; CEGP1; CENPA; CES1; CFFM4; CFLAR; COL1A1; COL4A2; COX17; CPR2; CREM; CSNK2B; CTSL2; CUL1; CYP1B1; CYP2A6; CYP2B6; CYP2C8; CYP2C9; CYP2C19; CYP2D6; CYP3A4; CYP3A5; CYR61; DC13; DCK; DCTD; DD96; DDB1; DIA4; DLC1; DNAJD1; DPYD; DPYS; ECGF1; ECT2; EFEMP1; EGR1; EMP-1; EPB42; EPRS; ER; ERBB2; ERCC1; ERCC2; ERCC4; ERG; ESM1; EXT1; FAAH; FCGRT; FDXR; FGF18; FGFR2; FLJ10948; FLJ11190; FLJ11196; FLJ13855; FLJ14299; FLJ20323; FLJ20585; FLNA; FLT1; FN 1; GADD34; GADD153; GBX2; GJB1; GNAZ; GMPS; GRB7; GSR; GSTM1; GSTM3; GSTP1; GTF2H3; HBOA; HCFC1; HEC; HER2; HLA-C; HMG1; HN1; HSPC134; IGFBP5; IL4R; ISGF3G; ITGA5; Ki67; KIAA0175; KIAA0281; KIAA0303; KIAA1041; KIAA1067; KIAA1442; KIP2; KIT; KLK4; KNTC2; KPNA2; KRT13; L2DTL; LAMB1; LCHN; LDHA; LOC51061; LOX; MAD2Ll; MAP2K4; MAP4; MAPT; MCM2; MCM6; MGMT; MGST1; MLH1; MMP9; MMP11; MP1; MPO; MSH2; MSN; MUC1; MYBL2; MYC; NDP; NFAT5; NFATC3; NFKB1; NME1; NME2; NMT1; NMU; NPM 1; NR1I2; ORC6L; ORM1/2; OXCT; p21/WAF; PAPPA; PB1; PCDHB2; PCSK7; PECI; PGK1; PGR; PK428; PLD3; POLA2; POLB; POLE; POLH; POR; PP591; PPP2R1A; PRC1; PRKDC; PRPSAP1; PSME 1; PTK2; PTPRC; RAB6B; RAB11FIP1; RALGDS; RFC4; RNF2; RPL27; RRM1; RRM2; RTKN; SCARA3; SCUBE2; SEC61A1; SERF1A; SIAH2; SLC2A3; SLC7A10; SLC28A1; SLC28A2; SLC29A1; SLC29A2; SLC35B1; SM20; SOD1; SPARC; STK15; STOML1; SURF4; SURVIVIN; TBPL1; TCEB3; TDP1; TFRC; TGFB3; TIMP1; TIMP3; TLOC1; TNC; TNF; TNFSF6; TOP1; TOP2A; TP53; TRAG3; TUBB/TUBA2; TWIST; TXN; TYMS; UBE2M; UBCH10; UBPH; UCH37; UMP-CMPK; UMPS; UP; UPB1; USP22; WISP1; XIAP; XIST; XPA; XPB 及び XRCC1からなる群から選択される請求項73に記載の方法。
  76. 前記化学療法抵抗性細胞集団からの約4,000から12,000細胞/mlの細胞懸濁液を調製するステップをさらに含む請求項69に記載の方法。
  77. 前記細胞懸濁液からの細胞を、少なくとも1つの隔離部位に接種させるステップをさらに含む請求項76に記載の方法。
  78. 各隔離部位が、接種後約10個から約10個の細胞を含む請求項77に記載の方法。
  79. 前記細胞と少なくとも1つの医薬品とを接触させるステップをさらに含む請求項78に記載の方法。
  80. 前記細胞を、前記少なくとも1つの医薬品と接触させる前に約4時間から約30時間培養する請求項79に記載の方法。
  81. 前記細胞を、前記少なくとも1つの医薬品と約25時間から200時間接触させる請求項79に記載の方法。
  82. 1つ以上の併用処置をさらに含む請求項80に記載の方法。
  83. 各併用処置が、少なくとも2種の薬剤を含む請求項82に記載の方法。
  84. 各医薬品に関して用量応答曲線を作成する請求項79に記載の方法。
  85. 前記外植片を、溶液中で物理的に攪拌する請求項71に記載の方法。
  86. 前記外植片を、コラゲナーゼおよびDNアーゼを含む溶液に曝露させる請求項71に記載の方法。
  87. (a)少なくとも1つの医薬品との接触前に細胞をカウントして、処置前細胞数を判定するステップと、
    (b)前記細胞を、少なくとも1つの医薬品と共に特定の長さの時間インキュベートするステップと、
    (c)前記少なくとも1つの医薬品と接触後、特定の時間後に前記細胞をカウントして、処置後の細胞カウントを判定するステップと、
    (d)細胞毒性指数を決定して、前記細胞毒性指数が化学療法応答性を正規化するステップと、を含む化学療法応答性を正規化する方法。
  88. 特定の時間前後に対照細胞をカウントするステップをさらに含む請求項87に記載の方法。
  89. 前記対照細胞が無処置細胞である請求項88に記載の方法。
  90. 前記処置前細胞カウントが、細胞を隔離部位に入れた24時間後に行われる請求項87に記載の方法。
  91. 前記細胞毒性指数(CI)が、
    CI= 終末 処置 × 24 無処置
    終末 無処置 24 処置
    として算出され、T終末は処置後の細胞数であり、T24は処置前の細胞数である請求項87に記載の方法。
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