JP2009505979A - アルツハイマー病の治療に使用するためのトランケート型メマプシン2 - Google Patents

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Abstract

本発明は、被験体のメマプシン2 β-セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少する、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を減らす新規方法を提供する。本方法は、有効量の、トランケート型メマプシン2タンパク質、抗トランケート型メマプシン2抗体、及び/又はトランケート型メマプシン2タンパク質若しくは抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸を投与するステップを含むことができる。本発明は、これに関連する医薬組成物及びその使用も提供する。
【選択図】図10

Description

メマプシン2 β−セクレターゼ活性に関連する疾患を治療するための方法及び医薬組成物に関する。
本発明は、2005年8月10日に出願された米国仮特許出願第60/707,285号の優先権を主張し、参照によりこれに記載された全てを援用する。
過去20年間の科学的研究により、アルツハイマー病の発症機序における脳アミロイドβ(Aβ)の顕著な役割が立証されてきた。Aβは、40〜42残基のペプチドであり、膜タンパク質であるβアミロイド前駆体タンパク質(APP)の、β−セクレターゼ(又はメマプシン2[この名称はIUBMBのEnzyme Nomenclature Commissionによって推奨されている]又はBACE1としても知られる)及びγ−セクレターゼとして知られる2つのプロテアーゼによる分解で生じる。この経路において、メマプシン2がAPP切断を開始し、その後、多タンパク質複合体であるγ−セクレターゼによる第2の切断でAβが生じる。過剰レベルの神経毒Aβは、脳内に長時間にわたって存在することで、ニューロンの死、脳の炎症、及びアルツハイマー病(AD)の進行を特徴付ける他の有害な事象を引き起こす。現在のところ、アルツハイマー病(AD)の臨床治療に関する疾患修飾療法はない。AD治療用に利用できる2、3の薬は、ほとんどがドネペジル(アリセプト)のようなアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるが、これらは、認識能力を少しばかり改善できるに過ぎない。したがって、本疾患用の新たな治療法を開発することは、急務である。可能性のあるAD用の疾患修飾治療的アプローチのうち、Aβの低減は、AD発症機序においてAβが極めて重要な役割を担っているため、概念的には最も有望である。本アプローチは、脳のAβを減らすことで認識能力において利益を生じることを示す実験結果によっても支持されている。本アプローチの重要性は、β−セクレターゼ、γ−セクレターゼ又はAβ産生に間接的に影響するコレステロール合成の酵素を標的とする阻害剤の開発及びテストが最新の研究で活発に行われていることにも反映されている。
既存の証拠から、アルツハイマー病(AD)は脳内アミロイドβ(Aβ)の過剰なレベルによって発症するという主張が支持されている。Aβの神経毒性は、ニューロンの死、脳の炎症、認知症およびADを引き起こす(Selkoe, Nature 399A:23-31 (1999);Selkoe and Schenk, Annu Rev Pharmacol Toxicol, 43:545-584 (2003))。AβはAD発症機序においてこのように中心的役割を占めているので、脳内Aβの低減は、ADの重要な治療戦略となった。40/42残基のペプチドであるAβは、β−セクレターゼ及びγ−セクレターゼとして知られる2つのプロテアーゼによるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断から誘導される。したがって、これらのプロテアーゼは重要な治療標的である。γ−セクレターゼの分子的実体は、まだ完全には同定されていないが、この活性がプレセニリン1、ニカストリン及びその他からなる膜タンパク質複合体と関連していることは明らかとなっている(Wolfe, Curr. Top. Med. Chem., 4:371-383 (2002))。β-セクレターゼは、本発明者らの研究室で3年前にメマプシン2と呼ばれる膜固定型アスパラギン酸プロテアーゼとしてクローニングされ、同定された(Lin et al., Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 97:1456-1460 (2000))。他の4つの研究室は、独立にこの酵素を発見し、BACE(Vassar et al., Science, 286:735-741 (1999)及びASP−2(Yan et al., Nature, 402:533-537 (1999);Hussain et al., Mol. Cell Neurosci, 14:419-427 (1999))として異なる名前を付けていた。一方、脳内にはAβ濃度に関連する他のいくつかの因子が存在する。Aβの形成を妨げるα−セクレターゼによるAPPの切断は、β−セクレターゼ切断と競合する。コレステロールは、細胞表面からエンドソームへのβ−セクレターゼのエンドサイトーシスを増強し、結果的にAβ産生の増加をもたらす。脳からのAβの除去は、明らかにアポリポ蛋白Eと関連しているが、脳内Aβの分解は、2種のペプチダーゼ、すなわち、インスリン分解酵素(Vekrellis et al., J Neurosci, 20:1657-1665 (2000)とネプリライシン(naprilysin)(Iwata et al., Nat. Med., 6:143-150 (2000))によって仲介されることが知られている。
トランスジェニックADマウスを用いたAβ免疫化により、脳内のプラークを減少し(Schenk et al., Nature, 400:173-177 (2000))、認知機能を改善することが示された(Morgan et al., Nature, 408:982-985 (2000); Janus et al., Nature, 408:979-981 (2000))。しかしながら、300人の患者で実施されたフェーズII臨床試験で、4人の患者が脳の炎症を引き起こし(Selkoe & Schenk, Annu Rev Pharmacol Toxicol, 43:545-584 (2003)、試験は永久停止となった。この治療の有効性は、血液脳関門を通過し、Aβプラークに結合するためにいくらかの抗Aβ抗体を必要とする。それ故、それに続くプラークの除去は、ミクログリア細胞の活性化を含む免疫反応の程度に依存する(Bard et al., Nature Med, 6:916-919 (2000))。したがって、臨床試験で見られたCNSの炎症は、驚くにはあたらなかった。
よって、当該分野では、アルツハイマー病を治療する有効な方法が必要とされている。本発明は、この必要性や他の必要性を満たすものである。
驚くべきことに、トランケート型メマプシン2タンパク質、抗トランケート型メマプシン2抗体、トランケート型メマプシン2タンパク質をコードする核酸、又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸の有効量を被験体に投与することで、メマプシン2 β−セクレターゼ活性の効果的な低減、脳内βアミロイドペプチドレベルの低減、脳内βアミロイドプラークの数及び/若しくは数の低減、並びに/又はアルツハイマー病の治療がもたらされることが見出された。
一態様において、本発明は、メマプシン2 β−セクレターゼ活性に関連する疾患を治療するために、そのような治療を必要とする被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する方法を提供する。本方法は、前記被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む。
他の態様において、本発明は、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる方法を提供する。本方法は、前記被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む。
他の態様において、本発明は、前記被検体の脳内βアミロイドプラークの大きさ又は数を低減する方法を提供する。本方法は、前記被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む。
他の態様において、本発明は、アルツハイマー病の治療を必要とする患者に該疾患の治療を行う方法を提供する。本方法は、前記被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む。
他の態様において、本発明は、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を提供する。
他の態様において、本発明は、トランケート型メマプシン2及び製薬上許容可能なアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
他の態様において、本発明は、トランケート型メマプシン2をコードする核酸及び製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
定義
「核酸」とは、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及び一本鎖若しくは二本鎖形態のそれらの重合体、又はそれらの相補体をいう。本用語は、合成、天然及び非天然のものであり、参照核酸と同様の結合性質を有し、また参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される公知のヌクレオチド類似体又は改変されたバックボーン残基若しくは連結を含む核酸を包含する。このような類似体の例は、限定はしないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミダイト、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNAs)を含む。核酸は、相補的な核酸も含む。
特に示さない限り、特定の核酸配列は、明確に示した配列だけでなく、保存的に改変されたそれらの変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列を黙示的に包含する。特に、縮重コドン置換は、一以上の選択された(又は全て)のコドンの第3位が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することによって達成できる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドと同様の意味で使用される。
特定の核酸配列は、黙示的に「スプライス変異体」も包含する。同様に、核酸にコードされた特定のタンパク質は、黙示的にその核酸のスプライス変異体にコードされたあらゆるタンパク質を包含する。「スプライス変異体」とは、その名が示す通り、遺伝子のオルターナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(選択的な)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライシングされ得る。スプライス変異体の産生に関する機構は、様々であるが、エクソンの選択的なスプライシングを含んでいる。リードスルー(読み飛ばし)転写によって同一核酸から生じた選択的なポリペプチドも本定義に包含される。スプライス産物の組換え形態を含む、スプライシング反応のあらゆる産物が、本定義に含まれる。
「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸配列と核酸配列の双方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体とは、同一若しくは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、或いは核酸がアミノ酸配列をコードしていない場合には実質的に同一の配列を指す。遺伝コードの縮重により、多数の機能的に同一の核酸が、あらゆる所与のタンパク質をコードしている。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは、全てアミノ酸としてアラニンをコードしている。したがって、アラニンを特定するコドンの全ての位置で、そのコドンは、コードするポリペプチドを変えることなく記載された対応のコドンのいずれかに変わることができる。このような核酸変異が、保存的に改変された変異の一種である「サイレント変異」である。また、ポリペプチドをコードする全ての核酸配列は、本明細書中、該核酸の潜在的な全てのサイレント変異をも表す。当業者は、核酸の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUGと、通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が改変され、機能的に同一の分子をもたらし得ることを理解している。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、実際のプローブ配列に関してではなく、発現産物に関して記載された各配列中に内在している。
アミノ酸配列については、核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加(これは、単一のアミノ酸又はコード配列中のアミノ酸のわずかな割合を変化させ、付加し、又は欠如する)が、該変化が化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換を生じている場合に「保存的に改変された変異体」であることを当業者は理解している。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野では周知である。このような保存的に改変された変異体は、本発明の多型変異体、種間相同物、及びアレルを加えこそすれ、排除はしない。
以下の8つのグループのそれぞれは、互いの保存的置換であるアミノ酸を含んでいる;
1) アラニン(A)、グリシン(G);
2) アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3) アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4) アルギニン(R)、リシン(K);
5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6) フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7) セリン(S)、トレオニン(T);及び
8) システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
ポリペプチド構造のような高分子構造は、様々なレベルの構造に関して説明することができる。この構造の一般的な考察については、例えば、Alberts et al., Molecular Biology of the Cell (3rd ed., 1994) and Cantor and Schimmel, Biophysical Chemistry Part I: The Conformation of Biological Macromolecules (1980)を参照されたい。「一次構造」とは、特定のペプチドのアミノ酸配列をいう。「二次構造」とは、局所的に秩序立てられたポリペプチド内の三次元構造をいう。これらの構造は、一般的にドメインとして知られている。ドメインは、ポリペプチドの小ユニットを形成するポリペプチドの一部であり、通常、約18〜350アミノ酸長である。例えば、膜貫通領域、ポアループドメイン、及びC末端ドメインが挙げられる。典型的なドメインは、βシートのストレッチ部やαへリックスのようなより小さい構造部分で構成されている。「三次構造」とは、ポリペプチド単量体の完全な三次元構造をいう。「四次構造」とは、独立した三次ユニットの非共有結合による会合によって形成される三次元構造をいう。また、異方性の用語は、エネルギー用語としても知られている。
用語「組換え」は、例えば、細胞、核酸、タンパク質、又はベクターに関して使用する場合、細胞、核酸、タンパク質、又はベクターが、異種の核酸若しくはタンパク質の導入、又は野生型の核酸若しくはタンパク質の変更によって改変されたこと、あるいは細胞がそのような改変を受けた細胞に由来することを示している。したがって、例えば、組換え細胞は、野生(非組換え)型の細胞内には見られない遺伝子を発現するか、又は発現する若しくは全く発現しない条件下で異常な発現をする野生型遺伝子を発現する。
「発現ベクター」は、組換えによって又は合成によって作製された核酸構築物であり、特定の核酸の転写を宿主細胞内において可能にする一連の特別な核酸エレメントを有している。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスまたは核酸断片の一部であることができる。通常、発現ベクターは、機能し得るようにプロモーターに連結された転写されるべき核酸を含んでいる。
二以上の核酸又はポリペプチド配列において「同一の」又は「同一性」%という用語は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて又はマニュアルアライメント若しくは目視検査によって測定されるように、比較枠又は指定領域にわたって最大限に一致させるために比較し、整列させた際に、同一であるか、或いは同一のアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定の%(すなわち、特定の領域にわたって60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の同一性)を有する2つ以上の配列又は部分配列をいう。このような配列を、以降「実質的に同一」と呼ぶ。本定義は、試験配列の相補体に対しても用いられる。同一性は、少なくとも約25アミノ酸長若しくはヌクレオチド長の領域にわたって、又はより好ましくは50〜100アミノ酸長若しくはヌクレオチド長の領域にわたって存在することが好ましい。
配列比較に関して、通常、一つの配列が参照配列としての役割を果たし、試験配列がそれと比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列はコンピューターに入力され、部分配列座標が指定され、必要に応じて、その後、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトのプログラムパラメータを用いるか、あるいは別のパラメータを指定することができる。その後、配列比較アルゴリズムは、試験配列の参照配列に対する配列同一性%をプログラムパラメータに基づいて算出する。核酸及びタンパク質の配列比較に関しては、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズム並びに以下で論じるデフォルトパラメータが使用される。
本明細書で使用するとき「比較枠」とは、20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群より選択される連続した位置番号のいずれか一つのセグメントを指す。この比較枠の中で、一の配列と参照配列とを最適に整列させた後、一の配列を連続した位置の同番号の参照配列と比較することができる。比較のために配列を整列する方法は、当該分野で周知である。比較のための配列の最適な整列を、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的ホモロジーアルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムをコンピュータで実行することにより(Wisconsin Genetics ソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA;Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)、又はマニュアルアライメントと目視検査によって(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 supplement)を参照されたい)行うことができる。
配列同一性%及び配列類似性%を決定するのに適した例示的なアルゴリズムは、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、これは、それぞれAltschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1977)及びAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。BLAST及びBLAST2.0は、本明細書に記載したパラメータを用いて、本発明の核酸及びタンパク質の配列同一性%を決定する。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手することができる。このアルゴリズムは、まず、クエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させたときに、ある肯定的に評価されたスコア閾値Tとマッチするか、あるいはこれを満たすハイスコア配列ペア(high scoring sequence pairs:HSP)を同定することを含む。Tは隣接ワードスコア閾値と呼ばれている(Altschul et al., supra)。これら最初のワードヒットは、それらを含むより長いHSPsを見つけ出すための検索開始のシード(種)としての役割を果たす。ワードヒットは、累積アライメントスコアが増加可能な限り、各配列に沿って両方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(マッチする一組の残基に対する報酬スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列については、スコア行列が使用され、累積スコアが算出される。各方向におけるワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアが最大達成値から量Xまで低下したとき、すなわち一以上の否定的スコア残基の並びが蓄積することにより累積スコアが0以下となったとき、又はいずれかの配列の末端に到達したときに停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXはアライメントの感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワード長(W)=11、期待値(E)
=10、M=5、N=−4及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長=3及び期待値(E)=10、並びにBLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照)アライメント(B)=50、期待値(E)=10、M=5、N=−4及び両鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムはまた、二つの配列間の類似性の統計学的解析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の測定の1つに、二つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の適合が偶然に起こる確率の示度を提供する最小合計確率(P(N))がある。例えば、核酸は、試験核酸と参照核酸との比較において、もし最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは0.01未満、最も好ましくは0.001未満であれば、参照配列に類似するとみなされる。
二つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるという表示は、以下で説明するように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して生じた抗体と免疫学的に交差反応するということである。したがって、ポリペプチドは、通常、第2のポリペプチドと実質的に同一であって、例えば、2つのペプチドは、保存的置換のみが異なる。2つの核酸配列が実質的に同一であるという他の表示は、以下で説明するように、2つの分子又はそれらの相補体が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするということである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる表示は、同一プライマーを使用して、その配列を増幅することができるということである。
「選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする」という記述は、その配列が複合混合物(例えば、全細胞DNA若しくはRNA又はライブラリーDNA若しくはRNA)中に存在するときに、該分子がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定の核酸配列とのみ結合すること、二重鎖形成すること又はハイブリダイズすることをいう。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という記述は、プローブが、通常、核酸の複合混合物中でその標的である部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況下で変わってくる。配列が長いほど、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範な指針は、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」 (1993)中に記載されている。通常、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度、pHにおける特定の配列の融点(T)よりも約5〜10℃低い温度が選択される。Tは、標的に相補的なプローブの50%が標的配列に平衡状態でハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pH、及び核酸濃度下での)温度である(標的配列が過剰に存在しているとき、Tではプローブの50%が平衡状態で占められている)。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加により達成することもできる。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションに関して、ポジディブシグナルは、少なくとも2倍のバックグラウンドハイブリダイゼーション、好ましくは10倍のバックグラウンドハイブリダイゼーションである。例示的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、以下のようにすることができる:50%ホルムアミド、5xSSC及び1%SDS、42℃でのインキュベーション、又は、5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、その後、0.2xSSCと0.1%SDSの溶液中65℃での洗浄。
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸であっても、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一であるならば、実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが遺伝子コードで許容される最大のコドン縮重を用いて創出されるときに起こる。このような場合に、核酸は通常、中ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例示的な「中ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、37℃における40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSのバッファー中でのハイブリダイゼーション、及び45℃における1xSSC中での洗浄を含む。ポジティブハイブリダイゼーションは、少なくとも2倍のバックグラウンドである。当業者であれば、別のハイブリダイゼーション及び洗浄条件を利用して同様のストリンジェンシー条件を提供できることは、容易に理解できるであろう。ハイブリダイゼーションのパラメータを決定するためのさらなるガイドラインは、数多くの文献、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel, et al中に記載されている。
PCRに関して、アニーリング温度は、プライマーの長さに応じて約32℃〜48℃間で変化し得るが、約36℃が低ストリンジェンシー増幅の典型的温度である。高ストリンジェンシーPCR増幅については、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマーの長さと特異性によって約50℃〜約65℃で変動し得るが、約62℃の温度が典型的である。高低両ストリンジェンシー増幅用の典型的なサイクル条件は、90℃〜95℃で30秒〜2分間の変性段階、30秒〜2分間続くアニーリング段階、及び約72℃で1〜2分間の伸長段階を含む。高低両ストリンジェンシー増幅反応用のプロトコル及びガイドラインは、例えば、Innis et al. (1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc. N.Y.に記載されている。
「単離された」、「精製された」又は「生物学的に純粋な」という用語は、自然状態で見られるような通常それに付随している成分を実質的に、又は本質的に含まない材料をいう。純度及び均質性は、通常、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて測定される。調製物中に支配的に存在する種であるタンパク質は、実質的に精製されている。
「ポリペプチド」は、アミノ酸を単量体として、それがアミド結合を介して連結した重合体をいう。あるいは、「ポリペプチド」は、「タンパク質」とも呼ばれる。用語「タンパク質」は、ポリペプチドを包含する。非天然アミノ酸、例えば、β‐アラニン、フェニルグリシン及びホモアルギニンも、本定義に含まれる。遺伝子にコードされていないアミノ酸も、本発明で使用することができる。さらに、反応基を包含するように修飾されたアミノ酸もまた、本発明で使用することができる。本発明で使用される全てのアミノ酸は、D型又はL型異性体のいずれであってもよい。L型異性体が、通常は好ましい。さらに、他のペプチド模倣物も本発明で有用である。一般的概説に関しては、Spatola, A. F., in CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS, PEPTIDES AND PROTEINS, B. Weinstein, eds., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983)を参照されたい。
「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域を含み、抗原に特異的に結合してそれを認識するポリペプチド又はそのフラグメントをいう。認められている免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子、並びに様々な免疫グロブリンの多様性/連結/可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ又はイプシロンに分類され、これらは順に、それぞれ免疫グロブリンクラスであるIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを規定する。
例示的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は四量体である。各四量体は、2つのポリペプチド鎖の同一ペアで構成される。それぞれのペアは、1本の「軽」鎖(約25kDa)及び1本の「重」鎖(約50〜70kDA)を有する。各鎖のN末端は、主として抗原認識に関与する約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)とは、それぞれそれらの軽鎖及び重鎖をいう。
抗体は、例えば、完全な免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる切断で生じた多数の十分に特徴付けられたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、抗体をヒンジ領域のジスルフィド結合の下方で分解し、Fabの二量体であるF(ab)’を生成する。Fabそれ自身は、ジスルフィド結合によってV−C1に結合した軽鎖である。F(ab)’は、温和な条件下で還元され、ヒンジ領域のジスルフィド結合を断つことができる。それによって、F(ab)’二量体は、F(ab)’単量体へと変換される。Fab’単量体は、実質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology , Paul ed., 3d ed. 1993を参照)。様々な抗体フラグメントが完全抗体の分解に関して明らかにされているが、当業者は、前記フラグメントを新たに化学的に、又は組換えDNA法を用いることによって合成できることを理解している。したがって、本明細書で用いる抗体という用語はまた、抗体全体の改変によって生じた抗体フラグメント、あるいは組換えDNA法を用いて新たに合成した抗体フラグメント(例えば、単鎖Fv)又はファージディスプレイライブラリーを用いて同定された抗体フラグメント(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)を参照されたい)であって、抗原結合能力を有しているもの(例えば、Fab’、F(ab’)、Fab、Fv及びrIgG。Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL)も参照されたい。)を含む。例えば、Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York (1998)も参照されたい。また、抗体という用語は、二価の又は二重特異性分子、ジアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを含む。二価の又は二重特異性分子は、例えば、Kostelny et al.. (1992) J Immunol 148:1547;Pack and Pluckthun (1992) Biochemistry 31:1579;Hollinger et al., 1993, 上記;Gruber et al. (1994) J Immunol :5368;Zhu et al. (1997) Protein Sci 6:781;Hu et al. (1996) Cancer Res. 56:3055:Adams et al. (1993) Cancer Res. 53:4026及びMcCartney, et al. (1995) Protein Eng. 8:301に記載されている。
通常、免疫グロブリンは、重鎖と軽鎖とを有している。重鎖と軽鎖のそれぞれは、定常領域と可変領域とを含んでいる(該領域は、「ドメイン」としても知られる)。軽鎖及び重鎖の可変領域は、4つの「フレームワーク」領域を含んでおり、これらは3つの超可変領域(「相補性決定領域」又は「CDR」とも呼ばれる)によって隔てられている。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、明らかにされている。種々の軽鎖又は重鎖におけるフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成要素の軽鎖及び重鎖のフレームワーク領域が結合した抗体のフレームワーク領域は、三次元空間の中にCDRを位置づけ、整列させる働きをもつ。
CDRは、主に抗原のエピトープと結合することに関与する。それぞれの鎖のCDRは、通常、CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれ、N末端から連続的に番号付けられており、また、通常、特定のCDRが位置する鎖によって識別される。したがって、V CDR3は、これが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置する。一方、V CDR1は、これが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。
「V」又は「VH」とは、Fv、scFv又はFabの重鎖を含む、抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域をいう。「V」又は「VL」とは、Fv、scFv、dsFv又はFabの軽鎖を含む、抗体の免疫グロブリン軽鎖の可変領域をいう。
「一本鎖Fv」又は「scFv」とは、従来の2本鎖抗体の重鎖、及び軽鎖の可変ドメインが結合して1本鎖を形成した抗体をいう。通常、リンカーペプチドが2本の鎖の間に挿入され、適当な折りたたみと活性結合部位の構築を可能にしている。「キメラ抗体」は、(a)定常領域又はその一部分が、抗原結合部位(可変領域)が異なる又は変化したクラスの定常領域、エフェクター官能基及び/若しくは種、或いはキメラ抗体に新しい性質を付与する完全に異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物等)と連結するように、変化された、置換された又は交換された免疫グロブリン分子、或いは(b)可変領域又はその一部分が、異なる又は変化した抗原特異性を有する可変領域で変化され、置換され又は交換された免疫グロブリン分子である。
「ヒト化」抗体は、ヒト以外の免疫グロブリン由来の最小の配列を含む免疫グロブリン分子である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補鎖決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(マウス、ラット又はラビットなど)のCDRに由来する残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応するヒト以外の残基で置き換えられている。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、導入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、全ての又は実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつ全ての又は実質的に全てのフレームワーク(FR)領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、実質的に全ての、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインを含む。また、ヒト化抗体は、好ましくは、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、通常はヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の一部を含む(Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992))。ヒト化は、基本的にWinterとその共同研究者の方法(Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536 (1988))に従って、ヒト抗体の対応する配列をげっ歯類のCDR配列に置換することで実行することができる。したがって、前記ヒト化抗体は、完全なヒト可変ドメインの一部が非ヒト種由来のこれに対応する配列で置換されているキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。
「エピトープ」又は「抗原決定基」は、抗体が結合する抗原上の部位をいう。エピトープは、連続したアミノ酸又はタンパク質の三次構造の折りたたみによって並列配置される非連続なアミノ酸の両方から形成され得る。連続したアミノ酸から形成されるエピトープは、通常、変性溶媒へ曝露しても維持されるが、三次構造の折りたたみによって形成されたエピトープは、通常、変性溶媒を用いた処理で失われる。エピトープは、通常、少なくとも3個、より一般的には少なくとも5個、又は8〜10個のアミノ酸を固有の空間構造中に含んでいる。エピトープの空間構造を決定するための方法は、例えば、X線結晶学及び二次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed (1996)を参照されたい。
「標識」又は「検出可能な部分」は、分光学的な、光化学的な、生化学的な、免疫化学的な、化学的な又は他の物理学的手段によって、検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、蛍光色素、電子密度の高い試薬、酵素(例えば、一般的にELISAで使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、若しくはハプテン及びタンパク質、又は(例えば、放射線標識をペプチド中に組み込むことによって検出可能となる、又はペプチドと特異的に反応する抗体を検出するのに使用される)他の物質を含む。放射線同位体は、例えば、H、14C、32P、35S又は125Iであってもよい。いくつかのケースで、特に本発明のタンパク質に対する抗体を使用する場合、放射線同位体は、以下で説明するように毒性部分として使用される。標識をGPR64核酸、タンパク質、及び抗体中の任意の位置に取り込ませることができる。抗体を標識と結合するための当該分野で公知のあらゆる方法を使用することができる。このような方法は、Hunter et al., Nature, 144:945 (1962);David et al., Biochemistry, 13:1014 (1974); Pain et al., J. Immunol. Meth., 40:219 (1981);及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)によって記載された方法を含む。放射線標識されたペプチド又は放射線標識された抗体組成物の寿命は、放射線標識されたペプチド又は抗体を安定化させ、かつそれを分解から保護する物質を添加することによって延長することができる。放射線標識されたペプチド又は抗体を安定化するあらゆる物質又は物質の組み合わせを使用することができ、これには米国特許第5,961,955号で開示された物質が挙げられる。
用語「異種」とは、核酸の一部に関して使用する場合、核酸が、天然において通常は互いに同一の関係において見られない二以上の部分配列からなることを示す。例えば、前記核酸は、通常組換え技術によって作製された(例えば、新たな機能的核酸を作るために配置された無関連な遺伝子に由来する)二以上の配列(例えば、一の供給源由来のプロモーター及び他の供給源由来のコード領域)を有している。同様に、異種タンパク質は、しばしば、天然において通常は互いに同一の関係において見られない二以上の部分配列(例えば、融合タンパク質)をいう。
「プロモーター」は、核酸の転写を指示する核酸制御配列のアレイとして定義される。本明細書で使用されるプロモーターは、転写開始部位近辺の必須の核酸配列を含む。例えば、ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATAエレメントが該当する。また、プロモーターは、任意に、遠位のエンハンサーエレメント又はリプレッサーエレメントを含む。これらのエレメントは、転写開始部位から数千塩基対程の位置に存在することができる。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境又は発生条件下で活性状態にあるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境的又は発生的調節下で活性状態となるプロモーターである。「機能し得るように連結された」とは、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター又は転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸配列間の機能的な連結をいい、その際、発現制御配列は、第2の配列に相当する核酸の転写を指示する。
「発現ベクター」は、核酸構築物であり、組換え技術によって、又は合成的に作製され、宿主細胞内で特定の核酸の発現を可能にする一連の特別な核酸エレメントを含む。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、又は核酸断片の一部であり得る。通常、発現ベクターは、プロモーターと機能し得るように連結された転写されるべき核酸を含む。
抗体と「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的な(又は選択的な)免疫反応」とは、タンパク質又はペプチドに対していう場合、タンパク質及び他の生物物質の異種集団中でタンパク質の存在を決定する結合反応をいう。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特異的な抗体は、特定のタンパク質配列と、少なくとも2倍のバックグラウンドで、より典型的には10倍〜100倍以上のバックグラウンドで結合する。
前記条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性で選択された抗体を必要とする。例えば、特定のタンパク質、多型変異体、アレル、オルソログ、及び保存的に改変された変異体、又はスプライス変異体、或いはそれらの一部に対して生じたポリクローナル抗体を選択して、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応するが、他のタンパク質とは反応しないポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を取り除くことによって達成することができる。様々なイムノアッセイフォーマットを用いて、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するのに慣用的に用いられている(例えば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照されたい)。
トランケート型メマプシン2タンパク質に関して本明細書で使用する場合、「実質的に〜からなる」は、詳述する配列に対して、メマプシン2タンパク質のN末端の全ての部分を除外する。例えば、トランケート型メマプシン2タンパク質が、図4の15〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と実質的に少なくとも80%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる場合には、トランケート型メマプシン2タンパク質は、図4の1〜14番アミノ酸を含まない。
I.イントロダクション
メマプシン2 β−セクレターゼ(メマプシン2、β−セクレターゼ及び/又はBACE1とも呼ばれる)は、クラスI膜タンパク質であり、ペプシンに高い相同性を有するプロテアーゼドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含んでいる(図1)。本プロテアーゼは、N末端プロ領域と共にインビボで合成される。このN末端プロ領域は、フューリンによって切断され、33残基のプロセグメントが細胞表面に向かう途中で除かれる(Capell et al., J. Biol. Chem., 275:30849-30854 (2000))。メマプシン2プロテアーゼドメインの結晶構造(Hong et al., Science, 290:150-153(2000))は、前記ドメインがアスパラギン酸プロテアーゼに典型的な拡張した活性部位間隙(active site cleft)を含むことを示す。β−ヘアピンフラップは、その活性部位の間隙を完全に覆っている。他のアスパラギン酸プロテアーゼのように、フラップは、活性部位間隙中への基質の挿入を可能にするため開かれる必要がある。
メマプシン2は、βアミロイド(Aβ)の産生とアルツハイマー病(AD)の発病を引き起こすアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を開始する。これは、AD用の治療開発の主な治療標的である。野生型のAPPは、メマプシン2の大した基質とはならない(Lin et al., Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 97:1456-1460 (2000);Ermolieff et al., Biochemistry, 39(40):12450-12456 (2000)。P−PサブサイトにおけるLys−MetからAsn−Leuへのスウェーデン突然変異は、約60倍まで加水分解効率を増強し、Aβ産生を増加し、またADの早期発症型を表す。8つの基質残基全ての特異性が決定されている(Turner et al., Biochemistry, 40:10001-10006 (2001)。野生型メマプシン2は、3つのN結合型オリゴ糖によりグリコシル化される。触媒ユニットを膜貫通領域に結合するヒンジはわずか6残基である(Hong et al., Science, 290:150-153 (2000)。膜貫通ドメインは、3つのシステインを含んでおり、それらはパルミチン酸と共有結合されている。これは、膜におけるメマプシン2の脂質ラフトの局在と一致する。細胞内ドメインは、細胞表面からエンドソームへのエンドサイトーシスのためのシグナルを含んでいる。このシグナルは、GGAのようなクラスリン被覆小胞を介した輸送用のタンパク質の認識に関与しているようである(He et al., FEBS Letters, 524:183-187 (2002)。メマプシン2活性の最適なpHは、約4.5である。
II.トランケート型メマプシン2タンパク質、抗トランケート型メマプシン2抗体、及びコード核酸
A.トランケート型メマプシン2タンパク質
いくつかの実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減するのに有用なトランケート型メマプシン2を提供する。
本明細書で使用する「トランケート型メマプシン2タンパク質」とは、メマプシン2のN末端プロ領域の少なくとも一部がないメマプシン2タンパク質をいう。メマプシン2のN末端プロ領域は、フューリン又はフューリン様コンベルターゼによって切断されるメマプシン2タンパク質の一部として本明細書中で定義される。
フューリンは、偏在性サブチリシン様プロタンパク質コンベルターゼである。この酵素は、分泌経路の主なプロセシング酵素であり、トランスゴルジ網中に局在している(van den Ouweland, A.M.W. et al. (1990) Nucl. Acids Res., 18, 664; Steiner, D.F. (1998) Curr. Opin. Chem. Biol., 2, 31-39)。フューリンの基質は、血液凝固因子、血清タンパク質、及びインスリン様成長因子受容体のような成長因子受容体を含んでいる(Bravo, D.A. et al. (1994) J. Biol. Chem., 269, 25830-25837)。最小切断部位は、Arg−X−X−Arg’である。しかしながら、前記酵素は、Arg−X−(Lys/Arg)−Arg’を好む。P6位置における追加のアルギニンは、切断を増強するようである(Krysan, D.J. et al. (1999) J. Biol. Chem., 274, 23229-23234)。フューリンは、EGTA、α1-Antitrypsin Portland(Jean, F. et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 7293-7298)、及びポリアルギニン化合物(Cameron, A. et al.(2000)J. Biol. Chem., 275, 36741-36749)で阻害される。
いくつかの実施形態において、メマプシン2タンパク質は、図4の14〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列を含むアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を開始することのできるタンパク質である。他の実施形態において、メマプシン2タンパク質は、図4の14〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列を含む。他の実施形態において、メマプシン2タンパク質は、図4の14〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸部分配列を含む。他の実施形態において、メマプシン2タンパク質は、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の16〜456番アミノ酸のアミノ酸部分配列を含む。
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の15〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の15〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の15〜501番、又は15〜454番アミノ酸のアミノ酸部分配列からなる。関連する実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、10〜486個のアミノ酸のアミノ酸部分配列からなる。他の関連する実施形態で、トランケート型メマプシン2タンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を開始できるタンパク質である。
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の15〜501番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の15〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の15〜501番、又は15〜454番アミノ酸のアミノ酸部分配列からなる。関連する実施形態において、アミノ酸部分配列は、10〜486個のアミノ酸である。他の関連する実施形態で、トランケート型メマプシン2タンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を開始できるタンパク質である。
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸部分配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸のアミノ酸部分配列からなる。関連する実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、10〜413個のアミノ酸のアミノ酸部分配列からなる。他の関連する実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を開始できるタンパク質である。
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、実質的に、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸からなる。
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸と少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる。他の実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質は、任意に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番、又は63〜454番アミノ酸からなる。
B.抗トランケート型メマプシン2抗体
いくつかの実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減するのに有用な抗トランケート型メマプシン2抗体を提供する。抗トランケート型メマプシン2抗体は、上記で定義したように、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する抗体である。
トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に反応するポリクローナル及びモノクローナル抗体の作製方法は、当業者には公知である(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology (1991); Harlow & Lane,上記;Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed. 1986);及びKohler & Milstein, Nature 256:495-497 (1975)を参照されたい)。前記技術は、ファージ又は類似のベクターにおいて組換え抗体のライブラリーに由来する抗体を選択することによる抗体調製、並びにウサギ又はマウスを免疫化することによるポリクローナル及びモノクローナル抗体の調製を含む(例えば、Huse et al., Science 246:1275-1281 (1989); Ward et al., Nature 341:544-546 (1989)を参照されたい)。抗体は、当業者に周知の技術を用いて精製される。
免疫原を含む多数のトランケート型メマプシン2タンパク質を使用して、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に反応する抗体及びそのアイソタイプを作製することができる。例えば、本明細書で開示された配列に由来する合成トランケート型メマプシン2タンパク質又はその合成ペプチド断片を、任意に担体タンパク質と結合させて、免疫原として用いることができる。組換えタンパク質は、原核細胞又は真核細胞内で発現させることができ、かつ当業者に公知の方法を用いて精製することができる。モノクローナル又はポリクローナル抗体のいずれかを作製し、その後のイムノアッセイで用いて、タンパク質を測定する又は単離することができる。
抗トランケート型メマプシン2抗体は、キメラ又はヒト化抗体、並びに、前記抗体から得られる抗原結合部位と実質的に相同な構造及び機能を有するポリペプチドを含む。したがって、いくつかの実施形態において、抗トランケート型メマプシン2抗体は、CDR領域を規定するペプチド、或いはトランケート型メマプシン2タンパク質との特異的な免疫反応性を付与するに足るCDR領域の一部分である。
モノクローナル抗体及びポリクローナル血清を回収して、イムノアッセイ(例えば、固体支持体上に固定化された免疫原を用いた固相イムノアッセイ)で免疫原性タンパク質に対する力価を測定することできる。通常、10以上の力価をもつポリクローナル抗血清が選択され、非トランケート型メマプシン2タンパク質又は他のタンパク質に対する交差反応性について、競合結合イムノアッセイ法を用いて試験される。
一旦、トランケート型メマプシン2タンパク質特異的抗体が得られれば、トランケート型メマプシン2タンパク質は、様々なイムノアッセイ法によって検出することができる。免疫学的方法及びイムノアッセイ法の概説については、Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr eds., 7th ed. 1991)を参照されたい。さらに、イムノアッセイは、Enzyme Immunoassay (Maggio, ed., 1980);及び上記Harlow & Laneに広範囲にわたって概説されている種々の構成のいずれかで実行することができる。
トランケート型メマプシン2タンパク質の結合親和性は、通常、標準的な抗体−抗原アッセイ(例えば、Biacore競合アッセイ、飽和アッセイ、又はELISA又はRIAのようなイムノアッセイ等)によって測定又は決定される。
前記アッセイを使用して、抗体の解離定数を決定することができる。「解離定数」とは、抗体の抗原に対する親和性をいう。抗体抗原間の結合の特異性は、解離定数を参照して示すことができる(K=1/K、式中、Kは親和定数=[Ab−Ag]/[Ab][Ag]である。ここで、[Ab]は、抗体の平衡状態での濃度であり、[Ag]は、抗原の平衡状態での濃度であり、また[Ab−Ag]は、抗体−抗原複合体の平衡状態での濃度である)。通常、抗原及び抗体間の結合相互作用は、静電引力、ファンデルワールス力、及び水素結合のような可逆的な非共有結合を含む。
いくつかの実施形態で、本発明の抗体は、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する。抗体がトランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する場合、その抗体は、0.1mM未満、1μM未満、0.1μM未満又は0.01μM未満のKを持つタンパク質と結合できる。特異的ポリクローナル抗血清及びモノクローナル抗体は、0.1mM未満、1μM未満、0.1μM未満又は0.01μM未満のKで結合することができる。
ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者には公知である(例えば、上記Coligan;及び上記Harlow & Lane)。ポリクローナル抗体は、例えば、トランケート型メマプシン2タンパク質(及び所望であればアジュバント)の一回以上の注射(例えば、皮下若しくは腹腔内注射)によって、哺乳動物体内で生じさせることができる。例えば、近交系のマウス(例えば、BALB/Cマウス)又はウサギを、適当なアジュバントと標準的な免疫プロトコルとを用いて、前記タンパク質で免疫することができる。免疫原調製物に対する動物の免疫反応は、検査用血液を採取し、トランケート型メマプシン2タンパク質に対する反応力価を測定することによってモニターされる。免疫原に対する抗体の適当な高力価が得られた場合、血液を動物から回収し、抗血清が調製される。所望であれば、前記タンパク質に反応する抗体を濃縮するために抗血清の更なる分別を行うことができる(上記、Harlow & Lane参照)。
いくつかの実施形態で、トランケート型メマプシン2は、免疫される哺乳動物中で免疫原となることが知られるタンパク質と結合される。このような免疫原性タンパク質の例は、限定はしないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシ・チログロブリン、及びダイズトリプシンインヒビターを含む。使用可能なアジュバントの例は、フロイント完全アジュバント、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロース ジコリノミコレート(trehalose dicorynomycolate))を含む。当業者は、過度の実験をすることなく、免疫化プロトコルを選択することができる。
あるいは、抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler & Milstein, Nature 256:495 (1975)によって記載された方法のようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター、又は他の適当な宿主動物が、通常、トランケート型メマプシン2タンパク質で免疫され、免疫剤に特異的に結合する抗体を作る又は作ることができるリンパ球を誘導する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化することができる。通常、ヒト起源の細胞を望む場合には、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、ヒト以外の哺乳動物起源を望む場合には、脾臓細胞若しくはリンパ節細胞が使用される。リンパ球は、その後、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて不死化細胞株と融合される(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (1986))。不死化細胞株は、通常、形質転換した哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシ及びヒト起源のミエローマ細胞である。一般的には、ラット又はマウスのミエローマ細胞株が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは融合していない不死化細胞の増殖又は生存を阻害する一以上の物質を含む、適当な培地で培養できる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠損しているのであれば、ハイブリドーマ用の培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含んでいる(「HAT培地」)。これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を阻害する。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom & Winter, J. Mol. Biol. 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581 (1991))を含む当該分野で公知の様々な技術を用いて作製することができる。Cole et al.とBoerner et al.の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, p. 77 (1985)、及びBoerner et al., J. Immunol. 147(1):86-95 (1991))。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物(例えば、内在性の免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されたマウス)に導入することによって作ることができる。チャレンジに際して、ヒト抗体の産生は、遺伝子再構成、アセンブリ及び抗体レパートリーを含むあらゆる点でヒトで見られるそれと酷似することが観察される。本アプローチは、例えば米国特許第5,545,807号、5,545,806号、5,569,825号、5,625,126号、5,633,425号、5,661,016号及び以下の科学刊行物、すなわち、Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994);Morrison, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14:845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996);Lonberg & Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)に記載されている。
いくつかの実施形態で、抗体は、一本鎖Fv(scFv)である。scFv抗体のV及びV領域は、二本鎖抗体で見られるものと類似した抗原結合部位を作り出すために折り畳まれた一本鎖を含む。一旦折り畳まれると、非共有結合的相互作用が一本鎖抗体を安定化する。いくつかの実施形態における抗体のV及びV領域は、互いに直接結合することができるが、当業者であれば、その領域を一以上のアミノ酸からなるペプチドリンカーで分離できることを、理解するだろう。ペプチドリンカーとその使用は、当該分野では公知である。例えば、Huston et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 8:5879 (1988);Bird et al., Science 242:4236 (1988);Glockshuber et al., Biochemistry 29:1362 (1990);米国特許第4,946,778号、米国特許第5,132,405号、及びStemmer et al., Biotechniques 14:256-265 (1993)を参照されたい。通常、ペプチドリンカーは、領域を連結すること、又はV及びV間の、ある最小距離若しくは他の空間的関連性を維持すること以外に特別な生物活性をもたない。しかしながら、ペプチドリンカーの構成アミノ酸を選択して、折り畳み、正味電荷又は疎水性のような分子のいくつかの性質に影響を与えることができる。一本鎖Fv(scFv)抗体は、任意に、50アミノ酸以下の、一般的には40アミノ酸以下の、好ましくは30アミノ酸以下の、そしてより好ましくは20アミノ酸以下のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態で、ペプチドリンカーは、配列Gly−Gly−Gly−Gly−Serのコンカテマーであり、好ましくは、2個、3個、4個、5個、又は6個のそのような配列である。しかし、リンカー内部にいくつかのアミノ酸置換を導入できることは理解されるべきである。例えば、バリンを、グリシンに置換することができる。
scFv抗体を作製する方法は、一般的に知られている。簡単に言えば、免疫された動物のB細胞由来のmRNAが単離され、cDNAが調製される。そのcDNAは、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域に特異的なプライマーを用いて増幅される。PCR産物が精製され、核酸配列が連結される。リンカーペプチドが所望であれば、そのペプチドをコードする核酸配列が重鎖及び軽鎖の核酸配列間に挿入される。scFVをコードする核酸は、ベクター内に挿入され、適当な宿主細胞内で発現される。所望の抗原に特異的に結合するscFVは、通常、ファージディスプレイのパンニングによって見出される。パンニングは、いくつかの方法のいずれかで行うことができる。パンニングは、所望の抗原をその表面上に発現している細胞を用いて、又は所望の抗原で被覆した固相表面を用いて、都合よく実行することができる。好都合なことに、前記表面は、磁気ビーズであることができる。結合していないファージは、固相表面から洗い流され、結合ファージが溶出される。
最大の親和性を有する抗体を見つけることは、選択工程の効率によって影響され、またスクリーニングできるクローンの数、及びそれを行う場合のストリンジェンシーに依存する。通常、ストリンジェンシーが高いほど選択パンニングも高くなる。しかしながら、条件があまりにもストリンジェントな場合、ファージは結合しないであろう。1ラウンドのパンニング後に、トランケート型メマプシン2タンパク質又はトランケート型メマプシン2タンパク質をその表面に発現している細胞と結合するファージは、大腸菌内で増殖され、別ラウンドのパンニングに供される。本方法では、3ラウンドのパンニングで何倍もの富化が生じる。したがって、各ラウンドの富化が低いときでさえも、複数ラウンドのパンニングにより、稀有なファージ、及び最大の親和性をもつscFvをその内部にコードする遺伝材料又はファージでよく発現している遺伝材料の単離が可能となる。
選択されたパンニングの方法にかかわらず、ファージディスプレイによって提供される遺伝型と表現型との物理的な関連により、多数のクローンのライブラリーであっても抗体への結合に関してDNAライブラリーの各メンバーを試験することが可能となる。
一実施形態で、抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、モノクローナル抗体、好ましくはヒト抗体又はヒト化抗体であって、少なくとも二つの異なる抗原について結合特異性を有するか、又は同一抗原上の2つのエピトープについて結合特異性を有する。
C.核酸
いくつかの実施形態において、本発明は、トランケート型メマプシン2タンパク質又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする単離された核酸を提供する。いくつかの実施形態で、単離された核酸がトランケート型メマプシン2タンパク質をコードする場合、単離された核酸は、図7の核酸配列と選択的にハイブリダイズする。他の実施形態で、単離された核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で図7の核酸配列とハイブリダイズする。いくつかの実施形態で、ハイブリダイゼーション反応は、42℃にて50%ホルムアミド、5xSSC及び1%SDSを含む溶液中でインキュベートされ、65℃にて0.2xSSC及び0.1%SDSを含む溶液中で洗浄される。
例示的な実施形態において、単離された核酸は、図7の核酸配列と少なくとも70%の核酸配列の同一性を有する部分配列を含む。関連する実施形態で、前記核酸は、75%、76%、77%、78%、79%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は98%の配列同一性を有する。いくつかの関連する実施形態で、核酸配列は、上記で論じたトランケート型メマプシン2タンパク質配列(例えば、図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番又は63〜454番アミノ酸)に対応する図7の核酸配列の任意の部分と配列同一性をもつ部分配列を含む。
また、本発明は、上記核酸を含む発現ベクター及びそのベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
D.一般的組換えDNA法
本発明のタンパク質及び抗体の作製は、組換え遺伝学の分野における慣用の技術に依存している。本発明で使用する一般的な方法を開示している基本書は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd ed. 1989);Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);及びCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994))を含む。
核酸の大きさは、キロベース(Kb)又は塩基対(bp)のいずれかで表される。これらは、アガロース又はアクリルアミドゲル電気泳動から、配列決定された核酸から、又は公表されたDNA配列から導き出された概算値である。タンパク質のサイズは、キロダルトン(kD)又はアミノ酸残基数で表される。タンパク質の大きさは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、誘導されたアミノ酸配列から、又は公表されたタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts. 22:1859-1862 (1981)によって最初に記載された固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って、Van Devanter et. al., Nucleic Acids Res. 12:6159-6168 (1984)に記載されたような自動合成機を用いて、化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、ネイティブアクリルアミドゲル電気泳動又はPearson and Reanier, J.Chrom. 225:137-149(1983)に記載された陰イオン交換HPLCのいずれかによってなされる。
クローニングした遺伝子及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、クローニング後に、例えば、Wallace et al., Gene 16:21-26 (1981)の二本鎖の鋳型を配列決定するためのチェーンターミネーション法を用いて検証することができる。
1.原核生物及び真核生物における発現
タンパク質又は抗体をコードするcDNAのようなクローニング遺伝子を高レベルで発現させるために、通常、タンパク質又は抗体を、転写を指示する強力なプロモーター、転写/翻訳のターミネーター、及びタンパク質をコードする核酸である場合には翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクター内にサブクローニングされる。適当な細菌プロモーターは、当該分野では周知であり、例えば、上記Sambrook et al., and Ausubel et alに記載されている。タンパク質及び抗体を発現するための細菌発現系は、例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス種(Bacillus sp.)、及びサルモネラ属(Salmonella)で入手可能である (Palva et al., Gene 22:229-235 (1983); Mosbach et al., Nature 302:543-545 (1983)。このような発現系用のキットは、市販されている。哺乳動物細胞、酵母、及び昆虫細胞用の真核生物発現系は、当該分野では周知であり、また市販もされている。
異種核酸の発現を指示するのに用いられるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、異種転写開始部位から、それが本来配置されていた転写開始部位からの距離とほぼ同じ位置に位置していることが好ましい。しかし、当該分野では公知なように、この距離は、プロモーター機能を欠失させることなく変動させることができる。
プロモーターに加えて、発現ベクターは、通常、宿主細胞内でのタンパク質又は抗体をコードする核酸の発現に必要とされる全ての付加的エレメントを含む発現カセット又は転写ユニットを含んでいる。それ故、典型的な発現カセットは、抗体又はペプチドをコードする核酸配列に機能し得るように連結されたプロモーター及び転写産物の効率的なポリアデニル化に必要なシグナル、リボソーム結合部位、及び翻訳ターミネーションを含んでいる。前記カセットのさらなるエレメントは、エンハンサー及び、構造遺伝子としてゲノムDNAが使用される場合には、機能的なスプライスドナー及びアクセプター部位を含むイントロンを含んでもよい。
プロモーター配列に加えて、発現カセットはまた、効率的な終結を提供するために構造遺伝子の下流に転写ターミネーション領域を含む必要がある。ターミネーション領域は、プロモーター配列と同一遺伝子から得てもよいし、また異なる遺伝子から得てもよい。
細胞内に遺伝情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核細胞又は原核細胞内での発現に使用される従来のベクターのいずれかを使用することができる。標準的な細菌発現ベクターは、pBR322ベースプラスミド、pSKF、pET23Dのようなプラスミド、並びにMBP、GST、及びLacZのような融合発現系を含む。エピトープタグ(例えば、c−myc)を、組換えタンパク質に加えて、単離の簡便な方法を提供することができる。
真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、通常、真核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター、及びエプスタイン バーウイルスに由来するベクター)で使用される。他の例示的な真核生物ベクターは、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、及び他のあらゆるベクターであって、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、又は真核細胞において効率的な発現を示す他のプロモーターの指示下でタンパク質の発現が可能なベクターを含む。
真核生物ベクター由来のタンパク質及び抗体の発現は、誘導プロモーターを使用して調節することもできる。誘導プロモーターにあっては、発現レベルは、テトラサイクリンやエクジソンなどの誘導剤に対する応答エレメントをプロモーター内に取り込ませることにより、これらの誘導剤の濃度と連動する。通常、高レベルの発現は、誘導剤の存在下でのみ誘導プロモーターから得られる。つまり、基本発現レベルは、ごく僅かである。誘導発現ベクターは、目的のタンパク質の発現が真核細胞に対して有害な場合にしばしば選択される。
いくつかの発現系は、チミジンキナーゼ及びジヒドロ葉酸還元酵素のような遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。あるいは、遺伝子増幅を伴わない高収量発現系も適している。例えば、ポリヘドリンプロモーター又は他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指示下にあるタンパク質又は抗体をコードする配列をもったバキュロウイルスベクターを昆虫細胞中で用いるような場合が挙げられる。
通常、発現ベクターに含まれるエレメントは、大腸菌で機能するレプリコン、組換えプラスミドをもつ細菌を選択できる抗生物質抵抗性をコードする遺伝子、及びプラスミドの非必須領域中に真核生物配列の挿入を可能にする固有の制限部位も含んでいる。選択される特定の抗生物質抵抗性遺伝子は重要ではなく、当該分野で知られる多くの抵抗性遺伝子のいずれもが適している。原核生物の配列は、必要に応じて、真核生物細胞内でDNAの複製を妨げないように選択されることが好ましい。
標準的なトランスフェクション方法を用いて、タンパク質又は抗体を大量発現する細菌細胞株、哺乳動物細胞株、酵母細胞株又は昆虫細胞株が作製される。これらのタンパク質又は抗体は、その後、標準的技術を用いて精製される(例えば、Colley et al., J. Biol. Chem. 264:17619-17622 (1989);Guide to Protein Purification, in Methods in Enzymology, vol. 182 (Deutscher, ed., 1990)を参照されたい)。真核及び原核細胞の形質転換は、標準的技術に従って行われる(例えば、Morrison, J. Bact. 132:349-351 (1977); Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology 101:347-362 (Wu et al., eds, 1983を参照されたい)。
外来のヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入するための周知の方法のいずれかを使用することができる。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、バイオリスティクス、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター(plasma vector)、ウイルスベクター、及びクローニングしたゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の外来性の遺伝子物質を宿主細胞に導入するための他の周知方法のいずれかの使用を含む(例えば、上記Sambrook et all.,を参照されたい)。使用される特定の遺伝子工学的方法は少なくとも1つの遺伝子をタンパク質又は抗体を発現できる宿主細胞中にうまく導入できることのみが必要とされる。
発現ベクターが細胞中に導入された後、トランスフェクトされた細胞は、ペプチド又は抗体の発現に適した条件下で培養され、当該ペプチド又は抗体は、培養液から以下で特定される標準的技術を用いて回収される。
2.タンパク質及び抗体の精製
タンパク質及び抗体は、あらゆる適当な発現系から、標準的な技術によって精製することができる。前記標準的な技術には、例えば硫酸アンモニウムのような物質を用いた選択的沈降、カラムクロマトグラフィー、免疫精製、及びその他の方法(例えば、Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982);米国特許第4,673,641号;上記Ausubel et al;及び上記Sambrook et al.,を参照されたい)が含まれる。
組換えタンパク質及び抗体は、形質転換された細菌によって、通常はプロモーター誘導後(ただし、発現は構成的とすることができる)に、大量発現させることができる。IPTGを用いたプロモーター誘導は、誘導プロモーター系の一例である。細菌は、当該分野の標準的方法に従って増殖される。新鮮な又は凍結した細菌細胞が、タンパク質の単離に使用される。
細菌中で発現されたタンパク質及び抗体は、不溶性の凝集体(「封入体(inclusion body)」を形成する場合がある。いくつかのプロトコルは、タンパク質又は抗体封入体の精製に適している。例えば、封入体の精製は、通常、細菌細胞の破壊による(例えば、50mM TRIS/HCL pH7.5、50mM NaCl、5mM MgCl、1mM DTT、0.1mM ATP及び1mM PMSFからなるバッファー中でインキュベートすることによる)封入体の抽出、分離、及び/又は精製を含む。細胞懸濁液は、フレンチプレスに2、3回通過させることにより溶解し、ポリトロン(Polytron)(Brinkman Instruments)を用いてホモジナイズし、又は氷上で超音波破砕することができる。細菌を溶解する他の方法は、当業者には自明である(例えば、上記Sambrook et al.、上記Ausubel et alを参照されたい)。
必要であれば、封入体は可溶化され、溶解された細胞懸濁液は、通常、遠心分離されて不要な不溶物質が除かれる。封入体を形成したタンパク質は、適合性バッファーによる希釈又は透析により復元することができる。適当な溶媒は、限定はしないが、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(容量/容量ベースで少なくとも約80%)、及び塩酸グアニジン(約4M〜約8M)を含む。凝集形成したタンパク質を可溶化することのできるいくつかの溶媒(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70%蟻酸)は、タンパク質の不可逆的な変性の可能性があり、免疫原性及び/又は活性の欠失を伴うため、本方法における使用には適当でない。塩酸グアニジン及びその類似物質は変性剤であるが、この変性は不可逆ではなく、変性剤を除去(例えば、透析により)又は希釈した場合に復元させることができ、免疫学的及び/又は生物学的に活性のあるタンパク質を再形成することが可能である。他の適当なバッファーは、当業者には公知である。タンパク質と抗体は、他の細菌のタンパク質から標準的な分離技術により、例えばNi−NTAアガロース樹脂を用いて分離される。
あるいは、タンパク質及び抗体を細菌ペリプラズムから精製することが可能である。細菌の溶解後、タンパク質及び抗体が細菌のペリプラズム内に輸送された場合、細菌のプラズム分画は、当業者に既知の他の方法に加えて、低温浸透圧ショック法によって単離することができる。ペリプラズムから組換えタンパク質を単離するため、細菌細胞を遠心分離してペレットが形成させる。ペレットは、20%のショ糖を含むバッファー中に再懸濁される。細胞を溶解するために細菌を遠心分離し、ペレットを氷冷した5mM MgSO溶液に再懸濁し、アイスバス中に約10分間放置する。細胞懸濁液を遠心分離して、上清を注ぎ移した後に保存する。上清に存在する組換えタンパク質は、宿主タンパク質から当業者に周知の標準的分離技術によって分離することができる。
しばしば最初のステップとして、特にタンパク質混合物が複雑である場合には、最初の塩分別により、不要な宿主細胞タンパク質(又は、細胞培養培地に由来するタンパク質)の多くを目的の組換えタンパク質から分離することができる。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水分量を効率的に減じることによってタンパク質を沈殿させる。タンパク質は、その後、その可溶性に基づいて沈殿する。タンパク質が疎水性であるほど、より低濃度の硫酸アンモニウムで沈殿する傾向がある。典型的なプロトコルは、最終的な硫酸アンモニウムの濃度が20〜30%となるように、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液に添加することを含む。この濃度は、ほとんどの疎水性タンパク質を沈殿することができる。その後、沈殿物を除去し(ただし、目的のタンパク質が疎水的である場合を除く)、上清に硫酸アンモニウムを目的のタンパク質を沈殿させるための公知の濃度まで添加する。それから、沈殿物をバッファー中に溶解し、必要であれば過剰な塩を、透析又はダイアフィルトレーション(diafiltration:膜分離)のいずれかを通して取り除く。低温エタノール沈殿法のようなタンパク質の可溶性に依存する他の方法は、当業者に周知であり、それを使用して複雑なタンパク質混合物を分別することができる。
タンパク質及び抗体の分子量を利用して、それを、より大きい及び小さいサイズのタンパク質から、異なる孔サイズのメンブレン(例えば、Amicon又はMilliporeメンブレン)を通す限外濾過を用いて分離することができる。最初のステップとして、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量よりも小さい分子量カットオフを有する孔サイズをもったメンブレンに通して限外濾過する。その後、限外濾過の残余物を、目的のタンパク質の分子量よりも大きい分子量カットオフを有する孔サイズをもったメンブレンに対して限外濾過する。組換えタンパク質は、このメンブレンを通り抜けて濾液中に移行するであろう。その後、濾液は、以下に記載のようにクロマトグラフ分析することができる。
タンパク質及び抗体は、その大きさ、正味表面電荷、疎水性、及びリガンドに対する親和性に基づいて他のタンパク質から分離することもできる。さらに、タンパク質に対して生じた抗体は、カラムマトリクス及び免疫精製されたタンパク質に結合することができる。これらの方法の全ては、当該分野で周知である。クロマトグラフィー技術を、あらゆる規模で、及び多くの異なるメーカー(例えば、Pharmacia Biotech)の機器を用いて、実施できることは当業者に明らかであろう。
III.方法
本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減する新規方法を提供する。本方法は、有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質、抗トランケート型メマプシン2抗体、及び/又はトランケート型メマプシン2若しくは抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸を投与するステップを含むことができる。
本発明の目的において「患者」及び「被験体」は、ヒト及び他の動物(特に哺乳動物)の両方を含む。したがって、本方法は、ヒトの治療及び獣医学への応用のいずれにも適用可能である。いくつかの実施形態で、患者又は被験体は、霊長類などの哺乳動物である。他の実施形態において、患者又は被験体はヒトである。
トランケート型メマプシン2タンパク質、抗トランケート型メマプシン2抗体、トランケート型メマプシン2タンパク質をコードする核酸、又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸の有効量を被験体に投与することにより、例えば、Aβ産生を低減する及び/又はADの進行を改変する治療アプローチとして驚くべき有効特性が提供されることが見出された。トランケート型メマプシン2タンパク質抗原の被験体への投与は、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する抗体(本明細書では、抗トランケート型メマプシン2抗体とも呼ぶ)の産生をもたらす。したがって、抗トランケート型メマプシン2抗体は、β−セクレターゼ活性を抑制し、結果的にAβ産生の減少をもたらす。したがって、本発明は、Aβ産生を低減する、ADの進行を治療する、メマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、及び/又は脳内βアミロイドプラークの大きさ若しくは数を低減するのに有用な、トランケート型メマプシン2タンパク質抗原、抗トランケート型メマプシン2抗体、及びトランケート型メマプシン2又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸を提供する。
A.タンパク質及び抗体の投与
いくつかの実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減する方法を提供する。本方法は、有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質(又は、トランケート型メマプシン2タンパク質を含む医薬組成物)を前記治療の必要な被験体に投与するステップを含む。
他の実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減する方法を提供する。本方法は、有効量の抗トランケート型メマプシン2抗体(又は抗トランケート型メマプシン2抗体を含む医薬組成物)を前記治療の必要な被験体に投与するステップを含む。
タンパク質、抗体及びそれらの医薬組成物は、非経口的に、すなわち、関節内に、静脈内に、腹腔内に、皮下に、又はボーラス注射によって筋肉内に、静脈内に若しくは腹腔内に投与することができる。例えば、参照により本明細書に援用される、Stadlerらによる米国特許第5,286,634号を参照されたい。
他の方法において、タンパク質、抗体、及びそれらの医薬組成物は、調製物の組織への直接的な適用によって標的組織と接触させることができる。前記適用は、局所的な「開放」若しくは「閉鎖」処置によって行うことができる。「局所」とは、皮膚、中咽頭、外耳道等のように外界に暴露された組織への医薬調製物の直接的な適用を意味する。「開放」処置は、患者の皮膚を切開すること、及び医薬調製物を適用する深部組織を直接視認することを含む処置である。これは、通常、外科的処置(例えば、肺に接近するための開胸、腹部内臓に接近するための腹式開腹、又は標的組織への他の直接的な外科的アプローチなど)によって達成される。「閉鎖」処置は、内部標的組織を直接視認しないが、皮膚の小さな創傷部から挿入機器を介して接近する侵襲的処置である。例えば、針による洗浄によって腹膜に調製物を投与することができる。同様に、腰椎穿刺の間の注入により、医薬組成物を髄膜又は脊髄に投与し、その後、脊髄麻酔で一般的に実施されているような患者の適当な位置決め又は脊髄のメトリザミド造影を行うことができる。あるいは、調製物を内視鏡装置を介して投与することもできる。
調製物は、肺に吸引されるエアロゾルで(Brigham, et al., Am. J. Sci. 298(4):278-281 (1989)を参照されたい)又は疾患部位に直接注射すること(Culver, HUMAN GENE THERAPY, MaryAnn Liebert, Inc., Publishers, New York. pp.70-71 (1994))によって投与することもできる。
B.トランケート型メマプシン2をコードする核酸の投与
他の実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減する方法を提供する。本方法は、有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質をコードする核酸(又はトランケート型メマプシン2をコードする核酸を含む医薬組成物)を前記治療の必要な被験体に投与するステップを含む。したがって、いくつかの実施形態で、本発明は、核酸がトランケート型メマプシン2タンパク質をコードする核酸ワクチンを提供する。
一般に、核酸ワクチンは、構造において従来のワクチンとは異なっている。いくつかの実施形態で、ワクチンは、元々は細菌に由来するが感染を引き起こすことが全くできない小環状二本鎖DNAのようなプラスミドによってコードされている。
核酸ワクチンは、被験体(ヒト等の哺乳動物を含む)に送達して、治療的又は予防的免疫反応を誘導することができる。本発明の核酸ワクチンは、いくつかの細胞に直接遺伝子を投入し、また挿入された針近辺の細胞による取り込みを生じる、注射によって送達することができる。一旦、細胞内部に入ると、組み換えプラスミドのいくつかは、核に入り、コードされた抗原タンパク質の合成を指示する。それらのタンパク質は、それらが細胞から脱した場合、体液性(抗体仲介型)免疫を誘導することができる。また、それらのタンパク質は、それらが破壊され、細胞表面上に適当に提示された場合、細胞性(キラー細胞性)免疫を誘導することができる。核酸ワクチンは、組換えDNA技術を用いて容易に設計され、また大量に作製される。
ワクチン送達ビヒクルを個々の患者への投与によって、例えば、全身投与によって(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、頭蓋内、肛門、膣、口腔、舌下経路、又はそれらを吸入することで))インビボで送達することができるし、又は、それらを局所的適用によって投与することができる。あるいは、ベクターを、例えば、個々の患者から移植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)、又は万能供血者の造血幹細胞などの細胞にex vivoで送達し、その後、一般的にはベクターを取り込んだ細胞を選択した後に、その細胞を患者へ再移植することができる。
非常に多くの送達方法が当業者に周知である。そのような方法は、例えば、リポソームベースの遺伝子送達法(Debs and Zhu (1993)WO93/24640号;Mannino and Gould-Fogerite (1988) BioTechniques 6(7): 682-691;Rose 米国特許第5,279,833号;Brigham (1991) WO91/06309号、及びFelgner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7414)、並びにウイルスベクターの使用(例えば、アデノウイルスベクター(概要について、例えば、Berns et al. (1995) Ann. NY Acad. Sci. 772: 95-104;Ali et al. (1994) Gene Ther. 1: 367-384;及びHaddada et al. (1995) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 199 ( Pt 3): 297-306を参照されたい)、パピローマウイルスベクター、レトロウイルスベクター(例えば、Buchscher et al. (1992) J. Virol. 66(5) 2731-2739;Johann et al. (1992) J. Virol. 66 (5):1635-1640 (1992);Sommerfelt et al., (1990) Virol. 176:58-59;Wilson et al. (1989) J. Virol. 63:2374-2378;Miller et al., J. Virol. 65:2220-2224 (1991);Wong-Staal et al.,PCT/US94/05700号、及びRosenburg and Fauci (1993) in Fundamental Immunology, Third Edition Paul (ed) Raven Press, Ltd., New Yorkとその参考文献、並びに上記Yu et al., Gene Therapy (1994))、及びアデノ関連ウイルスベクター(AAVベクターの概要についてはWest et al. (1987) Virology 160:38-47;Car
ter et al. (1989)米国特許第4,797,368号;Carter et al.WO93/24641号(1993);Kotin (1994) Human Gene Therapy 5:793-801;Muzyczka (1994) J. Clin. Invst. 94:1351及びSamulski (上記)参照;また、Lebkowskiの米国特許第5,173,414号;Tratschin et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5(11):3251−3260;Tratschin, et al. (1984) Mol. Cell. Biol., 4:2072−2081;Hermonat and Muzyczka (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6466−6470;McLaughlin et al. (1988)、並びにSamulski et al. (1989) J. Virol., 63:03822−3828を参照)等を含む。
核酸ワクチンを含む「裸の」DNA及び/又はRNAは、直接、筋肉などの組織内に導入することができる。例えば、米国特許第5,580,859号を参照されたい。「バイオリスティック」又は粒子介在型形質転換(例えば、Sanford et al.,米国特許第4,945,050号;第5,036,006号を参照されたい)のような他の方法も、本発明に従って哺乳動物の細胞内に核酸ワクチンを導入するのに適している。これらの方法は、哺乳動物内へのDNAのインビボ導入だけでなく、哺乳動物内に再導入するための細胞のex vivo改変にも有用である。核酸ワクチンを送達する他の方法に関しては、必要に応じて、ワクチン投与を所望の免疫修飾レベルを維持できるように繰り返す。
核酸ワクチンベクター(例えば、アデノウイルス、リポソーム、パピローマウイルス、レトロウイルス等)は、インビボでの細胞の形質導入のために直接哺乳動物に投与することができる。
C.抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸の投与
他の実施形態において、本発明は、被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する、被験体の脳内βアミロイドペプチドのレベルを減少させる、アルツハイマー病を治療する、及び/又は被験体の脳内βアミロイドプラークの大きさ及び/又は数を低減する方法を提供する。本方法は、有効量の抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸(又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸を含む医薬組成物)を前記治療の必要な被験体に投与するステップを含む。
いくつかの実施形態において、抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸は、遺伝子治療に有用である。この点において、抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする遺伝子は、発現又は共発現のために、哺乳動物細胞内への遺伝子移入用に開発された多数のウイルスベース系を用いて適当な哺乳動物宿主細胞内に導入される。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系にうってつけのプラットホームを提供する。V及び/又はVドメインポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列は、ベクター内に挿入し、レトロウイルス粒子中に当該分野で公知の技術を用いてパッケージングすることができる。その後、組換えウイルスを単離し、被験体に送達することができる。多数の適当なレトロウイルスシステムが記載されている(米国特許第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852; Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;及びBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。遺伝子治療用のレトロウイルスベクターを作製し、また使用するいくつかの方法を、本明細書中に記載している。例えば、1991年3月7日に公開された国際公開第91/02805号、及び1995年3月15日に出願された「Eukarotic Layered Vector Initiation Systems」に関する米国特許出願第08/404,796号、1995年3月15日に出願された「Recombinant alpha-Viral Vectors)」に関する第08/405,627号、及び1993年11月23日に出願された「Packaging Cells」に関する第08/156,789号が挙げられる。
多数の適当なアデノウイルスベクターも記載されている。宿主細胞のゲノム内に組み込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは、ゲノム外で存続するため、挿入突然変異に関連するリスクを最小限にする(Haj-Ahmad and Graham (1986) J. Virol. 57:267-274;Bett et al. (1993) J. Virol. 67:5911-5921;Mittereder et al. (1994) Human Gene Therapy 5:717-729;Seth et al. (1994) J. Virol. 68:933-940;Barr et al. (1994) Gene Therapy 1:51-58;Berkner, K. L. (1988) BioTechniques 6:616-629;及びRich et al. (1993) Human Gene Therapy 4:461-476)。
様々なアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター系が、近年、遺伝子送達用に開発されている。前記システムは、プロモーター及びポリアデニル化部位のような制御配列、並びに選択的マーカー又はレポーター遺伝子、エンハンサー配列、及び転写誘導を可能にする他の制御エレメントを含むことができる。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を用いて容易に構築することができる。例えば、米国特許第5,173,414号及び第5,139,941号;国際公開WO92/01070号(1992年1月23日公開)及びWO93/03769号(1993年3月4日公開);Lebkowski et al. (1988) Molec. Cell. Biol. 8:3988-3996;Vincent et al. (1990) Vaccines 90 (Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter, B. J. (1992) Current Opinion in Biotechnology 3:533-539;Muzyczka, N. (1992) Current Topics in Microbiol. and Immunol. 158:97-129;Kotin, R. M. (1994) Human Gene Therapy 5:793-801;Shelling and Smith (1994) Gene Therapy 1:165-169;及びZhou et al. (1994) J. Exp. Med. 179:1867-1875を参照されたい。
Fab分子をコードする核酸分子を送達するための使用が見出される更なるアデノウイルスベクターとして、ワクシニアウイルス及び鳥ポックスウイルスを含むポックスファミリーウイルスから誘導されるものが挙げられる。例として、前記遺伝子を発現するワクシニアウイルス組換え体は、以下のようにして構築することができる。まず、特定のFab分子をコードするDNAを、ワクシニアプロモーター及びこれにフランキングするワクシニアDNA配列(チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列など)と隣接するように適当なベクターに挿入する。次に、このベクターを用いて、同時にワクシニアで感染される細胞にトランスフェクトする。相同的組換えは、ワクシニアプロモーター+Fab分子をコードする遺伝子をウイルスゲノム中に挿入するのに役立つ。結果的に得られるT−組み換え体は、細胞を5−ブロモデオキシウリジンの存在下で培養し、これに抵抗性のウイルスプラークを選ぶことによって選択できる。
ワクシニアベースの感染/トランスフェクション系は、簡便に使用して、宿主細胞内で、Fab分子の誘導性の一過的発現を提供することができる。この系では、まず、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードするワクシニアウイルス組み換え体を用いてインビトロで細胞を感染させる。このポリメラーゼは、T7プロモーターをもった鋳型のみ転写する点で優れた特異性を示す。感染後、細胞はT7プロモーターで駆動される目的のポリヌクレオチドで感染させる。ワクシニアウイルス組換え体由来の、細胞質で発現したポリメラーゼは、トランスフェクトされたDNAをRNAに転写し、その後、宿主の翻訳機構によってタンパク質に翻訳される。本方法は、高レベルで一過的な、大量のRNAとその翻訳産物の細胞質産生をもたらす。例えば、Elroy-Stein and Moss, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87:6743-6747;Fuerst et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1986) 83:8122-8126を参照されたい。
あるいは、鶏痘ウイルス及びカナリア痘ウイルスのようなアビポックスウイルスを用いて、Fabをコードするヌクレオチド配列を送達することもできる。アビポックス属のメンバーは感受性をもつ鳥類でのみ生産的に複製が可能であり、したがって哺乳動物細胞では感染性がないことから、アビポックスベクターの使用は、特にヒト及び他の哺乳動物種では望ましい。組換えアビポックスウイルスを作製する方法は当該分野では公知であり、ワクシニアウイルスの作製に関して上記で説明したような遺伝子組み換えを使用する。例えば、国際公開WO91/12882号;1989年4月20日公開のWO 89/03429号、1992年3月5日公開のWO 92/03545号を参照されたい。
Michael et al. J. Biol. Chem. (1993) 268:6866-6869及びWagner et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:6099-6103に記載されているアデノウイルスキメラベクターのような分子コンジュゲートベクターもまた、本発明における遺伝子送達の使用することができる。
IV.医薬組成物及び免疫原性組成物
A.抗体医薬製剤
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、医薬組成物に製剤化される。正確な用量は、当業者が公知の技術を用いて確かめることができる(例えば、Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery;Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992), Dekker, ISBN 0824770846, 082476918X, 0824712692, 0824716981;Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);及びPickar, Dosage Calculations (1999))。当該分野では公知のように、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用及び症状の重症度に関して調整が必要である場合があり、またこれらは当業者による慣用的な実験で確かめることができる。
本発明の抗体の投与は、様々な方法で行うことができる。例えば、限定はしないが、経口で、皮下に、静脈内に、鼻腔内に、経皮的に、腹腔内に、筋肉内に、肺内に、膣に、直腸に、又は眼球内に行うことができる。
医薬組成物は、本発明の抗体を患者への投与に適した形態で含んでいる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は水溶性形態である。例えば、それは、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含むことを意味する製薬上許容可能な塩として存在する。「製薬上許容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性を保持し、かつ例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸、及び例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、琥珀酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸と共に、生物学的に又は別の意味で望ましくなく形成されていない塩をいう。「製薬上許容可能な塩基付加塩」とは、無機塩基由来の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩等)を含む。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩である。製薬上許容可能な有機非毒性塩基に由来する塩は、1級アミン、2級アミン及び3級アミン、自然発生的な置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、並びに塩基イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンの塩が挙げられる。
医薬組成物は、一以上の以下の賦形剤、すなわち血清アルブミンのような担体タンパク質、バッファー、微結晶セルロース、乳糖、コーン及び他のスターチのような充填剤、結合剤、甘味料及び他の香料、着色料、並びにポリエチレングリコールを含んでいてもよい。
医薬組成物は、投与方法に応じて、様々な単位剤形で投与することができる。例えば、経口投与に適した単位剤形は、限定はしないが、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、及びトローチ剤を含む。抗体は、経口で投与する場合に、分解から保護されなければならないことが認められている。これは、通常、前記分子に酸及び酵素加水分解に対する抵抗性を付与する組成物でこれを錯化すること、又は前記分子をリポソーム又は保護壁のような適当な抵抗性担体中にパッケージングすることのいずれかによって達成される。分解から作用物質を保護する手段は、当該分野では周知である。
投与用組成物は、一般的に製薬上許容可能な担体、好ましくは水性担体中に溶解された本発明の抗体を含む。様々な水性担体(例えば、緩衝食塩水等)を使用することができる。これらの溶液は、無菌であり、また通常好ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。組成物は、適切な生理条件に必要とされるような製薬上許容可能な補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調節剤(toxicity adjusting agent)(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム)等を含むことができる。これらの製剤における活性剤の濃度は、広範囲に変えることができ、主に、選択された投与の特定の様式及び患者のニーズに従って、液量、粘性、体重等に基づいて選択される(例えば、Remington's Pharmaceutical Science (15th ed., 1980) 及びGoodman & Gillman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (Hardman et al., eds., 1996))。
それ故、静脈投与用の典型的な医薬組成物は、1日に患者一人あたり約0.1〜10mgである。特に薬が血流中でなく、体腔内や器官内腔内のような隔離された部位に投与される場合、1日患者一人あたり0.1から最大約100mgの投与量を使用することができる。局所的投与においては、実質的により高い用量とすることができる。非経口的に投与できる組成物を調製するための実際の方法は、当業者には公知又は明白であろう(例えば、上記Remington's Pharmaceutical Science and Goodman and Gillman, The Pharmacological Basis of Therapeutics)。
本発明の抗体を含む組成物は、治療上の処置又は予防的処置のために投与することができる。治療的適用では、組成物は、疾患に罹患している患者に、疾患及びその合併症を治癒又は少なくとも部分的に止めるのに十分な量投与される。これを達成するのに適した量が「治療的有効量」と定義される。本使用に有効な量は、疾患の重症度及び患者の健康の一般的状態に依存するであろう。組成物の1回又は複数回の投与は、患者に必要とされ、また許容される用量及び頻度に応じて投与することができる。いずれにしても、本組成物は、患者を効果的に治療するのに十分な量の本発明の薬剤を与えるべきである。哺乳動物のアルツハイマー病(AD)の発症を抑制する又は遅延することのできる調節剤の量を「予防的有効量」と呼ぶ。予防的処置に必要な特定の用量は、その哺乳動物の病状及び病歴、並びに年齢、体重、性別、投与経路、効率のような他の要因に依存する。そのような予防的処置は、例えば、以前にADに罹患した哺乳動物でADの再発を予防するために、または顕著なAD発症の可能性の疑いがある哺乳動物で、使用することができる。
B.トランケート型メマプシン2タンパク質組成物
いくつかの実施形態で、トランケート型メマプシン2タンパク質は、医薬組成物で投与される。用量、投与の方法、剤型、塩、緩衝剤、結合剤、及び担体タンパク質を含む、上記で論じた抗体医薬組成物の特徴は、同様に、トランケート型メマプシン2タンパク質医薬組成物に適用可能である。
いくつかの実施形態で、トランケート型メマプシン2タンパク質医薬組成物は、さらに製薬上許容可能なアジュバントを含む。免疫反応が癌の免疫療法に有用であることから、近年、安全なアジュバントが、ヒトタンパク質で免疫反応を生じさせるために開発された。より成功したアジュバントの1つは、癌抗原(Kensil and Kammer, 1998)及びヒトAβペプチド(Selkoe and Schenk, 2002)の免疫反応を引き起こすために使用されているQS−21(Antigenics, N.Y.)である。有用なアジュバントは、例えば、アルミニウムアジュバント、リン酸カルシウムのナノ粒子、CpGアジュバント、QS−21アジュバント、MF−59アジュバント、ISA−51アジュバント、ISCOM及びPROVAXを含む。
アルミニウムアジュバントは、リン酸アルミニウム(AlPO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、及び歴史的にプロテインアルミナート(protein aluminate)と呼ばれるアラム沈降ワクチンを含む。これらのアジュバントは、近年最も一般的に使用され、またFDAが認可したヒトワクチンにおける唯一のアジュバントのタイプである。これらのアジュバントは、「アラム」とも呼ばれ、異なる形態で市販されており(例えば、水酸化アルミニウムゲルアジュバントであるAlhydrogel:Superfos Biosector a/s製造,Vedbaek,Denmark)、GMP条件下でアジュバントゲルに調製することができる。
リン酸カルシウムナノテクノロジーベースのワクチンアジュバントであるBioVantは、BioSante Pharmaceuticals, Inc.によって開発されたアジュバントで、臨床試験で広く使用されている。
CpGアジュバントもトランケート型メマプシン2タンパク質とともに使用することができる。CpGとは、細菌で見られるがヒトでは見られないシトシン及びグアニンリッチなオリゴヌクレオチドモチーフをいう。それ故、このようなヌクレオチド配列は免疫反応を刺激する。いくつかのメーカーが、様々なCpG配列のバリエーションからなるアジュバントを開発している(例えば、VaxImmuneは、Coley Pharmaceutical Groupによって製造されたCpGアジュバントである)。CpGアジュバントは、臨床テストで使用されており、フロイントアジュバントについても言えるように、主にTh1サイトカインを産生することができる。
QS−21アジュバントは、Antigenics社によって製造されたもので、南米産樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮に由来する免疫刺激成分であり、主にサポニン誘導体から成る。これは、70回を超えるフェーズ1及び2臨床検査、並びに数回のフェーズ3臨床試験で使用されている。このアジュバントは、ヒト臨床試験でAβ免疫付与から抗体反応を誘導するのに使用された(Hock et al., Neuron, 38, 547-54 (2003))。
MF−59アジュバントは、癌及び病原菌に対する多くのワクチン臨床試験で使用されている油中水ベースのアジュバントである。市販版であるスクアレン/水−乳剤が、Chiron社で製造されている。MF−59は、しばしばMTP−PE(ジパミルトイル ホスファチジルエタノールアミンと共有結合したムラミルトリペプチド)と共に、試験で使用されている。
ISA−51アジュバントは、Seppic, Inc社により製造されたモンタニドアジュバントである。このアジュバントは、数多くの抗癌及び抗ウイルスの初期臨床試験で使用されている。
ISCOM(Iscotec AB社, Uppsala, Swedenにより製造)は、抗原と複合体を形成する脂質(コレステロール及びリン脂質)及びサポニンからなる複合体である。ISCOMは、免疫刺激を増強すると思われるカゴ様微細構造を含んでいる。
他の有用な市販のアジュバントには、PROVAX(IDEC Pharmaceutical)、及びSyntexアジュバント(ムラミルジペプチド誘導体)(血清アルブミン又は他の担体タンパク質(例えば、細菌タンパク質)とのグルタルデヒド架橋、コンジュゲーションである)を含む。
アジュバントは、マウスにおいて、メマプシン2に対する抗体反応の誘導能について調査することができる。例えば、いくつかのアジュバントを、B6マウスで同時に試験することができる。Tg2576のバックグラウンド株(ADマウスではない)は、適当なアジュバントを選択するために短期(22週)研究で用いることができ、その際、アジュバントの効率は、長期(12ヶ月)実験で十分に評価することができる。
いくつかの実施形態で、12週齢のB6;SJLマウス、野生型マウス(総計140匹)を第1週目に得る。それらをそれぞれ20匹からなる7つのクループに分ける。環境順化用の一週間の後に、血液を伏在静脈から採り、バックグラウンド力価レベル用に使用する。7種の選択したアジュバントと共にメマプシン2の免疫化を第3週目に開始する。注射を第3週目から第5週目の間に毎週行う。第4ブーストを第7週目の期間内に与える。血液は、第6週目と第8週目で、並びに第12週後、研究の期間中に回収する。毎月の注射を第11週の始めから行う。血液は第6週及び第8週目に、並びに第12週後に収集し、研究期間の間毎月これを行う。有害な副作用の観察をその間中行う。サンプルを抗メマプシン2抗体について分析する。実験は、試験された各アジュバントの最大力価を決定するための十分な時間を可能にするように設計することができる。前記力価は、フロイントアジュバントのような標準的なアジュバントを用いてメマプシン2免疫を受けたマウスの力価と比較される。
いくつかの実施形態で、トランケート型メマプシン2タンパク質は、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)中に組み込むことができる。核酸の関連で下記に論じる免疫原性組成物及びワクチンの適切な特徴は、ここで論じるトランケート型メマプシン2タンパク質免疫原性組成物に、同様に適用可能である。ワクチンは、被験体の免疫反応を誘発することによってアルツハイマー病を治療又は予防するために使用することができる。免疫原性組成物は、一以上の前記ワクチン化合物及び製薬上許容可能な担体を含む。ワクチンは、一以上の前記化合物及び非特異的免疫反応増強剤を含んでいてもよい。非特異的免疫反応増強剤は、外来抗原に対する免疫反応を増強する任意の物質であり得る。非特異的免疫反応増強剤の例として、アジュバント、生物分解性マイクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ガラクチド)及びリポソーム(その内部に化合物が取り込まれている、例えば、米国特許第4,235,877号を参照されたい)が挙げられる。ほとんどのアジュバントは、抗原を急速な異化作用から保護するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウム若しくは鉱物油など)及び、免疫反応の刺激物質(例えば、脂質A、Bortadella pertussis又はMycobacterium tuberculosis由来のタンパク質)を含む。適当なアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI)、メルクアジュバント65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ)、AS−2(SmithKline Beecham)、水酸化アルミニウムゲル(アラム)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩(alum)、カルシウム、鉄若しくは亜鉛の塩、アシル化チロシンの不溶性懸濁液、アシル化糖、カチオン若しくはアニオン誘導体化多糖、ポリホスファゼン、生物分解性マイクロスフィア、モノホスホリル脂質A及びクイルAのように市販されている。GM−CSF又はインターロイキン2、7若しくは12のようなサイトカインもアジュバントとして使用できる。
ワクチン調製は、例えば、Powell and Newman, eds., Vaccine Design (the subunit and adjuvant approach), Plenum Press (NY, 1995)に全般的に記載されている。ワクチンは、抗体免疫及び/又は細胞免疫を起こすように設計することができる。本発明の範囲にある免疫原性組成物及びワクチンは、生物学的に活性又は不活性な他の化合物を含むこともできる。例えば、他の抗原の一以上の免疫原性部分は、融合ポリペプチド中に取り込まれて、又は別個の化合物として、組成物又はワクチン中に存在することができる。ポリペプチドは、必ずしも必要ではないが、記載したような他の高分子とコンジュゲートすることができる。免疫原性組成物及びワクチンは、通常予防及び治療目的で使用することができる。
ワクチン及び医薬組成物は、密閉されたアンプル又はバイアルのような単回分容器又は複数回分容器中に存在していてもよい。このような容器は、使用まで製剤の無菌状態を保つため密封されていることが好ましい。通常、製剤は、懸濁液、溶液、又は乳液として油性又は水性ビヒクル中で保存することができる。あるいは、ワクチン又は医薬組成物は、使用直前に滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。
C.核酸組成物
いくつかの実施形態において、トランケート型メマプシン2タンパク質又は抗トランケート型メマプシン2抗体をコードする核酸は、医薬又は免疫原性組成物で投与される。用量、投与方法、剤型、塩、緩衝剤、結合剤、及び担体タンパク質を含む上記で論じた抗体医薬組成物の適切な特徴は、核酸医薬組成物に同様に適用可能である。さらに、トランケート型メマプシン2タンパク質の関連で上述した免疫原性組成物及びワクチンの適切な特徴は、ここで論じる核酸免疫原性組成物に同様に適用可能である。
DNAワクチンの免疫治療効果を最大にするため、精製されたプラスミドDNAを製剤化するための別の方法が望ましいかもしれない。様々な方法が記載されており、新しい技術が利用可能になるかもしれない。陽イオン性脂質も製剤に使用することができる(例えば、WO 93/24640号;Mannino & Gould-Fogerite, BioTechniques 6(7): 682 (1988);米国特許第5,279,833号;WO 91/06309号;及びFelgner, et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 84:7413 (1987)による記載を参照されたい)。さらに、糖脂質、融合性リポソーム、ペプチド、及び保護性、相互作用性、非凝集性化合物(PINC)と総称される化合物も、精製されたプラスミドDNAと複合体化され、安定性、筋肉内分散、又は特定の器官若しくは細胞タイプへの輸送といった変項に影響を及ぼすことができる。
DNAの投与方法は、重要ではない。ワクチン組成物(例えば、DNA発現ベクターを含んでいる組成物)は、医薬分野の当業者に周知の標準的な技術に従って、製剤化することができる。前記組成物は、前記要因(例えば、特定の患者の年齢、性別、体重、及び症状、並びに投与経路)を考慮に入れた医薬分野の当業者に周知の用量及び技術によって投与することができる。
治療への応用において、前記ワクチンは、治療効果を引き出すのに十分な量で患者に投与される。これを達成するのに適切な量は、「治療有効量」と定義される。この使用に有効な量は、例えば、ワクチン計画で投与される特定の組成物、投与様式、疾患の病期及び重症度、患者の全般的な健康状態、並びに処方する医師の判断に依存する。
DNAワクチンの適切な量は、例えば、プラスミド若しくは裸のDNAは、約1μg〜約100mg、好ましくは0.1〜10mg、しかし、0.1〜2mg又は1〜10μgのような、より低いレベルを使用することができる。いくつかの実施形態で、核酸組成物の投与量は、一般的な70キログラムの患者で約1μg〜100μgである。核酸(通常、融合タンパク質をコードするDNA)の皮下又は筋肉内投与量は、全般的に健康な70キログラムの患者で0.1μg〜500μgの範囲とすることができる。トランケート型メマプシン2タンパク質を含むウイルスベクターの皮下又は筋肉内投与量は、全般的に健康な70キログラムの患者で10〜10pfuの範囲とすることができる。例えば、水性担体中の裸のDNA又はポリヌクレオチドは、組織内に、例えば、筋肉内に又は皮内に、部位あたり10μl〜部位あたり約1mlの量で注射することができる。製剤中のポリヌクレオチドの濃度は、約0.1μg/ml〜約20mg/mlである。
ワクチンは、例えば1mlの量の、滅菌PBSのような生理学的に適合性の溶液で、で送達することができる。ワクチンは、送達に先立ち、凍結乾燥することもできる。当業者に周知なように、投与量は、体重に比例させることができる。
ワクチン投与計画に含まれる組成物は、単独で投与することもできるいし、あるいは他の免疫学的な、抗原性の、ワクチンの若しくは治療上の組成物と同時投与又は連続投与することができる。これらは、アジュバント(上記で論じたものなど)、及び抗原の免疫原性を増強するために、抗原と組み合わせて又は組換え技術によって融合されて与えられる化学剤若しくは生物剤を含む。そのような他の組成物として、免疫不全ウイルス由来の精製された抗原、又は前記抗原を発現してそれによってさらなる治療上の組成物を産生できる第2の組換えベクター形を挙げることができる。例えば、アジュバント組成物は生物反応修飾物質をコードする発現ベクターを含むことができる。また、同時投与は、特定の患者の年齢、性別、体重及び症状、並びに投与経路といった前記既知の因子を考慮することによって実行される。
ワクチンは、さらに、送達用のペプチド、ポリペプチド及び炭水化物のような他の成分と複合体化することができる。例えば、発現ベクター、すなわち、ウイルス粒子内に含まれていない核酸ベクターは、(例えば、ワクチンガンを用いて)個体に投与することができる粒子又はビーズと複合体化することができる。
核酸ワクチンは、それぞれ参照により本明細書に援用する、Donnelly et al. (Ann. Rev. Immunol. 15:617-648 (1997));Felgner et al. (米国特許第5,580,859号、1996年12月3日登録);Felgner (米国特許第5,703,055号、1997年12月30日登録);及びCarson et al. (米国特許第5,679,647号、1997年10月21日登録)に記載された当該分野で周知の方法によって投与される。当業者は、生理的に許容可能な化合物を含む、製薬上許容可能な担体の選択が、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを理解するだろう。
例えば、水性担体中の裸のDNA又はポリヌクレオチドは、筋肉のような組織内に、部位辺り10μl〜部位あたり約1mlの量で注射することができる。製剤中のポリヌクレオチドの濃度は、約0.1μg/ml〜約20mg/mlである。
本発明の方法を用いて得られた核酸ワクチンは、あらゆる適当な様式(非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は静脈内)、局所、経口、直腸、鼻腔内、膣内、髄腔内、口腔(例えば、舌下)、又はエアロゾル若しくは経皮投与などによる局所投与を含む)で、予防及び/又は治療処置のために投与用の医薬組成物として製剤化することができる。前記組成物において、核酸ベクターは、滅菌水、生理食塩水、グルコース等の適当な担体、希釈剤、又は賦形剤と混合することができる。皮膚の前処理(例えば、脱毛剤の使用による)は、経皮送達では有効かもしれない。前記パッケージングした核酸を投与する適当な方法は、利用可能かつ当業者に周知である。また、2以上の経路を使用して特定の組成物を投与することができるが、特定の経路がしばしば他の経路よりも即座に、かつより効果的反応を提供し得る。
本発明に使用する発現ベクターは、患者の組織の間質腔に送達することができる(例えば、Felgner et al.の米国特許第5,580,859号及び第5,703,055号を参照されたい)。本発明の発現ベクターの筋肉への投与(皮内及び皮下注射、又は経皮投与を含む)は、特に効果的な投与方法である。イオントフォレシスなどによる経皮投与も、本発明の発現ベクターを筋肉に送達するのに効果的な方法である。本発明の発現ベクターの表皮投与も使用することができる。表皮投与は、機械的に又は化学的に表皮の最外部層を刺激し、刺激に対する免疫反応を刺激することに関連する(Carson et al.米国特許第5,679,647号)。
ワクチンは、鼻道を介した投与用に製剤化することもできる。担体が個体である際の鼻腔投与に適した製剤は、例えば、約10〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズをもった粗粉末を含み、これは、嗅薬を服用する様式で、すなわち鼻の近くに保持した粉末剤の容器から鼻道を通じた急速な吸引によって、投与される。担体が例えば、スプレー式点鼻薬、点鼻薬などの、又は噴霧器によるエアロゾル投与による、投与用の液体である適当な製剤は、活性成分の水溶液、又は油性溶液を含む。AIDS関連ワクチンの鼻腔投与の更なる考察については、以下の特許を参照されたい:米国特許第5,846,978号、第5,663,169号、第5,578,597号、第5,502,060号、第5,476,874号、第5,413,999号、第5,308,854号、第5,192,668号、及び第5,187,074号。
ワクチンは、所望であれば、リポソーム、マイクロスフィア、又は他の高分子マトリックス内に組み込むことができる(例えば、Felgner et al.の米国特許第5,703,055号;Gregoriadis, Liposome Technology, Vols. I to III (2nd ed. 1993)を参照されたい)。例えば、リン脂質又は他の脂質からなる、リポソームは、作製すること及び投与することが比較的簡単である、非毒性の、生理学的に許容可能でかつ代謝可能な担体である。リポソームは、乳剤、泡、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散物、ラメラ層等を含む。
本発明で使用するためのリポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができる。この脂質は、通常、中性又は陰電荷のリン脂質、及びコレステロールのようなステロールを含んでいる。脂質の選択は、一般に、例えば、リポソームの大きさ、血流中でのリポソームの酸不安定性及び安定性を考慮することによって導かれる。様々な方法が、リポソームを調製する上で利用でき、例えば、Szoka, et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467 (1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、及び第5,019,369号に記載されている。
いくつかの実施形態で、核酸ワクチンは、ワクチン投与計画を受けている個体の細胞内に直接導入される。本アプローチは、例えば、Wolff et. al., Science 247:1465 (1990)並びに米国特許第5,580,859号、第5,589,466号、第5,804,566号、第5,739,118号、第5,736,524号、第5,679,647号、及びWO98/04720号に記載されている。核酸は、例えば、米国特許第5,204,253号に記載されるようなバリスティック送達(ballistic delivery)、又は圧力(例えば、米国特許第5,922,687号を参照されたい)を用いて投与することもできる。本技術を用いて、DNAのみを含む粒子が投与されるか、あるいは別の実施形態では、投与のために、DNAが金粒子のような粒子に接着される。
当該分野では周知なように、数多くの因子が抗原遺伝子の発現効率、及び/又はDNAワクチンの免疫原性に影響し得る。このような因子の例は、接種の再現性、プラスミドベクターの構造、抗原遺伝子発現を駆動するのに使用されるプロモーターの選択、及び挿入される遺伝子のプラスミド内での安定性を含む。
プラスミドDNAの治療上の量は、例えば、大腸菌での発酵、それに続く精製により製造することができる。ワーキング・セル・バンク(working cell bank)からのアリコートが、周知の技術に従って、増殖培地への接種に使用され、飽和するまで振とうフラスコ又はバイオリアクター中で増殖される。プラスミドDNAは、固相陰イオン交換樹脂のような標準的なバイオ分離技術を用いて精製することができる。必要ならば、スパーコイルDNAを開環形態及び直鎖形態から、ゲル電気泳動又は他の方法を用いて単離することができる。
V.イムノアッセイ
他の態様において、本発明は、抗トランケート型メマプシン2抗体を用いて、トランケート型メマプシン2タンパク質及び/又はトランケート型メマプシン2タンパク質を発現する細胞を検出するのに有用なイムノアッセイを含む。一般的なイムノアッセイの概説については、Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology, volume 37 (Asai, ed. 1993); Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr, eds., 7th ed. 1991)も参照されたい。免疫学的結合アッセイ(又はイムノアッセイ)は、通常、選択したタンパク質又は抗原(この場合は、トランケート型メマプシン2タンパク質又はその抗原部分配列)に特異的に結合する抗体を用いる。抗体(例えば、抗トランケート型メマプシン2抗体)は、当業者に周知の及び上記のような数多くの手段のいずれかによって作製することができる。トランケート型メマプシン2タンパク質を単離するために、通常は、抗体/抗原複合体が当業者に公知の手段を用いて洗浄することで解離される。前記適用において、通常、抗体は、プレート又はカラムのような基板に共有結合又は非共有結合を介して(例えば、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、二次抗体等)固定化される。このアッセイが、モニタリング、及び投与されるトランケート型メマプシン2タンパク質の量を患者に調整するために用いられる場合は、トランケート型メマプシン2タンパク質の既知濃度の標準曲線が、検査結果との比較のため、及びサンプル中のトランケート型メマプシン2タンパク質の量を定量するために作成される。一般に、標準曲線は、患者サンプル中のトランケート型メマプシン2タンパク質を検出するために使用されるものと同一の方法、例えばELISA、免疫沈降法等を用いて作成される。本発明の好ましいイムノアッセイは、ウェスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイ、免疫沈降アッセイ、in situ免疫組織化学アッセイ、及び免疫蛍光アッセイを含む。
他の実施形態において、抗トランケート型メマプシン2抗体は、抗体がトランケート型メマプシン2タンパク質又はその免疫原性断片を捕捉する、ELISAアッセイのようなイムノアッセイを用いて検出される。
イムノアッセイはまた、しばしば標識剤を、抗体及び抗原によって形成される複合体と特異的に結合するため、及び前記複合体を特異的に標識するために用いられる。標識剤は、それ自身が抗体/抗原複合体を構成する部分の1つであることができる。それ故、標識剤は、標識されたトランケート型メマプシン2タンパク質又は標識された抗トランケート型メマプシン2抗体であってもよい。あるいは、標識剤は、二次抗体のような、特異的に抗体/トランケート型メマプシン2タンパク質複合体に結合する第3分子であってもよい(二次抗体は、通常、1次抗体が由来する種の抗体に対して特異的である)。プロテインA又はプロテインGのような免疫グロブリン定常領域と特異的に結合できる他のタンパク質も標識剤として使用することができる。これらのタンパク質は、様々な種に由来する免疫グロブリン定常領域と強い非免疫原反応性を示す(例えば、Kronval et al., J. Immunol. 111:1401-1406 (1973); Akerstrom et al., J. Immunol. 135:2589-2542(1985)を参照されたい)。標識剤は、他の分子(ストレプトアビジンなど)が特異的に結合できる、検出可能な部分(ビオチンなど)で修飾することができる。さまざまな検出可能な成分が当業者に周知である。
アッセイを通して、インキュベーションステップ及び/又は洗浄ステップが、各試薬の混合後に必要である場合がある。インキュベーションステップは、約5秒から数時間まで、任意に約5分から約24時間まで、変えることができる。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイフォーマット、抗原、溶液の容量、濃度等に依存し得る。通常、アッセイは周囲温度で実施されるが、10℃〜40℃頭の温度範囲で実施することができる。
サンプル中のトランケート型メマプシン2タンパク質を検出する及び/又は単離するためのイムノアッセイは、競合型又は非競合型のいずれかであることができる。非競合イムノアッセイは、抗原量を直接測定するアッセイである。「サンドウィッチ」アッセイでは、例えば、抗トランケート型メマプシン2抗体を、これらが固定される固体基板上に直接結合させることができる。これらの固定化抗体は、その後、試験サンプル中のトランケート型メマプシン2タンパク質を捕捉する。こうして、トランケート型メマプシン2タンパク質は、その後、標識を保持する二次抗体などの標識剤と結合する。あるいは、二次抗体は、標識を欠いていてもよいが、順に、二次抗体が由来する種の抗体に特異的な標識型の三次抗体と結合され得る。二次又は三次抗体は、通常、ビオチンのような、他の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合する検出可能な部分で修飾されることで、検出可能な部分を提供している。共有結合又は非共有結合のいずれかで分子を固体支持体に結合する方法は、当業者には周知である。当業者に公知の様々な固体支持体(例えば、プレート、カラム、ディップスティック、メンブレン等)は、本発明で使用することができる。
競合アッセイでは、サンプル中に存在するトランケート型メマプシン2タンパク質の量は、抗トランケート型メマプシン2抗体から、サンプル中に存在する未知のトランケート型メマプシン2タンパク質によって置換された(競合により奪い去られた)既知の添加した(外来性の)トランケート型メマプシン2タンパク質の量を測定することによって間接的に測定される。一の競合アッセイにおいて、既知量のトランケート型メマプシン2タンパク質がサンプルに添加され、その後、サンプルは、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に結合する抗体と接触する。抗体に結合した外来のトランケート型メマプシン2タンパク質の量は、サンプル中に存在するトランケート型メマプシン2タンパク質の濃度に反比例する。一の実施形態で、抗体は、固体基板上に固定されている。抗体に結合したトランケート型メマプシン2タンパク質の量は、トランケート型メマプシン2タンパク質/抗体複合体中に存在するトランケート型メマプシン2タンパク質の量を測定するか、又は残存する非複合体化タンパク質の量を測定することによって、測定することができる。トランケート型メマプシン2タンパク質の量は、標識されたトランケート型メマプシン2タンパク質分子を提供することで検出することができる。
ハプテン阻害アッセイは、別の競合アッセイである。本アッセイでは、既知のトランケート型メマプシン2タンパク質は、固体基板上に固定化されている。既知量の抗トランケート型メマプシン2抗体がサンプルに添加され、その後、サンプルは固定化されたトランケート型メマプシン2タンパク質と接触する。既知の固定化トランケート型メマプシン2と結合した抗トランケート型メマプシン2抗体の量は、サンプル中に存在するトランケート型メマプシン2タンパク質の量と反比例する。一方、固定化された抗体の量は、固定化された抗体の画分、又は溶液中に残っている抗体の画分のどちらかを検出することにより検出できる。検出は、抗体が標識されている場合は直接的であってもよく、又は上記のように抗体に特異的に結合する標識部分をその後に添加することによって間接的であってもよい。
二次抗体の抗原への結合が、一次抗体の存在下で、上記アッセイのいずれかを用いて少なくとも30%まで、一般的には少なくとも約40%、50%、60%又は75%、また多くの場合少なくとも約90%まで低減される場合、抗体は、二次抗体の結合を競合的に阻害するとみなされる。
競合結合フォーマットにおけるイムノアッセイは、交差反応性の測定に使用することもできる。例えば、トランケート型メマプシン2タンパク質の少なくとも1つの抗原性部分配列を含むポリペプチドを固体支持体に固定化することができる。タンパク質(例えば、プレプロメマプシン2)は、抗血清の固定化抗原への結合に関して競合するアッセイに添加される。抗血清の固定化タンパク質への結合に関して競合する添加タンパク質の能力は、トランケート型メマプシン2タンパク質がそれ自身と競合する能力と比較される。上記タンパク質に関する交差反応性のパーセンテージは、標準的な計算を用いて算出される。上で列挙した添加タンパク質それぞれと10%未満の交差反応性をもつ抗血清が選択され、プールされる。交差反応する抗体は、任意に、添加された精査用タンパク質(例えば遠縁の相同体)との免疫吸着によって、プールされた抗血清から除かれる。
免疫吸着された及びプールされた抗血清は、その後、おそらくはトランケート型メマプシン2タンパク質と考えられる第二タンパク質を免疫原タンパク質と比較するために上記競合型結合イムノアッセイで使用される。本比較を行うために、2つのタンパク質がそれぞれ広範囲の濃度でアッセイされ、固定化タンパク質に対する抗血清の結合を50%抑制するのに必要な各タンパク質の量が決定される。結合を50%抑制するのに必要な第二のタンパク質の量が、結合を50%抑制するのに必要な免疫原タンパク質の量の10倍未満であるならば、第二タンパク質は、トランケート型メマプシン2タンパク質免疫原に対して生じたポリクローナル抗体に特異的に結合すると考えられる。
ウェスタンブロット(免疫ブロット)分析は、サンプル中のトランケート型メマプシン2タンパク質の存在を検出し、定量するのに使用される。本技術は、通常、ゲル電気泳動により分子量に基づいてサンプルタンパク質を分離すること、分離されたタンパク質を適当な固体支持体(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、又は誘導体化ナイロンフィルターなど)に転写すること、及びサンプルを、トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に結合する抗体と共にインキュベートすることを含む。抗トランケート型メマプシン2抗体は、固体支持体上のトランケート型メマプシン2タンパク質に特異的に結合する。これらの抗体は、直接的に標識されてもよく、あるいはその後に、抗トランケート型メマプシン2抗体に特異的に結合する標識された抗体(例えば、標識したヒツジ抗マウス抗体)を用いて検出してもよい
他のアッセイフォーマットは、リポソームイムノアッセイ(LIA)を含む。これは、特定の分子(例えば、抗体)と結合するように作られたリポソームを用い、封入された試薬若しくはマーカーを放出する。放出された化学物質は、その後、標準的な技術に従って検出される(Monroe et al., Amer. Clin. Prod. Rev. 5:34-41 (1986)参照)。
当業者であれば、多くの場合にイムノアッセイにおける非特異的結合を最小限にすることが望ましいことを理解できるであろう。特に、アッセイが固体基板上に固定化された抗原又は抗体を伴う場合、基板に対する非特異的結合量を最小にすることが望ましい。このような非特異的結合を低減する手段は、当業者には周知である。一般的には、本技術は、基板をタンパク質性の組成物で被覆することを含む。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳及びゼラチンのようなタンパク質性の組成物が、広く使用されている。
アッセイで使用される特定の標識又は検出可能な基は、アッセイで用いられる抗体の特異的結合を有意に妨げない限り、本発明の重要な態様ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的又は化学的性質をもつ任意の物質であることができる。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野で十分に開発されてきた。また、通常は、そのような方法で有用な、あらゆる標識のほとんどを本発明に適用することができる。したがって、標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段によって検出できるあらゆる組成物である。本発明で有用な標識は、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン等)、放射線標識(例えば、H、125I、35S、14C又は32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びELISAで一般的に使用されている他のもの)、及びコロイド金、又は着色ガラス若しくはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)のような比色標識を含む。
標識は、当該分野で周知の方法に従って、アッセイの所望成分と直接的に、又は間接的に結合することができる。上記で示したように、多種多様な標識が、必要な感受性、化合物とのコンジュゲーションの容易さ、安定性要件、利用可能な機器、及び廃棄規定に応じた標識の選択により使用することができる。
非放射線標識は、しばしば間接的手段によって付着される。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)は、分子と共有結合される。その後、リガンドは、本質的に検出可能であるか、或いは検出可能な酵素、蛍光化合物又は化学発光化合物などのシグナル系と共有結合する、他の分子(例えば、ストレプトアビジン)と結合する。リガンド及びそれらの標的は、トランケート型メマプシン2タンパク質を認識する抗体、或いは抗トランケート型メマプシン2抗体を認識する二次抗体との適切な任意の組合せで使用することができる。
前記分子は、例えば、酵素又はフルオロフォアとのコンジュゲーションによって、シグナル産生化合物と直接コンジュゲートさせることができる。標識としての目的の酵素は、主に、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼ及びグルコシダーゼ、又はオキシダーゼ(oxidotases)、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物は、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン等を含む。化学発光化合物は、ルシフェリン、及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えば、ルミノール)を含む。使用可能な様々な標識又はシグナル産生系の概説に関しては、米国特許第4,391,904号を参照されたい。
標識を検出する手段は、当業者には周知である。それ故、例えば、標識が放射線標識である場合、検出手段は、シンチレーションカウンター又はオートラジオグラフィーのような写真用フィルムを含む。標識が蛍光標識である場合、蛍光色素を適当な波長の光で励起し、その結果生じる蛍光を検出することによって、検出することができる。蛍光は、写真用フィルムを用いて、電荷結合素子(CCD)若しくは光電子増倍管などの電子検出器を用いて、視覚的に検出することができる。同様に、酵素標識は、酵素の適当な基質を与え、その結果として生じる反応産物を検出することによって、検出することができる。最後に、単純な比色標識は、単に標識と関連した色を観察することで検出することができる。それ故、様々なディップスティックアッセイで、コンジュゲートした金は、しばしばピンクに見えるが、コンジュゲートした様々なビーズは、そのビーズの色に見える。
いくつかのアッセイフォーマットは、標識された化合物の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイを使用して、標的抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原を被覆した粒子が標的抗体を含むサンプルによって凝集する。本フォーマットでは、標識した化合物は必要ではなく、標的抗体の存在は、単純な目視検査によって検出される。
VI.キット及び他の使用
本発明はまた、トランケート型メマプシン2タンパク質を検出し、単離するキット、並びに抗トランケート型メマプシン2抗体を検出するためのキットを提供する。例えば、このようなキットは、以下の物質のいずれか1つ以上を含むことができる:抗トランケート型メマプシン2抗体、反応チューブ、及びトランケート型メマプシン2タンパク質を検出するための説明書を含む。任意に、抗トランケート型メマプシン2抗体の検出用に、キットはトランケート型メマプシン2タンパク質ペプチドを含む。
本発明の核酸は、他の核酸分子又はゲノム内の相補的配列を同定するためのプローブとして有用であり得る。このようなプローブの使用を適用して、特定の組織若しくは株の同定が必要なアルツハイマー研究又は診断処置において、生物の感染株を同定又は区別することができる。当該分野では周知のように、プローブは、承認された核酸標識法及び技術に従って目的の核酸配列を標識することによって作ることができる。
組換えヒトプロメマプシン2の調製
ヒトプロメマプシン2を、Lin et al.2000に従って調製した。本調製については、米国特許第6,545,127号及び米国特許出願第20020220079号に詳細に記載されている。簡単に言えば、14〜454番アミノ酸由来のヒトプレプロメマプシン2(図4)の断片を発現ベクターpET11aのBamHI部位内にクローニングし、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフェクトした。ヒトプレプロメマプシン2のこの部分は、活性化ぺプチドを含むが、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインは除かれている。プロメマプシン2タンパク質の封入体としての発現を、O.D.値0.75でIPTGを培地に添加することで開始させた。培養を3時間継続させた。細胞を溶解し、封入体タンパク質をtriton X−100バッファーで洗浄した後、8Mウレアバッファーに溶解した。プロメマプシン2タンパク質をTrisバッファーへの速やかな希釈によってリフォールディングさせ、その後、pH9.0から8.0まで48時間にわたって段階的にpHを調節した。リフォールディングしたプロメマプシン2をミスフォールディングしたタンパク質からゲル濾過クロマトグラフィーによって分離した。
トランケート型メマプシン2の調製
組換えヒトプロメマプシン2をErmolieff et al. 2000及び米国特許出願第20020164760号に記載された様々な方法によって、様々な長さにトランケートした。一の方法において、弱毒化は、ゲル濾過による分離前又は分離後、pH8で2〜3週間の長期にわたるインキュベーションによってプロメマプシン2の調製の間に自然に生じさせた。他の方法では、プロメマプシン2をクロストリパインとのインキュベーションによって活性化した(Ermolieff et al., 2000)。トランケート型メマプシン2調製物を6mlのResource Q columnを用いたイオン交換FPLCにより精製し、20mM TrisHCl、0.4Mウレアバッファー、pH8.0中、10カラム容量にわたって0〜0.3M NaCl勾配で溶出させた。
全長プロメマプシン2及びトランケート型メマプシン2調製物によるトランスジェニックADマウスの免疫化
最初の免疫化研究(図2)は、3つの期間で実施した。最初の期間については、10匹のTg2576マウスを自然発生的にトランケートされたヒトメマプシン2を用いて、1匹あたり6μgで4週齢時に免疫した。また、10匹のマウスをアジュバント及びPBSのみで免疫してコントロールとした。8回の皮内免疫化を約5ヶ月の期間にわたって行った。4回目の免疫化後、抗メマプシン2抗体力価は、処置マウスにおいてコントロールよりも有意な上昇を示した(図2)。力価の多少の変動は見られたが、2つのグループ間の差異は、この期間を通して維持されていた。この期間の間、実験グループとコントロールグループの血漿Aβ40レベル間の統計的に有意な差異は、5回目の免疫化後に始まった(図2)。最大約60%の血漿Aβ40の低減であるこの差異も、多少の変動はあるものの最初の5ヶ月の間持続した。これらの結果は、メマプシン2免疫化による抗体が血漿Aβ40を抑制したことを示唆している。本発明者らは、以前に脳と血漿との間でAβ40の流出があることを実証した(Chang et al.,2003)ことから、血漿Aβ40における差異は、2つのグループの脳Aβ40の差異が起源のはずである。また、血漿Aβ40とAβ42は、ほとんど一定比率である(Chang et al., 2003)ことから、観察されたAβ40の低減は、総Aβの低減を表す。
期間2では、免疫原であるプロメマプシン2を、マウス1匹あたり100μgに増加することよって血漿Aβ40の差異を増加させる可能性を検証した。3回の免疫付与を3ヶ月の期間にわたって行った。しかし、2つのグループ間の血漿Aβ40の差異は消失した。したがって、100μgのプロメマプシン2で免疫することによって開始された動物の第2コーホートは、処置グループとコントロールグループ間で血漿Aβ40のレベルにおける差異がないことを明らかにした(図3)。これらの結果は共に、Aβ40の低減は、トランケート型メマプシン2で免疫した結果であり、また、プロメマプシン2の特定のドメインは、アミロイドβ産生の低減に寄与しない免疫応答を引き起こす場合があることを示す。
期間3では(図2)、動物の第1コーホート(図2)をクロストリパインによる活性化によってトランケートされた6μgのメマプシン2で免疫した。3回の免疫化を3ヶ月の期間にわたって行った。再度、血漿Aβ40において、統計的に有意な差異が2つのグループ間で観察された(図2)。
トランケート型メマプシン2による免疫化に由来する、期間1及び3におけるアミロイドペプチドの低減の十分な継続により、脳内のアミロイド蓄積の有意な低減がもたらされた。免疫化したマウス及びコントロールマウスに由来する脳切片のBielschowski組織化学的染色は、AD患者において典型的にアミロイドプラークが集中している脳の領域における、アミロイド蓄積の有意な低減を示している(表1)。これらの結果は、トランケート型メマプシン2による免疫化で誘導されたメマプシン2に対する抗体は、血液−脳関門をうまく突破し、Tg2576マウスの脳内アミロイド蓄積を低減することを示している。メマプシン2に対する抗体を、外的に(受動免疫)投与し、アミロイド蓄積又はAβレベルを低減することができる。
これらの結果は、トランケート型メマプシン2の免疫化が有効な抗体種の応答を誘導し、その結果、脳及び血漿中のAβ40の産生を抑制することを立証した。
Figure 2009505979
別の試験で、4週齢のトランスジェニックADマウスTg2576(n=10)をPBS(コントロールグループ)か、弱毒化したメマプシン2(Mep2グループ)のいずれかで14か月の期間にわたって繰り返し免疫した(図8中の矢印、下パネル)。最初の免疫化は、PBSか又は弱毒化したメマプシン2のいずれかをフロイント完全アジュバントで乳化することによって行なった。その後3回の免疫化については、PBSか又は弱毒化したメマプシン2のいずれかをフロイント不完全アジュバントで乳化した。以降の週における他の全ての免疫化は、アジュバントなしのPBSか又は弱毒化したメマプシン2のいずれかを用いた。マウスの皮下に、100μlのPBS、又は6μlの弱毒化したメマプシン2を、上述したようにアジュバントを含むか含まない100μlの0.4Mウレア、20mM Tris−HCl(pH8.0)で注射した。血液サンプルは伏在静脈から採取し、また血漿は遠心によって分離した。血漿Aβ40の濃度は、サンドウィッチELISAで測定した。血漿Aβ40における低減は、コントロール群と比較した際に弱毒化メマプシン2で免疫したグループで検出された(図8、上部パネル)。この低減は、抗メマプシン2力価の上昇と共に約3週間で始まり(図8、下部パネル)、全体の約30%〜50%に及んでおり、またほとんど全ての時点で統計的に有意であった。
約15月齢時に、マウスをMorrisの水迷路における認知についての行動テストにかけた。コントロール(PBS)及び弱毒化したメマプシン2(Mep2、図9A)の両グループに由来するマウスを、参照記憶を検査するための空間的な手掛かりを使用して、不透明な水中に隠された踏み台を探すまでの時間(レイテンシー)について分析した。参照記憶試験における顕著な改善が、コントロールグループと比較して、弱毒化したメマプシン2で免疫化したマウスにおいて見られた(図9A;p=0.012、勾配間の差異)。試験3日目に、踏み台を取り除き、プローブ試験における空間記憶の維持を評価した。正しい四分円中の踏み台のない場所を横切った回数の、他の3つの四分円中を事実上横断した平均回数に対する比率(環横断指数(annulus crossing index)又はACI)は、空間記憶を維持できないマウスではより低くなることが期待される。実際、弱毒化メマプシン2で免疫したマウス(図9B)は、コントロールグループよりも大きいACIを示した(p=0.08)。さらに、プローブ(SW:南西)四分円内に滞在した時間のパーセンテージは、弱毒化したメマプシン2で免疫したマウスで有意に高く(p=0.02)、また、同時に反対側(NE:北東)の四分円の滞在時間に関しては、コントロールマウスと比較して有意な減少がみられた(図9C;p=0.04)。
本研究において、マウスの脳は、脳Aβ40及びAβ42を解析するため、及びBielschowski染色又はアミロイド染色による脳アミロイドプラークの数及び領域の組織学的測定のために収集した(図10)。免疫したマウスの総プラーク数及びプラーク領域の両方が、約35%まで低減されたことが判明した(図10A)(それぞれp=0.012及び0.017)。弱毒化したメマプシン2を免疫したマウスでは、プラーク領域が大脳皮質(p=0.019)と海馬(p=0.056)で、より低くなっていた。プラーク数は、大脳皮質で低減した(p=0.006)。しかし、海馬においてプラーク領域が有意に低減したにもかかわらず、海馬におけるプラーク数の低減は、統計学的に有意なものではなかった(p=0.15)。これは、弱毒化メマプシン2で免疫したマウスの海馬における核形成の抑制というよりもプラーク増殖の抑制の結果であると思われる(図10A)。ELISAを用いて、Aβ40とAβ42を2つの脳半球の一方に由来する抽出物でアッセイした。弱毒化したメマプシン2で免疫付与したマウスでは、Aβ42は、CHAPSバッファー抽出物(Aβの可溶性凝集体)(p=0.0029)及びグアニジンバッファー抽出物(不溶性Aβ沈殿物)(p=0.037)の両方で有意に低かった(30%〜50%の範囲、図10B)。Aβ42よりも低いAβ40の低下(約20%)は、CHAPSバッファー抽出物において有意であった(p=0075)。特徴的なサンプルに由来するAβペプチドの免疫ブロッティングでは、Aβ40よりもAβ40でより大きな差異が確認された(図10C)。統計的分析は、血漿Aβ40と脳内Aβ40及びAβ42における差異がコントロールと免疫グループ間に存在するという主張を支持している。
結論として、弱毒化したメマプシン2によるADマウスの免疫化は、血漿においてAβレベルを35〜40%低減し、脳内プラーク蓄積と脳内Aβペプチド量においてもほぼ同量の低減をもたらす。脳内におけるAβ42の低減は、特に顕著である。このように観察されたAβの減少は、Morrisの水迷路における参照記憶試験と空間記憶の保持の両者における改善を伴い、これはアルツハイマー病の疾患修飾治療を表す。
図1は、プレプロメマプシン2を図式的に示す。 図2は、プロメマプシン2とトランケート型メマプシン2で免疫したADマウスTg2576の第1コホートにおける血症Aβ40と抗メマプシン2抗体の力価を示す。期間1:実験マウスを1匹あたり6μgのトランケート型メマプシン2で免疫した。期間2:各マウスを100μgのプロメマプシン2で免疫した。期間3:各マウスを6μgのトランケート型メマプシン2で免疫した。星印は、実験データとコントロールデータ間の統計的に有意な差異(p<0.05)を示す。凡例中の記号ヒトメマプシン2はプロメマプシン2又はトランケート型メマプシン2のいずれかで免疫した動物を示す。 図3は、プロメマプシン2で免疫したADマウスTg2576の血漿Aβ40を示す。実験マウスの第2コホートを1匹あたり6μgのプロメマプシン2で免疫した。有意な差異は、実験群(proM2)とコントロール(PBSで免疫した)間では見られなかった。 図4は、ヒトプレプロメマプシン2を示す。実線下線を付けた配列(1〜13番アミノ酸)は、シグナルペプチド部分であり、組換えプロメマプシン2構造(図5)からは除かれている。配列下方の点線は、膜貫通ドメインの配列と考えられる。配列下方の破線は、細胞質ドメイン(Lys501を含む)と考えられる。 図5は、ヒトプロメマプシン2を示す。実線下線を付けた1〜15番アミノ酸は、pET11a発現プラスミドのT7プロモーターに由来するベクター由来のアミノ酸である。破線下線は、活性化ペプチド領域を表し、点で示したGlu64アミノ酸は、ペプシンの相同アミノ末端を表す。単一矢印は、クロストリパイン(clostripain)の切断部位を示し、また二重矢印は、自然に活性化するメマプシン2の位置を示す。両方法を用いて、免疫付与に使用するトランケート型メマプシン2調製物を作った。 図6は、免疫源として用いられたプロメマプシン2及びトランケート型メマプシン2調製物のSDS−PAGEを示す。A:プロメマプシン2;レーン1:プロメマプシン2標準物(移動度はproM2で示した);レーン2:トランケート型メマプシン2(かすかなバンド)、レーン3〜5:動物の免疫付与に用いたプロメマプシン2調製物;B:トランケート型メマプシン2;レーン1:分子量標準(kDa);レーン2:プロメマプシン2標準、レーン3:トランケートメマプシン標準;レーン4及び5:動物の免疫付与に用いたトランケート型メマプシン2調製物。 図7−1は、トランケート型メマプシン2の一実施形態の核酸配列を示す。 図7−1の続き。 図8は、血漿Aβ40濃度(上のパネル)及びメマプシン2抗体力価(下のパネル)における弱毒化したメマプシン2での免疫化の効果を示す。下のパネルの矢印は、PBS(PBSグループ)又は100μl中6μgの弱毒化したメマプシン2(Mep2グループ)のいずれかで免疫付与をした日を示している。血漿中のメマプシン2抗体の力価(下のパネル)は、免疫化グループを黒丸で、コントロールグループを白丸(ベースラインで)示している。両パネルで、*印は、統計的に有意な差異(p<0.05)を示す。∧印は、コントロールとの比較でp<0.1であったデータである。 図9は、弱毒化したメマプシン2(Mep2)又はPBSを用いて免疫したマウスで見られた参照記憶試験及び空間記憶保持における認知の改善を示す。A:隠された踏み台を用いた参照記憶試験。B:3日目のプローブ試験の環内横断指数(ACI: annulus crossing inde)。C:プローブ試験による四分円内滞在期間。試験踏み台は、SW四分円に位置し、NE四分円は反対方向となる。 図10は、15月齢のTg2576マウスの脳内アミロイド保持量及び脳内Aβレベルにおける弱毒化したメマプシン2免疫化の効果を示す。A:抗Aβ MAB1561抗体(Chemicon)で染色した、アジュバントで乳化したPBSコントロールマウス脳(n=13)及び弱毒化したメマプシン2で免疫したマウス脳(n=11)のアミロイドプラーク数(上のパネル)及び総プラーク域(下のパネル)。Aβプラーク数と占領域はいずれも、弱毒化したメマプシン2で免疫化した脳内でいずれの域においても顕著に減少した(*:p<0.05;^:p<0.15)。B:マウス脳のCHAPSバッファー抽出物及びグアニジンバッファー抽出物由来のAβ40及びAβ42の量。*は、p<0.05を示す(コントロールグループ、Mep2グループはそれぞれn=13、11)。C:弱毒化したメマプシン2で免疫したマウスとコントロール(PBS)マウスの脳からグアニジンバッファーで抽出したAβ40及びAβ42のウェスタンブロット。

Claims (21)

  1. メマプシン2 β−セクレターゼ活性に関連する疾患を治療するために、前記治療を必要とする被験体のメマプシン2 β−セクレターゼ活性を低減する方法であって、前記被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む前記方法。
  2. 前記被験体が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験体がヒトである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記疾患がアルツハイマー病である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が、実質的に、図4の41〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が、実質的に、図4の41〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が、実質的に、図4の58〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が、実質的に、図4の58〜454番アミノ酸のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番又は63〜454番アミノ酸からなり、任意に少なくとも一つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記トランケート型メマプシン2タンパク質が図4の41〜454番、43〜454番、58〜454番又は63〜454番アミノ酸からなる、請求項1に記載の方法。
  11. 被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む、被験体の脳内β−アミロイドペプチドのレベルを減少させる方法。
  12. 被験体に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む、被験体の脳内β−アミロイドプラークの大きさ又は数を低減する方法。
  13. アルツハイマー病の治療を必要とする患者に有効量のトランケート型メマプシン2タンパク質を投与することを含む該疾患を治療する方法。
  14. トランケート型メマプシン2タンパク質と特異的に免疫反応する抗体。
  15. 前記抗体が単離された抗体である、請求項14に記載の抗体。
  16. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項14に記載の抗体。
  17. 前記抗体が抗体フラグメントである、請求項14に記載の抗体。
  18. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項14に記載の抗体。
  19. 請求項14に記載の抗体及び製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
  20. トランケート型メマプシン2及び製薬上許容可能なアジュバントを含む医薬組成物。
  21. トランケート型メマプシン2をコードする核酸及び製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
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