JP2009505726A - 生分解性ポリマーを含むことにより向上した官能性を有する医療機器及びコーティング - Google Patents

生分解性ポリマーを含むことにより向上した官能性を有する医療機器及びコーティング Download PDF

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Abstract

移植可能な医療機器の製作のために及び医療機器のコーティングとして有益な生分解性ポリマーを提供する。当該生分解性ポリマーは生体適合性であり、及び最適な崩壊速度に加えて最適な生理活性物質溶質速度を提供することができる。生分解性ポリマーを使用した医療機器及び医療機器コーティングの製造方法もまた提供する。

Description

発明の詳細な説明
(技術分野)
本発明は基の官能性側鎖を有する生分解性ポリマーを含む医療機器及び医療機器のコーティングに関する。より具体的には、本発明は医療用の生体分解ポリマー及びそれにより製造された医療機器を提供し、当該医療用の生分解性ポリマーはホモポリマー及び望ましい官能性側鎖がついたポリエステルバックボーンを有するコポリマーを含む。
(背景技術)
移植可能な医療機器はこの50年間でますます一般的になり、医学のほぼ全分野で適用が見出されている。例には、人工関節、血管グラフト、心臓弁、眼科用レンズ、ペースメーカー、血管ステント、尿道ステント、及びその他が含まれる。しかしながら、適用にかかわらず移植可能な医療機器は生体適合性でなければならず、つまり炎症、血栓症又は壊死のような(これらに限られない)有害な生体反応を起こさない材料から製作しなければならない。従って、初期の医療機器は一般的に貴金属やセラミックスなどの非反応性の材料で製作されている。より近年においてはステンレス鋼及び他の金属合金が貴金属に置き換わり、及びポリマー類がセラミックスに置換されている。
一般的に、移植可能な医療機器は長期間治療に適用されることが意図され、いったん移植されると除去されない。いくつかの場合においては、移植可能な医療機器を短期間の治療に使用することが望ましい場合もある。 しかしながら、その除去は患者を命にかかわる合併症の危険にさらすような高侵襲な外科的方法を必要とするかもしれない。従って、医療機器が通常の代謝経路を解して崩壊し、及び周囲の組織に再吸収されるように、短期間の適用の為に設計されることが望ましい。
最初の生体吸収性医療機器の開発のひとつは1960年代にDavis and Geck, Inc. (ダンブリー、コネチカット州)によってデクソン(Dexon)として上市された合成吸収性縫合糸だった。そのときから、移植された医療機器(類)を取り除く為の第二の侵襲的手法の必要性を軽減する、多様な生分解性ポリマーを基材とした製品が移植可能な医療機器及び移植可能な医療機器コーティングとして許容されることが明らかになってきた。
生分解性ポリマーは天然物又は合成物のどちらでもありうる。一般的には、天然由来の材料と比較して広い範囲の特性を調整することができること及びロット間の均一性がより予測可能であるという点で合成ポリマーが天然材料よりも非常に優位である。合成ポリマーはまた、免疫原性の心配が無いと言う点に関してより信頼できる原料源である。
一般的に、生体材料としての使用のためのポリマー選択基準は、ポリマー(類)の機械的特性及び崩壊時間を特定のin vivoでの適用の必要性に調和させることである。生分解性ポリマーの機械的性能に及ぼす要素はポリマー研究者によく知られており、モノマーの選択、開始剤の選択、工程の状態及び添加剤の存在などを含む。これらの要素は次々にポリマーの親水性、結晶性、溶解及びガラス転移温度、分子量、分子量分布、末端基、配列分布 (ランダム対ブロッキー) 余剰のモノマー及び添加剤の存在に影響を及ぼす。さらに、生分解性材料について研究しているポリマー研究者はこれらの変形それぞれについてその生分解における効果を評価しなければならない。
公知の生分解性ポリマーにはとりわけ、ポリグリコリド (PGA)、ポリアクチド (PLA)及びポリ(ε-カプロラクトン) (PCA)が含まれる。しかしながら、これらのポリマーは一般的に疎水性であり、及びそれらの構造は変更するのが難しい。従って、ポリマーの物理学的特性は特異的な医学上の要求に一致するように変更し、調整するのが難しい。例えば、PLAから製造されたポリマーは極度にゆっくりと崩壊し、従って全ての適用に適していない。この欠点に取り組む為に、ポリマー研究者たちはPLA及びPCAのコポリマーを開発した。しかしながら、生分解速度は有意に限定されたままであった。
さらに、in situ薬物送達における最近の進歩により、離れた部位に治療用組成物を供給するように特に設計された移植可能な医療機器の開発が行われてきた。おそらく最も活気に満ちた分野の一つがインターベンショナル・カーディオロジー(intervention cardiology)である。血管の閉塞によりおこった虚血性心疾患は、しばしば経皮的冠動脈形成術(PTCA)を用いて治療され、前記形成術では拡大カテーテルを大腿動脈の切込みに挿入し、血管閉塞部位に誘導する。カテーテルを拡大し、カテーテルチップ(バルーン)を膨らませ閉塞した血管を開き血管の開存性を回復させる。一般的には、血管の反跳と再狭窄を最小限にする為に血管ステントを治療部位に配置する。しかしながら、いくつかの場合においてステントの配置により動脈の内膜が障害を受け血管平滑筋細胞の過剰増殖及び再狭窄が起こる。再狭窄が起こると治療部位における動脈の再拡張又はそれが可能でなければ、外科的冠状動脈バイパス手術のどちらかを行わなければならない。
近年、ラパマイシン及びその類似体及びパクリタキセルのような(これらに限定されない)抗増殖性化合物でコーティングされた薬物溶出ステントが再狭窄の予防において非常に有望であることが示されてきた。しかしながら、さらに及び強力なより効果的な薬物溶出ステント(DES)の開発の必要性がある。 DESにおける一つの重大な要素は薬物溶出速度である。薬物溶出は一般的にステントに適用されたポリマーコーティングにおける薬物の溶解度の要素である。
現在、生体安定性、つまり非吸収性のポリマーは金属ステントの薬物溶出コーティングとして使用されている。ポリマー研究者は適切な生体安定性ポリマーを選択する際多くの異なる選択肢を持ち、最近何人かの本発明者達は薬物放出に有益なポリマーコーティングの調整において有意な進歩をとげた(同時係属中の米国特許出願番号11/005,463を参照)。しかしながら、生体吸収性ポリマーの数及び型はもっと制限されている。従って、対応する生体安定性ポリマーと同様の官能性多様性を有する新規な生体吸収性ポリマー医療機器を開発する為には、最初に薬物溶解度と適合し、及び再吸収速度のすぐれたコントロールを提供する新規で有益な生体吸収性ポリマーを開発する必要がある。
(発明の概要)
本発明は広い範囲の生物医学的応用、とくに医療機器のコーティング、医療機器の構造構成物又はその両方に適した多用途の、調節可能な生分解性ポリマーの提供における問題に取り組む。先行技術の生分解性ポリマーは、簡単に修飾できないすこしの選ばれたポリマーに限られ、従って具体的な、調節可能な崩壊速度、親水性/疎水性及び/又は薬物のような他の生理活性分子との適合性を必要とする医療機器を設計する際の材料研究者の意見を限定する。
移植可能な医療機器に適したポリグリコリド(PGA)、ポリアクチド(PLA)、ポリ(ジオキサノン)(PDO)、炭酸トリメチレン (TMC)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCA)及びそれらのコポリマーのような先行技術の生分解性ポリマーは、誘導可能な官能性側鎖を有しない鎖上の非分岐ポリエステルである。従って、これらのポリマーは適用が限定されており、一般的に疎水性でそれゆえ比較的ゆっくりした生分解速度を有する。
本発明者は先行技術の生分解ポリマーを用いて前述の問題を解決する中で新しい方法を発見し、従って広い範囲の生分解速度及び多様な生理活性分子との適合性を有するよう尾に調節することができる新しい生分解性構成を生成した。本発明はこの結果をポリエステルバックボーンに所望の感応性を持たせた、さらに修飾するためのビニル、ヒドロキシ、カルボキシル、アミン、チオール及びホスホリルコリン機能部位のような側鎖(これらに限られない)を提供することにより達成した。
本発明の一態様において、開環重合反応に続き官能基をラクトン環に導入し、所望の機能を有する均一なポリマー及びコポリマーを産生する。得られたポリマーはその後、当業者に知られた技術を使用して薬物溶出医療機器及び薬物溶出医療機器コーティングを含む医療機器又は医療機器のコーティングを製造するために使用することができる。
本発明の一態様において移植可能な医療機器が提供され、前記移植可能な医療機器は生体適合性で、生体分解性を有する式1のポリマーが含まれる。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり及びR1 は水素又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルキル又はC1-C10直鎖若しくは分岐アルケニル及びR2はオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル、及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である。)
本発明の他の実施態様において、移植可能な医療機器が提供される。当該移植可能な医療機器は生分解性で、生体適合性を有する式2のポリマーを含むコーティングを有する。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり及びR1 は水素又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルキル又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルケニル及びR2 はオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である。)
本発明のさらに他の態様において、式3の生分解性ポリマーを含む血管ステントが提供される。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、本発明の態様にはまた少なくとも一つの生理活性物質、例えばゾタロリムス(米国特許第 6,015,815号に記載されているように、テトラゾールを含むラパマイシン誘導体のUSAN名であり、以前はABT-578と呼ばれていた)が含まれていてもよい。)
本発明のさらに他の態様において、式4の生分解性ポリマーを含む血管ステントを提供する。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり、及び本発明の態様にはまた少なくとも一つの生理活性物質、例えばゾタロリムスが含まれていてもよい。)
(使用する用語の定義)
この先に進む前に、本発明を記載するのに使用される多くの用語を定義することは有益だろう。本明細書で使用される技術分野の語句及び用語は第一に本明細書に提供されるように定義すべきであり、及び続いて必要に応じて当業者が通常用語を定義するように定義すべきである。
動物:本明細書において、「動物」は哺乳類、魚類、爬虫類及び鳥類を含む。哺乳類はヒトを含む霊長類、犬、猫、山羊、羊、兎、豚、馬、及び牛を含むがこれらに制限されない。
バックボーン:本明細書において「バックボーン」は本発明のポリマー又はコポリマーの主鎖を意味する。本明細書において「ポリエステルバックボーン」はラクトン環から誘導した生分解性ポリマーの主鎖を意味する。例として式1及び2を参照されたい。
生体適合性:本明細書において、「生体適合性」は動物の組織に密接に接触するように配置したときに、動物において傷害又は死を起こさない又は動物において拒絶反応を起こさない任意の材料を意味する。副作用には、炎症、感染症、繊維組織の形成、細胞死、血栓症が含まれる。
生理活性物質:本明細書において、「生理活性物質」とは、抗増殖性化合物、細胞分裂停止化合物、毒性化合物、抗炎症化合物、化学療法剤、麻酔薬、抗生物質類、プロテアーゼ阻害剤、スタチン類、核酸類、ポリペプチド、及び組換え微生物、リポソーム、を含む運搬ベクター、等(以下の薬物参照)を含む。
生分解性:本明細書において、「生分解性」は、生体適合性でありかつin vitroで通常の生化学的経路により崩壊するポリマー組成物を意味する。適宜、生体吸収性物質と生分解性物質は互換性を持って使用されてもよいが、それらは同一の範囲にわたっていない。生分解性ポリマーは周囲の組織に再吸収されてもよく又はされなくてもよく、しかしながら全ての生体吸収性ポリマーは生分解性と見なされる。本発明の生分解ポリマーは化学的に又は酵素的に触媒された加水分解により開裂して生体適合性の副生成物を産生することができる。
調節性放出:本明細書において、「調節性放出」は医療機器の表面から予定される速さで生理活性化合物が放出されることをいう。調節性放出は医療機器の表面から生理活性物質が予定しない様式で散発的に放出されることなく、特に意図せずに、生体環境下において機器から、「バースト(burst)」して来ないことを意味する(ここでは1次反応速度式にも言及する)。しかしながら、本明細書で使用される「調節性放出」という語は配置に伴う「バースト現象」を排除するものではない。本発明のいくつかの実施態様において、薬剤が最初にバーストし、その後よりゆるやかに放出することは望ましい。放出速度は定常状態(一般的に「徐放性」または0次反応(図3参照)という)にあり、薬剤は(最初のバーストが有っても無くても)予定された時間を超えて放出されても良く、又はグラジエント放出(gradient release)であっても良い。グラジエント放出は装置の表面から放出される薬物濃度が時間により変化することを意味する。
適合性:本明細書において「適合性」とは物理学的、化学的、生物学的に及び薬物放出動力学的特性が、本発明に従って製造した調節性放出コーティングに適している最適な又はほぼ最適な組み合わせを有する組成物を意味する。物理学的特性には耐久性及び弾性/延性が含まれ、化学的特性には溶解性及び/又は混和性及び生物学的特性には生体適合性が含まれる。薬物放出動力学はほぼ0次式又は一次及び0次速度式の組み合わせに従うべきである。
遅延性放出:本明細書において「遅延性放出」とは、ある期間後、又は事象又は一連の事象の後の生理活性物質(類)の放出をいう。
薬物(類): 本明細書において、「薬物」は動物において治療効果を有するいずれかの生理活性物質を含む。典型的で、非制限的な例にはFKBP12結合化合物を含むマクロライド抗生物、エストロゲン類、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、蛋白質チロシンキナーゼ抑制剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ハイポセマイシン(hypothemycin)、一酸化窒素、ビスホスホネート、上皮増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、アンチセンスヌクレオチド及び形質転換核酸を含むが、これらに限定されない。
官能性側鎖: 本明細書において、「官能性側鎖」は第二の化学成分に通常結合することができる第一の化学成分を含み、ここでは第一の化学成分が第二の化学成分の化学的又は物理的な特性を変更する。官能性側鎖に付随する官能基にはビニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基及び本明細書及び請求項に図示されるような当業者に知られた他の基が含まれる。
親水性:本明細書において生理活性物質に関して使用される「親水性」という用語は、200mg/mlを超える水への溶解性を有する生理活性物質を意味する。
疎水性:本明細書において生理活性物質に関して使用される「疎水性」という用語は、200mg/mlを超えない水への溶解性を有する生理活性物質を意味する。
ラクトン:本明細書において、「ラクトン」又は「ラクトン環」は環状エステルを意味する。アルコール群及びカルボン酸群が同一の分子内に存在する縮合物である。接頭辞はリングの大きさを示す:ベータ−ラクトン(4員環)、ガンマ−ラクトン(5員環)、デルタ−ラクトン(6員環)。
(発明の詳細な説明)
生分解ポリマーは、合成又は天然のいずれであっても、化学的に又は酵素的に触媒された加水分解により開裂して生体適合性の副生成物を産生することができる。この生分解性特性はその後外科的に除去する必要無しに体内に移植することを可能にする。さらに、これらのポリマーと共に処方された薬物は制御された様式で放出することができ、それにより標的部位における薬物濃度は治療域内に維持される。生分解性ポリマーからの薬物の放出速度は、生分解速度、ポリマー及び薬物の生理化学的特性、ポリマー及び薬物間の熱力学的適合性及び医療機器の形のような多くの要素により制御することができる。
しかしながら多くの生体適合性ポリマーはかなり疎水性であり、官能性側鎖がないため容易に誘導体化できない。最もよくみられる生体適合性ポリマーはポリエステル類、ポリオルトエステル類、ポリ無水物類及びポリホスファゼン類(図1参照)である。本発明は環状前駆体を結果として得られるモノマー単位が官能性側鎖を有するように誘導体化する開環反応(ROP)を用いて合成したポリエステルバックボーンを有する付加的生分解性、生分解性ポリマーを提供する。
本発明のコーティング及び移植可能な医療機器を製造する為に使用する生分解性ポリマーは一般的に以下のように記載することができる。
本発明の一態様において生体適合性、生分解性ポリマーは式1で表される。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり及びR1は水素又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルキル又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルケニル及びR2 はオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である。)
本発明の他の実施態様において生体適合性、生分解性ポリマーは式2で表される。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり及びR1 は水素又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルキル又はC1-C10 直鎖若しくは分岐アルケニル及びR2 はオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル、PEG及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である。)
本発明のさらに他の態様において式3の生分解性ポリマーを含む血管ステントが提供される。
Figure 2009505726
式中n及びmは別々に1から100の整数であり、本発明の実施例は少なくとも一つの生理活性物質、例えばゾタロリムス(米国特許第 6,015,815号に記載されているように、テトラゾールを含むラパマイシン誘導体のUSAN名であり、以前はABT-578と呼ばれていた)を含んでいてもよい。
本発明のさらに他の態様において 式4の生分解性ポリマーを含む血管ステントが提供される。
Figure 2009505726
(式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり及び本発明の実施例は少なくとも一つの生理活性物質、例えばゾタロリムスを含んでいてもよい。)
本発明の一態様においてヒドロキシ官能性を持たせたポリエステルは最初にメタ-クロロペル安息香酸 (m-CPBA)のような(これに限定されない)過酸を用いて1,4-シクロヘキサジオンをバイヤー・ビリガー酸化反応(又はそれと等価な反応)することによって提供される(かわりに、本発明に従って及び当業者に知られているように、他の適切な過酸又はルイス酸をペルオキシドと組み合わせて使用することもできる。)。
得られた反応生成物、オキセパン-2,5-ジオンは続いてD,L-ラクチドと2−エチルヘキサン酸スズ、(Sn(Oct)2)触媒を用いて反応させる。開環反応(ROP)によりポリエステルバックボーンにオキソ官能性を有するコポリマーを得る。次に合成有機化学分野における通常の知識を有するものに良く知られた方法を用いてオキソ基をヒドロキシル基に転換する。例えば、ケトンはオキソ基の求核付加(還元)によりLiAlH4及びNaBH4のような水素化触媒を用いて第二級アルコールに還元できることは良く知られている。一つ以上のオキソが存在し及び総数より少ないオキソ基が還元される場合、いくつかのオキソ基を保護する必要があることが理解されている。合成化学の分野の通常の知識を有するものは容易に適切な保護技術を設計することができる。
一旦ヒドロキシル官能性がポリエステルバックボーンに存在すれば、官能性を持たせた部位においてポリエステルバックボーンを修飾する多様な他の反応を行うことが出来る。例えば、制限を意図しないが、ヒドロキシル基は還元的アミノ化反応を用いて修飾しさらにアミン官能基を生成することができ、他の非制限的実施例にはバックボーンへのホスホリルコリン官能基の付加が含まれる。
ホスホリルコリン官能性は特に興味深い本発明の実施態様である。移植可能な医療機器は一般的に周囲の組織に密接に接触する。従って、使用されるポリマー(又は状況により他の材料)が高い生体適合性を有することが重要である。先行技術の生分解性ポリマーは一般的に疎水性であり、従って親水性である非吸収性な対応物と比較して生体適合性は低い。しかしながら、本発明者らはホスホリルコリン官能性を有する親水性のバックボーンを提供する方法を含む親水性の官能性をポリエステルバックボーンに提供する方法を発見した。
ホスホリルコリンは動物の細胞膜の主な構成要素(リン脂質)である。したがってホスホリルコリン(PC)側鎖を有するポリマーは親水性のPC側鎖を有しないポリマーと比較して有意に改善された生体適合性を有することを示す。さらに、多くの薬物は細胞の脂質二重層と相互作用することにより膜を受動輸送される。従ってPC官能性を、疎水性のポリエステルバックボーンを有する薬物溶出性のまたは調節性放出のポリマー性移植可能な医療機器(またはコーティング)に付加することで特に疎水性の薬物の薬物輸送を促進する。図2には本発明に従ったROP反応を用いて生体適合性であり、生分解性のPC官能性を有するポリマーを提供する非制限的な合成方法の概要を図示する。
本発明の他の実施態様において、ビニル官能性は生分解性ポリマーのポリエステルバックボーンに提供される。この実施例の一実施態様においてビニル官能性は以下のようにラクトン環のアルファ炭素に付加される。:3-ブロモプロペンをε-カプロラクトンとリチウムジイソプロピルアミン (LDA)テトラヒドロフラン溶液の存在下反応させ(-78℃)、3-アリール-オキセパン-2-オンを形成する。 次に 3-アリール-オキセパン-2-オンをD,L-ラクチド溶液に加えSn(Oct)2のような適切な触媒を用いてROP反応を行う。結果として起こる開環反応は、当業者が容易に認識できるように、さらなる修飾部位として役立つポリエステルバックボーン上にアクリル官能性を有するコポリマーをもたらす。図3には本発明のこの実施態様の非制限的な実施例を図式により示している。
本発明の官能性を付与したポリエステル生分解性高分子とそれらに関連する製造方法についての前述の実施例及び記載は本発明を制限することを意図していない。それらは単に移植可能な医療機器(全体または一部)またはそのコーティングを調製するために使用されるさまざまな種類の新規ポリマーを示しているに過ぎない。
図3に図示するように、一旦本発明の生分解性ポリマーがポリマーバックボーンに結合した官能基と共に提供されると、官能基はさらに誘導されても良い。本発明の一態様において官能基は生理活性物質(薬物)と共有結合するように誘導される。多くの生理活性物質は生理的な組織中において高い溶解度を示すため、組織内に非常に早く放出され、in situにおいて限られた治療有効期間を示し又はin situにおいて毒性を示す濃度に到達してしまう。
本発明の一つの優位性はこれらの生分解ポリマーが生理活性物質をポリマーの一部として保持し生分解性ポリマーが自然にin vivoで分解するにつれて生理活性物質を放出する事ができる点にある。本発明の生分解性ポリマーはポリエステルバックボーンに結合した官能基を修飾することによりポリマーの相対的な親水性を増加又は減少させることで、特定の期間で分解するように微調整することができる。
さらに、図3に見られるように、本発明のいくつかの実施態様においてビニル官能性がポリエステルバックボーンに付加される。炭素−炭素二重結合は分子間及び分子内架橋部位として有益であるのと同様、多くの付加反応に有益な反応基を提供する。当該架橋はポリマーの機械的特性を増強し、生理活性物質の調節性放出において助けとなる(架橋の程度は多くの生理活性物質の放出速度に反比例する)。
さらに、ビニル基はポリマーの親水性を調節する手段として非常に有益である。例えば、ヒドロキシル基を付加するとポリエステルバックボーンのみと比較して親水性が増加する。最初にオキソ基(一実施態様において、図2参照)を変換し又はアクリル基(他の実施態様において、図3参照)をアルコールに転換しその後アルコールをエステル化することによりポリマーにカルボン酸基を付加することもまた可能である。これを行うことにより、側鎖に架橋部位を提供するのと同様、ポリマーの親水性は増加する。さらに、ビニル基はまたフリーラジカル重合のための開始部位を提供する。
実施例
以下の非限定的な本発明の実施例はさらに、当業者が本発明の全範囲を容易に実施できるように教示するものである。使用するすべての試薬は標準的な供給源、例えばこれに制限されるものではないが、シグマ-アルドリッチケミカルズ(セントルイス、ミズーリ州、米国)から購入可能である。
実施例 1
アクリル官能性を持たせたポリエステルバックボーン
A)モノマーの合成
500mLの三口丸底フラスコに10mLのN, N-ジイオプロピルアミン及び300mLのテトラヒドロフラン(THF)を加える。窒素雰囲気下撹拌し、ドライアイスイソプロピルアルコールバス中で冷却する。この反応混合物に24 mLのN-ブチルリチウムをシリンジを用いて滴下しゆっくりと15分間撹拌する。次に30mLの20%(v/v)δ-バレロラクトンTHF溶液を1時間以上かけて滴下し、ゆっくりと30分間撹拌し、その後30 mLの20% (vol/vol)アリルブロミド THF 溶液をゆっくり撹拌しながら1時間かけて滴下する。反応混合溶液を2時間ゆっくり撹拌し続ける。次に6 mLの飽和塩化アンモニウム溶液を加え、反応混合物が室温まで温まるまで放置する。次に揮発性物質を回転式エバポレーターで除去する。残った固体をエーテルに溶解し、生理食塩水で洗浄しヘキサンで希釈し続いてもう一度生理食塩水で洗浄する。反応生成物をクロマトグラフィーカラムに付し15% エチルアセテート/ヘキサン溶液で溶出し続いて蒸留した。最終的なアクリル官能性を付した生成物(アリールバレロラクトン)は粘稠な液体である。
B) ポリマーの合成
2gの工程Aからのアリールバレロラクトンを8 gのD,L-ラクチド及び0.025 gの Sn(Oct)2 と適切な溶媒中で混合し、テフロン(登録商標)コート磁性撹拌子が入った100 mL のガラス製血清瓶に加えた。瓶はテフロン(登録商標)コートシリコンセプタムで栓をした。反応瓶は窒素で20分間パージし、撹拌子と共に140℃のシリコン油浴中に72時間設置した。72時間後反応生成物を回収し、クロロホルムに溶解し、冷たいメタノール中で沈殿させた。この工程を3回繰り返した。最終的な精製ポリマーをメタノールに溶解してPTFEトレーに注ぎ、減圧下一晩50℃に維持した。
C)ヒドロキシル官能基
2gの工程Bのコポリマーを20mLのアセトンに溶解し、1.5mLのN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)の50質量%水溶液に加える。続いて76 mLの四酸化オスミウム(OsO4)の1質量%水溶液を反応混合物に加え、24時間攪拌し室温に維持する。得られた反応生成物を水及び生理食塩水で洗浄しヘキサンで沈殿させ硫酸マグネシウムで乾燥する。揮発性物質は回転式エバポレーターを使用して除去する。
D)ホスホリルコリン官能基
1gの工程Cの最終ポリマー生成物を25 mLのアセトニトリルに溶解し攪拌子の入った瓶に入れた。瓶はテフロン(登録商標)コートシリコンセプタムで密封し、ドライアイス/イソプロピルアルコールバス中で-20℃まで冷却する。次に0.6 mLのトリメチルアミン (TMA)をシリンジを用いて瓶に加え、反応容器及びその内容物を60℃まで熱し、48時間同じ温度に維持する。得られた生成物はシリカゲルを通し、水及びエタノールの70/30(v/v)混合物で溶出する。生成物は蒸留し、続いて減圧下50℃一晩乾燥させる。
実施例 II
ヒドロキシル官能性を持たせたポリエステルバックボーン
A.オキソ官能性を持たせたポリエステルの調製
シクロヘキサン 1, 4 ジオン (CAS Reg Number 637-88-7)をm-クロロペル安息香酸 (m-CPBA CAS Reg Number 937-14-4)と反応させ、7員へテロ環式ジオン オキセパン-2,5-ジオンを得る。この7員へテロ環式ジオンを、続いて開環触媒Sn(Oct)2 の存在下、環状ジエステル、 3,6ジメチル-[1,4]ジオキサノン2,5ジオン(D,L-ラクチド) (CAS Reg Number 30846 - 39 0)と反応させ、図2に示すように開環重合する。
B. ヒドロキシル官能基の付加
ポリエステルポリマーは次にヒドロキシル基を付加するために修飾される。この反応は公知の参加及び/又はヒドロキシル付加工程により行われる。例えば、ケトンはオキソ基の求核付加(還元)によりLiAlH4及びNaBH4のような水素化触媒を用いて第二級アルコールに還元できることは良く知られている。一つ以上のオキソが存在し及び総数より少ないオキソ基が還元される場合、いくつかのオキソ基を保護する必要があることが理解されている。合成化学の分野の通常の知識を有するものは容易に適切な保護技術を設計することができる。
本発明は生体適合性で、最適化された薬物溶出性の医療機器及び医療機器コーティングを提供する、生分解性であるポリマーの製造を目的とする。具体的には、本発明に従って製造したポリマーは血行力学環境下での使用を意図した医療機器のための生分解性ポリマーを提供する。最近、ポリマー技術は、血管ステント、血管グラフト、尿管ステント、胆管ステント、カテーテル、膨張カテーテル、注入カテーテル、ガイドワイヤー、ペースメーカーリード、補助人工心臓、骨ネジ、人工関節、人工心臓弁のような移植可能な医療機器に応用されてきた。これらのような装置は一般的に移植時、適用時又はその両方の間、屈曲性のゆがみと圧力にさらされる。安定な生体適合性ポリマーコーティングを用いてステントのような柔軟性のある医療機器を提供することはとりわけ難しい。
本発明の一態様において、血管ステントは本発明の構成を用いた制御放出ポリマーを含む血管ステントを提供する。血管ステントは例示的な目的の為だけに選択された。材料科学及び医療機器の分野の当業者は本発明のポリマー組成物が広い範囲の医療機器のコーティング又は製作に有益であることに気づくであろう。したがって、血管ステントを例示的に実施態様として使用することはなんらの制限も意図しない。
血管ステントは医療機器コーティング分野の科学者にとりわけ独特な難題をもたらした。血管ステント(以下、「ステント」という)は屈曲性で、拡張可能で、生体適合性及び生理学的に安定でなければならない。ステントは一以上の冠状動脈が閉塞することにより起こる冠状動脈疾患に関する症状を軽減するために使用される。冠状動脈が閉塞した結果、心筋への血流が消滅し、虚血誘導性狭心症を引き起こし、重症の場合は、心筋の梗塞及び死が起こる。ステントは一般的にカテーテルの遠位末端の、膨らませることができるバルーンに結合したステントを有するカテーテルを使用して配置される。カテーテルを動脈内に挿入し、配置部位に誘導する。多くの場合、カテーテルを足の大腿動脈又は頚動脈に挿入し、ステントは冠状動脈の脈管構造内深く、閉塞部位(治療部位)に配置される。
コーティングされた薬剤溶出血管ステントの別の適用例として、脆弱性プラークの安定化がある。脆弱性プラークはアテローム性粥状物(gruel)からなる液体状の核で覆われた薄い繊維状のキャップからなる。成熟アテローム性プラークの正確な構成は相当変化し、アテローム性プラークの構成に影響を与える因子についてはあまり良く理解されていない。しかしながら、多くのアテローム硬化性プラークに伴う繊維性のキャップは平滑筋細胞の結合組織マトリックス、I又はIII型コラーゲン及び上皮細胞の単層から形成される。アテローム性粥状物は、内皮下層の細胞外スペースに捕捉された血液由来のリポプロテイン及び循環血液から除去した低密度リポプロテイン(LDL)で満たされた組織マクロファージが分解したものから成る(G. Pasterkamp and E. Falk. 2000. Atherosclerotic Plaque Rupture: An Overview. J. Clin. Basic Cardiol. 3:81-86)。繊維状キャップ物質の、アテローム性粥状物に対する比率により、プラークの安定性及び型が決定される。アテローム性プラークが不安定さから、破裂しやすい場合、「脆弱性」プラークと呼ぶ。アテローム性粥が血流に放出され、広範囲の血栓形成反応が起こり、冠動脈疾患による突然死を引き起こす。最近、脆弱性プラークはプラークにステントを配置することにより安定化することができると想定されている。さらに、メタロプロテイナーゼ阻害剤が中に分散しているマトリックスから成る、又は(及び)ポリマーでコーティングした薬物放出コーティングを備えた血管ステントはプラークをより安定化することができ、最終的に完治に導くことができる。
動脈瘤の治療はコーティングされた薬剤溶出ステントの他の適用例である。動脈瘤は通常、アテローム性動脈硬化が原因となる血管の膨張又は拡張である。動脈瘤は腹部大動脈において最も頻繁に発生する。毎年少なくとも15,000人のアメリカ人が腹部大動脈瘤の破裂により死亡する。背中と腹部の痛みは共に腹部動脈瘤の症候であり、動脈瘤の破裂直前まで現れないことがしばしばあり、この症状は通常致命的である。ステント移植は、近年一般的な侵襲的外科手術の代替法として登場した。ステントを含む血管グラフト(ステントグラフト)は動脈瘤の部位の動脈内に配置され、血液と弱った動脈壁の間の障壁として働き、従って動脈への圧力を減少させる。低侵襲的方法は従来の動脈瘤治療に見られた罹病率を減少させる。さらに多数の合併症を有する為に従来の動脈瘤治療に高いリスクがある患者はステント移植の候補となる。ステント移植はまた外傷が原因となって動脈に障害を引き起こす、急性鈍的胸部大動脈損傷に関する症状の新しい治療法として登場した。
治療部位の位置が定まったら、ステント又はグラフトを配置する。一般に、ステントは、バルーン・カテーテルを用いて配置する。バルーンは、動脈内管に対してゆっくり圧をかけながらステントを拡張させ、血管閉塞をクリアし、動脈瘤を安定化させる。その後カテーテルを取り除き、ステントはその場所に永久に残す。大多数の患者は適切な回復期間の後平常の生活に戻り、ステント術を施した閉塞に伴う冠動脈の再狭窄を起こさない。しかしながら、病気の過程それ自体により又はステントの配置により動脈壁の内膜が傷害を受ける場合も有る。この傷害は複雑な生体反応を開始させ、その結果血管平滑筋細胞過剰増殖及び閉塞又はステント部位の再狭窄を起こす。
近年、再狭窄の予防に多大な努力が向けられてきた。近接照射療法、エキシマーレーザー及び薬品作用学的技術を含むいくつかの技術が開発された。最小限の侵襲及び最も確実な治療様式は薬品作用学的アプローチである。好ましい薬品作用学的アプローチには細胞分裂停止又は細胞毒性剤を直接ステント配置領域に送達する、部位特異的送達が含まれる。いくつかの理由により、全身投与より部位特異的送達のほうが好ましい。第一に、多くの細胞分裂停止及び細胞毒性剤は非常に毒性が高く、再狭窄を防止するのに必要な濃度で全身投与することができない。さらに薬物の全身投与は治療部位と離れた部位における意図しない副作用を有しうる。そのうえ、多くの薬物は十分に可溶性ではなく、又はあまりにも早く血流から消失してしまい、効果的に再狭窄を防止できない。従って、抗再狭窄化合物は直接治療領域に投与することが好ましい。
ウィーピング・バルーン・カテーテル(weeping balloon catheters)及びインジェクションカテーテルのような抗再狭窄化合物を配置する為のいくつかの技術及び対応する装置が開発されてきた。ウィーピング・バルーン・カテーテルはカテーテルの遠位末端に近い膨らませることができる部分にある微細孔を通じて抗再狭窄化合物を加圧下ゆっくり投与する為に使用される。膨らませることができる部分はステント又は分離部分を配置するために使用していたのと同じで有りうる。インジェクションカテーテルは加圧液体ジェットを噴出することにより又は1又はそれ以上の針様の付属肢を用いて直接動脈壁に穴を開け、抗再狭窄化合物を投与する。近年、動脈の外膜に薬物を注射するために、ニードルカテーテルが開発された。しかしながら、再狭窄を防ぐ為のウィーピングカテーテル及びインジェクションカテーテルを用いた抗再狭窄組成物の投与はまだ実験的であり、多くは失敗している。抗再狭窄組成物の直接投与はいくつか不利益を有する。抗再狭窄組成物が動脈内管にウィーピングカテーテルを用いて直接投与される場合、血流が急速に抗再狭窄組成物を下流及び治療部位から離れた場所に洗い流してしまう。内管壁又外膜に投与された抗再狭窄組成物は速やかに周囲の組織に拡散する。
従って、抗再狭窄組成物は再狭窄を予防するのに十分な濃度で治療領域に存在しない。カテーテルを用いた局所薬物送達に伴うこれら及び他の不利益の結果、研究者たちは抗再狭窄化合物の送達の改良方法を求め続けている。
今日までに開発されてきた、局在化抗再狭窄組成物送達の最も成功した方法は薬物溶出ステント(DES)である。多くのDESの態様が開発され、試験されてきた。しかしながら、安全で高度に効果的な薬物送達を提供する為には目覚しい進歩が今なお必要である。ステントを基礎とした抗再狭窄組成物送達の主な難問の一つは薬物送達の速度の調節である。一般的に、薬物送達速度は2つの1次反応的(primary kinetic)特性を有する。投与の直後に血流又は組織に達した薬物は1次反応に従う。図4は理想的な1次反応速度式をグラフに示す。1次薬物放出動態により、血液又は局所組織の薬物濃度が即時に上昇し(ピーク濃度)、続いて徐々に減少する(トラフ濃度trough levels)。ほとんどの場合において、治療濃度はほんの数時間しか維持しない。血液又は組織濃度が安定して残存している、持続的にゆっくり放出された薬物は0次反応に従う。図5は理想的な0次反応速度式をグラフに示す。薬物送達の方法及び組織/血液消失速度により、結果として長時間治療濃度が持続する。薬物放出特性は特定の適用に合わせて改変することができる。一般的に、多くの調節性放出組成物はほぼ0次反応に従うように設計されている。しかしながら、薬物の初期バースト又は初期負荷投与量(loading dose)(1次反応速度)が望まれ、その後より穏やかな持続性の薬物放出が続く(擬0次反応速度)という適用でも良い。
本発明は最適化された薬物放出医療機器コーティング及びそれ自体が全体的に、又はほとんど全部が血行力学環境下での使用に適した本発明の生分解性ポリマーで構成される医療機器を対象とする。本発明のコーティング及び装置は、少なくとも一つの分散された生理活性物質又は薬物を有していても良い。
前述の構造的及び薬物放出特性を考慮することに加え、ステントコーティングとして使用されるポリマーはまた、生体適合性でなければならない。生体適合性は前述の「用語の定義」の項で手短に定義した多くの要素を内含する。ポリマーが生体適合性である必要性は、材料分野の科学者が利用可能なオプションの数をかなり制限する。さらに、これらのオプションはポリマーのコーティングが血行動態的な力に持続的にさらされる装置上で使用される場合にさらに制限される。例えば、ステントコーティングは非血栓形成性で、非炎症性で、長期間構造的に安定でなければならない。
従って、本発明に従って製造されたステントコーティングポリマーが有すべき、4つの特異的な特性が存在する。本発明のポリマー構成は生体適合性で、予定された速度で分解し、弾力性/延性であり、及び予測可能な薬物放出特性を有すべきである。他の必要条件はエチレンオキサイド滅菌法を含む(これに限定されない)滅菌法に不活性であるというような適合性を有することである。本発明は、本発明に従って製造した新規なポリマー組成物を提供する。
放出速度は必ずしももっぱら薬物‐ポリマー適合性の機能というわけではない。コーティング組成物、ポリマー膨張性及びコーティングの厚さもまた役割を担う。さらに、本発明は薬物溶出速度を制御するまた別の方法を提供する。本発明の生分解性ポリマーを特定の速度で分解するように調節することにより 、薬物溶出を正確にコントロールし、およびポリマーの完全な分解により薬物溶出を終了することができる。
本発明の医療機器が脈管構造において使用される場合、コーティングの寸法は一般的にマイクロメートル(μm)で測定される。本発明のコーティングは1μm〜1000μmの厚さである。本発明の範囲内には少なくとも独立した二つのコーティング構成が存在する。本発明の一つに実施態様において、薬物含有コーティングは直接装置の表面に又はポリマープライマーの上に適用される。溶解速度や所望する特性に依存して、薬物は完全にポリマーマトリックス内に可溶であるか、又はくまなく均一に分散している。ポリマーマトリックス内に存在する薬物濃度の範囲は0.1質量%〜80質量%である。どちらにしても、コーティング組成物が均一であることが最も望ましい。この特定の構成は一般的にドラッグポリマーマトリクスと呼ばれる。
最後に、コーティングの厚さに戻ると、厚さは一般に総合的な薬物放出速度及び特性とする決定する上で重要ではない要素であるが、依然として、コーティングを調整するために使用可能な追加的要素である。基本的に、他のすべての物理学的及び化学的の要素が変わらないままであるなら、与えられた薬物が与えられたコーティングを通って拡散する速度はコーティングの厚さに正比例する。つまり、コーティングの厚さを増加させると、放出速度は逆に増加する。
我々はここで、本発明の生体適合性で生分解性である制御放出コーティングに貢献する他の要素について述べる。先に述べたように、血行力学的環境に配置する医療機器を意図したコーティングは優れた付着特性を有していなければならない。
つまり、コーティングは安定して医療機器表面に結合していなくてはならない。移植可能な医療機器を作成するためにステンレス鋼、ニチノール、アルミニウム、クロム、チタン、セラミック及び広い範囲の合成ポリマー及びコラーゲン、フィブリン及び植物繊維を含む天然材料、を含む多くの異なる材料を使用することができる。これらすべての材料又は他の材料はこの発明に従って作製した調節性放出コーティングと共に使用することができる。さらに、生理活性物質がポリマー中に分散し、機器の分解時に放出されるように本発明のポリマーは医療機器全体を作成する為に使用することができる。本発明のこの特性は特に装置が、その後の取り外しが、必要である場合に、可能でないか又は複雑で、リスクの高い外科手術が必要な体の離れた領域に移植される際役に立つ。
本発明の一つの実施態様は図6に図示される。図6において構造602を有する血管ステント600は、ステンレス鋼、ニチノール、アルミニウム、クロム、チタン、セラミック及び広い範囲の合成ポリマー及びコラーゲン、フィブリン及び植物繊維を含む天然材料を含む非制限の材料群から製作される。構造602は本発明に従って製造されたコーティング組成物が施されている。
図7a-dはさまざまなコーティングを施したステント700の断面図である。図7aにおいてステント700はパリレンなどのような(これに限定されない)任意の医療用プライマーを含む第1のポリマーコーティング702、第2の調節性放出コーティング704、及び3番目のバリア、又はキャップ、コートである706を有する。図7bにおいて、ステント700はパリレンのような(これに限定されない)任意の医療用のプライマーを含む第1のポリマーコーティング702及び第二の調節性放出コーティング704を有する。図7cにおいて、ステント700は第1の調節性放出コーティング704及び第2のバリアー又はキャップ、コート706を有する。図7dにおいて、ステント700は調節性放出コーティング704のみを有する。図8はバルーンカテーテル801の上に、本発明に従って作製したコーティング804を有する血管ステント800を図示する。
どのようにポリマーが表面に付着するかについて、説明を試み、又は我々の理解に寄与する多くの理論が有る。最も重要な力には静電及び水素結合が含まれる。しかしながら、水和性、吸収及び弾性を含む他の要素もまた、どれほど良くポリマーが異なる表面に付着するかを決定する。従って、ポリマーベースコート又はプライマーは、より単一なコーティング表面を作成する為に度々使用される。
本発明の調節性放出コーティングは、医療機器の下塗りされた表面若しくは何も施されていない表面に、当業者に知られた方法で適用することができる。本発明に適合した適用方法には例えば圧延、スプレー、浸漬、ブラッシング(はけ塗り)、真空蒸着、その他の方法が含まれるが、これらに制限されない。さらに、本発明の調節性放出コーティングはキャップのコートにも使用しても良い。本明細書で使用されるキャップコートは最外側のコーティング層を意味する。薬物放出コポリマーはプライマーコートに使用される。ポリマーキャップコートは薬物放出するコポリマーコーティングの上に適用される。キャップコートは任意にさらに薬物放出を制御するため又は別々の薬物を提供する為の拡散障壁として役立ち得る。キャップコートは、単にステントを保護するために表面に付けられた生体適合ポリマーであり、溶出速度には影響がなくても良い。本発明の一つの側面は移植するまで装置及び生理活性物質を環境から保護する生体分解性のキャップコートを提供することである。移植が完了した後、生体分解性キャップは予定した速さで分解し(本発明に従ってポリマーバックボーンに官能基を付加及び修飾することにより可能にする。)医療機器表面及び生理活性物質を生態環境に露出する。
上で議論されたように、医療機器は本発明のポリマー化合物からさまざまな方法を使用して製作することができる。例証の目的で、制限されるものではないが、血管ステントについて記載する。一つの実施態様において、ステントは第1及び第2末端を有し、第1及び第2末端の間に壁状表面を備える管状の部材である。壁は押し出し成形したポリマーモノフィラメントを組みひも様に織って製作する実施態様で構成される。第2の実施態様において、ステントは射出成形又は押し出し成形である。チューブの壁の開窓は、成形、レーザー切断、打ち抜き、機械加工による。
組みひも状のステント実施態様ではモノフィラメントはペレットにして乾燥させたポリマー材料から製作される。その後乾燥ポリマーペレットを押し出して、粗モノフィラメントを成形し急冷する。押し出され、急冷された粗モノフィラメントはその後引っ張って平均半径が約0.01 mm〜0.6 mm、好ましくは約0.05 mm〜0.15 mmである最終製品であるモノフィラメントにする。約10〜約50の最終製品であるモノフィラメントを組角度が90〜170度になるように、ブレードマンドレル(braid mandrel)のサイズは適用に適したものでバスケット織り状になるように編む。編んだステントは次に、ステントの内径と等しいかそれより小さい外径を有するアニーリングマンドレルに配置し、ポリマーガラス転移温度とポリマー混合物の融点の間の温度で、5分から18時間の間、空気中、不活性雰囲気下又は真空の下で徐冷される。ステントは冷却し、切断する。
本発明の押し出し管状ステントは最初にペレット化したポリマーを押し出し形成装置の注射外筒にいれ、圧をかけて型に射出し、冷却し、固まるまで放置する。ステントは型からはずす。本発明に従って製造したステントは、ステントチューブに開窓を有するように型に入れて作っても良いし、作らなくても良い。開窓ステントの好ましい実施態様は空のチューブを開窓無しで射出成形又は押し出し成形し、好ましくは射出成形する。冷却後、打ち抜き装置又はレーザー切断により管に開窓し、好ましくはレーザー切断する。得られた開窓又は窓は最終産物であるステントの圧縮と自己拡張の特性に悪影響を与えないどんな形も想定しても良い。
ステントは、次に、ステントの内径と等しいかそれより小さい外径を有するアニーリングマンドレルに配置し、ポリマーガラス転移温度とポリマー混合物の融点の間の温度で、5分から18時間の間、空気中、不活性雰囲気下又は真空の下で徐冷される。ステントは冷却し、必要であれば切断する。
本発明に従って製造されたステントは一般に、使用されているポリマーの分子量に比例して増加する機械的特性及び力を有している。必要とする機械的性質とin vivo 分解速度を有するステントの処理効果及び収量に適応して最適な分子量が選択される。
ステントを作るのに使用されるポリマー又はポリマー混合物の2つの物理的特性、すなわち抗張力及び引張り係数がステントの総合的な機械的特性の定義における重要な役割を果たす。抗張力は破壊点における単位面積当たりの力と定義される。切断、または破砕する前に基体が耐えることができる通常、平方インチ(psi)あたりのポンドで表される力の量である。psiで表された引張り係数は、基体の堅さ、または引張りへの抵抗の表現であり、ステントの自己拡張特性に直接関連する1単位の緊張を達成するのに必要な力である。
抗張力及び引張り係数は自己拡張ステントの動作特性を定義する物理学的特性であり、これらの特性には加圧耐性及び自己拡張又は半径方向拡張(radial expansion)力がある。加圧耐性は周りの組織の周囲からの圧力に対するステントの抵抗する能力に関する。加圧耐性が低いステントは開通性を維持することができない。自己拡張力は一度挿入した狭窄した内管に開通性を回復するステントの許容性を決定する。自己拡張と加圧耐性の組み合わせは、競合する特性であり、ステントを設計する際に注意深く考慮しなければならない。
他に示さない限り、明細書及び請求項内で使用される、成分の量、分子量、反応条件等々を表現するすべての数字はすべての場合、「約」という用語で修正して理解すべきである。従って、反対に指定しない限り、以下の明細書及び添付する請求項に記載する数値パラメーターは本発明により得ることが求められる所望する特性により変化する近似である。少なくとも、それぞれの数字のパラメーターは均等論の請求の範囲内への適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメーターは少なくとも報告された有効数字の数の観点から、通常の丸め技術を適用して解釈すべきである。発明の広い範囲について記載されている数字の範囲とパラメーターは近似であるが、特定の例に記載された数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら、どんな数値も本来必ずそれらのそれぞれの試験測定値で見つけられた標準偏差から生じる特定の誤りを含む。
発明を記載する為に本内容(とりわけ以下の請求項の内容)で使用される「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示対象の用語は、明細書中で他に示す又は明らかに内容と矛盾しない限り単数及び複数を包含するものと解釈される。本明細書中の数値の範囲の列挙は、範囲内のそれぞれの値を簡略化した方法として提供することを意図する。明細書中で他に示さない限り、各値は独立して列挙されたように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は本明細書で他に示さない限り又は明らかに内容と矛盾しない限り適切な順番で行われる。本明細書における任意の及びすべての実施例又は例示的な言語(例えば「のような」)は単に発明をより明らかにすることを意図し、他に規定しない限り発明の範囲を限定するものではない。明細書中のどの言語も発明の実施に必須な規定されていない要素を示していないと解釈されるべきである。
本明細書で開示した発明の代替要素又は実施態様のグループ化は制限と解釈すべきでない。それぞれの群の構成要素は、独立して又は群の他の構成要素又は本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて言及され、請求され得る。利便性及び/又は特許性の理由で群の一以上の構成要素が群に含まれる又は群から削除されることが予測される。そのような含有又は削除が起こった際には、本願明細書は添付される請求項において使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすように修正する群を含むと見なす。
本明細書に記載された本発明の好ましい実施態様は、本発明を実施するうえで最良の形態として発明者に知られているものを含む。もちろん、これらの好ましい実施態様の変形は以上の記載を読んだ当業者にとって明らかになるだろう。発明者は当業者がそのような適切な変形を行うことを期待し、及び発明者は発明が本明細書に明確に記載されているものと異なる実施をされることを意図している。従って、本発明は主題に準拠法で許容されるように付加されたクレームで列挙された内容のすべての変形と同等物を含んでいる。さらに、本明細書で特に示さない限り、又は明らかに内容に矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における、上述の要素のいかなる組み合わせも発明に含まれる。
さらに、この明細書中で特許と、印刷された刊行物を多く参照した。上記、引用した参考文献及び印刷された刊行物は全体として本明細書に個別に参考文献として組み込むこととする。
最後に、本明細書中に開示された発明の実施例は本発明の原理の例証であると理解されるべきである。他の使用されるであろう改変も発明の範囲内にある。このように、一例として、しかしこれに限定されるものではなく、本発明の代替の構成は本発明に従って利用されてもよい。従って、本発明はまさに示され及び記載された通りのものに制限されない。
最も一般的な生分解性ポリマーの化学式を示す。 発明に従った開環反応(ROP)を用いた、ホスホリルコリン (PC)官能性を有する生体適合性で生分解性のポリマーの非制限的な合成方法の概要を示す。 本発明の非制限的な実施例の図式を示す。 ポリマーコーティングからの薬物放出に関する理想的な1次反応速度式をグラフに示す。 ポリマーコーティングからの薬物放出に関する理想的な0次反応速度式をグラフに示す。 本発明における抗再狭窄化合物を送達する血管ステントの図を示す。 本発明に従い製造した多様な薬物溶出コーティングを有する医療機器(ステント)の断面図を示す。 血管形成術及び再狭窄の危険性のある管腔へのステントの部位特異的送達の為に使用するバルーンカテーテルアッセンブリ(balloon catheter assembly)の図を示す。

Claims (23)

  1. ポリエステルバックボーンを有する生体適合性、生分解性ポリマーであって、前記ポリエステルバックボーンに少なくとも一つの官能基が結合し及び前記ポリエステルバックボーンがラクトン環から誘導されるポリマーを含むコーティングを有する移植可能な医療機器。
  2. 前記官能基がオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル及びホスホリルコリンからなる群から選択される請求項1記載の移植可能な医療機器。
  3. 前記移植可能な医療機器が血管ステント、ステントグラフト、心臓弁、カテーテル、ペースメーカー及び骨接合用ネジからなる群から選択される請求項1記載の移植可能な医療機器。
  4. 式1の生体適合性、生分解性ポリマーを含むコーティングを有する移植可能な医療機器。
    Figure 2009505726
    (式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり、R1は水素又はC1-C10直鎖若しくは分岐アルキルであり又はC1-C10直鎖若しくは分岐アルケニルであり及びR2はオキソ、ヒドロキシ、カルボン酸、アミノ、ビニル、ポリ(エチレングリコール)及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である。)
  5. R1がメチル基でありX=1であり及びR2がホスホリルコリンである請求項4記載の移植可能な医療機器。
  6. 前記コーティングがさらに抗増殖性化合物、エストロゲン類、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、蛋白質チロシンキナーゼ抑制剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ハイポセマイシン、一酸化窒素、ビスホスホネート、上皮増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、アンチセンスヌクレオチド及び形質転換核酸からなる群から選択される生理活性物質を含む請求項1又は4いずれかに記載の移植可能な医療機器。
  7. 前記抗増殖性化合物が化学療法剤である請求項6記載の移植可能な医療機器。
  8. 前記化学療法剤がゾタロリムスである請求項7記載の移植可能な医療機器。
  9. 前記移植可能な医療機器が血管ステントである請求項1又は4いずれかに記載の移植可能な医療機器。
  10. 前記コーティングがさらに再狭窄を阻害又は治療する量でゾタロリムスを含む請求項4記載のコーティングを含む血管ステント。
  11. 式2の生体適合性、生分解性ポリマーを含むコーティングを有する移植可能な医療機器。
    Figure 2009505726
    (式中、n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数であり、R1は水素又はC1-C10直鎖若しくは分岐アルキル又はC1-C10直鎖若しくは分岐アルケニル及びR2はオキソ、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、ビニル、ポリ(エチレングリコール)及びホスホリルコリンからなる群から選択される官能基である)
  12. R1がメチル基であり、X=2であり及びR2がヒドロキシル基である請求項11記載の移植可能な医療機器。
  13. 前記コーティングがさらに抗増殖性化合物、エストロゲン類、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、蛋白質チロシンキナーゼ抑制剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ハイポセマイシン、一酸化窒素、ビスホスホネート、上皮増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、アンチセンスヌクレオチド及び形質転換核酸からなる群から選択される生理活性物質を含む請求項11記載の移植可能な医療機器。
  14. 抗増殖性化合物が化学療法剤である請求項13記載の移植可能な医療機器。
  15. 前記化学療法剤がゾタロリムスである請求項14記載の移植可能な医療機器。
  16. 前記移植可能な医療機器が血管ステントである請求項11記載の移植可能な医療機器。
  17. さらに再狭窄を阻害又は治療する量でゾタロリムスを含む請求項11記載のコーティングを含む血管ステント。
  18. 式3の生分解性ポリマーを含む血管ステント。:
    Figure 2009505726
    (式中、n及びmは別々に1から100の整数である。)
  19. さらに生理活性を含む請求項18記載の血管ステント。
  20. 前記生理活性物質がゾタロリムスである請求項19記載の血管ステント。
  21. 式4の生分解性ポリマーを含む血管ステント。:
    Figure 2009505726
    (式中n及びmは別々に1から100の整数であり、Xは0から20の整数である。)
  22. さらに生理活性を含む請求項21記載の血管ステント。
  23. 前記生理活性物質がゾタロリムスである請求項22記載の血管ステント。
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