JP2000234016A - ポリマーの製造方法 - Google Patents

ポリマーの製造方法

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JP2000234016A
JP2000234016A JP35483899A JP35483899A JP2000234016A JP 2000234016 A JP2000234016 A JP 2000234016A JP 35483899 A JP35483899 A JP 35483899A JP 35483899 A JP35483899 A JP 35483899A JP 2000234016 A JP2000234016 A JP 2000234016A
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Yoshio Hata
善夫 畑
Yasutaka Igari
康孝 猪狩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】純度が高く、残存触媒が非常に少ないポリマー
を効率よく生産する生体内分解性ポリマーの製造方法。 【解決手段】カルボキシル基が保護されたヒドロキシモ
ノカルボン酸誘導体またはカルボキシル基が保護された
ヒドロキシジカルボン酸誘導体の存在下、環状エステル
化合物を重合反応に付し、得られるω端に保護されたカ
ルボキシル基を有するポリマーを脱保護反応に付すこと
を特徴とするω端に遊離のカルボキシル基を有する生体
内分解性ポリマーの製造方法の提供。 【効果】本発明の製造方法を用いることにより、目的の
生体内分解性ポリマーの分子量および遊離のカルボキシ
ル基量の調節を容易にし、純度が高く、残存触媒が非常
に少ないポリマーを効率よく生産することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な生体内分解
性ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】EP−A−0839525号公報には、
生理活性ペプチドまたはその塩と生体内分解性ポリマー
とからなる徐放性製剤およびその製造法が開示されてい
るが、該公報における生体内分解性ポリマーは公知の開
環重合法により製造された生体内分解性ポリマーを自体
公知の加水分解方法に付すことにより製造されている。
該開環重合法は乳酸の環状二量体を用い、加熱下、触媒
を添加して行う方法が、ジェイ・エイチ・アール・ウッ
ドランド(J.H.R.Woodland)他、ジャーナル・オブ・メ
ディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem)、16,897
(1973)に記載されており、またラクチドとグリコリド
等の環状ジエステル化合物からの触媒を用いて行う方法
が、Encyclopedic handbook of Biomaterials and Bioe
ngineeringPart A: Materials, Volume 2, Marcel Dekk
er, Inc. (1995)に記載されている。また、WO95/
03356号公報には、クエン酸トリベンジルとともに
ラクチドを重合させることによる一本のポリラクチドと
三本のデキストランがクエン酸を介して結合したブロッ
ク共重合体の製造方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の公知の開環重合
方法によって得られるポリマーは、得られるポリマーの
ω端に遊離のカルボキシル基を有しているとは限らず、
徐放性製剤への生理活性物質を高率に取込むことが困難
である。また、原料の仕込み段階において、目的の生体
内分解性ポリマーの分子量を調節することが困難であ
る。従って、徐放性製剤への生理活性物質を高率に取込
むことを可能にし、目的の生体内分解性ポリマーの分子
量の調節を容易にする生体内分解性ポリマーの製造方法
の確立が課題である。また、少なくとも約6ヶ月以上の
長期にわたって生理活性物質を放出する徐放性製剤に用
いられる生体内分解性ポリマーに適した製造方法の確立
も課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するために鋭意研究の結果、カルボキシル基
が保護されたヒドロキシモノカルボン酸誘導体またはカ
ルボキシル基が保護されたヒドロキシジカルボン酸誘導
体の存在下、環状エステル化合物を重合反応に付し、得
られるω端に保護されたカルボキシル基を有するポリマ
ーを脱保護反応に付すことを特徴とするω端に遊離のカ
ルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーの製造方法
を見出し、さらに研究を継続した結果、本発明を完成す
るに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)カルボキシル
基が保護されたヒドロキシモノカルボン酸誘導体または
カルボキシル基が保護されたヒドロキシジカルボン酸誘
導体の存在下、環状エステル化合物を重合反応に付し、
得られるω端に保護されたカルボキシル基を有するポリ
マーを脱保護反応に付すことを特徴とするω端に遊離の
カルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーの製造方
法、(2)カルボキシル基が保護されたヒドロキシモノ
カルボン酸誘導体が、カルボキシル基が保護されたグリ
コール酸、カルボキシル基が保護されたL−乳酸、カル
ボキシル基が保護されたD−乳酸またはカルボキシル基
が保護されたDL−乳酸である上記(1)記載の製造方
法、(3)カルボキシル基が保護されたヒドロキシモノ
カルボン酸の保護基がtert-ブチル基またはベンジル基
である上記(1)記載の製造方法、(4)カルボキシル
基が保護されたヒドロキシジカルボン酸誘導体がタルト
ロン酸ジベンジルまたは2-ヒドロキシエチルマロン酸ジ
tert-ブチルである上記(1)記載の製造方法、(5)
環状エステル化合物が環状モノエステル化合物または環
状ジエステル化合物である上記(1)記載の製造方法、
(6)脱保護反応が酸分解反応である上記(1)記載の
製造方法、(7)カルボキシル基が保護されたヒドロキ
シモノカルボン酸誘導体の存在下、環状エステル化合物
を重合反応に付し、得られるω端に保護されたカルボキ
シル基を有するポリマーを脱保護反応に付すことを特徴
とするω端に遊離のカルボキシル基を有する生体内分解
性ポリマーの製造方法、(8)脱保護反応の後、酸加水
分解反応に付すことを特徴とする上記(7)記載の製造
方法、(9)生体内分解性ポリマーが少なくとも約6ヶ
月以上にわたり生理活性物質を放出する徐放性製剤に用
いられる生体内分解性ポリマーである上記(1)または
上記(7)記載の製造方法、(10)上記(1)または
上記(7)記載の製造方法によって得られる生体内分解
性ポリマー、(11)上記(10)記載の生体内分解性
ポリマーを含有してなる徐放性製剤、(12)さらに生
理活性物質を含有してなる上記(11)記載の徐放性製
剤、および(13)生理活性物質がLH−RH誘導体ま
たはその塩である上記12記載の徐放性製剤などに関す
る。
【0006】本発明で用いられる生理活性物質は、薬理
学的に有用なものであれば特に限定を受けないが、非ペ
プチド化合物でもペプチド化合物でもよい。非ペプチド
化合物としては、アゴニスト、アンタゴニスト、酵素阻
害作用を有する化合物などがあげられる。また、ペプチ
ド化合物としては、例えば、生理活性ペプチドが好まし
く、分子量約300〜約40,000、好ましくは約4
00〜約30,000、さらに好ましくは約500〜約
25,000、より好ましくは約500〜20,000
の生理活性ペプチドなどが好適である。該生理活性ペプ
チドとしては、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン
(LH−RH)、インスリン、ソマトスタチン、成長ホ
ルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GH−RH)、プ
ロラクチン、エリスロポイエチン、副腎皮質ホルモン、
メラノサイト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモ
ン、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激
ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、カルシトニ
ン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コ
レシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトー
ゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケファリン、エ
ンドルフィン、キョウトルフィン、タフトシン、サイモ
ポイエチン、サイモシン、サイモチムリン、胸腺液性因
子、血中胸腺因子、腫瘍壊死因子、コロニー誘導因子、
モチリン、デイノルフィン、ボンベシン、ニューロテン
シン、セルレイン、ブラジキニン、心房性ナトリウム排
泄増加因子、神経成長因子、細胞増殖因子、神経栄養因
子、エンドセリン拮抗作用を有するペプチド類など、お
よびその誘導体、さらにはこれらのフラグメントまたは
フラグメントの誘導体などがあげられる。本発明で用い
られる生理活性ペプチドはそれ自身であっても、薬理学
的に許容される塩であってもよい。このような塩として
は、該生理活性ペプチドがアミノ基等の塩基性基を有す
る場合、無機酸(例、炭酸、重炭酸、塩酸、硫酸、硝
酸、ホウ酸等)、有機酸(例、コハク酸、酢酸、プロピ
オン酸、トリフルオロ酢酸等)などとの塩があげられ
る。生理活性ペプチドがカルボキシル基等の酸性基を有
する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のア
ルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土
類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有
機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)など
との塩があげられる。また、生理活性ペプチドは金属錯
体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していても
よい。上記した生理活性ペプチドの好ましい例として
は、LH−RH誘導体であって、前立腺癌、前立腺肥大
症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、乳癌等の性
ホルモン依存性の疾患および避妊に有効なLH−RH誘
導体またはその塩があげられる。
【0007】LH−RH誘導体またはその塩の具体例と
しては、例えば、トリートメントウイズ GnRH ア
ナログ:コントラバーシス アンド パースペクテイブ
(Treatment with GnRH analogs: Controversies and p
erspectives)〔パルテノン バブリッシング グルー
プ(株)(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1
996年〕、特表平3−503165号公報、特開平3−
101695号、同7−97334号および同8−25
9460号公報などに記載されているペプチド類があげ
られる。
【0008】LH−RH誘導体としては、LH−RHア
ゴニストまたはLH−RHアンタゴニストがあげられる
が、LH−RHアンタゴニストとしては、例えば、一般
式〔I〕 X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2 〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTy
r、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、
BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyF
ur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる
残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞ
れ示す〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩な
どが用いられる。
【0009】LH−RHアゴニストとしては、例えば、
一般式〔II〕 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z 〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalおよ
びDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5または
Gly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチ
ドまたはその塩などが用いられる。特に、YがDLeuで、
ZがNH-C2H5であるペプチド(即ち、5-oxo-Pro-His-Trp
-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチ
ド、特にその酢酸塩)が好適である。これらのペプチド
は、前記文献あるいは公報記載の方法あるいはこれに準
じる方法で製造することができる。
【0010】本明細書中で使用される略号の意味は次の
とおりである。 略号 名称 N(4H2-furoyl)Gly: N-テトラヒドロフロイルグリシン残基 NAc: N-アセチル基 D2Nal: D-3-(2-ナフチル)アラニン残基 D4ClPhe: D-3-(4-クロロ)フェニルアラニン残基 D3Pal: D-3-(3-ピリジル)アラニン残基 NMeTyr: N-メチルチロシン残基 Aph(Atz): N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニルアラニン 残基 NMeAph(Atz): N-メチル-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニ ルアラニン残基 DLys(Nic): D-(e-N-ニコチノイル)リシン残基 Dcit: D-シトルリン残基 DLys(AzaglyNic): D-(アザグリシルニコチノイル)リシン残基 DLys(AzaglyFur): D-(アザグリシルフラニル)リシン残基 DhArg(Et2): D-(N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基 DAph(Atz): D-N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)] フェニルア ラニン残基 DhCi: D-ホモシトルリン残基 Lys(Nisp): (e-N-イソプロピル)リシン残基 hArg(Et2): (N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基 DSer(tBu): D-O-(t-ブチル)セリン残基 DHis(ImBzl): Nt-ベンジルヒスチジン残基 その他のアミノ酸に関し、略号で表示する場合、IUPAC-
IUBコミッション・オブ・バイオケミカル・ノーメンク
レーチュアー(Commission on Biochemical Nomenclatur
e) (ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミス
トリー(EuropeanJournal of Biochemistry)第138巻、9
〜37頁(1984年))による略号または該当分野におけ
る慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関して
光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体
を示すものとする。
【0011】本発明の徐放性製剤は、生理活性物質以外
に、例えば分散剤(Tween80、HCO−60など
の界面活性剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン
酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどの多糖類;
硫酸プロタミン;ポリエチレングリコール400な
ど)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラ
ベンなど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マン
ニトール、ソルビトール、ブドウ糖など)、油脂類(例
えば、ゴマ油、コーン油など)、リン脂質(例えば、レ
シチンなど)、賦形剤(例えば、乳糖、コーンスター
チ、マンニトール、セルロースなど)、結合剤(例え
ば、ショ糖、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、デキストリンなど)、崩壊剤
(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウムな
ど)、薬物保持剤(例えば、ゼラチン、ヒドロキシナフ
トエ酸、サリチル酸など)などを含んでいてもよい。
【0012】本発明に用いられる生体内分解性ポリマー
としては、例えば、ヒドロキシモノカルボン酸(例、グ
リコール酸、乳酸など)のカルボキシル基が保護された
誘導体(カルボキシル基が保護されたグリコール酸、カ
ルボキシル基が保護されたL−乳酸、カルボキシル基が
保護されたD−乳酸、カルボキシル基が保護されたDL
−乳酸など(保護基の例、tert-ブチル基、ベンジル基
など)、より具体的にはD−乳酸tert-ブチル、L−乳
酸ベンジルなど)、ヒドロキシジカルボン酸(例、タル
トロン酸、2−ヒドロキシエチルマロン酸など)のカル
ボキシル基が保護された誘導体(例、タルトロン酸ジベ
ンジル、2−ヒドロキシエチルマロン酸ジtert-ブチル
など)などの1種以上と、環状エステル化合物(例、環
状ジエステル化合物(ラクチド類)、環状モノエステル
化合物(ラクトン類)など)の1種以上とから合成さ
れ、ω端に遊離のカルボキシル基を有する重合体、共重
合体、またはこれらの混合物(例、ω残基がグリコール
酸であるポリヒドロキシカルボン酸、ω残基がDL−乳
酸であるポリヒドロキシカルボン酸、ω残基がD−乳酸
であるポリヒドロキシカルボン酸、ω残基がL−乳酸で
あるポリヒドロキシカルボン酸、ω残基がタルトロン酸
であるポリヒドロキシカルボン酸、ω残基が2−ヒドロ
キシエチルマロン酸であるポリヒドロキシカルボン酸な
ど)などが用いられる。該「ポリヒドロキシカルボン
酸」のω残基以外の部分は、ポリα−ヒドロキシカルボ
ン酸が好ましい。
【0013】該「ポリα−ヒドロキシカルボン酸」の最
小繰り返し単位になるα−ヒドロキシカルボン酸として
は、乳酸、グリコール酸などが好ましく、それらのコポ
リマー(以下、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、
ポリ(乳酸−co−グリコール酸)あるいは乳酸−グリ
コール酸重合体と称することもあり、特に明示しない限
り、乳酸、グリコール酸のホモポリマー(重合体、ポリ
ラクチドまたはポリグリコリドとも称する)及びコポリ
マー(共重合体)を総称する)が汎用される。該「乳酸
−グリコール酸重合体」の組成比(乳酸/グリコール
酸)(モル/モル%)は本発明の目的が達成される限り
特に限定されないが、約100/0〜約30/70のも
のが用いられる。該組成比の好ましい例としては、約1
00/0〜約40/60であり、特に約100/0〜約
45/55のものが汎用される。該「ポリα−ヒドロキ
シカルボン酸」の最小繰り返し単位になるα−ヒドロキ
シカルボン酸が分子内に光学活性中心を有する場合は、
D−体、L−体およびD,L−体の何れでもよいが、D
−体/L−体(モル/モル%)が約75/25〜約25
/75の範囲のものが好ましい。このD−体/L−体
(モル/モル%)は、特に約60/40〜約30/70
の範囲のものが汎用される。
【0014】上記の生体内分解性ポリマーの重量平均分
子量は、通常、約3,000〜約500,000、好ま
しくは約3,000〜約200,000、さらに好まし
くは約3,000〜約100,000が特に好ましい。
また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、通
常約1.2〜約4.0が好ましく、さらには約1.5〜
3.5が特に好ましい。上記の生体内分解性ポリマーの
ω残基がモノカルボキシル基である場合は、ポリマーの
単位質量あたりの末端カルボキシル基量は、通常約40
〜約90μmol/gが好ましく、さらには約50〜約90
μmol/gが特に好ましい。上記の生体内分解性ポリマー
のω残基がジカルボキシル基である場合は、ポリマーの
単位質量あたりの末端カルボキシル基量は、通常約30
〜約800μmol/gが好ましく、さらには約60〜約4
00μmol/gが特に好ましい。上記の重量平均分子量、
数平均分子量および分散度とは、重量平均分子量が45
5645、354000、98900、66437、3
7200、17100、9830、5870、250
0、1303、および504の11種の単分散ポリスチ
レンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子
量および算出した分散度をいう。測定は、高速GPC装
置(東ソー製、HLC−8120GPC)、GPCカラ
ムKF804L×2(昭和電工製)を使用し、移動相と
してクロロホルムを用いる。
【0015】上記の末端カルボキシル基量とはラベル化
法による末端基定量方法により求めたものをいう。具体
的には、ω残基が乳酸であるポリマーである場合には、
生体内分解性ポリマーWmgを5N HCl/アセトニトリ
ル(v/v=4/96)混液2mlに溶解し、0.01Mのo-ニトロ
フェニルヒドラジン(ONPH)溶液(5N HCl/アセ
トニトリル/エタノール=1.02/35/15)2mlと0.15M
のEDC溶液(ピリジン/エタノール=4v/96v)2ml
を加えて40℃で30分反応させた後溶媒を留去する。残渣
を水洗(4回)した後、アセトニトリル2mlで溶解
し、0.5mol/lのエタノール性水酸化カリウム溶液1ml
を加えて60℃で30分反応させる。反応液を1.5NのN
aOHで希釈してYmlとし、1.5NのNaOHを対
象として544nm吸光度A(/cm)を測定する。一方、
DL−乳酸水溶液を基準物質として、その遊離カルボキ
シル基量 C mol/LをNaOH滴定で求め、またONP
Hラベル化法でDL−乳酸ヒドラジドとしたときの54
4nm吸光度を B(/cm)とするとき、ω残基が乳酸で
あるポリマーの遊離カルボキシル基量[COOH]は以
下の数式で求められる。 [COOH](mol/g)=(AYC)/(WB) また、生体内分解性ポリマーをトルエン−アセトン−メ
タノール混合溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指
示薬としてこの溶液をアルコール性水酸化カリウム溶液
で滴定して末端カルボキシル基量を算出することができ
る。
【0016】生体内分解性ポリマーの分解・消失速度は
共重合組成、分子量あるいは遊離カルボキシル基量によ
って大きく変化するが、一般的には分子量を大きくし、
かつ遊離カルボキシル基量を少なくすることによって放
出期間を長くすることができる。しかし、遊離カルボキ
シル基量は生理活性物質の製剤への取り込み率に影響す
るので一定値以上必要である。この故に、長期間(例え
ば、少なくとも約6ヶ月以上、好ましくは約6ヶ月(26
週)〜約8ヶ月(35週)、より好ましくは約6ヶ月(26
週)〜約7ヶ月(30週)、より好ましくは約6ヶ月(26
週)〜約6ヶ月半(28週))型徐放性製剤用の生体内分
解性ポリマーとするには、ω端がモノカルボキシル基で
あるポリDL−乳酸で、上記の重量平均分子量が約2
0,000〜約50,000で、かつ遊離カルボキシル
基量が約50〜約90μmol/gが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の生体内分解性ポリ
マーの製造方法を詳述する。 (1)まず、上記のカルボキシル基が保護されたヒドロ
キシモノカルボン酸誘導体(例、D−乳酸tert-ブチ
ル、L−乳酸ベンジルなど)またはカルボキシル基が保
護されたヒドロキシジカルボン酸誘導体(例、タルトロ
ン酸ジベンジル、2−ヒドロキシエチルマロン酸ジtert
-ブチルなど)の存在下、重合触媒を用いて環状エステ
ル化合物を重合反応に付す。上記の「カルボキシル基が
保護されたヒドロキシモノカルボン酸誘導体」または
「カルボキシル基が保護されたヒドロキシジカルボン酸
誘導体」とは、例えば、カルボキシル基(−COOH)
がアミド(−CONH2)化またはエステル(−COO
R)化されているヒドロキシカルボン酸誘導体などがあ
げられるが、なかでも、カルボキシル基(−COOH)
がエステル(−COOR)化されているヒドロキシカル
ボン酸誘導体などが好ましい。ここでエステルにおける
Rとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチルなどのC1-6
アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル
などのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α
−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジ
ル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もし
くはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2
ルキル基などのC7-14アラルキル基などがあげられる。
なかでも、tert−ブチル基、ベンジル基などが好まし
い。該「環状エステル化合物」とは、例えば環内に少な
くとも1つのエステル結合を有する環状化合物をいう。
具体的には、環状モノエステル化合物(ラクトン類)ま
たは環状ジエステル化合物(ラクチド類)などがあげら
れる。
【0018】該「環状モノエステル化合物」としては、
例えば、4員環ラクトン(β−プロピオラクトン、β−
ブチロラクトン、β−イソバレロラクトン、β−カプロ
ラクトン、β−イソカプロラクトン、β−メチル−β−
バレロラクトンなど)、5員環ラクトン(γ−ブチロラ
クトン、γ−バレロラクトンなど)、6員環ラクトン
(δ−バレロラクトンなど)、7員環ラクトン(ε−カ
プロラクトンなど)、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパ
ン−2−オンなどがあげられる。該「環状ジエステル化
合物」としては、例えば、式
【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって、
水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、t−ブチルなどのC1-6アルキル
基を示す)で表される化合物などがあげられ、なかで
も、R1が水素原子でR2がメチル基またはR1およびR2
が水素原子であるラクチドなどが好ましい。具体的に
は、たとえばグリコリド、L-ラクチド、D-ラクチド、DL
-ラクチド、meso-ラクチド、3-メチル-1,4-ジオキサン-
2,5-ジオン(光学活性体も含む)などがあげられる。該
「重合触媒」としては、例えば有機スズ系触媒(例、オ
クチル酸スズ、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、テト
ラフェニルスズなど)、アルミ系触媒(例、トリエチル
アルミニウムなど)、亜鉛系触媒(例、ジエチル亜鉛な
ど)などがあげられる。反応後の除去の容易さの観点か
らは、アルミ系触媒、亜鉛系触媒が好ましく、さらに
は、残存した場合の安全性の観点からは亜鉛系触媒が好
ましい。重合触媒の溶媒としては、ベンゼン、ヘキサ
ン、トルエンなどが用いられ、中でもヘキサン、トルエ
ンなどが好ましい。
【0019】「重合方法」は、反応物を融解状態にして
行う塊状重合法または反応物を適当な溶媒(例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ジメチルホル
ムアミドなど)に溶解して行う溶液重合法を用いればよ
い。溶媒としては、トルエン、キシレンなどが好まし
い。重合温度は特に限定されるものではないが、塊状重
合の場合、反応開始時に反応物を融解状態に至らしめる
温度以上、通常100〜300℃であり、溶液重合の場
合、通常室温〜150℃であり、反応温度が反応溶液の
沸点を越えるときは、凝縮器を付けて還流するか、また
は耐圧容器内で反応させればよい。重合時間は重合温
度、そのほかの反応条件や目的とする重合体の物性など
を考慮して適宜定められるが、例えば10分〜72時間
である。反応後は、必要であれば反応混合物を適当な溶
媒(例えば、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム
など)に溶解し、酸(例えば、塩酸、無水酢酸、トリフ
ルオロ酢酸など)で重合を停止させた後、常法によりこ
れを目的物を溶解しない溶媒(例えば、アルコール、
水、エーテル、イソプロピルエーテルなど)中に混合す
るなどして析出させ、ω端に保護されたカルボキシル基
を有するポリマーを単離すればよい。本願の重合方法
は、従来のメタノールなどのいわゆるプロトン性連鎖移
動剤の代わりにカルボキシル基が保護されたヒドロキシ
カルボン酸誘導体(例、D−乳酸tert-ブチル、L−乳
酸ベンジルなど)またはカルボキシル基が保護されたヒ
ドロキシジカルボン酸誘導体(例、タルトロン酸ジベン
ジル、2−ヒドロキシエチルマロン酸ジtert-ブチルな
ど)などが用いられる。このようにカルボキシル基が保
護されたヒドロキシカルボン酸誘導体(例、D−乳酸te
rt-ブチル、L−乳酸ベンジルなど)またはカルボキシ
ル基が保護されたヒドロキシジカルボン酸誘導体(例、
タルトロン酸ジベンジル、2−ヒドロキシエチルマロン
酸ジtert-ブチルなど)などをプロトン性連鎖移動剤に
用いることによって、分子量を仕込み組成によって制
御でき、重合後に脱保護反応に付すことによって、得
られる生体内分解性ポリマーのω端にカルボキシル基を
遊離させることができる。
【0020】(2)次に、上記(1)の重合反応によっ
て得られたω端に保護されたカルボキシル基を有するポ
リマーを脱保護反応に付すことにより目的とするω端に
遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーを
得ることができる。該保護基は自体公知の方法により脱
離できる。このような方法としては、ポリ(ヒドロキシ
カルボン酸)のエステル結合に影響を与えずに保護基を
除去することが可能な方法であればいずれを用いてもよ
いが、具体的には、例えば還元、酸分解(反応)などの
方法があげられる。該還元方法としては、例えば触媒
(例、パラジウム炭素、パラジウム黒、酸化白金など)
を用いる接触還元、液体アンモニウム中でのナトリウム
による還元、ジチオスレイトールによる還元などがあげ
られる。例えば、ω端にベンジル基で保護されたカルボ
キシル基を有するポリマーを接触還元する場合、具体的
にはポリマーを酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホ
ルムなどに溶解したものにパラジウム炭素を添加し、激
しく攪拌しながら室温で水素を約20分〜約4時間通気
することで脱保護できる。酸分解方法としては、例えば
無機酸(例、フッ化水素、臭化水素、塩化水素など)あ
るいは有機酸(例、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン
酸、トリフルオロメタンスルホン酸など)またはこれら
の混合物などによる酸分解などがあげられる。また、必
要に応じて、酸分解の際、カチオン・スカベンジャー
(例、アニソール、フェノール、チオアニソールなど)
を適宜添加してもよい。例えば、ω端にtert-ブチル基
で保護されたカルボキシル基を有するポリマーを酸分解
する場合、具体的にはポリマーをジクロロメタン、キシ
レン、トルエンなどに溶解したものにトリフルオロ酢酸
を適当量加えて、あるいはポリマーをトリフルオロ酢酸
で溶解して室温で約1時間攪拌することで脱保護でき
る。好ましくは、該酸分解法は重合反応直後に行っても
よく、その場合は重合停止反応を兼ねることができる。
さらに必要に応じて、上記の脱保護反応によって得られ
たポリマーを酸加水分解反応に付すことにより、該ポリ
マーの重量平均分子量、数平均分子量あるいは末端カル
ボキシル基量を目的に応じて調節することができる。具
体的には、例えば、EP−A−0839525号に記載
の方法またはそれに準じた方法によって行うことができ
る。前記のようにして得られた生体内分解性ポリマー
は、徐放性製剤を製造するための基剤として用いること
ができる。本発明の基剤に対する生理活性物質の重量比
は、例えばペプチドの場合、約0.001〜約50%
(w/w)、好ましくは約0.02〜約40%(w/
w)、より好ましくは約0.1〜30%(w/w)であ
り、非ペプチドの場合、約0.01〜80%(w/
w)、好ましくは約0.1〜50%(w/w)である。
【0021】(3)本発明の製造法で得られる生分解性
ポリマーを含む徐放性製剤は、例えば水中乾燥法、相分
離法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方法などによ
って製造される。以下に、徐放性製剤として、例えばマ
イクロカプセル(マイクロスフェアと称する場合があ
る)を製造する場合の製造方法について記述する。以下
の製造工程中、必要に応じて、薬物保持剤(例えば、ゼ
ラチン、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸など)を自
体公知の方法により添加してもよい。
【0022】(I)水中乾燥法 (i)O/W法 本方法においては、まず生体内分解性ポリマーの有機溶
媒溶液を作製する。本発明の徐放性製剤の製造の際に使
用する有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好
ましい。該有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化
水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエ
タン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、エーテル類
(例、エチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、脂
肪酸エステル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香
族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、
アルコール類(例えば、エタノール、メタノール等)、
アセトニトリルなどが用いられる。なかでもハロゲン化
炭化水素が好ましく、特にジクロロメタンが好適であ
る。また、これらは適宜の割合で混合して用いてもよ
い。その場合は、ハロゲン化炭化水素とアルコール類と
の混液が好ましく、特にジクロロメタンとエタノールと
の混液が好適である。生体内分解性ポリマーの有機溶媒
溶液中の濃度は、生体内分解性ポリマーの分子量、有機
溶媒の種類によって異なるが、例えば、ジクロロメタン
を有機溶媒として用いた場合、一般的には約0.5〜約
70重量%、より好ましくは約1〜約60重量%、特に
好ましくは約2〜約50重量%から選ばれる。また、ジ
クロロメタンとの混有機溶媒としてエタノールを用いた
場合の両者の比率は,一般的には約0.01〜約50%
(v/v)、より好ましくは約0.05〜約40%(v/v)、特
に好ましくは約0.1〜約30%(v/v)から選ばれる。こ
のようにして得られた生体内分解性ポリマーの有機溶媒
溶液中に、生理活性物質を添加し、溶解あるいは分散さ
せる。この際、生理活性物質の添加量は、生理活性物
質:生体内分解性ポリマーの重量比の上限が約1:1ま
で、好ましくは約1:2までとなるようにする。次い
で,得られた生理活性物質またはその塩および生体内分
解性ポリマーから成る組成物を含む有機溶媒溶液を水相
中に加え、O(油相)/W(水相)エマルションを形成
させた後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロカプセル
を調製する。この際の水相体積は、一般的には油相体積
の約1倍〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜
約50,000倍、特に好ましくは約10倍〜約2,0
00倍から選ばれる。上記の外水相中には乳化剤を加え
てもよい。該乳化剤は、一般に安定なO/Wエマルショ
ンを形成できるものであればいずれでもよい。具体的に
は、例えば、アニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、ツイ
ーン(Tween)60、アトラスパウダー社〕、ポリオキシエ
チレンヒマシ油誘導体〔HCO-60、HCO-50、日光ケミカル
ズ〕など)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ
ール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチ
ン、ヒアルロン酸などが用いられる。これらの中の1種
類か、いくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の
際の濃度は、好ましくは約0.01〜10重量%の範囲
で、さらに好ましくは約0.05〜約5重量%の範囲で
用いられる。
【0023】上記の外水相中には浸透圧調節剤を加えて
もよい。該浸透圧調節剤としては、水溶液とした場合に
浸透圧を示すものであればよい。該浸透圧調節剤として
は、例えば、多価アルコール類、一価アルコール類、単
糖類、二糖類、オリゴ糖およびアミノ酸類またはそれら
の誘導体などがあげられる。上記の多価アルコール類と
しては、例えば、グリセリン等の三価アルコール類、ア
ラビトール,キシリトール,アドニトール等の五価アル
コール類、マンニトール,ソルビトール,ズルシトール
等の六価アルコール類などが用いられる。なかでも、六
価アルコール類が好ましく、特にマンニトールが好適で
ある。上記の一価アルコール類としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどがあ
げられ、このうちエタノールが好ましい。上記の単糖類
としては、例えば、アラビノース,キシロース,リボー
ス,2ーデオキシリボース等の五炭糖類、ブドウ糖,果
糖,ガラクトース,マンノース,ソルボース,ラムノー
ス,フコース等の六炭糖類が用いられ、このうち六炭糖
類が好ましい。上記のオリゴ糖としては、例えば、マル
トトリオース,ラフィノース糖等の三糖類、スタキオー
ス等の四糖類などが用いられ、このうち三糖類が好まし
い。上記の単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体とし
ては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、グルク
ロン酸、ガラクツロン酸などが用いられる。上記のアミ
ノ酸類としては、L−体のものであればいずれも用いる
ことができ、例えば、グリシン、ロイシン、アルギニン
などがあげられる。このうちL−アルギニンが好まし
い。これらの浸透圧調節剤は単独で使用しても、混合し
て使用してもよい。これらの浸透圧調節剤は、外水相の
浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍、好
ましくは約1/25〜約3倍となる濃度で用いられる。
有機溶媒を除去する方法としては、自体公知の方法ある
いはそれに準じる方法が用いられる。例えば、プロペラ
型撹拌機またはマグネチックスターラーなどで撹拌しな
がら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させ
る方法、ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空
度を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などがあげ
られる。このようにして得られたマイクロカプセルは遠
心分離または濾過して分取した後、マイクロカプセルの
表面に付着している遊離の生理活性物質、乳化剤などを
蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水などに分散し
て凍結乾燥する。
【0024】製造工程中、粒子同士の凝集を防ぐために
凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止剤としては、例
えば、マンニトール,ラクトース,ブドウ糖,デンプン
類(例、コーンスターチ等)などの水溶性多糖、グリシ
ンなどのアミノ酸、フィブリン,コラーゲンなどのタン
パク質などが用いられる。なかでも、マンニトールが好
適である。また、凍結乾燥後、必要であれば、減圧下マ
イクロカプセルが同士が融着しない条件内で加温してマ
イクロカプセル中の水分および有機溶媒の除去を行って
もよい。好ましくは、毎分10〜20℃の昇温速度の条
件下で示差走査熱量計で求めた生体内分解性ポリマーの
中間点ガラス転移温度よりも若干高い温度で加温する。
より好ましくは生体内分解性ポリマーの中間点ガラス転
移温度からこれより約30℃高い温度範囲内で加温す
る。とりわけ,生体内分解性ポリマーとして乳酸-グリ
コール酸重合体を用いる場合には好ましくはその中間点
ガラス転移温度以上中間点ガラス転移温度より10℃高
い温度範囲,さらに好ましくは、中間点ガラス転移温度
以上中間点ガラス転移温度より5℃高い温度範囲で加温
する。
【0025】加温時間はマイクロカプセルの量などによ
って異なるものの、一般的にはマイクロカプセル自体が
所定の温度に達した後、約12時間〜約168時間、好
ましくは約24時間〜約120時間、特に好ましくは約
48時間〜約96時間である。加温方法は、マイクロカ
プセルの集合が均一に加温できる方法であれば特に限定
されない。該加温乾燥方法としては、例えば、恒温槽、
流動槽、移動槽またはキルン中で加温乾燥する方法、マ
イクロ波で加温乾燥する方法などが用いられる。このな
かで恒温槽中で加温乾燥する方法が好ましい。
【0026】(ii)W/O/W法 まず、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液を作る。該
有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例、
ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリ
クロロエタン、四塩化炭素等)、エーテル類(例、エチ
ルエーテル、イソプロピルエーテル等)、脂肪酸エステ
ル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素
(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アルコール
類(例えば、エタノール、メタノール等)、アセトニト
リルなどが用いられる。なかでも、ハロゲン化炭化水素
が好ましく、特にジクロロメタンが好適である。これら
は適宜の割合で混合して用いてもよい。その場合は、ハ
ロゲン化炭化水素とアルコール類の混液が好ましく、特
にジクロロメタンとエタノールとの混液が好適である。
生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液中の濃度は生体内
分解性ポリマーの分子量、有機溶媒の種類によって異な
るが、例えば、ジクロロメタンを有機溶媒として用いた
場合、一般的には約0.5〜約70重量%、より好まし
くは約1〜約60重量%、特に好ましくは約2〜約50
重量%から選ばれる。次いで、生体内分解性ポリマーの
有機溶媒溶液(油相)に生理活性物質またはその塩の溶
液〔該溶媒としては、水、水とアルコール類(例、メタ
ノール、エタノール等)の混液〕を添加する。この混合
物をホモジナイザーまたは超音波等の公知の方法で乳化
し、W/Oエマルションを形成させる。次いで,得られ
た生理活性物質および生体内分解性ポリマーから成るW
/Oエマルションを水相中に加え、W(内水相)/O
(油相)/ W(外水相)エマルションを形成させた後、
油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロカプセルを調製す
る。この際の外水相体積は一般的には油相体積の約1倍
〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜約50,
000倍、特に好ましくは約10倍〜約2,000倍か
ら選ばれる。上記の外水相中に加えてもよい乳化剤や浸
透圧調節剤、およびその後の調製法は前記(I)(i)
項に記載と同様である。
【0027】(II)相分離法 本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前
記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質および生
体内分解性ポリマーから成る組成物を含む有機溶媒溶液
にコアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えてマイクロ
カプセルを析出,固化させる。該コアセルベーション剤
は油相体積の約0.01〜1,000倍、好ましくは約
0.05〜500倍、特に好ましくは約0.1〜200
倍から選ばれる。コアセルベーション剤としては、有機
溶媒と混和する高分子系,鉱物油系または植物油系の化
合物等で生体内分解性ポリマーを溶解しないものであれ
ば特に限定はされない。具体的には、例えば、シリコン
油,ゴマ油,大豆油,コーン油,綿実油,ココナッツ
油,アマニ油,鉱物油,n-ヘキサン,n-ヘプタンなどが
用いられる。これらは2種類以上混合して使用してもよ
い。このようにして得られたマイクロカプセルを分取し
た後、ヘプタン等で繰り返し洗浄して生理活性物質およ
び生体内分解性ポリマーからなる組成物以外のコアセル
ベーション剤等を除去し、減圧乾燥する。もしくは、前
記(I)(i)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄
を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥する。
【0028】(III)噴霧乾燥法 本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前
記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質および生
体内分解性ポリマーの2者から成る組成物を含有する有
機溶媒溶液または分散液をノズルを用いてスプレードラ
イヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室内に噴霧し、極めて短時
間内に微粒化液滴内の有機溶媒を揮発させ、マイクロカ
プセルを調製する。該ノズルとしては、例えば、二流体
ノズル型,圧力ノズル型,回転ディスク型等がある。こ
の後、必要であれば、前記(I)の水中乾燥法で記載と
同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温
乾燥してもよい。上述のマイクロカプセル以外の剤形と
してマイクロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法に記
載した生理活性物質および生体内分解性ポリマーから成
る組成物を含む有機溶媒溶液または分散液を、例えば、
ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節
しながら有機溶媒および水を蒸発させて乾固した後、ジ
ェットミルなどで粉砕して微粒子(マイクロパーティク
ル)としてもよい。さらには、粉砕した微粒子をマイク
ロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法で記載と同様の
方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥し
てもよい。ここで得られるマイクロカプセルまたは微粒
子は、使用する生体内分解性ポリマーまたは乳酸-グリ
コール酸重合体の分解速度に対応した薬物放出が達成で
きる。本発明の製造法によって得られる徐放性組成物
は、そのまままたはこれらを原料物質として種々の剤形
に製剤化し、筋肉内、皮下、臓器などへの注射剤または
埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮などへの経粘膜剤、経口
剤(例、カプセル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤
等)、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、
懸濁剤等の液剤等)などとして投与することができる。
【0029】例えば、本発明の製造法によって得られる
徐放性組成物を注射剤とするには、これらを分散剤
(例、ツイーン(Tween)80,HCO-60等の界面活性剤、
ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロー
ス,アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張
化剤(例、塩化ナトリウム,マンニトール,ソルビトー
ル,ブドウ糖,プロリンなど)等と共に水性懸濁剤とす
るか、ゴマ油、コーン油などの植物油と共に分散して油
性懸濁剤として実際に使用できる徐放性注射剤とするこ
とができる。本発明の製造法によって得られる徐放性組
成物の粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には、
その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例え
ば、平均粒子径として約0.1〜300μm、好ましく
は約0.5〜150μmの範囲、さらに好ましくは約1
から100μmの範囲である。該平均粒子径は、例えば
レーザー解析式粒度分布測定装置(SALD2000A:島津)
などを用いて、自体公知の方法により測定することが可
能である。本発明の製造法によって得られる徐放性組成
物を無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方
法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等
があげられるが、特に限定されない。
【0030】本発明の徐放性組成物は、低毒性であるの
で、哺乳動物(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、
ラット、ウサギ等)に対して安全な医薬などとして用い
ることができる。本発明の製造法によって得られる徐放
性組成物は、含有する生理活性物質の種類に応じて、種
々の疾患などの予防・治療剤として用いることができる
が、例えば、生理活性物質が、LH−RH誘導体である
場合には、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性
癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、
前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、
月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候
群等の性ホルモン依存性の疾患の予防・治療剤、および
避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用し
た場合には、不妊症の予防・治療)剤などとして用いる
ことができる。さらに、性ホルモン非依存性であるがL
H−RH感受性である良性または悪性腫瘍などの予防・
治療剤としても用いることができる。
【0031】本発明の製造法によって得られる徐放性組
成物の投与量は、主薬である生理活性物質の種類と含
量、剤形、生理活性物質放出の持続時間、対象疾病、対
象動物などによって種々異なるが、生理活性物質の有効
量であればよい。主薬である生理活性物質の1回当たり
の投与量としては、例えば、徐放性製剤が6カ月製剤で
ある場合、好ましくは、成人1人当たり約0.01mg
〜10mg/kg体重の範囲,さらに好ましくは約0.
05mg〜5mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことが
できる。1回当たりの徐放性組成物の投与量は、成人1
人当たり好ましくは、約0.05mg〜50mg/kg
体重の範囲、さらに好ましくは約0.1mg〜30mg
/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。投与回数
は、数週間に1回、1ヶ月に1回、または数か月(例、
3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月など)に1回等、主薬である生
理活性物質の種類と含量、剤形、生理活性物質放出の持
続時間、対象疾病、対象動物などによって適宜選ぶこと
ができる。
【0032】
【実施例】以下に実施例、比較例および実験例をあげて
本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を
限定するものではない。
【0033】実施例1 [D-乳酸tert-ブチル/ジエチル
亜鉛/DL-ラクチド]によるPLAの合成。 −78℃に冷却したD-乳酸tert-ブチル 40.6mg
に、窒素雰囲気下でジエチル亜鉛(1/2モル当量)のトル
エン溶液を加え、その後室温で30分反応させた。これ
を、DL-ラクチド 4.14gを溶融したものに窒素雰
囲気下で添加混合して130℃で2時間重合させた。重合反
応の停止のため、反応物をジクロロメタンに溶解し、
0.1N HCl水溶液と混合して20分攪拌した後、
中性になるまで水洗を繰り返した。次いで、ジクロロメ
タン溶液を濃縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基がD-
乳酸tert-ブチルであるポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分
析の結果、乳酸残基のメチン水素(5.1-5.3ppm)、メチル
基水素(1.5-1.6ppm)およびtert-ブチル基水素(1.46pp
m)を確認した。また、このポリマーに末端基ラベル化定
量法を適用したところ、ほとんど呈色しなかった。これ
らの事実から、ポリマーのω残基は、カルボキシル基が
tert-ブチル基で保護された乳酸であることを示してい
る。次いで脱保護のために、このポリマーをトリフルオ
ロ酢酸に溶解し、室温で一夜攪拌した。その後、冷イソ
プロピルエーテルに混合してポリマーを析出回収、次い
でジクロロメタン/冷イソプロピルエーテルで再沈殿精
製を2回行った。精製した沈殿をジクロロメタンで溶解
し、中性になるまで水洗を繰り返した。次いで、ジクロ
ロメタン溶液を濃縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基
がD-乳酸であるポリ(DL-乳酸) 3.84gを得た。1H-
NMR分析の結果、tert-ブチル基のシグナルは完全に消失
しており、このことから脱保護を確認した。また原子吸
光測定の結果、亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下で
あり、この方法で重合触媒が効果的に除去出来ているこ
とがわかった。さらに、このポリマーに末端基ラベル化
定量法を適用したところ紫色の強い呈色を示し、脱保護
によるカルボキシル基の再生を確認した。GPCの結果、
重量平均分子量は43.0kDa、数平均分子量は1
5.9kDaであった。
【0034】実施例2 [D-乳酸tert-ブチル/ジエチル
亜鉛/DL-ラクチド]によるPLAの合成。 −78℃に冷却したD-乳酸tert-ブチルに、窒素雰囲気
下でジエチル亜鉛(1/2モル当量)のトルエン溶液を加
え、その後室温で10〜30分反応させた。これを、溶融し
たDL-ラクチドに窒素雰囲気下で添加混合して130℃で1
〜5時間重合させた。重合反応の停止および脱保護のた
め、反応物をトリフルオロ酢酸に溶解し、室温で1時間
攪拌した。その後、冷イソプロピルエーテルに混合して
ポリマーを析出回収、次いでジクロロメタン/冷イソプ
ロピルエーテルで再沈殿精製を2回行った。精製した沈
殿をジクロロメタンで溶解し、中性になるまで水洗を繰
り返した。次いで、ジクロロメタン溶液を濃縮、真空乾
燥(40℃、2日)してω残基がD-乳酸であるポリ(DL-乳
酸)を得た。1H-NMR分析の結果、tert-ブチル基のシグナ
ルは完全に消失しており、このことから脱保護を確認し
た。また原子吸光測定の結果、亜鉛の残存は検出限界
(10ppm)以下であり、この方法で重合触媒が効果的に
除去出来ていることがわかった。さらに、このポリマー
に末端基ラベル化定量法を適用したところ紫色の強い呈
色を示し、脱保護によるカルボキシル基の再生を確認し
た。表1にDL-ラクチドとD-乳酸tert-ブチルの仕込み組
成、モル比および脱保護後のポリマーの重量平均分子量
とカルボキシル基量をしめす。表から明らかなように、
DL-ラクチドとD-乳酸tert-ブチルの仕込みモル比によっ
てポリマーの分子量を制御することが出来る。
【0035】
【表1】
【0036】実施例3 [L-乳酸ベンジル/ジエチル亜
鉛/DL-ラクチド]によるPLAの合成。 −78℃に冷却したL-乳酸ベンジル 181.7mgに
窒素雰囲気下でジエチル亜鉛(1/2モル当量)トルエン溶
液を加え、その後室温で20分反応させた。これに、蒸留
トルエン1mlを加えて希釈した後、DL-ラクチド 1
5.03gを窒素雰囲気下で加えて130℃、1.5時間重合
させた。重合反応の停止のため、反応物をジクロロメタ
ンに溶解し、0.1N HCl水溶液と混合して20分攪
拌した後、中性になるまで水洗を繰り返した。次いで、
ジクロロメタン溶液を濃縮、真空乾燥(40℃、2日)して
ω残基がL-乳酸ベンジルであるポリ(DL-乳酸)を得た。1
H-NMR分析の結果、乳酸残基のメチン水素(5.1-5.3pp
m)、メチル基水素(1.5-1.6ppm)およびベンジル基のフ
ェニル水素(7.35ppm)を確認した。また、このポリマー
に末端基ラベル化定量法を適用したところ、ほとんど呈
色しなかった。これらの事実から、ポリマーのω残基
は、カルボキシル基がベンジル基で保護された乳酸であ
ることを示している。次いで脱保護のため、このポリマ
ーの約半量をトリフルオロ酢酸30mlで溶解し、チオアニ
ソール(L-乳酸ベンジルの3倍当量)を添加、1時間氷
冷攪拌した。メタンスルホン酸を加えさらに2時間氷冷
攪拌した。そして反応液を冷イソプロピルエーテルに混
合してポリマーを析出回収、次いでジクロロメタン/冷
イソプロピルエーテルで再沈殿精製を2回行った。精製
した沈殿をジクロロメタンで溶解し、中性になるまで水
洗を繰り返した。次いで、ジクロロメタン溶液を濃縮、
真空乾燥(40℃、2日)してω残基がL-乳酸であるポリ(D
L-乳酸) 7.54gを得た。1H-NMR分析の結果、ベン
ジル基のフェニル水素のシグナルは完全に消失してお
り、このことから脱保護を確認した。また原子吸光測定
の結果、亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下であり、
この方法で重合触媒が効果的に除去出来ていることがわ
かった。さらに、このポリマーに末端基ラベル化定量法
を適用したところ紫色の強い呈色を示し、脱保護による
カルボキシル基の再生を確認した。
【0037】実施例4 [L-乳酸ベンジル/ジエチル亜
鉛/DL-ラクチド]によるPLAの合成。 −78℃に冷却したL-乳酸ベンジルに窒素雰囲気下でジ
エチル亜鉛(1/2モル当量)溶液(ヘキサンまたはトルエ
ン)を加え、その後室温で20分反応させた。これを、溶
融したDL-ラクチドに窒素雰囲気下で添加混合して130
℃、1.5時間重合させた。次いで重合反応の停止および
脱保護のため、反応物をトリフルオロ酢酸30mlで溶解
し、チオアニソール(L-乳酸ベンジルの3倍当量)を添
加、1時間氷冷攪拌した。メタンスルホン酸を加えさら
に2時間氷冷攪拌した。QA2については、このまま次
の工程に用いたが、QA1については、この後更に室温
で1時間攪拌した。そして反応液を冷イソプロピルエー
テルに混合してポリマーを析出回収、次いでジクロロメ
タン/冷イソプロピルエーテルで再沈殿精製を2回行っ
た。精製した沈殿をジクロロメタンで溶解し、中性にな
るまで水洗を繰り返した。次いで、ジクロロメタン溶液
を濃縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基がL-乳酸であ
るポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分析の結果、ベンジル
基のフェニル水素のシグナルは完全に消失しており、こ
のことから脱保護を確認した。また原子吸光測定の結
果、亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下であり、この
方法で重合触媒が効果的に除去出来ていることがわかっ
た。さらに、このポリマーに末端基ラベル化定量法を適
用したところ紫色の強い呈色を示し、脱保護によるカル
ボキシル基の再生を確認した。合成結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】実施例5 [タルトロン酸ジベンジル/ジ
エチル亜鉛/DL-ラクチド]によるタルトロン酸末端PLA
の合成。 −78℃に冷却したタルトロン酸ジベンジル 592.
8mgに窒素雰囲気下でジエチル亜鉛(1/2モル当量)の
ヘキサン溶液を加え、その後室温で20分反応させた。こ
れに、DL-ラクチド 9.63gを窒素雰囲気下で添加
混合して130℃、3時間重合させた。重合反応の停止の
ため、反応物をジクロロメタンに溶解し、0.1N H
Cl水溶液と混合して20分攪拌した後、中性になるまで
水洗を繰り返した。次いで、ジクロロメタン溶液を濃
縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基がタルトロン酸ジ
ベンジルであるポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分析の結
果、乳酸残基のメチン水素(5.1-5.3ppm)、メチル基水素
(1.5-1.6ppm)およびベンジル基のフェニル水素(7.35p
pm)を確認した。また、このポリマーに末端基ラベル化
定量法を適用したところ、ほとんど呈色しなかった。こ
れらの事実から、ポリマーのω残基は、カルボキシル基
がベンジル基で保護されたタルトロン酸であることを示
している。次いで脱保護のため、このポリマーの内 2
15mgをトリフルオロ酢酸2mlで溶解し、チオアニソ
ール200μlを添加、−5℃で1時間攪拌した。メタ
ンスルホン酸 2mlを加えさらに20分氷冷攪拌、次
いで室温で25分攪拌した。そして反応液を冷イソプロ
ピルエーテルに混合してポリマーを析出回収、次いでジ
クロロメタン/冷イソプロピルエーテルで再沈殿精製を
2回行った。精製した沈殿をジクロロメタンで溶解し、
中性になるまで水洗を繰り返した。次いで、ジクロロメ
タン溶液を濃縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基がタ
ルトロン酸であるポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分析の
結果、ベンジル基のフェニル水素のシグナルは完全に消
失しており、このことから脱保護を確認した。また原子
吸光測定の結果、亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下
であり、この方法で重合触媒が効果的に除去出来ている
ことがわかった。さらに、このポリマーに末端基ラベル
化定量法を適用したところ紫色の強い呈色を示し、脱保
護によるカルボキシル基の再生を確認した。
【0040】実施例6 [タルトロン酸ジベンジル/ジ
エチル亜鉛/DL-ラクチド]によるタルトロン酸末端PLA
の合成。 −78℃に冷却したタルトロン酸ジベンジルに窒素雰囲
気下でジエチル亜鉛(1/2モル当量)のトルエン溶液を加
え、その後室温で20分反応させた。これに、DL-ラクチ
ドを窒素雰囲気下で添加混合して130℃、1〜5時間重
合させた。次いで重合反応の停止および脱保護のため、
反応物をトリフルオロ酢酸30mlで溶解し、チオアニソー
ル(L-乳酸ベンジルの3倍当量)を添加、−5℃で1時
間攪拌した。メタンスルホン酸を加えさらに2時間氷冷
攪拌した。そして反応液を冷イソプロピルエーテルに混
合してポリマーを析出回収、次いでジクロロメタン/冷
イソプロピルエーテルで再沈殿精製を2回行った。精製
した沈殿をジクロロメタンで溶解し、中性になるまで水
洗を繰り返した。次いで、ジクロロメタン溶液を濃縮、
真空乾燥(40℃、2日)してω残基がタルトロン酸である
ポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分析の結果、ベンジル基
のフェニル水素のシグナルは完全に消失しており、この
ことから脱保護を確認した。また原子吸光測定の結果、
亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下であり、この方法
で重合触媒が効果的に除去出来ていることがわかった。
さらに、このポリマーに末端基ラベル化定量法を適用し
たところ紫色の強い呈色を示し、脱保護によるカルボキ
シル基の再生を確認した。また、タルトロン酸を基準物
質に用いて、ONPHラベル化法でタルトロン酸ヒドラ
ジドとしたときの吸光度との比較から、ポリマーのω残
基であるタルトロン酸量をジカルボキシル基量として求
めた。合成結果を表3に示す。
【表3】
【0041】実施例7 [2-ヒドロキシエチルマロン酸
ジtert-ブチル/ジエチル亜鉛/DL-ラクチド]による2-
ヒドロキシエチルマロン酸末端PLAの合成。 −78℃に冷却した2-ヒドロキシエチルマロン酸ジtert
-ブチル 482.4mgに、窒素雰囲気下でジエチル
亜鉛(1/2モル当量)のトルエン溶液を加え、その後室温
で30分反応させた。これを、DL-ラクチド 3.43g
を溶融したものに窒素雰囲気下で添加混合して130℃で2
時間重合させた。重合反応の停止のため、反応物をジク
ロロメタンに溶解し、0.1N HCl水溶液と混合し
て20分攪拌した後、中性になるまで水洗を繰り返し
た。次いで、ジクロロメタン溶液を濃縮、真空乾燥(40
℃、2日)してω残基が2-ヒドロキシエチルマロン酸ジt
ert-ブチルであるポリ(DL-乳酸)を得た。1H-NMR分析の
結果、乳酸残基のメチン水素(5.1-5.3ppm)、メチル基水
素(1.5-1.6ppm)およびtert-ブチル基水素(1.46ppm)を
確認した。また、このポリマーに末端基ラベル化定量法
を適用したところ、ほとんど呈色しなかった。これらの
事実から、ポリマーのω残基は、カルボキシル基がtert
-ブチル基で保護された2-ヒドロキシエチルマロン酸で
あることを示している。次いで実施例1と同様に脱保護
反応を行い、ω残基が2-ヒドロキシエチルマロン酸であ
るポリ(DL-乳酸) 2.98gを得た。1H-NMR分析の結
果、tert-ブチル基のシグナルは完全に消失しており、
このことから脱保護を確認した。また原子吸光測定の結
果、亜鉛の残存は検出限界(10ppm)以下であり、この
方法で重合触媒が効果的に除去出来ていることがわかっ
た。さらに、このポリマーに末端基ラベル化定量法を適
用したところ紫色の強い呈色を示し、脱保護によるカル
ボキシル基の再生を確認した。
【0042】実施例8 [2-ヒドロキシエチルマロン酸
ジtert-ブチル/ジエチル亜鉛/DL-ラクチド]による2-
ヒドロキシエチルマロン酸末端PLAの合成。 D-乳酸tert-ブチルに換えて2-ヒドロキシエチルマロン
酸ジtert-ブチルを用いて実施例2と同様に合成し、ω
残基が2-ヒドロキシエチルマロン酸であるポリ(DL-乳
酸)を得た。1H-NMR分析の結果、tert-ブチル基のシグナ
ルは完全に消失しており、このことから脱保護を確認し
た。また原子吸光測定の結果、亜鉛の残存は検出限界
(10ppm)以下であり、この方法で重合触媒が効果的に
除去出来ていることがわかった。さらに、このポリマー
に末端基ラベル化定量法を適用したところ紫色の強い呈
色を示し、脱保護によるカルボキシル基の再生を確認し
た。また、タルトロン酸を基準物質に用いて、ONPH
ラベル化法でタルトロン酸ヒドラジドとしたときの吸光
度との比較から、ポリマーのω残基である2-ヒドロキシ
エチルマロン酸量をジカルボキシル基量として求めた。
合成結果を表4に示す。
【表4】
【0043】実施例9 酸加水分解 実施例2で合成したポリマーPA5とPA6との等量混
合物800mgをジクロロメタン2mlに溶解し、1%
乳酸水溶液15mlと混合、65℃で攪拌した。所定時
間にポリマーを採取し、水洗、乾燥後、GPC測定および
末端基ラベル化定量法を行った。結果を表5に示す。表
5から明らかなように、反応時間にほぼ比例してカルボ
キシル基量が増加しており、酸加水分解反応によってポ
リマーの特性を制御できる。
【表5】
【0044】実施例10 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Dleu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5
(以下、ペプチドAと略記する)の酢酸塩0.6g/0.6ml水
溶液と、実施例6で合成したω残基がタルトロン酸であ
る(DL-乳酸)(Run No.RA4) 2.4g/7mlジクロロメタン溶
液とを混合してホモジナイザーで乳化し、 W/Oエマ
ルションを形成した。次いでこれを、18℃に予冷した0.
1% (w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学
製)水溶液800ml中に注入し、タービン型ホモミキサー
を用い、7,000rpmで攪拌してW/O/Wエマルションと
した。このW/O/Wエマルションを室温で3時間撹拌
してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、
75μmの目開きの篩いを用いて篩過し、次いで遠心分
離機(05PR-22、日立製作所)を用いて2,000rpm、5分間
の条件でマイクロカプセルを沈降させて捕集した。これ
を再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬
物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の
蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得ら
れた。マイクロカプセルの質量回収率は38%、マイクロ
カプセル中のペプチドA含量は18.9%であった。そして
この実現含量を仕込み含量で除して求めた封入効率は、
94.6%であった。
【0045】実施例11 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩0.8g/0.8ml水溶液と、実施例6で合成したω
残基がタルトロン酸である(DL-乳酸) (Run No.RA6) 3.2
g/13mlジクロロメタン溶液に変更した以外は実施例10
と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセ
ルの質量回収率は69%、マイクロカプセル中のペプチド
A含量は19.1%であった。そしてこの実現含量を仕込み
含量で除して求めた封入効率は、95.3%であった。
【0046】実施例12 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩0.6g/0.6ml水溶液と、実施例8で合成したω
残基が2-ヒドロキシエチルマロン酸である(DL-乳酸)(R
un No.SA1) 2.4g/4mlジクロロメタン溶液に変更した以
外は実施例10と同様にしてマイクロカプセルを得た。
マイクロカプセル中のペプチドA含量は16.3%であっ
た。そしてこの実現含量を仕込み含量で除して求めた封
入効率は、81.3%であった。
【0047】比較例1 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩1g/1ml水溶液と、ポリ(DL-乳酸)(PLA2500
0、Mw 25.9k、[COOH] = 98.2μmol/g、和光純薬工業
製)4g/5mlジクロロメタン溶液に変更した以外は実施例
10と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカ
プセルの質量回収率は49%、マイクロカプセル中のペプ
チドA含量は11.4%であった。そしてこの実現含量を仕
込み含量で除して求めた封入効率は、57.1%であっ
た。
【0048】実験例1 実施例10および実施例12で得られたマイクロカプセ
ル約50mgを0.3mlの分散媒(0.15 mgのカルボキシメチル
セルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニ
トールを溶解した蒸留水)に分散して8週齢雄性SDラッ
トの背部皮下に22G注射針で投与した。投与1日後にラ
ットを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを
取り出し、この中のペプチドAを定量した結果は、それ
ぞれのマイクロカプセルについて95.6%、87.1%であっ
た。実施例10から実施例12で得られたペプチドAの
含量は比較例1の場合よりも有意に大きいことから、本
発明のポリエステルは生理活性物質を高含量で含有する
徐放性製剤の基剤として優れており、また実験例1の結
果より、それを使用しての製剤は投与後初期の薬物放出
を非常によく抑える効果のあることが明らかとなった。
【0049】実施例13 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩0.8g/0.8ml水溶液と、油相として実施例4で
合成したポリマー(Run No.QA1)3.08g、3−ヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸0.12g、ジクロロメタン5mlおよびエ
タノール0.3mlからなる溶液に変更した以外は実施例1
0と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプ
セルの質量回収率は46%、マイクロカプセル中のペプチ
ドA含量は21.3%であった。そしてこの実現含量を仕込
み含量で除して求めた封入効率は、106.6%であっ
た。
【0050】比較例2 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩1g/1ml水溶液と、油相としてポリ(DL-乳
酸)(PLA25000、Mw 25.9k、[COOH] = 98.2μmol/g、和
光純薬工業製)3.85g、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸0.15g、ジクロロメタン5.5mlおよびエタノール0.35ml
からなる溶液に変更した以外は実施例10と同様にして
マイクロカプセルを得た。マイクロカプセルの質量回収
率は49%、マイクロカプセル中のペプチドA含量は21.3
%であった。そしてこの実現含量を仕込み含量で除して
求めた封入効率は、106.5%であった。
【0051】比較例3 実施例10中のW/Oエマルションの組成を、ペプチド
Aの酢酸塩0.8g/0.8ml水溶液と、油相として開環重合法
で合成したポリ(DL-乳酸)(Mw 24.9k、[COOH]= 12.3μm
ol/g、ベーリンガー インゲルハイム製)3.08g、3−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸0.12g、ジクロロメタン5.5
mlおよびエタノール0.3mlからなる溶液に変更した以外
は実施例10と同様にしてマイクロカプセルを得た。マ
イクロカプセルの質量回収率は29%、マイクロカプセル
中へのペプチドAの封入率は54.6%で、マイクロカプセ
ル中のペプチドA含量は10.9%であった。そしてこの実
現含量を仕込み含量で除して求めた封入効率は、54.
6%であった。
【0052】実験例2 実施例13および比較例2で得られた各マイクロカプセ
ル約40mgを0.3mlの分散媒(0.15 mgのカルボキシメチル
セルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニ
トールを溶解した蒸留水)に分散して8〜10週齢雄性SD
ラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与後ラッ
トを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取
り出し、この中のペプチドAを定量した結果を表6に示
す。
【表6】
【0053】実施例13および比較例3の実験結果よ
り、本発明のポリエステルは生理活性物質を高含量で含
有する徐放性製剤の基剤に秀でており、また実験例2の
結果より、それを使用しての製剤は非常に長期に渡り封
入薬物を安定的に放出することが明らかとなった。
【0054】実施例14 [DL-乳酸tert-ブチル/ジエ
チル亜鉛/DL-ラクチド]によるPLAの合成 凝縮トラップ装置を備えた容量500mLの3口フラスコ反
応容器にDL-乳酸tert-ブチル1.242gを仕込み、窒素雰囲
気下、室温で1.0mol/Lジエチル亜鉛ヘキサン溶液 3.8mL
を添加、次いで脱水n-ヘキサン 34.2mLを加えて希釈
し、さらにDL-ラクチド 100gを加え攪拌して均一に混合
した。昇温を開始し、65〜70℃で留出してくるヘキサン
を凝縮器で外部にトラップした。ヘキサンの留出がほと
んどなくなってから150℃で1時間反応させた。反応物を
ジクロロメタン 50mLで溶解した後、重合反応の停止お
よび脱保護のため、トリフルオロ酢酸100mLを加えて室
温で1時間攪拌した。その後、冷イソプロピルエーテル
に混合してポリマーを析出回収、次いでジクロロメタン
/冷イソプロピルエーテルで再沈殿精製を2回行った。
精製した沈殿をジクロロメタンで溶解し、中性になるま
で水洗を繰り返した。次いで、ジクロロメタン溶液を濃
縮、真空乾燥(40℃、2日)してω残基がDL-乳酸である
ポリ(DL-乳酸)を得た。GPC測定の結果、Mw=35.0kDa、Mn
=13.6kDaであり、このポリマーに末端基ラベル化定量法
を適用したところ紫色の強い呈色を示し、定量の結果、
末端カルボキシル基量=67.7μmol/gであった。
【0055】
【発明の効果】徐放性製剤への生理活性物質を高率に取
込むことを可能にし、純度が高く、残存触媒が非常に少
ないポリマーを効率よく生産する生体内分解性ポリマー
の製造方法、および目的の生体内分解性ポリマーの分子
量および遊離のカルボキシル基の調製を容易にする生体
内分解性ポリマーの製造方法を提供することができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基が保護されたヒドロキシモ
    ノカルボン酸誘導体またはカルボキシル基が保護された
    ヒドロキシジカルボン酸誘導体の存在下、環状エステル
    化合物を重合反応に付し、得られるω端に保護されたカ
    ルボキシル基を有するポリマーを脱保護反応に付すこと
    を特徴とするω端に遊離のカルボキシル基を有する生体
    内分解性ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】カルボキシル基が保護されたヒドロキシモ
    ノカルボン酸誘導体が、カルボキシル基が保護されたグ
    リコール酸、カルボキシル基が保護されたL−乳酸、カ
    ルボキシル基が保護されたD−乳酸またはカルボキシル
    基が保護されたDL−乳酸である請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】カルボキシル基が保護されたヒドロキシモ
    ノカルボン酸の保護基がtert-ブチル基またはベンジル
    基である請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】カルボキシル基が保護されたヒドロキシジ
    カルボン酸誘導体がタルトロン酸ジベンジルまたは2-ヒ
    ドロキシエチルマロン酸ジtert-ブチルである請求項1
    記載の製造方法。
  5. 【請求項5】環状エステル化合物が環状モノエステル化
    合物または環状ジエステル化合物である請求項1記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】脱保護反応が酸分解反応である請求項1記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】カルボキシル基が保護されたヒドロキシモ
    ノカルボン酸誘導体の存在下、環状エステル化合物を重
    合反応に付し、得られるω端に保護されたカルボキシル
    基を有するポリマーを脱保護反応に付すことを特徴とす
    るω端に遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポ
    リマーの製造方法。
  8. 【請求項8】脱保護反応の後、酸加水分解反応に付すこ
    とを特徴とする請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】生体内分解性ポリマーが少なくとも約6ヶ
    月以上にわたり生理活性物質を放出する徐放性製剤に用
    いられる生体内分解性ポリマーである請求項1または請
    求項7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1または請求項7記載の製造方法
    によって得られる生体内分解性ポリマー。
  11. 【請求項11】請求項10記載の生体内分解性ポリマー
    を含有してなる徐放性製剤。
  12. 【請求項12】さらに生理活性物質を含有してなる請求
    項11記載の徐放性製剤。
  13. 【請求項13】生理活性物質がLH−RH誘導体または
    その塩である請求項12記載の徐放性製剤。
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