JP2009502304A - 手術器具 - Google Patents

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Abstract

握り、管状胴部、操作先端を有し、内視鏡手術に適した手術器具が、管状胴部により伝送されるジェット加圧液を備える。ジェット出口は収束ジェットを噴出するように構成される。2本またはそれ以上のジェットが操作先端の表面から設定距離だけ横方向に離れた収束点に収束する。操作先端は出血している組織を接触加熱するための能動面をもった加熱部品を含む。回転機構はジェット出口と加熱部品の能動面を握りに対して独立に回転させる。加熱部品の動作温度を調節する方法が提供される。
【選択図】 図1A

Description

本発明は一般的には手術器具に関し、本発明は特に組織を切断および除去するための液体ジェットを用い、また血管を加熱封止する手術器具に関する。
生体組織の加熱は、切断、凝固、壊死部切除のような各種効果を達するために使用される。得られる効果は組織が加熱される温度に依存する。摂氏70℃を超えると凝固が生じ、血管の収縮により止血される。100℃を超えると組織液が蒸発し組織の脱水がおこる。「凝固」または血管の「溶接」のいずれでも管状生体器官は封止される。
凝固という用語は組織細胞が破裂して脱水する過程をいう。組織の溶接は、コラーゲンが交差結合して溶融した塊に作り直されるように、組織内のコラーゲンを液化するのに十分な温度(摂氏70℃から90℃の間)まで組織を加熱することを含む。凝固は細い血管を封止するのに通常十分であるが、より太い血管は溶接が通常必要である。
電気外科手術が組織の加熱に用いられている。この方法によると、組織を通して流れる電流の伝導が熱を発生する。電気外科手術器具は凝固と組織溶接に広く用いられている。米国特許第6,858,028号と第6,398,779号は血管を封止するための電気外科手術器具を開示している。電気外科手術は内視鏡手術で遭遇するような狭い場所に特に適している。電流は組織の切断と除去そして血管の凝固を可能にする。しかしこの方法には重大な欠点がある。組織を通る電流の伝導は、手術部位を越えて正常な組織に熱損傷をもたらすような電気熱傷を引き起こす。組織を高温に加熱することは、より太い血管を最適に封止することを妨げる組織の炭化と脱水を引き起こし、手術中ないし手術後の出血を引き起こすおそれがある。
内部器官は特に過度の温度と膨張に敏感であるが、切断と貫通にはそれ程ではない。このため組織の切断と凝固の際、局所麻酔や全身麻酔のような深い段階の麻酔を要する電気外科手術ユニットによる過度の熱は大きな痛みを伴なう。電気熱傷は回復期を長引かせる重大な手術後の痛みと不調をもたらすおそれがある。高温を生成して組織を切断と除去することは組織のゆがみと難しい組織学的評価をもたらす。
液体ジェットを用いて組織を切断する方法は知られている。国際特許出願公開WO9,639,954号公報には液体の加圧蒸気をコヒーレントジェットとして供給する手術器具が開示されている。開示された器具は、軸方向、横方向、斜め方向に向けられるジェット開口部を含む。液体ジェットの長さ、それにより切断する組織の寸法を制御するため、横方向または回転方向に偏向させる装置がジェット開口部に付加される。ジェット開口部と偏向装置は、使用者が手術部位から器具を取り除くことなく切断方向を選択できるように遠隔操作できる。
米国特許第6,960,182号は液体ジェットを形成する種々の手術器具を開示しており、これらは手術に有用である。開示された器具は加圧内腔と吸引内腔を含む。加圧内腔は液体ジェットを形成するための少なくとも一つのノズルを、一方吸引内腔はジェット受け入れ開口部を含む。ノズルとジェット受け入れ開口部は、液体ジェットを構成する液体と、液体ジェットにより輸送される組織や物質が、ジェット受け入れ開口部を通して吸引されるように相対的に配置される。いくつかの開示された器具は回転軸の回転を駆動するための液体ジェットに駆動された回転機構を用いる。回転軸により駆動可能な手術部品は、削る、研ぐ、切る、孔をあける、磨く、ねじるというような種々の手術を実行するのに利用できる。
このような開示された器具は、偏向装置、液体ジェットを阻止するための吸引管のような機械的手段を必要とするので、限界がある。さらにこれらの器具は止血のための統合手段を提供しない。
組織の炭化と脱水の起こる温度より低い温度で血管を封止(止血)することのできる手術道具が必要である。
血管の部位を越えて組織を熱損傷することなく止血できる手術道具が必要である。
止血を安全にできる手術道具が必要である。
残存組織に熱的および/または機械的な損傷を与えないで、組織を正確に切断除去できる手術道具が必要である。
組織を切断除去中に深さ制御のできる手術道具が必要である。
より柔らかい組織を優先的に除去し、より固い組織に害を与えない手術器具が必要である。
熱損傷と組織変質を起こさないようにして、組織検査のための組織を取る手術器具が必要である。
組織切断と、それに付随または連続する止血を自由自在に実施でき、操作の容易な手術器具が必要である。
内視鏡手術のような狭い場所で容易に操作できる細い軸をもつ手術器具が必要である。
麻酔薬による局部麻酔下で使用できる手術器具が必要である。
内視鏡を用いた前立腺切除術のような内視鏡手術の診療室で利用できる手術器具が必要である。
本発明に従い、液体ジェットおよび/または接触加熱を用いた手術器具が提供される。本発明の手術器具は柔らかい組織を切断し取り除くことや、補綴術における適合のように骨を削って造形することを提供する。この器具は握りのついた細い管状胴部の末端に配置された操作先端を含む。
これは過形成前立腺組織の除去のような内視鏡手術に特に適している。目的の組織の切断および/または刻むことは、操作先端の側壁に設けられたジェット出口から横方向に噴出する複数の液体ジェットにより果たされる。操作先端の末端に設けられた加熱部品が接触加熱により出血を止める。
それぞれ本発明の手術器具の側面と操作先端の側面断面を示す図1A、1Bについて説明する。手術器具10は細い管状胴部12と握り14を含む。中空の操作先端16は細い管状胴部12の末端に設けられ、その内腔は管状胴部12の内腔と連続体を形成する。操作先端16は加熱部品18と内管21の壁に設けられた複数のジェット出口20を含む。管状胴部に導かれた加圧液はこれらのジェット出口の開口部から高速で噴出する。これらのジェット出口と開口部は、隣り合うジェット22の対が操作先端から横方向に離れたところの集中点24に集中するように配置される。
内管21は、部分的に覆われているだけの末端を除いて、断熱層25に囲まれている。内管21の露出部は加熱部品18の能動面26を形成する。本発明の能動面は加熱部品18と良好な熱結合を有する。能動面26に設けられた任意の突起は後述のように、その面積を拡大する。典型的にはステンレス鋼製で実質的に薄い内管は加圧液を伝送する。断熱層25は典型的にはテフロン(登録商標)や生体適合性のある断熱材料で作られる。絶縁層は、半結晶性脂肪、炭化水素、気体、真空などの断熱材料や相変化物質(PCMs)を保持した内蔵空洞を含んでいてもよい。カプセルに詰めた多孔質の材料も同様に用いられる。あるいは絶縁層の鞘と内管21の間に空洞が設けられる。
液入口27には外部の液源との接続のため、ねじ山28が設けられる。操作スイッチ30は加熱ユニット32に内蔵された、図示しない電気加熱要素を能動化する。伝送液を摂氏45℃より高く、好ましくは用いる液の沸点より低い温度の範囲で、一定の設定された温度に保つ技術において知られたようにして、図示しない調節装置で加熱が調節される。(水溶液の場合、この温度は、好ましくは摂氏100℃より高くない。)細い管状の胴部と本発明の操作先端の合計容量は、典型的には0.5cmより少なく、液の典型的な流量は2cm/秒である。このため加熱部品の温度を数秒で作動値まで上げるのに、そこそこの加熱パワーで十分である。
伝送液の加熱は、随意に、無線周波数範囲の電磁放射、マイクロ波、超音波振動の伝達、熱電気による冷却加熱により行なわれる。あるいは外部源から加熱された液を供給することもできる。握り14とそれに接続される全てのホースは手術する者と患者を火傷から防ぐため断熱される。
本発明の好ましい実施態様である細い管状の胴部34の一部の縦断面を示す図2Aについて説明する。細い管状の胴部34は壁36が代表的にはステンレス鋼で作られている内管を有する。細い管状の胴部34の壁36と外壁37の間の空間部は、好ましくは真空、絶縁物で充填、または液の伝送に使用される。管状胴部の表面温度は、関わる組織に引き起こされる火傷の危険を最小にするような設定温度より低く保たれなければならない。本発明のある実施態様においては、細い管状の胴部は、絶縁物に埋め込まれた空隙や外壁37と壁36の間の空間を通して、冷却液を循環ないし流すことで積極的に冷却される。細い管状の胴部は熱電気冷却(TEC)手段により冷却されてもよい。
軸38は以下に記述するように加熱部材を回転させる。
[操作先端]
本発明の好ましい実施態様の操作先端の部分断面側面図を示す図2Bを説明する。操作先端40は、加熱部品44の取り付けられた管状胴部42の末端部からなる。軸46は液体ジェットの軸で、以後ジェット軸と称する。ジェット出口48の開口部につながる開口部と溝は典型的には軸対称で、それらの傾き角は等しく、ジェット軸は操作先端40から横に離れた位置にある収束点に収束する。ジェット軸が一点に収束するジェット出口のこのような対を、以後、収束ジェット出口と称する。内管50は断熱層52で囲まれている。軸53は管状胴部42に対して加熱部品44を回転させる。
本発明の他の好ましい実施態様の、それぞれ操作先端の正面図と部分断面側面図を示す図3A、3Bを説明する。内管80の末端は管胴部82から延在し、操作先端84の液伝送部品を構成する。操作先端84の表面に設けられたねじ山85はその面積を拡大する。ジェット出口86は窓87に面する内管80に横方向に設けられ、これは噴出ジェットが通過して目的の組織に当たるようにする。外管88は管胴部82の全長にわたり内管80を同軸で囲む。絶縁層90が外管88を囲んでもよい。円筒形の能動面94がその末端に延びる加熱部品92は外管88に固く接続され、内管80と、それらの間の空間の末端を封止しながら滑動するよう取り付けられる。(能動面94と加熱部品92の外面に設けられたねじ山は図3Bに示されていない。)外管88、加熱部品92、能動面94は一緒になって内管80の周囲を回転する必須の硬い胴部を形成する。壁96はこの空間を加熱部品92に接近して接続された二つの部分に分けてもよい。加熱部品92と能動面94の壁は、以下に述べる生体適合性材料で覆われていてもよい、熱の良導体からなる。加熱部品92と能動面94の温度は、能動面94が液体ジェットを止めるように外管88を回転させたとき、典型的には噴出する液体ジェットにより調節される。内管80と外管88の間を分ける二つの空間を通して伝送される加熱あるいは冷却された液により温度が調節されてもよい。この場合、図示しない二本の追加の管、一本は加熱部品に液を伝送し他はそこから排出する、が設けられる。温度調節液の加熱が上記の加熱ユニットによりおこなわれる。
加熱部品92は、加熱部品92と能動面94の動作温度を調節するための、熱バッファおよび/または埋め込まれた電気加熱要素を含んでもよい。切断から接触加熱への変化は外管を、ジェット出口の正面に窓87が配置された切断時の角度から、接触加熱時またはその前に能動面の壁が液体ジェットをさえぎる角度に回転させることで実現される。
本発明のジェット出口の異なる構成を示す図4A〜4Dについて説明する。隣接する一対の収束ジェット出口の開口部から高速で噴出する加圧液は仮想的な平面刃を構成する。どの二つの収束ジェットも実質的に互いに収束点154での衝突で弱めあい、組織を傷つけない無害の飛沫に変化する。収束ジェット出口は管胴部から10度から90度、好ましくは45度から60度の範囲の角度で構成される。通常、収束点は1mmから10mm、好ましくは2mmから4mmの範囲で操作先端155の壁から横方向に配置される。二本を越えるジェットが同じ収束点で衝突し、三次元の仮想的な刃を表わすようにしてもよい。種々の収束ジェットの組の収束点が操作先端の表面から異なる横距離、または同じ距離に配置される。対の収束ジェットのジェット軸が含まれた面は図4A〜4Dに示すように平行または交わる。
図4Aに本発明の好ましい実施態様のジェット出口の概略図が示される。操作先端155は4対の収束ジェット出口を含む。ジェット出口の2対のジェット軸は同軸に設けられ、隣接する収束点は操作先端155の軸に沿って縦に設けられた一平面上に含まれる。対の各組を含む平面は相互に操作先端155の軸に沿って平行である。あるいは衝突するジェットのジェット軸を含む平面は互いに10度から60度、より好ましくは15度から30度の範囲で交差してもよい。ジェット出口の隣接する対は、操作先端の壁の機械的完全さが保持されるように、内管の末端から横方向に必ずしも等距離で配置されなくてもよい。
図4Dに本発明の他の好ましい実施態様のジェット出口の概略図が示される。2対の各ジェット出口の開口部が、好ましくは内管の末端から異なる距離で放射状に配置され、操作先端の壁の機械的完全さが最高度に保持されるように、放射状に挟まれる。
ジェット軸を含む平面同士が、または平面と操作先端の主軸があらゆる角度で交差するような、ジェット出口の他の種々の配置が本発明と一致する。どの配置においても液体ジェットにより形成される仮想的な刃は、操作先端の主軸方向と横方向に、または沿って直線的に掃引することにより、組織の層を取り除くのに使われる仮想的なブラシを構成する。
[加熱部品]
それぞれ図2Bに示された線AA、BB、CCに沿った操作先端の断面図と、本発明の好ましい実施態様による操作先端の概略組み立て図である図5A〜5Dを説明する。内管172の軸に沿って配置された軸心棒171は、絶縁層174に対して回転する能動面176を備える。加熱部品180の中空胴部の壁178と能動面176は代表的にはステンレス鋼の薄い鞘のような熱良導金属により作られ、および/またはステンレス鋼またはチタンのような生体適合性材料により覆われている。このような熱伝導表面は、能動面176または加熱部品の末端面が出血中の組織に押し付けられたとき、血管を封止するのに備える。加熱部品180と能動面176は操作先端の軸に対して回転し、出血中の組織の接触加熱に先立ち液体ジェットが遮断される、遮断段階に至る。切断を望むときは、中空胴部182と接続された能動面176が図5Dに示す開放段階に回転して戻される。加熱部品180の壁とその能動面176は熱良導体である。したがって回転して遮断段階に置かれたとき、どちらも能動面176の内面に当たる液体ジェットにより予め加熱される。熱は、壁178との接触によっても、軸心棒171を通しても伝導される。ベアリング184を支える圧力は、軸心棒171により加熱部品を回転させる。ジェット出口186は、溝が壁172と絶縁層174を通過するように配置される。
あるいは、加熱部品の能動面は操作先端の内管の外面に、ジェット出口を囲むように固く接続される。この場合、切断から接触加熱への変換は、接触加熱の前に伝送液の圧力レベルを下げておく必要がある。
[加熱部品の温度調整]
加熱部品の動作温度は、代表的にはコラーゲン溶融と、組織の脱水が最小限で炭化が生じない血管封止のできる温度範囲から選択される。組織への熱伝導速度を増加させるため、隆起部、ふくらみ、山、谷、凹み、くぼみが加熱部品とその能動面の外面に設けられ、その面積を増加させる。加熱部品は、相変化物質(PCM)のような、温度ないし熱のバッファを含んでもよい。PCMは、固体結晶からアモルファス固体(固体−固体)、固体から液体、液体から気体のような、ある相から別の相への変化により僅かの温度変化を伴なって、相当大量のエネルギーを吸収ないし排出する物質である。相変化の際このようなPCMは比較的定温を保つ熱バッファとして機能する。好適な物質は、好ましくは16以上の炭素鎖または飽和脂肪酸を有する炭化水素である。PCMは加熱部品胴部内に設けられた1個以上の空洞内に含まれていてもよい。
本発明の液体ジェットにより組織を切断し刻む手術は、冷たい、または温かい液を用いて実行される。しかし加圧液は接触加熱の前に隣接する組織に有害な温度に加熱される。加熱部品の寸法と内管の体積が比較的小さいので、本発明の手術器具の操作先端の熱容量は相当小さい。そのため加熱部品の温度を動作値まで上げるための待ち時間と、加圧液と操作先端の外表面を切断手術に適した動作温度に冷やすための待ち時間は秒の範囲である。そのため外科医は切断と接触加熱を交互に連続的に実行できる。さらに手術器具の末端を囲む温かい液は関係する組織を加温する。その結果、接触加熱の効率は、加熱部品の動作温度と関係する組織の温度の間の比較的低い温度差により、向上する。したがって加熱液が接触加熱に用いられる継続時間は減少し、付随する熱の害は少なくなる。
本発明の加熱部品の温度をその動作値まで上昇させること、または補助することを、既知の電気的方法で実行してもよい。遠隔操作で作動する電気加熱部品および/または加熱部品に設けられまたは付属したTECはこのような加熱をおこなう。加熱部品に設けられた1個またはそれ以上の温度センサー、サーボ機構、加熱部品に用いられ、および/またはPCMに含まれた正の温度導体(PTC)は、加熱部品の温度を所望の範囲に調節する。
[本発明の手術器具の操作]
本発明に用いられる代表的な液は、0.9%食塩水、リンゲル液、その他の同様の生体適合性液のような無菌の生理的液である。液は通常離れた貯蔵器に貯蔵され、本発明の手術器具の液入口に適当な管で接続された外部ポンプにより、汲み上げ、加圧される。従来技術で知られた圧力制御機構が、切断と接触加熱段階で液圧力を調節するために備えられる。ピストンポンプを用いて、手術器具の握りの中に納めてもよい。
再び図1Aを説明する。軸でギアボックス194に結合したレバー192は回転する管状胴部12を提供する。選択装置196は場合に応じて、加熱部品またはその能動面を独立して、または同時に操作先端16のジェット出口に対し回転可能にする。選択装置196は二つの位置の間を動くことができる。第一の位置では、ジェット出口と加熱部品の二つの反対方向198、199への回転は、回転レバー192のそれぞれ方向200、202によりもたらされる。第二の位置では、加熱部品18および/またはその能動面だけが回転する。このように独立して加熱部品の能動面またはジェット出口を回転させる手段は、加圧ジェットを目的の範囲に便利に向ける、および/または切断から接触加熱へ便利に移す一方、実質的に固定方向に握り14をしっかりと保持するようにする。同様に内管または外管は、上記の他の好ましい実施態様による加熱部品とその能動面と共に、このような回転手段により独立して回転する。さらに仮想ブラシの回転的掃引は、それ自体で、あるいは操作先端の軸に沿った横移動と共に、組織の層の便利な除去を可能にする。
握りと二つの段階をもつ選択装置に隣接して設けられた二つの独立した回転輪が上記の回転手段の代わりをしてもよい。選択装置が第一の位置にされたとき、輪は独立して回転でき、一方第二の位置では二つの輪は同方向に同時に回転する。一つの輪は管状胴部に結合され、他はその中に設けられた軸に結合される、あるいは、一つの輪は内管に結合され、他は細い管状胴部の外管に結合される。指の僅かの動きが、握りを同じ方向に保ちながら、これらの輪の回転を生じさせることができる。
[更に可能な応用]
応用は同じ技術による膀胱腫瘍の内視鏡的除去術を含んでもよい。同様に本発明の手術器具と方法は子宮内膜または子宮ポリープの内視鏡的除去術、軟組織の除去のための関節鏡手術にも用いられる。
本発明の手術器具は内視鏡的接触加熱にも用いられる。この場合、ジェット出口は塞いでもよい。明らかに、加熱部品をもたない手術器具は内視鏡により切断し刻むのに適している。
本発明の好ましい実施態様による手術器具を用いた、前立腺の内視鏡的切除術が以下に述べられる。中央作動溝を有する従来の膀胱鏡が用いられる。膀胱鏡は尿道を通し尿道前立腺部に入れられる。手術器具の細い管状胴部が膀胱鏡の作動溝を通して入れられる。0.9%食塩水のような生理的無菌液が用いられる。液は離れた容器に室温で保管される。液は加圧され、操作先端のジェット出口を通して噴出し、前立腺の側面の突起および/または中央の突起に向けられる。液の圧力は、より柔らかい腺腫様組織を切り刻み、前立腺被膜のより硬く弾性的なコラーゲン繊維は傷つけないような値に制御される。操作先端の掃引の動きは、過形成前立腺組織を液体ジェットで塗る、もしくはブラシをかけるように、行なわれる。その結果、この組織を数mmの深さまで切り刻むことは連続的な視覚観察のもとで果たされる。収束する液体ジェットは組織を設定した2mmから3mmの深さまで切断できるようにする。出血は、出血している組織の表面に加熱部品の能動面を押し付ける接触加熱により止血される。液の加熱は、加熱部品が数秒で90℃に達する加熱ユニットの活性化にすぐに続いて行なわれる。出血している組織に加熱部品の能動面をしばらく押し付け、傷ついた出血組織の壁を封止して止血させる。操作先端と管状胴部の一部を囲む噴出液は、受動的に膀胱鏡の作動溝を通って排出される。前立腺被膜に達したところで手順は完了する。手順の最後に刻まれた前立腺の組織は、従来の泌尿器のやり方で排出され、組織検査に回される。
本発明の手術器具の側面図 図1に示された操作先端の部分断面側面図 本発明の好ましい実施態様による手術器具の管状胴部の長手方向の断面図 本発明の好ましい実施態様による操作先端の部分断面正面図 本発明の他の好ましい実施態様による操作先端の正面図 図3Aに示された操作先端の部分断面正面図 本発明の好ましい実施態様による操作先端のジェット出口の配置を示す概略図 本発明の他の実施態様による操作先端のジェット出口の配置を示す概略図 本発明の他の実施態様による操作先端のジェット出口の配置を示す概略図 本発明の他の実施態様による操作先端のジェット出口の配置を示す概略図 図2Bに示された操作先端の線AAに沿った断面図 図2Bに示された操作先端の線BBに沿った断面図 図2Bに示された操作先端の線CCに沿った断面図 図2Bに示された操作先端の概略図
符号の説明
10 手術器具
12 管状胴部
16 操作先端
18 加熱部品
20 ジェット出口
21 内管
22 ジェット
24 集中点
25 断熱層
26 能動面
27 液入口
28 ねじ山
30 操作スイッチ
32 加熱ユニット
34 胴部
36 壁
37 外壁
38 軸
40 操作先端
42 管状胴部
44 加熱部品
46 軸
48 ジェット出口
50 内管
52 断熱層
53 軸
80 内管
82 管胴部
84 操作先端
85 ねじ山
86 ジェット出口
87 窓
88 外管
90 絶縁層
92 加熱部品
94 能動面
96 壁
154 収束点
155 操作先端
171 軸心棒
172 内管
174 絶縁層
176 能動面
178 壁
180 加熱部品
182 中空胴部
184 ベアリング
186 ジェット出口
192 レバー
194 ギアボックス
196 選択装置

Claims (30)

  1. 液を伝送するための細い中空の管状胴部と、
    前記細い管状胴部の末端に設けられ、内腔が前記管状胴部の内腔と連続する中空の操作先端と、
    組織を接触加熱するため前記操作先端に付属し、設定動作温度に加熱可能な加熱部品とを備えた、液を利用した手術器具。
  2. 前記操作先端がさらにその側壁に設けられた少なくとも2個のジェット出口を備えた、請求項1に記載の手術器具。
  3. さらに前記細い管状胴部に付属した握りを備えた、請求項1または2に記載の手術器具。
  4. さらに前記握りに対して前記ジェット出口を回転させる手段を備えた、請求項3に記載の手術器具。
  5. さらに前記握りに対して前記加熱部品の能動面を独立に回転させる手段を備えた、請求項3に記載の手術器具。
  6. さらに前記細い管状胴部に付属した加熱ユニットを備えた、請求項1に記載の手術器具。
  7. 少なくとも2つのジェット出口が前記操作先端に対して横方向に位置する収束点に収束する、請求項2に記載の手術器具。
  8. 前記少なくとも2つのジェット軸を含む面が、前記操作先端の主軸に0度から90度の範囲の任意の角度で方向付けられた、請求項7に記載の手術器具。
  9. 少なくとも2対の収束ジェット出口を含む、請求項7に記載の手術器具。
  10. 隆起部、ふくらみ、山、谷、凹み、くぼみ、およびそれらのあらゆる組み合わせからなる品目群から選択された少なくとも1品目が前記加熱部品の表面に設けられた、請求項1に記載の手術器具。
  11. 前記加熱部品が熱バッファを含む、請求項1に記載の手術器具。
  12. 前記加熱部品が加熱要素を備えた、請求項1に記載の手術器具。
  13. 前記細い管状胴部の一部が断熱層に囲まれた内管を備えた、請求項1に記載の手術器具。
  14. 前記細い管状胴部の一部が2本の同軸の管を備えた、請求項1に記載の手術器具。
  15. 加熱部品に熱い液を伝送することを備えた手術器具の前記加熱部品の温度を調節する方法であって、前記手術器具が前記液を伝送するための中空の細い管状胴部を備え、前記加熱部品を備えた中空の操作先端が前記細い管状胴部に付属する、手術器具の加熱部品の温度を調節する方法。
  16. さらに前記加熱部品の電気的加熱を備えた、請求項15に記載の手術器具の加熱部品の温度を調節する方法。
  17. 熱バッファの使用を備えた、請求項15または16に記載の加熱部品の温度を調節する方法。
  18. 液を伝送するための中空の細い管状胴部と、
    内腔が前記管状胴部の内腔と連続し、側壁に設けられた少なくとも2つのジェット出口を備え、前記細い管状胴部の末端に設けられた中空の操作先端とを備えた、液を利用した手術器具。
  19. 前記少なくとも2つのジェット出口が、前記操作先端に対し横方向に位置する収束点に収束する、請求項18に記載の手術器具。
  20. 前記少なくとも2つのジェット軸を含む面が、前記操作先端の主軸に0度から90度の範囲の任意の角度で方向付けられた、請求項19に記載の手術器具。
  21. 少なくとも2対の収束ジェット出口を含む、請求項18に記載の手術器具。
  22. さらに前記操作先端が組織を接触加熱させるための加熱可能な加熱部品を備えた、請求項18に記載の手術器具。
  23. さらに前記細い管状胴部に付属した加熱ユニットを備えた、請求項18に記載の手術器具。
  24. 前記加熱部品が熱バッファを含む、請求項22に記載の手術器具。
  25. 前記加熱部品が加熱要素を備えた、請求項22に記載の手術器具。
  26. 前記細い管状胴部の一部が断熱層に囲まれた内管を備えた、請求項18に記載の手術器具。
  27. 前記細い管状胴部の一部が2つの同軸の管を備えた、請求項18に記載の手術器具。
  28. さらに前記細い管状胴部に付属した握りを備えた、請求項18に記載の手術器具。
  29. さらに前記少なくとも2つのジェット出口を前記握りに対して独立して回転させる手段を備えた、請求項28に記載の手術器具。
  30. さらに前記加熱部品の能動面を前記握りに対して独立に回転させる手段を備えた、請求項25または28に記載の手術器具。
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