JP2009302383A - 有機el表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コスト及び製造効率が良好で、優れた発光効率を備えた有機EL表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置10は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に形成された第1電極11と、第1電極11上に形成された正孔輸送部20と、正孔輸送部20上に形成された発光層13と、発光層13上に形成され、電子輸送層側から発光層側への電子移動を活性化させるための金属イオン処理が表面に施された有機層を備えた電子輸送部21と、電子輸送部21上に形成された第2電極17と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置及びその製造方法に関する。
次世代ディスプレイとして、有機ELディスプレイが近年実用化されている。有機ELディスプレイは、第1電極(陽極)と第2電極(陰極)との間に正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層等が積層されて構成されており、複数の有機層を備えている。これら複数の有機層の成膜工程において、従来、基板上のごみの除去等の目的で、プラズマ処理(特許文献1)、酸処理(特許文献2)、又は、ハロゲン処理(特許文献3)等が施されている。
ところで、これらの有機層間の仕事関数の差が大きいと、有機ELディスプレイの発光効率が低下してしまうため、製造プロセスにおいて、有機層間の仕事関数の差を小さくする工程が必要となる。
このような問題に対し、従来、異なった有機層を多段階に形成し、一段階ごとのキャリア(電子又は正孔)輸送のエネルギーギャップを小さくするため、もしくは、有機層間の界面付近のエネルギーギャップを小さくするために、当該層を構成する化合物とは異なる化合物を真空蒸着法によりドープする方法が知られている。
特開2004−63210号公報 特開2001−319777号公報 特開2003−123989号公報
しかしながら、有機層間の仕事関数の差を小さくするために多種類の有機層を形成する場合、製造装置の設備、コスト、製造時間の面で非常に不利である。また、有機層を構成する化合物とは異なる化合物を有機層の界面に真空蒸着法でドープする場合、一般的にドープする材料の酸化力、又は、還元力が強いため、当該材料が不安定となる。このため、このような製造方法を量産プロセスに導入するのは困難である。
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コスト及び製造効率が良好で、優れた発光効率を備えた有機EL表示装置及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る有機EL表示装置は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成された正孔輸送部と、正孔輸送部上に形成された発光層と、発光層上に形成され、電子輸送層側から発光層側への電子移動を活性化させるための金属イオン処理が表面に施された有機層を備えた電子輸送部と、電子輸送部上に形成された第2電極と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、金属イオン処理が、ルイス酸性金属イオンを用いて行われたものであってもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置は、ルイス酸性金属イオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Al、Zn、Ga又はInのイオンであってもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、有機層の金属イオン処理が施される表面が、金属イオンのカウンターアニオンとして、ハロゲン元素、カルボニル基、又は、アシル基を有してもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置は、電子輸送部が、発光層上に形成された電子輸送層及び電子輸送層上に形成された電子注入層で構成されていてもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、金属イオン処理が施される有機層が電子輸送層であってもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置は、電子輸送部が、発光層と電子輸送層との間に設けられたブロック層をさらに備えてもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、金属イオン処理が施される有機層がブロック層であってもよい。
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、表面に第1電極、正孔輸送部、及び、発光層がこの順で形成された絶縁性基板を準備する工程と、絶縁性基板の発光層上に、表面が金属イオン処理が施された有機層を備えた電子輸送部を形成する工程と、電子輸送部上に第2電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、金属イオン処理後の有機層表面に0.1ppm以上の濃度で金属イオンが残留していてもよい。
以下、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の構成及びその製造方法を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
(有機EL表示装置10の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る有機EL表示装置10の断面図である。有機EL表示装置10は、薄膜トランジスタ(TFT)基板(不図示)と、TFT基板上に所定配列で(例えば、マトリクス状に)配設された複数の第1電極11(陽極)と、複数の第1電極11のそれぞれの上に形成された正孔輸送部20を構成する正孔輸送層12と、正孔輸送層12上に形成された発光層13と、発光層13上に形成された電子輸送部21と、電子輸送部21上に形成された第2電極17(陰極)とを備えている。
TFT基板は、絶縁基板と、所定配列で配設された複数の第1電極11のそれぞれに接続されたTFTと、TFTに電気的に接続されたソース電極及びゲート電極と、TFT基板の発光層13側表面を平坦にする平坦化膜とを備えている。
絶縁基板は、有機EL表示装置10の機械的強度を担保でき、絶縁性を有するものであることが好ましい。例えば、絶縁基板は、石英、ソーダガラス等のガラス、セラミックス等の無機材料、又は、ポリイミド、ポリエステル等の有機材料からなる基板により構成することができる。
TFTは、島状にパターニングされ、各々ソース領域及びドレイン領域を備える複数の多結晶シリコン薄膜と、多結晶シリコン薄膜上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極とで構成されている。また、これら複数のTFTを覆うように、平坦化膜(層間絶縁膜)が設けられている。
第1電極11は、平坦化膜上に形成されている。平坦化膜には、スルーホールが形成されており、このスルーホールを経由して、第1電極11とTFTの電極とが電気的に接続されている。第1電極11は、TFTから入力される信号に応じて、正孔輸送層12を介して発光層13に正孔を注入する。
第1電極11の構成材料としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)等の金属材料、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の導電性酸化物などを用いることができる。
正孔輸送層12は、第1電極11上に形成されており、上方に形成された発光層13への正孔注入効率を高めるためのものである。正孔輸送層12の構成材料としては、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルジアミン 、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、あるいはこれらの誘導体、又は、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを用いることができる。
発光層13は、第1電極11及び第2電極17による電圧印加時に、両電極のそれぞれから正孔および電子が注入され、さらにこれらが再結合する領域である。このような発光層13は、発光効率が高い材料、例えば、低分子蛍光色素、蛍光性の高分子、金属錯体等の有機材料で形成されている。具体的には、例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、あるいはこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体ジトルイルビニルビフェニル、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等が挙げられる。
電子輸送部21は、発光層13上に形成されたブロック層14と、ブロック層14上に形成された電子輸送層15と、電子輸送層15上に形成された電子注入層16とで構成されている。
ブロック層14は、第1電極11から発光層13へ注入された正孔がそのまま電子輸送層15等へ通過してしまうのを抑制する機能を有する。ブロック層14の構成材料としては、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、バソキュプロイン(BCP)、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)、3−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、4,4’−ビス(1,1−ジフェニルエテニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)、4,4’−ビス(1,1−ビス(4−メチルフェニル)エテニル)ビフェニル(DTVBi)、2,5−ビス(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(BBD)等を用いることができる。
ブロック層14の電子輸送層15側表面には、電子輸送層側から発光層側への電子移動を活性化させるための金属イオン処理が表面に施されている。金属イオン処理は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Al、Zn、Ga又はInのイオン等のルイス酸性金属イオンを用いて行われる。ブロック層の金属イオン処理が施された表面は、金属イオンのカウンターアニオンとして、ハロゲン元素、カルボニル基、又は、アシル基を有している。具体的には、カウンターアニオンとして、トリフラートイオン、パークロレートイオン、塩化物イオン、アセテートイオン、又は、メタクリレートイオン等が挙げられる。
電子輸送層15は、第2電極17から注入される電子を発光層13に輸送するためのものである。電子輸送層15及び電子注入層16の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
電子注入層16は、上述した電子輸送層15と同様の構成材料の他に、例えば、フッ化リチウム(LiF)等の、低仕事関数の金属のフッ化物等も好適に用いることができる。
第2電極17は、電子注入層16上に形成されている。第2電極17は、電子注入層16に電子を注入する機能を有し、例えば、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム又は仕事関数の小さい金属等により形成されている。
また、第2電極17上に、さらに封止膜(不図示)を設けてもよい。封止膜は、第2電極17を大気中の水分から保護するために、第2電極17を覆うように形成する。封止膜は、例えば、ガラスやプラスチック等により形成することができる。
なお、本実施形態では、正孔輸送部20が正孔輸送層12のみで構成されているが、これに限らず、正孔注入層及び正孔輸送層の積層構造であってもよい。
また、本実施形態では、電子輸送部21は、発光層13上に形成されたブロック層14と、ブロック層14上に形成された電子輸送層15と、電子輸送層15上に形成された電子注入層16とで構成されているが、これに限らず、電子輸送層のみ、又は、電子輸送層と電子注入層のみで構成されていてもよい。
(有機EL表示装置10の製造方法)
次に、本発明の実施形態1に係る有機EL表示装置10の製造方法について説明する。
まず、有機EL表示素子を形成するための基板として、ガラス基板(絶縁性基板)上にITOがパターニングされてなる光透過性を備えたITOガラス基板(不図示)を準備する。ここで、基板としては、ITOガラス基板に限られず、例えばトップエミッション型有機EL素子では、基板と反対側から光を取出すために基板に透光性を必要としないため、シリコンウェハー等の半導体基板を用いてもよい。
次に、ITOガラス基板上にプラズマCVD法によりシリコン半導体膜を形成し、結晶化処理を施して多結晶シリコン半導体膜を形成する。
続いて、多結晶シリコン薄膜をエッチング処理し、複数の島状パターンを形成する。次いで、複数の島状パターンの上にゲート絶縁膜及びゲート電極層を順次形成し、これらにエッチング処理を施してパターニングを行う。
続いて、ドーピングにより島状パターンの多結晶シリコン半導体膜の各島に、ソース領域及びドレイン領域を形成することで複数のTFTを作製する。
次いで、基板上に窒化シリコン膜とアクリル系樹脂層とからなる積層構造の平坦化膜(層間絶縁膜)を作製する。層間絶縁膜の作製としては、まず、プラズマCVD法で基板に窒化シリコン膜を形成した後、ゲート絶縁膜と同時にエッチングによりソース領域及び/又はドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成する。続いて、ソース配線を形成し、さらにスピンコーターでアクリル系樹脂層を形成した後、ゲート絶縁膜及び窒化シリコン膜に形成したドレイン領域のコンタクトホールに対応する位置に、ドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成する。平坦化膜の機能は、このアクリル系樹脂層で実現される。アクリル系樹脂層は、表面の凹凸の大きさを100nm以下とするために、例えば、8μmの厚さで形成する。これにより、平坦化膜であるアクリル系樹脂層表面の凹凸の大きさは、最大で48nmとなる。平坦化膜であるアクリル系樹脂層表面の凹凸の大きさは、触針式段差計を用いて計測する。
次に、平坦化膜を形成した基板上に、平坦化膜に設けたスルーホールを通して、TFTのドレイン電極と接続するように第1電極11を形成する。第1電極11には、Niを使用し、膜厚を例えば150nmとする。
次いで、第1電極11のエッジ部を覆うようにSiO絶縁膜を形成する。続いて、第1電極11上に、UVオゾン処理を10分間実施した後、第1電極11上に、ナフチルジアミン(α−NPD)を真空蒸着法(蒸着レート:1Å/sec)で蒸着することにより、正孔輸送層12を形成する。
次に、正孔輸送層12上に、ホストとしての4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)と、ドーパントとしてのIr(ppy)とを、30nmの膜厚となるように真空雰囲気下で共蒸着することにより、発光層13を形成する。このとき、CBPの蒸着速度を、例えば1Å/secとし、Ir(ppy)の蒸着速度を、例えば0.1Å/secとする。
続いて、発光層13上に、BCPを蒸着速度1Å/secで蒸着することにより、図2に示すような10nmの膜厚のブロック層14を形成する。
次に、ブロック層14が形成された基板をグローブボックス(水及び酸素濃度5ppm以下)へ搬送し、ブロック層14を、ルイス酸性金属イオン溶液に浸した後、基板を取り出して、ブロック層14に200°で5分間の真空ベーク処理を施す。
ここで、ルイス酸性金属イオン溶液の溶媒としては、例えば、アセトニトリル等が挙げられるが、蒸着したブロック層等の性質によって、当該層が溶解しないような溶媒を選択することが好ましい。
また、ルイス酸性金属イオンは、上記溶液中では塩を構成しているが、例えば、ルイス酸性金属イオンのパークロレイト塩やトリフラート塩等のように、イオンが適度な結合力で配位する塩であるのが好ましい。ルイス酸性金属イオンがクロライド塩等の結合力が強い塩を構成すると、ルイス酸性度が小さくなり、本発明の作用効果が発現し難くなるためである。
ルイス酸性金属イオンは、ブロック層14表面に上記のように処理された時点で、金属イオン自体のルイス酸性に応じて電子輸送性の活性化の程度が異なってくる。ルイス酸性が大きくなるにつれ、その活性化の効果が大きくなる。基本的には1価、2価、3価の金属の順でルイス酸性は大きくなる。金属イオン処理において、価数変化の少ない金属イオンを用いると、特に電極表面や有機層表面に対するダメージを抑制することができる。また、金属イオン濃度によっても、その活性化の効果が大きく変わる(参考文献:溶媒中での金属イオンによる電子移動反応の活性化効果の定量化:K. Okamoto et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 7014. S. Fukuzumi et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 1007.)。
また、金属イオンには、カウンターアニオンが必要となる。カウンターアニオンの種類は、金属イオンのルイス酸性度に大きな影響を与える。
続いて、ブロック層14上に、Alq3を蒸着速度1Å/secで蒸着することにより、40nmの膜厚の電子輸送層15を形成する。
次に、電子輸送層15上に、LiFを真空蒸着法により 蒸着速度1Å/secで蒸着することにより、0.5nmの膜厚の電子注入層16を形成する。さらに、電子注入層16上に、Al膜を500nmの膜厚で形成して第2電極17を作製し、これにより有機EL表示装置10が完成する。
なお、本実施形態では、各有機層を蒸着法により形成したが、これに限らず、例えば、インクジェット法、スピンコート法、スプレー法、又は、印刷法等により形成してもよい。
(実施形態1の作用効果)
次に、本発明の実施形態1の作用効果について説明する。
有機EL表示装置10は、発光層13と電子輸送層15との間に設けられたブロック層14表面に、電子輸送層側から発光層側への電子移動を活性化させるための金属イオン処理が表面に施されている。
このような金属イオン処理は、処理対象となる有機化合物の負に帯電した部位、又は、負に局在化した部位と相互作用し、その電子移動を促進する。すなわち、その有機化合物自体の還元電位(仕事関数)を大きく変えることが可能となる。
このため、金属イオン処理を施して、層間の仕事関数の差を小さくすれば、電子輸送層15からブロック層14への電子の注入能力が良好となる。従って、有機EL表示装置10の低駆動電圧化を実現できる。また、有機層間の仕事関数の差を小さくするために、金属イオン処理をしているのみであり、多種類の有機層を形成しなくてもよいため、製造装置の設備、コスト、製造時間の面で非常に有利である。さらに、従来のように有機層を構成する化合物とは異なる化合物を有機層の界面に真空蒸着法でドープする方法ではドープする材料が不安定であるが、有機EL表示装置10のブロック層14は金属イオン処理を表面に施すものであるため、本実施形態に係る製造方法を量産プロセスに導入することが可能となり、製造効率も良好となる。
また、ブロック層14の表面処理のための金属イオンのルイス酸性や濃度を選択することで、有機EL表示装置10の電子輸送性を容易に制御することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置30について説明する。
(有機EL表示装置30の構成)
図3は、本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置30の断面図である。有機EL表示装置30は、実施形態1に示した有機EL表示装置10に対し、ブロック層の電子輸送層側表面だけでなく、電子輸送層の電子注入層側表面にもルイス酸性金属イオン処理が施されている点で異なっている。以下、有機EL表示装置30の構成について説明するが、その構成材料は実施形態で示したものと同様である。
有機EL表示装置30は、薄膜トランジスタ(TFT)基板(不図示)と、TFT基板上に所定配列で(例えば、マトリクス状に)配設された複数の第1電極31(陽極)と、複数の第1電極31のそれぞれの上に形成された正孔輸送部40を構成する正孔輸送層32と、正孔輸送層32上に形成された発光層33と、発光層33上に形成された電子輸送部41と、電子輸送部41上に形成された第2電極37(陰極)とを備えている。
電子輸送部41は、発光層33上に形成されたブロック層34と、ブロック層34上に形成された電子輸送層35と、電子輸送層35上に形成された電子注入層36とで構成されている。
ブロック層34の電子輸送層35側表面、及び、電子輸送層35の電子注入層36側表面には、それぞれルイス酸性金属イオン処理が施されている。
(有機EL表示装置30の製造方法)
次に、本発明の実施形態2に係る有機EL表示装置30の製造方法について説明する。
TFT基板、第1電極31、正孔輸送層32、発光層33、及び、ブロック層34を作製する工程は、実施形態1と同様である。
次に、図4に示すようにブロック層34まで形成された基板を、グローブボックス(水及び酸素濃度5ppm以下)へ搬送し、ブロック層34をルイス酸性金属イオン溶液に浸した後、基板を取り出して、ブロック層34に200°で5分間の真空ベーク処理を施す。
続いて、ブロック層34上に、Alq3を蒸着速度1Å/secで蒸着することにより、図5に示すような40nmの膜厚の電子輸送層35を形成する。
次に、電子輸送層35まで形成された基板を、グローブボックス(水及び酸素濃度5ppm以下)へ搬送し、電子輸送層35をルイス酸性金属イオン溶液に浸した後、基板を取り出して、電子輸送層35に200°で5分間の真空ベーク処理を施す。
次いで、電子輸送層35上に、LiFを真空蒸着法により 蒸着速度1Å/secで蒸着することにより、電子注入層36を形成する。さらに、電子注入層36上に、Al膜を形成して第2電極37を作製し、これにより有機EL表示装置30が完成する。
なお、本実施形態では、各有機層を蒸着法により形成したが、これに限らず、例えば、インクジェット法、スピンコート法、スプレー法、又は、印刷法等により形成してもよい。
(実施形態2の作用効果)
実施形態2に係る有機EL表示装置30は、上述のように、ブロック層34の電子輸送層35側表面だけでなく、電子輸送層35の電子注入層36側表面にもルイス酸性金属イオン処理が施されている。このため、ブロック層34と電子注入層36との層間の仕事関数の差のみならず、電子注入層36と電子輸送層35との層間の仕事関数の差をも小さくすることができる。
従って、電子輸送層35からブロック層34への電子の注入能力だけでなく、電子注入層36から電子輸送層35への電子の注入能力も良好となる。このため、有機EL表示装置30の低駆動電圧化をより良好に実現できる。また、有機層間の仕事関数の差を小さくするために、金属イオン処理をしているのみであり、多種類の有機層を形成しなくてもよいため、製造装置の設備、コスト、製造時間の面で非常に有利である。さらに、従来のように有機層を構成する化合物とは異なる化合物を有機層の界面に真空蒸着法でドープする方法ではドープする材料が不安定であるが、有機EL表示装置30のブロック層34は金属イオン処理を表面に施すものであるため、本実施形態に係る製造方法を量産プロセスに導入することが可能となり、製造効率も良好となる。
また、ブロック層34の表面処理のための金属イオンのルイス酸性や濃度を選択することで、有機EL表示装置30の電子輸送性を容易に制御することができる。
(評価試験1)
本発明の実施形態1に係る製造方法において、ブロック層表面のルイス酸性金属イオン処理として、(1)スカンジウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM、1mM)、(2)マグネシウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)、(3)リチウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)、(4)アルミニウム(III)トリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)にそれぞれ浸した後、基板を取り出して、電子輸送層35に200°で5分間の真空ベーク処理を施したものを、(1)実施例1−1、(2)実施例1−2、(3)実施例1−3、(4)実施例1−4とした。また、上記実施形態1に係る有機EL表示装置に対し、ブロック層にルイス酸性金属イオン処理を行っていない以外は同様の構成の有機EL表示装置を作製し、比較例1とした。このように作製した実施例及び比較例について、蛍光X線分析(XDS)、GC−MS分析、HPLC分析等により、それぞれ発光効率及び素子寿命を評価した。なお、分析装置の検出限界もあり、検出可能濃度は0.1ppm以上であった。
(評価試験1の結果)
比較例1は、発光効率が20cd/A(印加電圧6.5V、輝度1000cd/m)であった。また、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、8000hであった。
実施例1−1は、発光効率が35cd/A(1μM)、25cd/A(1mM)であり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、8300h(1μM)、2000h(1mM)となった。
実施例1−2は、発光効率が50cd/Aであり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、7600hとなった。
実施例1−3は、発光効率が30cd/Aであり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、8200hとなった。
実施例1−4は、発光効率が10cd/Aであり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、1000hとなった。
これにより、ブロック層表面にルイス酸性金属イオン処理を施して作製した実施例は、ルイス酸性金属イオン処理を施していない比較例より発光効率が良好となることがわかった。また、寿命については、実施例は比較例に比べて同程度となることがわかった。
なお、ブロック層表面にアルミニウムイオン処理を施して作製した実施例1−4のみの発光効率及び寿命が比較例1よりも悪くなった理由としては、アルミニウム(III)イオンで金属イオン処理を施した場合には、BCPとの間でAl(III)がAl(II)へと化学変化し、これによりBCPが変性したためであると考えられる。
また、実施例1−2の発光効率が最も優れているのは、実施例1−2ではAlq3からBCPへの電子輸送に係るエネルギーギャップが適度であることが考えられる。実施例1−1では、スカンジウムイオン処理によって電子輸送性が上がり過ぎて、素子全体のキャリアバランスが崩れるため、発光効率が劣っていると考えられる。また、実施例1−3では、リチウムイオン処理による電子輸送性の向上が十分ではないため、発光効率が劣っていると考えられる。
さらに、実施例1−1では、スカンジウムトリフラートのアセトニトリル溶液の濃度を、1μMのものと1mMのものとを用いているが、これらによっても発光効率と寿命の差異が生じることがわかった。ここで、1mMのものが1μMのものより発光効率及び寿命の両面で劣っているのは、1mMのものがBCPとAlq3との界面上に金属イオンが残存し過ぎて、電子輸送性が上がり過ぎ、素子全体としての正孔輸送性と電子輸送性とのバランスが悪くなったためであると考えられる。このように、層間のエネルギーギャップは、金属イオンの種類、濃度の両面から制御することができる。
(評価試験2)
本発明の実施形態2に係る製造方法において、ブロック層表面に、マグネシウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)によるルイス酸性金属イオン処理を施した。また、電子輸送層表面には、(1)スカンジウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM、1mM)、(2)マグネシウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)、(3)リチウムトリフラートのアセトニトリル溶液(1μM)にそれぞれ浸した後、基板を取り出して、電子輸送層35に200°で5分間の真空ベーク処理を施した。これにより、(1)実施例2−1、(2)実施例2−2、(3)実施例2−3をそれぞれ作製した。また、実施例2−1〜2−3に対し、電子輸送層にルイス酸性金属イオン処理を行っていない以外は同様の構成の有機EL表示装置を作製し、比較例2とした。このように作製した実施例及び比較例について、蛍光X線分析(XDS)、GC−MS分析、HPLC分析等により、それぞれ発光効率及び素子寿命を評価した。なお、分析装置の検出限界もあり、検出可能濃度は0.1ppm以上であった。
(評価試験2の結果)
比較例2は、発光効率が50cd/A(印加電圧5.5V、輝度1000cd/m)であった。また、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、7600hであった。
実施例2−1は、発光効率が60cd/A(1μM、印加電圧4.5V、輝度1000cd/m)、63cd/A(1mM、印加電圧4.5V、輝度1000cd/m)であり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、いずれも8000hとなった。
実施例2−2は、発光効率が50cd/Aであり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、7600hとなった。
実施例2−3は、発光効率が30cd/Aであり、寿命については、輝度を1000cd/mとしたときに、8200hとなった。
これにより、電子輸送層表面にルイス酸性金属イオン処理を施して作製した実施例2−1は、ルイス酸性金属イオン処理を施していない比較例より発光効率が良好となることがわかった。また、寿命については、実施例は比較例に比べて同程度となることがわかった。
また、ブロック層だけでなく、電子輸送層表面にもルイス酸性金属イオン処理を施して作製した実施例(2ー1〜2−3)は、ブロック層のみ処理した実施例(1−1〜1−3)よりもさらに発光効率が良好となり、より低電圧の駆動が実現されることがわかった。
以上説明したように、本発明は、有機EL表示装置及びその製造方法について有用である。
実施形態1に係る有機EL表示装置の断面図である。 実施形態1に係るブロック層形成後の有機EL表示装置の断面図である。 実施形態2に係る有機EL表示装置の断面図である。 実施形態2に係るブロック層形成後の有機EL表示装置の断面図である。 実施形態2に係る電子輸送層形成後の有機EL表示装置の断面図である。
符号の説明
10,30 有機EL表示装置
11,31 第1電極
12,32 正孔輸送層
13,33 発光層
14,34 ブロック層
15,35 電子輸送層
16,36 電子注入層
17,37 第2電極
20,40 正孔輸送部
21,41 電子輸送部

Claims (10)

  1. 絶縁性基板と、
    上記絶縁性基板上に形成された第1電極と、
    上記第1電極上に形成された正孔輸送部と、
    上記正孔輸送部上に形成された発光層と、
    上記発光層上に形成され、電子輸送層側から発光層側への電子移動を活性化させるための金属イオン処理が表面に施された有機層を備えた電子輸送部と、
    上記電子輸送部上に形成された第2電極と、
    を備えた有機EL表示装置。
  2. 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
    上記金属イオン処理は、ルイス酸性金属イオンを用いて行う有機EL表示装置。
  3. 請求項2に記載された有機EL表示装置において、
    上記ルイス酸性金属イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Al、Zn、Ga又はInのイオンである有機EL表示装置。
  4. 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
    上記有機層の金属イオン処理が施された表面は、該金属イオンのカウンターアニオンとして、ハロゲン元素、カルボニル基、又は、アシル基を有するイオンを備える有機EL表示装置。
  5. 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
    上記電子輸送部は、上記発光層上に形成された電子輸送層及び該電子輸送層上に形成された電子注入層で構成されている有機EL表示装置。
  6. 請求項5に記載された有機EL表示装置において、
    上記金属イオン処理が施される有機層は上記電子輸送層である有機EL表示装置。
  7. 請求項5に記載された有機EL表示装置において、
    上記電子輸送部は、上記発光層と上記電子輸送層との間に設けられたブロック層をさらに備える有機EL表示装置。
  8. 請求項7に記載された有機EL表示装置において、
    上記金属イオン処理が施される有機層は上記ブロック層である有機EL表示装置。
  9. 表面に第1電極、正孔輸送部、及び、発光層がこの順で形成された絶縁性基板を準備する工程と、
    上記絶縁性基板の発光層上に、表面が金属イオン処理が施された有機層を備えた電子輸送部を形成する工程と、
    上記電子輸送部上に第2電極を形成する工程と、
    を備えた有機EL表示装置の製造方法。
  10. 請求項9に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
    上記金属イオン処理後の上記有機層表面に0.1ppm以上の濃度で該金属イオンが残留している有機EL表示装置の製造方法。
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