しかしながら、従来の技術では、高速シリアル伝送とヒンジ機能とを両立させるFPCはシールド材をグランドとして使用している。そのため、従来のシールド材では伝送損失が多くて信号レベルが低下してしまうなどの問題がある。そこで、伝送損失が少ないシールド兼グランド材を開発する要求が高まってきている。また、銅箔を貼りつけてシールド兼グラウンド層を形成すると、FPCの厚さが厚くなって硬くなるために可撓性が低下するなどの問題もある。さらに、従来のFPCのシールド材(例えば、銀ペーストや転写型シールドフィルムなど)をグランドとして使用すると、インピーダンスが高くなって伝送損失が大きくなってしまう。また、スパッタリングや蒸着によってシード層(Ni−Cr合金など)を形成するためには膜厚の管理が難しく、且つ、処理装置が高価になると共に、密着力(基板との引き剥がし強度)が弱くなってしまう。さらに、めっきによってシード層を形成する場合は、FPCを構成する樹脂に対してダメージのある薬液が使用されるおそれがある。また、FPCの環境試験後において密着力がさらに低下するおそれがある。
一方、現行のめっき手順は、一般的に次のような3通りの工程によって行われている。1.被めっき処理面の粗化⇒触媒付与(Pd(パラジューム)コロイドやSn−Pd(錫−パラジューム合金)コロイドの付与)⇒無電解めっき処理
2.被めっき処理面の粗化⇒前処理(表面改質)⇒触媒付与(1と同じ触媒)⇒還元⇒無電解めっき処理
3.脱脂⇒アルカリ改質⇒触媒付与(1と同じ触媒)⇒還元⇒無電解めっき処理 上記3通りのめっき処理の方法は、何れも、被めっき処理面の粗化やアルカリ改質によって構成樹脂表面を改変することでめっき形成が行われるが、このようなめっき形成の方法では、初期の密着力が現われないか、又は初期の密着力が現われても環境試験後に劣化して密着力が低下するおそれがある。また、粗化工程によってFPCを構成する樹脂へダメージを及ぼすおそれもある。
このような種々の問題は、上記特許文献1、2、及び3で用いられるFPCにおいても製造工程において発生するおそれがある。
従って、従来のシールド材よりも伝送損失が少ないシールド兼グランド材を開発し、FPC構成樹脂にダメージを与えることなく湿式めっきで形成するシールド兼グランド材を用いたFPCを製造し、且つ密着力が発現するシリカハイブリッド材用のめっき方法を実現させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ベースフィルムの一面又は両面に金属パターンが配線され、表面保護絶縁材によって金属パターンの一部又は全部が保護されたフレキシブル回路基板において、表面保護絶縁材及び金属パターンの少なくとも一方の表面にシリカハイブリッド材が塗布された構成を採っている。
この構成によれば、シリカハイブリッド材を、塗工、乾燥し、ポリイミド膜化を行うことによりめっきプライマー層を形成することができる。そして、このめっきプライマー層をめっき前処理としての表面調整及び触媒付与することにより、シリカハイブリッド材の表面にめっきを強固に施してシード層を形成することができる。これによって、シード層が剥がれるおそれはなくなる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、シリカハイブリッド材は、めっき前処理としての表面調整及び触媒付与された後に、表面にめっき処理が施されてシード層が形成されることを特徴とする。
この構成によれば、シリカハイブリッド材がめっき前処理の表面調整を行うことによって、表面のナノサイズのシリカ粒子が脱落して約40nm程度の深さで多数の穴が空き、表面に粗面が形成される。そして、触媒を付与しめっきを施すことでシード層が形成される。
従って、このシード層がシリカハイブリッド材の表面から剥がれ落ちることはなくなる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、シード層は、シリカハイブリッド材を構成するシリカ粒子の脱落部分に浸透しためっきにより、シリカハイブリッド層との密着力が発現することを特徴とする。
この構成によれば、シリカハイブリッド材の表面に形成されたシリカ粒子の脱落穴にめっきが浸透してシード層が形成されるので、密着力が発現しシリカハイブリッド材の表面からめっきが剥がれにくくなる。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、上記めっき処理は無電解めっき処理であることを特徴とする。
この構成によれば、シード層を形成するには無電解めっき処理を行う。また、シード層の上に形成する金属膜は、膜厚が厚いのでめっき時間の短い電解めっき処理が施されている。
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、シリカハイブリッド材を用いたシード層に電解めっきによりグランド層を形成し、グランド層に表面保護絶縁材を形成することにより信号回路の両側に絶縁物を介してグランドを平行に配置させたストリップライン構造、及び絶縁層の一方の面に信号回路を配置させ、他方の面にグランドと電源ラインを配置させたマイクロストリップライン構造の何れにも適用できることを特徴とする。
この構成によれば、ストリップライン構造及びマイクロストリップライン構造の何れにおいても、シリカハイブリッド材を用いて本発明のフレキシブル回路基板を実現することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明において、フレキシブル回路基板は高速伝送路に用いられることを特徴とする。
この構成によれば、シリカハイブリッド材を用いたストリップライン構造又はマイクロストリップライン構造を有する高速伝送用のフレキシブル回路基板を提供することができる。
請求項7記載の発明は、ベースフィルムの一面又は両面に金属パターンが配線され、表面保護絶縁材によって金属パターンに一部又は全部が保護されたフレキシブル回路基板の製造方法において、表面保護絶縁材及び金属パターンの少なくとも一方に表面にシリカハイブリッド材を塗布する第1の工程と、シリカハイブリッド材を乾燥されてポリイミド膜化する第2の工程と、ポリイミド膜化されたシリカハイブリッド材のナノサイズのシリカ粒子を脱落させるために表面調整を行った後に、触媒を付与してめっき前処理を行う第3の工程と、めっき前処理されたシリカハイブリッド材の表面に無電解めっきを行ってシード層を形成する第4の工程と、シード層の表面に電解めっき処理を行って金属膜を形成する第5の工程と、エッチングなどによってシード層、及び電解めっきの不要部分を除去る第6の工程と、第6の工程で形成された基板の表面部分及び裏面部分に絶縁層を形成する第7の工程とを含むことを特徴とする。
このようなフレキシブル回路基板の製造方法によれば、シリカハイブリッド材を塗工、乾燥し、ポリイミド膜化を行うことによりめっきプライマー層を形成することができる。そして、このめっきプライマー層にめっき前処理としての表面調整を行うことで、シリカハイブリッド材表面のナノサイズのシリカ粒子が脱落し、アンカー層を形成する。このアンカー層が形成されることで強固なめっきが形成できる。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、無電解めっきは、めっき前処理としての表面調整においてフレキシブル回路基板の構成材料にダメージを与えない湿式めっきであることを特徴とする。
このようなフレキシブル回路基板の製造方法によれば、めっき前処理としての表面調整においてフレキシブル回路基板の構成材料にダメージを与えるおそれはない。
請求項9記載の発明は、ベースフィルムの一面又は両面に金属パターンが配線され、表面保護絶縁材によって金属パターンに−部又は全部が保護されたフレキシブル回路基板の製造方法において、表面保護絶縁材及び金属パターンの少なくとも一方に表面にシリカハイブリッド材溶液を塗布する第1の工程と、シリカハイブリッド材を乾燥されてポリイミド膜化する第2の工程と、ポリイミド膜化した以外の部分にめっきマスクを用いてシールド材に必要ない部分にめっきマスクを形成する第3の工程と、ポリイミド膜化されたシリカハイブリッド材のナノサイズのシリカ粒子を脱落させるために表面調整を行った後に、触媒を付与してめっき前処理を行う第4の工程と、めっき前処理されたシリカハイブリッド材の表面に無電解めっきを行ってシード層を形成する第5の工程とこ シード層の表面に電解めっき処理を行って金属膜を形成する第6の工程と、めっきマスクを除去する第7の工程と、第7の工程で形成された基板の表面部分及び裏面部分に絶縁層を形成する第8の工程とを含むことを特徴とする。
このようなフレキシブル回路基板の製造方法によれば、シリカハイブリッド材溶液を塗工、乾燥し、ポリイミド膜化を行うことによりめっきプライマー層を形成することができる。このめっきプライマー層以外の部分にめっきマスクを形成することで、シールド材の不要部分の表面を保護し、めっき前処理としての表面調整を行うことで、シリカハイブリッド材表面のみナノサイズのシリカ粒子が脱落し、アンカー層を形成する。このアンカー層を形成することで強固なめっきが形成できる。
請求項10記載の発明は、ベースフィルムの一面又は両面に金属パターンが配線され、表面保護絶縁材によって金属パターンに一部又は全部が保護されたフレキシブル回路基板の製造方法において、表面保護絶縁材及び金属パターンの少なくとも一方に表面にシリカハイブリッド材溶液を塗布する第1の工程と、シリカハイブリッド材を乾燥されてポリイミド膜化する第2の工程と、ポリイミド膜化されたシリカハイブリッド材のナノサイズのシリカ粒子を脱落させるために表面調整を行った後に、触媒を付与してめっき前処理を行う第3の工程と、めっき前処理されたシリカハイブリッド材の表面に無電解めっきを行って選択的にシード層を形成する第4の工程と、シード層の表面に電解めっき処理を行って金属膜を形成する第5の工程と、第5の工程で形成された基板の表面部分及び裏面部分に絶縁層を形成する第6の工程とを含むことを特徴とする。
このようなフレキシブル回路基板の製造方法によれば、シリカハイブリッド材溶液を塗工、乾燥し、ポリイミド膜化を行うことによりめっきプライマー層を形成することができる。そして、このめっきプライマー層にめっき前処理としての表面調整を行うことで、シリカハイブリッド材表面のナノサイズのシリカが粒子脱落し、アンカー層を形成する。このアンカー層を形成することで強固なめっきが形成できる。さらにシリカハイブリッド材表面以外はシリカの脱落がなく、表面調整での粗化がされないために触媒付与、無電解めっきを行ってもシード層が形成されない。シリカハイブリッド材表面にのみ選択的に無電解めっきが形成され、シード層が形成される。
請求項11記載のシリカハイブリッド材は例えば、特許第3962997号で開示されたものであってもよい。
請求項1記載の発明によれば、シリカハイブリッド材にめっき前処理としての表面調整及び触媒を付与することにより、シリカハイブリッド材の表面にめっきを強固に施してシード層を形成することができる。これによって、シード層が剥がれるおそれはなくなる。
請求項2記載の発明によれば、めっき前処理としての表面調整を行うことで、シリカハイブリッド材の表面のシリカ粒子が脱落してできた多数の穴によって粗面が形成され、この粗面に触媒を付与することによって、表面のめっきが強固に施されてシード層が形成される。従って、このシード層がシリカハイブリッド材の表面から剥がれ落ちることはなくなる。
請求項3記載の発明によれば、シリカハイブリッド材の表面に形成されたシリカ粒子の脱落穴にめっきが浸透してシード層が形成されるので、ナノサイズのアンカー層が形成されたことにより、シリカハイブリッド材の表面からめっきが剥がれにくくなる。
請求項4記載の発明によれば、無電解めっきによりシード層を形成し、電解めっきにより金属膜を形成することができる。しかも、めっき層の膜厚を必要最小限に薄くすることができ、可撓性をもつことができるので、このめっき層のパターンをシールド兼グランドとして用いた場合はインピーダンスを低くすることができるので伝送損失を低く抑えることが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、ストリップライン構造及びマイクロストリップライン構造の何れにおいても、シリカハイブリッド材を用いてフレキシブル回路基板を実現することができる。
請求項6記載の発明によれば、めっきの厚さが5μm以下の薄さであっても伝送損失の低減化が図れる。従って、フレキシブル回路基板の厚さを従来より薄くし伝送損失を低減させることができるので、シリカハイブリッド材を用いたストリップライン構造又はマイクロストリップライン構造の高速伝送用のフレキシブル回路基板を安価に提供することが可能となる。
請求項7記載の発明によれば、シリカハイブリッド材をめっき前処理としての表面調整及び触媒を付与することにより、シリカハイブリッド材の表面にめっきを強固に施してシード層を形成すことができるので、シード層が剥がれるおそれはなくなる。
請求項8記載の発明によれば、めっき前処理としての表面調整において、フレキシブル回路基板の構成材料にダメージを与えるおそれはない。
請求項9記載の発明によれば、シリカハイブリッド材表面以外をめっきマスクにより保護しているため、めっき前処理としての表面調整において、フレキシブル回路基板の構成材料にダメージを与えるおそれはない。
請求項10記載の発明によれば、シリカハイブリッド材をめっき前処理としての表面調整及び触媒付与することにより、シリカハイブリッド材の表面のみにめっきを強固に施してシード層を選択的に形成できる。
請求項11記載のシリカハイブリッド材は、プラズマ処理やコロナ処理などの表面処理を行っていないポリイミドには、十分な密着をもっためっきが形成できないような弱い表面調整でも十分な密着をもっためっきが形成できる。
以下、図1乃至図6を用いて、従来技術と対比しながら本発明の好適な実施例について詳述する。尚、両面FPC又は片面FPCの片側もしくは両側に、シールド材として銀ペーストかシールドフィルムを有するストリップライン構造あるいはマイクロストリップライン構造のFPCについては周知の技術であるので説明を省略する。以下の説明では、無電解めっきによってシード層を形成しその表面に電解めっきを施す従来のFPCと、シリカハイブリッド材に無電解めっきを形成し、その上に電解めっきを施す本発明のFPCとの比較を行う。
図1は、従来技術と本発明におけるストリップライン構造及びマイクロストリップライン構造の比較例を示す断面図であり、(a)は従来技術の構造、(b)は本発明の構造を示している。すなわち、この図は、無電解めっきによってシード層を形成し、その表面に電解めっきを施す従来のFPCと、シリカハイブリッド材に無電解めっきを形成しその上に電解めっきを施す本発明のFPCとの比較を示す図である。
従来の両面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(a−1)に示すように、ベースフィルム12上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13a、13bを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13a、13bの上下面には表面保護絶縁材14a、14bを形成し、該グランド回路13a及び、該表面保護絶縁材14aの表面にめっきを施してシード層16aを形成した後に電解めっき17aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18aを形成する。
また、従来の両面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(a−2)に示すように、ベースフィルム12上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13a、13bを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13a、13bの上下面には表面保護絶縁材14a、14bを形成し、該グランド回路13a13b及び、該表面保護絶縁材14a、14bの表面にめっきを施してシード層16a16bを形成した後に電解めっき17a、17bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18a、18bを形成する。
さらに、従来の両面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(a−3)に示すように、ベースフィルム12上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13a、13bを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13a、13bの上下面には表面保護絶縁材14a、14bを形成し、該グランド回路13b及び、該表面保護絶縁材14bの表面にめっきを施してシ−0ド層16bを形成した後に電解めっき17bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18bを形成する。
また、従来の両面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(a−4)に示すよぅに、ベースフィルム12上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13a,13bを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13a,13bの上下面に表面保護絶縁材14a,14bを形成し、該グランド回路13a及び、該表面保護絶縁材14aの表面にめっきを施してシード層16aを形成した後に電解めっき17aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18aを形成する。
従来の片面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(a−5)に示すように、べ−スフィルム12上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13aを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13aの上面に表面保護絶縁材14aを形成し、該べ−スフィルム12下面(裏面)及び、該グランド回路13aの上下面、該表面保護絶縁材14aの表面にめっきを施してシード層16a、16bを形成した後に電解めっき17a、17bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18a、18bを形成する。
従来の片面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(a−6)に示すように、べ−スフィルム12上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13aを有すると共に、前記信号回路11とグランド回路13aの上面に表面保護絶縁材14aを形成し、該べ−スフィルム12下面(裏面)及び、該グランド回路13aの下面にめっきを施してシード層16bを形成した後に電解めっき17bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18bを形成する。
従来の片面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(a−7)に示すように、べ−スフィルム12上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11とグランド回路13aを有すると共に前記信号回路11とグランド回路13a上面に表面保護絶縁材14aを形成し、該グランド回路13a及び、該表面保護絶縁材14aの表面めっきを施してシード層16aを形成した後に電解めっき17aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材18aを形成する。
一方、本発明の両面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(b−1)に示すように、ベースフィルム2上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3a、3bを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3a、3bの上下面には表面保護絶縁材4a、4bを形成し、該グランド回路3a及び、該表面保護絶縁材4aの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5aを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5aの表面にシード層6aを形成した後に電解めっき7aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8aを形成する。
また、本発明の両面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(b−2)に示すように、ベースフィルム2上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3a、3bを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3a、3bの上下面には表面保護絶縁材4a、4bを形成し、該グランド回路3a、3b及び、該表面保護絶縁材4a、4bの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5a、5bの表面にシード層6a、6bを形成した後に電解めっき7a、7bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8a、8bを形成する。
さらに、本発明の両面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(b−3)に示すように、ベースフィルム2上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3a、3bを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3a、3bの上下面には表面保護絶縁材4a、4bを形成し、該グランド回路3b及び、該表面保護絶縁材4bの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5bを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5bの表面にめっきを施してシード層6bを形成した後に電解めっき7bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8bを形成する。
また、本発明の両面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(b−4)に示すように、ベースフィルム2上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3a,3bを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3a,3bの上下面に表面保護絶縁材4a,4bを形成し、該グランド回路3a及び、該表面保護絶縁材4aの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5aを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5aの表面にめっきを施してシード層6aを形成した後に電解めっき7aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8aを形成する。
本発明の片面FPCにおけるストリップライン構造では、同図(b−5)に示すように、べ−スフィルム2上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3aを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3aの上面に表面保護絶 縁材4aを形成し、該べ−スフィルム2下面(裏面)及び、該グランド回路3aの上下面、該表面保護絶縁材4aの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5a、5bの表面にめっきを施してシード層6a、6bを形成した後に電解めっき7a、7bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8a、8bを形成する。
本発明の片面FPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(b−6)に示すように、べ−スフィルム2上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3aを有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3aの上面に表面保護絶縁材4aを形成し、該ベースフィルム2下面(裏面)及び、該グランド回路3a下面の表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5bを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5bの表面にめっきを施してシード層6bを形成した後に電解めっき7bを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8bを形成する。
本発明のFPCにおけるマイクロストリップライン構造では、同図(b−7)に示すように、ベースフィルム2上に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3を有すると共に、前記信号回路1とグランド回路3aの上面に表面保護絶縁材4aを形成し、該グランド回路3a及び、該表面保護絶縁材4aの表面の一部にシリカハイブリッド材溶液を塗工、ポリイミド膜化し、シリカハイブリッド硬化物5aを形成する。そして、該シリカハイブリッド硬化物5aの表面にめっきを施してシード層6aを形成した後に電解めっき7aを施し、さらにその表面に表面保護絶縁材8aを形成する。
図2は両面銅張積層板を用いたストリップライン構造の両面FPCにおける従来技術と本発明の製造工程の比較を示す工程図であり、(a)は従来技術の工程、(b)は本発明の工程を示している。従来の両面FPCの製造工程は図(a)の1段目の図に示すように、ベースフィルム12の上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路11と、グランド回路13a、13bを有すると共に前記信号回路11とグランド回路13a、13bの上下面には表面保護絶縁材14a、14bを形成した両面FPCが用意されている。
このような構成の両面FPCを用意して、以下のような(1)〜(5)の各工程が行われる。めっきマスクを用いる際は、予めシールド材の不要部分にめっきマスクを形成しておく必要がある。
(1)めっき前処理の工程において、グランド回路13a、13b及び表面保護絶縁材14a、14bの表面に数ミクロン程度の粗化処理を施す。
(2)無電解めっき処理の工程において、グランド回路13a、13b及び表面保護絶縁材14a、14bの粗化処理面に無電解めっきを施し、シード層16a、16bを形成する。
(3)電解めっき処理の工程において、シード層16a、16bの表面に電解めっき17a、17bを施す。
(4)不要部分の除去処理の工程において、シード層16a、16b及び電解めっき17a、17bの不要部分をエッチングなどによって除去する。めっきマスクを用いた場合、エッチングなどの処理は必要なく、この工程でめっきマスクを除去する。
(5)表面保護絶縁層形成の工程において、表面保護絶縁材14a、14b、電解めっき17a、17bの表面に表面保護絶縁材を形成する。以上によって、従来の両面銅張積層板を用いたストリップライン構造の両面FPCが作製される。
一方、本発明の両面FPCの製造工程は、図2(b)の1段目の図に示すように、ベースフィルム2の上下に銅箔に対するエッチング処理によって形成された信号回路1と、グランド回路3a、3bを有すると共に前記信号回路1とグランド回路3a、3bの上下面には表面保護絶縁材4a、4bを形成した両面FPCが用意されている。
このような構成のFPCを用意して、以下のような(1)〜(6)の各工程が行われる。
(1)シリカハイブリッド材溶液塗工の工程において、グランド回路3a、3b及び表面
保護絶縁材4a、4bの表面の−部にシリカハイブリッド材溶液を塗工し、乾燥、ポリイミド膜化することでシリカハイブリッド硬化物5a、5bとなる。また、めっきマスクを用いる際は、シールド材の不要部分にめっきマスクを形成しておく必要がある。
(2)めっき前処理の工程において、(1)の両面FPCを前処理液及び触媒液に浸漬させてめ っき前処理を行う。
(3)無電解めっき処理の工程において、めっき前処理が行われたグランド回路3a、3b及びシリカハイブリッド硬化物5a、5bの表面に無電解めっきを施してシード 層6a、6bを形成する。
(4)電解めっき処理の工程において、シード層6a、6bの表面に電解めっき7a、7bを施して金属膜を形成する。
(5)不要部分の除去処理の工程において、シード層6a、6b及び電解めっき7a、7bの不要部分をエッチングなどによって除去する。めっきマスクを用いた場合、エッチングなどの処理は必要なく、この工程でめっきマスクを除去する。また、選択的にシード層、金属膜形成が可能な場合は不要部分の除去処理は不要となる。
(6)表面保護絶縁層形成の工程において、表面保護絶縁材4a、4b、電解めっき7a、7bの表面に表面保護絶縁材を形成する。
このようにして、本発明のFPCの工程が従来の工程と異なる点は、めっきプライマー層を形成するためにシリカハイブリッド材を塗工、乾燥、及びポリイミド膜化を行っているところである。これによって、めっきプライマー層上又はグランドに無電解めっきを施す際のめっき前処理の内容が従来と異なり、通常必要とされるポリイミド表面の粗化処理の必要はなくなり、ポリイミド粗化を伴わない前処理によりナノサイズのシリカ粒子を脱落させてアンカー層を形成することができる。このようにしてアンカー層を形成することで強固なめっきが形成される。
図3−1は、本発明に係る両面FPCの製造工程の流れを示す工程図である。従って、同図を用いて本発明に係る両面FPCの製造工程の流れを詳細に説明する。
先ず、第1工程において、両面FPCの基板は、ベースフィルム2の上下に銅箔に対するエッチング処理によって信号回路1及びグランド回路3a、3bを形成し、グランド回路3a、3bの一部を除いて、グランド回路3a、3b及び信号回路1の表面に表面保護絶縁材4a、4bを形成する。
次に、第2工程のめっきプライマー層形成の工程において、シリカハイブリッド材溶液を塗工する。すなわち、シリカハイブリッド材溶液塗工工程において、グランド回路3a、3bの一部及び表面保護絶縁材4a、4bの表面にシリカハイブリッド材溶液を塗工、乾燥、ポリイミド膜化を行い、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成する。ここで塗工されるシリカハイブリッド材溶液は、溶媒中に固形物が溶けているワニスであって、最終的にシールド材にしたい部分にワニスを塗工する。
第3工程のめっき前処理の工程において、上記第1工程、第2工程を通過したFPCを前処理液に浸漬させ、さらに触媒を付与し、めっき前処理を行う。すなわち、この工程では通常必要とされる粗化処理を行うのではなく、めっき前処理としてFPCを前処理液に浸漬する。このような前処理によって、シリカハイブリッド材(シリカハイブリッド硬化物5a、5b)の表面のナノサイズのシリカ粒子(直径約5nm)が脱落して釣40nmの深さのアンカー層が形成される。そして、Pb系の触媒液に浸漬させてナノサイズのシリカ粒子が脱落した部分に触媒の付与を行う。
第4工程のシード層形成(無電解めっき処理)の工程において、グランド回路3a、3b及び表面保護絶縁材4a、4bまた、シリカハイブリッド硬化物5a、5b表面に無電解めっきを施してシード層を形成する。すなわち第3工程で形成されたシリカハイブリッド硬化物5a、5bのアンカー層によって無電解めっきが強固に施され、シード層6a、6bが形成される。このときの無電解めっきとしては、例えばCu、Ni、Cu−Ni合金などが形成される。尚、シリカハイブリッド硬化物5a、5b以外の表面にも無電解めっきが形成されるが、それらの部分はアンカー層が形成されないために密着力は極めて弱い。
第5工程の金属膜形成(電解めっき形成)の工程において、シード層6a、6bの表面に電解めっき7a、7bを形成し金属膜を形成する。すなわち伝送特性に必要な厚み(約5μm以下)にするために電解めっきによって金属膜を形成する。尚、無電解めっきによって金属膜を形成することも可能であるが、めっき処理時間が長くかかるために電解めっきによる金属膜形成が望ましい。
第6工程の不要部分除去の工程において、グランド回路3a、3b及び、シリカハイブリッド硬化物5a、5bの表面以外(不要とする部分)をエッチングにより除去する。すなわち、シールド材として必要のない部分(表面保護絶縁材4a、4bの一部の表面に形成された)のシード層6a、6b及び金属膜化した電解めっき7a、7bをエッチングにより除去する。
第7工程の絶縁層形成(表面保護絶縁層形成)の工程において表面保護絶縁材4a、4b、電解めっき7a、7bの表面に表面保護絶縁材8a、8bを形成する。このようにして、FPCの表面保護のために表面保護絶縁材8a、8bを形成し、絶縁層を形成する。以上の工程によって本発明の両面FPCが形成される。
また、図3−2は、本発明に係る両面FPCのめっきマスクを用いてゐ製造工程の流れを示す工程図であり、同図を用いて本発明に係る両面FPCの製造工程の流れを詳細に説明する。
先ず、第1工程において、両面FPCの基板は、ベースフィルム2の上下に銅箔に対するエ ツチング処理によって信号回路1及びグランド回路3a、3bを形成し、グランド回路3 a、3bの一部を除いて、グランド回路3a、3b及び信号回路1の表面に表面保護絶縁材4a、4bを形成する。
次に、第2工程のめっきプライマー層形成の工程において、シリカハイブリッド材溶液を塗工する。すなわち、シリカハイブリッド材溶液塗工工程において、グランド回路3a、3bの一部及び表面保護絶縁材4a、4bの表面にシリカハイブリッド材溶液を塗工、乾燥、ポリイミド膜化を行い、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成する。ここで塗工され るシリカハイブリッド材溶液は、溶媒中に固形物が溶けているワニスであって、最終的に シールド材にしたい部分にワニスを塗工する。
第3工程のめっきマスク形成の工程において、上記第2工程でシリカハイブリッド材溶液を塗工し、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成した部分以外(シールド材の不要部分)の表面保離縁材4a、4b上にめっきマスク9a、9bを形成する。
第4工程のめっき前処理の工程において、上記第1工程、第2工程、第3工程を通過したFPCを前処理液に浸漬させ、さらに触媒を付与し、めっき前処理を行う。すなわち、この工程では通常必要とされる粗化処理を行うのではなく、めっき前処理としてFPCを前処理液に浸漬する。このような前処理によって、シリカハイブリッド材(シリカハイブリッド硬化物5a、5b)の表面のナノサイズのシリカ粒子(直径釣5nm)が脱落して約40nmの探さのアンカー層が形成される。そして、Pb系の触媒液に浸漬させてナノサイズのシリカ粒子が脱落した部分に触媒の付与を行う。
第5工程のシード層形成(無電解めっき処理)の工程において、グランド回路3a、3b及び表面保護絶縁材4a、4bまた、シリカハイブリッド硬化物5a、5b表面に無電解めっきを施してシード層を形成する。すなわち第4工程で形成されたシリカハイブリッド硬化物5a、5bのアンカー層によって無電解めっきが強固に施され、シード層6a、6bが形成される。このときの無電解めっきとしては、例えばCu、Ni、Cu−Ni合金などが形成される。
第6工程の金属膜形成(電解めっき形成)の工程において、シード層6a、6bの表面に電解めっき7a、7bを形成し金属膜を形成する。すなわち伝送特性に必要な厚み(約5μm以下)にするために電解めっきによって金属膜を形成する。尚、無電解めっきによって金属膜を形成することも可能であるが、めっき処理時間が長くかかるために電解めっきによる金属膜形成が望ましい。
第7工程のめっきマスク除去の工程において、めっきマスク9a、9bを除去する。
第8工程の絶縁層形成(表面保護絶縁層形成)の工程において表面保護絶縁材4a、4b、電解めっき7a、7bの表面に表面保護絶縁材8a、8bを形成する。このようにして、FPCの表面保護のために表面保護絶縁材8a、8bを形成し、絶縁層を形成する。以上の工程によって本発明の両面FPCが形成される。
図3−3は、本発明に係る両面FPCの製造工程の流れを示す工程図である。従って、同図を用いて本発明に係る両面FPCの製造工程の流れを詳細に説明する。
先ず、第1工程において、両面FPCの基板は、ベースフィルム2の上下に銅箔に対するエッチング処理によって信号回路1及びグランド回路3a、3bを形成し、グランド回路3a、3bの一部を除いて、グランド回路3a、3b及び信号回路1の表面に表面保護絶縁材4a、4bを形成する。
次に、第2工程のめっきプライマー層形成の工程において、シリカハイブリッド材溶液を塗工する。すなわち、シリカハイブリッド材溶液塗工工程において、グランド回路3a、3bの一部及び表面保護絶縁材4a、4bの表面にシリカハイブリッド材溶液を塗工、乾燥、ポリイミド膜化を行い、シリカハイブリッド硬化物5a、5bを形成する。ここで塗工されるシリカハイブリッド材溶液は、溶媒中に固形物が溶けているワニスであって、最終的にシールド材にしたい部分にワニスを塗工する。
第3工程のめっき前処理の工程において、上記第1工程、第2工程を通過したFPCを前処理液に浸漬させ、さらに触媒を付与し、めっき前処理を行う。すなわち、この工程では通常必要とされる粗化処理を行うのではなく、めっき前処理としてFPCを前処理液に浸漬する。このような前処理によって、シリカハイブリッド材(シリカハイブリッド硬化物5a、5b)の表面のナノサイズのシリカ粒子(直径約5nm)が脱落して約40nmの深さのアンカー層が形成される。そして、Pb系の触媒液に浸漬させてナノサイズのシリカ粒子が脱落した部分に触媒の付与を行う。
第4工程のシード層形成(無電解めっき処理)の工程において、グランド回路3a、3b及びシリカハイブリッド硬化物5a、5b表面に無電解めっきを施してシード層を選択的に形成する。すなわち第3工程で形成されたシリカハイブリッド硬化物5a、5bのアンカー層によって無電解めっきが強固に施され、シード層6a、6bが形成される。このときの無電解めっきとしては、例えばCu、Ni、Cu−Ni合金などが形成される。
第5工程の金属膜形成(電解めっき形成)の工程において、シード層6a、6bの表面に電解めっき7a、7bを形成し金属膜を形成する。すなわち伝送特性に必要な厚み(約5μm以下)にするために電解めっきによって金属膜を形成する。尚、無電解めっきによって金属膜を形成することも可能であるが、めっき処理時間が長くかかるために電解めっきによる金属膜形成が望ましい。
第6工程の絶縁層形成(表面保護絶縁層形成)の工程において表面保護絶縁材4a、4b、電解めっき7a、7bの表面に表面保護絶縁材8a、8bを形成する。このようにして、FPCの表面保護のために表面保護絶縁材8a、8bを形成し、絶縁層を形成する。以上の工程によって本発明の両面FPCが形成される。
以上述べたように、グランド回路上又は表面保護絶縁材上にシリカハイブリッド材溶液を塗工して、乾燥、ポリイミド膜化を行うことによりめっきプライマー層の形成を行い、その後に無電解めっきを施してシード層を形成する。このときの無電解めっきは、通常必要とされるポリイミド表面の粗化処理を行う必要はなく、ポリイミド粗化を行わない前処理液によってナノサイズのシリカ粒子を脱落させてアンカー層を形成した上に施す。このようにしてアンカー層を形成することで強固なめっきが形成される。
尚、シリカハイブリッド材溶液を塗工しないでめっき処理を行った場合は、表面にめっきが付着しないか或いは密着力が発現しない状態となる。このようにして、無電解めっきを形成した後に金属膜化のため電解めっきを行い、その後絶縁層を形成することにより、優れた高速シリアル伝送用のFPCが製造される。
図4−1は、図3−1に示す両面FPCの製造工程における各条件を示す図である。従って、図3−1を参照しながら図4−1を説明する。図4−1に示すように、第2工程のめっきプライマー層形成の工程においては、シリカハイブリッド材溶液を塗工し、乾燥は100℃10minで行い、ポリイミド膜化は250℃ピークの窒素乾燥炉で行う。
第3工程のめっき前処理の工程においては、表面調整は25℃3min、触媒付与は40℃3minで行う。第4工程のシード層形成の工程においては、無電解めっきを45℃3minで行う。第5工程の金属膜形成の工程においては、硫酸銅めっきを処理時間200secで行う。第6工程の不要部分除去の工程においては、ドライフィルム型レジストを用いてラミネート、露光、現像、エッチング、剥離を行う。第7工程の絶縁層形成の工程において、表面保護絶縁材を形成する。
図4−2は、図3−2に示す両面FPCの製造工程における各条件を示す図である。従って、図3−2を参照しながら図4−2を説明する。図4−2に示すように、第2工程のめっきプライマー層形成の工程においては、シリカハイブリッド材溶液を塗工し、乾燥は100℃10minで行い、ポリイミド膜化は250℃ピークの窒素乾燥炉で行う。
第3工程のめっきマスク形成の工程においては、めっきマスクをラミネートにより貼り合せる。第4工程のめっき前処理の工程においては、表面調整は25℃3min、触媒付与は40℃3minで行う。第5工程のシード層形成の工程においては、無電解めっきを45℃3minで行う。第6工程の金属膜形成の工程においては、硫酸銅めっきを処理時間200secで行う。第7工程のめっきマスク除去の工程においては、めっきマスクを剥がし除去する。第8工程の絶縁層形成の工程において、表面保護絶縁材を形成する。
図4−3は、図3−3に示す両面FPCの製造工程における各条件を示す図である。従って、図3−3を参照しながら図4−3を説明する。図4−3に示すように、第2工程のめっきプライマー層形成の工程においては、シリカハイブリッド材溶液を塗工し、乾燥は100℃10minで行い、ポリイミド膜化は250℃ピークの窒素乾燥炉で行う。
第3工程のめっき前処理の工程においては、表面調整は25℃3min、触媒付与は40℃3minで行う。第4工程のシード層形成の工程においては、無電解めっきを45℃3minで行う。第5工程の金属膜形成の工程においては、硫酸銅めっきを処理時間200secで行う。第6工程の絶縁層形成の工程において、表面保護絶縁材を形成する。
次に、本発明の製造工程で作製された両面FPCにおいて、インピーダンスアナライザを用いて各材料のインピーダンス測定を行った結果と、ネットワークアナライザを用いて伝送損失(S21)の測定を行った結果について説明する。尚、評価サンプルの作製方法は、両面FPCにおいて、図3−1に示すような、めっきプライマー層形成⇒シード層形成⇒金属膜形成⇒不要部分除去⇒絶縁層形成の工程によるものである。
図5は、従来技術と本発明の両面FPCにおけるインピーダンス特性の比較グラフであり、横軸に周波数(MHz)、縦軸にインピーダンス(Ω)を表している。銀ペーストを施した従来技術の両面FPCの特性(a)は、0〜250MHzの全ての周波数範囲においてインピーダンスが最も高い。本発明の両面FPCにおいてシリカハイブリッドPI(硬化物)1と無電解めっきと3μmの電解めっき処理を施した両面FPCの特性(b)は良好なインピーダンス特性を示し、5μmの電解めっき処理を施した両面FPCの特性(c)は最も良好なインピーダンス特性を示している。
すなわち、従来の両面FPCの特性(a)は、0〜200MHzの全ての周波数範囲においてインピーダンスが高いために伝送損失が大きくなるが、本発明の両面FPCの特性(b)及び特性(c)は0〜2・00MHzの全ての周波数範囲においてインピーダンスが低いために伝送損失が小さく、従って、高速通信に適していると言える。
図6は、従来技術と本発明の両面FPCにおける伝送損失特性の比較グラフであり、横軸に周波数(GHz)、縦軸に伝送損失(dB/cm)を表している。尚、縦軸の伝送損失(dB/cm)はマイナスの数値で示してあるので、マイナスの数値が大きいほど伝送損失が大きいことを示している。
同図に示すように、銀ペーストを施した従来技術の両面FPCの特性(a)は0〜3・OGHzの全ての周波数において伝送損失が最も大きい。本発明の両面FPCにおいてシリヵハイブリッドPI(硬化物)と無電解めっきと電解めっき処理を施したものは、電解めっき厚が3μmの特性(b)と電解めっき厚が5μm(c)で殆んど伝送損失が同じであり、何れも良好な伝送損失を示している。尚、本発明の両面FPCにおいては、電解めっきの厚さを変えても伝送損失は殆んど変わらないことを示している。
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。