本発明は、個体差や環境変化・経時変化を有する光源に対していかなる時においても、携帯情報機器に搭載されたリチウムイオンバッテリー等のバッテリー電圧から最低限必要な昇圧変換を行うことにより駆動電圧を供給し、光源および駆動部における無駄な電力消費を低減させ、リチウムイオンバッテリー等のバッテリーの省消費電力化を実現するという目的を、電圧変換部において、光源駆動部への供給電圧を、あらかじめ設定された初期電圧から、光源を所定の光量で駆動可能な電流範囲において光源駆動部の光源駆動半導体素子の電力損失が最低となる電圧を下限とする一定範囲内に設定された電圧と光源の駆動電圧とを加算した電圧へと制御することにより実現した。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、光源と、光源の電源としてのバッテリーと、光源を所定の光量で駆動するための光源駆動半導体素子を有する光源駆動部と、バッテリーからの供給電圧を光源駆動部への供給電圧に変換する電圧変換部と、を有し、電圧変換部は、光源駆動部への供給電圧を、あらかじめ設定された初期電圧から、光源を所定の光量で駆動可能な電流範囲において光源駆動部の光源駆動半導体素子の電力損失が最低となる電圧を下限とする一定範囲内に設定された電圧と光源の駆動電圧とを加算した電圧へと制御するものである光源駆動装置としたものである。
このように、光源駆動部における電力損失を低く抑えることで、光源駆動装置の消費電力を抑えることができ、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する各種装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びるので、それらの装置をより長い時間使用することが可能となる。
上記課題を解決するための第2の発明は、第1の発明に対し、光源より出射される光の光量を検出する光量検出部と、光量検出部の検出結果を元に、光量が目標値に一致するように光源駆動部を制御する光量制御部と、をさらに有し、電圧変換部による光源駆動部の供給電圧の制御は、光量検出部と光量制御部により光源の出射光量を確定した後の一定期間に行われるようにしたものである。
このように、あらかじめ設定された十分に高い初期電圧において光源の出射光量を安定させた後に電圧変換部から光源駆動部への電力供給電圧の設定を実施することで、光ディスクからの読み取りに必要な光量を出射させた状態で光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第3の発明は、第1の発明に対し、光源駆動半導体素子は、電力損失を間接的に知るための特性を有する構成としたものである。
ここで「電力損失を間接的に知るための特性」とは、光源駆動半導体素子の電力損失を推定することのできる電気単位のことであり、光源駆動半導体素子による光源駆動により光源からの出射光量がほぼ一定であれば、その際の光駆動半導体素子の両端電圧を指す。光源駆動半導体素子の電力損失を直接的に測定することなく、電力損失[電流×電圧]の一方を検知し、これを低く制御することにより結果的に光り駆動半導体素子の電力損失を低く抑えるようにしている。このように、「電力損失を間接的に知るための特性」を利用することにより直接的な計測が困難な光源駆動半導体素子の電力損失が推定可能となり、光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第4の発明は、第1の発明における一定範囲の上限は、光源の最大駆動電圧と最小駆動電圧との差分値と、光源を駆動可能な電流範囲において光源を駆動可能でかつ光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値とを加算した値以下に設定するようにしたものである。
ここで「電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値」とは、光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを推定することのできる電気単位のことであり、前記の「電気損失を間接的に知るための特性」が最小になる光駆動半導体素子の両端電圧を指す。光源駆動半導体素子の電力損失と同様に、電力損失の最低値を直接的に測定することなく、この特性値を用いる。これは、その光源駆動半導体素子の特性を示す仕様値(カタログ値)によって予め知ることができ、設計時にその値を使用することができる。この特性値を下限、この特性値に光源の最大駆動電圧と最小駆動電圧との差分値を加えた値を上限とした一定範囲内に目標値を設定し、その目標値に対して前記の「電気損失を間接的に知るための特性」を制限することにより、光源駆動半導体素子以外の構成素子も含めた光源駆動部における電力損失を最適化し、これにより、光源が駆動可能な範囲でかつ光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第5の発明は、第4の発明において、光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値が光源を駆動可能な電流範囲において略一定であることとしたものである。
これにより、光源駆動部を構成する光源駆動半導体素子の電力損失が最低となる電圧は光源の駆動電流の範囲全体において略一定に低く抑えられるので、光源の駆動電圧が変化しても光源駆動半導体素子の電力損失を最低限に抑えることができる。
上記課題を解決するための第6の発明は、第4の発明において、光源駆動半導体素子はトランジスタであって、光源駆動半導体素子の電力損失を間接的に知るための特性はトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧であり、光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値はトランジスタのコレクタ・エミッタ間の飽和電圧であることとしたものである。
このようなトランジスタの特性を利用することにより、直接的な計測が困難な光源駆動半導体素子の電力損失が推定可能となり、光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第7の発明は、第3の発明において、光源駆動半導体素子の電力損失を間接的に知るための特性を検出し、検出された特性が前記電圧変換部の入力範囲の値に収まるように規格化するモニタ部と、モニタ部より検出される電圧があらかじめ設定された第1の目標電圧値となるよう電圧変換部から光源駆動部への電力供給電圧を制御する電圧制御部と、をさらに有し、第1の目標電圧値は電力損失を間接的に知るための特性に対してあらかじめ設定された第2の目標電圧値が電圧制御部の入力範囲に収まるよう規格化された値であり、第2の目標電圧値は光源を駆動可能な電流範囲において光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値以上であって、光源の最大駆動電圧と最小駆動電圧との差分値と光源を駆動可能な電流範囲において光源を駆動可能でかつ光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値とを加算した電圧値以下に設定されることとしたものである。
これにより、直接的な計測が困難な光源駆動半導体素子の電力損失が推定可能となり、回路を破損することなく光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第8の発明は、第7の発明において、光源駆動半導体素子はトランジスタであって、光源駆動半導体素子の電力損失を間接的に知るための特性はトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧であり、光源駆動半導体素子の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値はトランジスタのコレクタ・エミッタ間の飽和電圧であることとしたものである。
これにより、直接的な計測が困難な光源駆動半導体素子の電力損失が推定可能となり、光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
上記課題を解決するための第9の発明は、第7の発明において、第1の目標電圧値は{(電圧制御部の基準電圧値)−(第2の目標電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算であらかじめ設定される値としたものである。
これにより、基準電圧の値に対して、第2の目標値が十分に小さい場合、第1の目標値を電圧制御部の最大入力可能電圧範囲のほぼ中央値に設定するような規格化を容易に実施できる。また、αを1またはそれ以下に設定することにより、電圧制御部入力電圧範囲に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第10の発明は、第7の発明において、第1の目標電圧値は{(電圧制御部の最大入力可能電圧値)−(第2の目標電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算であらかじめ設定される値としたものである。
これにより、第2の目標値が電圧制御部の入力範囲の約1/2程度である場合、第1の目標値を電圧制御部の入力電圧範囲のほぼ中央値に設定するような規格化が可能である。また、αを1またはそれ以下に設定することにより、電圧制御部入力電圧範囲に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第11の発明は、第7の発明において、第1の目標電圧値は{(第2の目標電圧値)÷(第2の目標電圧値の最大電圧値)×(電圧制御部の最大入力可能電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算であらかじめ設定される値としたものである。
この発明では、第1の目標電圧値は、第2の目標電圧値のとり得る最大電圧値で、設定する第2の目標値を割り、その値に電圧制御部の最大入力可能電圧値を乗じて規格化を行った値である。第2の目標値が電圧制御部の最大入力可能電圧値を超える場合も、電圧制御部の最大入力可能電圧範囲に第1の目標値を設定でき、電圧が制御可能となる。また、αの設定により、電圧制御部の最大入力可能電圧に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第12の発明は、第7の発明において、規格化された特性の検出電圧値はモニタ部にて{(電圧制御部の基準電圧値)−(特性の検出電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算で得た値としたものである。
これにより、基準電圧の値に対して、第2の目標値が十分に小さく、かつ第1の目標値を電圧制御部の最大入力可能電圧範囲のほぼ中央値に設定する場合、特性の検出値を電圧制御部の最大入力可能電圧範囲の中央値付近に収束するように制御できる。また、αの設定により、電圧制御部の入力電圧範囲に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第13の発明は、第7の発明において、規格化された特性の検出電圧値はモニタ部にて{(電圧制御部の最大入力可能電圧値)−(特性の検出電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算で得た値としたものである。
これにより、第2の目標値が電圧制御部の最大入力可能電圧値の約1/2程度であって、特性の検出電圧値を第2の目標値に近づける場合、電圧制御部の入力電圧範囲のほぼ中央値を第1の目標値とし、対応する規格化されたモニタ値の誤差を押さえ込む制御が可能である。また、αの設定により、電圧制御部の入力電圧範囲に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第14の発明は、第7の発明において、規格化された特性の検出電圧値はモニタ部にて{(特性の検出電圧値)÷(特性の検出電圧の最大値)×(電圧制御部の最大入力可能電圧値)}×α(但し、αは0より大きく1以下の数値)の演算で得た値としたものである。
第2の目標値が電圧制御部の最大入力可能電圧値を超え、第11の発明により規格化される場合、特性の検出電圧も第2の目標値と同様に規格化され、第1の目標値を得る必要がある。本発明により、第2目標値が電圧制御部の入力可能電圧範囲を超えても、規格化を行うことで、電圧制御可能である。また、αの設定により、電圧制御部入力可能電圧範囲に対して、規格化されたモニタ値入力の上下限の余裕を持たせることが可能である。
上記課題を解決するための第15の発明は、第7の発明において、特性の検出と規格化演算は、オペアンプを用いて実行されることとしたものである。
このようにオペアンプを使用することで、特性のモニタと規格化という2つの機能を1つのデバイスで果たすことができる。
上記課題を解決するための第16の発明は、第1から第15のいずれかの光源駆動装置が搭載された光ピックアップ装置としたものである。
これにより、光源駆動装置の消費電力を抑えることで、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する光ピックアップ装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びるので、より長い時間使用することが可能となる。
上記課題を解決するための第17の発明は、第16の発明の光ピックアップ装置が搭載された光ディスクドライブ装置としたものである。
これにより、光源駆動装置の消費電力を抑えることで、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びるので、より長い時間使用することが可能となる。
上記課題を解決するための第18の発明は、第17の発明の光ディスクドライブ装置が登載された情報端末装置としたものである。
これにより、光源駆動装置の消費電力を抑えることで、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置および情報端末装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びるので、より長い時間使用することが可能となる。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態における情報再生装置の外観を示す斜視図である。
なお以下の説明では図中の座標空間としてxyz座標系を用いるが、x軸は後に詳細に説明するように光学ユニット21(図4参照)を構成するキャリッジ70(図4参照)の移動方向、即ち情報記録媒体の内周から外周に向かう軸を示すものであり、その矢印方向は情報記録媒体の外周方向を示している。またy軸はx軸と直交する軸であり、その矢印方向は後述する光学ユニット21に搭載された光源71(図4参照)からの光の出射方向を示すものである。またz軸はx軸およびy軸と直交する軸であり情報記録媒体の表面に対する法線である。その矢印方向は後述するピックアップ75(図4参照)に搭載された対物レンズ74(図4参照)から情報記録媒体に出射される光の方向を示している。またこれらの軸の矢印方向を+、その逆の方向を−と定義して説明する。なお、情報再生装置としての用途に適した光源としては、現時点ではレーザダイオード(LD)が挙げられるが、光量をモニタできて、電流駆動でその光量を制御できる光デバイスであれば、それも本発明の光源として使用することができる。
図1において1は情報再生装置であり、例えばカートリッジに収納され少なくとも情報が既に記録された光ディスク等(以下カートリッジに収納された光ディスク等の単体に対して説明を要する場合は“ディスク状記録媒体”と呼称する。またこのディスク状記録媒体とこれが収納されたカートリッジを一括して“情報記録媒体”と呼称する)から情報を読み取る機能を有している。2は再生機構部であり情報記録媒体に記録された情報を読取るためのメカニズム、およびこのメカニズムの制御や情報の再生のための信号処理に係る回路基板などのハードウェアから構成されている。3は樹脂によって構成された上面カバーである。ユーザは上面カバー開放レバー4を操作することで上面カバー3を開放状態とし、情報記録媒体を情報再生装置1に着脱することができる。
図2は本発明の実施の形態における情報再生装置1の上面カバー3を開放した状態を示す斜視図である。
図2において5はディスク状記録媒体であり実施の形態ではモバイル用途に適用すべく直径約32ミリメートルの小径の光ディスクを用いている。6はディスク状記録媒体5を収納したカートリッジであり、このディスク状記録媒体5とカートリッジ6は情報記録媒体7を構成している。8は情報記録媒体格納部であり情報記録媒体7はユーザの操作によって情報記録媒体格納部8に挿入されあるいは抜去される。すなわち実施の形態の情報再生装置1おいて情報記録媒体7は情報記録媒体格納部8に対して着脱可能に構成されている。
9は上面シャーシである。
10は格納部支持部であり、再生機構部2に対する情報記録媒体格納部8の開閉動作の回動中心をなすものである。11はフックであり12はフック付勢部材である。情報記録媒体格納部8が閉状態のときは上面カバー3に設けられた図示しない係止部材によってフック11が係止され、情報記録媒体格納部8は閉状態を維持されている。一方ユーザによって上面カバー開放レバー4が方向D1に動かされると、上面カバー開放レバー4に連動してフック11も方向D1に移動し、上面カバー3に設けられた図示しない係止部材から外れて、情報記録媒体格納部8、上面シャーシ9、上面カバー3は格納部支持部10を支持中心として方向D2に変位し、これによって情報記録媒体格納部8が露呈して開状態となる。ユーザは露呈した情報記録媒体格納部8に情報記録媒体7を挿入し、上面カバー3を方向D2とは逆方向に押下すると、情報記録媒体格納部8は上面シャーシ9と共に方向D2に移動し情報記録媒体格納部8は図1に示す閉状態となる。
21は情報記録媒体格納部8に格納された情報記録媒体7の情報を読み取るための光学系が搭載された光学ユニットである。更に光学ユニット21は後に詳細に説明するように、情報記録媒体7を構成するディスク状記録媒体5の記録面に沿ってx軸±方向すなわちディスク状記録媒体5の中心方向と外周方向に移動可能に支持されたキャリッジ(図示せず)と、ディスク状記録媒体5の記録面に光源(図示せず)から出射された光を結像するピックアップ75と、読み取り動作中はピックアップ75と上記記録面が所定の位置関係を維持するように、ピックアップ75の位置をリアルタイムにz軸±方向およびx軸±方向に制御するアクチュエータ73などから構成されている。
図3は本発明の実施の形態における再生機構部2のメカニズムを示す斜視図であり、図2における再生機構部2をz軸−方向から+方向に見たものである。
図3において21は前述のごとく情報記録媒体7(図2参照)に記録された情報を読み取る光学ユニットである。22は情報記録媒体7を回転駆動するための動力源となるブラシレスモータから成るスピンドルモータ、23は光学ユニット21をx軸の±方向、即ち情報記録媒体7(図示せず。図2参照)の内周、外周位置に移動させるためにねじを切られたリードスクリューシャフト、24はリードスクリューシャフト23より光学ユニット21に動力を伝達するラック板ばね、25はリードスクリューシャフト23に固定されたリードスクリューシャフト歯車、28はリードスクリューシャフト23を回転させる動力源となるフィードモータ、29はモータ28の回転軸に取り付けられたモータ歯車、33は光学ユニット21の情報記録媒体の内周、外周位置への動作を規制、誘導するガイドシャフトである。
さて、フィードモータ28を所定の方向に駆動することで、駆動力はモータ歯車29、リードスクリューシャフト歯車25、リードスクリューシャフト23、ラック板ばね24を経て伝達され、光学ユニット21はリードスクリューシャフト23とガイドシャフト33にガイドされx軸±方向に駆動される。
35はガラスエポキシ基板上に各種電子部品を組み込んで構成された制御部である。制御部35に搭載されたハードウェアの構成は後に詳細に説明するが、制御部35には少なくともCPU、RAMで構成されたワークメモリ、ROM等で構成された不揮発性のプログラムメモリ、情報再生装置1の状態を記憶しておくEEPROM等で構成された不揮発性メモリ等(共に図示せず)が搭載されている。
図4は本発明の実施の形態における光学ユニット21の構成を示す斜視図である。以下、図4に図2、図3を併用して実施の形態における光学ユニット21の構成について詳細に説明する。
図4において70は光学ユニット21の一部をなす加工精度上有利な例えばアルミニウムダイキャスト等で構成されたキャリッジであり、再生機構部2(図3参照)においてx軸±方向に沿ったL1線上に配置されたリードスクリューシャフト23(図3参照)およびL2線上に配置されたガイドシャフト33(図3参照)によって支持されている。キャリッジ70はx軸±方向であるL1線上およびL2線上、およびこれらの延長線上をリードスクリューシャフト23(図3参照)の回転に伴ってx軸±方向に移動し、情報記録媒体7(図2参照)の内周から外周にかけての所望の位置に光学ユニット21を搬送する。
71は例えば波長λ=405nmの青紫色レーザダイオードよりなる光源であり、実施の形態では出力=5mWの高出力タイプを採用している。短波長の青紫色レーザを用いることによって、記録密度の高い情報記録媒体7(図2参照)の再生に対応することが可能となる。72は“田”の字型に区分けされた4つの受光面を有するいわゆる4分割センサからなる受光センサであり、情報記録媒体7(図2参照)を構成するディスク状記録媒体5(図2参照)の記録面から反射された光を検出し、情報記録媒体7に記録されたピットよりなるON/OFF情報を出力するとともに、後述するピックアップ75(より正確には対物レンズ74)と情報記録媒体7(図2参照)のx軸±方向の微小変位エラー(トラッキングエラー)と同z軸±方向の微小変位エラー(フォーカスエラー)情報を出力する。
73は光学ユニット21上に配置され、少なくとも後述の対物レンズ74とこの対物レンズ74が配置されたピックアップ75を搭載したアクチュエータである。アクチュエータ73は磁気回路の一部を構成するため、鉄あるいはニッケルなど所定の透磁率を有する金属あるいはその合金で構成されている。74は樹脂製の対物レンズでありz軸+方向、即ちL3線上に光源71からの光を導き、かつ情報記録媒体7を構成するディスク状記録媒体5(図2参照)の記録面に光源71の出射光を結像させ、更にその反射光を受光センサ72に導く。75はピックアップであり、後に詳細に説明するようにその外周部に複数のコイルが配設されており、このコイルに電流を供給することで、アクチュエータ73に設けられた磁気回路に作用して、ピックアップ75はx軸±方向およびz軸±方向に変位する。この制御は受光センサ72の出力に基づき図示しない制御部35(図3参照)によって行われ、制御部35(図3参照)はピックアップ75を前述のトラッキングエラーとフォーカスエラーをキャンセルする方向に変位させる。
図5は本発明の実施の形態における光学ユニット21の光学系の詳細を示す構成図である。なお図5において情報記録媒体格納部8(図2参照)に格納された情報記録媒体7はz軸+方向(紙面の表方向)に配置されている。
以下、図5を用いて実施の形態における光学ユニット21の光学系の構成を更に詳細に説明する。
図5において76は複数のガラス部材を貼り合わせ、その界面に偏光膜を有する偏光ビームスプリッタ、77は直線偏光を円偏光に変換する1/4λ波長板である。1/4λ波長板77と偏光ビームスプリッタ76とを組み合わせることで、光源71から出射された往路光と、情報記録媒体7から反射された復路光を分離することができる。
78はフォトダイオード等により構成される光量モニタ、79は光源71の出射光を平行光に角度変換する樹脂にて形成されたコリメータレンズ、80はコリメータレンズ79によって平行光に角度変換された光源71からの光をz軸+方向に折り曲げて対物レンズ74に導くミラー、81は情報記録媒体7から反射された光を受光センサ72に結像するシリンドリカルレンズから成るサーボレンズである。
実施の形態では偏光ビームスプリッタ76と受光センサ72を所定の距離だけ離間する必要性から、入射面と出射面の両面に凹形状を有するサーボレンズ81を採用している。実施の形態では前述のごとく青紫色レーザを採用しているが、青紫色レーザは樹脂系の光学材料の劣化を加速させるため偏光ビームスプリッタ76、1/4λ波長板77、コリメータレンズ79、ミラー80、サーボレンズ81等の光学部材には青紫色光耐性を有する材料を用いることが望ましい。
以上のように構成された光学系について、以下光路を追って詳細に説明する。
光源71から出射された青紫色レーザ光は偏光ビームスプリッタ76を透過し、1/4λ波長板77に入射すると直線偏光から円偏光に変換される。1/4λ波長板77を透過した光はコリメータレンズ79によって平行光に角度変換された後、ミラー80によってz軸+方向に約90°折り曲げられる。
一方光源71から出射された光の約10%は、偏光ビームスプリッタ76の貼り合わせ界面で反射され光量モニタ78に入射する。光量モニタ78は入射光量に応じた光電流を出力する。光源71を構成するレーザダイオードは環境温度等によって光出力が変化することが知られており、後述の図7に示すLD光量制御部151によって光量モニタ78が出力する光電流値が一定となるように、光源71を駆動する駆動電流あるいは駆動電圧等の駆動条件を制御し、対物レンズ74からの光出力として0.5mWが得られるように制御している。
さて、ミラー80によって折り曲げられた平行光は対物レンズ74に入射し、対物レンズ74によって収斂された結果、対物レンズ74の光出射面から0.22mm離間したディスク状記録媒体5の記録面に0.3μm(半値全幅)の光スポットが形成される。
ディスク状記録媒体5上に記録された図示しないピットの有無によってディスク状記録媒体5の反射率が異なるため、ピットの有無に応じて情報記録媒体7から反射される光の強度が変化する。
ディスク状記録媒体5から反射された光は、これまで説明してきた光路を対物レンズ74、ミラー80、コリメータレンズ79、1/4λ波長板77の順に逆に戻り、偏光ビームスプリッタ76に入射する。偏光ビームスプリッタ76の界面に到達した光は、所定の反射率で反射されるが、実施の形態においては、このときの反射角をθ1=60゜とし、この角度に基づいて偏光ビームスプリッタ76の形状を六角形とすると共に、偏光ビームスプリッタ76の界面における反射膜の厚みなどの最適化を図っている。
一般に偏光ビームスプリッタ76の界面による反射角はθ1=45゜とする(即ち偏光ビームスプリッタ76は正方形または長方形)ことが多いが、この場合は受光センサ72の配置位置は偏光ビームスプリッタ76に対してx軸−方向の真横になるため、光学系を小さくすることが難しくなる。実施の形態では偏光ビームスプリッタ76の外形を六角形とし偏光ビームスプリッタ76による反射角を45°より大きい60゜とすることで、光路に対して受光センサ72と光源71の形成する角度を大きく設けて、受光センサ72を斜め配置し、光学系全体のx軸方向の幅を小さくしている。
またこのようにすることで、スピンドルモータ22に対してより近くまで光学ユニット21(図3参照)を近接させることができるようになる。このことは情報記録媒体7のより内周側まで光学ユニット21がアクセス可能となることを意味し、実質的に情報記録媒体7の容量を増大することができる。
以上述べてきたように、偏光ビームスプリッタ76の界面による反射角を45°より大きくすることで、光学ユニット21のサイズを小さくすることができると共に、スピンドルモータ21との関係において、情報記録媒体7のより内周までアクセス可能であるという顕著な効果がある。
なお偏光ビームスプリッタ76の形状については正六角形である必要はなく、光路上にない面については変形を伴っても構わないし、光路上にある面であっても光を蹴らない最小幅が確保されていればよい。偏光ビームスプリッタ76の辺を延長した点線で示すように、偏光ビームスプリッタ76の形状は平行四辺形、ないし五角形であってもよい。ただしスピンドルモータ22の配置側については、図示するごとくスピンドルモータ22の配置と干渉するため、この側はカットして面とすることが望ましい。
さて、偏光ビームスプリッタ76の貼り合わせ界面にて反射された光は、シリンドリカルレンズによって構成されたサーボレンズ81で光スポットの縦横比がおよそ1:1となるように角度変換され4分割センサから成る受光センサ72に入射する。入射された光は受光センサ72によって光電流に変換され、この変換された値に基づいてディスク状記録媒体5上に形成されたピットの有無、即ち情報記録媒体7(図2参照)に記録された記録情報を読み取ることができる。
さて、これら光学ユニット21を構成する光学部材のうち、光源71、偏光ビームスプリッタ76、1/4λ波長板77、光量モニタ78、コリメータレンズ79、ミラー80、サーボレンズ81、受光センサ72の各部材はキャリッジ70(図4参照)に配置され、対物レンズ74、ピックアップ75はアクチュエータ73(図6参照)に配置されている。実施の形態においてこれらの光学部材はディスクリート部品を用いシンプルな構成を採用している。
図6は本発明の実施の形態におけるアクチュエータ73の構造を示す斜視図である。以下、図6を用いてアクチュエータ73の構造および、ピックアップ75の位置を変位させる構成について詳細に説明する。
図6において75は既に簡単に説明したピックアップである。ピックアップ75は対物レンズ74を直接的に支持するとともに、ピックアップ75にはその外周部に4個のトラッキングコイル90および1つのフォーカスコイル91が配設されており、トラッキングコイル90およびフォーカスコイル91は、アクチュエータ73上に配置された永久磁石89によって形成される磁気回路の中に位置するように構成されている。
ピックアップ75はアクチュエータ73上に配置されたサスペンションホルダ87に固定された4本のベリリウム銅からなる長さ8ミリメートル、太さ50マイクロメートルのサスペンションワイヤ88によって空中に支持されており、サスペンションワイヤ88を介して4個のトラッキングコイル90に電流を供給することで、対物レンズユニット84はx軸±方向に沿ったL4方向に微小変位し、同様にフォーカスコイル91に電流を供給することで、対物レンズユニット84はz軸±方向に沿ったL5方向に微小変位する。
92はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、制御部35(図3参照)に接続されトラッキングコイル90およびフォーカスコイル91に駆動電流を供給する。
93はピックアップ75において対物レンズ74の近傍に設けられ、少なくともディスク状記録媒体5(図2参照)よりも柔らかい弾性樹脂で構成された突出部であり、突出部93はz軸+方向において対物レンズ74よりも突出するように構成されている。
以下、図6に図3、図4、図5を併用して説明を続ける。
既に図5を用いて説明した4分割センサから成る受光センサ72は上述した記録情報の他にディスク状記録媒体5とピックアップ75の離間距離に関する情報、およびディスク状記録媒体5上に形成された光スポットと記録されたピット列からの離間距離に関する情報を出力する。これらの情報は既に説明した制御部35(図3参照)に伝達され図示しない処理回路によってアナログ−ディジタル変換され、ディスク状記録媒体5とピックアップ75(図4参照)の離間距離および光スポットとピット列の離間距離を示す情報は制御部35(図3参照)に設けられたピックアップ駆動回路(図示せず。後述する)へ送られ、ピックアップ駆動回路はこの位置関係を示す情報に基づいてディスク状記録媒体5とピックアップ75(図4参照)の相対位置関係をリアルタイムに制御して安定した情報の読み取りが行えるようにする。
即ち受光センサ72(図5参照)の出力に基づいて、ピックアップ駆動回路によってフォーカスコイル91が駆動され、これによってピックアップ75をz軸±方向(L5方向)に変位させ、既に述べたフォーカスエラーに対して対物レンズ74の位置をリアルタイムに追随させる(フォーカスサーボ)。更に同様に、受光センサ72(図5参照)の出力に基づいて、ピックアップ駆動回路によってトラッキングコイル90が駆動され、これによってピックアップ75をx軸±方向(L4方向)に変位させ、既に述べたトラッキングエラーに対しピックアップ75の位置をリアルタイムに追随させる(トラッキングサーボ)。
このピックアップ駆動回路による制御は、ディスク状記録媒体5とピックアップ75の相対位置関係を常に一定にするものであり、例えばディスク状記録媒体5がこれを回転駆動するスピンドルモータ(図3参照)の軸に対して傾斜して装着されてしまったような場合には、ディスク状記録媒体5の回転に伴ってディスク状記録媒体5の記録面とピックアップ75の距離はz軸±方向に常時変動し、ディスク状記録媒体5の記録面に形成される光スポット形状が変化するため安定した読み取り動作が困難となる。ピックアップ駆動回路はピックアップ75を、このz軸方向の距離変動に対してリアルタイムに追随させる、即ちz軸±方向に変位させる制御を行う。以下ピックアップ駆動回路によってピックアップ75がz軸±方向に駆動される範囲を「正常な動作範囲」と呼称する。
またフォーカスコイル91に供給する電流値に所定のオフセットを設けることで、ディスク状記録媒体5とピックアップ75との離間距離を定常的に変位させることができる。このようにピックアップ75に配置された対物レンズ74の焦点位置(深さ方向)を積極的に制御することで、複数の記録層を有する情報記録媒体7の各層に記録された情報を読み取ることが可能である。
図7は本発明の実施の形態における情報再生装置1のハードウェア構成を示すブロック構成図である。図7において個々のハードウェア要素を示すブロック間を結ぶ実線は信号の流れを意味し、同破線は機構的な接続関係が存在することを意味している。
以下、図7に図3を併用して情報再生装置1の動作を詳細に説明する。
図7において110は制御部35に搭載されたCPUであり、情報再生装置1のハードウェアに係る制御パラメータ等の設定やメカニズムの駆動等を制御する。CPU110はバス111を介してプログラムが格納された不揮発性メモリであるROM112、CPU110のワーク領域を構成するRAM113、情報再生装置1の状態などを保存するEEPROM114に接続されている。
CPU110はバス111を介してモータ制御部115に接続され、CPU110はモータ制御部115を介してスピンドルモータ22を所定の方向に回転させ情報再生装置1に装着された情報記録媒体7(より正確には情報記録媒体7を構成するディスク状記録媒体5)を回転駆動する。同様にCPU110はモータ制御部115を介してフィードモータ28を正逆方向に回転させ、図示しないキャリッジ70(図4参照)を介して光学ユニット21(図2参照)を情報記録媒体7の半径方向に沿って内周と外周のあらかじめ定められた移動範囲で駆動する。光学ユニット21には図示しないアクチュエータ73(図4参照)が搭載され、アクチュエータ73(図4参照)上にはピックアップ75が搭載されており、CPU110はフィードモータ28を駆動することで、結果的にピックアップ75を情報記録媒体7の内外周にわたって任意の位置に搬送する。
116はLD駆動部である。LD駆動部116は青紫色レーザダイオードによって構成された光源71を発光させる。発光した光の一部は光量モニタ78に検出され、光量の情報がLD光量制御部151に伝えられ、あらかじめ設定されていた発光量の目標値になるようにLD光量制御部151はLD駆動部116に電圧制御信号159を送ることで、光源71の発量を一定に制御することができる。なお、実施の形態において、光源71にはレーザダイオード(LD)が用いられ、赤外/赤色LDを用いることができるが、特に小径の光ディスクの場合には波長405nmの青色LDが用いられる。
117は情報記録媒体7からの反射光を処理するための処理回路である。光源71から出射された光は図5を用いて説明した光学系を経て情報記録媒体7を構成するディスク状記録媒体5(図8等を参照)の記録面に対物レンズ74によって結像され、この反射光が受光センサ72によって受光される。既に図5を用いて説明した4分割センサから成る受光センサ72は上述した記録情報の他にディスク状記録媒体5の記録面と対物レンズ74の離間距離に関する情報、およびディスク状記録媒体5上に形成された光スポットと記録されたピット列からの離間距離に関する情報を出力する。
118はピックアップ駆動回路である。これらの離間距離に関する情報は処理回路117によってアナログ−ディジタル変換され、ディスク状記録媒体5とピックアップ75の離間距離および光スポットとピット列の離間距離を示す情報に基づき、あらかじめ設定されていた離間距離の目標値内に収まるように、制御信号を生成する。生成された制御信号はディジタル−アナログ変換され、ピックアップ駆動回路118へ送られ、ピックアップ駆動回路118はトラッキングコイル90とフォーカスコイル91をリアルタイムに駆動して、安定した情報の読み取りが行えるようにする。
即ち受光センサ72の出力に基づいてピックアップ駆動回路118によってフォーカスコイル91が駆動され、これによってピックアップ75を対物レンズ74からの光出射方向およびこれと反対の方向(z軸±方向)に微小変位させ、既に述べたフォーカスエラーに対して対物レンズ74の位置をリアルタイムに追随させる(これを「フォーカスサーボ」という。)。更に同様に、受光センサ72の出力に基づいて、ピックアップ駆動回路118によってトラッキングコイル90が駆動され、これによってピックアップ75を情報記録媒体7の内外周方向(x軸±方向)に微小変位させ、既に述べたトラッキングエラーに対しピックアップ75の位置をリアルタイムに追随させる(これを「トラッキングサーボ」という。)。
151はLD光量制御部である。図5の説明において述べたように、光源71から出射された光の約10%は光量モニタ78に入射する。光量モニタ78は入射光量に応じた光電流を出力するが、光源71を構成するレーザダイオードは環境温度等によって光出力が変化し、それに伴い光量モニタ78が出力する光電流値も変化する。情報記録媒体7に記録された情報を安定的に読み取るには、読取を開始する前にまず光源71の光出力を所定の値に保つ必要がある。そのためにLD光量制御部151は、光量モニタ78が出力する光電流値が一定となるように、光源71を駆動する駆動電流あるいは駆動電圧等の駆動条件を制御し、対物レンズ74からの光出力として0.5mWが得られるように制御している。
その他、制御部35を構成するものとして、情報再生装置1を含む各装置を動作させるために必要な電力を供給するための電池206(図8以降において後述)、電源供給ライン155を通して供給される電池206の電圧をLD駆動部116が動作に最適な電圧へと変換し、LD電源(+)ライン156を通してLD駆動部116へ供給するための電圧変換部154、信号ライン157を通してLD駆動部116を構成する特定の素子のある特性をモニタし、モニタされた信号を規格化するためのLD駆動電圧モニタ部152、モニタ規格化出力158を通してLD駆動電圧モニタ部152からの規格化されたモニタ信号を受け取り、電圧変換部154の制御を行う電圧制御部153からなる。これらについては後述において詳細を述べる。
以上、図1〜図7を用いて説明した情報再生装置1は、例えば図8に示すような携帯情報端末装置に搭載される。
図8は本発明の実施の形態における情報再生装置1が搭載された携帯情報端末装置の例を示す外観図である。携帯情報端末装置200は、情報再生装置1の他に、例えば図9において後述する通信回路201などの情報再生装置以外の各部分を動作させるための情報端末制御部202、情報再生装置1で再生される動画情報や情報端末制御部202からの各種表示情報などを表示するための表示部203、情報再生装置1で再生される音声情報や情報端末制御部202からの各種音声情報などを出力する音声出力部204、情報端末制御部202を操作するためのキーボード205、これらの情報再生装置1や通信回路201、情報端末制御部202、表示部203などを駆動させるための電池206などにより構成されている。本実施の形態において図8に示す携帯情報端末装置は携帯電話であるが、搭載された電池のみによる動作を通常の使用形態としていることが前提となっている装置であれば、例えばスマートホンやPDAのような複数かつ高機能を有する情報端末であっても良い。
図9は本発明の実施の形態における携帯情報端末装置200の内部概略図である。先に述べた通信回路201、情報端末制御部202、表示部203、音声出力部204、キーボード205、電池206と情報再生装置1との関係を概略的に示している。電池206のプラス側は電源(+)ライン207を通じて通信回路201、情報端末制御部202、情報再生装置1などの各部に接続され、電池206のマイナス側は電源(−)ライン208を通じて通信回路201、情報端末制御部202、情報再生装置1などの各部に接続されている。これら電源(+)ライン207および電源(−)ライン208により、携帯情報端末装置200の各部、すなわち情報再生装置1を始めとして、通信回路201、情報端末制御部202などを動作させるために必要な電力供給を行う。
209、212、214は動画情報データの流れ、210、213、215は音声情報データの流れ、211、216は各種制御信号バスを示す。ただし、それらの形式や信号線数は、同じ種類のデータや制御信号バス同士であっても互いに異なる場合がある。例えば動画情報データ209、212、214は、動画情報データという点では同じであるが、その形式や信号線数について互いに異なる場合がある。図9においては、例えば情報再生装置1で読み出された動画情報データ209や音声情報データ210が、情報端末制御部202を介し、動画情報データについては212により表示部203へと渡されて動画が表示され、音声情報データについては213により音声出力部204へと渡されて音声が出力される。さらに、通信回路201で受信された動画情報データ214や音声情報データ215が、それぞれ表示部203および音声出力部204へと渡されて、動画表示および音声出力される場合もある。
以上の説明を背景として、本発明に係る部分の実施の形態について詳細に述べる。
図10は、本発明の実施の形態の基本的構成を示すブロック図であり、説明を容易にするために、情報記録媒体7に記録された情報を読み取るために必要な光源71と、図7に関する説明の最後において述べた電池206、電池206から供給される電源供給ライン155の電圧をLD駆動部116が動作するのに最適な電圧へと変換しLD電源(+)ライン156を用いて供給するための電圧変換部154、LD駆動部116を構成する特定の素子のある特性をモニタ・規格化(図7の157)するためのLD駆動電圧モニタ部152、LD駆動電圧モニタ部152からの規格化されたモニタ出力(図7の158)をあらかじめ設定された目標値になるように電圧変換部154の制御(図7の159)するための電圧制御部153、光源71から出射された光の約10%をモニタする光量モニタ78、光量モニタ78が出力する光電流値があらかじめ設定された目標値に一定となるように、光源71を駆動する駆動電流あるいは駆動電圧等の駆動条件を制御するLD光量制御部151を抽出し、併せて記載したものである。なお、説明を簡略化するために、偏光ビームスプリッタ76は図10において省略している。
本実施の形態の光源71の動作可能電圧は、BD等に用いられる青色レーザダイオードの場合で3.2V〜6.8V程度、最大7V以下である。それに対して電池206の供給電圧は2.7V〜4.2Vであり、その電圧は使用や充放電により変動する。つまり、電圧変換部154は、電池206の供給電圧よりも高い電圧に変換する可能性が高い。
以上のような図10の構成において、図2に示すディスク状記録媒体(光ディスク)5より情報の読み取りを開始する際、最初に図10の電池206からの供給電力が供給ライン155を介して電圧変換部154へ供給され、その電池206からの印加電圧が電圧変換部154により光源71の動作可能電圧よりも十分に高い値(本実施の形態においては電圧変換部154の最大出力電圧である7.742V)となるよう変換され、LD電源(+)ライン156を介してLD駆動部116へ供給された後、LD光量フィードバックループ160が実行される。すなわち、図5および図7においても述べたように、光源71から出射された光の約10%が光量モニタ78に入射し、光量モニタ78が入射光量に応じた光電流を出力し、光量モニタ78から出力される光電流値を一定に保持するようにLD光量制御部151がLD駆動部116を制御し、図7等に示す対物レンズ74からの光出力として0.5mWが得られるよう、図10等に示す光源71の駆動電流を制御する。
LD光量フィードバックループ160により光源71から光量モニタ78への入射光量を一定に安定させた後、次にLD電源フィードバックループ161が実行され、LD電源(+)ライン156の電圧が段階的に下げられ、最終的には光源71が動作可能な必要最小限の電圧に設定される。本実施の形態ではLD駆動電圧モニタ部152が信号ライン157によりLD駆動部116における電力損失を間接的に知るための特性をモニタしてシフト/規格化し、そのモニタ規格化出力158が電圧制御部153に入力される。こうして電圧制御部153は、モニタ規格化出力158とあらかじめ設定される目標値によりLD駆動部116での電力損失を推定することができる。その推定された電力損失に対応する電圧制御信号159は電圧変換部154に入力され、電圧変換部154ではLD駆動部116で損失される電力が小さくなるように制御し、LD電源(+)ライン156に対する供給電圧を段階的に更新して行き、最終的には光源71およびLD駆動部116が動作可能な必要最小限の供給電圧へと制御する。これによりLD駆動部116における電力損失を低く抑えることができるので、本発明の光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する各種装置の消費電力を抑えることができる。その結果、それらの装置を動作させる電池206の電力供給可能な時間が延びて、それらの装置をより長い時間使用することが可能となる。
図11は本発明の実施の形態における電圧変換部154の構成例を示す回路図である。電圧変換部154は主に電圧変換IC162とその周辺回路からなるDC/DC変換器により実現することができる。本実施の形態において、電圧変換IC162にはLM27313Xを採用している。電圧変換IC162は、電源供給ライン155を介して電池206からの電力供給をVIN端子より受け、その電池206からの印加電圧を光源71が十分動作可能な電圧へと変換し、LD電源(+)ライン156を介してLD駆動部116に対して電力供給する。その供給電圧は、電圧制御部153からの電圧制御信号159を用いて、電圧変換IC162のFB端子に接続されるR1とR2を含むインピーダンス値の比を変更することにより決定されるようになっている。この電圧制御信号159はモニタ規格化出力158を後に述べるあらかじめ設定された第1の目標電圧値173(図14参照)に近づくように制御することで得られる信号であり、LD電源(+)ライン156を通して電圧変換部154からLD駆動部116および光源71への供給電圧は、LD駆動部116での電力損失が小さくなる方向へと制御されることになり、最終的には光源71およびLD駆動部116が動作可能な必要最小限の供給電圧まで降下される。
ここで、DC/DC変換器による電圧変換部154の出力電圧は下記により求まる。
Vout={(ΔR×Vfb)−(R1×R2×E)}/(R2×R3)
但し、ΔR=(R1×R2)+(R2×R3)+(R3×R1)、
Vfb=1.23V
通常、DC/DC変換器の出力電圧はR1とR2の固定値により、固定値を出力するが、本実施の形態ではR3を加え、電圧制御部153(図7および図10参照)からの電圧制御信号159により、R1/R2/R3のインピーダンス比を変更することで、DC/DC変換器の出力電圧を可変させる。
図12は、本発明の実施の形態におけるLD駆動部116およびLD駆動電圧モニタ部152の構成例を示す回路図である。LD駆動部116を構成する光源駆動半導体素子は、本実施の形態においてはPNPトランジスタ163(型名:2SB1733TL)であり、LD駆動電圧モニタ部152が検出するのはPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ間電圧183である。このコレクタ・エミッタ間電圧183の目標電圧値を電圧制御部153に入力可能な電圧へシフト/規格化するために、LD駆動電圧モニタ部152はオペアンプ164とその周辺回路から構成され、その正入力165および負入力166がそれぞれ、PNPトランジスタ163のコレクタ167およびエミッタ168に接続されている。
ここで、図10において前述した「光源71およびLD駆動部116(すなわち光源駆動部)が動作可能な必要最小限の供給電圧」は、例えば、光源71の仕様上の最大駆動電圧と、LD駆動部116を構成する光源駆動半導体素子、すなわち本実施の形態におけるPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ間飽和電圧の他に、LD駆動部116を構成するその他の素子・回路が持つインピーダンスによる電圧降下を考慮して決定される。
図13は、本発明の実施の形態におけるLD駆動部116を構成する光源駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ間飽和電圧とコレクタ電流特性との関係を示す図である。本実施の形態において、光源駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ間電圧183(図12参照)は、PNPトランジスタ163における電力損失を間接的に知るための特性であり、またコレクタ・エミッタ間飽和電圧は、PNPトランジスタ163における電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値である。そこで、PNPトランジスタ163のVce間電圧をVce飽和電圧以上に制御すれば、不飽和領域で動作させることが可能である。後に詳しく記述するように、PNPトランジスタ163における電力損失を直接的に測定することは困難であるため、電力損失を間接的に知るための特性としてコレクタ・エミッタ間の電圧を利用することにより、直接的な計測が困難なPNPトランジスタ163(光源駆動半導体素子)の電力損失が推定可能となり、光源駆動部における電力損失を低く抑えることができる。
本実施の形態で用いられる光源71の駆動電流の範囲、すなわちIc=0.1A以下について図13に示す特性を見ると、PNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ飽和電圧、すなわちPNPトランジスタ163における電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値は同じ増幅率(Ic/Ib)について略一定(Ic/Ib=50/1でも0.05Vの以下)であることがわかる。もしこの特性値が略一定でなく、ある程度以上大きな傾きを有するものであった場合は、光源71が動作可能な必要最小限の供給電圧も、その傾きの上限に設定せざるを得なくなり、その特性値の傾きの下限においてはLD駆動部116における電力損失を低く抑えることが難しくなる。光源71の駆動電流の範囲におけるコレクタ・エミッタ飽和電圧が同じ増幅率について略一定であるため、LD駆動部116(光源駆動部)を構成する光源駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163のVceをコレクタ・エミッタ飽和電圧+βの一定値に制御すれば、必要最小限の電圧でPNPトランジスタ163を不飽和領域において動作させることができ、供給電圧の電力損失を最小に押さえつつ、光源71の駆動に必要な電力供給が行える。
図14は、本発明の実施の形態における電圧制御部153の構成例を示す回路図である。電圧制御部153は、LD駆動電圧モニタ部152より出力されたモニタ規格化出力158が図11の説明における第1の目標電圧値173に近づくよう、図15の電圧変換部154へ出力される電圧制御信号159を制御する。すなわち、LD駆動電圧モニタ部152より出力されたモニタ規格化出力158がA/D変換器171によりディジタル信号に変換され、減算器172により、LD電源(+)ライン156による電圧変換部154からLD駆動部116および光源71への供給電圧を「光源71およびLD駆動部116が動作可能な必要最小限の供給電圧」に近づけるための第1の目標電圧値173との差分174が計算され、その差分174に制御ゲイン175を乗じて、必要に応じて、加算器177、遅延項178、遅延項係数179からなるローパスフィルタ(LPF)を用いて、加算出力180を得る。加算出力180をD/A変換器176によりアナログ信号に変換し、電圧変換部154に対し電圧制御信号159が出力される。
ここで第1の目標電圧値173は、例えば以下のように設定される。図7のLD駆動部116を構成する光源駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163(図12および図15参照)のコレクタ・エミッタ飽和電圧は、図13に示す通りである。図13を見れば、本実施の形態で用いるPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ飽和電圧の最大値は0.05V程度であることがわかる。PNPトランジスタ163(図12および図15参照)のON状態におけるコレクタ・エミッタ電圧は図13に示すコレクタ・エミッタ飽和電圧以上とし、不飽和状態とすれば良いが、あまり大きいとコレクタ・エミッタ飽和電圧との差分に相当する電力が熱となって無駄に消費される。これが今までにも述べている電力損失である。従って、このコレクタ・エミッタ飽和電圧に図15の光源71の最大動作電圧を加えた値が図7の駆動部116のLD電源(+)ライン156に印加されれば、LD駆動部116は原理的に無駄な電力損失を発生させることなく動作することになる。
しかしながら実際には図12や図15等に示すように、図7のLD駆動部116には光源駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163以外の素子や基板内信号線のインピーダンスがあり、それらによる電圧降下等も考慮して決定する必要がある。本実施の形態においては、PNPトランジスタ163の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値であるコレクタ・エミッタ飽和電圧の最大値0.05Vよりも若干余裕を持たせた値0.15Vを第2の目標電圧値とし、この第2の目標電圧値にPNPトランジスタ163のコレクタ・エミッタ電圧が近づくよう、図7の電圧制御部153は電圧変換部154を制御する。言い換えれば、この第2の目標電圧値に図15の光源71の最大動作電圧を加えた値が図7のLD駆動部116のLD電源(+)ライン156に印加されるよう、図7の電圧制御部153は電圧変換部154を制御する。
本実施の形態における第1の目標電圧値173は、図7のLD駆動部116を構成する駆動半導体素子であるPNPトランジスタ163(図12および図15参照)の電力損失を間接的に知るための特性すなわちコレクタ・エミッタ電圧に対して、あらかじめ設定された第2の目標電圧値すなわちPNPトランジスタ163の電力損失が最低となることを間接的に示唆する特性値であるコレクタ・エミッタ飽和電圧の最大値0.05Vよりも若干余裕を持たせた値0.15Vが前記電圧制御部153の入力範囲に収まるよう、LD駆動電圧モニタ部152において規格化された値である。
このような規格化(すなわち第2の目標電圧値が電圧制御部153の入力範囲に収まるよう設定すること)により決定される第1の目標電圧値173(V1)は、例えば図12に示す電圧制御部153の基準電圧VHALF(=1.65V)から第2の目標電圧値(V2)を減算することにより行われる。ここでは、VCEMONIの最大入力可能電圧(Vinmax)が3.3Vであることより、その入力可能電圧範囲の中央値付近に第1の目標電圧値173を設定するため、基準電圧VHALFから第2の目標電圧値を減算したものとした(第1例)。これにより、基準電圧の値に対して、第2の目標値が十分に小さい場合、第1の目標値を電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲のほぼ中央値に設定するような規格化を容易に実施できる。
別の例としては、図14に示す本実施の形態における電圧制御部153のVCEMONI端子158の最大入力可能電圧が3.3Vとなっているので、この最大入力可能電圧3.3Vから先ほど設定したPNPトランジスタ163(図12および図15参照)のコレクタ・エミッタ電圧の第2の目標電圧値を減算した値を第1の目標電圧値173としても良い(第2例)。これにより、第2の目標値が電圧制御部153の入力範囲の約1/2程度である場合、第1の目標値を電圧制御部153の入力電圧範囲のほぼ中央値に設定するような規格化が可能である。
この規格化のための電圧設定は、以上の減算による方法(第1例、第2例)のほか、所定の電圧にα(0より大きく1.0以下)を乗じる方法もある。すなわち、
(1){(電圧制御部153の基準電圧値)−(第2の目標の電圧値)}×α・・・(第3例)
具体的には{(VHALF)−(V2)}×α
αを1またはそれ以下(α=1のときは、前掲の第1例と同じになる)に設定することにより、第1例に比べ、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の入力電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
(2){(電圧制御部153の最大入力可能電圧値)−(第2の目標の電圧値)}×α・・・(第4例)
具体的には{(Vinmax)−(V2)}×α
αを1またはそれ以下(α=1のときは、前掲の第2例と同じになる)に設定することにより、第2例に比べ、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の入力電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
(3){(第2の目標の電圧値)÷(第2の目標電圧値の最大電圧値)×(電圧制御部153の最大入力可能電圧値)}×α・・・(第5例)
具体的には{(V2)÷(V2max)×(Vinmax)}×α・・・(第5例)
この例では、第2の目標値V2が電圧制御部153の最大入力可能電圧値Vinmaxを超える場合も、電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲に第1の目標値V1を設定でき、電圧が制御可能となる。また、αの設定により、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
(4){(電圧制御部153の基準電圧値)−(特性の検出電圧値)}×α・・・(第6例)
具体的には{(VHALF)−(Vce)}×α
この例では、第2の目標値V2が電圧制御部153の基準電圧値VHALFより十分に小さい値であり、第3例の方法により第2の目標値が規格化され第1の目標値を得て、特性の検出電圧値Vceを第2の目標値V2に近づける場合、対応する検出電圧値も第6例に従うことで規格化を行い、電圧制御部153の入力可能電圧範囲のほぼ中央値に設定された第1の目標値に、規格化された特性の検出電圧値を収束させる制御が可能である。また、αの設定により、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
(5){(電圧制御部153の最大入力可能電圧値)−(特性の検出電圧値)}×α・・・(第7例)
具体的には{(Vinmax)−(Vce)}×α
この例では、第2の目標値V2が電圧制御部153の最大入力可能電圧値の約1/2程度であり、第4例の方法により第2の目標値が規格化され第1の目標値を得て、特性の検出電圧値Vceを第2の目標値V2に近づける場合、電圧制御部153の入力可能電圧範囲のほぼ中央値に設定された第1の目標値に、規格化された特性の検出電圧値を収束させる制御が可能である。また、αの設定により、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
(6){(特性の検出電圧値)÷(特性の検出電圧の最大値)×(電圧制御部153の最大入力電圧値)}×α・・・(第8例)
具体的には{(Vce)÷(Vcemax)×(Vinmax)}×α・・・(第8例)
この例では、第2の目標値が電圧制御部153の最大入力可能電圧値を超え、第5例の方法により規格化される場合、特性の検出電圧も第8例に従い、第2の目標値と同様に規格化され、第1の目標値を得る。本方法により、第2目標値が電圧制御部153の入力可能電圧範囲を超えても、規格化を行うことで、電圧制御可能である。また、αの設定により、規格化された特性の検出電圧値が電圧制御部153の最大入力可能電圧範囲の上下限に対して、余裕を持つことが可能である。
いずれにしても、これらのように第2の目標電圧値が電圧制御部153の入力範囲に収まるよう設定することで、電圧制御部153の規格化を容易に実施できる。
以上に述べた本発明の実施の形態における各部の動作を、図15および図16を用いて時系列的によりわかりやすく説明する。図15は図10に示す構成をより詳細に説明した図、図16は本発明の動作を実施した場合に図15の各部において発生する電圧の時間変化を示すオシロスコープの図である。図16の各電圧はいずれもグランドに対する電圧であり、それぞれの変化グラフの左側に示す符号は、図15の同じ符号で示される部位の電圧変化であることを示している。具体的には、図15における光源71のアノード部であってかつPNPトランジスタ163のコレクタ167の電圧変化が図16におけるVcであり、図16におけるPNPトランジスタ163のエミッタ168の電圧変化が図16におけるVeであり、図15におけるPNPトランジスタ163のコレクタ167とエミッタ168との間の電圧183の変化が図16におけるVceであり、図12および図15におけるオペアンプ164からの出力158の電圧変化が図16におけるVCEMONIであり、図15におけるLD71の光量をモニタする前光モニタ72の電流値を電流電圧変換した電圧変化が図16におけるFPSD−OUTである。なお、図15におけるオペアンプ185およびLD光量設定電圧184は、図7におけるLD光量制御部151に相当する。また、図15におけるオペアンプ164は、図12に示すLD駆動電圧モニタ部152の構成を簡略化して示しており、実際は規格化の処理を行っている。また、図16のVCEMONIは、図15においてLD駆動電圧モニタ部152より出力されたモニタ規格化出力158の電圧が図14におけるあらかじめ設定された第1の目標電圧値173に近づくよう、図15の電圧制御部153より出力される電圧変換部154の電圧制御信号159の電圧変化である。
まず図16の時刻T1において、図10および図15の電池206からの供給電力が供給ライン155を介して電圧変換部154へ供給され、その電池206からの印加電圧が電圧変換部154により光源71の動作可能電圧よりも十分に高い値(本実施の形態においては7.742V)となるよう変換され、LD電源(+)ライン156を介してLD駆動部116へ供給される。このとき、図16では図示されていないが、図15における電圧制御部153から電圧変換部154に対して、電圧変換IC162のON/OFF制御信号187がON状態となっている。FB端子への制御信号159の電圧は、LD電源(+)ライン156が光源71の最大動作可能電圧よりもあらかじめ十分に高く設定された電圧(本実施の形態においては7.742V)となるよう設定される。図16におけるFPSD−OUTがほぼ0Vであるので、図15のPNPトランジスタ163はOFF状態(すなわちLD71は消灯状態)にある。Vc167は若干の電圧が生じるが駆動電圧に達していないため、LD点灯には至っていない。従って、図16におけるVceは、図15におけるLD電源(+)ライン156の電圧(本実施の形態においては7.742V)から光源71のコレクタ167の電圧、すなわち図16におけるVcを引いた値であり、また図12に示すようにオペアンプ164が単電源で使用されているため、図16においてマイナス値となったVCEMONIは0Vを出力している。
次に図16に示す時刻T2において、図10および図15のLD駆動部116を構成する光源駆動半導体素子、すなわちPNPトランジスタ163を駆動させるためにスイッチ181がONされ、図10に前述のLD光量フィードバックループ160が実行され、光源71から光量モニタ78への入射光量が安定した後、つまり、FSPD−OUT182が一定値になった後、同じく図10に前述のLD電源フィードバックループ161が実行される。
図16における電圧Vcは図15の光源71の動作電圧であり、個体差、経時変化、周囲の環境温度などにより異なる。しかしながら、図16における時刻T2〜T6(T2−T3/T3−T4/T4−T5/T5−T6:全て100ms)程度の短時間においてVcはほぼ一定とみなして良い。
この期間T2〜T6においては、FSPD−OUT182に示されるように、図15の光源71の出射光量は一定に保たれる。このように、LD電源(+)ライン156をあらかじめ設定された十分に高い初期電圧(本実施の形態においては7.742V)に設定しておいて光源71の出射光量を安定させた後に、電圧変換部154からLD駆動部116(すなわち光源駆動部)への電力供給電圧の制御を実施することで、光ディスク7からの読み取り時のLD駆動部116(すなわち光源駆動部)における電力損失を低く抑えることができる。
ここで、電圧変換部154からLD駆動部116(光源駆動部)への初期電圧の供給開始を、LD光量フィードバックループ160により光源71からの光量が出射される以前に行われるようにしたのは、次の理由による。すなわち、電圧の供給開始が、光源71から光が点灯される以前に行われないと、光源71が点灯できず、また初期電圧の供給開始時に、電圧変換部154からの出力電圧に大きなヒゲが載り、場合によっては、光源71に過大電流が流れ、過大発光等の悪影響が生じるおそれがあることによる。
さらに図16に示す時刻T3においては、時刻T2におけるVCEMONIを入力した図15の電圧制御部153が図14におけるあらかじめ設定された第1の目標電圧値173との差分174を計算し、図15のLD駆動電圧モニタ部152より出力されたモニタ規格化出力158の電圧が図14における第1の目標電圧値173に近づく方向に電圧変換部154の電圧制御信号159を変更する。その結果、電圧変換部154からのLD電源(+)ライン156の出力電圧が下がる。前述したように光源71の動作電圧と抵抗186における電圧降下はほぼ一定であるので、PNPトランジスタ163のコレクタ167とエミッタ168との間の電圧183、すなわち図16におけるVceは図15におけるLD電源(+)ライン156の出力電圧の低下に比例して下がる。図16におけるVceが下がることで第2の目標電圧値により近づくので、VCEMONIが時刻T2のそれよりも上がり、図14における第1の目標電圧値173により近づく。
以下、図16の時刻T3と同様にして、時刻T4からT6まで、図10および図15のLD電源(+)ライン156の電圧が段階的に下げられ、図16におけるVceが下がり第2の目標電圧値により近づくので、図16における当該時刻のVCEMONIがその一つ前の時刻のそれよりも上がり、図14における第1の目標電圧値173により近い値となり、最終的には第1の目標電圧値173との差がある一定範囲内に収まる。その結果、図10および図15のLD電源(+)ライン156の電圧が、図15の光源71が動作可能な必要最小限の電圧に設定される。本実施の形態の場合、LD電源(+)ライン156の電圧は、図16における時刻T1時の7.12Vから、最終的に時刻T6においては4.42Vまで引き下げることができた。
以上のようにして、光源71の出射光量が安定した後に電圧変換部154からLD駆動部116(すなわち光源駆動部)への電力供給電圧の設定を実施することで、光ディスク7からの読み取り時と同じ条件下でLD駆動部116(すなわち光源駆動部)における電力損失を低く抑えることができる。
なお、電圧変換部154からLD駆動部116への駆動電圧の供給終了は、LD光量制御部151によってLD駆動部116が光源71を消灯する以後に行われるようにする。駆動電圧の供給終了は次の2手順が考えられる。その1つは、ディスク2の再生を通常停止させることにより光源オフするという手順であり、他の1つは、例えば本実施の形態の図2において、上面カバー3、上面シャーシ9および情報記録媒体格納部8が方向D2に移動し開状態となったことを検出し光源オフする、という手順である。ここで開状態か否かについては、例えば格納部開閉検出センサ14を用いて、上面カバー3の側部に設けられた折曲部P1の接近、離隔によって検出することができる。このような格納部の開閉を検出する機構を総称して、「ドアスイッチ」と呼ぶ。前者の手順の場合、LD電源フィードバックループ161のオフから電圧変換部154の終了という手順が望ましい。後者の手順の場合、LD電源フィードバックループ161がオンのまま、電圧変換部154からの電圧供給をオフすると、光源71のオフは可能となる。但し、ドアスイッチを閉じて再度光源71をオンする際、電圧変換部154からLD駆動部116(光源駆動部)への初期電圧の供給開始は、一旦、LD光量フィードバックループ160をOFFした後、光源71からの光量が出射される以前に行うことが必要である。
上述した電圧変換部154の供給開始時の電圧としては、次の2通りが考えられる。1つは、電圧変換部154の最大出力電圧であり、他の1つは、以前に点灯した際の消灯時の電圧+βである。前者の最大出力電圧は、光源71であるLDのVop最大電圧(バラツキ/経時変化/温度変化を考慮)と、部品/線路のインピーダンスを考慮して決定する。電圧制御部153をマイクロコンピュータで構成する場合は、後者の、前回点灯/消灯時の出力電圧を記憶しておき、次回の再点灯時にそれを用いることができる。再点灯される場合の電圧値を、記憶された値+βとする。βは、0以上最大電圧との差分以下が考えられる。
電圧制御部153による電圧変換部154からLD駆動部116への電圧更新の開始は、光量制御部151によるLD駆動部116の電流制御が開始され、光源71より出射される光量が一定になった後に行うようにする。すなわち、LD電源フィードバックループ161がオンとなった後、LD駆動部116であるPNPトランジスタ163のVce電圧が確定した後、電圧の更新を開始する。それは、Vce未確定での電圧変換の更新はLD(光源71)点灯の電圧不足の可能性が生じるからである。
また、電圧制御部153による電圧変換部154からLD駆動部116への電圧更新の終了は、光量制御部151によるLD駆動部116の電流制御が終了し、光源71より出射される光量が無くなった後に行う。その理由は、制御回路の電源OFFになり、また、LDへの電流供給が不足する可能性がある状態で、LD点灯の電流制御が不具合を起こし、LDを含む周辺回路への損傷を防ぐためである。
電圧制御部153による電圧変換部154からLD駆動部116への供給電圧の更新速度は、LD光量制御部151によるLD駆動部116の電流制御の更新速度以上とする。すなわち、電圧変換部154の電圧更新速度は、LD光量フィードバックループ160による電流制御より高速であることが必要である。万一、電圧変換部154の更新のタイミングがLD光量フィードバックループ160による電流制御の更新のタイミングより遅れるとLD駆動部116を構成するPNPトランジスタ163が不飽和領域から飽和領域になり、LD駆動に必要な電力供給に遅れが生じ、LDを所望の発光量で点灯できない可能性があるからである。因みに、実施の形態では、電圧制御部153での更新速度は、マイクロコンピュータ制御により100msとしており、実測で約1Hzのサーボ帯域を確保している。一方、LD光量フィードバックループ160による電流制御は、速くても数10s〜数minの速度で更新しており、LDの電流変化は非常に遅く、更新量も小さい。
電圧制御部153による電圧変換部154からLD駆動部116への供給電圧の更新速度は、供給電圧の更新量に応じて可変できるようにすることができる。すなわち、供給電圧の更新量が大きいとき(変化が大きいとき)は更新速度を速く、更新量が小さいときは更新速度を遅くすることで、電圧変化に即応させることができる。
電圧制御部153は図14に示したディスクリート回路で実現するほか、AD/DA変換とマイクロコンピュータによる演算によって実現することができる。すなわち、Vceモニタ用のオペアンプ164からの規格化されたモニタ規格化出力158をAD変換し、マイクロコンピュータ内での制御演算、すなわちあらかじめ設定された目標値とモニタ値の差分にゲインを乗じる。この時に得られる演算結果が上限と下限で桁あふれしないように、上限と下限でクリップさせる等の処理を行って演算処理する。これを行わないと、電圧制御信号159が上下動し、結果、電圧変換部154から出力される電圧も合わせて上下動することになる。この演算出力(デジタル値)をDA変換し、アナログ出力としての電圧制御信号159を出力する。この電圧制御信号159により、電圧変換部154の出力電圧を制御する。このようにマイクロコンピュータによる処理を行うと、目標値、ゲイン、更新時間をプログラマブルに変更でき、LD構成回路に柔軟に対応できる。また、例えば前回、光源71を点灯しその後消灯した時の電圧制御信号159を記憶し、再利用することが可能となる。さらに、図14のようなディスクリート回路で構成するより部品点数が少なく、実装面積を削減できる。
最後に、図7に示す電池206として1800mAhの容量を有するリチウムイオン電池を使用した情報再生装置1において、本発明による図15の電圧変換部154の制御を行い図16の時刻T6の状態にした後にディスク7の連続読み取り動作を行った場合と、本発明による制御は行わず図16における時刻T2の状態のままで連続読み取り動作を行った場合とで、それぞれ使用時間の計測を行った。ちなみに後者は、本明細書に従来例として取り上げた図17に相当すると考えてよい。その結果、本実施の形態においては前者の場合で約4時間10分、後者の場合で約3時間30分の連続読み取り動作が行われ、前者が後者に比べて約40分長く使用できることが判明した。
これは前述したように、図15のPNPトランジスタ163のコレクタ167とエミッタ168との間の電圧、すなわち図16におけるVceと、図13に示すコレクタ・エミッタ飽和電圧との差分が前者よりも後者でより大きく、その差分に相当する電力が熱となって無駄に消費されたためである。
なお、本実施の形態の光源71の動作電圧は典型的には4.4Vであるが、最大動作電圧である6.76Vであったとしても、本発明による図15の電圧変換部154の制御を行わない場合のLD電源(+)ライン156の電圧7.12Vより低い電圧にまで制御することができ、そのため、本発明による図15の電圧変換部154の制御を行わない場合よりも長い時間使用可能であることには違いない。
以上のように本発明によれば、光源駆動装置の消費電力を抑えることができ、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する各種装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びて、それらの装置をより長い時間使用することが可能となる。
なお、本実施の形態においてはLD駆動部116を構成する主な光源駆動半導体素子をPNPトランジスタ163としたが、本発明のLD駆動部を構成する主な光源駆動半導体素子はそれに限らない。LD駆動部116における電力損失を低く抑えることができ、本発明の光源駆動装置の消費電力を抑えることができ、光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する各種装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びて、それらの装置をより長い時間使用することが可能となるよう構成できるのであれば、例えばNPNトランジスタやFETであっても構わない。その場合、LD駆動部116に用いられている駆動素子は、そのLD駆動部116における電力損失の程度を間接的に知るための特性(Vce)が光源71の駆動可能な電流範囲において略一定となることが望ましい。これにより、光源71が動作可能な必要最小限の供給電圧をできるだけ低く抑えられるので、本発明の光源駆動装置およびその光源駆動装置を搭載する各種装置の消費電力を抑えることができ、それらの装置を動作させる電池の電力供給可能な時間が延びて、それらの装置をより長い時間使用することが可能となる。