JP2009300230A - 位置合わせを行う装置、方法、およびプログラム、ならびに基準モデルを作成する装置、方法、およびプログラム - Google Patents

位置合わせを行う装置、方法、およびプログラム、ならびに基準モデルを作成する装置、方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】モデルを利用した位置合わせにおいて、人間の関与を極力減らし、画像認識に資する部分を効率的にモデル化するための技術を提供する。
【解決手段】位置合わせを行う対象物と同じ種類の基準物に含まれる基準パターンである回路パターン2を撮像した撮像画像1から、特徴点抽出処理により特徴点3a〜3dなどの複数の特徴点が抽出される。そして、抽出された複数の特徴点それぞれの座標を含むモデル特徴箇所座標群5を含む基準モデルが記憶される。基準モデルは、各特徴点の周辺から切り出した画像を含むモデル特徴箇所画像群4をさらに含んでもよい。対象物を撮像して取得した対象撮像画像から抽出された複数の特徴点それぞれの座標と、基準モデル内のモデル特徴箇所画像群4とを利用して、基準パターンと対象パターンのずれを表すずれ量を算出して対象物に関する位置合わせ処理を行うことが可能である。
【選択図】図1A

Description

本発明は、位置合わせ、および位置合わせに利用可能な基準モデルの作成に関する。
液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)などのFPD(Flat Panel Display)基板や、半導体ウェハなどの各種の基板の製造工程では、基板を撮像した撮像画像を使った測定や検査が行われ、そのための測定装置や検査装置が知られている。また、検査の結果発見された欠陥を修正するための欠陥修正装置も知られている。一般的には、欠陥修正装置においても、修正対象の確認などのために基板の撮像が行われる。
これらの測定装置、検査装置、および欠陥修正装置では、対物レンズの光軸を基板上の目的の位置に合わせて撮像を行うために、位置合わせ処理が行われる。
近年はFPD基板の大型化が著しく、それにともなって各種装置も大型化しているため、装置やFPD基板の歪みを無視することができなくなってきた。さらに、基板の薄型化にともなって、基板の反りや撓みの影響で撮像画像に生じる歪みも無視することができなくなってきた。また、基板を拡大観察するための光学系を利用して測定、検査、修正などを行う場合には、撮像画像においては歪みの影響が拡大される。以上の様々な理由から、位置合わせ処理の重要性も増している。
一般に、位置合わせのためには、まず機械的な方法で「プレアライメント」と呼ばれる粗い位置合わせが行われ、その後、基板を拡大観察して撮像した撮像画像に基づいて、「ファインアライメント」と呼ばれる精密な位置合わせが行われる。徐々に精度を上げながら2段階以上のファインアライメントを行う場合もある。
以下では、LCD用のガラス基板上に形成された回路パターンの線幅を測定する線幅測定装置を例として、ファインアライメントにおける問題点について説明する。
線幅測定装置は、露光不良等の検出を目的として、ガラス基板上の指定された位置の線幅を測定する装置である。線幅測定装置は、測定対象とする回路パターンがあるガラス基板上の目的位置を撮像すべく、対物レンズを含む撮像光学系をガラス基板に対して相対的に移動させ、ガラス基板を撮像し、撮像画像に写った測定対象の回路パターンの線幅を測定する。
測定対象の回路パターンがあるガラス基板上の目的位置は、例えばガラス基板を基準とした座標系の座標で指定される。線幅測定装置は、線幅測定装置およびガラス基板の仕様に基づいて、指定された目的位置の座標から、撮像光学系とガラス基板との間の相対移動の量を算出することができる。しかし、ここで算出される相対移動の量は仮の量である。
なぜなら、仮に算出された相対移動の量自体を用いて相対移動を行うと、実際には下記のような様々な要因から、目的位置が対物レンズの光軸上に位置せず、したがって、目的位置が撮像画像の中心に写らないためである。
・線幅測定装置においてガラス基板を置くべき理想的な位置および方向と、ガラス基板が実際に置かれた位置および方向との差
・線幅測定装置の歪み
・ガラス基板の反り、撓み、および歪み
そこで、仮に算出された相対移動の量を補正する必要がある。よって、測定対象のガラス基板が搬入されると、線幅測定装置は、実際の測定に先立って、ガラス基板上の既知の位置にあるアライメントマークを利用して、仮に算出した相対移動の量を補正するためのパラメータの値を算出する。例えば、アフィン変換による補正を行う場合、補正用のパラメータは、変換行列の各成分である。
ところが、補正をしたうえで線幅測定装置が撮像光学系とガラス基板との相対移動を行ったとしても、測定対象の回路パターンが撮像画像の中心からわずかにずれていることがある。そこで、線幅測定装置は画像処理により、撮像画像のどこに測定対象の回路パターンが写っているかを認識する。撮像画像内における測定対象の場所を認識するために広く採用されている方法は、次のようなものである。
まず、測定対象の回路パターンとともに撮像画像に写ると期待される程度に測定対象の回路パターンの近くにあって、しかも特異なパターンを有する部分が、モデルとして予め線幅測定装置に登録される。特異なパターンとは、出現頻度が低く、類似したパターンがほとんどないパターンである。また、モデルと測定対象の回路パターンとの相対的な位置関係も線幅測定装置に登録される。
すると、測定時に線幅測定装置は、モデルとして登録された特異なパターンが写っている撮像画像内の座標を画像処理により認識する。そして、線幅測定装置は、登録された相対的な位置関係と認識した座標とから、測定対象の回路パターンの撮像画像における座標を算出し、算出した座標における回路パターンの線幅を測定する。
以上のような方法においては、いかにしてモデルとして適切な特異なパターンを選択するかという点が重要である。
また、上述の補正用のパラメータの値を決定するために利用するアライメントマークに関しても、アライメントマークの一部をモデルとして登録し、撮像画像内におけるアライメントマークの場所を同様の方法によって認識する方法が、測定装置、検査装置、欠陥修正装置などの各種装置に適用される場合がある。つまり、モデルの作成と利用に関わる種々の問題は、線幅測定装置に限らず、位置合わせ処理を行う様々な装置にも関係がある。
モデルとすべき部分を手動カーソルにより作業者が画像内で指定することで、モデルの設定および登録を行う方法も開示されているが(例えば、特許文献1を参照。)、作業者の熟練度が低いと不適切な部分がモデルとして登録されるおそれがある。例えば、近傍に類似パターンが存在するようなパターンはモデルとして不適切だが、非熟練者は近傍の類似パターンを見落とすかもしれない。また、モデルとして登録すべき範囲の大きさを適切に判断するのにも熟練が必要である。
そこで、適切なモデルを自動的に選択して登録する方法が望まれる。ウィンドウを用いて画像内を走査し、ウィンドウ内の濃度和や特徴量を利用して、画像内からモデルに適した部分を選択する方法(例えば、特許文献2および3を参照。)が開示されているので、そのような方法を利用することも可能である。
特開平6−229720号公報 特開平8−115423号公報 特開平9−128543号公報
しかしながら、適切なモデルを自動的に選択して登録する公知の方法には改善の余地がある。
例えば、基板の個々の種類によって、走査に用いるウィンドウの適切なサイズは異なるが、ウィンドウサイズを自動的かつ適切に決定する方法は開示されていない。
モデルとして登録される範囲がある程度大きければ、測定時の撮像画像にずれが生じていても、少なくともモデルの一部に該当する部分が撮像画像に含まれると期待される。しかし、もしウィンドウが小さすぎれば、モデルに該当する部分が測定時の撮像画像の範囲外に位置し、再撮像が必要になる場合がある。
逆に、ウィンドウが大きすぎれば、モデルに適した特異なパターンはウィンドウサイズの領域のごく一部を占めるのみとなる。すると、モデルとして登録されたパターンが写っている撮像画像内の座標を線幅測定装置などの装置が認識する処理において、認識に資するところの少ない部分を表す多量のデータを処理する必要が生じ、無駄な時間がかかってしまう。
そこで本発明は、モデルを利用した位置合わせにおいて、人間の関与を極力減らすとともに、画像認識に資する部分を効率的にモデルとして利用するための技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、対象物に関する位置合わせを行う位置合わせ装置が提供される。該位置合わせ装置は、基準モデル格納手段、撮像手段、特徴点抽出手段、ずれ量算出手段、および位置合わせ手段を備える。
前記基準モデル格納手段は、前記対象物と同じ種類の基準物に含まれる基準パターンを撮像した基準撮像画像から特徴点抽出処理により抽出された、複数の基準特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を含む基準モデルを格納する。
前記撮像手段は、前記対象物に含まれ前記基準物における前記基準パターンに対応する対象パターンを撮像し、対象撮像画像を取得する。
前記特徴点抽出手段は、前記撮像手段が取得した前記対象撮像画像から、特徴点抽出処理により複数の対象特徴点を抽出し、前記複数の対象特徴点それぞれの座標である複数の対象特徴箇所座標を取得する。
前記ずれ量算出手段は、前記基準モデル格納手段が格納する前記基準モデル内の前記複数の基準特徴箇所座標と前記特徴点抽出手段が取得した前記複数の対象特徴箇所座標とに基づき、前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表すずれ量を算出する。
前記位置合わせ手段は、前記ずれ量算出手段が算出した前記ずれ量に基づいて前記対象物に関する位置合わせ処理を行う。
本発明の第2の態様によれば、前記位置合わせ装置として機能するコンピュータが実行する方法、および、該コンピュータに該方法を実行させるプログラムが提供される。
本発明の第3の態様によれば、例えば上記位置合わせ装置において利用可能な基準モデルを作成する基準モデル作成装置が提供される。前記基準モデル作成装置は、対象を表現する基準モデルを作成する装置であって、撮像手段、特徴点抽出手段、および基準モデル作成手段を備える。
前記撮像手段は、前記対象を撮像した撮像画像を取得する。
前記特徴点抽出手段は、前記撮像手段が取得した前記撮像画像から複数の特徴点を抽出し、前記複数の特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を取得する。
前記基準モデル作成手段は、前記特徴点抽出手段が取得した前記複数の基準特徴箇所座標を含むモデルを、前記基準モデルとして作成する。
本発明の第4の態様によれば、前記基準モデル作成装置として機能するコンピュータが実行する方法、および、該コンピュータに該方法を実行させるプログラムが提供される。
上記基準モデルは、画像から抽出された複数の特徴点の座標を含む。特徴点は画像認識に資する部分である。すなわち、上記基準モデルは、画像認識に資する部分を効率的に利用したモデルである。したがって、上記基準モデルを用いた位置合わせ処理も、効率的に行うことができる。
また、上記基準モデルは、ウィンドウを利用せず、かつ自動的に作成することができる。すなわち、上記基準モデルは、ウィンドウサイズをいかに適切に決定するかという問題とも、作業者の熟練度とも無関係に作成することが可能である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。説明は次の順序で行う。
まず、図1A〜図2を参照して第1実施形態について説明し、次に図3を参照して第2実施形態について説明する。第1実施形態と第2実施形態は、基準モデルの作成に特徴点抽出を利用する点で共通だが、上記基準モデルに含まれるデータ、および、基準モデルを用いた位置合わせの具体的な方法において異なっている。
その後、図3から図19を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態を線幅測定装置に応用した実施形態である。
なお、以下ではFPD用のガラス基板を単に「基板」と呼び、基板に対する測定、検査、および修正のための位置合わせを例として説明する。しかし、下記の実施形態は、半導体ウェハなど任意の種類の基板に対して適用可能である。
また、物理的存在である基板上の位置、すなわち実空間上での位置と、基板を撮像した画像上での位置とを明確に区別するため、以下では、基板上の位置を「ポジション」と呼び、画像上の位置を「座標」と呼ぶ。基板の表面上の「ポジション」も、例えば、基板の中心を原点とし、基板を基準とする2次元座標系を用いて表すことができるが、以下では特に断らない限り、「座標」という用語は画像上の座標を表すのに用いる。
画像上の「座標」は、例えば、画像の左上端を原点とし、画像の水平方向を左から右へ向かうx軸と、垂直方向を上から下へ向かうy軸とを座標軸とする、2次元座標系を用いて表される。
図1Aは、第1実施形態における基準モデルの作成について説明する図である。以下、第1実施形態に関して、図1Aと図1Bを参照して基準モデルの作成と利用の方法を先に説明し、その方法を実現する装置の構成については、図2とともに後述する。
基準モデルは、基板の特定のポジションに対して作成される。基準モデルは、その特定のポジションに対する検査、計測、または修正などの各種処理のために行う位置合わせにおいて利用される。つまり、基準モデルは、検査などの対象である基板上の特定のポジションを表現しており、特定のポジションが画像上のどの座標に位置するかを特定するのに必要な情報を含んでいる。
例えば、図1Aの撮像画像1は、線幅wを計測する対象の回路パターン2を含む。線幅wを計測するポジションが上記の「特定のポジション」である。
基板を撮像して得られた撮像画像1に対して、特徴点抽出処理が行われ、図1Aに小さな黒丸で示したように、特徴点3a〜3dなどの複数の特徴点が抽出される。各特徴点には「R1」、「R2」などの特徴箇所ID(identifier)が割り当てられ、撮像画像1内での各特徴点の座標が取得され、特徴箇所IDと座標の組がモデル特徴箇所座標群5として記憶される。図1Aの例では12個の特徴点が抽出されているので、モデル特徴箇所座標群5においてn=12である。
また、抽出された各特徴点の周辺の小領域の画像が、それぞれモデル特徴箇所画像として取得される。第1実施形態では、特徴点を中心とする所定の大きさの矩形の小領域がモデル特徴箇所画像として取得される。なお、「特徴箇所ID」や「モデル特徴箇所画像」における「特徴箇所」という用語は、「特徴点の近傍の小領域」、または、「小領域を代表して表す点としての特徴点」という意味である。
例えば、特徴点3aを中心とする特徴点3aの近傍の正方形の小領域が、撮像画像1から切り出され、モデル特徴箇所画像4aとして取得される。図1Aの例では、モデル特徴箇所画像4aを含めた12個のモデル特徴箇所画像が取得され、これら12個のモデル特徴箇所画像からなる群がモデル特徴箇所画像群4として表されている。
モデル特徴箇所画像の上記の「所定の大きさ」は、実施形態に応じて適宜定めることができるが、撮像画像1の大きさに比べて、非常に小さくてよい。例えば、特徴点としてコーナーが抽出される場合、コーナーを形成する二つのエッジの大体の方向が判別可能な程度の、少ない画素数の小領域を、モデル特徴箇所画像として利用することができる。図1Aの例では、各モデル特徴箇所画像内のL字状の部分の方向によって、コーナーを形成する二つのエッジの方向が判別可能なことがわかる。
また、モデル特徴箇所画像の範囲は、特徴点の座標を基準にして予め相対的に決められてさえいればよい。実施形態によっては、特徴点がモデル特徴箇所画像の中心にならなくてもよく、モデル特徴箇所画像が正方形の領域ではなく、長方形、円形、またはその他の任意の形状の領域であってもよい。
こうして各特徴点に対応して複数のモデル特徴箇所画像が取得されると、各特徴点について、特徴点の座標とモデル特徴箇所画像とが1対1に対応付けられる。基準モデルは、このようにして対応付けられた座標とモデル特徴箇所画像との対を複数含む。
換言すれば、基準モデルは、モデル特徴箇所画像群4とモデル特徴箇所座標群5とを含む。そして、モデル特徴箇所画像群4に含まれる各モデル特徴箇所画像は、モデル特徴箇所座標群5に含まれるいずれか一つの座標と、例えば特徴箇所IDを介して対応付けられている。
また、基準モデルは、線幅wを測定すべきポジションを表す、図1Aの撮像画像1における座標の情報を含む。例えば、線幅wを測定すべきポジションを表す座標として、エッジ2aが右向きの矢印と接する座標が基準モデルに含まれてもよい。
以上例示されるように、基準モデルは、撮像画像1の全体に基づいて作成されるので、ウィンドウの大きさと位置をいかにして決定するべきかという問題は生じない。
また、基準モデルが含む画像は、画像認識に資する部分である特徴点の近傍の小領域のみである。例えば、ほとんど変化のない背景に関する情報は、基準モデルには含まれない。つまり、第1実施形態の基準モデルにおいては、少ないデータ量で効率よく画像認識に資する部分がモデル化されている。したがって、次に図1Bを参照して説明する、基準モデルを利用した処理の効率も優れている。
図1Bは、第1実施形態における基準モデルを用いた位置合わせについて説明する図である。
例えば、品質管理などを目的として、同じ品種の複数の基板について同じ特定のポジションの検査または計測を行いたい、という要求がある。そこで、その品種のある1枚の基板を使って上記のようにして基準モデルが作成され、作成された基準モデルを用いた検査または計測が同じ品種の他の基板に対して行われる。以下では、検査のために基板の特定のポジションの回路パターンの線幅wを測定する場合を例に説明する。
線幅wを測定する際には、線幅測定装置に基板の置かれる位置や方向の微細なずれなどが原因で、個々の基板ごとに、同じ特定のポジションが画像上の異なる座標に写ってしまうことがある。一般には、アライメントマークを用いた補正などが撮像の前に行われるが、完全に補正しきれるとは限らない。
例えば、ある基板に対しては、線幅wを測定するために図1Bの撮像画像11が取得される。基準モデルの作成に用いられた図1Aの撮像画像1と比較すると、撮像画像11では視野が左にずれている。
視野のずれの分、線幅を測定しようとする特定のポジションに対応する、撮像画像1内での座標と撮像画像11内での座標は、異なっている。そこで、線幅を計測しようとする特定のポジションの撮像画像11内の座標を特定する位置合わせ処理が必要である。基準モデルは位置合わせ処理に利用される。
具体的には、撮像画像11に対する特徴点抽出処理が行われ、特徴点13aなどの複数の特徴点が抽出される。各特徴点には、「S1」などの特徴箇所IDが割り当てられ、撮像画像11内での各特徴点の座標が、特徴箇所IDと対応付けられて、検査時の特徴箇所座標群15として記憶される。図1Bの例では、8個の特徴点が抽出されているので、検査時の特徴箇所座標群15においてm=8である。
続いて、抽出された特徴点のうちの任意の一つが注目特徴箇所として選択される。例えば、図1Bの例では特徴点13aが選択される。そして、図1Aのモデル特徴箇所画像4aなどと同じ大きさの、撮像画像11における特徴点13aの近傍の小領域が、特徴箇所画像14aとして切り出される。特徴箇所画像14aは、図1Aの処理で得られたモデル特徴箇所画像群4内の各モデル特徴箇所画像と比較される。
図1Bの例では、特徴箇所画像14aは、右上隅が白く、残りのL字型の部分には回路パターン12が灰色に写っている。したがって、モデル特徴箇所画像群4に含まれる12個のモデル特徴箇所画像のうち、モデル特徴箇所画像4cと4dのみが、特徴箇所画像14aと類似のパターンを有している。ここで、モデル特徴箇所画像4cと4dは、それぞれ撮像画像1内の特徴点3cと3dの近傍から切り出された画像である。
そこで、「特徴点13aは特徴点3cに対応する」という第1の仮説と、「特徴点13aは特徴点3dに対応する」という第2の仮説が立てられ、二つの仮説が評価される。二つの仮説は、換言すれば「特徴箇所画像14aはモデル特徴箇所画像4cに対応する」という仮説と、「特徴箇所画像14aはモデル特徴箇所画像4dに対応する」という仮説である。
図1Bでは、モデル特徴箇所画像群4内の各モデル特徴箇所画像に対応する小領域を表す正方形を、撮像画像11に重ねることで、二つの仮説をそれぞれ分かりやすく示してある。
第1の仮説は、第1の仮説のもとでの撮像画像11と基準モデルとの全体的な類似度(以下、「全体類似度」という。)により評価される。評価は具体的には次のように行われる。
まず、モデル特徴箇所画像群4に含まれる各モデル特徴箇所画像に対応する撮像画像11内の小領域の座標が、モデル特徴箇所座標群5と検査時の特徴箇所座標群15とから、次のようにして算出される。
注目特徴箇所として選択された特徴点13aの撮像画像11内での座標を(xfcs,yfcs)とし、第1の仮説において特徴点13aに対応する特徴点3cの撮像画像1内での座標を(xhyp1,yhyp1)とする。また、モデル特徴箇所座標群5において(xorig,yorig)なる座標で表される特徴点に対応する、撮像画像11内の座標を(xcmp1,ycmp1)とする。すると、座標(xcmp1,ycmp1)は、下記の式(1)と(2)により算出可能である。
cmp1=xorig+(xfcs−xhyp1) (1)
cmp1=yorig+(yfcs−yhyp1) (2)
また、上記のとおり、第1実施形態では、モデル特徴箇所画像群4の各モデル特徴箇所画像は、各特徴点を中心とする所定の大きさの矩形である。したがって、各モデル特徴箇所画像について、第1の仮説のもとで撮像画像11において対応する小領域の範囲は、算出された座標(xcmp1,ycmp1)から一意に定まる。
こうして、モデル特徴箇所画像群4に含まれる12個のモデル特徴箇所画像についてそれぞれ、撮像画像11内の対応する小領域が算出され、算出された小領域とモデル特徴箇所画像との類似度(以下、「部分類似度」という。)が算出される。部分類似度は、小領域同士の類似度なので、少ない計算量で算出可能である。部分類似度は、小領域内の各画素の輝度の差の絶対値の和でもよく、その他の任意のアルゴリズムにより算出される値でもよい。
なお、図1Bに示すように、第1の仮説では、モデル特徴箇所画像4dに対応する座標は、撮像画像11の視野の外部である。この場合、モデル特徴箇所画像4dに対応する小領域の画像を撮像画像11から取得することはできない。したがって、モデル特徴箇所画像4dに対応する部分類似度として、例えば、例外処理用に予め決められた値が割り当てられてもよく、その他の適切な例外処理を行ってもよい。
こうして算出された複数の部分類似度に基づいて、撮像画像11と基準モデルとの間の全体類似度が算出される。例えば、全体類似度は、算出された複数の部分類似度の和であってもよい。また、全体類似度は、モデル特徴箇所画像群4に含まれるモデル特徴箇所画像のうち、対応する小領域が撮像画像11の視野の外になってしまうものの数などに応じて正規化された値でもよい。
以上のようにして、第1の仮説を評価するための全体類似度が算出される。同様に、第2の仮説に対しても全体類似度が算出される。図1Bからも明らかなとおり、第1の仮説の方が第2の仮説よりも全体類似度が高い。したがって、第1の仮説が採用される。
こうして採用すべき仮説が決定されると、基準モデルの作成に用いられた撮像画像1と、測定のために撮像された撮像画像11との間のずれを表すずれ量が算出される。図1Bの例では、第1の仮説が採用されたので、x方向とy方向のずれ量は、それぞれ式(3)と(4)で表される。
dspl=xfcs−xhyp1 (3)
dspl=yfcs−yhyp1 (4)
ここで、線幅wを測定すべきポジションに対応する、図1Aの撮像画像1における座標(xmes,ymes)は基準モデルに含まれる。よって、基準モデルに含まれる座標(xmes,ymes)に、式(3)と(4)のずれ量を足して補正することで、撮像画像11内で線幅wを測定すべき座標が算出され、線幅wが測定される。以上のようなずれ量を用いた座標の補正が、第1実施形態における位置合わせ処理である。
以上、第1実施形態における処理の流れを説明したので、続いて、処理を実行する装置の構成について図2を参照して説明する。
図2は、第1実施形態における基準モデル作成装置および位置合わせ装置の例を示す機能ブロック構成図である。第1実施形態において、基準モデル作成装置30と位置合わせ装置40は別個の装置であってもよく、位置合わせ装置60が基準モデル作成装置50を内蔵してもよい。
基準モデル作成装置30と位置合わせ装置40が別個の装置である場合、基準モデル作成装置30は、撮像部31と特徴点抽出部32と基準モデル作成部33とを備え、位置合わせ装置40は、基準モデル格納部41と撮像部42と特徴点抽出部43とずれ量算出部44と位置合わせ部45とを備える。
基準モデル作成装置30は、基板上の検査対象、測定対象、またはアライメントマークなどの、所定の対象を表現するための基準モデルを作成する装置である。
撮像部31は、予め決められた対象を撮像した撮像画像を取得する。図1Aには、撮像部31により取得された撮像画像の例として、撮像画像1が示されている。
撮像部31は、対象を撮像するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラなどを含んでもよい。
あるいは、基準モデル作成装置30は、直接的または間接的にカメラと接続された汎用的なコンピュータによって実現することもできる。この場合、撮像部31は、コンピュータに接続されたカメラから画像を取り込むための画像キャプチャボードなどのインターフェイスによって実現されてもよい。
特徴点抽出部32は、撮像部31が取得した撮像画像から複数の特徴点を抽出する。図1Aの例では、特徴点3aなどの12個の特徴点が抽出されている。また、特徴点抽出部32は、抽出した特徴点それぞれの座標を取得する。取得した結果、図1Aのモデル特徴箇所座標群5が得られる。
基準モデル作成部33は、各特徴点の座標を含むモデルを、基準モデルとして作成する。第1実施形態の基準モデルは、図1Aに例示したように、各特徴点の座標からなるモデル特徴箇所座標群5だけでなく、モデル特徴箇所画像群4も含む。つまり、第1実施形態において基準モデル作成部33は、撮像画像1から各特徴点の近傍の小領域を切り出し、複数のモデル特徴箇所画像を含むモデル特徴箇所画像群4を取得する。上記のとおり、各小領域は、各特徴点の座標のそれぞれを基準にして、予め決められた相対的な範囲である。
基準モデル作成部33が作成した基準モデルは、位置合わせ装置40の基準モデル格納部41に格納される。基準モデル作成装置30と位置合わせ装置40は、直接接続されていてもよく、ネットワークを介して接続されていてもよい。あるいは、基準モデル作成装置30と位置合わせ装置40が接続されていなくても、可搬型のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して、基準モデルを基準モデル作成部33から基準モデル格納部41へと受け渡すこともできる。
位置合わせ装置40は、例えば基板などの対象物に対して、測定、検査、または修正などの処理を行うために、対象物に関する位置合わせを行う装置である。基準モデル格納部41に格納される基準モデルは、対象物と同じ種類の基準物に含まれる特定の対象である基準パターンから、上記のようにして作成されたものである。
例えば、対象物と基準物は、同じ品種のFPD用のガラス基板である。そして、基準パターンは、基準モデル作成装置30が基準モデルを作成するときの対象となった、基準物の特定のポジションにある回路パターンである。基準パターンの一例は図1Aの回路パターン2である。
対象物と基準物は同じ種類なので、対象物は、基準物における基準パターンに対応する対象パターンを含む。対象パターンの一例は図1Bの回路パターン12である。
そこで、撮像部42は対象パターンを撮像して撮像画像を取得する。撮像部42が撮像した撮像画像の一例は図1Bの撮像画像11である。撮像部42は、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラを備える。撮像画像の種類を明示的に区別するため、以下では撮像部31が撮像した撮像画像を「基準撮像画像」といい、撮像部42が撮像した撮像画像を「対象撮像画像」ともいう。
また、位置合わせ装置40は、直接的または間接的にカメラと接続された汎用的なコンピュータによって実現することもできる。この場合、撮像部42は、コンピュータに接続されたカメラから画像を取り込むための画像キャプチャボードなどのインターフェイスによって実現されてもよい。
特徴点抽出部43は、撮像部42が取得した対象撮像画像から複数の特徴点を抽出する。図1Bの例では、特徴点13aを含む8個の特徴点が抽出されている。また、特徴点抽出部43は、抽出した特徴点それぞれの座標を取得する。取得した結果、図1Bに示した検査時の特徴箇所座標群15が得られる。
さらに、第1実施形態において、特徴点抽出部43は、撮像画像11から各特徴点の近傍の小領域を切り出してそれぞれの特徴点に対応する特徴箇所画像を取得する。すなわち、第1実施形態において特徴点抽出部43は、撮像画像11における各特徴点の座標を基準にして、予め決められた相対的な範囲を、特徴箇所画像として撮像画像11から切り出して取得する。
ここで、予め決められた相対的な範囲とは、モデル特徴箇所画像4a〜4dを撮像画像1から切り出すため、各特徴点3a〜3dの座標を基準にして予め決められた相対的な範囲と同じである。例えば、図1Bの特徴点13aの座標を基準にした特徴箇所画像14aの相対的な範囲は、図1Aの特徴点3aの座標を基準にしたモデル特徴箇所画像4aの相対的な範囲と同じである。
なお、以下では明示的な区別のために、基準撮像画像から抽出された特徴点を「基準特徴点」といい、対象撮像画像から抽出された特徴点を「対象特徴点」ということがある。また、それぞれの座標を「基準特徴箇所座標」、「対象特徴箇所座標」といい、それぞれの近傍の小領域を切り出した画像を「基準特徴箇所画像」、「対象特徴箇所画像」という場合がある。
例えば、図1Aのモデル特徴箇所座標群5に含まれる各座標は、基準特徴箇所座標の例であり、図1Bの検査時の特徴箇所座標群15に含まれる各座標は、対象特徴箇所座標の例である。また、図1Aのモデル特徴箇所画像4aは基準特徴箇所画像の例であり、図1Bの特徴箇所画像14aは対象特徴箇所画像の例である。
よって、第1実施形態における基準モデル作成部33の動作は、次のように概観することもできる。すなわち、基準モデル作成部33は、複数の基準特徴箇所座標のそれぞれを基準にして、予め決められた相対的な範囲を、複数の基準特徴箇所画像としてそれぞれ撮像画像1から切り出す。そして、基準モデル作成部33は、複数の基準特徴箇所画像と複数の特徴箇所座標とをそれぞれ対応付けて、基準モデルに含める。
ずれ量算出部44は、基準モデル格納部41が格納する基準モデル内のモデル特徴箇所座標群5と、特徴点抽出部43が取得した検査時の特徴箇所座標群15とに基づき、基準パターンと対象パターンのずれを表すずれ量を算出する。すなわち、ずれ量算出部44は、複数の基準特徴箇所座標と複数の対象特徴箇所座標とに基づき、ずれ量を算出する。
例えば、図1Aおよび図1Bの例では、撮像画像11の視野は撮像画像1の視野よりも左にずれている。ずれ量算出部44は、このようなずれを表すずれ量を算出する。
すなわち、ずれ量算出部44は、図1Bに関して説明したように複数の仮説を立て、各仮説を評価し、評価の結果に基づいて適切な仮説を採用し、採用した仮説におけるずれ量を算出する。また、ずれ量算出部44は、複数の基準特徴箇所画像と複数の対象特徴箇所画像とに基づいて、ずれ量を算出している。
仮説の立案は、ずれ量算出部44が、複数の対象特徴箇所画像の一つに注目し、注目した対象特徴箇所画像と類似する基準特徴箇所画像を選択することで行われる。すなわち、ずれ量算出部44は、「注目した対象特徴箇所画像と、選択した基準特徴箇所画像とが、互いに対応する」という仮説を立てる。
仮説の評価のため、ずれ量算出部44は、上記のようにして立てた仮説のもとで、複数の基準特徴箇所画像のそれぞれについて、当該基準特徴箇所画像と、対象撮像画像において当該基準特徴箇所画像に対応する範囲との類似度(つまり部分類似度)を算出する。そして、ずれ量算出部44は、算出した複数の部分類似度に基づいて仮説を評価する。
ずれ量算出部44は、二つ以上の対象特徴箇所画像に注目することにより、または、注目した対象特徴箇所画像に対して二つ以上の基準特徴箇所画像をそれぞれ選択することにより、複数の仮説を立てて評価する。そして、ずれ量算出部44は、評価の結果に基づいて、複数の仮説の中から一つの仮説を選択し、選択した仮説における基準パターンと対象パターンのずれを表す量を、ずれ量として算出する。
そして、位置合わせ部45は、ずれ量に基づいて対象物に関する位置合わせ処理を行う。位置合わせ処理は、位置合わせ装置40の用途に応じて様々である。
例えば、対象物上の対象が中心に写るように、撮像部42が再び撮像を行うことが求められる場合がある。この場合、位置合わせ部45が、位置合わせ処理として、ずれ量に基づいて、撮像の対象である対象パターンと、撮像部42による撮像に用いられる対物レンズの相対的な位置を補正する制御を行ってもよい。
ここで、上記の対象パターンと対物レンズの相対的な位置とは、以下の意味で用いている。対象物を撮像したとき、撮像した画像の中心が対物レンズの光軸上に位置する。そこで、対物レンズの光軸に垂直な平面上である撮像画面上で2次元的に考えたとき、例えば、対象物である基板と対物レンズの光軸とが交わる位置(つまり画像の中心)を基準とした、対象パターンまでの相対的な位置関係を、上記の「対象パターンと対物レンズの相対的な位置」としている。明らかに、対象パターンと対物レンズの相対的な位置は、対象物と対物レンズの相対的な位置でもある。
あるいは、位置合わせ部45は、検査や計測の対象として指示された対象物上のポジションから変換されて得られた画像上の座標を補正して新たな座標を算出する処理を、位置合わせ処理として行ってもよい。
また、図2に示すように、位置合わせ装置60が基準モデル作成装置50を内蔵していてもよい。位置合わせ装置60は、基準物から基準モデルを作成する処理と、作成した基準モデルを用いて、対象物を計測、検査、修正などのために位置合わせする処理とを、ともに行うことができる。
基準モデル作成装置50は、撮像部51、特徴点抽出部52、および基準モデル作成装置30と同様の基準モデル作成部33を備える。また、位置合わせ装置60は、基準モデル作成装置50のほかに、位置合わせ装置40と同等の基準モデル格納部41、ずれ量算出部44、および位置合わせ部45を備える。
撮像部51は、撮像部31と撮像部42を兼ねた機能を有する。つまり、撮像部51は、基準撮像画像と対象撮像画像を取得する。
また、特徴点抽出部52は、特徴点抽出部32と特徴点抽出部43を兼ねた機能を有する。つまり、特徴点抽出部52は、基準特徴点を抽出し、基準特徴箇所座標と基準特徴箇所画像を取得し、対象特徴点を抽出し、対象特徴箇所座標と対象特徴箇所画像を取得する。
続いて第2実施形態について図3を参照して説明する。
図3は、第2実施形態における基準モデルの作成と基準モデルを用いた位置合わせについて説明する図である。以下では、第1実施形態との違いを中心にして説明し、第1実施形態との共通点についての説明は適宜省略する。
第2実施形態における基準モデルは、第1実施形態と同様に、抽出された複数の特徴点に対応するモデル特徴箇所座標群5を含む。つまり、第1および第2実施形態のいずれにおいても、基準モデルは、複数の特徴点の分布を表す情報を含んでおり、複数の特徴点の分布の仕方に基づいて位置合わせが行われる。
しかし、第2実施形態では撮像画像1からのモデル特徴箇所画像の切り出しは行われず、基準モデルは図1Aのようなモデル特徴箇所画像群4を含まない。
つまり、第2実施形態においても、第1実施形態における図2の基準モデル作成装置30または50と同様の装置により、基準モデルを作成することができるが、第2実施形態では、基準モデル作成部33の動作が第1実施形態とは異なる。
また、基準モデルが作成された後の線幅wの測定時には、第1実施形態と同様に、撮像画像11が撮像され、撮像画像11から特徴点の抽出が行われる。しかし、その後の処理が第1実施形態とは異なる。
すなわち、第2実施形態においても、図2の位置合わせ装置40または60と同様の装置により、線幅測定のための位置合わせ処理を行うことができるが、第2実施形態では、ずれ量算出部44の動作が第1実施形態とは異なる。
ここで、説明の簡単化のために、モデル特徴箇所座標群5にはn組の特徴箇所IDと座標の組が含まれ、検査時の特徴箇所座標群15にはm組の特徴箇所IDと座標の組が含まれ、n≧mであると仮定する。
検査時の特徴箇所座標群15におけるm個の座標(すなわちm個の対象特徴箇所座標)のそれぞれを、モデル特徴箇所座標群5におけるn個の座標(すなわちn個の基準特徴箇所座標)のいずれかに対応付ける組み合わせ方は、多数存在する。
例えば、図3の組み合わせ21aは、モデル特徴箇所座標群5における特徴箇所ID「R1」と検査時の特徴箇所座標群15における特徴箇所ID「S1」とを対応付けた組にペアIDとして「P1」を割り当て、特徴箇所ID「R2」と特徴箇所ID「S2」とを対応付けた組に「P2」を割り当て、……、特徴箇所ID「Rn」と特徴箇所ID「Sm」とを対応付けた組に「Pm」を割り当てる、という組み合わせである。
この一つの組み合わせ21aが、第2実施形態における一つの仮説である。第2実施形態において、ある組み合わせにより表される仮説のもとでの、撮像画像11と基準モデルとの間の全体的な類似の程度を表す全体類似度は、例えば、その組み合わせにおける各組において互いに対応付けられた座標間の距離の総和である。このように定義された全体類似度は、値が小さいほど類似の程度が高い。なお、第2実施形態では、第1実施形態や第3実施形態における全体類似度とは異なる定義が使われている。
例えば、組み合わせ21aにより表される仮説のもとでは、次のような計算が行われる。組み合わせ21aでは、特徴箇所ID「R1」と「S1」が対応付けられているので、「R1」に対応する座標(250,400)と「S1」に対応する座標(400,400)の距離が算出される。また、特徴箇所ID「R2」と「S2」が対応付けられているので、座標(300,400)と(500,400)の距離が算出される。以下同様にして、m個の距離が算出され、m個の距離の総和が、全体類似度として算出される。この全体類似度の定義から、全体類似度の値が小さいほど、高い類似性を示している。
したがって、第2実施形態におけるずれ量算出部44は、可能なすべての組み合わせについて全体類似度を算出し、最も全体類似度が少ない組み合わせを、撮像画像1と11との最適なマッチング位置を表す仮説として採用する。そして、ずれ量算出部44は、採用した仮説を表す組み合わせにおける、回路パターン2と12のずれを表すずれ量を算出する。
例えば、組み合わせ21aが採用された場合、ずれ量算出部44は、組み合わせ21aにおけるm組のそれぞれについて、互いに対応付けられた二つの特徴箇所IDにそれぞれ対応する座標のずれ量を算出する。そして、ずれ量算出部44は、算出したm個のずれ量の平均を、組み合わせ21aにおけるずれ量として算出してもよい。
あるいは、ずれ量算出部44は、その他の方法により組み合わせ21aにおけるずれ量を算出してもよい。例えば、ずれ量算出部44は、組み合わせ21aにおける特定の1組(例えばペアID「P1」の組)に対応するずれ量を、組み合わせ21aにおけるずれ量として利用してもよい。
こうしてずれ量が算出された後の、位置合わせ部45による位置合わせ処理は、第1実施形態と同様である。
なお、上記ではn≧mであると仮定したが、n<mの場合もありうる。その場合、ずれ量算出部44は、検査時の特徴箇所座標群15のm個の座標のうち、n個を選んで、上記と同様に複数の組み合わせについて全体類似度を算出する。例えば、ずれ量算出部44は、m個からn個を選ぶ方法のすべてについて、また、選ばれたn個に関してすべての可能な組み合わせについて、網羅的に全体類似度を算出してもよい。ずれ量算出部44は、算出した複数の全体類似度のうちで最適な全体類似度に対応する組み合わせに基づいて、ずれ量を算出する。
また、mやnの値が大きい場合には組み合わせ爆発を起こし、すべての組み合わせについて全体類似度を算出することが困難な場合がある。その場合は、組み合わせ最適化に関する適当なアルゴリズムを用いて、一部の組み合わせについてのみずれ量算出部44が全体類似度を算出するように、上記第2実施形態を変形してもよい。
すなわち、第2実施形態またはその変形例におけるずれ量算出部44の動作を概観すれば以下のごとくである。
・複数の対象特徴箇所座標を複数の基準特徴箇所座標に対応付ける複数の組み合わせ方に応じて、全体類似度をそれぞれ算出する。
・全体類似度が何らかの基準を満たす組み合わせ方を選択する。
・選択した組み合わせ方における基準パターンと対象パターンのずれを表す量を、ずれ量として算出する。
ここで、上記の「基準」とは、例えば、「全体類似度が表す類似の程度が、予め決められた閾値が表す類似の程度以上となる組み合わせ方を、ずれ量算出部44が選択する」という基準でもよい。例えば、値が小さいほど高い類似性を示す全体類似度の場合、ずれ量算出部44は、閾値以下の値となる全体類似度が算出された組み合わせ方を選択する。
あるいは、上記のとおり、全体類似度は、可能な組み合わせ方の全部または一部に対してそれぞれ算出されるが、いずれにせよ、ずれ量算出部44は複数の全体類似度を算出する。よって、上記の「基準」とは、例えば、「複数の全体類似度のうちで、相対的に高い(より好ましくは、最も高い)類似の程度を表す全体類似度が算出された組み合わせ方を、ずれ量算出部44が選択する」という基準でもよい。
以上、第2実施形態について説明したので、続いて第3実施形態について図4〜図19を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態を線幅測定装置に応用した実施形態である。以下では、まず図4を参照して線幅測定装置100の構成を説明し、図5〜図7を参照して、図8〜図19に関する説明の前提となる事項を説明してから、処理とデータの詳細について図8〜図19を参照して説明する。
図4は、第3実施形態における線幅測定装置の構成図である。
第3実施形態における線幅測定装置100は、各種の処理を行うコンピュータ101と、基準モデルを作成するための基準物または測定対象物である基板102を保持する測定対象保持部103と、基板102を観察するための顕微鏡部104と、顕微鏡部104を介して基板102を撮像するための撮像部105と、を備える。
なお、コンピュータ101を線幅測定装置の外部に設けるよう、第3実施形態を変形することも可能である。すなわち、測定対象保持部103と顕微鏡部104と撮像部105を有する線幅測定装置が、線幅測定装置の制御装置として機能する外部のコンピュータ101と直接または間接に接続されていてもよい。
測定対象保持部103は、基板102を吸着、把持、またはその他の方法で保持し、コンピュータ101からの制御に基づいて、顕微鏡部104に対する基板102の相対位置を移動させる。例えば、顕微鏡部104は床に対して固定されており、測定対象保持部103は、床面と平行で互いに直交する2本の軸に沿って、基板102を任意に移動させることにより、基板102の顕微鏡部104に対する相対位置を移動させる。
あるいは、測定対象保持部103は、床面と平行な第1の軸に沿ってのみ基板102を移動させることが可能な構成であってもよい。この場合、床面と平行で第1の軸と垂直な第2の軸に沿った梁を有するガントリーに、顕微鏡部104と撮像部105が取り付けられ、測定対象保持部103の上方にまたがるようにガントリーが設置される。なお、顕微鏡部104に対して撮像部105は固定されている。
この場合、ガントリーの梁に沿って、すなわち第2の軸に沿って顕微鏡部104と撮像部105が移動し、第1の軸に沿って測定対象保持部103が基板102を移動させることで、基板102と顕微鏡部104の相対位置を変えることが可能である。
あるいは、測定対象保持部103は床面に対して固定されており、顕微鏡部104が第1および第2の軸に沿って移動可能であってもよい。この場合は、ガントリーが第1の軸に沿って移動することで、顕微鏡部104が第1の軸に沿って移動する。また、顕微鏡部104は、ガントリーの梁に沿って移動することにより、第2の軸の方向に移動する。
上記いずれの構成においても、基板102と顕微鏡部104の相対位置を、第1および第2の軸のいずれの方向に関しても、任意に変えることが可能である。
顕微鏡部104は、不図示の照明部、複数の対物レンズを備えたレボルバ、基板102表面での反射光を、対物レンズを介して撮像部105の受光素子まで導くための光学系、およびオートフォーカス機構を備える。顕微鏡部104はコンピュータ101により制御され、コンピュータ101は、照明部やレボルバの現在の設定を読み取り、照明光量、照明角度、撮像倍率などを取得することができる。
照明部は、基板102を撮像するために必要な光を、基板102の上面または下面から照射するためものである。また、照明部は、上面と下面の双方から、あるいは斜めから基板102に光を照射してもよい。
レボルバは、対物レンズを切り換えることで基板102の撮像倍率を変更するための倍率変更部として機能する。
オートフォーカス機構は、照明光が基板102の表面に結像するように、基板102に対する対物レンズの高さを調節する機構である。
撮像部105は、例えばCCDカメラまたはCMOSカメラであり、コンピュータ101の制御にしたがって、顕微鏡部104を介して基板102を撮像し、撮像した画像のデータを生成してコンピュータ101に出力する。
コンピュータ101は、処理を実行する不図示のCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)などの不図示の不揮発性メモリと、ワーキングエリアとして使われる不図示のRAM(Random Access Memory)を備える。CPUがRAMを用いてソフトウェア106を実行することにより、後述の各部の機能が実現される。ソフトウェア106はROMに格納されていてもよい。
また、コンピュータ101は、測定対象保持部103、顕微鏡部104、および撮像部105などの各種外部機器を制御するためのインターフェイスを備える。さらに、コンピュータ101は、入力部107と、永続記憶部108と、表示部109とを備えている。コンピュータ101内の各部はバスにより接続されている。
入力部107は、処理の実行に必要な情報等を、作業者が直接的に、または通信回線などを介して間接的に入力するためのものである。入力部107は、少なくとも、マウスもしくはタッチパネルなどのポインティングデバイス、キーボード、マイク、またはネットワークインターフェイスを含む。
永続記憶部108は、基準モデル、位置合わせ処理に必要な各種データ、および測定結果などを記憶する不揮発性の記憶装置である。ソフトウェア106は、永続記憶部108に格納されていてもよい。永続記憶部108は、例えば、ハードディスク装置、またはコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体の駆動装置を含む。
表示部109は、基板102を撮像した撮像画像や線幅の測定結果などを作業者に見せるためのモニタディスプレイである。
不図示のCPUは、ソフトウェア106を実行することによって、全体制御部110、測定部位情報作成部111、モデル作成部112、画像位置合わせ部113、測定部114、および座標変換部115の各部の機能を実現する。これらの各部が作成した各種データは、例えば、処理途中では一時的にRAMに格納され、そのうち最終的な結果として必要なデータは永続記憶部108にコピーされる。
全体制御部110は、入力部107からの入力などに応じて、実行する処理の全体的な流れを制御する。全体制御部110は、例えば各部への動作タイミングの通知を行ったり、コンピュータ101と他の構成要素とのインターフェイスの機能を果たしたりする。例えば、全体制御部110は、撮像部105との間のインターフェイスとして画像キャプチャボードを備えていてもよい。
例えば、全体制御部110は、一定の時間間隔で、撮像部105に対して撮像を命令し、撮像部105から撮像画像を取得し、取得した撮像画像を表示部109に表示させる、という一連の処理を繰り返してもよい。この一連の処理を以下では「ライブ表示」という。
また、全体制御部110は、例えば顕微鏡部104とコンピュータ101との間のインターフェイスとして機能し、顕微鏡部104から現在の照明光量、照明角度、および選択されている対物レンズを示す情報を取得する。対物レンズを示す情報は、換言すれば、顕微鏡部104を介しての撮像部105による基板102の撮像における撮像倍率を表す情報である。
こうして顕微鏡部104から全体制御部110が取得した情報は、モデル作成部112に出力され、図8とともに後述する「レシピ」と呼ばれる情報に取り入れられる。
測定部位情報作成部111は、基板102を撮像した画像から、基板102上の回路パターンの測定部位情報を作成する。詳しくは後述するが、図1Aを例に簡単に説明すると、測定部位情報作成部111は、回路パターン2において線幅wを測定するべきポジションの撮像画像1における座標を、測定部位情報として作成する。
モデル作成部112は、位置合わせ処理に必要な基準モデルを作成する。具体的には、モデル作成部112は、アライメントマークに関する基準モデルと、線幅を測定する対象に関する基準モデルの双方を作成する。
画像位置合わせ部113は、モデル作成部112が作成した基準モデルを使用して、基板102を撮像した画像に対して位置合わせ処理の一種である画像位置合わせ処理を行う。
測定部114は、位置合わせ処理の後に、対象撮像画像を使用して、測定部位情報に基づいて線幅を測定する。
座標変換部115は、2次元座標系上の少なくとも2点以上の座標データを利用して、2次元座標系における座標変換処理に必要な変換パラメータを算出し、算出した変換パラメータを用いて、2次元座標系における座標変換処理を行う。例えば、座標変換部115は、ユークリッド変換またはアフィン変換による座標変換を行う。座標変換処理は、位置合わせ処理の一部である。
なお、上記で「座標」と「ポジション」という用語の原則的な使い分けについて述べたが、後述のように座標変換部115は、基板102の表面上のポジションを表す、基板を基準とする2次元座標系の座標に関する処理を行う。
以上、図4について説明したが、第3実施形態は第1実施形態の応用例であり、図2と図4は次のように対応する。
図2において基準モデル作成装置50を内蔵した位置合わせ装置60が、図4の線幅測定装置100に含まれる。
また、図2の撮像部51は、図4の顕微鏡部104と撮像部105を含む。さらに、図4の全体制御部110の機能のうち、撮像部105とコンピュータ101の間のインターフェイスとしての機能も、図2の撮像部51に含まれる。
図2の特徴点抽出部52は、図4のモデル作成部112および画像位置合わせ部113にそれぞれ含まれ、図2の基準モデル作成部33は、図4のモデル作成部112に対応する。また、図2の基準モデル格納部41は、図4の永続記憶部108に対応する。
図2のずれ量算出部44は図4の画像位置合わせ部113に含まれる。そして、図2の位置合わせ部45は、図4の画像位置合わせ部113、座標変換部115、全体制御部110、および測定対象保持部103に対応する。
以上、図4と図2の関係について説明したので、続いて、第3実施形態における基板102の例について図5を参照して説明する。
図5は、基板の例を示す図である。「マザーガラス」とも呼ばれるガラス基板201からは、複数のディスプレイパネルが製造される。ガラス基板201は図4の基板102の一例である。
図5の例では、1枚のガラス基板201から6枚のディスプレイパネルが製造される。よって、ガラス基板201には、六つのディスプレイ領域211〜216があり、これらのディスプレイ領域211〜216には同じ回路パターンが形成される。
また、ガラス基板201のディスプレイ領域211〜216に属さないマージン領域には、四つの十字形のアライメントマーク241〜244がある。アライメントマーク241〜244の大きさ、形状、数、ポジションは任意である。
ここで、例えば、ディスプレイ領域211内の測定予定ポジション221と231が線幅測定の対象であるとする。より正確には、測定予定ポジション221と231はそれぞれ、1回の撮像で測定を行うことができる範囲を代表して表すポジションである。
上記の「1回の撮像で測定を行うことができる範囲」とは、撮像部105によって撮像される撮像画像における視野であり、撮像部105の仕様および顕微鏡部104で選択された対物レンズの倍率によって定まる。1枚の撮像画像内に写った1箇所または複数箇所の線幅は、1回の撮像で測定可能である。
また、上記の「1回の撮像で測定を行うことができる範囲を代表して表すポジション」とは、線幅を測定すべき複数箇所が1枚の撮像画像に収まるようにしたときの、視野を代表する1点のポジションである。例えば、顕微鏡部104による視野の中心に位置するガラス基板201上のポジションが、上記の「1回の撮像で測定を行うことができる範囲を代表して表すポジション」として利用可能である。
なお、図5において、測定予定ポジション221と231を表すダイヤ形および菱形は、ポジションを図示するための便宜上の形状であり、回路パターンの形状とは無関係である。
また、図5の例では、1枚のガラス基板201から製造される6枚のディスプレイパネルに対して、各ディスプレイパネル内での相対的なポジションが互いに同じである6箇所の線幅が、測定の対象であるものとする。
ディスプレイ領域211〜216には同じ回路パターンが形成されるので、ディスプレイ領域211を基準とした測定予定ポジション221の相対的なポジションは、ディスプレイ領域212を基準とした測定予定ポジション222の相対的なポジションと同じである。他のディスプレイ領域213〜216についても同様である。また、測定予定ポジション231についても同様である。
したがって、例えば、測定予定ポジション221を表現する基準モデルは、再利用して測定予定ポジション222〜226にも適用することが可能であり、測定予定ポジション231を表現する基準モデルは、再利用して測定予定ポジション232〜236にも適用することが可能である。
例えば、ディスプレイ領域212のディスプレイ領域211に対するオフセットは、設計情報から明らかである。よって、オフセットによる補正を適用することで、ディスプレイ領域211の測定予定ポジション221に対応して作成された基準モデルを、他のディスプレイ領域212〜216の測定予定ポジション222〜226にも再利用することができる。
もちろん、一つの基準モデルを複数の異なるディスプレイ領域に適用するだけでなく、一つの基準モデルを一つのディスプレイ領域内の複数の異なるポジションに適用することも可能である。例えば、FPD基板においては、一つの画素を構成する同じ回路パターンが繰り返される。よって、一つのディスプレイ領域内の複数の画素に対応する複数の異なるポジションに、同じ一つの基準モデルを適用することも可能である。
続いて、線幅測定装置100の動作の概要について図6と図7を参照して説明する。
図6は、第3実施形態における線幅測定装置の運用を示すフローチャートである。
図4の線幅測定装置100の全体制御部110は、ステップS101において、線幅測定装置100に現在搬入されている処理対象の基板102の品種を判断する。例えば、入力部107を介して作業者または他のコンピュータが基板102の品種を示す情報を入力し、全体制御部110が入力された情報に基づいてステップS101の判断を行ってもよい。
基板102は、基準モデルをまだ登録していない新規品種である、と全体制御部110が判断した場合は、基準モデルの登録のために処理がステップS102に移行する。また、基板102は、基準モデルを既に登録している既存品種である、と全体制御部110が判断した場合は、線幅の測定のために処理がステップS104に移行する。
線幅測定装置100は、ステップS102においてアライメント補正データ作成処理を行い、続いてステップS103において測定データ作成処理を行う。これらの処理の詳細は後述するが、ステップS102とS103は、アライメントマークと測定対象ポジションのそれぞれについて基準モデルを作成して登録するステップである。ステップS103の終了後、基板102が線幅測定装置100から搬出され、処理はステップS101に戻り、次に線幅測定の為にステップS104に移行する。
また、線幅測定装置100は、ステップS104においてアライメント補正処理を行う。詳細は後述するが、ステップS104は、ステップS102で作成した基準モデルと、線幅を測定すべき基板102上のアライメントマークとを利用して、位置合わせを行うステップである。
続いて、線幅測定装置100はステップS105において測定処理を行う。詳細は後述するが、ステップS105は、より精密な位置合わせを行って測定予定ポジションで線幅の測定を行うステップである。ステップS105の終了後、処理はステップS101に戻る。
以上のようにして、基板が搬入されるたびにステップS102〜S103またはステップS104〜S105の処理が繰り返されるが、このような線幅測定装置100の運用は、次に説明する図7のように、別の見方をすることもできる。
図7は、第3実施形態における線幅測定装置の運用を、一つの品種に注目して示すフローチャートである。図7におけるステップS102〜S105の内容は、図6に示したものと同じである。
すなわち、ある一つの品種Qのみに注目すると、線幅測定装置100は次のように動作する。すなわち、線幅測定装置100は、最初にステップS102〜S103の処理を行ってこの品種Qに関する基準モデルを作成して登録し、その後、当該品種Qの基板が搬入されるたびに、ステップS104〜S105の処理による測定を実行する。
以上、第3実施形態における前提事項を説明したので、続いて、処理とデータの詳細について図8〜図19を参照して説明する。
図8は、第3実施形態において利用される各種データの構造の概要を説明する図である。図8のデータの詳細は図9および図13に示してある。
図4の線幅測定装置100によって線幅を測定する対象の基板の各品種に対して、モデル作成部112は、測定に必要な情報であり、基準モデルを含んでいるレシピrcpを作成し、永続記憶部108に格納する。レシピrcpは、図5に例示したようなアライメントマークを用いた補正に関するアライメント補正データa_datを一つ以上含むとともに、線幅を測定しようとするポジションに関する測定データm_datを一つ以上含む。
アライメント補正データa_datは、線幅の測定に先立って位置合わせのために行うべき、アライメントマークの撮像に関する情報を含む。具体的には、アライメント補正データa_datは、撮像時の条件などを表すアライメントマーク撮像データap_datと、アライメントマークの基板102上のポジションを表すアライメントマークポジションa_posと、アライメントマークに関する基準モデルであるアライメント補正モデルa_modとを含む。
測定データm_datは、基板102上で線幅の測定を行う対象を表す測定予定ポジションm_pos1を含む。例えば、図5において測定予定ポジション221〜226は、各ディスプレイ領域211〜216内における相対的な位置が等しいので、共通の基準モデルを用いて測定を行うことができる。詳しくは図9に示すとおり、測定データm_datは、同じ基準モデルを用いることが可能な関係にある複数の測定予定ポジションの情報を含み、図8に図示した測定予定ポジションm_pos1は、そのうち1箇所を示す情報である。
また、測定データm_datは、測定予定ポジションm_pos1の撮像時の条件などを表す測定ポジション撮像データmp_datと、測定テンプレートm_tmpとを含む。測定テンプレートm_tmpは、回路パターンにおいて線幅を測定するべきポジションを表す測定部位情報m_locと、測定予定ポジションに関する基準モデルである測定モデルm_modとを対応付けた情報である。
図8のとおり、アライメント補正モデルa_modと測定モデルm_modはともに画像位置合わせ用の基準モデルであるため、同様のデータ構造を有する。第1実施形態の基準モデルは、構成要素が1対1に対応付けられたモデル特徴箇所画像群4とモデル特徴箇所座標群5を含んでいるが、第3実施形態の基準モデルも類似のデータ構造を有する。
ただし、第3実施形態では、基準モデルの作成に用いられた撮像画像内において基準モデルを代表する座標が「モデル代表座標」として定められ、各特徴点が抽出された座標は、モデル代表座標からの相対座標である「モデル特徴箇所相対座標」により表される。そして、各特徴点に対応するモデル特徴箇所相対座標は、特徴点の近傍の小領域を切り出した画像である「モデル特徴箇所画像」と対応付けられている。
このようにして複数のモデル特徴箇所相対座標と複数のモデル特徴箇所画像とを1対1に対応付けたデータが、「モデル特徴箇所対応付けデータ」である。
図9は、第3実施形態において利用されるレシピの詳細なデータ構造を説明する図である。図9は、図8のデータ構造をより詳細に樹状図にて示した図である。
レシピrcpは一つ以上のアライメント補正データa_datと一つ以上の測定データm_datを含む。
アライメント補正データa_datは、アライメントマーク撮像データap_datとアライメントマークポジションa_posとアライメント補正モデルa_modを含む。
アライメントマーク撮像データap_datは、照明光量ap_amt、照明角度ap_ang、撮像倍率ap_mag、およびアライメント補正モデルa_mod作成のために基板102を撮像した画像の生データであるアライメントマーク画像ap_imgを含む。
アライメントマークポジションa_posは、基板設計情報desに定義されたアライメントマークポジションa_pos1を、アライメント補正モデルa_mod作成のために基板102を実際に撮像したときのポジション微調整量a_adjによって調整したポジションを表す。
アライメント補正モデルa_modは、モデル代表座標ac_repとモデル特徴箇所対応付けデータa_assocを含む。アライメントマーク画像ap_imgからは複数の特徴点が抽出され、各特徴点の座標、すなわち各基準特徴箇所座標は、図9においてモデル特徴箇所座標a_c1、a_c2、……と表されている。このうちのモデル特徴箇所座標a_c1が選出されて、モデル代表座標ac_repとして利用される。
また、モデル特徴箇所対応付けデータa_assocは、複数のモデル特徴箇所相対座標a_rc1、a_rc2、……からなるアライメントマーク特徴箇所相対座標群ga_rcと、複数のモデル特徴箇所画像a_fi1、a_fi2、……からなるアライメントマーク特徴箇所画像群ga_fiを含む。
各モデル特徴箇所相対座標a_rc1、a_rc2、……は、モデル代表座標ac_repすなわちモデル特徴箇所座標a_c1を基準として、モデル特徴箇所座標a_c1、a_c2、……を相対座標で表したものである。また、モデル特徴箇所対応付けデータa_assocにおいて、各モデル特徴箇所相対座標a_rc1、a_rc2、……は、モデル特徴箇所ID a_i1、a_i2、……を介して、モデル特徴箇所画像a_fi1、a_fi2、……と1対1に対応付けられている。
測定データm_datは、アライメントマーク撮像データap_datと同様の構造の測定予定ポジション撮像データmp_datと、同じ測定テンプレートm_tmpを使って測定可能な一つ以上の測定予定ポジションの群である測定予定ポジション群gm_posと、測定テンプレートm_tmpとを含む。
測定テンプレートm_tmpは、図8に関して説明したように、測定部位情報m_locを含み、さらに、アライメント補正モデルa_modと同様の構造の測定モデルm_modを含む。
続いて、図6と図7のステップS102のアライメント補正データ作成処理の詳細を、図10および図11を参照して説明する。
図10は、第3実施形態におけるアライメント補正データ作成処理のフローチャートであり、図11は、第3実施形態におけるアライメント補正データ作成処理を説明する図である。アライメント補正データ作成処理は、図8と図9に示したアライメント補正データa_datをモデル作成部112が作成する処理である。
なお、図示は省略したが、アライメント補正データ作成処理の前には、当然ながら、基板搬入処理が行われる。基板搬入処理では、基板搬入装置が基板102を線幅測定装置100に搬入し、測定対象保持部103に載置する。そして、測定対象保持部103は、基板102に対して、プレアライメントと呼ばれる比較的粗い精度の機械的な位置合わせを行う。測定対象保持部103は、位置合わせした基板102を、不図示の吸着パッドや把持用のクランプなどを用いて保持する。機械的な位置合わせの具体的な方法は、周知の様々な方法を採用することができる。
また、基板搬入処理に加えて、搬入される基板102に関する基板設計情報desを全体制御部110が読み込む処理が行われる。基板設計情報desは、図4の入力部107を介して外部から入力されてもよく、予め永続記憶部108に記憶されていてもよい。
基板設計情報desは、基板102の品種を示す情報を含む。よって、全体制御部110は搬入された基板102の品種を認識することができる。基板102の品種は、換言すれば、基板102から製造すべきディスプレイパネルの品種である。
さらに、基板設計情報desは、図9に示したように、アライメントマークポジションa_pos1を含む。例えば、図5の例において、アライメントマーク241のガラス基板201上のポジションは、ガラス基板201の品種によって予め決められており、アライメントマークポジションa_pos1として記憶されている。
以上のように準備が整うと、図10のステップS200において、アライメントマーク特徴箇所抽出ステップが実行される。ステップS200は、基板102上のアライメントマークを撮像し、アライメントマーク撮像データap_datを作成し、撮像したアライメントマークの画像から特徴点を抽出するステップであり、具体的には以下のとおりである。
ステップS200において、全体制御部110が、基板102上のアライメントマークを撮像するための相対移動を行うよう、測定対象保持部103に指示する。
全体制御部110による指示は、作業者からの命令に基づいていてもよい。例えば、入力部107は、基板設計情報desに含まれる既知のアライメントマークポジションa_pos1を選択するために作業者によってなされた入力を受け取る。さらに、入力部107は作業者から、選択したアライメントマークポジションa_pos1にあるアライメントマークを撮像するための相対移動を測定対象保持部103に行わせるよう、全体制御部110に命令するための入力を受け取る。
あるいは、作業者からの指示を受けることなく、全体制御部110が自動的に基板設計情報desを読み込み、基板設計情報desに基づいて一つのアライメントマークを選択し、選択したアライメントマークのアライメントマークポジションa_pos1を認識してもよい。全体制御部110は、認識したアライメントマークポジションa_pos1にあるアライメントマークの撮像のための相対移動を測定対象保持部103に命令する。
作業者の関与の有無によらず、全体制御部110は、撮像しようとするアライメントマークのアライメントマークポジションa_pos1を測定対象保持部103に出力し、測定対象保持部103は、入力されたアライメントマークポジションa_pos1に基づいて、アライメントマークポジションa_pos1によって示されるアライメントマークを撮像可能なポジションまで、基板102を顕微鏡部104に対して相対的に移動させる。
ステップS200では続いて、全体制御部110、撮像部105、および表示部109が、上述のライブ表示を行う。作業者は、表示部109に表示された撮像画像を確認しながら撮像に適した照明光量および照明角度を顕微鏡部104に設定することができる。
また、作業者は、アライメントマークの全体が、表示部109にライブ表示されている画像の視野内に収まるように、基板102のポジションを微調整する。なお、作業者は、単に視野内にアライメントマークの全体が収まるようにするだけでなく、なるべく視野の中心に近い座標にアライメントマークが写るように、微調整を行うことが好ましい。
基板102のポジションの微調整は、例えば、入力部107が作業者からの命令を受け取り、受け取った命令を、全体制御部110を介して測定対象保持部103に与えることで行われる。微調整のための命令では、例えば、直交する2本の軸それぞれの方向における相対移動の量が指定される。相対移動の量は、基板102上の距離あるいは相対移動のためのモータなどの動作量により、表される。なお、後のステップS206における処理のために、全体制御部110は、微調整の量を記憶する。
また、作業者は必要に応じて顕微鏡部104の対物レンズを切り換えてもよい。すなわち、作業者は基板102の撮像倍率を切り換えてもよい。例えば、基板102のポジションを微調整してもアライメントマーク全体を視野内に収めることができない場合には、作業者は、撮像倍率を現在よりも低倍に切り換えてもよい。
逆に、表示部109に表示されたアライメントマークが小さすぎれば、作業者は、撮像倍率を現在よりも高倍に切り換えてもよい。撮像倍率の切り換え後は、再度ライブ表示から行うリトライ処理が行われる。
微調整が終了すると、入力部107は、作業者からアライメント補正データa_datの作成指示の入力を受け付ける。作成指示の入力を契機として全体制御部110は、ライブ表示を一旦停止してアライメントマークを撮像するよう、撮像部105および表示部109を制御する。
ステップS200において以上のようにしてアライメントマークを撮像した画像の一例が、図11のアライメントマーク画像600である。アライメントマーク画像600は図9のアライメントマーク画像ap_imgに対応する。
アライメントマーク画像600の視野には、十字形のアライメントマーク601の全体が収まっている。なお、以下ではアライメントマーク画像600内の座標は、アライメントマーク画像600の左上隅を原点とし、左から右へ向かうx軸と上から下へ向かうy軸とを有するxy座標系により表す。
アライメントマーク画像600が撮像されると、全体制御部110はアライメントマーク撮像データap_datを作成してモデル作成部112に出力する。すなわち、全体制御部110は、顕微鏡部104から現在の照明光量ap_amt、照明角度ap_ang、および撮像倍率ap_magそれぞれのデータを取得する。そして、全体制御部110は、取得したこれらのデータと撮像部105から取得したアライメントマーク画像600のデータとを合わせて、アライメントマーク撮像データap_datとしてモデル作成部112に出力する。
ステップS200では続いて、モデル作成部112が、全体制御部110から受け取ったアライメントマーク撮像データap_dat内のアライメントマーク画像600に対して、特徴点抽出処理を行う。例えば、ハリスのコーナー検出処理など、任意の特徴点抽出処理が利用可能である。
その結果、図11の例では、符号「Ta1」〜「Ta12」で示した12個のコーナーをモデル作成部112が抽出する。以下、特徴点抽出処理により抽出されたこれらのコーナーを「特徴箇所」といい、各特徴箇所を識別する識別子である「特徴箇所ID」として符号「Ta1」〜「Ta12」を用いる。
モデル作成部112は、コーナーTa1〜Ta12それぞれの座標を、図11に示すように特徴箇所IDと対応付けて、アライメントマーク特徴箇所座標群602として記憶する。アライメントマーク特徴箇所座標群602は図9のアライメントマーク特徴箇所座標群ga_cに対応する。
なお、ステップS200における特徴点抽出処理は、対象となる画像に写っているパターンが異なるが、第1実施形態において図1Aに示した特徴点3aなどの抽出と類似の処理である。また、図11のアライメントマーク特徴箇所座標群602は、図1Aのモデル特徴箇所座標群5と同様のデータ構成を有する。
以上のようにしてステップS200が終了すると、続いてモデル作成部112はステップS201においてアライメントマーク特徴箇所画像作成ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、各コーナーTa1〜Ta12の座標を中心とする12個の小領域をアライメントマーク画像600から切り出す。
切り出された12個の小さな画像A1〜A12は、図8および図9のモデル特徴箇所画像a_fi1、a_fi2、……に対応する。12個のモデル特徴箇所画像A1〜A12からなる図11のアライメントマーク特徴箇所画像群603は、第1実施形態におけるモデル特徴箇所画像群4と同様であり、図9のアライメントマーク特徴箇所画像群ga_fiに対応する。
モデル作成部112は、上記のようにして取得したアライメントマーク特徴箇所画像群603を、各モデル特徴箇所画像Akを特徴箇所ID「Tak」に対応付けた状態で記憶する(図11の例においてkは1≦k≦12なる整数である。)。
なお、第3実施形態でも、特徴点として抽出されたコーナーTa1〜Ta12をそれぞれ中心とする正方形の小領域がモデル特徴箇所画像A1〜A12として利用される。しかし、第1実施形態において説明したとおり、モデル特徴箇所画像A1〜A12の形状および大きさは任意であり、モデル特徴箇所画像A1〜A12の中心点は、特徴点として抽出されたコーナーTa1〜Ta12と一致しなくてもよい。
続いて、ステップS202において、モデル作成部112はアライメント補正モデル代表座標決定ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112はアライメントマーク特徴箇所座標群602に含まれる12個の座標のうちの1個を、アライメント補正モデルa_modを代表するモデル代表座標ac_repとして選出する。
第3実施形態における選出の基準は、「ステップS200の特徴点抽出処理において最初に抽出された特徴点の座標を選出する」というものである。よって、モデル作成部112は、最初に抽出したコーナーTa1の座標(500,400)をモデル代表座標ac_repとして選出する。
なお、選出の基準は、予め決められてさえいれば、任意である。例えば、「アライメントマーク画像600の中心に最も近い座標を選出する」という基準や、「抽出された複数の特徴点のうち、画像内において最も左上にあるものの座標を選出する」という基準を採用することもできる。
また、モデル代表座標ac_repは、必ずしも特徴点Ta1〜Ta12の座標の中から選出されなくてもよい。例えば、アライメントマーク画像600の重心、または特徴点Ta1〜Ta12の重心の座標をモデル代表座標ac_repとして選出してもよい。
続いて、ステップS203において、モデル作成部112はアライメントマーク特徴箇所相対座標算出ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、アライメントマーク特徴箇所座標群602に含まれる12個の座標のそれぞれに対して、モデル代表座標ac_repとして選出されたコーナーTa1の座標(500,400)からの相対座標を算出する。例えば、座標(550,650)にあるコーナーTa12に対しては、モデル作成部112は、式(5)のように相対座標を計算する。
(550−500,650−400)=(50,250) (5)
モデル作成部112は、計算した12個の相対座標をそれぞれ特徴箇所ID「Ta1」〜「Ta12」と対応付けて、アライメントマーク特徴箇所相対座標群604として記憶する。アライメントマーク特徴箇所相対座標群604は、図9のアライメントマーク特徴箇所相対座標群ga_rcに対応する。
次に、ステップS204において、モデル作成部112はアライメントマーク特徴箇所対応付けデータ作成ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、同じ特徴箇所ID「Tak」に対応する、アライメントマーク特徴箇所画像群603内のモデル特徴箇所画像Akと、アライメントマーク特徴箇所相対座標群604内のモデル特徴箇所相対座標とを、1対1の関係となるように対応付け、記憶する(図11の例においてkは1≦k≦12なる整数である。)。なお、このような1対1の関係の対応付けを「紐付け」ということもある。
対応付けられたデータ全体は、図9のモデル特徴箇所対応付けデータa_assocに当たり、図11の例ではアライメントマーク特徴箇所画像群603とアライメントマーク特徴箇所相対座標群604を含む。
続いて、ステップS205において、モデル作成部112はアライメント補正モデル作成ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、ステップS202で選出したモデル代表座標ac_repと、ステップS205で作成したモデル特徴箇所対応付けデータa_assocとを組み合わせることで、図9のアライメント補正モデルa_modを作成し、記憶する。
そして、ステップS206において、全体制御部110は、アライメント補正データ登録ステップを実行する。すなわち、全体制御部110は、基板設計情報desに含まれるアライメントマークポジションa_pos1を、ステップS200で記憶した微調整の量a_adjによって調整することで、アライメントマーク画像600の撮像時におけるポジションである実際のアライメントマークポジションa_posを算出する。
あるいは、基板設計情報desの基準点に相当する基板102上のポジションと、図4の測定対象保持部103に関して説明した第1および第2の軸が交わる原点とが一致するように、予め補正してある場合もある。この場合、全体制御部110が、第1と第2の軸それぞれの方向における顕微鏡部104の現在のポジションを不図示のモータコントローラから取得することで、アライメントマークポジションa_posを取得することもできる。
図4に関して説明したように、基板102と顕微鏡部104との相対位置を第1および第2の軸の方向に移動させるための構成には何通りかある。モータコントローラは、その構成に応じた、例えば下記のようなモータを制御するコントローラである。
・測定対象保持部103が基板102を第1の軸、第2の軸、または双方の軸に沿って移動させるためのモータ
・ガントリーを第1の軸に沿って移動させるためのモータ
・ガントリーの梁に沿って顕微鏡部104を移動させるためのモータ
また、全体制御部110は、アライメント補正モデルa_modをモデル作成部112から取得する。
そして、全体制御部110はアライメント補正データa_datを作成する。すなわち、全体制御部110は、ステップS200で作成したアライメントマーク撮像データap_datと、算出した実際のアライメントマークポジションa_posと、取得したアライメント補正モデルa_modとを組み合わせ、アライメント補正データa_datとして永続記憶部108に記憶する。
以上のようにしてステップS200〜S206によって一つのアライメントマーク601についてアライメント補正データa_datが登録されると、処理はステップS207に移行する。ステップS207では、全体制御部110が、アライメント補正データa_datを登録すべき他のアライメントマークがまだ残っているか否かを判断する。
もし、アライメント補正データa_datを登録すべきすべてのアライメントマークについて既にアライメント補正データa_datを登録済みならば、図10のアライメント補正データ作成処理は終了し、そうでなければ、処理はステップS200に戻る。
なお、ステップS207における判断には、作業者が関与してもよいし、関与しなくてもよい。また、アライメント補正データa_datを登録すべきアライメントマークの個数は少なくとも2個以上であるが、実施形態に応じて3個以上の任意の個数でもよい。アライメント補正データa_datを登録すべきアライメントマークの個数を決める要因は、次のとおりである。
図10は図6および図7のステップS102の詳細を示しているが、図10の処理によって登録されたアライメント補正データa_datは、後のステップS104における処理において利用される。ステップS104の詳細は図14〜図19とともに後述するが、例えば、ユークリッド変換、アフィン変換、擬似アフィン変換などによる、2次元平面上における座標変換のための変換パラメータの算出が行われる。
ユークリッド変換では並進(平行移動)と回転のみが考慮され、アフィン変換ではさらに拡大・縮小と剪断ひずみ(平行四辺形ひずみ)が考慮され、擬似アフィン変換ではさらに台形ひずみが考慮される。この3種の変換は、変換行列の成分の算出するためにそれぞれ少なくとも2個、3個、4個のアライメントマークについてアライメント補正データa_datを登録する必要がある。
もちろん、例えばユークリッド変換の変換行列の成分を、最小二乗法を用いて算出するために、3個以上のアライメントマークのアライメント補正データa_datを登録するような実施形態も可能である。他の種類の変換に関しても、同様に最小二乗法を用いて変換行列の成分を算出する実施形態も可能である。
また、位置合わせのための変換は、必ずしも変換行列の形で表される変換でなくてもよい。変換行列は変換パラメータの一種に過ぎない。
このように、位置合わせに用いる変換の種類や変換パラメータの算出方法などによって、アライメント補正データa_datを登録すべき必要なアライメントマークの個数は異なる。
そこで、図10のステップS207では、例えば作業者が入力部107を介して全体制御部110に、ステップS200に戻るべきか否かを指定してもよい。
あるいは、位置合わせに用いる変換の種類や変換パラメータの算出方法に応じて必要な数だけ、アライメントマークを設けるように基板102が設計されている場合などは、ステップS207における作業者の入力は不要である。
なぜなら、複数のアライメントマークに対応するそれぞれのアライメントマークポジションa_pos1が基板設計情報desに含まれるからである。全体制御部110は、基板設計情報desを読み込み、すべてのアライメントマークについてアライメント補正データa_datの登録が済んだときのみ図10の処理を終える、とステップS207において判断することができる。
なお、変換パラメータの算出に必要なアライメントマークの個数よりも多くのアライメントマークが基板102上に存在する場合もある。その場合は、互いに基板102上で最も離れたポジションにある二つのアライメントマークについて、アライメント補正データa_datを登録するよう、ステップS200において適宜アライメントマークを選択することが好ましい。なぜなら、変換パラメータの精度が高まり、効果的な位置合わせが可能となるからである。
例えば、ステップS200〜S206の1回目の繰り返しにおいて、図5のアライメントマーク241についてアライメント補正データa_datの登録が行われた場合を例にする。この場合、2回目以降のいずれかの繰り返しにおいて、アライメントマーク241とは最も離れたアライメントマーク244についてのアライメント補正データa_datの登録が行われることが好ましい。
以上、図6と図7のステップS102のアライメント補正データ作成処理の詳細を説明したので、続いて、ステップS103の測定データ作成処理の詳細について図12を参照して説明する。
図12は、第3実施形態における測定データ作成処理のフローチャートである。測定データ作成処理は、図8と図9に示した測定データm_datをモデル作成部112が作成する処理である。図12の処理のうち、いくつかのステップは、処理の対象がアライメントマークでなく測定ポジション上の回路パターンであるという点以外は、図11のステップと似ているので、適宜説明を省略する。
なお、以下では「測定ポジション」という用語は、図5に関して説明した、同じ一つの基準モデルを適用することができる一つまたは複数の「測定予定ポジション」のうちの、現在注目している一つを意味する。
図12の処理は、基準モデルの一種である測定モデルm_modを含む測定データm_datを作成する処理なので、複数の測定予定ポジションのうち、測定データm_datの作成のために選択された任意の一つが、注目の対象である。例えば、図5の測定予定ポジション221を用いて測定データm_datを作成する場合は、図12の処理においては、測定予定ポジション221が「測定ポジション」である。
また、後述の測定処理では、注目の対象は測定の対象である。よって、例えば測定予定ポジション221における測定では測定予定ポジション221が「測定ポジション」であり、測定予定ポジション222における測定では測定予定ポジション222が「測定ポジション」である。
ここで、図12の各ステップの説明に移ると、ステップS300では、測定ポジション特徴箇所抽出ステップが実行される。つまり、ステップS300は、基板102の測定ポジションを撮像し、測定データm_datを作成し、撮像した基板102の画像から特徴点を抽出するステップである。
ステップS300において、全体制御部110が、基板102の測定ポジションを撮像するための相対移動を行うよう、測定対象保持部103に指示する。
全体制御部110による指示は、作業者からの命令に基づいていてもよい。例えば、作業者は、基板設計情報desを参照して測定ポジションを決定し、決定した測定ポジションを撮像するための相対移動を測定対象保持部103に行わせるよう、入力部107を介して全体制御部110に命令する。
あるいは、基板設計情報desが測定ポジションに関する情報を含んでいる場合は、全体制御部110は基板設計情報desを読み込むことで測定ポジションを認識することができる。よって、この場合は作業者からの指示を受けることなく、全体制御部110が自動的に相対移動を測定対象保持部103に指示してもよい。
全体制御部110からの指示にしたがい、測定対象保持部103は、基板102を顕微鏡部104に対して相対的に移動させる。そして、全体制御部110、撮像部105、および表示部109が、ステップS200と同様のライブ表示を行う。さらに、ステップS200と同様に作業者は、照明光量および照明角度の設定を行い、基板102のポジションを微調整し、必要に応じて対物レンズを切り換える。
ここで、「測定ポジション」は複数の「測定予定ポジション」のうちの一つである。そして、図5に関して説明したように、「測定予定ポジション」が代表する範囲内、すなわち1枚の撮像画像内の、1箇所または複数箇所の線幅は、1回の撮像で測定可能である。
よって、ステップS300における微調整とは、1回の撮像で線幅を測定しようとする1箇所または複数箇所が、表示部109にライブ表示されている画像の視野内に収まるようにするための微調整である。また、1回の撮像で線幅を測定しようとする1箇所または複数箇所の座標の重心が、なるべくライブ表示されている画像の視野の中心に近くなるように微調整されることが好ましい。全体制御部110は、後のステップS308のために微調整の量を記憶する。
微調整の終了後、入力部107は作業者から測定データm_datの作成指示の入力を受け付ける。作成指示の入力を契機として全体制御部110は、ライブ表示を一旦停止して基板102上の測定ポジションを撮像するよう、撮像部105および表示部109を制御する。
全体制御部110は、照明光量mp_amt、照明角度mp_ang、および撮像倍率mp_magそれぞれのデータを顕微鏡部104から取得し、撮像された画像の生データ、すなわち測定ポジション画像mp_imgを撮像部105から取得する。全体制御部110は取得したこれらのデータを合わせて、測定ポジション撮像データmp_datとしてモデル作成部112に出力する。
ステップS300では続いて、モデル作成部112が、測定ポジション撮像データmp_dat内の測定ポジション画像mp_imgに対して特徴点抽出処理を行う。ステップS200と同様に、モデル作成部112は、抽出した各特徴箇所に特徴箇所IDを割り当て、各特徴箇所の座標を特徴箇所IDと対応付けて記憶する。すなわち、モデル作成部112は図1Aのモデル特徴箇所座標群5と同様のデータ構造を有する座標群を記憶する。
以上のようにしてステップS300が終了すると、続いてステップS301において、モデル作成部112は、ステップS201と同様にして、測定ポジション特徴箇所画像作成ステップを実行する。
つまり、モデル作成部112は、各特徴箇所を中心とする小領域を測定ポジション画像mp_imgから切り出し、図1Aのモデル特徴箇所画像群4と同様の図9の測定ポジション特徴箇所画像群gm_fiを取得する。モデル作成部112は、切り出した小領域の画像である各モデル特徴箇所画像m_fi1、m_fi2、……を、それぞれ特徴箇所IDに対応付けた状態で、記憶する。
次にステップS302において、モデル作成部112は、ステップS202と同様にして測定モデル代表座標決定ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、複数の座標のうちの一つを、図9の測定モデルm_modを代表するモデル代表座標mc_repとして選択する。
そして、ステップS303において、モデル作成部112は、ステップS203と同様にして測定ポジション特徴箇所相対座標算出ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、測定ポジション特徴箇所相対座標群gm_rcを算出し、記憶する。
続いてステップS304において、モデル作成部112は、ステップS204と同様にして測定ポジション特徴箇所対応付けデータ作成ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、図9のモデル特徴箇所対応付けデータm_assocを作成し、記憶する。
さらにステップS305において、モデル作成部112は、ステップS205と同様にして測定モデル作成ステップを実行する。すなわち、モデル作成部112は、モデル代表座標mc_repとモデル特徴箇所対応付けデータm_assocとを組み合わせることで測定モデルm_modを作成し、記憶する。
続いて、ステップS306において、以下のようにして測定部位情報設定ステップが実行される。ステップS306に対応するステップは図10にはない。
以下、ステップS300において、測定ポジション画像mp_imgとして図1Aの撮像画像1が取得された場合を例にステップS306の詳細を説明する。また、以下では、測定すべき線幅を作業者が決定すると仮定して説明する。
図1Aに示すように、測定すべき線幅wは、撮像画像1に2本の矢印ではさんで示した部位における、回路パターン2のエッジ2aと2bとの間隔であるとする。もちろん、エッジ2aと2bの間隔を複数の部位で測定し、その平均値などを測定結果として取得する実施形態も可能である。
以下、図1Aにおいてエッジ2aが右向きの矢印と接する座標を(x,y)と表記し、エッジ2bが左向きの矢印と接する座標を(x,y)と表記する。例えば、エッジ2aと2bがy軸に平行ならば、y=yであり、w=x−xである。
ステップS306では、線幅の測定部位を登録するための測定部位設定指示の入力を、入力部107が作業者から受け取る。
例えば、入力部107は、表示部109に表示された測定ポジション画像mp_img上に、座標(x,y)と(x,y)を含む領域を描画するための指示を、作業者から受け取る。入力部107は受け取った指示を全体制御部110に出力し、全体制御部110は入力された指示にしたがって描画するよう表示部109を制御する。描画された領域を以下では「選択領域」という。選択領域の形状および大きさは任意である。
このようにして入力部107を介して選択領域が指定されると、全体制御部110は、測定ポジション画像mp_imgと選択領域の範囲を示す情報とを、測定部位情報作成部111に出力する。測定部位情報作成部111は、入力された測定ポジション画像mp_imgから、選択領域内のみを切り出した選択領域画像を作成し、選択領域画像に対してエッジ抽出処理を実行する。
その結果、選択領域画像から複数のエッジが抽出される。測定部位情報作成部111は、抽出した各エッジを表す座標を取得し、全体制御部110に出力する。全体制御部110は、入力された座標に基づいて、抽出されたエッジを明示した状態で選択領域画像を表示するよう、表示部109を制御する。したがって、作業者は表示部109に表示された選択範囲画像を見ることで、線幅の測定に必要な2本のエッジを確認し、入力部107を介してその2本のエッジを選択することができる。
すなわち、入力部107は、線幅の測定に必要な2本のエッジを指定する情報を作業者から受け取る。例えば、図1Aに示した例では、エッジ2aと2bが選択される。
また、線幅wを計測する部位を示すために、入力部107は、例えばエッジ2aに関して座標(x,y)を示す入力を作業者から受け付ける。エッジ2aと2bが平行ならば、測定部位情報作成部111が座標(x,y)に基づいて座標(x,y)を算出することもできるが、入力部107はさらに座標(x,y)の入力を作業者から受け付けてもよい。
全体制御部110は、入力部107から入力された、選択されたエッジを示す情報および測定を行う部位を示す情報を測定部位情報作成部111に出力する。全体制御部110は、例えば、エッジ2aおよび2bの直線を示すパラメータならびに座標(x,y)および(x,y)を測定部位情報作成部111に出力してもよい。
測定部位情報作成部111は、全体制御部110から受け取った情報を、図12のステップS302で決定したモデル代表座標mc_repを基準とした相対座標で表すよう、変換を行う。例えば、下記(1)〜(4)の場合には、測定部位情報作成部111は、エッジ2aの両端の座標、エッジ2bの両端の座標、座標(x,y)、および座標(x,y)を、特徴点3aの座標からの相対座標に変換する。
(1)モデル代表座標mc_repは、図1Aの特徴点3aの座標である。
(2)エッジ2aは、エッジ2aの両端の座標の組で示されている。
(3)エッジ2bは、エッジ2bの両端の座標の組で示されている。
(4)測定を行う部位を示す情報は、座標(x,y)と(x,y)により示されている。
測定部位情報作成部111は、変換により取得した相対座標を、測定部位の座標を示す測定部位情報m_locとして記憶する。もちろん、実施形態によっては、他の形式により測定部位情報m_locを表してもよい。
なお、図5に関して説明したとおり、1枚の測定ポジション画像mp_imgを用いて複数箇所の測定を行うことができる。その場合は、上記の処理が繰り返され、必要な個数の測定部位が設定される。
以上のようにして、測定部位情報作成部111はステップS306において、1枚の測定ポジション画像mp_imgを用いて測定すべき1箇所または複数箇所の測定部位を表す測定部位情報m_locを生成し、記憶する。
なお、実施形態によっては、測定部位を指定する情報を予め含んでいる基板設計情報desを用いてもよい。その場合、作業者が測定部位を指示することなく、全体制御部110と測定部位情報作成部111が自動的に連携して測定部位情報m_locを生成してもよい。
続いて、ステップS307において、モデル作成部112は測定テンプレート作成ステップを実行する。例えば、入力部107が作業者から測定テンプレート作成指示の入力を受け取ることを契機として、全体制御部110は、測定テンプレートm_tmpを作成する。あるいは、ステップS307を開始する契機は、測定部位を指定するために基板設計情報desに予め含まれている情報をすべて、ステップS306で全体制御部110と測定部位情報作成部111が処理し終わったことであってもよい。
ステップS307において、全体制御部110は、モデル作成部112から測定モデルm_modを取得し、測定部位情報作成部111から測定部位情報m_locを取得する。そして、全体制御部110は、測定モデルm_modと測定部位情報m_locとを対応付けて、測定テンプレートm_tmpを作成する。
そして、ステップS308において、全体制御部110は、測定予定ポジション設定ステップを実行する。図5に関して説明したように、一つの基準モデルは1枚の基板内の複数の異なるポジションに適用することができる。つまり、基準モデルの一種である測定モデルm_modを含む測定テンプレートm_tmpは、1枚の基板102内の複数の異なる測定予定ポジションに適用することができる。
そこで、ステップS308では、ステップS307で作成した測定テンプレートm_tmpを適用すべき、基板102上の一つ以上の測定予定ポジションのすべてを全体制御部110が取得する。なお、ステップS308で取得される測定予定ポジションのうちの一つは、当然、ステップS300で指示された測定ポジションである。
ステップS308は、例えば以下のようにして実行される。
入力部107は、ステップS307で作成した測定テンプレートm_tmpを適用すべき、基板102上の測定予定ポジションが他にも残っているか否かを示す入力を、作業者から受け取る。
例えば、基板102が図5のガラス基板201であり、ステップS300で指示された測定ポジションが図5の測定予定ポジション221である場合、測定テンプレートm_tmpを適用すべき測定予定ポジション222〜226が残っている。作業者は、例えば基板設計情報desを参照することにより、同じ測定テンプレートm_tmpを適用すべき複数の測定予定ポジションの存在を知ることができる。
入力部107は、他にも測定予定ポジションが残っていることを示す入力を受け取ると、さらに、その残っている測定予定ポジションを指定する入力を作業者から受け取り、指定された測定予定ポジションを全体制御部110に通知する。
例えば、入力部107は作業者から、図5のディスプレイ領域211を基準としたディスプレイ領域212のオフセットを示す入力を、残っている測定予定ポジション222を示す入力として受け取ってもよい。そして、入力部107は受け取ったオフセットを全体制御部110に通知する。全体制御部110は、現在注目している「測定ポジション」である測定予定ポジション221の、ステップS300における微調整後のポジションと、通知されたオフセットとに基づいて、測定予定ポジション222を算出してもよい。
また、残っている他の測定予定ポジションを指定する入力の形式は任意である。
例えば、基板設計情報desが測定予定ポジション221〜226を示す情報を含んでいる場合、入力部107は、測定予定ポジション222を指定するIDなどの入力を作業者から受け取ってもよい。そして、入力部107は受け取ったIDを全体制御部110に通知する。全体制御部110は、通知されたIDから基板設計情報desに含まれる測定予定ポジション222を認識し、認識した測定予定ポジション222に、ステップS300で記憶した微調整の量を足して、微調整後の測定予定ポジション222を算出してもよい。
以上の処理が、同じ測定テンプレートm_tmpを適用すべき他の測定予定ポジションがなくなるまで、繰り返される。その結果、全体制御部110は、ステップS307で作成した測定テンプレートm_tmpを適用すべき、基板102上の一つまたは複数の測定予定ポジションのすべてを認識する。全体制御部110は、認識した結果を、図9に示したように一つ以上の測定予定ポジションからなる測定予定ポジション群gm_posとして記憶する。測定予定ポジション群gm_posを代表する測定予定ポジションm_pos1は、ステップS300で撮像された注目対象の測定ポジションである。
続いて、ステップS309において全体制御部110は、測定データ登録ステップを実行する。すなわち、全体制御部110は、ステップS300で記憶した測定ポジション撮像データmp_datと、ステップS307で作成した測定テンプレートm_tmpと、ステップS308で記憶した測定予定ポジション群gm_posとを対応付ける。そして、全体制御部110は、対応付けた結果を、測定データm_datとして登録し、永続記憶部108に格納する。
そして、ステップS310において全体制御部110は、基板102内で測定すべき他の測定予定ポジション群があるか否かを判断する。例えば、図5の例では、測定予定ポジション221〜226が一つ目の群であり、測定予定ポジション231〜236が二つ目の群である。他の測定予定ポジション群があれば処理はステップS300に戻り、なければ図12の測定データ作成処理は終了する。
なお、ステップS310の判断には、作業者が関与してもよい。例えば、入力部107が、他の測定予定ポジション群の有無を示す入力を作業者から受け取り、入力内容を全体制御部110に出力してもよい。逆に、基板設計情報desに基づいて全体制御部110が自動的に、作業者からの関与なしにステップS310の判断を行ってもよい。
以上のようにして、図10の処理によってアライメント補正データa_datが一つ以上作成され、図12の処理によって測定データm_datが一つ以上作成されると、図9に示すとおり、レシピrcpに必要なデータが揃う。そこで、図示は省略したが、全体制御部110は図12の処理の終了後、作成されたアライメント補正データa_datと測定データm_datとを組み合わせて、レシピrcpを作成する。そして、全体制御部110は、レシピrcpを基板102の品種と対応付けて登録し、レシピrcpを永続記憶部108に格納する。
なお、アライメント補正データa_datと測定データm_datとを組み合わせてレシピrcpとして登録するよう、明示的に指示する入力を入力部107が作業者から受け取るような実施形態も可能である。その場合、入力部107が受け取った命令を契機として、全体制御部110がレシピrcpの登録および格納を行ってもよい。
以上、新規品種に関して、基準モデルを含むレシピrcpを登録するまでの一連の処理について詳しく説明した。続いて、既にレシピrcpが登録されている既存の品種の基板102が線幅測定装置100に搬入された場合の位置合わせと線幅測定について、図13〜図19を参照して説明する。
位置合わせは次のように行われる。まず、基板搬入処理によって機械的な位置合わせがなされる。その後、機械的な位置合わせの誤差を補正するために、図6および図7のステップS104のアライメント補正処理が行われる。すなわち、基板102上の複数のアライメントマークを用いて、基板102上のポジションに対応する相対移動の量を補正するための座標変換に用いる一つ以上のパラメータが算出される。
そして、図6および図7のステップS105の測定処理により、図9のレシピrcpにおいて定められた一つ以上の測定予定ポジションのそれぞれについて、座標変換による第1段階の補正が行われ、測定データm_datを用いた第2段階の補正がさらに行われる。このように、第3実施形態における位置合わせ処理は、多数のステップからなる処理である。
なお、線幅の測定は、位置合わせ処理の後に行われ、図6および図7のステップS105に含まれる。
以下、位置合わせの詳細について説明する。
図13は、第3実施形態において測定時に利用されるデータの詳細な構造を説明する図である。図13では、紙幅の都合上、図9のうち測定データm_datの詳細を省略し、かわりに測定時に利用される各種データを追加してある。図13に追加された各種データの概要は下記のとおりである。
図13における検査時アライメントマーク画像ap2_imgは、線幅の測定のために撮像された画像である。検査時アライメントマーク画像ap2_imgの中心の座標が画像中心座標c_ctrである。
また、検査時アライメントマーク画像ap2_imgからは複数の特徴点が抽出される。各特徴点の座標は、例えば、画像中心座標c_ctrからの距離に基づいてソートされ、ソート済み特徴箇所座標群ga2_scとして記憶される。また、各特徴点の近傍の小領域が、特徴箇所画像a2_fi1、a2_fi2、……として切り出される。
部分類似度sim_pは、アライメント補正モデルa_mod内の一つのモデル特徴箇所画像と、検査時アライメントマーク画像ap2_imgから切り出された一つの特徴箇所画像との間の類似度である。部分類似度sim_pを算出するための組み合わせは、複数通り試される。そして、部分類似度sim_pは、不要な仮説の検討を避けるために、閾値th_pと比較される。
全体類似度sim_tは、ある仮説のもとでのアライメントマーク画像ap_imgと検査時アライメントマーク画像ap2_imgとの全体的な類似の程度を示し、仮説の評価値として利用される。全体類似度sim_tは、アライメントマーク特徴箇所画像群ga_fiと検査時アライメントマーク画像ap2_imgとから算出され、上限閾値th_uおよび下限閾値th_lと比較される。
全体類似度sim_tによる評価の結果、ある一つの仮説が採用されると、採用された仮説のもとでのアライメントマーク画像ap_imgと検査時アライメントマーク画像ap2_imgとのずれ量d_amtxおよびd_amtyが算出される。
複数のアライメント補正データa_datについてそれぞれ算出されたずれ量d_amtxおよびd_amtyから、例えばアフィン変換のための変換行列の成分からなる座標変換パラメータ群(アライメント補正パラメータ群)g_tpが算出される。
以上、線幅の測定時に利用されるデータの概要を説明したので、次に、図6と図7のステップS104のアライメント補正処理について、図14〜図18を参照して詳細に説明する。
図14は、第3実施形態におけるアライメント補正処理のフローチャートである。また、図15は、第3実施形態におけるアライメント補正処理について説明する図である。
アライメント補正処理の前にも、図10に関して説明したのと同様の基板搬入処理が行われ、基板設計情報desに基づく品種の認識がなされる。
また、アライメント補正処理を開始する契機は、例えば、入力部107が検査実行指示の入力を受け取ることである。入力部107が受け取る入力は、線幅測定装置100に直接または間接に接続された、工場内もしくは工場外にある他の装置からの通信による入力でもよく、作業者からの直接的な入力でもよい。
あるいは、線幅測定装置100に基板が搬入され、基板搬入処理と品種の認識処理の結果、レシピrcpを登録済みの品種であると全体制御部110が判断したことを契機として、アライメント補正処理が開始されてもよい。
なお、線幅の測定する目的の一つは、例えば露光不良などの欠陥の有無を検査することにあるので、線幅測定に関しても「検査」という用語を用いる場合がある。
図14のアライメント補正処理が開始されると、ステップS400において、全体制御部110は、参照すべきレシピrcpを特定し、永続記憶部108から読み出す。
例えば、検査実行指示に付随情報として、基板102の品種を示す情報が含まれていてもよい。この場合、全体制御部110は、付随情報に基づいて基板102の品種を認識し、認識した品種と対応付けられて格納されているレシピrcpを永続記憶部108から例えばRAMへと読み出す。
さらに、全体制御部110はレシピrcpから、レシピrcpを構成するアライメント補正データa_datと測定データm_datを読み出す。上記のように、レシピrcpにはアライメント補正データa_datが一つ以上含まれ、測定データm_datが一つ以上含まれる。
例えば、図5に示した品種のガラス基板201に対するレシピrcpは、4個のアライメントマーク241〜244にそれぞれ対応する四つのアライメント補正データa_datを含み、さらに、測定予定ポジション221〜226からなる群と測定予定ポジション231〜236からなる群にそれぞれ対応する二つの測定データm_datを含む。
ステップS400では続いて、レシピrcpのうち未処理の一つのアライメント補正データa_datを全体制御部110が選択する。全体制御部110は、選択したアライメント補正データa_datに含まれるアライメントマークポジションa_posを撮像するための相対移動を行うよう、測定対象保持部103を制御する。測定対象保持部103は、アライメントマークポジションa_posによって示されるアライメントマークを撮像可能なポジションまで、基板102を顕微鏡部104に対して相対的に移動させる。
しかしながら実際は、この段階では機械的な位置合わせの精度が原因で、例えば数十〜数百ミクロンというオーダーの誤差が発生していることがある。また、撮像倍率が大きくなるほど撮像画像における誤差の影響も大きくなり、例えば線幅測定に求められる撮像倍率においては、数十〜数百ミクロンというオーダーの誤差の影響は無視することができないので、補正する必要がある。そこで、図14の処理が必要となる。
そのため、ステップS400では、アライメントマークの撮像が行われる。具体的には、全体制御部110は、選択したアライメント補正データa_datからアライメントマーク撮像データap_datを読み出す。そして、全体制御部110は、アライメントマーク撮像データap_datに含まれる照明光量ap_amt、照明角度ap_ang、および撮像倍率ap_magにしたがって、顕微鏡部104の照明光量と照明角度を設定し、対物レンズを切り換える。顕微鏡部104は、オートフォーカス機構により対物レンズの基板102に対する高さを調整する。
そして、全体制御部110が撮像部105に撮像を指示し、撮像部105が顕微鏡部104を介して基板102を撮像する。このようにして撮像された画像が、図13の検査時アライメントマーク画像ap2_imgであり、具体例は図15の検査時アライメントマーク画像700である。
図11と図15を比較すると明らかなように、アライメントマーク画像600におけるアライメントマーク601の座標と、検査時アライメントマーク画像700におけるアライメントマーク701の座標には、ずれがある。このずれには、機械的な位置合わせの精度の低さや、測定対象である個々の基板102の歪みなど、いくつかの要因がある。
厳密には、アライメントマーク701と601の座標のずれは、x方向およびy方向の並進によるずれだけでなく、回転など他の種類のずれも含んでいる。しかし、第3実施形態では、アライメントマーク701と601の座標のずれとしてx方向およびy方向の並進によるずれのみを考慮して、後続の処理が行われる。その理由は次のとおりである。
測定時に基板102が測定対象保持部103のステージに実際に載置される方向と、正しい理想的な方向との差の角度θは、比較的小さい。そのような比較的小さな角度θのずれであっても、大型基板の場合は、基板の中心から離れたポジションにおいて特に、誤差の影響を無視することができない。よって、上記の第1段階の補正として、ユークリッド変換やアフィン変換など、回転を考慮した座標変換による補正を行うことが望ましい。
しかし、検査時アライメントマーク画像700の視野は、基板102全体と比べて遥かに狭い。よって、検査時アライメントマーク画像700の内部での、小さな角度θによる誤差の影響はわずかであり、アライメントマーク701と601の座標のずれの要因としては無視しても差し支えない程度である。また、角度θの回転の影響を考慮から外すことで、後続のステップにおける計算が簡略化され高速になるという利点が得られる。
よって、以下では、アライメントマーク701と601の座標のずれとして、x方向およびy方向の並進によるずれのみを考慮する。
なお、機械的位置合わせの精度によっては、アライメントマーク701が検査時アライメントマーク画像700の視野の外に位置する場合もありうる。その場合、少量の相対移動と撮像を繰り返すことで、現在のポジションの近傍でアライメントマーク701を探索するよう、全体制御部110が測定対象保持部103と撮像部105を制御する。図15の検査時アライメントマーク画像700は、そのような探索の結果得られた画像であってもよい。
以上のようにして全体制御部110は、アライメントマーク701の写った検査時アライメントマーク画像700を、撮像部105から取得して画像位置合わせ部113に出力する。
続いてステップS401において、画像位置合わせ部113は、全体制御部110から取得した検査時アライメントマーク画像700に対して特徴点抽出処理を行い、その結果として複数の検査時アライメントマーク特徴箇所を抽出する。ステップS200などと同様にステップS401においても、ハリスのコーナー検出法など任意の特徴点抽出アルゴリズムが利用可能である。
図15の例では、画像位置合わせ部113が、符号「Tat1」〜「Tat12」で示した12個のコーナーを抽出する。以下では、これらのコーナーも、図11のコーナーTa1〜Ta12と同様に「特徴箇所」といい、検査時アライメントマーク画像700における各特徴箇所を識別する識別子である「特徴箇所ID」として符号「Tat1」〜「Tat12」を用いる。
ステップS401では続いて、画像位置合わせ部113が、コーナーTat1〜Tat12それぞれの座標を、図15に示すように特徴箇所IDと対応付け、検査時アライメントマーク特徴箇所座標群702として記憶する。ステップS401における特徴点抽出処理は、対象となる画像に写っているパターンが異なるが、第1実施形態において図1Bに示した特徴点13aなどの抽出と類似の処理である。また、検査時アライメントマーク特徴箇所座標群702は図1Bの検査時の特徴箇所座標群15と同様のデータ構成を有する。
次に、処理はステップS402に移行し、画像位置合わせ部113が検査時アライメントマーク特徴箇所画像群703を作成する。すなわち、画像位置合わせ部113は、各コーナーTat1〜Tat12の座標を中心として、図11のモデル特徴箇所画像A1〜A12と同じ大きさおよび形状の小領域を、検査時アライメントマーク画像700から切り出す。
なお、各コーナーTat1〜Tat12の座標を中心とする理由は、アライメントマーク特徴箇所画像群603が、アライメントマーク画像600の各コーナーTa1〜Ta12の座標を中心にして小領域をそれぞれ切り出すことで作成されたためである。つまり、もし、コーナーTa1〜Ta12に対する所定の相対座標を中心として、アライメントマーク特徴箇所画像群603を構成する各モデル特徴箇所画像A1〜A12が切り出された場合は、ステップS402でも、各コーナーTat1〜Tat12に対して同じ所定の相対座標を中心として、小領域が切り出される。
画像位置合わせ部113は、こうして切り出した12個の小さな画像B1〜B12からなる群を、図15の検査時アライメントマーク特徴箇所画像群703として記憶する。検査時アライメントマーク特徴箇所画像群703は図13の特徴箇所座標群ga2_fiに対応する。
なお、画像位置合わせ部113は、検査時アライメントマーク特徴箇所画像群703を構成する各モデル特徴箇所画像Bkを、それぞれの特徴箇所ID「Tatk」に対応付けた状態で記憶する(図15の例においてkは1≦k≦12なる整数である。)。
ステップS402に続いて、画像位置合わせ部113は、下記(1)〜(3)のように動作する。それによって、画像位置合わせ部113は、アライメントマーク701と601の座標のずれを表すずれ量d_amtxおよびd_amtyを算出するのに適した特徴箇所の組を決定する。
(1)画像位置合わせ部113は、ステップS403〜S410、S415、およびS416からなる第1の繰り返しループを、ステップS403またはS410で「はい」と判断するまで繰り返す。なお、第1の繰り返しループには、ステップS407〜S410、S415、およびS416からなる第2の繰り返しループが含まれる。
(2)画像位置合わせ部113は、ステップS403で「はい」と判断した場合には、ステップS417とS418により、ずれ量d_amtxおよびd_amtyを算出するための特徴箇所の組を決定する。
(3)画像位置合わせ部113は、ステップS410で「はい」と判断した場合には、ステップS411において、ずれ量d_amtxおよびd_amtyを算出するための特徴箇所の組を決定する。
以下、これらのステップS403〜S411およびS415〜S418について詳しく説明する。
ステップS403で、画像位置合わせ部113は、「ステップS401で抽出したすべての特徴箇所が注目済みである」という条件が成立するか否かを判断する。図15の例では、12箇所の特徴箇所Tat1〜Tat12のすべてが注目済みの場合のみ、ステップS403で画像位置合わせ部113が「はい」と判断し、処理がステップS417に移行する。まだ注目していない特徴箇所が1箇所以上残っている場合、画像位置合わせ部113はステップS403で「いいえ」と判断し、処理がステップS404に移行する。
ステップS404では、画像位置合わせ部113が、まだ注目していない特徴箇所のうちの一つを、注目対象アライメントマーク特徴箇所として選出する。ステップS404における選出は、任意の一つを選出するという方法でもよいが、本実施形態では次のように行われる。
すなわち、図14に示すようにステップS404は1回以上実行されるが、画像位置合わせ部113は、最初にステップS404を実行する際に、検査時アライメントマーク特徴箇所座標群702をソートする。そして、画像位置合わせ部113は、ステップS404のj回目の実行時(jは1以上の整数である。)には、ソートされたj番目の座標の特徴箇所を、注目対象アライメントマーク特徴箇所として選出する。
ソート後の検査時アライメントマーク特徴箇所座標群702は、図15では省略したが、図13のソート済み特徴箇所座標群ga2_scに対応する。また、ソートの基準は実施形態に応じて任意である。
例えば、画像位置合わせ部113は、検査時アライメントマーク画像700の中心から近い順に検査時アライメントマーク特徴箇所座標群702をソートしてもよい。その場合、特徴箇所Tat12が1番目に注目対象アライメントマーク特徴箇所として選出される。
以下では、ステップS404で注目対象アライメントマーク特徴箇所として特徴箇所Tat12が選出された場合を例に説明する。また、以下では、図15に示すように、注目対象アライメントマーク特徴箇所として選出された特徴箇所Tat12に対応する座標と画像をそれぞれ、注目対象アライメントマーク特徴箇所座標704および注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705という。
続いて、画像位置合わせ部113は、ステップS405で、注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705と、アライメント補正モデルa_mod内の各モデル特徴箇所画像A1〜A12との間の類似度を算出する。ステップS405で算出される類似度は、同じ大きさと形状を有する小領域の画像同士の類似度なので、以下では「部分類似度」という。図13には部分類似度sim_pが図示されている。
例えば、図11のアライメントマーク特徴箇所画像群603は、12個のモデル特徴箇所画像A1〜A12を含む。よって、画像位置合わせ部113は、1≦k≦12なる整数kのそれぞれについて、モデル特徴箇所画像Akと注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705との間の部分類似度sim_pを算出する。
ステップS405における部分類似度sim_pの算出は、注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705に対応するモデル特徴箇所画像の候補をアライメントマーク特徴箇所画像群603の中から選択し、対応付けについての仮説を立てるために行われる。以下、ステップS405の処理について図16を参照して説明する。
図16は、第3実施形態のアライメント補正処理における対応付けの候補の選択について説明する図である。
図16には、図15に示した注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705と、図11に示したアライメント補正モデルa_mod中のアライメントマーク特徴箇所画像群603とを示してある。
図16の例では、正方形の注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705は、左上の約4分の1の領域が黒っぽく、残りの領域が白っぽい。アライメントマーク特徴箇所画像群603内で同様に左上の約4分の1の領域が黒っぽく、残りの領域が白っぽいモデル特徴箇所画像は、特徴箇所Ta10とTa12それぞれに対応して切り出された2個のモデル特徴箇所画像A10とA12である。他の10個のモデル特徴箇所画像A1〜A9、およびA11は、注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705とまったく似ていないパターンを有する。
画像位置合わせ部113は、1≦k≦12なる整数kのそれぞれについて、モデル特徴箇所画像Akと注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705との間の部分類似度sim_pを算出する。そして、画像位置合わせ部113は、予め決められた閾値th_pと部分類似度sim_pとを比較することで、モデル特徴箇所画像Akと注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705と類似するか否かを判断する。
部分類似度sim_pの具体的な計算方法は実施形態に応じて任意であり、マッチング処理の様々なアルゴリズムを利用することができる。以下では説明の便宜上、部分類似度sim_pの値が大きいほど類似度が高いものとする。
例えば、図11のアライメントマーク画像600と図15の検査時アライメントマーク画像700がともにモノクロームのグレースケールで表された輝度画像の場合、部分類似度sim_pは、各画素における輝度の差の絶対値の総和の符号を反転させた値でもよい。
また、閾値th_pは、モデル特徴箇所画像A1〜A12を切り出す小領域の画素数、画像の階調数、部分類似度sim_pの算出アルゴリズムなどに応じて、必要なら実験を行うことにより、実施形態に応じた適切な値に定めることが望ましい。例えば、閾値th_pが適切であれば、注目対象アライメントマーク特徴箇所画像705と類似する2個のモデル特徴箇所画像A10およびA12に関してのみ、部分類似度sim_pが閾値th_p以上となるであろう。
ここで図14の説明に戻ると、画像位置合わせ部113がステップS405で12個の部分類似度sim_pを算出した後、処理はステップS406に移行する。画像位置合わせ部113はステップS406で、部分類似度sim_pが閾値th_p以上のモデル特徴箇所画像があるか否かを判断する。
部分類似度sim_pが閾値th_p以上のモデル特徴箇所画像が一つ以上ある場合、画像位置合わせ部113は、その一つ以上のモデル特徴箇所画像を、注目対象アライメントマーク特徴箇所画像に該当する可能性のある候補として記憶する。そして、処理はステップS407に移行する。
ステップS405で算出したすべての部分類似度sim_pが閾値th_p未満の場合は、ステップS404で選出した注目対象アライメントマーク特徴箇所画像が不適切であったと考えられる。よって、別の注目対象アライメントマーク特徴箇所画像を選出するために、処理はステップS406からS403に戻る。
ステップS407から始まる上記の第2の繰り返しループにおける処理は、ステップS406で候補として記憶したモデル特徴箇所画像に対応する仮説を検討する処理である。第2の繰り返しループにおいて画像位置合わせ部113は、一つ以上の仮説を順に検討していく。もし非常に妥当性の高い仮説が見つかれば、画像位置合わせ部113はステップS410において即座にその仮説を採用し、それ以上の検討を打ち切る。
逆に、候補としてステップS406において記憶した一つ以上のモデル特徴箇所画像にそれぞれ対応するすべての仮説を画像位置合わせ部113が検討しても、即座に採用可能なほど高い妥当性の仮説が見つからないこともある。その場合、処理はステップS403に戻る。
すなわち、ステップS407において画像位置合わせ部113は、ステップS406で記憶した一つ以上の候補のすべてについて、ステップS408〜S410の処理を実行済みか否か、ということを判断する。
すべての候補について処理済みの場合とは、即座に採用可能なほど高い妥当性の仮説が見つからなかった場合である。この場合、ステップS404で選出した注目対象アライメントマーク特徴箇所画像が不適切だった可能性があるので、処理はステップS403に戻る。他方、未処理の候補が残っている場合は、処理がステップS408に移行する。
ステップS408で画像位置合わせ部113は、未処理の一つ以上の候補のうちの一つを選出する。
図16の例では、特徴箇所Ta10に対応するモデル特徴箇所画像A10が第1の候補であり、特徴箇所Ta12に対応するモデル特徴箇所画像A12が第2の候補である。したがって、ステップS408で、画像位置合わせ部113は、二つの候補のうちの一つを選出する。
ステップS408で画像位置合わせ部113は、例えば、未処理の候補のうち部分類似度sim_pが最大のものを選出してもよく、候補に対応する特徴箇所IDの順に候補を選出してもよく、ランダム順に候補を選出してもよい。
続いて、ステップS409において画像位置合わせ部113は、ステップS404で選出した注目対象アライメントマーク特徴箇所画像と、ステップS408で選出した候補とが対応するという仮説を立てる。そして、画像位置合わせ部113は、立てた仮説の妥当性を検証するための評価値を算出する。
ステップS409で算出される評価値が、図13に図示した全体類似度sim_tである。全体類似度sim_tは、立てた仮説のもとでの、アライメント補正モデルa_mod内のアライメントマーク画像ap_imgと、ステップS400で撮像された検査時アライメントマーク画像ap2_imgとの間の全体的な類似度を示す。
続いて、第3実施形態における全体類似度sim_tの算出について、図17と図18を参照して説明する。
図17と図18は、第3実施形態のアライメント補正処理における全体類似度について説明する図である。図17と図18は、図1モデル特徴箇所座標群5に示すようにステップS404で注目対象アライメントマーク特徴箇所として特徴箇所Tat12が選出された場合の、図16の二つの候補にそれぞれ対応する。
図17は、図16の第1の候補であるモデル特徴箇所画像A10がステップS408で選出された場合の、ステップS409における全体類似度sim_tの算出を説明する図である。すなわち、図17は、モデル特徴箇所画像A10に対応する特徴箇所Ta10が、特徴箇所Tat12に対応するという第1の仮説を示す。
図11に示したように、モデル特徴箇所画像A10の中心である特徴箇所Ta10の、アライメントマーク画像600における座標は、
(x,y)=(650,550)
である。また、図15に示したように、検査時アライメントマーク画像700における特徴箇所Tat12の座標、すなわち注目対象アライメントマーク特徴箇所座標704は、
(x,y)=(250,300)
である。
したがって、1≦k≦12なる各整数kについて、アライメントマーク画像600における特徴箇所Takの座標を(x,y)=(ak,bk)とすると、第1の仮説において特徴箇所Takに対応する検査時アライメントマーク画像700内の座標(x,y)=(ck,dk)は、式(6)および(7)のとおりである。
ck=ak−650+250 (6)
dk=ck−550+300 (7)
以下、1≦k≦12なる各整数kについて、検査時アライメントマーク画像700内の、座標(x,y)=(ck,dk)を中心とした、モデル特徴箇所画像Akと同じ大きさおよび形状の範囲の小領域を、「Ck」なる符号で参照する。図17は、小領域Ckにモデル特徴箇所画像Akを重ね合わせることで、第1の仮説を表現した図である。
画像位置合わせ部113は、1≦k≦12なる各整数kについて小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度に基づいて全体類似度sim_tを算出する。なお、以下では説明の便宜上、全体類似度sim_tも部分類似度sim_pと同様に、値が大きいほど類似していることを表すものとする。
小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度の具体的な定義は実施形態によって任意である。例えば、図14のステップS405で算出した部分類似度sim_pと同様の定義を採用してもよい。
また、全体類似度sim_tの具体的な定義も実施形態によって任意である。例えば、全体類似度sim_tは、各整数kについて算出された小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度の総和として定義されていてもよい。
あるいは、全体類似度sim_tは、アライメントマーク特徴箇所画像群を構成するモデル特徴箇所画像の数Nに依存しないように正規化された値でもよい。例えば、図11の例では、アライメントマーク特徴箇所画像群603がN=12個のモデル特徴箇所画像A1〜A12から構成される。よって、画像位置合わせ部113は、1≦k≦Nなる各整数kについて小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度を算出し、算出したN個の類似度の総和をNで割り、得られた商を全体類似度sim_tとして利用してもよい。
また、第1実施形態において説明したように、一つ以上の小領域Ckが検査時アライメントマーク画像700の視野の外になってしまうこともある。その場合、画像位置合わせ部113は、小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度には所定の定数を割り当ててもよい。また、画像位置合わせ部113は、検査時アライメントマーク画像700の視野の外になる小領域Ckの個数に応じて正規化した値を全体類似度sim_tとして算出してもよい。
図17から明らかなように、第1の仮説においては、k=1およびk=10に関しては、小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度が比較的高い。しかし、k=2〜9、11、12に関しては、小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度は低い。そのため、第1の仮説では、全体類似度sim_tの値も小さい。
それに対して、図18に示す第2の仮説では、下記のとおり、全体類似度sim_tの値が大きい。
図18は、図16の第2の候補であるモデル特徴箇所画像A12がステップS408で選出された場合の、ステップS409における全体類似度sim_tの算出を説明する図である。すなわち、図18は、モデル特徴箇所画像A12に対応する特徴箇所Ta12が、特徴箇所Tat12に対応するという第2の仮説を示す。
第2の仮説においては、モデル特徴箇所画像A12の中心である特徴箇所Ta12の、アライメントマーク画像600における座標は、(x,y)=(550,650)であるから、第2の仮説において特徴箇所Takに対応する検査時アライメントマーク画像700内の座標(x,y)=(ck,dk)は、式(8)および(9)のとおりである。
ck=ak−550+250 (8)
dk=ck−650+300 (9)
図18は、式(6)および(7)の代わりに、式(8)および(9)により規定される小領域Ckにモデル特徴箇所画像Akを重ね合わせることで、第2の仮説を表現した図である。第2の仮説に関しても、画像位置合わせ部113は、第1の仮説と同様にして、全体類似度sim_tを算出する。
図18から明らかなように、第2の仮説においては、1≦k≦12なるどの整数kに関しても、小領域Ckとモデル特徴箇所画像Akとの間の類似度が比較的高い。その結果、第2の仮説に関する全体類似度sim_tの値も大きくなる。つまり、第2の仮説は第1の仮説よりも妥当性が高い。
ここで、図14の説明に戻る。ステップS410で画像位置合わせ部113は、上記のようにしてステップS409で算出した全体類似度sim_tが、予め決められた上限閾値th_u以上か否かを判断する。
全体類似度sim_tが上限閾値th_u以上なら、現在選出されている候補に対応する仮説の妥当性が非常に高く、即座に採用してよい水準である。この場合、処理はステップS411に移行する。
他方、全体類似度sim_tが上限閾値th_u未満であれば、現在選出されている候補に対応する仮説の妥当性は、即座に採用可能なほどは高くない。よって、さらに画像位置合わせ部113が検討を続けるために、処理がステップS415に移行する。
後述のように、ステップS415に処理が移行することで、画像位置合わせ部113は、他の候補が残っていれば、他の候補に対応する仮説を検討することができる。また、他の候補が残っていなくても、まだ注目していない他の特徴箇所がもしあれば、画像位置合わせ部113は、他の特徴箇所に注目しなおして検討を続けることができる。
上限閾値th_uは、予め実験を行うなどして実施形態に応じて適切に定めることが望ましい。上限閾値th_uが適切に定められていれば、例えば、図17の第1の仮説に関しては全体類似度sim_tが上限閾値th_u未満となり、図18の第2の仮説に関しては全体類似度sim_tが上限閾値th_u以上となるであろう。
ステップS411では、画像位置合わせ部113が、現在選出されている候補を、ステステップS404で選出した現在の注目対象アライメントマーク特徴箇所に該当する該当アライメントマーク特徴箇所として決定する。つまり、決定された該当アライメントマーク特徴箇所に対応する仮説に関して、全体類似度sim_tは上限閾値th_u以上である。
ステップS411または後述のステップS418の実行後に、ステップS412において画像位置合わせ部113は、x方向およびy方向それぞれについてアライメントマークずれ量を取得し、記憶する。アライメントマークずれ量は、図13にずれ量d_amtxおよびd_amtyとして図示されている。
例えば、注目対象アライメントマーク特徴箇所が図15の特徴箇所Tat12であり、該当アライメントマーク特徴箇所が図11のモデル特徴箇所Ta12である場合、画像位置合わせ部113は次のようにしてずれ量d_amtxおよびd_amtyを算出する。
まず、画像位置合わせ部113は、図11のアライメントマーク特徴箇所相対座標群604において特徴箇所ID「Ta12」に対応付けられている座標(x,y)=(50,250)を取得する。そして、特徴箇所Tat12に対応している図15の注目対象アライメントマーク特徴箇所座標704(x,y)=(250,300)から、座標(x,y)を減じた座標(x,y)を取得する。
座標(x,y)は、採用された仮説のもとで、アライメントマーク特徴箇所座標群602のモデル代表座標(x,y)=(500,400)に対応する、検査時アライメントマーク画像700内の座標である。換言すれば、座標(x,y)は、座標(x,y)が、ずれ量(d_amtx,d_amty)の分だけシフトされた座標である。よって、画像位置合わせ部113は、座標(x,y)から座標(x,y)を減じることで、ずれ量d_amtxおよびd_amtyを算出することができる。
つまり、ずれ量の算出は、下記の式(10)および(11)のようにまとめられ、上記の例における具体的な数値は式(12)および(13)のとおりである。
d_amtx=x−x−x (10)
d_amty=y−y−y (11)
d_amtx=250−50−500=−300 (12)
d_amty=300−250−400=−350 (13)
ステップS412の次のステップS413において全体制御部110は、処理すべきアライメントマークが他にもあるか否かを、ステップS400で読み込んだレシピrcpに基づいて判断する。レシピrcp内に未処理のアライメント補正データa_datが残っていれば、処理すべきアライメントマークが他にもあるので処理はステップS400に戻る。レシピrcp内のすべてのアライメント補正データa_datが処理済ならば、処理はステップS414に移行する。
ステップS414では、座標変換部115が、各アライメントマークに対応して記憶されたアライメントマークずれ量に基づいて、アライメント補正パラメータを算出し、図14のアライメント補正処理が終了する。ステップS414における座標変換部115の動作は、補正のための数学的モデルなどに応じて、実施形態により様々である。
例えば、補正のための数学的モデルとしてアフィン変換を採用した実施形態においては、最低3個のアライメントマークが利用される。座標変換部115は、3個のアライメントマークそれぞれのポジションとアライメントマークずれ量とに基づいて、逆行列の計算を含む一連の計算によって、2次元アフィン変換のための変換行列である3×3の同次行列を算出してもよい。あるいは、座標変換部115は、4個以上のアライメントマークそれぞれについてのポジションとアライメントマークずれ量とに基づいて、最小二乗法を用いて変換行列を算出してもよい。
また、実施形態によって補正の対象も異なり、補正の対象に応じて、ステップS414における具体的な計算式も異なる。例えば、ある実施形態では、基板102上のポジションからモータなどの動作量を、二つの動作方向についてそれぞれ算出し、算出された動作量を変換行列によって補正することを前提としている。また、ある実施形態では、基板102上のポジションを変換行列によって補正し、補正されたポジションから相対移動のためのモータなどの動作量を算出することを前提としている。
なお、補正のために採用される数学的モデルや、補正の対象などに応じて、適切な変換行列またはその他の形式の変換パラメータ群を算出する方法は周知であるので、詳細は省略する。
ここで、ステップS410の分岐の説明に戻ると、ステップS410において全体類似度sim_tが上限閾値th_u未満の場合、処理はステップS415に移行する。ステップS415で画像位置合わせ部113は、ステップS409で算出した全体類似度sim_tが、予め決められた下限閾値th_l以上か否かを判断する。
全体類似度sim_tが下限閾値th_l未満なら、現在選出されている候補に対応する仮説の妥当性は、即座に棄却してかまわない程度の低さである。したがって、この場合、他の候補の検討に移るために処理はステップS407に戻る。
それに対し、全体類似度sim_tが下限閾値th_l以上なら、現在選出されている候補に対応する仮説の妥当性は、即座に採用も棄却もできない中間的な水準である。したがって、この場合、仮説を保留にして、後で他の仮説と比較するために、処理はステップS416に移行する。
ステップS416では、画像位置合わせ部113が、現在選出されている候補を、現在の注目対象アライメントマーク特徴箇所および全体類似度sim_tと対応付けて、後の検討のために保持する。そして、他の候補の検討に移るために処理はステップS407に戻る。
以上のようにして、画像位置合わせ部113は、ある一つの注目対象アライメントマーク特徴箇所に関して、ステップS405〜S410、S415、およびS416からなる処理を繰り返し、各候補に対応する仮説を検討する。そして、画像位置合わせ部113がすべての候補について仮説を検討し終わっても、上限閾値th_u以上の全体類似度sim_tが得られなかった場合は、上記のように処理がステップS407からステップS403へと戻る。
また、ステップS403において画像位置合わせ部113が、「ステップS401で抽出したすべての特徴箇所について注目済みである」と判断した場合は、処理がステップS417に移行する。ステップS417は、画像位置合わせ部113が可能な仮説をすべて検討した結果、即座に採用可能なほど妥当性の高い仮説が見つからなかった場合に実行される。
ステップS417で画像位置合わせ部113は、ステップS416の実行結果として保持している候補があるか否かを判断する。保持している候補があれば処理はステップS418に移行し、なければ処理はステップS419に移行する。下限閾値th_lが適切に定められていれば、ほとんどの場合において処理がステップS418に移行すると期待される。
ステップS418において画像位置合わせ部113は、ステップS416の実行結果として保持している候補のうち、候補に対応付けてともに保持している全体類似度sim_tが最高の候補を選択する。つまり、画像位置合わせ部113は、選択した候補が、選択した候補に対応付けてともに保持している注目対象アライメントマーク特徴箇所に該当すると決定する。
ステップS418において、注目対象アライメントマーク特徴箇所と、該当アライメントマーク特徴箇所の組が決定されると、処理はステップS412に移行する。ステップS412以降の処理は、上記で説明したとおりである。
また、ステップS419は、全体類似度sim_tが下限閾値th_l以上となるような特徴箇所が、ステップS402で抽出された特徴箇所の中に見つからなかった場合に実行される。ステップS419は例外処理であり、例外処理の内容は実施形態に応じて任意である。
例えば、ステップS419では、表示部109が警告を表示し、入力部107が作業者からの命令を受け付けてもよい。そして、入力部107が受け付けた命令にしたがって、全体制御部110が、撮像のポジションを変えて図14の処理を最初から再度実行するための制御を行ってもよい。
ステップS419の例外処理の終了後、図14のアライメント補正処理も終了する。
以上、図6と図7のステップS104のアライメント補正処理について詳細に説明した。
ところで、上記のとおり第3実施形態は第1実施形態を線幅測定装置100に応用した実施形態である。基準モデルのデータ構成と図2の位置合わせ部45の動作に注目して、第3実施形態における図14の処理について第1実施形態の用語で説明しなおせば、下記のごとくである。
上記のとおり、図2の位置合わせ部45は、図4の画像位置合わせ部113、座標変換部115、全体制御部110、および測定対象保持部103に対応する。そして、第3実施形態における位置合わせ処理は、多数のステップからなる処理であり、図14のアライメント補正処理を含む。つまり、位置合わせ部45の一部として機能する上記各部が図14において行う処理は、換言すれば、第3実施形態における位置合わせ部45による位置合わせ処理の一部である。
例えば、アライメントマーク画像600から得られたアライメント補正モデルa_modは、アライメントマーク特徴箇所座標群602から選出された(すなわち、複数の基準特徴箇所座標から選出された)コーナーTa1の座標を、モデル代表座標ac_repとして含む。コーナーTa1の座標は、アライメントマーク画像600においてアライメントマーク601がどこに位置しているかを表している。また、図11のアライメントマーク特徴箇所相対座標群604として示したように、基準特徴箇所座標は、このように選出されたモデル代表座標を基準とする相対座標であってもよい。
また、図11のアライメントマーク画像600では中央付近にアライメントマーク601が写っているのに対し、図15の検査時アライメントマーク画像700では左上に片寄ってアライメントマーク701が写っている。この違いは、図14のステップS412で算出されるアライメントマークずれ量に表れているが、下記に説明するとおり、別の観点からは、対物レンズと撮像の対象との位置関係の差を表しているとも言える。
上記のとおり図2の撮像部51は、図4の顕微鏡部104と撮像部105を含む。したがって、顕微鏡部104が含む対物レンズは、基準撮像画像であるアライメントマーク画像600の撮像にも用いられ、また、対象撮像画像である検査時アライメントマーク画像700の撮像にも用いられる。
アライメントマーク画像600では中央付近にアライメントマーク601が写っているのに対し、検査時アライメントマーク画像700では左上に片寄ってアライメントマーク701が写っている、という差は、対物レンズと基板との位置関係の差による。つまり、この差は、図10のステップS200の撮像時における対物レンズと基板との位置関係と、図14のステップS400の撮像時における対物レンズと基板との位置関係の差による。
対物レンズと基板との位置関係という観点からコーナーTa1の座標の意味をとらえなおせば、下記のごとくである。つまり、コーナーTa1の座標は、アライメント補正モデルa_modを代表して、アライメントマーク画像600が撮像されたときに用いられた顕微鏡部104の対物レンズと、基板上のアライメントマークとの第1の位置関係を表す。
すなわち、第1の位置関係は、対物レンズの光軸が基板の上面と交わる点と、基板上に形成されたアライメントマークとの位置関係である。この第1の位置関係に応じたアライメントマーク画像600内での座標に、アライメントマーク601は写っている。換言すれば、モデル代表座標は、基準モデルを代表して、基準撮像画像の撮像に用いられた対物レンズと、撮像の対象である基準パターンとの第1の位置関係を表す。
ここで、図15の検査時アライメントマーク画像700が撮像されたときの、対物レンズと、撮像の対象である対象パターンとしてのアライメントマークとの位置関係を「第2の位置関係」ということにする。一般に第2の位置関係は第1の位置関係とは異なる。
図2のずれ量算出部44としても機能する画像位置合わせ部113が図14のステップS412で算出するずれ量は、第2と第1の位置関係の差を示す。つまり、ずれ量に基づいて位置合わせ処理を行う位置合わせ部45は、第2と第1の位置関係との差に基づいて位置合わせ処理を行っているとも言える。
また、第3実施形態において複数のアライメントマークを利用する点に関して、第1実施形態の用語を用いて説明しなおせば、下記のごとくである。
第3実施形態において、複数のアライメントマークをそれぞれ表す複数のアライメント補正モデルa_modを永続記憶部108が格納している。すなわち、第1実施形態の用語で表せば、複数の基準パターンをそれぞれ表す複数の基準モデルを基準モデル格納部41が格納している。
撮像部51に対応する顕微鏡部104と撮像部105は、複数の基準パターンにそれぞれ対応する複数の対象パターンとしての、線幅測定対象の基板上の複数のアライメントマークをそれぞれ撮像して、複数の対象撮像画像を取得する。撮像部51による複数の対象撮像画像の取得は、図14においてステップS400が複数回実行されることに対応する。
また、特徴点抽出部52として機能する画像位置合わせ部113は、複数の対象撮像画像それぞれから複数の対象特徴箇所座標を取得する。この特徴点抽出部52の動作は、図14においてステップS401が複数回実行されることに対応する。
さらに、画像位置合わせ部113はずれ量算出部44としても機能し、基準パターンと対象パターンとの複数組のそれぞれについてずれ量を算出する。ずれ量算出部44が複数のずれ量を算出することは、図14においてステップS412が複数回実行されることに対応する。
位置合わせ部45として機能する座標変換部115は、こうして算出された複数のずれ量から、図14のステップS414において、位置合わせ処理に必要な座標変換パラメータとしてのアライメント補正パラメータを算出する。
以上、図6および図7のステップS104に相当する図14のアライメント補正処理について、第1実施形態との関係も含めて説明した。続いて、ステップS105の測定処理の詳細を説明する。
図19は、第3実施形態における測定処理のフローチャートである。測定処理は、図14のアライメント補正処理に続いて実行される。また、図19には図14と類似するステップが多く存在するので、以下では適宜説明を省略する。
ステップS500において、全体制御部110は、図14の処理で既に読み出しているレシピrcpから、測定データm_datの一つを選択する。
例えば、図5に示した品種のガラス基板201に対するレシピrcpは、測定予定ポジション221〜226の群に対応する測定データm_datと、測定予定ポジション231〜236の群に対応する測定データm_datとを含む。ステップS500では、レシピrcpに含まれる一つ以上の測定データm_datのうちの一つを、全体制御部110が選択する。
ステップS500では続いて、全体制御部110が、選択した測定データm_datに含まれる測定予定ポジション群gm_posに含まれる一つの測定予定ポジションを選択し、アライメント補正パラメータによる補正処理を実行する。なお、上記のとおり、「測定予定ポジション」のうち現在注目しているものを「測定ポジション」という。また、図19は、線幅測定による基板102の検査を行うために測定予定ポジションに注目しているので、以下では「測定ポジション」を「検査時測定ポジション」と表現することもある。
ステップS500における具体的な補正は、アライメント補正パラメータの補正の対象や、補正のために採用された数学的なモデルなどによって様々であり、実施形態によって異なる。
例えば、図14のステップS414で算出されたアライメント補正パラメータは、基板102上のポジションから全体制御部110が算出したモータの動作量を、アフィン変換により補正するための3×3の変換行列であるとする。
この場合、全体制御部110はステップS500において、選択した測定予定ポジションから、二つの動作方向についてそれぞれモータの動作量を算出する。そして、全体制御部110は、二つの動作方向それぞれについての動作量を、図14の処理によって取得した変換行列により補正する。
そして、全体制御部110は、補正後の動作量を測定対象保持部103に出力する。つまり、全体制御部110は、選択した測定予定ポジションを撮像するために、補正した動作量にしたがって相対移動を行うよう、測定対象保持部103を制御する。測定対象保持部103は、全体制御部110の制御にしたがって相対移動を実行する。
以上のようにしてステップS500では補正処理に基づく相対移動が行われる。
すると、次のステップS501では、全体制御部110が、選択した測定データm_dat内の測定ポジション撮像データmp_datにしたがって顕微鏡部104を設定し、撮像部105に撮像を指示し、撮像部105が基板102を撮像する。ステップS501における撮像は、ステップS400における撮像と同様である。また、ステップS501において撮像された画像は、例えば第1実施形態における図1Bの撮像画像11のような画像であり、以下、「検査時測定ポジション画像」という。
ステップS501に続くステップS502〜S513、S516〜S520は、それぞれ、図14のステップS401〜S412、S415〜S419と類似している。相違点は、撮像の対象がアライメントマークであるか測定ポジションであるかという点のみなので、これらのステップについては簡単に説明する。
なお、ステップS500で補正が行われているにも拘らず、さらにステップS502〜S513、S516〜S520の処理を行うのは、ステップS500による補正だけではずれや歪みの影響を完全になくすことができないためである。そこで、さらに精密な補正を行うために、ステップS502〜S513、S516〜S520の処理が実行される。
ステップS502において画像位置合わせ部113は、検査時測定ポジション画像に対して特徴点抽出処理を行い、検査時測定ポジション特徴箇所を抽出し、各特徴点の座標を特徴箇所IDと対応付けて記憶する。
そして、画像位置合わせ部113は、次のステップS503において、検査時測定ポジション画像から、各特徴点を中心とする小領域を切り出し、検査時測定ポジション特徴箇所画像群を作成する。
続いて、ステップS504において画像位置合わせ部113は、「ステップS502で抽出したすべての特徴箇所が注目済みである」という条件が成立するか否かを判断する。条件が成立すれば処理がステップS518に移行し、成立しなければ処理がステップS505に移行する。
ステップS505では、画像位置合わせ部113が、まだ注目していない特徴箇所のうちの一つを、注目対象測定ポジション特徴箇所として選出する。
次に、ステップS506で画像位置合わせ部113は、注目対象測定ポジション特徴箇所に対応する注目対象測定ポジション特徴箇所画像と、測定モデルm_mod内の各モデル特徴箇所画像との間の部分類似度をそれぞれ算出する。なお、ステップS506における部分類似度の算出のために利用するマッチングアルゴリズムは、ステップS405におけるマッチングアルゴリズムと同じでもよく、違っていてもよい。
そして、続くステップS507で画像位置合わせ部113は、部分類似度が予め決められた閾値以上のモデル特徴箇所画像があるか否かを判断する。ステップS507における閾値は、ステップS406における閾値th_pと同じ値でもよく、違う値でもよい。
部分類似度が閾値以上のモデル特徴箇所画像が一つ以上あれば、画像位置合わせ部113は、その一つ以上のモデル特徴箇所画像を、注目対象測定ポジション特徴画像に該当する可能性のある候補として記憶する。そして、処理はステップS508に移行する。
他方、部分類似度が閾値以上のモデル特徴箇所画像がなければ、処理はステップS507からS504に戻る。
ステップS508において画像位置合わせ部113は、ステップS507で記憶した一つ以上の候補のすべてについて、ステップS509〜S511を実行済みか否か、ということを判断する。すべての候補についてステップS509〜S511を実行済みならば、処理はステップS504に戻り、そうでなければ処理はステップS509に移行する。
ステップS509で画像位置合わせ部113は、未処理の一つ以上の候補のうちの一つを選出する。選出する順序を決める基準は実施形態により任意である。
そして、次のステップS510で画像位置合わせ部113は、注目対象測定ポジション特徴箇所画像と、ステップS509で選出した候補とが対応するという仮説を立て、立てた仮説の妥当性を検証するための評価値として全体類似度を算出する。ステップS510における全体類似度の具体的な定義は、ステップS409における全体類似度sim_tと同様でもよく、異なっていてもよい。
続いて、ステップS511において画像位置合わせ部113は、算出した全体類似度が、予め決められた上限閾値以上か否かを判断する。ステップS511における上限閾値は、ステップS410における上限閾値th_uと同じ値でもよく、異なる値でもよい。全体類似度が上限閾値以上ならば処理がステップS512に移行し、そうでなければ処理がステップS516に移行する。
ステップS512では、画像位置合わせ部113が、現在選出されている候補を、ステステップS505で選出した現在の注目対象測定ポジション特徴箇所に該当する該当測定ポジション特徴箇所として決定する。
そして、ステップS512または後述のステップS519の実行後に、ステップS513において画像位置合わせ部113は、x方向およびy方向それぞれについて測定箇所ずれ量を算出する。算出方法はステップS412と同様である。
ステップS513に続いてステップS514では、測定部114が線幅の測定を実行し、画像の回転を考慮して測定結果を補正する。ステップS514は、図14に類似のステップがないので、以下、ステップS514の詳細を説明する。
ステップS514において測定部114は、まず、現在選択している測定データm_datから、測定テンプレートm_tmp内の測定部位情報m_locを読み出す。上記のとおり、測定部位情報m_locは、1枚の検査時測定ポジション画像を使って測定すべき1箇所または複数箇所の測定部位を表す。測定部114は、各測定部位について例えば下記のようにして測定と補正を実行する。
例えば、ステップS501で撮像した検査時測定ポジション画像が、図1Bの撮像画像11であり、現在選択している測定データm_dat内の測定ポジション画像mp_imgが図1Aの撮像画像1であるとする。測定部位情報m_locは、線幅wを測定すべき部位を、例えば撮像画像1においてエッジ2aが右向きの矢印と接する座標(x,y)を用いて表している。また、第3実施形態においては、座標(x,y)は、測定ポジション画像mp_imgを代表する座標であるモデル代表座標mc_repからの相対座標であるとする。
測定部114は、検査時測定ポジション画像である撮像画像11において、エッジ2aに対応するエッジ12cが右向きの矢印と接する座標(x,y)を算出する。
すなわち、測定部114は、ステップS513で算出したx方向とy方向それぞれのずれ量を、モデル代表座標mc_repのx座標とy座標にそれぞれ加算し、さらに相対座標である座標(x,y)を加算することで、撮像画像11における絶対座標である座標(x,y)を取得する。
ここで、ステップS513で算出したずれ量を加算することによる補正は、x方向とy方向の並進のずれのみに関する補正である。しかし、実際にはアライメント補正パラメータを用いたステップS500での補正で補正しきれなかった回転の影響が残っていることがある。
よって、例えば、測定部114は、撮像画像11に対してエッジ抽出処理を実行し、エッジ12a〜12dを抽出する。そして、測定部114は、座標(x,y)に最も近いエッジ12c上の点からエッジ12dに下ろした垂線の長さを、線幅wとして測定する。たとえ撮像画像11に回転による歪みの影響が残っていたとしても、x軸に平行に線幅を測定するのではなく、垂線に沿って線幅を測定することにより、回転の影響を補正した適切な線幅wが得られる。
あるいは、測定部114は、同様にエッジ抽出処理を実行し、座標(x,y)に最も近いエッジ12c上の点の座標(xc2,yc2)を算出した後、次のように動作してもよい。すなわち、測定部114は、算出した座標(xc2,yc2)を一方の端点として他方の端点がエッジ12d上にあるような、x軸に平行な線分の長さを測定してもよい。そして、測定部114は、測定した線分の長さを、撮像画像11の回転角度に応じて補正することで、線幅wを取得してもよい。
撮像画像11の回転角度は、例えば、エッジ12cおよび12dが、本来はy軸と平行であるべきエッジである場合には、エッジ12cおよび12dの少なくとも一方の、y軸に対する角度から測定部114が算出することもできる。あるいは、エッジ12aおよび12bが本来はx軸と平行であるべきエッジである場合には、エッジ12aおよび12bの少なくとも一方の、x軸に対する角度から、測定部114が撮像画像11の回転角度を算出することもできる。
そのほか、測定部114は、正確に線幅wを測定するための適切な任意の手法をステップS514において利用することができる。
ステップS514の後、ステップS515において全体制御部110は、測定予定ポジションが他にもあるか否かを、レシピrcpに基づいて判断する。
すなわち、現在選択している測定データm_datに含まれる測定予定ポジション群gm_posのうち、まだ測定していない測定予定ポジションがあれば、全体制御部110は、測定予定ポジションが他にもあると判断する。そして処理はステップS500に戻る。この場合、ステップS500で全体制御部110は新たな測定データm_datを選択せず、現在選択している測定データm_datにおいてまだ測定していない測定予定ポジションを一つ選択する。
例えば、現在の測定データm_datに含まれる測定予定ポジション群gm_posが図5の測定予定ポジション221〜226からなる群を表し、現在までに測定予定ポジション221〜223のみが測定済みであれば、処理がステップS515からステップS500に戻る。そして、ステップS500において、全体制御部110は例えば測定予定ポジション224を選択する。
また、ステップS515において、現在選択している測定データm_datに含まれる測定予定ポジション群gm_posのすべての測定予定ポジションについて線幅の測定が済んでいた場合は、全体制御部110は、次のように動作する。すなわち、全体制御部110は、他の測定データm_datがレシピrcpにあれば測定予定ポジションが他にもあると判断し、そうでなければ、測定すべき他の測定予定ポジションがないと判断する。前者の場合、処理はステップS500に戻り、後者の場合、図19の測定処理は終了する。
例えば、現在の測定データm_datに含まれる測定予定ポジション群gm_posが図5の測定予定ポジション221〜226からなる群を表し、測定予定ポジション221〜226すべてについて線幅の測定が済んでいたとする。この場合、測定予定ポジション231〜236からなる群に対応する測定データm_datに関する測定がまだ済んでいなければ処理はステップS500に戻る。逆に、もし測定予定ポジション231〜236からなる群に対応する測定データm_datに関する測定も済んでいれば、図19の測定処理は終了する。
ここで、ステップS511の分岐の説明に戻ると、ステップS511において全体類似度が上限閾値未満の場合、処理はステップS516に移行する。ステップS516で画像位置合わせ部113は、全体類似度が予め決められた下限閾値以上か否かを判断する。
ステップS516における下限閾値は、ステップS415における下限閾値th_lと同じ値でもよく、違う値でもよい。そして、全体類似度が下限閾値未満の場合は、処理がステップS508に戻り、全体類似度が下限閾値以上の場合は、処理がステップS517に移行する。
ステップS517では、画像位置合わせ部113が、現在選出されている候補を、現在の注目対象測定ポジション特徴箇所および全体類似度と対応付けて保持し、処理がステップS508に戻る。
また、ステップS504において、すべての特徴箇所について注目済みであると画像位置合わせ部113が判断した場合は、処理がステップS518に移行する。そして、ステップS417と同様に、画像位置合わせ部113は、保持している候補があるか否かを判断する。保持している候補があれば処理はステップS519に移行し、なければ処理はステップS520に移行する。
ステップS519において画像位置合わせ部113は、保持している候補のうち、候補に対応付けてともに保持している全体類似度が最高の候補を選択する。つまり、画像位置合わせ部113は、選択した候補が、選択した候補に対応付けてともに保持している注目対象測定ポジション特徴箇所に該当すると決定する。そして、処理はステップS513に移行する。
ステップS520は、ステップS419と同様の例外処理である。例えば、表示部109が警告を表示し、入力部107が作業者から、測定すべき線幅を示す座標の入力を受け付けてもよい。
以上のとおり、図19の測定処理は、図14の処理により算出されたアライメント補正パラメータによる座標変換を含む位置合わせと、測定モデルm_modと検査時測定ポジション画像の比較から算出されるずれ量に基づく位置合わせと、検査時測定ポジション画像の回転角度を考慮した線幅の補正とを含む。したがって、精密な線幅の測定が可能である。
以上、第1〜第3実施形態について説明したが、いずれの実施形態においても、以下のような効果がある。
第1に、作業者の熟練度に左右されずに、自動的に適切な基準モデルを作成することができる。なぜなら、基準モデルの作成のために撮像された、例えば、図1Aの撮像画像1または図11のアライメントマーク画像600などの基準撮像画像に対して、基準モデルの作成のために作業者が、出現頻度の極めて低い特異なパターンを有する範囲を探して指定する必要がないからである。
従来は、作業者の熟練度不足や作業ミスが原因で、特異でないパターンに基づいて不適切な基準モデルが作成される可能性があった。そのため、基準モデルの作成用に選択された領域のパターンと類似するパターンが対象撮像画像に複数存在することがあった。
よって、従来の方法で位置合わせを行う線幅測定装置などの各種装置は、対象撮像画像において、基準モデルとして利用すべき範囲を正しく判断することができないことがあり、間違った位置合わせを行う可能性があった。その結果として、従来は誤認識の頻度や位置合わせ処理のリトライ頻度が増えてしまう、といった問題があった。
しかし、第1〜第3実施形態によれば、そのような問題が解消される。すなわち、第1〜第3実施形態は、位置合わせ処理を必要とする測定、検査、修正などの各種処理を正確かつ迅速に行うために役立ち、作業者の労力削減にも役立つ。
第2に、基準モデルの作成においては、例えば撮像画像1またはアライメントマーク画像600の全体が利用されるので、ウィンドウサイズを決定する必要がない。したがって、ウィンドウサイズが不適切な場合に生じる上述の問題が避けられる。
例えば下記のような種々の理由から、基準モデルの作成に利用されたウィンドウ内の領域のパターンの全体が、対象撮像画像の視野内に入るとは限らない。
・機械的または電気的なプレアライメントの精度が悪い。
・基板と顕微鏡部との相対移動を行うためのモータなどの移動精度が悪い。
・基板の周縁部にあるパターンを基準モデルの作成に利用した。
すると、対象撮像画像には、基準モデルの作成に利用されたウィンドウ内の領域のパターンの一部しか含まれない。そのため、従来の方法で位置合わせを行う各種装置は、基準モデルに相当するパターンを対象撮像画像内で認識するのに失敗することがあった。つまり、ウィンドウを用いて基準モデルを作成する従来の方法は、基準撮像画像と対象撮像画像とのずれに対する頑健性(ロバストネス)が低かった。
それに対して、第1〜第3実施形態によれば、基準モデルが基準撮像画像の全体から作られるので、従来に比べて基準撮像画像と対象撮像画像とのずれに対する頑健性も高い。つまり、ほとんどの場合において、少なくとも複数の基準特徴点に対応する対象特徴点が対象撮像画像内に含まれると期待される。よって、一部の基準特徴点の分布のみからでも、基準撮像画像と対象撮像画像との間の全体類似度を判断することが可能となる。
第3に、作成された基準モデルは、画像認識に有効な特徴点に関する情報を抽出することで取得されたものである。つまり、第1〜第3実施形態による基準モデルは、少ない情報量で効率的にモデル化されている。
つまり、従来は処理の軽減を目的として撮像画像の一部のみから基準モデルを作成しており、そのためウィンドウを利用していた。しかし、第1〜第3実施形態によれば、基準モデルの作成には撮像画像の全体が利用されるにもかかわらず、効率的なモデル化により、基準モデルの情報量は抑えられている。したがって、基準モデルを利用した位置合わせにおける処理量は比較的少なく、迅速な位置合わせ処理が可能である。
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。以下の変形例においても、第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
第3実施形態では、各アライメントマークに対してそれぞれアライメント補正データa_datが作成されている。しかし、形状および大きさが等しい複数のアライメントマークからなる群に対して一つのアライメント補正データa_datを作成するように、第3実施形態を変形することも可能である。
例えば、図5の六つの測定予定ポジション221〜226に対応して一つの測定データm_datを作成するのと同様にして、四つのアライメントマーク241〜244に対応して一つのアライメント補正データa_datをモデル作成部112が作成してもよい。このような変形例においては、アライメント補正データa_datのデータ構造などの変形などもあわせて行われる。
また、上記では主に、線幅測定装置における位置合わせ処理のための基準モデルに関する実施形態について説明した。しかし、線幅測定装置以外の欠陥検査装置、欠陥修正装置など様々な種類の装置においても、位置合わせ処理が必要である。そこで、上記の実施形態を変形し、各種の装置における位置合わせのための基準モデルの作成、および作成した基準モデルを用いた位置合わせに適用することができる。
例えば、欠陥検査装置によって欠陥の疑いがあるポジションとして検出されたポジションを詳細に観察し、必要に応じて欠陥の修正を行う欠陥修正装置が知られている。以下に説明する実施形態は、欠陥修正装置に適用するために第3実施形態を変形した第1変形例である。
この第1変形例では、レシピrcpにはアライメント補正データa_datのみが必要である。欠陥は不特定の場所に発生するので基準モデルを作ることはできない。したがって、欠陥修正装置は、図10の処理によりアライメント補正データa_datを作成する。図12の処理は第1変形例では行われない。
そして、修正時には、欠陥修正装置は、アライメント補正データa_datを用いて図14の処理により座標変換パラメータを算出する。続いて、欠陥修正装置は、図19のステップS500〜S501と同様にして、算出した座標変換パラメータによって、欠陥検査装置から通知された欠陥の疑いがあるポジションを補正してから基板102を撮像する。その後の処理は図19の処理とは異なる。すなわち、欠陥修正装置は、撮像画像に基づいて修正の要否を判断したり必要な修正を行ったりする。
また、以下に説明する第2変形例のように、公知の欠陥検査装置に適用するために第3実施形態を変形することも可能である。
第2変形例におけるレシピrcpは、アライメント補正データa_datを含むが、測定データm_datを含まない。第2変形例において、欠陥検査装置は、図10の処理によりアライメント補正データa_datを作成する。第2変形例でも、図12の処理は行われない。欠陥検査装置は、検査時にはアライメント補正データa_datを用いて図14とほぼ同様の処理を行い、座標変換パラメータを算出する。ただし、後述するように、座標変換パラメータを算出するステップS414における具体的な計算の手順が、第3実施形態における手順と多少異なる。
座標変換パラメータの算出後、欠陥検査装置は、基板の表面の検査すべき領域を走査しながら撮像する。検査すべき領域は、例えば図5のディスプレイ領域211〜216でもよく、ガラス基板201の表面全体でもよい。
そして、撮像された画像を処理することで、欠陥検査装置は、欠陥の有無を判別し、欠陥が存在する場合は欠陥のポジション、大きさ、形状、および種類などを認識する。欠陥検査装置は、欠陥のポジションを画像内での欠陥の座標から算出するが、その算出において、座標変換パラメータを用いた補正を行う。
ここで、第3実施形態において座標変換パラメータを用いた補正は、例えば、基板上のポジションから、測定対象保持部103による相対移動のためのモータの動作量への変換(以下、便宜的に「第1の変換」という。)の結果に対する補正である。他方、第2変形例において座標変換パラメータを用いた補正は、撮像時におけるモータの動作量と撮像画像内の座標との組み合わせから、基板上のポジションへの変換(以下、便宜的に「第2の変換」という。)の結果に対する補正である。
このように、第1の変換と第2の変換では変換の方向が逆であり、第3実施形態と第2変形例では座標変換パラメータの適用対象が異なる。したがって、その違いに応じて、第3実施形態と第2変形例では、座標変換パラメータの算出のための計算式も多少異なる。
ただし、例えば、補正の数学的モデルとして3×3の同次行列で表されるアフィン変換を採用する場合に、下記の(1)および(2)に基づいてアフィン変換のための変換行列を算出することができるという点では、第3実施形態と第2変形例は共通である。
(1)基板上の三つのポジション
(2)三つのポジションにそれぞれ対応する、下記(2a)と(2b)の組み合わせ
(2a)撮像画像内での座標
(2b)基板102と顕微鏡部104との相対位置の基準をもとにして、撮像時における基板102の顕微鏡部104との相対位置を表した量である、撮像時におけるモータの動作量
アフィン変換のための変換行列の算出方法は公知なので、ここでは詳しい説明を省略する。欠陥検査装置は、第2の変換の結果を、算出した変換行列を用いて補正し、補正した値を、検出した欠陥のポジションとして記憶装置に記憶し、あるいは他の装置に出力する。
以上、様々な実施形態について説明したが、線幅測定装置、欠陥検査装置、欠陥修正装置などの装置が測定、検査、修正の対象とするものは、FPD基板や半導体ウェハなどに限らない。位置合わせに利用可能なパターンが表面上に形成されているその他の製品を対象とするよう、上記の実施形態を変形することも可能である。
図1Aは、第1実施形態における基準モデルの作成について説明する図である。 図1Bは、第1実施形態における基準モデルを用いた位置合わせについて説明する図である。 図2は、第1実施形態における基準モデル作成装置および位置合わせ装置の例を示す機能ブロック構成図である。 図3は、第2実施形態における基準モデルの作成と基準モデルを用いた位置合わせについて説明する図である。 図4は、第3実施形態における線幅測定装置の構成図である。 図5は、基板の例を示す図である。 図6は、第3実施形態における線幅測定装置の運用を示すフローチャートである。 図7は、第3実施形態における線幅測定装置の運用を、一つの品種に注目して示すフローチャートである。 図8は、第3実施形態において利用される各種データの構造の概要を説明する図である。 図9は、第3実施形態において利用されるレシピの詳細なデータ構造を説明する図である。 図10は、第3実施形態におけるアライメント補正データ作成処理のフローチャートである。 図11は、第3実施形態におけるアライメント補正データ作成処理を説明する図である。 図12は、第3実施形態における測定データ作成処理のフローチャートである。 図13は、第3実施形態において測定時に利用されるデータの詳細な構造を説明する図である。 図14は、第3実施形態におけるアライメント補正処理のフローチャートである。 図15は、第3実施形態におけるアライメント補正処理について説明する図である。 図16は、第3実施形態のアライメント補正処理における対応付けの候補の選択について説明する図である。 図17は、第3実施形態のアライメント補正処理における全体類似度について説明する第1の図である。 図18は、第3実施形態のアライメント補正処理における全体類似度について説明する第2の図である。 図19は、第3実施形態における測定処理のフローチャートである。
符号の説明
1、11 撮像画像
2、12 回路パターン
2a〜2b、12a〜12d エッジ
3a〜3d、13a 特徴点
4 モデル特徴箇所画像群
4a〜4d モデル特徴箇所画像
5 モデル特徴箇所座標群
14a 特徴箇所画像
15 検査時の特徴箇所座標群
21a、21b 組み合わせ
30、50 基準モデル作成装置
31、42、51 撮像部
32、43、52 特徴点抽出部
33 基準モデル作成部
40、60 位置合わせ装置
41 基準モデル格納部
44 ずれ量算出部
45 位置合わせ部
100 線幅測定装置
101 コンピュータ
102 基板
103 測定対象保持部
104 顕微鏡部
105 撮像部
106 ソフトウェア
107 入力部
108 永続記憶部
109 表示部
110 全体制御部
111 測定部位情報作成部
112 モデル作成部
113 画像位置合わせ部
114 測定部
115 座標変換部
201 ガラス基板
211〜216 ディスプレイ領域
221〜236 測定予定ポジション
241〜244 アライメントマーク
600 アライメントマーク画像
601 アライメントマーク
602 アライメントマーク特徴箇所座標群
603 アライメントマーク特徴箇所画像群
604 アライメントマーク特徴箇所相対座標群
700 検査時アライメントマーク画像
701 アライメントマーク
702 検査時アライメントマーク特徴箇所座標群
703 検査時アライメントマーク特徴箇所画像群
704 注目対象アライメントマーク特徴箇所座標
705 注目対象アライメントマーク特徴箇所画像
Ta1〜Ta12、Tat1〜Tat12 コーナー、特徴箇所
A1〜A12 モデル特徴箇所画像
B1〜B12 特徴箇所画像

Claims (16)

  1. 対象物に関する位置合わせを行う位置合わせ装置であって、
    前記対象物と同じ種類の基準物に含まれる基準パターンを撮像した基準撮像画像から特徴点抽出処理により抽出された、複数の基準特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を含む基準モデルを格納する基準モデル格納手段と、
    前記対象物に含まれ前記基準物における前記基準パターンに対応する対象パターンを撮像し、対象撮像画像を取得する撮像手段と、
    前記撮像手段が取得した前記対象撮像画像から、特徴点抽出処理により複数の対象特徴点を抽出し、前記複数の対象特徴点それぞれの座標である複数の対象特徴箇所座標を取得する特徴点抽出手段と、
    前記基準モデル格納手段が格納する前記基準モデル内の前記複数の基準特徴箇所座標と前記特徴点抽出手段が取得した前記複数の対象特徴箇所座標とに基づき、前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表すずれ量を算出するずれ量算出手段と、
    前記ずれ量算出手段が算出した前記ずれ量に基づいて前記対象物に関する位置合わせ処理を行う位置合わせ手段と、
    を備えることを特徴とする位置合わせ装置。
  2. 前記ずれ量算出手段は、
    前記複数の対象特徴箇所座標を前記複数の基準特徴箇所座標に対応付ける複数の組み合わせ方に応じて、前記基準モデルと前記対象撮像画像との全体的な類似の程度を表す全体類似度をそれぞれ算出し、
    算出した前記全体類似度が基準を満たす組み合わせ方を選択し、
    選択した前記組み合わせ方における前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表す量を前記ずれ量として算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
  3. 前記ずれ量算出手段は、
    前記全体類似度が表す前記類似の前記程度が、予め決められた閾値が表す前記類似の前記程度以上となる組み合わせ方を選択するか、または、
    前記複数の組み合わせ方に応じて算出した複数の前記全体類似度のうちで、相対的に高い前記類似の前記程度を表す全体類似度が算出された組み合わせ方を選択する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の位置合わせ装置。
  4. 前記基準モデルは、前記複数の基準特徴箇所座標のそれぞれを基準にして予め決められた相対的な範囲を前記基準撮像画像から切り出した画像である複数の基準特徴箇所画像を、前記複数の基準特徴箇所座標とそれぞれ対応付けて含んでおり、
    前記特徴点抽出手段は、前記複数の対象特徴箇所座標のそれぞれを基準にして、前記相対的な範囲を、複数の対象特徴箇所画像として前記対象撮像画像から切り出し、
    前記ずれ量算出手段は、前記複数の基準特徴箇所画像と前記複数の対象特徴箇所画像とに基づいて、前記ずれ量を算出することを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
  5. 前記ずれ量算出手段は、
    前記複数の対象特徴箇所画像の一つに注目し、
    注目した前記対象特徴箇所画像と類似する前記基準特徴箇所画像を選択し、
    注目した前記対象特徴箇所画像と、選択した前記基準特徴箇所画像とが、互いに対応するという仮説を立て、
    前記仮説のもとで、前記複数の基準特徴箇所画像のそれぞれについて、当該基準特徴箇所画像と、前記対象撮像画像において当該基準特徴箇所画像に対応する範囲との類似度を算出し、
    算出した複数の前記類似度に基づいて前記仮説を評価し、
    二つ以上の前記対象特徴箇所画像に注目することにより、または、注目した前記対象特徴箇所画像に対して二つ以上の前記基準特徴箇所画像をそれぞれ選択することにより、複数の仮説について評価して、評価の結果に基づいて一つの仮説を選択し、
    選択した前記仮説における前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表す量を前記ずれ量として算出する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の位置合わせ装置。
  6. 前記基準モデルは、前記基準撮像画像の撮像に用いられた対物レンズと前記基準パターンとの間の第1の位置関係を、前記基準モデルを代表して表すモデル代表座標として、前記複数の基準特徴箇所座標から選出された一つの基準特徴箇所座標を含み、
    前記位置合わせ手段は、前記撮像手段に備えられ前記対象撮像画像の撮像に用いられた対物レンズと前記対象パターンとの間の第2の位置関係と、前記第1の位置関係との差に基づいて、前記位置合わせ処理を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
  7. 前記複数の基準特徴箇所座標が、前記モデル代表座標を基準とする相対座標であることを特徴とする請求項6に記載の位置合わせ装置。
  8. 前記基準モデル格納手段は、複数の基準パターンをそれぞれ表す複数の基準モデルを格納し、
    前記撮像手段は、前記複数の基準パターンにそれぞれ対応する複数の対象パターンを撮像して複数の対象撮像画像を取得し、
    前記特徴点抽出手段は、前記複数の対象撮像画像それぞれから前記複数の対象特徴箇所座標を取得し、
    前記ずれ量算出手段は、前記基準パターンと前記対象パターンとの複数組のそれぞれについて前記ずれ量を算出し、
    前記位置合わせ手段は、前記ずれ量算出手段が算出した複数の前記ずれ量から、前記位置合わせ処理に必要な座標変換パラメータを算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
  9. コンピュータが、
    位置合わせの対象である対象物と同じ種類の基準物に含まれる基準パターンを撮像した基準撮像画像から特徴点抽出処理により抽出された、複数の基準特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を含む基準モデルを記憶装置から読み出し、
    前記対象物に含まれ前記基準物における前記基準パターンに対応する対象パターンを撮像した対象撮像画像を取得し、
    取得した前記対象撮像画像から、特徴点抽出処理により複数の対象特徴点を抽出し、
    前記複数の対象特徴点それぞれの座標である複数の対象特徴箇所座標を取得し、
    読み出した前記基準モデル内の前記複数の基準特徴箇所座標と、取得した前記複数の対象特徴箇所座標とに基づき、前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表すずれ量を算出し、
    算出した前記ずれ量に基づいて前記対象物に関する位置合わせ処理を行う、
    ことを特徴とする方法。
  10. コンピュータに、
    位置合わせの対象である対象物と同じ種類の基準物に含まれる基準パターンを撮像した基準撮像画像から特徴点抽出処理により抽出された、複数の基準特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を含む基準モデルを記憶装置から読み出すステップと、
    前記対象物に含まれ前記基準物における前記基準パターンに対応する対象パターンを撮像した対象撮像画像を取得するステップと、
    取得した前記対象撮像画像から、特徴点抽出処理により複数の対象特徴点を抽出するステップと、
    前記複数の対象特徴点それぞれの座標である複数の対象特徴箇所座標を取得するステップと、
    読み出した前記基準モデル内の前記複数の基準特徴箇所座標と、取得した前記複数の対象特徴箇所座標とに基づき、前記基準パターンと前記対象パターンのずれを表すずれ量を算出するステップと、
    算出した前記ずれ量に基づいて前記対象物に関する位置合わせ処理を行うステップと、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
  11. 対象を表現する基準モデルを作成する基準モデル作成装置であって、
    前記対象を撮像した撮像画像を取得する撮像手段と、
    前記撮像手段が取得した前記撮像画像から複数の特徴点を抽出し、前記複数の特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を取得する特徴点抽出手段と、
    前記特徴点抽出手段が取得した前記複数の基準特徴箇所座標を含むモデルを、前記基準モデルとして作成する基準モデル作成手段と、
    を備えることを特徴とする基準モデル作成装置。
  12. 前記基準モデル作成手段は、
    前記複数の基準特徴箇所座標のそれぞれを基準にして、予め決められた相対的な範囲を、複数の基準特徴箇所画像としてそれぞれ前記撮像画像から切り出し、
    前記複数の基準特徴箇所画像と前記複数の基準特徴箇所座標とをそれぞれ対応付けて、前記基準モデルに含める、
    ことを特徴とする請求項11に記載の基準モデル作成装置。
  13. 前記基準モデル作成手段は、
    前記撮像画像の撮像に用いられた対物レンズと前記対象との間の位置関係を、前記基準モデルを代表して表すモデル代表座標として、前記複数の基準特徴箇所座標のうちの一つを選出し、
    選出した前記モデル代表座標を前記基準モデルに含める、
    ことを特徴とする請求項11に記載の基準モデル作成装置。
  14. 前記複数の基準特徴箇所座標は、前記モデル代表座標を基準とする相対座標である、
    ことを特徴とする請求項13に記載の基準モデル作成装置。
  15. 対象を表現する基準モデルをコンピュータが作成する方法であって、
    前記対象を撮像した撮像画像を取得し、
    取得した前記撮像画像から複数の特徴点を抽出し、
    前記複数の特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を取得し、
    取得した前記複数の基準特徴箇所座標を含むモデルを、前記基準モデルとして作成する、
    ことを特徴とする方法。
  16. 対象を表現する基準モデルをコンピュータに作成させるプログラムであって、
    前記対象を撮像した撮像画像を取得するステップと、
    取得した前記撮像画像から複数の特徴点を抽出するステップと、
    前記複数の特徴点それぞれの座標である複数の基準特徴箇所座標を取得するステップと、
    取得した前記複数の基準特徴箇所座標を含むモデルを、前記基準モデルとして作成するステップと、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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