JP2009299728A - 伝動チェーン走行案内シュー - Google Patents

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Tadashi Shintani
忠司 進谷
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Abstract

【課題】伝動チェーンが凹溝部内に落下することのない安定した進入および離脱を可能としつつ走行摩擦抵抗を低減するとともに、寸法精度が高く、かつ、走行案内面に対し潤滑油を循環させてさらに走行摩擦抵抗を低減し、発生する熱を排出することができる伝動チェーン走行案内シューを提供すること。
【解決手段】走行案内面101の幅方向両側部に規制ガイド部120を有し、走行案内面101が、伝動チェーンCの走行方向の全長に渡って伝動チェーンCのプレートの最外側の幅より狭い凹溝部110を有すること。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケット間に無端懸回したローラチェーン、サイレントチェーン等の伝動チェーンの張力保持、摺動案内に用いられる伝動チェーンの走行案内シューに関するものである。
従来、伝動チェーンの張力を適正に保持するテンショナシューおよび伝動チェーンの走行案内シュー等の横断面形状は、その長手方向全長に亘って同一の横断面形状を有し、例えばローラチェーンにおいては、図6に示すように、ローラチェーンの一対の外リンクプレートL1、L1および内リンクプレートL2、L2(以下、外リンクプレートおよび内リンクプレートをチェーンプレートと総称する)のすべての端面が伝動チェーン走行案内シュー500の走行案内面501の長手方向全長に亘って押接摺動している。なお、伝動チェーン走行案内シュー500はテンショナおよびガイド部材等のシュー取付部材550に取付けられてその形状を保持している。
このような伝動チェーン走行案内シューにおいて、摺動面積の減少による走行摩擦抵抗の低減のため、伝動チェーン走行案内シューの横断面形状を、伝動チェーンの進入側および離脱側において伝動チェーンのすべてのプレートの端面を摺動案内する平坦押接面を形成し、進入側と離脱側の中間区間において一部の伝動チェーンプレートの端面を摺動案内する凸状押接面を形成し、平坦押接面と凸状押接面とを連続面で接続したものが公知である。
この公知の伝動チェーン走行案内シュー600は、図7に示すように、シュー取付部材650に取り付けられており、伝動チェーン走行案内シュー600の進入側および離脱側には平坦押接面602が形成され、その中間区間には、図8(図7のA−A断面)に示すように、一部の伝動チェーンプレートの端面を摺動案内する凸状押接面603が形成され、平坦押接面602と凸状押接面603が走行案内面601を構成し、その中央部に凹溝部610が形成されている。なお、伝動チェーン走行案内シュー600の進入側および離脱側のB−B断面は前記図6と同様である(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3269011号公報(第2頁、図2、図3、図5)
しかしながら、前記公知の伝動チェーン走行案内シュー600は、進入側および離脱側においてプレートが走行案内面601から凹溝部610内に落下しないように設けられた平坦押接面602が存在するため摺動面積の減少は限られたものとなっていた。
また、中間区間に形成される凹溝部610は進入側および離脱側に設けられた平坦押接面602によって閉じられているためチェーンの走行方向からの潤滑油の循環には寄与せず、潤滑油の供給によるさらなる摩擦抵抗の低減や、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することが出来ないという問題があった。
さらに、伝動チェーンの走行方向で断面形状の大きく異なる部分が生じるため、熱容量や内部残留応力の差により成型時や使用時に歪が生じやすく、寸法精度が悪化するという問題があった。
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、伝動チェーンが走行案内面から凹溝部内に落下することのない安定した進入および離脱を可能としつつ摺動面積を減少して走行摩擦抵抗を低減するとともに、寸法精度が高く、かつ、走行案内面に対し潤滑油を循環させてさらに走行摩擦抵抗を低減し、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することができる伝動チェーン走行案内シューを提供することである。
本請求項1に係る発明は、伝動チェーンのプレートの端面を摺動案内する走行案内面と伝動チェーンの幅方向両側部に伝動チェーンの側方への移動を規制する規制ガイド部を有する伝動チェーン走行案内シューにおいて、前記走行案内面が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って伝動チェーンのプレートの最外側の幅より狭い凹溝部を有することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された伝動チェーン走行案内シューの構成に加えて、前記凹溝部が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って直線状に設けられるとともに、伝動チェーンの側面が前記規制ガイド部に接する位置でもプレートが走行案内面から落下しない幅を有することにより、前記課題をさらに解決するものである。
本請求項1に係る発明の伝動チェーン走行案内シューは、伝動チェーンのプレートの端面を摺動案内する走行案内面と伝動チェーンの幅方向両側部に伝動チェーンの側方への移動を規制する規制ガイド部を有する伝動チェーン走行案内シューにおいて、走行案内面が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って伝動チェーンのプレートの最外側の幅より狭い凹溝部を有することにより、凹溝部に伝動チェーンの走行方向からの潤滑油の循環が円滑に行われるため、走行摩擦抵抗を低減し、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することができ、凹溝部が伝動チェーンの走行方向の全長に渡って設けられているため、全長に渡って断面形状がほぼ一定であり熱容量や内部残留応力の差がほとんどなく寸法精度を高く維持でき、かつ、摺動面積を減少して走行摩擦抵抗を低減できるとともに、規制ガイド部により伝動チェーンの幅方向への蛇行が規制されるため、伝動チェーンが走行案内面から凹溝部内に落下することを防止することができる。
また、本請求項2に係る発明の伝動チェーン走行案内シューは、請求項1に係る伝動チェーン走行案内シューが奏する効果に加えて、凹溝部が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って直線状に設けられるとともに、伝動チェーンの側面が規制ガイド部に接する位置でもプレートが走行案内面から落下しない幅を有することにより、伝動チェーンが幅方向に蛇行しても走行案内面の全ての位置でプレートが走行案内面から凹溝部に落下することがないため、伝動チェーンの安定した進入および離脱をより確実に行うことができる。
本発明は、伝動チェーンのプレートの端面を摺動案内する走行案内面と伝動チェーンの幅方向両側部に伝動チェーンの側方への移動を規制する規制ガイド部を有する伝動チェーン走行案内シューにおいて、走行案内面が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って伝動チェーンのプレートの最外側の幅より狭い凹溝部を有することにより、凹溝部に伝動チェーンの走行方向からの潤滑油の循環が円滑に行われるため、走行摩擦抵抗を低減し、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することができ、凹溝部が伝動チェーンの走行方向の全長に渡って設けられて、伝動チェーンが走行案内面から凹溝部内に落下することのない安定した進入および離脱を可能としつつ摺動面積を減少して走行摩擦抵抗を低減するとともに、寸法精度が高く、かつ、走行案内面に対し潤滑油を循環させてさらに走行摩擦抵抗を低減し、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することができる伝動チェーン走行案内シューを提供することができるという効果を奏するものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
すなわち、本発明の伝動チェーン走行案内シューは、テンショナ等の可動型のガイド部材に設けられても良く、固定型のガイド部材に設けられても良い。また、ガイド部材に着脱可能に設けられても、ガイド部材と一体に成形されるものであっても良い。
本発明の伝動チェーン走行案内シューの具体的な素材としては、伝動チェーンとの摩擦抵抗の少ないものであれば如何なるものでも良く、特に、高温環境下で耐久性を発揮するとともに伝動チェーンの円滑な摺接走行を達成することが可能である素材が好適であり、例えば、ポリアミド6樹脂、ポリアミド46樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアセタール樹脂など合成樹脂材料などの素材を用いるのが好ましい。
さらに、本発明の伝動チェーン走行案内シューの凹溝部は伝動チェーン走行案内シューの強度や加工性、潤滑油の流動性等に基づいて、その断面形状は、矩形、円弧等いかなる形状でも良く、その深さもいかなる深さとしても良い。
以下に、本発明の実施例である伝動チェーン走行案内シューについて、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の伝動チェーン走行案内シューの使用形態の説明図であり、図2は、本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シューの側面図であり、図3は、本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シューの平面図であり、図4は、図2のD−D断面図であり、図5は、図4の伝動チェーン蛇行時の説明図である。
本発明の伝動チェーン走行案内シュー100は、例えばエンジンのタイミングシステムの伝動チェーンのチェーンガイドに使用される。
エンジンのタイミングシステムは、図1に示すように、エンジンルーム内のクランク軸に取付けた駆動スプロケットS1とカム軸に取付けた一対の従動スプロケットS2、S3間に無端懸回したローラチェーンCを用いて、ローラチェーンCの張力を適正に保持してチェーンをガイドするテンショナTとローラチェーンCの走行を案内する固定ガイド部材Gとが押接され、本発明の伝動チェーン走行案内シュー100は、チェーンガイドとしてのテンショナTおよび固定ガイド部材Gのチェーン押接面側に取付けられる。
なお、テンショナTは、エンジンルーム(図示せず)に取付軸Bで揺動自在に取付けられ、エンジンルームに取付部材Fによって固定されたハウジング内のプランジャPにより押圧付勢されており、固定ガイド部材Gはエンジンルームに取付軸B1、B2で固定されている。
本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シュー100は、図2に示すように、シュー取付部材150(本実施例では、上記の固定ガイド部材G)のチェーン押接面側に取り付けられており、そのチェーン走行面側は、図3、図4に示すように、伝動チェーンが摺接する走行案内面101と、その中央部にチェーン走行方向の全長に渡って凹溝部110が設けられるとともに、走行案内面101の幅方向両外側に走行案内面101より伝動チェーン側に突出して伝動チェーンの側方への移動を規制する規制ガイド部120が設けられている。
伝動チェーン走行案内シュー100が走行案内するローラチェーンCは、一対の外リンクプレートL1、L1および内リンクプレートL2、L2を有し、リンクプレートが走行案内面と摺接するように構成されており、内リンクプレートL2、L2の間にローラRを有している。
伝動チェーン走行案内シュー100の形状は、凹溝部110の幅をWm、左右両側の凹溝部110と規制ガイド部120との間の走行案内面101の幅をそれぞれWsとし、ローラチェーンCの一対の外リンクプレートL1、L1の外側の幅をWc、一対の内リンクプレートL2、L2の幅をWuとした時、
Wm<Wc
Wm>Wu
Wm+Ws<Wc
の関係を有している。
すなわち、凹溝部110の幅WmがローラチェーンCの一対の外リンクプレートL1、L1の外側の幅Wcより狭く一対の内リンクプレートL2、L2の幅Wuより広く、かつ、凹溝部110と片側の走行案内面101の幅の和Wm+WsがローラチェーンCの一対の外リンクプレートL1、L1の外側の幅Wcより狭くなっている。
次に、本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シュー100がローラチェーンCの走行を案内する際の動作について説明する。
図4に示すように、ローラチェーンCが伝動チェーン走行案内シュー100の幅方向ほぼ中央を走行する場合、凹溝部110の幅WmがローラチェーンCの一対の外リンクプレートL1、L1の外側の幅Wcより狭く一対の内リンクプレートL2、L2の幅Wuより広くなっているため、ローラチェーンCのリンクプレートの端面の一部のみが走行案内面101と摺接することとなり摺動面積が減少することで走行摩擦抵抗が低減される。
また、凹溝部110はチェーン走行方向の全長に渡って設けられているため、ローラチェーンCの走行に伴って潤滑油の走行方向からの循環が促進されることにより、ローラチェーンCのリンクプレートの端面と走行案内面101との摺接部への潤滑油の供給が促進され摩擦抵抗がさらに減少するとともに、当該摩擦による発熱が潤滑油の排出が促進されることにより効率的に取り除かれ、伝動チェーン走行案内シュー100やローラチェーンCに与える熱の影響が低減される。
伝動チェーン走行案内シュー100がローラチェーンCに進入する際、及び離脱する際には、何らかの原因でローラチェーンCが伝動チェーン走行案内シュー100に対し幅方向に蛇行することがあっても、図5に示すように、凹溝部110と片側の走行案内面101の幅の和Wm+WsがローラチェーンCの一対の外リンクプレートL1、L1の外側の幅Wcより狭くなっているため、ローラチェーンCのリンクプレートの外側面が規制ガイド部120に当接して、ローラチェーンCのリンクプレートが凹溝部110内に落下した状態で進入及び離脱することはなく、凹溝部110がチェーン走行方向の全長に渡って設けられていても安定した進入および離脱が可能である。
また、伝動チェーン走行案内シュー100はチェーン走行方向の全長に渡ってほぼ等しい、図4に示すような断面形状であるため、例えば、樹脂による射出成型で製造する場合、全長に渡って均等に冷却硬化されるため、冷却むらによる寸法精度の低下は少なく、切削加工等により凹溝部110を加工する場合、全長に渡って均等に内部残留応力の付与あるいは解放が行われるため、内部残留応力歪による寸法精度の低下は少ない。
さらに、エンジンルーム等の温度変化の激しい環境での使用時や、ローラチェーンCが高速で摺接して走行案内面101表面の発熱が大きい環境で使用する場合も、全長に渡ってほぼ等しい断面を有するため熱容量の差が小さく、熱による歪や変形が少ない。
以上説明したように、本発明によれば、伝動チェーンが走行案内面から凹溝部内に落下することのない安定した進入および離脱を可能としつつ摺動面積を減少して走行摩擦抵抗を低減するとともに、寸法精度が高く、かつ、走行案内面に対し潤滑油を循環させてさらに走行摩擦抵抗を低減し、摩擦により発生する熱を潤滑油で排出することができる伝動チェーン走行案内シューを提供することができるなど、その効果は甚大である。
なお、本発明の伝動チェーン走行案内シューが摺接するチェーンはサイレントチェーンでも良く、その場合、リンクプレートは幅方向に複数枚がほぼ密に存在するため、凹溝部110の幅Wmの下限はさらに小さくても良い。
本発明の伝動チェーン走行案内シューの使用形態の説明図。 本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シューの側面図。 本発明の一実施例である伝動チェーン走行案内シューの平面図。 図2のD−D断面図。 図4の伝動チェーン蛇行時の説明図。 従来の伝動チェーン走行案内シューの断面図。 従来の伝動チェーン走行案内シューの側面図。 図7のA−A断面図。
符号の説明
100、500、600 ・・・伝動チェーン走行案内シュー
101、501、601 ・・・走行案内面
602 ・・・平坦押接面
603 ・・・凸状押接面
110、 610 ・・・凹溝部
120 ・・・規制ガイド部
150、550、650 ・・・シュー取付部材
C ・・・ローラチェーン

Claims (2)

  1. 伝動チェーンのプレートの端面を摺動案内する走行案内面と伝動チェーンの幅方向両側部に伝動チェーンの側方への移動を規制する規制ガイド部を有する伝動チェーン走行案内シューにおいて、
    前記走行案内面が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って伝動チェーンのプレートの最外側の幅より狭い凹溝部を有することを特徴とする伝動チェーン走行案内シュー。
  2. 前記凹溝部が、伝動チェーンの走行方向の全長に渡って直線状に設けられるとともに、伝動チェーンの側面が前記規制ガイド部に接する位置でもプレートが走行案内面から落下しない幅を有することを特徴とする請求項1に記載の伝動チェーン走行案内シュー。
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