JP2009299086A - 金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法 - Google Patents

金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホット・プレート状の基板加熱手段を利用して、基板面側から金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する手法を適用して、下地層に対する優れた密着性と、高い導電性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する方法の提供。
【解決手段】表面に塗布膜が描画された基板を、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段上に配置し、基板加熱手段に接する基板裏面側から加熱を行い、
塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、150℃〜250℃の範囲であって、塗布膜中に含まれる分散溶媒の沸点Tb-solventよりも低く選択される温度とし、
塗布膜の表面温度:Ttop(t)を、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持して、該塗布膜に対する加熱処理を行って、含まれている金属ナノ粒子の低温焼結を起させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属ナノ粒子焼結体厚膜層を形成する方法に関する。本発明は、金属ナノ粒子の分散液を、目的のパターン形状で基板上に厚く塗布し、該厚い塗布層中に含まれる金属ナノ粒子を低温焼結処理することで、下地層に対する優れた密着性と、高い導電性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する方法に関する。
近年の電子機器関連分野において、利用される配線基板上の配線パターンの微細化が進んでいる。また、種々の電極パターン部の形成に利用される金属薄膜層に関しても、極薄い膜厚の金属薄膜層の活用が進められている。例えば、スクリーン印刷法を利用して、微細配線形成や薄膜形成を達成する際、超ファインなパターン描画、あるいは極薄い膜厚の薄膜塗布層形成に、極めて粒子径の小さな金属微粒子分散液の応用が図られている。現時点において、前記の用途に応用可能な、金および銀の微粒子分散液が既に商品化されている。
なかでも、金属ナノ粒子を利用して、超ファインな配線パターンを形成する方法に関して、例えば、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を用いる際には、既に方法論が確立されている。例えば、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を含む、超ファイン印刷用分散液を利用して、極めて微細な回路パターンの描画を行う。その後、金属ナノ粒子相互の焼結を施すことにより、得られる焼結体型配線層において、配線幅および配線間スペースが5〜50μm、体積固有抵抗率が1×10-5Ω・cm以下の配線形成が可能となっている(特許文献1、特許文献2を参照)。
具体的には、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を含む、超ファイン印刷用分散液では、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子の表面をアミン化合物などの被覆剤分子で被覆した上で、分散溶媒中に分散させている。この超ファイン印刷用分散液を所望のパターンに塗布した後、分散溶媒を蒸散させる乾燥処理を施し、さらに、金属ナノ粒子表面を被覆する被覆剤分子を加熱して除去し、金属ナノ粒子の金属表面を互いに接触させ、比較的に低温で焼結を行っている。
特には、金属ナノ粒子分散液を利用して、メッキ代替導電性金属被膜を形成する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2を参照)。無電解メッキ層の形成が可能なメッキ下地層の表面に、有機ハンダー成分を含有していない金属ナノ粒子分散液を塗布し、加熱処理を施し、該金属ナノ粒子の低温焼結を行うことで、メッキ下地層表面に金属ナノ粒子焼結体層を形成している。その際、メッキ下地層表面と金属ナノ粒子焼結体層との間の接着は、メッキ下地層表面の金属核(メッキ核)と金属ナノ粒子との間の金属間接合形成により達成されている。
特開2002−334618号公報 特開2004−218055号公報
上述する金属ナノ粒子分散液を利用して、メッキ代替導電性金属皮膜を形成する方法は、微細な配線パターンに利用可能な、比較的に膜厚の薄い金属ナノ粒子焼結体層の作製に適合している。前記の方法では、金属ナノ粒子分散液を塗布した後、該塗布膜を加熱することにより、金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を離脱させ、金属ナノ粒子の金属表面を直接接触させる。金属ナノ粒子の金属表面が接触すると、金属ナノ粒子相互の融着が進行し、低温焼結がおこる結果、金属ナノ粒子焼結体が形成される。
塗布膜の膜厚が比較的に薄い場合、表面を被覆している被覆剤分子が離脱した金属ナノ粒子は、分散性を失う結果、下地層表面に沈積し、沈積した金属ナノ粒子が緻密に積層した状態で低温焼結が進行する。具体的には、下地層表面に沈積した金属ナノ粒子は、先ず、二次元的な層を構成し、金属ナノ粒子相互の融着が進行する結果、下地層表面全体を覆うように、二次元的な金属ナノ粒子焼結体被膜が形成される。この二次元的な金属ナノ粒子焼結体被膜上に、さらに、沈積した金属ナノ粒子が積層し、全体として、三次的に緻密な焼結体形成がなされる。この金属ナノ粒子分散液の塗布膜を加熱処理する工程では、従来、一定の温度に加熱された加熱炉中において、基板とその表面の塗布膜を同時に加熱する手法が利用されている。すなわち、塗布膜の膜厚が比較的に薄い場合、加熱炉中において、該塗布膜の表面側と基板側から同時に加熱する際、塗布膜全体が実質的に等温度となる加熱条件が利用されている。
上記の加熱炉を利用して、金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する手法に代えて、例えば、ホット・プレート状の基板加熱手段を利用して、基板面側から金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する手法の開発が望まれている。特には、目的とする金属ナノ粒子焼結体層の膜厚が厚い場合、その作製に利用される塗布膜の膜厚も厚くなる。金属ナノ粒子分散液の塗布膜が厚い場合にも適用可能な、ホット・プレート状の基板加熱手段を利用して、基板面側から金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する手法の開発が望まれている。
本発明は前記の課題を解決するものである。すなわち、本発明の目的は、ホット・プレート状の基板加熱手段を利用して、基板面側から金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する手法を適用して、下地層に対する優れた密着性と、高い導電性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する方法を提供することにある。
本発明者らは、まず、金属ナノ粒子分散液の塗布膜が厚い場合、ホット・プレート状の基板加熱手段を利用して、基板面側から金属ナノ粒子分散液塗布膜を加熱処理する際、塗布膜中の温度上昇の過程を考察した。大気中において、ホット・プレート状の基板加熱手段による加熱を行うと、基板面側からの熱伝導により塗布膜が加熱される。ホット・プレート状の基板加熱手段の表面温度:Tplateと、周囲の大気の温度:Tatmosphereは、Tplate>Tatmosphereとなっている。表面に金属ナノ粒子分散液塗布膜が形成された基板を、ホット・プレート状の基板加熱手段の表面に設置すると、基板面側から熱伝導により加熱が進む。設置直後(時間t=0)、塗布膜の基板側の温度:Tbottom(t)、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は、ともに、周囲の大気の温度と等しい;Tbottom(t=0)=Ttop(t=0)=Tatmosphere。加熱時間:tの経過とともに、塗布膜の温度は上昇するが、この温度上昇過程(0<t<t1)では、基板面側より表面の温度が低い状態となっている;Tplate>Tbottom(t)>Ttop(t)>Tatmosphere。加熱時間がt1に達する(t=t1)と、塗布膜の基板側の温度:Tbottom(t1)は、基板加熱手段の表面温度:Tplateと実質的に等しくなり、また、塗布膜表面の温度:Ttop(t1)も実質的に一定温度に保たれる擬平衡状態に達する。この擬平衡状態に達した時点では、塗布膜表面近傍の静止大気の温度も上昇し、一定温度に達する;Tplate>Tatmosphere-h>Tatmosphere。その後、塗布膜表面近傍の大気の温度も、実質的にその温度:Tatmosphere-hに保持される。すなわち、この擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、Tplate≒Tbottom(t1)>Ttop(t1)>Tatmosphere-h>Tatmosphereとなる。
擬平衡状態では、塗布膜表面近傍の大気の温度と基板加熱手段の表面温度の差:ΔT0(t1)=(Tplate−Tatmosphere-h)は、通常、5℃以下:5℃≧ΔT0(t1)となることが判明した。また、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、前記のΔT0(t1)より小さく、5℃≧ΔT0(t1)>ΔT(t1)となっている。
塗布膜の内の温度差:ΔT(t1)が、5℃未満となる条件で加熱処理を行うと、塗布膜の基板面側のみでなく、塗布膜の表面近くでも、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子の脱離が同程度の速度で進行する。そのため、塗布膜の内部において、金属ナノ粒子が接触し、金属ナノ粒子相互の融着が起こり、複数個の金属ナノ粒子が相互した、微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)が生成する。さらに、生成した微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)を核として、その周囲に金属ナノ粒子の融着が生じる結果、微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)複数個が、相互に不規則な形状で連結された、金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)を構成する。塗布膜の内部で、金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)が高い比率で生成すると、形成される金属ナノ粒子焼結体層は、この金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)を高い割合で内在した状態となる。結果的に、焼結体層中に高い割合で内在する金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)に起因して、剥離試験を実施すると、部分的な剥離が生じることが判明した。また、形成される金属ナノ粒子焼結体層全体の嵩密度も相対的に低下し、見掛けの抵抗率も上昇することが判明した。
本発明者らは、上記の金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)の生成を抑制する手段として、下記の加熱条件を採用することが有効であることを見出した。
すなわち、表面に金属ナノ粒子分散液塗布膜が形成された基板を、ホット・プレート状の基板加熱手段の表面に設置して加熱し、擬平衡状態に達した時点で、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}が、少なくとも、10℃以上:ΔT(t1)≧10℃とする。その際、塗布膜表面の温度:Ttop(t1)は、金属ナノ粒子表面を被覆する被覆剤分子の大気圧(1気圧)での沸点Tb-coat(℃)に対して、少なくとも、20℃以上低い温度:{Tb-coat−Ttop(t1)}≧20℃に設定することが可能となる。
上記の加熱条件を選択すると、塗布膜の基板面側では、金属ナノ粒子表面を被覆する被覆剤分子の離脱は十分に進行するが、塗布膜の内部、例えば、塗布膜の表面近くでは、被覆剤分子の離脱は、遥かに緩やかに進行する。その状況では、塗布膜の基板面側では、被覆剤分子が離脱する結果、分散性が低下した金属ナノ粒子は、下地層表面に沈積し、沈積した金属ナノ粒子が緻密に積層した状態で低温焼結が進行する。一方、塗布膜の内部、例えば、塗布膜の表面近くでは、被覆剤分子の離脱は遥かに緩やかに進行するため、金属ナノ粒子が接触し、金属ナノ粒子相互の融着が生じる現象は抑制される。部分的に被覆剤分子の離脱がなされた金属ナノ粒子は、分散性が徐々に低下するため、徐々に沈降し、塗布膜の基板面側に移行する。その段階で、残余している被覆剤分子の離脱が進行する結果、分散性が低下した金属ナノ粒子は、既に形成されている二次元的な金属ナノ粒子焼結体被膜表面に沈積する。その後、沈積した金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子焼結体被膜表面に緻密に積層した状態で低温焼結が進行する。結果的に、塗布膜の内部における、微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)の生成は、効果的に抑制される。さらに、生成した微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)複数個が、相互に不規則な形状で連結された、金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)を構成する現象は、実質的に皆無となる。
上記の知見に加えて、擬平衡状態に達した時点で、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)≧10℃に維持する手段とし、下記の手段が有効であることを本発明者らは見出した。
まず、表面に金属ナノ粒子分散液塗布膜が形成された基板を、ホット・プレート状の基板加熱手段の表面に設置して加熱する際、塗布膜表面上に所定の流速で、所定の温度:Tgas-flow-0の気体の供給する手段が有効である。この気流に、塗布膜表面が接する状況では、塗布膜表面近傍の気体の温度:Tgas-flowは、静止気体雰囲気中で加熱した際の温度:Tatmosphere-hよりも低く、供給される気体の温度:Tgas-flow-0よりも高くなる;Tatmosphere-h>Tgas-flow>Tgas-flow-0。その際、例えば、供給される気体の温度:Tgas-flow-0を、ホット・プレート状の基板加熱手段の表面温度:Tplateに対して、少なくとも、20℃以上低い温度:{Tplate−Tgas-flow-0}≧20℃に設定する。勿論、気流によって、塗布膜表面が継続的に冷却される状況では、擬平衡状態に達した時点で、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}が、少なくとも、10℃以上:ΔT(t1)≧10℃という条件が容易に維持される。加えて、その条件では、塗布膜表面の温度:Ttop(t1)を、被覆剤分子の大気圧(1気圧)での沸点Tb-coatに対して、少なくとも、20℃以上低い温度:{Tb-coat−Ttop(t1)}≧20℃に安定に維持することもできることを見出した。
あるいは、表面に金属ナノ粒子分散液塗布膜が形成された基板を、ホット・プレート状の基板加熱手段の表面に設置して加熱する際、周辺の雰囲気の圧力:Ptotalを減圧状態とする;1気圧>Ptotal。すなわち、周辺の雰囲気の圧力:Ptotalを減圧状態とすることで、塗布膜表面から、分散溶媒などの液相成分の蒸散を進め、該蒸散に伴う気化熱を利用して、塗布膜表面温度:Ttop(t1)を低下させる。その際、擬平衡状態に達した時点で、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}が、少なくとも、10℃以上:ΔT(t1)≧10℃という条件が容易に維持される。その際、減圧条件:Ptotalを適正に選択することで、該減圧状態における被覆剤分子の沸点Tb-coat(Ptotal)に対して、塗布膜表面の温度:Ttop(t1)を、{Tb-coat(Ptotal)−Ttop(t1)}≧10℃に維持できる。
本発明者らは、上述する一連の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法の第一の形態は、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属ナノ粒子を含有する分散液を利用して、基板上に金属ナノ粒子焼結体厚膜層を形成する方法であって、
前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される被覆剤分子により、表面を被覆されており、
前記被覆剤分子により表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒中に分散されており、
該分散液中に、前記分散溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
該分散液中に、前記被覆剤分子は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率Vmetal(体積%)は、10体積%〜30体積%の範囲に選択されており;
形成される前記金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0は、5μm〜20μmの範囲に選択され;
前記金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とするパターン形状を有し、膜厚dpaste-0の塗布膜を基板上に描画する分散液塗布工程と、
前記塗布膜中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、目的とするパターン形状を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する加熱処理工程を有し;
前記塗布膜の膜厚dpaste-0は、dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)≧(8/10)・dmetal-0の条件を満たす範囲に選択し、
前記加熱処理工程では、
表面に塗布膜が描画された基板を、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段上に配置し、該基板加熱手段に接する基板裏面側から加熱を行い、
基板の表面に描画されている前記塗布膜に対して、その表面上に、所定の温度Tgas-flow-0の気体を一定の流量で供給し、
前記温度Tgas-flow-0を、{Tplate−Tgas-flow-0}≧20℃となる範囲に設定して、
該塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、150℃〜250℃の範囲であって、前記分散溶媒の沸点Tb-solventよりも低く選択される温度とし、
該塗布膜の表面温度:Ttop(t)を、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持して、
該塗布膜に対する加熱処理を行う
ことを特徴とする金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法である。
その際、前記加熱処理工程において、
塗布膜の表面に供給される気体は、
水蒸気、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンからなる群より選択される一種の気体、あるいは、それらの二種以上の気体を混合してなる混合気体であることが望ましい。
特には、前記加熱処理工程において、
前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat−Ttop(t)}≧20℃となる範囲に維持することが好ましい。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法の第二の形態は、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属ナノ粒子を含有する分散液を利用して、基板上に金属ナノ粒子焼結体厚膜層を形成する方法であって、
前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される被覆剤分子により、表面を被覆されており、
前記被覆剤分子により表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒中に分散されており、
該分散液中に、前記分散溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
該分散液中に、前記被覆剤分子は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率:Vmetal(体積%)は、10体積%〜30体積%の範囲に選択されており;
形成される前記金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0は、5μm〜20μmの範囲に選択され;
前記金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とするパターン形状を有し、膜厚dpaste-0の塗布膜を基板上に描画する分散液塗布工程と、
前記塗布膜中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、目的とするパターン形状を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する加熱処理工程を有し;
前記塗布膜の膜厚dpaste-0は、dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)≧(8/10)・dmetal-0の条件を満たす範囲に選択し、
前記加熱処理工程では、
表面に塗布膜が描画された基板を、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段上に配置し、該基板加熱手段に接する基板裏面側から加熱を行い、
表面に塗布膜が描画された基板は、その表面は、気相の圧力:Ptotalが、900hPa≧Ptotal≧300hPaの範囲に選択された減圧状態に保持して、
該塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、150℃〜250℃の範囲であって、前記減圧状態における分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)よりも低く選択される温度とし、
該塗布膜の表面温度:Ttop(t)を、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持して、
該塗布膜に対する加熱処理を行う
ことを特徴とする金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法である。
その際、前記加熱処理工程において、
前記減圧状態における、分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)、被覆剤分子の沸点Tb-coat(Ptotal)に対して、
前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent(Ptotal)−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat(Ptotal)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持することが好ましい。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法において、上記の第一の形態、第二の形態のいずれの場合も、
該金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子は、
末端アミノ基を有しており、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択されることが好ましい。
また、前記平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる群より選択される一種類の金属からなる金属ナノ粒子、または、二種類以上の金属からなる金属ナノ粒子の混合物、
あるいは、二種以上の金属種からなる合金ナノ粒子であることができる。
本発明の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法を利用すると、その作製に利用する金属ナノ粒子分散液塗布膜の膜厚が厚い場合でも、該塗布膜の内部において、金属ナノ粒子が接触し、金属ナノ粒子相互の融着が起こり、複数個の金属ナノ粒子が相互した、微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)が生成する現象を効果的に抑制できる。さらに、該微小な金属ナノ粒子凝集体(微小な塊)複数個が、相互に不規則な形状で連結された、金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)を構成する現象も、実質的に回避できる。その結果、形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層中に、金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)が実質的に内在していない状態となる。従って、焼結体層中に高い割合で内在する金属ナノ粒子凝集体の塊(塊集合物)に起因する、部分的な剥離の発生がなく、下地層に対する優れた密着性と、高い導電性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成することが可能となる。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法は、形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0が、5μm〜20μmの範囲に選択される場合に好適に利用される。一方、利用される平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属ナノ粒子を含有する分散液は、該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率Vmetal(体積%)は、10体積%〜30体積%の範囲、好ましくは、20体積%〜30体積%の範囲に選択されたものとする。金属ナノ粒子焼結体厚膜層は、前記金属ナノ粒子を低温焼結することで形成される。単位面積S0当たり、前記金属ナノ粒子を含有する分散液が膜厚dpaste-0で塗布した場合、該塗布膜中に含有される、金属ナノ粒子の体積の総和は、S0・dpaste-0・(Vmetal/100)である。この金属ナノ粒子を、バルク状の金属膜に変換すると、単位面積S0当たり、その膜厚は、dpaste-0・(Vmetal/100)に相当する。
前記金属ナノ粒子を低温焼結することで形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層は、その内部に若干の空隙を内在しており、その嵩密度は、バルク状の金属膜の密度と比較すると、若干小さくなる。本発明においては、形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層の嵩密度を、バルク状の金属膜の密度の8/10よりも高くする。換言するならば、形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0は、dpaste-0・(Vmetal/100)に対して、(10/8)・dpaste-0・(Vmetal/100)≧dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)の範囲に設定される。すなわち、金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0を、5μm〜20μmの範囲に選択した上で、その形成に利用する前記分散液の膜厚dpaste-0を、dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)≧(8/10)・dmetal-0の条件を満たす範囲に選択する。
本発明にかかる金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法では、被覆剤分子からなる表面被覆層を有する金属ナノ粒子の分散液を利用して、基板上に所望のパターン形状に描画塗布された、膜厚dpaste-0の塗布膜を形成する。次いで、この膜厚dpaste-0の塗布膜中に含まれる金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を、加熱することにより、離脱させ、金属ナノ粒子相互の融着を起こさせ、焼結体を形成している。この金属ナノ粒子の表面を被覆している被覆剤分子を離脱させる過程では、金属ナノ粒子分散液の塗布膜中に、少なくとも、金属ナノ粒子を浸す程度に分散溶媒が残留する状態を維持する。
本発明で利用する金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される被覆剤分子により、表面を被覆されている。具体的には、塗布する際、前記被覆剤分子により表面を被覆された金属ナノ粒子が、分散溶媒中に均一に分散されている。その際、該金属ナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲、好ましくは、1〜20nmの範囲、より好ましくは、2〜10nmの範囲に選択する。すなわち、該金属ナノ粒子の平均粒子径を前記の好ましい範囲に選択すると、被覆剤分子により表面が被覆された際、より分散性が高いものとなる。一方、該金属ナノ粒子の平均粒子径を前記の好ましい範囲に選択すると、表面を被覆する被覆剤分子が離脱された際、金属ナノ粒子相互の融着、低温焼結もより速やかに進行する。
また、前記平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる群より選択される一種類の金属からなる金属ナノ粒子、または、二種類以上の金属からなる金属ナノ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属種からなる合金ナノ粒子を使用することができる。
平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる金属ナノ粒子を利用すると、これら金属の厚膜メッキ層を代替可能な金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成を行うことができる。あるいは、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる金属ナノ粒子の混合物を利用すると、該混合物の組成に相当する合金のナノ粒子を使用する場合と同様な特性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成を行うことができる。
さらには、他の金属、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる金属ナノ粒子に対して、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる金属ナノ粒子を少量混合することで、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムを少量添加してなる合金のナノ粒子を使用する場合と同様な特性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成を行うことができる。その際、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる金属ナノ粒子の混合比率は、10質量%以下、通常、5質量%以下の範囲に選択することができる。
金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物として、下記のアミン化合物を利用することができる。
被覆剤分子として利用される、前記アミン化合物は、加熱処理を行った際、金属ナノ粒子表面から離脱できることが必要であるが、分散液を50℃以下の温度で保存する間には、分散液中から容易に蒸散することのないものが好ましい。従って、1気圧における沸点Tb-coatは、150℃以上、300℃以下の範囲、好ましくは、180℃以上、250℃以下の範囲のアミン化合物を利用することが好ましい。また、金属ナノ粒子表面から離脱した後、該アミン化合物は、分散溶媒中に均一に溶解することが必要である。
一方、該アミノ化合物は、金属ナノ粒子を被覆する際、該アミノ化合物中に存在するアミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合のみを利用することが望ましい。その際、利用されるアミノ窒素は、該窒素原子に対して、一つアルキル鎖Rが結合する:H2N−R型構造、二つのアルキル鎖Rが結合する:R−NH−R型構造、あるいは、三つのアルキル鎖Rが結合する:R−N(R)−R型構造のいずれかとして存在する。
例えば、一つアルキル鎖Rが結合する:H2N−R型構造を有するアミノ窒素を含むアミン化合物として、モノアルキルアミンを利用することができる。モノアルキルアミンを利用する際には、炭素数8〜14のアルキル基を有するモノアルキルアミンが好ましい。H2N(CH2R’)の形状を有するアルキルアミン、例えば、ドデシルアミン(融点28.3℃、沸点248℃)、デシルアミン(融点14℃、沸点218℃)などを利用することができる。また、一つアルキル鎖Rが結合する:H2N−R型構造を有するアミノ窒素を含むアミン化合物として、末端アミノ基を有するアミノ化合物を利用することもできる。例えば、H2N−R−N(R’)2型構造のN,N−(ジアルキルアミノ)アルキルアミンである、ジブチルアミノプロピルアミン(沸点238℃)などを利用することもできる。
二つのアルキル鎖Rが結合する:R−NH−R型構造のジアルキルアミンを利用することもできる。沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲であるジアルキルアミンを利用する際には、二つのアルキル基の炭素数の合計は、8〜16の範囲が好ましく、その際、利用されるアルキル基が同じであっても、異なっていてもよい。例えば、ジアルキルアミンとして、二つのアルキル基は、炭素数5以上、9以下の範囲のジアルキルアミンが好適に利用できる。特には、炭素数5以上、9以下の範囲のアルキル基を持ち、HN(CH2R’)2の形状を有するジアルキルアミン、例えば、ジオクチルアミン(沸点241.5℃)などを利用することができる。
また、三つのアルキル鎖Rが結合する:R−N(R)−R型構造のトリアルキルアミンを利用することもできる。沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲であるトリアルキルアミンを利用する際には、三つのアルキル基の炭素数の合計は、8〜16の範囲が好ましく、その際、利用されるアルキル基が同じであっても、異なっていてもよい。その際、一つのアルキル基は、炭素数5以上、9以下の範囲のトリアルキルアミンも利用できる。例えば、炭素数5以上、9以下の範囲のアルキル基Rを持ち、(RCH2)N(CH2R’)2の形状を有するトリアルキルアミン、例えば、N,N−ジメチルデシルアミン(沸点234℃)などを利用することもできる。
該金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子として、末端アミノ基を有しており、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択されるアミン化合物を利用することがより好ましい。
その際、被覆剤分子は、金属ナノ粒子の表面に、少なくとも、一分子層に相当する被覆剤分子層を形成することで、分散溶媒中における分散性を維持している。この被覆剤分子層の形成を確実に行うため、金属ナノ粒子100質量部あたり、上記のアミン化合物を、10質量部〜30質量部の範囲、より好ましくは、10質量部〜20質量部の範囲で含有されている状態を選択することが好ましい。
一方、分散溶媒として、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒を利用する。加熱処理する際、金属ナノ粒子の表面から離脱するアミノ化合物は、分散溶媒中に溶解させる必要があるが、その溶解度を適正な範囲とするように、無極性溶媒に相当する炭化水素溶媒、あるいは、比較的に極性の低いアルコール溶媒を利用している。また、利用する分散溶媒が加熱した際、急激な気化に起因する「気泡」の発生を回避するため、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒を採用している。
沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒、例えば、テトラデカン(融点5.86℃、沸点253.57℃)などの高い沸点を有する鎖式炭化水素溶媒を利用することができる。沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒として、炭素数が12〜18の範囲の直鎖のアルカン、炭素数が11〜16の範囲の分岐を有するアルカンが利用可能である。
また、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲のアルコール溶媒、例えば、1−デカノール(融点6.88℃、沸点236.0〜236.1℃(764mmHg))などの高い沸点を有するアルカノールを利用することができる。沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲のアルコール溶媒として、炭素数が9〜14の範囲のアルカノール、炭素数が9〜13の範囲の分岐を有するアルカノールが利用可能である。
該分散液中における、前記分散溶媒の含有量は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲に選択する。すなわち、加熱処理する際、分散液中に含有されている被覆剤分子を十分に溶解することが可能な範囲に、分散溶媒の添加量を選択する。
なお、分散溶媒と被覆剤分子の含有量の合計は、該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率:Vmetal(体積%)が、10体積%〜30体積%の範囲になるように、相互に調整される。
さらに、金属ナノ粒子の分散液を利用して、基板上に所望のパターン形状に描画塗布される塗布膜の膜厚dpaste-0は、上記のように厚いため、該金属ナノ粒子分散液の塗布方法として、スクリーン印刷法を利用することが望ましい。その際、金属ナノ粒子の分散液の液粘度は、30Pa・s〜300Pa・s(25℃)の範囲、好ましくは、80Pa・s〜200Pa・s(25℃)の範囲に調整することが望ましい。
本発明では、加熱し、塗布液の表面の温度がTtop(t)に、基板面側の温度がTbottom(t)に上昇した際、基板面側の温度:Tbottom(t)は、金属ナノ粒子の表面の相当部分は、被覆剤分子が被覆していない状態となり、分散性が大幅に低下し、沈降する条件を満たすように選択している。一方、塗布液の表面温度:Ttop(t)は、被覆剤分子の離脱は若干進むが、分散性が大幅に低下し、沈降する条件には達しない範囲に維持している。
本発明の第一の形態では、下記の手段を採用することで、塗布液の表面の温度:Ttop(t)が、基板面側の温度:Tbottom(t)よりも、少なくとも、10℃以上低い範囲、すなわち、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持している。
まず、加熱処理工程では、加熱熱源として、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段を採用し、このホット・プレート状の加熱面上に表面に塗布膜が描画された基板を配置する。ホット・プレート状の加熱面に接する基板裏面側から、熱伝導により熱エネルギーが供給され、基板が加熱され、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、温度Tplateと実質的に同じ温度となる。ホット・プレート状の加熱面自体は、十分な熱容量を有しており、また、付加されている加熱ヒータにより加熱が継続されており、温度Tplateに保持されている。
一方、基板の表面に描画されている塗布膜に対して、その表面上に、所定の温度Tgas-flow-0の気体を一定の流量で供給する。従って、塗布膜の表面では、連続的に供給されている気体との間で熱交換が行われる。供給される気体の温度Tgas-flow-0が、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateよりも十分に低く設定されると、Tplate≒Tbottom(t)>Ttop(t)>Tgas-flow-0の状態に維持することができる。
塗布膜の表面における、連続的に供給されている気体との間で熱交換によって、連続的に供給されている気体中の熱エネルギーの増加に伴って、塗布膜の表面の液体の温度上昇が抑制される。その結果、Tplate≒Tbottom(t)>Ttop(t)>Tgas-flow-0の状態が維持された、擬平衡状態となる。具体的には、主に、塗布膜の表面において、分散溶媒ならびに被覆剤分子が蒸散すると、その蒸散に伴って、気化熱が消費される結果、塗布膜の表面の液体の温度上昇が抑制される。
その際、{Tplate−Tgas-flow-0}≧20℃の条件を満足するように、供給される気体の温度Tgas-flow-0を選択することで、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持できる。
また、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateと実質的に等しくなる。ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateを、150℃〜250℃の範囲であって、分散溶媒の沸点Tb-solventよりも低く選択される温度とすると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)もその温度とすることができる。Tbottom(t)>Tb-solventの条件となるので、塗布膜中において、分散溶媒の気泡が発生することはない。
好ましくは、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateを、150℃〜250℃の範囲であって、分散溶媒の沸点Tb-solventよりも10℃以上低く選択される温度とする。その際には、{Tbottom(t)−Tb-solvent}≧10℃の条件を満足するので、塗布膜中に含まれる分散溶媒が急速に蒸散し、結果的に、被覆剤分子が離脱し、分散溶媒中に溶解する過程が阻害される状況を回避できる。
特には、前記加熱処理工程において、
前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat−Ttop(t)}≧20℃となる範囲に維持することが好ましい。
前記の条件を維持すると、塗布膜の表面近傍において、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子が離脱し、金属ナノ粒子相互が融着を引き起こす現象を有効に抑制できる。その結果、塗布膜の基板面側の領域のみで、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子が離脱し、金属ナノ粒子相互が融着を引き起こす現象が起こる状況が達成される。
基板の表面に描画されている塗布膜に対して、その表面上に供給する気体は、水蒸気、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンからなる群より選択される一種の気体、あるいは、それらの二種以上の気体を混合してなる混合気体であることが望ましい。すなわち、供給される気体は、僅かながら、分散溶媒中に溶解する。その分散溶媒中に溶解する気体分子が、金属ナノ粒子の表面の金属原子と反応する懸念の無いことが望ましい。従って、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンは、いずれも不活性ガスであり、反応を起こす懸念が無い。水蒸気(H2O)は、分散溶媒、あるいは、被覆剤分子と水素結合を形成するため、金属ナノ粒子の表面に作用できない状態となり、反応性を発揮できない。
本発明の第二の形態では、下記の手段を採用することで、塗布液の表面の温度:Ttop(t)が、基板面側の温度:Tbottom(t)よりも、少なくとも、10℃以上低い範囲、すなわち、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持している。
まず、加熱処理工程では、加熱熱源として、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段を採用し、このホット・プレート状の加熱面上に表面に塗布膜が描画された基板を配置する。ホット・プレート状の加熱面に接する基板裏面側から、熱伝導により熱エネルギーが供給され、基板が加熱され、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、温度Tplateと実質的に同じ温度となる。ホット・プレート状の加熱面自体は、十分な熱容量を有しており、また、付加されている加熱ヒータにより加熱が継続されており、温度Tplateに保持されている。
一方、塗布膜の表面は、気相の圧力:Ptotalが、900hPa≧Ptotal≧300hPaの範囲、好ましくは、850hPa≧Ptotal≧300hPaの範囲に選択された減圧状態に保持する。減圧状態にされているため、塗布膜の表面から、分散溶媒、ならびに、被覆剤分子が蒸散する結果、その蒸散に伴って、気化熱が消費される。従って、前記の気化熱による熱エネルギーの消費によって、塗布膜の表面の液体の温度上昇が抑制される。すなわち、Tplate≒Tbottom(t)>Ttop(t)の状態に維持でき、その際、前記の減圧条件を選択することで、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持することができる。
一方、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateは、150℃〜250℃の範囲であって、前記減圧状態における分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)よりも低く選択される温度とする。その結果、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateと実質的に等しい温度となる。Tbottom(t)>Tb-solvent(Ptotal)の条件となるので、塗布膜中において、分散溶媒の気泡が発生することはない。
好ましくは、ホット・プレート状の加熱面の温度Tplateを、150℃〜250℃の範囲であって、前記減圧状態における分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)よりも10℃以上低く選択される温度とする。その際には、{Tbottom(t)−Tb-solvent(Ptotal)}≧10℃の条件を満足するので、塗布膜中に含まれる分散溶媒が急速に蒸散し、結果的に、被覆剤分子が離脱し、分散溶媒中に溶解する過程が阻害される状況を回避できる。
その際、前記加熱処理工程において、前記減圧状態における、分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)、被覆剤分子の沸点Tb-coat(Ptotal)に対して、
前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent(Ptotal)−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat(Ptotal)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持することが好ましい。
前記の条件を維持すると、塗布膜の表面近傍において、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子が離脱し、金属ナノ粒子相互が融着を引き起こす現象を有効に抑制できる。その結果、塗布膜の基板面側の領域のみで、金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子が離脱し、金属ナノ粒子相互が融着を引き起こす現象が起こる状況が達成される。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
(実施例1)
市販されている銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用している。この銀ナノ粒子分散液は、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子を、分散溶媒のカルコール1098(1−デカノール、沸点236.0〜236.1℃(764mmHg)、比重d4 20 0.831、花王製)中に分散させた分散液である。その際、銀ナノ粒子の表面は、被覆剤分子:ジブチルアミノプロピルアミン(沸点238℃、比重d4 20 0.826、広栄化学工業製)により被覆された状態としている。
該銀ナノ粒子分散液中には、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子:ジブチルアミノプロピルアミンを14.9質量部、分散溶剤:1−デカノール13.7質量部が含まれている。また、体積比率に換算すると、該銀ナノ粒子分散液中、平均粒子径5nm銀ナノ粒子は、Vmetal(体積%)=21.5体積%を占めている。この銀ナノ粒子分散液の液粘度は、150Pa・s(25℃)に調整されている。なお、バルクの銀単体は、密度10.49g・cm-3(20℃)、抵抗率1.59μΩ・cm(20℃)を示す。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=40.2μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.6μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、水蒸気を一定の流速で供給する。供給される水蒸気の温度:Tgas-flow-0は、100℃(圧力1013hPa)に設定されている。供給流量は、100mL/分(100℃)に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=171℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=171℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=171℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=19℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=171℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.0μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、2.8μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、下記の方法で評価する。
JIS−H−8504に記載のテープ試験法に準拠し、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面に対して、界面に気泡が入らないように粘着テープを押し付け、10秒間密着させる。その後、瞬時に該粘着テープを剥離する方法を採用する。
該粘着テープの接着面に付着する剥離片の有無、その程度を観察する。なお、前記粘着テープの接着力は、120gf/cmに相当する。
実施例1の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例2)
実施例1と同じく、銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用し、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層を形成している。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=39.8μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.5μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=210℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、水蒸気を一定の流速で供給する。供給される水蒸気の温度:Tgas-flow-0は、100℃(圧力1013hPa)に設定されている。供給流量は、100mL/分(100)℃に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=184℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、210℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=210℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=184℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=210℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=184℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=26℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=184℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=210℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、9.8μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、2.2μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例2の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例3)
実施例1と同じく、銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用し、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層を形成している。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=38.8μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.3μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=170℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、水蒸気を一定の流速で供給する。供給される水蒸気の温度:Tgas-flow-0は、100℃(圧力1013hPa)に設定されている。供給流量は、100mL/分(100℃)に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=153℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、170℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=170℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=153℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=170℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=153℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=17℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=153℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=170℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、9.9μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、3.3μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例3の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例4)
実施例1と同じく、銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用し、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層を形成している。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=41.2μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.9μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、加熱した窒素ガス(N2)を一定の流速で供給する。供給される窒素ガス(N2)の温度:Tgas-flow-0は、25℃に設定されている。供給流量は、100mL/分(25℃)に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=176℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=155℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=155℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=35℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=155℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.2μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、3.1μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例4の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例5)
実施例1と同じく、銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用し、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層を形成している。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=40.5μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.7μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、基板全体は、減圧状態に置かれている。前記減圧条件では、気相の圧力:Ptotalは、Ptotal=600mmHg≒800Paに設定されている。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
なお、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)中の分散溶媒:カルコール1098(1−デカノール)は、気相圧力:Ptotal=600mmHg≒800Paにおいて、沸点は、200℃以上である。また、被覆剤分子に利用される、ジブチルアミノプロピルアミンは、気相圧力:Ptotal=600mmHg≒800Paにおいて、沸点は、200℃以上である。
すなわち、気相圧力:Ptotal=600mmHg≒800Paでは、分散溶媒の1−デカノールは、その圧力における沸点未満の温度では、急激な気化(気泡発生)を起す状態ではない。一方、ジブチルアミノプロピルアミンも、前記減圧条件において、分散溶媒中に溶解している状態では、その圧力における沸点未満の温度では、急激な気化(気泡発生)を起す状態ではない。しかし、塗布膜の表面から、被覆剤分子のジブチルアミノプロピルアミン、分散溶媒の1−デカノールは、蒸散するため、その気化熱として、熱エネルギーが消費される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=174℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=174℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=174℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=16℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=174℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.0μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、3.0μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例5の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例6)
使用する銀ナノ粒子分散液は、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子を、分散溶媒のテトラデカン(沸点253.57℃、比重0.7924)中に分散させた分散液である。その際、銀ナノ粒子の表面は、被覆剤分子:ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃、比重0.7841)により被覆された状態としている。
該銀ナノ粒子分散液中には、平均粒子径5nmの銀ナノ粒子100質量部当たり、被覆剤分子:ドデシルアミンを12.8質量部、分散溶剤:テトラデカン15.0質量部が含まれている。また、体積比率に換算すると、該銀ナノ粒子分散液中、平均粒子径5nm銀ナノ粒子は、Vmetal(体積%)=21.4体積%を占めている。この銀ナノ粒子分散液の液粘度は、160Pa・s(25℃)に調整されている。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、上記ペースト状の銀ナノ粒子分散液を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=40.4μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.6μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、水蒸気を一定の流速で供給する。供給される水蒸気の温度:Tgas-flow-0は、100℃(圧力1013hPa)に設定されている。供給流量は、100mL/分(100℃)に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液の塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=170℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=170℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=170℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=20℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=170℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.1μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、2.7μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例6の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(実施例7)
前記実施例6と同じ組成の銀ナノ粒子分散液を使用して、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層を形成している。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、上記ペースト状の銀ナノ粒子分散液を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=40.6μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.7μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、塗布膜表面には、窒素ガスを一定の流速で供給する。供給される窒素ガスの温度:Tgas-flow-0は、25℃に設定されている。供給流量は、100mL/分(25℃)に設定されており、実効的な流路断面を幅3cm×高さ0.5cmとすると、塗布膜表面上における、実効的な供給流速は、10mm/秒に相当している。従って、銀ナノ粒子分散液の塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接しない状態に維持される。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=153℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=153℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=153℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、ΔT(t1)=37℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費されるため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=153℃に保持される。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、徐々に減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、徐々に上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、鏡面状の光沢を示している。また、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.2μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、2.9μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結され、バルク状の銀焼結体層を形成していることが確認される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
実施例7の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の剥離欠落は観測されなかった。
(比較例1)
実施例1と同じく、銀ナノ粒子分散液(商品名:ナノペーストNPS、ハリマ化成(株)製)を使用し、下記の条件で銀ナノ粒子焼結体厚膜層の形成を試みた。
[塗布膜形成および焼成条件]
基板表面上に、ペースト状の銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)を幅2cm、長さ5cm、平均塗布膜厚:dpaste-0=41.0μmで塗布し、短冊状の塗布膜を形成する。すなわち、dpaste-0・(Vmetal/100)は、8.8μmである。なお、塗布膜を形成する下地層の材質は、ポリイミド・フィルム基板である。
ホット・プレート上に、前記塗布膜の形成を終えた基板を設置し、基板面側より加熱を行う。加熱に利用する、ホット・プレートの表面温度:Tplateは、Tplate=190℃に設定されている。一方、加熱時、基板は、容器内に保持され、空気中に置かれている。従って、銀ナノ粒子分散液(ナノペーストNPS)塗布膜は、実質的に空気中に含まれる酸素分子(O2)と接することが可能な状態となっている。
なお、前記容器内は、塗布膜から蒸散する分散溶媒に蒸気、ならびに、被覆剤分子の蒸気も留まっている。蒸散が進むとともに、容器内の分散溶媒蒸気の分圧、被覆剤分子蒸気の分圧は上昇する。
前記加熱条件では、加熱開始後、塗布膜表面の温度:Ttop(t)は上昇し、時間t1=5分間が経過すると、Ttop(t1)=187℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。また、基板の温度も、時間t1=5分間が経過すると、190℃に達し、その後(t>t1)は、実質的に一定に保持される。この温度が一定に保持される、擬平衡状態に達すると、塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)は、前記基板の温度と同じ温度になっていると、推断される。すなわち、時間t>t1では、塗布膜の基板面側の温度は、Tbottom(t)=190℃となっていると、推断される。また、擬平衡状態に達した後(t>t1)、塗布膜表面の温度は、Ttop(t)=187℃となっていると、推断される。
擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜中の温度:TL(dL,t)は、基板面側から、表面に向かって、僅かな温度勾配:∂TL(dL,t)/∂dLを有する状態となっている。すなわち、塗布膜の基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)は、Tbottom(t)=190℃、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste-0,t)=Ttop(t)は、Ttop(t)=187℃となっている。従って、擬平衡状態に達した時点(t=t1)では、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t1)={Tbottom(t1)−Ttop(t1)}は、僅かに、ΔT(t1)=3℃となる。
一方、加熱処理が進み、塗布膜中に含まれる分散溶媒が蒸散し、また、含有される銀ナノ粒子の融着が進行するとともに、塗布膜の膜厚:dpaste(t)は、減少していく。塗布膜の表面全体に分散溶媒が露呈している状態では、塗布膜の表面から、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散が進む。その間は、被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散に伴って、気化熱として、熱エネルギーが消費される。しかし、周囲の空気の温度も上昇するため、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、Ttop(t)=187℃に達している。
分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の蒸散、ならびに、分散溶媒の蒸散がさらに進むと、塗布膜の表面から、単位時間当たりに蒸散する被覆剤分子、分散溶媒の量が徐々に減少する。同時に、塗布膜の膜厚:dpaste(t)が減少し、塗布膜中に含まれる銀ナノ粒子が占める体積比率も、相対的に増加する。その結果、塗布膜の基板側と、塗布膜表面の間の温度差:ΔT(t)は、さらに減少する。すなわち、塗布膜表面の温度:TL(dL=dpaste(t),t)は、さらに上昇し、基板面側の温度:TL(dL=0,t)=Tbottom(t)=190℃に一層近づく。
加熱時間が、t2=30分間に達した時点で、ホット・プレート上から基板を取り除き、加熱を終了する。その後、室温、大気中に、基板を放置し、冷却する。
[焼結体厚膜層の体積固有抵抗率測定および断面観察]
加熱処理を終了した後、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の表面は、一応、鏡面状の光沢を示している。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を測定し、その平均膜厚を算定する。算定された平均膜厚は、10.1μmである。次いで、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層を、前記平均膜厚を有する導体と仮定し、測定された抵抗値から、体積固有抵抗率を算定する。算定された体積固有抵抗率は、4.1μΩ・cmである。
上記の作製条件で形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層について、FIBで、該焼結体厚膜層の断面の観察を行った。形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層は、基板面側から銀ナノ粒子相互が密に焼結されている領域と、その上面側に焼結の密度が相対的に低く領域の存在が見出される。
[焼結体厚膜層の密着性試験]
下地層のポリイミド・フィルム基板表面に形成された、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の接着強度を、実施例1に記載の方法で評価する。
比較例1の条件で作製される銀ナノ粒子焼結体厚膜層においては、剥離される粘着面において、該焼結体厚膜層の一部剥離が観測された。
表1に、実施例1〜7、ならびに比較例1において採用した、銀ナノ粒子焼結体厚膜層の形成条件と、形成された銀ナノ粒子焼結体厚膜層の特性を評価結果を纏めて示す。
実施例1〜7に記載する銀ナノ粒子焼結体厚膜層の形成条件では、銀ナノ粒子分散液の塗布膜を加熱処理する際、該塗布膜の基板面側と、その表面との間に、温度差ΔTが、10℃以上存在する条件を採用している。また、実施例1〜4では、塗布膜内に温度差ΔTを形成する手段として、銀ナノ粒子分散液の塗布膜表面上に所定の温度の水蒸気、または窒素ガス(N2ガス)を一定の流量で供給する条件を選択している。また、実施例5では、塗布膜内に温度差ΔTを形成する手段として、塗布膜を減圧状態に置くことにより、塗布膜の表面から分散溶媒、被覆剤分子の蒸散量を増すことで、該分散溶媒、被覆剤分子の気化熱として、熱エネルギーを消費する条件を選択している。
加えて、実施例1〜7においては、加熱工程中、塗布膜は、水蒸気、または窒素ガス(N2ガス)の気流下、あるいは、減圧状態に置かれるため、酸素ガス(O2ガス)との接触が実質的に回避された状態に維持されている。
実施例1〜5に記載する銀ナノ粒子焼結体厚膜層の形成条件を選択することで、形成される銀ナノ粒子焼結体厚膜層の体積固有抵抗率は、いずれも10μΩ・cm以下、特には、3.5μΩ・cm以下となっており、良好な電気伝導性を示す。また、下地層に対する密着性も良好である。
一方、比較例1においては、加熱工程中、塗布膜は、容器中に滞留する空気中に置かれるため、該空気中に含まれる酸素ガス(O2ガス)と接触可能な状態となっている。また、周囲の空気も加熱される結果、銀ナノ粒子分散液の塗布膜を加熱処理する際、該塗布膜の基板面側と、その表面との間に、温度差ΔTが、5℃以下、実際には、3℃しか存在しない条件となっている。その条件では、形成される銀ナノ粒子焼結体厚膜層の体積固有抵抗率は、10μΩ・cm以下ではあるが、4μΩ・cmを下回る水準には達していない。また、形成される銀ナノ粒子焼結体厚膜層の内部構造は、全体が緻密な焼結状態となってない。また、下地層に対する密着性に関しても、部分的に剥離を生じる状態であり、良好と判定される水準には達していない。
Figure 2009299086
本発明の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法は、基板面上に良好な密着性を示す、良好な電気伝導性を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を作製する際、利用可能である。例えば、本発明の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法を適用して形成される金属ナノ粒子焼結体厚膜層は、従来、メッキ法を適用して、配線基板上に形成されるメッキ厚膜層を代替えする用途に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属ナノ粒子を含有する分散液を利用して、基板上に金属ナノ粒子焼結体厚膜層を形成する方法であって、
    前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される被覆剤分子により、表面を被覆されており、
    前記被覆剤分子により表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒中に分散されており、
    該分散液中に、前記分散溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
    該分散液中に、前記被覆剤分子は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
    該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率Vmetal(体積%)は、10体積%〜30体積%の範囲に選択されており;
    形成される前記金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0は、5μm〜20μmの範囲に選択され;
    前記金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とするパターン形状を有し、膜厚dpaste-0の塗布膜を基板上に描画する分散液塗布工程と、
    前記塗布膜中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、目的とするパターン形状を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する加熱処理工程を有し;
    前記塗布膜の膜厚dpaste-0は、dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)≧(8/10)・dmetal-0の条件を満たす範囲に選択し、
    前記加熱処理工程では、
    表面に塗布膜が描画された基板を、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段上に配置し、該基板加熱手段に接する基板裏面側から加熱を行い、
    基板の表面に描画されている前記塗布膜に対して、その表面上に、所定の温度Tgas-flow-0の気体を一定の流量で供給し、
    前記温度Tgas-flow-0を、{Tplate−Tgas-flow-0}≧20℃となる範囲に設定して、
    該塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、150℃〜250℃の範囲であって、前記分散溶媒の沸点Tb-solventよりも低く選択される温度とし、
    該塗布膜の表面温度:Ttop(t)を、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持して、
    該塗布膜に対する加熱処理を行う
    ことを特徴とする金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  2. 平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属ナノ粒子を含有する分散液を利用して、基板上に金属ナノ粒子焼結体厚膜層を形成する方法であって、
    前記分散液中に含有される、金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能な、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される被覆剤分子により、表面を被覆されており、
    前記被覆剤分子により表面を被覆されている金属ナノ粒子は、沸点Tb-solventが200℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒ならびにアルコール溶媒からなる群より選択される分散溶媒中に分散されており、
    該分散液中に、前記分散溶媒は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
    該分散液中に、前記被覆剤分子は、金属ナノ粒子100質量部当たり、10質量部〜30質量部の範囲で含有されており、
    該分散液中において、金属ナノ粒子が占める体積比率:Vmetal(体積%)は、10体積%〜30体積%の範囲に選択されており;
    形成される前記金属ナノ粒子焼結体厚膜層の目標膜厚dmetal-0は、5μm〜20μmの範囲に選択され;
    前記金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、目的とするパターン形状を有し、膜厚dpaste-0の塗布膜を基板上に描画する分散液塗布工程と、
    前記塗布膜中に含まれる金属ナノ粒子の焼成処理を行って、目的とするパターン形状を有する金属ナノ粒子焼結体厚膜層を基板上に形成する加熱処理工程を有し;
    前記塗布膜の膜厚dpaste-0は、dmetal-0≧dpaste-0・(Vmetal/100)≧(8/10)・dmetal-0の条件を満たす範囲に選択し、
    前記加熱処理工程では、
    表面に塗布膜が描画された基板を、温度Tplateに加熱されたホット・プレート状の基板加熱手段上に配置し、該基板加熱手段に接する基板裏面側から加熱を行い、
    表面に塗布膜が描画された基板は、その表面は、気相の圧力:Ptotalが、900hPa≧Ptotal≧300hPaの範囲に選択された減圧状態に保持して、
    該塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、150℃〜250℃の範囲であって、前記減圧状態における分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)よりも低く選択される温度とし、
    該塗布膜の表面温度:Ttop(t)を、温度差ΔT(t)={Tbottom(t)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持して、
    該塗布膜に対する加熱処理を行う
    ことを特徴とする金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  3. 前記加熱処理工程において、
    塗布膜の表面に供給される気体は、
    水蒸気、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンからなる群より選択される一種の気体、あるいは、それらの二種以上の気体を混合してなる混合気体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  4. 前記加熱処理工程において、
    前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
    前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat−Ttop(t)}≧20℃となる範囲に維持する
    ことを特徴とする請求項1または3に記載の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  5. 前記加熱処理工程において、
    前記減圧状態における、分散溶媒の沸点Tb-solvent(Ptotal)、被覆剤分子の沸点Tb-coat(Ptotal)に対して、
    前記塗布膜の基板面側の温度:Tbottom(t)を、{Tb-solvent(Ptotal)−Tbottom(t)}≧10℃となる範囲に選択し、
    前記塗布膜表面の温度:Ttop(t)を、{Tb-coat(Ptotal)−Ttop(t)}≧10℃となる範囲に維持する
    ことを特徴とする請求項2に記載の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  6. 該金属ナノ粒子の表面を被覆する被覆剤分子は、
    末端アミノ基を有しており、沸点Tb-coatが150℃〜300℃の範囲のアミン化合物からなる群より選択される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
  7. 前記平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子は、
    金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、タングステン、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる群より選択される一種類の金属からなる金属ナノ粒子、または、二種類以上の金属からなる金属ナノ粒子の混合物、
    あるいは、二種以上の金属種からなる合金ナノ粒子である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子焼結体厚膜層の形成方法。
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