JP2009293071A - 連続鋳造圧延材及び連続鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Al合金の連続鋳造圧延材において、DC法によるスラブ圧延材と同等の特性を備えた連続鋳造圧延材及びその鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】過剰Si量が0.08質量%以下では、耐力が120MPaを下回ることになる。つまり、DC材よりもスプリングバック量が小さくなることから、DC法での加工設備が流用できなくなる。また、過剰Si量が0.12質量%を超えると、耐力が135MPaを上回り、DC材よりもスプリングバック量が大きくなるためである。つまり、過剰Si量が0.08質量%を超えて0.12質量%以下であれば、DC法によるスラブ圧延材と同等の塑性加工性を備えることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】過剰Si量が0.08質量%以下では、耐力が120MPaを下回ることになる。つまり、DC材よりもスプリングバック量が小さくなることから、DC法での加工設備が流用できなくなる。また、過剰Si量が0.12質量%を超えると、耐力が135MPaを上回り、DC材よりもスプリングバック量が大きくなるためである。つまり、過剰Si量が0.08質量%を超えて0.12質量%以下であれば、DC法によるスラブ圧延材と同等の塑性加工性を備えることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、アルミニウム合金による連続鋳造圧延材及びこの鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法に関し、特に、DC法によるスラブ圧延材の加工特性を有する連続鋳造圧延材及びこの鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法に関するものである。
従来、アルミニウムの板材の製造方法として、DC(Direct Chill)法が良く知られている。これは、図9に示すように、アルミニウムの原料を溶解することから始まり、スラブ鋳造、均質化処理、面削、加熱、熱間圧延、冷間圧延の各工程を経て、アルミニウムの板材を得るものである。一方、アルミニウムの原料を溶解した溶湯から直接アルミニウム板材を製造する連続鋳造圧延(CC:Continuous Casting)法も周知である。
CC法の代表的なものの1つに、双ロール水平式連続鋳造圧延法がある。これは、図10に示すように、アルミニウムの溶湯をセラミックス製ノズルで上下一対のローラ間に注湯し、アルミニウムの板材を圧延方向に押出すもので、比較的薄い板材を製造できるという特徴がある。(特許文献1)
CC法は、他にも、板材を連続鋳造圧延するベルト式や連結ブロック式、或いは棒状のビレットを連続鋳造圧延する輪・ベルト式等があり、これらのCC法は、DC法と比較すると、工程が少なく、コストの低減、投入エネルギの削減、急冷凝固による材料特性の向上といった種々の利点を有している。
一方、自動車分野では、車体の軽量化要求に伴って、比重が鋼板の約1/3であるアルミニウム合金(以下、Al合金)が注目されている。以前より、エンジン等の鋳物部材にAl合金が使われていたが、最近では、ルーフ、トランクリッド及びドア等の自動車ボディ用外板としてAl合金を用いたDC法による製造が行われている。DC法はCC法に比べて、表面性状が良好で、生産性が高く、厚板の製造に適していることから、車体部品の製造に関してはDC法が主流となっている。特に、ボディ用外板材料として、成形性や耐食性が良好で、焼付け塗装時の時効処理が強度向上に利用できるベークハード性に優れたAl−Mg−Si系(6000系)合金が多く用いられる傾向にある。
DC法やCC法によって車両部材成形用の素材を製造する場合、6000系合金の中でも中強度で耐食性に優れたJIS規格6061合金が使用されることが多く、この合金はMgとSiとがMg2Si組成に略バランスしている合金である。この6061合金は、Al、Mg、Siの他に、Fe、Cu、Cr、Zn、Tiを含んでいる。
一般に、Al合金板材のプレス曲げ加工においては、形状凍結性による変形、所謂スプリングバックが発生するが、CC材の場合、その傾向が一層顕著になる。
すなわち、スプリングバック量が多い程、型形状と実寸法との乖離が大きくなり、これにより、成形品の寸法精度、条件出しが影響を受け、大幅な型修正を必要とすることに繋がることから、既存のDC法の製造設備を活用することが困難である。
すなわち、スプリングバック量が多い程、型形状と実寸法との乖離が大きくなり、これにより、成形品の寸法精度、条件出しが影響を受け、大幅な型修正を必要とすることに繋がることから、既存のDC法の製造設備を活用することが困難である。
金属材料の分野では、引張試験において、規定された永久伸びを生じる時、所謂塑性変形限界時の加重を試験片の平行部の原断面積で除した値を耐力というが、この耐力とスプリングバックとは一次関数の比例関係があることが知られている。
本発明者らは、この耐力に着目し、スプリングバックの制御可能性について検討を行った。
本発明者らは、この耐力に着目し、スプリングバックの制御可能性について検討を行った。
スプリングバックの制御可能性検討に当り、車体部品に近似させた実験用の実験部品を準備し、以下の検証実験を行った。
図11は検証実験用の実験部品10を示し、図11(a)はAl合金で成形された実験部品10の側面図、図11(b)は背面図である。この実験部品10は、前後方向に延設されると共に、上下縁部は互いに反対向きに水平方向に略直角に折り曲げられている。材料成分は、表1に示すように、JIS規格6061系合金を基本組成とし、Crを不純物レベルの無添加としている。
図11は検証実験用の実験部品10を示し、図11(a)はAl合金で成形された実験部品10の側面図、図11(b)は背面図である。この実験部品10は、前後方向に延設されると共に、上下縁部は互いに反対向きに水平方向に略直角に折り曲げられている。材料成分は、表1に示すように、JIS規格6061系合金を基本組成とし、Crを不純物レベルの無添加としている。
実験部品10は双ロール水平式連続鋳造圧延法によって成形され、その製造条件は、表2に示すものとした。尚、図11に示すように、実験部品10の全長は1200mm、板厚は7mmとしている。
まず、第1の検証実験について説明する。
図12の試験材A〜Nに示すように、JIS規格6061系合金を基本組成とし、Crを不純物レベルの無添加とすると共に過剰Si量を変化させたCC法による板状の実験部品10と、6061系合金をDC法によって鋳造した試験材Oによる板状の実験部品10を準備し、特に、比較用としてCrを含有したJIS規格6061系合金組成のCC法による試験材Iを設定している。尚、過剰Si量とは、合金成分においてMg2Si化合物に関するバランス組成からのずれを示している。従って、合金素材が含有するMg成分及びSi成分が全て結合したと仮定して、残留する過剰なSi量として定義する。
図12の試験材A〜Nに示すように、JIS規格6061系合金を基本組成とし、Crを不純物レベルの無添加とすると共に過剰Si量を変化させたCC法による板状の実験部品10と、6061系合金をDC法によって鋳造した試験材Oによる板状の実験部品10を準備し、特に、比較用としてCrを含有したJIS規格6061系合金組成のCC法による試験材Iを設定している。尚、過剰Si量とは、合金成分においてMg2Si化合物に関するバランス組成からのずれを示している。従って、合金素材が含有するMg成分及びSi成分が全て結合したと仮定して、残留する過剰なSi量として定義する。
この試験材A〜Nは全てに対して、530℃で2時間保持後、80℃の温水焼入れを行う溶体化処理を施し、夫々の耐力測定及びZ曲げ寸法測定を行った。
Z曲げ寸法測定とは、試験材A〜Nの実験部品A〜Nを図11(b)のようにZ状に曲げ加工し、下縁水平部分を基準台に固定した上で、上縁水平部分について試験材Oの実験部品の上縁水平部分との寸法差を測定するものである。尚、測定部位は、図11(a)に示すように、実験部品10の前後方向の両端から夫々10mm及びその内方50mm位置1〜4の計4ヶ所を設定している。
Z曲げ寸法測定とは、試験材A〜Nの実験部品A〜Nを図11(b)のようにZ状に曲げ加工し、下縁水平部分を基準台に固定した上で、上縁水平部分について試験材Oの実験部品の上縁水平部分との寸法差を測定するものである。尚、測定部位は、図11(a)に示すように、実験部品10の前後方向の両端から夫々10mm及びその内方50mm位置1〜4の計4ヶ所を設定している。
図13に、試験材A〜Nの実験部品10と試験材Oによる実験部品10との寸法差と耐力との相関関係を示す。尚、縦軸は寸法差、横軸は耐力を示す。
図13から、耐力が120MPa以下であれば、DC材である試験材Oの実験部品10との寸法差がプラス領域、所謂スプリングバック量がDC材の実験部品10よりも小さく、120〜135MPaであれば、DC材とスプリングバック量が同等、135MPaより大きければDC材よりもスプリングバック量が大きくなることが確認できた。尚、スプリングバック量0の領域は、寸法差が0以上のプラス領域に含まれている。
次に、第2の検証実験について説明する。
図14に示すように、JIS規格6061系合金を基本組成として、Crを不純物レベルの無添加とすると共に過剰Si量を変化させたCC法による試験材a〜gを準備して、耐力を測定した。
尚、溶体化処理の条件は、第1検証実験と同様に、530℃で2時間保持後、80℃の温水焼入れを施している。
図14に示すように、JIS規格6061系合金を基本組成として、Crを不純物レベルの無添加とすると共に過剰Si量を変化させたCC法による試験材a〜gを準備して、耐力を測定した。
尚、溶体化処理の条件は、第1検証実験と同様に、530℃で2時間保持後、80℃の温水焼入れを施している。
図15に、過剰Siと耐力との相関関係を示す。縦軸は0.2%耐力、横軸に過剰Si量を示す。
この検証結果から、過剰Si量と素材耐力とは線形関数であり、過剰Si量が増加すると素材耐力が増加することが認識できる。
特に、過剰Si量が0.08重量%を超えて0.12質量%以下であれば、確実に耐力を120〜135MPaにできることが確認された。また、過剰Si量0.04重量%以下では0.2%耐力が114MPa近辺に収束しており、逆に、過剰Si量が多すぎても所定の値で収束するものと予測される。
この検証結果から、過剰Si量と素材耐力とは線形関数であり、過剰Si量が増加すると素材耐力が増加することが認識できる。
特に、過剰Si量が0.08重量%を超えて0.12質量%以下であれば、確実に耐力を120〜135MPaにできることが確認された。また、過剰Si量0.04重量%以下では0.2%耐力が114MPa近辺に収束しており、逆に、過剰Si量が多すぎても所定の値で収束するものと予測される。
以上の検証実験により、スプリングバック量と耐力の関連性、耐力と過剰Si量の関連性について確認できた。
しかしながら、特許文献1には、CC材のスプリングバック量を制御する点、更には、スプリングバック量を確実に適正範囲に収める点については言及されていない。
しかしながら、特許文献1には、CC材のスプリングバック量を制御する点、更には、スプリングバック量を確実に適正範囲に収める点については言及されていない。
本発明の目的は、Al合金の連続鋳造圧延材において、DC法によるスラブ圧延材と同等の特性を備えた連続鋳造圧延材及びその鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法を提供することである。
請求項1の連続鋳造圧延材は、MgとSiとを含有するAl合金から成る塑性加工用の連続鋳造圧延材において、Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とすることを特徴としている。
請求項2の連続鋳造圧延材は、請求項1の発明において、連続鋳造圧延材の合金成分が質量%で、Si:0.4〜0.8%、Fe:0.7%以下、Cu:0.15〜0.4%、Mn:0.15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Zn:0.25%以下、Ti:0.15%以下、残部Al及び不可避的不純物よりなることを特徴としている。
請求項3の連続鋳造圧延材を用いた塑性加工用部材の製造方法は、MgとSiとを含有し、Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とする組成の合金溶湯を連続鋳造圧延する工程と、連続鋳造圧延材を所定温度にて溶体化処理すると共に焼入れする工程と、焼入れ後の連続鋳造圧延材を塑性加工する工程と、塑性加工後に人工時効処理する工程と、を有することを特徴としている。
請求項4の連続鋳造圧延材を用いた塑性加工用部材の製造方法は、請求項3の発明において、連続鋳造圧延材は前記連続鋳造圧延工程で板状にされると共に、塑性加工工程でプレス曲げ加工されることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、MgとSiとを含有するAl合金の塑性加工用の連続鋳造圧延材において、Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とするため、DC法によるスラブ圧延材と同等の特性を備えた連続鋳造圧延材を成形することができる。
つまり、6000系合金においては、素材強度はMg2Si化合物の分布量に依存する点、SiはFe等の不純物と反応し易く、消費され易いため、バランス組成より過剰Si側で成分を調整すべきである点、過剰Siと耐力とは線形関数で表され、過剰Si量によって耐力を調整できる点の3つの観点に着目した。この観点に基づいて、Crを排除することにより、過剰Si量のみによって連続鋳造圧延材の耐力を調整可能とすることができる。
しかも、過剰Si量とスプリングバック量との関係に着目し、過剰Si量の値を0.08質量%を超えて0.12質量%以下の範囲とすることによって、塑性加工前のスプリングバック量をDC法によるスラブ圧延材のスプリングバック量と同等とすることができる。これにより、CC法の製造工程メリット、所謂、工程が少なく、コストの低減、投入エネルギの削減、急冷凝固による材料特性の向上を図りつつ、DC法での加工設備が流用でき、プレス型の修正やプレス条件の変更が不用となる。
請求項2の発明によれば、連続鋳造圧延材の合金成分が質量%で、Si:0.4〜0.8%、Fe:0.7%以下、Cu:0.15〜0.4%、Mn:0.15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Zn:0.25%以下、Ti:0.15%以下、残部Al及び不可避的不純物よりなるため、6061合金の合金特性を維持しながら、確実に塑性加工前のスプリングバック量をDC法によるスラブ圧延材のスプリングバック量と同等とすることができる。
請求項3の発明によれば、MgとSiとを含有し、Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とする組成の合金溶湯を連続鋳造圧延する工程と、連続鋳造圧延材を所定温度にて溶体化処理すると共に焼入れする工程と、焼入れ後の連続鋳造圧延材を塑性加工する工程と、塑性加工後に人工時効処理する工程と、を有するため、基本的に請求項1の効果を得ることができる。つまり、予め、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とすることで、溶体化及び焼入れ工程後の連続鋳造圧延材の塑性加工性をDC法によるスラブ圧延材の塑性加工性と同等なものとすることができる。しかも、塑性加工後に適正な人工時効処理を行うことで、最終成形品の強度を確保することができる。
請求項4の発明によれば、連続鋳造圧延材は連続鋳造圧延工程で板状にされると共に、塑性加工工程でプレス曲げ加工されるため、スプリングバック量の増大傾向が顕著となる板状のプレス曲げ加工であっても、スプリングバック量をDC法によるスラブ圧延材のスプリングバック量と同等のものとすることができる。
以下、本発明を実施する為の最良の形態について説明する。
図1(a)は本実施形態に係る塑性加工部材である6000系Al合金で成形された車体部品1の側面図、(b)は背面図である。この車体部品1は自動車の車体下部の剛性を高めるため、フロア下に車体前後方向に延びて取付けられるシャシ部品である。車体部品1の上下縁部は互いに反対向きに水平方向に略直角に折り曲げられている。尚、板厚は7mmとされている。
この車体部品1は、図2に示す各工程を経て製造される。まず、Alの板材を連続鋳造圧延(CC)する。このCC工程では、例えば、図10に示す双ロール水平式連続鋳造圧延法により、Al合金を溶解して、4〜7mmの板厚のAl板材を製造する。
その後、図2に示すように、溶体化処理、塑性加工としてプレス成形、人工時効処理を経て最終成形品が形成される。
その後、図2に示すように、溶体化処理、塑性加工としてプレス成形、人工時効処理を経て最終成形品が形成される。
本車体部品1で用いるAl合金は、図3に成分組成範囲を示すように、過剰Si量が0.08質量%を超えて0.12質量%以下とされており、Crを不純物レベルの無添加とするものである。その他の成分は、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Zn、Tiを合金元素とし、これらについては6061系合金と同様の組成範囲に設定している。
図12及び図13に示すように、過剰Si量が0.08質量%以下では、耐力が確実に120MPaを下回ることになる。つまり、DC材よりもスプリングバック量が小さくなることから、DC法で用いていた既存の加工設備や加工条件が流用できなくなる。また、過剰Si量が0.12質量%を超えると、耐力が135MPaを上回り、DC材よりも塑性加工性が劣ってくる。つまり、過剰Si量が0.08質量%を超えて0.12質量%以下であれば、塑性加工性を向上させつつ、DC法によるスラブ圧延材と同等の塑性加工特性を備えることができる。
Crを不純物レベルの無添加としているのは、耐力増加を抑制することで、素材耐力の制御を過剰Si量のみに依存させるためである。尚、その他の成分については、6061系合金と同様のため説明を省略する。
図4に示すように、CC工程を経たAl合金材に対して溶体化処理を行う。この溶体化処理条件は、515〜550℃で1時間以上である。その後、400℃/sec以上の冷却速度により、温水で焼入れする。尚、この溶体化処理の前に溶質成分の均質化若しくは加工歪を低減するために加熱処理工程を行うことも可能であり、加熱処理工程を行う場合、加熱温度を低下させずに連続して行うことができる。
この溶体化処理を経たAl合金材に対して、塑性加工としてプレス加工を施す。まず、Al合金材であるAl板材から車体部品1のブランクを打ち抜く。詳しくは、車体部品1の長手方向がAl板材の圧延方向に沿うようにブランキングする。ここで、車体部品1の上下縁部の折曲ラインが板材の圧延方向に略沿うように延びることになる。一般に、ブランクを板材の圧延方向に沿う方向に折り曲げると、その曲げ部には割れや皺が発生し難くなる。そして、このように得られたブランクをプレス機にかけて、プレス加工を行う。
この塑性加工工程を経たAl合金材に対して、人工時効処理を施す。処理条件は、155〜180℃で8〜18時間である。人工時効処理によって、プレス加工前に行った溶体化処理によって強制的に合金材中に溶け込まされて過飽和状態となっている合金元素が本来の安定な状態に戻ることとなる。この結果、合金元素は所々において析出し、この析出によって転位が滑りを起こし難くなって、塑性加工された車体部品1の物性、特に強度が向上することになる。
図5に示す成分組成のAl合金材を用いて、双ロール水平式連続鋳造圧延法により、板厚が4〜7mmのAl板材を製造し、図2に示す溶体化処理、プレス加工及び人工時効処理を連続して行い図6に示す形状の本CC部材2を製造した。
プレス成形は、ブランクをプレス機にかけて、プレス加工を行い、人工時効処理条件は155〜180℃で8〜18時間とした。尚、プレス成形については、現行のDC法で用いているプレス設備及びプレス条件を採用している。
図5に示すように、比較のため本CC部材2と同形状の適正化前CC部材を準備し、本CC部材2と同様の溶体化処理、プレス加工及び人工時効処理を行った。
本CC部材2について、溶体化処理後の0.2%耐力を測定した結果を図7に示す。
図7に示すように、溶体化処理後の適正化前CC部材の0.2%耐力は114MPaであるのに対して、適正化後の本CC部材2の0.2%耐力は132MPaであり、DC法によるスラブ圧延材と略同等のスプリングバック量、所謂塑性加工特性を備えた連続鋳造圧延材となっている。
図7に示すように、溶体化処理後の適正化前CC部材の0.2%耐力は114MPaであるのに対して、適正化後の本CC部材2の0.2%耐力は132MPaであり、DC法によるスラブ圧延材と略同等のスプリングバック量、所謂塑性加工特性を備えた連続鋳造圧延材となっている。
図6に示すように、本CC部材と適正化前CC部材とについて、前後方向の両端及びその内方において幅方向の2ヶ所の位置にイ〜チ計8ヶ所の測定位置を設定し、夫々位置について図5に示すDC部材との寸法差を測定した。尚、測定方法は、前述したZ曲げ寸法測定である。
図8に示すように、適正化前CC部材とDC部材との寸法差は、最も大きなところで0.8mm程度生じているのに対して、本CC部材はDC部材とについては寸法差が殆ど生じていない。特に、水平方向の折り曲げ部、所謂フランジ面積が広い後方側(紙面右側)の塑性加工特性が改善されている。
図8に示すように、適正化前CC部材とDC部材との寸法差は、最も大きなところで0.8mm程度生じているのに対して、本CC部材はDC部材とについては寸法差が殆ど生じていない。特に、水平方向の折り曲げ部、所謂フランジ面積が広い後方側(紙面右側)の塑性加工特性が改善されている。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、6061系Al合金を用いた例について説明したが、合金の種類はこれに限られるものではなく、Al−Mg−Si系合金、所謂6000系Al合金であれば、何れに用いることも可能である。
1〕前記実施例においては、6061系Al合金を用いた例について説明したが、合金の種類はこれに限られるものではなく、Al−Mg−Si系合金、所謂6000系Al合金であれば、何れに用いることも可能である。
2〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 車体部品
Claims (4)
- MgとSiとを含有するAl合金から成る塑性加工用の連続鋳造圧延材において、
Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とすることを特徴とする連続鋳造圧延材。 - 前記連続鋳造圧延材の合金成分が質量%で、Si:0.4〜0.8%、Fe:0.7%以下、Cu:0.15〜0.4%、Mn:0.15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Zn:0.25%以下、Ti:0.15%以下、残部Al及び不可避的不純物よりなることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造圧延材。
- Al合金から成る連続鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法において、
MgとSiとを含有し、Crを非含有とすると共に、過剰Si量を0.08質量%を超えて0.12質量%以下とする組成の合金溶湯を連続鋳造圧延する工程と、
前記連続鋳造圧延材を所定温度にて溶体化処理すると共に焼入れする工程と、
前記焼入れ後の連続鋳造圧延材を塑性加工する工程と、
前記塑性加工後に人工時効処理する工程と、
を有することを特徴とする連続鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法。 - 前記連続鋳造圧延材は前記連続鋳造圧延工程で板状にされると共に、塑性加工工程でプレス曲げ加工されることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造圧延材を用いた塑性加工部材の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107475585A (zh) * | 2017-09-30 | 2017-12-15 | 江苏亚太安信达铝业有限公司 | 一种高强度硬盘铝合金及其制备方法 |
JP2021185000A (ja) * | 2016-10-27 | 2021-12-09 | ノベリス・インコーポレイテッドNovelis Inc. | 金属鋳造及び圧延ライン |
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2008
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