JP2009286072A - 塗布具の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】 フィルター部材の圧縮による孔径の拡径や、フィルター部材の内部の空間圧縮による孔径の縮径などの弊害を生じず、フィルター部材としての本来の機能を維持した状態での固定を行うと共に、環境変化や落下衝撃などによるフィルター部材の剥離を抑制する。
【構成】 塗布具の塗布液収容室内に通じる通気路を、熱可塑性合成樹脂の部材によって形成し、この通気路に段部と、段部を周状に囲む壁部を形成し、段部にフィルター部材を設置した際に、前記壁部がフィルター部材と間隔を存しつつ、フィルター部材よりも上位置の部分があるように構成配置し、この壁部のフィルター部材よりも上位置の部分に、熱又は超音波を付与することによって、フィルター部材の上に溶融した合成樹脂を流し込ませることによって、フィルター部材と通気路を形成する部材とを固定する塗布具の製造方法とする。
【選択図】 図5
【構成】 塗布具の塗布液収容室内に通じる通気路を、熱可塑性合成樹脂の部材によって形成し、この通気路に段部と、段部を周状に囲む壁部を形成し、段部にフィルター部材を設置した際に、前記壁部がフィルター部材と間隔を存しつつ、フィルター部材よりも上位置の部分があるように構成配置し、この壁部のフィルター部材よりも上位置の部分に、熱又は超音波を付与することによって、フィルター部材の上に溶融した合成樹脂を流し込ませることによって、フィルター部材と通気路を形成する部材とを固定する塗布具の製造方法とする。
【選択図】 図5
Description
本発明は、フィルター部材と、塗布具の塗布液収容室内に通じる通気路を形成する部材とを固定する塗布具の製造方法に関する。
インキや液状の化粧液などの塗布液を収容する塗布具の多くは、塗布液の吐出に伴って、塗布液収容室内の体積減少によって生じる減圧状態を、通気路を介して、外気から塗布液収容室内へ空気を取り込むことによって解除して連続吐出を可能となしている。
しかしながら、塗布液収容室内に通じる通気路は、外気と直接接触しているため、外部より埃や塵、小さな昆虫などの侵入及び塗布液の乾燥固化などによる通気路の通気阻害、塗布具の落下衝撃や環境変化などによる塗布液の通気路からの外部流出を抑制する必要がある。
しかしながら、塗布液収容室内に通じる通気路は、外気と直接接触しているため、外部より埃や塵、小さな昆虫などの侵入及び塗布液の乾燥固化などによる通気路の通気阻害、塗布具の落下衝撃や環境変化などによる塗布液の通気路からの外部流出を抑制する必要がある。
例えば、通気路の外気側から、空気を自由に通過させつつ塗布液を通過させない多孔質の撥塗布液性の材料よりなるフィルター部材を全周に沿って溶着などによってシールして配置したもの(特許文献1参照)、同様の撥塗布液性の材料を二部品間の圧入又は溶着による挟持により配置したもの(特許文献2参照)が知られている。
特開昭58−179696号公報
特開平08−300891号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような通気路の外側からフィルター部材を溶着などによって配置したものでは、外側方向へのフィルター部材の支えがない。このため、例えば、フィルター部材の塗布液収容室側に塗布液が充満した状態にて、環境変化や落下衝撃などによる塗布液収容室内の圧力が上昇した際、この圧力によってフィルター部材のシール部分が剥離してしまうという問題点があった。
また、特許文献2に開示されているような、フィルター部材を二部品間の圧入又は溶着による挟持により配置したものでは、特許文献1のようなフィルター部材の剥離は生じないものの、フィルター部材の外周に沿って気密とするために、フィルター部材をこの二部品によって、両面から強制的に圧力付与したり、圧力付与に加えて、更に、三角形状の突起物を一方の部品に配置し、超音波によってこの突起物をフィルター部材の内部に溶融注入する一般的な溶着により配置したりしている。このため、フィルター部材は、圧力付与や、溶融樹脂により圧縮されることになる。この圧縮によって、圧縮体積分の逃げ応力がフィルター部材の非圧縮部分に生じることとなり、非圧縮部分の応力集中した部分はドーム状に変形し、フィルター部材の孔径が拡径することになる。このフィルター部材の拡径は、塗布液を通過可能になしたり、撥塗布液性機能を著しく低下させたりするなど、フィルター部材としての本来の機能を損ねてしまうという問題点があった。
更に、フィルター部材を高硬度のフィルター部材などを積層などにより配置して、変形しにくいものとなしたとしても、フィルター部材の内部に溶融注入された樹脂により、溶融注入されていない空間部分に圧縮が生じ、その結果、フィルター部材の孔径が縮径し、撥塗布液性機能を維持するものの、空気の通過を阻害するものとなり、孔径が拡径する場合と同様、フィルター部材としての本来の機能を失ってしまうという問題点があった。
また、特許文献2に開示されているような、フィルター部材を二部品間の圧入又は溶着による挟持により配置したものでは、特許文献1のようなフィルター部材の剥離は生じないものの、フィルター部材の外周に沿って気密とするために、フィルター部材をこの二部品によって、両面から強制的に圧力付与したり、圧力付与に加えて、更に、三角形状の突起物を一方の部品に配置し、超音波によってこの突起物をフィルター部材の内部に溶融注入する一般的な溶着により配置したりしている。このため、フィルター部材は、圧力付与や、溶融樹脂により圧縮されることになる。この圧縮によって、圧縮体積分の逃げ応力がフィルター部材の非圧縮部分に生じることとなり、非圧縮部分の応力集中した部分はドーム状に変形し、フィルター部材の孔径が拡径することになる。このフィルター部材の拡径は、塗布液を通過可能になしたり、撥塗布液性機能を著しく低下させたりするなど、フィルター部材としての本来の機能を損ねてしまうという問題点があった。
更に、フィルター部材を高硬度のフィルター部材などを積層などにより配置して、変形しにくいものとなしたとしても、フィルター部材の内部に溶融注入された樹脂により、溶融注入されていない空間部分に圧縮が生じ、その結果、フィルター部材の孔径が縮径し、撥塗布液性機能を維持するものの、空気の通過を阻害するものとなり、孔径が拡径する場合と同様、フィルター部材としての本来の機能を失ってしまうという問題点があった。
本発明は、塗布具の塗布液収容室内に通じる通気路を、熱可塑性合成樹脂製の部材によって形成し、この通気路に段部と、段部を周状に囲む壁部を形成し、段部にフィルター部材を設置した際に、前記壁部がフィルター部材と間隔を存するフィルター部材よりも上位置の部分があるように構成配置し、この壁部のフィルター部材よりも上位置の部分に、熱又は超音波を付与することによって、フィルター部材の上に溶融した合成樹脂を流し込ませることによって、フィルター部材と通気路を形成する部材とを固定する塗布具の製造方法を要旨とする。
溶融した壁部をフィルター部材の上に流し込んで、この流し込まれた溶融樹脂が固化することによってフィルター部材と通気路を形成する部材との溶着固定がなされるので、フィルター部材への直接的な強い圧力付与を伴わないことにより、フィルター部材の圧縮による孔径の拡径、フィルター部材内の空間部の圧縮による孔径の縮径を生じず、フィルター部材としての本来の機能を維持した溶着が可能となる。また、フィルター部材の上に溶融樹脂が固化した状態で配置されるので、フィルター部材をこの固化した樹脂と、通気路に形成された段部の両面より少なくとも隙間無く固定された状態となるので、フィルター部材の塗布液収容室側に塗布液が充満した状態にて、環境変化や落下衝撃などによる塗布液収容室内の圧力が上昇したとしても、フィルター部材が剥離してしまうということを抑制し得る。
また、壁部の外周壁が内周壁よりも径方向内方に傾斜したものとすることによって、壁部の頂点からの重心位置を径方向内方に位置としたことにより、溶融した壁部がフィルター部材の上に流し込まれ易く、溶融した壁部が中方向へ移動して、確実にフィルター部材の上に流れ込むものである。
図1及び、図1のI部拡大図である図2に、本発明の製造方法にて、フィルター部材1を、通気路を形成する部材である尾栓2に固定した塗布具の一例を示す。
図1に示した塗布具は、塗布液収容室3の内部に自由状態で塗布液4を収容し、塗布液4の圧力水頭(通常、収容されるインキの重さによる圧力である50mmH2O〜200mmH2O程度(20℃))を、常時、エラスマーよりなる開閉弁5にて保持し、塗布時における筆圧によってペン先6を長手方向に移動して開閉弁5を開口し塗布液4を吐出し、吐出した塗布液4の体積に見合う体積の外気を尾栓2の通気路2a及び塗布液4が非通過となる撥水・撥油性のフィルター部材1を介して塗布液収容室3の内部に取り込むタイプものである。
図1に示した塗布具は、塗布液収容室3の内部に自由状態で塗布液4を収容し、塗布液4の圧力水頭(通常、収容されるインキの重さによる圧力である50mmH2O〜200mmH2O程度(20℃))を、常時、エラスマーよりなる開閉弁5にて保持し、塗布時における筆圧によってペン先6を長手方向に移動して開閉弁5を開口し塗布液4を吐出し、吐出した塗布液4の体積に見合う体積の外気を尾栓2の通気路2a及び塗布液4が非通過となる撥水・撥油性のフィルター部材1を介して塗布液収容室3の内部に取り込むタイプものである。
塗布液4が通過しない撥水・撥油性のフィルター部材1は、該部から塗布液4が漏れることを防止し、塗布液収容室3内の圧力変化に応じて空気を流通させる通気性を伴うものである。このようなフィルター部材1は、例えば、ポリエチレン、ウレタン、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂に、シリコーン系またはフッ素系の添加剤、粉末、樹脂を練り込んだものを、発泡や溶出、延伸加工などによって連通多孔質化したものや、連通多孔を形成した後に、シリコーン系またはフッ素系の添加剤により撥塗布液処理を施したものなどが挙げられる。フィルター部材1の連通多孔の孔径としては、塗布液4のぬれ性などによる浸透性に対し、多少の前後はあるものの、例えば表面張力が比較的低い油性インキなどでは、孔径が3.0μm以下であることが好ましい。また、フィルター部材の大きさや厚みは、塗布具の仕様に対する、塗布液4の流出性や通気性に応じて適宜設定されるものであるが、製造工程の容易性やコスト等を考慮すると、直径10.0mm以下で肉厚0.5mm以下の薄膜状のフィルター部材とすることが好ましい。
更に、フィルター部材1は、一層、一種の部材である必要性もなく、多層、多種を積層したものであっても良い。フィルター部材1が薄膜状であるため、製造工程上の取り扱いや管理が困難となる場合には、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートの繊維よりなる不織布などを、フィルター部材1と積層して、厚みや強度を増したものとしてもよい。
更に、フィルター部材1は、一層、一種の部材である必要性もなく、多層、多種を積層したものであっても良い。フィルター部材1が薄膜状であるため、製造工程上の取り扱いや管理が困難となる場合には、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートの繊維よりなる不織布などを、フィルター部材1と積層して、厚みや強度を増したものとしてもよい。
尾栓2には、通気路2aと、この通気路2aに形成され、フィルター部材1が配置されている段部2bと、フィルター部材1の上に覆い被さった状態の壁部2cが形成されている。この壁部2cは、元々、段部2bを周状に囲むと共に、フィルター部材1の肉厚よりも長手方向に延在した壁部2cを、本発明の製造方法によって、壁部2cと段部2bの両面より、フィルター部材1を隙間無く尾栓4に固定するために、壁部2cに、熱又は超音波を付与することによって溶融させ、この溶融した壁部2cをフィルター部材1の上に流れ込ませて固化し、形状変化させたものであり、溶融前には、フィルター部材1の肉厚よりも長手方向に延在した部分であったものに、熱又は超音波を付与して形成している。熱の場合には熱ゴテ、超音波の場合には溶着ホーンなどを壁部2cに接触させ溶融を促すが、超音波による溶融の方が、溶融したい壁部1cのみの局部的な溶融が可能であり、仕上がり状態が比較的良好で、また、製造工程上、溶融した樹脂の臭いもなく、安全、且つ、制御し易く、消費電力も比較的少ないなど好適である。尚、溶着ホーンの材質としては、チタン合金、アルミニウム合金、ジュラルミン、鉄などが挙げられるが、溶着ホーンの端面の耐久性などを考慮すると、チタン合金が最も望ましい。また、超音波溶着機及び超音波発振器よりの超音波周波数は、比較的小部品の局部を溶融することを考慮すると20〜60kHzがあることが好ましい。
また、壁部2cと段部2bの両面より、フィルター部材1を隙間無く尾栓4に固定するように、溶融した壁部2cをフィルター部材1の上に流し込むことが可能であれば、単に鉛直方向に延在した壁部2cの形状ではなく、製造上の精度向上による効率化などを考慮した形状にしてよい。例えば、壁部2cの外周壁2dが、フィルター部材1が配置されている側の内周壁2eよりも径方向内方に傾斜した形状としたものなどが挙げられる(図3参照)。これは、壁部2cの重心位置を径方向内方に位置させることにより、溶着ホーンなどが付与した際、壁部1cを積極的に径方向内方に傾斜しながら溶融できるようにしたものである。また、予め、フィルター部材1の上に、フィルター部材1に圧力付与しない位置に、別部品よりなる壁部2cを圧入、嵌合、螺合等により被覆配置し、この壁部2cを溶融することでフィルター部材1を固定するようになしてもよい。もちろん、壁部2cの形状のみならず、溶着ホーンなどの端面に、溶融した壁部2cを外周壁から包み込みながら径方向内方に傾斜するように、内方向に凹状となるような溝を設けるなどなしてもよい。
尾栓2の少なくとも壁部2cの材質は、本発明の製造方法において溶融し、やがて熱又は超音波の付与が解除されると固化する、所謂熱可塑性合成樹脂であれば問題はない。しかしながら、万一、フィルター部材1にも超音波などが付与し溶融して、壁部2cと融合したり、フィルター部材2が変形及び破損したりすることなどを考慮すると、少なくとも壁部2cはフィルター部材2よりも溶融温度が低く、互いに融合性のない異材質であることが望ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどを三次元網目構造により形成した撥塗布液空気流通膜であるフィルター部材2の場合では、溶融温度327℃であり、熱可塑性樹脂の中でも比較的高温であるので、壁部1c及び段部1bの材質としては、ポリプロピレン(溶融温度160℃)、ポリブチレンテレフタレート(溶融温度225℃)、ポリエチレンテレフタレート(溶融温度256℃)、ポリアミド(溶融温度225〜243℃)、ポリエチレンナフタレート(溶融温度265℃)、ポリブチレンナフタレート(溶融温度243℃)エチレンビニルアルコール共重合体(溶融温度160〜191℃)などの殆どの熱可塑性樹脂に対して良好に用いることができる。
尚、本発明の製造方法にて、フィルター部材1を、通気路を形成する部材である尾栓2に固定した塗布具としては、図1に例示した塗布具に限られるものではなく、ボールペンチップをペン先としたものや、塗布液7の収容及び保持を、塗布液7の毛細管力を有する連通曲路が形成された、例えば、ポリエステル、ポリプロピレンなどの繊維収束体などを塗布液吸蔵体としたものや、塗布液4の吐出に伴って追従する高粘度流体を塗布液4の界面上に配置した塗布具であってもよい。更に、図1に例示した塗布具では、フィルター部材1が尾栓2の通気路2aに対して、外気側に位置するよう固定されているが、もちろん、塗布液収容室3側に位置するように固定しても構わない。
また、塗布液吸蔵体を塗布液収容室3の内部に備えるものや、塗布液4の吐出に伴って追従する高粘度流体を塗布液4の界面上に配置したものなどの場合では、特に、機構上、通気路2aより塗布液4が外部に流出してしまうことはない。したがって、フィルター部材1を撥水・撥油性のものとする必要性はなく、例えば、塵や埃、小型の昆虫が通気路2aより侵入することを防止する防塵用のものとしてもよい。
また、塗布液吸蔵体を塗布液収容室3の内部に備えるものや、塗布液4の吐出に伴って追従する高粘度流体を塗布液4の界面上に配置したものなどの場合では、特に、機構上、通気路2aより塗布液4が外部に流出してしまうことはない。したがって、フィルター部材1を撥水・撥油性のものとする必要性はなく、例えば、塵や埃、小型の昆虫が通気路2aより侵入することを防止する防塵用のものとしてもよい。
以下、図面に基づき一例について説明する。
図3〜図6に本発明の製造方法の一例を示す。
先ず、図3に示すように、製造精度を向上させるため、尾栓2の位置ずれを抑制し得る支持台7にポリプロピレン製の尾栓2を配置する。この尾栓2には、中央に通気路2aを形成し、通気路2aには段部2bと、この段部2bを周状に囲む、径方向内方に傾斜した外周壁2dと、鉛直方向に段部2bより1.6mm延在した内周壁2e及び、頂部2fよりなる壁部2cが形成されている。
次に、尾栓2の段部2bに、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター部材1を配置する。フィルター部材1は、尾栓2を支持台7に配置する前に、予め、尾栓2の段部2bに配置しておいても構わない。しかしながら、尾栓2を支持台7へ配置する際の振動などにより、固定されていないフィルター部材1が段部2b内で、傾斜したり、段部2bから外れたりすることを考慮し、効率上、本例では、尾栓2を支持台7に配置した後、フィルター部材1を段部2bに配置した。
次に、図4に示すように、てスズキ(株)製の超音波溶着機SUW−150Dの超音波発振器(図示なし)の先端に取り付けられた溶着ホーン7を、溶着ホーン7の速さ、移動距離の調整が可能な内作稼働機(図示なし)により、尾栓2の上方から鉛直方向(図中矢印)に移動し、溶着ホーン8の端面8aを壁部2cの頂部2fに当接させ、周波数28KHz、出力150Wにて壁部2cへ超音波を付与する。溶着ホーン8の端面8aと壁部2cの頂部2fとの当接後、継続して超音波を付与しながら、図5に示すように、壁部2cを超音波による振動エネルギーによって溶融させつつ、フィルター部材1に圧力が付与されないように、2.7mm/secの速さで、溶着ホーン8の端面8aを、頂部2fとの当接から、0.8mm移動する。この時、壁部2cの外周壁は径方向内方に傾斜し、内周壁は鉛直方向に延在しているので、壁部2cの重心位置は径方向内方に位置することとなり、溶融した壁部2cは、重心位置に従って確実に径方向へ移動する。
その後、溶着ホーン8を鉛直方向に上方へ引き上げ(図中矢印)るが、径方向へ移動し、超音波による振動エネルギーによって溶融した壁部2cは、重力に従って、フィルター部材1の上に流れ込み、溶融した壁部2cは、振動エネルギーの収束と共にフィルター部材1の表面上で固化し、図6に示すように、段部2bと共にフィルター部材1を両面より隙間無く固定した状態に至らしめる。
図3〜図6に本発明の製造方法の一例を示す。
先ず、図3に示すように、製造精度を向上させるため、尾栓2の位置ずれを抑制し得る支持台7にポリプロピレン製の尾栓2を配置する。この尾栓2には、中央に通気路2aを形成し、通気路2aには段部2bと、この段部2bを周状に囲む、径方向内方に傾斜した外周壁2dと、鉛直方向に段部2bより1.6mm延在した内周壁2e及び、頂部2fよりなる壁部2cが形成されている。
次に、尾栓2の段部2bに、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター部材1を配置する。フィルター部材1は、尾栓2を支持台7に配置する前に、予め、尾栓2の段部2bに配置しておいても構わない。しかしながら、尾栓2を支持台7へ配置する際の振動などにより、固定されていないフィルター部材1が段部2b内で、傾斜したり、段部2bから外れたりすることを考慮し、効率上、本例では、尾栓2を支持台7に配置した後、フィルター部材1を段部2bに配置した。
次に、図4に示すように、てスズキ(株)製の超音波溶着機SUW−150Dの超音波発振器(図示なし)の先端に取り付けられた溶着ホーン7を、溶着ホーン7の速さ、移動距離の調整が可能な内作稼働機(図示なし)により、尾栓2の上方から鉛直方向(図中矢印)に移動し、溶着ホーン8の端面8aを壁部2cの頂部2fに当接させ、周波数28KHz、出力150Wにて壁部2cへ超音波を付与する。溶着ホーン8の端面8aと壁部2cの頂部2fとの当接後、継続して超音波を付与しながら、図5に示すように、壁部2cを超音波による振動エネルギーによって溶融させつつ、フィルター部材1に圧力が付与されないように、2.7mm/secの速さで、溶着ホーン8の端面8aを、頂部2fとの当接から、0.8mm移動する。この時、壁部2cの外周壁は径方向内方に傾斜し、内周壁は鉛直方向に延在しているので、壁部2cの重心位置は径方向内方に位置することとなり、溶融した壁部2cは、重心位置に従って確実に径方向へ移動する。
その後、溶着ホーン8を鉛直方向に上方へ引き上げ(図中矢印)るが、径方向へ移動し、超音波による振動エネルギーによって溶融した壁部2cは、重力に従って、フィルター部材1の上に流れ込み、溶融した壁部2cは、振動エネルギーの収束と共にフィルター部材1の表面上で固化し、図6に示すように、段部2bと共にフィルター部材1を両面より隙間無く固定した状態に至らしめる。
これにより、フィルター部材1は、直接的な圧力付与を伴わず、且つ、フィルター部材1を、壁部2cと段部2bの両面より隙間無く、尾栓2に固定されることとなるので、フィルター部材1の圧縮による孔径の拡径や、フィルター部材1の内部の空間圧縮による孔径の縮径などの弊害を生じず、フィルター部材1としての本来の機能を維持した状態で、且つ、環境変化や落下衝撃などによるフィルター部材1の剥離を抑制し得る固定がなされることとなる。
図7〜図10に他の一例を示す。
本例のものは、成形効率が上がりコスト的に良好な、極めて単純な形状の尾栓2にフィルター部材1を固定すると共に、固定の仕上がり精度を、向上させることができる製造方法の一例である。尚、支持台7及び、超音波溶着機及び超音波発振器、内作稼働機、溶着ホーン8の稼働条件は、前述した例と同じである。
先ず、図7に示すように、前述した例と同様、支持台7に尾栓2を配置する。本例の尾栓2は、中央に通気路2aを形成し、通気路2aには段部2bと、この段部2bを周状に囲む、内周壁2e及び頂部2fよりなる壁部2cが形成されている。尾栓2を支持台7に配置後、尾栓2の段部2bに、フィルター部材1を配置する。本例の溶着ホーン8の端面8aは、周端部分を鋭角部7bとし、鋭角部8bより内方側へ、壁部2cの内周壁2eと鉛直方向に同軸上が最大凹み部分となるR状の周状凹部8cを形成しており、図8に示すように、溶着ホーン8、尾栓2の上方から鉛直方向(図中矢印)に移動させると、溶着ホーン8は、まず、鋭角部8bが、壁部2cの頂部2fに当接する。そのまま、溶着ホーン8を移動させることにより、溶着ホーン8の端面8aは、鋭角部8bから周状凹部8cへと順次、壁部2cの頂部2fに当接していく。鋭角部8bは、超音波による振動エネルギーにより、壁部2cの、フィルター部材1の固定に必要な部分を溶融切断しつつ、鋭角部8bの内方に位置する周状凹部8cへ溶融した壁部2cを移動させる。そのまま、前述した例と同様、フィルター部材1に圧力が付与されないように、溶着ホーン8を0.8mm移動させると、溶融した壁部2cは、周状凹部8c形状に従って移動し図9に示すように、フィルター部材1の上に溶融した壁部2cが位置した状態となる。
その後、溶着ホーン8を鉛直方向に上方へ引き上げ(図中矢印)ると、振動エネルギーによって溶融した壁部2cは、重力に従って、フィルター部材1の上に流れ込み、溶融した壁部2cは、振動エネルギーの収束と共にフィルター部材1の表面上で固化し、図10に示すように、段部2bと共にフィルター部材1を両面より隙間無く固定した状態に至らしめる。
本例のものは、成形効率が上がりコスト的に良好な、極めて単純な形状の尾栓2にフィルター部材1を固定すると共に、固定の仕上がり精度を、向上させることができる製造方法の一例である。尚、支持台7及び、超音波溶着機及び超音波発振器、内作稼働機、溶着ホーン8の稼働条件は、前述した例と同じである。
先ず、図7に示すように、前述した例と同様、支持台7に尾栓2を配置する。本例の尾栓2は、中央に通気路2aを形成し、通気路2aには段部2bと、この段部2bを周状に囲む、内周壁2e及び頂部2fよりなる壁部2cが形成されている。尾栓2を支持台7に配置後、尾栓2の段部2bに、フィルター部材1を配置する。本例の溶着ホーン8の端面8aは、周端部分を鋭角部7bとし、鋭角部8bより内方側へ、壁部2cの内周壁2eと鉛直方向に同軸上が最大凹み部分となるR状の周状凹部8cを形成しており、図8に示すように、溶着ホーン8、尾栓2の上方から鉛直方向(図中矢印)に移動させると、溶着ホーン8は、まず、鋭角部8bが、壁部2cの頂部2fに当接する。そのまま、溶着ホーン8を移動させることにより、溶着ホーン8の端面8aは、鋭角部8bから周状凹部8cへと順次、壁部2cの頂部2fに当接していく。鋭角部8bは、超音波による振動エネルギーにより、壁部2cの、フィルター部材1の固定に必要な部分を溶融切断しつつ、鋭角部8bの内方に位置する周状凹部8cへ溶融した壁部2cを移動させる。そのまま、前述した例と同様、フィルター部材1に圧力が付与されないように、溶着ホーン8を0.8mm移動させると、溶融した壁部2cは、周状凹部8c形状に従って移動し図9に示すように、フィルター部材1の上に溶融した壁部2cが位置した状態となる。
その後、溶着ホーン8を鉛直方向に上方へ引き上げ(図中矢印)ると、振動エネルギーによって溶融した壁部2cは、重力に従って、フィルター部材1の上に流れ込み、溶融した壁部2cは、振動エネルギーの収束と共にフィルター部材1の表面上で固化し、図10に示すように、段部2bと共にフィルター部材1を両面より隙間無く固定した状態に至らしめる。
本例では、溶着ホーン8の端面8aに形成した周状凹部7cによって、常に、溶融した壁部2cの移動経路をなすことができるので、固定の仕上がり精度が向上するだけでなく、金型成形と同様に、固化後の壁部2cの形状を一様化させることができる。
本例では、単に、外観より壁部2cが固化した部分を目視した場合、違和感を与えない程度にするために、端面8aにR状の周状凹部8cを形成した溶着ホーン8を用いたが、この周状凹部8cは、特にR状に限られるものではなく、溶融した壁部2cが一様に移動可能となす形状であれば、デザイン等に応じて適宜設定できるものである。
本例では、単に、外観より壁部2cが固化した部分を目視した場合、違和感を与えない程度にするために、端面8aにR状の周状凹部8cを形成した溶着ホーン8を用いたが、この周状凹部8cは、特にR状に限られるものではなく、溶融した壁部2cが一様に移動可能となす形状であれば、デザイン等に応じて適宜設定できるものである。
1 フィルター部材
2 尾栓
2a 通気路
2b 段部
2c 壁部
2d 外周壁
2e 内周壁
2f 頂部
3 塗布液収容室
4 塗布液
5 開閉弁
6 ペン先
7 支持台
8 溶着ホーン
8a 端面
8b 鋭角部
8c 周状凹部
2 尾栓
2a 通気路
2b 段部
2c 壁部
2d 外周壁
2e 内周壁
2f 頂部
3 塗布液収容室
4 塗布液
5 開閉弁
6 ペン先
7 支持台
8 溶着ホーン
8a 端面
8b 鋭角部
8c 周状凹部
Claims (2)
- 塗布具の塗布液収容室内に通じる通気路を、熱可塑性合成樹脂製の部材によって形成し、この通気路に段部と、段部を周状に囲む壁部を形成し、段部にフィルター部材を設置した際に、前記壁部がフィルター部材と間隔を存するフィルター部材よりも上位置の部分があるように構成配置し、この壁部のフィルター部材よりも上位置の部分に、熱又は超音波を付与することによって、フィルター部材の上に溶融した合成樹脂を流し込ませることによって、フィルター部材と通気路を形成する部材とを固定する塗布具の製造方法。
- 前記壁部の外周壁が内周壁よりも径方向内方に傾斜してなる請求項1に記載の塗布具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008143605A JP2009286072A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 塗布具の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008143605A JP2009286072A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 塗布具の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009286072A true JP2009286072A (ja) | 2009-12-10 |
Family
ID=41455751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008143605A Pending JP2009286072A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 塗布具の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009286072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016031899A1 (ja) * | 2014-08-28 | 2016-03-03 | アルフレッサファーマ株式会社 | 検体試験容器用ノズルキャップ、ならびにそれを用いた検体試験容器および検体試験キット |
-
2008
- 2008-05-30 JP JP2008143605A patent/JP2009286072A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016031899A1 (ja) * | 2014-08-28 | 2016-03-03 | アルフレッサファーマ株式会社 | 検体試験容器用ノズルキャップ、ならびにそれを用いた検体試験容器および検体試験キット |
JPWO2016031899A1 (ja) * | 2014-08-28 | 2017-06-15 | アルフレッサファーマ株式会社 | 検体試験容器用ノズルキャップ、ならびにそれを用いた検体試験容器および検体試験キット |
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