JP2009283380A - 点火装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関40に装着される点火プラグ10と、高エネルギ電源20、30とを具備し、電気エネルギを内燃機関40の燃焼室400内に放出して、点火を行う点火装置1において、点火プラグ10は、長軸状に伸びる中心電極110と、中心電極110の外周を覆う略筒状の絶縁体120と、絶縁体120の外周を覆う略筒状のハウジング131〜135と、ハウジング131〜135の先端に連なる接地電極130とからなり、点火プラグ10は、中心電極110と接地電極130との間に電気エネルギを放出する放電空間140を具備し、中心電極110とハウジング131〜135との間に形成される浮遊容量Csの低減を図るべく、浮遊容量低減手段として低誘電率層150を設ける。
【選択図】図1
Description
電磁波ノイズは、車両に搭載された様々な電子制御機器の誤作動や電波雑音の混入などの障害を起こす虞がある。
そこで、従来の点火装置では、点火プラグの中心電極のターミナル部と放電部との間に抵抗体を直列に介装して電磁波ノイズの抑制を図る方法が広く一般に用いられている(特許文献1等)。
ところが、このようなプラズマ式点火装置においては、大電流を点火プラグに供給する必要があるため、特許文献1にあるように、抵抗体を介装して点火時に発生する電磁波ノイズの低減を図ることが困難である。
さらに、特許文献1や特許文献3にあるように、抵抗体を点火プラグ内部又は、高エネルギ電源と点火プラグとの間に介装した場合であっても、抵抗体の先端側には、中心電極とハウジングとの間に浮遊容量が形成され、電磁波ノイズの放射を完全には防止できない虞がある。
また、一般に点火プラグの絶縁体にはアルミナが使用されているが、アルミナは絶縁体であると同時に比誘電率が8.5程度の誘電体でもあるため、中心電極とハウジングとの間に形成される浮遊容量を大きくする働きがある。
Cs=C1・C2/(C1+C2)・・・式1
したがって、上記低誘電率層の比誘電率をできる限り小さくすれば、上記中心電極と上記ハウジングとの間に形成される浮遊容量Csを可及的に小さくできる。
請求項3の発明によれば、上記中心電極と上記ハウジングとの間の比誘電率を相対的に低くすることができる。したがって、上記中心電極と上記ハウジングとの間に形成される浮遊容量がさらに小さくなり、点火時に発生する電磁波ノイズをさらに抑制できる。
図1を参照して、本発明の第1に実施形態における点火装置1の概要を説明する。点火装置1は、図略の内燃機関40に装着される点火プラグ10と、点火プラグ10に電気エネルギを印加する高エネルギ電源20、30とを具備し、高エネルギ電源20、30から点火プラグ10に供給された電気エネルギを内燃機関40の燃焼室400内に放出して内燃燃機関40の点火を行う。
さらに、中心電極径小部113と絶縁体12の内径との間に形成された空間は、略筒状の低誘電率層150を構成している。
空気の比誘電率は、約1.000586と真空の比誘電率に最も近く、中心電極11とハウジング12との間に形成される浮遊容量を小さくすることができる。
また、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、シロキ酸樹脂(SiOC)等の比較的比誘電率の低い耐熱性材料に空気を導入し多孔体とすることによって低誘電率材料の更なる低誘電率化を図って、低誘電率層150として充填した構成としても良い。
なお、比誘電率が充分に低く耐熱性、絶縁性が確保できる材料であれば、緻密体によって低誘電率層150とした構成であっても良い。
中心電極放電部110は、例えばイリジウム、イリジウム合金等の耐熱性に優れた導電性材料によって形成されている。
中心電極小径部113、113、中心電極中軸部114、中心電極ターミナル部115は、鉄鋼材料、銅等の良電導性で高熱伝導性の金属材料によって形成されている。
導電性接着剤111は、例えば、導電性を持つ金属粉末とガラス粉末との混合物で構成されている。導電性接着剤粉末を加熱し、溶解させた後に中心電極放電部110と中心電極先端部112との間に導電性接着剤111を介してホットプレス等に圧縮手段により圧縮した後、冷却固化して、中心電極放電部110と中心電極先端部112とを固定する。
絶縁体基体120の基端側は、コルゲート状に形成され延面距離を長くした絶縁体頭部123が形成され、中心電極ターミナル部115とハウジング13との電気絶縁性を確保している。
絶縁体基体120の中腹には、径大となる絶縁体係止部121が形成され封止部材160、161、162を介して、ハウジング13内に固定されている。
中心電極放電部110の先端面と絶縁体基体120の先端の内周壁と接地電極130の内周壁とによって放電空間140が区画され、中心電極放電部110と接地電極130との間で放電可能となっている。
先端側外周にはガスケット170を介して内燃機関40に螺結するためのネジ部132が形成され、基端側外周には、ネジ部132をネジ締めするための六角部133が形成され、その基端側には、絶縁体12を加締め固定するハウジング加締め部135が形成されている。
図2(a)は、図1中に枠Aで囲った部位を示し、本発明の第1の実施形態における点火プラグ10の軸方向に対する単位長さ当たりの基本構成を示す要部模式図、本図(b)は、比較例として示す浮遊容量低減手段を持たない従来の点火プラグ10zの要部模式図である。
したがって、本図(a)に示すように中心電極小径部113とハウジング13との間に形成される単位長さ当たりの浮遊容量Csは、浮遊容量低減手段として設けられている低誘電率層150の単位長さ当たりの静電容量C1と絶縁体12の単位長さ当たりの静電容量C2とを直列に繋いだものとみなすことができる。
Cs=1/(1/C1+1/C2)=C1・C2/(C1+C2)・・・式1
ここで、
C1=2π・ε0・ε1/(ln(D2/D1))・・・式2
C2=2π・ε0・ε2/(ln(D4/D2))・・・式3
式1、2、3より、
Cs=2π・ε0・ε1・ε2/{ε1・ln(D2/D1)+ε2・ln(D4/D2)}・・・式4
C2z=2π・ε0・ε2/(ln(D4/D2))・・・式5
したがって、本発明の中心電極11とハウジング13との間に形成される静電容量Csと従来の静電容量C2zとを比較すると、下記式6が成立する。
Cs/C2z=ε1・ln(D2/D1)/{ε1・ln(D4/D2)+ε2・ln(D2/D1)}・・・式6
ここで、本実施形態において、中心電極小径部113の外径φD1を1.5mm、低誘電率層150の外径φD2を4.2mm、比誘電率ε1=1.000586(空気)、絶縁体12の外径φD4を11.0mm、比誘電率ε2=8.5とし、
点火プラグ10zの中心電極外径φD1zを4.2mm、絶縁体12zの外径φD4zを11.0mm、比誘電率ε2z=8.5とすると、式5、6からCs/C2zは、およそ0.1となる。
すなわち、本発明によれば、中心電極11とハウジング12との間に形成される浮遊容量Csを従来の約10分の1程度に低減できると考えられる。
本発明の第2の実施形態においては、中心電極小径部113とハウジング131との間に形成される単位長さ当たりの静電容量Csaは、下記式7で表され、本発明の第3の実施形態における中心電極小径部113とハウジング131との間に形成される単位長さ当たりの静電容量Csbは、下記式8で表される。
Csa=C2a
=2π・ε0・ε2/(ln(D4/D1))・・・式7
Csb=1/(1/C1+1/C2b+1/C3)・・・式8
ここで、
C1=2π・ε0・ε1/(ln(D2/D1))・・・式9
C2b=2π・ε0・ε2/(ln(D3/D2))・・・式10
C3=2π・ε0・ε1/(ln(D4/D3))・・・式11
図4に示すように、本発明によれば、いずれの実施形態において、従来に比べ大幅に中心電極とハウジングとの間に形成される浮遊容量を小さくすることができる。
図6に示すように、中心電極11とハウジング13との間に形成される浮遊容量Csを小さくすることによって、ノイズレベルを低減できることが明らかとなった。
よって、本発明の点火装置によれば、中心電極11とハウジング13との間に形成される浮遊容量Csを極めて小さくできるので、点火時に発生する電波ノイズを極めて小さく抑制できることが期待される。
図7、8に本発明の第1の実施形態における点火プラグの変形例として、点火プラグ10a、10bを示す。
本発明の第1の実施形態において、細長い中心電極小径部113を導電接着材111に押しつけて挿入、固定するが、この時、中心電極小径部113が座屈する虞がある。
そこで、図7に示すように、点火プラグ10aでは、中心電極小径部113の複数箇所を部分的に拡径したガイド部116aを設けてある。中心電極11を絶縁体12内に挿入する際に、ガイド部116aの端縁が絶縁体12の内周壁に摺動しながら挿入される。
したがって、本実施形態によれば、上記実施形態と同様の電磁波ノイズ低減効果に加えて、製造工程での、挿入時の座屈を防ぐこともでき、より信頼性の高い点火装置が実現できる。なお、本実施形態において、ガイド部116aは、中心電極小径部113の一部を拡径して形成しても良いし、略環状のガイド部形成部材を用意してこれを中心電極小径部113に装着する構成としても良い。
なお、本実施形態において、ガイド部116aとハウジング131との間に形成される浮遊容量は、局所的に、従来の点火プラグ10zと同程度となるが、その影響は小さく、第1の実施形態における点火プラグと同程度の効果が期待できる。
また、本実施形態において、低誘電率層150aは、上記実施形態と同様、空気であっても良いし、低誘電率材料であっても良い。
この場合、中心電極小径部113bとハウジング131との間に形成される浮遊容量は、中心電極小径部113bを中心電極小径部113bの平均的な外径で一様の外径に形成した時と同程度となる。
本実施形態では、上述の如く、中心電極小径部113cを細径に形成してあるので、中心電極11とハウジング13との間に形成される浮遊容量が小さくできるのに加え、中心電極小径部112cと絶縁体120cの内周壁とのクリアランスが小さいので、中心電極小径部112cを導電性接着剤112cに押しつけながら挿入した時に、中心電極小径部113cが座屈され難くなる。
なお、低誘電率層150d、151d内に低誘電率材料として空気が存在している場合、点火プラグ10dが受ける熱によって、空気の体積は変化するが、絶縁体12と中心電極11とのクリアランスギャップ又は、絶縁体12とハウジング13とのクリアランスギャップを通じて出入りするので点火プラグ10dは、低誘電率層150d、151d内の空気が熱変化により体積変化しても影響を受けることはない。
そこで、本発明の第3の実施形態における点火プラグの変形例として図11に示す点火プラグ10eでは、中心電極小径部113eの長さLeをできる限り短くすべく、接地電極130をハウジング13のネジ部132の形成された部位の内側に引き込んだ位置に形成してある。
このような構成とすることによって、さらに、中心電極11とハウジング13との間に形成される浮遊容量を小さくできる。
本実施形態においては、本発明の第1の実施形態をスパークプラグに適用した構成例を示したが、第2、第3の実施形態を適用することも可能である。
図14(a)は、高電圧を点火プラグ10に印加する放電用電源回路20と大電流を供給するプラズマ発生用電源回路30とを示す等価回路図であり、図14(b)は、その変形例である。
図14(a)に示すように、放電用電源20は、電源21に接続され、イグニションスイッチ21と点火コイル23と外部の電子制御装置(ECU)25からの点火指令によって火コイル23を駆動する点火コイル駆動回路24と放電電流を整流する整流素子26と放電用電源回路20から発信される電磁波ノイズを吸収する抵抗体27とによって構成され、プラズマ発生用電源回路300は、電源30に接続され、抵抗32と電源31によって充電されるプラズマ発生用コンデンサ33、プラズマ発生用電流を整流する整流素子33とによって構成されている。
一方、プラズマ発生用コンデンサ33は、点火プラグ10と並列に接続されており、電源31により充電されている。
例えば、上記実施形態においては、1の点火装置の構成を示したが、複数の気筒からなる内燃機関の各気筒に搭載された点火装置に適宜採用し得るものである。
10 点火プラグ
110 中心電極
120 絶縁部材
130 接地電極
131、132、133、143、135 ハウジング
140 放電空間
150 浮遊容量低減手段(低誘電率層)
20、30 高エネルギ電源
40 内燃機関
Claims (10)
- 内燃機関に装着される点火プラグと、該点火プラグに電気エネルギを印加する高エネルギ電源とを具備し、該高エネルギ電源から上記点火プラグに供給された電気エネルギを上記内燃機関の燃焼室内に放出して、該内燃機関の点火を行う点火装置において、
上記点火プラグは、長軸状に伸びる中心電極と、該中心電極の外周を覆う略筒状の絶縁体と、該絶縁体の外周を覆う略筒状のハウジングと、該ハウジングの先端に連なる接地電極とからなり、上記中心電極と上記接地電極との間に上記高エネルギ電源からの供給された電気エネルギを放出する放電空間を具備し、
上記中心電極と上記ハウジングとの間に形成される浮遊容量の低減を図るべく、浮遊容量低減手段を設けたことを特徴とする点火装置。 - 上記浮遊容量低減手段は、上記中心電極の上記ハウジングに覆われた部位の全部又は一部の外径を縮径した中心電極径小部であることを特徴とする点火装置。
- 上記浮遊容量低減手段は、上記ハウジングと上記中心電極との間に設けた略筒状の低誘電率層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の点火装置。
- 上記低誘電率層は、上記絶縁体外周と上記ハウジング内周との境界に介設したことを特徴とする請求項3に記載の点火装置。
- 上記低誘電率層は、上記中心電極外周と上記絶縁体内周との境界に介設したことを特徴とする請求項3又は4に記載の点火装置。
- 上記低誘電率層は、比誘電率が3以下の低誘電率材料によって形成したことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の点火装置。
- 上記低誘電率層は、空気又は空気を含む多孔体によって形成したことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の点火装置。
- 上記高エネルギ電源は、高電圧を印加する放電用電源と大電流を供給するプラズマ発生用電源とからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の点火装置。
- 上記点火プラグは、上記絶縁体を上記中心電極の下端面よりも下方に延設せしめて、上記絶縁体の内側に上記放電空間を区画し、上記中心電極の下端面と上記接地電極の内周面とを上記放電空間に対向せしめたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の点火装置。
- 上記点火プラグは、上記絶縁体の下端面から露出せしめた上記中心電極の先端と上記接地電極とを所定の放電距離を設けて対向せしめて上記放電空間を区画したことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の点火装置。
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