以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
(液晶装置の構成)
液晶装置の実施の形態の構成について図1から図5に基づいて説明する。
先ず、液晶装置の全体構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、液晶装置の実施の形態におけるTFTアレイ基板上に設けられた各種配線、周辺回路等の構成を示すブロック図であり、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図3は、対向基板を含めて示す図2のH−H’断面図である。
図1において、液晶装置200は、例えば石英基板、ハードガラス、シリコン基板等からなるTFTアレイ基板1を備えている。TFTアレイ基板1上には、マトリクス状に設けられた複数の画素電極11と、X方向に複数配列されており夫々がY方向に沿って伸びるデータ線35と、Y方向に複数配列されており夫々がX方向に沿って伸びる走査線31と、各データ線35と画素電極11との間に夫々介在すると共に該間における導通状態及び非導通状態を、走査線31を介して夫々供給される走査信号に応じて夫々制御するスイッチング素子の一例としての複数のTFT30とが形成されている。またTFTアレイ基板1上には、後述の蓄積容量(図6参照)のための配線である容量線31’(第2蓄積容量電極)が、走査線31と平行に形成されている。
TFTアレイ基板1上には更に、複数のデータ線35に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して夫々供給するプリチャージ回路201と、画像信号をサンプリングして複数のデータ線35に夫々供給するサンプリング回路301と、データ線駆動回路101と、走査線駆動回路104とが形成されている。
走査線駆動回路104は、外部制御回路から供給される電源、基準クロック等に基づいて、所定タイミングで走査線31に走査信号をパルス的に線順次で印加する。
データ線駆動回路101は、外部制御回路から供給される電源、基準クロック信号等に基づいて、走査線駆動回路104が走査信号を印加するタイミングに合わせて、たとえば6つの画像信号線304夫々について、データ線35毎にサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路301にサンプリング回路駆動信号線306を介して所定タイミングで順次供給する。
プリチャージ回路201は、TFT202を各データ線35毎に備えており、プリチャージ信号線204がTFT202のソース電極に接続されており、プリチャージ回路駆動信号線206がTFT202のゲート電極に接続されている。そして、プリチャージ信号線204を介して、外部電源からプリチャージ信号(NRS)を書き込むために必要な所定電圧の電源が供給され、プリチャージ回路駆動信号線206を介して、各データ線35について画像信号(VID1〜VID6)に先行するタイミングでプリチャージ信号を書き込むように、外部制御回路からプリチャージ回路駆動信号(NRG)が供給される。プリチャージ回路201は、好ましくは中間階調レベルの画素データに相当するプリチャージ信号(画像補助信号)を供給する。
サンプリング回路301は、TFT302を各データ線35毎に備えており、画像信号線304がTFT302のソース電極に接続されており、サンプリング回路駆動信号線306がTFT302のゲート電極に接続されている。そして、画像信号線304を介して、6つのパラレルな画像信号(VID1〜VID6)が入力されると、これらの画像信号(VID1〜VID6)をサンプリングする。また、サンプリング回路駆動信号線306を介して、データ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号が入力されると、6つの画像信号線304夫々についてサンプリングされた画像信号を、データ線3に順次印加する。即ち、データ線駆動回路101とサンプリング回路301とは、画像信号線304から入力された6相展開されたパラレルな画像信号(VID1〜VID6)をデータ線35に供給するように構成されている。本実施の形態ではデータ線35を1本毎に順次選択していく方式を述べたが、例えば、隣接する6つのデータ線35に接続されるサンプリング回路301を同時に選択し、6つのデータ線35からなるグループ毎に順次転送していく方式でもよい。データ線35の選択は、相隣接する2、3、…、5本或いは7本以上を同時に選択してもよい。また、データ線35に供給される画像信号の相展開数は6相のみならず、サンプリング回路301を構成するTFT302の書き込み特性が良ければ、5相以下でもよいし、画像信号のドット周波数が高ければ、7相以上に増やしてもよい。この際、少なくとも画像信号の相展開数だけ画像画像入力信号線が必要なことは言うまでもない。
本実施の形態では特に、各画素に設けられたTFT30、プリチャージ回路201が有するTFT202及びサンプリング回路301が有するTFT302の下側には夫々遮光層3(後述する)が設けられている。従って、仮にTFTアレイ基板1の側から戻り光等が入射しても、TFT30、202及び302に入射する以前に、これらに対向する位置に夫々形成された遮光層3により、この戻り光等は遮光される。このため、TFT30、202及び302において光電変換効果により光電流が発生してトランジスタ特性が劣化する事態は未然に防止され、フリッカーやクロストーク等の画質品位を著しく損なう不良は発生しない。尚、遮光層3の具体的な層構成については後述する。
また、本実施の形態ではTFT30、202及び302の少なくともチャネル領域下に形成された遮光層3は、接地電位のような定電位線と電気的に接続するようにする。これは、TFT30、202及び302の各端子間に不安定な電位差が生じることにより起こるトランジスタ特性の変化を防ぐためである。定電位線としては、例えば、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等に供給される正電位或いは負電位の電源や、対向基板2に対向電極電位を供給する配線と電気的に接続してもよい。図1に示すように、走査線駆動回路104の負電位の電源等から延設された定電位線501は、画面表示領域の周辺で遮光層3に電気的に接続されている。また、画素の蓄積容量を形成するための容量線31’へ供給する定電位線501と共用してもよい。このような構成を採れば、引き回し配線が1本で済むため、周辺回路を作り込むスペースが広がったり、液晶装置を小型化する際に有利である。また、専用の外部入力端子を必要としないので、スペースに余裕ができ、実装部材のコストダウンが図れる。但し、専用の外部入力端子と配線を設けて、定電位を供給してもよいことは言うまでもない。
更にこのように、プリチャージ回路201やサンプリング回路301について、TFTアレイ基板1の側からの戻り光に対して遮光が施されているため、これらの回路を従来のように遮光性のケースに入れられたTFTアレイ基板1の周辺部分に配置する必要性はなくなる。そこで、本実施の形態では図1中斜線領域で示すように且つ図2及び図3に示すように、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301は、対向基板2に形成された遮光性の周辺見切り53に対向する位置においてTFTアレイ基板1上に設けられている。他方、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、液晶層50に面しないTFTアレイ基板1の狭く細長い周辺部分上に設けられている。
図2及び図3において、TFTアレイ基板1の上には、複数の画素電極11により規定される画面表示領域(即ち、実際に液晶層50の配向状態変化により画像が表示される液晶装置の領域)の周囲において両基板を貼り合わせて液晶層50を包囲するシール部材の一例としての光硬化性樹脂からなるシール材52が、画面表示領域に沿って設けられている。そして、対向基板2上における画面表示領域とシール材52との間には、遮光性の周辺見切り53が設けられている。
周辺見切り53は、後に画面表示領域に対応して開口部が設けられた遮光性のケースにTFTアレイ基板1が入れられた場合に、当該画面表示領域が製造誤差等により当該ケースの開口の縁に隠れてしまわないように、即ち、例えばTFTアレイ基板1のケースに対する数百μm程度のずれを許容するように、画面表示領域の周囲に500μm以上の幅を持つ帯状の遮光性材料から形成されたものである。このような遮光性の周辺見切り53は、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)などの金属材料を用いたスパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチングにより対向基板2に形成される。或いは、カーボンやTi(チタン)をフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成される。
シール材52の外側の領域には、画面表示領域の下辺に沿ってデータ線駆動回路101及び実装端子102が設けられており、画面表示領域の左右の2辺に沿って走査線駆動回路104が設けられている。更に画面表示領域の上辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板2のコーナー部の少なくとも一箇所において、TFTアレイ基板1と対向基板2との間で電気的導通をとるための導通材からなる銀点106が設けられている。そして、シール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板2が当該シール材52によりTFTアレイ基板1に固着されている。
プリチャージ回路201及びサンプリング回路301は、基本的に交流駆動の回路である。このため、シール材52により包囲され両基板間に挟持された液晶層50に面するTFTアレイ基板1部分にこれらのプリチャージ回路201及びサンプリング回路301を設けても、直流電圧印加による液晶層50の劣化という問題は生じない。これに対して、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、液晶層50に面することのないTFTアレイ基板1の周辺部分に設けられている。従って、液晶層50に、特に直流駆動されるデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104からの直流電圧成分が、漏れ込んで印加されることを未然に防止できる。
このように周辺見切り53下に、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301を設けることで、走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101をTFTアレイ基板1の周辺部分に余裕を持って形成することができ、特定の仕様に沿うようにこれらの周辺回路を設計することが容易になる。また、言わばデッドスペースである周辺見切り53下に、プリチャージ回路201やサンプリング回路301を設けることで、液晶装置200における有効表示面積の減少を招くこともない。
そして一方で、周辺見切り53は遮光性であるので、対向基板2の側から入射する投射光等に対する遮光手段をプリチャージ回路201やサンプリング回路301(即ち、TFT202及び302)の上に別途設ける必要は無い。他方で、遮光層がプリチャージ回路201やサンプリング回路301(即ち、TFT202及び302)の少なくともチャネル領域下に設けられているので、TFTアレイ基板1の側から入射する戻り光等をプリチャージ回路201やサンプリング回路301(即ち、TFT202及び302)に届く前に遮光できる。これにより、プリチャージ回路201のTFT202、或いはサンプリング回路301のTFT302の少なくともチャネル領域に光が照射されることがないので、この領域において光電変換効果により光電流が発生し、TFT202、302のトランジスタ特性は劣化することがない。従って、本実施の形態は、液晶装置のどちらの側から光が入射しようとも、確実に遮光できるという長所があり、フリッカーやクロストーク等の画質品位を著しく低下させる不良をなくすことができる。
加えて、シール材52に面するTFTアレイ基板1部分にプリチャージ回路201やサンプリング回路301を形成する訳ではないので、これらの回路を構成するTFT202及び302をシール材52に混入されたスペーサにより破壊する恐れはなく、更に、シール材52を光硬化させる工程で両基板側から光を十分に照射できる。
図1に示したように本実施の形態では、複数のデータ線35は、画面表示領域の下辺にある一端から画像信号が供給され、他方の側にある他端からプリチャージ信号が供給される。従って、プリチャージ回路201を、画像信号を供給するためのデータ線駆動回路101及びサンプリング回路301と画面表示領域を挟んで反対の側に設けることができ、周辺見切り53下のスペースをバランス良く有効に利用できる。
次に、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301を構成するTFT202及び302の具体的な回路構成について図4及び図5を参照して夫々説明する。尚、図4は、プリチャージ回路201のTFT202を構成する各種のTFTを示す回路図であり、図5は、サンプリング回路301のTFT302を構成する各種のTFTを示す回路図である。
図4(1)に示すようにプリチャージ回路201のTFT202(図1参照)は、Nチャネル型TFT202aから構成されてもよいし、図4(2)に示すようにPチャネル型TFT202bから構成されてもよいし、図4(3)に示すようにNチャネル型TFT及びPチャネル型TFTから成る相補型TFT202cから構成されてもよい。なお、図4(1)から図4(3)において、図1に示したプリチャージ回路駆動信号線206を介して入力されるプリチャージ回路駆動信号206a、206bは、ゲート電圧として各TFT202a〜202cに入力される。同じく図1に示したプリチャージ信号線204を介して入力されるプリチャージ信号NRSは、ソース電圧として各TFT202a〜202cに入力される。Nチャネル型TFT202aにゲート電圧として印加されるプリチャージ回路駆動信号206aと、Pチャネル型TFT202bにゲート電圧として印加されるプリチャージ回路駆動信号206bとは、相互に反転信号である。従って、プリチャージ回路201を相補型TFT202cで構成する場合には、プリチャージ回路駆動信号線206が少なくとも2本以上必要となる。このようにプリチャージ回路駆動信号線206が2本以上になる場合、画面表示領域の一方の側に集中して配線してもよいし、プリチャージ信号線204と組み合わせて、画面表示領域の両側から配線してもよい。或いは、例えば、相補型TFT202cの手前でプリチャージ回路駆動信号206aをインバータにより反転させて、プリチャージ回路駆動信号206bを形成してもよい。
図5(1)に示すようにサンプリング回路301のTFT302(図1参照)は、Nチャネル型TFT302Aから構成されてもよいし、図5(2)に示すようにPチャネル型TFT302Bから構成されてもよいし、図5(3)に示すように相補型TFT302Cから構成されてもよい。なお、図5(1)から図5(3)において、図1に示した画像信号線304を介して入力される画像信号VIDは、ソース電圧として各TFT302a〜302cに入力される。同じく図1に示したデータ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号線306を介して入力されるサンプリング回路駆動信号306a、306bは、ゲート電圧として各TFT302a〜302cに入力される。また、サンプリング回路301においても、前述のプリチャージ回路201の場合と同様に、Nチャネル型TFT302aにゲート電圧として印加されるサンプリング回路駆動信号306aと、Pチャネル型TFT302Bにゲート電圧として印加されるサンプリング回路駆動信号306bとは、相互に反転信号である。従って、サンプリング回路301を相補型TFT302Cで構成する場合には、サンプリング回路駆動信号306a、306b用のサンプリング回路駆動信号線306が少なくとも2本以上必要となる。
(液晶装置の構成)
次に、液晶装置200が含む液晶装置部分の具体的構成について図6から図8を参照して説明する。ここに、図7は図1において円で囲まれたDの領域を拡大した平面図であり、図6は図7におけるTFT30のA−A’に沿った断面図と、プリチャージ回路201のTFT202のB−B’に沿った断面図を表している。尚、図6においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図6の断面図において、液晶装置200は、各画素に設けられるTFT30部分において、TFTアレイ基板1並びにその上に積層された遮光層3、第1層間絶縁層41、半導体層32、ゲート絶縁層33、走査線31(ゲート電極)、第2層間絶縁層42、データ線35(ソース電極)、第3層間絶縁層43、画素電極11及び配向膜12を備えている。液晶装置200はまた、例えばガラス基板から成る対向基板2並びにその上に積層された共通電極21、配向膜22及び第2遮光層23を備えている。液晶装置200は更に、これらの両基板間に挟持された液晶層50を備えている。
ここでは先ず、これらの層のうち、TFT30を除く各層の構成について順に説明する。
TFT30に夫々対向する位置においてTFTアレイ基板1上には、遮光層3が夫々設けられている。
遮光層3は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPd(鉛)等の少なくとも一つを含む金属、或いは金属シリサイド(例えば、タングステンシリサイドWSi)等の金属合金からなる。遮光膜3を高融点金属シリサイドから構成すると、即ち、シリコンを遮光層3の材料に含ませると、シリコンを含んでなるTFTアレイ基板1や第1層間絶縁層41との熱的相性が良くなる。
また、遮光層3は、図7に示すようにコンタクトホール503を介して定電位線501を経て、接地されているか又は定電位源に接続されている。定電位線501としては、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等の周辺回路に供給される電源等の配線を延設するとよい。このため、遮光層3の電位が変化することにより、TFT30のスイッチング特性等に悪影響を及ぼすことがない。例えば、遮光層3は接地されてもよいし、或いは共通電極21に接続されて共通電極21の電位にされてもよい。但し、遮光層3は電気的に浮遊していてもよい。また遮光層3を後述の蓄積容量(図6参照)用の配線として使用することも可能である。
更に、遮光層3と複数のTFT30との間には、第1層間絶縁層41が設けられている。第1層間絶縁層41は、例えば、NSG(ノンドープシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなり、TFT30を構成する半導体層32を遮光層3から電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁層41は、TFTアレイ基板1の全面に形成されることにより、TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板1の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等でTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
第2層間絶縁層42及び第3層間絶縁層43は夫々、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる。
画素電極11は例えば、ITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜からなる。尚、当該液晶装置200を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極11を形成してもよい。
配向膜12は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなり、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理が施されている。
共通電極21は、対向基板2の全面に渡ってITO膜等から形成されている。
配向膜22は、例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなり、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理が施されている。
第2遮光層23は、TFT30に対向する所定領域にCrやNiなどの金属材料やカーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成されている。第2遮光層23は、TFT30の半導体層32に対する遮光の他に、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
液晶層50は、画素電極11と共通電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板1と対向基板2との間において、シール材52(図2及び図3参照)により囲まれた空間に液晶が真空吸引等により封入されることにより形成される。液晶層50は、画素電極11からの電界が印加されていない状態で配向膜12及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材52は、二つの基板1及び2をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのスペーサが混入されている。
次に、TFT30に係る各層の構成について順に説明する。
TFT30は、走査線31(ゲート電極)、走査線31からの電界によりチャネルが形成される半導体層32、走査線31と半導体層32とを絶縁するゲート絶縁層33、半導体層32に形成されたソース領域34、データ線35(ソース電極)、及び半導体層32に形成されたドレイン領域36を備えている。ドレイン領域36には、複数の画素電極11のうちの対応する一つが接続されている。ソース領域34及びドレイン領域36は後述のように、半導体層32に対し、N型又はP型のTFTを形成するかに応じて所定濃度のN型用又はP型用のドーパントをドープすることにより形成されている。N型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子であるTFT30として用いられることが多い。
TFT30は、好ましくはLDD構造を持つ。但し、TFT30は、LDD構造における低濃度のソース・ドレイン領域にイオン注入を行わないオフセット構造を持ってもよいし、ゲート電極31をマスクとして自己整合的にソース領域34及びドレイン領域36を形成してもよい。セルフアライン型のTFTであってもよい。また、本実施の形態では、TFT30をシングルゲート構造で示したが、ソース領域34とドレイン領域36の間にゲート電極31を2個直列に配設したデュアルゲート構造でもよいし、ゲート電極31を3個以上配設してもよい。このような構造を採れば、TFT30のオフ時のリーク電流が低減されるため、画質品位の劣化を引き起こすことがない。
走査線31(ゲート電極)は、好ましくはポリシリコン膜から形成される。或いは、WやMo等の高融点金属膜又は金属シリサイド膜から形成されてもよい。この場合、走査線31(ゲート電極)を、第2遮光層23が覆う領域の一部又は全部に対応する遮光膜として配置すれば、金属膜や金属シリサイド膜の持つ遮光性により、第2遮光層23の一部又は全部を省略することも可能となる。この場合特に、対向基板2とTFTアレイ基板1との貼り合わせずれによる画素開口率の低下を防ぐことが出来る利点がある。
ゲート絶縁層33は、比較的薄い厚さの熱酸化膜からなる。尚、8インチ以上の大型基板を使用する場合、熱による基板のそりを防止するために、熱酸化時間を短くして、熱酸化膜を薄くし、この熱酸化膜上に高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜をCVD法等で堆積して、2層以上の多層ゲート絶縁膜構造を形成してもよい。
一般にチャネルが形成される半導体層32は、光が入射するとポリシリコン膜が有する光電変換効果により光電流が発生してしまいTFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、対向基板2側からの投射光等の光に対しては、対向基板2に各TFT30に夫々対向する位置に複数の第2遮光層23が形成されているので、投射された入射光が半導体層32の少なくともチャネル領域に入射することが防止される。ところで、対向基板2上に形成される第2遮光層23をTFTアレイ基板1上に形成してもよい。この場合、データ線35と画素電極11との間にそれぞれ絶縁膜を介してTi(チタン)等を形成すれば、対向基板2上の第2遮光層23は省略できる。従って、対向基板2とTFTアレイ基板1との組立時のアライメント精度を考慮する必要がないため、透過率のばらつきがない液晶装置を提供できる。
データ線35(ソース電極)は、画素電極11と同様にITO膜等の透明導電性薄膜から形成してもよい。或いは、Al等の低抵抗金属や金属シリサイド等から形成してもよい。
更にこれに加えて又は代えて、走査線31の一部からなるTFT30のゲート電極を上側から覆うようにデータ線35(ソース電極)をAl等の不透明な金属薄膜から形成すれば、第2遮光層23と共に又は単独で、半導体層32の少なくともチャネル領域への入射光(即ち、図6で上側からの光)の照射を効果的に防ぐことが出来る。ここで、データ線35は、TFT30において、少なくとも半導体層32のチャネル領域とソース・ドレイン領域34及び36との接合部と、これらの下方に配設される遮光層3を覆うように形成するとよい。これは、対向基板2側から入射した光が、遮光層3の表面で反射して、チャネル領域を照射するのを防ぐためである。他方、TFTアレイ基板1側からの戻り光等の光に対しては、TFTアレイ基板1に各TFT30に夫々対向する位置に複数の遮光層3が形成されているので、戻り光等が半導体層32の少なくともチャネル領域に入射することが防止される。
また、第2層間絶縁層42には、ソース領域34へ通じるコンタクトホール37及びドレイン領域36へ通じるコンタクトホール38が夫々形成されている。このソース領域34へのコンタクトホール37を介して、データ線35(ソース電極)はソース領域34に電気的接続される。更に、第3層間絶縁層43には、ドレイン領域36へのコンタクトホール38が形成されている。このドレイン領域36へのコンタクトホール38を介して、画素電極11はドレイン領域36に電気的接続される。前述の画素電極11は、このように構成された第3層間絶縁層43の上面に設けられている。
ここで、図7の平面図に示すように、以上のように構成された画素電極11は、TFTアレイ基板1上にマトリクス状に配列され、各画素電極11に隣接してTFT30が設けられており、また画素電極11の縦横の境界に夫々沿ってデータ線35(ソース電極)及び走査線31(ゲート電極)が設けられている。また、遮光層3がTFT30のチャネル部分等を下から覆っているのが分かる。図7において、C方向に位置する走査線駆動回路104の負電位の電源から延設された定電位線501は、画面表示領域の直近まで配設される。ここで、遮光層3とコンタクトホール503を介して電気的に接続される。遮光層3は、走査線31に沿って平行にその下方に配設される。また、プリチャージ回路201のTFT202の少なくとも半導体層32”のチャネル領域下を覆うように遮光層3”が形成され、画面表示領域の一方端から反対側の端まで、走査線31と平行に配線される。更にトランジスタ特性が劣化しないように定電位線501にコンタクトホール503を介して電気的に接続する。また、定電位線501、プリチャージ回路201、プリチャージ回路駆動信号線206、プリチャージ信号線204等を従来デッドスペースであった周辺見切り53下に形成することにより、周辺回路を作り込む領域を拡大できたり、液晶装置の小型化が実現できる。尚、図7は、説明の都合上、画素電極11のマトリクス状配列等を簡略化して示すためのものであり、実際の各電極は層間絶縁層の間や上をコンタクトホール等を介して配線されており、図6から分かるように3次元的により複雑な構成を有している。
再び図6において、画素電極11には蓄積容量70が夫々設けられている。この蓄積容量70は、より具体的には、半導体層32のドレイン領域36から延設形成された第1蓄積容量電極32’、ゲート絶縁層33と同一工程により形成される絶縁層33’、走査線31と同一工程により形成される容量線31’(第2蓄積容量電極)、第2及び第3層間絶縁層42及び43、並びに第2及び第3層間絶縁層42及び43を介して容量線31’に対向する画素電極11の一部から構成されている。このように蓄積容量70が設けられているため、デューティー比が小さくても高精細な表示が可能とされる。また、図7に示すように、走査線駆動回路104から延設された定電位線501と容量線31’をコンタクトホール502において電気的に接続することにより、定電位供給源として利用できる。これにより、遮光層3と定電位線を共用できるため、配線が1本で済み、配線の引き回しにおいて有利である。更に、専用の外部入力端子を設ける必要がないので、入力端子数を減らすことができる。
図6において、液晶装置200には、プリチャージ回路201のTFT202(図1参照)がデータ線35毎に設けられている。このTFT202は、より具体的には、半導体層32と同一工程により形成される半導体層32”、ゲート絶縁層33と同一工程により形成されるゲート絶縁層33”及び走査線31(ゲート電極)と同一工程により形成されるプリチャージ回路駆動信号線206(ゲート電極)を備えている。半導体層32”には、TFT30の場合と同様に、ソース領域34”及びドレイン領域36”が設けられ、第2層間絶縁層42に開けられたコンタクトホール38”を通じてドレイン領域36”にはデータ線35が接続されている。また、第2層間絶縁層42に開けられたコンタクトホール37”を通じてソース領域34”にはプリチャージ信号線204が接続されている。そして、このような層構造を持つTFT202に対向する位置においてTFTアレイ基板1上に、遮光層3と同一工程により形成される遮光層3”が少なくとも半導体層32”のチャネル領域下を覆うように設けられている。しかも、TFT202は、対向基板2に設けられた遮光性の周辺見切り53に対向する位置において、TFTアレイ基板1上に設けられている。これにより、光が透過する開口領域の直近に周辺回路を形成することが可能となる。
図7の平面図に示すように、プリチャージ回路201は、プリチャージ信号線204、プリチャージ回路駆動信号線206及びデータ線35が平行に配置されている。尚、パターンレイアウトは必ずしも平行に配置する必要はない。プリチャージ信号線204は、各コンタクトホール37”を介して各TFT202のソース領域に電気的接続されており、データ線35は各コンタクトホール38”を介して各TFT202のドレイン領域に電気的接続されている。また、プリチャージ回路駆動信号線206はTFT202のゲート電極として、これらのソース領域とドレイン領域とを結ぶチャネル部分にゲート絶縁膜を介して対向配置されている。そして、チャネル部分をゲート電極と共に平面図で覆うように遮光層3”が設けられている。
尚、図7には図示していないが、サンプリング回路301のTFT302(図1参照)は、プリチャージ回路201のTFT202と同様に構成されており、TFT302に対向する位置においてTFTアレイ基板1上に、遮光層3”が設けられている。しかも、TFT302は、対向基板2に設けられた遮光性の周辺見切り53に対向する位置において、TFTアレイ基板1上に設けられている。
本実施の形態では特に、TFT30はポリシリコン膜を半導体層とするTFTであるので、TFT30の形成時に同一薄膜形成工程で、サンプリング回路201、プリチャージ回路301、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の周辺回路を形成できるので製造上有利である。例えば、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、図4(3)及び図5(3)に示したプリチャージ回路201やサンプリング回路301の場合と同様に、Nチャネル型TFT及びPチャネル型TFTから構成される相補構造の複数のTFTからTFTアレイ基板1上の周辺部分に形成される。
このように本実施の形態では、TFT30、202及び302の少なくともチャネル領域下側に遮光層3が夫々設けられているので、前述のように戻り光等による悪影響が低減されるため、TFT30のトランジスタ特性が改善され、最終的には、液晶装置200により、高コントラストで高画質の画像を表示することが可能となる。
尚、図6には示されていないが、対向基板2の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板1の投射光が出射する側には夫々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
以上説明した液晶装置200は、カラー液晶プロジェクタに適用されるため、3つの液晶装置200がRGB用のライトバルブとして夫々用いられ、各液晶装置には夫々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が入射光として夫々入射されることになる。従って、各実施の形態では、対向基板2に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、液晶装置200においてもブラックマトリックス23の形成されていない画素電極11に対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板2上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に本実施の形態の液晶装置を適用できる。更に、対向基板2上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。更にまた、対向基板2上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
液晶装置200では、従来と同様に入射光を対向基板2の側から入射することとしたが、遮光層3及び3”が存在するので、TFTアレイ基板1の側から入射光を入射し、対向基板2の側から出射するようにしても良い。即ち、このように液晶装置200を液晶プロジェクタに取り付けても、チャネル形成用の半導体層32及び32”の少なくともチャネル領域に光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで従来は、TFTアレイ基板1の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR被膜された偏光手段を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、本実施の形態では、TFTアレイ基板1の表面と半導体層層32及び32”の少なくともチャネル領域との間に遮光層3が形成されているため、このようなAR被膜された偏光手段やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板1そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、本実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光手段貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。
また、液晶装置200のスイッチング素子は、正スタガ型又はコプラナー型構造のTFTであるとして説明したが、逆スタガ型構造のTFTや他の形式のTFTに対しても、本実施の形態は有効である。
更に、液晶装置200においては、一例として液晶層50をネマティック液晶から構成したが、液晶を高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、配向膜12及び22、並びに前述の偏光フィルム、偏光手段等が不要となり、光利用効率が高まることによる液晶装置の高輝度化や低消費電力化の利点が得られる。更に、画素電極11をAl等の反射率の高い金属膜から構成することにより、液晶装置200を反射型液晶装置に適用する場合には、電圧無印加状態で液晶分子がほぼ垂直配向されたSH(スーパーホメオトロピック)型液晶などを用いても良い。更にまた、液晶装置200においては、液晶層50に対し垂直な電界(縦電界)を印加するように対向基板2の側に共通電極21を設けているが、液晶層50に平行な電界(横電界)を印加するように一対の横電界発生用の電極から画素電極11を夫々構成する(即ち、対向基板2の側には縦電界発生用の電極を設けることなく、TFTアレイ基板1の側に横電界発生用の電極を設ける)ことも可能である。このように横電界を用いると、縦電界を用いた場合よりも視野角を広げる上で有利である。その他、各種の液晶材料(液晶相)、動作モード、液晶配列、駆動方法等に本実施の形態を適用することが可能である。
(検査回路の動作)
以上説明した実施の形態では、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301を設けるようにしたが、これらに代えて又は加えて周辺見切り53下に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための所定の検査を行うためのTFTを有する検査回路を設けてもよい。図9に、このような検査回路の一例を示す。
図9において、検査回路401は、複数のTFT402を備えている。TFT402のゲートには、検査回路駆動信号TX1及びTX2を夫々供給するための駆動信号線403a及び403bが接続されている。TFT402のソースには、検査信号CX1〜CX4を夫々供給するための検査信号線404a〜404dが接続されている。そして、TFT402のドレインには、データ線35が接続されている。検査の際には、検査回路駆動信号TX1及びTX2によりTFT402が、選択的にオンオフされ、所定電圧の検査信号CX1〜CX4、所定電圧のプリチャージ信号及び所定電圧の画像信号が印加される。そして、検査信号線404a〜404dに流れる電流値が測定され、予め経験的又は理論的に得られた無欠陥品における電流値と比較される。この結果、所定種類の組み合わせでこれらの印加電圧を印加して電流を測定することにより、例えば配線間における断線の検査、配線間におけるショート(短絡)の検査、プリチャージ回路201やサンプリング回路301における回路リークの検査等を比較的簡単に行うことができる。
このように、検査回路を設ける場合にも、検査回路が有するTFTの少なくともチャネル領域下に遮光層3を設け、且つ検査回路を遮光層3と周辺見切り53との間に設けるようにすれば、両基板側からの光に対する遮光がなされているため、光によりトランジスタ特性が劣化することはない。従って、通常に画面を表示する際には使用しない検査回路からのリーク電流により画質品位が著しく低下することはない。これに加えて、走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101をTFTアレイ基板1の周辺部分に余裕を持って形成することができ、液晶装置における有効表示面積の減少を招くこともない。尚、図9のような検査回路を設ける代わりに、図9のような検査回路の機能を兼ね備えた検査回路兼用のプリチャージ回路を設けるようにしてもよい。
更に、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301に代えて又は加えて周辺見切り53下に、図8に示すように当該液晶装置を動作させるための、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等の電圧保持用のTFTを有する周辺回路を設けてもよい。これらの周辺回路はその全て、或いは一部が周辺見切り53に重なるように形成する。このような構成を採れば、シール領域は周辺回路の外側、すなわちTFTアレイ基板1の最外周に設けるようにすれば、周辺回路領域を拡大することができる。この場合も、周辺回路が有するTFTの少なくともチャネル領域下に遮光層3を設けるようにする。このように周辺回路を遮光層3と周辺見切り53との間に設ければ、両基板側からの光に対する遮光がなされているため、光によりトランジスタ特性が劣化すること(例えば、保持電圧がリークしてしまうこと)はない。特に、このような周辺回路を交流駆動の回路とすれば、周辺見切り53下に配置しても、前述の直流電圧印加による液晶層50の劣化という問題は生じない。
また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板1の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板1の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
(製造プロセス)
次に、プリチャージ回路201及びサンプリング回路301を含む液晶装置200の製造プロセスについて図10から図12を参照して説明する。
先ず、遮光層3がTFTアレイ基板1側に設けられたTFT30部分の形成について図10及び図11を参照して説明する。
図10の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス、シリコン基板等のTFTアレイ基板1を用意する。ここで、好ましくはN2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1300℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板1に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板1を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。
このように処理されたTFTアレイ基板1の全面に、スパッタリング等により、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等の少なくとも一つを含む金属、或いは金属シリサイド等の金属合金から成り、1000〜5000Å程度の層厚の遮光膜を形成する。続いて、該形成された遮光膜上にフォトリソグラフィにより遮光層3のパターンに対応するマスクを形成し、該マスクを介して遮光膜に対しエッチングを行うことにより、遮光層3を形成する。
尚、遮光層3は、少なくともTFT30の半導体層32のうちチャンネル形成用の領域、ソース領域34及びドレイン領域36をTFTアレイ基板1の裏面から見て覆うように形成される。
次に図10の工程(2)に示すように、遮光層3の上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁層41を形成する。第1層間絶縁層41の層厚は、約500〜15000Åが好ましい。或いは、熱酸化膜を形成した後、更に減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜を約500Åの比較的薄い厚さに堆積し、厚さ約2000Åの多層構造を持つ第1層間絶縁層41を形成してもよい。更に、このようなシリケートガラス膜に重ねて又は代えて、SOG(スピンオンガラス:紡糸状ガラス)をスピンコートして又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施すことにより、平坦な膜を形成してもよい。このように、第1層間絶縁層41の上面をスピンコート処理又はCMP処理により平坦化しておけば、後に上側にTFT30を形成し易いという利点が得られる。
尚、第1層間絶縁層41に対し、約900℃のアニール処理を施すことにより、汚染を防ぐと共に平坦化してもよい。
次に図10の工程(3)に示すように、第1層間絶縁層41の上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施することにより、ポリシリコン膜を約500〜2000Åの厚さ、好ましくは約1000Åの厚さとなるまで固相成長させる。この際、Nチャネル型のTFTを作成する場合には、Sb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。また、TFTをPチャネル型とする場合には、Al(アルミニウム)、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープする。尚、アモルファスシリコン膜を経ないで、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を直接形成しても良い。或いは、減圧CVD法等により堆積したポリシリコン膜にシリコンイオンを打ち込んで一旦非晶質化(アモルファス化)し、その後アニール処理等により再結晶化させてポリシリコン膜を形成しても良い。
次に図10の工程(4)に示すように、半導体層32を約900〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化することにより、約300Åの比較的薄い厚さの熱酸化膜を形成し、更に減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜を約500Åの比較的薄い厚さに堆積し、多層構造を持つゲート絶縁層33を形成する。この結果、半導体層32の厚さは、約300〜1500Åの厚さ、好ましくは約350〜450Åの厚さとなり、ゲート絶縁層33の厚さは、約200〜1500Åの厚さ、好ましくは約300Åの厚さとなる。このように高温熱酸化時間を短くすることにより、特に8インチ程度の大型基板を使用する場合に熱によるそりを防止することができる。但し、半導体層32を熱酸化することのみにより、単一層構造を持つゲート絶縁層33を形成してもよい。
次に図10の工程(5)に示すように、半導体層32上にゲート絶縁層33を介して、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を堆積した後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、ゲート電極31(走査線)を形成する。
但し、ゲート電極31(走査線)を、ポリシリコン膜ではなく、高融点金属膜又は金属シリサイド膜とp−Si膜を組み合わせて多層に形成してもよい。この場合、ゲート電極31(走査線)を、第2遮光層23が覆う領域の一部又は全部に対応する遮光膜として配置すれば、金属膜や金属シリサイド膜の持つ遮光性により、第2遮光層23の一部又は全部を省略することも可能となる。この場合特に、対向基板2とTFTアレイ基板1との貼り合わせずれによる画素開口率の低下を防ぐことが出来る利点がある。
次に図11の工程(6)に示すように、TFT30をLDD構造を持つNチャネル型のTFTとする場合、半導体層32に、先ずソース領域34及びドレイン領域36のうちチャネル側に夫々隣接する一部を構成する低濃度ドープ領域を形成するために、ゲート電極31を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパントを低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープし、続いて、ゲート電極31よりも幅の広いマスクでレジスト層をゲート電極31上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパントを高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。また、TFT30をPチャネル型とする場合、半導体層32に、ソース領域34及びドレイン領域36を形成するために、BなどのIII族元素のドーパントを用いてドープする。このようにLDD構造とした場合、ショートチャネル効果を低減できる利点が得られる。尚、このように低濃度と高濃度の2段階に分けて、ドープを行わなくても良い。例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、ゲート電極31をマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。
これらの工程と並行して、Nチャネル型TFT及びPチャネル型TFTから構成される相補型構造を持つデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板1上の周辺部に形成する。このように、TFT30はポリシリコンTFTであるので、TFT30の形成時に同一工程で、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を形成することができ、製造上有利である。
次に図11の工程(7)に示すように、ゲート電極31(走査線)を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁層42を形成する。第2層間絶縁層42の層厚は、約5000〜15000Åが好ましい。そして、ソース領域34及びドレイン領域36を活性化するために約1000℃のアニール処理を20分程度行った後、ソース電極35(データ線)に対するコンタクトホール37を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。この際、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール37を開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点がある。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、コンタクトホール37をテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。また、ゲート電極31(走査線)を図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール37と同一の工程により第2層間絶縁層42に開ける。
次に図11の工程(8)に示すように、第2層間絶縁層42の上に、スパッタリング処理等により、Al等の低抵抗金属や金属シリサイド等を、約1000〜5000Åの厚さに堆積し、更にフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、ソース電極35(データ線)を形成する。
この場合、ソース電極35(データ線)を、第2遮光層23が覆う領域の一部又は全部に対応する遮光膜として配置すれば、Al等の金属膜や金属シリサイド膜の持つ遮光性により、第2遮光層23の一部又は全部を省略することも可能となる。この場合特に、対向基板2とTFTアレイ基板1との貼り合わせずれによる画素開口率の低下を防ぐことが出来る利点がある。また、少なくとも半導体層32のチャネル領域を覆うようにソース電極35を形成し、更に、半導体層32のチャネル領域下方に配設された遮光層3の表面に入射光が直接照射されないようにソース電極35で覆うようにする。これにより、入射光及び戻り光から半導体層32のチャネル領域を保護できることから、ポリシリコン膜の光電変換効果によるTFTのリーク電流を低減できる。
次に図11の工程(9)に示すように、ソース電極35(データ線)上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁層43を形成する。第3層間絶縁層43の層厚は、約5000〜15000Åが好ましい。或いは、このようなシリケートガラス膜に代えて又は重ねて、有機膜やSOG(スピンオンガラス)をスピンコートして、若しくは又はCMP処理を施して、平坦な膜を形成してもよい。
更に、画素電極11とドレイン領域36とを電気的接続するためのコンタクトホール38を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。この際、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール38を開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点が得られる。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、コンタクトホール38をテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。
次に図11の工程(10)に示すように、第3層間絶縁層43の上に、スパッタリング処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜を、約500〜2000Åの厚さに堆積し、更にフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極11を形成する。尚、当該液晶装置200を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極11を形成してもよい。
続いて、画素電極11の上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、図1に示した配向膜12が形成される。
次に、遮光層3”がTFTアレイ基板1側に設けられたプリチャージ回路201のTFT202部分の形成について図8のB−B’断面図に基づいて図12を参照して説明する。
プリチャージ回路201のTFT202部分の形成については、図10及び図11を参照して説明したTFT30部分の形成と図10の工程(1)から図11の工程(6)までは、同一の薄膜形成工程で行われる。従って、その説明は省略する。
この場合、第2層間絶縁層42にアニール処理を施すまでは図11の工程(7)と同様であるが、その後、図12の工程(7)に示すように、プリチャージ信号線204に対するコンタクトホール37”と共にデータ線35に対するコンタクトホール38”を、図11の工程(7)と並行して、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
次に図12の工程(8)に示すように、図11の工程(8)と同一の薄膜形成工程により、第2層間絶縁層42の上に、スパッタリング処理等により、Al等の低抵抗金属や金属シリサイド等を堆積する。更に図11の工程(8)と並行して、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、所定パターンを夫々持つプリチャージ信号線204及びデータ線35を形成する。
次に図12の工程(9)に示すように、図11の工程(9)と同一の薄膜形成工程により、データ線35及びプリチャージ信号線204上を覆うようにシリケートガラス等からなる第3層間絶縁層43を形成する。そして、図11の工程(10)の薄膜形成工程により、第3層間絶縁層43の上に堆積されるITO膜等の透明導電性薄膜については、エッチング処理等により全て除去する。
尚、遮光層3”がTFTアレイ基板1側に設けられたサンプリング回路301のTFT302部分の形成については上述のプリチャージ回路201のTFT202部分の形成と同様であるので、その説明は省略する。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶装置200を備えた電子機器の実施の形態について図13から図18を参照して説明する。
先ず図13に、このように液晶装置200を備えた電子機器の概略構成を示す。
図13において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、前述の走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101を含む駆動回路1004、前述のように構成されたプリチャージ回路及びサンプリング回路が設けられた液晶装置200、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101によって前述の駆動方法により液晶装置200を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶装置200を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
次に図14から図18に、このように構成された電子機器の具体例を夫々示す。
図14には、液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962G及び962Bとして用いた投射型プロジェクタの光学系の概略構成図を示し、図15は、図14のE−E’断面図である。本例の投射型表示装置の光学系には、前述した光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット6を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。従って、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。尚、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
本実施の形態では、液晶装置962R、962G、962Bには、TFTの下側に遮光層が設けられているため、当該液晶装置962R、962G、962Bからの投射光に基づく液晶プロジェクタ内の投射光学系による反射光、投射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光、他の液晶装置から出射した後に投射光学系を突き抜けてくる投射光の一部等が、戻り光としてTFTアレイ基板の側から入射しても、画素電極のスイッチング用のTFT、あるいはサンプリング回路のTFT、プリチャージング回路のTFT、検査回路のTFT、或いはデータ線駆動回路や走査線駆動回路等の周辺回路等のチャネルに対する遮光を十分に行うことができる。
このため、小型化に適したプリズムユニットを投射光学系に用いても、各液晶装置962R、962G、962Bとプリズムユニットとの間において、戻り光防止用のフィルムを別途配置したり、偏光手段に戻り光防止処理を施したりすることが不要となるので、構成を小型且つ簡易化する上で大変有利である。
また、本実施の形態では、戻り光によるTFTのチャネル領域への影響を抑えることができるため、液晶装置に直接戻り光防止処理を施した偏光手段を貼り付けなくてもよい。そこで、図14及び図15に示されるように、偏光手段を液晶装置から離して形成、より具体的には、一方の偏光手段961R、961G、961Bはプリズムユニット910に貼り付け、他方の偏光手段960R、960G、960Bは集光レンズ953、945、944に貼り付けることが可能である。このように、偏光手段をプリズムユニットに貼り付けることにより、偏光手段の熱は、プリズムユニットで吸収されるため、液晶装置の温度上昇を防止することができる。
また、図15に示されるように、液晶装置と偏光手段と間を離して形成することにより、液晶装置と偏光手段との間には空気層ができるため、例えばプリズムユニットの上側あるいは下側の一方に冷却手段を設け、冷却手段から液晶装置と偏光手段との間に冷風等の送風を送風口990から送り込むことにより、液晶装置の温度上昇をさらに防ぐことができ、液晶装置の温度上昇による誤動作を防ぐことができる。
図16において、電子機器の他の例たるラップトップ型のパーソナルコンピュータ1200は、上述した液晶装置200がトップカバーケース内に備えられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
図17において、電子機器の他の例たるページャ1300は、金属フレーム1302内に前述の駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載されて液晶モジュールをなす液晶装置200が、バックライト1306aを含むライトガイド1306、回路基板1308、第1及び第2のシールド板1310及び1312、二つの弾性導電体1314及び1316、並びにフィルムキャリアテープ1318と共に収容されている。この例の場合、前述の表示情報処理回路1002(図13参照)は、回路基板1308に搭載してもよく、液晶装置200のTFTアレイ基板上に搭載してもよい。更に、前述の駆動回路1004を回路基板1308上に搭載することも可能である。
また図18に示すように、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を搭載しない液晶装置200の場合には、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を含むIC1324がポリイミドテープ1322上に実装されたTCP(Tape Carrier Package)1320に、TFTアレイ基板1の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して物理的且つ電気的に接続して、液晶装置として、生産、販売、使用等することも可能である。
以上図14から図18を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図13に示した電子機器の例として挙げられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、戻り光等に対する遮光性能が高く、優れたトランジスタ特性を持つTFTにより、高品位の画像表示が可能な液晶装置を備えた各種の電子機器を実現できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、例えばTFT等からなる第1、第2及び第3スイッチング素子において戻り光等に起因して光電流が発生してスイッチング特性が劣化する事態は未然に防止されるので、優れたスイッチング特性を持つスイッチング素子により、高品位の画像表示が可能となる。更にサンプリング回路やプリチャージ回路を従来のように遮光性のケースに入れられた第1基板の周辺部分に配置する必要性はないので、例えば、これらの回路を周辺見切り下に配置することにより、周辺見切りの下というデッドスペースを有効利用することも可能となる。
また、戻り光等に起因して半導体層に光電流が発生してTFTのトランジスタ特性が劣化する事態は未然に防止されるので、優れたトランジスタ特性を持つTFTにより、高品位の画像表示が可能となる。