JP2009281904A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP2009281904A
JP2009281904A JP2008135015A JP2008135015A JP2009281904A JP 2009281904 A JP2009281904 A JP 2009281904A JP 2008135015 A JP2008135015 A JP 2008135015A JP 2008135015 A JP2008135015 A JP 2008135015A JP 2009281904 A JP2009281904 A JP 2009281904A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
cantilever
sample
amplitude
probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008135015A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoshige Sato
藤 智 重 佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2008135015A priority Critical patent/JP2009281904A/ja
Publication of JP2009281904A publication Critical patent/JP2009281904A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)

Abstract

【課題】 間歇モードAFMにおいて、真空中でQ値の高いカンチレバを用いても安定したAM検出を行なえるようにする。
【解決手段】 試料1と探針5の間に働く原子間力の変化によって生じたカンチレバ4の加振周波数の変化は、常にPLL回路20によって検出されてカンチレバ4の加振周波数となる。振幅量を検出するために増幅器10から振幅検出部11に入力される入力信号の周波数Finは、原子間力によってシフトした周波数である。即ち、振幅検出部11から出力される振幅量の信号は、シフトしたスペクトルの最大振幅となるので、カンチレバの固有振動数の変化が測定中に連続して発生しても、AM検出による正常な測定を続けることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、先端に探針を有し他端が支持されたカンチレバを加振しながら試料表面に接近させ、探針と試料との間に生じる原子間力やその他の物理量を検出して試料表面の形状観察などを行なう走査型プローブ顕微鏡に係わり、特に探針を試料に間歇接触させて測定を行なう方法の改良に関する。
走査型プローブ顕微鏡の測定方法には、試料に探針を接触させて走査するコンタクト(接触)モードと、探針が試料に接触しない状態で走査し加振されたカンチレバの固有振動数の変化を検出するノンコンタクト(非接触)モードと、カンチレバを加振しながら探針を試料に接近させ間歇的に軽く接触させる間歇接触モード(タッピングモード、サイクリック接触モード、DFMモード等とも呼称される)とがある。
コンタクトモードでは、原子サイズの高分解能測定が可能であるが、試料表面に探針が接触しながら走査が行なわれるため、試料表面や探針が損傷する場合がある。その一方、ノンコンタクトモードでは試料表面と探針が接触する問題は無いが、一般的に分解能や形状変化に対する信号検出の応答速度が劣るという欠点がある。間歇接触モードはこれらの折衷案として開発されたもので、高分子、有機物、生物試料等の比較的柔らかい試料の形状測定に有効とされる。
図2に、間歇モードで測定を行なう従来の走査型プローブ顕微鏡の概略構成例を示す。図2において、先端に探針5が固定されたカンチレバ4は、加振ピエゾ素子6により固有振動数或いはその近傍の周波数で加振される。7は加振ピエゾ素子6を加振するための発振信号を出力する発振器である。2は試料1と探針5との間の距離を制御するためのZピエゾスキャナ、3は試料1と探針5とが対向する位置を水平方向に相対的に移動させるためのXYピエゾスキャナ、16はXYピエゾスキャナを駆動するXY走査制御部である。
8はカンチレバ4の背面にレーザを照射するためのレーザ光源、9は試料1と探針5との間に作用する力によるカンチレバ4の変位をレーザ光の反射強度変化により検出する変位検出器、10は変位検出器9の出力信号を増幅する増幅器、11は10によって増幅された変位検出器9の出力信号の振幅量を検出する振幅検出部である。振幅検出部11は、入力信号の振幅量を直流電圧(DC)の実効値として検出するRMS(Root-Mean-Square)-DC回路からなる。
12は基準信号発生器13から入力される参照電圧Vrと振幅検出部11から出力された振幅量の実効値(電圧)との誤差を検出して誤差信号を出力する誤差増幅器、17は誤差増幅器12から出力された誤差信号を増幅する増幅器、18は増幅器17によって増幅された誤差信号の低周波数のみを通過するローパスフィルタ、14はローパスフィルタ18を通過した誤差信号に基づいてZピエゾスキャナ2を駆動制御するZ軸駆動制御部、15はローパスフィルタ18を通過した誤差信号に基づいて試料1の表面形状を画像表示するための画像信号処理部である。なお図示はしていないが、走査型プローブ顕微鏡の全体の制御と、得られる測定データの処理と表示を行なう制御演算装置を備えている。
このように構成された走査型プローブ顕微鏡において、試料1の測定は以下に述べるように行なわれる。
Zピエゾスキャナ2に試料1がセットされた状態で、発振器7からの加振信号が加振ピエゾ素子6に供給される。加振ピエゾ素子6が振動することにより、カンチレバ4がその固有振動数(共振周波数)で加振され、その周波数で発振した状態に保持される。この状態で、Z軸駆動制御部14によりZピエゾスキャナ2を駆動して試料1に探針5を接近させると、試料1に探針5の間に原子間力が働くようになる。この原子間力により、カンチレバ4の共振周波数(すなわち加振ピエゾ素子6による加振周波数)からシフトし、その振動振幅も変化する。
カンチレバ4の共振周波数及び振動振幅は、変位検出器9により検出され、増幅器10を経て振幅検出部11により共振周波数の振幅量が直流電圧(DC)の実効値として検出される。誤差増幅器12により、振幅検出部11の出力と基準信号発生器13から入力される参照電圧Vrとの誤差が検出される。この誤差信号は増幅器17によって増幅され、ローパスフィルタ18を通過した低周波数の信号がZピエゾスキャナ2に供給されるとともに、画像信号処理部15に供給され、試料表面の形状情報として図示しない表示装置に画像表示される。上記のように振幅検出部11で検出される振動振幅値に基づいてZピエゾスキャナ2を制御する方法は、AM検出法、振幅制御法などと呼称される。
従来のAM検出法において、カンチレバ4は固定された振動数で加振されている。即ち、試料観察の前に、カンチレバ4の振動周波数に対する振幅の関係を測定し、固有振動数を決定した後、カンチレバ4にある振幅Voを与えるために加振ピエゾ6に供給する電圧が設定される。
図3は、共振特性Q値が1000程度の比較的Q値が低いカンチレバを用いて測定した共振スペクトルデータである。横軸はカンチレバの振動周波数、縦軸は振動振幅の大きさを表す。これらスペクトルは、周波数掃引を低周波数側からと高周波数側から行なった結果を組み合わせて表示している。点線で示す部分は推定された部分である。なお、共振特性Q値は共振ピークの周波数をν、ピークの半値幅をΔνとすると、Q=ν/Δν で与えられ、共振スペクトルのピークの鋭さをあらわすパラメータである。
図3において、スペクトル1は試料1と探針5との間に原子間力(この場合は引力)が働いていない場合のスペクトルである。スペクトル2〜5は、試料1と探針5との間の距離が減少して引力が増加するのに伴い、ピーク先端が低周波数側に折れ曲がった形状となることを示している。即ち、ピーク先端は引力が増すのにつれて低周波数側に移動するが、ピークの麓は殆ど移動していない。従って、このようにカンチレバのQ値が低い場合は、AM検出法によってZピエゾスキャナ2の制御を正常に行なうことができる。
これに対して、図4は、Q値が10000程度の比較的Q値が高いカンチレバを用いて測定した共振スペクトルデータである。試料1と探針5との間に原子間力が働いていない場合のスペクトル1に対して、スペクトル2〜8は引力が増加するのに伴いピーク全体が低周波数側に移動していくことが分かる。そのため、AM検出法では斥力による力を制御することができなくなる。
従来のAM検出法の場合、固有振動数かその近傍の周波数でカンチレバを一定加振するため、僅かに引力が増加しただけで見かけの振幅が激減することになる。図5は、この事情を説明するための模式図である。図5において、カンチレバに原子間力の働いていないときに得られるスペクトル1の共振ピーク周波数と振幅はfとA、引力が僅かに増加した時のスペクトル2の共振ピーク周波数と振幅はfとAである。スペクトル2の振幅Aはスペクトル1の振幅Aに比べて僅かに低くなるだけであるが、カンチレバのQ値が高いため、スペクトル全体が低周波数側に移動している。そのため、周波数fにおけるスペクトル2の見かけの振幅はAとなり、本来の振幅Aに比べて著しく低い値となってしまう。
カンチレバの固有振動数が測定中に変化する要因として、例えば温度変化が挙げられる。カンチレバの温度が低下すると固有振動数は増加し、上昇すると減少する。また例えば、ガス分子がカンチレバに付着することによって質量が変化しても固有振動数は変化する。こうしたカンチレバの固有振動数の変化が測定中に連続して発生すると、一定周波数で加振を行なう従来のAM検出法では振幅が変化してしまうことになる。その結果、同一視野内で均一な条件下での測定が行なえないということになる。最悪の場合はフィードバック制御が働かず、測定そのものが行なえなくなる。
カンチレバを大気中や液中で振動させると強い抵抗がかかるためQ値は一般に低下するが、真空中で通常のカンチレバを発振させると、そのQ値はおよそ10000程度になってしまう。上述したノンコンタクトモードにおいては、図4に示すような共振周波数の変化を検出してZピエゾスキャナの制御を行なう周波数制御法(FM検出法)が多く用いられる。しかし、FM検出法には表面の凹凸変化に対する応答が遅いという欠点があり、また原子間力のうち斥力領域の測定を行なうためにはどうしてもAM検出法を使用する必要がある。
そのため、例えば特許文献1の特開平11−337560号公報には、カンチレバの保持力を可変できる構造とすることによりQ値を制御するようにした技術が開示されている。また、特許文献2の特開2004−163392号公報には、カンチレバから変位検出信号を増幅する可変増幅器を設け、該可変増幅器の出力を該カンチレバの発振信号に重畳させる回路を構成し、該可変増幅器の増幅率を調整することによってQ値を制御する技術が開示されている。
特開平11−337560号公報 特開2004−163392号公報
特許文献1の特開平11−337560号公報に開示されているQ値制御技術は、カンチレバを加振するために二つのアクチュエータを備え、そのひとつのアクチュエータによりカンチレバを弾性体に押し付ける機械的手段で調整を行なうため最適値で制御を行なうことが容易ではないという問題がある。
また、特許文献2の特開2004−163392号公報に開示されているQ値制御技術は、Q値を制御できる範囲が限られており、必ずしも所望するQ値に設定できなという問題点がある。
また、そもそもQ値を低くして測定ができたとしても、高いQ値での高感度測定を行なうという目的を達することはできない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、真空中で高いQ値を持つカンチレバを用いてAM検出法によって測定を行なうとき、カンチレバの固有振動数の変化が測定中に連続して発生しても、Zピエゾスキャナの制御を安定して行い、間歇接触モードで測定を行なうことのできる走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
上記の問題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、先端に探針を有し他端が支持されたカンチレバと、該カンチレバを固有振動数で加振する加振手段と、該探針と試料とを対向させて該試料と前記探針とが対向する位置を水平方向に相対的に移動させるXY軸走査手段と、前記試料と前記探針との距離に応じて変化する前記カンチレバの変位を検出する変位検出手段と、前記変位検出手段の出力電圧信号と参照電圧との誤差を検出する誤差検出手段と、前記誤差検出手段によって検出された前記誤差に基づいて前記試料と前記探針との間の距離を制御するZ軸駆動手段とを有する走査型プローブ顕微鏡において、
前記変位検出手段の検出信号を入力信号とし、該入力信号の周波数を電圧に変換して出力するとともに該電圧を電圧制御発振器により周波数信号に変換して前記入力信号の入力側にフィードバックする周波数-電圧変換手段と、前記周波数-電圧変換手段の出力電圧を前記加振手段にフィードバックするフィードバック手段とを備えたことを特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、前記周波数-電圧変換手段のフィードバックループをクローズしてフィードバックが動作する状態と、前記フィードバックループをオープンして前記電圧制御発振器の周波数を固定する状態との切り換えを行なう切り換え手段を設けたことを特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、前記誤差検出手段で検出される誤差が予め設定した閾値を超えたか否かを判定する判定手段を備え、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記周波数-電圧変換手段のフィードバックループをクローズからオープンに切り換えるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、真空中で高いQ値を持つカンチレバを用いても、カンチレバの振動周波数の変化を検出して常に共振周波数ピークの最大振幅を測定できるようにしたので、測定中に例えばカンチレバの温度変化や質量変化が生じて、カンチレバの固有振動数が刻々変化してしまうような場合にも安定したAM検出(振幅検出)を行なうことができる。そのため、真空中における間歇接触モードの測定において、早い応答でノイズの少ない表面形状の測定を行なうことができる。また、カンチレバの振動周波数の変化を検出しているので、AM検出により試料表面の形状情報を得ると同時に磁気力や静電気力等の測定を行なうことが可能となる。
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。各図において、同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。
図1は本発明を実施するための走査型プローブ顕微鏡の概略構成例である。図1において、先端に探針5が固定されたカンチレバ4は、加振ピエゾ素子6により固有振動数或いはその近傍の周波数で加振される。2はZピエゾスキャナ、3はXYピエゾスキャナ、16はXYピエゾスキャナを駆動するXY走査制御部である。8はレーザ光源、9は変位検出器、10は変位検出器9の出力信号を増幅する増幅器、11は増幅器10の出力信号の振幅量を検出する振幅検出部、12は誤差増幅器、17は誤差増幅器12から出力された誤差信号を増幅する増幅器、18はローパスフィルタ、14はZ軸駆動制御部、15は画像信号処理部である。
20はPLL(Phase Lock Loop)回路で、位相比較器21、ループフィルタ22及びVCO(Voltage Controlled Oscillator;電圧制御可変発振器)23とからなる。増幅器10で増幅された変位検出器9の出力信号は二つに分けられ、振幅検出部11と位相比較器21に入力される。19はPLL回路20のフィードバックループがオープンとなるようにVCO23の周波数を固定する状態と、該フィードバックループがクローズとなるようにVCO23の周波数を可変可能とする状態との切り換えを行なう切り換え制御部である。なお図示はしていないが、走査型プローブ顕微鏡の全体の制御と、得られる測定データの処理と表示を行なう制御演算装置を備えている。
(実施の形態1)
このように構成された本発明の走査型プローブ顕微鏡における試料1の測定方法について以下に述べる。
始めに、試料表面の形状測定を行なうときの試料1と探針5との距離を決める方法を説明する。
Zピエゾスキャナ2に試料1がセットされた状態で、PLL回路20のフィードバックループをオープンとしフィードバックが働かない状態にして、VCO23からの発振周波数により加振ピエゾ素子6を加振する。カンチレバ4がその固有振動数(共振周波数)の近傍で加振され、その周波数で発振した状態に保持される。
次に、PLL回路20のフィードバックループをクローズとし、フィードバックが働く状態に設定する。Z軸駆動制御部14によりZピエゾスキャナ2を駆動して試料1に探針5を接近させると、試料1に探針5の間に原子間力が働き、カンチレバ4は試料1と探針5との距離に応じてシフトした共振周波数で振動する。そのシフトした周波数はPLL回路20により検出され、VOC23からの出力として加振ピエゾ素子6に印加される。これによりカンチレバ4は、試料1と探針5との距離に応じた共振周波数で自励発振が制御される。
上記のように試料表面の形状測定を行なうための基準となる試料1と探針5との距離が決まる。この状態でXY走査制御部16によりXYピエゾスキャナ3を走査させると、表面の凹凸状態によって変化するカンチレバ4の共振周波数及び振動振幅は変位検出器9により検出される。増幅器10により増幅された変位検出器9の出力信号は二つに分けられ、振幅検出器11とPLL回路20の入力信号(周波数Fin)となる。
増幅器10からPLL回路20の位相比較器21に入力した信号はPLL回路によってフィードバックがかけられ、VCO23の出力信号(周波数Fout)が入力信号(周波数Fin)と同じ周波数となるようにフィードバックされる。それとともに、VCO23の出力信号(周波数Fout)は加振ピエゾ素子6に送られ、カンチレバ4が周波数Foutで加振されることになる。
振幅検出部11に入力した信号の振幅量は、RMS-DC回路により直流電圧(DC)の実効値として検出される。振幅検出部11の出力は誤差増幅器12により、基準信号発生器13から入力される参照電圧Vrとの誤差が検出される。この誤差信号は増幅器17によって増幅され、ローパスフィルタ18を通過した低周波数の信号がZピエゾスキャナ2に供給され、誤差信号がゼロとなるように、即ち試料1と探針5との距離が一定に保たれるようにフィードバック制御される。また、誤差信号は画像信号処理部15に供給され、試料表面の形状情報として図示しない表示装置に画像表示される。
一方、試料1と探針5の間に働く原子間力の変化(即ち、試料1と探針5との距離の変化)によって生じたカンチレバ4の加振周波数の変化は、常にPLL回路20によって検出されてカンチレバ4の加振周波数となる。振幅量を検出するために増幅器10から振幅検出部11に入力される入力信号の周波数は、原子間力によってシフトした周波数である。即ち、振幅検出部11から出力される振幅量の信号は、図5における振幅Aのような低下した大きさとはならず、シフトしたスペクトル2の最大振幅である振幅Aのような大きさとなるので正常な測定を続けることができる。
以上述べたよう、真空中でQ値の高いカンチレバを用いても、カンチレバの振動周波数の変化を検出して常に共振周波数ピークの最大振幅を測定できるようにしたので、測定中に例えばカンチレバの温度変化や質量変化が生じて、カンチレバの固有振動数が刻々変化してしまうような場合にも安定したAM検出(振幅検出)を行なうことができる。
ところで、表面の凹凸状態を測定中、PLL回路20のフィードバックループがクローズされていると、ループフィルタ22からは周波数Finに相当する電圧Vが出力される。電圧Vを画像信号処理部15に送れば、カンチレバの振動周波数の変化を画像化することができる。
もし試料表面とカンチレバとの間に例えば磁気力や静電気力等の力が働いている場合、この周波数信号の変化によってこうした力の変化を観察することが可能である。即ち、本発明によれば、AM検出により試料表面の形状情報を得ると同時に磁気力や静電気力等の測定を行なうことが可能となる。なお、磁気力の測定を行なう場合は、カンチレバに取り付けられる探針に、コバルトやニッケル等の強磁性体の物質をコーティングしたものを用いる必要がある。
(実施の形態2)
次に、PLL回路20のフィードバックループを自動的にクローズからオープンに切り換える方法について説明する。例えば磁気力や静電気力等の力の変化を位相の変化により測定するためには、カンチレバを固定周波数で加振する必要がある。従来はこの測定に用いる固定周波数を操作者が決めているため、手間がかかり面倒であった。本発明では図6の模式図を用いて以下に説明するように、この固定周波数を自動的に設定することができる。
図6において、スペクトル1は試料1と探針5とが離れた状態でのカンチレバ4の共振スペクトルを表す。試料表面の形状測定が可能な状態にまで試料1と探針5が接近したときの共振スペクトルをスペクトル3とする。スペクトル1とスペクトル3の振幅の差をΔAとすると、試料1に探針5を接近させるための振幅変化の目標値がΔAとなる。PLL回路20のフィードバックループがクローズの状態でスペクトル1が得られているとき、試料1と探針5を接近させていくと、カンチレバ4の共振スペクトルの固有振動数が変化するとともに振幅検出部11で検出される振幅が小さくなっていく。このとき検出される振幅が、目標値ΔAに対して例えばΔA/10以内に小さくなったか(図6においてスペクトル2の状態)否かを判定する。小さくなっていれば切換制御部19を動作させてPLL回路20のフィードバックループをオープンにすれば、カンチレバ4はそのときの共振周波数で固定加振される。なお、この判定と切換制御部19の制御は、図示しない制御演算装置によって行なわれる。
この状態でXY走査制御部16によりXYピエゾスキャナ3を走査させると、表面の凹凸状態によって変化するカンチレバ4の共振周波数及び振動振幅は変位検出器9により検出される。増幅器10により増幅された変位検出器9の出力信号は二つに分けられ、振幅検出器11とPLL回路20の入力信号(周波数Fin)となる。
振幅検出部11に入力した信号の振幅量は、RMS-DC回路により直流電圧(DC)の実効値として検出される。振幅検出部11の出力は誤差増幅器12により、基準信号発生器13から入力される参照電圧Vrとの誤差が検出される。この誤差信号は増幅器17によって増幅され、ローパスフィルタ18を通過した低周波数の信号がZピエゾスキャナ2に供給され、誤差信号がゼロとなるように、即ち試料1と探針5との距離が一定に保たれるようにフィードバック制御される。また、誤差信号は画像信号処理部15に供給され、試料表面の形状情報として図示しない表示装置に画像表示される。
一方、PLL回路20のVCO23の周波数は固定されているので、ループフィルタ22から位相信号を取り出して画像信号処理部15に送ることができる。そのため、試料表面とカンチレバとの間に例えば磁気力や静電気力等の力が働いて生じた位相信号の変化を観察することが可能となる。
上記したように、本発明によれば、カンチレバの加振周波数を固定して、試料表面の凹凸測定と磁気力や静電気力等の力変化の測定を同時に行なう際に、固定すべきカンチレバの周波数を自動的に設定することが可能となる。

本発明を実施する走査型プローブ顕微鏡の概略構成例を示す図。 従来の走査型プローブ顕微鏡の概略構成例を示す図。 比較的Q値が低いカンチレバを用いて測定した共振スペクトルデータの例。 比較的Q値が高いカンチレバを用いて測定した共振スペクトルデータの例。 従来のAM検出法で見かけの振幅が激減する様子を説明するための図。 カンチレバの固定周波数を自動的に設定する方法を説明するための図。
符号の説明
(同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付す。)
1…試料
2…Zピエゾスキャナ
3…XYピエゾスキャナ
4…カンチレバ
5…探針
6…加振ピエゾ素子
7…発振器
8…レーザ光源
9…変位検出器
10…増幅器
11…振幅検出部
12…誤差増幅器
13…基準信号発生器
14…Z軸駆動制御部
15…画像信号処理部
16…XY走査制御部
17…増幅器
18…ローパスフィルタ
19…切り換え制御部
20…PLL回路
21…位相比較器
22…ループフィルタ
23…VCO

Claims (3)

  1. 先端に探針を有し他端が支持されたカンチレバと、該カンチレバを固有振動数で加振する加振手段と、該探針と試料とを対向させて該試料と前記探針とが対向する位置を水平方向に相対的に移動させるXY軸走査手段と、前記試料と前記探針との距離に応じて変化する前記カンチレバの変位を検出する変位検出手段と、前記変位検出手段の出力電圧信号と参照電圧との誤差を検出する誤差検出手段と、前記誤差検出手段によって検出された前記誤差に基づいて前記試料と前記探針との間の距離を制御するZ軸駆動手段とを有する走査型プローブ顕微鏡において、
    前記変位検出手段の検出信号を入力信号とし、該入力信号の周波数を電圧に変換して出力するとともに該電圧を電圧制御発振器により周波数信号に変換して前記入力信号の入力側にフィードバックする周波数-電圧変換手段と、前記周波数-電圧変換手段の出力電圧を前記加振手段にフィードバックするフィードバック手段とを備えた、ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 前記周波数-電圧変換手段のフィードバックループをクローズしてフィードバックが動作する状態と、前記フィードバックループをオープンして前記電圧制御発振器の周波数を固定する状態との切り換えを行なう切り換え手段を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 前記誤差検出手段で検出される誤差が予め設定した閾値を超えたか否かを判定する判定手段を備え、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記周波数-電圧変換手段のフィードバックループをクローズからオープンに切り換えるようにした、ことを特徴とする請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
JP2008135015A 2008-05-23 2008-05-23 走査型プローブ顕微鏡 Withdrawn JP2009281904A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008135015A JP2009281904A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 走査型プローブ顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008135015A JP2009281904A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 走査型プローブ顕微鏡

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009281904A true JP2009281904A (ja) 2009-12-03

Family

ID=41452495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008135015A Withdrawn JP2009281904A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 走査型プローブ顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009281904A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021092572A (ja) * 2017-03-28 2021-06-17 株式会社日立ハイテクサイエンス 走査型プローブ顕微鏡

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021092572A (ja) * 2017-03-28 2021-06-17 株式会社日立ハイテクサイエンス 走査型プローブ顕微鏡

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020112575A (ja) 化学的撮像用の原子間力顕微鏡赤外線分光法及び装置
JP5307244B2 (ja) 走査プローブ顕微鏡によりピエゾ電気応答を測定する方法
US8726409B2 (en) Method for driving a scanning probe microscope at elevated scan frequencies
US8065908B2 (en) Scan type probe microscope
JP4496350B2 (ja) 原子間力顕微鏡
JP2013544368A (ja) ピークフォースタッピングモードを使用して試料の物理的特性を測定するための方法および装置
JPH11160333A (ja) 走査プローブ顕微鏡
JP4851375B2 (ja) 位相フィードバックafmの制御方法及び位相フィードバックafm
JP4960347B2 (ja) より高次の高調波原子間力顕微鏡
JP4474556B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP4913242B2 (ja) ダイナミックモードafm装置
JP2000346784A (ja) 粘弾性分布測定方法
JP2009281904A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP3637297B2 (ja) 磁気記録ヘッド測定装置及び同装置に適用する測定方法
JP3935350B2 (ja) 距離制御方法およびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡
US7854015B2 (en) Method for measuring the force of interaction in a scanning probe microscope
JP2003185555A (ja) 周波数検出方法およびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡
JP2004226238A (ja) 試料の表面形状観察装置
JP3274087B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
WO2013054715A1 (ja) 走査型プローブ顕微鏡およびその制御方法
JP2010071674A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH09318637A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP2004122278A (ja) 走査型プローブの制御装置とそれによる加工装置および観察装置、プローブの加振方法とそれを用いた加工方法
JP2010078329A (ja) 接触式原子間力顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20110802