JP2009281245A - 電磁駆動弁の中立位置調整方法 - Google Patents

電磁駆動弁の中立位置調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁においても、容易且つ的確に調整を行うことのできる電磁駆動弁の中立位置調整方法を提供する。
【解決手段】弁体17の開方向へのフラップ14の揺動を適正位置にて係止するようにストッパ32を設置する工程、トーションバー26の撓みを低減して油圧式ラッシュアジャスタ19を伸長させる工程、その撓みの低減された状態からフラップ14がストッパ32と当接するまでトーションバー26の固定端を回動する工程、及びフラップ14がストッパ32と当接したときの位置にてトーションバー26の固定端を固定する工程を通じて、トーションバー26の発生する弾性力とロアスプリング22の発生する弾性力との釣り合いが保たれるフラップ14の中立位置を適正位置に調整するようにした。
【選択図】図9

Description

本発明は、電磁駆動弁の中立位置調整方法に関する。
近年、内燃機関の機関バルブ(吸排気バルブ)を開閉駆動する動弁システムとして、機械式のカム機構に代えて、電磁力と弾性力との協働により開閉駆動を行う電磁駆動弁を採用するシステムの開発、採用が進められている。
図11に、そうした従来の電磁駆動弁の構成を示す。なお同図に例示の電磁駆動弁は、電磁力により動作される可動部材として揺動可能に軸支されたフラップを備えるフラップ式電磁駆動弁として構成されている。
同図に示すように、このフラップ式電磁駆動弁は、その駆動部を収容するハウジング50に揺動可能に軸支されたフラップ51を備えている。フラップ51は、ハウジング50に回動可能に軸支された円管形状の軸部51Aと、その軸部51Aから突出するように設けられた平板形状のディスク部51Bとにより形成されている。なお円管形状に形成された軸部51Aの内部には、トーションバー58が配設されており、このトーションバー58の弾性力によってフラップ51は、その先端が下方に揺動する側に向けて常時付勢されている。
フラップ51のディスク部51Bの先端部の下面には、機関バルブの弁体54の上端に設けられたカムフォロワ55が当接されている。弁体54は、上下方向に摺動可能に軸支されており、ロアスプリング56によって上方に向けて常時付勢されている。
一方、フラップ51のディスク部51Bの上下には、2つの電磁石、すなわちアッパ電磁石52及びロア電磁石53がそれぞれ配設されている。そしてフラップ51は、アッパ電磁石52の発生する電磁力により上方に、ロア電磁石53の発生する電磁力により下方に、それぞれ吸引されるようになっている。
こうした電磁駆動弁では、アッパ電磁石52のコイルに通電すると、発生した電磁力により吸引されて、フラップ51が上方に揺動するようになる。このときの弁体54は、ロアスプリング56の弾性力によって、フラップ51の揺動に応じて上方に押し上げられて閉弁する。またロア電磁石53のコイルに通電すると、発生した電磁力により吸引されて、フラップ51が下方に揺動するようになる。このときの弁体54は、そのフラップ51の先端によって、ロアスプリング56の弾性力に抗して下方に押し下げられて開弁する。よって、アッパ電磁石52のコイルへの通電と、ロア電磁石53のコイルへの通電とを周期的に切り替えることで弁体54が開閉駆動されるようになる。
なお、内燃機関の動弁システムの多くには、タペットクリアランスを「0」に自動調節するラッシュアジャスタが設けられている。こうしたラッシュアジャスタとしては通常、内燃機関の潤滑油の油圧を利用して上記タペットクリアランスの調整(タペット調整)を行う油圧式ラッシュアジャスタ(HLA:Hydraulic LashAdjuster)が使用されている。
従来、こうしたラッシュアジャスタの設けられた電磁駆動弁として、特許文献1に記載のものが知られている。同文献に記載の電磁駆動弁は、同図11に示すように、油圧式ラッシュアジャスタ57が弁体54に設けられたものとなっている。この油圧式ラッシュアジャスタ57は、弁軸方向の圧縮荷重に応じて時定数を有して弁体54の全長を伸縮する。具体的には、こうした油圧式ラッシュアジャスタ57が設けられた弁体54は、弁軸方向の圧縮荷重を受けると時間とともにその全長が徐々に縮むようになり、またそうした圧縮荷重が解放されると時間とともにその全長が徐々に伸びるようになる。そしてこうした弁体54の伸縮により、タペット調整が行なわれるようになっている。
特開2007−56781号公報
ところで、上記のような電磁力と弾性力との協働により開閉駆動を行う電磁駆動弁の動作性を良好とするには、電磁石の電磁力により吸引されて動作する可動部材に作用する弾性力の釣り合いが保たれる同可動部材の動作位置(中立位置)が適切な位置となるように調整する必要がある。例えば先の図11に示したフラップ式電磁駆動弁では、フラップ51がその揺動範囲の丁度中央の位置するときに、フラップ51に作用するトーションバー58の弾性力とロアスプリング56の弾性力とが釣り合うようにしなければ、アンバランスとなって電磁駆動弁の動作性が悪化してしまうようになる。こうした電磁駆動弁の中立位置調整は、例えばトーションバー58の予撓み量を増減して、フラップ51の揺動位置が上記揺動範囲の中央位置にあるときのトーションバー58の弾性力を、そのときのロアスプリング56の弾性力とバランスさせることで行うことができる。
しかしながら、上記のようなラッシュアジャスタが設置された電磁駆動弁にあっては、こうした中立位置調整は、非常に困難となる。これは次の理由による。
フラップ51に作用するトーションバー58の弾性力とロアスプリング56の弾性力とが、図12(a)に示される状態で釣り合ったとする。このときの油圧式ラッシュアジャスタ57には、トーションバー58の弾性力とロアスプリング56の弾性力による圧縮荷重が作用している。そのため、このまま放置すれば、時間の経過とともに油圧式ラッシュアジャスタ57が徐々に縮んでいくようになる。そしてその結果、図12(b)に示されるように弁体54の全長が縮んで、フラップ51の中立位置が弁体54の開弁側(図中下方)に変位するようになる。したがって、中立位置の調整中にも、時間とともに油圧式ラッシュアジャスタ57が縮むようになる。すなわち、フラップ51の中立位置が開弁側に次第に変位していく状態で中立位置調整を行なわなければならないことになる。そして油圧式ラッシュアジャスタ57が縮んだ状態で調整を行えば、トーションバー58の予撓み量が過少となり、フラップ51の中立位置が適正位置よりも閉弁側に設定されてしまい、フラップ51に作用する弾性力がアンバランスとなって、電磁駆動弁の良好な動作性を確保することができなくなってしまうようになる。
なおこうした問題は、上記のようなフラップ式電磁駆動弁の中立位置調整に限らず、上記のようなラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁の中立位置調整に共通するものとなっている。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、ラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁においても、容易且つ的確に中立位置の調整を行うことのできる電磁駆動弁の中立位置調整方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
(請求項1)
上記課題を解決するため、電磁駆動弁の中立位置調整方法としての請求項1に記載の発明は、開閉駆動される弁体を有するとともに、前記弁体の開方向及び閉方向の内の一方を第1方向とし、他方を第2方向としたときに、前記第1方向及び前記第2方向に変位可能に配設されて、前記第2方向への変位に応じて前記弁体を同第2方向に押圧可能な可動部材と、その可動部材を前記第1方向に吸引する電磁力を発生する第1電磁石と、同可動部材を前記第2方向に吸引する電磁力を発生する第2電磁石と、前記可動部材を前記第2方向に向けて付勢する弾性力を発生する第1弾性部材と、前記弁体を前記第1方向に向けて付勢する弾性力を発生する第2弾性部材と、印加される荷重に応じて開閉方向における前記弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、前記第1弾性部材の発生する弾性力と前記第2弾性部材の発生する弾性力との釣り合いが保たれる前記可動部材の中立位置を適正位置に調整する方法であって、前記可動部材の前記第2方向への変位を前記適正位置にて係止するようにストッパを設置する工程と、前記第1弾性部材の撓みを低減して前記ラッシュアジャスタを伸長させる工程と、その低減された前記第1弾性部材の撓みを前記可動部材が前記ストッパと当接するまで増大させる工程と、前記可動部材が前記ストッパに当接したときの量にて前記第1弾性部材の予撓み量を固定する工程と、を備えることをその要旨としている。
上記方法は、弁体の開方向及び閉方向のうちの一方を第1方向、他方を第2方向としたときに、以下のA)〜G)の各要素を備える電磁駆動弁を対象として中立位置調整を行うものとなっている。
A)開閉駆動される弁体。
B)第2方向への変位に応じて弁体を第2方向に押圧可能な可動部材。
C)可動部材を第1方向に吸引する電磁力を発生する第1電磁石。
D)可動部材を第2方向に吸引する電磁力を発生する第2電磁石。
E)可動部材を第2方向に向けて付勢する弾性力を発生する第1弾性部材。
F)弁体を第1方向に向けて付勢する弾性力を発生する第2弾性部材。
G)印加される荷重に応じて開閉方向における弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタ。
こうした電磁駆動弁では、可動部材はその第2方向への変位に応じて弁体を同方向に押圧することができるようになっている。この可動部材は、第1弾性部材の弾性力にて第2方向に向けて付勢されており、また弁体と当接した状態では、弁体を通じて伝達される第2弾性部材の弾性力にて第1方向に向けて付勢される。こうした電磁駆動弁を、第1電磁石及び第2電磁石のいずれもが電磁力を発生していない状態で放置すれば、可動部材は、これに作用する第1弾性部材の弾性力と第2弾性部材の弾性力とが釣り合う位置、すなわち中立位置に留まることになる。
ここで第1電磁石が電磁力を発生すると、可動部材は第1方向に変位するようになる。このときの弁体は、可動部材からの第2方向への押圧が除荷されることから、第2弾性部材の弾性力により、可動部材と共に第2方向へと変位するようになる。一方、第2電磁石が電磁力を発生すると、可動部材は第2方向に変位するようになる。このときの弁体は、その可動部材の押圧により、第2弾性部材の弾性力に抗して第2方向へと変位するようになる。したがって、第1電磁石と第2電磁石とを交互に電磁力を発生させれば、弁体が第1方向、第2方向に交互に変位するように、すなわち開閉駆動されるようになる。
こうした電磁駆動弁を適切に動作させるには、可動部材に作用する両弾性部材の弾性力のバランスを適宜に調整する必要がある。そこで上記方法では、第1弾性部材の予撓み量の変更により、上記のような可動部材の中立位置が適切な位置となるように調整することで、電磁駆動弁の動作性を良好に確保するようにしている。上記方法では、そうした中立位置調整を、以下の各工程1)〜4)を通じて行うようにしている。
1)中立位置の調整目標となる位置(適正位置)にて、可動部材の上記第2方向への変位を係止するようにストッパを設置する工程。
2)第1弾性部材の撓みを低減することで、ラッシュアジャスタの印加荷重を緩和して、同ラッシュアジャスタを伸長させる工程。
3)上記工程2)にて低減した撓みを増大して第1弾性部材の弾性力を強め、これにより、可動部材を第2方向へと変位させる工程。すなわち、撓みを増大して第1弾性部材の弾性力を強めると、可動部材に作用する弾性力のバランスが保たれる位置が第2方向へと変化して、可動部材は第2方向へと変位することになる。このときの第1弾性部材の撓みの増大は、可動部材がストッパに当接するまで、すなわち可動部材がその中立位置の適正位置に変位するまで行われる。なお、ここでの第1弾性部材の撓みの増大によっては、ラッシュアジャスタへの印加荷重も増大するため、時間の経過とともにラッシュアジャスタが徐々に縮まるようになる。ただし、このときの適正位置への可動部材の変位は、可動部材の変位量を測定せずとも、ストッパとの当接にて容易に確認可能であり、速やか且つ正確に行うことができる。そのため、この間のラッシュアジャスタの縮みを、比較的小さいものに留めることが可能となる。
4)可動部材が上記適正位置に変位したときの状態で、第1弾性部材の予撓み量を固定する工程。このときの可動部材に作用する両弾性部材の弾性力は釣り合っており、この状態で第1弾性部材の予撓み量を固定すれば、可動部材の中立位置が上記適正位置に設定されるようになる。しかも、上記のように、本方法では、可動部材の適正位置への変位を速やかに行って、この時点でのラッシュアジャスタの縮みを小さく留めることが可能であるため、その縮みによる中立位置の誤差も小さく抑えることができる。なおここでの第1弾性部材の予撓み量とは、可動部材がある特定の変位位置に位置するときの第1弾性部材の撓み量を言う。こうした予撓み量を大きくすれば、可動部材に作用する第1弾性部材の弾性力はより強くなり、可動部材の中立位置は第2方向に変位することになる。逆に予撓み量を小さくすれば、可動部材に作用する第1弾性部材の弾性力はより弱くなり、可動部材の中立位置は第1方向に変位することになる。
以上のように上記方法では、ラッシュアジャスタの縮み量が小さいうちに、可動部材の中立位置の設定を行うことが可能である。したがって上記方法によれば、ラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁においても、容易且つ的確に中立位置の調整を行うことができるようになる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法において、前記ストッパの設置前に、前記第1方向及び前記第2方向の前記可動部材の最大変位位置をそれぞれ測定し、その測定結果から前記適正位置を求めるようにしたことをその要旨としている。
上記方法では、ストッパの設置に先立って、第1方向及び第2方向、すなわち開方向及び閉方向の可動部材の最大変位位置がそれぞれ測定される。可動部材の中立位置の適正位置は、開方向及び閉方向における可動部材の最大変位位置から正確に割り出すことができる。例えば中立位置を可動部材の変位範囲の中央の位置に設定する場合には、可動部材の開方向における最大変位位置と閉方向における最大変位位置との中央の位置が最適位置となる。そこで上記方法では、その測定結果から適正位置を求め、その結果に基づいてストッパが設置されるようになる。そのため、ストッパをより適切な位置に設置することができるようになり、電磁駆動弁の中立位置調整をより的確に行うことができるようになる。
(請求項3)
上記課題を解決するため、電磁駆動弁の中立位置調整方法としての請求項3に記載の発明は、開閉駆動される弁体と、揺動可能に軸支されて前記弁体の開方向への揺動に応じて前記弁体を開方向に押圧可能なフラップと、前記弁体の閉方向へと前記フラップを吸引する電磁力を発生するアッパ電磁石と、前記弁体の開方向へと前記フラップを吸引する電磁力を発生するロア電磁石と、一端が固定された固定端とされ、他端が前記フラップの揺動軸と一体に回動する可動端とされたトーションバーと、前記弁体をその閉方向へと付勢するロアスプリングと、印加される荷重に応じて開閉方向における前記弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、前記トーションバーの発生する弾性力と前記ロアスプリングの発生する弾性力との釣り合いが保たれる前記フラップの中立位置を適正位置に調整する方法であって、前記弁体の開方向への前記フラップの揺動を前記適正位置にて係止するようにストッパを設置する工程と、前記トーションバーの撓みを低減して前記ラッシュアジャスタを伸長させる工程と、その撓みの低減された状態から前記フラップが前記ストッパと当接するまで前記トーションバーの固定端を回動する工程と、前記フラップが前記ストッパと当接したときの位置にて前記トーションバーの固定端を固定する工程と、を備えることをその要旨としている。
上記方法は、以下のH)〜N)の各要素を備える電磁駆動弁を対象として中立位置調整を行うものとなっている。
H)開閉駆動される弁体。
I)揺動可能に軸支されて弁体の開方向への揺動に応じて同弁体を開方向に押圧可能なフラップ。
J)弁体の閉方向へとフラップを吸引する電磁力を発生するアッパ電磁石。
K)弁体の開方向へとフラップを吸引する電磁力を発生するロア電磁石。
L)一端が固定された固定端とされ、他端がフラップの揺動軸と一体に回動する可動端とされたトーションバー。
M)弁体をその閉方向へと付勢するロアスプリング。
N)印加される荷重に応じて開閉方向における弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタ。
こうした電磁駆動弁では、フラップは弁体の開方向への変位に応じて、同弁体を同方向に押圧可能となっている。このフラップは、トーションバーの弾性力にて弁体の開方向に向けて付勢されており、また弁体と当接した状態では、弁体を通じて伝達されるロアスプリングの弾性力にて弁体の閉方向に向けて付勢される。こうした電磁駆動弁を、アッパ電磁石及びロア電磁石のいずれもが電磁力を発生していない状態で放置すれば、フラップは、これに作用するトーションバーの弾性力とロアスプリングの弾性力とが釣り合う位置、すなわち中立位置に留まることになる。
ここでアッパ電磁石が電磁力を発生すると、フラップは弁体の閉方向に変位するようになる。このときの弁体は、フラップからの開方向への押圧が除荷されることから、ロアスプリングの弾性力により、フラップと共に閉方向へと変位するようになる。一方、ロア電磁石が電磁力を発生すると、フラップは弁体の開方向に変位するようになる。このときの弁体は、そのフラップの押圧により、ロアスプリングの弾性力に抗して開方向へと変位するようになる。したがって、アッパ電磁石とロア電磁石とを交互に電磁力を発生させれば、弁体が開閉駆動されるようになる。
こうした電磁駆動弁を適切に動作させるには、フラップに作用するトーションバー及びロアスプリングの弾性力のバランスを適宜に調整する必要がある。そこで上記方法では、トーションバーの固定端の固定角度の変更により、上記のようなフラップの中立位置が適切な位置となるように調整することで、電磁駆動弁の動作性を良好に確保するようにしている。上記方法では、そうした中立位置調整を、以下の各工程1)〜4)を通じて行うようにしている。
1)弁体の開方向へのフラップの揺動を上記適正位置にて係止するようにストッパを設置する工程。
2)トーションバーの撓みを低減して、ラッシュアジャスタの印加荷重を緩和することで、同ラッシュアジャスタを伸長させる工程。
3)上記工程2)にて低減した撓みを増大してトーションバーの弾性力を強め、これにより、フラップを弁体の開方向へと揺動させる工程。すなわち、撓みを増大してトーションバーの弾性力を強めると、フラップに作用する弾性力のバランスが保たれる揺動位置が弁体の開方向へと変化して、フラップは弁体の開方向へと揺動することになる。このときのトーションバーの撓みの増大は、フラップがストッパに当接するまで、すなわちフラップがその中立位置の適正位置に揺動するまで行われる。なお、ここでのトーションバーの撓みの増大によっては、ラッシュアジャスタへの印加荷重も増大するため、時間の経過とともにラッシュアジャスタが徐々に縮まるようになる。ただし、このときの適正位置へのフラップの変位は、フラップの変位量を測定せずとも、ストッパとの当接にて容易に確認可能であり、速やか且つ正確に行うことができる。そのため、この間のラッシュアジャスタの縮みを、比較的小さいものに留めることが可能となる。
4)フラップがストッパと当接したときの位置にてトーションバーの固定端を固定する工程。このときのフラップに作用するトーションバー、ロアスプリングの弾性力は釣り合っており、この状態でトーションバーの固定端を固定すれば、フラップの中立位置が上記適正位置に設定されるようになる。しかも、上記のように、本方法では、この時点でのラッシュアジャスタの縮みを小さく留めることが可能であるため、その縮みによる中立位置の誤差も小さく抑えることができる。
以上のように上記方法では、ラッシュアジャスタの縮み量が大きくならないうちに、フラップの中立位置の設定を行うことが可能である。したがって上記方法によれば、ラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁においても、容易且つ的確に中立位置の調整を行うことができるようになる。
なおこの請求項3は、請求項1の中立位置調整方法を、上記の如く構成されたフラップ式の電磁駆動弁への適用に特化させたものとなっている。係るフラップ式の電磁駆動弁にあっては、そのフラップが請求項1の可動部材に、そのアッパ電磁石が請求項1の第1電磁石に、そのロア電磁石が請求項1の第2電磁石に、そのトーションバーが請求項1の第1弾性部材に、そのロアスプリングが請求項1の第2弾性部材にそれぞれ対応した構成となっている。また請求項1での第1弾性部材の予撓み量は請求項3においては、フラップがある特定の揺動位置に位置するときのトーションバーの撓み量を、より具体的には、そのときのトーションバーの固定端と可動端と捻れ角に相当する。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法において、前記ストッパの設置前に、前記開方向及び前記閉方向における前記フラップの最大揺動位置をそれぞれ測定し、その測定結果から前記適正位置を求めるようにしたことをその要旨としている。
上記方法では、ストッパの設置に先立って、開方向及び閉方向におけるフラップの最大揺動位置がそれぞれ測定される。フラップの適切な中立位置(適正位置)は、開方向及び閉方向におけるフラップの最大揺動位置から正確に割り出すことができる。例えばフラップの揺動範囲の中央の位置を中立位置に設定する場合には、フラップの開方向における最大揺動位置と閉方向における最大揺動位置との中央の位置が最適位置となる。そこで上記方法では、その測定結果から適正位置を求め、その結果に基づいてストッパが設置されるようになる。そのため、ストッパをより適切な位置に設置することができるようになり、電磁駆動弁の中立位置調整をより的確に行うことができるようになる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法において、前記電磁駆動弁は、内燃機関の機関バルブとして用いられることをその要旨としている。
このように請求項1乃至4に記載の中立位置調整方法は、内燃機関の機関バルブ、すなわち吸気バルブや排気バルブとして用いられる電磁駆動弁への適用が可能である。
以下、本発明の電磁駆動弁の中立位置調整方法を具体化した一実施形態を、図1〜図10を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る中立位置調整方法の適用対象となる電磁駆動弁の側部断面構造を示している。この電磁駆動弁は、電磁力と弾性力との協働によるフラップ14の揺動を通じて弁体を開閉駆動するフラップ式電磁駆動弁として構成されており、内燃機関の機関バルブ(吸排気バルブ)として使用されるものとなっている。
内燃機関のシリンダヘッド10の上面には、当該電磁駆動弁のアクチュエータ部分の外郭をなすハウジング11が固定されている。このハウジング11は、互いに平行に離間配置された2枚の側板11A,11B(同図ではそのうちの1枚(側板11A)のみを図示)を備えて構成されている。各側板11Aには、ベアリングハウジング12となる円形孔が同軸を有するようにそれぞれ形成されている。そして各ベアリングハウジング12の内部には、ベアリング13がそれぞれ固定されている。
これらのベアリング13には、上記可動部材としてのフラップ14が揺動可能に取り付けられている。このフラップ14は、円管形状をなして、ベアリング13にその両端を回動可能に軸支される円管形状の軸部14Aと、その軸部14Aから突出形成された平板形状のディスク部14Bとからなっている。
フラップ14のディスク部14Bの上下には、アッパ電磁石15とロア電磁石16との2つの電磁石がそれぞれ配設されている。これらのアッパ電磁石15及びロア電磁石16は、電磁石の芯材となるコア15A,16A、それらコア15A,16Aの内部に配設されたコイル15B,16B、及びコア15A,16Aの背面、すなわちディスク部14Bと対向する側と反対側の面に固定されたバックプレート15C,16Cをそれぞれ有して構成されている。なお、これらアッパ電磁石15及びロア電磁石16は、そのバックプレート15C,16Cにおいて、ハウジング11の側板11Aにボルト固定されている。
さてこうしたハウジング11の前側(図中左側)には、機関バルブの弁体17が配設されている。弁体17は、その下端に設けられた傘状のバルブ部18、そのバルブ部18に油圧式ラッシュアジャスタ19を介して連結された中間ステム20、その中間ステム20の上端に設けられたカムフォロワ21を備えて構成されている。ここでバルブ部18は、内燃機関の吸排気ポートの出口部分に配設され、その上下動に応じて吸排気ポートを燃焼室に対して開閉するものとなっている。また油圧式ラッシュアジャスタ19は、上下方向の圧縮荷重の解除及び印加に応じて伸縮することで、弁体17のタペット調整を自動的に行うものとなっている。更に弁体17は、その中間ステム20において、ロア電磁石16のバックプレート16Cの前部に固定されたストロークベアリング23に上下方向に摺動可能に軸支され、またそのカムフォロワ21を介して、ディスク部14Bの先端部下面に固定されたチップ24に当接されるようになっている。
なおこうした弁体17のバルブ部18の上方には、シリンダヘッド10の上面との間で圧縮された状態でロアスプリング22が配設されている。そしてこのロアスプリング22の弾性力により、弁体17全体が上方に向けて常時付勢されており、ひいてはそのカムフォロワ21が、フラップ14のディスク部14Bを上方に向けて常時押圧するように構成されている。
図2は、こうした電磁駆動弁の側面構造を示している。同図に示すように、ハウジング11の左側の側板11Bの外面には、ボルト27及びノックピン28(図3参照)を用いて中立位置調整プレート25が固定されている。なお中立位置調整プレート25のボルト穴29は、図中左右方向に伸びた長穴に形成されており、側板11Bに対する中立位置調整プレート25の取付角度を調整可能とされている。
また同図のA−A線に沿った電磁駆動弁の断面構造を図3に示すように、円管形状に形成されたフラップ14の軸部14Aの内部には、トーションバー26が収容されている。このトーションバー26は、その図中左方の端部26Aが軸部14Aに、その図中右方の端部26Bが中立位置調整プレート25にそれぞれ固定されている。すなわち、トーションバー26の図中右方の端部26Bは、ハウジング11に固定された固定端となっており、またその図中左方の端部26Aは、フラップ14の揺動に応じて回動する可動端となっている。トーションバー26は、捻じりを加えられた状態で、すなわち予撓みを与えられた状態で配設されており、その弾性力にてフラップ14を下方に揺動させる側に常時付勢するようになっている。
以上の如く構成された電磁駆動弁では、そのフラップ14は、トーションバー26の弾性力により、下方に揺動される側に付勢されるとともに、カムフォロワ21の押圧を通じて伝達されるロアスプリング22の弾性力により、上方に揺動される側に付勢されるようになっている。そしてこの電磁駆動弁では、後述する中立位置調整によって、フラップ14に加わるトーションバー26の弾性力とロアスプリング22の弾性力とが釣り合う同フラップ14の揺動位置、すなわちフラップ14の中立位置が、フラップ14の揺動範囲の中央位置となるように設定されている。
こうした電磁駆動弁では、アッパ電磁石15及びロア電磁石16のいずれのコイル15B,16Bにも通電を行わない状態で放置すれば、フラップ14は上記中立位置にて静止するようになる。ここでアッパ電磁石15のコイル15Bに通電すれば、発生する電磁力によりディスク部14Bが吸引されてフラップ14は上方に揺動するようになる。こうしてフラップ14のディスク部14Bの先端が上方に変位すると、弁体17がロアスプリング22の弾性力により、カムフォロワ21とチップ24との当接を維持しつつ上方に移動し、バルブ部18が閉じられるようになる。その後、コイル15Bへの通電を遮断して、ロア電磁石16のコイル16Bに通電すれば、今度はフラップ14が下方へと揺動されるようになる。このときの弁体17は、ディスク部14Bによる下方への押圧により、ロアスプリング22の弾性力に抗して下方へと移動し、バルブ部18が開かれるようになる。したがって、アッパ電磁石15のコイル15Bへの通電とロア電磁石16のコイル16Bへの通電とを交互に繰り返すことで、弁体17のバルブ部18が開閉駆動されるようになる。
さて、こうした電磁駆動弁の動作性を良好とするには、上述したフラップ14の中立位置を、適正位置である同フラップ14の揺動範囲の中央位置に設定し、フラップ14に加わるトーションバー26の弾性力とロアスプリング22の弾性力とのバランスを良好に保つことが必要となる。そのため、電磁駆動弁の製造工程の最終段階において、フラップ14の中立位置を適正位置へと調整するための中立位置調整が行なわれる。
以下、本実施の形態における電磁駆動弁の中立位置調整方法の詳細を説明する。中立位置調整にあたっては、中立位置調整プレート25を側板11Bに仮固定した状態としておく。この仮固定の状態では、中立位置調整プレート25は、トーションバー26の軸芯を中心としての回動が許容された状態となっている。
ここで図4に示すような態様で、電磁駆動弁に中立位置調整装置を取り付ける。中立位置調整装置は、中立位置調整プレート25を一体回動可能に保持する保持具30と、その保持具30をトーションバー26の軸芯を中心として回動する駆動装置31とにより構成されている。こうした駆動装置31には、トーションバー26の弾性力に抗して中立位置調整プレート25を回動できるだけの十分な回動力を出力可能とされており、本実施の形態ではそうした駆動装置31をモータにより構成している。
保持具30は、図5にその平面構造を示すように、矩形の枠形状に形成されており、駆動装置31の回動軸31Aに一体回動可能に連結されている。この保持具30の内周の幅は、中立位置調整プレート25と同幅とされており、中立位置調整プレート25の両側を挟んでこれを確実に保持できるようになっている。
続いて、フラップ14の適正な中立位置(適正位置)の計測を行う。この計測は、次の手順で行なわれる。まずアッパ電磁石15のコア15Aに当接した状態でのフラップ14の位置Puを、すなわちフラップ14の開方向(上方)における最大揺動位置を測定する。次に中立位置調整装置による中立位置調整プレート25の回動を通じて、フラップ14を閉方向(下方)における最大揺動位置まで揺動させ、そのときのフラップ14の位置Plを測定する。ここで上述したように、フラップ14の適正な中立位置は、その揺動範囲の中央位置であるため、ここで測定した両位置Pu,Plのちょうど中央の位置Pmが上記適正位置となる(以上、図6参照)。
そして図7に示すように、この位置Pmにて弁体17の開方向へのフラップ14の揺動を、すなわち下方へのフラップ14の揺動を係止するようにストッパ32を設置する。より詳しくは、フラップ14が上記位置Pmに位置するときにそのディスク部14Bの下面に当接するようにストッパ32を設置する。このストッパ32は、シリンダヘッド10上に載置された支柱33に高精度に高さ調節可能に設けられており、フラップ14の係止時に同フラップ14を介して伝達されるトーションバー26の弾性力に抗してその位置を保持できるように十分な強度で支柱33に固定される。
また図8に示すように、このときには、中立位置調整装置による中立位置調整プレート25の図中時計回り方向の回動を通じて、フラップ14をそのディスク部14Bがアッパ電磁石15のコア15Aと当接する位置まで揺動させた状態でしばらく放置するようにしている。この状態では、トーションバー26の撓みが緩和され、またロアスプリング22はほぼ伸び切った状態となる。そのため、油圧式ラッシュアジャスタ19は圧縮荷重から解放され、伸長するようになる。
こうして油圧式ラッシュアジャスタ19を伸ばした後、図9に示すように、中立位置調整装置による中立位置調整プレート25の図中反時計回り方向に回動させる。ここでの中立位置調整プレート25の図中反時計回り方向への回動によっては、トーションバー26の撓みが増大され、その弾性力が強められる。そのため、フラップ14に作用する弾性力のバランスが保たれる揺動位置(中立位置)が、中立位置調整プレート25の回動とともに弁体17の開方向へと変化して、フラップ14は弁体17の開方向(下方)へと揺動されるようになる。このときの中立位置調整装置による中立位置調整プレート25の図中反時計回り方向の回動、すなわちトーションバー26の撓みの増大は、フラップ14がストッパ32に当接するまで、すなわちフラップ14の中立位置が上記適正位置に変位するまで継続される。そして中立位置調整プレート25を、そのときの位置にて保持しておくようにしている。
なお、ここでのトーションバー26の撓みの増大によっては、油圧式ラッシュアジャスタ19に印加される圧縮荷重も増大するため、時間の経過とともに油圧式ラッシュアジャスタ19が徐々に縮まるようになる。ただし、このときの適正位置へのフラップ14の変位は、フラップ14の変位量を測定せずとも、ストッパ32との当接にて容易に確認可能であり、速やか且つ正確に行うことができる。そのため、この間の油圧式ラッシュアジャスタ19の縮みは、極小さいものに留められるようになる。
そして図10に示すように、フラップ14がストッパ32と当接したときの位置にて、中立位置調整プレート25をハウジング11の側板11Bに固定する。これにより、トーションバー26の固定端となる端部26Bが固定されるようになる。このときのフラップ14に作用するトーションバー26、ロアスプリング22の弾性力は釣り合っており、この状態でトーションバー26の固定端を固定することで、電磁駆動弁の中立位置調整が完了することになる。
なお、こうした本実施の形態と請求項1の構成要素との対応関係は、以下の通りとなっている。すなわち、本実施の形態では、フラップ14が上記可動部材に、アッパ電磁石15が第1電磁石に、ロア電磁石16が第2電磁石に、トーションバー26が第1弾性部材に、ロアスプリング22にそれぞれ対応している。また本実施の形態にあっては、弁体17の閉方向が請求項1における第1方向となり、弁体17の開方向が請求項1における第2方向となっている。更に本実施の形態にあって、第1弾性部材の予撓み量とは、フラップ14がある特定の揺動位置に位置するときのトーションバー26の撓み量を、より具体的には、そのときのトーションバー26の固定端(端部26B)と可動端(端部26A)と捻れ角に相当する。
以上説明した本実施の形態の電磁駆動弁の中立位置調整方法によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態では、トーションバー26の発生する弾性力とロアスプリング22の発生する弾性力との釣り合いが保たれるフラップ14の中立位置の適正位置への調整を、以下の手順1)〜4)を通じて行うようにしている。まず弁体17の開方向へのフラップ14の揺動を上記適正位置にて係止するようにストッパ32を設置する。またトーションバー26の撓みを低減して、印加荷重を緩和することで、油圧式ラッシュアジャスタ19を伸長させる。その後、低減した撓みを増大してトーションバー26の弾性力を強め、これにより、フラップ14を弁体17の開方向へと揺動させる。そしてフラップ14がストッパ32と当接したときの位置にてトーションバー26の固定端(端部26B)を固定する。こうした中立位置調整方法では、油圧式ラッシュアジャスタ19の縮みを極小さいものに留めつつ、正確且つ速やかにフラップ14の中立位置を適正位置に変位させることができる。また一旦、フラップ14の中立位置を適正位置に変位した後は、フラップ14及び中立位置調整プレート25の位置を保持しておくことができ、容易且つ適切に中立位置調整プレート25の固定を行なうことができる。したがって、ラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁においても、容易且つ的確に中立位置の調整を行うことができるようになる。
(2)本実施の形態では、ストッパ32の設置前に、開方向及び閉方向におけるフラップ14の最大揺動位置をそれぞれ測定し、その測定結果から適正位置を求めるようにしている。そのため、ストッパ32の設置をより適切に行ない、電磁駆動弁の中立位置調整をより的確に行うことができるようになる。
なお上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、モータを駆動源として中立位置調整プレート25を回動させて、中立位置調整中にトーションバー26の撓みを増減させていたが、モータ以外の駆動源を駆動装置31として使用して中立位置調整を行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、ストッパ32の設置位置を決めるため、開方向及び閉方向におけるフラップ14の最大揺動位置をそれぞれ測定し、その測定結果から適正位置を求めるようにしていた。もっとも、そうした測定を行なわずとも、ストッパ32を十分正確な位置に設置可能であれば、適正位置の測定に係る工程を割愛するようにしても良い。
上記実施の形態では、フラップ14の揺動範囲の中央の位置を適正な中立位置として中立位置調整を行うようにしていた。ただし、必要とされる電磁駆動弁の動作特性によっては、それ以外の位置に中立位置を設定することが求められることがある。そうした場合にも、ストッパ32の設置位置を適宜に変更すれば、上記実施の形態と同様の態様で中立位置調整を行うことができる。
・上記実施の形態では、タペット調整用のラッシュアジャスタとして、油圧式のラッシュアジャスタを採用していたが、油圧式以外のラッシュアジャスタを採用する電磁駆動弁にも、本発明の中立位置調整方法を適用することができる。
・上記実施の形態では、その中立位置調整方法の適用対象となる電磁駆動弁は、フラップ14を下方へと揺動させることで弁体17を開き、フラップ14を上方へと揺動させることで弁体17を閉じるように構成されていた。もっとも、本発明は、弁体17の開閉方向がこれとは逆となる構成の電磁駆動弁にも、その適用が可能である。すなわち、フラップ14の下方への揺動により弁体17を下方へと押圧することで弁体17を閉じ、フラップ14の上方への揺動によりフラップ14による弁体17への押圧を解除することで弁体17を開くように構成された電磁駆動弁にも、本発明に係る中立位置調整方法を同様に適用することができる。なおこの場合には、弁体17の開方向が請求項1での第1方向に、弁体17の閉方向が請求項1での第2方向に、それぞれ相当することになる。
・上記実施の形態では、いわゆるフラップ式の電磁駆動弁を中立位置調整の対象としていた。もっとも、本発明の中立位置調整方法は、以下の各構成要素A)〜G)を備える電磁駆動弁であれば、その適用が可能である。なおここでは、弁体の開方向及び閉方向のうちの一方を第1方向とし、他方を第2方向としている。
A)開閉駆動される弁体。
B)第2方向への変位に応じて弁体を第2方向に押圧可能な可動部材。
C)可動部材を第1方向に吸引する電磁力を発生する第1電磁石。
D)可動部材を第2方向に吸引する電磁力を発生する第2電磁石。
E)可動部材を第2方向に向けて付勢する弾性力を発生する第1弾性部材。
F)弁体を第1方向に向けて付勢する弾性力を発生する第2弾性部材。
G)印加される荷重に応じて開閉方向における弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタ。
こうした電磁駆動弁では、第1及び第2電磁石の電磁力と第1及び第2弾性部材の弾性力との協働により弁体が開閉駆動されるようになっている。こうした電磁駆動弁の良好な動作性を確保するには、可動部材に作用する両弾性部材の弾性力を適宜にバランスさせる必要があり、そのため可動部材の中立位置調整を行わなければならないことがある。なお、上記電磁駆動弁はラッシュアジャスタを備えており、調整中にラッシュアジャスタが荷重を受けて縮み、その結果、中立位置調整が困難となってしまうことがある。そうした場合にも、以下の各工程1)〜4)を通じて中立位置調整を行うことで、容易且つ的確にその調整を行うことができるようになる。
1)中立位置の調整目標となる位置(適正位置)にて、可動部材の上記第2方向への変位を係止するようにストッパを設置する工程。
2)第1弾性部材の撓みを低減することで、ラッシュアジャスタの印加荷重を緩和して、同ラッシュアジャスタを伸長させる工程。
3)上記工程2)にて低減した撓みを増大して第1弾性部材の弾性力を強め、これにより、可動部材を第2方向へと変位させる工程。
4)可動部材が上記適正位置に変位したときの状態で、第1弾性部材の予撓み量を固定する工程。
・上記実施の形態では、内燃機関の吸排気バルブとして使用される電磁駆動弁を中立位置調整の対象としていたが、本発明に係る中立位置調整方法は、それ以外の用途に使用される電磁駆動弁にも同様に適用することができる。
本発明の第1実施形態についてその適用対象となる電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 同電磁駆動弁の側面構造を示す側面図。 図2のA−A線に沿った断面構造を、すなわちフラップの軸部及びその周辺部の断面構造を示す断面図。 中立位置調整にあたり中立位置調整装置の取り付けられた状態の上記電磁駆動弁の正面構造を示す正面図。 上記中立位置調整装置の保持具の平面構造を示す平面図。 最大揺動位置測定中の電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 ストッパの設置工程での電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 ラッシュアジャスタを伸長させる工程での電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 適正位置へとフラップの中立位置を変位される工程での電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 トーションバーの固定端を固定する工程での電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 従来のラッシュアジャスタ付き電磁駆動弁の側部断面構造を示す断面図。 従来の中立位置調整方法について(a)調整作業の初期段階及び(b)一定時間が経過した段階の側部断面構造をそれぞれ示す断面図。
符号の説明
10…シリンダヘッド、11…ハウジング、14…フラップ(可動部材)、15…アッパ電磁石(第1電磁石)、16…ロア電磁石(第2電磁石)、17…弁体、19…油圧式ラッシュアジャスタ、22…ロアスプリング(第2弾性部材)、25…中立位置調整プレート、26…トーションバー(第1弾性部材)、26A…トーションバーの端部(可動端)、26B…トーションバーの端部(固定端)、32…ストッパ。

Claims (5)

  1. 開閉駆動される弁体を有するとともに、前記弁体の開方向及び閉方向の内の一方を第1方向とし、他方を第2方向としたときに、前記第1方向及び前記第2方向に変位可能に配設されて、前記第2方向への変位に応じて前記弁体を同第2方向に押圧可能な可動部材と、その可動部材を前記第1方向に吸引する電磁力を発生する第1電磁石と、同可動部材を前記第2方向に吸引する電磁力を発生する第2電磁石と、前記可動部材を前記第2方向に向けて付勢する弾性力を発生する第1弾性部材と、前記弁体を前記第1方向に向けて付勢する弾性力を発生する第2弾性部材と、印加される荷重に応じて開閉方向における前記弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、前記第1弾性部材の発生する弾性力と前記第2弾性部材の発生する弾性力との釣り合いが保たれる前記可動部材の中立位置を適正位置に調整する方法であって、
    前記可動部材の前記第2方向への変位を前記適正位置にて係止するようにストッパを設置する工程と、
    前記第1弾性部材の撓みを低減して前記ラッシュアジャスタを伸長させる工程と、
    その低減された前記第1弾性部材の撓みを前記可動部材が前記ストッパと当接するまで増大させる工程と、
    前記可動部材が前記ストッパに当接したときの量にて前記第1弾性部材の予撓み量を固定する工程と、
    を備えることを特徴とする電磁駆動弁の中立位置調整方法。
  2. 前記ストッパの設置前に、前記第1方向及び前記第2方向の前記可動部材の最大変位位置をそれぞれ測定し、その測定結果から前記適正位置を求めるようにした請求項1に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法。
  3. 開閉駆動される弁体と、揺動可能に軸支されて前記弁体の開方向への揺動に応じて前記弁体を開方向に押圧可能なフラップと、前記弁体の閉方向へと前記フラップを吸引する電磁力を発生するアッパ電磁石と、前記弁体の開方向へと前記フラップを吸引する電磁力を発生するロア電磁石と、一端が固定された固定端とされ、他端が前記フラップの揺動軸と一体に回動する可動端とされたトーションバーと、前記弁体をその閉方向へと付勢するロアスプリングと、印加される荷重に応じて開閉方向における前記弁体の長さを伸縮させるラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、前記トーションバーの発生する弾性力と前記ロアスプリングの発生する弾性力との釣り合いが保たれる前記フラップの中立位置を適正位置に調整する方法であって、
    前記弁体の開方向への前記フラップの揺動を前記適正位置にて係止するようにストッパを設置する工程と、
    前記トーションバーの撓みを低減して前記ラッシュアジャスタを伸長させる工程と、
    その撓みの低減された状態から前記フラップが前記ストッパと当接するまで前記トーションバーの固定端を回動する工程と、
    前記フラップが前記ストッパと当接したときの位置にて前記トーションバーの固定端を固定する工程と、
    を備えることを特徴とする電磁駆動弁の中立位置調整方法。
  4. 前記ストッパの設置前に、前記開方向及び前記閉方向における前記フラップの最大揺動位置をそれぞれ測定し、その測定結果から前記適正位置を求めるようにした請求項3に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法。
  5. 前記電磁駆動弁は、内燃機関の機関バルブとして用いられる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁駆動弁の中立位置調整方法。
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