JP2009281097A - 覆工コンクリート打設用セントルおよび覆工コンクリート打設方法 - Google Patents

覆工コンクリート打設用セントルおよび覆工コンクリート打設方法 Download PDF

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Tsunehide Okubo
常秀 大久保
Tetsuya Hattori
哲也 服部
Osamu Iwata
修 岩田
Yoshikuni Nakano
義邦 仲野
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Nishimatsu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】トンネル湾曲部での覆工コンクリートの打設を効率的に行うことができる覆工コンクリート打設用セントルを提供する。
【解決手段】直線部と湾曲部を有するトンネルT内の長手方向へ配設されたガイド体1と、ガイド体1にこれに沿って移動可能に設置された移動体2と、当該移動体2に支持されその外周に覆工コンクリート注入空間Sを形成する型枠4と、湾曲部に位置する移動体2の移動方向端からトンネルTの直線部T3に臨む位置に延出して、移動体2を移動させるための駆動ワイヤ54が係止されるワイヤ係止体とを備える。ワイヤ係止体はリンクアーム51、フレーム52およびワイヤ係止用プーリ53で構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は覆工コンクリート打設用セントルに関し、特に、水力発電所の水路のような湾曲部を有するトンネルの覆工コンクリート打設に使用するセントルと覆工コンクリート打設方法に関する。
上下方向へ直線状に延びる立坑内に覆工コンクリートを打設するセントルとして例えば特許文献1に示すものが知られている。このセントルでは、立坑内にガイド体としてのポストを起立させ、当該ポストに沿って移動自在に移動型枠を設けている。そして、移動型枠の外周と立坑の内周との間の空間に覆工コンクリートを打設しつつ、吊上げ装置で移動型枠を順次上昇させる構造としてある。
特開平8−93378
ところが、上記従来の覆工コンクリート打設用セントルでは、水力発電所の水路のような湾曲部を有するトンネルの覆工コンクリートの打設ができず、湾曲部では相変わらず足場を組んで覆工作業を行う必要があるという問題があった。
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、トンネル湾曲部での覆工コンクリートの打設を効率的に行うことができる覆工コンクリート打設用セントルおよび覆工コンクリート打設方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明の覆工コンクリート打設用セントルは、直線部(T3)と湾曲部(T2)を有するトンネル(T)内の長手方向へ配設されたガイド体(1)と、ガイド体(1)にこれに沿って移動可能に設置された移動体(2)と、当該移動体(2)に支持されその外周に覆工コンクリート注入空間(S)を形成する型枠(4)と、湾曲部(T2)に位置する移動体(2)の移動方向端からトンネル(T)の直線部(T3)に臨む位置に延出して、移動体(2)を移動させるための駆動ワイヤ(54)が係止されるワイヤ係止体(51,52,53)とを具備する。なお、上記トンネルの湾曲方向は垂直あるいは水平に限られない。
本第1発明において、駆動ワイヤを引くことによって、ワイヤ係止体を介して移動体とこれに支持された型枠が、ガイド体に沿って所望位置に移動させられる。移動位置にて、型枠の外周に形成された注入空間に覆工コンクリートを打設する。打設を終えた覆工コンクリートに隣接する位置へ型枠を移動させて、順次新たな覆工コンクリートを打設することにより、従来のように足場を組んで覆工作業を行う必要がなくなるから、トンネル湾曲部での覆工コンクリートの打設を効率的に行うことができる。そして、移動体が移動する間、ワイヤ係止体は常にトンネル直線部を臨む位置にあるから、直線部を経て至った駆動ワイヤがトンネル内周壁と干渉して損傷する等の問題が生じない。
本第2発明の覆工コンクリート打設用セントルは、トンネル(T)内の長手方向へ配設されたガイド体(1)と、ガイド体(1)にこれに沿って移動可能に設置された移動体(2)と、当該移動体(2)に支持されその外周に覆工コンクリート注入空間(S)を形成する型枠(4)と、移動体(2)の一端から延出し伸縮可能で、その先端をガイド体(1)に係止可能とした駆動シリンダ(6)とを具備する。
本第2発明において、駆動シリンダ先端の、ガイド体との係止を解消して駆動シリンダを伸長ないし収縮させ、この状態で駆動シリンダの先端をガイド体に係止して、駆動シリンダを収縮ないし伸長させると、収縮した駆動シリンダに牽引され、ないし伸長した駆動シリンダに押圧されて移動体がシリンダ収縮量ないしシリンダ伸長量と同量だけ移動させられる。移動位置にて、型枠の外周に形成された注入空間内に覆工コンクリートを打設する。駆動シリンダ先端の係止を解消した状態でのシリンダの伸長ないし収縮と、駆動シリンダ先端を係止した状態でのシリンダの収縮ないし伸長とを繰り返して、打設を終えた覆工コンクリートに隣接する位置へ移動体を間欠的に移動させて、順次新たな覆工コンクリートを打設することにより、従来のように足場を組んで覆工作業を行う必要がなくなるから、トンネルでの覆工コンクリートの打設を効率的に行うことができる
本第3発明では、上記型枠(4)の外周面はトンネル湾曲部(T2)の湾曲中心(O)に対し同一角度範囲(θ)で側面視扇形に形成されて、湾曲する内側で短く、外側で長く形成されている。
本第3発明においては、型枠の外周面を、トンネルの湾曲中心に対し同一角度範囲で側面視扇形に形成し、湾曲する内側で短く、外側で長く形成しているから、移動体をガイド体に沿って移動させると、型枠の内側と外側でその外周端面を既設の覆工コンクリートの端面に同時に一致させることができる。
本第4発明の覆工コンクリート打設方法は、直線部(T3)と湾曲部(T2)を有するトンネル(T)内の長手方向へガイド体(1)を配設し、ガイド体(1)にこれに沿って移動可能に移動体(2)を設置するとともに、外周に覆工コンクリート注入空間(S)を形成する型枠(4)を移動体(2)に支持させ、湾曲部(T2)に位置する移動体(2)の移動方向端からトンネル(T)の直線部(T3)に臨む位置に延出させたワイヤ係止体(51,52,53)に、移動体(2)を移動させるための駆動ワイヤ(54)を係止し、駆動ワイヤ(54)を間欠的に引くことにより、順次新たな覆工コンクリート打設位置に移動体(2)および型枠(4)を移動させることを特徴とする。
本第5発明の覆工コンクリート打設方法は、トンネル(T)内の長手方向へガイド体(1)を配設し、ガイド体(1)にこれに沿って移動可能に移動体(2)を設置するとともに、外周に覆工コンクリート注入空間(S)を形成する型枠(4)を移動体(2)に支持させ、伸縮可能でその先端をガイド体(1)に係止可能とした駆動シリンダ(6)を移動体(2)の移動方向端から延出させて、駆動シリンダ(6)先端のガイド体(1)との係止を解消した状態で駆動シリンダ(6)を伸長させた後、駆動シリンダ(6)先端をガイド体(1)に係止させて駆動シリンダ(6)を収縮させることにより、順次新たな覆工コンクリート打設位置に移動体(2)および型枠(4)を移動させることを特徴とする。
本第6発明に係る、本第5発明の覆工コンクリート打設方法に使用したガイド体の撤収方法は、上記ガイド体(1)を、所定長の単位部材(114)を長手方向へ複数連結して構成し、トンネル(T)内に取込み架台(8)を設置して、移動体(2)とこれに支持させた枠体(4)をガイド体(1)から取り去った後、駆動シリンダ(6)を取込み架台(8)に設置して、該取込み架台(8)から延出させた駆動シリンダ先端のガイド体(1)との係止を解消させた状態で駆動シリンダ(6)を伸長させた後、駆動シリンダ先端をガイド体(1)に係止させて駆動シリンダ(6)を収縮させることにより、順次ガイド体(1)をその長手方向へ取込み架台(8)に向けて引き寄せ、引き寄せられたガイド体(1)の端部に位置する単位部材(114)の連結を順次解消するようにしたことを特徴とする。本第6発明によれば、トンネル内に特別な足場等を設けることなく、トンネル内からガイド体を簡易に撤収することができる。
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以上のように、本発明の覆工コンクリート打設用セントルおよび覆工コンクリート打設方法によれば、トンネル湾曲部での覆工コンクリートの打設を効率的に行うことができる。
(第1実施形態)
図1には水力発電所の水路の一部を構成するトンネルTの縦断面を示し、紙面垂直方向から至った円形トンネルは略直角に向きを変えて円弧状に湾曲しつつ垂直上方へ立ち上がっている。トンネルTは下端水平部T1と、これに続く湾曲部T2、そして上方へ延びる直線部たる垂直部T3とから構成されており、トンネルTの内空間には、その軸中心からやや偏心した位置でトンネルTに沿ってセントルを構成するガイド体1が配設されている。ガイド体1はトンネルTの断面形状と同様に、下端水平部11と、これに続く湾曲部12、そして上方へ延びる垂直部13とから構成されている。
ガイド体1は角形断面のトラス構造となっており(図2参照)、その内部には梯子や足場が備えられて(図示略)、作業員がガイド体1内を移動できるようになっている。上記ガイド体1は下端水平部11の一端がトンネル下端水平部T1内に立設された支持柱14(図1)に固定されるとともに、垂直部13の上端がトンネル垂直部T3の上端開口に設置された支持枠15に固定されて、トンネルT内に保持されている。このようなガイド体1には、湾曲する内側と外側(図1の上側と下側)の幅方向両側(図2)にそれぞれレール部16が設けられている。
上記ガイド体1には移動体2が装着されている。移動体2は、ガイド体1を囲む略長方形の側面(図1)と正面(図2)を有する枠体である。移動体2の上側と下側の各枠部の左右位置にはブラケット21(図2)が突設されてここにローラ22が装着されており、これらローラ22がガイド体1のレール部16に接している。これにより、湾曲する内側(図2の上方)と外側(図2の下方)からガイド体1を挟持した状態で、ガイド体に沿って移動体2が移動可能である。
移動体2の複数箇所から上方へジャッキ31(図2)が延び、梁部材311を介して、型枠4を構成する天端フォーム41が支持されている。型枠4は左右対称の円環状をなし、上端の天端フォーム41の左右位置に側フォーム42がヒンジ連結され、左右の側フォーム42の下方には下端フォーム43がヒンジ連結されている。天端フォーム41と各側フォーム42、および各側フォーム42と下端フォーム43との間にはそれぞれジャッキ32が配設されている。そして、これらジャッキ32を収縮させると円環状型枠4の全体径が相対的に小さくなり、伸長させると上記全体径が大きくなって、この状態で(図2の状態)型枠4の外周と掘削されたトンネルTの内周との間に環状の覆工コンクリート注入空間Sが形成される。
なお、左右の側フォーム42は移動体2の複数箇所から側方へ延びるジャッキ33によって、梁部材331を介して背後を支持されている。型枠4の外周面は、図3に示すように、トンネルTの湾曲中心Oに対し一定角度範囲θで側面視扇形に形成されており、湾曲するトンネルTの内側に位置する天端41外周の長さが相対的に短く、湾曲するトンネルTの外側に位置する下端43外周の長さが相対的に長くなっている。
移動体2の枠内にはトンネル幅方向の左右位置に支持板23(図2)が設置されており、これら支持板23は図3に示すようにトンネル長手方向へ延びて、その両端部は移動体2から前後方向へ突出している。各支持板23の後端(図3の左端)には位置決め部材24が連結されており、位置決め部材24はレール部16に沿って後方へ延びている。位置決め部材24は支持板23に回動可能に連結された前半部241と、ジャッキ243によって前半部241に結合された後半部242とから構成されており、これら前半部241と後半部242はいずれも、レール部16に沿って移動可能にこれに装着されている。そして、後半部242に設けた係止孔(図示略)を、ガイド体1(図1参照、図3では図示を省略されている)の長手方向に一定間隔で設けられた係止孔に一致させて、これら係止孔内にピン体を挿入することにより後半部242が固定され、この状態でジャッキ243を伸長ないし収縮させることによって移動体2をガイド体1に沿って前後に微小移動させることができる。
左右の支持板23の前端には上下位置より前方へリンクアーム51が延出しており、左右のリンクアーム51の先端は、移動体2がトンネルTの下端水平部T1の後端に位置している場合でも(図1の状態)トンネル垂直部T3を臨む位置に至っている。リンクアーム51の先端にはガイド体1を囲むように配設されたフレーム52に軸着されており、フレーム52には左右位置(図1、図3には一方のみ示す)に内外方向(図1、図3の上下方向)へ間隔をおいて3個のワイヤ係止用プーリ53が設けられている。そして、トンネル垂直部T3の開口外に設けたウインチから延びる駆動ワイヤ54が上記プーリー53と、トンネル開口の支持枠15上に設けたプーリ55との間に懸け回された後、ワイヤ54の先端は上記プーリ55を設けた梁部材15に固着されている。ここで、上記リンクアーム51、フレーム52、ワイヤ係止用プーリ53はワイヤ係止体を構成している。
なお、移動体2および型枠4は覆工作業時には、伸長させたジャッキ34(図2、図3)によって直接、あるいは伸長させたジャッキ35によって梁部材311,331を介して、掘削されたトンネルTの内周面ないし既設の覆工コンクリートCeの内周面に支持される。
このようなセントルでトンネル湾曲部T2(図1においてトンネル湾曲中心Oに対してαの角度範囲)の覆工コンクリート打設作業をする場合には、ジャッキ32を収縮させて型枠4の全体径を相対的に小さくした状態で、ウインチによって駆動ワイヤ54を巻き上げ、移動体2をトンネル湾曲部T2の所望のコンクリート打設位置、すなわち図3に示すような既設の覆工コンクリートCeに隣接する位置へ移動させる。この移動の間、移動体2の支持板22から延出するリンクアーム51先端に設けたワイヤ係止用プーリ53は、常にトンネル垂直部T3を臨むような位置にあるから、トンネル開口の支持枠15上に設けたプーリ55との間に懸け回された駆動ワイヤ54がトンネル内周壁と干渉して損傷する等の問題は生じない。
続いて、位置決め部材24の後半部242を、既述のようにピン体でガイド体1に固定し、この状態でジャッキ243を伸縮させて移動体2を微小移動させ、型枠4の外周端面を既設の覆工コンクリートCe端面に正確に合致させる(図3)。この際、型枠4の外周面は天端41外周の長さを下端43外周の長さよりも短くして、トンネルTの湾曲中心Oに対し一定角度範囲θの側面視扇形に形成されているから、移動体2をガイド体1の湾曲部12(図1)に沿って微小移動させれば、型枠4の内側(天端41側)と外側(下端43側)でその外周端面を既設の覆工コンクリートCeの端面に同時にかつ容易に一致させることができる。この状態で、ジャッキ34,35,36を伸長させて、トンネルTの内周面ないし既設の覆工コンクリートCeの内周面にて移動体2および型枠4を支持させ、続いて、ジャッキ32を伸長させて型枠4の全体径を相対的に大きくする。これにより、型枠4の外周と掘削されたトンネルTの内周壁との間に覆工コンクリート注入空間Sが形成される。
そこで、型枠4外周の他方の端面にて仕切板44(図3)によって上記注入空間Sを閉鎖して、当該空間S内に覆工コンクリートを注入する。注入コンクリートの養生を終えた後は、ジャッキ32を収縮させて型枠4の全体径を相対的に小さくし、型枠4の外周面を打設した覆工コンクリートの内周面から離間させる。そして、ジャッキ34,35,36を収縮させて移動体2および型枠4の支持状態を解消するとともに、位置決め部材24の後半部242の固定を解消し、ウインチによって駆動ワイヤ54を巻き上げて、移動体2およびこれと一体の型枠4を次の覆工コンクリート打設位置へ移動させる。
上記セントルはトンネル湾曲部T2の覆工のみならず、トンネル垂直部T3の覆工にも使用することができる。この場合には、図4に示すように移動体2を一旦トンネル水平部T1まで戻し、移動体2に支持させた型枠4を、側面視で長方形状の直線部用の型枠4´に取り替える。この後、駆動ワイヤ54を巻き上げて図5に示すように移動体2をガイド体に沿ってトンネル垂直部T3へ移動させ、既にトンネル湾曲部T2の覆工で説明したように、駆動ワイヤ54を間欠的に巻き上げつつ、型枠4´の外周とトンネル垂直部T3の内周壁との間に形成される覆工コンクリート注入空間S内へ覆工コンクリートを打設する。
(第2実施形態)
第1実施形態では駆動ワイヤ54で移動体を移動させたが、本実施形態では駆動シリンダによって移動体を移動させる。なお、ガイド体1や、移動体2およびこれに支持された枠体4の構造は第1実施形態と同様である。
図6において、移動体2に設けられた左右の支持板23(図6には一方のみ示す)からは前方(図の右方)へ油圧作動の駆動シリンダ6が延びている。駆動シリンダ6の先端はガイド体1に装着された係止体7に連結されている。係止体7はガイド体1の両側と下方を囲むように形成された枠体で(図7)、その上下左右位置に設けたローラ71がガイド体1のレール部16に当接して、上下からガイド体1を挟持しつつこれに沿って移動可能に設けられている。係止体7の左右の側枠の上端部は下方へU字形に屈曲しており、U字形を構成する左右の枠材72には係止孔721が設けられている。一方、ガイド体1の左右の枠材17にはその上端部に長手方向(図7の紙面垂直方向)へ間隔をおいて係止孔171が設けられている。
このような構造で、移動体2を移動させる場合には、駆動シリンダ6を伸長作動させて係止体7をガイド体1に沿って適当量前進させ、係止体7の係止孔721をガイド体1の係止孔171に一致させる。そして、この状態で図7に示すように、係止孔721,171内にピン体73を挿入して、係止体7をガイド体1に固定する。この状態で、駆動シリンダ6を収縮作動させると、収縮した駆動シリンダ6に牽引されて移動体2がシリンダ収縮量と同量だけ移動させられる。型枠4外周の注入空間内に覆工コンクリートを注入して覆工コンクリートを打設した後、ピン体73を係止孔721,171から抜く。再び駆動シリンダ6を伸長させて、ピン体73を係止孔721と新たな係止孔171内に挿入して、駆動シリンダ6を収縮させることにより再び移動体2を移動させる。そして新たな位置で覆工コンクリートを打設する。これを繰り返すことによって移動体2を間欠的に移動させて、覆工コンクリートを順次打設する。なお、ピン体73を係止孔721,171から抜いて駆動シリンダ6を伸縮させる際には、位置決め部材24(図3参照)の後半部242をピン体でガイド体1に固定する等によって移動体2の移動を規制しておく。また、駆動シリンダ6の収縮時に移動体2を移動させるのに代えて、駆動シリンダ6の伸長時に移動体2を移動させるようにしても良い。この場合には、移動体2は駆動シリンダ6を設けた側とは反対方向へ移動する。
本実施形態で示したセントルによっても、トンネル湾曲部T2、直線部(垂直部)T3のいずれの覆工作業も可能である。特に、トンネル湾曲部T2の湾曲半径が大きい場合に第1実施形態のセントルではこれに応じてリンクアーム51(図3参照)を長くする等の対策が必要であるのに対して、本実施形態のセントルではトンネル湾曲部T2の湾曲半径の大小に関係なく使用することができるという利点を有する。
本実施形態のセントルで、トンネル垂直部T3の上端に続く湾曲部T4の覆工作業を終えた状態での、トンネルTの縦断面図を図8に示す。図8において、ガイド体1はトンネルTに沿ってその内部を長手方向へ配設されており、トンネルTの断面形状と同様に、垂直部111と、これに続く湾曲部112、水平部113とから構成されている。また、ガイド体1はその長手方向へ、一定長のトラス構造の単位部材114を連結して構成されている。移動体2は既述のように、係止体7のガイド体1への固定を解消した状態での駆動シリンダ6の伸長と、係止体7をガイド体1に固定した状態での駆動シリンダ6の収縮とを繰り返してトンネル湾曲部T4から水平部T5へと移動させられている。この後、移動体2とこれに支持された型枠4は解体されてガイド体1上から取り去られる。そして、図9に示すように、ガイド体1の水平部113先端を、トンネルTの水平部T5内に設置された取込み架台8で支持する。この取込み架台8には、上記移動体2の移動に使用していた駆動シリンダ6、あるいはこれと同一構造の駆動シリンダが設置されて、その先端には上記係止体7、あるいはこれと同一構造の係止体が連結される。係止体7は既述の構造によってガイド体1に装着されている。
取込み架台8の詳細を図10に示す。取込み架台8はアングル材を組み立てたもので、その上端の左右両側(紙面垂直方向)に一対のガイドローラ811を設けたガイド部材81と支持ブラケット82とを備えている。これらガイド部材81と支持ブラケット82はガイド体1の長手方向で揺動可能となっている。駆動シリンダ6を図示のように伸長作動させた状態で係止体7の係止孔721(図7参照)をガイド体1の係止孔171に一致させ、これら係止孔721,171内にピン体73を挿入して係止体7をガイド体1に固定する。この状態で、駆動シリンダ6を収縮作動させると、収縮した駆動シリンダ6に牽引されて、ガイドローラ811と支持ブラケット82上をガイド体1が取込み架台8に向けて引き寄せられる。これを図11に示す。
引き寄せられて取込み架台8の後方へ送り出されたガイド体1から、ボルト連結を解消する等によって単位部材114を分離して(図12)、分離された単位部材114を撤去する。以降、ガイド体1への係止体7の固定を解消して駆動シリンダ6を伸長させた後、ガイド体1へ係止体7を固定して駆動シリンダ6を再び収縮させ、これを繰り返すことによってガイド体1を間欠的に取込み架台8に向けて引き寄せて、その都度、ガイド体1から単位部材114を分離して撤去する(図13)。このようにして、トンネルT内に特別な足場等を設けることなく、トンネルT内からガイド体1を簡易に撤収することができる(図14)。
本発明の第1実施形態を示す、セントルを配置したトンネルの縦断面図である。 図1のX方向から見た移動体および型枠の正面図である。 移動体および型枠の側面図である。 移動体上の型枠を変更した状態でのセントルを配置したトンネルの縦断面図である。 移動体をトンネル垂直部へ移動させた状態でのセントルを配置したトンネルの縦断面図である。 本発明の第2実施形態を示す、移動体前方に設けた駆動シリンダおよび係止体の側面図ある。 図6のY方向から見た係止体の正面図である。 トンネル湾曲部の覆工作業を終えた状態での、セントルを配置したトンネルの縦断面図である。 ガイド体の撤収工程を示すトンネルの縦断面図である。 取込み架台の側面図である。 取込み架台の側面図である。 ガイド体の撤収工程を示すトンネルの縦断面図である。 ガイド体の撤収工程を示すトンネルの縦断面図である。 ガイド体の撤収工程を示すトンネルの縦断面図である。
符号の説明
1…ガイド体、114…単位部材、2…移動体、4…型枠、51…リンクアーム(ワイヤ係止体)、52…フレーム(ワイヤ係止体)、53…ワイヤ係止用プーリ(ワイヤ係止体)、54…駆動ワイヤ、6…駆動シリンダ、7…係止体、8…取込み架台、O…湾曲中心、S…覆工コンクリート注入空間、T…トンネル、T2…湾曲部、T3…垂直部(直線部)。

Claims (6)

  1. 直線部と湾曲部を有するトンネル内の長手方向へ配設されたガイド体と、前記ガイド体にこれに沿って移動可能に設置された移動体と、当該移動体に支持されその外周に覆工コンクリート注入空間を形成する型枠と、前記湾曲部に位置する前記移動体の移動方向端からトンネルの前記直線部に臨む位置に延出して、前記移動体を移動させるための駆動ワイヤが係止されるワイヤ係止体とを具備する覆工コンクリート打設用セントル。
  2. トンネル内の長手方向へ配設されたガイド体と、前記ガイド体にこれに沿って移動可能に設置された移動体と、当該移動体に支持されその外周に覆工コンクリート注入空間を形成する型枠と、移動体の一端から延出し伸縮可能で、その先端をガイド体に係止可能とした駆動シリンダとを具備する覆工コンクリート打設用セントル。
  3. 前記型枠の外周面は前記トンネル湾曲部の湾曲中心に対し同一角度範囲で側面視扇形に形成されて、湾曲する内側で短く、外側で長く形成されている請求項1又は2に記載の覆工コンクリート打設用セントル。
  4. 直線部と湾曲部を有するトンネル内の長手方向へガイド体を配設し、前記ガイド体にこれに沿って移動可能に移動体を設置するとともに、外周に覆工コンクリート注入空間を形成する型枠を前記移動体に支持させ、前記湾曲部に位置する前記移動体の移動方向端からトンネルの前記直線部に臨む位置に延出させたワイヤ係止体に、前記移動体を移動させるための駆動ワイヤを係止し、前記駆動ワイヤを間欠的に引くことにより、順次新たな覆工コンクリート打設位置に前記移動体および型枠を移動させることを特徴とする覆工コンクリート打設方法。
  5. トンネル内の長手方向へガイド体を配設し、前記ガイド体にこれに沿って移動可能に移動体を設置するとともに、外周に覆工コンクリート注入空間を形成する型枠を前記移動体に支持させ、伸縮可能でその先端を前記ガイド体に係止可能とした駆動シリンダを前記移動体の一端から延出させて、前記駆動シリンダ先端のガイド体との係止を解消させた状態で駆動シリンダを伸長ないし収縮させた後、前記駆動シリンダ先端をガイド体に係止させて駆動シリンダを収縮ないし伸長させることにより、順次新たな覆工コンクリート打設位置に前記移動体および型枠を移動させることを特徴とする覆工コンクリート打設方法。
  6. 前記ガイド体を、所定長の単位部材を長手方向へ複数連結して構成し、トンネル内に取込み架台を設置して、前記移動体とこれに支持させた枠体を前記ガイド体から取り去った後、前記駆動シリンダを前記取込み架台に設置して、該取込み架台から延出させた前記駆動シリンダ先端のガイド体との係止を解消させた状態で駆動シリンダを伸長させた後、前記駆動シリンダ先端をガイド体に係止させて駆動シリンダを収縮させることにより、順次ガイド体をその長手方向へ前記取込み架台に向けて引き寄せ、引き寄せられた前記ガイド体の端部に位置する単位部材の連結を順次解消するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の覆工コンクリート打設方法に使用したガイド体の撤収方法。
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