JP2009280439A - セメント成形体、セメント組成物及びセメント成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成工程が不要であり、製造コストが低廉で、空気や水に対して優れた浄化作用を奏し、大きな成形体とすることのできるセメント成形体、セメント組成物及びセメント成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】廃鋳物砂を焼成することなく0.6mmφ未満の微粒砂を篩い分ける。こうして得られた微粒砂の中からPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下のものを選別する。そして、(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15〜0.6となるようにセメントを添加して混合し、さらに水を加えて混合し、成形型に入れて養生する。
【選択図】図1
【解決手段】廃鋳物砂を焼成することなく0.6mmφ未満の微粒砂を篩い分ける。こうして得られた微粒砂の中からPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下のものを選別する。そして、(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15〜0.6となるようにセメントを添加して混合し、さらに水を加えて混合し、成形型に入れて養生する。
【選択図】図1
Description
本発明は廃鋳物砂を原料とするセメント成形体、セメント組成物及びセメント成形体の製造方法に関し、空気や水の浄化に好適に用いることができる。
鋳物製造工程から生ずる鋳物砂廃棄物は年間160万トンに達し、その60%は再利用されずに埋め立て処分とされている。しかし、現在設置されている最終処分場の埋め立て可能な残余量は減少しており、新たな最終処分場の建設も困難な状況となっている。また、鋳物砂廃棄物には鉛や銅等の重金属も含まれることがあるため、土壌からの溶出を防ぐべく、管理型最終処分場への埋め立てが必要な場合もあり、処分費用の高騰化が問題となっている。このため、廃鋳物砂を資源として有効に利用する技術が求められている。
こうした廃鋳物砂を資源として利用する技術としては、従来より、廃鋳物砂を焼成して樹脂成分を除去したり、湿式で不純物を除いたりして、再利用することが行われている(特許文献1〜4)。また、粒度を調整して再び鋳物砂として利用したり、セメントの増量材として利用したりもしている(非特許文献1)。
さらには、廃鋳物砂を活性炭と混練して造粒し、還元雰囲気下で焼成したものを水処理用の吸着材として利用することも提案されている(特許文献5)。
しかし、この利用方法では、高価な活性炭を吸着材として使用しなければならず、さらには800〜1000°Cという高温において還元性雰囲気で焼成しなければならないため、製造コストが高くなってしまう。このため、本発明者らは、活性炭を使用せず、鋳物砂を焼成することなくアルギン酸ソーダ、アクリル系の高吸水性樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の有機ポリマー化合物や、酸化マグネシウム等の無機粉末等で固化し、優れた吸着材とする技術をすでに開発している(特許文献6)。
なお、本発明に関係する発明として、本発明者らは、廃鋳物砂を焼成することなく用いる浄化材について特許出願(特願2007−28788)を行なっている。
しかし、上記特許文献6に記載の、廃鋳物砂を焼成することなく鋳物砂を焼成することなくアルギン酸ソーダ、アクリル系の高吸水性樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の有機ポリマー化合物や、酸化マグネシウム等の無機粉末等で固化した浄化材では、丸めて小さな球状の形態とすることはできるものの、大きな成形体とするためには機械的強度が不足していた。固化材の含有量を増やせば、さらに機械的な強度を上げることはできるが、これでは高価な固化材を多量に使用することとなり、製造コストの高騰化を引き起こすこととなる。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであって、焼成工程が不要であり、製造コストが低廉で、空気や水に対して優れた浄化作用を奏し、大きな成形体とすることのできるセメント成形体、セメント組成物及びセメント成形体の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
廃鋳物砂には鋳物用樹脂等に起因する有機成分が含まれており、これまで廃鋳物砂を利用する場合には、通常、廃鋳物品を焼成して有機成分を除去することが行われている。しかしながら、発明者らは、廃鋳物砂そのものを焼成することなく利用することができないかということを考えた。そして、鋭意研究を行った結果、廃鋳物砂にはpH4からpH10の範囲における電位が−10mV〜−60mVという負側に大きなゼータ電位を有するものが存在することを見出した。このため、廃鋳物砂を焼成することなく所定の粒子径範囲を分取したものは、バクテリアの生息に適した環境となり(例えば、集菌技術に関する研究−複合減菌装置の開発−、埼玉県産業技術総合センター研究報告、第2巻(2004)等)、バクテリアによる被処理水の生物処理にとって極めて都合が良いと考えられる。
また、発明者らは、焼成していない廃鋳物砂の表面には、廃鋳物砂に含まれていた有機物に起因するカルボン酸基等の官能基を有しており、この表面官能基によって銅、鉛、亜鉛といった重金属類のイオンやアンモニアガスを吸着するということも見出した。そしてさらには、焼成していない廃鋳物砂を篩い分けした場合、0.6mmφ未満の微粒砂の区分が特にアンモニアガスに対する吸着性能がよいことを発見した。
さらには、こうした廃鋳物砂から所定の粒度及び所定のゼータ電位を有する微粒砂を採取し、これをセメントと混合して水によって固化させれば、上記課題を解決できるセメント成形体となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のセメント成形体は、廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて得られた0.6mmφ未満の微粒砂のうち、PH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下の微粒砂である低ゼータ電位微粒砂をセメントに混合し、水を加えて成形した成形体からなることを特徴とする。
本発明のセメント成形体は、セメントが配合されているため、大きな成形体とすることができる。また、セメントにはアンモニアガスをよく吸着する性質を有する、廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて得られた0.6mmφ未満の微粒砂が配合されて、水を加えて成形体とされているため、アンモニアガスをよく吸着する。さらには、廃鋳物砂からなる微粒砂のPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下となっているため、バクテリアの生息に適した環境となる。このため、池や川に沈めておくことにより、生物処理によるBODの低減とアンモニアの吸着除去によって、水質を浄化することができる。
発明者らの試験結果によれば、廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けた場合、0.6mmφ未満の細かい区分はアンモニアに対する吸着性能がよく、特に吸着性能が良いのは0・15mmφ未満である。
本発明のセメント成形体では、廃鋳物砂のうち焼成することなく篩い分けて得られた0.6mmφ未満の微粒砂が用いられている。本発明者らの試験結果によれば、このように細かい微粒砂には、亜鉛や銅等の重金属成分が多く含まれ、これらの重金属成分がセメントの固化を妨げる作用をすると考えられる。このため、このような微粒砂をセメントに混合して固化させる場合には、通常の骨材入りセメントの割合よりもセメント分を多くすることが好ましい。具体的には(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15〜0.6とされていることが好ましく、さらに好ましいのは0.2〜0.5であり、最も好ましいのは0.25〜0.4である。(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.6を超えると、機械的強度には優れたセメント成形体が得られるが、アンモニアの吸着性能が不十分となる。また、(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15未満では、固化が不十分となり、機械的強度に劣るものとなる。
本発明のセメント成形体に用いられる低ゼータ電位微粒砂は、鉄類が除去されていることも好ましい。こうであれば、セメント成形体が鉄さびによって固化したり、赤く変色したりするのを防ぐことができる。セメント成形体の鉄類を除くためには、廃鋳物砂に対して、磁力で鉄類を除去する鉄類除去装置を通過させること等の手段を用いることができる。
本発明のセメント成形体を被処理水と接触させれば、バクテリアによる有機物の分解と、アンモニウムイオン等の吸着効果との相乗効果によって、被処理水を効果的に浄化することができる。
本発明のセメント成形体は次の方法によっての製造することができる。すなわち、本発明のセメント成形体の製造方法は、廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて0.6mmφ未満の微粒砂を得る篩工程と、該篩工程で得られた該微粒砂のうちPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下の微粒砂である低ゼータ電位微粒砂を選別する微粒砂選別工程と、該低ゼータ電位微粒砂をセメントに混合し、水を加えて成形する成形工程とを含むことを特徴とする。
さらに廃鋳物砂を水洗する洗浄工程や、廃鋳物砂に含まれる鉄類を除去する鉄除去工程とを備えることも好ましい。洗浄工程では廃鋳物砂が水洗されるため、廃鋳物砂に含まれている水溶性の有害物が除去される。このため、有害物の溶出のおそれが少ない浄化材となる。また、鉄除去工程では鉄類が除去されるため、浄化材が鉄さびによって固化したり、赤く変色したりするのを防ぐことができる。
(実施形態)
本発明のセメント成形体の原料となる廃鋳物砂については、鉄鋳物、アルミ鋳物、銅合金鋳物等に用いられた廃鋳物砂を用いることができる。この中でも鉄鋳物が特に好ましい。アルミ鋳物や銅合金鋳物では、アルミや銅合金が吸着材に混入するおそれがある。また、銅合金には鉛等の有害な重金属を含むこともあるからである。
本発明のセメント成形体の原料となる廃鋳物砂については、鉄鋳物、アルミ鋳物、銅合金鋳物等に用いられた廃鋳物砂を用いることができる。この中でも鉄鋳物が特に好ましい。アルミ鋳物や銅合金鋳物では、アルミや銅合金が吸着材に混入するおそれがある。また、銅合金には鉛等の有害な重金属を含むこともあるからである。
また、鋳物砂型には、ケイ砂、粘土、デンプン、植物性油、炭素等を含む生砂型や、ケイ砂、フェノール樹脂やフラン樹脂等の有機バインダー樹脂を含む有機砂型があるが、そのどちらも原料として用いることができる。
鋳物工場から回収された上記の廃鋳物砂は、まず大きな固形物をスクリーン等により除去される。除去された固形物はロッドミル等で粉砕し、再度スクリーンで分級してもよい。こうして大きな固形物を除去された廃鋳物砂は、スパイラル洗浄機等で水洗され、磁選機によって鉄類が除去される。さらに分級機によって篩い分けされ、粒子径が0.15〜5mmの洗砂と、粒子径が0.15mm未満の微粒砂とに分級される。洗砂はストックヤードにて水切りして保管される。こうして洗砂を得ることができる。また、微粒砂はシックナーで撹拌濃縮された後、フィルタープレス等の脱水機によって脱水され30〜50質量%程度の含水率のケーキとされる。
ついでバッチ式混合機(遊星式混合攪拌機、真空土練機、縦型ミキサー、パグミルミキサーなど)に微粒砂を85〜15部、セメントを15〜85部投入し混合攪拌する。スラリー状混合物を取り出し形枠にいれ静置し、常温または蒸気養生(20〜60℃)しセメント成形体とする。このときセメント成形体は水質浄化、脱臭用の資材とすることができる。なおこのとき用いるセメントとしては、特に限定はないが、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、中庸熱セメント、白色セメント等を用いることができる。また天然砂、人工砂(スラグ砂など)を適宜添加してもよい。
このとき混合物をさらに加圧成形してブリック状、レンガ状、ブロック状、板状とするなど、使用する箇所に応じた形状とすることができる。
以下、本発明をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
<固形物除去工程S1>
図1に示すように、まず固形物除去工程S1として、鉄鋳物工場から廃棄された廃鋳物砂を収集し、50mm及び5mmの2段階のスクリーンに通してガラス、金属、レンガ等の夾雑物を除去し、5mm未満の粒子径の部分を分取する。5〜50mmの分級部分については、ロッドミルで5mm未満の粒子径に破砕して5mm未満の粒子径とする。
<固形物除去工程S1>
図1に示すように、まず固形物除去工程S1として、鉄鋳物工場から廃棄された廃鋳物砂を収集し、50mm及び5mmの2段階のスクリーンに通してガラス、金属、レンガ等の夾雑物を除去し、5mm未満の粒子径の部分を分取する。5〜50mmの分級部分については、ロッドミルで5mm未満の粒子径に破砕して5mm未満の粒子径とする。
<洗浄工程S2>
次に洗浄工程S2として、固形物除去工程S1で分取された5mm未満の粒子をスパイラル洗浄機に送り、水洗浄を行う。
次に洗浄工程S2として、固形物除去工程S1で分取された5mm未満の粒子をスパイラル洗浄機に送り、水洗浄を行う。
<鉄除去工程S3>
さらに、洗浄工程S2によって洗浄された5mm未満の粒子中の鉄類を湿式磁選機を用いて除去する。
低ゼータ電位微粒砂
さらに、洗浄工程S2によって洗浄された5mm未満の粒子中の鉄類を湿式磁選機を用いて除去する。
低ゼータ電位微粒砂
<篩工程S4>
そして、バイブル分級機を用いて0.15mmφ以上の洗砂と0.15mmφ未満の微粒砂とに分ける。
そして、バイブル分級機を用いて0.15mmφ以上の洗砂と0.15mmφ未満の微粒砂とに分ける。
<微粒砂選別工程S5>
さらに、分取工程S4によって得られた微粒砂について、ゼータ電位をpH4〜10の範囲でバッチごとに測定を行い、ゼータ電位が−10mV以下であるバッチについてのみ、低ゼータ電位微粒砂とし、ゼータ電位が−10mVを超える場合には、そのバッチは廃棄処分とする。
さらに、分取工程S4によって得られた微粒砂について、ゼータ電位をpH4〜10の範囲でバッチごとに測定を行い、ゼータ電位が−10mV以下であるバッチについてのみ、低ゼータ電位微粒砂とし、ゼータ電位が−10mVを超える場合には、そのバッチは廃棄処分とする。
<フィルタープレス工程S6>
さらに、微粒砂選別工程S5によって得られた低ゼータ電位微粒砂をシックナーに送り、水中でゆっくり撹拌しながら沈殿濃縮し、得られた微粒砂の濃縮スラリーをフィルタープレス装置でろ過し、精製された低ゼータ電位微粒砂を得た。
さらに、微粒砂選別工程S5によって得られた低ゼータ電位微粒砂をシックナーに送り、水中でゆっくり撹拌しながら沈殿濃縮し、得られた微粒砂の濃縮スラリーをフィルタープレス装置でろ過し、精製された低ゼータ電位微粒砂を得た。
<成形工程S7>
そして、フィルタープレス工程S6で得られた精製された低ゼータ電位微粒砂40kgに対して普通ポルトランドセメントが60kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.6)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して27.9重量部の水を加えてさらに混合したものを、100×190×390mmの基本形の建築ブロック成形型に入れ、20℃で28日間の密封養生を行なった後、型枠をはずして実施例1のセメント成形体を得た。
そして、フィルタープレス工程S6で得られた精製された低ゼータ電位微粒砂40kgに対して普通ポルトランドセメントが60kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.6)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して27.9重量部の水を加えてさらに混合したものを、100×190×390mmの基本形の建築ブロック成形型に入れ、20℃で28日間の密封養生を行なった後、型枠をはずして実施例1のセメント成形体を得た。
(実施例2)
実施例2では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂60kgに対して普通ポルトランドセメントが40kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.4)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して27.3重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例2では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂60kgに対して普通ポルトランドセメントが40kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.4)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して27.3重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(実施例3)
実施例3では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂70kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.3)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.9重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例3では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂70kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.3)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.9重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(実施例4)
実施例4では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂85kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.3)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例4では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂85kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.3)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(実施例5)
実施例5では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.23)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例5では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが30kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.23)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(実施例6)
実施例6では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが40kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.29)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例6では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが40kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.29)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(実施例7)
実施例7では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが60kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.38)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
実施例7では、成形工程S7において、低ゼータ電位微粒砂100kgに対して普通ポルトランドセメントが60kg(すなわち(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が約0.38)となるように秤取り、混合撹拌して混合物とし、この混合物100重量部に対して26.5重量部の水を加えてさらに混合した。その他は実施例1と同じであり、詳細な説明を省略する。
(比較例1)
比較例1では、普通ポルトランドセメント100重量部に対して27.9重量部の水を加え(すなわち低ゼータ電位微粒砂は加えたかった)、実施例1〜4と同様に成形型に入れて同様の養生を行い、セメント成形体を得た。
(比較例2)
比較例2では、低ゼータ電位微粒砂100重量部に対して25.9重量部の水を加え(すなわち普通ポルトランドセメントは加えたかった)、実施例1〜4と同様に成形型に入れて同様の養生を行い、セメント成形体を得た。
比較例1では、普通ポルトランドセメント100重量部に対して27.9重量部の水を加え(すなわち低ゼータ電位微粒砂は加えたかった)、実施例1〜4と同様に成形型に入れて同様の養生を行い、セメント成形体を得た。
(比較例2)
比較例2では、低ゼータ電位微粒砂100重量部に対して25.9重量部の水を加え(すなわち普通ポルトランドセメントは加えたかった)、実施例1〜4と同様に成形型に入れて同様の養生を行い、セメント成形体を得た。
−評 価−
原料の廃鋳物砂及び篩工程S4においてバイブル分級機を用いて得られた0.15mmφ未満の微粒砂の化学成分の分析を表1に示す。この表から、微粒砂は灼熱減量が多いことが分かる。これは、鋳物砂廃棄物に含まれていた樹脂分が微粒砂に選択的に多く含まれていることによるものと推測される。後述するように、微粒砂がアンモニア等の吸着性能が良好なのは、これら樹脂分が有しているカルボキシル基等の官能基の吸着能に基づくものと推測される。
原料の廃鋳物砂及び篩工程S4においてバイブル分級機を用いて得られた0.15mmφ未満の微粒砂の化学成分の分析を表1に示す。この表から、微粒砂は灼熱減量が多いことが分かる。これは、鋳物砂廃棄物に含まれていた樹脂分が微粒砂に選択的に多く含まれていることによるものと推測される。後述するように、微粒砂がアンモニア等の吸着性能が良好なのは、これら樹脂分が有しているカルボキシル基等の官能基の吸着能に基づくものと推測される。
<ゼータ電位の測定>
上記篩工程S4で得られた微粒砂について、JIS R1638「ファインセラミックス粉末の等電点測定方法」に準じた方法により、ゼータ電位の測定を行った。すなわち、試料(0.01g)を超純水(100ml)に加え、10分間超音波による分散を行った分散液について、電気泳動光散乱法に基づくゼータ電位測定装置(大塚電子株式会社製 ELS−8000)により、25°C下で測定を行った。なお、測定は2回行い、その平均値を測定値とした。同様の方法により、市販の珪砂微粉についても、ゼータ電位の測定を行った。
上記篩工程S4で得られた微粒砂について、JIS R1638「ファインセラミックス粉末の等電点測定方法」に準じた方法により、ゼータ電位の測定を行った。すなわち、試料(0.01g)を超純水(100ml)に加え、10分間超音波による分散を行った分散液について、電気泳動光散乱法に基づくゼータ電位測定装置(大塚電子株式会社製 ELS−8000)により、25°C下で測定を行った。なお、測定は2回行い、その平均値を測定値とした。同様の方法により、市販の珪砂微粉についても、ゼータ電位の測定を行った。
その結果、図2に示すように、微粒砂はpH4〜10の範囲でゼータ電位は−22mV〜−43mVという絶対値の大きな負のゼータ電位を有することが分かった。これに対して、珪砂微粉は、−2mV〜−7mVという絶対値の小さな負のゼータ電位を有することが分かった。
以上のゼータ電位測定結果から、篩工程S4で得られた微粒砂はバクテリアの生息に適した環境となることが分かった。また、この微粒砂を含む実施例1〜4のセメント成形体についても、同様にバクテリアの生息に適した環境となることが分かった。
<溶出試験>
また、篩工程S4で得られた微粒砂についての溶出試験(環境庁告示第46号の方法)を行った。その結果、表2に示すように、T−Hg、六価クロム、カドミウム、砒素、鉛、セレニウムのいずれも土壌環境基準値以下であった。
また、篩工程S4で得られた微粒砂についての溶出試験(環境庁告示第46号の方法)を行った。その結果、表2に示すように、T−Hg、六価クロム、カドミウム、砒素、鉛、セレニウムのいずれも土壌環境基準値以下であった。
<JIS R5201によるセメント試験>
上記実施例1〜3及び比較例1のセメント成形体及び比較例2について、JIS R5201によるセメント試験を行なった。その結果、表2に示すように、実施例1〜3ではセメントの割合が高いほど硬化開始時間及び凝結時間が短くなることが分かった。このことから、機械的強度を高めるには微粒砂に対するセメントの割合を高くすればよいことが分かった。
上記実施例1〜3及び比較例1のセメント成形体及び比較例2について、JIS R5201によるセメント試験を行なった。その結果、表2に示すように、実施例1〜3ではセメントの割合が高いほど硬化開始時間及び凝結時間が短くなることが分かった。このことから、機械的強度を高めるには微粒砂に対するセメントの割合を高くすればよいことが分かった。
<アンモニアガス吸着試験>
実施例5〜7及び比較例1のセメント成形体を用いて、アンモニアガス吸着試験を行った。すなわち、8リットルのデシケータにシャーレを置き、そこへセメント成形体の破片を35g入れ、さらに濃アンモニア水0.5gで湿らせたろ紙を入れ、蓋をした。そして、定期的に内部のガスをサンプリングしてそのアンモニア濃度を検知管式気体測定器(アンモニア検知管No.3M GASTEC社)によって測定した。
実施例5〜7及び比較例1のセメント成形体を用いて、アンモニアガス吸着試験を行った。すなわち、8リットルのデシケータにシャーレを置き、そこへセメント成形体の破片を35g入れ、さらに濃アンモニア水0.5gで湿らせたろ紙を入れ、蓋をした。そして、定期的に内部のガスをサンプリングしてそのアンモニア濃度を検知管式気体測定器(アンモニア検知管No.3M GASTEC社)によって測定した。
その結果、図3及び図4に示すように、微粒砂の割合が多いほど、アンモニアの吸着能力が大きいことが分かった。
すなわち、本発明のセメント成形体は、微粒砂のセメントに対する割合が少ないほど機械的強度に優れ、逆に微粒砂のセメントに対する割合が多いほど、アンモニアに対する吸着性能は優れることとなる。すなわち、本発明のセメント成形体について、微粒砂のセメントに対する割合は、要求される機械的強度及びアンモニアに対する吸着性能を勘案して適宜決定されるべきであるが、一般的には(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15〜0.6とされていることが好ましく、さらに好ましいのは0.2〜0.5であり、最も好ましいのは0.25〜0.4である。(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.6を超えると、機械的強度には優れたセメント成形体が得られるが、アンモニアの吸着性能が不十分となる。また、(セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15未満では、固化が不十分となり、機械的強度に劣るものとなる。
また、篩工程S4で得られた0.15mmφ以上の洗砂と、微粒砂選別工程S5で得られた0.15mmφ未満の微粒砂についても、同様にアンモニアガス吸着試験を行なった。その結果、図5に示すように、微粒砂選別工程S5で得られた0.15mmφ未満の微粒砂のほうが、篩工程S4で得られた0.15mmφ以上の洗砂よりもアンモニアをはるかに迅速に吸着することが分かった。このことからも、0.15mmφ未満の微粒砂をセメントと混合して得られたセメント成形体が、優れたアンモニア吸着能を有することが分かる。
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本発明のセメント成形体は、臭気吸着ブロックや水質浄化材等の資材としての使用が可能である。
Claims (5)
- 廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて得られた0.6mmφ未満の微粒砂のうちPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下の微粒砂である低ゼータ電位微粒砂をセメントに混合し、水を加えて成形した成形体からなることを特徴とするセメント成形体。
- (セメントの重量)/(低ゼータ電位微粒砂の重量+セメントの重量)の値が0.15〜0.6とされていることを特徴とする請求項1記載のセメント成形体。
- 前記低ゼータ電位微粒砂は鉄類が除去されていることを特徴とする請求項1又は2記載のセメント成形体。
- 廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて得られた0.6mmφ未満の微粒砂のうちPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下の微粒砂である低ゼータ電位微粒砂とセメントとが混合されていることを特徴とする請求項1乃至3のセメント成形体を製造するためのセメント組成物。
- 廃鋳物砂を焼成することなく篩い分けて0.6mmφ未満の微粒砂を得る篩工程と、
該篩工程で得られた該微粒砂のうちPH4からPH10の範囲におけるゼータ電位が−10mV以下の微粒砂である低ゼータ電位微粒砂を選別する微粒砂選別工程と、
該低ゼータ電位微粒砂をセメントに混合し、水を加えて成形する成形工程と、
を含むことを特徴とするセメント成形体の製造方法。
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JP2008133886A JP2009280439A (ja) | 2008-05-22 | 2008-05-22 | セメント成形体、セメント組成物及びセメント成形体の製造方法 |
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JP2012217438A (ja) * | 2011-04-13 | 2012-11-12 | Daito Kogyo Kk | コンクリート構造体 |
JP2016144796A (ja) * | 2016-01-05 | 2016-08-12 | 有限会社イー・エス・テクノ | 水質浄化装置及び水質浄化方法 |
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2008
- 2008-05-22 JP JP2008133886A patent/JP2009280439A/ja active Pending
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